農林水産委員会 第39号
- 発言数
- 199 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/06/27
会議録
○委員長(櫻井志郎君) ただいまから委員会を開きます。 沿岸漁業等振興法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行なうことにいたします。 質疑のおありの方は、御発言願います。
○北條雋八君 私は、漁業の振興をはかる上に最も大事なことは、資力に弾力性のない漁民が豊漁貧乏にならないように魚価の安定と流通対策の発展を期するということが根本であると思います。時間がだいぶたちましたので簡単に伺います。御答弁は要領よく、なるべく丁寧にお願いしたいと思います。 魚価の安定基金の政府出資額は、現在どのくらいになっておるのでありましょうか。また実際運用ができる金額はどのくらいになっておるのでしょうか。この点と、もう一つは、魚価安定基金の発足以来現在まであげてきた実績について御説明を願います。
○政府委員(和田正明君) 魚価安定基金は、三十六年に発足いたしまして、現在基金の総額は一億六千万円でございます。そのうち半分の八千万円が政府の出資額になっております。この魚価安定基金制度の基本には、別に三十六年に御審議をいただきました生産調整組合法という法律がございまして、御承知のように、農業の場合とちょっと違いまして、農業でございますと、たとえば豚の価格が非常に下落してくるということがございますと、農家がある程度自立的に飼育頭数に調整を加えますとか、あるいは蔬菜の作付面積にある程度調整を加えるというようなことが、農家自身の機能としてある程度あるわけでございますが、漁業の場合には、ちょうど回遊の時期になりますと、サンマならサンマが非常に大量に押し寄せて参りますと、価格と無関係にやはりそれをその一定の時期にとらなければ漁獲が上がらないということで、漁業者としては、農業にあります程度の自立的な漁獲調整作用が実はございませんので、一方で生産調整組合法の規定に基づきまして一定の基準価格よりも市場での値段が値下がりいたしますような場合には、供給量の自主的な調整をいたしまするとか、あるいはとって来ましたものを水揚げをしないで一晩置いておくとかというような調整機能を生産調整組合でやらしておるわけでございます。それで、そういうことで生産調整組合自身で陸揚げを一時ストップをいたしましたような場合に、その船の一トン当たり約四百円の金を調整交付金としてこの安定基金から支払うということと、それから、基準価格以上で買いましたものを魚粉にいたしまして、それを季節的に生産が大量になりますので、一時に放出をいたしますと価格が値下がりをいたしますから、年間にならして出荷をいたしますために調整保管を団体でいたしまして、そのための倉庫料、それから金利、それをこの安定基金から支払うという二つの道によりまして価格の安定をはかっておるわけでございます。それで、昨年度は、後段申し上げました金利、倉敷の補助金として約一千万円、それから調整交付金として約三百万円の先ほど申しました水揚げを一時停止いたしました措置に対しまして、補償金として支払いをいたします。 なお、冒頭に申し上げましたように、漁業者自身が自立的にある程度生産を調整するということは、漁業者の従前の考え方にはなかった思想でございますので、まだ発足早々でございまして、必ずしも十分な成果は上げておりませんけれども、今後そういうような考え方を一そう浸透させますとともに、さらに安定基金の増額をはかりまして、一そうその効果を拠大をしたいという考え方で、明年度以降につきましても、都道府県なり漁業者自身の出資等もある程度期待をいたしますほかに、政府出資をさらに増額をいたしまして、基金の増加をはかっていきたいというふうに考えております。
○北條雋八君 そうしますと、政府としても、現在の実績から見てこれで十分だというふうには考えておらない、将来はもっとこれを増強していくといわれますが、さしあたり来年度はことしに比べてどのくらいの増額を考えておられますか。
○政府委員(和田正明君) 実はまだ予算編成の作業を始めたばかりでございまして、金額的にどうするかという最終的な結論には到達をいたしておりません。一億六千万円という金額では非常に貧弱でございますので、なるべく逐次増加をするということで現在検討をいたしております。
○北條雋八君 農産物の場合は、農産物のほとんど七割以上が食管法とか、あるいは農産物の価格安定法その他の制度によりまして、膨大な国庫負担による価格安定策がとられておりますけれども、漁業の価格安定対策は、まことに貧弱であるのはどういうわけなんでありますか。水産物は農産物ほど価格安定の必要性が少ないと考えておられるのか、それとも抜本的な対策をいずれ近いうち講ずるお考えであるのか、その点を伺います。
○政府委員(和田正明君) まあ率直に申し上げまして、水産物の価格対策に手をつけ出しましたのは、ごく最近のことでございまして、先ほど御説明を申しましたような価格安定基金制度、あるいはそれと裏腹をなします生産調整制度というものも発足いたしたばかりでございますが、それ以外に産地に冷蔵庫を設置をいたしまして、産地市場での処理能力を高め、それの保存をはかって、さらに消費地へ年間を通してならして出荷ができるような方途を講じまするとか、あるいは冷蔵自動車あるいは冷蔵運搬船というようなものも補助金を出しましたし、さらに本年度は消費地にも政府の補助金で冷蔵庫の設置をいたしましたり、あるいは先日、大臣もちょっと申し上げましたが、産地での処理能力を一そう引き上げますためのフィッシュ・ミールの施設に対する助成をいたしましたり、いろいろ考えられます手は、今日まで積極的に打って参ったわけでございますけれども、率直に申し上げれば、なおこれで十分万全が期し得るというふうには考えておりませんので、今後ともせっかく検討いたしまして、御趣旨のような価格安定対策が、一そう確実に行なわれまするような方向で積極的に施策を進めて参りたいというふうに考えております。
○矢山有作君 関連。今の答弁はだめだ。あのね、部長、あなたこの間の委員会に出ておられたはずなんです。今あなたのおっしゃったのは、大臣が今まで魚価安定のためにとってきた施策をお述べになった。ところがね、今後のそれでは魚価安定をどうするのかということに対して、大臣はもう一歩進んだ答弁をしているはずなんです。だから私はそのことに対して、大臣がそこまで突っ込んで考えておるのだから、事務当局としてはその意思を無にしないように積極的な姿勢をとるべきだということを私は言うていたのですが、その問題に触れて答弁せぬと、今の質問の方の私は答弁に十分ならぬと思うし、それから事務当局のほうが大臣答弁より後退した形になって、それはちょっとおかしい。
○政府委員(和田正明君) 私の言葉があるいは足りなかったかもしれませんが、大臣が先日、矢山委員の御質問にお答えをなさいましたような趣旨を当然体しまして積極的にやっていく、こういう趣旨でございます。
○北條雋八君 先ほどの魚価安定基金の対象となっているのは現在サンマだけであります。安定対策としましては、アジとかサバとか、その他大衆魚の水産物を含めて総合的に実施する必要があると思うのです。その点はどういうふうに将来考えておられるのか。
○政府委員(和田正明君) 現在魚価安定基金の運用益で、先ほど申しましたような二種類の補助金を交付いたしておりますのはサンマだけでございます。そのほかにスルメ、イカにつきましては、同じような趣旨の調整交付金と申しますか、金利、倉敷の補助金を別途、安定基金とは別個の補助金として組んであります。御趣旨のように、そのほかにアジ、サバ等のいわゆる多獲性の魚類につきましては、一部現在生産調整組合等が設立を逐次されまして、自主的な調整等が行なわれておりますが、御質問のように、これらの大衆魚獲されます時期の最盛期がほぼ一致いたします関係等もございまして、それらの間の相互の関連を持たせながら今後の価格安定をはからなければいけないということは、私どもも痛感いたしておりますので、先ほど来御答弁申し上げておりますように、できるだけ積極的な考え方で、今後その対策を相関させながら検討していきたい、こういうふうに思っております。
○北條雋八君 漁獲期がほぼ同じような大衆魚は、やはり同時に同じように安定させなければ、これは矛盾したことだと思いますので、その点はひとつ今後十分考慮に入れて、一刻も早く実現されることを望みます。 次に、沿岸法の目的とするところは、漁業の発展を促進して、その従事者の福祉の増進をはかるということです。それがために、ぜひとも魚価の安定策として大いに生産を増強し、所得を倍増させなければいけないというにもかかわりませず、あるいは生産を規制したり、水揚げを規制したりするのは、まことに消極的な施策といわざるを得ないのです。現在の魚価安定策は、とる政策からとらない政策に転換したんだという言葉さえ、最近はいわれるようになっております。政策としては非常に感心ができないという非難もあります。もっと根本的な制度を考えるべきだと思います。これは今お話しのあったとおりで、お答えも十分力を入れるというお話ですから、これ以上お尋ねしませんが、なおこの魚価安定をするために、いろいろ研究はされておると思うのでありますが、先般魚価安定の事業団を設立するというようなことも聞きましたが、今後そういうものを実施するという意図はおありになるのですか。そこまでのお考えは政府としてはどういうふうに考えておられるか伺いたい。
○政府委員(和田正明君) 先ほど御答弁申し上げましたように、全体として各種の多獲性大衆魚の間に、相関的な関係を考えつつ積極的な対策を進めていきたいということでいろいろ検討いたしておりますが、事業団というふうな具体的なものを設立するかどうかということを今ここで申し上げるのも、なお時期尚早かと思いますが、そういうふうな構想を含めまして全体として進めていきたいというふうに考えております。
○矢山有作君 関連して。今の質問者のほうからおっしゃった事業団の構想なんですが、これは確実なことかどうかということは、私もわかりませんが、私が聞いたところでは、水産庁のほうでは、事業団を作ってそうして直接買い上げをやるのですが、そういう構想のもとに何か大蔵省と折衝された、資金としては二十億円ぐらいを予定されておったのだというような話を聞いているのです。事実そういうことがあったのかどうか。大蔵省はけったという話ですけれども、その辺はどうなんですか。
○政府委員(和田正明君) 本年度の予算編成で三十八年度の施策を考えます場合に、ただいま矢山先生の言われましたような事業団というようなことを、一応水産庁の中で検討を始めましたけれども、なおいろいろと問題点がございましたので、外部には出さないで一応再検討しているという段階でございます。
○矢山有作君 今おっしゃったいろいろな問題点があったという、その問題というのは、どういうところに問題点があったのか、これをひとつお伺いいたしたいのです。 それからこの間の私に対する魚価安定の答弁で、大臣は面接なま魚の買い上げまで踏み切って魚価安定の構想を、今後考えたいと、こうおっしゃっておったので、そうすれば将来その大臣の構想を生かすためにどういう方法が具体的に考えられるのか。構想があれば、せっかく事業団構想も考えられておったのですから、それとの関連においてひとつ承りたいと思います。
○政府委員(和田正明君) いろいろ問題がありましたわけでございますが、たとえばサンマについて考えますと、最近の都会でのサンマの生鮮魚としての消費量が非常に減ってきております。それを買い上げるという形よりは、むしろそれをフィッシュ・ミールというような形に振り向けることが適当なのではないかというようなことの問題になりましたわけでございます。で現在、後段の御質問に関連をいたしますわけでございますが、たとえばサンマに例をとりますと、先ほど北條先生の御質問の中にも、とらないというのは消極的ではないかという御意見もございまして、まことにそういう一面があるわけでございますが、一方需要の変化と申しますか、そういうものにも対応して考えますと、なまのままで処理をするよりは、そういうミールに転化をするというような形で価格安定をさせるというようなこともあわせて考えなければなりませんし、そういうような魚種ごとにいろいろ——たとえばアジ等につきましては冷凍にいたしますと非常味が落ちると申しますか、品質が落ちるというような問題もございますので、そういうそれぞれの問題を検討しながら、大胆の言われましたような方向を加味して検討を続けたいということで、まだ具体的にこうしますという段階までは参っておりません。
○矢山有作君 今、事業団構想を外部に出して本格的に作るというところまでいかないのは、問題点はどこにあるかということを聞いたのですが、きわめて要領のいい答弁でして、はたしてそういった今お述べになった問題点のために、事業団構想がくずれるほどの原因になったのかどうかということは、非常に疑問だと私は思うんです。たとえばサンマを例にあげて、都会での消費量が減少した、だからむしろフィッシュ・ミールにしたほうがいいじゃないか、これが事業団構想のくずれる一つの原因にあげられたわけですけれども、これは私は事業団構想のくずれる原因にはならぬと思うのです。なぜかといいますと、私はこの間も質問の中で例にあげましたように、英国なんかで行なわれている例としては、なま魚を買い上げて、そうして直営工場を持ってフィッシュ・ミールの製造をやらしておるということもあるわけです。そうすれば事業団でもってそういう構想が考えられないことはない。フィッシュ・ミールの工場を作るのに補助金を出してやる、そういうような消極的なことでは、これはもう魚価安定にならないです。そういう補助金政策をとることは、フィッシュ・ミールの経営をやる大資本に対して利益を与えるだけになる。実際に救済をしてやらなければならぬこの中小の魚民に対してプラスがどこまでいくかということが疑問が出てくるのです。だから、ただそういうような消極的な考え方でなしに、せっかく立てられた事業団構想があるのなら、それをもっと積極的に推し進める、こういうことにならなければうそじゃないか。この事業団構想のくずれた理由としてあげられたのは、これはくずれた理由になりませんよ。むしろ、私は大蔵省あたりでけられてしまったのが、へたばった一つの大きな原因だろうとぐらいに思っているのです。もう少しそんな、何というのか、この場を何とか切り抜ければいいのだというような要領のいい答弁でなしに、もっと、この間も私言いましたように、もう少し水産行政の前向きの姿をとるために、お互いに協力することは協力しなければいかぬですよ。もっとどんどん積極的な構想を持っていただきたいと思うのです。
○政府委員(和田正明君) 弁解がましく再度申し上げますが、事業団の問題は、当時外部には出ませんでした。で、私申し上げました一つの例を申し上げましたのは問題にならないというふうにお話がございましたけれども、実は日本の魚かすの工場というのは、非常に零細な業者が非常に多数によってやっております関係がございまして、それらをなるべく企業合同等をさせながら、近代的な設備にかえていくというような一つ、一方では価格安定をはかりながら、問題点があるわけでございます。そこらの点がいろいろ複雑でございますので、踏み切れなかったということの意味でございまして、決して事業団構想を含めて価格安定対策を捨てるつもりもございませんし、ここでごまかしのつもりで申し上げたわけでもございません。たとえばかすの問題を考えましても、それを取り巻きますいろいろ生産者の零細性、そういう問題も、いろいろ複雑にかみ合って参りますものですから、そこらの点を十分検討しながら前向きに考えていきたい、こういう趣旨でございます。
○矢山有作君 御答弁要りません。締めくくりだけ。今フィッシュ・ミールの工場は零細な企業が多いというお言葉がありましたがね、確かにその点はあると思うんです。だから、それに対する対策はそれとして、魚価安定ということのためには、やはり直接政府が積極的な手を打っていくという構想を持ってほしいという意味で申し上げたので、その点を今後も検討していただいて、積極的に魚価安定をはかるようにしていただきたい。このことを申し上げて、これはもう答弁要りません。
○北條雋八君 次に流通の問題で一、二点伺いますが、流通の対策につきましては、衆議院で修正がされましてやや前進をしたわけですが、水産庁は中央卸売市場に対しまして積極的に協力と、また監督を強化しますと同時にわれわれが最も強く主張するのは、産地の市場制度を確立するということが大事であるのじゃないかと思うのです。有力な水揚げ地になりますと、問屋と仲買人を株主とする市場会社がありまして、または多くの荷受機関が乱立しまして、生産者はこれら荷受人に自由に引きずられて、そうしてマージンを取られ、あるいは値段もたたかれるというところがございます。生産者のためには、漁協またはこれを主たる構成員とする会社の販売市場としまして、そうして公正な取引をすべきだと考えますけれども、これに対してどういうふうに考えておられますか。
○政府委員(和田正明君) 水産物の流通過程につきましては、ただいまの御質問にもございましたように、消費地の市場の前にもう一つ生産地の市場という中間マージンが入ります機構が重なっておりまして、蔬菜等に比べますと、一そう複雑な事情になっております。そこで、実はこの春ごろから出荷者側つまり生産者側、それから産地の市場、東京の卸売、仲買い等の代表者等も集めまして、その問題について現在せっかく勉強をいたしておるのでございますが、北條先生のおっしゃいました共同出荷という問題につきましては、私どもも今十分検討をしておるのでございまするけれども、実は漁港が必ずしもその周辺の漁業者だけの水揚げに終わりませんで、同じ県内の他の町村、他の漁協の漁業者の水揚げもございますし、さらに他府県のものもございまして、土地によって地元のものの水揚げよりは、他府県の船の水揚げが多いというような特殊な事情がございますので、なかなかちょっと大きなところになりますと、その地元の漁協による共同出荷とか、共同販売とかいうようなことがまとまりにくい特殊な事情もございます。また、そういう漁港ごとの特殊な事情を反映をいたしまして、関係者の中には、産地市場を一律の法律で規制をすることが、むしろ生産者にとってマイナスになるというふうな消極的な意見も出たりいたしておりまして、現地全体として価格対策が問題になり、また流通改善の問題が非常に大きな問題になっておりますので、そういう水産業と申しますか、漁業の特殊事情を考えながら問題を処理していかなければならぬわけでございます。それで今当面そういう問題の対策としては、産地から消費地へ参ります間の包装と申しますか、箱類などが非常に価格に影響をいたしましたり、鮮度に影響をいたしたりしておりますので、そういう問題をもっと回収の可能性のある、ある程度何と申しますか、長年月使えるような箱を使って輸送をさせまするとか、あるいは消費地に冷蔵庫を先ほども申しましたように設置をいたしますとかいうようなこともあわせ考えながら、検討をいたしておる次第でございます。
○北條雋八君 流通に関連いたしましてもう一点お尋ねいたしますが、貿易自由化に対処しまして、今後一そう積極的に今からこれが改良、改善について考慮を払わなければならないと思うのでございますが、いずれは関税の引き上げ、国際的に貿易自由化の実現することは、覚悟しなければならないと思います。あるいは韓国のノリとか、あるいはこのごろでは鮮魚あるいはなま魚も入ってきているようでありますし、ペルーの魚油あるいはテングサ等の輸入も問題だと思うんです。こういうことは、沿振法の中にも、これに対する配慮が非常に薄いんじゃないかというふうに考えられるのですが、こういう貿易自由化に対処する政府の今後の心がまえとそれに対する対策がもしおありなら、ここではっきり伺いたいと思います。
○政府委員(和田正明君) 実は先日御配布申し上げ、簡単に御説明も申し上げました資料でもおわかりになりますように、水産物につきましては、非常に輸出のウエイトが高うございまして、輸入というのはごく限られた物資になっております等の関係もございますので、政府原案はその辺のところに配慮を加えましたわけでございますが、衆議院での修正をいただきまして、輸入の調整ということも、国の施策の一つの項目として明記をしていただいたわけでございます。実は現在自由化をいたしておりません水産物の関係はアジ、サバ、サンマ、イワシといったようないわゆる沖合いの漁業者が主としてとって参ります多角性のそうざいものの魚と、それからコンブ、ノリといったようなやはり沿岸漁業者が中心に採取をいたしておりますものというふうにごく限られました品目を除いては、ほとんど自由化をいたしておるわけでございますが、今申しましたような、現在非自由化品目として残されておりますものは、いずれも沿岸の零細な漁業者によって採取をされ、また中小の漁業者によって漁獲をされておりますものでございますので、今後ともこれらのものにつきましては、積極的に自由化をするというようなことではなくして、できるだけ制限的に考えまして、国内の漁業者に直接大きな被害、損害が及びませんように処理をしていきたいというふうに考えますことを、基本的に方針として考えておるわけでございます。ただ先日森先生からの御質問にもございまして、若干御答弁を申し上げましたわけでございますが、国内の消費者価格というようなことも勘案をいたしながら、沿岸漁業者ないしは中小漁業者への影響が著しく及びません限りにおいては、若干程度の輸入ということも、場合によっては考え得るかもしれません。基本的には今申しましたように、現在非自由化品目として残してありますものを、今後積極的に自由化をするというような考え方は持っておらないのでございます。
