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43回国会参議院1963/06/26

外務委員会 第29号

発言数
132
登壇者
9
会派数
3
開催日
1963/06/26

会議録

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) それでは、これから外務委員会を開きます。  この際、委員の異動につきまして御報告を申し上げます。きょう付をもって委員加藤シヅエ君、戸叶武君が辞任され、その補欠として大和与一君、佐多忠隆君が委員に選任されました。     —————————————

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) 本日は海外移住事業団法案を議題とし、昨日に引き続き質疑を続行いたしたいと思います。質疑のある方は、順次御発言を願います。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 私は自分の昨日の質問に続きまして、主として外務大臣に御質問申し上げたいんですが、関連いたしまして、経済企画庁のほうからもお示しを願いたいのであります。それは昨日も申し上げましたように、今度の移住事業団法案を提案するにあたって、政府が移住審議会の答申に基づきまして、少なくとも従来のような単に過剰な労働力を海外にはけ口を求めるというような古い観念の移住からは何とか脱却しようと、こういう前向きの姿をわれわれは見て、それに賛成するものでございまするが、どうもまだ、そうかといって、新しい観点と私は思うのでありまするが、日本の過剰労働力を何とか向こうに出そうということに重点を置かずに、日本のこれからのコンストライクティヴな、建設的な海外活動という観点ははっきりと焦点を合わせて、必ずしも大量の定着の農業移民を外へ送るということでなくて、むしろ農業もあろうし、工業もあろうし、経済、社会、文化、いろいろな活動において、日本の国民に海外に一つの新しいフロンティアを求める機会を与える、そしてその当該国に対する日本の一種の技術的、文化的援助である、いわば新しい平和部隊的な思想に立ったほうがいいんではないか。むろんその中にも、相当まだ当分の間、量的には農業方面から出る人もあるでしょうけれども、しかし、それは量的にもそうたいしたことを期待するのは間違いではないかという意味で、もう少し竿頭一歩を進めて、海外経済協力——日本の労働事情がプライム・モーティヴでなくて、日本の対外活動、対外援助、こういうことをプライム・モーティヴとして総合的な施策をすべきではないか。まあそういった趣旨のことを申し上げながら、外務大臣、農林大臣等の御意見を伺おうと思ったわけですが、その続きでございまするけれども、特に経済企画庁長官にお尋ねしたいのは、きのうも農林大臣にそういう意味で率直に申し上げたつもりなんですけれども、大体この日本の農業の当然の構造改善からいって、池田総理がかつて言った四百万人貧農切り捨て政策というようなことは、まさか政府も考えておられないでしょうけれども、確かに一種の過剰労働力があるけれども、その労働力をまず第一義的には農業において、第二義的には他の国内の必要な産業方面にこれを吸収し、それをうまくリセットルしていくような政策が当然とられなきゃならないので、何か海外に土地が余ってそっちに行れるじゃないかというようなことで、従来とかく移住というものを取り上げられた観点は、国内政策の貧困を移住ということでカバラップしているという、カムフラージュに使っているきらいすらあるのではないか。現実には日本の今後の経済成長が、みんなが——おそらくこの点は国民もこれには異議がないと思うのですけれども、結果は経済成長が高度に進み、そうして日本の経済社会の体質が改善されると、こういう観点からいえば、一体これからの日本の労働力需給関係をどう一体見て、今後の経済政策を立てるか、これは非常に重要な問題で、おそらく農業あるいは不況産業である石炭産業等から、一時的には過剰労働力は出るでしょうけれども、そういう、どっちかというと若々しい非常に優秀な労働力というのは、ますます先細りになるので、日本のほうで一時困るような労働力は、日本の国内で社会保障の観点を加えて親切に吸収してあげなければならないので、そういうものを外国に無理やりにかりに押し出したとしても、これは決して成功もしなければ、本人にも気の毒だ。だから、大量的に過剰労働力を海外のほうへはけ口を求めるという考えは、もうそういう労働力の需給バランス、高度経済成長から見て、それから質的の問題等から見て、これは主として農業労働のことでございますけれども、他の過剰労働も含めて、あまり量的に従来の観念のように海外に持っていってやるということは、実はもうそんな考えは古くさいのではないかとすら私は感ずるのです。そういう長期的な経済計画という観点に立たれた経企長官として、私はきのうも率直に、外務大臣は日本の農業方面のいろいろなインタレストからだいぶプレッシャーをかけられておって、かりに私の考えているような海外経済協力という方向に向けようと思っておっても、現在の外務大臣としてはすごく低姿勢で、まず機構一元化をやってもらいたい、その次に、移住基本法でも出す機会に、漸進主義的に私の考えているような方向をお考えになるのではないか——これ想像ですけれども、そういうあんまり政治的な判断にかかわらず、そのものずばりで経済企画庁長官のそういう方面に対する高邁なるひとつ御意見を伺いたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま曾祢委員が御指摘になりましたような海外移住、そういう御指摘のような考え方で考えるものの見方、それが昨今では支配的になっておるものと考えます。その点は、一つは海外移住についての意識の高まりにもよることでありますが、他方では、後段で御指摘になりましたように、わが国自身のいわゆる人口圧力あるいは労働の需給の関係の変化、そういうことからして、現実に、いわば国内で適当な職業がないがゆえに、余ったものが海外へ出かけていくというようなことが、現実の問題としてすでになくなりつつある。そういう認識の高まりと現実の労働需給から、曾祢委員の御指摘になりましたようなことが、だんだんプリヴェーリングなものの考え方になっておると思うわけでございます。で、ただいま現在この一、二年、新規の学校卒業者の供給が非常に逼迫をいたしておるわけでございますが、これはもうしばらくしますと、やや短期間、一、二年の問は多少緩和されると思うわけであります。しかし、その後には再び相当な逼迫が続くということは明らかであると思うのでありますが、元来、所得倍増計画で考えておりましたときには昭和四十一年ごろが供給のピークになりまして、その後一、二年は高いところが続くと考えておったわけでありますけれども、実は所得倍増計画で考えておりました高等学校への進学率というものが、だいぶ事実と違っておりまして、進学率が六割を突破し、七割に近くなっていくというような傾向にございますから、したがって、そういう労働力が労働市場に出てくる時点はそれだけややおくれる、こういうことになると考えるわけであります。いずれにしても、しかし、そういうピークが続く期間はそう長くないわけでありまして、その後おそらくはわが国において初めて本格的な新しい若い労働力の不足というものをどうするかという問題が出てくると思います。現在、この一、二年出ておりますのは、その最初の段階でありまして、この後しばらくはゆるむ、そして本格的に四十一、二年のピークのあとでそういう問題に取り組まなければならない、こういうのが大体の需給関係であると考えるわけであります。したがって、その方面から、いわば昔言われましたような、国内に職を求めがたいために海外に出かけるというような考え方は、現実の問題として起こり得ないであろうというふうに考えます。問題になりますのは、この間を通じておそらく中高年令層——一般の労務逼迫にもかかわらず、中高年令層の中に新しい雇用に十分に適合し得ないという人々が現われると思うのでありますが、これについては、やはり職業の再訓練でありますとか、技術指導ということで、国内におそかれ早かれ吸収をしていかれるであろう、むしろそのように考えられますから、この層についても概して昔のようないわゆる移民というものの考え方は起こりにくいであろう、そういうふうに思われます。これは労働の需給から申し上げることでありますが、なお、経済企画庁にございます経済審議会へ、しばらく前に、いわゆる人的能力を今後どういうふうに開発するかということについて諮問をいたしておりまして、長い研究の後に、本年の初めに答申があったわけでございますが、その答申の中で、わが国の海外移住問題については、工業あるいは工業技術者の増強、渡航の前の研修、訓練の充実、海外に移住する人々を質的にどうやっていい人を送るかということが問題であるということを述べておるわけでありまして、この点は、過剰労働力の処置の問題としてではなく、もう少し高い国際的な視野及びわが国の必要からものを考えて答申をしてきたわけであります。この答申は閣議にも報告をいたしたわけでございますが、この点でも、昨年の暮れの海外移住審議会が考えられました考え方と軌を一にしておると思います。いずれにいたしましても、現実の労働の需給関係及び一般的な認識の高まりから、先ほど曾祢委員が御指摘になりましたような考え方、海外移住の見方というものが、現在一般的ないわゆるプリヴェーリングな考え方になりつつあるというふうに思うわけであります。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 大体基本的に御同感であられるようで、けっこうなんです。特にこの中高年層の方でやはり吸収してあげなければならない方には、いろいろな手厚い職業再訓練とか、いろいろな施設が要るわけですが、そういう場合に、私は特にきのうも申し上げたのですが、中南米の曠野で、中南米の曠野といってもカリブ海を含めてもかまわないのですが、ジャングルでもいいんですけれども、非常に生活程度の低いインディオと同じような原始的な農業をやらなければならないようなところにそういう中高年層の人をやるのは、これはもう実に非人道的で、そんなことはあってはならないと思う。だとすると、非常に国内で社会保障的な意味を加えてやる、相当な国家の財政を使ってもやらなければなりませんが、そういうことと比べて、効率的に考えても、あまり何でもかんでも南米のどっかの国に土地を買って、そうしてやるといっても、それに投下する、また投下してやらなければならない資金ということも考えて、そういう効率もやはり考えなければいけない。日本の労働力を効率的に使うというなら、第一義的には、やはり国内でりっぱにそれを使い、もしそれに伴う社会保障的な仕事があるなら、やはりそれを国内でやるのが当然なんです。だから、やはり国外の移住というものに対するならば、やはり主として経済協力という点と、とにかく新しい天地に行って、農業でもできるし工業でもできるという一つの新しい働く分野を確保していく、これはけっこうなことであって、毎年相当コンスタントな形でそういう人が行かれることはいいけれども、繰り返したことになりますけれども、過剰労働力を何でもかんでも従来の観念で外へ持ち出そうということは、もう相当修正されなければならない、こういうふうに考えるわけです。農業のほうについては、経企長官に伺うのですが、農業の余ってくる労働力の、それの国内における吸収等について、どういう計画と見通しをお持ちですか。もう一ぺんその点だけ伺いたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 所得倍増計画では、目標年次におきまして農業人口が一千百万くらいになるのではないかということを考えておるわけでございますが、現実には、このところ毎年農村からの労働力の流出が三十万ないし四十万ございます。このレートは、倍増計画で考えておりますよりも、多少率としては高目であるように考えます。おそらくそれは、経済の成長が倍増率で考えたよりも高度であったということの反射であるというふうに思うわけでありますが、この人々は、第一義的には、職場において労働の再教育を受けておりますし、また、国としてもそういう再訓練の施策を行ないつつあるわけであります。しかしながら、なお十分にそれが行きわたっておるとは申せませんので、ことにこれらの人口のうち、年令の高い者についてはきわめて不十分な現状でありますから、そういう職業再訓練の施設をさらに進めていかなければならないと思います。他方で、しかし、今後そのような三十万ないし四十万の流出が続くであろうかどうであろうかということにつきましては、一つはいろいろな事情、それは食糧事情と申すよりは、むしろ生活環境についての考慮と思われますが、いわゆる兼業農家のようなものがこれからあまり減らずに、二種兼業のようなものが相当残っていくのではなかろうかというふうにも考えられますので、今後毎年それだけの流出が続くかどうかということにつきましては、これは問題があると思います。しかし、いずれにしても、そのような訓練を受けながら相当数の農村からの流出が今後も続くであろう。ただ、そのいずれの現象をとってみましても、そういう人々の生活向上といいますか、そういう意欲から自然に出てきておることでありまして、そういう人々を余剰人口として救済するために移民を行なわなければならないというような、そういう事態はこれからもおそらく生じないであろうというふうに私どもは考えております。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 宮澤さんのほうは、私はこれでけっこうです。  外務大臣に伺いますが、きのうもちょっと申し上げたのですが、外務省の「受入れの現況」という資料によりますと、ドミニカの失敗に関する反省がなされておるのはいいのですけれども、「カリブ海沿岸のような甚だしい低所得地帯に移住者を送ったことを反省しなければならない」、そんなことは初めからわかっていたのじゃないかと思うのですが、そういう点で、一体どういうふうに、南米の今現に問題になっている国、パラグァイだとか、ブラジル、アルゼンチンは比較的いい階層——水準は高いし、アルゼンチンは特別に高いし、ブラジルもどんどん発展の途中にあるからいいのですけれども、パラグァイ以下——と言ったらおこられるかもしれないが、ボリビアとか、そういうところの生活水準ということを考えて、一体ドミニカの失敗をドミニカだけの一つの孤立したケースと考えられるのかどうか。非常に原始的な農業を、せっかく日本から行った貴重な同胞がやっておるような状態を考え直さなければならぬのじゃないか、こう思うのですが、ドミニカだけについて、あそこはカリブ海でも特に低い地帯である、あそこは比較的狭い島嶼で、移民というものはあっちこっち動くものだ——これも実は私は観念が間違っているので、一ぺんセットルしたら、そこにいられるようにセットルすべきだと思うのです。これらの点についての過去の反省とか追及をやっているのではなくて、それを根拠として、過去の経験に徴して、これからの一体考え方がいいのかどうか、こういう意味で伺いたいわけです。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) ドミニカの場合は、曾祢先生が言われたように、確かにああいう狭い島で耕作し得る面積も少ない、それから土民の生活程度もきわめて低いというところで、非常に無理があったようであります。ただ、当時の情勢というのは、この話が出ましたのは、昭和二十九年ごろで、当時は海外からどんどん日本に帰ってくる。国はまた疲弊しているということで、むしろ人口問題を解決すべく、どこでも、受け入れてくれるところがあったら出したいということでやったというきらいは相当ございます。やはり現在やっておりますパラグァイとかボリビアについても同じことではないかという御質問だと思うのですが、その点、パラグァイ、ボリビアは確かに人口が少なく生活程度も低いのですけれども、しかし、今のドミニカなんかに比べますと、非常に面積も広い、資源も豊富である。ボリビアのごときは、日本の四倍以上で人口がわずか三百六十万、そうして資源が非常に豊富であって、土民は鉱物を掘り出してそれを海外へ出し、食糧を海外から入れているというようなところであります。それから、パラグァイは、これも日本の倍ぐらいの面積で人口わずか百六十万、これは従来はアルゼンチンの植民地として非常に低い地位に置かれ、。パラグァイが経済的に一番難点であったのは、交通の点でアルゼンチンに押えられて、一切の生産物が運賃で搾取されていたという実情であります。これに対して、南米の最近の情勢は非常に変わりつつあります。