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43回国会参議院1963/03/13

予算委員会 第13号

発言数
248
登壇者
20
会派数
4
開催日
1963/03/13

会議録

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告いたします。本日、佐藤尚武君が辞任され、その補欠として山高しげり君が選任されました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。高山恒雄君。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 私は、綿製品の規制問題と、特定産業の問題について御質問申し上げたいと思います。  今回の綿製品の輸出については、通産省と外務省と、両立ての交渉が新聞等で報道されていますが、なおまた両省において、非常に通産省は強硬論と言われ、なお外務省は弱体論で、意見の不一致が経済外交として行なわれておる。そのことが長期にわたって結論が出なかったというのは理由はどこにあったのか、この点についてひとつ通産大臣、外務大臣から御答弁を願いたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 今回の日米間の綿業問題に関する問題につきましては、今のお説によりますと、何か通産省と外務省との間でいろいろ意見の扞格があるようなお話でございましたが、われわれといたしましては向こうから来ました、いろいろな電報あるいはこちらから打つ訓令等については両名の間で常に密接な連絡をとって処理をいたしておるわけでございまして、両省の間にそういうような意見の扞格があったということはないと心得ておるわけであります。ただ、しかし御承知のように通産省というのは直接業者との関係があるといいますか、接触が外務省より多い面があります。そうするとやはり、業界は引当強い意見を持っておられますので、あるいは感触的にそういうものが出ておったかもしれないのでございますけれども、両者の間において特に意見が違っておったということは、私はなかったと考えておるわけであります。また御承知のように、経済閣僚会議を開きましてこの問題を処理するにあたりましていろいろ相談いたしましたが、完全に意見は一致しておりますので、ただいまは御承知のように、いわゆる綿製品委員会の条文の解釈の問題についてアメリカと意見が違っております。それはどうも解釈の問題でございますので、これはどうもわれわれはこう解釈する、向こうはそうじゃない、こうですと、こう言っておるところにまだ意見の一致を見ておらないというのが現段階でございまして、われわれとしては外務省と通産省の意見は違っておるというふうには考えておらないわけでございます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 今通産大臣が御答弁を申し上げたとおりでございます。ただ私は、通産省と外務省というものは討議の段階におきまして意見が違うことはありますし、また違わなければうそだと思うのです、それぞれ置かれた立場が違うわけでございますので。そうして十分討議を重ねて一本に練り上げて、政府としての一つのまとまった意見にしなければならぬ、そういう過程におきまして議論がありますということは当然だし、またなければならぬと思います。しかし政府の意見は一つでありまして、今通産大臣が言われたような手順を踏んで、両省の間に緊密な連携をとって当たっておりますので、その点は御心配なくお願いいたしたいと思います。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 今日になれば、意見が私はまとまっていると思うのです。しかしアメリカの今回示されている案というものは、非常に日本としては酷ではないか、また解釈上相違があるということを通産大臣も認めておられる。こういう問題があるなれば、違っていることは外務省がやるにしても、通産省がやるにしても、直ちにこれは一本の形で早く手が打てるはずだと私は思う。私は、その手の打てなかった理由はどこにあったのか、このことをお聞きしているのです。経済外交で相手のあることですから、相手も日本がどう考えるか、やはり期待するだろうし、それを日本の内部で相当の時日を要したという点はどこにあったのか、このことを聞きたいのです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) その点は、ただいま外務大臣も仰せになりましたが、こういう問題を処理する場合、今後もあり得ることであると思いまするが、一つの問題にいたしましても、たとえば通産省内においても意見の対立が事務的にはある場合がしばしばあるのであります。御承知のように、通産省というものには需要の側と、それから供給の側が同じ原局の中にありますから、そういうことはあります。その一方の意見が出たときに、通産省はけしからぬ、こういうような御批判を賜わることもあるのです。しかし、省として私が裁定をいたしました以上は、これに大体従ってくれているわけでございまして、今回の場合におきましても、実は長引いた一つの理由は、数字を向こうが言ってきたのですが、どういう根拠でこういう数字が出たかということを、向こうに問い合わせたり何かいたしている間が相当あったわけでございます。その数字の食い違いがあって長くなった。それから向こうから、こういう意味らしいということを言うてきたが、どうもわからぬから、もう一ぺん聞け、こういうような事務的な電報の往復があって、その間におきまして、一部の者から言えば、こういうような日米間の交渉というようなものはできるだけひとつ円満にやったほうがいいんじゃないかという感覚を持つ人があるでしょうし、あるいはまた、そうじゃなくて、筋を通さにゃいかぬという考え方のものもあり得るわけです。そういうのがちらちらあるいは新聞等に出た場合があると思いますけれども、そこでそういうことが、ちらちら出ました数字も大体詰まって、向こうがどういうことを言ってきたということがはっきりわかったところで経済閣僚会議を開きまして、詰めてみたところが、企業の仕方が、どうもわれわれと考え方が違っている、それをひとつたださにゃいかぬということで、数項目にわたりましてこういうことを聞こうというので訓令を出すことにいたしました。そうしてその訓令の案を起草するにあたりましても、通産と外務、両省との間にちゃんと折衝もいたしまして、その後も一本にまとまって今やっておる、こういう段階でございまして、実は数字の問題の突き合わせにかなり時間を要したという点に一つはあるのかと思っておるわけであります。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 昨年長期取りきめをやりますときに、通産省と外務省の態度の相違というものは全然なかったのか、非常に重大な問題を、五カ年間の貿易協定をやろうというようなときに意見一致でその交渉ができたのか、この点についてひとつ。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) そのときには、何ら意見の扞格はございませんでした。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 なお、三十七年の十二月の二日にジェネーブ会議が開催される、こういうことで日本を訪問したボール経済国務次官ですね、日本が不利になるようなことはしないんだという発言をしておる。このことが報道されておりますが、このことに対しては事実としてもいいのかどうか、間違いはないのか。そういう発言を、ジュネーブの会議に臨むときに日本にボール経済国務次官が立ち寄ったときに、しておるという事実があるのかどうか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) ただいまの問題は、私のほうの事務の者が存じておりませんので、すぐ調べてお答えをいたしたいと思います。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 外務大臣ひとつ。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 当時の国務次官のお話を私調べておりませんので、恐縮でございますが、アメリカ側の考え方には、日本だけを本問題について差別待遇するというようなことはしない、全世界的な規制、同一の基準によっての規制だという精神は貫いておる、そういう意味で日本だけに不利なことはしないということを言われたのではないかと思うのです。その限りにおきましては、今回アメリカ側の態度でも日本だけを差別的に処遇するということではないというように私ども承知いたしております。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 ジュネーブ会議で第三条の市場撹乱が起こっている、またあるいは、起こるおそれがあるという判断をしておるわけですね。なお、その場合の規制の水準を決定する権利はあくまで輸入国側にある、こういうことを言っておるわけです。その場合、この市場撹乱だとかそのおそれがあるというのは、大事な問題をきめるときに、定義をきめないでどうしてそれをきめたか。一体市場撹乱という定義をつけるなら、その定義を十分納得してどうしてきめなかったのか。その点はどうですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 一応市場撹乱という場合は、どういう場合が市場撹乱になるかというと、もうあなたも御承知のとおりだと思いますけれども、えらい安値でその品物が入るというような場合、あるいはまた、一ぺんにたくさんの品物が入ってくるような場合、あるいはまた、入ってくる品物によってその輸入国の産業が非常な影響を受けるというような場合をさす、こういうことになっておるわけなんですが、その、実は安値で入ったというのはどこまでが、たとえば三〇%安く入れば安値であるかとか、そこまできめておけばいいじゃないかというあなたの御質問ですから——そういうお考えでお聞きになったと思うのですが、そこまでは実はきめておらなかったということは事実でございます。今あげた項目一つ一つについて限度をはっきりしておけばこういう問題は起さなかったじゃないかということはよくわかるのですが、そこはお互いに善意を持ってやり合えば、何とかそういう問題も起きないで済むだろうという考え方でこの取りきめをいたしたということは事実でございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 この市場撹乱の定義ですね、定義をきめないでジュネーブ会議で第三条の協定を結んだことに問題があると思うのです。その定義は言うまでもなく、しかも日本のガット総会の九月ですね、ここできめている。その定義を言えば、急増した場合、あるいは実質的なそういう事実がある場合、潜在的な増大がある場合、低価格等の問題が起こった場合、国内産業に重大な影響のある場合という、その定義づけを九月にやっておる。こういう定義づけをあとからやるというような……、協定を結ぶときにどうして定義づけができなかったのか。これは通産省なり外務省の協定を結ぶ大きなミスじゃないか。これに対して外務大臣、ひとつ御答弁願います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) お言葉でございますが、その定義は附属書Cに事前にきめております。そういう定義のもとでやっているわけでございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 この定義はジュネーブの会議できまっておったのか。それを日本のガット総会のときに発表したということですか。その点に対してお聞きしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ジュネーブの会議できめているわけでございまして、ガット総会でそれが引用されたということと承知いたしております。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 しからばこの協定を結ぶとき、そういう結論を出すときに、日本としては賛成したのかどうか、そういう一方的な判断でできることを日本としては賛成したのかどうか、この点ひとつ。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日本側といたしましては、この附属書Cは承認いたしたわけでございますが、輸入国が規制をきめるという場合には、事前に日本側に協議をする、これがまとまらない場合は綿製品委員会に出すことができる、しかし、綿製品委員会は決定権は別にあるわけではございませんけれども、輸入国が規制制度をきめる場合に、そういう手順を踏むということを了解いたしておるわけでございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 そういうことでこの協定を結んだということであれば、一方の判断で何でもできるわけです。なぜ日本は、日本の紡績界の製品というものは、そう私は世界で劣ってないと思う。そのときに日本の特殊技術、製品の優良化というただし書きでも入れておかなかったか。私が言うまでもなく、輸入製品は、どこの国に行っても、安いか、それとも縫製技術の優秀なものを持っておるか、デザインの嗜好によって選ぶか、これは消費者が求めるものです。したがって、日本にもし輸入製品があったとするならば、外国の製品がよければ日本人も買います。そういう一つのささえのある、日本の特殊技術ということをなぜ入れなかったかという点について、私は外務大臣にお聞きしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日本の綿製品工業はすぐれた品質を持っておるし、特徴を持っておるということは仰せのとおりでございます。だからこそ綿製品問題は日本に対しまして深刻な問題になるわけでございます。綿製品協定を作るときに、今高山さんがおっしゃったようなものをなぜ挿入しなかったのかという御詰問でございますが、そういう特徴をうたった文句はないわけでございますが、そういった問題は双方の善意で了解し合うということでいけるという考え方であったのではなかろうかと推察いたします。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。稲葉誠一君が辞任され、その補欠として渡辺勘吉君が選任されました。     —————————————

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 両国が善意でやるというけれども、善意にアメリカが出てきてないところに問題があるわけですね。この点は私は外務大臣もお認めになると思うのです。  そこで、もう一つ私は聞きたいのですが、これは通産大臣と外務大臣にお聞きしたいのですが、日本の第二次製品というものは大きく格差があると思う。日本のは優秀な製品だと私は信じておりますが、私は、その点について大臣は十分御承知かと考えまして、私はここに南アメリカから持ってきた製品を持っておる。この縫製を一ぺん見て下さい、この縫製を。全くミシンははずれて、こういう技術に対して、日本の技術を一体売ろうとなぜ外務省や通産省はしないのか。なぜ技術を売らない。今日のような世界的に過当競争の大事な時期に、アメリカの消費者が嗜好として買う製品を、最もこれから必要なのは技術なのです。いかに法律を作ってみても、優秀な製品はどこに行っても私は売れるのです。また、そういう産業を擁護しようという政府の考えでもあるのじゃないかと私は思うのです。どうです、通産大臣、そのことだけはお認めになりますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 日本の第二次製品が非常に優秀であるということはよく承知をいたしております。それだからこそ非常な勢いで伸びておるわけであります。伸びておるから今度は相手のほうには非常な打撃がある。打撃があるからこういうようにあまり打撃があるようなときには何かしたいという協定が出てくる、こういうことになってきておるのでありますが、こういうことを言いますと、日本にも同じことがあるのであります。たとえば、今では大部分抵抗力ができてきましたが、自動車なんかは戦争直後、四、五年の間は入ってきて、日本の工業が全然成り立たなかった。それとは違いますけれども、確かに日本はそういう意味において優秀性がございます。それだから向こうにも影響があるというようなことで、そこで数量がどっと入った、安く入ったというときには、ということなんですが、われわれは、数量はそんなにふえていないじゃありませんか、安いといったってそんなに安くありませんよ、だからこの安いというのは一体、どういうのが安いとおっしゃられるのでしょうか、数量がよけい入ったとおっしゃるけれども、それはどういう意味なんでしょうか、事実、あなたのほうで示されたものと突き合わせて、どうもそんなふうに見えません、ということを今話をしておるわけでございます。われわれとしては、あなたのような考え方でアメリカに真意をただしているというわけでございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 通産大臣の言われるのはわかり切っている。それを私は経済外交の具にしておられるのじゃないかという気がするのです。日本の紡績界というものは七十年からの歴史を持っております。したがって、優秀製品の強調ということは、通産省初め長い間の歴史で指導されているはずです。さらにまた、労働者はそれを甘んじて労働強化をして優秀製品を作るために努力をした。それを外交面に対しては一向にその成果を上げようとしていない。というのは、一方的な市場撹乱というような理由でアメリカが、しかも、協定の裏をかくような提出をしてきておるのに対して、今大臣が言っておられるその取引の具にしておられるということで私感ずることは、なぜ協定の中にその一項を織り込まなかったかということです。製品の優良化というものがあるじゃないか。国際競争はここにあるのじゃないか。その一項が入っておればアメリカに対して、アメリカの業者間の意見なのか、それとも政府の意見なのか、一般消費者の意見なのかということを聞くことができるじゃありませんか。何でこれから競争しようとおっしゃるのですか。その点がいわゆる経済外交においては外務大臣も十分にのみ込めないでこの協定を結んだのではないかということを私はお聞きしたいのです。外務大臣の御答弁を願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 高山さんのおっしゃるように、日本の綿製品はすぐれた技術、そうしてすぐれた特徴を持っておる。それだけに世界市場にとりましては大きな脅威でございます。この点は福田大臣の言われるとおりでございます。しかし、もし、綿製品の取りきめというものがなくて野放しにいたしますと、各国はこの競争力に耐えかねていろいろな輸入障壁をむぞうさにやるということになりますと、日本の輸出する機会が閉ざされるわけでございますので、国際的な取りきめ、各国の綿製品の特殊事情にかんがみまして、安定した貿易を確保する意味で国際協定を作って市場の安定性をはかるという行き方は、これはもう当然われわれとしてやらなければならぬことでございまして、綿製品協定は御不満はございましょうけれども、これがなかった場合を考えますると、こういう措置を講ずることはきわめて建設的であると私は考えます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 米国の南部の経営者は、今日組合を作ることすら許していないんです。さらにまた、全米産業で、アメリカの紡績賃金というのは一番安いんです。しかもこのことについて私たちも今までに指摘したところですが、一体そういう事態というものを掌握して外務省あたりは交渉しておるのか、外務大臣にお聞きしたいのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私も綿業の専門家でございませんけれども、たびたびここでも私が申し上げましたように、アメリカの綿製品工業というものは、いわば日本の石炭産業みたいなもんで、非常に救済を要するような特殊な産業であると承知いたしております。したがって、ケネディ政府といたしましても、これの救済計画を立てなければならぬということの立場にあるということも承知いたしております。それだけの、つまり国内的に見ると、非常に問題のある産業である、したがって、それと日本の綿製品輸出という問題が直接関連を持ってくるわけでございますので、いわゆる綿製品問題というものは容易ならぬ問題である、そういう認識に立ってこの問題に対処しなければならぬということは、本会議におきましても、委員会におきましても、私はるる申し述べたとおりでございまして、今御指摘のように、アメリカの綿製品産業というものが、非常に問題の産業であるということを頭に置いて、通産省も私のほうも特にやっておるわけでございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 それじゃ今回の米国の提案は輸入制限に反していると思うのです。しかも日本が協定を結ぶときに主張してきた第三条の七項のいわゆる妥当な平等な原則論を巧みに利用して提案してきておるのじゃないか、そのことは、日本は平等論を言ったではないか、こういう考え方で、そのことを口実にして、実際に腹中にあるものは、やはり市場撹乱の建前を考えておるのではないか、私はこう思いますが、通産大臣はどう思いますか。アメリカの今度の提案で少なくとも私はそうだと思うのです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) ちょっと私御質問の御趣旨をよく理解できなかったわけでございますが、もう一回ひとつ。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 今までの協定を結ぶときに、公平な取引をせよということを日本は主張してきておるわけです。ところが、アメリカが今度提案してきておる六十品目に変えてきたということは、公平な取引をするために日本がそれを主張してきたではないか、そういう意味で平等の原則論を巧みに利用して、アメリカとしては、いわゆる日本では三十四品目であったのを六十品目という小分けをして、そうして提案をしているのだが、これは市場撹乱というものがやはり腹には思いながらそうした提案をしてきていると私は考えますが、通産大臣はどうですかと言っているのです。

