社会労働、建設委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 206 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/06/04
会議録
○委員長(加瀬完君) ただいまより社会労働・建設委員会連合審査会を開会いたします。 前例によりまして、私が連合審査会の委員長の職を勤めさせていただきます。ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(加瀬完君) 速記を起こして。 それでは、生活環境施設整備緊急措置法案を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○瀬谷英行君 厚生大臣がオリンピック関係の閣僚会議でおくれて見えるそうですが、実はオリンピック関係に多少関連のある事柄を質問したいと思っておりましたから、その点は厚生大臣が見えてから御質問をさせていただきます。 最初に、生活環境施設整備緊急措置法案提案理由の中でありますけれども、一番最初に私のほうでお聞きしたいのは、整備事業として下水道の整備と屎尿処理の施設の整備、終末処理場、ごみ処理施設の整備、こういったような点について、その現況と問題点をお聞きしたいと思っております。提案理由の説明によりますと、政府は、かねてから生活環境施設の整備に意を用いて、その促進をはかってきたということでありますが、一体どのように整備に意を用いてその促進をはかってきたか、現状と今日の問題点は何かということを、下水道あるいは屎尿処理、終末処理場、ごみ処理といったそれぞれの項目別に御報告を願いたい、とう思います。
○政府委員(渡海元三郎君) 従来から、生活環境施設の整備には意を用いてきたのでございますが、従来においては、十カ年計画をもちましてこういったものに対するところの整備をはかって参りました。しかし、生活環境の変化、また、化学肥料等の出現によりまして、屎尿の処理というふうなことが急速に変わって参りましたので、これまでの計画では現状に合わない、即さないというところから、今回、特に三十八年度を起点とするところの五カ年計画に踏み切って、急速にこのおくれを取り戻したいと考えて提案した次第でございまして、たとえば下水道におきましても、私の知る限りでは、昭和三十三年でしたか、起債額にいたしまして二十億が、翌年は四十億になり、その翌年は六十億になり、その翌年は九十億、その次が百三十五億と、毎年五割以上ずつ増加してきてその整備に当たっておったというふうな実情でございまして、ずいぶんこれまでもやってきたのでございますが、なお、現実がそれ以上に社会的変化を来たしておりますので、今回このような法律案を出しまして、急速なる整備をはかりたいと考え、提案さしていただいたような次第であります。細部につきます各項目別の計画につきましては、関係当局から説明させます。
○政府委員(谷藤正三君) 下水道関係につきまして、建設省担当分の現況と問題点を御説明いたします。 現在、三十七年度の現況におきまして、いわゆる市という名前のついておりますものが五百五十九ございます。その中で、現在の下水道の設置都市数は百五十八でございまして、既成市街地の面積が二十四万八千ヘクタール、そのうちで、現在の排水面積の分につきますというと、わずかに六万一千ヘクタール、わずかに三四%が現状でございます。未設置で、下水道と称するもののございませんところが約四百という市をかかえているのが現状でございます。ただいま政務次官からお話がありましたように、下水道の予算額は、約倍近くの状態で伸びて参りましたけれども、現在、三十七年度の現状におきましてはこのような状態でございます。で、五十万以上の都市は全部で九ございますが、その五十万以上につきましては、比較的順調に進展をいたしております。ただし、三十万から五十万までの間の都市は、これも約十年で大体一応比較的整備されて順調に進んでおりますけれども、十万から三十万、あるいは十万以下の都市につきましては、ただいま申し上げましたような現状で、ほとんど手がつけられないというふうな状態になっておるわけでございます。今度は環境整備につきましては、そういう都市環境をできるだけほかの公共投資と歩調の合うような状態にさせていただきたい、こういうことを考えまして、われわれは、現在の状況から、ある程度都市としての環境的な整備ができるというふうに考えまして、いろいろの事業費を考えますと、現在、昭和五十五年度末におきまして市街地面積が四十六万六千ヘクタール、そういう見込みでございまして、それに対する事業費として今後一兆数千億の金が要るというふうに、これは厚生省分の終末処理場を除きまして、いわゆる下水管の系統の排水面積でございますが、その面積に対する金で一兆数千億というふうに考えられますので、現在のままでいきましても、二十年以上の年数を経ませんというと、一応環境整備の下水道が整備されたという態勢にはなってこない。それで、これをできるだけ縮めて、少なくとも二十年、ある程度普通の都市としての体面が保てる程度に整備させていただきたいというのが今度のお願いしておる法案の内容でございます。一応問題点といたしまして、簡単にこれだけ申し上げておきたいと思います。
○政府委員(五十嵐義明君) 厚生省関係の汚物処理の現況と問題点について申し上げたいと存じます。 ただいま建設省の都市局長から下水道関係につきまして御説明があったわけでございますが、私どもの屎尿処理につきましては、御承知のように、下水道の管渠につながります水洗便所から終末処理、こういう形で処理をするのが一番理想的な形であるわけでございますが、遺憾ながら、終末処理施設につきましては、下水道の管渠の整備と相待ちまして、従来努力を重ねておりますにもかかわらず、いまだにその普及は十分でございませんで、全国の総人口に対しまして、八%程度が水洗便所によって屎尿の処理をしておるという状況にすぎないのでございます。これを三十六年度の実績によりまして屎尿の処理状況の概略をながめますと、一日に約六万キロリットル、大体六千万人分の屎尿を何らかの形で処理いたしておるわけでございますが、その中で、ただいま申し上げました下水道によります理想的な形、あるいは屎尿消化槽と申しまして、くみ取りまして、それを一定の装置に投入いたしまして処理する、こういう方法で処理いたしますもの、あるいは自家用の浄化槽によりまして処理いたしますもの、これを合わせまして、大体三分の一程度はそういった形で処理されておるにすぎないわけでありまして、そのほかは、あるいは農村に還元いたしますとか、あるいは海洋に遠く運びましてこれを処理するというような方法によって屎尿の処理を行なっておるような現状でありまして、これらの農村還元というようなものも、次第に化学肥料の普及等によりまして、その範囲が狭くなって参りました。また、海洋投棄等にもいろいろと問題がございますので、これらを緊急に整備いたしまして、下水道の建設省の管渠の整備と相待って終末処理施設を整備して参りたい。また、くみ取りによりまして処理いたします屎尿消化槽を整備して参りたいということで五カ年計画を立てまして、昭和四十二年には、大体国民の八割程度の人口から排泄されます屎尿を衛生的な形ですべて処理いたしたいという目標を今立てて努力をしておるのでございます。 また、ごみにつきましても同じような事情にございまして、三十六年度の実績によりますと、一日約二万六千トン程度のごみが排出されておりますが、その中で、私どもが最も理想的と考えております焼却施設で処理いたしておりますものは三五%程度でございまして、そのほかは、埋め立て、あるいは自家処理といったような方法で処理されておりまして、次第にこの埋め立ての土地等も余裕がなくなって参りまして、将来はぜひ焼却を主とする処分の方法に切りかえていかなければならないというような現況にあるわけでございます。したがいまして、このごみにつきましても、五カ年計画で、昭和四十五年度末を目標にいたしまして、先ほども申し上げました、大体国民の八割程度から排出されますごみを、大部分焼却処理というようなことで処理をして参りたい、こういうふうな計画を持っておる次第でございます。
○瀬谷英行君 要するに、この生活環境の面では十カ年計画でやろうと思っていたけれども、十年計画じゃ間に合わないから、三十八年度から五カ年計画で緊急に整備をしようというのが考え方の骨子になっている。それから、現状はどうかといろと、下水道の場合でも三四%程度であって、なお金をかけようと思えば一兆数千億を要する。終末処理の問題にしても、パーセンテージにして見れば、いまだに原始的方法をとっている部面のほうが多い、近代国家にふさわしい方法で処理をしているパーセンテージのほうが少ないというのが結論になろうかと、こう思います。法案の提案理由の説明によりますと、政府は、かねてから深く意を用いてやってきたということでありますけれども、今お話を伺ってみると、現状ではどこに深く意を用いたのかわかりませんけれども、結論として、全く不十分であるということがいえるのであろうと思います。しからば、一体どうすればよろしいかということになってくると思うのでありますけれども、近年においては人口の都市集中、あるいは国民の生活様式の変化によって、地方公共団体が処理すべき下水や汚物の量が激増したから、遺憾ながら処理の万全を期し得ないというふうに述べておられます。しかし、国民の生活様式の変化というものは、私は、あまり屎尿だとか、ごみのほうとは関係ないんじゃないかと思う。ちょんまげ時代であろうと今日であろうと、糞便の排泄の程度や、ごみの出方というものは、私はあまり変わらぬだろうと思う。してみると、この人口の都市集中のほうが私は問題として大きいんじゃないか。国民の生活様式の変化というのは、一体どういう点で下水や汚物の量が増加するということと関係があるのかどうかという点、これは理由があるならば、その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) やはり一つには、衛生思想が非常に発達したということで、今までは屎尿にしても、ごみにしても、処理はいたしておりましたが、不衛生的に処理をしておったということで、これをやはり衛生的に処理しなければならぬという、全体の国民の生活向上でそういう空気が盛り上がったということがあるわけでございまして、客観的な情勢の変化といたしましては、ただいまもお話がございましたように、都市に人口が集中しつつある。これは東京ばかりでなく、いなかはいなかとして、また都市のほうに集中しておる。それから、昔でございますと、屎尿等は、どちらかというと、価格をもって買い取られたぐらいで、われもわれもとみな売っていったわけでございます。それが今では非常な厄介視されるものになったのでございます。これは農業構造の変化からきておるのじゃなかろうかと、こう思うのであります。したがいまして、そういうようなことでありましたので、衛生思想が発達してきたから、何とかしなければならぬというのが大きい変化でございますが、今まで衛生思想があまり発達していなかったから、この文化都市の建設としての公共施設の中で、公共下水道が非常におくれておる。それで、まあ政府としても、急いでやらなければならぬのじゃないか、急いでやるといたしましても、多額の金も要ることだし、また、工事量も膨大になるものでございますので、はなはだ困難は感じておりますが、今申しましたような理由で、急激に変化をいたしてきたということが原因ではなかろうか、私はさように考えておるわけであります。
○瀬谷英行君 衛生思想の普及ということもあるでありましょうが、衛生思想が普及をしてもしなくても、糞便であるとか、ごみというものは排泄をされるようになっておったのでありますから、人口が都市に集中をしてくれば、それが大量に問題になってくるというのは当然のことだろうと思うのであります。率直に申し上げて、国会の周辺でも、議員会館でも、すでに今ごろから夕方になると蚊が出て参ります。これは議員会館におりまして、明るいうちはそうでもありませんが、ちょっと夕方になると、五月の末から蚊が出て参ります。東京のどまん中の国会の周辺でこのとおり。それから、ごみにいたしましても、議員会館内のごみもあふれておるという状態。それから、すぐわきの下水道もあまりはけがよくなくて、ちょっと雨が降るとたまってくる、こういう状態でありまして、この点で、政府が十分に意を用いて促進をはかってきたといったようなことを証明する事実があまり具体的にはないわけであります。そこで、あと一年後にオリンピックを控えておりますので、オリンピックまでの間に、せめて東京都を中心とする首都圏の範囲内だけでも、外国人に見られて恥ずかしくないような下水なり、あるいはまた汚物処理といったような面での万全を期することが、日本国家の体面から考えて、私は必要じゃないか、こう思うのでありますけれども、この五カ年計画の中で、特に東京周辺はオリンピックまでに間に合わせるという部面で万全を期し得られるような計画になっておるのかどうかということを、あわせてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) 詳しいことは後ほど政府委員から答弁いたしますが、大体の考え方として、オリンピックで今一番取り上げてやらなければならぬと思われておる問題は、国民運動ということが一ついわれております。その国民運動は、交通道徳であるとか、あるいはそのほかいろいろ問題がありますが、その中で都市美化運動というものを推進しなければならないのじゃないかということをいわれておりますし、都市美化運動にいたしましては、それがオリンピックに関係のある都市、これは、あに東京のみならんやでありまして、たとえば観光客はオリンピックが済みました後は日本を回るであろう、京都とかあるいは奈良とか。そういうところの都市の美化運動、あるいは、また、私のほうで申しますれば国立公園の美化、これは実に国立公園でもきたないのでございまして、富士山等は、お聞きでございましょうが、とにかく年間にカン詰のあきカンだけでも、十トン以上のあきカンを下さなければならぬという状況なんであります。しかし、それも今まで予算もありませんでしたし、そういうことに対して美化運動を進めていかなければならぬということが一つのオリンピックに対する運動になっておりまするが、お尋ねの、一体東京はどうなるのか、こういうことでございまするが、大体この屎尿処理につきましては、東京は六号環状線の内側は全部水洗便所にいたしたい、かように考えております。また、横浜、そういうようなところにつきましても屎尿処理を十分にしたい。ごみの処理にいたしましても、関係のところはごみの焼却場を作りたい、かように考えております。今お話のハエとか蚊とか、そういうものの撲滅に対しても特段の注意をしなければならぬということを考えておりまして、これは今後強力に関係都市に対しては進めて参りたい、かように考えておる次第でございまするが、もっと詳しいことは政府委員が説明をすると思います。
○政府委員(五十嵐義明君) ただいま大臣から、環状六号線以内の区域につきまして、建設省の下水道の環境整備、私どもの関係では終末処理施設の整備、あわせまして御答弁申し上げましたわけでございますが、そのほかに、なお関連の部分といたしまして、ちょっと御答弁の中にも出ました、たとえば横浜でございますとか、あるいはボート・レースが行なわれると考えられます戸田でございますとか、そういうところの屎尿処理施設を整備するという計画を立てておるわけでございますが、また、そのほかに、ごみ処理につきましても、現在東京都で持っております焼却施設のほかに、さらに足立とか葛飾、福生、狛江というようなところに焼却施設を作りまして、さらに処理の能率化と申しますか、衛生化をはかって参りたい、こういうような考え方をもって汚物処理に対処しておるわけでございます。 それから、なお、この蚊とハエなどにつきましての環境衛生の面につきましても、実は、昭和三十年ごろから一つの国民運動というような形まで盛り上がりまして、当時と比較しては格段の差が出て参っておると存じますが、さらにこれを強化いたしまして、蚊とハエをなくする生活実践運動、鼠族、昆虫の駆除対策というようなものを強化して、全般の快適な生活を確保するというようなふうに努力をして参りたい所存でそういった諸施策を進めている次第でございます。
○瀬谷英行君 予算書の中にもオリンピック分というふうな予算があるようでありますけれども、まず、一番問題になるのは、予算の裏づけがどの程度であるかということと、その見通しが一番問題になってくるのじゃないかと思うのです。この法案の中では、下水道と終末処理と屎尿処理、ごみ処理というふうに、四種に分けて五カ年計画を策定するということになっておりますけれども、この四種類に分けた下水道整備に一体どのくらいの予算を要し、終末処理、屎尿処理、ごみ処理にどの程度の予算を要するものであるのか、その予算の裏づけについてお伺いしたいと思います。
○政府委員(谷藤正三君) 建設省担当の下水道分につきましては、一応現在の三十八年度以降四十二年度末までの五カ年計画につきましては、事業費で二千八百八十一億、国費によって七百四十七億というものを投資しまして、緊急度の高い市街地の七万二千九百ヘクタールに対しまして、三十七年度末においては、現在の普及率は一七%でございますが、それを四十二年度末におきまして三二%まで高めるという計画で大蔵省と現在折衝中でございます。その七百四十七億という国費の内容につきましては、公共下水道が五百五十三億、都市下水路が百五十八億、特別都市下水路が三十六億というふうに大体組みまして、大蔵省とこまかい折衝をいたしております。
○瀬谷英行君 ちょっと、たとえば何千何億で、しかも、それが何年度までに何パーセントという点を御説明いただけませんか、そういう方法で。
○政府委員(谷藤正三君) 先ほど申し上げましたように、現在の普及率が一七%でございますが、これを四十二年度の末におきまして三二%に高めるというふうな計画でございます。
○瀬谷英行君 予算額は。
○政府委員(谷藤正三君) 事業費で五カ年間に二千八百八十一億、その内訳としまして、国費が七百四十七億でございます。
