法務委員会 第10号
- 発言数
- 68 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/03/26
会議録
○委員長(鳥畠徳次郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 この際、委員の異動について御報告を申し上げます。 昨二十五日、小沢久太郎君、宮澤喜一君及び重宗雄三君が辞任されまして、その補欠として森田タマ君、二木謙吾君及び日高広為君が選任されました。 —————————————
○委員長(鳥畠徳次郎君) 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案に対して、質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○松野孝一君 「訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案参考資料」というのをいただいておるんですが、その中の「七、執行吏収入額」というところを見てみますと、「立替金」と書いておりますね、そのうち、純粋に執行吏の収入と見積もり得るものはどういうものであり、それが何%ぐらいになっておるかという点がおわかりになりましたら、教えて下さい。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 立替金にもいろいろ種類があるわけでございますが、執行吏の純粋な収入になり得るものといたしましては、旅費があるわけでございます。しかし、この立替金の旅費のうちどれだけ実費が払われておるかという数字ですが、事実上つかめませんので、このパーセンテージを正確に申し上げるということはできないわけでございます。
○松野孝君 執行吏の旅費というものは、これは、最高裁のほうできめるんですか、それとも、地方裁のほうできめることになっていますか。それから、幾らくらいになっているものですか。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 一キロについて八円ということになっております。
○松野孝一君 宿泊料はどういうふうになっておりますか。「旅費、宿泊料」となっておりましょう。その宿泊料のほうはどういうふうになっておりますか。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) これは、訴訟費用等臨時措置法に規定がございまして、一級地、二級地と申しますか、地域によって区分いたしまして宿泊料に多少差があるわけであります。一級地が千五百円、二級地が千二百円でございます。
○松野孝一君 書記料のほうは収入にはならぬものですか。純粋の収入というものには入らぬものですか。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) これは、やはり紙代と印刷代、これが実費に当たるわけでございまして、若干差が出るということになりますれば収入になるわけでございます、その差額が。
○松野孝一君 そういたしますと、旅費も一キロ八円程度でありますし、宿泊料も一級地千五百円、二級地千二百円、書記料にしても、今度値上げして十五円、半枚十五円、紙代その他筆墨代を入れるとほとんど純収入にならないとすれば、その立替金のうち何%は純収入と大ざっぱなことでも見当はつかないわけですか。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 実際執行吏が使います旅費の実費というものが記帳されておりませんで、そのパーセンテージは出て参らないわけでございます。
○松野孝一君 旅費の一キロ八円と称するものは、たとえば、東京なら東京で、地下鉄とか電車賃とかというのに充てて、どういうふうになるものですか。赤字が出るくらいのものじゃありませんか。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 旅費の問題でございますが、これは、執行吏が同じ場所あるいは近所の場所で職務を行ないます場合に、それぞれ一件当たりについて役場から現場までの旅費を取れるわけでございまして、マイナスになるということはちょっと考えられないのじゃないかと思います。
○松野孝一君 それから、執行吏代理というのが第八の表に出ておるようでありますが、執行吏が執行吏役場等に自分で使っておる事務員というものはどのくらいおるものでしょうか。それがおわかりになりましたら、お知らせ願いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 本年の一月一日現在の数字でございますが、執行吏代理が二百九十四名でございます。それから、事務員が三百十七名でございます。
○松野孝一君 執行吏代理とかあるいは事務員、こういう補助者の人件費とか、あるいは、その執行吏がやっておる執行吏役場の維持費とか、それからその事務費とか、そういうような必要経費ですね、執行吏の必要経費は、執行吏収入の何%と見積もられるものでしょうか。その点、お調べがあったらば、教えていただきたい。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 補助者の人件費、それから役場の維持費、事務費、その他の必要経費と、手数料、書記料の収入に対する比率でございますが、これは、少し古くなって恐縮でございますけれども、三十五年度の私どもの調査によりますと、まあ役場の規模によって支出状況は非常に違っておるわけでございまして、一般的にどうだという結論は下しにくいわけでございます。しかしながら、調査の結果、個々の役場について見ますと、前に申し上げましたようにまちまちでございますけれども、全国平均として見ますと、約五五%ということでございます。
○松野孝一君 そういたしますと、この参考資料に出ている「執行吏収入額」という一覧表の中のたとえば昭和三十六年度の手数料というのは、これは一人平均五十七万二千三百八円と、こういうふうに掲記されておりますが、このうちの五五%は必要経費と、そう見ていいわけですね。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) さようでございます。
○松野孝一君 今の五十七万円というのは一人平均額ですが、その約半分は、三十万円弱ということになりますが、今度の値上げによりまして平均二五%くらい上がるというと、その三十万円なら三十万円の二五%くらい収入が上がるというふうに考えて間違いないでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 形の上では二五%ということになるわけでございますが、ここに自然増というものをやはり考えていかなければならぬのじゃないか。と申しますすと、執行手数料ということになりまのは、差押すべき債権額の価額別にきめられておるわけでございます。したがいまして、執行債権額が物価の上昇とともに多くの数字になるということになりますと、手数料もふえて参るわけでございますしそれから競売の手数料も、これも競売金額によって段階別に手数料額がきめられておるわけでございまして、物価の上昇とともに競売金額が高くなるということになりますと、やはり手数料もそれにつれてふえてきておることになるかと思います。