たとえばボリビア、パラグァイのように、かつては忘れられたようなところが、最近は「進歩のための同盟」もございますが、その前のポイント・フォア、あるいはヨーロッパ諸国からの積極的な働きかけもありまして、これらの忘れられたような地域が今南米開発の波に乗って、パラグァイには汎米道路が通じてブラジルまで行くとか、ボリビアに行きましても、アメリカは毎年三千万から四千万ドルの援助をして、道路、公共施設その他の開発をやって貢献しておる、こういうところでございますので、ただ労力だけを出すということになれば、曾祢先生が言われたように、まだまだ問題がございますが、これに加うるに日本の財的な援助、技術的な援助を加え、もし可能ならば、これにさらに世界銀行とか、あるいはヨーロッパ諸国との協力も合わせてやっていくということをしますなれば、ドミニカとは全然違う情勢になり得るし、またそうなりつつあるというふうに考える次第であります。  もう一つ、われわれとして注意をしなきゃいけないのは、最近、南米におきましても南米共同市場が結成せられまして、これが思ったよりも早く動きつつある。特に南米におけるボリビア、パラグァイのような後進国は、南米諸国でも特別の関税の待遇を与えられて、たとえばパラグァイの農産物については関税を課さない——付加税は別として、ブラジルもアルゼンチンも課さないというようなこと、それから、スペインがパラグァイの商船隊のために借款を提供する、日本も移住協定調印の際に、やはり三百六十万ドルの商船隊のクレジットを与えまして、これなんかも日本の移住者が作ったものが海外へ安く出得る一つの方法でございますし、こういうところから見ていきますと、南米のこれら非常におくれた国々が今新しい様相を呈してきておるので、その状況はドミニカとはまるっきり違うということが言えると思います。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 私も、まあドミニカと同じだと言うわけじゃありませんが、今、外務省の資料を見ても、何といっても南米の中の後進地域であるパラグァイ、特にボリビア——ボリビアのごときは、それは鉱産物はあるけれども、それは決して貧困じゃないという意味じゃないわけなんで、ボリビアについては、外務省の「受入れの現況」というやつの八ページの終わりの4のところにも、「現在は」——これはボリビアのことだろうと思うのですが、「現在は他の開拓移住地同様、焼畑農法の域を脱していないが、この農法では収穫が天候に決定的に左右されるのみならず、賃金が高騰し、採算が困難となりつつある。もともと労働力の不足の故に日本人を導入したにかかわらず、その日本人が最も労働力を必要とする原始的農法を行なっていることは著しい不合理であり、」云々と書いてある。そのとおりだと思うのですね。一体日本の、これほどの——私は優秀だと思うのですが、非常に集約的な農業に習熟しているだけでも優秀です。さらに、近ごろ日本みずからがある程度の機械力を取り入れた集約の面と同時に、やはり日本的な構造改善を加えた新しい農法を持っておるような人に、しかも、相当技術を持った人に、機械等をつけてやって、むしろ向こうのインディオでも使うような地位で、そういう一種の農業企業移民ぐらいは出すというなら、これは私は、開発途上にあるボリビア、パラグァイの開発を進める上においては非常にプラスになるし、それこそ、日本の移住の成果を上げる上からいっても、これはけっこうなことだと思う。そうでなくて、あなた自身のあれで自己反省しているように、向うのインディオと一緒に、一対一で、むき出しの肉体的労働力を競争するようなところに日本人を送るのは、私は、日本民族の名においてむしろお断わりしたい、極端に言えばですよ。そういうむだなことは今後やめてもらいたいという感じがしてならない。ですから、従来やってこられたことが、かりに今から見るといろいろ間違いがあったかもしれませんけれども、パラグァイなり、あるいはボリビアを戦後開いたことについては、そこに積極的な意味を見出して、しかし、これからは、今までのような、インディオと労働力を競争するようなそういう方式は、全然おくれているのだから、金はかかってもいいから、質のいい、喜ばれ、こっちも意味のあるような、やはり一種の企業的な、技術的な定住者でも送らなければ、意味をなさぬじゃないか。もし、そうならば、かりに全体で二千人しか行かなくてもですよ、そこに意味がある。そうでなくて、従来の呼び寄せも悪い。人道上もけっこうだし、悪いことじゃありませんが、何か、アトランダム的な行き方、やり方、その頭の切りかえが日本側全体としてできていないのじゃないか。この「受け入れの調査」は、非常にある意味じゃ正直なんです。非常に示唆的だと思う。どうですか、大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりだと思います。これは移住政策自体での御指摘でございますが、きのうも先生からの御指摘がありましたように、経済協力——単なる物資の交易というものから、だんだんと発展して参りまして、今日のような厚みのある協力形態というのができ得たように、移住政策につきましても、今御指摘のように、単なる労働力のなまの輸出というようなものであってはならぬことは当然だと思います。これに配するに、技術、教育、衛生、各種の手段をコンバインして参らなければならぬという認識に、政府ばかりでなく、関係者の認識がようやくでき上がってきつつありますわけでございますので、御指摘のような方向で施策したいと思います。なお、ドミニカ問題について私どもが感じますことは、この前に本委員会でも御指摘がございましたように、やはり事前調査といいますか、経済的協力の分野におきましても、一番今力点を置かなければならないのは、事前の調査でございます。これには相当手間もかかるし、金もかかりますけれども、これを手がたくやっておかないと、あとでえらい目にあいますので、東南アジア方面におきまして、その点非常に慎重を期しておるわけでございまして、移住政策におきましても、この事前調査を十分やることと、それを基盤として、今言ったようないろいろな手段をかみ合わせたものにするという方向でやらなければならぬ、また、そういう意識は各方面に、おかげさまで、高まってきておると思うわけでございます。それから、経済協力分野と移住政策の分野との調整という問題も、あわせて考えなければならぬと思います。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 同じような趣旨からではございますけれども、移住協定ができて、特にその割当といいますか、クォータみたいなものを作っている国に限って、とてもそのクォータをいつ充足できるかわからない。ボリビアのごときは、五年間に六千人というのが、これは延長しなければ実際充足できない。パラグァイのごときは三十年間に八万五千人、しかし、これはもう今までのところで五千九百四十四人、とてもこのペースじゃ、三十年が六十年かかったってできるかどうかわからない。しかも、今後どこが可能性があるだろうかということを、外務省が調べられてここに出ております。エクアドル、コロンビア、ドミニカ、カナダ、こう出ております。私は、これは少し乱暴な議論かもしれませんが、この中南米でも一番開発のおくれたようなところをねらうのでなくて、それは開発に協力してあげる意味で、相当レベルの高い技術的な農民なり企業移民はけっこうですけれども、日本と比べて、少なくともその上の階層の、レベルが相当高いようなところに、行ける余地を考えるのが、むしろほんとうじゃないだろうか。たとえばカナダというものが出ている。これはやはり一つの今後のポッシビリティー、可能性としては、しかも、向こうは人口が少ないのですから、そういう点で、大体むしろ明治以来のことを考えると、こっちよりむしろ高いところに送っていたのがほんとうは移民だったのであって、ハワイは別かもしれませんが、北米に行ったというふうなこと等の経緯等から見れば、どうも南米に行って——何回も言って恐縮ですけれども、ジャングルやかわききった土地でインディオと競争して、原始的な農業をやるような考え方は、全く僕はむだじゃないだろうか。重点というものを、相当レベルの高いところで、しかも開発の余地がある、日本の技術も受け入れられる、日本人にほんとうの新しい一つの生命線を与えられる、ヴィジョンが与えられる、こういうところを考えたらいいのじゃないか、こう思う。いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) お説ごもっともでございますが、たとえばアメリカは私ども伺っているところでは、一年間に百五十人のクォータ、これは何年も先食いしているという……。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 今アメリカを言ったわけじゃない。たとえばカナダ……、過去からいっても、高いところに出したらいいじゃないですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) つまり、移民の出先の国の移住政策、受け入れ政策というものにはばまれまして、きのうも、今ここでも、御指摘がありまして、あまり成績がよくないじゃないかというお話でございましたが、こういう政治的な制約があることはよく御存じと思うのでございますけれども、したがって、これの打開の道は、やはり大きく申しまして、その受け入れ国の対日信用というか、そういう信用が熟成してこないといけないわけでございまして、一般の外交の問題に帰一してくると思うのでございますが、しかし、そういう与えられた条件のもとにおいても、なお今御指摘のように、せっかく海外にフロンティアを求めた移民の諸君の能力を効率的に発揮できる環境、そういうものを作ることを頭に置いてやらなければいかんじゃないかという、そういうお示しは、私はもうお説のとおりだと思うのでございまして、具体的に、しからば今の現状におきまして、そういう角度から見た場合に、どこが望ましいかというような点につきましては、移住局長からお聞き取りいただきたいと思います。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 特にそのカナダの問題は、ここにもちょっと顔を出しておりますが、これは非常におもしろい、これも量的にはたいしたことはないが。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) カナダの問題、今大臣からもお話がありましたように、先方の受け入れ態度の問題があるわけでございます。特にカナダ、豪州は慎重な政策をとっておりまして、御承知のとおり、カナダ、アメリカ、豪州はヨーロッパ移民を中心としておりますから、社会的、文化的あるいは民族的の関係で、いろいろ誤解があったり反対の空気があるわけでございます。われわれとしては、できるだけこれらの誤解を解いて、今先生おっしゃったように、生活程度の高いところに、自然の流れに従って流れていくというような情勢を世界的に推進していくべきであると思うのですが、ただ、こちらから無理に、日本人を入れなければいけないというようなことを言うこと自身が、またかなり問題があると思います。  先ほどもお話がございましたように、日本国内におきましても労働力不足のときに、そこまで言うべきかどうか。私たちは、豪州等においては、先方から望まれない限り、こちらから無理に取ってくれというようなことは言いたくないんだということを言って、逆に、先方からぜひ来てほしいという空気を出したいと思っております。  それから、これは非常におもしろいことですが、今おっしゃいましたカナダ自身がまた、入って来る移住者よりもアメリカに出ていく移住者が多くて、全体としては出国民が多いという点で相当悩んでいる。これは、ヨーロッパからカナダへ行って、さらに生活程度の高いアメリカへ行く。こういうような問題もございまして、なかなか複雑な状態でございます。ただ、現在私たちが対象としております移住は、労働条件が低いところから高いところに流れていくそういう自然的な流れと別個に、むしろヨーロッパからアメリカに開拓したような、あんな気持でひとつ南米へ行きたい、そうして、そこには日本人もおられるし、しっかりした地盤を築いている。また、そこの民族が非常に日本民族と似ていて、非常に近親惑を持つ。これはボリビア、パラグァイ、ボリビアのごときはすでに行った日本人が相当社会的には高い地位を占めている者がある、数は少ないが。そういうようなことにあこがれて南米に行って、自分の代ではだめでも、将来子孫の代でしっかりしたものを築きたい、こういうような人がございますが、これがただ若げの至りで飛び出すだけではいけない。そういう人を助けて、同時に、相手の国の経済開発にも貢献し得るような形に運んでいきたい。幸い、世界的にも、移住というものをそういうような経済開発の立場からみなが協力してやらなければいかぬ、また資本も協力して出さなければいかぬというような空気が強くございまして、たとえばボリビアのごときは、世界銀行も、場合によればひとつ日本と一緒に調査して積極的な施策をやろうじゃないかというような動きも、まだ正式ではございませんが、ございます。こういうような機運をだんだん醸成さしていく。カナダも、できましたなれば、日本の企業進出に伴って技術者が出て行くということが、先生おっしゃったような、カナダに対する日本民族の進出についての誘い口になるんじゃなかろうかというふうに思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと関連して。今曾祢さんの指摘された問題で、相手国の受け入れの条件が整えば曾祢さん御指摘の方向が望ましいというのか、それとも、それもあわせて考えるということなのか。その辺はどうなんですか。方向としてです、将来の。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 当然あわせて考えるべきものだと思います。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 私も、同僚羽生委員も同じ御意見だと思いますけれども、豪州人の、オーストラリア人のいわゆる白豪主義というような事実も知っておりますし、私自身が、日本の貴重なる労働力をそう外にむだに出すなというような論者なくらいですから、そう変な古くさい夢を持っているのじゃなくて、ただ、カナダだって永住ばかり考える必要はないので、企業進出もあろうし、ただ、従来何かこう戦後の、日本人はどうしてああいう狭い土地で食っていくのだろうというようなところから移住協定ができて、非常にその点明るい、何らかのうっせきのはけ口、もっと露骨に言えば、その時分はやはり過剰労働力のはけ口と考えたのだろうと思いますね。ところが、これからよく考えなければならないのは、日本の優秀な国民を向こうに送り出すのには、よほど、多少恩に着せるくらいな気持で、また、それだけ向こうが恩に着るような支度を整えて送り出すべきじゃないか、これは。そういう意味からいうと、それはブラジルに行くのはこれは自然であって、だけれども、ボリビア、パラグァイ等に送るのに、何でもいいから手伝いによこしてくれというような考えでもし移住協定が作られているとするなら、これは向こうにも考え方があるだろうし、こっちもわれわれの協力、したがって移民の送出についてもう少し自信を持って、いい意味で高売りをする。特に向こうが喜ぶように、また喜ばすような、こっちが恩に着せて、貴重なあれをむだに送り出すのじゃないのだと、その意味で向こうにも条件を整えさせるように要求をする。そのかわりこっちもきれいな気持で向こうの経済協力に寄与する、そういう考え方が必要なんじゃないか、こう思って申し上げたわけなんです。  そろそろ集約したいと思うのですけれども、最後に、事業団のことに関連して伺いたいのですが、先ほども、今後の移住事業を進めるにあたって国際協力の一つの機運があると、これは非常にけっこうなんですが、ただわれわれが、私自身が少なくともちょっとその点心配なのは、大体この移住振興会社を作るときは少しまあ鳴りもの入りで、吉田さんが一千五百万ドルの借款を取ってきた。そこで移住振興会社を作って、これからもかなりそういった面が明るくなるのじゃないかというようなことでやってみたわけですが、現実にはたいした借款ができなかった。それのみならず、こっちの事業も失敗したとか、為替差損の問題もあったでしょう。そのなぜ失敗したかは別として、当初の移住振興会社を作ったときの背景というものは、必ずしも期待どおりでなかったわけですね。ところが今度は、それは事業団というものになるわけですよ。一種の公団的な——公団よりもさらに移住のあっせんという意味で、幾ら実務機関だ、サービス機関だと言ったって、やはりほとんど政府の仕事だということは、内外ともに隠すべからざる事実です。何も私はそれ自身が悪いと言うのじゃない。それ以外に、今までの会社よりも、さらに日本政府機関的なものにしておいて、他方においては、かなりむずかしいと思われる国際的な公的、私的の外国の資本というものを今度の事業団のほうに相当投入できるというようなことはあまり大きく言えるのかどうか。やはり羊頭狗肉に終わりやしないか。終わってほしいのじゃありませんけれども、そういう懸念を持つのであります。