本会議 第24号
- 発言数
- 55 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1963/06/07
会議録
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。 ————・————
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。 この際、お諮りいたします。占部秀男君から十二日間、藤原道子君から九日間、いずれも病気のため請暇の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。 ————・————
○議長(重宗雄三君) 日程第一、河川法案(趣旨説明)、 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。河野建設大臣。 〔国務大臣河野一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(河野一郎君) ただいま議題となりました河川法案の趣旨を御説明申し上げます。 現行河川法は、明治二十九年に制定され、その後部分的改正は数回行なわれましたが、根本的な改正はなく今日に至っているのであります。しかるに、現行河川法制定後約七十年の歳月が経過し、当時の社会情勢、経済情勢並びに国情を背景として制定された現行河川法については、今日においては、種々の面において検討を加え、整備、改善をはからなければならない点が少なくないのであります。 まず第一に、現行憲法の制定に伴い、国の行政及び地方制度に大幅な変革が加えられましたが、このために従来の制度を前提とした河川の管理制度について、また、国民の権利義務に関連する河川管理方式の近代化について、法制上検討を加え、整備をはかる必要が生じて参りました。 第二に、各水系における沿岸流域の開発に伴い、かつ、最近の災害発生の状況にかんがみ、水系を一貫した全体計画に基づいて、財政負担の面も十分考慮しつつ、治水事業を計画的に実施する緊要性が一段と強くなって参りました。また、近時における産業の発展と人口の増加に伴い、各種用水の需要が著しく増大しておりますが、これらの需要を満たすためには、各水系について広域的な見地に立ち、合理的な水の利用を確保する制度を確立し、水資源の総合的な利用と開発をはかることが現下の急務として要請されているのであります。そこで、国土の保全と開発に寄与するため、河川を水系ごとに一貫して総合的に管理する制度を樹立することが必要となって参ったのであります。 第三に、各河川には、治水利水の両面の要請から、また、近時における科学技術の発達に伴い、大規模なダムその他の施設が数多く建設されてきておりますが、現行法においてはこれらの施設の設置または管理に関する規定が必ずしも十分ではなく、その設置または管理の万全を期するため、所要の規定を整備する必要があるのであります。 以上の諸要請にこたえ、現在の国情に最もよく適合した新しい河川管理制度を樹立することは、現下の急務でありますので、ここに現行河川法を全面的に改正することといたしたのであります。 次に、この法律案の主要な点を御説明申し上げます。 第一に、河川管理の適正を期するため、河川管理制度について現行制度を次のように改めることといたしました。 まず、従来の適用河川、準用河川の制度を廃止して、河川を水系別に一級河川及び二級河川に区分し、一級河川は、国土保全上または国民経済上特に重要な水系について、河川審議会及び関係都道府県知事の意見を聞いた上、政令で指定し、二級河川は、一級河川以外の水系にかかる河川で公共の利害に重要な関係があるものについて、関係市町村長の意見を聞いた上、都道府県知事が指定することといたしました。 河川の管理につきましては、一級河川は建設大臣、二級河川は都道府県知事がそれぞれ管理することとし、河川管理の責任を明確にすることといたしました。なお、一級河川の管理につきましては、建設大臣は、一定の区間を定め、都道府県知事にその管理の一部を行なわせることとしております。 次に、河川の管理に要する費用につきましては、原則として一級河川は国、二級河川は都道府県が負担することとしております。 このうち一級河川の改良工事に要する費用につきましては、建設大臣が施行する場合はもちろん、都道府県知事が委任を受けて施行する場合もすべて国がその三分の二、都道府県がその三分の一を負担することといたしました。これにより、従来同一の水系における工事であっても、建設大臣と都道府県知事が施行する場合には、国と都道府県の負担の割合が異なっていたため、必ずしもその治水効果が十分でなかった一級河川の工事が、一貫した計画のもとに施行することができることとなります。 また、二級河川の改良工事につきましては、国がその二分の一以内を負担することといたしました。 なお、治水事業十カ年計画の最終年度である昭和四十四年度までは、国は、一級河川の改良工事につきましては四分の三を、二級河川の改良工事につきましては、この法律施行時において現行河川法に基づいて直轄で施行中の工事につきまして従前どおり三分の二を負担して行なうことといたし、治水事業の円滑な施行をはかることといたしました。 流水占用料その他河川から生ずる収入につきましては、すべて従来どおり都道府県の収入としております。 次に、都道府県知事が行なう河川管理行政に対する監督につきましては、一級河川においては都道府県知事に委任した事項のうち重要なものについて、また二級河川においてはその管理に関する重要事項について、建設大臣の認可を要することといたしました。 以上のほか、一級河川または二級河川以外の河川につきましては、市町村長が指定したものについて、この法律を準用して、市町村長が必要な管理を行なうととができることとしております。 第二に、河川区域につきましては、現行法においては地方行政庁が認定することとなっておりますが、この法案におきましては、河川の現状に即して、一定の要件に該当する区域は法律上当然に河川区域となり、その他の区域は河川管理者の指定によって、これを定めることとし、河川管理の適正を期することといたしました。 第三に、流水の占用、工作物の設置等につきましては、地元の意見を十分尊重して、河川が適正に、かつ、合理的に使用されるよう規定を整備し、水利使用の許可に際しては、既得の水利権を保護するとともに、新規利水事業が円滑に施行されるよう水利使用関係の調整をはかる規定を設けました。 第四に、河川管理者の許可を受けて設置する一定規模以上のダムにつきましては、防災上の見地から、その設置及び操作について必要な規定を設けました。 第五に、建設大臣の諮問に応じ、一級河川の指定、水利調整その他河川に関する重要事項を調査審議するため、建設省に河川審議会を設置するとともに、都道府県知事の諮問に応じ二級河川に関する重要事項を調査審議するため、都道府県に都道府県河川審議会を設置することができることといたしました。 第六に、河川の現況、水利の状況を把握して、河川管理の適正を期するため、河川現況台帳及び水利台帳を整備することとし、慣行水利権者等の権原に基づいて河川を使用する者は、必要な事項を河川管理者に届け出なければならないものといたしました。 その他、河川に関する調査、工事等のための土地への立ち入りの手続、河川予定地における規制等に伴う損失の補償等につきまして、所要の規定を整備いたしました。 以上がこの法律案の要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願いいたす次第であります。(拍手)
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。藤田進君。 〔藤田進君登壇、拍手〕
○藤田進君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま御説明になりました河川法案について、若干の質疑をいたすものであります。 今度のこの法案は、従来の河川法を廃止して新しく創設するというものであります。従来のものが、御説明のように、七十年前、明治二十九年、日清戦争の直後に、法律ということよりも、命令を保護するという法律の姿で提案せられまして、当時、伊藤内閣が自由党の——自由民主党ではなく自由党との妥協によって成立したものです。世論もかなり反撃をもって、当時の記録を見ますと、不人気な法案であったことはもとよりでございます。自来七十年間、その法文においては依然として命脈を保って参りましたが、しかし、実体的にはかなり内容の変化を遂げて参りました。その間、大正年代以来たびたび改正の議が起こりましたが、しかし、その間、実を結んだ例がなかったのであります。 今回、最近における各般の社会経済的発展の背景があるということで、池田内閣が現行法に終止符を打って新河川法を提案せられたのであります。このこと自体につきましては、一応の賛意を表するものであります。 しかしながら、このような重要な法案を創設するにあたりまして、その準備過程における政府の態度並びに法案の内容を考えてみますと、きわめて遺憾だと言わなければなりません。すなわち、わが国ほど水の依存度の高い国は他に例を見ないのであります。したがって、河川に関するところ一般の公共に及び、また水の流動性、破壊性及び公共性より、水を治め、水の利を調和せしめ、公共用物としての河川を、機能的に、その保金と利用に関する実体的基本法たるこの河川法につきまして、ただ建設省にまかせっ切りであったと言わなければなりません。過去、農業基本法を初め、あるいは労働基準法その他、また現在採用されつつある刑法等々を見ましても、それぞれ長い時間をかけ、あるいは審議会を設け、公聴会等を経て、そして国会にかなりゆとりのある時間に提案をされているのであります。しかし、本法案は、慎重審議の上すみやかに可決されたいとは言われますけれども、もうすでに会期もあとわずかであります。後議院である参議院として、まことにその間の時間的あるいは内容的に問題があると言わなければならないのであります。特に建設省は、この法案の前段である要綱案の発表を二月二十七日にされているのであります。その発表いたされますや、全国の知事会とか、あるいは自治省その他の強い反対を受けまして、農林、通産、大蔵など、関係各省との折衝が非常に難航いたしまして、法案の見通しを危ぶんだのであります。知事の意見を十分聞かないで、また、建設省の付属機関で現在設置法の中にある河川審議会の議を経ていないで起草提案をされたというのが、実情であるのであります。私どもは、過般の地方選挙でも、地方・中央の直結政治、知事と中央の直結ということが非常にやかましく言われたのでありましたが、この直後のこの法案を見ますというと、まさに中央直結の政治の実態というものを知るのであります。知事が全面的に毎日のように反対をしてきている理由をあげている、こういうものは聞かないままにここに出されているということを痛感するのであります。