○北條雋八君 次に移りますが、次に沿岸漁業振興の根本は、申すまでもなく漁業生産基盤の造成、開発、漁族資源の保護増殖にあることは言を待たないのであります。そこで、その資源の増殖のために、年々魚礁を設置しておりますけれども、古い魚礁はもうすでに数年を経過しておるわけでございますが、魚礁設置のいろんな点がもうはっきり出ていると思います。この際、その設置の経過とその効能及び今後の政府の魚礁に対してとらんとする方針を伺いたいと思います。昭和三十年ごろから相模湾に大型魚礁が設置されまして、それから伊勢湾のほうにもだいぶ魚礁が設置されておりますし、近く問題になりました貝殻島、あすこにも島に近づけないで、魚礁を設置して、非常に成功したという話も聞いておりますが、そういう点も伺いたいと思います。こまかいことはけっこうですから、その効果は一体どうなのか、非常に効果的であるのかどうかですね。そういう事例を、おもなことを二、三伺いたいと思うのです。
○政府委員(和田正明君) 魚礁の設置事業の効果を具体的に数字をお示しをいたしますことは、いろいろな点で困難でございますし、手元に資料もございませんけれども、まあたとえば北海道におきまして、第二貝殻礁ということで歯舞の漁協で作りましたのは、主としてコンブのための魚礁でございますが、これは北海道の試験所等でその前に実験をいたしたり、調査をいたしたところを見ましても、非常な好結果でございまして、一つのブロック当たり相当大量のコンブが付着をいたしましたりして、非常な成果を上げておりますが、そのほかにこれがまあ魚のアパートとかいうふうに申しますように、魚族の集合をいたします場所になりますことと、それからそのために海草も付着いたしますることと、あわせてプランクトンのようなものがその魚礁の付近に非常に多数に発生をいたします。そのことからその魚礁の設置によりまして、魚の産卵の場所が形成されます。その三つが相互に関連をいたしながら、きわめて漁獲が増加をいたしますということが、直接的な効果でございまするのと、まあ間接的にはその魚礁の場所へ行けば、沿岸の小さな漁業者がその場所に針をおろせば魚が釣れるというようなことがございまして、出漁日数が増加いたしますとか、計画的な操業ができますとか、そういう間接的な効果もあるわけでございます。それで現在までに約大型魚礁で十五万千個、それから並型の魚礁で三十万個ほどのコンクリートブロックを各地の海岸に入れておりますわけでございますが、その補助率も過去におきましては二分の一補助でございましたのを、大型補助につきましては、たしか昨年から十分の六に上げ、さらに本年度はそれを公共事業にいたしまして、数府県入り会いの漁場等につきましても、これを公共事業として大型魚礁を、超大型と申しますか、そういう大型の漁場を形成していくというふうに考えまして、三十八年度以降大型魚礁に三十六億ほどの予算を十年間で計上をいたすということで大蔵省との間にも一応の話がついております。今申し上げましたように、きわめて直接的にも間接的にも効果の大きいものでございますので、今後とも適当な、魚礁を設置をいたします適地につきましては、予算額の増額あるいは補助率の増加等をはかりまして、積極的な造成をはかって参りたいというふうに考えております。
○梶原茂嘉君 ちょっと関連して。今の大型魚礁の効果の問題ですが、御説明は一応よく理解される。何か具体的なデータがありますか。データがあるのかないのか、これだけ伺います。
○政府委員(和田正明君) 各場所ごとに、投石をいたしましたそれに伴って魚獲量が年度別に増加をしておるということは、場所ごとの調査を毎年やっております。そのデータがございます。
○北條雋八君 今お話がありましたが、ことしから大型魚礁が公共事業に認められて、全額を国と県で負担するようになったことは、沿岸漁業の振興上まことに当を得た措置だとこう思います。その効果のあることが的確であるというお話ですが、もしそうだとするなら、何といってもこの際魚をふやすことが、沿岸の漁業の振興上第一でありますから、そうなれば日本の全海域にわたって大型魚礁を思い切って大大的に設置すべきだと思います。ただいまも来年度は予算をふやすと言われましたけれども、それ以上になお場所の調査その他を大々的にやられて、そして思い切った施策を打ち立てられるようなお考えはありませんでしょうか。で、なお大型魚礁に限らず、古い廃船を沈めるというようなこと、あるいはつきいそあるいは投石とか、また最近何か東京都で、ごみ箱がコンクリートからポリエチレンに変わったので、だいぶ廃品があるそうだが、そういうものも魚礁にりっぱになるというようなことも聞きましたし、いずれにしてもそういう魚のすみかを作って、そうして基盤の整備をするということは、考え方によってはこれは国土の開発で国家事業であるのですから、そういう意味から、むしろそういうことは直営で実施するという個所もあっていいんじゃないかというふうにも考えます。ですからそのくらいの熱意を持って、政府としても、効果があるということがはっきりするなら、そういう実施をされてもいいんじゃないかというふうに思います。その点いかがですか。
○政府委員(和田正明君) ただいまお話しの大型魚礁なりあるいはつきいそなりのほかに、たとえば防波さくを設けまして新たにノリの養殖の漁場を造成いたしますとか、そういう事業を、全体として漁場改良事業というふうに考えておりますが、昭和三十三年ごろから昨年ごろまでは、大体年間この漁場造成のために投じました国費は毎年二、三億円程度でありましたわけでありますが、今年度からは全体として約七億八千万というふうにその補助額も飛躍的に増大をさせたわけでございます。今後も先ほど申しましたように、全体として効果の大きいものでございますから、機会がありまするごとにその増額等、はかりまして、積極的にこの事業を進めて参りたいというふうに考えております。
○北條雋八君 漁礁の効果は、今伺ったとおりであるのでありますが、困ることには、先日も新聞に出ておりましたけれども、夜陰に乗じて他県の沖合漁業の底びき船が魚礁近くに侵入してきている。そうして沿岸漁民に被害を与える、こういうようなことは全国的に相当あるのではないかと思うのでありますが、それがどのくらいあるのかどうか、またそれらの悪徳漁業者に対して、どのような取り締まりをしておられるのか、現在の底びき網の禁止区域を拡大するとか、零細な沿岸漁民を保護するように政府はどのように考えておられるか、そういう点を伺っておきたいと思うのです。
○政府委員(和田正明君) 大体魚礁等の設置をされておりますような場所は、沿岸漁業者の漁場でございますので、おっしゃいますような底びきとの間の関係では、多分底びきの操業禁止区域になっておる場所が多いと思います。それの禁止区域を侵しますような場合につきましては、水産庁自身の取り締まり船、あるいは県庁の取り締まり船、海上保安庁の協力等を得まして極力取り締まりに努力をいたしておりますわけでございますが、昨年この国会で御審議をいただきました漁業法の改正の際にも、そういう違反者が今まで許可の取り消しというようなところまでいかなかったのはおかしいではないかというような御趣旨も、たしかこの委員会で御質問もございまして、軽いものについては何日間か停泊命令ということで、漁業の操業を停止をするような措置をとりましたりいたしておりますが、今後一そうそういう取り締まりを厳重にいたしまして、悪質なものについては許可の取り消しまでやりますというようなことで、一そう取り締まりを強化をしたいというふうに考えます。
○北條雋八君 昭和三十七年度及び三十八年度の沿岸漁業構造改善計画地域、これを図面で拝見いたしましたけれども、この地域に含まれないというところ、特に日本海側のようなごく零細漁民の多いところの場合は、全然それからオミットされているような感じを受けるのでありますが、実際魚がいなくてしないとか、あるいはあと回しにされたとか、沿岸漁業の振興法というものは、その目的は沿津漁業の従事者が他産業従事者と均衡する生活を営むこと、またその地位の向上をうたわれておるのでありますが、資源の少ない地域が構造改善の対象からはずされるということになりましたならば、本法案はどのような漁民を対象にしているのか、疑問が出てくるわけであります。零細漁民が切り捨てというようなことになってくると思うのでありますが、日本海側においても、多少の構造改善計画の地域を設けるところもあるのじゃないかと思いますが、そういう点はどういうことになっておりましょうか、伺いたいと思います。
○政府委員(和田正明君) 構造改善事業に基づきます改善計画は、大体北海道のような非常に広大な海岸線を持ちます場所と、長崎県のように大きな離島を持ちます場所を除きましては、大体一県ごとにその海岸線を指定をいたしまして構造改善計画を立てるという考え方できております。日本海側は構造改善事業を実施いたさないというのではございませんで、現在までも、三十五年には京都府、秋田県、それから三十七年には青森県それから北海道の日本海側の北のほうの部分、それから三十八年度には山形県、石川県、それから北海道の日本海側の南、内地寄りのほうの部分というふうに逐次指定をいたしておりまして、三十九年と四十年度の二年度で残っておりますまだ指定の終わっておりませんところを全部指定をいたしますので、日本海側につきましても、当然構造改善事業が行なわれるわけでございます。ただ、事業そのものが十カ年にわたります長期の計画でございますので、県なり地元側の事前の準備態勢等を勘案しながら、逐次指定をいたしておるわけでございまして、若干御指摘のように日本海側になお指定がおくれておる部分もございますけれども、県側の事前の準備のでき次第、三十九年度または四十年度で地域指定をいたしまして調査を実施し、逐次計画を立てて事業をやっていくという建前にいたしております。
○北條雋八君 時間がありませんので先へ進みます。 次に、新漁場の開発につきまして伺いますが、漁業資源が漸減しておる今日、新漁場を開発することは緊急を要する問題でありまして、ところが、本年度予算を見ますと、昨年度の予算の半分以上減っておるのは、どういう理由なのか、この点が非常に不思議に思いますので、その点と、それから続けて質問いたしますが、国際遠洋漁業海域の締め出しが影響しまして、遠洋から沖合いへ、沖合いから沿岸へとしわ寄せがきまして、沿岸漁業に非常に食い込んできておる傾向があります。沿岸漁業資源が漸減する悪条件のもとにありまして、沿岸漁業としては自然むしろ沖合いへ進出し、沖合い漁業としてはだんだんに遠洋に進出さして漁獲の区域を広めるというのが、むしろ昨今は自然の形であるのじゃないかと思うのです。政府としましては、どういう方針を今後とっていかれるのでありますか、その点もあわせて伺いたいと思います。
○渡辺勘吉君 答弁の前に関連して。今の北條委員の第一の質問は、かねて出されておる資料に、昭和三十八年度の水産関係予算の説明と沿岸漁業等振興法案に係る施策の概要の中に、昨年と今年との項目別の予算の比較が出ておりますが、この資料に基づいてひとつ納得のいく説明をしていただきたい。
○政府委員(和田正明君) 最初に海外漁場の開発調査の予算が、三十七年度に比較をして三十八年度は減っておるんではないかという御質問でございますが、実は昨年度、海外漁場の開発調査という項に組みました予算のうち、マグロの調査に関しますものにつきましては、マグロ漁業対策調査という項へ別途計上してございますので、金額としては減りませんで、新しい漁場の開発調査といたしまして、単に予算編成の都合で計上いたします項を変えましただけでございます。 それから第二番目の、今後の問題として、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へという考え方についての、水産庁の考え方はどうかというお話でございましたが、なるほどいろいろな方面で海外の漁場が制約を受けております面もいろいろありまするけれども、他方ではまだ未開発と申しますか、行ったこともございません新規漁場もいろいろございますので、それらの調査ができ次第、なるべくそういうところへ、遠洋漁業への転換と申しますか、そういう方向をとりまして、沿岸漁場を沿岸漁業者のためにあけていくと申しますか、そこでの他の漁業による操業の度合いを減らしまして、沿岸漁業者のための漁場としての利用率を高めるということは、現在でも考えておりまして、まあたとえば昨年は沖合い漁業の一つでございます以東の底びきあるいは中型のまき網を遠洋マグロ漁業に転換をさせましたし、また日本海のマスの流し網漁業についても同じようなことを処置をいたしたわけでございます。今後も新規の漁場等につきまして、ある程度経営の採算の可能性等について確信を得ますれば、沖合漁業をそういうところへさらに転換をさせまして、沿岸の漁場を沿岸漁民の利用し得る個所として確保するという方向は、できるだけとっていきたいというふうに考えます。
○北條雋八君 前の部分のお答えは伺いましてわかりましたけれども、これはやはり資源の調査がおもで、用傭船の問題であるとか、日本海の冷水域における漁場の開発、そういうふうに使われるお金でありますから、これは伸ばせば幾らでも伸ばせる金だと思うのです。もう特に資源が不足してくる今日においては、もっとこれを積極的に金を使っても、漁場を見つけるということが非常に大事だと思う。ですから昨年より少ないということは、いずれの点から考えてもおかしいと思うのです。魚がふえてきたなら減らしてもいいんですが減ってきているんですから、極力漁場を求めることにもっと金を使っても国民は決して何とも言わない、納得するわけですから、どうぞこの点にも力を入れていただきたいと思います。
○渡辺勘吉君 ちょっと。私が関連して質問したことに、部長はさっぱりどうも具体的に答えてくれない。たとえば漁場の開発についても、これは私の質問の中に出てきますけれども、たとえば日本海の北方冷水域開発調査にしても、非常にこれは重大な、基本的な漁場の展望につながる問題にかかわらず、昨年四百二十七万四千円に対して、減額した予算をことしは計上している。あるいは海外漁場の国際漁場調査にしても、そのうちの海外漁場の開発調査が、昨年よりも、いろいろな点で減っておる。こういう基本的な施策の中心になるべきものが、予算が削減されておるということは、一体、どういうことか。そういう機能が十分発揮できないという現状の中で問題である。たとえば、そういう点を、予算の中で、具体的に納得のいく説明を私はお願いしておるのに、あなたはそれに答弁してない。それを答弁して下さい、まず、具体的に。
○政府委員(和田正明君) たいへん失礼を申し上げましたが、北方の調査の問題は、三十七年度までは、三隻傭船して調査をいたしておるわけでございます。三十八年度は、国の調査船が一隻できましたので、その分だけ、一隻、傭船の分を減らしましたわけで、調査事業としての計画を縮小いたしたわけではないわけでございます。 それからもう一点は、先ほど申しましたように、マグロの調査を、海外漁場の開発、調査の項から、別途、マグロ漁業対策共同調査というように、予算の移しかえをいたしたわけでございます。ですから、全体としては、漁場の開発のことは、積極的に今考えておりまして、このほかにも、たとえば、漁業法上の許可で、民間の会社、あるいは地方公共団体、各種の試験研究機関等の船の試験操業というような形での新漁場の調査、開発にも、積極的に措置をいたしておるつもりでございます。
○渡辺勘吉君 たとえば、冷蔵運搬船整備についても、去年よりも低く予算が出ておる。それを一々聞かなければ説明しないのじゃなくて、この中で、予算の編成の技術、事務的な技術、そういう点で、ことしの予算が、漁業の振興に基本的な姿勢をもって臨んでおるということが、与えられた資料の中では、非常に納得しがたいものが随所に見受けられる。そういう点で、北條委員が質問しておる点、その点を国民がわかるように、具体的に説明してもらわぬと、納得できないと思います。
○政府委員(和田正明君) 私の先ほどのは、漁場の開発調査の予算に関連しての御質問だと思いましたので、その範囲で御説明を申し上げたわけでございますが、冷蔵運搬船というのは、実は、開発関係でなかったものですから、私つい、説明を漏らしましたが、予算全体についてということでございましょうか、先生のおっしゃる意味は。
○渡辺勘吉君 これは、ちょっと、北條委員の質問とは、多少違うことですから、これは私の質問の際に、あらためて伺うことにします。
○北條雋八君 次に、養殖漁業のことについて伺いたい。昨今、沿岸が非常に荒らされまして、資源がだんだん減ってきたために、海水の魚族の養殖が非常に盛んになったことが、統計の数字から見てもはっきりしております。特に、この沿岸漁業というのは、だいぶ、これは歴史が古いようでありますが、政府のやり出したのは、さほど古くもないと思いますが、一番古いハマチの養殖は、香川県の大川郡の安戸池でやったということが伝えられております。これは昭和二年ごろと聞いております。これの経過も、非常に、このごろはいい成績を上げてきているようでございますが、現在、何カ所ぐらい、全国でやっているのか。またその魚種は、ハマチのほかにどんなものがあるのか。また現在、この生産高はどのくらいあるのか。その点を、概略でけっこうですから、伺いたいと思います。
○政府委員(和田正明君) 最初、ハマチについて申し上げますと、三十六年度の実績でございますが、経営体数で百七十三でございます。そのうち瀬戸内海に七十五ございまして、生産量といたしましては、大体四百四十四万尾ぐらいです。金額で十億六千百八万円。そのほかには、主として多うございますのはフグの、これは大きくするということではございませんで、一定の出荷時期まで、鹹水で蓄養をいたしておく施設でございますが、フグの施設が十九カ所、タコ、クルマエビ等が十カ所程度でございますが、あとはアジとかチヌとかボラとかアナゴとかいうようなのが、それぞれ一カ所か二カ所という数字になっております。
○北條雋八君 この全体の尾数ですが、目方でもいいのですが、最近の一年間の生産高は、今言われたかもしれないけれども、聞き漏らしましたが、どのくらいですか。
○政府委員(和田正明君) ハマチにつきましては、四百四十四万尾程度で、金額にして十億六千万ぐらいでございます。そのほかには、主としてクルマエビが五千八百万ぐらい、フグが七千万ぐらい、それからタコが三千万ぐらいでございますが、あとは個所数も少のうございますので、金額としても、何十万という単位のものしかございません。
○北條雋八君 全国でやっている個所数は、約三百と聞いておりますけれども、それからまた尾数は、昨年が千百二十二万尾というふうに、これは新聞かなんかに出ておりました。それは違うのですか。
○政府委員(和田正明君) 千百二十二万尾というのは、ハマチの三十八年度の事業計画の数字でございます。
○北條雋八君 そうですか。いずれにしても、魚族がふえることは、何でも手当たり次第にやる必要があると思うのでございます。それにつきましても、昔、魚付林というのがありました。これは非常に魚をふやすのに大事な保安林であったというふうに聞いておりましたが、そういうものはこのごろ非常に減っているのじゃないかと心配しておりますが、あの効果ですね、水産庁のほうではどの程度に認められているのか、また現在どのくらいあるのか。
○説明員(森沢基吉君) 私からお答えいたします。今北條先生おっしゃいましたように、魚付林というのは昔からやっておる仕事でございます。林野庁のほうでも保安林に指定して現在やっておりますが、今沿岸の開発等の関係がございまして、この保安林というのは、むしろふえておりません。今後われわれとしては、技術的には保安林の効果を認めますけれども、先ほど部長の言われましたように、漁場であるとか、積極的な方向にむしろ伸ばしていきたい、こういうふうに考えております。
○北條雋八君 そうすると、保安林の効果というものは、目立たないことも目立たないのですけれども、あまり認めていないという結論になりますが、そういうあれですか。
