予算委員会 第12号
- 発言数
- 320 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1963/03/12
会議録
○委員長(木内四郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、委員の変更について御報告いたします。 本日、市川房枝君及び中尾辰義君がそれぞれ辞任され、その補欠として佐藤尚武君及び石田次男君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(木内四郎君) 次に、先般の委員会において、公聴会の公述人の数及び選定につきましては、これを委員長及び理事に御一任いただいておりましたが、ただいまお手元に御配付いたしました印刷物通り決定いたしましたので、御報告申し上げておきます。 —————————————
○委員長(木内四郎君) 昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。 本日から一般質疑に入ります。近藤信一君。
○近藤信一君 私は、中小企業問題を中心として御質問を申し上げるのであります。 その前に、まず鉄鋼問題について若干お尋ねをいたしますが、鉄鋼産業の大企業が、雇用とか、また、関連企業に対してどのような地位と責任を持つべきかという点について、通産大臣の考え方をまずただしておきたいのであります。 今さら申し上げるまでもございませんが、池田内閣の所得倍増計画は完全に失敗したものと、私は判断しておるのであります。少なくとも、実際、計画よりも早過ぎる面と、それからおそ過ぎる面、この両面がございまして、経済の安定的な発展を著しく妨げたのでございます。これは、十年後の目標だけを示して、年次計画を示さなかったための当然の現われである。特に製造業においては、過度の設備投資、この競争が非常に激しかった。それが、一連の景気調整策によって軒並みに建設計画の縮小、それから延期、または中止と、こういう状況が現われてきており、中でも、特に鉄鋼業が倍増計画による最大の被害を受けたものと私は思うのでございます。日本の鉄鋼業は、御承知のとおり、いわゆる基幹産業であるだけでなく、その企業の規模は世界的な水準まで達しておる、こういうふうに思うのです。したがって、雇用の面からいっても、多くの下請系列会社をかかえていることも、これは事実でございます。したがいまして、労働対策、それから中小企業対策、こういう観点から、その占めておる地位も重大だと私は思うのであります。この鉄鋼業は、今のところ、じゃどうして生きていくかというと、これは、協調か、それとも乱戦、競争か、これの岐路に立たなければならぬと私は思うのであります。つまり、鉄鋼業は純然たる私企業でございまして、企業的なエゴイズムによって生きていくか、それから、業界の指導者として良識によるべきかを非常に悩んでおるようにも私は聞くのです。前者にもし徹していくとするならば、これは業者間の血みどろの競争、こういうことになるわけです。後者で進むということになると、これはカルテル行為によらなければ、生産、販売の制限を行なって、そうして設備も当然これは遠慮しなくてはならぬと思うのです。いずれにいたしましても、この鉄鋼業の経営者の考え方をそのまま実現するとすれば、これは、最も影響を受けるのは当然労働者でございますし、また、関係の中小企業者であると私は思うのです。この点は、大臣の所見としてどのように考えておられるか、まずお伺いいたします。
○国務大臣(福田一君) お説のとおり、鉄鋼業界は、なかなか重大な、一つの岐路といいますか、問題をかかえているわけであります。ただ、近藤さんも今お話しになりましたが、鉄鋼業は私企業だということをおっしゃっていらっしゃるのでありますが、これは、基幹産業ではありますが、私企業であります。そこで、この設備投資がどういうわけでこんなに伸びてきたか。私は、これは、池田総理が所得倍増と言ったから、必ずしも急にこう伸ばしたと、それと関連を持たせるということは、もちろん関係はないとは申し上げませんが、全部が全部そこに責任があるというふうにも考えられません。事実、日本において相当、どの企業におきましても、やはり戦後大いに輸出を伸ばす、それからまた、自分の品物を国内においてもできるだけ売るようにしようというようなことから、各方面において、いわゆる設備をする意欲が盛り上がってきておりまして、設備をするということになれば、これはそこに、必ず鉄鋼というものが必要になってくるということは、近藤さんも御承知のとおりであります。それからまた、これに関連いたしまして、建築ブームがずいぶん起きまして、特に鉄骨を使う建築、これは、大体鉄の需要の関係からいえば二割ぐらいを占めておるのでありますが、これもずいぶん伸びを示したことは、あなたも御承知のとおりであります。こういうようないろいろな条件が重なっておりますので、そこで、鉄鋼業界におきましても、一つはこの伸びに応ずるため、一つはまた、海外へ輸出をするというような場合においても、相当程度大規模な機械設備によって対抗しないというと、海外と太刀打ちができないというような要請もございまして、三十四年以来、相当程度大幅に設備の増強をやって参りました。三十四年がたしか千五百億ぐらいでございましたが、一番多いときには、三十六年の二千六百億ぐらい、ことしが二千二百億ぐらいになったと思いますが、その後、これは鉄鋼業界のみならず、設備が相当各方面において行きわたってきたので、またそれをあまりふやすことは日本の産業のためにどうかというので、御承知のように、景気調整という問題が去年あって、それにつれて、また鉄鋼業界の設備の増強というものも一部押えられてきまして、われわれの見ておるところでは、来年は二千億をいささか割るくらいのところになるのじゃないかという見通しであります。こういうふうになってきておりますから、それが関連の中小企業あるいはまた労務者に対する影響が出てきておることも、これはお説のとおりであります。また、相当量産が進みましたので、鉄鋼の価格が今低下のところにおります。そういうようなこと等も関連いたしまして、いろいろの副作用が出ておるわけでありますが、われわれは、そういうような副作用をできるだけ、といいますか、労務者あるいは中小企業へのしわ寄せができるだけないようにしなければならないというつもりで、いろいろの施策をやっているわけでございまして、まあ中小企業向け等についても、前に作ったものの支払いが非常におくれるようなものは、できるだけ支払いをさせるように、また、これからやる分についても、順々に仕事を出していくように、少しずつ、先行きのことを考えながら、一挙に仕事を出さないで、ぼつぼつでも仕事を出すようにというようなことで、一応行政面において指導をしながらやってきているのでありますが、しかし、今後の見通しということになれば、必ずしも楽観を許しませんが、これ以上悪化することはない。また、もう少しこれは秋口になりますというと、相当回復する見込みがあるのじゃないか、こう考えているのであります。 これは、近藤さんもよくおわかりと思いますが、鉄鋼というものほど急に需要がふえたり減ったりする産業はございません。これは、非常にフラクチュエーションの多い産業でございまして、これをうまくあんばいしてやっていくのは、なかなかむずかしい面があるのでありますが、われわれとしては、あまりフラクチュエーションがあるために、労務者やあるいはまた中小企業に影響のないように考えていかなければならない、かように思っているのであります。
○近藤信一君 昨年、八幡製鉄を初め各製鉄会社が、学卒の新規採用を相当数契約した。ところが、鉄鋼産業の不況がだんだんと深刻になってきて、その後採用がはかばかしくない。特に日本の大製鉄会社へ就職できるという学卒者は、八幡でも富士製鉄でも、また富士製鉄の別会社である東海製鉄でも、ほとんど優秀な学生ばかりを採っている。十番以内で卒業できるような者を全国から集めて、とれの採用を一応決定した。ところが、不況が深刻になると同時に、この採用がストップされた。そこで、一体どれだけの数が実際に採用されたのか。それから、まだどれくらいのいわゆる不採用というのが残っているのか。それから、採用しなかった者に対して、会社側としてはどのような対策をとっているのか。この点、労働大臣から御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(大橋武夫君) 八幡製鉄におきましては、昨年七月一日現在、採用予定者三千百九十名の中で、採用予定のまま待機中になっておりました者が二千二百三十七名、これは、採用予定数の七〇%に相当いたしております。職業安定機関といたしましては、これらの学校卒業者が、採用の時期を明らかにされないままで、不安な気持で毎日を送っているということはおもしろくないと考えまして、会社に対しまして、第一に、できるだけ早く採用すること、第二に、採用の時期をはっきりきめて予定者に通知すること、この二点を指導いたしたのであります。その結果、七月上旬、これら採用予定者を昭和三十七年度中に必ず採用するということを決定して通知いたしました。以来、本年三月までの間に、採用を辞退いたしました者が二百四十一名ございましたが、これを除きまして、全員採用いたしております。次に、富士製鉄におきましても、昨年七月待機中の者が百九十三名、予定者全数の二六%でございます。本年三月までに、採用予定者は、十名の辞退者を除きまして、全員採用済みでございます。それから、東海製鉄におきましては、採用予定者五百七十六名の中で、待機中の者が三百四十五名、総数の六〇%でございます。その後七十五名を採用いたしております。それから、五十八名採用を辞退いたしております。で、現在残りの二百九名、三六%がなお待機中でございます。この待機中のものは当初三月までに採用する予定でございましたけれども、三月に入ってから、さらに延期のやむなきに至ったものでございますが、東海製鉄といたしましては、待機者に対しては引き続いて教材費月三千円を支給いたしまするほか、他に就職を希望する者に対しましては三万円を支給するという措置をとることにいたしております。しかし現在のところ、その希望の申し出はないといっております。職業安定機関といたしましては、待機中の者に対する指導と、会社側が今後の採用計画を確定し、できるだけ早い時期に採用を完了いたしまするよう、なお一そう強く指導をいたして参りたいと考えております。
○近藤信一君 今、労働大臣の御説明によりますると、その後徐々に採用いたしまして、その後ほとんどもう採用されたが、ただ東海製鉄だけが若干残っておるようでございます。しかし、私がいろいろ聞くところによりますると、このように日本の基幹産業がたくさんの就職予定者をまず決定する、そういたしますると、中小企業への就職者、これは学卒の就職者でございまするが、これはここ数年来ほとんど希望どおりの人員がとれない、こういう結果になっておりまして、中小企業ではこの一人二人を採用するために、もう名古屋あたりでも九州まで出かけなければならぬ、こういうふうな傾向がここ数年間続いておるわけなんです。私はちょうど昨年、そういう鉄鋼業の不況に伴う採用の遅滞というか、おくれたのを、こういうのを私は一年もかかってあれしているんでなくて、やはりこういうのを中小企業に振り向けていく、こういうような方途も考えていいんじゃないかと思っておるんですが、そういう点に対する指導はどういうふうに行なってこられたのか、お伺いいたします。これは労働大臣、通産大臣。
○国務大臣(大橋武夫君) 中小企業のいわゆる求人難は相当深刻のようでございまして、当局といたしましてもこれが対策につきましてはいろいろと努力をいたしておるところでございます。大企業において、かような採用を予定しておきながらなかなか採用ができないというような場合においては、中小企業に回すことを考えてはどうかという御趣意でございますが、この点につきましては、従来やはり求職者本人の意向等もございまして、簡単にはいきません。しかし、先ほど申し上げましたとおり、途中において他に転職したものも幾らかあるようでございます。今後、御趣旨等もございますので、十分に研究をいたしたいと存じます。
○国務大臣(福田一君) 中小企業の従業員といいますか、労務者が非常に不足しておることはお説のとおりでありまして、特に機業地ではどこでも非常に困っていることはよく了承いたしております。ただ、今度の場合、鉄鋼業でこういうような異例なことが行なわれたのは、御承知のように学校を卒業しない前に、秋に至らない前に就職をきめてしまいまして、ちょうどそのときが非常に鉄鋼業界が設備をふやすというので、大へんな意欲に燃えていたときだものですから、そこで大きく人を採用してしまった。ところが、いよいよ卒業した時分になってから景気調整が行なわれ出して、設備がぐっと減るような段階になってきたというようなことが、今日の今度のような事態を起こしたことは、近藤さんも御承知だと思うのであります。しかし、これはまあ、業界が一つの見通しを誤まっておったことも、新聞その他に率直にいっておるのであります。われわれといたしましても、今後こういうようなことのないように、また中小企業のほうへできるだけ学卒がはいれるように、大いに施設その他の面で努力をいたして参りたい、かように考えておるわけでございます。
○近藤信一君 特に私は、鉄鋼業の不況とこれに伴う中小企業の被害というものの相当大きいことは大臣も御承知のとおりだと思うのです。富士製鉄の別会社である東海製鉄におきましても、昨年来高炉建設中止をいたしました結果、これに伴うところの関連する中小企業が相当大きな被害を受けておる。昨年末から今年にかけて若干の工場がつぶれた、これは事実でございまして、こういうふうに中小企業が鉄鋼界の不況、好況に支配されて常に動揺しておるわけなんです。そういたしますると、今も御説明がございましたように、特に従業員は新しい若年の学卒の労働者が採れない、こういうことと両面の被害を受けておるのが中小企業です。特に東海製鉄の場合などは、被害を受けました中小企業は、発注を停止されたり何かいたしましたので、損害賠償をやろうじゃないか、こういうふうなことも相談されたこともあるわけなんです。こういうふうに中小企業が、一つの産業の動向いかんによって常に動揺しなければならぬということは、やはり私ども悲しむべき現状だと思うのです。しかしまあ、鉄鋼業といいましても、これは私企業でございまするから、何も政府が何かと支配するものでもないことは、これは当然で、つまり好況、不況ということもあるのでございますが、やはり私どもは、こうした鉄鋼の一つの動揺にすら、中小企業は常にまた動揺しなければならぬ。こういうことでは中小企業の今後の動向というものは非常に慎重にいかなければならぬ、こういうふうに考えるわけなんです。特に私どもは、今度の問題は営利会社の一つの問題でございまするから、政府にとやかく申すものではないけれども、社会的な責任というものは当然あると思うのですが、この点はいかがですか。
○国務大臣(福田一君) 東海製鉄のいわゆる建設中止といいますか、繰り延べによりまして非常な、地元並びに地元の中小企業者等に大きな影響を与えたことは私も承知をいたしております。そういう面で非常に困っておられる方があることも聞いておるのでありますが、今、近藤さんがお話しになったようにわれわれとして、政府でやったことでもございませんので、直接の問題としては何ら措置することはできないわけであります。しかし東海製鉄が、注文をして、もうすでに品物を入れたのをなかなか支払ってくれないというようなものがだいぶあったのでございます。そういうようなものは、もう必ず支払わせるように実は相当力を——といいますか、われわれのほうから内面指導をいたしまして、そしてこれを支払わせるようにいたしました。まあそういう意味で、ここのところ製鉄業は大体に仕事をみんなが一年か二年ずつ繰り延べております。これは中止をするということではないのでございまして、繰り延べておりますので、これが大きな影響を与えておるものについては、われわれも遺憾に存じておるのでありますが、なお中小企業者が、今お話しのあったとおり労務者を雇い得ないというか、従業員をとれないというような点につきましては、これは中小企業の地位を高めて、そしてそこに入っていても、やはりりっぱな一つの仕事として生計が営んでいけるというような組織に持っていく。またそういう保障を与えるということが必要であるという観点からいたしまして、御承知のように中小企業基本法というのを今度も出して、そしてそういう意味のことをはっきりうたい、また金融面その他についても努力をする。さらに従業員に対する保障等についても今後大いに積極的に仕事を進めるようにしよう、こういうことをいたしておるわけでございます。
○近藤信一君 民間の営利会社であり、常に景気によって支配されるそういう会社に、地方公共団体が投資をする場合がしばしばあるわけでございます。これはその理由としては、公益上の関係からというふうなことが原因で投資する場合があるのだが、これはそういう営利会社の、常に好不況によって動揺するところに、地方団体が投資することは好ましいかどうか。この点自治大臣、どう考えておられますか。
○国務大臣(篠田弘作君) 営利会社に対する地方団体の出資につきまして、それは好ましいことであるか、好ましいことでないかという問題につきましては、一がいに好ましいとも言えないし、好ましくないとも言えないわけであります。そこで、その状態を見ますというと、昭和三十六年度の普通会計の決算によりますと、昭和三十六年度中の地方公共団体の出資額は八十六億円、昭和三十六年度末の出資金の総額は三百四十四億円となっております。その内訳は、公社に対するもの三十六年度中二十二億円、総額六十五億円、その他に対するもの三十六年度中六十四億円、総額二百七十九億円、公社に対する出資については、さきに地方自治法の一部を改正いたしまして、地方公共団体の長及び議会において公社の経営状態を把握し、その経営の適正化を期するようにいたしております。公社以外に対するものは、昭和三十六年度の出資内訳は、商工関係十一億円、農林関係二十二億円、電力関係七億円、その他二十四億円で、なお現在高では電力会社に対する出資金が全体の三分の一以上を占めております。 最近、農林関係の出資がふえて参りましたのは、農業信用協会基金、魚価安定基金等に対する出資であります。この商工関係につきましては、信用保証協会に対する出資金が大半を占めております。このように地方公共団体におきまして、あるいは国の各種制度にのっとり、あるいは個々の地方公共団体における行政運営の必要上、毎年出資しておるわけでございますが、先に申しましたように、その出資の目的が、公共の福祉に反しないように、出資が適正に運営されているかどうかという点をよく調べて出資するように指導いたしております。 —————————————
○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。 仲原善一君及び赤松常子君がそれぞれ辞任をされ、その補欠として小山邦太郎君、田畑金光君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○近藤信一君 今大臣の御答弁によりますと、好ましいとも好ましくないとも両方言えると、こういうことでございますが、私は特に地方公共団体が投資するというのは、まあ県民の税金であり、またひいては国民の税金ということにもなるわけなんですが、これが将来性があるからということで投資はするけれども、それが何かのきっかけで今度の場合のように、たとえば東海製鉄の場合には親会社が富士製鉄であるからいいようなものの、これが弱い会社であるならばあるいはつぶれてしまうのです。それに愛知県も名古屋市も二千万円ずつを投資しておると、こういうふうに私聞いておるのですが、もしつぶれた場合の責任というものは私は負わなければならぬと思う。そこで私はそういう点が非常に心配になるわけなんです。ただむちゃくちゃ何でも地方に大会社がくればその土地の繁栄になるからということで投資をする。そのほかにも、あとから私もう一回質問いたしまするが、いろいろな問題がそれにからんでくる。そういうことでは、私は本来の地方自治団体としての性格というものはぼやけてくるのではないかと、こういうふうに思うのですが、この点いかがですか。
○国務大臣(篠田弘作君) 地方の自治団体が出資しましたものが途中で非常に経営不振に陥ったり、あるいはつぶれたりするというような場合、これはまあ本来出資の目的にも反しますし、地方民の血税によってその出資が行なわれておるのでありますから、そういう場合はもちろん適当でないということは明らかであります。しかし地方といたしまして、大きな会社を、少なくも常識的に見まして、経済界におけるその会社の立場というものがそういう危険性がないというような見通しの上に立って誘致してくるものまで、あるいはそれに誘致する一つの条件といいますか、誘い水といいますか、その地方自治団体も大いに誠意をもって、あるいは好意をもって誘致するのであるということを示すために、そういう出資をするという場合、それがもちろん公式な機関によって決定されるというような場合までやめろ、心配だからよせというわけにはこれはちょっといかないのではないかと、まあこう思います。
○近藤信一君 それから今、各地で臨海工業地帯の整備ということが盛んに行なわれておるので、そこで私は日本の産業の発展のためには臨海工業地帯を整備して、どんどんと生産会社を作ることはいい、望ましいことなんです。ところが、それがために必要以上の競争をするわけなんですね。大会社を誘致してくるために各地方が必要以上の競争をする。これがためにまた、その地方の地域住民の税金というものが多く使われる場合もあるわけなんです。そこで私は、この臨海工業地帯の整備のためには、政府としてもう少し何といいますか秩序のある指導、こういうものが必要じゃないかと思うのですが、きょうは経済企画庁長官は出てきておりませんので、この点通産大臣から御答弁を願いたいと思うのです。
○国務大臣(福田一君) 臨海工業地帯を秩序あるやり方で指導していくということについては、われわれとしては異存はないわけでありまして、ただまあその所その所によりまして、今までのところはいろいろそういうようなその地域々々の考え方でやっておる面もありますので、こういう点はたとえばまあ今のところでは新産業都市の問題とかまあいろいろ法律等もありますが、お説のような面は、われわれとしても十分調整しながら処置をしていくようにいたしたいと考えております。
○近藤信一君 先ほど来、いろいろと鉄鋼の問題について質問いたしましたが、もう時間がございませんから、最後に一点、この鉄鋼の不況に伴うところの東海製鉄の高炉中止に基づくところの影響が非常に大きいということで、名古屋港管理組合議会から、政府、内閣総理大臣、運輸大臣、大蔵大臣、通産大臣、自治大臣、経済企画庁長官、この各大臣にこういう意見書が、を促進してもらいたい、東海製鉄の再開を促進してもらいたい、こういう意見書が来ておりますが、これは御存じですか。
○政府委員(島田喜仁君) ただいまの陳情書は承知いたしております。
○近藤信一君 したがいまして、この地元の財界のほとんどの大会社、それから愛知県名古屋市、これが非常にもう力を入れて東海製鉄に大きな期待を持っておったのだが、今日の現状からいくと、なかなかこの再開をするということは困難な状態におるわけです。そこで政府としては、これらに対するところの何らかの処置を講じられるおつもりがあるかどうか、この点をお尋ねいたしまして、この点は終わります。
○国務大臣(福田一君) 東海製鉄が工事を繰り延べておりますことについて、非常に地元に影響を与えておることは先ほども申し上げたところでありますが、われわれとしては、できるだけ、なるべく早く再開するように、政府としても特に努力を惜しまない、かように考えております。
○近藤信一君 次に、中小企業の金融の問題についてお尋ねをいたしますが、政府は低金利政策を遂行したい、公定歩合も近く引き下げたい、こういうことでございますが、中小企業の金利負担はなかなか下がらないようでございます。それは歩積みや両建預金が依然としてあとを断たない、こういうことでございますが、政府は歩積み、両建はやめさせたいというので、これは今まで何回も通達を出しておられるのでございますが、なかなかこれは改まっていない。表面的には金利調整法の金利の範囲内で貸し付けながら、このような歩積み、両建、実際には高い金利で貸しているのでありまして、全くこれは脱法行為と私は言わなければならぬのではないかと思うのです。大蔵大臣はこの脱法行為をどういうふうに見ておられるのか。これでは金利調整法というものが全くざる法にしかならぬじゃないかというふうに私は思うのですが、この脱法行為を禁止できるように何か改正することができないかどうか。それから最近大蔵省で歩積み、両建をやめさせようとして強硬な態度をとると、こう言っておられますが、成算はあるかどうか、この点を大蔵大臣から御答弁願います。
○国務大臣(田中角榮君) 歩積み、両建が法律に違反する行為であるかどうかという問題に対しては、その内容によって検討しなければならない問題でありまして、必ずしも法律に抵触をするというふうには考えておりません。それからなお調査費やその他の名目でいろいろな費用が徴求されておるというような事実もありますから、これらの問題に対しては鋭意まあ実情を調査をし、検査をし、検討をいたしておるわけでございます。歩積み、両建というのは、御承知のように、金融における長い慣習でありますが、慣習というものを越えて非常にあなたが今言われた脱法行為に近いような状態で歩積み、両建を行なっておるという事実に対しましては、これが是正に努めておるわけであります。三月一日から日本銀行及び大蔵省は合同で窓口検査を行なっております。検査の結果、御指摘のような事実もあるようであります。三百万円の貸付に対して百万円の歩積みというものを要求しておる、二百万円のものに対して百万円の歩積みがある、百五十万円のものであれば五十万円の歩積みがあるというような問題がありますので、これらの問題に対しては、今調査結果を個々に検討しながら強い態度でこれに対処をいたしております。この間の金融懇談会におきましても、歩積み、両建を慣習以上にこれをやってはならないということを強く私のほうからも申し入れまして、銀行協会でもこれを取り上げまして、自粛をするというよりも一歩進めて、いわゆる将来の歩積み、両建というものの限度をどうあるべきかということに対しても検討をいたしておりますし、自粛に対して可及的すみやかにその実を上げるという申し合わせも行なっております。中には中小企業に対して政府三機関から貸し出したものに対して歩積みを求めておるとか、また、市中金融機関が、回顧以上の抱き合わせ融資を行なうものに対して自分の貸し出すものを歩積みにしておるとか、悪質といわれるようなものもありますので、こういうものに対しては、前に通産省当局からも申し述べましたように、政府金融機関の取り扱いを停止するというくらいに強い態度もとっておるわけであります。この検査の結果、実情がいろいろ判明をいたしますので、歩積み、両建に対しては適正なもの以外びしびしと取り締まっていくという考えであります。
○近藤信一君 今大臣が御答弁されましたように、違反をおかしておるという事実もあるわけなんですが、これに対しては今政府の金融を停止する処分をしておる、こういう御答弁ですが、この金融を処分するだけの処分以外に、ほかにもっと強い何かの処罰というものはございませんか。
○国務大臣(田中角榮君) これは先ほども申し上げましたとおり、歩積み、両建というのは一つの習慣でありますし、慣習でありますから、慣習の範囲を越して高い金利を取っておるというようなことであってはいけないということで、今この実情調査をいたしておるわけであります。その問題は、政府関係機関から貸し付けたもの等に対して歩積みを要求しておるということに対しては、これはもう悪いにきまっておりますから、取り扱い店を停止をするというようなきびしい態度でやるわけでありますが、歩積みというのは借り主の意に反して歩積みを行なわせるというところに問題があります。ところが、借り主と同じ名前で両建をしておるものは比較的にその実情を把握しやすいのでございますが、奥さんの名前とか他の第三者の名前で預金をせしむると、こういうことでもって、捕捉するのは非常にむずかしいものでありますから、日銀、大蔵省でも窓口検査をやって参りまして、少なくとも歩積み、両建というものは悪いというのではないが、中小企業でもって百万円の借り入れに対して三十万円も五十万円も歩積みの要求をするとか、歩積みというのはもう常識からいって何%という程度で行なうのが普通でございますが、現在の歩積みというのは少なくとももう何割というような、大きくなっておるところに問題があるわけでございます。でありますから、金融機関の預金と貸し出しというものが歩積み、両建によって相当水ぶくれになっておるということをひとつ裸にして、新しい金融機関の態勢を整備すべきだという考え方で、 〔委員長退席、理事川上為治君着席〕自粛を要求しながら、あなた方が預金量を増していくというような表の姿にだけとらわれておって自粛をしないという場合には、政府としては何らかの措置をとらざるを得ないという強い態度をとっておりますので、私はこれを一、二カ月間で、相当国会で議論をせられたことも反映をしまして、金融機関は歩積み、両建に対しては自粛のきざし顕著なものがあるというふうに考えております。われわれもまた、確信が持てるまで引き続いて窓口検査を行なうということを通達をいたしておりますので、今度は相当実が上がるというふうに考えております。
○近藤信一君 そこで、政府関係の金融機関として、開銀は大企業に対する融資、それから中小企業金融公庫はおおむね中小企業の比較的上層のもの、それから国民金融公庫は小規模事業者と、こういうふうなことで融資をしておるわけですが、その間に空白地帯があるようにも私聞いておりますが、たとえば従業員三百人をこえる企業で——これは三百人をこえる企業でございまするから中小企業じゃないと、こういうことになるわけですが、これは開銀、それから市中銀行からも、大企業の部類には入るけれどもあまり信用はできないと、こういうことで、なかなか融資というものはむずかしい。だからといって、じゃ国民金融公庫から金を借りようとすれば、これはおもに小規模事業者を対象としておりますので、三百人以上ではこれはまた相手にもあまりされないと、こういうことになりますると、そこに中小公庫ではちょっと少な過ぎるとか、それから国民金融公庫ではちょっと多過ぎると、こういうふうなことで、手薄になるおそれもあるわけなんですね。こういうようなことで、政府の金融機関が対象として段階を設けてそしてやっておる。 〔理事川上為治君退席、委員長着席〕こういうことで、特に上層部には厚く、下層部にはまた薄くなるような傾向も免れないと私は思うんですが、こういう空白地帯が実際あるのかどうか、こういう点について、私、大臣からちょっと御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) いつでも金融の問題に対しては、この空白か断層が一体どういうふうにされておるかという問題で問題が議論されるわけでありますが、御指摘のとおり、今の国民金融公庫は、大体一件平均三十二万二千円という比較的に零細企業に貸し付けられておるわけでございます。中小企業金融公庫は三百八十九万二千円でございますから、御承知の、千万円以下、三百人以下の従業員を持つ中小企業というわけでございます。商工中金は百三十七万七千円という組合金融を行なっておるわけであります。で、問題は、大企業は市中十二行、その他政府関係機関が利用できるのに、中企業から抜け出して大企業にならない面は一体どうかということでございますが、これらは政府関係機関でも今まで融資をして参っておりますし、それからこれらの中小企業から抜け出したものは、比較的に事業内容がよろしいということで、地方銀行その他の中堅金融機関の融資の対象としては比較的に取り上げやすい状態でございます。でありますので、一応銀行等においてはこれは中小企業から抜け上がって一流企業になりつつあるようなものに対しては、対象として重点的に貸し出しを行なうということが実情でありますので、業種別に断層があるというふうには考えておりません。まあやはり一番の問題は、零細企業という、担保のないもの、無担保が原則であるというようなものの設備資金、というよりも、日々必要である運転資金、在庫資金というようなものが一番重点的に考えなければならない問題ではないかというふうな考え方でおるわけでございます。