その点どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) きのうも申し上げましたように、こういう政府のエージェンシィみたいなものを、しかも資本金は金額政府が持っておる、任命権も持っておる、予算も全部きめて指示するというような事業形態というものは、御指摘のように、これはよほどの努力を傾けないと、うまくいかぬと思うのでございます。そういう事業形態そのものに内在する通弊を、われわれはもういやというほど知っておるわけなんでございます。しかし、今度この事業団を御提案申し上げて、これができればそういう通弊はなくなるなどと言うほど、私どもも甘く考えておりません。今までいろいろの試みをして失敗した、この歴史を見ましても、なかなか容易ならぬことだと思うのでございまして、私はこの間から申し上げておりますとおり、この事業団をひとつ新しい勇気でもってりっぱに育て上げてみようということが今精一ぱいの気持でございまして、実はこれが当然世界銀行その他の借款を受け入れる、信用を持つものになるのだということを今私は申し上げるほど勇気はないわけでございます。したがって、まずさしあたりこれを作らしていただいて、これを育てさせていただくということが精一ぱいでございます。その育ち工合によりまして、次の事業の拡充をこのボディを中心としてやらしていただくように御相談いたしたいと思っております。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 それはそれでいいです。ただむしろこういう意味で申し上げたのです。少くとも振興会社というものは、政府の出資はあったが、民間の出資を求める、いわばやや会社的な形で、特に外向けの顔は非常に会社的な形であったと思う。それはそれとして、それから見れば、政府のエージェンジィだ、その性格がどうしても外に出ますね。この事業団の海外における出張所が向こうの、ブラジルならブラジルでどういう名前の商社になるとか、いろいろテクニックはありましょうけれども、どちらかといえば、国際的なキャピタルなんかが、あまり政府的な性格がさらに濃くなることによって、来にくくなりはせぬか、その点の考慮はどうなるかということです。事業団全体の失敗とか成功とかいうことを聞いているのではないのです。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) その点はブラジルにいたしましても、アルゼンチンその他の国にいたしましても、むしろ政府的な機関であるということがはっきりしたほうが、現在におきましては仕事がしやすい、向こうのほうも歓迎する、これは移住協定でもそういうことをうたっております。実はこの事業団はマイグレーション・プロモーション・サービスというようなサービス機関でございまして、サービスという名前でやりたい、できましたら、相手から免税その他特別の保護を受ける措置を講じたい。ただ、ブラジルに関しましては、先方の法制により、従来移住会社が「イジューシンコー」という移住のための金融機関とジャミックという植民会社の二つの形になっておりまして、将来はこれもさらに向こうの政府との話し合いによりまして、そういう公的サービス機関として認めるようにしていただきたい。なお、融資につきましては、移住会社は、最初の考え方は移住地の経済基盤の強化ということで、農業よりもむしろ工業——日本の移住者が農業から工業に行く、また、農産加工という関係でかなりに広い幅の融資をやる考えでおったわけです。それが所期の目的を達しなかったわけです。今度の事業団になりますと、むしろ実際的には農業移住者に立脚した融資というようなものにどうしても重点が置かれるのではないか。これ以上になりますと、経済協力基金とかいうものとのタイアップも必要であろうかと思います。なお、先ほど世界銀行と申しましたのは、これは外の資本を事業団に借り入れるというような考えもございますけれども、それよりもむしろ皆と協力していって、移住先の国が中心となって、それも一緒にアメリカの資本、日本の資本も入れて、そうして共同多角的な経営をやるというような考えでおりましたので、事業団が世界銀行から金を借りるというようなことはあまり考えておりません。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 それは大体その程度でいいのですが、その事業団が政府的な性格が強くなり、しかも一元化するから、相手国からは喜ばれて信用を高めることはよくわかるのです。しかし問題は、今あなたはこの事業団そのものに必ずしも国際的借款を求めるにあらずと言われたが、そういうことを含めて、ただその国が——ブラジルが喜ぶ、パラグァイが信用するということよりも、アメリカの民間銀行などから現在の移住振興会社が借りているが、事業団がこのような借款を求める場合、あまりに日本政府というあれが濃厚過ぎて、かえってそのことが障害になりはせぬかということを伺ったのですが、それはいいです。  それから第二の点は、これで大体最後にしようと思うのですけれども、結局、一元化の——一元化といいましても、私はあまり官庁のほうをもちろん今問題にするというのじゃなくて、事業団の事業に関する限り、こういうつまり移住の実務機関といいますか、何か半官半民的なこれの一元化についても、方向が、振興会社と海外協会連合会の統合という意味で、一歩どころではない、数歩前進したことは認めているし、これはいいと思うのです。ただ、その辺がまだもう少し徹底してないのじゃないかという感じがするのですが、たとえば、この海外協会連合会でなくて、いわゆる地方海外協会と事業団との関係というふうなことについては、まだそのままになっている。これらの点はどうなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは常識的に申しまして、この事業団は、今申しました海協連と振興会社を合体した、それも中央の機構を合体したというだけのものにすぎないわけでございます。地方は従来のままになっておりまするし、地方ばかりでなく、民間の移住関係のサービス機関もそのままあるわけでございます。きのう森八三一委員からお話がございましたように、一体事業団はそういう既存の団体に対して排他的に、これはおれのほうの仕事だ、おれのほうに一元化されたのだからというわけでやるのか、それとも、既存のいろいろな団体を支援し援助し移住の実を上げるのかというお尋ねでございましたが、もとより後者でありますということを申し上げたわけでございまして、一元化というのは、そういう中央機構を一応一元化したというところまでしかまだできておりません。したがって、今度、今御指摘の海外協会その他入植の団体がございまするが、こういったものはそのままやったほうがいいのか、あるいは事業団が成長いたしまして、それにまかしたほうがいいのかという問題は、これは将来に問題として残されていると思うのでございます。私としては、今の段階で移住実務機関を一元化するのだから、事業団になにも吸収しなければならぬというせっかちな考えは毛頭持っておりません。これはうまく育たないと、だれも信用しませんから、これと一緒になろうということはないと思いますから、まずこれを育てることを第一の任務といたしたい。その場合には、そういう育成の過程におきまして、もとより在来の移住関係の機関とは十分連絡協調して参りますし、事業団が持っている予算、要員等は、十分そういう方面に奉仕的にやらしていかなければいかぬと考えております。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 きのうの森委員の御質問に対する大臣の御答弁を承っておりましたのも、漸進主義で行こうということはけっこうだと思います。ただ実際問題として、それもここに手元の資料にも書いてありまするが、技術移住者のあっせんにあたっても、海外協会連合会と商工会議所系統の技術協力あっせん本部との関係が重複している、重複がありがちなんで、これには相当の民間団体が、やれ農協がやっておる、商工会議所がやっておる、いろいろなものだろうと思う。そんなものを重箱のすみをほじくって形を整えるなんてナンセンスだと思う。しかし、そういうことをほおっておいていいということではないと思う。だから、その点は使命感を十分持ってもらって、初めは腰が低くとも信用をつけて、そうして実質的にそういうあっせん事業等について、民間のいいイニシアチブを尊重しながら、指導性、企画性は発揮していくというねらいをしなければ、一元化をした指導機関としてはおよそ意味がないと思うのです。それはむろんやっていただけるのだろうと思うのですが、いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、そういうねらいをしなければならないわけでございます。また、そのねらいを実現していくためには、一元化というような形式にとらわれないで、実績を上げていくように努力することのほうがかえって近道じゃないかと思いますし、今まで移住行政をめぐりましていろいろなトラブルがございましたけれども、こういったことを解消する意味におきましても、黙ってその実績を上げしいくように努力いたしたいと考えております。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 最後に、監督官庁といいますか、政府機関のほうのあれですが、これも、きのうは非常に主として農業関係の議員諸君からの御発言もあったわけですが、私は既存の権限を今どうしようとか、こうしようとかいうことではございませんが、やはり補助金のルートの表を見ても、いかに複雑で非効率的で——今までのこれは事業団法とは直接関係はございません——これからの問題ではあるけれども、だれが見てもこのままでいいということは私は言えない、こういうことではいけないのじゃないか。だから、私はむしろ、農林大臣が移住のことだけをお考えにならずに、非常に高く評価される日本の農業の技術を、外国に技術協力をする、こういう面は農林省の権威にかけてやっておる仕事が幾らでもあるし、そういうことは、プロパーの農林省の仕事として大いに評価しなければならない。もっともっとやってもらわなければならない仕事がある。ただ、移住の方面とか、あるいは開拓者の方面は、たとえばここの資料にもございますが、たとえば全拓連というものが農林省から三十八年に幾らですか、九百万円ですか、まあもらって、これは国内の問題もあるのだから、これでしようがない、けっこうかもしれませんけれども、全拓連が事実上経営する移住地、グァタパラにあるというような、こういう点とか、建設省の青年訓練所というものは、特に南方ブラジル方面では、まさに南方ブラジルは移住行政の混乱の現地版だというようなことが書いてあるのでありますが、そういう点は、やはり移住事業団を作ることを足がかりとしながら、やはり一元化というものを進めていくだけの識見を持って、ひとつその認識でやっていただきたい、かように考えるわけですが、いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) この予算の流れるルートを見ましても、それは御指摘のとおり、たいへん複雑でございまして、快刀乱麻を断つようにきちんとしてやりたいとは、だれしも思うところでございます。ことしの予算編成にあたりましても、実は私どもももう少しシンプルにする道はないかと思って、農林省とも相談いたし、大蔵省とも相談いたしたのでありますが、大蔵省は、まず仕事の実体を一元化することで話がきまれば、予算はそのとおりつけるというわけです。ところが、事業の実施官庁——農林省や外務省は、予算がこうついているから、それが実体を規制していくということなんです。それだから、予算の一元化、実体の一元化というものが二重になりまして、外務省と大蔵省との間のどっかにとどまっているというような感じなんでございます。これは非常におろかなことなんですけれども、現実がそうなんでございます。そこでしかし、無理やりに一元化してみても、これがもう形式的な一元化で、実際意味のない、働らきのないことになっても困りますし、したがって、私は曾祢委員も御指摘のように、これからの長い問題だと思うのでございまして、一番堅実なやり方は、まず一歩々々進んで行くよりもう分別はないと思うのでございます。まず事業団というものを作って、これが鬼っ子になるか、優等生になるか、これがまず勝負じゃないか。それが、これならば大体まかしてもよさそうだと各方面から認められれば、その次のステップをとっていけばいいのじゃないかというように、時間をかけてやるべき性質のものではないかと思うのでありますし、また、権限争いでどれが勝った負けたというようなことは、国民に迷惑な話でありまして、そういうことはやる気持はございません。納得づくでやりたい、こういう気持でおります。相当時間がかかりますけれども、それ以外に分別はないと考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私は具体的なことで伺いたいのだけれども、移住政策の理念は、移住審議会の答申にある政策の理念のとおり、たいへん高い高邁な政策の理念であるようですが、この移住事業団というものは、募集はやらないわけですね。海外移住の知識の普及とか、あっせんとか、相談に応ずるとか、渡航費の貸付とかということで、せっかく知識を普及し、相談に乗ってやっても、さあ行かないか、ここにあるのだというような積極的な指導は建前上しないのが事業団ですね。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) 原則として、そのとおりでございます。ただ、場合によりましては、あっせんは行ないます。募集はやりません、あっせんはやりますが。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 非常に消極的な話だけれども……。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) もう一度説明いたします。  現地におきまして、呼び寄せの関係で、在外邦人が日本から雇用の農業移住者を呼び寄せたいという場合に、そういうような希望があるということを広報し、そうして、それについて現地の事情を御説明申し上げ、また御相談に応じ、そうして、行くという決心をつけるのは移住者自体がやる。つまり、「あっせん、募集」の言葉は、移住についての移住者の主体性を中心にするかどうかという問題でございまして、積極性の問題ではない。つまり、広報その他については、われわれはもっともっと海外の事情を積極的に申し上げ、また移住しやすいような地域を作ることにもわれわれは協力をしなければいかんが、その答申にもございますように、国の事業に、移住者を募集して連れて行くというような考え方は、原則としては考えておらないわけです。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 たいへん上品なんですな。京都のお姫さんみたいなのが、ちょっとお話して、乗っかってくると、それはおれの仕事じゃないと、こう逃げるような格好、しかし、逃げようと思うと、ちょっとお待ちなさいというような格好でつかまえて、そうして送り出す。それにはやれ民間の団体があるから、そこへ行って頼みなさい、こういうようなことも言うのだろうと思うのですが、私はそこが事業団というものはわけがわからないんですよ。なぜ募集という言葉を入れないのですか、この点どうですか、大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは答申の第一ページにもありますように、つまり自発的な個人の決断だ、自発的なものであるということから、つまり募集というような表現を法律に明記するということを避けたと私は思うのでございますが、しかし、事実問題として、それはほんとうにいい移民を実現しようと思えば、三日も四日もひざ詰めで談判するというようなことが私はあり得ると思うのでございまするが、移住政策の基本は、あくまでも自発的な意欲というものを前提として考えるのだという大前提がございますので、法律にわざわざ明記するというようなことは避けたものと考えるわけでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 一つもわからないのですがね、その説明は。わからないのだが、そこで先ほどのお話で、御決心は向こうだが、決心させるまでは持っていくのだな、うまいことを言いながら。(笑声)そして決心しようと思ったら、一体これは、そんならおれのほうへ来いというように、事業団は引っぱり込んで持って行ってくれなのいですね。だれがやるのですか、それは。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) ちょっと日本語で言うと募集という言葉は非常に幅が広いのでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 じゃ、外国語で言って下さい。(笑声)

