法務委員会 第8号
- 発言数
- 127 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/03/14
会議録
○委員長(鳥畠徳次郎君) それでは、ただいまから法務委員会を開会いたします。 昨十三日付託されました下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 政府から提案理由の説明を聴取いたします。
○国務大臣(中垣國男君) ただいま議題となりました下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。 この法律案は、最近における市町村の廃置分合等に伴い、簡易裁判所の名称及び管轄区域を変更する等、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律に所要の改正を行なおうとするものでありまして、以下今回の改正の要点を申し上げます。 第一は、簡易裁判所の名称の変更であります。すなわち、簡易裁判所の名称は、その所在地の市町村の名称を冠するのを原則としておりますので、山梨県東山梨郡日下部町外六町村を廃しその区域をもって山梨市を置く処分に伴い、日下部簡易裁判所の名称を山梨簡易裁判所に、富山県西礪波郡石動町外一町を廃しその区域をもって小矢部市を置く処分に伴い、石動簡易裁判所の名称を小矢部簡易裁判所に変更しようとするものでありまして、いずれも地元の住民の希望を考慮したものであります。 第二は、簡易裁判所の管轄区域の変更であります。すなわち、土地の状況、交通の利便等にかんがみ、春日井簡易裁判所の管轄に属する名古屋市守山区の区域を名古屋簡易裁判所の管轄区域とするほか、四簡易裁判所の管轄区域を変更しようとするものでありまして、これらの管轄区域の変更は、いずれも、地元の住民の希望を考慮するとともに、関係諸機関の意見をも十分参酌したものであります。 第三は、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の別表の整理でありまして、市町村の廃置分合、名称変更等に伴い、同法の別表第四表及び第五表について当然必要とされる整理を行なおうとするものであります。 以上が下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重御審議の上、すみかに御可決下さいますよう、お願いいたします。
○委員長(鳥畠徳次郎君) 以上で説明は終わりました。本案に対する質疑は、後日に譲ることにいたします。 —————————————
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、本案に対する質疑を行ないます。
○岩間正男君 それでは、本案について二、三の問題点について質問いたしたいと思います。 裁判官の不足を最高裁は常に絶えず口にしているわけでありますが、今回の定員増で一体間に合うのかどうか。従来からだんだん解決していくということを言っているようですけれども。それから書記官や調査官、事務官の増員あるいは組みかえ、こういうもので間に合うのかどうか。概算要求と比較して今度の定員の増というのは問題にならないほど少ない、こういうふうに思うのですが、この点についてどう考えておられるか、お聞きしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 最近の事件の増加の傾向、それから事件がますます複雑になっていく傾向にかんがみまして、最高裁判所といたしましては、裁判官以下裁判所職員の増員について毎年大蔵当局と折衝を続けておるわけでございます。ただ、遺憾ながら特に裁判官につきましてはこれを任用する給源が現在のところ相当狭いというような関係で、必ずしも私たちの希望が達せられていないわけでございます。三十八年度の予算につきましても、われわれが当初要求いたしました数に比べましてかなり下回った数が予算として要求されておるわけでございまして、最高裁判所の当局といたしましては、今回の定員増で必ずしも十分ではないというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、現在の情勢からいきまして、この程度のことで三十八年度は一応満足しなければならないというふうに考えておるわけでございます。もちろんこれによりまして最近特にやかましく言われております訴訟遅延の状態等がすぐに解決するということには考えていないわけでございまして、今後ともさらに努力を続けて参りたいというふうに考えております。なお、ただいま臨時司法制度調査会が審議を続けておりまして、来年の八月にはこの訴訟遅延の状況等を解決するために適切な方針が出るものというふうにわれわれは期待をいたしており、今後とも裁判所の定員の増加につきましては努力を続けて参りたいというふうに考えます。
○岩間正男君 概算要求と予算決定を見ますと、だいぶ開きがあるのじゃないか。今のお話では必ずしも十分ではないというような御答弁ですが、必ずしも十分でないどころか、全くこれは申しわけ的な増員にしかすぎないと思うのですけれども、一応概算要求との関係ですね、本予算の決定と概算との対比をちょっと出してほしいと思うのですね。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 最高裁判所が三十八年度の概算要求で当初要求いたしました定員の数は、これから申し上げるとおりでございます。 まず、裁判官についてでございますが、判事につきましては二十四名、判事補につきましては五十一名、簡易裁判所判事につきまして三十五名、以上裁判官は百十名でございます。それから行政職の奉給表の第一表を準用いたします職員、これは裁判所調査官、事務官、裁判所書記官、家裁の調査官等を含んでおるわけでございますが、これが合計七百二十九名。それから同じく行政職の俸給表第二表を準用する職員でございますが、これは電話の交換手であるとか、自動車の運転手、機関手、電工その他でございますが、これが四百十三名。それから医療職の俸給表の第二表を準用いたします職員、これは技官、栄養士でございますが、合計八人。それから同じく医療職の俸給表第三表を準用いたします職員、これは保健婦と看護婦でございますが、合計十人。合計千二百七十名でございます。 こういうものを当初要求いたしたわけでございますが、予算の査定の結果増員が認められましたのは、裁判官につきましては三十名、裁判官以外の職員につきましては二百十二名、合計二百四十二名でございまして、当初要求との比率は約二割ということになっております。
○岩間正男君 法務大臣、どうでございますか。裁判の迅速化というような要求、それから裁判はあくまで人権を擁護して正確を期す、正しいということが命だと思うのでありますが、そういう点から言えば、どうしても今の人員不足ではどうにもならぬというところに追い込められていることになる。そうでしょう。これはあとで申し上げますけれども、たくさん起こっている。そういう中で、千二百七十名の要求で二百四十二、裁判官のごときは判事が二十四人出しているのに十人、全く申しわけ的なものですね。これでは問題の解決は何らなされない、こういうふうに思うのです。これは大臣、どうお考えになりますか。
○国務大臣(中垣國男君) 裁判の迅速をはかるためにも、職員の増員を行なうということが私は必要量に達するまで当然のこととして要求されてよいと思うのであります。法務大臣としましては、直接人員要求等の問題につきましては関係をしていないのでありまして、側面からこういう問題についての努力を申し上げるということになるのでありますが、お説のとおり、最低の要員を確保するために努力をどうしても続けなければならない、このように考えております。
○岩間正男君 司法行政の立場から考えると、これは法務大臣が側面から援助されるということだけではこの問題は打開が十分なされないという現状にあると思います。何といいましても、裁判が遅延してしょうがないというのは、人民の頭にきている問題ですね。こういう問題についてもっと司法行政の立場からはっきりこの問題を解決することに努力をされる必要があると思うのです。こういう点で、どうですか、最高裁として政府と折衝をする場合、実情について人民の立場に立って十分に主張されたのかどうか。こういう点、どうも非常に不十分なように思うのですが、現状をもっとつかんでおられますか。現状をつかんで、その上に立ってその要求を実現するという立場に立たないと、単に行政官庁上の事務処理というような立場では、この問題は解決しないというように思う。つまり、司法行政の民主化という点から考えましてもこの問題は重要だと思いますが、どうですか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 裁判所といたしましては、現在訴訟が遅延しておるということは、これは世論として明らかなことでございまして、われわれといたしましては、その実情を十分に説明をいたしてきておるつもりでございます。訴訟遅延問題というようなこととは、大蔵当局も十分これは理解をしておられることだと思いますけれども、ただ、裁判所の職員につきまして増員が相当困難であるという実情は、要するに、これは裁判官が中心になりますけれども、増員をしてもはたして充実ができるか、給源の関係が一番隘路になっておるように私どもは感じておるわけでございます。そういった状況からいきまして臨時司法制度調査会というようなものも発足してきたように思うのでありまして、臨時司法制度調査会もこの点について相当突っ込んだ審議が今までも行われておるわけであります。今後引き続き各地の裁判所に臨時司法制度調査会の委員が出かけていかれまして実情について十分調査をしていただけるものというふうに考えておるわけでございます。私たちといたしましては、裁判所の当面しております困難な状況を折りにふれて各方面に御説明申し上げて御理解をいただくように努力を続けて参っておるつもりでございます。今後ともその点につきましては格段の努力を払っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○稲葉誠一君 ちょっと関連してお尋ねするのは、今の給源の問題で、この予算では司法修習生の増員を七十人しか見ていないのですが、この前お聞きしたときには、百人を突破したとかいって最高裁当局は喜んでおられたのですが、その後また減ってしまったということも聞いたのですが、どうですか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) ただいま稲葉委員のお尋ねの問題は、司法修習生の増員ということだろうと思いますが、ただいまお話に出ました百人というのは、修習を終えて判事補になる人の数が百名ということではないかと思います。
○稲葉誠一君 そうすると、今の司法修習生が三月で終わって、四月から判事になったり検事になったり弁護士になったりするのですが、現在判事を希望している人は何人ぐらいいるのです一か。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) ただいまのところでは、約百名というふうな数が出ておるわけでございます。
