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43回国会参議院1963/05/23

文教委員会 第19号

発言数
71
登壇者
10
会派数
2
開催日
1963/05/23

会議録

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  まず、本日の委員長理事打合会について御報告いたします。本日の委員会は、高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案の質疑を行なった後、学校安全会の問題について質疑を行なうことに決しました。以上、御報告いたします。     —————————————

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) それでは、高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法律案については、すでに提案理由の説明は聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑の通告がございます。これを許します。久保君。

久保勘一自由民主党

○久保勘一君 御提案になっておりまする改正案の主たる点は、第一が、使用者に対して就学あるいは通学上の義務を負わせるという点、次は、夜間定時制通信教育に従う事務職員並びに従来の法によって適用を受けておりません実習助手についての通信手当の幅をふやしていく、大体この二点であろうかと存じます。そこで端的に第一点の、使用者に対しまして就学その他通学上の義務を負わせるという点についてお尋ねをいたしますが、この使用者が通学上について理解を持ち、これに協力をしてもらうということが必要であり、かつそのことが従来十分に行なわれていないという点につきましては御提案のとおりだと存じます。しかしながら、申し上げるまでもなく、定時制並びに通信教育はその設置者は地方公共団体でございますので、この設置者であります地方公共団体に通学あるいは就学上の義務を負わせるという点については、これは当然だと思いまするけれども、青少年をかかえておりまする使用者に直接それらの義務を負わせるという点については、多少行き過ぎではないかという感じを持つのでございます。かりにそういうことをいたすといたしますれば、何かやはり使用者に対してその裏打ちになりますような便宜と申しますか、税法上の優遇措置を講ずるとか、何らかの措置を裏打ちとしてすべきではないか。もちろんそういう裏打ちをしなくても、ただいま申し上げますような趣旨から義務づけをする、特に労働時間の短縮等の措置を具体的に講じさせるというようなことについては、建前上どうも行き過ぎであるというような感じを受けるのですが、この点について、そうでないという御趣旨でございますようでありますので、その点について少しく御説明を願いたいと思います。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 お説のとおり、訓示規定としては入れておりますけれども、具体的に労働時間の短縮等という文字でうたっておりますから、入ってくると思いますが、元来は、八時間労働なら八時間労働を適切にやっていただく、いわゆる超過勤務等を排除していただくというようなやり方でも大体やっていけるのじゃないだろうか。あるいは勤務時間を八時間のワク内においても、八時なら八時に始めますと、八時間でいえば大体四時半なら四時半に終わるというようなことをやるとかいうようなことで、何も労働時間を特別に短縮するということではなくて、趣旨は、八時間なら八時間の中で大体操作がやっていけるというようなふうにしていただいたらどうだろうかという考え方であります。  それからもう一点、お尋ねではございませんが、御意見の中で述べられております税の免税等の問題でございますが、これは諸外国等ではやっておりますが、御案内のとおり、まだ日本ではそこまで実は考えられておらないのは非常に残念だと思いますが、こうしたような訓示規定を入れ、あるいはやっていくことにより、たとえばまた日経連等も、定時制の卒業生等について全日制との差別をつけないというようなことをこの間きめて、新聞等を通して承知しておるわけですが、そういうようなことがおのずから行なわれるようになってくれば、片一方では当然そういう施設の完備、いろいろな問題が出て参りまして、やはり何らかの形で使用者に対するところの優遇措置等も考えられてくるような機運が出てくるのではないかと思いますが、今のところ提案としてはそういうようなことまで関連をして実は考えておらないというようなふうにしかお答え申し上げられません。

久保勘一自由民主党

○久保勘一君 従来、使用者の理解を深めるということについては、それぞれ公共団体なりあるいは学校当局もそのPR、その何といいますか、理解を深める方法について努力を重ねてきておると私どもは承知いたしております。そこで、提案者といたしまして、現在の状況で特に顕著に使用者側に、そういう無理解のために定通あるいは定通の教育に支障があっておるというような顕著な傾向でもありますのかどうか、そういう点について御説明をいただきたいと思います。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 実はこまかい資料を持っておるわけではございませんが、昭和三十四年度に定通制の退学した人を調べたものによりますと、大体退学した者の総数がどれくらいあるかと申しますと、昭和三十四年度には大体三万六千三百八十五人あるわけです。で、そのうち本人によるもの、家庭によるもの、勤め先によるものとの比率を分けてみますと、本人によるものが大体このうち五〇・九%、それから家庭の都合によって退学した者が二三・七%、それから勤務先での事由によって退学した君が二五・四%、その勤め先によるものの二五・四%の内訳を見ますと、勤務先が非常に多忙であるからというのでやめたのが一二・五%、無理解によるものが一・二%、それから転職した者が一〇・四%、その他の理由が一・三%というような一応の調べはございますが、何にいたしましても四分の一ちょっとの者が勤め先等の理由によって退学をしておるということについて、こういうような訓示規定等を入れることによって何らかこれで漸減していくんではないかということを考えております。個々具体的に、こういう点で使用者の無理解によってということは、こういう席上で申し上げるのは差し控えたいと思いますが、こういうような数字で、そこのところはひとつ御勘弁を願いたいと思います。

久保勘一自由民主党

○久保勘一君 次に、御提案にも指摘してありますように、定時制並びに通信教育については、今日いろいろな問題があると思います。特に働きながら勉強しまする後期中等教育をどういうふうにするかということについては、御提案にも御説明がございますように、非常に重大な関心を私どもも寄せておるわけでございますが、このことにつきまして、提案者として総括的にどういうふうに考えてあられるか、総括的でけっこうですから御意見を聞きたいと思います。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 御指摘の点は、これを義務制に持っていくかどうかという点が一つあろうかと思いますが、まだ法全体を公正に運営するということは、少し諸外国等の例からいえば、そういうふうにやっておるところもありますから、そこまでいってもいいじゃないかということであるのでありますが、私は近い将来にはそういうことになってくるだろう。第二番目の御指摘の点は、技術革新、産業構造全体が変わってきたときに、こういう職業教育の面をどういうふうに今後持っていかなければならないかという点についての考え方もうかがわれておるかと存じます。諸外国等の例を見ますと、職業教育というものを非常に大切にしておりまして、そうして検定制度がありまして、検定制度と学校教育、いわゆる検定を受けなければ、そこには昇給、昇格等がないというようなことでありまして、それについては義務制になっておるわけでございますが、確かに産業構造改善からいきまして、日本の国の職業教育、後期中等教育の面、そういう面で十分今後考えていかないとたいへんな問題になる。したがって、今の教育課程の中でこれをどういうふうにしていくかということについては、今後十分いろいろな面から検討されなければならない問題だと思いましたが、私個人の意見としては、率直に申し上げますならば、もう一ぺんこの際十分検討し直すときがきているのではないか、そうして、今からやっていかないと、諸外国等と競争していく上において、産業技術競争において負けてしまうのではないか、だから、こういう点については、そう一挙にやることはできないが、長い研究の上に立って、そうして間違いのないようにやっていったら非常にいいのじゃないか、いわゆるお互いが研究し合わなければならない。そういうときにきているのではないだろうかというふうに考えております。これは私見でございますが。

