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43回国会参議院1963/03/14

文教委員会 第10号

発言数
277
登壇者
9
会派数
2
開催日
1963/03/14

会議録

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  本日の理事打合会について報告いたします。  本日の午前の委員会は、ILO第八十七号関係について質疑を行なうことに決定いたしました。なお、午後の委員会の審議については別途協議の上取り進めることに決定いたしました。  以上御報告いたします。     —————————————

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) 次に、理事の補欠互選についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、理事に欠員を生じましたので、この際、その補欠選挙を行ないたいと存じますが、その方法は、成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) 御異議ないと認めます。  それでは理事に二木謙吾君を指名いたします。     —————————————

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) それでは、これよりILO第八十七号条約に関する件について質疑を行ないます。  質疑の通告がございます。これを許します。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 文部大臣にお尋ねいたしますが、さきの本委員会におきまして、ILOに対する大臣の見方につきましていろいろ審議したことがあるのですが、当時、新聞では訂正されたようになっておりましたし、本委員会でも若干釈明が行なわれたと思いますが、あの当時持っておられたような、ILOは共産主義陣営の代表が引っかき回しておる団体であるとか、あるいはそういうことならば脱退したほうがむしろ日本のためになるのだ、こういった点も私はたしか本委員会において訂正されたように記憶するのですが、現段階で政府もILO条約の批准をやる決意をはっきりしましたし、また、国の内外においても、日本政府がどういう態度をとるかということは関心の的になっておるのですが、ILOそのものに対する大臣の見解を承りたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) ILOは国連の関係機構であり、日本も加盟いたしておるし、ILOそのものが、加盟国に関する限りの労使間の問題について、権威を持って国際機構としての機能を果しつつある、そういうものだと思っております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 少なくとも現段階においては、ILOというものが共産主義諸国の代表者によって引っかき回されておる機関ではないという明確な認識を持っておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 引っかき回されているとは思いません。ただ、共産主義国家では、私の理解に従えば、労使という区別は自由主義国家群と同じような姿ではない。その点が少し不思議だという気持は、疑問は持っておりますけれども、引っかき回されているとは思いません。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 その構成については、たとえば自由主義国家群と共産主義国家群とかりに二つに分けるとすれば、構成はどちらが多いとお考えになりますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 正確に存じません。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 この件については、私が冒頭に述べましたように、本委員会においてもその認識が足らないということが、大臣がILO条約批准の問題も、それから今頑強に拒否されておる日教組との交渉、話し合いの問題も、またILOが言ったと称する大臣の諸会合における演説、見解表明も、やはりその構成がどちらが多いか知らないということが、あなたがかつて新聞でおっしゃったILOは共産主義国家の代表が数多く占めておって、それの多数によってきめられておるところである。その共産主義国家というのは、今あなたが言ったように、労使の関係のはっきりしない奇妙な国である。したがって、ILOの日本政府に対する五十四次、五十八次、六十六次ですか、とにかく数次にわたる批准勧告その他の勧告も、言ってみれば、そうした何というか、あなたの好ましくない要素による構成から出てくる結論ではなかろうか、このように判断されているのではないかと疑問を持つのですが、その点いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) その意味での御疑問ならば解消していただきたいと思います。今例示されたような心境は、私の脳裏には初めからありませんでしたし、今もありません。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 脳裏にあるなしではなくて、あなたは、かつて矢嶋委員の質問に対して、共産主義国家の代表が多いと思いますと、こう答弁をして、矢嶋委員からあやまちを指摘されて、なるほどそうですがと訂正をされたことがあるのですが、私はそのことを再度確認したかったのですが、先ほどのあなたの答弁を聞いていると、依然としてILOの理事会あるいは結社の自由委員会の構成は、共産主義国家群が多数を占めている、こういう事実に対する相違した認識を持っておられるのじゃないですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そういう認識はありません。数九国であると記憶していますが、何カ国かははっきり知りませんので、明確でないからとお答えしたのであります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 どちらが多いだろうと思っておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 自由主義国家群が多いと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 続いて。先ほどもちょっと触れました帯広の公民館における会議その他の諸会議において、ILOがこう言ってきた、ああ言ってきたということを演説しておられるが、内容は別にして、諸種の会合でILOの勧告の内容について演説された記憶はありますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) あります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 そのあなたの演説の内容は、勧告文の原文からあなたが判断したことですか。それとも、いかなる資料に基づいてあなたはあの種の演説をなさったのですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 原文は瞥見したことはありますが、原文ではよく理解できません。仮訳を読みました。仮訳を通じて事務当局で問題点を集約したものを教えてもらって、そのことが大体私の記憶の大部分であると思いますが、問題点、大体五つについて演説したことはあります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 あなたの仮訳と称されるものは、外務省に来て、そこで翻訳されたものですか、それともその他の資料ですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) たしか労働省で翻訳いたしまして、外務省とあとで協議しながら翻訳を確認し合ったものと記憶しております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 ILOのごとき国際的な重要な機関が、政府に対して一つの勧告を出す、その内容について、あなたは常に勧告の仮訳あるいはILOが設置された趣旨に基づいて、その精神をのみ込んだ上でいろいろな演説をしておられますか。それとも劈頭に聞いたような偏見の残滓に基づいて演説をしておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) ILOの勧告文書が外務省に到達しまして、当時、外務省から原文と仮訳文とを添えて閣議に報告をされました。その報告されましたときに、中身の日教組の提訴に関する部分、これは文部省が担当する、当然でもありますが、担当して、記者会見を通じて全国民にその趣旨を知っていただく手配をするようにという閣議の結論に基づきまして、記者会見を通じて発表をいたしました。そういうことでございますから、できるだけ国民に知っていただきたいという考え方で私は演説会等でもそれに触れておるのであります。その前に知事会議が行なわれましたときも、これまた住民代表の立場にある知事にも知ってもらう、こういうことで御披露に及んだこともあります。演説会で話しました趣旨はそういう気持に基づくものであります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 その際、あなたの考え方として、ILOの勧告あるいはできた精神、これは十分尊重すべきであるというお考えですか。それとも日本の国政問題、国内問題に対して要らざる干渉をしておるという判断ですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 要らざる干渉などをする機能はILOにないと思います。当然ILOのよって立つ存在の理由そのものが尊重さるべきことですから、それからの勧告は要らぬおせっかいじゃない。日教組の提訴に対してのILO結社の自由委員会を通ずる国際的な判断、そのことが通達されて参った。通達されて参った以上は、先刻も申し上げましたように、国民にも知っていただく必要がある。だからこそ記者会見を通じて正式発表するという手はずもとったわけであります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 演説をし始められたあなたが、就任以来という用語ですが、厳密にその時期は指しませんが、あなたも答弁のように、たびたびの会合でILOの勧告には触れておられますが、最初から今日に至るまで勧告については——問題を限定しましょう。批准ということについては一日も早くやるべきであると考えておられるかどうか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) それについては、政府として歴代の内閣がILOの会合に向かって批准の意思のあることを、事情が許す限りすみやかにやる趣旨は述べ続けておると承知いたしております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 あなたの演説の内容は、今言われた尊重の精神に終始した演説という確信がございますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私の演説内容は、先刻来申しますように、日教組の提訴に対するILOの結論が勧告として通達されて参った内容を御披露することにあります。そのこと自体がILOというものの存在を意識し、尊重し、ILOというものの国際的な権威を念頭においておればこそのことである。注釈を加えれば、そういう心境であります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 そういうあなたの考え方が若干問題がありはしないですか。日教組の提訴に関する勧告の内容を国民に知らせんがため——文部大臣あるいは日本政府当局は、そのことも一つの仕事ではありましょうが、ILO八十七号条約を一日も早く批准するということが、現在、日本政府のILO関係では最も重要な課題というか、少し言葉を強めれば責務と言えると思うのですが、そうお考えになってはいないのですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは先刻お答え申しましたように、政府として方針を定めてILO八十七号条約の批准に努力し続けておるわけであります。国会に提案すること数回に及びますけれども、国会等の運営上の関係において結論を得るに至らないでおることは、政府としては遺憾に思っておる、そういう立場にあると考えております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 それは政府の立場であって、文部大臣の仕事は一歩進んで、日教組の提訴に関するILOの、あなたに言わせると判決、これを国民に知らせるのが主たる仕事である、このように理解しておられるような答弁と解しますが。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) もちろん、文部大臣の立場においてのいわば所管事項として、国民一般にお知らせするようにという閣議の決定に基づいて記者会見を通じて発表をいたしました。不幸にして数社が取り扱ってくれただけでございますから、その足らぬところを補う気持も含めまして、機会あるごとにその事実をお知らせする、これは私の仕事の一種かもしれないと、こう考えて、それに触れておるわけであります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 かりにそれがあなたの仕事の一つといたしましても、批准勧告という基本的な問題については、常に国民に対して、政府はこういう立場にあるけれども、批准していないということについて国民に知らせようと努力なさったことがありますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 何回かはありますが、多くはそのことには触れておりません。と申しますのは、それは政府として歴代内閣が持ち続けておることでございまして、あらためて特別に申す必要もないぐらいに周知されておると私は考えますから、ことさら触れてはおりません。たびたび申し上げますように、歴代の内閣がその必要ありとして国会に提案し続けておるということが雄弁に物語っておるし、それはもう常にマスコミを通じて人口に膾炙しておるところだと、こう思っております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 ILOは、今あなたが言われたような内容で日本政府の八十七号条約批准に対する態度を理解しておるというお考えですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) ILO八十七号条約は批准するという批准するための努力をする意思表示は、数回、ILOの場で日本政府の意思として表明されておると私は承知いたします。そういう意味合いにおいて、もうすでに世間一般周知のことであると私は思います。同時にまた、幾らかつけ加えますれば、ILOの諸問題についての一般的な窓口は労働省が担当しております。したがって、労働大臣の立場でこそ権威を持って言い得る立場であろう、私に関します限りは、日教組が訴えを起こしたそれに対する決定についての勧告、そのことは国民も知っていただく意味がありますから、そのことに限局して主として演説では引用いたしております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 そのあなたの考え方が、口ではILO即時批准、早急批准と言っておりながら、実は国内法改正等の問題をからみ合わせてくることによって、ILO八十七号条約批准の精神と逆行する態度をとっておる。そのために、そのことに触れたくないために、日教組の提訴の問題にのみといっていいほど重点を注いで、あなたは勧告を利用して宣伝しておる、このように私は見受けるのですが、そういう意図はありませんか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御批評はあろうかと思います。御自由と思いますが、私の意図にはそういう意図はゼロでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 あなたがたびたび団体交渉という言葉を使っていますが、あなたの言う団体交渉とはどういう概念ですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 憲法にさかのぼれば、勤労者の団結する権利、団体行動をする権利ということに関連を持っての概念でございます。もっと具体的に申せば、国家公務員法、地方公務員法に基づいて勤労者の団体を、職員団体を作ることが許されておる、その法律に交渉の相手方を定めておる、これはまさに憲法に源を発する概念だと思いますが、その意味における交渉、それであります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 あなたの団体交渉というのは、用語は労働法規上の団体交渉という通念ではなく、公務員の団体交渉権という意味ですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 日教組の主たる構成メンバーは公務員であると理解いたします。その公務員たる教師の職員団体、教員組合、それは地方公務員法ないしは国家公務員法に基づく以外には存在する余地がない。したがって、主として地方公務員法にいうところの交渉、それを団体交渉と念頭に置きながら、また日教組の提訴もそのことを中心に提訴されておるという理解に立っての用語でございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 どこのどういう用語というこまかなことではなくて、あなたが使っている団体交渉の概念というのは、いわゆる労働法規上の団交という団体交渉ということではない、あなたの場合の団体交渉というのは公務員の団体交渉権の問題である、こういうふうに理解してよろしいのですか、今の答弁で。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 労働組合、労働法規上のとおっしゃることが労働三法だというならば労働三法そのものから出てこない、憲法から出てきている。労働三法と同じ趣旨に立った公務員法上の交渉権問題、それが憲法にいうところの勤労者の団結する権利、団体行動をする権利につながる交渉権通称団体交渉、正規の交渉権という概念だと思っております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 ちょっと理解しがたいのですがね。公務員の団体交渉権は、あなたのおっしゃるようにそれぞれ法律で定められています。しかし、普通団体交渉という場合の団体交渉は労働法規上の概念だと私は思っているのですが、あなたの場合は、ほとんど今言われた地方公務員法や国家公務員法に定められておる交渉することができるという法の定めによる交渉権の問題である、こういうふうに理解してよろしいのですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 労働法規上法律に明記された概念が何であるかは私もはっきりいたしませんが、通俗にいう労働法規、厳密にいわないなららば地方公務員法の五十五条以下でございますか、規定しておる内容、それも一種の労働法規だと私は思います。日教組を具体的に取り上げての論議とならば、日教組に関する団体交渉ということは、地方公務員——主として地方公務員法、あるいは場合によって国家公務員法にいうところの職員団体たる教職員組合の団体交渉以外にはないと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 その団体交渉権があるかないかとか、そういう問題じゃなくて、これから後に私があなたに問題をただしていく際に、あなたのおっしゃっているのが、大体大多数の場合は今言われたような公務員に関する範囲内の問題で、一般に団体交渉というのは、公務員の場合は勧告の中にもあるように、またあなた方が考えておられるように若干の制限があるわけですが、あなたの場合には、公務員の現在法規上持っておるところの団体交渉権の範囲内で常に演説してあるかどうかということを聞いておるのです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) むろんそうでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 一般的な団体交渉というものは、概略申し上げてどういうことだとお考えですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 労働三法に根拠を置くところの問題だと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 公務員の場合はこれこれと特記していますね、御存じのように。一般的な団交というものは何を主としてやることをいっていますかと聞いているのです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 労働三法は、私権威を持っては申し上げかねます。私の常識に従えば、労働組合とは組合員たる労働者の勤務条件の維持改善について団結し団体行動をするために存在するところの団体である、こういうふうに思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 だから、団交というのは労働条件全般について労使が対等の立場で話し合いをすることが団体交渉だと、こういうふうに私は理解しておるのですが、言葉の若干のあれは、テニヲハは別として、大体そういう趣旨に大臣も解しておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 大体そう解しております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 あなたの団交という一つの通念と、それからあなたが使っておられる、団体交渉と言っておられる場合には、公務員、その中でも特に日教組の団体交渉の問題に限定してお話をなさっておる、このように理解してよろしいのですね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのとおりでございます。日教組がILOに提訴しましたことだけを申しておるのであります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 団体交渉というものは、今あなたが言われたように、労働条件その他の事項、これに制約はないのですが、地公法五十五条の交渉というものは、今私が言った前段の一般通念的な団体交渉を定めておると解しておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) ちょっと御質問そのものがはっきりつかめませんですが。済みません、もう一ぺんお願いします。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 五十五条に、「職員団体は、条例で定める条件又は事情の下において、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、当該地方公共団体の当局と交渉することができる。」、この「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件」というのは、先ほど前段で私が通念として相互に確認し合った労働条件であると解しておられますかという意味です。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 法律で例示しております給与、勤務時間等の勤務条件が主たるものであり、具体的に例示できないその他のものとしましても勤務条件に関した事柄、そういうことだと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 労組法、基準法にいう労働条件その他の事項、このことと、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件というととは、質的には同一であると思っておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 厳密には申し上げかねる課題ですけれども、法律で勤務時間その他の勤務条件といっていることで明確であると思うのであります。一般労働組合法の適用を受ける場合の、たとえばその他に類するものが何であるかを私は正確に申し上げられませんが、法律で明らかなことは、何であろうとも勤務条件ということであることには間違いない。それが今あなたの言われる日教組以外の一般労働組合になぞらえて言った場合に、その範囲が一致するかどうかということは私はつまびらかにいたしませんので、言葉をにごすほかには手がないわけですが、勤務条件という概念に含まれるものということであることは間違いないと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 見解よくわかりました。労働省が労働条件その他の事項ということに解釈の例示として出しておるのによりますと、労働者がその労働を継続するかいなかについてのすべての条件について話し合うことができる、こう例示にあります。この労働条件その他の事項という労働を継続するかいなかについてのすべての条件ということと、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件ということは、たとえばどことどこかと、百のうちの八十とか、五十のうちの三十という言い方はむずかしいと思いますが、幅がはるかに五十七条のその定めのほうが狭くて、今私が申し上げた労働を継続するかいなかについてのすべての条件という労働省の解釈による労働条件その他の事項というのは、幅は同じと見ておられますか、狭いものであると考えておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) わかりません。わかりませんが、推測を言うことを許されますならば、労働省の言いますその幅よりも狭いことが必至であろうと思います。それは公務員であるがゆえの条件が、民間の労使関係よりは制約を受ける本質を持っておるだろうと思いますから、想像を申し上げればそういうふうに感じます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 民間よりも公務員関係は勤務条件について当然の制約を持っておるだろうという御見解は、どの法律のどこから出てくるのですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) それをお答えする能力がないわけであります。私の想像を言わしていただけばという前提ですから、申し上げぬほうがよかったかもしれませんけれども、幅が狭いと思うか広いと思うかとおっしゃるから、多分狭いであろうという感じ、その直感的な根拠は、公務員というものが民間人のフリーな立場よりも制約を受ける本質を持っておる、こういうふうに理解されますので、おそらくそうではなかろうか、こういうことを申し上げたわけであります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 あなたは演説の際にも、本委員会におきましても、たびたび、私は基本法、公務員法あるいは学校教育法等が正確に、ある場合には忠実に守られておるかどうか、あるいは守っていく義務がある、こういう見解を述べておられます。そのことについてとやかく申し上げるのではないのですが、少なくとも地方公共団体が職員団体と交渉することができるという五十五条の定めのうち、給与、勤務時間その他の勤務条件は、労働条件その他の事項よりも幅が狭いという見解を持つか持たないかということが、ILO条約によって国内法を改正する場合にきわめて重要な問題であるし、そのことを全く抜きにして、日ごろ日教組と文部省の関係を言うと、あなたはすぐいやな顔をされるから当分は申しませんが、五十五条に定める地方公共団体の当局が交渉している際に法務省の解釈例記のごとき範囲内において交渉している場合は、あなたの場合は、それは違法と言えなくても法の精神でないからやってはいけませんと、こうおっしゃられるとおかしいのです。私はその法律に、日教組と会ってはならないと書いてあるから文部大臣としては会わないと、こういうことを言っている。したがって、五十五条のいわゆる交渉の範囲、内容、労働法規上は対象事項としておりますが、交渉の対象事項がどこまでであるかということは、あなたとして、あるいは文部省として五十五条の解釈については一定した見解を持つべきではないですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 相当突っ込んだ具体性を持った問題でございますから政府委員からお答えいたします。

