法務委員会 第9号
- 発言数
- 90 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/03/19
会議録
○委員長(鳥畠徳次郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 本日は、まず商業登記法案を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。中垣法務大臣。
○国務大臣(中垣國男君) ただいま議題となりました商業登記法案につきまして、提案の理由を説明いたします。 この法律案は、商業登記制度の運用の実際にかんがみ、登記の申請人の利便をはかるとともに、商業登記事務の簡素化に資するため、商業登記の手続を合理化し、あわせて、現行規定の不備を補うため、商業登記に関する規定を非訟事件手続法から分離し、独立の法律として規定を整備しようとするものであります。 次に、この法律案において、現行規定を改めることとした主要点を申し上げます。 第一に、一般的な事項として、受附帳、申請書等の受領証及び登記の順序に関する規定を設け、登記申請の却下事由を個別的に列挙して、手続を明確にし、また、登記事項につき無効または取消の原因がある場合でも、これを争うことができなくなったときは、登記をすることができるものとして、実体関係と合致する登記ができるようにいたしました。 第二に、商号の登記について、登記事項を法定し、その変更等の場合における手続規定を設けて、手続を明確にし、また、営業の譲受人が譲渡人の債務について責に任じない旨の登記の申請人を譲受人として、手続を簡素化し、さらに、会社が本店を移転しようとする場合における商号の仮登記の制度を設けて、本店移転の登記の円滑化をはかることといたしました。 第三に、未成年者の登記及び後見人の登記について、登記事項を法定し、その変更等の場合における手続規定を設けるとともに、申請書の添附書面に関する規定を整備して、手続の明確化をはかることといたしました。 第四に、支配人の登記について、登記事項を法定し、その変更等の場合における手続規定を設けるとともに、申請書の添附書面に関する規定を整備して、手続を明確にし、また、会社の支配人の登記は、会社登記簿にするものとして、一般閲覧者の便宜をはかることといたしました。 第五に、会社の登記について、会社の登記の申請は、原則として会社の代表者がするものとし、会社の支店所在地においてする登記の申請については、当事者の出頭及び印鑑の提出を要しないものとして、それぞれ手続を簡素化し、また、会社が本店を移転した場合において新所在地においてする登記は、旧所在地を管轄する登記所を経由し、旧所在地においてする登記と同時に申請するものとし、会社が合併した場合における消滅会社の本店所在地においてする合併による解散の登記は、存続会社または新設会社の本店所在地を管轄する登証所を経由し、合併による変更または設立の登記と同時に申請するものとし、さらに、会社の組織変更による設立の登記と解散の登記も、これを同時に申請するものとして、これらの登記の手続を合理化し、なお、会社の変更登記及び外国会社の登記の申請書の添附書面に関する規定を整備して、手続の明確化をはかることといたしました。 第六に、登記の抹消について、登記の抹消の事由を個別的に列挙して、手続の明確化をはかることといたしました。 以上がこの法律案において現行規定を改めることとした主要な点でありますが、その他の点におきましては、おおむね現行制度をそのまま踏襲いたしております。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう、お願いいたします。
○委員長(鳥畠徳次郎君) 以上で説明は終わりました。本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。 —————————————
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案に対して御質疑のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もないようでございますから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 賛成多数でございます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたします。 —————————————
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、下級裁判所の設立並びに管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案に対し質疑のおありの方は順次御発言を願いたいと思います。——別に御発言もないようでございますから、質疑は終局したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 全会一致でございます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたします。 —————————————
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。 岩間君から発言を求められておりますので、これを許します。岩間君。
○岩間正男君 私は、去る三月十五日に最高裁第二小法廷で判決を出されました公共企業体等の職員の争議行為に対する池田克裁判長の判決問題につきまして、二、三の手続の問題並びにこれをめぐる政府側の態度、こういう問題につきまして、とりあえずお聞きをしたいと思うんです。この問題につきましては、これは日本の労働者に対する非常に重大な関連を持ち、日本の労働行政に対しましてもこれは大へんな影響を持つ問題でありますから、詳しくは当委員会でもっと詳細に御質疑を申し上げたいと思うんですが、とりあえず私は当面する二、三の問題からお聞きをしたいと思います。 まず第一に、最高裁当局にお聞きしたいのでありますが、今回の判決の事件とほとんど同じような内容を持っている摩周丸事件、この事件が最高裁にかけられましたのは三十六年の二月、そうして現在第一小法廷で審理中であります。ところが、このたびの全逓島根支部事件それから檜山丸事件は三十七年三月で、それから一年もまだたっていません。ところが、これが大急ぎで判決された。ここにどうも納得のいかない手続上の問題があるように考えられるし、また、日本の労働者階級を初めとする民主勢力は、どうもこのことを非常に奇怪に感じているわけです。なぜ一体一年後に提案された同じような、ほとんど内容的には同じような事件がここで早急に結論を出されたのか、この点について手続上どういうことであったのか、お聞きしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(樋口勝君) ただいま御質問の点でございますが、どういうような事情で今回の事件につきまして弁論を経ないで判決により上告を棄却するようになったかというようなことは、当該裁判所部内の合議の結果によるものでございますので、われわれとしては窺知し得ないというような状況でございます。ただ、御承知のように、結局、刑訴法の四百八条に該当するものとして上告を棄却いたしたというようにわれわれとしては理解するほかないと思います。
○岩間正男君 これは裁判の手続上の問題になるのでありますが、やはり日本の裁判は、公正妥当、これを抜きにしたら命はないと考えざるを得ないのであります。ところが、今申しましたように、第一小法廷、第二小法廷に同じような事件がかかって、そうしてあとからのものが先にこのような判決を出された。しかも、檜山丸事件の場合は、第一に弁護側の選任届も、それから答弁書も書いていないのですね。そういうときにこの判決があった。これはどうも今までの慣例からいってまことに異例のことであると言わなければならないと思う。それからまた、口頭弁論も開かれていないのですね。それなのにこんなに急速に一体結論を出さなければならないというその事態について、これはどうも納得がいかない、そういうふうに思われるのであります。この点はどうですか。
