法務委員会 第22号
- 発言数
- 294 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/06/25
会議録
○委員長(鳥畠徳次郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 本日は、まず、理事の補欠互選についてお諮りいたします。 去る六月二十一日、松野孝一君が一時委員を辞任されましたため、理事に欠員を生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと思います。互選の方法は、慣例によりまして委員長の指名に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないものと認めます。それでは、私より理事に松野孝一君を指名いたします。 —————————————
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法案を議題といたします。 質疑を行ないます。稲葉君より発言の申し出があります。稲葉君。
○稲葉誠一君 この没収に関連をして、これは刑事局長だと思いますが、衆議院で、没収の体系にはアンバランスがあるのだというふうなことを答弁されておるわけですが、このアンバランスがあるという意味はどういう意味なんでしょうか。
○政府委員(竹内壽平君) その御説明を申し上げたことがあるわけでございます。それは、本格的な没収制度を考える必要があるということを申したくだりでその話が出たわけでございますが、私が申しましたことは刑法の原則は十九条第二項に明らかでございますが、特別法の分野におきましては、資料でごらんいただいておわかりのとおり、必要没収、裁量没収があるばかりでなく、同じような行政目的を達成するために両者が使い分けられておるわけでございますが、その使い分けられた基準となりますものも必ずしも明確ではないのでございますし、それからまた、善意、悪意の点につきましても、これも一定の基準があってできておるのではないようでございまして、幸いにして、最高裁判所の判例によりまして、それはあらかじめ事情を知っておったという解釈が出ておりますために、その趣旨にのっとって運用はしておりますものの、それはまあ狭過ぎるという学者の批判もあるわけでございまして、それらの実体法規につきまして、もう少し系統的に行政目的とよくかみ合った状態において実体法規を整備する必要があるわけでございます。それらの体系的な観点から見て、そういう不均衡をさして私はアンバランスがあると、かように申したわけでございます。
○稲葉誠一君 このいただいた資料、「特別法の没収・追徴等に関する規定一覧」、これを見ますと、必要的没収規定のものと裁量的没収規定のものが特別法の中でいろいろ分けてあるわけです。それで、どういうようなものがどういう見地から必要的没収規定になったのか、それから裁量的没収規定にとどめておくものと、二つに大きく分かれるわけですが、それはやはり具体的な根拠があるのには違いないと思いますが、その根拠は、大きく分けてどういうところにあるのでしょうか。また、こういうような没収を必要的没収にするか裁量的没収にするかという特別法の規定、これは、作るときに法務省と打ち合わせをするのですか。どういうふうになっているのですか。
○政府委員(竹内壽平君) 行政罰則につきましては最終的には内閣法制局が審査をするわけでございますが、その内閣法制局に参ります前に、罰則関係につきましては法務省刑局事に各省から持ち込まれて協議に乗っておるわけでございます。したがいまして、私どものほうに一定したものさしを持っておりますれば、そのものさしに照らして相当程度体系をくずさないように罰則を定めていくということになるわけでございます。しかし、そういうことはもちろん念頭に置いて審査をいたしておりますけれども、しかし、その根本になりますものさしというようなものにつきましては、われわれとしましてもまだ探求段階でございまして、はっきりしたものを持っておりませんために、結局、前例と同種の法律との均衡というような観点から協議しておるわけでございます。 ひるがえって、この没収の問題につきましても同じような審査でございますけれども、何と申しましても、これらの特別法につきましては、今日並べてみますると、なぜこれは必要没収にしておるか、また、当然法禁物的なものであってこれこそ必要没収と認めなければならぬと思うものが裁量収没になっておったりしておる現状でございまして、これは何としても是正していかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
○稲葉誠一君 当然必要的没収にならなきゃならないものが裁量没収になっておるというふうなものがあるように言われるのですけれども、これはこの「規定一覧」という資料の中でどれでしょうか。
○政府委員(竹内壽平君) たとえばこの「追徴等に関する規定一覧」の資料の一ページの「必要的没収規定」としまして、「犯人の所有・占有物件に限らないもの」として酒税法が第一に掲げてございますが、これに「何人の所有であるかを問わず没収する。」とありまして、これが悪意の場合であるかどうかということは必ずしも明白になっておりませんが、この中で、「犯罪に係る酒類、酒母、もろみ、原料、副産物」、こうずっと並べてありますが、このもろみのようなものとか酒母のようなものとか酒類のようなものは、これはもう没収して差しつかえないと思いますけれども、機械、器具のようなものはすべて必ずしも没収しなければならぬかどうか、裁量没収に落としてもいいのではないかといったような疑いがここにあると思うのであります。それから、三ページのほうに参りまして、麻薬取締法六十八条、これはまあ今回の改正の対象にこの部分はなっておりませんけれども、六十八条の場合におきまして、「麻薬は、没収する。但し、犯人以外の所有に係るときは、没収しないことができる。」ということになっております。このような麻薬のようなものが「没収しないことができる。」ような扱い方が一体いかがなものであろうかというようなこと、これはまああへん法におきましても同様でございます。覚せい剤取締法におきましても同様な取り扱いになっております。 こうやって見て参りますと、大体に税法関係のものは非常に厳しくなっておるように思われます。 それから、医薬品の関係のものにつきましてはやや観念がはっきりしてないところがあるように思うのでございますが、こういう点にもアンバランスがあろうかと考えるのでございます。
○稲葉誠一君 それで、私も、そういうようなことを感じまして、今の麻薬取締法やあへん法はなぜ「犯人以外の所有に係るときは、没収しないことができる。」と、こういうふうに書いあてるのか、非常に疑問に思って、これをお聞きしようと思っておったところなんですが、そうすると、この今度のあへん法——あへん法は今度は改正が出ておりませんか。麻薬取締法は改正が出ておるはずですが、今の没収関係では麻薬取締法の改正は今提案されておるのですか。これはここの委員会でないからわかりませんか。
○政府委員(竹内壽平君) この部分は、実は改正になっておらないのでございます。この点につきまして私どものほうでいろいろ検討をしてみたわけでございますが、厚生省当局のほうのお考え方としましては、違法麻薬はもちろん法禁物的に没収しなければならぬのでございますけれども、中には研究所が持っておるとか正規の麻薬もあるわけであって、特にお医者さんが正規のルートで入手しております麻薬を持っていたと、具体的に。その場合に、第三者はお医者さんでございます。そのお医者さんの麻薬を法禁物的に必要没収にしてしまうということになりますと、正規麻薬として統制をしております管理関係が乱れてくるといったようなこともありまして、それで、これは現行法のままのほうがいいという配慮のようでございました。その辺になりますと、私どもも行政の実態が十分つかめませんので、まあそのとおりにしたわけでございます。
○稲葉誠一君 麻薬取締法のほうに深入りするのは避けたいと思うのですが、医者が持っておる麻薬の場合は違法でない場合が多いのですから、だから、普通の場合は没収という考えが起きないのが普通じゃないですか、没収ということが起きるのは、違法に所持しているという場合、違法に使用しておるという場合ですから、だから、必要没収にしてもいいのじゃないですか。
○政府委員(竹内壽平君) その場合ですが、医者のところから盗み出して、そして自分が不正使用した、あるいは人に使用さした、こういう場合に、所持の状態では違法な所持になるわけですが、よくよく調べてみたら、正規の麻薬を医者のところから持ち出しておるということがわかりました場合、その麻薬はいわゆる第三者の所有にかかる麻薬、こういうことになるので、そのときは裁量没収の程度でまかなえるのじゃないかというような議論でございました。
○稲葉誠一君 それから「犯人の所有・占有物件に限らないもの」という規定の仕方、これはいわゆる占有没収というような考え方を認めたというわけじゃないのですか。それとは関係ないのですか。
○説明員(臼井滋夫君) いわゆる第三者没収を認めた規定も二通りございまして、ただいま御指摘のように「犯人の所有・占有物件に限らないもの」と、「犯人の所有・占有物件に限るもの」と、この両者がございますが、この基本的な考え方といたしましては、犯人の所有・占有物件に限らない場合といたしましては、これは犯人が所有も占有もしていなくても、何びとが所有・占有しておりましても、将来それが犯行の用に供されてまた再び犯罪が繰り返されるおそれがあるというような物件に対して、所有・占有に限らない第三者没収を認めるのが適当であろうかと存じますし、それから犯人の所有・占有に限る場合は、これは犯人が所有している場合はもちろんのこと、犯人が占有していることによりまして再び当該犯人がそれを犯行に使うとかいう危険がある場合、こういう場合には犯人の所有・占有という要件を付するのが適当ではないかと考えます。おおむねそういう考え方に立って現在の特別法も規定されているとは思いますけれども、しかし、必ずしも理論的にそう割り切っておりませんで、なお検討の余地があると考えるわけでございます。
○稲葉誠一君 検討の余地があるというのは私もわかりますが、一体どこが主管で検討するのですか。法務省が検討するというのならまた話はわかると思うのですが、厚生省一大蔵省あるいはその他等がありますが、そういうところが主管で検討するのじゃいつまでたってもアンバラスというのは直らないのじゃないですか。
○政府委員(竹内壽平君) 現在の実情を申し上げますと、先ほど述べましたように、主管の省が、これはこういうふうにしたい、罰則につきましてもこのくらいな刑をもっとやっていきたいのだということを、まず第一次案を作ります。そうして、私どものほうへ相談に持ってくるわけでございます。私どものほうでは、その省だけの法令ではなくして、その他の各省の同種の法令などもずっと調べまして、それとの刑の権衡の問題などを考えまして御相談に乗るわけでございますが、それでも十分でございません。 そこで、私いつぞやも法務委員会で述べた記憶があるのでございますが、刑法の改正の問題とともに、行政罰則の整備ということをねらいました行政罰則法のようなもの、外国には総則の規定がございますが、私どもとしても行政罰則がかように多くなって参りました以上は、刑法の総則をすぐかぶらしてやることは必ずしも適当ではございませんので、行政罰則を一つの体系的に整備をして、その総則のようなものを設けて、そうしてそれらの規制のもとに各行政法の罰則実体規定の各則を設けていくという考え方を貫いていくのが体系を整備していく上において重要であろうという考え方をもって、数年前からそういう作業も実はいたしているわけでございます。
○稲葉誠一君 税法の五十四条の四項「何人の所有であるかを問わず没収する。」、この規定は、憲法に違反するということが問題になったことがありますね。
○政府委員(竹内壽平君) 私今はっきり記憶しておりませんが、この間申し上げましたように、関税法では憲法二十九条の関係で議論がありましたが、酒税法が取り上げられた例がありましたかどうか、ちょっと今記憶がございませんでございます。
○稲葉誠一君 関税法の判決が出る前の昭和二十五年の六月六日第三小法廷、それから二十五年の七月四日第三小法廷、あとのほうは食管法の問題だと思うのですが、それで第三者の所有物を没収するというのは憲法違反だという上告理由があったと思うのですが、それに対して憲法違反ではないという第三小法廷の判決があったと思うのですが、どうもその理由と関税法のときの大法廷の判決とが食い違っているような感じを受けるのですが。
○説明員(臼井滋夫君) ただいま御指摘の昭和二十五年の六月六日、酒税法違反被告事件に関します第三小法廷判決は、まさに御指摘のとおり、酒税法の没収規定につきまして判定したものでございまして、その判決要旨は、酒税法六十条三項、同法六十四条二項による没収——これは改正前のものでございますので、条文の筋が違っておりますけれども、現在の酒税法の没収規定と同趣旨の、密造等にかかります酒類、機械、器具、容器等を没収する、しかも必要没収を規定した規定でございます。この規定につきまして、御指摘のように、最高裁判決は、これは「犯人以外の者に属すると否とを問わず没収する趣旨である。」という判断をいたしておりますが、この当時、最高裁判所の考え方が、はたして今回の三十七年の十一月二十八日の第三者没収に関します違憲判決、あるいは昭和三十二年十一月二十七日の大法廷判決——旧関税法八十三条につきまして事前の所有者の悪意を必要とするという趣旨の判決をいたした大法廷判決でございますが、これと同じような考え方に立っておりましたかどうか、その判決理由からは必ずしも明らかではございませんが、当時はまださほど第三者没収に関します憲法論議がやかましく議論されておりませんでしたので、あるいはその点について十分な憲法意識をもって判断したものかどうか、若干問題もあろうかと思います。そこで、現在の酒税法の没収規定をその後の第三者没収の合憲性について判断いたしました判決のワクで考えてみますと、酒税法で没収を認めております対象物件の中で密造酒のたぐいのもの、これはいわゆる法禁物的なものでございまして、何びとの所有であるかを問わずこれは没収するという建前で解釈し得ると思いますけれども同一法上に規定されておりますものでも、密造の用に供しました機械、器具のたぐい、これはいわゆる相対的な禁制品的なものであって、それが、正当な酒類の製造等にも用いるし、また密造にも用いるというものでございますならば、当該器具等につきましてはやはり本来の所有者の事前の悪意というような要件が必要になってくるのではないかと、かように考えられるわけでございます。ただ、その点につきましては、関税法に関します最高裁の大法廷判決から推究いたしましてさように考えられるわけでございますが、この点について明確な判断を示した判例はまだ見られないわけでございます。
○稲葉誠一君 それから食管法に関連して同じような第三小法廷の判決、二十五年七月四日だと思いましたが、これもあると思いますが……。
○政府委員(竹内壽平君) 私どものほうでも関係判例をできるだけ集めたわけでございますが、今御指摘の判決はちょっと見当たりませんのでございますが、もしその判決に関して意見を申し述べろということでございましたならば、後刻調査をしました上で述べさせていただきたいと思います。
○稲葉誠一君 そうすると、今の酒税法なり食管法などの無差別没収の規定、この場合は、第三所有者が悪意であるか善意であるかということをまだ問題にしておらない場合の判決なわけですか。
○政府委員(竹内壽平君) 先ほど御指摘のありました酒税法につきましては、判決要旨だけでございますけれども、結局、そのような第三者没収、無差別没収の規定は別に違法でないということを述べておるだけであって、その第三者が善意であったか悪意であったかというところまで入って論議をしていたかどうか、ちょっとこの簡単な要旨ではわかりかねるわけでございますが、先ほど臼井参事官も申しましたように、私どもの理解によりましては、狭過ぎるという批判はありますけれども、三十二年の判決によりまして、あらかじめ悪意であったという解釈をすべきだ、そう解釈しなければ二十九条との関係で違憲のおそれがあると、われわれとしましてはそういう点が書いてない条文につきましてもそういう運用をしなければならぬということで、実体法の改正がはっきりするまではすべてのものにつきましてそういう運用をしていくべきだということで当時そういう趣旨の刑事局長通牒も出しまして、現実の運用におきましてはそういう範囲内のものについてのみ没収の請求をする、こういう考え方で法の運用をいたしておるわけでございます。
○稲葉誠一君 昭和二十五年の七月四日第三小法廷、これは食管法に関連する判決なんですが、これはあとで調べてくれませんか。やはり問題がそれに関連してあると思うのです。 それからお聞きしたいのは、没収をする場合に理由を示さなければならぬと思うのですが、これはまあそれに対して証拠説明が要らないという考え方がありますね。これはそういう考え方をとっているわけですか。だから、被告人の物を没収する場合と第三者の物を没収する場合とでは、証拠説明が必要であるとかないとかいうことは変わってこなくちゃいかんのじゃないかという気がするのですが、そこはどういう解釈なんですか。
○説明員(臼井滋夫君) お答えいたします。 御指摘のとおり、「没収の言渡と没収に対する証拠説明の要否」につきまして、昭和二十三年十月五日の最高裁判所第三小法廷で判決がございますが、この判決の判決要旨は、「犯罪の用に供した物件に対し没収の言渡をするに当り、これに対して証拠説明をする必要はない。」と、かように判断いたしておるわけでございます。ただ、この判決要旨が一般的に妥当するかどうかは問題があると存じます。と申しますのは、没収物の所有関係等につきまして何ら争いがない事案におきましては特段の証拠説明をする必要はないかもしれませんけれども、所有関係あるいは善意、悪意というようなことが問題になりまして、特にもしこの法案が成立いたしました暁に第三者が参加をいたしまして、その参加人が所有関係あるいはその善意、悪意というような没収要件につきまして争いました場合には、没収をいたさなければ格別、没収裁判をいたします場合には、当該参加人の主張に対しまして裁判所としては何らかの証拠説明、理由を付さなければ、やはり理由不備の判決ということになるおそれもあろうかと存じますので、こういう手続ができておりません当時の判決が一般的にそのままこの法案ができてから後も妥当するとは言い切れないと、かように考えるわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、そういうふうな点はまあ刑事訴訟法の原則というか、条文の解釈の問題になるとも思いますが、この法案の中でそういう点は規定していかなくともいいのですか。
○政府委員(竹内壽平君) この法案は結局刑事訴訟法の特別法という考え方をいたしておりますので、この特別法に規定してある以外の点につきましてはすべて刑事訴訟法がかぶるのだという趣旨を明らかにしておりますのは、そういう点をもカバーしようという考え方から出ておるわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、今のは今度の応急措置法の十二条でいくと、こういうわけになるのですね。
○政府委員(竹内壽平君) はあ。
○稲葉誠一君 ところが、私がちょっり理解が足りないのか、あるいは今の臼井参事官から言われたことがよく理解できなかったのかもわかりませんが、衆議院の法務委員会で坂本さんの質問に対する臼井参事官の答えは、その点に関連をして、「御指摘のように没収の裁判につきましては必ずしも理由を付する必要はないという判例がございますが、この点につきましては、この法案はその判例を否定する趣旨ではございません。」、こういうふうに言っておられますね。これは理由を付さなくてもいい場合もあるから、だからこういうふうな答えが出てきたのかと思うのですが、やはり争いになった場合には理由を付するのが妥当だ、こういう考え方と承っていいわけですか。
○政府委員(竹内壽平君) そのとおりでございます。
○稲葉誠一君 「この法案はその判例を否定する趣旨ではございません。」というのは、何か判例のように理由を付さなくてもいいんだというふうにとれるのですが。
