文教委員会 第16号
- 発言数
- 68 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/05/14
会議録
○委員長(北畠教真君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 委員の変更について御報告いたします。五月十日、中山福藏君が辞任され、その補欠として佐野芳男君が選任されました。 —————————————
○委員長(北畠教真君) 本日の委員長理事打合会について御報告いたします。本日は、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の説明を聴取した後、夜間中学の問題について質疑を行なうことに決しました。以上、御報告いたします。 —————————————
○委員長(北畠教真君) それでは、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案(参第三一号)を議題といたします。 まず、提案者より提案理由の説明を願います。
○豊瀬禎一君 ただいま議題となりました女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案につき、提案者を代表して、その改正点並びに提案の理由を御説明申し上げます。 まず、本案の改正点を申し上げますと、法第二条の二項に、新たに「実習助手」を加えようとするものであります。そもそも、実習助手は、教育公務員特例法の施行令によって、寮母とともに教員に関する規定の準用を受けることになっておりますし、その職務の内容も他の教育職員と異なるところがないのであります。しかるに、寮母については、昭和三十年本法制定の当初から、第二条に掲げる教育職員として法の適用を受けておりますにもかかわらず、ひとり実習助手のみが除外されておりますのは、まことに不合理なことであり、きわめて遺憾とするところであります。現在、国立及び公立の高等学校に勤務する女子の実習助手の数は約千七百五十名を数え、しかも、これらの実習助手は比較的若い年令層によって占められておりますとこから、その大部分が出産の可能性を持つものと推定するにかたくないのであります。それにもかかわらず、その職務にかわるべき補助者を求める道が閉ざされておりますために、一たび実習助手が出産いたしますと、産前産後の休養期間における空白を埋めるによしなく、そのことが直ちに教育効果の低下を来たす原因となりますことは容易に首肯されるところであります。また、実習助手個人についても、自己の職務により忠実であろうとするのあまり、妊娠中の過度の労働から健康を害し、長期欠勤のやむなきに至る事例も少なくないと聞いております。 以上申し述べました理由により、実習助手を、法第二条の第二項に加えて、母体の保護をはかるとともに、学校教育の正常な実施を確保しようとする目的をもって本改正案を提案いたした次第であります。 何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛同下さるようお願い申し上げます。
○委員長(北畠教真君) 以上で提案理由の説明聴取は終了いたしました。 —————————————
○委員長(北畠教真君) 次に、夜間中学に関する問題と当面の文教政策について調査を進めます。 質疑の通告がございます。これを許します。小林君。
○小林武君 現在、通常夜間中学といっているんですが、普通学級とは授業開始の時間を大幅にずらして特設されている中学というのは一体何校ぐらいあるんですか。またどういう地方でそれが行なわれているのか、また、それに通学している生徒の数はどのくらいですか。
○政府委員(福田繁君) 夜間中学の現況でございますが、三十七年の調査によりますと、校数にいたしまして四十三校、生徒数にいたしまして約千人でございます。というのが現状でございます。この四十三校でございますが、大体、京浜地区あるいは関西のほうの京阪神地区といったようなところに大体集中しておりまして、京浜地区が大体十五校、京阪神が二十一校、その他三重とか、広島とか、福岡とかいうようなところに、ごく、一校ないし三校ぐらい少数のものがございますが、大体今申したように京浜、京阪神地区に集中しているようでございます。
○小林武君 こういう夜間中学をしなければならなくなった理由は一体どういうところにあるんですか、伺いたい。
