予算委員会 第9号
- 発言数
- 384 件
- 登壇者
- 29 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/03/08
会議録
○委員長(木内四郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、委員の変更について御報告いたします。 昨日、小林篤一君が辞任せられ、その補欠として市川房枝君が選任せられました。本日、後藤義隆君及び青木一男君がそれぞれ辞任せられ、その補欠として下村定君及び館哲二君がそれぞれ選任せられました。 —————————————
○委員長(木内四郎君) 昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。 本日は、山本委員の御要求により、参考人として特に山際日本銀行総裁に御出席を願っております。山本伊三郎
○山本伊三郎君 それでは、昨日の私の残した質問、というよりも、日銀総裁にひとつ御所見をお伺いしたいと存じます。 まず、説明を願う前提として、私の質問する意図をひとつ明らかにしておきたい。実は、山際総裁が二十八日の衆議院の大蔵委員会で若干詳しくデノミについていろいろと御説明願ったと思うんですが、それについて昨日、総理並びに大蔵大臣に政府の所信をただしました。それはもう新聞紙上御存じのように、全然否定されております。その中で大蔵大臣が、まあ私をさして言っておるんじゃないと思うんですが、戦前の貨幣の郷愁というようなこともということがありましたが、私は全然そういうことは考えておりません。今後、日本が貿易・為替の自由化を前提としており、また、円の交換性の回復というこも日程に上っているときでございますから、今のような一ドル三百六十円というような、こういうことでは、やはり日本の今後国際的な経済に飛躍する日本としての通貨政策としてはまずいのじゃないか。こういう立場で実は質問をしたいと思うのです。そこで私は、日銀総裁でございますから無理なことを言ってもらいたいと思っておりませんので、お考えのとおりをひとつここで御説明願いたいと思います。 総裁は、日本の中央銀行の責任者としてデノミについてどうお考えであるか。この点だけ先ちょっとお聞きしておきたいと思います。
○参考人(山際正道君) お答えを申し上げます。私は、ただいまお話のごとく、日本の中央銀行の責任者といたしまして、常に念頭に思っておりますることは、いかにして通貨価値の維持をはかるか、安定させるかということで、日夜実は腐心をいたしているわけでございます。この点から考えまして、大体一国の通貨制度は何と申しますか、その単位の通貨は、何人もある程度これに対して尊重の念を有する程度のものを通貨の単位とするのがいいのではないかという考え方でございます。さもございませんと、ややもすると、通貨自体に対する尊重の念が薄らぎ、ひいてはまた、市民の使用等につきましてもむだが多い、あるいは効率的じゃないというような結果が生ずるのでございまして、この点は常々考えておるところでございます。 ところで、現在のわが国の通貨の単位は一円でございまするが、この一円というものが、現実に今持っております購買力というものは、どうも通貨制度の単位の通貨の価値といたしましては低過ぎるのではないかということを実は考えております。これはひとつもし各種の条件がそろいまするならば、通貨の制度をきちんといたしまして、やはり国民が尊重するに足るだけの購買力を持った電位通貨を設定すべきじゃないかということを考えておるのでございます。ただしかし、非常に困りましたことは、過去の歴史において日本は新円切りかえということを経験いたしましたし、また、いわゆるインフレという現象にも遭遇いたしておりますので、ややもいたしますと、通貨制度に手をつけるということ自体がすぐそれを想起いたしまして混乱を生ずるという危険性が非常に多いのでございます。でありますから、これはよほど年月をかけまして周到なる配慮、準備のもとに、安定した時期においてでなければ実行できないことであろうと考えておりますので、その意味において、私は今日の話題としてそれを取り上げているわけではございません。ただ理想の姿といたしましてそういうことが望ましい。で、その通貨の単位に達せざる部分のいろいろな取引上生ずる端数につきましては、やはりその補助貨幣の制度を用いまして、そうして清算決済をするというのが望ましいのではないか、こういう意味合いで純経済的観点から考えております次第でございます。
○山本伊三郎君 御趣旨はよくわかります。昨日大蔵大臣の御答弁では、デノミ、デバリュの混淆されることで、いわゆる換物人気というものに追われて株価が非常に変わってくる。したがって、マイナスの点が多くて結局今日考えることは妥当でない、これが主であったと思うのです。なるほど私もそういうことを承知しておるのです。三十四年だと思いますが、総裁が関西で、私も大阪出身ですが、ちょっとそのデノミで発言されたことがあると思うのですが、そういうことが非常に問題になったことも記憶しております。しかし、今日の日本の貨幣制度自体を見ますると、一円というものについてはもう全然関心がない。いわゆる補助貨幣としての銭は、いわゆる株式の建値のときに十何銭ということを言いますけれども、実際の通貨としては一円というものは問題にならない。ドルにはセントという補助貨幣があります。ポンドにはシリングがありますが、日本の場合には百円というのが一つの単位であって、その以下のものは全部補助貨幣のような感じになっているのです。それ以下だと思う。一円というものは道に落ちても拾うという者がいない程度に堕落しておるのじゃないかと思うのです。それが先ほど理想だと総裁言われた。そのとおりなんです。政府が口を籍して否定されておる事情わかりますが、こういう問題を、総裁が大蔵委員会で言われたように、国民にPRするためには、大いに私は国会で論議をしてもいいのじゃないかと思う。でないと、いつまでたっても一部の思惑師のために、これに国民が乗ぜられるということになりますので、私は今直ちにこれをどうこうということを政府に迫っているのではない。そういう準備をして、ほんとうの円の価値というものを国民が認識するように持っていかなくちゃならぬということが私の趣旨なんですが、そこで私の意見はそれだけにいたしますが、はたして経済の安定、いわゆるデノミに踏み切る準備というものが必要であるということを言われるのですが、誤解の出ない程度に経済的な条件はどうした場合にそろうか。この点をひとつ専門家の立場からお教えを願いたい。
○参考人(山際正道君) ただいまのお尋ねの点につきましては、問題は政府なり有識者がどう理想論として持っているかということでなく、民間一般の人々がどう感じておるかということが問題だろうと思うのであります。その見地から申しますると、一般民間の人人から経済の状態がもうこれで安定を得ておりまして、国際収支にいたしましても物価の問題にいたしましても、その他諸般の経済生活において安定を得ているという、安心を得るということがどうしても実施については必須条件になろうかと思うのでございまして、むろんその安心ということをいろいろ分析いたしますと、客観論になりましょうけれども、要は国民全体がそういう意識において統一されているという状態が望ましいかと思うのでございます。
○山本伊三郎君 なかなか慎重な態度で御答弁願うので、まあそういう抽象的なこと以外は言えないかもしれませんが、今総裁が言われたようなことを、百年河清を待つと申しますか、なかなか国民全般に認識が出てこないと思うのです。戦前のことを知っている人は別といたしましても、戦後の学校の生徒、あるいは教育する場合でも、いろいろこの問題が一つの問題になっているのじゃないかと思う。僕は、最後と言いますか、総裁に一つ聞いておきたいのですが、そういう条件、国民の確固としたそれに対する認識、そういうものを持つということは、私は自然には出てこないと思う。このままであれば出てこないと思う。したがって、それをどういう方法でやるべきであるかということが私は政治の問題だと思うのです。しかし、それがきのうも政府はこういうことを論議すること自体がいろいろ問題をかもすということで、なかなか言われないのです。しかし、それならばそのままに置いておけばいつまでたっても私はいわゆるデノミに対する認識というものが出てこない。そういう点で、たとえば専門的に、経済的に外貨の準備高が二十億ドルを上回る、あるいは経済の安定成長がどういう程度であるか、そういう条件というものが一応専門的に私はあると思うのです。そういうものを私は聞かせていただきたいのでございますが、その点どうですか。
○参考人(山際正道君) お尋ねの経済安定と言い得る状態のもとにおいて、各般の経済指標はどういう姿になるのがいいのかというお尋ねでございますが、これは一々分析をいたしましてもなかなかむずかしいことと存じまするが、要するに、そのときにおける経済指標が国民の感情においていかにも安定的な姿に見えまして、しかもそれが当分継続するという信頼を国民一般が持つという事態が、すなわちそういう通貨制度等に手をつけましても何らの混乱なくして処理し得る事態ではないかと思うのでございまして、これは何と申しましても、抽象的にこの条件、この条件とあげるよりは、やはり全般の感じにおいてそういう事態に達したという事態を選ぶべきであろうと思うのであります。
○山本伊三郎君 それでは私のほうから問題を提起しますが、たとえば日本の今の国際経済関係において貿易の自由化が安定して軌道に乗る、また、外貨事情がある程度安定した状態になる、そういう時期がくればいわゆるデノミをやはりやってもいいという経済状態であるかということ。これはどうですか。
○参考人(山際正道君) 重ねて申しますけれども、なかなか将来の場合を予想いたしまして、こういう経済条件のもとにおいてはということを列挙いたしますことは非常に困難でございます。要するに、先ほど申し上げましたとおり、すべての条件においていかにも経済が安定しているという一般民衆の感じがびまんいたすときがそのときではないかと実は思うわけであります。それで今のお話によりますと、貿易がどうなればどの程度安定を見るか、また、物価がどうなればどうということでございますけれども、たびたび申し上げまするけれども、なかなか一々取りはずしまして部分的に解明することはむずかしいと思います。要するに、総合して安定状態にあって、しかも、その安定状態が相当続き得るという、何と申しまするか、信頼を一般に持ちます場合が通貨制度に手をつけ得る時期になるんじゃないかということでございまして、私も現在がその時期でないとは実は考えておるわけでございます。
○山本伊三郎君 これ以上尋ねるのは非常に無理になってきたんですが、政府に追及するのは、だいぶ私たちが立場が違うと思いますし、非常に気がねされておるようにも見受けるのですが、私はこれ以上言いませんが、しかし、総裁の言われるようなことは、抽象的には考えられます。これはだれでも言えると思うのですが、はたしてそういうことで今後いっそういうような実現する時期が来るかということについては、全くわれわれとしてはわからないのです。われわれは、相当これについて政府もPRしていただきたいと思うのです。しかし、政府がそれを言うこと自体が問題だと言われておるので、ますますこれはいわゆる暗やみの中に押しやられる。そうすると私は、当分自由主義経済というものが続く限り、どういう時代でも思惑師がおりますから、善良な国民はそれに乗ぜられる場合がいつの場合でもあると思う。そこを私は踏み切るということが政治家の任務でないかと思う。治世に波乱を起こすということは、池田さんも好まれないと思いますけれども、いずれのときか、国民の便宜を考えれば、踏み切る時期があると思う。したがって、そういう点をきょうお聞きしたかったのですが、残念ながら最初の冒頭で、中央銀行の責任者としてはそうあるべきであるけれども、今当分そういうことは考えられない、こういう趣旨だけが、きょうの私の質問から出た収穫でございますが、きょうは政府に尋ねる私も役者でございませんが、大蔵大臣においてひとつあまり憶病にならないで、その点はひとつ積極的にやっていただきたいことを私は希望いたしますが、これで私の質問を終わります。
○北村暢君 私は、日銀総裁のせっかくの御出席でございますので、関連をして一問だけ質問をさしていただきたいと思いますが、これはデノミに直接関係のある問題でなしに、低金利政策の問題についてでございます。前にすでに金融懇談会等が持たれまして、池田総理も低金利政策で行くことを強く金融機関にも要望したようでございます。したがって、この問題については私どもは非常に関心を持っておるわけでありますが、戦後のこの経済の、特に池田内閣になりましてからの高度経済成長というものが、世界に類例を見ないオーバー・ローンによってなし遂げられた。それが過熱状態になって、引き締めになり、さらに昨年から二度にわたって公定歩合いの引き下げをやる、こういうことで、景気を刺激する形をとって参りましたが、さらにこれを低金利政策として、国際金利との関連から低金利政策をとる、こういう方針のようであります。これに対してけさの一本経済の社説を見ましても、四月を待たずして三月に実施せよ、こういう非常に強い主張が出ております。したがって、私は第一点については、この実施の時期について、四月を待たずして三月にやれという強い要望に対してその準備があるかどうか。もう一つは、この低金利政策について、中央銀行の責任者として、今後における景気刺激的な意味において、金利政策として低金利政策をとってなおかつ混乱が来ないという自信がおありになるのかどうなのか。この二点についてお尋ねをいたしたい。
○参考人(山際正道君) まず、お尋ねの第一点でございますが、前々から実は各方面からのお尋ねを受けまするけれども、いつも申し上げておりますことは、公定歩合の操作は、やはりそのときの各般の経済情勢を総合して考えまして、適当と思うときに断行するのであって、どうもあらかじめ時間割りを組んで実行するということは、非常に困難な仕事であるという見地からいたしまして、ただいまお尋ねの、今後起こるであろう公定歩合の操作につきましても、あらかじめ時期を画して、まあいつのころということを申し上げることは、事柄の性質上非常にむずかしいのであります。情勢が許すならば、なるべく金利政策の素地を作りたいということで、俗にいわれる環境づくりに苦心いたしておりますけれども、どのころ合いが一番いいかということは、そのときになりまして——諸般の情勢を常に総合的に研究いたしておりますが、その時期を逸せずいたすということでごがまんを願いたいと思うのであります。 それから第二点は、景気を金利引き下げによって刺激することによって、なおかつ、日本経済の安定的な発展を期し得るかというお尋ねでございます。この点は、今後の金利操作につきまして最も苦心をいたし、注意深く考えていくべき点であると思っておるのでございます。すなわち、私どもの考えでは、自然に環境が熟しまして、金利が低下いたしましても、それによる不自然な刺激というような反動なくして、おのずから金利を低下し得る状態のもとにおいて、なおかつ、安定的に経済が伸びるという時期を選んでいきたいと思うのでございますからして、これによって特に景気に刺激を加えるという意味の操作はなるべく避けていきたいと思います。
○委員長(木内四郎君) 山本委員の質疑は終了いたしました。 山際日銀総裁には、きわめて御多忙のところ、時間をおさきいただきまして当委員会に御出席いただきましたことを、委員一同を代表して厚く御礼申し上げます。
○委員長(木内四郎君) 次に戸叶武君。
○戸叶武君 池田首相は、ポラリス潜水艦の横須賀寄港を認めないということをこの委員会で言明されましたが、その「認められない」という理由はいかなる理由か、もう少し詳細に承りたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 核弾頭を持っておる潜水艦が日本の領域に来ることは、私は前から反対しておるのであります。
○戸叶武君 ノーテラス型原子力潜水艦の横須賀、佐世保への寄港の問題が新たに出ておりますが、これに対しては政府はいかなる方針をもって対処しようとしておりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 本件につきましては、たびたび申し上げておりますように、この問題は、単に原子力を艦船の推進力として利用しておるというものでございまして、各地に寄港いたしました事跡にいたしましても、安全上別に問題はないということでございまして、問題の核装備は、いたしていないわけでございますので、安保条約の上から申しまして、特別にこれを有権的に断わるという立場にないことは、戸叶さんも御承知のとおりであります。しかしながら、原子力それ自体につきましての国民的な感触というものを考えまして特にアメリカ側から前もって御相談があったと思うのでございまして、私どもは、御案内のように、安全と補償の問題等につきまして、部内で検討いたしているわけでございまするが、その検討の結果を待ちまして、安全と補償の上におきまして支障がなければ、これを認めることにいたしたい。同意することにいたしたいと思っております。
○戸叶武君 原子力を推進力としているが、核装備はされてないということでありますが、この潜水艦は核装備をもなし得るようになっておるのでありませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 核装備をもなし得ることに構造上なっているということは聞いておるわけでございますが、核装備の問題は、御承知のように、重要な装備の変更でございまして、安保条約の上から申しまして、当然事前の協議の対象になるわけでございます。先方からそのような協議の要請はございませんし、先方も核装備はしていないということでございますので、今御指摘のような懸念はないと思います。
○戸叶武君 核装備をしているかいないかということは、向こう側で言うだけであって、こちら側でそれを調べるとかなんとか、そういう方法はとるのですか。
○国務大臣(大平正芳君) 一々検証するというようなことは、いたさないつもりです。
○戸叶武君 もし問題が起きたときに、それは核装備をしてきた潜水艦であるというように誤認して、それに対して他からの攻撃が加えられるというようなことも起きないとも限らないと思いますが、そういうような心配はありませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 米国が同盟国に対しまして核装備はしていないという言明、私どもは信頼を持っているわけでございます。一々の場合にそれを検討するという、検証するというようなことでは、安保条約の運営はできないと思います。
○戸叶武君 安全と補償の問題について政府は質問書を提出したと言いますが、その質問内容というものはどういうものですか。
○国務大臣(大平正芳君) 安全の問題につきまして一部回答が届きましたので、政府側で検討いたしております。補償の問題につきましては、まだ来ておりません。これが参りまして、検討の上、適当な時期に国民のために発表いたすつもりでございます。
○戸叶武君 その安全の内容に関して、国民は非常に心配しているのでありますが、放射性物質の放棄に伴う海水の汚染防止措置、これに対して米国原子力委員会及び米国公衆衛生局が厳重な検討をして、心配ないという結論を出しているというような報告の模様ですが、政府はすべてアメリカ側にまかして、こちら側でこれに対して検討するというようなことはしないんですか。
○国務大臣(大平正芳君) 今申し上げましたように、政府部内で検討いたしまして、先方の回答に対しまして、再質問すべきものはいたしているわけでございます。
○戸叶武君 日本政府の中でも再検討しているわけですね。アメリカの国内法によると、沿岸から十二マイル、他の船から四マイル離れ、操業中の漁場以外なら捨ててもいいということになっておるということですが、これを実行された日には、日本の近海というものが非常に汚染すると思うのですが、そういうことは心配しておりませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 目下そういう点、いろいろ検討いたしておりますので、検討について先方にさらに照会するような手順を踏んでおりますので、いずれ国民の御懸念を解くように、全部の検討が終わりましたら、発表いたしたいと思います。
○戸叶武君 加圧水型原子動力炉の一次冷却水の放射能を濾過するイオン交換樹脂を捨てると、魚が好んでそれを食べるというようなこともあるし、また二次冷却水は平生航行中でも放出するというので、広範囲にわたってこの海が汚染されることは明らかなことなのですが、そういう問題に対して、政府はただ単に目下研究中というのではなく、他の国々にも今まで寄港しているような場合もあるでしょうが、他からの報告その他を取り寄せておりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 政府部内の専門家の衆知を集めて検討いたしておりますので、私どもはその検討に信頼を持っておるわけでございます。
○戸叶武君 先ほど衆議院におけるところの委員会におきまして、原子力関係の学者が、立教大学の服部教授にしろ東大の檜山、西脇教授にしても、このことが慎重にやらなければいけない、陸上の原子力よりも安全性を欠いているので、その安全性というものを確かめることがまず第一だということを力説しておるし、また、海の汚染ということに対しても心配しておるし、また、突発事故が起きたときにはたいへんだということも言われておるのですが、こういう日本側の学者の御意見に対して、政府はどのように考えておりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 十分参考にいたしまして、慎重の上にも慎重を期して参るつもりでございます。
○戸叶武君 これは外務大臣だと、向こう側の言い分ばかり聞いておるのが外務大臣の役割になっておりますが、科学技術庁長官はどのようにお考えですか。
○国務大臣(近藤鶴代君) せんだって大学の先生方の参考人としての御意見を伺ったわけでございますが、このことは、もうすでに原子力委員会におきましても十分検討の材料といたしました範囲を出たものではございませんので、私どもの原子力委員会におきましても、すでにこの問題とは十分取り組んで検討いたしておるわけでございます。
○戸叶武君 十分検討しておると言いますが、ほぼこれはどういうふうに対処しなければならないとかいうような具体的結論はまだ出ておらないのですか。
○国務大臣(近藤鶴代君) 具体的にこうしなければならないというようなところまで話がまだ進んでおりませんけれども、具体的にしなければならないという考えを持って検討を進めておるわけでございます。
○戸叶武君 このポラリス潜水艦なりノーチラス型原子力潜水艦なりは、主としてグアムからやってくるのでしょうか。これは防衛庁長官なり外務大臣なり……。
○国務大臣(大平正芳君) そういう点につきましても、まだ通報を受けておりません。
○戸叶武君 そのほうは専門が防衛庁長官でしょうか、承っておきます。
○国務大臣(志賀健次郎君) 専門的なことですから、防衛局長に答弁させます。
○政府委員(海原治君) 情報によりますと、現在太平洋に配属されております原子力潜水艦は、八隻前後ということであります。これにつきましては、アメリカのワシントン州バンガー付近にも基地がございます。パール・ハーバー、真珠湾にもございます。グアムも基地になっておりますので、こういうような基地を利用して行動しておるのではないか、このように考えられます。
○戸叶武君 これは、アメリカの戦略がポラリス潜水艦のほうへ戦術転換をやりつつあるので、日米安保条約をたてにとって、結局、原子力戦争の時代に備えて日本をその中へ巻き込もうとしてきているようにも感じられるのでありますが、このことは、何といっても憲法九条において戦争をしないという建前に立っている日本としては、非常にあぶないところへきていると思うのですが、安保条約によって制約を受けているからやむを得ないという形でそういうあぶない橋を渡ることは非常に危険だと思いますが、総理大臣は割合に慎重論者ですが、どのような御見解を持っておりますか。
○国務大臣(池田勇人君) 外務大臣がお答えいたしたとおりでございまして、われわれは、原子力を推進力とする潜水艦の入港は、今の時点において差しつかえないと考えております。
○戸叶武君 防衛庁長官にお聞きしますが、日本では潜水艦は何隻持っておりますか。
○国務大臣(志賀健次郎君) 現在七隻保有をいたしております。
○戸叶武君 七隻それぞれ種類が違うと思いますが、その種類、及び建造費はどのくらいかかっておりますか。
○国務大臣(志賀健次郎君) 防衛局長から答弁させます。——ただいま防衛局長と申しましたが、装備局長から詳細に答弁させます。
○政府委員(伊藤三郎君) おやしお型千百トンでございますが、これが建造費が二十七億一千八百万円でございます。七百五十トンのはやしお型、これが二隻でございますが、建造費が三十三億五千八百万円でございます。なつしお型、これは七百八十トンでございますが、これが二隻で三十五億九千四百万円でございます。それから三十六年度間、これは現在建造中でございますが、千五百トンで一隻でございままして、建造費は三十五億一千二百万円でございます。三十八年度間、これは来年度予算でお願いしておる分でございますが、千六百トンでございまして、建造費の予算としましては三寸九億七千二百万円を予定しております。なお、このほかに、一隻米側から貸与を受けましたのが千五百二十五トンの一隻でございます。
○戸叶武君 この潜水艦は、核装備可能なようになっているのですか。
○国務大臣(志賀健次郎君) そういうものは全然予定もいたしておりませんし、また、搭載はしないものであります。
○戸叶武君 日本の防衛の基本的考え方というのは防衛に主眼点があると思うのですが、潜水艦は由来攻撃用の武器じゃないかと思いますが、防衛庁長官はどのように考えておりますか。
○国務大臣(志賀健次郎君) 潜水艦の持つ役割は、海上交通の確保にあるのであります。少なくともわが海上自衛隊の保有いたしまする潜水艦の使命はそこにあるのでありまして、一切攻撃的な意味を持っておりません。今後ますます日本の置かれた現状からしますると、海上交通の確保ということが何よりも先決でございまして、その点を主眼として潜水艦の装備充実に努めている次第であります。
○戸叶武君 太平洋戦争も潜水艦によるパール・ハーバー攻撃から端を発しておりまして、日本の潜水艦の動きというものは諸外国で非常に神経をとがらしているのですから、この点は慎重にやってもらいたいことと、それから戦争末期のどさくさにおいて記録が散逸されている向きもありますけれども、日本はアメリカの潜水艦を熊野灘及び能登半島沖においてレーダーにおいてキャッチしてこれを爆撃、撃沈している事実もあるのでありまして、今後潜水艦というものに莫大な費用をかけてした場合においては、こういう電波関係のレーダーその他というものが発達するならば海にもぐっているところの潜水艦キャッチというものは必ずしも困難なのではなくて、そういうためにかえって費用だけ使って効果がないことになるのではないかと思いますが、防衛庁長官はどのような御見解ですか。
○国務大臣(志賀健次郎君) ただいまのお話は非常に専門的でございますから、防衛局長から詳細に答弁させます。
