法務委員会 第13号
- 発言数
- 135 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/05/14
会議録
○委員長(鳥畠徳次郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 本日は、まず、商業登記法案及び商業登記法の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律案を一括して議題に供します。 両案に対し質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○稲葉誠一君 この前、両法案に対していろいろ質疑したわけですが、きょうは、ちょっと一般的なことを資料要求を中心として簡単にお聞きしたいと思うのです。 登記の区別ですね、これは、不動産登記と商業登記と、こういうふうに大きく二つに普通は分けるのですか、どういうふうな分け方をしたらいいのですか。
○政府委員(平賀健太君) 大別いたしますと、仰せのとおりに、不動産登記、それから商業登記、それから各種法人の登記がございます。民法法人それから各種その他の法人。私ども、不動産登記、商業登記、法人登記というようなふうに申しております。
○稲葉誠一君 そのおのおのの現在の登記制度というか、その中で占める地位といいますか、いわゆる分量的な意味だとか、質的な意味だとか、そういう割合はどうなっているのですか。
○政府委員(平賀健太君) 登記の関係で、量的に申しましても、質的に申しましても、一番大きな部分を占めておりますのは不動産登記でございます。
○稲葉誠一君 その不動産登記の中を分けると、どういうふうな登記の態様というようなものがあるのですか。分け方はいろいろあると思うのですけれども、商業登記の場合にはどういうふうに分けたら態様がわかりやすくなっているのか。法人登記はどうなっているのか。それを各件数別に全体的にわかりやすいように説明願いたいと思うのです。
○政府委員(平賀健太君) 不動産登記におきましては、私ども、土地と建物に分けております。それからその他なお財団の登記でございますとか、建設機械の登記でございますとか、種々雑多なものがございますが、一番量的に大きいのは、やはり土地と建物の登記でございます。 それから商業登記におきましては、これは法律案にもございますが、法律案の第六条をごらんになりますと、商号登記以下外国会社の登記までございますが、商業登記におきましては、こういう九種類に分けることができるわけでございます。何と申しましてもしかし、商業登記の中で一番分量を占めておりますのは、会社の登記、なかんずく株式会社の登記でございます。 それから法人登記は、これは各種法人がございますので、私ども統計なんかで表わします場合に一括しまして法人登記というふうに分けております。 で、詳細な登記の件数でございますが、法務省のほうの登記の統計年報を実は出しておりますので、最近のは昭和三十六年まで出ておりますが、これに登記の種類別のこまかい件数、それから各登記所ごとの件数、登録税の額その他詳細がこの資料の中に入っております。
○稲葉誠一君 その不動産登記、商業登記、それから各種の法人登記全体を通じて、非常に登記がおくれているとか、非常に滞っているとかいう話が再三聞かされるわけです。具体的にいうと、現在ではどれが一番滞っているのですか。同時に、古いもので実際まだ、たとえば農地解放のような場合で、国から土地の解放を受けたとかそういうような場合で、所有権の移転登記が非常におくれたのがありましたね。場合によっては五、六年以上かかったのがあると思いますが、そういうようなものは今は全部済んだのですか。
○政府委員(平賀健太君) 土地改良の登記、区画整理の登記、これは特殊の登記でございますが、一般の事件について申し上げますと、本来登記法の建前から申しますと、登記の申請があればその日のうちに登記ができるということを前提に不動産登記法なんかはできているように思われるのでございます。しかしながら、実際問題といたしましては、普通の登記所におきましては、その日の午前中に申請がございますれば、その日の午後にはできるという場合が非常に多いのでございますけれども、午後になりまして、あるいは午後特におそくなりまして申請が出るということになりますと、それはどうしても登記が済むのは翌日になるという、これはやむを得ない事情でございますが、それ以外に、特に大きい都市の登記所におきましては、非常に事件が殺到します関係で、その日のうち、あるいは翌日までに登記が済まない場合が相当多いのでございます。時によりましては、申請がありまして登記が済むまでに一週間あるいはそれ以上もかかるという例が実は少なくないのでございます。 それから、ただいまお話のございました土地改良でございますとか、あるいは区画整理の登記なんかにおきましては、これは土地改良あるいは区画整理の現場の工事が済みまして、それから登記の嘱託ということが行なわれるわけでございますが、この嘱託書を作るのは嘱託者のほうで、土地改良区であるとか区画整理の施行者のほうから嘱託があるわけでございます。嘱託書の作成に相当の日数を要するわけでございます。そういう嘱託書の作成の過程からずっとやりますと、これは相当期間にわたることがあるわけでございます。しかし、一たん適法な嘱託書ができまして登記所が受理いたしますと、登記をするのに何年もかかるということはございません。嘱託の過程で相当手間をとるのでございます。大体そろいう実情でございます。
○稲葉誠一君 現在の段階では、今あなたの説明するのだと、嘱託書の作成に日数がかかって、受理してからはそう日数がかからないのだという話ですが、世間一般はそういうふうに考えていなくて、登記そのものがおくれているのは法務局の責任であるというふうにとっているようですね。 嘱託書の作成というのは、だれがやるのですか。
○政府委員(平賀健太君) 土地改良でございますと、土地改良区の職員がやって参りまして嘱託書を作るわけでございます。嘱託書も、登記簿であるとか台帳を閲覧した上で作成するものでございますが、これは相当めんどうな仕事でございまして、登記所のほうでもよほどこれは協力してあげなければ嘱託書がうまくできないという関係が実はあるのでございます。 それから、最近の事情としましては、改良区なりあるいは区画整理の施行者——市なんかが主でございますが、こういう職員の方々が、必ずしも嘱託書の作成に通暁していられない、しろうとの方が少なくないわけで、そのために非常に時間がかかるということもあるようでございます。 それから、何しろこれは事件が非常に膨大で、数千件あるいは場合によりましては数万件という大きな事件が一挙に登記所に参るものでございますので、登記所といたしましても、正式に嘱託を受理いたしまして登記簿に記載をする段階になりましても、これはそう簡単にはできないわけで、かなりの時間を要するわけでございます。
○稲葉誠一君 現在の法務局の人員の配置の状況、これはどういうふうになっておるのですか。というのは、普通の法務局の中にあるのは、登記と、それから供託だとか、会計とか、いろいろありますね。この人員の配置は全体としてどういうふうになっておるのでしょうか、全国的な形では。法務局の人員の中で登記関係の人員の占める割合、それを具体的な一つの表として出していただきたいと、こう思います。
○政府委員(平賀健太君) 現在、法務局の全職員が九千五百九十四名でございます。これは定員でございます。もっとも三十八年度におきましては二百名の増員につきまして予算が認められております。ですから、総数が九千七百九十四名、約九千八百名になる予定でございますが、その現在の定員九千五百九十四名のうち、登記事務に従事している職員は、大体七千三百名前後なのでございます。 全国の法務局にこの人員を配分するわけでございますが、登記は何と申しましても法務局の中で一番事務量を占めておりまして、これが一番人員を食うわけでございます。この登記につきましては、比較的これは人員の算出ということがほかの事務に比べまして容易と申しますか、これだけの事務量にはどれだけの人間が要るかということが一応数字の上で算定できるわけでございます。不動産であったら、甲号事件、登記簿の記載を要する事件についてはこの程度、それから乙号事件についてはどう、商業登記についてであったらどう、こういう工合に、これは正確な厳密な計算ではきませんけれども、これだけの事務量に対してこれだけの人間が要るということが一応これは計算ができるわけでございます。 ところが、そのほかのことになりますと、必ずしもそういかないわけでございます。管理的な仕事、それから訟務とか、人権とか、戸籍とか、供託とか、各種の仕事をやっておりまして、登記ほど数字的にこの事務量に見合う人間の数というものの算定が容易ではございません。 それでも、大体計算をいたしまして、この法務局の管内においてはこれたけの事務量があるので、これに対応する人員は大体これだけだというような計算をいたしまして、全職員を各法務局に配分をいたしているのでございます。各法務局及び各地方法務局にワクを配分いたしております。法務局、地方法務局におきましては、管内の事務量をやはり基礎にいたしまして、法務局には幾ら、支局には幾ら、出張所には幾らというふうに、これは各法務局、地方法務局ごとに人員の配置をきめておるわけでございます。 大体そういうことになっております。
○稲葉誠一君 新しい二百名の人員の分け方は、どういうふうになっているのですか。
