大蔵委員会 第32号
- 発言数
- 105 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/07/06
会議録
○委員長(佐野廣君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 委員の異動について報告いたします。 去る六月二十八日、井川伊平君が辞任、その補欠として青木一男君が選任されました。 —————————————
○委員長(佐野廣君) お諮りいたします。森部隆輔君から、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございますが、これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。 つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選の方法は、便宜、委員長から指名することに御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。それでは、西川甚五郎君を理事に指名いたします。 —————————————
○委員長(佐野廣君) 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とタイとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とマラヤ連邦との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、以上二案を一括議題といたします。 二案は、一昨四日衆議院から送付され本委員会に付託されました。 それでは、これより二案の一括質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
○木村禧八郎君 この法案について、三点について質問したいのですが、その第一点は、この条約による所得税法の特例に関する法律案、これはオーストリア共和国、連合王国ニュージーランド、この三国の特例法がすでに国会を通過して成立することになっておりますが、その内容を見ますと、各国別にそれぞれみんな違っているわけですね、税率が。これはどういうわけで各国別にこういうふうに違うのか、その理由ですね、それが一つ。今回のタイとマラヤにつきましても違うわけですよ、税率がね。 第二は、この租税条約によってお互いに両国間で租税の特例を設けるのですが、その場合、どちらのほうがよけいに、どの程度に免税あるいは税の軽減を行なうか。損得関係ですね、その損得関係はどうなるのかですね、その点です。それで、たとえば日本側からタイへは子会社が二十五、支店十五、駐在員事務所三十七、貸付等十一件、技術援助六件等があるりが、タイ側よ日本に来ているものは現在ないと、こういう状況ですわね。それから、マラヤにつきましても、日本側からマラヤ連邦へは子会社が十二、支店二、駐在員事務所二十五、貸付等六件、技術援助四件がある。マラヤ側から日本に来ているものは現在ないと、こういう相互条件が違うわけですね。したがって、そこで免税あるいは税を軽減する場合、損得関係が違ってくると思うのですね。その点を聞きたい。これは第二の質問です。 第三は、アメリカとの場合にはどういうふうになっているか、こういう関係が。アメリカとの場合です。どういうふうになっていますか。所得に対する租税に関する二重課税の回避と脱税の防止と、日米関係においてはこの関係はどういうふうになっているのか、そういう点を。 この三点を伺いたい。
○政府委員(泉美之松君) お答えいたします。すでに当委員会に各国との条約の実施に関する特例法につきまして御審議を願っておるわけでございますが、お話のように、各国との間でいろいろ特例法の内容が違っております。これは申し上げるまでもなく、各国それぞれ独自の税制を持っておるわけでございます。そこで、日本も各国といろいろ交渉いたしまして、お互いに国際二重課税を防止するために源泉地国でどれだけ課税する、居住地国でどれだけ課税するということの交渉を行なうわけでございます。ところが、各国でそれぞれ税制が違っておりますのと、それから各国の租税条約の結び方、それから両国間における経済関係の違いと申しますか、先ほどもお話がありますように、東南アジア諸国には日本のほうから経済的に進出しておる、ところが西欧各国では日本のほうに向こうから進出している、そういういろんな経済関係が違っておる関係上、お互いに源泉地国としての課税を譲歩するのでございますが、その譲歩に必ずしも画一的にできないという事情がございまして、内容が違っておるのでございます。 したがって、第二番目に損得関係のいろいろお話ございましたが、結局わがほうから東南アジア諸国へ進出しております場合には、先方で源泉地国所得課税を軽減してもらうということがわがほうの進出している企業にとって有利になります。他方、そういった東南アジア諸国で外国からの外資の導入を奨励いたしますために、特別の措置を設けて免税などの措置をとっておりますが、その際に、日本がそういう免税措置にかかわらず日本で東南アジア諸国へ進出している法人の所得を全額課税することにいたしますれば、せっかくそういった特例措置を設けて外資を導入しようとしているにかかわらず、その効果を減殺することになります。そこで、租税条約を結びまして、源泉地国ではこの程度課税する、他方、源泉地国でとっておるその免税措置について、日本側は現実に税金を払っておらないものを税金を払ったものとみなして二重課税の防止措置を講ずる、こういうことによってお互いの経済発展が行なわれるというようなことでございます。損得関係といいましても、なかなか正確な数字をもってはかることはできませんけれども、お互いがこれによってよくなるということをねらいにしておるわけでございまして、決して一方的にどちらが有利であるというような性質のものではございません。 それから、第三番目の、アメリカとの関係ではどうなっておるかということでございますが、アメリカにつきましては、一次条約の締結がございまして、その後、二次、三次の修正を加えております。ただし、アメリカの上院でまだ二次、三次の修正につきましては承認を得ておりません。アメリカとの問では、配当につきましては御承知のように日本は法人擬制説をとっておりますので、アメリカのほうで日本の会社の株を持っている場合、日本のほうで配当を支払う場合には、源泉徴収をしないという規定になっております。ただし、アメリカのほうでは、アメリカの個人または法人で日本の会社の株を持っておる場合の配当所得につきましては、税額控除の措置を講じておるということになっておるわけでございます。
○木村禧八郎君 まだよく納得できない点があるのですが、それは先ほど申しましたように、日本からタイへは貸付も行なっておるし、技術援助もやっておるし、子会社あるいは支店等も、また駐在員事務所等も向こうに進出しておるわけですが、タイから日本に来ておるものはないでしょう。だから、事実問題として、日本はこれによって利益を受けることは明らかですが、向こうから来ておるものはないのだから、事実問題としては対象がないわけですから、利益を受けることはないでしょう。今のお話ですと、損得関係というようなものは、双方が利益になるように、そういう建前で法律はできておるのですが、事実問題としてタイから日本に来ているものはないのですから、またマラヤの場合も同様なのですから、そこで実際問題としてどういうことになりますか。日本は確かに利益を受けます。しかし、実際問題として、タイのほうはこの法律によって、この法律案が発効したその時点において考えた場合には、タイのほうは利益を受けない、こう見ていいでしょうか。
○政府委員(泉美之松君) お話のように、日本の企業はタイあるいはマラヤに進出いたしておりますが、タイまたはマラヤからは日本に企業進出しているということはございません。したがって、この租税条約の締結によりまして、利益を受けるのは比較的日本のほうが多いということは言えますが、先ほど申し上げましたような措置をとることによって、タイに日本の企業が進出し、向こうが願っている経済開発が行なわれ、それがやはりタイの経済に、あるいはマラヤの経済に、非常に大きな貢献をするということで、利益になるということでございます。 それから、非常にマイナー・ポイントなことでございますが、タイあるいはマラヤから技術を習う修習生が参ります。その場合、技術修習生の所得に対する課税をどうするかといった、つまらないことでございますが、そういった点につきまして、不安のないような措置をするというようなこともあるわけでございます。
