文教委員会 第24号
- 発言数
- 112 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/06/13
会議録
○委員長(北畠教真君) ただいまより文教委員会を開会いたします。 本日の委員長理事打合会について御報告いたします。委員会の運営に関し協議した結果、本日午前中は、当面の文教政策について質疑を行ない、午後一時、委員会を再開し、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案の審査に入ることに決しました。以上、御報告申し上げます。 ―――――――――――――
○委員長(北畠教真君) それでは、当面の文教政策に関し調査を進めます。 質疑の通告がございます。これを許します。豊瀬君。
○豊瀬禎一君 先日の委員会における産休法の改正法案の審議の際に、久保委員の質問に対する岩間課長の答弁につきまして、私どもとしてはきわめて不穏当であるという感じを持ちまして、当日、不規則でしたけれども、質問に答えるという形ではなくして、一応、提案者の側としての見解を披瀝いたしておりましたが、久保委員の質問中でございましたので、私どもはそのことを深く追及しなかったのですが、本日は若干この問題について、単に一課長の考え方という点として見逃がすことができない内容を含んでおりますので、文部省としての見解をただしていきたいと思います。 まず最初に、岩間課長にお尋ねしますが、政府提案であろうと、議員提案であろうと、国会で通過した法律案について差別をつけるような印象を与える答弁であったと思うのですが、議事録を読みますと、これはこの法律は議員立法であったわけでございまして、私どもその理由についてはわからない点があります。こういう趣旨のことを言っておりますね。提案理由をあなたは本委員会で説明した際、あるいは審議の際、あるいは法律が最小限度通過した後に読んだことがありますか。
○説明員(岩間英太郎君) 提案理由は読んだことがございません。
○豊瀬禎一君 産休法の具体的な実施についても、本委員会で時折取り上げたことがあるのですが、その法律の実施状況を調査する際に、提案理由並びに論議の過程を読まないでおいて、その精神を把握するということは困難ではないですか。
○説明員(岩間英太郎君) 私が先日申し上げましたのは、言葉が足りなかったのでたいへん失礼をいたしましたが、提案当時にはいろいろ法律としていきさつがございまして、政府提出のものでございますれば、私どももそのいろいろいきさつにつきまして十分承知いたしているのでございますけれども、議員立法の場合には、そういういきさつにつきまして、よくわからないというような意味で申し上げたわけでございます。
○豊瀬禎一君 久保委員はそのいきさつを知っているかということを、あなたに質問したのではないですね。法案の内容について質問した際に、あなたは、これは議員立法だから、その趣旨について知らない、こういう言い方ですよ。質問者が質問しない事項について私が答弁したことに対して、そのことは、文部省は関知しないかのごとき印象を与える答弁をあなたはしたのですよ。
○説明員(岩間英太郎君) その点は、私そういうつもりで申し上げたのではなくて、豊瀬先生はこの立法に関与されておりますので、おそらくそういう前提となるいろいろな条件につきまして御存じでございましょうけれども、私からお答えします場合には、そういう条件が十分わからないので、正確な御答弁はできないかもしれないという意味で申し上げたつもりでございます。
○豊瀬禎一君 いきさつについては、正確な答弁はできなくても、法律の趣旨あるいは内容は、審議決定して法として成立した以上は、文部省として、当然実施していく際には十分承知すべきじゃないですか。
○説明員(岩間英太郎君) 法律ができました場合には、当然その法律を客観的に見まして、その範囲でいろいろ解釈を下すということは、これは当然のことであります。しかしながら、その法律の中身をよりよく知るために、やはり御関係になっておられる方の豊瀬先生のような詳しい前提のもとにお話ができないというふうに申し上げたつもりでございます。
○豊瀬禎一君 今の答弁では、当然、法律を完全に実施するために、そういう点を知っておくべきである。こういう見解をとっている。私がここで追及しているのは、私のいきさつに対する答弁を否定するような印象を与える答弁をしているのです。単に議員提案を軽視したという問題でなくして、法律の制定のいきさつについて、またその実習助手を入れなかったといういきさつについて私が答弁した。そのあと、あなたが答弁した際に、私の経過に対する答弁を否定するような立場であなたは答弁したのですよ。知らなければ知らないと言って、そのことについては答弁しないのが当然じゃないですか。聞いておっても、いかにもあなたは本法案に反対だから、それは賛成してもらっては困りますというような先入感に立っての答弁をしたと私は認めるのですが、そうじゃないですか。
○説明員(岩間英太郎君) 現行法につきましては、最初に申し上げましたように、私は豊瀬先生のように詳しい事情は存じないということでお答え申し上げたわけでございますが、実習助手を入れるかどうかという新しい立法につきましては、これは新しい立法の提案といたしまして、それにつきまして御意見を申し上げたつもりでございます。
○豊瀬禎一君 今はあなたは、そういう答弁をしているけれども、当日は、なぜ実習助手をはずしたかという問題、だから、そのいきさつでしょう。その際に、あなたの答弁は、実習助手についての資格の制度ということについて答弁してみたり、あるいは職務の内容があまり明確でないというような、こういった趣旨の答弁をしている。なぜ実習助手をはずしたかといういきさつは、あなたの答弁とは違いますよ。なぜ実習助手をはずしたかといういきさつについて私が答弁しているのに、あなたは、議員提案だから知りませんけれどもと言いながら、そのいきさつについて答弁しないで、実習助手をはずすことのあなたの主張をしたのです。これは説明員として、はなはだ行き過ぎだと私は思う。そう思いませんか。
○説明員(岩間英太郎君) 私は提案のいきさつについては十分承知しないということを申し上げるとともに、久保先生から、新しい実習助手を加えるという提案に対する文部省側の意見はどうかと聞かれましたので、新しい提案に対しまして御意見を申し上げたつもりでございます。
○豊瀬禎一君 議事録はそうなっておりますか。
○説明員(岩間英太郎君) まだ議事録は手元にございませんので読んでおりませんが、私はそのつもりでお答え申し上げたつもりでございます。
○豊瀬禎一君 どうもあなたの答弁は、この場になって先日の答弁と違いますね。まだ議事録はできておりませんが、私はここにそのまま速記を転記して参っているのですが、先ほど私が指摘したように、久保委員の質問は、こういう趣旨ですよ。提案理由には、実習助手は教特法の中で、御存じのように施行令の中で、「大学以外の学校の助手、養護助教諭、実習助手及び寮母については、法に規定する大学以外の学校の教員に関する規定を準用する。」と準用規定ができているのです。したがって、実習助手は先回当然入れられるべきであったと思うのになぜはずしたか、こういう質問ですよ。次回に議事録をきちんと調べて、あなたは議事録を読んでいないというから、議事録ができ上がってから、あとで今の点については質問を続けます。
○千葉千代世君 関連質問。私は文部大臣にお尋ねいたしますけれども、御承知のように、法律ができます過程では、政府提案、議員立法とあるわけです。ところが、国会で成立して国の法律となった以上は、政府提案であろうとも議員立法であろうとも、これは軽重の別はないと思います。軽い重いはないと思いますが、その点についてどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 法案の提案権は政府側にもありますが、議員提案が、憲法の趣旨から言えば、むしろ本則だというくらいの気持が盛られておると思います。提案者が政府であれ、議員であれ、いやしくも法律となりました以上は、それに甲乙の差があろうはずはないと思います。
○千葉千代世君 岩間課長にお尋ねいたしますけれども、今の大臣の考えからいたしますと、これは当然のことですし、私も大臣と同じ考えを持っておる。だからこそ、この間のあなたの発言に対して重大な関心を持っておるわけです。速記録を調べてみますというと、やはりあなたは議員提案というものに対して非常に軽い考えを持っていらっしゃることが発言の内容からうかがわれるわけです。そういう意味で、今、実習助手の問題に対して、久保委員の質問、それに対する答弁が単にそれだけにとどまらないで、議員立法でございますから知らないのがあたりまえだというような印象を受けるような内容になっておるわけです。そういう点で、速記録をお調べになって、やはりこの点は大臣の考えていらっしゃるような本旨に戻して、かなえの軽重を問われるような法律でないということをお互いに確認したいと思います。 次回に譲ります。
○説明員(岩間英太郎君) 私も、ただいま大臣がおっしゃいましたように、むしろ議員立法のほうが本筋である。法律としてできました以上はそれに軽重はない、もちろんそういう点はそう考えております。もしそれに反するようなことを発言いたしました場合には、それは深くおわび申し上げます。またそういうつもりで申し上げたということでないことを御了承いただきたいと思います。
○豊瀬禎一君 次に進みますが、助手については、資格の制限というものがございません。これはあなたが法律で説明をしておるのじゃない、前後の関係から、だから実習助手を入れるのは不適当だ、こういっておるのですが、教特法の第三条に、先ほど読み上げた養護助教諭、実習助手、寮母、養護助教諭については、法律上どういう資格の制限がありますか。
○説明員(岩間英太郎君) 免許状を授与しなければならないという資格がございます。
○豊瀬禎一君 寮母については。
○説明員(岩間英太郎君) 寮母については別段資格の制限はございません。
○豊瀬禎一君 議員提案であろうが何であろうが、尊重の精神には変わりはないと言いいながら、寮母は現在の産休法の中に資格の制限がないのに入れられておる。実習助手も同様であるのに、なぜ寮母の場合と同等の形にある実習助手について、資格の制限ということがないから産休法の適用を受けさせるのは好ましくないというような言辞を弄したのですか。