○政府委員(平賀健太君) この新しい二百名についてでございますが、これにつきましては、ただいま申し上げましたように、法務局で一番やはり事務量が多く、しかも人員の不足を痛感いたしておりますのは登記事務の関係でございますので、登記事務を重点に置きまして、事務量の多い所に重点的に配分をするということで計画を立てておるわけでございます。たとえば、一番全国的に事件数が多いのは、東京でございますとか、大阪でございますとか、名古屋でございますとか、そういう所でございます。それに次ぎますものとしまして、横浜であるとか、神戸であるとかいうのが多いのでございますが、こういう所に重点的に二百名というものの配分を考えたいということで、目下計画を立てておるわけでございます。
○稲葉誠一君 これは計画を立てているのじゃなくて、もう配分はきまったのじゃないですか。ある法務局へ行ったら、たとえば宇都宮の場合は四名だということを言っていましたよ。きまっているのじゃないですか。
○政府委員(平賀健太君) これは、現在のところ、まだ定員法が通っておりませんので、そういう関係で、一応大体の計画は立てておりますけれども、まだ最終的にきめたという段階ではございません。
○稲葉誠一君 この前の委員会のときに、水戸の法務局の統合整理で何か陳情に来られましたが、水戸の問題ではなくて、全体としての法務局の統合整理が相当進んでおる。しかも、各法務局ごとに計画書を作ってやっておるようですけれども、この法務局を、ことに出張所を統合整理しようとする考えがどこから来ているのか、それから現在どういうふうな基準でその統合を進めようとしているか、そこら辺のところを明らかにしていただきたい。これはなお相当資料があるのじゃないかと思いますので、現在の統合状況の資料をひとつ出していただきたいと、こう思うのです。
○政府委員(平賀健太君) この法務局の出張所の統合と申しますのは、前回も申し上げましたように、昭和三十三年ごろから実は始めたのでございまして、当初は、法務局の支局を除きましたいわゆる出張所が千八百カ所あったのでございます。ちょうど千八百カ所でございますが、この千八百カ所のほとんど全部が、大体明治年間あるいは大正の初期にかけてできたものでございます。当時は、現在のように交通機関が十分発達しておりません関係で、各地にこのように多数分散して出張所を設ける必要があったと思うのでございますが、現在におきましては、当時とは非常に違いまして、交通も比較にならないくらい便利になっているわけでございます。それからなお、最近におきますところの、ここ数年来におきますところの町村合併の結果、市町村の区域というものが非常に昔に比べて広くなっております。大ざっぱな数字でございますが、一万をこえておりました市町村の数が、現在では四千足らずという、そういうことになっておるわけでございます。そういう関係で、一つの町あるいは一つの村あるいは一つの市の中に二カ所以上登記所があるというような所があちこちに出てきておるのでございます。でありますから、バスでございますとか鉄道でございますとかを利用しますと、二、三十分で行けるような所に登記所が二つあるというような所も多数出て参りました。で、明治年間あるいは大正の初年にでき上がりました登記所の配置を現在のままに置いておく必要も非常に薄らいできておるわけでございます。 それから他方、この千八百もの庁舎を抱えておりますと、庁舎の維持管理ということがなかなか思うにまかせないのでございまして、この庁舎がやはり明治年間にできた、もう四十年も五十年もたった庁舎が非常に多数を占めておる。で、事務を合理化いたしまして登記事務の能率を上げようとしましても、建物が古くなっておる、事務室の構造がよろしくない、あるいは倉庫が狭いというようなことでどうにもならない。さればといって、この千八百の庁舎の改築というようなことはそうそう簡単にできることではございません。 それからまた、昔と違いまして登記事件が非常にふえております関係で、もう庁舎自体が狭くてどうにもならぬというところも多数出ておりまして、そういう関係で千八百もの多数の分散した庁舎を抱えておったのでは事務の合理化、近代化ということができないということが根本的な大きな理由なのでありまして、これをもう少し数を減らす、そうして減らされた登記所をよりよいものにしていく、登記もおくれないように、そうして申請者の需要に応ずるようにしたいというのが統合の出発点なのでございます。 しかしながら、統合しますにつきましてはやはり地元の事情というものを十分に考えなくちゃなりませんので、統合したために非常に不便を来たすというようなことであってはこれはいけませんので、この統合の基準といたしまして、まず第一に交通が便利である。それからその登記所の管轄の面積が狭い、広くないということ。ことに同一市町村内に二カ所以上登記所があるというような場合には、まずそういうところから統合というものを計画を進めていく。それからその登記所の事務量が少ない。こういう条件を基準にいたしまして統合の計画を立ててやっておるわけでございます。 それからなお、この事務量の少ないということと関連いたしますが、職員一人の登記所というのが現在でもなお相当あるのでございます。約四百カ所足らず、これが職員が一人しかいない、出張所長が一人しかいないという登記所なのでございます。これが四百カ所近くございます。それから二人だけしかいないというのがさらにそれよりも数が上回っておりますが、こういうものを合わせますと、もう全登記所の半数以上が職員一人あるいは二人という、そういう現状なのでございます。こういう小さい登記所は、たとえば先ほどのお話のような特殊の事件、土地改良でございますとかそういうような事件が参りますと、もちどうにもならないということになるわけでございまして、まあ、できるだけこういう職員数の少ない登記所を統合いたしまして、最低五人以上ぐらいの職員を抱えた登記所にしたいというのが私ども法務省としましては想理的な登記所の形態ではなかろうかと考えておる次第でございます。
○稲葉誠一君 そうすると、その統合の計画は、本省で練って、それを各地方法務局にその計画に従ってやらせるのか、あるいは、各地方法務局でもうある程度の基準に従った計画を立てて統廃合するのか、そこはどうなっているのですか。
○政府委員(平賀健太君) 統合の基本の計画と申しますか、ただいま申し上げましたような基準は、これは法務省のほうで、本省のほうで基準を定めまして、これに適合する出張所について統合の計画を立てろということで、現実の具体的な計画は各地方法務局で立てるわけでございます。その結果を、計画をこちらに報告させまして、こちらで検討いたしまして、これは統合適当であるということで具体的に手続を進めさせるようにいたしております。
○稲葉誠一君 法務省のほうから、こことここは統合しろというふうに各地方法務局に一つの布令的なものを出すとか、こういうようなことは普通はしないのですか。
○政府委員(平賀健太君) 本省のほうにおきましては、何と申しましてもやはり各地の実情というものを詳細に把握できませんので、具体的な計画は原則としまして地方法務局に立てさせましてやらしております。こちらからある庁を指定しましてこれを統合しろというようなことは普通やっておりません。
○稲葉誠一君 今の事務量のことで、これは甲号と乙号とを分けているわけですね。その分け方や何かと、それから何を基準として事務量をきめるのか。これはどうなっておるんですか。
○政府委員(平賀健太君) 甲号は、先ほど申し上げましたように、その申請書が出ますと、申請書を登記簿と対照いたしまして調査をいたしまして登記簿に記入を要する事件、乙号は、閲覧であるとか、謄本、抄本の交付でございまして、質的にあまり時間を要しない、むずかしくない事件なのでございます。ところが、甲号と申しましても、たとえば不動産の保存登記であるとか、所有権の移転の登記であるとか、あるいは抵当権の設定の登記であるとか、いろいろ甲号事件もそれぞれ種類がございまして、その種類ごとに実は手数がかなり違うわけでございます。そういう関係で、そういういろいろな要素を勘案いたしまして、甲号事件一件処理をするにはどのくらい時間がかかるか、乙号事件の一件処理をするには大体どのくらい時間がかかるかという計算をいたしまして、それによりまして事務量というものの一応の計算をいたしております。
○稲葉誠一君 統廃合の基準としておるのは、今、甲号は年間何千件でしたっけ、三千件でしたっけ、二千件でしたっけ、そういう件数だけを基準として、ここはやめてもいいというふうな一つの基準を設定しているんじゃないですか。乙号のことは件数が幾らあっても全然これは判断に入れてないやり方をしているんじゃないですか。
○政府委員(平賀健太君) 件数につきましても何千件以下であればこれは統合すべきであるというふうには考えておりませんので、件数のみならず、交通の事情、それから管轄区域なんかもやはり考慮に入れておるのでございまして、そういう画一的に何件以下だったら統合せよ、何件以上だったらしてはいけない、そういうふうには実際いたしておりません。
○稲葉誠一君 これはまあ交通の便と、それから合併になった同一市町村に二カ所以上ということもその基準だと思いますが、現実には事務量で甲号が何千件以上、それ以下の場合は廃合してもいいという形で進めているんじゃないですか。私が実際調べたところでは、そういうふうにやっていたですよ。ちょっと数字忘れましたが、うちに行くとメモしたのがありますが、たしか甲号が三千件以下だったと思ったな、年間。そういう行き方をしているんじゃないですか、地方法務局では。
○政府委員(平賀健太君) ただいま仰せのように、件数というものを当然これは考慮に入れますけれども、甲号件数二千件とか三千件とかいう基準だけではやっておりません。現実の問題としましては、今まで統合した庁はかなりございますが、千件以下の庁というのは実はかなりあるのでございます。七百件とかあるいは八百件とか、あるいはもっと少ない四百件とか五百件、一日にしますと甲号事件が一件あるかないかという庁もございますが、現実の問題としては千件以下の庁が非常に多うございます。中には、千五百件であるとかあるいは二千件、二千件をこえるような庁も若干はございますけれども、件数で二千件以下ならばどう、以上ならばどうとか、三千件とか、そういう件数でやってはおりません。
