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43回国会参議院1963/02/05

法務委員会 第3号

発言数
223
登壇者
12
会派数
3
開催日
1963/02/05

会議録

松野孝一自由民主党

○理事(松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  この際、委員の異動について御報告申し上げます。  本日、山口重彦君が辞任され、その補欠として亀田得治君が選任されました。     —————————————

松野孝一自由民主党

○理事(松野孝一君) 本日は、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。  亀田君から発言を求められておりますので、これを許します。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まず、郵政当局に四国放送並びに徳島新聞の問題に関して質問をいたします。  この四国放送の問題は、前々国会からも委員会で審議されておるわけですが、郵政大臣は就任早々であるわけですが、この問題は概略事務当局からお聞きになっておりましょうか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) こまかくは聞いておりませんが、概略は聞いております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それでは、そういう前提に立って、まず、大臣のほうに少し聞いてみたいと思います。  その一つは、六月一日の委員会でも質疑をいたしまして、そのときは、電波監理局の石川次長が来ておられたわけですが、この放送免許に関する基準ですね、こういうものが郵政当局の行政の指導方針としてあるわけですが、その解釈につきまして若干質疑をしたわけです。で、その際に問題になりましたことは、新聞社の理事並びに放送局の代表する役員を双方とも、そういうことは、放送、新聞、こういう事業の性格上よくない、これは明確になっておるわけです。ところが、この件で問題になりましたのは、前川という人が四国放送の社長をしている。徳島新聞のほうは、理事ではないけれども、会長であるわけなんですね。そうして、徳島新聞の定款の定めるところによりますと、理事会の決定は会長の承認を得なければならない、こういうことが私が質疑をしました当時の徳島新聞の定款に載っているわけです。そうなりますと、形式上はなるほど代表権を持った役員ではないかもしれないが、実質は役員以上の強い力を持っておるわけなんですね。で、当時電波監理局の次長は、ともかく新聞社のほうは理事ではないのだから、前川氏が新聞社の会長兼四国放送の社長ということであっても、この免許基準には矛盾しないのだと、こういう説明がされていたわけなんです。私はそれは納得できない。やはりこういうニュース関係の仕事を一人の者に独占させるということはよくない、こういう立場からこれは出発しているわけなんですから、形式はそうでありましても、実質上双方を押えておるという場合には、そういうものを簡単に認めるべきではないのではないか。ちょうど六月一日というのは、この四国放送に対して再免許を与えた日であるわけですが、再免許にあたってはもっとそういう点を実質的な角度から検討すべきではないかと、だいぶ私の意見は申し上げたのですが、郵政当局は、ともかく形式は会長であって理事ではないのだから違法ではない、規則には違反しておらない、そういうこと一点張りにお答えになっておる。で、まあ合法的であるかどうかという点は別にして、脱法行為というものは、結局形は法規に合っておるけれども実質はよくないというのが、これが脱法行為なんです。私はこういうことこそ脱法的なやり方として監督権を持っておる郵政当局がもっと強くそういう事態に対して指示をすべきではないかという考えをいまだに持っておるわけなんです。当事事務当局がお答えになったようなことで、形さえ違反しておらなければそれでいいんだというようなことが、これは議事録にも載っておるわけですが、もう公然と通るというようなことになれば、ニュース関係の事業の独占禁示をするといったようなことの意味は、もうほとんどなくなってしまうと思う。またそういうものがいろいろ現われてくると思うのです。で、そういう点について、これは大きなやはり郵政当局としての根本的な考え方、方針の問題になりますので、ひとつ大臣としての見解をこの際承っておきたいと思います。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) どうも法律のことになりますと亀田さんにはわれわれはかなわないので、われわれのほうは常識論でやるよりしようがありませんが、経営支配の態様と申しますか、結局だれが実権者であるかということは、なかなか実はむずかしい問題でありまして、経営支配の有無の判断の指針と申しますか、そういうようにいたしまして、代表権を有する役員は他の代表権を有する役員を兼ねることができないというようなことでありまして、私は合法的に進んでいくと、そういうふうに考えておるわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあそういう事務当局の人が横から書いて、その趣旨によってお答え願うようなことを実は大臣に求めておるわけではないのです。で、この徳島新聞の実態というものは、これは検察当局でも明確になっておるわけですが、形のいかんにかかわらず、前川が、もっとはっきりした言葉で言えば、独裁的な地位にあるわけなんです。四国放送の社長をやっても、代表権を持った理事であったわけです。しかし、それを監督庁である郵政当局から注意されまして、理事のほうはやめて、そうして、そのあとは定款を変更して会長制というものを作り、その会長に就任すると同時に、会長というものの権限を、私が先ほど申し上げたように、実際は理事会より上へ持っていっておるわけです。理事会は何もできないわけです、会長の意向に反しては。私は、たとえば前川が新聞のほうの理事をやめて、そうして平の社員になった、しかし、事実上その身がわりを送ってそうしてそれを支配しておるというような場合には、これはなかなかそういうことまで問題にすることはできない。ところが、定款を変えてまで理事会を拘束するようなそういう立場に立っておるわけです。代表権をなるほど法規の上では持っておらないかもしれないが、放送の免許をするという基準の解釈運用にあたって、これは代表権は法規上ないからさしつかえないのだというふうな言い方をすることは、はなはだ私は心外だと思っておるのです。今の大臣のお答えも、その程度のことは、これは事務当局がこの前でも繰り返しておることなんです。しかし、そういうことでは納得いかないというのが私の気持なんです。おそらくだれでもそうだと思うのです。これは世の中の脱法行為ということをよく言うのは、こういうやつが模範的なものですよ。それはあまりにもそのやり方がひどいものですから、検察庁でも注意され、いろいろのことをして、結局現在はそれはまた変えました。その定款は現在は変わっております。しかし、皆さんが六月一日の再免許を与えるときにはそういう不自然な定款であったわけなんです。そういうことを承知で再免許を与えておるわけです。実質的な面から郵政大臣の考えをお聞きしておるわけです。それは独占を禁止するという趣旨に明らかに反しておるわけですから、だから、法規上は違反しないかもしれぬが、実質的にはこういうことは思わしくないとかなんとかというような意見の表明でもあるなら別ですがね。だから、こういうことが問題になった以上は明らかにしておきませんと、今後とも非常に影響するところが私大きいと思ってお聞きするわけです。いいことなんですか、一体そういうことは。法規に違反しなければもうそれでいいというものじゃ私はなかろうと思う。あまり横で書くと……。大臣としてのほんとうに私はこれは常識的な答弁を求めているのです、実質的な。どういうことですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) 結局、先ほど申し上げましたように、代表権を有する者ということが条件になりまして、なかなか経営の支配の実際というものはむずかしいものでございますから、そういう形式でやるよりしようがないと、そういうふうに考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この基準というものは、あなたのほうの行政基準なんでしょう。これは法律でもなんでもないわけなんですよ、免許基準は。だから、そういうものですから、これはあくまでも行政上正しいのかどうか、そういう立場からこれは私は検討をしてしかるべきものだと思う。法律の場合であれば、それは国会を通ったそういう一種の国民の意思です。実質面から言うたらこうだが、これはもう法規がこうなっているから仕方がないという理屈は、私は多少あってしかるべきだと思う。だけれども、こんなものはあなたの省の内部できめているわけです。その趣旨は、こういうニュース関係をしている者に独占をさせてはいかんと、そこから来ているわけですから、だから、こんなものは大臣の考え方一つでどうにでも解釈していけるわけです。それが何回お尋ねしてもその程度の答えしかこれは得られぬものですかね。そうであれば、いよいよ総理大臣にでも来てもらってほんとうにこれは私は聞いてみたいと思うのです。あなたの省の中の行政心得でしょう。どうなんですか。もう一ぺん答えて下さい。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) ただいま亀田委員のおっしゃいました実態に即するようにということは、われわれのほうも当然そういうふうに考えております。ところが、実態に即するというふうにするにはどうしたらいいかといいますと、結局、先ほど申し上げましたようなことでやるよりしようがない。そうしませんと、いろいろな不公平な立場が入って参りますので、こういう基準に従ってそれを正面解釈をしてやるよりしようがないということでございまして、その実態に即してやるということにつきましては、亀田さんのおっしゃることに少しも変わりございません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 その終わりのほうの言葉がちょっと聞きとれなかったのですが、実態に即してやることについてはどうだとおっしゃるのですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) 実態に即してやるためにこの基準がございまして、その基準を正当的に解釈してやるというのは正しいことだと私は思っております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 だから、私も、実態に即してやってくれと、こう言っているわけです。実態に即したら、この書かれておる免許基準の解釈の仕方というものは変わるべきなんですよ。あなたのほうは、実態に即しないで、免許基準に書いてあることだけを形式的にとらえておるに過ぎない。実態に即するということは、私も大賛成です。実態に即するのなら、もっと即するようにやってもらわなければならない。第一、いろいろな問題で実態ということがよく出ます。ところが、それは法規と現実が合わぬ場合に出てくることなんです。実態に即するために法規どおりにやったのだというのじゃ、これは大体言葉自体がナンセンスじゃないですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) 先ほども申し上げましたように、実態に即するということは、これは、亀田さんのおっしゃるとおり、私どももそういうふうにやらなければならぬと思いますけれども、その実態に即するということのためには、結局基準というものが書かれておりまして、その正当な解釈をいたしまして、それに従ってやるということが一番実態に即する、しかも公平な道だと、こういうふうに考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それじゃあとからまた少しお聞きいたしますが、もう一つは、前回六月一日に私お尋ねしたときに、この前川四国放送の社長はできるだけ早くやめることを期待しておる——なかなかそのことは率直にはおっしゃらなかったわけですが、私が前後の事情を説明をして再三お尋ねいたしますと、最終的にそういうふうにお答えになっておるわけです。ところが、当時郵政当局に出されました五月二十六日付の誓約書あるいは三月二十三日付の当事者間の覚書等によりましても、これはもうほっておきましても今年の五月末にはやめることになっているわけなんです。それではいけないので、なるべく早くこれはやめるということになっておるし、また、本人もそういうふうに意思表示している。郵政当局もそれを期待する、こうなっておるわけです。ところが、最近は、郵政当局の態度が穏便なせいかどうかは知りませんが、なかなか事前にやめるといったような状況ではないわけですね。はなはだもって、何といいますか、極端な言葉でいえば、居直るといったような傾向が出て参っておるわけなんです。これは、後ほど法務当局にお聞きします刑事事件の処置の誤った点も私はあずかって力があると思うのです。したがってこれらの事件の経過というものを知っておる徳島の市民らは非常な疑惑を持って見ておる。一体国会において今年の五月末を待たないでできるだけ早くやめることを期待すると郵政当局が答えておりながら、事実は一向にそうなっておらない。誓約書までこれは出ておるわけなんですね。一体こういうことでいいのかどうか。こういうもみにもんでできた誓約書なり覚書なりそういったようなものを、刑事事件さえ終われば簡単にほごにしている。こういうことで一体正しい行政の監督というものができるかどうか、これを大臣にひとつお聞きしたいわけなんです。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) われわれの聞くところによりますと、本年一月ごろまでは後任者が人選難であるということを申し述べておったそうでございますけれども、最近になりまして後任者のめどがついてきたのだというようなことで、誓約書どおり私は進む見通しがついたものと、そういうふうに信じております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それじゃ、いつごろやめるというふうに皆さんは把握しておるわけでしょうか。私がお聞きするのは、人選難だとかそういったようなことをしょっちゅう言うて今まで延ばしてきているわけなんです。人選難でもなんでもないわけなんです。本人がやめちまえば、あとは知事なりあるいは関係者、徳島におけるそうそうたる諸君がこれはみんな関係があるわけです。幾らでもあるわけなんです。今、大臣は、最近のうちに何かやめられるようなことの意味をにおわしたお言葉がありましたが、一体それはいつごろ実現することに大体なっておるわけでしょう。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) いつごろということは、実は私がここでお答えできませんけれども、原知事に対しまして辞表も寄託してございますし、大体後任者のめどがついておるそうでございますから、なるべく早い機会に実現できることを期待しておる次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 事実はそういうふうに動いていないんですよ。辞表が知事に預けてあるとは聞いております。実際は、それが処理される方向じゃなしに、逆の方向なんです。もっと具体的に申し上げますと、ことしの二月一日になりまして、前川社長が社内の上層部の人事異動をやっております。今までは、社長−専務−部長制と、こういうふうになっておりましたが、これを社長−三局長−部長制と、こういうふうに改め、その局長の一人には、当然やめるべきことになっております森田茂を任命しているわけなんで、これは覚書においてもちゃんとやめることにはっきり書かれておる人物です。それを新しい職制を作ってそういうふうにやっておるわけなんです。もちろん、こういう職制改革については、昨年の三月二十三日にできました覚書によりますと、知事なりあるいは徳島市長なり徳島の商工会議所の会頭なり四国電力の徳島支店長なり、そういう諸君の承認を得ないで勝手にやっていかぬことになっておる。知事はそういう職制改革はけしからぬということで拒否しておるようでありますが、聞くところによると、事実上そういうことをやって進めておるわけなんですね。こういう事実をあなたどういうふうに見るのです。覚書を大臣はごらんになったでしょう。ともかくも間もなくやめる社長なんだから、いろんな人事異動を重要なことをやっちゃいかぬ、いわんやこの問題に関して報復的な人事などはやっちゃいかぬといったようなことも覚書の第五条で明記されておる。刑事事件が終わったと見るや、開き直って、そういういろんな責任ある地位の人が寄ってたかって作った覚書すら、これを事実上破棄しているわけなんです。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) この覚書には、取締役として再選しないということ、それから五月までですかやめるということを言っているわけでございまして、その内部の人事のことにつきましてどうということまでは、われわれわからないわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 覚書の第五条にちゃんと書いてあるでしょう。社内の人事問題については、前川の独断ではやらないと。ともかく前川社長に何か言い分がありますと、すぐそういうことは気負い立ってお答えになるわけですが、前からもそうなんです。矛盾しておるじゃないですか、第五条と。  さらに付け加えて申し上げますと、今申し上げたような職制改革をやる。知事との間で今もめております。ところが、さらに、今まで経理部長をしていた佐々木、これは反前川派なんです。これを首切ろうとしたわけです。しかし、第五条に明らかに違反するから、そこまではできない。そこで、高松の支社長に追いやっておるわけなんです。それから、こまかいことまで言い出せばこれは時間をとるから申し上げませんが、被告訴人の一人であった岡田、これを大阪の支社長に栄転させておるわけです。第五条違反じゃないですか、こんなことはみんな。そうして、一方では、皆さんから何か聞かれると、後任者がなかなか見つからないのでと昨年中はそういうことを言い続けてきた。ことしになると、どうもちょっと言い方が変わってきたようだが、まあそのうち選挙も始まってみんな忙しくなるし、だから、まあここまで来ればそのうちに見つかりそうだなんてでたらめなことを言っておる。そのうちにこれは五月末になってしまうわけです。  これでは、全く一前川というものに郵政当局が振り回されておると同然なんです。そういう人事改革、機構改革をやっていることを事務当局は知っているでしょう。第五条にこれは違反するでしょう。君らは規定のことばかり言うから、こっちも今度規則でひとつ質問するわけなんだが、違反せぬと言えますか。先ほど私が指摘した事実、今前川がやっていること、どうなんです。これはあまりこまかいから、事務当局が答えてもよろしい。

石川忠夫郵政省電波監理局放送部長

○説明員(石川忠夫君) 第五条のただし書きには、異動等の人事は一切実施しないと、こういうふうに書いてございまして、この異動は覚書に反するように思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 こんなことは、もうだれが見たって反しておることははっきりしているわけです。そういうことをやっていて、一体皆さんに出しました誓約書どおり行けると思っておるのですか。これは、私は憶測してはなはだ悪いかもしれませんが、郵政当局が前川から頼まれて動きがとれぬようになっているんじゃないかと思うんですね。だから、その証拠をひとつ二、三ここで出しておきましょう。これは、大臣に特に来てもらいましたのは、そういう点もあったわけなんです。  それは、この八月二十六日に郵政省の本省の放送業務課の伊藤課長補佐が現場へ調査に行ったわけなんです。ともかく徳島では非常な問題になっているわけでして、かねがね郵政当局とこの前川との関係、そういったようなことがうわさされていたわけです。そこで、関心を持つ人は、伊藤補佐がどういう行動をとるだろうか、当然自分たちにも意見を求められるだろうということは考えていたわけなんです。ところが、前川とか森田とかそういう諸君とだけ適当に会うてドンチャン騒ぎをやって帰ってしまった、こういうことなんです。大臣、そういうことは聞いておりませんか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) まだ聞いておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この人は、派遣された伊藤課長補佐ですね、そこに写真に写っているのは。