○政府委員(福田繁君) ただいま申し上げましたように、大体生徒数にいたしまして千人ぐらいでございますが、二十八年当時の一番生徒数の多かったときが三千人ぐらいでございます。したがって、逐年、生徒数は減少して参っておりますが、まあこの生徒の実態をいろいろ調査してみますと、昼間の中学校に行けないという理由の多くは家庭の貧困ということが従来は一番多かったようでございます。七割ないし八割程度はやはり家庭の貧困というようなこと、その他それ以外にも、いろいろ家庭の複雑な事情あるいは家庭の無理解というようなことも含めて昼間の中学に行けない、こういうような状況のようでございます。
○小林武君 これはあれですか、長期欠席とか、就学してない生徒というのは大体日本全国でどのくらいあるわけですか。
○政府委員(福田繁君) 不就学児童の数は今手元に資料を持っておりませんけれども、就学率は御承知のように九九%就学しておりますが、長欠のほうの数字を申し上げますと、これもここ十年間ぐらいに逐年長欠率は減って参っております。三十六年が最後の資料でございますが、小学校におきまして長欠児童の数は約六万八千人でございます。これは率にいたしまして約〇・六%強でございます。中学校で七万九千人でございますが、長欠率にいたしますと約一%に相当いたしております。これを二十七、八年ごろに比べますと、二十七年で小学校が一・四%になっております。それから二十七年から三十六年まで約十年間に〇・六%程度に減少しているということでございます。それから中学校におきましては、二十七年度におきまして三・七%強でございましたが、三十六年は先ほど申し上げましたように約一%でございます。
○小林武君 長欠の中には、先ほど述べられたように千人ほど夜間中学の生徒がいるわけですけれども、七万九千人の中には、この千人の夜間中学に通っているような生徒というものはこれはあるわけですね、相当数なお。ほかの県にもあるわけでしょうか。
○政府委員(福田繁君) 夜間中学に通っておりますのは、この数とは別個に考えていいと思います。
○小林武君 大体約千人、四十三校の夜間中学に通っている生徒と同じような立場に置かれながら、昼間にも夜間にも通わないというものは七万九千人の中に相当いるということはこれは予想できますね。
○政府委員(福田繁君) それはそのとおりでございます。
○小林武君 そうすると、その問題はひとつさておきまして、文部省の態度はどうなんです。こういう夜間中学とかいう、京都あたりは二部学級と言っているらしいのですが、こういう問題はとにかく好ましいことではないということだけは間違いないことなんですが、といって、これをやめてしまうということになると、学校に通えないという実情も起こってくるということになりますが、これを一体解決することを文部省で考えて何か実施されていますか。
○政府委員(福田繁君) これは非常にむずかしい問題でございますが、義務教育ですから、もちろんおっしゃるように昼間の学校に通学できるのが建前でございます。しかしながら、こういう実態がある以上は、これも漸次解消するような方向でいろいろ努力いたして参ったのでございますが、まだ先ほど申し上げましたような数字が現状でございます。私どもとしては、この根本的な対策としては、もちろん厚生省関係の生活保護の問題も強化しなければならぬと思います。教育面におきましては、就学奨励の強化をしていくということ以外にはなかろうと思っております。したがって、要保護児童はもちろんでございますが、準要保護児童の援助率を引き上げるとか、内容を充実して、できる限り昼間の中学校に就学できるような状態に持っていくということが基本的な考え方でございます。したがって、今まで要保護児童、準要保護児童の就学奨励というものを、御承知のように年々強化して参ったような次第でございます。
○小林武君 どうですか、文部省の見通しとしては、四十三校千人ばかりあるのですがね。この四十三校千人というのは、若干、数では僕が聞いておるところとは違うのですけれども、これを具体的に解消するような見通しを持っていますか。たとえば、今おっしゃったようなあれで解消できると思いますか。
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げましたように、対象になっております生徒の家庭の貧困ということが大部分の原因のようでございます。したがいまして、そういった面から厚生省の生活保護法の対策と両々相待ちまして、就学奨励を強化していくということによって、ある程度やはりこれは解消していくものと考えております。しかし、現在の夜間中学校の解消を一ぺんにやろう、促進するということは、これは実態から考えましてなかなかむずかしいんではないか。これは若干時日をかけましても、そういう方向に徐々に持っていくという以外にはなかろうと思っております。
