本会議 第9号
- 発言数
- 46 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/02/20
会議録
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。 —————・—————
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。 この際、お諮りいたします。湯澤三千男君から、病気のため、二十六日間請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。 —————・—————
○議長(重宗雄三君) 日程第一、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(売春対策審議会委員)を議題といたします。 内閣から、衆議院議員小林進君、中野四郎君、中山榮一君、中山マサ君、本島百合子君、山口シヅエ君、本院議員柏原ヤス君、高野一夫君、藤原道子君、山本杉君を売春対策審議会委員に任命することについて、本院の議決を求めて参りました。 これらの諸君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。 —————・—————
○議長(重宗雄三君) 日程第二、日本銀行政策委員会委員の任命に関する件を議題といたします。 内閣から、日本銀行法第十三条の四第二項の規定により、山添利作君を日本銀行政策委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。 本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は全会一致をもって同意することに決しました。 —————・—————
○議長(重宗雄三君) 日程第三、第十回オリンピック冬季競技大会札幌招致に関する決議案(西田信一君外二十四名発議)(委員会審査省略要求事件)、 本案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、これを議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって本案を議題といたします。 まず、発議者の趣旨説明を求めます。西田信一君。 〔西田信一君登壇、拍手〕
○西田信一君 私は、ただいま議題となっております第十回オリンピック冬季競技大会札幌招致に関する決議案の発議者を代表いたしまして、本決議案の趣旨を説明いたしたいと存じます。 まず、決議の案文を朗読いたします。 第十回オリンピック冬季競技大会札幌招致に関する決議(案) 参議院は、来る千九百六十八年の第十回オリンピック冬季競技大会を札幌市に招致するため、その促進運動を強力に推進するとともに、その準備態勢を整備すべきものと認める。 右決議する。 次に、この決議の趣旨を説明いたします。 わが参議院におきましては、昭和二十四年五月、第五国会において、スポーツ振興に関する決議案を全会一致をもって採択し、戦後の混乱低迷した世相の中から、国民に希望と明朗さを取り戻し、国家再建の基盤でありますところの国民の旺盛な気力と体力とをつちかうために、スポーツの育成振興の適切な方途を講ずべきことを、政府に要望いたしました。その後、わが国のスポーツ界も著しい復興を遂げ、ヘルシンキ、メルボルン、ローマのオリンピック大会を初め、各種の国際競技大会に勇躍参加して、堂々たる活躍を示したことは、御承知のとおりであります。一方、国内におきましても、各種国際的競技大会の開催が年とともに盛んとなり、これに伴う競技施設設備は急速に充実を見、明年秋には、政府を初め関係各機関の努力により、国民待望のオリンピック東京大会が開催される運びになりましたことは、まことに御同慶にたえないところであります。 さて、第十回オリンピック冬季大会の札幌市招致につきましては、昭和三十六年三月に札幌市議会、同年十月に北海道議会におきまして、それぞれ決議の上、日本オリンピック委員会並びに政府の同意を得て、去る二月七日、札幌市長の正式招請状がローザンヌの国際オリンピック委員会に提出されておるのであります。現在、この大会の開催に立候補し、または立候補の意思を表明いたしておりまするのは、札幌市を含め、フランスのグルノーブル、スイスのシオン、ノルウェーのオスロ、カナダのカルガリ、フィンランドのラハティ等の大都市でありまして、国際オリンピック委員会は、本年十月のナイロビにおける総会においてその開催地を決定する予定になっておりますが、これら立候補国は、いずれも熱心な運動を継続いたしておりまして、まことにあなどりがたい競争相手でございます。しかしながら、札幌市は、一九三六年、ベルリンのIOC総会において、オリンピック東京大会とともに、一九四〇年第五回オリンピック冬季競技大会の開催都市として選ばれ、着々その準備を進めていたのでありましたが、不幸にも、当時の内外の諸情勢から、一九三八年七月に至り、ついに返上のやむなきに立ち至った歴史的いきさつもありまして、自来、札幌市といたしましては、多年にわたる宿願といたしましてこの招致運動を継続して参ったものであり、今回の招致については、たまたま一九六八年が北海道開道及び札幌市開府百年に相当いたしますので、その意義も特に深く、ぜひともその実現をはかるべく、鋭意その努力を続けている次第であります。 札幌市は、現在人口六十五万の近代都市であり、気候風土の点からも、また、その競技場施設、交通等の点からも、従来開催せられました冬季オリンピック開催地に比べまして、まさるとも劣らぬ好適な立地条件を具備いたしており、かつ、また、冬季の国際競技大会等の運営についても、十分な知識と体験を積んでおりまして、冬季オリンピック競技大会の開催について十分な能力を有しますることは、内外スポーツ界のよく認めるところであります。しかも、明年東京において開催せられまする第十八回オリンピック競技大会は、その成果が世界各国より大きく期待されておりますことともあわせ考えまするとき、今後の努力により、冬季オリンピック競技大会の札幌招致は、かなり有望であると思われるのであります。 オリンピック冬季競技大会は、明年のインスブルックの大会をもって九回を数えるのでありますが、そのうち、欧州において七回、アメリカ大陸において二回開催されるわけでありまして、オリンピック冬季大会を初めてアジアの日本に招致いたしますことは、日本国民のみならず、アジア住民全体め強く希望するところであり、また、世紀のオリンピック東京大会に次いで、五年の後、再び世界の若人を招いて、国際スポーツ最高の祭典を、わが国において開催できることとなりましたならば、わが国スポーツの振興に寄与いたしますとともに、国際理解と国際親善を深め、わが国の将来の発展にとって、まことに意義深いものがあると存じます。これを要するに、冬季オリンピック競技大会は、いまだ一度もアジアにおいて開催されていないこと、札幌市は、かつて冬季オリンピック開催都市として決定した実績を有すること、既開催都市及び今次立候補都市に比して遜色なき立地条件と開催能力を有すること、本大会の開催によりわが国スポーツの振興と国際親善に大きく寄与すること等の見地から、第十回オリンピック冬季競技大会の札幌招致が国民的盛り上がりにより実現するよう、本院はその促進運動を強力に推進するとともに、その準備態勢を整備すべきものと存ずる次第であります。 時あたかも、本日から軽井沢におきまして、世界各国の代表選手参加のもとに、世界スピード・スケート選手権大会が開催されております。参議院が本日このとき国民の熱望を本決議をもって内外に表明いたしますることは、まことに時宜に適した措置であると信ずるものでございます。何とぞ満場一致の御賛成をお願いいたします。(拍手)
○議長(重宗雄三君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。千葉千代世君。 〔千葉千代世君登壇、拍手〕
○千葉千代世君 ただいま議題に供せられました第十回オリンピック冬季競技大会札幌招致に関する決議案に対しまして、私は各会派を代表して賛成の意見を申し述べたいと存じます。 第十八回オリンピック大会もいよいよ来秋に迫って参りましたが、国をあげての各方面の非常な熱意と努力とにより、幾多の障害を排除して、その準備が着々進捗を見つつありますことに対し、深甚な敬意を表するものでありますが、この上ともさらに関係者の努力を期待いたしまして、心からその成功を祈るものでございます。 さて、私は、このオリンピック東京大会に次いで、札幌市にオリンピック冬季競技大会を招致することを、強く希望するものであります。その開催が実現されますならば、スポーツの振興と世界の諸民族との親善を願うわれわれ日本国民の真の姿を広く海外に理解してもらい、相互の友好と信頼をさらに高めるまことによい機会であると信ずるものでございます。 札幌市のオリンピック冬季大会の招致につきましては、一九三八年の国際オリンピッ久委員会のカイロ総会において、第五回オリンピック冬季大会の開催地としまして札幌が決定されたのでありますが、御承知のように、戦争のため中止のやむなきに至った次第でございます。開催地としての資格は、当時から世界の各国によって十分に認められていたところでございます。また札幌市においては、昭和三十五年この招致方針を決定して以来、数次にわたり外国から専門家を招聘したりして、施設や設備の充実をはかるとともに、何名かの関係者を海外に派遣して、諸外国のよいところを取り入れるなど、鋭意準備体制の確立に努めて参っております。しかしながら、本年十月のオリンピック委員会の際、開催地の決定が札幌市になりますためには、札幌市や北海道だけではなく、全国民こぞっての受け入れ体制を確立することが必要でありますので、ここに本院が、この決議案を全会一致で可決いたしますことは、まことに時宜を得たものであると思うのであります。提案者の趣旨説明にもありましたように、総理は、札幌市の招請状を承認しておられます。この承認が、単なる承認に終わることなく、政府としても十分な準備体制を整備されることを期待いたしておるものでございます。 最後に、私は、本決議案の賛成にあたりまして、はなはだ残念に思い懸念される点について申し上げなければなりません。すなわち、新聞の伝えるところによりますれば、去る十三日、スカルノ・インドネシア大統領は、「インドネシアはIOCとのすべての関係を断絶し、オリンピックに対抗する競技会を組織し、新たに新興諸国からなるスポーツ連盟を樹立する」と表明しております。本問題は、昨年ジャカルタで開かれた第四回アジア競技大会での、イスラエル、台湾の両代表選手団の入国拒否に端を発し、本月七日、ローザンヌにおいて開かれたIOC実行委員会から、インドネシアのオリンピック競技参加を無期限に禁止されたことから行なわれた処置でございます。このような事態は、東京大会の開催国としてのわが国にとって、また、五年後の冬季大会の招請国として、まことに残念なことであります。スポーツへの政治の介入は強く排除しなければなりません。私は、関係方面においてその解決のために格段の努力がいたされることを衷心より期待いたしまして、本決議案に対する賛成の意を表明するものであります。(拍手)