○岩間正男君 単に予算だけの問題じゃない。補給源が問題だ。そういう問題では、法曹一元化の問題などが非常に論議されておることも私たちも承知いたしておるのでありますが、こういう問題は、これは最高裁としてどういうふうに打開しようとお考えになっておりますか。非常に議論のあるところかと聞いておりますが、そういう問題について最高裁としての考えはどうなのか、一応承っておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 現在の事件の状況から参りますと、結局訴訟が遅延する原因の最も大きなものは、裁判官の絶対数が不足しているという点にあるというふうに私たちは確信をいたしておるわけでございます。したがいまして、この訴訟遅延を抜本的に改善いたしますためには、裁判官の絶対数をふやさなければならないというふうに考えておるわけでございます。もちろん現在の訴訟手続その他の訴訟の延引について改善を加える点は多々あると思いますけれども、これはまた別個の問題といたしまして十分に研究しなければならぬ問題であると思うのであります。しかし、それにもかかわらず、私たちはやはり裁判官の絶対数をふやす以外にこの当面の事態を切り抜けることはできないというふうに考えておるわけでございます。臨時司法制度調査会においても、そういうふうな考え方を申し述べて参っておるわけでございます。ただ、ここで一番問題になりますのは、それでははたして裁判官の絶対数をふやすについてこれが充実の見通しがどうかという点であると思うのであります。現在のところにおきましては、毎年のことでありますけれども、裁判官の増員をわれわれが要求いたしましても、給源の関係から十分に増員の措置が講ぜられないという状況でございます。こういった点から申しまして、裁判官の将来における任用制度の問題これに伴います給与の問題、こういったことについて抜本的な解決をはからなければこの数をふやしていくということは非常に困難な状況にあると思うのであります。そういった関係から、臨時司法制度調査会でも、この問題について真剣に取り組んで調査が行なわれておるわけでございます。こういった角度から何らかの打開策が出てくるものだというふうにも考えておるわけでございまして、裁判所といたしましては裁判所の、実情を十分に説明いたしまして、臨時司法制度調査会で適正な結論が出るように協力を続けて参りたいというふうに考えておるわけでございます。
○岩間正男君 この問題は、非常に重要性を持っているから、この次に譲りたいと思ます。 次に、裁判官が非常に少ないために、僻地の簡易裁判所を閉鎖して統廃合しよう、こういう動きが最近起こっているようでございますが、これはいかがでございますか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 裁判所の統廃合の関係は、これは法律案の形で出て参っておるわけでございますから、直接最高裁判所が所管するわけではないわけでございます。特に裁判所の統廃合の中で問題になるのは、簡易裁判所になろうかと思うのでございます。簡易裁判所につきましては、全国的に相当分布をいたしておるわけでありますけれども、開設以来の実績を見ますと、事件数は必ずしも多くない。そこに一人の専任の裁判官を置いておくだけの事件がないというような所につきましては、何カ庁かをまとめましていわゆる総合配置というようなことをやっておるわけでございまして、比較的事件の少ないところの簡易裁判所には、もよりの簡易裁判所から裁判官が出向いていって裁判をするというような方法をとっておるわけでございます。ただ、簡易裁判所の統廃合は、単にこれは事務的に事件が多いとか少ないとかいう問題だけではございませんで、地元との関係、その地元の人々の簡易裁判所の利用の点等も十分考えなくてはなりませんので、単に事件数等の事務的見地からだけ統廃合を考えることは必ずしも妥当ではないというふうに考えておるわけでございます。そういった関係で、今直ちに統廃合をするというような線を最高裁判所としては打ち出してはいないわけでございますけれども、この問題につきましても、将来の裁判官の数、裁判官の処遇等の関係からいって、当然問題になってきてしかるべき問題だというふうに考えておるわけでございまして、おそらくは臨時司法制度調査会等においてもこの問題が論議されるのではないかというふうに考えております。
○岩間正男君 統廃合の問題は、今お話のように、地域住民の要求と必ずしも一致しない。もうこれは不便だから反対が非常に起こるだろうから、件数だけでは考えられない。この問題は慎重に考えなくちゃならない問題である。これも、一番大きい問題は、人員不足からこういう動きが起こっている、こう見てようございますね。そういう事態が最近地方には非常に深刻になっておると思うのですね。ここに河北新報がありますが、「深刻な裁判官不足」、こういうので、三月一日付の河北新報によりますと、仙台高裁と管内六県の地裁、家裁の裁判官数は、現在、判事が七十八人で定員よりも九人少ない。それから判事補は四十一名で定員より五名多い。簡裁の判事は五十九名で定員より二名少ない。こういうふうにこれは報じられておるのでありますけれども、この定員を欠く現状というのは、これはどういうことなんですか。全国的な傾向なんですか、東北だけの事態ですか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 裁判官の定員と実員との開き、結局欠員ということになるわけでございますけれども、これは、いろいろな原因がございますが、裁判官の定員の充足が一番行なわれますのは四月でございます。四月は、司法修習生が卒業しまして裁判官に任官する人が出てくる、また、そのころには、判事補十年の任期を終えて判事に任官される人が出てくるということで、ここで裁判官の充員ということが行なわれるわけでございますけれども、その後だんだん定年に達するとか、あるいは途中で任意退官される方とか、その他のことで実際の人員が欠けて参りますと、次の年の四月までは実際上の問題としては充員が行なわれがたい。この充員を行ないますためには、弁護士その他の法曹から裁判官を補充するという以外に道はないわけでございますけれども、これが現在の給与状況その他いろいろの関係からいって弁護士から裁判官を迎えるということが非常に困難なわけでございます。そういった関係で臨時司法制度調査会でその点についての御審議を願っておるわけでありますけれども、現実の問題といたしましては、四月に一たん相当の充員が行なわれましても、次の年の四月までに欠けていった裁判官の補充ということは非常に困難な状況でございます。裁判官の欠員の状況は、これはひとり仙台管内だけではございませんで、全国的にありますけれども、仙台管内等は、全国的に見ましてもかなりその問題が深刻な地方の一つであるということは申せると思うのであります。
○岩間正男君 大体これは四月までに補充される見込みですか、どうですか、今のお見込みは。 〔委員長退席、理事後藤義隆君着席〕
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 今回の増員によります裁判官の定数を含めまして、現在の欠員は四月になれば大体充員ができるというふうに私たちは見通しを立てておるわけでございます。
○岩間正男君 しかし、これは単に判事だけでも九人少ないでしょう。ところが、今度の定員の増が全国的に十人しかいない。そうでしたら、東北だけで九人少ない、仙台管下の六県だけで。そうすると、実際は定員が補充されないでそのまま持ち越される公算が大きいと思いますが、どうですか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) ただいまのところ、三十七年の十二月一日現在の裁判官の欠員が六十九名あるわけでございます。これに今回の法律の改正によって増員がもし認められますと三十名の増員が認められますので、九十九名ということになるわけでありますが、これは、新たに修習生から判事になる方、それから判事補十年を終えて判事になる資格を取得した人、そういった人によって大体百名程度の給源が現在の状況としては見込まれておりますので、九十九名程度の裁判官の欠員は少なくとも四月ころには一応は埋まるであろうというふうにわれわれは考えておるわけであります。
○岩間正男君 その次に、甲号支部では判事、判事補を含めて三人の裁判官が必要だというのですが、きちんと三人そろっているところはほとんどない。これは河北新報などの報道によりますと出ております。現在、こういう定員を満たしていないところはどのくらいありますか、全国的に。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) ただいまのところ、全国的に甲号支部についてどの程度の欠員があるかということは、ちょっと手元に資料がございませんので、これはもし御要望がございますれば、調べてから出さしていただきたいと思います。
○岩間正男君 それじゃ、その資料を出していただきたい。 それから次に、乙号支部の場合、たとえば、遠野、二戸、十和田のように裁判官のいない裁判所もある。こういうところは、これはどういうふうになっておるか。こういう事態に対してどう対処するのか、全国的に。今資料がなければ、これも資料として出していただきたい。裁判官のいない裁判所というのは、これはちょっと何ぼ支部でもおかしい。話にならぬと思うのですが、こういう実態をどうされるか。裁判の空白ですね。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 乙号支部につきましては、いわゆる無配置の裁判所が相当あるわけでございまして、これはいわゆるもよりの裁判所あたりから転補という形で裁判官が外へ出向いて参って裁判をしておるという状況であります。これはいろいろ問題はございましょうが、一つには裁判官の絶対数が足りないから、したがって、そういった比較的事件の少ないところには一人の裁判官を置くほどの余裕がないというようなところから、いわゆる転補制度によってまかなっておるという状況でございますので、この点についてはいろいろ問題がございますので十分検討は続けて参りたいと考えておりますけれども、何せ今までたびたび申し上げましたように裁判官の絶対数の不足というようなところからそういったようなことが行なわれておるわけでございます。
○岩間正男君 これはその地域に密着するということが非常に重要だと思うのです。いわゆる土地の人情、風俗というものを理解する上に立って人民の状態をはっきり把握した上に立ってのやはり裁判ということが実情に合致する。そういう点から考えて、県庁所在地にある地域本庁や近くの支部から裁判官が出張してこれは解決する問題じゃないと思うのですね。ぽこっと三日や一週間出張してそこだけ事務的にやる。まことに木で鼻をくくったような裁判になるのですね。こういう点について、これはこういう弊害については認めておられますか、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 裁判官が裁判をいたすにつきまして、その地に住みつくといいますか、ある程度永住をいたしましてその地の人情その他実情を十分身につけるということの必要なことは、私たちも認めるにやぶさかではないわけでございまして、したがいまして、でき得べくんばそういった比較的小さな裁判所、乙号支部等についても、裁判官を置けばこれにこしたことはないわけでございますけれども、全体的な規模から考えましてそういったことが必ずしも行なわれないようなことから、やむを得ぬ措置としてただいま申し上げたような転補というようなことも行なわれておるわけでございますが、これは将来の裁判官の定数のあり方というようなものとの関連性において十分検討を続けて参りたいと考えるわけでございます。