○小林武君 将来やめる、心もとないのですけれども、その解消の方向に進むという御意向のようですが、これはやはり千人ばかりじゃなしに、他の七万九千の中にもある、全国的な問題だと思うのです。だから、それらも含めて、義務教育を夜間に持っていくというような変則的なやり方は、文部省が責任をもって早急に解消するように努力すべきだと思う。これはやはり今の程度の努力ではなかなか解消できない、そう思います。ただもう一つお尋ねしたいのは、とにかく義務教育が夜間において行なわれるというようなことは、文部省としても、どこの教育委員会としても、これは認められることではないわけですけれども、現実にそれをやらなければならないというような状況にある場合、この教育行政上の不適当な事実がとにかくあるのですから、それをやるに当たっては、一体どういうふうにやるべきだというような指導が文部省から教育委員会になされておるかどうか、この点ですね。私は夜間中学生の何か文集なんか見ますと、たいへんけなげだと思うのです。ほんとうに逆境にありながら一生懸命やって、けなげだと思います。また、その中から教師が非常な努力をしているということも子供たちの感想の中からうかがわれるのです。しかし、こういうものを、教師が非常に努力しているとか、それからそこに行って、逆境にありながら生徒は非常にまじめにがんばっているのを単なる美談みたいにして受け取るというのは、教育行政に当たっている者としてやはり私は済まされない問題だと思います。そういうことを考えますというと、まず第一には、根本対策としてこういうものをやはり絶滅させるようにしなければならない。それには、先ほどあなたがおっしゃったように簡単にいかない問題があるわけです。これは厚生省と相談して、こう言いますけれども、生活保護法や児童福祉法というものがあるにもかかわらず、これは実際の問題として解決されない状態にある。解決されないのについては、一体どういう手を打つかという具体的なやはり考え方がなければならぬと思いますが、その問題と同時に、現実にあるものを一体どう——そういう環境の中でも、なくなるまでの間、この子供たちにやれるだけの一体手当をしておるか、こういう点では、一体、文部省は教育委員会に対して適当な指導をしておるか、具体的にどういう指導をしておるか、それを伺いたい。
○政府委員(福田繁君) 文部省の立場といたしましては、先ほど申し上げましたように、昼間の中学校に通うというのが建前でございますので、したがって、やむを得ずこういう事態がありますことを黙認するという形に相なっております。したがって、特にこの夜間中学について、ああしたほうがいい、こうしたほうがいいという特別な指導はいたしておりませんが、先ほど申し上げましたように、やはり準要保護児童の援助率を引き上げるとか、そういうことによって父兄も子供を昼間の中学校に通わせ得るような状態に近づける。したがって、その際にはやはり父兄の理解ということも非常に必要でございますので、就学の督促を父兄を通じて行なうという、そういうようなことはもちろん教育委員会に対して指導をいたしております。したがって、できる限り就学の督促、それから就学援助の内容を充実するという方向においてこれを指導していくというようなやり方を従来しておるわけでございます。
○小林武君 そうすると、現在あるそのものについてはとにかく黙認をしておるだけで、それをどう一体、運営していく上においてどういう配慮が必要であるとか、とにかくこういうやり方はどうとか、そういう指導はないわけですか。見て見ないふりをしておる程度なのが文部省の夜間中学に対する態度ですか。
○政府委員(福田繁君) ただいま申しましたように、いろいろやり方はあると思いますが、教育委員会自体として文部省に、そういう夜間中学のやり方について指導をしてもらいたいというようなことは、これはまだ具体的に従来そういうケースはなかったようでございます。ただ、大会などを通じまして、やはり文部省の係官も参りまして、教育委員会の関係者も出て参りまして、そういうところでの指導、そういう大会を通じての、あるいは研究会を通じての指導ということは、これはいたしております。しかし、特別に通達を出すとか何とかいうような、そういう指導は従来しなかったということを申し上げたわけであります。
○小林武君 それでは大会とか、研究会を通してはどういう指導をやっておるわけですか。研究会とか大会等を通して文部省としては一体どういう指導をやられましたか。
○政府委員(福田繁君) これは現実にこういう夜間中学というものがあるわけですから、先ほど申しましたような基本的な考え方は一面あるにいたしましても、その現実をやはり認めざるを得ないわけであります。そういった立場に立って個々の問題があれば、それの解決の方法をやはり相談するというようなやり方できておるわけであります。