○説明員(臼井滋夫君) お答えいたします。 衆議院でお答え申し上げました際にはたいへん舌足らずな言い方をいたしましたので、誤解を招くような表現で申しわけなく存じておりますが、申し上げました趣旨は、先ほど申し上げましたように、一般論としてこれは昭和二十三年の最高裁判決の趣旨を全面的に変更する、こういう考え方をとっていないということを申し上げたわけでございまして、ただ、先ほど申し上げましたように、第三者が参加いたしまして没収の要件について争いがありましたような場合には、当然裁判所といたしましては没収するという理由を説示しなければならない、かように考えるわけでございます。
○稲葉誠一君 それから、没収には証拠調べを必要とするかどうかということに関連をして、第三者没収で応急措置法ができれば、その点についても今までと変わってくることがあるのですか。
○説明員(臼井滋夫君) お答え申し上げます。 従来、没収の要件につきまして証拠調べが必要であるかどうか、あるいはどの程度の証拠調べが必要であるかという点につきましては、確たる判例はございませんけれども、裁判実務における運用といたしましては、没収の要件たる事実につきましては、これはやはり証拠によりまして事実を認定した上で没収いたしておるわけでございます。したがいまして、従来の運用と同様に、この法案がもし執行されました場合には、やはり没収の要件たる事実については証拠調べが行なわれ、かつ、その証拠法の適用につきましては、この法案の六条の規定によって証拠の証拠能力が決せられる、かようになると考えるわけでございます。
○稲葉誠一君 それから、没収の場合に国が取得をする権利ですね、これは所有権だけという考えですか、日本の法制上は。
○説明員(臼井滋夫君) ただいまの御指摘は、没収の確定判決による効果、これが所有権のみの承継取得であるか、あるいは原始取得であるかという趣旨の御質疑と拝聴いたしたわけでございますが、この点につきましては、従来の通説あるいは判例は、原始取得という考え方をとっております。すなわち、原始取得でございますから、対象物件の所有権のみならず、その上に存在いたします他の物権、たとえば用益物権あるいは担保物権のたぐいの権利も所有権の国庫移転と同時に消滅する、かように解されておりまして、この点については、学説としても反対の学説はないようでございます。
○稲葉誠一君 原始取得であるから、所有権だけになって、所有権の上についているものは観念的に言うと、一たん没収になって、そこで消滅するというわけですか、あるいは、原始取得なんだから没収になる前に完全な所有権という形になって、そこで没収の効果が発生するという考え方をとっているわけですか。
○説明員(臼井滋夫君) お答え申し上げます。 原始取得でございますから、所有権が所有者から国庫に移転する、国庫に帰属すると同時に担保物権のほうが消滅する、こういう考え方でございます。
○稲葉誠一君 そこで、執行の場合に、国に占有権が移っている場合と移っていない場合とありますね。移っている場合は、これは簡単だと思いますが、移っていない場合の執行形態はどうやるんですか。
○説明員(臼井滋夫君) この点につきましては、法務大臣の訓令によりまして証拠品事務規程という訓令が出されておりまして、その中で執行方法についての事務的な詳細な規定が設けられているわけでございます。ちなみに、その概略を申し上げますと、没収物件を第三者が占有しておりまして、何ら裁判所なりあるいは検察官においてこれを保管しておりません場合には、第三者に対しまして納付の通知をいたしまして、それに応ずれば、任意の納付になりますれば、それで執行は完了するわけでございますし、もし、その納付の通知に対しましてこれに応じなければ、強制的に執行する、ごく大まかに申し上げますと、そういうことになっております。
○稲葉誠一君 没収の執行の場合に第三者が占有しているというのは、具体的にどういう場合があるんでしょうか。
○政府委員(竹内壽平君) たとえば、船舶のようなものなどが第三者の保管になっている場合がございます。保管の方法でございますけれども、検察庁あるいは裁判所の保管倉庫に入れておきますことが形態等のあれで保管しにくいようなものは、第三者に保管を託している、あるいは有料倉庫に保管を託している、こういう場合がございまして、そういうところからは、今申しましたように、提出命令をかけまして、任意に提出してくればよし、提出してこなければ執達吏に執行させる、こういうふうな手統になっております。
○稲葉誠一君 そうすると、船舶のような場合は、一たん押収するんですか、あるいは、押収を初めからしないでおくのか、よくわかりませんが。そうすると、船舶をこの応急措置法で第三者所有物として没収するような場合に、どうやって証拠調べをするんですか。
○政府委員(竹内壽平君) この船舶は大体押収してあるわけなんです。押収いたしまして、かなり裁判までの間に時間がかかりますので、これをつないでおきますと船舶はだんだん悪くなるそうでございまして、したがって、ある者に依頼してそれを使用しておる状態で保管する、こういうやり方をいたしております。
○稲葉誠一君 それはわかりますが、証拠調べをどうやってやるんですか。
○説明員(臼井滋夫君) 証拠品としてそういう押収されていない船舶等について証拠調べを必要といたします場合には、裁判所が当該船舶が存在いたします所に出張いたしまして、検証の上でその場で証拠調べをするというようなことが行なわれる場合もまれにはございます。
○稲葉誠一君 これは、応急措置法案にそういう規定があるんですか、あるいは、刑訴法にあるんですか。
○説明員(臼井滋夫君) それは、刑事訴訟法における一般原則——証拠調へに関する一般的な規定、これによってそういう証拠調べの方法が行なわれる、かように考えられるわけでございます。
○稲葉誠一君 それは刑訴法のどこにあるんですか、ちょっと教えてくれませんか。
○説明員(臼井滋夫君) お答え申し上げます。その物の存在状態、形状というものが証拠として意味を持つ物件についての証拠調べは、法廷において行なわれると法廷外において行なわれるとを問わず、これは検証としての性質を有するわけでございますから、裁判所が行ないますところの検証に関する一般的な規定によりまして証拠調べが行なわれることになるわけでございます。具体的には、刑事訴訟法第百二十八条以下の検証に関する規定にのっとって行なわれることになると存じます。
○稲葉誠一君 検証というのは事実発見のために必要があるときにするんであって、押収したものを証拠調べする場合に、この検証の規定がそのまま適用になるんですか。ちょっと私よくわかりませんがね。
○説明員(臼井滋夫君) 刑事訴訟法百二十八条以下の規定は、通常の場合といたしまして、たとえば、犯行の現場等に裁判所が臨場いたしまして、その犯行現場の模様、地形等を検証するのが通常の検証でございますけれども、法学上は、広く、物的証拠、その物の存在状態、形状が証拠としての意味を持つものについて裁判所が証拠調べを行なうのは検証である、実質的な検証としての性質を有するというふうに書いておるわけでございまして、そういう意味合いから、裁判所外にあります船舶について、その船舶の所在場所に裁判所が臨場いたしましてその船舶の存在状態、形状というものについて証拠調べを行なう場合にはこの検証の規定による、かように申し上げたわけでございます。
○稲葉誠一君 そういう場合には、第三者所有物である場合、所有者である第三者を立ち会わせなくちゃいかんわけですね、普通の場合でいけば。それはこの応急措置法案にどういうふうに規定になっておりますか。
○説明員(臼井滋夫君) この点につきましては、この応急措置法といたしましては、先ほど御指摘ございました第十二条によりまして、「この法律に特別の規定があるもののほか、刑事訴訟法による。」といたしてございますので、その点につきましては、刑事訴訟法の一般規定にのっとって検証が行なわれる、こういうことになるわけでございます。
○稲葉誠一君 検証が行なわれることはわかったのですが、その場合に、第三者、所有者ですね、これを立ち会わせなくてもこの検証はできるのですか、立ち会わせなくちゃならないのですか、そこはどういうふうになっているのですか。
○説明員(臼井滋夫君) 御案内のとおり、検証につきましては、刑事訴訟法第百四十二条に準用規定があるわけでございまして、これは押収捜索についての当事者の立会、あるいは責任者の立会の規定、これを準用しておるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘の場合には、この刑事訴訟法の第百四十二条によって準用されますところの刑事訴訟法第百十三条、第百十四条によりまして、当事者の立会、責任者の立会、これが当然に必要とされ、あるいは可能とされるわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、ここで「被告人」とあるのが、そういうふうな形の中で第三者にも準用される、結論としてはそういうふうになるわけですね。
○説明員(臼井滋夫君) 御指摘のとおりでございます。
○稲葉誠一君 そこで、これは法務省にも関係があるのですが、この「没収・追徴等に関する規定一覧」の四ページに、出入国管理令の没収のやつがありますが、第七十八条の二項、「犯人以外の者が、犯罪の後、前項の船舶等を取得した場合において、その取得の当時善意であったと認められないときは、その船舶等を没収する。」、こうなっておりますが、二十七ページ、これは旧法ですが、廃止になったのだと思いますが、63の外国人登録令第十四条一項、「第十二条の犯罪行為の用に供した船舶で犯人の所有又は占有に係るものは、これを没収する。」、こういうふうになっていますが、これは何か規定の意味が違うのですか。両者の関連はどうなっているのですか。
○説明員(臼井滋夫君) 御指摘のとおり、この資料の二十七ページにございます、番号63の外国人登録令はすでに廃止されているわけでございますが、これは「第十二条の犯罪行為の用に供した船舶で犯人の所有又は占有に係るものは、これを没収する。」といたしてございますが、現行の出入国管理令七十八条第一項の規定では、「犯人の所有又は占有に係るものは、没収する。」という点は、外国人登録令の第十四条と同趣旨でございますけれども、七十八条の第二項におきまして、「犯人以外の者が、犯罪の後前項の船舶等を取得した場合において、その取得の当時善意であったと認められないときは、その船舶等を没収する。」というふうな、犯行後におけるいわゆる悪意の事後取得につきましての没収規定を設けた点が違っておるわけでございます。 なお、第七十八条の一項につきましても、文理上は旧登録令と同趣旨でございますけれども、出入国管理令が制定された後に言い渡されましたしばしば引き合いに出されております昭和三十二年十一月二十七日の関税法に関します大法廷判決がありましてからは、第三者所有で犯人占有の場合、すなわち第三者没収の場合には、やはり当該第三者について事前の悪意が必要である、こういう解釈がとられて運用されて参っておるわけでございます。
○稲葉誠一君 出入国管理令第七十八条の第二項は必要没収ですね。なぜ必要没収になっているのかという理由と、第二項はどういう場合のことを考えているのですか、それが疑問ですのと、もう一つは、「取得の当時善意であったと認められないときは、」と、こういう書き方をしているのは、あらかじめ悪意であったということと書き方も違うし、立証責任の問題なども変わってくるのじゃないですか、この書き方だと。「取得の当時善意であったと認められないときは、」という書き方ならば、第三者が善意であったということを立証する責任がここに出てくるのじゃないですか、この書き方では。そうなってくると、いわゆるあらかじめ悪意のときというのと違うのじゃないですか。その三つの点ですがね。
○説明員(臼井滋夫君) 御指摘の出入国管理令七十八条二項の書き方、これはちょっと特殊でございます。この二項の趣旨は、大体刑法の十九条二項と同趣旨でございますが、表現上それよりも範囲が広いと考えられるわけでございます。すなわち十九条二項の但し書は、やはり犯行後における第三者の事後取得についての規定でございますが、この場合には「犯人以外ノ者情ヲ知りテ其者ヲ取得シタルトキハ犯人以外ノ者ニ属スル場合ト雖モ之ヲ没収スルコト」を規定してございます。それに対しまして、御指摘のとおり、出入国管理令の七十八条二項は、「その取得の当時善意であったと認められないときは、その船舶等を没収する。」、かように規定してございます。すなわち、文理解釈といたしましては、刑法の場合には積極的に悪意ということが認定できる場合にはじめて没収できると、こういう解釈になろうかと思います。これに対しまして出入国管理令七十八条二項のほうは、まさに御指摘のとおり、善意であったということが積極的に認められないとき、それ以外は全部没収するのだ、かように言っておりますので、善意か悪意かはっきりしない場合は、刑法の場合は没収できない、しかし、この出入国管理令七十八条二項のほうは没収できると、文理上はそういう解釈になろうかと思います。しかしながら、先ほど来申し上げております三十二年の大法廷判決、これは、事後取得の場合ではなくして、事前に船舶等を貸した場合についての判決でございますけれども、事前についても明文の規定がなくても悪意でなければいけないのだ、積極的に悪意が認定されなければいけないのだ、かような判断をしておりますので、その趣旨を事後取得の場合にも押し及ぼして考えますれば、やはりこの条文よりも狭く、刑法十九条二項の但し書の場合と同じように、積極的の悪意の事後取得であるということが認定できない限りは没収できないのだ、こういう解釈になってくるであろう、かように考えられるわけでございます。
○稲葉誠一君 これは出入国管理令だから、この罰則は法務省で作ったのじゃないですか。これは改正はいつでしたかね。二十八年ですか。
○政府委員(竹内壽平君) これは法務省の関係の法令でございますので、その他の省の関係法令と同じように私ども刑事局でも御相談に乗っているはずでございます。ただ、これは昭和二十六年の法律でございますので、今日ほどこの種の規定について神経質とも言っていいほど徴密な審査をしていなかったのじゃないかという感じもいたすわけでございますが、なお、その後三十七年の改正がありますので、そういう際になぜ考えぬかという御疑念も同時に出てくると思いますが、このときはほんの部分改正であったように思いますが、その問題には触れなかったのでございます。 一般的に申しますと、これはもうこの法律に限らず、全般的に見直していかなければならぬという考えでございます。
○稲葉誠一君 ただ、この二項は、具体的にどういうことなんですか。
○説明員(臼井滋夫君) 出入国管理令七十八条の二項は、先刻申し上げましたように、刑法十九条二項但書と同趣旨の規定でございますが、この犯行後の悪意取得のものを没収するという規定の考え方は、たとえば、犯行時においては犯人が所有者であった、ところがその犯罪が発覚してしまった、そこでその物を没収されない前に第三者に売り渡して没収を免れよう、こういうことを防止いたしますために、そういう問題になっておる物件である、しかもそれが犯人が犯行に使ったのだ、そういうことを承知しながら第三者がその物を買い受けたという場合には、その第三者からこれを没収するのが刑事政策的に必要であるし、また没収しても特に財産権侵害という問題は生じない、こういう考え方で犯行後の第三者の悪意取得というものについて没収を許容しておると考えられるわけでございます。
○稲葉誠一君 実例的に少しお話し下さいませんか。抽象的で——まあわかりますけれども、もう少しわかりやすく言って下さい。
○政府委員(竹内壽平君) 「犯罪行為の用に供した」という七十条は、「第三条の規定に違反して本邦に入った者」とか、「違反して本邦に上陸した者」とかいうような規定がずっと並んでおるわけでございまして、おそらく密入国の際に船などへ乗って入ってくる、そういう場合の船などが対衆になるのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、密入国で船に乗ってきたわけですね。その船を密入国してしまった犯人から買ったとかもらったとかいう場合には、その船は必要的没収で必ず没収するということになるのですか。
○説明員(臼井滋夫君) 御指摘のとおりでございまして、密入国した者の所有しておる船舶を第三者がその密入国後に事情を知ってもらい受けた、あるいは買い受けたという場合に適用があるわけでございます。
○稲葉誠一君 それを必要的没収にしたのはどういうわけなんでしょうかね。銃砲刀剣類のような場合でも裁量没収ですね。銃砲刀剣類の場合に裁量没収であって、密輸か何かのときに使った船を第三者が買ったとかなんとかいうことだけで必要没収にするというのは、均衡がとれないようですね。
○政府委員(竹内壽平君) これは、密入国の犯罪、海を渡って来るわけでありますから、それに使用する船というものは、船以外のものでははいれないわけでありますし、したがって、その船は非常に次の犯罪に用いられる可能性の強い、つまり危険性の高いものでありますために、行政目的を達成するためにそのような立法政策上の考慮からとられたものと思うのでございますが、そういう点も実態に即してこれはきめていかないと、そこへ過不足が出てくると思うのでありまして、まあわれわれの立場からしますと、税法との関係で同じ程度の危険性の高いものであるかどうかというような点も検討をすべき対象のものだと思いますが、現状におきましては、出入国管理を管掌しております法務省の入国管理当局の考え方がここへ現われておると、かように理解いたすわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、密入国専門に使われておる船の場合ももちろんあると思いますが、たまたま密入国者が乗っていたと、その中に。そして、その船を、そういう密入国者が乗っていたということも知っていて買った、もらった、そういう船までこれじゃ必要没収で必ず没収しなければならぬということになるのですか。それではとてもこの法律は拡大し過ぎておって、これはもう憲法違反の問題が出てくるのじゃないですか。
○政府委員(竹内壽平君) でありますから、これはまあ実体法の問題で、本法案とは直接関係がないわけですが、この実体法につきましては、先ほど申しましたように、全面的にバランスをとるような改正に将来持っていかなければなりませんが、現状においては、最高裁判所の三十二年の判例によりまして、これの解釈は限定されておるわけであります。その解釈から上へ出てわれわれが運用するということになりますと、憲法違反ということになろうかと思います。しかし、ここに申しておりますのは、悪意のものでしかもあらかじめ悪意であったというものだけに限定してこれは理解すべきだと思いますので、そういう運用をした場合に、現在では手続がありませんから没収されてしまいますが、今後は、この法案による参加の手続等によりまして、事後救済も十分担保して、これが没収できるかどうかということを裁判所がきめる、こういうことで、これは実体法でありますから、実体法については、何回も申し上げますように、昨年十一月の大法廷の判決は、違憲ではない——違憲であるということを申しておらないわけでございます。二十九条との関係で違憲かどうかということは、三十二年の判例だと、こういうふうに私どもは理解しております。
○稲葉誠一君 この条文が違憲であるか違憲でないかということは、条文の解釈にもよるわけですわね。この出入国管理令の七十八条の二項を、密輸専門に使われておる船ではなくて、たまたま密輸者が乗っていた、そういうことを知っていてか何かしてその船を買ったとかもらったとかいうところまでこれは適用されると、こうなれば、そういうことは最高裁の判例は何もそこまで言っているわけじゃありませんからね。そうなった場合に、一体どうなるんでしょかうか。憲法違反の問題が起きてくるのじゃないですか、この条文運用によっては。ちょっと私の質問がまだ足りないかとも思うのですが、その問題はいわゆる補償の問題なり何なりに関連して私はあとでそれに限って聞こうと思って準備しているのですが、たまたまこの問題が出てきたから、ちょっとお聞きしたわけですが。
○説明員(臼井滋夫君) ただいまの御指摘の点は、通常の航海の用に供せられる船舶に密入国者が乗っておったと、そういう船舶が、この七十八条二項によって、その船舶を他の船舶会社が買い受けた、そういう場合に没収されるおそれがあるのではないか、こういう御趣旨と拝承したわけでございますけれども、そういう場合は、もうすでにこの「犯罪行為の用に供した船舶」という要件からはずれて参りまして、「犯罪行為の用に供した船舶」というからには、特に密入国のためにその目的をもって使用した船舶という場合にはじめて「犯罪行為の用に供した船舶」という要件に当たって参りますので、該当しないと考えられますので、没収されるおそれはないと存じます。
