地方行政委員会 第25号
- 発言数
- 63 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/06/04
会議録
○委員長(石谷憲男君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。 初めに理事の補欠互選についてお諮りいたします。 去る五月二十三日の委員の異動に伴いまして理事に欠員が生じておりますので、この際その補欠互選を行ないたいと存じます。前例により、互選の方法は省略いたしまして、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、さよう取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石谷憲男君) 御異議ないと認めます。それでは委員長から市川房枝君を理事に指名いたします。
○委員長(石谷憲男君) 地方自治法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 提案理由の説明を願います。篠田自治大臣。
○国務大臣(篠田弘作君) ただいま議題となりました地方自治法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 東京府市を合体して東京都制が制定されて以来、都は、府県の事務のほか、特別区の存する区域においては、原則として、市の事務をもあわせ行なうものとされておりますので、東京への人口及び産業の過度集中が進むにつれて、都行政は質量ともにいよいよ複雑かつ膨大となり、一つの経営体としての円滑かつ能率的な運営が期せられなくなり、首都として、また大都市としてその機能を十分に果たすことができない状態になっているのであります。この法律案は、このような都行政の現状を改善するため、昨年十月、地方制度調査会から提出されました「首都制度当面の改革に関する答申」の趣旨にのっとり、都と特別区との間において、その事務及び税源の合理的な配分をはかるとともに、当該事務の処理について都と特別区及び特別区相互間の連絡調整を促進し、あわせて特別区の議会の議員の定数の定限に関する規定の整備を行なおうとするものであります。 以下、改正法律案の内容の主要な事項につきまして御説明申し上げます。 第一に、都と特別区との間における事務の配分について、都が、その負担を軽くし、総合的な企画立案、大規模な建設事業、特別区及び市町村の連絡調整等、重要な事務に専念できるようにするため、都が処理している事務のうち一般の市に属する事務は、できるだけこれを特別区に移譲することにより、その合理化をはかることといたしたのであります。 この法律案によって新たに特別区へ移譲されることになる事務のおもなるものは、その一、福祉事務所の設置、生活保護、児童福祉、老人福祉、行旅病人及び行旅死亡人の取り扱い等社会福祉に関する事務、二、保健所及び優生保護相談所の施設の管理並びに伝染病予防、結核予防、トラホーム予防、寄生虫病予防等保健衛生に関する事務、三、清掃に関する事務、四、小規模な都市計画事業、土地区画整理事業及び防災建築街区造成事業、五、建築基準行政、に関する事務の一部等であります。 第二に、特別区の議会の議員の定数の定限を、六十人と定めることといたしたのであります。 第三に、都から特別区への事務の移譲に伴い、特別区の存する区域において、都と特別区及び特別区相互間における事務処理の連絡調整をはかるため、都区協議会を設けることとし、事務委任条例、特別区調整条例、都区財政調整条例の制定にあたっては、都知事は、あらかじめ都区協議会の意見を聞かなければならないことといたしたのであります。 第四に、都と特別区との間における財源の配分について、現行の都区間の財政調整制度を維持しながら、都から特別区へ事務の移譲により新たに特別区が処理することとなる事務に要する経費の財源を特別区に与えるとともに、特別区の財政面における自主性を一そう強化するため、市町村民税個人分、電気ガス税、たばこ消費税等固定資産税及び市町村民税法人分を除く市町村税を特別区税として新たに法定することといたしたのであります。 以上が、この法律案を提案する理由及び法律案の内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
○委員長(石谷憲男君) 本案についての質疑は、後日に譲ります。 —————————————
○委員長(石谷憲男君) 次に、地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 前回までに説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言を願います。
○沢田一精君 地方公営企業法の一部を改正する法律案について若干お尋ねをいたしたいと思います。まあ今回の改正案自体はたいして問題点もないかと思いますが、この際、地方公営企業につきましての基本的な問題についてお尋ねをいたすわけでございます。 まず第一に、お伺いいたしたいと思いますことは、地方公営企業の範囲と申しますか、これについてお伺いをいたします。前からそういう規定があるわけでございますが、「病院、市場その他地方公共団体の経営する企業のうち政令で定める事業」というふうな規定があるわけでございますが、現在のところ、政令で定める事業というものについては、どういうものをさしておられるのか、あるいはお考えになっておられるのか、御説明いただきたい。
○説明員(吉瀬宏君) 現在のところ、政令で定める事業といたしましては、現在の地方財政法施行令第十二条二項にあげているような事業——病院とか、と畜場とか、あるいは公共下水道事業とか、その他いわゆる準公営事業と考えられる事業を予定しております。
○沢田一精君 従来は、地方財政法の六条、あるいはそれを受けての施行令の十二条の規定というものと、公営企業法の規定と、若干食い違った面があったのではなかったかと思うのでございます。従来の規定では、そういう食い違った規定を公営企業法と財政法の間でうたっておられたが、何か理由があるわけですか。
○説明員(吉瀬宏君) この従前の規定と今度の規定につきましては、今度の地方公営企業法の規定の改正で、地方公営企業法の適用を受けるような企業につきましては、こちらのほうで規定して参るということで、その間、地方財政法のほうにおきましても特別会計を設けて行なう。それからいわゆる独立採算の規定を設けるというような規制をいたしているわけでございますが、その間の区分をここではっきりするということで、今度のこの改正で地方財政法の第六条の改正規定を設けた、こういうことにいたしているわけでございます。
○沢田一精君 それでは今回の改正によって、地方公営企業なるものの種類と範囲と申しますか、そういうものは公営企業法上も、あるいは財政法上も一応統一されたと、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○説明員(吉瀬宏君) そういう工合に解釈してよろしいかと思います。