○説明員(森沢基吉君) 保安林が非常に効果がございますのは、要するに海のすぐそばにそういう林がございまして、魚が陰影を好んで集まってくるという効果がございます。これはきわめて限定された地域で、全般的にはそういう保安林がないようなところのほうが、むしろたくさんございます。
○北條雋八君 それは日陰ができるし、またそれによって来る虫もふえてくるし、えさが自然に出てくるということで効果はあると聞いておるので、実際あるんだと思います。御承知のとおり、魚付林は非常に長い間かからなければできない問題でありますが、むろん漁業としても百年の計なんですから、必要であれば、今からでもどんどん魚付林を造林していく必要があると思いますので、その点ひとつ将来のことまで考えて施策をしていただきたいというふうに思います。 次に、もう時間がございません。もう少しがまんしていただきますが、ふやすのと反対に、増殖を阻害する水質汚濁、この点について伺いたいと思うのですが、魚族資源減少の原因がいろいろありますが、そういうものはすみやかにこれを排除して魚族資源保護に努むべきことは申すまでもありません。特に沿岸漁業者にとって水質汚濁というものは、漁場喪失にまで発展しまして、重大な死活問題であります。工場の廃水とか、船舶の油であるとか、または屎尿の海洋放棄というようなことは、非常に漁民に迷惑をかけております。で、これは東京湾の場合ですが、屎尿のことについて、ちょっとお尋ねしたいのですが、これは全部合わせますと、全都民の五一%分ですね、非常に莫大な数量で、一日に三千六百八十五キロリッターあるそうです。こういう糞尿が東京湾口の沖ノ山漁場付近に毎日投棄されておるそうです。で、また大阪湾におきましても、岸から一万メートルのところに放棄されておりまして、各種の処理船がそこに集中しまして、海底に汚物が属をなしているそうです。そのために魚貝類の死滅、漁獲の減少というものは莫大なものがございまして、操業の支障、あるいは不能になったり、あるいは漁船、漁具の遺棄、故障等の被害が尽大でありますが、これらに対して当局はどのような対策を講じておられるか、水産資源の保護法によりますと、水産増殖物に有害な行為に対しては必要に応じ、省令または規則を定めることができることになっておりまして、今日までどのようなことを水産庁としてとってこられたか、また清掃法による投棄海域というものが、東京湾外の場合どれくらいの位置になっているのでありますか、沖ノ山はその一例でありますが、東緯とかあるいは北緯とかきまっているのではないかと思います。前に申しました沖ノ山漁場は観光地の付近で、リクリエーション、そういう地帯に近いのであります。これを何とかしなければ文化国家をもって任ずるわが国の恥辱だと、特にオリンピックを控えて、ほんとうに恥しいような次第でございます。で、現状において投棄、捨てるラインの延長、もっと沖のほうに投棄個所のラインを延ばすということが必要だと思いますが、そういう点と、また一方潮流の加減によりまして、汚物が接岸するという場合もあるそうです。そういうことを勘案して、思い切ってやはり沖のほうに出さなければいかぬと思います。ところが実際を聞いてみますと、そういうふうにきめられた個所に捨てるならまだいいのだそうでありますけれども、そこに捨てずに、それよりもっと手前の三分の二ぐらいいったところで、投棄して、そうして帰ってくる船が大部分だそうであります。ますますそういう汚物が接岸して、非常に漁族の繁殖にも困るし、また非常に衛生的にも迷惑するというような点に対して、一体水産庁のほうではそういうことを御承知であるのか、またそれに対して、どういう方針をとっておられたのか、その点を伺いたいと思います。なお、続いて質問いたしますが、東京都におきましては、昭和三十八年、今年と昭和四十年に千トンのそういう船ができる予定になっているということを聞きました。それだけではとうてい解決はできないと思うのです。川崎市では、すでにそういうことを非常に力を入れまして、陸上処理場を非常に完備したそうです。ですから今年はもうほとんどそういうことをしないで済むようになるというようなこともうわさに聞いております。その点も御承知ならば伺いたいと思います。
○政府委員(和田正明君) 水質汚濁の原因が今いろいろございます中で、お話の糞屎の問題も非常に大きな問題でございまして、昨年度だけで二十一府県ぐらいから四億円程度漁業上の被害があったという報告がありました。一番多いのは東京湾、それから伊勢湾、それから瀬戸内海、それから九州の玄海灘というようなところに集中的に起こっております。で、これは実は清掃法に基づきまして、距岸一定距離以上のところでなければ廃棄をしてはいけないというようなことになっておりまして、たとえば御質問の東京湾でございますと、野島崎と観音崎を結びました線から南でなければいけない。また大阪湾でございますれば、岸から一万メートル以上離れたところでなければいけないということになっておるのでございますが、先ほど御指摘がございましたように、どうもときどきそこまでいかないうちに清掃業者が海に流してしまうというようなことがございまして、これの取り締まりは厚生省が担当いたしておりますので、そのつど厚生省にも注意を喚起をいたしましたり、厳重な申し入れをいたしたりしておるのでございますが、なおやはりそういうことの跡が断たないのでまことに遺憾に思っておりますが、根本的には川崎でございましたか、例でおあげになりましたように、陸上の処理施設を作り、下水道を完備をして、それをきれいにして流すという施設を整備をいたすことが根本でございまして、現在厚生省、建設省等で五カ年計画を立案をいたしまして、そういう終末処理施設を主要都市に建設をして、今後そういう便法的に行なわれております清掃法による海上投棄の問題を抜本的になくしたいということで厚生省、建設省等にも私どもからも強く申し入れをいたしまして、終末施設の建設のための計画なり、それに対する助成措置なりが早く関係省でできまするように現在関係省に強く申し入れをし、その検討を急いでもらっておる段階でございます。
○北條雋八君 このことはほんとに沿岸の漁民の働く、生産の場でありますし、大事なことだと思うんですが、今まで大臣がこういうことについて関係の大臣と話し合いをされたというようなことは聞いておられませんか。
○政府委員(和田正明君) 大臣同士で直接お話をされたかどうかということは実は私確認をいたしておりませんけれども、私どもとしては水産庁の担当の課から厚生省の担当課へ、また長官から担当の局へはしばしば口頭なり文書なりで申し入れをしたり、先ほど申しました計画の設定を急ぐというようなことについてはしょっちゅうの催促をいたしておる次第でございます。
○北條雋八君 そういたしますと、陸上の処理ということにつきまして、一体いつごろになったら、そういうものを海上に放棄しないで済むようになるのですか。あるいは一部はやむを得ない、大部分は陸上で処理ができるというような計画はむろん立てておられると思います。そういう点はいかがですか。
○政府委員(和田正明君) 三十八年度から五カ年で、四十二年度までの間の五カ年計画で緊急整備をやるということで現在検討してもらっております。
○北條雋八君 それは担当が違いますけれども、しかし、事やはり漁業に重大な影響があるのですから、人ごとではないのですから、この点は今後強く水産庁のほうから促進していただきたいというふうに思います。 なお、最後にちょっと伺いたいのですが、原子力の潜水艦の放棄されます何といいますか、放射脂性の廃棄物による海洋の汚染、そういうような点は科学的に無害であるかどうかというようなことですね。漁族の発育に対するあるいはそういう鮮魚の肉の中に、そういう放射能が入って人畜に害を及ぼすとかいうような、そういうようなことはどういう程度に聞いていらっしゃいますか。もしお知りであったら伺いたいと思うのでありますが。
○政府委員(和田正明君) あまり原子力のことは非常に弱うございますので、数字的にこの程度だったらこうだというふうに的確に申し上げる資料もございませんし、知識もございませんけれども、例のビキニ被爆の際にマグロが放射能で問題になりまして、非常な廃棄処分等をいたしましたこと等も考えあわせますと、一般的にそういう原子力船に関係のありますもので、水産業物が汚染される可能性というものはあるわけでございます。原子力潜水艦の寄港の問題については、それが寄港するかしないかということは別といたしまして、少なくとも、そういうことがありました場合に、寄港いたすというようなことがありました場合に、被害が発生しないような万全の措置、また不幸にして発生をいたしました場合の処置等につきましては、非常に積極的にというとあれですが、外務省といろいろ打ち合せをいたしまして、万全を期したいというふうに考えております。
○北條雋八君 所管が違うから、大臣いないから、そう答えるよりほかないでしょうけれどもたとえていうと、今の汚物の問題にしましても、原子力の問題にしましても、ともかく漁業に関係のあることは、ひとつそれぞれ連絡をとって、今後の施策に万遺漏ないことを望みます。 委員長、私まだ多少ありますけれども、時間があまりおそくなりますので、きょうはこれで質問を終わります。
○委員長(櫻井志郎君) ここでしばらく休憩し、午後二時再開いたします。 午後一時九分休憩 ————・———— 午後二時九分開会
○委員長(櫻井志郎君) ただいまから委員会を再開いたします。 沿岸漁業等振興法案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行なうことにいたします。質疑のおありの方は、御発言願います。
○矢山有作君 この前の質問でいろいろ御答弁をいただいたのですが、それを総括しての問題は、またあとでひとつ申し上げたいとは思っておりますが、たとえば構造改善事業の問題についてお伺いしましたが、この問題一つについても、何というのかはっきりした構想というのか答弁が出ておらぬのです。私どもがお尋ねしたのは、すでに構造改善事業というのは実施されておって、そしてそういう状況の中でこの沿振法案が出てきたわけです。内容を見ると、今実施されておる構造改善事業というものをそのまま規定したにすぎぬじゃないか。日本の漁業構造の最大の問題点というものは、漁業それ自体の内部における生産性の格差がひどい、非常にたくさんの複雑な階層に分かれておる。したがって、そういう面の構造改善というものが中心にならなければならぬのに、そういった展望に立った何というのか、施策の目標というものが示されておらぬじゃないか、こういうことをお聞きしたのです。ところが、それに対してものらりくらりの答弁で、はっきりしたものは出ておらぬ。しまいの果てには、大臣はものの考え方の相違だとこういうことで片づけられておるので、これはすこぶるわれわれとしては不本意なんです。具体的にこの沿振法ができたときに、どういうふうになって、沿岸漁民なり中小漁民に具体的な効果が上がっていくのかということが、それじゃ明らかにならぬのです。そういう立場で私はお伺いしておったのですが、まあまともな答弁が得られません。しかし、そこのところでひっかかっていつまでやっておっても、これは際限のないことなんで、私はこの点についてのこまかい論議というのはまたあとでやらせてもらいたい。きょうはこの間に引き続いての論議ですから、そういう立場でひとつ質問をやっていきたいと思います。それは今度の沿振法の中で、非常に重大な国の施策として取り上げられている一つの問題なんですが、第八条のいわゆる沿岸漁業の構造改善事業の中で、生産性の高い漁業への転換ということがまっ先にうたわれておるわけです。そこでこの漁業転換というものを具体的にどういうふうに進めていくのかということについてお伺いしたいわけです。理屈の上では、沿岸漁業から生産性の高い沖合い、遠洋の企業的漁業へ転換するんだ、また沿岸漁業の内部自体でも、生産性の高い養殖漁業へ転換させるんだ、そのことによって転換した経営の合理化をはかり、さらにまた、残された沿岸漁業の利用関係を改善する、経営規模を拡大するんだ、こういうことはなるほどいえると思う。 それからまた、最近のような国民経済の高度成長の中では、漁村からいわゆる人口流出という傾向が多少出ておりますから、そういうことによっても改善はできるんだと、こういうふうにおっしゃられると思うのですが、しかし実際問題としては、それほど私は簡単に漁業転換ができるとは考えておらぬのです。なぜかというと、沖合い遠洋漁業への転換というものを一つ考えてみましても、まず第一に出てきておる問題は、この問の質問で申し上げました国際的な関係から、非常に漁業規則が強まってきておる。したがって今までのように、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へという形で漁業が発展していくということは、非常に困難になっておるわけです。それからまた、生産性の高い養殖漁場へ転換させるのだと言うてみたところで、これも私がこのもらった資料で調べてみると、将来養殖漁場としての開発可能面積というのが、海面で一万ヘクタール、それから内水面で十万ヘクタールぐらいあると、こういうふうに出てきているわけです。 ところが、これらの問題にしても、きょうも質問の中に出ておりましたが、水質汚濁の問題がある、さらに埋立ての問題がある、だから沿岸漁場の制約というものが、どんどん強まってきておるわけです。こういう状態を考えてきたときに、はたして第八条の第一項ではっきりとうたってあるような生産性の高い漁場への転換ということが可能なのかどうか。私は、転換策というものを抽象的にうたい上げるのではなくして、おそらく具体的にお考えになっておると思う。それを具体的にひとつ御答弁を願いたいと思う。先ほども言いましたように、今までの質問の点では、すべて抽象的な答弁でのらりくらりとはぐらかされてきておる。きょうぐらいから少し具体性を持った答弁をしていただきたいと思います。
○国務大臣(重政誠之君) ただいまいろいろ御指摘になりましたが、養殖漁業、あるいは沖合い漁業への転換の問題、実は御指摘になったとおりのことを考えておるのですが、沖合い遠洋漁業も非常に悲観的なようなお話がありましたが、それほど悲観的にお考えになる必要もないと思うのですが、先般も御承知のとおりに、まき網とかあるいは底びきというようなものをマグロ漁業に転換をついせんだってしたことも御承知のことだろうと思うのですが、そしてそう悲観をする必要はない。なるほど各国との折衝、漁業条約というものがだんだんふえて参りまして、いろいろ問題が起こっておることは事実でありますが、これは日本漁業というものが飛躍的に発展をいたしましていった結果、そういうことになっておるわけであります。いろいろ関係国との間に問題が起きておるからといって、決して悲観すべきものではない、私は沿振法にも出ているような方向に私は進むことができる、こう考えております。 それから養殖漁場の問題でありますが、これは一がいには申されませんけれども、地方々々によって異なっておりますから、一がいには申されませんが、まだまだ私は養殖漁業は発展をする余地は大いにある、こう考えておるわけであります。でありますから、この海域々々によりまして構造改善の計画を立てまして、それによって政府の助成を要するものは助成をし、指導もいたしまして、養殖漁業を発展をさしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○矢山有作君 漁政部長のほうから何か具体的に言っていただくことがあったら言って下さい。なかったら私の質問を続けます。
○政府委員(和田正明君) ただいま大臣がおっしゃいましたように、地帯別に漁場の種類等が違いますので、全体を通して一言で言えるような具体的なことというのは、なかなか申し上げにくいと思います。
○矢山有作君 大臣の今の御答弁は最初海外漁業等の問題について私がお尋ねをしたときにおいでにならぬから、今のような程度の御答弁が出てきたわけです。ところが実際例を一、二あげてお話ししますと、先ほど話に出てきました沖合い遠洋漁業の問題をとって考えてみましても、一例をあげて、この前に二万二千トン以上の遠洋マグロ漁業への転換をやられておるわけですね。その転換をやっておるのは、この資料で見たらサケ、マス漁業からの転換とか、中型底引からの転換だとか、巻き網からの転換だとか、沿岸漁業からの転換だとか、まあその他二、三ありますが、そういうような工合で遠洋マグロ漁業への転換をやらしておるのです。ところが、その転換をやります際に、審議会等ではなかなか問題がむずかしくて結論が出なかったのが、ようやくこういうことになったということも聞いておるわけです。それから一方でいうと、またこの間申し上げましたが熱帯マグロ委員会あたり、そこらではマグロの漁獲制限という問題が非常に強く国際的にも出てきておるわけです。しかも転換を考える漁種としては、私が聞いておるところでは、遠洋マグロ漁業ぐらいしかないんじゃないか、こういう話を聞いておるんですがね。そうなってくると、漁業転換というのは非常に限定されてくるんじゃないだろうかという心配が一つあるわけです。それで、じゃ国際漁業について積極的な開発の姿勢が非常に強く打ち出されておるのかというと、そうとも受け取れぬのですね。ここに施策の説明をした資料がありますが、いまさっきの委員会でも問題になりましたように、予算等の状態から見ても、あるいは国際漁場の開発をやっていくという機構の上から見ても、さらに民間にある海外漁業の協力会ですか、それらの予算なり活動状況から見ても積極的な姿勢があるというふうには考えられぬ。そういう具体的な事例をふまえて漁業転換をやっていくというのは非常にむずかしいのじゃないか。だから法文でうたうことは、これはいとも簡単だ。ところが法文でうたいあげただけでお経になっては、ありがたみがないのでして、やはり生きてる漁民に対しては、お経が単なるお経に終わらぬような実効のある施策となって出てこなければならぬわけです。だから私は心中しましたように、もっと具体的な構想があるならお示ししてもらいたいし、それから具体的な構想が今ないとするならば、もう少し積極性を持った漁場開発等もやっていかなければならぬのじゃないか、こういうことをいっているわけです。どうですか。
○国務大臣(重政誠之君) 漁場の開発は、非常に大切なことでありまして、もちろんやっております。やっているのでありますが、これは非常に危険を伴いまするしいたしますから沿岸漁業の関係の連中でやるということがはたしていいか悪いかということは、これは問題があると思うのでありますが、現在でも矢山さん御承知のとおりに、底魚をとる漁場の開発というのは、非常なものなんです。これはアフリカのほうから、南米のほうから、非常なものでありますが、これはもう日本の漁業全体の発展のために漁場開発をやっております。やっておりますが、直ちにこれが沿岸の漁業とつながりを初めから持ってやるということは、なかなかそれは今申しますような資本の問題であるとか、あるいは漁船そのものの大きさの問題であるとか、あるいは商業ベースで、コマーシャル・ベースにはもちろん合わないわけでありますから、沿岸の漁業とのつながりを初めから持っていくということは、なかなか困難であります。
○矢山有作君 まあ今国際漁場の開発の問題だけについての答弁があったわけですが、そういうふうにおっしゃるように、国際漁場の開発というものは、しかし容易でないし、コマーシャル・ベースからいってもさしずめ間に合うような問題でないわけです。そうするとなかなか漁業転換ということが困難になってくるのじゃないか。当面考えられる漁業転換としては、だからどういう具体的なものがあるのか。私どもが聞いているのでは、一応先ほど申しましたようにこれは二度いうようになりますが、遠洋カツオ、マグロ漁業しかないのじゃないか。ところがそれに対しても、国際的な規制が非常にきびしい。だから具体的にどうされるのか、こういうふうにお聞きしているわけです。
○国務大臣(重政誠之君) まだカツオ、マグロ漁業についての国際的の制限というものは、具体的に出てきておらないわけです。大体カツオ、マグロの資源が一体どれだけあるかということも科学的調査ができておらないわけでありますから、これはサケやマスやあるいはオヒョウとかいうような、そういうものとは同一に論ずるわけにはいかないわけであります。しかしこれはある将来、いつかの時期には、そういうことが起こってくるだろうと思います。それは想像できるのでありますが、まあもっとも現在のところ、そういう問題は直ちに起こっておらぬことは、御承知のとおりでありますが、まあいずれにいたしましても、転換といってもなかなか、それはおっしゃるとおりそう簡単には参りません。これは事実であります。でありますが、私どもとしては、それを一つの目標として考え、さらには養殖漁業をその海域海域によりまして振興せしめる。こういうことによって沿岸漁業の体質改善をやろう、こう考えているわけであります。