○政府委員(海原治君) ただいまお話がございましたが、第二次大戦中の潜水艦と現在の潜水艦では、その性能におきまして格段の相違がございます。と同時に、飛行機のほうからこれを見つけ出す技術も非常に進んでおります。それぞれに進歩いたしておりますが、現在のところでは、特に原子力潜水艦というものを前提にいたしますというと、潜航深度が非常に深い。水中速度も非常に速くなっている。したがいまして、そう簡単には上から見つからない。したがいまして、これを見つけるための手段としていろいろの方法も研究されておる次第でございます。これは攻撃するほう、防禦するほうの側のそれぞれが苦心をしているところでございまして、簡単に見つかりやすくなったとかならないとかというものではないと、このように判断いたします。
○戸叶武君 このことは、またあとで質問することにします。 次に、防衛施設庁筋では、懸案になっているところの、茨城県那珂湊市における米軍水戸射爆場、この返還を求めるため、その代替地として東京都下の伊豆七島の三宅、御蔵、両島を候補地として調査とのことでありますが、これは事実でございますか。
○国務大臣(志賀健次郎君) ただいま御指摘の点につきましては、防衛庁長官である私にはまだ何らの報告がございません。したがって、具体的なものではないと私は思うのであります。ただ、水戸市の射爆場の代替地の問題につきましては、本院の決議もございまするので、鋭意努力をいたしておるのでございまして、どこどこを候補地にして調べるという段階には立ち至ってないと私は承知いたしておるのであります。
○戸叶武君 これは、アメリカ側としては、代替地を提供しなければここは立ちのかないという見解を持っているのでしょうか。
○国務大臣(志賀健次郎君) そのとおりでございます。
○戸叶武君 池田さんは外交に対しては特にこのごろは慎重のようですが、私は今ヨーロッパから危機が太平洋に移りつつあるように感じられて不安でならないのです。外務大臣は大平といいますけれども、どうも太平洋の太平を求めているようではないようでありますので、特に池田さんから、日本の外交、特に世界政策の基本について、特に太平洋を中心にしてどういうふうに考えているか、承りたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 施政演説で申し上げたとおりでございます。
○戸叶武君 施政演説においては内容が深く私たちを納得させるに足るものがないのであらためてお聞きするのですが、私はこの世界的な大変動期に直面して、世界の眼が、一時ヨーロッパのEEC等に向けられておりましたが、漸次やはり太平洋に向けられてきているのではないかと思うのです。アジアの私たちは黎明期を求めるのであるというふうにアジアのことを考えておりますけれども、アジアの中にはやはりこんとんが存在しております。暗黒面もあります。そういうものに一つの希望の光を与えるような役割というものが日本の役割じゃないかと思うのですが、池田さんの施政方針演説を聞いていると、その中には確固たるそういうものが打ち出されていない。民主陣営の三本の柱というものがあなたの外交政策における今度のキャッチ・フレーズのようでありますが、この三本の柱は、池田さんとしては、アメリカ、西欧、日本という形においてそういう考えを持っているのでしょうが、アメリカ側の受け取り方というのは、あなたの意図に反して、ワシントン・イブニング・スターの二月十一日の論評でも、同紙は、最近池田首相は適切な頼もしい比喩的表現を用いて、日本が世界の平和と繁栄をささえる第三の柱と期待されてしかるべきだと述べております。三つの柱というそれを並行的にものを見ないで、日本があとからのし出してきて第三の柱としての役割を果たそうとしているものだ……。三つの柱というのと第三の柱とではずいぶん受け取り方が違うと思いますが、池田さんはどういうようなお考えですか。
○国務大臣(池田勇人君) 力の強いとか弱いとか、また、浸透度にはいろいろございましょうが、考え方としてはやはり私の考え方にイブニング・スターは共鳴していると私は思うのであります。
○戸叶武君 イブニング・スターは、賛成しているのじゃないのですよ。おだてているのです。アメリカ側では、池田総理の自慢の、アジアで最も工業が発展した国としての日本、及び大平外務大臣の御自慢の、一九六一年の低開発国への日本の援助額は三億八千二百万ドルに達して世界で五番目に多額であった、こういう自慢話を利用して、それほど繁栄し、それほどゆとりがあるならば、もっと積極的にアメリカのパートナーとして、パートナーという言葉を大統領みたいに上手に使っていないで、第三の仲間ですね、その役割を果たしたらいいじゃないかということを言っているのですが、外務大臣はこれをどういうふうに受け取っておりますか。
○国務大臣(大平正芳君) ケネディ大統領も、またアメリカの論調も、パートナーという言葉を日本に対して使われております。戸叶さんのおっしゃるように、アメリカの要請に応じ、アメリカに追随するということでございますれば、これはパートナーではございません。日本はパートナーである以上、自主性を持って、日本の置かれた具体的な条件のもとで自主的に行動して初めてパートナーシップというものになるのだろうと私は思っておるわけでございまして、今御指摘のように、アメリカが太平洋地域をめぐりましていろいろ戦略体制が曲がり角にきているのではないかとか、いろいろ議論が行なわれておりますけれども、私どもは、日本がこういう立場に置かれて自主的にどう考えるかという問題が焦点だと思っておるわけでございまして、アメリカがもし戦略体制を変えて日本への要請を変えるということでございますならば、今の日米間の安全保障上の協力機構である安保条約の改定を求めてくるはずだと思うのでございます。しかし、そういう意図は先方に毛頭ございません。私どもは、現体制のもとにおきまして日本が自主的にみずからの内政を整え、防衛の努力を進めて参るという既定の方針でちっとも間違いはないと思っております。
○戸叶武君 ケネディさんの演説は有名な美文調で、外交辞令でもってパートナーシップを力説しておりますが、第三者の新聞は冷静でありまして、第三の柱の果たさなければならない役割についてずけずけとものを言っているのです。私たちはこの現実をやはり正視する必要があると思うのですが、今私たちが日本はもっと太平洋に責任を持たなければならないと言うのは、アメリカだ、西ヨーロッパだと言う前に、われわれの周辺のアジアをどうしていくかということに対しての役割をもっと明確に私は持つべきだと思うのです。アジアの現状というものは、貧困と停滞です。このアジアの貧困と停滞、しかも太平洋を囲んでアメリカ、日本、中国、ソ連、この世界の大国がここにあります。この四つの国が、特にアジアにおいて日本と中国というものがこのアジアをどうしていかなければならないかという責任体制というものを立場は違っても作り上げなければ、ただ東西対立の激化のお先棒だけをしていくのでは私はあぶないと思うのでありますが、このごろ池田さんの外交政策には若干やはり慎重な態度は見えておりますが、特に日本と中国の今後のアジアに対する責任の持ち方に対してどうお考えですか。
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の焦点がはっきりいたしませんが、われわれは、中共に対する態度は、国連において重要問題としてこれを審議して決定しようとしておるのであります。ただ、中共がどういう政策をとりましょうとも、われわれはアジア民族の繁栄のためにできるだけの努力をしよう、そのことが日本の繁栄に合致するのだと、こういう考えのもとに努力を続けていっているのであります。
○戸叶武君 どうも政府の答弁を聞いていると、みなお役人上がりだから仕方がないけれども、でき上がった既成事実に対してこれに応じていくという形で、歴史を切り開いていこうという意欲というものが盛り上がってきていないのです。アジアの問題は国連でこう決定したといえばそれに従わざるを得ないでしょうけれども、そこに矛盾があるならば、日本は先立って、たとえばアメリカと中国の関係というものは最悪の状態にありますが、これをどう打開していくかという意欲が日本の外交躍動の中に現われてこなければ、これはどんなぼんくらでも外交はできるのです。官僚にまかせておけばいいのです。国民から代表として選ばれてきたところの政党内閣の総理大臣なり外務大臣というものは、このテンションを、この対立をどういうふうに開いていくかというだけの見識ある外交方針というものがなければ情けないと思うのですが、外務大臣はどういう考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) お説ごもっともだと思います。私どもは、平和の問題、極東の安全の問題というものは、もう国政を担当する者として最大の問題だと心得ているわけでございます。わが国の死活の問題でございまするから、これに対しまして日本が日本の立場において日本の能力において最善を尽くして、それが建設的な効果を得られるように配慮するのが私どもの立場だと思うのでございます。いろいろ言葉の上で、あるいはゼスチュアの上で、あれこれ申し上げることが必ずしも勇気ある外交では私はないと思うのでございまして、日本の置かれた立場におきまして、日本みずからがみずからの主体性を確立して、その能力に応じてアジアの安定、繁栄のために応分の寄与を積極的にするという方針で臨んでおりまするし、そのことに対しまして世界のまたそれ相当の評価をかち得つつあると思うのでございまして、私どもの外交姿勢に私は間違いはないと確信をいたしております。
○戸叶武君 私たちは、この太平洋時代において、あの太平洋戦争というアメリカと日本との戦いの苦い経験を持っておるのです。地中海時代にギリシアとフェニキア、あるいはローマとカルタゴ、また大西洋時代においてイギリスとフランス、ドイツというようないろいろなヘゲモニーの争奪戦というものがありましたが、これが地中海から大西洋へ、やがて太平洋へというふうにそのまま移行されてきたのでは、私たちはかなわない。この原子戦争時代に、これを食いとめるということが日本の太平洋時代における非常な大きな責任であり、日本だけではこの問題は片づかない、やはりアメリカと中国とのこの対立状態の中へ入って、この中にユニティーを求めていこうという、困難であるがこの努力を払っていかなければ、私はこの太平洋時代というもののよい意味における時代の到来を求めることができないと思うので、言葉より腹だというようなことを大平さんはおっしゃったが、そんな太平楽を並べていてはだめです。まず言葉から始めなければだめです。人間の文明は言葉から始まっておるそれを実行に移すのです。実行もやらない、言葉も出せない、そういう卑屈な外交というものが日本の欧米追従となっているのです。 いずれにしても、私は中国は今国際的に孤立しておると思います。ソ連との対立もあります。アメリカとの対立もあります。しかし、その事の起こりというものは、強烈な反帝国主義のこの抵抗の態度だと思いますが、日本は中国を一番理解できる。百二十年から前のアヘン戦争、アロー戦争以来、イギリスにさいなまれ、フランスにさいなまれ、帝政ロシアにじゅうりんせられ、日本にじゅうりんせられ、およそ世界の古い文明を持った国として、中国ほど帝国主義にあくなき残虐に踏みにじられた一つの痕跡をとどめておるところはまれだと思うのです。この中国人民の感情というものは、アメリカでもソ連でも、私は理解できないほど深いものがあると思うのです。その警戒性というものは私たちは認めてやって、その上に立って国際社会から中国を孤立させないように、日本がやはり中国を承認し、また国連の中へ、アメリカのいろいろな既往の感情があっても、入ってきてもらうよう努力する、そういう形が隣国における日本が——そのことは簡単にいかないにしても、そういう努力を払うということをしないで、世界でだれが中国をほんとうにめんどうを見て、国際社会の中に正当な位置を与えるような努力をするものがあるかと思うのですが、日本はそういう困難な道を歩むことによって、アジアにおける信頼、私は日本の持っているところの世界史の上における役割というものが出てくるのじゃないかと思うのですが、池田さんはこういうことに対してはノータッチですか。
○国務大臣(池田勇人君) お考えは承っておきますが、それが今すぐに現実の問題として世界の人の協力を得られるかどうかということが問題なのでございます。やはり現実に立ちまして、いかなる方法をとったらいいかということを考えなければいけません。 中共問題にいたしましても、私は、組閣以来外交問題調査会で、各界の人にお集まりを願って、一年近く議論をしたのでございますが、私はその議論の状況から申しましても、今われわれの立っておる立場が私は一番国民に受けるところであり、また世界の情勢からしてこれが現実的な問題と考えます。
○戸叶武君 池田さんが言っているように、現実は非常に悲しい現実です。しかし、その現実が非常に悲しい現実であるからこそ、そういうことが必要なんじゃないでしょうか。だれかがやらなくちゃならないのです。私らが前にこの委員会で、ケネディ発言のコンテインの問題を問題にしたけれども、あの中に流れているところの中国に対するアメリカ側の偏見というものは、ケネディ演説というものは、ヨーロッパのNATO、東南アジアのSEATOの条約を引用し、「米国は韓国及び中国……」これは台湾のことです「と同様の約束をしておるから、現在アジアにとって非常に危険な時期であるからとの認識のもとに、アメリカの盟邦としての日本は、共産主義運動によるアジアの支配をプリベントする努力をするため、どのような役割を果たせるか、そのことを数カ月のうちに考慮することを希望する」、外務省では「数カ月」というのではなく「将来考慮を払う」という形で、訳しておりますが、その非常に危険な時期の認識、その上に立ってすぐそういう態勢を作れ、プリベントのこの考え方、こういうことに対して総理大臣なり外務大臣はどういうお考えをお持ちですか。
○国務大臣(大平正芳君) 戸叶先生のアジアの平和に対する批判と真摯なお気持、よくわかります。私どももアジアに位して、アジアから引っ越しができない以上、アジアの安定を何としても希求しなければならぬ立場におるわけでございまして、全くその点につきましては私は同感でございます。で、アメリカがアジアに対してどういう考えを持っているか、どういう願いを持っているかということは、アメリカの問題でございまして、日本が日本の立場でアジアに対してどうするかということは、日本がきめる問題だと思うのでございまして、アメリカの要人がいろいろ言われておること、アメリカのいろいろなマスコミに出ておる論調というようなものは、参考として拝見いたしておりまするけれども、政策を主体的に決定してそれを実行するのは日本でございますので、日本の政府がこれにどう対処するかという点が問題の焦点だと思うのでございまして、日本政府は既定の方針によってやるのだということを何回も何回も繰り返して申し上げておるので、御信頼をいただきたいと思うのでございます。 で、この戦後十数年、世界各地に戦火がありましたけれども、私は日本及びその周辺に平和が保たれておるということは、これは非常に偉大なことだと思うのでございまして、とうといことだと思うのでございます。中国との関係調整ということは、戸叶さんがおっしゃるように大問題ではございますけれども、そのことにおいてアジアの平和が脅威されるというようなことは、これまた十分警戒してかからなければいかぬわけでございますので、この問題の調整の問題は、その重さからいいまして、その深さから申しまして、軽率には取り上げられない問題でございます。アジアの平和のためにきわめて慎重を要するという認識に立ちまして、今私どもがやっておるような政策の姿勢を堅持しておるわけでございます。
○戸叶武君 アメリカは今西側における核戦力の九六%を占めておるのであります。核戦争の時代におけるウエートというものは非常に強いのでありますが、しかし、アメリカのこの独走というものに対しては、カナダの首相も、またフランスのドゴールも、それを懸念して、その国の運命をアメリカだけに託すことができないというような私は独自性というものを出していると思うのであります。ケネディさんがどういう考えを持っているかということに対しては、私たちは一向どういう考えを持っていてもよろしいと思いますが、問題は、心配なのは、あなたが言う日本に自主性というものがほんとうにあるか、外務大臣が引っ越しができないということだけはっきりしましたが、それだけでもはっきりしていれば、まだたいへん何ですが、私はアメリカのほうへでも引っ越してしまっては困ると思ってその点は心配していたのですが、これはやはりアメリカという国はほんとうに感情的な一つの推論の形成がされております。これは綿製品の問題でもわかります。あの今フランク・ブックマンのような人でも、アメリカ人の独善的な考え方をチェンジさせるには、アジアやアフリカから見識のある、アジアやアフリカをほんとうに思い、またアメリカのことも考えた見識のある発言というものがアメリカの中へぶち込まれなければ、アメリカは変わらないと言っているのです。私は、ケネディさんであろうが、だれであろうが、だれが指導者になっても、容易なことではないと思うのです。問題は、アジアの事態はアメリカさんの考えているのと違うのだという点を明らかにして、むしろ池田さんはなかなか自信を相当持っている方ですから、不肖この池田に経済のことだけじゃなくアジアのことはまかして下さいくらいのことを言って、アメリカの今の極東政策の考え方を変えないと、アメリカのこの戦略の上に乗ってぐんぐん日本が引きずられていくと、私はとんでもないことになると思うのですが、池田さんはそれに対して御心配はしていないのでしょうか。
○国務大臣(池田勇人君) われわれは、日本国民がどうあるべきか、またどうあったら一番いいかということを考えて、それに向かって進んでおるのであります。しこうして、日本がどうあるべきかということは、アジア全体の問題とつながり、世界全体につながっておるのであります。
○戸叶武君 問題は、アメリカのポラリス潜水艦等を中心とするところの防衛体制の変化に伴って、日本の防衛に関しても大きな転換が生まれてこなければならないと思いますが、日本の防衛計画は三十七年度から始まって第二次計画に入っておりますが、第三次計画に入る前に、フランスでも、イギリスでも、ドイツでも、アメリカ自身も変わっているのですが、当然日本の防衛計画というものは、今までの海陸空三位一体のバランスというような考え方から、むしろ海空に重点を置くほうに変わってこなければならなくなっていると思いますが、防衛庁長官はどういうお考えですか。専門にわたるなら、ほかの人に答えさせてくれてもいいですが。
○国務大臣(志賀健次郎君) 現在第二次防衛計画を修正あるいは変更する意思は持っておりません。なるほどアメリカのいろいろな戦略体制の変化もございましょうが、御案内のとおり、わが国の防衛は憲法で認められた範囲内の自衛のための防衛力でございまして、この線は変化がないのでございまして、第二次防衛計画をそのまま着実にこれを実施して参る方針でございます。
○戸叶武君 カナダの総理大臣は、あなたよりもっと良心的に防衛というものを考えております。とにかくアメリカの言うとおりな防衛計画を作ると、すぐ変わってしまうので、金がかかって金がかかってかなわない、これはやはりもっと自主性を持ってやっていかなければいけないということから、あの問題も起きてきているのでありますが、私はやはり戦略戦術が大きく世界で変わろうとしているときに、私のほうは動かないのだといって、まあ日本は潜水艦でなくて島国だから動かないのはほんとうでしょうが、あとでしまったということのないようにお願いします。こういうことは防衛庁長官は少しのんとう過ぎると思うのですが、日本の役割は極東の防空とウラジオストックを基地とするソ連潜水艦活動の抑制というものに役割を持たせているのじゃないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(志賀健次郎君) さようなことはございません。あくまでも自主的にわれわれが防衛力を整備いたしておるのでありまして、ウラジオとか、そういうことは考えておりません。
○戸叶武君 いや、戦略戦術というものは、悲しいかな、いつでも仮想敵国というものを持っていなければ戦略戦術は立たないのですが、今だから明らかにしているけれども、日本はいつでもかつてはアメリカなりソ連なりを仮想敵国として、そうしてその上に立って日本の戦略戦術というものを立てたのです。まあ防衛庁長官という役割から、今のデリケートな立場から発言ができないのでしょうが、問題は防空ミサイルと早期警戒組織の強化の問題、もう一つは対潜水艦掃討力の強化の問題、こういうものがやはり中心になっていると思いますが、そういうことはどうなっておりますか。
○国務大臣(志賀健次郎君) 防空能力の向上が第一でありまして、また、ただいま御指摘の対潜水艦作戦の能力の強化または向上も、われわれの最も力を入れているところでございます。
○戸叶武君 陸上自衛隊の定員は十八万人、予備自衛官は三万人ということになっておりますが、これは時勢の動きによって大幅に縮小する必要が出てきたと思いますが、どうですか。
○国務大臣(志賀健次郎君) これは何度も申し上げておりますとおり国力国情に応じて防衛力を整備いたしておるのでございまして、大幅に増員するというようなことを現在考えておりません。
○戸叶武君 前にアメリカからいただいたところのライフル銃とか旧式な機関銃とか、そういうようなものがだんだん要らなくなってきて、ロケットとか新ヘリコプターとか、新兵器にどんどん切りかえられてきつつあると思うのですが、そのおおむねは国産に切りかえたですか。
○国務大臣(志賀健次郎君) 日本の経済力とそれから技術能力の範囲内で、極力国産化の推進をはかっておりまして、おおむね国産化でございます。
○戸叶武君 P2V対潜機はいかほどありますか。
○国務大臣(志賀健次郎君) 三十数機と心得ておるのでありますが、正確な数字はわかりませんから、防衛局長に答弁させます。
○政府委員(海原治君) ただいま三十数機と申されましたが、保有計画といたしましては五十三機程度でございます。これには二次計画の終わりには五十八機程度になる予定でございます。
○戸叶武君 今までの建造費はどれほどかかっておりますか。
○政府委員(伊藤三郎君) P2Vの価格でございますが、一機当たり約六億円余でございます。
○戸叶武君 今度はP2Vよりも飛行艇PXSと陸上機PXL、そういうものの装備並びに防空用レーダーとか高性能の三次元レーダー、そういうようなものを採用するというような話も出ておりますが、どうなっておりますか。
○政府委員(伊藤三郎君) 三次元レーダーにつきましては、ターター艦に搭載することになっております。対潜哨戒艇につきましては、現在研究開発中でございます。
○戸叶武君 対潜水艦作戦戦力としてのダッシュ対潜無人ヘリコプター、それからアスロック対潜ロケット魚雷、それから今のターター局地防空ミサイル、こういうような装備はどうなっておりますか。
○政府委員(伊藤三郎君) ターター艦でございますが、現在建造中でございまして、ターターの型式変更がありましたために、予定より少しおくれております。ダッシュ、アスロック、これは三十七年度から搭載するようにいたしております。——ダッシュ、アスロック、それぞれ搭載する計画になっております。
○戸叶武君 この護衛艦であるとか、ヘリコプター母艦とか、キラー潜水艦、そういうようなのは、いかほどになっておりますか。
○政府委員(伊藤三郎君) ヘリコプター母艦につきましては、二次計画におきまして策定当時、この保有の必要性につきまして、いろいろと検討を行なったわけでございますが、成案を得ませんでしたので、引き続き検討を行なうことになっております。したがいまして、この計画中にヘリコプター母艦というものを搾ることが決定いたしました場合には、保有目標の十四万トンのこの範囲内において建造する、こういうことに相なっております。なおダッシュ、アスロックともにこれは米国から供与を受ける武器でございます。
○戸叶武君 キラー潜水艦は。
○政府委員(伊藤三郎君) キラー潜水艦ということでありますが、これは通常ハンター・キラー、すなわち敵の潜水艦を探しまして、これを撃滅するという意味におきまして、ハンター・キラーという言葉が使われております。現在の潜水艦は、一応私どもが考えておりますのは、先ほど大臣からも御説明いたしましたが、港湾の防備とか、あるいは海峡の防備とかいうことが目的でございますので、そこで敵の潜水艦を見つけました場合に、これを撃滅する、そういう意味ではキルする能力を持っております。
○戸叶武君 P2Vなんかを操縦する飛行士一人を養成するのには、どれくらい金がかかりますか。
○政府委員(小幡久男君) ジェット機の養成経費は手元に資料がありますが、P2Vのは積算しておりませんので、一応ジェット機の例を申し上げます。ジェット機ですと、86Fパイロットで約三千五百万円でございます。それからDのパイロットが五千万円であります。P2Vも、そう大差はなかろう、こういうふうに考えております。一応ジェット機のほうを申し上げます。
○戸叶武君 池田さんは国づくり、人づくり、特に人の問題を重視するようですが、一人の飛行士をつくるのにも五千万円くらいかかるので、問題は、こういう飛行機に乗せるだけでなくて、私はもっと世界の戦略の中で、アメリカですらも、防衛という形のほうに主眼点が移っているようですが、そういう形における技研その他の科学的な研究の費用というものは、どんなふうになっておりますか。
○国務大臣(池田勇人君) 科学技術の研究費につきましては、その必要性を認めまして、累年増加いたしております。ことに三十八年度におきましては、技術、研究に分けまして、研究費として相当程度——たぶん一人当たり十三、四万円の分を、純粋の科学技術のほうは四十数万円、あるいはまた農業関係のほうは三十数万円、画期的に私は研究費が増額したと心得ております。
○戸叶武君 防衛庁長官、もっと詳しく専門の立場から……。
○国務大臣(志賀健次郎君) 御質問の要旨が、ちょっと理解が……。
○戸叶武君 技研その他の科学研究費の費用及びそういうところに、どういうふうな人材を吸収したり養成しているか、そういうものに、どれほどの費用をかけているか、そういう点について……。
○政府委員(伊藤三郎君) 細部にわたりますので、政府委員からお答えいたします。 従来技術研究本部において開発いたしましたおもな装備品は、火器、車両その他いろいろございますが、たとえば九十ミリ戦車砲とか百六ミリ無反動砲その他の火砲、あるいは車両では、装甲車とか戦車、雪上車、水中武器では遠距離のソーナー、ホーミング、魚雷、あるいは通信、レーダー機材におきましては、軍に載せます野戦用の無線中継機、あるいは捜索レーダー等であります。また、航空機関係におきましては、ジェット昼間練習機及びこれに装備しますエンジン等、船舶関係におきましては、新造艦艇の船体エンジン等、誘導武器では、対戦車誘導弾、こういうものを研究して、それぞれの成果を上げて参った次第であります。
○戸叶武君 第二次防衛計画では、五年間の総額が一兆一千八百億円、ただし、年間、平均二百十五億円増で押える、そのうち九百億円は米国のMAPの無償援助に求めておったのですが、アメリカが日本に、今日においてはNATO並みの防衛努力を要請しておるのであって、今後の対日援助は、MSMSの有償方式に切りかえられるはずですが、これに対して、どういうふうに対処しておりますか。