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) それを英語で申しますと、これはリクルートメントという言葉になるのでございます。つまり、兵隊を徴集するとかいうリクルートメントという言葉なんです。それで、そのリクルートメントという印象をわれわれは排除したいということです。ただしかしながら、政府はリクルートメントやりませんが、海外において日本からの雇用農業移住者を呼び寄せたいということで、民間団体あるいは農協、あるいは力行会等が現地と連絡せられて、現地の呼び寄せ者にかわって募集行為をやる、これはあっせん行為になると思うのでございますが、そういうことはあり得る。それで事業団は、そういうような結果から、最後に、自分は海外へ行きたいのだということになった場合に、渡航費を貸し付けるということをまたやることになるのです。だから、言葉で非常にデリケートでございますが、これは非常に大事なことでございまして、(笑声)これは非常に大事なところで、移住審議会でも相当この問題を議論せられて、「移住者に対する姿勢」というものは、意思はここに載っておるのであります。言葉の説明においては非常にわずかな差のようでございますが、それは根本的な考え方の差であって、非常に大きな結果の差が出てくるのではないかと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それならば、ボリビアやパラグァイとあなたがお作りになった移住協定があって、ボリビアの場合は一千家族六千人ですか、それからパラグァイのほうが八万五千ですか、そういう大きな数を移住協定で協定をしていて、そういうようなへっぴり腰で一体人が集まるのかどうか。自発的にひとつ御決心をさせるように持っていくわけだ。空気みたいなものでふわっと持っていくわけだ。そんなふうな持っていき方だから、ボリビアの場合は二六%−千五百六十八人−ぐらいですね。それから、パラグァイのほうは、七%ぐらいで五千九百四十四人。しかも、ボリビアの場合は、とてもじゃないが、人が集まらないので、行かないので、自発的に御決心下さらないので、(笑声)また二年ばかり延ばしている。これは一体どうしてこういう大きな協定をして、しかも自発的に海外発展をさせて、人数を満足させ得られるか。その方法はどういうふうに考えておられるのですか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) その点、たとえば戦前の満州移民のような場合ですと、国防の目的があって、国の目的で移住者を募集して、そしてあそこへ送り込んで、国の仕事としてやっておると思うのです。それからブラジルとの協定には、募集という言葉があります。これはブラジルが募集するのです。で、日本はそれにかわって募集をやることもあります。しかしながら、それは原則ではなくて、政府間の協定に基づいてブラジル政府にかわって募集をすることはあり得るのですが、これは、そのアイデアは、ブラジル側としては、自分の国に移住する人間を選ぶということがブラジルの主権である。移民国として、移民でもってできている国家としては、よい人間を選ぶ権利があるのだ。そういう形で、その自分の国へ入れる人間を選考することを非常に重要な主権と考えておる。それをブラジル政府にかわって募集をしてもらうということは、この日伯移住協定が発効した場合は、あるわけです。  それから、ボリビアとの協定では、何も六千人を二カ年間に募集して入れるということはやっておりませんし、ボリビアの移住地を日本政府の移住事業として日本政府が経営する事業として送っているわけではありません。そういう意味におきまして、これはあくまでも移住者の主体性を中心にしてやる。将来、あるいは日本政府自身の事業としてやるようなことがあるかもしれません。相手の国との話し合いによって経済協力の一つの企画としてやる場合もあるかもしれませんが、現在考えておりますのは、そういうことを考えていない。したがって、あくまでも移住者の主体性——主体性だから政府は何もしないんだ。啓発とか募集とか移住相談というのは、従来、募集と言っている言葉の中の一部にも入ると思うのですが、いろいろ説明したり、適した人が行くことについての勧誘はやるかもしれませんが、いわゆる募集——リクルートメントはやらないということであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 移住局の方はわかるかもしれぬが、私はどうしてもわからない。私の質問した点に答えられていない。どうして八万五千人、片方の一千家族六千名の人々をこの三十年間あるいはその前の期間内に受け入れられるか。一体その方法はどういうふうにお考えになっているかということです。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) これは一応パラグァイ政府と三十年間に八万五千を入れるという、契約というか、協定はしておりますが、三十年間に入れなければいけないとか、日本としても三十年間に八万五千入れなければいけないという考えでこの協定はできているわけではございません。日本人で海外に行きたいという人の行き得る場を与えてやるために作っているのであって、これだけは国がリクルートメントしても連れて行かなければならぬということを考えるべきでない……。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それでは八万五千人と一千家族六千名という数字は、計算はどこからはじいたのですか。三十年なんてどこからはじいたのですか。私は生きていないでしょう、八十六才になるから。(笑声)しかも、その人数は、自発的にということで、わからないんだから。政府は、リクルートメントするんじゃないと言って、どうしてこんな数字を両方とも協定したのですか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) これは相手の国として、パラグァイは御承知のとおり、人口百六十万の国であって、あまりたくさんの日本人が入られちゃ困るという考えが全体の基礎で、全体としては、三十年間にこれ以上入られては困る。毎年としては最高三千人ですか、これ以上は困るというのが先方の政治的理由であったわけであります。ですから、マキシマムが、一応向こうが政治的に最高三千人……。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、日本はもっと大きなことを言ったのですか。大きなことを言ったのでたまげて、年平均二千何百だったか、平均すれば。最高が三千幾らか、たまげちゃって、それで八万五千にしてくれ、よかろうというので譲歩して、こっちが八万五千で押えたのですか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) これは実際の交渉の経緯を申しますと、最初はもっと大きい数字で日本側が申しました。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 まあ、そういじめても仕方ありませんから……。とにかく募集という字はないが、あっせんとか相談の中には募集という気持が強く動いているんだと、こういうふうに了解をいたします。そこで、それでは実際にだれが一体——一生懸命自発的な気分を起こさせる努力をしている団体というのは一体何ですか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) 具体的にパラグァイの移住地とか、これらに関しましては、従来、海外協会連合会。これからは事業団が行なうことになります。ただ事業団だけでは万全でありませんから、地方海外協会、あるいは力行会、あるいは農協も協力しますし、また、根本的には教育、これは学校教育、成人教育等によって国民の海外発展思想を啓発するということが一そうの大事なポイントだと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると大平さん、この七月から発足する予定の事業団は、手足はないのですね。大臣のお言葉をかりれば、中央における中核体ができるのだ、世間の御信用を得ますればという大臣のお言葉、だんだんよくなってくるだろう、ちょうど水が低きに流れるがごとく、いろいろな機関がここへずっと集まってきて、ほんとうにりっぱなものになるでしょう、そのほんの手始めがこの事業団なんだ、と言って頭を下げて一生懸命やっているわけですね、大臣。しかし、そううまくはいかないので、現実に一体移民はきょう現在のところは、あるいは事業団が発足しても、やるのは農協でやり、地方の県人会でやり、現地では向こうの産業組合でやり、向こうの県人会でやり、あるいは海協連のところ、そういうところがやっているので、海外移住事業団という、世間はこれでもって移住が大いに促進されるかと思ったら、実際に働く人は事業団以外の人が働いてくれる。そこから、渡航費を貸してくれと言えば、貸してあげよう、こういう形になるのですね、スタートは。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) まあ、ざっくばらんに言われますと、そのとおりでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 どうも困った事業団だな。これは実際ほんとうにどこを探してもわからないのですよ。むずかしい問題でね、これは。大平さんの御答弁は雲をつかむような御答弁で、それはこれからだこれからだと言って逃げられてしまう。そうなれば、事業団ができても、農林省は農林省設置法は改正しない、募集、選考、教育、移住地の調査はおれのほうで指導監督するんだ、それに農協もつかまえる、地方自治体もつかまえる、土と接触している農林省だから、地方の県知事もこれを向こうに回しては容易じゃないから、団結するとなれば、大平さんが言うように、世間の御信用を得るなんて言ったって、それはとてもくっついてこないんだが、それをどうやってくっつけていくことができますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) まあ、山高きをもって貴しとせずと申しますか、この事業団が非常に膨大な機構を擁し、膨大な予算を持っておりましたら、今、森先生が御指摘のようなことができるかというと、必ずしも私はそうではないと思うのでございます。われわれに与えられた要員が与えられた予算をもちまして、各既存の関係団体と協力する熱心さ、サービス精神に徹せよという衆議院におきましても一致のお示しがございましたが、そういうふうな徹し方の問題だと思うのでございます。そして、同じことをやるにいたしましても、親切に徹底してやるという努力を積み重ねていくことが信用を高めるゆえんでございまするし、移住事業が振興していくゆえんだと思うのでございまして、必ずしもこの事業団が非常に完璧な組織、十分な予算を恵まれているわけじゃございません。この与えられた制約のもとでそういう精神に徹して努力をするということからまず始めなければならぬことだと思うのでございます。現実のサービスというのはいろいろの形態のものがありましょうし、どういうことが起こるかわかりませんけれども、それに処する態度が一番大事だと私は考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、その自発的であるという——移住者の自発に待つ、移住は。政府のほうじゃ、事業団のほうでは表立って募集はしないとは言いますが、移住協定、パラグァイ、ブラジル、アルゼンチン、四つばかりここにありますが、この移住協定を見ると、非常に政府の力というものが大きくクローズ・アップされているんですよ。これが調印されたのは移住事業団法より前——三十五年ですか、一昨年ですか、古いから、その間にズレがあるのじゃないかとも思うんだが、しかし、達識の自民党政府ですから、これくらいは頭に入れておったと思うんだけれども、たとえばブラジルとの協定第七条「計画移住は、両締約国の合意により作成された計画に基づき、両締約国の責任の下に行なわれる。」、これを見ますと、締約国ということを非常に強く出しております。これはパラグァイのほうとの移住協定でも、その他のアルゼンチン協定の第二条ですか、ここに全部計画的ということと政府ということを強くうたってある。これとこの移住事業団というものとの関係、政府の移住事業団に対する態度を見ると、何かはっきりしないのですね。これは締約国でいろいろな計画をとりきめる。六人委員会とかなんかを出して計画をやっていくというならば、当然ここで計画されたものは、政府から下へ流れていく。事業団なら事業団、あるいは農林省を通して地方へ、地方団体を通して下部へ、そうしてこの計画実現のために努力するような仕組みになっているのじゃないですか。両方で計画の委員会を作って移民の計画をやる。計画をやったら実行ですね。それを自発的になんて言っていられないのじゃないですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 人間をそう品物のように私はできぬと思います。やっぱり自発的な意思というものが根底でなければならぬわけでございまして、政府と政府との間で計画移住のお約束を申し上げましても、それが実効を上げるかどうかは、移住者がそれに応じていただくかどうかの問題なんでございまして、政府が強制力を持ち得るようなことは、これは当然避けなければならぬことでございますし、そこまで森先生も御要求されていないと思うのでございます。問題は、先ほどからお話の中にありますように、いかにも上品にかまえて、移住者の主体性を尊重するのだというようなことではいかぬのじゃないかという、そのお気持はよくわかるわけでございまして、事実上いろいろな努力をせねばならぬけれども、結果として移住者の自発的な意欲というものが出発点になりますことは、御承知のとおりでございまして、両政府間の申し合わせば、そういう場を与える、環境を与える、天地を与えるということ、それに応じての条件、環境の整備を両政府間でどのようにするかという申し合わせをすることでございまして、眼を入れるのはあくまでも移住者の主体性にあると私は思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 やがてこの事業団が、大平大臣の表現をかりれば、世間の信用を得てきて、みんなこれと連携が上手にいくようになったならば、募集という目的——事業団法を改正して募集という言葉を入れても達当な時期が来る。