○議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。 これより本案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。 ただいまの決議に対し、川島国務大臣から発言を求められました。川島国務大臣。 〔国務大臣川島正次郎君登壇、拍 手〕
○国務大臣(川島正次郎君) 第十回オリンピック冬季競技大会を札幌へ招致しまするにつきましては、政府におきましても、これに賛成いたしまして、すでに閣議でも決定をいたしております。政府は、その実現と準備態勢の整備につきましては、主催者並びに関係各団体と協力いたしまして、強くこれを推進する所存でございます。(拍手) —————・—————
○議長(重宗雄三君) 日程第四、国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案(趣旨説明)、 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。西村厚生大臣。 〔国務大臣西村英一君登壇、拍手〕
○国務大臣(西村英一君) 国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 御案内のように、国民年金法は、昭和三十四年の第三十一国会におきまして成立をみたのでありますが、その後拠出制年金につきましては、第三十九及び第四十国会におきまして御審議を願った結果、死亡一時金制度の創設、保険料免除者に対する国庫負担の実現等により、基本的制度の仕組みも一応整い、年金制度の発展の基盤を確立しつつある次第であります。他方、福祉年金につきましても、発足以来、支給制限の緩和、準母子福祉年金の創設等の改善が行なわれ、すでに三百万人近い低所得者の福祉に貢献しているのでありますが、最近の国民生活の動向等に照らして、なお一そうの改善を必要とする情勢にあるのであります。 また、児童扶養手当法につきましても、第三十九国会におきまして制定されて以来、児童の福祉の増進に寄与しつつありますが、福祉年令同様制度の改善を必要とする実情にあるのであります。 今回の改正法案は、以上の趣旨にかんがみ、福祉年金制度及び児童扶養手当制度の改善をはかるため、年金額及び手当額を引き上げるとともに、支給制限の一そうの緩和をはかろうとするものでありまして、そのおもな内容は、次のとおりであります。 まず、国民年金に関する事項について、御説明申し上げます。 第一に、福祉年金額の引き上げについてでありますが、まず、老齢福祉年金につきましては、従来年金額一万二千円でありましたのを一万三千二百円に、障害福祉年金額につきましては、一万八千円を二万一千六百円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金につきましても基本額一万二千円を一万五千六百円に、それぞれ引き上げることといたしたのであります。 第二に、支給制限の緩和について申し上げます。これには二点ございまして、第一点は、福祉年金の受給権者本人に年間十五万円をこえる所得があるときは、年金の支給は停止されることとされておりますが、との制限の基準額を十八万円に引き上げ制限を緩和いたしております。第二点といたしましては、受給権者の扶養義務者の所得による福祉年金の支給制限の場合につきましても、その制限の基準額を五十万円から六十万円に引き上げることといたしております。 第三に、母子福祉年金の支給の対象となる子は、義務教育終了前の子に限っておりますのを、重度の廃疾の状態にある子につきましては、二十才まで延長して認めることといたしております。 なお、この取り扱いは、準母子福祉年金における孫または弟妹につきましても同様であります。 次に、児童扶養手当に関する事項について、御説明申し上げます。 第一に、児童扶養手当の額の引き上げにつきましては、従来の手当額は、月額児童一人の場合は八百円、二人の場合は千四百円、三人以上の場合は千四百円に三人以上の児童一人につき四百円を加算しておりましたのを、児童一人の場合は一千円に、二人の場合は千七百円に、三人以上の場合は千七百円に三人以上の児童一人につき四百円を加算した額に引き上げることといたしております。 第二に、支給制限の緩和につきましては、国民年金と同様、手当の受給者本人の所得による制限の基準額十五万円を十八万円に、扶養義務者の所得による制限の基準額五十万円を六十万円に、それぞれ引き上げて制限の緩和をはかることといたしたのであります。 第三に、手当の支給対象となる重度の廃疾の子の制限年令を国民年金と同様二十才に延長いたしております。 最後に、年金額及び手当額の引き上げ並びに支給制限の緩和に関する事項につきましては、昭和三十八年九月一日から、その他につきましては公布の日から施行することといたしております。 以上をもって、改正法律案の趣旨の説明を終わります。(拍手)
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。藤田藤太郎君。 〔藤田藤太郎君登壇、拍手〕
○藤田藤太郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対し、総理並びに関係大臣に質疑を行なうものであります。 第一にお尋ねしたいことは、政府は社会保障をどう理解されているかという点であります。 わが国の憲法は、主権在民をもとに、主権者たる国民の世論の上に福祉社会を建設しようとする大原則を打ち立てているのであります。経済活動の発展により、国民生活は向上し、国民購買力の増大に従って生産活動が上昇する、この原則は、単に日本だけではなく、住民主権の建前を持つ西欧諸国のすでにとっているところであります。この施策の前提は、完全雇用であり、最低生活保障制度の確立でありましょう。社会保障は、この補完措置として、失業、老齢、疾病、不具、廃疾、母子家族を社会が守っていくことでなくてはならないのであります。この柱として各国が行なっているものは、所得保障と医療保障であります。 しかるに、憲法に示されたこの原則が、政治的サボによってくずされているのであります。経済政策においても、極端な景気変動を起こし、生産と消費のアンバランスによって、国民生活を犠牲にしているのであります。完全雇用施策はとられず、長時間労働と低賃金によって、有効労働は片寄り、一千万人に近い潜在失業者が生じているのであります。このような現状に対して、政府の社会保障施策は、単なる宣伝だけにうき身をやつしていると疑わざるを得ないのであります。私は、政府の完全雇用政策、最低賃金制、社会保障施策の根本政策について、総理よりお聞きしたいのでございます。 第二は、本改正案のうち、国民年金法についてであります。 昭和三十六年より発効いたしました拠出制年金は、四十五年後に、六十五才になって月三千五百円の給付でございます。これでは、老後の生活を保障するとは全く縁の遠いものと言わざるを得ないのでございます。池田総理は、世界でまれに見る経済成長だと言っております。国民所得は、一人平均が三十七年度は十六万円をこそうとしているのであります。この国民所得も、勤労国民には少額しか配分されずにいることは、さきに述べましたように、生産と消費とのアンバランスを来たしているのであり、さらに経済の発展を押えている原因となっているのであります。 このように、憲法で示されている住民主権の大原則を踏みにじり、昭和四十一年が改定期であると言うだけで、国民年金の本文に手を入れず、これとの関係で福祉年金を手直ししようとするところに、根本的に無理があるのであります。池田さんは昨年西欧を旅行されて、各国の民生安定についてつぶさに見聞を広げてこられたと思います。各国が共通して実施しておりまする所得保障の年金制度は六十五才支給であります。六十五才までは仕事をしてもらう、社会に労働力を通じて貢献してもらうという完全雇用がとられているのでございます。退職時の貸金収入の四〇%を下回らない年金給付がされているのであります。また、妻のある場合は五〇%増の制度があります。また、一般生計費、物価の上昇によってスライドするということであります。ところが、日本の民間被傭者年金でございまする厚生年金は、フラット月額二千円給付で押えているのであります。この厚生年金と国民年金を将来どう改正していくのか、この基本方針を総理より伺いたいのでございます。また、担当省である厚生大臣より、この件に関してすでに検討しておられることと思うが、その作業状態をお尋ねしたいのでございます。 第三は、福祉年金についてでございます。 