社会労働委員会 第27号
- 発言数
- 159 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/07/06
会議録
○委員長(鈴木強君) ただいまより会議を開きます。 老人福祉法案を議題といたします。質疑のある方は、順次御発言願います。
○藤原道子君 私は、前回に続きまして、老人福祉法について若干の御質問を申し上げたいと思います。会期末になりまして、あまり時間がございませんので、私は、この際、個条的にお伺いいたしますから、誠意ある御答弁をいただきたい。 前回、私は、保健所の任務が非常に重くなる、これで法に規定されたような実績が上がるかどうか。で、保健所の資料を求めたわけでございますが、この資料によりましても、本法に規定されたような老人の健康の管理、健康診断、これらが十分に行なわれることは困難だ。政府としては、老人の健康診断を年に何回ぐらいと予定されていられるか。少なくとも年に三回ぐらいの健康診断が必要ではないかと思います。この政府から出されました資料を見ましても、老人の罹病率は非常に高い。したがって、この健康診断ということは非常に重要な問題だ。と同時に、健康診断で発見された疾病の場合、適切な措置を講ずべきだと思うが、これらに対してどのような構想を持っておいでになるか、この点についてお伺いをしたいと思います。 さらに、老人の適正職業というものにどういうものをお考えになっておられるか、私は、現在、児童問題が非常に問題になっている。厚生省としてもいろいろ考えていらっしゃるが、児童遊園等に厚生員を置かなければならない。省令でこれは義務づけていらっしゃる。ところが、どこの児童遊園にも厚生員がほとんど配置されているところは少ないようであります。したがって、お年寄りで非常に子供が好きだというような人、こういう人をそういう方面に配属したらどうかというふうにも考えておりますが、厚生省でお考えの適正職業の中にどういうものがあるか、さらにこういうものを考えていられるかどうか、この点についてのお考えを伺いたい。 それから、第三といたしましては、家庭奉仕員はどのような人々を予定されておるか。今日お手伝いさんでも非常に待遇が上がっておりますが、家庭奉仕員は一万二千円というようなことに規定されておるようでございますが、これで適当な人が得られる自信がおありになるか。私は、やはり少なくとも何カ月かの訓練を経た人でなければならないと思いますが、そういう人が誠意をもってここに規定されたような仕事を遂行するのに一万二千円で人が得られるかどうか、この点についてのお考えを伺わなければならないと思います。 それから、やはり審議会を中央、地方に設置して、すべての重要な問題の審議に当たるべきだ、こう思いますが、これを削除した理由——まあ最初はあったやに漏れ伺っておりますが、こうした理由もあわせて伺わなければならないと思います。 それから、前回にも申し上げましたが、老人福祉法と銘打ちながら、内容が非常に貧弱だと思うんです。で、いろいろな仕事を民生委員に委託するというようになっている。ところが、その民生委員が今非常に仕事をたくさんかかえていらっしゃる。局長は、民生委員がどれだけの仕事を与えられておるかというようなことも、この際、ひとつお聞かせを願いたいと思います。私は、やはり老人福祉司として、民生委員とは引き離して、やはり別個に委嘱するべきではないか。そうでなければ、この法案では保健所のことでもしかり、奉仕員もしかり、さらに民生委員に委託するに至っては、これは申しわけ的な法案ではなかろうかというような心配さえ起こってくるわけなんです。 それから、続きまして、私は、この法案を拝見して非常に心配になりますのは、かつて政府は、結核と精神病は国の力でということで大々的に宣伝をなすって、感染のおそれある者は命令入所というようなことで結核の根絶をはかるというようなことで法案審議に当たったはずなんです。ところが、今日は生活保護がほんどそれにすりかえられ、むしろ日用品費等においては前より不便をしている。それから、結核の感染度がなくなれば、体力が回復してもしなくても、すぐ退院させている今日の現状なんです。であるから、何やらこの法案もそういうようなことで、対外的には宣伝は大きいけれども、この内容では効果が上がらないんじゃないかという非常な私は心配をいたしている。この点についての政府の御決意も、この際、あわせて伺いたい。 それから、前回御検討願うようにお願いしておきましたが、老人施設に病院がない。諸外国では看護ホームというくらいで、年をとればからだがきかなくなるのはあたりまえなんです。そういう人が入所するわけです。にもかかわらず、そこは病院がない。病気になれば引き取らなければならない。特別養護ホームというのが今度出ておりますが、これとても数が非常に微々たるものだということになれば、老人の病気のときのみじめさ、病気になって家庭へ帰る、あるいは家庭がない者はどうするかということになれば、非常に心配だと思うので、ほんとうの老人ホームの使命を果たすには、そこに医療施設があって初めてあたりまえだと思う。これがこの法案に規定されていない、こういう点については非常に不満足でございますが、御検討の結果どのようにお考えになっておられるか、これも、この際、明確にしてもらいたい。 それから、ホームが非常に少ないのでございますが、建設省が建てる公営住宅、こういうものに何%かは老人の居宅、老人の住宅としてワクをとってほしい。このごろ外国でも老人を居宅に置いて、そして至れり尽くせりのお世話をしている、そういう傾向がふえております。住宅がないために、住宅が狭いために一緒にいられないというようなことになるので、老人のための居宅の確保が望ましいと考えますが、これらについてはどのようにお考えになっておられるか。 以上につきまして、まずお考えを伺いたいと思います。
○政府委員(大山正君) 第一点の老人の健康診断でございますが、年に何回ぐらい行なうかということでございますが、法律によりまして、市町村長が六十五才以上の者に対して行なうということにいたしておるわけでございますが、本年度は初めての年でもありますので、試験的、実験的に行なうという考え方からいたしまして、六十五才の方、それから七十才の方、七十五才の方というように、五才刻みにいたしまして、年に一回健康診断を行なう、こういう予定で予算を組んでおるわけでございます。もちろん来年度以降におきましては、六十五才、七十才ということでなしに、六十五才以上の方々全部につきまして健康診断を行なう必要があるというように考えますので、来年度以降におきましてそのように努力をして実現して参りたい、かように考えております。 それから、病気であることが健康診断の結果わかったならどうするかということでございますが、十条の二項にございますように、市町村長が必要な指導を行なうということにいたしておりますが、その内容といたしましては、もちろん健康診断に当たりましたお医者さんから、療養上のことにつきましていろいろ指示をしていただく、あるいは生活面においては指導していただくというようなこともございますし、また、さらに医療の必要がある者につきましては医師を紹介する、あるいは費用負担につきましては、社会保険の関係についていろいろお世話をする、あるいはそういう便宜のない者につきましては、生活保護法による医療扶助によって行なうというようなことにつきまして、いろいろあっせん指導を行なうというように考えております。したがいまして、健康診断の結果——最初は一斉健康診断で一般検査を行ないまして、さらに精密な検査を要する方につきましては精密検査を行なうわけでございますが、その結果、なお治療の必要があるという者につきましては、現在のいろいろな医療費の負担区分に従って医療費の負担を行なうということに相なるわけでございまして、その間、社会保険なり、あるいは生活保護による医療扶助なりによってお世話をする、こういうことでございます。 それから、二番目の適正職業の問題でございますが、老人の職業、雇用の問題ということになりますれば労働省の問題になるかと存じますが、私どものほうといたしましても、いろいろ労働省関係、あるいは諸外国の例等を見まして、老人に適した職種というようなものを一応五十種ぐらい検討したものがございます。たとえばアパートの管理でありますとか、あるいは下宿屋をやりますとか、あるいは養鶏をやりますとかいったような幾つかの職種を考えているわけでございますが、御指摘のありました児童遊園地における子供等の指導について老人の方にお願いしてはどうかという点は、たいへん適切な御示唆であろうかと思うのでございまして、そういうことに向きました老人の方につきましては御協力をいただくということで、ひとつ児童局のほうとも十分連絡をとりまして進めたい、かように考えます。 それから、家庭奉仕員が一万二千円の給与で、はたして適当な人が得られるか、どのような人を現在やっているかということでございますが、現在やはり三十才ないし四十才ぐらいのご婦人の方で、そのような老人の身の回りのお世話をするのに適した方をお願いして各地方でやっております。現在のところ、この給与でお願いしているわけでございますが、お話のように、相当困難な仕事でございます。老人の家庭に行きまして洗たくをしましたり、あるいは掃除をしましたり、身の回りのお世話をしたりする、あるいは使い走りをするというような、あるいは、また、老人の身の上相談にもいろいろ乗るというように、相当な知識経験を要する仕事でございますので、今後ひとつこの給与をぜひ引き上げて参りたいというように考えまして、来年度予算におきましても、ぜひこの引き上げを要求したい、かように考えているところでございます。 それから、老人福祉についての審議会の御質問でございますが、老人福祉専門の審議会を作ることは、老人福祉の見地からいえば望ましいことでございますが、何分にもいろいろ審議会が多数に上りまして、これを整理する等の気運もございますので、新たに審議会を設けるということは遺憾ながらできませんでしたので、現在、社会福祉審議会が中央にございますので、中央につきましては、この社会福祉審議会に老人福祉の分科会を置くということでやっていきたい。それから、地方につきましては、現在、社会福祉審議会がございませんで、身体障害者につきましての審議会があるだけでございますが、今回、地方に身体障者の審議会を包含した大きな社会福祉審議会というものを置くことにいたしまして、その分科会として、身体障害者の問題と並んで、老人福祉につきましても分科会を設けて、その審議会で審議をしていただくというような方法によりまして、中央、地方を通じて、ひとつ審議会の体制を整えていきたい、言いかえますならば、別個の審議会というものは設けることはできませんでしたが、これらの社会福祉審議会に、中央、地方が分科会を置くということで老人福祉を推進して参りたい、かように考えております。 五番目といたしまして、民生委員にこの老人福祉の仕事をさらに過重することは、民生委員の仕事をますますふやすということになりはせぬか、一体今どのような仕事をしており、また、老人福祉委員というようなものを新たに設けてはどうかというような御質問でございますが、現在、民生委員の仕事といたしましては、生活保護法の仕事、あるいは身体障害者福祉法の仕事、精神薄弱者福祉法の仕事、それから、児童委員といたしましては、児童福祉法の仕事、そのほかにいろいろな証明でありますとか調査でありますとか、いろいろな実は仕事を受け持っており、きわめて重要な、また、複雑な仕事をしているわけでございます。それに老人福祉の仕事が新たに加わるわけでございますが、実は、地域の実情から見まして、これらと別個に老人福祉委とというものを設けるといたしましても、やはり大体同じような方がなられるのではあるまいか。むしろこれらの仕事をひとつ重点的にやっていただいて、総合的にやっていただくことがよろしいというように実は考えまして、民生委員にボランティア活動の面における老人福祉の仕事をお願いする、こういうように考えた次第でございます。 それから、六番目に、この内容では非常に不十分ではないかというお話でございました。確かに老人福祉につきまして、この法案は、基礎的な、あるいは理念的なことを掲げましたほかは、大体施設収容、あるいは家庭奉仕員、あるいは健康診断といったような内容でございますが、今後ひとつこれを手がかり足がかりといたしまして、老人福祉の仕事をさらに前進さして参りたい。とにかく一歩前進の手がかりになる法案だといいうように考えておるわけでございまして、この法案によってさらに積極的に推進されるというように考えておる次第でございます。 それから、施設に病院を付設すべきではないかという御意見でございまして、確かに老人につきましては病気の問題が大きな問題でございますので、医療施設を付置できれば最も理想的な望ましい姿であると思います。すべての老人施設に付置するということも、実際問題としてはなかなかむずかしいかと思いますので、近くの病院等とあらかじめ連絡しておきまして、何か事故がありました場合にはその病院にお願いする。で、現在のいわゆる事務費の建て方では、病院に参りました場合には、入院費用を別に生活保護なり保険なりでみるという建前をとっておるわけでございますが、来年度以降におきまして、できますれば、施設から病院に入ります場合には、短期間であれば、その医療費は施設のほうでみる。したがって、なおればまた施設に帰ってくるというような方策にいたしたいと、かように考えておる次第でございます。 それから最後に住宅の問題といたしまして、考人の住宅について、公営住宅のうちで何%かワクを取るべきじゃないかというお話でございますが、老人福祉を考えます場合に、施設保護も重要でございますが、家庭にあって保護できれば、これが最も望ましい保護、福祉の姿であると、かように考えるのでございまして、老人向けの住宅がたくさんできますことはきわめて望ましい、かように考えておりますので、建設省ともひとつ十分連絡いたしまして、はたしてワクが取れるかどうか、ぜひ努力したいと思いますが、さらにワクの問題と同時に、たとえば公営住宅のアパートの一階のようなところをひとつ老人に向けていただく、老人として住みやすいような形にしていただくというようなことも、ひとつぜひ建設省とさらに推進するように努力して参りたい、かように考えます。