○沢田一精君 その点はわかりましたが、問題は、今回の改正で取り上げておられますように、地方公営企業というものを基本的にどういうふうに理解をし、そしてその理解の上に立って育成強化をはかっていくかということが、今後の問題だろうと思うわけなんですが、私は特にここでお尋ねしたいと思いますことは、地方公営企業の中で、特に同じような種類の私企業との関連において、若干、自治省の御見解をただしたいと思うわけなんです。地方公営企業というものの基本的な考え方、これは自治省御当局ではどういうふうに御理解なさっておられるか、一応お伺いいたしたい思います。
○政府委員(奧野誠亮君) 地方公営企業の範囲は、住民の考え方によって、広狭いろいろの差が出てきてもやむを得ない、こういうふうに思っているわけであります。基本的には自由経済をとっているわけでございますので、自由競争の建前で運営できるものはなるたけ民営が望ましい。そうじゃなしに、独占的な性格を持つ企業につきましては、むしろ住民が公営でやりたいという場合には、私たちはそれについて必要な援助をしていくべき性格のものであろう、こういうふうに考えているわけであります。
○沢田一精君 たとえば戦後の経済的な空白時代と申しますか、いろいろな客観情勢が健全な私企業の発展というものを阻害する。そういうような場合に、一種の補完的な作用として公営企業というものが取り上げられる、それにはそれなりに一つの意義があるのではなかろうかと思うのでありますが、あるいはまた、特に公共目的に沿った事業であるというような企業でございますれば、公営企業としての存在価値があると思うわけなんですが、だんだんこういうふうに経済が安定し、正常化して参りました現在においては、むしろ公営企業というものは、今、局長から御説明がありましたように、縮小される方向に進むべきではなかろうか。こういうふうな考え方も一応あり得ると思うわけなんですが、その辺についてはいかがですか。
○政府委員(奧野誠亮君) 基本的にはお説のようなことだろうと、こう思います。ただ現在、地方公共団体が積極的に地域開発を行なっていく、あるいは住民の所得増大に向かって努力していくという傾向が顕著になってきております。そういう際に、本来なら自由競争を建前として行なわれるべき企業なんだけれども、なかなかそういう意味の資本投下がない。そういう場合にはむしろさしあたり公共団体として積極的に資本投下をして、やがてそういう産業が発達していくような基礎を作っていくというようなことも、あり得るわけでございます。若干の例を申し上げますと、東北のある都市で、そこでできます陶土が関西方面に送られていった。企業化はされていなかった。そこで市が出資をいたしまして、タイルの工場を設置したことがございました。これは民営で行なわれたわけでございますが、そういうものを、ある場合においては公営で行なっておるところもございますが、そういうことがあり得るんではなかろうか。あるいは観光開発のために積極的に公営で宿泊施設を設けていくというようなことも、例外的にそういう意味であり得ると思うわけでございます。しかしそういうものが、その地方においてそういう産業として成り立っていくためには、あえて公営でやることは避けたほうがいいんじゃないか、こういうふうに思っておるわけでございます。基本的にはお説に同感でございます。
○沢田一精君 大体のお考えはわかったわけなんですが、今、局長からもお話がありましたように、地域開発というような面において、非常に効果があるというような場合には、これは積極的にやっていくべきだろうと思います。たとえば東京都内におきますバス事業であるとか、あるいは電車の事業であるとか、こういった他の民間の私企業というものが相当活発な運営をされておる。そういうところにおいても、同種の企業をあえて公営企業として存続していかなければならないかという問題は、これは非常に将来の問題としてお考えいただく必要があるのではなかろうかと思うのです。逆に申しますならば、むしろわれわれは一般的な考え方としては、公営企業は公営企業としてのやはり弱点があるのではなかろうか。むしろ企業としての危険と損害、あるいは公共団体の財政面への圧迫というような点がいろいろと出てきておる向きがあるのではなかろうかと思うわけですが、そういった点について将来の方針として、どういうふうにお考えになっておりますか。
○政府委員(奧野誠亮君) 交通事業を例におあげになったわけでございますが、交通事業については純然たる公共企業とはわたしたち考えておらないわけでございまして、料金などにつきましては民営の場合におきましても認可制をとっておるわけでございます。交通事業になって参りますと、都内を例にとりましても、バス事業があり軌道事業があり地下鉄事業があり、将来さらにモノレールその他のものも出てくるだろうと思うわけでございます。これはばらばらに経営されるべきものではなしに、私たちとしては一体として考えていくべきではなかろうかと思うわけでございます。一体として考える場合に、少なくとも地下鉄事業というものは、これはもう独占企業であって、並行的に地下鉄線を建設していくことはあり得ないと、こう考えるのでございます。そういうことをいろいろ考えて参りますと、簡単に民営がいいと私たちは言えないと思うのでございます。ことに都市経営と一体として考えていくべきである交通事業は、将来都市をどういうふうにもっていくか、それと一体として考えていくべきじゃなかろうか、こういうふうな考え方をいたしておるわけでございまして、住宅をどの方面にもっていくか、それに合わせて路線をどういうふうに考えていくか、あるいは交通が非常に輻湊してきた場合には、路面電車をはずす、迂回させる、あるいは停留所の場所を変える、いろいろな意味で都市経営と一体としてやっていかなければならぬわけでございますので、単純に民営がいいという結論はとても出せないんじゃなかろうか。ただ経営を今のような姿に置かないで、むしろ交通事業を統合して特殊な法人を設置したほうがいいんじゃなかろうか、こういう答申も事実あるわけでございまして、そういう方向をいろいろ考えていかなければならない、単純に民営がいいということは、私は交通事業については言いかねるんじゃなかろうか、こういう考え方をいたしておるわけでございます。
○沢田一精君 繰り返すようでございますが、公営企業というものは、いわゆる地方公共団体の一般的な行政作用とはおのずから異なる種類の作用と申しますか、仕事であると思うわけなんでして、これはやはり事業的な活動であって、一般行政作用とは別個な経済的な活動を主体にした仕事であろうと思うわけなんです。結論的に申しますと、これは私の考え方ですが、やはり地方公共団体が営む公営企業というものには、公共目的に沿った企業であるとか、あるいは一般の私企業においては達成できないような、何と申しますか、好ましからぬ競争関係が生じないということを原則とした一定の限界があるのが、公営企業ではなかろうかと思うわけなんですが、そういう点については局長は、どういうふうに御理解なさっておられますでしょうか。