松村敬一通商産業省通商局長

○政府委員(松村敬一君) 御指摘の点でございますが、これはお話のように、日本の主張した一つのポイントでございます。それは従来日本とアメリカの間に繊維品の協定と申しますか、申し合わせ等もございまして、従来日本が輸出を規制しております間に、香港その他の国の対米輸出が伸びまして、その結果日本が、いわば正直者がばかを見たというようなことがございましたので、そういうことがあってはいけないので、もし市場撹乱ということがいろいろな国からの輸入で起こっておるならば、それを平等に扱わなければいけない、こういうことを主張いたしまして、協定にその文句が入っているわけでございます。これは日本といたしましては、非常に大きな意味があるわけでございまして、従来日本がアメリカにおきまして相当大きな輸出の分け前、シェアを持っておるわけでございまして、今後次第にいろいろな後進国からの輸出がアメリカに対して伸びます場合に、日本のあらかじめ持っておりますシェアが相当確保される、その意味におきまして、この規定の日本の綿業に対します意味は、非常に大きいと思うのでございます。今度御指摘のアメリカのほうの言っておりますこと、これはいろいろと自分のほうの都合のいい主張をするわけでございますから、その中に、ほかの国でも輸出調整をやってもらうんだから、したがって、日本もやってほしいというようなことを言っておることは確かでございますが、しかし、これは、あくまでいろいろの国からの輸入が市場撹乱を起こしております場合の公平な取り扱いということでございまして、今市場が撹乱しておりませんといたしますならば、これは全く別問題でございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 時間がないから進みますけれども、今回の取りきめにおいて、主要輸入国二十三カ国が参加しているわけですが、香港や台湾など十一九国の実施と、さらに八カ国の交渉中なんです。しかるに、西欧諸国の輸入割当増加は、大体イタリアにしても三百トンが五年後には千七百トン、さらにフランスでは千三百五十が二千、西ドイツでは千六百三十五が二千六百と、こういうふうにどんどん他の国では増加をされているのに、日本だけが少なくなっているのは、これに対して一体外務大臣は、先ほどの答弁を聞いておりますと、相手の国の感情を害しないように、お互いに話し合いの中でいこうと言われる、こういう状態が今日出ておっても、依然としてそういう交渉を続けようとされるのか、ひとつ見解を伺いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) せんだっても申しましたように、この問題につきましては、新しい国際的な長期の取りきめができたわけでございます。一つのこの問題を取り上げる土台が、土俵ができておるわけでございます。したがって、長期取りきめ、そして今後五年間そのルールでやっていこうというわけでございます。これには日本も、そしてアメリカも参加いたしておるわけでございますから、この共通の土俵で問題をやらなければならぬ、さばかなければならぬ、これは当然のことと思うのでございます。今私どもの態度といたしましては、そのような客観的なルールができておるのだから、そして、それは、両方とも認めておるのだから、この土俵の上でやろう、そのことにつきましては先方にも異存はない。問題はその土俵の解釈に御指摘のようないろいろな理解の懸隔があるわけでございまして、それをまずもって埋めなければならない。たださなければならない、ということでございまして、現在の段階は、その解釈論をめぐっての対立をどうほぐしていくかということに努力が集中いたしておるわけでございます。私どもが今踏んでおる道は決して私は間違っていないと思っております。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 私も直接調べたわけではないけれども、東洋経済の記事によりますといろと、今度の相違点から見れば、いわゆる日本の綿布で一三%、さらに二次製品で一九%の減少になるのではないか、こういうことが出ておるわけです。こういう減額されるような一つの提案が出ておるのに、一体外務大臣はどういう態度で交渉しようとされるのか、それを聞きたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、長期取りきめのルール、基盤によって漸増をはかっていこうという大方針でいっておるわけでございまして、これはどなたがやりましても、そういう行き方になると思うのでございまして、現在、今御指摘のように、アメリカ側の今の御提案というものにつきましては、先ほど通産大臣からもお話がありましたとおり、これはまあ、アメリカ側がどういう積算の仕方をしておるものか、どういう統計を援用しているものか、そういった点について、日本側でも検討いたしまして、疑義はただして参らなければならないと思うわけでございますが、今の段階は長期協定の解釈について相互に共通の理解を持たなければならないというための努力をいたしておるわけでございます。その次の段階になって、実質的な数量の問題になって参りますと、これはアメリカが現在提案いたしておるものを分解して、そして私どもといたしましては、そのアメリカ側の考えをたださなければならないところはただしていって、できるだけ多くの輸出ワクなるものを確保しなければならないということは、私ども、当然の責任と心得ているわけでございますが、今はまだそこまで話が行っていない。原則論の段階にあるということでございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 外務大臣の意見を聞いておると、一三%、一九%のこの減少で提案しておるということも、そうではないのではないかというような感じを受けるのです。通産大臣、どうですか。アメリカの今度の提案で綿布が一三%、第二次製品が一九%の減ということになるが、これは事実なのかどうか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) わがほうの計算によりますというと、大体一〇%程度ではないか。一三%、一九%とは考えておりません。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 それは一次製品、二次製品、合わせてですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 仰せのとおりでございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 外務大臣の先ほどの答弁からすると、一つの土俵の上で相撲をとっておるのだから、あくまでもそれでいかなければならない、こういうふうにおっしゃっておるのですが、それもけっこうだと私は思います。私が申し上げておるのは、今、通産大臣の確認を得ても一〇%は減少するのだ。これだけのものをあの協定から出してこなければならないアメリカのいわゆるやり方というものです。それでもまだ土俵の上で相撲をとったほうがいいとおっしゃっているのか。何かの対策を日本としては強硬にやるべきだとこうお考えになっているのか、この点をお伺いしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 原則論的な建前としては、高山さんがかりにやられても私はそうなると思うのです。つまり長期取りきめがあって日本とも加盟いたしておるわけでございますから、この協定を柱にいたしまして問題の打開をはかるということは、これはきわめてオーソドックスな行き方だと思うのでございます。で、この長期協定の評価でございますが、それは先ほど私が申しましたように、もしこれがない場合、無協約状態になった場合に、一体日本の輸出の増大が確保されるかというとこれまた心細い話でございまして、長期協定それ自体には私は非常にメリットがあると思います。ただ、その長期協定の解釈をめぐりまして問題があるので、今それを解きほぐすべく努力いたしておるわけでございますが、今通産大臣が言われましたように、われわれの計算によりますと、昨年のワクよりは若干下回ると、アメリカの第一次の案はそのように受けとれるわけでございますが、日本側の解釈で付属書類を計算してみれば、当然去年のワクよりはふえなければならないという計算が出てくるわけでございます。したがって、解釈論上の意見の懸隔をどうにかして埋めなければならぬということで今努力いたしておるわけでございまして、いいかげんでいいのだというような考えでは毛頭ございません。根締めに根締めを重ねてやっておるわけでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 ちょっと関連して。今の質問に関連して念のためにお尋ねしておきたいのですが、長期協定の解釈の調整というか、解釈をめぐり日米の話し合いが進められておる。こういう外務大臣の御答弁でありますが、事実そのとおりだろうと思う。ただしかし、その解釈をめぐる日米の話し合いというものがいつまでもこういう形で続いていけるのかどうか。と申しますのは、御承知のように、第三条に基づいて市場撹乱という理由で輸入国が制限を申し入れてきた。そして関係国の間に話し合いがつかなければ、一定の期間の経過のあとには輸入国の意思に基づいて制限措置がとられることになっているわけです。しかし、これはアメリカの好意的な立場からアメリカがその点は今譲歩してこの期限を経過しているが、両国の話し合いがなされているというのが今の状況だと考えます。外務大臣のお話のように、いつまでもその解釈論をめぐって話し合いを続けていくということが一体わが国の立場より見たときの実害、実益というものはどういうことなのか、この点が第一。第二に、新聞の報道によりますと、朝海大使が今回帰国するそうです。新たな大使が赴任されて新たな大使のもとにおいてまた同じような話を継続するのかどうか、こういうことになってきますと、いつまでも解釈論をめぐり話し合いだけが持たれるという形、私はそれにも限度があるように見ておりまするが、いつごろをめどにしてこの話し合いの解決を外務大臣としては考えておるのかどうか。この点ひとつ承っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、いつまでも原則論の段階でじんぜん日をむなしゅうするというようなことは賢明ではないと思うのでございますけれども、しかし、この間も経済閣僚懇談会にお諮りいたしまして、今の段階はなおせっかくできた長期協定、それは今後五年間のルールになっておるのだし、日米間は三十八年度だけの取引ではなくて、末長く輸出の拡大をはかっていかなければならぬ相手方でございますし、来年度以降にも影響するし、それから第三国との関係もあるわけでございますから、協定実施第一年度の日本の態度といたしましては、この長期協定の原則というものを、できるだけしっかりとコンクリートにしておかないといけないというのが大勢を支配した御意見でございましたけれども、その御意見を受けまして、私どもといたしましては、再度アメリカ側に疑点をただしておるわけでございますから、その回答が近く参るわけでございますから、その回答を受け取った時点で、その内容をよく吟味した上で、どのようにするかということをあらためてまた御相談をしなければならないわけでございます。いつまでもこういうことをやろうとも思いませんけれども、今申しましたような協定の第一年度でございますから、大事の上にも大事を踏んでおかないといけないということでございます。しからば、いつごろになって局面を切り開いていくかということは、今度のアメリカ側の回答も一つの資料になるわけでございますけれども、また、国内の業界を初め、その他の世論も十分読み取って、それを受けてやりませんと、今の段階でいつごろハンドルを切りかえていくのかというようなことに対しましては、まだ私ども腹をきめていないわけでございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 業界は非常に強固な態度を示して、綿花の輸入に対して減量しようじゃないかというようなことを場合によってはやりたい、こういう腹もきめておるようでありますが、このとき日本がもしそういうことをやるとすると、これはクレジットの問題が起こってくると思うのです。で、大蔵大臣にお聞きしたいのですが、今の外交状態から見て、非常に日本が不利な立場にある。そういう場合は、業界が要望した場合は、政府としてクレジットの六千万ドルくらいは大丈夫引き受けても外交は強くやるべきだという考え方をひとつお示し願えるのかどうか、その点についてひとつ大蔵大臣の意見を聞きたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) まだ具体的な問題を検討いたしておりませんが、そのような問題については、通産、外務当局等とも連絡をとりながら検討いたしてみたいと思います。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 外務大臣は、この問題についてはどうお考えでありますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私としては、先ほどからも申し上げておりますように、せっかく長期取りきめができて、この問題を規制する国際的なルールができておるわけでございますから、この今後の取りきめは、加盟国として十分尊重していかなければならぬということでございまして、したがって、この土俵の上で何とかして解決をはかるべきであると思うのでございます。権道に走るなどということは、賢明でないと思います。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 労働大臣にお聞きしたいのですが、通産大臣もともに聞いていただきたいと思うのですが、通産省は、この輸入製品に対する総合調査機関というものを設置して、労働者代表も参加させるという意思があるのか。輸出に対して労働者代表の発言というものをかなり諸外国では利用している——利用していると言うと語弊がありますけれども。アメリカの今度の日本からの輸入に対する制限の態度というものは、まず、それがあると見てもよろしい。そういう面に対する日本の総合機関を設置するという意思はないのですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) この問題は、米綿に関する問題は、非常に重要でございまするので、われわれとしては、慎重に対策を考えて参らなければならないとは思っておりますが、ただいまのところでは、そういう調査機関を作らなくても、このままの姿でやっていけるのではないかと考えております。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 労働大臣は。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 労働省といたしましては、こうした問題につきましては、通産省と十分相談してやるべきだと思います。お答えといたしましては、将来の問題として考える時期があるかもしれませんが、さしあたりは、通産大臣のお答えのとおりだと思っております。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 自由化と関税一括引き下げと、大きなところに目をつけていかれるのもけっこうだと私は思いますけれども、アメリカのこの摩擦、さらにヨーロッパとの摩擦を一つ一つ解決していくことが、私は経済外交の基本でなければならぬ。これは、日本のような国は輸出をやはり本位にしている国でございますから、経済外交こそ重大だと思うのです。外務省と通産省との非協力的な意見の食い違いが今日出るということは、非常に日本の経済外交に対する私はマイナスだと思う。そのことが新聞に載っただけでも私はマイナスだと思うが、両大臣はこういう点については大きく反省してもらうが、一体どういうふうにこういう問題をお考えになっているか、ひとつ意見をお聞きしたいのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、すべての政策を樹立し、態度をきめる場合の前提としての討議におきましては、私は、外交に携わっている者と国内産業の所管をされている方々との間に意見の相違があることがございますし、まあ、ある場合においては、なければ困ると思うのです。そうしないと議論が発展いたしませんし、充実した政策の樹立はできないと思うのでございますし、しかし、いつまでもそういう対立があっていいわけのものではございません。政府は一つでございますから、一つに取りまとめて参るわけでございます。今までもそうやってきたわけでございます。しかし、その議論の過程がよく報道機関に報道されますけれども、報道機関の報道は、われわれ規制する道がございません。そういう議論の道程というものは、当然あっていいことだと思います。しかし、政府は一つでございますから、今申しましたように、一つの態度に練り上げて、強い外交を展開して参らなければならぬと思うのでございます。  それから第二点として、今御指摘のように、関税一括引き下げ交渉、自由化というような大きなところに目を向けるのもいいが、こまかい問題を等閑に付することのないようにという御注意でございます。もう当然のことでございまして、特に日本のような立場の国といたしましては、個々の国とこまかい問題の一つ一つをじみちに、かつきめこまかく解きほぐしていかなければならぬ立場におりますことは当然のことでございまして、そういう努力を終始続けているわけでございます。個々の問題をこまかく検討いたしますと、御指摘のように、いろいろの問題がございますけれども、しかし私は、日本の輸出は対米関係におきましても、また対ヨーロッパ関係におきましても、相当顕著な伸びを示しているわけでございまして、これはもとより経済外交の面において努力すべきと言うより、国民の努力、日本の輸出の競争力、交易条件その他にささえられていることでございまして、私どもは決してその功を誇ろうとは思いませんけれども、趨勢としてごらんになればおわかりのように、日本の輸出は相当顕著な伸びを示しておるということは、お認めいただきたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) お答えいたします。先ほどの、この意見の違いがあることはいかがなものであろうかということでございますが、私は外務大臣の言われるように、意見の違いがあることは、あってしかるべきだとは思いますけれども、しかし、問題によっては、そういうものは外へ出ないようにしていくということも非常に大事なことであって、そういう意味で、もし何かあったとすれば、今後は注意をして、お互いに注意をして、政府部内において、まあ問題によっては外へ出たほうがいい場合もありますけれども、しかし、まあこの種の問題だったら、私はあるいは出ないほうがよかったかもしれないという感覚がしないわけではございません。この点は、今後も注意をいたして参りたいと思います。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 それでは、次の問題で御質問申し上げたいと思いますが、与えられた時間が短いのでありまして、簡単に申し上げたいと思います。  政府でお考えになっております特定産業の振興法に関する件ですが、まず第一番に、国際競争力の強化の案を提出されるその国内の経済的、政治的な背景というものは、一体どこにあるか、この点でひとつ通産大臣に聞きたいのです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 特定産業に関する法律は、ただいま各方面と、御承知のように、折衝中でございまして、まだ最終的にいかなる案をもって提出するかということは、御案内のとおり、きめておりません。しかしながら、この問題が、なぜこういうことをわれわれ考えておるかということでございますれば、これはもう申し上げられるわけでございまして、御承知のように、今の日本は世界の大勢から見ても、順次産業自由化をしていかなければならない段階に参っております。その段階におきまして、まだ相当抵抗力の弱い産業といいますか、いわゆる貿易を自由化にした場合に、非常に弱い産業もあるわけであります。そういう産業が貿易を自由化した場合に受けるいわゆる打撃ということを考えてみますと、それは資本の面においても、労働者関係の面においても、あらゆる面において、私は非常な打撃を受けるおそれがあるものがあると思うのであります。こういうものを、できるだけその産業に力をつけていくようにして、たとえ自由化をいたしました場合においても、十分にこれに対抗してやっていける、同時にまた、海外までもそれをその力をもって輸出ができるようにする、こういうようなところへ持っていくのがねらいでございまして、こういう背景をもって、私たちとしてはこの種の法律を作ったほうがよろしい、かように考えておるわけでございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 この案を作成するにあたって、公取と通産省との対立が非常にやかましく、これも世間に出たことでありますが、一体公取と通産省との妥協点はどういうところに求めたか、この点をお聞きしたい。

佐橋滋通商産業省企業局長

○政府委員(佐橋滋君) 事務局のほうから、かわってお答えいたします。  公正取引委員会と、通産省の原案で問題になりましたのは、独禁法関係では合理化カルテルの点と、それから合併の問題と二つでございます。合理化カルテルの点につきましては、御承知のように、現在の独禁法では三つの限られた合理化カルテルが認められておりますが、今度の新法の目的を達するためには、いま少しいろいろな様相の合理化カルテルが必要ではないかということで、約八つの新しいタイプの合理化カルテルを申し出たわけであります。その点につきまして、公正取引委員会の御見解では、法の弾力的な見解で読めるという御見解であったわけであります。われわれのほうは、読めないという意見でずっと対立をしておったわけでありますが、法制局にも仲に入っていただきまして、関係各省と協議をした結果、非常にむずかしい——何といいますか、読めるとも読めないともわからないというあいまいなものがたくさんございますので、今度の新法では、そういう新しいカルテルを一応列記する。われわれ通産省としましては、その認可権を主務大臣が持つという案を提示したわけでありますが、「これに対しましては、「公正取引委員会が最終的に権限を持つ。ただし主務大臣がその合理化カルテルの申請を受けつけて、意見を付して公正取引委員会に送付することができるということで、合理化カルテルの問題は落着がついたわけであります。  いま一つ、合併の問題につきましては、通産省といたしましては、合併を容易に行なわせるために、独禁法上問題にならないと思われる一つの許容基準といいますか、そういうものを事前に公表しておいていただきたいということを、われわれは申し出ておったわけでありますが、話がつきましたのは、主務大臣が案を具して公正取引委員会に許容基準の公表を請求することができる」ということで話がついたわけであります。これの最終的な権限は、もちろん公正取引委員会にあるわけでございます。  大体以上が、公正取引委員会との関係で問題になりました点でございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 そうすると、独禁法との関連では抵触しない、こういうことになるわけですか。

佐橋滋通商産業省企業局長

○政府委員(佐橋滋君) お答えいたします。  合理化カルテルの点につきましては、独禁法上問題になるかならないかという点につきましては、公正取引委員会が独禁法の見地から判断をなさって、独禁法に違反しないというものを許容されるわけでございます。それから、許容基準につきましては、御承知のように、現在の国内企業の合併は全部届出事項になっておるわけでございますが、許容基準が事前に公表されておりますれば、どういった合併は独禁法上問題にならないという、いわゆる企業の自主的な判断をする参考資料になる、こういう意味でございまして、独禁法上もちろん問題にはならないわけでございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 同法案によって自由化に対抗することができる、こういうような見解をさっき通産大臣は言われたのですが、現在の政府がそうした干渉的なことをしなければ自由化に備えての対抗ができないのか、どういう点にそのできない理由があるのか、それをお聞きしたい。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) ただいま、業種によりましては、相当過当競争が一面において行なおれておりますのと、一面においては、いわゆる経営自体があまり充実しておらないといいますか、海外のこの種の会社と比べて格差がはなはだし過ぎるという事態があるわけであります。そういうような場合において、しかしながら、順次自由化をしていくということになれば、三年も五年もほうっておくというわけにいかないのですから、そうなれば、いつかは、そういう一年なり二年なりの間には、そういうような波が寄せてくる。その場合に、あなた方のやっておられる仕事は非常にそれは危険な目にあうということを明かにするということが一つあります。そういう危険なことを明らかにすると同時に、また、そういう場合において業者がそれならばひとつみんなで一緒になって何とかこの窮局を打開しようということであれば、政府としてはあらゆる法規の手続は必要ではありますけれども、いろいろの面においてその産業を育成する、金融面においても税制面においても育成していく、こういう考え方でございまして、そういうことをしなければならない事情は何かといえば、やはり日本の産業は外国の産業と比べて弱いものがたくさんある、こういうところに帰着するかと思います。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 日本には昭和六年に制定された法律で重要産業特定法というものがあったのですが、むしろカルテルをやれと。それがどんどんどんどん全産業に及ぼして政府統制というようなことになっていわゆる官僚統制ということになったのですが、現実にも中小企業安定法というものがあるわけです。今度は大産業に及ぼす。そうすると、将来おそれることは、官僚統制化するというような危険性はないのかどうか。中小企業安定法もあり、さらに特定産業の振興法を作るということで、政府が干渉する産業になるわけです、早くいうならば。全面的にしなくても、ある程度の発言権を強化するわけですが、そういうおそれはないのか、見解をお聞きしたいのです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 御心配のようなことは、私は全然ないと考えております。なぜかと申しますと、中小企業基本法にいたしましても、その基本法の根本精神は、自分たちが何かやろうという意欲を燃やして、やってもらいたい、その意欲があって何かしてもらいたいということであれば、してあげましょうというのが中小企業基本法の根本の精神でございます。今度の場合、われわれが考えておりまする法律も、同じくその産業がこういうことをしてもらいたいということを言うてきたときに考えようではないかという基本観念を持っておるのですから、その産業の人たちが、いやそういうことはしたくないのだということであれば、われわれはそれに干渉することもできないし、また、する意思もないわけであります。しかしながら、自由化という波が寄せてきて非常に危険でありますよということを警告するというか、いうことは、私はちっとも官僚統制にはならないと思います。しかし、そのときに、そういうことはあってもおれらは自分たち同士でやっていくのだ、よけいな世話をするな、こうおっしゃれば、何も政府は関係する必要はございません。しかし、そのときに、一緒になってそれじゃひとつこれに対抗したいと思うから、ぜひ頼む、こういうふうな自主的にお話があれば、初めてあれを動かしていこう、こういうわけでありますから、官僚統制になるということは絶対にないと私は考えておるわけでございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 この第二条の「別表に掲げるもののうち、政令で掲出するものを」とあるが、別表の内容というのはいろいろ変わっておるのじゃないかと思うのです。最初は業種別に十ぐらいあげておったのですが、官房長官は何か五つぐらいにしたいとか、きょうの新聞では六つぐらいにしぼりたいとか、いろいろ内容が変わってくるのですが、今実際に考えておられることはどういうことでございますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 私自身といたしましては、まだどの業種をどういうふうにするということをきめておりません。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 通産大臣がきまっていなければ、政府としての意見もまだ出ていないのですか。どういう業種にやるというのからも大かたのなにはないのですか。その点をお聞きしたいのです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) そういう考えは、一部にはどれをやつったらいいかというような考え方はあると思いますが、政府としてはまだきめておりません。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 なお、第二条の二項に、事業活動の大部分を行なっているもので同業者の大部分を占めるものできめていきたい、こういうふうに書いてあるのです。特定産業として指定する場合の要請をすることができるというとき、そういうふうに考えていきたいということが出ておるのですが、その場合は、数で行くのか、たとえば十の会社がいれば、生産の量で行くのか、あるいはそこに寄ってこられた人できめていくのか、これはどういうことを意味しているのか、お聞きしたいのですが。