○松野孝一君 今の御答弁によりますと、執行吏の全国平均の一人当たりの年間収入が純収入として三十万円以下である。今度値上げすると若干上がるということにいたしましても、三十五万円とかその程度の少ないものじゃないか。平均ですが、何か少ないように私は思うのですが、これはどうですか。司法関係の公証人とかあるいは司法書士というような手数料と比べて、均衡を得ておるものでしょうか、どういうものでしょうか。その点、ちょっと御見解を承りたいと思います。
○政府委員(津田実君) 執行吏の収入から経費が幾ばくのものであるかということにつきましては、確固たる資料は現在のところ手元にない、と申しまするか、確固たる調査ができていないというふうに言わざるを得ないと思うのでございます。したがいまして、ただいま最高裁からお述べになりましたのは大体の数字でございましょうけれども、個々に検討いたしますと、問題点がたくさんあるわけでございまして、たとえば、これは一例でございますけれども、東京におきまする執行吏の実態から考えますると、一応差し出されている収支計算からすれ、は、手数料、書記料収入では赤字になるということになっておりますが、あと立替金の旅費で黒字になっておる、こういうような収支計算が一応出ておるわけであります。まあ収支計算についてもいろいろ検討すべき問題があると思いますが、そういう意味におきまして、執行吏の収入並びに経費の実態というものは、残念ながらはなはだ不明確であると言わざるを得ない。これは、法務省といたしましては、当然調査しなければならぬと考えるのでありまするけれども、職員といたしましては、これは最高裁の職員、つまり裁判所の職員でございますので、法務省といたしましては、裁判所から資料を得る以外には方法がない状態で、現在では、ただいま申し上げましたように、その収支計算の確たる資料がないというふうに言わざるを得ないのでございます。 そこで、この執行吏の性格でございますが、執行吏自体はやはり裁判所の職員であり、国家公務員であり、公的機関でありまして、国民としては、裁判の執行に関しては執行吏を利用せざるを得ない立場にあるわけでございます。ところが、一面、公証人、司法書士につきましては、これは、何と申しましても一応自由職業になっておりますし、これを使用すると否とは原則として使用者の、と申しますか、国民の自由だということになるわけでございます。その意味で、その手数料の性格が相当違っておると思うのでございます。で、執行吏の手数料は公共料金に準ずるものでありますので、その面から考えなければならぬわけでございまして、執行吏が一件当たりどれだけ収入をとるかということよりも、むしろ全体としてどういう収入を得てどういう生活がなし得るかということを考えて料金をきめるべき性質のものであって、一件ずつでたくさん扱えば収入がどんどんふえていくというような状態は、必ずしも公証人や司法書士の場合と違うのではないかという意味におきまして、なかなか比較しにくいわけでございます。でありまするが、まあ昭和二十五、六年ごろの公証人の手数料なんかと比べますと、大体百八十倍くらいに公証人はなっておりますので、この時限の伸びと今回のほぼ一律増の二五%とを考えますと、百八十倍程度に、昭和三十年つまり前回の法律改正からその程度になるわけでございまして、率からいえば公証人とほぼ違わないのではないかというふうに考えられる次第でございます。
○松野孝一君 もう一つ統計に関してお伺いしたいのですが、一般公務員のベース・アップが行なわれたわけですが、昭和三十年から何回も行なわれておると思います。で、そのつどこちらの補助基準額ですか、それも上げられているように思いますが、この値上げというものは、一般公務員のベース・アップと何か見合わせるような考えでもあるんですか。ちょっとそのベース・アップとの関連性等をお伺いしたいと思います。
○政府委員(津田実君) 一般的に申しまして、公務員のベース・アップと直接的な関係は一応考えておりません。しかしながら、公務員のベース・アップは、一般の賃金事情その他物価の事情を考慮されるわけでございますから、執行吏につきましては、執行吏の生活を考えます上において当然そういう面は考えなければならぬわけでございます。したがいまして、そういう意味において、やはりもちろん相当の関連を持つというふうに考えておる次第でございます。
○松野孝一君 ただいまの調査部長の御説明だと、この料金は、司法書士とか公証人とちょっと違う、公共的性格を持っている、公共料金みたいなものであるというお話もある程度わかるわけですが、そのためにこれはいわゆる一定収入を取れない場合は不足額を補助するという規定もあるのだろうと思うのですが、しかし、このいわゆる最低保障の基準額を見ますと、いかにも少ないですね。今度幾らですか、十五万六千円ですか。もっと上がりましたかね。十五万六千円にしても、月割にすればごくわずかな金だと思うのですが、執行吏の仕事の内容ですね、責任とか複雑性とか危険性とかいう点を考慮してこれはどういうところにランクしてきめたものでしょうか。その点、お聞きしたいのですが。
○政府委員(津田実君) 現在の執行吏の国庫補助の基準額は、十七万四千円になっております。
○松野孝一君 十七万円ですか。
○政府委員(津田実君) はい。この分は一般公務員のベース・アップに準じて引き上げて参っておりますので、昨年十月のベース・アップに見合いますために昨年十月改定された十七万四千円の基準額は、行政職(一)の俸給表の八等級六号で配偶者及び子供一人ということが基準になって作られておるものでございます。
○松野孝一君 今お話しの一般行政職俸給表の八等級六号俸というと、例をあげてみれば、大体どの程度のものでしょうか。
○政府委員(津田実君) 大体どの程度になるか、ちょっと申し上げかねますが、職員といたしましては、初任給に近い——初任給に近いと申しますか、初任者の数年たった者ということになると思います。したがいまして、この執行吏を一体八等級の六号に格づけすることがいいかどうかというそこが問題になるわけでございます。御承知のように、執行吏は、国家公務員でございますけれども、別に恩給を受けることができるわけでございます。そういう面とか、執行吏単独の恩給自体もあるとかいうようないろいろな面を考えまして、基準額の最低限はこの辺であるということに一応従来から格づけされておるわけでございます。しかしながら、この基準額も問題も——いろいろな考え方がございまして、基準額をもっと上げるという考え方もむろんとり得るわけでございます。この場合には、基準額を上げるのであるが、さらに収入の最高額についても考える必要があるのじゃないか。収入は無制限に取れる、最低基準は保障されるということでは、はなはだ一般の公務員とのつり合いがとれないというような考え方もあり得るのでありまして、この点は重要な研究問題ということになるわけでございます。