○政府委員(五十嵐義明君) 厚生省関係の三つの五カ年計画について御説明を申し上げたいと存じますが、まず、これの事業量でございますが、先ほど申し上げましたように、昭和四十二年、五カ年計画の完了する都市の総人口を九千九百七十六万人と推定いたしまして、約一億でございますが、その八〇%、すなわち、八千万人程度の人口から排泄あるいは排出されます屎尿、ごみにつきまして、先ほど申し上げましたように、下水道終末処理、あるいは屎尿処理施設、あるいはごみ焼却施設等によりまして処理する計画でございますが、すでに現在まで、ある程度施設が整備して参っておりまして、今後昭和三十八年度以降五カ年間に整備いたします予定の人口は、終末処理場につきましては約一千八百万人分、それから、屎尿処理施設につきましては約三千万人分、ごみ処理施設につきましては約五千五百万人分を整備する予定でございまして、これが完成いたしますと、大体八千万人の人口に対する汚物の処理が衛生的に行なわれる、こういう形になるわけでございます。 そこで、これに要します経費でございますが、これは建設省からもお話がございましたが、私どものほうでも、予算の要求等の段階でいろいろ試算をして参った数字がございますが、こういった計画、あるいは予算の実額、年度別の割り振りといったような細目につきましては、この法律を御可決いただきました後に閣議で御決定をいただくということに相なっておるわけでございまして、あくまでも私どもの試算ということでございまして、これはいろいろな条件で、たとえば技術的な進歩でございますとか、その他の諸条件で変わるものと考えられるわけでございますが、一応私どもが試算をいたしました中の一つの数字をまるい数字で申し上げますと、下水道終末処理の整備につきましては、総事業費にいたしまして約一千百億、それから、屎尿消化槽等、屎尿処理施設につきましては約四百五十億、それから、ごみ処理施設につきましては、焼却施設並びに堆肥を作る高速堆肥化処理施設というのがわずかにございますが、これを含めましておよそ四百億、合計いたしまして千九百五十億、約二千億の総事業費を試算いたしてみたわけでございますが、これは先ほども申し上げましたように、私どもの一つの試算でございます。 なお、これに、この中で年度別にどうなるか、あるいは国の負担分がどうなるかという問題でございますが、年度別につきましては、今後さらにその年度によりまして検討して参らなければならないと存じますが、国の負担分につきましては、一応現在の補助率は、下水道終末処理につきましては、一般が三分の一、大都市が四分の一、それから、屎尿消化槽につきましても同様に、一般が三分の一で、大都市が四分の一、ごみ処理施設等につきましては、これは一部でございますが、四分の一の補助がついておる、かような次第でございます。
○瀬谷英行君 この予算と、それから、地方自治体の予算の関係でありますけれども、国の予算は、ただいまの御説明は、建設省関係の予算の御説明と両方でもって約五千億くらいになってくるわけでありますね、合計すると。これは純然たる国の予算だけであって、地方自治体の場合の予算とはどういう関係になっておるか、これは地方自治体に対する負担といったようなものはどのように今考えておられるのか、その点もあわせて御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(谷藤正三君) 先ほど申し上げました二千八百八十一億というものの中には、国費の七百四十七億というものを今折衝の段階において話を進めておりますが、その実際の総事業量の二千八百八十一億というものにつきましては、ただいま申し上げました国費のほかに、起債分と、起債以外の地方の単独事業費とが入っておるわけでございます。その起債の分につきましては、従来やっております地方債の分でございますので、あと単独事業費につきましては、今後使用料もしくは受益者負担金というようなものが入ってくるわけでございまして、そういうものを全部合算いたしまして二千八百八十一億というのが私ども建設省側で現在組んでおりますところの事業費でございます。
○瀬谷英行君 予算の総額にしますと、この緊急措置法案そのものはごく簡単でございますけれども、予算の裏づけは、今まで御説明をお聞きした範囲内でも、これだけの予算を使っても、なお、かつ、三二%であるとか、パーセンテージにしてごくわずかな部分にしかできないわけであります。そうすると、万全を期していくということになると、かなり膨大な予算を必要とするであろうということは想像にかたくない。今私が説明を聞いた範囲内でも、東海道新幹線の経費とほぼとんとんぐらい。しかも、なお、かつ、ごくわずかなものだということになっている。これがこわ四十二年度までの予算ということになって一応説明を聞いたわけでありますけれども、今度は、この予算の実行にあたりましてそごを来たすようなことがあるとするならば、政府の経済政策によって物価が上がっていくといったようなことが計算の中に入れられなければならないと思うのでありますが、たとえば今までよくあったことでありますけれども、何カ年計画かを最初に立ててやっていくうちに、物価のほうがどんどん上がってしまって、それでは追っつかなくなってくる。それで、あとからあとからまた予算の補正をしなければならぬという問題が出てくるわけでありますが、一体、これは今日の物価、あるいは経済の内容といったようなことから考えて、物価が安定するという前提に立ってのものであるのか、ある程度経済政策等によって物価が上がっていくということも考慮に入れられているものか、この点についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(谷藤正三君) 御承知のように、所得倍増計画におきますところの環境施設投資額は五千七百億でございますが、それのうちで建設省の部分、いわゆる下水道部分につきましては、約七割という算定に小委員会のほうでなっているわけでございます。その七割の指数をとりまして、それを三十五年度を一〇〇とした場合に対する現在までの物価指数の変化というものを計算して参りますというと、現在の三十七年度の時点におきまして、約一二二%ということに相なって参ります。そういうものを基準にいたしまして、現在までの残りの八カ年分、三十八年度以降の八カ年分の差額を出しまして、それを基準にいたしまして五カ年計画というものを組みますと先ほど申し上げましたような数字になってくる、こういうふうな順序で組み立てているわけでございます。
○瀬谷英行君 予算の面からいうと、これは相当な大仕事になってくると思うのであります。ただ、これだけの予算を要する大仕事でありますので、相当これは綿密に計画を立てないと、なかなかうまくいかないのじゃないかという気がするのでありますが、一番今日の生活環境の整備で問題になった理由としては、人口の都市集中ということが先ほどからもいわれているのでありますけれども、人口の都市集中というのも、これはある程度今後考えていかなければならぬことじゃないかと思う。今のように野放しにしておきますと、どんどん都心に人口が集中をするという問題がこれからも続くであろう。そうなると、交通問題にいたしましても、ごみの処理にいたしましても、汚物の処理にいたしましても、人口が予想以上にふえたということによって手が届かなくなってくるという面で計画のそごを来たすということが考えられる。そういう意味では、人口の都市集中ということを、ある程度規制をしていかなければならないのじゃないか。そうなると、都市計画そのものも綿密にやはり立てていかなければならないのじゃないか、こういう気がするのです。その意味で都市計画を手放し状態にしておいて、そうしてあとになって人口の都市集中ということでもって因るということでは、これはまずいと思うのでありますけれども、一体、都市計画の面ではどういうふうにお考えになっておるのか。特にこれは厚生大臣にお伺いしたいと思うのでありますけれども、東京都の問題を考えてみましても、一千万を突破してしまう。東京からはみ出した人口が、東京周辺の各県にベッド・タウンを築きつつある、こういう状況なんです。ところが、今交通地獄、通勤地獄を招来しているということでありますが、こういう点については一体どうしたらいいのか、新たに首都を移転をするとか、あるいは東京都の人口を分散させるとか、何らかの方策がないと、まさにふん詰まり状態になってしまうのじゃないかと思うのでありますが、その点についての今後の計画についてお伺いいたします。
○国務大臣(西村英一君) 政府は国土計画を最も熱心にやっておるわけでございまして、したがいまして、そのために新産業都市の建設等についてもああいう法律もできまして、力を入れておるのでございます。しかし、それは一朝にしてできるものではないのでございまして、やはり年々歳々都市に人口がやはり少しずつでも集中いたしております。ことに東京都のごときは、少しずつじゃなしに、異常なやはり膨張を来たしつつあるのでありますが、これはあらゆる面において矯正はしつつありまするが、なかなか思うようにいかないのでございます。したがいまして、それに応ずる環境衛生施設をやらなければならぬのでありまするが、もう一つ、一方、この環境衛生の面から考えて、新産業都市というようなものができますれば、私は、新産業都市の一番重要点は、それは道路とかその他の施設も重要でございましょうが、何をおいても、先にこの都市下水、あるいは公共下水、いわゆる土地の下の施設を十分にやらなければならぬ、かように思っておりますし、既成の都市のみならず、新産業都市にはぜひ環境衛生施設を先にやって、それから都市の他の計画に取り組みたい、かように考えておるのでございます。この都市集中を何とかして是正したいということは、政府の最も大きい政策でありまするが、なかなか一朝一夕に思うようにならぬ。東京都のごときは、したがいまして、研究所その他、必ずしも東京都になくてもいいというような施設につきましては、他に適地を見つけましてその移転をやりたいというわけで、閣議でもそれは決定になりまして、目下その適地を選定しておる最中でございまして、おそらく十月ごろまでにはその適地を決定することになるのではないかと、かように思っておるような次第でございます。
○瀬谷英行君 私は、政府のやることが後手に回ることが非常に多いと思うのです。これは法案なんかの出方を見てもよくわかるのでありますけれども、どんどん都心に人口がふえてくる、家が建つ。道路ができて、下水道ができて、それから家が建つという順序を踏んでいないわけなんです。家が先にできてしまって、その周囲に道をこしらえて、それからどぶを作るといったような順序を大体において私はとっているような気がするのであります。順序が逆だと思うのです。ところが、逆の順序を踏んでどんどん家ができ、人口がふえ、交通難、屎尿処理問題が追っかけて出てくる。だから、どうしても計画は、今、大臣が言われたように、下のほうからやっていかないことにはまずいと思うのでありますけれども、ゆっくりしていると、私は、さらに同じことを繰り返すことになるのではないかという気がするわけです。都市計画の面は、その意味で私は非常に重要だろうと思うのですけれども、単に今の都市計画は、東京になくてもいい機関は東京以外にいくという程度の手ぬるいことをやっておりますと、私は、結局はまた後手に回ってしまうのじゃないかという気がいたします。東京都の水の問題だってそうなんで、まああれだけの小河内ダムのようなものができたって間に合わないというのが現状でありますから、産業の配置、これを根本的に考え直していく、そういうことによって人口の都市集中を避けるということから考えていかないことには、私は、気のきいた政策はできないのじゃないかという気がするわけです。その意味では、やはり単に国民の住宅というだけの考え方じゃなくて、日本の産業を日本の国内にどういうふうに配置したらいいかという点から都市計画は出発していかなければ間に合わない、私はこういう気がするのでありますけれども、そこまで徹底をした方針というものが考えられておるのかどうかという点について、厚生大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) 産業の適正な配置はもちろん必要でございまするが、徹底したというような政策は、正直なところ、ないのであります。しかし、新産業都市等もその一つでございまして、できるだけ地方分散をしたい、適正配置をしたい、かように考えておりますが、なかなかこれは容易なことではないと思っておりまするが、政府としては最も重要な施策として取り上げて努力をいたしておるところでございます。
○瀬谷英行君 やはり私は、問題は厚生大臣の所管だけの問題ではおさまらなくなってきておると思うのです。これは内閣全体が真剣になって取り組んでもらわないことには、やはりいつまでたって毛後手に回って、あふれ出る屎尿の処理をどうするかというようなことになってしまう。あふれ出ないうちに処置を考えていくということのほうが私は先決だろうと思うのです。その意味では、正直なところ、まだそこまで徹底していないというお話でありますけれども、これでは私はいかぬと思うのです。建設大臣、あるいは自治大臣、あるいはまた厚生大臣、それぞれが十分にこれらの問題を関連した問題として私は考えてもらわないことには、一部々々の問題だけを取り上げて対策だけを講じておっても追っつかないだろうという気がするわけでありますけれども、その点で、やはりいま一度徹底をした都市計画から出発をしたその問題の根本的処置を考えてもらいたいという気がいたします。 それから、予算の点でありますけれども、総括をして申し上げられることは、これだけの環境整備といったようなことをやろうというふうにお考えになっておる以上は、それ相応の予算措置の内訳もお示しを願わないことには、私どもとしても、ばく然とした審議だけにとどまってしまって、根本的に一体どうしたらよろしいかという問題が回答として出てこないのでありますけれども、再度、予算面についてその用意ありゃいなや、しかも、その予算は相当膨大なものになりますけれども、これが実施し得る可能性ありゃいなや、その裏づけについてお伺いをしたいと思うのであります。
○国務大臣(西村英一君) ただいま政府委員から御説明申し上げました予算は、ほんの概算でございまして、実は、この予算が相当に狂うのじゃないかというようなお話でございまするが、私は、これは物価によって狂う場合もありましょうけれども、それよりも大きい問題は、正直なところ、この屎尿処理施設、ごみ処理施設、まあごみ処理施設のほうは技術的な困難性はありません。焼却炉も、これは外国のものも相当入っておりますけれども、日本のものでも、これは方法は簡単でございます、これにも技術士の問題はありますけれども。屎尿処理施設の問題については、技術上の問題がたくさんあるわけであります。したがいまして、それをどういうような方法で組み合わせて、どういうような方法をとるかというようなことも、実は技術が非常におくれておりまして、最近は屎尿処理、あるいはごみ処理等が問題になったからといっていろいろな会社が続出いたしましたが、いずれも、やはり外国の技術を導入しまして、ほんの初歩にかかっておるようなものでありまして、方法論が非常にむずかしいのであります。したがいまして、この予算にいたしましても、一応の試算はしつつありまするが、これが相当にまた変わっていくのじゃないかとかうことは、正直のところ、そう思われるのでございます。しかし、私たちの今回の五カ年計画の目的は、その実施の目標——屎尿は五カ年のうちにはこういうような方法で目的を達するのだ、ごみにいたしましてもそういうような目的を達するのだという事業量をしっかりした閣議決定に持っていけば、予算は単年度ごとでございますので、その事業量をこなすのに十分な予算を獲得する、こういうことになるのではなかろうかと思っておるのでございます。したがいまして、たとえば道路等の問題でございますると、道路は二兆一千億、こういうようなことで打ち出されておりますが、そういう点につきまして、下水道、屎尿処理の問題につきまして、大きい予算上のことよりも、事業量の決定、そして年度によって事業量を決定すれば、その事業量をこなすのに十分な予算は獲得したい、かように思っておる次第でございます。
○瀬谷英行君 それから、今度はこまかな問題になって参りますけれども、特に屎尿処理であるとか、ごみ処理の場合、末端の地方自治体でどういう方法で処理しておるかというと、いろいろなやり方をとっておるのでありまするけれども、請負業者にまかせるといったようなやり方をやっておるところにいろいろな苦情が出てくるという面もあるわけであります。それらの点で、請負業者にまかせるような方式を許していくのかどうか、あるいは政府のほうで、こまかな屎尿処理、ごみ処理の方針まで指導方針を打ち出して規制をしていくのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(五十嵐義明君) 屎尿処理、ごみ処理は、先生御承知のように、清掃法によりまして、その清掃法に基づく特別清掃地域におきましては、市町村がそれを収集、運搬、処分をするというような一般的な義務が課せられておるわけでございまして、御指摘のように、請負等によります運営ということには、確かに問題があるわけでございます。私どもも、この清掃法の精神にのっとりまして、これを直営の方向に逐次切りかえていくということはきわめて望ましいことであると存じております。また、その方向に向かって指導をいたしておるわけでございますが、ただ、遺憾ながら、屎尿につきましては、いわゆる清掃法によります許可業者が非常に多数ございまして、これは従来、わが国が、屎尿を肥料として使っておったということから生まれて参りました既成の事実とでも申すことであろうかと存ぜられるわけでございます。したがいまして、この事実を急速に改めるということはなかなかむずかしい事情がございますが、私どもといたしましても、これを直営の方向に向かいまして逐次是正をして参りたい、こういう考え方で進んでおるわけでございます。
○瀬谷英行君 まあ大ざっぱな話ししかこの緊急措置法案の範囲ではお聞きできませんので、それ以上のことを繰り返してみましても同じことになると思いますが、それでは地方財政との観点でありますけれども、考え方として、地方財政の負担を軽減をしていくような方向をとるのかどうか。政府としても、相当多くの予算を今度は使うことになると思うのであります。地方財政と国の財政とのつり合いの問題でありますが、一体、基本方針としてはどのようにしていかれるつもりか、この点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) ただいま、下水にいたしましても屎尿処理にいたしましても、その所要の金は補助と起債ということになるわけでございます。そのために、補助率を上げれば起債が助かるわけでございます。その辺は政府部内のいろいろな交渉でございまして、補助金と起債でやる、あるいは都市によっては、それに都市の固有の自己資金というものも加わるわけでございましょうが、補助金の問題等につきましては、ただいま政府委員が説明された方法によりまして今まではやってきておるのでございます。今後地方財政への圧迫等というようなことを考えて、この補助金をどうするかというようなことも、一応われわれとしては考えはいたしますが、従来は、今政府委員が申しました補助率でやってきている一わけでございます。
○瀬谷英行君 せっかくこの法案を提案された以上は、地方財政に対して、その負担を軽減するという方向で進まれるのかどうかという点をお聞きしたかったのでございます。まあ検討をいろいろされておるのでございましょうけれども、検討の方向ですね、地方財政に対して、多少でもこれは寄与するという面があるのかどうかという点、予算の内容がばく然としておりますので、まだこまかな点はわかりませんけれども、方針なり方向なりというものだけでもお示し願えたらと思ってお聞きしたわけであります。その点についての方向だけをひとつお伺いしたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) 下水道のほう、管渠のほうは私のほうの所管でありませんので、建設省でどういう交渉をいたしておるか知りませんが、厚生省関係といたしましては、屎尿、あるいは終末処理のほうは現在の補助率でいきたい。ごみ処理のほうは、現在のところ、大部分は起債でやっておるのでございます。一部分四分の一の補助はありますが、もう少し全般的に、ごみ処理のほうについては補助を高められないものかということで、目下大蔵省と交渉をいたしておる最中でございます。私といたしましては、これを進めるために、ひとつ地方の負担を軽くしたいという気持は十分あって、その気持で私たち交渉はいたしておるのでございます。