○岩間正男君 こういう考えを持つ人もある。交通が発達してきたから、裁判所の数が少なくてもそれほど不便ではない、それで機会あるごとに支部の統廃合をやったほうがいいということを言っておる人もあるのですが、これはどうも実情に合わないと思う。現状でふやせないから、そういう考えで何とかそこのところを言葉の上で合理化しようということなんですが、今の御答弁によりましても、望ましい状態ではない。それを逆に交通が発達しておるからということで合理化しようとしておるのですが、これはどうですか、お考えは。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 先ほど簡易裁判所の関係でも申し上げましたが、地裁、家裁の支部のあり方ということについていろいろ問題があるわけでございまして、一部には、ただいま岩間委員から御指摘のございましたような、支部というものが裁判所の制度として置かれた当時から現在の交通状況その他を比べてみて、必ずしも現在の所にすべて支部を置いておく必要はないではないか、交通の発達した以上は、もう少し支部というものの数をしぼってもいいのではないかという議論もあることは、私たちも承知いたしております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、裁判所の統廃合というようなことは、単なるそういった事務的な面からのみ検討すべき問題ではなくして、裁判所というものがその地域々々にどの程度にしみわたっておるか、裁判所と地域社会との関係の密接の度合いその他のそういった点からも十分検討を続けて参らなければならない問題でございますので、いろいろ議論があるというふうには考えておりますけれど、最高裁判所当局といたしましては、簡裁についてはもちろん、支部につきましても、今直ちに統廃合をすべきであるというような線は出ていないわけでございます。なお慎重な検討を続けて参らなければならないというふうに考えております。
○岩間正男君 やはり地域住民のこれは要求があることだし、それからその支部が置かれるには置かれるだけの理由があってされたのだと思う。交通が発達したからといって、これは私たちよく地方に行くと聞くんですけれども、それは中央とかそれから大きな都市にいる人の言い分であって、その地域にいる人は必ずしもそうじゃないわけです。さっきの考えですね、交通機関が発達したのだから統廃合していいのだ、そういうことを主張しているのは、これは仙台の田村高裁長官だ、この新聞によると。簡単に軽々にそういうことを言っているわけですが、最高裁としては、こういう見解もこれはあるようですけれども、やっぱり最高裁の今答弁されたような点を貫いて、単に件数とか、それから地図の上でちょっと見た距離とか、そういうものだけで判断したら、実際は地域住民の要求に合致しないし、それから裁判の民主化という点からいっても非常に欠けると思うので、その点はあくまでやはり堅持していってほしい、こういうふうにわれわれは考えるのです。 次に、裁判官の各庁配置定員表とその欠員の状況表、これはございますか。これは資料でいただいてもいいですが、どうでございますか。これはさっきの資料とも関連するのですけれども。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) ただいまのところ、全国的なそういった統計は手元にございませんので、調査いたしまして、後日適当な機会にお答えいたします。
○岩間正男君 では、次にお聞きしますが、裁判官の大幅増員について、裁判所内に裁判官の稀少価値を云々する者もあるということを聞いているのですが、これはどうなんですか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 裁判所内部といいますか、全体的にいわゆる法曹の社会において、裁判官の質の問題と数の問題というものは非常に複雑にからみ合っておるわけでございまして、裁判官の地位を非常に高いものにして待遇をそれにふさわしいものにするというためには、これは無制限に数が多くなるというようなことはできないのだというような点からいって、一体裁判所のあり方としては裁判官の地位を高くすることに重点があるのか、あるいは裁判官の数を多くすることに重点があるのかという重点の置きどころによって議論がいろいろ分かれてくるわけであると思うのでございます。 〔理事後藤義隆君退席、委員長着席〕 しかしながら、現在の日本の裁判所の実情から申しますと、待遇の改善ということはもちろんこれはわれわれが年来主張し要望して参っておる点でありますけれども、その問題とともに、現在の裁判所の裁判官の数によっては訴訟遅延の解消ということは非常に困難であるというふうなことを申し上げておるわけでございます。したがって、裁判官の数がある程度少なくてこの激増する事件に対処するためには、訴訟手続その他の面からいって根本的な対策を講じなければならないわけでございます。外国等の例におきましても、イギリス等におきましては、いわゆる有資格者の裁判官というものの数は比較的少ないわけでありますけれども、したがって、それに対して稀少価値といいますか、非常に地位が高いということになっておりますけれども、しかし、事件を処理するためには、それ以外の裁判官、たとえばしろうとの裁判官であるとか、そういったほかの手当が講ぜられておるわけでございますので、裁判官の数とそれから裁判官の待遇というような問題をからみ合わして全体的な見地から検討しなければならないわけでございますので、そう一義的に割り切って結論を出すことは非常に困難ではなかろうかというふうに考えております。
○岩間正男君 裁判所にこういう意識が残っていませんか。裁判官の特権意識というか、エリート意識というか、こういうものが非常に充満しているように聞いているのですが、これは単に裁判官だけでなくて、書記官層あるいは調査官層についてもこういうのがある。そうして、これは最高裁事務当局の司法行政特に労務管理それから賃金、こういうものを押えるのに非常に一つの役割を果たしている、こういう実情が私たち現在の裁判所内に、古い時代の残存物とも言えると思いますけれども、こういう気風が相当濃厚にあるやに聞くわけですが、いかがですか。私たち実際行って見て、こういった例は、松川の公判を私たち傍聴に行ったのですけれども、やはりどうもいかめし過ぎるような気がするのですが、法の尊厳ということも大切ですけれども、やはり人民の裁判所だという感じが濃厚ではない。何かそういうのが残っていると思う。それがあすこに働いている職員なんかにいろいろな無形有形の圧力となって現われている、こういう面が残っているように思うのですが、いかでしょう、その点。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 裁判所に特権意識というか、エリート意識というか、これはどういうことかよくわかりませんが、少なくとも日本の現在の新憲法のもとにおいて、司法の地位が非常に高くなった。これは、結局、民主社会というものは法の支配を徹底しなければ成り立たない、法の支配を担当するのは裁判所であるというようなことが言われているのでございまして、裁判所に職を奉じております者は、裁判官以下そういった自分の職責の重大性というものはよく自覚し、また、それを誇りに思っていることは事実でございますが、悪い意味においての特権意識といいますか、エリート意識というものはないのではなかろうか。私も裁判所の内部の職員でございますので、自分のことを言うのはまことに恐縮でございますけれども、私たちはそういうことは万々ないというふうに考えております。
○岩間正男君 ただいまの御答弁ならけっこうですけれども、私たちはまたいろいろ聞いていることもあるのですが、この問題はいずれまた具体的な問題としてお聞きしたいと思っております。とにかく裁判の民主化の問題ともつながるのですが、今のような一つの特権意識のようなものが同時に裁判官の増員をはばんでいる、あるいは真の人材を広く集めるという点をはばんでいる、そういう面からきている隘路も考えられると思うのです。どうしても裁判の当然の正しい運用としては、人権尊重、それから訴訟の迅速な処理、それからあくまでも正しい、この三つの条件が民主裁判には要求される条件だと思います。そういう条件を充足する方向に、現在やはり残存していると思いますそういう空気を一掃していく、こういう面で、これは裁判官の増員とも関係して、この問題を明らかにしなければならないと考えております。これはしかしわれわれの主張でもあり、要望でもあるわけですから、ここで議論を展開することはやめまして、これは後刻にまた譲りたいと思います。 次にお聞きしたいのは、現在裁判官会議はどの程度聞かれているのですか。裁判官会議です。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 私は現在最高裁判所におりますので、最高裁判所に限って申し上げますが、最高裁判所におきましては、裁判官会議は毎週一回行なわれておるわけでございます。
○岩間正男君 これはほかのなにはどうでしょうか。調べておられますか。たとえば、地裁それから高裁、そういうところは。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 下級裁判所の裁判官会議につきましては、これは各庁々々で適宜行なえるわけでございますので、私がもとおりました東京地方裁判所あたりにおきましては、いわゆる定例の裁判官会議というのは年に二回でございますが、それ以外に臨時に開かれるところがあるようでございます。大阪あたりの地方裁判所は、聞くところによりますと、月に一回というようなふうに行なわれておりますので、これは各庁々々の自主性に待って、各庁々々がきめるというようになっておりますので、一がいに何回というふうには申し上げられませんけれども、それぞれの庁において必要に応じて開催しているということだと思います。
○岩間正男君 大体年二回のそういう定例会議、まあそのほかにも開かれているというのでありますが、大体年に二回ぐらい、それが非常に形式化、形骸化されているんじゃないか。形式的に持つということで、実質的に内容を討議する、ことに民主的裁判を確立するというようなそういう立場からの討議は非常に少ないように聞いている。裁判官会議というのは民主的司法行政の中核にならなければならぬと、こういうふうに私は考えているわけでありますけれども、その点いかがでございますか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 最高裁判所の裁判官会議につきましては、これは相当議論も行なわれますし、回数も一週に一回、まあ必要がありますれば週二回ということもございますし、ここでは十分議論が出るわけでございます。最高裁判所に関する限り、形骸化しているという事実は全くございません。それから下級審の裁判官会議におきましては、これは東京あたり等につきましては、人数が非常に多いわけでございますので、裁判官会議ですべての問題を議論するということになれば、これは非常に会議体としては大き過ぎるというようなことでありますから、そういう実情から、東京地方裁判所においては、いわゆる常置委員というものが設けられまして、民刑からある程度の数の裁判官が出まして、これは月に二回ぐらい会議を開いてやっておるわけでございます。その常置委員会の決定したことは、次回の裁判官会議に御報告をして承認を求めるというようなことで、運用をうまくやっております。これはある程度東京地方裁判所のような裁判官の非常に多いようなところは、実際の運用としてそういう方法が考えられてくるわけだと思うのでございます。それから比較的小さな裁判所で裁判官の数が少ないというようなところでは、聞くところによりますと、そこで非常に活発な議論が戦わされるというふうに聞いておるわけでございます。私たちといたしましては、裁判官会議が形式化し、形骸化しているという事実はないというふうに考えております。
○岩間正男君 これは最高裁事務当局に次に伺うんですが、事務当局を前にしてこれはまあきびしい質問になると思うんですが、最高裁の事務当局が、最高裁が掌握している人事監督権、それから予算実施権、その他司法行政権力を持って、個々の良心的な裁判官の独立をおびやかし、事実上事務当局が裁判官会議に優位する立場をとっている、そういう実情が最近徐々に発生している、そういう事態がいろいろ裁判の民主的な運営を阻害している、こういう実態があるやに聞いておりますが、いかがですか、その点。まあむろん聞いても、これはあなたちょっと答弁に苦しいところかもしらぬけれども、どうですか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 岩間委員の御質問の具体的な事例がどういうものか、想像もつかないわけでございますけれども、今御質問のような事務当局が裁判官会議に優越するといいますか、裁判官会議をひっぱっていくというような事実は、私としては絶対にないというふうに申し上げるわけでございます。また、事実そういうことはございません。
