社会労働委員会 第9号
- 発言数
- 92 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/03/12
会議録
○委員長(加瀬完君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動についてお知らせいたします。三月七日、柳岡秋夫君が委員を辞任せられ、その補欠として野上元君が選任せられました。 —————————————
○委員長(加瀬完君) 次に、参考人の出席要求に関する件を議題といたします。 日本赤十字社の運営に関する件調査のため、日本赤十字社衛生部長大島宗二君、同じく外事部長井上益太郎君、及び同じく報道室長佐藤信一君を参考人として決定し、その御出席を要求いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加瀬完君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(加瀬完君) 次に、老人福祉法案及び麻薬取締法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。 まず、提案理由の説明を求めます。西村厚生大臣。
○国務大臣(西村英一君) ただいま議題となりました老人福祉法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 最近におけるわが国の老人の生活の実態を考察いたしますと、老齢人口の著しい増加の傾向、私的扶養の減退、老人を取り巻く環境の急激な変動等によりまして、その生活はきわめて不安定なものとなっており、一般国民の老後の生活に対する関心もまた著しく高まっている現状であります。政府といたしましては、このような現下の老人問題の重要性にかんがみまして、この際、老人福祉に関する諸施策を体系的に整備拡充し、他の関係諸施策と相待って、老人福祉施策を幅広く、しかも強力に推進して参りたいと考え、この法律案を提案した次第であります。 次に、本法案の内容について、その概略を御説明申し上げます。 最初に、この法律案では、老人福祉に関する原理、すなわち基本的な考え方を国民の前に明らかにすることによって、老人福祉に関する国、地方公共団体の施策、あるいは老人及び国民の心がまえについて、いわば指標を与えることといたしております。このため、先ず、老人福祉の基本的理念としまして、老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきたものとして敬愛され、かつ、健全で安らかな生活が保障されるべきことを明らかにいたしました。また、老人自身に対しましても、単に閑居しているのみの生活が心身の健康の保持を阻害する原因となることにもかんがみ、老人は、その知識と経験を社会に役立たせる等、社会的活動に参与するよう努めるものとし、その希望及び能力に応じた活動に対しましては、社会としてもできるだけその機会を与えるべきものと規定いたしております。さらに、このほか、老人福祉に関する原理といたしましては、国及び地方公共団体等が老人福祉増進の責務を有することも定めております。 次に、この法律案において定める具体的な事項について申し上げます。 第一は、健康診査の実施でありますが、老人には一般に健康をそこなっているものが少なくないので、六十五才以上の老人に対しまして健康診査を実施することといたしました。 第二は、老人ホームヘの収容等の措置であります。現在生活保護の対象となる老人のうち、居宅において生活することの困難なものにつきましては、主としてその最低生活を保障するという観点から、養老施設への収容が行なわれるのでありますが、この法律案におきましては、老人福祉の観点から、身体上、精神上の障害、あるいは家庭内の事情等により、自宅で生活することが困難な状態にある老人につきまして、その状態に応じ、養護老人ホームまたは特別養護老人ホームに収容いたすこととしました。また、老人ホームヘの収容の措置と並んで、老人を適当な家庭に預けて養護する制度も設けることといたしました。 第三は、老人福祉のための各種の施設に関する規定であります。この法律案では、老人福祉施設として、措置を受けた老人を収容するための養護老人ホーム及び特別養護老人ホームのほか、無料または低額な料金で一般老人の利用に供するための軽費老人ホーム及び地域老人を対象とする総合施設としての老人福祉センターを設けることといたしております。なお、現在あります生活保護法による養老施設は、この法律の施行に伴いまして、養護老人ホームに切りかえることといたしております。 第四に、以上申し上げましたもの以外のおもな施策について申し上げますと、国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深めるとともに、老人に対し、みずからの生活の向上に努める意欲を促すため「老人の日」を設けること、日常生活を営むのに支障がある老人の世話を老人家庭奉仕員に行なわせること、老人クラブその他老人福祉増進のための事業を行なう者に対し援助を行なうこと等の規定を置くこととしております。 最後に、以上あげました施策に要する費用につきましては、都道府県または市町村が支弁することとし、これに対して、国は費用の性質に応じ、その十分の八ないし三分の一を負担し、またはその一部を補助することができることといたしております。 以上、この法律案の提案理由を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。 ————————————— 次に、ただいま議題となりまし麻薬取締法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 この法律案は、最近における麻薬犯罪の悪質化及び麻薬中毒者の増加が保健衛生上及び治安上重大な問題を提起している現状にかんがみ、麻薬の取り締まり及び罰則を強化するとともに、麻薬中毒者に対する入院措置を講ずる等、麻薬対策を強力に推進するため、麻薬取締法の一部を改正し、あわせて、大麻取締法及びあへん法の一部を改正するものであります。 まず第一に、麻薬取締法の一部改正について御説明申し上げます。 改正の第一点は、麻薬の取り扱い及び監督の強化に関することであります。すなわち、麻薬取扱者の免許の相対的欠格事由を拡大して、覚せい剤中毒者等には免許を与えないことができることとすること、麻薬取締員の定数について、現在の百名以内を百二十名以内に増員すること、及び国または都道府県の機関は、厚生大臣の交付する犯罪鑑識用標準麻薬を所持し、使用することができることとすること等であります。 改正の第二点は、麻薬、大麻またはあへんの慢性中毒者の入院措置に関する規定を設けることであります。麻薬中毒者等の入院措置といたしまして、現在、自傷他害のおそれのある者については、精神衛生法によって精神障害者に準ずる措置がとれることになっておりますが、麻薬中毒者対策としましては、この措置のみによることは必ずしも十分と申せない実情にありますので、新たに麻薬取締法自体において、麻薬中毒者等の通報、診察、入院、入院中の措置、退院等について、実態に即した規定を設けようとするものであります。なお、麻薬中毒者等の入院措置は、麻薬中毒者等の身体の拘束を伴うものでありますので、人権保護の見地から、入院期間が三十日をこえる措置をとる場合には、麻薬中毒審査会の審査に基づいてこれを行なうこととし、また、入院期間は六月をこえることができないこととする等の規定を設けております。 改正の第三点は、麻薬犯罪に対する罰則を強化することであります。すなわち、現行麻薬取締法違反の罪に対する最高刑である「一年以上十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金」を、「無期又は三年以上の懲役及び五百万円以下の罰金」に改めるほか、以下それぞれの違反行為の段階に応じ、罰則を強化するとともに「「麻薬の密輸出入及び密造」については、その予備を罰し、また、「麻薬の密輸出入及び密造に要する資金、建物等の提供」及び「不正取引の周旋」は独立罪として罰することとしようとするものであります。 次に、大麻取締法及びあへん法の一部改正についてでありますが、これらの法律におきましても、麻薬取締法の罰則の強化に伴ない、それぞれの違反行為の段階に応じ、罰則の強化をはかろうとするものであります。 以上がこの法律案を提出いたしました理由及び改正の主要点であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお顔い申し上げます。
○委員長(加瀬完君) 右法案に対する質疑は次回以降といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 —————————————
○委員長(加瀬完君) 次に、社会保障制度に関する調査を議題といたします。日本赤十字社の運営に関する件について調査を進めます。 なお、本調査のため、日本赤十字社衛生部長大島宗二君、同じく外事部長井上益太郎君及び同報道室長佐藤信一君を参考人として決定し、御出席をお願いいたしております。 質疑の通告がございますので、これを許します。藤原道子君。
○藤原道子君 日赤の問題につきましては、あまりにも問題が山積しているようでございまして、私は、時間の関係もございますので、ただ一点にしぼってお伺いしてみたいと思います。 最近、日赤では、日米合同委員会で、アメリカから、南ベトナムに対する日本としての非軍事的な援助、たとえば医療その他の援助をやってくれと要求され、日本政府は、医療援助が可能かどうか検討すると外務大臣が答えておられます。これに対して、今の情勢のもとで南ベトナムヘの医療班の派遣ということは軍事協力であると思いますが、この点に対しましてはどういうふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(西村英一君) 今、藤原先生からお尋ねの、日赤の看護婦の方をベトナムへ派遣するというふうなお話の御質問でございまするが、実は、衆議院のやはり社会労働委員会で、数日前に西村関一議員から私に対して質問がありましたのでございます。もちろん東南アジア等におきまして、従来も、平和利用のためであれば、国際親善のためにはお医者を派遣し、あるいは看護婦を派遣すると、最も親善の方法になるであろうという考えはいたしておったけれども、最近、日米合同委員会で論ぜられたとかいう話につきましては、厚生大臣は何ら公式に聞いておらない。実は、質問があるからということで、ちょっと尋ねたら、外務省から、そんな話が出たという電話でちょっと話があったというぐらいで、何ら公式な話も受けておらない、したがいまして、もう少し話ができなければ何とも御返事を申しかねるということを私は申したことがあるわけでございます。したがいまして、それから数週間たちましたきょうも、私としましては、何ら公式の話も受けておりませんし、また、どういう話が行なわれたのか、私の省の人も、おそらくそんな話が出たようだということだけを知っておるだけでありまして、それが現在の実情でございますから、ただいまの御質問に対しては、今その程度しか私としては申し上げられないのでございます。