○藤原道子君 私が申し上げるのはそれなんです。老人住宅を作れというのじゃない。そうした公営住宅の一階あたりに日当たりのいい所を老人のための住宅として確保してほしい。こういうわけなんです。けれども、時間もございませんから、今の御答弁の中で、民生委員にまた新たに老人福祉委員を委嘱しても同じような方がなるのだからと、こういうことは私は納得いかないんです。今民生委員の仕事をちょっと私計算しただけでも十五持っているのですね。やれますか、一人で。みんな中途半端です。民生委員は悲鳴をあげているのです。この間も老人福祉がふえますねと言ったら、もうこれ以上やれませんと言っています。地方に出て幹部でちゃかちゃかしている人はいいかもしれない。けれども、実際に仕事をしようとして、読み上げることは省略いたしますけれども、十五あるじゃありませんか、仕事が。この十五のことを一人の人がこなしていけますか。さらにこの上に手のかかる老人福祉がまた加重される。それでは一体何のために老人福祉のために働いていただく人を民生委員に委嘱するか、そういう制度を作るかというところに疑問を持たざるを得ない。こういう状態から見まして、すでに民生委員制度も検討の時間にきているのじゃないかと思う。ですから、私は、この際、法の改正をしようとしてもあれでございますが、とにかくこういう点も十分検討したい。大臣にお願いしたいのは、できもせぬことをただおっつけるだけでは効果が上がりませんので、あくまでも考人福祉委員制度というものを、民生委員と切り離してお考えが願いたい。私は強く要望いたします。 それから、病院施設の問題は、病気になったらそのつどと、こういうのでございますけれども、年寄りは絶えず健康を管理してないといけないのですよ。まして老人ホームといえば、外国じゃ看護ホームといっておるということを繰り返し申し上げますけれども、この医療設備がないほうがおかしい。こういう点で今後十分御検討を願わしい、こう思います。保険所その他、あるいは健康診断にしても、六十五才と七十才というように、その間ほうっておくわけです。六十五才の人と七十才の人というふうに健康診断をする、こういうことなんですね。これなんかもまことに申しわけ的なものだと思いますね、まあ一歩前進だと思いますけれども、老人福祉法の名に恥ずかしくないような運営をしてもらいたい。内容を充実してもらいたい。特に年寄りは不自由なものである。あるいは神経痛も出るでしょうし、高血圧もあるでしょう。こういうことも十分御理解いただきまして、今後十分充実すべく検討を要望いたします。
○政府委員(大山正君) 民生委員の仕事がきわめて多くなっておりますことはお話のとおりでございまして、いろいろ仕事の内容等をさらに検討いたしまして整理する必要がある、かように考えております。現在の制度といたしまして、やはり民生委員と児童委員を兼ねてやっていただいておるわけでございまして、老人の問題が新たに加重されるわけでございますが、民生委員は、どうしても地区内の世帯と申しますか、家庭を対象にしていろいろめんどうをみていただくということになりますので、その世帯におけるやはり老人の問題、あるいは生活の問題、あるいは指導の問題というのを一体的に見ていただくという便宜も兼ねてあるという面もあろうかと思いますので、一緒にやることと分けることについて一利一害であろうかと思いますが、これらの点につきまして、なお御意見の点を十分検討さしていただきたいと存じます。 それから、施設の病院につきましては、十分この点も御趣旨に沿って検討さしていただきます。 健康診断につきましては、本年度は五年に一回ということになりますが、来年度以降につきましては、十分御趣旨のように努力したいと考えております。
○山下春江君 藤原委員の御質問に関連して、ちょっとお聞きしておきたいと思います。 この老人福祉法の第十二条に「市町村は、社会福祉法人その他の団体に対して」云々とありますが、この規定にいう「団体」というのは、法人格、たとえば社団法人、財団法人格を有する未亡人団体は入るのでしょうかどうでしょうか。未亡人団体に委託して行なわせる事業としましては、この老人家庭の奉仕員を派遣するということは団体活動としても適当なものであると考えますし、また、未亡人、ことに母子家庭の母の就労の場としては、たいへんふさわしい分野だと考えるのですが、これが入るのでありましょうかどうでありましょうか。全国百三万の世帯の母子家庭の中で、四十才から六十才までの世帯が全体の七二%、七十四万一千四百世帯ある。この母たちが就労しておる場が今必ずしも適当でないと考えられるところに働いておりますが、こういう中高年齢層が奉仕員として働く場になればたいへん好都合だと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(大山正君) 現在、老人家庭奉仕員を行なっておりますのは、大体、社会福祉協議会が多いのでございますが、若干の例といたしまして母子会でやっております。あるいは未亡人協会でやっておるところもございますので、それぞれの地方の実情を見まして、お話の点を十分考慮といいますか、実現できるのではないか、かように考えております。
○柳岡秋夫君 簡単に考え方を質問したいのですが、先ほど老人の雇用促進については労働省の所管だから、私らは知らないというよりも、考えていることは考えているけれどもというようなお話で、あまり積極的なお答えがないのです。 そこで、私は、やはり基本的理念の中に、その希望と能力に応じて、適当な従事する機会を与えていく、こういうふうになっておるわけですから、少なくとも、老齢者に対する雇用促進の特別な措置をやはり政府としては十分考えていかなくちゃならない、こういうふうに思います。特に最近における定年制の問題等もありまして、年寄りになると早くやめろ、こういうようなことが各企業において行なわれておるわけです。したがって、第一点としては、やはり老齢者というか、年令により差別はやめさせる、こういうような立法措置を考える必要があるんじゃないかということが一つ。 第二点としては、労働基準法には青少年あるいは婦女子に対する特例があるわけですね。したがって、今後老人が政府の雇用促進措置によって仕事ができる、こういうふうになれば、やはり労働基準法には、老人に対する何らかの措置を、青少年あるいは婦人労働者に対するものと同じような立場に立って考えていく必要があるんじゃないか、こういうふうに思うのです。そういうことについて、ひとつ、どういうふうなお考えを持っておられるか、お聞きしたいわけです。 もう一つは医療の問題ですが、現在の医療保険では、予防とアフター・ケアというものが保険診療の中に入っていないと思う。したがって、やはりこういう点は明確に、老人病の治療、あるいは老化の予防、こういうものについては保険でやる、こういうような点をやはり今後考えていく必要があるんじゃないか、こういうふうに思うのですが、この二点のまず考え方をお聞きしたいと思います。
○政府委員(大山正君) 基本的理念として第三条に掲げました事項は、単に厚生省の仕事のみならず、労働省その他各省にわたる基本的な理念ということで掲げたわけでございまして、この内容によって厚生省が、直ちに職業問題、雇用問題を老人について行なうということは、これはできないかと思いますが、お話の点は、年はとっても、さらに続けて働くことができるように、あるいは、また、これについては何か青少年、婦人と同じように、特別な特例措置を設けるようにという御趣旨であろうかと思いますので、労働省とも打ち合わせまして、それらの点につきまして労働行政として考慮を願える面をひとつぜひ推進するようにいたしたい、かように考えます。 それから、予防あるいはアフター・ケアについて社会保険でみるという点でございますが、この点は厚生省としても非常に大きな保険の問題点といたしまして、目下検討しておる段階でございます。
○藤原道子君 保健所の充足率でこの間質問したときに、半分のところがあるんじゃないか、そんなことはございませんとおっしゃったけれども、これを見ますとお医者さんは四九・三%の充足率、助産婦さんに至っては二一・五%ですね。これで保健所の機能が果たせているのですか。一九%、一七%なんという充足率じゃありませんか。これで責任を持って保健所は機能を発揮しているとお答えになれますか、ひとつ大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(西村英一君) この前、先生のお尋ねで、保健所の充足率が悪いじゃないか、平均して六〇%ぐらいじゃないかとおっしゃいましたが、私は、もっと高いだろう、数字ははっきり覚えないがということであった。職種別に申し上げますと、非常にたくさん職種があるから、この表に現われたごとく、七〇%ですが、これでもたいへんなことなんでございまして、ことに保健所で最も必要な医者が半分しかないわけです。この点につきましては、お医者がどうも保健所に行きたがらない、給料が安いということで、今でも勉学のための資金を出しております。出しておりますが、それも十分な効果を発揮してない。勉強してから、勉強しただけ金を払ってほかのほうへ行くというようなことになっている。私のほうの厚生行政として、保健所の人員の充足率が十分でないということは一つ大きい問題でございます。いわんや、今後われわれが社会福祉施設、社会保障を進めていくとすれば、現場の第一線でありますこれらの方々に対しまして、これはひとつ何とかしなければならぬ。しかし、これはどうも国家公務員でないので、地方公務員でございますので、地方の熱の入れ方もだいぶあるわけでございます。したがいまして、私たちとしては、行政指導は十分やりますが、先生が御心配になるように、私たちも非常にこれは心配しているので、ぜひとも強化をはかりたい、かように考えている次第でございます。
○藤原道子君 私、そういうことでは、質問をやめようと思ったけれども、言わなければならない。医者と保健婦と助産婦というのは、保健所で非常に大事なんです。ところが、平均するとこうだとおっしゃるけれども、医者のない保健所があるということは御存じでしょうか。それでは困るのです。お医者さんが行きたがらないというのは、行きたがらない理由があると思う。給与等について待遇の改善をはからないで、ただ一方的に医者が行きたがらないというのでは納得がいかない。保健所の果たす役割は非常に重大でございますから、もっと力を入れて、何とか解決していただかなければ不安であります。大臣に伺いたい。
○国務大臣(西村英一君) 充足率は、ここに出ているように、まことに半分しかないということでございます。このほか、この表に上っていないのは、困ったところでは、医者をパート・タイムで雇っているようなところもありますので、実働につきましてはそれぞれやってはおりますが、しかし、定員があってそれを充足できないということは、いろいろな面において不十分なところがあるのだと思って、私どものほうの一つの非常に大きい問題であるわけであります。充足につきましては、ぜひとも厚生省としては最善を尽くさなければならない、かように考えている次第でございます。
○丸茂重貞君 藤原委員、柳岡委員の質問に関連しましてお尋ねしておきますが、保健所の各技術者の足らないことは、これは現実の事実でありまして、そのことを率直に認められて、その前提の上に立って問題を打開していったほうがいいというふうに考えます。 そこで、老人福祉の問題で一番大事なのは、保健指導、あるいは健康相談をやるのだ、どこがやるかというと、保健所がやる、そのやる保健所は人員が足りないということになれば、老人福祉法がいかにいい趣旨でやろうと思っても、なかなか効果は上がらない。そこで、一つの問題は、すでに僻地医療で本年度から地域の専門団体に頼んでやったという実例があるわけです。そこで、老人福祉法の健康相談その他についても、地域に所在する専門団体を十分に、従来のようにお役所仕事ではなく、現実に仕事がうまくいくという立場に立って、医師会、歯科医師会、薬剤師会、助産婦会、看護婦会、そういうものを十分有機的に力を借りられるような態勢を、具体的にこの老人福祉法が通過した後に厚生省は真剣に考えなければ、こういう法案が通っても何にもならない。そういう意味で、これは私の質問と申しましょうか、強く要望しておきます。そういうこまかい点まで配慮されることが、こういう大きな法案がうまく実施される一番の前提だ、こういうふうに考えます。この点については、簡単な御所見でけっこうですから、お願いします。
○政府委員(大山正君) 老人の健康診断を行ないますのに、保健所が直接やるということは、確かにこの間からの諸先生のお話のとおり、保健所の能力からいって、きわめて困難でありますから、今回の立案にあたりましては、保健所は直接やらない、むしろ地域の開業医その他の専門の方を市町村長がお願いしてやる、保健所はこれに対して指導助言を行なう、その他の協力を行なうという形にするという考え方でございますので、ただいま先生から御注意がありましたように、今後、医師会、歯科医師会、その他専門の関係の方と十分連絡いたしまして実効の上がるようにしたい、かように考えております。
○委員長(鈴木強君) 他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。それでは、これより採決に入ります。 老人福祉法案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木強君) 総員挙手でございます。よって、本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
○紅露みつ君 私は、この際、各会派共同提案にかかる老人福祉法案に対する附帯決議案を提出いたしたいと存じます。まず、案文を朗読いたします。 老人福祉法案に対する附帯決議 本法律案は時宜に適したものであるが、なお、今後その内容を改善すべき面もあるので、政府は左記の事項につき検討の上その実現に努力すべきである。 記 一、老人人口の増加のすう勢並びに家族居住分離の傾向にかんがみ、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、経費老人ホーム及び公営住宅等の建設を促進し、老人福祉施設内における諸施設の充実に努めること。 二、老人福祉施設の職員等の処遇の改善につとめ、要員確保に特段の配慮をすること。 三、老人の健康診断については開始年令の引下げ及び回数の増加につき検討し、その徹底をはかると共に、発見された疾病については適切な措置を講じ、老人医療の万全を期すべきである。 右決議する。 以上でございます。案文の趣旨につきましては、この決議案文にすべて表明されておりまするので、省略をさせていただきたいと存じます。
○委員長(鈴木強君) ただいま紅露委員から提出されました附帯決議案を議題といたします。 本附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木強君) 総員挙手と認めます。よって、各会派共同提案にかかる紅露委員提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
○国務大臣(西村英一君) ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましては、その趣旨を十分尊重し、今後その実現に努力いたす考えでございます。
○委員長(鈴木強君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(鈴木強君) 次に、国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、提案理由の説明を求めます。西村厚生大臣。