○最高裁判所長官代理者(樋口勝君) その点も、先ほど申し上げたように、われわれとしては、どういうふうな事情で過日あのような形式で裁判があったかということは、われわれとしても承知できないわけでございます。ただ、もちろんこの宣告の期日につきましては、あらかじめ両事件とも被告人並びに弁護人のもとにはいつ幾日判決を言い渡すという通知はしてあるようでございます。
○岩間正男君 これは事務当局でありますから、裁判の内容に関係されないといえばそれまでのことでありますけれども、しかし、実質的には最高裁を統括している立場にあなた方立っていると思うのですね。そうして、世論は、御承知のように非常にこの問題に対して疑惑の目を向けている。そういうときに、この内容についてほとんど御答弁がない形で今のような答弁をされているということは、非常にどうも納得できないというふうに思うのですね。こういう問題は、あなたたちどうですか。どうも今のような手続上から考えまして異例だと思うのですが、いつもこういうことはやられておりますか。こういう例というものは今まで何回もあったというふうにあなたたちはここで断定できますか。いかがです。
○最高裁判所長官代理者(樋口勝君) どういう内容の事件についてという内容まではただいま手元に資料がございませんが、数字だけ申し上げますると、昭和三十六年度におきまして上告棄却になりました人員が三千五百五十五人でございますが、そのうち、今回のように弁論も経ませんで判決で上告を棄却をしたというものが八・八%ということになっております。
○岩間正男君 八・八%というと、全くこれは数少ない例です。あなたたちはこのことを御存じだと思うのですね。一、二審ともこの事件は被告、弁護人の意見というものが取り上げられて有利な判決が下された。ところが、その結果に対して、これは検事上告になったわけであります。これが本判決で引っくり返されてそれで検事上告が取り上げられたような形になるのでありますが、これはすでに新聞紙上でもいろいろ言われているように、学界、労働界はあげてこれに対しては異論のあるところです。今非常にこの問題については討論されている。もうこの議論はまさに二分されていると言ってもいい。こういうときに、口頭弁論一つ開くことなくこんな判決を下すということは、これはどういうことでしょう。こんなことが一体公正と言えるかどうか。八・八%の例があるというのでありますが、これは全くまれな例であります。しかも、この問題は、広範な労働者の基本的権利に関する重大な問題であります。日本の今後の労働行政を決定するような重大なものです。労働者の最も基本的な権利が否定されるというような問題にこれはかかわっているのであります。それなのにかかわらずこのような軽率な態度に出られたこと、これは、はなはだ遺憾と言わざるを得ないのであります。これについて学界、労働界でこのような議論が非常にひんぱんに行なわれているという事実は、これは最高裁判所当局は御存じですか。この点、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(樋口勝君) ただいま御指摘のように、この棄却になりました二件につきましての原審の判決の内容、それとまた、この問題につきまして他の裁判所でも同様の事件が係属しており、また、論議の的になっておるということは、承知いたしております。 なお、先ほど、書面審理、つまり今回のように弁論を経ませんで判決棄却いたしましたのが八・八%と申し上げましたが、さらにほかの分を申し上げますと、弁論を経て判決で上告を棄却いたしましたのが一・九%、上告申し立て不適法ということで判決棄却いたしましたのが五・七%、その他の八三・六%というものは法定の上告理由に当たらないというので決定棄却、これが一番多数を占めております。
○岩間正男君 先ほどの答弁でも、とにかくこれは非常に問題のあるところですね。これについてはまだ決定的な結論が出ないとも言える問題です。そういう中で、口頭弁論も行なわれない、それから実に納得のいかない、あとのほうが先になるというような格好で急いでこういう決定を出されたことに対しては、今後の第一小法廷の同じような事件に対する影響から考えても、だれでもこれは非常に心配するわけですよね。労働者の基本的な権利を守ることができるか、こういう点、こういう実情があるという事態について、あなたたちはどうお考えになりますか。
○最高裁判所長官代理者(樋口勝君) その点につきましては、やはり裁判の内容なり心証なりに関係もいたしますので、事務当局としてはお答えを差し控えたいと思います。
○岩間正男君 とにかく、労働問題は、これは日本の民主主義を守るかどうかという基本的な問題に最も深い関係を持つものです。こういう問題がこういう形で一つの結論に到達したということにつきましては、これは国民の批判が非常に大きく起こっている。この事実については、事務当局はどうお考えになりますか。
○最高裁判所長官代理者(樋口勝君) その点につきましては、新聞等に若干出ておりますが、まだ日が新しいので、われわれとしてもいろいろ深い反響ということはまだ耳にしておりません。
○岩間正男君 産経新聞、これはいわば資本家側の新聞ですが、その社説でさえも、この判決に対しては非常に問題点があると言っている。そういうような点から考えましても、私は影響するところ非常に重大なものを持っていると思います。砂川事件の伊達判決の上告審の場合でも、あるいは公安条例事件の上告審の場合でも、これは口頭弁論が行なわれている。それだけ深い国民に対する影響を持つものです。それがこういう形で行なわれたことについて、これは納得がいかない。大体、今度の裁判長は、暴力行為等処罰ニ関スル法律——これは今改正案として暴力処罰法というので問題になっておりますが、それをかつて大正十五年に刑事局に在職した当時に立案をしたと言われる裁判長です。この池田克氏がこういうような判決を急がれたという点については、これは非常に問題のあるところです。先ほど判決通知を出したというのですが、これは三月九日です。そうしてそれが三月十五日に判決を下す、こういうやり方をやっているので、その間全くこれに対するいろいろな立論の余裕もなかった。それから、先ほど申し上げましたように、手続上において全く慣例を無視した異例の裁判審理手続だということを考えますというと、どうもこの背景が何かあるのじゃないか。しかも、判決を下された当時は、これは労働者の春闘の日であります。そうして、これと符節を合わせるように、郵政大臣が、全逓の労働者の争議行為に対しては厳罰をもって臨む、こういうような厳重な、何か威圧的な声明を出しておる。これと符節を合わせるようにこのような判決がなされておる。これは非常に私たちは納得いかない。こういうようなやり方で労働者の既得権というようなものが侵害されていく、これは非常に遺憾な問題だと思うのです。 そこで、私は官房長官にお聞きしたいと思うのですが、あなたはこの判決についてどういうふうに考えられているか。これは日経、朝日新聞を見ますというと、日経の三月十六日付に、「判例そのものは、これを集めて行政の指針とすべきものだと思う。また現に公労法で争議行為が禁止されている以上、違反行為の責任が追及されることは当然と思う。」というようなことを述べられ、また朝日新聞には、「行政措置をとる」とも記者会見で言っておられるのですが、こういうことですと、非常にこれは問題があると思うわけであります。官房長官は、労働者に一体団結権、争議権、このような労働基本権、こういうものがないというふうに考えるか。もしもこの裁判がこれで行なわれ、そうしてこの上に立ってさらにその上で今後の反動的な労働行政が行なわれるという事態になりますというと、これはゆゆしい問題だというふうに考えるのです。第一には、政府が何かこの判決に便乗する、あるいはこの判決そのものが何らか期待されたような形で、待ってましたというのでこのような官房長官の談話を出された、そういう形にならざるを得ないと思うのですが、労働者の基本権についてはどういうふうに考えておりますか。