福田繁文部省初等中等教育局上長

○政府委員(福田繁君) その五十五条の勤務時間その他の勤務条件に関する事柄でございますが、法制局等の意見によりまして、私どもはこのその他の勤務条件というものの中には、たとえば勤務時間と、それに対しまして休憩時間をこういう工合に置くとか、そういう事柄、あるいはまた退職する場合の退職金の制度の問題、そういうやはり給与、勤務時間に関連した問題だと、そういうように解釈をいたしております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 法制局の見解というのはどこの法制局ですか。

福田繁文部省初等中等教育局上長

○政府委員(福田繁君) 私どもは内閣法制局の意見に従っております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 その他の勤務条件とは、休憩時間とか、退職金のごときものである、こういう見解を内閣法制局が、それは談話で発表しましたか、国会における答弁ですか、それとも文書にして出しておりますか。

福田繁文部省初等中等教育局上長

○政府委員(福田繁君) これは常に私ども法制局の意見を伺っているわけでございますが、法制局の意見として受けているそうでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 意見の出方がどういう態様で出ていますかと聞いているのです。

福田繁文部省初等中等教育局上長

○政府委員(福田繁君) 意見が文書として出ているそうでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 その内閣法制局の見解の文書はいつごろ出されましたか。

福田繁文部省初等中等教育局上長

○政府委員(福田繁君) 調べまして、これは後ほどお答えいたします。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 その内閣法制局の文書解釈は、労基法、労組法でいうところの労働条件その他の事項よりはるかに範囲の狭いものである、そういうふうに考えておられるかどうか、また退職金、休憩時間というのが職員の給与、勤務時間とは別個の概念に属するものとそれを考えておられるかどうか、二点御答弁願います。