○政府委員(谷藤正三君) 建設省分の下水管渠、あるいは都市下水路その他につきましては、現在の補助事業の過年度実績を申し上げますと、三十三年度には総事業費に対して三四%という率でございましたが、三十七年度には五四%と上がってきております。で、今度の計画につきましても、大体三十八年度は三十七年度に対しまして六一%でございますので、この率で大体上げていきたい。つまり補助率のほうは現行のままで、変えるということは考えておりませんが、補助対象の事業範囲を増加いたしまして、六八%くらいまでは持っていきたいというふうに、つまり三十三年度に比べますと、約倍の補助対象の範囲というふうに考えておるわけでございます。
○木村禧八郎君 簡単に一つだけ瀬谷委員の質問に関連して厚生大臣にお伺いしたいのです。 先ほど瀬谷委員も、この環境衛生施設の計画を完全に実行させるためには、単にこれだけでは十分な成果をあげられない、政府の施策全体との関連において考えなければならぬということを言われましたが、私もそう思うのですが、そこで、この計画を完全に実施して実効あらしめるためには、これまでどうしてこの環境衛生施設が立ちおくれたか、その根本の原因についてこれを明らかにしませんと、今後においても、これまで立ちおくれさせた根本原因が排除されない以上は、私は、この計画は十分に目的が達成できないと思う。それで、厚生大臣に伺いたいことは、この提案理由にも書いてありますが、従来、生活環境施設の整備が著しく立ちおくれていたが、それ以上にさらに立ちおくれになっている、そこでこういう施策が必要だ、こういう提案理由になっておりますが、根本原因は厚生大臣はどういう点にあったとお考えですか。このように立ちおくれた根本の原因はどこにあるかということです。
○国務大臣(西村英一君) 所得倍増計画のときにいろいろな政策の一応試算をいたしたわけです、昭和三十六年に。そのときに所得倍増計画は十カ年計画でありましたものですから、十カ年計画で作ったわけでございます。ところが、その当時、これは正直に申しまして、少しやはり政府の認識が不足であったと申さなければならぬので、あまりそのときの規模も、そう大きくはなかったのであります。ところが、その後非常にこれは要望が強くなりまして、各町村の屎尿を何とかしてくれという要望が非常に強くなりまして、結局昭和三十六年と三十七年は十カ年計画でやってきたのであります。ところが、なかなかこれではとてもとれそうにない、また、非常に急ぐここの部分を何とかしてくれなければ困るじゃないか、捨て場がないじゃないかというようなこと、それは急激な変化もありましょうが、急激な変化を見てとらなかった私たちのほうにもこれは責任があると、正直なところ、思います。そこで、厚生省だけで十カ年計画を作って予算折衝を大蔵省にいたしましても、それはいろいろなことで、なかなか金をつけてもらえぬ、やはり思うようにいかぬ。事業量を、どうしてもこれはオーソリティを持たしたものにしなければ、とてもこれはこなせぬ、こういうふうなことを考えまして、この終局の五年でひとつ事業量をこなしてしまおうじゃないかということを考えて、それを閣議の決定にしてオーソライズしたいと考えたのでございまして、一体、そのおくれた原因は何だといわれると、やはり何と申しますか、政府全体にこれに対する認識が少しなかった。もちろん予算上の困難もあったというようなことが原因ではなかろうか。それに、一つは国民にその罪を着せるわけではありませんが、全般的な衛生思想も、こんなことではいかぬということも一つ拍車をかけられたのではなかろうか。私たちが拍車をかけられたわけですが、そういうようなこと、だんだんすべてのことが、いろいろなことが原因になっておくれたのではなかろうかと、私はこう考えておるのですが、おくれたと認識した以上は、少なくとも、衛生的にこなすということだけはひとつ考えなければならぬと思いまして今回この法律案を提案いたしたような次第でございます。
○木村禧八郎君 ただいま厚生大臣の答弁によると、十カ年計画でやってきた、所得倍増十カ年計画ですね。この十カ年計画によれば、御承知のように、行政投資は十六兆千三百億ですね。全体の伸び率は九・七%、こういう計画でやってきたが、それでは追いつかなくなってきた。ですから、問題は所得倍増計画自体にあったわけです。十カ年計画でやってきたが、所得倍増計画は、御承知のように、根本的に計画と実績が非常に大きく狂っているわけでしょう。で、昭和三十一年から三十八年までの経済成長率を見ると、平均一二・二%、行政投資は一九・五%、経済成長率以上に行政投資は非常にふえている。ところが、設備投資は二三・六%、所得倍増計画の一番の基本は、いわゆる高度経済成長政策でしょう。高度経済成長政策の一番中心は民間会社の設備投資です。この設備投資が計画以上にものすごくいっているわけでしょう。経済成長率が政府の予定した目標よりも非常に上回っている。そこに物価の騰貴の問題も出て参り、交通難の問題も出てくるし、生活環境のほうに関する予算なり、あるいは投資が相対的におくれてしまっているわけですね。ですから、ここで所得倍増計画は根本的に再検討しなければならぬ時期にきているわけです。ですから、厚生大臣が、この生活環境の施設の整備、この計画をおやりになるについては、全体の所得倍増計画、高度経済成長を中心とするこの所得倍増計画に対して、厚生大臣としての御意見がなければならぬわけです。私は、基本的には、このような高い経済成長率を続けていったなら、これは建設省関係でも、これは公共事業費だって足りなくなるでしょう。すでにもう二兆円の計画を四兆円に改めようとしている、追っかけ追っかけ。こんな高度経済成長計画を野放しにして、いつも目標と実績が非常に食い違って、実績はどんどん政府の予定をこえている。ここに調整を加えなければ、これはこの生活環境だけの問題じゃございません。物価の問題だってそうです、国際収支の問題だってそうです、雇用の問題だってそうです、全体が狂ってきてるんですよ。だから、これだけをただ一つ取り上げて、そうして屎尿処理、あるいは下水道とか、あるいは生活環境、これを立ちおくれを克服しようといったって、なかなかできないですよ。そういう点について、厚生大臣は、政府の所得倍増政策に対してどうお考えか、これでいいのかどうか、これに対してはっきりした御認識がなければ、厚生行政をやるについても、これは疑問ですよ。倍増政策のほうがどんどん高度成長政策を中心として目標を行き過ぎて、それをほうっておいて厚生行政を幾らやったって物価は上がっていくでしょう。瀬谷委員がさっき言われましたように、やはり物価問題で実績は立ちおくれている。予算を十分とるとさっき厚生大臣は言われました。事業量を確保する、そうすれば予算も十分取れるというが、そんなことできますか。全体の資金計画なり財政なり、そういう見地からいって、そんなに厚生大臣独自のお考えで取れっこありません。ですから、今までの所得倍増計画のやり方が間違っていたからこんな立ちおくれがきたのだ、全体のバランスを考えないからこんなふうになってきたのだ。今後において、その点について、厚生行政をやるに際して、今までの政府の所得倍増計画に対しては、はっきりした批判と立場をとって、厚生行政の立場からもこれに対して御発言がなければならんはずです。そういう意味でお伺いしているのです。今後、この生活環境の整備を立ちおくらせた根本の原因であるこれまでの政府の所得倍増政策、高度経済成長の政策、そういうものに対して厚生行政の立場からどう考えて、これをどういうふうにして直していかれますか。この点が明らかにならなければ、これだけを取り上げて論議しても、また、地方財政に対するしわ寄せも非常に問題になってくるわけです。それは高度経済成長政策の行き過ぎが地方財政にもしわ寄せをし、それが地方財政における生活環境の整備を多少おくらしたやはり大きな原因だということは御承知のとおりなんだ。ここに問題があると思うのですよ、根本の問題が。この点について厚生大臣のはっきりした御答弁を伺いたい。今の所得倍増政策に対するはっきりしたお考えを。
○国務大臣(西村英一君) 倍増政策に大いに関係がありますが、倍増政策が誤っておったからこれがおくれたのだというと、必ずしもそれだけでもやはりないと思うのであります。したがいまして、もちろんこれを達成せしむるには、やはり倍増政策との密接な関連は、それはもちろんありますけれども、これはこれとして一つの目標を立てて進むこともまた必要である、すべてに関連は持ちますけれども。したがって、倍増計画も、やはり政府が調整しつついっておりまするから、同じ公共投資を投ずるにいたしましても、この方面はこの方面として拡充をはかっていくというとも、これは当然じゃなかろうかと思うのです。先生の言われるように、関係がないのじゃありません。関係がありまするけれども、それはそれといたしましても、おくれておる公共投資の中でも、下水道、その他こういう公共投資がおくれておるから、こういう公共投資をその中でも進めたい、まあかように考えておる次第でございます。
○木村禧八郎君 もう一点だけ簡単にひとつ。この点、厚生大臣、厚生行政、特に生活環境の整備をおやりになる場合頭に入れておいていただきたいことが一つあるのです。日本の予算をごらんになった場合、公共事業費は大体一八%ぐらいですね。諸外国の予算をごらんになりますと、日本みたいに公共事業費が予算の中にこんな大きなウエートを占めている国はございませんよ、先進国では。大体日本は先進国の三倍ぐらい大きな比率を占めている。しかし、それにもかかわらず、同じような公共投資、住宅とか環境衛生、公共施設の投資は諸外国よりうんとおくれているのですよ、日本は大体一%ぐらいのものですよ。こういう点にやはりお考えをしていただきませんとね。ですから、予算全体から見て、いかに生活環境の整備がおくれているかということは、諸外国の予算を見て、それと日本の予算と比較した場合、非常にはっきり出ているのです。公共投資と言ったって、道路とか港湾とか工業用水、工業用地の造成とか、いわゆる民間会社の高度成長政策ですね、設備拡張に見合ったようなそういう公共投資のみが非常にウエートが大きいのであって、生活環境のほうの社会投資が非常におくれているんですよ。これは厚生大臣がその点については強力に主張しなければならぬと思う。同じ公共投資でも、生活環境の方面の公共投資は非常に立ちおくれています。この点十分今後、厚生大臣、ほかの同じ公共投資でも、生活環境のほうの改善のための公共投資は非常に低くなっている、非常にアンバランスになっておるという点に留意していただきたいと思うんです。
○国務大臣(西村英一君) 先生の言われるとおりでございまして、実は、環境衛生等に関する公共投資というもの、まあ公共投資といえば道路とか港湾とかいうことだけであったわけでございますが、今おっしゃいましたような点につきましては、厚生省といたしまして、今後経済成長が進めば進むほど、それはなおさら重視しなければならぬと十分思って、厚生省関係に最も密接な関係を持つものでございまするから、さように十分留意をいたしたい、かように考えております。
○瀬谷英行君 今、木村建設委員長から言われたお話も、結局は産業と生活環境というものがいつも離れ離れになっているというところであろうと思うんです。今までの所得倍増計画にいたしましても、産業のほうが先に先行する、生活環境のほうはあとから追っかけていく、こういったようなことから、今日、生活環境の施設を早急に整備しなければならないといったような問題が生じてくる大きな原因があったんじゃないかという気がするのです。そうしますと、厚生大臣としてやってもらわなければならぬことは、今までは厚生関係のほうはあとから追っかけていく、こういう役柄であったんだけれども、これをあとから追っかけていくんじゃなくて、産業と生活環境というものが常に一体となって計画をし、立案をされて実行されなければならぬということになってくるんじゃないだろうかと思うんですね。つまり下水とか、あるいは水道へ道路、屎尿、ごみ、交通といったようなことが一本となって計画をされないと、いつまでたったってこういう問題は私は生じてくると思うんです。今の、特に都心を中心とする問題を取り上げてみると、まず工場がどこかにできる、割合に地価の安い所に工場ができる。工場ができてから、その工場では、その工場に働く労働者を募集する。その労働者は近辺から通う。それから、その周辺に家を建てる。家を建ててから道路ができる、下水ができる、屎尿の問題が出てくるし、ごみの問題が出てくる。さらに、また交通の問題が出てくる、こういうことになってくる。何とか間に合わせられるのは電気ぐらいのものじゃないかと思うんですね、電力のほうは何とか間に合わせられる。しかし、ガスのほうになると、もう間に合わない。交通の問題にいたしましても、なおさらこれは問題がむずかしいということであります。現状を申し上げるならば、もうまことに憂慮すべき飽和状態、交通の面にしましても生活環境の面にしましても、何ともかんともならない状態になってきておる。そうすると、どうしても産業と生活環境の問題とは、同時に並行して考えていくということが何といっても私は根本的な問題になるんじゃないかという気がするわけでありますから、今後の都市計画の面とあわせて、これらの計画は一体どうしたらいいか、もっと私は、厚生大臣がうしろから追っかけていくというような姿勢じゃなくて、先に立って走っていくという姿勢のほうが私は望ましいというような気がするのでありますが、この点に対する厚生大臣の見解を承りたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) 御趣旨のとおりでございまして、生活環境が整わずしてりっぱな経済成長はできないと思います。しかし、従来、ややもすると、それがちんばになっておったわけでございます。十分考慮いたしたいと思います。ことに、これからの新産業都市等につきましては、私は、都市計画は建設省でやっていますが、都市計画は地上じゃない、地下だということを最も考えておるものでございます。したがいまして、生活環境を並行して進めなければいかぬ、今までの悪いところは十分調整したい、かように考えて、もう厚生省所管の業務それ自体から考えましても、都市計画にはいろいろな私は意見があります。したがいまして、十分先生の御意見を尊重いたしまして留意をいたして参りたい、かように考えております。
○瀬谷英行君 厚生大臣のほうからお答えがありましたから、今度は建設省関係、都市計画の面で最後にお聞きしたいと思います。屎尿、ごみ等の問題は、一応厚生省関係ということになっておりますが、下水の問題、それから水道の問題、都市計画、道路計画といったようなことがあります。今の厚生大臣の御答弁によれば、新産業都市といったようなことを考えなければならない、十分にこれから考えていくのだというお話がございましたが、そうすると、先ほど私が申し上げたように、これからの都市計画というものは、単に道路と工場と家を作るということだけじゃなくて、水道の問題も屎尿の問題も、ごみの問題も交通の問題も、並行してこれは考えていかなければならぬことじゃないかと思うのであります。 そこで、先ほどもちょっと一部お尋ねいたしましたが、今度は地方財政との関係でありますが、地方財政との関係で、厚生大臣のほうの見解によれば、こまかい話はいろいろ折衝はしておるけれども、地方財政の負担は軽減をするという方向でやっていきたいという御答弁があったわけでございます。そうすると、今度下水の関係について言うならば、下水道もたいへん今重要な問題でありますけれども、地方に対してどのような負担軽減を今後考えていかれるものかどうか。それから、下水の場合、起債が許可をされるのか、償還率をこえても許可をされるのか。従来、大蔵省等では、起債のワクを押えてくるといったようなことがあったんじゃないかと思うのでありますけれども、その点については一体どうなのか、地方財政との関連でもってひとつお伺いしたい。
○政府委員(谷藤正三君) 第一点の都市計画の問題でございますが、すでに東京、大阪、名古屋その他の大都市につきましては、東京につきましては首都圏構想に基づきますところの衛星都市計画構想、あるいはまた市街地の構想がございますが、人口の抑制というものは徹底的にやっていきたいというふうに考えておりますし、近畿圏につきましては、目下法案が提出されておりますが、それに先行いたしまして、大阪の再開発並びにその近郊における都市のあり方というものにつきまして、すでに建設省としましては、再開発懇談会を発足いたしまして現在取り組んでおる状態でございます。もちろん、先ほど申し上げましたように、現在、市と名のつくところのものは約五百六十という数がございますが、現在の日本における都市は、従来自然発生的な形態で伸びて参りましたために、新しく町作りをされるという状態ではなしに伸展して参っております歴史的な過程が現在の混乱を招いておる一つの原因でもございますので、今年度の初めにおきまして、各府県並びに都市の課長をみな集めましたときに、今後の新しい都市計画につきましては、全般的なマスター・プランを作れ、それに基づきまして公共投資の順位を考えていくということにいたしまして、非常にきつい行政指導をいたしております。その点のマスター・プランに基づきまして、従来いろいろ問題になりました掘り返しの問題、あるいは、また、せっかく舗装を作った後、次の年には下水のために掘り起こす、水道のために掘り返すというような公共投資のアンバランスまたはむだな投資、こういうものが現実に行なわれておりますので、これを最小限度に食いとめるような方向で今後の公共投資をやっていきたいということで、全部の市につきまして、あるいは、また、おもな町につきましては、都市計画の事業のマスター・プランを全部作った上で来年度からは予算の要求を出せというふうに、きつい指導をいたしておりますので、今後は相当十万程度の都市には全体のマスター・プランが出るというふうに確信いたしております。 第二点の財政の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、すでに三十三年以降、公共投資制度につきましては、補助対象の率を三四%から現在すでに六一%まで上げてきておるということで、今後もまたそういう情勢で補助対象の事業をふやしていきたいというふうに考えておる一方、今までの下水道に対する国費の額につきましては、それに見合う分の地方債は、大体順調に今までつけてもらっておるわけであります。今後に対しましても、今のところ、それがふつり合いになる状態にはならぬのじゃないか。ただ、事業量の増大に伴いまして、従来受益者負担金もしくは使用料というものがほとんどの市については行なわれておりませんが、これだけの都市の発展に伴い、事業量も増して参るということになりますと、地方財政に対するはね返りも考えなければなりませんので、ある程度の生活環境の整備ということは、それに伴って、また市民の負担も考えなければならぬというふうに思っておりますので、その負担率をいかにするか、使用料をいかにするかということにつきましては、今までの若干の例もございますけれども、今後その点を十分検討いたしまして、市民の大きな負担にはならない程度において公平な負担をしていただくということも考えざるを得ないというふうに考えております。