七十才老齢月額一千円、その他母子、身体障害者に福祉年金が支給されてきました。福祉年金は国民年金のつなぎの役割を持つものとして発足いたしましたことは、国民の知るところでございます。しかし、経済の進展に伴い国民年金が急角度に改定され、所得保障としての意義を持つようになることを、国民は期待しているところでございます。ほとんどの国民は、現行国民年金制度に対して大きな不満を持ちながら、との制度に対しての政府の施策を見守っているのでございます。しかし、このたびの改正を国民が知ったなら、どれだけ失望するでありましょう。すなわち、老齢百円、母子三百円、身体障害者三百円の給付増であります。本人や世帯の所得制限は多少緩和されたといいますけれども、これによって給付の意義をあまり高めるものではございません。国民年金制度を変えないで福祉年金だけを改正しようとした考え方は那辺にあるのか、お尋ねしたいのであります。たとえば、老齢福祉年金月千円プラス百円が、今日のような生計費の増大、物価高騰のときに、どれだけ生活に潤いを与えるでありましょう。百円プラスしたから、これだけプラスしたといえば、それまででありましょう。しかし、予算配分で、つかみ金を老齢、母子、身体障害者福祉年金に割り当てるにとどまり、社会保障の意義を、はたまた所得保障の意義をまるきり無視したと言わざるを得ないのでございます。私はあらためて福祉年金とは何かと問わざるを得ないのであり、政府の考えをお聞きしたいのであります。 第四は、児童扶養手当法の問題でございます。 ビバリッジ氏の言うごとく「貧乏線以下の窮乏の状態にある者の相当部分は、失業、老齢、廃疾等によるものであり、残りの大部分は家族数と収入がアンバランスのためのものである」と言っているのでありますが、全くそのとおりでございます。また、ILOのフィラデルフィアの宣言においても、「世界のいずれかにおける貧困は、世界のあらゆる所の繁栄の障害になる」と呼びかけているのであります。日本もILOの常任理事国として、ILOの憲章や、との宣言に忠実でなくてはなりません。ビバリッジ氏の唱えた窮乏の解消には、政治の第一要諦として力をいたさねばならないことは、書を待たないところであります。ビバリッジ氏の分析の前段については、いろいろ議論されてきました。また施策も、各国において社会保障制度によって救済措置がとられてきました。しかし、後段の児童扶養の問題は、長い間顧みられずにきたのであります。しかし、今日、世界各国がこの問題をとらえ、子供は次の世代をになうものであり、子供は社会が育成するとまで言い切って、児童手当法を社会保障の柱として実施する段階にきているのであります。一九六一年、すでに六十カ国が実施しているのであります。一九五二年にILO条約百二号が社会保障の最低基準に関する条約としてきめられたのでありますが、この条項の中に家族給付に関する一章を設け、すべての被傭者の五〇%以上、または、すべての住民の二〇%以上を構成する所定の階層の経済的稼働人口等を対象として、その支給する総額は、所定の普通成年男子労働者の賃金の三%にすべての被保険者の子供の数を乗じたもの、または前掲賃金額の一・五%にすべての住民の子供の数を乗じたものでなければならないと言っているのであります。しかし、このILOの条約百二号は、社会保障の最低基準をきめた条約であり、十一年も前のものであります。日本はいまだこの条約の批准をさえも行なっておりません。今日、フランスのごときは国民所得の五%を、イタリアは三%を児童手当に投入しているのであります。このように、子供は社会が育成するという概念が貫かれつつあります。そして、家族の多い世帯を貧乏より解消するという思想は、日々発展しているのであります。政府は、ILO条約百二号の批准をする用意があるかどうか。また、世界各国の実施している、子供は社会が育成するという建前に立って、児童扶養をやる意思があるかどうか、お尋ねしたいのであります。 第五は、日本の児童扶養手当法に関してであります。 ききに述べましたように、世界各国は、児童を社会で育成しようではないかという思想がそのまま法律の上に実施されているのであります。子供は、一人より二人、二人より三人と、多くなるに応じて、一律ではなく、児童手当は漸増されているのであります。日本は、先年ようやく児童扶養手当法が発足いたしましたが、全くこの法の趣旨は逆であります。今日、雇用者には、戦後の低賃金の補完措置として家族手当が支給されております。この家族手当は、妻を第一として、子供も、一子、二子、三子くらいがせいぜいでありまして、これで打ち切られているところが多いのであります。このような労務対策の思想が児童手当に横すべりしているのであります。なお、この支給が生別母子に限られているのであります。この思想は、社会保障の児童育成の思想とは違い、それはあたかも労働者を資本家が搾取してきた労務対策思想に類似していると言わざるを得ないのでございます。ここにおいて、私は根本的改革が必要だと申し上げたいのであります。成年労働者の賃金、一般住民の所得は、本人と妻の生計をまかなうものに中心が置かれ、子供は社会が育成するという建前が確立されなければなりません。政府は、児童扶養手当法を欧州諸国のような漸増の法則に改める意思があるかどうか、お尋ねしたいのであります。さらに、生別母子の子供ばかりでなく、支給対象を一般児童にまで範囲を広げることが世界の趨勢であると思うが、これを広げる意思があるかどうか、お尋ねしたいのであります。 第六は、児童扶養手当の給付の手続の問題についてであります。 これを実施するにあたり、各市町村は、広報その他の機関により周知徹底するよう努力をしているようでありますが、内容が複雑であるために、理解に欠け、その手続に大きな支障を来たし、その手続を繁雑にしている現状であります。また、これを内部的に見ると、支給停止の問題がからんでくるので、審査が複雑になり、したがって事務的にも繁雑になってしまうのでありますが、これは、下部組織である市町村に全権を移譲することにより、時間的にも事務的にも非常に能率化するのですが、とのような簡素化を考えておられるかどうか、厚生大臣にお伺いいたします。 最後に、私は財政上の問題について大蔵大臣にお伺いいたします。 本改正案の中で、老齢福祉年金は一〇%の引き上げになり、これを現在の物価指数と比較いたしますと、国民年金発足当時より物価指数のほうは二〇%の上昇を示しております。今回の引き上げは物価指数を大きく下回っていると言えるでしょう。このような改正案は、国民年金法の第二条に唱えられている基本理念に明らかに相反しているのではないでしょうか。また、このような改正作業が続く限り、十年後においても西欧諸国の水準に追いつくことは不可能だと言わざるを得ません。本改正案に盛られた数字は、積算もしない単純なバランス・シート式数字の羅列に過ぎないのか。また、西欧諸国の水準まで引き上げる計画を政府は何カ年計画で実施する所存なのか。私は、財政的論点に立った大蔵大臣の良心的な御答弁を求めたいのであります。 最後に、大蔵大臣にもう一言お尋ねしたいのでございまするが、財政的な面でございます。社会保障は、先ほど述べましたように、どうも宣伝だけに終わっている。社会保障というものは、この問題ばかりでなしに、国民生活を——この完全雇用、最低賃金制度の確立の補完措置として、主権者である国民を守っていくという、これが社会保障の原則だと思うのでありまするが、先ほどお尋ねしました老齢福祉年金等の問題とあわせて、日本の社会保障を財政的に、計画的に、どう高めていくかという問題についても、大蔵大臣の御見解をお聞かせいただきたいのでございます。 質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。 社会保障制度の拡充強化は、われわれの最も力を入れておるところであります。したがいまして、戦後におきます各般にわたる社会保障制度はだんだん体制を整えて参ったのであります。一昨年の所得保障の年金制度を初めといたしまして、医療その他、各般にわたって、まだ十分ではございませんが、制度だけは樹立できたのであります。したがいまして、われわれは、経済の成長と見合いながら、できるだけ早く先進国並みにいたしたいと努力を重ねておるところでございます。 なお、年金につきましては、私は、福祉年金が現実の問題として低所得階層の福祉に貢献するところが多いのでありまして、とりあえず今回これを引き上げることにいたしたのであります。一般の拠出年金につきましては、経済の成長あるいは国民生活水準の上昇を見合いながら、今後これを拡充すべく検討を続けていきたいと考えております。 他の問題は、関係大臣よりお答えします。(拍手) 〔国務大臣西村英一君登壇、拍手〕