○政府委員(奧野誠亮君) 従来の観念で言います行政活動の範囲に公営企業が入らない、これは私は同感であります。しかしながら、行政活動という言葉ではなしに、地方団体の活動範囲ということで考えて参りますと、だんだん地方団体の活動範囲というものは広がってきておるんじゃなかろうかというふうに思うのでございます。ことに今日、福祉国家を建設するのだということを言っておるわけでございまして、住民の生活を安定させ、さらにそれを向上さしていくというようなことも、公共団体の重要な任務になってきていると思うのでございます。したがいまして今までなら、水道がなくてもそれでよかったかもしれませんけれども、今日では水道が十分でないということは、公共団体の活動が怠慢だというような感じにもなってきておると、こう私は考えておるわけでございます。マッチ一本で飯がたけるような暮らしができるように住民の生活をもっていかなければならぬ、そのためにはガス事業を公共団体の事業として取り上げていくというようなことも出てくると思うのでございまして、私は、時代とともに地方公共団体の活動というものは大きく変遷していく、また変遷の過程にあるというような考え方をいたしておるものでございます。権力作用の範囲に属さない——これは当然のことだと思います。そういう意味で地方公共団体の活動範囲というものは、どんどん変わってきているんじゃなかろうかと思うのでございます。 その次に、一般の私企業では達成できない面について地方公共団体が積極的に取り上げていくべきだ——これも同感でございます。ただ一般の私企業について、いろいろ規制を加えていかなければならない、あるいはまた、業務命令を出していかなければならない。そういうものがだんだん強まってきますと、結局、公営でやったほうが手っとり早い、こういうような問題にもなりかねないわけでございまして、その間に若干ニュアンスの違い、ものの考え方にも違いが出てくるかもしれない、こう思うのでございます。今交通事業が一つの例に上ったわけでございますけれども、都市間を結ぶ交通事業と都市の内部において住民の足のかわりになります交通事業と、私は性格はかなり違っておると、こう考えておるわけでございます。一般の私企業につきまして、規制をだんだん強化していく、業務命令を出していく、むしろ公営でやっていくというような姿になってくる性格の企業が相当あるんじゃなかろうか、こういう考えを持っておるわけでございます。
○沢田一精君 今、局長の御答弁の中に、だんだん経済の発展に即応して地方公共団体の活動範囲、活動分野というものが広がっていくのが、当然であるというふうにお話があったかと思うわけなんですが、私は先ほどから申し上げておりますように、終戦後の経済界が非常に混乱した状況にあるし、また住民の福祉という面からして何らか地方公共団体が補完的な仕事をやっていく必要がある、そういう時代には公営企業の存在価値は非常に大きくクローズアップされるのじゃなかろうかと思うのでございますが、こういうふうに経済界が安定し、正常化していく場合は、むしろやはり、できるだけ私企業にまかせて、そうして公共団体は一般行政作用にその十全を期するというのが、本来の姿ではなかろうかと思うのです。しかも今回の改正で見ますように、地方公営企業というものが財政的にかなり地方公共団体の一般的な行政作用というものを圧迫するということになりますれば、公共団体としてのあり方というものについて、むしろ本末転倒のような姿が将来だんだん出てくるのじゃなかろうか、やはり地方公営企業というものについては、その範囲というものにおのずから限界があるべきではなかろうか、かように思うわけですが、いかがですか。
○政府委員(奧野誠亮君) いろいろ伺っていますと、少し私の述べておりますことと若干食い違いがあるように思うのでございます。私は、地方公共団体の活動分野が広がっていく、これを公営企業的なものに例をとって申し上げますと、たとえば戦後特に地方公共団体が工業用水の供給を積極的にやり出して参っております。今までは企業自身が自分で工業用水を確保しておったわけでございますが、それを特定の企業だけでなしに多くの企業に工業用水を供給するということから、地方公共団体が積極的に工業用水道の経営を始めて参っております。またあるいは企業が用地を確保する、そういう工業用地の造成ということを、地方公共団体が積極的にやって参っております。と同時に、臨海工業地帯を作ります場合には、倉庫でありますとか荷役設備でありますとか、そういうような港湾施設設備も積極的に企業的に地方公共団体というものがやるようになって参っているわけであります。そういう意味において地方団体の企業的な活動の範囲も広がってきておると、こう申し上げているわけであります。既存の企業、その範囲の中に地方公共団体が割り込んでいく形において地方公共団体の活動範囲が広がっていくのだ、こういうことは私は一つも申し上げているつもりではないのであります。積極的に経済発展をねらって、それを促進させるような方向において地方公共団体がその活動範囲を広げていく、これは私は今後もなお一そう盛んに行なわれるべきではなかろうかと、こう考えているわけであります。同時に、そのこと自身は間違いではないんじゃなかろうかと、こう思っておるのでございます。
○沢田一精君 今の局長の御答弁は、一応私もわかるわけなんですが、もう一つの問題——私が先ほど来申し上げておりますのは、やはり公営企業というものを公共団体が取り上げて参ります際には、その公共団体の能力に対して適正な状況でなければならぬのじゃないか、公営企業をどんどん積極的に行なうことによって一般的な行政作用に支障を来たすと申しますか、本来の任務の遂行を阻害するというようなことがあってはならないと思うわけです。どうも今までの地方公営企業の運営の実態を見てみますと、財政的にも、あるいはそのほかの面におきましても相当負担になっている向きがあるのじゃないか、そういう意味からしての限界というものを、どういうふうにお考えになっているか、その点についてはお答えがなかったように思うのですが、いかがでしょう。
○政府委員(奧野誠亮君) 現在の公営企業の実態についての見方に、あるいは食い違いがあるのじゃないかと思うのでございますけれども、私たちは地方公営企業の中でかなり苦しい運営をしているのは、一つは交通事業、一つは病院事業、こう考えておるわけであります。それ以外につきましては、特に一般的にある企業について地方団体が運営に困難を来たしておるというようなことはないのじゃないかと、こう思っております。この二つについては、それぞれ特殊な事情があるわけでありまして、今の姿から見て、これは公営に適さないのじゃないかというふうには私たちは考えていないのであります。ただ抽象的な言い方で恐縮でございますが、本来の行政作用に支障を来たすようなことをやってはならないと、こうおっしゃる、その行政作用から将来だんだんと地方団体の活動範囲が広がっていくのじゃないかという基本的な考え方が抜けないのであります。たとえば金融の面についても地方団体が積極的な役割を果たしておりますのは、これは御承知のとおり信用協会に出資をいたしますとか、さらに中小企業の金融を円滑ならしめる努力をしてきております。だんだんといわゆる権力作用から自治活動に向かって、地方公共団体の活動が行なわれてきておるのじゃないかと、こう考えるわけであります。ただ繰り返し申し上げますように、地方公共団体が、民営の競争企業として円滑に行なわれておるところに進んで足を入れていくということは、これは当然避けるべきだと思います。ただ、本来の行政活動に支障を来たすようなことをやってはならないということを、そのままに、その言葉のとおりにはちょっと私には受け取りにくい感じを抱くわけであります。
