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43回国会参議院1963/03/07

予算委員会 第8号

発言数
213
登壇者
19
会派数
2
開催日
1963/03/07

会議録

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告いたします。  本日、野坂参三君、二木謙吾君及び館哲二君がそれぞれ辞任され、その補欠として須藤五郎君、小山邦太郎君及び青木一男君がそれぞれ選任されました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係予算、以上三案を一括して議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。山木伊三郎君。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 池田総理はじめ各大臣、連日御苦労さんですが、二、三引き続き御質問申し上げたいと思います。  まず最初に、デノミの問題でちょっと政府の態度をただしておきたいと思います。二月の中ごろだと思いますが、山際日銀総裁が談話を発表されて、わが国としてはやはりデノミはやるべきであるという考え方を出されました。それに対して直ちに、翌日だと思いますが、田中大蔵大臣はこれをやらないんだという意思表示をされたのを、これは新聞紙上見たんであります。閣議でそれがきまったかどうかは別といたしまして、そういう大蔵大臣の談話が出ております。で、それはまあ一応とにかくといたしまして、二月の二十八日の日に衆議院の大蔵委員会で日銀総裁がこれについて相当詳しく陳述をされております。それを通観いたしますと、やはりこの日本の中央銀行の責任者としてはデノミはやるべきであるという考え方がうかがわれます。特にそこでつけ加えて言われたことは、これは政府と国会の仕事であるから十分検討をしてもらいたいということをつけ加えておられます。そこで、こういう一つの事情の中で田中大蔵大臣は一応そういう意思表示をされておるのですが、政府の責任者として、今の日本の通貨政策として、このデノミをどう総理が考えておるか、ひとつその点をまず冒頭に聞いておきたいと存じます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、考えておりません。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 考えてないということは、日本の国はまあそういうデノミをやる必要がないという意味か、その点を私は聞いておるのです。おそらく戦後ずっと日本の通貨の事情を見て、日本もこの問題にはもう取り組まなくちゃならぬ時期であるということは、池田総理は考えておらない、おるは別として、もうすでに日本の状態がそうきておると思う。欧州十三カ国を見ましても、今日デノミをやっておらないのはイタリアだけだと聞いておるのですが、経済が成長し、安定しておる今日、このデノミを全然考えておらないということは、われわれとしては信じておらないのですが、池田総理並びに田中大蔵大臣はどう考えておられるか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) デノミネーションの問題につきましては、衆議院の予算委員会でもお答えをいたしておりますが、御質問でありますので、この機会に政府の考え方を明らかにいたしておきたいと考えます。御承知のとおり、平価の切り下げとは違うのでありまして、デノミそのものは貨幣単位の呼称を変えるだけでありますから、貨幣価値には何らの変更をもたらさないわけであります。でありますから、ある時期にそういうことをしたほうがいいという考え方もあるとは思いますが、呼称を変えることによって、プラスの面があってマイナスの面がないという場合は行なってもいいという理論的な根拠ができるわけでありますが、現在の日本において、デノミネーションを行なうということが一体プラスがあるのか、またマイナスがあるのかというと、もう御承知のとおり、株価に影響するとか、国際収支の状況がまだ不安定であるという状況を考えますと、呼称単位を変えるというようなことに対して、日銀の総裁が記者団の質問に対する学説的な問題でお答えをしたことがすぐ株式市場に影響するというような脆弱な状態において、かかるものをやった場合、一体どんな影響があるか、これはもう悪い面の影響しかないわけでありますから、呼称の変更を行なっても何ら国民的な状況において影響がないというような場合に初めて行なえるものでありまして、私は現在の状態において適切な時期ではないという考え方で、明らかに政府はデノミネーションを行なう意思がないということをはっきり申し上げたわけであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私の質問の底意がわからないと思うのですが、池田総理は先ほど簡単に、考えておらないと。私は総理としての気持はわかる。昭和三十四年の五月だと思いますが、私の選挙のときですが、まざまざと記憶しております。この当時の岸総理がこのデノミについて、賛成だ、やる時期だということを発言されたために、わずか二週間でダウ平均株価が七百五十円から八百円台に乗せたということを知っております。私はちょうど群馬県下を選挙運動で回っておりましたから、そのときのことを思いますので、池田総理がそうぱっと言われることの点についても、経済界の反響というものを考えて言われたと思う。しかし、私はそういうことを言っているのじゃない。それはよくわかるけれども、日本の今の国際的経済の立場からいって、いつまでもこれを放置できるかどうか。私はそうはいかないと思う。今大蔵大臣が言われましたけれども、私が聞いておきたいのは、どういう条件の場合にやったらいいのかどうか、フランスなりあるいはその他欧州各国のやった経過もありますから、日本がはたして外貨の準備がどれくらいあったらやれるのか、経済成長、安定の度合いがどうであるか、一番肝心なのは国民が政府をどれだけ信頼しておるかどうかということが大きいポイントだと思う。そういう点を私は親切に言ってもらいたいと思う。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 先ほども申し上げましたとおり、政府の考え方を明らかにいたすために申し上げております。政府はこう考えております。デノミネーションは本来デバリュエーションとも異なりまして、単に貨幣の単位の呼称を変更するだけのことであって、実質的価値関係には何らの変化を引き起こすものではない。にもかかわらず一部に貨幣価値の実質的変化があるごとく、たとえば株価や金価格の騰貴に利用されるおそれもあります。またいまだに平価切り下げやかつての旧円封鎖と混同して、無用の不安を感ずる向きもあるようであります。このような誤解が完全に払拭されない限り、デノミネーションは弊害のほうが大きくなるのでありまして、これを行なうことは適切ではない、こういうふうに明確な考え方を持っておるわけでございます。でありますから、先ほど総理が言われましたとおり、現在政府は行なう考えはないということだけは明らかにいたしておかないと、いろいろな説が飛びますし、またこれが経済、金融の混乱をもたらすことにもなりますので、明らかにいたしておるわけでございます。あなたの御質問は、まあゼロがたくさんついておるのであるから、これをある時期において呼称の変更をやったほうがいいという場合の前提条件となるべきものということでありますから、それは学説的な立場でお答えをするとすれば、呼称の変更を行なっても金融、経済その他にこれが利用せられたりして無用の混乱、摩擦を起こさないという確実な前提条件が作られ、その上なお呼称の変更をやったほうがより合理的であるという環境ができた場合にのみ行なわれるのでありまして、現在の段階において将来を予測しながら、まあこのような条件がそろえばやるべきでありますということを言うこと自体が、原則論と実際論とが混淆をせられて、国民の間に流布せらるるおそれもありまするので、政府といたしましては、やる意思のないことをまず明らかにいたしておくことが正しいと、こう考えて申し上げておるわけであります。  で、もう一つは、フランスでやられた例がございますが、御承知のとおり、平価の切り下げとあわせて行なわれておりますので、政府が理論的に考えてこういう状態ができればやったがいいかもわかりませんというふうな発言が、えてして平価の切り下げもあわせて行なわれるというふうにとられるおそれもありますので、これらの問題に対して、現在行なう意思のない政府の態度は明らかにすべきであるという立場で申し上げておるのであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 悪い点だけを言われまして、私は何か理論的背景のみで質問しているといわれますが、実際一般国民から申しましても、現在の通貨の実情からみると、非常に迷惑な点もある。五円以下のあの硬貨、一円なんか、それはもうほとんど通貨としての用をなしておらない。ただ新聞代が十円から十二円に上がったためにあれを非常にわれわれとしても珍重がっておりますけれども、そういうことで国民の通貨に対する一つの価値判断というものがきわめて低くなっておると思う。単にゼロ二つとるとか、三つとるとかいう問題ではない。したがって、先ほど大蔵大臣が言われました株価の問題、そういう問題は私はPRが足らぬと思う。デバリュエーションとデノミネーションとを混同しておる、各国がやったのも併用しておるから、そういうきらいがあるということは、これはわれわれ知っております。しかし一ドルで三けたの三百六十円というような為替でドルを交換するというようなことは、今の日本としてはもう合わないのじゃないかと思う。そういう点において私は聞きたいのは、池田内閣はどれだけやられるかどうかしりませんが、それならば、わしの間はやらない。私が聞くのは、やられるとすれば、どういう条件のときにやったらいいか、というのは、こういうことでほんとうの国民の便宜ということも考えて私は言っておるのです。貨幣に対する、一円硬貨なんかこんなものは問題ない。日本の貨幣の単位ですよ、円というのは。その円の価値というのが小学校でもわからないのですよ。百円、千円というものは問題であるけれども、円というのは問題にしておらない。そういう点が私は政治家として考えるべきであるというので、私が聞きたいのは、利面もあるから、どういう条件が盛り上ったときにやったらいいか、これを一つ御説明願いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 先ほどから申し上げておりますように、政府はデノミネーションを行なう意思のないことを明らかにいたしております。しかし、どういうわけでそういうことをはっきり申し上げておるかと申しますと、現在の状況でどう考えてもプラスの面はあまりないのであります。われわれのように昔一ドル対一円、二円の時代から、一ドル対三円、一ドル対四円の戦時中の感覚を知るものは、あなたと同じような円対ドルの交換率に対してのそういう考え方を持ちますが、戦後の諸君等は、子供が、われわれが十銭のお盆の小づかいをもらったときに、現在はもう千円でなければだめだということはインフレ助長に通ずるし、通貨の観念に対してももっと明らかに呼称単位を変えたほうがいいんじゃないかという議論はございます。ございますが、今のように非常にむずかしい時代に、人事院勧告一つ見ましても、何%、それが千何円に価する、こういうときに、まあ百分の一にすれば十一円何銭何厘を上げるべきであるとか、千分の一にすれば一円何銭何厘何毛がちょうど上がればいいんだとか、こういう呼称が一体いいのかどうかという問題も十分検討すべきであります。たとえば今の通貨も、これを変更するとしても三年も五年もかかりまして、実際に新千円札を交換しようとしても、一年、二年の時日がかかるのでありまして、これを全部ゼロをとって新通貨の鋳造や、それから新円の印刷能力が現在の状態であるのかどうか、一時旧円と新円との間に両方を通用するような状況が考えられるわけでありますが、一体そういうことが混乱を招かないでやり得るのかどうか、こういう問題を技術的に検討してみますと、現在デノミネーションを行なうというような考え方にはなれないわけであります。で、これが三円対一ドルなり、戦時中のように四円対一ドルなり、戦前のように二円対一ドルのように下げた場合に一体どういうプラスがあるのか、これは日本の円が、日本の一円対一ドルであり、二円対一ドルであるということは、国際通貨の上では円の信用度を増すという見方本ございますが、現在の日本の状況にはマイナスの面のほうがより多いというふうな見方がどうしてもされるわけでありますので、私のほうでは、政府の考え方としてデノミネーションを行なう意思は全くないということを申し上げておるわけでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 関連質問。ただいまの大蔵大臣、総理大臣の答弁で、現在はやる意思はない。これは私ども現在やれるような条件にあるとは考えておりません。またこれは通貨の上しに非常に影響あることは事実なんでありますから、そういう影響のないような時期にやるというのは、われわれも条件が整ったときにやるべきだということは当然のことなんで、ただこれを切りかえる場合に、相当な準備期間というものはやはり要るわけであります。したがって、山本委員も今直ちにやれというのじゃなくして、国際的な為替の自由化等において、もうそろそろやはり考えなければならない段階にきているんじゃないか。したがって、政府としては通貨に対して相当検討するなり、準備期間をかけて、やる準備というものを周到にやるということは私は必要でないかと思うのです。したがって、現在はやらないことははっきりしておりますけれども、フランスなり何なりのやった経過からいっても、一年や二年の準備じゃない、長い間かけて準備をして、そうして混乱なしに切りかえておる。こういうことなのでありますから、したがって山際総裁の意見も、近く切りかえる必要が出てくるだろうと、こういう考え方に立って、政府としては通貨政策として何らかの準備する、検討をする、そういうような段階へきているんじゃないか。それも認められないのか。もうここ当分五年、十年そういう考え方にはならぬのかですね。私どもは、もうそろそろ準備していいんじゃないか、何か委員会でも設けてそうしてやっていい時期ではないか、こういうふうに判断するのですけれども、現在やらないという意思はよくわかるのですけれども、そういう意思もおありにならないのかどうなのかお伺いしておきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおりデノミネーションを行なう行なわないは別にして、英知を傾けて、衆知を集める機関を作ったほうがいいじゃないかということは、これは理論の上では、また御発言としては、当然起こり得る問題でございますが、そういう発言さえも、国会において議論されておることさえも、金融経済に対して非常な影響を持つものであるという事実も御認識賜わりたいと思うのであります。だから、農地問題に対しても、調査会を作れば、これは補償をやるんだと、やらないにしてもいつの日にか何らかの処置はとるんだ、こういうふうな御発言が出る状況でありますから、結論的には、政府はどうしても調査会を作り研究をいたしますと、また、政府が現在検討をいたしておりますというようなことを言って、一体、日本の国の通貨の状態、経済、金融に及ぼす影響がプラスがあるのかないのかといいますと、どう考えてもプラス面というのは今ないようであります。いつの日にかやられるということで、十年後にということをよしんば言ったとしましても、少なくとも十年後に貨幣の呼称を変えると言えば、これは世界の歴史を見ればわかるのですが、不動産を買っておいたほうがいい、株のほうが見込みがある、こういうなかなか激しい動きをするものでありますので、こういう問題に対しては政府としては明らかにいたしておるわけであります。今調査会を設ける意思もありません。また、そういう必要はございません。われわれが議論したり、そういうことをするだけでも株が上がったり下がったりするような、そういう不安定な状況においては、断じてやりませんということを申し上げることが政府の責任である、こう考えておるわけであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それがいわゆる自由主義経済の一番私はおそろしいところだと思うのです。おっしゃるとおりです、株にそういう例があるのですから。しかしそれも、過去の岸総理が発言したあの当時の経済的な変動と申しますか、これももっと深く分析すると、それだけの要素であれば上がったんじゃないと思う。いわゆる経済成長がずっと伸びておった、その一つの要素、条件というものもやはり十分考えなければ……。大蔵大臣はそういうところに非常に神経を使うておられますが、そういうことだけでこれをやらないということでなくて、もっとやはり真剣に考える必要があると思う。これはあなたの言うことが現時において正しいものか、先ほど言われましたように、私の言うたことが正しいものか、これは歴史が解決すると思うのです。  最後に、これは政府委員でもけっこうでございますが、現在欧州で七大産業国といわれるうちでデノミをやっておらない国はどこかということで、最近、終戦後やられた国がどこか、これだけちょっと知らしておいていただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 先ほどの問題に対しましてもう一言言わせていただきたいと思うのでありますが、これはお隣の韓国で平価の切り下げ式なことをやったわけですが、まあ貨幣の制度というものに手をつけていいことはあまりないのです。そういう意味で特に八条国移行を前提といたしております自由化ということが目前に迫っておるのでありますから、やはり長期安定的な貿易が拡大せられるという状態がまず必要であります。国際収支に不安はないと、こういう状態になり、しかも円の交換性の問題等が解決をせられるということが前提であるわけでありまして、私は今の状態においては、あなたも先ほど歴史がこれを証明すると言ったのですが、あなたのお説どおり受け取ってはおきますけれども、なるべくこういう問題を間違ってとられるような議論さえもしたくないということで、日銀総裁との間でも意見調整をいたしておりますが、日銀総裁はデノミネーションが必要であるという観点に立っての御発言ではないということだけは明らかにしておきたいと思います。  それから、戦後欧州各国で行なわれた例に対してつまびらかにいたしておりませんから、政府委員をして答弁せしめますが、御承知のフランスが百分の一に呼称を変えたという例がございます。百分の一に変えるという場合にはデバリュエーションを一緒にやっておるわけであります。一七・五%くらいの切り下げを行なって、翌年の一月一日からだと思いますが、貨幣の呼称を百分の一に変えております。変えておる結果は、幾らかインフレぎみになるのじゃないかというような、変えたことがフランの価値を高めたことではなく、その逆な効果が出ておるのではないかというふうに理解いたしております。

稻益繁大蔵省理財局長

○政府委員(稻益繁君) 戦後デノミネーションを実施いたしました例といたしましては、一方国で二回やった例がございますが、一九四四年十一月のギリシャを初めといたしまして、ハンガリー、ルーマニア、ソ連、ドイツ、中国、台湾、ポーランド、ブルガリア、チェコ、韓国、中共、北鮮、フランス、フィンランド、ボリビア。  それからいま一点の御質問の、欧州の主要国の中でデノミをやってない国、主要国という範囲にもよりますが、イタリアがやっておりません、それからユーゴスラビア、こういったところでございます。

横川正市日本社会党

○横川正市君 ちょっと関連。先ほどの大蔵大臣の答弁の中に、影響するところが、いい面と悪い面で、悪い面が多いと言ったのでありますが、その悪い面の一つに数えられます旧円の価値化の復活をされるであろうと考えられる総額はどの程度に見ておりますか。旧円の価値化が復元する総額はどの程度に見ておりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) ちょっと御質問が明確を欠くようでありますが、旧円封鎖等と混淆せられる面もございますのでというふうに答弁をしたのでありまして、旧円とは何ら関係はありません。

横川正市日本社会党

○横川正市君 私は、これはこういう関係が出てくるんじゃないかと思うのです。円としての価値は、これはもう貨幣としては消滅している。しかし、国と一般の国民との契約という格好では、旧円の価値化でそのまま新円に切りかわっても価の変更をされないで今日になっているものがたくさんあると思うのです。そういうものが呼称の変更に伴って平価切り下げいたしませんから、当然これは価値が復活してくると見ていいんではないか。その額をどの程度に踏んでおりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) それはきっと、株が五十円だったら五十円を払い込んだ……。

横川正市日本社会党

○横川正市君 保険の契約……。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 保険の契約とか郵便貯金の契約当時、一ドルが四円であった当時の五十円が百分の一に切り下がった場合に五十銭になるのかという問題。これを一体どの程度やるのか問題だろうと思いますが、そういう問題ばかりたくさん出て参りますので、デノミネーションをやったらマイナス面だけがありまして、混乱しないという議論のほうが間違いで、混乱することが非常に多いということでありまして、現在デノミネーションをやるという意思は、全然ないということを明らかにいたしておるわけであります。

