社会労働委員会 第4号
- 発言数
- 78 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/02/19
会議録
○委員長(加瀬完君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。 社会保障制度に関する調査の一環として、厚生省関係予算及び一般厚生行政に関する件を議題といたします。 質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○藤田藤太郎君 水俣病の問題について御質問を申し上げたい。 二月十八日、きのうの朝日新聞に、今までわれわれが頭を悩ましておりました水俣病というのが、熊本大学の入鹿山教授の発表で、水俣工場の泥の中からメチル水銀化合物を検出した、であるから、水俣病の原因というのは、やはりその有機水銀の廃液が問題だということを、大きく見出しできのうの新聞に出しているわけです。私は、この水俣病というのについては、いろいろと今日まで心配して参りました。昨年の十月に現地へ参りまして、これはまあ目的が違いまして、争議の調査を中心にして参ったわけでありますから、この問題に触れなかった。ただ、水俣病を非公式に聞いたところによると、水俣病は減るどころか、ふえているんだというお話を私は耳にはさんでおって、非常に心配をいたしました。先日も局長に、こういう次第だから、よく調べておいてもらいたい、まあ公式か非公式か、とにかくこの病気がなくなることが、また、予防ができることがいいことなんだからといってお願いしておいた。ところが、きのうの新聞にこういう工合にでかでかと出るということになると、私は、この水俣病は問題だと思うわけです。それで、厚生省としては、この記事を含めて、現状をどう把握しておられるか、お聞きしたいと思うんです。
○政府委員(五十嵐義明君) 昨日の新聞に「廃液説」というような見出しで、工場の泥から水銀の化合物が発見されたというような報道がありましたことは私も承知いたしておりまして、この点につきしては、ただいま実は熊本県を通じて、当該の大学並びに市のほうに照会中でございますが、ただいままでわかりましたところでは、この入鹿山教授が学内の抄読会と申しまして、学者の研究の内輪の会合でございますが、その際に話をした内容が新聞に取り上げられたと、こういうふうに伝わっておりまして、その内容の詳細につきましては、ただいま照会中でございますので、この席では申し上げる内容がないわけでございますが、患者がふえているかどうか、そういったことについて厚生省はどういうふうに実情を把握しているかということでございますが、お手元に資料を提出いたしておきましたので、その資料につきまして御説明を申し上げたいと存じます。 最初おわびを申し上げたいのでございますが、一点だけミス・プリントがございましたので、その点を訂正させていただきます。資料の一番左側の上に「水俣病」と書きまして、カッコして四十才から六十才までは三十人、零才から九才までが二十四人、その他三十五人と書いてございますが、その二十四人が二十三人の間違いでございますので、その点を訂正させていただきます。 そこで、水俣病の診断決定されまして患者が発生して参りました経過を見て参りますと、ただいま御説明いたしました水俣病の欄の下のほうに、それぞれ年次を追いまして、二十八年が一人、二十九年が十二、三十年が九、三十一年が四十三と、こういうふうに毎年患者が発生いたしておりまして、三十六年が一名で、三十七年は発生していない。これに対しまして、不幸、死の転帰をとりました者がその右側に書いてございまして、二十九年の五名、三十年の三名、三十一年の十名というふうに、昨年三十七年一名という形で、三十五人の方が亡くなりまして、最初から水俣病として診断されました八十八人の患者の中で、五十三人がただいま就職、あるいは在宅、あるいは入院加療というような形をとっているわけでございまして、その五十三人の内訳は備考のところに書いてございます。入院が十六名、在宅が三十五名、就職が二名でございます。これと別に、水俣病との関係が必ずしも明確でございませんで、脳性小児麻痺——この一番上のまん中の欄でございますが、という診断のもとにその決定を検討いたして参りました十七名の患者があるわけでございまして、三十年に四人、三十一年に七人、その後四、二というふうに、十七名の患者があったわけでございますが、この患者の中で、三十六年並びに三十七年に一人ずつ不幸にして亡くなりまして、その病理解剖をやりまして、その結果、これは水俣病と全く同じものであるということが確定いたしましたので、これも備考欄にございますように、三十七年の十一月二十九日に、水俣病患者審査会におきまして、この十七名を全員水俣病と認定いたしまして、そのうち、生存いたしております十五名の方が、五名だけ入院、他は在宅というふうな形となっておるわけでございます。このようなことで、水俣病全体を通じてみますと、一応年ごとに発生と死亡とを相殺いたしまして、その生存者の数を左から二番目の欄に集計してみたわけでございますが、二十八年が一人、二十九年が八名、以下十八、五十八、六十、六十八、七十、その次も七十、これを最高にいたしまして、三十七年が六十八、こういうような数字になっておりまして、増加しておるかどうかということにつきしては、この三十一年の両方合わせまして五十名の発生というのが最高でございまして、それ以後増加の傾向とは必ずしも考えられない。また、あるいは一部に、最近患者がふえたというような印象がありますとすれば、昨年の十一月に、従来診定につきまして問題のありました脳性小児麻痺を水俣病と決定いたしまして、十七人をこれに加えたというようなことから出たあるいはその印象ではないかともとれるわけでございます。なお、地元の事情をいろいろ聞いてみますと、この疾病の発生の地域は、比較的限られた地域でございまして、必ずしもこの疾病を隠蔽するとか、そういった事情はないようでございますので、大体この数字の示すような傾向になっているというふうに私どもは理解いたしておるわけでございます。 なお、参考のために、この中毒対策といたしまして、国が三分の一の治療費を補助いたしておりますので、その予算額並びに決算額を第二のところに記載いたしておるわけでございます。
○藤田藤太郎君 これは新聞に書かれていることですから、私は、それ以上の詳しいことは専門知識がないのでわかりませんけれども、ここに学会として明確にしたことは、一として、「水俣病の原因は有機水銀である。(二)、体内に有機水銀を含んでいる貝や魚が多量にいるのは水俣湾だけ、(三)、新日窒水俣工場の排水溝や水俣湾の泥の中には有機水銀がある」という、この三つの点を学会としてあげられているわけです。それで、新日窒の水俣工場で水銀を使っているのは、塩化ビニール工場と酢酸工場のこの二カ所である。この中で、酢酸工場の反応管にあったスラッジ三グラムの中から有機水銀五ミリグラムを検出した。このうち一部は塩化メチル水銀の結晶として取り出されたということが新聞には書いてあるわけでございます。昨年の春じぶんから昨年の暮れまでには、工場の機能が争議で少し麻痺しておりました。その間において、この塩化ビニールや酢酸工場というものがどれだけ活動したかどうかということは、私のはかるところではありませんけれども、三十七年には一人も出なかったという統計がここに出てきているわけであります。しかし、いずれにしましても、水俣病八十八名のうち、三十五人が過去の統計の中から死んでいるという事実、この有機水銀というものが人体に入った場合に、生命を絶つほどの非常な大きな原因をなしているということになりますれば、私は、やはり人命を絶つほどの重大なものでありますから、これは重大な決意をしてこの予防に当たらなければならないと思うわけであります。 そこで、話は前に戻るわけですけれども、私は、その心配がありますから、水俣病はどうなんだということを個々に聞いてみたわけです。そうすると、いや減ってないのだという話をして、むしろふえる傾向じゃありませんかというようなことをいわれたものですから、それで私は心配になって、そこでは問題にしなくて、厚生省で研究してくれというお願いをしておったところが、きょう統計を見てみると、減っているという状態なんです。だから、向こうのほうの公式の報告で、こういう状態を、これを信用する以外にはあなたのほうもないでしょうし、私のほうもないわけでありますけれども、実際問題として、表はこれであるけれども、裏には患者がいるのだ、まだ出てくる可能性もあるのだというようなことでありますれば、工場がこれからどんどんと作業を行なう、二つのところで有機水銀を現に使っているという現実があるとするなら、私は、その点はこれからいろいろ研究する云々ということでなしに、こういう工合に、態本大学の教授が学会で明確にこういう結論が出たというなら、これは至急にこの対策を立てて、そうして今後水俣病によって人命が絶たれない、こういうやはり根本方針を立てるべきではないか、私はそう思うわけでありますので、専門的な立場から、厚生省の当局として、これは何らかの対策を早く立ててもらいたい、私はそう思うのです。だから、方法としては幾つもあると思いますけれども、さしあたって、やはり表からも裏からも現地に人を派遣して調べてみるということが必要ではなかろうかと私は思う。それで、実際問題として、この工場が、有機水銀が泥に含まれ、水の中に含まれて海に流れるということであれば、やはり何とかそれを食いとめるという手を打たなければならんのではないか、私はそう思うわけであります。ですから、そこらあたりの見解をひとつ局長からお聞きしたいと思うし、大臣からも御意見をお聞かせいただきたい、こう思うわけです。
○政府委員(五十嵐義明君) この疾病につきましては、私も前の時期からの経過もある程度承知いたしておりますし、また、非常にお気の毒な実情をフィルム等でも拝見いたしているわけでございますが、この入鹿山教授の新しい知見と申しますか、その結果取り上げられます行政的な問題がございますならば、従来もこの点につきましてはいろいろ手を尽くして参ったわけでございますが、この新知見につきまして、率直に私どもその内容を検討いたしまして、取り上げるべき措置が、さらに追加して行なう必要がありますれば、これを実施していくのに決してやぶさかでないわけでございますが、従来とりましたこの措置といたしましては、三十三年から漁獲の禁止等を指導いたしまして、魚による中毒を避けるということを実施いたしました。かたわら、会社の側でも、自主的に排水処理の施設を完成するとか、あるいは浚渫埋め立てを実施するとか、この問題をめぐりましていろいろな対策が講じられたわけでございますが、御指摘のように、新しい意見が伝えられておりますので、十分に地元の事情を調べて、必要がありますれば、さらに行き届いた措置をとるように検討させていただきたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) ずいぶん前からの病気でございまするが、いまだにいろいろ御質問があるようなことになっております。まあ非常にむずかしい問題であろうと思われまするが、せっかく私もやはり現地に人をたびたび派遣しまして、これからも十分取り調べをいたしていきたいと思っておりますから、どうぞ御了承を賜りたいと思います。