太原幹夫郵政省電波監理局放送業務課長

○説明員(太原幹夫君) そうです。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 間違いないですね。大臣にも見せておいて下さい。  私が今から申し上げることは、前回の八月の下旬でしたかに質問のときに実はわかっていたわけなんです。しかし、まあ郵政当局も、善処する——その当時次長でしたかどなたでしたか、そういうふうにおっしゃるものだから、それじゃいたずらに荒立てるのも芸ではないと思いまして、これはそのままにしておいたわけなんです。ところが、だんだん検察庁の処分がああいうふうになってしまうと、もう出方は逆なんですね。そこで、私もざっくばらんに申し上げるわけですが、この伊藤補佐が昭和三十七年八月二十六日午後四時五十五分の徳島飛行場着で着いておる。これは今確認していただいた飛行場に着いたときの写真です。ところが、出迎えに四国放送の森田が来ておるわけですね。問題の人が。これはまああなたの部下じゃありませんから、確認までしていただいていいかどうかわかりませんが、これが森田です。着流しですわ。それはまあ監督官庁から来れば、一応礼儀として出迎えるということはありましても、みんなやっぱりちゃんとそういう気持で行くんならよけいいくら暑くても洋服を着て行きますよ。ところが、これは着流しなんです。どういう関係かということはおよそこれで想像つくでしょう。それから着流しで一緒に自動車に乗るのですね。人物を確認してもらいましたから、これはもうちゃんと乗って、それから行った先は澄屋という旅館、ここにまあ泊ったわけですが、そこで一たん休んでもらって、午後八時五十分ごろまでこの澄屋旅館で森田と伊藤がいろいろ対談したようです。こんなことは放送局へでも行ってやればいいことでしょう。着流しで対談しているわけなんです、旅館で。それからこの旅館を出て、今度は車じゃなしに歩きながら富田町、栄町、そこら辺のバーをずっと歩いて、午後九時十分ごろ、これは森田と関係のある女のようですが、その人が経営しておる小梅という料理屋、そこに入って、出て来たのが十時四十分ごろ。そうして伊藤が旅館に帰った。ずっとこうつけて歩いて写真をとってあるわけなんです。  翌日の八月二十七日の行動を申し上げますと、午前十時五十分ごろ四国放送の車が澄屋旅館に来て課長補佐を迎え、課長補佐はそれで四国放送へ行きました。そこで説明を受けて昼食をした。ここら辺は多少筋に戻ってきておる。しかし、紛争が起きておる場合だから、自分でタクシーを雇って行っていいわけですね。しかし、まあそこまではあまりやかましいことを言う必要もないかもしれませんが。ところが、あとが悪い。午後三時過ぎになりますと、この伊藤君と森田君が四国放送の斎藤というのも連れまして、そうして四国放送の乗用車で徳島市内の、これはビザンと読むのですかね、眉山と書いてあるそこにドライブして、眉山の山頂から徳島を見物したり——これは今眺めているところの写真ですがね。あとから大臣に渡します。そうして四国放送の眉山の送信所を見て、まあおそらく四国放送の眉山の設備を調べに行ったのだと、そういうふうにお答えになるのだろうと思いますが、午後四時ごろ眉山へ前川静夫が来て、そこで伊藤課長補佐と会談をしておる。五時ごろに一緒に山を下りまして、そうしてもう一度四国放送に入ってしばらく休んで、六時ごろになりますと、また森田と一緒に澄屋旅館に帰っております。で、その旅館で森田と伊藤が対談中、少しおくれて徳島新聞社の者も、これははっきり名前を確認しておりませんが、来まして、三者そこで対談をさらにしております。しばらくして徳島新聞社の方は帰った。ところが、その後、午後七時三十七分ころ、伊藤課長補佐は、森田と一緒に料亭のコンネンチク、今年竹と書いてあるそこへ行くわけです。これは前川君の情婦の中島という人が経営しておる料理屋のようです。ここでは前夜にまさる派手なランチキ騒ぎをやりまして、そうして午後十時二十分ころまた森田に送られて旅館に帰っておるわけです。これは今年竹へ入るところの写真ですが、この右のほうが伊藤課長補佐です。ちょっと人物だけ確認しておいて下さい。ちょっと写真がピンぼけですが、探偵が急いでとったものですから……。  こういうことをやって一体監督できるものかどうか、私は不審に思うわけなんです。やはり問題が起きておる場合は、裁判所や検察庁ほどなかなか行政官庁は一般的に厳格じゃありませんけれども、問題が起きておるその場所へ飛び込んでいくときに、こんな姿勢で一体どうなるんか、はなはだ私はこういう資料をいただいて残念に思っておるのです。大臣のひとつ感想を聞かして下さい。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) まあ問題のあるなしにかかわりませず、そういうことは少し不謹慎だと思います。で、われわれといたしましては、就任以来そういうことのないように訓告を与えておりますけれども、十分に今後そういうことのないようにひとつ意を新たにして注意いたすつもりでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これだけの行動をやれば、これは必ず前川なり森田から、ひとつ本省のほうはそこをよろしく頼む、そのうち刑事事件のほうは何とかもみ消すから、そんな話をしておるに違いない。そう思いませんか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) そこまでしたかしないかわかりませんけれども……。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 したかせぬかわからぬと言うたって、それはだれだってそういうふうに想像しますよ。  これは確かめますが、飛行機で乗り込んでおるわけですが、この飛行機代を郵政当局は払っておるのか。

太原幹夫郵政省電波監理局放送業務課長

○説明員(太原幹夫君) 飛行機賃は自分で払っております。出張命令を出しておりますので、自分で払っております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 自分というと……。

太原幹夫郵政省電波監理局放送業務課長

○説明員(太原幹夫君) 伊藤個人が払っております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 出張旅費の中には飛行機賃は入っておるの。課長補佐あたりで飛行機代まで含めた旅費というものは出ることになっているのですか。

太原幹夫郵政省電波監理局放送業務課長

○説明員(太原幹夫君) 課長補佐でも、汽車賃のほうは一等旅費が出ますので、それでやりくりして飛行機で行ったのでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 飛行機の切符を買ったのは、伊藤君が買ったのか、あるいは役所のほうで手続をして買うたのか、どっちなんですか。役所のほうで経理関係の人が買うて伊藤に切符を渡したのか、どっちなんですか。

太原幹夫郵政省電波監理局放送業務課長

○説明員(太原幹夫君) 本人がやったように私は承知いたしております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それなら、伊藤が自分で買うたのか。私はだれが負担したかということを聞いているわけです。あるいは前川、森田からちゃんと負担してもらっているかもしれない。そんなことはどうしてわかるのか。

太原幹夫郵政省電波監理局放送業務課長

○説明員(太原幹夫君) 本人が負担しているということを私は確認して聞いております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それはどういうふうにしてまた確認したのですか。なぜそんなことを確認したのですか。

太原幹夫郵政省電波監理局放送業務課長

○説明員(太原幹夫君) この問題が、九月の一日だったと私記憶しておりますが、衆議院の逓信委員会で質問をされましたので、私はこの点を本人から聞きただしたのでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それは結局そうすると、君の答弁の材料というのは、本人から聞いた、それだけなんですね。

太原幹夫郵政省電波監理局放送業務課長

○説明員(太原幹夫君) そうでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 本人が、私はこの費用を前川なり森田からあとからもらいましたなんて、そんなことを言うわけがないのでね。そんなものじゃだめですよ。これだけのことをやっているのですから。  それからこの宿泊費はどうなんですか。

太原幹夫郵政省電波監理局放送業務課長

○説明員(太原幹夫君) 本人が支払っております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 こういう宿泊費の領収証というものは、持ってくる必要はないわけですね。規定上。

太原幹夫郵政省電波監理局放送業務課長

○説明員(太原幹夫君) ございません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この澄屋旅館は、あすこでは一流の旅館なんですが、一晩幾らだとあなたは聞いているのですか。お調べになったのでしょう。

太原幹夫郵政省電波監理局放送業務課長

○説明員(太原幹夫君) その点は聞いておりません。支払ったということだけは本人から聞いておりますけれども、幾らかということは聞いておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そんな官庁のあの計算からは出てくる旅館代ではないのです。だから、飛行機賃といい、旅館賃といい、これはまあ本人は一応そう言うでしょうが、非常に徳島市民の方は疑惑を持って見ているわけです。それだけ申し上げておきます。  もう少しこれは私のほうでもはっきりするまで、今、捜査と言っちゃなんですが、調査をやっておりますから。  こういうわけで、四国放送の関係では、郵政省の関係者は非常に深入りし過ぎていますね。  もう一つ申し上げておきましょう。昨年の五月以降、西崎局長、石川次長はじめ、多数の方が四国放送から贈りものをされているはずなんです。ちゃんと調べてあるのです。これはまあそういうのがいつも儀礼的に来るのだというふうに言われるかもしれませんが、そういたしますと、全国にたくさんの民間の放送局があるわけですが、盆暮になるとたいへんなことになりますね。単なる儀礼的な贈りものではないというふうに私は解釈しているわけなんです。名前をあげますと、一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、十一、十一人ありますよ、五、六、七月にかけて。これはどうですか。あなたもらったことないですか。あなた業務課長でしたね。

石川忠夫郵政省電波監理局放送部長

○説明員(石川忠夫君) 私は放送部長の石川でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 石川さんは次長でなかったかな。

石川忠夫郵政省電波監理局放送部長

○説明員(石川忠夫君) 前の次長です。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 今度あなたがかわったの。説明員(石川忠夫君) はい。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 あなたのところへは来ていませんか。

石川忠夫郵政省電波監理局放送部長

○説明員(石川忠夫君) はっきり記憶しておりませんが、ビールかなんか来ておったように思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 大臣の見解をひとつお聞きしておきたい。ほんとうの意味の単なる儀礼的なやりとりであれば、それは私は別にどうこう言いません。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) これは、官吏といたしましては絶対にそういうことのないのが建前でございまして、またそうすべきだと思います。ただ、ほんの少額の儀礼的といいますか、いわゆる慣習といいますか、そういう場合には、あるいは受けることがあるかもわかりませんけれども、建前といたしましては、私はそういうことについてはやってはいかぬと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 ちょうど竹内刑事局長がお見えになっていて刑法の専門家でありますから、意見をお聞きしますが、こういう放送の再免許をするかどうか、いろいろな問題がからみましてそうしてもめておるときに、私がさっき申し上げたような行き過ぎた饗応、明らかに行き過ぎた饗応、すなわち、これは、東京から偉い人が来たから昼飯でもちゃんとした会館とかそういうところで差しあげるとか、そういったものと違う。明らかな行き過ぎた饗応。それから五月、六月、七月と多数のものが一つの場所に集中して贈られておるわけです、多数の人に。こういうのは、単なるつき合いとかそういうふうには私は解釈できない。そんな解釈をしたらたいへんなことになると思うのですが、ひとつ政治的な関係を離れて純粋に刑法的な立場から御判断、御見解を聞かしてほしいと思うのです。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) この席から意見を申し述べますことは適当でないかとも思うのでございますが、ただいまお話のありました饗応、接待並びに贈答品というようなものが職務に関する賄賂になるかどうかというような点についての御質問かと思うのでございますが、その場合にそれが賄賂性を帯びるかどうかということは純粋に理論的に申すことはあるいは幾らでも説明ができるのでございますが、当該饗応、当該贈答物が直ちに賄賂性を帯びてくるかどうかということは、これはもう社会通念に従ってきわめて具体的状況のもとにおいて判断をすべきことでございまして、状況のいかんによりましては、積極的に解しなければならない場合もありますが、また、状況のいかんによりましては、社交の域を出ない、賄賂性を持たないというふうに判断をされる場合もあろうかと思うのでございます。今の饗応、贈答が賄賂性を帯びるかどうかというようなことを断定的に申し上げますことは、法律という立場から申しましても、また、私の占めております地位から申しましても、具体的に判断を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 刑法に引っかかることはないという御意見ですか。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 今申しましたとおり、具体的な事情のもとにおいて、場合によりましては刑法に引っかかる場合もあると思います。同時に、だからといってすぐこれは有罪だというものではなくて、社交の範囲内というふうに社会通念上認められます場合には、これはもちろん賄賂性を帯びてこないことは当然でございまして、抽象論として申し上げるよりほかお答えのしようがないわけであります。それを検察的に司法的に判断をするということになりますならば、事件を捜査してその結論を得て判断をすべきであります。今申し上げておるのは、単なる法律論でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 私はまあ相当具体的に申し上げたつもりですがね。二晩の饗応なり、あるいはこういう問題に関連して集中的に贈りものがされたり、これは普通のつき合いではそんなことないでしょう。はるかにこれは越えておるわけなんです。四国放送という紛争があって初めてこれはこういうことができたわけなんです。去年などそんな四国放送から贈りものなどなかったでしょう。どうですか、次長。去年というか、その前の年……。