久保勘一自由民主党

○久保勘一君 そこで、文部省にちょっとお尋ねをいたしますが、提案者から御説明のございました点でございますが、申し上げますように、定時制については特に今日いろいろの問題がございます。そこで、文部省として定時制教育について現在の状況をどのように御理解になっておられるのか、特に話がばく然としておりますから、やや具体的にお尋ねをいたしまするが、全日制にだんだん切りかわりつつある。それから就職、進学等の点についていろいろ問題がある。さらに御提案にもなっておりますような、使用者の理解の点について問題がある。そういういろいろな諸点が定時制教育について指摘されていると思います。そこで、文部省としてこの段階で、この問題についてどのように御理解をなさり、またどういうふうに対処されようとしているか、総括的に御説明を承りたいと思います。

渋谷敬三文部省初等中等教育局中等教育課長

○説明員(渋谷敬三君) 短時制につきましては、大きく分けますと、夜間の定時制と昼間の定時制とがございます。昼間の定時制は主として農村地区に多いわけでございますが、昼間の定時制は生徒数は十年前に比べまして逐次減って参りましたが、最近、一応大体横ばいになったかと思います。夜間の定時制のほうは逐年ふえてくる傾向にございます。それで、これらをいろいろ考えますと、夜間定時制につきましては、その生徒の九割が勤労青年でございます。昼間働きまして、夜勉強をするということでございますが、毎日、朝から働き夜おそくまで勉強をするということでございますので、生徒自体にいろいろ問題もあるのではないかと思われます。教師と生徒、あるいは生徒同士の人格的接触琢磨の面では非常にすぐれているわけでありますが、自学——自分で自発的に勉強をする、そういう時間的な余裕その他があまりないということが考えられると思います。それから通信教育制度がございますが、こちらのほうもほとんど勤労青年でございますけれども、こちらのほうは教科書と学習書、あるいは添作指導等によりまして、自分で勉強いたしませんとものにならないわけでありますが、こちらのほうは自学自習をするという、能動的に勉強をするという長所はございますが、面接時間が年二十日間ということで、先生と生徒、あるいは生徒同士がいろいろ人格的に接触し琢磨していくという点に欠ける点があるというようなこと、それから農村のほうは、昼間のほうは数も非常に減ってきたわけでありますが、その性格が必ずしもはっきりしない、全日制の肩がわり的なものも一部あるようなわけであります。これはしかし、やはり自営農家の育成とか、そういったような方向に重点をおいて考えられるべきものではないかというふうに考えられるわけであります。そこで、私どもといたしましては、後期中等教育の拡充整備という問題の中の大きな柱の一つといたしまして、定時制教育、通信制教育の改善充実に本格的に検討をしていきたい、現在そのように考えております。

久保勘一自由民主党

○久保勘一君 重ねてもう一度お尋ねしたいと思いますが、私がお聞きしたいと思いまする点は、御了承のとおり、定時制がだんだん全日制に切りかわっていく傾向にある。したがって、働きながら勉強しなければならないやむを得ない事情にある勤労青少年のせっかくの機会であった定時制というものの本来の設立の趣旨と申しますか、精神がだんだん薄らいできつつあるんじゃないかというようなことを感ずるわけであります。そこで、特にその点について全日制に切りかえることについて文部省の方針としてどういうふうに考えておるのか。もちろんこれは県あるいは市町村の設立者がやることでありまするから、直接、文部省に責任はないわけでありまするけれども、指導、助言の立場からいって、そういう傾向についてどういうふうに理解されておるのか。したがって、次の段階としては、働きながら勉強しなければならない事情にある後期のそういう青少年の教育をここで何とか考え直すべき段階にきているんじゃないか、こういうことを感じますので、その点を主体として、もし文部省にそういう案があれば御説明をいただきたいと思うのであります。

渋谷敬三文部省初等中等教育局中等教育課長

○説明員(渋谷敬三君) 先生のお話のように、昼間の定時制はこの十年の間にかなり全日制に切りかわったのがございます。これは主として独立校の定時制等でだんだん校舎、施設、その他が整備されて参りまして、全日制に切りかわったというのがかなりあるわけでございます。その辺は最近は大体横ばい状態になっているようでございます。それから分校がやはりかなり整理統合された歴史がございます。ただ、今残っております分校は、やはり僻地山村に多いわけでございます。生徒数もかなり平均して少ないというわけでございますが、しかし、そういう僻地、山村等で高等学校教育を受けよう、受けたいという非常に貴重な役割を果たしておるわけでございますが、ただ、平均して最近交通事情その他もよくなりまして、あるいは産業構造の高度な発展で都会地へ青少年が出る傾向が多いというようなことから、分校等がございましても生徒が非常に少ない。したがって、県財政当局も教員数を、五十人平均くらいの生徒の場合に多くの教員をなかなか財政当局が認めないという実情があるわけでありますが、そこでそれらにつきましては、確かに百人以上二百人近くありました分校が五十人くらいの生徒になったという場合に、数多くの先生を配置できないという事情も一部わかるわけでございますが、それらについては通信制との併修、その他いろいろな点で工夫を加えていくべき点があるのではないか。それから昼間定時制の全日制に切りかわったものは、もともとは勤労青年のための定時制で出発したのでありますが、その実態がやはり全日制の肩がわりをしておったというような部分もありまして、そういうものは切りかわっていったということもあるのじゃないか。ただ、今残りましたというか、大体そういう切りかわる傾向が横ばいになっております。そういう昼間定時制につきましては先ほどのように自営農家育成とか、あるいはいろいろな観点から考えていくべきではないか。それから夜間の定時制は昼間に比べまして、むしろふえる傾向にあるわけであります。通信教育につきましてもふえる傾向にございます。ことしNHKの放送教育学園が発足いたしまして、五千人定員で募集したところ一万五千人も入ってきた。それから各都道府県の通信教育の生徒もそれぞれふえる傾向にあるというようなことから、勤労青年の中で高等学校教育を受けたい、受けようという青年がかなり多いということがわかるわけであります。そこで、先ほどもちょっと申し上げましたように、定時制課程、通信制課程両者をいろいろ引っくるめまして、勤労青年が高等学校教育を受けやすい、また、生徒の実態に即してより勉学しやすいような教育方法、教育形態、そういったものをぜひ考える必要があるのではないか。職業訓練所との技能施設連携もかなり進んで参りましたが、それらのみならず、いろいろな点からもっと考えていくべき必要があるのではないか。それからもう一つは、それでもなお定時制にもいかれないそういう後期中等教育期の青少年に対しまして、新しい後期中等教育の教育施設なり制度というものを考えるべきではないかというようなことで、現在、省内関係課、力を合わせて勉強いたしておる次第であります。