○藤原道子君 大臣は知らないとおっしゃるのですが、日赤の外事部長は、ある新聞社の記者に、政府からの要請があれば派遣をするとはっきり言っていらっしゃいます。それから、また、総評や医労協が交渉したときにも、日赤が出て、まあこれが一番不安なんですが、日赤が出て行くとすれば、日赤の旗も使えず、赤十字としての行動もできない、政府に対する要員提供だ、こういうことを言っていらっしゃる。そうすると、日赤の旗のもとでなければ生命の保障もないことになる、そういうことをしてまで要員提供という名のもとに派遣をされるお考えであるか、日赤本来の使命というものは、戦時中に生まれたのだから、戦争で生きるのだなどと言っている人もある。これは一体どういうふうに解釈したらいいのか、これは大臣は知らぬとおっしゃるけれども、日赤の方からお答えを願いたい。
○参考人(井上益太郎君) 私、外事部長の井上でございます。南ベトナムに医療班を派遣するという話は実は聞いておりません。そういううわさがありましたかもしれませんけれども、また、そういうことについては、何ら計画もありません。
○藤原道子君 あなたが外事部長なんですか、全然知らないとはっきり言えるわけですか。
○参考人(井上益太郎君) はっきり言えます。
○藤原道子君 まことに不思議なんでございますが、服部人事部長とか大島衛生部長はそういう話は聞いていないと言っていらっしゃる。ところが、あなたははっきりそういうことを言っていらっしゃる。そこで、今ここで聞けば知らない、ほんとうに御存じないんですか。
○参考人(井上益太郎君) それは何か陳情に来たときもそういう話が出たのです。私はそういうことは聞いていないということをその陳情者の人にお話したわけです。
○藤原道子君 それはあなたが知らないとおっしゃれば、これは今後の問題に残しますが、はっきり知らないということが断言できるわけですか。
○参考人(井上益太郎君) そうです。
○藤原道子君 わかりました。それではこの問題は後に譲ることにします。 ところが、最近、自衛隊との合同訓練が盛んに行なわれている。三十六年の四月以来、台風などの災害時における救護訓練の名目で、自衛隊との合同演習が行なわれている。これは四月、五月、六月、七月、八月と、県別もわかっておりますが、ずっとやっていらっしゃる。それから北海道でも、演習のときにはアメリカの赤十字極東本部も出ておる、自衛隊も出ておる、警察、消防、水防団などと、それに北海道、東北六県の日赤の救護班が三千六百名くらいで訓練なすったのですね。そのときの情勢などは、特に北海道の場合等は、仮想患者も、大出血であるとか、あるいは熱症であるとかいうような、戦場負傷を想定して、実戦さながらのものであったということが報じられ、赤十字家庭新聞ですか、赤十字家庭新聞の二百四十三号に載せられている。水防訓練等ならこれは別でございますが、これが熱症であるとか切り傷であるとか大出血を想定して訓練してらっしゃる。災害に対する日赤の訓練だということを言っていらっしゃるのですが、これをアメリカの極東本部だとか自衛隊というようなものと一緒にやっているところに、私たちは非常に危険を感じるのでございますが、これはどういうことでやっておいでになりますか。
○参考人(井上益太郎君) 赤十字が自衛隊と協力するのは、これはあたりまえのことだと思います。
○藤原道子君 あたりまえ……。
○参考人(井上益太郎君) あたりまえ。日本はジュネーヴ条約に加入しております。ジュネーヴ条約は内乱にも適用があります。戦時のときにも適用があります。ですから、そういうことをやるについて演習をするというのは、私はあたりまえだと思います。
○藤原道子君 それなら伺いますが、最近、家族を含めてのいろいろな再調査をなされているのです。看護婦さんたちの、家族を含めて、家族の身分調査ですか、こういうものの調査が盛んに行なわれている。再登録がされておるということになると、日本の憲法では自衛隊の海外派遣はできないはずなんです。そういうときにこういう訓練をなすって、そしていろいろと家族の状況まで調査してらっしゃる。それで再登録をしてらっしゃるということは、海外派遣を想定され、戦争が起こった場合を想定されて、最近急にそういうことをしてらっしゃるのでしょうか。この点をお伺いしたい。
○参考人(井上益太郎君) 赤十字は、軍隊が出ないでも赤十字の医療班が戦場に出ることはあります。これはジユネーヴ条約の規定によります。
○藤原道子君 ジュネーヴ条約の協約によって、日赤本来の使命からいけば行くことがあり得るとおっしゃる。ところが、最近しきりに南ベトナム説が出ている。だから私は心配する。南ベトナムに行く場合は、日赤本来の使命として行くわけではないでしょう。もし、かりにあなたは知らぬとおっしゃるが、ほんとうは要請されていることは事実です。そういううわさがあるときにこういう訓練が盛んに行なわれているというところに私たちは不安を感じるのです。
○参考人(井上益太郎君) 南ベトナムに医療班を派遣するという話は、公式には何も聞いておりませんし、そういう計画もありません。それから、中立国の赤十字社として活動をするということは、これは世界各国でやっているのでございます。ですから、日本赤十字も、当然赤十字社法第一条によって、日本赤十字社はジュネーヴ条約に関する仕事をするということがあります。ジュネーヴ条約にはそういう場合を予想した規定がございます。ですから、もちろんそのときにはあらゆる保障をやり、赤十字国際委員会の手で管理されて出て行くわけであります。紛争当事国の了解も得ますけれども、今南ベトナムについてそういう問題が提起されているわけではありません。
○藤原道子君 もっとも、あなたは、あらゆるところで、日赤は戦争の中で生まれたんだから、戦争の中で大きくなった、今後も戦争の中で生きていくのだと、これは岡山で開いた職員の講習会であなたと佐藤報道室長が言われておるのですね。日赤は戦争の中で生まれ、戦争の中で大きくなった。今後も戦争の中で生きていく、自衛隊が出動するときは、日赤は必ず出なければならない、こういうふうに言っていらっしゃる。そこで伺いたいのでございますが、今後も戦争の中で生きていくという精神でもしあなたがおいでになるとすれば、非常に危険だと思うのです。 それからもう一つは、自衛隊は国内治安を守るためにあるわけなんですね。ところが、最近の日赤のやり方は、非常に行き過ぎの点が私たちあると思うのです。で、あなたのお考えは岡山で述べられたとおりのお考えで日赤の運営をしていらっしゃるのか、どうなんです。
○参考人(井上益太郎君) 日本赤十字が戦争の中で生まれたことは事実であります。日本赤十字は、西南の役の、あの戦争の中で生まれたのです。そうして戦争——これには内戦と外戦とありますが、将来赤十字として戦争を希望していることではありません。赤十字は戦争に最も反対するものであり、戦争とその勝利をにくむものであります。しかしながら、いよいよ戦争が起こった場合に、傷病者を救護するとかいうことは赤十字の使命であると思います。今後赤十字はそれによって発展すると、そういうことを言ったことはありません。
○藤原道子君 都合の悪いことは言うたことがないとおっしゃるのですが、もし言っていたらどうなさるか。
○参考人(井上益太郎君) 私の考えは、赤十字というものは政治問題に関与しちゃいかぬということ、これを原則としております。中立の原則です。そうして赤十字がやるには、赤十字の原則というものがありまして、それによってやるわけです。将来戦争があることを希望するとか、そういうときに出て行くことのために準備する、それを今盛んにやっている、そういうことはないわけであります。しかし、戦争にもし自衛隊が活動する、それは国内でしよう、そういう場合に負傷者が出てくるというような場合には、これはやらなくちゃならない。これは赤十字の使命であります。
○藤原道子君 私がきょう伺いたいのは、赤十字の使命とか本来のものを言っておるのじゃなくて、私が一番心配しておるのは、赤十字の本来の使命以外には断じてお使いになりませんね。それがきょう聞きたいのです。要するに、日米合同委員会では、非常にいつも日米が一方的に負けておるのです。押されておるのです。そこへ持ってきて、アメリカからの要請があることは事実なんです。これは事実なんです。そういう場合にも、赤十字本来の使命を考えて、今度もしかりに南ベトナムへ派遣なさるとすれば、これは明らかに国際紛争に介入するわけです。政治的に動いてはならない赤十字の使命があるわけです。ところが、今のベトナムの問題は、これは南北ベトナムの紛争ということに表面はなっている。しかし、これはアメリカ勢力と一方の勢力との争いであることは事実です。国外の紛争に、もしアメリカにどんなに要求されたとしても、赤十字は本来の使命によって、断じて派遣はいたしませんね。
○参考人(井上益太郎君) 今非常に仮設の問題を言っておられると思うのです。日米安保条約ですか、そういうことは政治問題で、赤十字はこれは関知しないのでございます。また、関知してはいけないのでございます。それからして国際紛争のときに介入することは、ジュネーヴ第一条約第二十七条によって、紛争の介入にならないのでございます。中立国の赤十字社が、国際紛争によってジュネーヴ条約によって参加する、軍隊がいなくてもいいんですよ。そういうことはたくさんあるわけですよ、中立国なんですから。しかし、その介入は、国際紛争に対する介入とはみなされない、これが第一条約第二十七条の規定でございます。
○藤原道子君 国際条約でお出ましになるのは、これは介入にならないでしょう。一方のアメリカからの要請で出る場合でも、赤十字の精神にはもとらないのですか。
○参考人(井上益太郎君) その動機がどういうことになるのか、それは私のほうは関知しないのでございます。戦争というのは、政治的動機からいろいろ起こるかもしれません。私のほうは、起こってしまったあとで犠牲者が出る、そういうときに国際的な要請がある、中立国からも医療班を出してくれ、そこからわれわれのほうの仕事が始まるの、その戦争がどうやって起こったのかというようなことは、赤十字が関知しない問題であります。
○藤原道子君 そこがどうもわからないんです。私が言うのは、ジュネーヴ条約によって出るのは紛争の介入にならない、これはわかる。ところが、今度日米安保条約によって、アメリカからの要請によって出るということは、これは仮定とおっしゃるけれども、そこで逃げられちゃ困るのですから、アメリカから要請があることは事実なんです、あなたは知らないとおっしゃっても。そういう場合には、これは一方の国——中立国も出ますよ、国際条約からの要請なら。ところが、そうでなくて、アメリカからの要請の場合は、これはどういうことになるのですか。 それからもう一つ。そのときに、これは赤十字の方が、もしそういう場合がありとすれば、日赤の旗も立てられないし、日赤本来の活動もできないのだということを言ってらっしゃるのは、これはどういうわけか。
○参考人(井上益太郎君) 二つのことをおっしゃったわけですね。南ベトナムに医療団を派遣しろというアメリカからの要請があるのだ、それによって日赤は派遣するとか派遣しないとか、私は、日赤は、少なくとも南ベトナムに今のところ派遣する考えはないし、それから、そういう要請をアメリカ赤十字からもアメリカ政府からも受けているわけじゃありません。 それから、第二の点は何でしたか。