そんなふうにお考えですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 募集という言葉を入れなくても、もう事業団の言われることに御信用ができますれば、そうして、そういう事業団の広報活動の裏づけをするいろいろな事前の調査が十分充実しまして、移住者の信頼ができますれば、おのずから実効が上がってくると思うのでございまして、募集という言葉を入れる入れぬの問題は、第一義的な問題では私はないと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 移住局長に伺うのだが、移住会社が獲得した、購入した土地があって、しかも、まあ使われていない土地も相当あると思うのだが、その反別、地区、パーセントを伺いたい。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) 移住会社が一番多く買いましたのはパラグァイにおいてでございまして、約十五、六万町歩の土地を買いまして、ロッテ数にいたしまして約四千ロッテ、そのうち約二千ロッテが造成されて入れるようになっておりますが、実際入りましたのが一千ロッテ以下、これが一番大きく残っているところでございます。それ以外は、従来なかなか入植しなかった土地もあるんですが、ほとんど全部満植になりまして、現在ブラジルでバルゼアレグレというところの移住地、これは会社が買ったのですが、その二、三割しか入っておらない。残りのほうは土地が非常に悪く、二級地、三級地でございましたので、これを牧場地帯にするとか、その他の方法を会社で考えておる。これと、それから先ほどもお話が出ました、全拓連と会社と共同でやっておりますグァタパラの移住地、これが昨年からスタートしたのですが、現地からの入植者がなかなかむずかしい、それから、日本からも最近の情勢の変化でなかなか行かないということで、入植不振ということを言われています。それ以外の土地は、ほとんど全部満植しております。サンアントニオは、たしか福井県が中心でおやりになって、ほとんど満植になっております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 移住会社の購入した土地は、私らの数字では約二十七万町歩くらいある。そのうち入植率は一六・八%である、残り八三・何%は未利用だと、ほったらかしている、こういうふうに私らの数字は出ておるんです。今、数字の点が一つと、それから、これだけの土地があった場合に、先ほどおっしゃる移住者の自発的な決心でこれを埋めるというのはたいへんなことだと思う。先ほどは人数のことで申し上げたが、今度は土地の面積の広さから申し上げるんだが、これ一体どうするつもりですか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) これは実は政府としても反省をしているわけですが、最近の移住の推進が、ことに現地における移住の推進が、もっぱら土地を買って調整してこれを入れるということに重点が置かれて、土地を買って造成するということが会社の主たる任務のように考えられてきて、勢い、実際に必要な以上の土地が買われた、しかも、日本の情勢は急激に変わってきて、なかなか入らないということでございます。これはいろいろ問題がございまして、われわれも頭を悩ましておるところでございます。その土地の大部分はパラグァイでございます。したがって、これについては根本的に積極的な方法を考えていこうと思っております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 その反省に立ってどういうことを今お考えになっておるか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) これはやはり、先ほど曾祢先生からも御指摘のありましたように、戦後の海外移住は、土地を買い、造成して入れるというところまではかなりに政府が力を入れているんですが、それ以上に、農業の機械化とか、あるいは農産加工とか、そういう面の施策が十分でないという点はわれわれ痛感しておりまして、これらにもつと力を入れるということによって、農地で働いた移住者が商業の面あるいは、工業の面で利益を失ってしまうことのないようにやる、それによって移住地がアトラクティヴになって、出て行く人もふえるだろう、こういうふうに考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連。そういう広い地域が未利用で残されている場合、大規模な機械化部隊みたいなものが行って開墾をして、そこを移住者に譲ってもらうというような処置はとれないのかどうか。それは何か相手国との関係で制約があるのか。資金の関係か。あるいは政策上の観点の違いか。そういう点はどうですか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) ただいま羽生先生のおっしゃいましたようなことは、実はわれわれは三十七年度からその再調査をやって、どうしたらいいか——今おっしゃったように、場合によれば日本の農業の機械公団ですか、ああいう式な考え方で大農的にやっていくということが、その可能性があるかどうか。これはもちろんパラグァイのような後進国でも、最近は農地改革と申しますか、一つの所有者が、あまり大きな地主が持って、それに労働者を入れるだけのような形では、だんだんむずかしくなっています。そういう点もあわせ考えながら、どうしたら一番うまくいくかということを実は私ども悩んでおるのでございますが、先生の考えられたようなことも、実は真剣に考えておるのでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 日本とボリビア政府との間の移住協定第四条に、「移住者の募集及び選考は、日本国政府又は同政府が指定する団体が行なう。」、この日本国政府または日本政府が指定する団体とは、一体どういうことになりますか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) これは、われわれはその場合事業団になるというふうに考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 事業団一つですか。これは政府が指定する団体……農林省はその設置法によって、農協や何かがやる募集、その他の選考、教育、移住地の調査、そういうものについては指導監督をするとなっているのだね。指導監督するというのは設置法に書いてあるわけだ。そうすると、農協というものは、この場合どういう立場になるのですか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) 農協は民間団体として事業団の活動に協力するわけであります。そうして、農林省はその農協を監督するというふうに私は考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そういうふうにやすやすと協力するような、第一気分的な理解ができていないと思うのです。また、制度上というか、上、下の機構上の関係からも、そういうことはできていないと思うが、いかがですか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) その点は、従来から募集は海外協会連合会がやっておりまして、地方海協あるいは農協、あるいは拓連——拓連も農協でございます。こういう団体が海外協会連合会に協力して、実際上移住を推進してきたのでございまして、今後においても、その関係は根本的な変化はないと、こういうふうに考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、今まで政府の御答弁とは違って、日本政府が指定する団体、すなわち事業団が移住者の募集及び選考を行なうと、こういうことになりませんか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) この点はただいまの日伯移住協定でございますね。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 ボリビア。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) ボリビアでございますか。ボリビアの場合には、ボリビア政府のほうで移住者を募集してくれということは言わないわけです。したがって、これはわれわれは募集という行為を考えておりません。しかし、日伯移住協定なんかで先方と計画移住を行ないまして、ブラジル政府にかわって日本の団体で募集してほしいという場合に指定することを今考えてお話し申し上げたのでございますが、ボリビアの場合は、現在募集という行為でなくして、移住相談ということでやってみたいと考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、ブラジルの場合には、日本政府がブラジルにかわって事業団に募集してくれと、こういうことを言う。そうすると、事業団は今のところ自分に手足がないから、しかも定款にも募集という字もないのですから、あっせんというデリケートな中に募集があるそうだけれども、まあ表面はない。そうすれば、一体だれかに委託するということがなければならないと思うのだが、どうですか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) これは、日伯移住協定ができました上において先方政府と話さなければならない次第でございます。そうして、実際今申しましたようになりますかどうかはわからないのですが、発効いたしました上、混合委員会でそういうことを相談するわけですが、ブラジル政府が植民地を相当作っております。これに移住者を募集しております。それを日本の方でもやってほしいという場合に、この事業団がやるということはあり得ると思います。しかし、実はこの移住協定ではこの募集という言葉はつかっておりません。あっせんという言葉をつかっておりまして、そのあっせんも、他の団体には委託できないことになっております。しかしながら、民間団体は、従来たとえば旅行あっせん業者は、現地の呼び寄せ人から頼まれて呼び寄せ人のために募集をし、あっせんをしておるわけでありますから、こういう固有の民間の活動はございます。そういうラインとどういうふうに調和させていくか、先方との話し合いによるというふうに考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 これは移住協定は四つ——アルゼンチン、パラグァイ、ボリビア、ブラジル、とにかく発効のおくれているのはどれですか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) ブラジルだけがおくれておりまして、ほかは全部発効いたしております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 この協定はスペイン語だか何だかわからぬので、私は因るのですが、どうしても、今度の事業団法ができればすぐ事業団法を改正することにならぬか、あるいは協定そのものも募集、選考に関して手直しをする必要が起きてくるんじゃないかという感じがするのですが、このままの協定、このままの事業団法で押し切れますか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) 私は、このままで差しつかえないと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それから、この四つの協定の文章を見ると、向こうの期待しているのは、日本のような高邁なる移住移民ではなくて、労働力あるいは労力、ただしそのもう少し上等な意味の技術、資本を伴ったようなというだけで、向こうじゃ労働力ということを期待している。労働力とは、私の言う場合には農業者、そういう感じがしますが、政府が出したいという人と、出したい人の資格というものと、向こうがほしいという人が食い違っているように思うが、どうですか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) たとえばブラジルとの移住協定の場合には、「日本人の技術及び労力の活用によるブラジル合衆国の経済開発を目的とし、かつ、国際協力の精神に基づいた適切な政策を実施することが両国を結ぶ伝統的な友好のきずなを強化する」、つまり単なる労働力ではない、技術を伴い、資本を伴った労働力で、それのねらいは、国際協力、ブラジルの経済開発というところにこの協定は置かれております。  それから、アルゼンチンの場合には、「移住者に繁栄の機会を与えることが日本国の利益であること並びにアルゼンティン共和国の経済開発に必要な産業上の技術及び資材の導入を伴うすぐれた労働力を受け入れることが同国の利益である」ということがこの協定の主眼になっております。  それからボリビアは、戦後一番最初に締結された協定でございます。これについては特別今のようなことは何ら規定されておりません。  パラグァイとの協定では、「両国民の間の友好関係を一層緊密にすることを希望し、及びパラグァイへの日本人の移住が両国に与える利益にかんがみ、その移住を促進することが相互の利益である」というふうに、こういうふうに新しくできた協定ほど日本の技術及び資本を伴う労働力、それから経済協力という点が強くうたわれております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 どこかの協定には「繁栄」という字をつかっておったね。パラグァイだかどこか、日本人が向こうに行って繁栄する……