○国務大臣(志賀健次郎君) お話のとおり、当初の無償援助の方式から有償援助の方式に変わりつつあることは、お話のとおりでございます。これは前前から対日軍事援助費が減少いたしておるのでございまして、われわれはこれを予想いたしまして、第二次防衛力整備計画を進めておるのであります。私が昨年の十一月に渡米しました際に、マクナマラ国防長官と会談した際に、第二次防で約束をしたものについては、約束を実行する、まだ約束済みじゃない未定のものにつきましては、あまり期待されては困る、これは全然やらぬというお気持でもないようであります。これは対日援助と申しましても、この装備が非常に多種多様にわたっておりまして、それぞれの装備品についてお互いに話し合いをしまて、その有償の額がきまるのでありまして、一率に五対五とか、あるいはこちらが七で、アメリカが七というような、そういうような方式がないのでありまして、にわかに対日援助が三億ドル、アメリカの同盟国全体において三億ドル削減されたといたしましても、これが日本に、どういうふうに影響するかにつきましては、全く今日のところ資料がないのでございまして、アメリカの新しい予算の編成の推移などを見ながら、その間に資料を入手して検討する考えでございますが、ただいま御審議を願っておりまする第二次防の二年度に当たりまする三十八年度防衛予算におきましては、何らの影響がないものと心得ております。また三十九年度以降につきましても、あまり深刻に私は考えておらないのでありまして。と申しまするのは、約束をしないものは、あまりないのでありまして、ほとんど米側と約束済みのものが大部分を占めておる関係などからしまして、深刻な影響もないのじゃないかというふうに私自身は考えておるのでございますが、ただいま申し上げましたように、アメリカの予算の編成の、これからの足取りなどを見ました上で、第二次防を今後どうするかということについて検討をいたす所存でございます。
○戸叶武君 三十八年度の防衛費は、推定国民総所得に対する比率は、どれほどになっておりますか。
○国務大臣(志賀健次郎君) 一・四%と心得ております。
○戸叶武君 これがNATO並みとなると三%、もっと上がっていかなくちゃならないと思いますが、イタリアや西ドイツは、どうなっています。
○政府委員(海原治君) イタリアの場合には、国民総所得の四%でございます。ドイツにつきましては的確に今覚えておりませんが、大体六%前後じゃないかと思います。イギリスは七%でございます。
○戸叶武君 この防衛の問題で、カナダのジーフェンペーカー首相は、去る二月十一日トロントで、核防衛の考え方が一夜にして変わってしまうのが今日の実態だ。きょう正しい決定も明日は誤りとなる。ここ数年来、数十億ドルの巨費を注ぎ込んだ兵器が時代おくれとなっている、と嘆いております。これは良心的な嘆きだと思います。この上に立って、カナダ政局の変動を生んだところのアメリカ側のボマーク・ミサイルの核装備の要求に対して、米国との意見の対立が起きたのですが、日本はイエスマンで、カナダのように、アメリカとの間に問題を起こそうともしないで、そういう食い違いは一つもないんですか。
○国務大臣(志賀健次郎君) 戸叶先生は、日本の防衛がNATO並みになるんじゃないかというお話でございましたが、私はそう心得ておらぬということをお話し申し上げます。また、カナダの例もおとりになったようでございますが、わが国の防衛は、みずからの手でみずから国を守る、いわゆる自衛という範囲内を出ないものでございまして、カナダあるいはNATO諸国と、われわれは同じじゃないのでございます。例にとられては私は困る、かように考えておるのであります。
○戸叶武君 どうも、私も大体、あなたと同じような考えで、あなたの考え方も非常に健康的な考えだと思います。しかし、世間一般は、大体アメリカに引きずられているというふうにしか見ていないんですから、これは悲しい現実ということであります。 それで、このカナダの首相が言っているのは、あのときに、米国への戦略的攻撃通路を防衛するために、カナダが犠牲を払うということじゃ、とてもかなわぬという点だと思います。今のフランスでも何でもそうです。要するに、アメリカとしては当然です。アメリカの安全というものを第一にして、その前に、外堀じゃないですが、ヨーロッパなり、極東なりに、局地戦争という規模なり何なりのトラブルが起きて、そこで問題を片づければいいのだ。フランスでも、カナダでもおそれているのは、キューバのような危機が起きたときにおいても、ほかの国とは話し合いをしないで、ソ連といきなりアメリカは勝手に取引しちゃうんじゃないか、ほかの連中は刺身のつまのようなもので、アメリカの応援団であって、向こうでゲームはさっさと片づけちまう、これのとばっちりを受けちゃかなわんという考えが世界の随所に起きていると思いますが、自主性のない日本の悲しさは、言葉だけは、日本の独自の防衛といっているけれども、そういう抵抗すら感じないほど、不感症になっているということを私は認めざるを得ないのであります。 そこで、問題は、もちろん日本の憲法にも規定されているし、日本の現実からいっても、NATO並みじゃないかということは考えておりません。しかし、アメリカが除々に、そういう要請を、あまり池田ラッパといい、大事ラッパがうまく吹くものだから、そんなに日本が繁栄して、すばらしいのだったらひとつ手伝いをしろというふうに引っ張り込まれて、日韓問題の早期妥結を中心として、除々に海外派兵の方向へ引きずり込まれるんじゃないかという心配です。なぜそう心配かというと、この間、そこにいる林法制局長官なんかの答弁を聞いていると、聞きもしないのに、先回りして、憲法調査会におけるところの論議と同じように、もうさっさと、海外派兵も可能だというような議論を展開して、あとでもって池田さんに待ったをかけられて引っ込んだようですが、私は、ここらにも、もう政府側の勇み足が随所に出てきているのでありまして、憲法調査会のPRといい、この予算委員会におけるところの林法制局長官の意識的なPRといい、非常にあぶないと思うんですが、どうもこの間、途中でもって切られたので、はなはだ不満のようでしたけれども、林長官は、その職掌柄自分の信念に応じて、この海外派兵の問題と憲法改正の問題に対して、どういう見解を持っているか、明らかにしてもらいたい。
○政府委員(林修三君) 私が先日お答えいたしましたことは、実は私が、一昨年の二月、三月、それから衆議院の予算委員会でお答えいたしましたこと、あるいは参議院では、予算委員会ではなく、外務委員会だったと思いますが、外務委員会でお答えいたしましたことと全然同じことでございます。何も新しいことを一つも言ってはおりません。 それで、あのときのことは、要するに、政策問題を離れて、つまり国連軍に、あるいは国際警察軍というものに、今の憲法上、日本の自衛隊といいますか、あるいは自衛隊でなくても、日本というものが参加可能かどうかというふうな角度まで含んでの御質問でございました。そういうような、いわゆる非常な抽象的に広い命題による御質問でございました。そうなりますと、やはり憲法問題としては、将来起こり得べきいろいろな事態、国際社会において起こり得べき事態、それを全部やはり見通して抽象的なお答えをする以外にまあ方法がないわけでございます。したがいまして、あのときにもあのようなお答えをしたわけで、たとえば今の憲法九条の一項でいえば、憲法九条一項で禁止されておりますことは、国際紛争を解決する手段としての戦争あるいは武力の行使、武力による威嚇、これは憲法で禁止されております。ところが、そこで、いわゆる国連軍あるいは国連警察隊というものが、この間もお答えをいたして参りましたように、純然たる非軍事的な活動、つまり純然たる泊安維持というような活動をするのに、それにたとえば日本が参加することで、今の九条一項のどこに触れるだろうかという問題があるわけです。つまりそれは戦争でもございませんし、武力の行使でもございませんし、あるいは武力による威嚇でもないわけです。また、国際紛争を解決する手段としてでもないわけでございます。どれにも当たらない。そういうものは憲法九条のどれにも当たる問題じゃないということは、これはもう理論的にははっきりしておる問題だと思います。 それから、もう一つ申しましたのは、将来いわゆる国連というものが非常に理想化した形態になって——今の国連ではございません。まだそこまでいっておりませんけれども、将来国連というものが非常に理想化した形態になって、いわゆる各国がそれぞれの部隊を供出して、国連が、純然たる国内社会における警察と同じような形によって、国際社会の警察的な維持、これを国連の持つ一つの共同的な部隊によって維持しよう、そういうような形態になった場合に、それにこれは自衛隊というか、あるいは個々の人間と申しますか、そういうものが参加することは、これはやはり将来の理想的な国際社会を考えた場合に、今の憲法が禁止するところではないんじゃないか。これは多くの学者がそう認めております。そういうことを申し上げたわけでございまして、別に何も今の憲法改正とか何とかというようなことに関連してそんな意識的なことを申したわけではございません。私がもう一昨年から申し上げておることと全然変わっておらないことでございます。
○戸叶武君 何か将来を予定しての夢物語の寝言のようにしか受け取れませんが、もっと政治は現実のきびしさの上に立たなければならないと思うので、あらためてそういうPRがもう先走って林さんになされているのでは、国民は、非常にそういうふうに持っていかれるのかという心配が先に立ちますから、あらためてまた池田総理大臣からこのことを明確にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) この前、本委員会で申し上げたとおりでございます。
○戸叶武君 この憲法改正の問題は、昨年この予算委員会において、高柳憲法調査会の会長と、長い時間をとって、憲法改正は軽々率々にすべきでないという論議をここで展開しましたが、そのあとで、さすがは高柳さんはイギリス流の法律を学んでいる人だけあって、良心的な学者だから、アメリカに行っていろいろなアメリカやカナダの国家学者や政治学者にも会って、やはり憲法改正をすべきでないという意見に傾いてきたようですが、この間、愛知君やその他がヨーロッパへ行くと、今度はヨーロッパのほうでは、天皇の問題や憲法改正の問題についても、特に戦争放棄の問題は時代離れして非現実的だと言う者が多く、積極的に憲法第九条の戦争放棄というのを支持する者はないというような報告の模様でありますが、これは新聞で伝えられているだけでありますが、ヨーロッパはまだ十九世紀の亡霊から解放されていないのです。これはヨーロッパの悲しい現実がそういうふうになっているんだと思いますが、ワイマール時代の悲劇を乗りこえてきたレビンシタイン教授なんかも、比較憲法論者として権威のある人ですが、アメリカに行き、また、日本をたずねても、憲法改正は軽々率々にすべきではないという点に重点を置いておるようです。新聞には高柳さんなり蝋山さんの考え方も出ておりますが、根本は、やはり憲法改正はすべきでないという建前に立ちながら、若干拡大解釈をして、政府側の考え方に多少妥協しようというところにきている模様でありますが、私は、ああいう空気の中に入ると、世間知らずの学者や気の弱い人は、あの中でもっておのずからそういう圧力に抗しかねてそういう考え方に移っているのだと思いますが、このごろの憲法調査会のPRというのは度を過ぎておりますので、もうこの空気に乗って憲法改正をしようという自民党の中における人々と呼応してそういう空気を作り上げようとしているのですが、こういうことをあまり度過ぎたやり方をすると、必ず私は異変が起きると思いますが、池田さんは、この底流に流れている抵抗というものを世論調査や何かにおいてどういうふうに見ておりますか。
○国務大臣(池田勇人君) 憲法問題につきましても、たびたび衆参両院では申し上げておるとおりでございまして、調査会の答申を待ちまして、そうして、また、それによって一般国民がどう考えるか等々を検討の上、態度をきめたいと思います。
○戸叶武君 政府側の調べによりましても、世論調査におきまして、憲法改正の賛成と反対が政府は近寄ってきたといって宣伝しておりますけれども、しかし、海外派兵を認むべきでないというものが、三十七年の政府調査によりましても三九%、認むべしというものがわずか九%です。憲法改正のきっかけとなるのは、私は、海外派兵の問題だと思いますが、まだ憲法改正という問題は、漠然としてしかつかんでいない、わかりませんという層が多い中において、しかも、事、海外派兵の問題に関しては、これは困るというのが世論だと思います。そういう世論を無視して、政府の言うことを聞くような学者ばかりを集め、しかも、与党の人たちだけ集まって、憲法調査会という機関を利用して、盛んに薄軍備体制の、戦争への道のラッパを吹いているということは、これは非常に私は危険なことであって、一たび戦法改正なり海外派兵の問題が起こると、せっかくでき上がった日本の国家基本法をこの人々によってゆがめられて、日本の将来は暗たんとなる。私は死を決して立ち上がってこれに抵抗するという者が随所に起きてくると思う。容易ならぬ事態というものが私は想起されるのです。だからワイマールのあの悲劇の中から出てきたレビンシタイン教授のごときも、私らと同じような見解の上に立っていると思うのですが、政府の憲法改正に対する考え方、日本の再軍備、あるいは海外派兵に対するところの考え方というものは少し甘過ぎるのじゃないかと思いますが、池田さんはどういうふうにこの問題を見つめておりますか。
○国務大臣(池田勇人君) もう繰り返して申し上げるまでもなく、戸叶さんよく御存じだと思います。海外派兵をするとは言っておりません。憲法改正につきましても、たびたび申し上げたとおりでございます。甘いとか辛いとか、そういう問題でないと思います。
○戸叶武君 その海外派兵の花道としての日韓会談のほうへ向かいます。どうも私は、日韓会談が一番くさいと思っているのです。それは、あのキューバ事件が起きた十月二十三日のときに、ワシントンで私はケネディさんの演説も聞きましたが、あの日の午後、午餐会には、国連本部で佐藤榮作さんらとともに岡崎さんから招待を受けましたが、その席上でも、すでに四日前の十八日に佐藤榮作さんがケネディさんに会ったときにも、日韓会談の促進は要請されておったようです。これは池田さんが総理大臣になって最初に訪問したときから、繰り返されてそれは力説されていることだと思うのです。で、問題は、やはり日韓会談の促進というものに対して、自民党あたりのPRでは、隣の国が困っているのだから、これを少しめんどうみたい、助けたらいいじゃないか、私はこのことには反対じゃありません。しかしながら、南北統一というのが、何といっても朝鮮民族の悲願です。これが朴軍事政権を援助するという形のことによっては、その統一ということはほとんど不可能になってくるのです。しかも、日韓会談の今までの立役者であったところの金鍾泌さんが失脚した。しかも、その問題は具体的にいろいろ提示されておりますが、いろいろのスキャンダルが摘発されております。そういう黒い影に包まれた立役者によって推進された日韓会談というものが、政府側を代表するものであるから続けてもいいという考え方がまだ政府にあるようですが、私は非常にあぶないと思うのですが、池田さんはそういうあぶなさを感じませんか。
○国務大臣(池田勇人君) 朴氏は、議長として韓国の政治を担当しておられるのであります。金鍾泌はその人の使いであったのであります。私は、従来どおり、慎重に日韓会談を進めていきたいと考えます。
○戸叶武君 池田さんはやはりやや横綱格で慎重なようだが、大平さんあたりは、ずいぶん慎重そうな顔つきしているが、やはり突っ走ったことをやるので、大野伴睦さんでさえあきれたという話が出ておりますが、やはり私は、韓国の問題はなかなかむずかしいと思うのです。すでにこの金鍾泌配下の人々が十五、六人この二、三日中に逮捕されております。そのあげられているのは、やはり証券市場不正操作事件及び歓楽境のウォーカー・ヒル建設の横領の問題、その他いろいろ具体的にあげられておりますが、やはり問題の起こりとなったのは、韓国の経済的危機から起きているのだと思うのです。本年一月六日に実施された輸出実績リンク制を契機とし、それより前の昨年六月の通貨改革の失敗、さらにそれより前の通貨改革の失敗前の証券波動、こういうものが汚職事件の発端となっていると思うのでありますが、こういう事実をつんぼさじきにいて政府は何ら御承知ないのでしょうか、外務大臣。
○国務大臣(大平正芳君) 韓国の政情、経済事情について言及されたわけでございますが、韓国の政情につきましては、韓国の問題でございまして、私どもとかかわり合いのある問題ではございません。日韓交渉は、日本政府と韓国政府との間の話し合いでございまして、このことは、それ自体韓国の政情と直接関連を持ったものとは思っておりません。 それから、経済事情でございまするが、いずれの新興国も、独立当初から経済的な諸条件に恵まれないで、それぞれ苦難の道を歩むことは一般にあり得ることでございます。特に韓国におきましても、去年の不作等の事情からいたしまして、経済状態は必ずしも順便に参っていないということは、私どももよく承知いたしております。
○戸叶武君 ノーマルな状態のもとにおける外交ならば、今の大平さんの言うような御意見でよろしいのです。今の韓国との外交は手探り外交ですか、まるであんまの外交のような、ささやぶの中に鉄砲撃つようなやり方をしておって、これが外交と言えるのですか。実際今度の問題のきっかけとなったのは、柳原植メモによるところの暴露でありますが、朝鮮側の新聞によると、証券波動で数百万ドル、ウォーカー・ヒル建設で百五十万ドル、日産ブルーバードとセナラ自動車との保税加工に関して約六十万ドル、そしてパチンコその他の輸入かもしれませんが、二千万ドル。日本円にして七十二億円に上る不正腐敗行為があるというようなことが朝鮮関係の新聞に出ておりますが、私らもその真実はつかめないけれども、事実上十六人からの者が逮捕されたというこの事実というものは、火のないところに煙は立たんと思うのです。こういう事態が起きてきているのに、向こうのことだからわしは知らぬと言って——交渉というのは相手あっての交渉です。相手がびっこであろうがあんまであろうが、どんなことでもいいというようなことでは結婚も成立するものではないのです。そういうお考えですか、大平さんの外交はそんなあぶないあれですか。
○国務大臣(大平正芳君) 私は、外交をあずかっておる者といたしまして、日本はあらゆる国に対しまして、最大の善意と敬意と誠意をもって対処するのが国民に対する責任だと思っておるわけでございます。韓国の事情についてお話がございましたけれども、そういうことは日本政府がとやかく論評すべき性質のものではないと思います。
○戸叶武君 論評はしなくても差しつかえないが、事実をつかまえていなければ、あぶなくて相手としていけないのじゃないですか、そういうことは国民はまかしていないと思うのです。もっとやはり——今のは非合法の暫定的な軍事政権です。少なくとも民政移管前に早期妥結なんてしてはいけないというのが、たとえば朝日新聞の長谷部忠君なんかの論説にも出ております。私と見解を異にしておりますが、私は、国民の中にあるそれが常識だと思うのです。それをどうしても早期妥結でいこうとしておりますが、今選挙を前にして各党の動きもありますが、どういう態勢ができたら日韓交渉を続けようとするのですか。政府はそのかまえがあると思いますが、それを知らせて下さい。
○国務大臣(大平正芳君) 私どもは、今妥結の前提として、もろもろの懸案につきまして、国民が御納得いくような妥結の内容というものをどうして作り上げるかということに苦心しておるわけでございます。このことは、国民が御納得いくような内容のものでなければなりませんから、得納しようがしまいが、急いでやるのだというような態度は終始とっていないのでございます。いついつの妥結を目ざして、無理やりに内容のいかんを問わず、妥結を急ぐというような軽率なことはやっておりません。したがいまして、しからば先方の政情がどうであるかということにつきましては論評は避けますが、私どもも十分注視いたしておるところでございます。しかし、わがほうの態度といたしましては、この長い間の懸案につきましては、納得がいく解決の道がないものかということを鋭意検討して、でき得べくんばその方向に前進して参ることは私どもの当然の責任だと考えておるわけでございまして、日本側から、相手側の政情がこういう状況だからしばらく見合わせるとか、あるいは中断するんだとかいうような考えは毛頭ないのでございまして、本日でも、建設的な御提案がございますれば、検討するにやぶさかでないという終始変わらない態度をとっておるわけでございます。一方、先方の政情につきましてのいろいろな御批判もございますけれども、韓国が日本を相手の交渉主体として、今問題の懸案につきまして、いろいろ世論が組織化されて参りまして、これに対して熱情を傾けてくるというような方向に事態が進展して参ることを、私どもは隣邦として、心から願っておるという状況でございます。
○戸叶武君 朝鮮側の新聞によると、金鍾泌氏が政治資金獲得のために、あの証券波動、その後において不正証券融資したものが合計四十七億二千万ホワン、昨年末の通貨量三百六十七億ホワンの約八分の一もあると取りざたされております。そういうわけで、金鍾泌氏を中心として、黒い霧が渦巻いておるのでありますが、この霧の中に、日本でも、日韓の親善という名で、あるいは池田さんの代理の方がいろいろ往来しているようですが、その中に巻き込まれるような心配はないのですか。現にああいう政治トラブルの中においては、いろいろな怪情報が流れておりますので、それを一々ここであげることはできませんけれども、そういうことになると、日韓の間に非常に不幸が起きないとも限らないのですが、池田さんはこういうことに対してはどういうふうに対処しようとしていますか。
○国務大臣(池田勇人君) 外務省の職員は行きましたが、韓国へ私の代表として行った人はございません。そしてまた、そういう韓国内におけるいろいろな新聞記事その他につきましては、私はとやかく言うことは避けたいと思います。
○戸叶武君 この日韓会談の今の当面の問題は、経済援助の問題になっておりますが、韓国の経済は御承知のように、アメリカの年間経済協力というものが二億とか三億ドルとかあって、また、国連軍の落とす金がそれに一億ドルくらいあって、そういうことによってこの貿易のアンバランスを補ってきたのでありますが、貿易は三十六年に輸入が三億五千万ドル、輸出五千万ドルないし六千万ドルというところに低迷しておって、三億ドルの輸入超過というような不均衡な状態にあるのですが、もうほんとうに韓国の経済に対してはアメリカ側でもずいぶん注ぎ込んだが、手を上げ、アメリカの会計検査院の報告でも、十数年にわたっての援助によって、専制政治家やそれを取り巻くところの腐敗政治の中に浪費されて、人民のためにならなかったというような報告すら出ているのですが、そういうことを百も承知の上で日本側は韓国に対する経済援助に乗り出しているのでしょうか。大平さんに……。
○国務大臣(大平正芳君) 韓国の経済状態につきましては、先ほど申しましたように、困難な状況にあるということは承知いたしております。今、日韓の間には通常貿易で、戸叶さん御承知のように相当の貿易が行なわれておるわけでございまして、ただいままでのところは、焦げつき債権の存在等の理由もございまして、経済協力をいたすという事情になかったわけでございます。しかし、この経済協力という問題は、アジアあるいは低開発圏に対する先進工業国日本としての責任上精力的に進めておりますことは、御案内のとおりでございますし、また、世界の先進国が低開発圏に進出しておる状況も御案内のとおりでございまして、わが国がこの情勢の進展に応じて、わが国経済の発展成長というものと見合いまして、終始傍観するわけには参らないと思うのでありまして、事態の進展に応じまして、経済協力の幅というものを拡大して参る必要はあると思うのでございます。その場合に、韓国も決して例外ではないと思うのでございまして、私どもは、そういう世界の大勢に即しまして、日本の経済協力というものがどうあるべきかという観点から、韓国に対する経済協力につきましても検討をして参らなければならないのではないかという考えのもとに、目下政府部内でこういう問題について検討中であるというのが実情でございます。
○戸叶武君 韓国の第二次五カ年計画は、昨年が第一年であり、五カ年計画の規模は資金が二十五億ドルぐらいで、外資が七億ドル、国内資本十八億ドルといわれておりますが、すなわち、外資二八%、内資七二%という割合になっておりますが、この十八億ドルの国内資本なるものは、韓国の自己資金でなくて、見返り資金と活用しての十八億ドルともいわれておりますが、韓国側では、アメリカからも援助がある、日本が経済援助さえすれば、ヨーロッパのイタリアやあるいは西ドイツ本援助してくれるというふうに宣伝しておりますが、事実はどうなっているのですか。
○政府委員(後宮虎郎君) 韓国に対する諸外国の援助でございますが、米国につきましては、各年大体二億ドル、累計二十六億ドルのグラント・ベースでもらっております。そのほかの国につきましては、今御指摘のとおり、西独から韓国に供与されました借款が三千七百五十万ドル、マルクにいたしますと約一億五千万マルク、それから最近成立いたしましたフランス、イタリアの共同の漁業借款が一億三千万ドル、これだけがアメリカ以外の借款でございます。なお、アメリカは、今のグラント・ベースの援助以外に、借款といたしまして、経済開発借款を契約ベースで大体四千七百万ドル、累計今まで与えております。
○戸叶武君 八幡製鉄の副社長の藤井丙午君なんかが行っての視察談によると、やはり新興国家の通弊ではあるが、その国の工業発展段階を無視して溶鉱炉がほしいというようなことをいっているが、日本でちゅうちょすると、それをアメリカなりあるいはほかから作ろうとしているというが、実際一国の工業の発展というようなものでも、相当順序を経ていかなければ私はスムーズにいかないと思うのですが、そういう問題に対して、アメリカ側に対しては、経済建設は軍人はしろうとです。そういう問題に対しての専門的な協力者というものはあるのですか。どこの国が一番そういう専門的に協力をしているのですか。
○国務大臣(大平正芳君) どこの国がどのように韓国の経済建設についての諮問に応じているかというようなことは、私はよく承知いたしておりません。ただ、きのうも総理が言われましたように、二千六百万のすぐれた労働力がある。しかも、教育水準は非常に高い、勤労能力、勤労意欲を十分持った韓国でございますので、えてして、北鮮に比べて自然の資源が乏しいじゃないかという御議論もございますけれども、私どもは、一本にいたしましても、スイスにいたしましても、本来自然の資源が乏しいところでございますけれども、人間の能力の開発、その動員ということによって、経済が隆々と発展いたすわけでございますので、私は、韓国の政情が安定し、経済計画が軌道に乗れば、この国の将来というものは相当見るべきものがあると評価いたしているわけでございます。したがって、韓国の経済の本質が農業経済である。したがって、あまり背伸びした工業化計画というようなものに走り過ぎますと、御指摘のような、あるいはそごが起こるかもしれませんけれども、そういうことについての判断能力というものを、私は韓国の国民はりっぱに持っているものと信じております。