河川行政は、広く、国民の安寧福祉、産業経済の発展に重大な影響を及ぼすことはもちろんでありますが、地域住民に密着すること、また必然であります。この重要法案について、学識経験者あるいは地方の関係当局等、各方面の意見を十分聴取するところの時間的余裕がこの上とも必要であると私は思うのであります。これらにつきまして、総理並びに建設大臣の所見をお伺いいたすところであります。 質問の第二は、本法案を提案しなければならなかった社会経済的な背景についてであります。 近時、水害の頻発によりまして治山治水の重要性が一そう痛感され、このために河川管理の責任体制の適正化、明確化が要請されて参りました。また、水資源の利用が、工業あるいは都市川水等の逼迫から、高度化、多面化いたしまして、河川利用が機能的に競合する度が強くなり、水配分の適正化が緊急要事となりました。そして、河川利用の高度化に対応して、大規模なダムあるいはダム群、大規模取水施設等の河川工作物が多くなり、これが河川状況、河川の利用形態等々に種々の影響を与えまして、これに対応すべき河川管理を明確にする必要があり、さらに、以上の諸問題を含みつつ、水資源の開発、利用、保全の総合化、これが水系的、広域的、総合開発的な重要機軸となってきたことなど、これらが理由であるのでありましょう。しかし、河川をめぐって治水利水両面の利害対立はもとより、水利用の相互間でも、電源開発とか、あるいは農業用水、上水道、特に工業用水などの間に利害対立を生じまして、さらに水質汚濁問題が生ずるなど、河川をめぐる社会経済的利害は二重三重に交錯対立しているのであります。そして、これらの利害を代弁する行政機関は数省に分立しているのであります。元来、治水に重点を置く建設省は、河川は単一の管理系統によって管理されなければならないとし、それでなければその責任は果たし得ないという立場をとっているのであります。これは新河川法案を通じても明確になっているところであります。そこで、問題は利水についてであります。農業用水に重要関心を持つ農林省は、農業用水権の内容についてその優位性を認め、また、通産省は発電水利、工業用水等について、また、厚生省は上水道用水を、さらには運輸省は港湾区域内での港湾行政と河川行政の問題があるのであります。また、これに加えて、上流地域は、砂防行政、治山保安林行政など、総合統一的運営をはかる必要があるのであって、特に利水における水系ごとの利水計画は総合性を要する重要課題であります。建設大臣は、各種の利害や見解の相違を代弁する関係行政機関の長と協議をいたしまして、その調整の任に当たることといたしておりますが、今年三月、行政管理庁が勧告しているように、利水計画の総合性を促進するためには、水行政協議会の制度を活用する必要があるとし、また水利調整の制度としては、一県内事業については、知事の調整義務を河川法に明確化し、知事で調整困難なもの及び二府県以上にわたる事案については、水行政地域協議会というような調整機関を調整の揚として設けて、協議会が積極的に調停あっせんをはかることが、実際的であると指摘しているのでおります。総理は、このような犬牙錯綜する利水調整を、建設大臣にその責任を負荷するだけで十分遂行し得るとお考えになりますかどうか、これら調整機関の設置の必要性について明確なる御答弁をお願いいたすのであります。通産大臣、自治大臣は、建設大臣が調整責任を持つことだけで十分だとお考えになりますか。他に調整機関としての協議会等の設置が必要であると考えられるのでありますが、この点の御所見をお伺いいたします。 第三は河川は公共用物と明定しただけで、従来のように私権の制限条文を規律しなかった理由と、河川行政の影響についてお伺いするのであります。 河川の物理的概念といたしまして、「自然水流または自然水流の流水の疏通を良好ならしめるための築造された人工水流」であるとされているのであります。しかるに、水流とは、流水とその地盤をなす敷地との総合体をさすのでありますが、流水は常にその水量に増減があり、いかなる部分をもって河川区域とするか、第六条の規定はきわめて不分明であります。したがって、河川現況台帳及び水利台帳の調整はきわめて必要となって参ります。現在の河川法におきましてもこれが規定されているにかかわらず、きわめて不整備であるのであります。本法を契機に調整を期することができるかどうか、建設、自治両大臣にお伺いをいたします。 第四の点は、政府の水行政に対する諸施策の重点は、治水と利水のいずれを指向しているかという点であります。この法案は、河川を水系として考え、治水、利水を両立いたしております。これは必然的にダム群の構想が背景にあることを示しているのであります。ところで、法第四十六条から第四十九条まで、ダムの操作、危険防止のための措置及び記録の作成等に関する規定でありますが、ダム設置者に対する義務規定だけであって、河川管理者の責任は不明確なのであります。何となれば、ダム群の洪水調節の技術は、水文学上の進歩はありましても、いまだ完成の域に達しておらないのであります。洪水調節と称しながら、実は利水のための調節操作を行ない、下流部を危殆に陥れた事例は、多目的ダムその他で幾多の事例があるのであります。特にダム群による洪水調節の場合、ダムの埋没は、それ自体が命取りになるのでありまして、たとえば長野県の美和ダム及び高遠ダムのごときは、一洪水によりまして実に三〇%余りの土砂で埋没をみたのであります。法第十六条で、河川管理者は一水系ごとの工事実施基本事項を定めることといたしておりますが、国土の保全及び開発は、何と申しましても洪水防御にあるのであります。洪水防御が先行しなければ、いかに利水施設が完備されましても、洪水の前に屈服することは必然であるのであります。私は、かく考えますがゆえに、総理及び建設大学並びに利水機関を代表して通産大臣等に、いかようにこれらの点をお考えになっているか、御答弁を願うものであります。 第五は、河川の費用負担についてであります。 河川管理に要する費用の負担原則として、一級河川にかかるものにあっては国、二級河川にかかるものにあっては都道府県の負担と明らかにしております。しかしながら、一級河川にかかる管理及び修繕に要する費用について知事に管理委任した指定区間につきましては、建設大臣管理の場合とその費用負担に格差をつけております。また、河野建設大臣の当初の考え方は、一級河川の管理権は国に移す、そのかわり維持管理費は全額国庫で負担するというものでありました。ところが、全額国庫負担について大蔵大臣は非常に強い反対をされまして、結局、総理の裁断となったところであります。これは昭和四十四年度までは現行どおりで行なうのだ、そうして治水十カ年計画の完了を待って再考するというものであります。ところで、河野建設大臣は、機会あるごとに治水十カ年計画は改訂するのだと言明しておられる。したがって、早晩、一級河川を四十河川程度にすると言われますと、現在の直轄工事の河川のほとんどが二級河川となります。二級河川でありましても、きわめて重要水系が、その地域性に応じて起こってくることが非常に必然性として考えられるのであります。また、大災害が発生して大規模工事が必要となる場合も想定されるのであります。その場合、四十四年度までは現行どおりだと言われましても、地方にとっては重大な問題であります。現在の地方財政力からいたしましても、とうてい一公共団体だけの力では遂行し得ない場合が生じてくるのであります。自治大臣は、この変則的な費用負担について何ゆえに合意されたのであるかをお伺いいたします。大蔵大臣は、かかる負担をもって河川工事が支障なく遂行できるという確信がおありになるか、負担に格差をつけた理由と合わせて明確な御答弁を願いたい。 最後に、この法案では、政令、省令の委任が約八十あるのであります。きわめて不分明な法案であり、また関連する他の法律の条文整理も行なわれず、実に奇態な法案であります。したがって、これらの内容が明示されない限り、めくら判を押せということになる。何といたしましても、水に関連するわれわれ社会経済生活の実態は、ただ河川法によってのみ、そのワク内だけで解決できるものではありません。現に水制度に関連する法律は実に多種多様に及んでいるのであります。このような状態でございますので、将来一定の調整機関というものを設け、そうして治水利水両面にわたっての諸法律を調整される必要があると、このように考えているものであります。その総合調整が行なわれるという確信がおありであるかどうか、総理並びに関係大臣にお伺いいたしまして、私の質問を終るものであります。(拍手) 〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。 水に対しまする行政は、国土保全の上からも、また経済の発展の上からも、非常に必要なことであることはお話のとおりでございます。したがいまして、われわれは、多年にわたり河川法の改正につきましていろいろ検討を重ねておったのであります。しかるところ、今回は幸いに各界の意見の調整ができまして、御審議願うことになったのであります。つきましては、私は、いろいろ作成にあたりまして反対の議論もございましたけれども、こういうものは全部調整され、いわゆる関係行政官庁あるいは都道府県知事、学識経験者、あるいは河川審議会に諮問する等、あらゆる知恵をしぼって作成し、そうして御審議願っておる次第でございます。 なお、御質問の第二の点の利水行政のうち特に重要な水利調整の問題でございまするが、これは河川管理者が単独で行なうべき筋合いのものではございません。やはり関係地方公共団体あるいは学識経験者、行政機関の意見を聞くことが必要であるのであります。したがいまして、本法案におきましても、河川審議会に水利調整部会を設けて、各般の意見を調整して万全を期する考えでおるのであります。 なお、質問の第三点の治水と利水でございますが、お話にもありましたごとく、利水の万全を期するのは、水を治めることが元をなすのでございます。したがいまして、われわれは、法案の第一条にも書いておりますとおりに、国土の保全と開発ということを主体にしておりますので、両者を総合的に管理していこうという考えであるのであります。(拍手) 〔国務大臣河野一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(河野一郎君) 第一問は、ただいま総理からお答えになりましたとおりに長年にわたって各方面の意見は十分出尽くしておりますものを今回調整いたして、この法案を取りまとめたということでございますので、藤田さん御指摘のとおりに、一夜づけで急にまとめて出したのじゃないかという御意見は、ちょっと私は当たらないと思うのでございまして、この長い年月の間、たびたびこの法案については皆さま方の意見も十分機会あるごとに議会等でも御発言になっておりますものを、調整して取りまとめて出した。したがって、案につきましては十二分に練られておるものであるということに御了解願いたいと思うのであります。 