○藤田藤太郎君 私は、きょうはこの問題はこの程度にしておきたいと思うのですが、これはどうもそういうことを言っていいかどうか知らないけれども、どうも私らが表で聞くことと裏で聞くことが違うというような格好では、私は困ると思うのですよ。だから、これは何も裏からこっそり調べて来いとは私は言いませんけれども、人命に関することですから、いろいろな角度から、通り一ぺんの行政上の報告をぜいということだけでなしに、私は、やっぱり調査をしていただきたいと思うのです。そしてすったもんだ言うた結果こういう問題が出てきたということになると、それでは何をしているのだということに、国会もたいがい取り上げてきたけれどもどうなんだということが、私は、現地から国事に対するむしろ批判の目が出てくるのではないか、そういうことを心配しているのです。とにかく事実を明らかにして、やれるだけのことはやる、やれぬことはやれぬということを明らかにここではすべきではないか。表と裏と違う、原因が何かわからないという、うやむやのうちに終わってしまって、今、水俣病はほとんどないんだというタイミングの中でこれが発表されているわけですね。そうすると、国民の関心というのはもう薄れてしまって、何かこの記事に終わって、ぼけてしまう。むしろ事実問題として、患者がおるということがもしも事実であれば、現地の人の感情というのは、これはほんとうに何とも言えない感情ではないか、これを心配するわけですから、そういう意味でどうこうということは、特に注文はつけませんけれども、とにかく実態を把握して対策を立てていただきたい。また、しかるべきときに委員会に報告していただきたい、これをお願いしておきたいと思います。
○山本杉君 ちょっと追加して厚生省に伺いたいのですが、このゼクチオンの結果、水俣病と脳性小児麻痺の患者が同じ結果が出たから水俣病と断定したとおっしゃっていますが、それはどういう点で、専門的なことを……。
○政府委員(五十嵐義明君) 山本先生からたいへん専門的なお尋ねでございますが、実は私ゼクチオンの内容を、どういう点からということは詳しく申し上げるほど勉強していないのでありますが、実はこういう経過だと承知いたしております。普通の水俣病といわれますのは、その湾内に生息する魚介類を食べることによってかかるというのが定説でございまして、それが水俣病でしたが、ところが、今の脳性小児麻痺というのは、赤ちゃんで魚を食べないという部類の中から全く似たような症状の患者が出てきた。その発生起点で疑問があるので、症状は非常に似ておるけれども、これを水俣病と断定するのに、かなり学問的に慎重を期したと、こういうふうに聞いております。それで、たまたま不幸にして亡くなられた患者は、三十六年と三十七年と一人ずつ出ましたので、その疑問を解くために、特に家族の方にお願いして解剖をやってみたら、これは水俣病と断定していいという結論になったので、他の疫学的な要素も含めまして、そういうふうに断定したと、こういうふうに聞いておるのです。
○山本杉君 その断定をしていいというポイントを伺いたい。
○政府委員(五十嵐義明君) これは地元のその患者の診査をする会合がございまして、熊本医大の入鹿山先生以下数人の方が委員になっておられますが、その委員会で解剖の結果、並びに症状、疫学的な要素その他を総合的に判断されまして断定されたというふうに聞いております。
○山本杉君 赤ん坊はその貝を食べていないから、それで脳性小児麻痺という病気と水俣病が違うわけだと、こういうわけなんでしょう。それで、その赤ん坊を生んでいるお母さん、そのお母さんに何か問題があったでしょうか。
○政府委員(五十嵐義明君) お母さんに症状の出ている方と、そうでない方があったようであります。
○山本杉君 それでお母さんがやっぱり症状が出ておりましたですか。
○政府委員(五十嵐義明君) お母さんに症状の出ている子供もあったわけです。
○山本杉君 その点をもう少し詳しく知りたいと思いますので、資料をひとつ。
○委員長(加瀬完君) それでは資料にしてひとつ委員会に御提出下さいませんか。
○政府委員(五十嵐義明君) では、ただいまの点を資料にいたしまして御提出いたします。
○藤田藤太郎君 私は、大臣に、今度の予算一般について御質問をしたいと思うわけです。 大臣就任以来、非常に各方面に努力をしていただいておりまして、私たちとしては、社会保障の問題は、どうも与野党角突き合わせて議論するような問題でなく、何としてもこれは推進したいという熱意を持ってこの行政に取り組んでいるわけであります。そこで、そういう立場からいたしまして、大臣の努力には感謝をいたしているわけでありますけれども、ただ私は、ここで第一に御見解を承りたいことは、どうも池田さんは、日本の経済は非常に成長したとおっしゃる。そして、その成長していったという基礎になっているのは、非常に急角度な設備拡大が行なわれた。生産能力は非常に向上したのでありますけれども、その向上が十分に活動をしていない。そして、たとえば長時間の労働と、それから低賃金と、しなければならぬ完全雇用と最低生活の保障が置き去りにされて、そして本来その補完処置であるべき社会保障そのものが、荷がどんどんここへかかってくるという感じがするわけであります。そうして荷がかかってくるけれども、それでは荷のかかってくる分だけ社会保障政策の中で全部消化できるかというと、なかなか私はできない要素を多分に持っているのではないか。たとえば働ける人が働けないので、生活保護の費用をもらっておるというようなことになりますれば、これも一つのむだといえるでありましょうし、だから、そういう点から考えてみますと、非常に、全般の政治の施策として足らないものがある。そこでこの社会保障の問題に入ってくるわけでありますけれども、社会保障の問題に入ってくると、あちらにもこちらにも、社会保障はやるのだという格好ですから、あちらにもこちらにも、たとえば所得保障にいたしましても、それから福祉の援護にいたしましても、大臣努力されておるのでありますけれども、ほんとうに現実の生活の面にぴったり合った十分な施策というものができないで、ちょこちょこっとという工合に保護や援護といいますか、または施策を延ばしておられるということになってくるわけであります。今後いろいろと問題になってくるでありましょうけれども、所得保障の柱である年金の問題がそのままになっておったり、福祉年金が百円プラスというようなことになってみたり、やはり努力されていても、そういうことになっていくきらいがあるのではないかと思うわけでありますから、第一にお尋ねしたいことは、私は、やはり人命というもの、それから身体保護という人間の生命に関したことは、厚生行政でやはり全部守っていくということでありますから、厚生行政を進めるにあたって、厚生大臣は、前段の経済政策や労働政策、そういうものに強い意見をお出しになって、本来のそれがまず完成されることによって社会保障も実質的に前進するのだというような工合のお心がまえで、閣議の中で、そしてまた社会保障を進められるお心持があるのかどうかということを私はお聞きしたいわけであります。
○国務大臣(西村英一君) 非常に大所高所からの御質問でございますので、非常にむずかしい問題でございまするが、さりとて、現在の社会保障の考え方は、やはり昔の考え方と多少変わってきておると思うのであります。俗に社会保障と申しますると、何かこうあわれみをかけてやるのだというようなことから、今ではやはり社会保障というものは、勤労の前提条件たる働くための一つの条件になっておるのだということではなかろうか、そういう意味において社会保障を考える人が多くなっておる。また、そうでなくちゃならぬだろう、こういうふうにだいぶ変ってきておるわけでございます。たとえば社会保障の中でも、やはり環境整備等につきましても、今まではこれが環境整備というようなものは公共投資というようなことにはあまり考えられていなかったのでございます。公共投資と申しますれば、御承知のように、道路だとか港湾だとか、あるいはその他の問題でございまして、いわゆる社会保障というものは、そのために費した金は公共投資というような面では考えられる点が薄かったのでございまするが、やはり今ではそういうふうな社会保障の一つの柱であります環境の施設等につきましても公共投資だというような面が非常に強くなっておることは、政府も認めつつあるのでございます。したがいまして、藤田さんの申されるように、池田内閣といたしましても重要視してはおりまするが、しかし、その内容たるや、まだ貧弱であるということは、私も十分とは申されません。そのとおりであろうと思うわけでございます。しかし、少なくともやはり勤労の、あるいは生産の前提条件として社会保障は重きをなしつつある、こういうことだけはいえるのでありまして、厚生大臣の私といたしましても、そういう自信のもとに今までも発言をしたし、これからもまた努力をして参りたい、かように考えておる次第でございます。質問がなかなか大所高所でございますので、私のこれは質問にお答えしたかどうかわかりませんが、気持といたしましては、勤労の前提条件、生産をあげる前提条件、そういう条件のもとにおいて社会保障制度を進めるのだという気持でやっているわけでございます。
○藤田藤太郎君 もう少し例をとって申しますと、たとえば国民所得の一人平均にいたしますと、一昨年が十五万円だ、それで昨年——今年ですが、今年の三月の三十七年度になりますと十六万五千円ぐらいになるのじゃないかといわれている。ところが、たとえばその低所得者の実態調査を労働省あたりでやりますと、オーバー・タイムその他の一切の収入を入れて年に十二万円、月一万円、長時間の時間外も入れてです。それだけの人が五百九十九万もいる。それから一世帯でやはり月一万円、これは零細農家がおもでしょうが、月一万円、年十二万円以下の人が三百五十万もいるということになりますと、たとえば一戸三人から五人の世帯で月一万円以下の生活をしているということになりますと、私は、やはり今の憲法の建前からいって、保護の手を差し伸べなければならないと思います。そうすると、これは厚生行政にかかってくると思います。人命尊重といいましょうか、身体保護といいますか、生命、生活保護という立場から厚生行政の手を差し伸べなければならないと思う。一面、勤労の場を考えてみますと、世界の国では、土曜、日曜休みの四十時間労働で完全雇用の道が——労働能力のある者は、すべて労働力を通じてすべからく社会に貢献していくという場を政治的に作っているわけであります。ところが、日本は基準法で四十八時間ときめられているが、一週に四十九時間以上働いている人が二千五百万以上もいる。六十時間以上働いている人が千三百万もいるということにおいて、半失業者を含めた潜在失業者が一千万人以上もある。ここにも問題があるわけであります。働こうにも働く場所が与えられないから収入がないという格好で、今のような低所得者ということで摘出すればそういう格好になってくる。貧乏が病気を生み、病気が貧乏を生むという、こういう悪循環の事態というものがそこから生まれてくるわけであります。ですから、私は、基本的には、すべからく国民の能力ある者は仕事について、国の最低生活保障を高めながら生産についていく。その補完措置として、老年とか疾病または廃疾とか、最近の世界的な思想でありますと、子供は社会が育成するというところまで進みつつあるというのが今日の私は事態ではなかろうかと思います。だから世界的の思想によってこの予算書を見てみましても、今の国保の七割給付に努力されましたり、それから児童給付の問題についても、少し頭を上げてこの予算の中で努力をされている。これは世界の流れでございます。努力されていることは私はけっこうですが、内容についてはまだ議論がありますけれども、一応そういう工合にして、やはり何か芽を出していかなければならぬが、今言うような前段の処置が全然問題にされていない。処置がされていないと、結局低所得の中へ追い込まれて、そして貧乏が病気を生み、病気が貧乏を生むという格好で、厚生行政が十分な手が差し伸べられないで次へ転換していく。そして総花的に実がない厚生行政——社会保障に五百何億という予算をふやしていただいておりますけれども、その中で、実際に国民が期待されておるような格好で個々の行政、個々の施策というものが生きてきていないというところに問題があるんではないかということ、先ほどの話をもうちょっとくだいてみるとそういうことになるわけでございます。ですから私は、やはり厚生行政をおやりになって、どんどんと一つ一つの施策を深め、高めてもらうというためには、どうしても前段の施策というものを、強く日本の国全体の政治経済の政策の中に盛り込んでやってもらうということに厚生大臣としてはうんと力を入れていただかなければ、せっかく大臣の努力されたことが、国民の期待に沿った状態で受け入れられないという結果になるんではないか、私はそういう工合に思うわけですから、この前段については、ひとつ大臣の構想——今お話がありましたけれども、前段の、国の政策を進めていく上にはどういう工合にしたらいいのか、そして実質的に社会保障の内容を高めるにはどうしたらいいかというような構想がありましたらひとつお聞かせを願いたい、こういうことでございます。