○戸叶武君 韓国の朴さんのほうはもっと良心的で自分のやった政治は全部失敗であったと告白しているのですが、軍人は批判はできるけれども、現実の経済政策を左右するような政治をやって成功した例はないのです。そういう危い橋を渡っている政権を相手にして、自分たちが失敗だといっているにもかかわらず、そんな心配はないという大平さんの心臓にもあきれたものです。ところで、その心臓へ期待するのは、日米綿製品交渉に対する期待でありますが、通産省なり外務省はどうも弱腰で困るというのが世論のようですが、どういうふうにいっておりますか、見通しは……。
○国務大臣(大平正芳君) 本件につきましては、たびたび申し上げましたように、綿製品長期取りきめに基づきまして、三十八年から第一年度に入ったわけでございまして、目下のところ、日米間にはこのいわゆるジュネーブの綿製品長期取りきめというものの解釈をめぐって意見の距離があるわけでございます。同時に、品目が細分化されました等の事情によりまして、彼我の数字上につま合わないところがあるようでございますので、こういった点について目下先方の疑点をただしておるということでございます。一方、この運び方といたしましては、すでに先月もガットの委員会におきまして、もし将来、これは二国間の話し合い々続けますけれども、場合によってはあるいはガットの理事会ないしは綿業委員会等に持ち出すことあるべしという留保はいたしておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、その疑点をお互いに解消し、了解し合った上で二国間で円満な妥結をはかりたいということを基本の方針といたしまして、これは折衝中であるという状況であります。
○戸叶武君 今、大平外務大臣が言ったように、問題は、ジュネーブの国際綿製品長期取りきめに対する両国の解釈の違いというものが今度の紛糾を生んだ大きな原因です。アメリカに対してならば話し合いで何でも片づくからという、こういうゆるふん取り組み、少しふんどしがゆるんでいるのです。こういうことが問題の紛争を生む原因なんですから、今後外務省あたりも十分こういうことを繰り返して紛争々起こさないように私は慎重にやってもらいたいと思います。 次に、この貿易自由化の問題でありますが、貿易自由化の問題に関連して重政農林大臣は八条国に移行しても当分は米麦、酪農製品は自由化しない方針であるというように方針を明らかにしておりますが、その当分はというのはどこまでの当分です。
○国務大臣(重政誠之君) 米、麦のような農家の所得形成上重大な品目につきましては、現在の時点におきましては自由化をすることはできない、こう私は考えておるのであります。しからば、いつごろまで自由化ができないかという御質問でありますが、これは農家の経済、農業経営の近代化、さらにはまた国民の生活の態様、いろいろこの経済条件、社会条件、各般の条件が改善をせられまして、農家の所得に重大な形成上の影響の及ばないようになるまでは、これは自由化することはできない、こういうふうに考えております。
○戸叶武君 農家の所得に重大な影響があるのは米麦だけじゃない。政府の責任において酪農、果樹への転換を数年来指導してきて、この乳価の問題等が危機にさらされておるのですが、日本の酪農への転換というものは、数年来異常な伸びだと思うのです。その伸び率と現在における乳価の問題点を明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(重政誠之君) 現在の乳価問題は、当委員会においても私は申し述べたと思うのでありますが、農産物価格安定法によりまして、乳価の支持価格は、一升五十二円ということになっておるのであります。ところが各社がその上に、ところによって違いますが、六円なりあるいは七円なりというものの奨励金を出しておる。この奨励金の減額を一円とか二円というものをいたしたということが、これがいわゆる乳価の問題であるわけであります。そこで有権的に農林大臣としてやれますのは、一升五十二円の標準価格より下がった場合には有権的にこれはやらなければならぬ、またやることができるのでありますが、奨励金でありますから、有権的にこれをどうするというわけには参りません。参りませんが、乳価が下がるということについてはこれは相当重大なことでございますから、私といたしましては、一方において酪農製品の市価が下がっておるから、これを大蔵大臣と相談をいたしまして、二十億円の酪農製品を買い上げる、こういうことを決定いたしまして、現在これを続けておるのであります。現在のところ九割前後までこれを買い上げることができております。もうあとわずかなものであります。それによりまして、この原乳の値段をもとにしよう。つまり奨励金を——まず第一は今後この奨励金の減額をしないようにということを乳製品会社に条件をつけて約束をし、そうしてできるだけすみやかにこの減額前の奨励金の状態に復元をするようにということを強く要請をいたしておるのが現状であるわけであります。生産と需要の関係は、生産のほうは大体予定どおりに進みましたが、御承知のとおり昨年の夏季におきまして温度が低かった。それがために消費のほうが減退をいたしましたので、そこで原乳が予定以上にふえた、こういうことが原因になっておるのであります。
○戸叶武君 農民のほうは労賃の値上がりその他の理由で、生産者側として一升九十円なり百円というものを要求してきておりますが、それは全然根拠のないことじゃないんで、やはり米のように生産者所得補償方式というものが主要農作物の価格決定の上においては配慮されなければならないと思うし、諸外国どこを見ても、末端の消費者にわたる値段の半分以上の金が生産農民に渡っておるのでありまして、やはり私は農林省にその統計を早く出せということを言っておりますが、なかなかまだ統計は整備されていないのだと思いますけれども、その点を早く私は合理的な解決にもっていってもらいたいと思います。 また、酪農振興について農林大臣は、そのかぎは飼料対策だと言って草地造成のために国有林野の開放をやるのだと言っておりますが、言いっぱなしじゃ困りますが、国有林野の開放というものをどういうふうな形において具体的にやろうとしておるか、その構想を明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(重政誠之君) 御承知のとおりに、日本は七割以上山であります。でありますので、この山をいかに利用するかということは、重大な、これは農業だけではございません、日本経済全体にとっての私は問題であると思うのであります。そこで、今の酪農の問題でございますが、しばしば私が申しますとおりに、今値段のお話もございましたが、現状は、豪州なりアメリカのバター、チーズの倍に日本のバター、チーズはついておる。そうしてまた、粉乳に至っては四倍、五倍に高いのであります。これをこのまま続けていって、これをさしあたり自由化しないからといって、いつまでもそういうことが是認できるものではない。それはどうしても飼料が根本である。そのためには、国有林の開放も私は辞さない、こういう方針をとっておるのであります。しかし、国有林であるから、実際に草地の造成を、やって酪農のためにこれを使わないで、便乗をせられるものも私は相当に出てくるということをおそれまして、酪農の飼料対策としてりっぱな具体的な計画があって、その国有林の開放を必要とするというものにつきましては、私は万難を排して払い下げなりあるいは貸付なりすることを行なおうと考えておるのであります。これは現行法規で十分できます。
○戸叶武君 この飼料の問題で、ふすまなりフィシュ・ミールなり、とうもろこし、そういう輸入飼料及び価格の状況はどうなっておりますか。
○国務大臣(重政誠之君) 全般的にどうなっておるか、私はよく記憶をいたしておりませんので、これは必要があれば政府委員のほうから御答弁をさせたいと思います。
○政府委員(村田豊三君) 輸入飼料の輸入状況並びにその価格の状況でございますが、ものによりましては外割を実施中のものもございまするし、また、とうもろこしのようにすでに自由化されたものもございまするが、昨今の輸入の状況は非常に順調でございます。また、価格の変動状況につきましても、一時的に、たとえばアメリカの大豆あるいは大豆かす等、変動がございましたけれども、大体、ここ当分、価格もたいした変動がなく、順調に推移いたしております。
○戸叶武君 政府の構造改革の資金、今度は三分五厘にするのですか。近代化資金は六分五厘ですが、長期にして低利に融資をしなければ、落ち込んでおるところの農業の構造改革なり近代化というものは行なわれないと思うのですが、西ドイツや何かでは大体三分の利子になっておりますが、日本でも全体の利子をもっと下げるわけにはいきませんか。
○国務大臣(重政誠之君) 農業の投資についての金利は、農業の特殊性から考えまして、できるだけ低利長期のものが必要である、こういうふうに考えまして、特に農業構造改善事業の資金につきましては三分五厘、二十年あるいは二十五年の長期にわたる融資制度を創設をいたしたわけでありますが、しかし、西ドイツが三分でやっているから日本もそうでなければまだ足らぬではないかというような御意見のように拝聴いたしましたが、これは全般の金利水準というものを考えていただくならば、今回政府のとりましたこの長期低利の融資制度というのは、いかに思い切った制度であるか、こういうことを御了承を賜わることができると思うのであります。農業資金であるから、一般金利を全然別にして考えるということは、これはなかなかむずかしいことであります。
○戸叶武君 酪農と同様に、契約栽培になっているタバコだとか、あるいはビール麦だというものの価格問題の決定というものも、今までたばこで相当政府がもうけておったり、ビールでビール会社が非常にもうけて配当が多くなったりしていても、依然として農民が買いたたかれておるのですが、こういう問題に対して大蔵省なり農林省は、どう考えておりますか。
○国務大臣(重政誠之君) ビール麦の値段は、これはもう戸叶さんも専門家だからよく御承知のことと思うのでありますが、食管法によりまして内地の麦の値段は価格パリティ方式によってきめておるわけであります。その上に、ビール麦は、特にあるいは四百円とか五百円とかいうものを加算をしての取引になっておるわけであります。その加算をする値段をきめまするのには、御承知のとおりにビール協会というものがあっせんをして、農協側とそれから会社側との間で相談をせしめて、円満にその加算額をきめておる、こういうのが現状であるわけであります。私は決して特別にビール麦が買いたたかれておるとは考えておりません。
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおりに、たばこの小売り価格は三十五年から据え置きでございますが、その後、葉タバコ耕作者の問題につきましては、政府も党でもまたこれらの問題に対して特別委員会を作っておりますので、その実情を十分に調査をしながら収納価格の引き上げ、それからなお種類別の格差を廃止するとか、昨年度、今年度に引き続いて適切な処置をとっておりますので、大蔵省と葉タバコ耕作者の間では、現在協調的な機運でありまして、これが他の農業に比して劣勢にあるというようなことではございません。
○戸叶武君 運輸大臣に観光施設のことについて承りたいと思います。私は今まで観光収入というものをそれほど重視しておりませんでしたが、先般、久しぶりでヨーロッパ及び南北アメリカを見まして、特にイタリアやスペインあるいはオーストリア等、まあイギリスもそうですが、各地においての観光収入というのは非常にめざましいものがあり、特にイタリア、スペインにおきましては、貿易のアンバランスをこれによって是正しているという事実を知ることができたのですが、今観光関係において、運輸省におきましては、各国における観光収入はどうなっているか、その状況を説明してもらいたいと思います。
○国務大臣(綾部健太郎君) 御指摘のように、私どもといたしましても観光収入を非常に重視いたしまして、しこうしてそれにはどうすればいいかということは、しばしば各種の委員会で申しております。現在におきます観光収入の現況並びに来訪外客の概数を申し上げたいと思いますが、昭和三十七年にわが国を来訪した外客の数は約二十八万人で、これを前年に比較すると約三万人の増加で、約一二%の伸びが示されております。これを最近数年間の著しい伸びに比較すれば、やや増勢が鈍化しており、アメリカのドル防衛政策等に見られるような最近の国際競争の激化の影響が現われているのではないかと懸念されているところであります。特に明年に開かれるオリンピック東京大会の開催を控えて、わが国国際観光発展の契機ともいえる重要な時期に当たっておるところでもあり、国際観光の発展のために強力な政策を講じる必要があると考えております。なお、昭和三十七年の外客消費額は、前年に比して約一〇%増しの一億五千万ドル、邦貨に直して約五百四十億円に達しておると推定されるのであります。
○戸叶武君 第一位のイタリアにおける観光収入というのは、七億五千五百万ドルからに上っております。しかもイタリアにおけるところの観光収入の伸びというものは、前に行なわれたオリンピック開催を機会にずっと伸びてきておりまして、移民がとどまったときにおいて、イタリアにおいてこの観光収入というものが貿易の赤字をカバーしておるのですが、私は、日本の貿易というものもうんと伸ばさなくちゃならないけれども、政府が期待しているような伸びはなかなかむずかしい。しかし、このオリンピックを前にして、この観光収入——オリンピックは一時的なことでありますが、これは絶好な親善の機会だが、その受け入れ態勢というものが、道路の問題、あるいは住宅の問題、そういう点で十分またできていないと思うんですが、まあ道路の問題は河野さんがかなり積極的にやっておるので、いびきとともにその音が高くなっておりますが、(笑声)ひとつ河野さん、これはオリンピックのことだけでなく、この機会に、オリンピックの機会を逃がすとなかなか遠くのほうからわざわざ日本に来ませんから、今の道路の問題には取っ組んでおりますけれども、やはりほかの住宅の問題は若干おろそかになっているし、それからもっと観光施設というものが、ローマにおいてもウィーンにおいても、一週間程度は落ちついてみんながとどまれるような、交響楽団だとか、あるいはバレーだとか、あるいは博物館だとか、美術館だとか、そういうもののしっかりしたものが作られているんですが、日本ではそういうものがもう少し足りないと思うんですけれども、日本のような古い歴史があり、またいろんな美術品なんかもあるところで、上野の博物館程度のしみったれな博物館やあの美術館では、どうにもならないと思うんですが、そういう問題に対しては、これは文部大臣よりもむしろ総理大臣に聞きたいと思うんですが、ひとつ河野さんと池田さんあたりが力を入れれば、少しは変わると思いますから、御両人から答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。第一にオリンピックに関係の道路につきましては、これは非常に順序よく進んでおりまして、おおむね明年の三月までにはほとんど完成する予定でおります、一部は明後年に残りますけれども。ただ多少心配いたしますのは、東京都関係の分で多少延びておるものがありますけれども、これも鋭意努力いたしまして、オリンピック開催までには完全に東京都の道路を、オリンピック関係に関する限り、整備しようというつもりでおります。さらに住宅につきましても、今ごらんいただいておりまする青山の通り等につきましては、一応その表面に出ましたものは整備ができるのじゃないかと思っておりますが、なかなかこまかく表通りが各地とも分かれております関係から、これらに特別の法律の整備や何かいたしませんと、うまく進んで参らぬことは遺憾でございます。 今お話のオリンピックを契機にして、外客誘致のために特別の整備ということでございますが、何分万事におくれがちになっておりますので、せめてこの程度まではというところまでいくのに骨折っているようなわけでございます。でも、ただいまお話しになりましたような設備といたしましては、国立劇場はすでに設計も各方面の協力を得まして、二百数十点の優秀な設計が集まっておりますので、これを至急整理して、もし間に合うようにできれば建てたいものだと思っております。それから国際会議場につきましても、ぜひそのころまでに、京都を中心にしてひとつりっぱな国際会議場を建てようというようなことで、できるだけは努力をいたしておるつもりでございます。まあこれはひとつ御注意ございましたらば承りまして努力することにいたします。
○戸叶武君 これはやはり総理大臣にお聞きしたいと思いますが、私は、もう観光という観念が、昔のように金持が方々を見物していくというよりは、大衆の時代に移ったと思うのです。私たちもイタリアの観光というものはアメリカのドル目当てかと思いましたが、必ずしもそうでないので、もう中央ヨーロッパ、北欧等から、夏になるとなだれを打ってやはり南欧の光を求めて、一年稼いでそして夏はからだを鍛えていこうというので、家族連れの自動車が陸続として参るというのですが、そういうふうに、日本の国内においても観光というものがもう金持の有閑階級というのじゃなくて、よく働きよく楽しむという形で大衆の手に移ったと思うのです。そういう点においてユース・ホステル施設というようなものも相当伸びてきたようですが、それと同時に、やはり外国のお客を一週間なり十日なり、ぐっと落ちついてとどめていくのには、落ちついて日本を研究しよう、あるいは見ようというような人たちの足をとどめるような施設、博物館なり美術館なりあるいは音楽館なり、そういうものがしっかりしたものができてこなくちゃいけないと思うのです。総理大臣はどういうふうに見ておりますか。
○国務大臣(池田勇人君) この問題は戸叶さんと全く同じ意見でございます。昨日も答えましたごとく、もう観光というものは金持のあれでなしに、大衆のあれである。これは道路問題、自動車の問題等々、オリンピックを控えまして、さしむきホテルの問題は相当進捗して参りました。今ではホテルは外国に比べまして最近の分は決して遜色ない。しかも相当またオリンピックまでに計画も進んでおるようでございます。一年前よりもよほどよくなったと思います。また美術館等につきましても、私は以前から非常に力を入れておりました。文部省の買い上げなんかの予算もふやしております。何と申しましてもやはり一週間ぐらい滞在するということになれば、美術館、博物館はぜひ必要なんであります。ただ、日本では割りにばらばらになっておる。美術の点でありますと、私はやはり京都、奈良のほうが相当外国人の口を引く関係もありますので、たいへん懸案でありました平城宮の問題も私は数十億円要ると思いますが、三十八年度から計画いたしまして、平城宮の整備、発掘等をいたしまして、そして奈良の飛鳥時代、昔の日本の遺跡を世界の人に紹介するということは、非常に観光事業としてもいいことだ、こう考えまして、できるだけ力を入れておる次第でございます。
○戸叶武君 交通戦争といわれるこの時代がきて、水の飢饉やら交通戦争で多くの人が悩んでいるようですが、自動車が町にはんらんし、道ばたにずいぶん置かれているというのは、これは日本だけのことではなくて、もう世界的な現象になってきていると思うのです。これは不幸なことですが、非常にみんな大衆が、やはり家の中にたんすなり洋服、たんすなんか十分整備されてなくても、テレビなり自動車だけは必要だというような工合で、そういうふうになってきていると思いますのですが、各国でやはりこの洪水のような新しい時代に対応して、道路の問題には非常に取っ組んでいるのですが、きのう青木さんが道路の問題を専門に言われましたし、重複して言う必要はないと思いますけれども、今の政治というものが現実の流れに置き去りを食って、そして動きのとれない状態になっている。東京の道路のようなのがやはり池田さんの政治——池田さんと言っちゃ悪いが、やはりそういう状態になっているのじゃないか。もっとも私は政治家が見通しをつけ、もっと計画性を持ち、十年なんというのんきなことは言っていられないので、もう二年、三年ずつでも切りかえて、長期の見通しは十年立てても、やはり時代に即応するような政治を動かしていかなければならないのだと思いますが、経済企画庁長官も、このごろは見通しを誤ったから少しいろいろな訂正をするというような、高姿勢からまず少し柔軟な方向へきたようですが、私は池田内閣はもっとやはり政泊の中に企画性を持ち、そして重点的に……。まあ河野さんなんかの評判がいいのは——河野さんはなかなか敵があって評判悪いところがあるが——われわれの評判がいいのは、思い切っててきぱきやる、この決意というものを私はやはり持たなければだめになると思いますが、ひとつ経済企画庁長官、頭のいいところで、池田内閣は頭だけじゃなく、どうやって今度はこの行き詰まりを打開するかというのに意見を……。
○国務大臣(宮澤喜一君) 経済計画に限って申し上げるつもりでございますが、私どもが立てました計画にこだわるというような気持はむろんございませんし、また計画の持っております本来的な制約もよく知っておるつもりでございます。ただ、国民経済に目標を与えるといったようなことは有用なことでございますから、一つの目標を掲げまして、それに向かって政府の施策が進んでいく、また一般の国民の経済活動もそうあっていただきたいといったような、そういう意味での目標を掲げることはいたしております。政府自身としては、その目標達成のために、そのつどの施策を、それに沿いますようにやって参っておるつもりでありますし、またやって参るつもりであります。一度目標を立てたからといって、時代がそれと離れてしまっても、なおその目標にこだわるという考え方は従来もいたさなかったつもりでございますが、これからもいたすつもりはございません。
○戸叶武君 最後に、池田さんにお尋ねします。私はやはり近代政治というものは、ナショナル・ガバメントを通じてもっと強力な企画性と、てきぱきものをやっていくところの能力を持っていかなければいけないのじゃないかと思いますが、池田内閣に私はそれを要望すると同時に、どっちかといえば、やはり資本の蓄積ということだけに重点を置いて、少数者の、税制その他においても、保護に傾いておるようですが、もっと私は大衆を信頼しなければだめだと思います。エアハルト氏が言っているように、大衆の生産力、大衆の購買力というものが国民経済を拡大していくところの基礎だと私たちは思うのでありまして、その点においては高度経済成長ということが私たちは必ずしも悪いとは思わないのですけれども、それによって出てきたところのもろもろの欠陥というものを是正して、池田内閣の国内政治というものを私はもっと転換していくべきであるというのが一つ。 それからもう一つは、やっぱり中国問題です。池田さんは、やはりアメリカから若干文句は出ても、ソ連や中国に対する貿易は進めようという非常に用意周到であるが、やはり信念は曲げていないようですが、それたけでなく、私はアメリカは言えばわかる国民だと思います。アメリカに対する誤解は非常に強いと思いますけれども、それはやはりアメリカの権威に押されて、アメリカに真実のことを訴える見識と勇気を各国の指導者が欠いているからでございます。それと同時に、中国の問題ソ連とのいきさつというものは、私は終戦まぎわのヤルタ密秘協定以来、外蒙の主権というものを奪って独立して以来、やはり深い根があると私は見ておるのでありまして、ソ連と中共と対立するということも不幸なことですけれども、今のようにアメリカの偏見とソ連の考え方だけでもって何か中国はあぶない危険な指導者に満ちているというような見方、断定をしないで、やはり国際社会に窓を開いてくることが大切で、ナポレオンがやった大陸封鎖というものがナポレオンを自滅させたように、アメリカがキューバをいじめ過ぎているからキューバにかみつかれるのであって、窮鼠ネコをかむというような形で手こずっているのだと思いますが、やはり中国を国際社会のあるべき地位につけてやるということなしには、アジアの平和なり安定というものはできない。六億五千万からの中国人民を除いてアジア問題を解決することはできないし、特に核兵器を持ってからだと、なかなかむずかしい問題も起きると思いますが、私は、日本がほんとうに中国問題を片づけて、そうして日本と中国との立場は違うけれども、融合という実績を通じて、やはりアメリカなり西欧社会との結びつきをやるということが大切じゃないか、そういうふうな、重荷に過ぎて、なかなか現実はむずかしいかもしれませんけれども、むずかしいことを開いていくというものが政治家で、池田さんももうずいぶん人相からいっても、前からいうとずいぶんよくなった。人相のことを言っちゃ悪いけれども(笑声)やはり風格が出てきたと思う。これからあとは、私は歴史に残るような記録を作っていくということが政治家としてのほんとうの面目だと思うのです。政治家の生命は見識だし、政治家の残していかなければならないのは経綸だし、その自分の足跡を通じて歴史を作るということが、やはり大政治家として一つの信念でなければならないと思うのですが、この問題に対して、特に池田さんは、この行き詰まった、日本だけじゃない、世界の外交における日本の役割というものを、もっと明確に私は御説明願いたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 政治の目標は、一般国民大衆の生活水準の向上、また雇用の増大である。それに向かって私は進んでおるのであります。ただ税制の問題等々につきましても誤解があることは遺憾でございます。私のやっておる経済政治政策は、私は一貫して今申し上げた方向で行なっております。 それから外交問題につきましては、もちろん理想と理念をはずしてはいけません。しかし、理想と理念に走り過ぎて現実の問題を処理することなしに、現実を無視するようなことであったならば、その理念、理想は実現しない。だから、理想に向かって現実を十分見きわめながらやっていくことが、私は政治家のとるべき策と思います。ことに外交におきましては、そういうふうに考えていかなければならぬと思っております。
○委員長(木内四郎君) 戸叶君の質疑は終了いたしました。 暫時休憩いたしまして、午後二時から再開いたします。 午後一時一十分休憩 —————・————— 午後二時十四分開会
○委員長(木内四郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を行ないます。下村定君。