○説明員(岩間英太郎君) 実習助手につきましては、これは職務といたしまして、教諭の実習または実験に関する一つの職務を助ける補助職員でございます。寮母の場合は資格の制限はございませんが、子供の世話をいたしまして教育を行なう、こういうこれは補助職員でなくて、そういう職務を持っておるわけでございます。その点が違うわけでございます。
○豊瀬禎一君 僕が聞いているのはそれじゃない。資格の制限ということをあなたはたてにとって説明しておられるのであって、学校教育上のその職務内容の立場から反対意見を述べたのじゃないのですよ。
○説明員(岩間英太郎君) 先般のお答えでも、資格の制限はないということと、もう一つ、職務の内容が補助的な職務であるということを申し上げて、二つ合わせて申し上げたつもりでございます。
○豊瀬禎一君 だから、職務の内容については私も承知しておる。資格の制限がないという点については、寮母と同一でしょう、それは認められるのでしょう。
○説明員(岩間英太郎君) そのとおりでございます。
○豊瀬禎一君 それなのに、あなたは、資格の制限をたてにとって反対的な意見を述べたのです。 次に進みます。それからあなたは、実習助手の産休は人数が小数だからという点を一つ、それからもう一つは、臨時的な雇用だから本人に対して気の毒ですと、こういう言葉を使っている。臨時的に任用された者だから気の毒だというのはどういう意味ですか。
○説明員(岩間英太郎君) この点はちょっと言い過ぎたと存じますけれども、実習助手の場合には、御承知のように全体で今千八百人程度おるということになっております。その中には、また事務などに従事している者も含まれておりますので、そういうものを差し引きますと、一県平均少ない場合には二十人、多くても五十人くらいのところではないかと推定されるわけでございます。そういたしますと、一年に一回、教員のお産が出るか出ないかという割合になるわけでございます。三カ月間事務的に職員を任用するということになりますと、今、産休の代用職員からもいろいろ陳情がございますように、なるべく長期的に採用してほしいという声もあるわけでございます。そういう意味から申しまして、一年のうち三カ月だけ実習助手のかわりをしていただくということになりますと、身分的にも不安でございますし、また、待遇の面から考えましても低い待遇を受けるというふうなことになろうかと思います。そういう意味から申しまして、あまり恵まれないと、そういう意味で申し上げたわけでございます。多少、言葉づかいにつきまして適当でない点があったことをおわびいたします。
○豊瀬禎一君 実習助手、産休補助教員として、数県、実習助手に対しても、すでに補助教員を廃止しているところがあるのですか。特定のAという人間は実習助手等の産休補助教員として特定化されている県は幾つありますか。
○説明員(岩間英太郎君) 実習助手に対する産休補助職員ということにつきましては、私ども調査をいたしたことはございません。しかしながら、二、三県におきまして、実習助手がいなくなりまして非常に支障があるということで、かわりの職員を採用しておるというようなことは聞いております。
○豊瀬禎一君 あなたが気の毒だという意味は、三カ月間の雇用では、待遇と期間の問題で気の毒である、こういう趣旨ですね。そうすると、現在の産休法のもとに補助教員は短かいところでどの程度……。あなたの気の毒だという以上は、三カ月以上実施されていると思うのですが、どのくらい平均して臨時的に任用されていますか。
○説明員(岩間英太郎君) 私どもの調査では、十分ではございませんが、産休の代用職員は一万数千名おりますが、その中でやや恒久的な採用と申しますか、長期的な採用の形をとっておるものが二千数百人おるように見ております。したがいまして、そのほかのものが大体臨時的に採用されるということでございますけれども、小中学校の場合には産休をとられる方が割合多いものでございますから、そういう方が年に三カ月だけではなくて、あるいは続いて六カ月、あるいは九カ月というふうな任用の仕方をされておるというような実態もあるように聞いております。正確なところは私ちょっと承知いたしておりません。
○豊瀬禎一君 そこでですね。現行法の何条でしたか、第三条の二項にただし書きをしたその際のいきさつは、千葉県で、すでにこういう体制をとっていたので、三条の一項だけでは千葉県の場合が否定される。それではいい制度をせっかく採用しているのに気の毒であると、こういう観点で、お互いに委員長理事懇談会の中で打ち合わせをして、二項をこういう形でしたのですが、それが第二項であることのほうが望ましいという判断があるから、またそういう方向に行政指導すべきだという見解があるから、短期のものは気の毒であると、こういう答弁をしたと考えてよろしいですか。
○説明員(岩間英太郎君) 三条の原則が、先日、豊瀬先生もおっしゃいましたように、臨時的な任用というのが、これは原則になっております。むしろ恒久的な任用は例外だということになっておりますが、これは教育以外のいろいろな要素がからまって、こういうふうな形になったのではないかと推察されるわけでございますけれども、私ども一般的に考えます場合には、いい先生を採用する、あるいは採用された先生の待遇、身分等を保障する、そういう意味から申しまして、できるならば長期的な任用というほうが教育の行政あるいは人事行政面から見まして望ましいのではないかというふうに考えまして、まあ、そういうふうなことが可能であるならば、そういうふうにするように指導をしていきたいというふうに考えている次第でございます。
○豊瀬禎一君 そういう見解があるならば、あなたが気の毒だという意味をそういうふうに正当に理解をいたします。それで、私も一応あなたの気の毒だという内容と今後の方針については意見の大体一致を見るのですが、その際、長期的に任用していくとすれば、それは当然配当基準のワク外である。このように考えてよろしいですね。
○説明員(岩間英太郎君) そういうふうに持って参りたいと考えております。ただいまの定数法では、その点が必ずしも明らかではございませんが、運用上、従来はそういう職員もその中に含めてやっておりますので、運用上そういう制度を続けて参るということは可能であろうと思います。
○豊瀬禎一君 新たな定数法の改正案が衆院に提案されたようですが、この中では、今あなたが言われたような長期定数化の方向で内容が盛られておりますか。
○説明員(岩間英太郎君) ただいま提案いたしております標準法につきましては、従来の規定と変わりがございません。
○豊瀬禎一君 そうすると、あなたの言う気の毒だというのは、別に政策としての答弁ではなくして、そういうのは気の毒だから置かないほうがよろしいという、また元に戻るじゃないですか。
○説明員(岩間英太郎君) 実際の運用面におきまして、そういうものは十分考えられるというふうにただいま考えております。
○豊瀬禎一君 運用面だけではなくて、将来においては配当基準の中にきちんと産休補助教員の長期雇用、もっと強い言葉を使うと定数化、これも検討の価値ありと考えておりますか。
○説明員(岩間英太郎君) 定数の中に含めまして代用教員を確保するということは、お産の実態がまちまちでございまして、きまらないものでございますから、むしろ定員外という今までの考えで処理するほうが適当ではないかというふうに考えております。
○豊瀬禎一君 ちょっと言葉が悪かったのですが、定員外にしておいて、きちんとワク外としての数を確保していく。そしてそれは臨時的な雇用制度から次第にその人が十年も二十年も産休補助教員としての身分を維持していくかどうかは別問題として、臨時任用から第三条二項のほうに次第に移行していくようなワクづけをしていく、こういう趣旨については賛成ですか。
○説明員(岩間英太郎君) そういう方向で指導をして参ると同時に、そういう場合にはワク外として財政的な裏づけもしていくということが適当ではないかと考えております。
○豊瀬禎一君 稲田局長にお尋ねしますが、ただいまの見解に立って、将来、産休補助教員の問題は考慮してもらえる、このように理解してよろしいですか。
○政府委員(福田繁君) ただいま産休の代用職員につきまして、課長から申し上げましたような趣旨で、私どもは将来ワク外として扱うけれども、実際上の予算措置等におきましては十分実情を考慮して運用して参りたい、こういうようなつもりでございます。
○豊瀬禎一君 あなたの不在のときに、改正案の審議の際に論議したのですが、現行法もまだ十分実施されていない。特に産前の補助教員の配置状況は、予算定員としてはかなりの多くの県が前後あるいは通算十二週間の措置をしているけれども、実際に配当は産前は一週間未満の人もかなりいるし、六週間に完全になっている県のほうがむしろ少ない、こういう現行産休法の不徹底についてはどういう対策を考えていますか。
○政府委員(福田繁君) この代用教員の手当といたしましては、三十八年度予算におきましても約三千人程度の財源措置をしております。したがって、法律上の規定に従って参りますと、延べにいたしまして年間一万二千人ぐらいの数にはなろうかと思いますが、しかしながら、これは御指摘のように各県まちまちでございます。私どもも最近の実情を正確に捉えておりませんので、これは今調査をいたしております。したがいまして、調査の結果に基づきまして、できる限り法の趣旨に沿うような指導なり運用をして参りたいということを現在の段階においては考えておるわけでございます。
○豊瀬禎一君 法の趣旨に沿うような指導という内容の最も重点は何ですか。
○政府委員(福田繁君) 財源措置はいたしておりますので、その範囲内のもので、やはり労働基準法で規定されております期間はできる限り母体の保護という観点からも休んでもらう。そしてその間の代用職員の設置を十分やはり手当てするということであろうと思います。それが法の趣旨であろうと思います。
○豊瀬禎一君 文部省の産休補助教員に対する給与の単価は幾らですか。課長でいいです。
○説明員(岩間英太郎君) ちょっと資料を持ち合わせておりませんが、負担金のほうは御承知のように精算で見ることになっておりますが、問題は交付税でございますけれども、交付税のほうは教員の平均給与をとっているはずでございます。
○豊瀬禎一君 各県の産休等補助教員の予算単価は平均幾らぐらいになっていますか。