○国務大臣(西村英一君) 御質問の点は、厚生行政にわたるのみならず、労働問題にもわたるわけでございまして、非常にむずかしいのでございまするが、国務大臣としては、広く考えることはもちろんございまして、今申しました低所得者に対する対策につきましても、これはやはり相当に今までと考えを変えてやりつつあるのでございます。たとえば今まで厚生省が考えておりました低所得者を申しますると、生活保護を受けておる人、及びそれに似たようなボーダー・ラインの人、こういうような方を救うということが厚生行政の対象になっておった。要保護者というものを対象にしておったのでございまするが、今やそういうことはもちろんといたしまして、さらに所得の低い方々に対しましてもいろいろな施策を進めていかなければならぬのじゃないかというふうな考え方に発展をいたしておるのでございます。したがいまして、いずれにいたしましても、社会保障それ自身が勤労の条件だ。しこうして、また、それに対しましていろいろな施設を作りますけれども、それはやはり国家が働く人を作りたい。たとえば養護施設等たくさんありまするけれども、そういうようなものは、ただ国家が食べさしてそのままにしておくんではない。少なくとも、すべての施設はやはり皆さんが社会復帰ができるように育て上げていくんだ、こういうような気持を持ってやっておるわけでございます。ちょっと藤田さんの言葉の端から出ますものは、老齢年金でわずか百円ぐらい、もう何かわからぬようなことで百円ぐらいしか上げないんではないかというようなことがちょっと言葉の端に出てくるのでありますが、実はそういうようなことを進めることにつきましても、やはりいずれにいたしましても、バランスを考えてやらなければならぬと思うのであります。私は、今回一割から三割の間で福祉年金の引き上げをやったのでございまするが、それはもちろん老齢年金にしても、百円引き上げるよりは二百円引き上げるほうがいいことはさまっております。きまってはおりまするが、これは財政とのバランスもありまするし、今、福祉年金を老齢、母子、障害というようなものにそれぞれやっていますが、そのもらった金をどこに使っておるのだろうかという分析からもひとつ考えなければならぬのでございまして、障害年金あるいは母子年金等は、やはりそのもらったわずかな金ですが、それを生計の面に使うというようなことも考えるのでありまして、話はちょっと質問以外にそれたかと思われますが、どうもちょびちょびとやっておるがといいますが、そういうことは均衡を考えつつやっておるのだということを申し上げるために今そういうことに及んだのでございます。いずれにいたしましても、低所得者階層につきましても、今後十分考えて、勤労の条件としていろいろ推し進めたい。どうも質問の御趣旨が非常に大所高所からの、厚生行政のみならず、国政全般にわたるような大問題でございまするから、答弁もはなはだピントに合わないようなお答えになりますけれども、ひとまずお答えをする次第でございます。
○藤田藤太郎君 大臣がどこかへお出かけになるようですから、私は残念ですけれども、次の機会に譲りますが、私の申し上げているのはそうじゃないのであって福祉年金やその他の問題については、またそれは議論もする場があると思うのです。しかし、たとえば大臣、そうでしょう。環境衛生という面を高めて、そして幾らか余裕のある人といいますか、社会全般の文化水準を高めるために環境衛生に力を入れなければならんように自然に追い込まれてきたのです、ひとつは。それから、また、児童を社会が育成するように、その収入等、アンバランスによって困っているという世界の流れによって、日本もつまり児童を守っていくという芽を出していかなければならんというところへ力をお入れになるでしょう。私は、その一つの流れを予算の中に少し盛り込んできたということは否定していない。厚生行政も、どんどんと新しい世界の流れによって文化を高め、それから生活を高めるために上げなければならんけれども、そういうところへ手を差し伸べなければならんけれども、全体の姿を見てみれば、一千万の潜在失業者がおったり、平均一人——赤ちゃんもおじいさんも入れて、十六万円をこすような国民所得があっても、半面、五人世帯で一万円しか月に収入がないというような人が何百万もおるというようなことになってくると、その掃きだめを厚生行政で守らなければならんということになりますから、経済や完全雇用や最低生活保障というようなものに、どんどんとそっちのほうもしっかりやれと言ってあなたががんばられることによって、今まで少しずつ芽を吹いてきた社会保障の施策というものが、内容も充実し、高めることができるのだけれども、そういうところが置き去りにされておりますから、高めることが残念ながらできないので、一つの例として、肝心な国民年金に手をつかねて、福祉年金にちょっと手をつけるというようなことになる。だから、残念なことですから、社会保障をうんと高めてもらうためには、そのほうもしっかり力を入れてやってもらいたい。閣議の中なり政治施策の中でそういうお心がまえがあるかどうかということを私は質問したのです。まだどんどん議論したいことがありますけれども、きょうのところはほかのところへお行きになるならいたし方ありませんから、私は遠慮しますが、そういう点も十分に——もう大臣も厚生行政を担当して、七月から今日までだいぶ時間がありますから、個々の問題について努力していただくことについては私も感謝をしておりますけれども、しかし、熱心に個々には進めていただくのですけれども、根本の問題のところがあいまいでありますから、あなたの努力が報いられない。国民から十分に理解されないような結果に終わるような心配がありますから、私は一言申し上げているわけであります。だから、これはぜひ次の機会にもう少しお話を聞かしていただきたいと思うのですけれども、このくらいできょうはこの問題はやめます。
○国務大臣(西村英一君) よくわかりました。今のお話でよくわかりました。ひとつ一生懸命やります。
○委員長(加瀬完君) それでは厚生大臣が衆議院のほうに参りましたので、 一応藤田委員の質問を保留いたしまして、通告に従いまして、林君。 —————————————
○林塩君 私は、全国的にただいま非常に不足しておりますということで問題になっており、また、そのことのために病院に入院をしておられる方、一般の患者さんに行き届かない看護がありまして、非常に不満を来たしておりますし、それから、また、診療上にも非常に不備だというようなこと、それからいろいろな、今ありました人命保護とか人体保護とか、そういう直接国民の皆さま方に接しております看護婦、准看護婦、この問題につきまして、厚生当局ではどのように対策をしていらっしゃるかということについて伺いたいわけでございます。この前の委員会では、たしかこの看護婦対策が何年かにわたりまして十分に適切でなかったために、全国的の看護婦不足を来たしている問題について厚生当局としては、ぜひ前向きの姿勢で、そして強力な政策を打ち出して実行をしていただきたいということを要望しておきましたのでございますが、三十八年度についてどのような対策がされておりますかについて伺いたいわけでございます。三点について伺ってみたいと思います。 その第一番は、厚生白書によって見ますと、こういうことが書かれてございます。最近に出ました厚生白書でございますが、全国的に非常に看護婦、准看護婦が不足をしておる。それで大都会の近代的な大病院に集中する傾向があるので、深刻な問題になっておるので、これを一応解消するために、看護婦などの養成のための貸与制度の創設をした。そして三十七年度におきましては、対象は千三百人に過ぎませんが、三十八年度以降におきましては、大幅にこの事業の拡張を期している、こういうふうに書かれております。それでございますが、調べてみますと、そういう意図がほんとうに予算の上に盛られているかどうかということでございます。昨年度は、予算の上では、それをいたしますときにこういうふうになっておるようでございます。貸与対象が千三百人といたしまして、それでとられました予算が千八百万円、それから三十八年度におきましては、なるほど額はふえておるわけでございます。三十八年度におきましては三千二百万円となっておりまして、その対象になっておるのが書かれてございませんが、この中で、千三百人に対してそれが実際に貸与されておるとすれば、それが今回三年課程でございますので、二千六百人分なければならないはずでございます、現状維持でありますれば。ところが、この対象が二千二百八十七人ということになっております。これについて大幅にこれを増額するということになっておりまして、これによって修学に非常に不便になっておりますところの看護婦の人たち、看護婦を志望する人たち、あるいは准看護婦を志願する人たちに修学の便を与えて、そして、あるいはその意図するというところにございますように、都市に偏在しないように、地方にその人たちが三年ぐらいおりました場合には、その貸与金を解消するという制度だということになりまして、全国的に平均した看護婦、准看護婦数を確保するのだという意図でなされておるようでございますが、私の伺いたいと思いますことは、それがどの程度まで実施されておりますか。三十八年度は大幅にこれを拡張するということになっておりますのに、実際には大幅になっておらないということは、本年度に入学する学生があるわけでございますし、准看護婦もあるわけでございますが、それの対策はどうかということについて伺ってみたいと思います。いかがですか。
○政府委員(尾崎嘉篤君) 看護婦さん方の数が足らないで、いろいろ医療の面で病院も診療所も困っておる、これについて厚生省は前向きで努力をすると言っているのは不十分ではないか、こういうふうなお話でございますが、この点は林先生よく御存じのことで、走れわれも前向きでできるだけ努力をしておるのでございますが、特に貸費生の問題につきまして、来年度が三十七年度予算の二倍の数になっていないという点を今御指摘になったのでございますが、まず人員は、千三百三十人が二千二百八十七名になっております。確かに倍になっておりませんのでございますが、これはわれわれのほうは、少なくとも養成しております生徒さんの三分の一ぐらいを貸費生にしたいという気持ちを持っておりましたのですが、いろいろの状況で今のような数字になりまして、われわれの努力が足らなかったという点もございますが、一つには、三十七年度の千三百三十人を一年生だけに貸しておったわけではない。一年にも二年にも三年にも、これはまあ三カ年コースの場合は貸しておるのではないかというふうな点、それから、予算とか補助金関係の保健婦、助産婦さんの関係のコースは一年ではないか、そういうふうな人もあるのではないかというふうな点、それから、地域的に見てたくさん集中するような地域のところには、こういうような貸与制度の措置が地域の偏在を防止するという立場であるなれば、そういうようなところには貸与制度を国で補助しなくてもいいではないかというふうな意見等もございまして、いろいろもめました末、こういうような結果に落ちついたわけでございます。しかし、われわれといたしましては、補助金も、これだけでは今の状態で決して満足しておりませんので、さらに一そうこの数をふやすように努力いたしますと同時に、各府県でも、独自にひとつこういうふうな制度を作ってもらいたい、こういうふうなことも府県のほうにもお願いしておるような状態でございます。