○沢田一精君 ただいま局長の御答弁の中にありましたように、交通事業と病院事業についてはどうも経営的に問題があるというふうなお話なんですが、これは一カ月ばかり前におそらくお出しになったと思いますが、「地方公営企業再建整備措置要領」というものを地方に流しておられるのじゃないかと思います。その中にはやはり業種によりましては相当に不良債務があり、そのために再建整備措置要領というものを、この際まとめて、地方に通達をされ、何とかひとつ地方公営企業の再建整備をやっていこうという熱意をお持ちになっていると思うわけなんですが、現在までの、先ほど局長の御答弁では、交通事業と病院事業というものが特に悪いようにおっしゃいましたけれども、大体のところでよろしゅうございますが、どういう状況になっておって、そうして今後自治省とされてはどういう方針で再建整備をはかろうとされているのか、概略御説明いただきたいと思います。
○政府委員(奧野誠亮君) 三十六年度の、地方公営企業法の適用になっております企業の総数のうちで、赤字を出している数を申し上げますと、交通事業が八十四事業のうち六十事業でございます。それから病院事業は六十七事業のうち二十九事業でございます。こういう状況を申し上げまして、今のようなことを申し上げたわけであります。なぜこうなっているかといいますと、どちらも人件費が経費の中で非常に大きな割合を占めている、病院事業では五〇%、バス事業では六〇%でございます。もちろん企業によりましてこの比率も相当大きな開きがございます。しかし、とにかく現在ではそういう比率になっておるわけでございます。公営企業でございますので、当該団体の公務員の給与に右へならえして給与改定をし、また地方公務員は国家公務員の給与に右へならえしてやっている。給与改定が行なわれると診療報酬の改定等が行なわれるかというと、必ずしもそうなっていないのであります。そのズレがそのような結果を招いておると、こう思っておるわけであります。しかしながら、そういうことになれば、やむを得ない事情があったにして毛、それをそのままにしておいて、これでいいのだということになっては困る。そういうようなことから再建整備を積極的にやらせよう、やる限りにおいては国も大いに協力をしなければならないだろうということで、考えて参りましたのが、今御指摘になりました措置の考え方でございます。
○沢田一精君 特に病院と交通事業について赤字が多い、しかもそれは人件費の高騰による。こういうような御説明でございますが、今までの累積した赤字というものは何らかの措置を、政府あるいは当該地方団体でやることによりまして一応解消はできるかもしれませんが、そういう年々赤字を出していくということになりますと、その根源を断たなければやはり今後同じように赤字の累積を繰り返していく、しかもそれに対して地方公共団体としては相当な財政的な負担をしていくということになるのでありますが、特に病院とかバス事業について、今までの年々の赤字の根源を除去するという自信が自治省としてはおありですか。
○政府委員(奧野誠亮君) 病院事業につきましては、それほど金額的に大きいものではございませんし、診療報酬も昨年改定されたわけでございますので、そう心配いたしておらないわけであります。交通事業につきましては、都市の交通事情は、年々自動車が輻湊する、したがって運転が悪くなってくる。こういうような面もございますので、ある程度料金にはね返ってこなければならないし、また料金にはね返るばかりでなく、どちらかといいますと、軌道を除去して地下鉄に吸収するという面もあろうと思います。やはり根本的には都市改造を中心に考えていかなければならないのじゃないか、こういうふうな気持を持っているのであります。企業自体で問題を解決するということでなしに、都市経営の面からも思い切って考え直していかなければならないのじゃないか、こう思っているのであります。 ただ御参考に申しますと、大都市のハス事業の料金改定——二年越しの問題がまだそのままになっているのでありますが、都市のバス料金がきまりましてから約十二年経過しておりますが、その間に国家公務員の給与改定が八同行なわれております。それから燃料費が八割ぐらい高騰して参っているのであります。いろいろな事情があるわけでございまして、都市の交通事業の赤字はもちろん経営者の努力、あるいは合理化の熱意に大きく訴えていかなければならないと思いますが、同時にこういう料金問題があることを御理解いただきたい、こう考えているのであります。将来ともなお路面交通の事情というものは私たちは悪化していくだろうと思います。これはやはり立体交差を積極的に進めていくか、もっと地下鉄に力を入れていくというようなことをやらなければならないと思います。全体的な面から考えていきまして、赤字をそのままほうって置いていいというものではないと考えております。
○沢田一精君 それで具体的な今後の助成、補助のやり方でありますが、改正案の十七条の二の二項と現行法の十八条の二項、これは繰り入れ、繰りもどしの制度だと思うのでありますが、今回の改正と従来の規定との相違といいますか、どういうところが違うのですか。
○政府委員(奧野誠亮君) 従来は、純粋な公営企業を対象として、この法律を規定しておったわけでありますが、今回の改正で準公営企業、そういうものについても公営企業経営を採用していきたい、こういうようなことになったわけでございます。そうしますと、そういう準公営企業——病院事業でありますとか下水道事業とかいうものにつきましては、ときには当然一般会計がその経費の一部を分担するという性格のものもあるわけであります。そうしますと、公営企業法を貫いております独立採算の考え方をどれか一つにまとめまして、それと、それ以外の規定と分ける必要がある、独立採算の規定は準公営企業——今回これに取り入れようとしております下水道でありますとか病院事業でありますとか、準公営企業には適用しない。しかし、一般の公営企業には当然それが適用になる。そういうことをはっきりさせなければならないであろう、こういう必要に迫られたわけでございます。そこで、十七条を分解いたしまして、独立採算の規定を十七条の二としてまとめ、従来の十七条の二にありました、独立採算の規定以外のものは他のほうに持っていくというようなことに改めたわけでございます。
○沢田一精君 「災害の復旧その他特別の理由により必要がある場合においては、予算の定めるところにより、一般会計から特別会計に補助をすることができる」、こういう規定があるわけなんでして、「災害復旧その他特別の理由」というのは——主として「その他特別の理由」というのは、どういうふうな理由をお考えになっておりますか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(奧野誠亮君) 現在、たとえば東京都は地下鉄事業の会計に一般会計から毎年二十億ずつ出資をしているわけでございます。また、東京都が持っております営団債につきまして利子補給を行なっておるわけでございます。地下鉄事業につきまして減価償却費を全部料金に転嫁するということは、今の地下鉄の建設事業費から見てみますと、かなり無理があるようでございます。都民の足について支払いを求める料金にもある程度の限度を考えていかなければなりませんので、料金を押えるといたしますと、その分を一般会計で持たざるを得ない。バス料金なり路面電車の料金なりと、あまり大きな開きのできないような料金をきめるといたしますと、どうしても一般会計である程度持たざるを得ない。そういう場合には、一般会計からその企業会計に補助をするという必要が生じてくるわけでございます。現在は利子の一部を補給するというような形で処理されておるところも多いわけでございます。名古屋市が一般会計から名古屋市の地下鉄事業につきまして利子負担の一部を援助するということを行なっておりますが、そういうことを考えておるのでございます。