○稲葉誠一君 乙号と甲号との比率ですね、これは件数でいくとどうなっているのですか。
○政府委員(平賀健太君) これも非常に実は登記所ごとにむらがございまして、大体、地方に参りますと、甲号事件に対して乙号事件が非常に多いのでございます、不動産につきましては。ところが、都会地でございますと、甲号事件と乙号事件とを比較しますと、あまり違わない、乙号事件がもちろん多うございますけれども、そんなに多くないということになっております。しかし、大体申しまして、平均いたしますと乙号事件が甲号事件の二倍、三倍の件数を示す場所が多いのじゃないかと考えます。
○稲葉誠一君 今の関係で、あるととろの出張所が廃止になるでしょう、そうすると、そこにいる司法書士が結局事実問題として失業するような格好になるのじゃないですか。だから、司法書士のほうで、これは自分の生活に関係をするというので相当大きな運動というか、運動と言うと語弊があるかもしれませんが、問題として起こしているわけですね。そういう点についてはどう考えておりますか。
○政府委員(平賀健太君) 私どもといたしましては、登記の申請は非常にこれは技術的なもので、また、法律判断を要しますし、これはしろうとにはなかなかできないので、司法書士の存在というものは登記事務においては欠くことのできないものと考えておるのでございますが、大体今までの統合の例で申しますと、登記所が隣の庁に統合されるということになりますと、書士の方も事務所を移される場合が多うございます。それからまた、所によりましては、書士は、従来の登記所の所在地にそのまま事務所を持たれ、申請人から登記の申請を受けてそこで書類を作成されて、そしてまとめて新登記所のほうに申請書を持っていって申請をされるという、二つの形態があるようでございます。ところが、都会地なんかにおきましては、登記所等が統合いたしますと、必ずしもその書士が事務所を移転されるということが敷地なんかの関係で容易でない場合もございます。そういう場合には、法務局のほうに命じまして、書士の事務所の敷地の獲得についてもできるだけあっせんをするようにというようなことで、書士の便宜もはかるようにということで指示をしまして、法務局のほうでもその点努力をいたしております。大体、そういう実情でございます。
○稲葉誠一君 現在までに法務局の出張所の統廃合はどの程度やっておりますか、現実に行なわれているのは。
○政府委員(平賀健太君) 大体、現在までに統合いたしましたのが、去年の暮まででございますが、百五十五庁統合いたしております。昭和三十三年ごろから始めまして百五十五庁、本年に入って若干また統合いたしましたので、百六十カ所くらいになっておると思います。大体、そういうことでございます。
○稲葉誠一君 この前の委員会でも私が言ったのですが、笑い話として聞けば聞けるかもしれませんが、どうも各法務局ごとに統廃合をうんとやりたい、統廃合をうんとやることによって自分の法務局長の成績が上がると、こういう形で、いわばコンクールのような形で積極的に行なわれ過ぎる傾向がなきにしもあらずとちょっと考えられる点があるのですが、こういう点については、法務省としてよく注意をして、行き過ぎのないようにひとつしていただきたい、こういうふうに考えるわけです。 統廃合について現実にこれだけ行なわれておりますけれども、これに関連をして、地元の人たちからそういう部分の統廃合をやらないでほしいというような意見なんかも相当出ていますか。
○政府委員(平賀健太君) 統廃合するにつきましては、形式的に申しますと、登記所の設置につきましては、これは法務省令で定まることになっておりまして、法務省令一本でいかようにもなるというものでございますけれども、しかし、これは各地の現地の方々の利害に相当密接な関連がございますので、地方の実情を十分考慮して、そしてでき得べくんば地元の方々の十分な了解を得た上でやるようにと、決して無理をしないようにというふうに地方法務局長には指示をいたしております。そういう関係で、地元のほうであくまで反対をしておられるのを押し切って強引にやるようなことはするな、十分お話し合いをし、何回も足を運んで納得を得た上でやるのが理想であるというふうに指示をいたしております。あるいは稲葉委員仰せのような、たくさん一挙に統合してその法務局の成績を上げたいというような考えが起こる可能性も多少ないではありませんので、そういうことがないように私どものほうでは十分注意をしているつもりでございます。
○稲葉誠一君 商業登記では、何といっても東京法務局日本橋出張所が一番事務量は多いわけですが、そこで、この日本橋出張所の老朽がはなはだしいので、いろいろ利用者に不便を与えているということが再々言われるのですが、その建設とか何とかは、どういうふうになっていますか。
○政府委員(平賀健太君) 事務量から申しますと、仰せのように、日本橋の事件というのは、これは商業、法人ばかりでございますが、不動産はやっておりませんが、相当のこれは事件数なのでございます。三十七年を例にとりますと、甲号事件が六万一千件、それから乙号事件は二百六万件という膨大な数字なのでございます。ところが、東京法務局の日本橋出張所の建物が非常にいたみまして、新庁舎を造らなくちゃならぬわけでございますが、敷地その他の関係でまだそれが実現を見ておりませんので、現在東京法務局の本局の庁舎の一部、これも仮庁舎でございますが、仮庁舎の一部に事務所を設けまして、そこで事務を処理いたしております。これはできる限り早い機会に庁舎を新営しまして、りっぱな商業登記所にいたしたいという考えでおるわけでございます。
○稲葉誠一君 これは今まで法務省で考えたかどうかわかりませんが、甲号事件の年間何件について事務職員何人が適当であるとかいう一つの人数の基準というようなものはあるのですか。
○政府委員(平賀健太君) 大体、私どもの考えでは、これは現在の人員と事務量を前提にしまして、甲号事件千五百件前後につきまして職員一人、最小限度年間これだけは要るというふうに考えております。
○稲葉誠一君 今の甲が千五百件で大体一人という計算でいくと、現在の法務局の人員、特に登記関係ですね、それと登記の件数との比較でいくと、どういうふうになるのですか。
○政府委員(平賀健太君) そういう計算で参りまして、やはり人員がだいぶ不足いたしております。
○松野孝一君 だいぶとは、どのくらい不足の見込みですか。今の千五百件に一人というふうに考えておるというお話でしたけれども、だいぶ不足しているというお話でしたけれども、実際何人不足をしておるのですか。
○政府委員(平賀健太君) これも実はいろいろな計算方法があるのでございますが、私ども、昭和三十六年、七年、八年度予算要求におきましては、今の事務量を基準にいたしまして、現在の人員に比較いたしまして、どんなに低く見積もりましても約千名の人員不足だということで、大体千名前後の増員の要求をこの数年来繰り返しておるわけでございます。これも最小限度なんでございます。
○稲葉誠一君 今のは、甲号千五百件を基準にしているだけですね。そのほかに、現実に乙号も同じ人が取り扱うわけでしょう。ですから、非常に事務量が多くなってくるだろうと思うのです。実際の勤務状態などは、五時なら五時に終わって帰れるという状態になっているのですか。それよりもおそく勤務しておられるのですか。
○政府委員(平賀健太君) 実際の勤務状態は、全国をおしなべて申しますと、五時にぴたりと帰るということにはいかぬのが実情でございます。
○稲葉誠一君 やけにあっさり答えられるのですけれども、そういうのじゃなく、現実に何時ごろまで仕事をしているかというようなことをよくあなたのほうで把握しておられるのですか。これは場所によって違いますけれども。
○政府委員(平賀健太君) まあ平均いたしまして、全国おしなべて申しますと、少なくとも一時間の超勤はしているというのが実情だろうと思います。これも都会と地方で非常に違いまして、むらがございますけれども、大体一日一時間の超勤をしているという、おしなべますと、そういう計算になるかと思います。
○稲葉誠一君 この問題についてはまた別に詳しくお聞きしたいと思うのですが、最後に二つお聞きしたいのですが、一つは、不動産登記法の改正については今何か考えておることがあるのですか。
○政府委員(平賀健太君) 不動産登記法につきましては、実は、三十六年度におきまして、不動産登記簿と土地台帳、家屋台帳を一元化するということで大改正をしました。それから昨年は、建物の区分所有等に関する法律に伴いまして所要の改正をいたしましたので、不動産登記法につきましては、さしあたって大きな改正ということは今考えておりません。
○稲葉誠一君 司法書士法の改正については、何か考えておられることがあるのですか。現実に問題となっている点があるのですか。
○政府委員(平賀健太君) 司法書士法につきましても、これは数次の改正を経まして、現在の運用状態を見ますと、さして不都合というものもございませんので、今のところ改正は考えておりません。
○稲葉誠一君 これについても別な機会にお尋ねをしたいのですけれども、試験が非常にむずかしくて、合格者がなかなか少ないわけですね。三十何人に一人くらいしか受からないのじゃないですか。