○説明員(岩間英太郎君) 最新の資料を持ち合わせておりませんので、はっきりお答えできないわけでございますが、二年ばかり前の資料でございますと、中には短大卒の初任給という単価を組んでおるところもございますし、あるいは四年制大学卒の初任給というものを含んでおるところもございますが、そういう県が多いということで、待遇面につきましては、これは必ずしも十分じゃないということでございます。
○豊瀬禎一君 現行法成立後の調査はないですか。
○説明員(岩間英太郎君) ごく最近の調査はなくて大へん恐縮でございますが、ただいま申し上げましたのは三十六年の初めの調査でございます。
○豊瀬禎一君 三十六年の初めの調査ということは、本法が実施前の調査ということですね。前回も言っておったのですが、予算定員、実施定員、これは実績数、それから予算の各県の補助教員に対する給与単価、これはいつごろ出ますか。
○説明員(岩間英太郎君) ただいま調査中でございますので、できるだけ早くしたいと思いますが、先ほど、先々回でございましたか、所要がございまして、年間の産休の職員の調査を命ぜられまして、私どもただいまそれを各県で調製中でございます。
○豊瀬禎一君 大臣に見解をお尋ねしたいと思うのですが、前回から改正案の審議にあたりまして、現行の産休法の実施が非常に不十分であるという点は、本委員会の皆さんに御理解いただいたと思うのですが、その一つの原因が、各県の補助教員の給与単価が低いために、自分の持っておる条件に該当する給与で採用されない県がかなりあるわけです。そのためにそれが一つの原因となって、産休補助教員の確保に難渋を来たしている、そのために、前委員会でも実情を明かにいたしましたように、特に滝前の場合は、前一日しか、本人が希望するけれども、補助教員がこないために実態として休めなかった。これは極端な例ですが、前後通算十六週間を補助教員が配当されておるところのほうが私どものほうでは少ないと見たのです。この実情を解決していくためには、岩間課長の答弁で、国の財政措置としては一応できておるのですが、地方もそれに見合って、優秀な、そして必要な補助教員が確保できるような予算措置をさせることも、一つのこれを解決する方法だと思います。そういう点について積極的な地方の指導をお願いしたいと思うのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 法律の趣旨を暢達するために必要な措置を何らかの方法で講ぜねばならないが、考えはどうだという御質問の要旨かと思いますが、先刻来、政府委員から申し上げておるとおりでございます。いやしくも法律が制定された以上、それが法律の趣旨に沿うように、実現可能なように持っていくことは当然考慮されねばならないことだと思います。
○委員長(北畠教真君) 午前の質疑はこの程度にし、午後一時十五分より再開することとします。 これにて暫時休憩いたします。 午後零時十五分休憩 ―――――・――――― 午後一時五十四分開会
○委員長(北畠教真君) ただいまより委員会を再開いたします。 委員の変更について御報告いたします。本日、森田タマ君、中上川アキ君が辞任され、その補欠として日高広為君、森部隆輔君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(北畠教真君) それでは義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案を議題といたします。 まず、大臣から提案理由の説明を求めます。荒木文部大臣。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) このたび政府から提出いたしました義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案の提案理由及びその概要について御説明申し上げます。 さきに第四十回国会において義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律が制定され、義務教育諸学校の教科用図書はこれを無償とするとの方針が確立されるとともに、その具体的措置は、文部省に置かれる無償制度調査会に諮って別に法律をもって定めることとされたのであります。 政府はここに、調査会の答申の趣旨を十分尊重して、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案を用意いたしたのであります。この法律案は、無償措置の実施に必要な基本的事項を規定するとともに、この措置の円滑な実施に資するため、教科書の採択及び発行の制度に所要の整備を加えたものでありまして、義務教育の充実に資するところ大なるものがあると信じます。 次に、この法律案の要点とするところを申し上げます。まず、この法律案は、国公私立の義務教育諸学校の全児童生徒に、全教科の教科書を給与しようとするものであります。その具体的な実施方法は、国が発行者の供給する教科書を購入して、これを市町村等義務教育諸学校の設置者に無償で給付し、設置者は、それぞれの学校の校長を通じて児童生徒に給与することといたしております。これは、国と設置者が相互に協力して無償措置が円滑に実施されることをはかったものであります。 次に、教科書の採択について申し上げますと、現在、市町村立の小中学校の教科書の採択は、所管の教育委員会が行なうこととなっておりますが、実施にあたっては、郡市の地域の教育委員会が共同して同一の教科書を採択することが広く行なわれております。このような採択の方法は、地域内の教師の共同研究の上にも、また児童生徒の同一地域内における転校の際にも便利である等、教育上の利点があることによるものであります。この広地域の共同採択は、無償措置の実施にあたって供給の円滑と教科書価格の低廉をはかる上にも資するところ大なるものがありますので、本法律案は、都道府県の教育委員会に、管内の義務教育諸学校において使用する教科書を、あらかじめ数種選定させるとともに、市町村の教育委員会が共同して同一教科書を採択するための採択地区を郡市の地域について設定させることといたしました。市町村の教育委員会は、都道府県の教育委員会が選定した教科書のうちから、採択地区ごとに協議して、同一のものを採択することとし、国立及び私立の学校等においては、都道府県の教育委員会が選定した教科書のうちから、学校ごとに採択することとなっております。 次に、本法律案は、この義務教育諸学校の教科書の発行者について指定制度をとることといたしました。現在、義務教育諸学校の教科書を発行するものは四十六あります。元来、教科書は他の一般の出版物と異なり、学校教育法によって使用を義務づけられたはなはだ重要なものでありますから、これを発行する者は、きわめて公益的性格の強いものであるといわざるを得ません。特に無償措置を実施するにあたっては、すぐれた教科書を合理的な価格で迅速確実に給与することが必要であり、このため発行者が堅実であることが望まれるのであります。この見地から、今後は義務教育諸学校の教科書の発行者について、適格なものを文部大臣が指定し、指定を受けた者のみが発行供給を担当し得ることといたしました。なお、所定の要件を欠くに至ったものは指定を取り消すこととなっております。 昭和三十八年度において、小学校第一学年の児童が使用する教科書を無償とすることになっておりますが、これはさきに制定された法律により、別途定める政令によることとなっておりますので、この法律案は、昭和三十九年度の小学校第一学年から第三学年までの児童にかかる無償措置から実施することといたしております。 以上がこの法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。
○委員長(北畠教真君) 次に、ただいまの大臣の提案理由についての補足説明を初中局長から聴取することにいたします。
○政府委員(福田繁君) 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案についての文部大臣の趣旨説明を補足して、その内容の概要を御説明申し上げます。 まず、この法律案全体の構成について申し上げます。この法律案は、総則、無償給付及び給与、採択、発行及び罰則の五章二十四条と附則から構成されております。 以下章ごとに、順を追ってその要点を御説明申し上げます。第一章総則は、この法律の目的及び用語の定義について規定しております。この法律の目的とするところは、教科用図書の無償給付その他義務教育諸学校の教科用図書を無償とする措置について必要な事項を定めるとともに、その円滑な実施に資するため、義務教育諸学校の教科用図書の採択及び発行の制度を整備して、義務教育の充実をはかることにある旨を明らかにし、この法律案の規定事項の範囲とその目標を定めております。用語の定義のうち、義務教育諸学校とは、学校教育法に規定する小学校、中学校並びに盲学校、聾学校及び養護学校の小学部及び中学部とし、国立、公立及び私立のこれらの学校の全児童及び生徒が無償措置の対象となることを明らかにしました。 次に、教科用図書には、文部大臣の検定を経た教科用図書及び文部大臣において著作権を有する教科用図書のほか盲学校、聾学校、養護学校等において使用することが認められているこれらの教科用図書以外の教科用図書も含めることとし、無償措置の対象となる教科用図書の範囲を示しました。 第二章は、無償給付及び給与に関する規定であります。その要旨とするところは、国は、毎年度、義務教育諸学校の児童及び生徒が各学年の課程において使用する教科用図書として、第三章の採択に関する規定に基づき採択されたものを購入して、市町村、学校法人等義務教育諸学校の設置者に無償で給付し、給付を受けた設置者は、その教科用図書を、それぞれの学校の校長を通じて、児童生徒に給与することとし、国と地方公共団体等の義務教育諸学校の設置者が協力して無償措置の円滑な実施をはかろうとすることにあります。なお、教科用図書の購入にあたっては、文部大臣は、直接発行者と購入契約を締結することとなっております。その他、この章においては、無償措置を実施するにあたっての都道府県の教育委員会の責務、契約にかかる給付の完了の確認の時期の特例等について規定し、また、この章に規定するもののほか、無償措置に関し必要な事項は政令で定めることといたしております。なお、無償措置の対象となる教科用図書の製造供給は、第四章に規定しましたように、従来どおり教科書の発行に関する臨時措置法に基づくこととなりますので、発行の届出、目録の作成、展示会の開催、需要数の報告、発行の指示等の手続を経て発行者が学校まで供給した教科用図書を国が購入することとなっております。 