第二問につきましては、利水について云々ということでございますが、これは、ただいま総理からお答えになりましたとおりに、水利調整部会を設けまして、それに所要の関係の委員さんにもお集まりを願って、十分それらの意見を承って、最終的に主務大臣がきめるということにいたしておりますから、これもそういうものでいいのじゃなかろうか、こう考えております。 第三問でございますが、これは明確にいたすために正確に申し上げます。新法案において河川区域内において私権の存することを必ずしも否定しないので、現行法第三条のように、河川に対して私権を全く排除するような規定は設けていません。しかし、第二条において、河川は公共用物であることを明示するとともに、河川区域内においては河川管理上必要な範囲内において必要な制限規定——工作物の設置、土地の掘さく等の制限規定を設け、河川管理上支障のないようにいたしておるのであります。現行河川現況台帳及び水利台帳の整備は、御指摘のとおり現行河川行政の基本となるものであるので、これを契機としてその整備の促進をはかりたいと思っております。 なお、第四問におきまして、治水、利水、洪水という関係について御指摘ございましたが、これは御承知のとおり、われわれはあくまで治水が主でございまして、その上に立って水を十分利用するということに行政指導をやって参りたい。ただし、洪水につきましては災害防止の意味合いからいたしまして、現に建設省が中心になりまして、年々平時におきましても、これらの訓練等について、もしくは所要の資材等についても、できるだけ整備をいたして、災害の防除に努めておりますことも御承知のとおりでございます。 なお、負担金のことについてお話がございましたが、これはお話の点は多少私は当たらないと思います。われわれが考えておりますことはそうではないのでございまして、現行の負担率でいたしましては十二分でございませんので、これを特に今回はその負担率の全額ということも私は考えましたけれども、いろいろ財政当局と話し合いをいたしました上で、ここに規定をいたしたのでございます。 なお、治水計画について、治水五カ年計画もしくは十カ年計画を考えておるのじゃないかということをおっしゃいましたが、私どもそのとおり考えております。明年度予算編成にあたりましては、新たなる治水五カ年計画の策定、その上に立って予算の編成をして参りたい、お願いして参りたい、こう考えております。 さらに、政令が非常に多くて、ここで書いてあるだけじゃわからないのじゃないかという御意見、これはごもっともでありますが、これは所要のものにつきましては、委員会におきましてその要綱を添えて御審議を願う、こういうつもりでございますから、その辺あらかじめ御承知おきを願いたいと思うのであります。(拍手) 〔国務大臣福田一君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田一君) 御質問にございましたように、通産省といたしましては、工業用水とか電力の関係において、利水ということは非常に大事な行政の問題でありますが、しかし、今回の法律によって建設大臣が水利権の処分をするような場合には、われわれ関係大臣と十分協議をした上でやろうということになっておるので、私はその面において目的をそのやり方で十分達し得ると考えております。 なお、水利の調整については、御承知のように、この法案では河川審議会というものがありまして、そこで十分関係方面の意見を聞くことになっておるので、これでその目的を達し得るかと考えるのであります。 治水か利水かということになりますというと、これは総理や建設大臣がお答えになりましたとおり、治水が大事でありますけれども、しかし、治水をやる場合において利水ということを考えなければ意味がない面が十分考えられますので、そこで両方を考えていかなければなりません。 御指摘になりましたダムの問題でございますが、ダムが単独で洪水調整をする場合、あるいはまたダムが重なってそれがずっと続いておるのをどういうふうにして洪水の調整をするかということは、お説のとおり、まだはっきりした研究が進んでおりません。われわれは今これを十分研究を続けておるところでございまして、そうして研究を遂げて、御趣旨のようにこれが十分洪水調整に役立つように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣篠田弘作君登壇、拍手〕
○国務大臣(篠田弘作君) 第一のお尋ねは、非常に錯綜しておるところの利水行政の水利調整にあたって建設大臣だけで大丈夫であるか、よいかという御質問のようであります。利水行政のうち特に重要な水利調整につきましては、ただいま総理大臣並びに建設大臣等からも申されましたように、河川の管理者の単独判断で必ずしも適正であるということが言えませんので、新法案におきましては、水利調整に関する重要な事項につきましては、河川審議会に水利調整部会を設けて、関係地方公共団体の長あるいは学識経験者とその問題について意見の交換を行なうことになっておるのであります。 その次に、利水と治水の問題につきましては、総理大臣あるいは関係大臣から申されたとおりでございます。 最後に、費用の負担の問題につきまして、どうして自治大臣はこういう程度の負担で同意をしたか、こういうお話でございます。治水と利水、特に国土の保全の立場から見ました治山治水というものが、現在の管理者である府県知事の力だけをもってしてはとうていできないということは、はっきりしております。そこで私は、こういう国土保全の問題で、しかも毎年々々水害等によって大損害を受けておる河川、あるいはまた海岸防波堤といったような問題については、でき得る限り国庫負担をもってやる、それができなければ高度の比率の国庫負担でやるべきである、こういうふうに考えておりました。ところが、ちょうど河川法が、ここにこの問題が出てきました。そこで、ちょうど私がふだんから考えております国土保全の問題からも、もし一級河川が全額国庫負担でできるということならば、これは、これに越したことはない、こういうふうに私も考えました。同時に、最近の工業地帯における工業用水の問題、あるいは東京都における水道問題というものを考え合わせてみましたときに、利水の面からも、知事の権限だけにこれをまかせるということは、もう非常に時代に即応しないということも考えまして、知事会の反対もありましたが、自治権を侵害しないという程度のもとにおいて、国の責任において治水利水を行なうということは、近代国家として絶対に必要であるという私は考えを持ったのであります。ちょうどそのときに河野建設大臣から、一級河川については全額国庫の負担とするのだ、こういうお話がありました。私もこれには大賛成でありますから、それに賛成をいたしました。ところが、いろいろ交渉の経過におきまして、先ほど質問者からも申されましたように、大蔵当局との関係におきまして、なかなか現在の財政状態からいって全額国庫負担にするということは無理であるということで、四分の三というとことで、私は実は不満でありましたが、総理大臣の裁定によりまして、四分の三ということもまた現在の国庫負担の率から見るならば一歩前進であるということで、賛成をいたしました。しかし、将来に向かって、私は決してこれで満足しているものでないということをつけ加えておきます。(拍手) 〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
○国務大臣(田中角榮君) 藤田さんにお答え申し上げます。 本法改正による国の負担の問題について、全額負担論があったのであるが、なぜしなかったかと、こういうことでございます。改正案では、先ほどお述べになりましたとおり、一級河川につきましては、現行三分の二を四十四年まで四分の三で行なうわけであります。大蔵省が財源的な面でこれを全額国庫負担とせず四分の三に暫定的に押え、基準を三分の二といたしたわけではないのであります。御承知のとおり、大正八年制定の道路法が改正をせられて新しい憲法に合わせたわけでありまして、明治二十九年制定の河川法も新憲法の精神に合わすべく、このような改正案が提出をせられておるわけでありまして、現行の制度は、国と地方公共団体がおのずから意思の疎通をはかりながら目的を達成していくという基本になっておりますので、受益のある公共事業の施行に対しては当然地元負担があることは、現行制度のもとではすべての公共事業がそのとおりであることは御承知のとおりであります。でありますから、最も新しい法律体系である道路法においても、一級国道は三分の二であり、しかも緊急整備五カ年計画の期間に限って四分の三の国庫負担率を適用せられておることは、皆さん御承知のとおりであります。受益のあるところに負担が生ずる、これはもう近代法律の当然な基本でございます。 それから、地方の裏負担の問題でありますが、これは地方財政計画の上で十分な配意をいたしておりまして、地方交付税、地方起債等によって、十分の財政的な確保がはかられておるわけであります。 しかも、結論的に申し上げまして、本法改正によりまして、究極的には、結果的には国の負担が一体どうなるのかという見通しを申し上げますと、相当大幅に国の負担がふえるわけでありまして、工事は進捗し、地方負担は現行よりもふえないということが、原則として申し上げられると思います。(拍手) —————————————
○議長(重宗雄三君) 中尾辰義君。 〔中尾辰義君登壇、拍手〕
○中尾辰義君 私は、ただいま趣旨説明のありました河川法案に対しまして、公明会を代表いたしまして、若干の質問をいたすものであります。 現行河川法は、明治二十九年に制定をされまして、当初の目的は、治水を中心として、農業水利に重点が置かれてきたものであり、近年、経済の高度成長と国民生活の向上により、水の利用が多角化して参りまして、発電用、工業用、農業用、飲料用等、水資源の需要の増大は著しいものがあり、大都市にありましては、水不足の悩みが大きな社会問題になっている今日、水資源の総合的な開発利用と、適切なる治水対策の確立をはかるため、重要水系の管理権を都道府県知事から建設大臣に移すのが、本法のねらいと思われるのでありまするが、古来、水を治める者は国を治めるといわれ、水に関する行政は、地域的にも広範であり、住民の日常生活、産業経済にも密着した複雑な行政であります。また、全国知事会等の反対もありましたので、その疑問点について明らかにしたいと思うのであります。 まず、池田総理並びに経済企画庁長官にお伺いをいたしますが、昭和三十六年に制定をされました水資源開発促進法、同じく公団法は、総理大臣が、水資源の総合的な開発及び利用の合理化を促進するため、必要ある河川の水系を指定し、水系ごとに水資源開発基本計画を定め、水の需要の見通し及び供給の目標と、これを達成するための必要なる基本的事項を定め、事業を実施することができることになっておるのであります。また、昭和三十二年に制定されました特定多目的ダム法によりますると、発電、水道、または工業用水道等のための目的を持ったダムは、建設大臣がみずから新築し、多目的ダム建設の基本計画において、水の用途別配分並びにダム使用権の設定予定者を定めることになっておるのであります。