何といたしましても、執行吏の問題は、ただいま、数年来法制審議会においてこれをいかに改良すべきかということを検討いたしておりますし、ただいまの方向としては、むしろ真の意味の国家公務員、すなわち一般の職員と同じようなふうに、つまり執行官制度にするのがいいのではないかという議論が相当有力になっておるわけでございますので、そういう方向を考えつつ、かりに暫定的にいたしましても国庫補助基準額をどうするかということを検討していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○松野孝一君 それから、参考資料の五の表、「執行吏取扱事件数」というのがありますが、戦前に比べて取扱事件数というのは各項目ごとにほとんどまあ半減あるいはもっと減っておる状況にあるようでありますが、刑事の送達だけは逆に非常にふえているのですね。ところが、この刑事の送達は、執行吏の仕事でもありますが、これはどの程度の手数料といいますか、旅費といいますか、支給されているものでしょうか、それをお伺いしたい。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 刑事の送達は、裁判所の命令によってやると、こういうことになっておりまして、裁判所、検察庁の命令によって執行吏が職務を行なう場合には、立替金は取れるけれども手数料は取れないということが、執行吏規則にもはっきり書かれているわけでございまして、そういう取り扱いになっているわけでございます。 そこで、なぜ戦後刑事送達が非常に多くなったかと申しますと、これは、推測もまじるわけでございますけれども、交通違反事件というのが非常に激増いたしまして、略式命令の送達が非常にふえた、そういう結果であろうと思います。
○松野孝一君 立替金は取れるというお話でありますが、旅費は支給されておるのですか、刑事送達のほうで。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 立替金の中にはもちろん旅費も含まれているわけでございまして、旅費の支給の手続も一応きめられているわけでございます。毎年、一月と四月、七月、十月に三カ月分の旅費の立替金請求書を提出いたしまして、まとめて支払うという形になっております。
○松野孝一君 最近の年度において執行吏に対して刑事送達について支払った総額は、どのくらいあるのですか。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) ちょっと、その辺の資料を用意しておりませんので、はっきりした数字は申し上げかねます。
○松野孝一君 私はこの間執行吏に会って聞いたところによると、いなかの執行吏ですが、刑事送達が今のお話のように非常にふえておる。その統計にも現われているように、戦前は十二万件が、六十九万件くらいになっておる。非常にふえている。主として交通事件の略式命令らしいのですが、そのために事務が非常にふえたので、事務員を一人置かなければならないようになっておる。それがほとんど無料のようなものなので、非常に執行吏の生活が苦しくなっているのだという話を聞いたのですが、あたはどういうふうに思いますか。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 刑事送達につきまして手数料というものが支給されないという点には、根本的に問題も一つあるわけでございますし、それが執行吏の負担過重を招いておるという結果にもなるかと思われます。そこで、これをどうするかということでございますけれども、いま少し郵便送達をふやす方法に持っていったらどうか、運用の面もありますが、そういうふうに考えております。
○松野孝一君 それから、この執行に関してちょっとお尋ねしたいのですが、執行吏の人数が戦前と比べてかなり減っておるようなふうに聞いておるのですが、それから取扱事件数も減っているようになっておるのですが、これはどういう関係でしょうか。その辺をちょっとわかりよく説明してもらいたいと思うのです。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 戦前はたしか六百名をこえておったかと思うわけでございますが戦後非常に減っておる。これは事件数が非常に減って参った関係かと思います。事件数がなぜ減って参ったかということになりますと、その辺の事情はつまびらかにいたしませんけれども、昭和二年から十一年までの十年間ということになりますと、非常に不況の時期であった、それが非常に影響しているのじゃないかというふうに、これは推測でございますけれども、思っております。
○松野孝一君 これは、私もよくわかりませんが、事件数が減っている——最近はまた徐々に伸びてきている点も見受けられるようでありますが、それから執行吏の人数が減っているというようなことで、依頼した執行をする場合の事務の渋滞というようなことは考えられないものですか。どういう状況になっておりますか。その点をお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 執行吏は地方裁判所で選任するということに建前がなっているわけでございまして、地方裁判所といたしましては、執行が迅速にかつ適正に行なわれるように監督しているわけでございます。と同時に、人員の配置につきましても十二分に配慮しているとわれわれは考えております。
○松野孝一君 それでは、その次に、執行吏制度そのものについて一、二お伺いしたいと思いますが、先ほど調査部長からもお話がありましたが、執行吏制度の根本的改革問題が当局において大分以前から検討されておるようでありますが、そして、昭和三十六年の本委員会における附帯決議においても、執行吏制度について政府はこれを改善することを要望するという附帯決議もつけておるようでありますが、これに関連して、新しい執行吏の制度が何かだんだん構想ができているものでありましょうか。その執行吏制度の構想ができているものならば、その概要、それからその制度の法案化作業の進行状況とか、とりわけ作業完了時の見通し等について承りたいと思います。
○政府委員(津田実君) 執行吏制度に関しましては、法制審議会において検討されておるわけでございまして、昭和二十九年以来、総会並びに部会が開かれ、さらに小委員会が開かれております。その小委員会に関しましてさらに準備会が昭和三十一年十一月に発足いたしまして、第一次の準備会は三十十一年から三十三年ですが、第二次は三十四年以後行なわれております。第二次につきましては、現在まで百六十回の会合を持ております。一方、法務省側におきましても、執行吏制度そのものの問題点の検討を続けて参っておりまして、昨年の秋には民事局並びに司法法制調査部の職員が泊り込みまして作業をいたしまして一応の考え方をまとめたわけでございます。 その大体の方向は、やはり現在の執行吏制度を改めて執行官にするという考え方が強いわけでございます。一応の考え方をまとめておりまするけれども、まだ部内限りのものでございますので、この席で申し上げるのはいかがかと存じますので、差し控えさせていただきまするけれども、そういう意味におきまして、執行官というものの構想というものは、もうすでにでき上がっておるわけでございます。ただ、御承知のように、執行官制度をかりに採用するといたしましても、一面、民事訴訟法の強制執行権の改正を伴ってする必要があるわけでございます。現在裁判所の権限として行なわれているものにつきまして、どの程度執行官の権限にするかという問題が民事訴訟法との関連においてあるわけでございます。現在は、その面と執行官制度のあり方とにらみ合わせて検討いたしておる段階でございますので、私どもといたしましては、できる限りすみやかに成案を得て、これを正式に法制審議会の議に付したいということを考えておるわけでございますが、ただいまのところ、国会関係その他の法案の関係で若干回数が少なくなっておりますが、国会終了後におきましては、引き続き昨年の泊まり込み作業の結果に基づいて検討をいたしまして、できる限り早い機会に法制審議会に正式に付議をいたしたいというふうに考えております。