○岩間正男君 ないとおっしゃるのですが、たとえば所長や長官による考課調書、これは勤務評定ですかな、こういうものが実施されて、あるいは所長や所の総括者の管理手当の実施、それへの権限集中、そういうように民主的機能を果たすべき裁判官会議は踏みにじられている。こういうものが最近ずっと目立ってきたという実情についてわれわれは耳にしているのですが、そういう場合はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) ただいま仰せられたようなことについて、私自身としてはちょっと思い当たらないのでございますが、私自身としては、人事の関係のことを所管しておりませんので、全くそういう点の知識はございませんのですが、ただ私の知る限りは、そういうことはないというふうに考えております。
○岩間正男君 これはまあそういう御答弁だと思っておりますが、実態についてわれわれ相当耳にしておりますので、そういう事実につきましても、まあこれは時間の関係からあとに譲りたいと思いますけれども、裁判の民主化という方向を最近はどうも元へ戻すようなそういう形の傾向が出てきておる。これは全体の空気でありますが、そういう中でそれが強化されるという形では非常にまずいのではないかと考えております。 その次に、最高裁は、裁判官の不足をどういうふうに補われるか。さっきお話がありましたが、現在の書記官を補助裁判官にするような補助裁判官制度のようなことを考えている。事実そういう裁判官の不足が書記官によって補われるというような形が非常に出てきておる。この現実は無視することができないと思うのでありますが、これはいかですか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 裁判官の数を決定する際に訴訟手続その他の制度機構について考えなければならないということを先ほど答弁いたしたわけでございますが、その中にいわゆる裁判所の裁判所機構の充実というようなことも問題として考えられると思うのでございます。裁判所の現在の制度におきましては、これは昭和三十五年に、裁判所法の改正によりまして、いわゆる裁判所書記官に調査事務を行なわせるという権限を与えたわけでございます。それは、裁判所の事件に関して裁判官の命を受けて裁判官の行なう法令及び判例の調査その他必要な事項の調査を補助するという、いわゆる調査に関する権限というものが書記官の権限として与えられたわけでございます。もちろんいわゆる裁判所の補助機構ということについては、この程度では足りないので、もう少し根本的に考えなければならぬ問題があると思うのであります。たとえばドイツにおきますレヒツフレーガーの問題であるとか、その他いろいろないわゆる裁判官の補助機構、あるいはアメリカ等に置かれておりますいわゆるローヤーが専任の裁判官ではなくてパートタイムとしてある程度の比較的軽微な事件の裁判に当たるというような、本来の裁判官が行なう裁判権というものをある程度重要なものにしぼって、それ以外のものはいわゆる裁判官を補助する裁判官だとかあるいはその他の補助機構によって処理していくということも、将来の裁判所のあり方として十分検討しなければならない問題だというふうに考えておりますけれども、こういった問題につきましては、臨時司法制度調査会でおいおいに検討が進められて参ると思っておるわけでございます。
○岩間正男君 そういうあなたたちの意向をしばしば聞くわけでありますが、これはしかし裁判の特質である裁判の独立性ですね、その問題と補助という問題と、ここのところをやっぱり明確にする必要があるのじゃないか。どうもこの点が最近不明瞭になりつつあるのです。補助裁判官にどんどん代行さしている。こういう事態が起こるというと、どこで裁判の独立を守るかという問題と問題がこんがらかってくるわけなんです。この点、どういうところで一線を引くか。裁判官の権限、独立権というものをどこで守るか。こういう問題と背馳しませんか。どうでしょう。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 裁判の中心をなしますものは、事実を認定して、これに対して法律を適用して一定の結論を見出すという、そういう判断作用にあるというふうに考えるわけでございます。いわゆる裁判官の補助機構というものを狭い意味に用いて考えて参りますと、そういう補助機構がそういった裁判の本質である判断作用の中に補助をするということは考えられないわけでございます。したがって、裁判の本質であります事実の認定、これに法律を適用して判断を下す、その事案面について一定の解決を与えるという裁判の本質に関する限りにおいては、これは補助になじまないものだというふうに考えておるわけであります。それ以外に現在裁判官が取り扱っておる仕事の中で補助機構によってもまかなっていいものがありはしないかというような点から、裁判官の補助機構という問題が出てきておるわけでございます。もちろん、岩間委員のおっしゃったように、裁判の独立を害するような形において補助機構を充実強化するというようなことは、もちろんわれわれとしても考えるべきではないというふうに思っております。
○岩間正男君 しかし、この問題の側面にある問題として、裁判の迅速化、そういう名目でそういうところが裁判官の不足とも関係してだんだん公然化してきておる。そういう形になるというと、非常にこれは問題だと思いますね。最高裁事務当局の出している一般裁判資料十二号「わが国における裁判制度の沿革」の百十九ページを見てみますと、こういうことを書いてあります。「裁判手続においても、真に本来の裁判官が自ら処理しなければならない事項は、口頭弁論または公判手続の主宰と終局的判断等それほど多くはないと思われ、もしそれ以外のいわば付随的事務をあげて補助機関のなすところにゆだねるとすれば、現在よりも少い裁判官をもってもはるかに能率をあげうるであろうし、それは裁判制度全体の運営にも好ましい結果をみちびくものと考えられる。」、こういうことです。ここが非常に私は問題です。「自ら処理しなければならない事項は、口頭弁論または公判手続の主宰と終局的判断等それほど多くはない」と言っているけれども、こういうものは具体的な細密な調査によらなければ、その上に立たなければ、真に正しい判断というものは構成しないわけですね。ところが、そこのところは何か二つ分離されているような考え方がある。これはたいへんですよ。そうすると、仕事はいろいろの線密なそういう下の調査事項というものは書記官のほうにまかしておいて、そうしてそれによる判断だけやるというと、これは、何というか、蓋然的な判断しか出てこないのです。判断というものはやはり具体的な事項の上に深く立脚して初めて公正な判断というものを得ることができる。私はここのところに、今裁判の制度の中にある、そうして人員不足から起こっておる最近の傾向というものを見のがすことができないと思う。この点がはっきりしないというと、裁判の公正の確保、それから裁判官の責任の独立性というものをあいまいにし、そうして、安易に書記官を裁判補助機構の供給源とする、こういうような形で問題が解決されてはならない。ここのところは非常に私は論議のあるところだと思うのでありますけれども、どうでしょうか。ただいまのような見解をあなたたち出しておられるのでありますが、これは軽々しくこういう形で安易にこの問題を解決すべき問題でないと思うのですが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) ただいま最高裁判所から出しておる資料の中の記事を引用されて仰せられたのでございますけれども、私自身の理解する限りにおいては、その記事の言っておるところは、私が先ほど答弁申し上げたところと別に違ったことを言っておるのではないというふうに考えるわけでございます。裁判官の補助機構ということを考えるにつきましても、これは十分裁判の独立、そういったことを考慮に入れながら考えなければならないわけでございまして、裁判の本質的部分について裁判官の自主性を奪うというような形で補助機構を強化することは、これはもちろん裁判の本質に反するものである、そういったことは考えるべきことではないということは私自身も考えておるわけでございますが、先ほどの記事は、必ずしもそういった裁判の独立というようなことを侵す心配のあるような方法でものを考えられたのではないというように私は確信いたしております。
○岩間正男君 しかしそう言われましても、一人の裁判官の取り扱う件数というものは莫大なものになってくる。件数はふえておる、人員はほとんどこれに伴っていないというのが実情のように思うのですが、これはまあ今この数を報告いただければわかるのです。そうすると、勢い、人間ですよ、能力に限界がありますよね。そうすると、結局事務官まかせになってきて、そうしてもちろん総合された結論、あるいは、そういうものを詳細に調べる時間もないということになると、具体性から離れてくる。そうして抽象的な判断に陥ってしまう。そういう危険性というものは、これは考慮されます。考慮されざるを得ない。その点どうです。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) これはまあ結局、議論にわたって恐縮でございますけれども、現在の、現在といいますか、日本の裁判官の実情を——私も裁判官をやっておりましたけれども、むしろ裁判官としては、何でも自分でやらなければ気が済まないというのが裁判官かたぎだと言われておるくらいでございまして、補助機構を考えるにいたしましても、はたして裁判官が十分に使いこなせるであろうかどうかという心配があるくらいでございまして、ただいま御心配になりましたような補助機構を運用することによって、裁判官事務の独立性自主性というものを放棄するような方向ではもちろんそれは考えるべきではないし、また、その心配はないのではないかと私は考えております。
○岩間正男君 そうなればけっこうですけれども、先ほど私が申し上げましたように、能力には限界があるし、その問題が人員、機構、構成の上から充足されるような正常な状態に向かないで、非常に欠員も多い。定員は、あなたたちが当面必要とする概算要求さえ、これはもうはるかに下回っておる。こういう体制の中では、そういう欠陥が起こらざるを得ないです。これは議論してみても仕方のないことかもしれませんけれども、私は、ここのところをやはり明らかにしないというと、どうもだんだん書記官人事のほうに移っていく可能性が今のような形では起こる、こういうふうに思うのです。そういう点から考えますというと、裁判官の人員補充の問題と、それからそれに伴うところの補助機構ですね、それも非常に事件の発生が多くなって受理件数が多くなってくるのですから、これについて十分に整備する。それを十分に裁判官が指導して手足のように使う、こういう協力体制がやられればいいのでありますけれども、今お話のように、使いこなせないというような部分がまだ残っておるやにも思うのであります。もう一つ、さればといって、今の庁舎の人員ですね、これも総体的に非常に少ないというふうに思うのでありますけれども、先ほどの一千何がしの概算要求で二百何人しか得られない。その大部分は、いわば裁判所労働者の人員なんでありますが、これは、昭和二十四年、二十五年、その当時と比較してみますというと、事件数は二倍以上になっておるのに、人員はかえって減っておる、こういう事態が起こっておるのじゃないですか。どうですか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) ただいま仰せられましたような事件の推移は、大体大ざっぱに言ってそのとおりでございますが、人員の関係から見ますと、裁判官以外の裁判所職員の定員は、昭和二十二年当時と昭和三十七年度のいわゆる裁判官以外の一般職員の定員と比べてみますと、一万一千六百九十九名——一万一千七百名程度の人員増加が行なわれておるわけでございまして、事件増と同じパーセンテージで人がふえるということはこれはもちろん考えられないわけでございますので、事件が倍になったから人が倍になるということはないわけでございますが、そういった程度に一般の裁判所職員の定員も二十二年当時に比べれば一万一千七百名程度増加しているという状況になっております。