久保勘一自由民主党

○久保勘一君 いずれ今の問題につきましては、機会があればさらにいろいろと御意見を承わりたいと思います。  次に提案者にお尋ねいたします。定通手当の支給状況について、対象人員あるいは金額等、なおまた現在の法で除外されておりまする教職員——事務職員も含めまして、それらが大体何パーセントくらい除外されておるのか、おわかりでございましたら御説明願いたい。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 この資料をお渡ししたわけでございますが、大体、定時制勤務の助手が千八十六名です。これはもちろん三十六年五月一日現在でございますが、事務職員が千百三十六名、事務職員の補佐をして、おるのが八百十九名、技術職員が五十名、用務員その他が男女合わせまして千六百八十二名くらいおりまして、そのうちで大体政令等で現にもらっておる人が、実習助手では大体五二%くらいはすでにもらっておるようでございます。したがって、約半分の人たちが実習助手等ではもらわない、こういうような格好になっておるようでございます。

渋谷敬三文部省初等中等教育局中等教育課長

○説明員(渋谷敬三君) ことしの予算で手当の対象といたしております実習助手は千五十二人、これは予算の積算でございます。それから実習助手で現在の政令の対象外になっておりますのが九百九十二人、こういうことでございます。なお、定通関係の事務職員の数は千八百八人、こういうことです。それから、ついでに申し上げますと、対象になっております教員の数が、予算の積算が二万七百八十六人、教頭、主事が千五百二十六人、そのほか校長先生が五%対象が千二百四十一、三%が二百二十といったような数字になっております。

久保勘一自由民主党

○久保勘一君 そこで提案者並びに文部省にお尋ねいたしますが、御提案によりますると、ただいま御説明のありましたように、実習助手について九百九十二名の者、事務職について千八百八名の者がこの提案によって救済されるわけになるわけであります。そこで、この法が制定されて、いわゆる定通手当というものが支給されるようになりましたときに、どういう事情で今指摘されておりまする実習助手の一部並びに事務職員が除外されたのであるかということについて、もし御提案者に御事情が御理解でしたら御説明願いたいと思いますし、もし何でしたら文部省からでも事情を説明していただきたい。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 この政令にございますように、二年以上大学に在学したか、それから高校が三年、それから中卒が六年ですか、そういうようなことになっておりまして、その中の成績の優秀な者を云々、こうなっております。ですから、そういう束縛と同時に予算の束縛がございまして、実際に同じ仕事を果たしつつ、もらえる人、もらえない人、差別がそこに出てくる、こういうふうに考えます。

久保勘一自由民主党

○久保勘一君 ですから、ただいま御指摘のありました短大以上で六十二単位ですか、高校で三年、中卒で六年、こういう者の中でいわゆる優秀な者、こうなっておるようですが、実際にそういう該当者でありながら、優秀でないということで支給されてない者があるのかどうか、そういうことがわかっておりましたらひとつ。年数は該当しておるけれども、優秀でないということで支給されてない者がおるのかどうか。

渋谷敬三文部省初等中等教育局中等教育課長

○説明員(渋谷敬三君) 実習助手は教諭を助けて各分野別に実習の指導を分担します。また実習指導の準備とか整備、始末、そういうようなことをするわけでありますが、実習助手の任用につきましては、特別な資格の制限は何にもないわけでございます。そこで、一定の資格を有しまして相当できるという人につきましては、結局、教員に準ずるような職務を実際分担することになりますので、実習助手そのものについては何ら資格の制限はないのでありますが、その中で一定の資格に達してその実質が教諭に準ずるような仕事もしていただいておる、そういうような考えで、政令で三つの基準を設けまして手当を支給するということにいたしておるわけでありますが、大体政令の一、二、三にあります前半の基準に達しておりますれば、大体手当の対象にしているのが大かたの実態である、こういうふうに了解いたしております。

久保勘一自由民主党

○久保勘一君 そこで、先ほどお尋ねいたしました点でございますが、大体三つの標準が示されてございますね。これに該当しない実習助手並びに事務職員について、なぜ定通手当を支給しようという法律ができました際に除外されたのかということの事情についてお尋ねをしておきます。

渋谷敬三文部省初等中等教育局中等教育課長

○説明員(渋谷敬三君) まず事務職員はこれは法律上除外されているわけでございますが、この定通手当を校長なり教員に出すという趣旨でございますが、定時制または通信教育というものが、そこに学びます青年がほとんど勤労青少年でございまして、いろいろな職場について働いている、それで多種多様な、いろいろな職場についたいろいろの青少年が昼間働いて、あるいは忙しいときに働いて学校へ行って勉強するという、そういう青少年を対象といたしまして教育いたしますわけでございますから、全日制に比べまして、直接教育に携わる教員の職務が非常に複雑なといいますか、あるいは困難さがある、そういう複雑困難な教育をやっていく校長なり教員の労苦に報いまして、それらの先生方が職務に専念精励できるように、またこういう定時制、通信教育の分野に優秀な先生に来ていただくように、こういうような趣旨から手当が出されている、こう理解いたしておるわけであります。そういう定通教育の複雑困難性、あるいはそこへ優秀な先生に来ていただく、そういったような理由から支給されているわけでありますから、事務職員につきましては、昼間であるから、あるいは夜であるからといって、特に事務の複雑困難さというものに別に変わりはないわけでございます。また、定通の事務職員だけこの種の手当を支給するということは、ほかのいろいろの手当とのつり合いから見ましても均衡を失するのではないか。それから実習助手でございますが、これは実習助手そのものは、先ほど申し上げましたように、何らの資格制限もなくて実習助手になり得るものでございますが、その実習助手が担当いたします職務には、いろいろな実習の準備とか、単に整理、跡始末をする程度の場合もございます。かなり進んで参りますと、教諭そのものではございませんけれども、教諭を助けまして、それに準ずるような職務を担当していただくという場合もございますので、一定の資格を有しまして、教員に準じたような仕事も担当していただいているという方に手当を教員に準じて支給しよう、こういう趣旨と理解いたしております。