第三章は、採択に関する規定であります。教科用図書の採択は、公立学校にあっては所管の教育委員会、その他の学校にあっては校長が行なうこととなっておりますが、市町村立の小中学校の教科用図書については、一定地区においては、同一の教科用図書を使用することが教師の学習指導に関する共同研究等に便宜であり、さらにまた、地域内の児童生徒の転学に際しても便利である等の利点にかんがみ、これまでも郡または郡市をあわせた地域の教育委員会が、共同して同一の教科用図書を採択することが広く行なわれております。このような広地域の共同採択は、一面においてまた教科用図書の価格の合理化に寄与し、供給の円滑化にも資するものでありますから、無償措置の実施にあたっても、これをさらに継続して実施する必要があります。この章においては、まず、都道府県の教育委員会は、都道府県内の教育水準の維持向上をはかる見地から、教科用図書の選定及び採択が適正に行なわれるよう教科用図書の研究事業を計画し、または実施する責務を有することとするとともに、市町村教育委員会の行なう採択に関する事務について適切な指導、助言または援助を行なうべきことを明らかにしております。 次に、市町村教育委員会等が行なう採択に先だって、都道府県の教育委員会は、その都道府県内で使用すべき教科用図書をあらかじめ選定すること及び採択地区を設定することの二つの事務について規定しております。すなわち、都道府県の教育委員会は、その都道府県の教育水準等を考慮して、都道府県内の義務教育諸学校において使用すべき教科用図書として、種目ごとにあらかじめ数種を選定することといたしました。この選定は、教科書目録に登載された教科用図書のうちから行なわなければならないこととし、また、選定にあたっては、広く教育関係者及び有識者の意見を反映させるため、あらかじめ、教科用図書選定審議会の意見を聞かなければならないこととなっております。選定審議会は、採択の時期に限って都道府県に置かれることとなっております。一方、都道府県の教育委員会は、その都道府県の区域について、市、郡またはこれらの区域をあわせた地域に、関係市町村の教育委員会の意見を聞いて、教科用図書採択地区を設定しなければならないこととなっております。市町村立の小学校及び中学校の教科用図書は、この採択地区ごとに、市町村教育委員会が協議して都道府県の教育委員会が選定した教科用図書のうちから、種目ごとに一種を採択することとし、私立学校、国立学校等の教科用図書は、都道府県の教育委員会の選定した数種のうちから、学校ごとに各種目につき一種を採択することとなっております。 次に、同一の教科用図書を一定期間継続して採択することについて申し上げます。一度採択した教科用図書は、一定期間これを継続して採択し使用させることが教育上も適切なことであります。また、採択及び発行を合理的にする見地からも、このことは望ましいことでありますので、政令で定める期間は同一教科書を継続して採択することになっております。 次に、採択地区に関する特例として、東京都の特別区の存する区域及び指定都市については、特別区、指定都市の区またはそれぞれの区域をあわせた地域を一つの採択地区として設定し、この採択地区ごとに、同一の教科用図書を採択することになっております。以上のほか、採択に関し必要な事項は別途政令で定めることとなっております。 第四章は、発行に関する規定であります。従来、教科用図書の発行は、だれでも自由にこれを行ないうることとなっており、今日では、義務教育諸学校の教科用図書を発行する者は四十六を数えております。本来、教科用図書発行企業は、教科用図書の持つ重要な使命と性格にかんがみ、きわめて公益的色彩の強いものと考えられますが、特に無償措置の実施にあたっては、教科用図書の発行企業は、その基礎が堅実であり、製造及び供給が合理的に行なわれる必要があります。この見地から、今後は発行企業について一定の基準を設け、この基準に該当する者を、その者の申請に基づき教科用図書発行者として持定し、この指定を受けた者の発行しようとする教科用図書のみが、教科書の発行に関する臨時措置法に規定する教科書目録に登載されることができることとなっております。指定の基準としては、破産者であること、一定の刑罰に処せられ三年以上を経過しない者であること等、一定の欠格事由に該当しないこと並びにその事業能力及び信用状態について政令で定める要件を備えたものであることと規定しております。文部大臣は、指定を受けた発行者が、これらの基準に適合しなくなったとき、または虚偽もしくは不正の事実に基づいて指定を受けたことが判明したときは、指定を取り消さなければならないのであります。また、文部大臣は、基準に適合しているかどうかを調査する必要があると認めるときは、関係者から報告をとり、またはその職員をして検査させることができることとなっております。 第五章は、罰則規定でありますが、これは、ただいま申し上げました報告または検査を拒んだ者等に対する制裁規定であります。 最後に、附則におきましては、この法律の施行日、この法律の施行に伴う経過措置及び関係法律の整備規定を設けております。まず、第三章の採択に関する規定は、教科用図書の検定の実施計画を考慮し、小学校については昭和三十九年度から、中学校については昭和四十年度から適用することとなっております。 次に、無償措置については、昭和三十八年度の無償給付及び給与は別途定める政令により行なうこととなりますので、第二章の規定は、昭和三十九年度以降使用される教科用図書について適用することとし、その給与を受ける児童及び生徒の範囲は、当分の間、政令で定めることとなっております。関係法律の整備としては、教科書の発行に関する臨時措置法の一部を改正し、文部大臣が発行者からの届出に基づき作成する教科書目録に登載する教科用図書は、指定を受けた発行者の発行しようとするものに限ることとし、この法律による発行者の指定と臨時措置法による発行との関連を明らかにいたしましたが、昭和三十九年度に使用される教科用図書にかかる目録の作成に限り従来どおりとなっております。その他、文部省設置法等関係法律の整備をはかっております。 以上がこの法律案の内容の概要であります。
○委員長(北畠教真君) 以上で本案に対する説明聴取は終了いたしました。 それではこれより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
○小林武君 文部大臣にお尋ねいたしますが、第四十国会において義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律が出まして、義務教育における生徒児童の教科用図書が無償になった。無償で支給されるというようなことにつきましては、だれもが賛成するところでございまして、このことは少なくとも現在の教育の一歩前進である、このように考えるわけであります。ただ、ただいま御提案になりました義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案の提案理由並びにそれの補足説明を聞いておりまして、教科用図書の無償の法律の精神というものを、この法律の提案によって疑義を感ずるようになったわけでございます。と申しますのは、ただいま御提案になりました内容の中に、過去十年近くにもわたって文部省が教科書対策として現在の民主教育をどうも破壊するおそれのあるような対策を今まで立ててきたわけでございます。しかも、そのような教科書に対する対策は法律によらずに、いわゆる行政的な措置によって現在まで参りまして、当初、検定制度によって生まれつつありました、いわゆる望ましい教科書というものが逐次影をひそめるような状態になりつつあることは、まことに残念に感じているわけでございますけれども、さらに今度この法律案が提案されることによりまして、いいわゆる今までの教科書に対する文部省の対策の総締めくくり的なものが法律の名によって措置されまして、一そう教育のためによい教科書を提供するという道がふさがれたように考えるわけであります。このことは、もちろん児童生徒にとってきわめて重要な問題であるばかりでなくて、日本の教育の将来を考えましても看過することのできない問題であると思います。この法律案につきまして、文部当局はどのようにお考えになっているかわかりませんけれども、少なくとも教科書を製造する、教科書を作る業者の間にも、ほとんどのものが反対の心を持っている。残念ながら教科書業者はこれを営業する建前から、文部省その他にたてつくというようなことは自分の営業にも関係する問題でありますので、公然とこれをやるというものがきわめて少ないということは見られますけれども、内部におけるこれに対する反対の声は世の中の人たちが想像する以上のものがあるし、文部省自体も、その点について全然お心あたりがないというようなことを申されるほど自信をお持ちになっているとも考えられないわけであります。一方また、これを扱う教師の側からいたしますと、児童生徒によい教育をするという建前から、こういうような措置法案が通るというようなことになりますと、日本の憲法や教育基本法にうたわれた教育を実施するという上において非常な困難に当面する。さらに、困難に当面するということを考えて非常に心配しているところだと思うわけであります。こういう使う者あるいはこれを提供する者等が、ただいま申し上げたような態度でいるわけでありますが、文部大臣は一体このことについて、教科書無償という、教育上から見ればたいへんりっぱなことをやるのに、こういう措置法案によって、その精神を没却してしまうようなことをおやりになることについて一体どうお考えになるのか、私はまず、提案の理由を説明された大臣にそのことをお尋ねするわけであります。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘のとおり、教科書を通じて義務教育が行なわれるおけでございますが、その教科書が憲法、教育基本法ないしは学校教育法その他の法令に基づいて忠実に製造、発行され、供給され、それを中心にして教育が行なわれる。そのためのよき教科書が生まれ出ることを期待しながら私どもとして対処せねばならぬことは御指摘のとおりでありまして、その意味において考えましても、御提案申したこの法律によって、その考え方なり方向がよりよき方向に行くものと存じます。