また、河川法十八条の規定による流水の占用許可権は、多目的ダムによって貯留される水については、建設大臣の権限に移されております。したがって、このような現行法規を十分運用するとともに、関係各県の調整をはかれば、水資源の開発の所期の目的を達することができると考えられるのでありますが、政府はこのような関係法を、現在までにどのように運用なされ、また、いかなる点に隘路を感じてきたか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。 次に、総理並びに建設大臣にお伺いをいたします。 わが国の水資源は豊富でありますが、ただ山が多く、地形が急峻であるため、水資源を一〇〇%利用されておらないのであります。現在、利根川の水は一二%、木曾川の水は六%しか利用されておらないといわれております。このように利用率が少ないのは、台風時の豪雨や冬季の豪雪等による雨量を貯留するダムが少ないからであります。水資源が貯留され、水の供給量がふえれば、おのずから利水の調整は解決され、地域間の水争いもなくなるし、用途別の水争いもなくなると思われるのであります。しかるに、政府が水資源公団に出資しておりますのは、わずかに現在まで三億円、借入金二百九十億円にすぎないのであります。したがって、新河川法が成立いたしましても、水資源開発の積極的な計画実施と、その裏づけ予算を伴わなければ、一級河川を国の管理にし、水資源の総合的開発をはかるという、新河川法提出の大義名分が失われると思うのでありますが、その点についていかなる将来の構想があるか承りたい。 次に、建設大臣にお伺いをいたします。 この法案は、重要な点は政令にゆだねられて、その数は五十数カ所に及び、はなはだ不明瞭であります。これでは審議に支障を来たすものと思われるのであります。しかも、法第四条において、建設大臣は一級河川を政令の定めるところにより政令をもって指定するとしておりますが、その場合、河川審議会、都道府県知事の意見を聞かなければならないことは、当然であります。しかしながら、一級河川とはいかなる河川を指向するかとなりますと、この条文だけではきわめて不分明であります。そこには認定基準というものが明示されてしかるべき筋合いのものであろうと思うのであります。建設大臣の権認行為として、裁量処分に白紙委任してよいというものではない。特に一級河川の管理については、原則として建設大臣が管理するといたしましても、水系全域にわたって管理することは、現在の機構及びそれに伴う建設省職員のみでは不可能であり、一部については知事管理委任を要することは、必然的に生ずると思うのであります。かかる理由から、一級、二級河川を種別する以上、その認定基準を明記する必要があると思うのであります。この点について御意見を承りたいと思います。 次に、河川管理者は、洪水による災害が発生する等の緊急時における責任がきわめて不分明であり、その責任をダム設置者に負荷せしめ、災害防止に対する必要な措置をとるべきことを勧告することができるとなっておりますが、これではあまりにも責任を回避するものでありまして、むしろ、緊急事態に対しましては、河川管理者の行政命令こそ、当然義務づけるべきであると思いまするが、建設大臣の御所見を伺いたいと思います。 次に、河川保全区域についてでありますが、河川管理者たる建設大臣は、必要ある場合は、五十メートルを限り区域として指定することができることになっておりますが、これに対しまして、その土地の形状の変更等について、一つの制約を負荷している規定であります。しかし、政令で定めるものは、この限りではないと言われましょうが、当然ここに私権の制約があるのであります。それに対応いたしまして損失補償を加味されていないのは、いかなる理由によるものであるか、私権を制約することはないと言明されるおつもりであるか、建設大臣の明確なる答弁を承りたいと思うのであります。 次に、総理にお尋ねいたしますが、河川の利害は公共に及び、社会的経済的にきわめて重大であります。したがって、河川の持つ機能を十分調査検討し、体系的にとらえて、一貫した治水及び河川計画が樹立されなければならないと思われるのであります。このためには、河川審議会のごとき単なる諮問機関たるにとどまることなく、内閣に行政委員会的な性格を有する機関を設置して、広域的な理念に立つとともに、地方自治を尊重し、治水利水の総合的行政を執行し、河川管理者としての建設大臣及び都道府県知事にその執行の責任をとらせるという方法が、現時の河川行政及び水行政の立場から、きわめて必要な措置であると考えるのでありますが、御所見を承りたいと思うのであります。 最後に自治大臣並びに農林大臣にお尋ねいたします。 本法案の成立するまでに、地方制度調査会から、国と地方との行政事務配分について審議中であるから、慎重に取り扱ってほしいとの要望もありましたが、水の問題は、単に河川行政とか、水資源の広域的な総合利用といった観点だけからきめるべきでなく、総合的な国と地方の立場を考慮してきめなければならないと思うのであります。したがって、河川の管理権だけを国へ引き上げ、その他の行政権を、従来どおり都道府県知事に残しておく場合は、地方行政が国と都道府県とに二分される結果、その総合性は失われて参ります。したがって、住民にとっては著しく迷惑をかけることになると思われるのであります。そこで、砂利採取とか水面使用、漁業土地占用、工作物設置等の許可にかかる事務、及び農業用水、簡易水道等の小規模な水利は、一級河川においても、都道府県に委任するのが適切であると思われるのであります。これに対する御意見を承りまして、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。 お話のごとく水に関係した法律は、最近におきましては、水資源開発促進法、あるいは水資源開発公団法、あるいは特定多目的ダム法等、いろいろございますが、これらの法律は、事業の実施と、その促進をはかりまするいわゆる事業法でございまして、しかも、最近の法律でございまするから、経済の要求によりまして、かなり広域的見地から行なわれております。しかし、この事業の実施をいたしまする根本の法律、いわゆる水利権に関するものは、今改正せんとする河川法でございます。しかも、明治二十九年の法律でございます。そうして、水系を単位にするのでなしに、各府県知事の所管事項でございまして、広域的見地から河川行政をしようとする今の状態から見ますると、河川法は当然変えなきゃならぬので、いわゆる多目的ダムとか、あるいは水資源開発を広域的にうまく実施するためには、水利権のもとをきめている河川法を広域的見地から改正しなきゃならぬ、こういうことでございまして、今の事業法だけではいかぬ、実体法を変えなきゃいかぬというのが、今回の改正案を提案した理由でございます。 なお、御質問の水の利用につきましては、先ほど来申し上げましたごとく、国土の保全のために、また、経済の発展のために、ぜひ必要でございます。しこうして、この河川行政につきましては御意見はございましょうが、やはり専門的の場合も多いのでございまして、やはり建設大臣の所管とし、そうして、事柄によって関係行政機関、あるいは都道府県知事、あるいは専門家等の意見を聞き、河川審議会において処理していくことが、最も適切であると考えて、かくいたしておるのであります。 他の点につきましては、関係大臣よりお答えいたします。(拍手) 〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま総理の指摘されました二つの法律が昨年来施行せられまして、その施行の状況につきましては、さしずめ、利根川と淀川の両方の水系を水資源開発水系に指定をいたしまして、具体的には、利根川水系では、ただいま事業の対象として、矢木沢、下久保の両ダム、利根導水路、印旛沼開発事業などが対象となりまして、水資源公団が仕事をいたしておるわけでございます。それから、淀川につきましては、高山ダムと長柄川可動堰、この二つが事業の対象になっております。それから、今後でございますが、やはり木曾三川でありますとか筑後川、あるいは吉野川などを、調査の上、開発の水系に指定をして参るべきではないかというふうに考えておるわけでございます。これらの仕事は事業法に基づいていたしておるわけでありますが、やはり総理が指摘されましたように、実体法が整備をされまして河川の総合的な管理がなされ、また、法案にございます勧告でありますとか、調整でありますとか、裁定でありますとかいう機能が適宜発揮されますと、非常に事業の進行がやりやすくなる、資するところが多いというふうに考えておるわけでございます。(拍手) 〔国務大臣河野一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。 一級河川、二級河川と、区別を政令に譲っておる、その他、政令が非常に多いという御指摘でございます。これは先ほど申し上げましたとおりに、政令につきましては、従来も相当にあるのでございますが、これらは、いずれも要綱によって委員会で十分御説明を申し上げたものでございます。ただ、一級河川と二級河川をなぜはっきりさせないか、こういう点でございますが、これは実は、一級河川と二級河川を区別いたしますその条件は、川の流域の面積がどのくらいあるとか、流量がどのくらいあるとか、川の長さがどういう状態になっておるとかというような、いろいろな実情を条件にして分けるのでございまするから、法律に書きようがないのでございます。したがって、これを今申し上げまするように政令に譲りまして、そうしてこれを河川審議会の議を経てきめるということにいたさなければ、もうほかにやりようがありませんので、実はそういたしております。 次に、洪水のときに行政命令を出したらどうだ、そうして責任を明確にしたらどうだということでございます。これにつきましても、実は、御承知のとおりに、低気圧がどっちに来たというのは、その瞬間までどっちに回るかわかりません。そういたしますと、こっちに来るはずだろうと思って行政命令を出して、ダムにたまっておる水を流しちゃえ、流しちゃったら、その低気圧が右のほうに曲がっちゃったというようなことになりますと、非常にそこに大きな損害が起こってきます。したがいまして、何さま、こういう緊急の気象に対応して管理をして参りますものを万全を期するだけでは、どうも扱いにくい場合もございます。これらは管理者と勧告する者と十分に相談をいたしまして、万全の処置をとって参ることが適当であるというような意味合いからやっております。 さらに、川の流域等について、保全の区域を指定しておるが、その中における私権について補償するかしないか、なぜしないかというような御意見もございますけれども、これはその損害が起こったつど補償する。ただ、指定をしただけで損害のありませんものについては、これは補償いたさないという処置をとっております。(拍手) 〔国務大臣篠田弘作君登壇、拍手〕
