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43回国会参議院1963/03/18

予算委員会 第14号

発言数
259
登壇者
24
会派数
4
開催日
1963/03/18

会議録

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告いたします。  本日、田畑金光君、高山恒雄君、大竹平八郎君、稲葉誠一君がそれぞれ辞任され、その補欠として、田上松衛君、赤松常子君、山高しげり君及び鈴木強君がそれぞれ選任されました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。山本伊三郎君。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それでは外交問題で、実は韓国の問題で、外務大臣にまず冒頭に質問したいんですが、おくれるようでございますので、最初に、旧地主に対する報償問題について、いろいろ新聞紙上をにぎわしておりまするが、はっきりと政府の態度をひとつここで表明していただきたいと思います。  本論に入る前に、問題を秩序正しく問いただすために、さきに、昨年の五月二十二日に出されました農地被買収者問題調査会の答申が出ておるはずでございまするが、その骨子を、総理府総務長官からまずお知らせ願いたい。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) 山本委員の御質問にお答えいたします。  農地被買収者問題調査会は、御承知のように昭和三十五年六月の三十日に設置法が公布、施行されまして、三十七年の五月二十二日に答申をいただいております。その委員会に対しまして、政府のほうではどういう諮問をしたかと申し上げますと、「農地改革により農地を買収された者に関する社会的な問題及びこれに対する方策の要否について貴会の意見を求める」というものでございました。しかも、この調査会の設置の目的は、第二条にございますように、「農地を買収された者に関する社会的な問題を調査審議する。」、これが一番大きな主要の目的でございます。さらに、先ほど申し上げました諮問の中に、農地改革により農地を買収せられた者に関する社会的な問題とは、旧地主の、現在における困窮その他の生活上、生業上の問題であるという工合に注釈、説明を加えまして諮問いたしたわけであります。この調査方法は、全部の者に対して行なわれたものではございませんので、一万五千の世帯を対象としまして、その世帯の中には、旧地主は千二百二十九世帯、調査の中に含まれております。この調査いたしましたのは、中央調査社に委託されまして調査されたのでありますが、その内容の詳しいことは、必要でございましたら、事務当局から説明することにいたしたいと思います。  三十七年の五月二十二日に答申を受けたのでありますが、その内容は、農地被買収者問題を中心とした国民生活についての実態を調査した結果がおもなるものであるということを前置きされまして、おおよそこれから述べますような点が指摘されてございます。  一、被買収者世帯の収入は、買い受け世帯及びその他の一般世帯に比べて必ずしも低くない。二、田畑、山林の所有及び経常についても、被買収世帯は、買い受け世帯及びその他の一般世帯に比べると、その面積が比較的に大きいものが多い。三、被買収世帯の世帯員は、戦前、市町村長、地方公共団体の議員及び教育等の公職についていた者が他に比べて多かったが、戦後においても、その差は必ずしも縮まっていない。かようなことが書いてございまして、さらに、解放した農地のその後の転売価格が、農地買収価格と比較してあまりにも高いので、被買収者に不満の声が高い、等があるが、これらの調査を基礎として、委員会で審議した結果、生活上または生業上困難な状況にある者に対し、生業資金の貸し付けの措置を講ずる。これが一でございます。二は、その子弟を進学させるのに困難な状況にある者に対し、育英その他の制度の運用において配慮を加える等、必要な措置を講ずることが適当であると、結んでございます。  その他の意見として書いてございますのには、農地買収価格は実情に沿うものでなかった、あるいは農地買収価格の算定が適正でなかった、あるいは農地改革諸法令の適用にあたって行き過ぎがあった、売り渡しを受けた農地を高い価格で転売し、あるいは農業以外の用途に転売して利を得たことに対する批判的見地等から、調査会でも、農地改革、特に農地買収価格について検討を加えるべきだ、などの意見が提示された。さらにまた、農地改革は、社会的に見て歴史的必然の過程である。農地買収価格を合憲とする最高裁の判決は支持すべきである。農地改革実行の段階において大過はなかったとする意見も提示された、と書いてございます。  最後に、農地改革が被買収者に与えた心理的影響が強く残っていることは、調査の結果からも明らかになっているが、それにしても、巨額な金銭を被買収者に交付することは、諸般の情勢上適当でないとする見解が多かった。ただ、意見の相違がある状況にかんがみ、これについての本調査会の結論を差し控える、こう述べてございます。  それ以上のことは、事務当局から詳細にわたって、また御質問がございますれば、御答弁いたしまするが、大体さような結論を受け取っておるわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それではもう一つ、本論に入る前に聞いておきますが、昭和二十八年十二月二十三日に出た、本件に関する最高裁判所の判決の趣旨について、ちょっとお知らせ願いたい。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) お答えをいたします。最高裁判所の判決の要旨でありますが、自作農創設特別措置法による農地買収対価は、憲法に違反するものであるという主張に対し、この買収対価は、憲法第二十九条三項の「正当な補償」に当たるものと解することを引当とするものであるとの判決が下りました。しかしこの判決文の中には、御承知のように十数名の判事さんの中に数名の反対意見のあることも併記されてございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それではお伺いいたしますが、この農地解放による問題は、すでに数年間も国会で問題になっておるのですが、三十五年の通常国会で、農地被買収者問題調査会が成立するときの政府の態度が、今も変わっていないかどうか、それをまず聞いておきたい。これは、衆議院内閣委員会における政府の答弁です。私が出すと、間違うといけませんので、本院の内閣委員会調査室において調査させたものでありますが、この態度として、政府は、解放農地の買収価格は憲法に合致したものであり、したがって合法的なものであるとはっきり自認しているかどうか——これに対して政府は、昭和二十八年十二月二十三日、最高裁判所の判決があり、農地改革は、いわゆる公共の福祉に合致するために、正当な補償を支払ったものであるとの考えは妥当である、なお補償については考えるべき問題ではないと、こう答えておられますが、この態度は、変わらないかどうか。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) この問題につきましては、私どもは補償ということは、もうすでに解決せられておる問題であるということを考えておりますが、それ以上のことは私も国務大臣ではございませんし、総理でもございませんから大蔵大臣からお聞き取りいただいたほうが妥当だと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。  農地被買収者の問題につきましては、最高裁の判決もありますし、政府は憲法に基づく補償は完了をいたしておりますので、法律上の補償をいたすというような考えはございません。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 もう一つ今後の論議の中で重要ですから問いただしておきたいのですが、それに引き続いてこういう質問を発しておるのです。旧地主に対していかなる名義によるといえども実質上いかなる補償もしないと言明できるか。これに対して答えとして、いわゆる補償については絶対に支払わないことは明確である、こういう答弁がされておりますが、これも態度は変わらないかどうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 先ほど申し上げたとおり、法律上の補償はいたす考えは全くございません。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それではっきりしてきたのですが、政府としてはあの旧自作農創設特別措置法並びに農地法施行法による農地解放は、政府が国家行為として特定人に対して損害を与えたと考えるかどうか、この点ひとつ聞いておきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 御質問の真意がよく理解できないのでありますが、御質問者は、自作農創設維持法によりまして農地を解放せられた地主は損害を受けたかどうか、こういうふうにお聞きになったのであれば、まあ売りたくない人があったのですが、法律でもって売ったのですから、大損害を受けたであろうと、こういうふうにお答えする以外にはないと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私はきょうは法律的にひとつ聞いておるのですが、行政法上、国の行為がいわゆる特定人、これは旧地主でいいのですが、に損害を与えたかどうか、本人の意思は与えられたということで旧地主連盟の方が運動されておる。これは私も陳情を受けておるのですが、そうでなくて、国家行為、行政行為によって特定の人に対して損害を与えたと認識しておるかどうか、これを尋ねておるのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 事実問題から見ますと、非常にインフレ高進というような時期でございましたし、当時の対価の支払いというものが非常におくれておったり、また、この法律の施行過程において、どうせ第二次、第三次農地解放が出るのだから早く物納したほうがいいというようなことも世上流布せられたようでありますし、とにかく波乱期でございますから、政府の法律上の責任は完全に行なわれておるわけでございますが、実際の法律の施行面において適切を欠いたというような面は支払いその他によっての方法等についてあるようであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 どうも大臣の答弁ははっきりしないのです。そういう支払い面とか手続によった損害があるとすれば、それは私は今の法律の中でもそいつは訂正、是正した別の方法で救済できると思うのです。私の言っておるのは、農地を買収された人に対して政府は、そういうことでなくして本質的な損害を与えたのかどうか、そこがキー・ポイントなんです。今後報償問題が出てくるのに対してそれを前提に聞いておるのです。したがって、そういう損害でなく本質的な損害を与えたかどうか。手続上の問題は別にあると思う。支払いがおくれたとかなんとかいうことは、これはまた別にいろいろの行政行為の中にもそういうものがあります。政府が支払いがおくれているのは単に農地の被買収者に対しての問題だけじゃない。したがって、本質的に、行政行為として、国家行為として特定人に損害を与えているかどうかということ、それをはっきり聞きたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) この問題は世上論議せられている問題でございますから、山本さんも十分御承知だと思います。この問題そのものが占領軍のメモ・ケースであったという問題が一つございます。それからもう一つは、非常に混乱期にこれが処理せられたという問題もございます。でありますが、国会の議決がなされて法律によって公布をせられ、政府は法律に基づいて措置を行なったのでございますから、法律上から見れば違法行為はない。適法行為として処理をせられたわけでございます。あなたが今言われておりますものの中に、農地被買収者に対して損害を与えたかどうかということでございますから、実際上の問題として妥当性の問題も当然論議せらるべきことだと思います。そういう意味からいいますと、農地被買収者に対して現在の段階で考えますと、先ほど申し上げたように支払い上適切を欠いたというものもありますし、PRということが徹底をしておらなかったために混乱をしたという問題もありますし、当時の農地委員会やその他のいわゆる民主的勢力という方々が、第二次、第三次の農地解放というようなものを前提にして相当強い動きをしたという事実も私たちは承知をいたしておりますし、それからまた、この法律は御承知のとおり、自作農創設が本義であったのであって、国が買収したもので自作農の創設に使用しなかった土地を還元しているかどうかというと、還元も現在いたしておりません。  もう一つは昭和二十九年まで、法律改正が行なわれるときまで、第三者にこれを売り渡すことはできない、他の目的にこれを使用することができないことがこの法律の趣旨でございましたが、二十九年に法律改正をして他の目的にこれを転用してもよろしいということにいたしたわけでございます。転用した場合に先取権を制定いたしませんでしたし、他に転用する場合に農地被買収者に対する関係も条文上整理しておかなかったというような、他の法律の条文から見ると、より親切な適切な措置をすればできたであろうというような問題もありますので、またそのような事実に立って農地被買収者の諸君が最高裁に対して判例を求めておったという事実もあり、現在なおいろいろな論争を行なっているという事態でありますので、その意味から、平たくものを考えれば、違法性は政府は犯しておりませんが、しかし、その配慮に欠くるところがなかったとは言えないというふうに答弁する以外にないわけであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それでは逆にお聞きしますが、先ほどから総務長官が確認されたように、あの旧自作農創設の政治的価値、それについては悪かったとは思っておらないと思う、日本の今後の農業発展のためにあれは非常に貢献していると思うのですが、この点、農林大臣にちょっとお聞きしておきたい。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 農業政策といたしましても、また、農村の社会秩序維持という点から考えましても、これはきわめて緊要な有効な政策であったと私は考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 そうすると、問題は明らかになってきたのですが、かりに大蔵大臣の答弁の中で、あの行政措置によって損害を何らかの形ででも与えたということが認められるならば、これは損失補償という、行政法の建前から補償ということは当然権利として出てくる。それが手続上の問題であろうとも何であろうともそれは明らかに国家補償ということで私は処理できると思う。その点どうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 行政府といたしまして、最高裁の判決がございましたし、また、最高裁の判決がなくても適法に処理を行なったものだという認識に立っておりますので、法律的に補償の義務があるとは考えておりません。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 そこに一つの問題、国民が理解できない問題があるのです。二、三日前だったと思いますが、特別放送で、池田総理とNHKの平沢さんですかの中にもその問題が出てきております。非常に国民は疑惑を持っております。その補償ということは最高裁の判決からできない、言葉をかえて報償だからいい。報償にしろ補償にしろ国の国費をもって特定人に対して金を与える、給付するという現実の行為については変わりないのです。補償という名前はできない、報償であるならばできる、その政府の考えの、態度に対してきわめて疑問を持っておるのですが、それを明らかに国民が納得するように解明をしていただきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 補償と報償につきましてはいろいろ議論がございますが、日本国憲法に明らかに補償と報償を区別してございます。旧憲法には、六十三条に報償に関する問題がございます。それから先ほど申したとおり、新憲法二十九条には対価、国が当然対価を払わなければならないという意味では補償のもとに公共の用に供することができると明らかに規定いたしておるわけでございます。報償に対しましては、政府はいつも申し上げておりますように、農地被買収者問題につきましては、何らか報償の措置を必要と思うがというところまでしか政府の意思決定はいたしておらないわけでございます。これが結論を得るためにどうしようかということにつきましては、御承知の昭和三十八年度の予算案に一億八千九百万円の調査費を計上いたしたわけでございます。この調査費は予算成立後に政府の責任において、より広範な立場で国民世論をよく聞きたいということを考えておるわけでございます。実態調査とか、基礎調査とかその他の世論調査というように、より広範な国民各位の意思を聞きながら、その上に何らかの処置が必要であれば、政府はこの調査の結果を待って措置をしなければならないというわけでございます。また、措置をする場合といえども、行政の固有の権限においてできると考えておりません。当然議会の議決を経て、国会の意思の決定を求めて行なうわけでございますので、そのような慎重な配慮をいたしておるわけでございます。結論的に申し上げると、これらの議決はすべて国民大多数の意思の存在するところを確認して行なう、こういう態度をとっておるわけであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 まあ政府の若干苦しい立場を私も承知の上で質問をしておるのですが、今後この問題によって残すところの大きいものがあると思って私はあえてこれを言っておるのですが、なるほど憲法第二十九条の財産不可侵の原則によっていわゆる補償ということはこれはもう載っております。当然これでやるべきです。少なくとも国家が行政行為として、しかもそれを適法としてやった場合、違法の場合には損害賠償を民法によってやられますけれども、適法としてやったのだ、先ほど言われるように適法であるということは私は認めておる。適法でなおかつそこに損害を与えたというときにいわゆる憲法第二十九条による行政法の原則によって損失補償ということが生まれてくる。それ以外に報償というものは私はどういう性格のものであるか、これはわからない、そういう点を解明せずしてこれを調査するだけだと大蔵大臣は言われます。一億八千九百万円の予算をもって調査するだけだと言われますけれども、調査はあるものの目的の裏づけとしてやるのでしょう。何もわからぬのにやるということはないと思うのですが、その態度は、やはり政府としてははっきりとして持ってやらなければいけない。あとで順々に言っておきますけれども、調査する内容もこの問題をどう取り扱うかに大きな影響がある。もし憲法二十五条による国民の生活権を守るという意味における給付であれば、あの戦争未亡人に対する交付金のような、そういう形で私は出し得ると思う。今度の場合は、面積に応じてやるとか、あるいはまた、その損害に応じてやるということであれば、これは国家損失補償以外に何もない。その点をもう一回答弁をお願いいたします。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) この問題に対しては、政府の意思は、先ほどから申し上げておりますように、報償に関し何らかの措置を必要とすると思うがというところまでであります。これ以外の問題は、一億八千九百万円の三十八年度の予算に計上せられた調査費の執行によりまして、国民世論の動向を十分見ながら、国民各位が政府をして立法せしむる、また、報償はかくかくのものをすべしという結論が出れば、政府は大多数の意見に従うべきでありますし、現在の段階においてはこれこれの報償をいたしますというところまでは政府はきめておらないのであります。民主主義政治の本義にのっとりまして国民大多数の意見を聞き、国民大多数の意のあるところを十分把握して後政府は、これに対して基本的な態度をきめまして、しかる後なお国会の審議を待つということでございますので、かかる問題に対しては非常に慎重であり、かつ十分な配意をいたしておるわけであります。あなたが今言われたとおり、反別当たり幾らとかいうようないわゆる補償的なものを行なうというような意思決定はいたしておりません。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。  岡田宗司君及び北口龍徳君がそれぞれ辞任せられ、その補欠として羽生三七君及び加藤武徳君がそれぞれ選任されました。     —————————————

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 大蔵大臣の答弁のいわゆる趣旨もわからないこともないのです。しかし、現実にあなたが民主主義にのっとって国民の大多数の意見によって国会できめるんだと、それはそのとおりです。しかし、それをきめるにしても、発議するのは政府なりあるいは与党議員であると思う。しかも今の国会情勢からいって、それが無理に通すということはないけれども、今の構成する国会で通された場合に、これが国民の大多数の世論であるかどうかということはきわめて疑問だと思う。私が聞いておるのは、あれを発議されておる与党の一部の方々の意見を聞いておるのではない。政府が憲法にのっとって、もしそういうものがあればどうするかというはっきりした態度をここに表明しておくこと自体が、今後この問題を紛糾さす一つの先制の問題であると言っておる。そういう調査をしてからどうこうというそういうことでは私はいかない。なおきのうの新聞では、この調査には国民世論も聞くということを言っておられますが、だいぶうまく逃げておられますけれども、私はそういうことでやはり政府の態度ははっきりしておくべきだと思う。憲法の第何条によってこうするんだと、こういうことをはっきりしておかなければ、今後政治は乱れますよ。国民が政治から離れていくということはこういうところにあると思うのです。大蔵大臣に聞くのは無理かもしれません、総理に聞くのが妥当であると思いますが、きょうは一般質問で出席されませんからあえて聞いておるのですから、閣僚の一人としてその点をはっきり国民に、政府としてはこういう考えを持って、憲法の何条によってこうだと、こういうことをここではっきり宣明すべきだと思うのですが、執拗でございますが、もう一回お聞きしておきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 私は、今までの御質問は国務大臣として答えよということでございますから、大蔵大臣としてよりも国務大臣としてお答えしたわけでございますが、しかし、大蔵大臣としてこれから申し上げると、財政の責任者でございますし、御承知のとおりの健全財政主義者でございますので、少なくともどんな場合においても財政支出に対しては憲法の条章を十分基本として予算上の措置をすべきことは当然でございますし、私もそのとおり考えております。これからの問題、民主政治であるという名のもとに何でも多数でできるというような考え方を持っておるわけではないのでありまして、明らかに憲法の条章を基準として、健全財政主義で、しかも国民、国家の将来のためにプラスとなるべき問題にしぼって予算を組むべきは当然でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 ただいまの山本さんの質問に関連してちょっと聞きたいのでありますが、大蔵大臣の今の御答弁の中に、法律上の補償はこれは考えていない。しかし、何らかの報償は必要だと思うのだがと、そこまでが閣議で出ておるのだと、こういうふうに言われました。そうすると、これはまあ簡単に言えば、法律上の補償はやらぬけれども、何か別の形で色をつけなければならぬと思うがと、こういう意味に解釈されると思うのですね。そういう解釈だとすると、そこに何らかの根拠がなければならぬと思うのです。今の大臣のお話だと、これは調査した上で、調査の予算も計上して十分に調査をして、国民の世論を聞いた上でと、こういうふうにおっしゃっておるけれども、その上でやるのならば、これは場合によってはゼロということもあり得る、あるいはまた、支出をするということもあり得る、こういうことになってくる。ところが、その前の閣議の決定というのは、その世論を作る前にやっぱり何か色をつけてやらなければならぬかという程度で終わっているということになると、前段の一体根拠はどういう根拠に基づいてそこまでの閣議決定がなされておるのかという点についてお伺いしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 政府の意思は、先ほど来申し上げておりますとおり、農地被買収者問題に対しては、何らかの報償措置が必要だというところまででございます。これは衆議院、参議院一貫して総理がお答えをいたしておるところでございます。この考え方に基づきまして、これからの具体的な措置がどうあるべきかというのは、先ほど申し上げましたとおり、三十八年度の予算に計上せられた一億八千九百万円の調査費の執行に待ちまして、いわゆる国民大多数の意見を求めて、これらの方々の世論を十分聞きながらしかるべく措置をするということでございます。  今の御質問は、閣議が決定をしたいわゆる何らかの報償を必要とすると思うがということは、どういう根拠に基づいて一体そこまできめたのかということでございますが、これは私からお答えすることが適切であるかどうかわかりませんが、まあ私の考え方を申し上げますと、この問題に対しては、昭和二十二、三年ごろから連綿として十五年間続いておる問題でございます。きょうきのう起きた問題ではございません。その過程において、農地被買収者の裁判になり、最高裁の判決になり、また、その後工藤調査会の設置になり、これが答申になり、答申に基づいて国民金融公庫法の一部改正法律案を御審議願い、二十億円の特定ワクを設けるというような法律案を提案をいたしております。また、それだけではなく、現在までの間に、国が現に保有している農地を返せとか、また、二十九年の当時、他に転用するものに対しては旧地主にそのまま返すべきであるというような議論があったのでありますから、少なくともその当時のものは法律としてどうしようもないにしろ、現在の段階においてさえも国がなお自作農維持創設資金の法律によって、項目的に、使用しておらないものを返すような法律を出すとか、いろんな議論があるわけであります。こういう運動もございます。そういう問題を十分検討をしてみた結果、一応三十八年度の予算に調査費を計上して、より万全な態勢で、国民世論に聞いた後、政府は措置すべきであると、こういうふうにすなおにお考えいただければおわかりになると思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 どうも答弁がはっきりしないのです。同じことを繰り返しておられるのですが、それじゃ具体的に聞きますが、この十二日に自民党の四役が相談をされておるようです。徳安総理府総務長官が同席をしておられますから具体的に聞きます。  この決定された事項にあなたは同席をして、また、その日に池田総理に、四役が院内の大臣室で総理と会って、総理が了解したということを言っておられますが、そういう事実があるのですか、総務長官にひとつ。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) お答えいたします。  党の四役の会合がございまして、私も招かれてその席には列しましたが、党の御意見がいろいろと論議されまして、結論をある程度まで得られたようでございますけれども、まあその内容等につきましては、党の決定でございますから、私がここでかれこれ申し上げることはいかがかと思います。また、党のほうから総理には御報告があったようでございます。これは総裁としての立場から御報告がされたものと思います。その後に私も呼ばれまして、先ほどお話のような一億八千九百万円の調査費に対して、四月の一日から調査する方法等について具体的な事項を要綱としてできるだけ早く提出するようにというお話がございましたので、ただいまその作業をしておるわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 総務長官は閣僚でないからというのでまあ答弁を逃げられるかわかりませんが、少なくとも総務長官、これはもう官房長官と同じ重要な政府の責任者であると思う。このときに、原則として旧地主に対する報償は実施するという前提で調査をするということを了解されておるのでしょう、池田総理は。そういうことを総務長官が知らないのですか。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) 実施するという意思表示が、まあ結論的に党の四役で御決定になったことは承知いたしておりますし、また、党から総裁である総理に御連絡のありましたことも承知はいたしておりますが、私に対しましては、調査の内容に対する、早く要綱をまとめて提出せよという指示を受けただけでありました、総理も了解しておるからこうだとかああだとかというような話は私にはございませんでした。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 これはあなたとそれから自民党の鈴木副幹事長と二人が行かれて総理にその内容をお伝えになり、総理はそれを了承した、こういうことなんでしょう。それがあなたそのときにおられたのですから、それが事実であるかどうかということだけ聞いているのです。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) まさにそれは事実でありますが、最初鈴木副幹事長が先に参られまして御報告の後に私が呼ばれました。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それでは何ですか、大蔵大臣初め農林大臣も、関係大臣おられるのですが、これは総理でないと、あなた方はこれに対して要するに責任はない、こういうことでございますか。でないと質問がどうも続けられないと思いますから、その点ひとつ。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、国会に対しては内閣は連帯して責任を負っているのでございますから、内閣の意思は先ほど私が申し上げたとおり、三十八年度の予算に一億八千九百万円の調査費を計上したということが内閣の責任でございますし、内閣が決定をいたしておる事項でございます。本件につきましては、この一億八千九百万円の調査費をしかるべき支出をし、また、十分調査をし、国民世論の動向を十分把握をして、しかる後に報償の措置が必要であれば報償をするということでありますが、この場合といえども国会の議決を経て、法律案その他によって議決を経てでなければ支出をいたさないということでございますので、自民党四役の申し出に対して総理がどのようなことを申されたかは別にして、本件に対しては、衆参両院でお答えをいたしておるのが内閣の意思でございます。しいて総理が党との間でお話をしたことを推測して申し上げるとすれば、調査をすれば、また、国民世論の動向を十分検討すれば、何らかの報償措置をするようになるであろうという観念的な考え方を表裏にして党との間に意思の疎通をはかったと、こう見るべきだと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 どうも私には納得できない。大蔵大臣、今度大蔵大臣の資格で責任を持って答弁してもらいたい。  今まで調査費を組む場合、たとえばこの前の農地被買収者問題調査会を設置する場合、わずか一千万円だった。それでもはっきりこういうものを調査する、ちゃんと目的は明らかにしてこの調査費を組んでおる。今度の場合は一億八千九百万円、二億になんなんとする調査費を組む場合、大蔵当局として、ばく然と、調査をしてから必要があればやるんだというような、そういうずさんな方法で大蔵当局は予算計上を認めるんですか。私は、今までの大蔵当局の態度として、五百万円といえども目的のはっきりしないものはやらなかったと思う。今の話を聞きますと、とにかく一度やったけれども、もう一ぺんやってみるんだ、その上で、調査の結果、報償すべきものときまればまた国会の議決を経て——これは、国会の議決を経るというのは当然のことなんで、それを言う必要はないんです。それを大蔵当局が認めたという経緯について私は非常に疑いを持っているんです。その点どうでしょう。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 大蔵大臣として支出目的の明らかでないものに対して軽々と予算を組むべきでないということは、御説のとおりでございます。農地被買収者問題につきましても、そのような基本線は十分堅持をいたしておるわけでございます。工藤調査会をして調査をしていただきましたが、この調査の結果は、先ほど総務長官が述べられたとおりでございまして、御承知のサンプル調査でございました。そのような調査の結果に対して政府がしかるべき処置をとることは適切でない。より広範な角度から、世論に耳を傾けて、実態調査を行なうべきであるという考えに立って一億八千九百万円の調査費を計上いたしたわけでございます。この問題は、御承知のとおり、非常に対象が大きいのでありまして、百七十万件に上るものでございます。これが一体百万円や二百万円、千万円で実質的な調査が行なわれるかどうか。また、世論、実態調査というふうな問題まで手を広げていきます場合、一体一億八千九百万円でさえも私は適切な調査が行なわれるかどうかという問題に対しては、やはり非常に懸念をしたのでございます。しかも、この問題に対しては、何らかの形で終止符を打たなきゃいかぬ、やはりやるのかやらないのか結論の出ないままにだらだらと混乱に放置をしておくことは、政府としても重大な責任であるということを考えまして、百七十万件を一件ごとにやるには五億も十億もかかるかもしれません。しかし、そのような考え方のもとで五億も十億も計上するわけには参りませんので、一億八千九百万円という調査費を計上したことによって、これでこの問題に対しては、国民も納得し、農地被買収者も納得をし、また、政府も国会も御理解ができるような態勢を作るべきだという考えのもとに調査費の計上を行なったわけでございます。私は、その意味では、これだけ歴史のある大きな問題であり、しかも、戦後の日本の経済復興、民主化のためには大きな影響もあり、その礎石になったこれらの問題に対して結論を得るためには、国民各位も、政府がこの調査費を計上したことに対して理解を賜われるという考えのもとに計上いたしたわけでございます。  もう一つ申し上げます。これは、政府・与党の間は、御承知の政党政治でございますから、予算編成過程においても十分な意思の疎通をはかっていくことは当然でございます。当時の状況からいたしますと、政府が予算措置を行ない、報償の立法を行なわない場合は、与党はもう本件に対しては独自の立場で、憲法に基づいて法律案を提案をして国会の議決をもって政府を拘束するという憲法上の考え方が存在したことは御承知のとおりでございます。このような事態に対処して、内閣がよりよい結論を得るためには慎重な態度をとる。しかも国民の利益を守っていくという考え方で、万全の措置をとるために二回目の調査費を計上したことは、私は少なくとも現在の状況に徴して必要やむを得ざる限度において計上したものだと理解願えると思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 割合に大蔵大臣率直に後段の問題を言われましたが、与党自民党が、そういう私から言えば暴挙にひとしいことをやられるならば、私はそれでいいと思います。しかし、それではやれない。調査をするにしても政府機関を利用しなくちゃやれない。また、国民の一般の世論なくして、現在の次元において大多数を持っておるからといって、そういう二千億も、おそらく都合によっては三千億もの膨大な国費を使うのは、政党政治だからといってそういう与党案を出すということは、おそらく常識ある与党はやらないと思う。やはり政府のそういう考え方があるからこの問題は尾を引いておる。そこでこの問題についてやっていると、あと時間がなくなりますから、はっきりお答え願いたい。  政府はいろいろ言われますけれども、これは十二日、十八日の関係各省会議で、さらに推し進めて、農地被買収者の調査の要綱をまさにきめられておるんですよ。総務長官、これはあなたの所管ですよ。その第二の調査要綱の中には、はっきりと報償というものを前提にした調査要綱が出ておるんですよ。被買収者の所有していた農地の明細、農地改良による移動の明細、政府の買収価格、農地改革に対する資料について正確に行なう、こういうことで、あなたが所管されておるところで、すでに調査要綱をきめておられるんですよ。そういう点があるのに、なおかつ報償というものは調査してからしかまだやらないんだ、こういう今の国務大臣としての大蔵大臣答弁であるが、こういうことでは国民は納得しませんよ。この点どうですか。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) ただいまの御指摘の点でございますが、先ほどお話し申し上げましたように、総理からその調査に対する基本的な要綱を作れという御下命がございまして、今作業はいたしておりますが、まだ党との間のもちろん調整も済んでおりませんし、関係閣僚あるいは総理等にも示したものはございません。一部あるいは私どものほうの作業にそういうものが扱われておるかもしれませんが、これは何ら決定しておらないのでありまして、これはそう日にちのかからぬうちに調整がつきましてお示しができると思いますが、今の段階ではさような文字を使ったものは、政府の調査要綱なり、党にも話が進んでおるというものではございません。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 大蔵大臣、あなた先ほど、一億八千九百万円はそういう都合で組んだと言われますが、政府としては、先ほど言われたように、その調査が完了するまでは態度をきめないということがはっきり言えますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 調査の結果を待たなければ措置しないというのが政府の考え方でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 総理府総務長官に聞きますが、この調査というのは、もしこの要綱が事実とすれば、相当時日を要すると思うんです。一体総理府総務長官としてこの調査は何年くらいで完了するということを考えておられますか。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) このかかります日数等は、調査内容によると思いますが、ただいま申し上げましたように、まだその要綱がはっきりお示しするまでに至っておりません関係から、はっきりした日数は申し上げられませんが、しかし、こうした問題を可及的すみやかに解決する必要もございましょうから、取り急いで四月の一日から調査に着手されるような準備をもってただいま作業いたしておりますので、もう遠からずその内容等もお示しもできましょうし、またその方法等もお示しができると思いますが、今、今日この段階では、まだ、どれどれをどのように調査して何日くらいでやり遂げるというようなことまでは、まだ至っておりませんので、もうしばらくお待ち願いたい。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 どうも私この問題については、まあそれはそこに問題があることは知って今質問しておるのですが、政府の答弁は、少なくともこれに関しては自信を持っておられないと思う。一億八千九百万円、わずかの金とは思われるかもせんが、しかし、大蔵当局が予算編成のときには相当他の問題では吟味されますよ。まだ調査をどうしてやるかわからんというものについて、一億八千九百万円というきわめて妥当的な端数をつけた数字をどうして出したのですか。一体、調査方法がわからぬのに、金をどうして出したのですか。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) その内容につきましては、もちろん大蔵省が御説明なさる問題でございましょうが、私どもが予算要求いたしました当時の気持を申し上げて御参考にしたいと思います。  私どもは、こうした問題が世上に上りましても、過去におけるいろいろな貴重な資料が逸散いたしまして、昭和二十年十二月の九日に連合司令部から出ましたあの指令に基づきまして行ないましたあの大改革が、だんだん日を経るに従って、実態調査をいたしましたものがみんな逸散してしまって、なくなってしまうというような情勢でございますので、これを何とか適当なときに整備いたしまして、そうして、もちろんその整備いたしますことが、政府の施策の資料にもなりましょうし、また、将来における政治家なり経世家の大きな資料にもなりましょうし、日本のあの大きな革命にもひとしいような農地改革を後世に残す、政治史に残すという大きな事業を完成さしておくべきだという考えを持っておりました。たまたま総理からも、何らかの補償をせねばならぬと思うが、というような御意思もございましたので、非常にいい機会でございますから、この際徹底したそうした調査をしたいというのが、このおもな調査の目標でございます。そこで、それを調査するにいたしましては、現在御承知のように、農業委員会にも買収計画書もございまするし、あるいはまた府県にも令書もございますれば、銀行にも一部の保管がございます。農林省にも、ただいまのところでは、まだ多少の資料も残っておりますので、そういうものを基本にして、そしてあの大きな改革史というものの実態をつまびらかにできるようなものを作っておきたいというのが念願でございました。そうした意味からこの予算を要求したのでありますが、たまたま今申し上げましたように、何らかの処置をとるようというお話もございましたので、世間ではたいへんこの問題についても批判的な意見も多いようでございますので、これも世論としては調査しておく必要がありはしないかということで、調査の項目には加えております、この調査しました実態が、今後あらゆる施策の資料になったり、あるいは今後の農業政策に大きな寄与をいたしますことを私どもは信じておるわけでありまして、そういう意味から、実は大体三千五百の町村を基本にしてそういう問題を調査いたしますためには、大体この程度でできるんじゃなかろうかという考えで、最初に要求いたしたのであります。幸い大蔵省において認められたのですが、しかし、だんだん事こまかく調査するようになりますというと、多少不足を生ずるのではなかろうかという気もいたしますので、先般来大蔵大臣にも、こうした大きな事業でありますから、これがもし中途で中途半端になってもいかがかと思いますから、足らないときには金を少し御心配願えないかというような御相談もしておるような状態でありまして、一番大きなものはこの実態調査——二十一年から二十六年にわたります百七十五万というあの大きな地主から四百何万という多数の諸君に移動をした、当時のあの実態をほんとうにつまびらかに後世に残したいという考え方で、この予算を最初は要求したわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 大蔵大臣、今総務長官が予算要求した理由を述べられましたが、大蔵大臣も非常に気のいい方だと聞いておるのですが、ちっともわからないのです。予算要求したその基礎を長々と言われましたけれども、私にはわからない。大蔵省は、総理府からこういう予算の要求があったときに、ああそうか、それだったらその程度ということでやられたのか、一定の基準をきめて、この調査はこれだけ要るのだ、いろいろ調査の仕方によって金が要るものですから、そういうものを吟味してこの予算を許されたのか、予算を計上されたのですか、その点大蔵大臣。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 予算は厳密な態度で編成いたしております。この問題について、今、総務長官から予算要求の過程におけるお考えを御披露申し上げましたのでありますが、私たちは、総務長官からの予算要求と同時に、党との予算の打ち合わせもいたしまして、党の要求も十分検討いたしましたが、少なくとも、党が当初考えているように、三十八年度の予算で補償措置を行なうというような考えには同調できなかったわけであります。その意味で、大蔵省に出されました調査費の要求に対しては、十分検討をいたしました結果、常に申し上げておりますように、世論調査、実態調査というようなものに重点を置いて、この調査費で一応この問題に対しては終止符を打ちたいという考えで党も納得をし、総務長官も納得をせられ、また財政当局である大蔵当局としても容認できるものとして、一億八千九百万円の調査費を認めたわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 そういうことじゃ納得しません。おそらく政府も、もちろん政党政治ですから政府と与党とは一体ですが、政府も、この問題については、もっと突き進んで問題を考えておられると思います。新聞紙上によりますと、一般財源から出すということについて、税金を使うということは非常に反対を買うというきらいもありますので、都市周辺の現在買い上げて残っている一万四千ヘクタールですか、それくらいの土地を売り払って、そうしてそれを財源としてやるのだというような意向も新聞に出ております。したがって、この場合において、私に対する大蔵大臣なり総務長官なりの答弁はそれで済んでも、これを聞く国民は納得をしておりませんよ。調査に組んだ一億八千九百万円についても、きわめて説明が不明確、大蔵当局とは聞こえないほど、実に私は基礎的な数字が明らかでない。しかも、この調査を終わってから考えるのだということも、私はおそらく信用できないと思います。そもそも調査をするという前提は、何かやるという前提でなければいかぬ。やるのはそれは具体的にはやはり言えないでしょう。調査の結果、あるいはそういうものがやれない場合もありますけれども、一応想定があるはずだけれども、その想定もない。調査の結果を待ってやる、こういうことでありますが、われわれとしては信用はできません。それ以上言わそうと思っても言わないと思いますが、この問題については、自後大きい問題に発展します。これは大蔵大臣も腹の中でわかっていると思うのですが、これは戦争未亡人の方々に対する交付金の問題のように、きわめて予算額がある程度限定されている場合、しかも、事態がそういう事態であれば、事件がそういう事件であれば、国民も認めるでしょう。先ほど総務長官が読まれた工藤委員会における答申を見ましても、これすべてを見ても、被買収者世帯の収入は決して買い受け世帯、一般世帯よりも低くない。しかも、土地も今の買い受け世帯、一般農家よりも少なくない。こういうことで、すべて七項目はそういう報償すべき事由というものは何ら見当たらない。それを、なおかつ与党の一部が強引にこの問題を出すからといって、そういう莫大な国費を、かりに国有財産を処分してやるとしても、あまりにも私はこのやり方は政治に対する不信を買う一つの根源になると思う。そういうものは、与党が言うから政府はそれについておるという態度でなくして、与党であれば与党だけに政府は責任を持ってその態度を明らかにすべきだと思う。間違いは間違いとして国会で批判されますけれども、今のようなことでは、やるのかやらないのかわからない。しかも、腹の中では、やはり作業を進めておる。こういうことについては私はきわめて不満であるが、大蔵大臣は依然として、閣僚の一員として、この調査が済むまでは報償をやるかやらないかということもきめておらない、こういうことを言い切れるかどうか。しかも、調査される事項の内容は、報償を前提とした農地の明細書、何が農地の明細か知らぬのですが、農地の明細書ということは、単に一時的な交付金というだけではなくして、いわゆる損失補償という前提の概念を持ったところの私は報償制度だと思うのですが、そういうことが歴然としてあるにもかかわらず、なおかつ、政府としては、まだそういうことを考えておらないと言い切れるかどうか、この点をもう一ぺん聞いておきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 私が国会に責任を負っておりますのは、三十八年度の予算に計上いたしました一億八千九百万円の調査費に対してでございます。私は、あくまでもこの調査費を計上いたした当時の心境と現在の段階においても変わっておりませんので、これが調査が万全に行なわれ、国民世論の動向を待って、しかる後に処置せられるべきだと考えております。でありますから、私は政府提案を行なう意思があるのかとお聞きになられれば、そういうものはございませんと、こういうことを申し上げますし、また、予算を修正してまでこれが経費を計上を認めるつもりか、認めませんということでございますし、補正予算その他において措置する考えがあるとか、そういうことを前提といたしておりませんから、私の現在の立場においては、当然明確な答弁を申し上げておるのでございまして、何ら含みを持ってはおりません。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 農政の担当者として農林大臣にもう一回聞いておきますが、先ほど、農地解放はきわめて今後日本の農業の発展のためにはいいことであったということを言われておる。われわれも同感でありますが、この新聞の一節に、これもあなたは知らぬと言われますか知りませんが、旧地主に買い戻しの便宜といいますか、そういうものも考えてやるということが載っておるのですが、農林大臣としてはどういう考えでおられますか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 旧地主に、現在政府が強制買収をいたしまして持っておるものの買い戻しの権利を付与するということは、現在の法律では、他の用途に政府が使用する場合には、旧地主に戻さなければならぬ、こういうことになるわけでありますが、それを越えてやるということになりますと、なかなかそう簡単には農地法の関係その他からいかないのではないか、こう考えておるのであります。現在政府が都市周辺に持っております土地は、御承知のとおりに、農地法によりまして、三反歩以下を耕作しておる者に対しては、これを売らないということになっております。したがって、そういうものが耕作地として貸し付けられているものが多いのであります。なかなか、これは今言われるような農地法できめておる、その旧地主に政府が他の用途に使う場合には売らなければならぬということを越えてやるということになりますと、そう私は簡単な問題ではない、こう考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 もう一ぺん農林大臣に聞きますが、これは大蔵大臣の管轄か知りませんが、現在の自作農創設並びに農地法施行、その他もう一つありますが、それらによって買い上げて政府がまだ保有しておる土地は、全国で何ヘクタールあるのです。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 計数にわたりますから、政府委員をして答弁させます。