○近藤信一君 ここでちょっと外務大臣に、韓国の政情についてお尋ねをいたすわけでありますが、韓国の政情不安はすでに再三われわれが指摘したとおりでございますが、きのうの報道によりますると、朴政権打倒のクーデター計画が暴露いたしまして、多数の要人が逮捕されたということでございます。このことは韓国政府に関するわれわれの指摘が正しかったことを証明するものであるが、政府としてはこの事態にどのように対処せんとするのか。また、外務省が入手している情報について詳細説明されたいのであります。
○国務大臣(大平正芳君) 韓国の政界が非常に振幅の激しい動揺を続けておりますが、これについて私どもが承知いたしておりまする情報は、新聞その他報道機関が報道されております以上のことはキャッチいたしておりません。それで、この発覚いたしましたクーデターというものが、一体いかなる権力闘争なのか、それとも軍政を維持していこうというような思想的なものなのか、その辺の評価をきめる材料を十分持っていないのが、正直に申しまして現状でございます。で、私どもはたびたび申し上げておりますように、日韓の正常化の問題というのは、韓国の政情いかんにかかわらず、問題であるわけでございますので、こういう問題について、正常化の実態はどうあるべきかということにつきましていつも関心を持ち、検討を重ねて参る立場にあるわけでございまして、そういう姿勢は少しもくずしていないのでございます。一方、先方はごらんのような事態でございまするので、この問題につきましても、世論がどのような結実を見ていくのか。各政党ができまして、政党がこの問題を受けて、世論をどのように政党の綱領に組織化して参るか。そしてそれを背景にいたしまして、納得のいく実質的な御提案があればというととを私ども期待いたしておるわけでございますが、ただいまの段階で実質的な討議に入りました漁業問題等につきましても、まだ先方から、私どもが期待いたしておるような御提案を受けるに至っていないわけでございます。私どもは韓国の政情には、もとより、だんだん振幅が狭まくなっていくのかそれとも拡大するのか、そのあたりは一向に読み取れないわけでございますけれども、日本政府としては正常化の課題というものについての究明は怠らないようにしなければなりませんし、また、先方の世論が組織化されて参りまして、実質的な御提案がございますれば、いつでも検討を始めるということにいささかのちゅうちょもなくやるつもりでおるわけでございます。
○羽生三七君 関連。今近藤委員の質問に、外務大臣から、今までの姿勢を変えないという御答弁がありましたが、今度のクーデターは、私たちもよく承知しておるわけではありませんけれども、大事なことは、現建設部長ですか、これも参加しておって、その結果朴政権も総辞職をするのではないかとも伝えられております。それからもう一つ重要なことは、そういうことから、民政移管への従来の動きというものが大きく変化するのではないか、相当な打撃、動揺を受けるのではないか、こういうことだと思います。そうすると、今まで総理並びに外務大臣が一貫して今国会で答弁されてきた内容は、今すぐ会談中止ということはもちろんできないが、民政移管の状況を見て慎重に対処したい、これが一貫した答弁だ。ところが、昨日のクーデターの詳細はわからんにしても、ああいう動きがあれば、なおかつこれを押して政府が会談を継続していくということの意味というものは非常に薄れてくる。特にこの民政移管の見通しなんというのは、ほとんどつかない。こういう状況の中で、なおかつ今までどおりの姿勢を変えられないということが正しいのかどうか、非常に疑問なきを得ないので、もう一度その間の外務大臣のお考えを承りたい。
○国務大臣(大平正芳君) 今近藤さんの御質問に答えましたとおり、日韓関係の処理につきまして、韓国側がどのような交渉の一方の主体として実質的なかつ建設的な提案をされるかということが問題でございまして、私どもとしては、私どもの考え方は先方に十分御提案申し上げておるわけでございまして、先方がどのような反応をお示しになるかということが、今の段階の問題でございます。今御指摘のように、政局がこんとんといたしておりまして、今私どもが接触しておる平面におきましては、先方の実質的な御提案というものは、今ない状態でございます。しかし、各政党もこの課題についてはそれぞれ身がまえを始めておるようでございまするし、世論が政党の綱領という姿で組織されて参って、そして、それが実質的なかつ建設的なものであるように私どもは期待いたしておるわけでございまして、そういう御提案がそういう基礎において行なわれまするならば、私どもはいついかなるときでも討議に応ずるという姿勢はくずさないということを申し上げておるわけでございます。現実の問題といたしまして、ただいまそういう御提案がまだないという状況でございますが、日本政府として、今まで私どもが繰り返し申し上げて参りました態度は変える必要はないと思います。
○羽生三七君 関連。実質的な提案が韓国側から行なわれることが期待できるような条件にあるんでしょうか。これがまず一つ問題です。 それからもう一つは、さきに前田課長ですか、係官を韓国の政情調査に派遣したわけでありますが、その情報の結果によっては、今までの政府の態度を再検討することもあるのかどうか。そうでないと、一体そういうための政情調査の派遣でしょう。ですから、その調査の報告いかんによっては、再び政府が日韓問題について再検討するということもあるのかどうか、この点をひとつ伺わしていただきたい。
○国務大臣(大平正芳君) 今私が申し上げましたように、私どもとしては態度を変える必要はないと思っております。私どもが御提案申し上げるものは御提案してあるわけでございまして、先方がどのように反応を示して、納得のゆくような御提案をお示しになるか、それを待っておる状況でございます。今御指摘のように、政情が不安でございまして、先方が対日関係正常化への世論を組織して、そして具体的な提案にまで煮詰めていらっしゃるということにおいて若干停滞の気味を感じないわけではございませんが、しかし、私どもとしては、そういうことを期待して待っておるという態度を変える必要はないと私は思っております。 それからまた、前田君外二名を先方に派遣してございますが、これは今日韓国の政情を現地で見聞して報告をさせることでございまして、今私どものとっておる姿勢を、その報告いかんによって変えるというつもりはございませんので、私どもは、終始日本政府としてはそういう態度でおるべきだと思っております。
○横川正市君 関連してお聞きをいたしますけれども、政府の韓国に対する姿勢については、総理も外務大臣も、民政移管前であれ、以後であれ、その条件が整えば応ずる態度だというのは一貫しておるようでありますけれども、そういう中にも、韓国の政情はきわめて日々変わってくるわけであります。その中で一つだけお聞きいたしたいと思うのでありますけれども、それは、朴議長が大統領に立候補しないという声明の中で九項目を出して、その九項目に日韓会談の促進がうたわれておる。それは与野党ともに認めるところとなって、新聞紙で報道されるのでは、野党が一致して日本に特別な使節等を派遣をして会談を促進させるような動きも報ぜられておるわけでありますけれども、そういうような事態が出てきたときに、日本としてはこれをどういうふうに受け取めるのか、その点をお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 使節団の話は、私どものほうへ何らお話を聞いていませんので、何とも申し上げられません。私の考え方は、たびたび申し上げておりますように、先方が交渉主体として建設的な御提案をする能力を持たれ、そして、かりに妥結した場合に、それを継承して保証してゆく能力を持っておられる限り、日韓の会談は進めて差しつかえないと思っておるわけでございまして、その態度は終始一貫いたしております。
○羽生三七君 ちょっともう一つだけ関連して。建設的な提案があって、それに基づいて政府がかりに話をまとめる場合、それを継承する保証がある場合というお話がありましたけれども、そういう継承していく保証というものが今の時点で考えられるでしょうか、それはいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) これは外交交渉一般についての大原則でございまして、取り結んだ効果がふいになるような交渉をやってはいけないということは、これはもう当然のことでございます。およそそれを交渉主体として建設的な提案をし、そして国民の納得いくような妥結をし、しかもその結果を保証するということでなければ、これはいかなる交渉も進展いたさないわけでございまして、日韓交渉といえどもその例外ではないと思うわけです。したがって、韓国の政情の成り行きにつきましては、私どもも重大な関心を持って見ておるということでございます。
○近藤信一君 韓国の政情について政府はしばしば民政への生みの悩みと見て、依然として軍政中にも妥結の気がまえを見せているかのようでございますが、朴議長の民政不参加声明以来、民政移管の意欲を見せた韓国政局にとって大きなつまずきだと思うのでございますが、この事態においてもなお会談を継続するのか、それとも会談は中止すべきでないか、こう思うのですが、大臣、この点いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) それは、たびたび私から申し上げておりますように、韓国の政情いかんにかかわらず、日韓の間の問題というものはあるわけでございますから、これはいつの日か解きほぐして正常化に持って参らなければならないというのがわれわれの願いであるわけでございまして、私どもの態度といたしましては、そういう問題の究明というものはいついかなるときも怠ってはいかぬ、それが私どもの責任であると感じておるわけでございます。韓国の政情が、今御指摘のように、振幅の広い大きい動揺を見せておりますが、それは内外に韓国政府が声明しておりますように、民主政治に切りかえていくのだという太い大きな方向においては間違いがないものだと思っております。しかし、これは容易ならぬ仕事でありまして、特に政治の意識が非常に鋭敏な韓国におきまして、これはとてもの難事業であることは私どもも重々承知いたしておりまして、非常な苦悶の過程にあることは十分同情を持っておるわけでございますが、太い方向といたしましては民主化の過程であるというように私どもは把握いたしておるわけでありまして、しからばいつどういう姿でどのような民主化の実を結ぶようになるかということにつきましては、私どもといたしましても即断しかねる状況にあるということでございます。
○近藤信一君 外務大臣への質問はこの程度にいたしまして、次に中小企業信用補完制度の問題について通産大臣また大蔵大臣にお尋ねいたしますが、政府は中小企業金融対策の体系の中で、最近特に中小企業信用補完制度を重視しているようであります。三十八年度予算を見ましても、中小企業関係の政府関係機関の中で政府出資がありましたのは、信用保険公庫の三十億が最高で、次いで中小企業金融公庫の六億、これは産業投資育成会社への出資に充当されるわけでありますが、残りの国民金融公庫やそれから商工中金に対してはゼロでございます。この数字を見ただけでも、政府の信用補完制度に対する力の入れ方が明らかになっていると思うのでありますが、このように信用保険それから信用保証を特に重視している事由について、まずお伺いしたいと思います。この点お伺いいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 御説にございましたとおり、中小企業金融の円滑化をはかるということの最も大きな問題としまして、信用力が薄弱な者に対して政府はどのような措置をとらなければならないかということに対して、常に重点的な配意を行なっているわけでございます。ただいま御説がございましたとおり、三十八年度の予算においても、信用保険公庫に対しては三十億の出資をいたしておりますし、また、これが料率の引き下げその他に対しても、法律案等を整備いたしまして、御審議願っているわけでございます。これからの中小企業に対しましては、先ほども申し上げましたとおり、設備資金というだけではなくして、日々の運転資金ということも非常に重要でありますので、これらに対しては、ある一定限度までは無担保貸付ということの道が開かれなければならないし、また、それが原則的なものにならないと、なかなか緊要な、時間的にもまた必要な融資ができませんので、これらに対しては保証業務の拡大ということを積極的に考えてやるべきであるということで、三十八年度の重点施策の一つとして御審議をわずらわしているわけでございます。
○近藤信一君 確かに信用保証協会が中小企業の金融の円滑化に一走の役割を果たしていることは事実だと思うのです。しかし、保証協会の運営の仕方について、私どもときどき耳にするところでございますが、協会は、保証すべからざる者に保証する、そうして保証すべき者に保証していない、こういうふうなことが言われている。つまり、実際には、しっかりした担保を持っている者に対して協会がこれを保証する。保証する必要のない者に保証して、担保がなくて実際保証してもらわなければほんとうに困る、こういう者に対して保証していない。こういうふうなことをしばしば聞くわけでございますが、このような方式で保証協会が運営されているといたしますならば、これはたとえ数字の上で保証高がふえていても、この制度のほんとうの趣旨は生かされていないのではないかと私は思うのですが、この点についてはいかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 私たちの考え方としては、政府の考え方が末端まで通るように考えておりますし、また、そのように運営されているとは思いますが、常識的に考えて、あなたの御発言のようなことが間々ありやすいのであります。実際、この保証業務というものが、先ほども申し上げましたように、無担保であり、どうしても保証協会が保証することによって一般的な任務を果たさなければならない者については、より的確な担保のある者——よその金融機関にそのまま行っても融資の対象になるような者が、比較的簡易な方法で貸し付けられ、また保証がやられるということがあると思いますから、これらの者に対しては、実情調査の土、政府が考えている中小企業金融の円滑化に資するような状態に、行政指導を強めていきたいと考えます。
○近藤信一君 実際問題として、間々あるのではなくして、大体保証協会というものは、担保がないから金借りる人は保証協会に頼みに行く。ところが、保証協会は担保がなければいけない、これは原則的にそういうようなことを各保証協会は言っているわけです。私は、これはもっと政府としても徹底した指導といいますか、そういうことを保証協会に対して与えなければだめだと思うのですが、この点はどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) お説のとおりだと思います。融資の絶対的な額を増強すること、災害、輸出振興等の特別保証を推進するために特別法案を作るとか、それからいわゆる設備近代化保証保険制度の創設等、法律の改正等でもって御審議をわずらわしているものもございますが、御説の問題に対しては、われわれも重点的にそうあるべきだと考えておりますから、これから通達その他業務の運営指導、基本的な考え方に対してしかるべき措置をいたします。
○近藤信一君 そこで、現在の信用保証制度というのはやはり銀行にとっては非常に都合のいい制度でございまして、銀行はこれは保証付貸出を行なう限り絶対損をしない。もし貸付金が回収不能になったときに、これは保証協会が百パーセント弁済してくれるので、したがって貸付の際のめんどうな審査だとか調査、こういうことも手間もコストもほとんど省けるわけですね。保証協会からは安定した預金を受けておりますし、いずれもけっこうづくめな話であるわけなんです。ところが、中小企業者のほうは、これは金は借りるけれども、金利のほかに二%——二%ときまったわけじゃないけれども、二%くらい保証料を取られるわけです。したがいまして、この信用保険制度を下からささえている毛のは中小企業者の保証料、それから国からの保険公庫に対する出資金、それから地方公共団体からさらに保証協会に対する出掛金、こういうふうにそれぞれ出しておるわけです。この制度から利益を受けるのは銀行が最も大きな利益を受けるわけで、中小企業者もこれに若干の利益を受けるわけですが、つまりこれは銀行は恩恵だけ受けておりまして、損するということはほとんどないわけです。そこで保証協会に対して若干の出指金を出していますが、その額はわずかでございます。これは少々不合理ではないかと私は思うわけですが、これは大臣どう考えられますか。
○国務大臣(田中角榮君) 三十七年十二月末日におきまして、信用保証協会の保証残高は二千三百十九億ということでありまして、前年に対して三九・五%の増加を示しておりますから、保証業務というものが中小企業金融に非常に大きなウエートを持っておるということは、この数字をもってもおわかりになるとおりでございます。信用の保証料の問題でありますが、保険料率、小口保険は日歩一厘六毛を一厘四毛に今度は下げよう、それから第一種保険につきましては、日歩二厘を一厘九毛に下げていこうということでありますが、危険負担を保証協会でやってくれて、銀行は自分は損をしない、こういうことでございますが、銀行業務そのものは大衆預金を預かっているのでございますから、銀行自身がもうけるというふうな考え方ではなく、できるだけ預金の安全性が確保されて、大衆がまた預金をして下さって、それが中小企業の生産資金として回るというふうに、中小企業金融の流通がうまくいくことこそが好ましいと考えているわけでございます。これからは国際金利にさや寄せということでございますし、今まで戦時中戦後のように銀行金融機関に対して画一、一律的な保護政策をとるということよりも、だんだん優勝劣敗というような部面も相当加味をして、銀行機関そのものの合理化が要求せられて参るわけであります。この間の金融懇談会を第一次にいたしまして、できるだけ早い機会に自由化に対応する国際金利にさや寄せするというこれから大きな壁にぶつかってくるのでございますから、これからは銀行業務もそれほど安易な道、たんたんたる道を歩むわけではないのでありまして、大蔵省としては金融機関の健全性、合理性ということも推し進めながら、中小企業の資金確保をはかって参るというような考えでございます。
○近藤信一君 そこで、私は次のような意見を持っているわけなんですが、すなわち、銀行は保証付貸付、貸出を行なう場合には実際その審査とか調査のコストがほとんど省けるのでございます。たとえわずかでございましても、その分だけ金利を下げてはどうか、こういうふうに思うわけですが、中小企業者が払っている保証料は事実上これは銀行にとっても保険料という意味を持つわけでございまして、中小企業者と銀行が折半して保証料を負担してはどうか。それから金利の引き下げ、あるいは保証料の折半、そのどちらでもいいと思うが、どちらかの負担を課する方法がより合理的ではないかと私は考えるわけですが、この点はいかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 保証業務に対して金融機関そのものが折半するかという問題には相当問題があります。問題はそれよりも信用保証協会が行なう保証というものの危険率が一体どの程度であるのかということによって、その日歩二厘というような第一種保険というのが痛くないか、もっと引き下げられないか。日歩一厘九毛に下げることを政府は考えておりまして、今御審議をわずらわしているわけでございますが、国際金利から見ますと、日本は四、五年前までは長期金利三銭二厘なんというのが普通でございましたし、まあ一厘何毛などというのはというふうに考える方もありますが、国際金利から見て、保証業務が発足日なお浅いということもありますし、また中小企業そのものが複雑多様であるということから、諸外国でもってやっているほど安全性がないということで、一厘九毛というような保険料になっておりますが、料率そのものに対しては根本的にもっと引き下げていくという方向で考えるべきだと思います。問題はそれよりも実質金利の問題であるのであります。先ほど歩積み両建の問題がございましたが、中小企業ほど担保もない、また企業も安定しておらぬということで、歩積みを要求する。それから長期の資金に使われるものであっても、一ケ月手形でもって切りかえる。一カ月ずつで切りかえれば一年間では十二日間か十三日間おどっているわけであります。利息の二重払いをしているわけで、そのほか十二回も十三回もやれ調査だとか検査だとか、いろいろなことで書類を出させる。そういうことでもって手数が非常にかかる。銀行員が来れば、応待をしなければいかぬから時間的にもロスがある。調査費の名目でもって徴求されるものが実質金利にプラスされるというような問題がありますから、やはり信用保証業務というものを合理的にやるには、もう一般貸出と違って、窓口を通ってきたものに対しては一厘九毛だったら九毛分というのは手数が省けるように自動的に窓口でもって貸出が行なわれ、また検査や調査も一般貸出のようにむずかしい措置をとらないで、可及的すみやかに窓口処理をやってやるというようなことで、きょう必要な金がきょう間に合うというような状態に合理化をしていくということによって実質金利は下がるだろうということで、われわれも今その帳簿の上や数字の上や報告書の上の問題だけではなく、中小企業の実質金利を下げて、また必要な者に必要な時期に必要な金を与えるためにより合理的に運営するにはどうするかということに重点を置いて、今窓口検査を行なっているわけでございます。もちろん信用業務の保証の問題に対しては、この資金量を絶対的にふやしていくということであります。これは政府ばかりでなく、民間金融機関がこれに対して出資をするという問題もありましょうし、先ほどお説がありましたが、地方公共団体がこれらに対して出資をしていくというような問題もありますし、またこれらの問題を総合的に検討しながらより料率を引き下げる、合理化をはかるべきだというふうな考えを持っております。
○近藤信一君 次に、税制の問題についてお尋ねいたしますが、中小企業の特に小規模事業者の租税負担が大企業に比べますと不均衡に重いのではないか、こういうふうに各方面でいわれておるわけなんですが、その全般にわたってるる御質問することは時間もございませんから、現在特に問題となっておりまする点について二つ三つお尋ねをいたしますが、御承知のように現在中小企業は景気調整に基づく不況のあおりを受けて非常に困難な状態に陥っておるわけであります。特に下請中小企業においてはその程度がはなはだしい。どういう点にこれの困難が最も端的に現われているかと申しますると、それは支払い代金のうちの手形割合の増加、それから手形サイトの長期化、さらに不渡り手形の増大であります。これは中小企業庁や公取の調査ではっきりと数字的に出ておりますが、不況産業、とりわけ鉄鋼の関連中小企業は特に困窮をしておるわけであります。つまり彼らに入ってくる金は手形で入ってくる、しかもその現金化ができる期間が延びてくる、だんだんと手形も延びて参りますし、場合によってはこれは焦げつくということもあるわけです。ところが、税金のほうはこれは遠慮なく現金でびしびしと請求があるので納めなければならぬ、延滞すると延滞料もまた容赦なく取られる、こういう仕組みになって、非常にこれは中小企業にとっては痛いわけなんです。大企業の下請代金支払い遅延と税金とのはさみ撃ちにこれはなるわけなんですね。そういたしますと、中小企業者の困窮ということを救うためには一体どういう方策があるか。これは大企業の下請代金の支払いを取り締まることが必要なことは当然でございます。税金のほうからも何らかの措置を講じてやらなければだめだと私は思うのですが、この点何かの措置を講ずる意思があるかどうか、お伺いいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり下請代金支払遅延防止法改正案が先国会で通りまして、法定期間を過ぎたものは法定利息を付するということになっておりますが、理論的には非常にしっかりした法律でありますけれども、実際と理論が合っているかどうかということが疑わしいのであります。それは日本の親企業と中小企業との宿命的な問題が解決されない以上、実際において利息をつけろといえば、そういう下請よりも台風手形でもいいのだというような下請が幾らでもあるのだから、こういうことになりまして、実際会社の主管者は、こういうことが行なわれておるとは考えませんが、会計の窓口でもっていろいろな話し合いをし、事実上死文にひとしい取り扱いがなされておるということは間々聞くのであります。また私もそうであろうと考えております。これを何とか取り締まる方法ということも考えるわけですが、こういうものとあわせて税金ではさみ撃ちになるというようなお説もございましたから、はさみ撃ちになってはいかぬという考え方で、国税通則法及び租税徴収法によりまして、下請代金の支払いが遅延している場合とか、また非常な不況の段階にあって税金を納めることが困難であるというように判定をされる場合には、これらの法律の規定に基づいて一年ないし二年の徴収の延長をする措置を法律的にも許されております。許されておるだけではなく、実際どう運営されておるかという問題がありますので、私も大蔵省に参りましてから直ちにこの問題を取り上げ、窓口までこれらの問題が周知徹底するように各国税局長会議においては常にこのことを厳重に申し渡し、同時に税務署長会議等においてもこれらのことを周知徹底せしめております。おりますだけではなく、窓口にも税金を徴収するだけではなく、税金を納められない場合、こういうような特例もあり、恩典もあり、除外例もあるのですよというふうに、大衆の身になって窓口が税務行政全般にわたって好意ある相談に応ずるようにと、こういうような指導を徴底いたしておりますので、お説のように下請代金が払われない、また不況のどん底にあえいでいる、税金攻勢によって、なる産業も中途において倒れるというようなことがなくなりますように、徴税上諸般の措置を行なっております。
○近藤信一君 特に北九州の産炭地、それから鉄鋼の関連産業、不況関連産業、こういうところの中小企業は非常に困っていることは事実でございまするから、税金の面でも臨時的に特別的措置というふうなもの、こういうものを講ずるべきだと私は思うのです。たとえば中小企業が代金として受け取った手形は現金化されることによって初めてこれを利益金ということを認めて初めて課税対象とする、あるいは現金化されるまでは延滞料を免除して延納を認めるとか、そういう措置はとれないものかどうか。一般的にそういうことを行なうのがむずかしいことでございまするならば、特にこれは不況の程度、これが著しい特定の業種、特定の地域、こういうものに対して臨時的な措置というものは講じられないものかどうか、これをお尋ねいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 産炭地の中小企業が非常に売掛金の回収に困難を来たしておるというような実情は承知をいたしております。これに対しましては、中小企業金融公庫及び国民金融公庫等からつなぎ融資を行なったり、転換資金を行なったり、いろいろな特別融資を行なっておりますし、これに加えて徴税面に対しては特別に配慮をいたしております。これは地元税務署、特に窓口に対しても周知徹底せしめるようにいたしておりまして、これが代金回収ができるまで、また換価処分が行なわれるまでというような状態を十分検討をして、実情に合って、少なくとも徴税をすることによって角をためて牛を殺すようなことにならないように十分配意をするという前提で、徴収の一年ないし二年の延期、延納を認めたり、格段の措置を行なっております。
○近藤信一君 次に、中小企業における労働問題について労働大臣に二、三お尋ねをいたしたいのでありますが、御承知のように、ここ数年来の好況過程の中で名目賃金は一般的にかなり上昇するとともに、大企業と中小企業との間の賃金の較差が若干狭まったともいわれております。実際、東京を見てみますると、一昨年から昨年にかけての賃金上昇率は小規模企業ほど高いのでありまして、たとえば昨年の六月の賃金と一昨年の六月と比べてみますると、製造業の場合、五人から二十九人の小企業においては約二三%の上昇、それから三十人から九十九人の中小企業においては約一五%の上昇、百人から四百九十九人の中堅企業においては約一二%の上昇、五百人以上の大企業においては約八%の上昇、こういうふうになっておるわけでございます。これははなはだけっこうなことであろうと思うのですが、このように較差をだんだんと狭めながら、全体として一日も早く池田総理が言っておられるように、西独並みの賃金水準に近づいていくことを私は期待しておるわけでありますが、こういう賃金の較差縮小傾向の今後の見通しについて、大臣の所見を承っておきたいと思います。
○国務大臣(大橋武夫君) 規模別賃金較差の縮小の原因といたしましては、いろいろあろうと存じますが、特に引き続く求人難によりまして、中小企業ほど学校卒業者などの若年層の賃金上昇が著しく、それが動機となりまして、在籍者全般の賃金騰勢も進んでおるというようなことが原因になっておると存ずるのでございます。 指数につきましては、先ほどお述べになったとおりでございまするが、最近景気調整等もございますが、しかし、雇用方面の状況といたしましては、依然として求人難が続いております。ことに若年層におきましては、求職者に比べて求人が非常に多い状況でございますので、私は現在の較差縮小の傾向は、ここ数年は続くのではなかろうかと、かように見ておる次第でございます。
○近藤信一君 しかし、雇用と賃金の実態をもう少し詳しく見てみますると、事態は単に大企業におけるよりも、中小企業においてのほうが賃金の上がり方が大きいというだけの単純なものじゃございません。それは数字的にはそういうふうに出ておりまするけれども、との大企業と中小企業のその問題は、雇用の構造の問題にもこれは関連してくるわけでございまして、ここ数年来、賃金の較差が狭まったということは、これは安い若年の労働者、特に新制中学卒業者、これが大企業へ集中する傾向があるわけでございまして、昭和三十二年度において新制中学卒の就職者が、五百人以上の大企業に就職する割合は一〇・八%だったのが、三十七年度においては三丁三%、こういうふうに上がってきておるわけでございます。つまり、三十二年当時は、中学卒の就職者百人のうちの十一人足らずが五百人以上の大企業に就職したのでございますが、一昨年から昨年にかけては、ちょうど昨年は百人のうち三十一人以上が大企業のほうに就職しているわけです。したがって、これは当然のことながら、大企業の雇用の年令構成はだんだんと若くなっていく、その反対に、中小企業の雇用の年令構成というものは、だんだんと高くなっていく傾向があるわけなんです。わが国の賃金体系というものが、大体において年功序列型でいっているわけなんです。そこで雇用の年令構成が変わると、これは平均賃金自体が変わってくることも当然でございます。年令構成が低くなると賃金は相対的に下がり、また雇用の年令構成が高くなれば賃金は高くなっていく、こういうわけでございますが、この点について大臣いかがですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 労働力の構成が中小企業と大企業と変わっている、特に大企業には若年層がふえつつあるということ、それが賃金の較差縮小の原因になってはいないかという御質問でございますが、さような点もあるいは幾分あると存じます。しかし統計の示すところによりますと、縮小のおもな原因は、やはり全般的に求人難からきました、ことに若年層の初任給の引き上げが中小企業ほど大きく引き上げられている、こういうことがおもな原因になっているような状況でございます。しかし御指摘の点は、今後の労務対策を考えます上からいって重要なポイントでございますから、なお詳細かような点を統計的にも調査いたしてみたいと思います。まだ私の手元に具体的な統計がございませんので。