○矢山有作君 先ほど触れましたように、実際に遠洋カツオ、マグロ漁業にしても、資源調査が不十分だというようなお話もありましたが、確かに資源調査が不十分だということは、この間私の質問に対する答弁の中でも出てきたわけです。だから資源調査に対しては、本格的な水産庁の体制から考え直さなければならぬのじゃないかということを申し上げておいたんですが、それはそれとしまして、実際国内で、じゃあそういう方向に転換させる場合においてすら、先ほど言いましたように審議会が非常にむずかしい。さらに私が聞いておるところでは、漁業団体の中では、この漁業転換の条項だけはひとつ削らぬかというような要望すらあったということを聞いておるのです。そういう状態だとなかなかこれは容易なことじゃないと思いますが、そうすると、やはりこの漁業転換をやって、一つの構造改善の事業の中にうたってあるんだったら、その効果を上げようとすれば、これはよほど真剣に取り組まないと、とてもじゃないが大臣がお考えになっておるように簡単にいく問題でないと思う。ですから、もう大臣としてはやはりこの問題真剣に取り組んでいただくということと、それから漁政部長がお見えになっているのですから、こういうことは当然よく御研究なさっているはずなんです。また今までの事情もよく御承知のはずなんですから、そこで具体的にどういうお考えがあるのか、聞かしていただいて、そうして養殖の漁業の問題も出ましたが、これは養殖漁業としてあとでちょっと一、二聞きたいことがありますので、そのときにお聞きするということにして、今のことに対して、漁政部長のほうの専門的な知識を御披露願いたいと思うのです。これは中小漁業者の関係も複雑にからんで出てきますし、おそらく漁業制度との関係もこれは出てくるに相違ないと思う。ですから、そこのところをこちらしろうとなんで、ひとつ懇切丁寧に焦点をぼかさないで御説明をいただきたい。
○政府委員(和田正明君) 八条の二項の一号に書いてございます「生産性の高い漁業」ということにつきまして、矢山委員からは主として遠洋漁業への転換ということを重点に御質問がございましたわけでございます。で、昨年先ほど御質問のございましたように、一部のまき網とか底びきをカツオ、マグロに転換をさせましたほかに、先ほど大臣から御答弁もございましたように、たとえば北海道の底びきの漁業を北洋の底びきに転換をさせるというような対策もとりましたし、それから最近の遠洋の底魚の開発等の検討をいたしまして、でき得ればさらに底びき関係を沿岸から間引きするような転換というものを、逐次資源的な調査ができ次第考えたいと思っておりますが、そういう、特に遠洋への転換ばかりではなくて、沿岸漁業そのものの中と申しますか、こく近いところでも生産性を高めるための対策というのは、その地域地域の特徴に応じまして、ある程度のことはそれぞれの計画の中に、現在進めております五件の計画の中にも織り込んであるわけでございます。たとえば、日本海の漁場調査で大和堆という新漁場の発見をいたしまして、そこに日本海沿岸の底びきをそちらのほうに操業地域を移しまして、沿岸の漁場が沿岸漁民のために利用しやすいようにいたしまするとか、あるいは無動力の漁船改造をして、ミトン程度の動力漁船の漁船漁業に転換させますとか、あるいは養殖業について申し上げますれば、非常に小規模な生けす式の漁業を築堤をいたしました大きな養殖に転換をさせまするとか、さらに、たとえばノリについて申し上げますれば、一漁家当たりの経営面積を拡大をいたしまするとか、それぞれの地帯々々の特色に応じまして問題を処理をいたしまして、少なくとも現在よりはより生産性の高い漁場、したがって、所得の高い漁業に転換させていくということを、その地帯々々の条件に対応しつつ構造改善事業計画の中で処理をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○矢山有作君 私はまあ遠洋マグロ漁業と言ったんで、それだけを対象にこちらが議論しておるようにおとりになったかもしれませんが、実際に漁業転換が可能なものとしてはそのくらいしかないのじゃないか、こういうふうに承知しておりますので、しかもその転換が容易でないという一つの例を引いて申し上げたわけなんです。今おっしゃったように、いろいろな方法はあると思います。しかし、それらにしても、先ほど言いましたような漁業制度の中でそう簡単に片がつく問題じゃないだろうと思うのです。したがって、漁業転換をうたわれた以上は、やはりこれは一つの構造改善の中の重要な柱になるはずだろうと思いますので、そういう点を具体的に実施される場合に、やはり効果のある政策というものを掲げてもらわなければならぬと思うのです。漁業制度の問題に立ち入ってまで議論をしたいわけですけれども、そこまでいきますと、またこれは私の時間がどんどん過ぎてしまうので、そこまでは深入りをしませんけれども、そういう矛盾というのは、あなたのほうがよく御存じなはずなんです。だから、そういう矛盾をどう解決していくかということを私は尋ねておるのですからね。その問題に焦点を置いて、やはり今後もお考え願わなければならぬと思うのです。ただ、ここの答弁だけで、こちらの質問に対して突っ込まれなければ、それでいいのだということじゃ済まぬはずです。その点は今後十分注意していただきたいと思うのです。われわれのほうも、さらにできるだけこの法律というのは慎重審議したいと思っておりますので、具体的にそういった問題は、また後ほどお伺いをさせていただきたいと思っております。 それから、先ほど大臣が養殖業の問題でも出されたんですが、この養殖業の問題については、午前中に北條委員のほうから質問があったわけです。で、現在の養殖の状態なんかもいろいろ御説明を聞いたわけですが、しかし、実際問題として養殖に対する今のあり方というのには問題があるのじゃないか。たとえば、水産物の需要見通し等におきましても、この前お話を聞いたときに、なかなかむずかしいという話があった。それはもちろん全般の漁業というものをとらえての需要見通しであったからむずかしいということになったのだろうと思います。魚は単的に言うと動いておるから、なかなか生産の見込みがつかぬのじゃ、こういうような意味のお話もあったわけですがね。それはなるほどそうやって言われれば、確かに動いておるものを対象にして生産見込みを立てようというのは困難には相違ないのです。しかしながら、養殖業というものを今後実際に振興させていこうというなら、やはりこれは生産の見通しというものも立てられなければならぬだろうし、それが立ってこないというと、価格の安定という問題すら十分手が打てないのじゃないか。今の養殖業というのは全く手探りなんですね。これからどんどん養殖業が盛んになってきて、もう出荷が、出荷時期になったら一度にどっと市場に出るというようなことになるということを予想した場合には、これはもうたいへんなことになる。だから、養殖業に対してそういう面から言うても、まだ十分の対策を研究してもらわなければならぬと思うし、またこれを漁業転換の一つの大きな柱として考えられるなら、具体的にもう施策を考えられなければ、考えるどころじゃない、もうすでに養殖業というのはかなり力を入れてやっておられるようですから、そうすれば、そういう施策が並行して具体化されていなければならぬと思う。それからまた、養殖業を盛んにすれば、必ずえさの問題が出てくる。えさの問題についての研究にしたところで、実際十分にできておるかおらぬのか。昨年私は委員会のほうの視察で、ここにお見えになっておりますが、山崎先生や木島先生あたりと一緒に山口や島根のほうへ行って、養殖漁場も見て、話も聞いたんですが、えさの問題というのはかなり悩んでおるようですね。それから、魚に病気も出るという問題もある。そういう点の研究というものもまだまだ十分進んでおらぬのじゃないか。そういう点も、むしろそれが先行するくらいに進んで、初めて養殖業というものに自信をもって取り組んでいけるということになるのだし、何ぼ後退した考え方を持つにしても、養殖に重点を置いていかれるというなら、それと歩調を合わして今指摘しましたような点についての研究が行なわれ、具体策が出てこなければならぬと思うのです。そこで、今までどういうふうな対策が立てられておるのか。さらに今後の方針、そういったものをひとつお伺いをしたいと思います。
○政府委員(和田正明君) 養殖業につきましては、非常に近年発達をいたして参りましたわけでございますが、まず第一に、その需給の見通しというようなことにつきましては、一応ハマチ、車エビ、ノリとか、カキとかいいますようなおもなものにつきましては、現在の面積あるいは新規に開発し得ます面積、または汚水あるいは埋立て等で喪失をいたしました面積等を勘案いたしましたり、それから養殖以外に、天然に他の漁港でとれます漁獲高等の推計をいたしましたりして、それぞれ大まかな見当のようなものは立てながら、全体の指導の指針にはいたしておりまするけれども、先般来申し上げておりますように、いろいろの点がまだ不十分でございますので、このような推計自身にも、なお検討の余地はあると思いますので、そういう長期的な生産の見通し、あるいは需要の見通し等を確立をいたしますための研究、そういう点につきましても十分今後検討をいたして参りたいというふうに思います。それからまた、えさの問題につきましては、これは御指摘のとおり、実は水産研究所等で、ごく近年になりましてそういう人工の餌料の研究等を開始いたしましたばかりでございまして、おっしゃるように順序が逆だと言われれば、そういう面もあると思いますが、そういうおくれた面につきましては、今後一そう努力をして参りたいと思います。
○矢山有作君 今の御答弁を伺っておりますと、さしずめ一応漁業転換として大きな柱を立ててうたいはしたが、養殖業一つにしても具体的なものは確固として確立しておらぬというふうに私には大体思えるのですが、しかしこれはやはり養殖業をやらしていく上には非常に重大な問題だと思います。かつて農林省が酪農の振興を猛烈に叫んで牛を飼わした。ところが牛はふえていくわ、飼料対策は不十分だ、価格対策は不十分だということで、いろいろの題問が起こっておるということは、もう大臣が一番よく御存じのはずです。そういうことでは手おくれなんです。だから早くこういった一つの重点的施策として取り上げられておるものは、少なくとも具体的な対策を立てて、安心して養殖業と取り組めるのだという形をとりませんと、沿岸漁民の影響だとか何とか言っても、これはから念仏になるのです。そういうことを意地悪く考えれば、午前中に話が出たのですが、これはもう零細漁民の切り捨てだろう、こういうことになるのじゃないかと勘ぐられても仕方がないのです。もしこの沿振法が零細漁民、沿岸漁民の切り捨てでないというのなら、切り捨てでないように、いま立てられておる漁業転換も一つの例ですが、問題にしてもやはり具体策は出てこない。そういう点をやはりもう少し真剣に考えてもらわなければいけない、こういうことを申し上げて、おそらくこれ以上聞いてみたところで、具体策はないでしょうから、まあ早急にひとつ具体策を立ててもらうということですね。これは構造改善事業が今後十年間も続きますから、しょっちゅう委員会でお聞きすることもあるので、早急に具体策を立ててもらわんと、何べんでも委員会で問題になります。そういうことです。
○国務大臣(重政誠之君) 零細漁民の切り捨てじゃないかということは、少しこれはいかがなものですかな。これはお読みになればわかりますように、具体策と言われましても、これは各海域海域での構造改善の事業の計画を立てて、ここではハマチの養殖をやる、ここではエビの養殖をやるとかというように、その海域々々で養殖には適当の場所がなければならぬ。そういうものを具体的にその海域できめて計画を立ててきて、初めて具体的になるわけであります。 さらには、きょはお話には出ませんでしたが、何をおいても第一は魚礁等を作ってそこに魚族の繁殖をする施設をやる、そうしてまたこれをむやみにさらっていかれたのではいかぬから、そこでその漁法等についても考えるとか、いろいろのものを総合的に振興計画は立てなければ私は具体的なことにはならぬと思うのです。でありますから、矢山さんの御意図はよくわかるのですが、これにはひとつしばらくのやはり実施上の猶予を与えていただかないと、こちらで一つの青写真を持って全国に共通したことをやるというわけにはこれは参らない性質のものでありますから、その辺のところは御如才もありますまいが、ひとつ穏やかでないような言葉は使わぬようにしていただきたいと思います。
○矢山有作君 これは私が穏やかでない言葉を使ったのじゃないので、すでに使った人があるのです。私もこの法律を読んでみて、なるほどこれはこれがこのまま施行になって、しかも先日来質疑を繰り返しておる中で、何もこれは具体的なものは出てこぬじゃないか。それから先ほども質問の中に出たのですが、じゃこの法律が施行されて一体予算で画期的なものが出るのかといったら、これもまた出そうもない。農業基本法のときだって、あれだけ大騒ぎをして農業基本法を通したけれども、格別画期的な農林予算が増額したという話も聞かないので、そういうあれやこれや考え合わしてみると、これは今大臣がおっしゃったような具体策がほんとうに真剣に取り組まれて出てくるなら、それは沿岸漁民の切り捨てにはならぬかもしれませんが、しかしながらこれが農業基本法の審議のときと同じように、幾らおっしゃってもただ口先でここで説明にとどまるくらいなことでおっしゃるのでしたら、これは好むと好まざるとにかかわらず沿岸漁民の切り捨てにならざるを得ない、こういうことなんです。ですからその辺は私は大臣の今の御答弁を信頼します。それは信頼しますから、あなたもひとつ水産庁の皆さんに、わしはこう言っておるのだから、このわしの言ったことがらをになってはたいへんなことになるから、沿岸漁民の切り捨てにならぬように具体的な転換策についても考えろ、と言ってぜひ強力な御指示を願いたいのです。その経過を私どもは今後やはり見守っていて、その中で議論していく、そのときに初めて沿岸漁民の切り捨てであったかどうかということがはっきりするわけです。だから今私が言いましたように、切り捨てにならぬようにくれぐれも御注意を願いたいと思うのです。 それから次の質問に移りますが、先ほど話の中に出ました養殖業の問題にいたしましても、これはやはり海域をどこが適当なのかどうかということで選ばなければならぬという問題が出てくるわけです。ところが、この問題については午前中北條委員がちょっと触れられたのですが、いわゆる最近の状態から非常に水質汚濁の問題あるいは埋立ての問題等が表面に出てきまして、だんだん沿岸漁場が狭められていくという傾向が見えておるわけですね。たとえば、埋立てによる漁場喪失の状況を見ますと、これは私がいただいた資料で見たのですが、三十二年には四千四百三十六ヘクタール、これが埋立てによってつぶれているわけですね。ところが、それが三十六年には倍以上になっているのです。九千三百九十ヘクタール、今後の見込みだろうと思うのですが、未完了地区の面積としてあげられておるものを合わせると四万四千三百十五ヘクタールですか、それくらい漁場が喪失していっていくわけですね。それから水質汚濁の統計も出ておりますが、これによる被害も件数が年々ふえていっているわけです。三十五年の数字しか資料の中にはありませんが六百七十九件、こういう数字が出ているわけですね。ところが、こういう傾向は私はいわゆる政府のとっておられる高度経済成長のもとで、日本経済がどんどん伸びていくに従って、これはもうますます激しくなってくると思うのですね。そうすると、こういう傾向に対して一体どうして沿岸漁場を確保していくかというむずかしい問題が起こってくるわけですよ。これは片づけるというのは、とてもじゃないが、そう簡単にこれはできる問題じゃありません。たとえば水質の問題で、午前中に屎尿の話が出たんです。ところが水質関係の問題を一つ取り上げてみても、漁業関係では水産資源保護法ですか、それがあるわけですね。それからまた、ほかの産業に関係する制度としては公共用水域の水質の保全に関する法律ですか、それから工場廃水等の規制に関する法律、こういうようなのがある。さらに農業にわたる部面では、農薬取締法がこの問改正になって非常に強化された。こういうように、水質保全をはかるためのいろいろな法律制度というものが出て来ておるわけですね。ところが、はたしてこれが効果的に運用されて水質保全をやるのに役立っておるのかどうかということになると、これは私は問題があると思うのです。午前中に尿屎放棄の話が出ましたが、それすらなかなか今きめられておる規制が守れない状態である。そうなってくると、これはもう口で言うほど簡単な問題ではないのです。しかも所管が、これはもうあっちこっちの省に関係してくるでしょう。厚生省にも関係してくるし、おそらく建設省にも関係してくるだろうし。それでその管轄がそれぞれ分かれているわけですね。そこで一体どうしてこの水質保全の問題を解決していくのか。これはとてもじゃないが、容易な問題じゃありません。これはむしろ私は厚生大臣なり通産大臣なりあるいは建設大臣なり、そういう方に来ていただいて、農林大臣と一緒にお話をしていただくのが一番いいと思う。ですが、きょうはそのほかの大臣の方には来ていただいておりませんので、農林省としてこの問題一体どう考えて今後処理していくのか、これをひとつ伺いたいのです。特に経済成長の問題と沿岸漁民の保護のための沿岸漁場確保という問題とは、非常な微妙な関係になっている。その点のひとつ御見解を伺いたいのです。
○国務大臣(重政誠之君) これは日本全体の経済が発展、成長をしていくにつれまして、今の御指摘のとおりに埋立て等が起こるということは、私はこれはやむを得ない事実であると思うのであります。それがために沿岸の漁場が狭められていく、これも事実であるわけであります。これは日本全体の経済の発展のためにやむを得ないと私は考えるのであります。そういう際におきまして、沿岸漁民に対して損害が、悪影響の及ばない、あるいは補償の制度によってやるとか、あるいは埋立ての場合に、そこに工場を設けた場合に、漁民を優先的にそこに使うとか、いろいろなそういう指導と相待ってこの沿岸漁民に非常な損害が及ばないようなことを努めなければならぬと、こう私は考えておるのでございます。 それから水質汚濁の問題でありますが、これもおっしゃるとおり、それぞれの各省の所管になっております。で、必ずしもその運用が現実問題としては十分ではないと私も思っておりますが、これは私どもできるだけ努力をいたしまして、その運用の適正を期するということでいかざるを得ぬ、こういうふうに考えております。
○矢山有作君 まあ、あまり水質保全の問題についても具体的に自信の持たれるような御答弁でもないようですが、経済成長の中で、そういうふうに漁場が狭まっていくのはやむを得ぬとおっしゃるのですが、そういう考え方を前提とされるなら、先ほど私が言いましたように漁業転換の柱としておられる養殖業への転換だって容易でない。こういうことになるわけです。それからさらにもう一つ対外的な日本漁業に対する規制が強まってきている。その問題について先ほど大臣に申し上げたのは、私は全米熱帯マグロ委員会の問題だけを例に上げて申し上げたのですが、対外的な面から考えた日本漁業に対する国際規制というのは。それだけじゃないのですね。御承知のように大陸だなの条約もあれば、あるいはまた日ソ条約もある。あるいは日米加の漁業条約もある。あるいは捕鯨条約にしたって、だんだん捕鯨についても制限がついてきよる。こういう問題を全部あわせて考えなければならぬ。さらに漁業及び公海の生物資源の保存に関する条約、こういうようなものもできている。そうなると、これは対外的な規制が日本漁業に対してどんどん及んでくるわ、対内的にはそういう経済発展につれてそういう漁場は狭まってくるわ、そういうきびしい情勢の中にあるわけですから、そうすると、繰り返すようですが、漁業の転換というのは容易でないのです、これは。したがって私はこの法律の効果がどこまで上がるか。沿岸漁民の生活をよくするためにどれだけの効果があるのか、具体的に。そのことを私は疑わざるを得ないということを言うているわけです。同時に水質汚濁の問題については、これは何とかひとつ各省問で連絡をして、早く水質基準等でもきめて解決をはかるということに努められぬと、今のままの状態で放置されたら、これは私は今までのずっと政治の状況をながめておって、農林水産漁業は押しやられるだけですよ、これは。そのほかの経済の力のほうが強いですよ、農林水産漁業関係よりも。だからそこらに何らかの規制措置を早く考えなけりゃいかぬと思うのですが、そういう点について大臣のほうで早急に各省と連絡をして、そうして具体的に水質保全をはかっていくような方法をお考えになる意思はありませんか。