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) アルゼンチンの場合にそれがつかわれております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 こっちのほうは理念のほうだけとても高くて、理想は高いというか、向こうは繁栄だとして、うまく飯が食えて子供もたくさんでき、教育もできればいいじゃないか、向こうはこういうふうに書いてある。一つもこっちの高邁なる理想は前文にはうたわれていないのだね、過去の四つの協定には。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) その国際協力という高邁な理想は、ブラジルもアルゼンチンもうたわれているように思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私はどうも何べんお聞きしても底には底があるようで、非常にレトリックの時間みたいな感じがするのだが、非常にどうもむずかしい表現で、募集とあっせんの関係は書いてもらったらわかると思うのですが、私が心配するのは、事業団はできたが、実際に働いて苦労して、あそこの移住地はいいのだよという知識の普及や何かは、事業団じゃなくて、事業団に統合されあるいは外務省に専管されることに反対の人々が、事業団の信用を得るまで、ここ当分この人たちがほんとうの事業の主体であるというような感じがしてならない。極端に言えば、事業団なんかにたよらないで、こっちの農協と向こうの農協が話し合えば幾らでも送れるのですから、事業団の金はくれないというわけにはいかないが、事業団のお世話にならないで、依然として従来どおりの移住が行なわれるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 現在までどうであったかということ、そうして今度われわれがやろうとすることで、一体どういう程度の開拓ができるか、前進ができるかという角度からごらんになっていただきたいと思うのでございまして、今御審議をいただいておるこの事業団の発足ということに過大な期待を私ども持っておるわけじゃないのでございまして、現状から、さしあたってこういうところから改善の糸口を見つけていこう、きわめてハンブルな考え方でございまして、また、そういうように着実にやっていくことがかえって近道じゃないかと思っておるわけでございます。従来でありまする各種の団体の協力を求めて参らなければならぬことは当然でございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 結論はそこへいつも来る。速記録を見ても、大臣の答弁はそこへ来る。穴だらけで、外務省の悪口を言えば、反省しております、今すぐ御期待されちゃ困ります。期待できないような法案を、上げろ上げろなんてわっさわっさ言っても仕方がない。御期待をしちゃ困る、だんだんにひとつ見ていってくれ、こういうことでしょう。そんなら、上げろ上げろなんということはよけいなことだと思うことが一つと、それからもう一つは、これは冗談にもなりますが、真剣だと思うのは、どうして移住者ができないかといういろいろな理由、あるいは高尚な理論は同僚委員からこれまでたくさん伺いましたが、やはり大平さんのような人が現在に行って、選挙も議会も休んで、そうして現地でいろいろなことを聞いてやって、向こうは日本政府の分店だ、あるいは海外総督だ、中南米総督、大平総督ということで行ってずっと見てやれば、行った人が非常に安心できると思います。移住の専門家にしたってだれも知らないような、知る人ぞ知る狭い人、幾ら有名な人が行ってもだめで、日本とつながらなくちゃならぬというのですから、私は中南米大移住総督みたいなものをハバナのようなところに駐在させてやれば、よほど明るくなって進展すると思います。大平さんも幸い官房長官をやられて腕がいいし、あちらこちらの取りまとめもうまいし、大蔵省出身だから計数にも明るい。御答弁もやわらかだし、あなたに行ってもらえば移住はうんと進むと思う。だれも行く人がないから、永田さんとか、あるいは国会議員では田原春次さん。南米は広いからとても見て回り切れません。そういうような人が駐在すべきだと思う。短期でいいから、そうして交代して行くようにして、中央との連絡をはかりながらやるようにすれば、大いに進展を期待できると思うのです。これは思いつきでありますが、まじめな話。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 御忠告よく拝聴いたしておきます。