○国務大臣(篠田弘作君) 第一の御質問は、地方制度調査会から、現在、地方自治団体と政府との事務の分担について審議中であるから、この問題をしばらく延ばすようにという申し入れがあったにもかかわらず、どういうわけでこういうふうに早くきめたかという御質問のようでございますが、実際は地方制度調査会におきましてそういう議論があったということは聞いております。しかしながら、これは政府に対する申し入れまでにはなっておりません。それはどういうわけかといいますと、地方制度調査会は、政府からの諮問に応じて答申をすることになっておりますが、この問題について政府から地方制度調査会に諮問はしておらないわけでございます。そういうわけでございまして、そういう申し入れをしないほうがいいだろうというわけで、そういう議論はあったけれども、申し入れはなかったと聞いております。 次に、今回の河川法の改正の趣旨は、前々から申されますように、重要河川の治水利水の広域的見地から、国の責任においてこれを行なうということでございますから、小規模の水利につきましては、むしろ地方的に処理するほうが、御説のとおり、適当であろうと考えます。一級河川のうち、指定区間につきまして、その管理権の一部を政令の定むるところによりまして知事が行使できることになっております。また当該区間における小規模な水利権の許可等につきましても知事の権限としたい、そういうふうな考え方であります。なお、大規模な水利権につきましても、建設大臣がこれを許可する場合は、関係知事の意見を聞かなければならないものとしておりますから、国家的利害と地方的利害との調和は十分にその点において、はかられると考えております。(拍手) 〔国務大臣重政誠之君登壇、拍手〕
○国務大臣(重政誠之君) 新河川法案におきましては、一級河川について建設大臣が河川の使用に関する処分をするときには、関係行政機関の長に相談をすることになっておりますので、農林漁業の実情に即した法の運営を期することができると考えておるのであります。 なお、今回新たに発足をいたしました地方農政局の機構も積極的に大いに利用いたしまして、地方の意見、実情が十分に反映をするように運営して参りたい、こう考えておる次第であります。(拍手) —————————————
○議長(重宗雄三君) 田上松衞君。 〔田上松衞君登壇、拍手〕
○田上松衞君 民社党を代表して、政府提出の河川法案について質問いたします。 最近、水の開発はますます急を要する状態に立ち至っている事実、及び、災害防止のためのダムその他の流水量調整の一元化の緊要性などにかんがみまして、時代離れの現行法ではとうてい間尺に合わないことは、もはや議論の余地はないわけでありまして、根本的な改正を必要とすることは当然であります。わが党は本質的にはむしろ改正積極論の立場を堅持しておるわけでございまするが、それだけに、期待をしていました今次の改正案の内容に対して、多くの不満足と不備の数々を感ずるわけであります。根本的には、河川法なるものは、河川が持っておりまする意義、すなわち国土の保全、開発、利用のための根幹でありまして、同時に地域住民の福祉増進の基礎であることの認識に徹底して、水をして以上の使命を十分に達成させるように立法しなければ意味はないわけであります。改正案は遺憾ながらその線がきわめて弱い。 こうした観点に立って、まず総理大臣にお伺いいたしますが、改正案は本法の対象を単に河川だけにとどめていることから、結果的には工事法的な性格のものに陥ってしまっていると考えます。これでは改正案の趣旨説明にうたう高遠な目的を達成することはとうてい望めません。したがって、この画期的な改正を断行する限りは、大きく目を見開きまして、次に必ず問題になるであろう地下水、伏流水等をも対象とするところの、いわゆる水法的な内容を盛り込むことが必要であって、かつ賢明であろうと考えますが、この点に関する率直な御見解を承っておきたい。 第二点は、河川審議会の性格と権威についてでありますが、このことについては、すでに同僚からの質問がありまして、ややわかったのでありますけれども、まだ納得しない点と、及びニュアンスの違いがありますから、あえて申し上げます。改正案の特徴として強く感受されることは、建設大臣の権限が不必要な面にまで著しく強化されておりますことと、政令がやたらに多過ぎることであります。それにもかかわらず、重要な問題の解決点を一向突いておりません。これでは、いたずらに権力主義的な、中央集権的なにおいを高めるだけでありまして、円滑かつ完璧な水利調整ないし水利使用等にマイナスを招くおそれを感ずるのであります。したがって、これらの運営等に関してまでも諮問できるような高大な性格と権威を持たせるところの審議会といたしまして、これを総理府に設置することが適当ではないかと考えますが、総理大臣、どうお考えになりますか。 第三点は建設大臣に伺います。 河川法の根幹が河川管理制度にあることは言うまでもないことでありまして、管理制度の適不適が河川法の運命を左右するものと信じます。河川を一級、二級に分け、管理主体も国と都道府県に分けることまでは、まことにけっこうであります。ところが問題は、国が管理する一級河川についての定義というか、あるいは骨格とでもいうべきか、その権利、義務、責任等のきびしい定めが政府案には不足しております。そこに、全国知事会等から、やれ地方自治の侵害であるとか、あるいは一級河川を多くせよとかというような、反対ないしは陳情運動が巻き起こる穴ができてしまうわけであります。河野一郎大臣ともあろう実力者が、一級河川をできるだけ多くふやしてやりましょうというような、裏からとってみまするならばお門違いの迎合的な及び腰の答弁にまで陥ることになってしまうのは、ここに実は原因があるのであります。したがって、私どもは、一級河川に関するおきてを厳粛に、かつ、明確に規定するとともに、その数はむしろ最小限度にしぼり上げてしまって、徹底的な管理を行なうべきだと、こう考えるのでありますが、建設大臣はどう考えられますか。 次は、工事実施基本事項についてでありますが、言うまでもなく、工事実施基本事項は河川管理に関する実際上の設計図であります。その意義はきわめて重大でありまして、したがって、これが作成にあたりましては、治水、利水等にわたって河川の将来を誤まりなく見通し、国土総合開発と一体となった河川工事基本事項を作成することが、絶対必須条件となって参ります。かような大事な事柄を政令にゆだねることは、あまりにも官僚独善で、危険千万だとおそれずにおれません。したがって、これが作成については、少なくとも河川審議会及び関係知事等の意見を十分に聞いてなさねばならぬ方式をとることが必要だと痛感するわけでありますが、これについての御所感を承わりたい。 次は、河川区域の指定に関してでありますが、河川管理の完璧を期するためには河川区域の管理がまた生命線であります。河川区域内には実際問題として数多くの私権が設定されておるわけでありますが、この私権を政府案のように一方的に独善的に規制してしまうような方式は、憲法第二十九条に抵触するおそれを招きはしないか。またこれに関連いたしまして、政府は河川区域内の私権の件数並びに民有地の面積を一体どの程度に把握しておられるか。さらには、この私権は、結果的に当然買い上げ等の措置を講じなければならぬことになると思うのでありますが、これに要するところの経費は一体どのくらいとお考えになっておりますか。この点については建設大臣のほかに大蔵大臣の御答弁も求めます。 さらに、水利権の独占化と水利権の売買について、建設大臣の所信を伺います。行政上の許可の権利が売買されるというようなことは、行政の邪道であると考えます。大臣が農林大臣の時代、漁業許可権が売買されるということはけしからぬ、こういうことを指摘されまして、その趣旨にのっとっての漁業法の改正が行なわれたのは、昨年のことでございます。今回提出されました河川法では、許可の権利が売買される、とを公然と認めておりますことは、まさに大臣の思想の混乱であるか、あるいは大きく後退していることであると言わざるを得ません。水利権の売買は禁止することが妥当であるとお考えにならないか。また、水利権を必要以上に擁護することは、結局、水利権者の独占化を招く根源を作るおそれを感ずるわけであります。この点どうであるか。さらにはまた、慣行水利権の数は一体どのくらいが的確な数字であるか。利根川の水系だけについて考えてみましても、建設省は大体千ぐらいだとおっしゃる、農林省は三千だとおっしゃる、一体どっちがほんとうなのか。政府で見解を統一したことはないのか、まだ発表する時期ではないのか、お伺いいたします。 最後に、総理大臣に伺って私の質問を終わろうと考えますが、現行河川法を根本的に改正すべき必要性については、劈頭申し上げましたとおり、もはや何人にも異論はないのみならず、今日の科学技術の振興発展に照らしましても、今こそ天与の水資源を百パーセント活用する反面、災害を防止することがまた可能になったともいえます。しかしながら、本法の意義が大きければ大きいほど、激しく変革いたしまする次の時代に対処しても悔いない完璧なものを作ることが、同時に重要であると思います。ガンの博士がガンに倒れられた、あの尊い教訓をお互いに身につけたいと思います。政府案にはなお幾多の不備があることを率直にお認め下さることが、むしろ賢明でもあり、さらには、国会審議日数の不足の関係等もまた無視されてはならないと考えます。したがって、今国会では政府がみずから廃案とされまして、次期通常国会に万全を期した新案を再提出されるお考えはないかどうか、このことを特に伺って、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) 水の行政につきまして、諸外国の制度のごとく、地下水あるいは伏流水を含めた統一的な法律にしてはどうかという御意見でございますが、わが国の気象条件から申しまして、外国とは実質的にだいぶ違っております。したがいまして私は、地下水等につきましては、御承知のとおり、特別の法律を設けております。すなわち、工業用水法とか、あるいは地下水の採取の規制に関する法律とか、こういうことでやっていきまして、最も重要な河川について、その国土の保全と利用について、ここで根本的な改正を加えたほうが早道であります。また、今の時世に適応するものだと考えまして、御審議を願っておる次第でございます。 また、御質問の所管の問題、建設省が少し強過ぎるんじゃないか、こういうお話でございますが、私は、こういう行政は、内閣に置くよりもやはり建設省に置いて、そうして河川審議会等を通じまして各行政機関の意見を統一することが、実際に沿うことだと考えて、法案のごとくきめたのでございます。 なお、御質問の第三点は、重要な法案だから、今国会よりも次の国会でというお話でございますが、非常に重要でございますと同時に、緊急な問題でございますので、今国会でぜひとも通過さしていただきたいと考えております。(拍手) 〔国務大臣河野一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(河野一郎君) 一級河川を厳選して、少数にして万全を期したらどうだということを強く御要望のようでありますが、私は必ずしも御質問に賛成できないと思います。