○国務大臣(西村英一君) ただいま議題となりました国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 御案内のように、国民年金法は、昭和三十四年の第三十一国会におきまして成立をみたのでありますが、その後、拠出制年金につきましては、第三十九及び第四十国会におきまして御審議を願った結果、死亡一時金制度の創設、保険料免除者に対する国庫負担の実現等により、基本的制度の仕組みも一応整い、年金制度の発展の基盤を確立しつつある次第であります。他方、福祉年金につきましても、発足以来、支給制限の緩和、準母子福祉年金の創設等の改善が行なわれ、すでに三百万人に近い低所得者の福祉に貢献しているのでありますが、最近の国民生活の動向等に照らして、なお一そうの改善を必要とする状態にあるのであります。 また、児童扶養手当法につきましても、第三十九国会におきまして制定されて以来、児童の福祉の増進に寄与しつつありますが、福祉年金同様制度の改善を必要とする実状にあるのであります。 今回の改正法案は、以上の趣旨にかんがみ、福祉年金制度及び児童扶養手当制度の改善をはかるため、年金額及び手当額を引き上げるとともに、支給制限の一そうの緩和をはかろうとするものでありまして、そのおもな内容は、次のとおりであります。 まず、国民年金に関する事項について御説明申し上げます。 第一に、福祉年金額の引き上げについてでありますが、まず、老齢福祉年金につきましては、従来、年金額一万二千円でありますのを一万三千二百円に、障害福祉年金額につきましては、一万八千円を二万一千六百円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金につきましても基本額一万二千円を一万五千六百円に、それぞれ引き上げることといたしたのであります。 第二に、支給制度の緩和について申し上げます。これには二点ございまして、第一点は、福祉年金の受給権者本人に年間十五万円をこえる所得があるときは、年金の支給は停止されることとされておりますが、この制限の基準額を十八万円に引き上げ制限を緩和いたしております。 第二点といたしまして、受給権者の扶養義務者の所得による福祉年金の支給制限の場合につきましても、その制限の基準額を五十万円から六十万円に引き上げることといたしております。 第三に、母子福祉年金の支給の対象となる子は、義務教育終了前の子に限っておりますのを、重度の廃疾の状態にある子につきましては、二十歳まで延長して認めることといたしております。 なお、この取り扱いは、準母子福祉年金における孫または弟妹につきましても同様であります。 次に、児童扶養手当に関する事項について、御説明申し上げます。 第一に、児童扶養手当の額の引き上げにつきましては、従来の手当額は、月額児童一人の場合は八百円、二人の場合は千四百円、三人以上の場合は千四百円に、三人以上の児童一人につき四百円を加算しておりましたのを、児童一人の場合は一千円に、二人の場合は千七百円に、三人以上の場合は千七百円に三人以上の児童一人につき四百円を加算した額に引き上げることといたしております。 第二に、支給制限の緩和につきましては、国民年金と同様、手当の受給者本人の所得による制限の基準額十五万円を十八万円に、扶養義務者の所得による制限の基準額五十万円を六十万円に、それぞれ引き上げて制限の緩和をはかることといたしたのであります。 第三に、手当の支給対象となる重度の廃疾の子の制限年令を国民年金と同様二十歳に延長いたしております。 最後に、年金額及び手当額の引き上げ並びに支給制限の緩和に関する事項につきましては、昭和三十八年九月一日から、その他につきましては、公布の日から施行することといたしております。 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを望みます。
○委員長(鈴木強君) これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○藤田藤太郎君 国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案というのは、住民主権憲法のもとにおける所得保障の柱になるものだと思う。そういう重要法案が最終日に残ったということで、非常に私は残念に思うわけです。これは何としてもこのような所得保障を高めない限り、日本の経済も発展をしない、こういう重要な役割を持っている法案だと私は思います。三十四年、また、拠出制は三十六年から実施されて今日まできているわけでありますけれども、私は、何としても、厚生省は国民貧困と貧乏をなくする、その一つの柱が所得保障であり、次が医療保障であり、それから児童を社会が養育するという、この三つの柱の二つまでこれの法案になっているわけです。で、この法案自身は、少しでも前進さそうという意図はここに表われております。しかし、ここでやはり厚生省が常日ごろ念頭に置いて考えていただかなきゃならぬことは、私は、やはり所得保障をどうしていくか、どう高めていくか、日本の経済繁栄のためにどうしていくかという、その気持をいつも持ってこの法律の実現方をお願いしたいわけであります。この福祉年金の百円、三百円プラス、それはプラスしたんだから、いいことには違いありませんけれども、この千円、千八百円といい、千五百円ということで、所得保障の意義をこの法律が持っている精神というのが生きているかどうか、これは私はなかなか距離のあるものだと思うわけであります。たとえば身体障害者の方々がその日の生活に困っておられる。身体障害者の雇用促進法というものがありますけれども、これも実効はあまり上げていない。そういう中で、私は、やはりこの所得保障としての年金というものは、もっともっと国の屋台骨を建て直すという大きい意義を持っているということを貫いていただきたいと思うのです。この法案を見ると、どうも小手先が少しさわられたという以外に受け取り方がないと思います。まあ皆さん努力されたのでありますから、あまりそれに攻撃を加えることはいたしませんけれども、しかし、根本の問題というものを厚生省はもっと社会に訴えてやってもらわなければならぬ。だから、この年金をどういう受け取り方をしておられるか。——私は先ほど申し上げましたように、三つの柱——貧乏や貧困をなくすという三つの柱、所得保障と児童扶養というものに対して、まず、私は、年金の柱は所得保障なんだ、厚生省はどういう工合に年金制度というものをつかんでおられるかということを、この際、大臣から聞いておきたい。
○国務大臣(西村英一君) 今、藤田委員からおっしゃいましたことにつきましては、全面的に私も賛成でございまして、もちろん所得保障、医療保障、しこうして児童の問題と、これは社会保障の私も大きい三本の柱と思います。所得保障につきましては、厚生年金、国民年金と、これがまた心棒でございます。しこうして、今回まあこの法律の提案をいたしましたが、その根本に触れずして、小手先じゃないかということでございまして、まあそういう意味においては小手先であるかもしれませんが、御承知のように、来年は厚生年金の再計算の時期になっております。そこで、やがてまた四十一年には国民年金の再計算の時期もくるわけでございまするが、まず、制度発足以来でございまするが、物価も上がり、また、このいわゆる国民年金法におきましては特殊な立場にありまする老人、障害、母子の方々に対して、それを待たずに、何とかひとつこの物価高等に対応して上げてやりたいというのが今回のこの改正案でございまして、これをもって私たち十分である、かように考えているものではございませんし、また、今回の引き上げにつきましても、これは十分であるという考えは持っておりませんが、いろいろな関係上こういうふうになったのでございまして、今、藤田さんのおっしゃいましたことにつきましては、私たち十分了承いたしまして、今後も努力をいたしたいと、かように考えている次第でございます。
○藤田藤太郎君 所得保障である、こういう観点に立って厚生省が取り組もう、こういうことなら、いろいろの都合でできないんだというような、その内輪の問題でなしに、私は、やはり社会にもっと訴えて、日本の政治体系の上から言っても、住民主権の国家体系なんですから、だからその点は、経済繁栄のためにこれが柱なんだということをやはり国民に訴えておやりにならないと、いつの場合でも、いろいろの都合で予算がこれだけしか取れませんでしたということに私は終わってしまうような気がしますから、ぜひこれはひとつ強く要望をしておきたいと思うわけであります。私はよく外国の例を申し上げて参りましたから、よく御承知だと思うのです。 それから、もう一つの問題は児童手当の問題なんです。児童手当というのは、私は、この児童手当をつけたと、生別家族だけに限られているわけでありますけれども、社会が児童を育成するというこの柱をやはり貫いてもらわなければ、どうも理解できない問題だと思うのです。それが生別家族にいたしましても、第一子が千円で、第二子が七百円、四百円と、こう下げていく。賃金労働者が、労務対策の補助的な要素として、家族手当がこういう方式で出されている。それと同じような格好でこういう格好を出してくるということは、真に児童を守っていくというところに大きな大精神が貫かれていない、児童手当というものを出しておりますということにすぎない、そういう感じを私は強く持つものであります。子供が一人ならば母親一人でも幾らか暮らしは楽でございましょう。しかし、二人、三人、四人、五人となるに応じて、その二人、三人、四人、五人という子供をどうしてそれじゃ育てていくかというところにむしろ問題がある。一子が千円で、二子が七百円で、三子以後は四百円だというのは、これはさかさまではないか、私はそう思う。だから、一子が千円なら、二子のときには三千円、三子あったら八千円、これは一つの例でございます。そうして子供の生活を守っていく、これが私は児童扶養手当の建前ではないかと思う。この建前が今度改正されて、ここで非常にこの前からも議論があったのですけれども、外国六十何カ国でやっている例でも、こういう比率で児童扶養手当を出しているところは私はないと思う。一番低いところでも、何人おっても同じ額を出している。逓増的に出している。社会が子供を育成するということで、逓増的に出しているところが多かったと私は思う。日本だけが労務対策の家族手当と同じような格好をつけるというのは、もう厚生省は脱皮していいのじゃないのですか。これは私は強く申し上げておきたい。そうでなければ、皆さんが児童扶養手当を作ったという精神が消えてなくなっている、また、価値が半減よりももっと少なくなっている、そういう格好に私はなっていはせぬかと、こう思う。将来の姿としては、きょうのことでありませんけれども、それを生別家族ばかりでなしに、国民全般に広げていく、こういうことにやはり日々努力されなければならぬと私は思うのですけれども、そこらのところを、この際、明らかにしておいてもらいたい。
○国務大臣(西村英一君) 母子福祉の金に見合って児童扶養手当等の制度もできたんでございまして、まあ制度と申しますれば、やはり何と申しますか、発足以来日なおまだ浅いということになるんでございますが、ようやく緒についたということで、しかも、そういうことでありますけれども、いまや児童手当そのものは問題になりつつあるような傾向でございます。したがいまして、私は、今、藤田さんがおっしゃいましたように、一子、二子、三子のこの逓減制、こういうことにつきましては、これは将来に向かっては考えなければならぬだろう。今回はそこまで、前の考え方といいますか、伝統を踏んでいったが、将来は考え直さなければならぬだろう。これは諸外国の例も引いておっしゃいましたが、私自身の感じとしても十分ありまするが、それを手直しするには、やはりやがて時期がくるんじゃないかと、こう思っております。最近児童手当全般の問題につきましても、多少世論が強くなりまして、いろいろまあ中高年齢層の労働者の方々に対する就業の変換その他の問題につきましても、児童手当問題も、やがてこれは問題になってきつつあるので、厚生省としても十分研究をいたしておりまするが、その時期には、今おっしゃいましたような児童一人ずつに対する逓減制か、あるいは均等制か、あるいは昇高というか、上がっていくような制度にするかというようなことが、これは大きい一つの問題点、議論の中心になっていくと思っておる次第でございまして、十分今後検討いたしたいと、かように考えておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 どうも大臣の所見は、私は気に入らぬね。国民が貧困や貧乏から脱却する、国民が主権者なんですから。今のどの国を見ても、そういう政治体系をもって政治をやっているのです。貧乏や貧困をなくするのは何か、この児童扶養手当が出てきた精神というものが、いつかは問題になるであろうというような格好で児童手当をお作りになったということは、われわれ承知できませんよ。まず所得保障をして、働く能力のない人には所得保障として年金を作る。病気は自分の責任でなったんではないから、貧乏にならないように医療保障をしていく。家族の多い人と少ない人とが同じ所得の中ではアンバランスになるから、その多い家族の子供を社会で保障していこうという、この精神が児童手当なんです。そこから児童手当法というものは始まっている。これは日本だけがそうでないという強弁はできないと思う。みんなが、世界中の者が、ここがひとつ貧乏の原因になるから、これは直そうというのが児童手当として生まれて、急速に世界で発展している。これは私が申し上げるまでもなしに、厚生省はよく御存じのはずなんです。それがだんだんと問題になるであろうということでなくて、出発点からそういうことは考えて児童手当というものが生まれてこなければ、社会が子供を育成していこう、貧乏をなくそうという大精神がはずれてしまっているじゃないですが、今の御説明聞くと。私は、この前もこの問題で議論をいたしましたから、あまり議論をいたしませんけれども、今のような大臣の答弁では、私は黙っているわけにはいかぬ。児童手当法というものがどういう意義で出てきたか。今は生別家族であるけれども、将来は一般国民にできるだけ早くふやさなければならぬと考えていますとおっしゃるならともかくとして、児童手当の根本の問題が、やはりいつかは問題になるであろうなんという格好では私はいかぬ。児童手当というものは、私が申し上げたような意義において出てきている。今世界六十何カ国がそうですよ。日本だけが特殊な児童手当法なんて、そういうことをお考えになるところに、私は少し——違った要素があるわけじゃない。外国がしてなくとも、貧乏を防ぐための三番目の柱としては、家族の多い人、子供の多い人の生活をどうして保障していくかというところが中心にならなければ私はやはりいけないんじゃないか。労働賃金の賃金はもらっている。これに対して、補完的な労務対策として、妻千五百円、子供は八百円、三人以上はなしというような労務対策とは違うということを大きな柱として考えてもらっておかなければ、児童手当の意義というものは私は影の薄いものになってしまう。そこらあたりをもうちょっと明確にして下さい。