任田新治農林省農地局長

○政府委員(任田新治君) 三十六年度末現在におきまして、貸付中のものが五千五百町歩、それから転用のための貸付が、千町歩、それから貸付未済になっているものが約五千町歩でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 合計で幾らですか。

任田新治農林省農地局長

○政府委員(任田新治君) 国有農地の合計は約一万一千五百町歩でございます。なお、開拓財産といたしましては、配分済みでまだ売り渡していないものが八万八千、未配分のものが三十一万、それから道路、水路その他の敷地になっているものが四万程度ございます。合計四十四万ございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 これは何ですか、一万一千五百町歩、これは直ちに、これは国有財産ですから適時に貸し付けておるというのですか。適時に処分はできるのですか。

任田新治農林省農地局長

○政府委員(任田新治君) 農耕のために貸し付けておりますものにつきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、三反歩未満の農家に対しては売り渡しをしない方針でおりますので、そのまま残っておるものでございます。しかし、将来その農家が他の農家との契約によりまして、農地の買収、売り渡しが行なわれまして、三反歩以上の農家になった場合には、当然それらの貸付の農地を取得することができるわけでありますので、そのように今後発展していくものと思うわけでございます。それから転用貸付中のものは、これは現在貸付中でありますが、昨年の法の改正によりまして、従来の旧地主ということではなくて、旧地主の継承人に対して、毛との地主と見て売り渡しをすることができるようになっておりますので、この点も逐次解消していくものではないかと思います。それから、貸付未済のものが約五千町歩ございますが、これにつきましては、主として採算放牧地が多いわけでございまして、現在借り受けの希望が非常に少なくて、そのままになっておるわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 僕が聞いておるのは、いろいろそういう手続上の問題はあるが、必要であれば、国がすぐ処分をしてできるかどうか、これだけ開いておるんです。

任田新治農林省農地局長

○政府委員(任田新治君) 先ほど大臣がお答え申し上げましたとおり、農地法上の建前、あるいは自創法の建前からいきまして、それぞれ法律に基づいて処置をいたすのでございますので、にわかにこれをどうするということには参らぬと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 外務大臣が衆議院のほうで出席ができないようでございますので、私農地報償の問題ではこれで一応終わりますが、政府としてはもう少しきぜんたる態度をひとつきめてもらいたいと思います。これがわずかの財源でいけるならば、本質的には問題があるけれども、これは国民としてもある程度問題を了解するかしれませんが、御存じのように、問題としては、在外に資産を残した終戦処理という問題で、大きい問題まだあるんです。この人らについては、おそらく旧地主以上に私は困っている家庭があると思う。一億八千九百万円も使って調査をするならば、そういう人の私は調査をして、あの終戦によって非常に海外に財産を残して故国に帰って、もう生活がほとんどできないという方がたくさんあると思う。そういう人を少しでも——旧地主の問題は、先ほど総務長官報告されたように、別に困っておらないという数字が出ておる。調査が出ておる。そういう者に二回もやるのですよ。前に一回やって、またやる。しかも、海外で敗戦という、これこそ日本の国の責任だと思う。今の政府の責任でないにしても、日本の国の責任によって敗戦したのですね。そういう人人に対する調査は一体どうして考えないのか。この点、国務大臣としての大蔵大臣でもいいし、あるいは総務長官でも、政府がなぜ考えないのかということだけぐらい言えるでしょう。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 在外資産の問題につきましても、当委員会でも政府は考え方を明らかにいたしておりますが、昭和三十二年に内閣に作られました在外資産関係の審議会、調査会の結論を待ちまして、約五百億にわたる措置を行なっております。本件に関しましては、政府は、法律上の措置も、また在外財産、引揚者に対する国としての措置も完了しておるという建前をとっておるわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それはそういう一部のまあ調査もやられておりますが、それはほんとうに困っておる人に対して、そういうものが、効果が及んでおりませんよ。それは、そういう問題がもう完了しておるということとはわれわれ考えておらない。だから、そういう点は、時間もないからまたいずれこの問題についてはあらためてやりますが、われわれとしては、きわめてまあ不満な態度を持っておりますが、これで、私はこの問題の質問は終わって、一応休憩したいと思います。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 午後零時三十分まで休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      —————・—————    午後零時四十分開会

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) これより予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。  山本君の午前の残余の質疑は、都合によりあとに行なうことにしていただき、この際、下村委員に質疑していただきたいと思います。  それでは下村委員。

下村定自由民主党

○下村定君 私は去る八日並びにに十一日の本委員会におきまして、国防について質問いたしました。これに対して総理大臣からは一通りの御答弁をいただきました。ほかの大臣には御欠席の方もあり、また時間の都合で十分御答弁をいただけなかった点もありますので、本日は前と同じ問題につきまして、前回の御答弁を補足していただく意味で質問を申し上げたいと思います。  先日も申しましたが、私は、わが国の現在の政治が福祉国家の建設を目標として、経済政策を重視しておることについては異存はございませんが、政治の他の一本の柱である国家安全保障の問題が、経済政策に比べて軽視されておるということを感ずるものであります。しかしながら、国防のために必要だからといって、他の政治上の必要、ことに民生の安定向上等を無視して、国防のための予算を飛躍的に増大するというようなことは考えておりません。また現行の法律、制度におきましては、これを根本的に改正するためには、現在の軍備撤廃を前提とした憲法のもとで、困難なもののあることも承知しております、以上のようなワクの中で、ただいまから御質問を申し上げます。  まず、通産大臣にお伺いいたします。兵器の国産化並びに防衛産業育成の必要につきまして、私は昨年の本委員会で質問をいたしましたが、総理大臣、藤枝防衛庁長官及び佐藤通産大臣は、いずれもこれに対して賛同の意を表されました。去る八日、私が再びこの問題を本委員会で取り上げました際、総理大臣は次のとおり答弁をされました。「通産大臣にかわって答える。昨年のお話しはごもっともで、現防衛庁長官も兵器国産化の拡充をはかると言っておる。これは科学技術の進歩というものが兵器の進歩に負うところ非常に多く、両々相待っていくべきものであり、今後できる限り、兵器国産化のものを多くするように努めていきたいと思う」ということでございます。ところが、去る十一日に本委員会で、横川委員の質問に対しまして、宮澤経済企画庁長官の御答弁を聞いておりますと、私はいささか不審を感じたのであります。宮澤長官はこういうことを言っておられます。「工業全部の付加価値に対する防衛産業の占める比率は〇・一%ぐらいである。防衛産業を特に国の経済政策の中で育成するというようなことは、私ども経済政策としては考えていない」と言われたのであります。私はこの答弁に不審を抱きまして、関連質問を行ないました。これに対して総理大臣は、各大臣を代表してと前置きして答弁されましたが、この問答の経過はそのとき御列席でありました福田通産大臣も御記憶のことと存じます。その節も申しましたとおり、私は何も兵器製造のために特別な軍需工場を作れというようなことを要望しておるのではございません。私としては、総理大臣が繰り返して述べられました一般方針を信じまして、その具体的な遂行を強く要望するにすぎません。よってこれに関しまして、通産省として現在いかなる施策がとられておりますか。また通産大臣としていかなる腹案を将来のためにお持ちであるか。これには防衛庁、大蔵省等の所管事項とも関連をいたしまして、大臣からお答えを願いたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) お答えいたします。  先般の委員会におきまして、兵器産業の問題について総理大臣からお答えがございまして、ただいまるる御説明をいただいたわけでありますが、私としても、総理のおっしゃっていられることを全面的に肯定をいたしておるのでございます。蛇足を付しますならば、兵器産業というのは、精密工業に相通じております。人命にも関係のある問題が多いのでございますから、非常に何といいますか、機械産業のうちでも特に精密度を必要とする産業であると思うのであります。ところが、今後の世界の工業の発展を見てみますと、こういう精密工業あるいはまた電子関係等を含むところのものは、非常な微細な差があっても、それが非常な大へんな問題を起こすというようなことがありますので、そういう意味において、いわゆる精密工業というものの重要性はますます強まってきておるわけであります。この点から見ますと、兵器産業を充実していくことが、またそういう意味で平和産業自体にも好影響をもたらし、さらにそれが輸出振興にもつながっておるところは私よく了承いたしておるところであります。ただし、今先生からもお話がありましたけれども、日本はいわゆる何といいますか、戦争放棄をした憲法を持っておるのでございますから、そういうような観点から見てみた場合、また先般宮澤長官が申し上げた数字は、これは間違いではございません。間違いではないが、宮澤長官の言われたのは、その数字が小さい、そういうようないわゆる兵器産業というものは一般の産業のうちで占める割合が非常に少ないということを強調されたと、私は了解しておるのであります。しかし、少ないからといって、これに重要性がないという問題とはこれは違うと思うのであります。やはりこの問題については、必要の限度において、われわれとしても十分な資金的な、あるいはその他の面において協力もしていく、ただその協力をする場合において目的を逸脱しないように、いわゆる憲法においてきめてある限度をこえるような印象を他に与えないようにするという考慮は、私はやはりこれまた必要ではないかと思うのであります。そういう意味を宮澤長官が強調しておったかと感じておるのでありますが、私としては、この総理の言われておるお言葉のとおり、兵器産業というものに対しては十分な理解を持って、しかも、それは正当な日本の憲法の許す範囲において、また日本の法律の許す範囲において、これに対する正当な理解を持ちつつ、しかもこれがいわゆる日本の工業に大きな関係があるという一面も十分に考慮いたして、そうしてこの問題を処理して参りたいと考えておるわけでございます。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。北條雋八君が辞任され、その補欠として渋谷邦彦君が選任されました。     —————————————

下村定自由民主党

○下村定君 ただいまの通産大臣のお考えには私は異存はございません。ただ私の伺いますのは、先ほども申しましたとおり、そういう御見地で今日までどういう政策がとられておるか、また将来どういうふうにやるお考えであるか、それをもう少し具体的に伺いたいのであります。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) それでは具体的にどういう措置がとられておるかということについて、少しく御説明申し上げてみたいと思います。  兵器関係につきましては、航空機については航空機製造事業法、武器については武器等製造法によりまして過当競争を防止するために事業の調整を行ない、そうして健全な経営をはかるということをやっております。また設備資金につきまして、防衛庁の第二次防衛整備計画により国産化される装備の生産設備に対しましては、経済援助資金の融資あっせんを行なっております。それから運転資金の面では、防衛庁は航空機及び武器の調達契約について前払い金制度を適用しておるわけでございまして、これによって生産の負担を軽減させております。また税制面で考えてみますというと、関税暫定措置法による重要機械類の輸入関税の免除及び租税特別措置法による特別償却等の措置を行なっておるわけでございます。こういうようないろいろの面において具体的にこれを重視しつつ育成をいたしていく、こういう措置をとっておるわけでございます。

下村定自由民主党

○下村定君 大蔵大臣にお伺いをしたいのですが、今ちょっと席をはずされましたので、防衛庁長官にお伺いしたいと思ます。ただいま通産大臣の御答弁の中で、前払い金、それから長期一括の契約というようなお言葉がありましたが、現在防衛庁としてその点ではどういうことが行なわれておりますか、具体的にお話しを願いたい。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(志賀健次郎君) ただいま通産大臣からお話がありましたとおり、兵器の一括長期契約、これは防衛産業が安定して、まあ安心して兵器の生産にあたれるという建前からとっておるのでございます。さらにまた前渡金制度の適用を漸次拡大する方向に私ども希望いたしておるのでございます。これらの現在行なっておる内容につきましては装備局長から説明申し上げさせまするが、先刻来下村先生からお話のありました防衛産業の育成の問題とか、自主防衛の裏を返していいまするというと、これは兵器の国産化の推進につながるものでございます。したがって、今後第二次防衛整備計画におきまして防衛力を漸増をすることは、即、日本の防衛産業を育成しなければならぬことにつながるのでございます。防衛と防衛産業というものは、これはうらはらをなすものでございまして、私ども防衛庁といたしまして非常に力を入れておるところでございまして、現にただいま申し上げた兵器の長期一括契約の締結あるいはまた前渡金制度の適用、またその範囲を拡大することでございまするが、現に艦艇、航空機、また戦車の国産化の推進には全面的に私ども集中的な努力を払っておるのでございまして、先ほどお尋ねもございました長期一括契約の内容、また前渡金制度の適用の範囲等につきましては装備局長から説明いたさせます。

伊藤三郎防衛庁装備局長

○政府委員(伊藤三郎君) お尋ねのございました長期一括契約の内容でございますが、六一式戦車、六〇式装甲車、六〇式一〇六ミリ無反動砲、六一式大型雪上車、六二式七・六二ミリ機関銃、この品目につきまして三十七年度から長期一括の契約をいたしております。  前払いの制度の状況でございますが、艦艇、航空機、武器等に実施をいたして参っております。この範囲も兵器生産の実情に応じますように防衛庁のほうでも範囲の拡充を大蔵省のほうへ要請をして参ったのでございますが、三十八年度におきましては、このほか弾薬につきましても前金払いが実施できるように相なっております。前払いの額でございますが、大体四〇%あるいは三〇%のものもございます。また航空機等につきましては七五%を認められたのもございます。それぞれの兵器の状況に応じまして所要資金、その生産工程というものを勘案いたしまして、必要な限度におきまして、予算の範囲内で前金払いを実施いたしております。

下村定自由民主党

○下村定君 大蔵大臣に対するお尋ねはあとに回しまして、防衛庁長官にお伺いいたします。  去る八日、私は国防の基本的な計画につきまして申し上げましたことをここに要約いたしますと、国際情勢には遺憾ながら緩和の徴候は見えない、また軍縮問題を速急に解決する見込みも立たない。しこうして、国家間の闘争手段が広く軍事以外の方策にわたる現代におきましては、国防は単に武力の整備だけでは不十分である。政府はもっと広い視野に立って、国政の関係ある各部門に向かって画策をしなければ、世界戦略の動向に対処して国の安全を保障することはできない。しかるに、日本では国防基本方針におきましても、第二次防衛力整備計画においても、私の見るところではこの考慮に欠けておると思うのであります。こういうことを申し上げたわけです。  そこで、総合的な国防計画を作る必要につきましては、昭和三十四年以来、岸、池田両総理大臣及び赤城、西村、藤枝各長官はいずれも賛同の意を表示されております。しかるに、国防会議または国防懇談会等においてこの問題が真剣に検討されたことのない事実は、昨年の本委員会及び去る八日の国防会議事務局長代理の答弁でも明らかであります。一方防衛庁におかれましては、防衛研修所において関係各庁から中堅幹部約三十名を集められまして、相当こういう方面の研究がなされておるということを聞いております。そこで長官にお伺い申し上げたいのは、長官は防衛の主管大臣として、また国防会議の有力な構成員として、ただいま申しましたような、せっかくある資料を本会議もしくは国防懇談会に提出されて、国防に関する総合的な計画を推進するためのイニシアチブをおとりになる考えはありませんか。その点をお伺いいたします。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(志賀健次郎君) 御指摘のありましたとおり、およそ独立国のその国の防衛は、一官庁だけでこれは整備できるものでもなければ、また防衛の機能を発掘し得るとは考えられません。したがって、日本の場合におきましても、日本の今日置かれた立場においての日本の防衛問題の考え方なり、あるいはまた防衛の整備につきましては、一防衛庁だけではこれはでき得ないのでございまして、下村先生のお話のとおり、各省が総合的に力を合わせて今後の日本の防衛の体制というものを真剣に考えて参らなければ、やはり今後の世界情勢に対処でき得ないと私も考えておるのでございます。そういうようなこともございまして、ここ三、四年来、今日のような一総理府の中にあります防衛庁であっては、万事どうも権限なりあるいは日本の防衛というものの責任が明確にならないじゃないか。したがって、防衛庁を省に昇格しなければいかぬのじゃないかということが、国民の相当な部分の方も、特にまた与党でありまする自民党の間において非常に熱心に検討せられて、まあこうした問題も解決せられながら今後の日本の防衛問題について、日本全体の政治が、各省の力が集中せられなければならないと私も平素考えておるのでございます。一防衛庁長官が、なるほど国防会議の一構成員ではございまするが、私自身がイニシアチブをとって、日本の防衛庁に日本の各省の政治を結集するということはなかなか困難だと私は考えておりますが、私は防衛庁に参りました以上、十分にただいまのお話をよく検討いたしまして、今後対処いたしたいと考えておる次第でございます。

下村定自由民主党

○下村定君 大蔵大臣にお伺いいたします。先ほど通産大臣から兵器の国産化、防衛産業の育成につきまして現在お考えになっておる事項を御説明があったのでございますが、私は今後この方針を推進される上におきましては、税制の面、あるいは金融の面というところで大蔵大臣の御配慮も必要であると思うのでございますが、その点のお考えをお伺いいたしたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 兵器産業というふうにはっきりと区分をいたしておるわけではございませんが、先ほど通産大臣が申されたとおり、兵器産業というのは高度の精密機械工業でございますから、当然重要産業の中の一分野として含まれておるわけでございます。そういう意味で航空機製造や自動車製造業、電子工業、石油精製というような事業につきましては、設備の近代化という立場で特別償却制度というものを設けております。初年度において三分の一の大幅な償却ができるというようにいたしております。なお、重要外国技術使用料の課税の特例等は二〇%を一五%に引き下げておるという措置もいたしております。将来、これら精密機械工業、化学工業に対しても、さらに一般的な産業レベルを上げるという立場からも当然政府は各般の施策を行なうべきであるというふうに考えております。また、金融その他の制度の中においても、重要産業という立場において適切な施策を行なっておりますし、また将来も行なっていくべきだと考えております。