○松野孝一君 執行吏制度の研究を始められてからもう七、八年になっておるようであります。今のお話だと、かなり進行しておるように見えますが、なるべく早く成案を得るようにお願いします。 なお、大臣がおいでになっていますから、大臣にお願いしておきたいのですが、この執行吏の手数料を引き上げる、その他の書記料も加えまして引き上げる法案が出ておりますが、これは私は別に異議はございませんけれども、ただ、いろいろ執行吏について直接聞いたり、また、日本執行吏連盟というものができてわれわれに陳情書を持って来ておりますが、その陳情書等を見ますと、今回提案されておるおしなべて二割五分、二五%程度の引き上げ、しかも、それは、昭和三十年以来初めてですから、ずいぶん長いことかかって二割五分の引き上げだけである。その間において公務員はかなり上がっている。十回くらいもベース・アップしておる。そして、今回の二割五分はいかにも少ない感じがするのです。執行吏だけの意見を聞いても一方的でどうかと思いますけれども、十万円の債権額を差し押えるにしても、わずか三百円か三百七十円程度というようなお話で、何か債務者のほうからこれでいいかと言われるくらいだという話も聞いております。この陳情書を見ますと、ことに、労働事件の仮処分執行とか、あるいは自動車引渡の強制執行とか、それから建物の明渡の強制執行とかは、現場に行って抵抗を排除する必要がある事例が多く、危険性、困難性を感ずる。あるいは、夜間とか日の出直前に、行かなければいかぬということがある。そうしなければ押えられないというようなことがあるようであります。そういう複雑な要素がありながら、どうも手数料が安いように私は思うのです。 それで、この陳情書を見ますと、さっき言ったような事件の手数料の現行二百円を五倍くらいにしてくれというようなことが出ております。それから、その他の手数料を一律に現行額の三倍程度にしてくれというようなことも出ております。 一方、この手数料というのは司法書士の書記料とかあるいは公証人の手数料とは違うのだ、これは公共料金みたいなものだという点もある程度わかりますけれども、そのために一定額に満たない場合はその不足額を補給するという規定があって、その最低基準額というのは一般行政職俸給表の八等級六号俸だというのです。それで、これはベース・アップに従って上げてもらっておるようでありますが、年間十七万円程度が最低基準額というのも、いかにも執行吏の仕事の内容から見て安いのじゃないか。どうももう少し研究を要する余地があるのじゃないかと、こういうふうに思っております。この陳情書によりますと、「一般行政職俸給表の四等級以上の給与を基準として算定せられますよう」と出ておりますこれはどういうのか。算定の根拠がわかりませんけれども、そういうように出ております。まあ執行吏の意見だけ聞いても一方的でありますが、執行吏制度を近く根本的に改革するならいいですが、それが長引くなら、その分だけ切り離してもう一回研究する余地がないかしらと私は思うのですが、もっとも執行吏制度が近いうちに法案化されれば、もう根本改革ができると思いますけれども、その点、大臣の御見解を伺っておきたい。
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。 執行吏の担っております非常に重要な職責から考えまして、また、執行吏の性格等から考えましても、現在の執行吏の制度が十分よい制度であるとは私は考えていないのでございまして、先ほど裁判所並びに津田調査部長からも答えましたとおり、この制度の改善につきましては、これは当然のことといたしましてりっぱな制度を作らなければならないと考えております。特に、執行吏は、裁判の判決に対しましてこれを完結する意味における重要な任務を持っておるのでありますから、そういう意味から考えましても、手数料制度のようなそういう収入の様式であってはどうかという疑問を実は持っておるのでありまして、従来のここまで参りました行程を見ますと、国庫補助の基準額というものが非常に低く定められておったように思うのでありまして、しかしながら、それは公務員等の改正とほとんど同じような率をもって改正されておりまして、先ほど松野さん御指摘のように、十七万四千円にまでなってきたようであります。しかし、こういうことでもし執行吏が実際問題として生活に足りない収入でありますと、別な意味におきましてその執行というものが安全に行なえないのではなかろうか、あるいは。行なえたとしても公正な執行が行なえないのではなかろうかと、こういうふうに考えておりまして、法務省の関係機関に命じまして、できるだけこの執行吏制度を執行官制度に改めまして、国が全責任を持つような形における制度が望ましいという意見を持っておりまして、そういう方向に向かいまして今日真剣に検討を続けておりますから、たとえば年内に出すとかなんとかそういうことはちょっと申し上げかねるのでございますが、できるだけ早い機会に法案を提出して御審議をお願いしたい。それまでの間、従来の制度をこのままに置くということも執行吏の方々に対しまして非常に申しわけないのでありますから、この際は、手数料の引き上げと、それから実際上は手数料その他から見ましても自然増が若干あるそうでありますから、十分とは思いませんけれども、この程度で一応了承をいただきまして、そうして近い将来必ずりっぱな制度を新しく創立していく、かように実は考えておる次第でございます。
○大和与一君 大臣にひとつ。この仕事は、なかなかいやな仕事の一つですから、たいへんだと思うのです。法制審議会がもしも大臣に答申された場合に、執行吏が気持よく働けるように、これは魂の問題ですね、主として。そういうふうな答申があった場合には、大臣はどのようにお答えになるか、ちょっと……。
○国務大臣(中垣國男君) ただいま諮問をしております内容等からみますと、私は非常に進歩的でりっぱなものができる、そういう答申をいただけると思っておるのでありまして、答申されて参りましたならば、それをよく検討いたしまして、そうして、よりよい制度を作っていきたい、かように考えております。
○大和与一君 今のお話で、ことし中にもなかなか間に合わぬというけれども、大臣としては、いつごろとか目安がありませんか。なるべく早くということですが。
○国務大臣(中垣國男君) 法制審議会における審査の速度も進んでおるようでございまして、来通常国会にはおそくとも提案ができる、このような状態になっておるようでございます。