○藤原道子君 ちょっと私伺いたいのですけれども、ここは委員会だけれども、国を憂い、いろいろ今後のことを考えるからお互いに質疑応答しているのです。だから、何も言いのがれする必要もなければ、ごまかす必要もない。そういう意味でお答え願いたい。 私は、アメリカから要請があったかどうか、あなたは知らないし、今考えていない、こうおっしゃる。ところが、われわれの調査によると、はっきりアメリカの要請があることは事実です。そういう場合に、これはジュネーヴ条約によってでなくて、別個な問題だと思う。アメリカ側からの要請、一つの国からの要請というような場合に、中立という立場はどうなるのか。赤十字本来の使命というものはどうなるのか、これを伺っている。もうそういうことがあるからこそ、もしこういう事態のもとで日赤が出て行くとすれば、日赤の旗も使えない、赤十字としての行動もできない、政府の要員提供だと、こういうことを言ってらっしゃる、赤十字で交渉に行った人が。そういう場合には、これはジュネーヴ精神とは違ってくるのじゃないかということを私は聞いている。
○参考人(井上益太郎君) つまり医療団の派遣には二種類あるわけですね。つまりジュネーヴ条約によって出動するという場合のほかに、政府が医療班を派遣したい、要員がないから要員を提供してくれと、今までほかの南アジアに出したのは、そういう意味で出しているのです。ですから、赤十字は、政府に補助をしなければならないこれは義務があるわけなんです、これは赤十字承認条件というのがありまして、それをやらなければ赤十字社はできないのです。赤十字の承認条件第三条の、「軍力を保持しない国においては志願的救護機関として、又、文民のための活動を行なう公的機関の補助機関として正式に認められておらなければならない。」ですから、政府の要求があれば、可能な限り政府に援助をするということになっているわけです。ですから、私が、赤十字の旗も使えない、赤十字も使えないということを言ったのは、それはジュネーヴ条約による出動じゃないと、それは単に政府に要員を提供する補助のことで、違法ではないんです。違法ではないばかりでなく、必要があればそういうことをやはりしなければならない義務があるわけです。だけど、今そのことが南ベトナムについて起こっているわけじゃありません。また、今仮説の問題でいきますから、私、別に言いのがれなんか決してしているわけじゃないので、もしベトナムに派遣するということになれば、それはどこからの要請であろうとも、結局これは国際委員会の承認を得ることが必要ですよ。そうして相手国の赤十字社の承認も得るし、その要請に基づいてやらなくちゃいけないので、相手国の赤十字社が必要でないというのにこっちから押しかけて行くという手はないわけです。これは全部いろいろなこまかい規定があります、そういう場合の出動については。だけど、今それが問題になっているわけではありません。そのことは赤十字社が独自の見解できめることで、赤十字は独立ですから、赤十字が赤十字の原則によって行動するわけです。ですから、赤十字の原則にかなわないことはやることはできないし、かなうことはやらなくちゃならない、こういうわけです。
○藤原道子君 従来アジアヘも出していらしたと、こういうのです。それはコロンボ計画で出しておるわけですね。今度の場合と違うわけでしょう。かりにベトナムへ出す出さないということになると、おのずから問題が違ってくる。赤十字は、必要があれば今までアジアへ派遣されたが、今度の南ベトナム問題は別だと思うのです。要員提供だと言う。けれども、そういう場合も、現地では戦争しているのですね。明らかに戦争している。布告なき戦線というふうに、とにかく戦争している。そこへ出すわけですよ。出すことになるわけだ。あなたは知らないとおっしゃるけれども、こういう答弁をしているから、知っていらっしゃることは事実、やるやらないは赤十字の独自の見解でおやりになる。けれども、そう言うかと思うと、政府が要求すれば出さなければならない義務がある、こうおっしゃる。そうすると、政府がもしかりに南ベトナムへ派遣してほしいというような場合には、どういう名目で出すのですか。それで向こうに行った場合には、生命の保障、身分の保障、こういうものはどういうことで責任を持っていただけるのか。
○参考人(井上益太郎君) これは今のような状態ならば、そういうふうな政府の補助機関として出す考えは全くないわけで、問題になっておりません。治安が回復して全部安全だということになった場合にそういう要求があれば、全部のバランスを考えてやるわけですよ。それからして、もし治安が乱れているときに出すというのだったらば、これはやはり今みたいな方法では出すことができないと思います。ジュネーヴ条約によって全部の手続を済ませ、たとえば抑留ということも考えられるわけですから、そういうふうにやろうと思います。だけども、今そのことは問題になっているわけじゃありません。
○藤原道子君 あなたのほうでは問題になっていないとおっしゃるけれども、まあ問題になっていないことはないわけだと私は思うのです。これは見解の相違で仕方がない。しかし、今あなたのおっしゃったことを確認しておきます。あなたは、今の紛争状態のもとにおいては出さないとおっしゃったのですが、それから、治安が回復してから、状況によっては出すこともあるかもわからぬ、こういうふうに理解していいですか。今の紛争の状態のもとにおいては、今のような条件では出すことはできない、そうですね。では、たとい政府から要請があっても、赤十字本来の精神からいって、赤十字が独自に判断をして、これを拒否するということになりますね、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。もう一ぺん。
○参考人(井上益太郎君) 今おっしゃったとおりであります。
○藤原道子君 私はそれを確認しておきます。あらゆる方面で非常な疑惑を持っている向きがある。赤十字は知らぬとおっしゃるけれども、一般からは非常な疑惑を持って、日本の新聞には報じられないけれども、外国の新聞には相当報じられている。こういう点から、逆輸入で私たちは苦労をいたします。大切な看護婦さんです、大切な日本の医療なんです。したがって、赤十字がおとりになることは、これら大切な人たちの生命に関することであると同時に、今のような紛争の中に出せば、おのずから戦争に介入したということになりますから、非常に危険だと思います。したがって、あなたがはっきり最後に言われましたように、今の状態のもとでは出さない、赤十字が独自の判断によって行動するのだというふうなお答えに対して、私はこれを確認しておきます、今後間違いのないように。それと同時に、戦争の中で生れたのだから、戦争によって生きていくのだというような考えを捨ててもらいたい。赤十字の精神は、平和のためにあると思う。ですから、みずから戦争に介入するような、国際的な問題になるような行動は断じてしないというふうにお考えを願いたいと思うのです。 それから、きょうは大島さんと井上さんと佐藤さんとお三人だけですか。社長も副社長もおいでにならなかった。
○参考人(大島宗二君) 今よそへ行っておりますので。
○藤原道子君 ちょっと副社長を特に要請しておいたのですが、お出にならなかった理由をはっきり言って下さい。
○委員長(加瀬完君) ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(加瀬完君) 速記を起こして。
○藤原道子君 私は、本日、社長または副社長に必ず出ていただきたいということを要請したのは、あなたがたの発言がまちまちなんですよ、いろんな書類を見たり新聞見たりしますと。これが不安なんです。だから、私は、責任ある人からそういう点を確認しておかなければ心配だから、それできょうお出ましにならない理由を伺ったわけです。最初にそういう理由で出られないということを聞いていなかったもので、最後に副社長なり社長にこの点を確認してほしい、こういう気持で今ただしたわけであります。おいでにならなければ仕方がございませんが、責任を持ってきょうは御出席をいただいたのですから、その点は信頼していいんですね。
○参考人(井上益太郎君) 先ほどからしきりに確認々々ということをおっしゃいますので、それで私のほうも確認いたします。ベトナムにつきましては、まず第一に、それが問題になっていないということが第一の点であります。それから、仮説の問題として、出動するかどうかという場合には二つの場合がある。ジュネーヴ条約による場合と、そうでない場合とがある。今の状態においては、その後者ですね。ジュネーヴ条約によらない出動ということは考えておりませんし、いたしませんし、要求があっても拒否いたします。それから、もしジュネーヴ条約によって出動しろ、そういう国際委員会からの要求があるという場合ならば、それはそのときに考慮して決定いたします。
○藤原道子君 その点については、あなたがあらためて確認なさいましたから、それを信頼していく以外にはない。と同時に、非常に危険なお考え——戦争によって生まれたのだから、今後も戦争によって生きていくのだ、そういうお考えはこの際捨ててもらわなければ困る。
○参考人(井上益太郎君) 私は、自分の持っていない考えを捨てるわけにはいかない。初めからそういう考えは持っておりません。
○藤原道子君 わかりました。それも私は御信頼いたしましよう。今後その精神でやっていただきましよう。 そこで、厚生大臣にお伺いしたい。私は、最近、日赤が不渡手形の問題だとか、あるいは看護婦要員が足らないために、非常な無理な働きをさせている、夜勤なども目に余る状態が行なわれている。そういう日赤は患者を預かっている以上は、患者に忠実でなければならない。それで、世間からは日赤は非常に従来は尊敬されていた。そこで、不渡手形だとか、いろいろの問題は、日赤の運営が乱れているのじゃないか、日赤本来の使命が乱れてきているのじゃないか、これは非常に遺憾です。これに対して厚生大臣はいかなる指導監督をしておいでになるか。別個の組織だといって逃げるわけにはいかないと思う。医療に関しては厚生大臣の全責任だと思いますが、今の日赤のちまたに流れておる姿、これに対してあなたはどうお考えになっているかという点を、この日赤問題の最後にお伺いして、そうして、それこそ本来の姿に返ってもらわなければ困る、こう思いますが、厚生大臣はどうお考えになりますか。
○国務大臣(西村英一君) 先般来、日赤におきまして、各地方の二、三の支部に不祥事件が起こりましたことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。監督の衝に当たる厚生大臣としては、皆さん方に対して申しわけがないのであります。しかも、それが普通の会社と違いまして、国際的な重要な役割を持っておるところにおきましてああいう事件を起こしましたことは、私としては遺憾の意を表する以外に今は仕方がないのであります。しかし、悪かったことは悪かったといたしまして、ただいまその事件につきましては、非常に綿密な調査をいたしております。とともに、私といたしましても、その日赤の立て直しと申しますか、そういうことにつきましては、十分なひとつ考えを持ってて臨まなければならぬと、かように考えておる次第でございまして、今直ちに私は自分の考えをいろいろ申し述べる段階にないので、差し控えて、事件が一段落と申しますか、もう少し進みますれば、日赤に対する厚生大臣としての考え方も述べまして、日赤のひとつ建て直しと申しますか、ああいう不祥事件が起こらないように、また、日赤が従来世間からかち得ておりました、何と申しますか、名声を取り返すように十分力を注ぎたいと、かように考えておる次第でございます。どうぞ御了承を賜わりたいのでございます。