久保勘一自由民主党

○久保勘一君 御説明によりますと、定通手当を出しております理由としては、この教育に従う人々の仕事の複雑性、困難性、こういうことを指摘されておるようでございますが、事務職の場合は多少そういう御議論もあるいは理解できるかと思いますが、実習助手について特に先ほどから申し上げておりますように、三年、六年の者に限って支給する、それらに達していない者に対しては支給から除外しておるということの理由が、どうも積極的に法の制定当時の精神が理解できないのですが、その点について何か法の制定当時議論されたものはないのか、もしありましたら御説明を願いたい、積極的な理由をですね。

渋谷敬三文部省初等中等教育局中等教育課長

○説明員(渋谷敬三君) これは産業教育手当と同じ形態になっておるようでございまして、こちらのほうの実習助手とこの定連のほうの実習助手と支給する者しない者の基準は同じ考えに基づいているようでございますが、私どもが理解している範囲では、実習助手はいろいろな段階がございまして、教諭になるにつきましては厳密な資格が要るわけでございますが、実習助手につきましては、その任用について何も別に資格の制限その他がないわけでございます。したがって、実習助手が実際にされる仕事には、きわめて単純なものと、それからかなり進んだもの、いろいろあるわけでございまして、定通手当が定通教育の複雑困難さといったような点から直接教育に携わる教員に手当を出すという趣旨でございますから、実習助手につきましても、そのうちでかなりの資格を有し、技術も優秀で、教員に準じたような仕事を担当していただいておるという方に手当を教員に準じて支給する、そういう趣旨に理解しておるわけでございます。

久保勘一自由民主党

○久保勘一君 ただいまの点がこの御提案のポイントだと思うのですが、どうも私は理解が十分でないのでありますが、提案者に、ただいまお尋ねいたしております間の事情がもし把握できてございましたら御説明願いたい。なぜ実習助手を区分けをしておるかというところの積極的な理由でございます。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 ただいま文部当局のほうから説明がございましたように、確かにいろいろな法律の中でこういう差があると思うのです。たとえば手当をする場合に、学校の教諭あるいは助教諭、講師、そういうような人たちはいいけれども、事務職員はいかぬ、あるいは助手はいかぬ、しかしその助手のうちでもこういう者はいいというようなことで大体その区分けがしてありまして、そうして、だからこそ同じ職場に働きつつ同じ仕事をしている人で、同じ責任と申しましょうか、そういうようなものを実質上は分け合っているのに差が出てくる。あるいは同じところで、なるほど仕事は違うかもしれぬが、学校で教える先生と事務をやっておる人となるほど仕事の内容は違うかもしれませんけれども、職場の中で、片一方は手当がついていて、片一方は手当がついてないということは結局何か調和を乱す、そのことが最終的に仕事にも悪影響というものがあるのだから、そういうものをぬぐい去ろうというのが提案の理由でございますが、お尋ねのように、なぜそれじゃそういう差をつけてきたかということの積極的な説明というようなものは、今当局が御説明になった程度にしかわれわれも伺っていないわけでございます。したがって、それに対する議論というものはしばしば繰り返されておることは御案内のとおりであります。

久保勘一自由民主党

○久保勘一君 質問を終わります。

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) 本法律案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  速記をとめて。   〔速記中止〕

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) 速記を始めて。     —————————————

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) 次に、学校安全会に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がございます。これを許します。千葉君。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 私は学校安全会の施行令の中の死亡見舞金その他について質問したいと思いますけれども、第一番に、死亡見舞金に関連する質問ですけれども、昭和三十七年の八月十七日に、仙台の宮城支部長から田中清三という子供の死亡見舞金についての申請がしてございますけれども、その審査状況、どのようになっておりますでしょうか。

前田充明文部省体育局長

○政府委員(前田充明君) 私もまだ詳しく調査を伺っておりませんが、大体のことは伺っております。実は私、きょうこの田中清三君に対する事故の発生の原因状況というものを報告書を持って参りましたが、これによりますと、この五城中学校の学校の授業が終了後、じき近所の東北薬科大学へ参りまして、間もなく行なわれる学校の学級対抗競技大会の練習のためにそこの薬科大学の校庭を借りて野球の練習をいたしておりました。ところがその学校で、ハンマーの投擲場におきまして大学の学生がハンマーを投げ始めたらしいのでございます。それがたまたまその田中清三君にハンマーが当たりまして、頭に当たりまして、直ちに救急車で病院へ輸送をいたしまして手術を行なったそうでございますが、当日の午後九時に病院で死亡された、こういうような報告になっております。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 その場合に、死亡見舞金の対象となりますか、どうですか。どのように考えていらっしゃいますか。

前田充明文部省体育局長

○政府委員(前田充明君) これはその学校の課外活動であると私は考えます。学級対抗試合をやるということでございますので、当然この見舞金を支給する範囲の中へ入ると解釈いたしております。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 学校の体育計画ですね。教育計画の一環としての計画に基づいて課外指導を行なうという指導は、教師が適切な指導をして、しかもその薬科大学の場所をときどき借りておった。その日も借りて、許可願いをとって、そして事前の指導もされておっていた。その学生がシュートしていたときにハンマーが投げたのが頭に当たってなくなった。投げたのは薬科大学の学生。そこで、死亡見舞金は、今、局長がおっしゃったように当然対象になると思って、これは学校安全会法の施行令の第三条の四、これに該当する、こういうわけで申請したわけです。ところが、その生徒が示談で医療費五万円、葬儀料五万円、慰謝料三十万円、計四十万円を薬科大学の、加害者と言うのはどうかと思いますが、加害者の父親が示談で払っているわけですね。そういう場合には学校安全会は全然払わなくてよろしいものなんですか、どうなんですか。