横川正市日本社会党

○横川正市君 額はどのくらいかということを聞いておるのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 額は、ただ呼称を変えるだけでございますから、これに対して、今までの百分の一にすれば、百円が一円になるだけでございます。千分の一にすれば……というだけであって、そういう議論は生じないと存じます。

横川正市日本社会党

○横川正市君 委員長、ちょっと答弁が違うのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) はっきりしない。事実をあげてひとつ……。

横川正市日本社会党

○横川正市君 国と国民との契約で、円の価値が変わっておらないものがあるわけですよ。たとえば、簡易保険の契約の場合に、毎月何円ずつかければ将来あなたに百五十円の保険金をやりますよという証書になっておるわけですね。この百五十円というのは全然変わっておらないわけです、証書の面では。そうすると、呼称を変えると当然百五十円というのは現在六百倍になっておりますか、四百倍になっておりますか、それと、関係がもとに戻って、いわゆる現在の四百倍か六百倍の価の百五十円になる、こういう点があるわけですが、そういうものをどの程度に踏んでおるかということです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) これは郵政省の内部でもって非常に問題になっておるものでございます。今の日韓の問題でも、当時年間千円ずつの年金をもらえるものであったとしてかけたものである。当時の三十年勤めて五千円の退職料をもらって、その当時それを全部郵政省に預けておけば、当然夫婦二人食える、生きていけるという考えであったものが、その後インフレが高進したために、現在五千円、一万円ずつの年金をもらっても食えないから、これをせめて千倍といわなくても五百倍、五百倍といわなくても二百五十倍、百倍に呼称を変えなさいという問題は、長いこと、戦後十五、六年間問題になっておるわけであります。でありますが、これはインフレがおのずから自然に高進をしてきた問題でありますから、こういう問題に対してこれは貨幣の呼称をその面に対してだけ政府は変えて補償するというような問題にはならないわけであります。相当長い期間に問題になっておることでありますが、これはデノミネーションというものをやらないということでおりながら、こういう派生的な御質問でいろいろ出てくることは誤解を招くと思いますが、いずれにしてもデノミネーションは呼称単位を変えるだけでございますから、今度は逆に五十円、五百円であったものが百倍、五百倍、ずうっとインフレになったのが、今度百分の一にすれば、そのもとの五十円、五百円に復活するかというような議論が一応出てくると思いますが、これはもう一般的なそういう証書を持っておる方が、そうあればいいという一つの考え方でありまして、デノミネーションそのものは呼称を変えることでありますから、百分の一に呼称を変えようという場合には、すべてのものが百分の一になるのでありまして、五百円は五円になる、こういうことでありますので、お説のような問題とは、デノミネーションは関係がないというふうに申し上げます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 いろいろ聞きましたが、私の本論の質問を続けますが、非常に政府はこれに対して神経質であるということはよくわかります。少し、大蔵大臣でも変な答弁をすると、あしたの顔がだいぶ変わってくると思う。だからよくわかるのです。わかるのだが、やはり今の政府として——今の政府といわんでもいいんですが、政府としては、やはりこの問題に真剣に取り組む時期が私はいつかあると思う。このままでは、おそらくIMFの八条国に移行する場合でも、やはり不便を感ずる場合が私はあるのじゃないかと思う。まあしかし、時間がございませんから、一応政府の意向はわかりました。しかし、池田総理が冒頭にあわてて打ち消されたところに大きい意味のあるというところを受け取って、私はまた次の質問に移りたいと思います。何かあれば言っていただきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、あわてて打ち消したりなんかしたのじゃございません。前からの私の持論であります。しかも今お聞きのように、デノミネーションと円価値の変動とをこんがらがって質問がここで行なわれるというようなことがございますので、そういうような円価値の下落とデノミネーションとを一緒にして質問が起こるような状態でございますので、私はやらない。——あわてるじゃありません。初めからそう考えておるのであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私は、そういうことを言っておりませんよ。初めからデノミに限定してやっておるのであるから、そういうことを言ってもらっては困ると思うのです。  そこで、一応次に移りますが、これにまあ関連は直接ないのですが、次の貿易自由化の問題でひとつお伺いしておきたいと思うのです。昨年十月に大体わが国は八八%の自由化をやったというのですが、残りの一二%、これは非常に問題のあるものが多いと思うのです。今までやられた品目を私なりにいろいろ調べてみますと、比較的自由化をやっても大きな打撃を与えないというものであったと思うのです。今後、残された一二%、二百五十品目ですか、これはどれをとっても相当問題がある。したがって政府は、これも考えないと言われるかもしれませんが、今後いわゆるIMF八条国移行なり、あるいはそれに従ってガット十一条という問題も当然起こってきますが、これに対して、はたしてどういう品物から手をつけていくのか。しかも、残されたもので、農産物なんか別にありますけれども、どういうものが一番わが国として問題があるのか。その点をひとつ品目別に、産業別にちょっとお知らせ願いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 残余の一二%につきましても、できるだけ早い機会に自由化をなすべきでありますし、また、なさなければならないという方向、姿勢は毎度申し上げておるとおりでございます。しかし、一二%残ったものが非常に自由化がむずかしいものであり、また、国内産業に及ぼす影響がたいへんなものであるというために一二%が残っておるわけでありますので、これが一括どのような順序においてこれを自由化していくということに対しては、慎重な配慮が必要でございます。五月のガットの大臣会議におきましても、どのようなスケジュールを一体求められるのか、こういう問題は二国間交渉や、対日差別待遇の撤回、また三十五条の援用撤回の問題とか、いろいろな外交交渉を含んでおる問題でございますし、これは  一律、画一的にどういうようなスケジュールでやれるかという問題は、これはもう国内態勢の整備、法制上の整備、また財政上どのような措置ができるか、金融態勢はこれに対してマッチをするのかというような問題を広範に検討して、しかる後に基本的姿勢、態度、そういった具体的な対策を立てるべきでありまして、ここで、どのような品目をどういう順序でやってやろうというようなことを申し上げる段階にはないわけでございます。これは御理解願えると思います。これをここで言ってしまって、このような方向でやるのかということは、これからガットの大臣会議で何をやるのか、二国間交渉でどういうものをひとつ交渉していくのかというような問題でありますので、残余の一二%を品目別に大よその期日を定めての案に対しましては、政府部内でも、産業界でも、協調をはかりながら、十分検討はいたしておりますが、これが前提となる条件がそろわない現状において、一二%の自由化計画を発表いたす段階になっておりません。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私の質問が無理かしれませんが、いわゆる自由化を前にして、各産業はそれに対する準備をしなければいかぬ。この前いつか新聞に若干残存品目の、何か閣議決定だというのが載っておりましたが、今、現在自由化をした場合に、どういう産業が一番打撃を受けるか、こういう点を、これは通産大臣でけっこうですが、それだけは言えるでしょう。それをひとつ。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) まず、残存品目の、これは一ぺん農林とか通産関係の内訳を申し上げておいたほうがいいと思います。全部で残存品目が二百五十四あるわけです。そのうちで農林物資が八十二ございます。それから通産物資が百四十九、大蔵の物資が八つ、厚生省が八つ、運輸省が三つ、科学技術庁関係が四つ、これを合計して二百五十四品目となります。  そこで、今山本さんの御質問は、どういうようなスケジュールで自由化をしていくのかというお話でありましたが、政府の方針は、先ほど大蔵大臣からも申し上げたとおりでございまして、どういうわけで一二%残っておるかということになれば、これは今すぐやった場合においては、国内産業に大きな影響があるというものを残しておるわけでございます。その残しておるものを、じゃ、どうしていくんだということになれば、これは、将来全部自由化をするという建前で、それぞれのものについてできるだけ早く、世界のほかの国の産業に伍してりっぱに太刀打ちできるように育成をするというのが目的で、それぞれ育成をはかっておるわけであります。そういうふうにしていくんでありますから、計画を今どこでどうするということは、全部についてもうどんどん育成をはかっていくということで御了解を願いたいと思います。そして、力がついたものからやっていくわけなんです。これは根本方針であります。しかし、日本だけが自由化して、相手国のほうは差別待遇をされておったのでは、これは意味がないわけです。そこいら辺をにらみ合わせて、やはり自由化をしていく。いろいろ自主規制の問題もありますし、差別待遇もございます。そういうことを含めてよく見きわめた上で、順次自由化していきたいということになるわけであります。新聞紙上等に何品目ぐらい残るだろうとか、残すだろうというふうなことは予測として出ておりますが、われわれは何も予測してやっているわけではありません。全部、順次自由化をしてゆく。しかしながら、自分のところだけは何でも輸入をするというやり方でやる、相手の国が日本の品物は全部チェックされておったのでは、これはとってもたまりませんから、これは相手の国の状況も見ながらやっていく、こういうやり方でやっていくということを申し上げておきます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 通産大臣は、私の質問をそらしておると思うのですがね。全部やるということは、これは一応だれしも望んでおるだろうと思う。初めからそう言っているでしょう。政府は貿易の自由化ということは、そういうことを言っているのでしょう。そういうことはわかっているのです。特に、私は大阪ですが、大阪方面の中小企業の方々は、この問題についてはきわめて神経質ですよ。自由化するかどうかは政府が方針をきめるのだから、その受ける影響というものは、一般国民、特に中小企業は大きな不安を持っている。しかもそれに働いている労働者というものは、この方針についてはきわめて大きい関心を持っているのです。それを一般、おざなりに——僕をあなどって言っているかもしれませんが、私が聞いているのは、今後これをやる場合には、全部一緒にやる。全部一緒にやれますか。実際問題、日本の今の実情において、やれないでしょう。そういう産業の強化をして、国際競争力のついたものからやるということは順当なんです。相手側との交渉の工合、これは向こうの勝手です。やろうと思っても、向こうがやらなければやめたらいいのですが、わが国としては、どういう産業のものは今後やってもいけるのだという、そういうものぐらいは、通産大臣は一応持って、そうでないものについては、今度そういうために何か法律を出されるのじゃないですか。特定産業振興臨時措置法案というのは、こういう意味で出されるのかと私は思うのですが、私は日本の産業全般を見て、今後自由化を推進するためにどういうものが問題になるかということを、やっぱり政府としてもはっきり把握して、各産業担当者に対して一つのめどを与えてやるということは、政府の役目じゃないかということを私は聞いているのです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) お説のとおり、自由化をしていくのでありますから、その品目につきましても、それぞれの業種について自由化ができるように産業体制の強化をわれわれとしてはばかっていっておるわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それでは具体的にひとつ聞いておきますが、砂糖なんかが今ひとつ問題になっているようですが、この問題はどうなんですか。いろいろ新聞紙上では、間近にやるとか、やらぬとか、いろいろにぎわしておりますが、テンサイ精糖会社あたり相当問題にしているのですが、政府は、今言われたように全然考えておらない、こういう意味ですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 砂糖の自由化の問題は、政府といたしましては、一応方針をきめておるわけであります。ただいま御指摘になりましたビートでありますとか、あるいはカンショでありますとか、そういうような国内資源の生産の増強を十分にやる。この問題につきましては、三十八年度予算にも約二十億程度の予算を計上いたしております。それからさらに砂糖の輸入等につきましてはタリフ・クォーター・システムを採用しております。あるいは内地産の砂糖が非常に値段が下がった場合におきましては、一定の標準をもってこれを政府が買い入れますとか、あるいはまた、情勢によりましては、緊急関税の制度の運用、さらには消費税を関税に切りかえるとか、そういうふうな制度をここに確立をいたして、その準備のでき次第、できるだけ早く砂糖の自由化をいたしたいと、こういうふうにきめておるわけであります。目下法律案について準備をいたし、また、党側とも、その内容について協議をいたしている段階でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 今準備をしているのだというのですが、農林大臣としては、見通しとして、その準備は一体いつごろすべて終わるというような見通しでおられるのですか。そういうものを具体的に聞きたい。また、国民はそういうものを非常に期待しておると思う。先ほどの通産大臣みたいに、全く雲をつかむような答弁を私は聞きたくない。やはり今言われたように、準備をやろうという一つの計画はしておる。砂糖の場合はやはりそうあるのです。農林大臣はそういうことを言っておらない。一体そういうことで、いつごろそういうものが自由化に踏み切れるときが砂糖としてあるかどうか。具体的にひとつこれだけでも聞いておきたい。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 自由化の時期はできるだけ早い機会にいたしたいと考えて、準備を進めておるのでありまして、法律案は目下法制局において審議を願っておる段階であります。でありますから、それらの準備ができますれば、今国会に法案を提案をいたしまして、その成立の時期にもよることでありますしいたしますので、はっきりと何月何日からやるということを申し上げるのはいかがかと思うのでありますが、法律案が成立いたしまして、それに伴っての政令その他の準備ができて参りますれば、できるだけ早い機会にいたしたい、こういうふうに考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それじゃ、これは大蔵大臣か、総理でもいいのですが、最後に聞いておきたいのですが、IMFの八条国への移行はおそらくもう日本も今年中に大体やられると思うのです。そうなってくれば、やはり自由化というものはわが国の意思だけでは、これを今言われたように、こちらのほうが都合がいいときにやるんだという立場をとれないと思う。それをとれるものかどうか。こちらのほうのいわゆる産業の競争力がつかない間は、こちらのほうでそれを拒否していけるものかどうか。もしいけなければ一体いつごろそういうものの実現に踏み切らなきゃならぬ時期がくるか。この点をわれわれとして聞きたいのです、実際問題として。通産大臣の話を聞くと、二年でも三年でもこちらのほうが都合悪ければやらなくてもいいという印象にとれるのです。そういうことでやれるかどうか、各国の実情見まして。そういう点をちょっと聞きたいと思って質問いたしました。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、IMFの理事会は、日本の八条国移行を勧告いたしたわけでございます。政府もこれを受け入れるという態勢は国の内外に明らかにいたしました。同時に、先日ガットの十一条国移行についても、そのとおり態度を明らかにいたしたわけでございます。この勧告があってから実際に八条国に移行した例につきましては、西ドイツのように三年余も時日を要したものもございますが、また、半年から一年半というくらいな時日を要して八条国に実際移行いたしておる例はございます。しかし、日本が今日の段階において八条国移行勧告を受けてから、実際に八条国へ移行するまでの間が三年も五年もあり得て一体いいのかどうかということを考えた場合に、そのような時代ではないと考えます。おおむねの目標として、来年の五月に東京でIMFの総会が開かれるということでありますので、おおむねその程度の時期をめどにしながら、ただいま言われたようないろいろな問題を整備をしていかなければならないと考えております。第一の問題は貿易外の自由化でございます。第二は、今、残っておる一二%の自由化をどういう計画によってやるかということであります。第三は、資本取引の問題でございます。資本取引の問題については、IMFでは実情に徴していろいろな管理を認めておるのでございます。これはもう当然国際収支上の問題もございますので、これらの問題に対しては緩和をいたす処置がございますが、ガットの会議の問題、特にOECD加盟の問題がございますから、これに加盟をいたしますと、IMFの制限よりももっときつい制限がございます。資本取引さえも制限を認めないというようなものがございます。ございますけれども、これも運用の実際をしさいに検討いたしますと、その国の実情に合わせながら全然できないもの、元も子もなくなるようなものまでも自由化を要求いたしておるわけではありませんので、これらの問題に対しては段階を追いながら、来年度の八条国移行というような時期に合わせながら具体的な施策を検討し、また、実施に移すものは三十八年度予算においても適切な手段を講じておるわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 満足する答弁は得られないのですが、そこで、時間もくるから最後に一言。先ほど通産大臣は、農業その他、そういうものを列挙して残存品目と言われましたが、しからば日本の政府の腹としてガット二十五条ですか、ウエーヴァー申請をやって、可能性のある、たとえば農産物が一番問題になると思いますが、そういう配意ぐらいはやはり腹を持っておられると思うのですが、その点どうですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) ウエーヴァー申請をして、どの程度の品目で、どのくらいの数が認められるかというような御質問かと思いますが、これはやはりそのときの情勢がきめる。各国でもこういうふうに八条国に移行した場合にでも年限においても差があります。また、品目においてもある程度の差があるのでありまして、それはそのときにきめればいいのであって、われわれがそのときにできるだけやはり日本にとって日本に有利なようにきめていくというのが私はいい方法だと思います。今の場合、こうします、ああしますといって、それだけ言うことは、むしろマイナスの面が出るけれどもプラスの面はない。われわれとしては、しかしながら、いかなるときにでも産業にそれだけはできるように、力だけはつけてやる。たとえば来年の六月までに一二%が全部自由化できるように、日本としては力をつけるのが理想でしょう。しかし、力がついたからといって、何でもそのまま自由にしてしまうのがいいかということになりますと、これは問題があると思います。そういう意味で問題の処理をしていこう、こう申し上げているわけであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私ども一番、通産大臣の答弁は、きわめて抽象的なことで、非常に不満です。イタリアでもその他の国でも、この貿易自由化について、やはり自分の国はこうであるという一つのものを持って、そうして外交交渉をやっています。日本の今の農産品目を見て、これが競争力に勝てるというようなことは、それはあなたの言うことは理想ですよ。そうやるということは。実際日本の農業が非常に近代化されてやればいいのですよ。しかし、そんなことできませんよ、今の実情でいえば。したがって、少なくとも日本政府としては、これだけはウエーバーの申請をやって、残存品目としてやっていかなくちゃならないと思うのです。それ以外でも、ウエーヴァー申請を認めない場合でもイタリアとか、フランスあたりは別に強硬に、一つのガットの、それの規定にはずれたような方法で、残存輸入制限方式というものでがんばっている国もあるのでしょう。私はそれくらいのものが日本政府にあると思う。あるけれども、通産大臣なりあるいは大蔵大臣なりが、外交交渉上不利である、そういうことをやると、かえってガット十一条国に移行した場合には非常に日本産業に不利であるから、隠しているのだ、こういうなら別ですよ。それでなければ、私は国会で、国民の前にこういう考え方であるのだという、今後一二%残されたものは非常にむずかしいけれども、政府としてはこういう方法で自由化を促進し、理想に到達するという過程において、日本の産業はこう守るのだという、これくらいのことは明らかにする必要があると思うのですが、その点どうですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 実は今あなたのおっしゃったとおりのことをわれわれはやっているわけなんです。あなたが今おっしゃったとおりのことを考えているわけであります。ちっともそれは矛盾をいたしておりません。たとえば農産物の問題にしても、そんなに簡単に一年でできるかというと、できないと思う。しかし、今ここで二百五十四残っているうちで、百は自由化します、こう言ったら、それだけの義務をまたそれでしなくちゃならなくなる。私はそういうようなやり方よりは、やはりそのとき、そのときに見て、ここで力がついたからさあ自由化していいというものを、ぼつぼつやっていくというやり方以外はないと思う。しかしながら、われわれはまあできるだけ自由化をして、貿易を促進しようというのですから、何も力がついたものをしないということを言う必要もないわけです。しかしながら、相手によっては、相手のほうは日本の品物をどんどん関税障壁なりあるいはその他の方法でもって輸入を抑止しておる。日本だけは相手の国の品物をどんどんお入りなさいと言って、撤廃する必要はない。だから、そういうことをここで今二百五十四の品目について一つ一つ言っていかなければならないことは、そういうことは無理でもあるし、また、そういうことを申し上げるよりは、全体としてやはり力をつけていくということをやっていく、そして相手の出ようを見ながら日本に有利なように処理をしていくのだ。私はその考え方で誤まりないと、こう考えておるわけで、あなたのお考えとちっとも変わっておらないと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私は、何も一つ一つここで方針を明らかにせよと言っておらない。貿易自由化に伴って日本の産業の受ける打撃が大きいから、もしこういうものがあればこういうものであると、何も百品目やりますということをここで言えと決して言っておるのじゃないのです。しかもガットのあの協定というものは、そうきびしいものじゃないのですよ。各国の事情というものを非常に尊重した協定ですから、あなたの言われるように普通の外交交渉じゃないですよ。そういうおのおのの国の条件を考えた上でああいうガットの協定というものができておるのですから、お互いの国をつぶしてまで貿易の自由化をやれというような強制もしておりませんよ。そういう意味において、私は、国民が心配しておるから、政府としては明らかにするものは明らかにしなさい、こう言っておるのです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) それでありますから、われわれが自由化をする場合には産業の力がつかないものはやりませんということを申し上げておるわけであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それが一体どういう品目であり、産業であるかということを冒頭に聞いた。もうしかし、あなたに聞きません。こちらで調べますよ。そういうことで、国会の答弁で国民は満足するかどうか。もう新聞紙上なり、雑誌なりにはもういろいろ心配して克明に書いておるのですよ。そのくらいのことはわかっておると思うけれども、なぜそれほど国会でそういうことを言うことをあなた方が心配するのかという、その事情すらわからない。日本の政府は、私はほんとうにその点は遺憾な点があると思うのです。新聞紙上なんかはっきりとそれを書いておるじゃありませんか。そういうものすら言えない。これは言った場合に、どれだけの影響があるかということは私はわからない。私は、通産大臣がそれでいかれるならそれでけっこうです。貿易の自由化というものは、どれほど日本の国民生活に影響するか、特にこれによって企業の合理化というものが出てくるのですから、これに対して国民が非常に心配しておる。それに対しても、いや、それが強化されて競争力のついたものからやるのです。——当たりまえのことですよ、そんなものは。そういうことを言っておられるならば私は続けませんが、そういうことはやはり考え直したほうがいいと思います。これについて大蔵大臣どうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) ガットの十一条国に移行をいたしましても、残存輸入制限というものは一応認められておるわけでございます。でありますが、原則的には自由化をしなければならないということでありますので、先ほど通産大臣が申し上げましたような自由化をできるような体制を作るために、いろいろな金融、財政その他の措置を行なっておるわけでございます。でありますから、これらの産業について、国際競争力がついたものに対しては原則論に従いまして自由化を進めていくわけでございますし、どうしても日本が将来自由化ができないというものに対してはウエーヴァー申請をするわけでございます。ウエーヴァー申請をするにいたしましても、二百五十四品目のうち百品目も出すということにもなりませんから、日本の実情を十分披瀝をしながら、各国の理解を得るような、また得られるような状態を作りながら、これからできるだけ日本の産業維持にマイナスにならない程度のウエーヴァー申請をするわけでございます。しかし、これは多数のもりが認められるということはできませんので、国内産業体制の整備に対しては、これは積極的な施策を行なって自由化に対応していかなければならぬわけでございます。で、ウエーヴァー申請も認められない、国内体制も万全なものにはならないというようなもの、また時々起こる国際状況に対して必要がある場合、これをどうするか——これは緊急関税制度がございますから、こういうものを効率的に適用していくということも考えられるわけでございます。けさの新聞にアメリカの関税問題がありますが、しかしその緊急関税も適時適切に使わなければならないんです。これをもう絶えず、自由化をしたとは名のみであって、緊急関税をいつでも発動していくんだということになると、われわれがけさの新聞でアメリカに対して考えておるようなことが、世界各国から日本に対して批判せられるわけでありますから、やはりガットの十一条国に移行するのだという基本的な考え方に立って、自由化には前向きでいくんだ、また一日も早く自由化をしたほうが日本のためにも得になるんだ、こういうことを前提にしながらも、実際上の問題に対しては適切な手段がとり得るもであり、またとらなければいかぬ、こういう考えを持っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それでは、この問題は最後にしておきますが、今度出したか出そうとしておるか知りませんが、先ほどちょっと言いました特定産業臨時措置法案です。これはやはり、これに関連した問題として出されるんじゃないですか。これをちょっと。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) この問題は私の所管ではなく、通産大臣でありますから……。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) お説のとおり、自由化の問題もございますし、あるいはまた消費者のためにも、日本の産業を日本の国の国民のためにりっぱに育てていく意味合いにおきましても、特定産業振興法案というものを出して、特定の産業を育成強化していくことがいいんじゃないかと、こう考えて今準備をいたしておる段階でございます。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。田畑金光君が辞任せられ、その補欠として赤松常子君が選任せられました。     —————————————