○政府委員(平賀健太君) 仰せのとおりでございます。司法書士は、「選考」という形で、試験という形になっておりませんが、法務局長または地方法務局長が選考をしまするにつきましては、やはり試験の方法によっておるのでございますが、かなりむずかしゅうございます。と申しますのは、やはり登記の申請行為自体がかなりこれはむずかしい仕事でございまして、司法書士がよほどりっぱでございませんと、申請人にも非常に迷惑をかけることになる。そのために登記が非常におくれる、あるいは間違った登記がされるということになるわけでございます。現在のようなやはり厳格な選考方法を講ずることがこの登記制度の確実、迅速ということを維持していきます上においては不可欠なものだと私ども考えております。
○岩間正男君 時間が非常に不十分なようですから、簡単に二、三の点だけ先にお伺いしておきます。 第一には、現在、商業登記法を独立させて単独立法とした理由ですね、これはどういう理由なのか、この点を明らかにしておきたい。
○政府委員(平賀健太君) 今度の改正案をごらんになりましてもわかりますように、現行法とはかなり違った点があるわけでございます。それからまた、条文の数も、現行法に比べますと非常に多くなりまして、これを非訟事件手続法の一部改正というような形でいたしますと、非常に見にくくなります。それから、一部改正にいたしますと、やはり現行法に合わせまして文語体で書かなければならぬということもございます。 で、実質的な改正規定がかなり多い、条文の数が非常に多くなる、それから文語体を口語体に改めてできるだけわかりやすくしたい、そういうことで、はずしまして単行法にいたしたわけでございます。
○岩間正男君 商業登記件数甲号は、資料によって見ても、株式会社が圧倒的に多いのですね。そういう点から、これの簡素化ということが非常に問題になったと思うのですが、特にこれについて経団連あたりからの要求があったように聞いておりますが、この点はいかがですか。
○政府委員(平賀健太君) 商業登記の一番主要な部分を占めます会社の登記につままして合理化を考えておるのでございまして、この法律案におきましても、支店における登記の問題、あるいは本店移転の登記の問題その他につきまして、現行法と違いまして、かなりの合理化の措置を講じておりますが、なお、法律が成立いたしますと、法務省令で商業登記規則が制定されることになるわけでございますが、その規則の中におきまして、登記簿の様式なんかにつきまして、現行法よりもさらに進んだ改善の措置を講じたいと思いまして、目下検討をいたしております。
○岩間正男君 経団連の要求の問題はどうですか。
○政府委員(平賀健太君) 経団連からは、仰せのとおり、三十六年の十月十一日付をもちまして改正についての意見が出ておりますが、この全部がこの法律案で満たされてはいないかもしれませんが、この要望は、この法律案で満たされると思います。 それからなお、ただいま申し上げましたように、商業登記規則におきまして登記簿の様式を改めます際に考慮すべき点もあるように考えております。
○岩間正男君 今度の改正でどの程度便利になるのか。それから受益者の立場からいってどういう利益が出るのか、これをちょっと具体的に……。
○政府委員(平賀健太君) これは、一体現在の負担が何%減るかという数字的な説明は、なかなか困難でございますが、若干例を申し上げますと、登記の申請書を登記所で審査いたしまして、適法であれば受理するわけでございますが、不適法であれば却下をする。あるいは、現実の問題としましては、申請書を取り下げてもらって申請書を補正してもらうということになるわけでございます。そういう申請の却下事由を、現行法は、登記の申請が商法、有限会社法に適しないときは却下するというような抽象的な書き方をしておりますのを改めまして、却下事由というものを非常に具体的にいたしました。法律案の二十四条でございます。これは、要するに、申請書をいかに作るべきかということの基準が非常に明確になりまして、申請書を作成する方々には少なからず便宜をもたらすんではないか。登記所におきましても、審査の基準というものがはっきりいたしまして、これも事務合理化に役立つと考えております。 それから、現行法では、登記事項が法律の面では必ずしもはっきりしていないのがございます。この法律案では、商号、未成年者、後見人、支配人の登記につきましてそれぞれ登記事項を具体的に法律の中で明らかにしたという点、これも現行法の改善でございます。 ただ、これは事務負担にはあまり影響ないかと思いますが、事務負担に一番影響がありますのは、何と申しましても、会社の登記でございます。会社の登記におきましては、従来でございますと、たとえば設立登記は、株式会社について申しますと、総取締役、総監査役が申請しなくちゃいかぬ。会社の解散の登記の場合も、やはり総取締役、総監査役というような役員の全員が登記の申請人にならなくちゃならぬというような規定になっておりましたのを改めまして、会社の代表者が一人ですればいいという、登記の申請人を会社の代表者がやるということに改めたわけでございます。それから、会社の支店の所在地で登記をします場合には、申請人がその登記所に出頭してする必要はない、郵送でもよろしい。あるいは、会社が本店を移転しました場合には、従来は旧所在地と新所在地の登記所にそれぞれ出頭しまして別々に登記の申請をしましたのを、旧所在地の登記所で一ぺんに両方の登記ができるというふうに改めた、そういうふうな点がございます。 その点につきましては、実はお手元に資料を差し上げてあると思いますが、「商業登記法案と非訟事件手続法との主要相違点」というもので上下二段に分けまして現行法との相違点をあげてございます。一例をあげますと、大体以上のような点でこの法律自体におきましても現行制度に比べましてかなりの合理化を講じたつもりでございます。
○岩間正男君 手続並びに費用の点で軽減されてくると、整理統合なんかやる場合には非常に便利だ、そういうことですね。財源なんかそういう意向を持っていると考えられますが、その点どうでしょうか。
○政府委員(平賀健太君) ちょっと私ただいまの御質問の趣旨よく聞き取りかねたのでございますが、整理統合と申しますと、これは会社のでございますか、登記所の……。
○岩間正男君 会社のです。
○政府委員(平賀健太君) 会社の整理統合と申しますと、会社の合併なんかに当たるんじゃないかと思いますが、仰せのとおりでございます。 それからなお、会社の合併の登記の手続につきましても実はこの法律案で現行法を改めております。現行法でございますと、会社の合併の場合でございますと、合併によって消滅する会社、それから合併によって新たに設立される会社、あるいは合併によって変更を来たす会社、存続会社について変更登記をする場合でございますが、それぞれにつきまして別々に登記の申請をしなくちゃならぬということにしておりましたのを、これも申請はもう一本で一緒にやれるということにいたしまして、合併登記の手続自体も合理化いたしております。
○岩間正男君 費用の軽減ですね。現在では、登録税などを含めて相当な金額が登記にあたって要ると思うんですが、現実はどのくらいかかって、この法改正によってどういうふうに軽減されるか、そういうのの何か調査資料がございますか。
○政府委員(平賀健太君) 費用で一番大きいのは登録税だと思うのでございますが、登録税自体につきましては、今度は商号の仮登記という制度を設けたのに伴いますところの登録税の規定の改正がございますが、その他の点につきましては、登録税については変更はございません。 それから、その次に大きな費用といたしましては、司法書士に申請を依頼いたしますと、申請書等の作成につきまして司法書士に対する報酬を払うわけでございまして、この報酬の点につきましても——これはあまり大きな変化はないと考えます。ただ、支店の登記でございますと、登記所に行かなくともよろしい、あるいは合併なんかの場合に登記の申請は一カ所の登記所で一緒に申請ができる、そういうことに伴う目に見えない費用と申しますか、費用負担というものは相当減るんではないか、数字的に幾らというふうに算定は困難でございますけれども、そういう点はかなりあろうかと思うのでございます。
○岩間正男君 現行法で、大体の標準になりますけれども、一件の登記をやる場合にはどのくらい費用が要るかという調査は別に法務省のほうではやっておらないんですか。これはどうですか。
○政府委員(平賀健太君) ちょっと今すぐと仰せられても困りますが、それでは、次回までに、不動産の登記の申請に一体どのくらい、普通の価格幾らの、たとえば土地なら土地、建物について、一件の登記を申請すればどのくらい費用がかかるか、それから会社の設立にどのくらい費用がかかるか、資本金これこれの会社についてどのくらい費用がかかるか、司法書士の報酬を含めまして、一応の計算をいたしまして見本をお目にかけます。
○岩間正男君 それでは、今度の法改正によって軽減されるそれも含めていただけますか。大体予想されるのでいいです、むろんこれは実施していないんですから。ようございますね。
○政府委員(平賀健太君) 承知いたしました。
○岩間正男君 それでは、きょうは時間がないから、これで……。
○委員長(鳥畠徳次郎君) それでは、他に御発言もないようでありますから、本件は一応この程度にとどめます。 —————————————
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。 岩間君から発言を求められておりますので、これを許します。岩間君。
○岩間正男君 官房長官は……。
○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて。