○木村禧八郎君 説明はそれでわかりました。ですからこの法律自体においては、タイ側は実はプラスになるものは現時点においてはない。しかし、今お話がありましたように、これが契機となって、今度はタイあるいはマラヤが日本から資本を導入する場合に非常に有利になる、こういうお話ですね。そういうことに理解していいですか。
○政府委員(泉美之松君) お話のとおりでございます。
○木村禧八郎君 それでわかりました。 それから次には、アメリカとの関係においては、今タイとマラヤに起こった関係が今度は逆の関係になると、こう理解していいですか。たとえば日本はアメリカに資本を輸出するということは、まあ多少はあるかもしれませんが、しかしアメリカは日本から資本を入れるということはそうあまりない。しかし、日本はアメリカから多くの技術援助を得ているし、それから多くの外資を入れております。また、アメリカ人が日本の株を持っている。かなり買って持っている。ですから、アメリカと日本との関係はちょうどタイ、マラヤと日本との関係の逆になると、こういうふうに見ていいですか。そのことはまた、アメリカからの外資導入に非常に有利になると。そういうことから、まあアメリカ人が日本の株を買い、あるいはアメリカの技術援助を受けたり、あるいは資本を導入する場合に有利になる。日本にとってそういうプラスはある。しかしながら、この条約、この二重課税の回避の条約自体、あるいはその税法自体においては、日本とアメリカとの関係は日本とタイ、あるいはマラヤの関係の逆の関係になると、こういうふうに見てよろしゅうございますか。
○政府委員(泉美之松君) 原則としては、お話のように日本とタイの関係と日本とアメリカの関係とは逆だということは言い得るかと思いますが、しかし、日本とタイとの関係よりも、日本とアメリカとの関係では、まだ日本のほうから進出している面が相当ございますし、それからまた配当の関係にいたしましても、利子の関係にいたしましても、ロイアリティの関係にいたしましても、日本が支払うほうが多うございますけれども、支払いを受けるものもあるわけでございます。したがいまして、タイあるいはマラヤと日本との関係の逆とは必ずしも言い切れないほど日本のほうからもある程度は進出いたしております。ただ、大きな線で申し上げますれば、租税条約のほうではアメリカのほうが日本のほうに進出する場合の源泉地国としての課税をある程度軽減することによって、アメリカからの日本への資本導入、あるいは技術導入ということができやすくなっておるということは事実でございます。
○木村禧八郎君 それは厳密には同じであるとは言えないですけれども、関係は、理屈としては、そういう関係ではないかと思うのですが、それでアメリカとの二重課税回避のこの条約ですね、あるいはそれに基づく法律は、どういう法律なんですか。さっき二次、三次と、これは改正になっていると言いましたけれども、それはいつごろできて、現在どういう法律になっているのですか。僕はちょっとさがしてみたのですけれども、見当たらなかったのですが。
○政府委員(泉美之松君) アメリカの関係の特例法は昭和二十九年に法律第百九十四号として出ておるわけでございます。
○木村禧八郎君 それはどういう名称になっていますか。
○政府委員(泉美之松君) やはり、日本国とアメリカ合衆国との問の二重課税の回避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律と、こういうことでございます。
○木村禧八郎君 同じような名前ですね。そして、それがどういうふうに改正になってきておりますか。
○政府委員(泉美之松君) 条約のほうを改定する話でございまして、この法律を改定する話ではございません。
○木村禧八郎君 そうですか。条約を二十九年に締結されたのですか。
○政府委員(泉美之松君) さようでございます。二十九年の四月十六日に署名をいたしまして、三十年の三月一日に効力が発生いたしております。
○木村禧八郎君 それから、簡単でいいですが、どういうふうに変わったか、改正点を簡単に項目だけ……。
○説明員(兼松武君) 私からお答え申し上げます。日本航空が米国から航空機を購入いたします場合の資金につきまして利払いの問題が生ずるわけでございますが、その際に相互に有利な取り計らいをする。それからもう一つ、アメリカの金融機関から同様に借りる場合の利払いについて、相互にお互いの便宜をはかろうという趣旨の個別的な事項だけについての改正でございます。そのほか若干技術的の改正も含まれておりますが、大きなポイントはそういう点でございます。
○木村禧八郎君 日本航空と、もう一つは金融機関かなんかですか。
○説明員(兼松武君) 米国の輸出入銀行その他の金融機関から日本が金を借りて事業をする場合の返済の利子の取り扱いに関する特例をきめておるわけでございます。
○木村禧八郎君 日本航空及び輸出入銀行についての利子ですか。利払いですね。それについて相互に便宜をはかる、その場合に関する限り相互と言っている……。
○説明員(兼松武君) 条約の規定としては相互に働くようになっておりますが、ねらいは日本の場合に、日本が有利な利益を受けられるようにということでございます。
○木村禧八郎君 税に関する限りはアメリカのほうが有利でしょう。ただ、それによって日本が金を借りられるということのプラスはあるわけですね。そういう利益でしょう。そういう利益じゃないですか。ですから、税法に関する限りは、やはり一方的である。税法に関する限りだけですよ。
○説明員(兼松武君) たまたまアメリカが日本から飛行機を買うということがないという意味においては、日本がアメリカから買う場合の利子の支払いについての有利な規定だという意味で、その意味で日本に一方的に有利に働く、効果がそういうふうになっているわけでございます。
○政府委員(泉美之松君) 木村委員のおっしゃるとおり、日本の税額を軽減いたすことになりますので、それだけ日本の政府の収入は減る。しかしながら、日本のほうがアメリカから飛行機を比較的安く購入できるという点に利点があるわけでございます。
○木村禧八郎君 それならわかりますよ。私もそう理解したわけですよ。ですから、条約面では相互に便宜をはかるということになっており、それから相互の便宜もどうしても税法においては一方的になるのですよね、政府の収入が減るのですから。向こうは減らないのですから。しかし、それによって日本がほかの便宜を得るということの説明なんですね。と理解したわけです。それならそれでわかるわけです。 それで、これはめんどうかもしれませんが、アメリカと日本との間においては大体バランスシートは、税収に関する限りでのバランスシートは、日本はどのくらい軽減し、アメリカはどのくらい軽減するかはわかるでしょう。今すぐでなくていいです。それから、タイとマラヤについても、どのくらい向こうから減税の恩典を受けるのか。日本の場合はさしあたり向こうから来ていないのですから、ないわけですが、しかし、それは私はそれだけとしては理解しません。さっきお話がございましたから、それによって他の利益があるということは、これも私は認めます。ただ、そのバランスシートを知りたいわけですね。しかし、その場合、やはりそれは一つの問題になると思うのですけれども、それは他の利益との今度はバランスシートを考えなければならぬわけです。それはまた議論になるのであって、私は今議論のためにその質問をしているわけじゃありませんから、その議論はいたしませんが、できたらそのバランスシートですね。しかし、そのバランスシートを考えながら、やはりタイ側でも、それはマラヤ側でも、それはそういうものを考えて、こういう条約を結んでおるでしょうし、アメリカだってそうでしょうし、大体のバランスシートがあると思います。それを、できましたら資料としていただきたい。