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私はやはり、この貿易の自由化というものを一応見越して、この法律案を考えられておると思うんです。そこでこれは言えるでしょう、しからば特定産業というものはどういうものを通産省が予定しておるか。これぐらいは言えるでしょう、どうです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) ただいまその品目をどの程度にしぼるかということで各省と連絡をとっております。大体十前後に相なるかと思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 法律案をもうすでに出そうとしておるんですから、品目を十くらいでは——まあ十でいいですよ——それくらいのことは、何であるかということぐらい言えるでしょう。言えないですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) この問題はまだ法案を出しておらないので、そのどういうものをやるかということが今問題になっておる。でありますから、今候補としてそういう十ぐらいのものが上がっておりますが、それを四つにしぼるか五つにしぼるか、あるいは七つにするか、そういうことはこれからきめる問題でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 ほんとうに、実にたよりない政府だと思うんですがね。それを言うこと自体が問題であるんですか。われわれ普通の常識で考えたら、通産省では十なら十というものを予定して考えておる。必ずしもこれは特定になるとは限らないけれども、大体これくらいの品目が特定産業に当たるのではないかということすら言えないですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) そういう品目の問題は、やはりいろいろの関係がございまして、非常にみんな希望をたくさん持っておるようでありますが、その希望をどれだけ入れたらいいかということが大きな政策問題になる。私はここで申し上げることは、決定するまでは差し控えさせていただきたいと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それでは新聞紙上とか、そういうもので報ぜられておるものは、これはほんとうのいわゆる想像で書いておるわけである。こういうことでいいですか、それでいいですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 政府として方針をきめておりませんので、推測でお書きになっておられるのだと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 もしこの推測があたれば、あなたは非常に国会を軽視しておる。火のないところには煙は立たぬ。そういうものが出ておるのですよ。それが国民の代表が出て質問をしても、決定するまでは言えないのだ、そういう政治がどこにあります。私は今まで池田内閣は非常に親切な答弁である——まあ苦しいときには答弁しなかったことはありますけれども、私はもうすでにある程度そういうことで予定されておる、しかもそれは確定はしておらない、しかしこういう産業を特定産業として伸ばしていかなければいけない、強化していかなければいけないという、この方針であるということを政府が天下にこれを表明するのは当然じゃないですか。それすら言えない。秘密でやる、秘密である。これは取引で特定産業をきめて、そういう利益をはかろうという政府であるとは私は思わない。私は非常に不明朗だと思う。特定産業としてやはり臨時措置法だからある程度の税制面の上においてもいろいろの便宜をはかるようになると私は思う。私は、そういう点に、政府はもっと公明に——選挙ではないけれども、公明にやるべきだ、この点どうです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) お言葉ではございますが、法案ができまして政府の態度がきまって、この国会でそれがきまったからといってそのとおりになるわけじゃない。その案を皆様とともに御審議を願うわけであります。そのときに、なぜそういうふうになったかということについてはお話を申し上げたいと思いますが、今この段階においては申し上げないのが適当と考えておるわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 通産大臣が政府の閣僚としてはそういう態度に出られることも、今の政治のあり方では私はやむを得ないとも思うが、すでにその問題で、各方面が相当いろいろと運動され、いろいろと動いておるということも聞いておるのです。そういう非常に重要な問題であり、しかも国民が最もこれに対して関心を持たんとしておるときに、国会ではきまるまでは言えない。もうすでに新聞では、想像かしりませんけれども、いろいろ報じられておる。そうすると、政治に対して私は不信というものが出てこないかと思う。国会でいろいろ言ったところできまるまで言わない。しかもそれがどんどん進行しておる。きまったものは国会に出されると、今までの状態では政府提案のやつでいろいろそんな問題を変えたことはない。こういう実情を考えて、私、通産大臣は口を緘して言わないというのならば、きわめて政治性の高い大臣であるか、きわめて不親切な大臣であるか、どちらかと思います。私は後者にとっておきたいと思います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 関連して。私は山本委員の質問に対して、どうも法律も新聞の報道によると出す段階に来た。こういう相当練りに練ってきている段階なんです。これがまだ出すか出さないか雲をつかむような段階だったならば、私は今の通産大臣の答弁でもいいかもしれないけれども、もう閣議でも決定をしたか、あるいはもうする段階に来ているものです。特に、私は通産大臣がそういう答弁ですから、これ以上のことは言いませんけれども、具体的にお伺いをいたします。私は化学肥料工業、これは特定産業になるのかならないのか、この点について具体的にお伺いをしますから、入れるか入れないか、お答えを願いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) お答えをいたします。  産業基盤強化臨時措置法は、これは前は何か輸出競争力強化……いろいろな考え方がございますが、まず第一に独禁法との関係等がある。しかもまた今業種の問題が出ておりますが、初めの案は、業種をきめずに民間から申請があり、あるいは通産省が言い出したときに公取がどうこうという案だったのでございますが、私は事の性質上、やはり法定すべきだという考えをまだ持っております。まだこの点は通産大臣あるいは公取委員長と話をしてみませんが、私の私見としては、これはやはり法律できめて適用する、こういう気持を持っております。それからまた私は、その業種はできるだけ少ないほうがいいと、こう思っている。今通産大臣は十品目と言っておりますが、私はそういう考えを持っておりません。したがいまして、今雑誌その他に出ておりますことをここで言うことは私はよくない、これはよくございません、まだ通産大臣と私とも話していないのですから、そういうことをお聞きになっても言うべき筋合いじゃない。これは国会軽視じゃありません。行政で万全を期するためのあれでございます。わかっておれば申し上げますが、まだそこまでいっていないのでございますから、お聞きになるのが無理じゃないかと思います。  そこで、肥料をどうするかという問題につきましては、肥料は私はその必要はないのじゃないか。それはせんだって肥料再建につきましていろいろの措置をとりましたから、私の私見では、まだ結論を出しておりませんが、そういうことは必要ないのじゃないか。これはいろいろな点がございます。たとえば特殊鋼なんかどうするかとか電線をどうするかとか、いろいろな点がございますが、それを通産大臣が今どうだろうとか、こうだろうと言うことはいかぬのです。もし言ったら私は差しとめます。そういう状態であるから——お聞きになりたいことはわかります。しかし重要なことでございますから、暫くお待ちを願いたいということでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 池田総理が通産大臣にかわってなかなか言われたのですが、よくわかります。それならば、もっと早くあなたが出て説明をされたらいいのですが、どうも通産大臣は隠しているような気持があったですね。しかし、総理は行政的な上からいって、そうするのが当然だと言われます。それはよくわからない。これはまた先ほどからのデノミの問題と同じように、影響するところが大きいかもしれませんが、しかし、国会軽視と言ったのは、これくらいのものは考えておるのだという何もはっきりしたものでなくても、やはりそういう点を明らかにしていくほうが私はいいのじゃないかと思う。今までの経過を見ますと、どういう重要法案でも、いやまだ考えておらない、まだやっておらないと言ってぱっと出てくる。新聞では早くもこれはもうすでにすっぱ抜かれておる。そうすると、一般国民は、国会でやられておるけれども新聞のほうがこれは確かじゃないか、国会はもう新聞社に変えたらいいじゃないか、こういう風潮が私はわいてくると思う。私は、新聞の使命としてそれはいいと思うのですが、もうすでにそういうものがほとんど世間に出ておるときには、国会でもある程度言われてもいいのじゃないかと思うので、私はこの問題で総理が今言われた答弁で、一応私は、それで納得はしませんけれども、この質問はこれで終わりますけれども、政府としてはやはり今後そういう態度で臨んでいただきたいと思うのです。これについて抽象的な答弁でよろしいですが、総理の意見を聞いておきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、まだ政府できめてないものをべらべら言うよりも、やはりきまってから申し上げるほうが、そうしてそれによって御審議願うほうが忠実なやり方だと思います。しかし、何分にもお話のとおりに新聞社の方々が非常によく勉強されまして、政府から聞くということよりも、業界のことをずっとお聞きになりまして、そうして結論を報道されるという状況であるのであります。もちろん、新聞にそういうことが出ることを、われわれも参考にはいたしますが、そのとおりきまるのでないということは国民にも大体おわかりいただいておると思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 この問題は一応これでおきますが、私はもう幾らでも言いたいことはあるのですが、これ以上押すと、かえって押し問答になって観閲がぼけてきますから、特に今後池田内閣としてはその点に御配慮願いたい。  それから次に、これはその詳しいところにないと思うんですが、新産業都市建設促進法がすでに成立して半年以上になるんですが、現在までの進捗状態、また指定区域の状態、その点についてちょっと最初お伺いしたいと思うんです。関係大臣だれでもけっこうです。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 関係大臣が七人おりますわけでございますが、便宜、私から御答弁を申し上げます。法律が制定されました後、ただいままでに全国で新産業都市の指定を受けたいと希望を表明せられた個所は四十三カ所ございます。政府といたしましては、昨年の十二月に関係大臣、関係各省が集まりまして、今後そういう個所に対してどういう資料の提出を求めるか、あるいは作業をどういうふうに進めて参るかというようなことを中心といたしまして、作業の方針を決定をいたしました。それは昨年の十二月でございます。今年に入りまして、それに基づいて各地方から必要な資料が出て参りました。二月の初めから、関係各省の実務を担当いたしております者が集まりまして、その各地方から一つ一つ詳しい実情をただいま聴取をいたしております。この作業は大体四月の末までかかる予定でございます。大体一日に一個所程度といっておりますので、そのぐらいかかる予定でございます。その作業が——事情聴取が終わりました後に、この法律の趣旨に基づきまして、関係各大胆からどこを指定することが適当と思うという意思表示が総理大臣に対してなされまして、それに基づいて総理大臣が指定をする、ただいまそういう作業の進行状況でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私は十七、八カ所ぐらいから申請があると聞いておったが、四十三カ所。お手間でありましょうが、ちょっと申請のあったところをひとつお知らせ願いたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) それは四十数カ所ございますので、資料として差し上げることにいたしてはいかがかと存じますが、それとも朗読をさせましょうか。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 朗読でけっこうです。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 政府委員から朗読をさせます。

大来佐武郎経済企画庁総合開発局長

○政府委員(大来佐武郎君) これはまだ正式の申請は受けておりませんで、法律の九条に基づきます基礎調査でございますが、それに基づきまして県のほうから基礎調査の様式を提出して参りましたのが四十三ございます。  北海道が道央——これは札幌、小樽、苫小牧、室蘭地区でございます。釧路、旭川、函館。それから東北が八戸、それから大船渡・高田、仙台湾臨海、秋田湾臨海、庄内、常磐・郡山、新潟、以上東北でございます。が……。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 東北何カ所です。