○委員長(加瀬完君) 地方財政の償還率の問題まだお答えになっておりません。
○国務大臣(西村英一君) ただいまどういう御質問だったか、ちょっとわかりませんでしたので……。
○委員長(加瀬完君) 政務次官でもけっこうです。今の御質問の後段は、下水の起債の場合ですね、償還率一四%をこえるものは今まで大蔵省が起債の伸びを抑えておったけれども、そういうワクはないのか、こういう御質問があったわけですね。起債で一部まかなうといっても、現状、今までにおいては起債ができなかったのじゃないか、この問題についての解決はついたのかという点です。
○政府委員(渡海元三郎君) 私も、現在まで地方財政ばかりやってきたのでありますが、その点の問題についてはよく存じておりますが、このごろ厚生行政をやっておりますので、その解決がついたかどうか聞いておりませんが、起債ワクの増大、十分な起債をするという基本的な方向につきましては、一応自治省も協力体制をもって私どものほうに協力してくれておる。大蔵省と自治省の間の今の問題をどういうふうに扱うか、まだ聞いておりませんので、後刻聞きましてお答えいたします。 なお、先ほどもちょっと申しましたが、水道の起債につきましては、わりかた順調に伸びまして、ある程度まできたのでございますが、下水はもとが小さかったものでございますから、今、建設委員長の御質問の中にもありましたとおり、仕事がおくれてきたというのが事実じゃないかと思いますが、昭和三十二年以来、約二倍あるいは五割増しという程度で、二十億から出発いたしまして、現在では、三十二年に二十億でありました起債の額が、三十八年では約十倍の二百二十億までふやしていただきました。そういった状態で、起債のワクにつきましては、五カ年計画のこの法の決定と同時に、より一そうの充実をしていただくということにつきましては、一応両者で検討はしておりますが、最後の今の償還率の問題につきましては、私もちょっと聞き及んでおりませんので、後刻答弁いたしたいと思います。
○田中一君 厚生大臣は衆議院のほうに行くそうですから、ちょっと伺っておきますが、この整備五ヵ年計画を、これはむろん予算獲得のために新しい臨時措置法で出したのだと思いますけれども、この計画ができておるはずです、原案としては。したがって、これは今問題になった起債の問題、償還の問題等含めて、計画そのもの、これはむろん厚生省原案だろうと思いますが、これを資料として出していただきたいのです。それが一つの要求です。 それから、次は、ここの三条で、整備五カ年計画で下水道整備、終末処理場整備、屎尿処理施設整備、ごみ処理施設整備ということになっておりますが、一体、下水道法からいえば、終末処理も下水道処理も同じことなんです。一つの法律なんです。建設省が考えておるところの下水道整備、厚生省が考えておる終末処理施設整備というものをなぜ分離しなければならないかという点なんです。こういうことは役所のなわ張り主義だけが露呈されておるのであって、下水道処理一本で終末処理も解決されるわけなんです。私はたくさん地方の実情を知っておりますけれども、なるほど事業を進めなければならぬものだから、厚生省は、下水道の路線ができないにもかかわらず、終末処理という毛のが先行していっておるという場合もありますし、そこに分離された計画というものにわれわれ国民としても不満を感ずるわけです。一貫した計画でなければならないのです。なぜ二つに分けたかということを伺いたいのです。しかし、これはわれわれが知っておる範囲では、結局厚生省、建設省というセクトがこういう表わし方をしなければならないのだろうと思いますけれども、私どもは、下水行政というものはやはり一元化すべきであるという考え方は今日も捨てておらぬのです。厚生大臣は、うっかりか承知しておるか知らぬけれども、少なくとも、終末処理のない下水道なんていうものはございません。どうしてこういう工合に、この計画にしても五カ年計画にしても、分離された計画になっておるかということなんです。これははなはだ理解に苦しむところなんです。厚生大臣はどう考えておられますか。
○国務大臣(西村英一君) 第一点の、この計画を出してもらいたい、これは後ほど出したいと思います。 第二点の、どうしてこういうものが下水と終末を一緒にやらないのか。実は、これはまあ戦前は一本で内務省の衛生局でやっておりましたが、戦後になりますといろいろの議論がありまして、昭和三十二年の閣議決定で、上水道は厚生省、下水道は建設省、ただし、終末処理は厚生省という閣議決定があって、今いいましたように、そのこと一つから考えると、これは一元化されたほうがいいと考えます。私も田中先生と一緒の考え方を持っております。しかし、私は、これは一面、臨時行政調査会もありまして、政府の中の機構につきまして、これはまた改良すべきときはこれを直してもいいと思いますが、しかし、まあ一つのことから考えると行政は一元化したほうがいいということをいわれますけれども、行政はやっぱりいろんな方面につながりがずいぶんあるのでございます。要は、やはり建設、厚生両省が十分に打ち合わせを遂げて、そごのないようにやるということは、これは必要になってきます。この面からだけ考えれば、これは一元化したほうがいいと私どもは思います。そこで、一元化を今唱えるよりも、やっぱり両省でもって十分調整をとってこれから仕事をそれ以上に進めるほうがいい、やがて時がくればそういうことも問題になろう。これを厚生省の立場から一元化すべしと、厚生省によこせとか建設省にやれとか、今それを言うことは、かえって仕事が繁雑になるというふうに考えておりますが、田中先生の言われたことは、十分私もわかるつもりでございますが、昭和三十二年の閣議決定の線に基づいて今は所管がきまっておるわけです。最善の方法とは思いませんが、将来に向かって考えたい。仕事だけは十分打ち合わせをして、そごのないようにやりたい、こういうことを考えております。
○田中一君 計画が出てこないと議論にならないのです。私は、今まで建設委員会にずっと出ておりますけれども、大体計画が資料として提出されないで法案の審議なんということは不可能なんです。むろんこの法案を成文化するためには、基礎となる計画が厚生省原案としてなくてはならぬ、建設省原案としてなくてはならぬのです。それが当委員会に提出されておらないということは、これは議論する余地がないということです。これはもう厚生大臣は直ちに出すと言っておりますから、委員長、こうなると、もう一ぺん連合を開いていただかないと実態がつかめません。こういうことを容認をする委員長も責任があると思います。抽象的な議論をするのではないのです。われわれは、具体的に、いかに生活環境にどう影響するかということを審議するのが当委員会の役だと思うのです。論文を見るのではないのです。実態を知りたいのです。これはひとつ委員長から強く要求していただきたいと思います。厚生大臣も出すと申しますから。 そこで、今の何年の閣議決定であろうとも、現に終末処理と下水道のこれとのバランスがくずれて、ただ単に予算を取るための仕事というものに尽きておるという現状から見ても、これは私は当然委任事項としてやればいいのです。終末処理、これも一緒に建設省に建設は頼もう、しかし、水質あるいは検査等、医学的な面、科学的な面から検討すべきものは、これは当然厚生省がお持ちになるのがよろしいと思う。何か閣議決定なんというものは、当時の大臣の申し合わせをしたものにすぎない。そんなものでもってわれわれ国民は縛られるものではございませんよ。悪いものほお直しになってもいいわけです。しかし、今、行政審議会等でもってこの問題も出ておるそうでありますから、その結論を早く知りたいと思いますけれども、厚生大臣としては意思表示をしてもいいと思うのです。当然これは一元化して建設されるべきである。私は、水質の問題とか何とか言っておるのではありません。建設そのものを言っておるのです。話し合いがつけば全部建設省から厚生省へいってもよろしいのです。少なくとも、地方においては、大体起債をお願いするにしても、両方にまたがって陳情しなければならぬ。それで、ようやく建設省のほうは、自分のほうはそれでよろしいとなった場合に、今度は厚生省のほうで、それはことしの予算がないからこうしてくれと言われたら、その計画はつぶれるわけです。そういう例をたくさん知っております。また、もうこの計画ですら、これが分離されて計画されておるということは、この法律の不十分さ、はっきりと行政上のなわ張り主義というものが現われておるわけです。一つでけっこうです。それを共管でありますから、厚生大臣と建設大臣が話し合って一本の計画を立てなさいということです。したがって、下水道の路線の完成と同時に終末処理が動けるように計画されればいいのでありますが、えてして分割されて、まだまだ十キロも五キロも離れているときに、もう終末処理が八分どおりでき上がっておる。ところが、下水道のほうがそこへくるまでにはまだ二年もかかるということがあるわけなんですよ。そういうむだはやめなさい、そういうむだをおやめになって、そして下水道の完成と同時に一切の問題が解決するという形をとるのが望ましいのです。しいて五カ年計画も何もございません。終末処理の五カ年計画なんというものは、下水道そのものの五カ年計画が立てば、当然それが完成した場合には、終末処理場というものは当然働けるという計画でなくちゃならぬと思うのですが、その意味におきましても、これはまあ過去の歴史的な事実なんということは、あなたが閣議に持ち出して変えればいいのですよ。これはひとつ西村さん、あなたと河野建設大臣と話し合って、この際、ひとつ行政審議会とか調査会からの答申じゃなくて、われわれがここでもって処理しようじゃないかと、大政治家がその話し合いをする一番いいチャンスだと思うのです。どうお考えになりますか。
○国務大臣(西村英一君) 統一的にやることについて別に異論はありません。今回の法律も、この法律の中に下水道の計画も入れまして一本化して、建設大臣とも十分話しまして、ただ単に今主管を全部変えていくということになると、それだけでもたいへんないろいろな仕事になります。そういうようなことに今あれをするよりも、これはもう十分打ち合わせしてやったほうがよかろうということでそれを急ぐ、時至れば、適当なときにはそういうことも十分考えられると思いますが、これはこの問題だけじゃなくて、行政にはどうして毛至るところにすき間ができるのでございまして、同じ麻薬の問題を取り上げましても、あちらこちらに行政がずっとたくさんあります。麻薬取り締まりを考えると、それはどこか一本にしたらいいじゃないか、こういう議論も起こりますが、それも必要でございますけれども、現在の状態において仕事を進めるということもまた必要ではなかろうか。御意見のあるところは十分私もわかりまするから考えまするが、この法律だけはこの法律としてひとつ御審議を願えばけっこうだと考えておる次第でございます。
○委員長(加瀬完君) 速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(加瀬完君) 速記を起こして。
○田中一君 これはもうくどく言いませんが、これ一本の計画になさいよ。下水道の終末処理は当然なさなくちゃならない。その一本の計画になさいよ。おそらくこまかい五カ年計画を出されて、それをわれわれは、下水道の完成と、それから終末処理の完成がどうなっているかという引き合わせだけでもこれはえらい仕事です。下水道の完成、いわゆる終末処理場まで下水が流れるという時期、それと終末処理場の完成とがどういう工合になっているかということを調べるだけでもたいへんですよ。だから資料をひとつお出しになるときには、現在準備されている下水道、終末処理、屎尿、ごみ、この四つをお出しになってけっこうですが、あとは下水道と終末処理場、これ二つを一緒にした計画もひとつ作っていただきたいと思うのです。その計画案を拝見してから、あらためて質疑を申し上げます。
○藤田藤太郎君 一言建設省の方にこの際お尋ねをしておきたい。 この四つの閣議決定がされるわけですけれども、厚生省の話を聞くと、四十二年の人口が九千九百七十六万、それから、その中で四十二年が八千万人分対策を完了するということになっています。そうなると、建設省にいずれまた来ていただいてやりますけれども、今の関連で、一言さっきそういうお話がありましたから、建設省がこういうものに対する具体的な計画がちゃんとあるわけでしょうね。
○政府委員(谷藤正三君) 建設省のほうにおきましても、処理人口、都市、市街地の人口につきましてのこまかい計画を立てております。
○藤田藤太郎君 それじゃ、きょうはもうやめますけれども、あなたは、これはどうも市街地のことだけしか関係がないようですけれども、しかし、九千九百七十六万の人口の中の八千万人まではこの五カ年計画でやるというなら、結局終末処理、下水道というかまえがなければ、上から流すだけじゃどうにもならないわけですから、国民全体について、市町村全部について。だから、そういうことがおありなのかどうかということを聞いているわけです。
○政府委員(谷藤正三君) ただいま先生の御質問の八千万というのは、これは対策その他の施設のことまで入れてのようでございますが、建設省の、つまり所管の建設大臣が主務大臣としてやっておりますところの下水道法に基づく下水道は、いわゆる暗渠関係の下水道と終末処理場、その二つだけが下水道法に基づいて実施されるわけでありますので、ただ厚生省と建設省のほうの処理人口という数字の中に若干の食い違いが出ているのは、終末処理場の施設につきましては、ある規模で施設をしませんと使用ができませんので、したがいまして、暗渠の数が一つ伸びましたところの処理人口にそのまま合わせるような形で施設はできない。これはある一つの処理場としての単位がございますから、そういうものの施設の単位としましてある処理の人口がふえてくる。したがいまして、建設省で担当いたしますところの処理人口よりは、終末処理場の処理人口のほうが若干上回ってくるのは技術的な当然の理由がありますので、その点につきまして厚生省と十分打ち合わせをして今度の計画を立てている次第でございます。
○藤田藤太郎君 屎尿と下水道というものは、厚生省と建設省とに区分されている。しかし、屎尿、下水は、全部その家の分から離れたときには建設省の関係になるのですね。下水の関係はそうでしょう。屎尿のほうも、浄化設備をして流していけば下水の処理をしなければならぬ。だから、これが相マッチしなければ、終末処理場をこしらえて、一応そこでとめて終末処理をするその道筋は厚生省の関係じゃないでしょう。だから、そういう点の計画がうまくマッチしているのかどうかということを聞いているのです。
○政府委員(谷藤正三君) 終末処理場という、つまり下水道の管渠を通ってきた汚水の処理と、それから、屎尿消化槽という、厚生省でやっております屎尿の単なる運搬をいたしまして処理する施設との区別がございまして、パイプを通りましてきましたところの汚水につきましての終末処理場といたしまして、厚生省と建設省が両方で検討した上で計画を立てているわけでございますが、屎尿処理の分につきましては、屎尿を運搬車によりましてその場所まで運んで処理をやるということになっておりますので、その施設といたしましては、塵埃焼却までも含めまして、施設をどこに設定し、こういうふうにするかということにつきましては、都市計画上の問題といたしまして、設置の位置その他につきまして私のほうで担当いたしておりますが、その設備の内容、規模というものにつきましては、厚生省自身がみずからやっているわけでございます。その点の計画につきましては、建設省のほうでは、こまかいところまで打ち合わせをしているわけじゃございません。
○委員長(加瀬完君) 他に質疑はございませんか。御質疑もないようでありますので、本法案に対する本日の連合審査会における質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加瀬完君) 御異議ないと認めます。 午後は一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時十九分休憩 ————・———— 午後二時九分開会
○委員長(加瀬完君) ただいまより連合審査会を再開いたします。 労働災害の防止に関する法律案を議題といたします。政府側の出席者は、大橋労働大臣、大野労働基準局長事務代理、三治職業安定局長、村上職業訓練局長、厚生省小山保険局長、建設省町田計画局長、山本官房長であります。 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○田中一君 きょうは建設常任委員会並びに社会労働委員会の連合審査でありますので、私は、建設行政、いわゆる建設事業所の立場でお聞きをするものであります。 そこで、第一に伺うのは、二条の定義の問題です。むろん基準法第九条にある職種のこれらに働く労働者をいうという規定は、抽象的ではありますが、ございます。そうして、おおむねこれらに働く労働者は、すべて労働者に関連する諸法律の適用を受けているのが当然でありますが、むろんこれは小規模の事業所等の例外規定はありますけれども、ここではっきり伺っておきたいのは、組織、形の上で労働者が、大小あるいは事業所の差違によって除外されるという労働者は、この労災には適用されるものかどうか。いわゆる零細な事業所における労働者は、これらの適用から除外されているように見られるわけなんです。適用されてないように見られるわけなんです。 ここにある基準法第九条の労働者全部に、たとえ一人であるとも、これに該当するのかという点について、まず伺っておきたいんです。
○国務大臣(大橋武夫君) 今回の労働災害の防止に関する法律案で意図いたしておりまするのは、労働基準法第九条に規定する労働者全部に適用しようというのでございまするので、したがいまして、事業場の規模の大小にかかわらず、すべての雇われておる労働者に適用いたします。
○田中一君 もし今の大臣の答弁がそのとおり施行されるものとするならば、建設労働者のうちで、日雇い的立場にある労働者、いわゆる雇用者が常に変わる。港湾労働者などは、地域的に定着する形でありますから把握できますけれども、常に現場が変わる、あるいは半日で変わる場合がある、一日で変わる場合がある、二百で変わる場合があるというのは、これは単に日本ばかりじゃございませんです。世界の建設労働者の実態でありますが、これらの者の立場はどういう形でつかんでいこうというのですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 基準法第九条におきましては、日雇い労働者をも含め、あらゆる雇われておる労働者を適用範囲にいたしております。したがって、この法案も、すべての日雇いにまで適用いたすつもりでございます。
○田中一君 この法律を拝見いたしますと、これが施行しようとする場合には、日雇い的立場にある町場の職人、いわゆる職人ですね、これらをつかまえる方法がないように見られるんですが、おそらく大橋さんの頭の中には、清水とか大橋とかが現場を持って、その現場に就職する労働者を対象にしていくように考えられるんですが、そうじゃなく、たとえば台風のあとに、自分のところのへいがこわれたから直してくれ、あるいは台所を改造してくれという職人は該当してないように見られるんですが、その点も含まれておるという理解をしてよろしいんですか。