福田繁文部省初等中等教育局上長

○政府委員(福田繁君) 給与、勤務時間に関係のあるそういう条件でございますので、私は申し上げたんでございますが、労働法上、労働基準法の労働条件その他五十五条の勤務条件というのは言葉が違っておりますけれども、大体範囲は同じものというのが従来の法制局の解釈でございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 それでなら別に問いただすことはありません。労働条件その他の事項という、その他の勤務条件というのは大体概念としては同種のものである。大臣は先ほど違ったものではなかろうか、範囲は狭いんじゃなかろうかと、こういう御見解を想像論として出されたようですが、今の内閣法制局の見解という局長の御答弁を了解されますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) まあ労働条件と勤務条件と法律が用語を変えております。変えておりましょうとも、その気持は類似の概念であることは、これは想像にかたくないと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 それでやっと一つの問題が片づきました。  次に進みます。そうすると、地方公共団体は、文部省の解釈例記のように、労働者が、この場合置きかえると教員になるわけですが、労働者が自分の教職を継続するかいなかについてのすべての条件、これが当然地方公共団体との交渉対象事項である、こう確認してよろしいですね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 気持においては同感でございますが、厳密な意味で政府の最終的な、有権的な法律解釈というものほどの厳密な意味では私も断定いたしかねます。気持は同じものじゃなかろうかと想像いたします。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 内閣法制局が文書で出したもの、あるいは政府の有権的な解釈としては採用するのは不適当である、こういう御答弁ですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) はっきり確認できない段階ですけれども、大体において同じように内閣法制局も理解しているやに政府委員からの話で承知いたします。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 そのように常に慎重に判断をされ、用語にも御慎重を期せられると、私どもが本委員会で多分の時間を費して文部大臣の言動について審査を進める必要がずいぶん少なくなると思います。しかし、今の問題に関するのは、「やに」ではなくて、少なくともあなたが指定した代理者の稲田局長が、文書によって出ています、時期はわかりませんと、こう言っているんですが、「やに」承るんじゃなくて、確かに有権解釈であると、こういうふうにお認めにならないとうそですよ。もう一度。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのとおりでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 第二段目がやっと片づきました。今私はあなたと相互に質疑を交換して参りました。団体交渉というものについての概念並びにその団体交渉事項についての大体の意見の一致を見ることができました。  次に、使用者と労働者あるいは使用者と労働組合、まあ労働組合と限定しましょう。これは民間あるいは公務員を問わず団体交渉だけでもって協議するという相互のスタイルは存在しないと見てあるか、あるいは存在するとしても、それは有害無益と考えてあるか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 制度上団体交渉ということ以外に交渉はないと思います。ただ、事実問題として協議する、話し合う、そういうことが当然あり得ることであり、望ましい姿であると思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 その場合の協議は、もちろん私も労組法、労基法の概念とは思っておりませんし、大臣もそうだと思いますが、それは法律の定めある関係にのみ限定して、たとえば団体交渉権を確立しておる法律上オーソライズされておる関係の場合のみ協議するという態様は、今おっしゃったように望ましいことか、それとも、いわゆる労働者と使用者、いわゆる労使の関係の一般的な態様として相互に話し合いをしていくいわゆる協議をするということはあり得る姿であるし、好ましい姿だと考えておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 事実問題としてあり得ることはもう必然でありますし、多くは望ましいことである、そう思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 十分それでわかったのですが、念のためにもう一度確認しておきますが、それは団体交渉に移行する前段の、何といいますか、相互理解の場所であるとか、あるいはそれに至らない前の出前の姿であるという限定した意味でなくて、一般的に話し合いをしていくということは望ましいことである、こういうふうに労使の関係を思ってあると理解してよろしいですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 事前であろうと事後であろうと、あり得ることだと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 私の質問が悪かったのではないかと思いますが、団体交渉の変様としての、協議という意味でなく、一般的な団体交渉権の存在、非存在を別にして、そのことが望ましいことでしょうかと聞いている。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 当然だと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 その関係は、団体交渉に属する事項、労働条件その他の事項そのことが取り上げられても協議という態様に属する限りは原則として肯定される。違法であるとか、だめであるとかいう否定する必要がない、むしろ積極的に肯定さるべきものである、このように理解しておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 団体交渉と名づけられない事実上の話し合い交渉、そういうものは別に問題に局限があろうとはむろん思いませんけれども、組合である以上は、本来の組合の行動半径、団体交渉課題とされることが主たるものであろう、事実問題として、そのほかのことに及ぶべからず、そういうことには考えておりません。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 御答弁が気に入らないのではなくして、質問の要旨とはずれたのですが、私の言っているのは、団体交渉事項にかかわらず協議をしていくという態様は好ましいことであるかどうか。それから続いて、その内容は必ずしも労組法、あるいは基準法、あるいは五十五条の給与、勤務時間その他の勤務条件、これで私はすべてを含んでおると解釈しているわけですが、五十五条の解釈論は抜きにして、かりに福田局長が指摘されたような別なものがあるとしても、それはすべてにわたってよろしいのだ、こういう私は考えでおるのですが、大臣の見解は。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 要は事実問題でございますから、極端に言えば何でもよろしいと言ってもよろしいかと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 わかりました。また次のあなたの言葉ですが、団体交渉という言葉の次には、たいていの場合に交渉相手という言葉が出ているわけですが、いわゆるあなたが述べられた憲法、労組、労基その他の法律に定めるところの交渉相手というのは、一般的にいってどういうものだと考えておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 団体交渉の相手方は、法律に明記された相手方以外にはないと、こう思っております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 法律に明記されておる交渉相手というのは、どういうものですかと聞いている。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 労使の関係にある相手方だと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 そのとおりですが、その際の使用者というのは、これもまた学説並びに判例例証にあるのですが、非常に広義のものであって、何らかの意味で雇用条件について影響を与え得る者を含む。たとえば会社の社長だけであるとか、重役だけであるとか、そういった限定ではなくて、社長でなくして、使用人であっても、たとえば支社長、支店長、これはこの会社からいうとも支店長そのものも使用人になって、使用者でないわけですが、広い意味で、広義の意味で何らかの、雇用条件について影響を与え得る君を含むと、こういう学説並びに例証があるのですが、これも一般的な意味で認められますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 労働組合法そのものは私は存じません。日教組を中心としてものを申していることに限定してのお尋ねかと推察をしてお答えするわけですが、法律上使用者と認め得る者、使用者を代表し得る権限を持った者、そういう者だと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 だから、その使用者を代表し得るという内容は、何らかの意味で雇用条件について、あるいは労働条件について影響を与え得る者を含んでおると見られますかと聞いている。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 影響を与え得るというお尋ねがよくわかりませんが、団体交渉の相手方は、あくまでも使用者側についていうならば、使用者であることを法律上立証し得るに足る人、そういう者だと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 その法律上立証し得るに足る者というものが、今言ったように雇用、労働条件について影響を与える者を含むという、こういう解釈になっているのですが、その解釈を認められますかと、こう聞いている。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 学者の説は私は存じません。読んで字のごとく、労使間の交渉でございますから、労働者側、勤労者側を代表する法律上の権限ありと認められる者と、使用者であるということを法律上立証し得るところの使用者なりと認め得るところの者、それ以外に間接的な影響があるなしということは別問題であろうと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 あなたの二つの要素の答弁と一番最後の答弁とは矛盾します。前段でしたら全くそのとおりに例記でも学説でもいわれているのです。いわゆる法律的に使用者側を代表する者並びに実体において使用者と目される者、その実体において使用者と目される者の意味を何らかの意味において雇用、労働条件について影響を与える者を含む、したがって、大京に本社があり、そこに社長がおる。福岡に支店があって支店長がおる。そこでも団体交渉は成立する。その支店長が採用を、一々東京の本社の社長自身が試験をしてみたり、テストをしてみたり、決定をしてみたりしなくて、支店におる支店長を中心とする、いわゆるあなたが後段に言ったところの使用者と目される者、これらの人々について、その際には交渉相手であると、こう言っておるのですが、それを認められますかと、こう言っている。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) その辺よくわかりません。わかりませんが、しいて申せば、交渉相手ということが法律上もいえるとするならば、団体協約等によって交渉相手が具体的にきめられておるという場合ではなかろうか、交渉の課題について使用者側を法律上代表し得る権限を持たない者が正式の団体交渉相手にはなり得ないのじゃなかろうかと、こう思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 福田局長に尋ねますが、いわゆる団体交渉の解釈については、先ほどで御承知のとおりであります。交渉相手の解釈論を今しておるわけですが、これはなぜかというと、大臣が交渉相手、交渉相手という用語を使っておられるから、文部省の解釈あるいは内閣法制局の交渉相手に対する解釈があるとすれば御教示願いたいと思う。

福田繁文部省初等中等教育局上長

○政府委員(福田繁君) 私ども一般的に申し上げまして、交渉相手となり得る者は、一般に雇用契約によってその使用者たる立場にある者だと考えます。したがいまして、会社でございますと、当然にその雇用契約によって雇用し、そしてその被雇用者に対して監督のできる立場にある者ということであろうと思います。したがいまして、一般の公務員について申しますと、やはりこの任命権者である者、しかも任命権者としてその公務員について、服務について監督できる者という立場の者が交渉相手であろうと考えております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 法律上、あなたの今の答弁の中でちょっと疑問になるのは、法律上にこれ、これ、これは使用者というそれが何かに書いてありますか。

福田繁文部省初等中等教育局上長

○政府委員(福田繁君) これは労働法におきましても、使用者という立場におきまして、使用される者と契約を結んで雇用契約が成立するわけであります。したがって、そういう立場において私どもは使用者ということを使っておるわけでございます。これはやはり今申しましたように、一般の公務員の場合におきましては任命権を持っておる者、こういう解釈になろうと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 使用者の範囲はこれこれであるということを何かの法律に定めていますかと聞いている。

福田繁文部省初等中等教育局上長

○政府委員(福田繁君) 別にその範囲を規定している条文はございませんが、これは当然にそういう解釈をとるべきものだと考えております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 それではっきりいたしました。法律上に使用者の範囲というのを定めてはありません。そこで例記、判例、あるいは学説ということが問題になってくる。そうして特に労働争議においていろいろ起こった実際の判例というものは、法律に範囲の定めがない以上、それは実定法としての作用を持っていることも御承知のとおりであります。したがって、先ほど指摘しましたように単に法的な雇用主である、たとえば株式制度にしないで、一人の社長が五十人の人を持って経営しておる。その中に副社長というのを採用して任命する、あるいは専務というものをこれは任命をされておる。しかし、その場合の団体交渉というのは、法律上は社長一人だけであると、こういうことではなくして、たとえば労務部長とか、先ほど言った何らかの意味で雇用条件について影響を与える者を含むとしておるわけです。このことは何というか、あなた方の立場に立って権威ある解釈あるいは内閣法制局が出しておる見解がない以上は御了解していただきたいと思います。この際に、再度、福田局長に尋ねたいのですが、任命ということに権限を限定しますか。もちろん任命権には解雇も入りますが、任命だけではなくして、当然労働法規上もその他の労働事項、五十五条ではその他の勤務条件、こう言っているのですが、任命権者と限定すべきでなくて、労働条件に関することが交渉事項であれば、このことに関係を持つものは当然交渉相手である、先ほどの言葉を使えば何らかの影響を与えるもの、これも交渉相手である、このように理解すべきだと思いますが、どうですか。

福田繁文部省初等中等教育局上長

○政府委員(福田繁君) 学説はともかくといたしまして、さように広く解釈しているとは私ども考えておりません。と申しますのは、会社の場合でございますと、かりに本店、支店の関係がございましても、これは同一の会社でございまして、そこが会社として雇用権を持っているわけでございます。したがいまして、たとえば労働条件に関係があるというようなことから申しますと、先ほどお言葉にございました何らかの影響を持つというような立場のものが全部交渉相手だといたしますと、たとえば会社に融資します銀行というものは、これはその会社にとっては相当いろんな雇用関係、労働条件に影響のある場合がございます。しかしながら、そういう融資する銀行は交渉相手とは一般に解しておりませんので、やはりその会社自体であろうと思います。そういう意味でございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 大臣はちょっとはずされておったのですね。それでは困りました。今、福田局長が、たとえば銀行のごときものがその会社に融資するものは労働条件に関係がある、したがって、それも対象になってくるからいけないのです、こう言ったのです。

福田繁文部省初等中等教育局上長

○政府委員(福田繁君) そうではないのです。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 そうじゃない。もう一度答弁して下さい、非常に重要なところですから。

福田繁文部省初等中等教育局上長

○政府委員(福田繁君) 私申しましたのは、会社のいわゆる雇用権を持っておりまして従業員を雇用する立場にある者、それからその従業員として雇われた者、その間には当然いわゆる交渉する相手としての立場はお互いにあると思いますけれども、先ほどお述べになりましたように、学説という御指摘の中には非常に広く交渉相手というものを御指摘になったようでございます。何らかの影響を与える者はすべて交渉相手ではなかろうかというようなお尋ねでございましたので、例として、たとえば銀行が会社に融資をする場合におきましては、いろいろな場合におきまして、会社に相当重大な影響を与える場合がある。その場合にはやはりその融資する銀行そのものがこの労働条件等に何らかの関係を持つ場合もあり得る。しかしながら、そういう銀行自体が交渉相手ということは一般には考えていないので、したがいまして、そういう何らかの影響を与えるという立場において交渉相手になることはないというように申し上げたつもりでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 そのとおりに理解しています。少しも間違っていません。交渉相手になることがないとおっしゃっているところを問題にしているのじゃないのです。融資する銀行が雇用条件に——労働法の問題として、労働上の問題として、交渉相手を決定する際に、融資する銀行が雇用条件に影響を与えるという解釈は福田解釈ですか、それとも内閣法制局解釈ですか。これは新学説として売り出すと必ずベスト・セラーになると思うのです。どこの解釈ですか。