○小林武君 現在の教科書が、この措置法案によってよりよき教科書を生むことになるのだというただいまの簡単な御意見でございましたけれども、それではお尋ねいたしますけれども、現在行なわれているところの教科書の製造並びに発行その他について、今度のような措置をやることによって、具体的にどういう一体よい教科書を作り上げる条件ができたとお考えになりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 現在あります教科書会社は、新しいこの法律が制定されまして成立しました後においても、この法案で規定しております指定会社になるわけでございます。現実にその点についての変化はございません。将来新たに教科書発行会社になろうとする会社は、これは新たに指定を受けなければなりませんが、それにつきましては、一定の条件を具備したものを指定するということになるわけでございますが、これらのことは、本来、有償無償を問わず、教科書、特に義務教育課程の教科書を製造供給するということ、それ自体が非常に公益性が高いという見地からして、現在も発行の指定をするという制度がございますが、それでは必ずしも十分ではない。もっと安全かつ確実に提供されるというその責めを果たすためには考えらるべき課題があったと思うのであります。その意味において、教科書会社はより健全なものとして育成されていくよすがにもなるし、新たに指定を受ける会社は、その条件下に今申し上げた姿をとるであろう。そういうことを通じましても、よりよき教科書がより安全確実に提供される、そういうように思うわけでございます。教科書の内容そのものは、申し上げるまでもなく、学習指導要領の線に沿って文部大臣が検定するということによってセレクトされるわけでありますが、それでは従来も今後もいささかも変化はございませんので、主として今申し上げたような事柄が、御指摘のようなよい教科書が生まれ出るかいなかにかかる課題としては焦点であろうかと思いますが、それを考え合わせましても、以上申し上げたように理解するわけであります。
○小林武君 文部大臣は私の質問にはよくお答えにはなっておらない。私の質問したのは、今度の措置法案の提案によりまして、一体よりよい教科書が、現行制度よりかもよりよい教科書が生まれるというようなそういう条件がどこにあるのか、措置法案の中に。そういうことをお尋ねしたわけであります。文部大臣も、この法律案について悪い教科書を作ろうなんということをまさか提案理由の中で説明されるわけもないと思うのでありますけれども、先ほども私が申し上げましたように、措置法案によって、私の立場は、よい教科書は生まれないということを考える。よい教科書が生まれないということ、さらには、この教科書の採択その他について現在よりもっと、何といいますか、混乱のようなものが起こる可能性さえ考えられる。そういう角度から、私は内容的に見ればいわゆる反動化の形をとるだろう。あなたたちは口に出すことを極力おそれていらっしゃるけれども、結果的には、いわゆる国定の方向をたどるところの危険性をひとつ持っているということ。さらには配給、採択、その他の問題で多くの教科書にまつわる過去に起こったような問題が、教科書無償というような非常に新しい、日本の国民にとっては当然の権利でありますけれども、そういう新しいやり方を阻害するような形でそういう問題が起きてくる、こういう、ふうに私は考えておるものですから、私はそういう反対の意見を持っているが、あなたは、これによって一体教科書無償ということの円滑な措置をする一つの方法だとお考えになっているなら具体的に御指摘を願いたいという点です。あなたが今言われたことは、これは大問題であると思うのですけれども、教科書を発行する者が現在よりかも健全になるという一点だけをあなたは御答弁なすった。この健全になるということ自体も、どこから一体いかなる理由によって健全になるのか。採択の条項をお考えになったら、あなたはそういうことを一体どこから言うのか。現在八十数社ある教科書会社というようなものが、現在よりかも健全に一体営業が続けていかれるというような保証をあなたは一体どうしてされるのか。そういう無責任と言われてもいいくらいの考え方でこの法案を出されたのかどうかということについては、私は大いに問題を感ずるわけであります。でありますから、もう少し、健全とお考えになる点については幾ら私が力んでもあなたは健全であると言うでしょうから、その点は抜きにいたしましても、内容的に見ても、ほんとほんとうに無償ということにふさわしいような条件が一体この中から生まれてくるということについて、もう少し具体的に御答弁をお願いしたいわけであります。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) よい教科書が生まれ出る条件とおっしゃいますが、それは教科書会社が不特定多数あって競争をする。少なくとも不特定多数が生まれ出る制度のもとに競争をしながら、内容についても体裁についても、価格等につきましても、合理性を追及しながら、よりよきものが生まれるという期待があると思います。その点は従来と条件は変わらないと思います。さらに、検定制度が従来ございますが、検定を通じてよりよい教科書を生み出す努力を、文部省としてもむろんしなければならぬという考え方で今日きておるわけでございますが、その基本は、先刻も申しましたように、学習指導要領に根拠をおいて検定が行なわれる、これも今までの制度と同じでございます。したがいまして、今度のこの無償措置に関する法律案によって従来と違って新たなことが起こり得ますことは、今まではむろん教科書発行の指定をすることに関連をしまして、教科書会社それ自体の実態を把握するということは行なわれてはおりましたが、必ずしも十分ではなかったと思われます。それが法律案にもございますように、その会社の規模なり、あるいは会社の役員構成等を初めとしまして、一般により健全な会社であるべき姿についての要件が加えられておるということは、とりもなおさず、先刻も申し上げましたよりよき教科書が安全確実に生み出されるであろうということを期待しておるつもりでございますから、そのことによって少なくとも今までよりはよき教科書の供給が期待できるであろうという意味で申し上げたわけであります。その他もっと具体的にという仰せでありますると、今すぐお答え困難でございますので、補足的には政府委員からお答えを必要ならば申し上げます。
○政府委員(福田繁君) ただいま大臣から発行企業の指定の問題に関連いたしまして申し上げたわけでございますが、一口に申しまして、いい教科書を作り出すという条件にはいろいろあろうかと思いますが、この法案におきまして私ども考えます点は、ただいま大臣から御指摘になりました点も一つの点だと考えます。現在、義務教育の教科書を発行しております会社は四十六社ございますが、将来同じような教科書発行会社というものができる可能性もございます。そうしますと、一定の生徒児童というものを対象にいたしまして販路の競争をやる、いわゆるいろいろな営業上の不正な競争が行なわれる危険性があるということは、これは今までの過去の事例から申しましてもわかることでございますけれども、私ども、将来、教科書発行企業として、やはり基礎のかたい適切な会社ができることは望ましいわけでありますけれども、やたらにできまして過当な競争が行なわれても業界は混乱する、こういうような観点からいたしまして、指定制度を一面において設けているわけでございます。これは指定制度の間接的な効果と申しますか、そういう趣旨でございますが、そういう点から申しまして、現在の教科書発行会社そのものは、ある程度これによりまして、今後の教科書発行については一応安泰な――安泰と申しますか、言葉は適当でありませんけれども、保護されるというような建前になろうかと思います。そういった観点から申しますと、教科書会社としては今後やはり意欲的に特色のあるいい教科書を編集するということに、おのずから努力を払わなきゃならぬというように私ども考えるわけであります。従来の会社がそういった教科書の編集等につきまして努力をしている跡は見えますけれども、まだその編集等につきましては、さらに改善し、あるいはまた独特な、特色のある教科書というものを発行していくについての、そういった点についての努力あるいは改善というものが、今後大いに期待されるわけで、そういった点から申しますと、この制度によりまして、やはりそういう方向に向かうのではないかというように私どもは考えております。同時にまた、この無償制度に関連しまして、従来は教科書会社自体が製造供給いたしまして、供給に対しまする代金の回収その他も、自分のほうの契約の供給機関を通じて漸次回収して参ったことは御承知のとおりであります。したがって、代金回収等に関連します事務、あるいはその危険負担も、当然に会社自体として背負ってきたわけであります。そういう点から考えますと、今後はこの無償になります教科書の代価の支払いは、国が一括契約をいたしまして購入するという建前をとるわけでございます。したがって、一括購入いたしました代金の支払いにつきましては、概算払いも行なえるような仕組みになっておりますし、精算につきましても、できる限りまた精算支払いも行なわれる見込みでございます。そういたしますと、従来、民間の供給機構を通じて代金の回収をはかって参りました等の点につきましては、割合に今後は楽に代金の回収もできる、危険負担もない、こういうような点からいたしますと、勢いやはり教科書会社としては、そういう手数の省けた面におきましては、これはやはり教科書の編集のほうにもっぱら意欲的に努力をしてもらう措置ができる、こういうように私ども考えるわけでございます。そういった意味から申しまして、大臣が先ほど申し上げましたこととあわせて、直ちにこれがどういう効果を生むかはわかりませんけれども、方向としては、そういう現在の検定制度の建前におきまして、その中でいい教科書が生まれるような方向に向かうのではないかというように私ども考えておるわけでございます。