○政府委員(黒金泰美君) 今、最高裁の判決について政府側がとかくの批判めいたことを申し上げるのは恐縮かと思いますが、政府が今までとっておりましたこの法律の解釈としましては、公共企業体等の企業が持っております国家の経済なりあるいは国民の福祉に対します重要性にかんがみまして、公労法の十七条一項の規定は決して憲法二十八条に違反するものとは考えておりませんし、また、公企体の職員がこの十七条一項に違反して争議行為を行なった場合には、その争議行為についておそらく正当性の限界いかんというようなことを論ずる余地はないものと実は考えております。そこで、労組法一条二項の適用はなく、したがって、刑事責任の免責は受け得ないという行政解釈は政府が一貫してとっておったところでございまして、たまたま今回の最高裁判決がわれわれのとっておりました行政解釈と同趣旨の明確な判断がなされましたことで、われわれ今までとっておった行政解釈が正しかったという行政措置の指針には十分になり得ることだと思っておりますが、私どもといたしましては、今後ともにこの終局の法の解釈が最高裁にありますので、この最高裁の判決の趣旨に従って法の運用をして参りたい、このように考えております。
○岩間正男君 ただいまのような見解を述べられましたが、何かそうすると政府のほうが先行しているような感じもするのですね。政府がそういう考えで、それで公労法の十七条の問題ですが、これは刑事罰を規定したものじゃありません。これは非常に意見のあるところでありますけれども、あなたたちはこれをたてにして、そうして今度は労組法の最も基本的な権利、さらに憲法を否定するような形で刑事責任免責規定を適用しないのだ、こういうことになりますと、労働者は労働者でなくなるのです。労働基本権というものは、これはもう全面的に否定される。そういう第一歩を切り開いていくという、非常に重大な日本の反動労働行政につながってくる、そういう問題を持つのであります。ですから、今のような解釈であなたたちが一方的にこの判決をいかにも待ってましたというような格好で受け入れる、そうして今後これをさらに拡大強化していくというような格好では、私は非常におかしいことになると思う。 第一に考えていただきたいのです、もう少し歴史的に。大体労働法の精神というやつは、これは極東十六原則から出てきていると思う。労働者の争議権、団結権、団体交渉権、このような労働三権については、基本的にこれを認めるというのは、これはポツダム宣言を受諾した日本の労働行政に対する基本的な考え方であったわけです。ところが、御承知のように、これは一九四八年だったと思いますけれども、占領軍の指令によっていわゆる政令二〇一号が出された。そうして公共企業体労働者の争議権というものを完全に剥奪するという、いわば臨時軍事的なものにつながる措置をとったわけでしょう。ところが、それを今度はさらに法律的に取り入れて、占領行政が今でもそのまま継続されているというのが現在の公労法の建前になっておる。日本が独立したとかなんとか言っています。それから民主主義とかなんとか言っています。それから労働者の労働行政の民主的運営とかなんとか口では言います。しかし、基本的には、こんな占領政策そのものを労働法規に織り込んでくる。こういう形でますます労働者に対する権利を侵害してきたというのが自民党内閣の今までの政策だったというように考えます。 私がお聞きしたいのですが、こういうような形をかりにとっていくとすれば、一方においてILOの批准を政府はまさになそうとしておる。これもずいぶん時間がかかりました。何だかんだというので時間がかかりました。しかし、これは、今国会に提案し、成立することも間近になっている。ILOの批准によって、国際労働者のいわば憲章ですね、その方向に日本の今までの労働行政を改めて、そうして民主的な方向に変えていこうとしている。このこととこれは全く矛盾する。逆に、ILOを批准する、その前提条件としてこのような公労法をあくまでもっと拡大解釈、強化するというような方向をちゃんと作っておかなければLLO八十七号の批准ができないのだ、いわばそういう既成事実を作るための手段としてこういうものが使われたというふうにも考えられるわけです。それに公務員に対する争議権の剥奪の問題というものについては、これは世界的にもあまりその例がないわけです。それから、現状から考えましても、労働者の争議権を剥奪したその反対給付としての生活権の確立の問題、すなわち、人事院の勧告に対する政府の処置の仕方をもって見ましても、そのような労働者の要求というものをそのまま受け入れてそうして尊重するなど言いながら、実質的には時期を半分に減らす、こういうようなやり方で、全くこれはごまかし的なやり方でやって参りました。労働者は、今の物価高で当然自分の生活を守る立場から、現在の要求を大きく実現するために戦わざるを得ない。そういう態勢に政府みずからが追い込んでいると思う。そういうような一方的な反対給付の問題というものは、全然これは年々ごまかされて、そうして、労働者の基本的な権利というものは守られないでいって、一方だけ争議権をあくまで奪う。そうして、今度はこれに対して、今まで当然認められる法の範囲内での団結を守って労働者は戦ってきたと思うのでありますが、それをさえも刑事罰の対象にするという格好で、一段とそのような反動態勢を強くしてきておる。これは非常に重大な問題だと思います。このことはどうですか。ILOの批准と関係して非常に矛盾する。世界の世論から見まして、どうも池田内閣のとっている方向というものは全く了解するに困難だ。こういうふうに思うのだが、この点はいかがですか。
○政府委員(黒金泰美君) 岩間さんのおっしゃるとおりに、ILOの八十七号条約批准の問題は、今衆議院に提出いたしまして御審議を願おうとしておりますが、その内容は、御承知のように、結社の自由でありますとか、結社の運営の自由でありますとか、あるいは役員選出の自由でありますとか、こういうことに政府の干渉を禁止している内容でございまして、違法行為の禁止制限とはちょっと関係がない条約でございますが、私ども、この八十七号条約の批准の問題と、先ほど申し上げました争議の問題、これとは全然別個に考えておりますので、矛盾は感じておりません。
○岩間正男君 今のような御答弁でありますけれども、結社の自由と団結権を認める八十七号、この問題は、労働者の基本的権利をはっきり確認する上に立っているわけです。ところが、争議行為禁止という名前で、実は当然正しいそのような労働者の基本的権利の上に立った行為、これをどんどん制限したり、これに対する圧迫をしてきておる。さらに、争議行為そのものに対しては、もう最近は、政府の先ほど官房長官から説明されたような態度の中であらゆる弾圧態勢をとってきておる。処罰を対象としている。そうして不当な圧力を加えられてきたというのが今までの姿であります。これに対してILOから勧告が政府になされているはずですね。こういう勧告とも照らし合わせて、どうですか。八十七号の批准というものは、単に法文の形の上だけの問題じゃなくて、その精神をどう守るかというところにはっきりした考えを据えておかなければならない問題だと思う。ところが、その方向は全く等閑視されて、そうして形の上だけでILOの批准をやってしまう。実質的には既成事実をどんどん作る。これまでの政府がここ両三年非常に批准を延ばしに延ばしてきたその背後には、あくまで労働者のこのような基本的な権利をはっきり縛って、そうして公労法なりまた公務員法なりそういう関係法規というものを一方において非常に改悪してきておる。そうして、改悪するそういう一方では、阻止をあくまでやろうとしているわけです。そういうことを考えますと、今の一連の反動的な労働行政とこの最高裁の判決ははっきりとつながっている。そうして、受けて立つような官房長官の談話まで発表されまして、待っていましたとばかりこのような態勢をとられるということは、私は、ILOの批准をやるという政府の、いわば国際的な一応のお義理の上から追い詰められてやむを得ずやるのだ、しかし、実質的にはなかなか承服しないのだというまあおかしな形での消極的な態度に対しては、重大な問題を持つものだと思う。 で、どうです。私が先ほども申しましたように、これは占領法規の継続なんです。この占領法規の継続の上に立ってなおかつ労働行政をあくまで続行しようと、こう考えているのかどうか。私はこの精神がILOの批准にあたって根本的にただされなければならない重大問題だというふうに考えていますが、この点いかがです。
○政府委員(黒金泰美君) 先ほど一番初めにお答え申しましたように、今回の判決は、われわれが公労法その他を解釈いたしてきました解釈とたまたま一致いたしましたので、われわれの行政の解釈が正しい、こういうまあいわば自信ができたわけでございますが、したがいまして、今までのわれわれのとっておった態度を変える気持はございません。