下村定自由民主党

○下村定君 再び防衛庁長官にお伺いいたします。  去る八日、私が次のようなことを申して質問を申し上げました。それは現在の自衛隊は、これを草木にたとえると、国家社会という大地に深い根を持たない、そして十分な肥料も与えられていない植木鉢のような状態である。すなわち、精神的の面にも、国の法制、施策の面でも、部隊の実力を培養し、十分に能力を発揮するに必要な基盤を与えられておりません、長官は、この点にいかなるお考えをお持ちであるかという意味のことをお尋ねしたのでございますが、これに対しまして、時間の関係もありましたが、長官の御答弁は、自衛隊そのもののことばかりでございまして、私がたとえに上げましたところの根とか肥料、すなわち法制、施策の面についてはほとんど言及されなかったと記憶しております。そこで今日お伺いいたしますのは、現在の憲法のもとでも、これだけはぜひやらなければならぬ、またやり得るという点を一、二御指摘を願います。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(志賀健次郎君) 自衛隊の今日の状況は、いろいろな経過を経まして、ようやく今日の段階に到達いたしました。そのたどって参りました経過は、また世界にもないようないろいろな変わった経過を経て参りました関係もございまして、下村先生御指摘のとおり、まことに根が浅い。また肥料も十分でないために根が浅いのでございましょうが、何と申しましても、今後の自衛隊というものは、一つのヒンターランドを持たなければならぬ。これは国家防衛意識の問題であります。いわゆる国防に対する国民の意識が今後の自衛隊が発展するかどうかのヒンターランドになるものと私は信じておる。まあこれが、肥料の第一と申せば申し狩ると思うのでありますが、何と申しましても、防衛意識の高揚という問題が、今後自衛隊を強化して参る、また培養して参ります一大先決問題であると思うのでありまして、しからば、防衛意識をいかにして高揚せしむるか、これは先ほど申し上げましたとおり、一防衛庁の仕事ではございません。日本の政治全体がそこに集中しなければ、防衛意識の高揚にならない。この問題が自衛隊の今後を発展するかどうかの前提になると私は心得ておる。  で、次に考えなければならぬのは、自衛隊の諸君が、日本の防衛の大きな任務に誇りと自信を持ってつき得るような環境を作ってやることが、私は第二の、これは前提でございましょうが、肥料になると思う。私は就任以来、この点に非常な意を用いまして、きわめて微力ではございますが、もう解決のできるものからひとつ解決して参りたい。その一つとしましては、今日自衛隊の中核になっておりまする少尉、中尉、大尉クラスでありますが、それから曹クラス、これが自衛隊の運営の中心になっておるのでございますが、これらの諸君の定年の問題が今日まで解決せられておらなかった。中途半端で、四十か四十四、五で定年になってしまう、あとはどうなってもかまわぬというような状態でありましたので、非常に志気が上がらない。そこで、今回御審議願っておる予算の中にも織り込んでおるのでございますが、尉と曹階級の定年延長の問題、これも志気の高揚に私は直接つながる一つの肥料と心得ておるのでございまして、これらも含めまして、また来年からいよいよ実行いたすのでありますが、特にこの陸上自衛隊の隊員の諸君が、やがて社会に復帰する場合において、自衛隊の隊内において訓練を受けたほかに、いわゆる定職を持って、腕に職をつけて、しかもこれは公の職業を身につけて社会に送り出すということを私は考えております。現在私どもで考えておりまするのは、公の職業が四十六あります。明年はさしずめ陸上自衛隊の若い隊員の諸君約一万数千名に対しまして自動車の運転手の免許を持たせまして、社会にこれを送り出すことになっております。これなどはさまつなことでございまするが、こういうようなものなど手近な問題から、法律を要さないような問題から、ひとつ自信をつけて、誇りを持たして、そしてしっかりと防衛の任務につかせる、これなども私は下村先生の御指摘になっておる自衛隊の今後の育成強化の一つの肥料になるんじゃないかと考えておるのでありまして、要すれば、自衛隊の隊員が高い国防意識を背景に、自分たちが誇りと自信を持って重大な防衛の任務に服し得るというような態勢を確立することに私は全力を傾倒いたしておるのでございます。

下村定自由民主党

○下村定君 長官がそういう方面に非常に御配慮になっていることは、私もかねがねよく承知しております。しかしただいまの御答弁は、私がお願いしたものにはぴったり当たってない点があると思う。自衛隊の士気を高揚するにつきましても、現在の法律制度の上で改善すべきことはないか、現在の憲法下においてもそれはできるんじゃないか、そういう例を伺いたかったんでありますが、あまり長くなりますと、まああとの質問に差しつかえますから、これは別の機会にあらためてお伺いすることにいたします。  次に、同じく去る八日、私が最後に簡単な問題を一つお尋ねしたのであります。その一つは、日米安全保障条約協議委員会の下部機構として軍事専門の委員会を常設する必要についてであります。これに対して長官は、このことは外務大臣から答弁するのが妥当であると思うということで、直接のお答えを聞くことはできませんでしたが、これは、その根本は軍事上の問題なんです。ですから防衛庁長官として、軍事上の面からどの程度にこの下部機構である軍事委員会の必要を認めておられるかどうか、また、認めておられるとすれば、その理由は何であるかという点をあらためてお伺いいたします。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(志賀健次郎君) 日米安保条約を円満に、また効率的に運営するために、日米安保協議委員会の中に防衛上の専門委員会を設けることは、前からそういう話になっておったのでございますが、いろいろな都合から今日までその実現を見ておらないのであります。しかしながら、軍事専門委員会がなくとも、外務省は外務省、また防衛庁は防衛庁の一つのルートに基づきまして、それぞれのクラスにおいてきわめて緊密な連結を遂げておりまして、あえて今日軍事専門委員会をここに作って、相談をしなければならないというような新しい事態もないのでございまして、早急にわれわれがそういう必要性には迫られておりませんけれども、しかし、もともと安保条約ができました際において、防衛上の専門の委員会ができることが話し合いになっておったのでございまするから、こうした委員会ができますれば、またさらに一そう効果が上がるものと思いまして、軍事専門委員会のできますることを、私は期待いたしておる次第であります。

下村定自由民主党

○下村定君 重ねて申し上げますが、日本が国を防衛するために日米安保条約に期待をしておるわけでございます。しかし申すまでもなく、現在の防衛力というものは、はなはだ至らないところが多いのでございまして、不幸なことでありますけれども、有事の際にアメリカと日本とが緊密に手を握って、間髪を入れずアメリカの来援を期待し得るということまでやっておかなければ、ほんとうの安保条約の実施はできないと思うのです。たとえば日本が侵略を受けました際に、日本とアメリカとの使用する兵力の関係はどうなるのか、あるいはアメリカがどういう時期までには必ず来てくれるのかというようなことを考えますというと、これはよほど平常から考えておきませんと蹉跌を生ずるということを私は不安に感ずるのです。なお、平時におきましても、従来何にも危険のない、あたりまえの単なる新兵器を輸入するのに、裏門から引っぱり込んだり、あるいはこっそりと陸揚げをしたり、またそれに対して外部の者はよく事情も知らないで妨害をする、こういうことがたびたび起こっております。こういうこともふだんから軍事専門家が寄り集まって、今度こういうものがくるのは、これはこうなんだということを、ちゃんと適宜に発表しておれば、ああいう騒ぎも半ば以上はとめられると思う。そういうことから、私はくどいようでございますが、この軍事委員会の常設を強く望む者でございます。これは先ごろ外務大臣はその設置については、これから考慮してみるというお話もありました。また防衛庁長官もその御意図があるように拝察いたしましたから、どうかこれが実現するように重ねてお願いをいたします。  最後に、これも簡単な問題でございますが、天皇陛下に対しての自衛隊の敬礼、天皇陛下の自衛隊への臨御に関する件であります。これについて過日総理大臣はこういうふうにお答えになりました。「これまではあつものにこりてなますを吹くというような気持が多分にあった。自衛隊は国民のものであり、陛下が国家、国民の象徴であるというところから、おいおいと国民の喜ぶような方向に進めていきたいと思う。」ということを申されました。私はこの御答弁を信じ、おそらく防衛庁長官も同じ考えであろうと思いますが、ただ一つふに落ちないことは、小さな問題でございますけれども、自衛隊の施行規則によって、長官が御命令になればやれる栄誉礼が、今もって正式に行なわれていない。しかも外国の元首や、それから国内の方でも総理大臣を初め各大臣、最高裁判所の長官等に対してこれが行なわれている。これは外国人が見ましてもおかしなことじゃないかと思う。なるほど昨年防衛庁長官の御尽力によりまして、ささげ銃をすることになりましたが、私は世界中で横向きささげ銃をするというような敬礼を見たことはございません。これくらいのことは、防衛庁長官はおやりになって差しつかえないととじゃないかと思うのです。はなはだ、くどいようでおそれ入りまするが、この点について御答弁を願います。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(志賀健次郎君) 天皇に対する栄誉礼は、御承知のとおり自衛隊が設置せられましてから総理府令に基づきまして、天皇が自衛隊を御訪問になった際には、最高の栄誉礼をもってお迎えすべしという命令は出しておるのであります。これはもう数年以前から見ておるのでございますが、遺憾ながら今日まで天皇陛下を自衛隊にお迎えした事例がなかったので、その総理府令というものはまだ実現できておらないのでございます。そこで、ただいまのお話は、外国の元首が日本においでになった場合において、たとえば羽田の空港において、なぜ防衛庁長官がその命令どおりにやらぬのかという御指摘でございますが、御案内のとおり羽田空港において外国の元首をお迎えする儀式は、これは宮内庁の一つの儀典でございまして、そこに防衛庁が参りましてお迎えに参るのでございまして、どうも人のお座敷に私どもの隊員を出して一々どうこうするわけにも参らぬ事情もございまして、非常に苦慮をいたしたのでございますが、その苦慮をいたした結果がささげ銃に相なったのでございますが、私は何らちゅうちょすることはないのでございまして、今後この種の機会がありますれば、宮内庁とも十分に連絡を遂げて、せっかく自衛隊に総理府令という一つの命令が出ておるのでございますから、その命令が現実に行なわれ得るように、私は最善の努力を払う所存でございます。