大来佐武郎経済企画庁総合開発局長

○政府委員(大来佐武郎君) 七カ所でございます。  関東が鹿島、宇都宮、前橋・高崎周辺、熊谷・深谷、千葉・木更津、松木・諏訪、長野も一応関東に入れてございます。以上関東六カ所。  次が東海でございます。岐阜・大垣地区、東駿河湾、東三河、北伊勢、以上東海であります。  北陸が富山・高岡、金澤・小松、福井・武生・鯖江、三カ所でございます。  近畿が滋賀県東南、播磨、大和地区、和歌山県北中部臨海、以上四カ所。  中国が鳥取県中海臨海、島根県中海、岡山県南広域都市、広島、備後、周南、以上六カ所でございます。  四国が徳島、高松・坂出・丸亀、愛媛県東予、高知、以上四国が四カ所でございます。  九州が大牟田・有明、長崎・佐世保、有明・不知火臨海、大分・鶴崎、日向・延岡、以上五カ所。合計四十三区域でございます。  以上、四十三区域、県は三十九県となっております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 これは第三条に基づく各知事の要請によるもので、第四条に基づいて独自に政府がその地域は指定すべきであるという関係大臣の協議によって考えておられる地域はないでしょうね。ありますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 関係大臣の協議をいたしておりませんので、最終的に明確には申し上げられませんが、これだけ希望を少なくともしているところがございますので、それ以外に別途に政府の意思で指定するというところは、ただいまのところ考えておりません。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それで大体四十三カ所、これはおそらくこれがすべて指定区域になるとは考えておらないのですが、大体日本の低開発地区の状態から、この申請をいろいろ調査されておると思うのですが、何カ所くらい一応予定するか、これはまだきまるまで言えないかどうか知りませんが……。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の十二月に関係各大臣で運用の基本方針を決定いたしました際に、法律案の趣旨、並びに法律案が通過いたしました際の両院の御決議の趣旨もございましたので、おおむね十カ所程度とするということを当面の方針といたしております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 政府の立場をおもんぱかって、どことは聞きません。大体十カ所ということになれば、大体想像できるのですが、そこでもう一つ聞いておきますが、先ほど言われました十二月何日ですか、十八日ですか、産業都市の区域の指定に関する当面の運用基本方針、これは地方産業開発審議会の意見を聞いてこの方針をきめられたのか、今、経済企画庁長官は、関係大臣が集まってこういう方針をきめたと言われるのですが、この点どうなんですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 関係大臣の意思を統一いたしました後、地方産業開発審議会の議を経てこれを決定いたしました。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 そこでもう一つだけ聞いておきますが、新産業都市の区域指定をされた場合、もちろんいろいろの特典といいますか、開発について政府も力を入れると思うのですが、今政府で考えておられる地域指定を受けた場合に、政府がこれに対してどれだけの財政的、またその他の方面においてこれを助長、助成する考えであるか、これをちょっと聞いておきたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 巷間いろいろな数字が伝えられておりますけれども、これをこの席で明確に申し上げることは、私は不正確でありますし、困難であると考えます。ただ、実際問題といたしましては、従来とも関係各省、ことに建設省、運輸省等がおもでございますが、指定を受けるであろうかと想像せられるような地区には、ある程度の公共投資、先行投資がなされてきたわけでありますし、今後指定を受けますならば、さらにそういうものが重点的に行なわれると考えるのでありますが、さしずめ昭和三十八年度におきましては未指定でございますので、一年間を空費することは法律の趣旨から適当でないと考えまして、とりあえず経済企画庁にこの関係の調整費として八億円という金を組んでございます。行く行くは指定になりますと、関係各省の公共投資、先行投資の運用において、指定された地区に重点をかけながら重点的に開発をしていく、こういうことになって参ると思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 予算書を見ましても、さっき言われましたから追及しませんが、単に調整費程度のものだと思うのですが、そこで関係大臣に一々聞いていると時間もかかりますから、最も関係大臣としてウエートの強いのは建設、運輸だと思う。そこで運輸大臣に聞きたいのですが、今度の十カ所予定しておる——まあ九カ所になるか十二カ所になるかは別として、海に面した所も相当あると思うのですが、港湾施設あるいは運輸関係で、運輸省としてはまだ指定してないのだからわからぬと言われたらそれまでですが、相当の腹を持ってやらなければできないと思う。こういう問題で、港湾整備あるいは運輸関係について、どういう構想と申しますか、考え方を持っておるか、それをまず聞いておきたい。  ちょっと言っておきますが、次に建設大臣その点をひとつ。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) お答えいたします。  先ほど企画庁長官が印されましたように、前提である指定がされておりませんから、具体的なことは申されませんが、わが運輸省といたしましては、港湾整備五カ年計画が四十年に終わりますものでございますから、それに対応するような施策を積極的かつ強力に推進して参りまして、現在もうすでにだいぶ五カ年計画が二年ぐらい繰り上がった施設の状態になっておるようでございますから、新産業都市の指定がありましたならば、各省とも協力いたしまして強く進めていきたいと考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 建設大臣、建設関係の考え方をちょっと。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) ただいま運輸大臣仰せられましたとおり、建設省といたしましても、地域が指定されておりませんので、いずれ背後関係とか、道路とか、市街地の各種の施設というものをやることになると思いますけれども、場所がきまりませんことにはやれませんので、場所がきまり次第強力に応援しようと思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 各省だれに聞いてもその程度だと思いますので、おきますが、なるほど、まだこれから区域指定をやってやっていくのですが、相当私は今までの予算からみると、各省ともおのおのこれに対する費用が要ると思うのです。私が調べた範囲内では、現在は起債で一応地方公共団体に対しててこ入れをしようという程度であって、国費自体で、港湾を、指定されたからといって、国費の予算を回わしてやろうという考えはないやに聞いておるんですが、これは私の間違いであるかどうか、これをひとつ伺います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 便宜私からお答えを申し上げますが、相当の国費を投入するつもりでございます。初年度で未指定でございましたから、とりあえず八億円というものを盛っておりますが、先ほど申し上げましたように、将来は各省の−建設省、運輸省等々の長期の計画の中でこの新産業都市が当然重点を置かれるわけでございますから、当然に相当多くの国費が投入せられると思います。なお、それに対応いたしまして、一部県なり市町村に負担が出ることも当然だと思いますが、同時に、かなり多くのものが地方債と申しますか、これは受益者負担というものもあろうかと思いますから、その残りは起債という形で処理されると思いますが、この点は、将来その地方に当然に元本に対する果実と申しますか、利益が生じていくわけでございますから、いわば建設的な投資として、何がしかの起債でまかなうことは私ども適当な措置であろうというふうに考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 この指定をしても、なかなかそう簡単に工場が誘致できるとは、われれわ今のこの法律の内容から見ると、できないと私は見ているのです。あるいは来るかもしれませんが、その場合に、誘致された工場だか企業に対して、やはり政府としては優遇措置を講じられると思うのですが、特に地方財政と関係があるのは固定資産税、これを減免したりいろいろの優遇措置をされると思うのですが、そういう考え方で自治大臣おられるかどうか。大蔵大臣でもいいが、自治大臣にまず伺いたい。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 今のところ、昭和三十八年度におきまして、新産業都市をも含めて、地域開発のための地方債のワクは四百二十九億と見ているわけです。工場誘致をした場合に固定資産税の減免をやるかどうかというような問題は、各地方自治体との関係もありますので、必ずしもそうするというふうには今私は考えておりません。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 おそらく私は、そういうことにせなければ、今のいわゆる採算を重点に考えた企業ですから、立地条件が整わない限り、そこへ持って行こうということはしないのですから、やはりそういう優遇措置をやられると思う。その場合、特に政府に考えていただきたいことは、それによって地方財政が非常に圧迫される。しかも地方財政を圧迫するだけではなしに、そういう誘致された工場優先の事業にいわゆる地方自治体の財政が使われる。そうすると、一般民生行政というものは非常に落ちてくるというのが、今までの例からもあるのです。この点について、自治大臣と、特に環境衛生とかそういうものを扱う厚生大臣について、どう考えられるか。私は調べてないのですが、厚生大臣は関係閣僚に入っておられないのですね。おられるのですか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) ただいまのところ、関係大臣には入っていないと思いまするが、もちろん、国務大臣でございますから、意見があれば十分申し上げるつもりでございます。(「入っているよ」と呼ぶ者あり)

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 厚生大臣はいわゆる要請大臣ではございませんけれども、法律では別の規定が、要請大臣以外の関係者機関の長に対しては、経済企画庁長官がその意見を徴してこれを総理大臣に報告しなければならない、こうなっておりますので、当然御意見を私として伺わなければならないことになっております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 この法律ができるときにはいろいろ関係大臣の間に問題があったことも聞いております。今七人だと聞いたのですが、最初は四人とか五人と言っておったのですが、だんだんふえてきたのですね。私は関係大臣をふやせとは言わないのですが、いわゆる印象として、そういう厚生関係行政が新産業都市の指定地域に対して非常にウエートを軽く考えられておるのじゃないかという印象を持っている人もあるわけで、これはやはり考えなくちゃいかぬと思う。そういう都市ができると、衛生行政というものは非常に問題になると思うのです。建設だけの問題で限定をして、厚生大臣はオミットされたと思うのです。あなたはどう思われたか知りませんけれども、しかし、その建設過程でもいわゆる厚生関係行政は重要な問題がある。上水道あたりもあなたのほうが関係していると思う。この点、総理大臣、何で抜かされたのですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) これはいろんな点があると思います。たとえば労働大臣は初め入っていなかったのですが、労働行政も非常に関係がある。もちろん厚生行政もございますが、御承知のとおり区域指定というのがまず第一でございます。それで、私は、これは閣僚全部関係あると言えばみんなあるわけですが、あまり軽重をどうこう言うのもいかんと思いますので、まあ七人ぐらいで、そうして幹事役の企画庁長官がこれに入っていない方の意見を直接私に話すと、こういうことにしたほうがいいんではないか。一般の行政でございますから、そうここは関係が多いとかなんとかということよりも、地域指定というものが主でございますので、指定後においてまた考えなければならぬと思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 これはまあいろいろ意見はありますが、一応総理のそういう答弁で、特に厚生関係も重要な役割があるのですから、遠慮せずにあなたもやっていただきたいと思います。これだけ希望しておきます。  そこで、最後に、この問題で先ほど四月ごろに何か一応の指定の結論が出されるやに聞いたのですが、地元でははっきりと早くきめてほしいという希望が非常に強いのですが、その点いつごろに実際の地域指定が確定するのか、これをこの問題の最後にちょっと聞いておきたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 便宜私からお答え申し上げますが、先ほど申し上げました事情聴取が四月三十日ごろまでかかる、そういう日程になっておりますので、その結果を関係各大臣が検討されまして、そして総理大臣に対して指定の要請をされるということでございますので、当然五月になってからでありませんと最終的な結論は出ないと考えます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 五月に出たらいいんですが、五月に大体政府としては出す方針でおられるのですね。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げましたのは、早くともという意味で申し上げたわけでございますが、私どもとして、関係各大臣の意思が統一されました以上、別段これを引き延ばしておくことによって国家的な利益が特にはかれるというふうには考えられませんので、意思が整いましたならばなるべく早くいたすべきものと考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 これは、地元では、あの法律ができたらすぐやってもらえるのだという気持で今やっているのです。現実にやっておるのです。これについてはわが党としては問題があるけれども、わが党の修正もだいぶ入れられたのですが、法律ができた以上、やはり早急に地域指定はやらなければ、地元でも、もしならなかった場合にまた計画変更もしなければならぬというので府県も困るので、いろいろな問題があると思うが、相当はっきりしためどというものはつかぬものですか。五月ということで聞いておいていいですか。それだけ聞いておけばいいですから。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 三十八年度の予算執行との関係もございますので、作業が整いましたならば、できるだけ早くいたすのが本筋だと私自身としては考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 幹事閣僚として経済企画庁長官がそう言われるなら、私は大体めどは五月であるということで——地方選挙がいろいろやられんとしておるので、これは一番関心を持っている問題になっているのですね。おそらくこれは各党ともこの問題でその地域ではいろいろやられると思う。そのときに、われわれは、政府は五月に指定するのだということを言っておるということを言ってもいいですね。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 答弁は先ほど申し上げたとおりでありまして、それをどのように御解釈になり、どのように御表現になりますかは、私どもから何も申し上げることはございません。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それじゃ、この問題は一応これでおいて、次に地方財政の問題であるのですが、この前実は減税の問題で大蔵大臣にお尋ねしたのでございますが、実質減税効果がどうあるかというのを大蔵省で資料を作ってもらったのですが、昨晩もらったので、また、ちょっと私の意向と違う表が出ておるので、これを少し説明をしていただきたいと思うのです。重要な問題ですから、私だけ聞いたのではいかないので、ここでちょっと説明をしていただきたい。

松井直行大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(松井直行君) 今回の所得税法改正案による実質負担増加の調整といたしまして二表御要望に従って調製したつもりでございます。  第一表から御説明申し上げます。この表は、一番下の欄にございますとおり、三十七年度の実績見込みに対します三十八年度の見込みといたしまして、名目所得の伸びといたしまして給与をとっておりますが、これが六・〇%、これは租税の歳入の見積りのところで使いました数字でございます。それから消費者物価の上昇率は二・八%、これは経済企画庁の数字でございまして、その二つの数字の割合が実質所得の伸びでございます。そこで、上のほうへ参りまして、一番左の欄に三十七年所得階層とございます。独身、夫婦、夫婦・子三人、このそれぞれの階層からなっております。もっとたくさん見ますとよくおわかりになるかと思いますが、ただ問題になるものだけを選びまして三つあがってございます。標準世帯といたしましていろいろの資料で使っております夫婦・子三人というところをごらんいただきますと、三十七年度の実績見込みベースで給与の額が五十万円という場合には、その次の欄へ参りまして、三十七年度の所得税といたしまして六千百二十八円の負担になる。その次の欄の三十八年度所得というところで、第三番目の欄ですが、下に示めしましたとおり、いずれも六%ずつ名目所得が上がるということで、三十七年度の第一段目の数字を六%アップした数字がそこに善いてございます。その次の欄は、これを実質所得に直します関係上、一〇六・〇を一〇二・八というもので割った数字でございます。その次の欄は、名目所得に対する現行法による税額(A)欄でございます。それは名目所得でございますから、夫婦・子三人の欄で五十三万円に対します現行法による税額で七千八百七十五円。これを実質所得に直しました欄が(B)欄でございます。(C)欄は、それを消費者物価の伸びで割掛いたしております。これが七千七十円でございます。その(C)欄の作り方が非常におわかりにくいとも存じますが、この表の趣旨は、もうすでによく御理解になっておるかと思いますが、実質所得に対して現行の負担がどうなっておるか、それに対する名目所得に対する負担、その名目所得の増加分についても累進税がかかってくるところに問題があるのじゃないかという先日の税制調査会の問題点に従って分析した数字でありまして、ごらん願いますとおり、三十八年度の実質所得五十一万五千円に対しまして、(B)欄の実質所得に対する現行法による税額は六千八百七十八円。これは、私今試算いたしてみますと、一・三三%くらいになって参ります。しかるに、同じ実質所得でありながら、名目所得が五十三万円に上がる関係上、名目所得についてかかってくる税金は(A)欄でございます。これが七千八百七十五円、一・四八%。したがって、実質所得が変わらないにもかかわらず、名目所得の上がることをもって一・三三%から一・四八という〇・一五%ですかの負担率の増加があるのはおかしいじゃないかという考え方でございまして、(C)欄は、実質所得に対する負担率一・三三が一応いいのだということを前提にいたしまして五十三万円に一・三三%をかけた、実質負担額の一・三三%を前提にいたしました数字でございます。したがって、実質所得については七千七十円負担でいいのだ、にもかかわらず、名目税はすべて名目所得にかかって参りますから、七千八百七十五円との差(A)−(C)、(D)欄、これが実質上の負担増加額と一応計算される数字じゃないか。それから次が(C)分の(D)の実質負担の増加率でございます。ところが、今提案いたしております三十八年度の改正案によって新年度分を計算いたしてみますと、その次の(E)欄に参りまして、夫婦・子三人の五十万円のところで六千三百七十五円。したがいまして、現行税法のままですと(A)欄の七千八百七十五円に対して、(E)欄の六千三百七十五円ということに相なりまして、軽減額が千五百円で、実質上の軽減額を見るときには負担してしかるべしという計算上の数字であります。(C)欄の七千七十円と(E)欄の六千三百七十五円、この差額が実質上の軽減額ということに相なって参ります。  そこで、一番左の所得階層を三つ書いてございますが、夫婦・子三人の四十万四千円という欄は、三十八年度の実質所得に直しまして四十一万六千八百六十円、四段目の点々でカッコしてございますのが、これが課税最低限のところでございます。これに見合う三十七年度の所得の階層を四十万四千円、こう表示してございます。こういう階層はすべて調整ができる。それから夫婦・子三人の五十万円のところでずっと右を見ていただきますと、右から三つ目の(G)欄で六百九十五円の調整ができる。ずっと左へ参りまして一番左の欄の夫婦・子三人の一番大きな額百二十一万八百四十二円という欄、これは階層がずっと上になって参りまして、ここまで調整できるという三十七年度の実績見込みベースの所得の階層が示してございます。百二十一万八百四十二円の欄をずっと右に見ていただきまして、(G)欄に参りますと、ここでゼロということに相なりまして、課税の最低限のところはむろん救えるほかに、夫婦・子三人の場合には、百二十一万の階層まで計算上出て参りますと実質負担の増加の調整が可能であるという数字でございます。  第二表は、同じような計算の方法で計算いたしたものでございますが、三十六年、三十七年に税の軽減をやっておりますが、三十五年の実質負担を基礎にした場合に、三十六年、三十七年の税制改正でもって一体その間の名目所得の増に対する負担増というものを調整し得たかどうかということを計算したものでありまして、各欄の説明は、今第一表で申し上げたと同様でございます。  結論といたしまして、いずれも課税最低限のところは救っておりますし、それ以上のところにつきましても調整が行なわれている。三十六年、三十七年度の所得税の改正につきましては、このように実質的負担の増加がすべて調整されているということでございます。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 暫時休憩し、午後一時半より再開いたします。     午後零時二十七分休憩      —————・—————     午後一時四十四分開会

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) これより予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。山本委員の質疑を続行いたします。山本委員。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 先ほど説明を受けました、来年度の所得税の減税の実質効果の表を説明願ったのですが、私の予定しているものとは若干違うのですが、これだけ短時間で計算されたことについては、大蔵当局に敬意を表しておきたい。そこで、税制調査会のあの趣旨からいくと、若干表が変わっておると思うのですが、この点どうですか。税調会の趣旨を入れると、数字がだいぶ変わってくると思うのですが、時間の関係で詳しいことは言いませんが、その点どうですか、作成された方でけっこうです。

松井直行大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(松井直行君) 税制調査会の資料は、三十七年度当初予算のときに考えました負担と三十八年度の負担とを比べます関係上、三十七年度中の名目所得の伸び、三十八年度の伸び、三十七年度中の予想した以上に消費者物価の上がった伸び、三十八年度の消費者物価の伸びの相乗で出したのでございます。きょうお示しいたしました表は、三十七年度の実質負担を基礎にいたしまして、三十八年度だけの名目所得の伸びと、消費者物価の伸びというデータを使いまして計算したものでございまして、その点相違はございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 税調会のやつを今さら繰り返して言うのではないが、あの考え方からいくと、実際の減税効果というものは、この数字よりもおそらく減税効果がないということに出てくると思うのです。それは一応確認しますか。

松井直行大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(松井直行君) 税調で計算いたしました方式にのっとりまして計算いたしますと、夫婦のところの課税最低限のところで、実質上九十八円の増、それから夫婦、子三人の課税最低限のところで二百二十三円の増と相なりまして、結局夫婦と、夫婦、子三人という階層のところで完全に調整しきれないという結果になって参ります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それだけ明らかになったことを認めておられるならいいと思うのです。ただ、私の質問要旨は、三十八年度における所得税の減税と、それから、消費者物価の上昇率二・八%と言われておるのですが、それだけを基礎としてやられたのがこの表ということで理解していいんですね。  そこで、私は、率直にそういうことを言われるから譲って、私は、三十八年度だけの分を比較してここで質問したい。この六%の名目所得の増というのは、これはどういう基礎でやられたか、その点を伺いたい。