○岩間正男君 私は二十二年のことをお聞きしたのではなくて、二十四年ですが、これは私たちの資料によりますと、二十四年が、総受理件数が二百五十四万三千八百四十五件、それに対しまして裁判官が二千三百九十五人、その他の職員が二万五百十九人、職員の総計が二万二千九百十四人となっている。三十五年、最近ですが、三十五年は、総受理件数が二倍以上の五百四十五万一千四百三十一件、裁判官が二千四百三十七人、これは非常に微々たるものですね。その他の職員に至っては、二十四年の二万五百十九人から一万九千九百三十四人、こう減っていますから、三十五年の総計は二万二千三百七十一人。二十四年に比べまして、裁判官、職員を含めました職員の総計が、二十四年の二万二千九百十四人から二万二千三百七十一人と減っている。これはどういうことですか。こういうふうになりますと、件数は倍以上にふえている。一〇〇%ふえている。それなのに、人員は逆に減っている。ここは非常にさか立ち的現象だというふうに考えられますけれども、どうでございましょうか、これは。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 昭和二十四年当時を標準にいたして申し上げますと、裁判官では二千百三十九人でございますが、昭和三十五年は二千三百八十七人というふうになっております。一般の職員につきましては、二十四年当時は一万九千三百四十五人でございましたが、三十五年では二万十七人というふうに、必ずしも多くはないんですけれども、漸次増加の傾向にあることは争えない事実だと思います。
○岩間正男君 今の統計は資料として出していただきまして私たちのものと対照してみたいと思いますが、今の御説明でも、件数はとにかく倍以上になっておりますね。ところが人員は、かりになんぼかふえたとしても、ほとんど問題にならない。増減なし、私たちの統計ではそうなっておる。こういうことになりますというと、当然ここに起こってくるのは職員の労働強化という問題です。この問題は問題になりませんか。この問題にやっぱりメスを入れなければ、私は適正な迅速な裁判とか、それからほんとうに正しい裁判とか、人権を尊重した裁判とか、司法行政に要求される三つの条件を満たすことはできない。そういう根底の上に立ってそうして裁判行政が行なわれている、こういうふうに言われても仕方がないのじゃないですか。この点はどうなんですか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 裁判所の事件その他の事務量の増加に応じて適正な人員が確保されるということはもちろん考えなければならないわけでございまして、われわれといたしましても、そういった角度から毎年努力を続けて参っておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、特に裁判官の関係につきましては必ずしも事件数の増加、その内容の複雑化等について追いついていけないというような実情はあるわけでございます。一般職の職員につきましても、したがって、裁判官の定数ということなどが中心になって裁判所の定員が考えられます関係上、特に事件関係の職員については必ずしも事件増等に追いついていけないというような状況がないではないわけでございますけれども、しかし、裁判官以外の職員につきましては比較的その給源というような問題は裁判官に比べてはるかに少ないわけでございますので、毎年われわれも努力を続けて、多少ながらも人員の増加が行なわれて参っておる実情でございます。今後ともこの点については十分努力を傾けて参りたいと思っておりますし、また、臨時司法制度調査会におきましては、裁判所全体の人員規模というようなあり方についても調査が行なわれるというふうに考えられますので、だんだんにそういったことについての事態の改善に向かっていくべきだと思いますし、また、その努力を傾けていきたいというふうに考えております。
○岩間正男君 これは、私があなたたちに援助的な質問をしておるわけですよ。人員をもっとふやして、あなたのさっきの御説明からいっても、裁判官の手足を十分作ってそうしてそういう調査を十分にする、その上に立って裁判の迅速化、あるいは公正、適正化、こういうことをはかる。そういう方針からいえば、その土台を作るということも非常に重要です。だから、調査官を置く、書記官をふやすということもそれは重要だと思う。裁判官の増員に伴ってそういう機構がなければ、これはできないというのがあなたたちの主張だと思うのです。ところが、統計の示すところはどうかというと、件数は二倍以上ですよ、とにかく。二十四年の二百五十万が三十四年は五百四十万にふえておる。そうして、人員においてはこれは全く顕微鏡的な増加だ。私たちのではこれは減っているんです。そういう上に立って事務が行なわれていけば、当然その欠陥がどこに行くかという問題。これは単に内部だけの、あなたたちの機構だけの上に来る、あるいは労働者だけに来るわけじゃない。これはどこに最終的には欠陥が行くかといえば、あくまで主権者人民に行くわけだ。そうでしょう。裁判のもう非常に遅延、それから結局適正な裁判のパーセンテージが悪いわけだ。こういう事態が起こるわけですから、こういう問題についてはまあひとつあなたたちのとっているそれを守るという立場だけじゃなくて、もう少しその問題についてはむしろ私なんかの質問を助け船にして、大いに乗っかってきたほうがいいと思うのですが、どうです。そうしてその問題を解決する。その方向が当然だと思うのですけれども、どうですか。ちょっとなにがないと思うのだな。どうもそこのところは、数字のこんなみみっちい顕微鏡的な数字が少しふえていますったって、事件のほうは倍以上になっておる。そういう中でそこのところを何か擁護して、あくまで欠陥はございませんという形だけで行ったんでは、私はそこにこそ問題があると思うのですよ、そういう考え方は。やっぱりそこのところを大っぴらにこれを世論に訴える。そうして、われわれも世論を代表しているのだから、その世論を聞く。そうでないと、これは審議会が作られましても、ほんとうに民主的な人民の要求に合致する方向に変えていくということは困難なように思うのですが、どうです、この点。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 岩間委員の御質問の趣旨は、私も十分理解しておるわけでございます。私が先ほど申し上げましたのは、現在の程度で決して満足すべき状態にあるということを申し上げておるわけではございませんが、事件の増について必ずしも追いついていけないというようなことも申し上げたわけでございます。現実問題として裁判所の職員の増員というようなことが非常に困難であるという状況を申し上げたわけでございますので、われわれといたしましても適正な定員を確保するように十分努力を続けていく意思を持っておりますし、また、そうならなければならないというふうに考えるのでございますので、何分今後とも国会その他の方面における御援助をお願いいたすわけでございます。現状心ずしも満足すべき状態にあるということを申し上げておるわけではございません。
○岩間正男君 そうしましたら、あなたたちが最も適正なそういう裁判の体制をとるにはどれくらいの人員が必要なのか。これは概算要求なんかも非常に内輪なみみっちいものじゃないかと思うのですが、ことにこういう事態が起こっています。一般職員の中で、東京、大阪などの大都市は年々わずかずつではあるけれどもふえている。ところが、それ以外の地方都市というのは、事件がふえているのに減ってくる。それで、結局はそのしわが裁判所内の労働者に寄せられてくる、こういう事態が起こっているのじゃないかと思うのです。それから特に交通事件関係の調査官、書記官、事務官、これはたいへんなことじゃないか。こういう実情はどうなっているか。それから裁判官の一日二、三百件の事務処理をするという事態というものは、現状ではこれは裁判官でなくて、全く事務処理に終わっている。交通裁判所という名前をつけておりますけれども、名前にふさわしくないのじゃないか。さらに一般職員は殺人的な労働強化を強いられているというのが現状ではないかというふうに思いますが、この間の実情はどうでございますか。私はお願いしたいのは、一般職員の各庁配置定員表、こういうのがあると思いますが、こういうものについて一応説明していただきたいのですが、まあ時間の関係もありますから、ここにお持ちでなければ、こういうものも出していただいて、私たちにもそういうものを検討する、そういう機会を与えてほしい、こう思うのですが、以上のことについて。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 裁判所の職員の定員配置につきましては、予算上認められている定員をいかに適正に全国的に配置するかということが中心になるわけでございまして、従来最高裁判所で配置基準といたして参りましたのは、過去二年間の事件数を中心にいたしまして、これに対して東京、大阪その他の大都会については事件の複雑性、困難性というようなことを勘案いたしますし、また、地域の非常に大きな裁判所で必ずしも各庁に全部に定員の配置ができない、特に支部等についてできない、そのために転補にいかなければならない、そういった転補に行った者の往復の時間のロス、そういったいろいろなものを勘案いたしまして、中心は過去二年間の事件ということを中心にいたしまして定員配置をいたしているわけでございます。そういった関係で、各庁々々の定員が出て参るわけでございますが、事件の比率による関係においては、一応適正な配置ができておるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。ただ、この際に考えなければならないことは、比較的小さな裁判所でも、できる限り裁判官その他の職員を配置しなければならない。たとえば、一人分の事件がないにしても、〇・八人分の事件があるというふうな場合には、そこに一人の裁判官を置く、それに伴って職員を置くというような関係がございますので、そういった〇・二というようなロスというようなものがたまりたまってきますと、全国的には相当な数になるというようなこともありますので、必ずしも事件について適当かどうかということは、これは全体の定員の数が足りないということでございますので、配置定員のみではまかない切れないわけでございます。要するに、事件の数、量に適応した全体的な裁判所職員の定員が確保できるということが問題になるわけでございます。 それから交通事件の関係でございますが、御承知のとおり、交通事件の関係におきましては、最近非常な増加の傾向が見られるわけでございます。特に本年の一月から十の都市におきましていわゆる交通切符制というものがとられることになりました関係上、裁判所といたしましてもその関係の定員の増加を要求しているわけでございまして、簡易裁判所につきましては、簡易裁判所の判事十人、裁判所書記官十五人、事務官二十人、以上四十五名でございます。 それからただいまのところは少年関係につきましては道路交通関係の切符制は行なわれておりませんけれども、これも四月ごろから全国の十の都市の地域において少年についても切符制をとるというような関係もございますので、この関係におきましても、判事五名、書記官十五名、調査官六十五名、事務官二十名、以上合計百五名という定員増加を要求いたしておるわけでございますが、こういった地域につきましてはこれらの増員を適正に配置するということによってある程度の事件負担の増加に対処していけるというように考えておるわけでございます。