○国務大臣(重政誠之君) これはなかなかむずかしい問題でございますが、しかし十分各省と連絡して、適正に現行法律が適用することができるようにはからなければならぬと私は考えております。それから今の各国が日本漁業に対して制限をするというふうな見方で見ておられますが、そういう見方もあるわけでありますが、これは日本の漁業の発展の歴史から考えてみますと、日本の漁業が世界一の漁業として発展をして参って、そこで各国と接触をするようになったのであります。でありますから、そこに各国との間に資源の保護と公海を平等に利用するという、いわゆる公海自由の原則によっての公海利用をどうするかというような問題で、各国との間に協定をしなければならぬというようなことになるのは、当然のこれは帰趨であると私は心得ておるわけであります。でありますから、それだけつまり日本の漁業というものが世界的になっておるということであることを、ひとつ御認識をいただかなければならぬと思うわけであります。
○矢山有作君 いや、その認識はしておるのです。だから火曜日の質問ではそのことは申し上げてある。ところがそういう発展の過程をたどった中で日本漁業に対するいろいろな問題から強い国際的な規制ができてきた。こういうことを言っておるわけですよ。それでしかも最近に出た朝日ジャーナルを私読んでおってちょっと見たのですが、水産庁の長官は、この国際的ないわゆる国際漁業の日本漁業に対する制約のきびしさというものを身をもって感じておいでになるような発言をしておいでになる記事があります。やはり水産庁の長官はさすがに御商売柄、大胆よりも国際漁業に対する認識は深いです。したがって国際漁業の問題をそう簡単にお考えになっておると、私は大きなそごが起こるんじゃないかと思うのです。特に私がおそれておりますのは、大陸だなの条約、さらに漁業及び公海生物資源の保存に関する条約、こういったものは、すでに大陸だなの条約のほうは十カ国ぐらい批准になっておるのですか、それからもう一つの漁業及び公海の生物資源の保存に関する条約は、十九カ国ぐらいが批准しておるというのですね。これはどっちも二十二カ国が批准すれば効力を発するわけです。もうこの批准もそう先のことじゃないと思うのです。そういうようなことになったら、それは日本の漁業に対する国際規制というものはかなりなものだと思うのです。だからそんなに楽観論でおられますと、そう外に今までのようにどんどんどんどん伸びていってしまって、国が施策を講じて沿岸漁民なり零細漁民をそのほうに転換させるということも、これは容易なことじゃありませんよ。これはやはり現実の状態というものを的確に認識をしていただいて、具体的な政策を立てていただかなければならぬと思うのです。 この問題については、水産庁にはたくさんの専門家の方がおられるのですから、大臣にもよく実情をお話して、いわゆる積極的な施策を立てるようになさらぬと、今の御答弁のように大臣が楽観をしておられますと、あなた方のほうでも具体的な施策が立てにくいと思う。そうでしょう、漁政部長。
○国務大臣(重政誠之君) これは答弁を要しないようですけれども、私は決して楽観しておるんじゃないのです。楽観しておるんじゃないのですが、見方が一方的だけで見られないようにしてもらいたいということだけ言うておるわけです。決してそう楽観するような事態でないことはよくわかっております。
○矢山有作君 まあ、なごやかな気持で私も質問をしておりますが、これは零細沿岸漁民にとってはなみたいていの問題じゃないのです。私は何も国際漁業一つを取り上げても一面的な見方だけをしておるわけじゃありません。それは政府はそれなりに漁場開発等についても、多少努力しておられることはわかります。わかりますけれども、今のような姿勢でこのむずかしい漁業転換の問題が片づくと思われたら、大間違いなんで、その点は再三再四くどいようですが、申し上げておきますので、ぜひ一年なりあるいは二年先にわれわれがこの問題でお尋ねしたときには、もっと自信を持って具体的な御答弁のできるようにひとつ準備をしていただきたいと思うのです。 で、この問題でいつまでも時間をつぶすわけにも参りませんので、次に、そろそろ私の質問も終わりにしますが、沿岸漁業等振興審議会というのを今度総理府に設置するというように衆議院で修正がされております。これは私どもも政府原案のように、中央漁業調整審議会をこの沿振法と合わせて使うということには反対であったので、沿振法の立場からこの審議会が設けられたということは、私どもはもちろん賛成なんです。だからわれわれのほうから言ってこれは修正を願ったわけなんです。ところが問題は、この沿岸漁業等振興審議会というのは、この沿振法の将来の運用に対して非常に大きな私は比重を持ってくると思う。この審議会の運営の仕方いかんによって、沿振法が多少でも生かされてくるか、でなかったら先ほど私が、ちいっときつい言葉だとおっしゃいましたが、零細漁民の切り捨てになるか、その分かれ目にもつながってくるような大きな仕事をする審議会になるだろうと思うし、そうなってほしいわけです。そういう点から、この審議会の今後の人選というものは、格別これは慎重にやっていただきたい。特に沿岸あるいは零細漁民の意思が十分に審議会の中に盛り込まれるような構成をとるような私は人選が行なわれなければならぬ、こういうふうに思われますし、さらにこの審議会の活動というものを十二分にやらせるためには、これは当然その事務局の機構についてもお考えを願わなければ、審議会だけ作りっぱなしにしておいたのでは、この活動の万全を期することはできぬと思うのですが、これについては、おそらく私は具体的な構想がおありだと思うのです。これはきわめて具体的な問題なんです。ひとつ構想がありましたらお聞かせ願いたいと思う。
○国務大臣(重政誠之君) これはおっしゃるとおりひとつ慎重な取り扱いをいたしたいと考えております。ただ漁業者だけでなしに、各方面にわたって関係方面の専門家なり、あるいは経験の深い人というようなものを委員に選定をいたしたい、こう考えております。
○矢山有作君 それではこれはだめ押しになりますが、人選については沿岸零細漁民を十分代表できるような人選をひとつ考える。もちろん、そのほかにも学識経験者等が入るのはもちろんなんですから。それが一つと。それからもう一つは、その活動の万全を期するために、事務局体制を整備する、こういうことはお約束できますか。
○国務大臣(重政誠之君) むろん、沿岸漁民を代表すると申しますか、これは言葉が代表するというと選挙でもやるように考えられると困りますけれども、十分その意思を反映するような者を委員に入れることは、当然のことであると思っております。事務局の機構でありますが、これは今のところでは、やはり水産庁におきましての事務機構の中で考えるというふうに考えておりますが、別に新たに事務局を作るということまでは、現在のところでは考えておりません。
○矢山有作君 この重要な役割を果たすであろうと考えられる審議会の活動の万全を期するためには、私は独自の事務局機構というものを考えるべきだと思う。考え方がですね。なぜかといいますと、先日来の質疑の中で、私は水産庁の機構なり構成というのが、非常に弱体だということを痛感したわけです。それだけに現在の水産庁の中でこの事務局機構までも考えていこうということになりますと、これは容易なことじゃない。じゃあ、どういうふうに弱体なのか、あるいは機構が不十分なのか、お前はどういうふうに考えるのかということになれば、私が今までの質疑の中で感じたことは申し上げますけれども、私はそういうふうに考えるので、やはり事務局の機構整備というものは水産庁の中でまかなうということでなしにひとつ考えてほしいのですがね。即答できぬ問題なら、これは御検討願いたいです。どうですか。
○国務大臣(重政誠之君) よく検討いたします。
○矢山有作君 私は水産庁の機構なりその他が非常に不十分じゃないかということを痛感しましたのは、たとえば最初の日にお伺いをした国際的な日本の漁業に対する規制が強まってくる中で、わが国の国際漁業の基本方針というものをどう立てるのかという問題に関連して資源調査の問題やその他低開発国の漁業開発の問題、こういったものをまとめてお伺いしたわけです。ところが、海洋資源の調査一つにしたところで、なかなか今の機構で十分できるような体制にないとうかがえるのです。そういうふうなことをうかがわれるような抽象的な御答弁であった。抽象的な答弁にしかならぬということは、やはりそれだけの具体性を持っただけのものを得るところに至っておらぬということにもなるわけなんです、裏返しにすれば。そういうことがありますし、それからたとえばごく具体的に申し上げますと、統計があるのですね。統計の問題で先日お伺いしたときに、私はこの問題ではそれ以上つき進まなんだですが、たとえば三十六年度の生産量と金額、それから所得倍増計画による四十五年の生産量と金額、この問題を取り上げてお尋ねしたときに、大臣、こういうことをおっしゃたのです。所得倍増計画による四十五年の金額の推計は、これは三十三年を基準にして出しておると、こうおっしゃったわけです。どうしてこの問題をあげたかといいますと、大体四十五年には漁獲高が現在より百万トン以上ふえるのです。ところが、金額にして五百億円下がっているのですね。低い金額が出ておる。このこと一つを取り上げてみても、三十三年を基準にして、そうして四十五年を推計をする資料しか、この資料として出せないというのは、これはなるほど所得倍増計画によったんですといえばそれまでの話です。しかし少なくとも生産の見通しを立てるのに、委員会に提出していただく資料としては、これはすこぶる私は誠意が認められぬと思う。政府は消費物価の値上がりがどういうふうになるという推計すら一生懸命やっているのでしょう。その推計見込みというのはしょっちゅう間違っていますけれどもね、間違っておるけれども、少なくともそういうふうに統計を出して見込みを立てられておるわけです、時々刻々に。そうすれば、所得倍増計画の数字をそのまま並べて、これは金額がこういうふうに相違ができたんですというのでは、委員会に出される資料としては私は誠意がないと思う。またそれだけに、資料すら整備できないというのは、やはり機構上の問題だというのです。だから、私はもっともっと機構の充実というものは考えなければいけぬと。それからもう一つは、先ほど来やかましゅう申し上げておる国際漁業の問題なんですね、この水産庁において国際漁業を扱う比重というのは、私は非常に大きいと思うのです。各種の条約がどんどんできてくる。各国との対外交渉の場面がふえる。そういう中にあってこの間、次長制が廃止になった。それならこの外交問題担当の専門の参事官制度でもあるかといったら、これもない。そういう状態で今後複雑化していく国際漁業に対処することができるのか。これも一つの大きな問題なんですよ。それで国際会議だといえば長官が出て行く、生産部長が出て行く、漁政部長がおらなくなる、だれかが一人残っておってやっておると、こういう形でしょう。それじゃ、これはもう国際面に力を入れれば、国内水産行政が手薄になるし、これはあたりまえの話だと思うのです。そういう面でもやはり漁業問題というのは、特に沿岸零細漁民の問題を中心にして非常に重要な段階に来ておるのですから、そういう点から考えたら、私はこの際機構の問題を真剣に取り上げて考えられませんと、これは沿振法は作っても作りっぱなしということになるおそれがあると、こういうふうに思うのです。そこで機構の充実整備ということについて、私は少なくとも大臣がおいでのときに、その構想くらいはひとつ出していただいて、それをおみやげにしていただいて、さらに大臣になるなら、その構想を生かしてやっていただきたいと、こう思うのですが、どうでしょう。
○国務大臣(重政誠之君) 機構の充実、整備をはかりますことは、これはやらなければならぬ問題であります。でありますが、国際漁業問題はだんだんに各国ともそうでありますし、みんな専門化して参っておるわけでありますので、できるだけ私もそういう行き方でいかなければいかぬ、こう考えてやっておるわけでありますが、今御指摘になりました点も、もっともな点ももちろんあるわけでありますが、しかし、外国に行くといっても一年じゅう行っておるわけじゃなく、二週間か三週間ほどのことですから、まあそういうことはがまんするところはひとつがまんして私どももやっておるわけなんです。おっしゃることはよくわかります。わかりますから、十分にその機構整備充実の問題はひとつ考えることにいたします。
○矢山有作君 私の申し上げたのは、もっとものところもあるどころじゃない、まるでもっとものところだと思う。おそらく水産庁で真剣に水産行政の振興を考えている人たちに言わしたら、私はそのとおりだとおっしゃると思う。それでなければ水産行政と真剣に取り組んでいないということになると思うのです。だからこれは私は真剣に考えていただきたいと思う。特に先ほど大臣がおっしゃったように、国際漁業の問題は非常に専門化してくるわけです。専門化してくればくるだけに、やはりこれを担当していく人間というものは専門的な知識を持たざるを得なくなってくるのです。それが今のように、幹部が一年や二年であっちにかわったり、こっちにかわったりでは、これは専門化の状態に対応することはできません。まあ、こういう問題は私どもがこれ以上突っ込んでとやかく申し上げる問題じゃないと思いますので、実情を御認識になっておるのでしたら、その認識を生かしていただくようにぜひお願いをしたいと思います。 それから最後に、私の質問はこれで終わりますが、お伺いしたいのは、私はこの沿振法というものを読んで見れば読んで見るほど、さっぱりとらえどころのない法律である、失礼な話ですが、この法律が施行されて見たところで、はたして具体的に沿岸漁民や零細漁民にどういう恩恵があるのかということは、私はわからなくなってきたのです。それはなぜかといいますと、この沿振法の対象には、大資本漁業というものが除外されておるわけです。ところが現在の日本の漁業の状態から、あるいは価格安定をはかるにしても、あるいは流通の問題を一つ取り上げて見ても、その大資本漁業というものを除外しておいて沿岸漁業あるいは中小漁業だけを対象にして、はたして政策効果が上がってくるのかこぬのか。これは私は率直にあなたが御答弁になれば、それは自信がないとおっしゃると思う。おそらくこれはできませんよ、絶対に。私はこの法律の一番の問題点はそこだと思う。しかも御説明によると、大資本漁業というものは資本金二十億以上を考えておるのですね。こんな考え方というものはほかにはありません。普通一般に考えられている中小企業の範疇というものは、たしか資本金三千万円ぐらいだったと思う。今の中小企業基本法等で問題になっておる中小企業というのはね。そうすると、これはとてつもない話なんですね。そういう要素をまじえながら、しかも大資本漁業を除外して考えられておる法案なんです。そこに私は最大の問題があると思うし、その問題が解決されない限り、この沿振法は基本法的な性格を持っておるとおっしゃるけれども、その政策効果は何も私は期待できぬと思うのです。この点は、この問も大臣も、それは君とわしの見解の相違だといって片づけられたのですが、私は具体的に言って、そういうことで片づく問題じゃないと思います。したがって、この点については私どもはやはり漁業というものは、漁業全体としてとらえての国の基本施策を打ち出すという方向に法律を作るという将来の考え方でなかったならば、これはどうにもならないことになる、こういうふうに私どもは考えておるわけです。それで将来私はより進んだ漁業総体としてとらえての漁業基本法というものを作られる御意思があるのかどうか。そのことを一つ最後にお尋ねをしたいと思います。それと、この沿振法を作られる経過というのは、私は答申の立場をそのまま踏襲しておられると思うのです。というのは、答申にこういう文句があるのです。構造政策の方向と問題点というような題で書かれておるのですが、ほかのところは読みませんから、問題のところだけ読みますと、生産性の高い企業の発展を阻害するような条件を持ち込むことのないように留意する必要がある、今後のいわゆ漁業政策というものを考える場合に、そういうふうにしろ、こういう答申が出ておるのですね。この答申をそのまま受けている。だから、そこにこの沿振法の根本的な欠陥があるわけです。だから、私は将来の方向として、繰り返しますが、漁業の総体をとらえての基本法を作られる意思があるかどうか、そのことをお尋ねしたい。
○国務大臣(重政誠之君) これはもうすでに冒頭においても御質問がありまして、私はお答えをいたしたと思うのでありますが、私は沿振法だけで漁業政策を実行しようとは思っておらないのです。いわゆる漁業基本法というふうに考えるならば、これは漁業法あるいは組織法あるいは沿振法というこの三つを一緒にしなければ、これは漁業の基本法ということにはならないと思う。でありますから、やはりこの三つの運用をうまくやっていくところに、漁業の政策の推進、実現があると私は心得ておるのであります。これは沿岸についてでありますから、そういうふうに御理解をいただきたいということを申し上げたわけであります。 それから、価格政策にしても何にしても、これだけではとうていいくまいとおっしゃるわけでありますが、これはやはりものによりまして、非常に大資本漁業というようなものは、魚種によって、大体あるいは鯨であるとか、サケ、マスであるとか、あるいはマグロというようなふうに、遠洋漁業のものは魚種がきまっておるわけであります。沖合漁業なり、あるいは沿岸漁業のものと、多くはそう衝突しないものがあると思うのでありますが、これも厳格にいえばそうもいきませんけれども、大体のめどはそういうことになると思うわけです。でありますから、やはりサンマの価格安定政策をやる場合におきましても、大資本漁業というものはあまり考えずにやれるということにもなりますので、そう一がいに、全部を一緒にしなければいけないとまでも言い切れないところもあるんじゃないかと思うのですが、とにかく、要するに、この沿振法だけで漁業基本法ということにしようということは、私はちょっとむずかしいと思うのです。この三本が一緒になって初めて漁業の基本法というか、基本的なものになっていくのではないかと私は考えておる。しからば、将来それらを一緒にする意図はないか、こういう御質問でありますが、私はこれはやってみまして、どうも工合が悪いということになるならば、これは一本にすることにやぶさかではないと思っております。
○矢山有作君 それではしかし大臣、この問の答弁をお繰り返しになったわけですが、なるほどそうはいえるのです。ところが、個々の政府の今までやってきた政策、たとえば農業の政策なら農業政策一つとらえてみても、総合的な施策ができてくれば実際問題としていいのです。総合的な手が打たれているようなら、もっともっと政策の効果が上がるところがあります。お互いのそれぞれの施策の中に有機的な関連がなしに、各個ばらばらに行なわれているのが現実なんです。だから、その総合的な施策、あなたがやるとおっしゃる総合的な施策をやるための足がかりにするために、漁業全般をとらえての漁業基本法というものを打ち出して、それを足がかりに施策を展開されることのほうがより合理的である、こういうことを私はお考えになるべきだというのです。 それからもう一つ、今例にあげられまして、たとえば価格安定だって、大資本漁業抜きにしておいたところでやれるとおっしゃいましたけれども、それは鯨なんかはそれでいいでしょう。しかし、カツオ、マグロなんかの場合は、実態を御承知になっているでしょう。私の統計資料をもらっているのでも、大資本漁業も入っておれば中小企業も一緒に入っているようです。しかも、また、その他の魚種にしたところで、とってきて揚げるところは、みんな一つの場所なんです。それを全体としてとらえていく態度がなしに、個々にとらえていって、沿岸漁業等に関係するものだけをとらえて魚価安定をやろうといっても、それは無理な話なんです。だから私はそのことを言っている。それだから全般をとらえられるような法律を作らなければいかぬ。もしその法律が作られないとするならば、あなたがおっしゃったように、その施策を具体的に講ずる場合に、大資本漁業のものも含めてやっていくのだということにはっきりおっしゃるなら、それもまた一つの方法かもしれません。しかし、われわれは漁業基本法が必要であるという態度は捨てません。だから今後もしあなたがおっしゃるように、基本法を作らない、漁業全般としてとらえる基本法を作らないとおっしゃるなら、この沿振法の運用によって、大資本の漁業もこの対象にとらえて規制しますということを、はっきりおっしゃっていただきたい。
○国務大臣(重政誠之君) 大資本漁業の規制は漁業法でやっているわけであります。でありますから、この沿振法でこれを規制するというわけに私は参らぬと思います。それから今マグロの話が出ましたけれども、マグロの値段はそういっちゃあれでありますが、現在のところマグロの値段を安定させなければならぬというような事態では実はないのです。御承知のとおり、これは輸出のものでありまして、ただ問題は、魚価安定をしなければならぬ対象になるのは、やはり何といっても大衆魚であるわけであります。高級な魚については、これはあと回しでいい、そういうふうに私は考えている。そういう観点から先ほど御答弁を申し上げたわけであります。