○近藤信一君 時間がございませんので、締めくくりだけちょっと。 そこで、新卒の若い、若年労働者が特に大企業を希望するというのは、これは中小企業は大企業と比較いたしますと、非常にいろいろな施設の問題で大きな違いがあるわけです。したがって、大企業へ大企業へと向いていく傾向があるわけなんであります。中小企業のほうは大企業と比較しますと、施設の問題でも非常に劣っている。これは私は、商工委員会でも通産大臣にこの点をただしたわけでございますが、これがどうしても施設の関係で大企業へとられる傾向が多いから、これは何とかして施設の改善ということを中小企業は考えていかなければならない、こういうことを言っているわけでございます。そこで、中小企業は、施設を変えていく、よくしていくというためにはどうしてもこれは金が必要である、そこで私は設備近代化資金というものは、ただ機械の近代化だけに貸すのではなくして、やはりこういう娯楽機関だとか、こういう施設の改善ということを近代化するためにも、資金というものを私は政府は考えなければならないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。それでなければいつまでたっても弱小中小企業は、労働者の福利厚生なんということはとうてい考えられないと思いますので、やはり若年労働者を中小企業へたくさん迎えて、そうして賃金をよくしていかなければならない。こういうことで、やはり娯楽施設とかまた住宅の問題、いろいろな方面にわたって中小企業は考えていかなければ、将来ともずっと中小企業への若年労働者の就職ということは非常に困難だと私は思うのであります。その点政府は設備の近代化資金というものは、機械だけでなく、そういう全般的にわたっての何か方途というものを考えておられるのかどうか、この点をお尋ねいたしまして、もう時間がございませんようですから……。農林大臣にもここへ御出席いただきましたけれども、時間がございませんので、この点農林大臣に感謝しておきます。
○国務大臣(福田一君) 中小企業の問題についてのただいまの考え方については、私も全面的に賛成いたしております。そうして中小企業近代化資金等につきましても、これは中小企業協同組合の共同施設というものであれば、これはそういう方面に金を使うように処置をいたして参る、そうして今仰せになったような中小企業者向けの労務関係の充実という面で大いに努力して参りたい、かように考えております。
○委員長(木内四郎君) 近藤委員の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(木内四郎君) 次に小柳牧衞君。
○小柳牧衞君 私は初めに外務大臣にお伺いいたしたいと思うんですが、戦後、日本は国民の非常な努力と国策と相まちまして、世界の驚異ともいうべき復興ぶりを見せておることはまことにけっこうなことでありまするが、しかし、なお戦争の犠牲によって暗い谷間に追い込まれておる多数の人のあるということを寸時も忘れてはならぬと思うのであります。その一つに歯舞、色丹、国後、択捉から引き揚げてきた者の問題がございます。現地についてこれを見ますると、実に気の毒な状態であり、しかも墳墓の地として心得ておる土地にあこがれる情熱はまことに涙ぐましいものがあるのでございます。われわれは、国策のほうからいたしましても、またこれらの人に対しましても、一日も早くこの問題を解決して、これらの悲願を達成せしめたいと思うのでございまするが、しかし、国際の問題は慎重を要するでしょうし、またことに相手方のある問題については機の熟するをとらえなければならぬという問題もあるのでありまして、今直ちに外務大臣にこの問題の今後の見通しについてお伺いすることは御無理とは存じまするが、しかし、これらの人に対しましても、将来に対して希望を持たせるように、そうして、できるだけその処遇についてあたたかい政治をやっていただくということは非常に必要であると思うのでありますが、外務大臣はこれらの問題に情熱と誠意を傾けて解決することに邁進していただきたいと思うのでございまするが、これらについての御所信を承りたいと存じます。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、特に根室周辺の漁業者がソ連の占領下にありまする地域と近接し、かつソ連側の圧迫によりまして漁業が狭められるというような、生活の困窮状態にあることを重々承知いたしております。政府としては小柳先生が御承知のとおり、昭和三十二年の六月にソ連側に対しまして覚書を発出して、歯舞、色丹、国後、択捉、千島諸島周辺に小型漁船の安全操業地域をきめていただき、かつその操業を保障していただく交渉を始めたわけでございます。先方は当初この話に応ずる気配にございましたが、その後やはり、北方領土問題が平和条約によって最終的に片づかない以上、この問題と取り組むわけには参らないという態度で応酬してきておるわけでございます。政府としては、しかしこれは本来平和条約と関連がない、北海道周辺の漁民の福利の問題でございますから、人道的な立場から本問題に取っ組んでもらいたいということを再三申し入れておりますし、今日もその態度を変えておりません。きのうも農林大臣からもお話がございましたように、今度日ソ交渉におきましても、議題には上っておりませんけれども、この問題をお取り上げいただいて、先方の反省を求めるようにいたしているわけでございます。今後も北方領土問題という本格的な交渉と切り離して、私のほうといたしましては、機会あるごとにこの暫定協定の趣旨で局面の打開をはかっていくべく決意をいたしております。しかしながら、そう申しますものの、現実に被害を受けている漁民の方々の今日ただいまの状況は放置できませんので、御案内のように、先年北方協会を作って資金の貸付等に応じておりまするけれども、あの地域の方々の漁場の転換、これはきのう農林大臣からもお話があったわけでございますが、その他政府としてあらゆる措置を講じまして、今日の状況の改善ということにあわせて努力いたしますことは、当然のことと心得ております。
○小柳牧衞君 この問題はすこぶるむずかしい問題とは思いまするけれども、先ほど申しましたように、あたたかい考えで情熱を持って、誠意を持って解決していただきたいと思いまするが、今引揚者において問題としておりまする問題もかなり多いのでありますが、その項目だけを申し述べまして善処を要望する次第でございますが、その一つは、ただいまもお話もあり、また昨日横川議員の質問もあったように、歯舞におきます安全操業の問題でございます。これは一応困難であるという通牒に接したということでありますけれども、さきにはそのコンブ採集と売買というようないろいろな話もあったと聞いておりますが、何かそこには一つの弾力があるようにも考えられますので、再三この問題を強く交渉せられんことを要望する次第であります。 さらに、今日なお拿捕される者が相当あるようでございますが、その現況も承りたいのでありますが、それはそれといたしまして、今なお抑留されているところの漁夫がかなりあり、しかも、それがサガレンにおいてかなり苦しい労役に服しているのではないかという疑いもあるのでありまして、これらの問題に対しましても、あたたかい取りなしを願いたいと思うのでございます。さらにまた昨年は十億円の融資の交付を地方の団体にしていただきまして、引揚者の待遇について非常にりっぱな成績を上げておりますけれども、それらの実際に当たりまして、今なお市中銀行との金融の関係において相当問題があるように聞いておりますが、これにつきましても円満に解決するようにやっていただきたいと思うのでございます。さらにまた、目下問題になっているのは千島連盟というものの法人を作るということに非常に希望を持っておりますが、今なおこれは認可がないようでありますが、これも認可がないといたしますれば、相当の理由のない限りすみやかにやっていただきたいと思うのであります。 最後に、この引揚者の戸籍の問題でございます。これらの地方における戸籍につきましては、いわゆる就籍の手続をするか、あるいは転籍の手続をするかということについていろいろいきさつがあったようでありますが、幸い三十六年の末におきまして、これは転籍ということにして本籍には触れないという、いわゆる固有の領土という概念に基づいてやっていただくようになったことは非常にけっこうだと思いますが、しかし今なお転籍の手続もせず、また就籍の手続もしない人も相当あります。なおまた従来の仕事の関係上根室方面に相当集まっておりますので、これらに対して戸籍事務所を設けてもらいたいという強い念願がございます。これは一昨年外務委員会でも取り上げられまして、当局は十分に考慮するということになっておったと聞いておりますが、その後どういうふうにお考えになっておりますか。今日におきましては、従来よりは事務的におきましてはやや簡素化されましたので、特にその必要ないという議論もありましょうけれども、実際においては相当の不便もありまするし、また本土復帰の念願ということから考えまするというと、事小さいようであって決して小さくはないのでありまして、これに対しましても十分あたたかい趣旨で解決を順いたいと思うのでありまするが、この点につきまして法務大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。 ただいま御指摘のとおりに、従前から南千島、特に国後、択捉、歯舞、色丹等の北方地域に本籍を持っておられた方々が、転籍等につきましていろいろ御苦心をしておられることはよく承知をいたしておるのであります。なおまた、今の御意見のとおりに、転籍希望者につきましては特別に便宜をはかっておりまして、そのこと自体には何らの支障もないように承っております。ところが、中には非常に自分の長年住みなれた郷土から転籍等はしたくないという、そういう方々もあるのでありまして、そういう方の戸籍事務を処理するために根室に戸籍事務所を設けたらどうかという御意見につきましても、これも一つの解決の方法かとも思うのでございますが、実際作業をすることになりますと、これは単行法を出しまして、そうして設置しなければならないということになるのでありまして、希望するとしないとにかかわらずの問題になってくるのであります。そうなりましたときに、現在の南千島の状況につきましては、先ほど外務大臣からもお答えになりましたとおりに、日本は一方的にソビエトに占領されておる、支配されておるという形になっておりますので、それを日本の国内法で承諾してしまったというような形になってはならないという点等がございますので、そういうことも考慮に入れまして、今後の問題といたしまして十分検討をいたして参りたいと思います。
○小柳牧衞君 ぜひただいまの問題は同情のある御解決を願いたいと思います。 次に、私は時間の関係もありますので、ごく簡単に公務員の制度について人事院総裁にお伺いいたしたいと思います。 最近人づくりということがたいへん叫ばれておるので、これは当然なことでありますし、またけっこうなことだと思うのですが、しかし、一面公務員につきましても、できるだけ優秀な人材を多数集めまして、そして行政の能率を上げるということが何より必要であるということは申すまでもございません。公務員の人づくりは当面の問題でもあり、国家百年の問題でもあると存ずるのでございますが、最近公務員試験を受ける人の趨勢を見ますというと、詳しい数字は抜きにいたしまするが、最近昭和二十八年以降、その当時は三万五千三百四十人という志願者がありましたが、それがもうみな逓減いたしまして、そうして一昨年は九千八百四十五人となっております。昨年はやや多くなっておりまするけれども、希望者の累減の趨勢というものは争うべからざるものであると存じます。これはいろいろ理由はありましょうが、一口に申しますならば、公務員に対して魅力がないといってよろしいのでしょうが、それには、あるいは待遇の問題あるいは将来の希望の問題等々、いろいろありましょうが、これらの趨勢に対しまして、人事院としてはどういうお考えを持っておりまするか、お伺いいたしたいと存じます。
○政府委員(佐藤達夫君) お答え申し上げます。 ただいま御指摘になりましたような趨勢は確かにございます。私どもも非常な懸命を持っておるのであります。受験者総数から申しましても非常に逓減しておる。それからなお、合格者の中からも相当民間のほうに流れていくというようなことが大きなネックになっておると思います。これは大勢におきましては、やはり民間の景気等の関係も反映しておりまして、ただいまお言葉にもございましたように、最近ちょっとまた上向きになっておるというようなことも、これはほのかに希望を抱かせておるのでございます。いずれにいたしましても公務員の処遇の問題は、やはり第一にわれわれの頭にくることで、そう申しますと、たちまちこれは給与の問題ということにすぐつながるわけであります。その点を十分に考慮いたしまして、給与勧告のたびごとに、その辺、ことに初任給の関係というようなことを考慮いたしまして、初任給の調整手当というようなものも加えまして、大体この給与の面からは民間の平均にはそう劣らないという体制は整えているつもりなんであります。なお、この点は私どもといたしましても今後魅力あらしめるために、あらゆる角度からさらに力を尽くしていかなければならないと思いますが、何分にも大会社の給与と公務員の給与とを競争でやりまして、大会社に流れる者までも公務員のほうに給与の点で吸収しようということは、これまたいろいろむずかしい問題がございますので、先ほどいろいろお言葉もございましたけれども、あるいは人づくりとかなんとか、他の政策とあわせて、あるいは私どもといたしましては、一般の啓蒙普及と申しますか、PRの面に力を尽くして、いろいろ考えあわせて善処をいたしたいと考えております。
○小柳牧衞君 その合格した者がどんなふうに採用されるか。言いかえれば、できるだけ優秀な人を多数採用しなければならぬと思うのでありまするが、最近の趨勢を見まするというと、必ずしもそうでない。しかし、優秀であるか優秀でないかということを数字的に知るということは非常にむずかしい問題で、あるいは学校における成績、あるいは受験の成績、その他各般の事情を調べなければわからぬ非常に困難な問題でありまするので、適当な資料は私は持ち合わせありませんが、もし人事院で持っておられるならばお示しを願いたいと思いまするが、私の乏しい資料をもって考えてみますると、三十三年にはすべての受験者を上、中、下に分けまして上の者が六百六十三人、その中で採用された者が三百四十三人、五一%が採用されておったようでございます。ところが三十八年には七百十三人のうち二百六十五人が採用されました。そういたしますると三七・二%というようなわけで、上位の人が減ったということを明らかに数字が示しておりまするし、今度下位の人の統計を取ってみますると、三十三年には百七十八人が採用されまして、そうしてその採用の率というものは二六・九%、しかるに三十八年には二百十六人でありまして三〇・七%、つまり成績下位の者が増している。概括して申しますと、優秀な人はあまり来ないで、優秀ならざる者が多く来たというような結論も出るわけでありまするが、しかし、一面合格者にして会社あるいは大学院に行くために辞退をした、こういう人を見ますると、今のとは少し違うのであって、三十三年度におきましては六五%ぐらいでありました。それが三十八年には三二%と、よそに行く人が少なくなったとも言い得るので、私のこの推測は当たらないかと思いまするが、しかし、何かしらんどうも私は優秀な人があまり来ないような傾向じゃないかと、かように考えるのであります。もちろん、これが事実であったといたしましたならば、これはおそるべきことだと思うのです。われわれは、かつて戦前のようにいわゆる官尊民卑であり、あるいは出世主義によって多数の人が役所に集まったということは必ずしもいいとは思わぬ。むしろ、民間にいい人が出るということはけっこうだと思うのですが、さればといって、優秀ならざる者が役所にたくさん集まるということになりましたならば、公務員が実際においては指導的の立場であり、あるいはまたいろいろの計画に参加するという、あるいはまた実際行政の衝に当たるという点から考えまするというと、この趨勢は決していい傾向じゃないと言ってよろしいのであります。私の今の推測が誤まっておればそれでけっこうですが、これらについて人事院としてはどう考えておりますか、お考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) お答え申し上げます。 数字のこまかい点は、別にこちらからまたお答え申し上げる必要はないと思いますが、大体先ほど申し上げましたように、受験者の数が減っておることと、それから合格者の中からよそに流れる者がある、その流れる者を実は成績で上中下というように分けて、どの程度に、たとえば上のほうの者がよけい流れておるかどうかということを調べてみましたのですが、これは最近の三十七年度の場合を申しますというと、各省の採用内定者が七百十三名でございまして、一方今度は合格しながら辞退した者、これが百九十三名、その辞退をした百九十三名の成績別の分布を見ますというと、成績上級の者が六十二名、それから中級の者が六十八名、下級の者が六十三名ということで、その比較を申しますというと、必ずしも優秀な者がよそに流れたということにはなりませんが、何分ただいまのお言葉にもありましたように、受験者総数が第一減っておるのでございますから、受験に至らずして流れてしまっている者のことはわかりません。というようなことで、まことにその傾向というものは決して楽観できないものであるという感じを持って、先ほど申し上げましたような態度でいろいろ考慮検討をいたしておるという次第であります。
○小柳牧衞君 今のような趨勢は十分に検討していただきまして、そうして善処していただきたいと思いまするが、しかしまた一面、これら採用した人に対しましては、できるだけ能率の向上なり人格の向上なりをはかるために、研修という問題が役所として義務づけられておりまするから、研修にうんと力を入れなければならぬと存じます。幸い最近研修の成績を見まするというと、その研修を受けた人のパーセンテージを総数に比較いたしまするというと、初めは一〇%であったのが最近には一三%にまで上がっておると、研修が非常によくなっておるといえますけれども、これを英、仏、西独等の研修の状況に比較いたしまするというと、非常に私は手ぬるいと思うのです。でありまするから、これらについて詳しくは申しませんが、もっと力を入れなければならぬと思いまするが、そのうちでも、申すまでもなく、この研修というものは、専門的知識をつけるということも必要でありましょう、一般の教養をつけるということも必要でありましょうが、団体の意識というものを強めて、そうして団体として十分に能率を発揮するようにしなければならぬ、その素質を涵養する必要があると思うのでありまするし、ことに公務員につきましては服務についてのいろいろの義務がございます。かつての服務紀律のときには天皇陛下の政府に忠誠でなければならぬということが第一カ条であったが、今日ではそういうことではなく、全体に奉仕するという眼目のもとに立たなければならぬので、これらに対するところの研修の問題なり、あるいは服務の規律を保持するなり信用を高めるなり、公務員法に規定しておるところの幾多の義務を尽くすために最善の努力をするような研修を必要とするのであります。今の、団体の意識の研修なり、あるいはまた、これらの公務員の義務に対する研修というようなものは、これは道徳的なものであり、良心的なものでありまするから、学校において道徳教育が非常に困難であると同時に、研修ということにおいても非常に困難だと思うのです。研修の科目の一覧表を拝見いたしまするというと、専門的知識をつけるなり、あるいはまた一般教養をつけるという点については相当周到にやっておられるのです。しかし、今のような道徳的、良心的の問題については一向触れておりませんが、これは困難な問題であるからであるということはお察しできますけれども、これらの問題については何とか考えなければならぬものと思うのでありまするが、この点につきまして総裁の御所見を承りたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) お答え申し上げます。 研修について非常にありがたいお言葉を承ったのでありますが、私どもといたしましても、在職者に対する関係としては、研修の重要性を最も高く評価しておるものであります。今お言葉にもありましたように、戦後、各省においても人事院そのものにおきましても、研修施設というものは相当向上拡充されまして、そのものに力を入れることができるようになっておりますことは、非常に私ども喜ばしいと思います。ただいまお言葉にありましたように、精神的と申しますか、道徳的の面の薫陶を加えて、これはそれだけを抜き出して参りまして道徳教育というような形にいたすことは、またいろいろ考えるべきことがございましょう。したがって、何か、にじみ出すような形で自然片々としみ込んでいくというような方法はないものかと、実は私も長年考えておるわけでございますが、たとえばその道の有識者あるいはその他の人々の講話ということもお願いいたしまして、そういう面には努力をしておりますが、なおできれば、あるいは集団的に、特に幹部になるような人人、まあ幹部養成と申しますと語弊がございますが、将来性、見込みのあるような素質を持った人々につきましては、何かもう少し——自治大学校あたりには例がございますが、一種の寄宿舎制度みたいなものを集団的にやってもらって、そうしてたまには講師も一緒に、夜、飯を食いながらお互いに意見を交換するというようなことができないものかというようなことも、人事院の公務員研修については、そういう施設があっていいのじゃないかというようなことを私ども考えておりますので、これは予算の関係等もございますけれども、そういう方向も一つの行き方ではないかというふうに考慮いたしております。
○小柳牧衞君 懲戒処分を受けた者の数の趨勢を見ますというと、幸いにたいして増加はない、いわば横ばいといってよろしいような状態でございます。あるいは総数から申しましたならば幾らか漸減しておるのじゃないかというような点も見られるのでありまして、この点はまことにけっこうだと思うのですが、それにしましても三十七年度には免職が二百二十六人、停職が二百十人、減俸が四百三十一人、戒告が七百十四人となっております。そういうような情勢で、一そうこれは少なくなるように努力しなければなりませんが、しかも収賄というようなものは年々やはり百件ぐらいを上下しておるような様子であります。これは官紀を維持する上からいいましても、官庁の能率を高める上から申しましても、最も力を入れなければならぬと思うのでありますが、これらの問題について総裁の御所見を承りたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) これもただいまお言葉がございましたとおり、懲戒の件数は、いろいろ年によって違いがございますが、普通の一般公務員に共通の懲戒原因によるものは大体多くはなっておらぬ、減りこそすれ多くはなっておらぬというふうに考えております。ただしかし、これをやはり服務規律の維持という面から未然に防止するという方法については、これは当然ほうっておけないことでございまして、私ども人事院といたしましては、たしか去年からでありましたか、そういう服務関係の面を重点にいたしました各役所の主任者との懇談というようなことを各地方事務所ごとにやっております。いろいろ事実上のケースを問題の種にいたしまして、お互いに懇談をして服務規律の維持ということに協力をいたして参っておるという行き方をとっております。なお、本院のほうにおきましても、人事院主任会議というもので、やはり各省の代表者と懇談をする機会を持っております。そういう機会にも、こういう点を十分考慮し続けております。今後もさらに一そうそういう努力を続けたいと思っております。
○小柳牧衞君 懲戒処分の不幸な人のないように最善の努力をしていただきたいと思いまするが、しかしまた、人事行政におきましては信賞必罰ということが古くからいわれておる要諦であると存じます。十分に戒告することが必要であると同時に、りっぱな行ないをした人に対しては、これは義務を行なった当然のことといえばそれまでのことですけれども、他の模範になるような者につきましては、これを賞恤するという制度を十分に整える必要があると思うのであります。日本におきましては、内閣なりあるいは警視庁なり、そういうとこる、にはそれぞれの制度があり、また断片的に法律におきましてはいろいろの道もありまするけれども、国として一貫したところのこういうふうな問題がないように思います。もっとも欧米におきましてもあまりこの制度は徹底しておらぬのでありますが、最近、米国におきましては一九五四年ですが、職員褒賞法というものを作りまして、一貫したところの、徹底したところのことをやりまして、そうして現金の褒賞、あるいは名誉褒賞というようなわけで、一方においては経済的に、一方においては名誉のあるバッジをつけるというようなことにして、ずいぶん徹底しておるようでございます。これらは一つの参考でございまするが、日本といたしましても、懲戒処分というものを厳重にやると同時に、賞恤の制度をさらに完備いたしまして、一面においては戒めると同時に、一方におきましてはこれをほめたたえまして他の模範にするということも、また公務員の働きがいになるということにもなると思います。全体といたしまして人づくりの方法であると存じまするが、これについて総裁の御所見を承りたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) 現在の制度的の面から申しますというと、御承知のこの特別昇給というものがございまして、これはまあ勤務成績の優秀な者に対する一種の賞与的な性格を持っておると考えております。それからもう一つは、ただいまのお言葉につながりますが、それとは離れた別の表彰規程というようなものを設けましてそして特段の、抜群の功績のあったような者を表彰する道も、実は各省で設けられております。ただ、表彰制度というものを、われわれ乏しい経験でございますけれども、考えてみますと、目にあまる悪いことをした者を懲戒するということは割合にやりやすいことだと思いますが、さていい者をほめるという段になりますと、たとえば警察官が身を挺して犯人を逮捕したとか、あるいはすばらしい技術上の発明をしたというようなことがありますれば、これは表彰もやりやすいのでありますけれども、それに至らない程度の、地道に業績をあげてきたというような者を、どういうふうにして表彰のほうに結びつけていくか。これは一方においてはただいまの特別昇給のような問題とつながりがあり、あるいはまた特別の昇格というような面でもつながるものでございますが、その辺の問題がいろいろございまして、私どももそれらの点をさらに総合的に考えて、従来苦慮しておると申し上げたほうが率直だと思いますが、苦慮しておるのでありまして、お示しのとおり信賞必罰ということが公務員の制度の上においては一番大事なことだということは十分考えております。そのつもりで努力したいと思います。
○小柳牧衞君 時間の関係から詳しく申し上げるわけに参りませんでしたが、大体の要旨は今申し上げたとおりであります。今日国つくりの重大な問題に直面いたしまして、公務員におきましてもその風潮をとり入れまして、りっぱな公務員をもって役所を組織いたしまして、一そう新しい日本、新しい公務員、すなわち民主主義であり、しかも全体に奉仕するという観念のもとに有能な公務員を養成し、それを充実させるようにしていただきたいと思うのであります。 私の質問はこれで終わります。
○委員長(木内四郎君) 小柳委員の質疑は終了いたしました。 これにて休憩し、午後正一時半より再開いたします。 午後零時四十五分休憩 —————・————— 午後一時四十一分開会
○委員長(木内四郎君) これより予算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を行ないます。石田次男君。
○石田次男君 まず移住問題について外務大臣にお伺いしますが、今日までの移住行政は失敗の続出でありまして、その行き詰まりを打開するには根本的な対策が必要であるということをしばしば私は申し上げてきたのでございます。ところで、今度移住事業団法を出されたことは、外務当局としてもよほどの決意をもって立ち上がったものだと考えますが、今後の移住行政全体に対する外相の方針と抱負とをお述べ願いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、ただいままでの移住政策は決して成功でなかったばかりか、いろいろ指弾を受けなければならない欠陥が多くあったと思うのでございます。これに対処いたしますためには、移住政策の基本の理念を確立して、みんながその理念を把持して参らなければならぬということが要請されるわけでございます。この点につきましてはいずれ移住立法を総合的に考えなければならぬと思いまして、私どものほうでも用意をいたしておるわけでございます。しかし、さしあたって、各行政機関の多元的な監督ということが移住政策の推進に非常に支障を来たしたこと、それから移住を担当いたしておりまする機関の能率がよくなかったこと、まあさしあたってそういった問題をまず解きほぐさなければなりませんので、今御承知の移住事業団法を立案いたしまして、行政監督を一元化しかつ簡素化し、それから事業団に責任を帰一して、事業団がきびきびとその責任において事業を推進していただくというようにいたしたいということで、今度、事業団法の御審議をいただいておる次第でございます。
○石田次男君 私も今度の事業団の活動についてはぜひ成功してもらいたいと、こう思っているものでございますが、それについては過去の移住行政の障害やら欠点というものを明らかにして、この新しい事業団に今までのそれらの欠陥、問題等を持ち込まないようにする必要があると思うんです。この点についての検討とか反省とかいうものは十分にできているでしょうか。また、関係各省間のそういった問題についての調整は十分にできておりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘の点が問題点でございまして、先ほど申しましたように、関係各省の監督を簡素化していくということで、外務省の一元的な監督にいたしたわけでございます。外務省が監督する上におきましては、やはり移住の基本方針を関係各省と十分協議した上で行なうわけでございますが、外務省といえども過去移住行政に対して立ち入り過ぎた懸念が私はあったと思うのでございまして、むしろ予算とか、人事とかいう基本の点について一応窓口の役目を果たしたいと思いますけれども、実際の移住事業そのものは移住事業団が全責任を持ってやるという仕組みにいたしたい。そういう基本的な考え方につきましては、関係各省と協議いたしまして、間然するところなく意見の一致を見ているわけでございます。一番問題の多いのは、外務省と農林省の間柄でございますが、これはお話し合いをいたしまして、農業協同組合等民間団体がおやりになりまする募集であるとか、あるいは選考であるとか、あるいは訓練であるとか、そういったことは農林省の設置法に基づきまして農林省に従来どおりお願いする。そうして移住事業団に引き渡されましてからは、地方、中央、現地一貫いたしまして移住事業団の全責任において遂行してもらうというようにすることにつきましては調整は済んでいるわけでございます。
○石田次男君 今の外相の御意見は尊重申し上げますが、しかし、今日まで問題が全部解決されているとも考えられないのですね。 そこで、この種類の問題の代表的なものについてお伺いしたいと思います。まず、グァタパラ移住事業の既往経費の問題についてお伺いするのですが、まず当局からその概要を御説明願いたいと思います。
