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43回国会参議院1963/06/13

大蔵委員会 第28号

発言数
34
登壇者
8
会派数
2
開催日
1963/06/13

会議録

佐野廣自由民主党

○委員長(佐野廣君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  金融緊急措置令を廃止する法律案を議題といたします。  本案は、去る七日、衆議院から送付せられ、本委員会に付託されました。  それでは、これより本案の質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言願います。

柴谷要日本社会党

○柴谷要君 金融緊急措置令を廃止する法律案の提案がなされておるわけでありますが、この法律案の提案説明の中に、戦後十数年を経て、経済情勢も推移したため、同令を存置する必要がなくなったと認められるので、同法案を廃止する、こういうふうにうたってあります。そうするというと、本年の経済情勢の推移ではなくて、もう数年前からこういう情勢は考えられておったというふうな感じがするわけでありますが、一体、大蔵省がこの措置令を廃止しようと考え、いろいろ関係の向きと話し合いをしてきた経緯があると思うのでありますが、この点について、当時の関係者でないからわからないと、こういう御答弁にはならないかと思いますので、ひとつぜひ経緯について最初にお尋ねいたしたいと思います。

池田清志自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(池田清志君) 金融緊急措置令は、御案内のとおりに、終戦後のわが国の経済界がこんとんとしておるときにおきましては、預金の封鎖でありまするとか、融資の制限、禁止でありまするとか、そういう大事な役目をつとめて参ったわけでございます。だんだん経済界がよくなって参りまして、それらの措置といたしましては、同令による必要がなくなって参り、したがいまして、同令といたしましてその任務が大体終了して参っておるわけです。ここにおきまして、今お示しのように、大蔵省におきましては、数年前からこれを廃止いたすべく、いろいろと調査あるいは関係省との相談やら準備を進めて参ったのでありますが、それがこの国会におきましてそのことを国会にお願いをしているわけです。なお、詳しくは専門の政府委員からお答えいたします。

高橋俊英大蔵省銀行局長

○政府委員(高橋俊英君) 今政務次官から御説明いたしましたように、この法律はそもそも戦後の緊急事態に対処して作られたもので、したがいまして、十数年たちまして、その間におきまして戦後のたとえば金融機関再建整備のような問題も片づきまして、封鎖預金というものも今はなくなりました。残っておりますのが資金融通準則というものがございまして、結局それに甲、乙、丙というふうな分類がありまして、緊急なものは甲、不急なものは丙、その中間にあるものは乙というふうな分類があるわけであります。ところが、これらの資金融通準則におきましても、内容的に見ますと、その当時非常に戦後の困難な時期における重要産業、不急産業という分類は、今日におきましては、もはや実態にそぐわない面が多々出て参ったわけであります。これに対しまして、それを改正するというのも一つの方法でありますけれども、何が不急であるかということにつきまして時々刻々変わってくる。おおむねこれはほんとうに不急である、不用であるというように常識には判断されるといたしましても、非常にたくさんの事例がございまして、それをあとから追いかけて改正するというふうなことは、かえって実情にそぐわない場合がある。解釈のしようによってはどのようにでもなるというような場合もございます。そういうことで、実態は資金融通準則が生きておるわけでありまして、それを廃止したらどうかという考えもあったわけです。これを廃止しますと、金融緊急措置令という法律の中身がなくなるということで、それもおかしいじゃないか。  そこで、問題になりましたのは、係属事犯。すでにこの法律の関係で逮捕されているとか、起訴の手続に入っているというふうなものが常にこれはあるわけでございます。数十件いつもある。これを廃止する場合にどうなるのだということがございまして、それで法務省に対しまして、廃止したいのだけれども、係属事犯の関係等もあるであろうから、どういう意見であるかということを御相談申し上げましたところ、いろいろ法的な技術の問題がございます。と申しますのは、この金融緊急措置令に掲げられておりますところの金融機関の分は、これに関係する経済関係罰則の適用はなくなるが、そうではなくて、個別に掲げられておるものがあるわけです。経済関係罰則の法律に、この緊急措置令に掲げられていない金融機関、あるいは掲げられているけれども重複して罰則のほうに名前が載っておるものがある。そういうことで、それらとの権衡をどうするかという問題がございまして、長い間法務省で検討を進められておりましたが、その罰則につきましても一応説明がつくという——いずれこの経済関係の罰則の法律はそれ自体として検討を要すると思いますが、いずれ改正しなければならぬものでありましょうけれども、当面こちらの法律を廃止することによりましてもさほど矛盾なくやっていけるというふうなことでございまして、きょう法務省関係はまだお見えございませんが、罰則の関係につきましては法務省のほうで十分御説明ができるということでございましたので、今回廃止の法律案を出したわけでございます。  ただ、不急産業に対する融資を規制する、抑制するというふうな問題につきましては、すでに民間の銀行及びその他すべての金融関係の業界におきましては、資金調整委員会というものを作っておりまして、重要な産業に資金を供給する、しからざる全く反対の不急な資金はこれを抑制するということを自主的にすでにやっておるわけでございまして、この法律がなくなりましても、その趣旨においては十分生かされて運営ができるという体制が整っております。そういうこともございまして、今回ようやく廃止をするというふうにきめた次第でございます。