○大和与一君 大臣でなくていいですけれども、先ほどから、生活の実態ですね、何べんも資料がないとおっしゃるのだけれども、資料がないのは、裁判所にはちゃんとあるので、あなたがたが今お持ちになっていない、こういうことですか。さっき両方とも資料がない資料がないと盛んに言うけれども、どこかで持っていなければいかんでしょう。生活の実態を少し知りたいのですが……。
○政府委員(津田実君) 執行吏の収入支出の具体的内容につきましては、資料がないわけであります。一般的にいろいろ推定されるものはあると思うのでございますが、先ほど申し上げましたのは、法務省側つまり政府といたしましては、執行吏は裁判所の職員でございますので、直接その職員の収入支出の内容を調査することは差し控えるべきであり、また、できない状態でございます。裁判所のほうでやっていただくという以外にはないと思うのでございますが、ただいま法務省側で持っておるものにつきましては、一般的推測以外にはないのであります。
○大和与一君 今度の法案を出すについて、前から皆さんお気づきになっておって、早くやらなければいかぬ、こういう親心、親切心があっただろうと思うのですよ。それでもなお、松野さんのお話のように、まだまだそれがとてもこれでは不十分じゃないかという御意見もあったわけですが、一体、積極的に出そうとしたのか、執行吏が相当陳情があったものだから、これはいかん、こういうことになったのか、どっちですか。 なお、あわせて、松野さんのお話のあったように、法制審議会において手当とか、旅費とか、そういう内容にまでやはり根本的に再検討をして、それで今度かりにこれはきまりますが、さらにこれがよくなるという、そういう前提に立っていいのですか。
○政府委員(津田実君) 法制審議会に、おいて検討されております内容は、執行吏制度あるいは執行官制度というものの根本的な改革でございまして、その意味における先ほど大臣の申しました理想的な制度を考えておるということになるわけであります。 しかしながら、現実の執行吏の待遇をいかにすべきかという問題は、これは別途それに並行して考えなければならぬ問題で、特に執行官制度がかりにできたといたしましても、これは数年先に実施される問題だと思いますので、それまでの執行吏の手数料その他の待遇については、十分考えなければならぬわけでございます。それは並行してやるべきだということになるわけでございますが、今回の改正法案を御提出申し上げた趣旨は、何と申しましても、昭和三十一年以来手数料が増額されいないという現実。それは、国家公務員の給与についてベース・アップが数回行なわれているという現実を考えまして、しかも執行吏手数料の個々の内容、先ほど松野委員が御指摘になりましたような、たとえば場外における仮処分の執行とか、そういうようなものにつきましては、やはりいろいろ考えなければならぬ問題がたくさんあると思うのでございますけれども、残念ながら個々にこの基準を変更するだけの十分な資料が手元に集まらないわけであります。したがいまして、今回は、消費者物価指数等を考慮いたしまして、二五%という一律増ということにいたしたわけであります。しかしながら、この一律増と申しますのは、必ずしも最良な方法ではないことはもう明らかでございますので、個々の内容については、十分裁判所と連絡いたしまして、資料を得て個々の内容の検討もいたさなければならぬと思うのであります。これは、理想的な執行官制度の検討と並行して行なうべきものであるというふうに考えるわけでございます。 同時に、理想的な執行官制度ができます場合におきましても、やはり現在の執行吏をその際にいかに待遇すべきかという問題もあるわけでございます。これらの問題もあわせて検討の課題としてこれからは十分にその検討をいたしていきたいというふうに考えている次第でございます。
○大和与一君 この約三百五十人の人たちの年令別は、大体でいいんですが、大まかに三つか四つくらいに分けて、どうですか。大体でいいんですよ。
○政府委員(津田実君) 一応の調べといたしましては、昭和三十七年五月一日現在でございますが、執行吏三百四十五人のうち、三十才未満が一人、四十才未満が十四人、五十才未満が三十九人、六十才未満が百三十四人、七十才未満が百十四人、七十才以上が四十三人でございます。
○大和与一君 そうすると、定員は別にないわけですね。さっき戦前とのお話がありましたが、ということは、やはりそれによって仕事が円滑にいかないということが起こるんじゃないだろうか。先ほどそちらの局長からお話ががありましたけれども、推定という言葉を使ったようですが、推定というのは、まともに合いそうな推定でないと困るんで、不況だからといって、逆に言うと、交通問題、労働問題はこれからますます花盛りで忙しくなんるですね。ですから、そういう言い方でなくて、やはり私は、仕事が渋滞するんじゃないか、希望者が少ないんじゃないか、こういうふうに考えている。今も年令比は七十才以上の方もおられるということですから、そうすると、そういう人のことを考えると、なおさら今回の値上げが雀の涙みたいで、気持だけというようなことになるんですね。そういう点は、やはり社会常識から考えて、横とにらみ合いながら一応再検討する必要もあるんじゃないだろうかというふうに考えるんですが、定員がない、もう一つは、全体的にアンバランスがあるということですね。そうすると、実際におたくさんは、地方の裁判所にまかしてあるからいい、まあうまくやっているだろうということをおっしゃっているんですが、そこはわかるんですが、これが実際のところ的確に行なわれているかどうかということは、どっかでつかんでいてもらわぬと、まかせきりじゃやはりほんとうの仕事がうまくいっていない場所があるんじゃないだろうかということをおそれるわけです。そういうことを含めた質問ですが、お答え願いたいと思うのであります。
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 執行事務が迅速にいかないのではないかというお尋ねだと思いますが、私ども、毎年、高等裁判所別に、管内ごとに、執行吏、弁護士、裁判官が集まっていろいろ協議をいたすわけであります。その場合、常に問題となるのが、執行の適正と迅速、この問題にかかるわけでございます。私先ほど申し上げたことが意を尽くさなかったかと思いますけれども、最高裁判所といたしましても、この執行吏の定員の配置というものについて全然無関心であるわけではないわけでございます。各庁における執行事務の運営の実態というものには常に関心を払って指導することも怠っていないつもりでございます。
○委員長(鳥畠徳次郎君) 他に御発言もないようでございますから、質疑は終局したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、順次賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。——別に御意見もないようてございますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 全会一致でございます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたします。