○政府委員(高木広一君) お答え申し上げます。グァタパラの事業につきましては、関係県の強い要望もございましたので、外務、大蔵、農林三省話し合いまして、この事業に海外移住会社が積極的に協力する態勢になりまして、今先生が御質問になりました既往経費につきましては、適法かつ妥当なものは引き継ぎ資産として移住会社の特別会計が引き受けるということにいたしまして、一応仮引き継ぎをやっておりますが、本格的な確定受け入れば、これが会計検査院によって適法であると認められた上で行なうということ。現在では土地代と全拓連が持っております現金についてはもう引き継ぎを終わったのでありますが、既往経費につきましてはまだ仮引き継ぎという形になっております。
○石田次男君 この既往経費がえらい問題なのでありますが、問題のグァタパラ移住を開始するときには、ブラジル側へ行っておるサンパウロの総領事ですか、それからブラジル公使、両方からだと思いますが、反対の意向を申し入れてきたはずですが、それはどうでしょう。
○政府委員(高木広一君) この点につきましては現地でもいろいろ意見がございまして、非常に土地代が高いとか、非常に経費がかかるとかいうような問題がございまして、今仰せのような意見も来たのでございます。ただ、本省といたしましては、さきも申しましたように、関係県ですでに内募集を始めて、財産整理をすでにしてしまって、早く行けなければ因るというような人もありまして、県知事から要望もあり、関係省からの強い希望もありましたので、さき申しましたように、三省の次官が申し合わせまして、合法な範囲内でこれを移住会社がめんどう見るということになった次第であります。
○石田次男君 グァタパラの移住地は出だしがそうでありまして、すぐ行き詰まって、これを移住振興会社のほうへ押しつけているわけですね。これはどういうふうにして、全拓連で始めた仕事を移住会社に押しつけたのか、その辺、農相から御説明願います。
○国務大臣(重政誠之君) その当時の事情は政府委員から御説明申し上げます。
○政府委員(斎藤誠君) お答えいたします。当初、この事業は、全拓連とブラジルのコチア産業組合との提携で進めるということになっておったわけでございますが、その後、これを進めていきますにあたりまして、相当の資金量も必要である、また、この事業を進めるにあたりましての植民事業につきましては、現地の適当な機関も必要であるというようなことになりまして、移住振興会社の現地法人でありますジャミックがやはり事業主体となってやることが、いろいろの事情から適当であろうということになりまして、三省でそのような方針をきめた次第でございます。
○石田次男君 もともと全拓連は、これは成立するときに、移住者に対する国内の援護事業に活動は限定し、海外での土地購入や融資活動等は行なわないということになって発足したはずでありますが、それがどうして海外に手を出したのですか。
○政府委員(斎藤誠君) お答えいたします。今お話しになりましたように、当初全拓連としてはそのような趣旨で出発いたしたのでございますけれども、だんだんに移住事業を進めるにあたりまして、関係県のほうから、直接現地におけるいろいろの視察を経まして、適当な農場等があればそういうものと結びつけて事業を進めるという機運が上がって参ったわけでございます。そこで全拓連といたしましては、そのような関係県の農業団体等の要望もありまして、現地における農業移住の促進のために必要な土地の取得あるいはそのためのあっせんを行なうという業務をつけ加えることにいたしたわけでございます。
○石田次男君 この点は大事な点ですから、あとでもっと詳しくお伺いします。 問題のグァタパラ経費でありますが、これは三十六年の十一月以来全拓連と移住会社との間に話し合いがついていないわけです。そうして経費内容を明確にして移住会社へ引き渡さなければならないわけですが、どうして経費内容がはっきりしないのです。
○政府委員(斎藤誠君) 先ほど移住局長から御説明があったわけでございますが、この事業につきましては、各県の県拓連が信連から融資を受けまして、そして二億八千八百万円の資金の調達をいたしております。これをもとに事業を進めるということに相なったわけでございます。ところが、この事業が当初計画されたのは三十三年当時でございまして、その後におきまし七、現実に事業が着手されるに至りましたのは三十六年の十月になったわけでございます。しかし、この二億八千八百万円のうち、土地の購入代だとかあるいは現金であるとかというものにつきましては、いち早く明定いたしまして移住振興会社のほうに引き継ぎをいたしたわけでありますけれども、事業着手前に使った経費についても二億八千八百万円の一部として当然移住会社において引き継いでもらいたいということで進めて参ったわけでございますが、その間既往の経費、現地の調査費であるとかあるいは一般管理費であるとかというようなものにつきましては、全拓連と移住会社におきましていろいろ話しを進めて参ったわけでございますが、既往の経費等のものの見方によりまして、若干の差があったというようなことから、大部分のものについては確定できると申しておりますけれども、若干そういうものがありまして、今日まで至ったわけでございます。われわれとしては早急に、一応暫定的には引き継ぎが行なわれておるわけでございますが、早急に正式の引き継ぎができるようにということで今関係庁あるいは関係団体と協議を進めておるという段階でございます。
○石田次男君 今の御説明ではずいぶん軽くおっしゃっていますが、全拓連では約一億六百万円ばかりを該当額として要求しているわけですね。ところで、その中で一般管理費の約二千六百万円が全然未確定になっているわけですね。これは東京本部で使った一般管理費でありまして、結局これをはっきりしないとグァタパラ経費は引き継げない、こういうことになっていると思いますが、間違いありませんか。
○政府委員(斎藤誠君) 今お話しになりましたように、二億八千八百万円の中から土地代だとかあるいは現金だとかというものを除きまして、既往経費として約一億六千万円があるわけでございまして、その中には今お話しになりましたような金額が入っておるわけでございます。したがって、先ほど申し上げましたように、その資金額につきまして今関係団体なり移住振興会社といろいろ相談を進めておるというところでございます。
○石田次男君 今いろいろ相談を進めておるというけれども、三十六年以来やって、二千六百万円の内容が確定しないというのは、はなはだこれはおかしいと思うのです。これは一体用途がはっきりしておるのか、はっきりしておらないのか、どっちです。
○政府委員(斎藤誠君) この経費につきましては、全拓連が会社に引き継ぐ前のことでございますので、全拓連と各県の連合会との間においていろいろの話し合いもありまして、事業支出について詰めて参ったわけでございます。一応の経費の支出内容については明らかになっておると思うのでありますけれども、しかし、その取り扱いにつきましては若干全拓連と会社の中におきまして意見の差もあるというようなことでございます。
○石田次男君 はっきりしていると思うと言っておりますけれども、はっきりしているのか、思うのか、どちらですか。私の調べたところでは、使途不明と出ておりますがね。
○政府委員(斎藤誠君) 全拓連として、経費内容をわれわれが徴したところでは、明らかであるということになっておりますが、その数字自身についてのものの見解の差といいますか、今のところにおいて若干の議論があるということでございます。
○石田次男君 この二千六百万円の不明分でありますが、後日に領収書その他の関係書類を作成して、体裁を整えたと思われるものが相当ある、こういううわさがもっぱらでありますが、これについてはどう思われますか。
○政府委員(斎藤誠君) 全拓連自身といたしましては、グァタパラ事業が中心の仕事になっていた場合もございますけれども、それ以外の、国内におきまするいろいろな事業もやっているというようなこともございまして、つまり全拓連の経費として明らかであっても、グァタパラに使った事業分としてどうであるかという場合におきましては、費用の割り振りというような問題もございますので、その間そういうふうなこともあったかと思いますけれども、支出内容そのものにつきましては、私のほうも妥当なものではないかと、こう思っているわけでございます。
○石田次男君 その全拓連の、問題のグァタパラ経費関係のそういった経理の書類は、全部目を通してありますか。
○政府委員(斎藤誠君) 一応目を通してあります。
○石田次男君 目を通した範囲では不正はないということは断言できますか。
○政府委員(斎藤誠君) そのようにかたく信じております。
○石田次男君 会計検査院長にお伺いします。この問題は三十六年度分の検査にかかってくると思いますが、検査はお済みでしょうか。
○会計検査院長(芥川治君) お答えいたします。会計検査院といたしましては、仮の引き継ぎの書類は受け取っておりますが、その後会社におきまして内容を十分検討の上、妥当なものと認められた後において引き受けるということでありますので、検査院といたしましては、その検討が終了後に検査を実施する予定になっております。
○石田次男君 結局、この経費は非常に疑惑が多いのにもかかわらず、会計検査院のほうでもそういうことなんですね。 それで、移住会社のほうでは、出された書類を受け取って、どうしても内容が不明だから受け取らないとがんばっているわけです。一体両者の間でいつまでに結論がつきますか。
○政府委員(高木広一君) お答えいたします。本件に関しましては、昨年の七月に会社を督促いたしまして、会社から全拓連に、さらに必要資料を早く出すように催促いたし、昨年の十一月には、この三月末までにできる限り全体の確定をするようにということを言っておるのですが、その点で会社及び全拓連が話し合いをしている実情であります。
○石田次男君 これは外務と農林、大蔵三省の協議事項になっておりますので、外務省のほうも関係が出てきますが、大蔵省のほうでも関係が出てきますが、大蔵省としてはこれをどういうふうにいたしますか。
○国務大臣(田中角榮君) お答えにならないかもわかりませんが、一億六千万円の問題につきましては、私のほうで知り得ているもの、私のところまで来ておりますものは、農業基盤整備事業が終了いたしましたが、入植者が予定数に満たないということで、国内から二百六十一戸、現地入植百十三戸という予定であったものが、現在国内入植者が五十二戸しか入っておらない。しかし、当初の予定よりもおくれておりますが、入植者からの報告によれば、現地の状態その他が非常にいいのであって、当初の見込みのように、なるべく早い機会に当初の計画どおり入植を進めたいという報告が私のところに参っておるだけでございまして、今あなたが農林関係等と質疑応答せられておるような事情は、私は承知をいたしておりませんから、政府委員をして、知り得ておるなら、その限度において御報告をさせます。
○政府委員(石野信一君) 三省、関係はございますけれども、私どものほうは間接でございますので、やはり外務、農林で両方に強く指導してもらいまして、できるだけ早く解決していただきたいと、こういうふうに考えております。
○石田次男君 この全拓連が使った一億何がしの金は、もともと関係七県から出たものでございます。それで、全拓連としては、この関係七県に利子を払わなければならないはずですが、これはきちんと払っておるでしょうか。
○政府委員(斎藤誠君) 三十六年の十月に一応暫定的な引き継ぎ価格として引き継ぎ契約をいたしたわけでございますので、その後におきましては、利子支払いを移住会社から全拓連が受け、各県に流しておると承知いたしております。
○石田次男君 ところで、この利子についてですが、全拓連では、この利子の支払いですね、グァタパラ経費の金額の確定していないのに、移住会社へ事前に出してもらいたいと言って要求しておるそうですが、そうですか。その点について。
○政府委員(高木広一君) お答えします。この利子の問題につきましては、全拓連が県拓連、県拓連は県信連から年五分の利子で借りておるわけであります。したがって、最初移住会社及び全拓連と話し合いましたときには、この仮引き継ぎしましたものは、そう長くかからないで木確定するという考えのもとに、一応全額に対して利子の仮払いをする。土地代及び現金は、これは確定をしておりますから本払いをいたすわけでありますが、既往経費を含んだ一億何千万円に関しましては、一応利子の仮払いをして今日に至っておるのであります。
○石田次男君 利息を仮払いをしておるということでありますけれども、金額が確定をしないうちに、その全額をワクをはめて利子を出すというのはおかしくありませんか。
○政府委員(高木広一君) これは、全拓連のほうからどうしても利子を払わなければいけない関係もございましたし、われわれのほうも、この引き継ぎがこんなに長くかからないというために仮払いをする、しかし将来確定されて、この金額よりも少なくなった場合には、その分はまた返してもらうという、会社及び全拓連の話し合いになっているわけであります。
○石田次男君 こういうわけで、グァタパラ経費はずいぶんにめちゃくちゃなわけであります。移住事業団ができれば、移住振興会社も当然吸収することになりますので、そうなりますと、こういうはなはだ解決のつかぬ問題まで事業団に引き継いだらたいへんなことになると思います。結局、事業団が発足早々大黒星をつけるということになりますので、早急に本件の結末をつける必要があると思いますけれども、この点について、農林大臣、外務大臣、今話し合いを煮詰めていらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 今話し合いをしているようでございますので、それが適正に行なわれれば、私のほうといたしましても、適正な引き継ぎをやりたいと思います。
○石田次男君 この経費問題は、解決し次第、外務委員会のほうに自発的に報告をいただきたいと思いますが、そういうふうにお願いできますか。
○国務大臣(大平正芳君) そのように配慮いたします。
○石田次男君 グァタパラ事業そのものでありますが、これはさっき説明があったとおりに、入植者数に相当の見込み違いがあるわけです。それで、土地の分譲代金の関係から、毎年四千万円程度赤字が出ておるし、今後も出るはずです。そうすると、この分は、当然よその移住地へ出すべき分を結局しぼってそっちへ回すということになりますので、よそのほうへ結局障害を及ぼすと、こういうふうになっておりますが、今後もこのままの形で続ける気でしょうか。
○政府委員(高木広一君) グァタパラ事業につきまして赤字が出ているわけではございません。ただ、収支が予定計画どおりに進んでおりませんので、資金に不足を来たしておるのであります。しかし、移住者にはかかりました実費を負担せしめることになっておりますから、全部満植いたしますれば、赤字がなくなるわけであります。
○石田次男君 将来赤字がなくなると言っておりますが、それは大きく言えばそうですけれども、実際問題としては、五年、十年ではなくならないように思うんです。結局、今まで毎年四千万円くらいずつ、入植者数の見込み違いから食い込んできているんです。このままでいけば、今年も来年もほぼ同じ金頭で、四千万円程度食い込むはずですが、その見込みはいかがでしょう。
○政府委員(高木広一君) ただいまの点につきましては、移住者をできるだけ計画どおりに入植せしめることで解決するほか仕方がないのでありますが、本年度は予定計画より非常に少なかったために、約四千万円余りの資金繰りの不足ができたわけでございまして、会社としては、現在では四千五百万円程度さらに資金を増すことで考えておるわけでありますが、いつまでもこういうふうに続いていくことは困るので、事業団が発足する前に根本的な対策を三省で考えたい、こういうふうに事務当局で話し合っている次第であります。
○石田次男君 経費問題はこのくらいにしておきますが、今後の移住政策を成功させるには、まず国内、国外の機構というものをできるだけ簡単にしなきゃならぬ、これは外務大臣から今お伺いしたとおりであります。それについて、もう一回分拓連の問題に返りますが、これは今海外活動ができるようになっておりますけれども、その点は今後差しつかえございませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 全拓連の問題、事業団を作ります場合に審議会の意見を求めたのでございますが、その際、全拓連を吸収するという御答申はなかったわけでございまして、私どもは、全拓連は民間団体でございますので、そうして、しかも政府の補助金によって運営されておる団体でございまして、それ自体の本来の機能は果たされると思うのでございますが、事業団との競合というようなことが移住政策遂行の面で起こらないように配慮していきたいと思います。
○石田次男君 三十一年の十一月に全拓連ができることについては、海協連という移住会社と競合になるという理由で、当時外務省初め関係者の強い反対があったわけです。そのときのそういう反対のあった事情について御説明を求めます。
○政府委員(高木広一君) ちょっと正確に覚えておりませんが、それはやはり外で移住会社海協連と競合してはいけないという考えからであったと思います。そこで、全拓連ができますときには、外の仕事はやらないということで話し合いがついたというふうに了解しております。
○石田次男君 だから、成立のときには海外での仕事や融資はしない、こういう条件で成立しているんです。それなのに半年もたたないうちに、三十二年の三月に定款を変更して海外活動を可能にする規定を挿入したわけです。これはどういうわけでそうなったのか。これについて重大な関係のある外務省に相談があったのかなかったのか、その点はどうですか。
○政府委員(高木広一君) これにつきましては、当時の関係者がおらないのではっきりしたことはわかりませんが、連絡がなかったように覚えております。
○石田次男君 この当時の移住行政を左右する大きな問題について、民間団体だからという理由で、定款を変更するについて農林省ではどうして外務省に相談しなかったんです。
○政府委員(斎藤誠君) その当時の事情の詳細につきましては、私もよく承知いたしておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、当初の定款で定めました事業を行なうということで出発いたしたわけでございますが、その後、各県のほうから、現地の産業組合あるいはそのほかの農業団体と内地の農業団体とが提携しながら移住の促進を進めたいというような機運もございまして、そこで一つの手段として、先ほど申し上げましたような内地移住者のための土地の取得、その配分のあっせんを事業の内容につけ加えたということになったというふうに聞いております。
○石田次男君 当時の事情は詳しくわからぬと言っていますが、質問の要点は出しておるんですから、当時の事情を調べておるはずです。もう少し詳しくお願いいたします。
○政府委員(斎藤誠君) 当時の事情から、先ほど申し上げましたような定款の変更があったわけでございますが、農業団体としまして事業をやります場合に、当然移住関係の事業につきましては、従来とも外務省と連絡をとって参ったと思っておるのでありますが、その間定款の変更について、おそらく全拓連の設立につきましていろいろの論議があったわけでございます。そんなようなことであるいは十分なる連絡なしに行なわれたのではないか、こう承知しております。
○石田次男君 十分なる連絡なしにやったといいますが、十分どころか、一つも連絡しなかったでしょう。事後に承認さしただけじゃないですか。もう少しはっきりさして下さい。
○政府委員(斎藤誠君) 農協の移住事業に関するいろいろの事業につきましては、両省の話し合いで大局的には国内における農業移住者の募集、選考、訓練については農林省が担当するということになっておりました経緯もございますし、また、農協自身のいろいろの兼業事業やなんかにつきましても、そういう関係で、民間団体としてのいろいろの事業につきましては、事の性質によりましてはもちろん十分なる連絡をすべきものもあり、またそうでないものもあるわけでございますので、民間団体とし工事業をやるということでございますのでこのようなことになったんだろうと、こう思っております。
○石田次男君 民間団体だから民間団体だからといって逃げますけれども、もともとこれを成立するには農林省がバック・アップしているのですから、定款の変更についても当然重々承知の上だったはずです。しかも、重大な関係のある外務省のほうには一言も連絡せずに、自分たちだけで相談をまとめ、定款を変更して、変更したものを当時外務省へ押しつけたということがはっきりしているのじゃありませんか。その点、どうです。
○政府委員(斎藤誠君) 定款のほうは今申し上げたようなことの経緯になっておりますが、いずれにいたしましても、事業を現実に行ないますにあたりましては、これは海外における移住事業でございますので、全拓連が定款の改正に伴って実際的な活動をやるという場合におきましては、これは外務省と十分なる連絡をとってやっておると、こう承知しております。
○石田次男君 どうもその点はっきりしませんがね。じゃ、移住局長のほうからもう一回お伺いします。これは定款変更前に相談があったのかなかったのか、どっちです。
○政府委員(高木広一君) その点、当時の人がおりませんので、正確なことはわからないのであります。ただ連絡がなかったというふうに聞いておる程度でございます。
○石田次男君 まあ移住局長としては、そう言う以外にないでしょうね。事実これは定款を変更して、農林省と全拓連がぐるになって変更してからそっちに通知しているのです。こういうふうにして移住会社やら海協連のやる仕事を無理々々取ってそして始めたから、このグァタパラ事業というのは初めからおかしい。しかも失敗して、そのあげくに二千六百万もわけのわからぬ金を使っておる。これが問題の発生源なんです。でありますから、こういう過去の移住行政というものをよほど反省しませんと、農林省側でやっておる仕事が今後の事業団のじゃまになると思いますが、この点については農林大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(重政誠之君) 外務大臣が先ほど答弁せられましたとおり、移住行政につきましては、今後政府としては一本の方針でやり、そして農林省の担当いたします部面は、移住に関する訓練でありますとか、あるいは送出とか、そういうような事項に限って農林省のほうでやる、そしてしかもそれは十分連絡をとってやる、こういう方針になっております。今後におきましては、政府としては一貫した移民行政を実行できるものと考えております。
○石田次男君 全拓連は、地方組織として県拓連を二十四持っているわけです。その人事と組織について御説明願いたいと思います。
○政府委員(斎藤誠君) 全拓連の下部の会員といたしまして県拓植農業協同組合連合会というのを作っておりますが、これは移住に関係する単協が構成メンバーになってできておるわけでございます。現在二十四県拓連がございますが、これに関係する職員が約七十名おるわけでございますが、大部分の職員あるいは役員の機構といたしましては、県に農協の中央会がございますが、中央会の職員であるとか、あるいはそれ以外の農協の団体関係の職員が兼ねてやっているというふうなものもその中に入っているわけでございます。
○石田次男君 この役員、職員の兼務の問題でありますが、そのうち県の職員やら地方海外協会の職員と兼務しておる数はどのくらいありますか。
○政府委員(斎藤誠君) 役員のほうは、先ほども申し上げましたように、農協関係の役員ではいろいろの団体を兼ねておるような事情がございまして、詳細明らかでありませんが、県拓連の職員につきましては、先ほど約七十名と申し上げましたが、そのうち三分の二ぐらいはやはり兼務しているのじゃないかと、こう思っております。
○石田次男君 今まで、今答えのあったとおりに、結局兼務者が非常に多いのです。ということは、県拓連、全拓連でやっている仕事自体が今まででも移住会社、海協連と内容が同じであって、しかも兼務職員でやっている。ですから、地方における移住態勢を混乱させてばかりおりまして、これは将来は解消すべきだと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(斎藤誠君) 農村から農業移住者として出ます場合におきまして、農家が外に行きます場合には、まず何といっても財産整理の問題、あるいは負債整理の問題等がございますし、また、従来のいろいろの農業団体との関係もございまして、農業移住者が現に外に移住を決意する過程におきましては、農業団体あるいは町村、これらが非常な大きな役割を果たしておると私は考えておるわけでございます。そういうことで、それらの団体の、あっせんをし、あるいは必要な指導者の講習をするというような機能につきましては、やはりそのような団体が下からの要望としてできたわけでございますので、今後におきましても農林省といたしましてはこのような県拓連の活動、特に民間の自主的な活動というものにつきましては、今後の移住推進上の重要な役割を果たすべきものではなかろうかと考えておりますので、県拓連を今、将来に向かって解消するというようなことは全然考えておりません。
○石田次男君 全拓連関係が農業移住者の送り出しに大きな役割をしている、そういうお答えでしたが、これについてはあとでまたゆっくり質問いたします。今のは、いつでもそうですが、大うそなんです。 農相にまずお伺いしますが、やはり全拓連との関連ですが、拓植基金協会というものがあるはずでございます。これはどういう団体なのか、私にはさっぱり詳しいことがわからぬので、どうか詳細に御説明願いたいと思います。まず農林大臣から……。
○国務大臣(重政誠之君) それは、各県の移住者の債務保証をする団体であります。つまり、移住者が自分の財産を売るなりいろいろして手じまいをして出て行く、その際の借金を農協からする、その場合の債務の保証をする、そういう団体であります。
○石田次男君 役割はそういうことらしいのです。その中央会や県協会の人数はどのくらいでしょうか。中央会と県協会と分けて下さい。
○政府委員(斎藤誠君) 今御質問になりました拓植基金協会は、県に財団法人として協会が設立され、その再保証機関として中央に中央拓植基金協会というのが社団法人としてできておるわけでございます。地方のこれに従事する職員は、三十協会の集計でございますが、現在三十三あるわけでございますが、そのうち三十協会の集計でありますると、百三十六名ということになっております。それから中央は、職員として五名ということになっております。
○石田次男君 この中央会、県協会の人数はわかりましたが、そのうち、全拓連や県拓連と兼務している役員、職員はありませんか。
○政府委員(斎藤誠君) 中央の役員は、ほとんど他の役員を兼ねておるのが多いわけであります。地方のおそらく信連とかそういった農協の役員も兼ねておる人が多いと思いますが、職員についてみますと、中央では、一人兼務になっております。それから地方では、これは基金協会と申しますけれども、先ほど申し上げましたような債務保証の機関でございますので、実際には信連がこの基金を扱っておるというのが非常に多いわけでございます。そういうことで、先ほど申し上げた職員の百三十六名のうち、百名以上が信連の職員——大部分信連の職員だと思いますが、そういうところで兼務して働いておる、こういうことでございます。
○石田次男君 今私がお伺いしたのは、これと全拓連、県拓連との兼務です。ほかのものじゃなくて。
○政府委員(斎藤誠君) 中央のほうは、先ほど申し上げましたように、一人が全拓連の兼務であります。地方のほうは、県拓連とどのような兼務関係になっているのか、今資料を持ち合わせておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、これは基金勘定みたいなものでございますので、大部分はみんな信連に預託しておるというのが実情で、そういう意味で信連との兼務関係は多いと思いますが、県拓連との関係におきましては、今詳細な資料を持ち合わせておりません。
○石田次男君 県拓連関係のほうは詳細な資料を持ち合わせていないと言って逃げますが、ほんとうはもう通告が済んでおるんですから、電話一本でとれるわけでしょう。なぜ出さないんですか。
○政府委員(斎藤誠君) 先ほど申し上げましたように県拓連の職員が約七十名、その三分の二が他の職員の兼務状態になっておるわけでございます。したがいまして、県拓連の職員がさらに基金協会の職員になるということはあまりないんじゃないか。ただ、今各県のことでございますので、資料を持ち合わせておらないわけでございますので、御了承願います。
○石田次男君 それなら、無理には言いませんけれども、結局両方の団体の兼務ということから、同一人物を通じて、農業移住という一つの考え方のもとに、全拓連関係と今の基金関係の両方の金が同一目的に操作されるということは起こりませんか。
○政府委員(斎藤誠君) これはもう事業の目的それから事業の具体的内容が全然異なるものでございますから、われわれとしては、峻別してそこはやるべきであるというふうにかたく指導をいたしておるわけでございます。
○石田次男君 じゃ、別の角度からまたお伺いしてみます。この両方は二つ全然別個であるから、厳重に混乱のないように指導しておる、そうおっしゃいますが、しかし、やはり両方とも移住関係で、人間が兼務しておる、そうなりますと、形式的にはたとえどうあっても、同一目的に操作される、こういうことは私はしばしば起こると思うんです。これについてはまた問います。 今度の移住の抜本的な体質改善について、八日の衆議院の本会議で、社会党の西村関一氏から、今まで農業移住者が主体であって、農協扱いが大半であったが、農林省は今後責任が持てるか、外務省が独走しておるとは思わないか、こういうような質問が一項目あったと思いますが、この点いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) そういう御質問はあったことは事実でございます。私どもは、冒頭に申しましたように、新しい移住政策を立てまして、過去の何々省はどう、何々省はどうということでなくして、政府全体としての反省の上に立ちまして協力してやっていこう、そういう機運が幸いに出てきておりますのは、どこが独走するというようなことなく協力して推進していきたいと思っております。
○石田次男君 今の西村さんの質問に対して、農林大臣はどういう御所見でしょうか。
○国務大臣(重政誠之君) ただいま外務大臣が述べられたとおりであります。農林省におきましては、外務省と十分連絡協調の上で、農協を使って移住の奨励をやらしたり、あるいは今後移住する者の跡始末をいろいろめんどう見さすというようなことに対しては、従前同様に政府の一貫した方針のもとにやるつもりでありますから、決して外務省が独走するとか、農林省が独走するとかいうようなことにはならぬと考えます。
○石田次男君 今の大臣のお話と、さっきの局長のお話から出てくるんですが、農協系の組織が農業移住者を送り出すのにたいへん効果を上げておるから、今後もそのまま存続さしていくんだ、こういうお話であったわけです。で、農業移住者が今までの移住者の九九%だ、これは一応形の上ではそうなんです。しかし実際その内容を調べてみますと、農村出身者じゃない町と都市部の出身者がにわかに農業経験者に化けている、そうしなきゃ行けないですから。身分を偽るというほどじゃないですけれども、結局ごまかしているわけです。だからほんとうの農業経験者、農村出身の移住者じゃない、しかも、この移住者のうち海協連と業者が扱っている分が大半なんです、九五%以上。全拓連あたりの農協を通じて扱っているものは、移住者のうちの四・八%にすぎない。これは統計上はっきり出ております。だから移住者のうちわずか五%も扱っていないような全拓連系は、国費ばかり食っておりまして、そこで職員を養っているだけ、そういう存在になっていると私は考えているんです。その点についてはどう思います。