前田充明文部省体育局長

○政府委員(前田充明君) 学校安全会のほうの立場で申し上げますと、学校安全会法の三十七条がございますが、ちょっと読んでみますと、「安全会は、災害共済給付の給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、給付を行ったときは、その給付の価額の限度において、当該災害に係る児童、生徒又は幼児が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。」、こういうことになっておるわけでございます。したがって、本質的に申しますると、安全会は十万円を今の場合当然払わなくちゃならない。したがって、払わなくちゃならないが、これは第三者の加害者によって生じたものである、そういうことが言えると思うのでございますが、そうした場合に、その第三者に対して安全会は十万円を、被害者である田中清三さんに上げるべき十万円を加害者に要求、請求をいたす権利があるはずでございます。今の法律で権利があるわけでございますので、十万円をそちらからもらって田中さんに上げるというのが法律からきました本則論であろうと思います。ただその場合に、安全会が現在まで払っておりません理由は、これは、もしこういう事件が起きまして、すぐ安全会が加害者に十万円要求をいたしたとします。そうしてこちらのほうに差し上げたとしますと、安全会としてはまことに何と申しますか、格好がいいと申しますか、給付をすることになっていいわけなんでございます。もしそういう場合があった場合に、場合によりますと、かえって逆に、その加害者のほうからいいますと、もう損害賠償と申しますか、給付のお金を出したわけでございますから、損害賠償も取られてしまったというような格好だと、ちょっと言えるわけでございます。そうした場合に、いろいろ加害者と被害者との間でお話し合いをする場合に、かえってそれが、どうかすると話し合いの間に感情的に悪いようなことがございまして、そうしてもう私のほうは払わなくてもいいんだというようなことになることもあり得るわけでございます。したがって、そういう場合がありましても、私ども安全会のほうとしては、あまり早くそういうことをやることは、かえって被害者のほうに、何と申しますか、損得勘定を申し上げて恐縮でございますが、損になるような結果になるので、それで、そういう点は被害者と加害者との間でいろいろ話ができるまで待つ。これが会社の場合もあれば個人の場合もあって、いろいろ事例はたくさんございますと思いますが、そういう場合に一応あとにしておいて、そうして十万円よりも少ないような、そういうような場合には、もちろん安全会としてはやらなくてはならぬわけでございますが、それが十万円をこしておる場合には、一応私のほうで、私のほうと申しますか、安全会のほうで請求して、もらったというふうに認めまして、これが安全会を通らないで直接にいったというふうに考えるわけでございますが、そうして安全会のほうはお払いをしないでおく、こういうふうに実はやっておるわけでございます。それをあとからやって二重払いのような格好にするということは、かえってこれはまたどうかと、社会保険の制度上からいきましても、その点は伺いますところによりますと、二重ということは問題があるというふうに伺っておりますので、結局この場合を率直に申しますと、加害者のほうが田中さんに上げた三十万円、その中の十万円は安全会の給付が入っておると、こういう考え方で処理をいたしておりますし、また、ほかの場合にも一応そういうような処理の方法でやっておる次第でございます。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 学校安全会から一銭も出ていないわけでしょう。

前田充明文部省体育局長

○政府委員(前田充明君) さようでございます。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 それなのに慰謝料の三十万円の中には学校安全会からの十万が入ったような形というのは、ずいぶんおかしいと思いませんか。

前田充明文部省体育局長

○政府委員(前田充明君) それは今も申し上げました学校安全会法の三十七条によりまして、学校安全会は加害者に対して今の十万円を請求する権利があるわけでございます。したがって、その加害者から十万円をもらって、そうして被害者に差し上げるというのが法律上の筋道だと思います。それを今申し上げましたように、かえって被害者にとってマイナスになるような結果になるとうまくないというような考え方に基づきまして、それをもらわないで、そちらからできるだけ多くと申しますか、多く被害者のほうに加害者のほうからいくことを希望するわけでございますが、したがって、その請求権をだまっておっているわけでございます。だから、加害者から被害者への今の三十万円の中に十万円は入っておるという考え方を持っております。こういうふうに申し上げたわけでございます。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 とてもおかしいことですね。もしそういうことで不服もなく円満にいっているなら、その被害者のほうから死亡見舞金の請求がいっておるわけですね。何もないならば別ですけれども、そこへいっていて給付はしないということで決定がされておるわけです。これは御承知のように五月の十九日になくなったわけで、そのなくなった理由についての、現場その他のことを勘案した場合には、これは出すべきものだということを学校安全会は決定しているわけですね。北岡という理事長さんから返事がいっているわけです。だけれども、もう十万円以上のものをもらっているからやらないという、こういう決定になっているわけです。これは今加害者とおっしゃったんですが、加害者もこれから請求してよろしいのですか、今被害者の請求しかできないのですか。あなたは加害者が請求すべきものだということをおっしゃいましたね。

前田充明文部省体育局長

○政府委員(前田充明君) 加害者に安全会が請求する権限が三十七条で与えられておると申しましたつもりでございます。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 加害者の横田という人のお父さんがお金を全部払っていますね。そうして横田という加害者が安全会に請求して、自分の出す慰謝料として被害者に出す、こういう順序になるわけですか。

前田充明文部省体育局長

○政府委員(前田充明君) 反対でございます。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 反対でしょう。

前田充明文部省体育局長

○政府委員(前田充明君) 安全会は当然今言ったおとり出すべきである。しかし出すべきであるけれども、その出すべきお金は、加害者からもらって被害者に出すべきであるという、そういう意味であります。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 それはよくわかります。けれども学校安全会は一銭も出していない。もらった形式だという、個人同士の感情とか話し合いじゃなくて、学校安全会にお金を出して積み立てておりましょう。その中から当然の見舞金としていただくという、筋道としましては、やはりこれは被害者が請求して、そしてそのお金をもらう。それから示談でしたら示談のときにそのお金を加害者からもらう。こういうものであるべきが本来じゃないのですか。ただ十万円をたまたまこえておったからこれはやらない。もっと裏を返して言えば、人一人の命ですから幾らあげてもこれは足りるいうことはできませんし、両方お話し合いで話がきまったならば、かりに三十万円というものを加害者が出すとしたらば、あと十万円というものを安全会からもらって四十万円にふやしてあげるとか、やっぱりそういうふうなあたたかい配慮がないと、お金を、今度はたいへん値上げになりましたですね、十円が十八円になったわけでしょう。そうすると、そういう例が交通事故なんかの場合にもずいぶんあるわけです。けがをして幾日以内に死んだ者でなければそのとき死亡と認定しないとか、たくさんの条件があります。非常に混乱してくるので、私はやはり学校安全会が十万を出して、それと加えて加害者から被害者にやる、こういうふうな筋道を通して——額の多少は別としても、それが筋道じゃないかと思うのですが、いかがですか。