○政府委員(泉美之松君) お話の点は資料として提出することにいたしたいと存じますが、ただ、申し上げておきたいことは、各国とも自分の国籍と申しますか、自国内の自分の国籍を持っておる個人あるいは自国で設立された法人に対する課税と、それから自分の国に進出してきておる外国籍の個人あるいは外国に本店所在地のある法人等に対する課税とは、区別しておるのが普通でございまして、概して外国から来ているのに対しては税金を高くしておる。そうして租税交渉によって、お前のほうが幾らまけてくれるなら、こちらは幾らまけるぞという交渉をするのが、各国のやり方になっております。したがって、お話のように、まあ日本とアメリカ、日本とタイあるいはマラヤとの間に、いろいろバランスシートがございますが、その国内法の建前が絶対的なもので、それをちょっとでもまけたら、何とか向こうに非常にフェーバーを与えるのだという考えは、必ずしも適当でないのではないか。やはりお互いに話がつけば軽減するけれども、話がつかぬ限りは、はなはだ言葉は悪いけれども、よそ者扱いだということが税法の建前になっておりますことを御了承いただきたいのでございます。
○木村禧八郎君 その点は理解いたします。今後やはりOECDの問題なんか起こってきますと、やはり非常に商取引の自由化も促進されるでしょうし、そういう場合にいろいろな面で、やはり税法についても考えなければならぬ面も出てくるのじゃないかと思います。したがって、むやみに外資を導入する悪い面ばかりじゃありませんが、そういう点について、あまりあちら側にフェーバーばかり与え過ぎているという場合には、やはり再考慮する必要があるのじゃないかと思うのですがね。 それで、こっち側が、それだけ財政収入が減ることに対して、向こうから日本が得る利益と比べて、不当に向こうに利益を与えているのじゃないかというようなことが判断された場合には——そうなっていると私は断定しているのじゃないのです。そう判断された場合には、これは考えなければならぬのじゃないか。それで、さっき泉さんお話があったように、外国の会社にこっちより高く、たとえば日本においては、日本の会社より外国会社には高く課税するという原則があって、それに基づいて交渉して、それより下げていくというお話があったわけですね。ですから、そういう場合に不当にまあフェーバーを与え過ぎているということを判断された場合には、やはり交渉でありますからね、こちらに有利なように、日本が有利なようにするのが当然だと思うのです。そういうことがあるので御質問したわけです。さっきの泉さん言われたことは、これは私も理解しておるわけです。そういう意味で資料をひとつ、ごめんどうでしょうが、御提出を願いたい。それはできますね。
○政府委員(泉美之松君) ただいま木村委員の言われましたように、租税交渉にあたりましては、お互いにまあどちらか一方に非常に有利になるということではなかなか話し合いがつかないのが普通でございまして、お互いに譲歩し合うと申しますか、まける程度を同じ程度にすることをねらいといたして交渉するわけでございます。ただ、申し上げましたように、企業の進出あるいは資本の進出しておる国と、それを受け入れておる国との経済関係が違いますもので、したがって、そのバランスシートを完全に合わすというわけには参りませんけれども、われわれといたしましては、交渉にあたりましては、できるだけフェーバーを与え過ぎることのないように十分配慮いたしておるつもりでございます。また、今後もそういう決意を持って当たりたいと、かように考えておる次第でございます。
○木村禧八郎君 そういう点について、日本の国会でも絶えず問題になるのであって、ただ国会がぼんやりしておるのじゃないということをやっぱり明らかにしておく必要があると思うのですが、そういう意味で質問したわけでして、この両案に関する私の質問はこの程度でやめることにいたします。
○永末英一君 今回の日本とマラヤとの間に取りかわされる条約における条件と、日本とシンガポールとの間の条件は、完全に同一ですか。
○説明員(林大造君) 国際租税課長の林でございます。お答え申し上げます。今回のマラヤとの間の租税条約は必ずしもシンガポールとの間の租税条約とは一致しておりません。やはり相手の態度が常に同一であるとは限りませんし、また国内の税制、それから条約についての相手国の考え方等相違しておりますので、若干の点は相違いたしております。
○永末英一君 マレーシア連邦がきわめて短時日の間にできるということは、既定のコースだと思うのです。ところが、それに先だって、そのマレーシア連邦にはマラヤ連邦及びシンガポールが加わることを皆が知っておる、その短い期間であるのに、今特に条件を高めてマラヤ連邦との間にこういう条約を結ばれる理由を、ひとつ大蔵大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(田中角榮君) 私は、条約を結ぶのは外務大臣がやったことでありますから、こまかい問題はわかりませんが、政府としての考え方を申し上げれば、両国の合意に達したというところで条約を結ぶというわけでありますので、当然、マレーシア連邦ができれば、そのときに新しくまた今までのものを整理して、どのように引き継ぐか、どのような新しい形式にするかということであって、この現時点において考えますと、マレーシア連邦ができるというのは早晩であるという見通しでありますから、これら租税条約の問題に対しては長い目をもっておりまして、ずっと交渉を続けて参りまして、現時点において交渉が妥結したということでありまして、政治的配慮も必要ではないかという議論が生まれると思いますが、両国の合意に達した場合、条約を締結するということはやむを得ないと思います。
○政府委員(泉美之松君) ちょっと補足して御説明申し上げますが、先ほど国際租税課長からお答えいたしましたように、マラヤと日本と、それから日本とシンガポールとの間の条約は、ほとんど大部分は似ておるのでございます。と申しまするのは、シンガポールとの交渉をする際にも、またマラヤと交渉する際にも、向こう同士はいろいろ話し合いをしておって、そうして日本と交渉してきまったのでございます。もちろん、若干、ごくきわめて技術的なところで違っておりますが、それらの点については、マラヤ及びシンガポール両当局がよく承知の上でこの交渉が行なわれたのでございまして、非公式ではございますが、先方からは、マレーシア連邦ができたならば、マラヤの条約にならっていくものだという考えを、向こうはとっておるようでございます。
○永末英一君 シンガポールの位置というのは、やはりマラヤ連邦と比べますると、連合王国に非常に近いと思うのです。したがって、私は細部のどこが違っておるかわかりませんが、連合王国と日本の間の同種の条約というものと比べた場合に、シンガポールのほうが連合王国側に似ておるではないかと思うのです。しかし、今問題として伺いたいのは、そういう話だ、つまりマラヤ連邦の条件に合わしてマレーシア連邦ができてもいくであろうというのでありますけれども、これは外務省がおやりになることかもしれんけれども、もうすぐ一緒になるのだったら、一緒に一括交渉したらよさそうに思うのに、ことさらに、たとえ細部であっても、御破算にして、また新しい条約として話し合いをしなければならぬ手間をわざわざ今おとりになっておるという点について、日本国側として積極的な利益があればこの際伺っておきたいということです。
○国務大臣(田中角榮君) 積極的な利益ということを聞かれると、なかなかむずかしい問題でございますが、長いことかかって交渉を続けてきたことでございますし、向こう側と十分連絡をとって支障なしということで妥結点に達しておるのでありますので、国際上あえて相手の感情を害することもありませんし、それからマラヤというのは、これは何月何日に合併ということになっておれば待つということも考えられますけれども、なかなか外交的な問題ですから、きょう合併するといってもあしたまた延びるという問題もありますので、こういう問題は両国合意に達してお互いが理解し合った場合に調印ということは、まあやむを得ないというか、あたりまえの形式であろう、このように考えます。
○永末英一君 考え方はできるわけなんでありますけれども、やはりマレーシア連邦の結成というのは、東南アジア地区においてはいろいろな政治問題をはらんでおるわけであります。したがって、マラヤ連邦自体と日本国とではこの問題について交渉があったかもしれませんが、マレーシア連邦が、片やマラヤ連邦としては一番マラヤ連邦の重大問題として日程に上げて進行しておることは皆知っておることですから、そこで後向きばかり見ないで、これから新しいマレーシア連邦ができるというときにこの条約を締結して、いささかも現政府は支障はない、こういう考えだと了承してよろしいのですか。