○小林武君 きわめて抽象的なことでよくわからないのですが、具体的に、これは問題点はもう一々あげるまでもなくわかっておることなんですよ。その問題点をあなたたちのほうで、研究会とか大会でおそらく現場から、あるいはそれを持っておる教育委員会からぶつけられることだと思うのですが、具体的に一体どういうことをあなたたちのほうでは助言をし、指導をしておるのか、それを聞きたいのですよ。私はそれがなければ夜間中学の問題というのはなかなか解決の道がないと思うのです。私の考えておるのは、現実にあるものを、これをやはり一挙になくする方法がなければ、黙認しても、現状の改善というものをなるたけしながら、とにかく解消するという方途をとらざるを得ないということは、それは文部省の態度は認めるのです。認めるけれども、しかし、あまりにも悲惨な状態なんですね。だからその問題について、あなたのほうで具体的な指導がないということは、たとえこれが千人にしても、学校の数は四十三校、千人ということが事実そのとおりであったにせよ、私はいささかあたたかみのないやり方だと思うのです。事実あなたのおっしゃるとおりであれば。だから具体的に一体どういうことをおやりになったか、そのことを僕は聞きたいのです。そしてまた、私も夜間中学のことはよく知らなかったのですけれども、いろいろな方からお話を承ると、むしろ文部省とか、教育委員会とかよりかも、他の篤志家のいろいろな援助にすがってものをやっているというような形なんですがね。これは私はやはり本末転倒のきらいがあるというふうに考えるわけですが、まあ青少年の不良化対策の一環としてやっているなんというのもありますけれども、そうであればあるほど、青少年教育に責任のある文部省として具体的にどういうことをやっているか、こういうことになるわけでしょう。そういうことを聞きたいわけです。そういうことをまた夜間中学に関係する者、それに関心を持つ方々は期待しているわけです。だから、それを聞いているわけですから、もっと具体的にお話をいただきたいのですよ。
○政府委員(福田繁君) 私の聞いております範囲では、たとえば経費の問題であるとか、あるいは設備の問題、あるいは給食の問題などというものがよく出るようでございます。そういう経費の問題等につきましては、これは市町村の教育委員会で、現在そういうところでやっている場合は一般の経常費その他は見ているわけでございます。特別な設備等につきましては、これは十分とは申せませんけれども、市町村の教育委員会、あるいはまた今おっしゃったような篤志家があれば、篤志家の援助ということもあり得ると思いますが、そういうことで現在やっているわけでございます。給食なども全般ではございませんが、事実上の問題として、夜間中学の場合にもこれを実施するというような建前で一部やっているところもございます。全般ではございません。そういう問題が私どもよく聞く問題でございます。
○小林武君 最後に文部大臣に一つお尋ねしたいのですが、今話しているのは夜間中学の問題です。ちょっと私の聞いている数とは違うのですけれども、現在、文部省の把握しているところでは四十三校千人、生徒がいるそうです。しかし、中学校で長期欠席の者が七万九千人もいるということになりますと、大体この千人と同じ立場にあって中学の教育を受けない者というものはたいへんな数があるというふうに考えられるわけです。まあそういう者よりかはやや、千人でも夜間にしろ義務教育を受けるような形になっていますから、これはまあ一歩前進していると思います。ただしかし、この状態を一日も早くなくして、これは文部省の考え方に私は賛成です。一日も早くなくするべきです。しかしなかなか困難な問題がたくさんあるということも、これも同感です。そこで、そのなくすることについて、これはやはり文部省の具体的な考えを大臣としてはどうお考えになっているか、具体的なことをどうお考えになっているか。もう一つは、千人の生徒が夜、働いてきてからくるのです。疲労度も激しいし、なかなかやはり困難があると思う。しかし、この中で、私はまあ彼らの書いたものを見ますと、非常にとにかく一生懸命にまことにけなげな気持で勉強している。教師も非常な努力を払っている。そうすれば、これはなくするのが理想ですね。一日も早くなくしなければならないものです。同時に、現在あるという事実ですね、事実あるのですから、これに対して一体今のような答弁では私はちょっと不満足なんですが、もっとやはりこれに対して文部省として適切な指導なり、具体的な何かこれに対して援助なんかを与える考え方が文部省でないのかどうか、この二点について文部大臣の御意見を伺いたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御質問のようなぴたっと問題を解決するような具体策は今私の念頭にはお答えする材料はございません。ただ、今まで国会で衆参両院で数回同じ話題が出まして御質問にお答えしてきておりますが、これも私のお答えしましたのは抽象的な範囲を出ない程度のものでございます。