前田充明文部省体育局長

○政府委員(前田充明君) 今お話がございましたような考え方も絶対に私ないということは申しませんでございますが、現在の学校安全会の考え方によりますと、そういう場合には出さない。それはただいま三十七条でそういう請求権が得られる。それから今お話のございました学校安全会法施行令によりまして、安全会は給付の事由が第三者の行為によって生じた場合には、被害者である児童生徒に対して第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときはその価額の限度において給付を行なわないことができる、こういう三項の規定によりまして、そうして行なわないというふうな考え方をもって現在処理しておるのが現状でございます。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 行なわないことができるとあるから、行なってもいいという、こういう解釈も成り立つわけですね、どうなんでしょうか。

前田充明文部省体育局長

○政府委員(前田充明君) 行なわないことができるとあるのは、行なっても法令違反にはならないという考え方も確かにそれは言えないことはないかと存ずるのでございますが、いわゆる社会保険の一般的な考え方は、そういうふうな場合には二重の損害賠償になるのだ、こういうような考え方で、一般的にはやらないものになっておるというふうに伺っておりますが、この場合におきましても、そういうふうに二重に出すということでなく考えておりますので、そういうふうな払わないというような処置をとっておる次第でございます。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 ここに今親からずっと書いてきてございますけれども、なくなりましたのが五月の十九日で、そうして示談の成立しましたのが五月の二十六日になるわけなんです。だからなくなってすぐなわけなんです。そのときに学校安全会のほうから死亡見舞金として、十万円で少ないけれども出る、そうして今加害者から示談で出されました医療費五万円、葬儀料五万円、慰謝料三十万円、計四十万円だと、これに学校安全会の十万円を加えるというと五十万だから、そこで示談にしようということで、これは被害者のほうはそういう腹づもりだったわけなんです。なくなってわずかの間ですから気も動転していますし、お葬式は二十一日になさっていますし、そういうふうな中でたいへんな騒ぎだったわけなんです。しかも運動場もハンマー投げは最初のうちはやらないで——これにはいろいろ深い事情があるわけなんですけれども、結論として、学校安全会のほうが死亡見舞金の対象になるということを決定になっているわけです。それは正しいと思うのです。けれども、お金も前にもらってあるから出さなくてもいいという、支払わないことができるとか何とかいう条文でこれはやっているわけなんですね。そうすると、そこにたいへんな違いがあるわけなんです。親ごさんのほうは、学校安全会のほうは十万円もらえるから四十万で手を打っておけば皆で五十万になるから、金にはかえられないけれども、永代供養して、お石碑を建てて子どもの冥福を祈って、今後こういう事故がないように何らかの方法で役立てようというのが、たいへん気が詰まって御心配していらっしゃるわけなんです。そうすると、今おっしゃったように、そういう意味であればこそ、八月、仙台のほうで、これは審議に暇どったと思いますけれども、仙台のほうの支部で相談して、そうして八月の十七日に宮城の支部長から安全会の本部に請求になっているわけですね。そうすると、宮城としては、その点を妥当だと認めてこの申請を取り上げたわけですね、そうして送ってきた、こうなりますね。だからその間にお互いの目算違いがあっているわけです。ですから、やはりそういう点を考慮して再考を願うということはできませんか。

田中啓一自由民主党文部政務次官

○政府委員(田中啓一君) 実は私、前にちらっとその問題を聞いたことがありましたですが、現場の状況等詳しく聞きましたのはきょうが実は初めてでございます。私がちらっと聞きましたときの私の印象的な心持ちは、これは学校安全会のほうも被害者になるわけなんです。したがって、今お話の被害者と損害賠償の請求権が競合して両方ともあって、両方とも加害者のほうへ請求ができるという事案であろうと思うのですね。そこで法律をたてにとりまして、学校安全会が加害者のほうへ請求をする、また被害者のほうも請求するというふうなことになると、純然たる法律問題になってくるわけですね。そうすると、今度は一体その砲丸投げが被害者に当たったというのは、一体どの程度の過失が加害者にあるのか、これは非常に冷静な法律の決定を待たなければならぬようなところまで法律問題として発展します。せっかく、おそらく加害者のほうもそういうようなことはとらないで、まことに気の毒をして大事な子供を殺したんだからというので、できるだけの、加害者のほうの側としましては慰謝と申しますか、そういった金を出した、こういうことなんだろうと思う。そこで今度は、被害者のほうの側の胸算用は、今、千葉さんのおっしゃったとおりじゃないかと私思うのでございますけれども、加害者のほうの側としてみれば、別にまた学校安全会から請求がくるというふうにはおそらく思っておらない、これでまあ一切水に流していただきたいということであろうと、こう思うのですね。だから、それをまたほじくり返せば、それじゃまあ一応はそうしたけれども、これは出し過ぎたので減らすんだというようなことにもなり得るわけだし、結局は裁判にでもなれば裁判所の決定にまたなきゃならない。裁判所がそのような場合にどれほどの金を出せと、損害賠償しろという決定を出しますか、ちょっと私も見込みは立たぬのでございます。まあそういうことですから、ここはまあそういう法律上の問題にしたくないということで、しかもこれが全くの天から何か降ってきたようなことであるならば、結局は十万円もらっただけでも被害者としてはおしまいになる問題なんですね、学校安全会から。そういうようなことを考えまして、法律上の問題にすることを差し控えておるのであろうと、こういうように私は思うのであります。したがって、このほうが円満解決なんじゃなかろうかと、こういうような、私はその当時も実はほんのちらっと聞いたときの心持でありますから、いろいろ御論議も出てくることかとは思いますけれども、実は率直に私が、それでいいじゃなかろうかということを体育局長に当時言いましたこともございますので、ありのまま申し上げる次第でございます。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 それで不服であるからこそこう申請したと、それが八月十七日に申請して、そして本部のほうから返事が、支給しないという決定の返事が十二月五日にいっているわけですね。非常にこの間がございますね。これはこの問題だけではなくて、ほかの支給についてもやはりこういうふうに間が、日数がかかるんですか。横道へそれましたけれども。