現に、御承知のとおり、全国の河川を決して今まで全部ほうってあったのではなく、いずれも長年にわたって、各府県、建設省においてこれを管理し、十分に治水の面についても努力をして今日まで参っております。その経緯にかんがみまして、この際、どういうふうに一級、二級の河川に分けてやったらよろしいかという資料もしくは研究の条件は、十分整っております。でございますから、今にわかにこれを、ここで、一級だの二級だの、多数がいいとか少数がいいということでなしに、国家的見地に立ちまして、また、地方の実情に照らしまして、これをしかるべく行政上区分して、それぞれ一級とし二級として管理して参る実情に適した行政が妥当でございまして、少数にするとか多数にするとかいうようなことでやるということは必ずしも適当でない、こう考えております。したがって、先ほども申し上げましたとおりに、その川の流域はどの程度の面積があるか、その川の流水もしくはその川の性質がどういう性質のものであるかという諸般の状況を勘案いたしまして、決定して参るべきものと、こう考えております。 次に、河川の区域内において私有分もしくは私有権があるが、これについてその数はどうか、もしくはこれをどうするかというようなことでございますが、御承知のとおり、従来の河川法におきましては、河川の台帳もしくは河川の調査が十分ではありません。したがって、これのありますことは御承知のとおりでありますが、どれだけあって、それがどうなっているかということも、調査が十分でき上がっておりません。したがいまして、今回の新しい河川におきましては、河川台帳を作りまして、これらを十分調査を進めて参りたい。調査をして参りました上で、これらについての措置をどうするかということは、あらためて考えたい、こういうつもりでございます。 さらに、水利権の売買を公然と認めているのは、そういう思想は間違っているじゃないか、こういうことでございます。公然と認めて、売買を勝手にしてよろしいというふうにはいたしておりません。水の、河川の管理者の同意を得て、承認を得てやることができるということにいたしておるのでございまして、勝手にこれが一つの権利として売買の対象になるというようなととは考えておりませんので、その点も誤解のないように願いたいと思います。 なおまた、水利権がどのくらいあってどうだということの御発言でございますが、先ほども申し上げましたように、現在までの法律につきまして、現在まで政府としてはこれを積極的に河川ごとに調査をいたしてないのでございまして、これも今回の河川法におきまして、十分調査をいたしまして、そうして、これらの行政の完璧を期したいという所存でございます。(拍手) 〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
○国務大臣(田中角榮君) 第一の御質問は、現在河川区域内に存する私権の件数のことに関してでございますが、建設大臣がお答えを申し上げたとおり、現在つまびらかでございませんが、河川台帳を整備をして、逐次状況を明らかにいたしたいと存じます。 第二点は、河川区域内の私有土地の私権制限に関する問題でありますが、この問題につきましては、河川管理の面から、公共の福祉に適合する範囲内において必要やむを得ざる処置をとっておるのでありますので、かかる制限はやむを得ざるものであり、適法なものと考えております。(拍手)
○議長(重宗雄三君) 建設大臣の答弁の補足があります。 〔国務大臣河野一郎君登壇〕
○国務大臣(河野一郎君) 河川の工事について、河川審議会その他の議を経てなぜやらないかと、こういう御質問でございます。まことに相済みませんでした。 実は、先ほども申し上げましたとおりに、従来各河川ごとに十分調査もいたし、工事の必要な所の計画等についてもやっております。これを別に、新河川法になりまして、あらためて各河川ごとに新しい計画を持って、新しくどうするということの必要な所はむろん起こって参ります。起こって参りますが、従来の行政を引き続き区分してやるのでございまして、国内における河川におきましては、従来とても、必要な河川の工事もしくは工事の施行につきましては所要の調査等はできております。これらにつきましては、各方面の意見も実は伺っておるわけでございます。地方庁との間におきましても、必要な行政上の打ち合わせはいたしております。と申しましても、さらに必要の場合におきましては、むろん河川審議会等の御意見を承りましてやりますることはもちろんでございまして、当然なすべき行政上の処置は行なうというようなつもりで、別に法律には書かなかった、こういうことで御了承願いたいと思います。(拍手)
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。 ————・————
○議長(重宗雄三君) 日程第二、郵便貯金法の一部を改正する法律案(趣旨説明)、 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。小沢郵政大臣。 〔国務大臣小沢久太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(小沢久太郎君) 郵便貯金法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。 この法律案は、郵便貯金の利率を政令で定めるように改めること等をおもな内容とするものであります。 以下、その改正の要点について御説明申し上げます。 第一点は、金利政策の弾力的な運用に支障を来たさないようにするとともに、適時適切に一般金融情勢に相応することができるようにするため、現在法律で定められている郵便貯金の利率を政令で定めるように改めようとするものであります。 この政令委任にあたりましては、国民大衆の零細な貯蓄手段である郵便貯金の預金者の利益の保護に遺憾のないようにするため、利率の決定または変更の場合には、預金者の利益を増進し、貯蓄の増強に資するよう十分な考慮を払う旨の原則を法律に明記するとともに、郵政大臣は、利率に関する政令の制定または改正の立案にあたっては、郵政審議会に諮問しなければならないこととしようとするものであります。 第二点は、団体取り扱いをする郵便貯金は、現在は法律で通常郵便貯金に限定されているのでありますが、目的貯金等をする団体が増加している現状にかんがみまして、利用の実情に適合させるため、団体取り扱いをする郵便貯金の種類等について省令で定めるように改めまして、利用者の利便をはかろうとするものであります。 第三点は、貯金総額の制限規定の適用を受けない法人その他の団体は、現在は法律に別個に列挙されているのでありますが、この列挙されたもののほかに、各種の公団、事業団等貯金総額の制限規定を適用する必要がないと認められる法人が多数ありますので、これらの法人その他の団体につきましては、個別に列挙しないで包括的に規定するように改めようとするものであります。 以上、郵便貯金法の一部を改正する法律案の趣旨につきまして御説明申し上げた次第でございます。(拍手)
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。光村甚助君。 〔光村甚助君登壇、拍手〕
○光村甚助君 私は、日本社会党を代表して、ただいま上程されました郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして、池田内閣総理大臣並びに関係大臣に対し、若干の質問をいたそうとするものであります。 今回のこの改正法案の趣旨は、郵便貯金の利率を法律事項としておくと、政府の金利政策遂行が円滑に行ないがたいので、この利率を法定することをやめ、これを政令事項とすることによって、容易に、自由に改定し得るようにしようというのであります。 わが国の郵便貯金事業は、明治八年事業創始以来、約九十年の歴史を持ち、国民大衆の唯一の貯蓄機関として、世界に類例を見ない目ざましい発展を遂げてきたものでありまして、今日におきましては、口座数二億一千七百万件、現在高一兆五千数百億の巨額に達しております。そうして、その果たしております役割は、財政投融資の最大の原資として、国の財政資金の造成に寄与するとともに、また、通貨政策として国民の購買力の吸収という大きな使命を果たしつつ、国民大衆の零細な貯蓄機関として全国民に親しまれているものであります。日本の郵便貯金がこのように発達いたしました原因は、全国津々浦々にわたって散在している一万五千以上もの郵便局を通じて行なわれている官営事業であって、しかもその利率が安定しているからであります。すなわち、利率は現在法律によって規定され、国会の審議を経た法律によってでなければ改定できないようにして、国民大衆の利益を擁護し、本年度予算におきましても、実に一千九百億もの純増を確保することになっております。今回の改正は、政府が必要と認めた場合には、政令によっていつでも改正ができることとするもので、預金者の立場からすれば、たいへんな悪条件を押しつけられる改悪をあえていたそうとするものであります。 私は、現在官営事業として運営せられている郵便貯金事業や簡易保険事業のあり方について、根本的に大きな不満を抱いているものであります。すなわち、最近におきましては、郵便貯金も、簡易保険も、同業者としての銀行、保険会社と全く同じ市場で、対等の立場において競争させられているにもかかわらず、一方においては、それが国営事業であるために、国家目的遂行のための制約を受け、非常な悪条件のもとに運営せられておるのであります。たとえば、貯金や保険の最高額が五十万円に制限され、利率または保険料率の相違、集積せられた資金の運用面における制約等に現われております。官業なるがゆえに民業を圧迫してはいけないという戦前から行なわれた配慮が、社会事情、経済事情の急変によって市場を全く同じくするに至りまました今日におきましても、なおそのまま当然のこととして固執されてきているのでありまして、最近、国会において審議せられた両事業関係の数々の法改正は、官業に対し不当に課せられた悪条件を是正し、一歩々々民業に近づけようとする一連の改正であったことは、すでに御承知のとおりであります。一方においては、本年度予算におきましても、郵便貯金で一千九百億の純増を、簡易保険で一千六百億の積み立てを達成せなければならないのでありますが、最近の世相においては、従来のように、官業であるから、郵便局が扱うからというだけでは、奨励、募集は困難でありまして、預金者、加入者の納得のいく契約内容として、利用者への配慮、利益の還元方策が十分に講じられたものでないと、幾ら郵政職員が努力しても、その実績をあげがたいのであります。 今回の改正におきましても、あるいは政府の言うごとく、弾力ある政令によることとし、利率を上げる場合もあると言うかもしれませんが、最近の日銀の数次にわたる公定歩合の引き下げを見た国民大衆としては、さなきだに貨幣価値が年を経るに従って下落する方向にあります上に、さらに利率までも政令によって今後引き下げる方向のみに進むと考えられるとき、国民の貯蓄意欲はとみに減退し、土地の買いあさり、奢侈、賭博等の方面に浪費される傾向を助長することは、火を見るよりも明らかであります。