○岩間正男君 今度の地方選挙を見て最大の特徴点と言えるのは、大がかりな組織的な謀略選挙であったという点にあると思う。東京、福岡知事選をはじめとして、にせ証紙、幽霊候補者、はがきの横流し、謀略文書等々、全くこれは悪質をきわめたものがあると思うのですがね。この問題につきましては、これは詳細はあとでこの次にお聞きすることにしまして、とりあえず、官房長官も法務大臣もこの内容については十分御承知だと思うので、これに対してどういう見解を持たれますか。今度のこのまことに、まあある情報のごときは、世界的にこんなにきたない選挙はないといわれていますが、今度の選挙に対しましてどういったような法を正す建前から見解をお持ちになっておりますか、法務大臣と官房長官にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中垣國男君) お答えをいたします。 過般行なわれました地方統一選挙におきまして、各種の違反が摘発、告発されて、目下公判中のもの、捜査中のもの、多種多様であることは、御指摘のとおりでございます。特に、ただいま御指摘になりましたような偽造証紙事件のような問題等は、まことに悪質なものであると思いまして、まことに遺憾であると考えております。また、具体的な個々の問題については刑事局長からお答えがあるかと思うのでありますが、通じまして選挙の違反件数等が四年前の統一選挙と比べまして非常に増加しておるということも、まことに遺憾であると思います。特に、政府といたしましては、公明選挙運動を行なうための選挙公明化の努力をいたしておったにもかかわらず、このように違反事実が、違反の増加が指摘されるようになりましたことは、政府といたしましても今後十分注意をしなければならないと思うのでありますが、依然としまして選挙公明に対する国民の関心や、知識を深めるための運動をますます力を入れていかなければならない、かように考えておる次第でございます。
○政府委員(黒金泰美君) 今法務大臣のお答えになったとおりでございます。まことに残念に思います。
○岩間正男君 これは東京なんかの問題ですが、こんなことが言われていますね。にせ証紙で当選した知事はにせ知事だ。しかも、来年のオリンピックを控えて非常に工合が悪い。ことにフェア・プレーをもととする——しかも、東知事は、オリンピックをやるということを最大の公約に掲げて当選した知事なんですね。この知事がこのようなにせ証紙によって当選したということは、これは国際的に考えまして、オリンピックの開催期を間近に控えて非常にまずい、こういうふうに考えられるのです。 で、このような世界にも例のない醜悪な選挙を展開したその根源というものはどこにあるというふうにお考えになっていますか。この根拠について、これは当然検討をしてほしいと思うのです。政府のほうでは、この問題についてどういうふうにタッチされ、それからどういうふうにこの根拠を明らかにし、こういうことを繰り返さないようにする手続をとっておられるか、これをお聞きしたいと思う。
○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて。
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。 ただいまお尋ね下さいましたような原因並びに結果等につきましては、これは十分政府といたしましても、また法務省といたしましても、当然のこととして厳正公正に追及をいたしまして明らかにして参りたいと思います。なぜこのような違反事件が続出したのか、これをどう思うかというお尋ねに対しましては、これは別に政府が統一的な見解を持っているわけじゃございませんけれども、法務大臣といたしまして考えまするに、候補者を当選させるために第三者のような運動の形におきまして非常に悪質な運動方法等が、いわゆる新手と申しますか、そういうものが非常に行なわれておる、こういうふうに考えるのでございまして、こういうことに対しましても、たとえば、立法上の問題、あるいは運営の問題等、先ほど申しました選挙公明化推進の問題等、諸問題をよく各般にわたって研究をいたしまして、そうしてよりよき制度を生み出すために努力をしなければならない、かように考えておる次第でございます。
○岩間正男君 選挙の公正、公明、さらに真の民主化を実現するためには、私は、選挙だけでなくて、平素の政党政治をガラス張りに民主的にしなければならない、こういうふうに考えるわけです。日常の政党政治、政治活動を民主化していくためには、最も基礎的に必要な物的な要素、つまり政治資金にある。その政治資金がどこから来て、どのように使われたか、これを明らかにするということが非常に必要だというふうに思います。これが不明瞭であり、違法に使われている限りは、政治の粛正、選挙の粛正を口にしても話にならないと思う。今度のにせ証紙事件でも、これはあとで詳細に明らかにされると思うのですけれども、自民党の経理からこのにせ証紙をまかなった金が出されているということが、すでに逮捕された松崎ですか、松崎の証言の中に出ているわけです。そうしますと、この政治資金の問題というのは、非常に重大だと思うわけです。国民はこの点に非常に深い関心を持って、各政党ともどこからどのように金を集めてどう使っているかということに非常に深い関心を寄せておると思うのです。ちょうどおりもおり、四月五日に東京地裁の民事八部で、会社の政治献金の問題について不当であるという判決がなされました。この問題について、政府並びに政党の政治資金についてメスを入れることを国民は非常に要望していると思うのです。 特に私がお聞きしたいのは、今回の地方選で、選挙の寄付をした会社名と金額、それから特に東京都知事選にあたって、いわゆる千代田会に参加しておる財界が、東京都知事選のために総額一億三千万円の献金をしておるといわれておりますが、その内容はどういうものか、こういうことをお聞きしたいと思います。
○政府委員(松村清之君) 今お話しの東京都の選挙の選挙運動の収支報告書は、実は候補者の側で十三名の候補者がいるわけですが、そのうちまだ五名ほどしか都の選管に出ていないそうであります。これは、都の選挙管理委員会のほうで収支報告書を集めまして、その上で都の広報へ出す、その都の広報を自治省のほうへ送付してくる、こういう手はずになっておりまして、今のところそういう状況でありますので、今度の選挙に関します収支の関係は、私どもの役所ではまだ明らかになっておりません。
○岩間正男君 いつごろでき上がりますか。
○政府委員(松村清之君) けさ都の選挙管理委員会のほうへ聞いてみましたところ、月末ごろにまとまるであろう、こういう話でございます。
○岩間正男君 政治資金についてお伺いしますが、三十七年度の集計は下半期分が近いうちに官報に載るだろうと思うのですが、上半期、下半期を通じて自民党の収入はどのくらいになっておりますか。その献金の多い順に献金者の名前ですね、上位二十ぐらいの金額と名前を説明してほしいのですが。
○政府委員(松村清之君) ちょっと自民党の献金額の総額は手元に資料がございませんですが、上期の分はすでに公表しておりますし、下期の分は今お話しのとおり現在官報に出すべく印刷中でございます。 それで、献金額と献金者の内容を大どころを申し上げますと、まあ何といっても国民協会が一番多いわけでありまして、四億九千五百万円。それからあと千万円台が、私鉄経営者協会、出光興産株式会社、日本損害保険協会、日本医師連盟、日本紡績協会、それから全国信用金庫協会、日本映画製作者連盟、全国乗用自動車連合会、それから全国貴金属宝石工芸品組合連合会、千代田会——これはちょっとどういう会かわかりませんが、それから日本船主協会、日本化学繊維協会、まあこういうところが上期、下期を通じた昨年度の年間の献金額として千万円以上になっておるところでございます。
○岩間正男君 その資料はもらえませんか。
○政府委員(松村清之君) これはいずれ官報に詳細出ますので、あとで差し上げたいと思います。
○岩間正男君 下期のはいつわかりますか。
○政府委員(松村清之君) 下期の分は、今月の終わりごろ官報に出る予定になっております。すでに印刷には回しておりますが、印刷に手間がかかっておるらしいのでございます。
○岩間正男君 詳細は、そういう資料によってもなおこれは再質問する必要があると思うのですが、とにかくこのようによごれた選挙をやった台所ですね、政党の台所が、ことに自民党の台所について、過去数年間だけでも今言ったような大企業からの献金によってまかなわれている。これは明白な事実だと思います。先ほどあげたのにはなかったが、丸善石油とか、富士製鉄、日本鋼管、東京瓦斯など、八幡製鉄は言うまでもないが、そういうところがずっと出ている。昭和三十年一月から三十年六月までの自民党の受けた献金が七十七億ということになっております。これは一応公表された分です。その内容を見ますというと、今言ったようなところからそういうものが出ているわけです。これはまた資料として選管から出してもらえますか。三十年ごろからでもいいから、最近の三十七年の六月、そうして各企業体から受けた寄金、それから全体の総額、それから自民党として受けたもの、それから自民党の個人もありましょう、個人の名前で池田さんはじめみな受けている、そういうものについて資料を出してほしいと思います。
○政府委員(松村清之君) 公表されている分の中からまとめられるものにつきましては、一応まとめまして差し上げることができるかと思います。