佐橋滋通商産業省企業局長

○政府委員(佐橋滋君) お答えいたします。  産業活動を営むものの大部分が入っており、先生御指摘のように、いわゆる頭数の点につきましてもあるいは事業活動、結局生産量につきましても大部分が入っておる、そういう団体からの推薦をといいますか、要請があった場合に考えたい、こういう考えでございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 第三条の「特定産業が指定されたときは、次の各号に掲げる者(「特定産業関係者」)は、政令で定めるところにより、学識」、これは学識経験者を入れるということでしょうが、一体学識経験者とはどういう構成を考えての話か、これを一ぺん聞かしてもらいたい。

佐橋滋通商産業省企業局長

○政府委員(佐橋滋君) お答えいたします。  「学識のある者等」と書いてありまして、場合によりますと、いわゆるいうところの学識経験者の場合もあるでありましょうし、あるいは関係のある業界という場合もありましょうし、あるいは労働者だとか消費者だとかいうような場合もものによってはいわゆる共通基準とか振興基準というようなものをきめます場合にそれぞれ関係のあるものが出てくると思いますので、いわゆる「学識ある者等」という表現になっておるわけでありまして、まだ最終的に業種も決定されたわけでもございませんので、そのつど考え得る余地を残しておるつもりでございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 非常に不安定な案を今出そうとされるような気持がするのだが、そういうことをまだ考えておられるようでは、これは回答にならぬですよ。しからば、私はお聞きしますが、一体どういう構成でやろうということすら今日できていなければ、先ほど通産大臣の言われたことは非常に危険だ。民主的な運営の中で、その運営でよろしいということがきまって初めて申告すると、こうおっしゃる。その委員の構成すらきまっていないというようなでたらめな言い方であれば、全くこれは危険千万じゃありませんか。「学識」もいろいろありますよ。日本には。どのくらいの構成を入れなければいかん、この産業特定法を作るについてはどのくらいの構成の人員でなけりゃならぬという一つのラインがあって、それがここで発表できぬということならば、ますます危険なものですよ。その点はどうですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 御承知のとおり、まだこの法案は、われわれの間で調整をいたしておる段階であります。したがいまして、法案ができまして提案をいたしますれば、そういう問題についても詳しい御説明ができると思いますが、まだ作成段階でございますので、あるいは、途中において今申し上げておっても変わる場合もあると、かえって誤解を生むおそれもあります。そういうような意味におきまして、私たちとしては詳しくここに御説明をいたしかねる場合が多いと思うのであります。したがいまして、政府として責任をもって法案を提出いたしました場合においていろいろ御質疑を賜わりたいと思う次第でございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 なるほどわかりました。  それじゃ、もっと原則的なことを聞きますが、かつて日本の紡績産業は設備調整法がございます。この法案が来年の五月ですかに期限が切れるのではないかと思いますが、この時限立法を作ったときに、まあかけ込み増錘と申しますか、認可を得ないやみ紡機として、大体日本に八十万錘あります。これを現在の通産省はいまだに何の手も打てない。あの立法がありながら何の手も打てない理由がどこにあるのか、それを一点伺いたい。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) やみ紡機の問題につきましては、先般も、御案内のとおり、大阪におきまして三社に対して処分をいたした事実もございまして、順次この法律を実施して参りたいと思って努力をいたしておるのでありますが、何分にもそれは十錘、二十錘、五十錘というような小さいものが方々にあったりいたしまして、なかなかそれを調査するのも非常に困難である。そこで、大きいものから順次規制していこうというので、三千錘、四千錘も持っているものを対象にして順次規制をいたしておるのでありますが、まあこの法律というものは、書いておきましてそれを実現しようと思っても、実際取り締まる場合においていろいろな障害があることは、むしろあなたが御承知だろうと思うのでありまして、なかなか困難でございます。しかしながら、われわれとしては、極力やみ紡機はやめるように行政指導もし、また、法律をこういう方面で実現するように努力をしておる次第でございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 そうなりますと、やはり私は心配いたしますことは、今おっしゃるように非常に困難な情勢がある。たとえば、今度の新しいこの特定産業の振興法を作った場合に、あるいは企業の合理化が起こってくるのですが、合併も起こりますし、そういう場合に、五つなら五つに限定してしまった。そうした場合に、新しく自分が勝手に作ろう、こういうことが起こった場合ですね。認可も何もやらずに、あるいはまた勝手に作ろう、そういうことがいわゆる一つのワクにはめることによってむしろ起こってくるのではないか。それよりも、基本的な企業の自由というものを、憲法しにうたわれたその精神で、その点はやはり業界の自主的な強化にまかせたほうがかえっていいんではないか、私はこう思うのでありますが、綿紡の実例から見ても、国際競争力を強化しなくちゃいかぬ、自由化に備えてやらなければならぬとおっしゃるけれども、綿紡の実態からいって、ワクをはめてああいう結果になった。それをまた五つのワクをはめて限定しました場合に、かりに自己資本でやるという人があったら、これをとめることはできないと思う。そういう点をどうお考えになるか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) そういう弱い業種において、もし、これをやらなかった場合どうなるか。やらなくても、やろうと思えばほかの人が新しい仕事をやれるわけであります。今度はこの法律があって、そうしてある程度の安定したものができたということになれば、やはりその場合もあるいは今あなたのおっしゃったようにそれはおれはもうやるのだという人が絶対に出ないとは言えないかもしれない。しかし、もともとこの産業が自由化されたときに、弱い産業、それに対抗できるような産業を損をしてもかまわないからおれはやるのだという人は、これは少ないと思います。しかし、一歩を譲りまして、そういうものができると仮定いたしましても、このままにしておいてできた場合と、それからそういうふうに産業全体を強化しておいたときにできた場合とで、日本の経済への影響力、あるいはまた関係の中小企業者とか労務者に及ぼす影響ということも考えれば、やはりやっておいたほうがいいんではないか、こういう感じがいたすわけであります。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 労働大臣にお聞きいたしたいのですが、この法案は、今通産大臣のお話を聞いていると、まだ意見も十分にまとまっていない、法案自体の内容も多少変わる、こうおっしゃっておるのですが、これは非常に社会的に問題になりそうな大きな問題だと私は思うのです。しかも、企業の転換、あるいはまた合併、こういうものがこの四項あるいは六項にうたわれておるわけです。こういう場合に、合併をするという場合に、労働者に大きな影響があるわけです。そういうことを通産省が今どんどん進めつつあるのに、労働大臣の意見というものは一ぺんも新聞に載ったこともないのですね。一体、こういう重大な問題になぜ労働大臣も堂々とひとつ発表願えないのか、不安でかなわぬですよ、実際問題として。もしそれが進行するということになれば、私はたいへんだと思う。労働大臣はこういう問題についてどうお考えになっておるのか、お聞きしたいのです。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) この法案は、特に国際競争力を培養する必要がある産業につきまして、生産または経営の規模の適正化を通じて産業活動を効率化するための措置を講ずる、そしてその振興をはかるということを目的としているわけでございます。この問題はしばしば経済閣僚懇談会におきまして議題に供せられているのでございますが、聞くところによりますると、この振興をはかるための基準を定めまする際においては、必ず当該特定産業の従業員の地位を不当に害することのないように配慮するという建前に相なっておるのでございまして、したがって、労働者に特に不利な影響を及ぼすような振興策がとられることはない、こういう原則的理解のもとに相談が進められておるのでございます。したがいまして、今日までこの法案が、先ほど通産大臣も述べられましたるごとく、まだ現実に提案するという段階にもなっておりませんので、労働省として特にこれに関して意見を発表する時期ではないと心得ておるのでございます。もとより、労働省といたしましては、今後、ことに法律の実施に際しましては、雇用の拡大、労働条件の維持改善という立場から十分に注意を怠らない考えでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 ちょっと関連。通産大臣と大蔵大臣に関連してお尋ねいたしますが、先ほど来の答弁を聞いておりまして、いつ出すか、どういう内容になるかということがまだ不確定だというお話でありますが、まあそのとおりかと思います。きょうの新聞によりましても、この法案について全銀連の参加を拒否するという態度を明らかにしてきて、そこで宮澤企画庁長官が調整に当たるというようなことも出ておりまするが、すでにこの法案については、先ほど質問の中にありましたように、公取との話し合いで当初通産大臣が所管大臣として考えられた構想が大きく後退しておると言われておるわけです。また、事実そうだと思います。今度また政府あるいは産業界、金融界、三者の話し合いの中でこの法律のねらいを遂行していこう、そういう目的からみますと、銀行の立場からこれに参加しない、こういうことになってきますと、いよいよその法案の実体というものは当初の構想からほとんどなくなってしまう、こう言われても仕方がないと思いますが、そういうような段階に立ち至ってもなおかつこの法律を提案しようとする意思であるのかどうか、これを通産大臣にお伺いしますとともに、われわれは、この問題の調整は、経済企画庁長官でなくて、福田通産大臣が当たるのがほんとうじゃないか、こう見ておりますが、どういうわけでこれが宮澤企画庁長官が調整に当たるのか。ことに、この問題については、銀行側が参加を拒否しておるといっておりますが、大蔵大臣としては、銀行側のこの態度に対して、どのように考えておられるのか。大蔵大臣としては、この法案が必要であるという判断の上に立って、政府としての方針を進めてこられたと思うのだが、今日、銀行側がこの法律に異議を差しはさんで参加を拒否する、こういう態度に対して、大蔵大臣はどのように考えて、あるいは今後どう対処されようとするのか、これを承っておきたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 私は、日本の経済というものが、今日自由化という問題を控え、また、世界経済が大きく動いていくといいますか、発展していく段階、しかも日本経済自体も非常に大きく発展している段階におきまして、この種の法案というものは、あったほうがよろしい、こういう考えで当たっておるのでありますけれども、しかしながら、そういう場合において、いわゆる衆知を集める、ドグマにならないようにいろいろの衆知を集めながら、最善の法案を作っていくという考え方は、私はそれが正しいのだと、こう考えておるわけであります。この問題は、たとえば自由化の問題は、決して通産省だけの問題ではありません。これはすべて労働問題にも関係があるし、あるいはまた、大蔵省の問題にも、外務省の問題にも、すべて関係するといえば全部関係していく問題でありまして、したがって、今までの日本の政治、経済を、ある意味においてずっと変わりつつあるその段階において作っていく、またその方向を差し示していこうというような意味において、重要な法案であると思うのであります。そういうものは、みんなで相談をしてやるのが正しいのであって、これは産業のことであるからといって、通産大臣だけの考え方でやるべきものではない。したがって、経済閣僚会議等においても、皆さんの御意見もそれぞれ聞いていただく、国務大臣の立場においても聞いていただき、また発言されてしかるべきものと私は考えておるわけであります。  なお、企画庁長官が、全銀協の岩佐さんと会われたということは聞いておりますが、それは企画庁長官としては、経済の企画をして、将来の日本の経済の発展の方向をきめるべき一つの任務を持っておいでになる。そうすれば、こういう今回のような法案というものは、将来のそういう問題にも大きく影響があるのでありますから、企画庁長官がこれについて参画をされるということは、私は少しも不思議ではない。われわれとしては、政府としては、どなたが参画されましょうとも、最後において、これが最善の方法であるということがきまったところでこれをきめて、そして皆様方に御審議を願う、こういうことにすべきではないか。こういう考え方で私はこの問題を取り扱っておるわけであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 福田通産大臣から今るる申し述べられましたが、この特定産業の振興に関する法律案は、政府部内でも検討し、経済閣僚会議の議も経たのでありますから、提出をいたす予定でありまして、大蔵大臣としても賛成であります。しかし、まだ法律案の詳細の部面については、政府部内で意見を調整をいたしておる段階でございます。その調整過程において、通産省が——これは最終案でありませんから、これから調整ができるわけでございますけれども、調整過程において出された通産省原案の中に、共通基準を決定いたします場合、業種を選定する場合に、金融機関の代表が参加をすることになっております。これは、金融機関の代表が参加をしないでこういうものがきめられるわけはないのです。また、これは金融機関の代表が入らないで何でもきめるということになれば、もう先ほど御発言がございましたように、官僚統制ということの色彩が非常に強くなりますから、業界の代表、金融機関の代表の意見を聞くことは、これは至当であります。また、当然やるべきことであろうと考えるわけでございます。特定産業の振興というものは、一体何をやるのかというと、大蔵大臣の所管事項に相当関係があるわけであります。企業の合併その他に対して、税金は一体どうしてくれるのか。課税の繰り延べをやるのか、税の軽減をやるのか、特例を認めるのか、こういう問題もありますし、また金融上財政資金を出すのか、民間資金も政府資金とあわせて、適切な投資を決定するのか。全体今まで貸したものに対して、繰り延べその他の特例措置をしてくれるのか。関税の関係を一体どうやるのかというような、大蔵大臣の所管事項が非常に多いわけでございます。でありますから、私も非常にこの問題は、前向きでありますが、慎重に考えなければならないということは当然だと思います。で、金融機関は、当初の原案で意見を聞くということよりも、共通基準の決定等に対して相当強い、また責任の重い立場に置かれるわけでございます。この金融機関の代表というものが、政府関係機関の代表も入り、日銀も入り、地方銀行、市中銀行の代表も入り、相当数が多いということであれば別でございますが、端的に考える場合、全銀協の会長でもこれをさすのか、こういうことになりますと、全銀協とは何ぞやということになりますと、これは全く任意団体でございまして、法律に基づく医師会とか弁護士会というようないわゆる全協会員を拘束するような権限を持っておりません。いわゆる人格のない任意団体でございますので、この代表者が出て、一体そういう責任のあるものをきめ得るのかどうか。きめても、一体拘束力があるのかどうか。こういうことを静かに考えれば、当然どうも荷が重過ぎる、もう少し金融機関全体の責任において参加できるような、意見が吐けるような体制になりませんかということを政府側に申し入れることは、けだし当然のことであります。これに対して、大蔵大臣も了解をいたしております。でありますから、金融機関は現在の段階において、このような重い任につくことは、どうもその性質上むずかしい、こういったことが報道せられておるわけでございますが、これがためにこの法案が提出ができないということではありません。これから調整を考えつつ、この法律案が提出できるような方向に向かってまとめていきたいという考えを持っております。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 大蔵大臣にお聞きしたいのですが、大蔵大臣は、大体今まで御相談を十分受けておられるようですから、財政上、税制上、金融措置のめんどうをみるということになろうと思うのですが、時限立法ですから、かりに企業合理化をやるということ、場合によっては、合併をすれば転換するものも出てくると思うのですが、そういう場合には、その五年間ずっとやはりそういうめんどうをみていくのか。  それからもう一つの問題は、一体中小企業に対しては安定法があるし、今度は特殊産業にはこういう擁護法が出ておるが、その中間にある産業を一体どう考えまするか、これをお聞かせ願いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) この法律は、まだ最終案の決定に至っておりません。現在政府で調整中でございますということは、先ほど申し上げたとおりでございます。ただいまお述べになりましたとおり、自由化に対応しての産業基盤の合理化、強化をはかろうというのでございますから、当然、税制面その他特別な配慮が考えられるわけでございます。まあ税制面で申し上げますと、特定の合併、それから出資につきまして、生産所得等の法人税の課税の繰り延べ、それから登録税について税負担の軽減等を行なわなければならないというふうに、こういう面を考慮をいたしております。それからなお、これらの課税特例は五年間ですから、五年の間は時限立法の存在する限り適用するのかというお尋ねでございますが、この間に承認のあった合併、出資については、まあ一回限りということを大蔵省としては考えておるわけでございます。  それから、特定産業の所要資金の確保という問題もございますから、これらの問題に対しては個々の実情に応じまして検討するということで、今まで法律のない肥料工業等に対しても特段の処置を行なっておりますし、現在、石炭鉱業、また海運企業等に対しても立法して御審議願っておるのでございますので、当然これらの問題に平仄を合わせる程度以上に種々な施策が必要であろうというふうに考えておるわけでございます。中小企業もいい、それから特定産業に対しても相当程度のめんどうを見ておるが、他の残されたものは一体どうするか。これは通産大臣所管の問題でございますが、日本の自由化に対応して産業基盤の強化をはかり、輸出振興第一主義であり、輸出振興の産業に対しては政府は最重点的な施策を行なうということを施政方針演説にも強く申し述べておりますし、予算編成大綱の根幹をなすものとして国会でも明らかにいたしておりますので、これらの問題に対しても、あわせていわゆるへんぱな問題が起きないように、また業種間において格差がこれ以上開くことのないように格段の措置を講じて参るつもりでございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 最後にお伺いしたいと思うのですが、労働大臣に。企業合併、まあ産業は別に確定いたしておりませんが、企業合併だとか、合理化等が行なわれますときに、労働者の転換、さらにまた工場の閉鎖等による産業の転換とか、こういうことが起こってくるのですが、そういう場合には、五カ年の時限立法であります限りにおいては、石炭産業みたいに現在の既存労働条件というものを確保してやる、こういう立場でこの問題をお進めになっておるのか、その点ちょっとお聞きしておきます。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) この法律の施行につきましては、先ほど申し上げましたごとく、従業者に不利な影響を及ぼすことのないようにという基準で施策が行なわれることに相なっておるのでございます。労働条件の切り下げとか、人員整理等、特に労働者に不利な影響を及ぼすことはないという考えでおります。しかしながら、今後ともこの法律の施行に際しましては、先ほどもお答え申し上げましたごとく、労働者の生活の安定あるいは労働条件の向上という立場から、労働省といたしましては万全の注意をいたしたいと思います。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 時間が切れましたから、最後に一つだけ通産大臣にお願いしたいのですが、きょうの新聞では、合繊が今まで入るとか入らぬとかということでだいぶん何回となしに変わってきておるわけですが、もし入るとした場合に、一体その繊維の場合は、需給から見れば繊維のワクに入るし、今度はコストの面から見れば化学に入ると思うのですが、そういう面に対する通産大臣の考え方というものはまとまっておるのか、まとまっておれば御発表願いたい。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 御承知のように、今の問題は繊維工業設備臨時措置法ですか、この法律がございまして、今問題をそこで扱っておるわけであります。したがいまして、これをそういうものに入れたらいいかどうかということはまだ私のところできめておりません。実を言うと、どの業種をやるかということも私実は先ほどお答え申し上げましたとおりきめておりません。これも中に含めまして、まだ最終決定をいたしておらないような事情でございます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 ありがとうございました。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 高山委員の質疑は終了いたしました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次は、渡辺勘吉君。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 私はこの委員会で牛乳をめぐる政府の諸施策について、関係閣僚並びに公正取引委員長にその具体的な考え方をたださんとするものでありますが、あたかも、きょうは日比谷公会堂で全国酪農民総決起大会が、全国の酪農民三千名をもって集会をいたしております。政府が選択的拡大と称する酪農は、酪農に四六時中取っ組んでおりますところの酪農民自体は、むしろ酪農の危機をはだで感じて、きょうの大会に全国からはせ参じておるのでございます。したがいまして、私がただいまからお尋ねいたします事柄については、十分納得のいく、具体的な思いやりのある御回答を冒頭に期待をいたします。  まず、乳製品が畜産振興事業団によって買い上げられておるのでありますが、その買い上げの状況と効果についてお伺いをいたしたいのでありますが、農林大臣、この買い上げはいつから開始し、いつ終了をいたしましたか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 具体的に詳細のことは政府委員から御答弁をさせたいと思いますが、現在までのところ、買い上げの申請——売り渡し申請がありまして、契約と申しますか、そういうものをやりましたのは、たしか十八億七千万円ぐらいだと思います。約九割方は現在までのところで買い上げを完了をいたしておりますが、残りの約一割前後のものが製品の不良なものを取りかえるというので、まだ完了に至っておりません。これはいずれも小さい中小の業者であるわけであります。私は先月中には買い上げの完了をいたしたいと考えましていろいろ督励をいたしたのであります。中小業者の製品の買い上げが最後に残りましたので、それが私の目標どおりにいっておらないというのが現状であります。したがって、これが酪農製品の市価にどういう影響を及ぼしたかということについて、現在のところ、それが非常に有効にその結果が現われたということを、ちょっと現在のところでは申し上げかねるのであります。まだ買い上げがそういう状況でございますから、その買い上げの効果が市価にはっきりと反映をいたしたという程度には至っておりません。