石川忠夫郵政省電波監理局放送部長

○説明員(石川忠夫君) どうも記憶がございません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それはそんなものないいはずです。何にもないのにあるとしたら、それは全く贈りもので家の中が山になっちまう。刑事局長という立場があるものだから、きわめて慎重にお答えになるわけでしょうが、こういうことをほっておいて、そうしてそのうちにだんだん郵政省に出してある誓約書ですね、これは実際上ほごになってしまう。そんなことで私は全くあきれ返っているのですがね。これはどうするんですか、この折誓約書を。全くそれは振り回されておるという格好ですよ。郵政省としてはやはり誓約書どおりやるつもりだと、その強い意思があるのかどうか。私はいろんなことを聞きますと、骨抜きになってしまっているんじゃないかという感じを受けているわけなんです。そうして、誓約書どおりいけばやめるはずの者が、重要な機構改革をやっているわけなんですから、これも覚書に反しておる。この点、あなた認めたとおりだ。一体この誓約書を本気になってあなたのほうで守らすつもりかどうか。どうです、これは。基本的なことです。迫水郵政大臣あての誓約書なんです。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) これは、四国放送から出した誓約書でございますから、守らせるつもりでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 守らせるつもりとしたら、もうやめなきゃならん時期ですわね、常識的に考えて。五月三十一日の一週間前にやめりゃ三十一日よりもちょっと早かったんだからそれでいいと、まさかそんな妙な規則ずくめな解釈はされないと思うんですが、実際どうなんです、これは。もう関係者は非常に憤慨しているわけなんです。知事だって困っているわけなんです。知事は、選挙を前にしてあんまり強引なことも言えん。相手はニュース関係を握っておる。知事のところへ預けてあるわけですわね。そこがねらいどころでしょう、言うてみたら。知事だってその辞表をぱっと生かしてしまやいいんだが、ぐずぐずぐずぐず。だから、ニュース関係などを独占させると、そういうわがままをするわけなんです。自分の問題の処理においてそういうわがままをやっているわけなんです。知事にずっと前にもう辞表を預けたんだから、あれを生かしてひとつ処理して下さい、こう言うべきなんです。逆な出方をしているんですよ。せんだってこの問題を告発しました戎谷君が来て、非常な憤慨をしておりましたよ。私、名前を忘れましたが、今思い出しましたがね、何か最近徳島で交通事件か何かがありましてつかまったんです。そうしたら、このことを引き合いに出して、返したらしまいなんだろうというふうなことを言われたんで、検事はどうにもできなかった。警察だったか、検事だったか、よくはっきり覚えていませんがね。そういう間違ったことをやった者が捨てぜりふを言えるような、そういう影響を与えているんですよ。大臣に出した誓約書がごちそうずくめていいかげんにまるめ込まれてわけのわからんようになってしまっているという、こんなことはもうまことに遺憾なんです。大臣、これをひとつもっと真剣に調査してくれますか、この事態を。どうなっているのか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) よくひとつ調査いたしまして御報告いたします。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 報告じゃなしに、調査してやっぱり適切な処置をしてもらいたい。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) それと同時にひとつ亀田先生のお説のように……。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 だいぶん長くなりましたが、法務省のほうに若干お聞きしたいんです。もう大臣のほうはいいです。  法務省のほうの関係は、問題が非常に多岐にわたっておるわけですが、事案が片づいたときに詳細に刑事局長から説明すると、こういう約束になっておりましたので、一応その御説明をお願いしたいと思うんです。その上で、非常に問題がたくさんありますから、全部に触れることはきょうは時間の関係上できないかもしれんが、一、二点お尋ねしておきたいと思います。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) ただいまお尋ねの事件につきましては、すでに当委員会におきましても若干の説明をして参ったとおりでございますが、昨年三月二日、お話の出ております戎谷利平氏から告発を受理いたしまして以来、徳島地方検察庁において鋭意捜査を進めて参りましたが、すでに捜査も完了をいたしまして、昨年十月三日までに関係者全部について処理を終わっておるのでございます。  処理の結果の概要を申し上げますと、まず、徳島新聞社につきましては、元同社専務理事武市仁一郎が、同社の業務に関して昭和三十三年四月一日から翌三十四年三月三十一日までの事業年度において、同社の法人税約二百八十万円を逋脱した事実が判明いたしましたので、昨年五月二十四日、右徳島新聞社及び武市仁一郎を法人税法違反罪により徳島地方裁判所に起訴いたしましたのであります。同裁判所は、その後この事件の審理を遂げまして、昨年十二月十七日、徳島新聞社を罰金三百万円、武市仁一郎を罰金五十万円に、それぞれ処する旨の判決の言い渡しをいたしております。この判決は、本年一月五日、確定をいたしております。  次いで、四国放送株式会社社長前川静夫及び同社森田茂が、アメリカ貨幣五百五十七ドルを売買し、対外支払手段の集中義務に違背した事実が判明いたしましたので、昨年十月三日、前川静夫及び森田茂を外国為替及び外国貿易管理法違反の罪により徳島地方裁判所に起訴いたしました。同裁判所は、その後この事件の審理を遂げ、昨年十二月二十八日、前川静夫を罰金十万円に、森田茂を罰金八万円に、それぞれ処する旨の判決を言い渡しております。右判決は、本年一月十二日、確定をいたしております。  徳島地方検察庁におきましては、本件が社会の公器である新聞放送事業を経営する法人に関するものでありますことを重視し、必ずしも告発事実にとらわれることなく、この際、徳島新聞社及び四国放送株式会社に関する不正事実の存否をも明らかにする必要があると考えまして、特に二つの法人会社が脱税のため設けていた秘密積立金の使い道を中心に捜査を進めたのでありますが、その結果、起訴し得た事実のほか、前川静夫及び両社幹部四名につきまして、商法逃反の罪または業務上横領罪の容疑その他一応の容疑と考えられますものはすべてこれを爼上に載せて慎重捜査をいたしたのでございますけれども、それらの各容疑につきましては、あるいは被害が回復されております等、いずれも一般の事件と比較いたしまして情状酌量すべき事情等がすべて同一の状況である——ちょっと言い方が悪かったのでありますが、一般事件に比較して特に軽く扱うとか重く扱うということではなく、一般的にこの被害回復の状況、酌量すべき情状の有無等を慎重に見きわめまして、あるものは犯罪の成立を認めて起訴猶予し、あるものは犯罪の嫌疑が十分でないという意味においての不起訴等のそれぞれの処分に付しておるのでございます。  以上が両法人並びに会社に対する関係事件の捜査の始まりから処理を終わったまでの状況でございます。  ただ、ここに申し添えておきたいと存じますことは、この事件の判決をどのように検察庁において考えましたためにこの判決を確定するに至らしめたかという点を補足して申し上げておきたいと思います。判決文そのものについては情状について詳しいことは記載してございませんが、判決言い渡しの際、裁判官が口頭で説示をいたしております点を見ますと、この量刑をしたことについて、まず、法人税法違反について申しますならば、被告人が本件犯行によって利得を受けていないということ、それから、被告人は徳島新聞社在職中、同社のため種々尽力をし、功績をあげたのに、同社を追われるはめになった点は同情すべきものがあるということを指摘しております。さらに、被告人に体刑を科しますことは、被告人の現在の地位、エーザイ株式会社の社長室長というような地位にあるようでございますが、そういう地位に著しい悪影響を与える結果となるというような点を同情すべき点としてあげておるようでございます。検察官におきましては、検事控訴すべきかどうかということについて現地におきましては慎重に検討をいたしたのでございますが、裁判所の説示に現われております情状等について積極的にこれに反駁をするだけの論拠もないということから、この判決に必ずしも満足はいたさなかったのでございますけれども、裁判の結果を尊重いたしまして、あえて控訴しなかったというふうに報告されております。  また、第三の外為法違反の事件につきましては、これまた判決の中で情状についてのこまかい理由は記載されておりませんが、言い渡しの際に裁判官が口頭で説示したところによりますと、本件は被告人の私利私欲に基づく犯行ではなくて、利得を得ていないということをまず第一にあげ、さらに、本件米ドルは、被告人が適法に入手し、沖縄視察旅行に使った残りで、当時外遊の予定のあった森田に将来使用させるため流用したもので、犯情必ずしも悪質とは認められないということをあげております。また、被告人には前科がなく、また、四国放送の社長としてその社会的地位も高いというようなことを指摘されているのでございます。この点につきましても、検察庁におきましては、検事控訴をすべきかどうかについて、特にこの場合は検事求刑との間に著しい開きがありますので、慎重に検討いたしたのでございますけれども、裁判所が指摘しております情状については必ずしも反駁するだけの根拠がない。特に外為法違反につきましては、ひとり徳島地検だけでなく、全国的にこの種の事件はあるのでございまして、たとえば神戸地方裁判所におきましての判決の例を見ましても、千ドルについて罰金二十万円または懲役三カ月と罰金五万円併科というような科刑、千ドル未満につきましては罰金刑に処するといったような裁判例等に徴しまして、この事件だけが特に体刑をもって進まなければならぬというようなことも必ずしも言えないのではないかというような点などを考慮いたしまして、この事件の裁判結果についても必ずしも検察庁としては満足すべきものではなかったのでございますけれども、あえて控訴をしないということに現地で相談の結果なりまして、その旨報告がございました。  その点をつけ加えまして、報告をさせていただきます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 御報告が一応ありましたが、外為の関係とか、あるいは税法の関係とか、そういうことは関係者はたいして重視していないわけなんです。もっとほかの点が実は問題になっておるわけなんです。その問題になったところは、全部検察庁自体が取り上げておらぬわけです。裁判に出された部分についてだけ詳しく御説明があったわけですが、この行為というものは、これは一連の全部続いている行為であって、情状にいたしましても、そんな枝葉末節のところだけを起訴して、それを中心にしての情状ということでは、これはとても世間は納得するものではない。だから、裁判所の説明自体にきわめて私たち不満を感ずるわけですが、しかし、裁判所としては、検察庁が主要部分というものを起訴しておらぬのだから、それはまあ手のつけようがないわけでしょう。  そこで、起訴されなかった部分について、二、三ここでお聞きしたいわけですが、その第一は、前川の自宅建築用の宅地ですね、これが何ら起訴の対象にはされておらないわけですね。これは当初告発人がこの問題を持ち出したときに、担当の検察官は、これはもうきわめてはっきりしておるというふうに大いに意気込んで実は語った部分なんです。それが結論としては全く問題にならぬような処理になっているわけですね。これはどういうふうに検察当局はこの点の理解を最終的にはしているわけですか。私たちいろいろ想像もできるわけですが、一応正式にお答えを願いたいと思う。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) ただいまお尋ねの点につきましては、詳細に取り調べをいたしております。仰せのように、宅地につきましては、かなり複雑な経過をたどっておりますが、昭和三十二年八月九日ごろ、会社所有の土地約二百五十八坪を横領したという告発状第三の主題として掲げられております点につきましては、前川静夫に対する容疑でございますが、この点は、捜査の結果、犯罪の嫌疑なしということになっております。それからまた、昭和三十三年六月二十日ごろ、前川の宅地購入資金に充てるために会社の資金の中から六百八十二万五千円を横領したという容疑につきましては、前川静夫、武市仁一郎、米沢新三郎という人たちが関係の被疑者になっておりますが、これも詳細に取り調べました結果、前川につきましては領得の意思が認めがたいという結論になりまして、犯罪の嫌疑なしという処分になっておりますし、その他の両名につきましては、一応犯罪としては容疑があるという結論になりましたが、すでに弁償済みでございまして、そういう点を考慮して起訴猶予という処分になっております。それからまた、昭和三十二年八月九日ごろに、新聞社の所有の土地約六坪を横領したという前川静夫に対する容疑の点につきましては、これは告発状の中の第三の事実として掲げられております点でございますけれども、これも、捜査の結果、犯罪の嫌疑なしという結論になっております。宅地関係につきましては、ただいま結論だけを申し上げたのでは十分おわかりにくいと存じますけれども、これはいずれも不起訴になっておる事案でございまして、不起訴内府というのは公開をしないという建前になっておりますので、こまかい点につきましての内容の御説明を申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 いや、そういう通り一ぺんの結論だけを聞いているわけじゃないのです。明らかに昭和三十二年八月九日にB勘定から出しました金で買った土地を前川の名義に変えているわけですね。これは横領にならぬのかなるのか。ならぬとしたら、どういう理由なのか。それを明確にしてほしいわけなんです。一説によりますと、これは新聞社の土地なんだと、ただ、脱税等の関係等があってそうして前川名義に変えたにすぎないのだということも言われておるわけなんです。そういうことなのかどうか。もっと私のほうから具体的に聞きましょう。前川が、この前川名義になっておる弓町一丁目一の一というものの土地の購入について、これは金を出しておらぬのでしょう。おるんですか。まずそれからお聞きしたほうが早いかもしれぬわけですが、前川の金を出しておらぬとしたら、それはB勘定から出ているわけです。そこはどうなっておるのです。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) ただいまおお尋ねの点はもちろん捜査をいたしておるのでございますが、それを、まことにくどいようで恐縮でございますが、一々お答えを申し上げていきますことは、結局、不起訴事件にいたしました事実の内容をここで公にすることに相なりまするので、もちろん、この私の答弁では御納得いきにくい点も多々あろうかと思うのでございますが、本件につきましては、訴訟関係人もおるのでございまして、私は、そういう方に対しまして捜査当局のなしました捜査の結果等についてできるだけ御納得のいくように説明をすることは必ずしも不当だとは思わないのでございますけれども、内容を結果において公にいたしますことは、先ほど来申しますように、差し控えさしていただきたいというふうに考えるのでございまして、ただいまの点を知らないで知らないというふうにお答えをする意味ではございません。知ってはおりますけれどもお答えをしにくい状況にあるということでお答えを控えさしていただきたいと、かように考えるわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これは、まあ疑問に思う点がたくさんあるわけですが、その中でも一番この点を私たち筋が通らない処置だと考えておるからお聞きするわけなんです。前川が自分の私宅をそこに建てておるでしょう。しかもそれが自分名義なんだ、その土地が。それが新聞社の財産だなんということは、あの徳島の人はおよそ考えておりませんよ。どっちなのかということをまず……。どういうふうに法律的判断をされたのか。これだけははっきりしてもらわなきゃね。国会というものは何だそんなことも糾明できないのかと笑われますよ。御承知だと思いますが、この件は不起訴部分が非常にたくさん出たわけですが、徳島の検察審査会では自発的にこれを取り上げた。そんな頼りない検察庁に出しても仕方ないだろうというふうに弁護士には言われたらしい。したがって、まあ関係者からは申請したわけじゃないのですが、どうも住民感情からしてこれは納得いかないということで、徳島の検察審査会が自発的にこれを取り上げているのですよ。聞いているでしょう、そういうことも。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) その自発的に取り上げたという点につきましては、まだ私聞いておりませんが、あり得ることでございますし、取り上げても一こう差しつかえないのでございますが、これは亀田先生の御質問の趣旨は私よくわかるのでございますけれども、検察審査会はもちろん不起訴にいたしましたものについて審査する権限を持っておるわけでありますし、また、その審査の結果についての結論を検察庁に対して申し出る権限を持っておるのでございますから、そういう権限のある機関が不起訴内容つまり公表せられてない不起訴内容について一般国民にかわって審査をして結論を出すということは、制度としてあり得る。現にある制度でありますし、それは一こう差しつかえないことではございますが、検察庁の立場といたしましては、御信頼をいただいてその負託にこたえるつもりで鋭意捜査をしたのでございまして、その結論は、先ほど申したとおりでございますが、なぜそういう結論を出したかという証拠の判断の問題や事実の錯綜した関係を逐一申し上げますことは、事件を不起訴にいたしました立場といたしまして、公表することをはばかっておるというのが検察庁の事件に対する取り扱い方でございます。もちろん一般的にどれもこれも公表しないというのではなくて、本件につきましてはこの委員会でも非常に関心を持ってフォローせられたいきさつもございまして、私は一般的に不起訴事件を申し上げるよりもはるかに詳しい内容にまで立ち入ってお答えを申し上げる、これは当然なことだと考えておりますが、今お尋ねのような点の中に入って参りますと、あるいは証拠判断の問題に触れたり、あるいは事実のいろいろな問題のこまかい点を御説明していかなければお答えができないような仕儀になる。この点はこの前の委員会でも特に先生にお願いした次第でございますが、委員会として政府側の政府委員としてその点を詳しく申し上げることは控えさしていただきたいというふうに考えるわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 検察審査会がこの関係者の申請を待たぬで自分から取り上げて調べる、過去においてそんなに例はないでしょう。どうです。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 正確な数字もただいま手には持っておりませんが、過去におきましてこれは非常に少ない数字だと思いますが、絶無ではございませんで、審査会の中には、巷間で伝えられるような情報、あるいは新聞記事等から、何か処置が不公正に行なわれているじゃないかというような心配の向きから、進んで職権で取り上げて調査をしたという例も幾つか聞いております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあともかく検察審査会で扱った事件の総数から見るならば、これは全く微々たるものなんです。だから、それほど地元では非常な関心もあるし、また、検察庁の処分に納得がいかないわけなんです。かたがた検察庁の処分がそのようになったものですから、先ほど刑事局長もお聞きになったような、今度は本筋の問題がさっき申し上げたようにゆらいできておるわけなんです。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 今ちょっと数字がわかりました。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあそんな数字はどうでもいいんです。こっちの郵政関係の問題がああいうふうになっておるのですよ。これはあなたのほうのそんな処分がおかしいからなんですよ、実際は。そうしておれはもう横領とかそんなものは一切ないのだ、やみ取りや脱税なんて普通どこにもあるのだというようなことを言って、今度は逆に圧力をかけてきているわけですね。郵政省の約束もほごにしかねないような空気になっておるわけなんです。処分が間違っておるからなんです。処分がきまるまでは、やはり自分に暗いところがあるのですから、相当遠慮しておったわけなんです。私あれもこれもというわけではないんでしてね。この本人の私宅の建っている宅地、これは現在は前川名義になっているわけなんです。これを前川の所有物と見るのか。所有物と見るのならば、前川が金を出していなければならないわけなんです。そうなっているのか、あるいは、それは名義は前川だけれども、その財産そのものは新聞社のものと見るのか、どっちの見解をとったのかということ、それくらいのことは明らかにしてもらわなければそれはいかぬと思うのですよ。どっちでもよろしいんですよ。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) それを申し上げることは、ここに私資料をたくさん持っているので幾らでも申し上げられるわけでございますが、先ほど来申しておるような意味で、それを明らかにしてさらに次々と明らかにして参りますならば、私がお願いしております趣旨に反することに結果においてなるわけでございまして、お許しを願いたいと思います。  なお、先ほど申しました点で補足しますと、検察審査会で職権で取り上げております事件は、昭和二十九年が一番多い数字を示しておりまして、申立事件の千二百六十三件に対しまして職権事件が四百二十四件、三十一年には申立事件が千九百二十件に対して職権の取り上げが八十九件、これが一番少ないようでございます。三十六年は千三百十九件に対して百十七件ということで、かなり数字がそういうふうにしてありますが、取り立てましてよく審査をなすった結果、やはり検察庁の不起訴処分が相当であるというふうに結論を出した事件も非常に多いのでございます。その点を申し添えておきます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあ法勝劣は検察庁の出先じゃないのですから、もう少しざっくばらんな立場に立ってもらいませんとこれは困ると思うのです。で、この事件を徳島検察庁が片づけたときに談話を発表し、さらに発表文というのを——ここにありますが、これで発表しているわけなんです。これは相当詳細に書いてあります。だから、これはもう明らかになっていることでして、この発表文によりますると、B勘定から支出されたおもなる使途として判明したものは、いろいろこう書いてありますが、その中に前川静夫の私宅建築用宅地などの不動産購入資金、こういうことも一つ書いてあるわけなんです。だから、この見解からいきますと、これはB勘定で結局は買うたものである。この所有者の杉木から買う場合には、そういうふうな理解ができるわけなんです、そうでしょう。これは発表文なんですよ、検察庁の。そういうふうに理解していいですか。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) その発表文はかなり詳細なものでございますが、これは現地におきましてもいろいろ疑惑があるというようなことを私どももこの国会で伺っておりますので、そのことを現地のほうにも伝えておきました。また、現地でも、諸般の情勢から相当詳しく発表したほうがいいという考えになりましてそのような発表をされたものと思いますが、その発表は現地の発表でございまして、私どもがここで政府委員として申し上げることとは立場としましても違いますし、そこに書いてありますことは、私うそだとは申しません、そのとおりだと思いますが、それに敷衍して私が説明することは、先ほど申したような理由で差し控えさしていただきたい、こういうふうに思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあ現地の検察官がこの宅地の性格についてある程度疑惑にこたえるために見解を明らかにしておるのだから、それをもっと説明願うというのは、私は当然だと思うのですよ、これは。ほかのこまかいことを私尋ねているわけじゃないわけでしてね。で、この発表文からいくならば、宅地というのは新聞社の財産の一つなんだ、名義は前川静夫になっているけれども、そう理解せざるを得ないわけなんでありましてね。ところが、それに矛盾することが一つあるわけですね。それは何かといいますと、例の四国放送に対して前川、森田らが五百何十万の横領金、それから税関係等で与えた損害、合計約一千万円ほどあるわけです。ここで明らかに利益を得ているわけなんです、私利を。その弁償を関係者から要求されまして、結局それが訴訟になったわけですが、前川、森田らもそれを認めて払うことになったわけなんです。払うにつきまして、阿波商業銀行から、払うための金を借りたわけなんですね。その際に、阿波商業銀行に対して、この問題の宅地というものを根抵当に入れているわけなんです。検察庁が発表したごとく、これは名前は前川であるが、それはB勘定から出ているので、前川が横領したものとみなさないで、私はこれはもう特にそういうふうに持っていったと思うのですが、新聞社の財産の一つだというのであれば、自分の訴えられた弁償金の担保に勝手にそんなところへ入れることはできないでしょう。この事件が終了してしまった今日、前川はこの土地を売るかもしれぬという話も出ているのですよ。検察庁の認定と全然逆ですよ。だから、これは私たちが検察庁の処分に疑惑を持つのはあたりまえでして、国会でこんなことが論議できないということは、検察庁のやり方がはたしていいのか悪いのか、そういうことがあなた議論できませんよ、処分が済んでしまっているのだから。私はこういうことを大いに明らかにしてほしいと思う、そういう矛盾した事実があるのですから。検察庁の発表では、新聞社の財産になりそうな発表をしているのです。その逆の事実がちゃんと根抵当に入っている。うわさだけじゃいかぬから、私は登記をとらせました。自分の個人的な損害金の支払いのためにこれが抵当に入っているじゃないですか。そうすると、これからいけば、これは前川の財産ということにならざるを得ぬでしょう。それならば、前川はいつ新聞社に一体その金を払ったのか、あるいは杉本に払ったのか、またここに問題が戻ってくるわけなんです。そうでしょう。これは、だから、いずれでもけっこうです、どういう見解であるか。いずれにしたってこれは矛盾しているのです、この処分は。そうして、第一、これは竹内さんは専門家ですから、私の言う意味は十分おわかりになっておると思う。ただ、検察庁の立場を考慮されておるようですか、この不動産の上に建っておる建物は前川の私宅です。これは登記名も前川名義です。社宅ではない。これは新聞社の財産に入っておらぬはずです。そんな上のほうは個人で下のほうだけが会社のものだなんて、そんなことがあり得ますか。こんな矛盾だらけのことを犯罪の嫌疑なしというようなことで処理されるというのは、はなはだ不満です。だから、私は、こういう法律的にもうしろうとが考えたって納得できないような処分をした徳島の検事正を参考人に呼んでほしいと思っております、委員長に。これはむしろ刑事局長にお聞きするのは無理かもしれぬと思います。いかなる理由でこのような矛盾したことを一体やっているのか。ほかにまだいろいろたくさんあるわけですが、時間の都合もありますから、これはどうしますか、竹内さんこれはお答えできませんかね。あなたはあんまりおっしゃらないものだから、私のほうからみんなが感じている矛盾をそのままここで披瀝しておるわけです。私がそんな疑惑を持つのは、お前のほうがそれは思い過ぎであるとおっしゃるのかどうか。決してこれは思い過ぎじゃないと思う。どうなんです。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 亀田先生がいろいろ御質問になる御主張は、よくわかるわけでございます。亀田先生があくまで明らかにして国民の前にその点の疑惑を解きたいという気持と、私が何かいかにもがんばって言わないようにしておおい隠そうとするかのようにおとりいただくのは、これは私としましても実は本意でないことなんでありまして、ただ、この場でこの純司法的な取り扱いにすべきものとされておるこういう仕事の内容を公にしますことが適当でないのでありまして、場を変えまして、どうしても納得がいかないということでありますならば、検察審査会に申し立てをするなり、現に職権で取り上げておるということでございますが、あるいは、いわゆる民主的な方法で検察庁の内部の仕事のよしあしを判断していただく、そういうことによって検察の公正を確保していこうというのが現制度の建前でございますので、場の違うところで議論をしますことが適当であるというのが私の立場でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 私が今お聞きしておる点は、それほど個人の内部問題に立ち入った問題ではないと思います。検察庁が発表した文書、それと現われておるこういう法規面の矛盾、そういうことを整理して申し上げておるつもりなんです。だから、こういうことを説明していかぬというような一体法的な根拠はどこにあるのですか、それを示してもらいたい。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) これはもう私いろいろな機会にこの議場でも過去において何回も申し上げておりますとおり、検察庁の捜査は、強制力を用いてなす場合はもちろんでございますが、かりに任意捜査でなした場合におきましても、その内容は個人の名誉、信用に関するものが多いのでございまして、これを起訴いたしまして公判で審判をするという場合は格別、刑事政策的な考慮のもとに不起訴にいたしたものはその捜査によって得た内容をことさら捜査当局が公表しない、これが捜査の密行という原則から出てくる取り扱い方でございまして、検察当局は今もずっとそういう方針のもとに守ってきております。したがって、その処理の不当であります場合には、上級検察庁に抗告の道も開かれておりますし、現在では御承知の検察審査会という制度によってその内部にもぐっております。もし不公正のものがありますればそれを是正していきたいという考え方に立っておるわけであります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 上級検察庁に抗告という制度は今ありますか。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) ございます。これは監督権に基づきまして、地方検察庁のやった措置に対して不服であるならば高等検察庁、さらに最高検察庁に抗告を申し立てる制度が現在ございます。過去にもございましたが、現在もございます。それに加えまして検察審査会制度が加わっておるわけであります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあその抗告にいたしましても、結局本件は最高検なり高検も全部加わってやっておる結論というわけでありまして、そんなことはもう意味がないのです。そこで、捜査の秘密ということはわかるが、一体検察庁のやられた非常に納得のいかないという問題について国会で論議できないというようなことは、一体どこから来るのですか。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) お答えを二つしなければならぬと思いますが、最高検、高検で協議をしておりますから抗告しても意味がないということでございますが、亀田先生も御承知だと思いますが、検察官は単独官庁という建前になっておるわけであります。したがいまして、事実認定についての証拠の収集その他について上司なり同僚なりがアドヴァイスはできますけれども、その捜査がうまくいかなかったために、手順を誤ったために、あるいは手順で批判をする余地があるというようなことをかれこれ言います場合が今の抗告なり検察審査会なりで結論が違ってきているということで、やはり審査の対象にはなっておるわけでございます。そういう意味におきましては、もちろん裁判機関のように司法機関ではございませんが、司法機関に準ずるものとしての、私どもは現場の個個の検事の良心に従った捜査というものを信頼していかざるを得ないのでありまして、もちろん事件は後になって監督官庁として批判をするということはございますが、そういうわけで、相談してやったことだから、上のほうがきめたことを下の者がそのとおりやったんだからというふうな意味の一般の行政官庁の仕事の内容とは異なるものがあるということをまず御指摘申し上げなければなりません。  それから、国会の審議によりまして、できるだけ国政調査の御趣旨に沿った行政内容を明らかにいたしますことは、私ども行政府におります者として当然な責務でございますが、事の内容が立法府の行政調査の場で御議論をいただきます場合には、私どもの見解をもっていたしますると、無制限、全部まる裸にすべきものではなくして、やはりそこにおのずからなる限界があるということを感ずるのでございます。御承知のように、ある場合に中身のいかんによりましては、上司の許可を得なければ公表できないものもございますし、かりにどこまでも上司が許可しないということになれば、内閣の声明の問題もある、こういうことでございまして、私どもはその間できるだけ御趣旨に沿うように答弁は努めておりますが、こういう問題はやはり検察の本来のあり方プロパーの仕事に直結する問題でございますので、お許しを願いたいというふうに考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 ともかくこれは納得できませんから、検事正を呼んで下さい。刑事局長がざっくばらんにお答えになるんならそれでいいですけれども、検察庁は、これは会社の財産であるかのごとく言い、一方では個人の財産としての扱いをやっておるわけなんです。それを聞いておるわけなんです。こういうことがなされるに至ったこまかい内輪の事情まで聞いているわけじゃない。明らかに矛盾したことを検察庁がやっておって、都合のいいことだったらお答えになるにきまってますよ。こんなことは簡単なことなんだから、それがお答えできないというのは、法務大臣どうですか、お聞きになっておって。わかるでしょう、私の質問がどういうことを言っているか。そんなむちゃなことを私は聞いているつもりはない。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 亀田さんにお答えいたします。  先ほど来いろいろ、私もしろうとでございますが、拝聴しておるわけであります。ただいまの先ほど来の局長の答弁の内容によりますと、不起訴になっておるというそういう捜査の内容というものをこういう席で公表するということがいかがなものだろうかというような点で答弁をここで避けておると、こういうふうに私実は受け取っておるものでありまして、前川なる者の住宅宅地が会社のものであるのか個人のものであるのかということについて、具体的な事実を示して亀田さんから検察庁の取り扱いが矛盾しておるじゃないかと、こういうことのように私拝聴したのでありますが、そういうことを含めまして、まあ問題が不起訴になっておるので、どうも名誉であるとか、あるいはまた人権というようなことを考慮に入れまして、こういう席ではあまり捜査の具体的な内容を公表するということがまあいたしかねると、こういうことだろうと思います。  そこで、先ほど検察審議会にかけたらいいじゃないかといったような答弁があったかと思うのでありますが、そういう道もほかに残されておることでもありますし、そういう機関を通じましてこういうことを明らかにされたほうがいいのではなかろうかと、こういうふうに考えます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この問題は、これは国会の審議のあり方の問題になりますから、私としてもちょっとこれはあとへ引くわけに参りません。これはもっと事実関係を詳しくいろいろ根掘り葉掘り聞こうという質問なら別ですが、これは全く呪われている事実についての法律的な判断をどうしたのかという点をきわめて簡単に聞いておるわけでして、それが言えないというようなことでは、これはもう世間は、この速記録を見たら、検察庁がごまかしておるのだと、これははっきりそう思いますよ。そうでなければないではっきり説明願ったらいいわけですから、これはちょっとおかしいですよ。こんな程度のことがお答えできぬというようなことでは、了解できませんよ。どうせ詳しく質疑をやれば、刑事局長がいずれはそういうことをおっしゃるぐらいのことは、私も想像はしておった。だけど、こんな程度の問題を……了解できませんな。検察庁が発表しておるのですから、その発表文と矛盾しているから……。登記だって、これはあなた公の機関の書類ですよ。初め、この問題については、前川は、自分が外国に行くときの留守中の給料なりそれに若干の金をプラスしてそれで買うようにしたといったようなことを検察庁で言い出した。しかし、これはまあ伝え聞く話です。そうすると、個人のものということになるわけだ。それなら、自分の名前になっているということは、これは一応それで納得がいくわけなんです。それなら、これを根抵当に自分の損害支払いに入れるということも筋が通る。ところが、それを翻したというふうにまた聞いておるわけなんです。翻したということは、結局外遊中の金ではそれを買い取る金額に達しないわけなんですよ。だから、これは実際は新聞社の金で買ったのだ、名義は前川になっているけれども、これは新聞社の財産だと、こう変えてきたわけです。そうすると、検察庁は、はあそうですかといってまたそれをちゃんと認めているわけです。そういう新聞社の財産であるならば、なぜ自分の損害金支払いのために要する銀行からの借り入れに対して根抵当に入れるのか、こういう問題なんですから、こんなことが明らかにできんではだめですよ。これは検事正の召喚をひとつ要求しておきます。したがって、その上でもう一回これは質疑をすることになるかと思いまして、あまり時間をとり過ぎてもいかぬと思いますので、一応これだけにしておきます。