○岩間正男君 このように、大企業と自民党並びに幹部の結び付きというのは非常に私は多いと思います。そうすると、なぜ政治献金を受けているかという点で私はこの問題を国民の前に明らかにするそういう責任を持っていると思います。この前、地裁の判決があったときに、経団連の植村甲午郎さんはこういうことを言っております。「企業が政治献金をするのは、営利事業を行なうための安定的な社会環境をつくってもらうという意味がある。そういう社会基盤がなければ会社が営利事業を続けていくことはできない。」、こういうふうに言っております。これこそ企業の政治献金の目的を端的に物語っているのじゃないかと思うのであります。自民党は自民党でその資金の大部分を大企業に依存し、大企業は大企業でまた利潤追求のために自民党を支持している、こういう関係ですね。こういう関係がはっきりしない限りは、これは選挙の粛正とか政治の粛正とかそういうことを言ったとしましても、特にいわゆるにせ証紙の問題並びにはがきの横流しの問題につながるこのたびの全く世界的にも例がないと言われている醜悪な選挙の実態というものの背景を究明することはできない、こういうふうに考えるわけです。この点について、官房長官はどういうふうに考えますか。「営利事業を行なうための安定的な社会環境」というのは何ですか。一体この内容は何なんですか。これは、労働者の団結を切りくずし、さらに賃金を押え、そうして安定という名前において実は労働者のこういう切実な要求を弾圧する、抑圧する、背後から操縦する、分裂させる、こういう事態をさしているというように考えられるわけですが、どういうように考えますか。
○政府委員(黒金泰美君) 植村甲午郎さんの御意見でございますから、私がいたずらに推測を加えてみても、かえって誤解を招くと思いますから、申し上げたくございません。
○岩間正男君 それでは、あなたがこの前判決について談話を発表しておられますね、旅行先その他で談話を発表されている。そのときにどういうふうに言っておられるか。
○政府委員(黒金泰美君) これは私の申したことは私の意見でございますから、申し上げたいと思います。裁判所の判決についてわれわれの立場からとかく申すことは差し控えたいと思います。しかし、たってとおっしゃいますから、これは私見でございます。私の私見といたしましては、この献金といいますか寄付の問題をいろいろ論議なさる場合に、会社法の問題、商法の問題としてお考えになるのは少し筋が違うのではございますまいか。もしこれが妥当であるとかなんとかいう問題であるとするならば、政治資金規正法なりそういう問題で考えるべき筋合ではありますまいか。万一、今問題になっておりますように、商法の問題としてお考えになるならば、非常に厳格に解釈すれば、営利事業を営んでおる会社が営利に関係のないことをしたという解釈をすれば、これは非常に厳格な意味においては商法違反になるかもしれませんけれども、私の考えでは、これは私見でありますが、法人も個人も、やはり社会に生存しておるのですから、おつき合い程度のことというものは、たとえば、お祭りの寄付もありましょうし、おつき合いもありましょうし、いろいろな寄付ということがあり得ると思います。これが定款に書いてあるとかないということで問題にされてしかるべきかどうかということは、社会常識で判断することでありますまいか。したがいまして、政党に対する寄付であるから商法違反である、こういうふうな解釈はいかがなものかと思われます。あらゆる寄付その他につきまして、社会の常識から見て許さるべきものと、許すべからざるものと、こういうものがありましょう。こういう意味のことを私は発言しております。
○岩間正男君 あなたは今、おつき合い程度というようなことを言われましたが、つき合いというのは莫大なものですね。あなたたちのおつき合いは何億というようなおつき合いなんで、われわれはとても見当がつかぬのですが、それから国民も見当がつかぬのです。今おつき合い程度ということですが、何億の献金を受けているというような形です。 あなたの談話の中に、「この判決は各政党への影響が大きく、とりわけ自民党としては一番困る。問題は会社の業務の範囲をどの程度まで認めるかであって、私見としてはあまりこれは厳格に限定すべきものではないと思う。」、こういうことを述べられ、また、別な談話では、「会社の政治献金がなくなれば、派閥解消どころか、政党解消になってしまうだろう。」、こういうことを述べておられるのですが、これは今国民の非常に大きな問題にしている、つまり、大企業、大資本と政府自民党との結びつき、しかも、そこにはいろいろな便利供与の問題があると思うのです。それは、たとえば、政府自民党のやっているやり方を見ますと、財政上、金融上、あるいは税法上、あらゆる大企業に対する大きな特典が与えられている。そうして、大企業本位の財政投融資や、あるいは租税特別措置法という形で現在それが行なわれております。今度の特定産業振興法などについても、この立法経過の中にもそういう事態を見ることができるのです。そういう非常に手厚く保護されている。そういうことがさっきの植村経団連副会長の「安定的な社会環境をつくる」、こういうようなこととつながっていると思うのです。こういうふうに国民の血税がこれら大企業に非常に注ぎ込まれている、このことを国民は知っております。それだけに、会社の政治献金というものは禁止すべきだ、会社と政党のくされ縁は直ちに断ち切ることなしには真に政治の粛正あるいは選挙の公明ということは行なわれないということに世論が集中してきているのです。私がくどくど申し上げる必要はないと思います。そういう中で官房長官の先ほどのような談話が発表されるということは、私は解せないと、こういうふうに思うのですが、これはどうですか。
○政府委員(黒金泰美君) 今おっしゃっているように、政党に対する寄付金を個人に限定するということも、一つの考え方だと思います。ただ、しかし、現状から申しますならば、これは決して自民党だけではございますまい。ほかの政治結社の政治資金規正法による報告をごらんになりましても、やはり法人がある程度これに寄与しているととは事実でありまして、なかなか今個人に限りましょうと申しましても、現状はそう一足飛びにやるわけに参らぬと思います。したがいまして、昨年あたりも政治資金規正法の改正をちょっとやったのでありますが、なかなかそう今現状を無視してまで一挙にやるわけに参りますまい。そういうような意味で私は話をしておったのでありますが、今お話しになりましたように、これを個人に限るべきかどうか、ころいった問題は、十分検討に値する問題であろうとは思っております。
○岩間正男君 検討に値する問題だという中であなたの談話が出された。都合のいいときは、あなたたちは、裁判所の判決というものは、これをいかにも同意見でございます、政府はさきからこういうことを考えていましたと言われる。この前の最高裁の免責規定のあの場合なんか、これは同じことを官房長官はここで言われました。ところが、今度の地裁の判決については、正面切って——言葉の上ではいろいろあやをもって言っておりますけれども、あなたたちは、この判決に反対なんだ、この判決どおりやったら全く政党は解消してしまう、そういうことまで言っているのです。強烈な意思表示ですよ。こういうことはどうなんです。都合のいいときだけは判決を尊重する。都合が悪いということになると、まるで判決はもうこれに対して大きく否定するという形をとってきているのでありますけれども、私は、この判決というものは、少なくとも国民の疑惑に対して一つの大きなメスを入れて、そうして当然日本の政党政治の行くべき方向というものを正しく差し示した、ころいうふうに考えるし、国民もこういう点では多く支持しているというふうに思うのです。これについてどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(黒金泰美君) 人々おのおの私見が違うのでありますから、何も都合のいいときに賛成し、都合の悪いときに反対するのでなしに、私は私の立場で判決をかりに私見で批判すれば、この判決はいい、この判決は何かおかしい、と思います。それは、岩間委員も、そういう立場で、あの判決はおかしいと思う、これは間違っている、こうお思いになることはあると思います。これはおのおの自分の考えなんでありますから、別に都合のいいときだけ引用しているわけではございません。
○岩間正男君 ただ、あなたは、これは官房長官という政府の大黒柱なんです。大番頭なんです。政府をしょっているのです。その立場の人がこういうふうに言うことは、われわれが言うこととはまた影響するところは違うのです。そこのところをはっきりしないと、会社の政党献金の不当について出された判決について、「政党解消になってしまうだろう。」とか「自民党としては一番困る」、こういうことを発言されるということは、非常に疑惑を招くのじゃないですか。非常に不謹慎だといいうふうに感じられます。この点、どうですか。
○政府委員(黒金泰美君) 不謹慎というそしりを受ければやむを得ませんけれども、初めに申し上げましたとおりに、現在進行中の訴訟であり、判決の出たところでありますから、われわれとしては意見を差しはさむ、批評がましいことは言いたくないのであります。たって私見と言われますから、私の見解はこういう見解でございますと、立場をはっきりして自分の私見として申し上げたつもりでございます。
○岩間正男君 その私見が問題になります。先ほどから申したように、財政投融資の面から見ても、税法上から見ても、いろいろなそこのところにくされ縁の問題があり、大きな国会の問題にもなっているわけです。私は最近明治からの汚職史を一応読んでみたけれども、全くこれはこれとつながっている。そうしてほんとうに定期的にそういう国家資金が大きな企業、財閥に流れておる。その結果、政治献金がなされ、その政治献金によって政治の腐敗堕落というものが起こっておる。今度の選挙などというものは、東京都知事選挙を頂点として、全国的な謀略選挙である。世界的にその例を見ないようなきたない選挙の背景を追及していけば、当然そういう問題が出てくる。すでにちらちら出ておる。徹底的にこの問題を明らかにしなければ、国民は了承できないだろうと思う。そういうやさきにこういうことを言われるというのほどうですかと言っておる。政治的に考えたって、どうでしょう。
○政府委員(黒金泰美君) いろいろ御批判は受けましょうが、私は、私見としてはそういう考えで今でもおります。