○林塩君 これは国の補助があります場合には、各都道府県では二分の一補助ができます。それで、各県でこのことについて非常に要望がございます。で、厚生省のほうで国のこういう制度が確立して、それが大幅にとられるようならば、それにつれて各都道府県等も出すことができますけれども、それがないならば、やはり補助のそういうものが出てこないということでございます。現在のでは千三百人でございます。ただいま伺ってみますと、看護婦、准看護婦だけではなくて、保健婦にも助産婦にもこれがということになりますと、もっともっとこの数をふやさなければ、とうてい都道府県のそういう要望を満たすことができないのではないかと思います。それから、聞いてみますと、この制度は非常にいいので、拡充していってもらいたいというのでございますが、これだけのことではとても焼け石に水だというようなことでございます。各都府県でそういうことは出しております。実際にこれの補助率が二分の一になっておりますので、国の補助さえあれば出すことができますけれども、それがない限り、出すことができないというような情勢で、私どもの関係ですが、看護関係でもこれを要望いたしまして、ずいぶん各都道府県で要望を出し、努力をいたしておりますが、厚生当局のそういう面に対する大きな動きがないと、なかなかとれにくいということでございます。で、重ねて申し上げますが、大幅に増額して、そして看護婦不足対策に備えるんだということを、厚生省は、厚生白書の中にもずいぶん書いてございまして、全国的に大きな期待を持っておりましたのに、三十八年度においては何でございますか、一年にも二年にも三年にも貸してやるということでございますれば、入学生というものに対して措置をしてないということになり、非常に失望、落胆をしていることで、これはここに書いているのがほんとうにされるだろうと思って、厚生当局の看護対策に対しましてみんな期待を持っておりましたのが、三十八年度においてはそうなされていないための非常な失望でございます。これではどうしても看護婦、准看護婦の不足というものは補われないんじゃないかということでございますが、重ねてこういうことに対してどうお考えになっていらっしゃいますか、もう一度伺いたいと思います。
○政府委員(尾崎嘉篤君) 対象人員が、三十七年度千三百三十人が二千二百八十七人にふえた。それだけでは倍にもなってないし、前進度が少ないというおしかりでございますが、われわれもこれで満足しておるものではございませんで、さらにこれを将来伸ばしていかなければいかぬと、こういうふうに考えておるものでありますが、国家の補助がなくて府県で予算がとれにくい、これは事実だと思います。ただ、国が実はやります前にも、栃木県とかいうふうに、府県で独自にやっていただいたところも国の補助の以前にありまして、全然不可能ではないと思いますが、確かに補助がこういうふうにできますと、補助がないとなおさらやりにくいというふうなことが逆に今度は起こってくるということもありますので、われわれのほうもできるだけ努力をいたしたい。なお、増加した分につきましては、これを一年生に重点的に、また、地域的に見て、都会へ吸い上げられるというふうなところにできるだけ重点的に出すような方向で考えていきたいと、こういうふうに思っております。数が御期待に沿われなくて、われわれの努力が足らない点は、さらに一そうわれわれも努力いたしますから、また御鞭撻をお願いいたします。
○藤原道子君 関連。看護婦の不足が今どれほど深刻になっているかということを医務局長は知ってらっしゃるんでしょうか。私は、この委員会でも毎年やってるんです。ここで力が足りませんでしたであなたお済ましになるけれども、ほかにそれでは充足の方法はあるんですか。もう今一刻を争うくらい看護婦は不足している。ことに志望者が減ってきておる。これに対処するには、こんな目くされ金でなくして、思い切った奨学金制度をとらなければ、とても充足することはできないと思う。それによっていろいろな悲劇が起きて、患者が事故死でどんどん死んでいる。その責任は看護婦がとらされている。こんなばかげたことで看護婦になり手があるはずがない。ですから、まことに力が足りなくて申しわけありませんでしたとおっしゃるけれども、今の現状を早急にどう対処しておいでになるお心がまえか、それから聞きたいんです。看護婦問題は非常に重大でございますから、とてもきょうすべてお聞きすることはできないと思いますけれども、とにかくそういう答弁では納得できない。しっかりした答弁を聞きたい。
○政府委員(尾崎嘉篤君) 看護婦の不足の状態をおまえ知ってるかというお話でございますが、前に国立病院課長をやっておりまして、多少実際にも当たっております。また、ほかの病院の状態等もよく聞かされておりますので、不足の状況につきましては、かなり知っておるつもりでございます。それで、この不足に対処しまして、まず看護婦をふやしますには養成機関が必要だ、そのワクをふやしますのが、三十七年度におきまして二カ所の補助予算だったのを、三十八年度におきましては、新設が四カ所、増設が八カ所、合計十二カ所にふやしております。このほかに国立病院で五カ所新設をするように、ですから二カ所に対しまして十七カ所というふうに新増設のワクをふやしている。また、養成所におきましても、定員が、たとえば正看護婦養成所の養成能力は四千五百から五千くらいあると思いますが、それが実際には三千七、八百くらいしか入学者がいないと思いますが、それは各施設々々で経営が苦しいというところからだろうと思いますので、その養成所の運営費に対しての補助を考えたのでございますが、いろいろな都合で、これは養成所の備品費というような形で、これは新規で六千八百万円組んでおります。これは二百七十カ所の養成所の運営を補助していこう、こういうような立場で考えております。こういうふうにいたしまして、看護婦、准看護婦を養成するワクを拡大していく、できるだけそのワクを持っておるところは定員一ぱい採ってもらうようにして養成力をふやしていく、こういうふうにしていきたいと考え、また、今の伸びが少ないじゃないかというお話でございますが、貸費生の予算として一千八百万を三千二百万にふやしてきておる。こういうふうにして、根本的の養成につきまして、看護婦さんの供給力をふやすように努力することが第一である。しかし、これは卒業しますまでに時間がかかりますので、現場の今の困っている状態には役立たない、こういうところから、肩書きなどを調べてみますと、かなり資格を持っておられる方が家庭におられて、条件によれば働いてもいいというような方がかなりの数があるということもわかっておりますので、 パート・タイムでそういう方を活用して、暫定的にこの期間を乗り切っていくというようなことも考え、また、さらに、根本的に看護関係の仕事を看護婦さんだけでやるというものの考え方を、補助者の方も考えて、看護要員として全体として考える、こういうように考え方を変えていって、そうして今の四人に一人というようなことでなく、将来は三人に一人くらいの要員を看護要員として確保するというようなことで最低を考えて看護力を確保していく、前向きの姿勢でこれに対処していくようなことを計画し、それを実施するために、三十八年度からは局内に一つ看護課を新設して、専門に当たらしていくという前向きの姿勢でわれわれは努力しておるつもりでございますが、いろいろまた御鞭撻、御教示を願いたいと思います。
○藤原道子君 その看護婦の不足する原因は、いずれまたほかの機会にお伺いするのですが、今の充足に対しての心がまえが足りないというのです。私は、東京都の医師会が三十七年二月に実態調査したのを見ても、三千二百八十名くらいの看護婦を雇ったと思うと、その期間中に三千四百五十四名がやめているのです。三千二百八十名雇って三千四百五十四名がやめているのですよ。このやめている原因は、これはいずれゆっくりやらなければならないと思うのですが、どこにあるか、ここに問題がある。にもかかわらず、養成に対してのあなた方の心がまえが非常に足りないのですよ。これで一番苦労するのは国民です。看護婦の重労働は言うに及ばずですよ。今あなたはパート・タイムでどうとか有資格者がどうとか、有資格者がなぜほかの職種で働くかということが問題です。パート・タイムを雇ったって、あるいは看護婦以外の要員で充足したいとおっしゃったって、そうなれば、今ですら看護婦さんの夜勤は一カ月に十五日、二十日やっておりますよ。看護婦でない人が看護要員になれば、それだけ看護婦さんの夜勤がまたふえていくでしょう。パート・タイムがふえれば、それだけまた看護婦さんの夜勤がふえるでしょう。だから、根本的な養成からタイムにあわせて考えていかなければならない。これはどうしてこういう結果になるんでしょう。
○委員長(加瀬完君) 的確に答えて下さい。
○藤原道子君 そのものずばり答えて下さい。
○政府委員(尾崎嘉篤君) この看護婦さんの不足、やめていく数が多いということは、ほかの産業のいんしんと申しますか、その方面の待遇と看護婦の待遇と労働条件とのバランスの問題だというのが一つだと思います。これが一番大きな問題だろうと思います。したがいまして、看護婦さんの待遇をよくするというようなことについて、われわれといたしましても努力をせねばならない、こういうように考えるものでございます。 なお、養成力の増大は、先ほど申しましたように、三十八年度予算では、三十七年度に比べまして、予算額にいたしましては二十数倍の増加を来たしておりますが、またさらに一そうの努力を続けていきたいと思います。
○林塩君 そのお言葉の前向きのというようなことをどうぞよろしくお願いしたい。それで、言っていることと実際とが違うということで、政策が立てられていないというふうに思いますので、その点よろしくお願いしたいと思います。 次に、今看護婦を養成する、准看護婦を養成する機関の問題でございます。看護婦が必要である、准看護婦が必要であるということですから、どこからそれが作り出されるかということになりますと、看護婦学校及び准看護婦学校でございますが、それの運営費の問題でございます。看護婦学校が今百七十ございますが、その運営はどうしてされているかということでございます。それにつきまして、病院付属になっておりますために、それが全部医療費の一部がそれに使われて運営がなされるという、非常に不合理な状態でございますが、そのために十分な教育もできない。それから、また、看護婦教育が進まない。それから、また、病院当局が看護婦を自分の病院のために確保したいと思いましても、待遇その他の問題でなかなか確保できない。それにお金がかかるような学校あるいは養成所を持つことは損であるというような考え方からいたしまして、看護婦学校がふえて参りません。それで、これは看護婦学校並びに養成所の運営費に問題があると思いますが、それは医療費の一部が使われているということを、はっきりと将来区別していかなければならないと思いますが、そういう意味におきまして、非常に病院がふえていく、診療もふえていく、それから、将来ますます看護婦、准看護婦という職種は発展していかなければならないのに、その対策ができておらないということでございます。今、局長が、運営費のことについて手当をしてあるとおっしゃいましたが、調べてみますと、それは運営費にはならないわけでございます。それは設備補助金として出ておりますので、運営費といいますと人件費で、学校の先生の人件費というようなものが医療費の中から出ておりますために、医療費の中から出すことができない状態でありますためにいいかげんになっているので、運営費といいますと職員の人件費でございますが、それが行き詰まっております。それに出してもらいたい。それから、運営費を国で補助してもらいたいということをたびたびその筋に要求しておりますが、今回出ておりますのは、これは運営費でないということでございます。そういう運営費の補助はできないという建前だそうでありますけれども、調べてみますと、これは保母学校には運営費が出ております。それなのに看護婦学校の運営費はなぜとられないかということでございますが、この件に関して厚生省御当局の御見解を承りたいと思います。