前田充明文部省体育局長

○政府委員(前田充明君) 私、返事のいった日については存じませんでしたのですが、そういうふうに非常に時間がかかるようなことのないように、それにつきましては今後安全会に対して十分注意をいたしますようにいたしたいと存じております。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 この件は単にこの件だけで私質問するのじゃなくて、これが影響するところが非常に大きいと思うのです。この横田という、ハンマーを投げたのは薬科大学の学生なんですね、その学生はいつもそこで、ハンマー投げの練習場だからというので始めたわけです。練習を始めた。片一方のほうは学校の許可を得て野球の練習を始めた。そうしていった場合に、子供がいるから、これはいつも許可しているんだから、自分がやめればそれでよかったわけだけれども、まあ大丈夫だろうという自分の判定のもとにやった。それからその学校が許可して貸したということも十分徹底してない場合もある。そういう中で、全く個人がお金を出して、学校——薬科大学の学校当局は何にもそれにタッチしてないわけなんです。ですから、これはこの場で言うことではございませんけれども、こういう一つの例をめぐりまして、特にオリンピックを控えて方々の運動場を借りたり借りられたり、ものすごくひんぱんにやってるんです。今都内の学校ですというと、運動場が狭いものですから、みな土曜、日曜かけて行ってやるとか、こういうふうにしていますから、やはり安全会としては、人のふところで相撲をとるような考えではなくて、とにかく十円のを十八円に値上げしたということはたいへんなんです。十円を十八円でしょう。おとうふだって一ぺんに値上げしていない。こういうふうにお金をうんと値上げして、そして今度は出すほうで締めていく。たとえば安全会が見舞金を出したくない場合、腹を悪く考えれば、出したくない場合は加害者には何らかの方法で半強制的に、今度のことは全然何もございませんけれども、半強制的に見舞を出させることによって、安全会のほうは全然手つかずでもって、お金を出さないで済むということになりかねないと思うのです。だから、やはりこれは事情を、示談になった、こういうようになった、しかし安全会のほうの十万円が含まれる。五十万円には十万円が含まれるとか、何かそういうふうなことにして考えていかない限りは、これはけがしても死んでも、見舞金十万円で全く安いけれども、その見舞金すら出さないで済むということになってしまって、安全会の一番大事な補償という影が薄れてくるのではないか、そういう点で私は一番心配しますので、やはりこの点についても再検討して、法の改正なり、その他に向かうようにしていただきたいと思うのです。

小林武日本社会党

○小林武君 ちょっと関連して。三十七条ですね、第三者の行為によって生じた場合、これは何ですか、普通の取り扱いでは、先に安全会では給付をしておいて、それから後、あれでないですか、加害者ですか、第三者にいろいろ交渉するというような、こういうあれじゃないですか。

前田充明文部省体育局長

○政府委員(前田充明君) 法律の建前から申しますとおっしゃるとおりでございまして、それでやるかということも実は私ども内々では話しまして、この場合は一応実際の具体的な場合は抜きまして、抽象論と申しますか、そういう一般論で申しますと、こちらから加害者に対してすぐ請求をして、そうしてそちらからもらって、そうして安全会がその方にあげるということは、やはり安全会としてはまことにきれいに出せたと言えるわけでございます。しかし、そういうことをやって、もし万一でございますが、加害者のほうに非常にたちの悪いのがいたとします。そういたしますと、いや私はもう安全会へ法律で書いてあるとおりの十万円を差し上げたのでございますから、もう私のあなたにあげる役目は済んだのですということで、被害者からのいろいろな示談、ないしは交渉等が行っても、非常にそれをたてにとって出し渋るとかいうようなことになったら、逆に安全会が骨折ったために、かえって被害者にとっては損がいくような場合が起こりはしないだろうかというようなことを私ども内輪では話し合ったりなどしておりまして、だから、たとえば実際問題になったら、これは個別的なケース・バイ・ケースでいかなければならないのかもしれませんが、どうもそうなるから、かえって安全会が少し顔は悪い結果にはなるかもしれませんが、できるだけ被害者の方がたくさんもらわれるようなことになるという意味では、へたな口は出さぬほうがいいんじゃないだろうかというような気持もございまして、その辺、私どもも、いわゆる形式論でいかず、実態に即して有利なようにいたしたいというふうな考えは持っております。

小林武日本社会党

○小林武君 安全会というのは掛金をとってやっているのですからね。今も千葉委員から質問がございましたように、値上げが相当大幅に行なわれておることを考えますと、その掛金によって支払うという建前は、何といってもこれは大きな原則だと思うのです。ところがこの第三十七条の損害賠償の請求権という問題が出てきまして、これをあまり強調なさると、何か安全会は示談屋みたいな性格に聞こえてくるのですが、今おっしゃった御答弁の中にもありましたけれども、安全会の中に入るというと、たくさんもらえるとか、もらえないとかいうお話がありますけれども、こっちの金を取ってこれを被害者に、加害者のほうに交渉して被害者のほうに渡してやるというのは、何かそういう聞こえ方になってきますというと、安全会を作ったそもそもの精神も全く薄れちゃって、何か僕らは、示談屋が中に入って適当にものをまとめてやるのが安全会になっちゃうというとたいへんなことだと思うのですよ。僕はここに安全会の法的な欠陥があると思うのです。こういう点について、やはりもっとこれを検討しないというと、私はいつでも今のような問題が絶えないような気がするのですがね。これはいかがですか。

田中啓一自由民主党文部政務次官

○政府委員(田中啓一君) 実はおっしゃるとおり、これは示談屋になってはいかぬと私は思います。おっしゃるとおりです。ところが、これがやっておることは一種の傷害保険をやっておるような実は事業なんです。ところが、それでは傷害保険として貫いていくというようなことをすれば、やっぱり今の加害者に対する請求権などというものは、ちょうど保険屋さんと同じように出てくるというようなことでありまして、実は私は、これは関係者といいますか、近々におる者とかいうような者が、初めはおそらくこれは見舞金を集めて出すというようなことから始まって、だんだんこういう制度になって法律を作るということになった。私は今度の掛金をふやす問題やらいろいろ聞きましたときに、これは文部省はえらいことを始めておるぞ、しっかりやろうとすると非常に複雑な、しかも法律上完備したものを作らなければならぬ。とうていこれくらいの条文でおさまるようなことでない。といって、だんだん掛金が多くなるに従ってそういうことになってくる。これはどういうふうにしたらいいか、私自身はどうしたらいいか、ちょっと見解は立ちかねるような実は事態であったわけです。であるからといって、これだけのことは、やはり国の補助金等はなるべく多くして、そしてとりあえずやりたいということで、今回の改正が行なわれるということになったわけでありますが、そういうわけで、今後この安全会法というものは、何とかもう少し完備したものにしなければならぬということは、全く私ども同感でございますので、ひとつ勉強いたしまして、皆さんの御趣旨のあるところも入れていくようにいたしたいと思う次第でございます。