○国務大臣(西村英一君) 私に対する質問の第一点は、国民年金と厚生年金法の改正について、どういうふうなことになっておるかという御質問でございます。 国民年金のうちで、拠出年金の給付水準につきましては、国民生活の向上を配慮しつつ、老後の保障、生活保障の実をあげていくと——かようにその内容をはかっていきたいと考えるのでございまするが、現在の経済成長から見ますると、確かに月額三千五百円ぐらいな額では十分というわけにはいきません。しかしながら、この制度は御承知のように、三十六年にできたばかりの制度でございまして、まだ老齢年金の支給は本格的になっておりません。しかも四十一年がちょうど再計算の時期になっておるのでございまするから、そういう時期までに、あるいはそれを待たず経済状態が非常に変化するというようなことがありましたならば、そういうようなことと見合いまして、十分に検討をして参るつもりでございます。 それから厚生年金でございまするが、厚生年金のほうは、明三十九年が再計算の時期になっておりまして、これも給付水準は必ずしも高くないのであります。政府といたしましては、ただいま厚生年金の改正につきましていろいろ検討をいたしております。成案ができましたならば、社会保障制度審議会等にも諮問をいたしまして、この問題に十分取り組んでいきたい、改善をはかりたい、かように考えておる次第でございます。 第二の問題は、今回の改正にあたって福祉年金だけをどうして切り離してやったのか、こういうお話でございまするが、ただいまも申しましたように、拠出年金は本格的にやってはおりません。しかし、福祉年金は、現実の問題といたしましてただいま施行されておるのでございます。しかも三百万人になんなんとする低所得者の方々に対して行なっておるのでございまして、相当低所得者の方々の福祉になっておると思います。とりあえずその改善をはかっていきたい。しかもその引き上げの額にいたしましても、今回は一割から三割の程度に引き上げます。その引き上げにつきましては大蔵大臣からもお話があると思いまするが、やはり物価の値上がり等を勘案いたしまして引き上げをいたしたような次第でございます。 第三番の問題は、児童手当の問題であったかと思われまするが、児童手当制度の点につきましては、これは非常に他の社会保障制度との関連がありますし、また、御説明がありましたように、賃金制度その他とも密接な関連があるのでございます。賃金の体系あるいは労働者の移動、そういうような条件とにらみ合わせまして、これは社会保障制度のやはり柱となるものでございまするから、できるだけ早くこれを実現したいと思って、せっかく中央児童福祉審議会等にも諮りまして研究をいたしておるような次第でございます。 それから、その児童扶養手当のやり方が逓減制ではないか、子供が多くなるほど少ない額になっておるのではないか、こういう御質問でございます。もっとも現在の児童扶養手当は、母子福祉年金の補完的な役目をなすものでございまして、もし本格的な児童手当制度ができるということになりますれば、これは再検討しなければならぬかと思うのであります。諸外国の例等を見ましても、各児童平均にいたしておるところ、あるいは子供が多くなるほど多くやっておるところ、あるいは逓減制をとっておるところと、いろいろございますが、いずれにいたしましても、本格的な児童手当制度ができるときにこれは再検討すべきではなかろうかと、かように思う次第でございます。 最後に、非常にこの児童扶養手当制度の手続が繁雑であるといろことでございましたが、児童扶養手当の場合の生別、その他の判断にいろいろ手続がかかるのでございまして、福祉年金の場合よりはやや繁雑になっております。しかしながら、これはどうしても簡素化しなければならぬので、受給手続等につきましても、できるだけその簡素化をはかって、お尋ねのようなこの繁雑を省きたい、かように考えておる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
○国務大臣(田中角榮君) 藤田さんの御質問は、老齢年金の一〇%引き上げは、物価とのつり合いからして少ないではないかということと、また、国民年金、厚生年金についての考え方、社会保障の拡充についての財政当局としての考え方をただされたわけであります。 福祉年金についてまず申し上げますと、福祉年金は、拠出制年金を補う性格のものでありますから、その年金額は、拠出制の年金額との均衡を十分考慮しなければならないのであります。でありますが、現実的には福祉年金が多数の低所得階層の国民の福祉に貢献しておることでありますので、今回は、とりあえず、拠出制年金との均衡を著しく失うことのない範囲内で、国家財政をも勘案しまして、一割の引き上げを行なったわけでございます。 なお、厚生年金の給付引き上げにつきましては、目下厚生省において検討中でございますし、国民年金につきましても、検討の上、その給付改善に努めるつもりでございます。 社会保障の拡充強化につきましては、総理大臣が基本的な態度を申されたとおりでございまして、政府も予算編成に際しては、これが最重点的な事項として重視をいたしておるわけでございます。三十八年度の予算をごらんになってもおわかりになるとおり、一般会計の総額におきましては、三十七年度予算対比一七・四%の増でございますが、社会保障に関しては二二・数%と、これを重点的に考えておりますし、なお、制度の合理化等と相待ちまして、財政面におきましても、財政の許す限度において十分な配慮を続けて参る予定でございます。 —————————————
○議長(重宗雄三君) 山高しげり君。 〔山高しげり君登壇、拍手〕
○山高しげり君 私は、ただいま議題となりました国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案につきまして、総理大臣並びに大蔵、厚生、労働の各大臣に御質問申し上げたいと存じます。 総理大臣は、先日の施政方針演説の中で、「人つくりは国民一人々々がみずからの問題として精進すべきことであり、政府の任務は、家庭、学校、社会のそれぞれの場においてこのような機運を醸成して、そのための環境と条件を整えることにある」と申されました。国民年金中の母子福祉年金及び児童扶養手当の主たる受給対象である母子家庭の母親は、父にかわって一家の生計を維持する責任と子女養育の大任をあわせになっているものでありまするが、わが国における婦人の社会的地位が、過去において長い間低かったために、現在もその経済力は乏しく、したがって低所得階層にとどまる母子家庭は多いのでありまして、日本経済の成長に潤うどころか、かえって物価の上昇のために、一そう深い生活の谷間に陥りつつある現状なのであります。政府もその辺を考えられての今回の法改正であろうかとは思われますが、実際は、この程度の内容では、これらの母親たちに対して「人つくりのための環境と条件を整えた」と申すことは、絶対にできないのでございます。 戦後、わが国の母子福祉施策は、昭和二十七年制定の母子福祉資金貸付等に関する法律を主軸に、年々多少の発展を示して参り、母子福祉年金、児童扶養手当なども実施に至っておりますが、今日までのところは実質上戦後処理の段階を出ていないのでございます。しかも、母子福祉年金及び児童扶養手当を受ける者の数は、逐年増加を示しておるのであります。政府は、戦没者の妻に対する特別給付金の支給を実現しようとするこの際において、さらに老人福祉法の制定に踏み切ろうとする今日において、懸案の母子福祉総合法の制定を決断し、母の就労対策の確立、住宅問題の解決等々、抜本的な施策の遂行に急ぐことがすこぶる肝要ではないかと考えられるのであります。総理大臣の人つくりと母子福祉についての御所信を承りたく存じます。 次に、大蔵大臣にお伺い申し上げます。母子家庭の母が、生活と子育ての二重の重荷を負って働いておりますことに対し、国は所得税において寡婦控除の道を開いております。これは、すなわち、国が父親になりかわって、働く母の負担を軽減するという、確かにあたたかい政治と言えるものであるかもしれません。しかしながら、この寡婦控除顎の引き上げは、二十六年創設以来十二年間にわずかに二回しか行なわれておりません。しかも、それから十年後の三十六年に創設を見た同じく所得税における配偶者控除は、翌三十七年度に引き上げられ、さらにまた三十八年度においても引き上げられる予定と聞いております。すでに配偶者という身分を失った母子家庭の母をして、いたずらに母子福祉年金や児童扶養手当の受給者とならせる以前に、低所得階層への転落防止措置としての減税が考慮せられて至当かと考えられるのでありますが、との点についての大蔵大臣の御所見が承りたいと存じます。 次に、厚生大臣にお尋ねを申し上げます。母子福祉年金及び児童扶養手当におきまして、子供が重度の廃疾である場合の年令制限を二十才に引き上げられましたことは、まことに喜ばしいのでありますが、この重度の廃疾の内容がいわゆる外科疾患にとどまり、精神病その他の内科疾患には及ばないとのことでございますが、それは何ゆえでございましょうか、その理由を御明示願いたいと存じます。手足の不自由な子供以上に精薄児の養育は骨の折れるものでございます。たとえば、同じ母子寮の中で、甲の世帯は身体障害児であるがゆえに今回の改正に潤い、隣の部屋の乙の世帯では精薄児であるがために何の光も得られないというような不合理、そこから起こってきやすい悲劇などについて、厚生大臣はお考えになられたことがございましょうか。障害年金や障害福祉年金においても内科疾患に基づく支給を行なうべきであるという決議は、すでに数回国会においても行なわれておりますし、厚生当局でも御研究中とか漏れ聞いてはおりますが、子供の場合、あまり研究々々に時を費やしていては、子供は、おとなになってしまって間に合わないのでございます。今回の改正に際し、この問題がどのように扱われたのか、その辺をお伺い申し上げたいと存じます。 さらにもう一点お伺いいたしたいのは、老齢福祉年金と児童扶養手当の調整についてでございます。国民年金受給者は児童扶養手当を受けられないことになっておりますが、世の中には、年寄りが親のない孫を親にかわって養育をしている場合が往々にございます。同じ千円の老齢福祉年金でも、扶養義務者がしっかりしているその場合、そのおじいさんは、その千円を孫のあめ玉代に惜しみなく使えるわけでございますけれども、同じ千円を孫の養育費に充てなければならない年寄りもいるのでございまして、こういう場合の児童福祉手当の併給は考えられないものだろうかという国民の声は、決して低くはないのでございます。厚生大臣のお考えをお伺いする次第でございます。 最後に、労働大臣にお尋ねいたします。母子家庭の母たちは、父にかわって働く意思を十分に持ち、常に母の仕事と両立するような職場を求めてやまないのであります。しかしながら、現状において、中高年令婦人には特技も少なく、したがって、適職を得にくい結果、多数の母が相変わらず低賃金、不安定の内職にあえぎ、日雇い労務者の三分の一以上をいつしか婦人が占めている現状でございます国国がこれらの母のために適当な訓練を施し、適職を授けることは、人つくりの政策から見てもまことに急務と言わなければなりますまい。