○沢田一精君 今もちょっと御答弁がございましたが、何と申しますか、国の物価政策で、特に料金を低廉に据え置く必要がある。そういうような場合も「その他特別の理由」ということの中に包含してお考えになっているわけですか。
○政府委員(奧野誠亮君) 国の特別の政策というよりも、住民の全体の立場から考えまして、一般会計である程度のものを持ったほうがよろしいという場合があれば、それは一般会計から当該企業の特別会計に繰り入れをしてよろしい、こう考えておるわけでございます。
○沢田一精君 交通事業一つ取り上げてみましても、一般の私企業、これはまあ東京都内の私鉄やバスのことをお考えになってもいいわけなんですけれども、必ず私企業というものは、そういう本来の交通事業のほかに補完的な付帯事業というものも相当行なうのが例だと思うのです。本来の交通事業それ自体によりましては、たとい若干の赤字が出ても、補完的な事業をあわせ行なうことによって、一つの企業としての採算がとれていくというような場合もままあると思うのですが、そういう点、同種の企業でありましても、私企業と公営企業というものは異なった面があるわけなんですが、今、お話がありましたように、にもかかわらず、公営企業としては、やはり一般住民に対するサービスという点から料金を低く押えていかなければならぬということになりますと、相当国も、あるいは当該地方公共団体も、公営企業の将来にわたって育成補助の施策を確立していかなければ、なかなか公営企業全体としての将来というものは危殆に瀕するのじゃないかというような気がするわけなんですが、今度、再建整備措置要領というものも出されまして、そうしてこれにもありますように、国としても必要な援助をするのだというようなことが書かれておるようでございますが、具体的に国としては、地方公営企業のそういった将来の育成強化について確固たる方針をお持ちになっているのであろうか、持っておられるとすれば、具体的にどういう措置を今後とっていかれようとするのか、御説明をお願いしたい。
○政府委員(奧野誠亮君) 地方公営企業の種類によりまして、全く独立採算を貫いていく、むしろ、ある程度の剰余を出して一般会計にそれをつぎ込んでいって、一般会計の面で住民全体の福祉に還元していくというようなことの可能なものもございますし、また公営企業から若干われわれのいう準公営企業ということになりますと、当然一般会計がある程度援助をすることを最初から期待をしているという性格のものもあろうかと思うのでございます。一例を申し上げますと、地方公共団体が今日発電事業をかなりやっているわけでございます。発電事業をやるために、一般会計が幾らかの援助をするということは全然例がございません。毎年若干のむしろ利益をあげているというのが普通でございましょう。従来からいいますと、公営企業の範疇に属しながら、なお一般会計がある程度援助しなければならない、その顕著なものは私は地下鉄だと、こう考えておるわけでございます。地下鉄事業につきまして、当該団体の一般会計がある程度の援助をする、出資の形で援助をしたり、あるいは利子補給の形で援助をしたり、援助の形態はいろいろございます。国におきましても昨年からでありましたか、ことしからでありましたか、地下鉄事業に対しまして利子補給をすることになったわけでございまして、帝都高速度交通営団、それから東京都や大阪市や名古屋市の地下鉄事業についても利子補給をしているわけでございます。私たちが今回財政援助の方法としてとろうとしておりますのは、再建計画をちゃんと立てていただきました団体につきましては、政府の低利の資金の融通のあっせんをしていきたい、これが中心でございまして、将来しかし、その再建に対しまして一般会計が相当の援助をするという場合に、その一般会計に対しまして特別交付税制度の運用によって援助をするということも考えられるだろう、こう思っておるわけでございます。
○沢田一精君 まあいろいろ細部にわたりましては問題があろうと思いますが、次にお尋ねいたしたいと思いますことは、地方公営企業というものは、あくまで企業として一体的に、合理的に、やはり運用をはかっていくべきものだと思うわけなんですが、国の制度を見ました場合に、それぞれの面で所管が関係各省にまたがっておるというような点で、実際問題としては非常に健全な、あるいは機能的な公営企業の発展というものを阻害しておる向きがあるのじゃなかろうかと思うわけなんです。たとえば、交通事業関係では、軌道は軌道法の規定によりまして運輸省が関与してくる、水道は水道法がある、あるいは病院経営につきましては、厚生省が主としてタッチをしていく、そういうような向きで、自治省としては非常に地方公営企業としての一体的な、合理的な指導という面でやりにくい面がたくさんあるのではなかろうかと思うわけなんですが、その辺は現在までのところ、どういうふうな連絡調整と申しますか、各省間におとりになっているのか、あるいはその間において不都合がなかったのか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(奧野誠亮君) 公営企業が、その対象によりまして関係省間にまたがって所管されているということはそのとおりでございますし、その結果、若干の不都合が生ずるということももちろんございます。しかしながら、それぞれの専門の部局があって、積極的にそれぞれの指導をしていく。しかしそれだけじゃ十分にいかない面を、自治省が地方公共団体の財政その他について責任を持っておりますので、その立場から力を合わせていくという姿において運営されていきますならば、今申し上げました欠陥は十分補われるのじゃないか、こういうような気持でやって参っておるわけでございます。 従来の若干の例について申し上げますと、病院財政のことを心配をいたしまして、地方公共団体の病院の財政についての調査会のようなものを設けまして、そこには厚生省の人にも入ってもらい、私たちも入り、また病院の経営者も入って、一つの方針を検討したことがございます。あるいは下水道の財政問題につきましては、自治省、建設省、厚生省、そして自治体の人たちも入りまして、下水道財政についての研究会を持ったこともございました。そういうような研究会から一つ申答が出されますと、それにのっとって関係各省も運営の指導に当たっていくというような努力をいたしておりますので、現在のところ一つの企業の所管が各省にまたがっているために、いろいろ混乱を起こしているというほどのことはないのじゃなかろうか、むしろ今申し上げましたような方法をとることにおきまして、それぞれの持ち腸持ち場において力を合わせながら、その企業の発展をはかっていくということによって相当の成果をあげていくという見方もできるのじゃなかろうか、こう考えているわけでございます。
○沢田一精君 公営企業といえども企業であります以上は、一番根本的な問題は、料金がどういう格好できめられていくか、これが運営上は非常に大きな問題だと思うわけなんです。たとえば電車にしても、バスにしても、陸運事務所あるいは陸運局に進達をして、そしてそれが運輸大臣に上がってきて、運輸審議会というものの議を経て原則的にきめられると思うわけですが、そういう過程において地方公営企業を所管しておる自治省として、料金決定に参画する機会というようなものが従来あるわけなんですか。