○小林武君 大臣と福田局長の御答弁を聞いて、私はどうも提案理由の説明並びに法律案の内容と、よくもまあこれほどかけ離れたことを一体この法律案の特徴点として言われたものであるなと実は思うくらいで、福田局長の今説明された内容を簡単にもう一ぺん繰り返してみますというと、四十六社という現存の会社を安泰、保護する、それによってもっぱら編集の方向に努力をさせる、こういうお話であります。まあ私はその中に一つ問題があると思うのですが、一体新しい会社ができるだろうと思うが、それらによって不正な競争を巻き起こしてはたいへんだから、四十六社を一体指定制によって守ってやろうという考え方は、私はどうもいささか間違いではないかと思うのです。一体そういう権限が文部省にできるのかどうか。憲法二十二条の違反じゃありませんか、あなた。そんなことを今議論したくもありませんけれども、よい教科書を作りたい、教科書業界に乗り出してみたいというような、そういう人たちの、それを阻止するあなたたちのどういう権利があるのですか。憲法に保障された職業の自由選択、職業の選択に対する干渉にもなるのじゃありませんか。そういうようなことをこの法律案の一体ねらいとして、私の前で、よい教科書を作る条件の一つとして堂々と述べられるのですか。私は文部省の見識を疑うという、そういう気持ですね。代価の支払いによって危険負担をしてやるというようなこと、そういうことがこの法律案の骨子なんですか。私はそういうようなことはこの法律案の中にも、提案理由の説明の中にも、重要な部面としてはないと思います。まあしかし、今このことを一生懸命やらなくても、これからゆっくり教科書無償という問題を、国民の立場に立って、ひとつできるだけよい方向で実を結ばせるということになると、討論をしなければならぬことですから、それはひとつ譲るといたしまして、私は今のようなお考えであれば、やはりひとつ文部大臣にお尋ねしておきたいことが一つあるわけです。このことはあとに譲ります。 文部大臣は、教科書無償ということは、これは憲法第二十六条に規定される義務教育は無償であるという、そのことの一部のこれは実現だと、こう思っていらっしゃるのでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その点は、第四十国会において御審議いただきました無償に関する法律の提案理由についても、質疑応答を通じても申し上げたことでありますが、御指摘のとおり、憲法が、「義務教育は、これを無償とする。」という一つの理想を掲げておると思いますが、それが今までは現実には、教育基本法に明記しております授業料を徴収しないということであるということにとどまっておったわけであります。けれども、憲法は単に授業料のことだけを規定しておるのでないというのが通説のようにも承知をいたしております。すなわち換言しますれば、憲法のいうところの「義務教育は、これを無償とする。」という理想を幾らかでも前進せしめるという趣旨の実現である、かように考えておるわけであります。
○小林武君 実は四十国会における提案についても、文部大臣の説明は聞きました。なおまた、本法律案を衆議院の段階で討論されている速記録も若干目を通した。その中で、私は今率直に大臣が申されたことについて、一つ非常な心配を持っているわけなんです。これは、従来いわゆる憲法第二十六条の義務教育は無償だということは、文部省の見解として、授業料を取らないことだ、このくらいの程度の御理解であったと思うのです。正直にあなたはそうおっしゃった。ところが、ほかのほうではそうとってないようだ、通説はそうでないようだというようなお話なんですが、私はそういう点であまりにも開きのあることにちょっとがっかりしているのでございますけれども、そうすると、大臣が衆議院の中でもおっしゃっている憲法二十六条の規定の、これは一つの敷衍だというようなことを、そういう意味の御発言をなさっておるのですね。これはあれですか、憲法二十六条に規定されている義務教育の無償ということを、あなたは単なる理想であるから、あるいはほんとうは授業料を取らないくらいのものであるのだけれども、それをひとつうんと拡大して、教科書の無償まで恩恵的に拡大してやろうというような、こういう御意見があるんじゃないかということを非常に私は心配しているのです。敷衍という言葉も、私はそういうふうにおとりになっているのではないか、あなたがそうおっしゃっていることをひがんで考えているわけでもないのですけれども、同じく速記録の中に、与党の中のどなたかの御発言の中にもそういう意味のことが言われておりますから、その点について心配を持っております。これはどうなんですか。私は憲法第二十六条は、これは国民の権利だと思う。権利条項なんです。義務教育は無償だというのは権利なんですよ、国民の。恩恵ではないはずなんです。教科書だけはただ恵んでやるぞというような種類のものではないと思う。恩恵を受けるという性格のものじゃない。ただし、いろいろ国においてもその方面に金を出せないような事情があったのか、出し渋ったのか、それは別といたしまして、なかなか出せなかった。しかし、国民の声にとにかく動かされて、国よりかも先に教科書をただでやるというようなところが地方自治体の中に現われた。文部省はそのときに、義務教育無償は授業料を取らないことだというように、めい答弁をなさったわけでありますが、しんにゅうのかかったほうの迷答弁でございますけれども、そういう迷答弁をなさったように私は記憶しておるわけです。こういう一体文部省の考え方が今でもあるのではないかということを心配するわけですが、現在の文部大臣の心境としてはどうですか。これは当然の国民の権利である、恩恵ではないのだ、義務教育の無償、これにかかわる教科書無償ということに、こうお考えになっているかどうか、それをお聞きしたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お話のとおり、憲法第三章が国民の権利義務という趣旨で規定をいたしておる意味で、国民の権利であることは言わずもがなと思います。恩恵という言葉がございましたが、民主憲法のもとにおいて、恩恵という概念は本来あり得ないものだと私は思います。主権者たる国民の憲法であり、主権者たる国民のためのその憲法の規定である。しかも、第三章は国民の権利義務を規定しておる。あえて疑う余地は一つもない。その点については私は、そう理解します。ただ、憲法のいうところの「義務教育は、これを無償とする。」ということ、そのことが、一つの理想を掲げておるということは、文部省がどうだということでなしに、これまた憲法解釈上当然言い得ることである、かように考えるのであります。憲法にいう義務教育無償というのが、今度は現実問題としてどうだということを中心に申し上げれば、年月日を忘れましたけれども、ある係争事件をめぐる裁判所の判決例の表現を借りるならば、一応、教育基本法にいうところの授業料は取らないということと理解されるというのが判例上の結論であるように承知しておりますから、それを拝借に及んでそう申したのであります。しかし、「義務教育は、これを無償とする。」というのは、その判決にかかわらず、授業料を取らないことで終わりではない、もっと時代の進展に伴い、あるいは国力のいかんにも左右されるとは思いますが、そういう見地からプラス・アルファのものが意図されているということが憲法の規定であろうと思います。その意味において理想を掲げておると私は理解しておるわけであります。しからば、授業料を取らないということの次に位するものは何だろうということで考えてみますれば、法律上使用を義務づけられている主たる教材である義務教育の場における教科書というものが、次の課題として登場せざるを得ない必然性を持っていると私は理解します。その理解に立ちまして、憲法の理想を順次実現していく次の段階にこの問題を取り上げるということが、文部省の立場からしましても、国民に対する責務を果たすまず第一のことであろう、かように理解しております。
○小林武君 民主的な憲法の中に恩恵などという言葉はないということは、これはたいへん私も同感でございます。授業料を取らないという考え方から見れば飛躍的に進歩なさっている、この点はひとつ私も大いに賛意を表したいと思うわけであります。ただ、私は憲法の第三章、国民の権利義務の問題について、一体、理想としての権利とか何とかいうことは、これは通用するかどうか。私は現実の問題として、義務教育無償というようなものが、憲法を制定した当時の日本の国力の状態から、急にこの国民の権利に対して国が十分これに値するだけのことを教育の上でやることができなかったということについては私は認めるのです。ただ、そのことが理想であって、私は言葉をかえて言えば、国民の権利などというようなものは理想であって、現実にはこれは認めてやらなくてもいいのだというようなお考え方があるのだとすれば、私は事が重大だと思う。第三章に規定されている国民の権利の問題について、理想であって現実は違うというようなことで、国民の権利がじゅうりんされるなどというようなことは、あなたが先ほど恩恵などという言葉は民主的な憲法の中にないと、こういうことをおっしゃったが、それとはまるで違った考え方のように受けとられると思うのですが、この点はどうなんですか、あなたは。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 憲法は、私は憲法の規定そのままが現実となる部分と、理想を掲げておると言わざるを得ない部分とあると思います。天皇制のもとに天皇の御威光をかさに着て行政をやるというわけではないわけですから、文部省が、あるいは文部大臣の立場におる者が、今おっしゃるようなこのものの考え方を持とうと思っても持てないという大前提において、民主政治が日本では現在行なわれていると思うのであります。義務教育はこれを無償とするということは、憲法が掲げる一つの理想であると申し上げることは、恩恵的な気持とか、あるいは主権者たる国民の上に、あるいは国民以外に第三者的に存在してかれこれ申し上げるなどという意図があるわけでもなし、あったってできることではない。こういう理解の上に立って私はすべて申し上げておるのであります。文部省がどう考える、こう考えるということにかかわらず、義務教育はこれを無償とするということは、現実に授業料が取られないということ、次には、この法律に従がって義務教育教科書が完全に無償になりました瞬間に次の課題がプラスされる。その次にまた続々と課題があるであろうということを憲法は予想しておるであろうことを理想と申し上げておるのであります。そのことを実現するしないは、文部官僚がどう思ったから前進していかないのだというようなことでなくして、国力あるいは国権の最高機関としての立法府のものの考え方、また国民に奉仕すべき政府、その一省としての文部省というもののサービスの度合いというものが、影響はされましょうけれども、現在かくあるということは、文部官僚がどうだからどうなっているという課題ではないと思う。あくまでも主権者にサービスこれ努める心境のもとに、憲法が掲げておる理想に向かって具体的な努力を積み重ねるという責務が国民に対してあるから、その考えに立って一歩前進をする案を御提案申し上げて、国権の最高機関において、主権者にかわって御審議を願っておる、こういう姿だと理解しておるわけであります。