同時に、この際、すでに着手されている家内労働調査を促進し、内職者をも含む家内労働者保護の法律を制定されなければならないと存じますが、右の諸点に関する労働大臣のお答えをお願い申し上げます。 結局、人つくりという言葉がはんらんしない以前から、世の母親は人つくりに専念して参ってきているのであります。中でも母子家庭の母は、非常な努力をもって、子供のためにその家庭を支えてきているのであります。すでに崩壊一歩手前の母子家庭も少なくないのでありまして、一たび崩壊してしまえば、その子供らのたどる道はきわめて暗たんたるものでございます。国は、児童の福祉のために母子家庭を崩壊から守る責任がございます。そのための施策、すなわち母子一体の原則に立つ母子福祉対策こそは、福祉国家として当然確立されるべきものと信じて疑いません。とこに大臣諸氏の御答弁に待つ次第でございます。 質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。 母子福祉対策は、社会保障あるいは社会福祉制度の重要部分でございます。したがいまして、国民年金法による母子福祉年金あるいは児童扶養手当法によりまするいわゆる所得保障の制度を拡充強化いたしますとともに、母子福祉貸付金制度、あるいは今後も母子住宅あるいは職場開拓等、母子福祉対策の強化をはかっていきたいと私は考えておるのであります。何分にも、お話のとおり、十分ではございません。われわれの経済の成長に見合って、特にこういう母子福祉のために力を尽くしていくことをお答え申し上げます。(拍手) 〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
○国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。 今回の所得税法の改正におきまして配偶者控除が引き上げられることになってはおりますが、寡婦控除の引き上げが見送られた理由、また母子福祉年金等による社会保障政策と並行して寡婦控除額の引き上げは緊要と思うがどうかという二点だと存じます。 今回の所得税の軽減は、御承知のとおり、最近の社会経済情勢の変化、特に生計費の上昇等に顧みまして、低額所得者の負担軽減を主眼といたしまして、課税最低限の引き上げをはかったわけでございます。このような見地からいたしまして、控除額の引き上げは、基礎控除、配偶者控除、それから扶養控除の三点に及ぶ控除を主としたわけでございますが、寡婦控除の引き上げにつきましては、昨年の改正で五千円から六千円に引き上げられましたためもありまして、今回はこれを見送ったわけでございます。しかし、寡婦控除は税額控除でございますので、積極的にその引き上げを行なわなくとも、今回の課税最低限の引き上げによりまして、税負担の軽減の影響は自動的に他のものに対する負担の軽減割合よりも大幅に受けるわけでございます。しかし、これをもって政府は事足れりとしておるわけではないのでありまして、未亡人に対する税負担とあわせて、他のものとの税負担のバランスも考えながら、しかし重点的に、税制調査会の答申を待ちながら、その負担の適正軽減をはかって参りたいという考えでございます。(拍手) 〔国務大臣西村英一君登壇、拍手〕
○国務大臣(西村英一君) お答え申し上げます。 今回の母子福祉年金及び児童扶養手当の改正にあたりまして、その支給の対象となる子供の範囲を引き上げましたが、その子供は重度の廃疾だけを引き上げて内科疾患によるものを引き上げなかったのは一体どうしたわけか、ことに内科疾患の場合は、従来からたびたび問題が提起されておったのじゃないかという御質問でございます。現在の国民年金法の障害年金につきましては、そのときも相当に議論があったようでございまするが、内科疾患は含まない取り扱いをいたしているのでございます。内科疾患を入れられないということは、これは内科疾患はその認定が非常にむずかしい。どういう程度にしたらいいか、どういうものを取り上げればいいかということが、一つの非常に困難な点になっているのでございます。しかし、まことにこれは気の毒な状況でございますので、われわれといたしましても、ただいまは国民年金審議会の障害専門委員会というものを作って、そこで鋭意検討をいたしております。結論は近く出ると思っております。その結論に基づきまして善処をしたいと、かように考えている次第でございます。 老齢福祉年金と児童扶養手当の併給のお尋ねがございましたが、これも現在厚生年金あるいは船員保険等につきましては、加算制度をとっているのでございます。加算制度をとるということになりますれば、併給の必要もないのでございまするが、これらを含めまして、お説ごもっともでございますので、いろいろ検討をいたして参りたい、かように考えている次第でございます。(拍手) 〔国務大臣大橋武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(大橋武夫君) 中高年齢婦人の就労対策といたしましては、昭和二十九年以来、家事サービス公共職業補導所並びに内職公共職業補導所に国庫補助を行なってきたところであります。さらに昭和三十五年、婦人少年問題審議会の建議に基づきまして、自来、婦人少年室協助員による職業上の相談、指導、職業安定機関による職業紹介並びに一般職業紹介における未亡人等に対する相談、指導、紹介、職業訓練等の措置を講じておるのであります。昭和三十八年度におきましては、特に中高年齢失業者を中心に、職業訓練その他の就職促進措置を強力に推進することといたしておりますから、中高年齢婦人につきましても、時代の要請に即応し、適切な分野において能力を発揮できるよう、できるだけの施策を進めて参りたいと考える次第であります。 なお、家内労働法の制定についての御質問でございますが、家内労働法の制定を含めまして、家内労働に関する総合的対策について検討する必要があると考えまして、真に実効性ある対策を樹立いたすため、目下学識経験者の方々に御検討をお願いいたしております。その成果を待ちまして善処いたしたいと存じます。(拍手)
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。 —————・—————
○議長(重宗雄三君) 日程第五、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案(趣旨説明)、 両案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。田中大蔵大臣。 〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
○国務大臣(田中角榮君) ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 政府は、今後におけるわが国の社会、経済の進展に即応する基本的な租税制度を確立するため、昨年八月税制調査会を設けまして鋭意検討を加えて参りましたが、昨年末同調査会から、最近における社会経済情勢の変化に応じて、現行税制につき、さしあたって改正を必要とする事項について、昭和三十八年度の税制改正に関する臨時答申を得たのであります。 〔議長退席、副議長着席〕 その後、政府におきまして同答申を中心にさらに検討を重ねた結果、昭和三十八年度におきましては、中小所得者の負担の軽減をはかるとともに、当面要請ざれる資本蓄積の促進、社会資本の充実、中小企業の振興等に資するため、国税において平年度五百四十億円程度の減税を行なうことといたしたのであります。これらの税制改正諸法案のうち、今回、ここに、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案を提出した次第でございます。 まず、所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を申し上げます。 第一は、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかることであります。すなわち、基礎控除を現在の十万円から十一万円に、配偶者控除を現在の十万円から十万五千円に、それぞれ引き上げるとともに、十五歳未満の扶養親族の扶養控除額を現在の三万円から三万五千円に引き上げることとしております。また、これらの諸控除の引き上げに関連して専従者控除についても、青色申告者の場合は、年齢二十歳以上の専従者の控除限度額を現在の十二万円から十二万五千円に、二十歳未満の専従者の控除限度額を現在の九万円から九万五千円に、白色申告者の場合は、その専従者の控除額を現在の七万円から七万五千円に、それぞれ引き上げることとしております。 以上申し述べました諸控除の引き上げにより、夫婦子三人計五人家族の標準世帯を例にとりますと、所得税が課されない所得の限度は、給与所得者では現在の約四十一万円までが四十五万円までに、事業所得者のうち、青色申告者については現在の約三十九万円までが四十二万円までに、白色申告者については現在の約三十四万円までが三十七万円までに、それぞれ引き上げられることになるのであります。 次に、少額貯蓄を優遇するため、従来の国民貯蓄組合制度にかえて、制度の合理化をはかりつつ、新たに一人一種類、かつ、一店舗に限り、元本五十万円までの預貯金等について、その利子所得に対する所得税を免除することとしております。 さらに、海外事業活動の振興に資するため、外国税額控除制度について控除未済の外国税額について五年の繰り越し控除を認めることとする等、制度の拡充合理化をはかっております心 次に、法人税法の一部を改正する法律案について、その大要を申し上げます。 第一は、中小企業者の税負担の軽減措置の一環として、同族会社の留保所得に対する課税につき改正を行なうことであります。すなわち、現在、同族会社の課税留保所得金額の計算は、同族会社が留保した金額から、課税所得金額の百分の十に相当する金額と年五十万円とのいずれか多いほうの金額を控除することとしているのでありますが、今回この控除額を、課税所得金額の百分の十五に相当する金額と、年百万円とのいずれか多いほうの金額とするよう改めることとしているのであります。 また、海外事業活動の振興に資するため、法人の外国税額控除制度について、所得税と同様に、その拡充合理化の措置を講ずることとしております。 以上、これら二法案の趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)