○藤原道子君 私は、医療の問題については、衆議院、参議院を通じまして、もうまたかというくらい今まで論議が尽くされているので、私はきょうこういう質問をするつもりはなかったのでございますが、実は数日前に、知人が入院しているということで見舞に参りました。手術後の知人がちょうど点滴注射を受けておりました。ところが、そこには看護婦さんはいない。年老いたお母さんが非常に不安そうな顔でそこにただ一人いる。そうして、先生、これでいいのでしょうか、こういう質問を受けまして、何とも言えない気持に襲われました。だからきょうは、この医療問題について、さらにあらためて厚生大臣にいろいろお伺いして、はっきりした御答弁をきょうはいただきたいのです。私は、何もこんなに見せつけがましく資料を持ってきたわけじゃございませんが、私は昨年の三月十四日の予算委員会で、医療問題一つで御質問をいたしております。当時は灘尾厚生大臣でした。大蔵大臣、労働大臣、このお三方に対して御質問をいたしましたら、ずっとこう答弁されておるのをゆうべ読んでみました。大臣の答弁というものは信用していいのかしらどうかしらという気持がしたのです。私は厚生大臣を信頼していきたいと思う。したがって、きょうは遺憾であるとか、努力いたしますとかいうのでなくて、率直に医療の建て直し、その根本的な問題につきまして、ひとつ大臣のお考えを伺わしていただきたい、こう思います。日赤問題は、またあらためてこの次に譲るといたしまして、私はこれから厚生省関係についてお伺いをして参りたいと思います。
○委員長(加瀬完君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(加瀬完君) 速記を起こして。
○国務大臣(西村英一君) 今は何と申しますか、藤原先生のお尋ねは別になかったので、これからお伺いしようというところであったのですが、どういう御質問であったか、これからというところで……。
○藤原道子君 じゃ、それはあとにしましょう。
○藤田藤太郎君 私は、厚生大臣と、それから日赤の代表の方にお尋ねをしたい。 今、藤原委員のお話を聞いておりますと、どうも外事部長は、明らかにはっきりときょうお答えになりましたが、日赤というものは援護任務、救護任務というものと、それから国内にたくさん病院を持っておられる、二つの業務をおやりになっているわけでございます。ただ、私たちが心配をいたしますのは、日赤の活動については、国の援護、補助、監督、こういうことが日赤法にきめられておるわけですけれども、どうも日赤はいつもいろいろ問題を起こす。病院の経営を中心にいたしまして、たとえば労働問題にいたしましてもそうでございますけれども、この当委員会におきましても、日赤のあり方というものについて、徹底的に議論をしようではないかというのが今日までの宿題でございます。そういう援護、監督という両面の問題が、政府機関と日赤との間に十分に行なわれてないところに問題点が一つあるのではないか、こういう工合に思うわけです。たとえば非常に高度なヒューマニズムの観点から救護処置をとられている日赤自身が、病院経営についてはどこからの援助もなしに、医療収入によって病院をやっていかれる。そのしわ寄せがだんだん従業員にもくるし、日赤自身の経営といいましょうか、運営の問題でもいつも問題を起こす。本来そういう問題が片方に掲げられておって、そして今話題になったような問題はどうもないとおっしゃいましたけれども、そういううわさが出てくる。日米合同委員会で実は出ると、日赤は受け入れ態勢を作るためにきゅうきゅうとしているといううわさが出ている。外事部長は、そうでないとはっきり言われたから、まあ私は明らかになったのでいいとは思っておりますけれども、何かそういう政府と日赤との関係というものが法律にきめられておりながら、十分な援護とか監督処置を政府がやっていない。そこに問題点はあるのではないか、こう思うわけであります。だから、救護的な処置に対して、政府はどう今後保護監督をしていくか、それから、病院経営についての保護監督をどうしていくかということの行政の方針をひとつお聞したい。 それから、日赤の代表者からは、今の日赤の運営について、正しく運営していくのにはどうしたらいいか、政府の関係等においても、どういう工合にしてもらいたいということをここで明らかにしてひとつ述べていただきたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) ただいまの藤田さんの御意見でございまするが、私も非常にその御意見は傾聴すべきものが実はあるのであります。私ども平たくいいますと同意見でございます。やはり端的に申しますると、日赤というのは国際的な機関であるし、また、特殊な任務を持っているということがもう第一主眼でなくちゃならぬが、やはり経営上、病院をやっておる関係上、しかも、それは政府が助成することになっているけれども、まあ助成の仕方も満足でないと見えて、その経営にいろいろな問題が起こる。実は私厚生大臣になる前に、やっぱりちまたの声を聞いて若干は知っていましたのですが、まっ先に私厚生大臣になりましてから、実は手おくれではなはだ申しわけないが、日赤に対しては最大の関心を持たなければならぬということで、何とかした機会にと思っておりましたところが、とうとう実はなまけていると申しますか、今日まで、こういう事件が起こるまで少しもあれもなかったわけですが、したがいまして、まあ政府は助成するといっておりながら、助成の仕方が足らぬということも十分考えられます。もちろんいろいろなことに対して助成の金も出しております。したがいまして、そういう点はひとつ考えなければならぬ。 もう一つは、やはりこれは戦後の変動もありましたので、医療機関等が十分いかなかったということもありまして、どちらかというと、日赤が本来の使命から多少デビエイトした、曲がったほうへ、いわゆる病院経営のほうに重点が置かれ過ぎたというようなことも私はあろうと思うのでありまして、この辺はまあ今後の日赤のあり方について私は検討を要する点ではなかろうか。また、業務の仕方にいたしましても、今度事件を起こしました端緒が、災害救助用の物資を調達する一つの方法として、手形を切るという方法からついつい深みに入った。しかも、深みに入ったというのが、はなはだ非常識な深みに入っているんですが、その辺にわれわれはどうも不可解な点があるのでございまして、いずれにいたしましても、今、藤田さんが言われましたような、政府の助成がどうかという点につきましても私は考えなくちゃならぬし、日赤のこの仕事をそれ自身の関係というものも、もう少し検討して参りたい、こう思っております。厚生大臣は、今監督の衝に当たりましても、日赤の、何と申しますか、社長等をかえる権限は持っておりません。これを勧告するだけの権限しか持っておりませんが、いずれにいたしましても、私の監督下にありまするから、十分今後注意をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
○参考人(大島宗二君) 日本赤十字社の事業といたしましては、現在のところ、診療業務というたいへん大きなものがございまして、今の赤十字病院が現状のままでいいかということにつきましては、これはどうも今のままでおもしろくない。すでに一昨年でございましたか、当社労委員会に私参考人として呼び出されまして、そのときに先生方に赤十字社白書を差し上げたわけです。それで私は、結論といたしまして、もう病院は今のままではどうにもならない、国または地方公共団体の補助をいただかなければ運営できないことになってきておるということを結論として申し上げたわけです。その考えは今も変わっておりませんし、現在の田辺副社長も全くそのとおりだということで、それでいろいろやり方もあるのですが、国の補助をいただくということが一つ。しかし、各病院は地域々々のニードによってできているものでありますからして、その地域々々でも、地方公共団体から援助をいただかなければならぬということで、だいぶその例が出て参りまして、それから国の補助も、ことしいろいろ関係方面の御尽力によりまして、看護婦養成費の一部として、学院の備品費の一部を援助をしていただくことになりました。こういうふうなだんだんと道が開けてきたように思いますが、なるだけこれを急速度にひとつ拡充して、国あるいは地方公共団体の補助をいただくということでなければ、今後長く赤十字病院を現状のまま維持していくことは困難だと、かように考えておりまして、これは社長以下、私ども懸命に各方面の補助をいただきますように今尽力中でございます。 また、赤十字病院を将来どうするかということにつきましては、このたび病院経営審議会というものを作りまして、関係方面の官庁、あるいは方々、あるいは学識経験者等を集めまして、この三月二十五日にその第一回の審議会を開きまして、根本方針をその審議会できめていただくということに骨を折っておるわけでございます。大体要点のところを申し上げました。
○藤田藤太郎君 厚生大臣の決意をお聞きいたしました。しかし、日赤は今何をやっているか、この前からも問題になりますように、病院は今の状態でいかぬとおっしゃるなら、日赤法の三十九条に、「補助金」という言葉で明確にここに表わしておるわけです。そんなんなら、医療施設を作って国民に奉仕されるというこの法律に基づいて、日赤はなぜもっと政府に要求をして、そして日赤を正常な運営に持っていかれないか。そういうことについて今発言がありまして、看護婦養成について少し援護があったとおっしゃいますけれども、たとえば融資の問題等、こまかくこの法律には規定をしてある。国の援護処置が書いてある。ところが、そういうものは何ら今まで実効が上がっていない。むろんこれについて監督もできていなかったというのが現状ではなかろうかと私は思う。それで苦しまぎれに藤原委員の問題にされましたような問題が話題になってくる。そういうことでは私はならないと思うのです。もっとやはりこの日赤の任務というものを明確にして、そして足らざるところをどこで補うか、日赤法の法律に基づいて、きちんと補うように、担当従業員の犠牲によって病院を立てるというようなものの考え方が続いている間は、こんなものはできないと私は思う。だから、そういう点は、日赤は明確に、その方針といいますか、心がまえというものを新たにして、正常な運営に持ってきてもらわねばならないんじゃないか。だから厚生大臣も今決意をおっしゃったのでありますから、今日までのいろいろ懸案でありましたような問題を、しっかりとあなたのほうも腹をきめてこれをやらなければ、たとえば日赤の寄付行為でございますけれども、個別割当でずっと国民が寄せているんです。そんなことがほんとうにいいのかどうかということも私は疑問に思っております。思っておりますけれども、これをここできょう私は突こうとはいたしませんけれども、実際上の運営については、個別に割り当てて金を取りに歩く、そして片一方は病院を経営する、それで援護的な問題が一つはある、そういうものについて十分なことが監督官庁としても行なわれてない、苦しまぎれにいろいろの問題が出てくるような、他から見るとそういう感じがするわけです。まあそんなことは、今後ベトナムに関する問題については、はっきりないとおっしゃいましたから、私は安心しますけれども、私は、正常な日赤の運営というものを、やはりあなた方も日赤の方々も、決意をきめて、正常な運営のためには、この法律に基づいてこうするんだということをきちっとしてもらいたい。政府も、そういう建前に立って日赤というものを正常な形に育てるという方向に、もっと大胆に決意をもって、この法律に示すように、助成——具体体に補助金から融資の問題から、そういう問題にまで手を入れる、援護をしていくということでなければ、私は、日赤というものはいろいろうわさの出てくるような問題が出てくると、ほんとうにそうかなというような感じを受けておったわけでありますから、その点は明確にひとつ決意をきめてやってもらいたいと思います。