村田豊三農林省畜産局長

○政府委員(村田豊三君) 買い入れの決定を、いたしましたのは昨年の暮れでございましたけれども、御承知のように、畜産振興事業団が乳製品を買い入れをいたしますのは、これは初めての経験でございまして、したがいまして、買い入れの方針の決定後直ちに買い入れの諸般の準備に取りかかりまして、買い入れ要綱の決定でございまするとか、あるいは乳製品メーカーとの打ち合わせでありまするとか、そういう準備は直ちに始めまして、具体的に買い入れの実務と申しますか、事業団が検収をいたしまして最終的な買い入れを決定するわけでございますが、それは二月の上旬から開始をいたしまして、ただいまもまだ実施中でございますが、実施の率は、ただいま農林大臣から御答弁になりましたように、おおむね九割方完了いたしておるような次第であります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 経過の説明がありましたが、非常にマンマンデーであって、しかも、大臣が国会でしばしばこの問題について答弁をしておるものを要約いたしますと、二月で買い入れを完了するということを答弁をしておるのであります。本日の答弁は、二十億という予算ワク、資金ワクを持ちながら十八億の、九割を完了したと。完了というのは、九割が完了じゃなくて、十割をやったときに完了すると、通念的には理解するのでありますが。そういうふうに、非常にメーカーが過剰在庫のゆえをもって、あるいは金詰まりのゆえをもって乳価の一方的な値下げ通告をしたのでありますが、それに対して三月も上旬を過ぎる今日において、いまだ二十億はおろか、十八億の九割程度の買い上げしかないということは、これは、問題はメーカーの希望する申し込みを取ってこういう目標が出たのでありますか、その点はいかがですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 事業団の買い入れは、御承知のとおりにメーカーから買い入れ希望を申し入れることになっております。その申し入れました希望を受けて買い入れる、こういう規定になっておるわけであります。したがって、メーカーが申し入れましたものを買い上げるということで、たしか十八億七千万円ということが契約になっておると思うのであります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 その規定をひとつ説明して下さい。

村田豊三農林省畜産局長

○政府委員(村田豊三君) 畜産振興事業団が指定乳製品を買い上げます根拠規定は、御承知のように畜産物の価格安定等に関する法律の規定にその根拠があるわけでございます。その規定の条文の意味は、畜産振興事業団は指定乳製品の製造業者の申し込みによって、一定の条件が備わった場合に、その申し込みによって指定乳製品を買い入れることができるという規定に相なっておりまして、その根拠規定によりまして、事業団と指定乳製品の製造業者との間で買い入れの打ち合わせをいたしまして、メーカーの申し込みがあって、初めて事業団がその申し込みを受けて立つという取りきめをいたしておる次第であります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 その申し込みによって買い入れを開始したということでございますが、それでは、その申し込みが金額にして二十億であったのか、その点はいかがですか。

村田豊三農林省畜産局長

○政府委員(村田豊三君) 畜産振興事業団によりまする買い入れの方針がきまりまして、直ちに事業団は買い入れの準備を開始をいたしまして、先ほど申しました買い入れ要綱というものを決定をいたしたわけでございます。その買い入れ要綱の定める所定の手続に従いまして、指定乳製品を作っておりまする製造業者からの申し込みの受付を開始したわけでございます。その申し込みの受付が行なわれまして、申し込みの総額が、ただいま農林大臣からお話のありました十八億七千万に達したということでございまして、私どもが大蔵省と打ち合わせをいたしまして、事業団の買い入れの総ワクとしてきめましたものは、御承知のように二十億でございますけれども、その二十億まではもちろんわれわれとして買い入れの用意があるわけでございますけれども、現実の申し込みは十八億七千万に終わったという経過でございます。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 申し込みが十八億七千万であるということでありますが、真にこの買い上げを発動する必要性というものは、かりに畜安法にうたってありましても、私たちとしては現実に正常在庫を上回るいわゆる過剰在庫であるということを、買い入れる側からも確認をし、そうして効率的な運用をはかるべきであると考えるのであります。したがって。その点から見れば、はたしてメーカーが称するがごとく、衆議院の参考意見では、あるメーカーは百億を越す過剰在庫があると言うのです。あるメーカー代表は非常に品薄であるというような参考意見を述べておる。そういう非常にちぐはぐなメーカーそれぞれの考え方、報告の中に、私は前の農林水産委員会でも政府委員にただしたのでありますが、真に過剰在庫であれば、これはまさに畜安法の発動を待つべきものであることは論を待ちません。したがって、その過剰在庫を、政府が行政措置で適切に行なわんとするには、まず前提として酪農振興法の第二十五条にうたっておるところの実態を立ち入りして検査をする。こういう行政上の前提的な責任をまず発揮して、しかる上に、その確認された過剰在庫というものに対してすみやかに買い入れ措置を講ずべきであるということを言うたのでありますが、これは大臣にお伺いいたしますが、なぜそういうふうな、せっかくの財政措置を講じて、これらの業者が言うところの値下げ通告の理由となっておるものの解消に対して、まず前提としての過剰在庫の的確なる把握をやって買い入れの措置を講じなかったかを伺いたいのです。大臣に伺います。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 御承知のとおりに買い入れをいたします条件は、乳製品の価格が安定帯価格を下回った場合に、必要があれば買い入れる、こういうことになっているのでありまして、在庫がその価格に影響を及ぼすことはもちろんでございましょうが、この事業団買い上げにつきましては、在庫の量のいかんが直接の原因ではないのでありまして、製品が安定帯価格を下回る、こういう際に買い入れるということになっておりますので、その法律の条件に従って買い入れを行なって、そうして製品の市価を上向きにせしめて、製品の値段をよくしよう、こういうふうな考えでやったわけであります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 ただいまの御答弁のごとくであるといたしますと、その買い上げを発動した効果が現われたときにその買い上げをストップすべき性格のものだと思うのですが、それをあなたは、十八億七千万買い上げるのだ、メーカーから申し出を受けた、そうして二月末までには買い上げを完了するように行政的な促進の措置をとると国会でしばしば大臣は言明しておるにかかわらず、三月も上旬を過ぎた今日、いまだその九割にも達しない。しかも、その余りをまた買うというようなことは、今、大臣の答弁された市況の回復とどういう関係でそう期限をさらに延長して買い上げをやっているか。その点はどうなんですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) これは期限を延長したわけではないのであります。私はできるだけすみやかに買い上げを完了をいたしまして、そうして製品価格の弱含みを強含みにしたい、上向きにしたいという考えで、できるだけこの買い上げの手続の完了を二月一ぱいにはやりたい、こういうふうに考えて督励をいたしたのであります。ところが、先ほど申しましたとおりに、中小メーカーの製品で不合格品があるわけであります。これは合格品と取りかえなければなりませんので、少しその時期がおくれたというのが、これが現状でございます。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 もっと具体的に伺いますが、最近市況が逐次回復しておりますね。一月に入りますと、もはや脱脂粉乳なり加糖練乳なりあるいは脱脂練乳なり、それぞれが十一月から十月の線まで回復をしておる。これが一月の農林省の発表ですよ。そういうことがあって、なおかつ、まだそういう不合格品云々ということで、十八億幾らというものにとらわれるところに、私が納得がいきかねる点をお尋ねしておるわけです。その点はどうですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 御指摘のとおりに、買い上げまして若干市況が強くなっておることは私も承知をいたしておりますが、まだ全面的にその買い上げの効果が市況に反映をしたというふうには私もまだ考えておらないわけであります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 この買い上げの方針がきまったのは、たしか去年の十二月の二十一日ですね。この十二月二十一日に過剰在庫と称するものを買い上げる方針を決定した。それから買い上げを開始するまでに年を越して通算二カ月以上遷延したという理由は一体どこにあったのか。

村田豊三農林省畜産局長

○政府委員(村田豊三君) 御指摘のように、十二月の下旬に買い入れをするという方針が決定をいたしまして、直ちに発表いたしたわけでございます。先ほども申しますように、畜産振興事業団が、こういう指定乳製品を買い上げた例は、これは初めてのできごとでございまするし、どういう方法で買い入れをやっていくか、全く初めての経験でございました。そのために、この方針が決定いたしまして以来、畜産振興事業団が中心になりまして、買い入れの具体的な要綱なり、細目なりの決定を、鋭意努力をして、十二月の上旬から買い入れの具体的な実務に入るという状況でございました。何分にも初めての経験でございますために、多少手間どりましたことは遺憾でございまするけれども、非常な努力を重ねていたしたことは事実でございます。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 どうもこの買い上げをするということが決定したのは、資金的にも内容的にも決定したのは、十二月の二十一日でありますけれども、メーカーが生産者に対して一せいに値下げ通告をやりました十一月から、私たちは国会において、すみやかにその値下げの根源となる過剰在庫を解決するように、買い上げを実施するように要請をいたして参ったのであります。したがって、十二月二十一日からそういう措置がとられるように、真にこれらの問題を解決するという誠意があるならば、私は二カ月も遷延するということは、最初の仕事であればあるだけ、もっと適切にこれは発動してしかるべきものであったと思うのであります。特に零細なメーカー筋では、金詰まりが非常に大きな問題であったことも大臣御承知のとおりでありますから、これが年を越して、一月も過ぎて二月にもなって、やっと買い上げをするということであれば、すでにこれらの措置は、零細な金詰まりのメーカーにとっては死に金のような結果を来たしているわけでありますので、非常にその点は遺憾だと思います。で、この買い上げの措置は、今までの経過で明らかになったわけでありますが、今度の乳価の一せい値下げというものは、その値下げの時期がメーカーによって共通にとりあげられたということ、及び地域的に値下げの額が同一であるという点、そういうことから考えますと、これは明らかに独禁法違反の疑いがきわめて濃厚であると言わざるを得ないのであります。公正取引委員会は、一般的に考えまして、そうしたような独禁法違反の疑いがあって、審査の申請があるという場合には、これは乳価と離れての御質問を申し上げますが、どういうふうにその申請に対して対処をされるものであるか、それを公正取引委員長からお伺いをいたしたいと思います。

佐藤基公正取引委員会委員長

○政府委員(佐藤基君) 独禁法違反の疑いがある事件がありますれば、私のほうは、これを調べます。調べるにつきまして、職権によって探知して調べる場合と、利害関係人等から調べてくれという要求、俗に申告と申しておりますが、申告があって、それに基づいて調べるのと、二つの場合があります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 ただいまの委員長の御答弁によって独禁法の疑いがあれば、その申請を取り上げて調査に入る、検査に入る、こういう御答弁であります。明らかにこれは、前段で私が申し上げましたように、値下げ時期を共通にし、値下げの幅を地域的に共通にすることは、繰り返しますけれども、独禁法違反の疑いがきわめて濃厚であると考えます。この生乳の引き下げについて、全国酪農民大会実行委員会委員長が一月十日に公正取引委員会の委員長に独禁法違反容疑について審査依頼を提出をいたしたはずでありますが、これを受理されたのかどうか、受理されたとすれば、受理をしてから今日までの委員会がおとりになったその内容について、経過をお聞かせを願いたいと思います。