○国務大臣(田中角榮君) 向こうが理解をしておるのでありますし、親切であり、国際的に一日や二日待ってやればいいじゃないかという気持もよくわかりますが、しかし経済は瞬時の停滞を許さない、こういうことでありますので、まあ向こうが了解をし、しかも十分両国の間で連絡をとりながら支障なしといって、向こうで調印を求めてきておるのでありますから、それに応じても差しつかえないというふうに考えておるわけであります。
○永末英一君 これからの話でどうなるかわからぬことでございますが、今のお見込みのことは速記録にも残りますし、その考えとして私どもは拝聴しておきます。しかし、この際、今のように国際情勢が動いておるときに、しかもはっきりと国の形態が変わろうとしておるときに結ばれることについては、責任をもってお進めになったという工合に私どもは拝聴しておきます。質問を終わります。
○委員長(佐野廣君) 他に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。 それでは、二案を一括討論に入ります。御意見のおありの方は、順次、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防上のための日本国とタイとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とマラヤ連邦との問の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、以上二案を一括問題に供します。これら二案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(佐野廣君) 全会一致と認めます。よって、二案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、諸般の手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(佐野廣君) 明治三十二年発行の英貨公債を償還する等のため発行する外貨公債に関する特別措置法案を議題といたします。 本案は、一昨四日、衆議院から送付され本委員会に付託されました。 それでは、これより本案の質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
○木村禧八郎君 簡単に質問いたしますが、まず第一に、戦時中における電力債の肩がわりを政府はやったと思うのですが、そのいきさつについてお話し願いたいのです。外債の政府肩がわり……。
○政府委員(吉岡英一君) 戦争中にありました外債につきまして、これを円貨公債にかえ得るものは円貨公債にかえたことのお尋ねかと思いますが、電力債その他につきまして、政府が肩がわりをいたしまして、円貨の公債にかえたわけでございます。
○木村禧八郎君 それをもう少し詳細に。どのくらいの額を円貨に肩がわりして、そしてその後は、その返済は政府がするわけですね、外貨として返済する。それで、肩がわりされた電力債については、電力会社の債務は国内債務となるか——そういうことになるのでしょう。その点、その金額について。それから、その債権債務の移動の関係ですね、外債が内国債にかわる、そういう関係。それと、電力会社は今まで外債を外貨で借金しておったのを、これを国内的肩がわりして、政府が外貨として払う、その問のいきさつ。それは電力会社がものすごい利益になると思うのですよ。その面では、電力会社が。外債を政府に肩がわりしちゃったんですから。もし電力会社として外債を償還するとなったら、たいへんな負担になる。配当どころのさわぎではないと思うのですがね。だから、その間において、政府が、国民が非常に大きな債務をしょったというふうになる。そのいきさつをもう少し詳しく話しして、そして戦後においてやはり償還をしたわけですね。戦後、十四銘柄を償還しておるわけですね、英貨債、あるいは米貨債について。戦前発行された外貨債で、今残っているもの、たとえば東京電燈の英貨債があるわけですね。あるいは東京市債、横浜市債、そういうものがあるわけです。こういうものは、これは政府に肩がわりされて、やはり政府がこれを償還するということになると思うのですが、そうなんですかどうかですね。この二点について。
○政府委員(吉岡英一君) 電力債その他を政府に肩がわりいたしましたときに、電力会社と政府との間の債権債務関係は、電力会社に有利になるというようなことではなしに、決済がついておるわけでございます。なお、その辺の詳しい事情、あるいは金額等については、至急調べまして、お答え申し上げたいと存じます。 それから、現在英貨債につきまして残っておりますのは、国債は、第一回の四分英、第三回の四分英、五分半英が残っておりますほかに、今の御質問にありますような、東京五分半英と東電の六分英とが残っております。
○木村禧八郎君 横浜のも残っておるんでしょう。横浜のもありますね。それから大阪市の築港……。
○政府委員(吉岡英一君) 失礼いたしました。お話のように、横浜の五分英と大阪市築港公債が残っております。
○木村禧八郎君 これは政府債務になっておるわけですね。そうなんですか。
○政府委員(吉岡英一君) さようでございます。
○木村禧八郎君 それで、今のお話によると、電力債その他の外債は、政府が内国債に肩がわりしたことによって不当に電力会社に利益になるというようなことになっておらないということですがね。それの理由をもう少し詳しくお話し願いたいと思うのです。その詳しい数字については、これはあとでけっこうです。
○政府委員(吉岡英一君) ただいまの点は、概括的に御説明申し上げましたが、その辺のはっきりしたいきさつ、法律等を至急調べまして、お答えいたしたいと思います。
○木村禧八郎君 数字についてはよろしいのですが、そのいきさつというか、その理屈については、それは御答弁願えるのじゃないですか。戦時中に電力会社が外貨で借金をしておったものですね、それを国内債務に切りかえたわけでしょう。政府が外貨での債務を負ったわけですね。その場合、今度はそれを償還する場合、非常にインフレによって、つまり円の価値が下がってしまったわけですね。ですから、電力会社はその点について非常に得をしているわけですよ。
○政府委員(吉岡英一君) お話の点は、政府が肩がわりをいたしまして、外貨のほうは政府が払います。政府が払いました場合には、その外貨に見合う円を債務者から取り立てておるということになっておるのであります。
○木村禧八郎君 そうしますと、円の価値が非常に下がっていきますね。その場合に、それではたとえば東京電燈の外債、英貨債を政府が払う、その場合、借りかえたときの円とポンドの相場に対して、現在では大体一ポンド千円か、あるいはもう少しというところかな、非常に円価は下がっておるわけでしょう。その今の相場で徴収するのですか、円の相場で。
○政府委員(吉岡英一君) ただいまの円と外貨の相場で取り立てておるわけです。
○木村禧八郎君 それだったら、電力会社は非常に巨額な債務を政府に返すことに僕はなると思うのですが、そういうことになっているのかな。その点は僕ははっきりわかりませんが、それは変だと思うのです、そのときの時価によって取り立てるというのは。あのときには円貨債に切りかえたのでしょう。だから、その切りかえた国債ですよ、おそらく。そういうものに切りかたものを会社が返えせばいいのであって、そのときそのときの相場によって政府は徴収するということは僕はおかしいと思う。そんなことはあり得ないと思う。
○政府委員(吉岡英一君) なお詳しく調べてお答え申し上げたいと思いますが、当時円貨債になりましたものは、外地にあったもの等はかえられなかったわけでありまして、国内にあるものだけを円貨にかえたわけであります。したがって、現在残っておるものは外地にある外貨債でございますから、もし東京電燈なら東京電燈の債務のままで残っておるといたしますと、円貨債にかえたものはある意味で価値の下がりました円で払いますが、残っておる外債については今の時価で返さなければならないわけでありますから、電力会社自体として、そういう意味で、政府に肩がわりしたために非常に損を出すということにはならないかと思いますが、なお詳しく調べてお答えいたします。