下村定自由民主党

○下村定君 どうかその御方針で実行をお願いいたします。  私の質問を終わります。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 下村委員の質疑は終了いたしました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次に瀬谷委員。  瀬谷委員に申し上げますが、建設大臣はやむを得ざる公務のため、二時十分前に退席したいというお申し出がございましたので、建設大臣に対する御質疑を先にお願いいたします。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 建設大臣にお尋ねをしたいと思います。河川法の改正案についてであります。二月七日の建設委員会では、三十八年度の建設省関係の予算と予定法律案の趣旨説明がございましたが、その際、建設大臣から、河川行政については河川管理の適正を期するために河川の管理制度、ダム防災、水利制度等の規定を整備をして最近の社会情勢に対応した河川管理を行ない得るようにする、こういう趣旨の説明がございました。今回の河川法の改正の要旨もその際に述べられたような趣旨に基づくものと理解してよろしいかどうか、お伺いをしたいと思います。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) そういう考えで検討を進めておるわけでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 今回の河川法改正の一番大きな問題点になるところは、知事の河川の管理権を建設大臣に移すということにあると思います。この河川法の改正に対しましては、全国知事会あるいはまた県によっては県議会等で改正案に対する意向を表明をいたしておりますが、結論から申し上げると河川法の改正に対しては反対であるということを言っておるわけであります。一体こういう場合にはどういうことになるのか、自治大臣の見解をひとつお伺いしたいと思います。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 現在の河川法は、御承知のとおり明治二十九年という古い時代に作られたものでございます。最近の社会情勢の進展によりまして、あるいは経済、文化、行政その他あらゆる面における広域行政、広域経済というものが非常に必要となってきておることは御承知のとおりであります。そこで、今日のこの水資源というものを国民的な利益のために使うということは非常に重大なことであろうと考えております。河川法の改正というものは、要するに現在百分の幾つしか使われておらない、私は専門家でありませんが、全国の水資源のうちの五、六%しか現在使われておらない。あとの九〇何%かはそのまま海に流されておるといったようなこういう現状では、私は水の利用ということから申しまして適当でないと考えております。同時にまた、年々歳々台風あるいは豪雨等の被害によって起こる国土の損害、特に河川の改修復旧の問題等を考えてみますときにおいて、私は、やはりこの際こそ河川法の改正が必要である、こういう見地に立っておるものであります。ただし、従来知事の持っておりました管理権といったような問題につきまして、どの程度まで建設省がそれを負担と申しますか、分担するか、あるいはどういう河川についてこの新しい河川法というものを適用するか、あるいはまた知事の持っております水利権というような問題について、その地方の利益を侵さないといったような問題につきましては、十分に事務的に折衝し、考慮すべき問題であると、こういうように考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 この前予算委員会で市川委員が質問されたことがありましたが、そのときは、地方の選挙で、往々にして中央に直結する政治ということを、応援に行かれた総理大臣を初め大臣の皆さん方が、盛んに強調されているわけなんです。ところが知事会議の知事さんの大かたのメンバーは、たいがい自民党の知事さんであるし、私のほうも地元の知事は自民党の知事であり、県議会の議長も自民党の議長なんでありますけれども、そういうところから、河川法の改正については反対であると、こういうふうな話が伝わって参ります。中央に直結する政治という意味については、すでにこの前ここでお話がございましたから繰り返しませんけれども、その際の自治大臣の答弁としては、やはりそれは同じ考え方を持っておる者が地方の知事であったほうがやりやすい。すやすや眠っている子供よりもむずがって泣く子供のほうが、めんどう見てやりたくなるんだ、こういう意味のお話があったわけです。ところが今度は、その知事のほうが河川法反対と言ってむずがっておるわけです。こういう場合に、一体同じ党の大臣がどういうふうにこれをあやすのか、あやし方について私もわからぬわけです。そこで中央に直結する政治という場合には、知事とか県議会でもって河川法の改正に反対である、中央の考え方に反対であるという場合には、中央に直結させるために、地方の知事たちの考え方をねじ伏せてしまって中央に直結させるというのが直結の方法であるのか、あるいは地方でむずかって泣いておる、ぜひ何とか地方の言うことを聞いてくれというふうに言ってきた場合には、中央の方針を変えて地方をあやすのか、その辺はどっちにするのか、ひとつ建設大臣にお伺いいたします。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) ただいま自治大臣からお答えがありましたとおり、何分非常に長い間改正をせずに参っておる法律でございます。したがって、改正案につきましては、相当飛躍したことになりませんと、今の時勢に合わない点があるわけであります。これはものの考え方でございますから、地方によってお考えになる考え方と、中央の考え方との間には多少開きがございます。しかし、これは十分話し合って、両者の間に理解、協力の得られる段階まで話し合って意見の一致を見ていきたい、これは私も建設省の原案をもって押し切る意思はないということは初めから事務当局にも申しておりまして、一応は事務当局の考えられる案を作っておりますけれども、これについては十分地方の御意見も承り、各省の御意見も承って、調整をとってひとつ結論を出したいと考えております。今調整の段階でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 中央と地方が直結をする原則になっておるけれども、多少の違いがあるのだ、こういうお話でございます。それはそうだろうと思うのでありますけれども、しかし今回の河川法の場合は、この管理権を今まで知事が持っておったものを、大臣のほうに持ってこようということでありますから、これを大臣の管理権とするのか、知事の管理権とするかという根本が非常に違っておるわけであります。多少の違いじゃなくて、ここのところは大いに違っておるわけであります。だから調整をするということを言われましても、どちらにその中心を置いた調整のされ方をするのか、その辺はお伺いをしておかなければならないところだろうと思います。私どもは何も中央と地方とで、同じ自民党の方々であっても反対であるとか、何だとかいって直結しないで食い違っておるのをおもしろがって言っているわけじゃない、やはり事が地方自治の問題になって参りますと、これは自民党とか社会党とかいう問題でなくて、水防の点に不安があるとか、あるいは水資源の利用について工合が悪いとかいうことがあれば、これは党派の問題ではないと思いますから、公平な立場でもって両者の見解というものを明らかにした上でないと、国会としては結論が出しがたいと思います。今まで数点にわたって地方の反対理由というものが述べられておりますけれども、これに対して、もし大臣のほうで述べられることのほうが筋が通っておれば、私どもは率直に賛成をいたしますし、地方でもって言っていることがもっともだということになれば、そっちのほうに賛成せざるを得ない、こう思うのであります。その主要な点を申し上げますと、まず地方の反対理由としては、地方自治の本旨に反するのだということが一つ、水資源の利用について不利になるのだということが二番目で、それから応急工事に支障があるのだということが三番目、四番目としては慣行水利権の調整は知事がやるほうが都合がいいのだということが四番目の理由、五番目の理由としては、水防活動としては工合が悪い、水防活動について不安がある、やりにくい点がある、こういうことが五番目の理由であります。以上が私が県から聞きました内容でありますが、これらの五点について建設省としてはどのようにお考えになっているか、また自治省として、もし建設大臣の答えと同じであればお答えいただかなくてもけっこうでありますけれども、補足もしくは違う点がございましたならば、以上の点についてもお答えを願いたい。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) ただいまお述べになりました点は、各県共通の問題であると思います。ところが、御承知のとおり、今回の河川法の改正に反対の府県は比較的少数でございます。全国の府県が全部共同で、平等に反対していらっしゃるという事実はございません。賛成の県が相当に多いわけです。したがって、今お話しになりました点も十分考慮しなければならぬ点もございます。ございますけれども、それは県によって事情が違うということはないのです。いずれも一長一短、たとえば水防というような点もございましょう、ございましょうけれども、水防は何としても中央地方一体となっていたさなければならぬことでございます。またある場合には誤解もございます。たとえて申しますと、今、建設省の言うておるようにすれば、全国で六県か七県は河川係が全然要らなくなるのではないか、そういうものをやめてしまったらどうなるかという御意見もあるようでございますけれども、そういうことは全然考えておりません。県のほうで、自分のほうでやろうと積極的な御意見のところは、県のほうにおまかせすることは少しもやぶさかではございません。むしろ私は今の県財政比較的めんどうな川を持っておられる県は、財政的に県の財政内容の悪いところと心得ます。したがって、その河川、もしくは水防、治水等について行き渡らない、地元負担に困難なところが多いようです。したがって、これらにつきましては、国のほうで全額を持って水防に当たってやる、治水に当たってやるほうが、かえって地元のためになるのではないか、かえって有事の際はむろん御協力を願うという態勢がいいのではないかと思います。利根川水系の場合、群馬県は反対のようでございますけれども、群馬県の利根川水系の中で、支流のうちで、これは自分のほうでやりましょうとおっしゃればやっていただいてけっこうです。何もかも一緒にして、全部国で取り上げるという考えは私ども少なくとも持っておりません。したがって、個々の県について個々にお話し合いをすれば、皆さんに御理解願えると思うのです。これを地方自治法を圧迫するとか、押えつけるとかいうような意思は毛頭持っておりませんことは、ただいま自治大臣からお話しのありましたとおり、広域行政、広域経済というような、順次世の中がそういうふうに進んで参っておるのでございますから、県についてもそういう点についてお考え直しいただく、御理解いただくというふうに話し合いの過程においてなし得るものと心得ております。十分努力いたします。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) ただいま御質問の地方自治の本旨にそむくのではないか、こういうお話でございますが、決してそんなことはないと思います。道路にいたしましても、港湾にいたしましても、必ずしも地方の、にある道路であり港湾であるから、それが知事が管理権を持ったり、あるいはまた県の予算でそれをやらなければならぬということはないと思います。ほんとうに国家的な、また国民的な視野に立って、地方の自治体もそれによって非常に得をするし、国民もまたそれによって非常に利益を受けるというような方法があるならば、私は地方の負担によって大きな河川の改修をやるよりも、国の責任において改修をするということが非常によいと思います。第二の、水の利用の不利ということを申されますけれども、今日のように、東京都一千万の人々が非常に水不足を来たしておる、こういうような場合に、かりに利根川から水を引きたい、群馬県の知事が首を横に振れば交渉がなかなか難航する、そういうようなことでは、私はほんとうの水の利用というものが国民的な立場において行なわれるとは言いにくい、こういうふうに思うのであります。それから応急工事の支障というような場合におきましても、もうすでに今日電話もありますし、無線もありますし、あるいはまた県におきまして応急工事をすぐやっておいて、その費用というものを国に要求すればいいのであって、その交渉がつかないから応急工事ができないという考え方はあまりにも固定した考え方である。こういうふうに考えます。第四番目の水利権の問題でございますが、水利権を圧迫しようという考えは毛頭ないわけでありまして、今まで、たとえば群馬県が利根川の水を東京都に売っておったということであれば、今後もそういう問題につきましては侵害する意思は一つもありません。そういうふうにいたしまして、とにかく私はいろいろな細目にわたった交渉というようなものは、これから十分地方側と連絡して行なわれねばなりません。たとえば、どの川とどの川とを一体国の直轄にするのかというような問題も相当これは大きな問題であります。そういう点におきましては、十分に事務的な相談もさせなければならないと、こういうふうに考えております。水防活動がやりにくいなどということは、これはとうてい私は考えることができないのであります。自治省といたしましては、当然、地方のいわゆる自治団体の発展を期していくということが建前でございます。私は従来も、また現在も、それに向かって一生懸命にやっております。しかしながら、国民的な視野に立って判断すべきものはやはり判断していかなければならない。各官庁のひもつきに各大臣がなっておったのでは、やはりまずいのであります。自治省の立場も考え、また国務大臣として国の、国民の立場も考えて十分それを地方に納得せしめる。そうして地方の損にならないような方法で私は解決していくべきである、こう考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 大体、自治省の見解としては、建設大臣と話し合いの結果、了解点に達しておるというふうに聞こえるわけでありますが、新聞等によると、自治省は納得せずといったようなことが書いてあります。そうしますと、一体この自治省が地方との間に入って、じゃあ、その間の納得を乞う役を——どちらを納得させるかということは別といたしましても、そういう役割を果たして、この問題を、河川法改正のけじめをつけるというふうに解釈してよろしいかどうか。それから、ついでですが、大蔵大臣、ちょっと大蔵省として、この河川法改正によって、たとえば知事会ではこういうことを言っているのですが、人員増と機械整備を要すると、反対理由の中にですね。それから結論として、まあ反対理由は、私が先ほど申し上げたようなことに尽きるわけでありますが、臨時行政調査会並びに地方制度調査会等の行政事務の合理的配分に関する結論を待ってからやれということが知事会の意見として出ております。だから、こういったような方法を今後とる考え方があるのかどうか、予算の面から見てどうかというような点についても一言お答えを願いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 大蔵大臣としては河川法の改正は賛成でございます。これは河川法の改正で一番大きな問題は何といっても水利権の統一運用ということでございます。明治二十九年制定の河川法は戦後、議員提案で一回改正をいたしましただけでございまして、現在の制度と違いますのは、御承知のとおり、昔の地方の主管者、すなわち府県知事は国の出先機関であり、任命制度でございましたから、実際は府県代表者であっても、水利権の統一運用に対して阻害をするような要因はなかったわけでございますが、戦後、新しい制度ができて、公選知事になったので、なかなか公約と水の利用ということは両立しない面があります。そういう面で統一運用をしなければならないということは、水は金なり、水は国力伸張に一番大きな役割をなすものでありますから、統一運用の方向に改善すべきことは言を待たないわけであります。その余の問題に対しては、現在、政府部内において調整中でございますから、改正案を提案するまでには、地方の意見を十分また申し述べて、最終的な調整を終われば提案をいたす予定でございます。ただ、直轄河川を何木にするとか、これは維持管理まで全部国がやるか、負担するかというような問題については、河川の改修というものが、上からとか下からするとかという画一一律的な改修方法はとれるわけではないのでありまして、これらの問題は治水十カ年計画という問題もありますので、あわせて検討すべき問題であるというのでありまして、現在、大蔵省は、これに対して、水利権の統一運用自体にすら反対であるということは全然ありません。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 自治大臣は河川法の改正に賛成であり、事務当局は反対のようで、その間に意見の食い違いがあるのではないか、こういうお話でございますけれども、意見の食い違いはございません。なぜないかといいますと、私は国民的な視野に立って河川法というものを改正し、水の利用を考え、同時にまた河川の改修という大きな問題、すなわち、国土の保全という問題と取り組まなければならない。それにはこの河川法を改正するにはちょうど今チャンスではないか、こういう基本的な考え方を持っております。ただし、先ほど申し上げましたように、どの河川を建設省の直轄にするか、たとえば、数府県にまたがった川は建設省でやるか、あるいは一県だけ流れている河川でも、たとえば山形県の最上川というのは大きな河川でありますけれども、一県しか流れていない、こういうようなものをどういうふうにするか、そういう問題につきましては、私は関係各省において十分に討議をしてもらいたい、議論は幾らされてもかまわない。しかし、まとめる方向でやってもらいたい、こういうふうに事務当局に指示をしております。どこか意見の食い違いがあるかと聞いたら、そういうことであれば何の食い違いはございませんという事務次官の私に対する回答でございます。ただ、先ほどおっしゃいましたように、各府県におきまして、まだこの問題が十分にPRされておりません。突如として出てきた問題だけに、地方の知事あるいは議会等におきまして、まだ何か地方の自治権が侵害されるのではないかという不安から、まず内容の検討ということよりも、一応反対というアドバルーンを上げるということでございます。しかし、私先ほど申し上げましたように、地方自治の発展というものがあって国の発展もあり、地域住民の集合が国民であるということからいえば、地方自治というものの損になるような、不利になるようなことをわれわれはやろうとしているのじゃない。そういう意味におきまして、一体、どういうふうな方法で仲裁するか、こういうお話でございますが、どういうふうにするという手段の問題よりも、誠心誠意を披瀝いたしまして、そうして何が国民のために利益になるか、単なるセクショナリズムの問題というよりも、大きな視野に立って解決するということのために、誠心誠意を尽くしたい、こう考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 建設大臣の時間の都合等もお聞きいたしましたので、建設大臣の質問を続けたいと思います。  一月のこの豪雪時に、大臣がみずから裏日本を視察をされたわけでありますけれども、この豪雪対策として、道路と鉄道、いずれもこれはとぎれてしまって、非常に裏日本の方々は難渋をされたわけでありますし、両院におきましても、豪雪対策の決議が行なわれたのでありますけれども、結局、雪が降った場合に、道路と鉄道のあり方としてはどういうふうにしたらいいか。たとえば道路の場合は現在の一級国道等でも、必ずしも除雪がうまくいかないかどうか。その開通は鉄道と比較をしてどちらが早いのか、国鉄の場合は災害対策本部長としてのお考えとしてはどうしたらよろしいというふうに、こまかなことは別にお聞きいたしませんが、判断をされたかという点についてお伺いしたいと思います。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) まず、今次の豪雪が、今まで予測しておりませんでした山間地でなしに、しいて申せば平野地方に大きな雪が降りました。したがって、この備えが、鉄道といわず、道路といわず、考慮していないところに大きな雪が降ったというところに問題があったわけでございます。でございますから、従来雪の降っておりまする所、雪の積もっておりまする所におきましては、比較的問題はなしに対策を講じておるのでございます。そこに第一問題がある。第二には、私、これは少し言い過ぎになるかもしれませんが、従来は除雪する場合に、その雪は、ある程度鉄道にしても道路にしても、その付近の空地にこれを捨てることができた。少数のものならば田や畑にこれを捨てる場合もあった。ところが、今回の雪については、川に捨てるか海に捨てるか、いずれかいたさなければいかぬ。鉄道の線路に降った雪を捨てちゃいけない。道路の雪にしても、屋根の雪は道路に捨てられるけれども、道路に落ちておる雪は川に捨てるか、海に捨てるかでなければ一切捨てる場所がない、捨てさしていただけないというために、この雪の処置に非常に難渋をいたしました。これが思わぬ障害になったのでございます。しかし、そういう世相になりました以上は、これからはそれを考慮において対策を立てなきゃいかぬ。したがって、鉄道にしても道路にしても、なるべく高い場所に道路、鉄道を敷設するか、しからざれば道路、鉄道のわきに雪を流す、いわゆる流雪溝と申しますか、みぞと流水をわきにつけるとかすることが一番便利である。そういうことによって一番簡単に措置ができるというように、今回さしあたって考えましたことはそういうことでございます。しかし、いずれにしても、こういうふうに気流の関係で平野地方に、今まで雪の降らなかった所に雪が非常に降った。しかも、水分の非常に多い雪が降ったということは、最近集中豪雨が各地に非常な災害を来たしますように、従来集中豪雨というのは少なかったのですが、最近非常にそれが猛威をふるっております。それと同じような傾向が雪についても出てきたということでございますので、これらについて抜本的に気流の調査もしくはこの雪の対策について研究所を作る必要があるだろう。そうして、その研究所の結論を待って対策をまず考えていく必要があるだろう。同時に、交通が途絶いたしますから、雪の上を走る、いわゆる雪上車と申しますか、これらを準備しておく必要があるだろう。しかし、これは普通に保有することは困難でございますから、積雪地方の自衛隊の中に、自衛隊としての必要以上な雪上車を配分いたしまして、これを雪のときに十分活用してもらうというようなこと、それから排雪に必要な機械等についても、大型のものは自衛隊にこれを配属せしめて処置してもらう、小型のものにつきましては、現在の消防車と同様に、各市町村に補助をして道路を排雪する機械を持たせるというようなことがさしあたり必要じゃないかというふうに考えております。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 瀬谷委員、建設大臣に対する質問は、退席の時間になりましたが、いいですか。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 もう一つ聞いておきたいのですが、三月十五日の予算委員会公聴会の際、公共投資のための公債発行ならやってもよろしいと思う、こういう御意見が公述人からございました。ただし、これは償還のめどのある、たとえば道路関係の公債であるとか、有料道路等を対象にした道路関係の公債であるとか、こういう意見があったわけであります。今後の問題として、たとえば裏日本に連絡をする高速自動車道路等が必要ではないかという御意見も、やはり本委員会で先般あったところでございますけれども、公債を発行するというような考え方はあるのかどうか。あるいは、また、そのような公債発行でもって、国土縦貫高速道路のみではなくて、横断幹線道路というようなことも、この豪雪の経験にかんがみて、やったらよろしいというふうにお考えになっているかどうか。  それから、また、道路と鉄道との関係でありますけれども、やはり三月七日の本委員会では、総理大臣は青木委員の質問に対しまして、大勢は、重点が次第に鉄道から道路に移りつつあるということをここでいわれている。総理大臣もそのとおりである、こういう答弁をされているのでありますけれども、たとえば山間僻地に対して鉄道を敷くよりも、それではむしろ舗装道路を作って、あるいは自動車道路を作って開発に何とか資するようにするというようなことがよろしいのかどうか、建設大臣としてはどのようなお考えであるかということを、この際、まとめて聞いておきたいと思います。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) 道路等に建設公債を発行するかどうか、それに対する私の考えといたしましては、私は、現に財政投融資を相当公団等に使っております。外資についても、一部これを受けて道路の建設に充てております。したがって、大蔵当局が、われわれが所要とするところの財源について、これをまかなっていただけるかどうか、公債を発行する、しなければその財源が得られぬかどうかにかかっているのであって、私自身としては、現在必要なものは、しかるべく今申し上げましたような黄味合いにおいて財源をちょうだいいたしております。これがさらに三十九年度を起点にいたしまして、新しい道路五カ年計画を立案する想定をもって、その準備中でございます。その必要な所要の財源がどういうふうにまかなわれるかということはこれからの問題でございまして、今ここで私からその道路公債発行の要、不要について申し上げる段階ではない。これはむしろ大蔵大臣からひとつ答弁申し上げるほうが適当だろうと考えます。  次に、鉄道のことでございます。鉄道につきましては、青木さんもしくは総理からそういうお話のあったことは私も聞いておりました。聞いておりましたが、私それに異論はございません。異論はございませんが、ただ、考慮しなければなりません点は、わが国は御存じのとおり、非常に山懐地帯が多うございます。山岳地帯には、道路よりも鉄道のほうが幅が狭くて効率が高うございます。これは欧米と必ずしも軌を一にいたしません。したがって、また、トンネル等につきましては、汽車の場合はトンネルの長いことは一向差しつかえありませんが、道路の場合には、トンネルが長いということは、自動車などは絶対禁物でございます。したがって、こういうことを考慮いたしますと、にわかに欧米の傾向が直ちにわが国に当てはまるかどうかということについては、その場所その場所によって検討を要するだろう、こう思いますので、道路で間に合うところもあれば、鉄道のほうがいい場所もある。これはわが国の地形からいって、全国的に調査をしてみぬと、にわかに結論は出しにくいのではないか、こう私は考えております。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 建設大臣よろしうございますね。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 ただいまの建設大臣に対する質問と関連しておりますが、公債発行について、先般の公聴会の公述人の御意見では、公共投資のための公債発行はいいと思う。具体的には道路、有料道路というようなことを言われたのでありますが、大臣として、しからば今後の道路行政に関連をして公債を発行するというようなことがよろしいというふうにお考えになっているのかどうか。また、その他の公債の発行等について考えておられる筋があるかどうかという点についてお伺いしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。  公債につきましては毎度申し上げておりますように、外貨債は発行することにいたしまして、今国会で審議を求めているわけでございますが、内国債はできるだけ発行したくないというのが私の考え方でございまして、就任当時も現在も変わりはございません。やはり公債論としては、もし発行するというふうに仮定をした場合、どんなものが一体一番適切かというと、ガソリン税を見返りとしての道路整備五カ年計画の財源として発行すればできる。というのは、これは十年前、ちょうど昭和二十七年に現行五カ年計画の基本法である道路整備の財源等に関する法律、いわゆるガソリン税を目的税式にして当該年度のガソリン税収入額を盛らなければならぬというのが、今日の五カ年計画の基本をなしておるわけでございますが、この当時からの問題でございます。現在もあらゆる機会に議論をされておるのが、建設公債としての第一号は、道路公債であろうということでございます。また、近年どうにもならない東京、大阪というような問題に対して、都市改造をやる場合に、相当巨額のものが必要である。この場合その都市の公共投資というものの財源を得るのであるから、特別財源というものを目標にしての第二の都市改造公債、いわゆるロンドンのニュー・タウン式の公債が考えられる。第三には、現在法律でもってようやく指定に近づいて参っております新産業都市建設のための、地方債にするかもしくは国の新産業都市建設公債というのが考えられるわけでございますが、私は少なくともこれらの問題を含めて、国際収支がようやく改善をせられてきた今日でありますので、国際的な視野に立って、また、国際的な面から見た日本の対外信用という面も考えながら、できるだけ公債の発行というものは避けたいという考え方でおるわけでございます。