柴谷要日本社会党

○柴谷要君 大体の経緯はわかりましたけれども、法務省の見解として述べられておりますのは、金融機関融資準則を廃止したいということで、大蔵省から法務省に一昨年でございましたか出された。この準則を廃止するというと、金融緊急措置令という法律がありながら、これも無意味なものになる。これを廃止をするということになると、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律にも影響してくる、こういうふうにたいへんな関連性を持った法律である、こういうふうになっておるので、慎重を期してきました、こういうふうな法務省の見解であった。ところが、準則のほうはさておいて、緊急措置令廃止法案が出てきた。こういうことについて、この中に盛られておりまする措置令の法律として果たしてきた役割は、今日の段階では全然何にも要らない、これに抵触するものはないのだ、こういうふうな見解をお持ちになってこの廃止を決定をして出されてきたのか、多少触れるところはあるけれども、もう大半がこの法律は無意呼なものだ、こういうことでお出しになってこられたのか、その点、少し詳しくお話をいただきたい、かように思います。

高橋俊英大蔵省銀行局長

○政府委員(高橋俊英君) ただいま法務省の方がお見えになりましたので、刑罰に関する、特に経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律ですか、それの方面につきまして技術的なことは法務省のほうからお答えがあると思いますが、大蔵省のほうの見解といたしまして、この準則を廃止するということは中身をなくするものであるから、したがいまして、措置令そのものを廃止するということに踏み切ったということは、先ほど申し上げたとおりでございます。それによりまして、罰則のほうは、ここに掲げられておる金融機関の職員に関する罰則はなくなるわけでございますが、これはそういう、まあたとえて申しますれば、収賄というふうな事例につきまして、今までは公務員同様の罰則があったと。それがなくなることについて不都合がないかというお尋ねの趣旨だと思いますが、私ども、むろん、金融機関の職員がこの法律がなくなったからといって、そのような行為をなすことは道義的にも許しがたいことであると存じます。しかしながら、これを刑罰によって規制しなくとも、すでにこれらの趣旨は金融機関にもよく徹底しておりますし、この法律がなくなった後におきましては、ますますそういった道義心といいますか、金融機関の公共性にかんがみまして、そのような不都合な行為はあるべきでないということを徹底し、いってみれば、綱紀をますます厳正にして遺憾のないようにしたいと考えておるわけでございます。  いろいろ他の経済関係の罰則とのバランスの問題は確かに残るわけでございますが、それにつきましては、法務省のほうからお答え願いたいと思います。