今の学校制度上のことから申せば、申し上げるまでもなく、夜間の義務教育の学校があるということは許されない、こうまあ解されて今日にきていると思います。したがって、そういう夜間の中学などがあることが制度上間違いだ、だから、それをなくする努力をしなければならない。しかし、現実に今のお話のようにあるじゃないか。その現実にあるのがいかなる理由から、まあ必要悪とでも申しますか、制度だけからいけば悪いことだということになるわけですから、その意味だけで申せば、その必要悪がなぜ教育委員会その他も具体的努力をしてもらっているにかかわらずならならないかということの突き詰めた原因の探求というものが、実情把握が、今日までの実情に立って具体的にお答えするような材料を私自身が持たない程度の接触をしてきていると思うのであります。したがって、抽象的には、制度上許されないからなくする努力をすべきだといえば、抽象論としては終わりなようなことですけれども、現実にあるものを、いつまでにそれではどういうやり方で解消しょうとしているか、その具体的対策、計画等を文部省ないしは教育委員会それぞれの立場でどうしようとしているかというお尋ねに応ずる答弁材料は持ち合わしておりません。そこで、私は今の御質問に応じてインスタントのお答えをするような気持を免れませんけれども、もっと、全国的にわずかではございましょうとも、実際そのものを文部省みずからもはっきりとつかんで、その原因がなぜであるか、解消できる性質のものかどうか。たとえば船乗りの子供たちが昼間は親と一緒に沖に出る。帰ってくると夕方だ。学校へ行こうとする意欲はその船乗りの子供たちは旺盛なものがある。その旺盛な要望にこたえるために、制度としては認められないという解釈に立ってはいるものの、その要望もだしがたく夜間中学というものが存在しているというケースをかりに考えるといたしましても、国民本位にものを考えれば、船に乗って親と一緒に沖に出なければ子供が昼間の学校に行ける施設も何もないときに、やむを得ないから親も子供もそれを承知しながら沖に出て、夕方帰って来て何とか義務教育だけは終わりたいという熱望を持っているから、そのための施設があるとするならば制度上それを認める、それが本則になっちゃたいへんでしょうけれども、やむを得ないものについては制度としても認めていって、必要最小限度の要望に応ずるかまえで臨んだほうがほんとうじゃないかということもあるいはあり得るかもしれない。そういうものを突き詰めた調査なり対策なりというものが、私も就任以来、問題が出るたびごとに事務当局から話を聞きつつ今日まで参りましたけれども、その点が何かしらん、この突き詰め方が足りないような感じがしているわけであります。ですから、今後に向かって今申し上げたような現状把握をまずやる、その原因の分析をもっと具体的にやる、そうして解消できるものかいなかということを突き詰めて解決策を考える、そういう建前で、教育委員会ないしはその具体的な、学校を世話しておる学校当局とも接触を持ちながら、この対策を考えたいと思います。
○小林武君 そうすると、文部大臣の今の御答弁は、今後、はっきりした調査もしていないからその点について調査をして、この問題についての解決策を考えると、こういうことですか、そういうことですね。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そうです。今申したとおりの考え方に立って調査をし、対策を立てる、こういう考えで進みたいと思います。
○小林武君 なお、調査については、何か文部省とは関係のない団体が全国調査をやって、そうしてすでにもう実施しておる。まあこの調査が、一体どの程度進んだかどうか、また、どれほど正確なものかどうかということについてはわかりませんけれども、とにかくやはり全国調査をやった。そうしてかなりやはり精密な資料もあるのです。ただし、それが私は、先ほど言った正確なあれからいえば、文部省のような手足を持った機関でありませんから、どの程度のものかわかりませんけれども、少なくともそういうものが民間から、やはり出ているということ、こういう実情は、やはり文部省でもお考え願って、そうしてやはり早急に調査をやられて、具体的に、これに対して解決をどうするのか、黙認の形でいくならば黙認の形でいくとして、これに対して、どれだけの一体支援体制をしくのか、指導をするのか、こういう点をやはり明らかにしてもらいたいと思うのです。そうでなければ、いつまでもこの問題は解決しないで、特に悪いことには、数が少ないですから、全国で千人とか、もっとふえる可能性はありますけれども、こういうことでは、いわゆるもうきわめて少数の人間だから、見落とされていってしまって、そうしてかわいそうな子供たちは、いつまでも置き去りを食うというようなことになりますので、ひとつそのようにお願いをしたいと思います。