○国務大臣(西村英一君) どうも私が回りくどく言ったものだから、だいぶ誤解がありますようでございます。そういう言い方ではなかったのであります。児童手当が貧乏を救うということに対しては同感でございます。しかし、現在の母子福祉年金というもの、これは児童手当の一部分を取り上げており、それから児童扶養手当というもの、これも児童手当の一部分を取り上げられているのであります。しこうして、私は、今後一般的な児童に対するこの児童手当というものが、やはりやがて問題になる。われわれとして、この問題に上がってこなければならぬ時期にもうきておる、その時期に今の児童の一人々々についてどういうような制度をとっていくかということは考えなければならぬだろう。今は、この今までたどってきた児童扶養手当につきまして、第一子は幾ら、第二子は下がって、第三子は下がる、こういう行き方は、やがて一般的な児童手当が上げられるときにこれは問題になるのじゃないかと、こう言ったのでございまして、児童手当はだんだんこれから考えるというような意味ではございませんが、その辺ひとつ御了承賜わりたい。一般的な児童問題のときに、この考え方、一子、二子、三子の今のやり方、逓減制の考え方も、当然これは改められるような時期がくるのじゃないか、こう申したのでございます。御了承賜わりたいと思います。
○藤田藤太郎君 私は、要望を申し上げておきます。生産家族といったって、母子とそれから子供の生活を守っていこうということなんですから、だから、根本的な精神として、皆さんでもよく御経験があると思うのです。一人の子供を母子家族が養うのはたやすうございますが、二人、三人になるほど苦しくなっていっているのです。その費用をどうするかというのが中心なんです。それを一人の子供には優遇があって、二人、三人になっていくほどその優遇が減っていくなんということで子供の生活をこれで見れるのかどうかということを私は議論をしている。所得保障の議論はもういたしませんけれども、そういうことはだんだんとというような格好で改められるものじゃなしに、児童手当そのものがそういう意議を持たなければならぬのじゃないかという議論をしているわけですから、厚生省においても、そういう児童手当というものはどういう意義のもとにできたものであるか、どういう意義をもって、——その母子家族、生別家族だけでございますが、今後広げていかなければいけませんけれども、今の生別家族の母子家族においても、実際の生活と子供を守っていくためにはどうすればいいかということは、根本的に至急に検討をしてもらいたい、これだけ私は強く要望しておきます。
○国務大臣(西村英一君) 十分御趣旨の点はわかります。十出努力いたすつもりでございます。
○委員長(鈴木強君) 他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別の御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木強君) 総員挙手でございます。よって、本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定しました。
○高野一夫君 私は、この際、国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対して、各会派共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。 まず、案文を朗読いたします。 国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案 政府は国民年金制度の重要件にかんがみ左記事項につき、すみやかに検討すべきである。 一、左の大綱に従って改善を行なうこと。 1 各年金の年金額を大巾に引き上げることとし、厚生年金の改正との均衡をはかること。 2 老令年金、社会福祉年金の支給開始年令を引き下げること。 3 福祉年金の給付制限を緩和すること。 4 保険料、年金額、給付要件、受給対象等すべての面において社会保障の精神に従って改善すること。 5 右の実現のため大巾な国庫支出を行なうこと。 二、特に左の事項については可及的すみやかに適切な措置を講ずること。 1 夫婦とも福祉年金をうける場合の減額制度を廃止すること。 2 母子福祉年金、準母子福祉年金については、精神薄弱者を扶養する場合は二十才に達するまでこれを加算対象とするよう努力すること。 3 内科疾患に基づく障害に対しても障害年金、障害福祉年金を支給すること。 4 福祉年金と他の公的年金との併給の限度額の不均衡を是正すること。 5 拠出年金について物価変動に対応する年金額のスライド規定を設けるよう検討すること。 6 年金受給要件に達しない者の実納保険料がその被保険者のものとして確保されるようにすること。 右決議する。 趣旨は、ただいま案文で十分御理解願っていることと思いますから、省略いたします。
○委員長(鈴木強君) ただいま高野委員から提出されました附帯決議案を議題といたします。 本附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木強君) 総員挙手と認めます。よって、各会派共同提案にかかる高野委員提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
○国務大臣(西村英一君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたし、これが実現につき努力をいたすつもりでございます。
○委員長(鈴木強君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(鈴木強君) 次に、戦傷病者特別援護法案を議題といたします。 まず、提案理由の説明を求めます。衆議院議員、社会労働委員会理事小沢辰男君。
○衆議院議員(小沢辰男君) ただいま議題となりました戦傷病者特別援護法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 本案は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党で試案を作りまして、この試案を社会労働委員会の委員長提案にいたすことに決定をいたしましたのでございます。したがいまして、本来ならば衆議院の社会労働委員長秋田先生みずから御説明に上がるところでございますけれども、試案を作りました者の一人といたしまして、秋田委員長にかわって御説明申し上げることを御了承願いたいと存じます。 御承知のとおり、国のため戦火の中に身をさらし、そのために傷病を受けた同胞に対し、国が責任を持ってその援護に当たることは、今日洋の東西を問わず、また、戦勝国、戦敗国の別なく、当然のことであります。 今次大戦後のわが国のこの分野における施策は、敗戦によるやむをえざる事情に基づき、十分なる措置を講ずることが許されなかったのでありますが、平和条約の発効をみた昭和二十七年に戦傷病者戦没者遺族等援護法が制定され、自後、恩給法の改正によって戦傷病者等の所得保障について改善が加えられたほか、未帰還者留守家族等援護法、戦傷病者等の日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律等によって各般の援護措置が講ぜられてきたところであります。 しかしながら、これらの法律は、制定の趣旨、経緯、対象となる戦傷病者の範囲等においてそれぞれ異なる点があるため、必ずしも戦傷病者に対する援護が一本の体系によっていないのが実情であります。しかも、戦傷病者は、戦争の惨禍も忘れ去られようとしている今日において、なお戦争による痛手を一身にになって余生を送っているのであります。 このような現状にかんがみまして、これら戦傷病者の援護に関する法制を統合整備するとともに、これらの援護措置が国家補償の精神に基づいて行なわれるものであることを明確化することとし、もって今後における戦傷病者に対する援護施策の充実にも備えるべくこの法律案を提案することといたした次第であります。 次に、この法律案の概要について御説明いたします。 第一に対象でありますが、この法律の対象となる戦傷病者は、旧恩給法に規定する軍人、準軍人及び旧陸海軍部内の公務員等であった者のほか、戦傷病者戦没者遣族等援護法に規定する軍人軍属、準軍属であった者で、これらの法律または旧令共済組合等からの年金受給者のための特別措置法によって公務上の傷病とされる傷病によって恩給法に規定する款症程度以上の障害を有するものまたは療養を要するものといたしました。ただし、旧軍人または旧準軍人につきましては、これらの者に対してとられてきた処遇等の事情も勘案いたしまして、第一目症または第二目症程度の障害を有する者についても戦傷病者として扱うことにいたしました。 しかして、これらの戦傷病者に対しましては、戦傷病者手帳を交付することといたしました。 第二に、援護の内容について申し上げます。 この法律による援護は、現行の各法制中、いわゆる傷病恩給、障害年金等の所得保障に関する制度に除いて、これを統合したものでありますが、その第一は、未帰還者留守家族等援護法に規定されている療養の給付並びに療養手当及び葬祭費の支給に関する制度をこの法律に移しかえたことであります。 その第二は、戦傷病者戦没者遺族等援護法に規定されている更正医療、補装具の支給及び国立保養所への収容に関する制度をこの法律に移しかえることといたしました。 その第三は、戦傷病者等の日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律に規定されている国鉄無賃乗車船の取り扱いをこの法律に吸収することといたしました。 なお、本法に取り入れた援護の各条項の適用については、さしあたりは、すべてこれまでの制度のとおりといたしておりますため、残された問題も若干あるわけでありますが、これらの点については、将来善処いたすようにいたしたいと考えであります。 以上がこの法律案の大要であります。 追って、援護の種類の拡充、援護水準の向上等についても今後とも検討を加え、その改善をはかるようにいたしたいと存ずるものであります。 各位におかれましては、これら諸般の事情を了とせられ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第であります。
○委員長(鈴木強君) これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○阿具根登君 大体において私は賛成ですが、一点だけ提案者に質問いたします。 戦傷病者のこの種待遇につきましては、当然のことだと思うのですけれども、今の説明の最後のほうに援護の種類の拡張あるいは援護水準の向上等についても今後検討を加えるといっておられますが、この範囲についでどう考えておられるか。たとえば原爆で今日なお立つことのできない方々、あるいは国内におって被爆してこの種災害を受けておる方々が同じ病室で、同じ病気で苦しんでおられる方々、こういう方々は一体どのように今後処置するつもりか、その点だけ一点お尋ねしておきます。
○衆議院議員(小沢辰男君) お話の点につきましては、私どもも三党でこの試案を作ります際に議論も出たのでございますけれども、この戦傷病者特別援護法案といたしましては、先ほど御趣旨を申し上げましたように、戦争によって何らかの障害を受けた者、特に恩給法あるいはその他の所得保障によって保障をされておる方々についてのばらばらな立法を統一したいというところに一応今回の考え方をしぼりまして、お話のような原爆被爆者等の、あるいは、また、共済関係の問題で、同じような病床にあられる方々についての援護の問題は十分承知はいたしておりましたけれども、それらはいずれ別途の措置をもって解決するのが、この戦傷病者に対する援護を一本の体系にするという趣旨から見ましても適当ではないかというような考えで、今日これを一応将来の問題に残したわけでございます。いろいろこの対象につきましては、今おっしゃいますような議論も確かにあると思いますが、戦傷病者に対する援護の各項についての現行法にありますものを一応一本の法律にまとめて、まずその根拠を作る、こういう趣旨で、急いだ関係もございまして、この対象は内容を限定をしたというように御了解をいただきたいと思います。
○阿具根登君 厚生大臣に今の問題で質問いたしますが、今後どういうお考えを持っておられるか。さらに、三党が共同して提案しなければならないほど戦傷病の皆さんは困っておるこの種の問題が、なぜに政府提案で出されなかったか。政府はどういうお考えで今日までこの種の問題について手をつけられなかったか。それから、先ほどの質問——戦傷病とはいわれておられないけれども、同じ戦のために傷を負って今日苦しんでおる人に対して、どういう今後対策を立てていくつもりか、それをお尋ねしておきます。
○国務大臣(西村英一君) 今のこの法律の対象になることは、このただいま提案の理由を提案者から御説明申し上げましたように、原爆の被爆の方とか、あるいはその他にも内地でけがをされた方というようなのは入っておらないようでございます。したがいまして、そういう一般の戦災の方々につきましては、今後も原爆の方々につきましては援護の強化をはかっていきたい。また、一般の方々につきましては、これは政府もたびたび非常にお気の毒ではあるけれども、今はなかなかその財政上の理由で思うようにいかない。できておらない。しかし、そういうものにつきましてお困りの方は社会保障の制度でいきたいのだ、こういつておるわけでございます。 それから、この法律をなぜ政府が出さなかったかと申すわけでございますが、政府といたしましても、こういうことにあえて不賛成ではなかったのではございまするけれども、これは議員それぞれの有志の方々が前から練っておったのでございます。また、政府といたしましては、今回も十数本の法律を出しましたが、そういうような事務的な関係もありまして、まあ今回は議員立法で有志の方々がやると言うから、それのほうにおまかせをいたしたような次第でございます。
○阿具根登君 大臣が言われるのは、この種のいわゆる戦争の犠牲者——軍人、軍属、準軍属、そういう名称を持たない戦争の犠牲者が私は一番気の毒だと思う。その人たちは、完備されておらない社会保障ですか、それじゃちょっと話が違うじゃありませんか。社会保障でこの人たちをほんとうに救えるだけの今対策が立っておりますか。私は立っておらないと思う。この種のものができてくれば、当然これに類似した犠牲者の方々に対しては、やはり何らかの法律を作って援護をしてあげるのが私は正しいのだと思う。その点いかがですか。