佐藤基公正取引委員会委員長

○政府委員(佐藤基君) この事件につきましては、今お話しの全国の酪農民団体から申告が一月にありました。また、その後群馬県の酪農民の団体からも申告がありまして、それに基づきまして、公正取引委員会といたしましては、二月十三日にメーカーの工場等十二カ所にわたりまして臨検いたしました。その後、今月の十一日に大手四社の責任者につきまして、さらに事情を聴取いたしましたというのが現状であります。これらに基づきまして、さらに調査を進めたいと思っております。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 この扱いについては、きょうの酪農民大会の決議にも入っておるのでありますが、すみやかにその審査を了して、この結論が適正妥当に、いかなる政治的その他の圧力にも屈せず、迅速的確に処理されることを強く要請を申し上げる次第でございます。  この乳価を一斉に、昨年の十二月十一日から期日を同じくして、大地域的に同じ幅をもって値下げをメーカーが通告をして、その後全国各地にこの値上げの一方的な通告を契機として、酪農界は紛糾に今明け募れておる状態でございます。農林大臣は二月二十二日の衆議院の予算委員会で、先ほども触れた問題でございますが、来月の上旬あたりには私は乳業会社に対して再度復元を要求いたすつもりでおりますと答弁をされておりますが、この再度復元を来月の上旬、三月の上旬には、メーカーに対して再び復元を要求すると言明されておりますが、その三月上旬中に再度復元を要請されたそのてんまつを伺います。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 御承知のとおりに、乳製品の買い上げを決定をいたしまして、メーカー側に対しまして、こういう措置をとるのであるから、将来に向かって奨励金の減額はしないことを約束をしろということ、さらに、できるだけすみやかにこの減額をした奨励金はもとに復するように措置をしてもらいたい、こういうことの申し入れを当時いたしておったのであります。そこで、大体二月の終わりまでには買い上げ完了をしようというめどで督励をいたしたのでありますが、先ほど申し上げたような事情で、買い入れが少し延びておるという現状ではありますけれども、しかし、できるだけすみやかに復元をいたしたい、こういう考えをもちまして、メーカー側を招致をいたしまして、強く奨励金の減額をもとに復するように申し入れをいたしたわけであります。ところが、事重大であり、なお一つには、市況の回復と申しますか、値段の帰趨というようなことも、現在のところまだはっきりとしておるとは考えられませんが、しかし、まあ大臣からの強い御要求でありますから誠意をもってひとつ検討いたします、こういうことで今別れておるわけであります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 どうも、伺うほどに、非常にすっきりしないものを感じることを遺憾と思います。三月十旬には再度強く復元を要求すると言いながら、まだやっていない。その理由は、今大臣は、十八億の九割しかまだ措置が出ていないから、あと一割が引っかかる、しかも市況は必ずしも思うようではないということでは、私たちは一体いつの時点で政府のそういう姿勢を信用していいかわからぬ事態である。かりに中小メーカーの商品が不適確品が多いということで、さらにこの十八億七千万に達するまでの期間がずるずると今後も延びれば、大臣は再度強く復元するということはその間なさらぬのでありますか、どうなんですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 買い入れは、先ほども申しますとおり、全部完了はいたしておりませんけれども、すみやかに復元をいたしたいと考えて、先般私はメーカーの代表を呼んで強く復元を申し入れをしたのであります。ところが、そのメーカー側の言い分は、ただいま申しましたとおりに、買い入れの効果が市況にまだはっきり反映をしておらぬ、したがって市況の帰趨というものもいまだはっきりしておるとは思えません、思えませんが、大臣からの強い御要請があるから誠意をもって検討をいたします、こういう返事であったことをただいま御報告をいたしたわけであります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 どうもすれ違いの答弁で遺憾でありますが、もっと具体的に伺いますが、復元とはいつに遡及して復元をするのでありますか。その点どうですか。大臣のそのメーカーに対する復元という、その遡及の時点はいつをもって行政的に当たっておられるのですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) これは私は、一円あるいは二円下げたその奨励金を、もとのとおりに一円、二円上げるという、これは上げる時点からのつもりで私は話をしております。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 繰り返して伺いますが、この復元というのは、具体的には、十二月十一日から値下げを一斉に通告をしておるのでありますから、十二月十一日の以前に復元をする、そういうふうに大臣は強力にメーカー側に行政的に当たっておる、こう理解していいですか。繰り返すようですが、具体的にこの点を確めておきたい。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) これは、私のつもりは、過去にさかのぼって奨励金の復元をするというつもりではないわけであります。明日その回答を得て、それではもとのようにいたしましょうということであれば、かりにそうであれば、明日から、こういうつもりでおるわけであります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 これはたいへんな問題でございます。私が繰り返し、買い上げ措置をなぜ二カ月間も遷延して今日に至ったかということをお尋ねするのも、これが金詰まりで年の瀬を送るのに困った、その時点に買い上げ発動等がタイムリーに行われれば、これらの復元は十二月に当然行なわれるはずであります。それが二カ月も経過をして、だらだらと買い上げ措置をやっておる。しかも、大臣の今の答弁は、その話し合いがついた時点から引き下げを復元するということでありますが、これはとうてい納得のできない答弁であります。しからば、政府がなぜそういうふうに二カ月も遷延さしたか、この行政責任からいっても、メーカーがかりにその復元の話し合いがついた時点からやるということであれば、それ以前の、十二月十一日までに遡及する復元の差額については、政府としては、行政の責任の上からいっても、これを負担してしかるべきものだと思うのでありますが、その点について大臣の御所見はいかがですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) これは衆議院の委員会におきましても、たしか参議院の農水委員会におきましても、しばしば私が御答弁を申し上げましたとおりに、全国三千の倉庫及び工場があるものから買い上げるのであります。しかも、これは検収をしていかなければならないのでありますから、そう右から左に買い上げはできません、当然一定の期間というものは必要であるということを、しばしば私は申し上げておるのであります。でありますから、この点はひとつ御了承を賜わっておきたいと思うのであります。  それから、政府の責任の問題は、これはしばしば私が今日まで申し上げましたとおりに、審議会において御答申になり、一升五十二円という標準価格を定めました。この五十二円を割った場合におきましては、政府は、これを割らないような財政措置をとるという責任があるわけであります、法令的に。しかし、ただいまの問題は、その五十二円を割ったのではないのであって、五十二円の上にプラス奨励金というものが何円かついておる、この奨励金を減額したということが問題でありますから、ただいまのお話のように、政府がこれを買い上げるために期間を要した、それがためにその間は政府の責任である、こういうふうに言っていただいても、これはちょっと私は筋が違うのではないか。もちろん、私といたしましては、できるだけこういう際でありますから、酪農民の乳価の手取りが減らないように努めることは当然であります。したがって、先ほど来お話のあります買い上げの措置等もとっているというような次第であります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 関連。一つお伺いいたしますが、今の御答弁聞いておりまして、買い入れの期間がだらだらと延びだという行政のまずさが一つ。それから、メーカー等に対して復元について要望した際に、メーカー側は、買い上げをしたことによって価格にまだ影響がきておらぬ、こういうことであるが、せっかくの大臣の要望であるから検討したい、こういうことのようでございます。それに対して、今大臣は、農民のことでもあるからと、こうおっしゃられるなら、一体この買い入れをしたことによってメーカー側の価格に影響を及ぼしておらないということは、大臣、お認めになるのかどうなのか。価格に影響を及ぼさないということであれば、何のために十八億も買い上げたかと、行政効果について私はさっぱりわからなくなってくるのでありますが、そういうメーカー側の意見というものを是認せられるのかどうなのか。そうして抽象的に、農民の買い上げ価格に対して引き上げていかなければならないと、こうおっしゃるのだけれども、どうもメーカーの価格に影響しないということを是認せられるような形でいくというと、これはずるずる引っぱって未解決のまま延びていく。そうして価格には影響なかったのだから、これは農民への引き上げ分についての復元ということは必要ないのだ、こういうことになれば、非常に問題が出てくると思う。  しかも、先ほどの大臣の御答弁を聞いておりましても、これは五十二円以下まで下がっておらないのだから、したがって行政責任を追及されても困るのだと。こういうことになるというと、どこをどういうふうに聞けばいいのだか、われわれははっきり下がることを期待しているのですから、政府は行政責任として、五十二円以下まで下がっていないのだから責任を追及されても困る、メーカー側はせっかく買い上げてもらったけれども価格は下がらない、これでは下がる要素というものはなくなってくるのじゃないですか。上げて前の価格に復元をする要素というものもなくなってくるのじゃないですか。どういうふうに判断されておりますか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 先ほども申し上げましたとおりに、乳製品の市価は、買い上げによりまして強含みになっているということ申し上げた。これは私もそう思っている。ところが、その買い上げの効果がいまだ全面的に市価に反映をしない。したがって、メーカー側の言い分とすれば、どうも乳製品の値段というものの帰趨がはっきりいたしませんというのが、彼らの言い分であります。これは現在の市況を見ますというと、そういうふうにもとれるわけでありますが、私は、これは十八億も買い上げるのでありますから、必ずや市価に好影響を与えるものということを確信をしているのでありますが、そういうことで今ただちに、即座に御返答をいたしかねます。しかし、復元を強く要請をせられるのでありますから、誠意をもってひとつ検討をいたします、しばらく御猶予を願いたい、こういうので先般別れたわけであります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 ただいまの農林大臣の答弁は、はなはだ理解に苦しむのであります。  第一点は、乳製品が政府の保証した価格を下回ったから買い上げをしたのだ、政府委員として局長もそんなことを横から出て答弁しておりますが、二月九日の衆議院の予算委員会で、大蔵大臣は、乳価安定措置によって生産と需要を伸ばすという考え方でこの処置をとったと言っております。いわゆる過剰在庫という事態を解消するために二十億の資金的措置をとったと大蔵大臣は答弁しているのであります。この点があなた方農林省側の意見との食い違いであり、私たちは、過剰在庫を理由にメーカーが一方的に価下げ通告をしたと理解をしている。その点の食い違いは、大蔵大臣とあなたとでは非常に相違がある。  第二点は、同じくこの委員会で、大蔵大臣は、「乳価が非常に不安定の状況になったというので、農林省側から現状に対しての対応策として協議を求められたわけでありまして、大蔵省はこれに対応して、二十億を限度としての買い入れを認めたわけであります。」、「いずれにしても、これらの処置が特定の状態に対処してとられた処置でありますから、以前の乳価が安定乳価であるならば、それに返るようにという目的で支出を認めたことは事実であります。」と、繰り返し繰り返し芳賀委員の質問に対して大蔵大臣が答弁をしているこの一筋をここで読んだのでありますが、大蔵大臣が衆議院の予算委員会で言うたのは、復元というのは、生産者が生産意欲を削減しないように、そのメーカーが一方的に通告したこの時点に復元するという意図の内容の答弁をしているのであります。この点の見解がはなはだしく食い違いがある。われわれ国民は一体どっちを信用すればいいのか。問題は、農林大臣は大蔵大臣よりも農民の立場に立つ行政庁の責任者でしょう。そのあなたが大蔵大臣よりも非常に冷たい。農民の期待からおよそ遠いような感覚で行政的は限りないふんまんを覚えるものであります。大蔵大臣の意見が正しいのか、あなたの意見が正しいのか、もう一回農林大臣の御意見を伺いたい。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) それは大蔵大臣の考えも私の考えも変わっておらないのです。先ほど来申しますとおり、買い上げの発動は、在庫数量がふえたからというので買い上げの発動をするようになっておりません。しかし、安定帯価格より下回るようになるという原因は、これは過剰の滞貨がふえるからそうなるのであります。であるから、買い上げをするということは滞貨が減ることであるから、大蔵大臣の言うことと私の言うことは変わっておらない。そうして、その目的も、つまり買い上げて在庫を減らして、そうしてこのメーカーには原料乳をうんと買わそう、そういうことによってその値段を復元をいたそう、奨励金を減額をしたものを復元しようという、その目的はそのとおりであります。何ら変わっておらないのです。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 どうも変わっていないと言たって、変わっているから問題にしているので、問題は、変わったとか変わらぬという言葉のやりとりではなしに、そういう一方的な通告をもとに戻すというのは、十二月十一日に遡及することを私たちは復元と解釈し、また、そのことを当然の措置として期待をしている。その期待にそむくようなことのないように、農林大臣には、十八億も金を使ってやるんですから、その効果があるような行政的な責任ある措置をとっていただきたいと思います。  値段の点に入りましたから、値段の点について若干お伺いをいたしますが、三十七年の安定基準価格は市価主義によってきめられております。牛乳について、これはまあ豚の枝肉についても同様でありますが、市価主義をとる価格形成が正常に行なわれてきたと大臣はお考えか、どうですか。

村田豊三農林省畜産局長

○政府委員(村田豊三君) ただいまの畜産物価格安定……。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 大臣に聞いておるんですよ。

村田豊三農林省畜産局長

○政府委員(村田豊三君) ちょっと事務的なことでございますから、私から先に答えさせていただきますが、畜産物の価格安定等に関する法律の所定の手続に従いまして、ただいま三十七年度の指定乳製品はもとより、原料乳につきましてもそうでございまするし、また、指定食肉につきましても安定価格が決定をされておるわけであります。その安定価格の決定の仕方につきましては、昨年の三十七年の三月の下旬でございますが、畜商物価格審議会におきまして論議が重ねられまして、その審議会の論議の中には、ただいま渡辺先生御指摘のような市価を、過去の価格を基準にして、それに一定のファクターを考慮に入れてきめるというやり方、それでよろしいという答申、並びに、さらに生産費所得補償方式をとれという御意見、そういういろいろな御意見がありまして、価格審議会の答申といたしましては、これこれこういうふうな意見があったという、そういう審議会の意見をまあ網羅いたしまして答申が行なわれたことは事実でございます。経過の御報告を申し上げました。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 大臣。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) ただいま政府委員から経過を御報告いたしましたような報告のもとで私は決定されたものと考えております。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 私の伺っているのは、その審議会の複数の答申を伺っているのじゃなくて、農林大臣が市価主義をとった昨年のとり方が、正常な取引で行なわれた市価主義であるかどうか、大臣の見解を伺っている。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 農林省の各種の資料に基づいて算定、決定をせられたものでありまして、これは私は適当なものであると考えます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと関連して。  ちょっと前へ戻って恐縮ですが、二十億の資金のワクの中で、今日まで十八億七千万円事業団が乳製品を買い入れて、その効果が上がるのが若干時間的にかりにズレても、それは必要はないことにして、近く効果を上げればよし、もし上げなかった場合には、実際事の起こりは、生産者に適正な価格を維持させるためにこの買い入れ問題というのは起こったわけです。ところが、これは生産者には何らの価格の影響を与えない。メーカーは十八億七千万円で買ってもらって、それは買い入れてもらって、メーカーだけは得をした。政府は十八億七千万円の行政資金を出したわけです。これで終わってしまえば、これは事業団そのものが重大な再検討の対象になるし、政府の行政責任も非常に重大だと思う。したがって、そういう効果が全然期待できないという場合にはどういうことになりますか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) これはしばしば私が御答弁申し上げておりますとおり、これが二つの目的があったわけであります。第一の目的は、当時、さらに奨励金の減額が第二回、第三回と行なわれるおそれがあるという点が非常に心配であった。でありますから、これはさらに第二回、第三回の減額はしないということの約束を取りつけたわけであります。これが第一。それから、第二は、すみやかに復元をすると、こういうことが第二の目的であったわけであります。第一の目的は、すでにこれはその効果を上げたわけでありますが、第二の目的を、ただいま申し上げておりますように、今努力をいたしておる状態でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 関連。そこで、羽生委員も質問しているのは、せっかく十八億七千万かで買い上げた。買い上げたものが、メーカー側は、今価格に影響が現われてきておりませんと、こう言っているわけですね。したがって、農林省はその買い上げをしたならば、価格が維持されるか上がるかして、そして復元することができるんだと、こう考えておったと思うんです。そういう見通しの上において買い上げたと思う。ところが、買い上げたんだけれども、下がったままで価格は推移している、横ばいだ。そうするというと、上がらなかったということになれば、メーカー側からいえば、これは下がったままだから、影響がないんだから復元する必要がない、こういう理屈が出てくると思う。したがって、農林省は、買い上げたならば価格に影響するという見通しのもとに買い上げたわけですから、それが影響しなかったということになると、見通しの誤りだということになるわけですよ。私はそう思う。その見通しの誤りであった責任は一体どうするのか。そういういいかげんな考え方で十八億も金をかけて買い上げたのが見通しの誤りだと思うんですよ、私は。その責任をどう感ずるかということです。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) これは見通しの誤りでも何でもないのです。その目的は、ただいま申しましたとおり、市場は買い上げたために強含みになっております。したがって、というわけでもありませんが、買い上げるときの約束をメーカーに守らして、第二次以降の減額ということは絶対にさせないということで、これは約束を履行しておるのです。そうして第二の目的である減額を復元をすると、一年か二年か奨励金を減したものをもとのとおりにすると、こういうことを今努力をいたしておるわけでありますが、先般のメーカー側の代表と私と会見をいたしました際に、彼らの言うところを私は先ほど御紹介をいたしたわけであります。私は、近く市場に対しても、この買い上げの効果が全面的に反映をするであろうことを私は期待をいたしておるのであります。ところが、現在のところでは強含みではありますが、まあ彼らに言わすれば、市況の帰趨というものがまだ判然しないという彼らは考えを持っておる。しかしながら、再度強く要請をせられることでありますから、誠意をもって検討をいたして御返事しますと、こういうことで別れておるのが現状でありますと、こういうことを御報告しておるわけであります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 大体この問題は、やる前にはっきりメーカーに約束をさしてやるべきものが、火事どろ式なやり方だからこんなだらしがない結果になるのですよ。こういうことに時間をとられては、いろいろ私は乳の問題だけに限っておりますが、まだまだ伺わなければならない問題がありますので、非常に残念ですが、次に進みます。  今、市価主義の点については、農林省で集まったデータを基本にして価格算定の基礎にしたといいますが、基礎も何もないものをとっただろうなどと考えて私は質問しておるのじゃない。そもそもこういう乳価の取引というものは、二時間もすれば腐敗する商品であり、しかも、生産者は非常に個々分散した弱い生産者である。一方は大きい乳業資本と取引をさせられておる。作ったものが買手によって値段をきめられておる。そういう非常に独占資本の中で、隷属された位置づけで取引をしておる過去の取引を中心として、市価主義で算定することは、はたして妥当であると大臣は考えるかどうかを聞いておったのでありますが、なかなか思うような回答もこれは期待できませんから、私はここで新たに伺いたいことは、農業基本法で、前文にも、あるいは第一条にもうたっておることは、農業が経済的に、社会的に、自然的に不利益であるから、その不利益性を補正するということをうたっておる。そういう経済的に特に不利益な農業というものに対して、従来のそういうふうな一方的な資本の側から決定されておる取引の価格を中心として、わずかにその間における変動計数を乗じて出すような、そういう価格が安定基準価格として適切でないことは、これは明らかであります。そういうことを適切であるというならば、農業基本法の中にひそんでおる経済合理主義に徹して、そういう経済的な、自然的な、社会的な不利益を補正するなどという、よろいの上に着せた衣は捨ててもらいたい。もしもその衣がほんとうの中身まで到達した基本法の性格であるならば、その不利益を補正するということは、どういうことがこの価格決定の際に大事であるかということは、これは申し上げるまでもなく、生産費所得補償方式であります。大臣の最もきらいな生産費所得補償方式であります。この生産費所得補償方式によって三十八年度の原料乳価を諮問する御意思があるかどうかをまず伺います。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) そういう考えは私は持っておりません。御承知のとおりに、農業基本法において、農家の所得を、他産業との格差を縮める、そうして生活水準を上げようということがその冒頭に書いてあり、それを目的にいたしておりますが、これは現状のままの農業経営を、そのままでそういうことをやるということは、決して私いいとは理解しておるものでないと思うのです。これは農業経営の合理化を進めるいろいろのことが農業基本法に定められておりますが、それらのことを十分に行なわなければ、第一の目的というものは到達はできないということを示しておるものであると思うのであります。この酪農の現在の経営を見てみますというと、乳牛一頭二頭以下のものが八割であります。この現状をそのままにして、ただいまお述べになりますような生産費所得補償方式でやれなどといわれても、これは私は、そういうことは消費者の方面、あるいは国際的にこれを考えても、酪農の将来というものがそういうものであっては、これは日本の酪農というものは将来伸びていかないのではないかと私は思うのであります。そこで、何といたしましても、これは多頭飼育を前提にして、飼料はやはり七割以上は牧草によって飼育するということは私は酪農経営を持っていかなければならぬと思って努力をいたしております。ところが、現状は今申し上げたような状態であって、言わば過渡的の現在は状態であります。でありますから、この乳価の決定をいたします際におきましても、それらの事情も十分にくんで、そうして妥当な乳価を決定していくということでなければ、私は客観的な合理性はない、こういうふうに考えておる次第であります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 どうも時間がなくて、一々それに入っていくことができないので遺憾でありますが、現に政府が発表したグリーン・レポートにおいても所得格差は拡大してきておる。これははっきりグリーン・レポートに述べておる。農業と非農業、他産業との所得の格差が三十六年は三十五年に比べて拡大してきておる、基本法では生活水準の均衡をはかるということを第一条で言っておる。そういうことに忠実なためには、あなたは今一頭、二頭の少数飼育農家が全国飼育農家の八割を占めておる、それはいつ時点の数字をあなたは言うておるのかわからないけれども、最近では酪農も多頭飼育に非常なスピードで移行してきておることは、これは事実でございます。農家がそういう自分の力で十分努力をしても、なおかつ、他産業の従事者と生活水準の格差が拡大しておるというこの現実を直視して、政策的にこれを均衡するような基本法の趣旨に沿っていくには、まず価格の保障が差し当たり大事な問題で、これはさぼって生活水準が低いのではないですよ。それぞれ与えられた農業の生産に積極的に取り組んでおる。そうしてなおかつ、生活水準の格差が拡大してきておる。そういう場合に酪農を取り上げてみれば、いろいろ基本的な施策はもちろんございますが、それはグリーン・プランにもきわめてその盛り上げた内容は微々たるものであります。従来の惰性の継続であります。こういう点をきょう講ずるには時間がございませんが、そこで、こうしたような事態において酪農家が安んじて、政府が言うような選択的拡大であると称する酪農部門に積極的に取り組んでいくためには、その作った乳の値段が生産費を十分補って、なおかつ投下した労働が他産業に、従事しておる者が受け取っておる労働賃金と同一の評価がえをして所得を保障することでなければ、現実に酪農家の生活水準というものの格差の拡大の解決ができない。したがって、そういう点で私たちは、強くこの三十八年度の価格決定にあたって要請をしておるわけであります。そういう点ができないという理由は、一体どこにありますか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 農業の所得と他産業の所得との開きが縮まっておらないということは、これはグリーン・レポートで報告いたしたとおりであります。しかし、それは農業の所得が倍増計画の計画どおりにいかなかったからというのではありません。農業の所得は、倍増計画に従って大体目的を達しておる。ただ、他の産業が飛躍的に成長をいたしました関係で、そこで、その格差が縮まらなかったということであります。この点をひとつ御認識を願いたい。  でありますので、私どもといたしましては、できるだけその格差は縮めるようにしなければならないが、それを簡単に値段を上げて収入をふやそうという考え方には、私は賛成をいたしかねる。生乳なり牛乳と申しましても、これは商品であります。乳製品ももちろん商品であります。商品のこの性質を度外視をいたしまして、そうして抽象的な値段を、ここに構成をいたしましてやってみても、それは通用しないことなんです、そういうことは。そこの点を十分に御認識をいただきませんと、これは日本の農業というものはまるで隔離せられた農業である。農業経済というものは、一般経済界から隔離せられたものである、こういうことになるのでありますから、そこの点は十分ひとつ御理解を願って、やはり農業経営そのものを合理化いたしまして、そして生産のコストを下げて所得をふやす、こういう行き方に、どうしても持っていかなければならぬと私は考えておるのであります。そういう意味合いからいたしまして、今この乳価の決定にあたって、生産費所得補償方式を取るということは私は賛成をいたしかねる次第であります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 長期にわたる酪農の施策の基本的な方向等は、これは論ずれば時間もきりがないことで、そういうペースで申し上げると、次の問題に入る時間がなくなりますから一切それはカットします。  ただ基本的な方向ということはわかります。わかりますが、さしあたり今与えられた条件の中で酪農に従事しているものが現実に希望を見失いつつあるという事態、そういうものを政治の手で救っていくのが、米と同じように選択的拡大と称する乳価に、これを充てはめて何が不合理でございますか。私はひとしく生産に従事するものの労働価値というものを尊重する政策を取ってもらいたい、それがただ働きになり、あるいは生産費まで食い込むような出血販売をしている今の農業労働者の立場というものを、あたたかい気持で見守っていったならば、従来の一方的な押しつけで取り引きされておった市場価格主義から価格の算定方式を変えて、生活水準が、他産業の従事者のそれと同じような方向にいく価格政策というものを強く取り上げてほしいと思います。  なお、この価格の問題については、特に乳製品の価格と原料乳の価格との関連性が実はないのであります。それで、この前の去年の三月の畜産物価格審議会でも、各委員は酪農製品の価格形成は、やはり原料乳を前提として、さらに加工の経費の平均を取って積み上げ方式で出していくことによって、乳製品の買い上げ措置というようなものが原料乳価に直接価格的な措置が講じられるということを言うていることは大臣も御承知のとおりであります。その際に問題になったのは、生産費の調査のデータが非常に不十分である、並びにメーカー側の加工の調査というものが非常に不十分であるということで、去年の三月三十日に建議をしております、政府に。その建議は、生乳に関する生産費及び加工流通の調査については、政府は早急にその整備拡充に努めるべきであると建議をしておる。それに対して、政府はどういうふうに、これを積極的に取り上げておられるか、その経過を伺いたい。