○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて。
○岩間正男君 最後に申し上げますが、先ほど申しましたように、日本の労働行政を根本から変える、しかも、悪い方向に反動的な方向に変えるという、そいうこれは意図がある問題だと思います。そうしてまた、政府の従来の解釈そのものがもう国会でも何べん論議されたか。さらに、学界、労働界におきましてはこれは非常に問題のあるところです。世界的な世論の中でも、ILOの勧告が示しているように、非常に大きな問題があるところです。そういう態勢の中で、なおかつこのようなやり方を変えないで、逆にこれにいわば籍口してもっと強化するというような反動的な態勢をとるということは、私はこれは非常に重大な問題だと思います。こういう態勢の中で、はっきり池田総理が言っている、安保条約を実施するのだ、そのための体制を作るのだ、一方では日韓会談を国民の反対を押し切ってあくまでも強行しようとする国内体制の強化につながっていると、こう断ぜざるを得ないと思うのでありますが、そういう体制をあなたたちやる気ですか。これは答弁は要りませんけれども、そういう格好で、池田内閣の労働行政がそういうところを一つの契機としてさらに反動的に強化されていくということは、われわれは断じて許すことができないと、こう思います。最後にこのことを申し上げておきます。
○政府委員(黒金泰美君) 先ほど来何回か申し上げましたように、今度の判決は、今までの政府の見解と同趣旨であったということでございまして、われわれ政府の側では、この判決を根拠にいたしまして何も新しい意見が出たわけでもございませんし、ことさらに何か圧迫するような、そんなようなことは全然考えておりません。今までやっておりましたことと同様のことを今後とも引き続いて方針にして参りたい、これだけでございまして、新しい見解が出たわけでもございませんし、新しい弾圧を加えるなんということは毛頭考えておりません。
○岩間正男君 私の申し上げているのは、ILOの批准をやろうという政府は、世界世論に耳をやはりかしていくと、そういう方向から今までの労働行政について根本的に検討しなくちゃならない。その労働行政の一番大きな問題は何かといったら、占領政策の継続だということです。政令二百一号でこれを公労法の中に入れてきた。ここで全面的に改正する、そのような政府の態度の大きな変化がなしにILOを批准したって、全くのこれはごまかし行為だ、こう断ぜざるを得ないと思うのです。そこのところをあなたたちは根本的に考える必要があるのだということです。今までの解釈そのものが問題なんです。この解釈が、占領時代にマッカーサーの指令によりましてなされたところの政令二百一号を少しも変えていない、そのままそっくり入れてきている、だんだんそれを拡大解釈していくという方向に日本の労働行政を追い込んできている。そういう矛盾についてはっきりこの際明らかにすることが必要なんですよ。今のような、つまり今までの解釈を少しも新しくするものじゃないということを言っていますが、そうじゃなくて、根本的にやはりILOの批准を契機として日本の労働行政そのものを、世界的な視野からも、それから日本の民主主義を守る立場からも、労働者の生活と権利をはっきり確立する、そういう立場から再検討しなくちゃならない。そういうところにたまたま逆にこういうものが出されたことが大きな私は意味があると思う。そうしてそれは明らかに政治的意図につながっているんじゃないか。その背景も、今申しましたように、これは最近の日本の日韓の問題なんかとつながった問題がある、こういうふうに私は言っているのです。この点、ぜひこれは検討される必要があると思うのです。ぜひ検討してほしいと思う。それだけです。
○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて。
○委員長(鳥畠徳次郎君) 岩間君。
○岩間正男君 自治大臣の御出席を願いまして、私は、統一地方選挙が間近になったその前に、二、三の問題でぜひこれは明らかにしなければならないと思う問題があるわけであります。と申しますのは、当委員会でもしばしば今まで問題になってきたのでありますが、青森県の尾上の町長選挙、これをめぐりまして大がかりで悪質である選挙違反が起こって、大量の逮捕者、検挙者が出ております。しかも、この選挙を見ますと、同町では、公開選挙都市宣言を全国で第二番目にやった。ところが、公明選挙に籍口して、実は、公明選挙は、事前運動、買収、供応の場になった、こう考えられるのであります。そういう中から、公明選挙の役員である町会議員あるいはまた当選した候補者の義弟が検束、逮捕されたというような事態まで発展しているわけです。人口わずか六千人の町で四百三十人ものこのような違反者を出して、そうして問題は現在検察のほうで調査をされておるわけですけれども、公明選挙そのものにとってこれは非常に重大な問題を残しておると思います。したがいまして、この前、選挙局長に出ていただきまして、自治省の選挙対策の立場から考えてもこの尾上の事態をぜひ現地に人を派遣して調査すべきじゃないか、これは必ず大臣に伝えてその返答を当委員会に出していただきたい、こういうふうに要望いたしておったのでありますが、この点、どうなりましたか、まず、その点からお聞きしたい。
○国務大臣(篠田弘作君) 職員をすでに現地に派して関係者の調査をさしております。それから、公明選挙推進協議会と候補者あるいは運動者との関係はどういうふうになっておるかというふうな問題についても、すでに調査団を——調査団というほどのものじゃありません、調査員を派遣いたしまして事情を聴取いたしております。
○岩間正男君 調査の結果で現在まで判明したことについて御報告を願いたい。
○政府委員(松村清之君) ただいま大臣のほうからお話がございましたように、三月十五日、選挙局の職員二名を現地に派遣いたしまして、選挙局のほうは取り締まり関係じゃございませんので、選挙管理委員会の関係者とか、警察本部とか、公明選挙推進協議会とか、あるいは候補者の運動関係者、まあその他二、三の町の町民等から、できるだけ公正な事情が把握できるように調査いたしたのでございます。 この調査結果は、今取りまとめ中でございますけれども、これらの結果の模様につきましては、事件の経過は先般申し上げたところと変わりないのでございますが、この選挙は、過去長い間の保守陣営のいきさつから、選挙そのものがきわめて激しい対立関係で行なわれたということ、それから、先般申し上げましたように、公明選挙推進協議会が中心となりまして公明選挙町の宣言を十二月に行なったのでございますが、この宣言そのものは、別にこれを批判するものでも何でもないのごでざいますが、この公明選挙町宣言を行ないましたその推進力となった方々は、非常に自覚のある方々であったと考えられますけれども、選挙の当事者あるいは一般住民は、この公明選挙への自覚がまだそれほど盛り上がっていなかった、こういう事態の中で激烈な選挙を迎えました結果、先般申し上げましたような違反が多数出たのでございます。一方で公明選挙の宣言を行ないながら、他方でそういう違反を起こしましたということは、結局、形の上で公明選挙町宣言を行なったのでございますが、実質的には公明選挙への自覚というものがまだ足りなかった、しかも選挙そのものは非常に激烈であった、こういうことで、普通一般に苛烈な選挙の中に行なわれましたような思わしくないいろいろな事件が起きた、こういうように思われるのでございます。 なお、この選挙の結果、一部の人たちの間では、選挙について非常に恐怖の感を抱いた向きもあるようでございますが、しかし、一般的には、このような事件を契機といたしまして、くじけないでひとつ進んでいこう、そして農村における封建制度は一朝一夕にして打破できるものでないから、今後はひとつ他人の意思に左右されない自分の一票というものを再認識して立ち直ろう、こういうような空気が住民の間でも相当見受けられた、現地へ行った人の話によりますと、そういうふうに見て帰ってきております。 今取りまとめ中でございますので、現在のところ、大体そのようなことを現地の視察者から聞いておるような次第でございます。