○副議長(重政庸徳君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。野々山一三君。 〔野々山一三君登壇、拍手〕
○野々山一三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました所得税法の一部を改正する法律案並びに法人税法の一部を改正する法律案について、政府にその所信をたださんとするものであります。 政府は、昭和三十八年度の税制改正にあたって、中小企業者の税負担の軽減、資本蓄積、貯蓄増強を表看板に打ち出しておるのでありますが、その内容は、利子所得、配当所得といった資産所得や不労所得に対しましては、いわゆる政策減税と称して、実質六百八十八億円の租税特別措置を新設いたしているにもかかわらず、物価高と名目的な所得の増による増税にあえぐ勤労所得者に対しては、財源難を理由に、所得税減税二百七十六億円、法人税で十九億円にとどめ、さきに税制調査会から答申された物価騰貴に見合う調整減税すら行なわず、勤労階層に実質上の増税を押しつけているのであります。さらに所得税同様に、実質負担の増加が問題となっている不当に高い住民税の減税や、逆進性の強い間接税軽減は、ついに放置してしまっておるのであります。このような改正は、著しく大企業擁護、金持ち優遇に偏するものであって、単に勤労諸階層への実質増税だけではなく、大企業、大金持ちを一そう肥え太らせ、貧富の格差をますます拡大するものであり、はなはだしい改悪と言わなければならぬのであります。 まず第一にお伺いいたしたいことは、現行税制における勤労諸階層の実質増税をどのように解相するかということであります。最近のように物価騰貴のときに、現行税率のまま名目所得を基準として徴収すれば、実質上の増税になることは明らかであります。税制調査会の答申によれば、三十八年度の自然増収のうち約三〇%が実質上の負担増加であると指摘しておるのであります。所得税収入二千億と見まして、税負担の割合を今までどおり調整するためだけでも六百億円の減税が必要であって、地方税における住民税負担も同様の関係にあるわけでありまするから、さらにその類は増大するはずであります。しかも、これだけでは減税ではありません。単なる調整にすぎないということであります。 ところで、政府は租税の自然増収三千百三十億円と、従来の基準よりもかなり目一ぱいに見込んでいるにもかかわらず、一般減税は所得税にして二百七十六億円、つまり三百二十五億円の実質増税となることに目をおおっておるのであります。これを具体的に見てみますと、総理府統計局の家計調査によりますと、昭和三十六年度の勤労世帯の家計収入は、平均世帯人員四・二二人に対して実支出三万八千二百二十三円となっておるのであります。これを三十八年度分に単純に物価スライドすると、年収約五十万円となります。そこで、全国勤労者の平均的な年収五十万円の四人家族の給与世帯において、今回の税制改正はどのように減税になるかを見てみますと、三十七年度においては、夫婦子供二人の場合一万百六十円、つまり税負担率は二・〇三%であります。ところが、今年度は、給料が人並みに、かりに一一・二%上昇したとして、税額を計算してみますと、何と一万三千五百八十円にはね上がるのであります。しかも税負担率は二・四二%と増税になるのであります。世帯構成員のすべてに減税が行なわれるはずの平均的なケースにおいてさえ、むしろ増税に相なるのであります。一体、政府のいう減税とはいかなるものを言おうとおっしゃるのでありましょうか、きわめて疑問とするところであります。総理並びに大蔵大臣の明快なる御回答を伺いたいのであります。 第二に、課税最低限についてであります。生計費には課税をしないというのが税制上の大原則でなければなりません。ところが、現在の課税最低限度は著しく低位であり、昭和三十八年度において独身給与世帯で十五万一千八百九十四円、標準世帯で四十三万八千六百三十二円と、名目的に引き上げられたのみで、このほかに地方税がかけられている現状を考えてみますと、一体生計費部分にまで課税されているといった実体は一向に変わっておらないのであります。税制調査会答申の付属資料によるマーケット・バスケット方式による食料費を基準として算定いたしますと、生計費においてすら、三十七年度五人世帯四十二万六千百五十七円、四人家族三十四万二千八百二十一円になっているのであります。同じ答申資料では、昭和三十七年度の家計調査における勤労世帯の消費支出は、五人世帯で五十五万二十六円、四人世帯で四十八万一千四百四十四円となっているのであります。しかも、マーケット・バスケット方式による最低限の生計費というものを見てみると、計算の基礎になりました食料費だけで見ますと、一日当たり独身者の食費が、冬で百三十四円五十二銭で、この計算でいきますと、魚はサンマ以下、肉はこま切れを一週間に一回程度しか食べられないのであります。栄養失調になることは受け合いでございます。一体、憲法でいう健康で文化的な最低生活とは、このようなものをいうのでありましょうか。総理大臣にその所見を伺いたいのであります。 さらに、これを諸外国に比べてみても、標準世帯の場合、アメリカは百二十万円まで免税、西ドイツは八十三万まで免税であります。イギリスは七十三万円まで免税となっておるのであります。ところが、わが国において、すでに述べたように、課税最低限がきわめて低いために、所得税納税人員は、三十八年度において、何と一千八百五十万人に達すると見られているのであります。実に戦前における三十倍にふくれ上がっているのであります。しかも、所得税の多くの部分が中低所得階層の負担となっており、年所得百万円以下の階層は、人員の九五%、納税額において五五%を負担しなければならぬという結果になっているのであります。これが一体、減税といえるでありましょうか。総理大臣並びに大蔵大臣にその所見を伺いたいのであります。 第三は、いわゆる政策減税についてであります。税金は公平でなければならないことは当然であります。ところが政府は、勤労者や低所得者階層に対する増税に引きかえ、大法人や資産所得に対しては、相変わらず租税特別措置を適用し、これまで税制調査会初め各方面からこの整理が叫ばれておったのでありますが、それに逆行して、あたかも既得権であるかのごとく年々これを拡充し、しかも、今回さらに期限の切れた利子所得、配当所得の期限延長と大幅軽減を断行いたそうといたしているのであります。これは、金融界や証券界の圧力と、池田総理の政策減税優先論によって、一段と強化されたものといわなければならぬでありましょう。これには税制調査会は当初からかなりの強い反対の意向を持っており、三十七年十二月における税制調査会の答申の中にも、委員の一部ですら、貯蓄増強には効果がないと指摘をしており、過去の実績から見て、貯蓄率は可処分所得に比例して動くものであって、金利とは関係なく、まして特別措置が有効であるとは考えられないといっておるのであります。むしろ、租税公平の原則からいうならば廃止するのが当然であります。ところが、これに固執し強行するがごときは、まさに金融界や証券界の圧力に屈した政治減税であるといわなければならぬのであります。 いわゆる政策減税である租税特別措置がいかに不当であるかは、勤労者の課税最低限が四十三万八千六百三十二円であるのにかかわらず、利子や配当などの資産所得、不労所得に対する税金は非常に少ないのであります。配当だけで生活している世帯では、何と百六十八万円までは非課税で、しかも、譲渡所得には全然税金がかからない。利子所得においても分離五%課税が行なおれるだけで、住民税の所得割もびた一文もかからないのであります。かりに五百万円の利子収入があっても、税金はたった二十五万円だけで済む。本来ならば百四十七万円の所得税と四十六万円の住民税が課せられるのであります。このような不公平が一体、社会正義の上からも許されるべきことでありましょうか。また、この租税特別措置による減税総額は、三十八年度、国税で千九百九十八億円、地方税で一千百四億円に達し、二十六年以来の特別措置による減税額は、積もり積もって実に一兆二千四百億円の巨額に達しているのであります。このような大企業、大金持ち擁護の租税政策によって、大企業と中小企業、資産所得と勤労所得の格差はさらに拡大し、政府統計によっても、分配国民所得が、資産所得者、重役俸給などの高額所得者層に片寄っており、三十五年の労働者の賃金は二十八年度に対して四七%であるのに、常勤重役の一人当たりはなんと八五%という非常な格差になっておるのであります。また、土地譲渡所得が昭和三十二年の五百十七億円から三十六年には三千七百八十九億円と、七・三二倍も急増し、株式、有価証券の売買は毎月二百ないし三百億円の取引が行なわれているにもかかわらず、一銭も課税されることなく、平均株価は昭和三十四年に比べて二倍以上に達し、数兆円の資産増加が行なわれているのであります。しかるに、大蔵大臣は、さきの衆議院予算委員会において、わが党の武藤議員の質問に対し、将来利子課税は撤廃していくと言明されておるのであります。これは大勢に逆行するもはなはだしく、不公平を一そう拡大する結果と相なるのであります。一体これは総理のお考えなのか、大蔵大臣の失言なのか、明確にしていただきたいのであります。 また、資産所得、配当所得などの所得捕捉がきわめてずさんであると思うのでありますが、捕捉についてどのような努力をしようとしておるのか、お伺いをいたしたいのであります。