○稲葉誠一君 「犯罪行為の用に供した船舶」ということのまあその考え方によるわけですが、もっぱら密輸に使われた船と、こういうことに厳格に限定するわけですか。
○説明員(臼井滋夫君) 通常は航海の用に供せられる船舶であっても、たまたま当該航海がもっぱら密輸用であったという場合は該当いたしますけれども、通常の航海の用に供せられる船舶が、その航海も通常の航海であった、たまたま密入国者が数入乗っておったという場合は、該当しない、こういう解釈でございます。
○稲葉誠一君 だけれども、普通の航海に使われる船でも、たまたま密入国者が数人乗ったという程度でなくて、密入国者の乗っているほうが一般のお客さんよりも数が多いとかという形になってきた場合には、「犯罪行為の用に供した船舶」に該当する場合も出てくるのじゃないですか、解釈によっては。
○政府委員(竹内壽平君) それはまあ事実認定の問題になろうと思いますが、「犯罪行為の用に供した」という解釈はそんなに広いものじゃございませんので、まあもっぱら犯罪の用というふうに言えるかどうか、これは事実関係できまると思いますが、今御指摘のように、通常の航海で大ぜいのお客さんがあるわけなんですが、その中に相当多数の密入国者がかりにあったといたしましても、それをもってその船自体までも密入国のために使われた船だというふうに見ることは社会通念上適当でない場合がたくさんあると思います。そういう場合にははずれてくる、かように考えております。
○稲葉誠一君 そうすると、出入国管理令の罰則については、これは最終質問になるのですが、二項の「その取得の当時善意であったと認められないときは、」というのは、これは現在の法制上はまあちょっと異例のような書き方になっている。だから、これが改正については十分留意するというのか、あるいは、最高裁の判例が出た以上はこの最高裁の判例どおりに解釈をすればいいのであって、別にこの条文は文字を変えなくてもよろしいのだと、こういうふうな考え方なのか、どちらなんでしょうか。
○政府委員(竹内壽平君) これは、将来、刑法の基本的な考え方がはっきりして参りますとともに、この種の行政罰則についております没収の規定もそれに沿って検討を加えて改正すべきものを改正していきたい考えでございますので、この第二項も当然検討の対象にいたしたいと思っております。ただ、現在の状態で運用していくのにつきましては判例の趣旨に従って運用していく、こういうことでございます。
○委員長(鳥畠徳次郎君) それでは、ここで暫時休憩いたします。 午後零時三十分休憩 ————・———— 午後一時四十八分開会
○委員長(鳥畠徳次郎君) これより委員会を再開いたします。 都合により、刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法案の質疑を中断いたしまして、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。 岩間君から発言を求めておられますので、これを許します。
○岩間正男君 去る六月二十三日、つまりおとといですね、横須賀臨海公園で、アメリカ原子力潜水艦寄港反対並びにF105Dサンダーチーク水爆戦闘機持ち込み反対の大会が持たれたんです。この席上、演壇に発煙筒を投げた者があるわけです。この右翼の暴力について、警察庁はどのような報告を受け、また、どのような処置をとっているか、その経過について最初に伺いたいと思います。
○政府委員(宮地直邦君) きょう、他の刑事事件の御質問があるということで、そのほうで私参りまして、主管局長である警備局長これまた他の委員会に入っておりますので、私の知っておる限りにおいてお答えいたしたいと思います。 これは、今申されましたいわゆる横須賀大会が、二十三日の昼ごろから開会されまして、約三時まで続いた。その途中におきまして、少年が——これは少年でございますから、名前等は、私のほうでわかっておりますが、差し控えさしていただきまして、十八才の少年が、隠し持っておりました信号用の煙弾を投げ出しまして一時会議の中に混乱を起こさしめたという事件でございます。直ちにその現場におきまして制止せられまして、付近におりました警察官に身柄の引き渡しを受け直ちに署に連れて参りまして、これを現在捜査しているという状況でございます。
○岩間正男君 それで、この暴行した者について、氏名、年令、それからこれの所属している団体があるでしょう、その団体名、それから背後関係、こういうものについて、警察の今の捜査の段階でどういうふうになっておりますか。
○政府委員(宮地直邦君) 少年でありまして、本人は、昭和十九年九月生まれでございますから、現在十八才で、姓名等も判明いたしておりますが、——という少年でございます。それからこれは防共挺身隊に最近加入したというものでございます。
○岩間正男君 それから、背後関係はどうですか。
○政府委員(宮地直邦君) 現在、背後関係につきましては捜査中でございます。
○岩間正男君 そのうちで非常に重要だと思うのは、この犯行の目的ですね、一体どんな目的をもってあのような発煙筒を、しかも当日の集会は十三万、実際あの現場で私の目の前に起こった問題です。現に私の目の前で発煙筒がふいたわけです。そういう事態に遭遇したわけだけれども、これは単独にあの少年があんなことを十三万の大衆の中でやるとは考えられないのですが、その点で背後関係の捜査というのは一体どういう捜査を進められておるのですか。
○政府委員(宮地直邦君) 本人は、今申しましたように、防共挺身隊に最近加入いたしたものであります。したがって、これらの背後の団体等との関係につきましては、当然警察におきましても調べておりますが、捜査中の内容に入りますので、現在具体的にこういう状況だということを申し上げる段階には達していないのでございます。
○岩間正男君 目的はわかるでしょう。目的について追及したでしょう。
○政府委員(宮地直邦君) 現在の段階におきまして言っていることはございますが、それにつきまして私のほうにおきまして今捜査中であり、かつ、最後的な判断を下したものではございませんので、発言を差し控えさしていただきたいと思います。
○岩間正男君 いつもそうなんですけれども、これはどういう目的か、あなたのほうではつかんでおられるわけですね。今捜査中の段階だから言えないと。これは身柄は釈放したんじゃないですか。捜査中といっても、身柄を釈放したら一応あなたのほうではちゃんとこれに対する捜査のなにができて、そうして身柄を釈放しても大丈夫だという判定のもとに放したんじゃないですか。身柄を釈放しておいて、しかも、犯行の一番重要な動機、目的、こういうものについてここで発表できないというのはおかしいと思うのですが、どういうことですか。
○政府委員(宮地直邦君) これは、少年でありますこと、さらに、ある程度の負傷をいたしておりますから、身柄を留置して調べることが不適当であると判断して釈放をいたしているのでございますが、あらゆる方法をもってその背後関係の追及ということについては当然いたしておるのでございます。
○岩間正男君 負傷しているって、どこを負傷しているのですか。
○政府委員(宮地直邦君) 医者の診断によりますというと、後頭部とか胸とかに負傷しておりまして、治療を要するという診断が当日出ておりますので、その現場の状況等、それから年令等を勘案いたしまして釈放いたしたのでございます。
○岩間正男君 重大な問題です。私はこれは見ているのです。そうすると、その医者の診断書というものはあるのですか。それは私は現に当人に会っているのです。そんな負傷したとかなんとか、そういうことはあり得ないと考える。そんな診断書というのはどこでどう作ったかわからないが、とにかく大衆は非常に憤りました。そうしてこれに対して、彼は逃げ出したけれども、みんなで当然つかんだのです。そうしたことをしたけれども、全然そこには何らそれを負傷させるというような行為というものは一つもなかった。私自身がこの目で見た。私は法務委員で、あの壇上でちゃんと見ていて、それから彼がつかまりまして、あそこで、主催者の集まっているテントのところへ持っていかれまして、そこでみんなで聞かれているところを見ました。そうすると、それ以後負傷しているというような非常に重大な発言だ。その診断書は当委員会に参考に出してもらえますか。一体どの医者が、警察医がやったのかどうか知りませんけれども、ほとんど捏造に近いものです。現に見ているのです。
○政府委員(宮地直邦君) 三上という医者の診断によりまして警察は措置していると報告を受けております。
○岩間正男君 三上というのは、横須賀の医者ですか。
○政府委員(宮地直邦君) 住所等につきましては、まだ報告を受けておりません。
○岩間正男君 私は資料として要求したいのですけれども、この医者の住所、氏名、それから診断書そのもの、こういうことは、これは現場を見ていなければそのままで通るかもしれない。当人はぴんぴんとしておりましたよ。それで、その後どうしてこんなことをやったのだというようなことをみんなに追及されたときに、この少年が一番最初に言ったのは何と言ったと思いますか。重大な発言、実に重大な発言です。「警察を呼んで下さい」。あそこは平和の集会です。戦争反対、原子力潜水艦の寄港反対のために平和の人たちがあそこへ集まっている。したがって、そういうような実に忌まわしい、そうしてほんとうに許すことのできないことであるけれども、これに対して何らのそういう暴力を加えるとかなんとかいうことは絶対になかった。この目で現実に見ている。そういうのが、今度あなたのほうからいうと、いつの間にか医者が——その病名はどういうことなんですか。これはわかるでしょう。
○政府委員(宮地直邦君) 「左後頭部、両側前膊、胸部、腰部等の打撲傷」——もっと詳しいことはあると思いますが——「等の打撲傷、通院加療一週間程度を要する」という診断を受けております。
○岩間正男君 それでは、今のあれは資料として出していただけますね。 そういう理由であなたのほうはいつ釈放したのですか。
○政府委員(宮地直邦君) 同日の午後十時ごろ釈放いたしております。
○岩間正男君 そうすると、これであなたのほうは捜査上差しつかえないという見込みで釈放したのですか。少年だ、負傷したと。しかし、これは現場を見た私自身からいえば、とても信用できない。そうしてしかも、やった犯行というのはどういうことなんです。発煙筒そのものは幸いに人には当たらなかった。しかし、集会を開いているその壇上に投げ込まれた。そうして、火を盛んにふいた。幸いにこれは主催者のほうでこれをつかんで、そうしてあぶないから海中に投げ込んだ。そうして事なきを得た。これははっきり証拠がほしければ間もなく届けますけれども、火をふいたきずあとが残っている、床に。これは当たらなかったからいいけれども、実際それで大会を混乱させて、あわよくばこれが当たれば、これは傷害事件が起こったわけです。当然そういうような犯行を含んでいる問題なんです。 そうすると、あなた方はどういうふうに事態を見てその少年をいとも簡単にその晩の十時に釈放してしまったのか。普通そんなことをやりますか。たとえば、労働組合とか民主団体のあなたたちのいわゆる暴行事件だというものを逮捕したときに、こんなことやりますか。こんな至れり尽くせりな、大体医者の診断をさせるということもあまり聞いたことがない。診断書をとって、それが一つの釈放の口実になって帰してしまう。これではあまりに私は通らないと思うのです。どういうふうに考えますか。
○政府委員(宮地直邦君) われわれが逮捕いたします場合には、やはり逃走、証拠隠滅等のおそれのある場合において逮捕し、さらになお、事態の状況及び犯罪ありといたしましても、そういう状況のない場合においては、逮捕いたさないで捜査をいたすわけでございます。ことに少年事件等につきましては、そういう条件等についても十分勘案して、強制捜査を要するか任意捜査で済ませるかということを考えるわけでございます。
○岩間正男君 山口二矢事件というのを国民は忘れていないのです。同じでしょう。少年でしょう。十八才でしたか。そういうような扱いでああいう結末になったことを忘れていない。これは防共挺身隊で、そういういわば法の抜け道みたいなところを利用して、そうして、騒げばいい、それからそういう傷害を目的としたのか。暴行を目的としたのか、そうしてしかも単身乗り込ませる、そういうことであの会場を混乱し、しかもその結果は、さっき言ったように、傷害事件は起こらないで未然に防ぐことができたのですけれども、こういう問題に対してあなたたちは徹底的に捜査しているのですか、どうですか。
○政府委員(宮地直邦君) 警備あるいは刑事事件を問わず、事案の真相を明らかにするということがわれわれの使命でございますから、その事態の真相を明らかにする必要がある場合において逮捕し、そうでない場合には逮捕しない。いずれもそれは捜査の手段の問題でありまして、手段によってわれわれが事件をいかに考えているかというふうに御判断されますというと、われわれのほうははなはだこれは心外という言葉は心苦しいのでございますが、事案の実態を把握していないということではございません。
○岩間正男君 真相を明らかにすると、そんなら言えるでしょう、背後関係とか、それからその犯行の目的は何だと。こういうことは、一体、ほんとうにあなたたち明らかにすることができるのですか。今捜査中捜査中といって、一方では釈放している。釈放して、はたしてこれの真相を明らかにすることができますか。証拠隠滅だってやってしまうでしょう。そういう危険があるときに、一方でそういう何だかわけのわからない診断書みたいなもので、絶対に承認することのできないようなそんな診断書を作って釈放してしまった。この少年は、私が質問したとき何と言ったか。「警察へ知らして下さい」と言ったこの一言というのは忘れることができない。警察を頼りにしているのだな。警察ともう何かあらかじめ打ち合わせでもできたのだというふうに推測されても仕方がないような、そういうつながりがあるのですよ。そして事件を見るというと、問題をどこまで一体突き詰めたのか、はっきりここで答弁できるならいざ知らず、そういうことを答弁もできない。調査中だということで実はこの問題のあいまいな答弁しかできない。そういう事態において、しかもその日のうちに釈放してしまったということは、これは筋が通りませんよ。こういうやり方が、やはり山口二矢のような事件、浅沼事件のような問題を生む根源なんです。少年だから、あるいは負傷をしたからというような一つのそういう口実だけでこれだけの重大な問題について背後関係あるいはその犯行の目的というようなものが明確にされないのは、非常に私は重大だと思うのです。どうなんですか、これは。今後どういうふうにここのところを明らかにし、そうしてこの真相をあなた公表できますか。どういうふうにするつもりです。
○政府委員(宮地直邦君) 同会場には警察官等は入っておりませんので、関係者の御協力を得て現場における状況等も明らかにし、さらに本人の取り調べ等を中心といたしまして事案の真相を明らかにいたしたいと思っておるのでございます。
○岩間正男君 発煙筒のあれはどこから手に入れたのか、これは調べましたか。
○政府委員(宮地直邦君) 捜査中の問題でございますから、今ここで申すことのほうが、かえって事案の真相を明らかにするのに不適当と思っております。
○岩間正男君 発煙筒などは、そんなに簡単に手に入るものですか。これはよくわからないのだけれども、どうなんです。あれは簡単に手に入るものですか。
○政府委員(宮地直邦君) 発煙筒につきましては、製造に関しましては火薬類取締法の制限を受けておりますが、消費等につきましては何ら規制のないものでございます。
○岩間正男君 そうすると、あなたのほうでは、この犯行というのはどういう法律にひっかかるというような想定をしているのです。
○政府委員(宮地直邦君) これは事態が明らかになりましたときに適用条文等は考慮すべきものだと思っておりますが、さしあたりは軽犯罪法違反という形におきましてこれを取り扱っておるのでございます。しかし、これは当初の段階におきましてそういう罪名において調べたのでありますが、これはあくまでも事態の真相に応じた罪名というものをわれわれのほうは考えるつもりでございます。
○岩間正男君 これは暴行、傷害、そういう問題に該当しないという想定なんですか。最初からどうなんですか。
○政府委員(宮地直邦君) 危険なものを隠し持っておったということがそのときの状況でございますから、それを端緒に調べているのでありまして、最終段階におきましていかなる罪名をもってわれわれのほうがこれを問擬すべきかという点につきましては、今お答えすることはまた不適当なことでございます。
○岩間正男君 最初からこの問題の把握の仕方が私は非常におかしいと思うのです。当日は、あすこに警備警察が配置されておったが、これもあなたわかりますか。それを聞きたいと思っているが、あれだけの警官が配置されておって、そうしてこれを引き渡した。そしていきなり軽犯罪法でこれは調べるのだというようなことを言ったって、その事態の認識というのは私は非常に不十分だと思うのです。ちょうどあの演壇には民主団体の各代表がおりました。わが党の機長野坂参三もおったわけです。私もそのそばにおったわけです。おそらくこれは野坂議長をねらったものだと思うわけですが、そういう点からいって、この背後関係というものは相当深いのではないか。 それからもう一つは、今の原子力潜水艦反対問題、こういう問題について、反動勢力というものはどういうふうに今対処しておるか、だから、あのような平和の集会に対して一つの混乱を与えるという目的のもとに行なわれたということは明白だと言わざるを得ない。今さらその問題をここで論ずる必要もないくらいのきわめて明白な問題だと思うのです。ところが、あなたたちのこれに対処するやり方というものは、実にあっさり考えておる。なるたけこの問題というものを何かこうやみに葬る、そうとしか思えませんよ。大体あの少年があの晩のうちにすでに釈放されたということは納得がいかんです。それから釈放の理由が、今言ったような負傷したというような医者の診断書——ここに写真がありますけれども、その現場でとった写真です。どこに負傷した顔ですか。平気な元気な顔をしていましたよ。これがもう負傷したことに警察に行ったらなってしまった。よくごらんなさい。ここに顔があります。そういうようなやり方について、警察と暴力団のそういう関係そのものについて、これはいつでも問題になることなんだけれども、非常に大きな問題じゃないですか。こういう点どうなんです。 警備警察は一体何人あそこに配置されていたか。一体、警備警察というのは何ものなんですか。警備警察は、あそこに集まった十三万の人たちを守るものじゃないのですか。まるで、何かあそこで問題が起こる、それに対してかねて備えるというような、人民を守るというわけでなくて、むしろ人民を弾圧するようなそういう態勢の方向に使われているということだったらたいへんじゃないか。私はこの問題というものの背景には、根本的な考え方において狂いがあるというように思うのですが、どうですか。
○政府委員(宮地直邦君) この集会の許可にあたりましては、場内におきます警察官の立ち入りというものは、自分たちのほうでやるからというので、警察官の立ち入りを拒否されている形をとっております。したがって、こういう集会につきまといますいろいろの事案の警備という意味におきまして人数につきましては私承知いたしませんが、周囲にそういう者の入ってくること、騒擾的なものを起こすことの防止のために警察官を配備した、こういう状況であることを承知いたしておるのであります。 第二の点の、こういうふうにややもすれば暴力行為を起こすおそれのある団体に関しまして、われわれのほうがこれと手を握っておるというようなことは、警備、刑事を問わず絶対にございません。
○岩間正男君 ちょっと先のほうを聞き落としましたが、何ですか、こういう集会を妨害する者を、それを防ぐために配備しているということですか。警備警察はそうですか。
○政府委員(宮地直邦君) さような集会に対しまして、御承知のように、問々妨害行為が行なわれることがございますので、そういう警備のために警察官も配備しているということを承知いたしておるのであります。
○岩間正男君 それに間違いないですか。
○政府委員(宮地直邦君) そのとおりでございます。