○岩間正男君 今の結論で要領を得ないところがあるわけですが、第一に、この選挙は非常に不当な形で行なわれたということ、それから公明選挙そのものがこういう買収違反に利用された、こういう実態は認めておられるかどうですか。
○政府委員(松村清之君) 公明選挙が買収違反に利用されたと、こういうことにつきましては、現地視察者は認めておりません。ただ、何しろ小さい町で公明選挙運動をやっておるわけでございますから、たまたま公明選挙運動の関係者が、これだけの大量の事件関係者が出ましたからには、関係しておった人もおったのではないかと思いますけれども、公明選挙そのものがこういったことに利用されたと、こういうことはない、こういうふうに見て帰っております。
○岩間正男君 これは、この前私詳細に申し上げたから、ここで繰り返す考えはないですけれども、役員の中には相当町会議員だとかあるいはその他の有力者がいた。そういう人たちは、公明選挙の名においていろいろな会議をやったり、そういう場所を利用して酒を飲ませる、こういう事実が具体的にあったわけですね。ですから、そういうところをやっぱり調査してほしかったと思う。 それから、公明選挙の役員をやっていた人で、何人一体あげられたか、そういうことまで調べましたか。そういうところを調べなければ、公明選挙との関係はなかったとか、一般論では話にならない。今の調査には、少なくともそういうところが具体的に上がらなければ、ないだろというそんな判断だけ、そんなことを聞いているのじゃない。そんなことは私たちのほうはもっと詳しく、二回も行って調べているのですから、その点どうです。その点、自治大臣はおわかりですか。それは警察庁でもわかっているでしょうな。
○国務大臣(篠田弘作君) 選挙違反になりますから、取り調べは警察が行なっているわけであります。したがって、公明選挙の関係者が何人違反に問われているかということは、選挙違反は、選挙局ではなくて、警察が調べておりますから……。
○政府委員(宮地直邦君) 私のほうの調べでは、今のところで、公明選挙の関係者ということについては、統計をとってきてはおりません。われわれのほうでわかっておりますのは、どういう事件の内容で、どういうふうにやったかということのみであります。
○岩間正男君 これは、大量検束者の中に町会議員とか候補者の義弟とか、こういう人たちがあるわけですが、これはどうですか。
○政府委員(宮地直邦君) ございます。
○岩間正男君 町会議員なんかが全部役員だったはずですね。総決起大会を開き、町会議員全部役員になって、その役員が運動員に早変わりをし、そうして先頭切って今のような公明選挙の名によって実は買収違反をやった。ここのところが非常に問題です。こういう形は、単に尾上だけでとられている問題ではないと思います。これは、自治省から出している選挙の何かパンフレットがございますね、あれを見ますと、公明選挙についていろいろのそういう望ましくない違反の事実についてやはり問題が指摘されているのですから、これは自治省としては認められているわけですが、これに対してどういうふうに処置されるのか、こういう点がお聞きしたいと思います。
○国務大臣(篠田弘作君) 選挙違反でありますから、検察、警察当局が判断をいたしまして、これは犯罪であるということになれば、これはもちろん起訴をいたすわけであります。裁判は、当然裁判所で行ないます。自治省といたしましては、いかに公明選挙をうたいましても、選挙をやる候補者なりあるいは選挙民、それが十分にその重要性を自覚しないで、公明選挙という文句だけを頭に入れて、行動はそれと違った行動をやるということになってくれば、これは警察と違いまして、それを連れて来ていわゆる頭の焼き直しをするということは、これは自治省としては当然できないことであります。したがいまして、啓蒙活動を根気強く続けて、そしてそういう人々の反省を促す。もちろん、公明選挙に名をかりてその神聖な場を泥靴で踏みにじるようなそういう悪質な者については、これは裁判所において十分な制裁が加えられるものと、こういうふうに考えております。
○岩間正男君 この町で混迷選挙とか巧妙選挙と、こういう皮肉った言葉が非常に行なわれていることを大臣は御存じですか。
○国務大臣(篠田弘作君) それは知りません。
○岩間正男君 そういう格好です。とにかく、町の一割近い人が事件の違反者であげられているんですからね。取り調べを受けている。これは松山でも相当大がかりな違反が起こっていると聞いていますが、松山は、御承知のように大都市だ。そこで何百人かのそういう検束、逮捕があった。ところが、あの町は、御承知のように、有権者は六千人ですよね。だから、部落ぐるみあげられ、部落ぐるみ公民権停止の、そういう心配のある人さえあるという格好では、ほんとうに今まで例を見ないと思うんですね。ところが、そういう態勢の中で、一体どうです。この違反の問題に関連し、たとえば当選をした葛西という候補者ですね、町長ですね、この町長は、一体どういうなにをやっている。これは町長なんかに会って調べられましたか。選挙局はどうです。どうなんですか。
○政府委員(松村清之君) 実は、関係者には全部会って事情をお聞きする予定でございましたが、行った当座、町長は不在で、つかまえられなかったということでございます。
○岩間正男君 不在になったのか、あるいは特にその日をはずしたのか、それはわかりませんけれども、これは私はこの前もここで問題にしたのでありますけれども、その後、この当選した町長、これだけの大事件を起こした町長から、礼状が出されている。この礼状によりますと、この前も問題になったんですが、「再選の栄に浴し引続き町政を担当出来得ますことは真に男の花道を渉つた感激で一杯でございます」、こういうひどいものを出している。これはあとでお目にかけますが、これはどうです一体、自治の運営から考えまして。大体、今度の選挙では非常に町民が怒っていますよ。その例としては、この前もあげたんですが、こういうことを言っている。ある人物はこういうことを言っている。「大量の違反者が出たのに、候補者などは手が回らない。四年後には、過去を遠くへ押しやって、きれいな公約を並べる。この繰り返しが続く限り、政治自体がよくならないと思う。私たちは無理やりに前科者の印を押されたようなものです。両候補に責任はないものだろうか。」、こういうような感想を述べています。それから「尾上町を天下の恥さらしにしたのは葛西、山口両候補の責任だ。四百余人の町民を巻き添えにして本人たちが安泰なのはどうしたわけだ。」、こういう不信の念が盛り上がっている。これは当然ですよ。まあとにかくあすこにおける選挙の実態を私は触れたんですけれども、投票日を前にした二日前の様子なんか、吹雪の中でありましたけれども、あの吹雪の中で、一つの部落のごときは、おそらく酒を飲んだんだろうと思うが、おかぐらに出てくる猿田彦みたいな顔をして、まっかな顔をした連中が、手ぬぐいやえり巻でもって顔を包んで、そして一つの部落にはもう五十人ぐらい並んでいる。門柱や木立の陰に隠れている。私は、隣の部落にわが党の候補を応援するために行ったのです。そうすると、ヘッドライトが光ると、顔を全部そむける。だけれども、車が通り過ぎるとぞろぞろと道へ出て来て、またうしろを見送っている。こういうことです。つまり、あの部落における警備隊ですね、これは。いわば、防衛態勢をとって、その部落に入れない。そういう中にいる人たちの自由意思というものはじゅうりんされている。あるいは、そういう中で部落推薦に反した者はほとんど村八分にされている。あるいは、警察からそういう違反の問題について出頭を命ぜられた、そうして実情について調査をされたその結果は、部落全体があげられるというような事態が起こっていて、その部落の人たちがそれを全部つまはじきをして、町に出てもこれに対して悪罵を浴びせかける、こういう格好です。あるいはまた、買収の品を送られる。そうすると、それを断わる。断われば、気に食わないのか、何か気に食わないことがあるのかと、逆にもうものすごい圧力が加わって、これは生活権さえ奪われるというような、そういう恐怖的な態勢の中でこの選挙が行なわれておる。その結果、これはとにかく警察の手が伸びて、そうして一応このような検束、逮捕者を出した。それについて町民のごうごうたる不満が下から盛り上がってくることは、これはあたり前です。そういう中で当選した町長が、こういうようななにを出しているわけですよ。これは自治大臣、見て下さい。一体、これは今の選挙をなめているのじゃないか。これは刑事局長も見て下さい。警察だって全然なめられている。四百人逮捕したって、何にもならぬと思う。この手紙見て下さい。「男の花道」というのは何ですか。やくざの仁義じゃないですか。こういう格好で出てきた町長というのが、これから町政を担当できますか、国民の信頼を得て。民主政治もへったくれもないでしょう。どうです、これは。自治大臣のそれについての意見を聞きたい。