村田豊三農林省畜産局長

○政府委員(村田豊三君) 昨年の価格審議会の際に、ただいま御指摘のような要望のございましたことは、私どももよく承知をいたしております。従来農林省が乳製品のメーカーから生産費の調査に協力をしてもらっておりますけれども、その調査につきましては、ただいま渡辺先生御指摘のとおり、まず一つは、調査の対象工場数が非常に少ないということでございます。それから調査をいたします際に、乳製品工場はいろいろな乳製品を兼ねて製造をいたしておりまして、バター工場ならバター工場だけが独立しておる、あるいは粉乳工場だけが独立しておるというふうな工場の実態には必ずしもなっておらない。こういう非常に、調査の技術的な条件と申しますか、そういう条件につきまして非常に不備な点が多かったのでございます。  したがいまして対象工場から調査の報告が出て参りましても、その報告を直ちにわれわれの生産費の積み上げ計算の基礎にするということは、どうしてもとても計数的にもできかねるという事情がございまして、昨年の価格審議会でも、さような御意見をいただいておりまするので、私ども今後の工場調査につきましては、そういう従来ネックになっておりました点について、それぞれの立場から、もっと妥当な調査計数が出て参るような方式を打ち立てたいと思って、ただいま検討をいたしている段階でございます。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 どうもすっきりしませんが、この生産費の調査に関連してでありますが、去年は、二月九日に、農林省の三十五年の生乳の生産費調査が出ておる。ことしはまだ出ていない。いつ出るかということです。聞いてみると、印刷はできたが、外部発表扱いは……、まだ掲載になっていない。

村田豊三農林省畜産局長

○政府委員(村田豊三君) 生乳の生産費調査の発表の問題でございますが、私、所管の局長ではございませんが、この種の生産費調査につきましては、関係の局長にも合議があるはずでございますが、ただいまのところ、まだその議が回わって参っておりません。しかし、おそらくもう時期的にも価格審議会を目前に控えておりまするし、切迫した問題でございまするので、間もなく所定の手続きが踏まれるものと心得ております。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 この価格については再度申し上げるのでありますが、何としても生産費の平均を政府は保障し、さらにこれに従事した労働時間を正当に評価をして、そうして農業従事者も、他産業の従事者と同じような所得を保障するということが、米に次いで大きな選択的拡大と称する牛乳については取り上げていくことが、農業基本法に沿うゆえんであると考えます。もちろんこれらについては財源を要することでございますけれども、いつかはこれらの財源は、もっと基本的な施策に投下して、生産費がより低下するような措置も合わせてとっていかなければならないことだと思いますが、その点を今度の審議会には、十分ひとつ意を尽くした審議会として、諮問からその答申に至る間の政府の態度というものを、従来の市価主義から生産費所得補償方式に切り替えることを要請しておきます。  それから文部大臣はまだ見えていないようでありますので、厚生大臣にまず伺いますが、去年の三月十四日に本院の予算委員会におきまして、藤原委員から、すべての乳幼児、妊産婦に一日一合の国内産牛乳を国の責任において無償で給与することを要求し、大臣からはこれに対して、「私どもも積極的な気持を持っておる次第でございますので、お話の問題につきましては、さらにわれわれといたしましても検討してみたいと思って」おりますと、善処を約しておるのでありますが、一年たった今日、これらの誠意を持って検討したその措置が、三十八年度厚生省の行政の中に、どう反映されておりますか、その点をお伺いいたします。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 幼小人口の資質の向上のためには、やはり胎児及び幼小の方々の栄養が最も重要でありますので、厚生省といたしましては、これらの栄養の点に考えておったのでございまするが、また、低所得者が特に手落ちになりますのは妊産婦であるとか、あるいは幼小人口、幼小の方々に手落ちがありますので、厚生省としては、実は三十八年度の予算概算につきましては、いろいろ関係の方面と折衝をいたしたのでございます。しかし、今申しましたように、結果的にはその対象人口、つかまえる対象とか、あるいは配給の方法とか、あるいはまた財政上の問題もありまして、見送りになりましたことはまことに遺憾でございます。遺憾ではございまするが、これは決して厚生省といたしましては、絶望したわけではございません。今後、従来の方法をさらに検討しまして実現を期したいと、かように考えておる次第でございます。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 ついでに厚生大臣に伺いますが、今の食品衛生の法規についてであります。これは非常に牛乳に対して神経質過ぎます。その結果、施設の増大を招いて償却費がかさんで、生産者価格と消費者価格の開きがはなはだしい要因をなしております。大臣は、体牛乳は食品と考えておるのか薬品と考えておるのか、その点を伺いたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) もちろん薬品じゃございません。食品でございます。完全栄養の食品でございまして、従来からも取り扱いがいろいろ、検査等が非常に厳重であるから販路に困るというお話を承っておりまするが、そのためには、いろいろ今の法規の緩和策も出しておるのでございます。したがいまして、そういうことによる不便は私はないと思うのでありまするが、しかし、先般の衆議院の予算委員会等におきましても、そういう御意見を承りました。承りましたから、さらにこの点は検討して、私のほうは、衛生面は十分守らなければなりませんけれども、そのために販路が非常に阻害されるというようなことでありますれば、たいへんでございまするから、ケース、ケースに応じて検討したい、かように考えておる次第でございます。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 この集団飲用については、従来局長通達で、殺菌方法なり簡易な措置が出ておりますが、ほとんどこれは県の段階で守られていない、こういう実態であります。それでこのことがまた、集団飲用促進を困難にしておるのでありまするが、このことを、法規そのものを改正して明確にする必要があると思うのですが、この点について大臣はいかがですか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 集団飲用の場合には、大型容器を使うようなことにはなっておるのでございまするけれども、その点がPRが足りないといいますか、徹底していないので、今おっしゃいましたようなことが、たびたび問題になるわけでございます。しかし、ある県におきましては、大型容器を使っておる県も絶無ではないのでございまするが、しかし徹底を欠いておるということであれば、行政指導をするか、さらにそれで行政指導でいかないということならば、今仰せのとおり、法律そのものにつきましても、もう少し明らかにすべきじゃないか、いずれにいたしましても、この販路の阻害にならないように、集団飲用の阻害にならないように検討したい、かように思っております。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 それでは文部大臣にお伺いいたしますが、三十八年度から計画をしておるミルク給食ですね、これに使う脱脂粉乳は、アメリカのこれは余剰農産物のダンピング品であるということを大臣知っておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。存じております。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 そうであるとすれば、この脱粉に今回の補助三十四億、これに見合う数量が八万五千トン、この八万五千トンというものは、国内の生産牛乳の何割に当たるということで八万五千トンをはじき出したのですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。脱脂粉乳で申し上げますれば、国産の数量は二万トン弱だと承知しております。したがって……。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 生乳で……。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 生乳でございますと、脱脂粉乳と相互換算して比較しまして六割近いものを全部学校給食に頂戴しなければまかなえない分量、そういうふうに承知しております。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 六割というのは、何の六割ですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。国内産業生乳の約六割くらいに相当する分量が、アメリカの脱脂粉乳八万数千トンの輸入量に相当するものと思います。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 非常に大まかな御答弁で残念に思いますが、千三百万石の国産の三十七年の生産牛乳に対して、今回文部省が計画をしておる八万五千トンは、生乳換算五百七十万、国内生産数量の四割四分に当たるわけでございます。で、アメリカを初めとする諸外国は、こういうように日本の学校給食を安定した市場として、余剰農産物の売り込みに懸命でありますけれども、一体こういう国内の酪農で大きな問題として取り上げておる、そのみずからが作った牛乳の四割もこえるようなものをアメリカからそれを買いつけて、どうして一体国内の酪農の危機でないと言えるか、これが非常な問題であります。  この点について、まず学校給食の所管の文部大臣は、どういうように国内の酪農を見た上で、国内生産の四割をこえるアメリカの余剰農産物の受け入れを、学校の給食の対象として来年の計画をしたか、その点を伺いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 国内の酪農振興という角度からとらえます場合は、何としても農林省の所管としての立場から考えらるべき課題だと思いますが、そこで文部省の立場から学校給食ということだけに限って考えます場合、何を考えたらいいかということでございますが、第一は、年間を通じて量的に安定して確保されるということがなければ困ると思います。第二には、父兄負担をふやさない意味合いにおいて、値段はなるべく安いことを欲するわけであります。同時に、カロリーの点で欠けておったのではむろん意味をなしませんけれども、カロリーにおいて一応納得ができ、しかも値段が安くて安定する、それだけの要素が国内産牛乳ないしは国内産の脱脂粉乳で確保できますならば、好んで外国の生産品を輸入して、それに依存した学校給食をやるべきではない、基本的な考え方は、むろんそう思います。思いますけれども、今申し上げた基本的条件において、安定して期待できない意味が残念ながら現存するという状態におきましては、学校給食が実施以来、児童生徒の体位向上の面から非常に高く評価されておりますので、できるだけ早く全面的な実施をはかりたい、こういうことで、今度の予算にも四十億近いものを御審議願っておるような次第でございます。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 文部大臣は、学校給食の脱粉が非常にまずい、そうして、どうもその結果牛乳というものに対する愛着を失っているという事実を御承知ですね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。部分的には、児童生徒の個人的な好みがあることは否定できませんので、そういう意味合いから、必ずしも全部例外なしに好んでおるとは申し上げかねる事情があることは承知いたしております。しかし、これはある程度なれることによって、国内産生牛乳に対しましても、牛乳のにおいをかぐことすらいやだというようなものも、だんだんなれていくうちには、好きになってくるというような傾向もございますから、そういうこともあわせ努力しながら普及いたしますことが、一般的にとらえまして、児童生徒の体位向上に非常に有効である。そういう立場に立って推進したいと思っておるわけであります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 時間がありませんから、そろそろ締めくくりを伺いますが、農林大臣、繰り返しますけれども、国内生産の四割以上が学校給食と称して、アメリカの余剰農産物で、国内の酪農家は非常に大きな不安にさらされておる。農林大臣は、この学校給食をアメリカの余剰農産物で充当して、国内生産の四割を確保すると、非常に大きな問題であるが、この点について賛成したのですか、農林大臣は。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) これは遺憾ながら、ただいま文部大臣の言われましたような事情で、やむを得ないと私は考えたのであります。しかし、私どもといたしましては、今まで並びに将来にわたりましても、国内産の生牛乳を学校給食に充当することは、三十八年度におきましても、その計画を立てております。年間二十二万石というものは、その方面に持っていきたい、こういうことを考えておるわけでありますが、遺憾ながら、現在の日本の酪農の状態におきましては、消費に季節的な変動が非常にございますので、年間通じて一定量学校給食に回すということができない。現在では需給の調節の措置として、学校給食というものをわれわれのほうでは考えて、これを実施しているという現状であるわけであります。したがって、文部大臣の先ほど言われました第一点の理由が成り立つわけである。それから第二の理由の値段の問題でありますが、これは文部大臣としては、父兄の負担を少なからしめる上においてはやむを得ない、こういうことであります。この差があまりにも大き過ぎる、粉乳は、日本の粉乳に比べれば、四、五倍も日本の粉乳のほうが高値にある、生乳を学校給食にする場合と粉乳をする場合との差額というものは、これまた数倍、父兄が負担をしなければならぬということになりますので、全面的に生乳を学校給食に使ってもらいたいということは、私どもとしても申し上げかねるのであります。  しかしながら、国内産の粉乳は高いけれども、これは使ってもらいたいということは、文部大臣に申し入れをいたしまして、目下、いかにしてこれを実施するかということについては、十分な御理解を得て、今、実行しの調整措置を協議いたしておるというのが現状であります。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 消費者米価の値上げをして、大きな財源措置を確保していながら、母子の栄養なり、あるいは乳幼児の保健のための、国内の生乳を、これを飲ませるという厚生省の措置も、全然今のところは現実性がない、文部大臣は、安かろうよかろうということで、アメリカの余剰農産物を、唯々諾々として受け入れて、国内の四割四分に相当する市場に、アメリカの商品を、これをはっきりと据えつけている。農林大臣は、そのアメリカの余剰農産物の、五百七十万石の二%にも当たらない二十五万石程度を、学校給食にやろうと、文部大臣にお願いをしている。酪農振興法の二十四条を大臣は御承知ですか。国内産の牛乳を、学校給食と集団用に、積極的にこれを充当するための施策を講じなければならないというのが、酪農振興法にあるのですよ。そういう法律があるのに、全く主客が転倒して、安かろうよかろうという、日本の酪農に大きな危機を招くような、こういう措置に対しては、政府全体として、これはすみやかに国内産の牛乳を飲ませるような一貫した措置をとってもらわなければならぬと思います。それについては、消費の促進についての積極的な立法措置も必要でございましょう、行政的な措置も必要でございましょう。  私は最後にお伺いをいたしたいのは、三十五年も三十六年も、脱粉あるいはバターを輸入して、その輸入による輸入差益というものが、当時の畜産局長通達によって、業者との交換文書がある。この交換文書によりますると、三十五年度の輸入差益は、大体二億五百万程度の差益が、これは計上されるはずであります。三十六年の輸入差益は約二億三千九百万、これが、その後のいろいろな要素によって金額が修正されて、純粋に政府が、これを消費拡大に使える財源が一体どう政府の財源としてこれが使われているか、その点を、これは時間もございませんから、ひとつ詳細な資料を御提出を願って、これを予算委員会及び農林水産委員会に御提出をお願いしたいのですが、速急これは出していただけますか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) これは、ただいま仰せになりましたように、何か積み立てておいて、消費拡大の運動等に使っているということを聞いておりますが、その資料をひとつ、至急に御提出をいたすことにいたします。

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 最後に、これは各大臣に申し上げるのでありますが、独禁法の疑いがきわめて濃厚である——公取委員長が証言をしている。そういうメーカーの一方的な押しつけの中に、さらにわれわれ国内の酪農の立場からいたしますと、アメリカの余剰農産物が、とうとうとして貿易自由化の形をとって、現実に国内の酪農を圧迫しつつある。しかも、メーカーはナチュラル・チーズをプロセスして、笑いがとまらない二次加工に重点を置こうとしている。政府はこうしたような事態において真に農業基本法に忠実な施策をとるとするならば、きょう私が申し上げたようなことを一片の答弁で事を済ましたということでなしに、よく思いを新たにして、国内の農業を、愛情を持ってひとつ積極的に、あなた方が無理やりに与党の多数をもって、通過した農業基本法に忠実なるためにも、私の述べた点について具体的な施策に反映していただきたい、強くそれを要請して、私の質問を終わります。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 渡辺委員の質疑は終了いたしました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次に、須藤五郎君。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 私は日本共産党を代表しまして、まず最初に、失対事業について質問いたしたいと思います。  当面の不況の中で失業者はますますふえております。八幡では、社外工がすでに二万人も失業したと言われております。炭鉱離職者は三十七年度だけで三万五千百人に上る見込みです。三十八年度には、合理化計画などを待たずに、各社が争って首切りをやるために、四万人も失業者を出すだろうと言われております。ところで聞きますが、昨年一年間に職を失った者の数はどのくらいあるのか、三十八年度どのくらい失業者が出る見込みか、この二点をお尋ねいたします。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 失業対策事業の紹介適格者といたしましては、近年は大体横ばい状態でございます。すなわち、大体昨年から今年にかけまして、全国を通じまして三十四万人ぐらいで、今年におきましても、大体この程度の数を見込んでおるようでございます。政府といたしましては、失対事業その他を通じまして、これらの失対対策適格者に対しまして、月間二十二日の就労を考えておるような状態であります。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 今の答弁によりましてもおわかりのごとく、失業者の数は、最近だんだんと増加するようになっております。   〔委員長退席、理事平島敏夫君着席〕   これは、政府は各産業部門で首切り合理化を奨励し促進しているのだから、当然、そういう結果が生まれると思うわけです。ところが、政府は昨年十月、失業対策制度の刷新改善に関する構想を雇用審議会に諮問しました際に、わが国の労働市場は、いわゆる経済の高度成長に伴い、著しく改善を遂げた、今後においても長期的に労働力需給の改善が一段と進むと述べました。だから、この機会に失対事業の改善をやるのだと言っているのです。確かに、最近数年間に雇用の総数はふえたかもしれません。今後も確かにふえるに違いないと思います。しかし、問題は雇用の中身であります。主としてふえたのは、いつ首になるかわからない臨時工や社外工ではありませんか。また、中学卒業の若い労働者には求人が殺到しているかもしれませんが、職を失った中高年労働者の再就職は、きわめて困難な状態であります。これをもって労働市場の状態が改善されたなどと、どうして言えるのですか。絶対に言えないと思います。むしろ、その逆であります。私がそう言うだけではありません。労働省直属の雇用審議会でさえ、その答申の第二号に、完全雇用に関する答申でこの点を指摘しているのであります。この答申は、一本の失業問題の中心は不完全就業者にあると正しく指摘し、その立場から最賃制確立、最低労働基準の確保、労働時間の短縮、社会保障の充実などの対策を立てるようにと述べております。池田内閣のいわゆる高度成長政策は、一見、雇用を拡大したように見えるし、数字の上では確かにそうなっております。しかし、その中で占める安定した雇用の割合はますます小さくなり、少なくなり、日雇いや臨時工などの不安定な雇用の占める割合がふえ、中高年層は、合理化の中で大量に首切られていく、ここに日本における失業問題の特別な深刻さがあると思います。政府は、雇用審議会のこの完全雇用の答申をどのように考え、どのような対策を実行するつもりか、特に中高年層の雇用を保証する具体的措置をどう講じているか、はっきりと伺いたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 政府は、雇用審議会の意見につきましては、これを十分に尊重し、逐次これを実施して参りたいという考えを持っております。特に今御指摘になりました中高年齢層の就職の困難であるという事実は、政府もよくこれを認めておるのでございます。したがいまして、今後の雇用対策の中におきまして、特に中高年齢層の就労をいかにして推進するかということが大きな問題になっておる次第でございます。政府といたしましては、これがために、中高年齢層を、重点といたしまして、特に職業訓練、職業指導を行なっていく、また、広域な職業紹介を通じまして労働の流動化を推進する、さらに、その就職のために、就職に際しても住宅を確保し、あるいは雇用先を確保するための雇用奨励制度を設ける等、鋭意中高年齢層の失業の解消に努力いたす所存でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 政府は一方で首切り合理化と大々的にやらせながら、他方ではいわゆる広域紹介によって労働力を流動化し、失業多発地帯の失業者を京浜や阪神などの工業地帯に送って雇用を促進するのだと、こう言ってきました。そのために数年来職業訓練やら広域紹介やらに相当の予算もつぎ込んできたと思います。そこで聞きたいのは、このような政府のいわゆる雇用政策によりまして、福岡などのいわゆる失業多発地帯に滞留している失業者が、はたしてどのくらい他の地方に転出し、まともな安定した職業に再就職することができたかどうか。少なくともこれまでの実績に関する限り、きわめて微々たるものだと思いますが、どうか、そうでないと言うならば、はっきりと数字をあげて説明していただきたい。