○参考人(井上益太郎君) 今の最後のことについて、一つお話したいことがあるのでございます。それは、確かに一般からの社費も募集しておりますけれども、今一番力を入れているのは法人社員なんでございます。つまり国民所得というものはだんだん法人にいきますから、法人からたくさん寄付をしてもらいたいということをやるわけなんです。ところが、ここで非常に障害になることが一つあるのでございます。それは法人に寄付を求めますと、それに課税がされて、バランス・シートの上で損勘定にならないで、益勘定になるのでございます。そのために法人は寄付を渋るわけでございます。これは国際決議がありまして、そういうものには課税しないようにということがきまっているのでございます。ところが、どうしてもそれができない。日赤は、何か災害がありますると、キャッシュで何億という金が一ぺんにくるんです。その金は一体だれが寄付をしているのかというと、各国の企業家です。ですから、日本の企業家も、近代的な企業の経営の原理からいって、ただ利益を追求するのでなくて、社会に還元をしていくわけなんですから、当然外国の企業家がみんな金を出して、いざというときに何億という金を日本へよこすからには、日本のほうでもそれができなくちゃいけない。この寄付という問題がこのために非常にやりにくいのでございます。これは何とかできないものであろうか。 それからもう一つは、赤十字の経済の原理は、利益追求じゃないのであります。無料の原則でいくわけであります。ですから、災害があるときには非常に収入が多くなって、災害のないときには収入が少なくなる、これが本来のあり方なんです。たとえばフランスの赤十字では、予算というものは毎年違うわけです。どうしてことしは多いのか、これは災害があったからそういうことができる。そのために寄付がもっと自由にできなくちゃ困る。いざというときに寄付がさっと集まる、これがいろいろなことでなかなかそれができないのです。この二つの点が、これは結局金の問題なんですから、経営をしていくということは、収入の道がもっとスムーズにいくとそういうことができるはずだと思うのでございます。そういうことだけちょっと申し上げておきます。
○藤田藤太郎君 そういう寄付行為についての問題があるなら、なぜあなたのほうが日赤法によって、国との関係において明らかにして、必要なものは必要だと言って、なぜその問題をあげないかということを私は言いたい。そしてもう一つは、私は、やはり国民が納得して、ガラス張りの中で日赤がこう運営をされているんだということがいつも明らかにされているという条件のもとにおいて、初めて寄付も集まるだろうし、個別の寄付にいたしましても、心よく出せるのでありましょう。こういう前提条件と、こういう姿にしていく監督行政というのは厚生大臣がやらなきゃいかぬ問題だと私は思う。そういう点がやはりもう一つ明らかになっていないじゃないかということ、あなたのほうは、そういうものは明らかになっているとおっしゃるかもわかりませんけれども、そういう点が、われわれ日赤問題について今日までいろいろ議論してきましたけれども、日赤がどう運営されているか、ガラス張りでやっていると言うが、一つも明らかになってこない。国会にも、厚生行政をやっている委員会にも報告もされない、問題があるときに来てもらって議論するという程度を一歩も出てないというわけです。そこらに問題がありはしないかと私は思う。厚生省は監督行政をきびしくし、そのかわり援護措置をし、そしてガラス張りの中に日赤を持っていく。それから、日赤のほうといたしましても、そういういろいろの措置を御遠慮なく堂々とおやりになって、結局だれが泣いているかということを明らかにされる必要があると思う。日赤のだれが泣いて苦んでいるかということを明らかにして問題の処理に当たらなければ、この問題の解決はつかない。私は関連でございますから、この程度でやめますけれども、私は、その点はいずれあらためて日赤の皆さんに来ていただいてやりたいと思いますけれども、しかし、そういう点は、どうもわれわれに十分明らかにならない、いろいろのことを日赤でやっているなという感じを持つわけです。そこらはやはり将来明らかにするような態度でしてもらいたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) 藤田委員の御質問ですが、別に返答を促されたわけでありませんが、この際、たいへん重要なことでありますから申し上げます。日赤は、一方におきましては特殊機関でありますので、あまり政府は干渉がましいことを言いたくない、自主性を重んずるということも一つあります。しかし、その本来の使命を十分果たしたいために、われわれ政府といたしましても、十分今後に向かって考えなければならぬということがありますので、十分意見を尊重いたしまして、われわれといたしましては、この日赤の点は、今回を機会にいたしまして、やはり日赤が皆さん方の支持を受けるように、納得のいくようなことに持っていきたい、かように思っておりますので、御了承願いたいと思います。
○委員長(加瀬完君) ただいまの藤田委員の御指摘の点は、厚生省、日赤それぞれにおきまして、十二分に御検討の上、その結果をいずれ本委員会において御発表いただくことになろうかと存じます。そのようにお取り運びをいただきたいと思います。 本件に関する調査はこの程度にとめ置きます。 参考人の方々には、長時間たいへんありがとうございました。
○委員長(加瀬完君) 速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(加瀬完君) 速記を起こして。
○藤原道子君 法案審議の日程もあるそうでございますから、簡潔にお伺いをしたいと存じます。ただいまも日赤問題で御答弁がありましたが、この問題等についても、かつて当委員会で同じような御答弁をいただいているのです。これがこういう答弁のしっぱなし、これの実現がまだ今まで聞きもしなければ、何にも発表がないということは、何もしていなかったということになると思う。そういうことのございませんように、今度こそ抜本的な対策をお立てになるように強く要望いたします。同じようなことが医療全体に行なわれていると思うのです。私が昨年予算委員会で、この無人注射のことで御質問申し上げましたときには、そういうことがあるとは信じられない、こういうことを言っておられた。調査して、もしそうであるならば善処いたします、こういうことだった。ところが、最近になると、すべての注射のときに人がついていなければらないということはない、こう逃げてきている。で、無人注射等に対しまして大臣はどうお考えになるか。現に人が死んでおるのです。そうして、その直後に、さらに各病院でやはり無人注射が行なわれておる。この原因はどこからきておるか、この対策はどうお考えになるか。つまり無人注射など、危険なことはあり得ないと去年はおっしゃった。ことしはすべての注射のときに人がついていなければならぬということはない、こういうふうに言っていらっしゃる。これは一体どういうわけか、その点からまずお伺いしたい。
○政府雲量(尾崎嘉篤君) 技術的な面もありますので、医務局長の私からお答えをいたします。 点滴注射等、長時間使って行ないます注射に、その間、医師または看護婦がつき添っておるということは、ぜひやりたい問題ではありますが、現在、病院の職員の数、これは全体の病院の数と、日本全体の看護婦さんの数または医者の数というようなところから考え、それと、実際に行なわれなければならない注射の件数から考えまして、すべての点滴注射に、始めからしまいまで医者なり看護婦さんが横についておって行なわなければならないとしてしまうことも、かなり、無理があるのではないかというふうな考え方をしております。要は、事故を起こさないようにして、しかも、必要な医療の行為を確保することだと、こういうふうに思います。特に御指摘のございました、高崎病院の件ではないかと思うのでありますが、あの件は、点滴の上に二連球を御承知のとおり使わしておりまして、その注射する時間がずっと短縮される。それもかなり不同であるというふうなときにそこについていなかったというようなことで、こういう場合には必ず横についていなければならないものだと私は考えますが、普通の場合には、できるだけついておることが望ましいが、注射の初めのうち等には、ほかの仕事のために席を離れることがあっても多少はやむを得ないんじゃないか。こういうふうな問題は、できるだけそういうことのないように、医師、看護婦さんの数等を確保するような方向で努力していくというふうな考え方を現在しておるわけであります。
○藤原道子君 その御答弁が私はおそろしいと思うのです。人が足りない、医者が足りない、看護婦が足りない、だからやむを得ない——事は人命に関するでございますから、やむを得ないでは済まないと思う。それから二連球を使ったということに対して、これからは二連球を使ってはいけないというような指令をお出しになったということも聞きましたが、これはあるお医者さんに聞きましたら、二連球でないと血液は入らないのじゃないか、やはり二連球を使う以外にはないのじゃないか、こういうことをある権威ある方が言っておられますが、これはどうなんですか。それと同時に、人がいないからついていなくても仕方がない、この考え方は非常に危険だと思います。人がないなら、なぜ充足がはかられないか、充足ができないのは、そこにどういう原因があるかどうかということについて検討して、これを充足していくのが私はあなたのとるべき対策だと思うのですが、これは一体どういうことになるのですか。
○政府委員(尾崎嘉篤君) 私の申し上げましたのが、ちょっと先生に誤解を受けたのではないかと思うのでありますが、私の申しましたのは、注射の場合に、ずっと医師なり看護婦なりが横についていることが望ましいということ、ここでそういう方向に向かって努力したい。ただ、現在の医師、看護婦の日本全体の数と病院の数、患者さんの数、そういうようなもの、また、注射を行なわなければならない患者さんに対する、何と申しますか、必要数と申しますか、そういうような点から考えまして、そこに多少現在の医者、看護婦の数も不足であれば、一般の点滴注射の場合には、注射の初めのときくらいはほかの仕事をやっておるということもやむを得ないんじゃないか、人が離れることもやむを得ないんじゃないかということを申し上げたのでありまして、しかし、そういうことを起こさないように医者、看護婦の数を増加させるというような方向で努力せねばならない、特に看護要員を増加するように努力しなければならないことは申すまでもないことでございます。その点私はつけ加えておいたはずでございます。 それから、二連球の場合の問題は、二連球を使います場合は特殊な場合で、たとえば手術室等におきまして行なう、また、病室でやりますような必要があります場合、そういうふうな場合は、医者がそこに行って実施し、また、その実施状況を、このときはぜひ看護婦さんが離れないで見ておっていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。というのは、御承知のとおりに、二連球でやります場合には、そこに圧力がかかって点滴注射をやります時間がかなり不同である、早くなくて不同であるというふうな点もあり、普通の点滴注射よりもずっと危険度が多いという立場からでありまして、手術室等以外で点滴注射をやります場合には、よほどそこに慎重な配慮を要する、こういうふうなことを考えておるのでございます。