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、商業登記法案を議題とし、当局から補足説明を聴取いたします。
○政府委員(平賀健太君) ただいま議題となっております商業登記法案につきまして、御説明申し上げます。 この法案につきましては、お手元に法律案の全部につきまして逐条説明を差し上げておりますが、この法案中現行法の規定と全く同一趣旨の規定が相当ございます。管轄登記所の規定、登記事務を取り扱います登記官の規定、それから登記簿に関する規定、こういう規定につきましては、現行法と実質的に内容が異なっておりませんので、お手元に提出してございます「商業登記法案主要項目別説明」と表題をつけておりますこの書面に基づきまして、現行法との相違点につきまして御説明を申し上げたいと思います。 まず、第一は、登記手続の総則に関する部分でございますが、この部分におきましては、 最初に、受附帳、申請書等の受領証及び登記の順序に関する規定を新設いたしました。 現行非訟事件手続法には、これらの事項に関する規定がございませんで、法務省令である商業登記規則に定められてございます。しかしながら、これらの事項は登記の申請に関する基本的な事項でありますので、この法律案におきまして規定を設けることといたしまして、第二十一条において、登記官は、登記の申請を受け取ったときは、受付帳に登記の種類、申請人の氏名、申請人が会社であるときはその商号、受付の年月日及び受付番号を記載し、申請書に受付の年月日及び受付番号を記載することとして、受付の順序を受付帳及び申請書に明らかにする方法を講じ、第二十二条におきまして、登記官は、登記の申請書等を受け取った場合に、申請人の請求があったときは、受取証を交付しなければならないこととして、申請書等の授受を明らかにするための規定を設け、第二十三条において、登記官は、受附番号の順序に従って登記をしなければならないこととして、登記の順序を明らかにいたしました。 次に第二点として、登記申請の却下事由を個別的に列挙したことであります。 現行非訟事件手続法第百五十一条は、登記の申請が商法、有限会社法または同法中商業登記の章の規定に適しないときは、申請を却下すべき旨を規定しておりますが、規定が抽象的でありますため、解釈上疑義を生ずるのであります。その他登記官の審査権の範囲が明確を欠くことになりますので、この法律案におきましては、第二十四条に却下事由を具体的に列挙して登記官の審査権の範囲を明確にして、登記事務の処理の適正化と申請人の便宜をはかることといたしました。第二十四条中第一号から第九号までは、手続上の一般的な却下事由を、第十号は、実体上の却下事由を、第十一号及び第十二号は、本店移転等の登記の申請についての却下事由を、第十三号から第十六号までは、商号の登記または仮登記の申請についての却下事由を、最後の第十七号は、登録税についての却下事由を、それぞれ規定したものであります。 それから第三点といたしまして、登記事項について無効または取消の原因がある場合におきましても、これを争うことができなくなったときは、登記できるものといたしました。 現行非訟事件手続法によりますと、このような場合には、絶対に登記することができないものとされておりますが、これでは、登記と事実とが符号しないまま放置されるることとなりまして、事実の公示を目的とする商業登記制度の趣旨に合いませんので、この法律案第二十五条におきましては、登記すべき事項について訴をもってのみ主張することができる無効または取消の原因があります場合において、出訴期間内に訴が提起されなかったときは、第二十四条第十号の規定にかかわらず、その登記の申請を受理する旨を定めますとともに、その場合の申請書の添附書面について規定することといたしました。 第二は商号登の記に関するものでございますが、第一点といたしまして、登記事項を法定し、その変更の場合における手続に関する規定を設けました。 現行非訟事件手続法には、商号の登記事項について規定がなく、また、商号の登記をした者が営業所を移転した場合及び営業の種類等を変更した場合の登記についても規定がございませんが、これらは商号の登記の効力とも関係し、申請人にとりましても一般人にとりましても重要な事項であります。そこで、この法律案第二十八条におきまして、商号の登記は、営業所ごとにすることにしまして、商号、営業の種類、営業所並びに商号使用者の氏名及び住所を登記事項と定め、第二十九条において商号の登記をした者は、営業所を移転した場合その他登記事項に変更を生じた場合には、その登記をすべき旨を規定し、なお、第三十条、第三十一条第二項及び第三十二条におきまして、商号の登記に関する申請書の添附書面について規定することといたしました。 第二点としまして、営業の譲渡が行われました場合、譲渡人の債務について譲受人が責任を負わない旨の登記、免責の登記と普通申しておりますが、この免責の登記の申請人を譲受人といたしました。 現行非訟事件手続法第百六十一条ノ二によれば、この登記の申請人は譲渡人及び譲受人とされておりますが、商号譲渡の登記の申請人は譲受人されているのであります。しかるに、譲受人の免責の登記は、商号譲渡の登記と同時にされる場合が多いので、申請人の便宜と手続の簡素化をはかるため、この法律案の第三十一条においては、免責の登記も譲受人だけの申請人によることといたしました。 第三点といたしまして、会社が本店を移転しようとする場合における商号の仮登記の制度を設けることといたしました。 現行法におきましてこのような制度がないため、会社が本店を移転しようとする場合、第三者が移転先の予定地でその会社の商号と同一または類似の商号を登記して、その会社の本店の移転の登記を妨害する事例がありますので、この法律案第三十五条において、このような妨害を事前に排除するため、会社が本店を移転しようとするときは移転先の予定地の登記所で商号の仮登記をすることができることとしまして、その登記事項を商号、目的、本店を移転すべき市町村、それから本店及び本店移転の登記をするまでの予定期間といたしました。商号の仮登記の効力につきましては、第三十九条において、商号の仮登記は、第二十七条の規定の適用については、商号の登記とみなすこととしておりますので、仮登記した商号と判然区別することのできない商号の登記は、同一市町村内では同一の営業のためには登記されないこととなるわけであります。さらに、商号の仮登記において登記事項となっている会社の目的または本店に変更が生じたときは、その変更の登記を申請すべきことを第三十六条第二項において規定し、また、商号の仮登記の制度が濫用されることを防止するため、本店移転の登記をするまでの予定期間は三年をこえることができないこととし、予定がおくれることをも考慮しまして、第三十六条第一項において予定期間が三年をこえない限り、その伸長を認めることとし、また、不必要な商号の仮登記の残ることを防ぐため、第三十七条において商号を変更したときその他商号の仮登記の必要がなくなったときは、会社に商号の仮登記を抹消することを義務づけ、会社がその抹消を怠っているときは、利害関係人が抹消の請求をすることができることといたしました。