私の見るところでは、勤労所得に対しては、税収は目一ぱい見積もっておるために、今後一そう徴税強化が予想されるのであります。このことは、額に汗して働く低所得層に比べ、不労所得などによって生活している者は、すでに指摘をしたように、少額の税負担によって安易な生活をむさぼるという、きわめて不均衡な徴税策だと断ぜざるを得ないのであります。大蔵大臣の所見を伺いたいのであります。 第四に、間接税についてであります。税負担の公平を考える場合、間接税の逆進的性格から、特に所得税の減税の恩典に浴さない広範な低所得層への減税を行なうならば、今回の税制改正において当然間接税の減税が取り上げられなければならないと考えるのであります。昨年の通常国会において、当時の水田大蔵大臣は、わが党議員の追及に対して、三十八年度は、たばこ減税を取り上げると言明しておられるのでありますが、一体たばこの減税は三十八年度にどこに行ってしまったのか、お伺いをしたいのであります。また、物品税、酒税の減税分を物価に反映させると約束しているにもかかわらず、酒、入場料金を初め、軒並みに値上げが行なわれているのが実情であります。これに対して、一体、政府はどのように考え、対処していくつもりなのか、お伺いをいたしたいのであります。大蔵大臣がかわったから責任は負えぬとでも言われるのでしょうか。大蔵大臣がかわればあとは知らぬ顔だというのでは、一体、国民は何を信頼し、だれを信頼したらいいのでしょうか、政府の責任はきわめて重大なものがあると思うのでありまして、総理並びに関係大臣の所見を伺いたいのであります。 最後に、すでに指摘したように、庶民は重税にあえぎ、金持ち階層は税の特別措置によって安易な生活が保障されているのにかかわらず、容赦なく平等に市民生活の中で強要されているのは、きわめて大きい税外負担のある事実であります。実にその負担額は、昭和三十六年度において三百億になんなんとするものがあるのであります。政府は一体、この重税の上にさらに課せられる税外負担の解消について、いかなる具体策をお持ちでありましょうか。これが抑制のための立法措置を講ずる用意はないか、関係大臣の見解をお伺いいたしたいのであります。 以上、時間の関係上、要約をいたしましたが、誠意をもってお答えいただくことを期待いたしまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手) 〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。 租税政策は、政治の上で最も重要な施策の一つでございます。私は、戦後、そういう点から考えまして、昭和二十四年以来、私が政府におりますときは毎年減税をいたして参りました。しかも、その額は、昭和二十四年以来、間接税、直接税を合わせまして一兆一千億円余りになっておると思います。所得税につきましても、七千億円から八千億円の減税をいたしております。どこの国に、最近十四、五年間にこんなに減税をした国がございましょう。私は、常に、減税というものは政治の中心である、しこうしてその減税は、経済の現状並びに将来を見て、安定成長、国民生活水準の向上と安定のために行なってきておるのであります。一昨年は所得税をいたしました。昨年は間接税をやりました。今度は所得税につきましてやっておるのであります。そのやり方がいかぬというお話でございますが、大体、租税政策で、物価が上がったから減税する、物価が下がったから増税する、こういうふうなことは、私は寡聞にして聞いておりません。租税政策というものは、国の経済の発展、国力の増進に伴って、どういうことをやったら国のためになるか、ということであるのであります。今、日本が、国際貿易、ことに自由化の問題、そして企業の再編成という段階に立っておるときに、どういう施策をとるかということは、私は、財政法の原理を待つまでもなく、わかるのであります。今、配当所得あるいは利子所得に対しての課税についていろいろお話がございましたが、利子所得というものは、昔、明治・大正時代には、第二種所得税として五%しかとっていなかった。私が国税課長のときに、預金利子に対しまして五〇数パーセントの源泉課税をしたことがございます。さあ、五%の明治・大正のときのほうがいいか、利子の源泉課税を五〇%以上とるときがいいか、それは、そのときどきの情勢によって考えなければならぬ。私は、配当所得につきましては、大所得者につきましては一切減税をいたしておりません。今まで先取りしたのを、一〇%を五%にして、総合所得から一〇%引くのを五%引くようになるのだから、株式の配当につきましては、大所得者に一切減税していない。ずっとごらん下さればわかります。私は、日本経済の現状から考えまして、そして日本の経済の発展にどれが一番いいかという考えのもとにやっているのであります。 次に、税外負担の解消につきましては、これはお話のとおりでありまして、税外負担をできるだけしないように、いわゆる現行地方財政法でも、ある程度の規制はしております。また、規制をいたしましても十分ではございませんから、地方財政につきまして、交付税その他を増額して、地方財政資金の拡充をはかり、そして政府も指導いたしまして、税外負担がないように進んでいる。以前に比べまして、よほど税外負担も少なくなりました。これを立法措置にするかどうかにつきましては、これは必ずしも立法措置をしなくても、いわゆる財源を多くし、指導していけば、私は、立法措置に訴える必要も今のところはないのではないかと考えております。(拍手) 〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
○国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。 減税の基本的な問題に対しては総理大臣からお述べになりましたが、私がお答えをしなければならない問題に対してお答えを申し上げたいと存じます。 税制調査会の答申に対して、政府は基本的にどう考えているかという問題に対しましては、税制調査会の答申は尊重するという建前でやっております。三十八年度の減税に対しても、十分尊重をいたしているつもりでございます。なお、先ほど総理大臣が申されたとおり、減税につきましては単年度だけの問題ではなく、過去においても十年にわたって減税を行ない、将来もまた引き続いて行なうわけであります。なお、昨年度限りで一応区切りのついた税制調査会につきましては、新しく三カ年間を目標にしまして、税制調査会を拡充強化をしていただいており、将来の日本の税制のあり方というものに対して、抜本的な答申を求めているのでありますから、今年度の財政事情等において、調整の過程において行なえなかったものは、明年度、明後年度に引き続いて検討せられ、特に税制調査会の答申は十分実現化されるわけでありますから、政府は税制調査会の答申に対しては、全面的にこれを受け入れているわけでございます。 それから、物価騰貴に見合う調整ができなかったではないかというお話でございますが、この問題につきましては、所得五十万円の給与所得者の標準家庭、すなわち夫婦、子三人の家庭の負担の減額は、現行では五千七百二十八円の税金を納めるわけでありますが、今度の減税で平年度三千七百二十八円に下がるわけであります。との負担軽減の割合は三四・九%ということになります。初年度においても二六・二%の減税になるわけであります。 もう一つは、所得税の減税に対して物価が値上がりになっておりますので、実質的には三十八年度の状況を考えるときにカバーできかねるということを言われておるわけであります。御承知のとおり、実績ベースに対して二・八%の物価の上昇を見ておりまするし、それから名目所得の増加は約六%というふうに計算をいたしておりますので、夫婦、子、三人の標準家庭を見ますと、所得百二十八万円までは物価上昇に伴う実質的な負担増加というものは完全に調整をし得るという観点に立っておるわけであります。こまかい計算に対しては委員会その他で申し上げることにいたしたいと存じます。なお、この面までの方々が、全体の九五%以上、九六%ぐらい占めておりますので、物価に対する問題については調整ができ得るという考え方に立っておるわけでございます。 それから利子所得、配当所得につきましては、総理大臣から基本的な考え方をお述べになりましたので、いいと思いますけれども、御質問者がもう少し詳しく答えろということでございますから申し上げることにいたします。政治減税であるというような考え方で御発言がございましたが、政策減税という、いわゆる利子、配当その他に対して行なわれたものにつきましては、日本が自由化に対応した産業政策をとらざるを得ない、日本の産業の実際を見ますときに、自由化、八条国移行というような問題を静かに見るときに、民族の運命はまさにこれからにあるのでありますから、その意味において、産業政策を十分考えていかなければならぬということは、日本人であれば、だれでも御理解賜わるものと考えておるわけであります。 それから、配当所得につきまして、平年度八十九億円の減収額が立っておるわけでございますが、これは、総理大臣が申し上げたとおり、実質減税というのではなく、先取りということで、一〇%を五%にしただけでございますので、厳密な意味での税制上の減税額ではございません。これはあとから精算をせられるものでございます。 それからなお、大株主というような人たちに重点を置いた減税が行なわれておるじゃないかということでありますが、これは総合課税を行なっておりますから、大株主に対して特別の恩典を与えるという趣旨によるものでは全然ございません。 それから、たばこ、酒、入場税等、いわゆる間接税の軽減をどうしてやらなかったかということでございますが、これは御承知のとおり三十七年度までに、前三カ年間減税を行なったわけでございまして、三十七年度の最終が間接税中心の相当大幅な減税を行なったわけでございます。