○政府委員(奧野誠亮君) 旧内務省時代におきましては、地方公営企業の料金についての許可権限を持っていたわけでございます。それをむしろ地方公共団体の住民の決定にゆだねるべきだということで一切許可はいらないということにしたのでございます。従来そういうものについて各省も同じように許可権限を持っておった、その各省の許可権限だけが残っておるのが現状でございます。言いかえれば自治省も、地方公共団体の企業の料金ということでそれにある程度関与するという言い方もできないわけじゃございませんけれども、むしろそういうものは自治体の任意にゆだねるべきだという考えに到達したわけでございまして、そういうことで現在ははずしておるわけでございます。しかし、他の面で関係各省が料金の許可権限をなお留保しておる、その大きなものが都市交通の料金だと思うわけでございまして、都市交通の料金だから都市の住民にゆだねたらいいのじゃないかという考え方も、ひとつ成り立たぬわけではなかろう、こう私たちは考えるわけでございます。しかしながら今、とにかく運輸大臣の認可になっておるわけでございますし、運輸審議会もあるわけでございますので、料金問題がいろいろ議論されます場合に、関係各省を通じまして、自治省の意見を反映さしていくということをやっている程度でございます。権限的に自治省がそれに加わっていくというようなことは、今までのところはございません。
○沢田一精君 今のお尋ねを裏から申しますと、結局たとえば電車とかバスの料金決定について、政府として一般の私企業と異なった扱いを公営企業の面でしておるのかどうかということなんです。公営企業の場合も、私企業と全く同じような料金の決定の仕方を政府として今おとりになっておるかどうか、あるいは公営企業については何らか私企業の場合とは違った決定の方式を採用しておられるのかどうかということをお尋ねしておるわけです。
○政府委員(奧野誠亮君) 形式的には全然違いはございません。実質的にはこれは料金認可の仕事を扱っているところの人たちの考え方によっていろいろ違ってくると思います。今日のように物価問題のやかましいときに、公営だから多少しわ寄せをしてもやむを得ないじゃないかという考え方が出ていないとも限らない、こう私たちは推察するわけでございます。
○沢田一精君 異なった取り扱いは原則的にしておらないというお答えなんですけれども、私企業におきましては大体原価主義というものが中心になりまして、料金がはじき出されておるのではないかと思うわけなんです。この原価口義——原価主義という言葉の中にはいろいろとニュアンスはあろうと思いますが、その原価主義というものが公営企業の料金の決定の場合にも適用されるのであるかどうか、あるいは公営企業なるがゆえに一部修正されるとすれば、どのような考え方で修正をされるか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(奧野誠亮君) 公営企業でありまする限りは、原価主義であるべきだと思います。今、物価問題に例をとって申し上げましたように、公営なるがゆえに一般会計である程度持ってもらいたい、したがって料金は上げないようにしたいというような動きは多分にございます。現在バス料金の値上げが二年間そのまま据え置かれていることについては、いろいろものの見方はございましょう。例を他のところにとって申し上げますと、工業用水道の料金につきまして通産省では、料金を押えまして、反面一般会計からさらに補助をしてくれるような要請を繰り返し行なっているようでございまして、こういうものにつきましては、私企業でないために、むしろ料金を押えていきたいというような考え方がたぶんに出ている一例だと思うのです。
○沢田一精君 今のお答えで、公営企業といえども料金はやはり原価主義を建前にするというふうな御答弁であったかと思うわけなんですが、先ほど取り上げました、自治省が最近お出しになった「地方公営企業再建整備措置要領」というのを見てみますると、料金については何ら触れておられない。これは先ほど来申し上げますように、料金がどういう推移になるかということが、やはりこの公営企業としての再建整備を将来促進する上について非常に重要な問題だろうと思うわけなんですが、その点について何ら触れておられないというのは、どういうわけなんでしょうか。
○政府委員(奧野誠亮君) 採算のとれる料金でやっていかなければならないということは当然のことでございますし、法律に毛そのことは明記してあると思います。したがいまして、あえて私たちが再建計画を立てます場合に、それに触れなければならないというふうには思っていないわけでございます。ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、私たちがねらっている財政再建の対象というのは、病院と交通事業が中心でございます。病院というと結局診療報酬、これは国がきめております。それから交通事業というと料金、これは運輸大臣の認可になっております。診療報酬につきましても交通料金につきましても、今の物価事情をめぐりまして、あるいはまた、国の財政支出の問題をめぐりまして、非常にむずかしい事柄に属するわけでございますので、そういう意味であえて触れなかっただけのことでございます。
○沢田一精君 先ほど来申し上げておりますように、料金決定について、私企業と何らか異なった措置をとる必要もあるのではなかろうかという感じがするわけなんですが、関係各省に対してさらに強力に折衝なさって、あるいは制度的に改めるべきところは改めて、自治省としてもう少し積極的に関与していく、そういうことによって公営企業の健全な発展をはかるというお考えはございませんか。
○政府委員(奧野誠亮君) お話ごもっともな点だと思うのでございます。将来よく考えていきたいと思います。ただ、都市交通のような場合には、ある程度地域住民にゆだねられないだろうかというくらいの考え方を持っておるわけでございまして、一般的に料金の規制を強化するというよりも、むしろ公営については料金の規制をゆるめるという方向が望ましいのじゃなかろうかという感じを持っているわけでございます。いずれにいたしましても、料金問題につきまして自治省が積極的に健全な運営が営まれるように努力をしていくということは必要なことだと思いますので、検討していきたいと思います。
○小林武治君 今の、たとえば東京都以下のバス事業が非常に赤字で値上げを申請しておるが政府は許さないと。しかも経済企画庁等は、人件費が非常に民間企業に比べて高いと、したがって、これについてある調整でもしなければ許さないというようなことを言われておりまするが、この問題について自治省はどんな考えを持っておるか、また、何にもこれについては、あなたのほうは発言しておらぬのだろうか、その点どうですか。
○政府委員(奧野誠亮君) 大都市のバス料金の改定の問題につきましては、繰り返し経済企画庁とも話し合いをいたしておるわけでございます。当初、人件費の問題を経済企画庁から持ち出しましたことは、これは事実でございます。また私たちも、大都市のバス経営につきまして人件費のあり方について自治体に再検討してもらいたい、こういう希望を持っておりますし、またそういう申し入れをしております。ただ、それだけで解決される問題ではないということを繰り返し指摘して参っているわけでございまして、今日では企画庁はおそらく、そのために料金を改正しないんだという気持は持っていないはずでございます。全く私たちは現在の物価問題の推移から来ている問題だと、こう考えているわけでございます。