○矢山有作君 これは幾ら議論してもすれ違いです。しかし大臣、ひとつ価格安定の問題をとらえて、今マグロの値段がどうかこうかという議論ではないのです。実際に沿振法に掲げているこの政策をやっていく場合に、価格安定ひとつとらえたって、当然大資本漁業を除外しては、実際問題としてやれますまいと言っているのです。だから、今後の法の運用において、大資本漁業も含めた考え方を、もって流通の問題、価格の問題その他ここに掲げられている問題を考えておいでにならぬと失敗しますよと申し上げているのです。
○国務大臣(重政誠之君) 御意見よくわかります。それは必要に応じては、当然おっしゃるとおりやらなければならぬと、こう考えております。
○矢山有作君 それでは私の質問は、あと同僚委員の質問がありますので、これで打ち切ります。しかし、私が指摘しましたような問題は、抽象的な指摘にすぎたところもあるかもしれませんが、少なくとも、専門家である水産庁の皆さんにはよくおわかりのはずだし、また、大臣にも多少の御理解はいただけたと思います。したがって、この沿振法の運用については、私は万全を期せられなければならないであろうと思いますし、またこれに対するわれわれれの考え方としては、また別個の考え方がありますから、これはまた、われわれとしては別個に相談をいたします。そうしてなお、将来私どもの希望としては、くどいようですが、基本法的なものを作っていただく努力を続けてほしいし、さらにあわせてこの沿振法を実施に移す場合に、早急に具体的な施策を立てて、沿岸漁民が、なるほどいい法律だといううわさを聞かされた、聞かされたが、できてみれば全くこれは仏さんにお経を読んだようなものだ、何にもなかったという失望を与えないようにぜひやってもらいたいということを申し上げて、私の質問はこれで終わらしていただきます。
○安田敏雄君 質問の前に資料をお願いしたいのですがね。どうもこの質問の、各委員の中で聞いておりますと、私、山国でしろうとですから、海のない国ですからわかりませんが、特に山国の人たちは、昔から水産物の蛋白資源については非常な何というか執着があるわけです。そういう意味から特に山である以上は海に非常に関心を持っているわけです。そこで、この大資本との関係においての水産五社ですか、これの最近三カ年間における生産高、それから生産額ですか、これは量と額、それからそのおもな漁場、それぞれの会社の。それから魚の種類、そういうものをひとつ参考にお願いしたいと思いますができますか。水産五社十社くらいまででいいですよ、お願いします、大きい順に。
○政府委員(和田正明君) 個別にですか。
○安田敏雄君 個別にわかりませんか、大体。
○政府委員(和田正明君) 統計資料が会社別というふうにはなっておりませんので、とても無理だと思います。
○安田敏雄君 それはしかし大体大きな会社の事業報告、そういうものをみれば、ちゃんと届け出してあればわからないはずはないのじゃないかな。でなければ、中小企業に対する大企業との関係というものはわからないですよね。ただ大まかに合計しただけでは、やはりそういうきめのこまかい個々の対策をやっていくには、そういうものに対するところの内容がある程度把握されなければならないと、こういうように私は思うわけです。
○政府委員(和田正明君) 資料としてできる限りでやってみます。
○安田敏雄君 そこで、今漁業基本法の問題が出ましたが、私は今度のこの沿振法を政府が提案するについては、この漁業基本法というものが優先して出てくるというふうに考えておったですよ。また期待しておったわけであります。というのは、今度のこの沿振法を見ましても、修正案を見ましても、大資本に対する調整の問題、特に中小漁業並びに沿岸漁業が圧迫されている原因というものは、その生産の面と流通の面において、大資本に圧迫されたり、あるいはその支配下に繰り入れられたりしているわけですよ。ですから、その関係を調整するためには、やはり基本法というようなものが必要ではないか、こういうように考えておった。さらにまた、遠洋漁業と沿岸漁業とのいわば関連性をどういうように持たしていくかという、そういう具体的な問題をとらえての基本法が考えられてしかるべきだと、こういうふうに期待しておったのです。たとえば今審議されている中小企業基本法にいたしましても、これは百貨店その他の大企業は、中小企業の分野には進出してはならないということを明確に規定しておる、政府案も野党案も。そういうような問題をとられましたときには、そういうような角度からいたしまして、その基本法というものは提出されてしかるべきだというふうに期待しておったわけなんです。ところが沿振法だけが提案せられて、そういう今矢山委員に大臣からお答えがあったような漁業基本法といいますか、そういうものについては今回提案されなかったということは、今までの冒頭の中でわかりますけれども、まことに遺憾であった、こういうように考えておる。したがって、この沿振法はできたけれども、一体今後大企業との間におけるいろいろ中小漁業、沿岸漁業がこうむる不利益をどのように具体的に調整していくかという、そういう点についてのひとつお気持をお聞きしたいと思うわけでございます。
○国務大臣(重政誠之君) 大体、大企業とそれから沿岸漁業というものは、まあ、大まかに申しますれば、大体漁業が違っているから、陸上における大企業と中小企業とが重なっておるというようなふうにも考えられないのであります。もちろん、中小企業の漁業というものと大企業のうちの中小に似たような漁場の錯綜しておるところは、もちろんないとはいえませんけれども、大企業の主力というものは大体遠洋でありますから、沿岸の漁場が大体違っておる。で、問題は、調整の主たる問題は、私は先ほど矢山さんが非常に詳細なる御質疑をせられました転換の問題で、そこをどういうふうに転換を調整するかという問題が、主たる問題ではないかと考えております。
○安田敏雄君 今お答えになったのは、生産の面をとらえての問題ですよ。ただ問題はその生産物です。国内へずっと流すときに、流通の問題で非常に沿岸漁業者の生産物が流通の面において大きな攻勢を受けるわけです。したがって、これらの問題が考慮されてしかるべきだということを私は申し上げておるわけです。
○国務大臣(重政誠之君) それはおっしゃるとおりであります。国内市場に持って参りまして流通機構にはまりますと、御承知のとおりに市場でこれが取り扱われることになりますから、それはもうおっしゃるとおりでありますが、これは大企業だからあるいは沿岸漁業だからというので区別をするわけには参りませんから、なるべくこれは同じようなことにして扱いたい、こういうので今考えておるわけでありますが、大企業はそれぞれ冷蔵庫を持つとか何とかという保管の設備もございます。そこで沿岸漁業につきましては、政府が助成いたしまして、生産地に冷蔵庫等を持たせて、そうして出荷の調整というようなこともさしたい。さらには大衆魚につきましては、搾油の施設もこれは合理化して、沿岸出荷の調整にもなり得るような方向に持っていきたいというのでやっておるわけであります。
○安田敏雄君 やはり流通面においての、幾ら沿岸漁業に対して冷蔵庫その他の近代化施設をいたしましても、大企業の資本進出というものは、そんなもので押え切れるわけにはいかぬですよ。ただそれは近代化されたということだけであって、相対に返ってくる収益というものは、幾らそこへ投資しても出てこない。非常に単位当たりの生産費の低い大企業が入ってくるときには、これはたいへんなことになる。ですから、そういう面における調整をどういうように具体的に考えていくかということが、私はきわめて重要な問題だと思うわけですよ。
○国務大臣(重政誠之君) ちょっと私安田さんの御質問についてはっきりのみ込めないのですが、大体沿岸漁業の魚種というものと、それから大企業の生産を上げる、漁獲をしております魚種というものは、まあ大まかに言えば違うのですよ、これは。
○安田敏雄君 そのことはわかっているんですよ。
○国務大臣(重政誠之君) ですからね、市場においての衝突ということは、そうでなしに、やっぱり沖合いの漁業でトロールをやったりなんかするそういうものだろうと思うのです、私は。ですから、そういうものは、むろん大洋漁業のトロールが下関に水揚げをせられる。これは、その他の底びきをやっておる、ほかの中小のものがやっておるのもそこへ上がってくるというので、それは先ほど私が申しましてように、これは市場的にみな上がるものでありますから、流通機構としてこの改善の面を今考えておりますと、こういうことを申し上げておる。で沿岸のほうは、今申しますように、あるいはサンマとかイワシとかというようなものは、とれ過ぎて値段が下がって困るというので、あるいは搾油の施設をやる、あるいはまた冷蔵庫の施設をやるということで、われわれとしては助成金も出し指導もいたしまして、その沿岸漁民が損しないような方法を講ずるために努力をいたしておるわけであります。
○安田敏雄君 流通面における問題が、やはり大企業と沿岸漁業者との間における所得の問題において重大な関係を来たすということは、これは考えられると思うのです。したがってこの問題につきましては、今日困難しておるのは、そういうような漁業経営が、そういう大資本のいろいろの流通面における圧迫によって困難となっているということは、これは指摘できると思うわけです。 そこでもう一つの問題としては、まあいろいろのその条件からいって、沿岸から沖合い、沖合いから遠洋というようなことになるわけですが、特にわが国の漁業の急速な発展をささえてきたものは、漁業の海外への進出というものが非常にその大きな役割をしてきたわけなんだ。ところが、最近においてはですよ、国際的な制約が、非常に、特に戦後強まってきたことは御存じのとおりです。そこで、実はこの問も私が緊急質問したわけでございますが、北太平洋の公海漁業に関する日米加漁業条約の問題ですがね。この問題について、実はこの際ですからお聞きしたいと思うわけでございますが、実は私が仄聞するところによりますというと、伊東さんきょうお帰りになるようでございますけれども、出かける前に、何かその国会のほうで決議案出してくれたほうがよかったんだ、むしろ条約に対する廃棄の決議案を出してくれたほうがかえってよかったんだということを聞いておった、出かける前に。ところが、緊急質問の形で、激励のつもりでやったわけですけれども、結局七日から米国務省で開催せられた会議の最終結論の中におきましても、共同声明を発表して、六月二十二日ですか、したわけなんです。その結果、結局九月に東京で再開するということになったらしいのです。会議が物別れになっておるわけですよね。物別れになっておるわけでございますけれども、しかし結果といたしまして、何か先方のベースの中で常に会談が行なわれたのではないかという何がするわけです。たとえばアメリカとカナダ両国においては、どうせ今の条約をこのままねばり抜いていけば、そうすれば結局そのうちにまあ日本があきらめて何か妥協案でも持ってくるじゃないかと、こういうような印象さえも受けるような工合になってきているわけだ。したがって、この問題について、一体最初国会の本会議の答弁のときには、はっきりと基本的な立場を総理もあなたもおっしゃらなかったわけですよね。相手があることですから交渉のいかんにまかせるのだということが、私に対する答弁だった。一体伊東さんが行く前について、政府としてはどういうような、その態度ですね。基本的な態度、もう今日ですからね、まあ結局会議が終わったわけですから、どういうような基本的な態度を堅持しておったのか。その点を明らかにしてもらいたいと思う。
○国務大臣(重政誠之君) これは、私も御質問に対して本会議で御答弁申し上げたとおりであります。総理も答弁申し上げましたが、同様のことを申しております。すなわち抑止原則というものはこれはやめると、これが基本的の態度であります。それは、われわれといたしましては、資源の保護と、それから公海自由の原則に従っての公海におけるその魚族の利用ということは、関係各国平等でなければならぬ。こういう立場に立って考えるというと、今の抑止原則というものは不当であるというので、あくまでもこれを改定するという方針で代表国も出かけておるわけであります。
○安田敏雄君 この条約を見ますと、条約文には明らかに十カ年間日本が不利益な立場に置かれてきたことは、政府もはっきり認めておるわけですよ。しかもこの条約を見ますというと、この条約の何条ですか、廃棄通告があるわけですね。第八条の二項に、これは非常に不利益になっておった、十年間。したがって、第八条の行為をすれば、これは明らかに無条約状態になっていますから、廃棄でき得ることになるわけですよね。そういうようなその基本的な態度を堅持していったのか、それとも何か新条約を作るなんというようなことは、この条文でいくというと、ほとんどこれは不可能のようなことなんですよね。これは新しい状態に立って、廃棄して、新しい状態に立ったときに、初めて新条約というものの相談なり準備ができるものであって、この条約面からいくというと、やはりやめようというには、非常に不利益だから何とかせにゃならぬというのは、廃棄以外にないですよ。改定もできないわけなんですよ。したがうというと、これはどうしたって向こうのベースでもって交渉せざるを得ないことになってしまう。運用その他の規則によって、何とか悪い点を補完していこうという、こういうことにならざるを得ないと思うのですね。こういう点の何かそのやはりはっきりした考え方は持ち合わせておらなかったですか、当初。
○国務大臣(重政誠之君) 先ほど申し上げましたとおり、基本的の態度というものはきめて向こうへ臨んだというわけでございまして、新条約になるか改定になるかというようなことは、これは要するに形式の問題でありまして、内容的に平等の立場に立って、そうして魚族を保護し、そしてまたこれを利用するという観点から相談をしていくという方針でやったわけであります。
○安田敏雄君 この条約に対する十カ年間の有効期間がここで切れてしまうわけです。したがって、これは通告すれば廃棄され得るわけだ。ところが今のところは宙に浮いたようなままで、その改定の一体どういう経路によって新条約を結ぶかという問題については、この条約では触れておらぬですよ、少しも。改定の要素はないわけです、この条約文から見ますというと。そういうように私は受け取っているわけです。ところが共同声明を見ますというと、日本代表は現行条約が北太平洋における三国の漁業関係の安定に寄与したことを認めつつも、こういうことが書いてある。抑止原則は日本だけ一方的に取り締まるからいけない、こういうことですよ。過去十カ年間に、日本代表が言うように、漁業関係の三国間の安定に役立ってきたかということになると非常におかしい。日本だけが不利益だという結果になってきたわけでしょう、この条約は。ですからあなたも不平等条約であるということは認めておるわけだ。その不平等条約をなぜ破棄できないかということなんです。そうして新しい時点に立って新条約を結ぶという、こういう強い態度でいけば、向こうもこのようなカナダの、かなりずるいといえばずるい立場ですよ。ああいうような態度に向こうが出られなかったのではないか、こういうふうに考えられる。
○国務大臣(重政誠之君) これを廃棄して、しこうして新たに条約を締結するのがいいのか、あるいはこれは締約国が同意をすれば改定をすることはできるのでありますから、改定の手続を条約には定めておらないけれども、締約国が同意をすれば改定をすることができることは当然なことなんだから、改定がいいかということは、よほどこれは魚の問題だけでなしにいろいろの関係がありますので、そこでこれは廃棄して無条約状態に一ぺんして、しかる後に新条約締結する、こういう方法を必ずしもとらないわけであります。
○安田敏雄君 これは見解の相違ですからこの程度にしておきますが、さっき私の八条二項というのは十一条二項に、廃棄通告のやつは訂正しておいて下さい。
○矢山有作君 農林大臣、あなたの御答弁ですが、少なくとも国際会議に臨む場合には、相手国の情勢というのはおそらく私はつかんで臨まれるだろうと思う。めくらめっぽうに国際会議の場に出ていく者はおらぬでしょう。そうすれば今までわれわれが新聞報道その他で聞いておるところだけによっても、アメリカにしてもカナダにしても抑止原則撤廃の意思は全然ない。それどころじゃない。アメリカやカナダの沿岸漁民は、政府にものすごい圧力をかけておるのだ、こういうことをずっと聞き続けてきておるわけですよ。そうすればこれは外務省にも関連してくるでしょうが、その会議に臨まれる場合に、どういう見通しを持って臨まれたのか。あれだけの新聞に報ぜられるような激しい抑止原則撤廃反対の空気の中で、なおかつこちらの主張が通ると思って臨まれたのかどうか。そこらが私は基本的な問題になると思うのです。どうお考えになって臨まれたのですか。
○国務大臣(重政誠之君) よほどむずかしいということは、むろん考えて臨んだわけです。臨んだわけですが、しかし一面におきましては、今のお話しのように、アメリカでもカナダでも政治問題になっている。日本でもそうである。だから、なかなかこれが経済問題だけなら、そろばんはじいていけば、それで割り合い話はおさまるところへおさまるのでありますが、政治問題になっているだけに、これはなかなかむずかしい。こういうふうに私は判断をいたしております。けれども、言うことは言わなければいかん、やることはやらなければいかんというので、全力をあげて代表団は交渉に当たったわけであります。
○矢山有作君 ところがその交渉の経過が、いろいろ報道されているところによると、もう最初から、その改定という日本の立場は貫かれないという見通しが、はっきり立ったわけです。しかもその見通しどおりに、会議は結論を見ないままに終わったわけです。その段階で、なおかつ今後改定交渉が私は成功するとは考えられん、常識として。大体、政府の対米外交というのは弱腰です。私はこの日米加の漁業条約の場合には、日本にとっては非常に有利に適用できる条項がちゃんときめられている。第十一条の二項に、読んでみますと、「この条約は、批准書の交換の日に効力を生ずる。この条約は、十年間効力を存続し、その後は、一締約国が他の締約国にこの条約を終了させる意思を通告する日から一年間効力を存続する。この条約は、それによってすべての締約国について終了する。」こうなっています。この条項を適用すれば、非常に有利に折衝を進められる場面が展開されるわけだ。それを、対米外交に弱腰をとり続けているから、内こうの顔色を見ながら改定交渉じゃ改定交渉じゃといって、あげくの果ては、会議は結論を見ないままに引き延ばされているわけです。そういう弱腰じゃだめです。この条約の条項を適用すれば、不平等な扱いを受けている日本にとって一番有利な条項です。どうしてこれをそのまま使って、日本があれだけ誠意を示して一生懸命何とか改定しよう。少なくとも名代の不平等条約だけは、この際独立国として撤廃させようという誠意を見せているのですから、その誠意に乗ってこなければ、強い態度で、これはもう条約の効力を終結させるのだという意思表示をすべきです。してから、それから折衝するというなら、話はわかる。百歩後退しても、わかります。しかし、その一番こちらに有利な武器すら使わずに、今後の条約交渉をいかに展開されるか、そういうことでは、これは政府の態度を私は疑わざるを得んと思う。
○国務大臣(重政誠之君) これは条約の今交渉中のことでありますから、その内容を詳細にここで速記をつけて申し上げて、それが新聞に出る、いろいろするということは、国益のために私はここで言うべきじゃないと思うのでありますが、矢山さんが言われるようにそう簡単なものではないのです。はでにチャンチャンバラバラやるなら、だれでもやれるのです。これは、私どもとしてはアメリカなりカナダとの交渉は、この条約だけではないのであります。農林省の関係だけから見ましてもいろいろな問題があるのでありますから、そこら辺はなかなか微妙でありますから、御注意は十分にひとつ言っていただき、また参考にいたすつもりでございますが、とにかく代表団がもうすぐ帰ってくるわけでありますから、それらの報告も十分聞きまして、さらに検討をいたしたいと考えます。