○国務大臣(西村英一君) 一般の方々のこの何と申しますか、戦病者と申しません、傷ついた方々、そういう方々については、そのうちから特に明らかでありまする原爆の方々をとらえて援護をやっております。その他一般の方方については、これはとらえようがない、把握しにくいいろいろな事情がありまして、今日までそれらの方々に対して特段の法がないのであります。これはもう戦争になりましてから今日まで、相当に日が長いのでございまするが、いろいろ捕捉しがたい点がございまして、いまだにそれを非常にお気の毒とは思っておりますが、それを援護する特別の法が作られておらない。したがいまして、私は、そういうような方々については、社会保障で今はやっておるのだということを申し上げたのでございます。あくまでも一般的にはとらえにくいのと、内地で被害を受けました方で、原爆とはっきりわかっておる方々については、特別にこれをとらえて援護をしておる、こう申しておる次第でございます。
○藤原道子君 関連して提案者にお伺いしたい。提案者も御案内のとおり、被爆者の問題につきましては、軍人恩給の制定のときに委員会でずいぶん論議された。今日被爆者は非常にお気の毒なんです。しかも、遺伝等も論議されたのです。きょう健康でも、あすどうなるかわからないというようなお気の毒な人が約三十万人といわれておりますけれども、非常におびえた生活をしていらっしゃる。これは明らかに戦争によって犠牲をこうむった人で、しかも、世界中でただ一つわが国だけの犠牲者なんです。私は、遺家族等援護法のときにずいぶん委員会で論議されたこういうものが、これが立案されるときに、この被爆者に対しての検討がなされたかどうか、そうして、これに対しては、どういうお考えを持っていらっしゃいますか。私は、戦傷病者に対してお気の毒だという気持は十分ございます。と同時に、被爆者の今日の実情は、見るに忍びないものがある。だから、これが当然この中に私は入っているものと考えているわけで、これは私どもの不勉強な点もあったと思いますが、提案者が立案されますときには、どういう経過をおたどりになったのか。それから、ただいま大臣がほかには法的なあれがないようにおっしゃいましたが、被爆者援護法等もあるわけでありますね。ですから、これらにつきましても、やはり戦争犠牲者という意味において、ほんとうにお気の毒な戦争の犠牲だと思うのですけれども、これに対してのお考えを伺いたい。
○衆議院議員(小沢辰男君) 御承知のとおり、原爆被爆者の医療援護につきましては法律がございますし、相当予算的にも措置がされておるところでございますが、おっしゃいますように、これが所得保障につきましては、たしか現在は何ら措置がされていない。長い間要望はされておりますけれども、まだ措置がされていないのは私どもも十分承知をいたしております。しかしながら、今回のこの戦傷病者特別援護法案を立案をいたします際には、まずもって戦争障害によります軍人、準軍属その他の方々、直接戦闘に参加された方々についても、まだまだ末処遇の方がたくさんございますので、とりあえずこれらの方々を一つの体系にまとめまして将来改善をし、前進をする根拠を作りたい、こういう気持でございまして、したがいまして、当然この法案を作りますときには、所得保障の面までを実は考慮に入れて、一大法典を作りたいというような考えも議論の過程においてはあったのでございますけれども、何分恩給法等の体系は体系として、やはり一本の線が貫かれておるわけでございますので、とりあえず援護の措置、その問題に限定をいたしましてよりどころを作って改善の将来の足がかりにしたい、こういうふうに考えたわけでございます。したがいまして、現在、しかも、この提案をいたします際には、すでに御承知のとおり、予算も決定をしたあとでございましたので、所得保障の、現在恩給法その他によりまして、あるものの戦傷病者についての援護の面だけを特別立法で一つの体系にしよう、こういうことに結論としていたしたわけでございまして、決して問題を全然不用のものとか、あるいは等閑視をするという意味でこの中に入れなかったというわけでありませんので、将来の問題として、被爆者その他の戦争被害者についてどういうような援護をとるかという問題については、お互いに真剣にひとつ研究をいたしたい。当面この法律については、戦傷病者の援護法を各身体障害者その他にまたがっておりますものを一つの体系にいたしまして、将来発展の足がかりにしたい、こういう考え方でまとめたわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
○藤原道子君 大臣の答弁はあとで願います。 私は、「戦傷病者」とある以上は、やはり被爆者が戦傷病者に考えられないというところが片手落ちだと思う。明らかに戦争の被害者なんです。戦争によって生命を奪われ、さらに、一生不安な気持で生活をし、十分な働きができない。さらに、遺伝等の不安を持ちながら生きていられる人が戦争犠牲者から除外されているというところに私は納得がいかない。したがいまして、今後さらに検討願いたいということを申し上げて、大臣の御答弁を願います。
○国務大臣(西村英一君) 原爆の被爆者につきましては、ただいまは医療の問題につきまして援護をいたしておるのでございます。年金等の問題につきましては援護をいたしておりません。その他の戦争の犠牲者も非常に多いことでございまするが、そういうものにつきましては、特段な法律をもってのことはやっておらないのでございまするが、今後の問題として検討をしたい、かように考える次第でございます。
○藤原道子君 私は医療保障をしていることは知っているんです。だけれども、全くお気の毒な被爆者がこれら援護の対象にならないで今日まできたこと自身がおかしい、所得保障は。だから、戦争犠牲者だけは対象にするが、被爆者はこれを除外していいということのその考えがわからない。私は、さらに一そうの検討をして、一日も早くこれらの人たちにあたたかい援護の手が伸べられることを強く要望いたします。
○委員長(鈴木強君) 他に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 戦傷病者特別援護法案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木強君) 総員挙手でございます。よって、本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
○徳永正利君 私は、この際、戦傷病者特別援護法案に対する各会派共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 戦傷病者特別援護法案に対する 附帯決議案 戦傷病者の援護については、本法 案により、戦傷病者の地位及びこれ らの者に対して国家補償の精神に基 づいて援護を行なうものであること が明確にされたが、本法案による援 護の内容は、現行諸法律により行な われている援護を統合したに過ぎ ず、したがって今後なお援護の充実 を図るべき幾多の問題が残されてい る。 よって、政府は、これらの問題の 全体について十分検討を加えるとと もに、必要な措置をとり、援護の万 全を期すべきである。 右決議する。 以上でございます。内容の説明につきましては、補足いたすことはないと存じますから、省略いたします。
○委員長(鈴木強君) ただいま徳永委員から提出されました附帯決議案を議題といたします。本附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木強君) 総員挙手と認めます。よって、各会派共同提案にかかる徳永委員提出の附帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。
○国務大臣(西村英一君) ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましては、その趣旨を尊重いたしまして、善処するつもりでございます。
○委員長(鈴木強君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(鈴木強君) 次に、政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律を廃止する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、提案理由の説明を求めます。大橋労働大臣。
○国務大臣(大橋武夫君) ただいま議題となりました政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律を廃止する法律の一部改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。 この法律案は、一般職種別賃金の制度を廃止するため、この制度に現在なお効力を与えている根拠規定を削除しようとするものであります。 御承知のとおり、一般職種別賃金の制度は、政府関係等の一定の労務者の賃金額等を規制するため、同一地域の同一職種の労働者に支払われる一般的な賃金額を告示するもので、戦後物価統制の一環として制定された法律、すなわち、政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律によって定められたものであります。この法律は、国等が民間に発注する工事、物品等に対し、受注者がその代金を請求する場合、労務費の単価については一般職種別賃金額をこえてはならないことを規定するとともに、あわせて連合国軍関係労務者及び公共事業関係労務者の賃金も一般職種別賃金によるべきことを規定していたものであります。しかしながら、その後数次の改正により、この法律の基本的部分は廃止され、現在では、この制度は暫定的に直轄直営の公共事業の労務者の賃金についてのみ適用されているものであります。 ひるがえって、この制度の実際についてみますに、最近におきましては、告示金額の算定基礎となる民間建設業労働者の賃金が、労務需給関係等から大幅に変動する実勢にあるため、これに即応して本制度を運用することが困難になってきております。このような状況の下において本制度を存置することは、制度本来の趣旨に即しないばかりでなく、かえって公共事業の円滑な施行を妨げることとなるおそれがあります。 この法律案は、以上の理由により、一般職種別賃金の制度に現在なお効力を与えている根拠規定、すなわち、政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律を廃止する法律の本則ただし書の規定を削除することによって、この制度を廃止しようとするものであります。 以上が、この法律案を提案いたしました理由とその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(鈴木強君) これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○藤田藤太郎君 一般職種別賃金というものが、今まで発表の時期がおくれたりなんかして、われわれは非常に問題があった。まあこれを廃止しようということになったのだからけっこうでございますけれども、実態としては、毎勤の調査がありますね。それで、こういう一般賃金は、これが通りますと、地方の自治体——都道府県にそういう機構を持っていますから、そういう機構を持っているものを集約して参考に資する、こういうことになるわけですか。
○説明員(辻英雄君) ただいまお話がございましたように、このPWの制度は廃止いたしますが、PWを算定いたします基礎に使っております屋外労務者職種別賃金調査という調査がございまして、この調査は、この法律の廃止にかかわりませず、各方面で御利用をいただいておりますので、今後とも整備いたしまして御利用いただくようにいたしたい。ただいま藤田先生からお話のございました毎月勤労統計調査につきましても、建設業に関する部分がございますので、あわせて各方面に御利用いただけるようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 いや、だから、実態を調査するということそれ自体をわれわれは否定していたわけじゃないのです。しかし、それがやはり緊急失対法との関係で、八〇%、九〇%というようなところになっていく。それが賃金の調査の発表がおくれる、それが因果関係を持ってくる。そういうふうに、労働条件は、労使対等できめるという企業の大原則から離れているところに問題があったのです。まあこれが廃止されてけっこうだと思いますけれども、要は、賃金を引き上げて暮らしを高めるところにあるわけですから、あなたも賃金部長として、大いにひとつ働く者にはよりよい生活ができるようにがんばっていただきたいことを一言申し上げて質問を終わります。
○委員長(鈴木強君) 他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律を廃止する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木強君) 総員挙手でございます。よって、本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本院規則第七十二条によりまして、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 暫時休憩いたします。 午後零時五十四分休憩 ————・———— 午後四時四十一分開会
○委員長(鈴木強君) これより再開いたします。 失業保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑がある方は順次御発言を願います。
○柳岡秋夫君 失業保険法の改正につきまして、先般の本会議場で大綱的に御質問をしておりますが、その本会議における大臣あるいは総理大臣等の答弁で、若干納得のできない点がございますので、その点について、若干質問しておきたいと思います。 まず、この失業保険事業の事務執行費の一般会計からの負担の問題ですが、法律の中では、国庫は毎年度の予算の範囲内において失業保険事業の事務の執行に要する費用を負担する、こういうことになっております。この国庫の一般会計からの負担について、三十八年度の予算を見てみますと、わずかにこの一般会計からの繰り入れば四千百万円ですか、この予算しか組んでないわけですね。この四千百万円というのは、一体どういう基準と申しますか、どういう理由で、これだけの額しか計上しないのか、この点をまず、お伺いしたいと思います。
○政府委員(三治重信君) この失業保険の事務費につきましては、今お説のように法律上は国庫の負担する範囲で、こういうふうになっておりまして、この金額が非常に少なくなっておりますのは、失業保険財政がよくて、雑収入並びに積立金の運用収入が非常にたくさんございまして、それを事務費に充てる、しかし法律上事務費については国が負担するというようになっているから、まあその程度は負担しなくちゃならぬだろう、こういうふうなことになっておりまして、この事務費の負担の今の四千百万円が、どういう割合で、どういう程度でということにつきましては、別に何と申しますか、割合とか取りきめはございませんが、要するに雑収入的なもの、それから運用収入を、そういうふうに使って足らぬ分を一般会計で負担する、こういうふうな原則と申しますか、従来の慣行から、そういうふうになっているわけでございます。