○木村禧八郎君 東京電燈の会社自体に残っておる外貨債については、それは外貨で返さなければならないことは当然なんですが、政府に肩がわりした分については、円に肩がわりしたのですから、その後のインフレによって円価は著しく下落しているのですからね、そういう関係から著しくインフレ的な利益を得ていると思うのです。その間の事情をもう少し詳しく伺いたいと思う。でないと——もっとも時間の関係で、この法案のその資料を待って質問したのでは、きょうはとても上がらぬと思うのですね。ですから、それは資料として出していただくとして、一応また別な何かの機会にこの点については深くまた御質問することにいたします。ほかの何か法案が出たときに、その問題についてもっとはっきりくっつけてその問題としてすることにして、この点に対しては私の質問は終わります。
○柴谷要君 現在の国債はどのくらいあるのか、三つばかりお尋ねしますが、一括お答えをいただきたいと思います。 国債の中で外貨債はどのくらいあるか、その率は国民所得に対してどのくらいの率になっておるか、この点を最初にお尋ねいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 昭和三十七年度末の国債の残高は四千六百十八億で、その内訳といたしまして、内国債四千百三十六億、外国債が四百八十二億であります。それから、国債残高の国民所得に対する割合を見ますと、三%であります。内国債は二・七%、外債が〇・三%。これは三十七年度の実績見込みを三十八年一月現在でもって国民所得を計算しまして、十五兆三千二百億、こういう推定をいたして逆算をいたしたわけでございます。
○柴谷要君 最近、国際競争力を増強するために、減税等の見地から、国債を発行するという議論が起こっているようですけれども、政府は国債発行に対して基本的な考え方がおありだと思うのですが、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 将来、財政のあり方といたしまして、社会資本の充実等のために国債を行なうという問題は、理論的には検討すべき問題だと存じますが、現実の経済、金融情勢等を十分に考慮をして慎重に取り扱う問題だというふうに考えておるわけでございます。まあ来年度は急激に財政が膨張するというような要因は今のところそう考えられませんし、税収も御承知のとおり平均をして増収が見込まれる現在、これが財源確保をはかり得るという見通しでありますので、現時点におきましては、内国債の発行という問題に対しては慎重にも慎重ということでありますので、私の考えとしては発行したくない、発行しなくてもまかなっていけるのではないかという考え方でございます。
○柴谷要君 外貨公債については、今国会で、基本法ともいうべき外貨公債の発行に関する法律というのが成立したわけですが、政府は、この外貨公債の基本的な問題が決定した今日、将来どういう方針をもって臨まれるか、これについてお尋ねいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 外貨公債という問題につきましては、国債及び政府保証債、民間債等の状況で発行いたしておるわけでございますが、国際市場の問題もございますし、また日本の対外信用という問題もありますので、十分これらの問題を勘案をしながら違憾なきを期して参りたいという基本的な考え方をとっております。しかし、先ほど申し上げましたとおり、社会資本の充実その他資金の一部として、良質長期の外債はこれを積極的に受け入れるという基本的な態度をとっておるわけであります。しかし、何でも近ごろは外債々々ということを、民間でも各地方公共団体でも言っておりまして、国際信用その他の問題もございますので、市場との勘案も十分考えなければならないので、これらの問題に対しては交通整理を十分やりながら、国際金融市場における日本の地位信用というものを確保しつつ発行しておるわけでございます。
○柴谷要君 第二次大戦後、ロンドンの市場は国際起債市場として非常に地位が低下したというようなことが伝えられているわけですが、戦後ロンドン市場で行なわれたおもな起債にはどんなものがあるのか、またその発行条件というのはどういうものがあるか。
○国務大臣(田中角榮君) ロンドン市場におきましては戦後はないと存じます。今度の英貨債の借りかえということが、戦後において国債としては初めてということであります。
○柴谷要君 次は、借りかえは有利な条件が得られる場合に行なわれるのが普通だと思うのです。今回の借りかえは前と比べてどの程度有利な条件がとられたのか、これをお聞かせ願いたい。
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、借りかえの場合は旧債よりも有利な条件であることが最も望ましいことでございますが、御承知のとおり、発行条件につきましては、その当時における市場の状況等にもよりまして、いろいろな問題があるわけでありますから、それらを十分勘案し、最も有利な条件で借りかえが行なわれるように現在努力をいたしておるわけでございます。しかし、何分にも現在の英国市場の状況から見まして、今度借りかえようといたしますのが六十五年前の旧債を借りかえようというのでございますので、六十五年前のものよりも有利ということが可能なのか、なかなかむずかしい問題でございます。でありますが、基本的には、わが国の国際収支上にも非常に有利なものでございますし、また日英問の友好親善といういしずえにもなるものでございますので、最も有利な条件で借りかえが行なわれることを希望いたしておるわけであります。
○柴谷要君 この特別措置法案によりますというと、外貨公債を失った者に対する外貨公債の再交付ができる、こういうことになっているのですが、もし二重払いになるような事態が生じたときは政府はどのような措置をとるのか、また二重払い防止のためあらかじめ何らかの対策を講じていくのか、この点を明らかにしていただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 公債を紛失した者に対して再交付という場合があるわけでございますが、紛失の事実の証明、紛失の時日から一年以内に請求しなければならないというような条件を付しております。さらに保証金または保証状を請求するというような措置をとっておりますので、二重払いにならないように万全な措置を考えておるわけであります。
○柴谷要君 国債に関する法律は明治三十九年制定の非常に古い法律なんです。外貨公債発行が復活しております今日、海外市場の法令や慣習を研究をして、現状に即するように改正する御意思があるかどうか、その点を伺っておきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 御指摘のとおり、国債に関する法律は非常に古い法律でありまして、現在の外債発行に際しましては、発行地の法令、慣習等とそぐわない点も確かにあることは否定できないと考えるわけであります。しかし、この法律は、御承知のとおり国債一般のものでありますので、内国債及び外国債両者において適用されるものでありまして、将来、先ほども申し上げましたように、内国債の発行が考慮されるというような事態が起こった場合には、当然再検討しなければならないという考え方をとっておるわけであります。
○柴谷要君 最近、民間会社では非常に外債募集が競争的になってきている。こういうような時点で、国際収支の安定であるとか資本取引の自由化等の立場から、政府は民間会社の将来についてどのようなお考えをお持ちでありますか。
○国務大臣(田中角榮君) 外資につきましては、先ほども申し上げましたように、長期安定的良質な資金については積極的に導入をはかっているのでございます。民間会社の外債募集につきましても、この見地から市場の状況等を勘案しつつ善処いたしておるわけでございます。しかし、先ほどちょっと触れましたとおり、どうもこのごろ少し外債づいておるようでありまして、私も私もというような状況でもありますので、募集の時期、金額等、市況も十分勘案をしまして、俗にいう交通整理をしながら適宜措置をいたしておるわけでありまして、今後も引き続いて所要の指導を続けて参りたい、こう考えておるわけでございます。