平度年七百億にわたる大きな減税を行なっておるわけでございますが、先ほど申し上げたとおり、三十八年度からは、新たな税制調査会を設けて、これからの税制全般に対しての御審議をわずらわしておるのでありますので、間接税は去年で終わったというような考えを持っておるわけではないのであります。直接税、間接税の状況等、十分専門家の御検討を願い、これが答申を待っておるという考え方でございます。 それから、たばこの問題がございました。たばこの問題に対しては、前大蔵大臣の水田さんが、たばこに対して値下げをしたいというような考えであったのが、田中になってから変わったのか、こういうことでありますが、前の大蔵大臣と同じ党の出身でありますので、政党内閣として当然これを踏襲するという基本的な態度には、いささかも変わりはございません。しかし、なぜやらないか、こういう問題でございますが、これは財源の問題であります。これは、たばこの小売定価に対する専売益金の割合は、昭和三十八年の予算において約六三%でございまして、戦前の状況と大体変わらない、諸外国に比しても必ずしも高くない。また、最近においては葉タバコの収納価格が非常に上がっております。それから原料等も品質の向上等によって原価の上昇が非常にあるわけでありますが、しかし、そういう反面、昭和三十一年度以降、小売販売価格は据え置きになっておる、こういうことでもございますので、今度は、やりたいことはやりいたのですが、財政事情等もありますので、その推移、見通しというものによりまして、今年度は積極的な減税を行なえなかったということでございますし、また、定価の引き下げも行なえなかったわけでありますが、これは財政上、簡単に申し上げると、あなたの言われるように「いこい」や「新生」を五円ずつ下げてみるということを考えただけでも約二百億の財源不足になるわけであります。こういう問題もありますので、先ほどから申し上げたとおり、税制調査会の結論も待ちながら、他の税目上のバランスもとりながら、できるだけ、いつの日にか水田前大蔵大臣の申し上げたことに対しては、ひとつ実現をはかって参りたいと考えておるのでございます。 税の問題につきましては、なお十分御答弁を申し上ぐべきでありますが、時間の制約もありますので、残余の問題に対しては委員会で詳しくお答えいたしたいと存じます。 なお、配当所得及び利子税の全免という問題に対して衆議院の予算委員会で申したのは、総理の考えか大蔵大臣の考えかということでございますが、大蔵大臣の考えでございます。しかし、これはその御質問の過程において、方向としては御質問者は、全然とういう減税はやってはならないのだということにウエートを置いて御質問になられましたので、非常に短い時間でありますので、私は、減税を行なうべしということにウエートを置いて御答弁申し上げ、まあ財政上許せばこれを減税をするというよりも全廃をするようにしても、ということを申し上げたのでありますが、最終決定は答申を待って行なうのでありまして、私の自由意思によってのみこれを行なおうとしているものではないことを、つけ加えて申し上げておきます。(拍手) 〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 物価との関係で、ただいま野々山さんがお尋ねになりましたことは、こういうことであったと思います。つまり、名目所得が上がっていった場合には、所得税が累進税率でありますから、その最終単位の所得には上積みの高い税率がかかっていく、その場合に、その名目所得が即実質所得であれば問題はないが、消費者物価が上がることによって、その名目所得のある部分はほんとうに名目である、税金だけは高いものを負担しなければならない、こういうことがよくないではないか、こういうのが御質問の意味だったと思います。そこで、お尋ねになりましたことは、そのような消費者物価の値上がりに伴うところのロスを今度の所得税の減税によってどの程度までカバーができておるのかと、こういうお尋ねでございますから、消費者物価の上がりを二・八%として三十八年度を計算いたしますと、独身者の家庭で所得金額七十二万円まで、子供二人の家庭で百二十三万円ぐらいまで、限界そこまでのところはこのたびの減税で救える、それより上はそう参りませんが、御指摘になりました標準家庭よりかなり上までこのたびの減税でカバーができる。こういう計算でございます。(拍手)
○副議長(重政庸徳君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。 —————・—————
○副議長(重政庸徳君) 日程第六、木船再保険法の一部を改正する法律案、 日程第七、船舶安全法の一部を改正する法律案、 (いずれも内閣提出) 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長金丸冨夫君。 〔金丸畠夫君登壇、拍手〕
○金丸冨夫君 ただいま議題となりました木船再保険法の一部を改正する法律案並びに船舶安全法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。 まず、木船再保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。 現行木船再保険法は、昭和二十八年に、木船相互保険組合の健全な経営を確保するため制定されたものでありまして、政府は、特別会計を設けて、木船保険の再保険を行なっておるのであります。しかるに、この制度発足以来九年間の実績を見ますと、特別会計に年々利益を生じておりますので、今回現行法を改正いたしまして、木船再保険特別会計に利益を生じた場合、今後の異常災害に備えて一定額を積み立てた後、なお残余がある場合に限り、これを組合に還付することができるようにしようというのがこの改正法律案の内容であります。 質疑に入りましたところ、木船相互保険組合への加入率が著しく低いので、その原因並びに加入促進の方法等について熱心に質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録で御承知を願います。 質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決に入りましたところ、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 ————————————— 次に、船舶安全法の一部を改正する法律案について申し上げます。 船舶安全法は、海上における人命及び財産の安全を確保するために、船舶の構造及び施設の基準、満載吃水線の標示、無線通信施設の強制、船舶の検査などについて規定したものでありまして、その内容は、主として「一九四八年海上における人命の安全のための条約」及び「一九三〇年国際満載吃水線条約」に沿うものであります。 この法律案による主要な改正事項の第一は、先ほど申し上げました安全条約が一九六〇年に改正せられましたことに即応しようとするものでありまして、無線通信施設義務船舶の範囲を拡大し、また、ばら積み穀類等の特殊貨物の運送方法に関して若干規制を加えようとするものであります。第二は、検査対象船舶の増加に対処し、かつ、最近の技術の進歩を考慮して、船舶検査制度を合理化するため、二十トン未満の小型船舶を、定期的な検査の対象から、これを随時の検査に移す等の改正を行なおうとするものであります。 委員会におきましては、終始熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。 質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法律案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上御報告申し上げます。
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よって両案は全会一致をもって可決せられました。 —————・—————
○副議長(重政庸徳君) 日程第八、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長佐野廣君。 〔佐野廣君登壇、拍手〕
○佐野廣君 ただいま議題となりました「国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件」につきまして、その内容、委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 本件は、二重橋の新設、宮内庁病院の新築、皇居東側地区主要工作物の新設、正倉院東宝庫空気調和装置の新設の四件について、皇室用財産として取得する必要があり、いずれもその価額が三百万円以上となりますので、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めたものであります。 委員会の審査におきましては、諸工事の予算措置はどうなっているか、新設される二重橋との調和をはかるため正門石橋の照明装置等を改装すべきではないか、二重橋の呼称をこの際明確にすべきではないか、また、国会の議決を必要とする皇室用財産取得の際の最低額を現状に沿うよう改訂すべきではないか、その他、宮内庁病院の現況及び正倉院の御物保存の状況等について熱心な質疑がなされましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。 質疑を終わり、討論、採決の結果、本件は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 本件を問題に供します。委員長報告のとおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本件は委員長報告のとおり可決せられました。 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十一分散会