松井直行大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(松井直行君) 第一表の下にカッコでくくりまして、「名目所得の伸び(給与)、」、給与の伸びを六%に置いたという仮定で計算したという説明がございますが、この六%は、源泉所得税につきまして、三十八年度税収を見込みますときに用いた数字でございまして、給与所得につきましての源泉徴収税額をはじくときの対前年度の指数といたしまして雇用と賃金がございますが、賃金は、民間の場合、対前年度比一〇五・六%、それから公務員で一〇七・二%、通算いたしまして一〇六・〇%、こういうものを歳入見積りの根拠に使っております。この数字を使ったわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 その数字を使ったと言われるが、それはどこからきたかということを聞いている。

松井直行大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(松井直行君) 元は、経済企画庁ではじきました雇用の伸びと賃金の伸びがございますが、税金をはじきますときには、それは税収ベースに直しております。統計の使い方も違いますし、それから時期のズレもございますので、基本となるものは経済企画庁の数字でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 これは重要なデータになりますので、経済企画庁がそういう数字をどうはじき出したか、その点一つ。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 私どものほうは、大体過去からの趨勢等を昨日も申し上げましたが、巨視的にとらえておるわけでございますから、必ずしも主税局が考えました数字と一諸ではございませんわけですが、まず過去の趨勢をとらえ、それから国民総生産における分配関係の監察をいたしましたりいたしまして、まず六ないし七というものを片方でつかまえ、片方でこれの伸びる四%見当前後とつかまえまして、全体を二%くらいとしておるわけでございます。もとより、それをやりますときに、主税局が持っておりまする階層別の所得の伸び等。そういうものも参考にはいたしておりますけれども、それが唯一でもございませんので、いろいろな過去からの傾向線などをつかまえまして一つの達観をしたという以外には、ちょっと正確に申しますと、そういう以外に申し上げようがないわけであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 そういう傾向線を描いてやられるということ、今の政府機関のそういう統計実態からいくと、私も実はやむを得ないと思うのですが、この数字が、結局減税効果なり、今後税の伸びとか、そういうものをはかる基本的な尺度になると思うのですが、この点、私はこの表を見まして第一に疑問を感じておるのです。したがって、この問題については、企画庁長官は正直に言われたのですが、やはり政府としてはこういうものをはっきりもっとつかむ方法を考える必要があると思うのですが、この点どなたでもけっこうですが、政府の考え方をちょっとこの機会に言っていただきたい。

柴田護自治省税務局長

○政府委員(柴田護君) その点は、私どももその必要性を痛感をいたしておりまして、勤労所得を中心とするところの給与水準の伸びというものをもう少し的確につかめないだろうかということ、及び、そこからくるところの国民の消費に向けられるところの、いわゆる国民消費というものをもう少し的確につかめないだろうかということを考えております。これは少なくとも昨日もちょっとお話に出ましたことでありますが、過去の二、三年間の経済の伸びのアフター・ケアをいたしますときにもう少し分析をしてみて、何かこれから先の見通しというものを推定する上に、もう少し蓋然性のある方法はないものか、それのひとつ発見に努めたいとは思っております。仰せのように、もう少し科学的なといいますか、何ものかがないだろうかということを私ども考えて、努力をこれからいたしてみるつもりでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 そこで、かりにこの表によってわれわれが一応考えるにしても、夫婦、子供三人ということを見ましても、実質上の怪減額は六百九十五円と、こういうことになっておるのですね。そうすると、一応幾らかでもそういう効果があったという数字がここに出されておるのですが、先ほど申しましたように、税調会のああいうデータでいくと、これはそうならない。しかし、私は、もうその点には政府が率直に言われたから触れないのですが、これと地方税の関係なんです。なるほど所得税においては、これは六百九十五円、確かにこれだけ効果があった。実質的にあったとかりにいたしましても、三十六年の地方税法の改正によりまして、所得税のいわゆる減税を地方税に影響をしないという方法に、第二方式に変えられてしまう。そうすると、国民の側からいきますと、地方税におけるこれは増税といいますか、これが相当大きく出てきておるのです。その点について、これは自治省の税務課長ですか、税務局長ですか、地方税における府県民税、市町村民税の所得割と法人割の伸び率だけでけっこうです、金額はわかっておりますから。伸び率がどうなっているか、この点だけひとつお聞きしたい。

柴田護自治省税務局長

○政府委員(柴田護君) 所得割の伸び率は、御承知のように、住民税は前年の所得に対して課税をいたします。そこで、源泉所得の給与分につきましては一七%、申告所得分につきましては一四%でございます。法人税割につきましては、法人税収入に対して課税するわけでございますが、これの伸びは大体九八%程度、つまり前年に対しまして九八%程度で計算をいたしております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 自治省が出された三十八年度の地方財政計画のうちの地方税収入見込額からいくと、このデータでいきますと、府県民税における所得割が二五・九%出ておりますね。それから法人割は八・四%、事業税における個人事業税が二六・九%、法人事業税が九・四%、市町村民税においての所得割は二〇・三%、法人割は八・四%、これは間違いないですか。十六ページにありますよ。

柴田護自治省税務局長

○政府委員(柴田護君) そのとおりでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 そこで、今までも法人税というものは非常に伸びておった。これは一応昨年、一昨年の景気調整策による金融引き締めによって法人税が減ってきたということはわかるのですが、はなはだしく府県民税、しかも、個人の所得割が非常に伸びてきている。二倍、三倍に近いものがふえてきている。そうすると、先ほど国税の所得税があれだけ減税されたとしても、実質的には国税、地方税を合わせますると、私は、三十八年度は大きく個人の負担がふえてきたと思う。これはどう思いますか。これはどうですか、大臣、その程度は言えるでしょう。

柴田護自治省税務局長

○政府委員(柴田護君) 実際に試算をいたしました数字でお答え申し上げます。所得税と府県民税と市町村民税を合わせまして、五十万、七十万、百万、百五十万、二百万の五段階にいたしまして、夫婦、子供三人の給与所得者で計算をいたしました。そうしますと、五十万の段階で千八百十六円、七十万の段階で四千三百六十三円、百万円の段階で七千二百三十一円、百五十万の段階で九千百八十七円、二百万の段階で一万百二十五円、これだけの軽減でございます。つまり市町村民税につきましては、これは本文方式の計算でございますが、準拠税率を引き下げておりますので、その効果が出ておるわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それはどこのデータで出しておられるか知りませんが、本来は地方税の減税はないのですね。私の言っているのは、大蔵省が出されたような実質減税効果からいくと、本来は減税されていないのだから、それはないのでしょう。ないから、私は、実質的にその負担がふえておるということを言っておるのです。そうでないですか。

柴田護自治省税務局長

○政府委員(柴田護君) 市町村民税の準拠税率は昨年の改正で引き下げられまして、本年度から約一割程度引き下げることになっております。その効果が計算の結果現われております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 僕はそれを言っておらないのですよ。三十七年度はそういう結果が出ておるけれども、三十八年度を基礎に私は質問をすると言っている。大蔵省のやつは、三十八年度のいわゆる名目賃金の上がるやっと減税と比較してやっておるのですね。三十八年度における地方税の負担が私はふえているというのです。名目賃金が上がれば、そうならなくちゃ合わない。そういうことを私は言っている。その点どうなのですか。そういうデータありますか。

柴田護自治省税務局長

○政府委員(柴田護君) 私のところであらまし試算をいたしましたところでは、先ほど個々の所得段階別に計算したことを申し上げたのでございますが、それを三十八年度で物価で引き直しますと、つまり物価の伸びを二・八%という計算をして引き直しまして計算をいたしますと、税引き所得が伸びる、税引き所得の計算をいたしまして、税引き所得の伸びが三%程度になる、こういう計算になると思います。したがいまして、税の引き下げ等の効果が、物価の引き上げによる効果を打ち消して、なお余りがある、こういう計算が出ております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 僕はあなたの言われることがわからない。三十七年度は、地方税も減税されたことは、これはあるのですがね。三十八年度には、地方税の減税としては電気、ガス税ぐらいしかないのですが、それは一応われわれ論外にしているのですが、一般住民税については減税はしてないでしょう。減税されるのですか。

柴田護自治省税務局長

○政府委員(柴田護君) 昨年の改正で、市町村民税の準拠税率が引き下げられております。その効果が昨年に現われませず、三十八年度から実施される、それが大体平均して一割程度の引き下げになります。その計算が入りますと、今の物価の上昇という条件を計算に入れましても、所得税、住民税の計算をいたしまして、それを引いた所得の伸びが三%程度になる、こういうことを申し上げたわけであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 この地方財政計画を見ると、昨年よりいわゆる所得税割で二五・九%、これは府県民税ですが、市町村民税でも二〇%上がっておるのですね。だから、僕の言っているのは、そのデータは、僕は実質的なものを言っておらない。もしそうであれば、それだけのものが全部減税しておるなら増収にならないと思う。ここに大きく出てきておる、数字として。三十八年度地方財政計画の税収入として大きく出されてきておる。あなたの言われるやつになると、全部減税しているのなら、納税者がふえたということを言われますけれども、その点の詳細なことがわかりますか。

柴田護自治省税務局長

○政府委員(柴田護君) 私は、物価等の関係を見まして、そうしてそれで税引き所得を補正したものについて計算いたしますと、税額の軽減額が物価の増加により打ち消されるようなことにはならん、こういうことを申し上げておるわけであります。所得割がふえておりますのは、それは基礎になります所得がふえますので、所得割額がふえていく。しかし、同じ所得をとりますと、計算をして参りますと、最初に申し上げましたように、住民税と所得税と合わせますとそれぞれ軽減になっておる。それに物価を考慮に入れましても、なお物価の上昇というものが所得の伸びというものを食ってしまうということはない。物価の上昇を考えましても、所得が伸びるのであって、税金を考慮に入れて実質的に所得が減になるということはない、こういうことを申し上げたのでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 そこにはそういう試算したデータがあるのですか。それはその場合、物価が簡単に上がるというのは、どれだけ上がるということを見たのですか。

柴田護自治省税務局長

○政府委員(柴田護君) 先ほど大蔵省からお話がございましたように、同じ基礎を使っておるわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 そういうデータがありますか。それでは一ぺんそれを出して下さい。先ほど言われましたけれども、僕はそれは信じられないわけですがね。では、ちょっと帰ってメモで書いて下さい。私は実は信じないのですが、一ぺんデータを見ますが、いずれにいたしましても、この税の伸びの状態を見ると、これは地方財政の問題に入りますが、先ほど申しましたように、個人の所得割と法人割と考えますと、三倍以上の実は差があって伸びておるのですね。今まで法人税が非常に伸びておった。ところが、この歳出を見ると、住民税が、納めている人に対する歳出にはあまり出されておらない。主として産業基盤の強化という形に地方財政計画としては盛られておるのです。この点について自治省は、あとで質問いたしますが、何か考えることがあるかどうか、この点わかりますか。

奧野誠亮自治省財政局長

○政府委員(奧野誠亮君) 御承知のように、地方団体の行なっておりますことは、住民全体を広く対象として行なっております。公共投資にいたしましても、道路、学校その他、やはり住民全体に広くかかっていると思います。特定の部門を対象としているものはむしろ少ないのじゃないかと、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それでは具体的に聞きますが、三十八年度の地方財政計画の第一表、この普通建設事業費、これを府県なり市町村の実際これを使用しておる部門を検討すると時間がないから、いろいろ言いませんが、これはほとんど産業基盤の強化という方向にこの費用が使われておるのが実態なんです。したがって、われわれの言うのは、法人税を納める対象の人に使用されておるのがこの部分に多い。しかも、三十八年度の税の伸びは、いわゆる住民個人の税金が非常に伸びておる。したがって、地方財政計画を勘案するときには、この点はやはり気づかなければならんと思うのです。なるほど産業基礎強化の費用といっても、これは住民に影響のあることは事実です。事実だけれども、政府のあの経済成長方針に従って、非常に多く地方財政が使われておるということは、ここに顕著に現われておる。数字は言いませんけれども、これも実は地方のほうでは逆に二五・九%というのが普通建設事業費として使用されておるのです。こういう点について自治大臣に尋ねたいのですが、どう考えておられるかという点なんですね。率直に言ってもらいたいと思うのです。

奧野誠亮自治省財政局長

○政府委員(奧野誠亮君) 疑問を持たれる点はよくわかったわけでございます。御承知のように、所得割は前年度の所得に対する課税でございます。法人割のほうは、当該年度の法人所得に対する課税でございます。最近経済の進捗率が鈍化して参っておりますために、従来は法人税割の伸びは非常に大きかったのでありますが、それが若干少なくなりまして、逆に前年所得に対する課税が、やはり前年の影響を受けまして、三十八年におきましても、かなり大きな伸び率を示しておるわけであります。従来はこの率が逆な形において現われておったので、そういう変化のありますことを御了承願いたいと思います。法人税割の伸び率と所得税割の伸び率とは、絶えず食い違いが若干ずつ生じて参ってきておるわけであります。なお、公共投資の面につきましては、国といたしましても、地方団体の公共投資がもっと伸びるように財政的な配慮を加えて参っておるわけであります。道路一つとりましても、国道よりも県道、市町村道のほうがずっと範囲が広いわけでございまして、そういうものは住民全体に広く裨益していくのではないか、こう思っております。なお、財政需要の面におきまして、住民全体の裨益になるような環境衛生施設その他の整備につきまして、一そうの財政的な努力をはらっていきたい、かように考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 あなたは政府の一員としてそう言われるのですが、市町村ではそう見ておらない。それは財政局長もそういうことは御存じだと思いますが、私はもっと追及したいんですが、そうは思っておらない。国庫の負担の伴うものに対する負担が相当多くなっておる。きのうからずっと、地方自治体の懇談会というんですか、テレビや新聞なんかに載っておりますが、三割地方自治体と言われているが、三割もないんですよ、自治体自体が運用しようとする財源はない、おそらく二割ぐらいでないかと思う。そういう状態、都道府県は別ですが、市町村の実態から、もっとこの地方財政計画を組むときにはそういうものを考えられないかどうか、これほどいわゆる所得割が伸びておるのです。こういう点を私は地方財政計画を組むときには、あなたのほうも、そういう行政指導なり考えなければいかぬと思う。あなたは政府の一員だから国の政策についていくんでしょうけれども、地方自治体は、ますます地方財源が枯渇してしまう。自分がやることはない、せっかく選挙で通っても、自分の公約が果たせないというのが今までの市町村の実態ですよ、これをどう思っているかということを私は聞いているんです。これはひとつ自治大臣、これぐらいはあなたから御答弁を願いたい。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 公共事業とか補助事業とか、そういう伸びは非常に大きいわけでありますが、単独事業の伸びが非常に大きいために、地方の自治体の財源が非常に窮屈である、こういうことだと思います。それに対しましては、単独車業でありましても、適債事業であるとか何とかにつきましては起債によってやる、こういう方針でおります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 大臣からそう言われたから言いますが、今その起債によってそういうことをやらそうという傾向が強いのですよ、起債というやつは、これは借金ですよ。それによって市町村のいわゆる負債が多くなってくるんですね。そういうものをひとつ政府が利子補給でもするんですか。

奧野誠亮自治省財政局長

○政府委員(奧野誠亮君) 大臣のお答えになりましたことをちょっと補足いたしたいのでございますけれども、いろいろ公共投資がふえてきて、その場合に、国の補助事業ばかり繰り延べしたのでは、地方自治体は実際に実施したいことが十分できないじゃないか、こういう御心配があるかと思うのであります。ところが、最近数年間の両者の伸び率を見てみますと、補助事業が伸びている以上に単独事業が伸びているのだ、こういうことをおっしゃっているわけであります。しかし、これで十分とは思っておりません。なお今後一そう努力したいと思っておりますけれども、とにかく単独事業も公共事業の伸び以上に伸びているということを、こういうことを申し上げているわけであります。なお、地方債は財源ではございませんで、地方債だけであとに問題を残すようなことは避けなければならないと思いますけれども、若干ずつやはり地方債をふやしていかなければならないと思います。その際に、やはり元利償還額は地方財政計画で立てまして、それをまかなえるだけの財源を確保するという建前を全体としてはとって参っておりまして、やはり将来におきましても地方債を増額する、その元利償還額が生じてくる年度においては、全体として十分にまかなえるような財政的措置をしていかなければならないと考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私は、この地方財政を通観するのに、これはもう昭和三十五年ごろから好転をしてきております。これは先ほどあなたが言われましたが、経済成長に伴った事業税の伸び、法人税割の伸びというものは、はなはだしかったと思う。それが最近変わってきまして、私は前年度だけのことを言っておらない、ずっと歴史の経過を見て話しておるのですが、それは追及しませんが、そうすると、今後は、こういう状態であれば、住民税を、かりに三十八年度、先ほどデータは出しませんが、かりにそういう効果があると仮定しても、それ以後、私は、地方財政を救う上において、住民税の軽減ということに手を加えられない、政府が特別な方法でこれを補助するとか、国庫負担をすれば別ですが、私はそうやれないと思うのですが、地方税を今後三十八年度はやらないとすれば、その後住民税の伸び率を見てやらなくちゃならぬと思うのですが、自治省の考え方はどうですか。

奧野誠亮自治省財政局長

○政府委員(奧野誠亮君) 住民税のウエートが地方税収入上ふえてくるということは、ある意味において望ましいということは言えないことはないと思います。問題は課税のあり方だろうと思います。その点につきましては、現在ただし書き方式と本文方式がある、ただし書き方式のところが特に過重になった。この点については年々是正に努めて参っておりますが、将来ともそういう方向に一そう努力を払いたいと思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 あなたはそう言うけれども、国税は応能主義、地方税は応益主義に立ってやられておると思うのですが、それも私は認めるけれども、昨年の地方税改正によって、国税を負担しない者までも、地方税は負担しなければならぬという、非常に過重された層が出てきているのです。県民税を見ましても、そういうところから見て好ましい方向だということは、これはあなたは総括的なことを言われたけれども、これはわれわれとしては納得できない。非常に国税は減税されていくけれども、地方税が非常に重くなったという印象を強く与えていることは事実です。そういうことはないんだ、今後も地方税については減税——地方税というと、私は主として住民税のことを言っているのですが、そういうものについてはこの傾向でいってもいいんだ、こういう考え方であるかどうかということを私は聞きたいのです。