なお、商号の仮登記の制度の濫用を防止するため、第三十五条第四項及び第三十六条第一項において商号の仮登記または予定期間の伸長の登記をするには、政令で定める額の金銭を供託しなければならないこととし、第四十一条において会社が予定期間内に本店移転の登記をしたときは、供託金を取り戻すことができるが、その他の場合には、供託金は国庫に帰属することといたしました。 第三は、未成年者の登記及び後見人の登記に関する実体的な改正であります。 現行非訟事件手続法には、未成年者の登記及び後見人の登記について登記事項の定めがなく、また、未成年者または後見人が営業所を移転した場合及び営業の種類を変更した場合の登記についても規定がなく、添附書類に関する規定も不備であります。そこで、この法律案第四十三条第一項において、未成年者の登記の登記事項を未成年者の氏名、出生の年月日及び住所、営業の種類並びに営業所と定め、第四十八条第一項において、後見人の登記の登記事項を後見人の氏名及び住所、無能力者の氏名及び住所、営業の種類並びに営業所と定め、第四十三条第二項及び第四十八条第二項において、未成年者または後見人が営業所を移転した場合その他登記事項に変更を生じた場合の登記手続を定めるとともに、第四十五条から第四十七条まで及び第五十条においてこれらの登記の申請書の添附書面について規定をいたしました。 第四は、支配人の登記でございますが、まず第一点としまして、登記事項を法定し、その変更等の場合における手続規定を設けるとともに申請書の添附書面に関する規定を整備いたしました。 現行非訟事件手続法には、支配人の登記について登記事項の定めがなく、支配人の代理すべき営業及びその使用すべき商号または支配人を置いた場所に変更を生じた場合の登記についても規定がありませんので、この法律案第五十一条第一項において、支配人の登記の場合の登記事項を、支配人の氏名及び住所、営業主の氏名及び住所、営業主が数回の商号を使用して数種の営業をするときは、支配人が代理すべき営業及びその使用すべき商号、支配人を置いた営業所並びに数人の支配人の共同支配に関する規定と定めまして、同条第二項において、支配人を置いた営業所を移転した場合その他登記事項に変更を生じた場合の手続を定め、さらに、第五十三条において支配人の登記の申請書の添附書類面について規定をいたしました。 第二点として、会社の支配人の登記を会社の登記簿にすることといたしました。現行非訟事件手続法によれば、会社の支配人の登記は支配人登記簿にすることとなっておりますが、登記簿の閲覧者にとって会社の支配人がだれであるかを知る上に不便でありますので、この法律案第五十二条において、会社の支配人の登記は会社の登記簿にすることに改めました。 第五は、会社の登記に関する実体的な改正でございますが、まず第一点として、会社の登記の申請は、原則として、会社の代表者がするものといたしました。 現行非訟事件手続法におきましては、登記の種類ごとに申請人を個別的に定めまして、たとえば会社の設立、解散、合併による変更、もしくは設立及び解散、組織変更による設立及び解散並びに継続の登記の申請は、合名会社にあっては総社員、合資会社にあっては無限責任社員の全員、株式会社及び有限会社にあっては総取締役及び総監査役の申請によることとしております。このように、多数の者を申請人としていることは、登記が真実と合致することを担保するためと解されるわけでありますが、登記と真実との合致は、添附書面の整備によってでもできますので、この法律案においては手続の簡素化を図るため、会社の登記の申請は、原則として会社の代表者がすべきものとし、何人が会社を代表するかについて疑いのある設立の登記及び合併による設立の登記については、特に第五十五条第一項及び第六十八条第二項において、合名会社につき会社を代表すべき者が申請する旨を定め、これらの規定を他の会社に準用することといたしました。会社に関するその他の登記は、もちろん会社の代表者がすることとなるわけであります。 第二点といたしましては、会社の支店所在地における登記の申請については、当時者の出頭及び印鑑の提出を要しないことといたしました。 現行非訟事件手続法第百五十条ノ四によりますと、会社の支店所在地を管轄する登記所に対しても印鑑を提出することが必要でありますし、また、商業登記規則第二十条第一項におきましては、およそ登記の申請をするには当事者の出頭を要する旨を定めておりまして、支店の所在地における登記の申請について何等の特例を設けておりません。しかしながら、支店の所在地における登記の申請は、本店の所在地において登記をしました後、その登記簿の謄本を申請書に添附してされることになっておりまして、支店所在地において本店所在地における登記と異なる登記がされることはないようになっておりますので、当事者の出頭及び印鑑の提出を求めなくとも、登記の真実性を担保することができるわけであります。よって、この法律案第二十条第三項におきまして、会社の支店の所在地においてする登記の申請については、あらかじめ印鑑を登記所に提出する必要がないこととし、第五十六条第一項において本店及び支店の所在地において登記すべき事項について支店の所在地においてする登記の申請については、当事者の出頭を要しないことといたしました。 第三点は、会社が本店を移転した場合において新所在地においてします登記は、旧所在地を管轄する登記所を経由し、旧所在地においてする登記と同時に申請することといたしました。 現行非訟事件手続法によりますと、会社が本店を他の登記所の管轄区域内に移転しました場合には、旧所在地の登記所において本店移転の登記をしました後、旧所在地で登記をしたことを証する書面を添附して、新所在地の登記所に登記の申請をすることとなっています。このため、本店の旧所在地において移転の登記をしたところ、新所在地においては同一または類似の商号があるため登記をすることができない事例があり、また、新所在地において登記を怠る事例もあります。この結果、会社はありながら登記がないという状態が生じますので、このような弊害を防止しますと同時に、申請人の利便をはかりますため、この法律案第五十六条におきまして、会社が本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記の申請は、旧所在地を管轄する登記所を経由し、しかも、旧所在地における登記の申請と同時にしなければならないものといたしまして、なお、これに伴いまして、新所在地おける登記の申請書には、登記の申請人の代理人の権限を証する書面以外の書面の添附を要しないことといたしました。この規定によりまして、登記の申請が旧所在地の登記所にされた場合には、第五十八条により旧所地在の登記所は双方の申請を審査し、いずれかの申請に却下事由があれば、双方の申請を却下し、却下事由がなければ、新所在地における登記の申請書等を新所在地の登記所に送付し、新所在地の登記所が類似商号の有無等を審査して、その申請の受否を決定して、その結果を旧所在地の登記所に通知いたしまして、旧所在地の登記所は、新所在地の登記所において登記した旨の通知があったときは本店移転の登記をすることといたしました。 