松野孝一自由民主党

○理事(松野孝一君) 亀田君の今の検事正を呼んでこいという要望については、あとで理事会にかけて処置をきめます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 理事会をすぐ開いて召喚を決定してもらえませんかね。

松野孝一自由民主党

○理事(松野孝一君) まああとでやりましょう、稲葉君も残っているし。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それではまたいずれ……。

松野孝一自由民主党

○理事(松野孝一君) 稲葉君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この前外国人登録法、出入国管理令の法的地位に関連をしてお聞きしたわけですが、このときは予算委員会の関係で法務大臣はお出にならなかったですが、おそらくそのときの議事録はお読みになったと、こう思うのです。そこで、あのときの答弁の内容について訂正なりあるいは補足すべき点があれば、法務大臣あるいは入管の局長からひとつ最初に述べていただきたいと思います。

小川清四郎法務省入国管理局長

○政府委員(小川清四郎君) 前回の本委員会におきまして、稲葉議員さんの御質問に対しまして答弁の不十分な点も相当ございましたと思いますので、順序はやや混淆しておるかもしれませんが、大体おもな点につきまして二、三の点を補足的に御説明申し上げたいと思います。  まず、第一番に、いわゆるポツダム政令が廃止になりまして、昭和二十七年の四月二十八日付の法律第百二十六号によりまして一応出入国管理令に法律としての効力を与えた次第でございますが、そのときに、当時、出入国管理庁の長官をしておられました鈴木一氏が、昭和二十七年の第十三回国会におきまして法律第百二十六号法案それから外国人登録法案の審議が行なわれました際に、入管令をそのままにしておいて外国人登録令だけを法律にしておったその事情、それから当時鈴木長官が、この法律は実績を見て将来改正いたしたいと思う、そしてその時期はあと半年か一年ぐらいだと思うという答弁をしておる次第でございます。その点につきまして、稲葉議員から、その後すでに十年もたっておる今日、入管令の法律改正について何ら措置がとられていないと思うが、いかなる理由に基づくか、という趣旨の御質問があった次第でございます。そこで、いろいろと取り調べましたのでございますが、当時、鈴木長官から、時期はあと半年ないし一年というふうな答弁がございましたのは、当時すでに昭和二十六年の十月から翌年の四月にわたりまして日韓会談の予備交渉が行なわれておりました次第でありまして、おそらく、この法律第百二十六号の二条六項に、終戦前から日本に引き続き在留している者並びにその子供の在留資格につきましては、暫定的に何らの資格なくまた在留期間を定めないで在留できるという規定がございますので、そういった規定との関連におきまして日韓会談待ちというふうな事情もあったと想像されるのでございますが、しかしながら、不幸にして当時の日韓会談は予備会談後また引き続き行なわれておりましたけれども、今日までずっと引き続き妥結に到達しておらない次第でございます。そういった外部的な事情のほかに、部内におきましても、一応この入管令を施行していきます上におきまして、いろいろな業務規程その他をまず整備しなければならないというふうな事情がございました。いわゆる業務規程の中には、上陸審査要領とか、あるいは審判規程等々がございますが、その整備に非常に手間取っておったという事情もございました。それから外部的な事情といたしましては、新しい空の交通が非常にひんぱんになってきて、上陸その他の審査につきましてもいろいろな新しい問題が多々起こってきたというふうな事情で、検討を慎重にいたしておりましたために今日まで改正のひまがなかったように考えられます。  それから次には、順序は逆になったかもしれませんが、出入国管理令と外国人登録法の所管の役所の問題につきまして御指摘があった次第でございますが、これにつきましては、当時、総司令部といたしましては、いろいろな問題をかかえておりまして、特に出入国に関する行政は戦前のような内務省警察関係の手で行なわないで、より民主的な新しいあり方を要望されておった次第でございます。そこで、二十七年の四月二十八日に平和条約が発効をするその後の国際復帰等に備えまして、諸外国の法令も検討したあげく、わが国の実情にふさわしい法令を立案いたしまして、昭和二十六年の十月に政令三百十九号でこの出入国管理令を公布した次第でございます。と同時に、この新しい出入国管理行政の所管庁といたしましては、従来の外務省の外局にございました出入国管理庁を法務省の入国管理局に改組しておるのでございますが、その理由といたしましては、当時、外務省といたしましても平和条約の発効を契機といたしまして新しい外交体制の確立に専念するその必要に迫られておった時代でございまして、その場合に、先ほど申し上げましたような新しい立場で出入国管理行政を行なわせる所管庁といたしましてはやはり法務省が一番適当であるという立場に立ちまして入国管理局を法務省に移したわけでございます。その理由といたしましては、この業務自体の内容を見ました場合に、まず、外国人の上陸審査、資格審査、違反審査、すべて法律的な事務でございます点でございます。第二点といたしましては、この審査の制度に三審制度をとっております。最終的には法務大臣の決裁によって不服申し立てによる口頭審理を経まして裁決をするという準司法的な性格を持っておるという点が第二点でございます。それから第三点といたしましては、外国人登録は、いわゆる外国人の戸籍または住民登録とも言うべき性格を持っております。そうして、法務省自体にも国籍、戸籍、登記関係の業務を民事局で所管しておる関係もございまして、やはり登録業務も法務省が主管するのが妥当であるという見解に立ったわけでございます。最後に、外国人の上陸拒否ないしは退去強制の事務というようなものは、やはり外国人の居住権とかあるいは在留権に対する重大な制限でございまして、運用のいかんによりましては基本的人権に関連する問題ともなるわけでございますので、人権擁護の府である法務省に所管させるのが一番適当である。以上申し述べましたような諸点を考慮いたしまして、法務省の所管にいたした次第でございます。  次に、外国人登録法の特徴は何であるか、刑罰法規の面で非常にきびしいのではないか、というふうな御質問がございました。この点につきましては、罰則強化の理由、六カ月以下の懲役または禁錮を一年以下に引き上げた改正、それから新しく登録証の不携帯の罪を設けた理由、いわゆる罰則強化の理由、それから諸外国の立法例との比較、それから登録番号を全国一連番号とした理由というような点で稲葉議員から御質問がございましたのでございますが、それらの点につきましては、富田次長が出席をしておりますので、御了承を得まして富田次長からお答え申し上げたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ただ、最後の点については富田次長から説明があるのはけっこうなんですが、何か聞くところによりますと、法務大臣は、工合が悪いのですか。かぜ気味だとか……。私大臣のほうを早くやって——そうですが。人権を尊重しないとあとでたいへんなことになるから……。それじゃ、法務大臣に関係することだけちょっと先にお聞きしたいと思います。  今も出てきたのですが、出入国管理令、外国人登録法、これに関連するのかどうかわからないのですが、去年のこれは十一月ですか十二月ですかに、あなたの部下の民事局長と入管の局長が韓国へ行っているわけですね。あれはいつごろ行ったのでしたっけ。それからその目的、具体的に向こうに行かれてどういうことをやられたのでしょうか。どういう資格で行かれたのでしょうか。これはひとつ法務大臣のほうから答えてくれませんか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 入管局長と民事局長が朝鮮に参りましたのは、日韓交渉の代表委員の中の一人として行ったと思うのでございまして、まあ当然こういう朝鮮人の法的地位等の問題が議題になるのでありますから、朝鮮の実情を知っておく必要があるという意味で、命じて朝鮮の実情をよく調べていただいたと、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 法的地位の問題というふうなことを言われたのですが、一体、日韓交渉、特に法的地位を取り扱うのは、これはどこで取り扱うことになっているのですか。具体的な法的地位の専門委員会がこれはあしたから開かれるわけでしょう、分科会がね。具体的にこちらのほうの委員はどなたなんで、韓国側はどなたなんで、どこが一体主管官庁みたいになっているのですか。それに対する法務大臣の関与する限度は一体どこまであるのですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 法的委員会の委員には、日本政府からは民事局長と入管局長の二人が正式に委員に指名されておるわけでございます。政府から指名を受けておるわけでございます。  その法的地位の内容のことでございますが、これはもうたびたび申し上げましたとおりに、また、稲葉さん十分御承知のとおりでありまして、在日朝鮮人のほとんどすべてがかっては日本人の処遇を受けておった人々であります。日本がサンフランシスコ平和条約を受諾いたしますとともに、これらのかっての日本人としての処遇を受けておった朝鮮半島生まれの人々が、朝鮮人というふうに日本の国籍を自分の意思によらずに失った、第三国人になられたと、こういうことであります。また、今おる在日朝鮮人の中には、そういうずっと以前から日本におった在日朝鮮人の中から新しく生まれた人もおるわけであります。そういうふうにほんとうの在日第三国人とは若干特殊事情があって趣が違っておるというような意味で、同じ在日外国人でありましてもその特殊事情というものを十分考慮に入れた在日朝鮮人の取り扱いをしなくてはならない。そういう意味で、従来の在日外国人とこれから考えていく在日朝鮮人とは法的にも若干そこに地位が違うものができてくると思うのです。具体的な例を申し上げますと、たとえば生活保護法等は、これは日本国民に適用するための法律でございますけれども、現在は在日朝鮮人で生活困窮者に対しましては生活保護法の適用をいたしておるのであります。  それでは今後の問題はどうかということになるのでありますが、今後といえどもやはりそういう従前からの関係を特殊事情を考慮に入れましてそういう措置を続けなければならないだろう。これは義務教育等についても同じような考え方をする必要があると、そういう点。そのほかいろいろ話題になることはたくさんあると思うのでありますが、そういう問題についても日韓協定の中の取りきめの中に明らかにしておく必要があるということがそのおもなねらいだろうと思います。  私は先ほどから在日朝鮮人という言葉を使っておるのでありますが、日韓協定後に一体在日朝鮮人というものの呼称がどうなるかという問題等もこれは起きてくると思うのです。日韓協定の取りきめの事項の中にはおそらくたとえば韓国人とか大韓国民とか何とか名前がつくのだろうと思うのですが、そういうこと等もやはり協定の中におそらく出てくるだろうというふうに考えております。そういう場合に、広い範囲にわたる取りきめでありますから、一応法的地位と申し上げましても、今ここでそれでは日韓協定後の在日韓国人とか在日朝鮮人がどんなふうになるのかということになりますと、ここで明瞭にかつ具体的に御返事を申し上げますということはなかなかできがたいのじゃないか、こういうふうに実は思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その民事局長と入管の局長が専門委員ですかになっておるのはわかったんですが、韓国側はどういう人が来て、どういうふうになっているのかということと、それから一体法的地位の主管官庁といいますか、これは、法務省なんですか、外務省なんですか。民事局長と入管局長はもちろん法務省の人でしょうけれども、そこはどういうふうになっているのですか。どうもはっきりしませんからお尋ねするのですが……。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 民事局長から答弁をさせます。