○政府委員(斎藤誠君) 今の御質問の中で農業者、九九%が農業移住者であるけれども、真実農業者であるものは、そればかりではないであろう。それは私たちも現在の移住の仕方が、農業の経験のあるものということが移住の資格になっていますので、九九%が農業移住者であるということになっておるわけであろうと思います。しかし、炭鉱労務者であるとか、あるいはそれ以外の者も、農業移住者として出てくることはひとつも差しつかえないわけでございまして、しかしそうではありますけれども、大部分はやはり農村出身者が、特に中年層におきまして他に職業がなく、やはり農業として今後とも生業を得ていきたいというような人が、移住者の大半をなしていることは明らかであろうと考えております。 今、後段でお述べになりました農協系統が扱っている移住者の総数のパーセンテージにつきましては、どういう資料でありますのか、私承知しておりませんが、農業移住者につきましても、これは全部海協連を通じて渡航費の貸付を受け、そこで選考を最終的に受けて移住しておるわけでございますので、農協分の扱いがどうだ、あるいはそれ以外の分がどうだというようなことは、今の制度の運営上ではあり得ないわけでございます。ただその唯一の例外といたしまして、コチア産業組合で雇用している青年の募集を、農協の全国の中央会が責任者となってしておるものがございますけれども、それは全体の中のわずかなものでありまして、大部分の、つまり農業移住者につきましては、農協、地方庁の指導のもとに、農業団体あるいは地方海外協会、これらが一体となって啓発、あるいは募集、送出に協力しているところでございまして、それらがいずれも海協連を通じて外へ出ていくというのが、現在の仕組みになっているわけでございます。農林省としましては、そういう角度についての一般的な募集、選考、訓練の監督をいたしている、こういうことでございます。
○石田次男君 農林省のほうでは、農協のほうが非常に農業移住者に対して力を発揮しているようなことをおっしゃっております。しかし、はっきりした統計から見て、海協連と業者扱いが九五%以上、農協扱いが五%に満たない。この事実に対してはどう思います。無用の長物になりはしませんか。
○政府委員(斎藤誠君) 今お答えしたのが、あるいは言葉が足らなかったかと思いますが、農協でいろいろあっせんしたものも、すべて地方海外協会あるいは全国の海外協会連合会を通じて出すというのが建前になっておりまして、農協みずからが別個に扱って出すというふうな現在の運営の仕方にはなっておらないわけでございます。先ほどの数字の根拠がよくわかりませんけれども、もしその数字が先ほど私が申し上げましたような特殊な移住の仕方、つまりコチア青年の送出というようなことでありますならば、これは全体の農業移住者の一部である。しかしそれは農協の、あるいは農業団体の扱うものをどうというわけではないことを申し上げたわけでございます。
○石田次男君 じゃあずっとグァタパラ問題からいろいろの角度からお伺いしていきましたが、全拓連系の組織は、このままでよろしいとお考えになっておりますか。これは農林大臣にお伺いします。
○国務大臣(重政誠之君) これは現在のところ、直ちにこれをやめさすとか、何とかいうことは考えておりませんが、従来の実績にかんがみまして、改善するものは改善していきたい、こういうように考えております。
○石田次男君 また少し前へ戻りまして、農業拓殖募金協会の補助金についてでありますが、これは三十四年に発足しているわけであります。今日まで基金造成の総額は、幾らになっておりますか。
○政府委員(斎藤誠君) 現在までの基金造成額は約三億四千万円でございます。
○石田次男君 そのうち、保証残高は何件で、どのくらいになっております。
○政府委員(斎藤誠君) 現在まで四百四十一件、約九千万円でございます。
○石田次男君 今お答えいただいたわけですが、私が調べたところによると、この基金造成の総額は四千七百二十五万円、そのうち保証残高が九千三百万円、こういうふうになっております。保証残高についてはほぼ合っておりますね。このように保証に利用されることがはなはだ少なくて、ただこれでは、さっぱり目的を達していないのじゃありませんか。その点どうです。
○政府委員(斎藤誠君) 最近におきまして、移住者の送出も若干最近の二、三年に比べれば落ちて参ったわけでございますが、そんなような関係もあろうと存じますが、一つにはこれはあくまでも通常の金融に対しまして債務の整理、あるいは財産整理をするというために、それに必要な資金の融通を受ける、それに対する債務の保証をやろう、こういう内容のものでございますが、金融自身としては、通常の農協の金利で融通を受けるということになっておりますので、まあこれらの資金につきましては、なかなか寝る資金になるような関係もあり、したがって、金利が非常に高いというようなことが、十分なる活用を見ていない主要な原因ではないかと考えておりまして、今後におきましては、この運営面におきまする改善について、いろいろと検討をいたしておるわけでございますが、もっと活用のはかれるように、移住のこの面からの促進ができますようにということで、努力いたしたいと考えております。
○石田次男君 私が問題にしている点は、これだけ大きな金であって、しかもそのうち二割にも達する九千三百万円程度のものがずっとただ積み残しにしておる。それでは、基金本来の移住を助けるという目的が全然達せられていないという点を問題にしているのです。この膨大な金を積んでおくと、そこから当然利子が生まれるわけでありますが、これから出る利子の年間収入がどのくらいになりますか。それがまたどう使われておりますか。
○政府委員(斎藤誠君) 先ほど申し上げました造成基金によりますと、農協に対する定期預金というようなものが大部分でございます。したがって、その金利でありますと、大体年間全国を通じまして約千六百万程度であります。一協会当たりにしますと、五十万程度でございます。人件費、管理費等にそれが使用されておるという実情でございます。
○石田次男君 こういうふうに、この金は当然拓殖基金協会及び全拓連と兼務者が多いのでありまして、それらの人件費、活動費につうつうで使われているわけです。ですから、前にさっきお答えのときには、拓殖基金協会と全拓連とは別の組織であるから、全然別個に本来の目的に進んでいくように、厳重に監督しているなんということを言っておりますけれども、事実はこういうふうになっておるのじゃないですか。その点どうです。
○政府委員(斎藤誠君) 先ほどもその点について申し上げましたように、法人が全然別個であります。特に基金の造成資金につきましては、国の助成あるいは県の助成もありまして、両者が資金面において相互融通を受けるというようなことは全然ないわけでございます。また、兼務職員につきましては、先ほど中央においては一人があるということを申し上げましたが、これは全拓連の出向職員でありまして、県におきましては必ずしも、今資料は持っておりませんので、県拓連と協会と兼務関係がどのようになっているかは明らかでありませんけれども、先ほど申し上げましたように、これは一種の基金を信連に預託するような格好で運用されておりますので、県拓連がこの運用益によりまして、彼此融通するというようなことについては全然私はなかろう、また先ほど申し上げましたようなことで、県のこれは財団法人であり、県の出資を見た基金でございますから、十分なる監督が行なわれておると考えております。中央におきましては、農林省が監督いたしておるわけでございます。
○石田次男君 まあこういうお答えでありますが、どうもその点はっきりお答えにならないので、私は問題が残っていると思います。 大蔵省のほうにお伺いしますが、こういうふうに、この金は一億近いものが残っているわけです。これは大蔵省のほうも重々承知であろうと思いますが、それにもかかわらず、補助金は毎年ほぼ要求どおり出ているように思いますが、その点はどうですか。
○政府委員(石野信一君) 制度といたしまして、これはただいま確立中と申しますか、予算上の措置といたしましては、一協会について毎年二百万円ずつ、五年間で一千万円の助成を行なうというふうに予定されておりまして、三十八年度も新たに二県設置を予定されているわけでございます。これを含めまして、三十七道県ですか、になりまして、その助成を予定しているということでございまして、制度の確立するまでの途中でございまして、御指摘のような問題がございますので、主計局としては、できるだけ補助金等の合理化、効率化ということを考えて、経費の節約をはかりたいと考えるわけでございますけれども、全体の観点から、制度の途中でありますので、こういったものが確立し、かつ周知徹底され、さらに合理化せられるということを期待いたしまして、従前の方針によって組んでいるわけでございます。
○石田次男君 これは外務大臣にお伺いしますが、この基金は移住事業団へ吸収するというような構想はお持ちにならないんですか。
○国務大臣(大平正芳君) 今度の移住事業団等で御審議をお願いしておりますのは、移住審議会の答申によりまして、海外移住振興株式会社と海外協会連合会のこの二団体を統合するということになっているわけでございまして、中央の組織をとりあえず一元化していこうということでございます。御指摘のように、地方にまたがっての問題はあるわけでございまして、私なども当初この機会にできるだけ地方、中央、現地の一元化を完璧な形でやりたいという願いを持っておったのでございますけれども、まあこういう大きな仕事をやるにつきましては段階があるわけでございまして、今回御審議をいただいておりますのは、今申し上げたようなとりあえず中央機構の一元化をやろうということでございます。今後この構想を発展させましてどのように持っていくかということにつきましては、これらはまだ成案を持っておりませんけれども、要は移住事業の推進を効率的にかつ責任を持って推進していく体制ということを、与えられた条件のもとにおいてどうやるかということについては、常にやはり考慮しなければいかぬと思いますけれども、ただいまのところ、とりあえず中央の一元化ということに主眼を置いてやっております。
○石田次男君 まあこれは、この農拓基金は事業団が成立したらそれに吸収するのがほんとうだと、私個人はそう考えているわけです。で、それに対する外相のお考えも今承ったとおりでありますが、農林大臣はどう考えますか。
○国務大臣(重政誠之君) 現在のところでは、全拓連、県拓連という一つの系統の団体がありまして、そうしてこれが移住の送出等のあっせんをやって参っておりますので、少なくともしばらくはこの状態を少し続けて、移住政策の一環としての一翼をになわしていくというのが適当ではないか、こういうように考えております。
○石田次男君 将来の事業団の成り行きによっては事業団へ吸収することも考えられるというわけですね。
○国務大臣(重政誠之君) むろん、将来の事業団の行き方並びにこの全拓連系統の行き方について、これを一緒にしたほうがよりベターであるというようなことがはっきりいたしますれば、これは将来の問題として御説のようなことも考えられるわけであります。
○石田次男君 それでは、全拓連についてもう一つ。今全拓連の幹部が農業移住協力会という民間団体を作るべく運動中であるということでありますが、これは関係の深い農林省では知らぬはずがないと思います。それをひとつ詳しく御説明願いたいと思います。
○政府委員(斎藤誠君) ただいまお話しになりました農業移住協力会でございますが、私まだ正式にどんなものであるか全然承知いたしておりません。ただ、全拓連としては、従来の中央における会、団体等からいろいろの資金の援助を受けておるということもありますので、あるいはそのようなことではないかと思いますけれども、ただいま申し上げましたように、私としてはまだ何も承知いたしておりません。
○石田次男君 そういった行政関係では、全然関係のない私がわかっていて、そちらのほうで詳しくわからぬというのは、はなはだおかしな話だと思います。わかっているでしょう。もう少し詳しくお願いしたいと思いますね。
○政府委員(斎藤誠君) 民間の団体として、農業団体におきまして、いろいろの資金の援助を受けるというようなことでやっておりますものだと思いますが、いずれにしても、農業団体、農協そのものはきわめて自主的な組織でございますので、農林省としてこうやるべきである、ああやるべきである、特に今の中央会等のことについてとやかくいうことについては、全然いたしておらないものでございますから、私のほうにもそういうふうなことについては何らのまだ連絡はないわけでございます。御了承願います。
○石田次男君 連絡があるとかないとかいっても、農林省と深い関係があって、年じゅう出入りしている人たちがやっている仕事ですよ。それを知らぬというのは私はおかしいと思うのです。この協力会の目的は、資金を集めて全拓連を応援するのが目的だそうであります。各種の農業団体と有名な民間会社が関係しているといわれておりますが、二月の下旬にある場所で発足の打合会を開いて、全拓連の、名前もわかっておりますけれども、ある幹部が専務理事になるときまったということであります。こういうのができると、民間団体ではありますけれども、移住事業団ができたその初っぱなにまたこういうものができるということは、私は移住行政を混乱させるばかりだと思いますけれども、その点、農林大臣、どう考えますか。
○国務大臣(重政誠之君) それはよくひとつ調べてみましょう。これがしかしそういうものができて、事業団とまた同じようなことをそれがやるということは、これはもう非常に困るわけです。そういうことがもしありとすれば、それはとめなければならぬと思いますが、いずれにしましても、十分ひとつ調査をいたしまして、支障のないようにいたしたいと考えます。
○石田次男君 今金拓連に対して農中金や農協中央会の中から、全拓連の事業成績にかんがみて、解散のために必要な資金なら出してやるけれども、もう援助はごめんだ、こういう声があがっていると伝えられておりますが、これは事実でしょうか。
○政府委員(斎藤誠君) 全拓連の資金の援助としまして、中央の団体で従来から出しておるわけでございます。今お話しになりましたようなことがどういうことであるのか、私も十分承知しておりません。
○石田次男君 今まで申し上げてきたとおり、全拓連は成立の最初からおかしく、やった仕事がグァタパラ問題等のようなことでありまして、しかも、国内でやった仕事は、人間ばかりいて、金を食っているばかりなんです。とうとう身内の農業団体からも見放されているような声があがってきているわけです。したがいまして、こういう組織については、事業団ができた際によほど慎重に検討を加えて、善導するか、改組するか、縮小するか、ないしは廃止するか、よほどのことをしてゆきませんと、その存在が今後の移住行政の足を必ず引っぱる、私はこう思うわけです。それに対する外務、農林、両大臣のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 何はさておきましても、政府としては各省感覚を合わせまして事業の育成をやらなければいかぬわけでございますが、事業団につきましては、さしあたってこれは適材を得なければならぬと思います。そうして事業団の組織、機能というものが世間のりっぱな評価に値するようになっていけば、おのずとそれを中心に一元的な運営ができると私は思うのでございまして、他人さまのことをとやかく言うよりは、まず事業団それ自体をりっぱに育成するということを主眼にいたしまして、努力してみたいと思います。
○国務大臣(重政誠之君) 先ほども申し上げましたように、全拓連につきましては、事業団が発足をしまして、なお今後全拓連のやり方、行き方等を十分に見まして、事業団の活動に支障のないようにいたしたい、こう考えております。将来の問題といたしましては、御意見のように、これを実績によりまして、事業団と合併さすほうがいいか、あるいは存続さすほうがいいか、ないしはやめたらいいかというようなことは、十分に考えるつもりでございます。
○石田次男君 現在まで移住事業に関係している団体がたくさんあるわけですが、これらの職員数と年間の移住家族数との比較でありますが、ほぼ一対一に近い。こうなりますと、これらをいろいろ事業団のほうへ吸収して参りましてやっても、仕事に比較して関係職員数が非常に多いのではないかというふうに考えますが、外相はどういうふうに思っていらっしゃいましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 今、事業団に統合しようという移住振興会社と海協連、合わせて五百名内外だと思うのでございます。最近の景況から申しまして、労働力の不足等の原因もございまして、移住者の数が非常に減っておるという局面をとらえて申し上げますれば、石田さんのおっしゃったように、これを世話する方々が相対的に多いんじゃないかという御批判はごもっともだと思うのでございます。しかし、私どもといたしましては、所定の送出計画というものを維持達成しなければなりませんので、現在与えられておる要員というものに十分活動していただいて、所定の効果をあげるように努力すべきものと考えております。
○石田次男君 それから、海協連や海外協会の予算でありますが、人件費のほうは外務省のほうから出ているわけです。事業費は農林省のほうから、こういう二本立になっておりますが、これはどうもだれが見ても不自然であると思います。この点はいかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) 今度の予算編成段階におきまして、御指摘のような問題があったわけでございます。しかし、私が先ほど申しましたように、今回とりあえず中央の機構をまとめ上げていくということに主眼を置いていこうということになりまして、今御指摘の点は、将来の問題として考えなければいかぬことだと思うのでございます。と申しますのは、移住振興会社と海協連というものを統合するということがさしあたっての問題でございまして、海外協会等は、これはまた別個の法人格を持っておるものでございまして、そこまで今度手が回らなかったということでございます。将来の問題として適正な姿に持って参るべきだと思います。
○石田次男君 今までは、この地方海外協会の予算、それに農林省側の事業費、それに全拓連、拓農基金、それらがめちゃくちゃに関係があるのです。もう詳しくは申し上げませんけれども、とにかくこれを機会に一本化するのだといいながら、この事業団が国内の中央と地方、それに海外の三つを一貫しなければ何にもならないものであるのに、地方の海外協会の事業費だけが農林予算ではみ出している。こうなりますと、下部組織はこの団体からはずれておりますので、事業団設立の目的を破壊することになると思うのです。これについて農林大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(重政誠之君) その事業費というのは、おそらく訓練費だとか、あるいは移住者のいろいろな世話をしたりなどする経費ではないかと思うのでありますが、そうでありますれば、必ずしもこれは一本にしなければその目的が達せられないということでもあるまいと思うのでありますが、いずれがベターであるかということの問題であろうと思いますが、そういう意味で、従来とも事業費は農林省ということになっておりますので、今回はそういうふうな予算計上になったと思うのであります。これは十分にこの経費を使用し、さらに事業の運営をいたします際には、当初から申しておりますとおりに、十分連絡をとって、移住政策の一環としてこれはやって参りたい、こういうふうに考えております。
○石田次男君 それで、海協連、中央は事業団に統一したわけでありますが、その内容であるところの下部組織の地方海外協会は、これは残している。こういうふうにいたしますと、当然きのうの朝日新聞の社説にあるように、これでは事業団というものが有名無実である、結局骨抜きじゃないかといわんばかりのことが書いてあります。どういう事情でこの下部組織を今度統合しなかったか。私は、単なる補助金目当ての権限争いだと見ているわけですけれども、どういう事情でこれを今度事業団のほうへ統一できなかったのか、それに反対した農林省の理由を述べていただきたいと思います。
○政府委員(斎藤誠君) 今回の事業団設立に関連いたしまして、支部の話も出たわけでございますが、移住審議会の答申にもありますように、また先ほど外務大臣からもお話がありましたように、中央の機構をこの際統合して事業団を作るということになりまして、地方支部のほうの問題につきましては、追って検討する、こういうことに相なったわけでございます。 先ほど来事業費と人件費との関係を御説明になりましたが、あわせて御説明いたしておきますと、地方海外協会につきまして、全般的な移住の啓発宣伝、これは地方の独立の社団法人なりの資格をもって地方海外協会が担当いたしているわけでございます。そこで、一般的な移住、つまり農業移住以外の移住者も含めた啓発宣伝を一般的に行なうという意味で、人件費なり、それに伴う一般の事業費を外務省予算に計上する。ただ、その中で農業移住者の募集、選考、訓練といったような事務につきましては、従来農林省が担当すると、こういうことに閣議決定がなっておりましたので、そういう意味で農林省の系統を通じて、支部を通じ補助金を海外協会に流すと、こういう仕組みにいたしたわけでございます。
○石田次男君 大蔵省にお伺いします。この地方海外協会の事業費予算が取り消されなければ移住事業団、新事業団の支部を各都道府県に設置することは認めないと、こういう方針を取っていると伝えられておりますが、それ事実ですか。
○政府委員(石野信一君) 先ほどからのお話で、両省間でまだ話がついてないような点があるかと思いますが、そういう面につきましては、できるだけ両省間の話をつけてもらうように、今両省に話をいたしておるところであります。予算につきましても、決定を待って、予算を執行すると、こういうことに相なろうと思います。
○石田次男君 結局、この地方海外協会の問題が解決しなければ、事業団が、各府県の地方のほうに支部を設置することもできない。しかも朝日新聞でも、数千万円の事業費を一つの省が手放さないために、新事業団の運営が、中央と海外は一本化したにもかかわらず、地方の業務は別建てになってしまった。これでは、移住事業の一元化といっても、単に口先だけのことだと非難されてもいたしかたあるまい、こういうふうに論じられております。これはもっともだと思います。早急にこの問題は解決しなければならないと思いまするが、あと発足が七月あたりですか、七月あたりに発足して、いよいよ実務に着手します。こういう残された問題は、あと一年くらいで、はっきり片づけまして、そうして国民の期待にこたえる、そういう前向きの姿勢で進んでいただきたいと思うのですが、その点、両大臣、御見解いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) まあいたずらに過去に拘泥し、小過を責めていてはいけないわけでありまして、各省と協力していくし、また、そういう機運ができておりますし、お互いにいい人材を持ち寄ってやろうじゃないかというお気持にもなってくれておりますので、この機運に乗じて、今仰せのような方向に、特段の努力を払いたいと思います。
○国務大臣(重政誠之君) この問題は、実は、ただ両省の権限の争いということの点だけからとも見られない節があるわけであります。そういう関係で、私といたしましても、いま少しやはり皆さんの御意見も十分に聞いてやらなければならない、こういうふうに私は考えております。 先ほども御答弁申し上げましたように、これが事業団に移管をせられないから、移住政策の一元化ができないというふうにも私は考えておらないのであります。要するに問題は、実質的に十分なる連携を保ち、そうしてそれぞれの長所を発揮して、ほんとうに移住政策が強力に行なうことができるかどうか、こういう問題に私はあると思うのであります。これを移住事業団に持っていけば、それでりっぱに移住政策が実践できるとも、これも必ずしもそうは言えない、こういうふうに私は思っております。でありますから、まあ、いましばらく、ひとつ各方面の御意見を十分に拝聴をいたしまして、両大臣の間で話し合いをいたそうと、こう考えております。
○石田次男君 今の大臣のお話ですと、事業団はできても、それに一本化したからとて、必ずしも成功するとは思わぬというお話ですが、私は、それがいちばんけしからぬと思う。その事業団を成功させるのもさせないのも、外務省と農林省の責任じゃありませんか。農林省が本格的に協力しなかったら成功しませんよ。農林省がほんとうに協力したら成功しますよ。成功する、しないは、事業団云々じゃなくて、農林省の協力いかんによるのです。しかも、今までの移住行政の失敗を見てごらんなさい。ドミニカの問題にしたって、あれは何で失敗したのです。農林省がやった調査じゃないですか。しかもグァタパラの事業が失敗して、これだけたいへんな疑惑のある二千六百万ですか、こういうような疑惑のある金をでっち上げて現地の仕事はどうです。計画的に組んでそれがいったい何割入植しています。結局、全拓連に手をかけて農林省がバック・アップして、失敗して、それを移住会社に押しつけておるだけじゃありませんか。そのほか、時間がないから、ここであげるわけにはいきませんが、海外にしろ国内にしろ、農林省側でやっておることは問題だらけなんです。それが所管争いをやって、単なる補助金の数千万円くらいにこだわって、どんな関係かしらぬけれども、ばかに古いことばかりおっしゃる。しかも、事業団に対して、それは外務省のほうがやる仕事なんだから、その成果いかんで協力してやるというような答弁では、私はこれは、農林大臣の責任問題だと思う。その点については大臣どうお考えですか。
○国務大臣(重政誠之君) 少し私が申し上げたのを、私申し上げ方が悪かったかもしれませんが、協力をしないというつもりでは、もちろんないわけであります。移住行政は強力にこれは推進をいたさなければならぬ、こう私は考えておるのです。したがって、海外事業団の創設についても、私は賛成をいたしておるのです。 ただ、今の訓練でありますとか、あるいは募集でありますとかいうようなことを、移民が、その大部分が現段階におきましては、農業移民が多いというこの事実にかんがみて、その訓練、営農の訓練であるとか、あるいはその募集であるとか、そういうことは、やはり農林関係の民間人なり、あるいは府県の農林関係のお役人さんなりというものが、これは詳しいのである。であるから、私はこれをただ、今の移住に関する地方のものを、ただ一元化する、一緒に形式的にするということだけではいけないのです。それは実質的に今お述べになりましたとおりに、この農林関係のすべての機関、すべての人々が、これに心から協力をしていかなければいかぬ、こう私は考えておるのです。したがって、これが別に、かりになっておっても、やり方によれば、私はそれでりっぱに行けるだろうと思う。でありますから、各方面の御意見を聞きまして、これは一緒にするのは、わけないことでありますから、各方面の御意見を聞きまして、円満に、これは一緒になるものなら一緒にする。別におっても、これは全幅の協力をして、りっぱに事業団をして、その使命を果たさしめるように協力を進めたい、こういうふうに申し上げたわけであります。御了承をいただきます。
○石田次男君 今の大臣のお話ですが、結局国内における募集だ訓練だと言っておりますですが、農業移住ということにばかり頭がこびりついているからそんな答弁が出てくる。これからの移住というものは、もう外国で先べんをつけているように、商工業の上での技術移住のほうに方針を切りかえていくべき時代がきている。しかも、農業移住のほうだって、ほんとうはまだまだ前提として解決しなきゃならない問題がたくさんある。それらを解決するために作った事業団なのに、事業団の下部組織である県組織を作っていくためには、どうしたってこの地方海外協会、これが統一されなければじゃまになる。そういう事情は実は大臣は知らないんです。知らない証拠に名前も言えない、ここで。答弁はうまくおっしゃっておりますけれども、大臣は、移住全体の内容について正確なことは一つもわかっていらっしゃらないようです。でありますから、今後よほど移住全体についての勉強をお願いし、よろしく外務大臣と御協力の上、日本の国で打ち立てた事業団というものが、海外に行っても失敗を起こさぬように、これはよろしく善処をお願いしたいと思います。 さて、事業団が成功するか不成功に終わるかは、これは基本的には人事問題にかかっております。それで、一月末の農林、外務両省の会議ですが、ここにいろいろなものがありますけれども、事業団には現役の人間は出さぬ、古手しか出さないと言明したということですが、これはどうですか。外務省のほうから聞きましょう。移住局長。
○政府委員(高木広一君) ただいまのような事実は、私存じませんです。
○石田次男君 まあそれはそうですわね。言わぬわけです。事実一月末の両省会議でもってそういうことを言い出している。この事業団を、役所の古手のまあ一種の就職ですね、そういうことに利用されたらたいへんになります。老朽者のはけ口に利用したり、横すべりの争奪の対象にした日には、この事業団のやることが完全な失敗になる。でありますから、外務大臣としても、任免権を持っていらっしゃるその責任上、人事については真剣にお考えだと思いますが、その点の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) これは仰せのとおりでございまして、事の成否は適材を得るかいなかにかかっております。そこで、私どもは、とらわれない気持で事業団の使命を考え、今までの移住政策のいきさつを十分反省いたしまして、だれが適材かということにつきまして、今苦慮いたしておるところでございまして、最高の適材をということを願っておるわけでございます。
○石田次男君 それから、事業団だけじゃなくて、実は外務省のほうにも問題があると私は思います。で、これから申し上げることは、ちょっとたいへん失礼な点がありますが、その点はあしからず御了解をお願いします。移住局は、今の高木局長さんあたりは五年もやっておいでであって、この事業団成立についてたいへん努力をしておいでです。実にりっぱな方ですが、しかし、今まで外務省の移住局というところは、外務省の中でもくずばかり集めたところだと、こういう下馬評があっちにもこっちにもある。この夏ごろに外務省全体で人事異動があるだろうと私は推測をしているのでありますが、それを機会にして、この移住局に対しては相当なベテラン、粒よりの精鋭を集める必要があるのじゃないか。でないと、事業団と移住局の連携等が破れ、また、海外の指導監督等についても疎漏が起こる、こういう観点から、ぜひ精鋭をこのチャンスにそろえるべきではないか。同時に、海外の出先機関においても同じことが言える、まあこのように考えている次第でありますが、これについての外相のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 移住局の人事を考える前に、私は考えておかなければいかんことが一つございます。それは冒頭にも私が申し上げましたように、外務省を含めて、政府の監督干渉というものはできるだけ簡素にしたい、事業団に責任を持たしたいということでございますから、私は、移住局というような膨大な行政機構を必ずしも必要としないと思うのでございまして、少数精鋭でもって対処するのがよろしいと考えております。まあそういう観点から、移住行政、移住政策の大切なことにかんがみまして、適材を考えていくべきものと心得ております。
○石田次男君 どうかこの移住問題については、今お述べになったような方針を徹底的に、妥協せず、曲げることなく貫いていただきたいと思うのです。まだ外相にお伺いしたい点もありますが、時間が参りましたので、石炭関係で労働、通産の両方にお伺いいたします。 最近、閉山すれすれの炭鉱でいろいろのことが起こっているわけですが、その中には不当労働、暴力事件、人権問題、あるいは保安の放置、こういうことがずいぶん目につきますが、その点について労働、通産両省でどう把握していらっしゃいますか。
○国務大臣(福田一君) 昨年来、スクラップ・アンド・ビルドの問題が出てきましてからそういう声を聞きますので、実は福岡その他の地域におきましても、特にこの保安の問題を重要視して、そして御承知のように、監督官がそんなにたくさんおりませんから、巡回でずっと見て歩くようになるのですが、それを間断なくずっと計画を定めて、巡回をしながら保安の確保を期すようにというふうに努力いたしておるわけでございます。