○国務大臣(篠田弘作君) あなたがおっしゃったようなそういう非近代的な選挙が行なわれたから結果的に大量な違反が出た、これは裏表であります。当選した町長が、当選はさしていただいたけれども、非常に村民各位に御迷惑をかけ、村を騒がして申しわけない、当選の暁において身辺をきれいにして慎んでこの御迷惑に対して町政の上において報いるつもり、だというくらいのまあ挨拶状がしかるべきものだと私は思いますが、そういうことに一つも触れないで、「男の花道を渉つた感激で一杯」だということはこれはあなたが選挙の運営といって自治大臣をお責めになりますけれども、選挙の運営以前の問題ですよ。本人のカルチュアの問題ですよ。こういう本人の個人的なカルチュアの問題までも私に言われても、私は困るわけですが、選挙というものの立場から申しますれば、これこそほんとうにまあ啓蒙運動というより以上の啓蒙運動をしなければいけないだろうと思うし、今あなたが村民が激怒しているというお話でありますが、激怒するのも当然でしょう。そういう場合には、やはり法律上の手続によっていろいろな方法があるわけですから、村民の意思というものをある時期においての法の手続によって現わすということも可能なわけです。
○岩間正男君 選挙以前というお話がございましたけれども、これは政治道徳的に言えば、全く棒にもはしにもかからないようなやくざ的な仁義みたいなものです。ところが、そういう者をとにかく公明選挙の名において選び出している。そうして、そういう実態について、徹底的に選挙の当局者は、ことにあなたは国家公安委員長ですな。そういう立場の両者を兼ねているのですが、そういう立場で、こういう人たちをこういう席に置かれておいていいのかどうか。そして、そういう腐敗と堕落の基礎の上に立った自治が今後行なわれていいのかどうか。これは、日本の自治全体の問題として、そうして自治を執行する当面の町の理事者がそういう汚ない背景、まことに問題にならない背景の上に立って選んでいるというこの現実、これは尾上だけではございません。大なり小なり、ほんとうにあるのだ。ことに、日本の農村地帯にはあるのです。今の、たとえば部落で監視をやっておるなんという、ぞろりとピケを張っておるという、ほかの人は絶対入れないという、全く人権というものがじゅうりんされた形で選挙が行なわれておる。それに対して、今度の選挙もいよいよ告示があと四日後に迫っておる。そういう事態の中で、こういうことが明確にされないで、ずるずる選挙に入れば、また再生産されますよ。大なり小なり、再生産されます。私は、そのことだけを問題にしておる。これは、何も尾上だけの問題じゃございません。選挙以前と言うけれども、こういうものがたくさんいるのだ。この点、どうです。
○国務大臣(篠田弘作君) 現在の経過によりまして、あなたがおっしゃっておるようなそういうことは事実であろうと思うし、また、現在、そうであったから警察も調べておると思います。しかしながら、日本は、警察や検察庁が容疑を持って引っ張ったからといって、それが直ちに犯罪であるというわけには参りません。三権分立でありますから、裁判所がこれを決定します。したがって、この当選者が、もし犯罪を犯しておるならば、当然裁判がこれを有罪にするわけであります。有罪になれば、もちろん町長は失格です。それから、今申しましたように、町民の投票の過半数と申しますか、最大の得票をとりまして町長に選ばれた、その選挙のやり方がよかったか悪かったかということは、今、検察庁で調べておる。また、自治省としても、今日までの状態は、先ほど申しましたように、民主主義以前のものであるという考え方を持っております。だからといって、選ばれた町長に対して、それが町長の資格がない、あるいはすぐやめるべきであると、そういうことを自治大臣は言うべきものでない。おのずから、選挙民というものがあって選んだ、その町長がもし裁判によって有罪にならない、そのまま町長を持続するといった場合には、さっき言ったように、リコールというような、いろいろな法律上のやり方があります。それによってやるのが民主主義の常道であって、いきなり自治大臣である私がこういう者は資格がない、やめたらいいだろうと、そういうことを言うということは、民主主義に対する一つの誤まりであると、こういうふうに私は思います。
○岩間正男君 私は、自治大臣がやめろとかなんとか言うことを言っておるのじゃありません。それからまた、今の法的な形式の問題については、あなたの言うようだと思う。ただ、問題は、こういうような形で、そして政治道徳の立場からいって、はたしてこれは自治体の執行機関としてやれるだろかどうか、通せるかどうか。これは、不信の上に立って、そして自分だけは男の花道を行くつもりでいるけれども、全然、これは架空の政治になるだろう。全くばかにされた政治になるだろう。そうすると、問題は、こういう選挙そのものについて、あなたたちは一体どういうふうな方針で臨むかということを私は今問題にしておるわけです。
○国務大臣(篠田弘作君) 私が今申し上げておるのは、「男の花道を渉つた感激一杯でございます」というこの文章が本人から出されておるものであるという前提のもとに立って言っておる。しかし、よく調べてみなければ、このはがきそのものが、本人が出したものであるかどうかということもわからない。あるいはまた、逆に、ほかの人が出しておるかもしれない。そういうことがありますから、警察にいたしましても、十分に証拠を調べなければ、そういうことは軽はずみに言えません。でありますから、私が先ほど申し上げましたのは、本人がこういうはがきを出したと、そういう前提の上に立って、もしそういうことであるならば、これは選挙以前の問題であって、本人の教養の問題であるということを申し上げたわけであります。
○委員長(鳥畠徳次郎君) 岩間君に申し上げます。大臣が公用がありますので、できるだけしぼって、重複を避けて、結論に入っていただきたい。
○岩間正男君 これは郵便物ですよ。この前問題にしたのですが、これはまだ調べていないのです。これはあなた、調べるのはわけないんじゃないですか。それから形式犯としてもこれは選挙法にもひっかかると思う。この問題よりももっと、このことも問題だが、このことよりもっと大きな問題は、今の政治道義の問題です。こういうものを前提として、そうして尾上町というようなのが大小無数にあると言わざるを得ない。日本がぶつかっている最も極端な例です。そうすると、ほんとうに今度の選挙に対して、あなたたち単に今までの問題をほおかぶりして公明選挙公明選挙というようなかけ声だけで、実質は公明選挙そのものが大いにこういう買収違反のようなものに使われながら運用されて、そうしてその上に築かれた地方自治というものは一体何ものかということ、ここのところにやはり深いメスを入れなければならぬ、こういうことを言っているわけですね。その点、どうなんです。
○国務大臣(篠田弘作君) もし、選挙が、自治省も検察庁も警察も何も要らないできれいな公明選挙が行なわれるならば、高い国費を出して公明選挙運動をやる必要はありません。そのくらいのことはあなたもおわかりだろうと私は思う。いかに公明選挙を唱えても、選挙界の粛正というものは全くむずかしい。だからして、何とかして少しでもそういう違反を減らして公明選挙運動をやろうと思うから、われわれは苦労をしている。だから、こういう事犯が起こったから、公明選挙運動は役に立たない、そういうようなお考えは間違いだと私は思います。こういうふうで、幾ら笛を吹いてもなかなかついてこない。だから、われわれは一生懸命に公明選挙運動をやる必要がある。途中でもってあきらめてはいけないのであります。言いかえれば、一つの教育でありますから、これはもう気長にうんとやる以外に方法はありません。自治省としては、公明選挙運動は、これによってますますやらなければならぬという必要を痛感しております。同時に、警察は、こういうような、端的な言葉で言えば、公明選挙運動に便乗したそういうようなやり方というものは、これは普通の違反よりはもっと私は罪が重いと。だから、そういうものについては、厳正にどしどしと検挙をして、当然これは裁判所もまたこういう悪質なものについては処断がきびしいだろうと、そういう教育と宣伝啓蒙と、また違反の処罰、この両面から私はますます公明運動をやり、また、ますます峻厳なる取り締まりをやらなければならぬ、こういう考えであります。