福田繁文部省初等中等教育局上長

○政府委員(福田繁君) これは内閣法制局の意見でも何でもございません。ただ私が思いつきました例を引っぱっただけでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 問題は、大臣の見解をただしておるところですから、あなたのその融資機関が融資した場合に労働組合の雇用条件に影響を与えると、こういう御見解はおやめになったほうがよろしいと思います。  ちょっと速記をとめて下さい。

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) 速記を起こして。  午前の、質疑はこの程度にして、午後一時より再開することにして、これにて休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時三十三分開会

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) ただいまより委員会を再開いたします。

小林武日本社会党

○小林武君 前回のときに、新教育指針について質問いたしましたが、その際、文部大臣のお答えを得られなかったわけで、この問題は、その質疑の間でかわされたように、日本国憲法、教育基本法にのっとった教育指針という文部省の教育に対する方針というようなもの、これはやはり具体的に明らかにされなければならないと思うし、同時に、その明らかにすることによって、日教組の倫理綱領の問題を討論する際にも、文部省の態度が明確であるということは、議論を進める上においては欠くことのできないことでありまして、新教育指針のうちの第一部前編について、日本国憲法並びに教育基本法に関連して——前編の第六章でもって結論になっておるわけです、第一章から第六章までの間。この問題について文部省の見解を、先ほど譲ったように日本国憲法、教育基本法の立場から、もう一度述べてもらいたい、文部大臣も知らないというようなことでは話を進めていく上において都合が悪い、わかったでしょうか。

蒲生芳郎文部大臣官房長

○政府委員(蒲生芳郎君) わかりました。

小林武日本社会党

○小林武君 なおその際、その上に立って教育基本法というものが、大臣の言葉を借りて言えば、きわめて危険な思想の上に立っているように言われているが、そのことにも一つ触れて。

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) ただいまの要求資料はなるべくすみやかに御提出願います。

小林武日本社会党

○小林武君 これはいつころまでにできるわけですか。私のほうではいつまでもというわけにはいかない、これは大体三月の——どうですか、一週間でできませんか。

蒲生芳郎文部大臣官房長

○政府委員(蒲生芳郎君) 二週間でございますか、よろしゅうございます。きょうから二週間でございますね。

小林武日本社会党

○小林武君 きょうから。     —————————————

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) 次に、農業、水産、工業又は商船に係る産業教育に従事する国立及び公立の高等学校の教員及び実習助手に対する産業教育手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法律案については、すでに提案理由の説明の聴取を終了しておりますので、直ちに質疑に入ります。御質疑のおありの方は御発言願います。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 二、三質問をさせていただきます。  問題になっておりまするこの特殊教育に従事しております者に産業教育手当を支給したい、こういう対象になっている教員数というものを、ひとつ各校別に盲学校、あるいは聾学校、あるいは養護学校、こういう別にどのくらいな教員あるいは助手がおられるのか、その数字はわかっておりますか。

小林武日本社会党

○小林武君 お答えいたします。国立の学校では一名なんです。東京教育大学の付属聾学校、これが一名、国立は一名ということですね。それから公立につきましては、推定なんでありますが、大体木工が五十七校、農業が三校、工業が一校、金属工芸一、窯業、かまですね、これが一、六十三校ですから大体約百二十名内外と、こういうぐらいしかわからない、大体これに近い数です。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 ただいまの教員の学校別ですが、盲学校にどのくらい、聾学校にどのくらい、あるいは養護学校にどのくらいという学校別にはわかりませんか。

小林武日本社会党

○小林武君 これはちょっとわかりません、調査しないと。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 文部省、だれか来ておりますか。——それじゃ文部省のほうにお聞きしますが、ただいま質問しました教員数あるいは助手の数、これが盲学校あるいは聾学校並びに養護学校別に、公立ですね、公立学校についての数字がわかれば、ひとつ文部省にお答え願いましょう。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) 私どものほうの調査によりますと、盲学校におきましては農、水、工、商船の課程がございませんから、したがって、その教科を担当する教員がございません。助手もございません。聾学校におきましては、教員数百四十三名、実習助手の数が十二名、計百五十五名、擁護学校の高等部におきましては、農、水、工、商船の課程がございませんので、これを担当する教員はございません。したがって、聾学校のみ教員、実習助手を加えまして百五十五名と推定をいたしております。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 大体、発議者のほうからも百二十名内外、今聞いておりますと百五十五名ですか、この数字は一応これでわかりましたが、そうすると、この特殊教育あるいは養護学校の産業教育手当を受ける対象になる先生は大体盲学校にはない、あるいは養護学校にはないということになるのですか。

小林武日本社会党

○小林武君 聾学校だけですが、この点は聾学校に多いわけですね。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 数が多いというばかりじゃなしに、盲学校、養護学校には一人の教員も助手もいないということになるのですか。

小林武日本社会党

○小林武君 その点はよくわかりません。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 大体、産業教育でありますから、今言ったような農業、水産、工業あるいは商船というものに関する教育でありますが、この盲学校に限って百五十五名の先生、助手がおりますが、この先生方あるいは助手の人は、農業、水産、工業、商船に分けますとどの産業教育に当たっておる先生方が多いのですか。

小林武日本社会党

○小林武君 先ほどちょっと申し上げたのですが、私のほうの調べですと、木工科というのが、これは学校数ですが、五十七校、それから農業をやっておりますのが三校、工業が一校、それから金属工芸が一校、窯業が一校、計六十三校大体あると見ているのです。これを先ほど百二十何名といったのは、大体一校二名ぐらいのあれに見ているわけです。そういうことで百二十名内外の数を大体見込んでいるということです。それが聾学校、養護学校、盲学校、全般については聾学校だけであるということはこっちもよく承知しなかったわけです。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 そうしますと、大体今の調べで農業と工業ですか、水産、商船関係の教員というのはいないということになりますか。

小林武日本社会党

○小林武君 そうですね、それ以外のものはないということですね。木工、農業、工業、窯業、金属ですね、それで高等学校における産業教育のための実験、実習の施設設備の基準なるものが、農業では農業園芸、畜産、蚕業、農産加工、林業等いろいろあるのですが、そのうちの農業ですね、それから工業では機械工作とか、自動車とか、電力とか、電気通信とか、いろいろありますけれども、その中で木工、金属工芸、それから窯業というふうなもの、これに限られているのです。だから、全般にわたって全産業のあれではないわけです。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 この聾学校、盲学校あるいは養護学校の高等部ですね、この該当する高等部の教員、助手というのは全体でどのくらいな数になりますか。というのは、この百二十名というのは、そのうちのどのくらいな先生の割合になりますか。

小林武日本社会党

○小林武君 教員全体の数ですか。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 この産業手当を支給しようという対象になる先生の数は、全教員、助手の何%ぐらいに当たりますか、どのくらいな人数になりますか。

小林武日本社会党

○小林武君 それについてはよくわかりません。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 それじゃ文部省のほうで、今質問した数字わかっておりますか。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) 私のほうの数字によりますと、農、水——水はございません、商船もございませんから、農業と工業の関係の教員が百四十三名でございます。これに対しまして高等部の全教員は千九百四十四名でございますので、その比率をとりますと大体七%強というふうに考えております。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 聾盲あるいは養護学校の、今度は卒業生ですね。高等部の卒業生で就職をしていくというか、あるいは生業についていく過去の実績といいますか、こういうものは、今の産業教育、この方面からはどのくらい就職を今までしておりますか、わかりますか。

小林武日本社会党

○小林武君 そのことについてもわかりません。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 盲聾、養護学校の今までの卒業生の中で、産業教育に該当する方面に従事しておる卒業生というのはどのくらいであるか、全卒業生のどのくらいに当たるかということが文部省でわかりますか。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) 全卒業生のうち、農、工の課程を卒業して就職するものの率は今ちょっと出しておりませんが、農、工の課程の卒業者の推計をいたしますると、この三月の末におきまして三百二十五人出るであろうというふうに私どもは見込んでおります。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 卒業生全体のどのくらいに当たりますか。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) 今まで大体そういう率で農、工の課程を卒業して参っております。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 三百二十五名というのは、今までの卒業生全体としてはどのくらいのものが出ておるのですか。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) その調べはただいまいたしておりません。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 大体、産業教育振興法によって力を入れたいという面の教員の現況と、その方面の事業生の就業しておる数というものは一応今お聞きできたのですが、それじゃ今度はもう少し広く見まして、盲学校、聾学校あるいは養護学校を含めて、その高等部で現在職業教育に重点を置いておるというものは、一体どういう面に重点を置いておるのですか。

小林武日本社会党

○小林武君 そのことも明らかでありません。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 文部省のほうで説明を願います。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) 盲学校の高等部におきましては、圧倒的にあんま、はり、きゅうの理療科の教育でございます。聾学校の高等部におきましては、女子に対して被服課程の教育、それから床屋さんですか、理容科及び美容科の教育、これに最も重点を置いております。養護学校におきましては、何分にもまだ生徒数が非常に少ないわけでございまして、まとまったそういう課程の教育をするという段階に至っておりません。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 現在、盲学校においては理療科に重点を置いておる。あるいは聾学校においては理容科、被服科ですか、それに重点を置いておる。これで古学校、聾学校の卒業生のその方面に今度は就職していっている、就業しておる、大体その実際の状況といいますか、その数というようなものはわかりますか、文部省のほうで。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) 農、水、工、商船以外の職業課程の卒業者の推計でございますが、この三月卒業するであろうと考えられます数は二千八百二十八人でございます。そのうち従来の就職状況から考えまして、あんま、はり、きゅうに就職をいたします者が過半数でございまして、千九百八十人程度、それから小売あるいはサービスの関係に就職する者が二百五十人程度、それから被服関係に就職する者が四百三十人程度、大体そんなふうに推定をいたしております。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 ただいまの推定というか、数字はそれは今春の卒業生についてですか。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) そうでございます。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 大体今までの卒業生の就業しておる状況というのはわかりませんか。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) 今までの卒業生と申しますと、三十七年三月末の卒業生の就職の状況が一応ございますが、それによりますと、全体の卒業生の数は三千百五十人程度でございます。これを課程別にみますと、普通課程を出た者が百六十人程度、農、工にかかわる課程を出た者が二百七十人程度、その他の課程を出ました者が二千七百人程度、こういう数字が出ておりますので、これらの比率によりまして本年の三月卒業生の就職分野を推定したわけでございます。従来の数年間の累計というものは持っておりません。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 大体ただいままでの質問で現状並びに過去の盲聾学校並びに養護学校を卒業しておる者の職業についておる状況がやや判明するのですが、将来こういう特殊教育の対象になっておる児童生徒の新しい職業開拓といいますか、そういう面について特に何か発議者のほうでお考えになっておるような面がありますか。