○政府委員(田村元君) 中小鉱山におきましては、大手の鉱山に比べて、やはり労働条件、いろいろな面において相当な格差があることは事実でございます。それだけに、労働省としましては、あらゆる努力をしてその実態の把握に努めておりますとともに、その格差の縮小といいますか、是正のために努力をいたしておる次第でございます。なお、最近中小鉱山等におきましての強制労働等における不当労働行為もあるやに伺っておりますが、これは労働基準法の第五条できびしく取り締まっておるところでございまして、かかることのないように、実態把握に努めるとともに、なお、そのような事例がございました場合には、断固たる措置をとりたい、かように考えておる次第でございます。
○石田次男君 私は、しょっちゅう九州の筑豊等歩いておりますので、そういった炭鉱地帯の実情については、なまなましいものを見もし聞きもしております。そういう中から、たいへん社会の表に出てこない問題が多いのでありますが、その一例として、いろいろ問題があるということを、ある炭坑夫の方の私に対する訴えから汲み取っていただきたいと思うのです。そういう観点から概略ざっと読んでみます。私は、昭和三十四年六月、掘進作業中負傷、入院、通院加療の結果、昭和三十五年五月、労災保険による治療を打ち切られて、直ちに本籍地に帰郷、本籍地において療養中、六月、特に腰背、腹部疼痛が激しくなり、呼吸困難となり、ある病院に入院、それで腹部に大手術をしたというのです。ところがこの健康が回復しないうちにある炭鉱に三万円の方入金を借りて採炭夫として入籍、肉体的には無恥であるが、何とか切り抜けて参りましたが、三十七年二月、落盤の下敷になってまたけが、会社から生活保障が出ないために、生活難のために、ついにそこは退職したということです。それからまた、ある炭鉱から方入金四万円をもらって入籍して現在に至っている。この会社は、会社の都合で十日間ぐらいは十四、五時間労働の稼動時間であるが、以前は十七、八時間が普通になっており、弁当はふだん二食分、ひどいときには三食分、一食は注文して、会社側の意のままになって参りましたが、就労時に工合が悪くなってもなかなか帰宅させない、たとえ十六、七時間働いていても、作業終了前に帰れば無収入であった、さらに勤労事務所に呼びつけられて、常識では考えられない叱られ方をされる。また坑内の通気が悪くて、数時間マッチもつかないような状態がある。これで工合が悪くなり、頭が痛んで係のほうへ連絡をするが、ガスの検定器で調査もしてくれない。私の入所以来、係員が調査をするのを見たことがない。また会社の都合で組を二交代で残業する場合、採炭より組の人数によって見込みをつけ、その見込みを出炭しない限りは絶対に上げてくれない。こういうようなことがあります。 それから給料問題でも、たな上げ等もありますが、問題は、この勤労係の言うことをきかぬと暴力をふるわれているということであります。 時間が切れましたから中略しますが、そのため六時ころ繰り込みに来た〇〇勤労係より、仕事に行けと妻子の前で暴力をふるわれた。また、昨年十月の入院のときに、診断書を事務所に提出していたところ、療養中に勤労事務所にマイクで呼び出され、ようやく行ったところ、仕事に行けと無理難題を持ちかけられ、それに応じきれなかったため、入坑時で入れかわり従業員が到着に来る人ごみの中で、打たれるやら暴力をふるわれ、言語に尽くせないひどい目にあったこともある。勤労係の暴力行為は常習であります。従業員が暴力によって傷害を受けたのは、何回となく目撃をしております。 生活保護の件——こういうことで、生活保護の必要書類を提出しても、勤労課長から保護の申請を取り消すように、しばしば電話、口頭で強要される、こういうようなことがたくさんあるんです。——これは、途中飛ばして読みましたが、実はこれひとりじゃない、ここにたくさんあるんです。そういうことで、今の中小災鉱の中の労働条件が非常に悪いのがたくさんございます。 これらについては、どの程度に把握していらっしゃり、どの程度に監督していらっしゃるのか、私はこの点非常に保安の面と、労働面、両面から問題があると、あり過ぎると思うのですが、それについての両相のお答えを求めます。
○国務大臣(福田一君) ただいま御説明をいただいたようなケースにつきましては、私たち今、実は了承しておらない。ということは、御承知のように、石炭鉱山は六百幾つもございますが、それを監督する人が巡回しておるわけでありますから、一日中そこにおって見ておるというわけでもない、まあ、おそらくそういう間を縫って、もしその事実がありとすれば、そういう間に、そういうことが起きておる、あるいはまた、そういうことをわれわれのところへ言ってきた場合には離職させられるというような問題等もあって、そういうことは、まだ明らかにされておらないのではないかと思いますが、今のようなお話がございましたので、今後、特にそういう問題を注意をして、この保安を確保するように努力をして参りたいと思います。
○政府委員(田村元君) 先ほどの問題でございますが、他産業に比べて、監督実施率実に七倍というような厳格な監督をいたしておるのでございますけれども、なお中小炭鉱におきましては、劣悪な労働条件等があるようでございます。十分、今後も監督を厳重にして、少しでも多く実態把握に努めて参りたい。 それから、先ほどのお手紙の問題でございますが、私もまことに義憤にたえない次第であります。さっそく先生にもお伺いいたしますけれども、同時に全般的に見ても厳重な措置を講じるように努力をいたしていきたいと思っております。
○委員長(木内四郎君) 石田委員の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(木内四郎君) 次に豊瀬禎一君。
○豊瀬禎一君 まず、文部大臣にお尋ねいたしますが、第二次産業革命といわれる技術革新の情勢を受けて、ソ連におきましても五カ年計画、あるいはフランス、イギリスにおきましても、長期教育プランあるいは現行教育体制、制度、こういったものの抜本的な検討、それに基づくところの長期政策の確立、こういったことが世界の趨勢の現状であると思いますが、現段階におきまして、文部省として制度、内容等について、技術革新に対応するという角度から、どのような検討ないしは対策が必要と考えておられますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。私より何回かお答え申し上げたことを繰り返し申し上げることになりますけれども、当面、所得倍増という政治的目標を一応目標といたしまして、そのことが、また一面今おっしゃるように、世界的な趨勢である技術革新の課題にもこたえるゆえんかと心得ますが、そういう見地から見ますると、質も量も従来のままでは足りないということで、一昨年来、十カ年間に必要とする質と量を確保したい、こういうことで、大学の分野におきましても、また高等学校の課程におきましても、さらには中学におきましても、理科教育に重点を置くというやり方で技能者の養成あるいは科学技術者の養成ということを目ざして年次的に進行中でございます。
○豊瀬禎一君 単に、理科教育の振興あるいは大学教育の内容整備といっただけでなく、やはり科学技術の振興という現代の要請に立つと、理科施設を充実するということだけでなく、幼児から大学までのひとつの一貫した教育、その意味において初等、中等、高等教育の再検討の時期ではないか、このように考えますが、そのことについて。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。幼児教育の必要性は御指摘のとおり、われわれもそう思うのであります。ただ、科学技術教育という限定された御質問でございましたから、それには触れませんでしたが、基本的には、やはり幼児教育から関心をもって対処すべきものと思うのであります。再検討は数年来行なわれておりまして、教育課程の面から申し上げれば、すでに御案内のごとく技術教育の充実も含めまして、高等学校が本年から、中学が昨年、小学校が一昨年から新しい教育課程という形で進行中でございます。
○豊瀬禎一君 単に、教育課程の部分的修正というだけではなく、たとえば西欧諸国でとられているような満十八才までの完成教育といった点からみると、現在の義務教育年限の問題も、幼児教育という意味においては再検討の時期です。義務制は今の中学で終るかどうか、後期中等教育をどうしていくかということも問題だと思うが、こうした内容、制度についての抜本的な検討を行なっているかどうかという意味です。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 幼児教育の点については、先ほど申し上げたことに尽きるわけであります。現在の六・三・三・四という制度そのものを、特に義務教育並びに後期中等教育の面において再検討するという考えは、ただいまのところ持っておりません。義務教育六年、三年の九年に、さらにプラス三年の高等学校を義務制にするかどうかは課題としてはあると思いますけれども、義務教育それ自体の充実がまだ十分でなく、さらには九年以上の義務教育制度をしいている国は、私はりょうりょうたるものだと承知しております。したがって、後期中等教育を義務制にするという具体的課題としては、ただいまのところ検討するつもりはございません。
○豊瀬禎一君 たとえばイギリスで行なわれておるプログレッシブ・エデュケーション、こういった制度についての検討は行なわれておりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 行なっておりません。
○豊瀬禎一君 近藤科学技術庁長官にお尋ねいたしますが、先ほど冒頭に述べましたような趣旨に立って、科学技術の振興という問題で、現段階で基本的に進めておられる政策についてお尋ねいたします。
○国務大臣(近藤鶴代君) 科学技術の振興は、何と申しましても研究体制の確立であると思うのでございます。科学技術会議の答申に基づきまして、国立研究所の充実刷新あるいは研究者の養成、または研究環境の整備というようなことに努力を払わなければならないと思い、反面において発明の奨励ないしは新技術の開発というような面になるべく多くの助成をし、その研究の成果を十分発揚するというような基本方針をもって進めて参るつもりでございます。
○豊瀬禎一君 原則的には了解できますが、具体的には、その施設の問題とか、あるいは逆の立場からいうと、科学技術の振興に対する予算という立場から見ても、列国の力の入れ方に対して日本の場合は、まだその緒についたばかりといいますか、きわめて不足なところが多いと思うのですが、現在の施設、あるいは予算の範囲内で、今答弁されました構想が実現できるという御見解でしょうか。
○国務大臣(近藤鶴代君) 豊瀬委員も御承知のとおり、科学技術庁という役所が発足いたしましてから、まだきわめて年数が経っておらないわけでございまして、多くの希望を持ちながら——と申しても、そんなに飛び離れたというような取り扱いを要求することも無理でございますが、しかし、ここ二、三年間の科学技術庁の予算も大分ふえて参りましたし、意図いたしております方向に、漸進的に進んでいく態勢にはなっていると思います。しかし、具体的な施設あるいは予算の傾向につきまして、なお御必要でございますならば、政府委員のほうから御説明をさせたいと思います。
○政府委員(杉本正雄君) 事務局から科学技術振興費と申されました費目の予算に関しまして申し上げます。 科学技術振興費と申しますのは、御存じのように国立の試験研究機関の経費並びに各省の科学技術行政関係の費用並びに特殊法人その他に対しまする出資金、補助金、または研究委託費というようなものを全部含んでいるわけでございまして、これが三十七年度——本年度に比較いたしまして御審議中の三十八年度の予算要求では一五%の伸びを計上しております。その中に科学技術庁自体の予算も含まれておるわけでございます。なお、国民の日本の全体の研究費に関しましては、逐年非常に伸びておりまして、たとえば三十六年度におきましての国全体の研究投資は、前年度に比べまして二九%の伸びをみているわけでございます。これに比べますと、国のいたします科学技術振興費の伸びといたしましては、同様伸びてはおりますが、今後ともこのような伸びを続ける必要がございますと考えているわけでございます。
○豊瀬禎一君 一九五七年ですか、ソビエトが最初に人工衛星を飛ばして以来、米ソではもちろん、その他の諸国においても、教育という角度からも、科学技術の振興という角度から毛、また経済の発展という角度からも、新たな体制ということが、いろいろなそれぞれの国の制度の中で考えられて参っております。大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、現在の文教予算の中の科学振興費用、ただいま政府委員から答弁のあった科学技術の振興、これが現在の科学の進展に即応して、また日本の将来の命運の判断からしても十二分な予算である、このように考えておられますか。
○国務大臣(田中角榮君) これから自由化の波に洗われながら世界経済の一環として伸びていかなければならない日本の将来を展望しますときに、科学技術の振興によらなければならないということはお説のとおりでございます。ことに資源の貧弱な日本でありますから、科学技術に負うところ必ず大であるという基本的な考えに対しては、政府毛あなたと同じ考えを持っております。三十八年度の予算における科学技術の問題、それから政府出資及び民間の科学技術に対する投資その他を、この機会に明らかにいたしておきたいと思います。 三十八年度予算におきましては、科学技術関係で約三百六十七億円を計上いたしております。これは前年度の予算額三百二十億円に比べますと四十七億円の増でありまして、一四・七%の増であります。これを予算の伸び対前年度比一七・四%に比べると、少ないとお思いになるかもしれませんが、これは科学技術庁関係のものでありまして、大学における教官研究費等を含めた広い意味での科学技術振興費というものを申し上げますと、約千二十四億円計上いたしておるわけでございます。前年度予算の八百四十七億円に比べますと言七十七億円の増でありまして、二〇・九%の増加であり、一般会計の一七・四%よりも上向いておるということは言い得るわけでございます。広義の科学技術振興費の一般会計の予算総領に対する比率もこの場合申し上げておきますが、三・六%でありまして、一九六一年のフランスの三・七%、西ドイツの一九六一年度における二・三%とほぼ同程度であるというふうに計算をされるわけであります。アメリカが一九六一年度で一一・六%、イギリスが一九五九年度で五・三%でありますから、これら二国に比べるとパーセントは低くなっておりますが、これら二国は軍事費が科学技術振興費の総領の七〇%を占めておりますので、これを引きますと、おおむねこれら先進工業国と同程度であるというふうにも言えるわけでございます。 しかし、何分にも戦後日なお浅い日本でありますし、荒廃の中から立ち上がるという日本の実情、また先ほど申し上げたとおり、資源の貧弱な日本の将来を考えるとき、科学技術に関する費用の支出がこの程度でいいという考えは持っておりませんので、予算編成に際しまして、逐年これが増加をはかって参る予定であります。
○豊瀬禎一君 科学技術の振興が経済の成長を促進していく、こういった立場から、所得倍増計画の中にも人的能力の向上、科学技術者の養成ということがうたわれておるはずですが、文部大臣にお尋ねいたしますが、文教政策、特に学校教育というものを経済成長の一つの要素としてながめておられるか、そうでないとすると、学校教育というものをどういう基本的な理念のもとに拡充強化しようとしておられるか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 学校教育は何も、児童、生徒、学生が経済に奉仕するというためにあるものではないと心得ております。日本人の持って生まれた素質を、技能的にも、あるいは精神面におきましても、これを啓発し、世界一のりっぱな人間に、まず日本人としてりっぱに、それが同時に世界的にもりっぱな人間として育成するため、そのために学校教育はあるものと心得ております。
○豊瀬禎一君 教育の基本的な理念は憲法十三条の精神を受けておると、このように判断してよろしいですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 もちろん、憲法、法律等を引用するとしますれば、憲法及び教育基本法を中心とする、その趣旨に従って行なわるべきことは当然と存じます。
○豊瀬禎一君 全体系的な教育との関係でなくして、教育に対する基本的な理念を十三条に置いておられるかどうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) もちろん、憲法のその趣旨に従ってやるべきものと思います。
○豊瀬禎一君 教育投資というのがマンパワー・ポリシーの中でたびたび主張されておるし、またこのことも経済から教育をながめた場合の一つの流行語といいますか、政策の要諦となっておることも御承知のとおりであると思うのですが、文部省の教育白書の中にも、教育投資論的な観点が随所に見られることは、本会議で指摘したとおりであります。現在の、大臣が答弁した技術者養成の、あるいは大学の学術研究体制の強化といりたものが、やはり人間投資論に立っておるのではないか、このように判断するのですが、いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 あの教育白書を中心に、よく新聞、雑誌その他でおっしゃるような指摘が行なわれますが、そういうためにのみ教育白書を出したわけではございません。経済財政の面に立ちまして、日本の経済に教育というものがどの程度役割を果たしたかという角度から、試みに見ただけのことであります。教育白書それ自体が、教育の目的をさし示しているわけじゃ毛頭ございません。いうところの教育投資的に見ましても、それが民族の発展、国家の興隆に、経済財政の面をとらえてみましても十分にペイしておるはずで、それを資料に基づいて科学的な検討の結論を出したというにとどまるのであります。繰り返し申し上げますが、そのことが教育の目的、目ざすところのすべてではもちろんございません。結果論的に、そういう角度から見れば、教育白書的な見方もあり得る、こういう考え方を公表した次第であります。
○豊瀬禎一君 答弁の中に、私の指摘したところが変脱しておると私は判断するのですが、いわゆる教育白書の一つの見方としてあり得るということ、これは当然教育そのものでもないし、また教育の方法論を書いておるわけでもありません。その点ではおっしゃるとおりです。しかし、所得倍増計画のねらいとするところの人間能力の開発、マンパワーというものに対する見方は、憲法十三条の精神にのっとって科学技術あるいは教育を展開していくという立場ではなくて、あくまでそのためにいかなる技術者をどの程度必要とし、労働資質的な向上はどこまで上げねばならないのかという計画、経済の計画の中から計画教育が出てきておる、それの一つの表われが教育白書である、このように判断しておるのですが、間違っておりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 結果としてそういう見方ができるということでありまして、繰り返し申し上げますが、教育白書の物語るその結論が教育の目的ではない。結果を、ごりやくを表現してみれば、ああいう見方もできるんだということは、先ほど申し上げたとおりでございます。何も経済界の要求に応じて教育内容をどうせにゃならぬというのが第一義でないことは当然であります。ただ、学校教育を受けて社会に大部分の者が就職いたします。大学院に残って真の意味の学問の研究に没頭する少数の人もございますが、多くは社会人としてその学校教育を通じて育ち上がりました、身につけた技能あるいは精神的な鍛練、こういう毛のが社会人として役立たないことには、かすみを食って生きているわけじゃございませんので、そういうことも副次的な一つの目標にはなさねばならぬ本質は持っていると思います。だからといって、教育をそれにいわゆる従属させるというものの考え方は、学校教育の目的からいけば、本来が逆だと心得ます。
○豊瀬禎一君 あなたのおっしゃる教育の目的とは……。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) さっきも申し上げましたとおり、日本人として心身ともにりっぱな人に育て上げたい。その終着駅は、世界人類から見ましてもりっぱな人間だと、信頼と賞賛を博するに足る人間を作り上げるということが目的だと思います。ただし、生きていかねばならないという現実にも即しまするように、技能、知能の開発もあわせて考えるべきことは当然のことと心得ております。
○豊瀬禎一君 科学あるいは科学技術の振興という立場に立って国が考えなければならない基本的な条件があると思うんです。文部大臣並びに技術庁長官から、それぞれお答えを願います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 科学技術教育の目ざすところは一体何だというお尋ねかと心得ます。これまた、科学技術教育に関しまして、世界のトップレベルを歩かせるようなところを目標にやらねばならぬと思います。
○豊瀬禎一君 意図的か、すれ違いか、質問に対する答弁がなっていないようですが、この科学あるいは科学技術の振興に対していろいろの条件があると思うんです。研究費をふやすとか、あるいは待遇をよくする、そういった個々の対策ではなくて、基本的にこれを振興していくためにはどういう要素あるいは条件が必要ですかと、こう言っているわけです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 目標はさっき申し上げたとおりだと心得ます。今度は条件とおっしゃいますと、ちょっとお答えしにくいわけでございますが、もうちょっと砕いておっしゃっていただきたいと思います。
○豊瀬禎一君 条件ということを聞いているのではなくて、基本的な立場、要素、あるいは条件、基本的なかまえを聞いておる。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 基本的な心がまえということであれば、先刻お答え申し上げたとおりの心がまえで対処すべきものと思っております。
○豊瀬禎一君 先ほどお答えになったのは、一応その具体策に対する説明でありまして、基本的なかまえではありません。近藤長官もお答えになったんですが、研究体制の強化、これを先ほどからマンパワー・ポリシーと関連して質問いたしておりますのは、前回の本会議でも指摘をいたしましたように、あの自由主義の国のアメリカにおいてさえも、ああいうように新たな民主主義に対する重大な脅威は産業ブロックと軍事体制であると指摘しております。現在の所得倍増計画、あるいは人的能力部会の答申、文部省の教育白書、これとアメリカの国防教育を対比いたしてみますと、七、八年前に経済団体が、教育はかくあるべきである、そうしてこういうものが何年次においては幾つ生産されなければならない、そのためには初級技術者、中級技術者はこれだけ必要である、そのためには自衛隊が戦車を何台持たなければならぬ、こういった計画を立てておることは御承知のとおりです。この計画に即応して日本の文教政策が——即応というよりもっと適切な用語を使うと、従属して推進されておると私は判断しております。したがって、現在はいろいろな点にいびつなことが生じておると思うんですが、質問を進めまして、いわゆる研究体制の強化には、今度はどういう条件が必要だと考えておられますか。研究体制だけに問題をしぼります。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 科学技術の研究という概念でおっしゃることは、主として、学校教育の場ならば大学の課程について言っておられることと思います。大学それ自身の教育内容、課程及び大学院における研究あるいは大学付置研究所、さようなものを通じて、世界的にも優秀な頭脳を持った日本人の高度な科学技術の研究に没頭する姿から、科学技術の進展が期待できるものと思います。その前提に立ちます限り、国公私立を通じて、大学における科学技術教育ないしは研究のためのもろもろの手段、人的、物的な施設、設備、手段を極力、財政面におきましても大蔵大臣を口説きまして、より一そうの手当をしながら、その研究者が研究しやすくする。高度の研究の求めに応じましても、実験実習の設備等についても、さらに努力を加えていく。さらには、月給が少し高いから民間に逃げていく学究の徒もあるようであります。これは人情としてある程度やむを得ない事柄でもあろうかと思いますが、そういう意味においては、いわば生涯を学術研究のために没頭していく人にふさわしいような、値するような待遇の改善もまた無視してはならない要素だと思います。おおむね、さようなことを中心に今後の努力に待ちたいと思います。
○豊瀬禎一君 研究体制の中で重要なものは、やはり研究の自由が確保されるということ、さらには、そのことが有要不要、時期的な問題を抜きにして公開発表の確保が行なわれておるということ、さらに、あなたが指摘されたようなことが問題になってこようと思います。現在、技術庁においても、文部省においても、研究の自由、発表の自由、さらには研究体制の具体策、すなわち、研究費、施設、こういったものについては十分の予算が、大臣の言うがごとく、大蔵大臣を口説き落としてできたという自信を持っておられますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。口説いたつもりですけれども、むろん十分ではないと思います。今後の努力に待ちたいと思っております。 〔委員長退席、理事斎藤昇君着席〕
○豊瀬禎一君 一つの問題は、学者の海外流出、一つは大学にとどまることをきらって民間に奉職する。この問題に対して現在とっておられる対策はどういうことですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。先ほどちょっと触れました学究者の待遇の改善というのが特に具体的に懸念されることでございますが、これは人事院の担当されるところでありまして、直接的に文部省の立場から改善することが困難でございますけれども、せめてその誘因、誘導する原因になしたいものと期待しながら、学長の認証官制度創設についての内閣の法案を御審議願いつつあるのであります。そういう待遇の改善につきましては、以前から文部省としては、せめて戦前並みにはしたいという考え方のもとに、及ばぬながら努力して参ったのでありますが、さしおり、今申し上げたようなやり方で幾らかでも優遇措置を講じたい、かように考えておるのであります。研究の施設、設備、むろん十分ではございませんが、具体的数字をちょっと申し上げかねます。はっきり覚えておりませんけれども、先ほど大蔵大臣からお答え申し上げましたとおり、大学における、あるいは付置研究所における施設、設備につきましても、幾らかの努力は積み重ねておるつもりでございます。学者のまた研究費につきましても、あるいは学生経費という名目でも実質的な研究費の一部になるかと思いますが、それらにつきましても、いささかの努力はいたしたつもりでおります。むろん十分ではございません。今後さらに努力したいと思います。
○豊瀬禎一君 学者の待遇の問題は人事院のことように冒頭に言われたように思うのですが、教育基本法を守る直接的な責任はどこにありますか。人事院ですか、それとも文部省、文部大臣ですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。教育基本法は、全国民が守るべき教育の基本法であることは申すまでもございません。教職員の待遇改善につきましては、先刻来申し上げておりますような立場では、第一義的には文部大臣という立場で関心を深めているべきものと思います。現実にしからば待遇の改善をする、給与表の改定をするということは、日本の今の制度におきましては、一般的には人事院で、横の関係もにらみながら、公正な判断のもとに制度づけをするという機構になっておるかと心得ますので、その意味において先刻お答え申したつもりであります。
○豊瀬禎一君 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、教育基本法に教員の待遇の適正ということがうたわれております。ほかの基本法あるいは法律にはない。教員に限った基本法の特記事項ですが、この基本法に定められてある精神と、現在の、今大臣が答弁した、学者はもとより、教員全般の給与の問題は人事院が責任を負うのだということではなくて、財政的にもっと増額、優遇し得るし、すべきだと私は思うのですが、所感をお尋ねいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 私もあなたのように、大学の教官の給与が現在適切なものである、また、最高なものであるなどとは考えておりません。まあ普通の給与所得者も、戦前に比べて、実際問題としては物価が上がっておりますから、だんだん減俸をされておるというような事実であります。また、私も、大蔵省の次官、局長以下に言うのでありますが、二十年前に入って月俸百円、百二十円であったときに米が一俵幾らであったかということを考えれば、現在まで二十五年、三十年勤めておって減俸せられておるんだという事実が出るのでありますが、これは敗戦という冷厳な事実の上に祖国の再建という積み上げられておる事実の中での現状でありますので、これらの姿から一日も早く脱却し、正当な報酬を得られるような状態に国づくりをしなければならないと国民すべてが考えておるのは、そういう事情によるものでございます。特にその中で、あなたが今指摘されましたように、教育基本法には、教育者というものの環境を特に整備してやるべきでありますし、これらの方々は、自分の待遇などということを、少くとも戦前は、みずから自分の待遇を口にするようなことはなかった方々でありますから、全体的な条件として、給与その他待遇の面に対して好意的な、より優先した考えで環境を確保してやらなければならないということは当然であると思います。そういうことを考えておりながらなぜやれないんだということをいつでも陳情を受けたり、御質問を受けたりするのでありますが、そこがむつかしいのであります。これは財政当局者として、片意地に理屈一点張りな考えで申し上げておるわけではございませんが、戦後大学は、乱造ではありませんが、いずれにしても非常に多くできました。で、当時の小学校の先生が中学校の教員になり、中学校の先生が高等学校の先生になり、高等学校の方々が大学という、まあ制度上はみな大学であり、学長でありますが、これは戦前の状態から比べると、俸給制度の状態においてもいろいろな差があったわけでございますが、今度の認証官制度を御審議を願うにしても、一体全部の学長をやるのがあたりまえではないかという考え方もありますし、旧帝大の三つをやるか七つをやるかというような、まあ名前からいいますと、形式的には非常に完備をせられておるわけでありますが、実際これらの内容を見、また、これを全部一律に東京大学の総長並み、東京大学の教授並みに引き上げることが可能なのか、非常にむつかしい問題として、戦後十何年間お互いに検討をしてきたわけであります。まあそういうことばかり言っておってもどうにもならないし、人事院にたよっておってばかりいてもどうにもならないというので、われわれも、また大学の教授に対して俸給別表を作ろうというと、それは自民党的で、人事院を廃止するものであろうと、いろいろなことを言われるものですから、思いながら、どうにも思いままならずということで今日まできたのでありますが、三十八年度予算編成にあたっては、思ってばかりいても仕方がないから、一応ひとつ踏み切ろうということで、今のところ認証官制度というものを御審議を願っておるわけでございまして、こういうものを契機に、教育者の待遇が一般公務員と比べてどうあるべきかということを、あなたの御審議等を待ちながら、これからひとつ新しい道に踏み出して一つ一つ解決していくべきだろうという姿勢で考えております。