○政府委員(尾崎嘉篤君) 看護婦養成所の運営費に対して、これは医療費の中から出さなければならない、今の病院の経営の苦しいときに、なかなか養成所を持っておるのは苦しい、したがって、それで補助金を出せというようなお話はごもっともだと思いますし、その上で実は三十八年度予算につきまして努力をいたしたわけでございますが、結果といたしましては、先ほどお話をいたしましたように、備品費という名前において、運営の費用のうちの一部の備品につきましての補助、これが新規に認められまして、人件費のほうは、財政上の理由等で、残念ながら計上されるに至らなかったわけでございますが、このときにわれわれも保母の養成所において今御指摘のとおりの人件費の補助があるのだからということも言ったのでございますが、これは前からあるのでということで、ついに今回は備品のほうだけで、そのかわりにといってはおかしいと思いますが、金額といたしましては、六千八百万というふうな金額がここに計上された状態になっているのでございます。
○林塩君 で、それにつきまして、看護婦教育費、准看護婦教育費というものは、当然これは国の、あるいは都道府県のそういうところで教育費として出されるものであるはずだと思います。なぜかと申しますと、その当たります対象が国民の患者さんであり、それから、また、保健指導を受けますのが国民の皆さんであるという意味で、医療費でそれをまかなうということが非常に不合理だと思うわけでございます。将来これはよく研究していただきまして、ぜひとも厚生省が、将来、看護婦教育を受け持っていく、あるいは准看護婦教育を厚生省が受け持っていくということになりますれば、積極的な活動をお願いいたしまして、教育費をうやむやにしないように、学校が増設されていきますために、できるだけ便利な方法で、筋の通ったような方法で、やはり運営費補助というものは、運営費そのものずばりになされなければならないかと思いますので、その辺を、それこそ前向きの姿勢で看護婦あるいは准看護婦をたくさん確保していきますためにも、学校そのものに対する手当というものは、ぜひなくてはならないと思いますので、お願いしたいと思います。時間もございませんので、それはそのままにいたしまして、御努力をお願いいたしたいと思います。 それから、次に、看護婦がなぜ少ないかということでございます。調べてみますと、三十一年にありました看護婦の志願者数、これは准看護婦も同じくでございますが、三十六年にはそれが半数に減っております。もちろん看護婦の養成数並びに准看護婦の養成定員数というものが少ないものでございますから、一応定員に満たないというのは、個々にはございましょうけれども、全国的に定員数は採ることにはなっておりますけれども、非常にその率が少なくなっている。それから、今実際に看護婦になりましてからも、やはり他の職場に行く人が多い、消耗率が非常に多いということでございます。それはなぜだろうかという研究もいろいろされているのでございますが、待遇が悪いということは当然あるのでございまして、この点において医療職(三)表の是正方をお願いしているわけでございますけれども、しかしながら、仕事そのものに魅力がないというようなことを言い出す。今、局長が言われましたように、看護婦でなくてもいい仕事を整理してといいますと、これは病院の業務の管理やいろいろな問題にもつながって参りましょうとも思います。それによって人員を整理することも必要だと思いますが、いろいろその点についての御検討をお願いしたいと思いますが、もう一つ、看護婦になぜなりたくないかという話の中に、夜勤の問題があるわけでございます。夜勤は看護婦及び准看護婦だけがしているわけではございませんけれども、しかし、これは患者さんは二十四時間病気をしておりますので、どうしてもついていなければならないという特殊の事情がございますので、ぜひこれはしなければならない仕事でございますが、その状態をよくするということも、看護婦になる、なりたいというふうに誘うことに必要じゃないかと思います。女子の深夜業というのは禁止されているはずでございます。労働基準法の第六十二条の第一項は、「女子を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。」こういうふうにしてございます。これは深夜の作業が女子の健康に有害であることを考慮したものでございますけれども、同条の第四項におきまして例外に認めてございますのは、病者の看護等の保健衛生の業務についている女子の深夜作業を認めております。認めているのでございますが、これは特別の勤務状態であるということを認めておりながら、今度は夜勤手当ということになりますと、やはり同じく一率に男女を問わず百分の百二十五と規定されております。病院等におきましては、看護関係者は三交代をいたしております。朝八時から四時まで、四時から十二時まで、それから深夜に交代いたしまして朝八時までということになっております。そして四時から十二時までの勤務を、これを準夜といっております。それから、その次に十二時から八時までを、これを深夜といっております。でございますが、ここにきめられておりますのは、深夜勤務手当といいますのは、十時から朝の四時まででございます。その間に勤務しております者につきましては、時間的に百分の二十五と規定されております。準夜並びに深夜の勤務をします者が、その間の何時間かは深夜手当を受ける、こういうことになっておりますのでございます。で、今回特別に準夜並びに深夜勤務をいたしております者の夜勤手当を、ぜひともこれは一般にきめられておりますところの百分の二十五でなくて、何かそれについて特別のことをしまして、そして特別の状態において勤務しているのでありますから、何かそれに対して、夜勤がたいへんつらい、ことに看護婦の数が少ない、准看護婦の数が少ないものですから、深夜に病院を回ってみますと、これではとてもたいへんだと思うことがたびたびございますので、そういう訴えが非常にございます。患者さんも非常に不安だと言っている。それでベッド四に対して一人という看護基準がございますが、それが守られていない。五十人の患者に対して深夜勤務は一人という、しかも、年端もいかない准看護婦の人たちがせねばならない、患者さんも非常に不安だ、さて何か起こったらどうしようかというような状態でございます。それは別個にまた考えられるといたしまして、勤務をしております者にとっては非常に不安でございます。責任も重大でございます。それに年端もいいかない人たちがやって、禁止されている仕事をしていながら、しかも、看護関係者は、医療職(三)表によりますと、非常に低いわけでございます。こういうことを言いますと非常におかしいのでございますけれども、計算してみますと、准看護婦の人が準夜勤務を二時間しております間に受け取るものが四十九円、おなかがすぎますので、パンを食べたり牛乳を飲んだりしますと、それがマイナスになるという状態で夜勤ができるだろうかということでございます。夜勤がたいへんつらいということ。それから、病室の設備が非常に悪いために、国立病院その他木造の病院なんかは吹きさらしのところでございますので、深夜のことしのような寒さでは、とても私は耐えられないだろうと思うのでございますが、みなよくやっております。やっておりますだけに、それだけでいいというわけにはいかないだろうと思う。何らかの処置がなされるべきでございますが、自分はそれでいいけれども、次に看護婦を志願したり准看護婦を志願したりする人たちにどう言っているかというと、看護婦、准看護婦というようなつらい仕事につくなと言っているわけでございます。夜勤がとてもつらい、つらい夜勤をせねばならない。それで看護婦と結婚の問題もございましょうし、家庭の問題もございましょうが、数が少ないものでありますから、しょっちゅう夜勤をやっていなければならないので、月の半分は夜勤をしなければならない、家庭生活もできないというようなこと、そういう職業につくことをあなたたちはやめなさいと言っておりますので、これが結局志願者数が減ってきている問題でございます。何もかも一ぺんに解決はできませんのでございますけれども、せめて夜勤手当の増額ということをぜひ私どもお願いしたいと思います。実態はそうでございます。それは設備の非常に整った病院については夜勤も暖いでございましょうが、そういうことではない病院が多いわけでございます。しかも、禁止されている深夜の勤務をしておりますのに、その夜勤手当については、男女の別を問わず、一律に百分の二十五と規定されているということは、たださえ手当の少ない、待遇の悪い看護関係にとっては、非常に苦痛であるというふうに思います。他のことはともかくといたしまして、せめて早急に夜勤手当の増額ということをお計らいいただきたいと思いますが、厚生当局においてはどういうふうなお考えを持っておられますか、承らしていただきたいと思います。
○政府委員(尾崎嘉篤君) まず、看護婦の養成の責任を国とか都道府県でできるだけ負うようにというお話、その点そういうような方向で、昔の各病院心々で養成するという考え方から漸次切りかえていく、これからは国、府県、市町村、さらに公的医療機関などにも責任の一半を負ってもらうという立場で今考え方を展開しておる状態でございます。 それから、看護婦さんの志願者が少ない、これは御承知のとおりでございまして、ことに正看護婦のほうが三十七年度にぐっと減っております。ちょうど出生が少なかった年の関係で、三十七年、三十八年のときに高等学校卒業生が一番女の方が少なくなるときでありますが、それだけでなく、准看のほうも減っているところを見ますと、ほかの産業との関連が考えられるわけでありまして、待遇、労働条件というようなことをよくしなければならぬということにわれわれも努力を続けるつもりでございます。 また、今お話の夜勤の手当の問題でございますが、これは私たちも百分の二十五増しだけでは足らない、もう少しふやしたい、こう思いまして、実は百分の五十として人事院とか大蔵省のほうに要求をして参りましたが、実現しなかった次第でございます。今後とも努力をしていきたいと思います。
○林塩君 いつも努力をする努力をするとおっしゃいますが、どういうふうに努力をしていただくのか、そのままで打ち切って、いつまでも当局は努力をする、努力をする、人事院にも出してあるけれども、その上努力するとおっしゃるが、実は私ども人事院に参りまして、こういうことであるからという訴えもするわけでございますが、厚生当局のそれに対する熱意が足りないのじゃないかと思うことがたびたびございます。先ほどの問題からいきまして、大体看護関係者の数が多いのでございますが、その数の多い看護関係者を、ただ数が多いからどうでもいいのだというふうな考え方でなくて、ひとつ実態をよく把握されました上で、この問題はどうしてもこうして置いたほうが数がふえ、それから、また、こうしなければ状態が改善されないということがわかりますれば、努力だけでなくて、具体的にどうするかということを御研究をいただきたいと思います。いつも努力をしている努力をしているとおっしゃるが、各方面に働きかけて、強力な、そうして具体的に効果的にしていただきたいと、こういうふうに思いますので、つけ加えて要望したいと思います。これについては、努力だけでは私ども満足いたしません。決してよい状態が生まれませんので、ぜひとも具体的な方法としてお聞かせいただきたいと思います。