杉原荒太自由民主党

○杉原荒太君 それでは、ちょっと一言だけ質問いたします。この法案を見ますというと、この移住事業団の毎事業年度、事業団の業務についての基本方針を定めるものは外務大臣ということになっている。外務大臣がその基本方針を定めるということになっている。そしてまた、その基本方針に基づいての事業団が作る業務方法書というものは、外務大臣の認可を要するということになっている。外務大臣のこの移住についての責任というものは、非常に重大なものと規定されている。したがって、それは言うまでもなく、外務大臣の補佐機関としての、今の現実の機構で言えば、移住局というものの責任はきわめて重大だと思う。しかるに、一方、外務省の所管事務の中で、移住事務というものは、ほかの所管事務と違った特殊性というものがあることは皆さん認めるところだと思います。そこで、私がお尋ねしたいのは、この移住事務の特殊性にかんがみて、移住局の人事構成、人的の構成、人事の運営について、特にどういう配慮をしていく方針があるか。今日まで、従来もある程度その考慮を払ってきておられると思うが、この本法の通過を見たとして、その施行を境にして新たに、今私が申し上げた点について特別の配慮をしていかれるつもりでいるかどうか、その点をお伺いします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 衆議院段階でもいろいろ御論議がございました。ざっくばらんに私は自分の考えを申し上げたわけでございます。たとえば、移住庁を作る、そして政府のいろいろな移住関係の能力を動員して、政府が不動の体制で移住行政に臨む。そういう考えがもしありとすれば、私は根本的に反対であります。もし、移住に関心を持ち、情熱を持っておられる方がございますれば、これは事業団で第一線でやっていただいたほうがいいわけでございまして、役所の仕事というのは、えてして、直接移住者に接触いたしまして汗かいてやるという仕事ではないわけでございまして、役所は、移住行政機構なるものは、できるだけ小さいほうがいいんだと私は考えております。事業団に有為な人材を、各省の御協力を得まして、集めていくということであるべきだと思うのでございまして、役所はできるだけ簡素に、これは移住行政だけとるのではなくて、あらゆる行政について言えることでございますが、簡素な姿が一番よろしいと思っております。したがって、私は今の移住局というものは要らない。団を育成し、それに責任を持たせて、自主的に弾力的に仕事を運ばしていく以上は、移住局なんという膨大な機構は要らないのじゃないかとむしろ考えております。したがって、外務大臣の責任が、御指摘のように重くなったということは、同時に外務省の要員が多くなければならないということには直接つながらぬと思うのでございまして、私は農林省初め、各省の方々をお招きいたしまして、私のもとに一つの簡素な機構があれば、そこで各省の移住行政に対するいろいろな考え方、施策を取りまとめまして、一つの基本方針としてやることができますれば、これを事業団に移して、事業団が自主的にやっていただくというような姿がよろしいのではないかと考えておるわけでございまして、移住行政機構というものは、むしろ簡素なほうがいいというふうに考えております。

杉原荒太自由民主党

○杉原荒太君 私が質問したいと思う趣旨は、今移住の行政機構に国の行政機構がどうだ、根本問題は別として、ということを、その点を今私はここで問題にしようと思って質問しようとしておるのではない。また、この法案で予想されている範囲内で私が一番聞きたいと思うのは、外務省の、今外務大臣が移住局というようなことを言っていたが、私は、局だとか課だとかということを問題にしておるのではない。つまり、この移住行政に当たる人的の構成、私はこれはほんとうにそれに専念してやる、そしてしかも、年月からしてもしょっちゅう変わったりなんかするのではなく、そういう人が当たっていかなければいかんという一つの考えを持っておるもんだから、そこから私はお尋ねしている。しかしそうは言っても、現実にはいろいろの制約がある。しかし、その制約の上において、運用の面において一体どういうふうにやっていこうとせられるか。そこを私はお尋ねしておる。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 御質問の要旨を取り違えて失礼いたしましたが、今お尋ねのような点であるとすれば、これは日本の行政機構全体といたしまして、一つの専門家、それに情熱を傾けておられる方、生涯の浮沈をゆだねておる方が長くその職におる。ということは、今の任用制度、今の給与制度のもとにおきまして、杉原委員が指摘せられたように、非常に大きな制約があると思うわけでございます。一つのところにおりまして、その専門を生かしてプロモーションが順調にいきまして、ペイの面でも最高に達するような官僚制度ができておりますれば、御指摘のようなことが可能なわけでございますが、今のところ、それは容易に望み得ないことでございまして、この制約のもとにおいては、今御指摘のように、簡素な陣営で、しかもそれは非常な情熱を持たれた方、そしてそういう方はいないかというと、私は、われわれの外務省にも、また各省にもおられると思うのでございまして、そういう人材を簡抜いたしまして、この制約のもとにおいて最善を尽くさねばならないと考えます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 私、責任の所在を明確にしてもらいたい、それから、人事の刷新を思い切ってやってもらいたい、それから、農林省と外務省との百年戦争をこの際やめてもらいたい、こういう大体前提に立った質問です。  内容は、サンパウロ新聞とかあるいは職員の連中の意見も少し聞いたり、外務省の意見も少し聞いたりしていますが、やはり風当たりは外務省が一番強い。ただ、その出発の前だから、きょうはそういうきついことを言うから、気にしながら聞いてもらわんと困りますが、それで、この前衆議院で田原春次委員が六月十四日の外務委員会で質問されたが、海協連のボリビアの支部の予算の問題があって、会計検査院から調査が行きましたね、あれはどうなっておるのか。ちょっとお尋ねします。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) これは最近お帰りになったように聞いておりますが、まだ会計検査院としての報告はいただいておりません。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それでは、それははっきりしましたら委員会のほうに、たぶん報告できることがあるのでしょうから、一応こういうことであったということは明確にしてもらいたいと思います。  それから、この法律ができるときに、これをどういうふうにしようかという議論が、ずいぶんあったと思うのですが、たとえば日本力行会長の永田という人がおるのだけれども、これはあまり役所仕事じゃまずいから、移民民営官助論というか、こういうことを主張しておったと思うのですが、こういう議論は一体あったのか、そういう議論があったのだけれども、結局これに落ちついたのか、二、三の要点があったら、お話しいただきたい。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) ただいまのような問題は、移住審議会でずいぶん議論されました。その結果の答申でございまして、政府が移住を援助し、推進する仕事は事業団に一元化するとともに、民間の力行会とか、あるいは移住あっせん業者とか、あるいは農協とか、こういう民間団体及び現地のいろいろな団体はできるだけ活用し、円滑な連絡をとるようにというのが、結局結論であります。したがって、事業団を後援しながら力行会のような活動も十分できるようにということが、移住審議会の答申であり、この事業団もこのワク内で考えておるわけであります。

大和与一日本社会党

○大和与一君 二十一条の二号の、「相談に応じ、及びあっせんを行なうこと。」と、ちょっとさっきの問題とからむのですけれども、英語じゃなくて、日本語でちょっと説明していただきたいのですがね。募集というような言葉はないけれども、あなたもおっしゃったように、「あっせん、相談」の中にやはりそういうことは入っておるとも言えるのです。それは何を……。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) 従来、募集というような表現で言っておられたようなことも、移住相談の中にあると思います。それから、あっせんというのは、移住業者があっせんの仕事をやっておりますが、そういうことも事業団自身もやり得る。現にまた、それはやっておるわけです。たとえばブラジルにおるけ在留邦人の農業雇用者の希望を集めて、事業団が、海外協会連合会が内地におきましてこれを発表して、あっせんを行なっている。それから、直接サンパウロの欧米系の会社の希望する技術者の要望のリストを作りまして、これを内地で職安と地方海外協会が協同いたしまして、いわゆる移住者の募集をし、選考をして出すというようなこともやっております。これもあっせん行為だと思います。それから、移住者に対し訓練、講習及び渡航費の貸付——訓練、講習は、これは移住あっせん所がございまして、ここで訓練ということですか、教養と申しますか、移住地におけるいろいろな教養を与えます。それから、海外協会連合会は、赤城山で特殊の青年移住者に対する訓練をやっております。これは、農業、工業その他の方面に働く青年移住者に対する特殊の訓練をやっております。  それから、この事業団ができまして、本年はまだ現状を変えるまでになっておりませんが、移住あっせん所などもこの事業団の仕事の中に入ると考えております。それは四の「移住者の渡航に関し、宿泊施設の提供、引率その他援助及び指導を行なうこと。」、それから、「海外において、移住者の事業、職業その他移住者の生活一般について、相談に応じ、及び指導を行なうこと。」、これは現在やっていることですが、大体海外協会連合会と、それから移住会社が現在やっていることを十までに書いたわけであります。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それで大臣にお尋ねするのですが、この法案を作ったということは、積極的に国がやるという、そういう非常に積極的な立場で仕事をやってもらおうと思って作ったのだと思うのです。ところが、局長のさっきからの御答弁を聞いていると、どうもその辺がやや消極的なことに聞こえるのですが、これは責任をのがれるための言葉のあやなのか、その辺がどうも、そうでなかったら、もっと別になわを引っぱってくるというわけではないけれども、しかし、やっぱり政府が基本的にうんと移住をたくさんやりたい、それに従って外務省もうんと積極的に協力をしたい、こういう立場が常に前向きに出ていなければならぬと思うのです。だから、局長もそういう意味の発言があってしかるべきだと思うのですが、どうも少しへっぴり腰だから、そうでなくたって森委員からあれだけいろいろ言われて、相当頭に来ているだろうけれども、もっと積極性があなた自身、大臣自身、局長自身、課長自身なければ、これはもう受けるほうは非常に困ると思うのですが、その点がどうも明確でないと思うのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは、今の大和先生のお話は、実は政府は積極的にやる、それが鮮明にならないといかぬではないかということでございますが、これはつまり、政府が賢明に積極的になれという御趣旨だと思うのでございます。政府が、もうある政策に非常に積極的に、しかも、ばらばらになるなんていうことは、これは政策を推進する上においてちっとも役に立たぬと思うのでございまして、移住行政が不振であった、移住の実績が上がらなかった、そうしてまた、内外の経済情勢も変わってきたし、世界の情勢も変わってきているときに、日本の移住政策としてどうあるべきかということについて、各方面の権威者を集めて審議会が持たれて、いろいろな御討議が行なわれたわけでございますから、これの答申を一応の基礎といたしまして、政府はどういう手順でそれの具現に当たっていくかということでございまして、こういう客観情勢が推移して参り、移住思想というものがだんだんと進歩して参ってくる段階におきまして、政府は賢明に移住政策をどうハンドルをとっていくかということでございまして、何が何でも向こうはち巻でいろいろ積極的な活動をするということが必ずしも実効が上がるわけではないと思うのでございます。そうして、それは私どもが事業団に責任を持たしてやるのだということは、役所の責任をそれに転嫁するというようなことでなくて、そういうことのほうが能率が上がるんじゃないか、トラブルが少ないのではないかということを念願いたしておるわけでございまして、民間がやり得ないで、そうして、政府のほうがより能率的に、より少ない費用で効果を上げるというなら、もとより政府がやるべきだと思うのでございますけれども、そういうことは賢明でないと思いますから、こういう仕組みを考えたわけでございますが、それは、責任を他に転嫁していこうなんていう、そういう気持では決してないと御了承願いたいと思います。