池田総理は、よく外国の低金利を口にせられておるようでありますが、主要国におきましても、なるほど公定歩合は低率でございますが、預金者への金利サービスの比率は割合に高くなっているのであります。日本におきましては、諸外国のごとく、生活水準が高く、かつ社会保障の行き届いた国とは、おのずから異なるのでありまして、零細なる国民貯蓄にはあたたかい手を差し伸べてこれを保護することが、現在の日本の国情からして、適当な措置と考えるのでありますが、いかがにお考えになっておられますか。 また、この郵便貯金の預金者に対するサービスとして郵政省の希望している貸付制度についても、それが財政投融資の原資の確保に支障を来たすものとして反対しておられるようでありますが、郵便貯金の長期預金者にわずか一万とか二万とか貸し出す制度が、本年度の財投の規模一兆一千億を脅かすようなことになるとは考えられないのでありますが、この点、総理大臣のお考えをお伺いしたい。 以上述べましたような官業に対する不合理な取り扱いに対し、今後いかように対処されようとしておられますか。また、預金者に対する配慮の点については、その一例として、預金者貸付制度のごときは考えておられないか。第三番目には、いわゆる最高制限額というものが五十万円になっておりますが、これを無制限に郵便貯金ができるようにする御意思はないかということでございます。先般の新聞の囲み記事を見ますと、某大臣が、たばこをやめて五十五万円貯金したということが新聞に出ておりますが、現在、郵便貯金は五十万円しかできないことになっている。このように、大臣でさえも五十五万円の貯金をするくらいです。一般大衆においては、おそらくこういう法律は私はむだだと思いますので、無制限にいわゆる郵便貯金ができるようにする制度はお考えないか。この点をお伺いいたします。 次に、大蔵大臣にお伺いしたい点は、一般低金利政策遂行の犠牲を、なぜ零細なる郵便貯金者にしわ寄せするかという点であります。今回の政令委譲によって、政府は低金利政策遂行のための有力な武器を手に入れることになります。すなわち、銀行預金金利を引き下げる場合、従来のように銀行側の強い要求であった郵便貯金金利の同時引き下げが、もはや法律改正を要することなく、政府によって自由に行なえることになり、要すれば、まず郵便貯金金利を引き下げることによって、銀行預金の金利の引き下げを主導することさえもできることになります。全国数千万人の、最も先に保護すべき零細なる国民の貯蓄を国の低金利政策遂行の手段に使われては、あまりにも弱い者いじめにすぎると言わざるを得ないのであります。 ひるがえって、現在わが国の総貯蓄は二十四兆円に達しており、その半分の十二兆円が普通銀行の占めるところとなっているようでありますが、郵便貯金の一兆五千億はこの八分の一にしか当たらないのでありまして、銀行側にとって実質的に強敵視するに値しない実力であり、したがって、零細な国民大衆のものは、むしろ銀行預金より優遇してしかるべきものと思うのでありますが、大蔵大臣はいかにお考えになっておりますか。 さらに大蔵大臣にお伺いしたいことは、財政金融政策担当の主管庁としての大蔵省役人の態度についてであります。現在、資金運用部資金の原資の八〇%は、郵政省の貯金、保険のものと、厚生省の両年金のものの集積でありますが、資金を集めるのは郵政や厚生省がやるのだ、郵政省は一生懸命に貯金の募集や保険の募集をやって集めればいいのだ、それをどこにどう使うか、どのように運用するかは、大蔵省がやるのだというような思い上がった態度は、今後絶対に許すべきではないと私は思っております。すでに根本的に改むべき時期に来ていると思うのでありますが、この点に対する大蔵大臣の所見をあわせてお伺いいたしたいと思います。大蔵大臣は、郵政大臣としての御経験もあり、三十九才で郵政大臣になり、いわゆる貯金や保険の最高制限額の引き上げにも努力された。この人は私は大物になると思ったところが、自民党の政調会長にもなった。ひいて大蔵大臣にもなった。郵政省にいる時分には、いわゆる貯金や保険の最高制限額の引き上げを主張して、郵政職員を喜ばしておきながら、今度大蔵大臣になるや、この貯金、保険の最高制限額を押えるとか、あるいは運用の拡大に反対しておられるようでありますが、大臣のいすが変わったからといって、あなたの信念があっちに変わり、こっちに変わるようじゃ、私は実際あなたの信念を疑う。池田総理大臣のように、いわゆる、がんこなら、がんこなりに、経済のことはおれにまかせろというような一つの信念がなければ、将来田中内閣を夢みるあなたは、実際むずかしいということを、私は御忠告申し上げておきます。 次に、郵政大臣にお尋ねしたいことは、今回の改正案によって預金者は非常に不利益をこうむるものと予想されますが、この預金者保護と郵政職員の企業意欲の低下に対して、所管大臣としてどのような対策をもって対処されようとしているのかお伺いしたい。伝え聞くところによりますと、郵政省としては、政令委譲の交換条件として預金者貸付制度を創設しようとしたが、大蔵省に反対され、やむを得ず、今回の保険積立金の運用法改正と交換条件にされたとか聞きます。預金者とは関係のない保険のほうのわずかな利益と交換条件にさせられた預金者こそ迷惑な話であります。あるいは、政令が出る前には郵政審議会に諮って万全を期すると、さっきも言われましたが、この郵政審議会の委員は、みんな資本家の代表であり、銀行側の代表なんです。こういう人たちに幾ら政令の前に諮ったところで、零細なる預金者の意向を代表する審議会とわれわれは言えないのであります。また、大蔵省と郵政省の力を知っているものにとっては、そのまま郵政審議会を信用し得ないことは言うを待たないところであります。 戦後ようやく、利率を法律できめることにより、安定した契約内容のもとにめざましい発展をとげてきた郵便貯金事業が、今回の改正を契機として事業不振に陥るであろうことは、容易に予想されるところでありますが、所管大臣として、これが対策、及び、この悪法を甘受したのちにおける事業の不振に対し、一体どのような責任をとられようとされますか、お伺いしたいのであります。 以上の諸点につきまして各大臣の御答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。 郵便貯金並びに簡易保険が、わが国の財政、経済、金融面に尽くした功績というものは、これは幾ら言っても言い切れないほどの功績であるのであります。ことに、戦後におきましての財政経済政策の運用に、この郵便貯金並びに簡易保険がほんとうに伸びたからこそ経済の発展ができたと言っても過言ではないと思います。したがいまして、われわれといたしましては、郵便貯金につきましては、できるだけの保護奨励をいたしたいと考えております。しかし、この問題は、やはり大衆の利用せられておる問題でございますから、実態に即するように改善していかなければなりません。したがいまして、お話の五十万円の限度につきましても、御承知のとおり、戦後においてだんだんふやしていっております。今後におきましても、金融の情勢からいって、私は相当検討しなければならぬと思う。 また、御質問の第三点の貸出制度ということも、これは検討に値しますが、郵便貯金というものは、いわゆる金融のあれではないのでございまして、貯蓄制度でございます。金融機関とはまだなっておりません。もし、この貸出制度を行なうということになりますと、その本体である貯蓄制度というものの根本について検討しなければならぬことになる。したがいまして、重要なことでございますので、お気には入らないかもわかりませんが、いわゆる資金運用審議会の議に付しまして、まだこの問題はやはり相当検討しなければならぬということになっているのであります。われわれも今後におきまして、この点につきまして十分検討いたします。 そこで今回、法律をもって利率をきめることを政令にしたからといって、これは非常に預金者に不利な点だとお考えになっては困るのでございます。私は、政令であろうが、法律であろうが、これは単に弾力的に運用し得る立場を設けたのでございます。弾力的に運用することが即貯金者の不利になるとは言えないのであります。私は従来から、いわゆる一般の預貯金と郵便貯金の利率の差につきまして、いろいろ検討いたしてみました。今後におきましても、私は郵便貯金自体を考えるべきである、他の金融機関との関連を主にして考えるべき問題ではないと、私は確信を持っておる。したがいまして、一般金融の問題につきましてはもちろん考慮いたしまするが、それ以上に大衆の貯蓄制度ということを考えなければならぬ。これは私の従来からの信念でございます。決して御心配のような、郵便貯金や簡易保険が伸び悩むというようなことがあっては大へんでございますから、私はその点は、先ほど申し上げましたように、郵便貯金や簡易保険が日本の経済の発展の大きなもとをなしたという恩人のことを忘れることは絶対にいたさないことを申し上げておきます。(拍手) 〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
○国務大臣(田中角榮君) 光村さんにお答をいたします。 第一点は、低金利政策の犠牲になって、大衆、零細な預金者が非常に困るようなことにならないか、今までのように官業であるがゆえに銀行との均衡上非常に低く押えられてきておったものを、今度は改めて、特に優遇をするような方向で検討すべきだ、こういうお考えでございますが、この問題に対する基本的な態度は、今総理大臣がお述べになったとおり、過去は、確かに光村さん御指摘のとおり、郵便貯金や簡易生命保険が政府で行なっておる事業であるという、いわゆる信用度が高いということで、民間金利よりも低目に押えられておったわけでありますが、戦後の実情を見てもおわかりになるとおり、資金運用部資金として、これが日本の経済復興に多大の貢献寄与をなしておるという事実、また資金運用部資金、いわゆる財政資金の必要性が強くなるという考え方をとってみますと、今までのように銀行預金との金利の均衡度という意味からだけではなく、より高い、より広い立場で検討して参り、また万全の措置を講ずるという基本態度に対しては、総理大臣お述べになったとおりでございます。大蔵大臣であるからといって、民間金利よりも必ず低くなければいかぬというような在来の考えに固執をするような考えはございません。 それから、資金運用部の資金、特に郵政省や厚生省に原資を集めさせて大蔵省が勝手に使っておる、思い上がっておるというようなことでございますが、これは、政府機関、内閣の中で、お互いに法律に基づいて分業をやっておるのでありまして、これが最後の運用に対しては、政府全体の考えで誤りなきを期しております。もちろん、国民大衆の零細預金がもとになっておるのでありますから、これが取り扱いに対しては万遺憾なき処置をとっております。法律的にも、御承知のとおり、資金運用審議会の構成は、会長が総理大臣であり、郵政大臣及び大蔵大臣が副会長になっておるのでございまして、学識経験者の十分な審議を経て、しかる後にこれが運用をきめられているわけでございます。