三治重信労働省職業安定局長

○政府委員(三治重信君) 筑豊地帯に今度の石炭離職者につきましていろいろ対策をやってきておりますが、現在のところ、広域職業紹介でやっているものは約二万人でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 もう少し数をあげて具体的に答えていただかないと答弁にならないと思います。

三治重信労働省職業安定局長

○政府委員(三治重信君) 福岡地区で三十七年度におきまして広域の職業紹介の目標数が三千八百五十名でございます。今後この炭鉱離職者につきましては、離職者の数と、それからその予想と、それの再就職という計画を、地域別に定めていくようにしております。今までの炭鉱離職者の、先ほどお答えしましたのは、炭鉱離職者対策を始めてから今日に至るまでに、広域職業紹介に乗って筑豊地帯から他の地域へ出られた数が約二万人でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 どうも、ごまかしているように思いますが、私たちの調査したところによりますと、福岡県で昨年の末、職安に職を求めた炭鉱離職者の数字は二万七百人、そのうち再就職した者は八千六百人、結局、職がなくて緊急失対に入った者が三千二百人となっております。しかも、再就職した者の大部分は、いわゆる組夫です。離職者と同じぐらい組夫がふえておるのですから、炭鉱合理化とは、炭鉱労働者全体の賃金や労働条件を組夫並みにしようとするものだということがはっきり暴露されておるわけです。  ところで、炭鉱離職者の三十七年度分の再就職の計画はどうなっておるか、お尋ねいたします。