○岩間正男君 この問題については、部連の副会長の安井君も、「政党の立場に立つわれわれとしては承服できない」というようなことを言っておるわけですが、大企業の献金がなくなれば解消してしまうような政党であれば、解消してしまったほうがいいんじゃないですかな。私は、政治の真の正しい方向を差し示すためには、もう少しこの問題は考えなければならぬと思うのです。こういうようなことも言っておるですね。自民党の人々は、世論の批判を非常に受けながらも、それをいかにもくらますように、こんなことを言っておる。「現段階で献金を禁止すれば、政党活動が混乱する。かえってヤミ献金を助長する恐れがある」というような理屈をつけておる。また、「会社献金を認めた上でその規制措置を考えたらどうか。たとえば、会社の規模、性格などに応じて政治献金の額に適当な限度を定め、その範囲内で自由にする」などということを言っておるのですが、そういうような考え方なら、一体、どこに限度を求めるのか、その限度がまた問題になってくる。会社の寄付金は、税法上、現在でも、損金算入限度は所得の二・五%までということになっており、その範囲でやっておるのでしょう。八幡製鉄のごときは、資本金が五百八十億ですか、そして半期の純益でも五十一億上げておる。そういうことになってきますと、損金算入限度の中でも八幡製鉄なんかはたいへんな献金ができると、こういうことになるのですが、この点についてはどうお考えになりますか。
○政府委員(黒金泰美君) 今のお話でありますが、税法上、経費で落としております寄付金は、先ほども例にあげましたが、お祭の寄付もありますし、研究所に対する寄付もあります。いろいろなものを含んでおります。政党に対する寄付が、その限度までやれるという意味では決してございませんから、そこは御了承願いたいと思います。
○岩間正男君 私はそれを伺っておるのじゃなくて、限度内でやっても現状では莫大なものになるということです。どうです。
○政府委員(黒金泰美君) ですから、いろいろな方面から寄付の、要望がございましょう、八幡ともなりますれば。したがいまして、その限界一ぱい自民党だけにしたらば、あとは困ってしまいますから、そういうことはあり得ないのだと、こう申し上げておるわけであります。
○岩間正男君 昨年の参議院選挙の前に、選挙制度調査会で会社献金の禁止のことが問題になりました。それを、会社献金と全然性格の異なる「労働組合の政治資金もひっくるめる」ことですりかえ、「実施時期等については引き続き検討を加える」というようなことで実はお茶を濁した答申があります。そり答申さえも、政府は、選挙法改正では、答申が「選挙又は政治活動に関し」となっていたのを、今度は選挙だけに限定して、政治活動というところは野放しになったわけです。国や公共企業体と請負その他特別に利益を伴う契約当事者、あるいは、補助金、奨励金、助成金、負担金その他これに準ずる交付金または出資金等を受けている会社などに対する禁止については、「交付の決定をうけた日、交付の日から起算して一年を経過した日までの間」というふうにこれは実施面で緩和をした。このような二重のトリックを使って国民の批判の目をそらしたということは、これは明らかだと思うのです。このような大企業の政治献金に対する国民の批判というものは、これは私はほんとうに今までの累積された政治の悪に対する、腐敗に対する、やむにやまれない当然の声だと、こういうふうに思うのですが、これに対して官房長官はどう考えていらっしゃるのですか。
○政府委員(黒金泰美君) これは、私、私見でございますが、今の段階としては、あの程度の改正が正しかったのであり、かるがゆえにそういう法案が成立したものと、こう考えております。
○岩間正男君 「今の段階」というのは、どういうことですか。
○政府委員(黒金泰美君) あの当時の委員会の御審議の際には、法人の寄付をやめて個人だけにしたらいいじゃないか、こういう御議論もあったように聞いております。ただ、それが今すぐ実行できる段階かというと、なかなかそれは容易じゃないのじゃないか。同時にまた、一方から申せば、個人が寄付をしていいのになぜ法人が悪いのかという議論もあると思います。そういう段階におきましては、あの程度の改正が妥当であったのであろう、妥当であるがゆえに国会の御賛同を得まして成立したのだと、こう考えております。
○岩間正男君 国民の批判の目が、大企業と政党との非常にくさい関係、そうして、先ほどから申し述べましたように、財政投融資や税の免除あるいは交付金その他のいろいろな国家の負担という名目によって独占を擁護している。そういうことから、政治献金が引き出されてきている。そうして、それがまた政治の腐敗を起こしている。こういう一つの悪循環ですね。こういうものについて大きく批判の目が向いているというこの事実については、官房長官は、一体、はっきり知っておられるかどうか、これについての反省はどうなのか、政府を代表してどういうふうにその点考えておられるか、明らかにしていただきたい。
○政府委員(黒金泰美君) 私が政府を代表してお答えするのがいいかどうか疑問はありますけれども、租税特別措置法でありますとか、財政投融資とかいうものは、やはりこれは国家的見地で、われわれが政府で決定し、あるいは議会で御決定になっているところであります。同時に、一方、政党に対する法人からの寄付というものも、私は、現状では今すぐにやめるわけにいかぬのじゃないか、こう考えております。その間にはそうあなたがおっしゃるほどの直接の因果関係があるものじゃない。もしあまり直接因果関係があれば、これは汚職その他の忌まわしい問題も起こりましょう。そういうものじゃございますまい。ただ、その運営がうまくいかない、あるいは非常な腐敗を起こすようなことがありますれば、これは申しわけないことでありますので、そういう点については十分戒心いたしたいと思います。しかし、政党に対する法人の献金とそれからいろいろな政策の奥行というものとの間は、おのおの別個の問題であります。そう頭から醜悪なるものだ、こうおっしゃってしまわれては、少し行き過ぎじゃありますまいか、こう考えております。
○岩間正男君 時間がないようですが、私はあなたの今の御答弁に満足できません、国民も満足しないだろうと思うのです。ほんとうに国民の批判というものには耳をかすべきものだ。そうして、今度のような選挙の恥ずべき行為の背景にあるそのものをはっきりえぐり出さなければならぬ。時間が短くて十分これを尽くすことができません。私はまた機会を設けて、もっと具体的な例をあげて聞かなければならないと思うのですが、私は、選挙法、政治資金規正法をほんとうに民主化することが必要だと考えております。少なくともそのためにはすぐに第一に会社の献金は全面的に禁止すべきだ、こういうふうに考えます。それから献金は単に選挙だけでなくて、日常の政治活動についても禁止すべきだ。第三に、禁止すべき会社の範囲も、選挙制度調査会の答申、あるいは現行公選法の規定以上に広げるべきだ、こういうふうに考えております。それから第四には、会社の献金と労働組合の献金、労働者のそういうものを混同することは、これは全く性質が違うのではないか。労働組合がそれによっていろいろな金銭上の利益を受けるとか、そういうようなことはないんです。ここのところを二つを混同して、いかにもこの前は相殺するようなやり方をやりましたが、これはやめるべきだ、こういうふうに考えるのです。こういう立場をはっきり貫かれて、選挙法並びに政治資金規正法が改正されるということなしには真に政治並びに選挙の粛正といろことは行なわれないのではないか、このような私たちの要求をここで申し上げると同時に、最後に官房長官にお尋ねしたいのですが、近い将来に総選挙が予想されます。今までのように会社献金をもらって選挙をしようとする考えであるか、あるいは、こういう点についてあなたたちは今度の選挙についてははっきり自粛をする、そういう立場に立つのか、ここのところをはっきり私たちはお聞きしておきたい。私たちは、自民党政府の見解、態度を国民にはっきり知らせる、そういう義務があります。今のままでいくというと、今回の地方選挙以上にまた醜悪きわまりない総選挙が行なわれないという保証はあり得ないのです。だから、そういう点からいって、今度非常に問題を起こし、また、われわれも今後の法務委員会で徹底的にこの正体を明らかにしなければならないと考えております東京都を頂点とした恥ずべき選挙、この問題に対決する政府の心がまえとして、私は最後にこの点をお聞きしておきたいのです。今までのとおりやはりやっていく、こう考えますか。
○政府委員(黒金泰美君) 今の岩間さんのお尋ねは、どうも党がどういうふうな動きをするかというようなお尋ねのようで、これは私答弁する資格がございません。
○岩間正男君 政府としてはどうです。今のような選挙法並びに政治資金規正法の改正に対して私が見解を述べたのですが、官房長官、どうです。
○政府委員(黒金泰美君) 今選挙制度調査会でやっておりますので、ここでどういうふうにお取り上げになりますか、その結論を待って政府は動きたいと思います。
○岩間正男君 政府の見解はないのですか。今度の非常に疑惑を持たれるところの選挙を前にして私はお聞きしているのです。
○政府委員(黒金泰美君) 今せっかく審議会で御審議中でございますから、私のほうはまだそういう意見を下したくないと思います。
○委員長(鳥畠徳次郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記つけて。 —————————————
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、誘拐事件につきまして質疑の通告がありましたから、発言を許します。中山君。