○政府委員(大野雄二郎君) 労働者も労働者である限り、それがいわゆる一人親方というような形をとりましても、それが労働者の面におきましては労働者として取り扱われます。それから、たとえば左官組合というようなものがございまして、それが事業主として一面において働いておられる、そういうような場合におきましては、事業主の団体として登場して参るわけでございます。しかし、その面におきましては、同一人が一面において労働者として取り扱われ、一面において使用者として取り扱われる場合があろうかと存じます。
○田中一君 今、一つの例として左官組合を言ってました。左官組合は、なるほど材料持ちで、それから工具を持っている。事業主という見方も一応あります。しかしながら、その組合が雇用者ではないわけです。それらの今言った一面労働者であり、一面事業主と見られるような職種という人たちは左官組合であるが、左官組合としての雇用契約は一つもないわけです。この場合にも、それらは該当するんですか。事業主というきめつけ方をして除外するんですか。あるいは労働者という定義に含めて、それらがおのおのこの法律の体系をなしておるところの団体防止団体というものに加入しなければならないんですか、また、加入するようになっているんですか。
○政府委員(大野雄二郎君) ただいまの例にとりました左官というものは、法律形態といたしますと、あるいは請負契約を結んでおるその意味で事業主という場合もあろうかと思います。しかしながら、実作業の実態を見ますと、雇われている左官と区別することがはなはだ困難な場合が多いかと存じます。したがいまして、労働者として、できる限りさような取り扱いをいたしております。これはたとえば労災保険におきましても、できるだけ労災保険の中に適用を受けるような取り扱いをいたしておる次第でございます。 しかしながら、こういった方々が一面事業主としてのいろいろ安全活動をされようということで、積極的に災害防止協会に加盟いたそうというような場合に、あえてこれを排除する必要はないと思います。なるべくたくさんの方々がお入りになるのがけっこうでございますから、お断わりする必要は全然ないと存じます。
○田中一君 ねらっておるものは何なんですか。今、大野さんの説明を聞いていると、でもかまわない、希望があればこうだということだけでいいんですか。
○政府委員(大野雄二郎君) 先ほど申し上げましたように、同一人が一面において明確な労働者の形をとる、それから一面においては使用者の形をとる、これは実際上あり得るわけでございます。で、労働者はあくまで労働者でなければならないということは別にないのでございまして、その人が一年のうら半分は使用者として活動される、あるいは半分は労働者として活動されるということも、大工とか左官においてはあり得ることかと存じます。 したがいまして、労働者の面においては労働者として扱わざるを得ません。それから使用者の面におきましては、使用者として主張される場合には、これはそう扱わざるを得ないのでございます。それは大工とか左官というものの職業の形態がしからしむるものでございまして、できるだけ近代的な方向といたしましては、雇用関係に入りまして労働者となるのが趨勢とは存じますが、現在においても、なおいわゆる一人親方、法律的に申しますれば、独立の自営業種という事実を否定するわけには参らないと存じます。
○田中一君 会計法並びに決算会計令にいたしましても、国がこの定義である発注者という形をとるならば、必ず建設工事または製造等の仕事に対しては請負という形式を踏んでいるわけです。ほかにはないんです。形式では請負という形式をとっている。これに働く労働者は、その請負った者との雇用契約によって当然この範疇内に入りますが、これは国が、そういう方針をとってきている。これは日本ばかりではございません。どこでもそういう形態をとっているのです。しかしながら、たとえば清水組なら清水組の下請けに使われている建設労働者は、賃金という形態で雇用されておらぬのは、あなた御承知のとおりです。すべて部分的な請負、または切り投げ等の形によって部分請負をやっておるのです。労働者自身が賃金でやっているわけではございません。どこまでも出来高払いという形式でもって、これはむろん契約も何もありません。この何坪の部屋を仕上げた建具屋には、それに対する幾らという契約でやっているのです。これは口頭の契約です。 それで私は、もはや日本のそのような二面も三面も持っている労働者に対する考え方を統一する時期がきているのじゃないかという気持を持っているわけなのです。たとえば御承知のたくさんな労働者に対する、あるいは国民に対する社会保険がございますが、これらの労働者は、何らこれによって救われるというよりも、このワク内に入っておらないのは、これはあなたよく御承知のとおりです。きょう厚生省からも保険局長に来てもらっておりますが、たとえば労働者の健康保険にいたしましても、擬制適用、失業保険にしても、これは失業保険なんというものじゃございません。三十七年度で一応試験的にやっておりますけれども、これだって失業保険じゃございません。厚生年金しかり、何一つとして、今労働省が定義づけておる労働者と同じ扱いをしておらぬということになりますと、一体それらの労働者は、どこにどういう形の当然なる、国民としての当然なる権利を主張し得られるのかということを考えると、この今回提案された法律に、どの面からも同じように救われない、この団体に加入できないということになるわけなのです。 で、そのほかの工場労働者あるいは直接に使用者として仕事を管掌しているところの請負人なり何なりの場合には、これはいいです。直用されている労働者は、賃金の場合なり、かつまた、賃金に見合う出来高払いという形式で雇用関係を結んでおりますけれども、そうでない者は、少なくとも半数はおるわけです。百五十万と言われておるところの労働者のうちの半分は、それらのあいまいな立場にある労働者であるということは、これはあなたよく知っているはずです。これをどうするかというのが私のこの法案に関係して質問する第一の問題なんです。今と同じでは、理論的にはそのような扱いができても、実際には扱われないということになりますから、これをどうするかということを伺っているわけなのです。私ども法文の問題よりも、実体の問題がこの法律の成立にあたって起こってくるものですから、これを想定しながら査問するわけですから、そういう点はしゃくし定木じゃなく、実体論として、今よく説明してほしいと思うわけです。
○政府委員(大野雄二郎君) 先生御指摘のように、非常にこの点は大きな問題でございます。基準法には賃金と書いてございます。しかしながら、実質的に賃金に該当いたすものは、それが請負代金という名目をとっていても、賃金として取り扱っていくべきだと存じます。私どもがこの問題を処理する場合に、やはりその材料あるいは実際の請負代金の額その他から実体的に見て参りまして、これを労働者と言うに社会的にふさわしいかどうかというようなことも念頭に置いております。将来の方向といたしましては、できるだけ法律の形式にとらわれることなく、実質を見まして、実質的に労働者と取り扱っていいものは、労働者として取り扱っていくように参りたいと存じます。 ただ、労働者として取り扱っていきます場合、基準法にいたしましても、あるいは社会保険にいたしましても、その相手になる使用者というものが明確になってなければ工合が悪い、法律も適用できないわけです。請負契約によりまして、との発注者が基準法上の使用者として扱うにふさわしくないような場合が多うございますので、さような点は、今後の行政指導の面におきまして、十分心がけて参りたいと存じます。
○田中一君 実体論、実質論から労働者としての、たとえば切り投げ、小回わり等の形式によっての賃金であろうとも——賃金に違いない。それを償金とみなして純粋な労働者としての扱いをしたいということなんですね。 それではこれは大橋さんに伺いますが、労災法は今、大野さんから説明があった労働者に対して、いわゆる完全に適用しておりますか。
○国務大臣(大橋武夫君) 一人親方の場合は、当然に適用という法律構成がちょっと疑問の点がございます。しかしながら、行政の取り扱いとしては、なんとかして一般の労働者と同じように、労災保険法上の保護を与える必要がございますので、かような現実の必要に基づきまして擬制適用とでもいうべき手段を講じまして、現実には漏れなく適用いたしております。 その方法といたしましては、同業組合を雇主と法律上擬制いたしまして、これに使用者の責任を持たせることによりまして、労災保険の給付を他と変わりなく行なう、こういう方法でございます。
○田中一君 今、同業組合という言葉を言っておりますが、同業組合という形のものの場合に、その組合というものは、同業組合は労働組合と違います。したがって、同業組合には、そういう擬制適用をしようということなんですか、それとも、たとえそれが労災法上の労働組合であっても、それは一応同業組合とみなして、それを適用しようという考え方なんですか。
○政府委員(大野雄二郎君) ただいま大臣から御説明申し上げましたように、法律的にはっきり雇用形式をとっていないところに、労災保険法を適用するむずかしさがございますので、雇用関係を擬制いたします関係上、同業組合というものを考えておりまして、同業組合という法形式そのものにこだわっているわけじゃございません。何かの団体が雇用するという形式をとりたいというのでございます。 したがいまして、大体同業組合というものが一番考えやすい形でございますが、必ずしもこの形式に固執するわけじゃございません。
○田中一君 大臣に……。擬制適用と法律上の正式な適用と、どちらを労働者は喜ぶと考えておりますか。どちらがまたよい政治の姿か。行政上の一つの措置としての擬制適用がいいんだということなんですか。法がございますれば、法によって正しく完全適用という形のものを政治家としては、大臣としてはお望みになりますか。どちらをお望みになりますか、労働者の立場に立ちまして。
○国務大臣(大橋武夫君) この擬制適用よりは正式な適用がよろしいと思います。ただ、現実の問題といたしまして、かような場合をいかなる形で法律の規定に取り入れていくかと申しますのは、一般に労働者の災害に対しては、業務上災害については使用者に責任があることになっております。また、したがって労災保険につきましても、その出費は事業主の負担にいたすことに相なっております。その事業主が始終かわります場合に、どういうふうにこれを観念し、どういうふうに法律の規定に表わしていくか、この点にいろいろの技術的の問題があるようでございます。 労働省におきましては、労働行政一般につきまして、日雇い職人の労働者としての取り扱いを、法制上いかにしていくかという問題は、これはいろいろな労働法制に共通の問題でございまして、今後引き続き検討をし、でき得る限りこれを正規の法律の中に取り入れていくように努めなければならぬと思っております。
○田中一君 労災保険の費用の負担は、どういう形で行なっておりますか。
○政府委員(大野雄二郎君) いわゆる一人親方の場合の御質問かと思いますが……。
○田中一君 いや、現在の法律で、負担をする場合には、結局三者負担ということになっているはずですね。
○政府委員(大野雄二郎君) 労災保険の費用は使用者負担でございます。労働者の負担は現在のところございません。
○田中一君 全額使用者負担ですか。
○政府委員(大野雄二郎君) 全額使用者負担でございます。ただ、例外といたしまして、いわゆる長期給付、三年を過ぎましてなおらない方に、長期傷病給付その他をいたしておりますが、それにつきましては、一定の率で国庫負担がございます。ただ、全体から見ますと、それを除きましては、全額使用者負担でございます。
○田中一君 事実、使用者があるわけです。使用者があるから労働者は賃金をもらっているわけなんです。ところが、その労働者が自己負担をしなければならぬという現在の擬制適用の実態というものは、これは大橋さん、喜ばしいことであるとお考えになりますか。それとも、それを解決する方法をまた見出そうというお考えに立っておるのですか。その点をひとつ伺っておきます。
○国務大臣(大橋武夫君) 先ほど来申し上げましたごとく、日雇い職人をいろいろな労働行政の面において、他の労働者と同様に扱うためにどうしたらいいか、こういうことを今研究いたしておるわけでございます。その趣旨は、やはり一般の労働者の場合と同じような負担関係で、同じような権利、利益、恩典を与えていこう、これが眼目でございます。
○田中一君 失業保険についてちょっと伺いますが、失業保険は、現在私が今質問している対象に対しては、どういう形になっておりますか。
○政府委員(三治重信君) 失業保険のそういう日雇い的職人の方の日雇い失業保険につきましては、現在労災保険と共同して、労災保険にそういう同業組合なんかの団体を作って入られた方には、失業保険も適用する、こういうふうになっております。
○田中一君 同業組合ですか、その 点、どうもあいまいに同業組合的とか——同業組合とかいうけれども、もっと明確に、これらのものならいいのだ、これらのものだということはできませんか。
○政府委員(三治重信君) 法的にきちんと協同組合あるいは企業組合の形をとっていただくと、非常に法形式上はいいわけなのですが、現実にわれわれが、そういう方たちと折衝した場合には、任意的な組合で認めてほしい、そうしなければ法的な構成の組合に持っていく場合には、仲間同士でなかなか意見が一致しない、だからそこまで努力をする、努力をするけれども、今暫定的に失業保険や労災保険に入りたいのだ、しかしそういうものを企業組合あるいは協同組合というふうに、きちんと法人格的なものに持っていくのに非常にわれわれ内部で、そこまで意見がなかなか統一しないから、任意的なものも認めてほしいということで、われわれは理想的には法的な協同組合または企業組合、そういう団体であってほしい、それまでそれでは待ちましょう、そういうことで任意的な団体でも暫定措置として認める。それがだんだん組織化されてきて、法的な企業組合あるいは協同組合に持っていってもらうというような指導過程をとっていこうということでございます。
○田中一君 そういう形になれば、三十七年度に実施したものもああした、たとえば十二都道府県だけに、それを適用するとか、また、給付内容というものも非常に低いわけですね、これらの点も、協同組合、企業組合になった場合には、それが使用者となった場合には完全なものにしようという意図ですか。
○政府委員(三治重信君) お説のとおりでございます。
○田中一君 地域的な労働組合がそれを行なった場合には、二枚看板ならば、それを完全に認めよう、こういうわけですか。
○政府委員(三治重信君) 実質的には、そういうことになるかと思います。その労働組合としては、そういう社会保険の対象の法人格というのですか、事業主団体とは認められないわけですから、同じ職人組合で片方は労働組合を作られていても、こういう社会保険に加入される形として企業組合なり協同組合という形をとっていただかないと、そういう社会保険関係のいわゆる事業主、あるいは事業主の法人格を持った事業主の団体というふうにはならないわけでございます。
○田中一君 そうすると、十二都道府県という指定も解除して、全国一つにするのだというように承知してよろしうございますか。
○政府委員(三治重信君) それでけっこうでございますが、とりあえず今問題になっておりますのは、そういう季節的な関係で、冬季あるいはその他の理由、積雪ということで作業ができない、そういう地域の適用ということを強く主張されておるわけで、一応そういうその地域についてやるということになっておりますが、今先生のおっしゃるように、一般原則として、そういう協同組合法なりあるいは企業組合の法的な措置をとって、きちんと事業主団体と雇用関係を法的にとれる形で進めていく場合には、これは何も適用とか何とかいうことでなくして、今現在、全国一律に行なっているところでございます。ただ、そういう任意的な便法もとるというところが、とりあえず十二都道府県で、はっきり企業組合なり協同組合のほうをとってやっていただいておるところは法の施行の初めから、逐次われわれの解釈として、それを適用してよろしいというのは、もう初めからとっているところでございますから、地域的な制限はございません。
○田中一君 そこでこの基準局の職員のリストをひとつ——リストというよりも、合計でいいですから労働基準署ですかの数、それから職員の数、それから一人の監督官が現場をどれくらい担当しているか、その現場もたとえば作業員、労働者が、何人単位の場合でどのくらいというような、実は資料があれば資料がほしいんですが……。
○政府委員(大野雄二郎君) 労働基準局の職員数は合計八千五百二十二名でございます。それからうち監督官は二千三百六十二名でございます。昭和三十六年度におきます監督実施件数は年間二十九万四千六百六件でございます。で、一監督官当たり適用事業所数は、したがいまして七百十九ということになっております。なお監督署数は三百三十四でございます。
○田中一君 大橋さん、私よく建設現場にしょっちゅう行っておりますが、監督官などかわいそうなくらいオーバーなんですね、仕事の面で。突貫工事の現場などへ行けば、ほんとうにそこへ詰めているのは、夜間のほうを詰めて回ったほうがいいくらいなんです。ただ単に事故があったと、事故の件数をそろえて書類にして出すということではないわけなんです。これは大橋さんも前々から労働大臣やっておられるんだから、十分現場も回っておられると思いますが、この監督官二千三百六十五名程度でもって、現在のたとえばオリンピックとか、あるいは公共投資が非常に大きく伸びております。これは大体において屋外施設の工事が多いわけなんです。それで足りているというお考えに立っておりますか。それともとうていこれではだめだというお考えに立っているのか、その点ひとつ考え方を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(大橋武夫君) 決して十分だとは思っておりません。むしろ足らないほうだと思っております。
○田中一君 これは今度のこの法律が、結局監督官を実際に労働者の作業上の協力といいますか、あるいは保護といいますか、その面には事実上監督官を相当、おそらくこの四倍か五倍くらいふやして行なえば、もう少し徹底して事業ができる。それができないために法律をもって強制的に事業主に対して、それをおっかぶせようという形の手続法に過ぎないように見られるわけなんです。ところが現に、安全衛生規則によってどの作業所も現にやっております。これは労働行政がいいとか、あるいはこうせい、ああせいという安全規則によるところの、現場において徹底しているために行なっているとか、どちらにしてもけっこうなことなんです。 そこで現在そういう組織が全国にございます。全国にあってその実をあげているという際に、この法律案が提案されるということは、現在あるところのそれらの機関が不十分であるからという前提で出されたものであるのか、あるいはその監督官のかわりに、これらのものを強制してやらす、場合によったらば、ここに国の委任事項なんかもあるようです。たとえば労働大臣が指定した場合には、他の現場の安全官といいますかな、衛生官、安全官、それらのことにも、その団体が仕事というか、監督できるようになっておりますが、その点は、どういう意図に出たものですか、現在あるのですか、こういうものは。