柴谷要日本社会党

○柴谷要君 金融緊急措置令の問題と、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律と、こう関連を持っておるわけでございますが、この経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律、このほうは大体法務省の所管事項でございますね。まあそういう形になっておるのですが、先ほどちょっと疑問をお互いに抱いたのは、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律の「別表乙号第二十四号を次のように改める。」として、「削除」ということがこの緊急措置令を廃止する法律案にうたわれてきたわけですね、この出し方。本来であれば、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律の一部改正ということで、「別表乙号第二十四号を次のごとく改める。」「削除」、こう国会に出されるのが、僕らは順序じゃないかと思うのですが、これが他の法律をここでうたって提案されておるというこの経緯、これが正しいのかどうか、この点をひとつ数えていただきたいと思う。緊急措置令に二十四号の削除、こういう項目はないわけです。経済罰則のほうにこれがあるわけです。それならば、なぜ経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律の一部改正として出されてこないものか、こう思うわけです。そうなるというと、その改正は法務省のほうで、法務委員会のほうに出ていかなきゃならぬ、大蔵委員会じゃない、こう思うのですが、この出し方についてちょっとどうも、しろうとでございますから、どうぞ丁寧に教えていただきたいと思います。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) お答えいたします。このような法律の附則の書き方は、今回の法改正に初めていたしたのではございませんで、この法律自体の過去の改正の際にも、このようなほかの法律をいじりました、その附則においてこの法律の罰則を落としたというようなことをやった前例もあるわけでございます。  で、非常に正確と申しますか、あるいは事柄をはっきりいたすためには、御質疑のようなやり方があるいはいいということがあるのかもしれませんが、緊急措置令を廃止する法律案を一ぺん出しまして、それからもう一つ経済関係ノ整備ニ関スル法律の別表第二十四号を削除する法律案というようなことに相なろうかと思うのでございますが、そういたしますと、非常に内容が関連いたしております法律案を別々に出すということに相なりまして、かえってわかりにくいようなことになるのではないかと考えるのでございます。  いずれにいたしましても、今回の形は、内閣法制局とも十分に相談いたしましてやったのでございまして、特に新しいとか、特別な形ではないように考えるのでございます。

柴谷要日本社会党

○柴谷要君 今のような答弁じゃ納得いかぬ。附則だから軽々しく扱うような傾向になってくると。少なくとも本則があり附則があるのだから、それでりっぱに独立した法律案であるからには、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律という問題を、中をいじるのだから、だからそれを一部改正ということで提案をし、それから緊急措置令を廃止する法律ということで提案をすればいい。二重にすべきですよ。ところが、緊急措置令の廃止を出すと同時に、その中によその法律の内容をうたって、それを削除するのだというのが、前例があるというなら、それをあなたは正しい扱いだと、こういうように考えておられるのか、私の申し上げることが取り扱い上は正当だとお考えになるのか、そこをひとつお聞かせ願いたい。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) 別に、実質的に御審議をいただいておるわけでございまして、決してこの附則のほうで落としますことが特に不都合であるということはないように思うのでございますが、たとえばこの経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律は、御承知のように、別表におきまして各省の所管となっております団体を取り込んでおるわけでございます。したがいまして、その各省のほうで、いろいろな法律の改廃をなされましたときに、その附則で経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律をいじるということは、別にそう不都合ではないのではないか、こういうふうに考える次第でございます。

柴谷要日本社会党

○柴谷要君 私はこんなことであえて論争しょうとは思わないが、法律を作った場合には、だれのために法律を作るのかといえば、国民のために作るのです。国民に一番見やすい法律を作るというのが立法府の考え方でなければならない。そういうように考えてきますると、確かにこれは、専門家が国会で審議する場合にはこれでいいんですよ。別に不便は感じないのだけれども、独立立法がここにある、ところが、他の立法を廃止するときに、その法律を、他の独立立法の内容までもここにうたうことがほんとういえば正しいのか、そうでなく別々にやったほうが正しいのか、こういう議論なんですから、だから、これは親切にいくならば、独立立法の内容を変える場合には、ちゃんと一部改正で出されたほうが筋の通った行き方ではないかということを質問するわけです。そうすればわかり方が早い、こう思うわけです。で、あなた方、専門家ですから、つまらない質問をしやがると、こう思うかもしれませんが、まあこの問題については、そういう扱いが正しいような感じがしましたので、御質問を申し上げたわけです。今の答弁でわかりました。  そこで、次の問題をお尋ねしたいと思うのですが、この法律は、御承知のとおり、非常に古い法律でありまして、今日まで早く廃止しようという気持が政府自身におありになったようでありますけれども、なかなか関連の問題がたくさんあるので、廃止に踏み切れなかったけれども、今次国会にこれを提案してきた、こういう経緯が衆議院の刑事課長さんの答弁で、速記録を見ましてよくわかりました。しかし、法律にもいい法律と悪い法律があると思うのですが、これは常識的にわれわれが見た場合に、廃止するのだからいい法律でないことは間違いありませんが、あなた方今日までこれを扱ってきて、こういう法律がなくともいいんだとお考えになったことございますか。早く廃止したほうがいいとお考えになったことありますか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) 形式的にはこの法律は、ごらんのように、非常に整理が悪くなって参っております。したがいまして、ただいま仰せの国民にわかりやすいという意味から申しまして、現在の姿における経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律は何らかの形で直さなければいけない、かように考えているのでございます。その次に実質でございますが、たとえば別表乙号に、先ほども申し上げたように、各省所管の各種団体の名前を掲げまして、それの贈収賄あるいは秘密漏洩というようなものを処罰する建前になっておるのでございますが、これは戦事中におきましては、あるいは戦後の統制経済を実施しておりました、経済状態が非常に異常な時代におきましては、一応法務省において総括的にこの法律を運用するという立場から考えてやるのが適当であるという判断のもとになされたことと思うのでございますが、その後いろいろ統一的にものを考えるような時代ではなくなって参りました。したがいまして、今回提案になっておりますように、はたして銀行の役職員がどの程度まで金融統制の仕事をやっているのであろうか、あるいは、その金融統制をやっているといたしまして、それらのものの汚職あるいは秘密漏洩というようなものを、刑罰の制裁をもって規律していくのが適当であるかどうかということにつきましては、法務省の判断というよりは、所管省である大蔵省その他各省の御判断に待つのが正しいという考え方になっておりまして、この法律は、そういう観点からいたしましても、再検討をいたしまして、近い将来に何らかの手当をいたさなければならない、かように考えているのでございます。