○藤原道子君 関連。今の林さんの御質問は、去年私は予算の総括質問でずいぶんお伺いして、そのときは労働大臣と大蔵大臣と厚生大臣と三人のお答えをいただいた。ところが、いまだに何も具体化しておらない。今、林さんがおっしゃるように、努力するだけではだめなんです。だれも夜勤に四十何円なんかで喜んでやるわけはない。 それから、つけ加えて、夜勤の場合に一人勤務が多いのです。そうすると、八時間労働を続けてやる場合は、途中で休憩しなければならないわけです。これはどうだと聞いたら、労働大臣は、休憩しなければならぬと言いました。ところが、一人勤務しておって休憩ができるか、こういうことも努力いたしますという厚生大臣のそのときの答弁だった。大臣がおいでになったのでございますが、看護婦の足らない状態は深刻なものがある。十八か十九の者が、しかも、准看が夜勤をするということは間違いだと思う。けれども、准看が夜勤をしなければ病院の運営ができないからやらしておる。それも五十人というけれども、場合によれば百ベットぐらい一人でやっている例があるのです。これが事故死の起こる原因になっている。のみならず、看護婦がつらいし、患者も不安です。このような病院の状態で、厚生大臣は、いわゆる厚生行政が全うできているとお考えになるのか。もし足らないとするならば、どういう具体策をもってこれを解決していただけるか。女子の深夜業を禁止しているのは、母体保護という立場からでているのは申し上げるまでもない。けれども、看護婦とか交換手さんのような特殊な職業はこれを認めております。認めておるけれども、月十五日も二十日も夜勤をするということが、これが許されていいものかどうか。厚生大臣は、こういう面については特にお心をいただかなければならないはずでございますので、厚生大臣は、この実情に対して、これで仕方がないんだ、予算が取れなかった、これでお済ましになっておられるかどうか、これをこの際私は伺いたい。この委員会でも、また去年は特に予算委員会で御質問申し上げておることでございますから、ひとつお願いいたします。
○国務大臣(西村英一君) 私は途中からでございましたが、しかし、看護婦の問題でございます。看護婦の問題で、今までは努力する努力すると言ったが、何も成績が上がらぬじゃないかと、こういうおしかりでございます。私もまあ努力したのですが、成績が上がらない。しかし、この問題につきましては、私といたしましては、看護婦の問題につきましては、ある程度の理想と申しますか、考えを持っておるのであります。ことしの予算時期には間に合わなかったのでございまするが、大体今の看護婦養成の問題でございまするが、この養成の問題にいたしましても、今までは徒弟制度をとっておる。つまり自分のところで要る看護婦は自分のところで養成するのだと、こういうふうな看護婦の養成所を見ますと、非常にたくさんあって、わずかに二十人、三十人の単位で養成いたしておるのであります。そこで、私の考えることは、どうしても看護婦さんになるには相当に教育が要る。学校を出てから短期大学以上の学問をしなければならぬというようなことで、この問題につきましては、私は文部省と連絡をとりまして、大量養成の線に持っていきたい。しこうして、ただ自分のところだけ使用するようなところはそれでいいけれども、大量の養成所を持っていくためには、やはりどうしても看護婦さんの身分の問題についてもう少し考えてやらなければならぬのじゃないか、今のようなことでいきまするとじり貧でございます。それから、また、看護婦の募集が少ないといいますけれども、地域的に非常に偏在をいたしております。看護婦さんになりたいというご婦人の方もたくさんいるところもあるのでございます。ないところは一つもないのでございます。非常に応募の多いところに行きますと、定員がきめられておるから、三百人、四百人の希望者がありましても、五十人しか採らぬというから、あとの三百五十人はペケということになるのでありまして、そういうところは看護婦の養成方法につきまして非常に考えなければならぬのじゃないか、かように思っておるのであります。 それから、もう一つの点は処遇の改善の問題でございます。処遇改善の問題は、今も医務局長がいろいろおっしゃいましたでしょうが、これは十分でないということはもちろんでございます。しかし、この処遇改善の問題につきましては、やはりある均衡がありまして、そこだけずっと上げるというようなことはなかなかむずかしい問題もあります。したがいまして、今特別にその夜勤等の問題につきまして、この特殊な勤務であるから、そういうような手当に準じたものは、これが持ち出しであっては絶対ならぬと思いますので、これもこれから努力するということになりまして、またおしかりを受けるかもしれませんが、そういうことにつきますることと、もう一つは、この聖職に甘んじておる感心な方々がたくさんおるわけでございます。表彰制度を看護婦に対してはひとつとりたい。大きく言いますと勲章をやるとか、そういう表彰制度をとったらどうかということも考えておりますが、私の言わんとするところは、養成機関が今のようなことではいかぬ。社会的に身分を高めてやりたいということと、それから、非常に特殊な勤務でありまして、これは普通に経済的ばかりの問題ではございません。おそらく給料が少なくてもこういう勤務をしたいというりっぱなご婦人の方もたくさんいるのであります。長らく勤めて模範になるような人につきましては表彰制度を考えたらどうか、こういう一連の政策を考えたいとかねがね思っております。今回の予算折衝にあたりましても、厚生省といたしましても、そういうことについて立案はしかけましたが、なかなかすぐにはまとまらないのでございます。したがいまして、私は、今後これまた努力をするのです。努力をするということに尽きるわけでございますが、十分私も了解はいたしておるのでございます。のみならず、この際特に私の感じを申し上げますると、社会保障を進める場合に一番これから困ることは女子技術者でございます。看護婦のみならず、助産婦あるいは保母、こういうような女子技術者で第一線で働く人が満足に勤めることができなかったら、絶対に社会保障は第一線において進みません。したがいまして、そういう意味におきましての女子技術者の養成問題、社会的身分の問題、処遇の改善の問題、こういう問題を一連の政策といたしまして、三十八年度は一生懸命これを立てまして、皆さん方にも相談申し上げまして、ことに林先生等は専門でございますから十分御意見を取り入れまして、何かの成案を得て、こうやるのだ、これをぜひ打ち出したい、そうしなければ、私たちが予算をとりまして社会保障を進めるにしましても、第一線が絶対に動きません。そういうような意味で努力いたします。努力いたしますから、どうぞそういう意味で御了承願いたいと思います。
○藤原道子君 答弁を逃げられては困る。私ちょっと伺いたいのですが、私が伺ったのは、五十ベッド、百ベッドを看護婦一人で夜勤をしております。この実態でよろしいかどうか。 それからもう一つは、八時間勤務をしていて、その間一人勤務では休憩がとれないのです。八時間働きっぱなしなんです。神経が消耗している。この実態を大臣は御承知であるかどうか。そうして、今そういう実態でございますが、これに対して、前の厚生大臣は努力をしますと言っておるのですが、しょっちゅう厚生大臣はかわるものだから同じことを言われる。この問題に対して大臣のお考えをひとつ伺いたい。 それから、今表彰ということをおっしゃいました。この前の委員会で、あなたの前の政務次官は何とおっしゃったか、この方がこういう答弁をしておるのです。お説ごもっともでございます。実はナイチンゲール賞の授与式に、看護婦最高の名誉だから、さぞ感激して集まっているだろうという気持で、大臣にかわって祝辞に行きました。ところが、満堂立錐の余地がないほど集まってはいたのに、一向に感激がない、役目で来ているのだというような印象を受けました。だから表彰だけではだめだということを私はしみじみ感じて参りましたという御答弁をしていらっしゃる。ですから、表彰もけっこうでしょうけれども、夜勤に一晩四十何円ぐらいの手当で、それと学校で教わったことが、実際の職場にいけばやれないのです。点滴注射はついていなければいけないというけれども、ついていたらほかに回われないから、この間も空気が入って点滴注射をしていた患者が死んだじゃありませんか。喀血して、幾らブザーを押しても、一人であるから、ほかの病床を歩いておりまして、間に合わないで喀血死をした患者もある。こういう事故が起こるのです。しかも、その責任は看護婦がとらされておる。学校で教わったことが実際には行なえないという今の実態であるということも考え合わせまして、どういう態度をおとりいただけるか、もう一回私は具体的に御答弁を伺いたい。きょうは関連質問ですから、この程度にしておきます。
○国務大臣(西村英一君) 夜間勤務の場合に一人は困るじゃないか、便所に行く場合にもそれじゃ物騒じゃないか、こういうようなことで二人以上絶対に置かなければならぬじゃないかという御趣旨はわかりまするが、やはり一々その現場の任にもよることでございますので、一がいに絶対一人ではおかないのだということは、私はちょっと言明はできないと思うのです。よく事情は検討いたしまして……。
○藤原道子君 八年くらい検討している。
○国務大臣(西村英一君) 検討いたしまして、そういうあれはないようにいたします。いずれにいたしましても、夜間勤務は、私も若いころ夜間勤務をやったことがございますが、相当につらいことで、ことにご婦人はつらいと思います。しかも、一方では患者をかかえておって、それに便所に行くくらいな時間もないということはまあないと思いますけれども、患者が悪い場合に、一人では手落ちがあるというようなことになりますれば、これはひとつ考えなければならぬ。やはり個々の場合についてでありまして、絶対もう一人ではおかないのだ、今から二人にするのだといいましても、やはり人員等の問題もあります。そういうことでございまするから、御趣旨はよくわかりまするから、ひとつ検討をさしていただきたい。また、そのケースケースによることもありましょうが、気持としては御趣旨の点はわかりまするから、ひとつ患者に支障がないようにしたいということだけは申し上げられるわけでございます。
○藤原道子君 答弁漏れですよ。八時間勤務の場合、休憩をおかなくても労働基準法違反にはならないのですか。
○国務大臣(西村英一君) それは休憩をおかなければならぬと私は思うわけでございます。
○藤原道子君 一人じゃおけない。
○国務大臣(西村英一君) そういう問題もありますから、検討いたします。
○林塩君 事情はよくおわかりいただけたと思います。三十八年並びに九年度におきましては、全面的にただいまの申し上げました三点につきまして、またその他につきましても、ひとつ前向きの姿勢で御努力いただき、具体的に動いていただくようにお願いしたいと思います。