しかし、昭和三十九年度に道路整備五カ年計画の現在の二兆一千億五カ年計画が三兆円になるのか三兆五千億になるのか、一部新聞で報道されておるように四兆円になるのかは、政府で正式に検討しておりませんが、これらの事業費の決定の過程において財源がまかなえるかどうかという問題は、今建設大臣が申されましたとおり、その時点において財源確保の道を考えるわけでございまして、外貨債の問題その他もありますので、現在にわかに国債発行、いわゆる建設公債の中の最も財源に恵まれておるといわれておるガソリン税を裏づけとした道路建設公債発行に対しても、しごく慎重に考えておるのでございまして、現在の段階において、建設公債を発行するという考えはないと御答弁申し上げる以外にないわけでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 自治大臣にそれではお伺いしたいと思います。  先ほど建設大臣にお聞きした際に、あわせてお尋ねしたのでありますが、要するにこの河川法の改正については、地方で反対はしておるけれども、中央にこれは直結をさせるんだ、悪く言えばねじふせるのだ、よく言えばあやすのだということになるんでしょうが、その点はその点でお考えはわかりましたが、しからば、東京都を中心とした首都圏の整備の問題であります。この点についてお伺いをしたいと思います。先般、これは十一日でありましたが、本委員会で中尾委員から質問がございまして、土地の価格が非常に上がっておる。これはもうけたはずれに上がっておるのだが、この問題についてどうするのかというような御質問がありました際に、建設政務次官から、これは需給のバランスによるものであるという意味の答弁がありました。しかし、なぜこの需給のバランスがくずれて土地が上がったかといったようなことは、この原因を考えてみると、やはり都心に人口が集中をしてきている、すべてが都市に偏在をいたしてきて、東京都が一千万の人口を突破するようになってしまったというようなことに、多分に大きな原因があるのじゃないかというようなことも考えられますし、また、住宅対策の立ちおくれというようなこともあるでありましょうし、所得倍増政策の飛ばっちりということもあるでありましょうし、都市計画の無計画、不備ということもあるんじゃないかと思うのであります。そこで、東京は現状のままでいくとどうにもならなくなるじゃないか。交通麻痺、自動車の交通麻痺、あるいはまた国鉄、私鉄等の交通事情も逼迫をしてきております。どうにもならない状態になってきておる。いうなれば、このためにすべての面で行き詰まって、水も間に合わなくなってしまう。河川法の改正というのは、こういうようなところにヒントを得ているのかどうかわかりませんが、水も足りない、あるいはまた屎尿処理でも困るというふうに、すべての面で東京は、極論すればあふれ出たごみ箱のようになってしまっている。何とかしなければならない段階だと思うのでありますけれども、ただいま大蔵大臣から、この公債の問題に関連をいたしまして、都市改造をたとえばやるような場合には、巨額の予算を必要とする、都市改造あるいは新産業都市の建設、こういったような構想を考えた場合には、当然これは相当な予算がなければできないことなんだというような意味のことをおっしゃいました。今後の東京都、あるいはまた首都圏整備といったような考え方について、これはもう対策としては急を要すると思うのでありますけれども、自治大臣としてはどのようにされたらよろしいというふうに考えておられるか、その見解をお伺いしたいと思います。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 土地の値上がりにつきましては、ただいまおっしゃいましたとおり、都市に人口が集中する、したがって住宅が足らない、先を争って住宅を建てようとする、あるいはまたビルディングを建てる、その他土地の利用価値というものが非常に上がりまして、土地がだんだんだんだん上がっていく。同時に都会における土地というものは非常に少ないのでありますから上がっていく、これがまあ表面的に出た一つの理由であります。もちろんその裏には、ただいまおっしゃいましたように住宅対策が思うようにいかなかったり、あるいはまた関東大震災直後の都市計画、あるいは今回の戦災直後における都市計画というものの不備と申しますか、そういうものも大いにたたっておる。これはどなたが見ても、その事実というものは認めざるを得ないだろうと思っております。そこで、今回政府といたしましても、大都市における人口の集中を防いで、それを地方に分散させ、そうして地方における一つの地域開発をすると同時に、あるいは新産業都市であるならば百万都市である、あるいはまた低開発地域であるならば十万都市であるというような構想を立てまして、今着々準備をしているわけであります。首都圏の問題につきましては、私は二つの面から考えていかなくてはいけない。すなわち現在稠密であるこの東京あるいは大阪等における都市の再開発、現在の姿をそのまま見ながらどういうふうにしてやることが一番合理的であるかという問題が一つと、それからもう一つ思い切って、私はいわゆる首都の移転ということを考えたらどうか。これは私は五、六年前に、国土総合開発特別委員長をいたしておりましたとき委員会で話したわけです。このままでは、東京の人には悪いかもしれないけれども、このままでは、全くこれは中風になったようなもので、身動きがつかない。そこで、私は五、六年前に中共へ参りまして、北京の状態を見たのでありますが、官庁、特にスクール・タウンというものが、北京の郊外に非常にりっぱにできて、そこにあらゆる大学を集中的に建てておる。こういうような状態を見てきました。その他ニューヨーク、ワシントン、あるいはボンとベルリン、あるいはヘーグとアムステルダム、そういうようなものを、ずっと見て参りまして感じたことは、これはやはり経済都市と、いわゆる政治都市、教育都市というものを分けたほうがいいんじゃないか。一番その必要を感じておるのは東京である。だから、私はそのとき思いつきでありましたけれども、富士のすそ野にでも、国会と官庁と学校を移して、そうして東京と大きな道路でつなぐとか、あるいはまた、ヘリポートを作ってヘリコプターでつなぐとか、理想的な都市を、ひとつ富士のすそ野あたりに作ってみたらどうかということを申したくらいでありまして、もし私にやらせるならば、そういう構想でやってみたい、こう思っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 ただいまの自治大臣の考え方には、私も賛成であります。このままでいけば、中気のからだでもって、よろいを着たような格好になってしまって、動きがとれなくなることは目に見えておると思うのであります。これはあえて東都政が悪いのだということを言うつもりはありませんけれども——そのために言っているのじゃありませんけれども、しかしいずれにしても、これは早急に何らかの手段を講じなければならぬだろう。そのためには国会、政府、学校、官庁、すべてを東京から移してしまわないと、年々歳々このふえる人口というものは、何とかしょうとしてもならないのじゃないかという気がするわけであります。とは申しましても、宿屋に移るようなわけに、簡単にいかないことだと思うのであります。相当のこれは予算上の準備、見積りがなければ私はできないと思うのでありますが、その点の、もし、そういう雄大な構想を実現をする勇気がおありでしたならば、予算上の構想としては、どの程度のものであるか、また大蔵大臣として、その準備ありやいなやということをお伺いしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 近時、国会、マスコミの上においても、都市の過度集中排除という問題が最も大きく取り上げられてきたことは、非常にいいことだと考えます。今からちょうど十四、五年前に、衆議院と参議院において、御承知のとおり、議員提案で首都圏整備法を作ったわけでございます。現在あります首都圏整備法というのは、これは官庁が作ったのじゃなくて議員提案であります。その当時は笑われたのであります。代議士が東京や大阪を一体どうしようというのかということで、議員提案で作られたのが、今の首都圏整備法であります。  これが今日になってみると、そのときにわれわれが考えたことが実行に移されておれば、少なくとも混乱は、今日より何分の一かであったろうということは言い得るのであります。そのときに一番、議員として検討せられたものは何かというと、東京都内における市街地の再開発でございます。再開発というのは、どういうことかというと、住宅の絶対量がないから、住宅を作ることにきゅうきゅうでありました。同時にまた、土地造成ということにきゅうきゅうであり、農地は無制限に住宅地に転用せられていったわけであります。こういう絶対量というものが不足であるから、とにかく一年間に何戸でもよけい作るのだという方向を推し進めていくならば、混乱は今までより倍するだけであります。御承知のとおり、日本の東京はパリに比べ、またイギリスのロンドンに比べて、人口は一・五倍ないし二倍でございますが、その面積からいうと十倍、二十倍という平面都市であります。道路のあるところに、下水のあるところに家が建つのじゃなくて、どんどん勝手に無計画に埋め立てられて家が建って、今度家をこしらえれば道路をつけ、道路を掘り返して電話線、ガス管を埋め、そのあとから、なお下水が追っかけていくのでありますから、現在の制度を続けている以上は、予算の面では解決はできません。これは明らかに申し上げられます。予算を現在の五十倍にしても、この問題は解決できないのであります。なぜならば、一年間に東京に転入する者は約六十万でございます。潜在人口を入れると約千二百万にもなるという東京は世界にも例がないのであります。そういう意味で先ほどあなたが言われたとおり、鉄道はキロ当たり五千万円から、電化をしても約一億二千万円で単線はできるのであります。地下鉄はどうかというと、国会から銀座のところはキロ当たり一体幾らかかっておるかといいますと、約四十五億円以上かかっておるわけであります。押上線はキロ当たり平均約二十五億円かかっておる。こういうことで、どんどん倍増していくのでありますから、このような状態でもって進めていけば、一体公共投資というものが追っつくものかどうか、これは問題であります。オリンピックの道路というものが千億の予算を組みながら、その七五%ないし八五%は、どういうことかというと、工事費ではなく、立ちのき補償料であります。こういう問題を金で解決しようというだけでなく、一つには土地収得法であります。これは私権制限ということで非常に反対が多く、今日までついに十五年間、じんぜん日を空しゅうしたのでありますが、土地収用をするということ、もう一つは、高さ制限を緩和するということだと存じます。現在は、ただ平面都市、平家の家を幾らでも作っていくというのでございますから、現在のまま公債を発行して都市改造法を作っても、なかなかうまくいくとは考えておりません。でありますから、ドイツや、イタリーや、イギリスは、戦後どうしたかというと、四階十一メートル以下の建物を作ってはならないという法律がございまして、日本にも、そういう法律があるわけでございますが、防火地域内は不燃建築以外作ってはいけないという法律があるにもかかわらず、これが実際適用せられずに、銀座の裏には木造の建物が、十五年間に四回も建てかえられているということを考えますと、鉄筋コンクリートで新しく作るよりも、倍の工事費が十五年間に支払われているわけでございます。こういうような状態を続けていって、東京都内の改造が一体可能かどうか、これはだれもが、考えれば直ちにわかるのでありまして、われわれはやはり素直に事実を見て、土地の高度利用ということを効率的にも十分考えて、計画の上に立った予算を盛るということになれば、都市改造は可能であるというふうに考えるわけでございます。でありますから、そういう意味で、新しい都市改造の法律ができ、何カ年計画ができ、転入が抑制をせられるようになって、また地方を開発し、産業や、人口が地方に定着をするような状態と相あわせて初めて、新しい東京都の、また大阪を中心にした都市改造に対して、どれだけの費用を盛り、それに対しては特別に財源をどうするかという問題が、そこで初めて出るのでございまして、現在の状態で、大蔵省が都市改造のために公債を出すというくらいなら、国は破産する以外にないという事実に徴して、公債を発行しないということを言っているのでありまして、お互いにこれらの問題は積極的に、前向きに事実を見て解決をすれば、解決の道があると考えているわけであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 ひとつお約束どおり、前向きになって、思い切った方策を講じてほしいと思います。  それから、やはりこれも都心に人口が集中するために起こってきた現象でありますけれども、国鉄の輸送の問題についてお尋ねをしたいと思います。国鉄の五カ年計画の進捗状況でありますが、これが予定どおりに進捗をしているかどうか、現在の輸送力増強計画の隘路になっているのはどういう点か、こういう点について運輸大臣からお答えをいただきたいと思います。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) お答え申します。国鉄新幹線の年次計画の進捗状況はどうかと申すことについて、まずお答えいたします。  昭和三十六年度を初年度とする総投資九千七百五十億円をもって発足した国鉄新五カ年計画は、三十六年度には予算一千九百二十億円、三十七年度は予算二千百九十六億円を計上して計画の推進をはかって参りました。三十八年度は本予算二千三百二十二億円を計上して、この第三年度の計画の推進をはかる予定でありまして、また、新五カ年計画については、最近の経済の非常な発展の工合、またオリンピック等を控えて、輸送力の増強計画等を拡大する必要が生じて参ったこと、それから御承知の三河島事故を契機といたしまして保安対策を強化する必要が生じたこと、それから先ほど来問題になっておる、用地が非常に高くなり、また労銀等が非常に値上がりになりましたので、これに対する資金の追加の必要が生じたこと等の理由からして、改定の必要が生じたのでありまして、国鉄において検討したところ、輸送力増強のために六百六十八億円、保安対策強化のために三百四十七億円の追加の必要を生じ、また設計変更のために千六百七十六億円を計上して、計二千六百九十一億円の資金増しが必要になるとの結論が得られましたので、当省におきましてはその改定の方向について今後所要の施策を進めたいと思っております。  なお、具体的なこの進行状況等は、国鉄総裁並びに鉄監局長から説明をいたさせます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 国鉄総裁からひとつ……。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) 先ほど大臣からお答えいたしましたように、いろんな事情で資金が不足いたしております。補正増額をお願いしておるのでございます。新幹線も、先ほど大臣からお答えのありましたように、オリンピック等の何もありますから、できるだけ早く建設しろという国民の要望にこたえるために、工事を急いでおります。急いでおります結果、大体明年の夏ごろあるいは十月のオリンピック開催までには、新幹線は全通する予定であります。用地の買収等移転補償が一番困難であります。それらにたいへんな手数と費用を要しまして、これらもただいまのところほぼ見通しがついております。大体今申し上げました時期には完成する予定であります。現在線の改良につきましても、これも今申し上げましたような事情で多少おくれております。東海道新幹線が完了をいたしました暁には、既定の五カ年内にまだ一両年ありますので、その間には予定どおり進捗する見通しを立てておるような次第であります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 東海道の新幹線については、これはやりかけた仕事でありますから、あえてこの問題について云々いたしませんが、この東海道新幹線の計画のゆえに、ほかの予算の面で圧迫をされて、輸送力増強の計画のほうが思うようにいっていないというような面があるかどうかということを私は聞きたかったのであります。で、その具体的な例をあげますと、一昨日の上野の駅の到着列車のおくれを私調べてみましたら、十分以上のおくれというのが三十一本あります。十分以内の三分、五分という遅延はざらにあるということであります。そうすると、これだけの列車が毎日おくれておるということは、それだけこんでおって、客扱いの面でもって混雑をするためにおくれるのだというふうに考えられるわけであります。しかも、この列車のおくれというのは、おとといだけじゃなくて、調べてみるとほとんど毎日であります。お客の乗り手が少ないのにおくれるということは私はないというふうに考えましたので、今度は具体例として、大宮駅における乗降車の数を調べてみましたら、昭和三十年を一〇〇といたしまして、三十七年でもって一七五と、こういう数字が出ております。二倍近い乗降数があるわけでございます。それから、いま一つ、これは問題が起きたのでありますが、西川口という駅で、開駅当時のままの設備であったために跨線橋が混雑をして、その混雑のために押し合いへし合いをして、短刀でけんかをして人を刺し殺して逃げた、こういったような事件もありました。この駅の例を調べてみますと、昭和二十九年の開駅当時に比べて乗降人員が八・九倍になっておるということであります。それは一例でありますけれども、そのほか中央線にいたしましても、常磐線にいたしましても、東海道線にいたしましても、乗降人員はそれだけふえているのじゃないかというふうに考えられます。ちなみに、国鉄当局から資料を出してもらったのでありますが、乗車効率、つまり定員百名とすると一体そこに何人くらいお客を乗っけて走っておるのか、京浜、山手線の例を調べてみると、大体二百八十名ないしは三百、こういう数字が出ております。まさにこれは人間並みの扱いをしていないわけであります。利用者であるお客のほうもえらい苦労をしておるし、またこれを運ぶほうもえらい苦労をしておる。無理に無理を重ねておるということが数字の上から指摘できると思うのであります。  このような無理を重ねておるということは、やはり輸送力増強の計画が必ずしも十分に行なわれていないというところから出ているのじゃないか、原因がその辺にあるのじゃないかというふうに考えられましたから、東海道線の進捗状況についてはわかりましたが、この東海道線の建設計画のために圧迫をされて、日常の輸送という面で利用者が困っておるという事例はあるのじゃないかと思います。これらの問題についての対策、あるいはまた隘路は那辺にあるかということを、毎度私は国鉄総裁にお伺いしたいと思うのであります。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) 先ほど申し上げましたように、東海道新幹線は一番急いでおります。なぜかと申しますと、東海道の輸送状態が一番行き詰まっておるという、一番輸送力増強を必要とするところであるから、東海道新幹線は一番急いでやっておるのであります。したがって、東海道新幹線が完成するまでは若干他のほうは抑えられておるということは、これはやむを得ない事態じゃないか。資金がもっとたくさん得られれば、それももっと進めることができるかと思いますけれども、資金や工事能力の面から見まして、他のほうは若干押えられておるということは事実であると申し上げねばならぬと思います。現在線のうちでも特に、先ほど来お話がありましたように、大都会及びその付近、特に最近は臨海工業というようなものが非常に盛んになって参りましたし、都市周辺あるいは都会と都会との間が一番こんでおります。中央線のごときは、お話のとおり、もう定員の大体三倍くらい乗って運んでおるような状態であります。そこで、高速鉄道営団と相談協力をいたしまして、中央線の中野から地下鉄に国鉄列車を乗り入れいたしまして、そうして都心に運ぶような計画を今進めております。これは中央線でお茶の水−東京駅間の線路増強をやりたいということで予算を取ったんでありますけれども、どうしても用地の買収、移転等ができません。いつできるかわからぬという状態でありますから、やむを得ず地下鉄と協力いたしまして、中野から地下鉄線に国鉄列車を乗り入れいたしまして、都心にお客さんを運ぶ、さらにそれを延ばしてもらって総武線のほうにつなぐという計画をし、そういうことでお客さんの御不便を緩和いたしたい、こういうつもりで進めておるような次第でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 ただいまの国鉄総裁の御答弁をお伺いしますと、一番大きな原因は資金不足である、それから工事能力の問題等である、こういうような御答弁がありました。資金不足ということになって参りますと、これは国鉄経営のあり方について問題にしなければならぬと思うのでありますけれども、日本国有鉄道としては独立採算制の建前ということになっております。  そこで、これは大蔵大臣にお伺いしたいのでありますけれども、一体、日本国有鉄道の場合は独立採算制の建前々現在とってきておりますけれども、今後も独立採算制の方針を堅持していくことが正しいのか、あるいはまた公共的な使命を果たすために独立採算制に必ずしも固執しなくともよろしいのか、その基本方針についてお伺いをしたいのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 非常にむずかしい問題に対して答弁を求められたわけでありますが、これは私が答えるのがいいのかどうか、なかなかむずかしい問題だと思います。私のほうから申し上げますと、現行法に基づいて国鉄は国有鉄道として独立採算制を要求せられておるのでありますから、将来ともこれを改める大きな問題は別な機関で検討すべきであって、財務当局としては独立採算制を現状のまま要求して参りたいというふうに考えます。  しかし、私も国務大臣でありますから、一体現在の状態で国有鉄道がいつごろ行き詰まるのかという問題は、十分あなたのお考えになっておるようなことがうなずけるわけでございます。国有鉄道とは、私鉄ではなく、国が公共的使命を負わせておるものでありますから、私企業である私鉄のようにどこまでも独立採算制を要求すべきでないということは、これはもうあなたがお考えになっておるとおりでございます。戦後の日本国有鉄道に対する独立採算制の要求というものは、多少実際よりもきびしく要求されておるのじゃないかというふうに個人的には見ております。これは鉄道の生々発展の歴史を見てみますと、百年間の鉄道の歴史が明らかに証明いたしております。明治時代は国の補給が多かったわけです。これは鉄道というものが国づくりの根幹であるということで、鉄道の発展によって、鉄道自身は赤字であっても鉄道によって他の国民生活がレベルアップするということによって、鉄道に対しては国から投下するものが非常に大きかったわけであります。これが大正時代になってだんだん鉄道網が整備をしてきて、何とか自前でやれるようになってきたわけでございますが、それが戦後は非常に鉄道が荒廃をしておる。特に都市交通が、非常に短い期間に産業人口が過度集中をしましたので、都市の交通網を整備すると、こういうことになると相当多額の費用を要する。同時に、昭和二十四年からずっと今日までの間に学生は約九割という高率な割引をしておるわけです。通勤に対しては幾らかというと五割以上の割引をしておる。こういういわゆる鉄道に公共的負担を鉄道自身の会計の中で負わせておるわけでございますから、足を縛っておいて飛べ、こういう理屈にもなるわけでありまして、鉄道に無制限に独立採算制を要求できないということはこの点を申し上げておるわけでございます。その意味で、独立採算制をすっかりもうやめてしまつて、鉄道は国でやるなら、国でやらなければならぬというならば、昭和二十四年にコーポレーションになった日本国有鉄道は当然鉄道省に帰るべきであります。こういう問題がありますので、なかなかそこまで踏み切れない。世は人間味がなければならぬといっておるときに、鉄道をそんなことはできない、こういうので、そこでバランスを取ろうとして苦肉の策でできたのが、鉄道だけではどうにもならない、鉄道ではやれないという面を何とかカバーしてやろうというのでできたのが、鉄道建設公団法でございます。こういう面において新線建設というもの——大正から昭和にかけては一年間に延べ千キロの鉄道ができたわけでございます。鉄道と同時に日本の経済が伸びてきたのですが、戦後の現在は一年間百キロ、十分の一です。鉄道建設が落ちておるのでありますから、鉄道の運賃を倍増をしたところで一体この目的が達成できるかどうかわからないので、そういうような事態に対処してやむを得ざる措置として鉄道建設の面を公団にゆだねるようにして御審議をお願いいたしておる次第でございますので、大蔵当局として考えれば、独立採算制は要求をしたい、しかし無制限に要求することはできないので、現実に合わして予算的措置をしておるというのが現状でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 今、大蔵大臣のお話によりますと、結局、鉄道建設公団にいたしましても、赤字のわかっておるような新線建設は国鉄にやらせることはとてもできないので、そこで鉄道建設公団といったようなものを設立をして新線建設はやるのだ、一見いかにも日本国有鉄道のほうの負担を軽くして、新たに政府自身が公団を新設をしてやるかのように聞こえるのでありますけれども、しかし一面では、公社、公団の乱立を抑制するために行政管理庁設置法の改正をはかるということも、合問題として出ております。公社、公団の乱立を抑制しなければならぬということは、今まで乱立をしていたということに私はなると思うのでありますが、そうすると、抑制しなければならぬといいながら、今新たに鉄道建設公団を作ろうとしておる。しかも、その鉄道建設公団なるものは、地方の俗にいう赤字線区を作るのだ。鉄道に迷惑をかけないように聞こえるのでありますけれども、実際この内容を見ると、国鉄が出資をする資金は七十五億で、政府のほうは五億かそこらである。あらかたは国鉄が出しておる。しかも、でき上がった新線というものは、有償もしくは無償で、この無価でということは、有償、無償ということは、だいぶ問題になったようでありますけれども、引き合わない線区を有償でもって払い下げられて、経常して、また赤字を出すということになれば、これは国鉄としては少しも負担が軽くなったことにならぬと思うのでありますが、その点はどうなんでありましょう。国鉄総裁にお伺いしたいと思います。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) 先ほど大蔵大臣からお話のありましたように、国鉄ではやり切れないから公団を作るという趣旨で公団ができるのであります。まだ詳しい内容については十分われわれのほうとの間に協議ができておりませんから、よくわかりませんが、そういう趣旨で、国鉄のほうの負担がどれだけ軽くなるかわかりませんが、軽くなることと私は存じておる次第であります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 そうすると、趣旨としては、国鉄に負担をかけないで政府が新線建設についてめんどうを見ようと、こういう趣旨のように聞き取れるのでありますが、そうすると、資金の面においても、あるいは完成した新線の有償、無償といったような問題にいたしましても、特来の経常ということを考えてみましても、いずれにしても、国有鉄道には財政上の負担をかけないのが建前であるという点にこの公団法のねらいというものがあるのだというふうに理解をしてよろしいのでございましょうか。運輸大臣にお伺いをしたいと思います。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) お答えします。  ただいま国鉄総裁が言いましたように、この公団の一番のねらいは、鉄道審議会が、現状のままにしておったのでは新線はなかなか進まぬ、そこで別個の機関をこしらえてやるがいい。一方、また政府は、行政管理庁で公団の乱立を整理しているというが、必要なものは私は認めざるを得ぬと考えておりますので、私は鉄道建設公団は認められると思うのであります。  次に、国鉄に迷惑をかけぬといいますが、国鉄は、現状の財政におきまして、また現状でみすみす赤字線というものを差手せいというのも無理でありますから、別の機関をこしらえまして、そうして、もしでき上がった線路が幸いに黒字であれば、そのままよろしゅうございますが、赤字のときには、そのときにひとつ考慮して、政府なり国鉄なりに新鉄道建設公団としては善処方を要望していこう、かように私は考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 でき上がったものが黒字であればけっこうだが、赤字の場合にはと、こういうお話がありましたけれども、これはそこらで食料品の店でも開くのと違って、国鉄の場合には、作る前から、大体その沿線の人口であるとか、産業であるとか、そういう状況がわかっているのでありますから、黒字か赤字の見当はつくと思うのであります。見当もつかずに、とにかく敷いてみて、もうかったらもうけもの、こういうことじゃないと思うのです。  そこで、最近の新線建設の実績から、これは赤字であるか、黒字であるか、営業係数等について、ひとつこれは事務当局でもけっこうでございますから、お知らせを願いたいと思います。それから、現作予定をしておりますところの新線建設予定線の見込み、これは赤字になるのか、黒字になるのか、どの程度のものであるか、その見込みについてもお知らせをいただきたいと思います。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) 事務当局をしてお答えさせます。