平賀健太法務省民事局長

○政府委員(平賀健太君) 韓国側の代表はひんぱんに交代がございまして、私どもも詳しく名前を覚えておりませんが、現在法的地位の関係で私どもの交渉の相手になっていられる方は、弁護士の李天祥という方でございます。その方と私ども折衝を行なっております。日韓交渉の日本側は杉首席以下任命されておるわけでございますが、外務省からもアジア局長、条約局長なんかやはり委員に出ておられまして、法的地位の交渉の際の日常のいつもやります場合には、私どものほうでは入省局長と私がやりますし、韓国側は李天祥でありますが、外務省の関係の代表の方とは常時緊密に連絡をいたしておるわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 私はこの問題を扱うのが、外務委員会で扱うのがいいか法務委員会で扱うのがいいのかというのはちょっと疑問でもありますし、これは大臣に聞いたって聞くのがおかしいかわかりませんが、その点があれですからお聞きしておるのですが、それはいずれにしても——そこで大臣にお尋ねしたいのですが、出入国管理令をいわば大幅に改正をするというか、そういうふうなことが世上伝えられている。私は去年の十二月の二十何日かのテレビでそのことを見たのです。二十何日でしたか、あくる日の新聞には出ておらなかった。朝日新聞にことしになって一月六日にその記事が出ておるのですが、今の出入国管理令あるいは外国人登録法、これらのものを改正をするということは、具体的に今どの程度に進んでおるのかということをひとつお尋ねしたいわけです。まず、それだけお尋ねしておきます。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。  現行の出入国管理令は、昭和二十六年に制定されたものでありまして、その後約十年の間に世界の人的交流が交通手段の発達に伴いまして飛躍的に発展をしておるのでございます。このような情勢に対処いたしまして、出入国の手続を簡易合理化するという面が一つと、それから比較的長期間わが国に在留しようとしておる外国人につきましては、国及び国民の利益という観点から、どのようにその出入国及び在留を管理するかという考え方に立ちまして、現行法令ではまかなえないのではないだろうか、改正をもしするとすればどういうふうにするかといったような点につきまして、入管局におきまして検討を続けておることは事実でございます。まだ具体的にどういうふうに改正をするといったようなものは私のところまでは上がってきておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今の改正はしかし去年あたりから具体的に着手しているんじゃないですか。どうですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○政府委員(小川清四郎君) それでは、大臣にかわりまして、私どものやっております作業につきまして、ちょっと御報告申し上げます。この問題は、ずっと以前から部内でももちろん検討を続けておりましたのでございますが、はっきりした改正準備委員会というふうなものを入管局で作りましたのは、一昨年の春でございます。それに対しまして調査的なわずかな予算も三十六年度以降ついておりますので、目下鋭意検討中、こういう状況であります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その今の改正は、大臣、日韓会談と一体関係があるんですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 日韓交渉等にはかかわりなくこの問題は現在の入管令というものを改正する必要があるんじゃなかろうかということから始まったのでありまして、日韓問題の交渉のために入管令を改正しなければならぬ、そういう意味から改正の検討にかかったものではないと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 しかし、最初に小川局長が言ったのは、昭和二十六年にポツダム政令のときに鈴木という入管の長官ですね、その当時はそれをすぐ改正をしようと言ったのは、その当時日韓会談が始まっておって、あの当時としては今にも妥結するような情勢だった、だから日韓会談待ちという形で改正のお話をしたんだということを言っておるわけですね。小川さんは非常に正直な人だからそういうことを言ったんだろうと思うんですけれども、そういうことからいってみても、日韓会談と関連をしての出入国管理令の改正ということが当然筋道として起きてきたと考えるのがあたりまえじゃないですか。時期的にもちゃんと合っているじゃないですか。そのために入管の局長なり民事局長というのが韓国へそのこともあるから行ったんじゃないですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) お答えします。  先ほどの私の答弁を少し訂正をさしていただきます。日韓問題に全然関係がないと申し上げたのでありますが、それは日韓交渉のために入管令を改正するというそういう意味のものではないということでありまして、もちろん在日朝鮮人と申しますか、そういう外国人に対しまして適用される入管令でありますから、改正したものが平等にそういう在日外国人に適用されることは間違いございません。そういう意味で申し上げますと、日韓交渉等にも当然影響があることはこれは事実であります。昭和二十七年に法律第百二十六号でこの在日朝鮮人の在留期間というものの問題につきまして——まあ今の入管手続によりますと、非常にいろいろな条件、資格条項と申しますか、そういうものが厳密な意味で言いますと非常にたくさん要るわけでありますが、在日朝鮮人にはそういうものがないのでありますから、そういうものがなくても、平和条約発効の日までにいた者は全部一応長期在留を認めるという意味の改正がなされたのでありまして、この法律などは非常に暫定的な臨時立法だというふうに考えていいと思います。改正をするとしますならば、こういうものも含めまして入管令の改正をすることが適当なのではないか、私はそういうふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 改正のことについて最初入管の局長が言われたのは、二つのことを言われたわけですが、一つは、簡易合理化、あとのほうは、国及び国民の利益から管理するということを言われたわけですね。その特にあとのほうの国民の利益から管理するというのは、一体具体的にどういうことになるんでしょうか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) まだ具体的にどういうふうに改正するかということは全然検討中でございますが、たとえて申し上げますならば、現在の入管令で外国人の入国を認める場合に、十六の資格が規定されてございます。で、日本に入ってこようとする外国人につきましては、そのうちのどういう資格に該当するかということを当てはめて見まして、その上で入国を許すか許さないかをきめる。その場合に、その入国資格の中に現在観光客という一つの範疇がございますが、その観光客というものなどについては、入国の要件などをうんと緩和してどんどん入れてそうして大いにひとつ外貨を落としてもらおうではないかというようなことを一つの方向として検討しております。それと同時に、長期に日本に入ってくる貿易、投資その他いろいろな商社活動をする者、そういった長期に入ってくる者につきまして、現在羽田の入国審査などの段階におきましては、きわめて短時間に審査を余儀なくされておりますが、その審査の際にはまあ簡易な手続で入国させて、自後に長期在留の、たとえば一カ月たった段階とか、そういう段階で十分その活動内容にふさわしいものであるかどうかというようなことを考えて在留期間を資格をきめるとか、いろいろな技術的にこまかい問題がございまして、どういう方法をとるべきか、どうすべきかというような問題の所在の発見、並びにAの方向、Bの方向、Cの方向といろいろあるが、どれが妥当であるかというようなことを検討しておる段階でございまして、こうしなければならないというきまったところは、まだまとまっておらないわけでございます。現在の段階におきましては、局内の意見を総合調整していくという段階でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今の次長の言われたのは、国民の利益から管理するというその国民の利益が、たとえば観光客がドルを落すとか、日本に対して投資をするとか、貿易をするとかという、まあ日本のいわば——言葉はちょっと雑ですけれども、プラスになるというふうな見方の国民の利益というふうなところを今次長は取り上げたと、こう思うわけですよ。しかし、そればかりじゃなくて、その国民の利益ということの中には、一つの非常に大きな問題として、日韓会談がかりに成立をする。そうすると、日本における永住希望者、これらについては、その数を制限をする、そして国民生活を保護するのである。それが日本の国民の利益なんだと。それから日本に永住する永住希望者というふうなものについては、日本と特別な関係がある国、特に親交状態のある国を優先的に取り扱うとか、こういうふうな形で国民の利益を守ろうというか、あるいはチェックしようとするか。こういうようなことが考えられているのじゃないですか。ですから、この国民の利益から管理するという意味の中には、日本に対する永住希望者についてはその数を制限するのだ、こういうことが一つの大きな問題として考えられているのじゃないですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 確かにただいま御指摘のとおり、そういう問題についても検討しております。ただ、その考え方に立ったある考え方といたしまして、たとえば一定の要件を備える者について永住的な移住を認めるかどうか。その認め方についても、かつて現在の日本人である者の子供とかその配偶者という者については、これはもう割当問題なしに優先的に入れていくが、そうでないたとえば離散家族であるとかそういった者については割当移住というような考え方で認めていくべきか、またはそういうような方法をとらないで無制限に入れるような建前をとるべきかどうか。そういうもろもろの点を検討しておりますわけですが、いずれの方向に持っていかなければならないという結論は、まだ出ておらない状況でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 一月六日の朝日新聞の朝刊に、「出入国管理令大幅に改正、法務省で検討」という記事が出ておったのは、これは御案内のとおりだと、こう思うのですね。日本の新聞で出たのは、朝日新聞だけだと思うのですが、それを見ると、「手続を簡単に」という大きな見出しのあとに、「不良外人の取り締まり強化」、こういうようなことが書いてあるのです。このあとのほうの不良外人の取り締まり強化ということ、これは今度の出入国管理令の改正と関係があるのでしょうか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) ただいまの問題につきましては、現在でも好ましからざる外国人の入国については、いろいろ配慮いたしてございます。たとえば、退去強制になった者は一年間は入れないという規定もございますので、そういう者のリストを作ってそれの入国をチェックするなど、いろいろ考慮いたしてございます。また、観光客として入ってきた者がキャバレーなどでストリップをやるというような資格外活動をする場合には、それを規制するような方法もございます。ただ、現在の規制の仕方も、非常に網の目が大きいと申しますか、在留期間を更新する段階において、あの外国人はたとえば学生として入ってきているけれども、まじめに学校に行っているのだろうか、いやパチンコ屋の店員をしているのだ、そういう者は学生としての在留を認めるわけにいかないのではないかというようなチェックの方法も講じてございますが、たとえば学校をやめてパチンコ屋に行った段階ですぐ発見するということもまた非常に困難でございます。また、そういった者が就職しようとする場合に、その雇い主のほうで無条件で雇ってしまう。現在密入国者でも簡単に雇ってしまうような状況にございます。そういった意味から申しますと、最初の在留資格をきめてそれにふさわしい活動をする外国人だけの入国を認め、そのふさわしい在留活動をさせるという面で、いろいろまだ足らない点がございます。そういう点もいろいろ学校を転校する場合には学校のほうから何らかのそういったいろいろな面で現在は抜けているところをなんとか手当しなければならぬのではなかろうか、そういう面で検討しているわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この前私が質問したところで、きょう富田次長が答えることになっていたのを途中で別の質問に入ったのですが、各市町村役場に登録の番号があったのが、全国一律の登録番号にしたわけですね。それを今度の改正では、さらに市町村で取り扱っている外国人登録を出入国管理事務所が行なうようにするのだ、そうしてこれを一本化して、いわば中央集権にするというか、こういうようなことが改正案として考えられているようなんですが、この点はどういうふうなんでしょうか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) まだそこまでは考えておりません。ただ、現在の外国人登録制度と在留管理制度との間に非常にぴったりいかない面と申しますか、たとえば、外国人が在留期間の更新の許可を入管当局から受けますと、その足で今度は市町村の役場に行って、期間更新になったということを届けなければならないというような、外国人にとって非常に不便な面がございます。また、いろいろな居住地の変更などを市町村役場に届けます。その届けたものが、やはり在留管理上必要なので、入管の事務所に参るわけでございますが、その間に非常な時間がかかる。やはり、在留する外国人の便宜のためにも、また、事務の簡素化合理化のためにも、何とかその間の両者の関係をもう少し調整していく必要がないか、そういうことを検討いたしておりますが、何せ市町村の仕事を入管の事務所に吸収するなどということは、組織の問題の上からいきましても、予算、人員の上からいきましても、非常な困難な問題がございますし、なかなか容易に結論は出せる性質のものではないと考えております。ただ、両者の関係をいかに調整すれば合理的に参るかということを検討しておる段階でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 前にちょっと質問した、各市町村役場ごとの番号だったのを全国一連番号にしたと思うのですが、これはいつごろどんなことからこういうふうにしたのでしょうか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 最初第一回目の登録が行なわれましたときは、各市町村で用紙、寸法ばらばらに登録証明書を印刷いたしまして、それで第一回の登録を実施したわけでございます。その結果、いかにも不体裁でもございますし、同じ番号が全国にたくさんございますわけで、二重登録であるとか、虚偽の登録であるとか、いろいろ事務上非常にまずい面が出て参りましたことと、やはり一つの国家行政でございます関係上、市町村に印刷させるということよりも、国が印刷して一括配付するということのほうが先ほど申し述べましたような意味からも望ましいというので、第二回目の登録のときから法務省が印刷いたしまして、一連番号をつけて全国に配付する、こういうことになっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、結局、要点は、外国人管理の便宜上というか、効果をあらしめるためには、市町村ごとよりも、全国一連番号にして、全体の情勢を法務省当局が握っておったほうが管理の上にいいと、こういうふうに結論としては承ってよろしいわけですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) その意味と、やはり国家行政であります関係上、法務省が一元的に紙質その他統一したものを配付することが当然であるという両方の意味が含まれております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 国家行政で一元化するということならば、市町村役場に事務を委託するのではなくて、入管が全部取り扱ったほうが、筋として一元化するし、今法務当局の考えておるいわゆる外国人管理の目的からいえば、そのほうが目的を達するのじゃないですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) この入管行政が民主的な形で発足いたしましたのは、終戦後、昭和二十五年、実際は二十六年からでございますが、その当時から、仕事の量につきましては、出入国者の数、在留資格業務の数が約十倍にふえております。それにもかかわらず、人員、予算の面ではきわめて微々たるものしかしておらない。非常に苦しい事情でございます。したがいまして、本来ならやはり国家行政でございます関係上、十分な委託費も出さないで市町村にお願いするということはまことに心苦しい結果で、そうあるべきなのが理想かもわかりませんが、現在の情勢においては、まず現在やっておる仕事を充実整備していかなければならないという方面が非常に大きな課題になっておりますので、現在のところはそこまで検討する余裕がございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 大臣にもう一つだけ国籍に関連することだけお伺いして、どうぞ大臣はお休みになってけっこうですが、一体、日本にいる約六十四万の外国人、そのうち九割が、これは朝鮮人というのか韓国人というのか、どうもはっきりしないわけですが、一体、朝鮮人と韓国人というのはどうやって区別するのですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) お答え致します。  現在の日本政府の取り扱いといたしましては、南も北もない、全部在日朝鮮人ということで処遇をしておるわけであります。ただ、婚姻届の際であるとかなんとかいうときに届を出す在日朝鮮人が、国籍のところに韓国といって記入をしてくる場合は、そのまま認めておる。別に韓国と記入しなくてただ朝鮮と書いたものも受け付けておる。これが現実行なわれておる在日朝鮮人に対する処遇であります。  そこで、今、韓国人と在日朝鮮人をどういうふうに分けるかというお尋ねがあったと思うのでありますが、これは日韓協定が成立をいたしましたときに、韓国人という言葉がきっとどこかに出てくると思うのです。その際にはやはり韓国人という処遇が新しくそこにできると思うのでありますが、それでは韓国人と韓国人でない在日朝鮮人との間に処遇に差別をつけることができるかといいますと、そういうことは絶対にできないと思うのです。でありますから、私は、率直に申し上げますと、日本政府としては、在日朝鮮人というものは、南であろうが北であろうが、韓国人と言おうが言うまいが、そういうことで差別をしてはならないという考えに立ちまして、そういう立場から入管局長や民事局長が交渉に当たっておられると思うのです。これはこの前の委員会のときに稲葉さんに私そういうことを申し上げたのでありますが、今日も同じような考え方に立っておるわけでございます。ただ、日韓交渉が成立した後におきまして、公文書その他のもので韓国人ということができる場合があり得ると思うのですが、そういう国と国とが大使を交換し合って独立を承認し合うといったようなときになって、なお、いや韓国人は日本政府は認めるわけにはいかないとかいうことはやはり言えないだろうと思うのです。そういうときには、当然韓国人というものを認めざるを得ないだろう。しかし、そういうことがあっても、なお在日朝鮮人には違いないわけでありますから、韓国人とならない在日朝鮮人に対する処遇も同じでなくちゃならない、これが私の考え方であります。でありますから、朝鮮人と言った場合と韓国人とあった場合に、国籍の仕分けはどうかと言われますと、事実上仕分けができないのじゃなかろうか。第一、在日朝鮮人の中で、だれが北鮮人なのか韓国人なのか、あるいはその両方を名乗らない在日朝鮮人もあり得ると思うのです。自分は北鮮でもない、韓国でもない、私は統一朝鮮人だと、こう言う人もきっとあり得ると思うのです。私らが知っておる限りの朝鮮人には、そういう人の数のほうが多いのじゃないかと、こういうふうな現実から見ましても、実際問題としてそういう識別なんかは事実上できないのじゃないか、こういうふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 どうも、わかったといえばわかったし、わからないといえばわからない答えですがね。そうすると、結局、国籍は当然世界人権宣言なり国際法の原則からいっても当事者が選ぶ権利があることは、これは認めるわけですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 在日朝鮮人の場合に、国籍を自由に選ぶ権利があるかどうかという問題は、私は非常にむずかしい問題じゃないかと思うんです。じゃだれかが在日朝鮮人の国籍をきめるかというと、それも私はなかなかむずかしいんじゃないかと思うんです。したがって、できるだけ摩擦のないような考え方でいきますと、朝鮮半島で生まれて朝鮮籍を有する在日朝鮮人といったようなことだろうと思うんです、実際問題。ですから、本人が自分は韓国だとか韓国じゃないとか、そういうことが一体今日の現在のあれで言えるのかどうか。それを日韓交渉の内容によっては言えるようになるんじゃないかと思うんですが、今の段階では、私ははたして国籍を自由にきめることができるかどうか、これは非常にむずかしい問題だと思っております。建前としましては、国際法上国籍を選ぶ権利は当然最大の人権の一つとしてあるわけですが、在日朝鮮人の場合のみは非常にむずかしいんじゃないか、こういうふうに実は考えています。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、外国人登録法は、外国人の身分を明らかにすることが一つの目的になっていますね。登録法第一条で、「外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ、」る。その身分関係の中には国籍が入っているというのは、これは今までの入管局長の答弁だし、これは当然過ぎるくらい当然なことだと思うんです。そうすると、外国人登録の場合の国籍欄の記載はどうもはっきりしないんですが、具体的には一体どういう意味を持っているのですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) ちょっと先ほど言葉が足らなかったかもしれませんが、在日朝鮮人の場合は、朝鮮人ということで今日まで通っておるわけなんです。それで、私がなぜ在日朝鮮人が国籍を自由に選ぶことができるかどうか非常に理論的にむずかしいと申し上げたのは、たとえば三十八度を中心に考えてみて、三十八度から南に住んでおる人でも、自分は北鮮だと言う人もおるだろうし、それから三十八度から北のほうで生まれて北のほうに籍がある人でも、南だと言う人もあり得ると思うのです。そういうことを日本政府が一体決定することができるかどうかということです、本人の申し立てによりまして。そういうむずかしい問題があって、普通の外国人をただ国際法上国籍を本人の意思によって自由に定めることができる、それがそのまま適用できるかどうかというのが私は非常に在日朝鮮人の場合はむずかしい、こういうことを申し上げたのでありまして、入管令による国籍というのは、届出を出す人が朝鮮と書かれたら、今まではそのままで来ておるわけです。今後の取り扱いも、やはり韓国と書いても朝鮮と書いても同じように扱っていかなければならないのじゃないか。その差別はできないんじゃないか、その処遇につきまして。私は、そういうふうにただいまのところ考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 日韓交渉は、日本と韓国との間の交渉だけです。条約がかりにできると、それは三十八度線以北の朝鮮人には効力がないわけですね。これははっきりしている。そうすると、日本にいるいわゆる在日朝鮮人、それは、いずれにいたしましても、日韓会談が成立するかどうかは別として、同時に韓国人であるかいわゆる北朝鮮人であるかを自分自身で区別するとか、あるいは日本の政府が区別するとか——日本の政府は外国人の国籍を区別するわけにいかぬでしょうから、自分自身で区別することになると思うのですが、その辺一体どういうことになるのですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) その問題を含めて先ほど実はむずかしいと申し上けたのですが、たとえば、三十八度かう南にいる者を韓国人だといって韓国政府が決定することは私はできないと思うのです。日本政府が朝鮮人をつかまえて、あんたは北鮮政府、あんたは韓国政府というふうに認定することはできない。と同時に、韓国政府も在日朝鮮人に対してはできないと思うのです。そういう点から考えて、本人みずから韓国だといって登録をされる場合も認めざるを得ないだろう。また、本人が南に住んでおろうが北に住んでおろうが、朝鮮ということで登録をされる方は、これも認めざるを得ないだろう。こういうことが、将来の問題でなくて、今田においては私はそう考えるほかない、こういうふうに実は思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 三十五年の十二月二十三日ですか、やはり参議院の法務委員会で、これは入管の次長をやっている臼田彦太郎君、この人が、きょうはおられませんが後藤さんの質問に対して、こう答えているわけです。「在日朝鮮人につきましては、登録関係がございまして、韓国という表示をする者と、朝鮮と表示する者と、こうあるわけでございます。韓国という形において登録されている人たちは、一応大韓民国人という扱いをしておるのでございます。」、こう答えていますね。そうすると、外国人登録の国籍欄に韓国と書いてあれば、一応大韓国民という扱いをしているのじゃないですか。「一応」という意味もはっきりしませんが、そういうわけですね。それはどういうのですか、意味がはっきりしないのですが。