○岩間正男君 これは交通関係ですね、これはたいへんなことだと思うのです。ともかく自動車の激増——激増というよりも、洪水的な現象ですね。こういうものから起こっておる事故のたとえば検証、これを処理していく。一人で二百件三百件、こういうことになりますと、裁判の名に値しない。全く事務処理、そうやらなければとても追いつかないという状況で、こういうものについてもっとメスを入れないと、現在の情勢に合わない。現実に合わない。こういう事態が起こっておると思うので、こういう事態については、委員長、法務委員会としても現地調査をやって、むしろこれに適正な方法を講ずる。そのために当委員会も努力すべきじゃないかというふうに思うわけです。 最後に申し上げたいのは、裁判所の予算要求の問題ですが、どうも私たち見ておりますというと、まことにつつましい。遠慮がちです。そうしていつでも大蔵省に削られる。今度なんかも二〇%の予算。二〇%削られるというのは聞いておりますけれども、二〇%しか通らないで八〇%削られた。こういうところは非常にこれは大きな問題がある。この原因についてお考えになっておりますか。司法、行政、立法の三権分立、この点での確固たる原則があるんですから、だから、予算要求もしたがって法務省を通じてやる、こういうことだけではだめなんじゃないか。ここに一番大きな原因がある。私は、法務大臣に先ほど出席を願いましたのは、実は法務大臣は側面からいたしております、こういうことで、なるほど要求する主体は最高裁ということになっておる。しかし、実際は法務省がそういう問題を取り扱う。それが十分に現実を反映していないところにずいぶんズレが出てきておるんじゃないか、こういうふうに考えます。したがって、三権の分立という点から考えて、最後に、この最高裁の決意のほどと、それからこれに対する法務省の側の意向を法務次官からお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(津田実君) ただいまの御質問でございますが、法務省は制度の上におきまして最高裁の予算には全然タッチできないわけでございます。したがいまして、最高裁は直接大蔵省に概算要求をするということになっております。また、最高裁におきましては、予算についてはいわゆる第二次予算の提出権というようなものもあるわけでございます。そういうものにおきまして予算に関します限りは法務省は全然タッチいたしておりません。ただ、予算によって認められました職員につきましての定員法の改正案、これは政府提出でございますので、政府提出をいたしました場合は、司法制度に関する法律案として法務省がいたす。そのほかの司法行政、ことに予算概算要求という点については、全く法務省としてはタッチしないわけであります。また、タッチしない建前になっておりますので、その意味におきましてはむろん裁判所自体の予算要求の内情については全然了知しないわけでございます。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 裁判所関係の予算の要求につきましては、今津田部長から答弁されましたような建前になっておるわけでございますので、究極は最高裁判所の責任において予算要求をしなければならないということでございます。 最高裁の予算が比較的少ないということはいろいろ聞くわけでございますが、われわれとしてはできる限りの努力をいたしておるわけでございますけれども、必ずしも満足をいくような結果を得ていないということもまた認めなければならないと思いますが、今後ともこの点については十分な努力を続けて、裁判の迅速な処理、裁判事務の適正、迅速な処理という点に欠けるところのないような予算の要求を続けて参りたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○岩間正男君 法務省はそういう予算の請求権、そういうのがない、そこにタッチしない建前になっているというようなことでありますけれども、そういう問題については、しかし司法行政の立場から検討は加えているわけですか。どうなんです。これについては全然もうノー・タッチですか。
○政府委員(津田実君) 概算要求に対しましては裁判所自体に自主権があるわけでございますので、その内容についてとやかく法務省が法務行政といたしまして関与するということはこれはできない。ただし、一般司法制度のあり方、ことに司法制度そのものについては、法律によって定められる制度でございますので、その司法制度のあり方がいかにあるべきかということは、政府部内において取り扱う場合におきましては、法務省が担当でございます。したがいまして、裁判所の行政のあり方、裁判所自体の一般司法制度の運営のあり方というものについては常に重大関心を持っておりますし、また、常に調査をいたしておるわけでございますので、そういう意味におきましてはもちろんノー・タッチではございません。むしろ積極的に調査をいたしておるわけでありますが、具体的に概算要求をするということになりましては、当然裁判所に自主権がある、こういう考え方でおるわけであります。
○後藤義隆君 ちょっと総務局長にお聞きしますが、裁判所書記官補及び家庭裁判所調査官補は、その数は現在どれくらいですか。何人ぐらいありますか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 定員でございますか。
○後藤義隆君 実員が。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 三十七年十二月一日現在でございますが、書記官につきましては四千三百五十、それから書記官補は一千四百七十九、それから家庭裁判所調査官が九百九十三、調査官補が二百三十二、以上のような数字になっております。
○後藤義隆君 その書記官補並びに調査官補、その官補を書記官または調査官に昇格させるというか、繰り入れるということは、ちょっと困難ですか。今後はずっと官補の制度を今から長く残しておくつもりですか、どうなんですか。
○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 特に書記官補についてでございますが、これは、発足当時書記官というものが非常に地位の高いものに置かれた関係上、その当時の状況から見まして、直ちに書記官に昇進させることができないで書記官補のままで置いたという人がかなりあったわけでございます。したがいまして、その当時の定員法の関係でも、書記官の定数を書記官補で食ってもかまわないというような法律があったわけでございます。その後書記官補の研修その他の関係で書記官としての資格を持つ人がだんだん出てきたわけでございます。ところが、必ずしも書記官の数がそれらの人を全部収容するだけの定員が確保できませんでしたので、いわゆる代行書記官、書記官補のままで書記官の仕事を代行するという制度がとられてきたわけでございますけれども、だんだんに書記官補というものの資質が向上し、現に行なっておる仕事が書記官の仕事と同一の仕事をやっておるというようなことから、昨年度に行なわれましたが、書記官補から書記官への定員の組みかえということが行なわれたわけでございます。これは調査官、調査官補の関係でも同様でございまして、昨年度は、書記官補、調査官補を含めましてたしか千人の定員の組みかえが行なわれたわけでございます。今回の予算におきましても、両者を含めまして一千百名の組みかえが行なわれたわけでございます。実は、私どもといたしましては、そういう官補の制度はもうできるだけ早い機会になくしたいというふうに考えておるわけでございますが、昨年千名、今年千百名の定員の組みかえが行なわれましても、なお若干の官補というものが残るわけでございます。われわれの希望といたしましては、少なくとも来年度の予算においては全部組みかえを終わりたいというふうに考えておるわけでございます。
○委員長(鳥畠徳次郎君) 他に御発言もなければ、この程度にとどめます。 —————————————
○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。岩間君から発言を求められております。岩間君。
○岩間正男君 この前、私は、間近に控えた地方選挙、これを目前にしまして地方の中間選挙が行なわれておりますが、そういう中で、青森県尾上町の町長選挙にからむ買収、供応、そのような選挙違反事項で四百人余りも逮捕、検束された、こういう問題について質問をしたわけでありますが、そのとき自治省側から御出席がなかったわけであります。これについて情報を手にしておられるだろうと思うのでありますが、その後の推移はどうなっておるか。私はその後また弘前地方に参りまして実情をいろいろ聞いておるのでありますけれども、これについて自治省側のつかんでおられる情報、事件の推移、これに対する自治省の態度、こういうことをお聞きしたいと思います。
○政府委員(松村清之君) 先般この問題につきまして御論議がありましたので、まあ重複もし、また、私どもの役所といたしましては違反後の問題というものには接触しておりませんので、その前の問題が主になると思いますが、ここ二、三年全国の都道府県市町村において民間の公明選挙運動の組織といたしまして公明選挙推進協議会というものが結成されて、これが公明選挙運動の民間運動として推進を全国的にやっておるわけですが、この町も、公明選挙推進協議会が中心となりまして、昨年の十二月十一日に町民の総決起大会を開催いたしまして、この町民総決起大会が十二月の十八日に議会に対しまして公明選挙町宣言をするように要望いたしました。その結果として、十二月の二十五日に町の議会において公明選挙の町の宣言をいたしたというように聞いております。そうして、この町では町長選挙が行なわれたのでございますが、一月の十六日に告示が行なわれ、一月の二十三日に選挙が行なわれたのでございますが、この選挙では、前の町長と前の議長とそれからそのほかにもう一人三人立って争いましたが、結局、前町長、前議長の争いが伯仲いたしまして、町全体がいろいろ二派の運動の中に巻き込まれたように聞いております。その結果、前の町長が再選をいたしたわけでございますが、この選挙は記号式投票という投票方式で青森県としては最初の投票をやったと聞いております。 その後違反が出たのでございますが、これは取り締まり当局の問題と思いますが、私どもの聞いておるところでは、検挙件数が三百十九件、検挙人数が四百三十六人、こういうふうに聞いております。 それで、この問題についての自治省としての所感というようなお話でございましたが、公明選挙に対しまする機運、特に地方選挙を控えての機運は、昨年以来非常に全国的に高まってきております。その一環といたしまして、この町でも行なわれましたような公明選挙都市宣言、公明選挙県宣言、町宣言、村宣言というような公明選挙の宣言が今までに高知県、岐阜県の二県を含めまして六十四の地方団体がこの宣言を行なっております。公明選挙宣言をいたしましたこういった町が、せっかくこういう宣言をしながら、今申しましたようにたくさんの選挙違反が出たということは、非常に遺憾な残念なことでございまして、まあこういう問題はそのほかにも一、二例がないわけでもないようでございますが、これは結局公明選挙の宣言をしながらこういう違反が起きたということは、一方において住民の側には非常に公明選挙への盛り上がりがあるけれども、当事者にはそれほどない、住民の側から押されて議会で議決した、そういうようなことと、それから、やはり選挙、特に候補者同士の争いが激烈となります選挙というものにおきましては、結局、日本の現状では、公明選挙というものを忘れて、何が何でも選挙に勝たなければならぬと、こういう気風というものがまだ日本の選挙には残っておる、こういうふうに考えるわけでございます。私は、公明選挙宣言をしながらこういう違反状況が起きたということを残念に思いますけれども、しかし、公明選挙宣言をすること自体は非常にけっこうなことであり、また、それをしただけは、その関係地方団体における選挙公明化の機運というものは少しでもある、こういうように考えております。