岡本悟運輸省鉄道監督局長

○政府委員(岡本悟君) 仰せのように、鉄道の新線の営業係数は相当悪うございます。しかし、この経常収支の赤字は割合少ないのでございまして、要するに資本費と申しますか、建設費の利息、あるいは償却、こういったものが非常に大きな赤字の要素になっております。そこで、今回建設公団でやるということになりますと、その資本費の負担というものはなくなるわけでございますので、通常の経常収支の赤字ということになるわけでございますが、これはたいしたことではないというふうにわれわれは判断いたしております。で、なお相当の新線というものが赤字であろうということに予想されますが、これにつきましては、法律上無償貸付の道も開いておりますので、国鉄に対する負担というものはそうたいして大きくはないであろうというふうに判断いたしておるわけでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 それじゃ、無償貸付の例をあげてみましても、無償で国鉄が引き受けるということになったとしても、引き受けたあとで赤字が出るという場合には、その損失補償は一体やるのかどうか。たとえば百円の運賃のところに千円もかかるといったようなところを、作ってやったから引き受けろと言われた場合に、国有鉄道の負担にならないということは私は言えないと思うのでございます。そういう場合に、先ほど重ねてお話がございましたけれども、現在輸送力増強計画に支障を来たしておるのは資金不足であるということを、総裁も答弁しておられるのです。要するに、金が足りないで困っておる。だから、お客さんを思うように運べないのだということを言っておるのでありますが、その上、なおかつ赤字の、いわゆる政治路線というふうに俗にいわれておりますけれども、赤字の路線をしょい込むようなことになって、はたしてそれが経営のあり方として正しいかどうかという点について、運輸大臣の御意見を伺いたいと思います。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) 先ほど監督局長が御説明申しましたように、経常収支の赤字というものは、この新線ができるころには、東海道新幹線も開通いたしまして、鉄道に相当の黒字が出ることをわれわれは期待しております。その面から申しまして、年々かりに赤字線ができても、その資本負担が大きいのであって、経常収支の負担は国鉄の既設のその他の何でまかない得るということを私どもは考えて、また期待してやっていくつもりでおります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 鉄道建設公団がねらいとしておりますところが、実際にはどうかということを私聞きたかったのでありますけれども、こういう公団を作らなくても、技術面でできないということはないだろうと思うのでありますが、技術上やるのは、現在までやって参りました日本国有鉄道でこの工事を続けていくのだというふうに考えてよろしゅうございますか。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) お答えします。現在では、日本国有鉄道でやれぬことはないです。やれぬことはないが、鉄道建設審議会からは、別個の機関で早くやれという要請がありまして、日本鉄道建設公団をやって、そうして専門に建設にかかるということがよりよい形態であると私は確信いたしております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 それは、赤字の政治路線を国鉄にやらせるということに気がとがめておるから、そういう言い方をしたのだというふうに解釈せざるを得ないのであります。そうでなければ、資金も大部分国鉄が出しておる。何のことはない、これは屋上屋を重ねるというむだなことをやっておる。しかも、一方においては、公社、公団の乱立を抑制するのだということを言っておる。表向きの看板と、やっておることとは、どうも違っておるような気がいたします。その点について。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) あなたが先ほどから言われました問題もくるめて申し上げますと、政治路線をやりたいために大蔵省は鉄道建設公団を設けたのでは絶対ございませんから、これだけはひとつ明らかにいたしておきたいと思います。  国有鉄道というものは、御承知のとおり、鉄道の建設もやるべきことを任務といたしております。でありますから、明治、大正にかけては、先ほど申し上げたとおり、年間延べ千キロも鉄道建設をやってきたわけでございますが、戦後の荒廃から立ち直るということが急でありますのと、特に戦後十七、八年間で東京、大阪というような大都会に産業と人口が過度に集中いたしましたために、その東京、大阪のいわゆるメーン・パイプの修理をやったり増設をするのに手一ぱいでございまして、現在のままでしておりますと、新線の建設はできないのでございます。新線というものは大体赤字であるから、これは政治路線としてやればいいんだという——純経済論から簡単に測り切るならば、私は建設公団など作る必要はないのでございます。北海道の鉄道は、御承知のとおり、明治初年から赤字でございます。北海道から一体鉄道を取ったらばどうなるでありましょう。鉄道とはそういうものでございます。鉄道というものは、鉄道という会計の中で、赤字であっても、その赤字の何十倍、何百倍という、いわゆる世に稗益して国の富を増しておるのが日本国有鉄道の性質なんでございます。でありますから、御承知のとおり、釈迦に説法でございますが、産業には、収入を得るように、酒や切手でも税金を取っておりますようなものもございますし、それから三公社五現業といって、雪の道を配達をするには一通幾らかかるか、郵便でも国家がこれを五円ではがきを配達しなければならないというものに対しては、明らかに独立採算制を要求はしながらも、ものによっては一般の公共事業と同じように無料に近いような場合もある。このような制度でもって五現業というものを作っておるわけでございます。三公社は民間とちょうど一般会計との中間であるというような状態でございまして、これらは独立採算的な企業ではございますが、あなたが先ほど言ったとおり、公共的使命が非常に大きいので、申すまでもなく、学生に対しては九割引きをしなければならない。もっといえば全額国が負担してもよいというような建前でやらなければならない鉄道でございますから、独立採算制は要求しながらも、日本国有鉄道という制度でまかなっておるわけでございます。だから、そういう意味で、現状を静かに認識するときに、大正や明治の時代のように、国が必要とする国家目的に沿った線というものは、鉄道会計では赤字であっても、どんどん作らなければならないということをもし国鉄に要求するならば、一般会計から国鉄に繰り入れる以外に国鉄でやる道がないのでございます。公団を作るよりも、それをやったらいいじゃないかということが議論として出るのでございますが、それは国会できめられた法律がございます。鉄道の新線に対しては、鉄道建設審議会の建議によって無条件に国鉄はこれをのまなければならない制度になっておるわけでございます。でありますから、現在の国鉄というものに対しては、独立採算制を要求しながらも、よりよい環境と、よりよい経理状態を求めながら、いわゆる一面政治路線といわれ、これが別な国家目的を持った新線というものと区分をして、明らかに国民の前には鉄道会計としては赤字でございますが、このようなものは、国の政策として必要なんでありますと、こういうことであるならば、一般会計に込めて国鉄に入れるよりも、鉄道公団という特別会計でもって、明らかにその目的を達したほうがより理想的であろうという考え方に達しておるのでございます。あなたが先ほど言われましたように、東京−大阪をどうするのだというときに、地方を発展せしめるのに、鉄道や道路なくして発展しないのでありますから、その意味においては、もうやむを得ず自動的に大都会が大きくふくれていくわけでございます。もう一つ、河野建設大臣がさすがに明快な答弁をなさいましたが、道路を現在の一級国道と二級国道でもって合わせて——地方道合わせて五万キロございますが、十万キロに整備を行ないます。大体改定五カ年計画をやる最終年度から以降の道路は大体どのくらいかかるかと申しますと、全国平均しますと、鉄道よりも道路はかかるのであります。新線建設でもって今建議をいただいております。一番よけいかかるのは熊本から延岡に向かう日ノ影線でございますが、キロ一億一千万でございます。現在道路幅員六メートルないし十一メートルに対して、日本の十万キロ以上の道路整備は一体幾らかかるかと言うと、橋梁、隧道を入れるとキロ当たり一億五千万円でもできないと思うのでございます。しかも道路は無料公開の原則でございます。維持管理は全部国及び地方公共団体でやらなければならぬ。でありますから、そういう事実を比べてみる場合、鉄道がいわゆる百億のうち五十億の赤字が出ても、同じ道路は三割ないし五割よけいかかって、そして維持、修繕が国や地方公共団体が全額持つという場合に、国家財政に及ぼす影響というものは鉄道が安いか、道路が安いかというと、大体十万キロ以上にすると、鉄道は二分の一になるのであります。そういう考えに立って公団を新設したものでありますから、少なくとも政治路線をやるために自民党政府が公団を作ったというような考えに対しては、ひとつあらためて認識をしていただきたいと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと関連して。採算に合わない路線でも、地域格差の是正等でそういうことの必要が起これば、これはそういうことはあり得る、それは了解いたします。瀬谷委員もそういうことを言っておるのじゃないと思います、問題は新設公団がかりに赤字が出た場合には一般会計から補てんをするのでありますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 一般会計から補てんをするとまで答弁はしておりませんが、私がただいま申し上げたような状況から、将来を考える場合、三十八年度の予算のワクに対してのものをもって即断をすることは間違いだと思います。現在一体どうなっておるかということを考えますと、いやおうなしに国鉄は建議のとおりやらなければならないのであります。公団を作ることによって資本費だけは公団が持ってくれるのであります。現在よりも少なくとも何十億、何百億将来に対して負担が軽減せられるであろうということは自明の理であります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 大蔵大臣のお話によると、鉄道が国の利益に裨益するをする、公共的使命に基づいてあるのだ。現状を静かに認識してほしいというようなお話でございましたが、現状を静かに認識した結果というものは、百人の定員の車に三百人乗せて今走り回っておる。ここへ通って来ておられる方もその三百人の中に含まれている人がずいぶん一ぱいいると思うのであります。こういうようなのが現状であります。しかもまかり間違えば大きな事故を起こしかねないようなぎりぎり一ぱいの無理な輸送をしておるというのがこれまた現状であります。こういう現状を私は認識しなければならぬと思うのです。その場合に、国鉄がどうも納得のできない筋道の通らないような負担をしなければならないということではいかぬと思う。そのしわ寄せは一体どこにいくか。利用者の肩にかかってくる。それからまた働く人々の肩にかかってくる。こういうことになると思うのであります。  それからいま一つ、これは国鉄総裁にお聞きしたいのでありますが、しからば赤字路線で因るというので、その線路を撤去して自動車に変えた所がありました。白河と棚倉であったかと思いますが、ここの所は自動車に変えたことによって、その後どういうふうになっておるのか。住民から、利用者から苦情が出ておるのか。経営上やはりマイナスになっておるのか。その辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) お答えします。具体的な正確な数字は知りませんが、今日もやはり赤字は赤字になっておると思います。しかし、その赤字は、経済の発展に伴ってお客さんがふえた結果、収入が少し増してきておる、それから経費が幾らか減っておるというところで、赤字は幾らか減ってきておりますが、しかし、今日も依然として赤字であると記憶いたしております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 国鉄総代にもう一度、今度は賃金問題について最後にお伺いしたいと思います。北陸線で地すべり事故がありまして、列車が海のほうに落っこったことがございます。幸い、乗務員の適宜な処置がありましたために、たくさんの犠牲者を出さないで済んだということが新聞で報ぜられております。そこで、この乗務員の給料というものを調べてもらいましたところ、いずれも二万七千幾らであります。こういうのが現状であります。先ごろの予算委員会の公聴会では労働指導ローきょうは時間の関係でその労働関係のほうは省略いたしますが、労働指導員の人材を求めるのに、三万そこそこの給料ではきてがないということを公述されておりました。そうすると、その大平な仕手あるいは責任のある仕事については三万円くらいの給料では今きてがないということを、これは公聴会でもって表現をせられておるわけであります。また先般の新聞を見ましても、国鉄の初任給、あるいは電通の初任給、公労協関係の職員の初任給が安いために、民間にみんな持っていかれてしまうということが出ておりましたけれども、これらの問題に対して、国鉄総裁としては、どのように賃金問題を解決するつもりがございますか、ゼロ回答というようなことではたして済むというふうに考えておられるかどうか、見解を、お伺いしたいと思います。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) 賃金はできるだけ上げて優遇したいと思っております。大体公務員とか民間等の基準もありますから、それらのものとにらみ合わせて、ただいま団体交渉をやっておるところであります。初任給についても、はなはだわずかでありますが、一部分初任給を上げようということにいたしております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 この間私はある鉄道管理局長の話を聞いたのでありますけれども、最近は新規採用をやるにしても人が集まらなくなったということを言っております。三河島事故を一つの例として取り上げてみましても、非常に今国鉄が無理をしておるということは、これはもうどなたにもわかっていただけると思うのであります。こういう無理な輸送をしておって、まかり間違えば——ほかの一般のホワイト・カラーであれば、間違えば訂正印一つ押せば済むことが、国鉄の場合間違えば何百人の人の命を奪ってしまう。北陸線の事故の場合であっても、もしあの乗務員が機転がきかなかったということであれば、何百人という人がその土砂の下敷きになって死んでしまったかもしれない。もしそういうふうな多数の死傷者を出してしまえば、これは刑事責任を問われる立場に当然立つわけであります。そうすると、相当人材を求めなければならないじゃないかというふうに考えられるわけであります。いかにその訓練をしても、教育をしても、ある程度素質のある人間でないと、なかなかむずかしい仕事、しかも複雑な仕事に対して、これをさばいていくことができないということは、私は言を待たないと思います。管理局長の言葉でも、この初任給が安い、要するに待遇が十分でないために、来手がなくなってしまった。来手がなくなってしまうと、どうしても素質が下がる。素質が下がると、これは仕事の壁が複雑かつ大量になってくるのでありますから、事故の危険性もそれだけふえるというわけであります。私は、待遇がいい、悪いという問題は、これは、現存の輸送力の増強を必要としておる段階におきまして、まかり間違えば非常に危険な事故を生ずる可能性があるというふうに考えるがゆえに、これらの問題は、単に労働問題としての当局側の面子だけではなくて、真剣に考えて対処しなければならないと思うのでありますけれども、運輸大臣並びに国鉄総裁のこの労働問題に対処する誠意あるお答えを最後にお聞きしたい、こう考えております。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) 私は、待遇はなるべく許すことならばよけいするのがいい、それがまた人材を集めるゆえんと考えております。それは瀬谷委員のお述べのとおりと考えておりますが、先ほど来しばしば問題になる公共性と独立採算制との間に処しまして、その要望をいかに調和するかというところにわれわれは苦心いたしておるのでありまして、これについて、私は、現在の国鉄のとっておる態度、方針、方法等は、国鉄の歴史にかんがみまして、今の場合は、最善の策をとり、最善の方法でやっておると確信いたしております。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) お話しのとおり、景気のいいときにはどうも人がなかなか採りにくいのです。そこで、私どもは、高校卒業生、ことに技術関係の人を採りにくいのです。高校卒業生を採って、みずから自分で国鉄内に教育機関を持って、それらの人に専門の教育をすることもやっております。それからまた、国鉄の職員の中から希望者を募って、専門の教育を受けてない職員に専門の教育を受けさせることも努力いたしております。国分寺にあります中央学園いうのは、主としてそういうことをやっております。また、各地にそういう学校のような教育機関を持っておるのであります。私は前から、人間は子供のこと、子供の将来について一番の苦労をするのだ、だから、職員にはなるべくそういう子供について苦労をしないようにしてやることが、これが一つの労働問題といいますか、職員を満足して後顧の憂いなくして働かせるゆえんじゃないかということを考えまして、そういうふうな教育機関も作っております。そういう点において、われわれは、採りにくい場合でも、どうにか職員を充実し得るように努力をいたしておる次第であります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 御答弁いただきましたことを誠意をもって実践をしていただきたいということを要望いたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 瀬谷委員の質疑は終了いたしました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次に、先ほどの山木委員の残余の質疑を続行いたします。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それでは、外務大臣に率直にひとつお尋ねしたいのです。  日韓問題については、もうすでに衆参両院でたびたび論議をされておりますので、特に一昨日韓国の最高会議議長の声明された四年間の軍政の延長、それに伴う政治活動、言論、集会、出版を禁止する特別措置法を作るという声明がされたことが伝わっておりますが、外務当局はあの新聞のとおりの受け取り方をしておるのか、外務当風の受けた実情把握、これをひとつ外務大臣からまず御答弁を願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 最近の韓国は、予想を越えた振幅の大きい政界の動揺を見ておるわけでございますが、今御指摘の、朴議長の提案なるものをどのように了解すべきかという点につきましては、各方面の情報を収集中でございまして、今の段階でどう見るかというような点につきましては、自信を持ってお答えする用意がただいまのところございません。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 外務大臣の腹のうちは読めておるのですが、朴議長のああいう声明を出さなくちゃならぬという韓国の政治情勢、社会情勢というものは、もうすでに早くからわかっておったと思うのです。まだ諸種の情報を収集してから態度をはっきりするという話でございまするが、すでに軍政四年延長ということは、これはもう御存じですね、その点どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういう情報を聞いております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 大体日韓会談の問題は、すでに一九五二年から始まって十年の年月を経ておるのです。それは御存じのとおりだと思うのですが、その間二回ほど、いろいろの問題で、久保田発言が問題になったり、あるいは五・一六の革命の問題があって、そのつどおくれておるのですが、日本政府外交当局は、自主的に判断をしてこの外交を進めておられるとは思わないのです。今度の場合、すでに当面の問題として、秘密的な軍政が開かれておるのですから、この場合でも政府は、日韓会談を続けて国交正常化をやっていくのだという考え方を持っておられるか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 政府といたしましては、いずれの国に対しましても、また、その政治形態がどうであろうと、最大の敬意と善悪をもって対処するのが当然だと思うわけでございます。韓国もその例外ではございません。で、問題は、当面の日韓交渉の問題でございますが、私どもは、たびたび申し上げておりまするように、日韓の間に解決すべき問題が残っておる。そういう問題を、両国民の納得がいくような合理的な解決の答案が書けないかということで鋭意努力いたしておるわけでございます。こういう努力は、瞬時といえども忘れちゃならない私どもの責任だと思っております。先方が、政局の動揺が激しくて、交渉自体としてリーズナブルな提案をまとめてする状況にあるかどうかということは、先方の問題でございまして、私どもは、今までとって参りました姿勢を変えるという状況ではないと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 その点が納得ができないのです。外交というものは、やはり両国の自主的な判断でそれが合致したときに取りきめというのはきまるのです。今、両国民の納得と言いましたが、常識的に考えて、今の韓国の政治形態においては、国民の意思が、国会がまだないのですから、国民の意思が反映しないいわゆる政治組織だと思う。しかるに、日本は、今の軍政当局と話し合ったことが、両国民の納得だということは、われわれとしては了解できないのですが、その点どう判断されておるか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、民主議会政治ということになりますると、国会を通じて世論が組織されて、国民の世論というものを捕捉するに格好の方法が提供されるわけでございます。しかし、しからざる場合におきましても、国民の考え方、願望、そういったものをどうして読み取っていくかということは、それぞれの立場に置かれた為政者が苦心をするところであろうと思うのでございます。世論が国会を通じて組織化されなければ、そういう国とでなければ外交交渉はできないなどとおっしゃいますと、これはそういう形態をとっていない国々との外交交渉というようなことは不可能になってくるわけでございまして、私どもは、先ほど申しましたように、どういう形態をとるかは、その国のきめることでございまして、どの国に対しましても、最大の敬意をもって対処するのが当然だと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連質問でありますから、とかくの議論は全部省略して、端的に一つだけお伺いいたしますが、政府は、今までのわれわれへの御答弁を通じて、われわれの察するには、間もなく民政移管になるから、ということで、その動向を見守りながら慎重に対処するということでこられたはずであります。ところが、軍政が四年延長されて、民政移管になるということは、近い将来完全になくなった、こういうことであります。そこで、国民の世論の動向云々ということは別として、かりに軍事政権でも、今までどおり会談を続けるのかどうか、これと取りきめるのかどうか、この一点だけが私の質問です。これは民政移管の動向を見守って慎重に対処するという従来の基本方針と完全に違うと思います。その点はいかがですか、この一点だけを伺います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先方から合理的かつ建設的な御提案がございますれば、討議をするにやぶさかでございません。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私は、そういう政府の態度については、非常にまだ問題があると思う。先ほど、相手のそういう政権によっては、必ずしもいわゆる民主的でないところとの外交交渉をしなきゃいかぬ——その場合もあるでしょう。しかし、今度の日韓会議における内容ですが、両国の基本関係の樹立とか、あるいは財産請求権の問題とか、あるいは李ラインを含む漁業協定、在日朝鮮人の国籍所遇問題、これらきわめて恒久的な問題を取り扱おうとしておられる。しかも過去十年の間、これをやってもまだ解決しないものを、今のような政情でも、なおかつ執拗に日本政府は、どうやってもやるのだというその態度に対して、われわれは納得できない。政府が、もう少し国民の感情というものを率直に考えて、南北朝鮮が統一して、そうしてその上でやれということが、われわれ社会党の基本方針であるけれども、それは一応別としても、韓国と交渉するという場合でも、なおかつ、そういう問題があるのですが、外務大臣は率直にその点をひとつ披瀝してもらいたいと思う。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) たびたび申し上げておるように、私どもの仕事は、日韓の間にある懸案、それはあなたが御指摘のように、たいへんむずかしい問題でございます。で、この問題はいつか解決して、両国の間の国交の道を開かなきゃならぬという立場に立っておるわけでございます。事柄が、仰せのように非常にめんどうな問題でございますが、まあそれはしばらくほうっておけという立場に私どもは立っていないわけでございます。で、その場合に、諸種の懸案は、両国の将来の友好親善関係を打ち立てる場合におきまして、両国民が理解を持って解決をはかることがどうすればできるかというわけで、納得のいく実質的な検討をやってみておるわけでございます。あなたの言われるのは、そういうことを仕上げて、そして全局的な御判断に立ってこれを妥結するかしないかというところに、ただいまの視点があるようでございますけれども、私どもは、それより前の段階の非常に困難な、今十年交渉もかかっておるわけでありますから、そういう困難な問題をどのようにして解きほぐしていくべきかということを検討いたしておるし、先方から、それに対して合理的な御提案があれば、それを御相談するということはちっとも差しつかえないと思うのでございまして、そういうことまでやめろというような御趣旨の御質問なれば、私ども同意いたしかねる、こういうことでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私の言うのは、いわゆるこの日韓国交正常化というのは、両国民の平和、幸福を願ってやるんでしょう。朴政権のためにやるんじゃないでしょう。そうすると、日本が相当な有償無償の莫大なそういう取りきめをしようという場合に、ほんとうの朝鮮国民が希望しておるような形におさまらない、ああいう政治形態ではできないというのがわれわれの主張なんです。外務当局は、どういう政権でも相手が誠意を持ってきたらと言うけれども、相手が誠意を持ってくるということは、国民全般の意向を反映した政府だということをわれわれは基本的に考えなくちゃならぬと思っておる。すでに軍政をしいて、しかも特別措置で言論、集会、出版も押えて、国民投票によって朴政権の信任を問おうという、こういう異例の措置をもってやる政治形態というものが、今日の国家で認められるかどうか。これは他国のことですから、あるいは言及いたしませんが、日本外務当局は、そういう相手とやる場合に、そういう相手でも誠意があればと言うが、どこにその誠意を認めるのか。国民の誠意であるのか、朴政権自体の誠意であるのか、われわれは疑っておる。これが国民が疑っておる理由である。それを伺っておる。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) あなたが今言われたように、これは韓国の問題でございまして、韓国が持っておる政府、そういうものに対して最大の敬意を払うのは、当然でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それは、この場では通るかしれませんが、かりに個人的に言っても、その問題は、いろいろ取りきめるという場合、家庭争議が起こって、御主人と細君とが話がまとまらないで問題が起こっているのに、相手方から行って、このお金をあなたに払いましょうというようなことは、私生活でもそんなことはできないでしょう。はっきりと、家庭的に主人が代表しているんだから、家庭的に主人が代表してこうだと取りきめて、初めて債権債務ということを取りきめてするというのが、大体普通の常識ですよ。しかも、一国と一国の外交取りきめであって、しかも、財産請求権によって日本が相当の金を支払おうと。しかも、問題である李ラインをどうしよう、こういう問題を取りきめるのに、向こうの政権がどうあろうとも、誠意があればという、その誠意をはかる尺度、ものさしというものをどこで見ておられるのかということが、われわれは非常に納得がいかない。したがって、私らの言うのは、われわれ社会党の言う基本的な問題を一応別としても、ほんとうに民主的に民政移管をされて、これならば外交交渉して取りきめしてもいいという、その状態までは、少なくとも自主外交を強調される大平さんであれば、それまでは、向こうがどう言おうとも、やはり毅然とした態度で臨むのが、待つのが当然だと思うんですが、それを尋ねておるんです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、債権債務がはっきりするとか——つまり問題を取りきめる前の段階の仕事を今やっておるわけなんです。どのようにかして両国の意見が合わない問題を解決する道が出てこないかということを探究しておる段階でございます。あなたの言われるのは、そういうことを乗り越えて、取りきめをする相手という——交渉の相手と取りきめをする相手と一緒にされておるような印象を受けますが、私どもは、今、どういう取りきめをするか、その内容にわたって勉強をして、お互いに意見を交換し、討議を展開いたしておる段階でございます。で、これが国民に発表されて、両国民からいろいろな御批判を受けるだろうと思いますけれども、そういう答案を今苦心して作っておる段階なんでございます。そういうことまでこの際やめろということは、私たちも無理じゃないかと思うのです。しからば、そういう一応の成案ができた場合に、そのときの韓国の政権が、この両国で合意を見たことを後世にわたって保証する能力がないということででも、それでもやれなんてことを言っているわけじゃないのです。外交交渉というのは、御承知のように、交渉の主体がそれだけの能力のあることを前提にしてやっておるわけでございまして、そういう点について、私どもが今やっておりますことは、あなたが御指摘されておる前の段階をせっかく苦心いたしておるということでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それじゃ、その前にやるということは、どういうことをやっているのか、それをひとつ。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) いろいろな懸案がございまして、これをどういう懸案から取り組んでいくかということは、再三申し上げておりますように、技術的な、これは交渉技術の問題でございまして、両方の意見で、それじゃ請求権という最も困難な問題から先にやろうじゃないかということでございまして、請求権については、一応のまあ素掘りというようなものを作ったわけです、トンネルでいえば。一ぺん穴を抜いたのだということ、巻き立てがまだ終わっていませんけれども。そういうことを一応訴したわけです。で、次の問題は漁業に移ろうじゃないかということでございますが、このほうについては、こちらから御提案申し上げてありますけれども、先方からまだ柔軟性のある提案がない状況で、私どももそれを待っておるわけでございます。そのように、逐次各懸案について討議を進めて参りまして、全部を取りそろえて一括して解決したいということでございまして、経過的な合意が、全部について解決するまでは拘束力を持たぬということを、もうたびたび申し上げておるわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もう一つ関連。もう一つお尋ねして恐縮ですが、それは事前の、まあ事前といいますか、取りきめ前の予備交渉の段階だと、今そう言われた。そこで、予備交渉が済んで本格的な段階になって、相手が批准するというような条件の場合ですね、その場合に、それがあと責任を持って継承し得る保証がない場合でも、あえてそれをやるということではないと思います。こういうお話でありましたが、したがって、かりに今の軍事政権のもとに四年延長でも——私たちはそれに打ち切りのほうの説ですが、かりに今の政権のもとでなおかつ交渉を進められるとして、将来の見通しがなければ、保証がなければ、それは打ち切られるものと了解してよろしいか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 外交交渉は、外交交渉のために交渉をやるわけじゃなくて、両国の親善友好関係、互恵の関係が将来とも保証されるという確信の上に立ってやらなければならぬと思うわけでございます。したがいまして、これは外交交渉上第一に考えていかなけりゃいかぬ要件であるわけでございまして、そういうことまで踏みはずして云々というようなことは、毛頭考えておりません。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 大平さんね、あなたは言われますが、われわれとしては了解はできないのです。そういう具体的な、本質的な問題に入る前のやつを今話しているわけですよ。もうすでに有償無償五億ドルとか、そういうものは、一応外交交渉の上で話に出ておるのじゃないですか。先ほど私が言いましたように、取りきめはしない——もちろんそうでしょう。相互に合意をしたしで、はっきりとそういう調印をするということになるのですから、それまでは効力を発揮しない。しかも、国会においてのいわゆる批准という手続もあるのですから、そういうことを言っておるのではない。すでに具体的に財産請求権の問題とか、あるいはその他の問題について話を進めておることは、事実なんでしょう。その点どうなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういう意味がなければ交渉は意味がないと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 だから、先ほどから私が言っておる。そういうものを交渉する相手としては、これは幾らにするんだと、たとえば財産請求権の問題にしても、今有償無償五億ドルとか言っておられますが、私が言っておるのは、それがほんとうの韓国民の意思の反映したところに使われるかどうかわからない。ああいう政権では、われわれ常識的には、国民の意思が反映しておらぬじゃないか。向こうのほうは向こうのほうでよろしい。私は干渉いたしません。韓国のほうは干渉しないのですが、そういう政治形態の政府とこちらが交渉するには、あまりにこちらのほうが自主性がないじゃないか、日本国民の意思というものを無視しておりはせぬか、こういうことを言っておる。それでもなおかつ、軍政が四年続こうとも、何であろうとも、相手が誠意を尽くしたならばやるんだということでは、私は少し理が通らぬと思うのです。いくら言っても、腹を割らぬと思うのですが、もう一回この点について率直に御意見を聞かしていただきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 両国民が納得いくような答案を書くべく努力いたしておるわけでございます。それ以上のものではございません。相手の政府が民意を把握し、そして民意の上に立っておられるかどうかというようなことは、その国のことでございまして、その国を代表する政府に対しまして敬意を表することは、同時にその国民に対して敬意を表しておることでございまして、日本側から政権の力量を評価して、そしてお前のほうとはつき合う、つき合わぬと言うことは、これは外交上賢明でないと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 これは、十年間の日韓会談の歴史を見てきたときには、われわれとしては非常に憤慨せざるを得ない日本外務当局のやり方なんですよ。久保田発言にいたしましても、一つああいう発言をすると、向こうのほうからもけっちんを食らわして、もう交渉に応じないと、そういうことで、日本政府は向こうのほうの言い分だけに追随しておるような形なんです。私は、それではいかぬと思う。日本は日本としての外交方針をはっきりきめて——私は、韓国民に対して、やはり幸福になることを願っております。その上に立って、今やっても、それがかえって韓国の経済成長なり国民の幸福にならない、そういう観点から私は言っておるのですが、逆に聞きますけれども、一応向こうの軍政が四年間で民政に移管するという時期まで待った場合に、日本にとってどれだけの損害がありますか、この点いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日韓との問題というのは、事実上、貿易もございますし、人の行き来もあるのです。それから、韓国民も日本に対していろいろな思いを持っておるでございましょうし、日本人も韓国に対しましていろいろな思いを持っておるわけです。現実に、日韓関係というのは、そういう姿においてあるわけでございます。したがって、外交当局が、この日韓の問題につきまして、山本さんが言われるような、当面先方の政局が動揺いたしておるというようなことだから、そしてしかも軍政が延長されるといううわさも聞くから、ひとつこちらは当面おつき合いをどうするかということについて相談はやめるというようなことをかりそめにも、私どもが考えたならば、私、現在あるがままの状態における日韓間の生きた関係というものは、非常に危殆に瀕すると思うのでございます。私どもがとっておる態度、姿勢というものが、世界から見ましても、私は、日本という国は相手の政情によっていろいろ態度を変えるんだなんと言われることは、決して日本の名誉ではないと思うのでございます。したがって、政策はこういう態度をとって、先方から好意的な御提案がございますればいつでも御相談に応じますという態度をかりにとらない場合こそ、私はあなたからおしかりを受けるのじゃないかと思うのでございまして、あたりまえのことではないかと思っているのでございます。  で、軍政の四年の延長という提案がなされているわけでございまして、私どもも一応、これは非常に予想外のできごとで、実は非常にびっくりいたしたわけでございますが、一体民政移管というスケジュールがどういう経緯で組まれたものか、そうしてこういう提案がどういう理由があってどういう手順で出たものか、それからさらに、この提案に対して韓国の国民がどういう受けとめ方をするか、そういった点については、ずいぶんこれは勉強をしなければならぬ課題だと思っているわけでございまして、これにつきましては、各方面からインフォメーションを集めまして、勉強していきたいと思っているわけで、冒頭に申しましたように、今の段階でこれについて論評することも、またこれに対して日韓交渉との関連において私どもが見解を述べるということも、今は時期尚早ではないかと思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 政府の態度は、大平外務大臣の御答弁の中から、いろいろ苦悩されていることも実はわからないこともない。ここでもう時間もきたようですが、韓国にいろいろ問題があって、昨日ですか、相当この日韓問題では、韓国の一つの方針をきめる日韓問題懇談会のメンバーが、もうすでに尹前大統領以上八名の有力者がその懇談会から抜けて、その体制が非常に韓国もくずれてきていると思うのですが、こういう点で、あなたがここで打ち切るということを言わなくても、現実に交渉が今後続けられるような状態であるかどうか、その点ぐらいは言えるでしょう。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それは韓国側の問題でございまして、先ほど私が申しましたように、先方からリーズナブルな提案があれば討議いたしますという態度で終始日本側は臨みたいと思っております。先方が振幅の激しい動揺を経験いたされているようでございますから、はたして建設的なかつ合理的な見解をまとめて日韓会談に臨み得る情勢かどうかという点につきましては、若干の疑問を持っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 まだああ、いう重大声明をやられて二日ぐらいしかたたないのですから、そういう答弁で逃げられても、追及するのが非常に根拠薄弱ですから、私は最後に外務当局に尋ね、並びに希望しておきますのは、日本の今までの十年間の経過を見ますると、日本政府の自主的な方針で日韓交渉を進めていると思われない節が非常にある。今度の場合でも、実は財産の請求権というものを先議して、その上で李ラインなり竹島問題に入ろうという向こうの言い方によって、一応入っておられるようです。ところが、日本の国民から下ると、やはり季ラインというものを、少なくとも、こちらが先とは言えないけれども、同時に話を進めてもらいたいというきわめて強い要望があるのですが、それもやられておらない。したがって、われわれ外務当局のやり方を見ておりますと、この点が非常に問題があると思うのです。われわれとしては、少なくとも民意を反映しておらない、そういう暫定的軍政府に対して、こういう恒久的な取りきめをすべきでない、この考え方について——やるやらぬということをもう言う必要はない、私のこの意見に対して、外務当局、日本政府はどう考えているか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 外国とのおつき合いでございますから、外交交渉上自分のほうの意見どおり必ずしも参らぬ場合があることは、御了承いただけると思うのでございます。  それから、交渉の手順でございますが、これはどちらに先に手をつけても一向差しつかえない。私どもは一括して同時に解決するのだという基本方針を堅持しておりますことは、たびたび本議場を通じて申し上げているとおりでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 本件に関しまして、いくらこれを続けても、結局平行線で行くと思うのですが、私らの言うことは、党の基本方針どおりを今言っているのじゃないのです。私が言っている考え方というものは、外務大臣わからぬですか。そうわれわれは無理を言っておらないと思うのです。しかも、今の韓国の政情というものは、ただならぬものがあると思うのですよ。アメリカの国務省も、それに対して非常に苦悩している。こういう場合に、やはり日本政府として、きぜんとした方針というものを声明すべきであると思うのです。それがかえって朝鮮半島の国民の平和というものが早くよみがえるものだと思うのですが、これに対してはどうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 野党、特に野党第一党の社会党さんの御政策、御主張、これは、国会を通じて展開されます皆様方の議論は、十分傾聴いたしておりまするし、今後も傾聴して参るつもりでございます。  それから、私どもは、ほかの国の都合とか、あるいは何か自主性を欠いたことをやっていやしないかという御懸念でございまするけれども、私どもは毛頭そんなことは考えてはおりません。わが国の利益というものを中心に、それをどう敷衍していくかということにせっかく腐心いたしているわけでございまして、もしそういう御懸念がございますれば、それは御一掃いただきたいと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 事外交に関しては、やはり取りきめるまでは、それは内容を発表せられないこともありましょう。しかし、日韓問題その他、今の池田政府の外交方針を見ておりますと、きわめて、何といいますか、秘密的な考え方でやられる向きが非常に多いのです。したがって、それがために、すでに発表されたときには、もう国会の批准だ、こういうことになって、まって、しかも、新聞で発表されたやつをわれわれがここで追及すると、いやそれはまだきまっておらないということでいつも逃げておられる。したがって、もう少し政府も、外交問題だから、相手方との協約も協定もしりましょうから、すべては言えないけれども、やはり国民の代表である国会にある程度のその経緯なり実情なりを御報告をして、国民全体がやはり外交をやるのだ、こういう方針、気風というものを政府自身が率先してやらなくちゃならぬと思うのですが、この点最後に御意見を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、国民を基盤にした外交でございますので、私どもが独善に走るようなことは慎まなければいかぬことは当然でございます。それで、対国会の関係、対国民の関係におきまして、外交交渉の内容をできるだけ知らせろということは、常識としてそういう気持はよくわかるのでございますけれども、外交交渉の過程におきまして案件を公表するというようなことは、外交慣例上これは厳粛に慎まなければいかぬことでございます。そのことは国民外交と矛盾するかというと、私はそうでないと思うのでございます。