○国務大臣(大橋武夫君) 監督官の数が現状では不十分であることは、先ほど申し上げたとおりでございまして、これにつきましては、労働省といたしましては、今後大いに拡充強化に努力をしなければならぬと存ずるのでございます。 それから現在災害防止の団体がありまして、とれらが非常に活動をいたしておることも事実でございます。しかしながら、今回のこの法案の意図いたしておりまするのは、現在ある機関が不十分だというのではなくて、現在ある機関としては全力を尽くしてやっておられまするが、しかし、何分に毛特定の業種におきましては、労働災害が相当発生を見ておるような状況でございまして、これを減少するということは、どうしても必要である。そのためには、できるだけ国といたしましても、これらの機関の活動に協力しなければならない、こういう考えで立案をいたしたものなのであります。そうして、これらの協力といたしましては、労働省といたしましては、補助金等によってその活動に必要な資金面をできるだけ応援をして、そうしてその災害防止のために、団体が活動いたしまするために必要な人員等も置いていただき、その人たちによりまして、新しい災害防止の適切な方法を考案し、またそれを業界に現実に実施していただく、そうしてあくまでもそれは使用者の団体の自主的な活動として行なっていただきたい。労働省の監督官が手が足りないので、労働省の監督官の手助けをしていただくとか、あるいは労働省の監督官の指揮のもとに活動するということでなく、監督官の不足は、労働省として今後ともあらゆる機会に是正するようにいたしますが、かような団体を通じて、業者間の自主的な災害防止活動を推進いたしたい、こういう意図でございます。
○田中一君 第四章ですか、労働災害の防止に関する特別規制、これが一番私の立場としては問題であろうと思うのですが、第二条の定義の中に、「注文者 仕事を他の者に請け負わせている者をいう。」「注文者」というのを、具体的に非常にわかりやすく、これこれ、これこれという説明をしてくれませんか、注文者、それから発注者、それから請負人に雇用されている労働者ということになるでしょうけれども、それをひとつ表現をはっきり具体的に、こういう種類のものがこうなんだというように説明してくれませんか。
○説明員(小鴨光男君) 具体的な問題でございますので、私から御説明申し上げますと、自分が一つの仕事をやろうということで、その仕事を、さらにその下の者に請け負わす、こういう場合に、五十六条以下では注文者という形になっておるわけでございます。それから自分自身が上のほうからと申しますか、元方から仕事を請負うというようなことでなくて、自分みずから仕事を行なって、上部から何らその仕事について請負の命令がないという場合には、これは六号で発注者と、こういう形にしておるわけでございます。それから、第七号では、その五号にいっておりますところの注文者から、これを請け負いまして仕事をしておる者、これを請負人というふうに定義いたしまして、五十六条以下の各条における法文の解釈を統一したわけでございます。
○委員長(加瀬完君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(加瀬完君) 速記を始めて。
○田中一君 もう少し具体的に、こういうものがこうで、こういうものがこうでと例示して下さい。——こうなんですよ、建設の現場ですと、すべてが注文者と発注者と両方の性格を持つことが多いわけなんです。だからほんとに具体的に、これはおそらく建設の請負工事とか現場なんて、国民は全然わからないですよ。だから、ある場合には注文者になり、ある場合には発注者になり、ある場合には請負人になる。一つの人格が、そういう工合に区分されるわけなんです。もう少し具体的に例示して下さい。
○説明員(小鴨光男君) 法文上非常にわかりにくくなっておりますので、もう一度御説明申し上げますと、たとえば建設工事におきましては、発注者から元請業者というものが大部分の仕事を請けまして、さらにその元請業者が、たとえば躯体工事あるいは仕上げの工事あるいは設備工事というふうに部分を分けて下請する。それからその躯体工事を請け負った者が、鉄筋工事あるいは鉄骨工事とさらに下へいく、こういう系列になっていると存じます。そのうちで、要は五号の注文者と申しますのは、元請であれ、躯体工事請負であれ、その仕事の一部を下に請け負わせているという者について、法文上はこれを一般的に注文者というふうに規定したわけでございます。それらの元請、下請、再下請というような系列関係において一番上部のもの、先ほど申し上げました例では、元請に注文を発する一番上の発注者、これを注文では発注者というふうに規定したわけでございます。
○田中一君 そうすると、建設省側が今ワシントン・ハイツの屋内総合運動場を注文します。これは発注者ですね。政府、建設省が発注者、そうすると、清水と大林がこれを請けている。これは注文者ですか、その場合には請負人ですか。
○説明員(小鴨光男君) その二つの元請に請け負わせたものが、さらにたとえば大林組なら大林組が、さらに再下請をさせるという場合でありますれば、大林組がここにいいますところの注文者というふうになるわけであります。
○田中一君 そうすると、発注者から見た場合には、元請は請負人ですね。
○説明員(小鴨光男君) さようでございます。
○田中一君 それから請負人が下請に注文する場合には、発注者ということになるわけですね。
○説明員(小鴨光男君) その場合には注文者でございます。
○田中一君 注文者から下請として鉄骨工事を請け負った者は、これはまた請負人となり、その鉄骨工事が今度は、鉄骨は自分で作っても、建て方は親方に頼む、そうするとまた、その人が注文者になって、それを請けた者が請負人となる。その請負人がまた実際に労働者に請負で、何日までにどの部分を請け負って建て方を終われというと、その場合には、その下請の親方が注文者となって、その職人が請負人となる。その請負人が手元でもって若い職人を使って賃金をかりに二千円にしてやろうという場合に、初めて労働者にぶつかるわけですね。
○説明員(小鴨光男君) ただいまの御質問の中で、職人という方が、元請との関係におきまして、先ほどもちょっと議論が出ましたけれども、使用従属関係にある、その職人というものの給与が単に出来高払いであって、それがいわゆる元請と下請との関係にないような実態、使用従属関係があるというような場合には、それは労働者として取り扱わざるを得ない場合があるだろうと存じます。したがいまして、その場合の実態によりまして、それが元請になり、あるいは単に労働者になるという場合が生ずるかと存じます。
○田中一君 労働者としての親方が建て方の注文を請けた場合、これは手元の職人に、労働者に賃金を払っているという場合には、やはりこれは注文者であるわけですね。そこで今度はその場合に、また下請がいるわけです。もう一人下請がいるわけです。これは世話人的な、どこまでも区切って、このタワー部分は、これをやってくれといった場合に、ある部分を一括して部分請負をする。その親方が請け負うわけです。これは確かに請負なんです。その場合には、それは注文者であり、かつまた、その人が請負人だということになりますが、一体どこまでこれが、先ほどもいっているように、会計法なり何なりは、全部精算請負という形式になっているのが、今日の日本の現状から見ても、民間でも全部そういう形式をとっている。その場合に注文者であり請負人であるものでも、元請が一切の労務管理の責任があるということだけでは足りないと思うのです。何もないわけです。監督権がないわけです。たとえば元請にしても、その例が一つと、もう一つは、先ほど言ったワシントン・ハイツに今清水、大林が総合屋内運動場をやっておる。その場合に、そこに同じ現場、同じ地域に電気屋が入っている。これは完全に発注者から注文を受けた請負人です。衛生工事屋が入っている。これは全然元請としての立場で入ってくるわけです。これは出会い丁場といいますかね、出会い丁場ができた場合に、それらの方々と別個の何かを作らなければならない。電気屋は電気屋のほうの安全管理をしなければならぬ。それから衛生工事屋は衛生工事をやる、ということを作らせようという考え方なんですか、その場合には。
○説明員(小鴨光男君) 先生おっしゃいますように、建設工事の場合には、発注者以上元請業者、下請業者、非常に漸次、仕事が下におりてくる。tかし、そのうちでも元請業者なら元請業者自体も、やはり仕事を請負って現実に働いておる。先ほどのオリンピック工事ではございませんけれども、元請自体が、その仕事の一部をやり、かつその一部分を下請に躯体工事をやらせておる、あるいは電気工事をやらせておる、そういう同一の作業場の中で、元請の労働者と下請の労働者とが渾然一体となって働いておるために、相互間の連絡の不十分ということによる災害というものが、実は私どものほうの災害統計では相当多いわけでございます。 したがいまして、この五十六条以下の立法の趣旨は、そういう場合には、実質的に下請に対する監督権を持っておるところの元請業者について法律上の、安全上の義務を課する。そういうことによって、相互に連絡がスムーズにいき、したがって災害が減る、こういう考え方から、実は五十六条を作ったわけでございます。もし発注者というものが全然仕事をしないで、その下の元請から実際の具体的な仕事が始まるという場合には、統一安全管理に関する限り責任というものは、その元請である建設業者に義務を課する、こういうふうな仕組みになっております。
○田中一君 元請業者は、そこで何も仕事しない、元請業者というものが仕事をしない、今の説明の場合は、これは事務を扱いますけれども仕事はしない、働かないということは、事務的な管理はするけれども、自分で働いておるわけではない。それを言っているのではない。電気とか、衛生工事とか、その他のものは発注者から元請としての仕事を受けている清水、大林と同じような立場で、同じ現場で、そこで一緒に同じ時刻に実質的な元請工事をやっている。その中にも同じような元請、下請というものが積み重なってくるわけです、同じ職場で。清水あるいは大林が行なっている事業場で、その中に入って、他の元請業者が、専門の自分の仕事を同じようにしているわけです。これは清水、大林であろうとも、資本金が多かろうと、人がいようと、そういうものを安全管理、そうした管理をするという権限、全然ないわけです。同じように建設省から電気工事を注文を受けて、清水、大林が行なっている現場でもって仕事をしている。 そうすると、そこには電気業者は電気業者の管理をして、あるいは衛生工事業者は衛生工事の管理をする。他に例をとりますと、鉄骨だけは別に分離発注する場合がある。その場合には、それがまた安全管理を同じ職場でやる。どこに事故の発生という原因があったかということがわからない。これは総合的なものです。そういう場合は、だれがやるのですか、現場の中で話し合いして適当にやれということですか。
○政府委員(大野雄二郎君) その場合の問題は、五十六条第三項に該当するのでございます。この場合に、発注者が「労働省令で定めるところにより、請負人で当該仕事を自ら行なう事業主であるもののうちから、第一項に規定する」者を指名するわけでございますので、この第一項は、先ほどから問題となっておりますように、非常にこういうようなところでは災害が多い、そこで何とかする必要がある、ただ、必要性だけで義務を負わすということは、確かに先生も触れられておりますように問題がございます。そこで、元請の人は、その意思に基づいて、その責任を下へ下へとおろしておりますから、一番元の人に責任を課するということは、これはけだし妥当なことだと存じます。したがいまして、そういう合理性がある。また合理性があっても、みずからやる能力のない人は無理でございますので、その請負業者のうち、やはり現場で仕事をやっている人でなければ実効は期しがたい。さような必要性それから合理性、それから可能性というような点から、第一項を規定いたしております。 ところが、先生の御指摘のように、第一項に、完全なピラミッドをなしていない頂点が三つか四つかあるというような場合が確かにございます。そのときは、第一項のように自動的にはさまって参りません。しかしながら、いわゆる統一安全管理の必要性というのは、さようなときこそ大きいのでございます。で、請負の形式が違っていて、ピラミッドの頂点が三つあるということによって、直ちに統一安全管理の可能性を放棄するということは妥当でないと存じます。そこで、労働省令で定めるところによりまして、発注者によって、だれかの責任者をきめる。で、できるだけ安全管理の必要性を維持したいのでございます。 しかしながら、先ほどから問題にされておりますように、全く三者が平等の立場に立って、だれに責任を負わせていいかわからない場合というのも、それは理論的にはあり得るかもしれない。たとえば、普通のビル建設のような場合には、大体躯体工事をされる方が中心的なものであるといえましょう。しかしながら、ビルの修理みたいなものになって参りますと、非常に不明確な場合が出て参ります。したがいまして、この三項の場合には、省令で定めるところというのは、第一項に準じて差しつかえのないような場合ということを想定いたしております。で、非常に理論的に全くパーであるというような場合には、あるいはできない場合もあろうかと存じます。この点、省令を出す段階まで、もう少し検討さしていただきたいと存じます。
○田中一君 そうすると、こういうように理解していいですか。この五十六条の元方事業主の義務という内容は、省令できめることになっておりますけれども、あなたがさっき説明されたピラミッドが三つある。そのピラミッドのある現場の管理というものは、一本にするように行政指導するということなんですか。
○政府委員(大野雄二郎君) 第一項は、これは自動的にピラミッドになっている場合でございます。三項はピラミッドが三つある場合、ピラミッドを一つにするかあるいは三つにするかということは、別に行政指導としては考えておりません。あるいは建設省のほうでお考えになっているかもしれませんが、私どものほうといたしましては、三つある場合はどうする、二つある場合はどうするという問題が第三項の場合でございます。その場合に、直ちに一つのピラミッドでないからといって、統一安全管理を放棄するわけにはいかない。できる限り無理のない限りやって参りたいというのが、第三項でございます
○田中一君 そこで建設省官房長、計画部長、どなたでもいいですから、この法案の提出にあたって、どういう話し合いというか、当然あなたのほうで主管する現場なり、あるいは当然建設大臣として責任を持たなきゃならぬというものが多いわけですから、その場合には、どういうような話し合いと了解を与えておるんですか。これは閣議じゃきまったでしょうからもう文句ありませんけれども、これの実施にあたってのお互いの了解事項というものをひとつ説明して下さい。
○政府委員(町田充君) 御承知のとおり、建設省で所管をいたしております建設業法は、もっぱら建設工事が技術的に適正に行なわれるということを主眼として、いろいろな規定が設けられておるわけでございますが、その中に、第三者に危害を及ぼすというふうなことを防止するための所要の規定を置いておるわけでございます。したがいまして、建設業法の立場から見ますと、そこに働く労働者ということよりも、第三者、一般公衆に危害を与える、こういう事故をできるだけ防止をしようという観点から必要な規定が置かれておるわけでございますが、そこに働く労働者に対する災害、あるいは労働者でない第三者、公衆に対する災害といいましても、事故の内容は大体同一でございますし、その原因を探究いたしましても、ほぼ同じ原因に基づいている事故が多いわけでございます。そこで、そういう労働災害を、労働者に対する災害をできるだけ防止をしよう、こういう趣旨で、労働者でお考えになった法案でございます。私どものほうで問題にいたしております公衆に対する危害の防止という点に相通ずるものがあるわけでございまして、そういう意味合いにおいて、基本的には、私どもといたしまして、労働者の御提案になりましたこの法案に対して賛成であるという立場をとって参ったわけでございます。 ただ、実施上の細部の問題につきましては、いろいろ問題がございますので、たとえば、この法律に基づきまして業種を指定いたします場合、あるいは建設業に関する労働災害防止団体の規定を承認をいたします場合、その他工事の施行上の安全基準を定めますような場合、そういった特定の場合については、建設業の主管官庁である建設省の意見を十分に聞いてもらいたい、こういうふうな申し入れをいたしまして、すでに関係者の間で覚書なんかも取りかわしまして、今後この法案が成立いたしますれば、緊密に連絡をとりながら施行にあたって参りまして、労働災害の防止とともに、そういう公衆、第三者に対する危害の防止に万全を期したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○田中一君 今労働省のほうで言っている三つのピラミッドを、将来、これらの法律の成立後において、単一のピラミッドにするような方向に発注するというようなことは考えられますか。やはり現在行なっているような、元方に対して三軒でも四軒でも五軒でも分離発注するという形式をそのままとっていくつもりですか。それとも、それじゃ現場においての紛争があると困るから、一括請負という形に持っていこうとするのか、その点ひとつ、確かめておきたいと思うんです。
○政府委員(山本幸雄君) 建設省が今のお話の発注者という立場で、工事を請け負わせる場合のやり方についての問題でございますが、これはただいま私どものほうの工事の請負につきまして、総合業者と専門業者と二つに分けて登録がしてあるわけでございます。工事の内容も、土木工事もございますれば、あるいは建築工事もございまして、工事の内容によりまして、そうした総合業者に一括して請け負わせる場合、あるいは分離発注をいたしまする場合と、それぞれございます。これは具体的の場合に、業者の御希望もございます。専門業者の方から言わせますれば、なるべく分離発注が望ましいと、こういうこともございます。 そういうことがいろいろございまして、相なるべくは、そういう建設業者の、どうしても専門業者のほうが小さいのでございますから、小さい場合が多いのでございますが、できる限りそうした分離発注をしたほうがいいというふうにも考えております。しかし、ただいまの安全という観点からお話が出ておりますが、そういう観点からすれば、ピラミッドにしないで、一人の責任者でやったほうがいいというお考えも、今の場で承ったのでございますが、やり方といたしましては、そうした、頭が複数になるという場合も相当あり得るものと考えております。
○田中一君 建設省はまあこれに対して、はっきりした態度をきめておらんらしいですが、大体その元請——労働の現場管理の義務が課されているところの三つなら三つのピラミッドを、だれかにそれを集約して委任する、そうして事故があった、そうすると罰則を適用されるなんてことが、かりに一ぺんでもあれば、絶対にそれは、三つのピラミッドが一つの管理方式にならないということになる。だから、もう一つのものにはなりません。これは三つのピラミッドは、三つのピラミッドとしてめいめいの事業に対するところの安全衛生管理をするということにならざるを得ないわけです。その場合に、罰則を適用されて、ひとの仕事を、ひとのうちのもうけ仕事のために、そんなものを預ったために、こっちが罰則を受けるなんてことになっては、これはおかしな話で、やはり三つなら三つの管理事務をだれかがしなきやならん——だれかって、その元請がしなきやならんということになるはずだと思うのですが、その点はあいまいでなくて、やはり立案の過程で考え方がきまっているでしょうから、それをひとつ説明して下さい。