○岩間正男君 私が心配しているのは、もう四日後に知事選を皮切りにまる一カ月半にわたって統一地方選挙が行なわれる。その前の政治指導といいますか、自治省として、これに対して、たとえばこういうひどい例が起こったのですから、こういうことを再びしないようなそういう一体対策というものがあるのかないのか。それを一体どういうふうにこの非常に間近に迫った問題に対して、やっていくのか。これは私は指導としては大切だと思うのです。公明選挙の話がありましたけれども、公明選挙だといって六億円ですか、去年の参議院選挙の前に金を出しました。しかし、あの成果は上がりましたか。逆にこれはこういうような事態の選挙違反というようなものを増加している。そういうような方向に使われている事態があるのです。公明選挙なんといって、尾上の場合、これがなかったら、こんな事態はこれほどひどくならなかったのじゃないかというふうに考えられる。この点について、公明選挙というものはこれはもう全面的に再検討しなければならない問題を持っている。そういう形から起こったこういう事態について、いよいよ当面した問題としてどういうふうに自治大臣として一体方針を明確にしているかということをお聞きしているのです。この点、どうです。
○国務大臣(篠田弘作君) 今回の青森県における選挙違反の問題は、新聞あるいはラジオ等、マスコミを通じまして全国にその内容が伝えられ、また、国会におけるこの委員会の質疑応答を通じましても、これは当然全国に伝えられる。ときあたかも統一選挙を前にしてこういう問題が起こったということは、ある意味において一般の心持を引き締め、もって他山の石となすということにも役に立つのじゃないか。あなたのおっしゃるように、公明選挙をやったって犯罪ばかりふえて何も公明選挙は役に立たないじゃないか、公明選挙は再検討すべきときだと、あなたはおっしゃるが、それならば、公明選挙をやらなくなれば犯罪は減りますか。病人がたくさん出て死人が多いからといって、病院を閉鎖しますか。そういう理論は私は成り立たないと思います。であるからこそ、私は公明選挙というものをますますやらなければならぬと思う。伝染病が流行して死人がたくさん出るから、病院の医者も研究をし、薬も集めて、治療方法も充実していかなければならない。そういう、犯罪者がよけい出てふえてくるから公明選挙はやめたほうがいいんじゃないかというようなそういう敗北主義には、私は反対です。
○岩間正男君 何も敗北主義とかなんとかいうのじゃなくて、これは統計的に見ればわかると思います。公明選挙というものをやってから選挙の犯罪は一体減ったかふえたか、そういう統計の上に立ってみれば、公明選挙の果たした、果たしつつある役割は明らかになるわけですから、今のように病気がはやっているから医者の問題とか、こういう一つの比喩ではこれは解決のつかない問題です。 私がお聞きしたいのは、それならば、尾上のようなこういう事態を再び繰り返さないという保証を、少なくともそのような努力を自治大臣としては持つべきじゃないか。それはどうです。もうあと四日しかないのですよ。そういう点は一体どのようにするか。
○国務大臣(篠田弘作君) 一体保証なんてことができますか、人間が。あなたは保証できますか。
○岩間正男君 情けないじゃないですか。
○国務大臣(篠田弘作君) 情けないと言っても、あなたは、何人も保証しますか。ソクラテスのような哲学者も、保証するなかれと言っておる。人間というものは、保証をしても、他人の心持まで押えることはできません。だから、行政的な手段においてあるいは啓蒙的な宣伝活動において、犯罪を減らす、そういう不道徳な行為を減らすということはわれわれの責務です。しかし、全国から選挙違反を自治省の力によって根絶やしにできる自治大臣がいたら、誇大妄想狂か、気違いだと思いますよ。
○岩間正男君 今のような答弁がなされておるというところに日本の現実があるということを確認せざるを得ない。今のような議論になると、不可知論になるのであって、やはりわれわれは、結果においては、それは百パーセント保証は取り付けることはできないにしたって、それにしたって努力することは当然だと思います。これは国務大臣である自治大臣の任務だと思います。これははっきり確認しなければならない。どんなことを言ったって、これは石川五右衛門じゃないけれども、浜の真砂は尽きることがあっても、世の中から選挙違反を絶やすことはできないという基本の上に立って今の池田内閣の選挙指導はなされておる。これはたいへんなことです。重大なことです。そんなばかげたことを発言されちゃいかぬと思います。
○国務大臣(篠田弘作君) あなたと私との話は、水掛け論ですよ。委員会の質問じゃありませんよ、はっきり申し上げますと。僕が保証して、それじゃ選挙違反を——自治大臣であるかしりませんけれども、とにかく選挙制度始まって以来、こういういろいろな悪質違反というものはずっと続いてきた。われわれは、それを少しでも減らそうとして今努力している。その場合において、こういう違反を私がなくするように保証すると言ったら、私がうそをつくことじゃないですか。神聖な国会の席上で私のうそを聞いてあなたは何の足しになりますか。
○岩間正男君 だから、あなたは、それはとにかく結果においては一ぺんで根絶やしにすることはできないという現実は、それはもうそうでしょう。だけれども、それに対して、それを減らす方向にやはり一つの大きな方針を明確にすべきじゃないかと言っているわけなんです。それはどうなんですか。
○国務大臣(篠田弘作君) これは、再々申し上げているように、あらゆる手段を使い、先ほど申しましたように、一方において啓蒙運動をやり、一方において取り締まりを厳重にする、そうしていろいろな講演とか指導とか、あるいはマスコミを通じて選挙違反というものが民主主義を食うバチルスであるということを宣伝をし、また、普通選挙違反というものは一般に破廉恥罪と考えておられないけれども、選挙違反というものは最大の破廉恥罪であるというふうな教育をしまして、そうしてあらゆる面において努力をして選挙違反を減らそうとしているということは、もう再三申し上げているとおりであります。
○岩間正男君 今お聞きしたのですが、これは一つの一般論みたいなことで、むろんここですぐに特効薬が出るかどうかということは問題だとしても、少なくとも私は、決意として、とにかくこういうような全く悪質なあなたのお話しになりました選挙違反だというふうな前近代的な形の上に立っているこういう事態をなくすために努力をすべきだし、また、迫ったこういう期日の中で、検討されることが絶対必要だというふうに考えます。そうして、具体的にこういう問題をとらえて、今度の選挙の中ではそういうものをなくすような方向に努力する方針を出すべきじゃないか。 それと同時に、これは警察庁の刑事局長にお聞きしたいのですけれども、どうですか。さっきのはがきのようなものを出されているわけだ。あなたたちが取り締まりを厳重にしていると言ったって、実際は全然木で鼻をくくったようなものじゃないですか。ばかにしている。警察をなめているじゃないですか。それで、一方ではあれだけの大騒ぎをして警察がとにかく現在捜査しているさなかにおいて、そういうものが平然出されている。 もう一つの問題だが、青森の県警本部長に告発をした問題でありますが、隣の黒石で、やはり今度の選挙を前にしていろいろな買収違反が、ここに告発状もありますけれども、やられているのです。そうすると、警察の手が及んで、それであそこを取り調べをするというのは、一つはそういうことを繰り返さないというそのためにやることが一番大きなねらいだと思うのですね。ところが、全然これは今の町長にはきかない。隣の黒石では尾上町に起こったような選挙違反というような事態は何にも教訓にならないということの証拠じゃないかと思うのです。こういう事態を告発しなければならないようなたくさんの事前のなにが起こっている。そうすると、警察は取り締まるような態度をするけれども、これは微温的なものであり、あるいはまた何だかそこのところがなれ合いみたいな形で行なわれると勘ぐられても仕方がない。そういう上に立って依然としてこういうような違反事実というものが積み重ねられているのじゃないかというふうにも考えられますが、これはどうなんです、一体。だから、お聞きしたいのは、大体そういうような町長のやり方、それから尾上における現在の捜査の経過それからもう一つは、新たな問題として告発をした黒石における選挙事前運動の買収違反、こういう告発に対して、どういう処置をとっているのか、お聞きしたい。