○中山福藏君 まず、中垣法務大臣にお尋ねしたい。 先般、この参議院本会議で、御承知のとおりに、吉展ちゃん事件あるいは中田善枝さん事件に関して御報告がありまして、私どもは大体その経過を了承した次第でありますが、それにつきましてお尋ねしたい。 私は、昭和三十年の七月二十二日に、幼児誘拐処罰法案という法律案を出したんです。そういういわば良心的な責任もありまするので、この際お尋ねしておきたいのです。大体、トニー谷の幼児の誘拐事件以来、こういう世相の変遷というものによって同一のような類似行為を行なう人がひんぴんと現われ出でるだろうということは、これは政治は一種の洞察でありますから、一つの洞察眼を持ってこれに対処する必要がある、いわゆる臨床医学ではなくて予防医学、社会的の予防医学というものが必要じゃないかと私は考えている。それで昭和三十年の七月二十二日にあの法律案を提出したんですが、遺憾ながら二回連続継続審議になりましてこれは葬られました。その後、今回は特に世間の耳目を聳動した事件が御承知のとおり起こっているわけです。ただいまでも諸所に起こっております。ただ捜査の関係上これは発表せられないところが相当にあると私は見ている。法務大臣にお聞きしたいのは、一体全体こういうふうな事件がなぜ起こるのかというその原因をお突きとめになっているのかどうか。もし差しつかえなければ、大まかな原因の一つ二つをお聞かせ願いたい。法務省でどういうふうにお考えになっているか、こういうことをひとつ私はお尋ねしておきたい。
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。 中山先生が昭和三十年七月二十二日ごろ提案をなされました法案につきまして、資料として私も読ましていただいたわけでございますが、 〔委員長退席、理事松野孝一君着席〕 今日の情勢に立ってみますと、あれは非常なけっこうな法案であったと、こういうふうに実は私考えております。 それから最近特に営利誘拐と申しますか身のしろ金を要求するような非常に悪質な誘拐が出てきたというようなことは、この原因につきまして的確な原因をまとめて申し上げるということは、まだそこまで突きとめておりませんけれども、非常に社会環境と申しますか、そういう社会性の強い犯罪でありますので、原因がはたしてどういうことで起きておるのかということはお答えしにくいと思います。ただ、一つの流行みたいな形に、ごく最近の二週間くらいの間の新聞報道あるいは警察等の意見を聞きましても、そういうふうになっておりますので、私ども非常に重要視しておりまして、心配はいたしておるわけでありますが、ただいまお尋ねになりました原因の追及につきましては、法務省といたしましても真剣に検討してみたい、こういうように考えております。
○中山福藏君 これは、御承知のとおり、世界共通にフランスとかあるいはアメリカなんかでもこういう事件が起こっているわけですから、このごろ非常に世界が隣同士になりましていろいろな問題というものが非常に伝播力を持っているということは決して政治家として看過してはいけないと私はふだんから考えているわけですけれども、ただいま承りますれば、これからぼつぼつ研究をして対策を講じようというようなお考えのようですが、これはけっこうです。しかし、大体私が考えますところは、ことにテレビ関係、視聴覚教育と申しますか、そういうふうなことで非常なヴィールス式な立場をとってすべての問題というものが連鎖反応を起こしておるんじゃないかと見ておるわけです。 〔理事松野孝一君退席、委員長着席〕 もう少し大臣自身としても原因が奈辺にありやということについてお考えになっている点があるんじゃないかという気がしますが、せんだって承りますれば、これは新聞の報道するところでありますから、その事実ははっきりわかりませんけれども、法制審議会にかけて単行法でもってこれを処罰する法案を作るか、あるいは刑法のうちの一部に挿入するかということがいろいろ出ておりましたけれども、とにかく重要な問題だから、法制審議会に一応かけて、その期間というものは約二カ月を要するだろう、こういうようなことが新聞に出ておるわけです。しかし、私は、今日の国民の要望というものは、そんなゆうちょうなことではだめじゃないかと考えております。ことに、こういう問題は法制審議会にかける必要はないのじゃないかとすらも考えておる。それはなぜかと申しますと、私はこの法案を提出いたしましたときに、東北大学の教授がお見えになりまして、この方は刑法学の専門ですが、いろいろお述べになったのです。それで、目下刑法の改正は審議中であるから、その刑法の改正されたときこの問題は一緒に解決すべきものだという意見があった。学者は観念論をやっておるが、私は、現実の問題を解決するのが政治だと思う。学者はややもすると観念論をやる。すべての学者がそうだとは私は申しません。しかし、多くの参考人は、そういう癖を持っております。ですから、こういうような緊急の問題については、今日、政府としても、われわれの政党としても、あるいはまたほかの政党としても、これは反対なさる理由はないと考えておりますが、早急に単行法としてお出しになるということが一番いいんじゃないかと、私は個人としては考えておるわけです。これは刑法の二百三十五条ノ二でありましたが、不動産侵奪罪というものが一部挿入された例がありますが、現在の刑法の第三十三章の二百二十四条、二百二十五条というもの、二百二十四条には、御承知のように、未成年者の略取誘拐、これは「三月以上五年以下の懲役二処ス」となっておる。ところが、二百二十五条には、「営利、猥褻又ハ結婚ノ目的ヲ以テ人ヲ略取又ハ誘拐シタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役ニ処ス」ということになっておる。私は、幼児誘拐に関する限りは、これは死刑、無期、もしくは十五年以上の懲役でいいと思う。それで、こういうような世間の要望というものにこたえるということがいわゆる一種の政治じゃないかと見ておるわけでございますが、どうでしょうか、そういうふうに即急に、審議会なんかにかけずにお出しになるという思し召しはございませんか。その点ひとつ念を押しておきます。
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。 ちょっと先ほども申し上げたのでありますが、中山先生が提案をされましたこれが一つの参考と申しますか資料となりまして、すでに早くから着手しておりました刑法改正作業というものが相当進んでおりまして、この五月の二十日の日には刑法の全般的な改正を法制審議会に諮問するという省議が一致しておりまして、そういう作業を進めておるわけであります。その資料といたしまして、刑法改正準備草案のようなものを出すわけでありますが、それによりますと、かなり思い切った量刑の引き上げが案としてはなされておるのでございます。しかし、これは最近続けて起こりました吉展ちゃん事件、あるいは狭山の女子高校生殺人事件等がない前の話でございまして、その後あのような非常に残忍な悪質な誘拐事件が続発するに及びまして、世論も非常に強く御指摘のようなもっと重刑に処すべきであるというそういう声が高まって参りましたので、法務省といたしましても、この法制審議会に諮問をいたします資料としての刑法改正準備草案、これが国会で成立するのを待つといったようなゆうちょうなことはやっておれないというようなことになりまして、事務当局で検討いたしました結果、二つの考え方が出て参ったのでありまして、それは、特に身のしろ金誘拐事件といいますか、そういった新しい形態の犯罪に対処するための刑法一部改正をしたほうがいい、こういう考え方が一つであります。もう一つは、臨時立法のような、そういう臨時的な立法措置をいたしまして、これは単独立法と申しますか、そういうものでこの問題を処理したほうがいいのではないか、ころいう二つの考え方があったのでありますが、十分検討いたしました結果、非常に単純なような作業でございますが、やってみますと、なかなか他の科刑とのバランスの問題等もございますし、また、憲法等によりましての不当な科刑を科せられることはないといったような点等もございまして、やはり引き上げ限度というものは不当であってはならないということが一つの憲法上の制限を受けているわけであります。そういうことを考慮いたしますと、一応刑法一部改正で行く場合にいたしましても、法制審議会にやはりかけましてこの意見をまとめてそうして成案を得たい、これはそんなに改正する個所が多いのではないのでございますので、できるだけ早い国会に提案をしたいということを衆議院の本会議でもお答えしたのでありますが、そういうことをいたすということで今全力をあげて実は作業をいたしております。 それで、じゃいつごろになるかというきっと先生のお尋ねがあろうかと思うのでありますが、それにつきましては、できるだけ早い機会と申しましても、この国会に提案ができるかどうかということで、必ず提案をしますというどうも確約を申し上げるわけにはいかないのでございまして、先ほど、政治は洞察であり、またかような問題は世論にこたえることが政治だと言われまして、私も全くそのとおりだと思っておりますので、御要望にできるだけそういうような努力を続けて参りたいと、かように考えております。
○中山福藏君 私は、できるだけ早目にひとつお出しを願いまして、これは政治は生きておるのですから、生きた現在の世相に対するところの判断並びに裁定、処断、こういうことが最も必要であろうと痛感いたしておりますので、法務大臣並びに公安委員長に特にこの点をお願いして、私は簡単にこれで打ち切ります。
○委員長(鳥畠徳次郎君) 他に御発言もないようでありますから、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十九分散会