○木村禧八郎君 国際収支との関連で、外資の導入についてちょっと伺いたいのですが、三十八年度の貿易外の収支は、最近はおそらく三億六千万ドルから、あるいはもしかすると四億ドルぐらい赤字になるのではないか。最近非常に貿易外の収支が赤字が多くなってきておりますね。これは単に直接の外資の導入ばかりでなく、技術導入もあるわけであります。ロイアルティの支払いあるいは外債の円償還等、だんだん重なってきておるわけですね。これは今後重大な問題だと思うのですね。貿易収支をいつも非常にオーバーしておるわけです。どうも最近の事態から見ると、これは減る可能性はないのではないか、ますますふえていくのではないかと思うのですが、この見通してはいかがですか。当初の政府の三十八年予算編成の前提としての経済見通し作業では、大体三億二、三千万ドルですか、赤字を見込んだのです。ところが、その後、大蔵省は三億六千万ドルぐらいの赤字だと改訂したといわれておる。もっとまた多くなるのではないかといわれておるのです。貿易外収支の問題は今後重大な問題じゃないかと思うのです。この外資の導入も含めて、これは再検討しなければならないと思いますし、どういうふうにお考えになっておるのか。どうも政府は高度経済成長政策をやる場合に、日銀の貸し出しをどんどん促進せしめた、ああいう通貨供給方式プラス外国からのボローイング政策、借金政策によって高度成長の資金をまかなっておると思うのです。こういう点は今後再検討しなければならない時期にきているのじゃないかと思いますし、その点について大蔵大臣は検討されていると思うのですが、どういうふうに……。
○国務大臣(田中角榮君) 国際収支の長期拡大安定という今、目標を立ててやっているわけでございます。御承知のとおり、国際収支の改善対策をやって参ったわけでございますが、これからは貿易・為替の自由化等に対処いたしまして、将来的見通しを立て、長期拡大安定という目標を立てて、今諸般の作業を行なっているわけでございます。理想的には、貿易収支もまた貿易外収支も、すべてが黒字になることは好ましいのでございますが、御指摘のとおり、貿易外収支が非常に大きな赤字であります。この赤字も年々ふえていくというような傾向が見られるわけでございます。この貿易外収支の赤字を資本収支の黒字でもって埋めているというような状態でありますので、これも借りた金で、いつか返さなければならない金でありますので、こういうことのみ続けていくわけにはいかないということで、貿易外収支の改善対策ということに対しては、政府は十分の意を用いているわけでございます。 今、貿易外収支の赤字の状況は、一つとしては、海運収支が非常に悪いという問題が一つございます。それから、もう一つは、技術導入ということが、ヨーロッパからこの間OECDが来まして、びっくりして、日本は年間一億ドルも払うのか、こういう問題を指摘されたわけですが、たいへんな金額を払っておるわけでございます。そういう大きな貿易外の赤字の中で、三億数千万ドル、二、三千万ドルであると思いますが、特需でまかなっておって、なお三億四、五千万ドルの赤字が予想せられる。これが資本収支でようやくバランスをとっているということでありますので、海運等の問題に対しても、先ごろから経済閣僚会議で十分検討して、これから海運の問題をひとつ考える、もう一つは、観光の問題を考える、もう一つは、保険の問題こういう問題でございます。貿易外収支の改善は、この三つぐらいのものが一番大きな柱になるわけでございますので、これらを十分検討しながら、長期的に国際収支を安定せしむるために貿易外収支の改善対策を大いに急いでいるわけでございます。
○木村禧八郎君 政府が三十八年度の予算編成の前提としての経済見通し作業の中で、貿易収支においては輸出五十二億ドル、輸入五十億ドルですね。貿易においては二億ドルのプラスというふうに予想したわけですね。その他貿易外収支の赤字、それから資本収支の黒字を総合して、八千八百万ドルの黒字と見込んでいるわけですね。ところが、最近その点が非常に狂ってきているわけですね。 政府は経済回復が予想外に早い早いと言いますが、なるほど早くなってきています。それで、大体最近の見通しでは、名目で一二%ぐらいの成長率になるのではないかといわれていますね。実質は八%ぐらいになるのではないか。そのくらいになると、必ず国際収支の赤字が問題になりますね。どうも最近の見通しでは、政府は貿易収支で二億ドルの黒字を見たが、輸入はかなりふえるだろう。輸入が五十億ドルではとても済まない。私は、最低輸入が五十二億ドル、もっと上回ると思う。人によっては、貿易収支においてむしろ二億ドルぐらいの赤字になる。国際収支において三億六千万ドル、少なく見て二、三千万ドル、そうするとかなり大きな赤字になり、貿易収支が赤字になる。貿易外収支も赤字になる。黒字は資本収支だけで、それでこれをカバーするということは非常に困難で、三十八年度の国際収支は赤字になる。政府は黒字と見ているが、逆に赤字になるだろうというのが、どの程度の赤字かが問題でありますが、私は少なくとも一億ドル程度の赤字にはなるだろう。人によっては二億ドルという人もある。ですから、前提が非常に狂っている。この点、大蔵省でいろいろ再検討し、作業もやっておられるようでございますが、現時点で三十八年度の国際収支の当初の見通しと非常に狂っているのですが、その点についてはどういう点が狂ったか、そして今後どういうふうに見通されているのか、この点をお伺いしたい。
○国務大臣(田中角榮君) 国際収支の見通しにつきましては、今あなたからの御指摘がございましたとおり、私もそうあってはならぬと、こう思いまして、二カ月ばかり前に大蔵省で試算をさせたわけであります。政府の見通しといたしましては、大体実質六・一%程度の経済成長率を考えまして、国際収支の見通しとしましては、七、八千万ドルぐらいの黒字を考えてきておったわけでございますが、その後の景気の立ち直りが非常に早いということで、輸入もふえるということで、いろいろな角度から試算してみておるわけでございますが、大体年率七・五%ぐらいまで伸びる、このままでいくと伸びるおそれがあるということで、長期拡大安定という目標を立てるにはいろいろな施策を今から行なうべきであるということで、現在各省間でも努力いたしておるわけであります。 確かに、輸入も五十億ドルをこして五十二、三億ドルになるというような状況も考えられます。また、輸出はどうかということでありますが、輸出も五十二億ドルをこして五十三、四億ドルになる。とにかく五十二億ドル対五十億ドルぐらいの開きを持ちながら輸出振興策をやらなければならないということで、政府も、もう戦後四回目の国際収支の危機を招いてはならない。しかも、これはもう貿易・為替の自由化ということを前にしての日本の経済でありますので、今非常に慎重にいろいろな施策を行なっておるわけでございます。貿易外の赤字がふえておりますものには、輸出船というものもいろいろ考えて、今日まで輸出船ということで外貨の獲得というものが非常に多くあったわけでございますが、よく考えてみますと、これには荷物がついておる。相当長期に用船契約がついていくということも考えられますし、また輸入がふえるということによりまして貿易外の赤字もふえていくというような傾向にありますので、これらを総合いたしまして、あなたが今懸念せられたような方向になってはならないということで、各般の施策を行なっておるのでありますから、今の見通しでは、現時点においては輸出入の両方とも政府の当初見込みよりも相当数字的に伸びると思いますが、国際収支が逆調になって、三億ドル以上も赤字になるというような状況とは考えておりません。また、そうしてはならないということで、今こうして努力いたしておるわけであります。
○木村禧八郎君 関連ですから、簡単に一つだけ。では、そういう状況のもとで大幅な国際収支の赤字をもたらしてはならないということで努力しておるという状況のもとで、政府はなぜ低金利政策を強行しようとしているのですか。