○岩間正男君 ところが、事実は、今言ったような形で、全くあすこの大衆を守るというよりも、今度の処理一つを見ましても、なかなかそれは了解できないところがある。たとえば、この前、三年前だけれども、平和団体、民主団体の行動に対して、安保闘争の際に、六月十五日のあれは、維新行動隊ですか、石井何がしというのが隊長ですね、あのときのやり方などは、万人が見ている。何十万の人が見ている。あのとき、警官は何を守ったか。ほんとうに人民を守るという立場に立ったか。全然見ていたじゃないですか。やっぱり警備局長がいなくちゃ困るね。
○後藤義隆君 今岩間君からお聞きしたことに関連してですが、警察権の行使のあり方についてちょっとお聞きいたしますが、軽犯罪に該当するようなある事件があった場合に、逃亡のおそれもなければ、証拠煙滅のおそれもないような場合に、背後関係がありはしないかということで、背後関係を追及するためにそれを勾留するようなことがありますか、あっていいものかどうか。背後関係を追及するためにそれを勾留することが適当かどうか。
○政府委員(宮地直邦君) 軽犯罪法違反につきましては、住所氏名がわからない、あるいは住所不定であるという以外におきましては、その事態については逮捕することは許されておりません。
○後藤義隆君 軽犯罪でなしに、普通の刑事事件の場合でも、被疑者自身は証拠湮滅のおそれはないけれども、被疑事実がはっきりしているような場合に、背後関係を追及するためにこの人間を勾留するということはあり得るかどうか、適当かどうかということをお聞きしているんです。
○政府委員(宮地直邦君) これは一般問題だと思いますが、逮捕いたします場合には、刑事訴訟規則によりまして、まず第一に犯罪があるという前提に立ちましても、その必要性のない場合におきましてはこれは逮捕いたすことができない状況になっているのであります。
○後藤義隆君 僕の言うのは、必要性があるかないかということが、被疑者自身じゃなしに、被疑事実がはっきりしているが、それ以外に背後関係はありはせぬかということで背後関係を追及するために被疑者を勾留することがあり得るかどうか、また、それが適当であるかどうか、その点をお聞きしているのです。
○政府委員(宮地直邦君) 背後関係という意味でございますが、本件に直結する事態ということになれば、逮捕した令状の名義以外でも調べることはあると思います。はなはだ問題が法律論になりますけれども、逮捕令状に記載した事実以外のことを捜査官が捜査し得るかどうかという問題の場合におきましては、これは調べ得ると私どもは解釈しております。ただ、その場合におきましても、逮捕令状に記載されている事実と別の事件であって、さらにその事態よりも重大な事態がある場合には、令状の切りかえを要する、こういうふうに存じております。
○後藤義隆君 僕の聞いていることは、被疑者の関係はもう明らかであるが、その背後関係、被疑者以外の人に対する何かを調べるために被疑者を勾留することができるかどうか、それがまた適当なあり方かどうかということを聞いておるのです。背後関係というのは、別件だということでなしに、被疑者以外の別な人が何かこれに関連がありはしないかということで、被疑者以外の人の関係を調べるために被疑者についてなお勾留することがあり得るかどうか、そういう方法がいいかどうかということを警察権のあり方について聞いておるわけなんです。
○政府委員(宮地直邦君) それは、共犯関係の場合、共犯であるということが明瞭なような場合におきましては、証拠隠滅というふうに考えられますが、それが共犯関係というものまで立証されないような場合におきましては、いわゆる見込み捜査になるのであります。
○岩間正男君 これは共犯関係の場合もあるでしょうが、その犯行の動機それから目的、こういうものをはっきりつかまなければ、これは捜査としての意味ないわけですね、だから、まあ背後関係という言葉がいいか悪いか別問題として、それとのつながりとして、当人の動機によるものか、他から教唆扇動されたものか、そういうような関係というものを明確にしない限りは、こういう問題の真相というものは明らかにされませんよ。 あの場合、そうすると、何ですか、逮捕ではなかったわけですか。現行犯ですな。現行犯で指揮をさしたわけだな、そうすると、あれは警察はどういう意味で処置をとったのです。
○政府委員(宮地直邦君) いかなる手続をとったか、おそらくこれは現行犯逮捕の常人逮捕の引き渡しを受けたものと私は存じておりますが、手続書類につきましてはまだ見ておりませんので……。
○岩間正男君 もう稲葉さんも見えたし、それからこれは刑事局長では少しお間違いのところもあって不十分です。それで、警察庁長官それから法務大臣に出席を要求して、もう一度これはやり直さなきゃならぬ問題だと思うので、これはあさってぜひ呼んでほしいです。二十七日。とにかく、こういう事態がこのままで不明瞭にされてくることが、右翼の暴力というものを積み重ねてきて、だんだん拡大そして増長さしている原因だと思う。 次には、ぜひこれは伝えてほしいのだが、この防共挺身隊、これはどういう構成になっているか、この構成。まあ暴力団体についてはこれは全面的にあとで聞こうと思うわけですけれども、当面して、この——こと——は自供しておったらしいですけれども、この者の背後にある防共挺身隊、当人はいつここに入ったのか。それから今度の犯行の目的は何なのか、一体。まあそういうような問題について準備しておいて下さい。これと同じような尽力団、暴力問題がたくさんあるのです、これはまあこの次に譲ります。時間が来たようでありますから、眠りますけれども、こういうような事態を今度のようなやり方で解決することについは、絶対やりわれわれは承認できない、こういうものを野放しにされておる、ここにも非常に大きな問題がある。そうしてしかも、今日、国民の平和に対する大きな要求が盛り上がってきておる。こういう段階で、このような背後から右翼暴力団の横行によってこういう妨害を組織的にたくらむというようなことは絶対に許すことのできない問題ですから、その点についてあらためて責任者の出席を求めてやります。
○委員長(鳥畠徳次郎君) それでは、本件に関する調査は一応この程度にとどめます。 —————————————
○委員長(鳥畠徳次郎君) 一時中断いたしておりました刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法案に対する質疑を続行いたします。
○稲葉誠一君 これから第三者の所有物の上に設定してあるいろいろな担保物権があること等の場合について、お聞きをしたいと思うのですが、その前に、午前中ちょっと聞いた中で、特別法に関係することで、たとえば麻薬取締法などの場合に、これが犯人の所有・占有に限るというきめ方がしてあるわけですが、なぜ酒税法と同じような規定の仕方をしないかというような質問のときに、たとえば医師が正規に持っていたものが盗まれていった、そうした場合など、没収してしまうというと非常に弊害があるからという話だったと思うのですが、しかし、医師が正規に持っているものを盗まれたとした場合には、医師はいわゆるあらかじめ悪意であったということにはならないのじゃないですか、その麻薬なら麻薬を第三者に所持せしめることについて悪意だったと言えないのだから、最高裁の判例からいっても、その場合には当然、今言ったような設例では、医師のものを没収するというような問題が起きてこないのじゃないですか。だから、ちょっと私さっき言った設例はどうも最高裁の判例が出た以上は筋が違うのじゃないですか。
○政府委員(竹内壽平君) 医師が善意の場合には仰せのとおり処理できるわけでございますが、医師が善意でなかった場合ですね悪意の場合、あるいは、はっきりした共犯というふうには言えないけれども、脅迫されて事情は知っておったといったような場合等、いろいろニュアンスがあると思いますが、正規麻薬というのは廃棄することもいけないということになっておるくらい麻薬の所在というものは非常に厳重な監視下に置かれておるわけでございまして、そういうような厚生省の麻薬に対する行政上の必要から、まあ常に没収されるのだということでは、工合が悪いので、やはり裁量没収にしておいてほしいというような御要望もございましてこういう処置になったというふうに私は承知しております。
○稲葉誠一君 今の問題はこの法案の直接の関係じゃありませんから、この程度にしておきますけれども、どうも麻薬取締法の没収の規定はそういう行政目的があるのかもしれませんが、何か規定がおかしいような感じがしてならないのですが、これは十分御検討願うことにしたいと思います。 そこで、没収の効果が原始取得だと、こういうふうになってくると、第三岩の所有物にいろいろな権利が設定してある場合は、いろいろ法律関係、効果はどういうふうになるのでしょうか。
○政府委員(竹内壽平君) 第三者の物権等が対象の物の上に設定されておる場合、この法案との関係でございますが、この法案はそのようなものには適用されないという建前で、そういうものについては没収できぬということになるわけでございます。これはこの法案としましては問題を十分解決していないことになるのでございますけれども、それをも解決しようということにいたしますると、天体法の面でさらに幾つかの条文を作りまして、そういう前提条件が必要になって参りますので、緊急応急的に措置しようというこの法案の建前としては、そこまで手を伸ばすことが困難でございましたので、そこまでは考えなかったということでございます。もちろんその前提としまして物権を負担しておるような事例等も調査をいたしてみましたのですが、私どものわずかな調査ではございますけれども、その調査の範囲内ではそのような事例にぶつからなかったというようなこともございまして、割愛をいたしておるわけでございます。
○稲葉誠一君 それは五年間に一件しかなかったというふうなことを前に言われておるのですが、そうすると、第三者の所有物に物権が設定してある場合というのは、どんな例が考えられますか。
○政府委員(竹内壽平君) 衆議院の委員会で、私五年間に一例ということを申し上げたのですが、それは追徴のほうと間違えて申しましたので、物権設定のほうは一件も見当たりませんでした。これは、考えられますことは、船のようなものは担保物権が設定されている場合等があるわけでございまして、観念的には十分想像することはできるわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、そういう場合には、適用されないという明文はないけれども、最高裁の判例からいってそういう第三者の所有物に対して物権を持っている人に対しても意見、弁解防御の機会を与えなければならない。それが与えることが規定されておらない以上、それに適用するということは権謀違反の問題があるから適用できないのだ、こういうことになるわけですか。
○政府委員(竹内壽平君) そういうふ うに御理解を賜わりましてけっこうだと思います。
○稲葉誠一君 そこで、問題になるのは、第三者の物件の上に権利を設定するというのは、一体いつまでに権利を設定した場合が没収できないのかということが大きな疑問になってくると思うのですよ。判決はあるけれども、確定しないわけですね、十四日間。その間に権利を設定したということになれば、その間でも没収できない。あるいは、言い渡しがあることがわかってくるから、その前に権利を設定してしまう。そういう場合にはそれはできないのだということになれば、この法案というものは全然適用の余地がなくなってしまうのじゃないですか。それはみんなやりますよ。それは抵当権の問題だけじゃなくて、登記のような場合もあると思うのですよ、物権によっては。これはあとで詳しくお聞きしますが、それがはっきりしていなければ、この法案ができても、ちょっと悪い人間にかかれば全部第三者の所有物を没収できないというようなことになって、逃げられてしまうわけじゃないですか、そこをどういうふうにするのですか。
○説明員(臼井滋夫君) お答えいたします。 確かに観念的には仰せのような問題があると存じますし、また、そういう弊害が全然ないとは断言できないのでございますが、従来、没収が行なわれておりましたのは、主として麻薬とか、あるいは密輸貨物とか、あるいは密造酒とかその容器の類でございまして、いわゆる動産でございます。しかも、大部分のものは、捜査の過程におきまして押収しておりまして、警察の押収からさらに検察官の押収に引き継がれ、さらに裁判の段階では裁判所が押収いたしておりますので、そういう没収の裁判が言い渡されるであろうということを予測してことさらに質権等の対象にするということは、実際問題としてほとんど不可能のことに属するわけでございますので、観念的には仰せのような問題が確かにございますけれども、従来の実例に徴しましても、この点について特に大きな弊害が生じてくるということはほとんど考えられない、かように予測しているわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、押収してあるのとしてないのとあるわけですが、押収してあった場合、その押収はどういう法的な効力を持つわけですか。差押の効力を持つのですか、法律的に。
○説明員(臼井滋夫君) 押収してございます場合には、捜査機関なりあるいは裁判所が、その物について占有を取得いたしております。したがって、占有権の移転を必要とする質権の設定が実際問題として不可能になる、こういう考え方でございます。
○稲葉誠一君 不動産が第三者没収の対象になるということは考えられないのでしょうか。
○政府委員(竹内壽平君) 理論としましては考えられることでございますけれども、実際問題としては起こってこないのじゃないか。また、実例も、調査した限りでは、一件もございません。
○稲葉誠一君 船舶の場合には、実際に押収はするとしても、現実にその物を裁判所の管理下に直接置くという形をとらないで、だれかに預けたりするわけでしょう。そうした場合に、船舶などには、これは船舶登記というのがあるのじゃないですか。船舶の場合など、抵当権設定はできるのじゃないですか。
○説明員(臼井滋夫君) 確かに、御指摘のとおり、船舶につきましては、船舶抵当権の設定ができまして、押収してありましてもいわゆる庁外保管をしております場合には、船舶抵当権の設定も可能でございます。 ただ、従来関税法違反事件におきまして没収されておりましたような船舶の大部分は、船としては非常に価値の少ない、漁船でもたかだか数十トンの漁船であるとか、あるいはもうほとんど廃朽しているような船、そういうような船でございまして、したがいまして、従来船舶について没収が行なわれたケースを調べてみましても、その上に抵当権が設定されておったという事例は、調べました限りではなかったわけでございます。
○稲葉誠一君 従来はなかったかもわかりませんが、この判例が出てきた。それで、これは刑事局長にしても参事官にしても答弁している中に、「実際には被告人である犯人の所有のものでありましても、第三者のものであるというような弁解をする風潮も徐々に見受けられるようになってまいったわけでございまして、」云々と、こう言っているわけです。これはだんだんとおそらく出てくると思うわけです。そうして抵当権を設定しますね。しましたら今度はもう没収できなくなってしまうということになったら、密輸の船舶なんか、全然没収できなくなりますよ。だから私の聞きたいのは、押収した場合には、あとから抵当権を設定しても、押収は差押と同じ効力を生じて押収には対抗できないのだというような法律的なものがあればまた別ですけれども、それが現在全然ないでしょう、この規定の中には。それじゃ、これはどんどんやられてしまりのじゃないですか。どうもそれは観念的だけじゃなくて、実際問題として起きてくるのじゃないかと思うのですがね。
○政府委員(竹内壽平君) 御心配の点は、そのとおりたと思います。しかしながら、ただいまの段階で申しますと、午前中に申し上げました昭和三十五年の最高裁の判例の趣旨というのが、学者も批判しておりますように、やや狭きに過ぎるわけでございまして、特に一審の判決があって公にされてから後において、権利の移動が起こったり、あるいは今のような物件を設定したり、こういうことで、そのために没収の効果が減殺されてしまうというようなことでは、判例の趣旨を貫いて参りますと、あらかじめ悪意であったということでありますので、今言ったような不都合が生ずるわけでございます。したがって、どうしてもこれは根本的に手直しをして制度としても確立し、その間の二十九条との関係におきましても実体法の正しいあり方を検討してきめていかなければならぬと思います。しかし、将来起こってくるかもしれないのでございますけれども、そういうものまで全部拾い上げて正しい合理的な没収制度ということになりますと、こういう応急措置法ではとうてい間に合わないのでございまして、そこら辺の利害得失をどの程度に考えていくかということがこの法案の大きなポイントになるわけだと思いますが、私どもとしましてはそのような事例は今まで一件もなかったということで安心しているわけじゃございませんが、根本的な解決を若干先にいたしまして、とりあえず判決で違法状態が起こってきたためにさしあたり困る密輸貨物、麻薬の類その他濁密のようなものを第三者のものであるということのゆえに没収ができないというような不都合を除去する最小限度の措置を講じたい、こういうことで、これは立法政策上、そういうことは十分承知ではございますけれども、やむを得ないことでありますので、そういうふうにいたしたわけでございます。
○稲葉誠一君 やむを得ないと言われるのですが、これは現実の問題としてすぐ起きてくるんじゃないですか。どうもこの点ははっきり明文にしておかないというと、実際にせっかく応急措置法を作ったって、悪いやつにかかるというと活用できなくなってしまう危険性がありますね。僕はそう考えるのですが、それと、今言われたいわゆる裁判所の押収によってそれが差押と同じ効力を生ずるのだ、その後の所有権の移動というものは裁判所なり国の行為に対しては対抗できないのだという理論構成はできないのですか。それができれば割合簡単なんじゃないですか。
○政府委員(竹内壽平君) これは庁外保管のような形ですね、これをやっておりますために起こってくる一つの底抜けみたいなことになるわけでございますが、現実に押収をして保管をしておる場合にはそういうことはあり得ないわけでございます。問題は、庁外保管をしても、船舶等でそういう問題が民事関係上どうも措置することができないように思われるのでございますが、これは今後船舶のようなものの保管の方法等につきまして、これは法律上じゃなくて、事実上そういうような措置が講じられないような配慮をしていくことによってある程度防ぎ得るんじゃないかというふうに思います。 それから、これも前に御説明申し上げたことかと思いますが、この種の第三者というのは、実は法案上はまさしく第三行でございますが、実体上は共犯者であると認められる者が大多数でございまして、であるから、かえって名曲が出てこなかったり、逃げ隠れしておったりということで、むしろ訴訟参加をしてくるというのがどしどしふえてくるというふうにはとうてい実態から申しまして思えないわけでございます。まあそこら辺の観察が甘いとおっしゃれば、そういう点が甘いかもしれませんが、一応この段階ではそういうふうに考えて措置していってよかろうと考えております。
○稲葉誠一君 裁判所の押収処分ですね、これが差押と同じ効力を生じて、その後の物権の移動は裁判所に対抗できないという理論はできないのですか。無理ですか。
○説明員(臼井滋夫君) ただいま仰せのような考え方は、現行法制上のものではちょっと無理ではないかと考えられるわけでございます。これは担保物権の問題のみならず、たとえば第一審で没収の裁判言い渡しがございましてから上訴審で確定する間に第三者に譲渡するという問題もあり得るわけでございまして、もし仰せのような考え方が取り得るならば、そういった譲渡が民事上の譲渡行為として効果を生じないということになって、没収を占奪する手段を防止するために非常にけっこうなことだと思うのでありますけれども、やはりこれについてはそういうことをはっきりさせる規定がございませんと、取引の安全等の関係から見まして無理ではないかと考えられます。 ちなみに、そういう問題は、日本のみならず、外国でも問題になっているようでございまして、現にドイツの連邦議会で審議されております一九六二年の西ドイツの刑法案におきます没収規定におきましては、そういった没収の裁判言い渡し後確定までの間における譲渡行為がありましても、それは譲渡行為としての効果を生じないという一種の保全処分的な効力を認めて規定があるわけでございまして、将来の立法問題といたしましてはそういった方法も十分考慮されてしかるべき問題だと存じます、しかし、これは手続法で手当できる問題でございませんで、ドイツ草案の例等を見ましても、やはり実体法、特に刑法の没収の総則的規定におきましてそういう点を明確にしなければならない筋合いのものでございますので、この法案の内容にそういうことを手続的に規定するということはいささか立法技術的に困難であろうと存じます。 また、実体的に考えましても、どの程度そういう没収について保全処分的な効果を認めるか、一面においてまたどの程度民事上の取引の安全を保護するかという大きな民事、刑事にわたる実体法上の問題がございますので、こういう問題は、十分法制審議会等におきまして議論されてのちに結論が出さるべき筋合いの問題だと考えているわけでございます。