小林武日本社会党

○小林武君 もう一点だけあれしますがね、私は今、次官からそういうお話がありましたから、ひとつぜひともそういうふうにお願いしたいと思うのです。ただ、今、当面ですね、いろいろな具体的な問題が起こった場合に、私は事務手続の問題で、法のいろいろな問題点をある程度解消できるような気がするのです。たとえば趣旨からいって、死亡の見舞というようなものは直ちに出せるような、そういう事務手続はとっておいて、あとは加害者、被害者の中に安全会が入って、事後の問題について、三十七条の損害についてのあれはあとでできると思うんですよ。これは、それを十二月になってから初めて五月に起こった事件の回答がいくというような、こういう手ぬるいあれでは、死んだ、生きたのけがしたという重大な問題を取り扱っているのですから、事務上のそういう何といいますか、渋滞の状態は絶対許されないと思うのです。即時、起こったらすぐやれるというようなやり方をとっておいて、あとは三十七条の問題にしろ、私は示談屋みたいだということを申し上げましたけれども、そういう意味でなしに、安全会が中に入って、被害者と加害者の間で少なくともやはり話し合いをつけるというようなことはやっていただいてけっこうだと思うのですけれども、そういうことがやはり配慮されなければ、ちょっと安全会に対する信頼性というものも非常になくなるのではないかと思うのです。そういう点を希望しておきたいと思います。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 次に負担金額ですけれども、十円が十八円になって値上げになった。それでなかなか払い切れない家庭が出てきた。そういうふうに、これはやはり地方自治でもめんどうをみなければならない。東京の港区初め二、三の区では個人負担が全然ないです。区会で決議して、区の予算に計上してこれをやっています。私は本来からいえば、これはやはり国が負担すべきだと思うのです。これは安全会法ができます当初、児童負担にすべきではなくて、全額国で負担すべきだという意見を私ども申し述べておいたわけです。しかし、すでに岐阜とか、愛知とか、方々でお金を出し合って安全会を運営しているという例がたくさんございましたので、当座、過渡期として、それもやむを得ないのではないかという意見があってきまったわけです。私ここらで考えなければならないことは、やはりこれは国で全額持つのが本体であって、かりに百歩譲っても、自治体で少しは持つ、こういうことで、国と自治体で共同で出してもらって、子供の負担がないようにと、こういうふうに考えておりますけれども、当局のほうでは、現在子供が負担しないで自治体で持っているところはどのくらいあるとお考えでしょうか、おわかりのところをお聞かせ願いたい。

前田充明文部省体育局長

○政府委員(前田充明君) 東京都の中でそういうように、お話のように国が十八円持つ、残りの十八円については区が持つというような事例が幾つかあることは承知しておりますが、まだ私のほうではそれを全面的に調査をいたしておりませんので、はっきりここでは申し上げかねますが、いずれにいたしましても、今払えない子供というお話でございましたですが、負担の半分の十八円が払えない子供につきましては、国といたしましては、要保護、準要保護児童の補助金として国から参っているわけでございます。これは御承知のとおりだと思うのでございますが、ただ、それを全額国が持つべきであるという問題につきましては、これは安全会の本旨という問題で、これは立法の当初においてもある程度議論をなすったようにも伺っておりますが、保険的な性格と補償的な性格と両方をかみ合わせたような考え方で、現在この安全会法が出ているわけでございます。それを完全に補償的な考え方に立ちますと、国がやる、こういうことになるかと思うのでございます。国と、あるいは設置者である町村とで全部やるという考え方にあるいは立つのではないかと思うのでございますが、現在では保険的な考え方とかみ合っているものでございますので、それでまあ本人が半分出し、国が半分出しというような考え方になっております。したがって、私どもでも、内部的にはいろいろその辺の一体思想と申しますか、考え方についての議論はいつもいたしておりますのでございますが、まだもちろん最終的にこうであるべきだということまで話し合いが、私ども内部の話し合いも結論はいかないという状況でございますが、したがって、今後ともその問題については研究はいたさなければならないと考えておる次第であります。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 準要保護ですか、そういう家庭については負担するのは当然なんですけれども、やはりすれすれの家庭がかなり多いわけです。一家族でたくさん行っていたり、相当問題がありますが、さっきお聞きした東京都のほかに児童が負担しないでいるところはどこかございますか。

高橋恒三文部省体育局学校保健課長

○説明員(高橋恒三君) 私からお答え申し上げますが、全国的に調査はもちろんいたしておりませんので数はわかりませんが、安全会が発足する前から、いわゆる先生がおっしゃいましたような設置者が持っておるところは、附則十条で持ってもよろしいというような規定がございますので、若干附則十条の規定によりまして市町村が持っておるところがあろうかと思いますけれども、その数はまだ調査いたしておりません。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 実は今負担金額、それから給付についても医療費は一年しか出さないとかあって、これは全快まで出さなければならないとか、あるいは看護料、交通費、それから事務手続の簡素化、それから決算の状態とか、その他たくさん伺いたいことがありますけれども、きょうは午前中という約束でしたから、この次の機会にひとつもう一ぺん質問の時間を設けていただくようにお願いしたいと思って、きょうはやめますけれども、資料を請求したいと思うのです。今、課長がお答えになった件ですけれども、全国でどのくらい児童が負担しないでやっているところがあるかどうかということを早急に調べていただきたいと思うのです。それともう一つは、赤字がだいぶございますね。二億円の赤字があるわけですね。銀行から日歩二銭で借り入れていますね。そういうふうな問題についても、三十七年度で本部で一億一千万円の赤字で、三十八年度の四月、五月も支給していますが、それが約九千万、大体合計一億ということになっているように私調べてございますが、そういうふうな損益決算書も一ぺん資料としてお出しいただくようにお願いできませんか。

高橋恒三文部省体育局学校保健課長

○説明員(高橋恒三君) 決算はまだ全部済んでおりませんので、六月になりませんと全部締め切りになりませんので……。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 去年のやつでいいよ。

高橋恒三文部省体育局学校保健課長

○説明員(高橋恒三君) 三十六年度のはございます。三十七年度の決算が六月になりませんと出ませんので……。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 それでは資料を要求してきょうの質問を終わりますが、この次に質問いたします。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 田中次官に要望しておきたいのですが、こういう制度は当然、受給者それから国、地方公共団体、これが負担して、やがては国がこれを全額負担をしていく、同時に完全補償といいますか、これが望ましいことだと思うのです。附則十条で、市町村のまじめなところは少しぐらい持ちなさい、持ってもよろしい、こういうけちくさい根性を出さないで、将来の社会保障制度のあるべき姿から考えて、当然、段階的には国、市町村が負担をしていき、やがては国が全額負担をしていく、こういう方向についても検討をしておいていただきたいと思います。

田中啓一自由民主党文部政務次官

○政府委員(田中啓一君) 検討いたすようにいたします。

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十三分散会

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