○柳岡秋夫君 従来の慣行から、そういうふうになったと、こう言われますけれども、労働省が発行した失業保険法のコンメンタールによりますと、この事務執行費の一般会計からの繰り入れにあたって、どういう立場からこの繰り入れをするかということが書いてあるわけですが、それによりますと、現実には事務執行費の額から法三十四条の四項、あるいは三十八条の十三項の、この追徴金、あるいはまた三十六条の延滞金、こういう事業の経営に付随して生ずる雑収入、これらを差し引いた額を一般会計から負担をする、こういうふうになっているのですね。 ところで、三十八年度の事務執行費は約三十八億からあるわけです。そうすれば、当然労働省の解釈からいけば、この三十八億から、この三十四条の四項あるいは三十八条のこの十三項の追徴金、あるいは三十六条の延滞金、これらを差し引いた額ということになりますれば、私は四千百万円というような少額では筋が合わない。三十八年度のこの延滞金とか追徴金は、どれくらいかということを調べてみますと、追徴金が四億八千七百五十四万四千円、それから延滞金が一億八百七十二万二千円、合計いたしましても五億九千六百二十六万六千円、これだけしか見込んでいないわけです。したがって、三十八億円から五億九千六百二十六万六千円を引いたいわゆる約三十二億円というものを私は当然労働省の解釈からいけば、一般会計から繰り入れて負担をすべきである、こういうふうに思うのですが、この労働省の解釈は、その後変わってきたわけですか。
○政府委員(三治重信君) 今申されました追徴金、延滞金、そういうような事業の執行に付帯して入ってくるものは、会計上雑収入にしておりますが、これを事務費に使っているのは、各特別会計とも共通しているわけでございます。それ以外のものについては、したがって一般会計で負担するというふうになるわけでございますが、失業保険は、御承知のようにたまたま積立金がありまして、その積立金の運用収入については、特別の指定がございませんので、雑収入に準ずるものとして、その運用収入をあとのものに、さらにプラスして事務費に使う、こういうふうになっているわけであります。
○柳岡秋夫君 そうするとその労働省で出したコンメンタールですね。今度次官になるようですが、堀局長が、ちゃんと書いているわけですよ。その中では、先ほど申しましたように、その差額を一般会計から負担することになるのだ、こういうふうになっていることは、これは間違いですか。
○政府委員(三治重信君) そのコンメンタールの、そこの部分につきまして、私ちょっと記憶にないわけなのですが、そのコンメンタールに書かれている以前から、事実その事務費に、この雑収入以外に運用収入を使っていた慣例があるのは事実でございます。
○柳岡秋夫君 私はやはり法の中でも、そういうことが一般会計から事務執行費については負担をするというのが原則であれば、やはり予算上、できるだけこの一般会計からの負担をして、そしてこの給付の引き上げですね、これのほうに十分な配慮をしなければいけないんじゃないか、こういうふうに思っているわけなのです。 したがって、本来ならば約三十二億の国庫負担をすべきところ、わずかに四千百万円しかしていない。こういうやはりやり方について、もっと労働省としてはきびしく反省をして、そしてもしたくさんの、そういう運用資金があるならば、できるだけ給付額の引き上げのほうに使う、こういうことをぜひ今後考えていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。 それから次に、給付期間の延長の問題ですがね、私は最低三カ月というのは、現在の失業者の失業期間の現実からしますと、非常に短いのじゃないかというふうに思うのです。で、本来からいけば、当然この保険制度の趣旨からいけば、失業全期間にわたって保険給付をしていくということが建前ではないかと、こういうふうに思いますし、また、短期間しか保険金を給付されない、そういう人こそ、私は生活が非常に苦しいのじゃないか、こういうふうにも思うわけです。したがって、給付期間の最低三カ月というこの期間の延長を今後はかっていく必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点はいかがですか。
○政府委員(三治重信君) この失業保険の給付の三カ月の制度を作りましたのは、いわゆる季節労務の関係で、そういうふうになっておるわけでございまして、そういうふうになった具体的な背景は、北海道のいわゆる建設業務、それから漁業業務に従事される方が、毎年失業保険の六カ月の給付期間であると、一番季節の最後の労働をしてもらわなければならないにかかわらず、失業保険制度があるために、それが早く北海道から去られるというふうな、そういう産業上の問題が出て参りまして、北海道におけるいわゆるそれは、どういう問題かといいますと、ことに北海道開発法ができまして、北海道を重点的に非常に早く開発をしていこう、そういう場合に、労務が非常に不足になる、内地からいかれる、それが失業保険の六カ月の給付のために、いわゆる六カ月しか北海道で働けないということは、非常に北海道の産業開発に困るというようなことから、そこで季節労務に対しては、やはり北海道で働ける七、八カ月の期間を働いてもらうようにしてほしいということで、この改正にしたわけでございまして、したがって一般的にその保険期間が短いから三カ月にしろ、そういうふうに保険期間によって、制限したのは、一面的に見ますと、ちょっと問題があるわけでありますが、私は日本の現在の季節労務の制度、ことに北海道、また特殊な地域における、季節労務でないと、その産業が維持できないという人たちに対しては、この制度は決して悪くはない、むしろそういう人たちが非常に安心して、そういうふうな、だれもそう好まない土地にも喜んで労働に出かける態勢ができるのじゃないかと思っております。 しかしながら、一般的な失業保険の給付の期間につきまして再検討をするにつきましては、皆様方から、また、方々から批判もございますので、今後とも、その支給期間の延長については検討していきたいというふうに考えております。
○柳岡秋夫君 次に、今度傷病期間中に、傷病手当金が出るわけですが、ただ、療養費が見られていないわけですね。したがって、この点は、まあ病気になったら療養費のほうは国民健康保険か、あるいはそうでない人は、生活保護でやればいいのじゃないかということになるのじゃないかと思いますが、しかし、国民健康保険の場合は、当然これは所得がある者でなければならないし、また生活保護を適用するといっても、これは失業者ということになりますると、若干生活保護の対象としては問題があるのじゃないかと思うのです。こういう療養費も、やはり考えていかないといかぬと思うのですが、その点については、どういうふうに考えておりますか。
○政府委員(三治重信君) この社会保障制度の勧告の趣旨を、いろいろ御説明を聞いた場合に、失業者本人の医療を考えてほしいという話であって、われわれのほうは厚生省とも相談をしたわけなんですが、健康保険の国民皆保険の法制ができて、確かに国保については給付率が悪いわけなんですけれども、いわゆる国保でも、その本人だけでなくて、家族全員も被保険者としてやる体制ができている。それを失業期間中だけ本人についての医療給付という問題になると、やはり国民皆保険の体制と必ずしも合わぬのじゃないかということから、医療給付につきましては、いましばらく厚生省のほうの、そういう国民皆保険の前進に待つことといたしまして、失業保険の支給期間中に病気になられた方についての所得保障を、では失業保険並みに考えよう、こういうことで両省並びに社会保障制度の審議会の委員として、それの部面につきまして、サゼスチョンを受けました二、三の先生方にも御相談しまして、当面はやむを得ないじゃないかということでございます。 御指摘のように、そういう失業期間中の医療給付の問題につきましては種種問題があることは、われわれも重々承知いたしておりますが、これは失業保険に、その医療まで加えるよりか、やはり厚生省のほうの健康保険の関係の改善をやっていくほうがいいのじゃないか、政府としては、そういう方法でいこうというふうに考えて、こういうふうになったわけであります。
○柳岡秋夫君 先ほどの事務執行費との関連ですが、結局事務執行費を国庫負担によって一般会計から負担していくということになると、相当給付の改善がなされる可能性が出てくるわけでありますが、今度、引き上げが若干なされております。しかし最低額百八十円ということになりますと、たとえ扶養加算を含めましても、月額六千九百円というわけですね。ところが、労働省関係のいろいろの、たとえば就職促進手当、指導手当ですか、あるいはその他職業訓練手当とか、いろいろあるわけでございますが、これらの額と比較いたしますと非常に低い額になっているわけですね。少なくともそういう職業指導手当にしても、そのほかの手当を考える場合には、すべて法文の目的としては、失業中の生活の安定とか、そういうことがみな出ていると思います。生活の安定ということを申しますならば、私はやはりそれぞれの手当の最低額というのは同じでなければならない、しかもその額は、最低生活を保障するような額でなければならない、こういうふうに思うのですが、この保険給付の最低額六千九百円、就職指導手当の場合には九千百五十円あるいは問題の失対賃金の場合には一万七十六円、こういう額になっているのですが、なぜこの保険金のみ、こういう最低額になっているのか、ほかの労働行政の、そういう手当と比較して、なぜ低位になっているのかどうかということをお伺いしたい。
○政府委員(三治重信君) まあ百八十円が少ないという議論が出たわけですが、これは現行百二十円になっておりますのを百八十円に引き上げると四割上がるわけであります。われわれのほうも、やはり今後賃金の上昇、ことに低所得者の賃金の急激な上昇に見合って、失業保険金の最低額を引き上げていくことにはやぶさかでございませんが、この金額は、今回は四割から上げておりますので、この程度でひとつ御了承願いたいとともに、これに見合うのが、やはり失業保険法のほうで、前職賃金の六割になっているわけです。ところが、賃金の実態が、いわゆる年功序列型賃金になっておりまして、新規学卒の子供の賃金から、ずっと年功序列型になっております。そういうような若年層ということも考えてみますと、必ずしも全部が全部、それによって生活するというのでなくて、やはり何と申しますか、家族の一員として働いている方々が、子供の場合には非常に多いわけでございます。そういうことからいって、やはり必ずしも不当ではないんじゃないかと思います。 それから就職促進手当、こちらの方面の九千百五十円は、御承知のように、われわれが、こういうふうな手当をやる部面は、中高年齢者でございまして、むしろわれわれのほうは、こういう中高年齢者の家族持ちの人で中年で失業されて、あとの所得保障がないという方のほうを強くしていくほうがいいくらいに思っております。しかしその間に、絶対金額としては相当な開きがございますけれども、失業保険のほうは、新規学卒で各工場、事業場に入られた方も全部適用になっておりますので、そういう子供というか、若年者、初任給者も相当いるということから、ひとつ御了解願いたいと思います。 今後この金額を上げる部面につきましては、われわれのほうも、将来の最賃の関係、最低所得の保障という部面について、十分配慮していきたいというふうに考えております。
○柳岡秋夫君 若年労働者も含まれるから最低六千九百円でいいんだ、こう言われますけれども、これは若年労働者の場合、扶養加算もないと思うのです。したがって、扶養加算を取ればわずかに五千四百円ですよ。最低生存費というのは、これはいろいろ意見もありますけれども、少なくとも労働科学研究所で出したそれによりますと、生存するだけでも東京で七千円は必要だ。しかも、最低生活をするには一万二千円は必要なんだ。これは十八才なり二十才くらいの独身青年です。したがって、そういう科学的な根拠がはっきりしているわけですけれども、それにかかわらず五千四百円に最低額をしておるということは、私は少なくとも、保険者たる国の責任として、国が一方的にきめるわけですから、したがって、もっと憲法の精神に忠実に、しかも、最低の生活が保障されるような、そういう金額を、国が一方的にきめる額としては出てこなくちゃいけない、こういうふうに思うのです。 したがって、就職指導手当にしても、職業訓練手当にしても、同じような性格を持つものと思いますから、この点については保険経済の赤字というような観点からのみとらえるのでなくて、もっと先ほどの事務執行費なども考えていけば、十分財源はあろうと思いますので、これは早急に、やはり最低保障額というものを設定して今後、この失業者の生活の安定ということに十分留意をしていただきたい、こういうふうに思います。この点については、ひとつ労働大臣にお伺いします。
○国務大臣(大橋武夫君) まことに傾聴すべき御意見だと存じます。今後十分に検討さしていただきます。
○柳岡秋夫君 それから、次の問題ですが、五人未満の事業所に対する適用の問題ですが、今までの労働省、あるいは失業保険のみならず、健康保険についても同じですが、政府の説明によりますと、非常に把握しにくいと申しますが、零細企業の場合は、その企業の実態から見て、なかなかむずかしい、こういう答弁が何回かなされております。しかし、そういう零細企業に働いている労働者こそ、私はやはり国としてめんどうを見ていかなければならない立場にある労働者じゃないかと思います。国の政策による企業の倒産になり、あるいは失業というものが出てくるのが非常に多いと思うのです。したがって、何回かの国会における附帯決議も出されているわけですから、政府としては、当然この国会で五人未満の零細企業に対する強制適用の拡大措置を提案すべきではなかったか、こういうふうに思うのです。 こういう点について、もう一度大臣のほうから、その方針といいますか、考えを明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(大橋武夫君) 五人未満の事業場に使用される労働者に対しまして、失業保険の強制適用を行ないます必要は、もとより申すまでもございません。これが今日までおくれておりますのは、全く事務的な因難をいかに克服するかという、ただそれだけの理由なのでございます。今日まで、この問題が未解決になっておりますことは、まことに申しわけない次第と存ずるのでございます。この点も今後すみやかに措置を進めるようにいたしたいと存じます。