○岩間正男君 公明選挙という名前で全国で第二回の都市宣言をしたそうでありますけれども、結果は、御承知のように、全国でも有数な選挙違反を出してしまった、こういうことですが、その結果についてあなたたち何か検討されましたか。なぜ一体公明選挙の名を使いながらこういうようなまるで相反するような事態ができたか、その原因について十分にやはり検討するのでなければ、これは自治省の態度としてはどうもはっきりしないと思う。どういうふうにあなたはつかんでおられますか。
○政府委員(松村清之君) 公明選挙宣言をしながら違反が出ておるというその地方団体といたしましては、この当町と、あと松山市が今回の知事選挙に関連して相当違反が出ておるということを聞いておるのでございます。したがって、私ども、この原因がどういうところにあるかということを十分考慮中でございますが、今のところは、先ほど申し上げましたように、公明選挙宣言へのそのきっかけというものが住民の側には非常にあった。住民の側といっても、これはおそらく目ざめた一部分の人たちであろうと思いますが、住民の側にはあった。しかし、肝心の候補者の側といいますか、そういう議決をする当事者の側について、そういう気持というものは少かったのではなかろうか。もう一つは、選挙が非常に激烈で、ここもそうです。愛媛の知事選挙も激烈であったわけでございますが、激烈なために公明選挙というものが頭の外へ出ていって、何が何でも、ひとつ勝ちたい、こういう気持のほうが非常に強く現われた結果このような違反が大量に起きたのだろう、こういうふうに考えております。
○岩間正男君 これは、あなたは選挙局長なんですから、もう少しこの事態を分析して解剖しなければ、現状をつかむという努力をしなければいかぬと思うのです。今のような説明じゃ、だれも国会の答弁としちゃ納得しませんよ。選挙が激烈だからそういうことが起こったのだ、町民のほうは熱意があったけれども当事者のほうは熱意がなかったのだ、そういうことだけでは上っつらなんですよ。だれでも言える。私行って見て驚いたのは、公明選挙の役員とか先に立つ推進になる人が、町会議員とか顔役とかそういう人がなったわけですね。ところが、その人たちは、公明選挙の名前で実は各戸を訪問したり、あるいは座談会を持ち、あるいは懇談会の名によってそこで買収、供応をやっているのだね。公明選挙はまさに買収の場に化している。手段として使われている。公明選挙などと言っても、実は現状は、その運用は、一応町を候補者が通ったり何か表立ったことはしていますが、その運動員、それを推薦するその人がその名を借りて、その上に乗っかって、そうして買収、供応をやっているというのが現状なんですよ。こういう事実はつかまえましたか。検束、逮捕者の中にそういう公明選挙の役員がたくさんいる。そういう公明選挙なんていうものはないほうがいい。あってかえってそういう場を提供しているということになれば。そういうことがなければそういうことが行なわれないはずなんですよ。この点はあなたたちつかんでおられますか、どうですか。今のような説明では全く事件の核心をそらしていると思うのですが、どうですか。
○政府委員(松村清之君) この事件は現在調査中でございますので、まだ詳細には承知いたしておりませんが、今お話のありましたようなことがあったと、こういうことは耳にいたしております。
○岩間正男君 そうしますと、この公明選挙を推進するということは、あなたたちが一方でやっておられる。それで、昨年ですか、たしか六億円の予算が出されたと思う。ずいぶん問題になったと思うのです、参議院選挙前に。こういうものは要らんじゃないか、逆にそういうような事前運動の場、あるいはボスが利用する場、不正腐敗の行なわれるいわば温床になる、そういう問題が起こったわけなんです。これについて最も典型的ですよ、都市宣言をしておいて最も反対の効果をあげたということになれば。こういうような腐敗の選挙、そういうものを育成する機関になり下がっているという実態について、あなたはどう考えるか。どうです、これは。
○政府委員(松村清之君) その間の事情は、ただいまのところ、先ほど申し上げましたように、十分承知しておりませんが、公明選挙町宣言を推進していった方々は、これは少なくとも私は公明選挙という意識を強く持っておったと推測いたします。ただ、残念なことでございますけれども、その公明選挙町宣言あるいは公明選挙運動というものが今お話しのような一部の人たちの腐敗選挙の場に利用されたということは、これは私正確には承知いたしませんけれども、そういうふうなことがあったと聞いておるのでございますが、その点につきましては、今後十分こういった運動を進める上において検討を加えなければならない問題である、こういうふうに考えます。
○岩間正男君 これはちょっとした検討じゃだめなんで、根本的に再検討する、そういう覚悟はありますか。
○政府委員(松村清之君) もちろん、私どもも、公明選挙宣言を行なった地方団体において違反事件が起こるということは、違反事件も特にこういった大規模な違反事件が起きますということは、きわめて遺憾に考えておりますので、こういうことが将来ございませんようにこの事件については詳細に事情を調べて、そして今後の運動の進め方の上について反省をしていきたい、こういうふうに考えております。
○岩間正男君 この町で混迷選挙とか巧妙選挙とかそういう言葉が至るところで言われておるのを知っていますか。
○政府委員(松村清之君) それは、私直接は聞いておりませんが、新聞等でそのようなことがあるということは見たことがございます。
○岩間正男君 この町の町民が、このような事態に対して一体どういう考えを持っておるか、感想を持っておるか、あるいは、当選した葛西何がしという町長に対してどういう言葉をはいておるか、これは御存じですか。
○政府委員(松村清之君) その点につきましても、新聞で若干知っておる程度でございまして、今のところ、正確には承知いたしておりません。
○岩間正男君 新聞で若干知られたにしても、こういうことを知っておるでしょう。「大量の違反者が出たのに、候補者などは手が回らない。四年後には、過去を遠くへ押しやって、きれいな公約を並べる。この繰り返しが続く限り、政治自体がよくならないと思う。私たちは無理やりに前科者の印を押されたようなものです。両候補に責任はないものだろうか。」、そういう言葉とか、「尾上町を天下の恥さらしにしたのは葛西、山口両候補の責任だ。四百余人の町民を巻き添えにして本人たちが安泰なのはどうしたわけだ。」、こういうことを言っている。これはあなた御存じですか。
○政府委員(松村清之君) そういう言葉は存じておりません。私は、この三月九日の朝日新聞の朝刊に相当詳しく今度の事件が出ておりますので、それを主として見ておるわけでございます。
○岩間正男君 あなたたちは地方にいろいろ出張所なり支部を持っておるわけでしょう。たとえば、向こうの新聞がどういう世論を伝えておるか、調査される必要がありますよ。現地に人を派遣されましたか、どうですか。
○政府委員(松村清之君) 現地に人は派遣いたしておりません。ただ、青森県の選挙管理委員会から若干公式な報告を受けておる程度でございますが、これを機会にもっと現地の実情を把握するように努めたいと考えております。
○岩間正男君 これは、今あなたの御答弁を聞いても、非常に現地の実情にうといわけですが、現地に調査官を派遣する必要はありませんか。公明選挙公明選挙とあなたたちは言っておるのだが、公明選挙の足もとで、その基盤の中で、まるで相反する事態が起こっておる。これは重大な問題です。この問題をこのままにしておって公明選挙だと言ったって、だれも本気にしない。選挙の公明な運営、公正な運営の面からどうしたってあなたたちが、今選挙は真近ですよ、その前にこういう事態を明らかにして臨まなかったら、実際何というか、まるでくさいものにふたをしてその暗黒の上に立って公明選挙を叫んでおる姿というのは、日本の皮肉な現象です。こういうことは許されませんよ。こういう現象について即刻調べられるのがあたりまえだと思うが、どうです。それについてのはっきりした見解を自治省としては出してこの事態に対する態度を明確にすべきだと思いますが、どうです。
○政府委員(松村清之君) 市町村の選挙につきましては、都道府県の選挙管理委員会がこれを指導する建前になっております。したがいまして、まず私は青森県の選挙管理委員会でいろいろ調査をしてもらって、そうしてその結果によってこちらから特に職員を派遣する必要があると考えますならば、そういう措置をとりたい、こういうふうに考えております。
○岩間正男君 そういう言い方を繰り返すようでは、これは全く通り一ぺんなあいさつですよ。この問題は典型的に起こっているわけです。さっきから話しておりますように、とにかくいろいろ全国で起こっています。たとえば、ここに今二、三日前の朝日を見ますというと、山形県で同じように二百余人の選挙違反があってあげられた。毎日のように地方選挙を前にしてこれは報ぜられているわけです。こういう実態に目をつぶってどんなに選挙の公正を説いたとしても、から念仏だと思うのですよ。こういう問題にほんとうにあなたたち対決するという考えがあるのか。青森県の選管というのは当面の責任者かもしれない。しかし、法令を作り、それを執行している政府の責任者というのは、当然これはあなたたちなんですからね。そういう面から、そんなあなた官僚的な答弁でこういう事態というものは明確に処理できる問題ではありません。それで、こういうものをなくすという方向を一体とっているのかいないのか。今のよううな答弁で、そうしてこのままずるずる二十三日には知事選の告示に入るわけでしょう。それからずっと統一地方選挙が広範に行なわれ、全国の大半がそれに入っていく。そういう中で、こんな腐敗の要素というものの上に立って公明選挙を何度説いたって話にならぬというのが私の結論ですよ。そうしたら、即刻これに対して自治省としてはとにかく政府を代表してこれに対決するというのがあたりまえだと思う。こういうことをやらなければ、われわれは信用できないのです。公明選挙というのはまさに事前運動それから供応買収、腐敗のそういう手段として考えられているという現状を私は指摘しているのです。それに対してあなたは何ら答える言葉がないということになると思うのですが、どうですか。
○政府委員(松村清之君) 全国各地で選挙が行なわれるつどいろいろ違反事件が起きていることは、きわめて当事者とし遺憾に思っているのでございますが、ただ、市町村の選挙となりますと、当面の市町村の選挙管理委員会がむろん責任者でございますが、これを指導するのが都道府県の選挙管理委員会でございますから、ひとまず青森県の選挙管理委員会あるいはほかの選挙管理委員会を通していろいろ実情を調べた上、特に中央から人を派遣して調査する必要があると考えますならば、そのようにいたしたい、こういうふうに考えているのでございます。
○岩間正男君 きょうは何日だと思いますか。三月十四日です。選挙が行なわれたのは一月の二十三日ですよ。何日あります、その間に。今のような御答弁をして、そうしてもう告示にあと十日足らず、こういう事態。そうして、日本のいわば地方自治体の大勢を決するような地方選挙が行なわれようとしている。そういうような御答弁で間に合うと思いますか。そういう御答弁をやっておれば、あなたたちはやはりくさいものにふたをしてあくまでもこの選挙の遂行をするのだと言われても仕方がないと思います。これは局長では答えられないかもしれない。しかし、ここには自治大臣は来ておられないわけですね。自治大臣の出席を求めて私はしかるべきだと思うわけですが、とりあえず、どうですか、あなたから自治大臣に報告をして、そういう強い要求がある、それに対して適切な措置をする。少なくとも自治省がこれについての態度を明らかにして選挙に臨むというのでなければ、私は信用できない。どうです、あなたはそうされますか。さもなければ、これは自治大臣にやはり出てもらわなければいけない。
○政府委員(松村清之君) ただいまのお話につきましては、大臣のほうにも申し上げ、その打ち合わせの結果職員を現地に派遣する必要が認められますならば、そのようにさっそくいたしたいと思っております。