小林武日本社会党

○小林武君 それは今文部省のほうから申されましたことも、こういう関係の者があんま、はり、きゅうというような、そういうものに片寄ったようなそういう就職の状況から、やはりできるだけその人間に適当な能力を発見して、広くやはり各産業のほうに就職するように手はずを整えるということが必要なことだと思います。そういうことが盲聾、養護の学校などでは特に今後努力しなければならぬ点かと考えております。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 これは非常に大事な一つのポイントになるんじゃないかと思うのですが、盲者、唖者、聾者、こういう人たちが特別なやはり適性教育といいますか、こういうものが必要であろうと思うのです。こういう面について社会一般に要望されておる面がありましても、あるいは本人たちがそちらのほうに適性がむずかしいというのでは、これは少し教育の面で取り上げましても効果がどうかと思うのですが、過去の実例を見てみますと、盲学校の理療科に大体重点が置かれ、あるいは聾学校の理容科あるいは被服科に重点が置かれてきたようですが、これを今後産業教育のほうに力を入れて、農業あるいは水産、工業というような面に振り向けていこう、手当もつけて、そういう方面になるべくこういう人たちを就職さそう、こういう考えであろうかと思うのですが、実際それがこういう特殊な人たちにはたしてどの程度に受け入れられるものであろうかという面については、発議者のほうで相当検討されておるんでしょうか。

小林武日本社会党

○小林武君 それは十分検討いたしております。問題は、やっぱり盲聾、養護、それぞれ対象になるものというものは他の法案にも関係ございますけれども、十分の教育を受けていないことは御存じのとおりだと思います。実際きわめて小部分の者がこの教育を受けておるという現状であります。そしてこれの教育にはまた非常な何というか、国民の絶対な協力といいますか、努力を傾けてやらなければならないと思うのであります。特に、先ほどから申し上げましたように、これらの人たちにもやはりそれぞれの能力を開発してやっていくということ、必ずしも今までのような片寄った就職の状況だけではなくて、もっとやはり広範囲に、自分の持っておる能力を生かして生活していくという可能性は十分あろうと思うのです。そういう意味で、特にその一つの、それが全部じゃありませんが、それの一つとして、産業教育について、この特殊教育に特段のやっぱり配慮を示す必要があるのじゃないか、こう考えております。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 文部省のほうにお聞きしますが、盲学校ですね、盲学校にこういう産業教育の教員が置いてなかったというのは、これはどういう理由なんですか。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) 盲学校の卒業生は大体あんま、はり、きゅうというものを学びまして、国家試験を受けてそのほうで生計を立てるということが一番盲者に対しましては適した職権であり、また、したがって、適した教育であるということから、従来は理療科のほうに重点が貫かれておったわけでございます。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 まあ一応は今の説明も了承できるのですが、高等部におる在学生の中では、今も発議者の話が出ましたが、もう少し自分の特性を生かしていきたい、あんま、はり、きゅう以外に、いわゆる産業方面に流出したいというような希望者が今まで盲学校の中でそういう希望が出ておりますか、あるいは本人からでなくても、あるいは教員、教育者の中からでもそういうような動きといいますか、意見が出てきておったのですか。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) 生徒に対しましても、そういった就職分野の調査はいたしておりませんが、従来の盲学校の教員のほうからは、あんま、はり、きゅうのみならず、その他適性に応じまして、その他の新しい職業の分野にも行けるように教育をしたいという希望は聞いております。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 具体的に、盲者についてはどういう面の産業教育というような面が取り上げられておるのですか、議論されておったのですか。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) 実は私どものほうで三十六年度から新職業開拓のための予算を計上いたしまして、実験的に現在全国五つの盲学校でその実験をやっていただいておるわけでございます。その際、私どもが一応考えました職種は、盲学校におきましてはピアノ調律、ビニールの編みもの、電気器具の組み立て、養鶏、養豚、そういう職種は新しく開拓をしていく可能性があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 盲学校においては、今まで理療科が大体主流をなしておったが、将来、今話があると、そういうものにも研究してみたいという答えがありましたが、聾学校のほうは、今、理容科と被服科が大体その主たるもののようですが、聾学校においてはどういうような新職業が考えられておるのですか。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) 聾学校におきましては、金属塗装、工芸印刷、金属加工、あるいは窯業——陶器の関係でございます。それからレンズの研磨、木材加工、歯科技工というような職種が考えられております。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 やはり文部省のほうにお聞きしますが、そういう新しい職域を開拓するのについて、今、実際どの程度の見込みがあるというか、その教育を施して社会に出たときに、その人たちが就職していける可能性というか、ある意味において競争も相当あろうと思うのですが、そういう見通しについてはどう考えておりますか。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) まず盲学校についてでございますが、盲学校におきましては、生徒の希望も家庭の希望も圧倒的にあんま、はり、きゅうを望んでおります。なぜかと申しますと、やはり従来の伝統的な職業でございますし、また、現在の職業分野の中で考えましても、この方面の仕事を、最終的にはこれでやりたいというような希望があると思うわけですが、そういうことで、いわゆるピアノ調律、養鶏、養豚等の新しい職業の分野というものの開拓に対しましては、非常に困難な面を持っておるということを現実に考えております。それから次に聾学校のほうにおきましては、これは先ほど申しましたような新しい職種に対して、今後開拓する可能性が非常に大きい、このように考えております。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 大体、将来開拓をしていこうという新しい職業についても一応わかりましたか、この新しい職域を開拓することと、従来の理療科あるいは理容科、被服科と、こういう従来から職業に透り出している面という両者、これは発議者のほうにお聞きするのですが、重点といいますか、そういう点をどういうようにお考えになるか、発議者にお伺いします。

小林武日本社会党

○小林武君 これはやはりたとえば盲の場合ですと、制令にあんまとか、はりとかいうようなのが多いということは当然だと思うのです。従来もあれですし、それからいろいろ子供の適性等を考えましてもですね。しかし、数の問題ではなくて、その中でも先ほど言ったいろいろな新しい職業の開拓ということが可能であるならば、本人にその能力があるということならば、やはり他から十分これを助けながら、その職域を広めていくということは必要だと思います。やはり盲聾その他の身体障害者という条件がありますから、これがほかの普通の青少年のような工合には私はいかないと思います。だから片寄るということはあると思います。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 発議者は、従来の教育に重点がおかれた面も、適応性の上からいって、やはりそちらに重点をおいていく。しかし、たとえ適応性が少なくとも、そういう生徒がおれば、それに新しい職業の開拓のほうにも力をさらに入れてやりたい、こういう考えですか。

小林武日本社会党

○小林武君 そうです。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 大体今までの質疑で、この特殊学校の職業教育に力を入れてきた現状並びに卒業生の就職状況というものがわかるのですが、こういう特殊教育全般について、ほかの一般の普通教育と違って、特殊教育については、特に発議者としては、特殊教育そのものに全面的に何か力を入れていこうというお考えはないのですか。

小林武日本社会党

○小林武君 御質問のあれは、教員の待遇とか、手当とかいうものに関してですか。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 そうです。

小林武日本社会党

○小林武君 それは小中高とも調整手当というのは八%ついているのです。しかし、私がきょうここに発議いたしております法案は、高等部でやはり当然産振法の該当になる人たちが特殊教育に当たっているから、それに該当しないというのはやはり不合理だと思うのです。だから現行のいわゆる産振法の立場からいって、当然盲聾の学校に勤めておっても、その仕事に携わっている人にはやはりやるべきだという考え方なんです。だから、もしも理想的に言わせていただけば、たとえば調整手当その他についても予算が許せばやはりもっともっとこれらの学校に勤務している人たちには、その労苦に報いるものがなければならないとは思っております。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 そうしますと、調整額が現在八%ですか、ついておって、そうして今度の産業教育手当をつける、そうすると、両方もちろん受けるということになると、どの程度のものを妥当と考えておられますか。

小林武日本社会党

○小林武君 七%です。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 そうしますと、合わせて一五%というのですか。

小林武日本社会党

○小林武君 そういうことでございます。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 調整額と産業教育手当を受けている、何かほかにそういう教員がありますか。調整額とそれから産業教育手当と両方を受けておる先生が——どういうほかに該当する学校、どういう先生がありますか。

小林武日本社会党

○小林武君 両方もらっておるというのはどういうことですか、ちょっとわかりませんがね。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 調整額を受けて、そこにまた産業教育手当を受けている、片方が八%で片方が七%であれば、合わせて一五%ですか、そういうような現在手当を受けておる先生がおる学校というのはどういうところですかと、こういう意味です。

小林武日本社会党

○小林武君 それを今度新たに盲聾学校に支給すると……。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 それを今度新たにそういうように道を開いていこうと、こういうお考えですか。

小林武日本社会党

○小林武君 そのとおりです。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 一応、発議者に対しまする質疑もまだあるのですが、ちょっとここで文部省のほかに、これに関連をしまして一つ二つ聞いておきたいと思うのですが、この盲者、聾者というような、こういう人たちの教育は非常にむずかしい、そのために調整額もついておる。しかし、これは手当だけの問題ではなかろうと思うので、先ほどもちょっと話が出ましたが、盲者や聾者や唖者のこういう不具の人たちを収容して、教育の機会を全部に及ぼしていくというような面について、文部省は今どんな努力をされておりますか。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) 現在、特殊教育の分野におきましては、精神薄弱者、肢体不自由者、病弱者といういわゆる養護学校の対象の児童生徒の就学率が非常に低い段階にございます。したがいまして、この養護学校の対象となる児童生徒をできるだけ収容をいたしまして、これには養護学校及び特殊学級の関係も入って参りますが、その就学率を伸ばしていきたいという考えのもとに、計画的に養護学校の増設及び特殊学級の増設を考えておるところでございます。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 やはり文部省にお聞きしますが、盲だけの教育あるいは聾だけの教育というほかに、不具者が二重障害あるいは三重障害というような世にも不幸な子供さんもおるのだからして、そういう盲者であって聾者であるとか、あるいはそれにさらに唖者であるというような、こういう二重、三重障害の子供に対する教育というようなものについて、今、文部省は何か考えておられますか。