○安田敏雄君 その他の農林省関係だけでもいろいろの関係があるというのは、あるいはマグロその他の水産物資源の、先方両国が輸入を制限するとか。あるいは関税を引き上げるとかいうような、こういう問題だろうと思うのです。しかしそれは、はたしてそういうようなはっきりしたおどしがあったのかどうかという問題も出てくるわけです。あるいはこちらが、そうではないかというように予想しているのではないかというような問題もあろうかと思うのです。しかし、だからといってこの三国漁業条約が、これが聞くところによれば、日ソ交渉の問題にも、あるいは李ラインの問題にも非常に大きな尾を引いておって、日本が不利益になっているという、こういう問題もあるわけです。そうすれば、これはどうしてもそういうような多少の政治的ないわば威嚇というか、要請というか、そういうものがあっても、私は断じてこれは将来のために譲るべきじゃない、こういうように思うわけです。しかも条約文には親切に、今の十一条の二項ですか、矢山委員が読み上げました、そういうきわめて有利な条項さえもあるわけですよ。ですから問題は基本的な態度、相手があることで外交交渉だから、その成り行きによってどうも基本的な態度が左右せられるというに至っては、これではどうも外交問題としては少しおかしいんじゃないか、基本的な態度の中でやっぱりそれを表明して、その中で新しい事態へ持っていくというならば、これは話がわかりますよ。そこら辺のところの考え方はどうなっておるのかということを聞きたい。
○国務大臣(重政誠之君) 賢明なる皆さん方でありますから、申し上げるまでもないことでありますが、伝家の宝刀を抜いたらもうそれだけのことでありますから、よほど慎重に私どもは考えておるわけであります。これだけ申し上げて、いろいろの内容につきましては、この機会に申し上げることをお許しを願いたいと思います。
○安田敏雄君 しかしこれがね、実際条約に入っておらないところの、聞けばソ連漁業というものは、トロール船によってどんどん自発的抑止区域に入ってきてトロール漁業をしているそうです。そういうことを聞いております。ですから、そういうような対ソ連との間における漁業交渉を考えた場合に、一体どちらのほうがウエイトが、経済的に見ても、あるいはその他政治的な問題もあるか知りませんけれども、片っぽうにはそういう国があるわけなんですよ。これがソ連も入って四カ国でもって成約しているものならば、これはお互いの考え方も出てくるでしょう。ところが、一つの国がそういうような自由な操業をやっておる中でもって、日本だけが何かほかの関税その他の問題でもって不利益をこうむるだろうおそれがあるからこそ、伝家の宝刀は抜いてはいけないということに至っては、どうも少し理解がいかないだろうと思うのです。これは各新聞の社説を見てごらんなさい、絶対譲るべきじゃないということをはっきりどこの社説もみんな書いておりますよ、世論がそうなんです、世論が。
○国務大臣(重政誠之君) だれも譲るということを今きめちゃおりませんよ。今交渉中なんですから、これ以上この問題に触れて申し上げることは、ひとつお許しを願いたいということを申し上げておるのです。御了承願います。
○矢山有作君 関連質問。それにつけ加えて私が申し上げたいのは、先ほどおっしゃったように、伝家の宝刀を抜くのが能じゃないとおっしゃるけれども、けんかの場合に、全く頭から弱腰を見透かされておったんじゃ、けんかの勝負は初めから負けなんです。やはりああいう交渉には、いろいろの呼吸というものがあるのですから、それは釈迦に説法になりますかね、その点をよくお考えになって、やはり強い態度を打ち出さなければいけないんじゃないか。それはなぜかというと、これは単なるアメリカと日本だけの問題じゃない、そのほかの全部の対外的な漁業条約関係にみな関連を持ってくる、それだけでなしに、この抑止原則というものがいかに不合理であるかということは、もう国際海洋会議でもアメリカ自身がうたったでしょう、この抑止原則は資源保護の立場から立てたのじゃない、政策的にやったものだということを、あの公式の国際会議の場でうたわざるを得ないところまで追い込まれてきておるわけです。だから単なるアメリカや日本という狭い範囲でなくて、やはりそういう国際的な動きも見ながら考えた場合に、もう少し積極性をもってやっていただきたい。これが私の希望なんです。
○安田敏雄君 しかもこの条約を見ますというと、これには各国代表が四人以下の委員を選んで、最大限十二人になるでしょうと思いますが、北太平洋漁業国際委員会というものを作って、そうしてその中で、その運営その他に関してこの目的遂行のためにいろいろの運営の問題をすることになっているが、毎年一回開かれておるわけです。開くことになっているわけですよ。しかも、その当初から不利益だということはわかっているのです。ですから十年間毎年一回積極的に日本が不利な立場からしておったならば、この委員会の中で相当の努力が積み重ねられてこなければならないはずですよ。そうでしょう、そういう過去に努力はしてきたのですか、政府として、委員会の中で。過去こういう委員会を毎年一回以上開催して、そうしてこの抑止原則の問題を取り上げて、先方をして納得させていくという、そういうような努力というものが今までの中で積み重ねられてきたわけですか。
○国務大臣(重政誠之君) これは条約が現存して、毎年一回やるのは年次会議で、報告を委員会でやってきたわけなんです。それから委員会では御承知のように、昨年の委員会におきまして、オヒョウについては抑止原則からはずす、調査の結果、これははずすとこういうことになって、御承知のように本年オヒョウについての問題を解決をしたという状況になっているわけでありまして、抑止原則をはずすことについて、十年間委員会で努力したということを申し上げるわけには参らぬと思いますが、今のようにオヒョウをはずすことは三国が得心の上でそういうことをきめたわけであります。
○安田敏雄君 この二月ですかね、オヒョウについて一部きめられた区域と、それに対するはえなわ式の漁業が委員会で解除されたということはわかります。しかしそれは一部であって、やはり全面的な、最初から不利益だということはわかっているわけですから、やはりそういうような問題を通じて努力してきておれば、一部でなくて、全面的な問題の中の一環として、一部が解除されたならばけっこうですよ、しかしながら、そういう努力を委員会の中で十年間の期限切れのときには、そういう目標でもってやはり委員会に臨むべきであると、こういうように考えて私は努力してこなかったらいけなかったのじゃないかとこういうふうに考えているわけです。一部解除になったことはわかっているのですよ。特に相手が強大国といわれるアメリカのことですから、しかも、先方は国民感情によってどうも日本があすこのところに来てとるということはよろしくない、こういうことまで言っているわけですから、ですからそういう中ですから、かなりの抵抗を長い間積み重ねてこなければならないというように交渉では思うわけです。そういう努力を払ってきたかどうかということなんです。
○国務大臣(重政誠之君) 現存をしておる条約が適用せられておる間に、なんで違うことを努力してこなかったと言われても、これはおそらく私はそういう努力をすにる至らなかったのだろうと思うのです。オヒョウの一部をはずしましたのも、やはり条約の規定に従って調査の結果、努力をして、そういうことにいたした次第であります。
○安田敏雄君 まあ、この辺にしておきましょう、時間もありませんから。 それから国際漁業の問題ですが、今度のこの沿振法審議に際しまして、ちょうど水産庁の長官がイギリスへ捕鯨会議に行っておるわけでございますが、ことしは相当シロナガス換算にいたしまして一が五千頭しか魚がとれない。大体日本の割り当てはその四九%の六千百五十頭だったものをさらに下回っていくんだ、こういうような様子でございますが、大体これに対しての、必要とあれば速記をとめてもいいですよ、われわれわからないわけですが、大体見通しですね。特に船団が相当減らされるわけですよ。捕鯨する捕鯨の量の問題よりも、そこに船団が相当減らされた場合においてこれらの従業員に対する処遇の問題、そういうものが派生的に出てくるだろうと思うのですが、そういうようなものに対するところの政府の考え方というものは、一応基本的な方策というものは打ち出してあるわけなんですか、減らされるのを覚悟で。
○国務大臣(重政誠之君) これは捕鯨委員会が資源状態調査、科学的に調査をするということで三人の専門委員に委任をしたわけです。そうしてその専門委員会の意見に従うということをきめておるのです。その専門委員会で報告をせられる、捕鯨委員会に報告せられるのはたしか三千五百等の漁獲を、この鯨をとるのは三千五百頭ずつ年々とって、そして十年間それを続けていかなければならぬという報告があるわけなんです。そこで今のお話しのように一万五千頭を去年はとることにして、その割り当てを各国にしたわけでありますが、それが三千五百頭ということになるから、これじゃ各国とも、ことに日本におきましては、捕鯨会社の経営には甚大な影響を及ぼすということになることは、これは当然のことであります。そこで今回の捕鯨委員会におきましては、はたして三千五百頭をどういうふうに一体やるかということが問題になるわけであります。これはその問題と、それから一つは捕鯨母船に乗り込む監視長の問題があるわけです。この二つが今回の問題になっておるわけでありますが、いずれにいたしましても、これは両三日中にその会議をロンドンで正式に始める段階になっておりますので、日本政府の一体方針というものを今ここでしゃべれと言われても、これはずいぶん御無理な話じゃないかと思います。ひとつしばらく御猶予をお願いいたしたい。
○安田敏雄君 ことしは三人委員会の科学調査の結論によって相当捕鯨頭数を減量させられるということはわかっておるわけです。そうしますというと、去年よりも相当数船団が減らされるわけですよ。これはおそらく代表が行って相当抵抗いたしましても、あるいは企業の保護ということで相当抵抗いたしましても、見通しによれば相当捕鯨量を減らされることはわかっておるわけですよ。それはどのくらいになるかということについてはまだわからないでしょうけれども、そういう情勢から考えてみますというと、とにかく一船団に大体相当資本投下数からいうと五十億円ぐらいかかるそうですが、そういうようなものでもってかなりのそこに従業員がいるわけですよ。船団が減らせられますというと、結局そこの従業員に対する処遇の問題が必然的に出てくる。あるいはまた同時に捕鯨会社というものが、これは競争的にやるわけにいかぬから、同時にそこに共同会社を作るというような問題も出てくるだろう、あるいは公社制度にしたらいいというような問題も出てくるだろう、そういうような問題に対する、いわば考え方は、どういうようなところに基礎をおいているかということを、私はお聞きしたいわけです。
○国務大臣(重政誠之君) これはきめておりません。数量がはっきりきまって、各関係会社がどういうふうにしたほうがいいというような相談ができて、しかる後に私は相談をしようと思っておりまして、今から公社だ、共同会社だ何だということを私どものほうからこうやったがよろしいということを言う必要ない、こう私は考えております。
○安田敏雄君 水産行政ですから、大体予測されていることはわかっているわけでしょう。ですからそういう行政の担当者としては、事前に大体こういうような従業員の処遇については、いたずらに各会社が首切りするようなことのないようにとか何とかというような、そういうような対策ですね。あらかじめのそういうようなものについての考え方も全然ないのですか。
○国務大臣(重政誠之君) これは申すまでもなく資本漁業、大会社でありますからそれが漁獲頭数が減ったために会社がどうもやっていけぬというようなことになりますと、これはある面においては今お話のようなことも考慮に入れて、何か考えるということもありますけれども、しかしそういうことは、要するに量がきまらなければどういう影響が出るかということは出ないわけでありますから、先々そういうことをこっちのほうで考えて、どうしてやるかなんということは、言う必要ないと私は考えております。
○安田敏雄君 それではまた、結局交渉の結果が出ましてときには、これらに対する一つの対策を早急に立てて、またこの委員会なりその他でひとつ明示していただきたいと思います。その点いかがですか。
○国務大臣(重政誠之君) 必要に応じてやります。これは当然。
○安田敏雄君 それからこれは国際関係の問題ですが、日本国と中華民国との間における平和条約の第九条ですかに、やはり漁業条約についての取りきめをしなければならないというようなことがあるわけですがね。これのいわば第九条ですか、「日本国及び中華民国は、公海における漁猟の規制又は制限並びに漁業の保存及び発展を規定する協定をできる限りすみやかに締結することに努めるものとする。」これは一九五二年八月五日ですか。その後あるいは日本国とインドとの間の平和条約の問題からも、漁業条約の問題が出ておりますが、こういうようなものはすべてみな作業は全部終わっているのですか。あるいは準備中ということになっているのですか。
○政府委員(和田正明君) 日本国と中華民国との問の平和条約と申しますのは、一応現在の台湾との条約です。それからインドとの条約もございますが、いずれも日本とインドあるいは日本と中華民国との間の漁業協定を結ばなければいけないような現実の問題がございませんので、そういう協定は考えておうません。
○安田敏雄君 これは、国際間の漁業上の問題は、全然ないのですか。
○政府委員(和田正明君) 具体的に中華民国及びインドとの間に、漁業の操業上の問題点はございません。
○安田敏雄君 全然ないですか。——わかりました。 それからもう一つ、領海及び接続水域に関する条約、これは中共とかあるいは中国とかあるいは韓国は、この条約にはまだ加盟しておりません。批准しておりませんが、こういうようなものに対しての、その他の国々からなっておる批准国から、今日のああいう李ライン問題等に対する制約はできないでしょう、入っておりませんから。条約を批准しておりませんから。しかし、こういう領海及び接続水域に関する条約によって、相当の加盟国があるわけでございますから、アメリカを初めとして、相当の強大国が加盟しておる。したがって、こういうような条約をたてに、李ライン等の問題につきましては、何か解決の方途というようなものは考えておられるかどうかということをお聞きしたいと思うのです。
○国務大臣(重政誠之君) これは韓国との問題は、御承知のとおり目下漁業協定を進めておるわけでありますから、加盟しておらない条約をたてにとる必要もないと思うのです。それから中共との間の漁業の問題につきましては、今お示しになりました条約をたてにとって、向こうは加盟しておらないのですから、これはどうということにはなりませんが、御承知のとおりに、民間協定というものができていて、平穏無事にやっておるというのが現状でございます。
○安田敏雄君 最後に、私は今まで申し上げたのは、日本の国の漁業が、非常に漁獲量も多い。国民の需要も多いし、輸出にも相当の役割をしておる。こういうような現状からいたしまして、今まで急速に発展してきたわけです。こういう公海の漁業が、これがいろいろ国際的な諸関係、諸条件の中において、非常に最近制約の関係が大きくなってきた。ですから、これは現在、たとえば平穏な状態にある国々との間においても、あるいは漁業問題についての少しのいさかいもなかったというような中にあっても積極的にこういうような問題を資源調査とともにとらえて、やはりそういう国際漁業に対する問題については、それぞれ準備を怠らずに対処していくことが肝要ではないか、こういう立場からいたしまして、今までの質問をしたわけでございますけれども、そういう点について、さらに一般の努力をしていくように要請しておく次第でございます。 それから今度は、沿岸漁業に対する質問に入るわけですが、まず第一にお聞きしたいのは、この法案の今度の衆議院の質疑を見ておりますと、政府の提案で、特に私が農林水産委員になってから、政府の原案がこのように大幅に修正されたことは、初めてなんです、これは。その修正の個所をあげてみましても、第三条の第一項の五号から修正になっておって、五号、六号、七号が入っておる。さらに、第七条が修正になっておる。第八条は、特に自民党さんのほうで、与党側のほうで百パーセント修正しちゃったということ。それから、第九条が、これも修正になっておる。それから、その次は、十二条が修正になっておって、以下十三条、十四条を新しく設けているわけです。大体、今まで法案を国会へ提案するには、政府と与党の中で相当調整してきたと私ども思っているわけなんです。で、きちっときめて、野党側が修正要求しても、ほとんど応じない、こういう態度できたわけですね。ところが今度のこの法案は、一体、衆議院段階で、私どもの要望も言ったり、与党側の要望も言ったりして、このようにたくさん修正してきたということは、何かひとつ沿岸漁業に対する政府の確信が、また、相当その施策についても、漏れがあったのじゃないかというように、きわめて原案がずさんであったのだ、こういうように受け取らざるを得ないわけですよ。こういう点について、一体政府側としては、大臣、どう思いますか。
○国務大臣(重政誠之君) この経過を申しますると、この沿振法というのは、もう四回くらいの国会において、継続審議にたしかなったと思うのです。で、私が農林大臣になりまして、それをさらにまたやりかえて出すというのも工合が悪いと考えて、前のとおりの案を御提案をしたわけです。この前の案というのは、やはりこれは、審議会等の意見を取り入れて、政党側とも相隣の結果、これはできたものであります。でありますから、それを提案したのでありますが、今度はこの機会にひとつ、社会党のほうからも御意見がいろいろあるということで、両党の専門家の間で御相談になって、そうしてああいう、今お述べになりましたような修正案ができたわけなんです。そうして衆議院の農林水産委員会では、これは全会一致をもって、本会議におきましても、これは与野党一致してこの修正案を可決をせられたわけであります。で、私は、この修正案ができ上がります前に、参議院のほうと十分に打ち合わせをしてもらいたいということを再三要望をいたしました。でありますから、おそらく皆さん方とも打ち合わせの上、その修正案がおできになっておることと思うのであります。政府側の意見を衆議院の委員会においても聞かれましたので、私は政府を代表いたしまして、これが成立をいたしますれば院議を尊重をいたしますという答弁をいたしておるわけであります。これが経過であります。
○安田敏雄君 議会政治ですから、院議を尊重することはもちろんです。けれども、とにかく三年も前に出したような原案を政府が出すなんというのは、これはもう三回か四回流産になっておるから、また今度、もとのままのやつを出すなんというのは、一体、沿岸漁業に対する熱意があるのかどうか疑いたくなるわけです。少なくとも、今の特に戦後の資本主義経済というものは、急速な変貌をしているわけです。特に所得倍増、高度経済成長政策によって、経済界というものは、農業によらず、漁業によらず、急速な変貌をしているわけですよ。それをこの原案のもとのままで、少しも前進しないでこれを出して、これが原案で通っちゃった、そのままだということになったら、これは沿岸漁業の対策にならぬでしょう。幸いあなた、これだけの修正案が出たからまあまあということになってきたわけです。私どもだって、これは衆議院社会党と打ち合わせないじゃないですよ。打ち合わせました。しかし私どもの要求というのは、全面的に入っておりません。しかしながら、ある程度の部面が入ったから、今日のこの衆議院段階における勢力分野の中ではやむを得ないということで、これは衆議院のほうには賛成してもよろしいというようなことにもなったわけだけれども、ところが、政府がいたずらにその院議を尊重するといいながら院の修正をこのようにたくさんの箇条にわたってされるに至っては、これは大臣、法案を出す責任の側にあって一体あなた、どう思いますか。沿岸漁業の振興をほんとうにやっているのか、水産庁は。そういうことを私は疑いを持つわけです。なぜこのように原案が修正されないうちに、与党側ともっと相談して、この修正案なんかを原案の中にはっきり織り込んでそうして提案してこなかったかということを言いたいのです。流産になったものを、次も次も少しも改変しないでどの国会にも出してくるということは、これはどうもその行政的な問題としては納得ができないような気がするわけです。こういう点は明らかに私はこれは政府の手ぬかりだと思うわけですね。
○国務大臣(重政誠之君) 私は手ぬかりとは思っておらないのです。もう前に何回も出て、そうしてその法案でやろうという話であったのだから、それを私は、また手を入れて日にちをかけてやる、そういうことをやればあるいは今国会では提案できなかったかもわからない。それよりも早いところこれを成立をせしめて、そうしてこれができ上がっておれば、来年でも付来年でも直すなら直せるのだから、そういう私の政治感覚で原案のまま提案をしたわけなんです。ところが、今申し上げたようなことで、与野党一致してこれを修正をする、こう言われるならこれは国会の御意見なんですから、私どもは差しつかえのない限りはこれを尊重する。こういう立場でやっているわけであります。
○安田敏雄君 院の議決でこれだけの修正をしたわけですよね。ですから真に、政府がほんとうに水産庁を先頭にしてこの沿岸漁業の振興対策を考えようというのには、あらかじめたとえば三条の中へこのように五、六、七もつけ加えられるような不手ぎわをしないで、原案のときに修正を予想せられるような問題があったならば、原案として挿入して、そうして提案するくらいの気力がなければ私はいけないと言うのですよ。そのことなんですよ。それで沿岸漁業振興対策だなんと言うのはどうもおかしいね、少し。法案の提出の意思の問題です。積極的じゃないような気がする。そのことを私は言っているわけです。早くこの沿岸漁業のために、沿岸漁業の構造改善はもうやっていますよ。昭和三十三年からやっていることはわかっているのだけれども、ただそれでは不備だから、これをもっと積極的にひとつ、どうも今の沿岸漁業者は非常に気の毒である、まことに他産業との間において格差がもう低位なところに落ちついてしまってどうにもならない、そういうことの対策のためにこれを出すわけです。ですからこのような大幅な全く政府原案でこんなに修正されたことは初めてなんです。数年来ないことですよ。だから政府のほうが原案を提出するについては、もっと熱意がなければ振興対策は打ち立てられない。常識的なことですよ。まだ不備ですよ。もっと修正しなければならない個所はたくさんある。そういう熱意が欠けておるということを私は申し上げるわけですよ。その点は率直に大臣、理屈じゃなくて、提案者としての責任者として反省しなければいかぬと思うんですね。
○国務大臣(重政誠之君) 私は熱意があるからこそ、冒頭に出して早くこれを通過させようと思って手を入れずに出したんです。それが逆になったんだから、これは扱い方が私が誤ったという不明を謝するよりほかないですよ、これは。
○渡辺勘吉君 議事進行。
○委員長(櫻井志郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(櫻井志郎君) 速記を起こして。
○安田敏雄君 そこで、大臣は、早く通そうと思うから不備なものでもいいから、まあ、この案を、古い案だけれども提案したんだ、こういうことです。まあ了解しておきましょう。しかしながら、その大体予算編成をするときにはこの古い案に従って、沿岸漁業振興対策、三十八年の予算措置をしたでしょう。したわけですね。そうでしょう。そうするとこれだけの……。
○国務大臣(重政誠之君) 通ってない法律案に従ってやったというのもどうかと思いますけれども、沿岸対策の予算の編成はやりました。
○安田敏雄君 予算措置をするときには、法律にないものはこれは予算措置できないと思うんです、私はやはり……。
○国務大臣(重政誠之君) そんなことはないです。
○安田敏雄君 そうですが、とにかく法律にいろいろ問題がある。それを遂行しようとしてとにかく予算対策をするものであろうと私は思うわけですよ。法律に掲げた問題を遂行するために、目的を達成するためには、そのためには政府が予算措置をするわけです。したがって、おそらくこれだけの修正案をくえば、このいわゆる院議を尊重する建前からいけば、当然自後の予算というものは、沿振のこと、沿岸漁業のことにつきましては、この予算修正はことしの補正予算なり、あるいは来年の当初予算なりで相当これはふくらんでいかなきゃならぬだろう、こういうように期待するわけなんです。この点はどうですか。
○国務大臣(重政誠之君) これは申すまでもないことですけれども、法律にあることはむろん予算措置をしなければなりませんが、法律にないから予算措置ができないんじゃないんです、これは。でありますから、今度修正可決を受けて、予算化する必要のあるものは、もちろん来年度予算においては予算化をいたさなければならぬと考えております。
○安田敏雄君 そこで、まあ、この点はそのくらいに、いろいろ論議のあるところでございますから後ほどいたしますが、その次にお伺いしたいのは、構造改善の問題につきましてお伺いいたしますが、まあ、沿岸漁業振興の重要な柱といたしましての構造改善事業を、昭和三十三年からこれは始めてきたわけですが、その際において、今日沿岸漁業が他産業との非常に格差が生じておる。そういう格差の生じた、その一番中心的な主要な原因はどこにあるかということを、ひとつこれは漁政部長のほうでもいいから、具体的に分析した結果をきわめて個条的でいいのでございますから、ひとつ御説明願いたいと思いますがね。というのは、私の聞いているのは、構造改善をするためには、そういう格差の生じた原因を一応分析しなければなりません。しかし、そのことはかなり長くなるので、政府側がとらえたところのそういう格差の生じた原因を簡単でけっこうでございますから、ひとつ御説明願いたいと思います。
○政府委員(和田正明君) 沿岸漁業が他産業に比して生産性の格差を生じた理用は何かと、こういうことでございますが、端的に申し上げますれば、誤解をいただくと困るのでございますが、やはり沿岸の狭い漁場に非常に多数の漁業者が就業しておって、それが非常に過剰な就業状況になっておるということが一つあろうかと思います。したがって、私どもが沿岸の構造改善事業という問題を考えます場合に、それに着手し得る一つの大きな契機というのは、最近の就労構造の変化と申しますか、漁業人口が他産業へ転換をしつつある、そういう契機をとらえて、この事業に手をつけていきたいというふうに考え始めたわけでございまして、そのことは、この構造改善事業の中におきましても積極的に他産業への就労の機会等をあっせんをするというようなことも、この補助事業の中の一つとして考えておるわけでございます。さらに言えば、それらの業者がきわめて資本装備が劣弱である。たとえば無動力の漁船でやっておりますとか、同じ動力漁船を使いましても、その動力が電気着火であって非常に操業上ロスが多いとか、そういうようなことが重なって問題が発生してきたというふうに理解をいたしております。
○安田敏雄君 大体そういうことは御説明今受けてわかったわけですがね。やはり零細企業の中におけるその過当競争というような問題も含まれるだろうし、私が聞くところによれば、その漁業技術の導入に非常に沿岸漁業については困難性がある、こういうことを聞いておるわけでございますが、たとえば漁村にある何というのですか、漁業秩序といいますか、そういうようなものと、技術を導入する場合に何かいろいろそこに相剋摩擦があったりして、そのためになかなか漁業の近代化がおくれておるのだ、こういうようなことを聞くわけです。そういうような問題についてはどうですか。
○政府委員(和田正明君) 御意見の御趣旨、必ずしも十分理解はできませんけれども、たとえば最近の非常に停滞的なと申しますか、あるいは衰微的な漁業の一つとして定置網漁業というようなものがございますけれども、やはりただじっと待っておる漁業ということから、それを沖へ出て行ってとる漁業、さらに最近はそれを養殖というような方向へ振り向けるというようなことも考えておりますが、やはり過去におきまして漁船の装備も悪いとか、網なども十分適当なものがなかったような時代には、そういう技術的なおくれがおりましたことは事実だと思いますが、そこらを克服しながら、また、先ほど申しました過剰就業の状態が改善をされつつあることを契機としてつかまえながら今後の改善事業を進めていきたいというのが一つのねらいでございます。
○安田敏雄君 総体的にいって、生産性が非常に低いから、そういうようなことがあるから、したがって、それを中心にしてその他漁業条件の劣悪の問題も出てくるだろうし、あるいは資本装備が非常に欠乏しておるというような場合がある、そういうこともあるわけでございますが、特に最近は結局、その対象資源が非常に減少してきたというような問題の中で、すなわち、水質の汚濁であるとか、臨海工業用地の造成であるとか、こういうような問題によって相当拍車をかけて、それが漁村における過剰人口の様相を呈しておる。こういうような問題も最近非常に大きなウエイトを占めてきたというふうにも私は考えられますが、こういうところはどういうふうにお考えですか。
○政府委員(和田正明君) 水質汚濁なり、あるいは埋立て等による漁場の喪失なりということが相当程度、漁業全体として見ました場合に問題になることは御指摘のとおりでございますけれども、そういう半面には、たびたびお答えいたしておりますように、たとえば防波柵というものを作りまして、従前の技術ではできませんでしたような場所に、ノリの養殖なりカキの養殖なりの漁場を新たに開設して参りますとか、あるいは魚礁を設置いたしまして魚を寄せますとか、そういうような積極的な手も打ちまして、あるいはまた、単位当たりの生産力を上げる新しい技術の導入を行ないまして、できるだけそういう漁場の喪失を補う努力をしておるというのが政策の中心でございます。
○安田敏雄君 最近の状況を見ますというと、沿岸漁業における漁家の収入というようなものが、大体養殖階層が一番多い。それからミトンないし五トンぐらいの階層がその次に位する。それから、ほとんど無動力船のものは漁業外の労働賃金の収入を含めても一番低い、こういうようなことになっておるわけですよ。特に養殖業をやっておるものは、非常に飛躍的に所得が多いわけでございますが、こういうような中で一体、無動力船のこの人たちのこういう低い収入の中から家計費を引けば、おそらく赤字だろうと思うのですよ。そういうようなものに対する対策、そういう階層に対する対策、これはあるいは、いろいろな、さっき言うような漁場の喪失によってほとんど資本の装備もできないで、結局、漁家から転落していくわでございますが、これは昭和三十三年度あたりの漁業センサスを見ましても、大体無動力船のものは、漁業外の労働賃金の収入を含めて年間二十六万円ぐらい。これでは、おそらく家計費を引きますと、特に最近の物価の値上がりの家計費を引きますと、ほとんどこの階層は赤字になってしまう。こういうようなものに対する就労対策というものは具体的にどのようにお考えになっておるか、またそれから、考えていなかったとするならば、今後考えていくのか、こういう点をひとつお聞きしたいと思います。
○政府委員(和田正明君) 無動力漁船の階層というのは、その後の調査におきましても非常に減りまして、ここ数年で半分くらいに減少しつつございます。で、当然に無動力の漁船を使用いたしますよりも、動力漁船を使用いたしますことのほうが、生産性の面で有理なわけでございますから、現在実施を始めました沿岸構造改善事業の前に沿岸漁船整備要綱というものを定めまして、農林漁業金融公庫の融資を使いまして、村別に漁協の計画に従いまして漁船の大型化のための低利資金の融資をはかりましたりして、漁船にそのまま漁業として残って参ります人たちにつきましてはこれをミトン程度のところまで引き上げるということを一つの施策として三十三年以来実施をしてきておるわけでございます。今度の沿岸構造改善事業の中でも、先ほど来御質問のありました生産性の高い漁業への転換という場合には、やはり同じようなことを考えておりますし、さらに協業化ということで、数軒が寄って一つの船を共同に利用をいたしますとか、あるいは小さな船を寄せて、それにある程度大きな船が先達船になって漁場へ連れていって、そうして優秀な漁場で、個別に動けば漁場発見に困難な小さな漁船をそういう形で生産性を向上していくというようなことのための助成を、この構造改善事業に含んであるわけでございます。そのほか漁業から脱落をして参りましたものにつきましては、一般的に職業紹介等のことが関係各省の手で行なわれておる、こういうことでございます。
○安田敏雄君 現在、無動力船のものが五〇%、半減したというわけですが、大体特に構造改善事業の対象になっている不振地区等において他産業へ就労した、そういうようなものは無動力船のものはまだあるわけでしょう。全部就労したわけじゃないでしょう。そういうようなものに対する今日の具体的な対策ですね、それはどういうようにやっておるわけですか。
○政府委員(和田正明君) ただいま申し上げましたように、三十三年から沿岸漁船整備要綱というのを定めまして、そういう無動力ないしは小型漁船を大型化するための農林漁業金融公庫の低金利の融資措置を実施して参りましたけれども、さらに今回の構造改善事業の中でも取り上げて、その船の大型化のための資金を貸しまするほかに、そういう人たちを数軒寄せまして一つの船を利用して使うという意味で協業化というようなことの助成をいたしましたり、さらに指導の先達船の建造に補助をして作らせまして、一つ一つではいきにくい漁場に全部を連れていくとか、そういうような形で生産性の高い漁業への転換を積極的にはかっております。こういうようなことをやっております。
○安田敏雄君 そういう施策によって無動力船の解消をはかって、同時に生産性を上げ、そうして所得水準を引き上げていこうということはわかりますが、まだ現在相当数残っておるわけでしょう。どのくらいあるのですか、国内で。
○政府委員(和田正明君) お配りしてございます資料の横とじの「その2」の第一ページに載せてございますが、昭和三十六年の十二月末現在で無動力漁船の数は二十一万九千隻ございます。しかしこれがそのまま企業体数ではございません。
○安田敏雄君 今の構造改善の一環としてこれらの人たちに、ミトンなり五トンなり大型化の方向への具体的な融資措置を講じてするというもの、これを全部解消する計画は実際の場合幾年度くらいに解消していくんですか。
○政府委員(和田正明君) 無動力漁船だけを使って経営をしております世帯というのは、二十八年のときの実態調査では十一万六千経営体ありました。三十六年までにその半分になりまして、現在三十六年度実数では六万経営体という数字になっております。しかしこれは内水面を含みますので、川等やはり無動力たらざるを得ませんから、完全にゼロにするということは考えておりませんけれども、海岸等につきましては、この構造改善事業を十カ年間で進めます問に実質的にゼロに近づけるような方向で各県で計画を立てさせたいというふうに考えております。
○安田敏雄君 そうすると四十五年までに全部解消ということですね。
○政府委員(和田正明君) 先ほども申しましたように、内水面漁業の形態が相当数入っておりますから、ゼロにはなりかねると思います。
○安田敏雄君 沿岸についてはぜ口になる……。
○政府委員(和田正明君) その方向で努力をいたします。
○安田敏雄君 そこで、構造改善事業がその計画によれば三十三年から始めているようです。大体三十三年度を政府計画は初年度として五年間に百十の地域ですね。その事業は継続二カ年間でやるわけですが、国の補助率が三分の一、こういうことで三十三年以降順次指定してきたのでございますが、その構造改善事業をやるということについては、生産力の拡大をはかるということを主眼点にして、生産流通、加工過程を改善し、経営の安定と所得の水準の向上を期するということを目的としておるわけですが、これは水産庁長官が一定の不振地区を指定することになっているわけですね。
○政府委員(和田正明君) 安田委員が今おっしゃいます、三十三年から実施しておりましたのは、現在やっております沿岸構造改善事業ではございませんので、新農山漁村建設事業に続きまして、沿岸振興対策事業ということで、三十三年から三十八年までで事業を完了する予定で各地区について主として共同利用施設の建設に助成をして参りました事業でございます。これは三十八年度で終了をいたします。
○安田敏雄君 そうすると、今の農山村振興対策と同じようなもののわけですね、これは。
○政府委員(和田正明君) 新農山漁村事業のあとに沿岸振興事業として実施をしております。
○安田敏雄君 そうしますとね、政府の構造改善事業は三十六年から三十七年、三十八年と指定をしてきたのを、これは今度の構造改善事業によって推進するわけですね、これによりますと、その前に、昭和三十三年度から行なってきた漁村の振興対策ですか、これはおおむね全部完了するわけですか。
○政府委員(和田正明君) 三十八年度で事業は打ち切りになります。それで計画が全部終わるわけです。
○安田敏雄君 その三十八年度で計画は全部打ち切りになりますというと、事業の完了年度はいつになるのですか。
○政府委員(和田正明君) 三十二年から三十八年までの年度計画で実施をいたしまして、国庫補助額で五億三千三百万、三十八年度で事業は全部終わるわけでございます。
○安田敏雄君 わかりました。それから、それでは三十六年度からやっております構造改善事業ですが、これは何か三十六年度から指定して、十カ年間にわたって指定していくわけですね。そうするとこの事業が十カ年間で実施されるわけですが、この指定は幾年度までに完了するのですか。
○政府委員(和田正明君) 三十六年から指定を始めまして、四十一年で終了いたします。
○安田敏雄君 三十六年……。
○政府委員(和田正明君) 三十六年から指定を始めまして、四十一年度まで指定をいたします。指定を受けますと、その後二年間調査をいたします。三年目から事業を始めるわけです。
○安田敏雄君 これによりますと、構造改善事業は、まあ私よくわからぬのですが、指定されたところは、現在まで三十六年度が十五、三十七年度が八つ、三十八年度が予定として七つ、そうすると全部で三十ですね。全部で幾つになっているのですか。
○政府委員(和田正明君) 今先生おっしゃいました数字若干間違いがあるようですが、三十八年度まで二十八指定いたします。全体は四十二の予定でございます。
○安田敏雄君 私の持っている資料では三十六年度指定が十五……間違えました、これは十三ですね。そこでお伺いいたしますが、これは所得培増計画によって、このもらった資料にもありますけれども、大体昭和三十一年度から三十三年をとって、基準年次を定めて、現在漁業従事者が五十四万人あるという。その当時基準年度漁業所得が七百二億円のものを、昭和四十五年には漁業従事者を七三%に減らして、そして減らしますというと合計約四十万人ばかりになりますか、三十九万四千人になって、そうしてその逆に所得は一・五倍に伸ばす。で、これを一人当たりの従業者に直しますと、漁業所得は基準年次に約十三万円であったものが、その二・一倍の二十七万円に伸びていく、こういうことになるわけですね。これがその倍増計画なんですよ。これはその貸幣価値の問題もありますが、一体こういうことでもって今日の、二十七万円に昭和四十五年に一人当たりの漁業所得を高めていって、それではたして他産業に追いつけるかどうかということは、非常に私は疑問に思うわけですよね。こういう点はどうですかね。試算したにはしたのだけれども、一応漁場整備はできた、できたけれども、それによってはたして、ことによってその所得が、従事者は減ったけれども、所得がそれだけ伸びていったけれども、他産業がそれ以上に伸びちゃった、やはり相対的には上がったかしらぬけれども、やはり格差は開いていくのだ。こういう結論にならざるを得ないと思うわけでございますけれども、そういう点の考え方はどうですかね。
○政府委員(和田正明君) これは三十一年ないし三十三年の価格水準を基準に置いて、一定の伸び率を農業の場合その他他産業の場合等と勘案をしつつ一応の推定を下しましたもので、それの一人当たりの生産性、あるいは所得額の伸びというようなものは、ほぼ第一次産業全体を通して、あるいは農業等の間においては同様な程度にめどを置いておりますが、しかし一方、全体としては漁獲量も予想以上に伸びておりますし、価格の上昇等もございますので、これよりは、この想定よりは現段階においては上昇はあると思いますが、御指摘のように他産業との間の所得の格差をこの構造改善事業だけでつめられるかとおっしゃられれば、その点については、これだけで万全だというふうには考えておりませんけれども、これらの事業を進めながらさらに逐次手を打っていきたいというふうに考えております。
○安田敏雄君 構造改善の問題につきましては、まだ内容的にお聞きしたいことがありますから明日に譲って、時間もだいぶ、五時過ぎていますから条文の中のまだ問題について、私沿岸漁業振興基本計画、これについて国と都道府県との関係、漁業者との関係、こういう問題についてお聞きしたい。同時に十二条以下の修正になった審議会のあり方等の問題につきましてもお聞きしたいが、時間がありませんから明日にひとつお願いしたいと思います。
○渡辺勘吉君 次の委員会で審議する際にあらかじめ準備をしてほしいと思うので、その点を申し上げますが、自然現象の異変によって、特に冷海水の問題が起きている。これについては衆議院での質疑もきわめて上っつらで不十分ですから、この問題については科学技術庁と、これは中央センターだと思うのですが、それから気象庁長官、これは衆議院にも出ましたが。それから海上保安庁ですね。水路部の方。まあ農林省はもちろんですが、それからやっと発足した防災科学技術センター、これの責任者、それぞれがこの数年起こりつつある天候異変、これに基づいて将来どういう気象の状況になっておるのか。それに対処する政府のかまえ方がどうなのか、具体的な資料を準備して、それぞれの官庁から説明を伺いたいということを準備していただきたいと思います。それを委員長において取り計らっていただきたいと思います。
○委員長(櫻井志郎君) それじゃ、本日はこれをもって散会いたします。 午後五時十一分散会