○藤原道子君 私は、こういう不測の事態を生じたのはだれに責任があるかということです。聞くところによると、看護婦さんが、お医者さんを含めて、書類送検された、こういうふうに聞いておる。しかも、それ対して総婦長会議などで嘆願書を出そうという動きがある。私は、これは罪にしたくないという愛情もわかるしいたしますが、この不慮の死を招いた責任が看護婦にあるとは考えられないのです。ほかの仕事に追われるからこそ、そこについていられなかったのだろう、そういう看護婦の配置を命令したのは一体だれかということになれば、この命令した人にあるのじゃないか。ということになれば、総婦長、病院の院長か。けれども、今もあなたの答弁にあったように、人が足りないことがわかっていて命令したということになれば、私は厚生大臣に責任があると言っても過言でないと思う。また、さらに突っ込んで言えば、こういう問題を絶えず審議しながら、厚生省の怠慢を見過していた私を含めての国会議員にも責任がある、こういうふうに考えるのですが、これは間違いでしょうか。いつでも人が足りないために看護婦にそういう危険なことをやらせ、しかも、責任は弱い看護婦の上にかかるのです。そして、この看護婦さんがもし起訴されれば、身分が剥脱されるのでしょう。その人の今後の保障は一体どういうことになるか。こういう状態に置いているからこそ看護婦になり手がないのじゃありませんか。一体これに対してどうお考えになるか。責任は一体だれにあるのか。
○国務大臣(西村英一君) 高崎の事件もちょっと聞きましたが、何さま注射をする仕方の専門的なことであったので、そのこと自身は看護婦がいなくてもいいものか悪いものかという判断は、専門的なことでありますので、まだ私にはつかない。しかし、全般的なお話といたしまして、藤原さんのお話を聞いて、看護婦が足らないから手落ちが起こるのじゃないか、これは十分わかることでありまして、この点につきまして過誤があったとすれば厚生大臣の責任でございます。したがいまして、今後は注意いたしますが、事柄それ自身、医療問題それ自身においてどうであったとかいうような事柄は、そういうことは医者がいなくてもやれることなのかやれないことなのか、こういう判断が私にはつきかねるのでございますが、看護婦不足のためということについて手落ちがあったというようなことは、重々私たちとしては気をつけなければならぬと思うのでございます。今裁判中であるそうでございますから、それはそれといたしまして、今後行政上の面につきましては十分措置したいと、かように考えておる次第でございます。
○藤原道子君 私は、問題はこれだけじゃないのです。喀血の室息死も各所に起こっている。この点については、せんだって衆議院の長谷川先生も追及しておいでになった。各地で事故死が起こっている。起こった場合には、いつも看護婦が責任をとらせられる。看護婦が足りないということは認めていらっしゃる。それで看護婦が責任をとらなければならないという今の仕組みが私は問題なのだ。それから、看護婦の注射は認められていないはずだ。ところが、ほとんどの病院は看護婦がやっている。そして看護婦にやらしておきながら、問題が起きれば看護婦が責任をとらされる、ここに問題がある。これは一体どういうことであるか。これを私はお伺いしなければならない。それから、人手が足りないから問題が起こるのだということを言っていらっしゃりながら、これの充足についての根本的対策が今までなされていない、これらもあわせてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) 先般も、東北地方のある病院でそういう事故が起こって、これはまたその看護婦が、その病院としての当然の任務を怠るというようなことで起こればやはり病院長の責任である。どこの現場でも現場長は現場長としての責任を持っておりますし、また、それぞれ従事しておる人たちは従事しておる人たちのそれぞれ任務があるわけでございまして、その責任で起こったのかどうか。病院でお医者がだれもいないというようなことは、これは厚生大臣がいかにたくさんのお医者を置きましても、それはなかなか現実としてはいろいろなことが起こりまするから、直ちに私のほうにすぐ責めを持ってくるのは、それはどうかと思われまするけれども、しかし、そういうことが総体的に医師の不足だとかあるいは看護婦の不足ということに原因しておるのだということがはっきりすれば、それは行政のやり方が悪かったという責めは、当然私のほうは負わなければならぬと思っておるのでございまするが、いずれにいたしましても、統計上から見れば、国立病院等につきましては、充足率ということから申しますれば、そう看護婦の不足しておるようにはないわけでありまして、しかし、現場では今言ったような事故が起こるというのですから、何らかそこに欠陥があろうかと思われるから、十分注意したい、かように思っておる次第でございます。
○藤原道子君 とんでもないことですよ。ほんとうにあなたはそう思っているのですか。その場逃がれじゃ困る。今の定員ですら足りない。ところが、今の定員が充足しているという考え方がおかしい。どこへ行ったって看護婦定員を割っているじゃありませんか。速記録を見ているのです、あなたの言ったことの。一〇四%の充足率、とんでもないことです。私はこの問題は後日に譲ります。きょうはせかれているのです。せかれているものだから、私は発言を制限されている。けしからんと思いますけれども、仕方がない。充足しているから足らんとは思えないとは何ごとですか。私はこれは許せませんから、この問題はこの次にひとつ徹底的にしていきたいと思います。さらに、看護婦の充足をはかるとか何とか、これだけ速記録を見ても、あやまり、降参しているじゃありませんか。それで何ともしていない。私は、看護婦の足りないことは事実であって、やっとことしこの間局長が鬼の首でも取ったように、藤原さん、安心して下さい、ことしは看護婦の志望者が去年の二倍ありました、部分的に二倍あったかもわかりませんが、とんでもないうそです。そういう甘い考えだから、いつまでたっても充足はできない。さらに、この充足に対する対策、これを伺いたい。私は個条書きに言いますから、答弁して下さい。待遇の改善をしなければだめだ。この待遇改善についてあなた方はどう考えておるか、私は、医療労働者に対しましては、最低賃金一万二千円くらいの保障をすることがまず必要だと思うのです。それから、労働時間を短縮しなければならない、非常に精神的な、肉体的な過労でございます。看護婦が過労に陥っていれば、医者が過労に陥っていれば、十分な看護もできなければ、医療も行なえません。したがって、労働時間を短縮する、四四制は、確実にその精神に沿って実行する。 それから、今定員としては足りないのです。これは速記録でも明らかに認めていらっしゃるのだから、定員の改正をしなければなりません。 それから、夜勤時間中の休憩を制定する。夜の八時間夜勤が、たった一人の看護婦でやらせられている。これでは休憩はできません。これは労働基準法違反でございますから、ぜひとも夜勤の休憩時間を制定すること。それとともに、夜勤の日数を制限してもらいたい。労働基準法では女子の夜勤は禁止している。だが、看護婦と交換手は特殊な業務だから認められておる。けれども、母体保護ということは十分考えなければならない。ひどいところでは一カ月に十五日も夜勤、この間九州だったかと思いますが、ひどい月には二十日も夜勤がある。若い看護婦さんが夜勤を一カ月に二十日とすれば、通常勤務はたった五日間くらいです。これで魅力のある職場ということが言えるでしょうか。私は、少なくとも夜勤は一カ月六日以内にきめるべきだと思います。これに対して、これを実行しなければならんと思います。 それから、夜の勤務を必ず二人以上にしてもらいたい。一人だから問題が起こる。ブザーを押しても、看護婦がいなければ来るはずがございません。このために事故が起こっております。また、看護婦自身の身分にも危険があります。夜中、四十床から、多いところは百床くらいを若い看護婦が一人でやっている。だから休憩がとれないのはあたりまえです。これに対しては、この間、労働大臣、厚生大臣、大蔵大臣も、これはいけないということをはっきり認めていらっしゃる、善処いたしますと言っている。 それから、今看護婦は足らない足らないといいますけれども、有資格者がたくさんいるのです。優秀な看護力が埋もれているのです。これの掘り起こしが必要だと思う。今養成してもすぐ間に合うものではございません。眠れる二十七万かの優秀な看護力を掘り起こしてもらいたい。それから、これらの人は多く結婚しておりますから、結婚しても安心して働けるように、病院に二十四時間の託児所を設けるとか、あるいは病院が集結しているところには、そこにこうした託児所を設けるとか、安心して働けるような対策が必要である。それから、准看の進学コースは狭いものでございます。希望がございませんからやめていくんです。今中学卒業でも、民間では一万二千円で雇っている。それが中学を卒業して二年行って、それで安い賃金、そしてこき使われている、夜勤ばかりさせられている、それではやめていく人が出てくるのはあたりまえだと思います。だからこの准看対策に対しましては、私どもは実務が四年くらい、その間通信教育なりなんかして、認定講習で国家試験を受けて進級の道を講じる。それから、看護単位がだんだん広げられていく。人がないないといっていじめられるものだから、だんだんひどくなって、百床、二百床くらいを一看護単位にしている。これを一人にやらせている。こういうばかなことはございませんので、看護単位は四十床ぐらいが限度だと思う。こういうことも考えなければならない。さらに、せんだって林委員からも御質問がございましたが、当直であるとか、あるいは夜勤手当が非常に安いんですね、夜勤手当が一時間で四十何円、こんなばかげた金では、夜食食べたら足りなくなります。こういう点もお考えにならなければいけないと思います。さらに、お産をしたあとの一年ぐらいは夜勤はさせない、母体を保護していく、こういう改正が必要だと思う。それから、こういう点はぜひとも、何といいますか、法制化する必要があるのではないか、こういうような財政措置もあわせてお考えにならなければ、今足りない看護婦の充足はとうてい得られない、これらに対して用意があるかどうか。さらに、最近は夜勤婦長の監督という名目で、無資格者の単独夜勤が行なわれる。准看に夜勤をさせることすらできない制度になっているのに、無資格者が夜勤をしている。これでは安心して入院するわけにも参りません。この点についての御答弁を求めます。
○委員長(加瀬完君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(加瀬完君) 速記を起こして。 ただいまの藤原委員の質疑の点は、次回の委員会までに文書をもって全委員にも御回答をいただきたいと存じます。さらに次回に藤原委員の質疑を続行することのご了解のもとに、本件に関する調査はこの程度にとどめおきます。 —————————————