○稲葉誠一君 押収になっている物件であっても、最終的に没収が確定するまではまだ個人の、被告人のものなり第三者のものですから、それは所有権の移転ということは自由にできるのでしょうね。
○政府委員(竹内壽平君) 仰せのとおりでございます。そこで、問題は、用益権でございますが、所有権が第三者の押収中といえども移って参りますので、犯行の以前から情を知っていたというその所有者だけが対象になることになりますと、何としてもこの第三者没収の制度の効果を半減するわけで、そういう点の実体法を合理的なものに固めておいて、そうしてさらに手続で、参加の手続あるいは事後救済の手続を全きものにして権利の調整をはかっていくということがこの没収制度の今後の解決方法であると思います。実体法の面ではいかにもいろいろな種類のものが多くあり過ぎまして、その間の実情に合わないものもありますし、それは、行き足らぬ面もありますし、オーバーになっておる面もあるんじゃないかと思われるわけでございます。そういう点を全面的に検討した上できめていきたいという考えでございます。
○稲葉誠一君 私が考えているのは、この法案がせっかくできますね、応急措置で。だけれども、今の船舶の場合もそうですけれども、それ以外の普通の動産物権の場合でも、やりようによっちゃ、悪いやつにかかるというと、全然これが利用できなくなってくる抜け穴というものがあるんじゃないかということをどうも考えざるを得ないような気がするのです。たとえば、今言ったように、押収になっておっても所有権の移転は自由ですね。所有権の移転だけでなくて、庁外保管のものでなくて庁内保管してあっても、それに対して、自分の所有権ですから、質権を設定する。実際に占有を移しません。倉庫に預けてある物に対して質権を設定するのと同じです。これは占有の改定でいけるでしょう。占有の改定でいけば、第三者に対して質権を設定して、そして第三者が質権を取付する、こうなってくれば、結局そいつはできてないのだということになれば、全然これはだめになっちゃうんじゃないですか。だから、裁判所に押収してある物件であったところで、それに対して質権は設定できるんじゃないですか。これはできますよね。できないという規定はないですよ。それをやられたら、何にもならなくなっちゃう。
○政府委員(竹内壽平君) 理論としますと、先ほど申したように、そういうお考えのようなケースも起こってくると思います。しかし、実際問題として庁外保管の場合にそういう事態があり得ると思いますが、検察庁の倉庫の中に入っておるものは、ほかの役所や常業倉庫に入っておるものと違って、コンマーシャル・ベースで取引が行われるなんということは普通はあり得ないことでございまして、もししいてそういうことをやったということならば、十分まだこの没収以外の形において対策も講じ得るんじゃないでございましようか。私はそれはそれなりに、そういうもし事案が頻発してくるということであるならば、それは没収制度そのものにつきましても、刑法の一般改正に先立って早く処置をするということも考えられますし、また、没収以外の方法で十分考えていいんじゃございませんか。私はそういうふうな考え方もできると思います。実際問題としては起こりませんことだと思います。
○稲葉誠一君 実際問題として起きるか起きないかは、これは見解の相違というか、あれだと思いますね。悪知恵の働いたやつがうんと出てくれば、やるかもわからない。理論的には、検察庁の倉庫にあろうと、裁判所の倉庫にあろうとその物件に対して質権を設定することはできるのですか。できるんじゃないですか。
○説明員(臼井滋夫君) 理論的には、仰せのとおり、国家機関におきまして占有中の物件につきましても、質権の設定は可能であろうと存じます。ただ、質権の設定は、通常の場合には、現実の占有移転を必要とするわけでございますが、検察庁の倉庫にある、あるいは押収して裁判所が保管しているというのは、民法の百八十四条の指図による占有移転によって質権を設定するほかないと存ずるわけでございますが、その場合におきましては、この条文で参りますと、本人すなわち質権設定者が、代理人である占有代理人としての検察官あるいは裁判所に対しまして、自後第三者すなわち質権者のためにその物を占有すべき旨を命じまして、第三者がそれを承諾したるときにはじめてその占有移転の効果を生するわけでございます。したがいまして、実際問題になりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、現に押収されておるものについて質権が設定されるということは、あったとしても、きわめてまれなケースであろうと、かように考えられるわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、第三者の物件の上に権利が設定してある場合のことは、それで大体のことはわかったのですが、そうすると、今の場合は、指図による占有の移転ですか。だから、承諾が要るということになると、承諾することがないから、現実には行なわれないと、こういうわけですね。それはそうたと思います。 そこで、第三者が持っているものをどんどん所有権を移転してしまいますね。裁判をやっているうちにどんどん所有権が移転しちゃったら、第三者をどうするのですか。何回もそれに対して参加の機会を与えなければいけないのですか。この応急措置法ではどういうことになるのですか。
○政府委員(竹内壽平君) これは、前の所有権が移転した場合には、前の参加人はその資格がなくなりますから、無論棄却になるわけでございます。新しい参加人は、裁判所あるいは検察庁も知らない場合が多いと思いますが、そういう場合には、検察官としましては知らないでいるわけでございますが、知らないでおりましても、正当な所有者だというふうに思っている者があれば、それは告知がなくても参加の申し立てをすることができるわけでございます。その申し立てがありました場合には、裁判所は、そのいきさつを調査した上で、真に所有者であるということになれば、参加人としての地位を認めて弁解、防御の機会を与えるとか、それらも全部逸してしまって、裁判のあってから後に所有権の移転者があって、私が所有者であるというふうになった場合には、それはこの十三条の事後救済の規定で処置していく、こういうことになるわけでございます。
○稲葉誠一君 最初に押収された物件が、第三者が応急措置法で参加してやっているうちに、もうくるくる所有権が移転してしまう。そうすると、そのたびに、甲という第三者が出てきて、いや今度乙に移転したのだと、こう言いますね。そうすると、検察庁のほうでは、乙の名前なんかわかっておれば、今度乙に通知しなければならないわけでしょう。そうこうしてやっているうちに、出てくるか出てこないか、とにかくそのうちにまた丙に移転してしまう。また丙にやらなければならない。それでくるくる幾らでもやってきて、裁判は、それは被告人のほうの裁判は確定するかもしれませんけれども、年がら年じゅうこれをやっていては、ちっとも確定しないのじゃないですか。第三者没収の行使ができなくなってしまうのじゃないですか。それに対して制限規定というものを設けていかなければ、これは非常に不完全なものになるんじゃないか。そこまでは考えられないですか。
○説明員(臼井滋夫君) 観念的にはただいま仰せのようなことは考えられるわけでございますが、 ただ、現実に、没収せらるべき物件として裁判で係争中の物件であることを十分わかりながら第三者が無償または有償で譲渡を受けますならば、その物について没収の言い渡しがなされるということは当然予測されるわけでございますから、通常の場合にはそういった争いのある物件を没収される危険をおかしてまでも買い受けるということはあまり考えられないわけでございまして、実際には御指摘のような心配すべき事態というものは、起こり得てもまれではなかろうか、かように考えるわけでございます。
○稲葉誠一君 コマーシャル・ベースでの移転ということはないわけですよ。だから、いわゆる通謀的にやるのだと思いますか、それは十分観念的かもしれませんが考えられてくる。だから、裁判所が令状によって押収した場合には、何かその後の所有権の移転の問題、ことに判決の確定するまでの間の所有権の移転ですね、これらは対抗力がないような形にしなければ、複雑になってきてしょうがないのじゃないですか。
○政府委員(竹内壽平君) 仰せのとおりでございますその部分をドイツ法のように制限する規定を設けたほうがいいと思いますが、これには実体法を作らなければならぬ。これは手続法ではございませんで、そういう規定を刑法総則の中に設けましてやる。それも、そういう規定を考える場合には、それを設けるくらいなら、もっと実体法でたとえば附加刑であるというふうな点をはずして没収をもう少し実体法として整理しなければならぬ。一つ、二つ、三つとだんだん実体法を直していくということになりますと、これはそれだけでも膨大な大きな改正になってしまいまして、とうてい応急措置法には間に合わないという——私ども実は事務的に考えてみて幾つか案を作ったわけでございますが、そういうことなどで割愛をしたわけでございますが、将来の立法におきましては当然慎重に考慮さるべき事項でございまするので、御趣のあるところをよく私ども銘記しまして処置をしていきたいと思います。
○稲葉誠一君 ただ、今のようなやり方をするというと、不当に所有権を制限する懸念もありますから、当然慎重にやらなければならぬことなんですが、没収が実体法だ実体法だからというのでいかにも改正というか何なりがむずかしいもののようにも言われるわけですけれども、それよりも、むしろこの応急措置法、これを作られるための努力というものは、率直に言うと、日本の法律では初めてです。こういう形で、刑事訴訟法と民事訴訟法とが入ったような、今までにない法律の規定の仕方ですから、こっちのほうが努力が要ったので、この法案を作るのにこれだけの努力をするなら、没収制度の基本的な改革ということをやるのとその努力の度合いはそう違わないのじゃないかと思いますが、今まで没収の問題については長い間基本的な整理というか研究ができているはずなんですから、今の段階で没収の基本的な問題を取り上げても、やればできるのじゃないですか。
○政府委員(竹内壽平君) 私ども行政官庁に職を奉じております者の立場を申し上げざるを得ないことになるわけでございますが、私どもの立場としましては、何としても今国会会期中にこの穴のあいた部分を埋めて補正していくという義務があるというふうに感じておるわけでございます。そして、われわれがそれをなしとげていこうとするためには、法務省には法制審議会というものもあるわけで、基本法典の改正をしていきますにはそれらの審議に付していかなければなりません。刑法、刑事訴訟法の現行法を手直しをするということになりますと、幾ら緊急でありましても、やはりそういう議に付していくのが行政の常道であろうと思いますが、今回それをやっておりますと、とうてい間に合わないということになりましたので、刑法、刑事訴訟法には一切手を触れずにしかもこの穴を埋めていくためにはどうしたらいいかということで、文字どおり血のにじむような努力の結晶がこれでございます。もちろん不十分でございますけれども、そういうようないろいろな制約のもとに解決をはかろうとしたところに御趣旨に沿わないような点が出ているわけでございますが、これはわれわれも万々承知いたしておりますけれども、真にやむを得なかった次第でございまして、御了解を賜わりたいと思います。
○稲葉誠一君 その問題は、これ以上やっても同じことですから、あれしますが、これだけの法案を作る努力をされるならば、法制審議会を経なくちゃいかぬかもしれませんが、没収制度の基本的な改革の問題のほうに早く乗り出したほうが結果としてもそれだけの効果があがったのじゃないかという感じがするわけなんですが、今ここで話していてもあれですから、この程度にして、今後は条文に入って質問したいと思います。「逐条説明書」で、第一条ですが、「刑事事件における」云々ということになっているわけですが、これは刑事事件においての規定であることはわかり切っているんですが、刑事事件以外でも没収をきめたものは相当あるわけですか、それは行政罰則じゃなくて。
○政府委員(竹内壽平君) これは任意にするという前提に立っておりますけれども、憲法三十一条との関係におきましては、「刑罰」という中に入る制裁ないしは制裁的処分というようなものも三十一条のデュー・プロセス条項に抵触する問題だと思いますが、そういうものを考えてみますと、幾つかそういう行政処分によって没収と同じ効果を持つような制度が現存しております。そういうものにはこの法案は関係ないのだという趣旨を明らかにしているわけでございます。
○稲葉誠一君 その行政手続でやるのも憲法三十一条に含まれるわけですか。
○政府委員(竹内壽平君) さように理解いたしております。
○稲葉誠一君 その点は、三十一条の条文はどういうふうになっていましたか。処分……制裁と書いてありましたかね。
○政府委員(竹内壽平君) 「刑罰を科せられない。」というふうになっておったと思います。「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」、「その他の刑罰」という言葉は、形式的に刑法に定めてある刑を科せられないというだけではなくして、制裁的なもの、それから制裁的な意味を持った不利益処分、そういうものまでも含むものというふうに憲法学者は解しておりますし、判例も、そこがはっきり実は判例のほうはしておりませんけれども、それに近い見解を示しているわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、この法律は刑事事件に関連する場合ですが、刑事事件でない、今のような行政手続というんですか、制裁といいますかね、そういうふうなものでも、その人以外の第三者の物を、没収でなくて没取、あるいは官没、いろいろありますけれども、それは最高裁の判例が出ても別に改めなくてもよろしいというのですか。
○政府委員(竹内壽平君) これはなかなかむずかしい問題でございまして、最高裁判例の趣旨を推論して参りますと、結論としましてはやはりこの理倫がかぶってくるんじゃないだろうかというふうに思うわけでございます。ただ、何と申しましても、関税法や国税犯則取締法の通告処分というような制度でございますが、これは任意に出すという建前になっております。この任意をこれまた理屈を言うなれば、第三者の物を任意に出すわけですから、その本人が、これを犯則事件として出さざるを得ないから、損害は自分が弁償するかどうか、とにかく策三者と本人との間で解決するとして、物そのものは国に出さなければならないということで、そういう了解まで取りつけて通告処分に応ずる。法律的に言うなれば、任意に出したということでありますから、そこまで考えていいかどうか、そこまで考えるのは勝手過ぎるのであって、本人は、第三者が承知するかどうかは別として、自分は異存がないというだけで出すのであるか、その辺のところがなかなかむずかしい問題であろうかと思いますが、いずれにしましても、任意提出という形をとっておりますので、何でもかんでも通告処分が違法であるというふうにきめつけるわけにはいかないと思います。しかしながら、善意の第三者の物が通告処分によって没収されてしまうと同じ結果を生ずるということになりますと、やはりこの判例の精神はかぶってくると思いますので、この処分につきましても、将来の姿としましては手続を定めていくのが相当だと思います。しかし、今回はそこまでとうてい手が及びませんので、刑事事件だけに限定してやったわけでございます。したがって、通告処分の制度はこれでは死んでしまうかということになりますが、これは必ずしも死なないので、異論のありますものにつきましては、もちろんこれは通告処分は行政処分として処置をする前置処置でございますから、もしそういう疑いがあって問題が起こりそうだということになれば、告発をして刑等処分としてそれを取り扱っていくということになると思います。その辺はひとつ運用のよろしきを得て第三者の権利の棄損にわたることのないように処置していくということで、実はこの問題につきましても、私どものほうから最高裁の判例が出ますと同時に関係方面にも通知いたしまして、関係方面でもそのようなことの起こらないようにあの判決以後は処置しておるわけでございます。
○稲葉誠一君 それから没収に関係するのですが、たとえば銃砲刀剣類等所持取締法にいうところの仮領置というのは、これはこの法律とどういう関係になるんでしょうか。
○政府委員(竹内壽平君) 仮領置というのは、検察庁で坪来証拠品になるかもしれない、あるいは証拠品ということで領置をいたします。押収は行政処分による物の保管でございますが、領置ということになりますと、任意に提供して保管する。仮領置というのは、まさにそれに相当するものでありまして、所有権には何ら関係のないことでございますから、仮領置で物を取り上げられているという状態がございましても、行政処分による没取とか官没とかそういったものとは性質が異なりますので、本法案にはもちろん該当しませんし、いわゆる行政処分というものにも該当しないというように考えております。
○稲葉誠一君 食品衛生法の場合で、何か見本を収去する場合がある。こういうふうな場合は、これはこの法案とどういう関係があるのですか。
○政府委員(竹内壽平君) なお条文を見まして十分検討してお答え申し上げますが、私の感じを申し上げますと、これは物そのものを全部取り上げるのじゃなくて、目的は取り上げることにあるのじゃなくて、試験として試供品というような意味でそのうちの一部を取る。これは行政上付随して起こってくる事柄でありますから、没収とか行政処分とかいうような形で論ずべき性質の行政処分ではないというふうに思っております。
○稲葉誠一君 第一条に、「被告人以外の者」という文字がありますが、この「被告人」というのは、共同被告人ということももちろん含むわけでしょうね。
○政府委員(竹内壽平君) 同じ公判に共同被告人として審理されております者は、この「被告人」の中に入るわけでございます。
○稲葉誠一君 この説明の中に、誤って第三者の所有物が没収された場合には云々とありますが、これは十三条のことだと思いますが、誤って第三者の所有物が没収されるということを初めから想定しているというのはおかしいのじゃないですか。そんなことはあり得るのですか。
○政府委員(竹内壽平君) これは、和は起こり得ることだと思うのであります。実体法上没収できないものを没収という形式的な裁判が確定してしまうということがあり得るわけで、その場合には没収できないという筋合いのものだということで、十三条で救済の道を講ずる。これは実体的に考えてそういう場合も起こり得るというように考えるわけでございます。
○稲葉誠一君 実体法上考えられるというのは、 所有権が違うという意味だけですか。
○説明員(臼井滋夫君) 実際に従来こざいました例で申し上げますと、こういうケースがございます。ある犯人が日本刀を使用いたしまして自分の実母を脅迫したという事案がございますが、この脅迫の用に用いられました日本刀、これにつきましては、その犯人は、警察、検察庁でも、また、裁判所の公判におきましても、自分の所有物である、これは自分の友人からもらい受けた日本刀である、こういう供述を一貫してしておりますので、検察官もそれは当該被告人の所有物であるという判断をし、また、裁判所もそういう判断をいたしまして、没収の言い渡しをいたしました、しかも、犯罪事実については何ら争いがなかったので、第一審で確定してしまったわけでございます。ところが、確定後の没収物の執行処分の段階になりましてから、本来の真の所有者が出て参りまし、それは公判段階ではその被告人が友人からもらい受けたと言っておりましたが、その友人は、それは貸したにすぎないのだ、しかも、それは自分の留守中に自分の妻のところに来てちょっと貸してくれといって持っていったままになっておる、まさかそれが犯行の用に供されて没収されるるとは思っていなかった、そういうことが判明いたしましたので、現在の刑訴法の四百九十七条に基づきまして、検察官の判断によりまして、今申し上げましたような事実関係を明確にいたしました上で還付いたしております。そういう具体的事例もございますので、これは、数々あるケースとは思いませんけれども、今述べたようなケースがまれにはあり得るだろう、こう考えられるわけでございま