○成瀬幡治君 今の、出てきたのですがね、まあ大体私の考えでは、はしなくも今大臣から、制度がということが出てきたのですが、根本問題は、夜間中学の問題を解決する前に一番問題になるのは、やはり未就学児童ですね。先ほど報告された七万二千なら七万二千名の者は貧困で、もし夜間中学があれば中学の義務教育だけでも受けられるという者があるとするなら、一体夜間中学をこれからふやしていこうとするのか、それともそうじゃなくて、今言ったように、これはもう未就学児童の七万二千名というものはもう病欠等で、あるいは知能指数等からいって全然就学の見込みがないものと、こう判断されておるのか、その辺はどういうふうに把握しておられますか、実情を。
○政府委員(福田繁君) 長欠児童などの原因でございますが、これはいろいろございます。いろいろございますが、しかしこれは、先ほどのやはり中学校の夜間中学の場合と、大体同じようなケースで、やはり家庭の経済上の問題、それから家庭の非常な複雑な、家庭不和とかいうようなこともございます。それからまた、本人の身体上のいろいろ問題もございます。病気とかその他。しかしながら、特に、たとえば産炭地で非常に不況になっているというようなときには、その地区で長欠児童が非常にふえておりますので、やはり大部分は、私どものまあ調査では家庭の経済上の問題が一番大きいのじゃないかというように考えております。 したがって、先ほど申し上げましたように、要保護児童あるいはまた準要保護児童のワクを広げて参りまして、できる限りそういう家庭の子供を就学しやすいような態勢に持っていくというような方法を講じておりますことは御承知のとおりでございます。
○成瀬幡治君 いや、私の聞いているのは、そういう方途を講ぜられて、昼間の学校に行くのだということを奨励していることは十分承知するのですよ。なお、それをやって、そうして完全就学に持っていこうとされるその努力はわかりますが、もし、かりにここに夜間中学というものがあったら、そうしたらそれは長欠にならずに夜間に進学ができるのだというような、そういう判断をされておるわけですか。
○政府委員(福田繁君) そうでなくて、先ほど申し上げました数字でもおわかりのように、長欠児童も年々減って参っております。それから夜間中学の生徒数も年々減っておりますので、むしろそういう夜間中学があれば、そっちのほうにみんないくのだということでなく、やはり本筋の就学奨励を、これを進めていくほうが適当だ、また、そのほうにいっているという現実を見ているわけであります。
○成瀬幡治君 たとえば中学浪人が三万人出るか五万人出るかというので大騒動をやっているわけです。ところがもっと大切な点は、こうやった七万二千なら七万二千の生徒が見落とされてはたいへんだと思うのです。今、年々減っているからといっても、七万二千名現実にあるということは重大な問題なんですよ。来年にもこれがなくなるというなら——ほんとうは身体的な、あるいは病気でどうにもならぬ者は別として、少なくとも大ざっぱなことを言って四、五万名は、私は救われると思います。それを来年度はなくすことはできますか。年々減っているから、要保護児童や準要保護児童は厚生省関係のほうに努力をしてもらって、そうしてやったら解決できると、こういうことなんですか。そんな明るい見通しがあるなら、それはいと簡単です。
○政府委員(福田繁君) これは先ほど申しました本人の身体的な故障とか、いろいろの面で就学できないような者につきましては、これは相当困難なケースがございます。
○成瀬幡治君 これはいい。
○政府委員(福田繁君) しかしながら、単に家庭の貧困とかいうような問題で、就学ができないような生徒児童につきましては、一ぺんには解消できませんけれども、今申したような就学奨励を、内容を充実していくことによりまして、あるいはまた、その家庭の生活保護というものをできる限り厚くしていくという方向において、これは将来だんだんに私どもは解消していくという考え方で進んでおるわけでございます。
○成瀬幡治君 それじゃ、今年度これは貧困のために長欠をしているのだというふうに判断されて厚生省はどのくらい予算要求をしておるのか、あるいは文部省は打ち合わせをして、どのくらい予算要求をしたのですか。決定したものは、どのくらいに減ったのですか。