○国務大臣(田中角榮君) 低金利政策を強行いたしておるわけではないのでございます。これは誤解でございますから、どうぞひとつ誤解をお解きになっていただきたい。これは低金利政策、低金利政策と、いつの間にやら国会の議論にもなりましたし、低金利政策などということを政府は言ったことはないのであります。貿易・為替の自由化を前にし、関税一括引き下げというような動きもあり、しかもOECDに加盟して資本の自由化を叫ばれている現状を考えるときに、さなきだに日本は原材料を持たない国でありますので、原材料を持った国と持たない国のハンデが日本にはあるわけでございます。でありますから、その上に公定歩合はアメリカは年率三分、日本は今度四厘引続いて下げても五分八厘四毛で、約倍であるということを考えますと、結局国際金利にだんだんとさや寄せをしていかなければいけない。しかも、それは金融環境の整備を待ちながらと、こういう前提とまくらがあるわけでありますので、一方的に低金利政策をやろうということは一向言っていないのでありまして、これは国際金利にさや寄せして、日本と諸外国とのアンバランスを是正して国際競争力をつけなければいけない。これは木村さんも、皆御賛成だと思いますので、そういう意味での低金利政策を一方的に強行するという意思は全くないのでございます。ただ、これは議論の問題ではなく、五カ月間に四厘も引き下げられたのでありますので、これが景気の過熱を来たし、またいろいろ過去の悪い状況を再燃しながら国際収支の危機を招いてはならぬということについては、細心の注意を払っておるわけでございます。
○木村禧八郎君 金利が高いのは、資金需要が多いから金利が高いのであって、金利は私が言うまでもなく市況の需給関係によってきまるのですから、金利を下げようとしたら、その前提としての環境を整備しと大蔵大臣言われましたが、それを整えなければならぬと思う。ところが、今までは資金の需給関係までも無視して、無理に金利を国際金利にさや寄せさせようという、そういう政策がとられたやに受け取られたわけです。これは議論になりますから、その程度にしておきますが、それでは、今までのような低金利政策の強行、私はそういうふうに解釈したのですが、資金需給関係を無視しての金利の引き下げということは、それはやらぬと、考えていないということですね。従来のやり方と、これは転換になるのですよ。変えているということになる。それはお変えになったということに理解していいわけですね。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほども言っておりますように、低金利政策を一方的にやろうなんという政策を一ぺんも申し上げたことはありません。総理大臣が、三十八年度予算編成を終わりまして、予算案を提出をした今国会における両院での施政方針演説の冒頭に申し上げたのは、国際金利にさや寄せをしながら民族のあしたに道を開きたい、こういうことを申し上げておるのでございまして、一向変わっておらないのでございます。でありますから、昨年の十月からいろいろな広範な角度において、あらゆる意味から施策を行ないまして、金融環境の整備をまず前提にいたしておるわけでありまして、需給関係を全く無視した低金利政策を一方交通でやろうというような考えは初めから毛頭ないのであります。
○津島壽一君 大蔵大臣に簡単な質問をしてお考えを聞きたいのですが、簡単ですけれども、事柄は非常に重要だと私には思われるのです。それは明治三十二年の第一回四分利が満期になってどうするかという問題は大きい問題だったと思うのです。それがこの公債の発行されたロンドンで発行の見通しがついたということは、私は非常にいいことだと思うのです。五分利貨債の現金償還をやった際から、私は、どうしてもヨーロッパ市場に日本政府が往年の信用を確保して、こういったような市場が再開されるという道を開かなければならぬ、こういう気持であったのですが、今日その実現の機会を得たということについては、私は非常に敬意を表するものです。 そこで、この公債は三十三年目でございます、英国で発行するということは。この第一回の英国発行というものは非常に世界から関心を持たれて、注目の的になっておる。これがうまくいくかどうかは、ほかのヨーロッパ諸国、また米国に対しても相当大きな反響と刺激を与えるものだ。こういう観点から、この法案が通って、いよいよ交渉にあたっては、私は最善を尽くしていただきたいという希望と同時に、私の言わんとするところ、また質問する点は、ここに書いてありますが、いよいよこれがきまれば、市中銀行団と、引き受け団と書いてありますが、発行条件その他の具体的の交渉をするという予定であるということなんですね。そこでまっ先に一番大事なことは、引き受け団をどうするかという問題であろうと思うのです。条件はその引き受け団と交渉する問題である。 過去におけるいろいろな事情を申し上げることは別として、明治三十二年以来、及び最後の国債以来、英国では二十数回外債を発行いたしております。それに当ったいわゆる引き受け団といいますかは、相当強固のものであり、また日本との友情というか、非常な協力的な態度を持して、これは申し上げるまでもないことであるが、やってきたものです。今回三十三年目に、戦後初めてロンドン市場で日本の公債、国債を発行していこうというのにあたって、最前に考慮すべきことは、これらの銀行団の組織にあたっての、これは世間から見、世界市場から見、ことに日本の歴代の内閣が方針としてきたことを十分に御研究下すって、誤りのないようにしていただきたい。要すれば、伝統なり過去の政策、この国債、が明治三十二年に発行されて以来のことをひとつ十分御研究になって、誤りのないようにしていただきたい。今日まで私ども現実にぶつかったこともございまするが、非常に莫大な公債の準備に最も強力なるシンジケートを作ったわけです。それは御承知のとおりであります。これは震災外債のごとき恐慌の場合において起こったところであります。民間の小さい社債のごときはそういった法はございません。したがいまして、今回の公債は、金額においては借りかえですからわずかなものでありますが、将来の事態を考えると、私はどうしても強力なものをまず作り上げて、そうしてこれと友情的な雰囲気のもとに発行条件、発行について具体的の折衝をしていただきたいと、こう思うのです。これは今の段階で大蔵大臣から、これはこことこことやるのですなんていうことを聞こうというやぼを言っておるのじゃないのです、これは微妙な問題ですから。しかし、大体の、大蔵大臣としてはこういう考え方であるということは、私はここで言っていただいたほうが、世界市場は安心するだろうし、われわれもその意見に同調共鳴するものなのです。これは質問でありますけれども、希望を含んでおりますが、もし何らかの形で、抽象的でもいいですから、お答えできれば、ここにひとつお答えを願いたい、こういう次第であります。
○国務大臣(田中角榮君) この三十二年からの、六十五年前の英貨債の借りかえを行なうということは、ただ国際収支にプラスをするというような問題とか、ヨーロッパの市場——第一にマルク債の発行があったわけでありますが、それの次を継ぐものであるというような、そういう技術的な考え方を持っておるのではないのであります。これは日英問の友好親善という、非常に古い歴史の上に立った日英間の友好がほんとうにこのことによって再び再確認をせられたというように、政府は非常に大きく考えております。 それから、もう一つは、イギリスが戦後長い間スターリング地域以外に対しては国債発行などは認めないという態勢にありましたのが、全く特に日英問の親善友好のために戦後初めてのものともいうべきものをこうして認めようというふうになりましたのは、非常に大きな外交上の効果を認められるわけでありまして、これらに対しての評価も誤ってはならないということを考えております。 第三の問題は、これが引き受けの機関その他についてでございますが、まさに津島先生が言われたとおり、非常に長い歴史を持つものでありますし、将来の問題もございますので、歴史を十分検討いたしまして、ただ飛びついてきたから、ただ戦後こういうものが日本とつながりがあるからというようなことではなく、慎重の上にも慎重を期し、歴史の上にこそプスラを築いて参りたいと、このように慎重な考えでございます。これはアメリカにおいて戦後発行された件につきましても、戦前日本国債を引き受けた引き受け団体その他との問題もございましたが、今までの歴史にも徴しまして、万全の上にも万全の配慮を行なって参りたいということも考えております。これに対しては、金額は五十億ばかりでありますから、出先だけでやれるというような問題を考えてはおりません。これはもうできれば私が出かけるなり、ほんとうに大蔵省を代表して出かけるべきものは出かけて、日英間の友好と、イギリス政府が特にこの問題に対してこういうふうにしたいというような行為に対しても、十分報い得る態勢をとって慎重に配慮して参りたいと、このような基本的な考えを持っておる次第でございます。