○豊瀬禎一君 大臣にお尋ねしますが、認証官制度の適否は別にして、現段階で文部省として問題を大学教官に限定した場合、文部省自身が発意して、いつの時期にどのような形で待遇の改善をはかろうとしておるのか。なければなし、あれば具体策を……。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。三十八年度の予算に盛り込みまして御審議願っております教官研究費、さっきも触れました教官研究費、学生経費を中心に、幾らかの手当の増額をはからんとしておるわけであります。それ以外には、文部省の立場だけから全面的な給与の引き上げということは、制度的に困難があると思います。と申しますことは、関心を持たないとか、できる限りの努力をしないということではございません。全努力を傾けるべきである。豊瀬さんのあの本会議の御質問にもお答えしたことですけれども、戦前は、高等師範を出て中学の先生になれば、百円の月給をもらった。その当時、大学を出て、昔の文官試験に受かって役人の卵になった場合は、七十五円か八十五円であった。大学にとって例を申し上げれば、すでに御承知のとおり、戦前の東大の総長は国務大臣並みの給与を受けておった。当時の裁判官、検事、大公使よりも給与は上であった、そう思います。それは何も戦前が一番いいから、リバイバル・ブームに乗っかろうというのじゃございません。本質的に同じ公務員といたしましても、教職に携わる人々の社会的、国家的評価というものは現状でよろしいかということを考えました場合、よろしくないと思います。したがって、小中はもちろん、大学に至りますまで、国家的評価を高める努力をなすことが当面の必要事項だと思うのであります。そのゆえに、先刻お答え申し上げましたような、文部省という立場で考え得る、あるいは人事院と相対した関係での政府側として考え得ることを、できるならばやりたいものだ、それが認証官制度であります。これと対応しまして人事院でいかなる判断をなされるか、それは別途のことでございまして、直接的には文部省の立場からは申し上げかねる事柄であります。そういう意味で努力したいと思います。
○豊瀬禎一君 趣旨はわかりましたが、本会議でも要望いたしましたように、単に大学教官ということじゃなくして、教育基本法に定められておる、教員の身分は尊重され、その給与の適正がはかられねばならないという基本法に特記されている事項の実定法上の実現に対しては、今後とも御努力をお願いいたしたいと思います。 次に問題を進めまして、冒頭に聞きました後期中等教育の問題ですが、再度お尋ねいたしますが、先ほど指摘いたしましたように、フランスにおいてもソ連においても同様ですが、現在の教育思潮の根底は、少なくとも十八才に到達するまではスクール・エデュケーションが、一般の職業教育としてやるか社会教育としてやるか、形態についての相違はありますけれども、やはり十八才までは国の施策の中で教育を行ない、心身ともに健全なという趣旨に合った政治を行なっていくべきだ、これが通例だと思います。このことに対して、大臣は、現行制度からどのような所信をお持ちでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。今、豊瀬さんが指摘されました基本的なものの考え方には異存がありません。同感でございます。そこで、義務教育後の後期中等教育につきましては、普通高校、あるいは産業教育振興法の対象となっておる高等学校はもちろんのこと、定時制の高等学校、さらには通信教育を通じての後期中等教育の充実、さらには社会教育の面から取り上げました青年学級、あるいは社会教育面での通信教育、あるいは婦人学級、それらを全面的に今おっしゃるような方向に持っていく、こういう考え方で対処せねばならないことと思い、かつ、また、いささかの努力はしておるつもりでございます。
○豊瀬禎一君 ただいまの制度の中における、また、今羅列されましたシステムの中で救済されておるものもあるけれども、そうでなくして、放置されておるものがかなりあると思うのです。そのものに対してはどういう施策が必要であるとお考えですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。今申し上げました教育の対象人員に具体的になり得ていない人々は、定時制高校に入りたがらない、もしくは入ろうにも入りにくい何らかの条件がある。社会教育面につきましても同様でございますが、これは定時制の学校教育それ自体をもっと何とかして魅力あるものに、また、内容的にも充実させることが魅力をもたらすゆえんとも思いますが、同時に、関西方面で、定時制高校の卒業者も、全日制と同じように就職のチャンスを与えるという態度で臨んでおるようなことを全国的にも普及する努力をしなきやなるまい、そういうことで対処すると同時に、先刻ちょっと申し忘れましたが、豊瀬さん御案内のとおり、この前の国会で決定していただいた職場訓練所とでもいうべき所で、後期中等教育内容と一致するような職場教育をしておる向きがだんだんとふえております。それを定時制の教科内容を履習したものとみなすことによって二重手間を省くというふうなことで、職場に入った人々が、定時制教育を従来の形どおりのやり方で受けにくい条件を解消していく、このことも努力すべき問題の一つかと心得ます。職場等におきまして、その制度のあることそれ自体を十二分に承知してない向きもあるようでございますから、その意味のPRもあわせ行ないながら、全日制の後期中等教育という場以外の場で、全日制に入り得なかった人々に対して、できれば全面的に一人も漏れなく受け得るような体制を今後に向かって整備して参りたい、かように思います。
○豊瀬禎一君 企業内訓練を履修の単位とするということも一つの方法ではあります。しかし、やはりそのような訓練の中では、現在御承知のとおり、科学技術の進歩に即応する、その企業から別の企業に移動した際には、そこで履修した技能というものはほとんど役に立たない、いわゆる熟練工の技能というものが非常に単能化しておるというのが現在の情勢だと思う。したがって、短期の、また、直接企業の生産工程における訓練ということは、決して長期見通しに立った十八才までの必要な教育とか職業陶冶ということにならないと思うのです。それを是正して押し進めていくためには、どうしても現在の雇用主に対して何らかの国の施設の中で働きながら、でき得れば学校教育のシステムの中で基礎的な長期労働力の質の向上ということがはかられねばならないと思いますし、そしてそのことが雇用者一つの義務として青少年に付与せらるべきだ、このように考えておるんですが、現行の企業内訓練を履修の単位として認めていくという単位認定的なこそくの手段で足れりとしておられますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。先ほど申し上げました職場訓練所の単位認定的なやり方も一つのやり方、弊害がありそうなお話でございましたが、弊害ありとすれば是正する努力は惜しむべきじゃむろんございません。職場訓練所におけるたとえば電気とか機械とかという、特に産業教育面のことが一般でございますが、そういうものはあえて全日制の高等学校に劣らない内容のものが教育できそうに思います。当該定時制の学校長が、教育的な立場からも、その職場内訓練所のあり方を責任者として見ていってもらう建前にもなっておりますから、これは私は奨励されてしかるべき一つの課題だと思います。さりとて、今触れられましたように、たとえば西ドイツの例を聞いたことがありますが、雇用主が一週何日かの有給休暇を与えて、日本でいえば定時制の高等学校の教育を受けられるようにする義務づけをしておる国もあると聞いております。 〔理事斎藤昇君退席、委員長着席〕 将来の問題といたしましては、そういうことも検討をしながら実施するといたしましても、しかし、職場訓練所みたいなものが充実されることと並行的にやることがなお有効ではなかろうか。これは私の思いつきの今の見解でしかございませんが、御指摘の、義務制をしきまして、雇用主に一週何日間かを後期中等教育のために有給休暇を与えて勉強させるということは今後の研究課題だと思います。
○豊瀬禎一君 現在の大臣の考え方が、教科書の検定にあたっても、また指導要領という一つの教育内容の国家基準性を決定する場合でも、端的にあらわれておると思います。たとえば、理科の指導要領一つをとりましても、戦前と戦後の科学技術の進展と教科書の両者を対比してみますと、いかに教科書がおくれておるかということがよくおわかりになると思います。私は一貫した教育というのは、幼児から、あるいは義務教育からといってもいいですが、大学までのいわゆる理科、科学教育のどのような展望をするか。将来日本の科学技術をどこまで何年の間にレベル・アップするか、そのための基礎陶冶には、小学校一年生にはどのような新しいものを与えねばならないか、こういうことが文部省の施策の中に非常に欠けておると思うのです。指導要領を作っておって、それに合わないような教科書は検定官がF項パージで秘密裏に葬むってしまう。教科書会社は教科書が売れないために、やむを得ずその意向を尊重していく、こういうことの繰り返しでは、当面の企業の要請にこたえるところの技術者の供給はできても、長期の労働力の質的な向上という観点からすると、教育投資という角度から見ても、きわめて不利な施策であると思うのです。文部省の役人が、あるところで次のようなことを言っております。原子力というものは目に見えないものだ。目に見えないのを義務教育の言葉として教えたって意味がないのだ。空気も無色、無味、無臭という言葉で昔は教えておったんですが、目に見々ません。しかし、空気のことを教えないで何ができるか。現在の科学教育の振興には、科学技術庁の予算の拡大とか、あるいは大学教官に対する待遇の改善、もとより必要です。しかし、現在はいわゆる文部省の力でなくして、学術会議、学会等も、国の総力をあげて、いかなる内容でいかなる方法で科学技術を振興させるか。そのためには、義務教育の初歩からいかなる陶冶を行なっていくかということが重要だと思います。第一次大戦後の日本が臨時教育会議等を設けて、抜本的な教育改革をはかろうとしたのもそのあらわれだと思います。技術革新の現状を受けて、特に科学教育については、今言いましたように、たとえば理科の教科書、教材、指導要領、こうした小さな部面だけをとってみても、抜本的に再検討をする時期にきておる。それがなされない限りは、ユネスコ教育的な原理を教えるためには、身の回りにある何かを利用すればよろしいという、身の回り主義的な科学教育では、日本の科学教育は大学の研究がいかに進展しても、全般的としてはレベル・アップできないのではないか。このような危惧を持つのですが、もっと広範な学術会議、学会等を大動員して、日本の科学教育、科学技術の振興に対して新たな決意で検討すべき時期にきておる。その中から通信教育も企業内訓練も国家の施設の中におけるいわゆる後期中等教育を受けていない人々の再教育、職業訓練をどうしていくかということが展望されなければならないと思います。こういう決意に立って新たな制度なり体制の確立に努力しようとする意思がありますか、どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。御指摘のとおり学校教育法に基づいて教科に関すること、文部大臣の責任事項でございます。それを受けての学習指導要領、義務教育及び後期中等教育に関する限りは、その指導要領に基づいて教育され、その趣旨に従ってこれまた学校教育法に定めております教科書の検定が行なわれ、検定された教科書以外は使うべからずという立て方で教育が行なわれておるわけでございますので、もし、指導要領が時代の進運に応じないようなことありせば、これはゆゆしきことだとむろん考えます。そこで、指導要領は文部大臣の責任で定めるわけでございますが、申すまでもなく、現実にはその道の専門のたくさんの方々にお願いをして検討された結論を教えてもらって決定するわけでございまして、好むと好まざるとにかかわらず、どうしてもある程度の時間の経過がございます。そういうことのために、御指摘のようなこともあり得ると思うのであります。だから常に前を向きながら指導要領等の改善に努力するかまえがなくてはならないと思います。そういう考え方で御指摘のようなことがないように努力して参りたいと思います。
○豊瀬禎一君 文部省の施策の展開にあたって一つの問題点は、たとえば中教審のごとき審議会、諮問機関等を設置される、その際に、学術の専門家が委嘱される、それにあたって文部省のリストの中におる者だけが選抜されておる。たとえば学術会議に何名を委嘱する、物理学会にこれだけの、この種の専門家を出して下さい、こういった形をとらず、あらかじめ予定され、現行の指導要領あるいは昭和二十一年に出たところの新らしい教育指針を全く裏返しにしたような教科書編さんの方式が肯定されるような、あるいは極端にいえば、それに迎合するような学者陣が選ばれていることは絶無とはいえないと思う。この際、中教審の抜本的な改正ももちろん、こうした審議会、諮問機関設置の際には、文部省が特定氏名を委嘱するんでなくして、学界、学術会議等の推選を待ち、その総意を持った人を委嘱していくということが至当ではないかと思いますが、大臣の所感を承りたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。おっしゃるような方々に推選してもらうのも一つの考え方だと思いますが、要はだれが見てもりっぱな方だという人を責任もって御委嘱申し上げるということでなければならないと思います。現在の委員の方あるいは中教審の委員はもちろんのこと、教育課程審議会、あるいは教科内容の審議にあたっていただく方々も、一応りっぱな方々だと存じておるのであります。今後改選の機会等にさらに思いをあらためてよりよき人々を網羅する努力は怠るべきじゃなかろうと、かように思います。
○豊瀬禎一君 現在の人が不りっぱな人だと言うんではないです。だれが見てもりっぱな人だというあなたの判断にドグマがあると言うんですが、文部省のそういう考え方に関係点があることを指摘している。だれが見てもりっぱな人という考え方は非常に巧妙な言葉であるけれども、実体としてはごまかしがある。それを普遍性を持たせるための一つの方法としては学術会議なり学会があると思う。そこから総意をもって選ばれてくるという方法が取られない限り、文部省が、だれが見てもりっぱな人々という考え方に立って選ぶところに問題点があるごとを指摘しておきたいと思います。 次に、労働大臣にお尋ねいたしますけれども、先ほど文部大臣にもただしたところですが、何らかの形で全日制、定時制、通信教育等の教育を受ける制度はありますが、それのできていない青少年、私がいう青少年とは十八才までを言うんですが、青少年の職業訓練なり、できれば学校教育施設の中に収容するという措置に対して、雇用主に対して単なる精神立法的なものでなくて義務化していくことが少なくとも真剣になって検討さるべき段階にきておるんではないか、このことは長期の経済発展あるいは人的能力の開発という観点からも、今の生産過程に即応する人ということでなくして、将来の科学技術の進展に対応して基礎的な能力を修練さして適応性を拡大していく、こういった趣旨の技能訓練なり職業訓練なりが雇用者に義務づけられる段階、時代の要請ではなかろうか、このように思うのですが、労働大臣の労働力の長期な質的な向上という角度からの見解を承りたいと思います。
○国務大臣(大橋武夫君) 労働省といたしましては、御承知のとおり、技能労働者の需要の増大に対処するために、職業訓練を組織的計画的に実施しつつある次第でございます。しかし、企業主がこれに協力してくれる体制を作るということは、これは労働力の長期の見通しから申しましても、きわめて望ましいところであることは申すまでもございません。ただ、現在の段階といたしましては、まだ事業主に対して職業訓練ないし青少年労働者を、特に十八才未満の若年労働者を学校にやるということを強制するところまでにはいっていないのでございます。しかし、強制でなく、そういうことを次第に勧奨していくような段階に近づきつつあることは、これは私どももそのとおりであると存じまして、今後そういった面について研究を進めて参りたいと思います。 御承知のとおり技能労働力の問題につきましては、本年一月の経済審議会が内閣総理大臣に行ないました人的な能力の開発向上に関する答申書がございまして、職業訓練及び技能検定の拡充整備につきましても貴重な意見が述べられておりますが、労働省といたしましては、この答申を慎重に検討の上、一つ一つ実現に努力をいたしておると存じますので、あわせて今述べられましたような事柄につきましては今後検討を加えて参りたいと存じます。
○豊瀬禎一君 再度お尋ねいたしますが、たとえばイギリスではプログレッシブ・エデュケーションを年間百三十日から百五十日、学校にいっていない人を国が責任をもって何らかの教育を受けさせる制度があります。学校に年間入れるという完全な制度ということに一気に進むことは若干の問題があるといたしましても、たとえば年間何十日とか何カ月とか区切って、学校に就就学することのできない青少年に対しては、国の責任で何らかのそうした教育を受ける機関を作り施設を作り、そのことの機会を与える義務といいますか、それを雇用主に義務化していく、こういうことを福祉社会のあり方として夢みるのではなくして、先ほども申し上げましたように、現実の労働力の長期の質的向上という緊急の課題からも、ゆっくりかまえているべき問題でないと思うのですが、再度大臣の所見を承りたいと思います。
○国務大臣(大橋武夫君) 労働力の調査によりますと、現在技能労働力の不足数が百数十万人という多きに上っておることは御承知のとおりでございます。労働省といたしましては、この解決をしなければならぬ立場におるのでございまして、それには、在来の職業訓練だけではなかなか十分に成果は期待できない面があろうと存じまして、お示しのような問題につきましても検討を加えたいと存じます。ただし、その就学せしめる義務の内容とか、あるいは範囲とか、また、大企業においてはともかくとしまして、特にわが国は非常に中小企業が多うございまして、これらの中小企業についていかにするか、また、これらに対しても同じような措置を考えるとすれば、それを実行させるために政府としてどういう措置が必要であるか、いろいろ検討すべき事柄も多いと存じます。これらにつきましてできるだけ早く検討いたしまして、御期待に沿うようにしたいと思います。
○豊瀬禎一君 現在の労働密度の増大がオートメ化によって一そう進められておると思うんですが、技術というもの、あるいは技能というものが非常に単能化している。このことが、数年先というか、あるいは科学技術の進展に対して将来の適応性を喪失していっておる。そういう種類の職業訓練なり、先ほども言ったんですが、現在の工場における、たとえばグラスを作るというその生産過程に必要な技能の訓練に充血し過ぎて、一つのシステムあるいはオートメ化に備えた長期の適応性の訓練というのがやや後段に退いておるような印象を持つんですが、この技能の単能化の問題について、職業訓練というあなたの所管の場を通してどういう対策が必要だとお考えでしょうか。
○国務大臣(大橋武夫君) 技能訓練につきましても、だんだんと長期のものを行ない、いろいろ時代の要求を広い方面にわたるように努めたいと思っております。
○豊瀬禎一君 近藤長官にお尋ねいたしますが、科学技術の振興という立場に立って、先ほど申し上げましたように、科学技術をどの年度で、あるいは何年かかってどのレベルまで上げるか、そのためには、たとえば先ほど文部大臣と論争した義務教育、後期中等教育、さらに大学まで展望した際に、いかなる素材を科学教育として与えていくかということは、これは国の命運を決する非常に重要な課題だと思うんです。こういう問題に対して、科学技術の振興という角度から、単に〇〇実験所、〇〇研究所の施設を拡大する、予算をふやしていくといったことではなく、全般の、幼児からの科学技能の修得あるいは教育ということが必要だと思うんですが、そういう問題についても、科学技術庁として何らかの検討が行なわれておるか、あるいはそうした課題と取り組んでいるかどうか。
○国務大臣(近藤鶴代君) ただいまのお尋ねの件につきましては、率直に申しまして、今の科学技術庁の立場といたしましては検討の対象になっておらないと思います。私は、幼児から科学に対する教育あるいは科学技術尊重というような立場に立っての国の施策というものは十分なされなければならないものであると思うのでございますが、これは単に科学技術庁として考えることではなくて、いろいろな立場におられる人たちがやはり総合的に研究、検討いたしまして、国の一つの大きな方針を立てて、総力をあげてその方向に向いていくべき性質のものではないかと思っております。
○豊瀬禎一君 御見解は賛成いたしますが、むしろ私はこの際、現在の教育行政の機構からして、地方教育委員会が最小限度現行制度の中であるとすれば、文部省が庁になって文部庁になり、科学技術庁がむしろ科学技術省として優位に立って日本の科学の進運に対して全責任を持つべきだ、このように思うのですが、長官の御見解を承りたい。
○国務大臣(近藤鶴代君) 別に長い歴史を持っている文部省が庁になる必要もございませんので、まあやがて科学技術庁を科学技術省としていただいて、両々相手を携えてやって参りたいと思います。
○豊瀬禎一君 時間がなくなりましたので、問題を進めまして、身体障害者の問題で質疑を行なっていきたいと思います。 私から申すまでもなく、青少年に対しては、国が心身ともに健全に育てていく責任をきちんと明記いたしております。この身体障害者の問題をとらえていく際に、一つは学校教育という問題と、福祉社会としてのあり方という二つの角度から出てくると思うんですが、一言にして身体障害者に対する現内閣の施策を批評するならば、「名もなく貧しく美しく」のあの映画の主人公がいみじくも言ったように、私どもには同情をする人は多いけれども、真に理解してくれる人が少ない。いわゆる明治五年の学校令にあった廃人学校あるべし、富国強兵政策の役に立たない廃人だ、おかわいそうにという同情感の域を施策としては出ていないと思うんです。その証拠を私はまず提示したいと思うんですが、衆参両院の国会におきまして、たびたび特殊教育の振興に対しましては、院の決議が行なわれております。また、議員立法が行なわれたことも御承知のとおりであります。しかし、予算という点からしますと、三十五年、三十六年、三十七年、三十八年と、こう見て参りますと、額はふえているのですけれども、伸び率は次第に減って参りまして、三十七年に対して三十八年は、わずかに九%、三十六年の際には五三%の増になっているわけです。また、制度の上から見ましても、文部省が特殊学校、特殊児童のために出した法令の中には、ほとんどといっていいくらい、たとえば修学旅行費の支弁にいたしましても、盲ろうの小中は除外される。高校の定数が定められても、盲ろう、養護の高校の教員の定数は除外されている。産振手当も同様に支弁されない。免許法のごときは、盲ろう、養護学校に就職しておった経歴というのは、免許状を取得する際には算定されない。予算においても法律においてもすべて差別を受けている。院がこれに対して附帯決議をつけた際に、翌年、翌々年といった立ちおくれの姿勢で是正をしていっている。そこで、まず大臣にお尋ねいたしたいのは、盲ろうは義務化になっておりますが、肢体不自由児、精薄児につきましては、現在就学の義務が免除されておりますことは、これは好意に似て決して好意ではない。むしろ国がこれらの養護学級、学校を設置して、こうした人々にこそひとしく能力に応じて教育を受ける機会を与えると同時に、義務教育を完全実施をさすべきだと思うのですが、これについて検討されておりましたら所論を聞きたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 事柄の本質からいいまして、行く行くは義務制にまでいたしまして特殊教育を充実していくという課題であることは御同感でございます。ただ現実問題といたしますと、御案内のとおり、特殊教育の教員組織を整備するにつきまして、遺憾ながら計画的に着々と充実していくということが困難な実情にあります。そのことが衆参両院の決議等もございまして、その趣旨を尊重していこうという気持はございましても、現実問題として、テンポが早まらない悩みの焦点だと思うのでございます。そこで、おくればせではございますが、三十八年度からいささかの努力を払い始めまして、五カ年くらいで全都道府県に特殊学級を整備することを目途として努力していきたいと存じておるのであります。そのためには、まず特殊教育の教員養成から始めなきゃならない。従来といえどもむろん小規模の教員養成は行なわれつつありますが、テンポを早める意味においては、必要な教員の養成からまず始める、こういう考え方で充実して参りたいと思っております。
○豊瀬禎一君 時間が参りましたので一括してお尋ねいたしたいと思います。 厚生大臣にお尋ねいたしますが、現在満三才検査というのを行なわれておりますし、諸外国においてもこれはやっているのですが、義務教育に就学する以前において、全該当者を単にその学校の校医が聴診器を当てて胸と背中と口をあけさしてみるということでなくして、長期の診断機会をおいて、身体障害者を早期に発見する、そうして義務教育就学に適応させるために、三才から六才までの期間において身体障害の治療を国が責任を持って行なっていく。このカルテがずっと義務教育から将来続いて必要な時期には国の責任の中でそのことに対する手当なり——手当というのは治療という意味ですが——あるいは職業指導なりが行なわれていく、こういう体制を確立することが身体障害者にとってはきわめて重要な問題であると思いますが、そのことをどうお考えか。 それから文部大臣にお尋ねいたしますが、私ども前通常国会におきまして、今あなたがおっしゃったような、全国都道府県に国が特殊学校を一校は少なくも置こう、市町村に特殊学校、学級等を配置する、これは身体障害者の教育の問題は、施設においても他の面においても、かなりの普通科よりも費用を要します。したがって、これを地方自治体の責任にまかさるべきでなくして、国が特殊教育に対して具体的な施策をすべきであるという法案を出しましたが、残念ながら自由民主党の反対にあって廃案になりました。単に特殊教育の問題は、身体障害者に対する能力に応じて教育の機会均等を与えるということと、義務教育を完遂させるということ、差別待遇をしないといったような問題は、地方自治体にまかすべきでなくて、国が学級、学校を設置して、今、厚生大臣に聞いたような長期の診断の中から就職、一生健康で文化的な最低の生活を営むに足るような施策を施すべきだと思いますが、その点に対してどう考えていますか。 次に、同じ文部大臣にですが、特殊教育には、盲ろう等は八%の手当が支給されております。しかし、この職務の困難な度合いからも、また優秀な教員を確保するという立場から考えますというと、こうした身体障害者の教育を担当しているものは、現在以上に待遇の改善によって人材が確保さるべきだと思いますが、その政策、所信を承りたいと思います。 労働大臣か厚生大臣どちらでも——労働大臣の所管だと思いますが、現在雇用促進法その他の法律によって、身体障害者に対する一つの保護規定はございます。しかし、たとえば文部省を見ましても、その全定員数の中に身体障害者が何ぼ採用されておるかという現状を見ますと、また、労働省においてもしかり、まことに微々たるものではないかと思います。各省ごとに、私は、所管大臣としてはそうした表を持っておられると思うのですが、そのことは別にして、身体障害者の早期診断から義務教育化、さらに卒業して後の就職、診断治療、こういった点がきわめて重大だと思うのです。就職につきましては、特に賃金、待遇、職種、こういった問題から、まず国の機関の中にもっと多く雇用すべきだ、同時に、もっとこの体系を整備して、民間雇用者がこうした人々に、あたたかいというのでなくして、当然の労働を享受し得る権利としての職場を与える、施設を与える、適応性が拡大していくような訓練機会等を与える、このことが重要な問題ではないかと思います。このことに対する労働大臣の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) お答えいたします。 身体障害者には身体障害者福祉法並びに児童福祉法がありまして、政府といたしましても、非常に気の毒な方々でございますが、その福祉事務に万全を期しておる次第でございます。そのうちで今特にお尋ねがございました身体障害児、子供さんのほうでございますが、これは非常に将来のある方でございますから、特に注意をしなければならぬと思っておりますので、現在では、身体障害児につきましては一番早期にやはり病気を発見するということでございます。今までも保健所を中心にいたしておりました。早期に発見し、早期に治療し、そうしてそれを早く治す、しかし、病気が固まってしまえば、それに対しては補装具をやるとか、あるいは施設に収容するというような方法がありましょうが、早期に発見をするということが一番大事でございます。したがいまして、今までもやってきましたが、もう少し綿密にやる必要があると思いまして、三才児につきましては、明年から一斉に検査をいたしましてそうして早く発見していきたい、かように思っておる次第でございます。また、この身体不自由児等につきましても、家を出ることができない居宅の方々に対しましては、訪問して相談に応ずる、いずれにいたしましても、この子供さん方の身体障害者に対しては、もう少し組織的に綿密にやりたい、かように考えておる次第でございます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 肢体不自由児ないしは精神薄弱児に対する養護学校あるいは特殊学級等の整備の必要なことは、先刻も申し上げましたが、将来は義務必置制にするということを目標としまして、その事前の準備としましては、これまた先ほど申し上げましたとおり、教員養成もあわせ行ないつつ、かつまた、肢体不自由、精薄児の父兄が必ずしも義務とされることにいきなり飛び込むわけにいかない事情もあろうかと思いますが、だんだんと父兄側におきましても、幼児教育から始めての特殊教育の必要性はPRが届き始めておろうかと思います。前提条件としましては、都道府県ないしは市町村に慫慂しながら、かつまた、御指摘のとおり、できるだけの国としての補助等も念頭に置きながら拡大して参りまして、行く行くは義務制、必置制にするという目安を立てながらやっていくべきものと心得ます。三十八年度では約二億三千万円余りの予算要求を御審議中でございますが、総額としましては必ずしも多くございませんけれども、三十八年度よりは三十九年度と、先刻お話し申し上げたような考え方で整備して参りたいと思います。 さらに、特殊教育を担当していただいておる先生方の労苦がたいへんなものであるということは、私も乏しい体験でございますが、千葉県、山形県、あるいは東京都内の私立学校——特殊教育をやっております学校に参りましたり、東京教育大学に付置されております特殊学級等も見学しまして、現実にたいへんなことだというふうに実感をもって大体わかったような気持がするのであります。もとより、私の感じがどうありましょうとも、文部省としましては、以前から調整手当七%でございますかをつけることに制度立てていただいておりますが、三十八年度にまたこれを上げるという具体的計画はございませんけれども、先ほど申し上げましたような困難さからいきましても、もっと考えらるべきことであろうというふうに思うわけであります。
○国務大臣(大橋武夫君) 身体障害者の雇用問題は、昭和三十五年身体障害者雇用促進法の制定以来、この法律の規定する諸般の措置を講じて促進に努めて参ったところであります。すなわち、第一には公共職業安定所の行なう職業紹介の強化であり、第二には作業環境に適応させるための適応訓練制度の実施であり、第三には国及び地方公共団体等に対する身体障害者雇用率の設定と採用計画の策定、第四には身体障害者のための適職及び作業補助具の研究等の措置のほか、通常の職業につくことが特に困難である重の障害者に対しましては、その能力に適応する特定の職種を定め、これらについては特別の身体障害者雇用率を定めることによってその就職の促進が円滑に行なわれるような措置を講じてきたところであります。 身体障害者の雇用の質的な問題につきましては、公共職業安定所は求人者に対して求人の条件について十分な指導を加え、また雇用に関する技術的事項について助言を与え、また身体障害者に対しては就職後においても作業の環境に適応させるために必要な指導を行なう等のほか、全国八カ所の身体障害者職業訓練所におきましては、職業訓練法に基づく職業訓練を実施いたしておる次第であります。 政府といたしましては、今後においても促進法以上の措置の推進に努めて参りたいと思っております。 なお、身体障害者の法定雇用率でございまするが、国、地方公共団体等につきましては一・五%が原則であり、例外として現業官庁、三公社等が一・四%ということにいたしてあります。実際国等の機関で雇用している状況を調査いたしておりますところを見ますと、三十五年十二月現在で、少し古いのでございますが、身体障害者数は二万八千八百人、雇用率が一・三四%になっております。そして、昭和三十九年三月末までの採用の計画数が四千四百人、こういうことに相なっております。 なお、民間事業所従業員百名以上のところを調べてみますると、三十六年十月一日現在で、身体障害者数は約四万二千二百人、雇用率は〇・七八%、これが現在の実情でございます。