小川清四郎法務省入国管理局長

○政府委員(小川清四郎君) 大臣のお答えすべきところを、私からお答えさしていただきたいと思うのでありますが、外国人登録法上、つまり日本の外国人登録制度といたしましては、御承知のように、幾つかの記載事項の中の最初に国籍欄がございまして、一般の外国人から申せば、無国籍でない限りはすぐに国籍欄に記入ができるのでございますけれども、先ほど来申し上げましたように、戦前から引き続きおりまして平和条約の結果日本国籍を失った者並びにその子供につきましては、特別の状況にあるわけでございます。法律第百二十六号に該当する者は、国籍がまだ未分明と申しますか、そういう状況にあるのでございます。最初は、登録法上の扱いといたしましては、一律に朝鮮と書いておりまして、それがその後の経緯によりまして、この事情につきましては何度もお答え申し上げましたような事情がございまして、特別に韓国籍を名乗りたいという者につきましては、韓国と書かせるという事情がずっと引き続き残っておりますので、その点を稲葉先生が御指摘になったものと私は存ずるのでございますが、この問題はやがて日韓交渉の問題として問題になる点でございまして、ただいまのところ日韓協定がかりに成立しました暁におきまして在日朝鮮人に日韓協定の、具体的に申し上げますと協定上の永住権を与えるかというふうな問題につきましては、まだ双方で協議中でございますので、ただいま協定成立後を予想をしましてどういうふうな状況になるかということにつきまして、はっきりとお答えのできない状況にございますので、御了承いただきたいというふうに存じます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 韓国という形で登録されている人は、一応大韓国民だ。それじゃ、朝鮮という形で登録されている人は一応北朝鮮人民民主主義共和国の人間だと、こういうふうにならなければ筋道が合わないんじゃないですか。そこはどういうふうになっているのですか。臼田さんがこういうふうに答えているわけでしょう。韓国という形で登録されているのは一応韓国人だと。そうなれば、それを除いたものは北朝鮮人だという形にならざるを得ないのではないですか、論理的に。どうなっているのですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○政府委員(小川清四郎君) 国籍欄に韓国と書いてございましても、朝鮮と書いてございましても、登録法上の扱いには差別をつけないという方針でずっと来ておりまして、当時の臼田次長のお答えもその線に沿ったものと、こう存ずる次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 韓国と書かれようが朝鮮と書かれようが特別の意味がないというなら、それを変更することも特別な意味がないわけですから、自由に認めたらいいんじゃないですか。これはどういうわけで認めないのですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○政府委員(小川清四郎君) その点につきましても、従来入管側からいろいろ御説明を申し上げておると存じますのですが、韓国という字を使う場合には、まあ種々の事情もございましたけれども、きわめてまれな場合に認めるという状況で、その方針で続けてきておりますのですが、やはり国内におきまするいろいろな摩擦とか紛議とかいうものがこういった国籍欄の記載の仕方によりましていろいろ起こってくるということにつきましては、日本政府といたしましても十分にこの問題に巻き込まれると申しますか、そういうことはできるだけ避けたいというので、現在におきましてはなるべく特別の場合を除きまして、国籍欄の記載の変更はなるべく避けさせたいという方針でずっと来ております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 特別な理由がない限りは変更させない、これは二十六年の二月からでしょう。そうですね。特別な理由がかりにあって変更した場合には、これを一々本省に上げろということにいたしております。これは富田さんが岩間さんの質問に対して去年の十一月一日に答えておられますね。「指令によって書きかえを認めたのですが、そのため起こる摩擦がひどいために、二十六年の二月から特別の事由がない限り朝鮮から韓国、韓国から朝鮮、これについても認めないように、特別な事由がない限り。そうして受理した場合には本省に上げろということにいたしております。」、こういうように富田次長が答弁しているわけですね。この国籍欄の記載が大臣の言うように何ら意味がないのであるというならば、何らそれを変えることも自由であると思うし、かりに変えたところで一々それを本省まで引き上げてきて本省へ報告させるとか、そういうようなことまでしなければならないという理由は一体あるのでしょうか。大臣、どうでしょうか。実際どうやっているのですか、その取り扱いは。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。  現在取り扱っておるのは、稲葉さんのおっしゃるとおりに取り扱っておるわけですが、その事由は、事務的なそういう複雑さを避ける意味において一応安定さしておる、こういうことだと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 いや、その変更を認めないなら認めないで、これは一つの考え方ですから、これは事実今やっているわけですが、あとから質問いたしますが、実際には片寄ったやり方をやっておるのですが、これはあとで私質問するとして、大臣の言うように国籍欄の記載が全く意味がないというなら、それを変えたところで、それを法務大臣に報告をさせろというのですか、報告することになっているのですか。これは次長が詳しいから、次長に聞いてもいいのですが、そんなことまでする必要はないんじゃないですか。これは大臣、「本省に上げろということにいたしております。」という意味はどうなんですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) ただいまの点につきまして、前回答弁いたしたところとその後調べたところと少し相違しておりますので、補足して申し上げたいと思います。必ずしも全部局に上げさしておるのではないのであります。御承知のように、一番最初は朝鮮ということで一緒に登録されておりました。それがその後韓国政府の要望もありまして、それを受けて総司令部のほうから、韓国のほうの要望もあるから韓国という記載をしてやったらどうかというサゼスチョンがございまして、こちらとしてはそういう取り扱いにいたしまして、別に国籍としての意味を持たせるものではないけれども、ただ呼び方の問題としてそう希望するならばということでスタートしたわけでございます。ところが、それが一、二年その運用状況を見ますと、その間もちろんまあ朝鮮動乱もあった関係でございましょうが、かなりその問題をめぐって在日朝鮮人の間でトラブルがあった。したがって、同一家族内で朝鮮と韓国という登録上の記載が違っておるとか、あるいは婚姻して一緒になりたいとかいうような特別な事情がない限りは、ひとつこれをやめてもらおうじゃないかという取り扱いにしたのでございますが、やはり最初に朝鮮一本でございました関係上、そういう関係から韓国のほうへ移っていくのを希望する者が、韓国のほうにそろえたいという希望が多い関係上、なるべくもう変更を認めるなという指示をしたにかかわらず、惰性で韓国の者が少しずつその後もふえておるということは事実でございます。韓国のほうに記載を希望する者がふえておるということも事実でございます。それで、最初朝鮮人だった者が一たん韓国になった、また、朝鮮に戻ってまた韓国に戻って、また朝鮮に戻るという、行ったり来たりされることは、市町村の窓口の事務が非常に煩瑣にもなりますし、またいろいろそれが在日朝鮮人間の紛争にも利用されるということがあってはまずいため、朝鮮から韓国に行く場合にはおおむね市町村で処理し、韓国から朝鮮に移る場合には本局へ上げさせるということになっているわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 だんだん話が核心に触れてきたと言うと誤弊があるのですが、核心に触れてきたのですが、朝鮮から韓国へ希望する者が多いということを今入管次長が言われたけれども、それは具体的に数字としてそういうようなことが現われていますか。どういう統計がそういうことになるのですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 一九五五年でございますから昭和三十年でございますか、三十年までは、法務省としてもこういう発表をしておりましたし、その発表の数字を見ますと、現実に七、八千くらいずつは毎年ふえております。その後は、今申し上げたような事情で、それが利用されるということで発表を中止しております。しかし、若干ずつふえております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると発表はしていないけれども、若干は増加しているということは、発表は一九五五年一月まで、それ以後は発表していないけれども、法務省としては国籍欄の記載が韓国であるか朝鮮であるかということの統計はとっておるわけですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) とっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 じゃ、何の意味もない国籍欄の記載、それを一体変えたということで法務省でその統計をとる必要がどこにあるのですか。何の目的でそういうふうな統計をとっていく必要があるのですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 特別それによっていろいろ在留上の処遇を異にするとかなんとかいうことはございませんが、やはりそうした傾向があればこれをつかんでおくということも別に意味のないことではないと思います。市町村の窓口においてそういうことの事務量を把握するというようなことなども、そういう事情でそういった申請が市町村の窓口にどのくらいあるかというようなことなんかも、事務量把握の一つの方法にもなります。ただ、従来からその点につきまして稲葉先生はじめいろいろ御指摘なさるので、この問題について、実際区別の意味をわれわれとしては認めておらないので、一切禁止してしまうか、一切野放しにするか、そういう点なんかもこれは当然検討しなければならないのではないかという工合に考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ今の国籍欄の記載が変化をしてきた過程の統計は法務省当局にあるというのですから、これはあとでまた必要なときに出してもらうとかなんとかいう方法は、理事会に諮るとかそういう形でやっていきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、今のその資料があるとすれば、これは早急にひとつ出していただきたい、こういうふうに考えます。何の意味もないのだし、たいした影響がないというのなら、出していただくことが刑に入管としても——その後の変化ですよ。何の意味もない国籍欄の記載というのなら、それを出していただいたところで別にたいした弊害もないから、ぜひ提出していただきたい、こういうふうに考えます。その点どうですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○政府委員(小川清四郎君) ただいま次長からるる御説明をいたしましたとおりでございますが、資料につきましては、手元にあります資料がおそらくやや古い資料になるかもしれませんが、これは登録の一斉切りかえ時等において一時とめるというような技術的な問題もございますが、なるべく、新しい資料を出すことにいたします。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 古いほうの資料も何もないのですから、年度別の増減を見ればいいのですから、古い資料も何もない、それでいいのです。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 古いと申しましても、数年も十年も古いという意味でございませんで、たとえば三十五年とか手元にそろいます程度のものを……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 年度別のを、発表しなくなってからのやつを出して下さい。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) そういうものです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 理事会に諮るとかなんとかいうことはそれまでの必要はないと思いますから、それは撤回します。  そこで、今明らかになってきたのですが、朝鮮から韓国へ国籍欄を移すときには、これは大韓民国国民登録証というようなものをつけてやっているわけですか。大韓民国国民登録証というように文書をつけて、これは韓国の駐日代表部の発行しているもの、これをつけて、そうして朝鮮という国籍欄から韓国という国籍欄へ切りかえるのをやっているわけですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) そういう書類をつけさしているそうでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 外国人登録法の第九条第一項、(居住地以外の記載事項の変更登録)に、「その変更を生じたことを証する文書を提出して、」、こうありますね。この「証する文書」に韓国の駐日代表部の発行している大韓民国国民登録証というのは該当するわけですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 本来この九条の規定をそのまま持ってきたことについては、われわれとしてもいささかどうかと考えている次第でございますが、この規定を準用してそういう書数を出さしているという工合に御理解いただきたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 韓国から朝鮮へその国籍欄を変えるときには、こういう駐日代表部がないから、いわゆる公文書を添付することができないんじゃないですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) お説のとおり、添付することができないわけでございます。しかしながら、今韓国の代表部の証明書をつけるという問題も、できるだけそういう方法で市町村の窓口で混乱をなくするという意味で添付さしているわけでございます。それからその逆の韓国から朝鮮に移ります場合には、そういった証明書は取りませんが、そのかわり本局に上げさして、その事情がもっともであるということがわかれば、たとえば家族の中で一人だけ今度お嫁に来たのが韓国である、韓国という記載の登録証明書を持っているというような疎明資料がございましたら、それで認めているという工合に承知しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 一方は市町村の窓口でその変更を認める、一方は市町村の窓口では変更を認めないで本局へ引き上げさして内容をしさいに検討してから認める、こういう取り扱いは、そこに差別があるんじゃないですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 形式的には確かにそういう取り扱い上の差別がございますが、やはり最初朝鮮一色であったものが韓国になっていくという場合とおのずから趣を異にするのじゃないかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 日韓会談の初めのときに——法務大臣、この質問最後ですから。大臣に対する質問は最後なんですよ。日韓会談の最初のときに、日本にいるいわゆる在日朝鮮人というのは全部韓国人なんだ、こういう主張をしておったんですね。これはどういう根拠でこういう主張をしたんでしょうか。その後この主張は変わってきているんですか、どうなっているんですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) その会談の内容については、私もまだ経過もそれから結論みたいなことも実は聞いていないんです。ですから、その内容について申し上げることはちょっとできませんが、先ほど来の稲葉さんの御質問のことについて若干私補足したいと思うんですが、日本が平和条約を締結いたしまして以来の在日朝鮮人というものの国籍記載欄は、全員これは朝鮮だったわけです。その後昭和二十五年に連合国最高司令部から韓国と記載するようにせよという覚書が発せられた。それで、日本政府としましては、本人が希望する場合には国籍欄に韓国と記載するようにしたわけなんです。そういうことでありますから、今日までの韓国人と朝鮮人というものに対しましての何らの意味もなかったわけなんです。全く同じだったんです。朝鮮と記載しようが、韓国と記載しようが、何らの内容的な差別は受けなかった。ただ本人が希望するのであるならばということで韓国という書類をつけておったと、まあこういうことであります。  それから日韓会談の当初にどういうことが言われたか私もよく存じませんけれども、在日朝鮮人を全部大韓民国国民というように要求をしたかどうか、それはよく存じませんけれども、そういうことは私は成り立たないのじゃないかと、こういうふうに思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ、民事局長はこの点は御存じですか。最初日本政府が韓国側に、日本国と大韓民国との間の友好条約というのを示した。その第四条で「日本国及び大韓民国は、一九四五年九月二日以前のいずれかのときより日本国に引き続いて居住する朝鮮人を含むすべての朝鮮人が大韓民国国民であって日本国民でないことを確認する。」というふうな態度を日本として提案をしたと、こういうふうなことについては民事局長はどうですか。