○下村定君 配当されました時間の関係上、私は主として国の防衛に関する問題につきまして、総理大臣そのほか関係諸大臣の御答弁願います。お断わりをいたしておきますが、防衛庁長官は間もなく御退席になります。外務大臣はお見えになっておりません。したがって、私の質問を予定しました順序に狭いができました。また、御答弁のほうでも御都合が悪いと思います。しかし、全般の状況上やむを得ませんからその範囲でいたします。つきましては、質問のある点では、所管の大臣を通り越していきなり総理大臣にお伺いすることもあろうかと思います。この点は御了承願います。それから外務大臣の御不在中は、ひとつ政務次官または関係政府委員の方から御答弁を願います。 池田総理大臣は、昨年、通常国会の劈頭における施政方針演説で次のようなことを述べられております。それは、「変転する国際情勢に対処して、わが国の安全を保障することは、政府に課せられた至大な責任である」ということを仰せられております。その意味で、最近における国際情勢、なかんずく昨年のキューバ事件及び中印紛争の以後における列国の関係を見ますと、列国間の関係は非常に複雑な様相を呈しております。たとえば、ソ連が核実験停止問題、それから、ベルリンの問題などについて妥協的と見られるような態度も示しております。また、中ソ両国間における論争が激化しております。そのほかナッソー協定、フランスと西ドイツとの間における協力条約の成立、ドゴールの米英に対する態度の硬化及び東アジア諸国の現状など、日本として対岸の火災視することのできない事態が続々発生しております。これらを一々この席で取り上げて検討いたしますことは時間が許しませんから、私は質問の中で、特に日本の安全保障に直接に影響すると思う二、三の点にとどめることにいたします。 その第一は、ソ連はキューバ事件の失敗によりまして一大打撃を受けました。西方陣営の優位を確認せざるを得なくなったと思います。中共もまたインド攻撃によりまして世界の信用を失墜いたしました。これがために、この両国は世界共産革命の目的を放棄するとは考えられませんが、今後いかなる戦略をとるでありましょうか。また、その戦略は主として世界のいかなる地域を目標として指向せられるでありましょうか。これについて外務大臣の御意見を伺いたいのでありますが、御不在でございますから、これはかねがね御研究になっておると思いますので、係の方から御答弁を願います。
○政府委員(法眼晋作君) 大臣が参りませんので、欧亜局長でございますが、お答えいたしたいと思います。 これは端的に申してわからないことでございます。が、しかしながら、現在までの実績から見ますると、たとえば核実験停止問題につきましても、御承知のごとく、これは画数その他について意見が合わぬという状況でございまして、ソ連はいささかも譲る状況を示しておりません。したがいまして、今後いかに出てくるかということは、これは判断のほかないわけでございますが、われわれの見るところでは、やはり従来どおりそう簡単に譲るということはないのではなかろうか。核実験問題、あらゆる問題についても従来のスタンドを保ちながら、その間、西欧陣営の出方を見て進んでくると、かように解釈いたしておるわけでございます。
○下村定君 この冷たい戦争の動向ということについてはいかがでありますか。また、先ほどお尋ねしました中ソ両国間の論争、この点にはいかなる御判断をお持ちになっておりますか。
○政府委員(法眼晋作君) 冷戦につきましては、これはやはり依然としてわれわれは続いていくのではなかろうかというふうに見ているわけでございます。なるほどソ連はキューバ問題では後退いたしましたけれども、その後いささかも譲る状況を示しておりません。ただ、御指摘のごとく力の関係が天下の前に幾らか劣っておるということが明白になりましたから、ベルリン問題その他についても現在は相当静かにいたしておりますけれども、これがはたして譲るかどうか。静かにしていますけれども、主張はちっとも変わっておらぬというような状況であります。でありますから、冷戦が続いていくというふうにわれわれは見るわけでございます。御指摘のその他の点につきましても、われわれはやはりこれは従来の観測を変える必要なし、こう見ております。 中ソ問題につきましては、これは私は中ソ間の意見の懸隔と申しますものは非常に強いので、現在の両方の意見の相違はなかなかこれは妥協できないのではなかろうか、こう見ております。でありますから、共産主義でありますから、終局の目標については私は一致しておると思いますが、二国間の問題としてはなかなか解決しない。今後とも長い期間、中ソ閥の論争というものは続いていく、かように解決いたすものでございます。
○下村定君 次は軍縮問題であります。多年の懸案でありますところの軍縮の問題は、世界各国の熱望に反しまして一向に進展を見せません。のみならず、かえって反対の方向に進む傾向すら認められております。一例を本年度におけるおもなる国の国防費について見ますというと、いずれも増額を示しております。米国及びソ連におきましては、平時の国防予算として今までに比べて最大の額を示しておるのであります。ことにソ連が、外に向かって平和共存を強調し、国内には平和産業の不振、労働人口の不足という悩みを持ちながら、なおかつ軍備の拡充に努めておることは、これは注目すべき事態ではなかろうかと思います。そこで、かくのごとき傾向を生み出しております原因、それから各国がやむを得ず国防費の増額をあえてしておるわけにつきまして、防衛庁長官と外務当局の御答弁をお願いします。
○国務大臣(志賀健次郎君) 各国の防衛費の増大は、その原因はいろいろあろうと思いまするが、ただいま先生から御指摘になりましたやはり軍縮会議の前途がきわめて悲観的であるということなどが第一の理由ではなかろうかと思うのであります。さらにまた、今日の国連が世界平和の維持の機能を完全に果たし得るかどうか、こういう問題等も一つの理由となって、各国がそれぞれ国力に応じた防衛費の増額をいたしているのではなかろうかと私は考えるのであります。さらにまた、科学の異常な発達によりまして今日の戦争の様相というものは非常に複雑化しておりまして、これらを加わりまして各国の防衛費が増大しつつあるのではなかろうかと私は考えておるのであります。
○下村定君 次に、私は核兵器を含む兵器体系——体系は、体はからだの体、系は系図とか系統とかいう系——兵器体系の世界的の傾向につきまして防衛長官の御観察を拝聴したいと存じます。ただし、元来、核兵器は、戦争が発生しました場合に敵に致命的打撃を与える兵器として、従来、米ソ両国の間にその充実改新についていわゆるシーン・ゲームが続けられ、その結果が、はからずも戦争を防止するための一つのブレーキになったと思うのでありますが、最近、米国その他におきましては、通常兵器を重視する傾向が、従来よりも一そう強く現われていると思います。現に米国の国防予算におきましては、戦略的の報復力、言葉をかえて申しますならば、戦略用核兵力の整備に充当する費額が二兆六千二百八十億円、これに対して一般兵力を整備するための費額は六兆八千七百七十億円、すなわち前者の二・六倍を計上しております。ソ連におきましても、労働人口の不足に悩みながらも、先年、ソ連みずから公言しました陸上兵力の大幅な削減を実行しておりません。のみならず、このごろは婦人を軍隊に編入する措置すら講じております。これに対する長官の御意見を飼いたい。
○国務大臣(志賀健次郎君) 今日、世界で核兵器と通常兵器を装備いたしておりますのは、御承知のとおりアメリカとソ連でございます。従来、これ以外の国としては通常兵器を中心に装備いたして参っているのでありますが、最近の傾向として、核兵器をも装備するように相なっているのが目立つ傾向でございます。しかしながら、通常兵器はただいま仰せのとおり、きわめて重要な地位を占めておりまして、わが国は、世界戦争、こうした全面的な戦争というものをわれわれは考えておりません、そういう立場に立って第二次防衛力整備計画を推進いたしているのでありまして、わが国としては、あくまでも通常兵器の装備の刷新、またその強化に最善の努力をいたして参りたいと思っている次第であります。 —————————————
○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。赤松常子君が辞任され、その補欠として田畑金光君が選任されました。 —————————————
○下村定君 次に私は、最近における東アジアの情勢、ラオス、ベトナム、インドネシアの現状、それから英領ボルネオをめぐるイギリス、マライ、フィリピン、インドネシア間の紛争、こういう東アジアの情勢、それからこれらの推移に関する見通し、特にそれが東洋の平和、ひいて日本自体の安全に及ぼす影響につきまして、防衛庁長官並びに外務当局のお答えを願います。
○国務大臣(志賀健次郎君) 東南アジア、特に南ベトナム、それからインドにおきまする中共との国境紛争をめぐる問題、これらをあげてみましても、東南アジアの軍事情勢はきわめて不安定であることは、われわれも承知いたしているところでございます。しかしながら、このような状況が東南アジアにありましても、これが今直ちに直接にわが国の安全に影響するとわれわれは考えておりません。しかしながら、手放しでわれわれが楽観しているということではなしに、これらの情勢の推移は、きわめて慎重に用意深く見守っているところでございます。
○下村定君 今例にあげました地域は、日米安全保障条約では、その成立当時における政府の見解といたしまして、同条約の中にうたわれております極東の範囲外と解釈されております。もし不幸にしてこれらの地域が共産化するとしますと、東洋における自由陣営の第一線諸国は直接の脅威を受ける。長官のお言葉ではございますが、日本に対する影響も少からぬものがあると私は考えます。私は特に伺いたいことは、これに対してアメリカがどういう対策を講ずるか、また、これに対して日本として考慮すべきことはないだろうか、その点をいま一度御答弁願います。
○国務大臣(志賀健次郎君) アメリカといたしましては、これらの地域におきます共産勢力の進出については、きわめて重視しているものと私は考えております。しかしながら、アメリカが、どのような具体的な措置を講ずるかにつきましては、私の承知するところではございません。
○下村定君 外務当局の御答弁を願います。
○政府委員(後宮虎郎君) 今防衛庁長官から御答弁がございましたんでございますが、東南アジアにおきましては、ラオス、ベトナムの状況も一段落、それから中印国境紛争にいたしましても、武力的には、一応小安定を保っておりますが、米国といたしましては特にベトナム、タイの線におきまして東南アジアに、これ以上中共——共産勢力が武力的に進出してくるのを防ぐたてとして、保障として、これに立ち向かうという態勢をとっております。で、わが国といたしましては、憲法上その他の制約がございますので、直接武力によって、東南アジアに対する共産勢力の浸透を防ぐということをなし得る立場にございませんので、主として経済協力、技術協力等の面におきまして、各当事国の経済情勢、社会情勢を改善することによって、共産勢力が浸透してくる措置を防止する素地を養成すると、そういう基本的な方策をもって立ち向かっている状況であります。
○下村定君 私は、実は特に南ベトナムの形勢あたりは、これはアメリカが、よほど力を入れないというと、あぶないという感じを持っておるのでありますが、この席で議論する時間がございませんから、次に進みます。 核兵器の実験停止交渉の成り行き、さらに核兵器の全面的禁止の可能性につきまして、防衛庁長官並びに外務当局の御意見を伺いたいと存じます。
○国務大臣(志賀健次郎君) 核兵器の実験停止の協定、あるいは全面的禁止の問題は、きわめてこれは困難な将来を持っておると思います。われわれといたしましては、一日もすみやかに協定が結ばれ、また全面的に禁止されることを願うのでございまするが、まあ現に、現時点におきましては、きわめて困難な状況にあると認識をいたしておるのであります。
○下村定君 実験停止の問題につきましては、幾分か明るくなったような気がいたしますが、それがある程度協定されるとしましても、この全面的の禁止は、よほどむずかしいのではないかと思います。そういう状況で、憲法問題は別にいたしまして、現在日本政府のおとりになっておる政策が、はたして将来押し通せるかどうか、その点について、私は実は少し疑問を持ちます。その点をお答え願います。
○国務大臣(志賀健次郎君) まあ、ただいまの御質問は、いろいろな問題を含んでおると思うのでございますが、少なくともわが国の防衛は、アメリカとの間の安保体制を背景として、これが確立いたしております。 したがって、安保体制におきましては、もしも日本が核兵器によって攻撃を受けるような脅威がある場合は、アメリカの核抑制力に、われわれが依存するという建前をとっておるのであります。したがって、われわれは、よその国の核兵力に対して、何らの措置を持っておりません。ただ、われわれは、先ほど申し上げましたように通常兵器を、さらにこれを刷新、まあ強化充実して参るというのが第二次防衛が整備計画の精神である、また、今後この方針で進むつもりでございます。
○下村定君 冒頭にお断わりしましたように、質問の順序が多少悪いのでございますが、防衛庁長官お忙しいようでございますから、ひとつ飛ばして、国際情勢以外のことについてお伺いしたいと思います。 防衛庁長官も総理大臣も、本国会におきまして、防衛力の自主的整備ということを言明せられております。このことは諸般の情勢から見まして、私は適時適切な御発言だと存じております。しかしながら、この実行の方針及び構想は、いかなるものでありましょうか、また所要経費の点で、財政当局とどれだけの御連絡がありますのか、これをまず伺いたいと思います。
○国務大臣(志賀健次郎君) 自主的防衛力の整備につきましては、たびたび申し上げておるのでありまして、われわれといたしましては、日本の経済力の発展に見合って、また、日本の科学技術の能力の範囲内において、極力装備の国産化を進めまして、自主的にわが国の防衛を充足して参りたいというのが、私どもの考えておる自主防衛の思想であります、考え方でございます。
○下村定君 ただいまのお答えは、一応わかりますけれども、日本の直面しております情勢は、必ずしもこれまでのことをやるだけというのでは十分でないように思うのであります。現に、きょう配付されました第二次防衛計画の中に、こういうことが書いてあります。「計画実施に際しては、内外情勢の推移等に伴って、戦略構想等に基づき、長期的見通しに留意しつつ、随時再検討せられるものとし、必要ある場合はすみやかにこれを修正する。」ということが書いてあります。また、防衛庁長官は、第三次防衛計画は、全然考えていないという御発言もあったようです、その関連性はいかがでございますか。
○国務大臣(志賀健次郎君) これも、何度もお話し申し上げておるのでありますが、第二次防衛力整備計画は、ちょうど初年度が終わろうとしておる現在でございまして、その際、第三次防をどうするか、あるいはどういう構想でいくかということは考えておらないということでございます。お話のとおり、われわれはあらゆる国際情勢の動きなどを常に念頭に置きまして、将来のことを考えておるのでございます。私は、いずれは第三次防の策定にもとりかからなければならぬと思っておりまするが、現段階におきましては、具体的に第三次防にとりかかるまでに立ち至っておらないということを申し上げておるのでありまして、決して第二次防のあとは全然白紙であって、何も考えておらないという不勉強ではないのであります。長期に、ものを考え、世界情勢なり、あるいはまた最近の軍事科学の非常な発達なども常に勉強いたしつつある際でありまして、決して長期的に全然考えておらないということではないのでありまして、その点御了承を賜わりたいのであります。
○下村定君 多分そうだろうと思いましたが、第二次防衛計画は、あと三年で終わるのであります。それから先、今から申しまして七、八年後ごろのことを考えますと、相当、日本として考えなければならぬことがあると思うのでございます。 第一に、アメリカの軍事援助は、そのころになりましたらば、おそらくゼロか、そうでなければ非常に大きな削減が加えられると思います。それから宇宙開発技術は、まだ軍用の直接の研究はされていないようでありますけれども、これも決して楽観を許しません。それから、人の乗っておる飛行機とミサイルとの転換、それから、従来の火砲とロケットとの転換、こういう兵器の面におきましても、私はもう第二次防衛計画が終わるころには、よほど変化が起こると予想するものであります。 それから、日米安全保障条約でありますが、これは今言葉が悪いかもしませんけれども、私は、汽車の割引乗車をしているような形で日本がおる。日本の国力の発展に伴いまして、いつまでもこういう状態は許されないと思う。この条約は、今から七年たちますと期限が切れますが、そのときのことは、今から考えても、すでにおそいのじゃないかという感じがするのであります。そういう点から見まして、計画の具体的なことは、それはできませんでしょうけれども、必要なデータを集めて、今長官が仰せになりましたように、着々準備しなければならぬと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(志賀健次郎君) 非常にとうとい示唆でございまして、私ども常に心がけて、変転する国際情勢と、これに関連しての軍事科学の将来などについて、万遺憾なく調査を進めて、やがては第三次防を策定しなければならぬ時期に参るのでございまするから、それらに備えたいと心得ておる次第でございます。
○下村定君 長官は、お急ぎのようでございますから、前段の質問は、これで打ち切ります。 これから総理大臣にひとつお伺いしたいと思います。外務大臣はおいでになりませんけれども、これまでの御答弁を聞いておりますと、私は大体、次のようなことになるんじゃないかと思います。これは総理大臣から、まず御意見を伺いたいのでありますけれども、時間の節約上、私のほうから申し上げますから、その一つ一つについて、御答弁をわずらわしたいと存じます。 その第一は、東西両陣営の対立から生じます冷戦は、依然激化するであろう。それから、そのほかに、各国間の利害衝突から起こりますところの紛争は、今後も随所に起こるだろうと思います。これらの勢いのおもむくところは、局地的な武力戦争の発生も、また、まぬがれがたいと存ずるのであります。ソ連、中共の世界戦略のことは、先ほど、ある程度御答弁がありましたが、率直に申しまして、日本は、この共産陣営からねらわれておる主要な目標の一つであろうと思うのでございます。まず、それだけを。
○国務大臣(池田勇人君) 東西の冷戦が激化するであろうということにつきましては、私は必ずしもそう考えません。私はこれが、冷戦がおさまるとも考えませんが、激化するとも私は考えていないのであります。そうしてまた、局地戦争が随所に起こるだろうということも、私はそういうことはだんだん起こらないように、各国が努力すべきであり、そういうふうに激化するとは見ておりません。いろいろな、今のお話のように、ラオスの問題、南ベトナムの問題はありますが、私はラオスの問題も、やはり今のところ、平穏にいっておりますし、また南ベトナムのベトコンの問題も、アメリカの対策は、かなり効を奏しておると思っております。また、北ボルネオに関しまするマレーシア、あるいはインドネシア、フィリピンの問題もございますけれども、これが局地戦争とか何とかいうふうには考えておりません。私は、お互いの努力で平和的にゆくことを念願しておるのであります。 しこうして、日本が共産圏の国によってねらわれているというふうにお話になりますが、私は、ねらわれているかどうかはわかりませんが、われわれは他国がどう考えようと、日本政府としては、日本の安全を確保する、こういうことで進んでいきたいと考えます。
○下村定君 冷い戦争の成り行きにつきましては、先ほどソ連、中共の世界戦略ということについての問答が意を尽くしませんでしたから、私のお尋ねねの仕方も悪かったかもしれません。またこれは、言葉では、ちょっと言い表わせないものもありますので、時間があれば、もう少し具体的にお伺いをし、私も申し上げたいんですが、それはそれとしまして、日本が共産陣営からねらわれているということは、これはもう日本としては非常ないやなことで、また、こういう席で私は言いたくありません。ありませんけれども、ヨーロッパと比較しますというと、これはヨーロッパのほうは非常にかたいのであります。日本は、今後ソ連がとろうと思われますところのいわゆる冷戦、謀略戦、武力以外の戦争をもってする闘争手段、これに対しては、申すまでもなく経験がありませんために非常な弱点を持っております。しかも日本は、これを手に入れましたときには、非常な戦略上にも経済上にも、重要な価値のある国でありますから、それは言いたくありませんけれども、この点は私は、総理の意向とちょっと違うわけであります。 それはそれとしまして、次に友邦諸国との間における集団防衛の態勢は、国連の事情から見ましても、今後ますますこれを強化する必要があろうかと思います。これがためには、各国は、それぞれ自分の国を防衛するために必要な体制を十分に整えるとともに、その国の国力、国情に応じまして、戦争を防止するための国際的義務を果たす用意がなければならぬと思います。この点についてお伺いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) お話のとおりで、最近は国連の世界平和確保に対します実力ができるまでは、お互いに集団安全保障の形式で自国の安全をはかっておるのであります。私は当分これが続いていくことであり、また集団安全保障をとっているから人まかせにというわけにも参りません。また、そうすべきでもないことは、先ほど来の話のとおりであります。日本は、安全保障条約のもとに、自国の防衛を確保すると同時に、局地戦争並びに世界的な戦争が起こらないように、国連を通じまして、あらゆる努力をいたすべきだと思います。
○下村定君 この東アジアにおける形勢、共産主義勢力の浸透、これにつきましては、先ほどの御答弁では、私と少しニュアンスが違うように思うので、私はもう少し——もう少しではありません、大いに重視しているわけです。この点は、総理は何とお考えになりますか。
○国務大臣(池田勇人君) これは見方でございますが、今のラオスの問題は、国際的な協定がございます。三派がいろいろまだ勢力争いをしておるようでございますが、一応、安定していると見てよろしゅうございましょう。南ベトナムの点は、今やベトコンの侵略ばっこは、最近は、かなり押えられたように存じておるのであります。しこうして、その他の国につきましての各国の共産主義の状況は、違っております。違っておりますが、私が今、ここで国別に、共産主義の浸透がどうであるとか、こうであるとかと言うことは差控えたいと思います。日本がねらわれているというようなお話でございますが、そのことにつきましても、日本の人は、ヨーロッパの人ほど共産主義の実態を知らぬということは、はっきりしています。そういう点が御心配の点はあると思う。ヨーロッパでは、共産主義というものは、いかなるものかということをはっきり知っておるのでございます。ソ連の共産主義は、どういうものであるかということをはっきり知っておりますが、日本の国民は、そういうことに割に無関心のようであることは私は認めておりますが、かるがゆえに、日本がねらわれているということを、私としては申し上げるわけにはいきません。
○下村定君 もう一つ、総理大臣にお伺いいたします。核兵器の全面的禁止を含む軍縮の諸問題を抜本的に解決することは、残念ながら、まだ相当の時間を要するのじゃないかというふうに思います。各国は、こういう状態のもとにますます軍縮について努力を続けると同時に、その兵器体系におきましては、このような悲しむべき現実に深き考慮を加えまして、一方において通常兵器をもってする装備の刷新に努力する必要があると存じますが、いかがでございますか。
○国務大臣(池田勇人君) これは必要性の問題と現実の問題とに分けて考えたいと思います。現実の問題は、そういう方向に進んでおります。しかして、そういう方向に進んでおりますからこそ、軍縮問題が非常にやかましく、それに対して熱が上がってくるのであります。現実の問題としては、なかなか軍縮ということは、今の状態では困難でございますが、困難であるだけ核兵器その他をまず実験禁止から全廃に持っていこうという努力があるわけでございます。だから、私は、現実の問題として悪い方向にばっかりいっているとは思わない。そういうのが将来の軍縮の一つのかてにもなり、また手段にもなると私は見ているのであります。
○下村定君 国際情勢の研究としては、今までのことだけでは、むろん意を尽くしておりません。ことに、私は経済問題には一つも触れませんでしたから十分ではありませんけれども、大体ただいままで伺いました御答弁を基調としまして、これからわが国防のあり方につきましての質問に移りたいと思います。 その第一は、国防に関する基本的な計画についてであります。世界戦略の動向が変わってきつつあるということ、そのほか従来は武力の戦争が主体でありましたが、現在の世界戦略は武力ばかりじゃない、むしろそのほか、武力以外の戦闘手段によることが多いのであります。国防と申しますことも、これは依然武力が主体にしましても、政治の各部門にわたって計画をされなければならぬ。また、時間的に申しましても、その場限りでなく、相当長い見通しを持ってやらなきゃならぬという感じを持っておる次第でございます。そういう見地から、日本の現在の国防に関する基本方策を見てみますと、現在日本で国防に関する施策の基本となっております計画は、第一が昭和三十二年に作られました国防基本方針、それと三十六年に決定されました第二次防衛力整備計画があるのみであります。国防基本方針のほうは、きわめて抽象的なものでありまして、それが作られました当時としてはやむを得なかったかもしれませんが、先刻来検討いたしました世界戦略の動向に対して考慮が欠けておると思います。なお、その方針の中には、自衛隊の整備ということについては、合理的な規定がありますけれども、そのほかの点については、何らよるべき根拠がないと私は見ております。 次に、第二次防衛計画は、単に自衛隊の物質的な面だけにおける整備、漸増、これを五カ年間にわたって計画されておるのでありまして、これに関連する内政上の部門、たとえば産業経済、科学技術、国土建設等の施策については、他に何らの具体的計画はございません。これは非常に失礼な申し分かもしれませんが、ざっくばらんに申しますと、現在の日本の国防に対して基本的な計画というものは、今申しました簡単な、時代おくれな国防基本方針があるだけでありまして、あとは防衛庁におまかせになっておる。むろん予算の面等については、大蔵省が関与されていますが、それ以外のほかの各省庁は、われ関せずえんというふうに言われてもいたし方ないではあるまいか。また、防衛庁長官は十年間に十八人もおかわりになっております。こういう点から見まして、どうも今の日本の国防の基本となるべき計画は不備であると私は考えるのでございます。一面から申しまして、こういう状態ではシビル・コントロールということは完全に行なわれますかどうか。これを私は疑問を持っております。その点について防衛庁長官の御意見を伺いたい。
○国務大臣(志賀健次郎君) 国防方針が昭和三十二年に決定せられて、ほこりをかぶったままでただ漫然としておるものではなかろうかというようなお話、それからシビリアン・コントロールがはたして行なわれるかどうかという御懸念についてのお尋ねでございますが、私は今日われわれが防衛計画の中心と考えておりまする昭和三十二年に決定をみました国防方針は、きわめてりっぱなものと考えております。この国防方針に基づいて、先ほど申し上げましたように、変転する世界情勢あるいは軍事科学の発達等にわれわれが勉強して参ればよろしいのでありまして、国防方針を一々これを変更する必要はないのではなかろうかと私は考えておるのであります。 また、シビリアン・コントロールの問題でございますが、いずれにしましても、日本の防衛力が整備せられましてから日も浅いことでございまして、いろいろな問題はございましょうけれども、今日シビリアン・コントロールが完全に行なわれておると私は信じておる。また、私はその最高の責任者でございまするから、今後もりっぱにシビリアン・コントロールを推進して参りたいと考えておる次第でございます。