○豊瀬禎一君 現在の大臣が読み上げられた促進法の内容なり概略なりは、私も存じておるのでありますが、御承知のように、たとえば盲ろう等の学校を出まして工業課程を履修しておる者がクリーニング屋の運搬に使われていたり、就職はしておるといいながら、雇用主の同情によって不適ではあるけれども何らかの給料が与えられているという現状です。これを打開して、やはり学校から放出したらそれで国の責任は終わるのだということでなくして、その後の身体障害者、精薄者に対して健康で文化的の最低生活を営ませるにはどういう雇用条件なり雇用主側に制度を付加すべきかということが重大な問題だと思うのです。こういう点に対しましても、現状の雇用促進の充実ということだけでなくして、もっと抜本的に広い角度からの検討と施策を大臣に特に要望しておきたいと思います。
○委員長(木内四郎君) 豊瀬委員の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(木内四郎君) 次に佐藤尚武君。
○佐藤尚武君 私は、本日与えられました時間の範囲内におきまして、なるべく簡潔に外務大臣の御意見を承りたいと思うのでありますが、こうやって大臣と相対ずくで大臣のお考えを伺うことのできますことを大いに多とするものであります。問題は国際連合の軍縮の問題であり、また軍縮問題に限って本日お伺いしたいと思うのであります。 去る二月二十一日の外務委員会におきまして、すでにこの問題につきましては、総理大臣、外務大臣御列席の場において、私から私の考えを述べ、そして両大臣の御意見を伺ったのでありまして、私は繰り返すようでありまするけれども、世界平和維持のために最も必要なことは何かというならば、それは国際的の全面的な軍備縮小でなければならぬと思うのであり、世界平和維持のためにはどうしても全面軍縮の実現まで持っていかなければならぬと信じておるものであります。これがまた国際連合にとりまして第一の重要問題であるということも、当然そうあらねばならぬところでございまするが、日本は国際連合をもって外交の基調とするのだということを歴代の内閣が標秘して参っており、また私自身もそのとおりでなければならぬと信じておるものでありまするけれども、しからば、国際連合において最も重要な問題として目されておるところのこの軍縮問題に対して日本は貢献しておるかといいまするならば、何もやっておりません。それにはいろいろの事情があります。第一、ああいう大戦を起こし、ああいう敗戦を招いたというような関係からして、日本はすぐ軍縮の問題などに乗り込んでいくということはできなかったという、そういう事情はむろんあるのでありますけれども、戦後すでに十七年を経過した今日において、今なおそのわれ関せずえんの態度を持続するということは、私はこれは日本のためにとうていとることのできない態度であろうと存ずるのであります。そこで、この重要問題に対して日本は早晩取り組まなければならぬということを主張するのであり、そしてそのためにはまずもって軍縮の本体をつかまなければならぬ、すなわち徹底的な調査研究から始めなければならぬということをせんだって申し上げたのであります。何分長い年月を日本はこの問題から離れておりまするので、情報も十分にお持ちになっていないだろうと思いまするし、また研究も足りていないはずであります。しからば、まずもってこの研究調査から始めなければならぬということは、これは当然な話であります。幸いにして、外務大臣も私の意見に同感を表せられたと私は了解いたしました。そして大臣は、私の申しました線に沿うて工夫をしていくということを言われましたし、また総理大臣も、私の考えはもっともであるからして、これを体して努力をする、これを心得て——私の言ったことを心得て努力するということを言われました。私は大いに両大臣のそういう信念に対しまして感謝しておるものであります。 そこで、本日は、その際述べなかった——時間の制限等で述べ得なかったところ等を述べまして、そして少し深く掘り下げてみたいと思うのでありますが、まずもってお伺いしたいと思いますることは、外務大臣、その当日委員会においてお述べになりました私に対する御意見、その御意見は今もって変わりなくこれをそのまま持っておられるのだと、御意見に変わりはないのだということからお伺いしたいと思うのであります。もちろんそのお考えに変わりあろうとは思いませんが、もしそういう私と同様の考えをお持ちであるとするならば、その研究調査はどういう形でもってお始めになるおつもりであるか。それに対してすでに何らかとられた手段が、措置がおありでありましょうかどうか。もし何もまだ手をつけていないといたしましても、大臣としては何らかの腹案をお持ちになっていることだろうと思うのでありまするからして、まずもってその点から大臣のお考えを伺ってみたいと思うのであります。
○国務大臣(大平正芳君) 先般の外務委員会で貴重な示唆がございまして、さっそく外務省といたしましてこの問題をどのように取り上げていくべきかを相談中でございまして、どういうスタッフを考えるかという問題が一つと、それから問題に対するどういう接近の仕方をするか——狭い意味の軍縮というものの究明という方法をとるか、それとも国際政治の問題をもう少し広い視野から照明していくような、光を当てていくような工合にいくべきものなのか、その取り上げ方と、この二つの問題を提供いたしまして、部内のすぐれた若い方々と討議に入っておるわけでございます。
○佐藤尚武君 今のお話で、この調査研究、その緒についたかのように伺ったのでありまするが、しからば、外務省としておやりになるのは、これは本筋であろうと思いまするし、そうであるとするならば、外務省のどういう局下でこれをお扱いになるということに相なりますか。問題は国連の軍縮問題ではありまするけれども、その影響するところはすこぶる広いように思いますので、はたして外務省の国連局だけでおやりになれるのか、あるいは国連局を中心として、そうしてある仕組みを考えておられるのかどうか。私は委員会において申し上げたのでありまするけれども、この軍縮の問題につきましては、ただシビルだけではどうしても知識が足りないと思うのでありまして、日本は、私からかれこれ申すまでもなく、以前は、国際連盟時代に日本としましては軍縮問題において重要な地位を占めておりましたし、そうしてまたそのころに陸海空軍のエキスパートが大ぜいこの問題に携わりまして、そうして日本の代表部を助けて参ったのであります。現在においても、私はそういうふうなエキスパートの知識を与えてもらうということが必要じゃないかと思うのであります。というのは、すでに、私自身はまだ広く見ておりませんけれども、アメリカないしはソビエトから全面軍縮の草案が国連に出ておるということであります。そうであるとするならば、その案については十分な検討を加えなければならぬと思うのでありまするし、またそれには専門の知識が必要であると感ずるのであります。そういうような点についてもう少し詳しく大臣のお考えを伺えれば幸いだと思います。
○国務大臣(大平正芳君) もちろん、国連局のワク内で小さく作業するというようなことでは私はないと思います。外務省の機能をあげてやらなければならぬ問題だと思います。 それから、私が先ほど申し上げましたように、どういうスタッフをお願いするかということでございますが、これはもちろん、部内の新進だけでやるというわけにも参りませんで、今御指摘の、実際知識もあり、御経験もある方々を広くお願いすべきものと思うのでございまして、たいへん広範なことになりそうでございますが、といっても、あまりアカデミックに走っても、アルバイトのためのアルバイトになりますので、そういったことにならぬように考えていかなければならぬということで、どういうスタッフにお願いするか、テーマに対する接近の仕方をどうするかという二点につきまして、いろいろなことを始める前に、そういったことについて今検討をさせておるということでございます。
○佐藤尚武君 私は、そういうような意味での調査研究を進められるということに相なったといたしまして、これと並行して、国際連合の軍縮の委員会に日本も顔を突っ込んでいくということが、これは絶対に必要ではなかろうかと思うので、現在まで日本は、先ほども申しましたとおりに、軍縮から手を引いておりましたし、したがって軍縮の委員会等には参加しておらないのであります。現在の国連の軍縮の委員会といたしましては、たしか一昨年の第十六回総会でもって、西側からその構成の案が出て、それが採決されたというのが今日の現状ではないかと思いますが、間違っていたら条約局長あたりからひとつ訂正していただきたいのであります。その構成によりますと、それまでは東側、西側からおのおの五カ国出して十カ国でやっておったのを、今度は中立国八カ国を加えて十八カ国の委員会を作るという提案が米英側からなされました。そしてそれが総会において可決されて、この委員会に、核兵器の実験停止の問題を含めて、全面かつ完全な軍縮の問題を討議するということに相なっておると心得ておるのであります。先般の委員会におきまして、外務大臣は、軍縮に対する全面的な協力はまだしていないけれども、さしあたりの問題として、核実験の停止問題を取り上げて、これに対して日本は停止を実現すべく努力をしておる。その努力がすなわち軍縮に貢献しているゆえんであるというふうに説明されました。また、私もその点では当然同感でありますけれども、しかし核実験の停止ということそれ自身が軍縮の全部ではもちろんないのでありまして、大きな軍縮問題の一部をなすものでありまして、非常に重要な一部ではありますけれども、全面的な問題ではございません。そこで私は、どうしてもこの全面的な軍縮問題と取り組むというためには、この十八カ国委員会のようなそういう委員会に日本は突っ込んでいくということが非常に必要ではないかと思うのであります。 この国連の軍縮委員会の問題は、第一回総会のときから始めまして、十七年の間すったもんだやってきて、その構成もたびたび変わって参った模様でありまして、これは条約局長あたりがよく御存じのことだと思うのでありまするが、その中に、そうやって変遷を経てきておりまする間に、たしか十三回の総会、それは一九五八年でございますが、その総会において、とうとうその軍縮が行き詰まってしまったものでありまするからして、従来の軍縮委員会をやめて八十二カ国の国連の全加盟国をもって軍縮委員会を組織しようと、こういう提案が、インド、ユーゴスラビアから出たことがあるという話でございます。その当時の詳しい事情は、私はよく研究しておりませんので、存じませんけれども、そういう事実があったことだけはたしかだと思うのであります。その八十二カ国という中には、これは当然日本も入っておったはずであります。何となれば、日本が加盟しましたのは一九五六年でありまするし、この今の八十二カ国の提案がなされたのが五八年でありまするがゆえに、八十二カ国の中には日本も入っておったはずであり、そしてソビエトもそれに対して異議は言わず、この八十二カ国案は総会でもって可決されたのであります。 もっとも、八十二カ国のような大きな委員会で問題が進捗するはずはない。何ら軍縮のために貢献せずに、そしてまた小さな委員会がそのあとでできたというようなことになったわけでありまするが、しかし、私の申し上げたいと思うことは、八十二カ国の中にすでに日本が入っておった時代があると、そうしてまた、ソビエトもこれに対して何ら苦情を言わなかったということになりますれば、これからでもへ日本が軍縮の委員会に出ていくという上に、そう大きな支障がありそうにも思えないのであり、これはやり方いかんにもよるでありましょうけれども、日本政府として、現在の委員会ないしは改組さるべき委員会にくちばしを出すというようなことができないものかどうか、また、やってみようという、そういう御意思がないものかどうかということについて、大臣ないしは局長からでもけっこうでございますから、どうぞ。
○国務大臣(大平正芳君) 基本的には、考え方といたしまして、佐藤先生のおっしゃる方向で、国連を舞台、あるいは国連のワク外におきましても、世界軍縮問題の討議に日本が参加するということにつきましては、私ども意欲的に考えております。 問題は、この前の外務委員会でも申し上げましたように、一つは、やはり国連を舞台にいたしまして、日本の信用といいますか、力量というか、評価というか、そういうものが全体として高まってくる基礎を作っておかないと、軍縮委員会に入るにいたしましても、また国連の他の機構に参加するにいたしましても、大前提として信用の培養が必要であると存じまして、国連活動については非常に慎重に、かつ非常に積極的にやっておるつもりでございます。幸いに、去年の経済社会理事会の選挙に見られるように、圧倒的に支持を第一回で得たというようなことは、非常に記録すべきだと存じまして、私どももたいへん意を強ういたしておるわけでございます。今御指摘のようなことをやるにつきましても、そういう前提としてそういう努力は必要だと思います。 それから第三点として、今佐藤委員御指摘の軍縮委員会参加の問題でございますが、これは、今日まで国連においてどのような経過をたどって十八カ国の委員会になってきておるか、その間の日本に対する取り扱いはどうなっておったかということは、条約局長から今御説明をお願いいたしますけれども、軍縮委員会に参加するという場合に考慮すべきことといたしましては、この間の外務委員会でも申し上げましたとおり、たくさんの機構がございますが、そのうちどういう機構に日本が参加するか、日本が選ぶテーマ、日本がこういうテーマには特に優先的に他を犠牲にしても入るのだという、一つの、プライオリティというようなものもきめなければなりません。それで、今までは、この前にも申し上げたとおり、経済社会理事会を中心にしたところに力点を置いてきたわけでございます。軍縮の問題に力点を置くということになりますれば、そういう方面の議席は遠慮しなければなりません。これは選挙でございますから。そういった点を前提として考えておかなければならないと思うわけでございます。 しかし、かりにそういった大前提並びに軍縮委に参加する決意がきまったとしても、冒頭に口頭でお示しがございましたように、軍縮問題について相当日本のほうも熟知した知識を持っていなければならぬと存じます。そういった用意を十分国内においてやって、政府としての軍縮問題に対する基本的な考え方、しかも具体的な考え方というようなものが固まっておることが大事だと思うのでございまして、お示しもございましたので、そういった点の準備を進めなければならぬと存じて今手配をいたしておるということでございます。 十八委員会に至るまでの経過につきましては、条約局長から説明いたします。
○佐藤尚武君 今のお話を承っておりまして、少し私が気がかりになりますることは、現に日本は経済社会理事会のほうに力を入れておる——またこれは、私自身も当然そうしていただかなければならぬ問題と思うのでありまするが。したがって、プライオリティの問題として、ほかの会議もしくは委員会等に顔を出すべく努力をするということはよほど慎重に考えなければならぬ点があるというようなお話でありました。なるほど、経済社会理事会に全力を尽くして、そしてずっと二回も続けて当選をしておるという半面には、国連の本会議、総会の議長の問題などはこの際見合わせなければならない、議長もとり、経済社会理事会もとるというようなことは、これはできない相談であるからして、議長のほうはやめにしなければならぬ、という考え方もあったかのように聞いておりましたが、なるほどそれはよくわかるので、議長というその地位は非常にみなの羨望するところでありまして、これは一国にとりまして、非常に大きな名誉であるに相違はございません。でありまするからして、その名誉ある地位と、経済社会理事会のような実益のある、そういう地位とを一緒にとるということは、これはお互いにじゃまをすることになりまするし、どっちか一つを犠牲にしなければならぬという考えになることは、これはわかっております。しかし、軍縮の委員会に顔を出すということは、そういったような利益を伴う問題でもなし、また名誉の地位というわけでもございません。これはむしろ非常に大きな犠牲を払わなければならぬ問題であって、なかなかたいへんなこれは仕事であり、そうしてまた骨の折れる仕事であり、しからば直接にどういう実益をもたらすかといえば、何もないというようなことでもありまするがゆえに、その点の御遠慮は、私は無用のことではなかろうかと思うのであります。したがいまして、私の考えを突き通しまするならば、経済社会理事会もおやりになるがよし、そしてまた、軍縮の問題に対してこれに参加すべく努力をされても、お互い両方とも、一つは他を排するというようなわけの問題じゃなかろうかと思うのでありまするが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、軍縮委員会に参加する、こういうことは実益の伴うものでもございません。ただ、御承知のように、相当大きな犠牲だろうと思うのでございます。したがって、軍縮委員会の理事国の選挙というようなことになりますと、そんなに激しい選挙戦ではなく、また経済社会理事会で苦労をしたような、そういう配慮はあるいは要らないかもしれません。ただ、私が申し上げておりますのは、われわれが乏しい機構をもちまして国連外交を展開をする場合に、やはり、つぼと申しますか、重点といいますか、そういうものを持たないといけませんので、それで努力を集中するとすれば、それなりの用意をしてかからなければなりませんので、今の国連に対する態度といたしまして、この問題をひとつ新しい重点として背負い込むだけの用意をしてかからなければならぬ問題だということを申し上げたわけでございます。もちろん、各国からの御要請がございますれば、受けるにやぶさかでないことはもとよりでございますが、かりに受けましても、それだけの働きがなければなりませんので、それだけの用意をしてかからなければならぬという気持でございます。
○佐藤尚武君 軍縮の委員会に顔を出すということにつきましては、軍縮問題を扱う以上は必要なことと思いまするし、その点、外務大臣においても御異存はない模様でありまするので、どうぞ、どういう方法によってやるのが一番いいことであるか、つまり軍縮に参加するというためには、今お話しのような御懸念もなるほどおありでございましょうし、そういう問題等バランスをとりつつ、いかにして初志を貫徹できるかというようなことにつきまして、ひとつ十分御研究をお願いして、そして最もよい機会にそれをおつかみになるというようなことをお願いしたいと思うのでございます。 次に、お考えを伺いたいと思いますることは、国連軍の問題であります。 全面軍縮というものがいつできるか、むろん、これは見当のつかない遠い先のことではありまするが、理想としては、どうしても全面軍縮まで持っていかなければならない。幸いに、ソビエトもまたアメリカも、究極の目的として、全面的かつ一般的な軍縮を唱えているのでありますからして、そしてまた、他方、日本は新憲法のもと、武装を解除し戦争を放棄している。こういう国柄であるとするならば、ほかの国も、日本並みに武装解除し、そうして戦争を放棄させるというところまで引っぱっていくということが、日本にとっては非常に大きな使命でなければならぬというふうに私は感じておるものであり、したがいまして、この全面軍縮という目的に対しましては、非常な犠牲を払い、また困難なことは百も承知で、そのほうに一歩々々進んでいくというように、また世界各国を引っぱっていくというような、そういうかたい決意でもってやっていただきたいと思うのでありまするが、幸いにして今後何十年かのあとに全面軍縮ができたといたしまして、そうすればどうしても国連軍というものの組織を考えなければならぬということに相なるわけであります。 つまり、世界の警察軍としての国連軍、それはすでに国際連合憲章の中に予見されておる国連軍ではありますが、たしか四十三条の規定がそれであったと思います。この四十三条の規定による国連軍というものの構成を日本としても今から研究しなければならぬということに相なります。これは、全面軍縮と相関連して、同時に考究されるべき問題でなければならぬと思うのでありまするが、さて、その国際警察軍の考え方はいいとして、日本がはたしてどういう形でもってこれに参加することができるかということは、非常に大きなこれは日本の問題であるわけであります。 それは、もちろん憲法第九条の問題がそれであり、かつまた、現在の自衛隊法がその障害の一つであろうと思うのでありまするが、そうかといって、この憲法九条の問題があり、また現在の自衛隊法は国外にこれを派遣するというようなことは考えられないというような、そういう建前にあるといたしましても、日本が全面軍縮を主張し、そしてその実現に努力をする、また、それが世界平和を確保する根本的な問題であるとして、これと取り組むといたしましたならば、それと関連して切り離すことのできない国連軍の問題についても、日本は真剣な考慮を払わなければならぬということに相なるのは、これは当然の帰結でなければならぬと思うのであります。よしんば国内に大きな障害があろうとも、どうしたならこの障害を乗り切ることができるかということ、これは、今からでも、みんなが知恵をしぼって、日本の国威をはずかしめないだけのことは考えなければならないというふうに思うのであります。 日本は、みずからの武装を放棄している。外からの脅威があったとすれば、今はアメリカとの安保条約にたよっているわけでありまするが、行く行くは、国連の安全保障というものが強力なものになってくるに従って、国連におんぶしなければならぬということに相なりましょう。自分の安全は国連によって保障してもらう、しかし、その安全を保障する根本の国連軍というものに対しては、日本は憲法九条の問題があり、自衛隊は出せませんといって断わる、うまいものだけはふんだんにちょうだいして、これに対して何ら代価を払わないというような、そういう考え方は、私は非常に間違っていると思うのであります。これは、日本人として、そういうような考え方になっちゃいけないと私は思うのであります。どうしても、それだけの保護を受け、もしくは利益を受けるというようなことであったとしまするならば、これに対しての、国連憲章に盛ってあるだけの義務はどうしても果たさなければならず、すなわち、国連軍というものに対しても何かの方法を考えて、そうして憲法にも抵触せず、自衛隊法も——これは法律でありまするからして、改正することはできるかもしれませんけれども、まず、自衛隊法などにタッチしないで、そしてこの義務を果たす方法が絶対にないものであるかどうか、というようなことを、よくひとつ研究題目として考えていただきたいところであります。 私は、そういうような事態に世界の情勢が進展していくとしたならば、日本としても、根本的な方面から考え直さなければならぬのではないかと思うのでありまして、こんなことを申し上げるというと、夢みたいなことを言う男だといって非難されるのは当然でありましょうが、全面軍縮ができて、国連軍というものができ、そしてそれが世界の警察を預かるということになった場合、もし日本に自衛隊でない武装した組織がかりにできて、そうしてそれが総理大臣の命令によって、国連の要請があった場合に、その部隊が出ていくということであるならば、これは憲法第九条には抵触しないはずのものであり、何となれば、国策を遂行するための派兵ではないのであり、また、国際紛争処理——これは憲法第九条にそう書いてありまするが、その目的のためには何らの武力を用いないということが第九条に書いてあるわけでありますが、これは日本の立場からいっての話であって、国連が国際紛争の中に入って、そしてこれが解決に努力し、そのために秩序を維持するための警察軍の必要があるとして、日本なら日本に加勢を求めてきたということであるならば、これは日本の国策としてそういうふうな派兵をするのではないし、また国連に兵力を貸してやるというわけのものではないし、この日本の、よしんばそういう兵力がかりにできたとしまして、そういうものを向こうに提供したとしましても、それは国連の指揮下に入るのであって、日本の総理大臣がこれを指揮するわけのものでも何でもないというような仕組みにするならば、私は憲法第九条ないし自衛隊法等というものにかかわりなく考えられるものではなかろうかと、非常にばく然とした考え方でありますけれども、そういったような気持を持っておるのであります。 ただし、この国内に、自衛隊法に基づかないような、そういったような武力を何大隊か、二大隊か三大隊か、平素政府が養っておくことができるかどうかということにつきましては、非常に大きな問題があると思うのでありますが、何かで、そういったような根本的な考えでもってこの問題を考え直していただかなければ、日本の義務を果たすということにはならぬというふうに感じておるものであります。いや、この問題について外務大臣はどういうお考えですかなどと言って、私は御質問申し上げるだけの勇気を持ちませんが、あまりにも私の考え方はとっぴであるようにお思いでしょうから、これは研究題目の一項として単に申し上げただけにすぎません。それをお含みの上、どうぞそのおつもりで聞き流して——聞き流してもらっちゃ困りますけれども、聞き取っていただきたいと思います。 少しばかり時間が余りましたので、軍縮に限ると申しましたけれども、また軍縮に関係のある問題であります。人つくりの問題についてこの時間を利用さしていただきたいと思いますことは、外務省としての人つくりであります。 これは、すでに外務省には外務省研修所というものがおありになる、幣原・吉田両総理のときにできた施設であって、たいへんいいものをお作りになったということを私は喜んでおるものでありますが、しかしこの研修所は、私の記憶が誤りがないとするならば、一年の研修期間だったと思いますが、そうですか。
○国務大臣(大平正芳君) さようでございます。
○佐藤尚武君 一年ぐらいの研修では、とても私はものになるものではなかろうと思うのであります。これから先の外交官——単に外交官とは限りません。よその省からも有為な青年の官吏がおられるとするならば、どしどし外務省のほうに来てもらって、そうして外務省と同じような研修を受けるということが必要であると思うのであり、またその意味ですでにやっておられるように聞いておりますけれども、まだまだ私は非常に不十分だと思うのであります。これから先のこの複雑な世界情勢に対処していくためには、単に日本の大学を出て外交官試験をパスして、そして外国の在外公館に勤務して、ウナギ登りに上っていくというようなやり方では、とうてい日本の将来をになっていくわけにはいかぬと思うのでありまして、私は、どうしても研修所というようなものを充実さして、そうして、一年とは限らず、二年でも三年でもよろしいし、格別に有為有能な人たちをそこでたたき込む、研修させる、そうしてまたそれだけでも足りないので、あるいは中国、あるいはイギリス、アメリカ、ないしは独仏というような方面に、その人その人の希望によってこれを派遣して、みっちり向こうで勉強させる、そうして、その上に今度は国連にやって、二年なり三年なり、あそこでもってたたかれるというような、そういうことをやって初めて、私は、諸外国の国際会議に出ている有能な人たちと太刀打ちができるところまでいくのではなかろうかと思うのでありまして、現在のような調子では、まだまだ、国際会議に出て縦横の腕をふるうというような有為な人たちは、ごくまれであるかのように見受けておるのであります。どうぞ、大臣におかれましては、そういう点に重点を置かれまして、単にこれは外務省の人づくりというのでなく、日本のための人づくり、そしてそれは、あの広大な国際会議に出て、そうしていつ何どきでも、議長の候補を出してくれというのであれば、すぐさまそれにこたえ得るだけの人物を養成しておいていただきた、それであってこそ初めて、私は日本の将来が洋々たるものになり得ると思うのでありますが、大臣、ひとつその辺の御意見を承りたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) それより前に、国連軍についての御意見御開陳がございまして、これは重要な問題として私どもは検討をしていかなければならぬ課題だと思います。その節あげられたように、坐して安全を求めるというか、犠牲を払わずして平和をかちとるというような風潮になれてはいけないので、私どもといたしましては、国連への協力というのは厳粛な義務だと思います。したがって、今、日本の姿勢といたしましては、国連財政の確立ということに一歩踏み込んだ協力をしなければならぬと存じまして、御承知のように、コンゴに派遣した軍隊の経費が国連の経常費より多いというような問題で国連公債を出さなければならないというような現実の事態でございますので、われわれとしては、国連の分担金あるいは国連公債への応募というような点につきましては全幅の協力をいたしておるわけでございます。 それから、ただいま外務研修所の今後の持っていき方につきまして、いろいろ御鞭達をいただいたり、御注意をちょうだいいたしたわけでございますが、たいへん有能な外交官の養成という問題は必要なことでございますが、非常に困難なことであると思います。特に、日本人の語学的なハンディキャップというものは、いろいろの場面におきましても痛切に感じることでございますので、この障壁を何とか克服しなければならぬという問題もあわせて、諸外国の外交官の養成よりはもっと日本のほうがエネルギーを投じなければならぬ緊切な問題だと思うのでございます。しかし、今御指摘のように、短期間——ものによっては半年、通常一年、あるいは外国に行く場合には二年というものもございますけれども、この程度の養成努力というものが足らないという点につきましては、全く同感でございまして、各省の御協力を得まして一段と進めて参るように配慮をいたしたいと思いまするし、同時に、そういった制度の面ばかりでなく、これの運営ということにつきましては、省内外の御協力を得まして周到な配慮をして参らなければならぬと存じているわけでございまして、今後とも御協力とそれから御注意をお願いいたしたいと思います。
○佐藤尚武君 今、外務大臣のお話を聞いて、たいへん心強く思いまするが、最後に一言つけ加えさしていただきたいと思いますることは、イギリスの例であります。これは戦争前の話でありますからして、現在もそのとおりやっているかどうか、これは私は存じませんけれども、その当時のイギリスの外交官の採用というものは、単に学術ないしその他の試験でもって採用するというのじゃなくて、試験を通ってからでも、一定の場所に一定の期間合宿さして、そうして朝から晩までその人の起居動作を、全部その内容を採点するということでありまして、食事のはしの上げおろしから、婦人に対する態度であるとか、何とかかんとか、もう日常生活での行儀作法というものまでもこまかに採点するということを聞かされまして、なるほどそこまでいかなければほんとうの外交官というものはできないものだなというふうに、つくづく感心させられたことがございます。どうぞそういう点、今でも現にイギリスでやっているかどうかというふうなことをお調べ下さいまして、そうしていいところがあるなら、日本でもひとつそれに負けないような、何かいい方法を考えていただきたいと思います。 これで質問を終了させていただきます。
○委員長(木内四郎君) 佐藤委員の質疑は終了いたしました。 本日はこの程度にいたしまして、明十三日午後零時三十分から委員会を開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時十八分散会