○委員長(加瀬完君) 次に、医療金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。 御質疑のある方は御発言を願います。
○阿具根登君 内容に入る前に、内容としましては、五十五億が八十一億になる問題でございまして、その運営の仕方によっては、まことにけっこうだと思います。 その前に、大臣に御質問申し上げたいのは、私、長い間国会の議席を汚しておりますが、歴代の大臣が、いつの国会でも、医師法の問題につきましては、それぞれの態度が変わってきておる。特に私が覚えておりますのは、坂田道太君が大臣をやったとき、それ以降古井さん、灘尾さん、それぞれ医療報酬調査会の問題については、国会に出して、政府はかくあるべきだという信念を出しておられながら、次々の大臣が変えていく。一体どういうお気持なのか、池田内閣には一貫した筋の通った厚生行政はないものか、医療行政はないものか、それとも、非常に圧力の強い団体のために厚生大臣が弱腰で、どれもこれもほんとうのことをやりきれないのか、その点はっきりお伺いしたい。なぜこういうことを申し上げるかというと、この四月には結核治療に対する重大な変更があるはずです。それがいまだにそれをきめる機関がきまっていない。さらに、二月二十五日には、社会保障制度審議会の会長大内兵衛先生から、臨時医療報酬調査会設置法案を本国会に提出しなかった理由を聞いておられる。しかも、諮問機関として、諮問されたその回答に対して、一つだけは実施されたが、一つは実施されない。しかも、実施された審議会においても、まだその委員もきまっておらない、これでは諮問されたわれわれが、何のために今日まで研究して回答したかわからないようになるのではないか、こういう強い言葉で責められておるものと私は思っております。それにきょうの新聞を見てみますと、大臣の考え方は、答申案でもない。しかも、医師関係の賛成も得られない、保険者側の賛成も得られない、法的にも疑問がある、こういう厚生大臣の諮問機関に類似するものをお作りになる腹だ、そして各方面から反対の声が上がっておる。灘尾さんは、自分が大臣の間にこの答申案をどうしても通したい、こういうことを再三再四ここで説明されました。しかも、衆議院を通って参りました。ところが、今度はそれが全然出ておらない、どういうお考えでこういうことになられたか、四月以降の医療行政についてどういうお考えか、問題が起こらないようにおやりになる自信がございますか、御所信をお伺いいたします。
○国務大臣(西村英一君) 中央医療協議会も、三十六年十一月でしたか、成立して、まだ委員を満足に選ぶことができていないで、はなはだその点は責任者として申しわけがないのでございます。調査会法案のことをめぐりまして、今まで支払い者団体、あるいは医師会関係団体のほうにおいて、いろいろ御意見があったことは十分御承知のことでございます。前大臣からこの問題をうまく取り扱えということで、一つの方法はないかということで、社会保障審議会に諮問をいたしまして答申をいただいたのでございます。それであのような法律案が国会に出まして、一方の法案は通り、一方の法案は通らなかった。その調査会法案が通過しなかったということそれ自体については、いろいろ批判があると思います。あると思いますが、とにかく二回出しましても通過しなかったという現実の問題は、これは現実の問題でございますので、私は、この法律案をこの国会でどういうふうに取り扱おうかということに対しましては、関係の方々、あるいは関係団体の方々等ともいろいろお会いいたしまして、意見をいろいろ聞いて参りまして、その取扱いにつきましては慎重を期したわけでございます。結局私の判断としまして、この国会に提案いたしましても通過の見込みがない、かように判断をして、私はこの国会には提案をしないということをきめたのでございます。それでありますので、まず第一着手といたしましては、答申をいただいた社会保障制度審議会の方々に御了承を求める、了承と申しますか、これは、せっかくああいうりっぱな答申をいただいたのでございますから、一応話をする必要がありますので、お話をいたしまして、そこで、それより後に医師会あるいは支払い側団体のほうにつきましても、それぞれ私どものことも申し述べてきたのであります。新聞等でいろいろ伝わっておりますが、当たっておるところもあるし、当たっていないところも実はあるわけでございます。新聞は別といたしましても、私がとにかくここでざっくばらんに申しますと、審議会のほうは調査会法案を出せと、こういう答申ではないのでありまして、つまりいろいろなそれに対することを言っておるのでございますが、私は、法律を出しても、政治家としては、やはり出すだけでは筋が通らない。出して通過するという見込みがなければやはりこれはいかぬだろう。しかし、社会保障制度審議会の方々は、厚生大臣はかわっても池田内閣はかわらないのだから、なぜ出さなかったのか、こういう筋論を言うのでありますが、私は、客観情勢として、政治情勢として、出してもこれはなかなか通らない。したがって、提案はしない。ただし、社会保障制度審議会が答申をしていただいたその趣旨は十分に考えてやらなければならないから、何かひとつそれにかわる方法はないだろうか、こういうことで、まあ私は私としての方法でいこうと、こう考えたのでございます。こうして、関係団体の了解を求めてきたのでございます。一方、中央医療協議会というものは、これは法律云々は別といたしましても、とにもかくにも法律として現存しておるのでございまして、これはもうぜひとも発足しなければならないことは、もうこれは当然でございますので、その点につきまして、調査会法案についてこういう考え方をするから、中央医療協議会だけは開こうじゃないかと、こう言っておるのが私の立場でございますけれども、まあ今十分両者のほうと話し合い中でございまして、これはどうなるか、ちょっと先は私予測はできませんけれども、その答申を尊重しないということではない。答申は十分私としては尊重して、それにかわるべき方法——調査会法案がそういう問題について医療調査をするのに唯一無二な方法であるか、あれをやらなければ、もう絶対にいかなることもやれないのかどうかということにつきまして、それは他にも方法があるだろう、次善の方法があるだろうと私が考えて、私はそういうことで参ったのでございます。今後のことにつきましてはどうなる、こういうお尋ねでございますが、今後のことにつきましても、私はまだ若干の日にちもありますので、私としてはできるだけの努力を傾けまして、今現にあります中央医療協議会の開催につきましては全力を注ぎたい。これはもう法律があるのでございますから、注ぎたい、かように考えて、関係の団体につきましても、今後とも接触を保っていきたい。しかし、現在の中央医療協議会の構成は、御存じのとおり、中立委員は厚生大臣が任命しますから、これは国会の承認は要りますけれども、できることでございますけれども、他の関係団体には、厚生大臣は、代表者を送って下さいと頼む立場でございます。したがいまして、関係団体がどちらにいたしましても、それはいやだよと、こう言えば、これはどうにもできない組織になっておるのでございます。したがいまして、私は、その点につきましても、なかなか今までの長い経過もありますし、また、強力にやっても、円満な中央医療協議会でなければ事が運びませんので、なるべく皆様御了解の上で、関係団体了解の上でひとつ中央医療協議会を開いて、そして今後の医療問題を進めたい、かようなことで今までやってきたのでございまして、十分先生もその点おわかりであると思われますが、重ねて、中央医療協議会が一年有余になりましてまだ発足ができないことをはなはだ残念に思っております。今申し述べましたような経過をたどって今日に至っておりますが、今後も中央医療協議会の開催には努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○阿具根登君 大臣が非常に御苦労なさっておることは十分承知いたしておりますが、社会保障制度審議会というものは、これは総理府の中にあって、池田内閣総理大臣に答申申し上げるはずですね。そうすると、大臣が言われましたように、池田内閣が社会保障制度審議会に諮問した。今日まであらゆる諮問委員会ができており、そして、その諮問は尊重するというのが池田内閣の一枚看板です。どんなにわれわれが反対した問題であっても、これは尊重しなければならないということで、相当無理な審議もさせられたことが再三あったことは御承知のとおりです。しかも、その審議会が言われておるのは、本審議会は、診療担当者代表の参加の上で、討議に討議を重ね、意見を集約して調査会の設置と中央社会保険医療協議会の開設の二本建ての方策を立案した、こういうことを言われておるわけです。そうしますと、これは議会がきめるのだから、何もこれに拘束される必要はないけれども、そうすれば、一本は通って一本は通らなかった。しかも、一方は、二本が通らなければ協議会には参加しない、利害は医師会と保険関係は相反しているわけです。そうなってくれば、これは制度審議会に対する不信ではありませんか。審議会は、これをどうしても通してもらいたいと、催促がきている。どうして西村大臣になってからこれを国会に出さないか。極端に言えば、自分たちに諮問しておいて、長い間英知をしぼって出した自分たちの答申案が、通らないからと言ってやられるならば、今後われわれはそういう諮問に応ずることはできませんと、こうなることに違いないと思うのですね。そうすれば、制度審議会に、これは国会を通らない、あるいはこれは非常に問題が多過ぎて、これではまとまるにもまとまらない。再度諮問をやり直すか、再度意見調整を求めるか、そういう方法をとるべきじゃなかろうか。そうしなければ大臣が今考えておられること、当たっているのも当たらぬのもあるとおっしゃるけれども、大臣の今のお話を聞いてみても、大体私は当たっておると思うのです。そうしますと、大臣が自分の諮問機関をお作りになっても、私は、これは法律違反だと思います。国会で通ると思いますか。なおさら通らない。その通らないのをあなたは出そうとしておられるということになりはしませんか。この調査会法案は前回も通らなかったから、今回も通らないから出さないと言っておられる。これは衆議院を一回通ってきている。しかし、あなたの構想が当たっておるとすれば、衆議院の社労ですでにこの法律案は通さないと言っている。そうすると、私は、あなたの構想のほうがなお危険だ、通らない、こういうふうに考えるわけです。そこで、非常に苦慮されておるけれども、これは四月までにまだ今のままでいくのじゃなかろうか、こういうふうにもたもたしておる、基本的な医療行政がきまっておらないところに持ってきて、金融公庫法の問題も、これはけっこうな問題ですけれども、まずこういう基本的な問題、今まで一番重要な問題として歴代の大臣が苦慮されたものをどういう方向で解決されるのか、あなたはここでどうだということをおっしゃらなかったけれども、新聞などの報道は私は合っておるのじゃないかと、非常に心配しておるのだけれども、これは大臣としてもこういう考えでいかなければならぬと思っておるのじゃなかろうか。そうすれば、私たちはなお通らぬのじゃないか、こういう考えを持っているから大臣に質問しておる。そうじゃなかったら、この新聞に出ているあなたが諮問機関を作ることをやらないとおっしゃるならば、それは別です。それならば四月までにどういう機関をお作りになるのか、御質問申し上げます。いかがですか。