奧野誠亮自治省財政局長

○政府委員(奧野誠亮君) 地方自治を健全に発展せしめますためには、やはり住民の能力に応じて、できるだけ所要経費を負担する、そういう分量が多いほうがより望ましいのではないだろうかと思うわけでございます。ただ、そうした場合に、とかく一部の地域に財源が片寄ったり、あるいは、また、零細な所得者に過重な負担がかかったりするおそれがあるのでございまして、そういう点は十分心得ていかなければならないだろうと思います。ただ、住民税のウエートがふえていくということは悪い、こういう考え方は持っていないのであります。ただ、零細所得者に過重な負担がかかっていく傾向がある、これは排除していかなければならぬ。数十年来そういう方向に日本の税制は非常な改革が行なわれて参りましたと、こう考えておるのです。その基本的な方針は堅持していきたいと思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 税務局長、今、財政局長はそう言いましたが、昨年の改正では、やはり低所得者は相当過重になってきたと思うのです。そういう事実はないですか。

柴田護自治省税務局長

○政府委員(柴田護君) 基本的には、先ほど財政局長がお話し申し上げましたとおりでございます。今回の市町村民税の税率の引き下げの効果が出て参りますので、実質的には、お話しのように、過重になるというような傾向よりか、むしろ幾分でも是正される方向に動くものだと思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 昨年の府県民税の改定で過重になったでしょう。

柴田護自治省税務局長

○政府委員(柴田護君) 昨年の改正につきましては、所得税と県民税との間のやりとりでございまして、その間の負担の調整につきましては、税額控除等の措置によりまして、負担が過重にならないように処置をいたしておるのであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それはあなたが言っても、事実上加重された階層があるということははっきりしておるのです。なるほど、国税と調整したというのは、全般を通じてやっているけれども、累進課税から比例課税に切りかえたために、これはずっと下のほうまで大きく影響していることは事実です。その事実はないと言われるのですか。

柴田護自治省税務局長

○政府委員(柴田護君) 県民税だけをとってみますと、お話しのとおりだと思います。私の申し上げましたのは、所得税とのやりくりでございますので、所得税と県民税を通じて、所得課税に対する総合負担の率を申し上げたのでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 だから、結論として昨年の国税の所得税が減税したもので見合わしてやったのだが、今後やらなければ、やはり地方税がふえてくるということになるのです。だから、今後そういうことを、地方税の減税も考えておるかどうかということを結論として聞いているのです。全然考えておらないというなら別問題です。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 地方税の減税は大いに考えております。そういう関係上、先ほど税務局長が説明いたしましたように、三十七年度において改正をして、約百三十億円というものが三十八年度において減税となり、また五十二億円が電気ガス税として減税になる、こういうことでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それでは電気ガス税とか、そういうものではなくて、住民税も一応将来は考えていくということにとっていいですね。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) もちろん、住民税も将来考えますけれども、今のようにこの所得税を納めない者からは住民税を取らないということになりますと、税金を納める人の数が地方によっては非常に減りまして、村の財政、町村の財政に非常に大きな影響がありますから、現在の場合はやむを得ず、そういう方法をとっておるわけでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 自治大臣は非常に正直ですが、一応時間が迫っておるようでございますから、これはあとに回して、もっとやりたいと思うのですが、私が結論的に言いたいのは、住民税がふえることは好ましい。これは納め得る条件に育てていくということが前提です。今のような条件では、低所得者は、地方税については非常に反感を持っていると思うのです。あなたが言われるのは納め得る条件を作るということ、これが前提です。そういうことを前提にして私は尋ねておるのではない。しかも、その使用する方法を見ると、非常に地方住民の直接の民生事業に対しての伸び率と、あなたが言われる伸び率は多いけれども、絶対額が少ないのだから、昔から。そういう点を考えますと、私は地方財政の組み方については異議がある、こういうことを言っておる。時間がないから、この点はこれでひとつ置きます。いずれまた次の機会に伺いたい。  そこで具体的な問題ですが、財政上の問題として、これはある市の問題ですが、姫路市の財政運営上の問題で、いろいろはっきりとしておきたいと思うのですが、姫路市で、問題を起こしておる。こういう点は自治省として聞いておられるのかどうか、まずそれを聞いておきたい。

奧野誠亮自治省財政局長

○政府委員(奧野誠亮君) 一両年前でございましたか、姫路市の財政状況を調査してほしいという申し入れを受けまして、今の財政再建課長を姫路市の財政調査に当たらせたことがございますが、その結果の報告におきましては、いろいろ事業をやっておるようであるけれども、特段不正というような意味合いの問題はないというような意味の報告を受けたことがございます。なお今後におきましても、いろいろ御疑念がございましたら、われわれのほうとしましても、一そうの注意を怠らないようにしたい、こう思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 二月には、向こうでいろいろ建設関係の汚職事件で、検事局に引っ張られたということは御存じと思いますが、これも根本を調べますと、いわゆる財政運用上の混乱から来ていると私は思うのです。具体的に私は言うけれども、こういうことはどうなのですか。市長がやめた場合の退職金、これはいいですよ。三十四年の秋に、いわゆる市会で退職金六百五十万円を出すということを議決した。それを、三十四年の三月ですから、三十三年度のうちに、これが支出されておる事実があった場合には、これは地方財政法においてどうなりますか。

奧野誠亮自治省財政局長

○政府委員(奧野誠亮君) 三十三年度の支出は、三十四年三月末日までの間に支出命令がなされておりますならば、それでよろしいのじゃなかろうか、こう思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 僕が聞いているのはそうじゃない。特別職の退職金は議会の議決を要するのですね。その議決をされたのは、よく日にちを聞いて下さいよ。三十四年の秋ですよ、九月ですよ、それが三十四年の三月に支出された。退職前に出されておる。こういうことがあった場合にはどうなのか。

奧野誠亮自治省財政局長

○政府委員(奧野誠亮君) 今お話しのように、三十四年の九月の議決に基づきます支出は、三十四年でなければならない、こう思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それは地方財政法上どうなるか。

奧野誠亮自治省財政局長

○政府委員(奧野誠亮君) 今申し上げましたとおりでございまして、事案の具体的内容を承知いたしませんので、わからないわけでございますけれども、三十四年の九月の議決に基づく支出が、三十三年度の決算に乗っかるということはあり得ない。もちろん違法の措置だと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私は国会ですから、地方自治体にあまり干渉したくないのですが、いろいろ財政運用上で自治省も指導されるのですが、私は六百五十万円が多いとか、あるいはかっての川崎市の助役が千何百万円か取った、それは私はいいと思うのですが、そういうことがやられることについては、私は地方財政運用上非常に混乱を来たしてくると思う。それは、自治省は調べられてもそういうことは全然なかったのですか。

奧野誠亮自治省財政局長

○政府委員(奧野誠亮君) 今のお話、初めて伺うわけでございますが、そういう事実もよく調べたいと思います。われわれの常識では、そういうことはあり得ない、こう思うのでございます。どういう事情があったか、よく調べてみたいと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 もう一つだけ聞いておきますが、私はそういうことを暴露してどうこうという気持は、私の出身の関係でない。ただ自治省は、下級職員の給与がちょっと国家公務員と率が違っても、いろいろ行政指導をされるのですが、こういう特別職だから別だと言われますが、非常にこれが反感を買う場合がある。しかもこういう例もあるのですよ。これははっきりわかるのですが、これは違法じゃない。調べたら違法じゃない。職員費の消粍費、需用費について五十万円を年度末にこれが吏員の歳暮だとして配られている。配るのはいいと思う。歳暮も消粍品だからいいと思う。一方事務職員は、自分でペンなりあるいはそういうものを買って消粍品を出している。これは自治省が昭和二十何年ごろですか、財政が非常に地方自治体が悪いときにそういう指導をされた。そういう事務用品は職員が持てと、それが残っているのですね。そういう費用が余っているのに、片一方では事務用品は本人の負担にしている、こういう事実は知りませんか。

奧野誠亮自治省財政局長

○政府委員(奧野誠亮君) 私そういう事実をつまびらかにしておりません。いろいろお教えをいただきますならば、そういうことは特につつしんでいくことでございますので、十分な指導を加えなければならない、こう思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それではこれでおきますが、最後の問題は、個々の問題でありますから、きょうここで言う気持はなかったのですが、非常に心配になったので、私は悪意で言っておらない。今日まだ地方自治体の財政運用は、地方自治体でおのおの自己の監査委員会もあるし、信じてやるのがほんとうです。政府はこれに干渉すべきでないという私は一つの筋を持っておるのですが、それがもうどこからも手を入れないというような状態であれば、これはゆゆしき問題が起こると思うのです。私が言ったことであるから、自治大臣もこの点につきましては慎重な態度で、しかも果敢にこの問題についてやっていただきたいということを希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 山本委員の日銀総裁に対する質疑は、これを明日行なうことにいたします。  この際お諮りいたします。  明日の山木委員の質疑は、山際日銀総裁の出席を求められております。よって、山際正道君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次に、青木一男君。

青木一男自由民主党

○青木一男君 最近の政府の施策の中で、国民が最も喜び、また同時に将来多大の期待を寄せておるものは、道路整備五カ年計画に基づく道路の改良、建設であろうと思います。この国民の要望にこたえまして、昭和三十八年度予算においても、道路予算が前年度に比べて大幅に増額しておりますことは、まことにけっこうなことであると思います。しかしながら、道路の現状と国政の諸般の角度から総合して考えると、この程度の道路予算では不十分である。将来画期的にこの道路予算は増額するを要するものと私は考えるのでございまして、その見地に立って若干の質疑をいたします。お答えをいただく大臣は一応指名いたしますが、どなたからお答えいただいてもけっこうであります。  まず、池田総理にお尋ねいたします。  わが国の産業は軽工業、重工業、化学工業その他の部門にわたりまして、私は世界第一級のレベルに上っておるのだと思います。それから文化の方面におきましても、学校教育は義務教育の程度及び普及率において、どこの国にも劣りません。大学の数のごときは、もうすでに世界第一であることは御承知のとおりであります。それから新聞、ラジオ、テレビの普及率等においても第一級の国に伍して遜色ないところまできております。  かように産業文化全体のレベルが高いにもかかわらず、そういう産業文化の基盤をなすべき道路の現状はどうであるかという問題であります。わが国の道路は、徳川時代の人馬の交通を主眼としたものが、そのまま大体今日の道路の根幹となっており、近年道路整備計画に基づいて急激に改良舗装が行なわれておりますけれども、しかし、今の五カ年計画が終了する四十一年三月になりましても、国道、地方道合計十四万キロのうち、舗装の完了するものはわずかに二〇%にすぎないというのが、日本の道路の現状であります。私は、昨年の秋欧米各国の道路を視察してきたのでございますが、アメリカ及び欧州の諸国においては、もう普通の道路は完成の域に達しております。もうこれ以上普通の道路は延ばす必要もなければ、新たにもう舗装する部分もないというところまできているのであります。その距離の大体を考えてみましても、英国ではパブリック・ハイウエイ十七万マイル、フランスでは国道、県道合わせて三十六万キロ、西ドイツでは国道だけで十三万八千キロ、アメリカでは二百五十万マイルのパブリック道路、こういうのが基本の道路でございまして、こういうのは完全に舗装を完了しておるわけでございまして、もう今は立体交差の高速道路の建設に全力を注いでおるという段階に、欧米の道路事情は変わってきておるのでございます。わが国の道路は、これらの欧米の道路に比べてはるかに劣ることはこれはもちろんでございますが、アジアの新興国家の道路に比べてもさらに劣る。わが国の道路は、おそらく世界の最下低の道路ではないかと思うものでございます。わが国は文明国といいましても、道路という一本の足だけが切れて、短いちんばの跛行的な文明国であると私は言わねばならぬと思うのでございます。池田総理は、しばしば外国に旅行されまして、つぶさに外国の道路も御視察になっておることと思います。わが国を均衡のとれた文化国家、産業国家に育てるために、まず手をつけなければならないのは、道路であるとお考えになっておられると思いますが、この道路に対する御所見の大意を伺っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) わが国の道路が、他の産業部門、文化部門、教育部門等に比べて非常な遜色のあることは、お話しのとおりでございます。私は昭和二十五年でございましたか、有料道路の制度をニューヨークで聞きまして、シャウプから聞いたのでございます。それからいろいろなにし、有料道路をやることを主唱いたしました。それから昭和二十七年の秋には、大蔵省はなかなか踏め切らなかったのですが、ガソリン税を目的税とすることに昭和二十七年、昭和三十二年に、私が大蔵大臣のときに千億減税千億施策、しこうして一兆円の道路計画を立てましたところ、とてもインフレである、むちゃな積極政策だといって、だいぶ国会で非難を受けましたが、その一兆円のものが、一兆三、四千億から、二兆三、四千億円の計画、四十年度で終わりますが、今の二兆三千億じゃとても足りますまい。私は、やはりできるだけ早い機会に、また五カ年計画をやらなければ、とても産業から文化の点におきまして非常にあれです。道路公団の拡充、その他あらゆる方法、手を尽くしまして、私は最も遜色のある道路につきましては、重点的にやっていかなければ、これはもう日本の産業、文化はとまってしまうくらいに私は考えておるのでございます。今後も、従来にもまして努力いたしたいと思います。

青木一男自由民主党

○青木一男君 ただいま池田総理の御所見を伺いまして、非常に意を強くしたものでございます。  次に、総理に引き続きお尋ねいたしますが、道路と鉄道との関係であります。わが国の道路が非常に立ちおくれた一番大きな原因は何かというと、明治以来、交通運輸政策の重点をあまりに鉄道一本に置き過ぎたという結果でありまして、自動車による陸道輸送ということを非常に軽視したということが、今日の結果になっておるのではないかと思うものであります。私、昨年道路を視察すると同時に、鉄道のこともできるだけ聞いて参ったのでありますが、欧米各国の大勢は、もう重点が次第に鉄道から道路に移りつつあるのであります。したがって、鉄道の経営は苦しい。鉄道の経営は多くの人をかかえておりますし、道路のように機動的にはいきませんので、相当に困難で、合理化をはかっておる。合理化というと、線によってはもう整理しなければならないものも出てきておるわけであります。私は、これが世界の大勢でありますから、わが国もおっつけそういうやはり情勢になるのではないかと思うものでございます。したがって、国内各地において新しい交通網を開拓してくれという要望は強いのでございますが、少なくも新線を開拓するというような場合は、できるだけそういう大勢を見て、道路によってその要求を満たすということのほうが、今日の時勢に適当するものである。鉄道よりもまず道路、こういう考え方でいくべきものと私は思うのでありますが、その点に対する総理のお考えを伺っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 大体においては青木委員のおっしゃるとおりでございますが、日本が鉄道に主として従来たよってきた、そうして自動車道路に割合に関係が少なかったということは、これは日本の地形のしからしむるところ。しかもまた、山が多い、南北に非常に長いということが、やはり道路よりも鉄道ということになったと思うのであります。もう一つの原因は、やはり大東亜戦争が道路輸送、自動車輸送ということを非常に阻害してきた。乗用車をとめたりいろいろな点がございまして、そういう点から立ちおくれがきたと思うのであります。したがいまして、ヨーロッパのような山の少ない国なら、これはもう道路に越したことはない。そうして平地で、しかも細長くないところは道路がいいと思います。しかし、日本では既設の鉄道輸送にたよっております。今後におきましては、それは道路のほうがウエートを多く持つことは当然でございます。これはもう趨勢で、これは否定できません。しかし、だからといって、今まである鉄道網を利用して、鉄道新線はもうほうっておけということは私はいかぬと思うのであります。これはやはり経済効果の多い現実の問題と、そうして将来の国土開発という二つの点から考えていかなければならぬ。趨勢としてはお話のとおりでございます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 引き続いて、国民所得の格差是正と道路との関係について、総理のお考えを伺いたいと思います。わが国の経済の高度成長計画の基本構想の一つは、国民所得の地域格差をできるだけなくすという一点にあると思います。わが国において、産業と人口が大都市その他特定の地域にこれが集中して、その地域は栄え、国民所得がほかの地域よりも格段開きのあるような状態を示しておるのでありますが、このまま経済の高度成長を続けていきますと、私はこの格差はますます大きくなるのではないかと思うものであります。そこで、政治の力によってこの格差の大きくなるのを防ぎあるいはこれを縮小するということに、今後わが国の政治の大きな題目があるのではないかと私は思うものであります。国民所得の地域格差をなくする手段として、私は経済上の後進地域に進歩したりっぱな道路網を建設してやることが一番有効な手段ではないだろうか。先ほど来伺っておりました地方産業都市の建設にいたしましても、結局交通路というものが伴わなければ役をなさないということは明白でございます。私はそういう意味において、今の地域格差是正という見地からも、急いでおくれている地域の道路網の整備ということが重点をなすように思うのでありますが、総理のお考えを伺っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 全く御意見のとおりであります。

青木一男自由民主党

○青木一男君 次に、建設大臣にお尋ねします。欧米各国の自動車道路の整備しておることは先ほど申し上げたとおりであります。その上、各国とも立体交差の高速道路を非常なスピードで建設しております。アメリカの高速道路フリー・ウエーは、現在一万一千マイルでありますが、今後十年にしてこれが四万一千マイルに延長され、西ドイツにおきましては現在三千キロのアウトバーンがありますが、これが一九七〇年までには五千二百キロに達するのであります。イギリス、フランス、イタリアの現在の高速道路の延長キロ数は西ドイツよりも劣りますけれども、その建設計画の記録は大体西ドイツと五十歩百歩でありまして、一年に二百キロあるいは三百キロ、大体この見当の高速道路をどこの国も建設しておるのであります。  さて、この世界の大勢に比べてみて、わが国の高速道路の現状はどうであるかと申しますと、現在では国土開発縦貫自動車道のうち、中央道の一部及び東海道幹線道路が工事に着手あるいは一部でき上がりつつあるという程度の問題でございまして、あげて今後の国土開発縦貫自動車道のこの建設というものが日本の高速道路の問題を決定する段階に来ておると思います。むろん、これができますれば、わが国の陸上輸送の大動脈はこの高速道路に集中すると思います。それと同時に、この国土開発縦貫自動車道ができますと、国内の距離が短縮され、今までの未開発地域が一躍脚光を浴びて新しい町や村もでき、産業及び人口の配置というものがそれだけでもう相当でき、わが国の今変態を呈しておる体質がそれによって改善される効果があると思うものであります。昭和三十八年度予算におきまして、中央自動車道と東海道幹線道路の工事費とあわせて、その他の縦貫自動車道の調査費が計上されております。これは日本の高速道路歴史の上に一歩前進したものとしてこれを喜んでおるものでございます。しかしながら、今のところは調査費である、この建設には莫大なる経費を要するものでございまして、政府の非常な決意がなければ実行できません。私は先ほど来申し上げましたような重要性をこの道路に持っておると考えるものでありますが、建設大臣はこの国土開発縦貫自動車道路の意義、その使命等についていかなる認識を持っておられるか、まず伺いたいと思います。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) お話のとおりに、近時とみに自動車の発達、その他産業の改善、構造の改善等によりまして、運送が非常にひんぱんになって参りました。そのために高速自動車道の必要性が非常に多く、強く要請されるようになって参りましたことは、お話のとおりでございます。したがって、従来のありました道路を拡幅舗装して参ると相並行して、お話のように縦貫道路、主要幹線道路等の建設に大いに力を入れていかなければならぬという感を持っております。