林部一二文部省初等中等教育局特殊教育課長

○説明員(林部一二君) いわゆる二重障害あるいは三重障害を持った児童生徒の教育につきましてはまだ未開拓でございます。しかし、私どもといたしましては、昨年度からそういった二兎障害、三重障害の方の教育の方法を実験的に研究をいたしまして、その結果に基づいていろいろな施策を立てたいというふうに考えて、まあ実験研究を実施しておるところでございます。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 大体、私、予定の時間がきましたから質問を終わりますが、ちょうど文部大臣がおいでになっておりますので、こういう特殊教育、ただいま私が申しましたような盲者、聾者、唖者という、こういう不具者に対する教育、あるいは精神薄弱者に対する教育、さらには今言った二重苦、三重障害というような特別な不幸な子供に対する教育、これは教育ばかりでなしに、厚生関係の面もあわせて考えなければなりませんが、一応教育、こういう面について特に私は文部大臣に深い関心を持っていただいて力を入れていただきたいということを要望いたしたいのであります。要望だけでは何ですから、文部大臣にひとつそれに対します御所見を承って私の質問を終わりたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一般に特殊教育につきましては、盲聾については、すでに義務制をしかれておりまして相当対策としては進んでおるほうだと思います。その他の肢体不自由者あるいは精神薄弱者、また今御指摘の二重、三重障害、そういうふうなことにつきましては、盲聾ほどの施策の徹底はいまだしと申し上げざるを得ないことは遺憾でございます。しかしながら、それらの精薄児等の欠陥のある児童生徒が教育を受けることによって、年数はかかりましょうとも、その本人の能力がだんだんと啓発されていきますことは本人の幸福であるばかりでなく、その家族が十字架を背負うような陰惨な気持で生涯を送らないで済むということ、さらには、ともすればそれらの欠陥のある青少年がだんだんと年をとっていくにしたがいまして、いわゆる不良化する傾向も相当顕著なものがあるということも聞いているのでありますが、そういう社会問題の対象となるような不幸な子供、青少年でなからしめるためにも、社会問題としても、これらの教育に力を入れていく必要があることを痛感するわけでございます。明年度の予算といたしましても、特殊学級の拡充等についていささかの努力はいたしておるつもりでございますが、もっともっと徹底した施策が必要と思います。しかし、何としましても、これらの特殊教育に従事してもらう教員組織の整備が現実問題としてなかなか容易でない、この養成からしてかからなければ計画的に前進が困難な実情にもございますので、教師の養成につきましても予算措置を、ここにまだ十分ではございませんけれども、実施し続けることによって、特殊教育に恵まれない児童生徒が一人もないようにという方向づけをしたいものと思います。要すれば、盲聾と同じように義務的な必置制というようなところまで持っていくべきものと考えながら一歩々々前進し始めておる状態でございます。

小林武日本社会党

○小林武君 先ほどの吉江さんの質問ですね、十分答えができていなかったので追加して申し上げます。産業手当の受給者が定時制教育とか、通信教育に従事したときには定通手当、それからそれがもし僻地にあれば僻地手当を受けるという工合に、ダブる場合が例としてある、こういうことでございます。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 私は終わりました。

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) 本法律案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法律案についての提案理由の説明聴取は終了しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 高専の設置と学部等の設置について質問をいたしたいと思います。まず、先回要求しました資料のうち、三十七年度、三十八年度別、各国立高等専門学校別地元負担状況調等の資料について質問いたします。この一覧表を見ますと、初年度よりずっと引き続いて土地並びに校舎等がほとんど例外なく地元負担になっておるようですが、文部省は高専を設置する前提として、土地並びに校舎等を地元負担にしないところには作ってやらないという方針が具体的に出ておるのだ、このように理解してよろしいですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 予算要求の当初から、敷地につきましては、従来の慣例によりまして地元で準備してもらうという建前で予算編成をいたしてやっております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 だからお尋ねいたしておるのですが、義務教育諸学校における設備並びに施設の費用も地元並びに特に父兄負担をなすべきでない。同時に国立の学校についても地元とか父兄負担の解消ということは、行政のあり方としては当然のことではないかと思う。ところが予算の要求の建前として地元に負担してもらうことになっていますと、まことに文部大臣としては無責任というか、当初の高専の設置の意義、目的、文部省が新たに学校制度につけ加えて高専制度を採用したいきさつというものを考えると、地元が積極的に土地を提供したい、これを国がもらって下さらねば私どもは投身自殺しますと、こういう変わったところがあれば別ですが、現在の地方自治体の財政状況の中で、この一覧表を見てもわかるように、これだけの負担を予算要求の建前とするということは、高専設置のかまえとしてはきわめて遺憾なことではないですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 建前としてはおかしいと思います。ただ、一般論としてはお説のようであることを思いますけれども、現実問題といたしますと、戦前からもそうであったようでありますが、戦後も国立の学校、施設を作りまするときに、敷地は地元から提供を受けるという慣例で参っておるようであります。慣例であるから、今御指摘のようなことがどうでもよろしいと、むろん思っておるわけでもございませんけれども、なるべく工業高等専門学校の設置をすみやかに実現をしたいという気持も一方にございまして、またその設置方につきまして、地元の要望もそれぞれの地域に設置しましたところ以外からも熱烈な要望もございまするし、かつまた今申しました、ほめたことではないと思いますものの、今までの国立学校設置についての慣例の気持が浸透しておると見えまして、熱心な土地の提供のお話もございまして、それとこれとが一緒になって、予算要求におきましても、いわば従来の慣例に従って要求をしたということであるわけであります。一面、また御指摘のごとく、これが地方財政に直接的に影響を及ぼすような土地の提供は、少なくとも形式的には避けねばならぬことは当然であります。実質的にも避けたい気持であったことも当然でございますが、地域によりましては、公共団体にめぐりめぐって迷惑がかかっておる実例等もあるように承知をいたしまして、その点は今後に向かって考えねばならないかとむろん考えておりますが、今までのいきさつをありのまま申し上げますと、以上のとおりでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 政府委員にお尋ねいたしますが、土地の場合の地元負担は、表第一の場合、全校にわたって、父兄負担なのか、地方公共団体負担なのか、区分できますか。

西田亀久夫文部省大学学術局庶務課長

○説明員(西田亀久夫君) この表の中で国有地等の明記のありますものを除きましては、それぞれこの設置につきまして地元で熱心な建設についての御協力がございまして、おおむねそれらにはこのような高専を設置するための期成同風のような団体を作られまして、そうしてそれらの方々が各方面の浄財を集めることに非常に苦心をしておられるようであります。いわゆる父兄負担ということでは、まあ義務教育の場合の子弟の父兄というような意味で申しますならば、かなり地元の不特定多数の方々の浄財に依存しておるというようなことになろうかと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 設置ないし誘致促進期成同盟という場合には、私の知っておる限りは、大体、県知事が名を連ねておったり、当該市町村当局が名を連ねておったり、その他父兄、政財界の有志、こういう形になっておる。そういう純粋に市町村自治体が土地を提供したところがこの中にありますか。

西田亀久夫文部省大学学術局庶務課長

○説明員(西田亀久夫君) 現在これらの土地につきましての最終的な国への寄付等の措置は、いずれについても行なわれていないわけでございます。したがって、それらの財産の国への移管についての手続は完全に完了いたしておりませんので、その地元の浄財がいかなるところからどういう形で調達されて国に寄付されるかについての最終的な結着がついておりませんので、内訳については明確にわからないわけでございますが、市町村等から直接寄付を国がいただくという考え方は、われわれとしても地元にそのようなことのないようにお願いをしておりますので、そのような予定のところはないと考えております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 広義の父兄負担であるということですね、広義というのは、高専に入学した者という黄味でない広義の父兄負担でありますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 地元の不特定多数と申し上げました意味は、それらに子弟を送られる父兄の方もございましょうし、一般市民の方のみならず、地元の一つの営利事業を目的とする企業体がございまして、高専の卒業生の確保については非常な関心を持っておられるような企業体が、会社として寄付されるというようなこともあると伺っております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 大臣にお尋ねしますが、実情については了承できますが、国立大学にしろ高専にしろ、国が学校を作るという建前からして、当然地元に負担はかくべき筋合いのものではないと思います。そのことを了承されるならば、戦前からの慣習であるという態度ではきわめて遺憾だと思う。あなたが大臣に就任以来、国立学校の施設について、積極的に土地建物等地元負担を解消するような努力をなさったとすれば、どういう実例があるか。それが実ったとすれば、どこにどういう、国が土地建物をすべて持って、地元負担をゼロにして、あるいはゼロに近い状態で国立の学校を建てたことがあるか、お尋ねいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私の在職いたしまして以来のことを全部はっきりと記憶いたしませんが、一応の記憶に従いますと、国立の高等専用学校以外に国立学校を新設するというケースはなかったように思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 高専の場合は。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 高専の場合は、たまたま熱意のある地域に国有地がございました場合、そういう場合はむろん地元の寄付等は一切なしに敷地が獲得された例はございます。しかし、それは文部大臣として特に努力したからそうなったということよりも、たまたまそこに国有地があったから幸いであったという結果でございます。一般的に申し上げると、冒頭にお答えしたとおりの考え方で、不本意ではございますが、従来の慣例、戦後の慣例でもあるわけですけれども、その慣例に便乗したと申し上げるべきでございましょう。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 そのことは地元の熱意に感謝しつつとか、たくさん希望地があった、その地域からわれもわれもと、土地も提供します、校舎も寄付しますと、こういう形が現象として現われていることもいなめないと思うのです。しかし今、大臣が述べたように、それに便乗するやり方というのは、少くとも国立学校を設置する文部大臣としては、積極的に予算を要求する際に、土地建物国が負担するというかまえで従来やってきていられないようですが、今後やるべきではないかと思いますが、いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) やるべきだと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 三十八年度の新設十五ですか、十二——三十八年度以降ですね。三十七年十二校について、予算要求の過程において大蔵省等に土地建物を国庫支弁の方向で努力されましたか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 当初から敷地に関する限りは、前年三十七年度の設置と同じ考え方に立ちまして予算要求はいたしておりません。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 高専に関する限り今後も同様の態度で進まれますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 地元で地方財政法に違反しないやり方で浄財をもって各付してもらいますならば、高専に関する限りは今までの考え方でいきたいと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 高専に関する限りは国が土地等を負担する意思はない。そうですね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そういう気持でおります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 その気持でおられる主たる理由は。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 少し弁解じみますけれども、個人であれ、会社であれ寄付してもらいますれば、それは税法上の優遇措置はできる対象だと存じます。このことは一般的に申し上げますならば、教育施設に対する民間浄財が寄付の形で集まることが教育政策上も望ましい事柄だと思います。しかし、それは具体的な特定のどこそこの何学校というものを問題としては予定しない考え方であることは当然でございますが、実質的に申しますならば、進んで敷地の造成、敷地の提供ということに関して寄付が行なわれますことは実質上排除さるべきものではないのではなかろうか。たまたまそれが具体的な何々高等専門学校ということに関連をして、主として現地との関連において結びつきますために、建前論として御批判の余地があろうかと私も承知いたします。またそのゆえに、御説のように敷地は地元で負担してもらうのだということが当然に言えないであろうことも理論しむろんわかりますけれども、自発的であり、法規に触れないというやり方で期待ができまするならば、それにいわば便乗しますことも、実質上国民からしかられることもなかろうというような気持が実は先に立ってスタートしたと申し上げることが、一番心境を申し上げるとすれば真実に近いと思いますが、そういう考え方に立ってスタートをいたしております。その意味で国立高等専門学校に関する限り、今申し上げたことが期待できますならば、それに便乗するというやり方でやらしてもらいたいものだ、こう今思っておりますので、ありのままを申し上げることが以上のとおりになるわけであります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 十七県以上に三十八年度設置を要望した県があったと思いますが、総数どのくらいですか。

西田亀久夫文部省大学学術局庶務課長

○説明員(西田亀久夫君) 現在その要望でこの法案に現われておりませんものにつきましては、ちょっと的確な数字を今覚えておりませんが、少くともこの十七校以外に約十校足らずがあったと考えております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 土地を提供しないところで希望するとすれば、そこには文部省としては高専は作らないと、こういうことですね。

