建設委員会 第20号
- 発言数
- 77 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/06/06
会議録
○委員長(木村禧八郎君) ただいまから建設委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る三日、市川房枝君が辞任せられ、その補欠として村上義一君が選任せられました。 —————————————
○委員長(木村禧八郎君) 次に、委員長及び理事打合会の結果について御報告いたします。 本日は、まず、五月二十九日予備付託になりました地代家賃統制令の一部を改正する法律案、及び五月二十日予備付託になりました宅地建物取引業法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を聴取した後、不動産の鑑定評価に関する法律案の質疑を行ないます。 —————————————
○委員長(木村禧八郎君) それではこれより本日の議事に入ります。 まず、地代家賃統制令の一部を改正する法律案を議題といたします。 提案理由の説明をお願いいたします。衆議院議員木村守江君。
○衆議院議員(木村守江君) ただいま議題となりまた地代家賃統制令の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。 この法律案は、最近における社会経済の実情に即さなくなった地代家賃統制令を昭和三十八年十二月三十一日限りで撤廃することを内容とするものであります。御承知のとおり、この地代家賃統制令の撤廃につきましては、第三十四回国会及び第三十八回国会に政府提案として、さらにまた、昨年の第四十回国会には議員提案として提出されましたが、いずれも審議未了となったものであります。しかしながら、これをこのまま放置することは許されるべきことではないと信じますので、今回再び議員提出法案として提案した次第であります。 申し上げるまでもなく、地代家賃統制令は当初、国家総動員法に基づく勅令として昭和十四年に公布施行され、戦争遂行のための物価安定策の一環として実施されてきたのでありますが、終戦後におきましても、異常な住宅難による地代家賃の急騰を防止するために継続されてきているものであります 地代家賃の統制は当初におきましては、一般物価の統制と関連してあらゆる地代及び家賃が統制されておりましたが、昭和二十五年七月の改正で統制対象は著しく縮小されまして、一時使用の土地建物及び昭和二十五年七月十一日以降新築の建物とその敷地、並びに住宅以外の建物とその敷地が統制対象から除外されました。したがいまして現在では、昭和二十五年七月十日以前に建築された延べ三十坪以下の住宅とその敷地についてのみ統制が行なわれているのであります。 昭和二十五年七月に、同月以降に新築される建物とその敷地が統制対象から除外されまして以来、十年余になりますが、この間、年数の経過とともに新築戸数がふえて参り、また家屋の滅失、あるいはまた借家が持ち家になる等のこともありまして、現在におきましては、全体の借地、借家のうち統制対象となっておりますものは、借地、借家とも、その比重は非常に低くなり、当初の目的でありました民生の安定のためという意議ははなはだ薄れて、この統制令の存在理由も希薄となっております。 しかして、これらの統制対象となる地代、家賃は、非常に低く押えられ、したがってこれを積極的に守るものはきわめて少く、実効を期し得ない実情にあります。特に退職者で退職金によって、わずかな土地を得て、それで生活のかてを得ている人、未亡人でわずかな遺産の土地家屋で生活のかてを得ている人々等は、経済的に非常に困っておりまして、修繕もできずに貴重な財産を荒廃にまかせている実情であります。 統制額を改定せよという議論もありますが、先ほど申し上げましたように、現在においては統制令そのものの意義がきわめて薄くなっており、これを撤廃しても、地代家賃に著しい影響を与えることは考えられないのでありまして、このような実態に合わない統制令はむしろこれを撤廃することが至当と思うのであります。 以上がこの法律案の提出理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(木村禧八郎君) 本案に対する質疑は、後日に譲ります。 —————————————
○委員長(木村禧八郎君) 次に、宅地建物取引業法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、提案理由の説明をお願いいたします。衆議院議員瀬戸山三男君。
○衆議院議員(瀬戸山三男君) ただいま議題となりました宅地建物取引業法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。 宅地建物取引業法は、御承知のとおり、宅地建物取引業者の登録を実施し、その業務の適正な運営の宅地建物の利用の促進を目的として昭和二十七年に制定されたものであります。その後、営業保証金制度、取引主任者の設置及び宅地建物、取引員試験制度の創設等について所要の改正を行ない今日に至ったのでありますが、最近、宅地建物の取引が国民生活あるいは産業活動の上でもますます重要となり、かつ、取引の内容も複雑化しつつある反面、ヤミ業者のばっこ、業務に対する規制の不備、業者に対する監督取り締りの不徹底等のため依頼者その他取引の関係者に多大な迷惑を及ぼし、各種の事故や紛争があとを絶たない現状であります。 かくして、今回、依頼者その他取引の関係者の保護をはかる見地から、業者に対する規制と監督をさらに一そう強化し、宅地及び建物の取引の公正を確保するとともに、業務の適正な運営をはかるため、所要の措置を講ずることにして、本法案を提出した次第であります。 次に、本法案の要旨について御説明申し上げます。 第一は、宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施することとしたことであります。すなわち、宅地建物取引業を営もうとする者は、建設大臣または都道府県知事の免許を受けなければならないこととし、建設大臣または都道府県知事は、その免許の申請前二年以内に宅地建物取引業に関し不正または著しく不当な行為をした者、当該事業を遂行するに足りる資力信用を有しない者等、一定の欠格要件に該当する場合には免許をしてはならないことといたしました。 第二は、取引主任者の資格の引き上げに関する措置を講じたことであります。すなわち、取引主任者になるためには、宅地建物取引員試験に合格した後、二年の実務経験を要することとするとともに、宅地建物取引員試験の受験資格を高等学校卒業程度に引き上げることとし、取引主任者の資質の向上をはかることといたしました。また、取引主任者及び取引主任者の資格有する業者のみ、宅地建物取引員という名称を用いることができることといたしておます。 第三は、依頼者等の保護をはかるため、営業保証金の供託限度額三十万円を撤廃することとしたことであります。 第四は、業務の規制に関する事項であります。すなわち、宅地建物業者に対し、報酬額の掲示、従業者の証明書の携帯、取引に関する帳簿の備え付けを行なわせる等、業務の適正をはかるための措置を講ずることとしました。 第五は、監督に関する事項であります。すなわち、建設大臣または都道府県知事は、宅地建物取引業者が法律違反その他一定の事由に該当する場合においては、免許を取り消し、または業務の停止を命ずることができることとするほか、依頼者等に損害を与え、または損害を与えるおそれが大であるとき等においては、必要な指示をすることができることとしております。また、建設大臣または都道府県知事は、宅地建物取引業者及びその団体に対し、必要な助言、指導及び勧告ができることといたしました。 第六は、宅地建物取引業に関する重要事項を調査審議させるため、建設省に中央宅地建物取引業審議会を、都道府県に都道府県宅地建物取引業審議会を置くこととしたことであります。 第七は、宅地建物取引業を営む信託会社及び信託銀行は、すでに銀行法等による免許を受けておりますので、この法律による免許を受けることを要しないものとしたことであります。しかし取引主任者、営業保証金、業務等に関する規定は、適用することとしております。 第八は、従来この法律の適用がなかった山林原野等の取引についても、建築基準法による用途地域の指定のあった地区内の土地に限り、この法律を適用することとしたことであります。 以上のほか、宅地建物取引員会には、宅地建物取引員の資格を有しない業者も、これに加入し得る道を開くことといたしました。 なお、今回の改正に伴う新しい制度が円滑に実施されるよう、附則において、現に宅地建物取引業者として登録されている者は当該登録の有効期間満了までは免許を受けないでも引き続き業を営むことができること、その他営業保証金の供託等について所要の経過規定を設けました。 以上がこの法律案の提案の理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御要旨の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。 —————————————
○委員長(木村禧八郎君) 次に、不動産の鑑定証価に関する法律案を議題といたします。 本案に対する提案理由の説明及び補足説明は、前回すでに聴取しておりますので、これより質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○瀬谷英行君 不動産の鑑定証価に関する法律案の提案理由の説明として、「宅地価格の高騰は、根本的には宅地の需要と供給との不均衡によるものと考えられますが、——さらには、合理的な地価の形成をはかるための制度が欠除しているため、地価がいわゆる呼び値等によって安易に、しかも不合理に決定される」、だから、このような現状をかんがみて、この新しい制度を講ずる必要がある、こういうことがこの法案の提案の一番大きな根本的な理由になっているようですけれども、すると、宅地がやたらと値上がりするということは、この動機になっているのはそうだが、その値上がりの原因については、二つあげて、根本的には需要の不均衡だが、さらに合理的な地価の形成をはかる制度が欠除している、こういう言い方になっております。そうすると、需要供給のつり合いがとれていないということが、一番根本になっているということを認めておりながら、その付随的な現象である地価の形成をはかるための制度が欠除しているということを第一に取り上げているような気がするのですね。根本的な原因をそのままにしておいて、付随的な現象を取り上げて、そのための対策を講ずるというのは、根本的な問題に対する施策をあと回しにしているといったような感じがあるのでありますけれども、その点は一体どういうふうに考えておられるのか。何か主客転倒のような感じがするのでありますが、再度、提案理由について、その考え方の骨子をお示しをいただきたいと思います。
○政府委員(町田充君) 御指摘のとおり、最近の地価の高騰の原因をいろいろ考えてみますと、何と申しましても、需給のアンバランスということが一番大きな原因であろうというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、まずこの根本的な原因にメスを入れるということが一番大事な問題でありますことは、御指摘のとおりでござます。その一環といたしまして、これも宅地制度審議会から御答申をいただいたのでございますが、大規模に供給面をふやすという意味合いにおいて、大規模な宅地開発事業を推進して参る必要がある。そのためには、その用地をできるだけ有効的確に取得できるような制度上の措置として、たとえば収用権を付与することであるとか、あるいは先買い権を行使することができるようにするとかいうふうな答申がございまして、それを受けまして、ただいま新住宅市街地開発法案を御提案申し上げ、御審議をいただいておるわけでございまして、私どもといたしましては、決してそういう地価高騰の基本的な原因であると考えられる需給のアンバランスという現象に対して、手をこまぬいて見ているわけでございませんので、宅地制度審議会の答申もありましたし、その答申に沿いまして、現在所要の法案を提案をいたしておる次第でございます。 それからそのほか、地価の高騰の原因としては、思惑的な、投機的な要因というふうなものも考えられます。こういうものに対しましては、今後、宅地制度審議会におきまして、税制の面からもいろいろ検討していただかなければならぬというふうに考えておるわけでございますが、そういった諸対策を考えていきます前提として、やはり不動産の鑑定評価ということが前提となる、基礎となるものでございまするから、宅地制度審議会からも第二次の答申として、まず、そういう不動産の鑑定評価の制度を確立する必要があると答申がございましたし、それを受けまして、今後いろいろ講じて参ります施策の基本的な前提として今度の法案を提案をして御審議をお願いしておる、こう考えておるわけでございます。
○瀬谷英行君 たとえば、この近辺ではそうでもありませんけれども、東京でいうといわゆる下町のほうですが、上野の松坂屋であるとか、あるいは浅草の松屋はあるとか、あの下町近辺の高い建物のてっぺんから下を見おろしてみればわかることですけれども、いまだに非常に小さな木造家屋、古い木造家屋がびっしりと詰まっておる、こういう現象があるわけであります。一面においては、郊外のほうに四階建のアパート、公団住宅といったようなものがどんどんできて郊外から大量の人を運ぶという格好になっていますけれども、都心はまだまだ小さな家が一ぱい建っており、しかもそれらの家屋が、たとえば地代家賃統制令等の問題にもひっかかってくるし、それから空間を利用するという意味で非常に私はむだが多いと思うのです。だから、そういうような点を根本的に解決をしないことには、宅地の問題は解決ができないのじゃないかと、こういう気がするわけです。だから、それらの都市計画の面から考えて、現状をあのままにしておいてよろしいのかどうか、あのままにしておけば非常にアンバランスな都市ができてしまうのじゃないかという気がするのです。だから、できれば、なかなかこれはむずかしいことだと思うのですけれども、自由主義の制度ではあっさりはできないと思いますけれども都市の中心部からバンガローに毛がはえたような小さな木造家屋がびっしり詰まっておるというような現象を一挙に排除して、立体的に高層建築にして、そして空間を有効に利用する、こういう方法を講じないことには、都市美の上からいっても、あるいは土地の有効な利用という面からいっても不合理だという感じがするわけであります。これらの問題について根本的に策を立てるということが、あるいは実行するということが可能かどうかという点についてお聞きをしたいと思います。
○政府委員(町田充君) 御指摘のとおり、都心部におきまして非常に低い建築物、しかも、木造の建築物が多うございまして、土地がそういう意味合いにおいて合理的に利用されてないということは、御指摘のとおりでございます。全国の平均で日本の建築物の高さが一・二階、東京の都心部においてすら、わずか一・三二だったと思いますが、一・三二階というふうなことで、非常に低い、しかも地価は非常に高い、そういう高い地価の上にわずか一・二階か一・三階ぐらいの建物しか構築されていない、そういう意味合いにおいて非常に土地が、せっかくの土地が合理的に利用されていないという欠陥があるということは、もう先生御指摘のとおりで、私ども、前からそういうことを痛感しておるわけでございます。こういう問題に対処いたしますために手がかりになる規定がないわけではございません。たとえば建築基準法の中に、高度地区というふうな制度もございまして、高度地区の指定がありますと、そこでは一定階層以下の建物を建てちゃいかぬというふうな規制もできるような建前にはなっておりますが、何分にも元の意向、関係者の意思というものが前提になっておりますので、なかなか実際に発動しにくいという格好になっておるわけでございます。そこで全般的に通じまして、要するに、土地の合理的な利用というものを確立しないために、地価の問題が根本的に解決できないではないかという御意見でございますが、まことにそのとおりでございまして、宅地制度審議会でもその点がたびたび議論になりまして、いろんな制度を考えているけれども、その根本にはやはり特別の合理的な利用計画、ここは商業地域、ここは工業地域、ここは、住宅地域というふうなはっきりした利用計画というものが確立されることが前提だという御議論が圧倒的に多いわけでございます。したがいまして、私どもも究極の問題として、課題としては、その問題に取り組みたいと考えておるわけでございます。で、さしあたり既存の既成市街地ではなかなか言いましても事が簡単に参らないと思いますけれども、今後新しく建設される、たとえば新産業都市であるとか、学園都市であるとか、官庁都市であるとかいうふうなことが話題に上っておりますが、こういう新しい町づくりの際には、そういう意味合いの土地の合理的な利用計画というものをはっきり確立して、これに基づいて施策を進めて参りたい、こういうような腹づもりでおるわけでございます。
○瀬谷英行君 日本の場合は、面積と人口との割合、つまり人口密度というのが世界でもトップ・グループに属するくらい高いわけですね。結局土地の広さの割合には人口が多過ぎるということになるわけです。だから、野放しにしておけばどうしたって土地が足りなくなってくるというのは、火を見るよりも明らかなんですね。そうすると、利用できるのは、昔のように武力侵略をやって満州だとか、シベリアだとかいうふうに出かけて行って、あるいは南方へ行って領土をかっぱらうということは、今後は考えられないことなんですから、日本の土地資源というものを有効に使うということしか考えられないということになる。有効に使うためには、空間を利用する以外に手はないわけです。海面の埋め立てなんということは、そんなにできるもんじゃない。富士山をつぶして東京湾を埋め立てるというわけにもいかないだろうと思うのです。そうすると、空間を利用するということになると、建築技術の進歩と相待って、空間を最大限に利用するという方法を講ずるという以外には、やはり都市計画としてはうまい考え方はないのじゃないかという気がするのですね。その意味では、土地の現在のような私有、しかも、それに利権がからまって動きがとれないという状況、これをばっさりと何とか解決をするという方法を講じないことには、こういうはれものにばんそうこうを張るような方法だけで私は解決しにくいのじゃないかという気がするわけです。だから、土地を有効に利用するということ、空閑地をさらに利用するということ、さらに都市計画の面でも思い切ってその不合理な家屋が、たとえば小さな家屋がびっしり詰まって、しかも、地価がたまげるほどはね上がって、そしてはみ出た人口が郊外へ郊外へと広がって、しかも、それがまた通勤難に拍車をかけるといった悪循環をどっかで断ち切らなきゃならない、こういう気がするわけです。だから、そういう悪循環を断ち切って、この住宅問題あるいは宅地問題等についての解決をはかるために、今のようなやり方だけで事が済むのかどうか。いま少し思い切った策というものがあるのかどうかという点についてお伺いをしたいと思うのです。
○政府委員(町田充君) 日本の人口密度が非常に高いじゃないかというお話でございますが、そのとおりでございまして、オランダ、ベルギーあたりの人口密度と日本の人口密度がよく比較されるわけでございます。ところが、オランダ、ベルギーあたりは、御承知のとおり、ああいう平坦な国でございまして、全国至るところに人が住める。それでもってなおかつ人口密度が非常に高い、こういう状況でございますが、わが国は幸か不幸か非常に山地が多い。したがいまして、これを平たい土地にいたしまして考えますと、人口密度の点ではそう心配する必要がない、こう言えるかと思うのでございます。したがいまして、何と申しましても都市部における、市街地における人口密度だけというものを考えますと、世界のトップ・レベルをいくわけでございますが、山地を開発をして住める地区を構成していく、こういう施策を考えて参りますと、まだまだ日本には住む国土がある、こう言って決して差しつかえなかろうかと思います。そういう今まで住んでいなかった所を住めるように開発をし利用をしていくという問題も、そういう面からあるわけでございますが、既成市街地の空閑地の問題、これが先生御指摘の問題であろうかと思うわけでございますが、人口がすでに密集しておる地域において、なおかつ、そういう意味合いで利用されていない空閑地、これに対してどういう対策を講じていくかということつにきましては、御承知のとおり、大都市再開発問題懇談会というふうな機関を建設省にも設けまして、いろいろ御検討をいただいておるわけでございますが、さらには、先ほどちょっと申し上げましたが、税制上の措置として空閑地税というふうなものを創設いたしまして、単なる思惑あるいは将来の値上がりというものを期待して、利用さるべくして利用されておらない空閑地というものをできるだけそういう税制によりまして、合理的な利用へ持っていく施策を考えるべきではなかろうかというふうなこともございますので、宅地制度審議会で今後の問題として検討していただこう、こういう予定にいたしておるわけでございます。
○瀬谷英行君 次に、地価が呼び値で安易に不合理に決定される。だから、それに対して、今度は不合理でなくて合理的に決定するために鑑定士の制度を設けて鑑定をさせるということですが、根本的には需給のアンバランスということがあって、その需給のアンバランスがそのままになっていて、どうして地価を今度は合理的に決定できるかという問題が私は出てくると思うのです。地価を合理的に決定しようと思えば、やはり根本の需給のアンバランスをそのままにしておくんではなかなか私はむずかしかろうと思うのです。その意味で、合理的に決定するにはどうしたらいいか。何を基本に、何を基準にして評価をしていくかという問題は、私は非常にむずかしかろうと思うのですね。これは簡単にはできないような気がするのですけれども、それらの点について、鑑定士に対して高度の国家試験を行なって資格を与えるんだということになっている。じゃ、その国家試験は一体何を求めるのか。鑑定士にいかなる知識を、あるいはいかなる機能を求めるのか。これは条文の中に試験の細目についていろいろありますけれども、どういう知識を主として求めるか。それはいかなる理由によるものかという点についてもお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(町田充君) 基本的には宅地のアンバランスというのでございますけれども、そういう需給のアンバランスにさらに拍車をかけるような形で、いわゆる呼び値、いわゆる思惑による投機的な売買価格というふうなものが一般の取引においてかなり見受けられる。それが決して合理的な根拠というものに基づかないで、単なる売買地の付近地の売買実例であるとか、呼び値とかというふうなことで決定をされている、こういうのが一般の市場における取引で見受けられるわけでございます。そこで、需給のアンバランスによりまして地価のある程度の現在の高さというものは招来されておるわけでございますが、それに拍車をかける、その高さにさらに拍車をかけるような意味合いで地価の一般的な取引におけるそういう不合理性が作用しておる、こういう認識を私どももいたしておるわけでございますが、宅地制度審議会の委員の方々も、そういう認識でこの問題に対処されたわけでございます。そこで、需給のアンバランスは、これは根本的に解決していかなければならぬ問題でありますけれども、さしあたり、そういうそれに拍車をかけるような不合理な要素があるのは、少なくとも是正していかなくちゃならぬ、こういう考え方が出て参りておるわけでございまして、物価というものは一般に需給の調整によってきめられるわけでございます。それがバランスがくずれると安くなったり高くなったりする、これは経済の一種の必然的な趨勢であるわけでありますが、それはそれとして、さらにそういう情勢に拍車をかけるような意味合いでの不合理な要素というものが見受けられる、それは少なくとも是正していかなければならぬ、こういう考え方でございます。しからば、何を不合理といい、何を合理的というかということでございますが、今現状は、町の精通者といわれるような人たちが、極端なことを言いますと、ここは一坪十万円だというふうに声をかければ、それがもう通り相場になってしまうというふうな、ごく安易な形で決定をされているというような実情が多く見受けられるわけでございますが、それには、そういう呼び値の根底にはやはり一般の地価に対する認識、あるいは経済の動向に対する洞察、あるいはいろいろなその土地の利用に関する建築法あるいは土地の規制というふうなものに対する知識、あるいは相続税なり固定資産税なりというふうな税制に対する深い認識、そういうふうなものが総合されて初めて地価を決定する判断の要素になる、こういうふうに考えられますので、今申し上げたような経済なり一般の物価なり、そういう問題に対する洞察力、あるいは土地の利用に関するいろいろな諸規制の理解力、あるいは税制とか評価とか、そういう問題に関する知識、そういったあらゆる知識能力を総合した観点から地価を鑑定評価していく、こういう能力を期待をいたしておるわけでございまして、試験問題に書いてございます民法であるとか、不動産に関する行政法規であるとか、経済学とか、会計学というふうなことは一つの具体的な科目として表示をしたわけでございますが、その根底になりますものは、経済学なり会計学なり、あるいは法律制度なり、そういうものに対する深い洞察力と認識と知識と、こういうものを期待しておるわけでございます。
○瀬谷英行君 そうすると、結局高度の国家試験といいますけれども、その国家試験の内容というのは、たとえば公務員試験であるとか、あるいは高等験試験であるとか、そういったような試と内容的にはほぼ同じというふうに受け取れるわけです。それに多少専門的な知識を求めていくということになってくるわけですけれども、ほとんどがたとえば法律、経済といったようなことで、技術面、あるいは土木、建築工学といったような知識に重点を置かなくともかまわないのかどうか、こういう点でありますけれども、そうすると、要するに試験で求めているものは法律経済というほうに重点を置いているのだ、いわば従来の高等試験、司法試験であるとか、そういうものとほぼ大同小異の学識を要求しておるというふうに考えてよろしいのですか。
○政府委員(町田充君) 試験でございますから、ばく然と試験をするわけには参りませんので、やはり特定の、どういった科目について、どういう学問の分野について試験をするのだという範囲を明示しなければなりませんので、一応民法であるとか経済学であるとか会計学であるとか、かような科目について表示をいたしておるわけでございますけれども、これは各種の試験に共通することでございまして、たとえば公認会計士試験あるいは司法試験、こういう国家試験がほかにあるわけでございますが、やはりこういう表示の仕方をいたしておるわけでございます。しかし、単なる知識の切り売り、学問のはしばしの雑然たる知識ということではもちろんございませんので、そういうものの背景にある法律制度、会計制度、経済学、経済知識というふうなものの根底にある深い洞察力なり知識なり、そういうものを要求しておるわけでございますが、必ずしもその法律とか経済とか、そういうものを偏重するということではございませんので、たとえば建物の利用を考えます場合におきましては、その構造なりあるいは工法なり、そういうものに関する知識というふうなものも必要でございましようし、そういう意味合いにおきまして、必ずしもここに掲げてある科目だけに限定しておるわけでございません。それより幅広いものを要求するわけでございますけれども、さしあたり、試験という手段の性格上、一つの科目として表示をせざるを得ない建前上、こういうふうに表現をいたしておるわけでございます。
○瀬谷英行君 新しい職業が誕生をするわけなんでありますけれども、その試験官は一体どういうような人が当たるようなことになるわけですか。
○政府委員(町田充君) これは、法案の第四十九条にその関係の事項が規定してあるわけでございますが、まず試験の施行のために、不動産鑑定士審査会という機関を付属機関として建設省に置くことにいたしておるわけでございますが、その中に特に、この試験問題の作成なり採点のためには、試験委員というものを審査会の推薦に基づきまして建設大臣が任命をいたしまして、この試験委員の方々に実際の試験問題の作成なり採点なりをやっていただく、こういうことにいたしておるわけでございますが、この試験委員にはもちろん従来からこういう不動産鑑定評価の実務に長年携わってこられて、理論的に研究をしておられる先生方が民間に相当おられますので、そういう方々に試験委員としてこういう事務に当っていただく、こういうことに考えておるわけでございます。
○瀬谷英行君 それは学者が担当するということもあるでしょうけれども、その試験委員をどんな人がやるか、たとえばこれは民間の業者というふうに聞き取れるわけですけれども、何を職業にして何を専門にしてきたような人たちが試験委員になるのか。あるいはまた、任命をするのか、それによって大体試験の内容というものも見当がついてくるわけなんです。結局、先ほどの試験科目に合ったような専門家が主として試験委員に当たるのか、特にこの鑑定士に必要な専門的な問題についての試験官はどういうような人間を任命することになっているのか、その辺の構想がきまっておりましたならば、おありでしたならば、お答え願いたいと思います。
○政府委員(町田充君) 試験を施行します前に、まず、どういう鑑定評価の理論なり基準なりというものがあるのかということが問題になるわけでありまして、そういう基本問題を検討していただくために、宅地制度審議会で、この試験施行前に十分検討していただく、こういうことに予定をいたしておるわけでございますが、現に、宅地制度審議会でもそういう専門的な知識経験をお持ちの先生方に委員として参加をしていただいておるわけでございますが、具体的に申し上げますと、信託銀行なり不動産銀行なり、そういう銀行で不動産の鑑定評価の実務を長年やってこられた方々、あるいは民間の研究機関あたりでそういう問題について研究調査をし、さらに、求めに応じて不動産の鑑定評価をやっておられる方々、こういう方々が相当あるわけでございます。したがいまして、おそらくそういう方々の中から試験委員にお願いする、こういうことになろうかと思います。
○瀬谷英行君 最後に、政務次官が見えておるので次官にお伺いしたいと思うのですけれどもね、この提案の一番根本的な理由としては、宅地の価格の高騰である、宅地価格の高騰というものの大きな原因は需給均衡であるということも認めておられるわけなのです。合理的な地価の形成をはかるための制度がこの法案の提案の理由ですけれども、この制度のほうは、付随的なあとから必要に迫られて考えられた制度というふうに思われるわけです。根本的には需給の不均衡というものを解決しないことには、問題の根本的な解決はあり得ないと思うわけです。その宅地の、つまり人口密度が多い、しかし土地が足りない、家が高い、こういう根本問題、需給の不均衡を打開をするための根本的な政策というものが、思い切った政策というものがなければ、私は幾らこういうこまかな法案を作ってみてもたいした効果は期待できない気がする。その根本問題について思い切った政策を政府としてはやり得るのかどうかという点について・次官の見解をお伺いしたいと思う。
○政府委員(松澤雄藏君) 非常にごもっともな御質問で、かつまた、非常に現段階で重要であり、しかも、むずかしい問題であるので、率直に申し上げて、なかなか思いどおりにならぬ点が私、現況であろうと思います。原則的には、今のお話のように、需給のバランスがとれていない、これに対して政府としての立場において、現段階においてもなし得る最大限のものはやりつつありますし、また、今後もやらなければならないという決心のもとにやっておることは御承知のとおりでありまして、御承知のように、一分野においれは、人口の密度の非常に大きい大都会に入ってくる人口をいかにして抑制するかというふうな部面等も考慮して、新産業都市の設定をしようというふうなことを考えてみたり、これを直ちに実行するような方向に現在も進めておりまするし、あるいはまた、直接に大都市から、住宅並びに住宅宅地というふうなものに関連した人口的な面を含めて、いわゆるいうところのニュー・タウンといったようなものを作るべく、現在御承知のように、新住宅開発市街地促進法案といったようなものも出しましてやろうといたしておりますし、現在御審議を願っておるうよな段階でございます。また、先ほどのお話のような市街地においての空閑地的な面、あるいはまた、終戦直後以来の建物等に対する高層住宅的な面の構想といったような面に対しては一昨年御審議願った市街地の街区設定に伴う都市計画の整備、あるいは今回提出しておる建築基準法というものによっての容積がえをして持っていきたいというふうな部面等は、現在すでにやろうとして着々その準備を進めてやりつつあることは、まことに御承知のとおりです。そういうふうな点を合わせながら、かつ、今後なさねばならないのは、今おっしゃるような、ほんとうに抜本的な考え方を持っていかなきゃならぬ、こういうふうにわれわれは検討は加えて鋭意努力はいたしておりますが、それらとあわせて考えなきゃならぬというのが、ただいま法案として提出しておるこの鑑定士の身分の問題等に対する国家保障の立場において、権威あるものをやることにおいて、ある程度従来やっておる、いわば任意な団体的な面の鑑定よりは、国民に与える影響も相当重く見て考えていただけるのじゃなかろうかというふうな点を考慮して、今回、先ほど局長から申し上げたように宅地制度審議会の答申等もございましたので提出したというのが現段階であります。だがしかし、これだけでもって最後のきめ手になるとは毛頭考えておりません。率直に申し上げまして、これだけできめ手になるとはわれわれも思えないのであって、今後考えなきゃならぬのは、さっき話がありましたように、いわば値上がりを待っておるような状況にある、かりに空閑地に対してどう処置をするのか、あるいはまた土地のみをどんどんどんどんいわば拡大して、そうして値上がりを待つような土地の増加をたどっておるような、そういうふうな方面にのみ重点を置いておるブローカー的存在のような方向に対しては、どういうふうな処置をとるか、こういうような面は税金関係で押えるのがいいのかというふうなことで、土地増価税といったような方面に頭を使ってみたらどうかというふうなことやら、ときによっては、その値段というふうな面を公示制度をとってみたらどうだろうかというふうな、いろいろと検討を加えておりますが、公示制度等は、きめ手のうちでも相当有力なものではなかろうかというふうに考えますが、しかしながら、この公示制度というふうなものに対しては、御承知のように、直接に個人々々に加わってくる固定資産税的な面も非常に大きくなっておる関係上、税金というものに対する見方、方面から考えて、はたして公示制度というものが妥当なものとして持っていけるかどうかというふうなこと等もあって、いまだに宅地制度審議会、住宅対策審議会の面なりに諮問をしておるというふうな段階であって、まだまだやらねばならないことはたくさんあると思いますが、現段階としては、この程度でまずやっていくよりほかに方法がなかろう、こういうふうに率直に申し上げて考えておるようなわけであります。
○委員長(木村禧八郎君) ちょっと、今松澤政務次官の答弁ですが、公示制度については、まだ諮問の段階といいますけれども、宅地制度審議会の答申では、公示をせよという答申になっているのですよ。
○政府委員(松澤雄藏君) 確かに審議会のほうでは、公示制度というものに対して、こういうふうに考えたらどうかというふうな面に触れていることは事実です。けれども、私どもがいろいろ検討してみた結果において、もう一度ひとつ御検討をしていただきたいという気持を持って、宅地制度審議会のほうに検討し直してもらおうというふうな気持ちになって、現在、事務局で鋭意研究をしておるという段階になっておるというふうにお考え願いしていただければいい、だろうと思います。
○田中一君 私はこういう制度はおそかったということを言わなきゃならぬと思うのです。しかし、今瀬谷君からもいろいろ質問があった、提案理由の説明が、こういう表現の仕方でもってこの法律案を提案することは間違いであると思うのです。今日の社会は自由主義資本社会です。だれがどの土地をいかなる価格で取引しようとも自由なんです、自由経済の社会では。この宅地の高騰というものは、客観的な実態、客観的なそのものの価値が高かったり低かったりするほかに投機的な性向を持っている。人為的な宅地の高騰というものがあるならば、これはこういうものによって、その高騰が抑制さるべきものではないのです。もしここにあるような宅地価格の高騰ということを掲げているならば、その責任は一に政府にあるのです。政府が実際にですよ、住宅政策の中で窓口を一元的にして、あらゆる政策は一つの窓から出るという、住宅省ができて、そこで一つにやろうということになるならば、一面宅地の高騰というものは、いたずらな高騰というものは人為的に押えられる。それから、宅地政策そのものがないところに、瀬谷君が今言ったようなことがあるわけです。住宅金融公庫、住宅金融公庫を通ずるところの、各地にあるところの住宅協会、住宅公社、こうしたものが一斉に融資対象となって、住宅宅地を持っておる者には住宅建設資金を融資しましょうというところに問題があるのであって、責任は政府にあるのです。だから私は、この法案は、とがめるのは別の面をとがめますけれども、その際は、そういう美辞麗句を使って責任をのがれるようなことは言わないで、率直な提案をすべきだと思うのです。率直な提案をすべきだというのは何かというと、今日われわれの社会における価値の標準価格というものをだれかがきめなければならないということです、自由経済の社会においては。私は銀座に十坪の土地をもらってもどうにもならぬから、くれるといってももらいませんよ、税金がかかったり何かする。あんた売っちゃ困る、持っていなさいと言われても困る。使用の問題です。あるいは松屋の隣に五十坪の土地がある。この土地を松屋が自分のところの車庫にしたいという場合には、それが二百万円のものだったら三百万円出しても買いたいということになる。取引の実態というものは、二百万が正しいと思っても、三百万で買うということは、これは自由主義社会におけるところの自由経済です、原理です、実態ですよ。宅地の高騰を押えるなんという、おこがましいことを言っちゃいけません。そんなものでなくて、この場合にもこの価値が、これが諸般の地域の状況から見ても、このくらいであろうというものは出すのが、出す制度がないところに欠陥があった、この場合には。この法案を提案する場合には、こういうことでいいですよ。なまいき過ぎますよ。根本的な宅地の需要と供給との不均衡、そんなことを言う必要はひとつもございません。率直にこの目的にあるように、この法律案の目的の冒頭にあるように、この目的でございますと、これでいいのですよ。「この法律は不動産の鑑定評価に関し、不動産鑑定士等の資格及び不動産鑑定業」云々という、それだけでけっこうなんですよ。それでいいんですよ。こんなことを提案理由の説明に持ち出すということは、天につばをする、かかってくるのは、政府にかかってくるのですよ。だから、瀬谷委員のようにひっかかってくる、これはあたりまえです。こういうことを言う必要は一つもございません。これは率直に、鑑定士、鑑定業というものがあれば、われわれの社会においてどれくらい便利であり、どれくらい利益を受けるかということを考えて提案したのだということなんですよ。その点政務次官、どう考えておりますか。
○政府委員(松澤雄藏君) そういうふうにおっしゃられれば、あるいはそのとおりかもしれぬのですが、実際問題として、確かに田中委員が言われるように、政策的な面、あるいは施策の点において、政府自体の責任だと言われる点も私必ずしも否定するものではないと思います。これほどの経済成長が急角度に出てくる限りは、このような結果になるであろうという想定を下してなさねばならなかったということは、いつか河野建設大臣のときに、委員長みずからが言われたことがございましたが、何人もその点はうなずいていけるものと、かように考えますが、だからといって、私たちはそのまま放置して今日まできたわけではなくて、その理由を先ほど簡単ながらも申し上げたようなわけでありますし、また、反面においては、今お話のあったような趣旨等も織り込んで、現在の法案を提出したというようなことでございまして、表面に出てきた文章等においても、それらの点を包含したものとして御解釈願えば、私は、いいのではなかろうか。だからといって、全然土地の抑制を投げっぱなしをしておいて、法案の提出をしたのではなくて、それを包含したものとして御検討願えれば幸いであると思います。
○田中一君 鑑定士ができ上がったって、地価の高騰というものはその地域の景気によって左右されるものであります。需要供給の景気によって左右されるのでありますから、これによって下がるなんでいうことはありませんと言うのです。また、鑑定士がいても、地価を上げたり下げたりする役目じゃないと思う、鑑定士の役目というものは。鑑定士の役目というものは、上がったものを抑えて、低いものを上げるという役目じゃないでしょう。この法律を作らなければならなかったというところには、その遠因もあるだろうけれども、率直に言って、もっと率直な表現をして、問題のないような提案理由説明をするならば別にいいけれども、どうもこういうことを言っておいて、だれかに責任を負わせる、今日の地価が上がったというのは、ことごとく政府の責任です。政治の責任です。そこで、公共用地収得制度の改善について、これはわれわれがかつて二、三年前に法律を審議した経験のある法律ですが、このときにあらためて、公共用地取得に関しては、一体土地収用法の改悪とか改善とか、改良とか言いません、これは通っているのですから。特定公共用地指定というものによって、土地収用法の便宜化というかをはかっている法律が現在制定されている。これを諮問したときに、どうしても公共用地を取得するための団体が、その正しさというものをどこに求めるかとなると、売った者と買った者の間に取りきめた価格というものは、成立した場合には、それが正しい価格ということになる、お互い納得したのですから。しかし、ただ物理的な土地というだけではなくて、そのときの景気、金融状態、必要度、いわゆる全体の利用度と自分のふところ勘定によって価格がきまってくるのです。公共用地取得のための土地収用の場合、だれか第三者がこの価格に対するところの、このくらいではなかろうかというような一つの参考意見が出れば、そこで妥協する道もあろうということで、このような答申がなされている。それは今後検討を要するものと思う。公共用地収得難の解決をはかる場合に、以上のような措置のほか、評価鑑定士制度の確立、補償基準の作成、これらのものを今後検討しなければならないのだ、私はかって公共用地、特定公共用地というものを指定して、これによって公共団体がその土地を収用する場合の法律に対しては、いろいろ論議をしたわけでありますけれども、これがなくては納得しませんよ。どういう条件のものが補償基準にしてもらえるのか、あるいはだれがその価値をきめるのか。現在の公共用地取得のための買収価格というものは、国がきめる、あるいは地方公共団体がきめる。予算の上に明らかにされてきているのです。したがって、これは、それが多少の増減はあったとしても、公共用地を取得しようとする、公共事業を行なおうとする側のほうで、一応の価値をきめてきているのです。それじゃいけない。それじゃいけないから、そうした制度を作って、だれもが納得する形のものにしたらどうかということか強く要求してこの法律案の提案になったものでありますから、要は、土地の価格の問題でなくして、その土地の価値をどうきめるかというところにあるのです。でありますから、私は、この提案理由の説明の冒頭に書いているものは、これは答申案の冒頭に書いている、現在の社会情勢を客観的に表明したものをそのままとってこの法律の提案理由の説明にしておるけれども、これはひっかかったのです。こんなことを言わないで、率直に、この法律はこうでございますと言えば、何も文句はないわけです。 そこで、この法律は、私は初めから言っているように、こういう制度、こういう機関ができなかったことは、今まで残念であった。もっと早くできればもっと早くすべての公共事業というものは遂行できたろう、こう考えるわけなんですが、結局こういう制度ができて何の効果を求めようとするのか。こういう制度ができれば、民事上の争い等にも、おそらくはっきりとこの鑑定人というものをして——従来とも鑑定人はおりますが、委嘱をしておりますけれども、鑑定人というものはこの人たちが行くと思うのですが、やはり国民社会の利害、財産の価値等に非常な大きな制約を受けるために、私はこういうきびしい試験制度というものは望ましいと思います。だから、決して反対はするものじゃありませんけれども、どういう実効を得ようとするのか、それを具体的に言って下さい。たとえば、オリンピックの道路を収用する場合に、特定公共用地として指定して収用法を適用いたしますが、その際に、国民の側のほうでの鑑定もさせましょう、しかしながら、それを取得しようとする事業主体のほうでも、鑑定人に委嘱して、あらゆる客観情勢を勘案しながら、一つ価値をきめてもらいましょうということにも使います。あるいは裁判所で云々というような、この法律ができ上がった場合の効力というものはどこに求めようとしているのか。それをひとつ説明して下さい。それは、議事録に残すのですから、具体的な事例がわれわれの前にあるわけです、それを引いて言って下さい。
○政府委員(町田充君) 具体的に御説明申し上げますと、一番大きな問題は、この法律の附則でも土地収用法の一部を改正いたしておりますけれども、収用委員会でどうしてもその地価の問題について鑑定人を必要とするというふうな場合には、必ずそのうちの一人以上はこの法律による不動産鑑定士でなければならぬというふうにいたしまして、できるだけそういう収用委員会のような場でも、こういう専門家によりまして適正な判断が示されて、これによって収用委員会で裁決なされる、こういうことを一つ期待しているわけでございます。それから、そういう収用委員会に持ち込まれる前段階、あるいは協議、あるいは任意買収というような場合におきましても、どうしても利用者側あるいは買い取られる側、そういう専門的な知識を持っていないもの同士の話し合いでございますと、その申し立てが双方に相当な隔たりができて、なかなか歩み寄りができないというふうな事情もございましょうが、こういう専門的な職業家を双方が依頼をして立てるということになりますと、その辺の値開きというふうなものもかなり縮まって参りまして、早期に妥結がはかられるということも期待できましょうし、さらには、そういう公共用地の取得の場合のみならず、たとえば土地区画整理を行ないまして、あとの清算金の分配であるとか、あるいは交換分合であるとかというふうなことで、土地区画整理審議会というふうなものがございますが、そういう審議会の中にもこういう不動産の鑑定評価に関する専門家が加わることによって円滑に話しがまとまる、あるいは、先生御指摘のように、民事上の争いの場合に、裁判所の委嘱に応じて、あるいは税金の賦課の面で税務署の依頼に応じて、こういう職業的な専門家が鑑定評価をするということによって、民事上の争いなり、あるいは税の賦課徴収なり、そういう面でも社会的な信頼のある、円滑な効果をあげていくことができるのではないかというふうに、あらゆる方面でこの不動産鑑定士が適正に利用されるということを期待しておるわけでございます。
○田中一君 それでけっこうだと思います。 そこで、第二の問題は、被収者のほうで同じ——同じというのは、資格を持っている鑑定士に頼んで買ってもらいたいという価格を——価格というか地価の鑑定を依頼した、それから収用者のほうでも収用者側として鑑定士に委嘱をして鑑定してもらう、その間に値開きが相当あった場合は、これはどういう形でその正しさというものを価値というものをきめていこうとするのか、値開きがあれば——あるかもわからぬ、ないことが望ましいので、あるかもわからぬが、その場合には、この鑑定人というものは、両方とも自分の評価というものが正しいといって主張するわけですね、その場合には、鑑定人の評価というものを、そのままを受け取って事足りるのですか、それだけでいいのですか、その場合にそれをどういう工合に解決する道をはかるのですか。
○政府委員(町田充君) まず、私どもといたしましては、せっかくこういう不動産鑑定士という専門的な職業家を作るということを考えるわけでございますから、そういう専門家による鑑定評価という結果がそう著しく食い違うということがないということを期待いたしておるわけでございます。それがために不動産鑑定評価の基準なり手順なり、そういうものについて、この法律が施行までの間に十分宅地制度審議会で検討していただいて、不動産鑑定士がよるべき鑑定評価の基準というようなものをはっきり確立いたしたい、こう考えておるわけでございます。したがいまして、しろうと同士の間でやりとりをしているようなほどの大きな値開きというものはできない、できるだけ一致したものができるということを期待しておるわけでございますが、先生の御心配のように、そういう多少の値開きが出るということがあろうかと思います。そういう場合の問題でございますが、まず、収用委員会の場合をとって考えてみますと、収用者側あるいは被収用者側、双方が鑑定人を依頼をして、その結果多少食い違いができた、どうしても合わないというふうな事態がかりに起こりました場合には、収用委員会といたしましては、両方が納得する第三の不動産鑑定士を鑑定人に選んで、それでもって鑑定をさせる、こういうことも考えられましょうし、あるいは収用委員会のような場に出ない場合、任意買収あるいは協議のような段階でございますと、売手側、買手側がどうしてもせっかく立てた鑑定士の鑑定評価が一致しないというふな場合には、さらに両方がやはり合意で、この人ならと思われる鑑定士にさらに依頼をして鑑定評価をしてもらう。あるいは、せっかく両者が依頼した鑑定士でございますから、その両者の間でさらに協議をしてもらうというふうな慣行を逐次確立して参りたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○田中一君 鑑定士に対する罰則は何条にあるのですか、業務上の罰則。試験問題漏洩の罰則はここにあるけれども……。そこで、この罰則ですがね、正しい評価鑑定をしない場合の罰則はないわけですね。正しいというか、不正な評価鑑定をした場合の罰則はここにないわけですね。
○政府委員(町田充君) 先生お尋ねの趣旨は、おそらく不当な鑑定評価をしたということに対する制裁の問題かと存じますが、その点は、私どももずいぶん議論をしたのでございますが、この法律案では、不当な鑑定評価につきましては——応鑑定評価と申しますのは、拘束力がございません。必ずそれに従わなきゃならぬというものでもございません。極端に言えば、一つの意見であり、参考でございまするから、そういうものがかりに不当であったとしても、いきなり刑罰を課するということはいかがなものであろうかというふうな議論もございまして、直接には刑罰はかけておりません。制裁といたしましては、登録の抹消なり、業務の停止という行政上の懲戒処分を考えておるわけでございます。その行政処分に違反をして、さらに業務を継続するというふうな事態がありますと、刑罰がかかるという二段がまえの措置をとっておるわけでございます。
○田中一君 不当なる不動産の鑑定評価を行なったというのは、どこでそうした結論を求めようとするのですか。
○政府委員(町田充君) これはなかなか判定がむずかしい問題でございますので、法案の四十三条の第三項にございますとおり、不動産鑑定士審査会の意見を聞いて、不当であったか、不当でなかったかという判断をいたしまして、不当であるという御判断でございますれば、さようの懲戒処分をする、こういう手続を考えておるわけでございます。
○田中一君 弁護士の場合はどういう形式をとっていますかな。
○政府委員(町田充君) これは、弁護士会という伝統のあるしっかりした組織がございますので、そういう弁護士同士の懲戒の問題は、弁護士会で自律的に措置されておるものと思います。
○田中一君 そういう形の制度は、ここに織り込んでありますか。
○政府委員(町田充君) 弁護士会は、御承知のとおり、何と申しますか、強制加入、強制設立ということで、全員弁護士会に加入し、登録を、弁護士会自体で登録をする、こういうしっかりした団体でございます。行く行くはこういう不動産鑑定士の身分も、そういう不動産鑑定士の団体組織に持っていきたいとは考えておりますが、現段階ではなかなかそこまで参りませんので、そういう団体の自律的な作用というものは、さしあたりは、この法案の中には盛り込んでおらないのでございます。
○田中一君 やはり国民の利害に関する一応の強制力は、強制力じゃない、これは単なる参考資料だという結論になっておるけれども、しかし、行為はその鑑定になって行なわれるわけです。不当なる価格を鑑定されて損をする人もあるし、また、不当なる鑑定をされて利益を受ける者もいる。行為がそれがもし認められれば、お互いに納得すれば、そのまま通ってしまう。不当性が通ってしまうんです。その場合に、お互いに話し合いだからといって、それは任意の契約だからといって、責任をのがれるかもしれぬ。その場合には任意のなにになる。しかし、その鑑定評価という問題が、行為自身がもう少し今言ったように信頼される段階にくればというのではなくて、もはやこういう制度を作った以上、信頼さるべきものとして高められなければならないと思う。なるほど、ある時限を置いて、そういう成長するまで待つという行き方もあるでしょうけれども、たとえば土地家屋調査士などは、たしか三年か四年たちました。三年か四年たってようやく強制加入的な段階にきて、おのおのその団体で問題を解決しようとしている。強制加入的な制度がある。司法書士もたしかそうなっているはずです。法律的な手続の問題です。土地家屋調査士の場合には、その調査書そのままが登記台帳に、不動産台帳にそのまま何と申しますか認められて台帳になるということになっている。そこに監督権というか、本来ならば国が当然すべきものを、役人ばかりふやしても困るから、まあ国民の意思も尊重しよう、尊重じゃなくて信用しようということになっている。今度の場合だって、場合によれば大きな仕事をする以上、私は率直にそうした団体規制を、むろんこれらの行政処分等は必要であると思います。そのほかに、団体というものを認めるという方向に向こうことが私はいいと思う。今までの説明で僕は納得しないんだな。あるいは二、三年たつ、そうしてそのおりにはそういう改正も考えております、というような含みのある答弁なら、それはそれでもって認めていいと思う。ほんとうは認めたくないと思うけれども、やむを得ぬと思いますが、実際問題として、そのくらいのことをしなければ、国民の鑑定士に対する逆に評価が低まってくると思う。これだけ厳重な試験をする、私は弁護士以上だと思うのです。これだけ厳重な試験をする、弁護士と変わらないと思うのです。それならばそういう制度というものを、完全なる強制加入にして団体を作らせないかという点は、ひとつ政務次官に答弁をしてもらいたい。
○政府委員(松澤雄藏君) ごもっともだと思います。ただ私たちは、これから新しくそういうふうな制度を作っていくという建前をとって当初から強制加入という方式をとったらいいか、これはいろいろ議論をして参ったんですが、やはり慎重を期する意味をもっても一、二年くらい、もしくは三年くらいの余裕をとって、その経過を見た上に立ってそのような方向に持っていったらどうかというふうに考えておったわけです。気持としては田中委員と同じ気持でわれわれも検討して参ったのであります。
○田中一君 この鑑定人の試験制度ですが、試験制度には非常に多く政令で緩和規定を設けようとしておりますが、この問題については、今ここでもってあまり追及することは僕は避けたいと思う。なぜかというと、まだおそらくほんとうの腹がきまっておらぬという気がするから追及したくないと思うのですが、しかし、大体の見当として、どういう形でどういう考え方を持っているかということだけはひとつここで表明していただきたいのですよ。いろいろ政令にまかされている範囲、初めからひとつ説明して下さい。
○説明員(小林忠雄君) 逐条的に御説明申し上げます。 まず、第四条第二項におきまして、不動産鑑定士補となり得る資格としまして、第二次試験に合格することのほか、「政令で定めるところにより二年以上不動産の鑑定評価に関する実務に従事した者は、不動産鑑定士補となる資格を有する。」ということでございますが、この政令の大体の考え方としては、まず、そういう不動産鑑定評価に関する実務の経験というのが何であるかという内容、それからこの二年というのが通算をするのか、あるいは引き続き二年であるのか、また、試験の合格後二年という工合に考えるか、あるいは前後を問わず二年と考えるか、あるいは合格後少なくとも一年以上ということに考えるかというような問題がございます。内容はまだ十分困っておりませんが、まず、通算の点につきましては、通算がほかの法律でも、政令でも例がございますので、おそらく通算するということになるかと存じます。不動産の鑑定評価に関する実務としてどういうものが考えられるかということとしましては、この不動産鑑定業者の事務所で鑑定士または鑑定士補を補助したような経験、あるいは政機関等におきまして国税、地方税の対象となる不動産の評価事務を担当した経験、あるいは信託会社等におきまして債権担保の目的を持って不動産等の評価を担当した経験、あるいは行政機関等において国有、公有の土地の払い下げの評価事務を担当した者というような者等が考えられるのではないかと思います。 次に、第六条第四号におきまして、第一次試験の免除が一号、二号、三号と列記してございますが、このうち「前二号の一に該当する者のほか、政令で定めるところにより、これらの者と同等以上の一般的学力を有すると認められた者」が第一次試験を免除されております。これも、いろいろ公認会計士法等の例によりますと、旧制大学の学部に学生として在学した者でありますとか、あるいは文部大臣が旧制高等学校あるいは旧制大学予科と同等以上と指定した学校を卒業した者でありますとか、あるいは旧制専門学校卒業程度の検定試験に合格した者であるというような者が考えられるのではないかと思います。 次に、第一条第一項におきまして、受験手数料の納入方法が定めてございます。これも政令に委任されております。 次に、第二十一条第三項におきまして、不動産鑑定業者の登録簿の閲覧について政令に委任をいしております。 同じく三十二条におきまして、登録申請手数料について政令に委任をされておりますが、これは、ほかの法律の例で申しますと、大体新規登録につきましては四、五千円程度、変更登録につきまして三千円程度というように考えております。 次に、第四十三条二項におきましては、参考人に支給する旅費、日当その他の費用について政令に委任がございます。 次に、四十四条関係としましては、鑑定士等の懲戒処分についての公告の方法が委任になっております。 次に、第五十一条関係におきましては、不動産鑑定士審査会の組織及び運営についての委任がございます。これは委員の任期でございますとか、会長の問題でありますとか、あるいは試験委員の人数、議事の議決の方法というような、おそらく例文的なことになるかと思います。 次に、重要な委任といたしましては、法律の附則の第五及び第七項の関係におきまして、特別不動産鑑定士試験及び特例不動産鑑定士補試験の受験資格がございます。まず、附則第五項の第五号及び第六号でございます。第五号は、いずれも特別不動産鑑定士試験を受ける受験資格につきまして委任をしておりますが、五号では、「行政機関又は政令で定めるその他の機関において不動産の鑑定評価に関する研究、調査、審査又は監督についての責任のある地位にあった期間が、政令で定める期間以上である者」、第六号におきまして、「前各号の一に該当する者のほか政令で定めるところにより、これらの者と同等以上の知識及び経験を有すると認められた者」と規定をしております。まず、行政機関または政令で定めるその他の機関でございますが、一応考えられますものとしましては、信託会社でありますとか、あるいは信託業を兼営する銀行その他、長期信用銀行法に基づきまして、不動産金融をいたしておりますような銀行等の法人が考えられるのではないかと思います。それから、そういう機関において責任のある地位にあった期間が、政令で定める期間以上となっておりますが、公認会計士法の附則等も参考にいたしまして、現在考えておりますところでは、大体そういうような行政機関なり、あるいはそういう信託会社等におきまして、鑑定評価に関する事務を担当する課長以上の職にあった期間が、三年以上というような程度のことが考えられるのではないかと思いでおります。それから六号の、これらの前各号の一と同等以上の知識、経験を有すると認められた者といたしましては、旧中学校令施行前において、旧制中学校を卒業した後に、不動産の鑑定評価に関して、通算して十五年以上の実務経験を有する者でありますと、あるいは、前に第六号の関係で御説明いたしました、昔のいわゆる専検等の合格者について、十数年の鑑定評価に関する経験を有する者というような者が考えられるのではないかと思います。 次に、七項の第五号の特別不動産鑑定士補試験の受験資格でございますが、これにつきましては、特別鑑定士試験の受験資格としまして、第六号の政令で申し上げましたような専検合格者等が不動産の鑑定評価に関して、まあ八年程度の実務の経験を有する者というような者を考えているわけでございます。 それから次に、附則第九項にございます合格者の決定の方法としましては、単に試験成績によるほか、政令で定めるところにより、試験を受けた者の不動産の鑑定評価に関する実務の経験年数を参酌して合否を決定するということになっております。これも公認会計士法の附則に例がございまして、公認会計士法の例によりますというと、ある試験の科目の満点の合計点がかりに百といたしまするとそれぞれの科目について四十点以上取っているような人がありました場合に、それにさらに実務経験に応じて一定数の点数をこれに足しまして、合否を決定するというようなことを考えておるわけでございます。 それから附則の十五項といたしまして、「この法律の施行の際現に不動産鑑定業を営んでいる者が、引き続き不動産鑑定業を営み、かつ、昭和四十年三月三十一日までに不動産鑑定士補となったときは、」、不動産鑑定業をその者が営んでおります限りにおきましては、政令の定める日まで、不動産鑑定士とみなして不動産鑑定業を営むことを認めようという場合の緩和規定の期限でございますが、これは一応まあ昭和四十五年三月三十一日くらいまでという程度に考えております。
○田中一君 現在、法律によらない評価鑑定業務を営んである者、これはまあ地方によれば、裁判所が指定している場合もあろうし、あるいは財務局が指定しているものもあろうと思うのです。これはどのくらいになりますか。財務局の場合には、払い下げ等の場合に評価する、それから裁判所の場合には、民事上の判定の参考によるというもの、これはどのくらいありますか。
○説明員(小林忠雄君) 正確な数字は現在のところ手元にございませんので、最高裁判所及び大蔵省、国税庁等に問い合わせました数字を御参考までに申し上げますと、現在、裁判所関係につきましては、東京地方裁判所の指定鑑人というのは現在十四名ございます。これから類推いたしますと、全国の裁判所の指定鑑定人というのは約二百五十名程度であろうと考えられます。次に大蔵省の関係としましては……。
○田中一君 ちょっと、大蔵省のどっちです。財務局、国税庁……。
○説明員(小林忠雄君) 両方申し上げます。 財務局の関係といたしましては、これは国家公務員でございますが、国有財産鑑定官というのが四十五名、それから国有財産監査官というのが九十名おります。これはいずれも国家公務員でございます。これがまあ財務局でございますが、そのほか本省に若干そういう方がおられるわけであります。これは国税庁の関係でございますが、これは東京国税局におきましては、五人の精通者を指定しておりますが、さらにその所管の税務署において、それぞれ一つの税務署につきまして三名程度選んでおるようであります。したがいまして、この国税局関係を大体推定いたしますと千五百人程度になろうというふうに考えております。
○田中一君 財務局等の払い下げの場合、鑑定人という形の者なるのか、よく差し押えしてそれを競売に付する場合、立ち会うのはあれは何ですか。鑑定人ですか、それとも競売屋ですか。どっちですか。
○説明員(小林忠雄君) ただいまのは国税の場合の公売処分の場合かと思いますが、この場合立ち会っているのははたしてだれか、私はよく存じませんけれども、国税局では必ず標準値につきまして、鑑定を委託しておりますので、おそらく民間の鑑定人ではないかと思います。
○田中一君 民間人ですか。
○説明員(小林忠雄君) 正確なことを存じませんので、調べまして後刻答弁いたします。
○田中一君 差し押えする場合などは、十万円の差し押え事件ならば、十万円程度のものを評価鑑定して差し押えすればいいのであって、これは家ぐるみ全部持っていくということはないはずです、鑑定して差し押えするのですから。そういうものはやっぱり調べて下さい、どういう人がやっておるか。そこで、この法律が通って、今考えられている特別評価鑑定人は、そのままこの法律によってすらすらと資格がもらえるというものは何人ぐらい予定しておりますか。
○政府委員(町田充君) これは鑑定評価を依頼する需要との関係を考えて参らなければならぬ問題でございますので、一応の私どもの大まかな推定でございますが、附則にも書いてございますとおり、本試験は昭和四十年度までは完全実施されませんで、三十九年度に関します限りは特別不動産鑑定士試験あるいは特別不動産鑑定士補試験でやって参るわけでございますが、大体正常の姿になります昭和四十五年ごろまでには、鑑定士が大体千二百五十名、それから鑑定士補が二千四百五十名、合わせまして三千七百名程度の鑑定士及び鑑定士補、おおむねその程度の数を想定いたしておるわけでございます。
○田中一君 それから民間ですね、民間で政府というか、裁判所なら裁判所の委嘱を受けて評価鑑定した経験者、これはどのくらいありますか。
○政府委員(町田充君) これもなかなかはっきりした数字を把握しがたいのでございますが、信託銀行あるいは不動産銀行、そういうかなりまとまったところでこういう依頼に応じて不動産関係の評価鑑定を業としておられる専門の方、こういうものはあ程度数字を把握しておりますが、民間のいわゆる宅地建物の吸引業者でこういう仕事をやっておられる方、あるいは、今総務課長から御説明申し上げました税務署なり、あるいは裁判所の指定を受けて鑑定評価をやっておられる方、これはなかなか正確な数字がまだ手元に集まっておりませんので、後刻調べてお答えしたいと存じます。
○田中一君 政令によって幅が——幅というか人数がふえたりふえなかったりすることになろうかと思うので、現在何ですか、この法律の審議はきょうから始まったわけですが、相当いろいろな陳情が来ておりますし、私、今ここでもらったやつは、日本税理士会連合会で、学科試験の中の会計に関する科目をとってくれということが来ておりますけれども、この不動産鑑定に関連するこの学科試験等の一番近い現在の公認されておる士は、どういう職分のものですか、これに関連する。
○政府委員(町田充君) この不動産鑑定士に比較的似通った仕事をするものということで現在の制度を考えてみますと、公認会計士あるいは税理士といったものが一番近かろうかと存じます。あるいは測量士、土地家屋調査士、そういうものもある程度の関連はもちろんございます。
○田中一君 各地に今民間で宅建業者が鑑定協会というものを作り、また、以前から相当あったのもいるわけなんです。これらの団体の実態というものはお調べになりましたか。もし調べてあるなら、どういう人たちが集まって、どういう形の鑑定業をしておったか、そうしてまた、これらの人たちが行なっておった鑑定業、これに対しては、経過措置で救おうということよりも、やはり一応この法律にきめられている特別な方法で試験を受けさせるということにならざるを得ないんじゃないか、その点はどう扱いますか。
○政府委員(町田充君) 現在、民間で宅地建物取引業を営みながら、あるいは税務署なり裁判所の指定を受けながら、そういう鑑定評価を業としておやりになっている方が相当数おられるわけでございまして、御指摘のとおり、そういう業者の方々で任意に団体を結成してお互いの研さん、向上に努めておられる、こういう団体がかなりあるのでございます。中には建設大臣が、申請に基づきまして、財団法人あるいは社団法人として認可いたしたいものもございますが、この法案の作業の進行中でもございましたので、その団体の取り扱いをどういうふうにするかという方針も固まってはおりませんですために、一応建設省といたしましては、新規にそういう団体を認可をするということは今は暫定的に見合わしておるわけでございますが、将来の方向といたしましては、お互いに一定数以上の鑑定士が集まって品位の向上なり、あるいは資質の向上なり、そういうことにお互いに研さんに努めていこう、こういう団体に対しましては積極的に助言をするなり、援助をするなり、勧告をするなり、こういうことで業界全体の向上のために十分の監督なり援助なりをいたして参りたいと考えておるわけであります。
○田中一君 たとえば、町にたくさん営業をしている不動産業者が、はっきりと評価鑑定という文学を看板として明示してやっている人たちが、今後この試験に合格しなかった、いわゆる士になれなかったという場合には、これは停止することになるわけですね、そういう表示は。それはどうなんですか。
○政府委員(町田充君) もちろん、現在そういう業務をやっておられる方も全部この特別試験を受けてもらうわけでございますが、不幸にして合格されませんと、不動産鑑定士ないしは鑑定士補の資格は与えられないわけでございますから、業としてはそういうものは継続して営めない、こういうことになるわけでございます。
○田中一君 その表示は取り消させますか。
○政府委員(町田充君) 不動産鑑定士ないしは鑑定士補という名称の使用禁止の規定はございますが、不動産鑑定業者ということについて、特別の名称の使用禁止を置いてございませんので、法律的にそういう人たちが不動産鑑定業者と名乗ることについては、名称上の問題としては制裁がございませんけれども、登録を受けなければ、そういう業務を営んではならない、こういう建前になっておりますので、無登録営業というような格好になろうかと思います。
○田中一君 なろうかと思って、それに対する取り締まりはどうするのですか。
○政府委員(町田充君) もちろん無登録営業になるわけでございまして、無登録営業でございますと、この法律で一番重い制裁を規定をいたしてございますので、取り締まりをする、こういうことになっております。
○田中一君 そうすると、鑑定評価という看板を掲げておる事務所があった、業務の定款にそういうものを書いておったところがあったという場合には、資格のない者の業としては、これは全部取り締まるということですね。
○政府委員(町田充君) この法律では、みずから不動産鑑定士たる資格を持って営業することをもちろん考えておりますし、それから、みずから不動産鑑定士の資格を持たなくても、不動産鑑定士を雇って業者として営業する、こういう形態も考えておりまするので、自分自身が資格が得られなければ、不動産鑑定士の資格を持った人を雇って業を営むということは可能であるわけであります。
○田中一君 可能であろうが、そういう者を雇わなんだ場合には、抽象的に取り締まるという場合はどう——取り締まらなければならないわけですが、取り締まるのは、都道府県知事なり何なりが取り締まるのですが、えてして取り締まった例はないのです。そういうものは何でも野放しです。たとえば宅建業者の場合でもそうです。全然野野放しです。それはこの法律が通った上は、予算にこういう取り締まりの予算を計上しますか。
○政府委員(町田充君) もちろん、この法律は来年の四月一日以降施行するという段取りにいたしておりますので、この法案がこの国会で御可決いただけますならば、来年度の予算要求に必要な経費は十分要求をいたしたいと考えております。
○田中一君 きょうはこの辺にしておきます。
○田上松衞君 ほんの一分間……。 幾多の疑問を持っておったのですが、幸いに田中委員から詳しく聞いていただいて、ほとんど疑問の点について明らかになったわけです。そこで一つ抜けておった点が試験の問題ですが、これについて、会計士等の問題についてはまあ了解しました。この中で、税理士の問題が明らかになっていない。あとでどういうものに実態としてやっていくかという中には、さきに言われたのだけれども、試験制度の中について、第一次試験の免除及び第二次試験の一部免除、こういうものに関連いたしまして、税理士のほうから実は陳情みたいなものが来ておるわけです。この理由を見ると、まことにもっともだと考えられるわけです。すなわち、税理士の場合では、第一次試験の目的とする一般的学力というものは、もうすでに税理士となるための国国家試験である税理士試験で高度の試験が課せられておるのだから、これは足りておるはずである。さらには、第一次試験のねらいとする中の一つの会計科目については、これももうすでに受けておるのだ、したがって、結論的に言うと、第一次試験は免除してもらいたいし、第二次試験の中では、会計学に関する科目は免除してもらいたいという希望をいってきておるのですが、これに対しては、どういうふうに考えられますか。
○政府委員(町田充君) この法案では、不動産鑑定士の試験を一次、二次、三次というふうに段階を設けておるわけでございまして、こういうシステムをとっておりますのが公認会計士法、弁護士法等でございますので、それと段階が合っておる試験同士の間で、相互に資格の免除をきめ合ったわけでございますが、税理士につきましては、税制調査会で今の試験制度をこういう公認会計士なり、司法試験なりのように一次、二次、三次というふうな段階ごとの試験制度に全面的に変えようということを検討いたしておるわけでございまして、そこで私ども、原案といたしましては、この税理士の間のやはり相互免除の規定を盛り込んで大蔵省に持って参ったわけでございますが、そういうことで税制調査会のほうで、税理士試験制度について全面的に検討中だ、しかも、その検討の結果、改正がこの法案——私どもの審議をお願いしておりますこの法案の施行よりも先になる可能性がある、こういうことでございますので、もしも税理士試験のほうで将来改正が行なわれる際には、その改正の中でこの法案の手当をしていただく。したがいまして、実質的に相互免除の格好になろうと思いますが、したがって、税理士会のほうから御注文の出ております問題は、御要望に沿うようにしたいと、こういうふうに考えております。
○田上松衞君 気持はよくわかる。結論的にそうあってほしいと思うんですけれども、今それがきまらぬ前でも。これはかりになればというとですから、この不安を除くために、政令の中でやはりこれを御考慮願えばいいんじゃないか、こう考えるわけであります。その点について。
○政府委員(町田充君) おそらく、先ほどお答え申し上げましたように、税理士法の税理士試験に関する規定の改正のほうが早くなろうかと思います。この不動産鑑定士試験のほうの本試験は、附則にも書いてございますとおり三十九年度はないわけでございまして、そういう御心配のような事態はないと思いますが、かりにそういう税理士法のほうの改正がおくれまして間に合わないというふうなことがございますようでしたら、御指摘のとおり、政令の段階で十分手当をいたしたら、かように考えます。
○田上松衞君 了解いたしました。
○委員長(木村禧八郎君) 他に御質疑もなければ、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたます。 午後零時三十二分散会