○稲葉誠一君 今言ったような例は、確定しちゃった後でしょう。確定しちゃった後に自分のものだと言って来たわけですね。それなら、私が前に言ったように、確定しない前に、第三者の物件の上に自分は物件を持っていたのだということをいろいろな角度から主張してくる人がどんどん出てくるのじゃないですか。考えられるのじゃないですか。今言った例と対比したって、それは議論のあるあれですが、ちょっと話が前に戻って恐縮なんですが、あなたのほうの鈴木蔵男さんの書いたものに、これは手続で、あとのところに行って質問したほうがいいと思うのですが、最高裁の判例が「被告人に上訴の利益を認めた点についてはなお疑問がないわけではない」と、こう言っているのですが、これはどういう意味でしょうか。これは、例のアメリカの連邦裁判所の判決のような場合と対比して、ことに今度の関税法違反の場合に被告人に上訴権を認めたのはおかしいという考え方なんですか。
○政府委員(竹内壽平君) 鈴木君の述べられておる見解の真意は私はわかりませんが、鈴木君は、アメリカの対物訴訟につきましていろいろ研究を深くしておりまして、私どももこの法律案の過程において鈴木君の御意見もずいぶん聞いたわけでございますが、アメリカでは、対物訴訟という関係もありましょうが、実体規定の面でかなり日本とは違って、広い範囲で第三者没収を認めるということになっておるようでございまして、その手続におきましても、相当、何といいますか、われわれから見ると保護が薄いのではないかというふうにも思われるような運用もあるやに聞いておるわけでございまして、そういう実体から見て、不服だといって上訴の道までも開いて、事前の意見、弁解、防御の機会を与えるのに、その限度でございますが、上訴の機会までも与えて保護するということは厚きに過ぎるのではないかというような趣旨でお述べになっておるのじゃないかと私は想像するわけでございますが、前後の文章の加減で私の申したこととは逢うかもわかりませんけれども、鈴木君の平素の御意見等からみますと、そういう感じが、いたしております。
○稲葉誠一君 それから「ジュリスト」で、これは臼井参事官が書かれたもので、この第三者没収のやり方については、「大まかに言って、次の二つの方法が考えられた。」ということで説明をされているわけですが、一つは、「第三者を本案被告事件の手続に参加せしめ、当該手続の中で意見、弁解、防禦を尽くさせる制度である。」と、こう言っているわけですね。ほかのもう一つのやり方は、「没収の裁判の確定前には右のような手続を認めず、没収の裁判確定後一定期間を限って第三者に没収の裁判に対する異議申立の権限を認め、やらせる、こういうようなことを言っておられるのですが、そのうちで、第一の制度をとったこの理由ですね。それから第二の考え方では、「なお違憲の疑いを十分に払拭しきれないうらみがあるからである。」と、こう言われているのですが、第二の考え方でどうして憲法違反の疑いを十分に払拭し切れないと考えられるのでしょうか。
○政府委員(竹内壽平君) これは昨年十一月の大法廷の判決の読み方にもよると思いますが、事前に弁解、聴聞、防御、こういうことが並べてございます。この弁解、聴聞はあるいは証人でも事は済むかもしれませんが、防御ということになりますと、ただの証人では防御の方法は托せないわけでございまして、どうしても事前参加の規定を設けないと、あの判決に言う違憲性というものを払拭することはできないのじゃないか。これはもう全然判決を離れて客観的に法律制度として考える場合には、いろいろ意見の立て方もあろうかと思いますが、あの判決の防御という点を尽くすには、どうしても事前に参加の道を開かないと、その参加がいいか当事者がいいかということはもう一つ議論がございますけれども、そういうを道を開かないと趣旨は徹底しない、こういうふうに考えるわけでございます。 〔委員長退席、別事後藤義隆君着席〕 それから、事後の手続だけでもいいという説もあるくらいなのに、事前の参加のほかにさらに事後の救済方法までも丁寧に規定したのはどうかというような点までもあわせて検討されなければならんと思いますが、これにつきましては、西ドイツの秩序違反法という法律がございますが、この法律は、私は相当進歩的な近代的な、権利保護に欠くるところのない法律だと思います。これを参考にいたしまして、この法案を作ったわけでございます。
○稲葉誠一君 第三条の(参加の手続)の問題ですが、この「第三者」というのは、これはこの前も聞いたとおり、法人も入る場合も当然あるわけですね。
○説明員(臼井滋夫君) 仰せのとおりでございます。
○稲葉誠一君 この中に「交通事件即決裁判手続による裁判があったときは、」云々としていろいろありますが、この交通事件即決裁判などの場合で第三者没収が考えられることがあり得るというのは、どんなことでしょうか。
○説明員(臼井滋夫君) 交通事件即決裁判手続におきまして第三者の物が没収されるという事例は、従来ほとんどございませんのですが、考えられますのは、道路交通法の中でも、たとえば道路の交通に妨害になるような物件を放置するというような行為を処罰しておる規定がございますが、この種の違反行為は交通事件即決裁判手続で処理されるのが通常でございますが、その物件が第三者のものである、しかもさして価値の高くないものであるというような場合には、理論的には第三者没収があり得る、かように考えられるわけでございます。
○稲葉誠一君 これは交通を妨害したということですか、物件を何か並べたか何かして。これは道交法ですか、普通の刑法の往来妨害罪ですか。
○説明員(臼井滋夫君) お答えいたします。 道路交通法による罰則でございます。たとえば道路交通法の七十六条で(禁止行為)といたしまして道路交通の妨害になるような各種の行為を列挙しております。これは、刑法の往来妨害罪にはならない程度であるけれども道路交通を妨げる程度の違反行為として処罰をしております。この禁止行為をさすような物件か考えられるわけでございます。
○稲葉誠一君 それは、道交法で没収規定があるわけですか、刑法の一般規定にあるわけですか。
○説明員(臼井滋夫君) 刑法の一般規定によるわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、私は、道交法のところで考えられるとすれば、今言ったような場合を考えなかったのですが、たとえば自動車で人をひいたとかなんとかいう場合には、その自動車は一体何になるのですか、犯罪との関係で。
○説明員(臼井滋夫君) 自動車で故意に人をひいたというような自動車を凶器とする殺人のような場合には、これは当然に当該自動車は犯罪行為の供用物件でございます。しかし、通常の事案におきましては、そういった故意がなくて過失によって人をひいた、人を死傷さしたという事案でございますが、この種の事案におきましては、当核自動車は理論的には犯罪行為を組成した物件、かように解されるわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、今まで実祭には行なわれておらないのかもしれませんが、人を業務上過失致死のような場合で、自動車を没収することもできるわけですか。
○説明員(臼井滋夫君) 仰せのように、従来この種の実例は私の承知している限りございませんけれども、理論的には可能であろうと存じます。
○稲葉誠一君 こういうことが可能ならば、第三者没収の制度は、そういうことをやるのが適当かどうか抜きにして、極端にひどい場合にはやってもいいと思いますがね。そのいう場合には道交法の場合に第三者没収の制度は適用される場合が多いと思いますけれどもね。わかりました。 そこで、第四項あたりの書き方ですが、「裁判所は、申立人の参加を許さなければならない。」とありますが、参加を許すという考え方をとるのですか。参加することはもう権利だとすれば、許すという言葉の使い方、まあこれは法律用語ですから、許すというのは普通どういう場合に使うのでしょうか。
○政府委員(竹内壽平君) これは裁判所の行為でございますので、裁判所では、権利を承認する、認めるというような言い方でなくて、許すとか許さないとか許可、不許可というような言葉で統一されております、法文上ですね。そういう関係でそういう用語を使ったまででございまして、ほかに特段の意味はないわけでございます。
○稲葉誠一君 それはここでの論議の対象にあまりならないことでしょうけれども、許可というのは、元来、禁止の解除の場合が許可なんでしょう。禁止されているものを解除する場合だから許すという考え方が出てくるので、参加ということが当然こちらのほうの権利だとすれば、それを許すという考え方自体が何かマッチしない考え方のような気がするんですが、それは法律用語として使われているんだと言えばそれまでだけれども、いつごろそれを使ったのか。これは明治憲法のもとで使っていた言葉をそのまま持ってきたんじゃないですか。
○政府委員(竹内壽平君) 行政処分におきまして許可、認可という場合の許可は、仰せのとおり、禁止行為が前提となっておりまして、その禁止を解除する処分が許可処分であります。裁判所で使っております許可状とかいうようなものは、ややそれより意味が広く使われておるように思います。法律に書いてありますことで、たとえば逮捕令状のようなものを請求する権利が捜査官にはあるかもしれません。それを許可状と言うのを同じようにやはり裁判所の用語としましてはそういう用語を使いなれておりますので、それに歩調を合わせたと思います。
○説明員(臼井滋夫君) 仰せのとおり、行政処分におきまして許可と申します場合は、通常禁止の解除でございますが、刑事訴訟法におきましては、ただいま刑事局長から申し上げましたが、なお補足して申し上げますと、従来の用語例といたしましてそういった禁止の解除といったような意味合いでなく許すという言葉を使っております。これは、旧刑事訴訟法のみならず、新憲法のもとに成立いたしました新刑事訴訟法におきまして一般的に許すという表現を用いております。たとえば刑事訴訟法の三百十二条では、起訴状の変更につきまして、第一項でもって「公訴事実の同一性を害しない限度において、起訴状に記載された訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許さなければならない。」という規定がございますが、これもやはり禁止の解除という趣旨ではなくて、公認事実の同一性を害しない限度において起訴状の変更の請求が極楽官からあれば、規則的に許さなければならないんだ、こういう趣旨であろうと存じますが、この応急措置法案の御指摘の三条四項で用いております「参加を許さなければならない。」という趣旨も全く同様でございまして、参加を許すか許さないかが裁判所の全く広い自由裁量だということではなくて、法令上の方式を満たしておる限りは、裁判所の判断というものではなくて、許すことが義務である、こういう趣旨でございます。
○稲葉誠一君 そうすると、裁判所は、法令上の形式を備えているような場合には、これを許すのが義務だという考え方に立つわけですから、これは私もわかりましたが、どうも用語の使い方がちっとも新しい憲法的じゃない、何か昔の封建的なような考え方に立っているような印象を与えるんですが、これはここで論議すべきことではありませんからやめておきますが、今、公訴事実の同一性の問題から起訴状の変更という問題を言われましたが、これは例外的な問題ですから、いわば例外だから許すという考え方になってくるんじゃないかと思いますがね。これはまあここで論議しても始まりませんから、やめておきますが、「ただし、没収をすることができないか又はこれを必要としない旨の検察官の意見を」云々と、こうありますが、これはどういうふうな場合なんでしょうか、ちょっとわからないんですが。
○説明員(臼井滋夫君) 審理の当初におきましては、裁判所としては、問題の物件がいったい没収品に該当するものかどうかというようなことは、事実関係がわからないわけでございますから、判断できないわけでございます。そういう点について一番よく知っておりますのは、当該事件について公訴を提起しております検察官が証拠関係に照らしましてその物件がいったい没収品に該当する物件であるかどうかということを判断できるわけでございますので、たとえば訴訟遅延の目的で参加の申し立てがあるというような場合に、その対象物件がそもそも没収品に不該当であるということについて検察官が意見を述べれば、それに基づいて裁判所が判断するのが適当でございます。また、裁量没収の場合におきましては、検察官として、そのものはさして危険性はない、ほとんど危険性はない、没収の必要がないという判断をその事案の内容とその物との関係において最もよく判断し得るわけでございます。この点について検察官をして意見を申し述べさせまして、その意見をもしんしゃくして裁判所がこの参加人の申し立てについて決定をするのが実際的には望ましい姿である、こういう趣旨から設けられた規定でございます。
○稲葉誠一君 そうすると、あとのほうの「これを必要としない旨」というのは、裁量没収の場合だと考えていいわけですか。
○説明員(臼井滋夫君) 仰せのとおりでございます。
○稲葉誠一君 第四条の(参加人の権利)というところがありますが、この第二項に「前項の規定は、参加人を証人として取り調べることを妨げるものではない。」、こうあるのですが、これは当然のことなんだと思うので、特にこの二項というのは置かなくてもいいのじゃないかと思うのですが、 特にこれを置いたのはどういうわけなんでしょうか。
○政府委員(竹内壽平君) 仰せのとおり、当然なことでございますが、ただ、参加人というものが、現行の刑事訴訟法にはその地位を明確にした規定は何らございませんので、全く新しい地位でございます。そうしてしかも、一方においては、「被告人と同一の訴訟上の権利を有する。」というような書き方をしておりますので、被告人と同一の権利というところからして、当事者ではないが、当事者と全く同じであるということになりますと、当事者としましては証人適格性はないわけでございまして、そこの辺を明確にするために、証人適格性があるのだということを明らかに規定したわけでございます。
○稲葉誠一君 当事者であっても、共犯のような場合には、分離すればそれを証人として調べることができるわけでしょう。そういうことは当然今の訴訟法では認められているわけですから、第二項は特にこういうことを書く必要はないのじゃないかと、こう私は考えたのですが、まあ今言ったような御趣旨ならば、あったってどうということもないから、いいと思いますけれども……。 〔理事後藤義隆君退席、委員長着席〕 そこで、「逐条説明書」の十一ページに書いてあるのですが、(参加人の権利)の説明だと思うのですが、「「権利」というのは、刑事訴訟法、刑事訴訟規則等において明示的に被告人の権限とされるものに限らず、裁判所、検察官その他の訴訟関係人の義務を定める規定の反射的効果として被告人が有する利益な地位をも含む。」と、こうあるわけですが、ここのところがどうもちょっとよくわからないのですが、「権限」というのはどういうのでしょうか。
○政府委員(竹内壽平君) 「被告人と同一の訴訟上の権利を有する。」というふうに定めてあるわけでございますが、今仰せのとおり、この権利の内容でございますが、被告人の権利だけに限定をするのではなくて、裁判所、検察庁が義務とされておりますようなことから生ずる被告人のほうの一種の利益、そういうものも含めて理解をしていくべきであるという考え方でございます。と申しますのは、公判期日に出頭いたしまして自分の意見を述べる、これは刑事訴訟法に書いてございますが、意見、聴聞、弁解、この意見を述べるということになるわけですから、そういう権利を持っておるのだということは当然でございます。また、証拠調べを請求する、証拠調べに立ち会い、特に証人などを尋問する、これはいずれも規定がございますが、こういうものがひとしく参加人にも認められる。さらに、裁判に不服でありますれば上訴する権利も認められておる。こういうことでございまして今申したものの中には、裁判所なり検察官なりが訴訟手続上の義務とされておるものの反対の立場にある者としてそういう行為が権利として行使できると、こういうことまで明らかにしたわけでございます。
○稲葉誠一君 私のお聞きしたのは、「権利」というのと「権限」というのと「利益な地位」というのとこの三つは一体どういうような関係になるのか、違うのならどういうふうに違うのか、それが一体参加人としての権利の中にどういうふうに分類されるのか、それをお開きしているわけですが、今刑事局長の言われたここに例としてあるのは、みんなこれはいわゆる訴訟法上の権利じゃないのですか。
○説明員(臼井滋夫君) ただいま刑事局長から申し上げました点を補足して申し上げますと、明示的に権限として規定しでございますのは、この「逐条説明書」にもございますし、また、ただいま刑事局長からも申し上げたとおりでございますが、ここで書かれております趣旨は、被告人の権利として被告人が何々することができるというふうな書き方ではなくて、裁判所はこうこうしなければならない、検察官はこうこうしなければならないという書き方をしておりまして、その反射的効果としてそれに対応する被告人の権利というものが考えられる場合、具体的に申し上げますと、たとえば検察官の場合を例にとりますと、刑事訴訟法の二百九十九条におきまして、いわゆる証拠開示に関する規定でございますけれども、検察官は、証拠調べを請求する証拠書類、証拠物について「あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。」それからまた、証人等の住所氏名等を知らせなければならない、こういう規定がございますが、これは検察官の義務として規定されているわけでございまして、検察官にそういう義務がございますので、その反面として被告人、弁護人側としてはその証拠について内容を知る権利、開示を求める権利がある、かように解されておるわけでございまして、これは一例でございますが、裁判所の場合を例にとって申し上げますと、たとえば刑事訴訟法四百二条におきまして、いわゆる〔不利益変更の禁止〕の規定でございますけれども、これは、被告人が控訴した事件については、裁判所としては原判決よりも重い刑を言い渡すことができないと裁判所に義務を課した規定でございます。その反面的効果として、被告人側としてはこの不利益変更を受けないという権利を持つと、かように解されるわけでございまして、ただいま申し上げましたような、検察官に対して証拠書類等の閲覧を求る権利、あるいは上訴審において不利益変更を受けない権利という被告人が持っております権利は、参加人も四条の規定によってこれを持つと、こういう趣旨でございます。
○稲葉誠一君 それはわかるんです。それは「利益な地位」の説明だと思うんですよ。そうじゃなくて、「権限」というのはどういうんでしょうか。「権利」と「権限」とはどう違うのですか。
○説明員(臼井滋夫君) この「逐条説明書」におきましては、ただいま申し上げましたような意味での「利益」と、それから一方で被告人が持っておることが条文上何々することができるという表現で明確に規定されております権利、たとえば意見の陳述権とか、証拠調べ請求権とか、証拠調べについての立会権、これを「権限」と呼びまして、この「権限」と「利益」と両者を含めた広い意味で「権利」と、こういう説明をいたしたつもりでございます。
○稲葉誠一君 それは、読めばそういうふうにとれるわけなんです。私が聞くのは、普通に権限という言葉はどういうときに使うのですか。むしろ逆に、権利よりも広い概念で権限ということを使っているんじゃないかと思うんですが。そうなってくると、これは何か反対のようにもとれるのですがね。