西田亀久夫文部省大学学術局庶務課長

○説明員(西田亀久夫君) 高専の設置を決定いたします場合には、昨年来申し上げておりますように、地元の熱意というものが一つの条件でございまして、全国的な立地条件、その他工業方面の全体的な計画をにらみ合わせて検討いたすわけでありますが、現在までのところ、三十八年度開設として御要望のありました中では、すべての御希望のところが、先ほどお話がありましたように、地方財政等の法律に抵触しない形で、十分地元において土地を提供する準備ができておるという形で、そのお申し出があったわけであります。したがって、その中で十分いろいろな条件を検討して、この十七校が一応考えられたわけでございまして、土地の問題がなければこの設置はできないかというような問題は、高専設置の方針としては一つの条件ではございますけれども、それがすべてを決定する要件ではないと考えております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 大臣の答弁と違いますね。大臣は地元の熱意に便乗するといっては悪いけれども、違法ではないし、浄財が集まることは必ずしも悪いことでないから、高専に関する限りは、土地等については国が予算を持とうという意思はありませんと、したがって——これからは私の推断ですが、こういうことは高専に関する限りは、土地の提供がない場合には、高専は作らない方針です、そんな前置きを長々とおっしゃるよりも、そうおっしゃったほうが、現状の大臣の言うところの心境としては一番適切であると思います。大臣いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先刻申し上げたとおりに思っております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 先刻申し上げたとおりというのは、土地の提供のないところには高専は作らない、こういう方針ですね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 結果的に、そうなると思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 政府委員に尋ねますが、この表に出ておる範囲内において、坪数だけは出ておりますが、たとえば明石等、割に土地の高いところでは、地元負担の坪単価はどのくらいになっていますか。

西田亀久夫文部省大学学術局庶務課長

○説明員(西田亀久夫君) この国有地以外の分の備考欄が何ら書いてございませんが、これらの実際の校舎の建設に充てられます土地につきましては、その所有権の関係もきわめて複雑でございますし、それぞれその地域の中に各種の地主等が入り組んでおって、地元においてそれらとの決着をつけることに苦心をしておられるという話は伺っておりますが、具体的にそれぞれの坪単価が幾らであるということは、部分的にはお話を聞いたことがございますが、資料として提出いたしますだけの責任のある数字としては、私どもつかんでおりません。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 十校程度ということですが、二十ないし三十と見ていいと思うのですが、その中で十校程度をふるい落としたわけですが、そのふるい落としの基準が、主たる条件の一つは、土地建物等の提供の状況にありましたか。

西田亀久夫文部省大学学術局庶務課長

○説明員(西田亀久夫君) 三十八年度に関しましては、先ほど申し上げましたように、お申し出のありましたところで、土地その他を地元において十分な準備をして提供するだけの準備がないというところは一つもなかったと記憶いたしております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 それではっきりしたわけですが、十校程度の名前を今すぐあげなさいとは言いませんが、そのふるい落としたそれぞれの理由というのは説明できますね。

西田亀久夫文部省大学学術局庶務課長

○説明員(西田亀久夫君) 三十七年度に十二校開設し、三十八年度及び今後にわたりまして、全国的に高等専門学校をどのような範囲までそれを整備するかというような全体の基本計画についても、十分な検討を要することでございますし、また、その地域に高等専門学校を置くことがその地域の工業立地条件等において、それほど積極的にこれの実現をはかるべきであるかというようなことを総合的に研究いたしました結果の判断でございまして、一校を取り上げまして、これがこれよりもなぜ落ちたかというようなことにつきまして、個別的にそれを分析した御説明をするということは非常にむずかしいのではないかと、かように考えております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 質問が、ちょっと裏から聞いたわけです。逆に言いますと、大臣の、設置法を作る際の方針が、できれば各県に一校程度設立したいということ、それから前年度、当委員会において米田委員が質問したことと関連するのですが、三十あるいは二十幾つかのうちから、これだけの学校を選んだのですから、選ぶについては根拠があります。こういう答弁をしておられる。総合的に判断しましたから、どれとどれかわかりません。二十幾つかのうちから十七を、二期に分けて、二年度に分けて選んだ以上、その選定の基礎というものがあるはずです。まさか週刊雑誌に載っているように、係官を地元に招致して供応まるまる至れり尽くせりの接待をしたところは合格しましたという、そういう汚職があっているとは私は毛頭も信じません。したがって、私は逆にそのことを、積極的には十七校選定の理由が明らかでなければならない。そこで、質問を次に進めますが、一県に一校程度配置したいという考えが変わっているかどうか。変わっていないとすれば、何年度にどの県に作るかということに対する一応の基準があるのか。あるとすれば、その基準は何か。また何年度までに大体において全国各都道府県に一校ないし三校を配置し終わるという計画がありとすれば、それは何年度完了する予定か。以上。

西田亀久夫文部省大学学術局庶務課長

○説明員(西田亀久夫君) 昨年から開設をいたしまして第二年目でございますが、当初は高等専門学校に対する非常な要望がございまして、各都道府県とも、ぜひその地域内の国立の高専を誘致したいという御希望もございますし、一県一高専というようなことがいわれたこともございますが、現在の段階におきまして、なお高専の設置につきましては、これは大学、高等専門学校すべてを含みます技術系の、技術者の養成計画という全体のワクの中でこれを検討して参りましたので、毎年度、その年次計画によってこれを実施し、三十八年度におきましては、一応、科学技術教育二万人増募の一環として、一応これだけの数量を決定したわけでございます。で、将来における高専の設置につきましては、単に全国的、地域的な配置のみならず、わが国の技術者養成計画を今後にわたってどういう方針で進めていくかという第二次の養成計画全体の策定を得たなければ、高専に対する具体的な計画は決定しがたいと考えております。したがって、高専だけを切り離して今後どこまで作るということを最終的に決定いたしました案は、まだできておりません。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 重要な答弁漏れが一つあります。答弁漏れがある。