○柳岡秋夫君 次の問題として、職業訓練期間中の給付につきましては、公共職業安定所の指示によって訓練を受ける者に限る、限定をされる、こういうふうになっているのですが、今後、財政的に非常に余裕がないというような場合に、引き締めが行なわれる必要がないかという点は不安があるわけです。特にそういう財政的な立場から、職業安定所が積極的に指示をしない、こういう事態が起こらないか、こういう確信といいますか、不安を解消させるひとつの明確なお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(三治重信君) 今度の失業保険法の改正につきましても、われわれのほうは、給付の改喜と同時に、やはりそういう離職された方が早く確実なところに再就職される、就職促進の手段を相当考えたつもりでございます。その一つの柱として考えましたのが、職業訓練でございます。やはり手に職を持つということが失業をなくする一つの重大な要素であるわけでございますので、こういうふうな制度を設けたからには、今後予算上の不足によって、そういう訓練所に入所する指示を控えるというようなことは、労働省として絶対にしないことを確約申し上げます。
○柳岡秋夫君 次に、通算措置の問題でございますが、被保険者期間の通算措置については、失業保険制度内の通算のみに限らず、他の制度間との通算も考慮すべきではないか、こういうふうになるわけですが、特に船員保険との通算がないわけですね。この点も、やはり今後考えていくべきだと思うのですが、この点はいかがですか。
○国務大臣(大橋武夫君) この問題につきましては、衆議院の社会労働委員会におきましてもお答えを申し上げた次第でございまするが、船員保険法が厚生省の所管でございまして、両省の間に事務的な連絡が多少欠くるところがありまして、ごらんのような法案になりました点は、まことに申しわけなく存じております。急速に、この点は調整するように、機会をお与えいただくつもりでおります。
○柳岡秋夫君 厚生大臣がお見えになりましたから、先ほどの失業期間中の療養費の問題で、労働省の見解をお聞きしたんですが、厚生省として、失業者の医療費ですね、こういう点について、どういうお考えをお持ちですか。
○政府委員(小山進次郎君) 先ほど労働省の政府委員から経過を申し上げたとおりでございますが、過般当院でも御審議をいただきまして、現在実施されておりまする国民健康保険法等の改正の一部といたしまして、今度、健康保険その他におきまして、従来半年間でありましたところの任意継続の期間を一年に延ばす措置を講じたのであります。この措置を講じましたのは、期するところは、一年ぐらいの間に、おそらく次の職場につけることになるであろう、したがって、その間、その人を健康保険から国民健康保険に送ることなくして、被用者保険の中で問題を解決いたしたい、こういう考え方で行なったわけであります。ただし、この措置には、当然指摘される問題として、その間の保険料の負担について、できないような事例があり得るんじゃないかという問題があるわけであります。この問題は、社会保険審議会あるいは社会保障制度審議会においても、いろいろと論議をされまして、その結論としては、当局の申し上げたことに皆さん御賛成になったわけでありますが、結局、従来のように、失業というものを非常に例外的な悲惨な事例と見るというような考え方を、この際卒業いたしまして、およそ雇用者の生涯のうちには、短期の失業というものは幾らでもあり得るんだ、それがむしろあたりまえなんで、その間を被用者保険の中で解決するような仕組みを考える必要がある、したがって、それにはこの問題を単に一つの制度の問題として考えないで、被用者保険全体で、その間の問題を解決すると、そういうことで考えようじゃないか、そうすることによって、その人の保険料負担が、実際に妥当な程度でとどめられ、他の大部分の負担は、いわば現役の労働者並びに事業主の拠出するもの、これでもってまかなって、次の職場へ続ける、こういうふうな仕組みが一番よかろう、それじゃひとつ、それは一年間ぐらいの目途で研究しようじゃないか、こういうことで、現在この研究を進めている、こういう事情でございます。
○柳岡秋夫君 次に、失業保険の国庫負担率の問題ですが、三十五年度以降四分の一ですか、こういうふうになりますですね。これはやはり、最近における失業者の発生というのは、どちらかというと政府の経済政策に基づくものが多いですし、それから、保険者としての国の責任という立場から言っても、やはりこの四分の一から三分の一、こう負担率をふやしていくということが、私は必要ではないか、当然ではないか、こういうふうに思うのですが、この点はいかがですか。
○政府委員(三治重信君) 今回の改正の一つの目的も、その負担率の、この前三十五年で下げたのを再検討するという附則の命令もあって検討したわけでございますが、そのときに、三十五年に下げたときに、結局失業保険の黒字の問題で引き下げたのが、単純な理由なわけなんでございますが、その後も、その負担率を下げても、なお相当な余裕ができましたので、いましばらくこの状態を続けてもいいのではないか。しかも、この中には、弾力的規定がございまして、今後、年度間で赤字が出た場合には、その赤字については三分の一まで国庫で負担していくという前の規定も残っておりますので、その点は、負担につきましては、黒字の場合には四分の一、赤字になれば三分の一までは政府が負担するというふうになっておりますので、この制度をいましばらく維持していって、失業保険の経済を見ていきたいというふうに考えております。 ただし、日雇保険につきましては、その実績上、やはり四分の一に下げるのは間違いであって、三分の一に元に戻すべきだということで、今度三分の一原則に戻したわけでございます。
○柳岡秋夫君 最後に、政府のこの失業保険に対する考え方と申しますか、方針を通観しますると、どうも先ほど申し上げた事務執行費に対する政府の熱意あるいは保険給付額の面あるいは給付期間の面、すべてを見ましても、何か民間の保険経済と申しますか、そういう傾向が非常に強くなってきているように思うのです。私はやはりそういう赤字とか何とかというのをあまり気にすることなく——気にするというのはちょっと語弊がありますけれども、そういうことは、当然これは保険者としての国の責任の立場からいけば、そういうのは当然国庫から十分、赤字になったら、どんどん一般会計なり、その他の金で見て、あまり民間の保険会社と同じような傾向を出さない、もっとあたたかみのある失業者に対する対策というものの立場から、この失業保険の制度というものを運営していくべきじゃないか、こういうふうに思うのです。 したがって、今後この失業保険制度に対する政府の基本的な考え方というものを、ひとつ十分正していただきまして、そして失業者に対する唯一の制度でございますから、十分考慮を払っていただきたいということを私は強く要望して、質問を終わりたいと思います。
○小平芳平君 先ほどの質問の中に出てきた問題なんですが、この失業保険の給付の改善にあたって百二十円が百八十円に四割上昇したのだ、この辺で相当なものだ、あるいは扶養家族を持っている者もあるけれども、単身者もあるのだというような御答弁でありましたが、この失業保険の給付内容を改善しようという場合に、最低生活を保障していこうというような考えを持っていて改善しようとなさっていらっしゃるのか。それとも、最低生活保障ということを考慮には入れているけれども、なかなかそれには到達できないというのか、その辺についてお尋ねしたいと言いますのは、扶養加算というものが出てきているわけですが、扶養加算を含めた、つまり扶養家族を含めた家族の生活というものを保障していこうという考えなのか、それとも単身者の生活というものを基準にして考えていく行き方なのか、もし扶養家族を含めた家族の生活保障という考えでいるとすれば、一人について二十円、その次は十円というような、あまりにも微々たるものではないかというふうに感ずるのですが、この辺についてどうでしょう。
○政府委員(三治重信君) 今度の百八十円に引き上げましたのは、現行の生活保護法によるまあ保護基準の引き上げの程度というものも、十分私のほうは参考にいたしまして、そういうふうな生活保護の基準よりか以下に——前職賃金の六割といえども、生活保護の基準よりか下がるということのないようには配慮したつもりでございます。 それから扶養加算につきましては、これはわれわれのほうとして一律前職賃金の六割という基準から、いかにしてその給付の内容の改善を掴むかということから考えまして、扶養家族も含めて最低生活と申しますか、保障する、いわゆる生活費を絶対的に最低基準は保障するという考えにまでまだ至っておりません。一律六割前職賃金に対する失業保険金が、前職の一律六割ということから、給付改善が叫ばれて、今度の勧告の中におきましても、その措置が勧告されたわけでございますが、そういう意味において六割の一律給付の中から、どういう部面をさらに給付を改善するかということから、扶養加算制度を考えたわけでございます。したがって最低生活保障の面から考えたのではございません。
○小平芳平君 ですから、最低生活保障の面を参考にしただけ……。ですから、先ほど柳岡委員も指摘して言われたように、この給付額というものが、実際の生活保護に比べても、あるいは失対労働者の賃金に比べても非常に低い、これは早急に引き上げていかなければならぬ。特に扶養加算については、一人十円とか二十円というようなことでは、全然問題にならないというようなお考えなんですか。
○政府委員(三治重信君) 先生のその最低生活費を保障していかなければならないという考え方からいくと、そういうふうなことになるかと思いますが、先ほども申し上げましたように、われわれが扶養加算制度を考えて提案いたしましたのは、一律六割の給付をどういう人たちに、どういう部面で給付率を改善したらいいかということから、やはり一律六割の線より改善する人たちは、やはり扶養家族をたくさん持つ人を少しでも改善する、六割以上にするということが、より正しいのではないか、今の年功序列型賃金からいきまして、低賃金者の給付率を七割なり七割五分に上げるという部面を考えてみますというと、そういう先ほど申し上げましたような低賃金階層の中には、いわゆる新規卒のほんとうに社会的に需要がたくさんある労働力で、しかも失業の機会の少ない人なちが大分をなすわけでございます。そういう人たちの失業の危険の少ない人たちの給付率をさらに上げるというよりも、実際の生活費の若干でもカバーしてあげるという意味で、扶養加算制度がいいんじゃないかということで、これを二者択一的に考えたわけでございます。
○委員長(鈴木強君) 他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないもの認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし「と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 失業保険法の一部改正する法律案を問題に供します。 本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔「賛成者挙手〕
○委員長(鈴木強君) 賛成挙手、多数でございます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
○柳岡秋夫君 私は、この際、失業保険法の一部を改正する法律案に対しまして、各会派共同提案にかかる附帯決議案を提出いたしたいと思います。 案文を朗読いたします。 失業保険法の一部を改正する法律に対する附帯決議(案) わが国失業保険制度の現状にかんがみ、その改善充実を図ることは、刻下の急務であるから、政府は、速かに、次の措置を講ずべきである。 一、失業保険制度の確立のため、失業手当制度を含むその体系的整備及び給付内容の改善について検討に着手すること。 一、五人未満事業所に対し、早急に失業保険の適用を図ること。 一、失業保険金の給付制限は、職業選択の自由を犯す恐れがないよう慎重に運用すること。 一、扶養加算については、その金額を一律にするとともに、その増額に努力すること。 一、保険料率の弾力的変更についてはその運営に特に慎重を期すること。 右決議する。 以上でございます。 補足説明につきましては省略したいと思います。
○委員長(鈴木強君) ただいま柳岡委員から提出されました附帯決議案を議題といたします。 本附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木強君) 総員挙手と認めます。 よって各会派共同提案にかかる柳岡委員提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
○国務大臣(大橋武夫君) ただいま御決議になりました諸点につきましては、政府といたしましても、その趣旨に従いまして善処いたしたいと存じます。
○委員長(鈴木強君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。 よって、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(鈴木強君) 次に、船員保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、提案理由の説明を求めます。西村厚生大臣。