○政府委員(福田繁君) まあ厚生省のほうの生活保護の関係と私どものほうの要保護、準要保護児童の就学奨励の関係は、足並みをそろえる必要がありますので、もちろん予算要求のときには、厚生省と十分連絡をとって予算要求をしたわけであります。 三十八年度におきましては、要保護児童の援助率は、そのままに据え履きましたが、準要保護児童の援助率は五%から七%に引き上げ範囲を拡大しております。単価等も内容を若干、それぞれ教科書とか学用品、学校給食、それから修学旅行、通学費といったような、それぞれの費目につきましても、少しずつ単価を引き上げて参ったわけでありますが、一番大きな問題は、先ほど申しました援助率の引き上げというワクの拡大でございます。それで約三十五億——全体で三十五億の予算を計上しております。前年度に比べまして十一億円の増でございます。前年度は二十四億でございます。厚生省関係でも、教育扶助の関係で三十八年度は二十七億円の予算を計上しております。前年度よりもかなりこれは増額されておるわけでございます。
○成瀬幡治君 そうすると、それを具体的にいうと、貧困の生徒が何名この予算関係で救われることになりますか、生徒一人当たりにもし直していくならば。
○政府委員(福田繁君) 三十八年度の予算で見ますと、教科書、学用品、通学費というようなもので、いろいろ費目によって人数は違いますけれども、学用品などが一番一般的なものでございます。小・中学校合わせまして千七百万おります中で、小学校の七十二万、中学校が四十六万、合わせまして約百十九万人、この就学奨励の対象生徒児童としてワクを設定した、こういうことになっております。
○成瀬幡治君 そういう説明もありますが、私は三十七年度から三十八年度に、いろいろと予算がふえたために、生徒が概算して、どのくらい長欠からこれが就学のほうにかわっていくことができるかということが聞きたいわけなんです。そうじゃなく、物価が上がったために、今までやっておったのを、物価のベース改定のために上げたということもあると思うのですが、そういうことは抜いて、これがために、これだけの生徒が救われるのだという、そういう計算はされたことがあると思うのですが。
○政府委員(福田繁君) これはまだ、三十八年度の予算を実施したその結果を見ないと、何人この長欠に入るべき子供が就学できたということは、これはわかりません。わかりませんが、年々準要保護児童等の援助率を拡大して参っております。ことしも、先ほど申しましたように、五%から七%に二%拡大しております。そういった面から申しますと、就学奨励がある程度効果をおさめることも予想されるわけでございます。人数については、これはわかりません。
○成瀬幡治君 いや、私は予算要求をするときに、これだけの長欠児童数がおると、これは大体貧困のものがこれくらいだから、したがってそれくらいにワクを広げてくれたら、これだけの人数が救われてくると、そういう予算要求の計算の仕方もあるわけなんでしょう。そういうことは一切やらないわけですか。
○政府委員(福田繁君) これは生活保護のほうの関係で、いわゆる家庭の収入関係、そういうものを基準にいたしまして五%あるいは七%というような……。
○成瀬幡治君 厚生省と文部省は違うんじゃないですか。
○政府委員(福田繁君) いえ、厚生省も文部省も同じでございます。厚生省と文部省は、大体同じ基準をとって考えております。したがって、厚生省のほうも大体七%というようなワクの拡大をやっております。
○成瀬幡治君 僕はどうしても納得ができないわけなんですよ。長欠を解消していくということについて調査がしてあるとか、してないとか、いろいろな話はいいですよ。これから努力しなければならぬということは大臣も率直に言われたから、これはいいと思っているのだが、少なくとも予算要求の仕方としては、長欠児童の解消のために、文部省はこれだけの努力をしておるということが、私はある程度数字の上から出てきていいと思うのですよ。だから、そういうことが聞きたいために質疑をしておるわけです。そうじゃなくて、今や、こういうふうに五%から七%に上げたのだと言われただけではどうにも納得がいかない。そういうことではなくて、何か別途の私は予算要求の仕方があっていいじゃないかと思うわけです。
○政府委員(福田繁君) おっしゃることはよくわかりますが、ただ長欠児童の数だけで、この就学奨励費の予算を組むことは非常にワクが狭くなりますから、そうじゃなくて、やはり家庭の経済状態というものを基準にした厚生省の生活保護の関係から足並みをそろえたワクというものがなくちゃならぬ。したがって、そういう点から申しますと、今申し上げました大体七%でまかない得るということで七%に引き上げたわけでございます。したがって長欠児童の問題は、そのワクの中に入ってくるわけでございます。そういう考え方を私どもはしておるわけです。
○成瀬幡治君 それじゃ、大ざっぱに言って、七万人のうち、これだけに引き上げたために、どのくらい救われると大ざっぱにつかんでおられるのですか。三十八年度の予算をやって見なければわからぬとおっしゃるが、それだけの話なのか。大よその概算を立てておられるのがあたりまえだと思いますが……。