西田亀久夫文部省大学学術局庶務課長

○説明員(西田亀久夫君) たいへん失礼でございますが、ただいまのお尋ねは、高専に対しての将来の計画をどこまで持っていく具体的な案があるか、一県一高専という考え方は変わっていないかということのお尋ねであったと思いますので、全体的にお答えしたつもりでございますが、もし抜けておりましたら御指摘をいただきますよう重ねてお願いいたします。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 どの県、どの学校を選ぶという基準がありますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) できるならば各都道府県に一校ずつぐらいは置きたい、そういう考え方に変更はむろんございません。ただ所得倍増計画という一つの政治目標、それに応じまして数量的に一応の検討を加えて、そのことにも——それのみじゃむろんございませんけれども、そのことにも合わせまして養成数を念頭に置きながら今日に参っております。大体十七万人不足、すでに年度が経過しましたことによって物理的に補充不可能な部分は除きまして、一応の目標二万人見当の入学定員を確保すれば、十年後に要求されるであろう技術者養成の計画としては一応到達できるという課題があるわけでありますが、四年制大学ないしは短大、高等専門学校という教育の場から提供できます、卒業を期待できます員数としては、一応三十八年度予定のもの及び三十九年度開設予定のもので到達し得たかと思うのであります。しかしながら、もう一面の課題としては、産業構造の変動に応じましての地域ごとの青少年に対する進学進路を国立高等専門学校に引き受けるという課題があろうかと思うわけですが、その意味における各都道府県一校程度の国立高等専門学校の設置ということはまだ残っておると考えております。それを何年度までに完了するかという課題は、先ほど事務当局から申し上げましたことも一つの考え方であり、むずかしさを表明した意味において私も理解しておるところでありますが、ただ、工業高等専門学校ということだけで高等専門学校は終わるべきものかどうか、農業の近代化が叫ばれ、合理的な農業の再編成という課題に直面いたしました場合、農業高校の体質改善もむろん対象となるべきでありますが、国立高等専門学校という課程を農業にもこれを移し植えるという事柄が現実に必要になってくるんじゃないか、それらのことにつきましての総合的な具体的検討は、まだ御披露申し上げるところまで参っておりませんが、検討すべき課題だと思っております。したがって、今後におきましては、国立工業高専もさることながら、農業高等専門学校という構想もあわせ考えながら、今後も検討すべきじゃないか、かように考えておる段階でございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 三十九年度までに、合わせて三十六校ですか、それで二万人の養成が終わる、あとは高専は大体増置していく考え方はなきやに説明員のほうからの答弁があった、大臣は、各県一校程度の配置はまだ捨てておりません、どちらがほんとうなんですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) この制度を、当初、冒頭に御審議いただきましたときに申し上げましたとおり、都道府県に一校くらいは置くべきものだという基本的な考え方は捨てたわけではございません。ただ、そのテンポといいましょうか、ということと、今申し上げた工業の課程以外のものとをあわせ考えて、何年までにどうするという意味においてはっきり申し上げる段階にまできていない、そのことを中心に説明員からは申し上げたと思いますが、教育の機会均等と申しましょうか、先刻申し上げましたとおり、一応、都道府県という教育を限って問題の対象とします限り、各都道府県に一校ぐらいはという基本的な考え方は、今直ちに捨てねばならないという段階に来ておるとは私は考えておりません。できるならば、当初の考え方どおり実施したいものという考え方に立って、他の課程のものもあわせ考えながら実施していきたい、こう思っておるところであります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 最後のほうにおっしゃったそこがどちらかということを聞きたいのです。予算委員会でも、私、大臣その他に聞きましたように、所得倍計画並びに経済審議会におけるところのマンパワー・ポリシーを立てているあの中には、先ほど説明員が報告したように、日本の科学技術の現状からして、これだけの中級技術者、これだけの高級技術者あるいは技能者が要る、そのためには何年度——三十八年度、三十九年度までに何人の養成をしなければならない、そのためには高専が何校程度要る、あるいは大学の理工系、高等学校の理工系をこれだけふやすという一応のプランがあるわけですね、そのことが高専の場合に学校数あるいは収容数を決定していく主たる要素になっているのか、それとも大臣がちょっと片鱗を見せた教育の機会均等というか、その県の中に高専という——それが農業専門学校になるかは別として、そういう高専制度の学校を大体漏れなく配置することによって、この前も言いましたように、後期中等教育の一つの変わった姿の制度としての教育の機会均等なり、あるいは教育水準のレベルアップを考えておるかという立場に立つと、若干方針が違うと思う、どちらに主を置いておられますかということを聞いておるのです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 制度論として申し上げる限りにおいては、昨年御審議願った設置法のときに申し上げましたとおり、各都道府県に少なくとも一校ずつぐらいは配置したいものだと、その考えに変わりはむろんございません。ただ実現のテンポの問題から申しますと、先刻も触れましたように、政府として所得倍増計画というものを打ち出しますのは一つの政治目標として意義があると思います。そのことはそれに応ずる科学技術者の養成そのものが、量的に、質も伴いましょうけれども、まず第一に、量的にその計画に合わせる、ということが第一義的なものではむろんございませんが、その目標に従ってテンポを早めることができるならば、一つの手段として、その角度からする設置計画を推進することが、結果としましては機会均等の状態を早く実現する手段になり得る、こういうことで所得倍増とからみ合わせて申し上げておるのであります。所得倍増計画に応ぜしめるために、工業高等専門学校は数字的に一応満杯したから、あとはゼロであってよろしいというものではない、教育の機会均等的な要素というものは、それが本筋だから、そういう考え方に立って各都道府県一つぐらいは置きたいという基本的な態度は変える必要もないし、変えてはならない、かように理解しておることを申し上げておるのであります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 大臣のただいまの見解については私は大体において異論がないのですが、教育白書を作成した人々の頭には、大臣の今言ったような考え方と違って、いわゆる所得倍増計画に基づく、それがやがてマンパワー・ポリシーとなって、それで何人の技術者が必要であるか、重工業部門にはどれだけ配置される、その重工業部門では何年次までに戦車何台を製造し、重火器何丁を作っていく能力を養っていく、この立場に立って教育投資としてとれこれの教育訓練、すなわち学校教育が行なわれるのである、そのためにはどういう種類の学校が必要である、高専はその中でこの役割を果たすと、こういう考え方で進めていると私は思っているのです。大臣の先ほどの考え方が、実際に企画立案、頭脳で考えておる人々の考え方をそのような方向で整理していただくようにお願いをしておきたいと思います。  そこで、次に質問を進めますが、やはり大臣方の頭の中に、教育の機会均等ということも一つの重要な要素として、各県一校程度の配置ということが考えられておる。そうすると、三十九年度五校を置くことによって二万人が終わりました。あとは再度技術者養成の長期プランの中で何を作るかと、こういう西田君の答弁ではなくて、勢い各県に機会均等の趣旨も一つの要素として高専を作っていくとすれば、事やかましく言うと、福岡県の県勢は、大阪の経済状況は、こういったことも論議になるかと思うのですが、少なくとも全県必置の場合には、何らかの基準で三十七年度北海道に二校作ってみたり、十二校に押えてみたり、三十九年度分まで五校もうすでに決定してしまう、こういうことをやっていられる以上は、配置計画と十七校を選んだ基準があるべきだと思うのです。私が言おうとしておるのは、それが文部省の重要な長期政策の一つであるべきであるということと、これも率直に申しますが、大臣も知っておられると思いますが、私も幾つかの高専の陳情を受けたのですが、自分のところに高専をいわゆる誘致する設置期成会なるものが、単に先ほどの答弁のように、浄財が教育振興という角度に立った金の使途だけでなくて、上京してきてそれぞれの要路に対して何十万という運動費を使っているのですね。これは知らぬとはおっしゃれないと思います。知らぬとおっしゃっても実情はそうなんです。何によってそういうことが起こるか、それは競争が多いからと、こうおっしゃる、競争が、いわゆるそれぞれの要路に対する接待費となっておるということは、教育の機会均等の理念が具体的な、少なくと本高専だけ取ってみると、何年度にはどこという配置計画がないから、先に文部省で地元負担を建前とするということがびしゃっときまっておるとするならば、これこれの条件を地元が完備すれば作って上げます、その順序はこうですという大まかなプランでも先に出されれば、今のような、政治家を使い、官僚を使い、出身議員を使ってみたり、あるいは文部省の役人に出張してもらっていろいろ実情の説明等のことはもっときれいに、しかもむだなことは省いて行なわれるべきだと思う。そのためにはやはり二十数校の希望者に対して、いつまでももたもたさせないで、先ほど私が言ったような一校必置とすれば、先の見通しを立てて、商専を作ったときにすでにその計画を立てるべきだ、こう思うのですが、大臣のお考えをお聞きしたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 前年度に十二選ぶ——前年度と申しますのは三十七年度十二選ぶ、三十八年度さらに十二となり、五つが三十八年度開校の予定と、こういうふうになるにつきましての基準と申すものはむろんございます。ただ、大学設置基準等と違いまして、数学的にどうだという問題じゃございませんので、明確に申し上げかねると説明員が申し上げたのはその意味でございます。選ぶにつきましては、そういう運動費が要ったのだなどということは私は具体的には知りません。うわさ話は聞きましたけれども、何のためにそんな——うわさのごとくんば、かなりの運動費というものが要るのか、私には理解できない。文部省自体のやり方としましては、三十七年度開校分につきましては、予算折衝過程において具体的なことを言うべきではなかろう、何校ということでなければかえって弊害があるだろうということで、予算折衝で十二校ときまりますまでは具体的な場所を、事務的には検討はいたしておりましても、最終的な決定発表というものはいたしませんでした。その三十七年度の開校分についての今申し上げた経験に顧みまして、これはかえって弊害がある。で、むしろ予算折衝当初からはっきりと場所を表わして、そうして予算折衝の結果、何校と金額的に落ち着いたということの経過をはっきりさしたほうが、かえって今御指摘のような弊害を除き得るのじゃないかという考え方に立ちましてやったのであります。で、結局、十二、五と落ち着きましたのは、第一には地域的にまずブロックを念頭に置いて、ブロック的な配置でなるべく甲乙なからしめる。さらに、いわゆる後進地域と申しましょうか、そのブロックの性格が常識的に後進地域的であるとされるランキングがあろうかと思いますが、その後進地域と目されるところになるべくすみやかに配置すべきであろう。さらには土地につきましても、なるべく具体的に弊害のないやり方で準備してもらえるところということも、最後の順位を定めるについては考慮の二要素になっております。同時に、現実問題として、地域ごとの大学のバック・アップなしには開校ができません。特に教員組織を整備するについて問題が多うございます。当該大学で極力援助協力してもらいますと同時に、その地域における、まあパート・タイムの講師のごときは、当面、その地域の企業体にすでに就職しておる人を依頼して講義を担当してもらうということも、応急措置としてはやむを得ない場合があるだろうということ等も考え合わせた教員組織の問題、さらに後進地域であるかどうかということにも間接には関連をいたしますけれども、その都道府県に、もしくはその地域に、国立なり私立なりの工業系統の大学の有無、それ竜行く行くは一県一校的なことになるといたしましても、緩急の順序を判断します場合には、一応、大学があるならばそこはあと回しというふうな考慮も、部分的ではございますけれども考慮されまして、その結果が総合されて、十二ないしは五つの選定となっておるわけであります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 一応筋が立ちました。どういう基準に基づいてもう三十九年まで指定されたのですか、これ以上この問題についての質問はございませんが、三十七年度、三十八年度の設置した県について、自治省が財政状況をABCに分けていますね。そのランクの一覧表、設置した県、それから地元負担の当該地の坪単価、大学の協力の場合は何大学からどの程度奉仕的に、あるいは教員そのものが兼任できるのか、工業系の学校の有無という点については、あるところはその収容生徒数、一学年でよろしいです。それを次回に出していただきたいと思います。  最後に一つだけ。きょうか昨日の新聞の報ずるところ、並びに国会の部屋でうわさされておるところによりますと、自治省は高等学校設置に対して、土地、建物等について父兄の負担を禁止する法律を出したいと、こういう意向であるけれども、それをやられては文部省は高校急増対策が進みませんから反対ですと、しきりにがんばっておるというように書いてありますが、これは事実ですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 別にがんばっておるわけじゃございませんか、自治省から文書で意見を求められて参ったということで、事務当局から私どももそのことは開いております。別に反対というわけじゃない。建前として地方財政法の趣旨を徹底することにいささかの異存もございません。ございませんけれども、現実とその立法措置との間の、何といいますか、間隙があまりにも大き過ぎるという実情を知って知らないふりをして立法措置だけをしたのでは、かえって現地ではその立法趣旨と反するような実情が出てくるおそれが育成されやせぬか、少なくとも防ぎとめ得ないであろうということをおそれるわけでありますと。と申しますのは、もうすでに御推察の事柄でありますけれども、たとえば耐火構造比率あるいは敷地の問題等を取り上げましても、交付税の積算基礎になるそのはじき方が、ともすれば実情に合わない数字を根拠にはじかれるということでは、これは立法措置を講じたから現地の実情が解消するという、名実ともに備えた立法措置にならないことをおそれるわけであります。したがいまして、その立法措置をするとならば、起債の財源措置を講ずるにいたしましても、事業量、仕事の量、そのものを現実と合わせて掌握をして、その上に立った起債ワクが考えられなければいくまいし、交付税の交付にいたしましても、算出基礎そのものが、たとえば今申し上げたような現実に即した線に立たなければ、かえってへんなものではなかろうか。だからそういう前提条件が十分に考えられて、そごがないようになることが必要だと、その前提条件さえ満足されるならば、いささかも異存ございませんいう趣旨の回答をなしたようであります。その事務当局の回答は、私はもっともだと判断をいたしております。まあそのことであろうかと思います、新聞記事に報道されましたことは。したがって、むやみやたらにがんばって反対するということでなくて、賛成ではあるが、そうするとなれば実効が上がるようにしてもらいたいという注文を出した、こういうことであります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 一番最後の言葉だけでしたら、日ごろあんまり仲のよくない大臣と握手したいのですが、地元負担、父兄負担を解消する措置には賛成である、したがって、その法律が出ることも推進をしていく、そのために補助、起債等のワクを自治省が裏づけするように努力をしておる最中である、そう理解してよろしいのですね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのとおりでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 新聞や自治省と労働組合関係、あるいは全入協関係の皆さんが交渉した際に、暫時の時間は大臣も出席しておりましたが、文部省が非常に反対をしておるから、あなた方が文部省が反対しないようにやって下さいというのは、全く虚言であって、父兄負担を禁止する法律を積欄内に推進しておられるとほんとうに理解して、そのことは自治省も同一意見である。ただ、自治省と文部省の意見の食い違いは、あなたが今言われた、少なくとも起債の裏づけをきちんとしていない点だけだ。したがって、起債の裏づけができれば文部省も進んでそういう法律を作ることに賛成である。そうして高校急増に対してはそれに見合うだけの措置をすべきである、こういう御見解と了承してよろしいですね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 起債も、交付税の積算基礎も、補助金はこれは文部省と大蔵省との相談できまりますが、それももちろん含まれますが、自治省との関連は、直接的にはその補助金はございません。交付税の積算基礎及び起債につきましては、関係省は自治省、大蔵省及び文部省の三省だと思います。三省の間で十分に相談をして、今までの沿革的な事情はわからないではないけれども、あらためて自治省がいうがごとき立法措置を講ずるとなれば、その機会に今までの計算漏れの穴を埋めて、そうして先刻申し上げましたように、実情に合うようにするという当面の重要なチャンスでございますので、その機会を三省ぜひ十分理解し合って活用すべきじゃないか、こういうことでございまして、結論は今おっしゃるとおり、それがひいては父兄負担の解消にじゃまになるおそれを感じますので、ぴしゃっと問題が解消するような措置を講じたいということでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 六一・八%という数字は見込み違いであるという、見込み違いであるというよりも、それじゃ足りないという立場に立って、文部省は当初それぞれの機関と交渉されたように聞いておりますので、急増対策についてはまだ必要があれば手直しをする、こういう御見解と承っているわけです。したがって、立法措置をするとするならばという、多少の積極的な措置におまかせするということでなくて、文部省としてはむしろ起債、交付税等の裏づけのもとに高校急増に備えては父兄の負担を積極的に禁止する、そうしてその裏づけを自治省と話し合いながらとっていく、こういう角度が重要ではないかと思います。したがって、ただいまの大臣の答弁によって、私は政府が早急に今の法案を、あなたがいわれたような裏づけをきちんとした後に提案し、高校急増対策もそれに基づいて手直しをしていくように要望しておきたいと思います。  私の質問は、きょうのところはこれで終わります。

北畠教真自由民主党

○委員長(北畠教真君) 委員長から申し上げますが、豊瀬君の要求資料の提出は、すみやかに御提出願います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時二十分散会

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