○国務大臣(西村英一君) 私の言っておるのは、社会保障制度審議会の答申は非常に尊重する、また、尊重して今まできたわけです。きてやったけれども、それはうまくいかなかった。しかし、それが唯一無二の方法ではなかろうから、その次善の方法を考える。その次善の方法というのは、答申にもありますように、調査会を作りましても、やはりその道の学識経験者にお願いをして、医療の問題をいろいろ討議して、いいルールができればいいルールをきめるということでございますから、厚生大臣の責任においてやはりそのことを運びたい。厚生大臣がみずからの責任において学識経験者にお願いをして、そうしていろいろ積み上げて、御承知のとおり、医療問題は非常にたくさんの問題を含んでおるのでございます。たとえば、やはり医業とは、その企業としてどういうふうな立場にあるのか、あるいは医療金融の医者に対る推進は、やはり社会的に見てどうあるべきだと、いろいろなたくさんの問題を調査しなければならぬし、それらは役所でももちろんやらなければならぬ仕事でございまするけれども、やはり学識経験者にお願いをしまして、いろいろ調査をしてみて、そうしてその結果に基づいて厚生大臣が一つのこれは資料にする、こういうことを考えてもできるのじゃないか。調査会ができましても、やはり調査会としては、いろいろ調査研究して何かを作るでございましょうが、それはその調査会でできたものは、必ずしも中央医療協議会を拘束するものではないと思うのです。したがいまして、私は、調査会と医療協議会を切り離して進みたいと思う。けれども、今までの勢いで、やはりなかなかそこに問題があるわけでございまするが、実質的な調査は、十分審議会の答申に基づいてやる、それが法律が通らないから、厚生大臣の責任においてひとつやろう、これでひとつ皆さんどうですかと、こう私が呼びかけておるわけでございまして、その点は厚生大臣がやるのですから、厚生大臣がやろうと思えばできるわけです。私は、中央医療協議会の問題にかかわらず、今後医療問題を検討する機関はやはり要ると思うのです。他日またそういうことが問題になってくれば、これは法律を考えるかもしれませんけれども、当分は私は厚生大臣みずからの責任でひとつ調査機関を持ちたい、しかも、それは調査機関と申しましても調査会とか審議会というのを作るのじゃなしに、個人々々のお医者、個人々々の学識経験者に頼む、こういうことであるわけでございまして、その点は今後も努力を進めて参りたい。それとまた並行して、中央医療協議会のすみやかなる開催をひとつ私は希望いたしているのです。そのつもりでまた努力をいたす考えを持っている次第でございます。
○阿具根登君 もう堂々めぐりになりますからやめますが、新聞で見てみましても、私が結論から申し上げると、今まで歴代の大臣が、私どもの質問に対して、いかなる圧力にも屈しないで、厚生大臣としての責任においてやりますということをどなたもおっしゃっているが、どなたも圧力に屈しているのです、率直なところ——おわかりですか。それであなたがこの構想を出しておられるので、医師会側から言えば、医者の経験の豊富でないものが、何で医者の問題をきめる権限があるかということです、極端に言えば。医者の経験も豊富に持たない人が何の良識ぞやということなんです、これはひとつは。そうすると、一方からすれば、法的裏づけのないのが何のそういう権限がありますか、こう言って、今度は保険者側からは責められているわけなんです。理屈を言えばどっちも私は通っていると思う。そうすると、今までのやつが堂々めぐりなんです。大臣が心配されて、これをやろうとされても、両方から反対してくるわけです。今度のこの問題については両方からです。それでも大臣が、それじゃいかなる反対があってもおれは国会に諮らない、自分の信ずる機関によって答申を受けたやつを受けてこれを決定していくんだ、こういう心がまえがあるならそれはいざ知らずとして、私はそれはできないと思うんです。法律案を出してもこういう反対があるのです。医者じゃないものが医者のものをきめるということがあるかというのが、一方では非常に根強いのです。そうしてきますと、法律でさえ通らないやつが、大臣が法律によらないやつできめた機関で通る、また、その機関がスムーズに運営ができるということは、これは私の常識では考えられない。だから、大臣のよりどころというのは何か、やはりよりどころというものは、答申案か何か、少なくとも多数の方が、あれだけの方が集まって研究されたのだ、それをよりどころにして審議をされるならば、私はそのほうがよりベターだと思うのです。これはむずかしいからと言って、あなたが法律外のものを持ってくれば、なおさらむずかしいということを私は申し上げているわけです。そういう点を十分ひとつ考慮してやっていただきたいと思います。 それから、これは五十五億が八十一億の政府出資になるのですが、この貸付状況は、資料でちょっと見てみますと、非常に高い率で貸し付けをされている。今日こういう金融機関問題で、これだけ申し込み数と実施数との差があまりない、いわゆる申請をしたならば、そのうちの七割から八割近くなりますか、それだけ貸し付けが行なわれている機関というものはあまりないのじゃないかと思います。非常に私はこれは恵まれたところだと思うのです。また、今日の医療機関を見る場合にも、より恵まれているものだと思っているわけです。 それで、その貸し出し条件の緩和というのがございますが、どういうことを緩和されているのか。それから今度の二十六億円増したやつでどれだけこの件数がふえてくるだろうか、なお、また、返済分はたしか二十億だったと思うのです。貸付回収金が二十億になっているが、三十五年からだから無理はないと思うのだが、貸付回収金の成績、このごろは人間がたちが悪くなって、盛んに新聞等にも伝えられているように、秀才を教育したら、秀才が金を払わなかったといって、国民から非常に非難を受けている。人を助けてもらおうとしてお医者さんに金を貸したら、医者が払わなかった、返してもらえぬということがたくさん出てくる。そういうことがなければまことにけっこう、そういうことはないと思いますが、ひとつ返済状況等もお知らせ願いたい。
○国務大臣(西村英一君) 政府委員から答弁させます。
○政府委員(尾崎嘉篤君) 貸付条件の緩和でございますが、医療金融公庫におきまして貸し付けをいたします場合に、その融資を受けようといたします施設、病院とか診療所のございます地域が、ベッド数がある程度充足せられておるかというふうな条件を考えに入れまして、甲種、乙種というふうに分けておることはご存じのとおりだと思いますが、ベッド数のあまり多くない足りない地区に対しましては、従来とも新築、増改築六分五厘でございますが、それはそのとおりでございますが、そのベッド数の少し多い地域、そういうようなところには新築とかベッドの増を認めないで、それには融資をいたしませんで、改築関係の資金を八分で融資しておりました。その点の一部につきまして六分五厘の適用を拡げております。その条件は、防火関係、衛生関係、保安関係等で、医療法等につきまして、これは違反しておるというふうな状態で改善命令を出すとか指導しておるとか、こういうふうなものについて、そうした対象になりますものを六分五厘にすると同時に、新たに、施設が老朽して古くなっておる、これはどうもひどいというふうなことが認定せられました場合には、やはり六分五厘にする、こういうふうにいたしまして、六分五厘の適用のワクを拡げたということが第一でございます。これはずっと続けて六分五厘をやっていくということでございます。 それから、医療機械に関しまして、従来は九分だったのでございますが、それにつきまして、医療機械のうちで、病院、診療所の機能を向上さす、現在技術革新と申しますか、医療も高度に発達いたしまして、いろいろな機械が診療に必要になってくる。そういうようなことで、病院とか診療所の機能を向上さすことに必要な機械、これは種類を限定いたしますが、そういうような機械につきましては、利率を下げまして九分を八分にするというふうにいたしております。この点が大きな差でございますが、そのほか、貸付の対象といたします病院、診療所の坪数、面積、また、その単価等々におきましていろいろ改善をしております。それが第一点でございます。 それから第二点の、貸付資金のワクが多くなった、それで貸付の対象はどうなるかというお話でございますが、原資は九十億が百十億に三十八年度はなりました。政府出資が二十六億、運用部資金七十二億、回収金が二十億と申されましたが、十二億でございます。十二億でございますが、そういうふうな状態で、原資は百十億でありますが、貸付が決定いたしましても、実施は少し年度が変わってくるという場合もあるので、貸付の契約は百二十億までよろしいというふうな話し合いがついておりますので、だいぶこの点は貸付をいたします件数、金額ともにふえていくものと思います。これは大丈夫だと思います。なお、それに対しまして申し込みは、この資料にも出しておりますように、三十七年度におきまして、十二月でもうすでに百四十億をこしております状態で、来年度もかなり条件の緩和と相待ちまして、融資の申し込みは多くなろうかと存じますが、なお、先ほどお話がございましたが、融資の申し込みに対して貸付の率がはなはだいいというお話でございますが、これは市中銀行の窓口になっておりますが、窓口におきましていろいろ審査を第一されておりまして、そこでスクリーニングにかかっておる程度で、ほかのいろいろ金融機関の率と比較せられる場合に、そういうふうな条件は一つ考えに入れていただきたいと思います。 第三の問題の、回収金の状態でございますが、回収金は、今予定どおりと申しますか、以上入っておりまして、予定は、たとえば三十五年度ゼロだったのでございますが、四千万、それから三十六年度は二億予定しておりましたのが三億七千万円、三十七年度は十二月末で今六億九千六百万円入っておりまして、大体回収金は予定どおり焦げつきは今のところ起こらないように存じております。 —————————————
○委員長(加瀬完君) 委員の異動についてお知らせ申し上げます。 本日、野上元君及び小平芳平君が委員を辞任せられ、その補欠に柳岡秋夫君、中尾辰義君が選任されました。 —————————————
○委員長(加瀬完君) ほかに御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加瀬完君) 御異議ないものと認めます。 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明かにしてお述べを願います。 御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加瀬完君) 御異議ないと認めます。 これより採決に入ります。医療金融公庫法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(加瀬完君) 全会一致でございます。よって医療金融公庫法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加瀬完君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十六分散会 ————・————