○政府委員(宮地直邦君) 第一点のこの挨拶につきましては、適当か不適当かという問題ではなくして、これは公選法上の事後の挨拶行為になるかならないか、こういうことにおきまして現在事案の真相を明らかにするようにいたしております。 第二点の黒石町の問題につきましては、これは告発状もあり、警察におきましても、一部の事案につきましては、また、告発状にない事件につきまても承知いたしておりまして、これらにつきましては目下捜査中でございます。 いろいろ警察の行動につきまして言われる方があるかもしれません。しかしながら、われわれのほうは、一党一派に偏せず、厳正なる態度をもって適正なる捜査を行なっておるのでございます。
○岩間正男君 それから、尾上のその後の捜査のなにはどうですか。
○政府委員(宮地直邦君) 尾上町の事件につきましては、一応捜査を終わりまして、今申されましたような相当の数字におきまして事件を送致いたしたのでございます。
○岩間正男君 本部長に青森に行って会ったのです。告発の場に私も立ち会った。そうしますと、やはり態度がきびしくないのですな。そういうことをいろいろ出されておりますけれども、なかなか捜査が困難だとかなんとかという態度でいるのでありますが、選挙のそういう違反の問題に対する態度は、大体そうなんですか。ああいう尾上の問題が起こった直後だけに、この黒石の問題というのは非常に私は重大な問題を持っていると思う。だから、自治大臣の先ほどの言葉をかりれば、とにかくこれをなくす方向にこれは努力するのだ、そういう点からいっても、取り締まりは非常に重要だと、こういうことを言っているわけですが、どうもそういう気持になってあの尾上の問題、黒石の問題に対処しているようには見えなかったのですが、どうですか、その点。
○政府委員(宮地直邦君) 青森県警察といたしましては、われわれの今まで承知しております捜査のやり方というものにつきましては、適正であると考えておるのであります。で、青森県本部長の話が今出ましたけれども、これは、人それぞれ表現の方法その他がありますので、いろいろお感じになるところがあるかと思いますけれども、警察は組織として、また、今も申しました取り締まり方針を堅持しておるという点におきましては、間違いございません。
○岩間正男君 とにかく、その点で現地のうわさなんかも聞いているのですが、やっぱりもっとこの実態をはっきりつかんで、そうしてほんとうに選挙違反をなくすという方向に、ことに選挙で買収、供応というやつは最も悪質な破廉恥罪なんですよね。こういう問題をもっとやっぱり解決しなければならないけれども、なかなか地方においてはボスの勢力も強くて、それによって圧力があったり、なかなかやりにくい、そういう条件もあったりね。警察がそれにどうもそういうところで妥協している面があるのじゃないですか。こういう点が非常に感じられる。地方ほど感じられるのですけれども、どうですか。
○政府委員(宮地直邦君) 御承知のように、現在の警察制度におきまして政治的な中立性を確保しておるのであります。したがって、われわれのほうは、決して一党一派に偏せず、やれ、大いに検挙せよという御意見に対しましても、われわれはあくまでも証拠に基づいて適正な捜査をいたします。また、やるなという御意見があったとしても、われわれはこれは法の命ずるままに適正なる捜査をいたすのでございます。
○岩間正男君 これで私終わりますけれども、自治大臣に特に要望したいのですが、先ほどのあなたのお話もありましたが、とにかく不可能に近いようなことだということではまずいと思うのですね。とにかく、ああいう選挙以前の問題だというような話で、また、努力というよりも、非常に一般的に伺ったんでありますけれども、特に今度の選挙に臨むにあたって、やはり今までの繰り返しだけですか。私は、こういう事態が起こっているから、こういう事態に対してどういうふうにはっきり対処するのかという点、これを具体的にしないと、やっぱりこれがこのままどうも繰り返されるのじゃないかというそういう危惧を持ちますが、どうですか。
○国務大臣(篠田弘作君) 選挙の公明化が不可能だなどということを言ったことはありません。あまりそういう独断をしてもらいたくない。あなたが、保証しろと言うから、この次の選挙からそういうものをなくする保証ができるかと言うから、保証することはできないと。公明化が不可能だというポイントの上に立てば、私は公明化運動などやりません。必ず将来日本の選挙というものは粛正されて、民主主義というものは健全に育つのだという確信のもとに私はやっているのです。それと保証をするということとは問題は別であります。また、従来のやり方どおりやるのか、それはもう非常にいい方法があれば従来のやり方を幾らでも変えていきます。ところが、人間というものは案外知恵がなくて、そう言っちゃ悪いけれども、ずいぶんたくさんの有識者が集まっていろいろ相談してみましても、特別にいい知恵というのはそう出てこない。しかし、目前に起こったこういう問題については、これをひとつ参考とし、他山の石として、こういうものは再発させない。個々の選挙違反というものは、先ほども申しましたように、なかなか絶えないかもしれませんが、町ぐるみ選挙違反をやるというようなそういう違反はまず絶対起こさせないというぐらいの決心をもって取り締まりあるいは公明化に臨みたい、こう思っております。 それから、先ほどおっしゃった言葉の中で、刑事局長が答弁をしなかったことが一つあります。それは、何か警察が取り締まりに対して手かげんを加えておるのじゃないかというようなお言葉がありましたが、もし警察が取り締まりに手かげんを加えておるとすれば、町の一割、少なくも町の有権者の一割に近い者を検挙して送るなどということはいたしません。これだけの大量の者が出たということは、警察がいかに厳正にやっておるかということの証拠であろうと、こういうふうに私は考えております。
○岩間正男君 最後に、私は要望したいのですが、このたびの違反を契機にして、公明選挙に対する調査をわざわざ人を派して自治省でやっている。これについて、もっとはっきり、たとえば、どういう人の関係があって、それから公明選挙に使った費用のごときはどういうので、さらにこれに対する意見、これの改正点、そういうような問題についてあなたのほうではこのまとめを、まあさっきのお話だけでは非常に不十分です。もっとこの機会に検討して、そうして今後の選挙の公正を期する方法が必要だと思いますが、これは出してもらえますか。
○国務大臣(篠田弘作君) そういうお話は、非常に私歓迎します。一体どうしてこういうものが起こったか、警察の取り締まりとは別に、将来の選挙公明という立場から、もし私に行けと言われれば、私が行ってもよろしい。あるいは、ほかの者でも、自治省の政務次官でも局長でもいいですが、そういう責任者が行きまして、そうして、このいきさつというものを警察の取り締まりとは別な角度で、そうしてずっと深く掘り下げて、それは住民の教養が足らないのか、あるいはまた、さっきあなたがおっしゃったようなやくざ的な気分が横溢したのであるか、あるいはまた、そこに何か別の原因があったのであるかというような問題について、これは非常にいい例でありますから、ほんとうに掘り下げて研究し調査をして、そうして、先ほど申しましたように、そういう違反というものを繰り返さないような努力をしたい、こういうように考えます。
○岩間正男君 これは、自治大臣、行ってもらえますか。自治大臣はお忙しいだろうけれども、こういう問題に乗り出して行っていただけば、ずいぶんなにになると思います。
○委員長(鳥畠徳次郎君) 他に御発言がなければ、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十八分散会 ————・————