○岩間正男君 これは一つの最も著しい最も極端な例ですから、この事態に対処するということは、全体に対して私は影響を持つと思うのです。そういう点から、あなたたちの指導性があるのかないのか、この問題に対して取っ組んでいるのかどうか、サボる気なのか、くさいものにふたをする気なのか、あるいはあくまで公明選挙を遂行するためにはそういうガンを取り除こうとして考えているのか、この三つがあなたたちに問われているのですよ。いいですか。これはほんとうにそういう問題についてはっきり今メスを入れなければ、日本の民主主義とか議会主義とかこんなことを言ったって、たいへんな危機の上にさらされている。こういう温床の上に立ったところの政治勢力というものは一体何ものか。これで祖国の正義だとか愛国心などと言ったって問題にならぬ。そういう立場から私はあなたに質問しているわけです。だから、政府委員としてその点を明確にしてお答えいただきたい。お答えできなければ、今の問題を早急に自治大臣を通じて、その結果を聞きたいですね。そこを聞きたいと思うのですが、どうですか。
○政府委員(松村清之君) ただいま申しましたように、大臣にさっそく申し上げ、必要と考えますならば、直ちに職員を現地に派遣して調査をいたしまして、そうして、もちろんその調査を待つまでもなく、都道府県の選管からのいろいろな報告につきましても、こういうことは望ましいことでないことはむろんでございますので、こういうことがないように関係の地方へは十分連絡して申し上げますが、この選挙につきましては、ひとつ実情を十分徹底的に調査して、一つの最も悪いケースとして今後の反省の材料にやっていきたいと考えます。
○岩間正男君 私は、一尾上町の選挙だというふうに考えていないのです。日本の選挙の封建的残存性が非常にある農村部落、そういうところには、これはほんとうに大なり小なりこういうことが伏在している。そういうものに私たち全国を歩いている間にぶつかる。その上に立った政治勢力というものはたいへんなことだというふうに考えている。だから、そのことを要求しているのです。今答弁がありましたが、即刻それに対してあなたの措置を要求したい。 次に伺いたいのですが、このようにして選ばれた町長というのは、どうですか、今後地方自治体の長の任にたえると思いますか。先ほどのようなことでだれも信用していない。格好はそうして法律の上ではでき上がった。しかし、政治道義からいってたいへんな迷惑をこうむっている。われわれの町長が買収をやったために、われわれはひどい目にあった、何日も仕事をやめてそうして警察なり検察庁に行かなければならないというような事態が起こって、とにかく非常に不名誉だというふうに考えているわけです。そういう問題について、この前も私は法務大臣に意見をただしたのですけれども、あなたはどう思いますか。こういうことで執行できますか。今後地方住民の信用を得てそうして地方自治体の長として任務を遂行できると思いますか、どうですか。
○政府委員(松村清之君) もちろん、こういうような事情のもとに出て参りました町長のもとにおきましては、当分——少なくとも当分の間は円滑なる町政の運営というものは困難でないかと、こういうふうに考えます。
○岩間正男君 当分の間といったって、四年後にも同じことをやるのだろうというような意見まで述べている。全く信用をなくしているのです。ここ当分の間ということは、あなたの意見として望ましくないということが表明された。 ところが、私最近向こうに行って実に驚くべき文書を手に入れてきた。町長の礼状が出されている。これは選挙法違反であるということは明らかです、礼状を出せば。その中で——これは読んでみましょうか。非常に参考になるでしょう。参考になるどころじゃない、驚くべきものだ。「謹啓 厳寒猛吹雪の候益々御多祥の段お慶び申上げますさて此度の町長選挙に際しましてはお蔭をもちまして再選の栄に浴し引続き町政を担当出来得ます事は真に男の花道を渉った感激で一杯でございます今静かに投票の結果を反省し虚心坦懐更に新しく生れ出た気持で尾上町発展の為に全力を尽す所存でございます就きましては今後共一層の御指導御鞭撻は勿論の事絶大なる御支援賜ります様切にお願い申上げ就任の御挨拶と致します敬具」、こういうものが出されている。どうですか。この「男の花道」とは何だ。「真に男の花道を渉った感激で一杯でございます」、これはやくざの言い分だ、「男の花道」とは。どうですか。ここにも警察庁の人が見えておりますけれども、こういう礼状を麗々しく出されている。この事件で四百何人もあげられて、町民が全く困っている。そこで「男の花道」だ。たいへんな「男の花道」です。これはどうですか。こういう事態について警察庁は聞いておりませんか。どうですか。
○説明員(槇野勇君) 今度の選挙のことで現地に問い合わせましたところ、そういう件もあるという報告を徴しております。
○岩間正男君 これはどういうふうにお考えになりますか。
○説明員(槇野勇君) その内容が、われわれとして問擬いたしますならば、選挙期日後の当落に関する挨拶として選挙人に対して出したものが、はたして自筆による信書か、あるいは信書に該当しないものかどうか、こういう問題になろうかと思います。
○岩間正男君 法務省の刑事課長が見えているようですが、これはどういう見解ですか。
○説明員(羽山忠弘君) ただいま警察庁からお答えがございましたように、違反文書になるかどうかにつきましては、しばらく検討さしていただきたいと思います。なお、検察庁におきましても、そのような文書が配られたということにつきまして内偵をいたしておる次第でございます。
○岩間正男君 形式の問題は文書違反ということなんですが、これは選挙局長にお聞きしたいんですが、どうですか。政治道義の問題を私は問題にしている。これは形式上の違反になるでしょう、お礼を出しているんですからね。「男の花道」だ、これについてどうですか。
○政府委員(松村清之君) その文書が選挙法違反になるかどうかということは、これは取り締まり当局のお答えのとおりに、別個に検討いたすべき問題だと思いますが、今聞いておりますると、その文書の内容としては町長として適当でないような言葉がある、こういうふうに考えます。
○岩間正男君 これは天下の珍品だ。「男の花道」とは初めて聞いた。やくざの仁義だ。これは篠田さんに来てもらったほうがよかった。「男の花道」とは、聞いてもわからない。
○委員長(鳥畠徳次郎君) なるべく簡潔に願います。
○岩間正男君 時間もありませんが、こういう中でその後しかも続いているわけですね、事前運動が。この前青森県の県警本部長に会いましたが、黒石市における事前運動のはなはだしい目に余る事態があるので、告発をしたはずです。これは警察庁は御存じですか。
○説明員(槇野勇君) 現在、私もまだ報告を受けておりません。
○岩間正男君 これは急速にやっぱり——こういう事件の隣の市ですからね。そうしてもうごうごうとして、尾上町の選挙のあったあとになおかつ何らの反省なしに行なわれているんですね。これはひどいですよ。たとえば、市内の映画館の招待券数千枚に自己の写真を印刷して多数無償配布して利益供与をなした事実。そして黒石警察署の警告を受けたことはまことなるも、単なる警告にやむべきでない、重大な選挙違反である。こういう問題であるとか、お宮だとか何とかにたくさん寄付をしている問題、それから陸奥新聞に五段抜きの大広告をして、これも七千部を買い入れて全市民に無償配布をした事件とか、ここに告発があるわけであります。こういう問題が同じ隣の警察の管区の中で、尾上の問題が起こって実にあの地方でセンセーションを起こしているやさきに再びこういう事態が行なわれているという事態について、これはどうなんです。警察の取り締まりはどうなんです。全く無視されているのじゃないか。大体、「男の花道」というのは、この前も本部長に会ったとき私は言ったんだけれども、あんたたちなめられているんじゃないか。あれだけの四百何名を検束、逮捕してそうして大きな問題になって取り締まるという態勢を示しているそういうやさきのときに、男の花道でそういう道を歩かしてもらったというこういうものを平気で出されている、そのこと自体がもう警察の権威というのは地に落ちている。そういうふうに見えるというと取り締まりについては非常に遺憾な点があると言わざるを得ない。本部長に会ったときも、どうもこの態度は、これは地方の習慣もございまして、それから私たちも一生懸命やっているつもりでございますけれども、なかなかうまくいかないなどということで、ほんとうにこういうような不正な買収、供応、こういうものを断固として取り締まるという気慨が見えなかった。これはどうです。これは警察庁の態度としては私は重大なやっぱり問題だと思う。こういうなれ合いが実際はこういうことを許している。だから、告発しても、この問題についてほんとうに干渉しているのか。そうでなければ、こういうことを絶滅することなしに選挙に臨んだって、何の公明選挙ですよ。これは住民を愚弄したことだと言われても仕方がない。どういうふうに考えます。
○説明員(槇野勇君) 選挙に限らず、すべての事案につきまして、とりわけ選挙につきましては、厳正公平な取り締まりをすべく各県とも努力しておりますが、特に行なわれました犯罪につきましては、公平にこれが資料を得るべく各県とも努力しておるわけでございますが、人員その他の関係で必ずしもすべてわれわれにその資料が過去の経験に照らして出ておるとは限らない点がございます。しかし、できるだけ行なわれた犯罪につきましては、その資料を公平に、くまなく得るべく努力をいたしております。
○岩間正男君 具体的には青森県警にこの問題を聞き、あわせてこれについてどういうような処理をやっているのか、それからその後司直の手があそこに及んだことについて一体どういう影響を住民に与えているかということを実は私は日本の選挙制度、選挙の運用そのものを監督する立場からこれに臨んだわけです。ところが、もうそういう問題で大騒ぎをしている隣の市でもってすでにこういうことがどんどん行なわれている。買収、供応なしには選挙はやれないというような現在の体制なのか。そうすれば、選挙法などというものは全くこれはざるともかごとも言えない法律なんだ。取り締まるところはまあ軽微な問題だけで、そういうところはずいぶん苛酷な取り締まりをやって、そうして実際はボスとの関連においてはなれ合いになって警察もこういう問題を等閑視しているという実態に触れざるを得ない。こういう事態ではたいへんだと思うのですが、どうなんですか、この点。
○説明員(槇野勇君) 先ほども申し上げましたとおりあらゆる事犯、特に選挙につきましては、同時多発的な事例もございますので、できるだけ公平にしかも厳正に取り締まる努力を常に続けておるのでございますが、人員その他の関係であるいは警察がタッチし得ずして済む場合もこれはなきにしもあらずと考えますが、しかし、過去の事例に照らしまして、次の選挙に備えては常に公平なる資料の収集について厳正に取り締まりに努力をしているのでございます。
○岩間正男君 具体的には——もう私はこれで終わりますけれども、自治大臣のこれに対する答弁を求めてもらって、短い時間ですが、この次もしも何でしたら、告示前の十九日の委員会で、短い時間でいいですが、かようなことを聞きたい。警察庁は、一体この問題、告発事件があるわけですが、この告発事件は、一般の告発というよりも、この尾上の問題と実際非常に関連している。その直後にこういう同じ地域で何らの警察のこれに対する取り締まりが効果的でないというはなはだしいものとして出てきているたいへんな問題なんで、この問題についてはやはりどういうふうな態度をとるのか、警察庁長官に出席してもらって、自治大臣とこの点やっぱり明らかにしたいと思いますが、委員長、このことを要望して、お願いしておきます。
○委員長(鳥畠徳次郎君) ただいまの岩間君の御発言は、理事会に諮りまして決定いたします。 他に御発言もなければ、本日はこれにてとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十七分散会 ————・————