○下村定君 防衛庁長官のただいまの仰せのとおり、私は文章としては現在の国防基本方針というものはりっぱなものだと思います。先ほど申し上げましたとおり、あの当時はあれしか言えなかったと思いますが、何しろ幅が狭いのであります。そこが私の申し上げたいところです。このことにつきましては、私は岸内閣時代から毎年の予算委員会そのほか、機会あるごとにこの点を申し続けておるのであります。そのつど、岸前総理大臣、現在の池田総理大臣を初め、関係の各大臣からは、これについて理解ある御答弁は得ておりますが、国防会議または同懇談会等において、これらの問題が検討されておるのでありましょうか。この点についてお伺いいたします。総理大臣に。
○国務大臣(池田勇人君) 自衛隊の問題につきましては、いろいろ御批判はございましょうが、私はただいま防衛庁長官からお答え申し上げたとおり、ただいまの日本としては、これは完全無欠とは申しませんが、徐々にとしを追うに従って、われわれの考えておる方向に向かって進んでおると思っております。もちろん、昔のようなわけには参りませんが、私も最高の責任者として、国防会議の運営、また日ごろの自衛隊との連絡等につきましては、できるだけのことをいたしまして、りっぱな国民の自衛隊ということに向かっていくよう努力を重ねておるのであります。
○下村定君 先ほども申しましたが、昨年来の世界の情勢から見まして、どうしても私はこの際日本の国防というものを考え画さなければならぬのじゃないかと思うのです。国防会議の回数が少ないとかいうことは私は問題にいたしませんが、昨年来、何回開かれて、どういう議事が行なわれたでありましょうか。事務局長の代理の方に御答弁を願います。
○説明員(石沢芳次郎君) お答えいたします。 先生御指摘の期間に国防会議は、開かれておりません。ただし国防会議議員懇談会は三回にわたって開かれております。最初は昨年初めの三月十五日でありまして、アメリカの戦略構想の動向を中心として懇談いたしております。次は九月四日でございまして、米ソの核実験と軍縮問題ということに焦点を合わせて懇談をいたしております。それから本年に入りまして、一月十七日にキューバ事件以後の東西関係と最近の軍事情勢ということに課題を置きまして検討いたしております。
○下村定君 時間の関係でこの国防の基本的な計画についての質問はこの程度にとどめます。 これから私は自衛隊を中心とするわが国の防衛体制の現状について、若干の点を取り上げまして、これに対する政府当局の御所見を承りたいと存じます。 その第一に、日本の防衛体制は、敗戦の結果、財政、経済が十分に復興しない時期に、変則的な方法で発足したものでありますから、その後逐次拡充されたとは申しながら、現在におきましてもなお多くの欠陥があることは、これはやむを得ないと思います。政府当局におかれましても、今日の自衛隊、それからこれに伴う諸般の制度、施設等が国防基本方針にいわゆる自衛のため必要とする最小限の要求を充足しておるとは、おそらくお認めになっていられないだろうと思います。この点につきまして、念のため、総理大臣及び防衛庁長官のお答えをいただきたいと存じます。
○国務大臣(池田勇人君) 現状におきまして、わが国全体の力からいって、ただいまの防衛費は、私は適当なものだと考える。これはもちろん戦前のように、歳出予算の三割とかあるいは四割、あるいはまた多いときには七割近くもあったようなこういう状態は、私はこれはよくないので、各国と比べて少ない状態でございますが、日本の全体の立場から申しますると、ただいまの程度が私は適当じゃないか、そうしてこれを基準にいたしまして国力の増大とともに徐々にやっていく、それまではやはり安保条約で日本の防衛をはかっていくということが適当であると考えております。
○国務大臣(志賀健次郎君) ただいま総理からお答えしたとおりでございます。
○下村定君 国力、国情において必要とする最小限の防衛力を持つということは、これは私とても異論のないところで、そのとおりだと思います。私の伺いたいのは、現在の自衛隊ばかりじゃありません。また経費の面ばかりでもありません。全体の国防体制としてその必要の最小限度を満たしておるかどうかということであります。いま一度どうぞ。
○国務大臣(池田勇人君) その点は安保条約によりまして足らざるところを補って、そして日本の防衛は確保されておると考えております。
○下村定君 お答えでございますが、有時の際には、むろん、ともかく条約によりまして戦略的の援助をするのであります。しかし実際を考えますと、この援助にはおのずから私は限度があります。また現状におきましては、時間的にも不安があると思うのでありまして、私はこれは現在の自衛隊及びそれに伴う法制が国防の最小限度を満たしておるとは断言できないと思うのであります。それなればこそ、国防基本方針に漸増という言葉があって、今は第二次五カ年計画でそれが実行されておるのです。 この問答は、時間の関係でこのくらいにして、とにかく自衛隊そのものの兵力ばかりでなしに、それを培養し強化することについては、いろいろやらなければならぬことがあるのであります。そういう点につきまして、今後いかなる点を改善すべきであるかということにつきまして、全部でなくてむろんけっこうでございますから、例をあげて防衛庁長官からお伺いしたい。
○国務大臣(志賀健次郎君) 防衛力の増強は、装備だけを増強することではないのでございまして、防衛力の一人々々になっておりまする自衛隊の隊員の質的な向上ということが最も大事だと私は考えておるのであります。したがって、防衛庁に参りましてからこの問題と取り組んで勉強して参ったのでありますが、ちょうど一週間ほど前に、防衛庁の中に教育訓練に関する調査会を設置いたしまして、事務次官を委員長としまして、各局長、それから各教育機関の責任者、これらをもってこの調査会を構成しまして、ちょうど自衛隊が発足いたしましてから、陸海空それぞれ多少の違いがございまするが、満十年を経過いたしたのでございます。十年一昔ということをよく言うのでありますが、十年一昔をきわめて謙虚な態度でこれを顧みながら、自衛隊の隊員の質的な向上というものを真剣に考えて、今日まで十年の間積み重ねてきた輝かしい伝統は、これは一そう伸ばし、さらにまた、足りない点があるならばこれを補い、こうしてちょうど一年間の間に結論を出して、そうして自衛隊の質的な向上、これをはかって参りたいというのが私の防衛庁長官としての抱負の一つであります。とかく自衛隊の隊員の充足状況などを見てみまするというと、発足当時と違いまして、質的な問題も非常に心配される向きがあるのでございまして、幾らりっぱな装備をいたしましても、装備を駆使する自衛隊の質がどうも低いのではこれは防衛力になりません。したがって一つの精鋭な兵隊、防衛の部隊を作りたいというのが私の念願でございまして、装備を近代化充実する一面において、三自衛隊の隊員の質的な向上に私は万全の努力を尽くして参りたいと考えておるのであります。
○下村定君 ただいま防衛庁長官は、主として自衛隊のことにつきましてお話がありまして、私もその点では同感でございますが、私のお尋ねしたいことは、自衛隊そのものばかりじゃなくて、自衛隊の実力をつけ、またその能率をよくする、そうして国全体として国防体制を整える、そういう意味における欠陥はないかと言ってお尋ねしておるわけであります。時間がありませんから、私のほうから申します。 第一に、この今の自衛隊は、これも私は口が悪いので、お耳ざわりかもしれませんけれども、これはこれを草木にたとえますというと、精神的にも、また法制、施設の面でも国家社会に根を持っていない、そうして十分な肥料も与えられていない。あたかも植木鉢のような状態にあるというのが、これは私、現在における最大の欠陥だと思うのです。精神的には一般国民の愛国心、特に国防に関する観念が低調になりましたために、自衛隊の重大な使命を理解せず、これに協力する意思に乏しい者が相当多いのであります。 また次に、法令その他具体的の面では、ただいまも申しましたように、自衛隊の力を培養し、その任務を十分に果たし得るための基盤が確立されていないと存じます。たとえて申しますと、自衛隊の装備を近代化し、かつ有事の際にすみやかにその損耗を補充することがきわめて緊要であるにかかわらず、これに対する施策が欠けております。また、人員の充足につきましても同様であります。また、新しい兵器を導入しようとしましても機密保護の制度がありませんために、そこに大きな盲点ができるのであります。なお、国全体から申しますと、これは第三次防衛計画でもお書きになっておりますが、情報勤務において欠陥がある。防諜法、非常事態等に対する法令が整っておらぬということがありまして、これらが直接、間接に国の安全保障を不安ならしめているということは、これは争えない現実だと思います。また、防衛庁が今もって総理府の外局に置かれておるということも、その職域から考えましてこれにふさわしくないものと思っております。 これに対するお答えは時間の関係上略しまして、今私が述べました欠陥を是正するためには、現在の憲法上疑義を生ずる点があるということは私はよくわかっております。私はこの席で、憲法改正の良否につきましてかれこれ申すことはいたしませんが、政府とされまして、この国の防衛という見地から、今の精神上の問題につきましても、法令、施策の範囲におきましても、現在の憲法がこれらの欠点を補うために障害となっておるということをお認めになりますかどうですか。その点を防衛庁長官並びに総理大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 昔の憲法下における軍隊と今の憲法下における自衛隊とはおのずからそこに差があることは当然でございます。われわれは憲法の精神によりまして、りっぱな自衛隊ができるよう憲法の範囲内でやっておるのであります。しこうして、このことは、今お話しになったようなことは、憲法の問題よりも私は国民全体の心がまえの問題と思います。それが先だと思います。しこうして、最近における自衛隊に対しましての国民感情は、設立当時よりよほど変わってきております。私はこの傾向は喜ばしい傾向でございまして、自衛隊がりっぱな国を守る自衛隊としての国民の信頼と国民の敬愛を深めるよう努力を続けていきたいと思います。
○委員長(木内四郎君) 時間が参っておりますから、簡単にお願いします。
○下村定君 まだお尋ねしたいことがたくさんあるのでありますが、時間ということでございますから一点だけお伺いします。 それは防衛庁、長官も国会の答弁で御発言になっておりますように、現在の防衛体制の欠陥の中で、兵器の国産化及び防衛産業の育成ということが、私はきわめて緊急の問題だろうと思うのでございます。これにつきましては、私は昨年三月この委員会におきまして、このことがひとり軍事上必要であるばかりでなく、一般産業及び財政経済に寄与する幾多の利点を指摘しまして、総理大臣並びに佐藤、藤枝両大胆に御質問申し上げましたところ、各大臣からは一様に強く賛同の意を表せられました。通産大臣はおかわりになっておりますので、通産大臣はこれについてどういうお考えでありますか。また、現在までにどの程度の施策が講ぜられておりますか。その点についてお伺いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 通産大臣がおられないようでありますから私からかわって……。 昨年のお話しごもっともで、われわれもその方向に進んでいこうということをお答えいたしましたが、先ほどまた防衛庁長官もやっぱり国産兵器の拡充をはかる——午前中でありましたか、言っておられました。これは科学技術の進歩というものが兵器の進歩に負うところ非常に多く、両々相待っていくべきものだ、できるだけ国産化のものを多くするように努めていきたいと思います。
○下村定君 総理大臣の御意向はよくわかりましたが、通産大臣がおられませんので、どうもこれ以上この質問は続けることができません。——もう二分ほど御猶予を願いたい。 最後に、私はただいま問題にしました兵器の国産化の必要性の質問と同じように、いわばばかの一つ覚えのように各委員会で機会あるごとに申しておる簡単な問題がございます。 その一つは、天皇陛下に対する自衛隊の敬礼の件、それから天皇陛下の自衛隊への臨御に関する件であります。敬礼につきましては、昨年志賀防衛庁長官の御尽力によりまして一歩前進しましたけれども、自衛隊の施行規則第十三条によりますと、長官御自身の命令で問題なく正式の栄誉令ができるわけなんです。それをなぜちゅうちょされておるのか、この点は私はまだ了解できません。それから自衛隊に臨御せられるということにつきましては、昨年のこの委員会で私はわざと総理大臣の御即答を御遠慮申し上げたんです。もう一年たっておりますから、この際はできましたらばはっきりしたお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) この自衛隊の行事につきましては、何と申しますか、あつものにこりてなますを吹くという考え、気持が多分にあるのでございます。私はそれをどこにあるとは申しませんが、私の責任におきまして、とにかく国民の自衛隊でございますから、また、日本国の象徴であられる陛下でございます。私はおいおいと国民の自衛隊——陛下が国民の、国家の象徴であるというところから国民の喜ぶような方向に進めていきたいと考えております。
○下村定君 いま一つ。外務大臣がおいでになりませんので困ります。 日米安全保障条約に関することであります。それはこの条約に伴いまして、日米安全保障協議委員会というものができておるのでありますが、その下部機構としまして、私は軍事専門の委員会を常設したほうがいいのではないかという意見をかねがね持っております。この安保協議委員会は昭和三十五年から昨年の三十七年八月までの間に二回会合されましたが、その内容はいずれも新しくその職につかれた方の顔合わせ程度であったということであります。今年の一月十九日第三回が開かれましたが、このときは少し前進をして、議事は情勢判断の交換、それから第二次防衛力整備計画の説明であったと聞いております。また、今後は原則として年二回開くというお約束ができたそうでありまして、まことにけっこうでありますが、これだけで私は両国間の安保条約に対する緊密な連絡がとれるかどうかということに疑いを持ちます。もちろんこの会合のほかに、常時電報とか文書とか、それから特別に使いを出すということで連絡をとるということで、緊密な連絡に努めておると思いますけれども、私どもの考えから申しますと、平時自衛隊に対する軍事援助の問題、それから米軍の移動、装備変更等のことを適時に協議をして、そしてそれを発表しまして、国民に無恥な不安を与えないようにすること、特に有事の際におきますところの相互の連係共同を綿密に計画しておく必要のために、どうしても常設の軍事専門の下部機構として持たれる必要があると思うのであります。この点につきまして、防衛庁長官……。
○国務大臣(志賀健次郎君) これは外務大臣からお答え願うのが妥当と思います。
○国務大臣(大平正芳君) ただいま安保協議委員会の運営につきまして御意見がございまして、私ども全く同感に存じております。国民の防衛、安全保障に対する理解、認識を深めて参る上から申しましても、同時に日米間の連絡を緊密にいたす上から申しましても、協議委員会の開催はできるだけひんぱんにやりたいと思いまするし、また、そのことを国民にお知らせする場合もただいままでのように消極的でなく、むしろ積極的に申し上げて、理解の増進に資する姿勢で参ることが望ましいと存じておりまして、そういう方向にこれから持って参るつもりでございます。 それから下部機構としての軍事委員会の問題につきましては、前々からそういう問題はあるのでございまするが、常時連絡をとることによって、また、安保協議会をひんぱんに開催することによって一応の目的を達せられるのではないかという判断で、ただいままではまだ議題に載せていない状況でございますが、御指摘の示唆もございますので、なお政府におきましてとくと考慮いたしてみたいと思います。
○下村定君 まだお伺いしたいことがたくさんあるのですけれども、私の質問の計画が悪かったものですから、残念ながら他の問題はこれで打ち切ります。 ただ最後に申し上げたいことは、先ほど来非常に失礼なことを申し上げましたけれども、どうも私は、現在の政治が経済問題に比べまして、もう一つの政治の柱である安全保障の問題が軽視されているという感じを去り得ないのでございます。はなはだ失礼な申し分でございますけれども、防衛庁長官ばかりでなく、総理大臣はむろんのこと、みな各大臣方におきましても、もう少し国防上の考慮を深く払っていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。 失礼いたしました。
○委員長(木内四郎君) 下村委員の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(木内四郎君) 次に、牛田寛君。
○牛田寛君 貿易自由化の最後の段階になりまして、特に砂糖の自由化が一つの問題になっておりますが、この砂糖の自由化は国際的には貿易自由化につながっておりますし、国内の問題としましては、農民、また庶民の生活に直結した問題でもございます砂糖の政策を中心にして、まずお伺いしたいと思います。 砂糖の自由化の時期については、昨年の秋以来、三十八年の四月を実施の目標とされておりましたにもかかわらず、最近の関係閣僚会議ではその時期をさらに延ばした、こういうふうにいわれておりますが、その理由はどういう点にあるか。また、延ばしたならばいつごろ実施の目標で進まれるのかどうかをまず明らかにしていただきたいと思います。初めに総理にお願いします。
○国務大臣(池田勇人君) お話のとおり、砂糖の自由化は私はなるべく早いほうがいい、こういうので、二、三年前から検討を続けておったのでございます。昨年の暮れはお話のとおり、四月一日から実施いたしたいというので、関係当局で準備をしておったのです。何分にも国内甘味資源の保護の問題、あるいは将来の砂糖精糖業の安定の問題、価格の問題等々がございます。少しおくれたようでございますが、具体的なことにつきましては、関係大臣より答弁させます。
○国務大臣(重政誠之君) 実施の時期についての御質問でありますが、当初はただいま総理から述べられましたとおりに、四月を目途として準備を進めて参ったのでありますが、これはもちろん準備が整いませんと、すなわち予算措置並びに法律の成立、それに従ってのまた施行令というものの準備がございますが、そういうものが全部整いませんと実施するわけには参りません。これがおくれておりますので、現在におきましてはとうてい四月にはもう実施ができない、物理的にどうもできないのじゃないかと思っているわけでございます。特に延期をいたしたわけでもなんでもございません。できるだけ準備が完了次第すみやかに実施をいたしたい、こういう考えでいるわけでございます。
○牛田寛君 ただいま総理のお答えのように、砂糖の自由化は早いほうがいい、最初の目標は四月だった、それが延期になったというただいまのお答えですと、ただ準備ができていない、それではお答えになっておらない。目標を定めたならば目標に向かって努力をしてもらわなければならない、しかも早いほうがいいというのですから。もう少し親切なお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(重政誠之君) これはもう額面どおり正直に申し上げているのでありまして、予算もまだ御承知のとおり成立をいたしておりませんし、法律案も近々提案の運びになると思いますけれども、現在までのところ、まだ提案する段階に至っておりませんので、自然まあおくれるということを正直に申し上げているわけであります。
○牛田寛君 したがって私は、その時期の目標を伺っているわけです。
○国務大臣(重政誠之君) 時期の目標はできるだけ早くと、こう考えておるのでありますが、今その準備がいつごろ完成をするかということが、整うかということがちょっと申されませんので、五月に法律案が通る、あるいは今月中に法律案が通るというようなことになりますればずっと早くなりますが、五月というようなことになりますれば、自然それだけおくれる、こういうわけであります。
○牛田寛君 そうすると、法律ができれば自由化する、こういうお考え方でありますか。では、どのような法律ができれば自由化できるのか、それを伺いたい。
○国務大臣(重政誠之君) これは目下法制局で今検討してもらっておるわけでありますが、しばしば申し上げますとおりに、その骨子といたしておりますところは、国内の甘味資源の開発と、それに対して政府がいろいろの予算的措置をいたしておりますが、そういう問題が一つ。それから、国内産の精糖、それからビート糖、ブドウ糖というようなものの買い上げをするということについての法律の規定が必要になってくる。それからまた、輸入糖についてのタリフ・クォータ・システムの制度に関する規定というようなのが、法律案の骨子になっておると考えます。
○牛田寛君 国内甘味資源の保護政策の話がございましたが、この政府の買い上げということを今言われたわけでありますが、これは何を対象としてお考えですか、もう一度はっきりお示し願いたいと思います。
○国務大臣(重政誠之君) これは糖価が非常に下落をいたしまして、そうして国内糖の採算がとれないというような事態になりました場合に、一定の標準価格で、政府がそのビートとか、あるいは甘蔗糖とか、ブドウ糖というようなものの買い上げをする、こういう趣旨になっておると思います。
○牛田寛君 糖価が下落した場合ということは、現在のようないわゆる価格による統制をはずして、国内糖価が国際価格に近づいたような状態をさしておっしゃるのですか。
○国務大臣(重政誠之君) そうではないのです。現在、御承知のとおりに、原糖の値段が非常に高くなっております。昨年あたりは三セント余りだったものが、今日は六セント以上もしておる。こういう時代には買い上げの必要はないわけであります。これがまたもとのように三セントを割るというようなことになりますというと、糖価が非常に下落をするわけであります。そういう場合に、ビート糖の採算がとれなくなる場合が起こるわけであります。そこで、政府はこれを一定の標準で買い上げまして、そうしてサトウ大根の値段を維持しよう、こういう趣旨であります。
○牛田寛君 今のお話ですと、輸入砂糖の国内価格は、今のような割当による統制の状態をはずして、自由な形で国際価格に近づけて、安い値段にするというようなことを予想しておっしゃっているように受け取られますが、それでよろしいですか。
○国務大臣(重政誠之君) 現在は、ただいま申しましたとおり、原糖の値段が非常に商いのでありますから、自然、国内糖の値段も高いわけであります。国内糖の値段が現在のように高ければ、ビート糖の値段も自然に高くなるから、これは買い上げる必要はないわけであります。国際的に原糖の値段が非常に下落する、そうすれば自然にこの国内糖の値段も非常に下がるわけでありますから、ビート糖も自然に下がってくる。であるから、それで採算がビート糖が割れるということになりますと、その原料であるビートの値段が下がるから、それでは農家が困る。そこで一定標準でビート糖を買い上げて、ビートの値段を維持しよう、こういう趣旨なんです。
○牛田寛君 時間がかかりますから、あまりお話ができませんが、国際価格云々とおっしゃいましたが、現在は国際価格の影響はあまりない。国際価格のほうは今三倍近くに上がっておりますが、国内価格は若干上がっただけです。ですから、そういう状態をお考えなのか、それともそうでなくて、国際価格がじかに響いてくるような状態をおっしゃっているのか、それを伺いたい。
○国務大臣(重政誠之君) これは、御承知のように、現在のところでは、現在は原料糖の国際価格は非常に高いのでありますが、しかし、過去に、数カ月前に仕入れたものは安いわけであります。現在は原料の安いのと高いのとチャンポンにいっておりますから、ただいま御指摘のように、三倍も原料の値段は上がっておるけれども、その割に国内糖の値段は高くなっておらぬ、こういうわけでありますが、これが先へいきますと、このままこの原料の値段が高値を維持するということになりますと、それに比例したような国内糖の値段になってくる。現在はもっと安い原料を半分は使っておる。それがためにそういうことになっておらぬ。直ちに今原料糖の値段の比率に合ったような高値を示しておらぬ、こういうことであると私は考えております。
○牛田寛君 今の値段についてはまだよく納得いきませんが、先へ参ります。 ただいまの買い上げについては、国内甘味資源の政府管理を意味するのでありましょうか、その点、お伺いいたします。
○国務大臣(重政誠之君) 政府は一切原料管理はいたしません。
○牛田寛君 先ほどお話がありましたタリフ・クォータ・システム、関税割当制度でございますが、これを採用されると言うのですが、割当制度の具体的なやり方を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(重政誠之君) これは審議会を設けて、そしてその審議会で割当の基準方針等はきめてもらう、こういうつもりでおるのでありますが、大体は今までも為替の割当をやっておるのでありますから、大体今までやっておりますことを標準にして輸入数量を審議会できめたり、今までのやり方を基準にして割当の標準を作られるだろう、こういうふうに考えておりますが、これは審議会でその標準等はきめる、こういうつもりになっております。
○牛田寛君 今までのやり方を標準にするという点を、もう少し具体的にお願いいたします。
○国務大臣(重政誠之君) これは今までは、工場の能力並びに実績を標準にして、たしか割り当てておると思いますが、こまかい点は私は十分承知しておりません。必要がありますれば、政府委員から御答弁させてもよろしゅうございます。
○牛田寛君 こまかい点とおっしゃいますけれども、この割当のやり方が一番大事な問題になってくる。国内価格の一番重要な問題に関係してくると私は思う。大臣がこまかい点はおわかりにならないというのでは、これからの砂糖政策が非常に不安定になるおそれがある。もう少し責任をもって明瞭にお答え願いたいと思います。もしどうしても大臣おわかりにならなければ、やむを得ません。
○国務大臣(重政誠之君) 保護政策は、国内甘味資源についてとるわけであります。今の割当の問題タリフ・クォータ・システムは、外国から輸入する原料糖についてやるのであります。値段に影響を及ぼしますものは、各会社その他への割当の数量ではないのであって、その総計の輸入数量をいかにすべきかということが、これが値段に影響を及ぼすのであります。そういうような、その年々によって需給の関係を考えて、そして輸入数量をきめるというようなことも、これは最も重大なことでありまして、そういうこともこの審議会において決定をしてもらう、諮問をしてきめる、こういうふうに考えてみるわけであります。