○国務大臣(西村英一君) ただいま議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案についてその提案の理由を御説明申し上げます。 今回の主要な改正事項は二つありまして、一つは船員保険における失業保険金の内容を改正すること、一つは行方不明手当金を新設することであります。 第一に、失業保険金関係については、最近の社会経済情勢の推移にかんがみ、陸上の失業保険法の改正と軌を一にしてこれを改正しようとするものであります。まず、船員保険の失業保険金の日額は、現在、最高七百二十円、最低百三十八円となっておりますが、これをそれぞれ八百九十円、百八十円に引き上げるとともに、扶養加算金の制度を設け、配偶者及び第一子につきまして日額二十円、第二子以下につきまして日額十円を失業保険金に加給することといたすものであります。 次に、失業保険金の支給日数は現在百八十日が限度となっておりますが、所定の職業補導を受ける者につきましては、これをさらに一年間延長するとともに、職業補導を受ける失業船員の技能習得に要する費用並びに家族と別居して寄宿するために要する費用を新たに支給することといたすものでございます。 また、現在は、失業中に病気や負傷のため職業につくことができない期間が十五日以上に及びますと、失業保険金は支給されないことになっておりますが、今回は、その期間が十五日以上に及ぶ場合においても、失業保険金に相当する金額の給付を行なうことといたすものであります。 第二に、行方不明手当金の新設について申し上げます。 海上労働に従事している船員には、乗り組んでいた船舶の沈没により、あるいは海中に転落して、行方不明になるという事故が時として発生いたしますので、その行方不明期間中家族の生活を保障するため、昨年船員法におきましては船舶所有者の災害補償責任として行方不明手当を支給することとなりましたが、今回、これを船員保険にとり入れ、保険給付の一つとして行方不明手当金を設けるものであります。 行方不明手当金は、船員が一カ月以上職務上の事由で行方不明となりましたときに、三カ月の範囲内におきまして、行方不明期間中その家族に、標準報酬の全額に相当する金額を支給しようとするものでございます。 以上が、この法律案を提案する理由であります。 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(鈴木強君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(鈴木強君) 速記を始めて。 これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○杉山善太郎君 私は、もともと船員出身でありますので、この際、この法律の改正にあたって基本的な問題を一括、三点についてお伺いするわけでありますが、まず第一点はですね、政府、いうならば、煮つめて、これは労働省が行政を担当しておられますので、あるいは政府の内容は、労働省というものについて、具体的に通念化されておりますけれども、この船員労働の特殊性というものを一体実感として、どのようにして把握しておられるか、そういった点です。現在船員労働の特殊性ということは、きわめて、言葉のあやで言いふるされておりますけれども、私どもが船員労働の立場から、その特殊性というものを、まあ行政を担当されるなら、また、こういう立案、法律を手直しされるについても、その実感として、いかに船員労働の特殊性を受けとめておられるか、そういう点について、第一点としてお伺いいたします。 第二点は、今回の改正の立案過程の中で、前段申し上げましたところの船員労働の特殊性というものを、おそらく特殊性というものについて、なまの声で、たとえば船員の利益代表であるところの全日本海運組合であるとか、あるいは社会保障制度の審議会であるとか、あるいはこの社会保険の審議会、あるいは職業安定所の審議会に、それぞれ大臣が諮問されて、しかるべく答申があったのでありますが、含めて、船員労働の特殊性ということを、今期国会で、改正の手直しについて、どのように配慮されたか、そういう点をひとつ、第二点としてお伺いしたいと思います。 第三点はですね、これはひとり海運産業の不振というわけではありませんが、これは貿易為替の自由化にも関連すると思いますけれども、ともあれ当面、また、今後の展望の中にも、かなり海運の企業の集中、合併、合理化というものによって、かなり技術たくましい、生きのいい船員が、失業という形になってくると思う。したがって、やはり既成——在来の、また前段の失業保険法などで考えられておるところの、通り一ぺんの職安、職業指導ということでなくて、相当有能な技術を持つ者が、もともと、なかなか、好むと好まざるとにかかわらず、船に帰られない、前段の理由から言って。そうすれば当然、やはり生存権なり労働権がありながら、行政面で労働省、それから厚生省で分割されておる。したがって、一面に失業保険制度があり、一面に船員保険制度がある。この制度調整について、どのように配慮せられ、どのように比較検討を今後やられようとしておられるか。 以上、三点について大方の、ひとつ、前段の、一番ネックは、船員労働の特殊性というものが、実感としてやはり受けとめられないと、なかなか手直しされた改正法案であっても、それが、よしんば言うところの改善という名に便乗した改悪でないにしても、一応船員労働の特殊性というものが、この改正法案の中に生きてこないのではないか、こういうふうに考えますので、以上、三点にわたって一括した質問というよりも、かなり基本的な問題でありますが、お伺い申し上げておきます。
○政府委員(小山進次郎君) たいへんむずかしいお尋ねで、率直に申し上げまして、私ども、先生のような深い体験に基づいての経験、知識を持っておるものでございませんで、あれこれあげつらって申し上げることもないのでありますが、まず、お答えを申し上げます前に、前提として御了承いただきたいと思いますことは、船員保険は総合保険でありますが、何といっても基本になりますのは、それぞれの保険の制度がどう変わるかということの関連を考慮して考えなくちゃならぬわけでございます。それで、船員保険のいわば年金保険部門と、それから医療保険部門につきましては、先生も御承知のとおり、年金保険部門の大きい改正は明年度実施という予定で、いろいろ作業が進められているものでございます。労働者の厚生年金保険について、規模の大きい改正が予定されておりますが、それとともに、船員保険の年金部門について、大きな改正をする。それから、医療保険部門につきましては、昨年社会保障制度審議会の答申を受けましたのをもとにして、これから全般的に検討準備を進めるという段階でございますので、それとの関係において考える。ちょうどそういう際に、失業部門につきまして、二、三年前から、いろいろ検討されております事項の一部は実施に移されるという運びになりましたが、今回は、それにあわせた改正ということで、中身につきましては、先ほどもお話がありましたとおり、ほとんど同じ改正でございます。ただ、今回の改正案の中に、船員保険の特殊性として入って参りましたのは、行方不明手当として先ほど御説明を申し上げた部分でございます。これも御承知のとおり、すでに昨年から船員法に基づきまして、船主の災害補償責任として実施はされておりますけれども、何分、船主の個別的な責任としておきますというと、最後に船主がそれを補償するだけの力がなくなりました場合に困った問題が出てくるという事情がありますので、これは見方によっては同じようなことになるかもしれませんが、この際、船員保険という全体の中に抱き込むことによって、この責任が確実に保障される、こういうような工合にしたわけでございます。 なお、先生が一番重点とおかれました船員労働の特殊性をどうつかんでいるかという問題につきましては、むしろ私どもは、あまりそれほど経験もなく知識もないわれわれが、あれこれとあげつらうよりも、常に、そういうことに密着をした体験と知識を持っておりまする海員組合の諸君と、常時接触するだけではなく、むしろ一体となって、船員保険をどういうふうにするかということを研究しておりますが、そういう過程を通じまして、いろいろ教えを受けつつ、仕事を進めていく、こういうことでございます。
○杉山善太郎君 もう一点ありましたね、私、要約して三点、一括質問した……。
○政府委員(小山進次郎君) 第三にお話になりましたのが、同じ失業の様相であっても、船員保険部門における、船員における失業は、陸上の失業と違って若くて、しかも有能な技術者が短期間の間に職場から離れなくちゃならんという事態が出て来る。しかも船についての再建整備が進んでいけば、こういう人が、再びそれに吸収される、そういうような実態があるので、その間何年になるかわかりませが、こういう優秀な能力があり、しかも技術のすぐれた人々を再び吸収できるような体制を、船員保険部門において考慮していくということが、船員保険の特殊性として考慮すべきじゃないか、こういうようなお気持からの御指摘であったと思いますが、この点は、私どもも海員組合の諸君からしょっちゅう教えられている点でございまして、これをどういうふうに、船員保険の中に盛り込んでいくかということを、これ、先ほど申し上げましたように、四月から始めておりますが、海員組合の諸君、あるいは船主協会の人々、そういう人を交えまして、いろいろと研究をしているわけでございます。結論が出ましたならば、これも来年度において、年金部門については当然大改正を行なうわけでございまするから、それと関連をして組み上げていくということにいたしたいという考えでおります。
○杉山善太郎君 もう一点だけ。今、三点にわたって質問した最後の点ですがね、いわゆる制度調整ですね、船員保険と失業保険とを通算して制度調整をするという、そういう点については、これはまあ私どもの見通し、展望からいきますというと、今お話のあった中で、なるほど船員は生きがいいし、相当な技術者が、好むと好まざるとによらず失業するという場合について、実は海上へ復帰させるような配慮と道を講ずることが最も親切なやり方であろうと思うのです。御承知のように現象面では相当な船員養成の大学まであるわけですけれども、その新しい卒業生をみずから、海上の労使関係というものは、ある一定の期間採用しないと、こういうほどに深刻な点がありますので、意図は、やはり、船員は技術もあるし、体力もあるし、まだ若いから、もとのさやへ戻そう、もとの状態に戻そうとしても、基本的な制度転換をしない限りは、簡単にそうはいかない、そういうふうに判断をしますので、したがって、当面の問題としては非常に急速にこの二つの制度、失業保険と、そしてこの船員保険の制度調整をやる必要があるのだ。ここの点は、やはり労働省、厚生省に相関関係を持って来る問題だと思いますけれども、当面は、船員保険は厚生省でやはり所管をしておられるので、そういうその辺についてやはり、これをひとつ通算をするようなことを検討し、すみやかに実現するんだと、まず検討の過程にあるかどうか、そういった点について、ひとつお答えを願いたいと思います。
○政府委員(小山進次郎君) 先ほど労働大臣から、きわめて明快にお答えがありましたように、これは労働省、厚生省ともに実施するという前堤で研究に着手いたしております。
○杉山善太郎君 ひとつ厚生大臣からも、その点についてお聞きをしておきたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) 労働大臣からも、その点についてお話がありました。これは十分、実現をしたい、かように考えております。
○委員長(鈴木強君) ほかにありませんか。——他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論にはいります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めて、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決にはいります。船員保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木強君) 総員挙手でございます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
○杉山善太郎君 私はこの際、船員保険法の一部を改正する法律案に対する各派共同の提案にかかる附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。 船員保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案政府は、速かに、船員保険について左の事項の実現に努力すべきである。 1 療養給付における、一部負担制度は、船員法との関係、船員労働の特殊性にかんがみ、早急に、その改善を計ること。 2 現行の標準報酬月額五万二千円は、社会保険審議会の附帯決議会の附帯決議に照らしても、明らかなるがごとく、未だ不十分と認められるので可及的、速に大巾引上げを計ること。 3 年金部門の改善については、厚生年金制度の改善と併せ、早急に検討すること。 4 扶養加算の単価を一律二十円とし、なお支給の範囲を扶養する両親にまで及ぼすよう、速に改善をはかること。 5 船員保険法と失業保険法との通算を計るよう、速に検討すること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(鈴木強君) ただいま杉山委員から推出されました附帯決議案を議題といたします。 本附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木強君) 総員挙手と認めます。よって各会派共同提案にかかる杉山委員提出の附帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
○国務大臣(西村英一君) ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現につきまして努力をいたす所存であります。
○委員長(鈴木強君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(鈴木強君) 次に、請願を議題といたします。本日まで当委員会に付託になっております請願は七百七十七件でございますが、これらの請願は、一応専門員のもとで整理いたさせ、委員長及び理事打合会において審査いたしました。その結果について、専門員に報告いたさせます。
○専門員(増本甲吉君) 先刻の理事会で御審査の結果、採択を適当とするものは、お手元に配付いたしました表に記載の二百二十五件でございます。
○委員長(鈴木強君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(鈴木強君) それでは速記を起こして下さい。 ただいま専門員から報告いたしましたとおり決定いたしまして、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、報告書につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(鈴木強君) 次に、この際お諮りいたします。清掃法の一部を改正する法律案、労働基準法の一部を改正する法律案、じん肺法の一部を改正する法律案、炭鉱労働者遺族補償特例法案、最低賃金法の一部を改正する法律案、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律を廃止する法律案、中高年齢者雇用促進法案、労働災害の防止に関する法律案、以上八件につきましては、会期も初迫し、会期中に審査を終了することが困難でありますので、本院規則第五十三条により継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(鈴木強君) お諮りいたします。 社会保障制度に関する調査並びに労働情勢に関する調査につきましては、閉会中も、なお継続して調査を行なったため、本院規則第五十三条により、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(鈴木強君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。 社会保障制度に関する調査並びに労働情勢に関する調査のため、閉会中委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。 つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 なお、本院規則第百八十条の二により、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 本日は、これにて散会いたします。午後五時五十二分散会 —————————————