外交の衝に当たる者が、先ほど申しましたように、内外の世論、主張、願望、そういったことは、あらゆる手段を通じまして謙虚な気持で聞きまして事に当たるということでございまして、御提案申し上げる協定、条約等には、そういった体臭が十分込められておるようにいたしておるわけでございます。一々の案件については非常に途中におきまして公表できないということは、これは外交交渉上特に大切なことでございまして、この点につきましては、山本さん御異存はなかろうと思うのでございます。当局に当たる者が、虚心な気持で、皆様の気持を体してやるということが一番大切なことと、われわれは心得ております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 もう質問しませんが、ただいまの外相の答弁ですが、私はまあ納得はできません、しかし、時間も来ましたので、きょうはこれで終わります。ひとつわれわれの主張なり考え方というものを十分御反省をしてもらいたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 山本委員の質疑は終了いたしました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次に、渋谷邦彦君。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 最初に、税制問題につきまして、大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。  まずその一つは、減税でございますが、三月十四日に池田総理は、衆議院の大蔵委員会におきまして、政府の減税案は、全般的な問題とにらみ合わして決定しており、最善なものである、さらに多くの人が軽い負担で納税するのが望ましい、このような趣旨のことを言明されました。   〔委員長退席、理事斎藤昇君着席〕  しかしながら、税制調査会の中山会長初め、つい先ごろございました公述人の話を聞きましても、現在の国民の税負担というものは決して軽くはない、このような面もございまするし、また国民の感情としても、必ずしも軽いというふうな実感を持っている人はほとんどまれであろうと、このように考えられるわけでありますが、政府といたしまして、今後の国税あるいは地方税に対する大幅な減税を用意しているかどうか、また用意しているとするならば、その時期はいつごろから始められるか、こうした点についてまず最初に伺いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 減税につきましては、政府は絶えず重点的な施策を第一として、前向きで実施をいたしておるわけでございます。昭和二十五年から今日まで約一兆一千億に上る減税を行なっておるわけでございますし、今年度も御承知のとおり五百四十億の減税をいたしております。なお、昨年八月内閣に設けられました税制調査会には、日本の将来の税制はどうあるべきかという問題を中心にいたしまして、世界各国と日本との比較とか、間接税と直接税との比率とか、地方税と国税との間のバランスをどうすべきかというような根本的な問題に対しても今諮問をいたしておるのでございまして、三十九年度以降も引き続いて減税に対しては答申を待ちながら処して参りたいと、これが基本的な考え方でございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 ただいまの御答弁によりますと、今日まで昭和二十五年以来減税に努めてこられた、こういうお話でございますが、ところが、実際問題としては、何千億という自然増収もあるかたわら、減税に対するパーセンテージというものはきわめて低い。三月九日付の日本経済新聞の発表によりますと、自民党は、昭和三十九年度において大幅な減税をするということを公約として地方選に臨む、こういう記事が出ておりました。自民党政府としては、全く関連がない、あるいは知らないというわけには参らないと思いますが、これが事実であるとするならば、なぜ今年度において、そうしたような方向といいましょうか、方針がとられなかったか、また、大幅とはどういう意味を持つものであるか、そうした点についてあわせてお伺いしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 自由民主党が三十九年度に減税を行ないたいという考え方は、私が先ほど申し上げたとおり、党と政府は一体となって今日まで年々減税を行なって参っておりますし、なお、税制調査会の答申を待ちまして実施をいたしたいということは、たびたび申し上げておるとおりでございます。  来年度できるという見込みであるならば、なぜ今年度しないかというお尋ねでございますが、今年度は、御承知のとおり、国際収支改善の最後の仕上げの段階において三十八年度予算が組まれたわけでございますし、当時、三十七年九月の法人決算の数字その他はまだ未定でございまして、今日の段階になりましてみますと、ただいま御審議になっております三十八年度予算その他の財政運用、民間資金との総合運用等により、総理も述べられておるとおり、秋を待たずして日本の景気も上昇過程に入るだろうという見通しでありますので、これらの問題を前提といたしまして、税制調査会の答申を待ちまして来年度の減税計画をきめて参りたい、こういうことでございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 あるいは重複するかと思いますが、総理が申されております話の中に、当然税制というのは社会の変化やあるいは経済情勢の変動によって、そうしたものを加味して考えていかなければならない——まことにごもっともだと思います。ただ、わが国のように、非常に、低額所得者と申しますか、多い勤労者階級、なかんずく給与所得者については、あながちに税金の負担というものは軽いとは言えない、そうした観点に立ちまして、基礎控除の引き上げとか、あるいは低額所得者に対する免税の限度というものを引き上げる方法はないか、つまり、そうした免税あるいは大幅な軽減措置というものについて、今の大臣の御説明によれば、これからもとられていくというお話でございましたが、むしろ、こうしたことは早急にやっていただきたい。そういう国民の願いもあることでありますので、こうした点をぜひ早急に実現の運びに持っていっていただきたいと思います。こう思いますが、大蔵大臣に重ねてお願いしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 理論的に申し上げますと、現在の日本の税制と先進諸外国の間にはそう開きはないと、こういわれておりますが、私、財政責任者として税の現状を見るときに、あなたが今言われたとおり、中小所得者に対しては、より減税しなければいけないということを感じておるものの一人でございます。また、そういう観点において、免税点の引き上げ、中小所得者の税の軽減ということは、当然考えていかなければならないというふうに存じておるわけでございます。先ほども申し上げましたとおり、税制調査会の答申を待ちながら、理想的な税制体系の確立に資して参りたい、こういう考えでございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 税金の問題を裏返しにして考えてみた場合に、当然国民の義務として、納めることは当然だろうと思います。しかしながら、納めた税金が、しょっちゅう論争の焦点になっておりますように、また、政府自身としても、三本の柱として標榜しております、社会福祉の充実であるとか、あるいは公共投資への施策であるとか、こうした点に、納めた税金がはね返って恩恵を受けるという、そういう行き方であるならば、あるいは現状としても国民は不満の声をひそめるであろう、こう考えられるのでありますが、今日の情勢からみますと、必ずしも社会福祉の施策は充実しているとも思えませんし、また、公共投資の面を考えてみましても、ややもすると、産業設備の投資のほうに重点が注がれて、あるいは国民生活に直接に影響を持つ、関係があると目される道路の整備であるとか、あるいは上下水道の設備の充実であるとかいう方面に、なぜか力が用いられていない。もしも、そういう点について今後大いに実現の方向へ努力することができるならば、あるいはもっともっと豊かな生活というものが国民として得られるのではあるまいか、このように考えられるわけでありますが、そうした点につきまして、特に政府として力を注がれておるその問題について、ここで明確な今後の方針を伺っておきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) お説のとおり、国民の税金の使用にあたっては、効率的な使用が行なわれますように配慮しなければならぬことは当然でございます。あなたが今言われたとおり、社会保障につきましては、三十七年度の予算に対しまして三十八年度の予算は総体的には一七・四%の伸びでございますが、公共投資に対しては二〇・六%、また社会保障に対しましても同じく二〇・数%でございますし、それから文教に対しましても二割余のアップをいたしておるわけでございます。一七・四%の総額増加に対して、この三本の柱は、御承知のとおり、年々二〇%余のアップを続けておるのでございますから、諸外国に比して、まだ日本の公共事業その他が万全なものでないことはわかりますが、戦後十七、八年の間に有数の発達、充実を遂げつつあるという事実は、お認めいただけると考えるわけであります。財政投融資一兆一千九十七億円の中でも、国民に直接関係のあるもの五千数百億、それから公共投資その他で国民に還元していくもの、生活基盤の確保に資するもの約四千億ということでございますので、これが大部分は直接国民生活に直結する部分に投資をせられておるのでございます。残余の問題といえども、われわれ国民の生活をよくし、将来、文教、社会保障、公共投資等がより多く行なわれるための産業基盤の強化育成に資する投資を続けておるのでございまして、国民の声を聞きながら、将来とも効率的な投資を続けて、社会福祉国家の建設に邁進をして参りたいと考えるわけであります。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 次に伺いたいことは、現在行なわれておりますところの租税特別措置。あるいは前にも問題になったかと思いますが、この措置は、ややもすれば大企業の保護育成に走る傾向がありはしないか。とかく、中小企業であるとか、そうした人たちと比較してみた場合に、均衡を欠くようなおそれがあるように思いますが、この点について御見解を伺いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 減税の内容を見ますときに、大企業優先であるかどうかというお話でございますが、私たちは、特に日本の中における中小企業というものの持つ重要性ということを常に認識いたしておりますし、これから自由化のあらしに対処して、国内産業として立ち上がっていくための施策は、十分この中に織り込んであるつもりでございます。しかし、まあ中小企業というものは非常に多様多種でございますし、これが日本産業の中核をなしておるのでありますから、ただいま御審議を願っております中小企業基本法の成立等に待ちまして、現在よりも将来、あすよりもあさってへと、中小企業に対する育成強化の施策は、この減税その他の問題だけではなく、金融の問題でも、補助金の問題でも、その他の各般の施策において、中小企業の育成強化をはかって参るという次第でございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 次は、現在の税制機構でございますが、これは、専門家の方はいざ知らず、大半の国民は非常に複雑であることを感じると思います。昔から、税金というものは、納税者が納得して喜んで納める、これが理想とされております。しかしながら、今日のそうした制度全般を考えますときに、およそ不可解と申しますか、あまりにもむずかし過ぎると言えばむずかし過ぎる。とかく国民が、はたして納得の上に立って喜んで税金を納めるという状態に置かれているかどうか、こういうふうにわれわれが反問してみた場合に、国民は、おそらく大半が否定するに違いない、このように思うわけでございます。したがいまして、今後におきますところのこうした制度全般に関する問題、またさらに徴税方法についても相当問題がひそんでおるように思います。  こうした現在の税制全般に対する制度あるいはその徴税の方法等について、当局としても鋭意考えていらっしゃる問題ではあろうかと思いまするが、われわれとしても、ここに抜本的な対策を立てて、最も簡略化された、そうした方向に持っていって、今申し上げたような、喜んで一人々々が税金を納めることができる、こういうふうに持っていくことが最も望ましい姿ではないかと、かように思う次第でございますが、こうした点について大臣の御見解を伺いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 税法、それから税体系の問題、徴税機構の問題、ただいま仰せられたとおりでございます。とにかくその中で、税法というものはむずかしいものでございます。私も大蔵大臣在職中に、少なくとも現行税法ぐらいは全部読もうというのでございますが、読んでいるうちに忘れてしまう。非常にむずかしい、こういうことだけは事実でございます。これでは、取るほうも一体わかっておるのかなと思って、国税局長会議でも、一体これよくわかるのかと、こう言うのでございますが、わかったような顔をしておりますし、取っておりますからわかっておるのでございましょう。しかし、あなたが今言われたとおり、納税者が一体わかるかどうか、これは非常に私は疑問だと思います。でありますから、納税に関しては、くわを持ち、かまを持ち、また旋盤に向かっておる方々が、忙しいというゆえに税法を読まないというだけではなく、私は、案外国会議員の皆さんで現行税法を全部読んでおられるという方は少ないのじゃないかと思うのです。だから、そういう意味で、まあ読んでも頭が痛くなるような表現でございますし、そういう意味で、税を納める方々は確かにわからないで納められておりますので、非常に税に対する不信感があるというふうに考えます。  私は、そういう意味で、就任と同時に、わかりやすい税法をひとつ書いてもらうようにということで——これは税法だけではなく、ほかの法律もそうでございますが、特に、専門家だけが読んで喜んでおるような条文がたくさんございます。私自身も法律が好きでありますし、法務政務次官の経験もありますので、いずれにしても非常にそういうことが好きなような性分であっても、すなおにこれを理解するということはむずかしいと思いますので、特に、国民の身から税金を出してもらうのでございますから、出すほうがわかるような税法にすべきだ。これは簡単な立場で、あまり専門的な書き方ということではよくないことであるということで、諮問をいたしますときに、国民大衆がわかりやすい税法をまず作ってもらいたいということを諮問いたしてございます。  それから徴税機構の問題でございますが、徴税機構の問題については、国税局長会議や、税務署長会議でも絶えず話をいたしておりますが、今までは、税は法規裁量でございまして、税法でもってきめられたものをただ取り立てるのだ、それで、違法行為があったならば取り締まるのだという立場にございましたが、これからの徴税機構というものは、国民と政府の間にあって、こういう税には特例があるんですよ、またこういう納税をするためにはこういう主張をしてもらいたいとか、いわゆる相談事務や、ということは語弊があるかもわかりませんが、税に対して親切な窓口たらしめたい、税務署の窓口に行けば——私はこういう指導をしておるのですが、一体こうすればどれくらい税金がかかるのでしょう、こういうものを売ってこういうものに買いかえたいと思うのですが、税金は一体どうなるのでしょう、どういう特例があるのでしょうということを、すなおに聞きに行けるような税務署であらねばならないということで、第一線の税務署の機構を拡充していきたい。また、そうしなければ、今のような状態で、東京でもって口座がふえるので、東京、大阪にみな各地方から徴税官を集中して徴税事務に当たるというようなことが続いてはいけないのでありますので、できるだけ第一線の機構を完備しながら、納税者のためにもなり、また政府と国民との間に完全な意思の疎通をはかれるように徴税機構の整備拡充をはかって参りたい、このように考えておるわけでございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 ただいまの大臣のお話でございますと、確かにむずかしいと、率直にお答えがあったわけでございます。さらに、取るほうも納めるほうもわからないということにもなれば、これは国民がだまされて税金を取られているような危惧を抱くのに否定できないと私は思います。どうかこうした点については、やはり責任ある当局として、すみやかにこうした不安の念を除去するように努力していただきたいと私は念願してやみません。   〔理事斎藤昇君退席、委員長着席〕  次に申し上げたいことは、先般税制調査会の答申が政府に提出されましたが、もののみごとにその答申案が用いられなかった、と言えば少しくオーバーな表現かもしれませんが、実際ほとんどの趣旨が尊重されなかったということで、会長の中山さんあたりも相当憤慨している向きがございます。諮問機関である以上、もちろんその是非があることも当然でございましょうが、せっかく設けたその諮問機関というものの意見は、やはり大幅に尊重してこれを用いていくという建前があってしかるべきじゃないか、このように感ずるものでございます。今後も、そうした税制調査会の答申、あるいは行き方について、政府はどのように用いていかれるかという、そうした考え方についてお願いしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 総理も申し上げておりますように、最終的な段階においては、政府の責任で税制改正等は行なうわけでございますが、その過程において、総理大臣の諮問機関として税制調査会が設けられておるし、しかも総理大臣の名前で諮問をせられているのでありますから、税制調査会の答申を尊重しなければならないということは当然のことだと考えております。でありますから、将来とも、税制調査会の答申を待ちながら、これを尊重して参りたいということでございます。  それから、今度の答申に対しては、またゆがめられたということでございますが、当時は、三十七年度の自然増収、三十八年度の景気回復の見通しとか、それから物価の値上がり等をまだつまびらかにしておらない段階において答申をされたわけでございます。しかも、税制調査会は、金額や減税の率に重点を置くよりも、減税の考え方、方向をお示しになったものだと考えているわけでございます。まあ、一万円ずつ控除を引き上げるということに対して、三件にわたって五千円に値切られましたところが、非常に大きく後退をし、税制調査会の答申に反したと言われるのでございましょうが、答申を得、三十八年度の予算編成をいたしますときに、ようやく三十八年度の経済見通しも立て、また八条国移行その他の新しい事態に対処してやらなければならない政策減税も加味をいたしたのでございます。政府としては、過去も、現在も、また将来も、税制調査会の答申は十分尊重して参るという考え方でございます。  それから、税制調査会の答申と政府の今度御審議願っておりますものの相違は、三十八年度の経済見通しというものが当時まだつまびらかでありませんので、三十八年度の物価の値上がりというものを御承知のとおり二・八%と見ましたし、それから収入の増加を約六%というふうに政府は見たわけでございますが、税制調査会が答申をせられるときには、一カ月ないし二カ月のズレがございましたので、当時の景気の状態から考えますと、いわゆる指数のとり方が多少違うという面がございます。これらのことをお含み下さって御判断願えれば、政府が税制調査会の答申を無視したものではないということが御理解願えると考えます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 次は、社会保障のことについて厚生大臣に伺いたいと思います。  政府の施政方針としても、非常な努力をしているということは、先ほど申し上げたとおりでありますが、今日の事態を具体的にそれぞれの現場を通して考えましたときに、まことに寒心にたえないという状態を感ずるわけであります。そこで、今後の社会保障制度の充実強化をはかるためには、どのような構想をもって対処されていくか、まず最初にそれの構想を伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 社会保障は、池田内閣といたしましても、三本の柱の一つでございます。これは非常に重点を置いておるのは、御承知のとおりでございます。しこうして、来年度の予算におきましても、これは相当に反映いたしておると思います。また、従来、国民全体の今までのずっと進み方を見ましても、ここ十年間で予算の規模は、一兆円予算が十年前でしたが、三十八年度予算は二兆八千五百億ということで、約二八五%でございます。しかし、社会保障の費用は、その二八五%よりもはるかに十年間に進んでおります。したがいまして、私たちは、もちろん十分ではございませんけれども、力を確かに入れておることだけは、ひとつお認めを願いたいのでございます。今後も、欧米先進国等に比べましてまだおくれておる点もございます。したがいまして、十分注意をする、推進をする。また、経済成長をいろいろやっておりますが、経済成長をやるにいたしましても、社会保障はその半面でございまして、やはり安定した経済成長をやるには、どうしてもその半面として社会保障を進めていかなければ、一部の国民だけがその恩恵にあずかっておっても仕方がないのでございますから、十分経済の成長に見合って社会保障を強力に進めていくというのが基本的な態度でございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 どうも今の御答弁ですと、前後の内容がちょっと筋が通らないように私は感じましたのですが、一応それはそれとして、次に伺いたいことは、社会保障の一環としてございます生活扶助についてお尋ねをしたいと思います。現行の基準は、申し上げるまでもなく、一級地五人標準世帯に例をとりますと、たしか月一万五千何がしになるはずでございます。しかしながら、昨今の消費者物価の高騰によりまして、最低生活を維持するということはきわめて困難ではないか。こうした観点に立ちまして、今回の予算措置を見ましても、百十億ほどですか、ふえているようでありますが、これだけの増加では、生活保護全体に対しての増加でありまして、前年度六百十一億のうち、医療扶助を受けた者が三百十億、生活保護の一番基本をなす生活扶助が約二百五十八億という数字が出ておりまして、非常にわびしい生活を余儀なくされている。こういう実情ではないかと思います。したがいまして、今回の予算が多少ふえたと申しましても、はたして一般国民生活のレベルに近い生活ができるかどうかということは、きわめて疑問ではないかと思うのであります。そこで、そうした一般国民生活との格差を縮小させ、本人たちが更生の意気に燃えて出発ができるというような、やはり恩典を与えてしかるべきではないかと考えられるのでありますが、今後の方針として、この生活扶助を大幅に引き上げる用意がないかどうか。できるならば現行の五割増し、そうした線が望ましいと思いますが、政府として、どのようにこの問題について考えていられるか、その見解を伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 生活保護基準につきましても、今までずっと毎年引き上げてきているのでございまして、最近の例をとりましても、三十六年の四月には一八%引き上げられましたし、また同年十月には五%引き上げをやりました。三十七年の四月には一三%、来年度予算では一七%をやっているのであります。しこうして、全体の見通しといたしましては、先般、昨年の社会保障制度審議会の答申にもありましたように、三十六年を基準として、やはり現行の実質三倍まで持っていくべきだ、そうした御答申をいただいたのでございます。私たちは、それを一つの目安といたしまして今後も進んでいきたい、かように考えて、これが生活基準の引き上げにつきましては、十分努力をして参るつもりでございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 ただいまの御答弁でございますと、実質現行三倍に引き上げることを目安として進めていきたい、こういうお話でございますが、はなはだ抽象的でございまして、はたしてその時期、また具体的にそうしたことを実施するためにはどのような方法をもって臨むのか、その方法、時期、そうした点について、やはりお考えがあってのお話だろうと思いますので、そうした点をあらためてお伺いしたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 今後十年間に三倍の準備に、十年間に三倍ぐらいに引き上げたいというので、それは一時に引き上げるというわけにはいきません。やはり国民生活の水準と見合いつつ、それを勘案しつつ引き上げることでございます。十年の後には実質三倍ぐらいに引き上げていこう、年々やはり国民生活の水準を勘案してそれぞれ見合って引き上げていきたいと、かように考えている次第でございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 次にお伺いいたしたいことは、生活扶助を受けている人たちの更生問題でありまするが、統計によりますと、被保護世帯は、たいていが理由として傷病が原因のようでございます。しかし、その傷病がなおっても、なかなか被保護階層から抜け出られない、こういう数字が出ておるようであります。ここには社会政策の一つとして大きな欠陥がひそんでおるように考えられるわけでありますが、ともかく、やはりそういう方々に対しては、勤労意欲を持たせつつ再起の道を与えるということが根本の問題ではないかと思うのでございます。したがいまして、これを強力に推進するためには、職業のあっせんであるとか、あるいは技術の修得、こういうものがやはり必要になってくるのではないかと思います。こうした積極的な保護育成がなければ、あるいはそうして育成された人たちが、今度はそれぞれの職業につかれるときに、喜んで迎えられるという機構を作っておかなければ、いつまでたっても日陰のような生活をして一生を終わらなければならない、こうなるのじゃないかと思いますが、こうした技術の修得や職業のあっせん、特に申し上げたいことはそのことでございますが、今後どういうふうにそれを強力に推進されていかれる方針であるか、それを伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 生活保護者につきましては、これはもう第一に考えることは、自立更生を早くしてもらいたいということでございます。現在は、もう過去におきましても大体あまり変化はないようでございまするが、生活保護者の方々が一日も立ち直りを早くしてもらいたいということを念願しておるのでございます。現在の生活保護法の中におきましても、それぞれそれに相応した技術の修得に対する生業の扶助とか、あるいはまた、どうしても働いて収入を——勤労意欲を起こすために所得の控除、勤労控除、そういう制度も活用して、とにかく更生自立していっていただきたいということは、これはわれわれの最も気をつけなければならないことでございます。世帯更生資金の活用も、十分生活保護者につきましてはやりまして、早く自立していただきたいのでございます。また、そのためには、民生委員あるいは社会福祉に従事しておる方々に、いろいろ相談に乗ってもらいまして、一時も早く生業に帰っていただき、なるべく生活保護者が少ないようにということで、行政指導を十分いたしたい、かように思っている次第でございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 次は、今もお話の中に出て参りました民生委員の問題でございます。ときとしてこの被生活保護者の認定の問題をめぐってトラブルが起こる、また、事実そうしたことを耳にしておることがございます。こうした点について、政府はどのような育成と申しましょうか、あるいは指導と申しましょうか、——人間でありますからそういうようなトラブルが起こるような場合も考えられると思う。大体はその土地の有力者であるとか、まあそういう方にお願いしているのだろうと思いますが、こうしたことについて、やはりそうした問題が起こってからでは被保護者が非常に迷惑したり、かわいそうな思いをするということも、数は多くないでしょうけれども、やはり将来のため、その点伺っておきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) ちょっと御質問の趣旨がわかりませんでしたが、民生委員のうちであまり心がけのよくない人があるとかいうようなことをおっしゃったようでございます。実はこの民生委員の制度は、御承知のとおり、非常に古い制度でございまして、背は、この民生委員法ができる前は、民間の篤志家がやっておった制度でございます。それが今日になりましてから、私はどういうふうに変化をしておるかは知りませんけれども、実は相当な働きをしておると思うのであります。実は昨年、これは全面的の改選をやったわけでございます。今言いましたように、民生委員としてはあまり適当でないというような方々につきましては、それは解任をするという制度もありますので、私自身としては直接は聞いておりませんけれども、もしそういうことがありましたら、十分気をつけていきたい、かように考えておる次第でございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 次は、精神薄弱者の福祉対策でございますが、福祉対策についても、最もやはり生活扶助に次いで大事な問題かと思いますが、政府は、そうした問題についての基本的な考え方として、適切な指導、訓練を行なって社会生活への適応能力を高める、そういうふうにうたっておるようであります。で、具体的には、施設に収容して保護を行なったり、あるいは社会的更生に必要な生活扶助及び職業上の指導を行なう、このように方針をうたっておるようでありますが、この精神薄弱者に対する福祉対策が、多くの福祉対策のうちでも最もその出発がおくれたんではないかと思いますが、今日、御承知のごとく、大ざっぱに見ましても重症、中症、軽症を入れてですか、約三百万に上ると推定されておるわけです。このまま放置しておけば、まるで狂犬——と言えば、それは非常に人権を無視した言い方になるかもしれませんが、非常に社会秩序を乱すというような実情ではないかと思います。こうした点について、いろいろな施策の問題等もございましょうが、強力な措置をとる必要があろうかと存じますが、この精神薄弱児に対する措置は、きわめて今までの対策がなまぬるい、こういう印象を深く持つわけでございますが、こうした点について、今後いかなる強力な対策をもって臨まれようとするのか、お伺いしたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 今おっしゃいましたように、精薄の施設は、施設のうちでも比較的おくれておるのであります。したがいまして、今おっしゃいましたようなことでありまするが、私たちといたしましては、来年度も全般に施設の増強には努めては参っております。また精薄の施設あるいは精神障害者の収容というようなものに対しましても、来年度といたしましては特段の力を入れて参っておるわけでございまして、確かに全般的なものから見ますると、精薄施設、精神病の問題というのは、ややおくれておるように私も見受けますので、今後はひとつ十分にこの点には力を入れたい、かように思っておる次第でございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 今、大臣はややおくれておるとおっしゃっておりますけれども、全然おくれているんですよ。私も現にそうした施設を見て参りましたけれども、たしか厚生白書によれば、公立、民間施設合わせて現在三十数カ所です。それに対しての収容人員は、まことにお粗末なくらいであります。で、やはり何と申しましても、政府としての方針のとおりに、援護施設というものの急造ということが最も望まれるのではないか、このように考えられるわけです。ところで、三十八年度の予算を見ますと、精薄者保護更生に必要な経費というものは、前年度に比較いたしますと、約六千万の増になっております。で、地方公共団体が設置する援護施設の整備費を合わせましても、実に微々たる費用であることがわかるわけであります。で、こうした一体予算でもって、はたして援護施設の増設等が行なえるのかどうかということがきわめて疑問でございます。政府としては、ややおくれておるという今の御答弁に対しまして、はなはだ不満な念を持つものでございますけれども、そうし予算の面から見まして、大臣として、さらに今年中はどうする、来年はどうするという具体的な対策をお持ちでございましたら、その点を伺っておきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 今のお尋ねは、精薄の施設であるならば、三十八年度の予算は、大体三十七年度の五割増しくらいになっておるのでございます。しかも、それがおくれておるというのは、法の制定がおくれておるのでございます。そういうような関係で、法は三十五年にできましたが、来年は相当予算としては増額をいたしておるわけでございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 たいへん抽象的なお答えで不満に思うのでございますが、時間もありませんので、次へ参りたいと思います。  次に、きわめて重い精神薄弱者というのは、もう申し上げるまでもなく、社会的更生を願うということは無理である。そうした観点に立ちまして、これに要するその救護施設あるいは障害年金というようなものに対する実施の考えを持っていらっしゃらないかどうかということについてお伺いしておきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 精神薄弱者に対して障害の年金をというようなお尋ねであったと思います。今直ちにそういうことは考えておらないのでございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 次は、施設従事者の確保と処遇の改善でございますが、これは先般藤田委員も伺っておられる問題でございますが、少しくつけ加えて伺っておきたいことは、きわめて、現状を見ますと、生活の保障というものがあまりにも低過ぎる。公務員の給与並みに引き上げたらどうかというような声もあるわけですが、大臣のそのときの答弁の中に、公務員給与と直接に比較することは非常に困難である。あるいは、さらには、三十八年度においては、甲地において三三・八%云々と、このように従事者に対する給与の昇給を申されております。そうして、きっと従事者にとっては喜ばれる状態ではないか、こういう趣旨の御答弁があったようでありますが、それはもうとうの昔にそういうふうな処遇の改善をしなければならないと思います。実際にああしたところで働いている人の実情を見ますと、並みたいていの忍耐や努力では、とうていできない。少々給与が高いからといいましても、頼んでも来てくれないというのが、あるいは実情ではないか。せめてもそうした処遇の改善をもって、その労をねぎらうというのがあたりまえの趣旨ではないか。そうした考え方に立てば、公務員給与などとの比較においては云々できない。あるいは、まあ少し上げたら喜んでもらえる、私はそれは非常に不当な考え方ではないかと思います。さらに私は望むことは、そういう従事者の処遇改善をはかることによって、現在足りないと目される従事者の確保もできるでありましょうし、そうした点について、さらにここで確認を含めて大臣の答弁を伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) この施設職員の処遇の改善、これはもう数字をあげるまでもなく、一般公務員がベース・アップをしたたびに、これは一様にベース・アップするのであります。それ以外に、特にやはり大事なところに働いて、しかも非常に過重になっておるからというので、この公務員のベース・アップとは別に、今までも上げてきたのでございます。しこうして、来年におきましても、約一〇%のワク内でもって全部の職員の待遇改善をはかりたい、かように思っておるのでございます。ことに、今までに非常に処遇が悪かったと申しまする保母の増給をしますために、多少その金を使いましたので、全般には八%の平均になりました。保育所における保母は、大体甲地、乙地、丙地とございましたが、丙地等の、いなかにおきまする丙地を廃しまして、甲地と乙地と二種類にしたのであります。そのために、金を全部そのほうに注ぎ込む関係上、多少そのほうに金が回りましたので、したがいまして、平均としては八%になりましたが、三十七年の四月と、今度予算が通過しまする三十八年の四月につきましては、私がこれは数字を申し上げるまでもなしに、これはまあ上がって、ベース・アップしてきておるのであります。しかし、それであるからといって、私はそれで十分だということは申しておりません。なお相当に地方公務員等との間の開きもございますのでございまするから、今後も、これはひとつ処遇の改善につきましては、最も努力しなけりゃならぬ。これらの職員は、非常に何と申しますか、まあ一口に平たく言えば、実にめんどうなところで一生懸命働いておる方々でございますので、十分その処遇の点を年度を追うて考えたい、かように考えておる次第でございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 さらに伺いたいことは、身体障害者の問題でございます。昨今交通事故の激増に伴いまして、身体障害者がふえつつある傾向でございます。当然こうした問題は根本的な対策を必要とするわけでありますけれども、しかし、現状としてもほうっておくわけには参りません。したがいまして、こうした最近の交通事情にかんがみまして、何かしらの対策を講ずる必要があろうかと存じます。つまり、交通事故によるそうした障害者、いろいろなその条件が考えられております。そうした人たちがふえてから、そういう施設やあるいはいろいろな技術の修得をさせるということになりますると、時機を失したり、あるいは思いがけないところで生活に対する蹉跌が生じてくる。こうしたことも、まあ先々の話ではございますが、考えられるわけでございます。したがって、こうした点を考慮しながら、特にこの交通事故によって不幸にして障害を受けられ、肢体不自由になった方に対しての方針、また対策と申しますか、それを伺っておきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 交通事故によるものにつきまして、厚生省だけのほうとして特に考えなければならぬことは、大体まあ年間一万四、五千人の人間がなくなりますし、また障害者にいたしましても、四十万とか五十万とか言われておりまするが、それらの方々を分析してみますと、やはり子供さんあるいは老人というものがまあ非常に被害を受けておるのでございます。したがいまして、私の、厚生省の立場からすれば、都市においてやっぱり児童に遊園地を作るとか、あるいは年寄りさんに、老齢者に対しては特別のことを考えるというようなことも、これは重要な私は関心を持っております。それからもう一つ、事故があって障害を受けた場合も、それを最小限度に食いとめるために、やはりこの救急の医療設備ということにつきましても関心を持っております。現在は東京都におきましては、救急の場合は消防車が出ていってそうして医療機関に運ぶのでございまするが、これにつきましてもやはり何らかの方法はないだろうか。ことに、大体死ぬる場合にはやはり脳をやられるということが多いので、それでも一人でも生命を助くるために、やはり救急の医療施設ということに対して特段の注意をしなければならぬ。現に名古屋等におきましては、相当にこれをいろいろな方法を考えてやっておるようでございます。私のほうに対しましても、国で援助してくれというようなことを言っておりまするが、いずれにいたしましても、障害を最小限度に食いとめる。しこうして、障害ができた人に対しましては、これは特に一般と区別するわけにはいかないのでございまして、やはりこれは交通事故その他いろいろなことでもって障害を受けるのですが、障害を最小限にとどめるということに対しまして、私のほうは医療関係あるいは児童に対する対策、こういうようなものに対しまして特段な注意を払って今後もそういうような施策を施していきたい、かように今考えておる次第でございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 次は、身体障害者の就業状況でございますが、統計を見ましても、非常に悪いわけであります。今後のそうした更生補導についての対策でございますが、政府としてはその一助に、たとえば公的施設内に売店を設けて優先的にその売店をやらせるとか、あるいはたばこの小売店の指定を与えるというようなことも考えられ、実行されているようでありますが、さらに私が申し上げたいことは、官公庁において、政府がそれほど熱意を持ってお考えになっていらっしゃるならば、官公庁における事務的な仕事、これは少々足や何かが不自由でございましても十分仕事はできると、私はこのように思うわけでございますが、そうした面から、新規採用の場合には新しくワクを設けて、特にその身体障害者の優秀な方といいましょうか、いろいろその選考の方法はともかくとして、何人かを採用して、そうして更生の道を与えるというようなことが最も適切な行き方の一つではあるまいかと、かように存じますが、政府としてそうしたような点についての考えを持っていらっしゃるかどうか、それを伺っておきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 身体障害者に対するリハビリテーション、更生でございますが、これもただ単に身体障害者を国の費用で保護しておくのだというようなことではなしに、あくまでも自立ができるように導いていきたい、かように考えて、厚生省といたしましても、できるだけのお世話はいたしておるつもりでございます。しかし、それを官庁に雇ったらどうか、こういうようなことにつきますれば、それは労働省の問題にもなりますので、よく協力していきたいと思いまするが、いずれにいたしましても、できるだけ職業を身につけて、そうして社会にこれを復帰させるという気持をもって、われわれは今後も身体障害者についても、当たっていこうと思っておるのであります。また、最近においては身体障害者の方々も非常に自覚いたしまして、みずからスポーツ大会をやろう、われわれも、こういうような不自由なからだでも、ある程度やれるのだ、こういう気がまえを身体障害者自身が示しておることは、非常に私はけっこうなことだと思っておるのでありますが、お尋ねにはございませんでしたが、そういうふうに、身体障害者が、自分の手が一本なくてもこういうことをやれるんだ、足が一本なくてもこういうことをやれるんだという、そういうことの自覚を持たせるために、各府県でこの身体障害者のスポーツ大会をやろうというような場合には、政府はこれに対して援助を少ししてもらいたい、援助してやりたい、かような予算も多少は計上いたしておるのでございまして、今お説のように、その職業あっせん等につきましても、労働省と十分連絡をとりまして、社会復帰について気をつけていきたい、かように思います。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 次に、中小企業の問題につきまして通産大臣にお伺いいたします。最近、中小企業の集団化、団地化が行なわれて参りました。しかし、これを積極的に推進するということであるならば、当然問題になって参りますのは土地の造成ではないかと思うのです。こうした土地の造成について政府はどのような考えを持って今後推進されようとするのか、伺いたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) お説のように、こういう問題について、土地の造成ということは非常に重要な問題ではございます。しかしまた、中小企業が協業化していくというような場合には、あるいはまた商売人が協業をするというような場合でしたら、高層建築化していくというようなやり方によっても一部はこの問題は解決すると思うのでありまして、さしあたりの問題としては、そういうような、いわゆる共同した君たちが集まってこの問題を処理していく場合の土地の高層建築化というような問題を一応考えておるわけであります。しかし、土地造成の問題になりますと、これは決して私たち通産省だけの問題ではなくて、建設省等ともよく連絡をとってやっていかなければならないと思っておる次第でございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 時間がありませんので、かいつまんで申し上げます。  現在、政府が用意しておりますところの投資育成会社は、中小企業のうち、どちらかといえば将来性のある有力な会社に恩恵を与えるような印象を持つものでございますが、そうした点についてどのような対策をお持ちになっていらっしゃるか、伺っておきたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) お説のとおり、今回われわれが考えておりますところの投資育成会社というのは、相当将来性があるということを一つの条件にいたしておるわけでございます。それじゃ、将来性のないものはどうするのだということかと存ずるのでありますが、将来性のないものについても、ある業種々々によってその範囲——どれくらいのものならばやっていけるかというものはあり得る。そういうことを明らかにし、みんなにわからせること自体が一つは非常に大きな必要があるのじゃないか。こういうような意味で、それぞれの業種がどの程度のいわゆるシェアを持ち得るかというようなことをよく明らかにいたしまして、それに応じて、シェアがない、いわゆるそれをやっていったんでは損になるというような場合においては、また兼業とかその他の問題についてわれわれは大いに検討をして参りたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。