○小林武治君 私は、前にも沢田さんが言うたように、交通事業などはなるべく、特別な大投資を要するもの以外は私企業にまかしたらどうか、こういう考え方を持っておりますが、しかし、現在はとにかくやっておる。それで、非常な赤字で困っていることが事実なんですね。それをただ押えるというようなことは私は適当でないと。で、あなたのほうは何か経済企画庁なり運輸省なり、文書でも出しておるのか、ただ話し合いをしておるだけなのか。それからまた、こういう事態をいつまで放置しておくつもりか、そういうふうな見通しは持っていますか。
○政府委員(奧野誠亮君) 非常に率直に申し上げますと、運輸省と自治省との間では、運輸省は昨年中に認可をするという約束でございました。経済企画庁との間でことしに入りましてから問題が出て参ったわけでございまして、認可しがたいということになって延びて参ってきているわけでございます。経済企画庁に対しましては文書で、自治省はこういう考え方を持っているんだということを明らかにいたして参ってきているわけでございます。その後さらに、公営交通の財政問題を調査するということで、自治省、運輸省、経済企画庁、それからまた自治体の交通関係者、さらに大学の学者先生たちも加わってもらいまして、調査会を設置しているわけでございます。しかし、そのことと料金改定の問題とは全く別個の問題だということで、繰り返し私のほうでは経済企画庁にも申し入れをしているわけでございます。料金改定を一日も早く自治省としてはやってもらいたいという考え方を持ち続けて参っておりますし、その考え方は明らかにしているつもりでございます。
○小林武治君 今の公営企業の財政状況というものは、自治省でもお調べになっておると思いますが、その点はどういうふうに考えておるのですか。今、借入金でやっておるのか、あるいはどこか別に、一般会計からの調整というようなことをやっておられると思いますが、こういう状態でもってまだやっていけるのかどうか。要するにこれは事業ですから結論で出てくると思うんです、調べればね。だから、どういうふうな赤字状態でおって、こんな状態が一体いつまで続けられるのかというようなことについて何か調べておるかどうか。
○政府委員(奧野誠亮君) 最近特に赤字が顕著になって参ったわけでございます。したがいまして、企業としてはある程度の借入金を持っているわけでございますけれども、結局は減価償却による資金留保が十分計上できない、言いかえれば資産の食いつぶしをしているというような形になっている、これがまあ実態でございます。たしか公営企業の赤字全体で六十億ぐらいになっている、こう考えているわけでございます。
○沢田一精君 今小林先生からもお話がありましたように、たとえば交通事業なら交通事業を取り上げてみましても、先ほどからお尋ねしておりますように、このバス料金といったようなものが、どういうふうでなければならないかという確たる根拠なしに、単なる、そのときどきの物価政策というような問題でぼかされていく。しかもそれが、自治省があまり関与しないというような姿で、関係各省のそれぞれの考えでやっていくというようなことになりますと、公営企業の将来というものは、非常におぼつかないのじゃないかという気がするわけです。しかも最近、地方の実情を見ておりますと、公営企業として行なうべきような種類の事業を、たとえば公社方式であるとか、あるいは協会方式であるとか、そういうことでどんどん範囲が拡大されていく傾向がある。これはまあ一面におきましては、地域開発の促進というようなことで、けっこうな面も確かにあると思いますけれども、そういうふうに企業的な面に手を伸ばし過ぎていく。しかも、それから上がってくる料金等は、今申し上げたように確たる方針がないということになりますと、今後やはり相当一般財政あたりからつぎ込んでいかなければならぬ。そうなりますと、先ほど当初から心配しておりますように、地方公共団体として当然やらなければならない一般的な行政作用というものが非常に阻害をされる。あるいは圧迫をされるという結果になるのじゃないかと思うわけなんですが、そういう意味からしても、この辺でまあ原価主義なら原価主義でもけっこうですけれども、あるべき料金の姿というものを、それぞれの業種について自治省としてもやはり指導的な立場で関係各省と折衝をされて、一つの方針を見出されるという必要があるのじゃないかと思うわけなんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(奧野誠亮君) 料金につきましては、地方公営企業法の二十一条の二項に、「公正妥当なものでなければならず、且つ、これを決定するに当っては、地方公営企業の収支の均衡を保持させるように適切な考慮が払われなければならない。」というような規定の仕方をいたしているわけでございます。公営企業の料金につきまして、特に国が強い規制をしているというのは、病院関係の料金問題と交通事業関係の料金問題これが中心であろうと思います。そのほかにつきましては、特に強い関与をしていくというのはあまり例がないのじゃないだろうか、こう私たちは考えているわけでございます。繰り返し申し上げますように、民営の競争企業として十分成り立っていって、それはそれなりに健全な発展を遂げているその中に、地方公共団体がただ割り込んでいくということは避けなければならないと思います。また、そういう例がありますならばお教えをいただきまして、できるだけそういうことのないように、自治省としても指導していくべきものだろう、こう考えております。大体において地方公共団体が関与していくものについては、それはそれなりに事情があるのじゃなかろうか、こう私は考えているわけでございます。ただ病院事業と交通事業は赤字に陥っているところが多い。と申し上げまして、なおかつ、病院事業や交通事業が公営企業としてわれわれ適当なんだ、こう考えておりますゆえんは、一つは病院事業につきまして、私たちは客観的に病院は公営でやるべきであろう、こう思っているわけでございます。たとえば今日、進歩した器具がいろいろできて参っているわけでございまして、そういうようなものは個人の開業医でどこまでととのえられるだろうか、公営では基幹病院としてそういうものを積極的にととのえるべきじゃなかろうか、ある場合においては採算を度外視してもととのえるべきじゃないか、そうして住民の治療の面において非常に貢献をしていくべきではないか。こういう考え方を持っているわけでございまして、したがいまして、私たちは病院事業を純然たる公営企業とは考えていない。準公営企業と呼んでいるわけでございまして、場合によっては一般会計がある程度負担をしてもいい。ただずるずる一般会計が赤字補てんをしていくというような姿の運営はよくない。当初からこの分は一般会計でもってやる、この分は企業経営でまかなっていきなさいと、はっきり分担をきめて経営をしていくべきである、こういうような考え方をとっているわけでございます。交通事業につきましては、私たちは都市と都市とを結ぶような交通事業を公営でやるべきだという考えはないわけでございまして、都市内の交通は、これは都市経営と一体でなければならぬわけだから、まあ公営のほうが望ましいのじゃなかろうか、こういう考え方を持っているということを申し上げて参っているつもりでございます。