○小林武君 文部大臣とか、文部省とかという、そういう角度からだけ私が国民の権利義務の問題を聞いたわけではないわけです。あなたが閣僚の一人として、文部省という窓口だけ一つだけから見ているわけでもないでしょう、日本の国政に対して。そういうあなたが一体国民の権利の問題について今のようなお考えをお持ちであるということは、多少やはり危険だと思うのです。大体、国民の権利というものは、立法府だとか、行政府だとかというようなものが与えてやるという問題じゃないわけです。国民の、要求に従ってやることなんです。しかし国民の要求という、主権者である国民は一体その要求に応じて自分の権利を主張するわけですから、そういう点は、やはりどうもあなたのお考えの中には恩恵のほうがどうもついて回るような気がするわけでありますけれども、今そういうことについてここで議論しなくてもいいと思いますから、それではひとつこの件に関してお尋ねいたしますが、教科書の無償の問題は、さらに将来教育、義務教育の無償という点から、教科書よりさらに拡大されていく、こういうふうにあなたはお考えになっていると考えてよろしいですね。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げますが、その前に、私が先刻お答えしたことが危険であるという御批判でございますが、さっき申し上げたような考えでないならば危険だと私は思います。憲法がそのままで国民生活の現実になるわけのものでなくて、それを現実にすべき過程においては立法措置を講ずべきものは講ずるというやり方で初めて憲法の規定が現実に足が地につく姿になる。そのことが憲法上約束づけられているがゆえに、国会というものも存在しており、また政府も存在しておる。それが主権者の意思であり、そのことを素直に受け取って、先刻お答えしたような営みをするところに行政府の責任が果たされる姿がある、こう理解するのであります。法律という形で現実に足を地につける手段なくして、ただ憲法に規定してあるから何でもいい、かつ行なってよろしいということは民主憲法の許さざるところ、そういうふうに理解しておりますから、先刻お答えしたようなことを申し上げたのであります。 そこでお尋ねは、教科書無償以外にも次々に具体的問題が前進する姿で具現さるべきか、どう考えているかというお尋ねと思いますが、私もそう思う。しからば何だということは、今申し上げる材料はございません。
○小林武君 義務教育無償は、さらにいろいろな角度で拡大されるということについての御答弁は、それで満足しますけれども、具体的に今この次は何だということを私はあなたに質問しているわけではないから、それでけっこうだと思います。ただ、あなたのおっしゃることの中には、さらにもう一つ私は危険を感じます。憲法に書いてあるからといって、一体、憲法に書いてあるからこうだというようなことを言うのは、これは民主憲法の許さざるところだという一体考え方は、しかし、これはどうですか、たとえば憲法第十一条、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。」、こういう問題は、書いてあるからといって、お前は基本的人権というのは、今のところまだ早いのだということをあなたはおっしゃることができるかどうか。十三条の、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」、そういう生命の問題、自由の問題、幸福追求の問題について、あなたは今のような、何でも憲法に書いてあるからといって、一々そういうことが保障されると考えることが許さざるというふうに解釈されるとしたら、たいへんなことではありませんか。私はまさか文部大臣は、そういうことをお考えになっていないと信じております。相当勇敢なことをおっしゃいますけれども、心の中ではそんなことまではお考えになる方だとは考えずにおつき合いをしておったのですが、あなたが今そういうことをおっしゃると問題が起こります。やっぱり私は危険だと思います。たとえば義務教育無償のような問題をひとつ取り上げて、先ほど申し上げたとおり、直ちに実施できなかったということは、国民自体が自分の考え方の中で、それはやっぱり了承しておったから今まで出てこなかった。だんだんそれが国民の声として高まって、それについて政府もこたえざるを得ないような状況になったということになるわけであります。私はそういうあなたのような考え方をほんとうにお持ちであるとすれば、私はやっぱりたいへんなことだと思います。民主憲法として許さざることだとあなたは断言なさるのですか、憲法に書いてあるからといって。国民の権利の問題、それをそう考えられますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その点は、一番最初に申し上げたことに関連しますが、憲法は憲法の規定そのままで国民の現実生活それ自身が憲法によって保障されることにつながるものと、法律という形で憲法の掲げる理想を現実化することなくんば実生活につながらざる課題とある。それを一緒くたにして憲法に書いてあるから、直ちにそれが勝手気ままにやれるのだということを考えることにむしろ危険を感ずるという意味で申し上げたのであります。(「それならなおおかしい」と呼ぶ者あり)あえてそれを申し上げるゆえんのものは、よく悪法は法にあらずという手合いがおりますが、主観的な、自分が悪法と思うがゆえに従わないでよろしいということほど危険なことはない。かりに主観的に悪法と感じた者がありましても、それは主権者の大多数によって支持される国権の最高機関の決定に基づいて法律となっておる以上は、合法的な、民主的な手続を経て改正されるまでは、その主観でもって律すべきでないということを申し上げるかわりに、先刻のようにお答えをしたのであります。(「すりかえだ」と呼ぶ者あり)したがって、――すりかえたのではございません。実質的につながるものの考え方だと思います。そういう考え方がないなら民主憲法が泣くであろうと思いますから申し上げたような次第であります。
○豊瀬禎一君 議事進行に関して。今の大臣の答弁は、先ほどの、憲法に書いてあるからそのまま現実の生活にあてはまるというか、そのまま実行してよろしいのだということも、民主憲法の断じて許さざるところ、こういう趣旨と今の答弁は違うと思う。本人はすりかえでないと言っているのですから、委員長のところで、今のところの文章だけ速記ですぐ出させて下さい。それのほうがはっきりするでしょう。私のほうも耳で聞いただけですから。憲法に書いてあることをそのまま実行できるということは民主憲法の断じて許さざるところと言った答弁は、今の答弁のような内容でないと思うのです。
○委員長(北畠教真君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(北畠教真君) 速記を始めて。
○小林武君 今の大臣の話を聞いているというと、ほんとうはここでそういう論議を長くやるつもりはなかったのだけれども、だんだんあなたがいろいろなことをおっしゃるから言ったのですけれども、しかし、やはりこのことは言っておかなければならぬ。私は、あなたの憲法に対する考え方はね。悪法は守らなくてもいいという人たちよりかもっと危険だ。私は悪法だから守らなくてもいいというようなことを、そういった人間を見たことがないんです。あなたは何かそういう手合いがいるというようなことを、ずいぶん何か得々としておっしゃっているようですけれども、その人が、少なくとも法律の体をなさないようなものは守らなくてもいいのだというのも一応の理屈はある。よしあしは別として、その人間が一応とにかく法律の体をなさぬのだということは。あなたは、国民全体がいい憲法だ、守らなければならない、この憲法に従って教育も行なわれなければならぬし、国の政治も行なわれなければならぬ、こう考えている憲法について、その中の特に主権者としての国民の権利の問題について、理想であって、その中においては大した保障をしてやらぬでもいいようなものがあるというようなことを言うのは、私はもっと危険だと思う、考え方として。あなた、たいへん悪法なんとかいったのを力んでくさしましたけれども、あなたのほうがだいぶ程度としては危険だと思うんですがね。まあそのことはひとつここらでやめます。
○高山恒雄君 大臣に質問するんですが、この法案を提案される前に、この中にも盛られてありますが、審議会の意見を尊重して法案ができた、こういうことを言っておられると思うんです……。
○豊瀬禎一君 関連質問じゃないんですか。
○委員長(北畠教真君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(北畠教真君) 速記を始めて。
○高山恒雄君 今も言ったように、意見を尊重して、答申の案を尊重して作成したという考え方ですが、私はこの審議会の構成ですね。見てみますと、大体、教育家というのが、私は教育家でも何でもありません。けれども、ほんとうに教育に携わっておられる方、大体二人しかみえないのですよ。そのほかの委員の構成をみると、会社の社長とか、銀行の頭取とか、副頭取だとか、そういうところのメンバーで構成されておると思うので、民主主義の基盤の上に立つこの建前からいっても、さっき小林委員の質問にも、広く世論を尊重してやるのが当然だ、こう言っておられるわけです。こういう意味から考えてみて、もっとこの審議会なるものを広く、たとえば中学校の校長、あるいは次席クラス、あるいは小学校のそうしたクラス、そういうものを入れて、この答申案というものが出てきておるならば私は問題はないと思います。けれども、やはり今の構成からみると、一方的に偏するということがどうしても起こるのではないかという私は気がするのです。こういう面に対して大臣はどうお考えになっておるか、お聞きしたいと思うのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 教育に直接携わっておる方々ももちろんでございますが、教科書発行を現にやっておる人、これまたひとつの候補者として考えられるべき要素でもございましょうし、かつまた、経済、財政面、あるいはジャーナリスト方面というものも、世間的には一応、国民のある層を代表するような立場の人と理解されるわけでございますが、そういう意味で、今お説のような気持を体しながら人選をしたつもりではおるわけでございます。