○政府委員(大野雄二郎君) この罰則の関係でございますが、この元方事業主の五十六条の責任は、ここに書いてございますように、「統轄管理者の選任、協議組織の設置、作業間の連絡及び調整、作業場所の巡視その他必要な措置」に限られるのでございます。「その他必要な措置」というのは、たとえば合図の方法とか、あるいは監視人の選定とか、そういうようなものでございます。 で、具体的な災害が発生いたしまして、それが安全法規に違反しているというような場合には、それは基準法上のその責任者が処罰されるのでございまして、その責任者が、この元方事業主に負わされるということはないのでございます。で、五十六条の規定は、あくまでいわゆる統轄安全管理というものの責任に限定されるのでございます。
○田中一君 そうすると、たとえばさっきの例を取った清水組なら清水組の現場では、あれは大きな、二億近い仕事ですから、相当いろいろな専門業者が元請として入ってきております。その場合には、大小を問わず、元請が安全管理をするのだということにしようとしているのですか。それとも、元請の協議体を作って、それが行なおうとするのか。責任の所在がおのずから違ってくるわけなんですよ。その点をどういうふうに考えているのですか。ちょっと僕にはつかみにくいのですがね。どういう形に理解しておったらいいのですか。
○国務大臣(大橋武夫君) なかなかどうも、作業現場が複雑でございますので、この規定を理解するにも、ちょっと複雑な点があると思いますが、簡単に申し上げますと、個々の元方というものの本来の労働基準法による安全管理というものは、それぞれ今までの法律どおり、それぞれの元方によって行なわれるのでございます。 ただ、先ほど来申し上げましたるごとく、現在までの経験によりますると、多数の元方が、同一現場で出会い丁場の場合には、おのおのが万全を尽くしましても、他のほうの作業の進行等が統一的に管理されることは不可能でございまするので、そこで全体の各元請に、それぞれ分かれて従っております全体の労働者に、いろいろ作業の進行状況等を合図したり、それからお互いにそれぞれ固有の責任でありまする安全、衛生についてのたくさんの元方同士の連絡を十分にする、こういうことが必要だというので、その連絡のために統轄管理者の選任、協議組織の設置、作業間の連絡調整、作業場所の巡視その他必要な措置というものを新しくこの法律によってやらせることにいたしたわけでございます。で、その新しい部分だけの責任は、だれが負うのであるかと申しますると、これはだれかに統一して負っていただかなければ目的を達成できませんから、そこでその者は、一番上の発注者が出会い丁場になっているたくさんの元請のうち、どなたにその全体の連絡の責任をお引き受けいただくかということを指名していただく、こういうことに法律構成としてはいたしているのであります。
○田中一君 発注者が発注の条件として発注というか、契約の条件として、そういうものを織り込ませると、こういうわけですか。
○国務大臣(大橋武夫君) そのとおりでございます。また条件に欠けておった場合には、この法律の条文に従いまして指名をしていただくわけでございます。
○田中一君 まあ、そういう条件で仕事を受けなければならないという、たとえば他の、さっき大野君が言っているように、元請として三つの元請者が、だれか特定の一人に条件として受けろということだけで解決されるものじゃないと思います。おそらくその場合には、ほかのピラミッドの元請は、それに対する負担というものが起きてくると思うのです。費用の負担ですね。その点はどういう工合に指導していこうというのですか。 こういうことなんですよ。たとえば、いいですか、二十億の現場に、五千万の仕事を請負っている元請がおった。その現場は二十億全体の現場で作業しなければならぬ性質のものが多いわけです。そういうものもあるわけです。その場合の費用の負担なんというものは、とうてい耐えられるものではないのです。総額二十億の工事場に五千万の請負いを持っているものが、最初から終わりまでその現場にいなければならない、何人かは。そういう人たちが、この負担ということになりますと、請負金額で負担をせいということになるのか、また請負金額で負担をせいという場合には、それらの費用というものは、発注者が、必ずその費用というものは予算の面にはっきりと計上して、これらのものはこういう工合に、必ず安全、衛生管理の費用というものを、見積りというか、積算の中に入れて発注するという条件ならば、今、大臣が言ったようなことが行なわれると考えますけれども、また建設省との話し合いで、そういうことをするのだ、今後の仕事は、そういうことをするのだということになっているならば、これはけっこうでありますけれども、そういうものに対する費用というものは、これは建設省の官房長、どうなんですか。そういうものも、今後ともこの法律の制定によって、そういうものも必ず予算の積算上は、予定価格の中に織り込むのだということが言明できるのですか。それも了解をとっているのですか。そうなんですか。
○政府委員(山本幸雄君) ただいまのお話のように、具体的にはそこまで私どものほうと話し合いはできておりませんけれども、事は非常に人命に関する重要なことでございますから、できる限りそういう安全に要する経費というものを発注の経費の中に織り込むということにしたいと考えております。
○田中一君 私は現場における安全衛生管理の問題は、事業主あるいは発注者こそ多くのものがあるんじゃないかと思うんです七末端の労働者という面から見た場合には、低賃金の場合には、主としてルーズになるわけなんですね。しかし、今このようなかりに二十億なら二十億の、三人で二十億の仕事を消化しようというような現場におけるその安全、衛生管理の費用というものは莫大なものです。二千人、三千人という労働者をそこに入れ、そうしてあらゆる経営上の責任をおのおのが持っておる、請負人ですからね。みんなでもって請負人であり発注者である。この請負人であり発注者であるという形態の企業が、一緒になって一つの現場でやるんですから、結局自分はなるべく損をしたくないと思うから、自分中心の作業を行なうわけなんですよ。 それに対して、この法律によって、これには強い罰則もございます。それによって行なった場合に、事業を注文する、その事業を注文する発注者が、全部の責任を当然負うのが通例でございます。国鉄の作業場の事故は、やはり国鉄の責任です。建設省が注文する作業の事故のもとは、やはり責任は発注者の建設省が負わなければならぬでしょう。だから、ことにそれが今労働大臣のように、必ず、五つか六つの元請があるにもかかわらず、一人のものに契約に際して注文をつけて、お前がその責任者になれというようなことは、私はとうてい不可能だと思うんですよ。そういうものが、今言うとおり、予算の上にはっきりと計上されているというならば、これは受けるでしょうけれども、現在の予算の予定価格というものは、決してそんな甘いものじゃございません。全くきびしいものです。税金なんかだってみてくれているのではございません。それは幾ら利潤があるかわからぬからみられぬでしょうけれども、しかし、少なくとも諸経費というもののうちには、そんなものを入れているところはないですよ。私はそういうところに問題があろうと思う。事故の原因というものはすべて注文を出すものの側に、それらの裏づけになる予算上の問題が解決されておらないから起きるんじゃないかと思うんですが、その点は、労働大臣が言っていることは、ほんとうにそういう工合にさせるつもりですか。私はそういう裏づけになるものがなければ、幾ら契約のときに注文つけても、そんなの満足にしやしませんよ。どうなんですか、行政指導の面は。
○国務大臣(大橋武夫君) 現在、土木あるいは建築現場におきまする労働災害の発生率は、他の事業に比較いたしまして非常に高いということは御承知のとおりでございます。で、これをいかにして防止するかということにつきまして、いろいろ衆知を集めて検討いたした結果が、この法案になっておるのでございまして、これが成立をいたしました後におきましては、できるだけすみやかにかような措置を現実に実現さしていきたい、こう思っておるのでありまして、もとよりこれについては、いろいろ費用を要する点ではあろうと思いますが、事業の注文をする以上は、その工事によって災害を防止するための必要なる安全の経費というものは、当然注文者側においても考慮に入れてしかるべきものと考えております。
○田中一君 建設省の官房長山本君、今労働大臣の言っておることがよく耳に入りましたね。 そこで、大体において建設関係の現場における事故というのは、河野建設大臣が、仕事がおそい、早くやれとはっぱをかけた所に多いのです。契約はちゃんとこれは一年半で、これこれの仕事をやるのだときまっておるので、仕事をするほうは、自分のところの力、自分のところの資材、自分のところの労働力を勘案しながらやれば、一番経済的なペースでもって仕事をしていけるのです、契約はそうなっているにもかかわらず、それを早くやれというから事故が起こる。そうして、もしも、契約外の問題で言うことをきかなければ、もうお前のところに仕事はやらないというから仕事を進めていく、それは当たり前です。そういう事故を作りておるのは、やっぱり発注者です、大体そうです。おのおのみんな仕事をする者は、自分のあらゆる面の条件をそれに乗せて、一番基準になる方法でやるのが通例なんですが、それをこわすのは、やっぱり発注者である。 私は、ここに注文主の、注文を出す者の義務というものが明らかになっておらないのは、どういうことだったのですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 御承知のように、労働災害の防止につきましては、いろいろな面から考える必要があろうと存じますが、この法律は労働法規といたしまして労使関係の問題を中心にして立案をいたしました。したがいまして、発注者対請負人という関係は、一般的に労使問題の外に入っておりますので、この問題にまではこの法案は触れておりません。
○田中一君 発注者ですね、建設省は。建設省の職員を現場監督と称して全権を握らせて、その現場に常駐しているのが現状なんです。たとえ安全規則を守ろうと、この法律によって事業場の安全を守ろうとしても、それはいけない、そんな所、一日待てない、待てないから、きょうやってしまえという注文を出す、注文主、発注者の代理人がいった場合に、それに従わなければならない。えてして工事の推進をはかるのは、設計者とか発注者とかいうのが工事の推進をはかっておる、だからその関係を、ここに織り込まないということはあり得ないのです。常時全部の管理は請負人である。請負人が主権を持っただけではなく、やはり注文主の代理者が大きな権限をもって事業場に常駐しておるのです。これをこの法律から、はずすということはありようがないでしょう、ありようがないのです。すべての工事の進行、工事のやり方等は、注文主が行なっておるのです、指揮をしておる。それがこの法律に抜けておるということは、これは責任をどこにもつていこうとするのか、いわゆる資本家にだけ——資本家というか、事業主を助けて、仕事をする者にだけもってこようということになると思うのです。 今大臣の言っていることは、ちょっと私には納得ができないのですが、必ずいるのです。多いところは二十人ぐらいいるのです。それがちゃんと現場に常駐して指揮している、工事の進行を。請負人はそれによってまた、下請を指揮するのです。これは建設関係の工事現場の実態なんです。そうだということを立証するために、官房長、僕の言っていることが正しいか正しくないかひとつ。
○政府委員(山本幸雄君) 建設工事も国が発注者になる場合もございますし、民間で発注なさる場合もございます。しかし最近は、いわゆる社会投資が非常に盛んになってきましたから、建設省が主体になるという工事が相当ふえてき、また、いわゆる従来の直轄工事のみならず、請負に出す場合というものが逐次ふえてきているのが現状でございます。 そこで現場の監督は、こうした工事が、少なくも国費を費やしてやっております以上、設計どおり公正適正に工事が行なわれまするように監督をいたしておるのでございまして、これは地建の職員といたしましても相当数現場に出て、そうした監督に従事はいたしております。
○委員長(加瀬完君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(加瀬完君) 速記を始めて。
○田中一君 今、建設省の山本官房長が言っているとおりでありますので、この法律の中に発注者の責任が明らかでなければならぬ、これは片手落ちでございます。
○国務大臣(大橋武夫君) 発注者におきましても、かような安全に関する法制ができました以上は、ことにこれを十分心得た上で、いろいろ指図をされるべきものでございまして、この法律は建設省の監督官あたりも、これができましたならば十分に勉強いただいて、そうしてこの法律及び労働基準法、こういうものに従い得ないような状態で指図をなさるということは、私はあってはならぬことだと存じます。
○田中一君 そうすると、発注者の義務というものを、この法律に明確にすべきじゃないですか、そういう責任を、それを知らないじゃ済まないとか、あるいは当然守るでしょうとかいうことじゃなくて、注文を出すものの義務というものを明確にしなければいかぬと思います。それは大野君どうですか。
○政府委員(大野雄二郎君) 発注者の義務は五十六条においても、先ほどから申し上げておる統一安全管理の件として明確にされておるわけでございます。それから下請の労働者、発注者の下請の労働者が基準法に従って使用されなければならないということは、これは当然のことでございまして、発注者は、労働基準法を尊重しなければならない、あるいは労働災害防止法に従って行動しなければならないというような規定を置くということは何かおかしなこと——当然のことではないかと存じます。つまり、これは法律は何人といえども守らなければならないのでございまして、ただいま大臣が言われましたように、私は発注者といえども、労働基準法というものに最大限の考慮を払って行動しなければならないのは当然と考えます。
○田中一君 幾ら労働大臣が当然と言ったって、守らぬのが多いのですよ。あなたは知っているでしょう。よく河野さんが、契約があと半年残っているにかかわらず、すぐやっちまえ、やらなければ首だ、これが事故のもとです、原因です。これはたくさんあるのです。大体において建設省が行なうものばかりではありません。民間で行なうものも、契約が片務契約です、ことごとく。たとえばよその、別の、本人じゃない者の責任の事故で現場がおくれても、罰金を取られる場合があるのです。不可抗力というものが全く完全に認められていないのが、この工事現場の実情です。不可抗力というものを認めようとしないのです。もしもそれをお前のほうで負担しなければ、この次はお前のほうを指名しないよ、こう言われたら、その請負人はほされるのですから、つぶれるんです。だからやむを得ず相当な莫大な損を皆自分が負担する。ところが請負人は負担しはしません。下請が負担する。下請は、またその下請が負担する、その下請がまた下請に、末端の労働者だけがいい面の皮というのが今までの現状です。 そういう悪質なものは、だんだん減ってきましたけれども、えてして、市街地における建築現場にはあまり見受けられませんけれども、相当山の中の工事場なんかには、それが多いわけです。私は、結局現場の安全衛生を守るのは、やっぱり注文する者が、それだけの認識とそれだけの裏づけの資金を当然出さなければいけないと言っているのです。それが当然でありますから、注文を出す者が守るのでございましょうじゃ片手落ちです。結局商売する請負人なんていうのは、割合損をしないものです。あそこで何億損をしたって、つぶれていないんですよ。どっかへしわ寄せがいくのです。悪い工事をするとか、一番末端の労働者を泣かすとか、材料屋を泣かすとか、そして生きているのです。それにはやはり、こうした罰則を持っている一つの法律でもって、なるほどこれは労働者の安全を守るためには、どうしても必要な法律でありましょうけれども、結局大きな資金を持って建築しよう、発電工事をやろうとか、そういう企業者に対するその責任は明確にしておられない。中間で働く者だけに責任を負わせよう、そうして当然国が管理すべきもの、監督すべきものを、自主規制という形でもって、現場の担当者に持たせよう、現場の担当者……、建設しようという意思は発注者です、発注者が、ほんとうの意味の現場の安全というものをはかろうとしなければ、事故が起こるのはあたりまえですよ。まあそいつは今さら言っても答弁しそうもないからその点はやめます。 ただ、もう一つ伺いたいのは、これはなるほど労使の間で行なわれているのは、現場における安全管理の問題が中心ですが、現場以外の、現場から起こった災害で善良な市民に災害を与える、これはたくさんございます。近ごろちょっとなくなりましたけれども、一週間に一ぺんくらいは市街地でもって、上から鉄板が落ちてきたとか、丸太が落ちてきて殺したということがあるのですよ。これはその問題に入りません、これは別でございますという答弁をするだろうけれども、やはりそれらの災害を起こした、事故を起こしたというものは、やはりこの法律のワク内の問題なんです。なるほど労災法で、その労働者に対しては一応千日分なら千日分の葬祭の程度のものは死亡した場合は払われるでしょうけれども、しかしそれによって善良な市民を殺害したという場合の責任というものは、これに入らぬだろうけれども、しかしこれは大きな問題であります。千日分なんかくれやしませんよ。大きな事業主なら——これは事業主の問題ですよ、大きな事業主なら事業主ほど責任をのがれます。そうしてその元請なり下請なり、落した下手人、労働者に対して苛酷な罪を課そうとするのが今の現状なんです。過失致死とかいうことになるのでしょうけれども、しかし犯罪は、やはり行為を起こした者が責任を持たなければならないのです。なぜそうしなければならなかったかということは、裁判の弁護士あたりの情状酌量論になってきてしまって……、殺害したのは、現実にそうなんです。私は、この法律の中でもって、それを処罰すると言ったってなかなかできません。しかしそこまでのことを考えなければ、災害というものはなくならないのです。新聞に出るから大臣は気がつくかしらぬけれども、新聞に出ない事故なんかたくさんあるのですよ。もっとも大臣のお手元には統計で来るから、数字だけしか来ないから、残酷な首がちぎれたり腕がとれたりするのは、目の前によく出ない、私などは現場をよく歩くから、何かあるとすぐたまらなくなる。 私は、この法律のワク内において起こった事故によって、第三者に大きな災害というか被害を与えた場合には、やはり考えられていいと思うのです。発生原因は、これなんです。これは安全を守らせようということでしょうけれども、やはり労災法の中で、それらの点も考慮されていいのではないかと思うのです。大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(大橋武夫君) いずれにしても、国の法律でございますから、必要な事柄は、何の法律に入っても差しつかえはないようにも思えますが、しかし現在の法制といたしましては、建築業の現場における第三者に対する災害の予防措置というものは、建築業法の分野に相なっております。したがいまして、この法律では労働者の災害を予防するための措置だけを取り上げておるのでございまして、もちろんその措置の欠陥のために労働者に危険を与えるばかりでなく、同時に、それが一般の人たちにも影響を与える場合もございましょう。その場合は、当然この法律で取り締まることもできるわけでございます。