○政府委員(竹内壽平君) ここで使いました趣旨は、今臼井参事官がお答えを申し上げたとおりでございますが、「権限」と「権利」とをどういうふうに使い分けておるんだろうかと厳密に御質問でございますので、私の理解は間違っているかもしれませんが、申し上げますと、普通権限と申しますときには、権限規定などと申しますように、われわれある官職にあります者の官職には、それぞれの職務権限が定められている。分掌が定められております。その職務の範囲内におきましては何々をなすべき義務があると同時に、またそれをやる職権を持っておるわけなんで、そういう権利と義務とが同時に規定されておるようなある地位、私どもそういう地位にある場合、それを権限を持っておると、こういうふうに普通使っておるわけでございますが、刑事訴訟法等でそういう意味で使ってはいないことは明らかでございますけれども、非常に常識的に御理解を願いたいと思いますが、趣旨は、先ほど臼井参事官が述べたとおりでございます。
○稲葉誠一君 刑事局長の言った権限というのは、よく贈収賄のときにいう職務権限のことを言われたのだと思いますけれども、贈収賄のときに、ことに収賄者の職務権限が問題になるわけですね。その職務権限外だったら収賄罪にはならないわけですから、それを中心として権限ということを言われたのだと思いますが、私が疑問に思うのは、この書き方だと、「権利」のほうが非常に広くて、その中に「権限」と「利益な地位」を含むと、その二つを合わせたものが権利だと、しかもこの権限というのは狭義の権利とイコールだとこういうふうに読み取れるんですよ。そういうふうな法令用語をふだん使っているんですか、法務省で。
○政府委員(竹内壽平君) ここに「権利」と申しておりますのは、訴訟法上の権利のことを言うのでございますが、その中身を分けてみると、その権利というのは、狭い意味の権利じゃなくて、かなりそれからはみ出ておる「利益な地位」までも含めてここにいう「権利」というふうに理解をしていきたい、こういう説明をしたわけでございまして用語が適当でなかったかも知れませんが、趣旨としましては、そういう趣旨でございます。
○稲葉誠一君 「ここで「権利」というのは、」——権利がカッコしてありますね——「「権利」というのは、刑事訴訟法、刑事訴訟規則等において明示的に被告人の権限とされるものに限らず、」云々となっております。ここでいう「権利」というのは、「権限」と「利益な地位」を含むと、こうなってくれば、権利のほうが範囲が広くて、権限のほうが範囲が狭い。しかも、この「権限」は、刑事訴訟法や刑事訴訟規則で明示的になっているものとすれば、明らかに被告人の保障的な権利という意味になりますから、狭い意味での権利というふうにもとれるので、何か用語的に、これは説明ですけれども、はっきりしないのですが……。
○政府委員(竹内壽平君) ただいま御疑念のとおり理解をしていただいて差しつかえない——御疑念のとおりというのはおかしいのですが、「明示的に権限とされるもの、」それから何も書いてありませんが、反射的に権利らしく見える「利益な地位」、それの両方を含めましてここに応急措置法にいう「被告人と同一の訴訟上の権利」という言葉を使っております。「同一の訴訟上の権利」という説明は、そういうやや広い意味に御理解願いたいと、こういうふうに思います。
○稲葉誠一君 この第二項の説明のところに書いてあるのですが、「憲法第三十八条第一項にいう「不利益な供述」は、」云々と、それで参加人には被告人が有するのと同じ意味での黙秘権を認めなかったと、こうありますね。これはどういうわけですか。当事者と同じ地位を認めているわけじゃないのですか。
○説明員(臼井滋夫君) この法案におきましては、参加人には、第四条におきまして、原則として被告人に準ずる地位、権限、広い意味での権利を認めたわけでございますけれども、それはあくまで没収に関する限度においてでございまして、それ以上に実質的に被告人と同じ権利を認める必要はないわけでございますし、また、認めることは不当であるわけでございます。憲法三十八条によって保障されております黙秘権は、一定の人が一定の不利益事実を供述することによって、自分自身が刑事訴追あるいは有罪判決を直接的に受けるおそれがある場合に、セルフ・インクリミネーショソの特権といたしまして黙秘権が認められていると、かように解されているわけでございます、そこで、本手続におきます第三者は、これは実質的には没収の言い渡しによって自己の所有物を失うことにはなりますけれども、これは自分自身が有罪の判決を受けた、自分自身が刑の言い渡しを受けたということによってそういう不利益を受けるものではございませんので、そういう意味合いにおきまして、この点につきましては、被告人と同じ保護を与える必要はないわけでございます。また、与えることは保護が厚きに過ぎることになる、こういう趣旨でございます。
○稲葉誠一君 現実の場合には、参加人は、供述内容によっては、ことに悪意だったということになれば、幇助になるとか、あるいは共同正犯であるとか、そういうふうな場合が多いんじゃないですか。それは今まで説明でもそういうことを盛んに言われておりますね。そうなってくると、やはり自己が刑事訴追を受けるおそれがあるからというので——証人として調べられた場合は、証言の拒否権はありましたっけ。証人として調べられなくても、参加人として調べられたときでも、結局通常の場合にはそういう危険性が非常に多いのだから、そこらに黙秘権というものなり、あるいはそれに近い権利というものを認めるのが普通じゃないですか。それでないというと、だれも参加しなくなっちゃうんじゃないですか。
○政府委員(竹内壽平君) 今のような場合には、もちろん証言拒否をし得るのであります。しかし、参加人は証拠をやはり出していかなければなりませんので、自分が当事者らしく、意見をオピニヨンを述べるだけではだめなんで、そのオピニヨンが証拠になるような形にしていくほうが参加人の利益にもなるわけでございます。そこで証人となり得る道を開いた。その点が被告人と参加人とはかなりその当該訴訟におきましては違っていると思います。しかし、それは参加人の利益になることだと思います。そういう意味で、私は、参加人としては証人適格を認めていったほうがいい、それと同時に、黙秘権というものは、当事者でありませんから、建前としては認めないという原則でいって、もしそういう今御指摘のような事態があれば、証言を拒否する、こういうことで解決していくんじゃないかというふうに思うわけでございます。
○稲葉誠一君 参加人の権利関係を明確にするためには、当然被告人の供述が証拠にならざるを得ないと思うのですが、そうすると、その場合には、被告人の供述がそのまま参加人に対して証拠となるのですか。何か規定があるようですね。その場合には被告人を証人として喚問しなくてもいいということになるのですか。
○説明員(臼井滋夫君) お答えいたします。 この法案が予定しております手続は、被告事件手続と別個にこの没収手続というものを考えておりませんで、あくまで事件としては一個の被告事件手続に第三者が参加人という資格で参加する、こういう建前でございます。したがいまして、いかなる証拠が証拠になり得るかとか、また、これについての証拠法則はいかなる証拠法則が適用されるかという問題につきましては、当該被告事件について本来証拠になるものがそのまま証拠になるし、本来証拠にならないものは証拠にならない。したがいまして、当該被告事件につきましては、刑訴法の三百十一条に基づいてなされますところの被告人の任意の供述というものは証拠になり得るわけでございますから、参加人との関係におきましても、すなわち没収の要件等に関する事実につきましても証拠になり得る、こういうことになるわけでございます。
○稲葉誠一君 その逆な場合は、参加人が参加人として質問を受ける、こういうふうな場合の供述は、被告人にとって証拠になるのですか。それとも、必ずその場合は参加人は証人として取り調べられなければ被告人に対する関係では証拠にならない、こういうことになるのですか。
○説明員(臼井滋夫君) ただいま御指摘のうちの後段のとおりでございまして、参加人の供述は、参加人として意見を述べるという場合と、証人として供述をするという場合とあるわけでございますけれども、前者のほうはあくまで参加人としての主張でございまして、当該被告事件について証拠になし得ますのは、参加人が証人として供述した場合に限られるわけでございます。
○稲葉誠一君 第六条の第一項ですね。これはちょっと簡単でわかりにくいのですが、どういうことなんですか。
○説明員(臼井滋夫君) 立案の過程でいろいろ議論の末、こういう簡潔な条文になったわけでございますけれども、趣旨は、大きく分けまして二つの意味を持っております。一つは、本来当該被告事件について証拠になり得るもの、すなわち、刑訴法三百二十条から三百二十八条までの規定によりまして、被告人との関係で、伝聞証拠でないもの、あるいは伝聞証拠であっても、その伝聞証拠禁止の原則に対する例外として証拠になり得るものは、これは参加人の意思いかんにかかわらず証拠になると、こういう意味合いでございます。そのもう一つの反面におきましては、参加人との関係では、伝聞証拠でないもの、あるいは伝聞証拠の例外に当たる場合でありましても、被告人との関係で伝聞証拠禁止の原則に従いまして証拠になり得ないものは証拠とすることはできない、こういう趣旨でございます。
○稲葉誠一君 「参加人が憲法第三十七条第二項にいう証人審問権を有しない」、こうあるわけですが、第二項の中に二つありますね。「すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、「というこの権限は参加人にはない、そうして「又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。」というこのあとのほう、これもないのですか。あとのほうがなければ事実関係はなかなか明らかにならないのじゃないですか。
○説明員(臼井滋夫君) この六条の規定につきましては、二つの要請がございまして、この調和点をどこに求めるかという点が非常に問題がございまして、立案でもいろいろ考えた点でございますが、二つの要請と申しますのは、一つは、参加人の権利をできるだけ十分にして保護を厚くするということでございます。もう一つの要請は、参加人の参加によって本来の公判手続が非常に遅延するということがあっては、本来の刑事被告人の迅速な裁判を受ける権利が奪われることになりますので、両者をどういうふうに調和するかということで、結論的に六条のようになったわけでございまして、六条の一項の規定によりまして、参加人は、被告人よりも証拠法の規定の適用面では不利な地位に立たされるわけであります。そこで、ただいま仰せのとおり、参加人が地上権を争うとかあるいは権利関係を争う等の場合に、どうしても直接証人に対質して尋問したいという場合があり得ると思います。そこで、理論的には参加人は憲法三十七条二項の御指摘の前段、後段両者を含めて証人審問権はないという建前はとりつつも、実質的にしかしそういう場合には参加人が争う点について十分参加人の言い分を聞くと同時に、参加人が取り調べを請求する証人を直接に尋問して参加人に防御を尽くさせる、こういう考え方から六条の二項の規定を設けたわけでございまして、参加人にとって伝聞証拠になるような供述あるいは証拠というものが取り調べられた場合に、参加人がどうしても原供述者を証人として呼んでほしいという請求をした場合には、その権利の保護に必要と認める限り裁判所は取り調べなければならないというふうにいたしまして、形式的な証人審問権は否定しつつも、六条二項におきまして実質的に参加人の証人審問権を保障している、こういう趣旨でございます。
○稲葉誠一君 八条で、これは(上訴)ですが、「検察官又は被告人が上訴をしたときは、上訴をしなかった参加人も、自動的に上訴審における参加人の地位を取得する」、こうあるわけですが、これは、こういう形でないというと、判決が二つに分かれちゃうとか、分離しちゃうとか、いろんな不便があるという意味かとも思いますが、これは別に参加人が上訴しなければ、その部分だけ確定さしてもいいんじゃないですか。
○説明員(臼井滋夫君) お答え申し上げます。 ただいまの点でございますけれども、参加人としては争わないという場合に、参加人に対する関係では確定ということも全く考えられないことではないのでございますけれども、あくまで裁判は没収という一個の裁判でございまして、形式的に被告に対する附加刑として言い渡される。しかも、実質的な効果が参加人である第三者に及ぶ、こういうことになりますので、この確定を被告人に対する関係と参加人に対する関係とで異ならしめるということになりますと、同一の訴訟手続の中で違った判断がなされる、矛盾抵触するというような場合が出て参りますし、そういう意味合いから参加人は上訴審においても参加人としての地位を失わないとしたわけでございまして、これによってまた参加人、第三者が不利益をこうむることはないわけでございまして、もし何ら争いたくなければ、参加人としてこの公判期日に出頭する必要もないわけでございます。また、取り下げをすることも可能でございますので、何らこれによって参加人が自分の争う意思がないのにその訴訟に引っ張り込まれて不確定な地位に置かれるということはないわけでございます。
○稲葉誠一君 没収は附加刑だから、上訴すれば、当然それに随伴してというか、上訴の対象になると思うのですが、だから、普通上訴する場合でも、上訴の範囲の問題として主刑だけに対する上訴だという形をとれば、あるいは没収の場合でも上訴の対象にしなくてもいいということが論争の中ではっきりしていれば、早く確定させちゃってもいいんじゃないですか。それはちょっと複雑になるかもわかりませんがね。有罪、無罪を争うという事実誤認という形ならば、それはそういう形はおかしいでしょうけれども、そうじゃなくて、量刑不当だということになれば、没収には関係ないことになってくるのじゃないですか。そうして、没収と附加刑と両方切り離して、両方を上訴の対象にするとか、あるいは、これを分離して上訴の対象の範囲を確定するとか、こういうふうなことを場合によっては考えてもいいんじゃないでしょうか。ちょっと複雑になるかとも思いますがね、かえって逆に。
○政府委員(竹内壽平君) お考えごもっともでございまして、立法論としましては、むしろ没収の手続を対物訴訟といいますか、そういう手続を解決すれば、今の点はすっかり解決するわけでございます。ところが、附加刑につきましては主刑とともに言い渡すのでなければならぬという建前になっておりますので、やむを得ないことだと思うわけで、参加人に不利益にならぬことならば、そういうふうにして形式を整えたほうがいいのではないかということからこういう処置をしたわけでございます。
○稲葉誠一君 十二条、これは「この法律に特別の規定があるもののほか、刑事訴訟法による。」というわけですが、これはまあ当然過ぎるくらい当然だと、こう思うのですが、むしろこの第十二条というのは、十三条と入れかわるのがほんとうじゃないのですか。特別の規定がない限りは刑事訴訟法によるというのですから、これは一番最後のところに来るのが条文の形式としては普通じゃないでしょうか。あるいは一番最初に来るか、どっちかじゃないですか。
○政府委員(竹内壽平君) 全体の構成から見ますと、そのほうが格好がつくかとも思うのでございますが、主として事前参加の手続についての刑事訴訟法の特別規定はなっておりますし、十三条は事後の救済で、性格からいいまして別のものになっておりますので、もちろん刑事訴訟法にこの種の事後救済の規定が現行法ではありますが、それとは違った手続をここに書いてございますので、仰せのように全体的にかぶるのだという考えで書きますれば、冒頭か最後に書くほうが体裁がいいと思いますが、事前参加の手続の中でその点が特に強調されておりますので、その部分の最後に置いてその趣旨を明らかにしただけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、刑事訴訟法の規則は十三条の場合には全然適用がないのですか。
○説明員(臼井滋夫君) 十二条と十三条との関係でございますけれども、なぜ十二条を十三条の前にしたかという点、ただいま刑事局長から申し上げたとおりでございますけれども、十一条までの事前参加の手続は、本来刑事訟訴法で規定されておりますところの被告事件手続に参加人が参加するということでございます。それに対しまして、十三条のほうは、不十分な事後救済の規定でございますが現行法にございますが、それとは別個に新しい判決手続によるところの一つの事後救済手続をこの法律で設けたわけでございまして、こういう事後救済手続そのものは、現行法にはないわけでございます。そこで、事前参加の手続のほうは、本来ある被告事件手続に参加人が参加するということでございますから、「刑事訴訟法による。」ということでよろしいわけでございますが、十三条のほうは、本来刑事訴訟法では規定されていない新しい事後救済の手続でございますので、刑事訴訟法そのままということはできませんので、十三条の七項におきまして表現をやや異ならしめまして、「請求に関する裁判手続については、第三条七項、」云々「の規定を準用するほか、刑事訴訟の例による。」と、こういう用語の使い分けをいたしたわけでございます。
○稲葉誠一君 それで十三条に入っていくわけですが、この十三条と刑訴法の四百九十七条との関係、それから国に対する民訴でやる没収物の返還あるいは損害賠償との関係、これを御説明願いたいのですが。というのは、あの鈴木という人の書いたものに、これは臼井参事官の書いたものにもあるかと思いますが、「検察官による没収物交付の制度(刑訴法四九七条)は、救済方法として必らずしも十分でなく、また、没収の裁判によって不当に権利を害されたからといって、国に対する民事訴訟により没収物の返還又は損害賠償を請求できるかどうかも明らかでない。」と、こう書いてあるのですがね。刑訴法の四百九十七条が救済法として必ずしも十分でないというのだとすると、現行の刑事訴訟法によっても第三者の権利が害された場合に救済方法が十分でなかったということになる。そういうようなことを刑訴は規定しておったということもおかしいのだし、個人の権利が不当に侵害されたのに国に対して民訴も起こせないなんていうことが言われておるのでは、これまた法治国としておかしいのだし、これはどういうことですか。
○政府委員(竹内壽平君) 民訴が起こせるかどうかという議論は、起こせるという議論もあるわけなんで、ただ、しかし、刑事訴訟の手続できまった権利関係が全く別の観点から民事訴訟でその実体がまた新たにきまるということは、好ましくない姿であるということも確かに強い理由でございますので、その点を解決をしていきたいということがねらいの一つでございます。 それから現行の刑訴の没収物の返還についての事後救済の規定でございますが、すべて手続が憲法違反にわたらないという建前で、なお最後に没収物についての間違いがあれば直してやろうという親心を示した規定でございますが、今度は第三者の没収については成規の手続がなければ憲法違反になるのだという考え方に立ちまして、それではこの刑訴の規定で事後救済を考えた場合にどうかということになりますと、鈴木君が述べておりますように、また、われわれもそういうふうに思うのでありますが、権利の保護に十分でないのではないか少なくとも期間などはもう少し延ばして余裕のある態度でいかないと、形だけは権利の救済ができるようになっておりましても、あまり短い期間でありますと、やはりその権利を行使するのに拘束を受けるわけでありまして不十分である、こういうふうに思うわけでございます。
○稲葉誠一君 第三者が権利を侵害された場合はこの十三条で行く。そうすると、被告人が権利を侵害された場合は四百九十七条で行く、こういうことになるのですか。
○政府委員(竹内壽平君) 被告人自身の場合は、刑事訴訟法全般を通じて当事者として審判を受けておりますので、権利を主張しますのに事を欠かないわけでございますし、そういう関係で、被告人の場合には、先ほど申しましたように、それでもなおかつ証拠物に関しての事後救済の道を開いてやろうというのが現行刑訴法の考え方でございますから、被告人の場合にはそれで十分じゃないか。第三者の場合にはやや足らないというのがこの十三条を設けた趣旨でございます。
○稲葉誠一君 刑訴法四百九十七条に書いてある「権利を有する者が」とありますね。これは被告人も含んでいるのですか。
○説明員(臼井滋夫君) 四百九十七条の趣旨は、ただいま刑事局長も申し上げましように、被告人といたしましては、本来、第一審、控訴審、上告審を通じて十分に権利を主張するわけでございまして、その没収の裁判についてもし不服があるならば、一審から上訴審を通じまして、その段階で没収の裁判が不当であるということを主張すればよいわけでございますから、この四百九十七条にいう「権利を有する者」というのは、被告人以外の者で権利を侵害された第三者、こういうふうに解されておるわけでございます。