○牛田寛君 割当制度は価格に関係がないというお話でありますけれども、私は納得できません。現在の輸入は粗糖に限られておる。ところが、精糖も輸入できる。それが外貨の割当で粗糖しか輸入されない。精糖が輸入されれば、もっと安い値段で白い砂糖が入ってくる。ですから、その辺をどうなされる御方針かということを伺っておるのです。
○国務大臣(重政誠之君) 関税割当制度と申しますのは、たとえば、現行関税キロ四十一円なら四十一円、その関税で輸入をいたしますものが大体百三十万トンなら百三十万トンということになりますと、それだけのものは四十一円で入ってくる。これを今申しましたような、その百三十万トンをきめることを、それから、その標準を作って各社に割り当てることを、これを今の審議会できめることになります。 それから、今のお話の精糖は、今のは原料糖のことでありますが、精糖として、精製された砂糖として入って参りますものは、たとえば四十一円の上に十円であるとか、あるいは八百というものを加えたもので、つまり四十九円とか、五十円、これはたとえばの話でありますが、そういうふうに高くする。そうして関税を払って輸入をしようというものは幾らでも輸入が自由にできる。こういう制度がこの関税割当制度、こういうふうに考えておるわけであります。
○牛田寛君 そういうお答えでございますから、私は具体的に伺ったのであります。ところが大臣は、まるで国内糖に関係のないようなお話をしている。それはまことに無責任な話だと思う。もう少し親切に、現在の砂糖というものは国民の生活に密接に関係するのでありますから国民に実情を知らせることが大臣の責任だろうと思う。その点、もう少し親切に。時間がかかりますから、次に参ります。 もう一点、今農林大臣からお答えのありました、割当制度の具体的なやり方によっては単なる名目上だけの砂糖の自由化になってしまって、為替割当制度と実質的には変わらない結果も起こると私は考えるのでありますが、この点大蔵大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(田中角榮君) これはただいま農林大臣から申されたとおりであります。一応党側とも今折衝をいたしておりまして、法律案を近く提案をいたす予定でございます。関税割当制度につきましては、実際上の自由化にならないのじゃないかという問題が、過程においてはございましたが、一応政府といたしましては、過渡期における国内糖業界の混乱を避ける意味でも、関税割当制度を一時的にしろ採用しなければならないということは、これはやむを得ない事実でございますから、このように踏み切ったわけでございます。 なお、国内甘味資源の対策としては、三十八年度予算案にも種々な施策をやっておりますが、同時に、テンサイ糖価格が糖価の下落によりまして採算が合わないというような場合も考慮いたしまして、三十八年度食管特別会計の中の予備費百五十億をもってこれをまかなうというように、買い入れの道を開いているわけでございます。それ以上の問題は、砂糖が自由化になった場合、それはガットで、実際にタリフ・クオ・タニ・システムを採用しておって、自由化が認められるかという問題がございますが、これに対して、IMFは認めるという体制でございます。実際の糖価が下がるかどうかという問題でありますが、現在原糖価格が非常に上がっておりますので、自由化に踏み切るとすれば、時期としては非常にいいわけであります。しかし、将来ほんとうの自由化をしながら、国民大衆に安い砂糖が与えられるようにするために、段階的に種々の施策が必要であることはもちろんでありますので、完全自由化に至るまでの段階的な問題に対して、現在政府部内でも、また党の特別機関とも意見の調整を行なっておる段階でございます。
○牛田寛君 消費税を関税に振り当てることは、今年度、財源が不足のために見送られたいということが出ておりますが、これは事実でございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 消費税の関税振りかえをやらなければならないという議論がございました。これは原糖価格三千トンの状態を前提としての議論でございましたが、予算編成の当時は、御承知のように四千トン以上になっておりましたし、一月予算提出の段階では、もう五千トン近くなっておったというふうな状況でございますので、現在消費税を関税に振りかえなければならないというような事態にはならないわけでございます。
○牛田寛君 砂糖についての外貨割当の現況を御説明願います。
○国務大臣(田中角榮君) 割当の実体問題でありますから、政府委員をして答弁せしめます。
○政府委員(大沢融君) 砂糖割当の現況というお話でございますが、御承知のように、外貨予算を組みます際に、明年度の砂糖の価格、従来は大体キロ当たり百二十二円程度に安定をせしめるという考え方をとっておりましたので、その程度に安定するように数量をきめる。現在年間百三十万トン程度のものを入れる外貨の予算を組んでおるわけでございます。
○牛田寛君 外貨割当制度によりまして現在まで輸入粗糖の割当を精糖会社にいたしました。また、ただいまお話にあったように価格に見合って数量を調整するというふうなことが行なわれているわけでありますが、これは独占禁止法違反にならないものでしょうか。この点について公正取引委員会委員長にお願いいたします。
○政府委員(佐藤基君) 今ちょっと他のほうを見ていて伺えませんでしたが、どういう御質問だったのですか。
○牛田寛君 今、砂糖が外貨割当によって各精糖会社に数量の割当がきまっているわけなんで、それが値段と見合って国内価格の値段を適当な水準に維持するために数量を規制しているわけです。その調整は独占禁止法の違反にはならないかという質問です。
○政府委員(佐藤基君) 今のお話は政府のやる行為のように飼いましたが、会社自身がいわゆるカルテル——共同行為でやるなら、独占禁止法の問題になると思います。
○牛田寛君 実際やっていることはやはり会社同士の話し合いもあり、それでそれがなければやはり納得のいく割当ができてないのじゃないかと思いますので、その辺に私は疑義がございます。このような例はほかにあまりないと思います。通産大臣はいかがですか。
○国務大臣(重政誠之君) これは会社が相談して輸入数量をきめるとか、あるいは為替の割当をみずからどうこうするということは全然ございません。この数量は政府においてきめます。そうして一定の標準に基づいて各会社に輸入数量の為替の割当をいたしておるのが現状でございます。
○牛田寛君 甘味食品振興資金管理会というのが現在設立されているわけでございますが、この管理会を設立するに至ったいきさつについて御説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(大沢融君) 御承知のように、三十四年、三十五年ごろ、国際糖価は安いにかかわらず、国内糖価が高い。しかも、先ほど申し上げましたように、百二十二円で国内の糖価の安定をはかるということで外貨割当で入ります数量を制限しているわけです。そういうことで精糖する会社に通常横間が上げている利潤よりは高い利潤が上がるというようなことでいろいろ御議論がございまして、その超過価格差益を拠出すべきではないかということで十八億程度のものの拠出をすべきだという御議論があったのです。そこで、この拠出いたしますものをどういう取り扱いをするか、拠出をいたしましたものは甘味資源の振興に有効に使われるように資金を管理しなければならないということで、社団法人として今言われた管理会というものを作って、そこへ積み立てをしているということでございます。
○牛田寛君 そうしますと、この管理会は砂糖業界の意思の一致によってでき上がったと、こう解釈してよろしゅうございますか。
○政府委員(大沢融君) 御承知のように、砂糖の団体が、大、中、小五つございます。それが発起人になりまして社団法人として作ったものでございます。
○牛田寛君 この管理会の定款を拝見しますと、総会の議決に対しては最後に農林大臣の承認が必要である、また、役員の任命さえも農林大臣の承認を得て会長が任命するというふうに、管理会の一切の事業活動がすべて農林大臣の承認のもとに行なわれるような定款になっております。で、民法によりますと、主務官庁は法人の設立の許可を与えるということになっております。それから監督と調査権、この三つしかないわけであります。それ以上に主務官庁が法人の中に入り込む余地はないというように私は理解しております。ところが、この定款には、農林大臣の承認ということが至るところに入っております。はたしてこのような形の定款を持ったものが社会法人としての資格があるかどうか、はなはだ疑問に思うわけであります。これは農林大臣が認可されたのでありますが、この点については法制局長官はどう御解釈になりますか。
○政府委員(林修三君) 現在、民法の社団法人の認可権は、御承知のように、各省ごとに所管ごとに各省大臣になっております。あるいは都道府県知事に委任された部分もございます。それぞれのところでやっておられますので、私、今、具体的な例をよく存じません。存じませんから、何ともここで的確な意見を申し上げるわけにもいかないわけでございますが、それは社団法人の行為としてそういうようなことをすることが直ちに民法に当然に違反するというまで言うべきかどうか、今伺っただけで当然そう言うべきかどうか、そこまで言う必要もないのではなかろうかと考えております。
○牛田寛君 私が伺っておるのは、民法によって社団法人の資格をどう認定するかという問題です。今定款をここでごらんになればわかると思います。ごらんになっていないから、そう言うのかもしれません。会員の入会の項、第六条の二項、「会長は、前項の承認をしようとするときは、農林大臣の承認を受けなければならない。」、会員の承認のところです。それから監事の任命、「総会において会員以外の学識経験者のうちからこれを選任し、農林大臣の承認を受けて定める。」。理事及び監事の任命については農林大臣の承認を受けなければならない。「総会の議決を経、農林大臣の承認を受けて、これを解任する」、役員の解任。つまり、すべてこのように一切が農林大臣の承認を受けてやることを定款にうたっております。これで、はたして社団法人の資格があるかどうか、そういう質問です。
○政府委員(林修三君) 御承知のように、民法の社団法人の資格は民法三十四条でございますが、要するに、公益性ということと、一つの法人格を持つにふさわしいだけの事業をやりあるいは組織を持っているかということだと思います。したがいまして、それは各所管庁においてその点を適正に判断されておやりになるわけでございます。農林省としては適正だと判断しておやりになったことだと思います。ただ、ここで問題になりますのは、今お読み上げになりましたように、社団法人側で農林大臣の承認を受ける云々と書きましても、農林省の当然のそれが権限になるわけではございません。これは、農林省の権限は法律できまっておるわけでございますから、あるいは法律に基づく政・省令できまっておるわけであります。社団法人の側で書いておくことは、これは技術上の問題になると思います。それで、そこいらはいろいろ問題はございますけれども、そういうことを考慮した上で農林大臣が適正と判断するかどうか、これはやはり当不当の問題でございまして、そういうものを認可したから直ちにこれは違法な認可だということには私はならないと思います。
○鈴木一弘君 関連。今の法制局長官の答弁を聞いていますというと、農林大臣の承認を云々ということでありますが、今の答弁から判断すると、その定款に書いてある農林大臣の承認を必要とする、あるいは、総会の議決も農林大臣の承認を得なければならない、承認を受けて決定するということになる。それは民法上おかしいというふうにも聞こえますし、そうすると、その定款に書いてある農林大臣というのは、自然人としての扱いであるか。したがって、承認も、求めれば求めてもいいけれども、必要はないというふうに解釈できるような定款にしちゃっているのじゃないかと、このように思えるわけなんですが、その点、もう一ぺん法制局長官に伺いたい。
○政府委員(林修三君) ちょっと御質問の趣旨がはっきりのみ込めなかったのでございますが、要するに、この定款自身がいわゆる法律とか法律に基づく政・省令でないわけでございます勢ら、それに農林大臣がどうこうすると書いても、農林大臣の直ちに職責になるわけではないということを申し上げたわけでございます。ただ、実際上の問題として、各省それぞれいろいろの行政指導をやっておられます。あるいは法律に基づかない範囲でまたは法律に違反しない範囲の行政指導をやっておられますが、その範囲の行為として事実上おやりになるということがあっても、直ちに違法となるかどうかは、これはまた別問題であります。しかし、いわゆる法律とか命令ではございませんから、そういうふうに書いても、農林大臣の職責になるわけではないということを申し上げておるわけでございます。
○国務大臣(重政誠之君) 法律上の解釈は、ただいま法制局長官が答弁をせられたとおりじゃないかと私は思うのであります。定款にそう書いてあるから直ちに私の権限になるということではないんじゃないかと思います。
○牛田寛君 どうもお話がおかしいですね。この定款を持った団体を社団法人として認可をする場合の基準は、一体どこにあるのですか、法制樹長官。
○政府委員(林修三君) 基準は、御承知のように、民法自身にははっきり書いてはございません。書いてはございませんけれども、公益事業を営むものということがまず第一。いわゆる公益法人。公益法人でございますから、公益事業でないものはいけないわけでございます。つまり、公益性の判断に相なります。それ以外は、結局、民法の規定に従った、たとえば理事者が要るとか、監事が要るとか、あるいはそういう総会の意思決定機関の方法がきまっているとか、そういう形式的な要件が民法の定めできまっているかどうか、こういうことであろうと思います。
○牛田寛君 そこで、私が先ほどから法制局長官にお伺いしていますのは、民法に定められておる形式的な形がそのとおりに適合しているかどうか、こういう点なんです。農林省云々という政治的な問題じゃなくて、民法という一つの法律の上にこの認可の基準がある。ですから、その基準に合っていなければ、これは認可できないわけです。その点はどういうふうにお考えですか。
○政府委員(林修三君) これは私もすべての今まで各省のやっておられます社団法人あるいは財団法人の定款なり寄付行為を見たわけじゃございませんから、的確な判断はできないわけでございますが、先ほど伺った程度のものを直ちに民法違反ということはないのじゃないか。適当か不適当かという問題の批判は、これはあるかもわかりません。しかし、直ちに、民法に違反するとか、認可できないものをしたのだというまでに言う必要はないのじゃないかと考えておるわけでございます。
○牛田寛君 法制局長官は、私の申し上げたことをよくお聞き取りになれなかったのじゃないかと思うのですが、農林大臣の法人に関する権限は、許可と監督と、あと調査権です。これは民法に規定してある。ところが、この管理会の定款は、農林大臣の名前が各条に入っております。全部「承認」です。ですから、定款をごらんになればわかりますが、結論的に申せば、農林大臣の承認がなければ管理会は一切の事業活動ができないのです。ありますからごらんになって下さい。そういう社団法人がどこにあるか。私は例を探しましたが、一つもありません。この管理会だけです。そういうことが認可されているということを法制局長官はどうお考えですか。
○政府委員(林修三君) その点は、先ほどおっしゃった御質問の趣旨をこめて実は御答弁したつもりでございます。つまり、今御質問の趣旨は、要するに、農林大臣の認可を得なければ、総会の議決は成立しないし、あるいは理事の任命もできないし、監事の任命もできない、いわゆる半身不随の法人ではないか、そういう法人を認可するのはおかしいじゃないかという御趣旨かと思います。しかし、その点は、確かに一つの問題点ではあろうと思います。でありますけれども、直ちに、そういう法人を認可、許可したことが民法の規定に違反するとまで言う必要はないのじゃないかと私は考えておるわけでございまして、そういうように一々行政官庁の承認を得なければいけないというようなことを書くことが適当かどうかという問題の批判は、これは別問題だということを先ほどから申し上げております。で、先ほど申し上げましたとおりに、かりにまた社団法人側でそういうように農林大臣のことを書きましても、これによって政府のほうが直ちに拘束されるわけじゃないことも、これまた言うまでもないことでございます。
○牛田寛君 この問題は、必要性の問題じゃない。ですから、それならば、民法の規定は基準にならなくなる。社団法人については民法で規定されておりますが、必要に応じてどういう形の定款も作ってもいいというものであれば、これはもう勝手なものができてしまう。そういうお考えは私にはわからないです。先ほど法制局長官の民法の各条項に形式の合ったものは社団法人として認可さるべきだというお話と、ただいまのお話では、食い違いがある。
○政府委員(林修三君) そうではないのでございまして、私も現実にその定款を見たわけじゃございませんけれども、社員総会とかあるいは認可の権限が別に普通の民法で規定されているところと違っているのではないのじゃないかと思います。ただその上に多少よけいなものがくっついているということだけではないかと思います。その点だけで、それが直ちに違法だということが言えるかどうかという点は、私も疑問に思います。これは私も世の中にある公益法人の寄付行為なりあるいは定款を全部見たわけじゃございませんけれども、若干そういうふうに政府機関とのつながりをつけているものがあるのじゃないかと思います。その程度の問題じゃないかと実は思っております。
○牛田寛君 どうもはっきりしないのですが、問題があることだけは明らかなようでございます。法制局長官がまだこの定款をごらんになっていないというのであれば、話にならないのです。見ていただいてもいいのです。もちろん、関係庁とつながりがあれば、許可とそれから監督、調査権が、あれば、十分つながりがあるように民法で規定されております。それ以上のものがただいま申し上げたような形で入り込むということは、私はこれは問題だと思うのです。これはく、後お調べになって下さい。 それで私は農林大臣に伺いますが、今法制局長官は、半身不随とおっしゃいましたが、全身不随です。このような形になぜしなければならなかったか、その理由を伺いたいのです。
○国務大臣(重政誠之君) 超過利潤十八億を精糖会社から拠出せしめまして、それを国内甘味資源の開発をやるためにその各精糖関係の者がそういう社団法人を作るということになりましたので、そこで最も公正を期さなければならぬということで、おそらく私は具体的に重要な年頃については農林大臣の承認を得るとか何とかいうことを上につけて定款を作成したのであろうと思うのであります。
○牛田寛君 そうしますと、民法に規定された基準では公正を期しがたい、こういうお考えですか。
○国務大臣(重政誠之君) 公正を期しがたいというわけでもありませんが、やはり監督官庁のその一つ一つの要項について承認を得ると、こういうことをみずからきめたわけであろうと思うのであります。
○牛田寛君 どうもお答えになっていない。なぜそこまで入り込む必要があるか、その理由を伺っているのです。その理由については今のお答えでははっきりいたしません。
○政府委員(大沢融君) この十八億の問題は、いろいろ御議論いただきましたように、これ自体法律制度として拠出をすべきだという御議論もあったかと思いますが、事ほどさように公益性が強い、その金を管理する機関であるからということでその公益性の面に着目して五団体が発起人になって、そういう定款を作られた、政府はそれを認可したということでございます。
○牛田寛君 この公益性の強い団体に社団として——業界の総意で作られた社団法人に、農林大臣が至るところに承認を与えなければならないというように入り込まなければならなかった理由は、今のお答えでははっきりいたしません。
○政府委員(大沢融君) 私、申し落としましたが、農林大臣は一般的に申しまして甘味資源についての行政の担当者でございます。そういう意味で、甘味資源の仕事をになわれる、しかも普通の法へよりは公益性が強いと言われ得るような法人について、農林大臣が一般的な行政の作用として、そういうことをやるということは、一向不当なことじゃないというふうに考えます。
○小平芳平君 ですから、今の、長官にお尋ねしますが、結局十八億がもとだから農林大臣の名前が入ったわけしょう。あなたの答弁はそうじゃないですか。農林大臣がなぜ定款に名前を入れたかと言えば、十八億というものがあって、それが公益性が強いから名前を入れたとおっしゃったじゃないですか。もしそうならば、同じ例が、こういう例がある、ああいう例がある、だからこの場合も違法でもなければ、おかしいこともないというふうに説明して下さるとわかるのですがね。何かほかに例がありますか。
○政府委員(大沢融君) 私、前例はどういうことであるか、ちょっと知りませんけれども、先ほど申し上げたようなことで、公益性が強いという判断をされて、また世間もそう思っていたと思いますが、特に農林大臣の行政作用が強く及ぶようにということを期待をして法人を作られた、ということは妥当なことであり、一向違法だということはございませんし、そういう意味で適当なもの、適法なものとして政府は認可をしたということでございます。
○牛田寛君 どうも話が進みませんね。行政指導を強くするためにというのは、なぜだから強くしなければならないかと伺っておる。
○国務大臣(重政誠之君) それは国内甘味資源の開発をこの社団法人がやるというのでありまして、政府もやっておるのでありますから、そこで普通の場合と違って非常にこれは公益性が強い、こういうことであると考えます。
○小平芳平君 ではほかに例はないのですね。公益性が強い、そういう団体はほかにはないのですか。
○政府委員(大沢融君) 私の今の知識では、例があるのかないのかという点を問い詰められても、ちょっとお答えできません。
○政府委員(林修三君) 御承知のように、輸入差益金の徴収につきましては、特定物資臨時措置法という法律があったことは御承知のとおりでございます。現在は失効いたしました。そのほかにあの法律によらないで事実上の行政指導的に輸入差益を積み立てて、今の砂糖と全然同じ方法かどうか存じませんが、やられた例としてはバナナ等の例があったように私は記憶いたしております。
○小平芳平君 ほかに例があるかないか。
○政府委員(林修三君) その点は先ほど私お答えしたのでございますが、私も全部の社団法人あるいは財団法人の定款とか執行例を見たわけではございませんけれども、まあ程度問題の差ではございましょうけれども、やはり政府機関の許可とか認可、承認、そういうようなものを書いている例は、ないことは私ないんじゃないかと思います。私もはっきり覚えてはおりませんけれども、全く例のないことだというほどではないかと思っております。(「実例をあげろと言っておる」と呼ぶ者あり)
○小平芳平君 よく調べて答弁して下さい。このまま進行できない。
○政府委員(林修三君) 私もここに、そのほかの社団法人なり財団法人の実例を持っておるわけではございませんので、この点は各官庁に依頼いたしまして調べてもらいまして、後刻また資料として御提出いたしたいと思います。あるいは口頭か、どちらかで御提出いたします。
○牛田寛君 私は法律にしろうとなんです。法制局長官はその道の方でございます。私がここで読みました、定款を。それでもう社団法人としての管理会の活動は、全部各条項、農林大臣の承認を得てとある。そういう社団法人が一体世の中にどこにあるか。一番極端です。全身不随なんです。半身不随と言うけれども全身不随なんです。だからそういうまれに見る法人を一体認可できるかどうかということは、これははっきり言えるはずです。
○政府委員(林修三君) その点は先ほどお答えしたわけでございまして、そういう問題について、当、不当の批判はあるかもわかりません。しかし民法の規定から申しましても、そういう規定が入っておるから、社団法人としての許可ができないのだということを言うわけにはいかないのじゃないかと思います。結局、その社団法人あるいは財団法人が、公益性もあり、一応、民法に書いてござまいまする定款に書くべき事項が書いてあり、そういう組織ができておれば、それを許可するかしないかは、各所管大臣の裁量の問題でございます。それは違法になるということではないと思います。
○小平芳平君 通産大臣はまだ来ないし、休憩して下さい。よく調べて下さい。
○牛田寛君 形式論じゃ困る。話が進まない。
○委員長(木内四郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(木内四郎君) 速記を起こして。
○牛田寛君 先ほどからお話を伺っておりますと、この問題について、例がわからぬというようなお話でございますけれども、これ以上度が過ぎているものはない。全身不随の社団法人でございます。ですから、これまでにしなければ、公益性が保てないのかどうかということをわれわれは疑うし、またこのようなものを作らなければならないというところに、国民は、むしろ疑惑を持つ。ですから、その点について、もう少し、社団法人としての正しいあり方を持ったものを作れば話はわかるのですが、その辺から姿勢を正していただきたいと思うのですが、総理から、ひとつ……。
○国務大臣(池田勇人君) 先ほどから質疑応答がありましたごとく、砂糖の国内価格というものは、一応安定したほうがいいというので、関税並びに消費税で、一四〇数%の課税をしているのであります。しかし実際問題といたしまして、国内の砂糖価格の安定ということを第一にしますと、粗糖の値上がり、値下がりで、非常に各会社の利益が非常に出たり、出方が少なかったりするのであります。したがって、片一方では、甘味資源育成の国民的要求がございます。そこで、不当と申しますか、もうけすぎた——国内砂糖価格安定のために、一応の輸入制限その他割当をやった。それで、非常にもうけすぎたという場合に、その金をどういうふうに使ったらいいかということは、これに一般に問題になったわけであります。そこで、不当とか過当とかいうことじゃなしに、超過利潤的なものは、精糖会社が自発的に金を出して、そうして国民的要求である甘味資源の国内生産助成ということに使ったらどうかということは、これは一般の考え方であります。しからば、財政法の規定によって、そういうものを国が取り上げてやるときには法律でなければいかぬ、法律によって拠出義務を各精糖会社が持つことはいやだ、しかし、実質的には超過的の金を出しましょう、出した以上は、やはり農林省がその行政をやっているのだから、農林大臣の専管ということではない、全部相談して農林大臣に使ってもらおう、こういうことで、法律はいやだ、金は出そうというときの産物が、その異例のああいう社団法人になったのであります。私は、この問題につきましては、きょうだけでなく、従来二、三回やはり衆議院その他で議論になったと思います。しかし、これはネセサリー・イーブルと申しますか、あの状態と、そうして甘味資源保護のために社団法人を置いてやることが私は法律的に違法とは申しません。しかし、当か不当かという問題につきましては議論がありましょう。で、社団法人につきましての監督官庁の許可、認可、承認権というものはたくさんあります。たくさんありますが、お話のように全部が許可、認可の分になったものは、これはあまり例がないと思います。例がないということは、そういう発生原因からきているのでございまして、ほかの例というものは、私もあれしませんが、たとえば自動車輸入の場合におきまする、非常に高い値段で国内で売れるときには差額を取って、そうしてジェトロのほうに出すとか、今のバナナの問題、それからまたレモンなんかもあったのじゃないかと思います。ハイカンの問題、いろいろのものが戦後にあったわけなんですが、たとえば競輪なんかのようなものは法律がございますが、法律を設けるのはいやだ、金は出したいという、いわゆるネセサリー・イーブルの産物だと私は考えております。 まだほかに例があるとすれば、私はあと調べまして御報告することにいたします。