平賀健太法務省民事局長

○政府委員(平賀健太君) 従来の日韓交渉におきましては、非公式に日本側からあるいは韓国側からいろいろの案が出されておることは事実でございますけれども、私どもとしましては、その提案の内容というものは外部に公表されておりませんし、その点の内容につきまして私どもからどうも申し上げる立場にないと申しますか、申し上げることは差し控えるのが至当ではないかと思うのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは、最初の第一次会談の際に日本側が韓国に示した友好条約の草案なんですよ。しかし、これはまあ今ここで論議したところでなんですから、別の機会に私のほうで明らかにしたいと、こう思うんですが、それから韓国へですね——これは入管のほうですが、韓国へいろんな条件で一時帰国する人がいる。たとえば、父親が死んでしまった、お墓参りしたいとか、葬式したいとか、こういうふうなことで韓国へ一時帰国するためには、これは国籍欄の記載を韓国としておかないというと、この韓国の駐日代表部ですか、ここの旅券というか、ビザというか、それがおりないので、どうしてもそういう関係から、韓国へ一時帰国するような場合には、いわゆる国籍欄を切りかえないというと韓国へ帰れないんじゃないですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○政府委員(小川清四郎君) ただいまの御質問でございますが、墓参その他いわゆる単純な目的で再入国の許可を申請してきました場合に、その都度在京の韓国代表部の証明を持っていかなければならないかどうかという御質問だと思うのでございますが、われわれといたしましては、韓国の代表部でどういうふうな扱いをしてどういうふうな証明書を出しているか、完全には存じておりませんので、どういうふうな建前で証明書を出しているかということにつきましては、必ずしもつまびらかにしておりませんのでございます。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 再入国の許可を与えます場合には、旅券を持ってこいということになっております。ただ、韓国政府がどういう者に旅券を出すかということについては、日本政府は関知しておらないということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうじゃなくて、再入国の場合でなくて、こっちから出る場合ですよ。日本にいる朝鮮人か韓国人かもはっきりしない在日朝鮮人、これが韓国へ墓参なりいろいろな関係があるでしょう、帰る場合には、一体どういう手続をとるのですか。どういう手続をとって日本から正式に出ていくのですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) それは、永久に韓国へ帰るというのでなくして、一度帰ってお墓参りをしてまた日本に戻ってくるということになりますと、再入国の許可というものをもらって参りませんと、もう、一ぺん出てしまいますと、出国ということになりまして、従来戦前から引き続き在留しておったという資格がなくなるわけであります。入ってくる場合には、新たなる入国手続が要るわけでございます。したがいまして、墓参あるいは父母の危篤等で帰ります場合には、再入国の許可を入管当局からもらって帰る。それさえ持っておれば、一定の期間内に帰ってくれば入国は許される。墓参で戻ってくるような場合には、今のような手続でございます。それとも単純出国の場合を……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 いや、あらゆる場合があるでしょう。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 日本として外国人の帰国する自由をとめる規定はございませんので、その外国人が自分の本国に帰る場合にどういう旅行文書が要るかということになるのじゃないかと思いますが、その点につきましても、どういう工合に処理しておるかということは、向うの政府のやっていることで、わがほうは関知しない。単純出国の場合には、韓国政府の旅券を出す場合とそれから旅券にかわる簡単な旅行文書というようなものを出す場合と二通りあるように聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 整理して聞きたいのですが、日本にいる在日朝鮮人ですよ、それが韓国へ帰る場合に、向こうへずっと行ってしまう場合もあるし、旅行なんかで行く、あるいは墓参でも行くでしょう。とにかく向うへ行って、こっちへ帰ってくる場合もあるでしょうが、そういう場合に、出入国管理令ですから、出のほうも関係するわけですから、日本の入管としてはどういう手続とるのですか。それと韓国の在日代表部との関係は一体どうなりますか。韓国へ帰るのでしょう。韓国へ帰るのだから、日本にいる朝鮮人が日本の入管とどういう関係になるのか、あるいは日本にある駐日代表部との関係はどうなんですか、手続は。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 入管令の規定によりますと、(出国の手続)は、「本邦外の地域におもむく意図をもって出国しようとする外国人は、その者が出国する出入国港において、入国審査官から旅券に出国の証印を受けなければならない。」「前項の外国人は、旅券に出国の証印を受けなければ出国してはならない。」、これが単純出国の場合の規定でございます。したがって、出国するという者が旅券を持って港に出て参れば、そこで出国の証印を押してやるということになるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その旅券はどこが出すのですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 韓国人の場合には、韓国ミッションでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、韓国の駐日代表部で出すわけでしょう。韓国の駐日代表部は、その場合、外国人登録の国籍欄が韓国になっていないというと、旅券を出さないのじゃないですか。そういう行き方になっているから、だから韓国へ帰りたい人はいたし方がなくて国籍の記載欄を韓国にしているのが多いのじゃないですか。そういう実例じゃないですか。そういう実例は把握しておられませんか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) さっき申し上げたとおりで、韓国政府が外国人登録証明書の記載がどうである場合にどういう旅券を出すかということは、日本政府としては関知しておらないことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 韓国の駐日代表部というのは、これはどういう性格を持っておるものなんですか。まだ国交が回復していないでしょう。これは何なんですか。どういうものなんですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○政府委員(小川清四郎君) ただいまの御質問は外務省の政府委員のほうでお答えするべき筋合いかと思うのでございますが、私の記憶にしてたいしたあやまちがなければ、こういうふうに解されるのではないかと存じます。  御満足のいく答弁かどうかわかりませんが、現在の在日韓国代表部、それから地方にございます昔の領事館に相当する三つの出先機関がございますが、これはいずれも占領終結後の事実上の関係に基づいて、おそらく司令部のほうの承認に基づいて事実上引き続きおる代表部であって、法律的には、両国間の国交が回復されまして平和条約なりあるいはそういった種類の宣言なりが取りかわされません以上は、法律的には正式な大公使館というふうなものにはならないと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それはここで論議するのはどうかと思うのですが、しかし、日本では韓国に駐韓代表部というか、これはないわけでしょう。ないですね。ないのに一方的に相手方の韓国のいわゆる駐日代表部というのが日本にあるのは一体どういうわけなんですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○政府委員(小川清四郎君) なかなか難問題でございますのですが、その点につきましては、私が先日傍聴いたしておりました予算委員会の席上で、はなはだ相互主義にもとるということで強く交渉をしてソウルに日本側の代表部も早急に設けるようになればというふうなことが行われておりますが、これは確かに片手落ちでございまして、旧連合軍の一国として韓国の代表部が存在しておるという事実は、当時の状況といたしましては遺憾ながらやむを得なかったことでございますので、これに対応する日本側の代表部も設けらるべきであるというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今のは誤解されると困るのですが、私は韓国に駐韓代表部か、これを置けと言っているのじゃない。そんなことは反対なんだから、そういう主張じゃないから、誤解されると困るが、それは自民党の井出一太郎さんの御質問でしょう。そういうことじゃないから、誤解されないように願います。  最後に、民事局長にお尋ねいたします。これで私の質問は一応終わりますが、あなたは、昭和三十四年十二月二十八日付法務省民事局民事甲第二九八七号(二)六四一号、こういう通達を出していますね。「朝鮮人の身分に関する取扱いについて」という通達でございますが、これは一体どういう意味ですか。何でこういうものを出したのですか。

平賀健太法務省民事局長

○政府委員(平賀健太君) 仰せのように、通達を出しております。三十五年の一月一日から韓国民法が施行になります関係で、在日朝鮮人の身分について国際私法の規定でございます法例の規定を適用する場合に、本国法が問題になった場合には、在日朝鮮人についての本国というものは今後韓国民法によって処理していくように、という趣旨なんでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 在日朝鮮人は、これは韓国の人も北朝鮮の人もいる。だから、大臣の説明によれば、どうも在日韓国人というので韓国でもない北朝鮮でもないというようなことを言われておりますが、この通達によると、「新たに韓国民法が施行されることとなったので、その身分法に関する部分は、同法の施行後は、従前の取扱における慣習に代わるべきものとして、すべての朝鮮人につき、同法中の親族編に則って実務の処理をするのが相当であると考える。」、こういう通達でございますね。そうすると、この通達によると、韓国人でない朝鮮人、自分は朝鮮人だと言っている人に対しても、国際私法の適用では韓国民法が適用される、こういうことでしょう。こうなってくると、自分の国の主権の及ばないところの法律が適用されることになってくるのじゃないでしょうか。そこはどうなんですかね。

平賀健太法務省民事局長

○政府委員(平賀健太君) 先ほど大臣も仰せられましたように、韓国人であるとか朝鮮人であるとか申しますが、何が韓国人で何が朝鮮人であるという区別をするけじめは実際問題としてないわけであります。しかしながら、在日朝鮮人がお互い同士で結婚する、あるいは日本人と結婚するというのは、法例の規定によりますと、婚姻の成立要件は各当事者の本国法によるというようなことで、本国法というものが問題になるわけでありまして、その本国法をきめなければならない。その本国は在日朝鮮人について何かという場合に、韓国民法によって処理するように、こういう趣旨なんであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それでは、朝鮮人とか韓国人とかとにかくわからない、これは一応大臣なり民事局長の御説明はわかった。僕は了解したというのじゃない。こういう説明だと。それならば、なぜすべての朝鮮人について大韓民国の民法を適用するというその理由は一体どこにあるのですか。

平賀健太法務省民事局長

○政府委員(平賀健太君) 理由は、朝鮮人なり韓国人という区別ができないからであります。日本の立場から考えますと これは朝鮮人という身分、その区別ができない、適用する法律がないというわけにはいかぬのであります。共通に同じ法律を適用する。同じ法律を本国法として適用するならば、それは韓国民法であろうという解釈になるのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ちょっとよくわからないのですがね。そうすると、私の聞いているのは、なぜ大韓民国の民法をすべての朝鮮人について適用するのかと、こう聞いているのですよ。それは北朝鮮の民法もあるわけでしょう。陣国の民法もあるでしょう。その中で一体なぜ大韓民国の民法だけを適用するのかという、その根拠を聞いているわけですよ。  これは、どこでしたっけね、もう一つあるでしょう。昭和三十五年の六月六日に民事(五)発第一五三号で法務省民事局第五課長が厚生省引揚援護局庶務課長あてに回答を出していますね。これを読んでみますと、「朝鮮人の婚姻、養子縁組その他の身分行為について法例の規定によりその本国法に準拠すべき場合における本国法とは、わが国が事実上承認していると認むべき大韓民国の法律をさすものというべく、したがって、当該朝鮮人が南鮮人であると北鮮人であるとを区別することなく、すべて韓国民法を適用するのが相当と考える。」と、こういう民事局第五課長の通達があるわけですね。国交の回復をしておらないその段階において、日本にいる朝鮮人全部に対して、日本人と朝鮮人との婚姻なり養子縁組、あるいは朝鮮人同士のそうしたものについて大韓民国の民法を適用するということは、朝鮮人の主権に対する一つの侵犯じゃないですか。自分たちが支配されてないところの国の法律を三十八度線の北の朝鮮人諸君に支配していることじゃないですか。そういう結果になるのじゃないですか、具体的には。そこはどうですか。

平賀健太法務省民事局長

○政府委員(平賀健太君) 法例の適用が実際に問題になりますのは在日朝鮮人についてであまして、この回答でも、日本に居住する朝鮮人ということをはっきりいたしておりませんけれども、趣旨はもちろん日本に居住する朝鮮人なのであります。実際現地に住んでいる住民につきましては、これはむしろ別に考えるべきだろうと思うのであります。それは、日本の裁判所、あるいは、婚姻届、養子縁組届なんかが提出されますところの市町村役場におきまして本国法というものが問題になる場合の法例の解釈を示したものであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そういう説明は、民事局長、前から聞いていてわかっているのですよ。私の聞いているのは、大韓民国には大韓民国の民法があるだろう。朝鮮民主主義人民共和国にはその民法があるだろう。なぜ片方の大韓民国の民法だけを適用をするのかということを聞いているのですよ。その問題にしぼって聞いているのです。