○丸茂重貞君 ただいま深刻な看護婦、准看護婦、その他医療従業員の不足の問題が取り上げられて、質問者の御意向一々ごもっともなんでございます。ことに、だんだんきょうは質問が具体的になってきて、今聞いておりますると、大臣も明らかにされたように、この不足な現況を解決するには、待遇の問題と身分の問題があることも、確かにそう思うわけであります。そこで、待遇の問題をよくするというのは、当然これは費用がつきまとう、身分の問題は必ずしも費用がつきまとわない。たとえば一例をあげれば、ただいまの准看護婦は、資格をとって何年やっておろうとも、正看護婦になる道がない。ないというのは、実際上はこういう点は今後大いに考えなくちゃならない。しかも、金がかからないで解決できる問題です。もう一つは、今、林さんの言われた深夜手当を増額しろ、これはもう当然のことだ。むしろ今まで低過ぎた。そこで、この手当を増額しようとするならば、その費用というものはどこから出るか、当然これは病院の費用から出るのです。病院の費用というものはどこの収入から出るか、これは医療費から出てくる、そういうことですね。そこで、深夜手当その他一般の待遇を上げなければならないのだが、今の病院経営の費用の中から、今の看護婦その他の従業員の方々が満足されるような費用が出るか出ないかということを検討しなくちゃならない。これはもう一番重要なことだと思いますが、その点について、私は、次回のこの委員会までにひとつ資料を出していただきたい。それはまず第一に、各国立病院全部の収支会計を出してもらいたい。その中でも、特に人件費については全体の何%を占めるかということを厳重にひとつ出してもらいたい。もう一つは、各公立病院ですね、地方自治体立の病院の経営実態、それから、あとうならば厚生団体、たとえば国民健康保険団体でもよろしゅうございましょう、あるいは事務組合の病院でもいいでしょう、そういうものの実態をひとつ出してもらいたい。それから、次には、今の問題に関連して、ちょうどいい例があるんですが、おとといの朝日の愛知版の記事ですが、簡単に要旨を読みますと、愛知県だけで、県下で看護婦が三千人不足だ、これは新聞社がその原因と称するものを出している。その中でいろいろあるんですが、「応募者へる養成所」として、「こうした看護婦不足は、二十五年に新制度が実施されて看護の養成期限が延長され、資格認定もきびしくなってからの現象だが、いまでは慢性状態。とくに、ここ二、三年は看護学校や養成所の応募者もがたっと減ってきた。」こういうふうに、もうすでに一般の世論まで、減ってきた原因について相当深く剔決しているわけなんです。ここまで剔決されておりながら、厚生省がそのままじんぜん見のがすということは絶対許されない。そこで、これは主として身分の問題になるだろうと思います。待遇の問題は、当然今申し上げたとおり、その病院の経営の実態からして、出せる限りは出さなくちゃならぬ、必要な限度において。病院経営の実態が出せないならば、病院経営の実態を出せるような方向に持っていかなくちゃならぬ、当然そこへいくだろう。今までこの点に関するところの答弁が入っておらなかったので、関連して、これはぜひとも要望しておきます。今の朝日の愛知版の理由剔決は、必ずしもその全部とは私は申し上げられませんが、そのような観点がとられ得るかどうか。とられるとするならば、それの対策はどうしたらよろしいかという点について、これは次回まででけっこうですから、ひとつ御答弁いただきたい、かように思います。 —————————————
○柳岡秋夫君 私は、社会保険病院の問題について若干質問いたしたいと思います。現在全国で社会保険病院は六十六カ所あるというふうなことでございますが、その社会保険病院の設置基準と申しますか、健康保険法の第二十三条でいわれている必要な施設をする、そういう場合の方針というものについて、まず大臣からお伺いしたいと思います。
○政府委員(高田浩運君) 法律的な事柄でございますので、大臣からお話しがある前に、法律的な、事務的な問題について私からお答え申し上げます。 社会保険病院は、今お話がございましたように、健康保険法に基づいて設置をいたしているのでございます。これを設置いたしますのは、社会保険医療について遺憾がないようにするということと、それから積極的に適切に被保険者の健康の確保、それから疾病の予防、そういったことについて寄与させるために設置をいたしているのでございます。経過的に申し上げれば、これは一定の地図を描いて、それに基づいて設置をしたというよりも、むしろ率直に申し上げて、その土地々々の事情に応じて設置をしてきたような次第でございますので、今から申しますれば、いわゆる現在の配置状況が必ずしも理想的な姿だとは、これは言えないと思います。しかしながら、これらの現存いたします社会保険病院については、十分その使命を達しますように、私どもも、その整備あるいは管理について努力をいたしたいと考えております。なお、今後の間願につきましては、当面そういうような考えでございますので、積極的に新しくこれをどんどんふやしていく、そういうことではなしに、むしろ現在あるものについて整備の万全を期していきたい、管理の万全を期していきたい、そういうような考え方で進めたいと思います。
○柳岡秋夫君 厚生省は、前々から、病院整備計画の十カ年計画とか、あるいは六カ年計画とかいうことで立てておりますけれども、この計画は公立病院に限る、という建前だそうでございます。しかし、医療機関の全国的な適正配置ということを目ざす場合に、やはり社会保険病院の新設あるいは廃止、こういう問題も当然関係はあるだろう、こういうふうに思います。そこで、厚生省としては、昭和三十四年の二月から医療機関整備調整連絡会議というものを設置してあるはずでございますが、この中で、その規定によりますと、社会保険病院の関係につきましても協議案件として載せられている、こういうふうになっています。現在までこの会議の中で、この社会保険病院の問題について協議をされたことがありますか、それともないのか、あるいは、また、現状この会議はどうなっているのか、こういう点について大臣からお聞きしたいと思うわけです。
○国務大臣(西村英一君) 私、御質問につまびらかでございませんので、政府委員からお答えさせますから、どうぞ御了承賜りたいと思います。
○政府委員(高田浩運君) 今お話のございました整備の連絡会議は、実は私どもの事務的な内部の連絡の会議でございまして、したがって、大臣を中心にして省議を開くという性質のものでございませんので、事務的な答弁でお許しをいただたきいと思います。 これは医務局長からあるいはお答えしたほうが適切かとも思いますけれども、病院関係の仕事は、もちろんこれは医務局が中心でございますけれども、そのほかに、病院あるいは診療所と名のつくものを取り扱っておる局は、当時の保険局、あるいは社会局もございます。あるいは児童局もございます。あるいは公衆衛生局もございます。各局に実はわたっておるわけでございます。これらが連絡なしにてんでんばらばらにやりましては、やはりこれは厚生省としても統一のある病院の整備ができない、非常に困ったことになる、そういうようなことからいたしまして、お互いに新設あるいは増設等については、よく相談し合ってやろうじゃないか、まず事務的に内部から相談し合っていこうじゃないか、こういうような考え方で、いずれからともなくそういう話になりましてこういう連絡会議を設けることにいたした次第であります。実際は医務局等が考えております整備の考え方を基本にいたしまして、それにのっとって各局それぞれは財源の出道は違うわけでございますけれども、それによって整備する場合に、お互いに、そごのないように、医務局等の考えと径庭を来たさないように連絡をしていく、そういう性質のもので始めたわけでございます。したがいまして、初めのうちにおいては頻繁にこれは開催をいたしました。しかし、最近においては、お互いに大体考え方の方向というのがきまってきましたので、そう再々開かれなくとも大体間違いなくやっていけるということで、最近ではあまりそう頻繁には開いておりません。
○柳岡秋夫君 次に、大臣が出かけちゃって、肝心なところを聞けないのは残念でございますが、非常に現在公立病院あるいは社会保険病院を含めまして、独立採算が強制されているわけですね。そのために、各病院の運営の中でいろいろと問題を起こしておるわけでございます。営利性を追求する、こういうことから、病院がだんだん近代的な病院化していくというようなこと、あるいは都市に集中していく、こういうことでございますけれども、このことは医療機関の全国的な適正配置という面、あるいはまた社会保障の将来の拡充、あるいはまた社会保険の福祉施設としての本来の任務、そういう点からして、この現在の病院の運営というものは違反をしておるのじゃないか、反しておるのじゃないか、逆行しておるのじゃないか、こういうふうに私は思うのでございますけれども、こういう点について、ひとつ政務次官からお答えを願いたいと思います。
○政府委員(渡海元三郎君) 皆保険下における医療機関の適正配置ということは、これは非常に重要なる問題でございまして、ぜひともそうせしめなければならない。しかし、現実にはなかなかそういっていない。むしろ逆行しておるじゃないかということでございますが、逆行といいましたら逆行かもしれませんが、現在の整備が必ずしも理想どおりいっていないということは、今御指摘になりましたとおりであろうと思います。国立病院のあり方にいたしましても、国立病院は国立病院なるところの使命を持った病院でなければならないと、こう考えるのでございますが、一時はそういったような姿で整備統合等も考えられたのでございますが、一たんできました病院は、地元の要望等がございまして、なかなかこれを廃止することができない現状であるといったこともまた事実でございます。このような点も考えられまして、先般医療法の改正も行なわれたのじゃなかろうかと思います。また、私たちといたしましても、医療制度調査会におきまして、この問題を根本的にいかにすべきかということについて検討をしておるような状態でございまして、御趣旨の点はよくわかるのでございますが、逆行をやっておるのではなく、逆行でないようにするために努力いたしたいと、かように考えておりますので、御了承願いたいと思います。
○柳岡秋夫君 そこで、具体的な問題について若干お伺いをしたいのですが、千葉市に社会保険病院の松籟荘というのがございます。これは御存じと思いますけれども、この病院が近々のうちにほかへ移転をする、あるいは自衛隊の病院にすると、こういううわさが強く出ているわけでございますけれども、これについて厚生省としてそういう計画をお持ちでございますか。
○政府委員(高田浩運君) どういう経緯からそういう御疑問が出たか、私もちょっとわかりませんが、私どもは、これを移転をするとか、あるいは自衛隊の病院にするとか、そういう計画を進めていることはございません。将来の問題、これから先々の問題ということになりますれば、これは医療事情等との関係もございましょうし、そこまで私は的確な見通しはできませんけれども、率直に申し上げて、現在何もそういう計画は私の手元ではいたしておりません。
○柳岡秋夫君 現在の松籟荘病院の事務長が昨年の十二月に新しく赴任をして参ったのでございますが、その赴任の際に、職員に対するあいさつの中でこういうことを言っております。厚生省は松籟荘をつぶしてもいいと言っていると、こういうあいさつをしているわけですね。また、ことしの二月九日に、某課長が、課員一同に、課長会議の報告だということで話された中で、松籟荘の再建計画として、二年後には習志野に移転をする。そして規模は結核ベッド五百床、一般ベッドは二百床と、こういうふうにきわめて具体的な報告をしているわけでございますが、今、長官が何もないと言われておりましたけれども、しかし、こうした具体的な、しかも、責任者がこういう話をするからには、何かやはり根拠があるというふうに私ども思うわけでございますが、どうでしょうか。