青木一男自由民主党

○青木一男君 次に、大都市と地方との道路費の均衡について建設大臣にお伺いします。昭和三十八年度の道路予算及び財政資金の配分を見ますると、どうも東京その他の大都市に非常な比重がかかっておるのじゃないか、こういう感をいたすのであります。まあ大都市あるいはその付近の交通難、いろいろな事故、そういうものはだれにも目につきやすいのでございますから、その緩和策に力を入れようと考えるのは人情の自然であろうと思います。しかしながら、そういう道路の施設一つとりましても、大都市にこれが偏重する、都市の交通は非常によくなる、こういうことになりますと、その他の社会施設あるいは文化施設等においても同様でありますが、大都市が住みよい土地になる。そうなりますと、私は都市に対する人口集中というものはますますひどくなるのではないだろうか、そういう感をいたすのであります。まあ本年度は、オリンピックに備えて東京の道を早くよくしなければならぬという特殊の事情があったこととは思います。しかしながら、将来都市の交通難というようなことだけにあまり没頭して、地方を忘れては、先ほど申したとおり、人口がますます大都市に集まってしまうという一つの原因をなすのであります。私は大都市の不便な状況をほうっておけとまでは申しませんが、それと同時に、それ以上にやはり地方を住みよい土地にしなければ、人口はどうしても分散しない、こういう考えを持つものでありまして、道路予算の配分についてはその点は十分お考えになる必要があるかと思いますが、建設大臣のお考えを伺いたいと思います。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) 私もお話しになりましたと同様に考えております。ただ、従来とかく大都市の交通がにわかにひんぱんになりましたために、二兎を追わずして、一時大都市に偏重したきらいがありますけれども、しかし、青木さん御視察の結果御承知いただいたと思いますが、私も、実は欧米各国各都市におきまして、都市内の区画整理もしくは道路の改修等にはあまり重点を置きませんで、しいて申せばニュー・タウンの形式をとって近郊に新しい町を作る、その間を道路でつなぐというようなことに重点を置いております姿を見ても、そういう方向にいくべきである、基本的にものの考えを新しくしていかなきゃならぬだろうというような意味合いからして、昭和三十九年度を初年度とする道路新五カ年計画を策定いたしまして、そうしてそれによって、従来の道路の考え方と少し変わって、今お話しになりましたように、国道と府県道とを分けまして、重要道路については全部国庫負担金の支弁において国道としてこれをやるということにしていきたいというふうにして、十分検討していこうと目下検討中でございます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 観光施設としての道路について総理のお考えを伺いたいと思います。その前に大蔵大臣に一点だけお伺いいたします。  為替自由化によって日本人が自由に外国へ出かけることができるのは、大よそいつごろになる御予定でありますか、大体のお見込みを伺っておきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) IMFの勧告によって八条国に移行する第一の問題として、貿易外の自由化を要請されるわけでありまして、外国旅行の制限をいつ解除するかという問題がその中で一番早く来る問題だと思います。この問題に対して、まだ政府部内で確たる意見の決定はいたしておりませんが、常識的に見て、来年の春ごろには、向こうからも桜の花が咲くころには来るのでございますから、まあその時期ぐらいをめどにしてはというような状態で今検討を進めておるわけでございます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 国際収支の均衡ということは、わが国では経済政策の基盤として国の至上命令であると、こう申さねばなりません。明治以来のわが国の統計を見ますると、輸出入貿易だけで均衡を得たという年はもう数えるほどしかございません。大体貿易上の輸入超過を貿易外の受け取り勘定で補うというのがわが国の国際収支の姿であったわけであります。従来、戦前においてわが国の貿易外受け取り勘定の一番大きいものは海運収入であったわけであります。ところが、現在は事態が非常に変わってしまった。今日の事態においては外国旅客の国内で落とす外貨収入というものが非常な多きを占め、また将来最も有望な項目をなすものであろうと思います。わが国は幸い観光資源に恵まれておりますからして、受け入れ態勢さえ十分いけば、アメリカ人、ヨーロッパ人その他の外国旅行者というものは非常に増加するのではないかと思うものであります。受け入れ態勢としては、従来旅館等のことが主として論ぜらせておったのでありますが、私、先般の旅行のときに、できるだけ向こうの日本へ来た人たちの日本観というものを聞いてみ、あるいは注文を聞いてみたのですが、旅館ということを口にした人はあまりありませんでした。むしろ、それで、確かに日本はいい国で、また行ってみたい、しかし何しろ道路が悪い、これはもうほとんどすべての人が率直に言うた言葉であります。まあ自動車というものは今日欧米人にとってはもう生活上不可分のものだ。自動車ということは即道路を意味するものでございます。私どもが旅行しても、道のいいところを旅行した場合には非常にいい印象を持って帰るわけでございますから、欧米人が日本に旅行した場合に道路について相当マイナスな印象を持って帰ることはやむを得ないと私は思うのであります。まあ先ほど大蔵大臣は来年の春ごろとおっしゃいましたが、早晩日本人も外国へ自由に行けることになる。そうすると、外客誘致について受け入れ態勢をよほどしっかりしておかないと、外国人が日本に落とす外貨よりも、日本人が外国へ行って落とす金のほうが多いというようなことになったら、これはたいへんなことになるのじゃないかと、こういうことを私は心配しております。  観光資源は今日でもそれ自体において、スイス、イタリア等にはあるいは及ばないのかどうか知りませんが、まあ世界的なものであります。ことに、今問題になっております中央自動車道、東京から大阪まで本州中部、山あり、川あり、湖水あり、こういう変化の多いところを五時間ぐらいで突破できるならば、私はこれは世界的な観光ルートではないかと思うものであります。今までこの観光施設としての道路というものがどうもやはり認識の程度が低かったのじゃないかと思うものでありますが、この点についても、この観光施設は、国際収支の観点だけから見ても重要度は相当あると思いますが、総理のお考えを伺っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) お話のとおり、日本の道路の悪いことは世界的でございます。と同時に、また道路の清潔さの悪いことも世界的で、道路が悪いことも聞きますが、やはり道路に物がちらかって非常にきたないということも、非常にやはりこれは道路の悪いのに劣らない悪いところだと思います。そうしてまた、お話のとおり、多くは知りませんが、やはり観光の資源と申しますか、観光ということについては私は世界でもスイスとイタリアを一緒にした以上のものじゃないかぐらいに思っております。そうしてまた、観光施設に対しても、道路と同じようにまだまだ足りない。ただいいことは、こういう観光に富んでおることと、それから国内的にも私は日本国民が観光に対して非常に熱意を持ってきたということでございます。それで、最近道路公団等でやりますあれも、おおむね採算にのってきております。だから、これはやはり内外ともに非常に観光に力を尽くす時期に来たと、こう見ておるのでございます。道路をよくすると同時に、道路をきれいにすることが非常に必要だと考えております。

青木一男自由民主党

○青木一男君 道路政策の国政上の重要度について総理のお考えを伺っておきたいと思います。  わが国の産業文化の一般のレベルに比して道路だけが低いということ、また外国の道路に比して極端に悪いということは、先ほど来総理もお認めになったとおりであります。昭和三十八年度の道路予算は、前年度に比して増額しているとは申しますけれども、また、その絶対額は決して少ない金額ではございません。あるいはほかの各用途に比べて道路は少ないわけではございません。しかし、何としても今まで道路はあまり長く放任されておって、今日にしわ寄せされているわけであります。それを今この段階で急いでこれをよくしなくちゃいけない、こういう時期になってきた。しかも一面には、世界の大勢からみて、陸上輸送は、平面道路から高速道路に移りつつあるという状況からみて、高速道路も作らなければならぬ、こういう非常な時期にきているのでありますから、三十八年度の予算の程度ではとうてい今のような大目的を達成することはできません。私は思い切って道路事業というものを国策上の超重点施策にひとつ御指定になって、予算及び財源措置等も、これに適応して特別な措置を考えるというぐらいにまで政府が思い切った腹をきめないと、なかなか短期間にはできないように思うのでありますが、この点をひとつ総理に伺っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 心がまえとしては同じであります。青木さんと同じでございますが、ただ具体的の問題になりますと、超重点主義と申しますか、二、三年前の考え方からいえば、今の状態は非常に超重点主義になってきている。お話のとおり、相当たくさん出ているのであります。私はこれを超々重点主義、こういう言葉を使いますか、具体的な問題になってきますと、なかなか今すぐどうこうということはできぬと思いますが、いずれいたしましても、建設大臣が先ほどお答えしたように、新しい五カ年計画を作って早急に道路交通の万全を期するということでありますから、ひとつ道路行政の飛躍的拡大をはかりたいと考えております。

青木一男自由民主党

○青木一男君 今までの道路予算の程度では、ほかの各般の費目に比べて重点政策というまでにはいっていないのではないか、私はこういうふうに考えるのでございます。ただ比較的に重きを置いたという程度にすぎないのではないかと私は思います。これは心持としては総理も同じようなお考えでございますから、今後の実際の政治問題に譲りたいと思います。  次に、道路整備五カ年計画改定のことをお伺いしようと思いましたが、先ほど建設大臣からお答えがございましたから、これはよろしゅうございます。ただ、建設大臣は新しい道路整備計画の規模について腹案でもすでにおできになっているのかどうか。新聞等ではもうすでにある程度でき上がったようにも伝えられておりますが、こういう腹案がおありになるのかどうか、その一点だけを伺っておきます。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) まだ、御承知のとおり、縦貫道路にいたしましても、調査費を明年度予算に計上しておるようなわけでありまして、これらによって十分調査を進めました上で、国全体の縦貫道路をどうするか、どこを重点的にやるかというようなことも考えていきたいと思っておりまする段階でございます。一応新なる五カ年計画によりまして、まあ財政等の御都合もおありのことでありますから、そういかぬということになるかもしれませんが、少なくとも現在の五カ年計画の倍近いくらいのところまでいきたいと考えているわけであります。