平賀健太法務省民事局長

○政府委員(平賀健太君) 先ほども繰り返し申し上げましたように、在日朝鮮人については、これが北であるこれが南であると区別するけじめが、かりに朝鮮民主主義人民共和国民法というものを適用するということになると、なぜそうなんだという疑いが起こってくるわけでありまして、むしろ私どもは法律の専門家であられます先生の御意見を伺いたい。私どももどうもいい知恵が浮かんでこないのであります。もっとも、なお理由を付加いたしますと、こういうことがあると思うのでございます。今現実の朝鮮における事態というのは、一つの国家の中が南北二つに分かれて、それぞれ政権が対立しておる。その現実に支配する地域はお互いに一部ずつである。こういうような状態、どちらが優勢であるともどちらが劣勢であるか、どちらが正当であるかどちらが非合法か、このきめがたい現実の状態の中に、日本の法例のように各当事者の本国法を適用するといっておる場合に、その本国法は一体どうなるのかと、これは非常にむずかしい問題なのでございます。従来、この朝鮮の事態、あるいはドイツにおけるようなああいう事態というようなものは、非常にまれな事態なのでございまして、これに関する各国の先例というようなものは、日本にはもちろんございませんし、各国にもそういう先例がないわけであります。私どもといたしましても、日本の法例がもし英米法なんかのように住所地法によるということでございますと、これは日本の民法の適用があるわけでございます。実質論から申しますと、在日朝鮮人というのは戦前から長く日本に居住しておりまして、日本の土地に根がおりておる人たちでございますので、むしろ郷に入っては郷に従えという言葉がありますとおり、事柄の実態は日本民法を適用することのほうが妥当であるとも考えられるのでございまして、法例の規定では各当事者の本国法によるということになっておりまして、住所地法が適用になるのは無国籍者の場合であります。朝鮮人の場合につきましては、これを無国籍者と同じように扱って日本私法を適用するということは、これは何としても無理じゃないか。平和条約におきましては、日本国は朝鮮の独立を承認することを第二条ではっきり言っておりまして、独立国朝鮮、統一しておりませんけれども、朝鮮という国家はやはりあるのじゃないか。日本としてもその独立を承認しておる以上、朝鮮という国がある。ただ、政府が二つに分かれておる、それぞれ一部ずつを支配しておるという現状なのでございます。そこで、一体本国法をどうするかという非常にむずかしい問題が起こるのでありまして、私どもと申しますか、法務省の考え方といたしましては、現在朝鮮の住民が約二千二百万でございましたか、ちょっと正確な数字を忘れたのでございますが、北鮮の住民が千百万とも言われ、千万とも言われ、あるいは九百万とも言われておりますが、とにかく千万前後、南朝鮮がたしか二千三百万、合わせて総人口三千四、五百万のうち、約三分の二以上が南朝鮮に住んでおる、大韓民国政府の支配下にある、こういう現状なのでございます。それからまた、御承知のとおり、国連の総会におきましては、韓国政府をもって朝鮮における唯一の合法政府、ローフル・ガバメントであると総会の決議において宣言もされておることでありますし、それからなお、本籍がどこにあるかということは、これは日本の戸籍における本籍と同じように、土地とのつながりというものが実際はないわけでございまして、本籍の所在いかんによって南か北かをきめるということはこれは適当でないと思うのでございますが、それでも出生地であるとか、先祖がそこにいたとかいう関係で、なんかのやはり土地のつながりがある場合が少なくない。そういう見地から在日朝鮮人の本籍というものを見てみますと、これも正確な統計をとったわけでもございませんのでわかりませんが、圧倒的多数がやはり南朝鮮に本籍を持っておる人なのであります。そういう関係におきまして、韓国民法をもって在日朝鮮人の本国法と考えることが実質的に妥当ではないかというふうに考えるのでございます。  それから、なお、それに付加いたしまして、とにかく日本政府が北鮮政府というものとは事実上何らの折衝をいたしておりませんけれども、平和条約発効以来、とにかくその性格がどういうものであるかについては問題がありましょうけれども、韓国政府の駐日代表部というものを日本に置くことを日本政府として許容しております。現に平和条約発効以後の在日朝鮮人の法的地位、あるいは請求権の問題、漁業の問題その他に関しまして、韓国政府を相手方として交渉をしておるという事実もございます。そういう点からいきまして、これはもちろん日本政府が韓国政府というものを正式の政府として正式に承認したことにはまだならぬかと思いますけれども、とにかくその準備段階にあるということが言えるのではないかと思います。そういう関係をもちまして、いろいろなそういう事情を総合判断いたしまして、非常に困難な問題ではございますけれども、現状のもとにおきましては、韓国民法をもって在日朝鮮人の本国法と考えることが適当であろうというのが法務省の考え方なのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ、いろいろお聞きしたいわけですけれども、三十五年の一月一日に韓国民法が施行されたそれ以前は、一体どういうふうになっていたわけですか。

平賀健太法務省民事局長

○政府委員(平賀健太君) それ以前の法務省の取り扱いにおきましては、以前、日本の統治当時に、朝鮮総督府の政令というのがございました。その政令で朝鮮民事令というのが制定されておったのであります。その朝鮮民事令の規定の内容は、大ざっぱに申し上げますと、朝鮮人の身分関係につきましては朝鮮の慣習による、こういうことになっていたわけでございます。そのうち、朝鮮民事令が——これは南だけについてのことでございますけれども、戦後、いわゆる韓国政府が独立した以後も、そのまま廃止されないで、この韓国民法が施行されますまではなおこれは韓国の法律だということで行なわれておったのが実情なのであります。そういう関係で、法務省におきまして戸籍事務を処理する関係におきましては、それまでは朝鮮の慣習によるということで戸籍の届出なんかを処理してきたわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、民事局長の通達によって、韓国民法が施行され、適用されている。それが日韓会談の中で法的地位の問題と関連して、一体どういうふうになるのですか、この通達は。

平賀健太法務省民事局長

○政府委員(平賀健太君) これは、韓国との協定の内容がどういうことになるか、今のところまだ予測のつかぬ状況でございまして、この問題がどうなるかということにつきましても、今から申し上げることはできないのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 しかし、こういう行き方が、いわゆる原則的なものではなくて、変則的なものだと、こういうふうなことは、法務省当局としては認めているのですか。現実に韓国民でない——まあ今の段階じゃ韓国だか朝鮮だかわからないとしても、日韓会談がかりにどうにかなれば、いずれは日本にいる朝鮮人が韓国人とそれからいわゆる北の朝鮮人と二つに分かれなければならない段階が来る。こういうようなときが来れば、一体こういうふうな取り扱いは、それぞれ本国法なんですから、それぞれの国の本国法に従って適用する、こういう行き方をとるのが正しいはずですが、その点はどういうふうになるのですか。

平賀健太法務省民事局長

○政府委員(平賀健太君) 現在の段階は、先ほども申し上げましたように、朝鮮という一つの国の中に二つの政権が事実上存在しておるという状態なのでございますが、ただいま仰せのような事態というのは、北には、国名は何となりますか、北朝鮮、南には南朝鮮国という二つの国家が併立して、国際社会においても承認され、日本でも二国の存在を認めるという事態になれば、これは全部韓国民法で律するということはできなくなることはもちろんでございますが、そういうような事態がいつどういう経過をたどってくるものかどうか、ちょっと今の国際情勢のもとでは私ども予測もすることができないと思うのでございまして、そのときは一体どうなるか、どうしてその南北の国籍がきまるかということ、これはちょっと私どもは想像がつきません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、結論的にですよ、日本が北朝鮮を認めない限りにおいては、在日朝鮮人は、法例の適用では本国法として韓国民法が適用されるのだ、こういうことですか。そう承ってよろしいのですか。

平賀健太法務省民事局長

○政府委員(平賀健太君) これは、今後日韓間に協定が成立するとしまして、その協定の中に何かこの国籍に関する条項が設けられるということになれば別でありますが、そういうことがない限りは、私どもとしましては、法務省の現在の方針というものは変わることはないと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは法務省当局でも調べておると思うのですが、韓国の民法、これは日本の旧民法に非常に近くて、いわゆる家族制度というものを残していて、家の制度を存続しているのでしょう。これはどうですか。

平賀健太法務省民事局長

○政府委員(平賀健太君) 韓国の民法は、私も内容を十分勉強をいたしておりませんけれども、従来の慣習、それから日本の旧民法、日本の新民法、こういうものが非常に参考になってできておるような印象を私は受けるわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ、韓国の民法と朝鮮民主主義人民共和国の民法とは、一体、たとえば結婚の問題、離婚の問題、養子縁組、どう違うのですか。

平賀健太法務省民事局長

○政府委員(平賀健太君) 私、北鮮の民法の内容を承知いたしませんので、比較して検討したことはございません。

松野孝一自由民主党

○理事(松野孝一君) 稲葉君に申し上げますが、もう時間もだいぶ経過しておりますから……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ、時間もたいへんおそくなったようですから、その締めくくりになるわけですけれども、今の民事局長の答弁というのは、私は非常に大きな国際法上の問題を含んでおると思うのです。それで、この問題については、いずれ私のほうでもいろいろ研究をして、あらためて別の機会に、これはどこになるか、予算委員会になるのか、法務委員会になるのか、それははっきりしませんが、いずれ私も勉強してもっと追及をしていきたい、こういうふうに考えます。  それから大韓民国の民法と北朝鮮の男女平等権に関する法令というのがあるわけですが、これはどうも非常に内容が違うわけです。それで、むしろ日本の民法に近いのは、北朝鮮の民法が非常に近い、個人の自由人権を尊重しているという点について。韓国の民法というのは、ほんとうに昔の家族制度、家の制度を存続しておるわけです。今、民事局長の通達のように、在日朝鮮人に大韓民国の民法が適用されるために、日本におる朝鮮人が非常に不利益をこうむっている例がたくさんあるわけです。これは、養子縁組の場合、あるいは結婚の場合、その他たくさんあります。そういうような点については、いずれまた別の機会に質問をいたします。きょうは時間もおそくなりましたので、この程度にしておきますが、まだ次長からこの前私の質問したことに対する補足的な答弁など残っておるようですけれども、これはいずれ日を改めて別な機会にして、おそくなりましたから終わらしていただきたいと、こういうふうに思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 時間がございませんので、私は、今稲葉委員の質問に対する大臣はじめ局長の答弁で二点確かめておきたい点がある。  それは、先ほどの稲葉委員の質問に対しまして、大臣ははっきりこう言って、日韓条約締結後は韓国という言葉は出てくるかもしれない、しかし、それにしても朝鮮人と差別待遇はしない、こういうことをはっきり言っておるのです。これは私のこの前の質問に対しても、国籍の問題と永住権の問題については、決して在日朝鮮人を圧迫するようなことはしない、あくまで平等な立場でやっていく、こういうことを太鼓判を押しておられるわけです。私は、法務省の見解というのは大臣の見解だと思う。ところが、局長が先ほどから法務省の見解であるということを民事局長は言われている。ところが、あなたの答弁というものは、速記録でもこれを調査してみればわかりますけれども、全く差別の上に立っているじゃありませんか。国籍の変更の場合、それから今のような大韓民国の民法の適用、全くこれはもう差別ですよ。現状において差別なんです。そうすると、これであなたたちが今政府の代表だというので入管局長とともに韓国まで去年は行ってきた。こういう方針で今あなたたちは日韓交渉を進めているとこれは見ているのですが、そうすれば、明らかに出てくる問題は——あなたに聞いておりません。大臣に聞いておる。大臣は、あくまで差別しない、圧迫しない、こういうふうにしばしば当委員会で言明されてきた。これが私は政府の方針だったように考えている。そうすると、そこのところの食い違いというのは非常に重大だと思います。それからもしも大臣があくまでもあなたの言明どおり差別をしないという前提に立っていられるならば、この日韓会談の中で少なくともそれを貫くのが法務省の見解でなければならないと思うが、明らかにこのあなたの部下である民事局長が違うような立場に立って答弁している。だから、既成の事実をこのまま固めていって、大きな差別の上に立っている。そこにいろいろな矛盾が、今稲葉委員から質問され、私もこの前質問したような問題がたくさん出てきている。これは朝鮮の人たちを何らかの形でもし当委員会にほんとうに参考人としてでも出ていただいて現状を把握することができれば、もっともっと大きな事態だろうと思う。日本政府もこの問題を徹底的にありのままの姿を調査すべきだと思う。それから、どうも先ほどからの質問を聞いておりますと、大臣の所期されている考え方を忠実にそのとおり局長は実施しているとは考えられない。そこのところの矛盾、さらに今後もしも大臣のそういう方針を貫くならば、今のような局長の答弁ではまずいのじゃないか。日韓会談の中でもはっきりその点をあくまで検討して努力するということが必要だと思う。もっとも日韓会談そのものに徹底的に私たちは反対ですけれども、あなたたちの立場に立ってみても、この問題についてまことにあいまい不明瞭な立場の上で今のなにをやっているんだということがはっきりしたと思う。この点、大臣から答弁をしてほしい。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 岩間さんにお答えいたします。  局長と私の答弁が矛盾しているとか食い違っているとかいうような御指摘があったと思いますが、実は違ってないと思うのです。これはこういうことなんです。今日現在における朝鮮人の処遇というものは、国籍が韓国となっておろうが朝鮮となっておろうが、何ら実質的に処遇に差別待遇はしておらない。今後もし日韓協定が成立した場合に、韓国人に対する法的な地位が韓国人という名前で出てくるような場合があるだろう。もしあったとしたときに、韓国人に対する処遇と、韓国人と名乗らないあとの在日朝鮮人に対する処遇が実際問題として変わるとは考えられない。また、変えたくはない。その一例としては、義務教育の問題とか生活保護法の適用とかいったようなものについて、日韓交渉成立後の韓国人にはそういう優遇措置をとるが韓国人でない在日朝鮮人に対してはそういう優遇措置はとれないとかいったようなつまり差別待遇はないということを申し上げている。それから今婚姻の問題とか養子縁組の問題であるとかについて大韓民国民法を本国法として用いていると言ったのは、これはそういう在日朝鮮人の結婚並びに養子縁組等についての事務処理についての本国法というものの適用を韓民国の民法を母法として用いている、こういういわゆる法例の問題についての局長の意見なり主張なりであったのでありまして、そのことと私の主張が何も違っているとは私は実は考えておりません。もし日韓交渉成立後におきまして、そういう問題についての取りきめあるいは協定等がこまかになるかどうか、今後の問題でありますから、断言するわけには参りませんけれども、成立した協定が今までどおりのもので行なわれるか、あるいは若干取り扱いその他が違うのか、そういうこと等を実は見ないと、今の岩間さんのような断定したような、考えが違うじゃないかということには私はならないと思います。局長が言っておりますのは、今までの取り扱いについて事務的なその作業上の問題についての意見を述べているのであり、私は、在日朝鮮人の処遇というものに対しまして過去において将来においての私の見解を述べている、こういうことであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは速記録を詳細に、三回ほど相当調査をやられておりますから、検討してみればはっきりします。ただ、大臣は、どこに立たれるのか、あくまでも国際法の認める国籍あるいは永住権、こういうような権利というものを平等に認めて、その上に立って日本の政治を進めていくのか。したがって、あなたたちが今問題にしている韓国との交渉をそういう方針を貫くのかどうか。これはやはり当然国務大臣としてはそういう方針を持たなければならないのです。私たちはそういうふうにこれは期待し聞いておった。ところが、今の問題は既得権の現状を変更しないのだということにこれは私は今の答弁では改めてこられたような印象を受けた。そうして、その点で作業面では民事局長のさっきの答弁には矛盾しないのだ。しかし、これは作業面などといっておりますけれども、この作業面が全面的に現状の朝鮮の人たちの権利をしばっているのです。ですから、私は大体方針がないのだろうと思います。ほんとうに一体大方針があるのか。ないでしょう。そうして、日韓会談の今後のやり方によっては、今の局長たちのような答弁でその方針が法務省の方針だなどということで続けられる限りにおいては、今後これはもう現状よりももっと後退するだろう、そういう事態が起こる。これが在日朝鮮人諸君が今日心から心配している問題じゃないですか。それに対してやはりあなた自身の答弁の立場というものは変わっております。明らかにもう速記録で検討してみれば明確だと思うのです。したがって、これは日韓会談そのものに対して非常に大きな反対が出てきているというのは、今のような態度があるから、たとえばまた作業に名を借りて実は明らかにもう一方に偏するようなやり方でもってこの問題を処理していこう、それがいかにももっともらしい口実のもとに装われてやられている、そこに問題があります。私はしかし時間がありませんから、この問題についてはもっとやはり掘り下げてこの問題についてまた近い機会に追及してみたいと思います。今まで答弁されてきたあなたたちの速記録をずっと読んでみて、どこで一体ずるずる変わっていっているか、そういうような便宜主義ではいけないと思います。この点を要望して、大臣かぜをひいておられますから、そのくらいにいたします。

平賀健太法務省民事局長

○政府委員(平賀健太君) ただいま岩間委員の仰せによりますと、私が何か大臣の御答弁と矛盾するようなことを申したかのような印象を受けたのでございますが、決してそうではございませんで、在日朝鮮人に対してはその本国法は一律に大韓民国民法であるということであって、南であるとか北であるとか差別をしないと大臣が仰せられたそのとおりのことを戸籍の実務の上でもその他の面でも身分に関する限りは処理いたしておるのであります。決して大臣の御答弁と私が申し上げたことが食い違っておるとは考えておりません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 大韓民国の民法とそれから朝鮮民主主義人民共和国の民法が同じならそういうことも言えますよ。違っておるのです、現実に。あなた、形式論で問題をごまかしちゃだめですよ。実体論ですよ。実体をあなたたち把握していないで、そして何か見ても見ないふりをするような格好で問題が進められているところに問題があるのですよ。もっと聞いてごらんなさい、現実を。私はこのことをあなたを相手にしてやる時間がありませんから、もう一ぺんはっきり問題を整理してやりましょう。

松野孝一自由民主党

○理事(松野孝一君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は一応この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会      —————・—————

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