○牛田寛君 総理のお話は、理想としては一応わかるわけでありますが、実際に私は直接タッチいたしませんから実情はわかりませんが、金は出すが、法律はいやだ、自主的にこの差益金が拠出されているように伺うわけでありますけれども、実態はどうかといって調べてみますというと、それは自発的な形とはどうしても考えられない。すなわち、拠出しなければ為替の割当制をとめるぞと、こういう調整措置がはっきり通達に打ち出されております。しかも名称を入れる、こういうふうに念の入ったやり方をやって法律と同じようなやり方で拠出が行なわれているわけであります。ですから、そうなればこれはむしろ法律のほうがいい、事実上も法律と同じ力でもってやっているわけでありますから、そうすると法律がいやだというのは一体どこで法律がいやなのか、そこら辺に私は非常に疑問を持つのであります。その辺、私はもう少し農林大臣から具体的に伺わないと、これは国民の疑惑の的なんです。うわさも飛んでいるわけですから、こういうふうな形のものは、少なくとも砂糖行政の中にあってはならぬと私は思うのであります。この点、もう少し親切に国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(重政誠之君) これは、ただいま総理大臣からお答えをせられましたのに尽きるわけでありますが、それを補足をいたしますと、超過利益を拠出をさすべきであるということが国会で非常に論議の的になったわけであります。これは昭和三十四年及び五年であります。ところが、これが問題になりました当時には、みんなもう——三十四年、五年もそうであったかどうか私ははっきりいたしませんが、とにかく決算を終えてもう済んでいる、法律を作ってみても過去に遡及して、そうしてこれを取り上げるということは、なかなか私は無理な話だと思うのです。ところが世論として、これはとにかく利益が普通以上にあったんだということはもう国民も知っておる、それから精神会社もそれは知っておる。そこで、精糖会社はどうも法律を作って強制的に取られるということは承知しないと、こういうことなんです。そうすれば過去のものは取れぬということになりますから、そこで、いろいろ精糖会社を説得いたしまして、そうしてその超過利益と思われるものをひとつ出しなさいという話をいたしましたところが、その各会社は、しからばそれは自分たちの自由意思で出すということにしてもらいたい、しかもそれは、国内の甘味資源の開発のためにこれを使ってもらいたい、こういう注文がついて、それで今のような社団法人を作ったわけであります。そこで、出すほうから見れば、使うほうの側のもので社団法人を作ってそれに全部まかしていくということではどうも心もとないということから、農林大臣がこれを監督をしてひとつやってもらいたいということで、そういう定款になったのではないと思うのであります。
○牛田寛君 定款の問題は切りがありませんから、また別の機会に譲ります。 差益金は業界の自由意思である、寄付金の形だ、こういうふうなことになっておるわけですね。
○国務大臣(重政誠之君) そういうことになっておると思います。
○牛田寛君 その寄付金の性質のものに対して、拠出しなければ輸入粗糖の外貨割当を削減、一時停止等の外割の調整措置を行なう、こういうことになっておりますが、これは行政の行き過ぎではないかと私は思うのですが、いかがですか。
○政府委員(大沢融君) そういう印象を受けられるかと、思いますけれども、十八億を一定の基準で業者にそれぞれ割当があるわけですが、それをアンバランスでなく拠出をするということの最終的な確保措置としては、むしろそういうことがあったほうが業界相互間でできるというようなお話もありましたので、そういう措置をしたわけであります。
○牛田寛君 この点は一つ疑問を残すわけです。業界相互間でそのような強力な措置に対して意見の一致を見れば、それは農林大臣がそこまで社団法人の中に入り込む、承認の事項声を設ける必要はない、許可と監督と調査権だけで十分だ。ですから、私はその辺に問題があると、こう考えるんです。農林大臣、いかがですか。
○国務大臣(重政誠之君) 普通の場合は、ただいま御指摘のとおりのことでいいんだろうと思うのでありますが、この場合は、先ほど来申し上げましたとおりの沿革的なこともございまして、出すほうの安心も必要なことでありますから、そういうふうな定款に私はなったことと思うのであります。
○牛田寛君 三十四年度、三十五年度の価格差益金は拠出されておるわけでありますが、三十六年度は拠出がなかったのはどういう理由に基づくわけですか。
○政府委員(大沢融君) これは、価格と国内価格との関係から今のような価格差が発生するわけですから、三十六年度は国際糖価がむしろ高く、国内糖が安かったというようなことで、特に取り立てて言うほどの超過というものはなかったわけでございます。
○牛田寛君 数字をあげて御説明願いたい。
○政府委員(大沢融君) 三十六年度は、通関のCIF価格が、これはトン当たりでございますが、二万六千八百二十九円、七十四ドル五十二、これに関税から輸入諸がかり、加工費等を加えますと、製造原価が七万九千四百五十一円、さらに通常の三十四年、三十五年のときに計算いたしましたようなことで利潤を見る、あるいは消費税を見るというようなことになりますと、推定生産費が十二万百二十五円、キロ当たりにいたしまして、百二十円十三銭でございます。そこで、当時の卸価格が百二十円六十九銭でございましたので、差引の差益としては五十六銭というようなことになります。これは三十四年、三十五年のときの計算方式をそのまま当てはめておりますので、その後、労賃とかその他のものが動いておりますので、この程度のものは特に問題にするというようなことではないのではないかというふうに考えております。
○牛田寛君 三十七年度の差益金の拠出の基準ですね、これを外割分について、キロ一円二十五銭ときめた根拠はどういうところにあるのですか。
○政府委員(大沢融君) これは、国際平均価格をポンド当たり二セント六十七、当時かなり安く見ておりますが、そういうようなことでCIF価格を三ドル四十八ということで、先ほどのような計算をいたしまして一円二十五銭、これも、この程度のものは三十七年度に発生するであろうということであらかじめ計算をいたしまして、業界が自主的に拠出をするということにしたわけでございます。
○牛田寛君 食糧庁長官にもう一度伺いますが、三十四年度、五年度は、輸入価格と国内価格の差額できめたのに、三十七年度は普通の外割について、キロ当たり幾らとそんな表現にしたのはどういうところにあるのですか。
○政府委員(大沢融君) 私の資料がポンド当たり、あるいはトン当たりになっておりましたので、数字が違いましたが、三十六年、三十七年も同じ計算方式でやっておるわけでございます。
○牛田寛君 三十四年度分、三十五年度分、それから三十七年度分の収入をまとめて配分しているように聞いておりますが、そのとおりでございましょうか。
○政府委員(大沢融君) 三十四年、三十五年には、先ほど農林大臣から言われたように、過去のものでございますので、一挙に拠出をするということはなかなかむずかしいのでございます。年度を分けて長期にわたって拠出するという扱いをしております。それから三十七年度の分は、一円二十五銭というものを、そのつどそれを出すということにしております。
○牛田寛君 私が今伺っておりますのは、三十四年、三十五年、それから三十七年と、それぞれ一年に二期——半期に分けて拠出しておるということを承知しておりますが、その集まった金をまとめて国内甘味資源の振興等に配分しておいでになるのか、こういう質問です。
○政府委員(大沢融君) 御質問の趣旨をちょっと取り違えておるかもしれませんが、拠出された金は、一括して甘味資源振興資金管理会に積み立ててそれを使っておるということでございます。
○牛田寛君 現在総額は幾らになりますか。
○政府委員(大沢融君) 三十七年度中に管理会に集まりましたものが十億四千二百五十七万五千円、こういうことでございます。
○牛田寛君 三十七年度の支出配分ですね、その計画はどうなっておりますか。
○政府委員(大沢融君) 支出を計画しておりますもの、あるいはすでに支出済みのものもございますが、総額で九億七千二十一万八千円でございます。北海道のテンサイ増産奨励金ですとか、あるいはまた、日本テンサイ振興会、これは技術の研究をしているところですが、ここへ拠出するもの、あるいは暖地のテンサイ糖工業の対策費、あるいは西南諸島の甘蔗の増産対策費というようなものがおもなものでございます。
○牛田寛君 管理会の資金支出の案を拝見しますと、七億七千二百七十二万七千円、これが支出の合計になっておるようですが、この食い違いはどこにありますか。
○政府委員(大沢融君) 私申し上げましたのは、支出済みのもの、これからのもの、全部を含めましての数字でございます。支出済みのものは、今先生のおっしゃったような数字でございます。
○牛田寛君 これから支出するのは幾らになりますか。
○政府委員(大沢融君) 約二億二千万円ぐらいが今後出すものでございます。
○牛田寛君 その支出の案はできておるのですか、その支出の配分計画は。
○政府委員(大沢融君) もちろん、全部案ができております。先ほど申し上げたのも、そのうちの一部でございます。
○牛田寛君 その配分の内容を伺いたいのです。項目です。
○政府委員(大沢融君) 全部申し上げますと、北海道のテンサイ増産奨励金が四億三千七百五十万円、日本テンサイ振興会への補てん金二億一千八百二十七万三千円、暖地テンサイ糖工業対策費九千四十四万九千円、それから西南諸島の甘蔗増産対策費五千七百万円、それから西南諸島の分みつ糖の精糖業者に対する甘蔗奨励金が七千九百三十一万円、さらに沖永良部局の糖業進出のために出資金補助並びに利子補給が百五十六万一千円、それから二次製品の試験研究費千五百万円、中小精糖合理化資金に四千百九十九万三千円、農業機械化研究所への拠出が五百万円、その他銀行保証料とか、管理会の運営費がそのほかに多少あるわけでございます。
○牛田寛君 その中で、中小精糖工業合理化資金というのは、どういう内容でありますか。
○政府委員(大沢融君) 中小精糖工業が共同施設を設置する場合に補助金を出すということで、これはまだ出しておりません。
○牛田寛君 ちょっと今私よくわからなかったんですが、中小精糖工業設置ですか、もう少し内容を詳しく伺いたいのですが。現在中小の精糖工場がたくさんございますね、それをまとめる、そういうのですか。
○政府委員(大沢融君) そうではございませんで、五団体ございますが、四団体は中小の精糖業者、この四団体が作ろうとしている共同施設に対して、作る場合には、これを補助する、こういうことでございます。
○牛田寛君 今お話のありました精糖工場は、外糖を輸入して精糖にする工場だと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(大沢融君) 外糖を輸入しております四団体——日本精糖協会、日本製糖会、全国製糖、全日本製糖会、これでございます。
○牛田寛君 大体この管理会の資金は、外糖を精製する工場の利益金を集めて、国内の甘味資源を保護するために使う、そういう趣旨であったと私は理解するのでありますが、その中の金がもうけているはずの外糖を精製する工場のほうに回っていくという、そういう考えに基づくのでございましょうか、その辺をはっきり伺いたい。農林大臣にひとつ。
○国務大臣(重政誠之君) それはおそらく、中小の精糖業者というのが六十もあるわけであります。それが今の四つの団体に分かれております。こういう小さい中小企業というものは、将来当然、これは合同するか、共同施設を作って合理化していかなければならない、これはもう明らかなことであります。ことに、砂糖の自由化というようなことになりますと、当然やらなければならない問題です。でありますから、そういうものの共同施設をやるのに、この管理会で合同、合理化促進のために一部分を使おうということに考えておるのではないか、こういうように考えます。
○牛田寛君 そうすると、この甘味資源の振興資金の趣旨とは全く違った用途に使われることのようでありますが、そういう取りきめは、一体いつだれがなさったのですか。
○政府委員(大沢融君) 大臣のお言葉が足りなかったかと思いますが、これは単に外糖を処理する工場ということだけでなくて、中小企業が、果糖ですとか、あるいは普通の液糖、さらに国内生産のブドウ糖というようなもののほんとうの事業に進もうというようなことで共同施設を考えておる。そういう意味で、ブドウ糖、これは御承知のように国内のイモから生産されるものでございます。国内の甘味資源を大事にするという意味で、そういう施設ができますれば、補助をしてしかるべきじゃないかということで、予定をしておるものでございます。
○牛田寛君 ちょっと、私が聞き違ったのか、お話が違ったのか、わかりませんが、食糧庁長官の先ほどのお話では、外糖を輸入して精製する工場だというふうに伺ったのですが、また変わってきたんですか、ブドウ糖に。
○政府委員(大沢融君) 私の言い方が悪いのかもしれませんが、外糖を輸入しておられる方々がおやりになる仕事でございますけれども、国内の甘味資源につながるお仕事、こういう意味でございます。
○牛田寛君 そうしますとですね、私は技術的によくわかりませんが、外国から入ってくる粗糖を精製する設備と、それからブドウ糖を作る設備とは、違うと思うのです。外糖のほうは、ただ溶かして、色を取って、固めればいい、ブドウ糖はそうはいかないと思うのですが、それは一緒に処理できるのですか。
○政府委員(大沢融君) 粗糖をリファインする設備も、ブドウ糖を作ります設備も、違うわけです。さらにそのほかに、混糖する設備というものもあるわけでございます。
○牛田寛君 食糧庁長官、もう少しまとめてお話し願いたいと思います。しろうとでございます。
○説明員(中西一郎君) お話しの共同施設でございますが、長官から話がありましたように、精糖を今までやっておった人たちが共同してやる、こういうことであります。その際に、どういう施設で、どういうふうにやるかということなんですが、その施設の一環としまして、ブドウ糖というものを、政府はその振興を意図しております関係から、それをあわせて使って新しい製品を作るとか、新しい販路を拡大する、そういう形で、国内の農作の安定等に役立つ、そういう方向で共同施設ができるということを期待して、そういう予定を組んでいるのであります。まだ支出はいたしておりません。
○牛田寛君 時間がないので、次に参りますが、先日衆議院の予算委員会で問題になりまして、会議録を拝見したのですが、その結論が出ていないようなので、この際その点をもう一度明らかにしていただきたいのですね。共和精糖という会社がございます。その共和精糖という会社に、五千トンの外貨割当が来た。その使い道がはっきりしていないわけであります。私が承知しておりますのは、液糖の工業化の試験のために、ブドウ糖を作る共和糖化工業に五千トン割り当てたというように承知しておりますが、その事実に間違いはございませんか。
○政府委員(大沢融君) 共和精糖とおっしゃいましたけれども、これはブドウ糖を作っております千葉の工場で、共和糖化工業——そこへ五千トンの割当をしております。これは事実でございます。
○牛田寛君 それで、その問題については、いろいろうわさが飛んでいるわけですが、今までに伺ったところで、砂糖の問題については、金の扱い方の組織が非常に不明朗で、先ほどからだいぶ話が出て問題になったのですが、いろいろ疑惑の種になっております。そういう問題もやはり明らかにしていただかないと、将来にいろいろ問題の種になり、禍根を残すおそれがある。政治の姿勢も、この辺から正していただかなければならないと私は思う。そういう立場で、試験研究の実験室じゃなくて、いわゆる工場のプラントとしての試験研究だと思いますが、五千トンの砂糖をどういうふうに扱われたか、それを伺いたいわけであります。で、この五千トン割り当てられた共和糖工業が、どの程度の能力の設備で、何日かかってその五千トンを実験的に加工なりして消化したのか、そういうふうなデータを持っておいでになりますか。
○説明員(中西一郎君) お尋ねの点でございますが、一月の末に実はその会社から中間報告をもらっております。で、私のほうの食糧研究所のほうで技術指導をしておる関係もありまして、その後の経過も見るように手配いたしております。聞いておりますところでは、一日四十トン程度の製品は今出ておる。その製品が、白ざら——砂糖の一種でありますが、白ざらとブドウ糖と大体七対三、その他用途によって混合比率があるようでありますが、そういうものを作って、いろいろな需要家のほうでそれを使用してもらっておるというのが現状であります。相当安い値で出しておるようであります。その製品が出始めましたのは、おそらく十一月、ころからだと思います。したがって、現段階では、その五千トンをまだ全部は使い切っていないのじゃないかというふうに思います。まだ数字の明快な報告は聞いておりません。
○牛田寛君 これは試験のために特別の割当があったわけでございますが、試験のために作られた砂糖なり液糖なりがどういうところに持っていかれておりますか。どういうふうに試験するか、そういう計画を持っておやりになっておるのですか。
○政府委員(大沢融君) 御承知のように、わが国では、まだ液糖のままの形の利用ということが進んでおりません。アメリカですとか、あるいはイギリスでは、相当進んでおるわけであります。液糖にしたものを、さらに結晶さして、需要者の側ではさらにまたそれを溶かして使うというようなことが、二重にかかっておるわけであります。これは、単に普通の砂糖だけの液糖というようなことですと、ある程度以上の濃さにいたしますと、結晶しやすいというようなことがあるのです。しかし、これにブドウ糖を混糖すると、もっと濃度の高い液糖ができる。さらにこれに果糖を加えるというようなことになりますと、甘みをずっと増すというようなことで、非常に経済的な面があるわけであります。これはいろいろな関係で日本は進まなかったのですが、ブドウ糖ができる、さらにそれから果糖を作る方法が、バクテリアを使ったり、あるいは酵母を使ったりというようなことで、新しい方法が発見されておるわけであります。そういうようなことを総合的に取り入れて今度試験をやるわけですが、液糖の実験室と違いまして、実際の工業化試験になりますと、どういうものにはどの程度の混糖、あるいはどういう割合でまぜたらいいかというようなことは、比較的大量のものを継続的に長く使ってみないと、なかなか試験の結果が出ない、そういうこともありまして、五千トンというような砂糖を使っておるわけでありますが、御承知のように、外貨割当で、これは砂糖は自由に手に入るものでない、原料としてそういうものを使うということでございます。
○牛田寛君 もう一つお伺いいたしますが、ブドウ糖とまぜるための試験研究と理解していたわけなんですが、共和糖化工業は、ブドウ糖の工場として特に優秀であると認められる理由がおありだったのですか。
○政府委員(大沢融君) ブドウ糖の工場としては、やはり一流ということは私ども聞いておりますけれども、これは、試験は特に共和糖化がやるというわけじゃございませんで、ブドウ糖のこれからの需要を、大いに新分野を開拓していくということで、ブドウ糖工業会が試験を計画した。しかし、工業会自身として設備を持っているわけではないので、その傘下の共和糖化工業に委託をしてやるという形をとったわけでございます。工場そのものとしても非常にりっぱなものでございます。
○牛田寛君 もう一つ、五千トンという数量ですね、試験研究に五千トンも必要であるかということが一つの問題です。それほど必要であるかどうかということについてお伺いいたしたい。
○政府委員(大沢融君) この点は、先ほどもちょっと触れましたけれども、実験室の実験と違いまして、日本で使いなれない液糖を工業的に実際に試験をしてみるということでございますから、わずかなもの、あるいは短期間で、そういう試験の結果というのはなかなか出てこない。全体として大体一万トンぐらいということを私ども考えておりますけれども、五千トン程度のもので試験が完了すれば、もうそれでもちろんやめるわけでございますが、相当大量のものが要るというふうに考えております。
○牛田寛君 それから先ほど質問いたしましてお答えがなかったのですが、そのようにして作った液糖を、どういうところへ持って行ってその効果を試験するのか、その点まだお答えをいただいておられい。
○政府委員(大沢融君) お使いになっている方々、これは商売上の問題もございますので、業種を申し上げますと、たとえばカン詰ですとか——漁業者もおりますし、お菓子屋さんもおりますし、あるいはパン屋さん、和菓子々製造している方というようなところでございます。
○牛田寛君 大体何軒ぐらいなんですか。
○政府委員(大沢融君) 約二十軒おります。
○牛田寛君 続けて参ります。 現在、精糖工場の製造能力が非常に大きくなって、実際の生産量よりはかなり多くなっておる。実際の稼働率が五、六〇%といわれておりますが、なぜこのように設備が過剰になっているのか、その原因についてお願いいたします。
○政府委員(大沢融君) 外貨割当をいたします場合に、過去において、能力を基準にして割り当てるというようなことがあったわけです。そういうようななごりもあろうかと思いますが、先ほど来農林大臣からもお話がございますように、そういう状態は決して望ましい状態ではないんで、大きな打撃を与えないようにしてリファインする企業も合理化をしていくというふうに、合理的な形で操業ができていくというのが望ましいことだと、こう思っております。
○国務大臣(重政誠之君) ただいま食糧庁長官が御答弁いたしましたように当初製造能力に応じて外貨割当がずっと古く行なわれておったのであります。そういう関係で設備が非常にたくさんにできておる、こういうのが現状であります。 そこで、砂糖の自由化に直面いたしまをというと、どうしてもこれは合理化をやらなければいかぬ、小さいのか五十幾つもあるんですから、そういうものはとにかく合同をやらなければならぬ、こう考えまして、当初に申し上げましたように、関税の割当制度というようなものを、あるいは三年とか、ぐらいの期間でそういう制度を設けて、その間にとにかく合理化をやって、そうして純粋な、と申しますか、もう輸入をほんとうに自由にするというようなことがあってもそれにたえ得るようなことに精糖会社をいたさなければならぬ、こういうふうに考えております。
○牛田寛君 自由化を控えまして、精糖会社が非常に合理化を迫られておるという立場になって参りますが、その中小精糖会社を保護するために、国内の砂糖の価格をできるだけ高い水準に持っていくという、そういう行き方が出てきはしないか。そうすれば、せっかく自由化しても、消費者のほうには安い砂糖が入らない、そういう結果になってくる。その点について農林大臣はどよのうにお考えですか。
○国務大臣(重政誠之君) これは、そうではないのでございまして、国内の甘味資源、すなわち、あるいはカンショを作り、あるいはサトウキビを作り、あるいはビートを作るというような農家は実に多いのであります。そうしてまた、農業経営そのものの中に、これらの原料作物を作るということが農業経営全体としての一つの重要な問題になっておりますから、これらの農家に影響を非常に与えるということは、農政上は非常に問題がある。そこで、急激に砂糖の値段が下がりまして、そうして糖価が下がり、よってもって原料がみんな下がる、こういうことでは、農家の所得に非常な影響を及ぼしますので、そこで、一面においては、これらの農家諸君のために、農業経営のために、ある程度に糖価を維持しなければならぬ、こういう考えであります。したがって、著しく糖価が下がるというような場合においては、先ほど申しましたように、製品を財政資金によって買い上げて、ある程度のところで糖価の安定を来たさなければならぬ、こういうふうに考えておるのであります。自由化をいたしますれば、当然に砂糖の値段は下がってくると思うのでありますが、これが急激に下がるということでは困る。急激に下がれば、精糖業者そのものにも非常な打撃を与えることになりますから、中小の精糖会社も非常に困ることになりますから、ここに一定の期間、三年くらいの期間を設けて、その間にひとつ合理化を精糖業者としては進めていく、それから農家のほうといたしましては、その原料作物に急激な影響を及ぼさないように、糖価の安定をはかる、こういう建前で施策を考えておる次第であります。
○牛田寛君 現在、差益金の問題が非常にいろいろな派生した問題を生んでいるわけです。ですから、できるだけこれはやめたほうがいいということは前農林大臣の河野さんも言っておられましたし、現農林大臣も同様であろうと思いますが、そのような方向に進まれるお考えかどうか。また、精糖会社が十分立ち行かれるだけの国内の糖価にレベルを下げて、それで国内甘味資源の保護は、政府が買い上げて価格を補給していく、価格差を補給していく、そういう方向でおやりになるおつもりか。その点をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(重政誠之君) 第一の御質問の点は、私も全く同感であります。先ほど来甘味界のことについていろいろ御質問がございましたが、私は、甘味資源開発に必要なものは国の予算に計上してやったらよろしい、はっきりとこれはやるほうがすっきりしていい、こういうふうに考えておるのでありますが、今までのまあ沿革上そういうことになっておるのであります。将来は、私はただいまお述べになりました御意見どおりにやっていきたい、こういうふうに考えております。 第二の問題は、糖価が下がった場合には、農家の所得は減らないようにして、その損金は政府が全部負担をしろという御趣旨のように聞いたのでありますが、これはよほど問題だろうと私は思うのであります。米につきましては、御承知のとおりに、これは農家所得の形成上重大な部分を占めますから、ああいうような農産物の価格決定の方式をとっておりますが、その他のものについて、みんなああいう方式によるということは、私は賛成いたしかねる。その他のものは、やはり商品は商品、こう私は考えておるのであります。しかしながら、ある一定の限度以下に下がることは、これは、農産物の価格安定法によりまして、最低価格はこれは維持をいたしますけれども、それ以上のことを政府がすべて負担をしてそうしていくということは、この甘味資源の場合におきましても、これはよほど考慮を要する問題であろう、こう私は考えております。
○委員長(木内四郎君) 牛田委員の質疑は終了いたしました。 本日はこの程度にいたしまして、明九日午前十時から委員会を開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十三分散会