青木一男自由民主党

○青木一男君 大体のお考えはわかりました。  次に、道路予算の財源について総理のお考えを伺いたいと思います。今まで一般道路事業の財源は主としてガソリン税であり、きわめて少ない部分が一般財源から使用されているわけであります。また有料道路事業といたしましては、主として財政資金に依存して、まあ一部が外債を含む起債、こういう形をとっておるわけであります。先ほど来お話しがありましたような、思い切った道路整備計画を拡大実施しようとするならば、私はこの際、外債でない道路建設公債を発行すべき時期に到達しているように思うのであります。また、裏からいえば、そのくらいのことができなければ、新しい規模の大きな道路計画を立てても実行できない、こういうことがいえるのじゃないかと思いますので、その一点について総理のお考えを伺っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 有料道路につきましては、御承知のとおり、財政投融資あるいは今回の外債をあれしているのであります。有料道路について、何と申しますか、外債のかわりに内国債ということになれば、これは考えられますが、その他の一般道路——一般会計で負担しているあの道路、あるいはガソリン税でやっておりまする道路をやはり一般公債でやるということはいかがなものかと、私は今結論を出しておりません。ただ、こういうことは私も昔考えたことがあるのでございますが、ガソリン税の収入というものは、これからずっと出てくるわけでございます。しかし、道路が、五カ年計画を立て、十カ年でやった場合に、もう十一年目から道路の予算が減ってくるということならば、これは考えられます。しかし、御承知のとおり、道路の改善、改良、拡大ということは、これは半永久的なものなんです。自分も四、五年前に考えたことがございますが、そのめどがつくのならば、あるいは一般会計で負担するところの分も将来のガソリン税の収入というものをあてにしてできましょうが、どうも私の調べたところでは、道路経費というものはよほど——アメリカとか、ドイツのようなところでもやっぱり非常にだんだんふえていくもののようでございますから、自分の考えも今まだ未熟だと思って出していないのでございますが、そういう点があれば一般会計で負担すべきものをガソリン税の財源を、将来の増加分をあてにするということもありましょう。その点はやっぱり計画を立ててみないとなかなかいえませんが、今の原則として、ガソリン税あるいは一般会計で負担しているあの道路について道路公債を出すということは、まだ私は踏み切れぬのでございます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 大体お考えはわかりました。私が伺った意味も、今ガソリン税を財源とする一般道路の舗装、改良ということを特に申し上げたのではございません。ガソリン税は相当今後とも増収になりますし、ことに道路がよくなればもうそれに応じて自動車の数もふえましてガソリン税はふえるのでございます。大体ガソリン税の使い方は、まあ国道を中心にやっておりますが、今後国道が終われば地方道のほうへ多く回りましょうが、私はその場合にも、そのころにはガソリン税は相当多くなっておりますから、その方面で私は公債発行ということは必要ないのじゃないか、こう考えておりますから、おそらくその点は総理のお考えと私は同じでございます。問題は有料道路の建設について問題があると思うわけでございます。  次に大蔵大臣にお尋ねします。わが国の投資の状況は、民間の事業資金については今日非常に問題になっておるように、投資が行き過ぎであるといわれる段階にまできておるのであります。ところが、その産業の基盤をなすべき道路に対する公共投資は非常に少ない。両者の間に非常な均衡を失したものがあると私は思うのであります。これは、外国にもおそらくそういう例はないだろうと思う。この不均衡を是正して道路の建設改良、その費用等は、総理もお話がありましたように、研究問題でありましょうが、道路の財源としてある程度の建設公債を発行することは、大臣の御心配の健全財政主義にもとるものでは私はないと思う。赤字公債ではありません。また、わが国の状態は、それをしても心配のない段階に財政の基礎なり諸般の情勢はきておると思うのでありますが、大蔵大臣の所見を伺いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 道路に対して建設公債を発行してはどうかという御議論は、昭和二十八年当時からずっと続いておるわけでございます。特にこの二、三年来は非常に強い御意見として党内にもあります。また政府部内においても、総理が先ほど申されたとおり、四、五年前にガソリン税を原資としての、償還財源としての、道路建設公債式のものを考えたことがあると今言われたとおりでございます。道路は、御承知のとおり、公共投資と民間の設備投資との比率を比べてみますと、非常にアンバランスである。一般公共投資、道路とか港湾とか、いろいろなものを三十年度当時からずっと比較して参りますと、三十年当時、民間投資と政府公共投資との比率は三〇%ぐらいでございましたものが、昭和三十八年度には、民間の設備投資三兆、五千億に比べて二兆三千億の投資が考えられますので、そのような状態から計算をしますと、大体六七、八%まで伸びております。昭和二十八年度一兆円の予算でございました、補正を含めて一兆円ちょっとでございましたが、このときの道路予算は百八十六億円でございます。このような状態では困るということで、おおむね一、二級国道、指定地方道を含めて十五万キロというものが、一体何年ぐらいに経済成長に見合って建設をせられるかというので、大正八年制定の道路法を昭和二十八年に改定をすると同時に、道路整備の財源等に関する法律——当該年度に生じたガソリン税を取った相当額を道路整備に盛らなければならないという画期的な法律を作り、あわせて道路整備法を制定したわけであります。今日まで十カ年かかって今日にきておるわけでありまして、一兆円のうち百八十六億の道路予算に比べて二兆一千億、五カ年計画の三年目に入ったわけでございますから、画期的にふえておることは、また数字の上で他の比較にならないように大きくふえておりますが、あなたが言われるとおり、各国に比べて一体どうかというと、昭和二十八年当時は、インドを除いて日本が一番最低だろうと議論せられたような状態でございます。昭和二十八年からちょうど三回の五カ年計画の改定を行なって今度四回目の改定になるわけでありますが、一級国道十万キロ、十年かかってようやく昭和四十年に改良舗装を完了するという状態でございます。当時の状況としては、四トン制限の橋が十四万三千キロあったわけでございます。こういう状況からいうと問題にならない道路でございましたが、少なくとも第三次改定計画二兆一千億円、五カ年計画の三年次目、四年次目、五年次目、昭和三十九年、四十年のしわ寄せをした数字でそのまま伸ばしていきますと、あとの二級国道、指定地方道というものの五万キロ程度のものは昭和四十五年ぐらいまでにはおおむね改良舗装が行なわれるような状態でございます。でありますから、これをもう少しピッチを上げてというお話になれば、建設公債という問題が当然出るわけでありまして、まあ赤字公債ではなく建設公債を出すと仮定したならば、何が一体先かというと、ガソリン税を見返りにした建設公債が第一次であることは、これは常識的な議論だと思うわけでございます。といって、来年度、三十九年度の予算編成期までには、道路五カ年計画二兆一千億円が、建設大臣が今言われたとおり、改定という機運にあると思いますが、これらの問題は、三十九年度の予算編成の時期までの間に道路計画というものはどうあるべきかという問題を十分検討して、先ほど申されたとおり、鉄道と道路との問題もございます、新産業都市の問題、地方開発の問題、低開発地の問題とか、都市地域の開発の問題等がございますので、これらを総合して昨年の十一月から十二月にきまりました国土総合開発法の計画をもう一ぺんひとつ検討しまして、新しい道路法の観点に立って五カ年計画が策定せられるわけでございます。その時期までは、この道路建設公債問題は慎重に検討しなければならない問題だというふうに考えており、また、その面においては検討をいたしておるわけでございます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 今日の段階では、大蔵大臣のその程度の御答弁で私は満足いたします。  次に大蔵大臣にお尋ねいたします。金融正常化と申しますというと、いつも日本銀行のオーバー・ローンの解消の問題が、もう支配的に話題を占めるわけでございますけれども、これは重要問題であり、また解決策がむずかしいという点でこれはなかなか苦心の存するところであろうと思います。しかし、その他にも私は金融正常化の問題はあると思う。どこの国でも、銀行の預金支払い準備としてまず国債を第一次にあげる、それから日本銀行のマーケット・オペレーションの対象としても一番的確銘柄は国債である。ところが、今日本の財政のいろいろの都合からして、新たに発行されるものは、割合に金額の少ない政府保証債くらいな程度であるわけであります。そういう目的のために公債を出すとなるとこれはおかしいのでございますが、他の目的からある程度の国債が市場に出るということは、そういうような金融市場の正常化という見地からもむしろ歓迎すべき時期に来ているのじゃないかと、こう思うのですが、その点の御所見を伺っておきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 衆議院の予算委員会でも総理大臣からお答えをいたしておりますが、世界先進国に比べて日本の公債発行高が非常に少ないということは言われております。まあ平均いたしましてその年度の一般会計の総ワクぐらい持っている、国債を保有しておるという国は相当あるようでございますが、現在で日本の国債の残高は四千億ないし五千億というところでございまして、これが昭和四十年当時までに償還をしていけば三千億台になるというふうに見込まれておりますから、金融財政の調整機能を果たすために国債をもう少し持ってもいいじゃないかという議論は当然あると思います。思いますが、御承知のとおり、三十八年度の予算編成に際しましても、財投資金として政府保証債を相当大幅に発行いたしております。こういう意味で、これらの政府保証債の引き受けという問題につきましても、金融の正常化をはからなければなりませんので、昨年の公定歩合の引き下げ、日銀の買いオペレーションの制度の創設、また公社債流通市場の育成、創設というような問題もあわせて検討いたしていかなければならない問題でございまして、理論の上では国債をもう少し出してもいいじゃないかという御議論は存するところでございますが、財政当局者としては、これを発行するかどうかという問題に対しては、しごく慎重な態度で、まず金融の正常化が先であるということで各種の施策を行なっておるわけでございます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 今の点は、大蔵省に十分御研究を願いたいと思います。  やはり大蔵大臣にお尋ねいたしますが、この道路公団の外債の発行の見通しはどうなりましょうか、まずその点を伺いたい。  なお、申し上げますが、先ほど国内の建設公債の発行は大蔵大臣は留保的な御意見があったのですが、この外債の発行には無条件に賛成されておる。従来から歴代大蔵大臣がそうなんで、ただ私はその点に問題があると思うのは、一体日本は、これから国際市場において、金を借りる側に立つのだろうか、金を貸す側に立つのであろうか、こういう問題が関係がある。低開発国の援助協力機構等に日本が参加して、いやでもおうでもある程度日本は金を貸すほうの側に立たなければならない。その一方においては、依然として外債外債といって金を借りることに熱心であるということは、何だかその間に割り切れないようなものを私は感ずるのであります。  それから、外債発行を非常に希望されるのは——国際収支の均衡は、貿易を中心とした経常的収支の均衡である、これはこの政府がもう数年前に確立された基本国策なんで、経常的収支によって国際収支の均衡をはかるということが、これが基本国策である。そうすると、外債でもって政府が外貨を保有しなければいけないというようなやり方は、どうも基本国策の点から言うと、少し邪道に入るのじゃないかという感を深くするのでございます。それでございますから、私は、日本の国力養成は、外国から金を借りなくてもいいように国力を養成することが先決であるけれども、考え方としても、あまり外債依存の空気と申しますか、それはひとつ再検討する必要があるのじゃないか、こういうことを考えるのでございまして、その点の御所見を伺いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) お説のとおり、経常収支で黒字を続けていけるようにしなければならないということは、お説のとおりでございます。しかし、それをやりますために、いろいろな国内均衡をはかったり、産業体制を整備をしたり、いろいろやらなければならない問題がたくさんあるわけでございます。俗に言われる社会資本の充実をせしめて、各種の施策を行なわなければならないという状態にあるわけでございます。この国内施策をやるための資金をどう仰ぐかという問題で、現在財政主義で一般会計の歳出歳入の中で行なうということが一つございますし、あなたが先ほど言われた国内建設公債式の、赤字公債につながるようにならないものであれば、年度を区切ってある一定規模の事業は繰り上げて投資をすることによってより収益を上げられるのじゃないかという議論もございますし、政府が今とっております外貨債をもってその資金をまかなうということもあります。  政府は、外国に対して、一体金を貸すのか、借りるのかということでございます。これは、端的に申し上げれば、貸す側に回りたいという考えでございますが、貸す側に回るまでの間一体どうするか。貸す側に回るようになるためには、将来貸す側に回るためには、一時的に長期安定的な良質外債を得たいという考え方を持っておるわけであります。しかも、それが、長期安定的な将来良質な外債が入り、資本投下をせられるということが、国際収支のためにも悪いことではないのでありますし、それによって政府の政策目的が達成できればいいという考え方でございます。  もう一つは、国債を依然やりながら、なぜ外貨債にわれわれウエートを置いているかということを、これを大蔵大臣的に申しますと、連綿として続いている、大蔵省、政府の考え方は、健全財政主義でございます。これは、あなたが先ほど言われたガソリン税というものを目的税式なものにして、財源にして、建設公債を発行するということがもし考えられるとしますと、この五カ年計画の策定だけでもたいへんな問題を起こすと思います。それだけあるのだから、十カ年計画を七カ年に繰り上げるなり五カ年に、五カ年を三カ年にという問題もございますし、その次に来るものは、都市改造を一体どうするかという問題が参るわけでございます。その次には、滞船滞貨でもって困っておる港湾施設に対して一体特別な財源措置ができないかという問題と、新産業都市——軒並みに連なってくる問題でございますので、必要な財源を必要な限度において確保しながら、国際信用を維持するために——外貨債というものは外国市場において当然制約を受けるのでございますし、なお日本の国際信用というものをはかるバロメーターにもなりますし、そういう意味で、一億二千五百万ドルのうち、道路に関して五千万ドルの国債を発行することにいたしたわけでございます。そういう健全な考え方をとっておりますので、もう日本の道路には金を貸さないと言った御承知のとおりの世銀でも、七千五百万ドル単年度でもいいから使えるならば、工事能力があるならば、三月、四月の実地調査の結果、一括貸し付けてもよろしいという契約をしたわけでございまして、なかなかその意味では、必要度は十分承知をいたしておりますが、できるだけ健全財政を守りながら成果を上げたいという考え方が、外債というおのずから制約のある財源を求めておるということになっておるわけでございます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 今、大蔵大臣のお答えの中で、外債ならばおのずから限度があるから心配ない——その点は、理論は別として、事実として私よくわかります。ただ、外債ならば健全財政主義に沿うけれども、内債はそうでない、こう言われると、私もちょっと意見があるわけです。金融、通貨に及ぼす影響から見れば、私は外債も内債もそう違わないと思うんです。外債の特徴は、外貨の裏づけがあるという点だけなんです。しかし、この裏づけ外貨も、国内の通貨政策、金融政策に及ぼす影響が発揮できるのは、これを物として輸入した後のことであります。それまでの間は、むしろ外債募集金が国内通貨増発の原因にそのままなるわけであります。でありますから、この点は、通貨政策、金融政策全体の見地から見れば、これは十分お考えにならなくてはならない。さりとて、外貨手取金を物として輸入するということは、先ほど申したとおり、貿易の輸出入でバランスをするというまた一方の政策にこれは衝突するわけです。それでありますから、この問題は、これは理論の問題になるから、この席では申し上げませんが、よほどこれはお考えいただく必要があるということだけを申し上げておきたいと思います。  次に、建設大臣に一つお伺いします。これはちょっと技術上の問題になるかと思うんですが、道路の分類方式——予算参考書あるいはその他の建設省から出される文書によると、道路の分類を一般道路と有料道路にこう二大別されております。どうも私は、この分け方が少し非科学的じゃないか。また、道路法三条の道路の分類にこれは一致していないわけでございます。いろいろの特殊な事情がありましょうけれども、道路の有料ということは、他の性質からくる道路の属性、一つの条件にすぎないんです。道路の性格上の区分じゃないんです。私は、道路の性格から道路を区別するならば、一般道路と高速道路に区別しなくちゃいけない。つまり、立体交差のスピードの速い高速道路は、これは性能において全く一般道路と違いますので、こういうふうに区別すべきであると思います。たとえば、橋の区別をするのに、無料橋、有料橋があります。橋の区別をする場合に、有料橋と無料橋と区別したところで無意味でありまして、区別するならば、鉄橋、木橋と区別しなければ理論的でないと、こう思うのであります。高速道路といえども、本来法制上有料ではありません。道路整備特別措置法という法律の規定によって有料道となし得るということで初めて有料道路となる。しからば、一般道路についても有料道路は存在する。やはり措置法でその道を開いておる。また現実あるわけであります。一般道路と有料道路に区別することに、それが理論的であるかどうかということは別としても、この分類のゆえに、いろいろの先入観とか、誤った観念を一般に植えておると思う。たとえば、当然高速道路は有料でなくちゃいかぬ、無料の高速道路というものはあり得ない、というような考えを、知らずしらず植えておるのであります。建設費の財源と有料無料という問題は全く別の問題である。それでありますからして、もし分類をするならば、一般道路と高速道路という分類のもとに、やはり統一されたほうが将来いいんじゃないかと思うのでありますが、その点を改められる考えがあるかどうかを伺っておきたい。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) お話のように、有料道路と一般道路と分けますそういう分け方をしておりますけれども、それは必ずしも、そうばかりではないのでありまして、財政投融資、その他の資金、特別の資金をもってやっておりまする公団等で作りました道路と、一般国費をもってやっております道路と分けておる分け方もしております。いずれにしましても、明年新しい五カ年計画を作ります際に、国費をもって建設いたしますものを国道といい、以下府県の担当しますものを府県道ということにして、もう少し——今の地方の財政負担等から、全部道路の建設が緩急よろしきを得ないというような欠点等もありますので、これらをひとつ、できることならば、今申すように、重要性によって国道とし、一般国費をもってやっていきたいと考えておるわけであります。いずれ、その際よく検討いたしまして、もう少し明確にいたしたいと思います。

青木一男自由民主党

○青木一男君 引き続いて建設大臣にお尋ねいたします。  今後の高速道路の建設担当者をどうするかという問題。現在、高速道路の建設管理をしておるのは、日本道路公団と首都高速道路公団、阪神高速道路公団、三つであります。今後、国土開発縦貫自動車道が順々に建設されるとなると、私は日本道路公団だけではとても背負い切れないだろうと思うのであります。その際新しい公団を作るかどうかは別として、私はこの際、建設省の直営で高速道路を建設することもお考えになる必要があるのじゃないか、こう考えるものであります。  従来、高速道路といえば、すべて独立採算制のもとに有料道路として建設する、こういう一種の先入観が支配しておるのでありますが、私は、これは理論的でも何でもないと思う。一級国道よりもさらに国家的意義の多い高速道路を、なぜ国費で建設省が建設することができないか。そういう理屈は私はないと思うのであります。それでありますからして、その資金をガソリン税でやるか、借金でやるかということは別といたしまして、私は、今後の高速道路の建設については、必ずしも公団というようなやり方一本でなしに、建設省直営でやることもお考えになる必要があると思いますが、この点について、大臣のお考えを伺っておきたいと思うのであります。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) 今青木さんのお話のように、必ずしもいたしているわけじゃございません。たとえて申しますと、名四国道の橋梁だけを道路公団に作らせまして有料にいたしております。その全部の道路は国がやっております。したがって、今お話のような道路公団によるものと国でやるものとの区別が、今お話のような点では、できるということでもないわけであります。いずれにいたしましても、建設大臣の責任においてやるものを、便宜道路公団に工事をやらしているということは言えますが、その他の点については、必ずしもそういうようには考えておりません。  したがって、今後調査の結果、縦貫道路をやります際等におきまして、必ずしもこれを道路公団に特殊な財源でやるというようなことは考えておりません。今調査されております、明年度予算に一部計上いたしております大阪——名古屋間の奈良を経由して参ります道路、これは多少従来の道路と形式を変えまして、山腹を経由するハイウエーというものを加味した道路にしていくということを考えておりますけれども、さらに東京から日光線と称しております道路につきましても、これは相当に幅員の広い道路を主体にして、その上にハイウエーを乗せていこうというようなことで調査中でございます。したがって、必ずしも簡単に今お話のように分けるということも考えておりません。

青木一男自由民主党

○青木一男君 引き続き建設大臣にお伺いいたしますが、高速道路の平面化という問題についてお伺いしたい。  わが国の高速道路の建設費は、欧米諸国の建設費に比べて単価が割高になっておりますが、その大きな理由の一つは、欧米の高速道路はすべて平面を走っている。他の一般道路は、交差点で橋で高速道路の上をこえているのでありますが、日本の高速道路は全部高架式になっている。それだけ私は非常に金がかかっているのだと思います。それだけじゃございませんが、それが一番大きな原因だと思います。日本の交通道徳その他から見まして、高速道路に人や動物が入って来て困るということはわかりますが、防衛柵その他の手段で幾らでも道がありますから、私は、なぜああいうふうに全部高架式にきめたのか、やはり欧米式に平面化したならば、よほど経費が安くなるのじゃないかと思いますが、その点の御所見を承ります。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。  お話のとおり、道路の高さを下げればそれだけ安くなるのは間違いありませんが、御承知のとおりに、日本のように人口稠密なところは欧米にはありません。したがって、小さな道路がたくさんございます。また水田でございますから、水路等が全部道路にかかってくる。これをみな通さなければならないというようなこともございますので、欧米のように安い道路ができにくい、また、用地費等につきましても、御承知のとおり割高でございます。ことに期待されるようなスピード化した道路を作るということになりますと、柵を作りましても、どうかすると柵の中に入ってくる。今、名神を近日開通しようと思っておりますが、これにもどうも人が入って来ますので、あぶなくて、どうしたらいいかと頭を悩ましている問題もあるのであります。なるべくならば、少々費用が高くても、金がかかっても、高く上げたほうがいいのじゃないかと考えておる次第でございます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 引き続き建設大臣にお尋ねします。  道路用地の取得を容易にする方法についてお考えになっておるかどうかということを伺いたい。わが国では、道路の建設、改良のために用地を取得しようといたしましても、地主や家の所有者との交渉が非常に難航いたしまして、それがために工事が非常におくれておるのであります。私は、この点を昨年の欧米旅行の際、向こうの事情も調べたのでございますが、法制上の建前におきましては、わが国の土地収用法あるいは公共用地の取得に関する特別措置法に比べましても、そんなにえらく違っておるわけじゃございません。ただ運用が違っておる。向こうでは、これは国民の一般常識として、公共用地として指定された以上は、公益優先だから仕方がないのだ、文句言っても始まらぬのだ、これは社会、世論も支持しないのだ、こういう空気が一般にできておるのであります。わが国では、これは私権尊重といえるかもしらぬが、あまり過当に私権を尊重するとも言える。それでありますから、ごね得——長く引っぱったら得するという悪例も、それはもう出てきておるのでありまして、これはまあ道路だけに限った問題ではありませんが、道路に一番適用が多い問題でございまして、これらの点について、何か改善策がおありならば伺いたいと思うわけでございます。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) お話のとおりでございまして、今にわかに名案が、ということになりますと、なかなかその処置がないのに苦しんでおりますが、特に、収用法にかけて収用いたしましても、結局、ごてて長く引っぱったほうが、その間に地価が高くなりますので、時価で買うということになっておりますので、適当でないというようなことになってくるのです。これは当然、もう一歩前進して、解決の道を考えるべきだ。鑑定協会連合会等の点につきましても、答申も出ておりますから、これをひとつ法制化して、この機会に提案いたしたいと考えておりますけれども、あらゆる角度からそういうものを積み上げて、今御指摘の点について、もう少し何とかしなければいかぬだろう。受益者負担等についても、実は考えてみましたが、なかなかうまくいきません。これらについても再検討しなければいかぬ。もう一点、何とか方法がないだろうかというような点についても考えておるわけでございます。

青木一男自由民主党

○青木一男君 ただいま鑑定士の問題が出ましたので、私も一言したいと思いますが、本日の新聞に出ておりますが、宅地制度審議会から不動産鑑定制度の答申があったようでございます。私は、これは宅地に限る必要はないじゃないか。道路用地その他の公共用地に共通に考えていいのじゃないだろうか。交渉が長引く理由は、必ずしも地主が悪意でなくても、もっと高いのだというような善意の認識のもとに争っている場合も非常に多いのだろうと思いますが、第三者の適正な鑑定制度ができたならば、交渉が割合に円滑にいくのじゃないかと思いますので、宅地制度審議会の答申を参考として、不動産価格鑑定制度について、至急立法をお願いしたいということを申し上げたい。  最後に、農林大臣に一点お伺いします。  この四名四高速道路の建設が非常におくれたことは著明な事実でありますが、私ども先年その理由を調べたことがあるのです。そのときに、こういう事実を発見したのです。高速道路の用地として農地を転用する場合、一々各村の農地委員等の許可を要するために、何カ月も登記にかかる、こういうことだったのです。ところが、当時、調べてみると、国、県、市町村、国鉄、電電公社、愛知用水等については、もう農地転用許可が必要ないということに農林省の法制ができておる。しかるに、道路公団だけは除外されて、一々地方農地委員の許可を今でもとらしておる。これは、不許可ということはあり得ないのです。不許可ということはあり得ないのに、なぜそういう手続をとらしておるか。私は、この間聞いてみたら、今でもそれがまだ制度が変わっておらないように聞いたのでございますが、農林省は、なぜ省令を改正にならないか、その点を伺っておきたい。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 御指摘のとおりに、道路に使用する用地のような、公共の用に供するものは、転用の許可なしに、国、都道府県が転用する場合と同様に、除外例を開くべきだろうと私も考えております。ことに、電電公社などが除外せられておるのでありますが、これは、電電公社などのやりますことは国がやるものとみなすというような規定があるそうでありまして、そのために、これは当然許可は要らぬ、こういうことになるというわけであります。道路公団についての転用の許可は要らないということに省令を改正をいたしたい、こう考えております。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 青木委員の質疑は終了いたしました。  本日はこの程度にいたしまして、明八日午前十時から委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十七分散会

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