○政府委員(高田浩運君) 松籟荘の経営状態が必ずしも満足な状態ではないことは、これは私も十分認識をしておりますし、これはりっぱにひとつ健全な経営状態にしなければならぬと、私も一生懸命考えておりますし、その線で努力をいたしております。そしてますます健康保険病院としての使命を果たしてもらうようにしなければならないと、こういう考え方で現在進んでおります。今お話を伺いますと、非常に具体的なお話でございますが、あるいは担当者としては、将来あの病院をどうする、この病院をどうする、いろいろ思いめぐらすことも、それは実際の衝に当たる者として、あるいはあるかもしれませんが、少なくも私が今申し上げましたとおりに、そういう計画を進めている事実は、はっきり申し上げまして、ございません。
○柳岡秋夫君 そういう計画が全然ないということでありますれば、そういうようなデマと申しますか、うわさをして、いたずらに患者なり、あるいは地域住民なり、あるいはまたそこに働く職員に不安と動揺を与える、こういうことはまことに重大だと思います。しかも、そういう確定していない段階でさらに具体的な問題を申しますと、もう事務長以下各課長がそれぞれの勤務場所で、あるいはまた看護婦の主任会議の席上で、こういう問題が事実であるかのように話をしておるということが、私どもの調査によって明らかなんです。これは非常に重大な問題ですから、少なくとも監督官庁である厚生省として、全社連ですか、全国社会保険協会連合会ですか、その他を通じて厳重なる注意をしていただきたい、こういうふうに思うわけでございますが、いかがですか。
○政府委員(高田浩運君) 御承知のように、健康保険病院の整備につきましては、これは全部国費でまかなわれております。したがいまして、社会保険庁の私のところでこれは計画をするということになるわけです。当事者としては、いろいろそれぞれの病院の将来、あるいは医療需要との関連、そういった点でいろいろ検討をし、あるいは熱心に思いめぐらすということは、これは当然あってしかるべきだと思いますけれども、しかし、大きな整備ないしは移転というような問題については、これは問題を慎重に取り扱わなければならないということは、これは当然でございます。私どももそういう気持で進んでいきたいと思っております。
○委員長(加瀬完君) ちょっと私から伺いますが、社会保険庁の名前を使って、いろいろの計画があるかのごとく一部の人々に伝えているわけですね。したがいまして、今、長官のおっしゃるように、何ら保険庁としてそのような計画がないということであれば、そういう宣伝をする人が誤解に基づいているのか、あるいは故意にしているのかは別にいたしまして、社会保険庁としての御態度をその関係者にはっきりさしていただくことは、これはお願いできますか。
○政府委員(高田浩運君) それはもちろんはっきりすることは今申し上げたとおりでございまして、現在そういう計画を進めている事実はございません。将来の問題としては、これはいろいろ将来の人が考えることはあろうかと思いますけれども、私どもの手元においては、そういう計画を進めている事実はないということをはっきり申し上げておきます。
○柳岡秋夫君 ちょっと私が先ほど質問したことに対して、何か故意に避けているような回答なんですが、結局、今、委員長のほうからもちょっとお話がありましたように、厚生省としてそういう計画がないということなら、ないということを、その病院でいろいろ問題が起きているわけですから、その病院の問題を解消するためにも、厚生省としての態度を明確に病院のほうに伝えてもらいたい、こういうふうに思うわけでございますけれども、どうでしょう。
○政府委員(高田浩運君) 今申し上げたとおりのことを、これは明確に伝えたいと思います。
○柳岡秋夫君 そこで、今後の問題に関連するわけでございますけれども、厚生統計協会の統計資料にも明らかなように、現在結核患者は非常に多いわけでございます。また、要医療者の五分の一は医療を受けていない、こういうことも統計上出ております。したがって、現在関東地方に十八の社会保険病院がございますけれども、結核療養所は松籟荘一つなんです。したがって、非常に存在意義というものは大きいわけです。しかも、非常に恵まれた環境の地にあるわけでございますから、単に赤字経営だとか、営利性をもっと追求するのだ、こういうことだけで移転をするとか、あるいは自衛隊のほうに身売りをするのだとか、こういうことを考えるのではなくして、やはりもっと病院の施設を改善していくとか、あるいは今問題になっておりますリハビリテーションの施設を増強していく、こういう方向に持っていくべきではないかと私は思うわけです。さらにまた、そういう移転とか具体的な計画を立てる場合には、やはりそれを利用するところの被保険者、あるいは地域住民、あるいはまたそこに働く労働者、こういうものの意見を十分しんしゃくをして計画を立てていく、こういうことが必要ではないか、こういうふうに思うわけでございますが、こういう点、今後のひとつ厚生省としてのお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(高田浩運君) 松籟荘について私どもが現在最も考えておりますことは、お気づきのように、必ずしも経営状態が円滑にいっていない。この事実を是正をして、何とかもう少し円滑にりっぱな健全な運営をして、十分な医療サービスが確信をもってできるそういう態勢に持っていくということが現在の最も急務だと考えております。それが成功しました暁において、十分整備その他の問題についてはこれは考えたいと思っております。将来これをどうするかということにつきましては、これは今お話のありましたように、将来医療需要の変化ということもありましょうし、あるいは地元の希望ということもございましょうし、その他いろいろ客観的な条件があろうと思いますので、移す移さぬ、あるいは用途を変更する、そういうことは、よほどそういった条件というものを慎重に検討してきめなければならない、かように考えております。
○柳岡秋夫君 あと二つほどお聞きしたいのですが、最近と申しますより、先ほどから各委員の方が看護婦の問題で質問がありました。この病院の問題、あるいは賃金の問題等において、各病院でいろいろと労働争議が頻発をしているわけです。また、それが非常に深刻化しているということが現状ではないかと思うのですが、今申し上げました松籟荘においても、この問題が非常に大きく出ているわけです。こういう点について厚生省として把握いたしておりますか、ちょっとお聞きしたい。
○政府委員(高田浩運君) 重要な点については報告を受けております。
○柳岡秋夫君 私どもの調査によりますと、先ほど申し上げました全国社会保険協会連合会のほうでは、特に駐在員二名を松籟荘に派遣をいたしまして、ことさらに組合側を刺激するような言動を行なっているということが明らかになっているわけです。たとえば団体交渉を拒否するとか、あるいは今まで病院側と結んでおった労働協約を無視して、一方的に全国社会保険協会連合会の方針を押しつけている、こういうようなことがあるわけでございますが、私は、やはり人命をあずかる重要な機関でございますから、厚生省としても、一日も早く円満に解決をすべく、下部指導と申しますか、取るべきじゃないか、こういうふうに思うわけでございますが、ひとつこういう問題について十分調査をしていただきまして、できるならば、その経緯を文書で御報告願うと同時に、今申し上げましたような下部指導をぜひお願いしたいと思うわけでございます。
○政府委員(高田浩運君) 松籟荘の当面の対処の方針につきましては、私が今申し上げましたとおりでございまして、その考え方に基づいて、いわゆるいいかげんなやり方でなしに、ひとつ本腰を入れてりっぱな病院に仕上げようじゃないか、こういう気持で厚生省も社会保険庁も、それから今お話の全国社会保険協会連合会、俗に全社連と申しておりますが一体となって対処をしているつもりでございます。その熱意はひとつこれを了としていただきたいと思います。 それから、こまかい点は、今お話のありましたように、あとで文書等によりましてお答え申し上げたいと思いますけれども、まず、御指摘のありました団体交渉の拒否の点、これは団体交渉はやはり労使関係の——資本家ではございませんけれども、いわゆる管理者側と双方の関係を調整する基本的な場でございますので、誠意をもって受け、かつ、当たらなければならないということは、これはもう言うまでもないことでございます。私どもも、そういう考え方でやってもらいたいと思っております。ただ、御心配かけております点は、これは柳岡委員は労働問題については練達の方でございますから御理解いただけると思いますけれども、やはり団体交渉については、それ相当のルールというものもございますし、それからいろいろの客観的な条件というものもございますし、その上で双方誠意をもって話し合うということによって、初めて成果がこれは期せられるのだと考えるのでございます。そういう観点からいたしまして、過去においてそれらのルールについての条件が整わなかった等の事情によりまして、交渉の段取りに至らなかった例はあったようでございます。しかし、それはやはりルールに従ってこれはやっていくのが一番基本的なことでございまして、その限りにおいては、十分両方話し合うということについて、病院長側、あるいは全社連側もその気持でおることをひとつ御了承いただきたいと思います。その他の問題につきましては、またあらためて文書等によりましてお答え申し上げます。
○委員長(加瀬完君) たびたび委員長発言して恐縮ですが、今長官のおっしゃるように、労使ということではありませんが、経営者の病院側と従業員側と大いに協力しなければ、先ほどの御説明のような病院自体の発展というのはできないわけですね。で、私どもやはり地元ですから、仄聞をいたしておりますと、そうではなくて、労働組合を一方的に圧迫をいたしまして、それで経営者の考えている方向に持っていくことが病院の発展だというふうに、ちょっとそちらの傾向が強いのじゃないかと思う。これはお互いに病院の発展のために労働協約も結ばれているわけですから、ひとつその線で話し合いをして、病院にマイナスになるような方向に労働組合がいったというなら、これは大いに経営者としてでなくても、社会保健の立場からでも労働者に反省を促すのもけっこうと思いますが、しかし、組織そのものを解体させて、それで一方的な目的を達成させようというような考え方がいろいろな問題を起こしておるもとじゃないかと思いますので、そういう点を病院の発展という基本原則に沿って、もう少し腹を割って話し合っていただくように御指導をいただきたいと思います。
○政府委員(高田浩運君) お話の趣旨はよくわかりました。そういうように指導いたしたいと思います。ただ、これは十分御承知のことと思いますけれども、従来必ずしも全社連の方針に従って現地においていろいろな話し合いが行なわれていない節も現実にはあったわけでございます。それらの点については、十分やはりこれは、一つの組織でございますから、一体の方針に従ってやっていかなければならぬと思います。 それから、なお、経営状態につきましては、これは御承知のように、かなりの赤字を実はかかえておりますし、それから人件費等について見ましても、ほかの病院あるいは療養所につきましては、大体全社連傘下の病院につきましては診療収入の五十%に満たない状況でございますが、ここの松籟荘につきましては六〇数%にことしは及ぶような状況でございますし、これらの問題について、やはり将来の経営ということを考えてこれは私ども進みませんというと、結局赤字をどこから埋めるかということになりまして、その辺の問題の考えの用意もしなければなりませんので、そういったいろいろな点を考えて、今、委員長のお話の趣旨にのっとりまして、誠意をもって調整をはかり、松籟荘病院の将来の発展をはかっていきたい、かような気持で進みたいと思います。
○委員長(加瀬完君) 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十七分散会 ————・————