三治重信労働省職業安定局長

○政府委員(三治重信君) 再就職の計画は、公共職業安定所で紹介いたして就職させますのが約二万五千人、その他会社並びに自己就職をされる力が七千八百名と計画しております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 今の数字を聞きますと、会社や政府があっせんにせいぜい努力しましてもなお残る者が多数あるということがわかるわけです。つまり、政府や大会社がどんなに努力しましても就職あっせんができないほど中高年労働者の再就職が困難なことを、政府自身が認めたと考えてよろしいか。三十八年度には、この状態がもっと深刻になることは明らかだと思いますが、どうですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 政府の各年度の石炭離職者の雇用計画におきましては、前年度からの繰り越し人員に、その年度において離職された人員を合算いたしまして、そうしてその年度において就職される人員を引きまして、そうして残りが次の年度に繰り越される、こういうふうな形になって計画ができておるのであります。三十七年度におきましては、大体前年度から二万八千人ばかりの離職者を持ち越して参りまして、そうして三十八年度に発生しました約三万二千人だったかと思いますが、約三万数千名、これを合わせまして、そのうちで大体三万人余りを紹介いたしまして、来年度に一万七、八千を持ち越す、こういう計画になっております。で、なぜ持ち越すことになるかと申しますのは、年度の当初において全員が離職したのでなく、年度末近くになって離職される方も多数ございますので、これらは、手続上、当然持ち越さなければならない数が相当含まれておるわけでございます。しかしながら、中高年齢層の就職につきましては相当の困難があることは御指摘のとおりであります。しかし、先ほど申し上げましたごとく、就職に対するあらゆる施策を講じまして、大体その年度で発生した程度の数は、何とか年度中に片づけるというような計画が現実に立てられ、また実行されつつあるような状況でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 今の答弁で、どうも私が言ったことが正しいということがよくわかると思うんです。このような背景のもとで政府のいわゆる失対事業の刷新改善のための法案が今回国会に提出されました。この法案の基本構想は、今失対に働いている者の中で、働く能力のある者はまともに職につかせる、高齢で働けない者は軽い仕事につかせる、新しい失業者には職業訓練をして就職を促進するなど、こういうわけです。ちょっと聞きますと、いかにもけっこうなことのようにも思われますが、そこで聞きますが、労働省は失業対策制度の刷新改善に関する構想の中で、これからの失業問題に対しては、通常雇用への復帰促進を中心とする雇用対策を重視すると述べております。労働省はこれまで失対の常用化と盛んにいってきましたが、ここではあえて常用という言葉を避けて通常雇用と言い直されているのは何に理由があるのか。この通常雇用とはどういう意味か。日雇いや臨時工もこれに入るのか入らないのか、はっきり説明をしていただきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 従来の失対事業におきましては、失業適格者であるということがはっきりいたしまするというと、無差別にこれを失対事業に投入する、そうして失対事業に入りまするというと、通常の職業紹介の業務から隔絶されまして、常に失対事業の中においてのみ就労させていくというようなやり方をいたしておるわけでございます。   〔理事平島敏夫君退席、委員長着   席〕  このために失対適格者の固定化、老齢化が目立って参り、いろいろな非難が生まれて参ったのでございますが、失業者に対する対策を講じまする以上は、失業者を失業者でなくしていく、すなわち、通常の雇用の場においてできるだけその雇用を促進するということが、当然第一の目標でなければならぬと思うのでございます。かような趣旨から今回の対策におきましては、通常の雇用の場において雇用させるということを原則といたしまして、これはつまり失対事業でなく、一般民間あるいはその他の一般の労働市場における通常の職場をいうわけでございます。  しからば、臨時工、社外工というようなものはどうかということでございます。これは望ましい職場ではございません。できるだけ恒久的な職場につけるのが建前でございます。しかして、この通常の雇用の場にどうしても就職のできない者につきましては、職業訓練その他の就職促進の措置を講じて、できるだけそういう方面に就職させる、その上でもどうしても就職させることができないという場合において初めて今までのような失対事業に就労させるのでありまして、その失対事業も今後は仕事の内容を豊富にいたしまして、その適格者自身の主観的条件に応じてできるだけそれに適合するような仕事を選んでつかせるようにいたしたい、こう考えております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 大橋さん、なかなか苦しい答弁だと思うんですが、もっと率直に言っていただきたい。通常雇用の中には日雇いや臨時工も入るのかどうかということですが、入るなら入るとおっしゃって下さい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 今われわれの考えておる通常雇用の場の中には入らないわけでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 じゃ、絶対入れないという、さっきの話ですと、入れないのが方針だけれども、万やむを得ない場合には、臨時工、社外工にも入る、こういうふうな御答弁だったと思いますが……。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 御承知のとおり、日本の雇用の慣行といたしまして、常用工でありながら名目的には臨時工というような名称を付されている場合もございます。また、見習い工的なものを一時臨時工という名前で呼ぶ場合もございます。こうした職場は常用工が一つの過程でございまするので、これが将来常用工になるということがはっきり見通しがつきました場合においては、そういうところへ紹介することもあり得るわけでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 今の答弁によりますと、通常雇用というものの中には、やっぱり日雇いや臨時工のような不安定な職業も入るということが大体わかってきたわけです。つまり通常雇用には、失対以外のどんな雇用も入るということに結果的になると思うのです。そこで、あらためて言うまでもないことですが、失対労働者の諸君は、何も好きこのんで失対にいるわけではないのです。まともな職がないから失対におるわけです。だから、ほんとうに働ければ、食えるまともな安定した職につかせるというなら、だれ一人反対するものはいないのであります。だから、班に全日自労は、臨時工や日雇いでなくて、最近の賃金と労働条件が保証され、万一失職したときには、失対に戻れるという内容の五項目の条件さえ保証されるならば、雇用促進に賛成だと、こういっておるのを御存じでございましょう。ところが、今の答弁でも明らかなように、政府は、雇用を促進しようというのが、まともな職だという保証は全くないんです。これでは、政府の言うなりに失対をやめて転職してみた、ところが話が違って、失対よりも低い賃金で、ひどい労働条件で働かされ、がまんができなくなったからまた失対に戻してくれといっても、もうだめだととびらを閉ざしてしまう、こういうことがみすみすわかっておるのに、失対労働君諸君が賛成しないのは当然ではないでしょうか。この点、政府はどう考えておりますか。今、失対よりも低い賃金で働かされておる労働者の数は全国でどのくらいあるか。失対をなくそうというなら、まず失対よりも低いべらぼうな低賃金をなくすこと、そのために最賃制を確立、することが先決ではないでしょうか。また、働けなくなった労働者が安心して余生を楽しめるようなまともな社会保障を確立すべきではないでしょうか。そういうまともな社会保障があれば、よぼよぼの老人が炎天下に土方をしないでも済むということは、自明なことではないでしょうか。厚生大臣、労働大臣の御答弁を願います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 先ほど来申し上げましたるごとく、政府の考え方といたしましては、日雇い、臨時工というような、実質的に安定しない職場へ失業適格者を回すという考えは全然ございません。また、賃金等につきましても、失対事業以下の賃金のところへ紹介するという考えはございません。また、一たんそういう常用工的な職場へ就職された場合におきまして、何らかの事情でまた職を失われた場合におきまして、失対事業に復帰されるということを拒む考えも毛頭ございません。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 老人のみならず、働けない人に対して、最低生活をするためには生活保護によって保護しておるのでございまして、老人といえども、働ける人には、その分に応じてやはり働いていただかなければならぬと思います。ことに老人は福祉年金もありまして、そういう意味においては特別な保護を加えたければならぬと思っておる次第でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 時間がありませんから、あんまり突っ込んだ質問はできませんが、厚生大臣は今の老人に対する手当で老人が安心して生活していけるだけ金をもらっていると思っているんですか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 生活能力のない人には生活保護法で保護しておるということでございまして、それ以外に福祉年金等をやっておる。福祉年金によって生活できるという意味ではございません。働ける方にはやはり働いていただかなければならぬと、こういうことを申しておるわけでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 これまでの政府の答弁を聞いておりますと、政府のいわゆる失対事業の刷新、改善なるものが、一見もっともらしく見せかけてはおりますが、その内容において結局は失対事業の打ち切りをねらったものであることがますますとはっきりといたしました。政府と独占資本家はこう考えておるのでしょう。失対というものがあるばっかりに、失業者がここにたまってしまって、ちっとも流動しない。おまけに、組合を作って、要求を持ち出す。賃金も相当上がってきた。政府や地方自治体も金がかかってしょうがない。組合もない中小企業の労働者や臨時工のほうがむしろ失対より低くなっている場合が多くなってきた。したがって、これ以上失対を続ければ、安い賃金でこき使える労働者を自由に手に入れるにじゃまになるばかりだ。だから、全産業にわたる首切り合理化の重要な一環として、どうしても失対をやめてしまえというのでしょう。しかし、失対を打ち切るしはっきり正面に出しては、とても反対を押し切れない。そこで、迂回作戦をとり、当面は失対を残しながら、改善の名で三分化を実施していけば、四、五年後には事実上失対労働者がいなくなってしまう、これでいこうというのが政府案の正体だと思います。しかも、政府は、法案の審議も始まっていない現在、すでに現場ではこの案を実際に実施しつつある。失対事業の正常化という美名で、労働組合の既得権を次々に奪っている。適用のワクをますますしぼり、あるところでは肺活量が三千八百以上なければ失対に入れない。これは自衛隊の採用条件以上だと言われます。また、現場に暴力団や警察官まで入れて労働者を弾圧するというような事例が、ここに一々あげませんが、至るところに起こっております。東京では、世田谷などにおいて、暴力ざたがひんぴんと起こっておるわけです。そうした中で、労働省は、去る二月二十二日、「三十八年度失対事業計画及び失業者吸収計画の策定について」という通達を出して、法案も通さないうちに実施の準備を進めるよう指示をしました。これは明らかな違法行為であり、労働大臣の責任は重大だと考えます。さっそくこれに抗議した社共両党、全日自労代表の要求をいれて、労働省はこの通達を取り消したといいますが、政府がいかに失対打ち切りをあせっているかは、この一事をもってしても明らかであります。このような通達を受けて、失対労働者との摩擦を苦慮した浜松の職安の労働課長、永田象一、五十七才は、ついに自殺を遂げました。こういう悲惨な事例さえ起こっているのであります。そればかりではありません。政府のこうした既成事実作りのために、大阪、奈良、川崎などでは、失対復帰をはばまれたり、手帳を取り上げられたりしたために、入水したり首つりをしたりして自殺した労務者がすでに起き始めておるわけです。政府はこのような事態について責任を感じないのかどうか。失対事業の正常化なぞの名目による失対打ち切りの既成事実作りをすぐやめるつもりがあるかどうか。法案成立前に実施の準備を行なうような違法行為を今後は絶対にしないと約束することができるかどうか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) ただいま須藤委員から、今度の失対事業の改正の考え方は政府や資本家の考えではないか、こういうふうな御質問でございましたが、このたびの失対事業の改革についての要望は、政府が思いついたことでもなく、また資本家から要求されたことでもございません。この問題は、御承知のごとく、実際現地において失対事業を管理しておられ、また失対適格者の日々のお世話をなすっておられまする全国の市長からの要望であったのでございます。そうして、これらの全国の市長の背後には、労働者、農民、中小企業者を含むところの多数の一般の善良なる市民諸君の意思が含まれておったのでございまして、政府といたしましては、これらの事情を勘案いたしまして、現段階においてこの失対事業の改革に踏み切らざるを得なかったというのが、この失対事業改正を打ち出すに至りました実際の理由であるわけなのでございます。  次に、法案が成立しておらないのにもかかわらず、実際上法案の成立を前提としたような行政措置があったではないかという御指摘でございますが、この点は、私どもも、先般労働組合より知らせてもらいまして、そういう実情があったということを知りまして、びっくりいたしたのでございます。これは全く事務上の手違いでございまして、当時私も率直にその旨を申し、直ちに取り消しの措置をとったような次第でございます。  それから、その次に、この浜松の公共職業安定所の労働課長の永田象一君のなくなられたことにつきまして、これが失対事業の改革と関係あるやの御口吻でございましたが、これは御本人が神経衰弱になっておられたようでございますが、その原因は不明であります。そうして、御家族の方々は、いろいろ事情を申し立てられました後、とにかくこれ以上家族としてはこの問題をせんさくしてもらいたくないということを申しておられたことを付言いたしておきます。  なお、失業適格者が今度の改革に関連して入水自殺をされたというようなお話をされましたが、私どもはさような事実はないと信じております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 そういう事実は全国にちゃんとあるのです。私はその例をきょうここで披露する時間がありませんから、披露できませんが、私は事実に基づいて言っているんです。  それから、労働課長の死の遺書の内容もあるわけでございます。やはり、非常に苦慮して、そうしてノイローゼになって、松の木で首をつって死んだ。その遺書がここにあるわけです。だから、あなたのおっしゃることは、詭弁だと私は考えます。  時間がありませんから、最後に参りますが、最後に私はどうしても言っておきたいことがあるわけです。池田内閣の最近の労働行政は、一から十まで全く日経連の言いなりになっているではありませんか。賃金問題にまでくちばしを出して、職務化を推進するという。職安行政でやることといえば、技能工と低賃金の臨時工を大企業に供給してやることだけで、労働者にまともな安定した雇用を保障しようなどということは全く念頭にないように思われます。しかも、一方では、労働運動を制約し抑圧することに積極的になってきている。こういう労働行政を国家権力をかさに着て押しつけようというのが池田内閣のやり方だと考えます。日経連を初め、独占資本の下請機関となり、労働者と労働運動を抑圧し、統制することを任務とするような労働行政は、全く反動的なものだと言わざるを得ないのであります。政府はこれでいいと思っているのかどうか、労働大臣の見解をもう一度ただしたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 繰り返して申し上げますが、労働課長の自殺の原因は、この問題とは全く関係ないと考えておりまするし、また各地で失対の関係者が自殺した、それが失対改革の結果であるという事実は全く無根であることを繰り返して申し上げます。  最後に御質問のありました、日経連の意向に政府は引きずられつつあるということでございますが、私どもは失対の問題につきまして日経連の意向を聞いたことはございません。また、賃金の問題につきましても、日経連がどうこうという問題ではなく、これは池田内閣といたしまして、所得倍増という経済政策——池田内閣の使命でございますこの経済政策によりましてわが国の経済の成長を推進していくしにおいてどうしても必要である、またどうしてもしなければならぬという政策を労働省としては常に頭に置いて推進をいたしておるつもりでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 大橋さん、ごまかしてはいけませんよ。現にこの失対打ち切りこそ、まさに池田内閣のこのような労働行政の集中的な現われではないでしょうか。このような政策を直ちにやめることを私は要求いたします。先ほど、浜松労働課長の死が絶対これと関係ないと、こういうふうなお話ですが、松の木の下にあったオーバーに遺書が発見されたわけですが、遺書は浜松職安所長あてのもの、内容はすべて業務上の問題が書かれていたわけです。遺書によりますと、労働省の通達の三十八年度事業計画、失業者吸収計画の策定についての報告を指示されていることについて、それを執行する段階での混乱が想定され、報告書作成のための三分化計画について極度に苦慮していたということがわかっておるわけです。だから結局、この課長が死んだことは、労働省のあの通達を苦にして、その苦慮したあまり死に追いやったということが私言えるんだと思います。  次に、私は、通産大臣、大蔵大臣、外務大臣に対しまして、東西貿易につきましていささか質問をいたしたいと思うのであります。東西貿易の規模は年間四億数千万ドルに達し、これを基礎にしてさらに飛躍的に発展する見通しである。しかし、これはすべて民間の力と、ソ連、中国を初めとする社会主義諸国からの努力によるものであります。政府は、東西貿易について、政経分離である、アメリカの意向に左右されることなく前向きの姿勢で取り組むと言ってきましたけれども、一体どれだけ積極的、具体的施策をやってきたというのか、何もやっていないではありませんか。まずその点をお聞きいたしたいと思います。外務大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 政経分離の立場に立ちまして、可能な限りは共産圏との貿易も推進していくという基本の方針を堅持しておるわけでございます。で、これに対していろいろ御批判がございましょうが、しかし、私のほうといたしましては、可能な限り貿易というのは究極においてバランスを見なければならぬということでございます。同時に、日本以外の第三国が共産圏と行なっている貿易の条件というようなものを頭に置きまして、日本が不当に遠慮する必要もなければ、といって日本が特に共産圏貿易に力を入れていくということでもなく、いわゆる世界並みのおつき合いをしていこう、こういう考え方でございます。同時にこれは、輸出金融の問題につきましては、共産圏へ非常に信用供与がふえますと、ほかのほうが迷惑をいたしますので、そういったバランスもよく見てやっておる。それがいわゆる可能な範囲におきまして極力進めて参るということで、したがって、実績から見ましても、逐年相当の増進を見ておると思っております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 いつも同じようなことばかり私たちはお聞きするわけですが、そんなごまかしと言いわけはもはや通用しなくなっているんじゃないでしょうか。政府のやったことといえば、民間業者、国民から突き上げられて、あとから認めただけではないでしょうか。事実は全く逆ではありませんか。前向きどころか、国民の希望、ソ連や中国の努力に全く背を向けて、はっきり言えば、妨害ばかりやってきただけではないでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 評価は御自由でございますが、私どもは私が申しましたような方針で逐年充実していっておると考えております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 ソ連向けのパイプの輸出問題につきまして、政府は一体どんな態度をとっておりますか。アメリカの日本に対する要求やNATO理事会の決議に屈服して、輸出を押さえているではありませんか。その言い分は、もっぱらアメリカや西ヨーロッパ諸国の政策と歩調を合わせるということでありますが、一体NATOの理事会の決議というものはどんな内容のものであるか、ここで明らかにしていただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) NATOに日本は参加いたしておりませんので、そのNATOの決議というものを日本政府が申し上げるということは差し控えさしていただきたいと思います。  それから、政府が不当に業界を抑えているじゃないかということでございますが、これはもう本院におきましてもたびたび申し上げておるわけでございまして、私どもといたしましては、NATOがどう決議いたしましょうと、日本が加盟いたしておりまするココム協定の改定ということになりますと、日本はそれに加盟国として縛られるわけでございますけれども、現在はそういう段階に至っていないわけでございまして、日本政府が業界を抑えようといたしましても、そういう抑える権限はないわけでございまして、したがって、この問題は業界の判断に待つという以外に方法はないということでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 なぜ言えないのですか。公表できないというのは、日本の国民に知られては困る内容だからではないでしょうか。日本の外交経済政策の根本に触れる問題だから、重ねてお尋ねしますが、はっきりとNATOの理事会の決議というものの内容をここに国民の前に示していただきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは外交の礼儀の問題といたしまして、他の国のことはそちらの御了解を得ないと申し上げられないということでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 言えないというのは、その内容が、実はアメリカを中心とした国際石油カルテルの陰謀であり、またケネディの冷戦政策に従って、戦略物資を禁止するという口実で、社会主義諸国との経済交流をさえ抑圧しようと意図しているのではないでしょうか。もしそうでないというたらば、公表できないはずがないではないですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういうのが礼儀だと思うのでございまして、先方の御了解を得なければ、日本が加盟していない国の結成している決議内容を日本が発表するなんということは、非常に非常識だと思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 ほんとうにそれだけの理由ですか。外交上の儀礼ということですが、それなら、日本の政府はそれに対してどういう態度をとられたのかということをもう一度伺っておきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日本政府としては、NATOの加盟各国に駐在する大使館に、このいわゆる決議なるものがどのようにその国々で受けとめられておるかというような点につきまして、大使館の見たところを聴取したことはございますが、それ以上のことはいたしておのません。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 外務大臣、もしそうだとしたら、何もそれにこだわる必要はないのではないでしょうか。むしろ、ソ連との商談をさらに大きく発展させるために力を入れるべきではないでしょうか。ましていわんや、イギリス、西ドイツ、イタリーでさえ、そんな決議に従っていないのであります。また、ココムにさえ下手に縛られないぞと言っているではありませんか。イギリス政府は、ソ連石油とのバーターでパイプ輸出をやり抜くと、きっぱりとアメリカに申し入れております。西ドイツやイタリーの政府も、アメリカの干渉に抗議しているではありませんか。だから、日本は、パイプ輸出はもちろん、戦略物資などという口実でアメリカやNATOが押えてくるようなことがあっても、それをけ飛ばして、大々的に商売を進めるのが私は当然だと思うのです。そのために努力することをここではっきりと言明していただきたいと思う。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 政府が抑えることができる立場にないということは、先ほど須藤さんに申し上げたとおりでございます。そして業界の判断にまかしてあるということでございますので、NATOの決議にとらわれてわれわれが不当な干渉をしておるというようなことは、あなたが御指摘のような事実はございません。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 どうもはっきりした答弁が得られないことは残念だと思います。やるかのごとく、やらざるかのごとく、アメリカやNATOの干渉や妨害をけ飛ばすかのごとく、け飛ばさざるかのごとく、全くあいまいもことしております。政府は、こういうあいまいな態度をとっている裏には、ケネディの社会主義諸国に対する冷戦政策、特に中国封じ込め政策に積極的に加担しようとする意図が隠されていると言わざるを得ないと思います。  昨年末、ケネディが、日米貿易経済会議の昼食会の席上で、中国封じ込めに日本の参加を求める演説を行なってから、日本の東西貿易に対するアメリカの干渉と妨害が一そうひどくなってきております。これは、まじめに物事を見ている人なら、だれも否定できない事実であります。政府は、アメリカのこういうやり方をどう考えているか。また、そういうアメリカの干渉や妨害を排除するためにどんな積極的な措置をとったか、はっきり示していただきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 何か、アメリカから干渉や妨害があったという前提で立論をされておるようでありますが、そういうことは全然ございません。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 それなら、貿易の実務の面で具体的に質問することにいたします。そうすれば、私の言ったことがもっとはっきりすると思うのです。  第一に、日ソ貿易についてであります。  日ソ貿易については、政府間協定の実施さえ消極的ではありませんか。まじめに実行しようとしていないではありませんか。このため、協定の実施にさえ重大な障害を作っている。昨年河合ミッションがソ連に行った際、松原造船工業会会長が契約してきた造船契約三十五万総トン、条件は三〇%の頭金、期間六年の延べ払い条件を政府はついに認めなかったではないですか。さらに、新たな船舶二十隻の受注については、四〇%、五年というばかげた条件を出し、商談は暗礁に乗り上げております。政府は、今後も頭金三〇%、六年払いの条件を絶対に認めないつもりか。もしこういうことを押し通すなら、二百五十万総トンから三百万総トン数の能力を持つ先行きの受注に大きな不安をかかえている日本の造船界には、重大な影響をもたらすことははっきりしております。運輸大臣、通産大臣、はっきりした答弁を願いたいと思います。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) わが国の造船所技術者が、昨年夏以来、ソ連向けの各種の船舶につきまして輸出の商談を行なってきたというのは事実であります。うち、幾つかのものにつきましては、すでに技術の折衝も終わり、船価とその支払い条件について目下検討中でございます。現在の問題点は、現在わが国造船所が、船価の支払い条件として、従来どおり七〇%、六年払いを認めるということにつきまして、今考慮中でございます。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) ただいま運輸大臣がお答えをいたしたとおりでございまして、われわれとしては、前向きに問題を解決したいと思って考慮をいたしておる段階でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 通産大臣は、きょうの新聞に出ておりました船の問題、造船の問題で、運輸大臣が総理大臣に交渉中だという記事が出ておりましたが、それに対してどういう態度をとっていらっしゃるか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 私、新聞の内容を詳しくつまびらかにはいたしておりませんが、いずれにいたしましても、そういうような、今、造船に関する交渉が行なわれているということは承知をいたしております。そこで、そういう場合において、まあこれは商談でございますから、できるだけお互いが都合のいいように話をするのは、これは私は当然だと思う。何も、われわれは、ソビエトだからまけてあげるとか、アメリカだからまけてあげるとかという、どっちにもまける必要はないので、できるだけ工合がいいようにやっていくのが商談だろうと思っております。しかし、できるだけ商談がまとまるように努力をするという感触で問題を処理して参りたいと思っております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 ヨーロッパ諸国は、八年以上の延べ払い条件でどしどし貿易をやっているのです。このような状態の中で、日本政府だけが一五%の頭金とか、三〇%の頭金とか、六年の条件さえけ飛ばすようなことでは、一体日ソ貿易を前向きに拡大する意図があるとはとうてい言えないではありませんか。だから、もっと前進する態勢でお話を進めていってもらいたいと思うのですが、通産大臣、もう一ぺん……。外務大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) もしそういう事例がございますれば、どこの国でどういうケースで、どういう条件でやられているかということをお示しいただきたいと思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 政府が押えているのは造船だけではないのです。化繊プラントも同じことです。さらに、チタニウム合金鋼に至っては、せっかく契約できたものを政府は全面的に禁止しているではありませんか。政府が禁止した理由はどこにあるのか。理由をはっきり示してもらいたい。チタン合金鋼は、戦略物資ではなく、ソ連では化学装置用、高温高圧ボイラー用にする。要するに、平和的に使われているものです。現に、昨年日商はソ連へ輸出した実績もある。それを今回は禁止したわけです。なぜ禁止したのか、はっきりと理由を言ってもらいたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) チタンはココム・リストに載っていると承知しております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 通産大臣、どうですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) ただいま外務大臣がお答えいたしましたとおり、チタンの問題は、ココム物資になっております。その他の問題は、われわれは承知いたしておりません。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 チタンをソビエトに輸出した実績はあるのです。今度、百五十トン欲しいといったときに、アメリカの圧力に屈して、それを輸出をとめているという事実があるわけです。事実がないならないと、そうして、ソビエトの注文に対してチタンの輸出を認めるかどうかということをはっきり答えてくれたらいいのです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) チタンはココム物資でありますから、認めておらないわけであります。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 特認で出しておったのです。それを、何で今回に限ってとめるか。ソビエトは軍事用に使わないのです。平和産業に使うわけです。それをなぜとめる必要があるか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) その件は、今ココムで審議中だと聞いております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 このように、パイプの輸出は抑え、そうして延べ払い条件は西欧諸国以下に押え、さらにチタニウム合金鋼のような、平和物資に使われるもので、去年輸出したものさえも理由もなく全面的に禁止したのは、池田内閣が決して前向きに自主的に日ソ貿易を進めようとするものではなくて、アメリカの圧力に屈して日ソ貿易を押えようとしている現われと言わざるを得ないのであります。もう一度、政府のはっきりした見解を聞きます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 御承知のように、日ソ間の貿易は年々拡大いたしておりまするし、去年末からことしの年始にかけて貿易協定もでき上がって、日本ばかりでなく、ソビエトもたいへん御満足されておるわけでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 次に、日中貿易について聞きたいと思います。昨年、高碕、廖両氏による日中貿易の覚書が調印され、また、ことしに入って、日中友好貿易団体と中国側との間に日中貿易議定書が作られました。これは、アメリカが中国封じ込め政策への加担を日本へ強要し、日中間の貿易に対し直接間接の妨害と干渉を強めている中で、民間業者や国民みずからの努力によってかちとった成果としてきわめて大きな意義を持つものであります。現在、日中貿易は、この二つの方式で進められており、成果もあげております。  そこで私は政府に聞きますが、政府に高碕・廖覚書の線に沿った貿易を全面的に支持して、たとえば延べ払いについても、西ヨーロッパ並みなどということではなく、日本独自の立場に立って、それを越え、可能な限り促進するための具体的な措置をとるかどうか、第一に聞きたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) その問題は、御承知のように、延べ払いということは、中国に認めれば、その中国の場合は御承知のようにあと払いですけれども、そうすると、よその国もやっぱりみんなそれを認めていかなければならぬというような問題が起こります。これは、何もイギリスとかアメリカとかいうのではなくて、いわゆる後進国については全部同じような条件でやるということになります。そういうことになりますと、日本のいわゆる経済力がそれに十分対抗できるかどうか、いわゆるそれにたえ得るかどうかという問題等もございますので、そういう点も含めて慎重にわれわれとしては処置をいたして参りたい、こう思っておるわけでありまして、これがいわゆる延べ払いといいますか、普通の延べ払い方式といいますか、二年もあとのあと払いということになりますと、ちょっと例がないわけであります。そういう例のないことを、民間でだけでおやりになるというのは、これはわれわれとして何ら言うべき筋ではございませんけれども、そこまで踏み切っていいかどうかということについては、やはり慎重に検討をしてみなければならぬ、こういう考え方でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 日中友好団体が中国側と結んだ日中貿易議定書及びその覚書、これを完全に実施すること、これこそが、平和共存の精神に基づき、日中両国と国民の希望と要求の上に立って両国の貿易を発展させるための基礎になるものであると考えます。政府は、この議定書と覚書を支持し、これの実現に協力する意思と用意があるかどうか、伺いたいと思います。  かりにも、政府が、これを政府のあずかり知らぬことで、民間の友交商社や団体が勝手に中国側と取り結んだものであるから、政府は何の責任も持たない、協力をしない、というような態度をとるとするならば、これこそまさしく、池田内閣が口に平和共存を唱え、日中貿易は自主的に前向きで進めるなどと言っても、みずからそのごまかしを暴露するものと言わざるを得ない。私は、政府がこの議定書、覚書の実現をかりそめにも押えることは許されないばかりか、積極的にこれを支持し、援助するのは当然であると思います。やるかやらないか、この席ではっきりと言明することを私は求めます。政府の見解はいかがなものですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 民間ベースで貿易を進めていこうということで、民間の協定とかというものについてはできるだけ尊重しなければならぬと思います。特に政府にかかわるもの、たとえば延べ払い条件ということになりますと、通産大臣が言われたとおり、政府側で全体として考慮しなければならぬ問題がございます。その限度におきまして政府がイエス、ノーと申すことは当然でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 池田総理は、日中貿易を拡大しようとしても、日本は中国から買うものがないから——先ほど通産大臣もそういう意味のことをおっしゃったように思うのですが、中国から買うものがないから発展しないのだと、しばしば言っております。高碕・廖協定及び友好団体の議定書が結ばれ、その基礎の上にさらに発展させようという機運が盛り上がっているときにも、この考え方が変わらないのかどうか、聞いておきたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 高碕さんがおきめになってこられた協定の内容を見ましても、さしあたり買うべきものは非常にこっちのほうが少なくて、こっちが輸出するほうが多いのでございまして、そのときにも、できるだけ何かないだろうかというので、高碕さんもだいぶお骨折りなさったようですが、どうもうまい品物がないというので、ちょっと全体の均衡からいうと、あとのほうになって日本が輸入する、こういう形になっておるのでございまして、私は、今、日本がさしあたり買うべきものはやはり少ないと申し上げざるを得ないと思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 何をおっしゃいますか。そういう言いぐさは、アメリカに従って日中貿易を押えようとしておるための言いがかりにすぎないと思うのです。なるほど、ここ一、二年は、飢饉、天災があって、若干経済発展のおくれがあったかもしれません。しかし、現在新しい発展の基礎は完全にでき上がっておる。洋々たる前途が開けておる。アメリカ、西ヨーロッパ、東南アジア市場より洋々と発展する、日本にとっていうならば、まさしく長期安定市場であることは、だれもが認めておる点だと思います。だからこそ、イギリス、フランス、西ドイツなどヨーロッパ諸国も、ソ連、東欧諸国との貿易だけではなく、中国に対する貿易を大々的に発展させようとしております。それを、中国には買うべきものがないなどと言っているのは、世界広しといえども、池田さんただ一人じゃないかと思います。寝とぼけたことは言わないで下さい。まだそんなことを言い続けておると、世界の物笑いになるだけではなく、日本国民と業界の期待と希望からかけ離れ、日本の経済と貿易の発展を大きく阻害することは明らかであります。  ここで私は強調したい。アメリカの対中国政策は、政治的、軍事的に中国封じ込めで押えてしまうということだけではなく、中国の経済がうまくいっていなくて、ほっとけば経済的に参ってしまうという見通しと計算の上に立っておることだと思います。だから、中国に対して貿易や経済交流を抑えよう、そうして自滅を待つという政策をとっておるのです。そこで、日本に対しても、中国との貿易をやると中国経済の建設にテコ入れすることになるので、やっちゃいかぬと、こう言っておる。全く的はずれの見通しに立っておると言わなければなりません。政府はこういうアメリカの見解に同調しているではありませんか、どうですか。こういうアメリカの見解が正しいと思っているのかどうか。池田総理の、買う物はないというような言い方は、全くアメリカの見解と共通するものがあるのではないか。そうでなければ、前途洋々たる中国から買う物がないというような寝言は言えるはずがありません。どこをたたいたらそんなことが出てくるのか、もう一ぺんはっきりと答えてもらいたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 須藤さんのほうが観念論じゃないかと思うんです。輸出入計画を綿密に立てて、そうして可能な限り貿易の拡大をはかろうと熱心にやられたわけでございますが、先ほど通産大臣が言われたように、日本がほしい品物を、ほしい値段、ほしい品質の物をほしい時期にちょうだいするということが、今事実上むずかしいということでございまして、あなたは洋々たる前途がある、たくさんの物があるということを言われておるのでございますけれども、それを実証していただきたいと思うのです。それから、私どもはたびたび申し上げているように、日中貿易につきましてアメリカから何らの干渉を受けておりませんから、私どもの判断でやっておるわけでございますので、そういう誤解は根底からひとつ払拭していただきたいと思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 受けてないということはありませんよ。受けているじゃないですか。受けているから、ソビエトに対して、油送管の場合だって、取り消すように業者に話したりなんかしているじゃありませんか。それでも、共産圏向けの貿易に対してアメリカの制肘を受けないなんて、言えた義理でないと思います。結局あなたの言っていることは同じことです。アメリカと同じようなことを言っているにすぎないのです。そんな寝言のようなことを繰り返すのではなくて、もっと真剣に政府は実務上の責任を果たす努力をやったらどうですか。日中貿易も政府間の貿易協定を結んでやるようにし、ココム、チンコムを完全に撤廃し、延べ払いを拡大し、人事の交流を自由にする措置をとるべきだ。今こそそれをやるべきだ。それができない理由は何もない。政府の見解をもう一度お伺いします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) たびたびお答え申し上げたとおりでございまして、私どもは、可能な限り拡大の方向で、民間ベースでやっていくという姿勢をちっともくずしていない。アメリカから不当な圧迫は一つも受けておりません。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 これだけではありません。池田内閣は、日本とベトナム人民共和国、日本と朝鮮民主主義人民共和国との貿易についても、業者や国民の要望や努力に全く反した政策をとり、特に北朝鮮からは貿易通商上の入国を一人として認めないという、世界でも類のない反動的な方針をとっております。東西貿易について、政府が前向きとか、自主的とか、また政経分離とか言っておりますが、事実は全く逆で、政府は、アメリカの冷戦政策、中国封じ込め政策に追随する政治をすべてに優先さしているではありませんか。全くあと向きになっているではありませんか。貿易実務の面でも、前向きどころか、せっかく出てきた発展の芽をさえ政府はつみ取ろうとしているのも、そのためにほかなりません。しかも、一方では、政府は、貿易自由化に備えて輸出振興が至上命令だと言っておりながら、発展性の貿易は抑圧し、アメリカ、西ヨーロッパ諸国及び東南アジア諸国にのみ接近して、結局、アメリカ、西ヨーロッパ諸国に従属させられ、制約させられて、国内産業に大きな打撃を与えているのであります。こうして、前途洋々たる中ソ、東欧諸国など社会主義諸国の長期安定市場を池田内閣はみずから遮断しておいて、その結果出てくる損害をあげて中小企業及び労働者階級にしわ寄せしているのであります。その典型的な例は、造船であります。さきにも触れましたように、ソ連だけでなく、朝鮮民主主義人民共和国、ベトナム人民民主主義共和国、さらに遠くはチェコなど東欧諸国からも船舶取引の希望と条件があるにもかかわらず、やれ延べ払い条件がどうのこうのと、これを妨害しているではありませんか。このため、造船業界はお先まっ暗で、今後の操業の見込みさえ立たず、今日、日立造船、三菱造船など大手筋でさえ、社外工、臨時工を首切り、下請企業とその労働者に深刻な影響を与えております。こんなことで、一体日本経済の自主的、平和的発展ができると考えておりますか。また、こんなことで国民の生活が安定し、生活が向上すると考えておりますか。今日、社会主義諸国は、貿易拡大のため日本に門戸を開き積極的に貿易をしようという政策をとっております。それなのに政府はみずから門戸を閉ざしている。まさに今日、鉄のカーテンは日本自身にあると言わなければなりません。このような政府の政策に対して、労働者を初めとする人民各層の反対はもちろんのこと、経済の平和的かつ安定した発展を願っている企業家も、不安と不満を持っているのはあたりまえだと考えます。だから私は、アメリカに従属する政府の政策を即時やめて、社会主義諸国との平和互恵の貿易に基づいて経済の真の発展をはかる貿易政策をとるように政府に重ねて要求するものであります。平和の道はこの道以外にはない。政府の見解を重ねてお聞きいたしまして、私の質問を終わります。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) われわれは決して、アメリカから何かものを言われてものを決定しておるという事実はございませんから、これははっきりさしておきます。  それから北鮮やベトナムにつきましては、昨年の秋からバーター地域をはずしまして、中共と同じような取り扱いをいたしております。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 須藤委員の質疑は終了いたしました。  本日は、この程度にいたしまして、明十四日は、午前十時から公聴会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十六分散会

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