○稲葉誠一君 その「権利を有する者が」とあるこの「権利」は、交付の請求ですから、所有権と解するわけですか。所有権以外の権利であっても所有者に代位して権利の行使ができますから、だから、所有権以外の権利を持っている人もこの「権利を有する者」の中に入るんですか。
○説明員(臼井滋夫君) 通常の場合は所有権者でございますけれども、所有権者以外の権利者であっても当該物件についての占有権をも持ち得る権利ある場合には、この「権利者」の中に理論的には含まれるわけでございます。
○稲葉誠一君 具体的にどういうふうな場合が考えられるのですか。
○説明員(臼井滋夫君) たとえば、没収の裁判が言い渡された時点においては質権者に質権があったものを没収の裁判がありましてから後に質流れになまりして権利を収得したような場合、この四百九十七条によって救済されております。
○稲葉誠一君 そうすると、通常の場合は没収の前提は押収になっているわけですし、ことに質権の設定となればほとんどの場合は押収されているのじゃないんですか。だから今あなたの言われている例というのはちょっとないんじゃないんですか。
○説明員(臼井滋夫君) 現実にこの四百九十七条がどういうふうに運用されているかを過去三年間にわたって調査いたしましたところでは、いずれも所有権者のみでございまして、所有権者以外の権利者はございませんが、観念的、理論的には所有権者以外の権利者も含まれる、かように解釈上は相なるかと存じますが、実例としては皆無に近い、かように考えるわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、第三者は、この応急措置法による権利の行使をしてもいいし、刑訴の四百九十七条による没収物の交付で権利を請求してもいいと、こういうことになるんですか。
○政府委員(竹内壽平君) そのとおりでございます。
○稲葉誠一君 十三条の規定ができれば四百九十七条というものは改正をされるという形のほうが複雑でなくていいのじゃないですか。
○説明員(臼井滋夫君) この法案におきますところの第十三条によります事後救済を受け得る者は、あくまで十三条の一項に規定しておりますように、「自己の責めに帰することのできない理由により被告事件の手続において権利を主張することができなかった」、そういう第三者に対して事後救済の道を開いておるわけでございます。そういう者は、十三条の手続によりましても、また、四百九十七条の簡易な手続によっても、権利救済を求め得るわけでございますけれども、事前参加をしなかった第三者でもそういった「自己の責めに帰することのできない理由」がなかった場合、すなわち、故意または過失によって、本来ならば事前参加できたにかかわらず、しなかったというような者については、十三条による権利の救済を求めることはできないわけでございまして、そういう者についてはなお四百九十七条による救済の道を開いておくことが必要であろう、かように考えられるわけでございます。
○稲葉誠一君 「自己の責めに帰することのできない理由」によって「権利を主張することができなかった」かどうかということは、十三条の「取消し」を請求した人の中で審理をしてみなければわからないので、初めからわかるはずはないのだから、結局十三条の保譲を受けられないという形になれば、四百九十七条の保護も受けられないという形にしないというと、何かそこら辺のところが分離しちゃうように事実上なるのじゃないですか。この十三条とこっちの四百九十七条の関係が、ことに四百九十七条の場合は、権利を有する者が交付を請求すれば交付しなければならないのだということで、むしろ検察官としては交付しなければならないのが義務とされており、同時に、権利を有する者についての過失の問題であるとか、それからその手続に参与できなかったということについても全然規定していないわけですから、どうするのですか、そこのところがどうもはっきりしないのです。
○政府委員(竹内壽平君) 十三条ですと、ほんとうに主張すべくして主張し得なかったような特殊な立場の人、そういうものを手厚く保護していこう、そしてそれを最後に審判をするのは裁判官である、こういう立場をとっており、そのかわり、非常に気の毒な人ばかりでなく、没収物の返還の最後のよりどころとして四百九十七条の規定は検察官がこれを判断する建前になっておりまして、したがって、検察官の判断でございますから、これは検察官が裁判官のようなある意味では仕事をするのでありますが、この検察官は執行の権限を持っており、検察官の立場で判断をしていこうということであります。そこにまあほんとうに権利を保護していくということでありますと、やはり裁判官の審判にかけてやるというふうに権利を保障していかないと十分でないように思うのでございますが、そういう意味でこの四百九十七条に手を加えて拡充する、あるいはこれを直していくというだけでは不十分であろうというふうになったわけでございます。
○稲葉誠一君 四百九十七条の「没収物の交付」に対しては検察官の処分に対する不服の申し立てばできないのですか。
○説明員(臼井滋夫君) この点につきましては、従来、四百九十七条の交付請求に対する検察官の処分についてどういう不服申し立てが許されるかという点については、判例もございませんし、また、これについて触れた学説もほとんどないわけでございます。まあ特殊の考え方といたしまして、これは一種の行政処分としてこれに対して行政訴訟すなわち抗告訴訟として争い得るのではないかという考え方もございますが、これにつきましては、そういう解釈をはっきりとり得るという定説はございません。また、四百九十七条の処分について、このあとに出て参ります五百二条以下の異議の申し立てができるかという問題もございますが、これが可能であるという解釈をとり得る余地もございますけれども、この点につきましても定説はございませんで、結局四百九十七条の処分につきましては、抗告訴訟あるいは刑事事件手続の中での異議の申し立てと、いずれも不服申し立て方法として可能であるという確立された解釈がないわけでございます。
○稲葉誠一君 五百二条で「執行に関し検察官のした処分を不当とするときは、言渡をした裁判所に異議の申立をすることができる。」、これで行って、それで五百四条へ行って「即時抗告」ができないというと、四百九十七条というのは、全然実質的には効力のない規定みたいになってしまうのじゃないですか。ただ書いてあるだけで、実際意味がなくなってしまうのではないですか。
○説明員(臼井滋夫君) 仰せのとおり、四百九十七条の処分につきましては、五百二条以下の異議の申し立ての手続ができるという解釈をとり得ることによって実効のある規定となるわけでございますけれども、この点について、五百二条の文理上、はたしてこの交付に関する処分を「執行に関し検察官のした処分」と言えるかどうか、かなり疑問があるというようなことでございまして、定説がないわけでございますが、実際に四百九十七条の交付請求がなされた事例を過去三年にわたって調べてみたわけでございますが、これらの事例においては、いずれも権利関係に誤りがあったというようなことが明白でございまして、交付請求に応じて検察官が権利者に交付をいたしております。その一つの例は先ほど申し上げましたが、そういうことでございますので、実際には検察官が交付しなかったというケースはございませんので、五百二条以下の異議申し立て手続になり得るかどうかという点についてまだ裁判例もないと、こういう実情にあるわけでございます。
○稲葉誠一君 もう少しですが、この十三条の解釈の中で、特に二十九ページに、「「法律上没収することのできない物について没収の裁判」があったこと、」という取消しの請求の理由の説明が書いてあるのですが、「実体法上違法な没収の裁判があったことである。例えば、」云々と、こうあるわけです。「例えば、犯人の所有物しか没収できないとされているのに、所有権の誤認により犯人以外の者の所有物が没収された場合、」、こういうことはあり得ると思うのですが、その次の「所有者が犯罪行為について情を知っているのでなければ没収できないとされているのに、善意の第三者の所有物が没収された場合など」とある。このあとのほうの場合ですね。「犯罪行為について情を知っているのでなければ没収できないとされている」というのは、これは最高裁の判例があってからもうこれはさまっておることだと、こう思うのです。そういう場合に、善意の第三者の所有物が没収された場合」ということはあり得るのですか。十三条の場合は、参加を申し立てて参加した場合としなかった場合と両方含むのですかこれは。参加はしたのだけれども、自己の責めに帰することのできない理由で十分権利を主張することができなかったという場合ですか、どういう場合なんですかね。
○政府委員(竹内壽平君) 参加を申し立てたけれども、参加が許されなかった場合ですね、で、今のような条件の真にやむを得ない事情で自己の責めに帰すべからざる理由でということが明らかになれば、十三条で救済の道が開かれる、こういうことでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、「被告事件の手続において権利を主張することができなかったものは、」というのが十三条の条文ですね。そうなってくると、今言ったような参加を申し立てたけれども参加が棄却されちゃったという場合だけだというならば、十三条の条文の書き方はそういう点をもっとはっきり書いたほうがいいのじゃないですか。そういうふうに書いてないから、参加が許されたが、やっている中で十分権利を主張することができなかった場合を含むようにとれるのですがね。
○説明員(臼井滋夫君) 十三条で取消し請求ができます者は、ただいま刑事局長から申し上げましたように、参加の申し立てをしたのを、裁判所がそれは被告人のものであるというふうに判断したために参加を許さなかったという場合もございますけれども、それ以外に、全然参加の申し立てがなかった、あるいは告知、公告の手続も全くとられなかったという場合をも含むわけでございます。これに反しまして、参加の申し立てをして参加が許された者は、当該事前の手続きにおきまして十分に意見、弁解、防御は尽し得るように規定されておるわけでございますから、その本人自身の怠慢、懈怠等によりまして権利を主張しなかった場合は、これは本人の自己の責めに帰せらるべきものでございますから、これは十三条では救済されないと、こういうことになるわけでございます。
○稲葉誠一君 参加を申し立てて参加を許された。けれども、その審理の中で「自己の責めに帰することのできない理由により被告事件の手続において権利を主張することができなかった」、こういう場合も考えられないことはないと思いますがね。そういう場合は入らないのだ、今言われたように、参加の申し立てをして棄却された、あるいは参加の申し立てをしなかった、こういう者だけは十三条によって保護されるのだということになってくれば、申し立てをしたけれども棄却された人は別として、最初からそういうことを知っていて申し立てをしなかった人と、申し立てを許されたけれども、中で自分懈が病気だとかなんとかいろいろな形でそれができなかった、こういう人との間では、別に法律上の保護を与えることの差異はないんだと、こう考える。だから、参加を許された人は何でもかんでもみんなその人の懈怠なんだから、だから十三条の保護は適用されないのだという解釈はちょっと狭過ぎるのじゃないですか。それならば、参加を申し立てなかった人もその人の懈怠なんじゃないですか。
○説明員(臼井滋夫君) 参加が許された者は、本来であれば、十二条までの事前参加の手続におきまして意見、弁解、防御のための立証を種々なし得るわけでございますが、今御指摘のように、一時病気になったとか、あるいはまた交通の混乱を生じてその期日には出頭できなかったというふうな場合も考えられないことはないわけでございます。そういう場合に、もしその参加人の出頭がなかったのに裁判所がどんどん審理を進めて、そのために参加人にとって不利益な裁判の言い渡しがあったというような場合には、これは参加人としては自分の権利が十分に保護されなかったということで上訴もできるわけでございます。また、一面、上訴期間中にそういった不測の事態が生じました場合には、被告人に対し上訴権回復請求権がございますと同様に、参加人にも四条の一項の規定に上訴権回復請求権が認められているわけでございますから、これは参加人としては当該被告事件の手続の中で上訴あるいは上訴権回復請求というような手段によって権利が主張できるわけでございます。のみならず、この法案の五条三項、六条二項の規定によりまして、参加人が出頭していない公判で審理された重要な事項について裁判所が没収に関係ある事項を告げるとか、また、参加人の自主的な証人審問権を保障するということで権利を保護してございますので、仰せのように参加が許されたけれども自己の責に期することのできない理由によって権利を主張することができなかったと考えられる場合はない、そういう考え方に立って規定しているわけでございます。
○稲葉誠一君 それはわかりました。ただ、参加の申し立てをして棄却をされた人の救済と、それから告知はあったのだけれども参加の申し立てをしなかった人との間には相当差異があるのじゃないかと思うわけです。片方のほうは自分の権利を告知があっても申し立てしないのですから、最初から放棄しているわけですから、放棄しておった人が突如として十三条で出てくるというのでは、これはやはり法の安定性からいって疑問があるのじゃないかということが考えられてくるわけです。そこは私もまだどうも十分に十三条の問題は解決できないのですが、そうすると、この条文の書き方だと「自己の責めに帰することのできない理由により被告事件の手続において権利を主張することができなかったものは、」としか書いてないわけで、今言ったように大きく分けて三つのものがあるわけですね。それの場合のどれが参加できて、どれが参加できないということをもう少し明確にしていかないというと、あとで十三条の適用をめぐってごたごた争いが起こってくるのじゃないですか。
○政府委員(竹内壽平君) その点は、まあ全体からいっておのずからここへ自己の責めに帰することのできない理由」ということでしぼられてくるのじゃないかというふうに考えているわけですが、今の告知を受けたのだけれども参加をしなかったということが全くの懈怠であれば、「自己の責に帰することのできない理由」とはならないわけですから、それはだめですがもしそのときにたまたま外国に旅行しておったというようなことで全く「自己の責めに帰することのできない理由」だということになれば、ここへ入ってくる。要するに、本則は、何といっても事件に参加して防御の手段を講ずる、これが原則でございますから、それができなかったことが「自己の責めに帰することのできない理由」だということでしぼられてきますから、おのずからそこに、実質的な審理を裁判所側の誤解でもってけられてしまったというようなものは、それはいいと思います。それからそうじゃなくて、実質的に審査を受けてその結果棄却されたものにつきましては、これにさらに上訴審みたいなことにこれは一種の再審でございますから、そういうような手続まで保護していくということは、これは厚きに過ぎるわけで、その辺のかね合いがここに出ているわけでございます。
○稲葉誠一君 再審制度については、非常に厳格な規定がある。それに反して——反してというとあれですけれども、この法律の十三条では、いわゆる簡易の再審というか、そういうようなものが出ておりますね。第三者没収に限って特にそういう簡易な再審制度を認めたというのはどこにあるんでしょうか。それは、再審全体というものを今再検討しなければならない段階にあるんだからと、こういう考え方もあるんですか。また、それとは全然関係がないということですか。
○政府委員(竹内壽平君) 再審制度を今検討するというようなことになっておりますが、それとは関係なくして、これは一種の簡易の再審制度でございますけれども、現行の確定判決に対する救済方法としましては、仰せのような再審と、それから非常上告というような形があるわけでございます。再審ということになりますと、事実誤認ということを前提としているわけでございますし、非常上告となりますと、法令の適用ということになりまして、そのいずれにもはまりかねるケースがございます。そこで、こういう一種の簡易な再審制度をここに新たに設けたわけでございますが、これにつきましては、行き過ぎるんじゃないか——先般ここに配付になっておりました日弁連の御意見というようなものもそういう意味で理解をいたしたわけでございますが、あの案につきましては、それほど強いものではないということがわかりましたけれども、そういう考え方はいろいろあろうと思いますが、私どももここまで丁重な事後救済の規定を設ける必要があるかどうかということにつきましては、当初は実はここまで考えていなかったのでありますが、だんだん議論を関係者としておりますうちにここまで行ってしまったわけで、いろいろ御意見は存するかと存じます。
○稲葉誠一君 私は、十三条のこういうような規定が必要でないと言うんじゃなくて、第三者の権利保護の関係からいっても必要だとこう思うわけです。それを一般の再審制度の場合にも拡充していくべきものがあれば、その考え方は拡充していってもいいんだという考え方をとっておるわけですが、日弁連で十三条に関連をして何か意見を私のところへ持ってきたわけです。これは四、五日前ですか、私の留守に持ってこられたので、お聞きしなかったのですが、日弁連とはこの法案を作るときには十分な話し合いはしていたわけですか。
○政府委員(竹内壽平君) 十分お話をいたしまして、ただ多少私誤解ではないか——誤解というか、誤解ではないかと今でも思っておるわけでございますが、それは、この十三条の規定を、日弁連の御意見のような案の当時に私どもの試案としてお示しをしたわけでございます。それでわれわれをバック・アップしようというお考えでこういうものをお出し下すったのか、そこはわかりませんが、そういう段階でお話し合いをいたしまして、その当時これでけっこうだという御意見でございましたのですが、その後十三条の規定がただいまのように保護に厚いものに変わって参りましたので、私どもは、もちろんこの案が最終的にきまりますと、すぐ日弁連のほうへ原案をお届けいたしまして、さらにごらんを願うようにお願いをしたわけでございますが、私の考えとしましては、保護に厚いものになりましたので、日弁連としてはもちろん御賛成をいただけるものと思っておりました。そこのところがあるいは手続上やや連絡を欠いた点があったかとは思いますが、むしろ日弁連としてこういうふうに簡素なもののほうがいいんだという考え方につきましては、私もちょっと疑問に思いましたので、ただいまの、事務総長にも意見を伺ってみましたところが、そういう考え方を出したのだが、日弁連の統一的な見解とも言えないように思うので、もし国会でそういうことが疑問であるならば、証人に出てお話を申し上げてもいいんだというようなことまでおっしゃっておるのでありまして、原案に非常に不賛成だという趣旨ではないということを重ねてお話がございましたわけでございます。私のほうはそういうことを国会の公の席上で申してもいいかということも申し上げて、御了解というか、何というか、明らかにしていただいて差しつかえないのだということでございましたので、今ここで申し上げるわけでございます。
○稲葉誠一君 きょうはこれで終ります。
○後藤義隆君 ちょっとこの点に関連してお聞きしますが、十三条には、没収の裁判をした裁判所に対してこの請求をするということになっておりますが、控訴から上告まであったときに、没収の裁判をしたというのはどこのことを言いますか。一審でなしに、控訴、上告まであったときに、どの裁判所に請求をすればいいことになるわけですか。
○政府委員(竹内壽平君) この「裁判をした」というのは、通常ただいまの訴訟手続から言いますと、一審がすべて事実をきめる裁判所でございますので、没収の裁判をした裁判所というのは、一審の裁判所をさすのが通常でございます。ただ、二審へ参りまして控訴審で破棄自判をしてその事実が確定したという場合には、二審が最終の裁判をした裁判所であります。最高裁まで持って参りましても、これは二審の裁判を批判をしただけでございまして、実体について破棄自判をした場合は格別でございますが、通常はあり得ませんので、原則としましては第一審、例外としまして二審ということがあり得る、こういうことでございます。
○委員長(鳥畠徳次郎君) それでは、本案に対する質疑は一応この程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時散会 ————・————