それから第四点といたしまして、会社が合併した場合における消滅会社の本店所在地においてする解散の登記は、存続会社または新設会社の本店所在地を管轄する登記所を経由し、合併による変更または設立の登記と同時に申請するものといたしました。 現行非訟事件手続法によりますと、会社が合併しました場合には、存続会社または新設会社につきましては、合併による変更または設立の登記をし、消滅会社につきましては、合併による解散の登記をいたしますが、これらの登記の申請は、申請書に所定の書面を添附して、各別にすることとなっているわけであります。このため、合併による変更または設立の登記はされても、合併による解散の登記が怠られて、消滅会社が登記簿に残る事例がありますので、このような事態の生ずることを防止しますとともにさらに申請人の利便をはかるため、この法律案第六十九条において消滅会社の本店所在地における合併による解散の登記の申請は、その登記所の管轄区域内に存続会社または新設会社の本店がないときは、その本店の所在地を管轄する登記所を経由し、しかも常に合併による変更または設立の登記の申請と同時にすることとし、これに伴い、合併による解散の登記の申請については、存続会社または新設会社の代表者が消滅会社を代表するものとし、さらに合併による解散の登記の申請につきましては、添附書面等の必要がないことといたしました。この規定によりまして合併による変更または設立の登記と合併による解散の登記が申請されました場合には、第七十条によりまして、存続会社または新設会社の本店所在地の登記所は双方の申請を審査し、そのいずれかに却下事由がありますときは、双方をともに却下し、却下事由がなければ、合併による変更または設立の登記をした後、合併による解散の登記の申請書を消滅会社の本店所在地の登記所に送付して、それによって消滅会社の本店所在地の登記所において合併による解散の登記をすることになるわけであります。 第五点といたしまして、会社の組織変更による設立の登記と解散の登記は、同時に申請するものといたしました。 現行非訟事件手続法によりますと、たとたば合名会社が合資会社に組織を変更した場合には、合資会社については設立の登記、合名会社については解散の登記をしなければならないのでありますが、これらの登記の申請は、申請書に所定の書面を添附して、各別にすることとなっております。そのため、組織変更による設立の登記はされましても、組織変更による解散の登記が怠られ、消滅会社が登記簿上に残る事例がございますので、このような事態の生ずることを防止しますとともに、さらに申請人の利便をはかりますため、この法律案第七十三条におきまして、合名会社が合資会社に組織を変更した場合の合名会社についての登記の申請と合資会社についての登記の申請とは、同時にしなければならないこととし、これに伴い合名会社についての申請書には添附書面の必要がないものとし、この規定により組織変更による設立及び解散の登記が申請された場合には、そのいずれかの申請について却下事由があるときは、双方をともに却下しなければならないことといたしました。なお、この規定は、他の組織変更の場合に準用することになっております。 それから第六点といたしまして、会社の変更登記申請書の添附書面に関する規定を整備したことであります。 現行非訟事件手続法第百八十条第二項には、合名会社の変更の登記の申請書には、総社員の同意またはある社員の一致があったことを証する書面その他登記の事由を証する書面の添附が必要とされており、株式会社につきましても、同法第百八十八条第二項に同様の規定があり、これらの規定がそれぞれ合資会社、有限会社に準用されておりますが、個々の場合にどのような書面が登記の事由を証する書面となるかにつきまして疑義が生じますので、この法律案におきましては、できる限り申請書の添附書面につきまして個々に規定を設けることといたしました。すなわち、合名会社につきましては、第五十四条において、登記すべき事項について総社員の同意またはある社員もしくは清算人の一致を要するときは、申請書にその同意または一致があったことを証する書面を添附しなければならないとして、添附書面に関する通則を設け、第六十条において、入退社の登記の申請書の添附書面について規定し、合資会社につきましては、これらの規定を第七十七条において準用いたしますとともに、第七十四条において有限責任社員の出資の履行による変更の登記の申請書の添附書面について規定し、株式会社につきましては、第七十九条において第五十四条と同様申請書の添附書面に関する通則を定め、第八十一条から第八十八条まで及び第八十九条第二項において取締役等の変更、新株発行、転換株式等の転換、準備金の資本組入、株式の分割、株式の消却、資本減少、名義書換代理人等の設置及び第二回以後の転換社債の払込による変更の登記の申請書の添附書面について規定し、有限会社につきましては、第九十四条において第五十四条と同様申請書の添附書面に関する通則を定め、第九十六条及び第九十七条におきまして、資本増加及び資本減少による変更の登記の申請書の添附書面について規定いたしました。 第七点といたしまして、外国会社の登記申請書の添附書面に関する規定を整備いたしました。 現行非訟事件手続法によりますと、すでに日本に営業所を設けている外国会社が、さらに日本に営業所を設けてその設置の登記を申請する場合にも、申請書に所定の書面を添附することとなっておりますが、すでに他の営業所について登記がされている以上、申請書の添附書面として内容の同一な書面を重ねて要求しますことは、煩瑣でありますので、この法律案第百四条第三項におきまして、すでに日本に営業所を設置してその登記をした外国会社がさらに営業所を設置した場合、その営業所所在地においてする登記の申請書には、前に営業所を設置した登記所の登記簿の謄本で当該営業所を設置した旨の記載があるものを添附したときは、同条第一項の書面の添附を要しない旨を規定し、同様の理由によりまして、第百五条第二項において、日本に二以上の営業所を設置している外国会社が一営業所における変更の登記の申請書に他の登記所においてすでにその変更の登記をしたことを証する書面を添附したときは、同条第一項の書面の添附を要しない旨を規定いたしました。 最後に、第六は、登記の抹消に関する改正であります。 現行の非訟事件手続法百四十八条ノ二は、登記が商法、有限会社法または非訟事件手続法の規定によって許すべからざるときは、その登記は抹消できるという趣旨を定めておりますが、規定が非常に抽象的でありますため、解釈上疑義を生じ、個々の場合にどのような登記が許すべからざる登記となるかが明確でないのであります。登記を抹消すべきか否かは、当事者にとりまして重要なことでありますので、その明確化をはかりますために、この法律案第百九条において、第二十四条第一号から第三号までに掲げる事由のように著しい手続上の瑕疵がある場合と登記された事項について訴によらないでも主張できる無効の原因があるような実体上の瑕疵がある場合に限って登記の抹消ができることとし、なお、抹消の申請書の添附書面について規定することといたしました。 以上が現行法と商業登記法案との重要な相違点でございます。
○委員長(鳥畠徳次郎君) 以上で説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四分散会 —————・—————