○政府委員(福田繁君) それぞれの基準に応じて見るわけでございますが、準要保護世帯に認定できるようなもの、そういう家庭の子供は、これに全部入るわけでございますから、したがって、今長欠児童の中に入っております子供の家庭の状況というものが経済上の理由だけでございますと、これに全部入るわけでございます。 しかし先ほどのお尋ねは、三十八年度に何人このために就学できるようになるかとおっしゃるので、その点は、まだ私どもとしては数字をやって見ないとわからないということを申し上げたわけでございます。
○成瀬幡治君 もっと親切に答弁して……。それじゃ、準要保護家庭がどのくらいふえるのですか、三十七年度から三十八年度にかけて。
○政府委員(福田繁君) それは大体二%ふえるという予定でございます。
○成瀬幡治君 そうすると、千七百万といわれた、小中生徒が。それも、二%ふえると見ていいわけですか。
○政府委員(福田繁君) 大体、そういう勘定でございます。
○成瀬幡治君 私も、これは何もどうということでおりませんが、少なくとも大臣も、これの制度化ということをおっしゃいましたけれども、とにかく夜間中学というものをなくするというのが、だれでもあたりまえのことだと思うのです。しかし、その前になる長欠生徒数が、三十八年度に中学校で七万二千名、小学校で六万八千名、六年と三年を比較して中学校のほうが多いということは、どう見たって、これは貧困の家庭なるがゆえに未就学のものだと思うのです。長欠になっておると思うのです。これを解消する努力というものがもっともっとなされて、そうしてその次にくるのが、現にある夜間中学をどうするかという問題になってくるのです。その順序を間違えると申しますか、何かその辺のところは、にらみ合わせてよく調査して、対策を立てるとおっしゃったから、対策を立てて、早急にひとつ委員会に御報告を願いたい。 それからもう一つ伺っておきたい点は、夜間中学が現にありまして、それに対する経費とか給食とかおっしゃいましたけれども、それは交付税の中で見ておるわけですか。経費は見ておる、見ておるとおっしゃいますが、それは、市町村がめんどうを見ておるというだけの話であるか、中央から税法の上で何か見ておるということはあるのですか。
○政府委員(福田繁君) この経費といたしましては、交付税その他におきましても、長欠児童がいるからということで、それは当然省きはいたしません。当然全体が含まれておるわけです。そういう意味の財源措置ということはやっておるわけです。 ただ、就学奨励費、たとえば先ほど申し上げました準要保護児童などの国の補助金、こういうものは、やはり当該のそれぞれの市町村がこれを援助して、これに対して二分の一国が負担するというようなやり方をいたしておりますが、これも市町村から請求があれば当然に教科書、学用品、通学費というものを一緒に出し得ることになっております。現実に出しております。
○成瀬幡治君 あなたは今、地方交付税で中学校や小学校の生徒数の基準がありまして出しておりますと、それは学校に入っておらなくても年令がきたらめんどうを見ますか。
○政府委員(福田繁君) これは建前上交付税の積算としては、そういうものも入るわけでございます。
○成瀬幡治君 どうも僕は、そこのところが納得ができないわけです。現に中学校の生徒数の報告や小学校の生徒数というものは、未就学児童まで含めて、そしてやられておるというふうに、あなた、どこでそれは調査され……えらい自信を持ってお答えなんですね。ほんとうにそうなっておるんですか。
○政府委員(福田繁君) これは毎年五月現在におきまして、生徒数、就学該当児童数というものを調査いたしまして、それに基づいて計算をいたします。そういう方式をとっている関係上、当然にそれは含まれておる、こういう私どもは見方をしておるわけでございます。現実にそうでございます。
○成瀬幡治君 まあそういうふうに単価は出ておるということになれば、昼間と夜間との違いになって参りますから、特別な手当とかいうようなことで、市町村がめんどうを見るならば、問題は解決するかもしれません。ちょっとそこのところ、私もあなたが自信を持ってお答えになるからそうかと思いますが、どうも僕は納得がいきませんが、それはまあ、そういうことにいたしましょう。 それから給食関係でめんどうを見るということは、これはちょっとできないわけですね。市町村が独自でめんどうを見ておると、こういうことなんですね、中学校の給食は。
○政府委員(福田繁君) これは実際問題として、今私が申しました準要保護児童などに該当するものとして、給食費の二分の一補助ということを市町村が実施する際に、請求してくれば国が負担できる、こういう建前であります。
○委員長(北畠教真君) 本日は、これにて散会いたします。 午前十一時四十一分散会 —————・—————