渋谷邦彦公明会

○渋谷邦彦君 非常に問題は関連がございませんけれども、貿易の自由化に伴いまして、中小企業もいろいろな形で圧迫を受けることも予想されます。そこで、その関税の引き上げ等についてもいろいろと問題があろうかと思います。しかし、関税を引き上げますと、ガットの三十五条に引っかかってみたり、かと思えば、国内のそうした中小企業の保護の面から考えますと、それも相当に深刻に考えていかなければならないという問題が出て参ります。将来においてこの関税の引き上げということをどのような方向で考えられるか、また、その種類等、ここでこまかい問題を今申し上げましても時間もありませんので言い切れませんが、関税引き上げということを将来課題として取り上げていくかどうか、国内産業を保護する意味で。その点を最後にお伺いして、私の質問を終わることにいたします。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) お説のとおり、自由化をいたして参りますというと、どうしても日本の産業に相当影響がございます。ことに中小企業に対しての影響等も考えられますので、私たちとしては、そういう場合には、一応緊急関税等の措置によってチェックする方法もあります。また、大きな目で見て、今大体これをどうしても自由化せにゃならぬ、大体いけるけれども、あぶないというその場合に、関税の問題でそれを処理していく場合もあり得ると思うのであります。しかし、将来、関税というものはだんだん引き下げなければならぬ方向に行っておるのじゃないか。その場合において、一体、中小企業その他に対して、日本の産業に対してどう対処していくかということになれば、やはり諸外国の例を見ても、今のところは、自分の国の産業が非常な窮迫状態になったという場合には、関税なり何んなりいろいろな面で自分の国の産業を保護する立場をとっております。これは、それ自体はやむを得ないことで、自分を殺してしまってまでというようなやり方というものはどこの国もやっておりません。だから、日本の場合においても、私は、日本の産業を保護するという場合には、それ相応のわれわれとしては自衛の手段をとってよいんではないか、こういう考え方であります。しかし、できるならばやはり力をつけて、そしてどことでも対抗できるような力をつけて、大手を振って世界を闊歩できるような産業に育てていくということが、これが一番望ましい姿であると、かように考えておる次第でございます。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 渋谷委員の質疑は終了いたしました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次に、山高しげり君。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 厚生大臣にお伺いを申し上げます。三十七年度の厚生白書には、「経済の高度成長とその影響」という欄に、「所得倍増計画の推進に伴う経済の高度成長は、国民の所得水準を引き上げてきたが、その均てんのしかたは一様ではなく、へき地住民、母子、老齢、身心障害者、零細企業における中高年齢労働者などについては、むしろ今後一般との所得格差が拡大する恐れがある。」、このようにしるしてございます。  恐れがあるどころか、もうほんとうにだんだん見離されてきたような立場にございます。その母子世帯の問題について伺ってみたいと思います。  厚生省が今度の国会に法改正を計画しておいでになります母子福祉資金の貸付等に関する法律は、二十七年に議員提案で生まれた法律でございますが、ことしでちょうど実施十周年を迎えておる法律でございます。そうして、その法律の改正の諸点につきまして一応拝見をいたし、厚生大臣の御努力は認めるわけでございますが、まず最初に大臣にお伺いをしたいのは、この程度の改正でよろしいと大臣がお考えなのか、それとも、厚生省としてはもっと要求をしたけれども、大蔵省あたりで認められなくて涙をのんであきらめたというような点がおありなのかどうか、その点をひとつ最初にお伺いをしたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 母子世帯についての貸付金で、厚生省といたしましては、要求をいたしましてそれが認められたものもございますし、また、いろいろ今後研究していこうじゃないかというものもありますので、全部が全部われわれの気持に合ったというものではありませんけれども、まあこの段階においてはいたし方がなかろうというようなところできまったのでございます。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 私どもが伝え聞いておりますところでは、新設なさろうと思われました入学準備資金というものが残念ながら削られたようでございますが、その資金につきましては、衆議院は、附帯決議をもって、必ず将来できるだけ早くこれの実現を望んでおられるようでございますが、その入学準備資金について伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 母子世帯で一番やはりお母さん方が心配するのは、子供さんを学校に入れるときのその準備資金であろうと思います。私個人といたしましては、これはぜひ必要だと思うのであります。しかしながら、この制度をやるためには、これは金の出し方にもよりますけれども、高校の場合一万円、それから大学の場合幾らと、こうきめて二億何がしの金が要ると思うのであります。ところが、この母子世帯の貸付金につきましては、一応毎年度政府の出す金といたしましては、今までずっと三億くらいが限度でやっておったのであります。しかし、来年はそれがさらに一億張り込んでもらって増額はいたしております。まあこの入学の支度金というものは必要でございますが、これを認めるにいたしましても、財源上の問題がありますとともに、また、現在奨学資金という制度があります。そういうようなものとの関連性はどうなるかというようなこともありまして、三十八年度は見送ったのでありますが、これはやはり非常なお母さん方の希望、また、私個人としても重要なことじゃないかと思われますので、今後につきましては十分検討をして他の制度との調和をとりつつ将来に期したいと実は現在思っておる次第でございます。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 それはぜひひとつ大臣に今後のお骨折りを願いたいと思いますが、この法全体につきましてその他の改正点を中心に申し上げてみたいと思います。  まず、ただいま大臣は、三億の母子福祉金を四億にことしは増額をした、しかし、入学準備資金の場合は他に奨学資金というものもある、その連関性において云々とおっしゃったのでございますが、私は、この法律の中でむしろ奨学資金との連関を考えなければならないのは修学資金であると思います。修学資金は、今回の改正におきまして高校生分が月額千円を千五百円に引き上げられるようでございますが、修学資金には大学生の分もございます。大学生は現在三千円でございますが、今回は引き上げはございませんようです。しかも、公立大学が月謝を値上げされるという段階におきまして、どうして大学の修学資金が引き上げられなかったのでございましょうか。その点をお伺いしたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) その資金の性格ですが、やはりこの資金の性格は、初めは母子家庭について仕事を与えて、そうしてその仕事によって立ち上がりをしてもらいたい、こういうのが一つのこの資金の性格であろうと思うのであります。したがいまして、この制度を始めまする前は、ほとんど大部分は生業資金に貸し出しておったのでございまして、教育の問題で修学資金あるいは支度金というような問題はごく最近になりまして需要が非常に増してきたのでございます。したがいまして、この資金は、生業というよりも学校に行くためにということになりますれば、もう一回これはやはり制度そのものとしても考え直してみなければならぬのじゃないかという気持を私はいたしております。大学は据え置きまして、高校だけが少し認められましたが、それらの点も全般の均衡をとりつつやったわけでございますので、今この資金の重要性というものは私は一ペん考えてみなければならないのではないかと、かように思っておる次第でございます。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 最近になって母子家庭の子供の修学資金の要求がふえてきたということは、十年前にはまだ小学生であった子供がだんだん成長したというしるしでございまして、結局、母子家庭の問題は、戦争において幼少な子供をかかえた母子家庭が非常にふえたというところから問題が出発してきておるわけでございますから、法が十年になりました今日、最初に非常に多額の要求があった生業資金がむしろ減って、子供の修学のための資金の要求がふえたということは、非常に当然の結果のように私どもは思っております。したがいまして、厚生大臣が、文部省が御所管の育英会の奨学資金等の連関もお考えの上、貸付制度の上でそういう教育資金の問題をもう一ぺん考えてみたいとおっしゃることは当然かと思いますけれども、ともかく当面の大学へ行きます子供の学資が、高校生の分は認められて大学生が認められなかったという点はやや残念に思う点でございますが、時間の関係で先へ進ませていただきます。ただいま厚生大臣は、母子家庭に生業を与えるということが最初のこの資金の性格であったとおっしゃいました。私どもも確かにそのように思いますし、現在といえども母子家庭に生業を与えることの必要性は少しも緩和されていないと思う次第でございます。ところが、この貸付資金の中に、技能習得資金と生活資金というものがございます。ただいまの生業資金と申しますのは、その後法改正になりまして事業開始資金と名前が改められておるようでございますが、これの限度額五万円を今回は十万円にお引き上げになる、これは非常にお母さん方が喜ぶ点でございますけれども、技能習得資金、何かお母さんが手に職をつけるために習い覚える資金でございますが、そうして技能習得期間中に別に生活資金というものも貸していただくことができるという制度になっております。しかしながら、このたくさんございます貸付の種類の中で最も利用率の低いのが、技能習得資金並びに生活資金でございます。で、生活資金は切り離して生活資金として貸し付けられるのであるならば、さぞや利用者は多かったと思いますが、技能習得期間中という制限がございますから、生活資金の借り受け者が非常に少ないということは、技能習得資金の借り受け者が少ないのに伴っているわけでございます。大臣は技能習得資金がなぜ利用度が低いかお考えをいただいたことがございますでしょうか、お伺いいたします。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 今回の改正は最も生業資金に力を入れて、それも今までの額はあなた五万円と言いましたが、十万円が二十万円に引き上げられた。やっぱり生業資金を主としてやりたいというようなことを言ったのです。  今の技能習得なんですが、やはりこれは皆さん経済的なあれがないもんだから、力がないから、その技能を習得するその間食っていけるというようなことができないからというようなことかもしれません。したがって、需要がないのでございます。ほしいと言わないのであります。そこで、それでは生活資金と技能習得資金と切り離してはどうだろうかということになりまするが、そういうことになれば、これはまた新たな問題をここに提起することになるので、それはそれとしてひとつ考えてみなければならぬと思います。現在、少なくとも生活資金というものは技能習得の期間における生活資金でございまするから、両者あまり希望者がない。したがいまして、今回もそれには全然触れなくて、比較的急速に改善しなければならぬ、しかも非常に効果が多いだろうというものにつきましてのみ改正をいたした次第でございます。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 私は少し大臣と考え方が違いまして、ただいまの私の発言が言葉が足りませんでしたかと思いますが、格別私は技能習得資金から切り離して生活資金だけをお貸しになるほうがいいとは申さなかったつもりでございます。二つのものがくっついているので、どっちも借手がない、そこに一つの問題があるのではないか、その点をお聞きしたかったのですけれども、大臣は需要がないことはお認めになりましたけれども、なぜ需要がないかという点についてお触れになっておらないのでたいへん残念でございます。私どもが考えますところでは、月に千五百円ずつ二年拝借をするという技能習得資金が、十年前におきめになって十年後の今日も、物価が高くなっておる今日でも、なおかつ同領で一度の引き上げも行なわれておりませんところに、当局の母子家庭に対する認識が足りないというか、愛情が薄いというか——母子家庭の経済向上をはかるというところに一つの重点が置かれておりますならば、生業資金をお貸しいただいて限度額を引き上げていただくこともけっこうでございますけれども、技能習得、それは子供の場合には修業資金という名称で回顧を同期間同じような性質の貸付でございますけれども、これも割合に利用度が低いのでございます。これにはまたいろいろ問題があるわけでございますが、ともかくもせっかく手に職をつけるという御配慮がありながら、そのことが利用をされていない結果はどこからくるかといえば、私は、このお金を借りてこういう学校に入ればこれだけの職が手につきますというような、一口に言えば補導機関というようなものが全然ないと言ってもいい現状に問題があるのでないかと思います。したがって、お母さん方が二年間お金を借りて、そうして生活資金も拝借をして、りっぱに美容師なら美容師になる、洋裁なら洋裁を習い遂げることができるというふうに補導の道が開けていれば、もう少しこの資金は借り受け者が多かったのでないか。わずかな金を貸してあげますというだけで、現実的な御配慮がどうも足りないように思う。その結果を見ておりますというと、お母さん方は、こんなわずかな金で二年間に何もできない。それよりは、目の前の生業資金、現在の事業開始資金を拝借をしたほうが、さっそくおでん屋をやっても飲み屋をやってもきょうから現金収入があるからというので、必ずしも教育的に考えれば母の職業としてたいへん適切であるかどうかはわからないような商売のほうへ流れていったという傾向が十年間を振り返ってみるとないとは言えないのでございます。そのために、生業資金、事業開始資金の借り受け者は相当にございましたけれども、必ずしもその借り受け者が一人残らずその事業で成功したとは言えないのでございまして、もしも母子家庭というものを国がどういう点で最も助けなければならないかというその点がはっきりおわかりになりましたならば、事業開始資金の限度額だけを引き上げるということでは足りないでなかったろうか。やはり、将来手に職をつけてやるという技能習得資金、あるいは子供が何か習い覚える修業資金というようなものの増額もお考えいただくことが、将来の母子家庭の経済建設のために積極的に役に立つのではないか、そんなふうに考えられるのでございますけれども、本年はともかく、今後においてそれらの点について御考慮が願えないでございましょうか、もう一ペん伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 山高先生はもう身をもってそのほうに従事されておる方でございまして、私よりは相当に詳しいのはこれはあたりまえでございます。私たち、今までこの需要がほとんどないということであまり手をつけなかったのでございます。しかし、技能を習得させるということは最も必要でございますので、何か制度の上で、今おっしゃいましたように制度の上でこれが利用されなかったのだ、こういうことになれば、これは私たちもう一ぺん考え直してみなければならぬと思います。ただし、母子家庭でございますから、技能をつけてというような余裕よりも、もうあしたから収入をはからんならんということと、もう一つは、就職の機会が割合にふえているのじゃないか。人を非常に求めておりますから、それで、今から技能をつけてというよりも、ある職に行く、就職の機会もふえたということじゃなかと思われます。しかし、先生はもう十分その実情を私たちよりも詳しく知っておりますので、もし先生のおっしゃることがほんとうに制度上に何かある、もう少し改善をすればそれが有効に利用されるのだということになりますれば、私たちさらに検討を進めたいと、かように思っておる次第でございます。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 それではどうぞひとつ今後ますます御検討願いまして、堅実に母子家庭が経済的に立ち上がっていかれるように御配慮願いたいと思います。  そこで、次の問題でございますが、十年もたちまして、いろいろ御配慮はいただいておりますけれど、この母子福祉資金貸付等に関する法律は、もう一ぺん手直しをすると申しますか、根本的に考えてみなければならない段階へ来ているように思われます。その意味で先日も本会議で御質問を総理に申し上げましたらば、私はこの際母子福祉総合法というような法律の制定の御意思はないかと聞きましたけれど、総理のお答えは抽象的でございまして、母子福祉対策は非常に大事だ、ますます強化をするというお返事でございましたけれど、所管大臣としての厚生大臣は、この総合法の要望は非常に下から強く盛り上がっておるのでございますけれど、その点についていかがお考えでございましょうか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 母子世帯につきましては、もういろいろな面から今やっておるのでございまして、国民年金法における母子年金あるいは児童扶養手当、それからまた住宅の問題、税金の問題、いろいろな点からやっておるのであります。先生のおっしゃる、その総合々々と申しまするが、これは私はもちろん体系として一ぺん考えるということも必要でございまするが、それよりも各制度の内容を強化していくということも、これも大事じゃないかと思われる。とかく総合といいましても、総合して少なくなるようなことじゃ、これはまるっきりなっておらぬのでございまして、各制度は各制度として、やはり税金の問題にいたしましても、住居の問題にいたしましても、あるいはその他の問題にいたしましても、その内容をよくしていくということのほうが大事じゃないか。しこうして、それぞれの関連性は十分とっていきたい。まあ私自身の気持はそういうのでございます。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 総合法はまだ考えていないけれども、総合対策の必要はあるというような御答弁と拝聴いたしましたけれど、住宅問題が建設省の所管であり、お母さんの就労問題が労働省であるとか、あるいはまた税金の問題は税法であるとか、それぞれ別々な問題は私どももよくわかるのでありますが、それらを除きましても、現在の貸付の法律だけで現在のような経済情勢のもとで母子家庭が押し流されないでいくとは考えられませんので、これは私どもも大いに勉強をしたいと思いますけれど、どうぞその総合対策の中に総合法の要望もあるということを御記憶を下さいまして、今後の御検討を希望したいと思います。  そこで、最後に伺いたいのは、一口に申しまして、このごろの母子福祉行政は基本方針についてやや過去よりも影が薄くなったと申しましょうか、何と申しましょうか、この母子家庭というものを低所得者階層に片づけてしまっているというような傾きがないでございましょうか。確かに低所得者の一部には違いないかもしれませんけれど、老齢であるとかあるいは僻地の住民であるとかいうことよりも、もう少し、母子家庭というものは父がない家庭で、父の経済活動を母親がやりながらも子育てをやっているという点で、児童福祉の一環をなしている母子福祉だという考え方を私どもは堅持しておりまして、あくまでもその根本は母子一体でなければならない。暮らしが苦しいために、母親が旅館の女中になって、子供は年寄りに預けて、居所が別々であるとかいうような実情は決して少なくはないのですけれども、何とか母親を子供のところに返さなければならない。子供と母が別々に暮らすのでは、結局家庭は崩壊をしてしまったという結果になるのでございまして、どんなに行き届いた児童施設でございましても、母親が満たしてやるものが施設では満たされないという点は、先進諸国で本痛感をいたしておいでと聞いておりますけれど、ぜひひとつ母子一体という基本観念の上でもう一ぺん日本の母子福祉行政についてお考えを願いたいと思う次第でございます。  民生委員のお話が先ほども出ておりましたけれども、民生委員さんとか、児童委員さんとか、たいへんに縁の下の力持ちをやっていただいておりますけれど、その方々がここ数年前までは、その活動要領のようなものを拝見いたしましても、大きく母子家庭のために母子福祉の推進というようなお仕事があがっておりましたけれど、このごろは母子保健、同じ母子でも母子保健のほうはお父さんのおります母子でございますけれど、これも人口の資質向上という点からいえば非常に大切なことでございますけれど、母子保健が伸びて参りますことを、私たちもそれを希望することは人後に落ちないつもりでございますが、母子保健が登場したために母子福祉の影が薄れたということでは、やはり池田総理の言われる人つくりということには私は結果がうまくいかないのじゃないか。母というものの重要性というものをどうぞお認め下さいまして、母子福祉行政をもう一ぺん根本的に見直していただかなければならないように思う次第でございますので、これは希望としてお願いをいたしておきます。  そこで、最後に、今度は戦争未亡人の方々に長年の御苦労に対して特別加給金というものが交付されるようになりまして、このことは戦争未亡人の方々のために私どもも非常に喜んでおりますけれど、この問題の解決にあたりまして、その受権者が今後再婚をなさった場合にも権利を失なわないということにつきましては、国民の声が相当ございます。このことにつきまして、大臣もよく御存じだと思うのでございますけれど、かりにその方が死んでもその権利がなくならないというほど大切にお考えでございましたらば、今度の加給金の対象にならない方々の中にも非常にお気の毒な戦争犠牲者の方がまだ相当おいでになるという点につきまして、何かお考えをいただいているのでございましょうか。それから、受権者の決定につきまして、事実上の再婚者がなお遺族としての取り扱いを受けておられることにつきましても、国民感情というものがだいぶいろいろ私どもの耳にも聞こえて参りますので、いずれ御調査があるらしゅうございますが、その御調査は正確にあそばしていただきたいという国民の声をここに申し上げまして、それらの諸点につきまして大臣から伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) まあ今回の戦争では、多かれ少なかれ、みな国民は被害をこうむっております。しかし、やはり直接戦争に従事した中核である軍人軍属等、そういう遺家族については、それぞれの法律で今まで国家といたしましても十分な援護をいたしておるのであります。今回そのうちで軍人軍属等の未亡人に対して交付金をやるという問題でございますが、これはやはり一定の期間を定めて法を施行するのでございますから、その時点においての取り扱いをしたい。しこうして、国債をこれについて交付するのでございますから、それ以後の問題につきましては、それぞれやはり、本人が再婚しても権利があるように、本人が死亡しても相続人に引き継ぐようにということの趣旨でやっておるのでございます。議論をいたしますれば、やはり再婚した場合は一般とつり合いがとれぬのじゃないか、こういうふうなことも議論されましょうが、やはりある時点をつかまえまして、それらの未亡人に対して交付をしたいというのでございまして、一般の、前になくなった方等につきましてのバランスというようなこともありますけれども、法律の建前といたしましては、援護法にいたしましても、やっぱりある時点をつかまえて考えなければならぬのでございますので、私たち、他の未亡人もこれと同様に取り上げるべきじゃないかということに対しては、直ちにそれに賛成するわけにはいかないと、かように考えておる次第でございます。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 他の一般未亡人と同列に扱えとは申し上げなかったつもりでございますけれども、やはり戦争直後のあの混乱の中では、戦争未亡人にしても、非常に幼い子供を抱えて生活困難の人が、生活のために再婚をしたという事実が相当ございます。国が何の手も差し延べていなかった時代に再婚をした。しかも、その夫とも不幸にして死に別れたというような人もございまして、これは個人々々のケースをあげれば切りがございませんから、私は、そういう人もあるということをひとつお考え下さいまして、事実上の再婚者が今日まで再婚生活を送りながら遺族としてのお取り扱いを数年も受けてこられたというような方々が、今後もなお戦争未亡人として長く生活がおできになるということであれば、不均衡だという声が国民の中に相当ございますということをこの機会にお伝えをしたまでで、御参考になさっていただきたいわけでございます。  そこで、たまたま大臣もちょっとお言い及びになりましたが、一般未亡人、これは私は加給金を下さいとは申し上げませんけれども、問題が残っておりますということは申し上げたいと思います。私の考えでは、これは当たるか当たらないかわかりませんけれども、母子家庭のお母さんが、子供が成年に達した、もう母子福祉のお仕事はそこでおしまいと、これは私よくわかります。お母さん方の中には、子供がもう一年で大学を出るから、就学資金をもう一年貸してほしいとか、もう二年貸してほしいとか、まるでラッキョウの皮をむくように切りがないわねとよく笑うのでございます。母親とすれば、せつない当然の要求かもしれませんけれども、法に限界があるということは私はわかっておるつもりでございます。子供が大きくなりましたからといって、その翌日から母の生活を、二十才を迎えた子供が母の生活をまるまる支えるということなどはとうていできないことでございまして、子供を社会に送り出した母子家庭の母親は、今度はまた自分の命のあらん限り、手足の動く間は、自分で働き、自分の口をぬらしたいという覚悟を持っている母親はたくさんございます。しかも、それがだんだん年を取って参りますけれども、そういうお母さんには老人福祉が待っておりますよと、これではあまりに冷たいのでないでしょうか。働きながら自分の生活を支えていくというそのお母さん方のために、たとえば国民年金の中に寡婦年金というものがございます。これは拠出制に設けられておるものでございますけれども、私はここに一つの寡婦対策の萌芽というようなものを見つけるような思いがするのでございます。これからの中高年令のお母さん方を一足飛びに老人福祉の対象に考える前に、国が、まだ働けるお母さんが子供に依存しないで働いていこうというその雄々しい気持に対しても、国として何らか寡婦対策というようなものをお考えになられてもいいのでないかしら。少しきめがこまか過ぎるかもしれませんけれども、きめのこまかいのは総理はお好きのようでございますから、ちょっと申し上げてみるわけでございます。厚生省の御所管かもしれませんので、児童局の御所管ではないかもしれませんけれども、大臣にもう一ぺん。将来寡婦対策というようなものが日本の社会保障制度の中で考えられる必要があるのではなかろうか。そういうことを、そういう手当をいたしますことが、家族制度の崩壊に備えて、やはり日本の国づくり、人つくりに相当大切な意味を持つ支柱の一つでないかと、所見を申し述べまして、厚生大臣のお考えを伺う次第でございます。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 幼少の子供を持っておれば母子家庭でございまして、母子家庭につきましては、低所得者のみならず、やはり母子対策というものは、基本観念はやはり母子の福祉を増進するというあらゆる面からやっていかなければならぬと思いまするし、なかんづく低所得者の方々が生活に因るだろうということで低所得に入れてきたの、でございます。しこうして、今の子供さんのない寡婦の方々につきましては、正直に申しまして、国として寡婦に対してこうするというようなしっかりした政策は今ないわけでございまするが、やはり未亡人会の育成に力を入れるとか、あるいは身の上相談にのってやるとかいうようなことは、部分的にはやっておると思います。しかし、国の政策として、寡婦はこうすべしというようなしっかりしたことは今までやっておらないのでございますが、御意見等もありましたので、十分今後注意をいたし、検討はして参りたい、かように考える次第でございます。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 どうもいろいろ伺いまして、ありがとうございました。何とぞひとつ、今後の問題でございますので、よろしく厚生大臣、お願いいたします。  次に、労働大臣にお伺いをしたいと思います。  労働省で家内労働調査会におきましていろいろ御調査が進んでおりますが、家内労働法の制定という問題の見通しはいかがでございましょうか。先日もちょっとお伺いをしたのでございますが、きょうもまたそれを伺いますゆえんのものは、家内労働法というものが将来甘木でできるといたしましても、その中に内職問題は含まれないのではないかというような予測がないではございませんので、万一含まない場合はその対策、内職問題の対策といったような問題について労働大臣にお聞きをしたいわけでございます。  実は、内職を求めておりますのは、未亡人のような中高年令の婦人層に多いのと、このごろではお年寄りもたいへんに内職をお求めでございます。この現状に対しまして、実際には仕事のほしい人のところに仕事が流れていないという現状を、大臣も多分御存じだと思うのでございますけれども、たとえば団地がふえて参ります、ああいう団地のような集団住宅におきまして、生活の程度も向上いたして参り、なかなか文化的な生活を送っている主婦の方々には時間の余裕ができまして、何かきれいな手仕事がほしい。これでも、うちにいてやるといえば、内職でございます。そういった方面に今たいへん内職が伸びておりまして、ほんとうに仕事のほしい、その内職の手先からほんとうに血を流してもうけた——もうけたとは言えませんけれども、作ったお金で、切実な生活の一部分をささえていこうという人たちには、内職の現状があまりにこの人たちを潤すことに条件が悪いわけでございまして、内職を現状のままに放置しておいてよいものかどうか、内職も労働の一部分であると考えましたときに、労働大臣の内職に対するお考えを承りたいわけでございます。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 御承知のように、従来、内職者を含めました家内労働者全般の保護対策につきましては、学識経験者の方々にその検討をお願いいたしております。昭和三十五年の九月に、さしあたり総合的家内労働対策を実施をするための基盤整備の手段として、所要の行政措置を講ずべきであるという御意見が発表されました。ただいま労働省といたしましては、この御意見に基づきまして、特に内職を重点といたしまして、家内労働手帳その他の行政措置を講じ、逐次その経過を見ておるところでございます。また、特に内職者につきましては、昭和三十年以降内職公共職業補導所を設置いたしまして、その業務として内職の相談、あっせん、苦情処理、内職に関する情報の提供、内職に関するいろいろな調査、また巡回指導、こういった仕事を担当さしておるのでございます。ただ、現在までのところ、設置個所が三十一カ所、今年度四カ所というように限られておりまして、今後、大いにこの方面には力を入れなければならぬと考えております。  で、家内労働法の制定を含めまして、家内労働に対する総合対策につきましては、右の行政措置と並行いたしまして、真に効果のある対策を樹立いたしたいと考えまして、現在、先ほど申し上げましたような学識経験者の方々に御検討をお願いいたしておりますが、いずれ近いうちに御検討の結果について御発表に接すると思われますので、その御意見によりましてこの方面に今後できるだけ力を入れて参りたいと、かように考えておる次第でございます。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 労働大臣の御説明はよくわかるのでございますけれども、家内労働調査会では、内職問題をいつまでも引き連れていれば家内労働法の制定になかなか進捗しにくいと申すほど、わが国の内職問題というものがむずかしい問題であるというような御念見も私承ったことがございまして、近いうちに出る御結論を待っておればよろしいのでございますけれども、そのときに内職問題が切り捨てられていった場合のその内職のことを考えますと、もう少し手がかりのあるお返事がいただきたいわけでございます。内職問題も必ず含めていただけるのでございましょうか、その点をひとつお伺いしたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) ただいま労働省で大体つかんでおる数字というものを御披露申し上げますと、家内労働者には御承知のごとく世帯主が生計を維持するために専業的に従事しておる者、これは専業者と申しますが、その次は家庭の主婦などが内職として従事しておる、これは内職者であります。それから農家などの世荷主が、農閑期など特定の期間だけ従事する場合、これは副業でございます。こういうふうに仕分けをいたしてみますると、家内労働者の総数八十五万と抑えておりますが、この中で専業的な従業者というものは約十万人ということでございます。それから内職的な従業者が六十八万人八〇%、副業的な従業者が七万人、こういうことになっております。したがいまして労働省といたしましては、家内労働に対する対策の重点は、当然最も数の多い内職者にこれを置かなければならない、こう思いまするし、またいわゆる家内労働法というものの内容が内職以外の人を頭に置いて作られる場合においては、大多数の人である内職従業者というものを頭に置いた、これに相当するような、適切な法規が当然並行して作られなければならない、こういうふうに考えておりますので、この家内労働法を制定いたします際には、必ずこれと並行して内職者に対する対策は講じなければならぬ、同じように法的措置を講じたい、こう思っております。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 ありがとうございました。どうぞひとつ大臣のお約束を実現をしていただきたいと思いますのは、六十八万人の中には、大多数の母子家庭かみんな入ってしまうからでございます。  次に、法務大臣にお伺いをさせていただきます。  法務大臣はお忙がしゅうございますけれど、先日だいぶんマスコミで問題になりました「温泉芸者」という映画はごらんになりましたでしょうか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 週刊紙等によりまして読んだだけでございまして、映画はまだ見ておりません。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 たぶんそうおっしゃると思ったのでございますけれども、お忙がしくてごらんになれないのはお察しいたしますけれども、問題になったことは御存じのようでございますけれども、あれは婦人議員の皆様方の間でも問題になりまして、最初は、ろうあ者が出て参りますので、ろうあ者の人権問題ということで話が出て参りましたけれども、私どもがそれを見ました結果は、それもそうですが、それと並行して、あるいはむしろそれ以上に売春問題に関係があると考えた次第でございます。その後におきまして、参議院の文教、社会労働、法務各委員会が御一緒で懇談会を開きまして、映倫当局にもお出ましを願ったりいたしましたけれども、世論が喚起されました結果は、製作会社の大映ではあの映画の配給につきまして、普通なら一年間地方を回って参りますものを四カ月で打ち切るということになり、映倫当局は一般向きといたしまして大人並びに子供が見るという審査の結果を、成人向きという子供には見せられないということに再審査で改められた。これは映倫始まって以来だそうでございますけれども、そういう結果を見ておるのでございますが、私が今日ここで申し上げたいと思いますのは、あの映画を見た人はきっとだれでも感じることでございますけれども、国に売春防止法という法律がありながら、よくもああいう映画が作られたものだということでございます。売春防止法は、初めから、「ざる法」といわれた法律でございますけれども、その後、改正されることなく今日に至っておりますけれども、大臣は、映画もごらんになるお時間がございませんから、それでも週刊誌をお読みになるそうでございますが、月刊誌も多分少しはごらんになると思いますが、文藝春秋の四月号に、新残酷物語という最近の売春の現状をうつしました記事が載っているのでございますが、それもまだごらんになりませんでしょうか……。けっこうでございます。ごらんになりませんでしたら、ひとつこれはお読みをいただきたいと思いますけれど、問題は、現在の売春の実態にあると思うのでございます。そうしてそのことがまた、あまり時間もありませんから簡単に申し上げますれば、青少年の不良化ともつながる問題だと思いますので申し上げてみるのでございますけれど、黒岩氏の記事の中には、集団暴行の現実がことこまかに載っております。しかし私は、あの記事を読みましても、格別びっくりはしなかったのは、あの似たようなことをやはりいろいろな方々から聞かされるわけでございます。私どもは見に回ることはできませんけれども、大体見当はつくわけでございます。それにつきまして、法務大臣は、この「ざる法」である売春防止法のざるの目を、多少は埋めるところの法改正の御意思はないのでございましょうか。売春問題審議会の現状につきましても、私どもややもの足りないものを感じておりますけれども、それらのことをまとめて御答弁願いたいと思います。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。売春防止法を実施いたしまして以来、かなりな事件をこれによって処理しているということは事実でございます。また、最近になりまして、若干数字的には減少の傾向をたどっていると思うのでございますが、その数字が必ずしも実態を表わしておるかどうかということには問題があるかと思うのでございます。この売春防止法が廃娼主義に基づきまして、国際条約等の趣旨から見ましても非常に合致しておるし、人道的にもこの法律がたいへん私はりっぱなものであるとは考えております。ところが、これを改正するかどうかということでございますが、たとえば、この法律の中の、そういう転落した婦女につきましてのあとの補導の問題であるとか、あるいは転落をいかに防止するかという問題であるとか、そういうことにつきましては、私は相当真剣に改正の検討をしていいのではなかろうかいう考え方を持っております。  それから、そのほかの問題につきましては、非常にこれは慎重を要すると思いますので、大臣に就任いたしまして以来、売春防止法の運営の技術の問題、またこれの事件処理後の補導の問題等につきまして、十分慎重に検討するようにということを命じておりまして、売春審議会等の速度と合わせながら、法務省といたしましても何らかの結論を出したいと、かように考えておるところでございます。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 ただいまの大臣のお答えを聞いて、たいへんにうれしく思うものでございます。いたずらに理想ばかり追いましても、こういう問題はなかなかむずかしいと思うのでございますけれども、できる程度の改正でけっこうでございますから、やはり歩一歩改正をしていただきませんと、たとえば転落防止の問題は、やはり青少年の不良化の問題とつながりますし、集団暴行の問題など、ひもの関係が著しく作用をしているわけでございます。また、せっかく更生させるために国が婦人補導員のような制度を設けていらっしゃりながら、なかなかその補導員で働いている方々の御苦労を見るにつけましても、帯に短したすきに長し、現状ではその御苦労がほとんど生きて働くということができにくいようでございますので、こういう諸点をどうぞ御研究下さいまして、できるだけ早く改正に持っていっていただきたいと、希望を申し上げておきます。  次に、文部大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。私が文部大臣に伺いたいと思うことは、二点ございます。一つは、婦人教育に関した問題であり、もう一つは、大日本育英会の奨学金の問題でございます。  最初に、婦人教育の問題を伺いたいのでございますが、社会教育における婦人教育の重要性は、今さら申し上げる必要はございませんけれども、世の中には、母子心中という現象がございます。そうして昭和の初頭には、生活困難のために、多くの母子家庭が、子供を殺して母と死んだのでございまして、日本の母子福祉行政の発祥は、そういう母子心中というような悲惨な社会的事実の上に、発達をして参りました。昨今でも、新聞紙上等に母子心中の記事はなくならないのでございます。しかし、その実態について考えてみますと、昔の母子心中は、お父さんのいない家のお母さんが夫に死に別れたあと、この子だけはしっかり育てたいと歯を食いしばっておりましても、日本の婦人の経済力に乏しいその社会的地位の低さから、母子家庭に非常に荒波をくぐっていく力が弱くて、いっそ、と、死んでいったわけでございますけれども、このごろでも、新聞等に散見をいたします母子心中の形態は同じでございますが、一体どういう母が母子心中を企てるか、文部大臣お気づきのことございませんでしょうか、時間がございませんから、私、自分の結論を申し上げるのでございますけれども、団地がふえまして、団地のような集団生活の中でお母さん方がたいへん自殺をいたします。子供を道づれにしております。このことは日本の婦人解放が外からきた結果、まだ社会生活になれないお母さんたちがアンバランスがありまして、私はそういう結果を呼ぶように見られるのでございます。したがいまして、こういう段階になれば、人つくりの重任をになっている母親は、夫がありまして、母子家庭より仕合せなはずなのに、わが子を殺して自分も死ぬというような有夫の婦の母子心中がふえているという現実に対して、少し飛躍いたしますが、私はやはり社会教育の中の婦人教育の重要性をますます考えないわけには参りません。そういうところに立って婦人教育の実情を見ておりますと、婦人学級というようなものの実際の運営にも、まだ問題が残っているように思います。あるいは公民館活動というような地域末端の動きにつきましても、あらゆる婦人たちに婦人教育の手が差し伸べられているのかどうか疑問な点もございます。母子家庭の場合を申しますと、未亡人会のお母さんたちが子供をよく育てるためにお勉強がしたい、しかし、公民館では未亡人会は社会教育団体ではないから、婦人学級には入れてあげられませんというようなことを言われることが非常に多いのでございますが、この点ひとつ御意見が伺いたい点でございます。  もう一つ、もう時間がございませんから続けて申し上げますけれども、育英会の奨学金でございます。たいへんに返還率が悪い。それで文部省は今度積極的にそのお金を返すような手をお打ちになるというようなことを聞いておりますが、たとえば三十五年度の返還率を先ほどの母子福祉資金と比べてみますと、就学資金が八五・六%の返り方でございますのに、育英資金は五九・四%、育英資金を借りていらっしゃるおうちのほうが、母子家庭、就学資金を借りているおうちよりも生活が楽な場合が多いので、英才教育といわれている育英会の奨学資金の借り受け者が、借りたものを返すという、たいへんあたりまえのことが、母子家庭の人たちよりできないということは、何だかそこに矛盾があるように思います。私どもが調べましたら、一ぺんも催促されたことがないからなあというお話がございましたけれども、催促されなければ返さないということは、ちょっと英才ということからは何だか足りないものがあるような、社会の連帯責任というものが薄いような気持がいたします。文部省が今回そのことにお気づきになりまして御努力なさるということを聞き、非常に喜んでいるのでございますけれども、その点につきまして文部大臣に右二点をお伺いする次第でございます。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。第一点は、公民館の利用関係につきまして、未亡人会その他、まあ申せば厚生省御所管の団体等が利用しにくいという御指摘でございますが、建前は、御案内のとおり公民館はその地域住民のために実際の生活に即しまして教育なり、学芸なり、文化に関係します事業を行ないまして、その公民館活動を通じて教養を高め、あるいは健康を増進し、あるいは文化の向上に資するという建前でございまして、個人であれ、団体であれ利用なさることは自由な建前でできているわけでございます。御指摘のように、特定の町村等におきましてそれを断わるなどということはあっちゃならないことでございまして、それは公民館活動についての認識不足と申しましょうか、建前をつい承知しなかったところに起こりますもので、レア・ケースじゃないかと思うのでありますけれども、今後、そういうことのございませんように、十分指導もいたしたいと思います。  日本育英会の問題についてのお尋ねでございますが、御指摘のように母子福祉資金の貸付等に関する法律に基づく就学の資金の返済率のほうが、育英会法によります貸付の回収率と比べて成績がかえって逆だという御指摘がございますが、私もそういうことを聞いておりまして残念に思っておるのであります。これは弁解じみて恐縮でございますが、一つには母子福祉資金のほうは、いわば母子家庭が比較的定住しておる、住所の移動があまりないのであろうと推定されるわけでございます。学生生徒のほうは、どうしても勤めまして、しばらくの間は転任その他の移動が多いので、なかなか追及しにくいということもあろうかと思います。また貸付資金全体の金額にいたしましても、金額的にいえば十数倍になろうかと思いますが、また対象人員にいたしましても、かなり多うございます。いろいろ弁解じみて申せば、その違いがあろうとは思いますけれども、学生生徒が移動が激しいといっても、それは本来、学生生徒に貸し付けるわけでございますから、初めからわかっているじゃないかと言えば、それまでのことでありまして、さような弁解は別にいたしまして、せっかくの国民の血税によって育英の目的を達しようというわけでございますから、なるべく回転が順調にいきまして、次々に青少年が国家資金の援助によりまして、自分の能力を伸ばしていけるようにする意味からも、御指摘の点は改善する努力が払われなければならないと思うのでございます。三十五年度以降御承知のとおり、どうも見るに見かねるものでございますから、まあ外務員を配置いたしまして、いわば督促をする、これもほめたことじゃございませんが、対症療法としてやむを得ないと思っているのでございます。根本的には、私は、戦後どうも大げさに申せば、道義頽廃と申しますか、権利やら自由の主張だけが先走って、責任感や義務の観念が幾分薄れているのではないか、そのことが私は根本的に心配でございます。学校教育を通じて、そういう道義観を植えつけることから根本的には始めるべきであろう。しかし現実に六〇%見当の償還率ということは見過ごせませんので、今申したような対策を具体的に講じますと同時に、わずかではございますが、非常に悪質の者もおるようであります。電車の中で立ち話をしているのを聞いた人の話をまた聞きでございますけれども、青年が、君育英資金は返したかと聞いておったら、その相手方の青年が、あんなものを返すばかがあるかと言っておった。まあそういうことではどうにもなりませんので、悪質の者がもしおるとしますれば、やむを得ませんので返還訴訟を起こしますとかということも、またやむを得ないかと思うのでございます。そういうふうなこともあわせ考えまして、育英会のほうでも具体的な努力を積み重ねながら、年々返還率は、わずかずつではございますが向上しておるわけでございます。今後も努力したいと思っております。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 総務長官に一言だけ、お待ちをいただいておりますので、私のほうはもう、また別の機会でもよろしいんでございますが、伺いたいというよりは希望でございます。  中央青少年問題協議会は御所管のように承っておりますけれど、あれができました当時のことは、私もいささか知っておりますが、現状の青少年の不良化ということを考えましたときに、まあこれは、国民の声を私が代表して申し上げますと、中央青少協は、いま一段の実績をお上げいただいて、国民の期待におこたえが願いたいと、こういうことでございます。中央だけの御責任なのか、地方の末端までも、やはり一つにつながった責任をお持ちいただいておるのか。問題はむしろ末端にあるようには思っておりますけれども、時間がございませんので、その程度のお尋ねを申し上げます。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) 青少年問題の中央協議会でございますが、これはもちろん中央にあるわけでございますけれども、この協議会の性格が、御存じのように、青少年問題に対しまして各省にまたがっておるような問題を取り上げまして、これを協議いたしましたり、審議いたしましたりいたしまして、さらにまた、各省にまたがっておるものを調整するというような機関になっておりますために、みずから事業体となって大きな活動をする性格を持っておりません。仕事の大部分は、あるいは文部省に、あるいは厚生省に、あるいは法務省にという工合に分けて仕事をしてもらっております関係から、少し協議会のほうがぱっとしないようにごらんになるかもしれませんが、相当に権威のある方々にお越しを願いまして、真剣に努力をしていただいているつもりでございます。しかし、さらに一段の努力を払うことにいたしたいと思います。  地方の問題につきましては、やはり中央と同様に、各府県市町村に青少年問題協議会を作っていただくことになっておるのでありますが、それが思うように参りませんで、現在では、全市町村の約半分ぐらいしか設置されておりません。また、非常に熱心な各府県では、すでに条例等もこしらえまして、不良化防止に乗り出していただいておりますが、この条例のできておりますのは、現在では半分ぐらいの道府県でございます。政府のほうでも、ほうっておるわけではございませんけれども、やはりそうした問題は、地方々々の自治体、公共団体等にも協力を得ませんというと、中央だけで大きい声を出しましても、だめなものでありますから、また補助を与えましたり、研修会をいたしましたり、勧奨しましたり、ずいぶん努力しておるつもりでございますが、予期の成績を上げていないことは、まことに残念でございます。来年度は、これは各府県知事、市町村長にも、この青少年問題の重要性をよく認識していただきまして、ただひとり中央だけの財政支出に依存することなく、地方でも府県また市町村でも、相当の財政支出をいただきまして、相ともに携えて、この問題に乗り出していただくという体制を確立したい、かように考えまして、今検討をいたしております。専門の方から見られますと、隔靴掻痒の感があると思いますが、私も力を込めて一生懸命やりますから、ぜひひとつ御協力をいただきたいと思います。

山高しげり第二院クラブ

○山高しげり君 やっぱり現状をお認めになりましたようでございますので、私のほうからも、どうぞお認めになられた問題点は、何とかひとつ対策を講じていただきたい。率直に申しまして、国民からやや遊離をしたお役所の、それはもともと、そういう性格のものではございますけれども、末端に参りますと、機構が多過ぎまして、働く人間はある限界点がございますので、同じ人が幾つも役を持っておりまして、どの仕事がどれだけ推進されているのやら、形だけがおもに動いていて、実態がそれに伴っていないといううらみがございます。そういうことを憂えます国民は、やはり国民の立場で、青少年の不良化ということに悩んでおる人たちでございますので、どうぞ民間の力というものも、どういうふうに流入させていったらいいかというような点についても、何分御考慮が願いたいと思います。  ありがとうございました。おそうなりまして失礼いたしました。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 山高委員の質疑は終了いたしました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) この際、お諮りいたします。去る十三日及び本日の理事会において、分科会の取り扱いについて協議いたしましたので、そのおもな内容について御報告いたします。  来たる二十二日から二十七日の午前までの間、分科会を開会し、二十七日の午後本委員会を開会いたし、各主査から御報告を承ることにいたしました。  分科会の数、所管事項、担当委員数及び各会派への割当等につきましては、先ほどお手元に配付いたしました刷り物のとおりにいたしました。  なお、分科担当委員の選定、変更及び各分科会において、参考人の出席を決定いたしました場合の取り扱いを委員長に一任することといたしました。  ただいま報告いたしましたとおり取り運ぶことに、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、本日はこの程度にいたしまして、明十九日午前十時から委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時一分散会

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