柴谷要日本社会党

○柴谷要君 それでは、質問の観点が変わって参りますけれども、本法の適用によって事件として取り扱われております件数なり、あるいはできれば、別に名前を申し上げろということではございませんが、どういう程度のことを犯罪として検挙しているか、そういうものについて差しさわりのない範囲で、御無理かと思いますけれども、御説明を願いたい、こう思います。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) このたびの法律案を国会に提案されますに際しまして、去る三月二十八日をもちまして、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律違反事件といたしまして、その当時全国の検察庁で受理いたしておりまする事件、並びに裁判係属中の事件の調査をいたしたのでございます。その概要は、総人員にいたしまして当時八十八名でございまして、そのうち検察庁の段階でまだ未処理となっておりますのが十一名でございまして、裁判所の一審に係属しておりますのが四十八名、二審、すなわち高等裁判所に控訴して係属いたしておりますものが十名、最高裁判所で三審係属中というのが十九名でございます。  その事件の内訳でございますが、御承知のように、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律違反と申しますのは、このたびこの廃止の提案がなされておりまする銀行、相互銀行、保険会社というような金融機関のほかに、判例上、この法律第二条にいう特別の法令により設立されたものあるいはそれに準ずるものとなっておりまする農林中央金庫、商工組合中央金庫、信用金庫、労働金庫、信用組合というようなものの役職員に関する犯罪があるのでございます。それから、この法律の第二条にやはり規定がございますが、独占事業、すなわち懸案になっておりまするのが電気事業と鉄道事業でございます。その内訳を申し上げますると、銀行、相互銀行、保険会社の関係におきましての贈収賄として起訴いたしておりますのが、先ほど申し上げました八十八名の中で三十一名でございます。それから電気事業、これはたとえば電力会社が石炭の購入にあたりまして、電力会社の役職員が石炭の業者からわいろをもらったというような案件にかかるものが十一名、それから鉄道事業に関するものが二名、その他が先ほど申し上げました農林中央金庫、商工組合中央金庫、信用金庫、労働金庫、信用組合、かような団体の役職員の収賄でございます。したがいまして、秘密漏泄というようなことで起訴になっておる事件はございません。

柴谷要日本社会党

○柴谷要君 まことにしろうとくさい御質問で恐縮でございますが、ただいま御発表いただきました鉄道事業二名、電気事業十一名というのは、起訴された事案のようでありますが、これは特別の法令によって設立された会社でありますから、国の補助をもらったり、あるいは国から出資をしたりという特定の会社であるわけです。事業体であろうと思うのです。そういうところで請負業者等と、贈賄側があり収賄側があるということでありますから、その起きた内容が、一般刑事事件と比較して、それらの行為というものが、非常に憎むべき行為であるか、あるいは多少情状酌量のできるようなものであるか。法律があるから、法律で規制をしたのだ、法律によって処罰をするのだ、こういう建前でおやりになっておると思うのですが、その点は、担当であられまする法務省の見解をひとつお聞かせをいただきたいと思います。たいへんむずかしい問題で恐縮でございますが。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) この係属をいたしておりまする八十八件は、それぞれがいつ起訴になりましたか、ただいま正確に承知いたしておらないのでございますが、非常に長く裁判にかかっておるものがあるわけでございます。したがいまして、たとえばこれが今から五年前、六年前、あるいは七年前というときに犯されたものであるのと、最近犯されたものであるのとによりまして、非常に犯情が違うと思うのでございます。したがいまして、個々の事件につきましては、一般刑法犯と比較いたしまして、決して特にこの関係の犯罪のほうを重くするとか軽くするとかいう処分はしていないと思うのでございますが、最近のこの処理の態度と申しますか、法務省が最高検を通じまして現場に指示いたしておりまするところを御参考までに申し上げますると、すでにこのたび法案を提案をしておるようなことになっておりまするし、また、経済関係罰則、整備ニ関スル法律全般にわたりまして、先ほども申し上げましたように、再検討を要する段階になっておりまするので、本年になりましてから、この関係で起訴いたしまする場合にはきわめて慎重な配慮をいたしておりますが、すべてこの関係の法律につきましては、事実上検事総長のところまでの稟請を要する。そして本年になりましても起訴が一件か二件あるようでございますが、それはこの法律の違反だけで起訴しておりません。たとえば、ある信用金庫の役員がわいろをもらいまして、しかもその贈賄者に対して特にその所属しております団体の不利益において金を貸し付ける、もう少しはっきり申し上げれば、背任あるいは横領的な行為を伴った贈収賄、こういうようなものをふんまえまして処分いたしておるように考えるのでございます。

柴谷要日本社会党

○柴谷要君 廃止をされますというと、もとの親の法律がなくなる。しかしながら、この法律は廃止をいたしましても、この法律の施行前における行為に対する罰則の適用についてはなお従前の例に従ってやるのだ、こういうことになりますというと、その八十八名の人たち、一審、二審、あるいは最高裁の、あるいは未処理の十一件等も処理されると思うのでありますが、根本である親法律がなくなってしまって、そしてこれから審理を続けるということになるというと、たいへんな精神的な面においてもいろいろな苦労が生まれてくるのじゃないか、こういうふうに思いますけれども、これに対して刑事課長さんにお尋ねするのはどうかと思う問題でありますが、できれば大臣から所見を伺いたいと思いますが、こういうものを残しておいたほうがいいのか、それとも、先ほどお尋ねしましたように、親法律がなくなっていく問題であり、この法律に関連をして犯した行為であり、そう、何といいますか、激しいものでないということならば、あとに引かないようなきちっとしたものにしてしまうこともまた一面法律改正の行き方ではないかというふうに考えられるのでありますけれども、この点に対する見解をお持ちになりましたら、これは非常に微妙な問題でございますから、ひとつ法務省の見解というようなことをお尋ねするわけではなしに、刑事課長としての御所見でもございましたら、お聞かせを願いたい、こう思います。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) 実は、必ずその御質問をちょうだいするということでございまして、大臣から十分にひとつ御説明を申し上げるようにという命令を受けて参っておりますので、一言申し上げさしていただきます。  この法律の立案に際しまして、閣議が行なわれましたときに、もうすでに、これからこの二十四号を廃止してしまうのであるから、現在の係属中の事件につきましても、「従前の例による」というような——なことをしないで、すかっと全部やめてしまったらどうだ。すなわち現在係属中の——係属中と申しますか、係属中のものは二十六名で、三月二十八日現在で検察庁の未済が五名でございますが、いずれにいたしましても、この三十一名が問題になるわけでございます。そのうちで一審係属中が二十名、二審係属が二名、三審係属が四名、こういうふうに、どちらかと申しますると非常に少ない人数の人々の、まあ直接は、理論的には何もこの人々の問題ではないわけでございますが、事実上はこの人々の問題になって参るわけでございます。  これは確かに法律を廃止いたしました場合に、刑法の六条の刑の廃止に該当するものといたしまして、処罰しないものとするということを行なった例があるわけでございます。それは、御承知のように、終戦直後刑法におきまして姦通罪その他を廃止いたしました。それから、治安維持法その他のいろいろな法律を廃止いたしました。例の、ポツダム宣言受諾に伴って改廃をする法律というものがございまして、それによりましていろいろ廃止いたしました。その中には、そのほかに、たとえば陸軍関係、海軍関係というような事柄に伴う罰則と、いろいろなものがありまして、それから一番有名なのは不敬罪でございますが、不敬罪を廃止いたしまして、それらにつきましては、この廃止前にした行為についての罰則の適用については従前の例によるというようなことはいたさなかったわけでございます。これは非常に高度の判断に基づく立法政策の問題でございまして、当時の政府なり国会なりが、不敬罪を廃止して、なお昔にやった不敬罪は処罰するというようなことについては政策的に妥当ではないのではないかという御判断のもとになされたと思うのでございますが、ただこの種の統制経済関係法令につきましては、その後も改廃のつど、一応こういう「従前の例による」という形を残すのが例になっておることは、御承知のとおりでございます。  それからまた、「従前の例による」という形を残さないものにつきましても、判例が、その一部のものにつきましては有名な限時法の理論を適用いたしまして、やはりその行為時において悪であったものは、裁判時において法令が変わりましても、処罰をし得るんだという建前をとっておりますことも、御存じのとおりでございます。これは、たとえば統制経済がございまして、価格の統制があった。そこで、やみをいたしましたところが、あとでこれがなくなったときに全部無罪ということに相なりますると、いずれこのような統制経済関係法令というものは、戦争中とかあるいは戦時の非常に窮屈な経済状態のもとに作られまする非常に特殊な臨時的なものでございまして、違反をうまくやって、逃げ回りもうまくやっておれば、いずれは無罪だ。それから、わが日本の現状におきましてはなはだ遺憾なことではございますが、裁判が非常におくれるという事実があるわけでございます。したがいまして、もし意識的に裁判を引き延ばすというようなことが行なわれまして、もしそれがまた法令の改廃の時期を待つということになりましては、これははなはだ遺憾なことだというふうに考えるわけでございます。そこで、それやこれやを考量いたしまして、おそらく従来の経済統制関係の法令の罰則を初めといたしまして、一般に行政取り締まり法規の罰則の廃止の際には、こういう経過規定を置くことが例となっておるように見受けるのでございまして、この経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律につきましても、戦後二回にわたりまして改正が行なわれておるのでございますが、そのつどこのような経過規家を置いて参ったのでございます。  しかるに、このたび三回目の段階におきましては、それをもしやめるということにいたしますると、それは今回の三回目の段階におきましては、従来二回の場合に比較していかなる特別の理由があるのであろうか。現在係属中の人々の情状は、この法律の該当条文が廃止されたということによりまして、法廷におきましてあるいは執行猶予とかいうようなことの弁論にきわめて役立つ事実でございまして、裁判を受ける方々のためにはこの法律が廃止されていくということは非常に有利な情状ではなかろうか。それをさらに一歩を進めて、これを免訴に該当するように措置するということは、すでに裁判を受けた人、たとえばこの種事犯におきましても略式命令などというものがございまして、略式命令による手続が可能な場合があるのでございますが、さっさと罰金を取られてしまったというような人々も相当数あるわけでございますが、そういう人々はさっさとやられたばかりに処罰を受ける、そうでなくて何か裁判を延ばしていたものは、結局は免訴になっていく、これははなはだおもしろくないのではないか。特に現在の政府におきましては、政治の姿勢を正すというようなことを一つの政策の中に掲げておるわけでございまして、そのような政府が、その動機はどう、お考えはどうありましょうとも、何か現在裁判係層中の特定の者の免訴をねらって措置するような立法を国会に提案するということは、はなはだ当を得ないという御方針になりまして、この提案のような形で提出されたんだというふうに私どもは承っておるのでございます。  以上がこの場合の経過規定を置きました政府の考え方でございます。

柴谷要日本社会党

○柴谷要君 まあ、最後にもう一言ですが、こういうような経過規定のない改正が行なわれたのは、一、二の例をおあげになりましたけれども、これはやはり民主化に逆行するような、時代の変遷に伴ってでき上がった法律であり、古い法律が今日の情勢に適応しないということで思い切ったことをやられた、しかし経済事犯の問題についてはちゃんと経過規定を残して今日まできておると、こういう説明で、よく法務省の見解はわかりました。あえてこの質問をしたのは、あなたが先入観を持って答弁されておるような感じがしたことは、何か今日問題になっておる、事件になっておる人たちを免訴してもらいたいがためにわれわれがこういう質問をしているように、先入観を持って答弁されたとすれば、これは間違いで、われわれはあくまで慎重審議をする中においてこの問題の終結を見たい、こういうことでございますから、しかし、大臣から特に言われたという御懇切な答弁がありましたので、よく真相がわかりましたので、多少時間をかけて慎重に審議をして参りたいと思います。時間の都合上、本日は質問をこれで終わります。

西川甚五郎自由民主党

○西川甚五郎君 刑事課長の答弁の中で、閣議において、そんな——というような言葉を使われたのですが、そんなことをだれから聞かれましたか。不穏当だ。——というような言葉を使われた。

佐野廣自由民主党

○委員長(佐野廣君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

佐野廣自由民主党

○委員長(佐野廣君) 速記を起こして。

森部隆輔自由民主党

○森部隆輔君 お尋ねいたしたいと思いますが、今度の長雨で西のほうに農作物の被害があったことは御承知のとおりでありますが、私は自分の県で福岡の実際を見たのですが、ほとんど裸麦は全滅、小麦も大体全滅に近いような状態で、九州の他の県もおそらく福岡と変わりない。四国も同様だと思うのですが、これらの農産物の被害はひとり麦ばかりでなく、菜種、あるいは蔬菜、果樹等にも、それぞれ程度の差がありますが、非常な被害があったのですが、七月は御承知のように税の予定申告の時期になっておりますが、したがって、第一期の分も納税をする建前になる。これに対してどういうお考えを持っておられるのですか、それをお尋ねいたしたいと思います。

喜多村健三国税庁次長

○説明員(喜多村健三君) 今回の長雨で農作物の被害が相当全国的に出ているということは、ただいまお話しのとおりでございます。これに対しまして税の面でどのような対策をとっているかということにつきまして申し上げますと、まず今お話しのありました三十八年分の所得が被害のために相当減少すると、こうただいま見込まれるものがございますので、そうしたものは、七月に納期の到来いたします予定納税額、これの減額申請をやっていただくことになっております。これは六月一日の現況で昨年よりも所得が減ると見込まれる方は、減額承認申請を六月中に出していただく。特定の場合には、七月一日の現況で七月十五日までに出していただく。そして出されました承認申請につきましては、今回の長雨が七年来の本格化的なつゆによるものであるというような事情に顧みまして、できるだけ災害の場合に準じた取り扱いをして承認するようにということを、すでに会議等で連絡しましたし、指示をいたすことになっております。  それから、それでは、今のは税額の計算の問題でございますが、そのほかに納期をどうするか、あるいは納税猶予をどうするかという問題について申し上げますと、災害がありました場合には、一律に地域を指定して申告期限あるいは申請期限、納期限というものを延長する措置が取り得ることになっておりますが、今回の雨は全国一律には、状況がいろいろ変化いたしますので、そうした地域を区切って指定して期限を延長するという措置をとるまでにはまだ至っておりません。ただ、個々の納税者の方々の事情によりまして、どうしても期限内に申告あるいは納税ができないというような事情のある方の場合には、個々に申請していただいて、それで申告申請期限、たとえば今の減額承認の申請の期限を延ばしますとか、あるいは納期限を延長するということを申請していただいて、それに対しましては実情に即して臨機に適正な処理を行なうということを指示いたしております。  それから、今のように期限を延ばすということのほかに、長雨で農作物の被害を受けた農家に対しまして、予定納税額を申請によりまして納税を猶予するという措置も別に税法でとれることになっておりますので、これはたとえば農作物の被害によりまして何カ月間か取り扱いを延ばすという、それぞれ取り扱いがきまっております。あるいは長雨による農作物の被害のために金繰りが非常に苦しくなって、納付困難であるという場合には、それに応じて納税の猶予を認める、こういう措置をとり得ることになっております。  これらの措置につきましては、すでに通達を出しまして、税務署のほうで適正にそうした処理を行なえるように指示いたしましたし、それから個々の納税者の方々に十分その趣旨を周知するということにつきまして、万全の手を打つようにということをあわせて指示してございます。それから、減額承知申請の手続をとり得るということにつきまましては、予定納税基準額の通知を出します場合には、その通知書にもそうしたことが書いてございますし、また同封するパンフレットにもその手続等を詳しく書いてございます。そうしたことで、今回のこの被害を受けられた方々に対する税の取り扱いが実情に即したものになるように、手を打っておるところであります。

森部隆輔自由民主党

○森部隆輔君 重ねてお尋ねいたしたいのでありますが、個々の農家が申請しなければならぬのですか、個々に所轄税務署に。

喜多村健三国税庁次長

○説明員(喜多村健三君) 一応、税法の建前は、個々の農家から個別に申請するということになっております。

森部隆輔自由民主党

○森部隆輔君 まだ農林省は、全国的なあれは多分十七日か十八日にまとまると思いますが、御存じのとおり、大体において相当被害が大きくて、ほとんど全部のその県に対しては、ことに九州四国等においては大部分の農家、全部の農家に大きな被害があることは明らかな事実でございますから、個々の農家が個々別々に税務署に減額の申請をすることはずいぶん煩にたえないことでありまして、何とか便法はないものですか。たとえば農業協同組合を利用するとか、あるいは市町村のほうで一括して、その農業者の、あるいは程度の問題もありましょうが、一応農協の正会員というのは農業をやっていると見ていいのですから、そういうものは農協が一括して申請する、あるいは市町村のほうで申請をしてあげる、そういう便宜な方法をとることは考えられないのですか、あわせてお尋ねをしたいと思います。

喜多村健三国税庁次長

○説明員(喜多村健三君) 一応申請書は個々の名前で一枚々々出していただく。ただし、それの作成は、たとえば農協で全部代筆して書くとか、まとめて出す、そういうことは一般の申告の場合にもあり得ることでございまして、そうした手続をまとめて出していただくということはあり得ても、一応の申請書は別々に出していただく。各人別の名前で出していただく。ただ、その審査にあたりましては、税務署における審査におきましては、大体その地方で一帯に何割なら何割の被害があったという場合には、その処理は大体統一的にできるので、それほど審査に手間をとるということはないと思いますが、一応形式的に申請書だけは個々に一人ずつ出していただく、こういうことになっております。

森部隆輔自由民主党

○森部隆輔君 重ねて。たとえば七月の第一期の納税すべき分を、あるいは米の収穫まで延期してもらうとか、第二期が十一月だが、その二回の分を米代金の収納期まで延期してもらうというような場合も、やはり個々別々に延期することの申請をしなければならぬのですか。

喜多村健三国税庁次長

○説明員(喜多村健三君) 先ほど申し上げましたのは減額承認申請でございますが、今度は納税の猶予、それにつきましても一応やはり建前は個々に出していただく、個々に申請していただく、こういうことになっておりますが、その事実上の手続をなるべくまとめてやるということにつきましては、それぞれ農協とかあるいは市町村と連絡をとって事実上まとめてやっていただく。ただし、一応形式上は個々に申請していただく、こういうことにいたしたいと思っております。

森部隆輔自由民主党

○森部隆輔君 そういう建前で、あくまでもそれは個人が対象でありますから個人の名義で申請書を書かなければならぬ。ただしかし、農業者の数というものは御存じのとおり非常に多いのですから、単に麦だけの減収でなくても、あるいは蔬菜、あるいは農業だけの収入でなくても他の所得が幾らかあれば納税の対象になるのですから、そういうものもやはり合わした場合においては、総額においては予定の収入が出せない、やはり減額しなければいけない場合があるのですね。ですから、それは個人ごとに出すという建前でなければどうしてもいかぬということであれば、できる限り農民に親切になるように、地方の国税局あるいは出先税務署等にも通達かなにか出していただいて、あるいは農協とかの団体が常に毎年いろいろ折衝いたしておりますし、いろいろ便宜も、お手伝いもいたしております。なるべくできるだけ簡素に、個々の農家の一人々々が自分で一々書くようなことでは煩にたえませんから、できるだけ便宜に、個々の農家が非常に困りますから、ああいうことは。便宜な方法をこの際とっていただきたいと思います。

喜多村健三国税庁次長

○説明員(喜多村健三君) たとえば確定申告書を出します場合に、やはりこれも個々の納税者が個々に出すということになっていますが、実際は農協でまとめて記載して出しておるという事実、一括的な処理をいたしたわけでありますので、それに準じて今回も減額申請を農協で取りまとめて書く、こういうことに事実上なるだろうと思います。こうした点、御迷惑かけないように……

森部隆輔自由民主党

○森部隆輔君 それじゃ、もう一つ。そういう建前であれば、それ以上私は追及いたしませんが、ひとつ重ねて第一線の農家に直接触れる地方の税務署、あるいは国税局等に、税務署が主に当たっているのですが、親切にひとつできるだけの便宜をはかってもらうように、この上とも御配慮を願いたいと、これは希望ですが、つけ加えておきたいと思います。終わります。

佐野廣自由民主党

○委員長(佐野廣君) それでは、先ほど西川委員御指摘の点につきましては、委員長におきまして会議録を調査の上、適当な処置をとることにいたします。  本日は、これにて散会いたします。   午前十一時五十一分散会    ————・————

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