○沢田一精君 今お話がございましたような公営企業のうちで、一番問題なのは、赤字の面からもはっきりしておりますが、交通事業と病院経営だと思うわけなんですが、その肝心な交通事業と病院については、まあ特に料金の問題等について今お話があったとおりの状況で、そういう状況であればあるほど、やはり将来の公営企業という問題が残されるのじゃないだろうか、こう思うわけなんです。で、先ほど来いろいろとお尋ねをいたして参りましたけれども、たとえば、あるべき料金の姿というような問題についても、単に一般の民衆の人たちに参加してもらって、そして適正な料金が——先ほど局長の御説明では公正妥当な料金というような、そういうお話があったわけなんですが、なかなかむずかしいだろうと思います。原価計算というような問題につきましても、やっぱり相当高度な技術を必要とするわけなんでして、もう少しこの公営企業の料金ということについては、交通事業あるいは病院を含めて慎重にひとつ将来御検討いただきたい。そうして、ただむやみに毎会計年度一般会計から援助を受けなければやっていけないというようなことがないように、やはり一つの目安というものをはっきり——それはまあ毎年一般会計から若干つぎ足すことは、これはけっこうかもしれませんけれども、しかしそれが野放しになっていく。しかも、先ほど来御説明がありましたように、赤字のおもな原因が急増する人件費にあるということでありますれば、国家公務員との関連上、やはりこれは待遇改善というものが今後も引き続いて行なわれるとするならば、これは非常に大きな問題だと思うわけなんです。 で、私が申し上げたいことは、公営企業としては、先ほど来申し上げるように、やはり一定の限度があるのじゃなかろうか。住民の福祉の増進ということで絶対必要な、私企業にまかせておけないような仕事を選択して、それに対しましては確たる指導方針を立て、あるいは料金というものについても一つのあるべき姿というものを想定して、そうしてやはりはっきりした経営をやっていくと、そういうふうに指導をしてもらわなければ困ると思うわけなんです。また私企業と異なった助成策というものを、関係各省ともどもに公営企業の面については、よくひとつ検討していただきたいと思うわけなんですが、いかがでございますか。
○政府委員(奧野誠亮君) 料金を、公営企業を経営する自治体自身がきめる場合と、病院の診療報酬のように国のほうできめていく場合と、二様あろうかと思うのであります。個々の自治体がきめます場合には、公営企業法の二十一条を例に持ち出しましたように、収支の均衡を保持すること、これが大原則になっておるわけでございまして、今後もそう考えていきたいと思います。ただ、純然たる公営企業と準公営企業、その間に若干の違いはあろうかと思います。病院事業は、私たちは純然たる公営企業と考えているのではなく、準公営企業と考えております。したがいまして、こういう病院の財政をどう経営していくかということにつきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、一応調査会を設けまして、そこで結論を出しているわけでございます。その結論に従いますと、病院の建設は一般会計で行ない、病院経営については少なくともその減価償却費は生み出していく。そうしますと、従来は建設費につきましても病院関係は借り入れをいたしまして、元金の償還がどうしても早く出て参ります。それにまた利息がついて参ります。それを減価償却費にプラスして病院経営でまかなっていくということになりますと、相当多くの病院ではなかなかやれない、赤字になっていくというような傾向が多分にあったわけでございます。それで、これからは今申し上げますような考え方で、言いかえれば建物は一般会計で建てて病院に貸すんだ、病院のほうでは減価償却費はちゃんと経営で生み出していくんだ、こういうやり方をしなさい、そういう範囲において病院が黒字であるか赤字であるか見きわめていこう、こういうような方式をある程度発揮させて参ったわけでございます。 交通事業につきましても、先ほど私が触れましたように、現在調査会を設けまして、今検討している最中でございます。まだ、その答申が出ておりませんけれども、たとえば地下鉄事業でありますと、道路が輻湊してきたから地下鉄に移行せざるを得なくなったわけでございます。道路を広げるか、あるいは二段階の道路にするか——そんなことよりも、地下鉄を作らせて、そのかわり道路を作る費用を地下鉄に援助してやる、そういうような考え方も出てくるわけでございまして、今の料金の決定のあり方なり、あるいは財政運営のあり方なりについて、確たる方針を示していかなければならないんじゃないかという御意見、私は全く同感でございまして、そういう方向に努力しているつもりでございます。ただ、交通事業は赤字を出しているから、それだけで公営がよくないんだ、こういう考え方でありますならば、それは私たちは、やはり場合によっては一般会計がある程度援助しても、その企業を存立させていく必要がある場合も多々あるんじゃなかろうか、こういうような考え方を持っているわけでございます。いずれにしましても、お説に従いまして料金のあり方なり、あるいは経営の方針なり、そういうものについて、それぞれの企業についてもっと明確に指導して参りますように努力をしたいと考えております。
○沢田一精君 最後にお伺いしますが、先ほど来問題となっております「再建整備措置要領」なんですが、これに、自治大臣が再建計画を認めれば、必要な再建資金のあっせんその他の援助を行なう、こういうふうなことになっているわけなんですが、具体的にどういうふうにやろうとしておられるのか、最後にお伺いしたいと思います。
○政府委員(奧野誠亮君) 財政再建計画を立ててもらうことが根本でありますけれども、その財政再建計画の中には、今お話のありました料金問題がある場合もございましょうし、あるいは職員の配置転換の問題がある場合もありましょうし、いろいろな内容があろうかと思います。その内容に従いまして、また一般会計から貸付をするとか、あるいは一般会計から補助をするとかということもあろうと思います。そういう場合に、まず赤字企業の資金について必要な政府資金をあっせんする、同時に、一般会計がその赤字企業に援助いたしました場合に、その一部を特別交付税でもって当該団体に援助するというようなこともあり得ると思います。また、企業の建設面につきましても、たとえば路面電車をトロリー・バスに切りかえるんだ、それについては相当の資金が必要なんだ、そういう意味の地方債を許可し、資金のあっせんをするということもあろうかと思うのでありまして、そういうことも含めまして、多方面から協力をして参りたい覚悟をいたしているわけでございます。
○秋山長造君 関係資料をもらっているのですが、これは今沢田さんもしきりに言っておられた「再建整備措置要領」ですか、そういうものだとか、それから収支の状況——三十六年度の決算でございますか、今一番新しいのは。簡単なものでいいのですが、公営企業の収支の状況がわかるような、そういうものも、こういうものをせっかく作られるなら、やはりあわせて提供をしてもらいたいと思うのですが、これはあさっていただけますか。
○政府委員(奧野誠亮君) お話の資料を提供するようにいたします。
○委員長(石谷憲男君) 本日の審査は、この程度にいたしたいと思います。次会は、六月六日(木曜日)午前十時より開会の予定でございます。 本日は、これにて散会いたします。 午前十一時五十九分散会 —————・—————