○永末英一君 先ほどから、日英親善のためにこの公債の借りかえが非常に有効だ、こういうお話があった。日本国内である事業をするために、これをひとつ外国の公債に訴えて、いわば簡単にいえば資金の援助をしてもらいたいということであれば、なかなか相手方の国も日本国内の事情に精通し、あるいはまたそのことによって結ばれていく度合いが大きい。しかし、今回のこの借りかえというのは、ただ単に長い問イギリスの経済と日本の経済との借金関係では新たなものが三十三年間なかったというだけの話で、これは単に借金の償還を延長するだけである。一体、先ほどから大蔵大臣の言われておるように、とんでもなくこれによって日英親善になる。親善というのは空々漠々たる言葉ですが、どういう一体日英問の経済の交流を目ざしておられるのか、はなはだ不分明だと思うのです。 そこで、一つは、一体現在のイギリス経済というものが、すでにポンドの価値維持すらも非常に危ぶまれておる。将来ポンドが日本の円に対して大きく援助してくるような見通しがあるかどうかについては、非常に不安な面を持っておるわけです。したがって、これが借金の借りかえということだけで延長していく。あと英貸債がたくさんありますけれども、そんな場合全部こういう形で借りかえをやっていこうとする方針なのか、それとも、将来日本の国内における資金需要があった場合に、ポンドと結びつけて英貨債の発行を考える場合にこのことが必要だというのでこういうことをお考えになったのか、この辺の御見解を明らかにしていただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 今度の五十億に及ぶ三十二年英貨債の借りかえ以外に、引き続いてロンドン市場でもって募債ができるかという見通しについては、できにくい、こういう見通しを持っておるわけであります。ただ、三十二年の英貨債につきまして、引き続きましてずっと長いことがあるのでありますが、これは歴史を見ますと、日本の、日露戦争前から今日までのものを考えますときに、日本の鉄道の敷設とか、非常に日本の経済復興に寄与しておる歴史があることは、これはもう御承知のとおりでございます。そういうものに対して、戦後初めてロンドンの市場で日本の国債が新たに出る。借りかえでありますが、これは新たに出ると同じウエートを持つものでございます。だから、それは歴史的に相当大きな意義を持つものであるということは言い得ると思います。 先ほどから申し上げたとおり、イギリスも国際収支の問題、それからスターリング地域中心という問題で、他の国の経済発展に対して資本を提供しようというような問題もタブーになっておったわけであります。非常に強く制限しておった、こういうことでございます。戦後ベルギーとか、ニュージランド、アイスランド等に対してごく少ない例がございますが、これも特殊な事情によりまして、非常に戦後外国債というものをロンドン市場で発行しないという原則でありましたのが、三十二年の英貨公債に対して日本が望むならば私のほうでも協力いたしましょう、こういうふうなことを言ってきたのでありますから、これはこの金額、この三十二年の英貨公債の借りかえという端的な問題ではなく、日英間に交流るす気持というものはお互いにうかがい知れるわけでございます。 それから、イギリスの経済は、御承知のとおり、一時ポンド不安等がございましたが、その後新政策もとり行なわれまして、非常に経済発展的な情勢になったわけであります。アメリカもそのとおりでございますが、三十八年度、今年度の見通しは非常によいわけでございまして、対米貿易等も延びております。それと符節を合わせるように、イギリスもいろいろな施策を行ない、減税政策等もあったようでございますが、そういう意味でこのごろはポンドは非常に安定いたしております。安定というよりも強化をせられておるわけでございますので、イギリス市場において借りかえられる五十億というようなものが、将来ポンド価値が下がってというような状態には現在のところないし、将来の見通しも上昇過程をたどるものと、こう判断しておるわけであります。
○永末英一君 わが国が外国から借り入れておりますいろいろな外貨債、これを償還期限までにちゃんと償還してしまうという方針でやることが、外国の信用を得て新たな外貨債を起こす場合にいいのか、それとも、このようにいろいろ御見解を承りましたが、その期限がきたときにまた期限を延ばして、しかも当初の事業は完了しているわけであります。新たな事業をするはずはない。単に借金の延長をするということでやっていく方針が将来の日本の外国経済との結びつきにいいのか、この点、方針を伺いたい。
○国務大臣(田中角榮君) この点は、日本政府歴代の外債に対する基本的態度というものは決定をいたしております。これは借りかえ等は行なわない、これは期日がきたら返す、これは原則でありまして、この内閣も、また将来の内閣も、それは踏襲維持して参りたいと考えております。そういうところに日本の外債の非常な信用があるわけでございます。私も一年間の問いろいろな方々に会いましたが、日本が国債というものを出せば確かにだれでも引き受け手はございますよ、こういうことを言いましたのは、あの第二次世界大戦中であっても支払いの停止をしなかったし、まあ非常に戦後の苦しいときであっても償還を続けてきた。そして戦後は苦しいながら、政治的に、低開発国などは借りるところから借りても、当然これは第一次であって、これだけでもってできると思ったわけではないから、これは債権国会議を開くというのが普通である、こういうような考えの中にあり、しかも非常に安い金利を、初めから返らないということが予期せられるような金でも金利をうんと安くしてというようなことがありましたが、日本は戦前の金利と戦後の国内金利のバランスをとりながら、正常な金利水準で国債や保証債の発行をしてきたというような、ある意味においてはおおらかなという批判もあるでありましょうが、国債に対しては明治から一貫してとってきた政府の方針というものが、世界に非常に信用があるのでありまして、これはお説を待つまでもなく、期日がきたものは必ず返すということが原則であります。 今度の問題は、御承知のとおり、予算を組むときには当然償還をするという政府の意思決定をいたしておるのでございますが、イギリス政府としては、日本が借りかえの意思があるならば、私どものほうでも当然これを御許可いたします、こういうような表現があったわけでございます。これはまあ一応償還をして、新しく発行するというのは、先ほど申し上げたようなスターリング地域中心であって非常に制約をしているロンドン市場では、いかに日本の国債五十億を発行したいという考えがあっても、なかなかむずかしいというような条件もあったので、借りかえ形式をとるというふうにしたのだと考えます。でありますから、これが将来続くものではない。日本政府の外債に対する償還というものは、借りかえに変更するというようなものでは絶対ございません。
○永末英一君 もう一点だけ伺っておきたいのですが、大体内容はわかりました。それで、借りかえはあくまで借りかえであって、いろいろの意味合いがございましょうが、別段これに見合っての新しい事業というようなものは、これはなし得ないことだと思いますが、そういうことは別段話題に上ったわけではないのですね。
○国務大臣(田中角榮君) 全然上ったわけではございませんし、国債整理基金の中に入れて国債償還に充てるということでございます。
○委員長(佐野廣君) 他に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありのお方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決を行ないます。明治三十二年発行の英貨公債を償還する等のため発行する外貨公債に関する特別措置法案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(佐野廣君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。 なお、諸般の手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 午後一時四十分まで休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕 ————・————