商工委員会 第29号
- 発言数
- 50 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/06/06
会議録
○委員長(赤間文三君) ただいまから、商工委員会を開会いたします。 まず、委員長及び理事打合会の協議事項について報告をいたします。 本日は、輸出硫安売掛金経理臨時措置法案について、補足説明を聴取した後に、質疑を行なうことになりましたから、御了承を願います。 —————————————
○委員長(赤間文三君) 次に、委員の異動について御報告をいたします。 昨日、二木謙吾君が辞任をされ、その補欠として豊田雅孝君が選任されました。 —————————————
○委員長(赤間文三君) それでは、これより議事に入ります。 輸出硫安売掛金経理臨時措置法案を議題に供します。 本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりまするので、本日は、まず、政府委員から補足説明を聴取いたします。倉八軽工業局長。
○政府委員(倉八正君) 本法案を出しました趣旨ないしは硫安工業基本対策につきましては、先般、大臣が提案理由で申し上げましたとおりでございますので、私は、この法案の内容につきまして御説明申し上げたいと思います。 お手元に差し上げました要綱をごらんいただきたいと思います。この順序に従いまして説明を申し上げます。 まず、一、とありますのは、法律案の第一条に該当するものでございます。輸出硫安売掛金というのは、いわゆる回収不能見込みの売掛金でありますが、これにつきましては、商法第二百八十五条の四、第二項に、「金銭債権ニ付取立不能ノ虞アルトキハ取立ツルコト能ハザル見込額ヲ控除スルコトヲ要ス」、こういう規定がある。商法上の一般原則に対する特別措置といたしまして、特に、貸借対照表の資産の部に計上することができるようにすると同時に、これを計上した場合には、十年以内に、毎決算期に、均等額以上の償却をする。したがいまして、年二期決算の会社につきましては、毎決算期二十分の一以上の償却をしなければならない、こらいたしたわけでございます。なお、輸出売掛金は、実質的には貸し倒れ損失でございますので、債権者保護という見地から、貸借対照表上に計上する場合には、「輸出硫安繰延損失」という名称で表示しなければならないということも合わせて規定した次第でございます。 次に、二、とありますのは、法律案の第二条に該当するものでございまして、この要旨は、ただいま御説明申し上げたところによりまして、取り立て不能見込みの輸出硫安売掛金を貸借対照表の資産の部に計上したものの配当につきましては、商法上の配当可能限度額から輸出硫安売掛金の未償却残高を差し引きましたその残りの額を限度として行なわせるということにいたしまして、債権者の保護をはかりますとともに、硫安生産業者の経理の適正化を期することにした次第でございます。 商法の一般原則に従いますと、同法第二百九十条第一項の規定によりまして、配当可能の限度は、純資産から資本命と法定準備金——法定準備金と申しますのは、資本準備金と利益準備金でありますが、この法定準備金の合計額を控除した額、つまり任意準備金と利益金の額を、配当可能限度と定めているのでございますが、本法案におきましては、このような商法上の配当可能限度から、輸出硫安売掛金の残額を差し引きまして、その残額を配当限度とする、こういう規定を設けた次第でございます。このような規定をこの法案の中に設けましたのは、輸出硫安売掛金が、実体的には貸し倒れ損失であるということにかんがみまして、貸借対照表上は、資産の部に計上することを認めておりますものの、配当限度の算定にあたりましては、これを資産から差し引いて計算するということにしまして、いわゆるタコ配にならぬよう、配慮したものでございます。なお、これは商法上の配当可能の限度につきまして、特則を定めたものでございまして、個々の生産業者の配当率を、直接規制しているものではございません。 最後に、三、とございますのは、法律案の附則に当たるものでありまして、この法律は、ことの性質上、最長十年の限時法でございますから、償却がすべて完了し次第、別途廃止法をもって廃止するとの趣旨でございます。 以上がこの法案の内容でございまして、経理上のいわゆる手続を定めた規定の商法の例外でございますが、なお、ちょっと時間を拝借いたしまして、このお配りしました資料につきまして、簡単に御説明を申し上げまして、各先生方の御審議の参考に資したいと思います。 今、お手元に配りました中に、一枚刷りの「輸出硫安売掛金各社別一覧表」というのがございまして、日東化学以下最後の旭化成に至る十九社の売掛金というのが、ここに上っておりまして、その総計が二百十五億四千一百万円ということになっております。 この輸出売掛金と申しますのは、昭和二十九年現在の肥料二法というのを施行しました、その仕組みとしまして、国内のマル公とそれから実際に輸出した金額との差額を、いわゆる輸出赤字として、輸出硫安会社に積み立てておった額の総額でございます。一番大きいこの東洋高圧とか、日東化学の二十四億、こういうのを積み重ねた数字が、二百十五億四千一百万円、それで商法上どうなるかといいますと、これは一気に引き落とさなければいけないというのが、商法上の規定でございます。そうしますと、こういう会社が、一気に二百十五億というのを引き落とすということは、実際上不可能でございまして、またそれを商法の規定どおりに強行させますと、会社によっては、もう金も借りられず、まして配当なんか思いもよらぬことだということになりまして、硫安工業、いわゆる大きい意味の肥料工業の再建、あるいは合理化ということができないことになるのは理の当然でございますが、したがいまして、これを十年間に均等償却させるということでございます。ある会社によっては、それをたとえば五年でやることもできますし、八年でやることもできますが、最高が十年ということにした次第でございます。 それで次の資料、硫安工業対策、閣議決定という折った表がございましょう。それから次の約五枚くらいの折りたたみの硫安工業の体質改善計面というのがございます。 この要旨を簡単に説明さしていただきますと、今申し上げましたように、硫安工業というのが、バルク・ライン方式という価格決定でありまして、輸出が、世界の競争が激化しました結果、今申し上げましたように二面十五億の赤字を出しております。実際上の赤字は百二十五億でございますが、帳簿上の赤字は今御説明しました二百十五億出した。それでこういうことをほおっておいたならば、硫安工業の再建はできないし、肥料工業が化学工業の中で二六%という大きいウエートを占めておりまして、したがって、硫安工業が不況のどん底へ陥れば、ほかの化学工業の振興もできないということで、これを何とかしなければいけないということの対策として決定されたのが、この硫安の工業対策でございます。この内容というのは、いわゆる従来出ました赤字を解消してやろうというのが一つと、それから第二が、今後は、肥料というのは農民の基本資材であるから、できるだけ安い肥料を農民に供給する、そのためにはどうすればいいかということが第二でございまして、その対策としましては、肥料形態がだんだん変わっておる。今は硫安から、尿素、高度化成というのがすごい勢いで伸びております。したがって、そういう肥料形態の転換をはかっていく、それから大きい意味の肥料合理化は一硫安というようなことでは行き詰まるであろうから、アンモニアというのを多角利用しまして、フルに生産させて、安いアンモニアを供給して、安い窒素系の肥料を作らせるというのが、二にうたっている趣旨でございます。 それから第三が、政府が今までの赤字をいわゆるしりぬぐいするならば、今後硫安業界というのは、今後の赤字というのを償うことができる、ということは、FOBで売ったという帳簿のつけ方をしなさいというのが第三でございます。 それから第四が、こういうことをしましても、二百十五億円というのは一挙には落とせないから、新しい法律を出しまして国会の御審議をいただきたいというのが第四でございます。 こういう内容の閣議決定に基づきまして、ここに次の四枚つづりくらいの表の「硫安工業の体質改善計画について」という具体的な案を取り上げた次第でございます。 それでこの要点は、今私が申し上げました基本対策のいわゆる細目でございまして、具体的にどうするかということをここに書いた次第でございますが、硫安の今後の肥料工業の推移というのをごらんいただきたいと思いますが、第四ページをごらんいただきたいと思います。これは今後の肥料政策として趨勢をはっきり書いておるつもりでございますが、四ページをごらんいただきますと、硫安、尿素、高度化成、塩安、計と書いてございますが、この硫安のほろを見ていただきますと、三十六肥料年度には、生産の合計が二百三十二万トンでございます。四十二年がその生産の計が百八十万トンでございまして、硫安全体が相当減っていっている、相当というが、大幅に減っているわけであります。ところが、その内容をみますと、三十六年では、合成硫安、これは硫安を作るための硫安でございますが、これが百八十二万トン、ところが四十二肥料年度ではその半分以下の八十四万トンに下がっちゃう。ところが合成硫安の下の回収硫安、これはいわゆるナイロンなんか作るときの原料であるラクタムの製造の際、自動的に出てくる硫安でございますが、これが三十六年は二十八万トンであったのが、四十二肥料年度は六十四万トン、倍以上にふえる。それから、副産硫安というのは、これは鉄鋼会社、あるいはガス会社から出る色のついた硫安でございまして、性能は全く同じでございますが、これは三十六肥料年度は二十二万トンであったのが、四十二肥料年度は三十二万トンになっているということで、硫安そのものが相当減る上に、中身といたしまして硫安を生産するための、生産をしている合成硫安というものが減りまして、それよりも安い回収とか副産硫安というものが大幅にふえているということがこの表によってもわかると思いますし、この表の将来の見通しにつきましては、農林省の資料でございまして、それから生産能力については通産省のいわゆる政府の資料でございますが、こういう傾向になっております。 その下の尿素につきましては、御説明する必要がないと思いますが、…十六肥料年度は百六十五万トンの尿素というものが、四十二肥料年度は二百万トンをこすということでございますし、その下の高度化成肥料になりますと、高度化成というのは、肥料の三要素というのが混った肥料でございますが、この高度化成がわずか三十六肥料年度は四十八万トンであったのが、四十二年は倍以上の百八万トンに伸びている、こういう非常に肥料の形態の転換が今後行なわれるのでありまして、特に高度化成というものは、非常に伸びが著しいということになるわけであります。 こういう肥料形態の転換が行なわれるのであるのでありまして、それで、肥料自体にもそういう問題が、革命的な問題がありますが、それではこの基本原料であるアンモニアというものにつきまして、どう考えるかということが、アンモニアの多角利用でございまして、アンモニアの七割というものが肥料に向けられておりますが、今後はアンモニアの六割が肥料に向けられる。残りが最後の七ページというところに書いてございますが、たとえば硫安工業の体質改善のためにどういうものを作って、アンモニアの総合利用をはかって、アンモニアのフル操業をやって、ほかの製品を作ると同時に、肥料の合理化をはかっていくというものの一例でございますが、たとえば、いろいろ各会社も非常に思い切った合理化をやっております。この表をごらんいただきますと、たとえばAという会社のごときは、これをアクリルニトリル、これはカシミロンあたりの繊維原料でございまして、これを作るときに自動的に回収硫安が出る。それからカンロン、農薬、いろいろの計画を持っておりまして、総合的に今後は合理化をはかっていく、こういうことでございます。 以上簡単でございますが、説明を終わります。
○委員長(赤間文三君) 以上で補足説明は終了いたしました。 それではこれから質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○中田吉雄君 硫安の輸出赤字の累積が二百十五億にも達しまして、従来これが赤字対策についていろいろ検討が行なわれていましたが、今回の立法措置になりまして、十年間の繰り延べ償却をするということになったのであります。この赤字の累積は、肥料二法を実施しまして十年間、いわば肥料二法並びに政府の肥料政策がこの二百十五億の赤字に集中的に表現されておると思うわけであります。 そこでこの審議にあたりまして、多額の輸出赤字の累積しましたそれを余儀なくしたわが硫安工業の将来、現状あるいは肥料二法をどうするかというようなことをお伺いしてみたいと思うのですが、まず、その前にただいま御説明になったんですが、この輸出赤字の二百十五億円というものの内訳について、この貸借対照表には取り立て不能見込み額として輸出硫安損失繰り延べ金として二百十五億を計上するようになっていますが、実際は百二十五億である。それを開銀の融資、租税特別措置で埋めていくというふうになっていますが、その数字の関係をもう少し、輸出硫安繰り延べ損失としては貸借対照表に資産として二百十五億と計上するが、実際の実損ですか、実損といいますか、それは百二十五億ですか。それに対する手当を融資なり、租税特別措置でやる。その関係でたいぶ衆議院の速記録を見ても、局長と久保田さんの質疑のやりとりがあるが、まあわからぬがということで次に移っていますが、その関係を少しはっきりしていただきたい。
○政府委員(倉八正君) 二百十五億と百二十五億の関係、それと経理上の関係について御説明いたします。二百十五億というのは国内のマル公とそれから輸出した額の差でございます。たとえば具体的な例を申し上げますと、現存のマル公が五十一ドル八十一セントくらい。ところが実際は輸出は三十六ドルくらいでございます。したがいまして、引いた数字が十五ドルくらいなんでございますが、これが輸出赤字でございます。これがいわゆる今御審議を願う法案の中の輸出赤字でございます。ところが会社によりますと、ある会社は生産費というのが五十ドルでたとえばできるという会社があるとしますと、そのある会社については十五ドルの差損ではなくて、五十ドル引くの三十六ドルということで、実際の差が、実質上の損は十四ドルということでございまして、この十五ドルに相当するものが二百十五億円でありまして、その十四ドルに——今私の上げました数字で申し上げますと、十四ドルに相当するのが百二十五億で歩あります。ところがこれを帳簿上どう経理するかと申しますと、輸出硫安売掛金ということで資産の部の流動資産の部に十五ドルなら十五ドルということを掲げるわけでありまして、それが中心になりまして会社の貸借対照表ができておるわけであります。したがいまして、この数字が二つ、先生の御指摘のようにありますし、この実質上の赤字につきましては、御指摘のとおりに、開銀の融資とかあるいは政府のいろいろの政策によって、それを穴埋めしていく。ところがその売掛代金につきましては帳簿上はあくまで十五ドルとしての売掛金、二百十五億としての売掛金が載っておりまして、これはことによっては返ってくるかも知れぬということでちゃんと会社はそれで経理しておるわけであります。ところが去年の閣議決定によりまして、政府はその分については実質上の赤字を埋めてやったので、帳簿上の赤字は各社が持って帰って自分で償却しなさいという方式をきめた次第でございます。したがって、それを消すための法律がこれでございまして、これは非常に技術的な問題でございまして、ちょっと私、口べたですから、先生に御了解いただいたかどうか知りませんが、帳簿上の問題と実際上の問題がそこにちょっとその返りがあるということを御了承いただければよかろうと思います。
○中田吉雄君 その関係はわかるのですが、もう少しこの二百十五億のうちでコスト割れのものが百二十五億、そうして租税特別措置で五十二億ですか、そうして七十三億を開銀の融資で六分五厘の特利で、市中銀行との借りたやつの差額で見るというふうになっておるのですが、そうしますと、この租税特別措置の種類別の五十二億のそれはわかっておりますか。
○政府委員(倉八正君) わかっております。では御説明申し上げます。これは大体今までとられた方策が五つございまして、大きく言えば二つと言えるかと思いますが、今先生の御指摘のように、租税特別措置法の改正によりまして、損金算入を認め、減税額——減税といいますか、従来払い過ぎの税をそこで返してやるというメリットが二十三億円、それから輸出所得控除の関係でここで減税メリットをやったわけでございますが、これが九億円、それから開銀融資を御承知のように今から二年前に八十億つけまして、硫安合理化計画をやっておるのでありますが、その開銀融資の八十億のメリットが十七億円、それから尿素の設備の特別償却も租税特別措置法に基づきまして実施しておるのでありますが、これが約三億円、以上で先生御指摘の五十二億になるわけであります。 これが従来とりました租税特別措置法に基づくいわゆる対策でございますが、それから第二としましてとりましたのが、今御指摘の百三億も昨年十二月二十人目の閣議決定できまりまして、今年三月の終わりに出しました百三億というのは、硫安十六社が借りておる金の一部を低利融資の百三億を出しまして借りかえをやった、その金利メリットが複利計算をやりますと七十三億でありまして、したがいまして合計は御指摘の百二十五億、こういうことになります。
○中田吉雄君 ただいまの御説明の租税特別措置その他特別償却などの数字をはっきりこの次の機会までに印刷にしてお願いしたいと思います。その点はどらですか。
○政府委員(倉八正君) この点は、この次の審議までお届けいたします。
○中田吉雄君 そこでお伺いしたいのですが、第一次合理化計画、第二次合理化計画で、第二次はことしで終わるのですが、そういうふうに二回も合理化計画を実際やりながら——それで農民には低廉な肥料を供給し、十分国際競争にもたえるというふうに、そういうことを含めて、内需に対してもあるいは輸出の関係からも二回の合理化計画をやっておきながら、こういう赤字が出てくる。これは一体どういうふうに理解されているか。たとえば、私の持っています資料からしましても、非常にいろいろな面でそごを来たしている。私はこの中に問題の解決の糸口があるんじゃないかというふうに思うのですが、たとえば、第一次合理化計画、第二次合理化計画とも、設備資金並びに生産能力では、二つの計画とも計画以上に上回っているわけなんです。ところがコスト引き下げが計画どおりにいってない。これは私は二つの合理化計画を見て非常に重要な点だと思う。あとでも、ですから今度の三十七年十二月二十人目の閣議決定の硫安工業対策が再びそういうあやまちを犯さぬかどうかを見ますために、たとえば、生産能力では昭和二十八年から三十二年の計画では三百十一万九千トンであったものが、四百三十六万二千トンになり、資金計画では二百三億であったものが六百三億と、四百億も投資はよけいであり、第二次の合理化計画を見ましても、生産能力では五、百四十四であったものが六百九十七万トンになっており、設備資金でも四百八十億ですか、であったものが七百八十五億と三百億も投資がよけいになって、とにかく生産能力と投資のほらは計画以上にいっているが、コストの引き下げのほうは計画どおりにいっていないんじゃないかと思うのですが、ここに私は、これは大臣にもお尋ねしたいと思っておったのですが、局長のほうがよく御存じだと思うのですが、二回の計画とも生産能力、資本投下では計画以上にいっているが、コスト・ダウンは計画どおりにいっていない、こういうところに問題が伏在するんじゃないか、この点はどうですか。
○政府委員(倉八正君) 結果的に見ますれば、確かにそういうことになろうかと思いますが、と申しますのは、第一次の五カ年計画というのが大体二十九肥料年度から三十三肥料年度を目標としたわけでございまして、御承知のように、当時の六十五ドルを大体五十二ドルに下げるという目標を立てたわけでありますが、実際の実績は御指摘のように五十四ドルになったわけであります。これの原因というのをつぶさに研究してみますと、当時の合理化の目標というのが、石炭とコークスと電力を下げるというのが一番の大きい目標であったわけであります。ところがこの当時のその目標が、石炭は上がりますし、したがってコークスも上がる、電力というのも予定しておったよりもはるかに上がったということで、とうとう遺憾ながら五十二ドルにまでは達しなかったわけであります。それから第二次をその後始めておりますが、これはいわゆるアンモニアの固体原料から流体原料への転換ということでやっておりますが、これもいろいろ当時予測できないようないわゆるアンノウン・ファクターというのが出まして、利潤抜きの四十三ドル、四十八には達しないで、まことにその点はわれわれとしても遺憾に存ずるわけでありますが、今先生の御指摘になりましたように、設備が増大して投下資本も計画よりもはるかにふえたが、価格が下がらぬじゃないかということの関係でございますが、この設備が結果的に見ますと伸びたという点につきましては、当時内需も輸出ももっと大幅に伸びるだろうと思っておった硫安というのが、意外に伸びなかったというのも一つの原因でありますし、それからもう一つの原因というのは、当時はアンモニアの、全体から見ますと、なるほど相当の過剰設備かもしれませんが、個々の会社から見ますと、あまり合理化を達成する単位に達していなかった、ある場合にはアンモニア一基しか持たなかった、アンモニアの合成塔を常識的に言えば二基三基持つのが一番合理的でございます。したがいまして、そういういわゆる経済単位にできるだけ近づけるようにするために増設をしたということも一つの原因でありますし、もう一つ言えますことは、世界的にアンモニアの外国のいい技術が入り出したのは、実際は昭和三十三年からであります。御承知のように、ハウザー法なんか代表的なアンモニアの生産の技術だろうと思いますが、それをヨーロッパ諸国が開放したのが昭和三十二年であります。したがって、日本が入れ始めたのが昭和三十三年からでございますから、したがってそれを切りかえたということは大きな意味の合理化ということで、政府も取り上げをはかったと同時に、同じ従来百トンといったアンモニアが、ハウザー法によって百四十万トンもできるようになったというようなことでございまして、確かに生産と設備から見れば相当アンバランスがあるじゃないかというのは全く先生の御指摘のとおりですが、事実上はそういう関係になったということを申し上げたいと思います。
○中田吉雄君 第一次合理化計画では、トン当たりただいま六十五ドルを五十二ドルに引き下げると言われたのですが、五十ドルとは違いますか、その点。
○政府委員(倉八正君) おっしゃるとおりでございます。取り消します。五十ドルでございます。
○中田吉雄君 私はたとえばただいまのような硫安のもっと消費が伸びるんじゃないかという見通しの狂い等もあると思うのですが、臨時肥料需給安定法の第三条には、「農林大臣及び通商産業大臣は、肥料審議会の意見を聞いて、毎肥料年度の開始前に——需給計画を」云々とあって、そういうことに基づきまして、二十九年から三十三年ですか、やっておられるのですが、とにかく生産能力は、計画は三百十二万トンのものが四百三十六万トンもでき、それから設備投下では合理化資金の計画では二百十三億であったものが六百十三億も、これは四百億も設備資金がよけい投ぜられておる。第二次合理化計画はさきに申し上げましたように、くどいようですが五百四十四万トンが六百九十八万トン、設備資金では四百八十億が七百八十六億と三百億もいっているのに、コストダウンができないというのは、私はこの点は製造単価を下げるよりか量産をしてシェアの獲得を他社より急ぐというような、ある意味では需給計画にのっとらぬ、何でもとにかく国内あるいは輸出市場のシェアの拡大を各社が量産して急ぐということで、東京部民銀行の頭取はあの設備拡大の最中に、金は貸す、しかしその量を多く作るというのには貸せない、しかし、コスト引き下げの、そういう意味の投資をやるのなら貸そうと言って、大体あやまちがなかったというのですが、私はやはりこの点が非常に生産能力、投下実績は計画以上にいきながら、コスト・ダウンができなんだというのは、製造単価を下げて農民に安い肥料を供給し、国際競争にたえるというよりか、内外のシェアの拡大、自社のシェアの拡大、市場の拡大を急ぐという経営者の、それも合理化と言えるでしょうが、そういう方針がやはりこういう結果になってきたのじゃないか。私は今度の決定で、FOBで今度もうめんどうみないといっても、やはりそういう点についての第一次合理化計画、第二次合理化計画が二百十五億も赤字を生んだことに対する十分な分析と反省なしにはまたやはりあやまちをおかすと思うのですが、それはどうなんですか。私はシェアの拡大、よそよりか量産して、とにかく量をふやしてコスト引き下げよりか、あとからも輸出会社の問題は触れたいと思うのですが、あれをクッションにして、あれがあることによって量産を急いで、そういう結果になったのじゃないかと思うのですが、その点はどらですか。
○政府委員(倉八正君) 今先生の御指摘の要因もあろうかと思いますが、アンモニアの能力がふえましたのは、ほかにもいろいろ原因があるわけでありまして、実は当時まだ起こらなかった尿素というのが非常に出てきた。それからたとえば塩安という別な生産面からソーダ灰との併産法ですが、そういうものが出てきて、それも結果的には大きい設備になったということでございますが、今の仕組上なかなか先生の御指摘のような、ある特定の会社のみに集中させるということは非常にむずかしい、あるいはできないわけであります。と申しますのは、今の仕組が御承知のように、バルク・ラインでございますから、各社はバルク・ラインに入れたい入れたいということで、それを目当てにしてあらゆる努力を続けているわけであります。したがいまして、ある場合には一基しか持たなかったアンモニア設備を二基持ちたいという希望にも、そういう考えにもなりましょうし、それからある場合にはこれを百トンの能力で、さっき申し上げましたように、たとえばハウザー法によって百三十トンも作るようなやり方をしたりということでございまして、結果的には確かに何か設備が非常にふえ過ぎたんじゃないかということでございますが、その動機というのは、やはり各会社がバルク・ライン内に人よりも一歩先に入りたいというのが、私は一番大きい動機ではなかったかと、こら考えます。
○委員長(赤間文三君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(赤間文三君) 速記を始めて。
○向井長年君 一点だけです。このたびの通常国会で通産省から出されておりますこの法案の中で、特に今審議をいたしております硫安の問題につきましては、三月上旬上程の予定としてこういう名称を仮称としてつけているわけなんです。商法の特例に関する法律案、これはもちろん仮称ですが、こういう形で出されておったのが、今回この輸出硫安売掛金経理臨時措置法案、こういう法案の名称に変わってきたわけです。これは何か特別なものがあったわけですか。どういう意味でこの予定がこのように変わられたのか。
○国務大臣(福田一君) それは全然意味がないといいますか、ただ単に、この同じ内容でございましたけれどもが、しかし、この輸出硫安売掛金経理臨時措置法というと、内容がはっきりするんじゃないか。何か商法の特例ということになりますと、ちょっと法務委員会か何かでやるようなことになってしまうし、実質は今お願いをしているようなことでありますから、その実質のことをすっかり前へ出したほうがいいんじゃないかということになりまして、その名前に変わった、これが実相でございます。
○向井長年君 そうすると、事実上は商法の特例であるというやつをこういう名前で提出したということですか。商法の特例、そういうことになりますか。
○国務大臣(福田一君) そうです。
○中田吉雄君 大臣おられぬ前にちょっとやっておったんですが、第一次合理化計画、第二次合理化計画で生産能力、設備投資、資本投下ですね。その両方は計画以上にいっているのに、とにかくコスト引き下げだけが計画どおりにいっていないということの説明を局長から伺ったんです。わからぬこともないんですが、この臨時肥料需給安定法の第三条には、やはり農林大臣と通産大臣が肥料審議会の意見を聞いて、毎肥料年度の需給計画を立てられるわけなんでしょう。そういうことに会社が、自由競争ですから、自由企業ですから従わぬというようなことになるなら、あとでも申し述べたいと思うんですが、予期以上の手当だ、一部の業界あるいは評論界では、オンの字がつくほど、とにかく予期以上の手当だとも言われているんですが、そういうことをすることはどうなんでしょう。大体福田大臣の就任前にできたこれは赤字なんですが、ほんとうはやはりこの需給計画を立てる責任が私はあると思うんですが、その関係はどうなんですか。
○国務大臣(福田一君) ただいまの私のほうの局長との御質問の内容を承っておりまして、なかなかごもっともな御質問であると私も理解しておったのでありますが、今あります法律というものの根本の趣旨は、できるだけ安い肥料、安くてしかも十分な硫安を農家に供給しようというのが根本の精神できておりまして、その意味でスタートをいたしました。その時分には、まだ塩安とかあるいは尿素とかいうものはそれほどウエートを持っておらなかったことは御承知のとおりであります。ところが、今日本の化学肥料といいますか、化学工業自体が、硫安といいますか、こういうようなアンモニア系の化学肥料を中心にしてずいぶん伸びを示してきておりまして、硫安だけでなくて、そのほかの仕事に硫安を作っておる各会社が非常な意欲を燃やしたということも手伝いまして、実は今仰せになったような、供給の関係よりは十分にそれは実現でき、あるいはそれ以上になったにかかわらず、価格のほうはそれほど思ったほどまでいかなかったんじゃないかというようなこともあります。これはまあ見込み違いの面も政府としてもあるし、経営者としてもあったと思うのでありまして、その点はいささかわれわれとしても考えなければならないところがあったと思いますが、しかし、今中田さんのおっしゃったように、経済は生きものでありますから、その会社々々が将来発展していくためには、やはり硫安だけではなくて、こういうものもやらにゃいかぬ、ああいうものもやらにゃいかぬというんで、多角経営的な仕事をやり出した。それとの関連において資金計画というようなものを見ていくものですから、そこら辺にいろいろの事情が出て参りまして、今日のような赤字が出たということにも相なるわけであります。しかし、本来のこの二法の目的であった安くてそして十分な硫安を農家に提供するという目的は、大部分やはり達成できているのではないか。しかし、それに対してあまりにも手厚い保護になり過ぎはしたいかということでございますが、実際問題見ていただいてもわかりますように、今のところ、化学肥料の株価を見ていただくとわかりますが、一時非常に悪くて、一生懸命努力したにかかわらず、株価はみんな額面以下というようなことであったということは、必ずしもそれで非常にもうかったとか、もうけたというようなことではなくて、むしろマイナスのもののほうが多かった実情であり、中には、日東化学みたいに社長までかわってしまうというような悲惨な状況が起きた会社もあるわけでありまして、私たちといたしましては、まあまあ今回の措置はやむを得ない、まあまあこの程度は見てやってもいいじゃないか。特に今後は輸出による赤字というものは見ないということになりますと、年間やはり今の数量を輸出するということになれば、硫安でかれこれ二十億円ぐらい実質赤字が出るんじゃないかという感じがするわけでありまして、そういうことはもう、それを国内の硫安価格には決して響かせないというか、それがゆえに国内価格を上げるということは認めない。また、将来も、そういうようなことで政府に対してどうしてくれ、こうしてくれといっても、それは認めないという、これは厳重な実は申し渡しをいたしておるのでありまして、この点については大蔵省も非常にもうシビアーである。この点がはっきりしない限りは断じてもう合理化資金なんかは出さぬということであったわけであり、またそういうことになっている。われわれとしても、今後硫安製造会社からこの種の陳情があっても、通産省としてはそれを受けつけるつもりはございません。でありまして、まあお説の、いわゆる実際には値段が思ったほど下がっておらんじゃないかということについては、われわれもそのとおりだと思うのでありますが、今後、これだけの措置をとったからといっても、硫安会社、決してそう楽じゃない。硫安を作るということについては、やはり赤字がどうしても輸出価格で出てくるということだけはわかるけれども、それほど手厚いいわゆる措置をとったとは考えておりません。まあひとつこの程度で、やはり農民に対して安い、しかも十分な硫安を供給するということに今後もさしていきたい、こういう考え方でこの法案を出しておると、こういうわけでございます。
○中田吉雄君 きょうはただいま言われたような、農民には転嫁せず、FOBで引き取ると言っても、赤字を積み立てさせない、ああいうしりぬぐいをしないという芸当が、私はできるかできんか、これはまた質問したいと思いますが、じゃ六月十三日に来ていただいて、要約的な質問を大臣に私もさせていただくということできょうはけっこうです。
○委員長(赤間文三君) 関連してどなたか大臣に御質問がありましたら……。
○中田吉雄君 局長が、さきにこういうふうに生産能力もあるいは資本の投下実績もオーバーになったのは、このバルク・ラインの中に入りたい、しかし、それはまあ設備を拡大して量産で単価を下げて入るという方法もあると思うのです。しかし、そうでなしに、やはり当初の計画は、もっと質的な、やはり生産性を上げるというか、そういう形でバルク・ラインの中に入る——あれは一番生産費の安いものからずっと取っていって、内需を満たすだけの助成金ですか、そういうふうなバルク・ラインの中に入るには二通りあると思うのです。局長の言われたような入り方もあるでしょう、量産をやってです。しかし、それはもうそういうことが可能だというのは、内外の需給にぴったり合う見通しがついていないとこれはできないことで、やはり私は重要なことはそういう量産を拡大して単価を下げていくというよりか、そうでなしに、やはり設備——いろいろな、先に言われたような合理化計画の多角的な実施によって、質的な対策によって単価を下げていくというのだったと思うのですが、そのほうを軽く見ていったためじゃないかと思うのですが、どうなんですか。
○政府委員(倉八正君) 当時としては確かにまあ先生の言われたようなこともあったと思います。それで、われわれとしましては、いろいろの、今昭和二十九年来続いたこの法律による合理化——合理化というのはまあ永久的なものでございます。で、これも従来のそういうこともわれわれも深く反省しまして、今後の対策というのは、もっぱら先生の仰せのように、質的な体質改善をやる、こういうふうに考えております。それで、たとえば従来も質的改善を通産省としまして決してネグレクトをしておった関係じゃないのでございまして、一例をあげますと、新潟にありますある肥料会社、それから秋田にあるある肥料会社のごときは、天然ガスからやりまして、これは現在でも最も安い肥料を作っております。御存じのとおりであると思いますが、そういうふうな質的な改善というのも、従来は決して等閑視しておったわけじゃないのでありますが、何といいましてもある生産限度に立つまでは量産によるというのが装置工業の宿命と申しますか、そういう運命にあります関係上、量産が先に立ったということは、これはわれわれとしても全面的に否定はできないだろうと思います。したがいまして、今仰せのように、今後は質的な改善というものをわれわれもそれを標榜いたしまして、たとえば今後出てきますいろいろの尿素とか高度化成につきましても、むやみにあっちこっちに作るな、質のいいところを、いい技術でいい経営方針でやれということで、われわれはそれを第一の標語に掲げて今実施しております。
○中田吉雄君 提案理由におきましても述べておられますが、ここ数年来硫安の国際的な輸出競争が非常に厳しく、その結果、各社の合理化の努力にもかかわらず、赤字が年々増大してきておるわけですが、この国際競争の激化の実態と、今後の見通しを的確に把握することが、硫安工業の将来を占うために非常に必要だと思うのですが、そこで、この激しい国際競争の硫安市場の中で、わが国の硫安工業は一体どういう地位に置かれているのだ、すなわち、はっきり言いますれば、各国の輸出価格とわが国の輸出価格、あるいは各国が内需に向けている価格というようなものを比較して特にお示しを願いたい。
○政府委員(倉八正君) 今仰せのとおり、特に昭和三十一年ごろから非常に国際競争が激化いたしまして、当時輸出価格というのはたしか五十九ドルくらいだったと思いますが、現在はさっきもちょっと触れましたように、日本は三十六ドル台になっております。それを各国の例を一、二申し上げますと、今西ドイツでは国内価格が六十三ドル、これは一年前の数字で、最近の資料はちょっと取りにくいのでございますが、たとえば一年前六十三ドルの国内価格に対しまして、輸出価格が三十二ドル、それで国内については六ドル五十セントの農民補給金をドイツはやっております。それからイギリスが国内価格が五十六ドル、それから輸出価格が三十五ドル。イギリスについては御承知のように、大体この四割五分程度の農民補給金を出しております。二十四ドルという補給金を出しております。それからフランスでございますが、フランスが国内価格が六十一ドル、それから輸出価格が三十六ドルくらい。それからアメリカが国内価格が五十五ドル、それから輸出価格が三十八ドルくらい。日本は五十一ドルでございます。五十一ドル八十セントくらいの国内価格で、世界に比べまして一番低いのでありますが、それから輸出価格が一昨年くらいは四十ドル、現在は三十ドル四、五十セント、四十セントから五十セントでございまして、日本としましては国内の問題もありますから、できるだけ高く売りたい売りたいということを努力しまして、幸い、台湾だとか朝鮮というのは、日本の輸出硫安の伝統ある圏内としまして非常に日本に依存しております関係上、割合、外国に比べれば大体高いほうの部数で売っておるということが、数字によってもおわかりになるかと思います。
○中田吉雄君 日本を含めて硫安に関して国際市場に進出しておる各国は、これは国内の価格と輸出価格と二重になっているようですが、さきにも御説明がありましたように、西ドイツとイギリスだけがこの補給金制度といいますか、をとっているような説明があったわけですが、他国はどうなんですか、他の国は。
○政府委員(倉八正君) いろいろ調査をしておりますが、他国は肥料に対する農民補給金はとっていなかろうと私は思います。今御指摘の、有名な国としては、西ドイツとイギリスが非常に長い前からとっておりまして、ほかのイタリア、フランス、ベルギー、オランダというのがそのほかの肥料の大きい生産国でございますが、この国については、私の調査した限りにおいては、農民に対する肥料補給金はないと思います。
○中田吉雄君 日本のこの肥料二法施行以来の国内価格と輸出価格の比較の一覧表を、この次でけっこうですからお願いしたいんですが、それはできますか。
○政府委員(倉八正君) 提出いたします。
○中田吉雄君 その際には、トン当たりもありますし、四十キロかますですか、普通、わかりやすいようにかます当たりのやつも、四十キロですね、それもひとつお願いしておきます。
○政府委員(倉八正君) あわせて提出いたします。
○中田吉雄君 局長は、まあ日本の内需価格が一番安いように言われている。私の聞き違いかもしれぬですが、イタリアが一番安いのじゃないですか。その点はどうなんですか。
○政府委員(倉八正君) イタリアの価格というのは、非常にこれは御承知のように、人絹なんかもイタリアが世界を制覇して輸出でいろいろ問題を起こしておりますが、これはとりにくいのでございますが、モンティカティニの数字は御指摘のように、昨年が四十八ドル、四十九でございます。それから見ますれば、日本は世界で一番低いか二番に低いか知りませんが、イタリアのモンティカティニの数字に比べれば、確かに日本はまだ三ドル程度高いのでございますが、これはイタリア全体の国内の市価がなかなかわかりませんから、モンティカティニの数字だけお答えいたしました。
○中田吉雄君 輸出競争の、諸外国の輸出価格を見ますると、ただいまもいろいろ御説明がありましたが、西独が三十二ドル十九セント、イギリスが三十五ドル八十六セント、イタリアが三十二ドル五十セント、オランダが三十二ドル三十六セントですか、いずれもわが国よりかなり安いようであります。これは大規模工場による生産のためか、ダンピングによるものか、一体どういうふうに見ておられますか。規模別の国際的な価格を示していただいて御説明を願いたい。
○政府委員(倉八正君) これは御指摘のように両方でございます。と申しますのは、普通の物資だったらば大体輸出価格と国内価格というものはプールして出すのが普通のありとあらゆるもののやり方がそうだと思いますが、この西ドイツのごときは六ドル五十セントの農民補給金をもらっておるということは、裏を返せば、六ドル五十セントの輸出補助金をもらっておるのと全く同じことであります。イギリスのごときは二十四ドル十一セントというものを一トンについて農民補給金をもらっておりまして、それは即輸出補助金といえるかと思います。 そういうのが一つと、それからもう一つ先生の御指摘になりましたように、合成硫安そのものの規模は日本も決して世界的に劣ってはおりませんが、いわゆる経営形態と申しますか、そういうのが日本と全くといってもいいように違います。御承知のように日本の最も競争相手であるイタリアは二社でございます。アニックというのと、モンティカティニというのと、アニックというのは国策会社であります、二社であります。イギリスがICIというのが大部分で、そのほかに四社くらいございます。それから西ドイツは御承知のようにIG系の三社でございます。それからフランスもサンゴバンとか、それからあとちょっと名前を忘れましたが、たしか四社くらいだと思います。こういうふうにやって、外国としては硫安そのものの農業構造に占める歩合というのは違うかと思いますが、生産形態というのがそういうふうに全部集中しているということは、日本と根本的な違いだろう、こういうふうに思います。
○中田吉雄君 西ドイツとイギリスが農民補助金を出してある意味ではダンピングとも言えるのですが、しかし、日本と有力な競争相手であります西ドイツ等見ましても、アンモニア工業の規模というものがけたはずれだと思うわけです。そういう点で私の持っている資料では、アンモニア工業の規模でも非常に違っておる。非常に違っているのですが、たとえば、そういうことまで含んだ合理化計画をやらぬと——わが国にはそういうようなのはない。十九社くらいあるんですが、あるやつはそのままにして、そういう工場数のワク内で合理化をやっていこうとするのですから、EEC等の企業等を見ましても、なかなかこれは実際めんどうじゃないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
○政府委員(倉八正君) 全く仰せのとおりでございまして、集中生産と申しますか、大きい合理化をやるには大体二つしかなかろうと思います。一つは、今十六社の二十工場のうち、たとえば半分はやめてしまって、つぶしてしまって、残りの十社十工場なら十工場というのでやれといういき方。しかし、これには非常なる問題があるということは御了承いただけると思います。 それからもう一つのいき方は、結局各会社が肥料部門の比率を少なくするというのが合理化の私は主目標でなくてはならぬと思います。と申しますのは、たとえばある会社のごとき硫安なら硫安を三割もやっておったらば、それが非常に動きのにぶい会社になってしまう。そうじゃなくて、肥料部門というのがきわめてその会社の一部分だということになりますと、ある場合には廃ガスを隣の棟から持ってきて、それにアンモニアをくっつけて硫安を作る、あるいはカプロラクタムを作る、こういうような多角経営というのが一番の今後の合理化の中心——きわめて大きい意味の合理化の中心でなくてはいけないと思います。具体的に申しますと、たとえば八幡製鉄なんかから出る副産硫安なんかは年間二千億以上の売り上げを持っておる。八幡製鉄から出る副産硫安というのはわずか六、七万トン程度でございまして、極端に言えばそういうのは値段はどうなってもいい、こういうことにはならぬかと思いますが、相当下がりましても会社それ自体の経営にはたいした影響はない、こういうふうな経営体に持っていって、しかもそれを安定経営体にするというのが今後の一番大きな合理化じゃないかと考えております。
○中田吉雄君 輸出競争の非常に激しい中におきまして、わが国の硫安産業、硫安工業を内需を満たしながら輸出産業として育てる上におきましては、どうしても世界各国の硫安の生産能力、需要との関係というようなことについて、十分な正確な見通しを持つことが大切だと思うのですが、世界の人口増加の動向、低開発神域の食糧増産の必要等から見ると、まだ有望なようにも思う。それらのところにいろいろなプラントが最近できたりするようですが、それにもかかわらず、なお可能性はあるように思うのですが、その見通しはどうなんですか。
○政府委員(倉八正君) その見通しにつきましては、実際は両論あると思います。今御指摘になりましたように、未開発国がだんだん農業増産をやって国民生活の向上とともに、消費の量がふえていくという点から見れば、まだまだ日本の近隣諸地域が例外なく未開発地域ですが、伸びるという非常に楽観的な見方があると思いますし、それから悲観的な見方は、今御指摘にありますように、日本自体でさえも今三カ国に硫安ないし尿素施設の設備を出して建設中でございますし、ヨーロッパの窒素七カ国というのがたとえばナイトレックスなど作りまして、非常に高性能だということになりますと、日本の見通しは暗いじゃないか、こういう両方の見方があろうかと思いますが、われわれとしましては、しかし近隣諸地域の未開発諸国が一番近いし、それから一番安定した供給国としては日本だろうということになりまして、今後とも——一時的にはいろいろ高低はあるかと思いますが、われわれとしましては輸出というものについては決して悲観的な見方はしておりません。
○委員長(赤間文三君) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(赤間文三君) 速記を始めて。
○中田吉雄君 先にいただきました「輸出硫安売掛金各社別一覧表」というのと「開銀肩替り融資各社別一覧表」というのがあって、一方は会社名があり、一方はABCになっておるが、大体これは同じことじゃないかと思うのですが、これは融資の関係もあると思うのですが、それはどうなんですか、実際。
○政府委員(倉八正君) おっしゃるとおりでありまして、融資の関係がありますから、ABCとしただけであります。
○委員長(赤間文三君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめて、これにて散会をいたします。 午前十一時五十分散会