三十八年度の財政投融資の計画を見ても、運用部資金の五六・五%が国民の直接生活安定のために、また二一・五%が国民生活向上のために、残余の二二%が経済の安定向上に資する面に使われておる事実をもっても、御理解賜わりたいと思うわけでございます。特に、本問題につきまして、均衡上政令委任の件をお願いいたしておるわけでありますが、貿易、為替の自由化に対処しての金利の弾力的な活用という面からお願いをしておるのでありまして、これをもって直ちに金利を引き下げるのだなどというようなことは考えておらないのであります。(拍手) 〔国務大臣小沢久太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(小沢久太郎君) 光村議員の御質問にお答え申し上げます。 まず第一の御質問は、今回の政令委任によりまして預金者に不利益をもたらしはしないか、また、その保護についてどのように考えているかということでございますけれども、郵便貯金の利率を政令に委任いたしましても、その利率に変更を加える場合には郵政審議会に諮問することといたしまして、慎重に利率を決定するものでございます。なお、この審議会には、新たに預金者の利益を代表する者を加えまして、その声が十分反映できるようにいたしまして、預金者の利益保護に遺憾なきを期することといたしております。また、今回の改正によりまして、従業員の企業意欲が低下するようなことがありはしないかということでございますが、決してそのようなことはないと私は信じているものでございます。 第二の御質問は、今回の改正は郵便貯金事業の不振を招くものではないかということでございますけれども、ただいま申し上げましたように、郵便貯金の利率を政令に委任いたしました場合におきましても、そのことによりまして利率の安定性をそこなうようになるということは考えておりません。また、具体的な利率の改定にあたりましては、預金者の利益保護に十分の考慮を払うことといたしておりますので、この改正が事業の不振を招くことはないと考えておりますけれども、今後一そう制度の面あるいはサービスの改善をはかりまして、業績の向上に努力いたす所存でございます。(拍手)
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。 ————・————
○議長(重宗雄三君) 日程第三、港湾整備促進法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院回付)を議題といたします。
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。 本案の衆議院修正に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は衆議院の修正に同意することに決しました。 ————・————
○議長(重宗雄三君) 日程第四、日本国政府とニュー・ジーランド政府との間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件、 日程第五、日本国と南アフリカ共和国との間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件、 以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。外務委員会理事井上清一君。 〔井上清一君登壇、拍手〕
○井上清一君 ただいま議題となりました小包郵便約定二件について、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。 ニュー・ジーランド及び南アフリカ共和国は、いずれも万国郵便連合の小包郵便物に関する約定に参加していないため、わが国とこれら両国との小包郵便物の交換は、現在第三国の仲介によって行なっております。政府におきましては、直接交換の道を開くため、かねてより、これら両国政府と約定締結交渉を進め、去る三月及び四月、それぞれ本件約定の調印が行なわれたのであります。 約定の内容は、いずれも、小包の種類及び料金、割当料金等、業務上必要な基本的事項を規定したものであります。 委員会は六月六日採決の結果、二件とも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 両件全部を問題に供します。両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって両件は全会一致をもって承認すべきものと決しました。 ————・————
○議長(重宗雄三君) 日程第六、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長佐野廣君。 〔佐野廣君登壇、拍手〕
○佐野廣君 ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件につきまして、その内容及び委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本件は、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、大阪国税局港税務署の新設について国会の承認を求めようとするものでございます。 すなわち、大阪国税局の西税務署は、大阪市西区、港区、大正区を管轄する税務署として、西区に設置されておるものでございますが、最近における管内地域の経済的発展は目ざましく、これに伴い、同署管内の納税者及び課税物件等は年々増加し、税務署の事務量、人員ともに過大となり、事務管理上も支障が多くなっておりますので、納税者の利便と税務行政の適正な運営をはかるために、今回、西税務署の管轄区域のうち、港区及び大正区を分離して、新たにこの地域を管轄する港税務署を新設しようとするものであります。 委員会の審査におきましては、最近における税務事務量の増加とその対策、港税務署新設に伴い廃止される三田税務署管内の納税者対策、新設税務署職員の配置数とその方法、その他、本案に関連して、青色申告の更正通知に関する最高裁判所の判決による税務事務への影響、国税庁における労働問題等の諸点につきまして、質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。 質疑を終了し、討論、採決の結果、多数をもって原案どおり承認すべきものと決定いたしました。 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 本件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本件は承認することに決しました。 ————・————
○議長(重宗雄三君) 日程第七、総理府設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長村山道雄君。 〔村山道雄君登壇、拍手〕
○村山道雄君 ただいま議題となりました総理府設置法等の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を報告申し上げます。 本法律案は、衆議院において施行期日等について一部修正の上、本院に送付されたものでありまして、その内容は、 第一に、総理府設置法の一部を改正しまして、総理府の付属機関である宇宙開発審議会の設置の目的に、内閣総理大臣に対し意見を述べることを加えるとともに、総理府総務長官を認証官とし、また、総理府本府の定員を百九十三人減員すること。 第二に、宮内庁法の一部を改正し、宮内庁に臨時皇居造営部を設置するとともに、宮内庁の定員を十一人増加すること。 第三に、内閣法の一部を改正し、内閣官房長官を認証官とすること。 第四に、内閣法制局設置法の一部を改正し、内閣法制局の定員を三人増加することであります。 本委員会におきましては、統計局の定員を減員する理由並びに人事管理の状況、臨時農地等被買収者問題調査室及び臨時在外財産問題調査室設置の理由、総理府総務長官並びに内閣官房長官を認証官とする理由、認証の性格、認証官とする基準、認証官としながら給料を引き上げない理由、本国会に別途提出されておりまするILO関係の国家公務員法の改正法案では、総理府総務長官は国務大臣をもって充てることにしているが、これと本法案との関係、宮内庁職員の勤務状況、宇宙開発審議会の構成、審議の状況、その答申に対する政府の措置、宇宙開発に関する現状と政府の方針、日本学術会議のアメリカ原子力潜水艦寄港に関する声明問題の経過等の質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。 質疑を終わり、別に討論もなく、直ちに採決いたしましたところ、本法律案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。 以上報告申し上げます。(拍手)
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。 ————・————
○議長(重宗雄三君) 日程第八、日本放送協会昭和三十六年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長伊藤顕道君。 〔伊藤顕道君登壇、拍手〕
○伊藤顕道君 ただいま議題となりました日本放送協会昭和三十六年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本件は、放送法第四十条の規定に基づいて、会計検査院の検査を経て、内閣より国会に提出されたものであります。 日本放送協会の昭和三十六年度末の資産総額は三百七十一億三千八百余万円、負債総額は百九十六億四千百余万円であります。 次に、三十六年度の損益計算は、事業収入総額四百八億六千四百余万円、事業支出総額三百五十六億九千九百余万円でありまして、差引五十一億六千四百余万円の剰余となっております。 これらについての詳細は、説明書によってごらん願いたいと存じます。 本件に対する会計検査院の検査の結果報告は、「記述すべき意見はない」というのであります。 逓信委員会は、本件について、政府及び日本放送協会に対し、テレビ受信料の増収分の使途、未収受信料の回収対策、学校向け放送のあり方等について質疑を行ない、慎重審議の結果、多数をもって本件については異議がないものと議決した次第であります。 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 本件全部を問題に供します。本件は、委員長報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本件は委員長報告のとおり決せられました。 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十六分散会 ————・————