○田中一君 話はもとへ房るのですけれども、七十五万人いるという町ばの職人の問題ですけれども、これは厚生省と労働省と、ほんとうに真剣に話し合って、これに対する救済なんというものじゃなく、当然なことを、施策を、擬制適用じゃなくて本適用でやるように努力してほしいと思うのです。 これはこの間行ったことを、こんなことを言うのはおかしいけれども、私はずっとヨーロッパを列国議会同盟でついていって、克明に各国を歩きまして、労働組合、業者団体、それから各政府等も歩き回ったのです。そうして知り得たことは、建設労働者が、常に優先的に社会保険なり賃金なりが高いということです。建設労働者の災害というものは、おそらく賃金がもっと高ければだいぶ減ります。賃金が安過ぎる。土丁場は雨が降ったら仕事ができない。その日の賃金が、かりに千五百円、二千円であっても、梅雨時になったら、とてもやれるものではない、十五日かすかすでしょう、働くのは。一年を通じたら、日本のような雨の多いところは、ほんとうにこれは賃金が安過ぎます。賃金部長いましたね。一体建設労働者、私は建設労働者を中心に質問しますが、建設労働者の賃金は、どれくらいが妥当だと、今までの賃金統計に出ておりますか。
○説明員(辻英雄君) 建設労働者の常用労働者の三十七年の平均賃金が、月当たり二万七千七百二十四円という実情になっております。
○田中一君 これは二十日あたりにすると……。これは月ですね。
○説明員(辻英雄君) 月当たり平均でございます。
○田中一君 これは熟練工、見習工含めたものですか、全部。
○説明員(辻英雄君) ただいま申し上げました数字は、毎月勤労統計の建設業でございますので、規模は三十人以上になりますが、その常用労働者全体の平均でございます。
○田中一君 常用労働者ですね、これは。
○説明員(辻英雄君) さようでございます。
○田中一君 そうすると、日雇労働者の場合は、どうなっておりますか。
○説明員(辻英雄君) 昭和三十七年の建設業の日雇労働者の平均賃金が日額五百七十八円でございます。
○田中一君 これは稼動日数何日ぐらい見ておりますか。
○説明員(辻英雄君) この統計には、直接稼動日数は出ておりませんが、大体、別の統計等によりまして判断いたしますと、月二十二日くらいが平均だと考えております。
○田中一君 当然、事故が起きるのはあたりまえですよ、これじゃ。五百七十八円じゃ、腹一ぱい飯が食えんですよ。子供がいたらなおさらのことだ。この法律を作る前に、建設労働者の賃金を上げなさい。建設省の官房長、あなたのほうで、どれくらいの予算上の積算をしておるか知らぬが、これじゃ事故が起きるのはあたりまえですよ。これはもうこの法律の前です。法律を作る必要はありません。この法律を作る前に、労働条件、賃金というものを確立しなければ、事故は当然起きます。労働大臣帰ってしまったから質問の向け場がなくなったけれども、だれにしたらいいかな。こんなことじゃ話になりませんが、あなたのほうの部内から出た統計ですから、間違いないと思いますが、これは一体、どういう考え方をしておるんですか。
○説明員(辻英雄君) お話のように、わが国全体の賃金、御承知のように、最近の経済成長等もございまして、最近は比較的早いテンポで賃金が全体として改善されつつあるというように考えております。特に建設業につきましては、一般の産業よりも、さらに早いテンポで改善されつつあるという数字が出ておりますが、御趣旨のように、さらに諸般の状況等もにらみ合わせまして、一そう賃金が改善されるように努力をして参りたいと考えております。
○田中一君 労働省が幾ら考えてもしようがない、建設省の官房長、この今の数字をあなた、どういう受け取り方と御意見がありますか。
○政府委員(山本幸雄君) 建設省で直用しております労務者でございますが、これは予算的には少なくも、この従来PWというのがございまして、このPWを中心にして考えてきているわけでございます。 ただいま承りました数字は、これは国というばかりでなく、一般全体の建設労働者の都会、あるいは地方を問わず平均のように承りましたが、私も若干今の五百七十八円という数字は、あまり高い数字ではないとかような印象を受けるのでございますが、今後の問題といたしましては、PWも廃止とか伺っておりますが、できるだけ予算の上で、私どもといたしましては、こうした額を上げていくように努力をいたしていきたいと考えております。
○田中一君 高い数字じゃないなんていう、そんな考え方がおかしいんですよ。こんな安い数字で、だれが一体……。パチンコのうまいものは、こんなものじゃないですよ、パチンコでもうけるのは。高い数字じゃないなんていう表現をするのはおかしいですよ。私は初めて知った。おそらく千円はこしているのだろうと思った。これじゃあ……。労働省はこんな法律を出すのはやめなさい。この前に、労働条件と賃金、雇用の安定ということを考えなければだめですよ。 もう一つ職業訓練局長に伺います。今職業訓練法ができて三年——四年目になりますが、大体訓練所を出た、三年出て、一級技能手の試験を通った人たちは、もう一期生出ておりますが、賃金はどんなもんです。その賃金は大工、あるいは建設労働者全部、あなたの卒業生の賃金ですよ。これを伺っておきたいと思います。
○政府委員(村上茂利君) これは調査したものはございますけれども、ただいま手元に持ってきておりませんので、あらためてお答えいたしたいと思います。ただ、その中で、公共職業訓練所の一年コースを修了した者、それから今御指摘の事業内訓練所三年の期間を修了した者、それから御指摘の中には技能検定に合格しまして、二級技能手、一級技能手の称号を得た者、いろいろの種類の者がございますが、私ども調査をいたしておりますのは、公共職業訓練所を修了した者の資料がございますが、遺憾ながら手元にございませんので、至急調べましてお答えいたしたいと思います。
○田中一君 それじゃあ卒業した者には、どれくらいの賃金を想定して訓練をしているのですか。どれくらいの賃金が取れるのだろうという想定のもとに訓練をしているのですか。
○政府委員(村上茂利君) 労働省としましては、訓練生の年令、社会的経験などに格差がございますので、一律にどの程度というようなことを指示するとか、基準を定めるというようなことはいたしておりませんで、ただ一般的に申しますと、当該訓練所の所在地、もしくはその近接地における職業安定所で職業紹介をいたします際には、当該管内におきますところの、通常支払われる賃金を基準にした賃金で処置してもらいたいということを職安機関の就職あっせんの際に、お願いをいたしまして処理しておるような次第でございます。
○田中一君 しかし、かつてこれはだれだったかな大臣は、石田博英君だったかな、これが出れば、大体この水準の賃金はとれるだろうという答弁をしておるはずなんです。それは年令の格差じゃないんです。経験の格差じゃないんです。大体中学校を出て、そうして職業訓練所に入り、そうしてこれを卒業する、あるいは二級技能士の資格をとり、これが町に出て、社会に出て、どのくらいの賃金がとれるだろうという想定がなされたはずです。もちろん、これには賃金、物価上がっておりますから、今推定されれば、当時何年ごろにはどうだという答弁でもいいのですが、あったはずです。
○政府委員(村上茂利君) 同じく建築関係の訓練生と申しましても、職種がかなりあるわけでございます。たとえば建築大工、それから構造物鉄工、それからブロック建築工などいろいろございますし、さらに配管工とか、あるいは木工、測量員、左官といったものも含めますと、かなり同じ建築関係の技能者と申しましても差があるわけでございます。手元に正確な数字はございませんけれども、概して申し上げますと、最近は木工ないしは建築大工に比較いたしまして、配管工であるとか、あるいはブロック建築工などの賃金が、比較的割高になっておるというふうに私どもは考えております。
○田中一君 厚生省の竹下医療保険部長見えていますね。今ここで労働災害防止に関する法律の質疑をやっておるんですが、労働省では、日雇い的な建設労働者、日雇い形式をもっている、ほんとうは賃金をもらいたいんですが、なかなか賃金は——不特定多数の使用者に使われるものが日雇い的な立場になっているけれども、これらの者は、全部一般労働者、基準法九条の規定どおり労働者という定義の中に入れて、すべてそれを完全適用するということを労働省は言っているのです。あなたのほうで担当している社会保険のうち、どれもこれも擬制適用、厚生年金はやっておりませんが、日雇い健康保険にしても全部擬制適用、これらの者を労働省が定義づけている労働者として完全適用するという考え方はありますか。また持たなければならぬと思うのです。労働大臣と厚生大臣が意見が食い違うなんということはおかしな話で、それはどうですか。
○政府委員(竹下精紀君) 日雇い労働者につきまして労働省のとられます措置につきまして、私どもまだ具体的に聞いておりませんですが、日雇い労働者健康保険につきましては、被保険者の資格としまして、健康保険の事業所に働く、あるいは健康保険の適用になっております事業所、あるいは失対事業、公共事業等に働く者を被保険者として把握をしておるような次第でございます。
○田中一君 労働省は、それが労働組合であろうと、同業組合であろうと、それらを一応使用者という立場に設定して完全適用する方針だと、こう言っているのです。 そこで、大体賃金の中には、使用者が負担する保険料の負担分も入っているんだという前提ならば、一般労働者と同じように、擬制適用などと言わないで、完全適用したらよかろうと思うんですが、その点はどうですか。
○政府委員(竹下精紀君) 日雇いの健康保険につきましては、ただいまお話がございました擬制適用の問題をどうするかという根本問題があるわけでございますが、現行法につきましては、前に申し上げたとおりでございまして、本年度、日雇い労働者健康保険につきましても抜本的な改正をすべきじゃないか、こういう意見がありますので、厚生省におきましても、来年度、これを根本的に改正したい。そういった際には、擬制適用の問題も、やはりどういうふうに取り扱うか、根本的に改正する、こういうような考え方で検討しておるような次第であります。
○田中一君 労働者の負一を大きくしょうという抜本的改正を考えているんでしょう。そこで、厚生年金は、どうですか。
○政府委員(竹下精紀君) 厚生年金につきましては、現在のところ、まだ具体的に話を聞いておりません。
○田中一君 労働大臣が考えている労働者に対する考え方が、比較的正しいんです。不十分ですけれども、比較的正しい。しかし、厚生省の考えている労働者に対する考えというものは、今、あなたに聞いてもしようがないから、西村厚生大臣から、きょうの議事録を見て、正式に建設労働者、日雇い労働者、これをどうしたら一般労働者並みに当然な給付を受けられるような形の正常なる対象として考えようとするのか、文書でいいから答弁して下さい。そして、来年抜本的に考えるとかなんとかいうことじゃなくて、現在どういう考えを持っているのか、また、どうしようとするか、それをひとつ委員長からも要求しておいて下さい。 また労災保険の問題に帰りますけれども、この賃金の算定といいますか、これはむろん低い賃金なら、低い反対給付があるわけですね、事故があった場合に。一般の工場労働者等は、常用的立場にある月給労働者、あるいは日雇いでも、月給労働者と日額月給労働者と長期雇用の労働者、これは、算定は全部賃金全額に対する比率をとっているわけでしょう。
○政府委員(大野雄二郎君) 労災保険におきましては、賃金総額でございます。それは常用労働者であろうと、日雇い労働者であろうと、変わりはございません。
○田中一君 全額ですね。全額というか、完全にもらっている賃金の比率ですか。
○政府委員(大野雄二郎君) そのとおりでございます。
○田中一君 常用的な労働者の賃金の全額というのは、今ここに出ている二万七千二百二十五円が平均賃金だと言っておりますが、これはその程度ですか、あなたのほうに加入しておる人たちは。
○政府委員(大野雄二郎君) 先ほど賃金部長のほうから申し上げた数字は、毎月勤労統計の結果の数字でございます。労災保険のほうの、それに該当いたします平均賃金は算出いたしてございません。ただ、支払いのほうの実績を見て参りますと、平均賃金、これは基準法の平均賃金でございますから、平均の日給ということはちょっと違いますが、平均賃金は七百八十円ということになっておりますが、稼働日数を二十日とみますれば、賃金の日額は、この場合では千円ぐらいにということになるのではないかと思っております。
○委員長(加瀬完君) 私からちょっと伺いますが、今基準局長代理のお話の統計ですね、大工、左官などの賃金統計は、大体六月を押えて九月ごろ発表されておるでしょう、毎月統計は出ておりませんね。で、これは建設省に、私は前に注文したことがあるんですけれども……。ですから、大体賃金の押え方が半年おくれなんですよ、大工、左官等の賃金については。その事実はお認めになるでしょう、今お答えになったのと、ちょっと食い違うように思いますが。
○説明員(辻英雄君) お話の屋外労働者の職種別の賃金調査は、毎年八月に実施をいたしまして、その集計を大体四月前後に公表できるような段取りで進めておりまして、年一度しかやってございません。私が初めに申し上げましたのは、毎月やっておりますのは、職種を全部込みにいたしました平均値でございます。これは毎月わかるようになっておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 そこで職別賃金のPWといっているのは、ここ三年ほど、いつやって、いつ発表したかということを言って下さい。
○説明員(辻英雄君) 私がただいま申し上げましたのは、屋外労務者職種別賃金調査ということでございまして、毎年これは統計調査部のほうで調査を実施いたしておりますが、実施をいたしますのは、八月分の賃金を調べておりまして、発表は大体三月の末から四月の上旬ごろに発表するのが通例でございます。私、担当でございませんので、こまかく何日というふうには承知いたしておりませんので、後刻御答弁申し上げたいと、かように存じます。
○田中一君 幾らこの労災のほうに国が補助しようというんですか、予算的に。ことしの予算で、どのくらい計上してあるんです。
○政府委員(大野雄二郎君) 総額一億五千万円でございます。
○田中一君 何ですか、それは、国の支出が一億で地方公共団体にも負担させるんですか、補助が……。というわけですか。
○政府委員(大野雄二郎君) この法律に基づく補助金の支出ということじゃございませんでしょうか。御質問の趣旨がちょっと……。
○田中一君 私はさっき大臣が言っているように、この団体を作らして、それを補助するという言葉があったように記憶しているんですが、それはどういう形なんですか。
○政府委員(大野雄二郎君) この法律に基づきまして、中央労働災害防止協会あるいは労働災害防止協会が設立されますと、労災保険特別会計のほうから、これに要する費用の一部を補助することができるようになっております。で、それに基づきまして本年予算に計上されている額が一億五千万円でございます。
○田中一君 これができたらば、そこにだれかが会長になっていくでしょう。おそらくあなた方の外郭団体の人だろうと思うんだ、だれかいくだろうと思う。
○政府委員(大野雄二郎君) これは他の種の事業団等々と違いまして、使用者あるいはこういった災害防止を目的とする団体、すなわち現在で具体的な例を申し上げますと、全安達と称します安全団体、それから全衛——衛生に関する団体、そういうような団体が自主的に集まられて、この法律に従った団体を作られる、その団体が役員を選任するわけでございます。したがいまして、ここにいる公務員を選出するわけには参らないと存じます。
○田中一君 何もあなたたちが、そのまま選出されると言っているのじゃない。天下り人事で、あなたたちが入り込もうということがたくさんありますよ。これはきょうは連合だから、社労の人に、大臣に一ぺん聞いてもらいますが、一人も地方公共団体あるいは中央、国の機関からの下がりか上がりかどうか知らないが、それらの者は、その団体には一人も入りませんということの言明をひとつ、委員長からも確言をとっておいていただきたいと思います。
○委員長(加瀬完君) 承知いたしました。
○田中一君 これはあなた方に聞いても、あなた方は言えぬでしょうから、大臣に社労の委員長から確約してもらいます。必ず入れない、要請があっても入れない、こういうことを。
○政府委員(村上茂利君) 先ほどの職業訓練生の賃金についてのお尋ねがございましたが、先ほど申し上げましたように、たとえば配管工とかブロック建築工は初任給が一万四千円台になっております。正確に申し上げますと、配管工は一万四千三百七十八円、ブロック建築工は一万四千三百三円という数字になっております。これは若干古い数字でございますが、安いのは建築大工が九千四百二円、左官がほぼ似たようなものでございます。そのように較差がございます。これは三十六年の数字でございますが、三十七年度では、全般的に上がっておりますので、さらに上昇しているとは思いますけれども、今申し上げましたように、配管工とか、ブロック建築工と比較いたしまして、一般大工が低いというような趨勢にございます。御指摘のような点もございましたので、今後せっかく訓練をさせた技能労働者の初任給につきましても、適正な賃金が払われるように、今後とも私どもは善処して参りたいと存じます。
○田中一君 それから公共職業訓練所に、建設関係の労働者の入所者は漸減しているように聞いておりますが、最初にどのくらいあって、現在どのくらいあるかという数字があったら教えて下さい。
○政府委員(村上茂利君) 三十六年度と三十七年度と比べますと、三十六年度におきましては、一般訓練所の応募人員九千四百二十五名でございましたが、三十七年度には一万八百六十八名というふうにふえております。また、別に総合職業訓練所がございますが、三十六年度におきましては、二千百六十五名でございましたが、三十七年度におきましては二千百六十五名が二千三百八十五名と微増いたしております。 なお、先生の御質問の中には、事業内訓練についての問題も含んでおるものと存じますが、三十五、三十六、三十七年の傾向を見ますと、三十六年度は新規学校卒業生の著しい低減という傾向もございまして、たとえば左官であるとか、建築大工は減っておりますが、三十七年度におきましては若干ふえております。
○委員長(加瀬完君) 他に御発言もないようでございますので、労働災害の防止に関する法律案に関する連合審査はこの程度にとどめ、本日は、この程度で散会いたします。 午後四時十九分散会