○高山恒雄君 その「つもり」という答弁でこれを濁されると私は困るのですがね。そうじゃなくて、実質的に入ってないのですから。今、日本全体のあらゆる行政に対する諮問委員会の構成というものは、私は広く求めておると思うのです。組合の代表も入っておりますし、それはその立場から学識の経験者として入っておると思うのです。ところが、この文部省のそうした諮問機関に対しては、依然として、旧態依然たるもので構成して持っておられるところに、私は根本的な問題があると思う。そのつもりだ、こういう答弁は私は納得いかないのですがね。「つもり」じゃなくて、もっと民主主義の原則に沿って、憲法の理論にも沿って、ほんとうに広く意見を求めるのだ、その気持に大臣はなれるのかなれないのか、私はここに問題があると思うのです。御答弁を願いたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) おっしゃるような考え方であるんだということだけは申し上げられると思います。ただ、人選そのものが、絶対的に大丈夫だと言い得るかどうかということにつきましては、謙抑に「つもり」と申し上げたわけでございます。そこで、現実に教育の現場で体験をしておられる方々の代表というか、それは小中学校の校長協会の代表者をメンバーとして入れております。組合代表者は入れておりません。それは、組合というのは教育の実体そのものに直接タッチする団体ではない。法律に規定されておりますがごとく、給与、勤務時間等の勤務条件の維持、改善についての団結を許された団体でございますから、組合代表者というのは、こういう場合に特に選んで発言を求めねばならない団体ではない、こういう理解に立っておるのでありまして、教育の現場のこれらの問題に対する意向というものは、考え方というものは、やはり校長によって代表されるという受け取り方がほんとうだと思っております。
○高山恒雄君 それならば、私聞きますが、文部大臣は、組合という立場と教育家という立場の区分ですね、いわゆる教育をする人が組合を作っておるわけです。だから、組合の代表という考え方に立たなくても、教育家の代表ということは考えられると思うのですね。それが一つ。もう一つは、先ほども私が申しましたように、行政の運営機関の諮問委員会の制度として、どの委員会にもそうした、広く何十人かの人の構成によって、すべての答申案が今日できてきておると思うのです。それは常任制度を作り、あるいは幹事制度を作り、そうして総会にかけて諮問、答申するということになると思うのです。だから、組合の代表だという考え方じゃなくて、文部省の立場からいえば、教育者の立場という考え方に文部省がどうしてなれないのか、それだけ古い考え方をお持ちなのか、私はその点が聞きたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お話のとおり、教育者がメンバーとなっておるのが組合である、地域の教員組合であり、日教組である、それはもうお説のとおりでございます。しかし、それは教育者という立場において集団があるというのじゃなしに、教育者たる人々が、自分たちの福祉増進のために団結することが許されておる、その集団の存在意義は、憲法の二十八条に源を発する課題であろうかと理解するのでございまして、したがって、それはあくまでも法律に明記しております集団の目的を持った組合であって、教育者それ自体の集団ではないと、これが私は正しい理解だと思うのであります。したがって、仰せのごとく、組合員ではあっても教育者であることには間違いはない、したがって、教育者の立場における意思表示というものは、職員団体、教員組合というルートから出さるべきものじゃなくして、学校単位に、あるいは教育委員会と一緒になって、初めて教育者の意思が、そこに完全に出てくるルートだと理解するのがほんとうだと思う意味において、教育者の意見はむろん尊重せねばならぬことは仰せまでもございませんので、それにいささかの異論もございませんですけれども、今申し上げましたように、教育者の意向をただすというその対象は、組合の代表者というものでは、制度の問題としては適切じゃない、教育者の意向の表われるルートは、今申し上げる学校長によって代表されるであろう、あるいはまた、教育委員会という系統でもって代表されるであろう、そのことを中心に、こういう意見を聞きます場合に人選をするのが当然のことではなかろうか。むしろ組合代表者を入れることによって、教育者の意見が、意思が、そこに透徹するルートとして考えられたのだ、そう考えることそれ自体が、制度論としては私は適切ではないのじゃないか、こういう前提で申し上げておるわけであります。
○高山恒雄君 理論的な建前からいっても、現実的な建前からいっても、私はちょっと文部大臣のその回答には満足しがたいし、非常にその見解の相違があるのじゃないかと思うのです。たとえば、民間の場合は、御承知のように会社の従業員という立場があると思います。組会員は、会社の従業員である、これは協約書がちゃんとあるのですから。そうすると、学校の教師の場合も、雇用関係は、地方公共団体でやる場合がある、あるいは中央の場合は中央で結ぶ。そういうふうに雇われた者が、初めて組合を作る権利を有するわけです。これはだれも否定できないところだと思うのです。したがって、組合というものは、単に自分たちの利益だけを守るということだけでなくて、広く社会的な地位の向上を求めていこうという団体であることも、これは否定できないと思うのです。そういう意味から考えれば、組合の否定論でなくて、組合は、むしろ個々の労働条件ということが主体にはなるでありましょうけれども、広く社会に貢献する面もまたあると思うのです。そういう意味から、どうして広くそれを民主的に聞くことができないかということを私は疑わざるを得ないのです。しからば、大臣は、今の答弁のような考え方でありますならば、現在、行政機関にあります諮問委員会には多くの人が入っております。一般知識階級、学識経験者として労働者の代表も入っておりますし、いろいろな人がたくさん入っておりますが、一体、同じ政府の行政機関にあります大臣が、それも否定するということになるのですか、私は、その点聞きたいです。ほんとうに文部省だけが、そういう否定を大臣がしておられるのか。それとも政府の行政機関である全般に対する諮問機関の中には、そうした学識経験者として入れることはまかりならぬのだ、これが政府全体の考え方である、こういう気持でいられるのか、そういう点をお聞きしたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 学識経験者の一人であるということを否定するわけにいかぬと思います。それは。しかし、そういう見地で考えるといたしましても、組合の代表者という人の学識経験性と、さっき申し上げた学校長、それは当然学校内における教諭諸君の考えなり何なりを当然反映するという前提においてでありますけれども、あくまでもそれは教育プロパーの課題について反映するであろうところの学校長、それが全国組織も持っておりますので、その会長に選ばれた人を学識経験者として選んだほうがまともな線から考えられた学識経験者であろう、それで十分であろうということでお答えするほかにないと思うのであります。組合の代表者なるがゆえに当然にこういう審議会の委員にならねばならぬという課題ではないと思います。学識経験者の一種であることを否定するものじゃむろんございません。
○高山恒雄君 のれんに腕押ししているようなもので私もあほくさくなってきた、大臣の考え方には。教育の問題は一部の特定の人が考える教育じゃないと思うのです。今日の日本の民主教育というものは、私は教育者じゃありませんけれども、いろいろな本を見るとやはりそうだと思うのですよ。そういう時代に沿った政策がどうして取り入れられないか、私はここに問題があろうと思うのです。私は、文教委員会に最初から入ってきておるのですが、今日、議員提案もたくさんございます。すべてが労働問題に対する私は問題ではないかという感がしておるのです。こういう労働問題は、日本の全体の産業の中から拾い上げてみて、ほんとうに中小企業を除いた産業は、私はもっと……、いわゆる庭掃除に至るまで、寮の清掃者に至るまで労働条件がきちっとしておりますよ。それにもかかわらず、日本の将来の百年の計を立てる学童の教育をする文部省が、その労働条件ですら完備してないという状態を私は直感しておるわけです。これは、今、文部大臣のお考え方がかくあらしめておるのではないかという私は杞憂を描くわけですが、そうでなければけっこうですが、私は意見として、もっと突っ込んだ、そうして多くの意見をやっぱり尊重していく、その中から健全な日本の民主教育の基礎を早く作る、それがためには、まず、そこに働く者の条件は微に入り細に入り、そうして整えて、りっぱな将来の基礎を築いていくのだ、こういう観点に立ってもらうことを私は希望意見として申し上げておきます。 なお、本日提案されておる問題については、細部にわたって私も御質問することはたくさんありますけれども、今途中で、小林委員の発言中に私は関連質問としてお願いしたわけですが、これをもって私、一応打ち切ります。
○小林武君 先ほどからいろいろ議論している点ですね。文部大臣と憲法の問題について多少食い違いがあるわけでありますが、先ほどこの速記録を翻訳してもらうことについてお願いしてありますけれども、まだできておりませんし、その問題を解決しないで先に進むということは、私の質問したいということの進行に非常にじゃまになりますので、私の質問は、きょうここらで打ち切って次回に持ち越したいと思います。よろしゅうございますか。
○委員長(北畠教真君) 速記をとめて。 〔午後三時二十五分速記中止〕 〔午後三時四十分速記開始〕
○委員長(北畠教真君) 速記を起こして。
○高山恒雄君 これは局長にお願いするのですが、文部省には、どういうそういった諮問機関が何ぼ設けられて、人員は一体どのくらいなのか。それから氏名、経歴も全部入れてどのくらいそういう機関があるのか、ひとつ出してもらいたいと思います。
○政府委員(福田繁君) 今の資料ですが、できるだけ調製いたしまして差し上げます。
○委員長(北畠教真君) 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十二分散会