大和与一日本社会党

○大和与一君 そうしますと、今まで長い間やっておられて、なかなか思うようにいかなかった。それで、たとえばあとから一つの例をあげますが、失敗に似たことが何かあった場合に、それで信賞必罰、首切れというのではないけれども、やはりそういうことをきちんとしなければならぬ、そういうけじめをつけたことがあるかというと、何もないじゃないか。なぜないかというと、その現地のものを幾ら追及して怒っても、外務省の一言一句全部指示、指令に従わなければ動けない。結局それがはね返ってきて、外務省の責任になるのだ、こういうような関連があったのではないかというふうに僕は聞いておるのです。まさに一顰一笑に驚くということで、全部お役人様の言ったとおりやったんだからなぜ私が悪いかと、かえってけつをまくられたらどうしようもない、こういうところの反省をされておるのかどうか。そういうことの上に立って、今の大臣のお話は、だからひとつまああまり役所もそう突っ込んで深入りをしないで、自主性をもっと持たして思い切ってやらせよう、それにはやっぱり人を得なければならぬから、そのつもりで、そこまで実は親心を気持の上で持っているのかどうか。言い過ぎて悪いけれども、そこら辺ひとつ返事してもらいたいと思うのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 言い過ぎでは、決してございません。私もそのとおりに考えております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 そうなると、たとえばあれでしょう。さっきもちょっとお話が出ましたが、移植することに計画があって、そのとおりぴったりならぬからといって、必ずしもそれを全部怒るわけにはいかぬだろうと思いますね。これはわかるのだけれども、さっき局長が言われたバルゼアレグレ、三十七年九月三十日現在の調査では、二千戸の予定が五十一戸しか行っていない。サンアントニオというところは、ロッテだけだけれども、これが水がだめでゼロなんです、三十七年九月三十日現在の表を見ると。それから、グァタパラというのは、これはロッテだけだけれども一戸で五十万円、殿様移住だと言われておるのです。ここだけは五十万円ちゃんとやっておる。それで、特定の移住者に補助金を出すというのは、一体これでいいのか、こういうことはあたりまえなのか、あるいはこれはどう考えているか事実をひとつ聞きましょう。大体でいいですよ。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) サンアントニオの件は、私はちょっとはっきり覚えていないのでありますが、グァタパラの問題は、実は全拓連が現地の農協とお話しになりまして、最初自分の計画としておやりになるはずで、土地代を一部会社に立てかえて払わして、将来全拓連の名義になる、あるいは最初話をしていたコチア農協の名義になるというお話でしたけれども、それがどうもうまくいかないということで、会社がこれに協力するということになりまして、全拓連、会社共同でやっておるようなものでございます。これは現地ではいろいろ批判がございまして、他の移住地とあまりアンバランスであるというような強い意見もございましたが、全拓連、農林省のほうではこれはサンパウロの荒廃地を復活さして、そして日本の独特の米作農業をあそこへ示すのだというようなことですでに始められましたし、関係県におきましても移住者を一部募集せられまして、財産を売って待機しておられたがただブラジル側の入植許可がおりないということでおくれていたということもございまして、これは政府で関係省が協議いたしまして、あまり突拍子でない形で移住会社がこれに協力するということで現在やっておる。いろいろ問題があることは事実でございますが、すでに移住者が入っておりますので、この移住者の立場というものを第一に考えながら、今後とも善処したい、こういうふうに思う次第であります。

大和与一日本社会党

○大和与一君 ですから、今までのことでも、大平大臣の場合も、独善ということが当てはまるといっても、独善であっては大臣も困るし、局長も困る。逆に言うと、局長なり課長なりが突っ走って、係の人は楽になって、これはひとつまかしておけという格好も出る可能性もありますし、これはちょっとうわさになるのだけれども、移住局の中でも、移住の募集、宣伝はこちらから行なわないでも、移住志望者が自発的に申し込んできたらいい、それを待っていればいい、こういう声があるとかないとか、あるいは移住の数よりも質だ、数は出なくてもかまわぬ、これはうわさかもしれませんが、ちょっと雑音にしては少し内容がけしからぬから、その点は高木局長が十分人心を収攬し、掌握しておるかどうか。あなたの重さに関係があるから、このごろ太ってりっぱになってきたから、そのほうもちょっとりっぱになってもらわなければいかぬのですから、それは雑音かもしれませんが、私もちょっと聞いておるのです。それで、もう一つちょっと聞いておきたいのですけれども、田原春次君が外務委員会で、海協連の人が何か悪いことをしたという話をされましたね、あれを調べて、事実かどうかということはどの程度おわかりになっておりますか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) 具体的に人の名前は言っておりませんが、大体見当がついて調べております。ただ、ああいうふうなことは、われわれが調べました範囲では、ございません。会計検査院からまだ報告もございません。そういう不正は、各地ともなかったというふうに聞いております。正式の報告がないものですからわかりませんが、しかしながら、やり方についてはいろいろ御批判のあった点もあるし、われわれとしては十分反省しなければいけない。これは海協連の方だけでなくて、外務省自身もあると思います。今おっしゃったような点、先ほど、募集は、移住しようとしている移住者が来たら話をすればいいのだという、そういう誤解があると思いますが、そういう誤解を与えたことは、われわれも反省しなければならぬ。私自身として、外務省が非常に消極的であるという印象を与えたことは、それは私どもの責任で、十分おわびもし、弁明申し上げなければいけないと思いますが、先ほど大臣も申されたのですが、われわれといたしましては、過去の移住の推進についてどこに欠点があったかということについては、非常に反省をしておるのであります。そして、移住推進というのは何でもかんでも国が金を出せばよろしいのだ、何でもやってやるからというようなやり方が、むしろ移住者に非常な依頼心を与えて、うまくいけるところまで問題を起こすというようなこともございます。そういう点では、移住者にもっと主体性を与え、移住者がもっと自発的に行くような気分を与えないといけない。非常に変なたとえになりましょうが、ゴルフをやる場合に、力さえ入れればいいんだといって、間違ったところに力を入れてやれば、玉がとんでもないところに行ってしまう。そういう場合には要所要所に入れなければならぬので、とんでもないところに力を入れると間違う。募集の問題もそういうようなきらいがございましたので、私たちは決して消極的ではなくて、より積極的ですが、より科学的にやっていきたいというのが本心でございまして、誤解を与えたことは、実は私たちの言葉の足らぬことがあったことをおわびを申し上げます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 この相談及びあっせんということは、いろいろの人が話を聞きに来た場合に、これは役所でも、個人でも、皆さんでも同じだと思いますが、その場合に、国際協力、経済貢献、こういう言葉はもちろん一枚看板だから、言うことはいいのですけれども、それよりも、ほんとうに行く人の生活がまず間違いないというめんどうを見ようということで、こういうことをほんとうにひざを突き合わせてわかるようにおっしゃっておるかどうか。これもしていないとは言わないけれども、その点をもっと強くみんなの人に徹底してもらって指導してもらわぬと、なかなかこれはきまり文句だけでは、百姓は生活のことばかり考えているのでわかりにくいと思います。その辺は今までもやっていると思うが、大いにそういうところを具体的に、生活はこういうふうになるということを言ってもらったほうがいいと思うのですけれども、その辺はどうですか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) その点は、御指摘のとおり、非常に欠点がございました。まず第一に、主として役所にたよって来、また役所も干渉する。これは外務省、農林省、関係各省が海協連にむずかしいことを言い過ぎる。したがって、海協連はそうなら政府の責任で、おれたちはロボットだという気持もあると思います。そういう点は、まずおっしゃるように、事業団が責任を持ってやってもらわなければならぬ。それから、地方における啓発宣伝というものは、もっぱら海外協会がやる建前になる。その資料は海外協会連合会が与え、また、海外協会連合会から現地へ行った人、その他の経験者、場合によっては外務省も動員されて、地方で説明会をやったりなんかしておるわけでありますが、そういうように、海外協会連合会におきましても、特に地方海協ではそういう海外のことはわからないから、そういう点で非常に不十分であった。そういう意味におきまして、今後事業団のポイントは、海外移住等に詳しく、また移住に熱意のある人をできるだけ養成していって、中央でも、将来は地方海協との人事交流もやり、これが支部になれば支部員として、ほんとうに先生のおっしゃったように、移住者のためになる相談相手になることが必要だと思いますが、国際協力とかなんとか申しますのは、相手の国に対し、また、日本の政府の政策の目標としてやっておりまして、移住者自身に対して国際協力のために行きなさいと、こういうような推進の仕方はもちろん間違っているというふうに思います。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それでは、さっきお話しました仕事のけじめをつけるということは、大臣もそうだとおっしゃったのですが、今まではそこら辺がどうもはっきりしていなかった。やはり向こうもお役所にみんなおぶさっちゃって、そのほうが自分たちも楽だから、そういう欠点もあって、何でも上の言うとおりでやってきた。これはやっぱりまずいから、銭もそれほどよけいやらぬから無理ありませんけれども、一応仕事のほうはけじめをつけて、責任を持ってやってもらう。責任が果たされなければ、内容は別として、きちんと信賞必罰する。上も同じですけれども、そういうふうに考えてこれはよろしゅうございますね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) さようでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それから次は、例の農林省との関係ですが、これはこの前もちょっと大臣のお話で、私もいろいろ実情を聞いたりしておって、それは幾らうまいことを口で言っても、とにかくその争いは根が深くて、それが遠く世界に及んでいるのだから、つみ取れぬところらしいのですがね。それは現地のほうなんかも困っておることがだいぶあるらしいですが、たとえば、この前も私聞いたんだけれども、産業開発青年隊は設建省から行ったのですか、最近予算の施行その他に対して外務省が協力と誠意を示さなかったから、その波紋が現地まで及んだとか、あるいは、これは外務省とかいうことは別としても、そういう実際トラブルがあったらしいし、こちらのほうが非常に消極的でいけなかったとか、あるいは、外務省は技術移住推進を農業移民に代置させるかのごとき論を吐いたとか、いろいろこまかいことはありましょう。それは今までのことは別として、これは小坂大臣のときにも、たびたび、このことなくしては幾ら口で言っても口頭禅であって、ほんとうにりっぱな仕事はできぬ。これは小坂さんのときには、一札はくれなかったけれども、断言して、もう絶対大丈夫だとたんか切られたけれども、大平さんの場合にも、それに近いものを切られているのですが、これはほんとうのところはわからないが、おっしゃるところは、口では、それは十分わかっているから、誠意を持ってやるのだとおっしゃるけれども、何とかならぬですか、もう少しほんとうのところ言って。どうもそこのところ一番大事なところだと思う。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私はそんなにむずかしい問題じゃないと思います。むずかしい問題だなんて言っておることは、政府の各省にとりまして名誉になるわけじゃ決してないわけでございまして、これは政府は一つなんですから、一つとして行動すべきものだと思うわけでございます。しかし、私が外務省の立場で各省を批判するのは、私はやりません。ただ問題は、外務省がこの問題に対してどういう姿勢をとるかという、どういう心がまえで臨むかということが決定的に大事だと思うのでございます。今外務省はそれじゃ十分な信用を持っているかというと、そこまで行ってない。しかし、今からの移住行政の推進にあたりまして、外務省のとる姿勢が正しければ、これは各省もまたこれに協力を惜しまないという態勢をとっていただけると思うのでございまして、自分のほうは従来のままの姿勢で他の協力を求めるなんということをしておったんでは、私どもこの問題は片づかぬと思うのでございます。まず外務省が坊主になることから始めなければならぬと思っております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 これも二年前に農林省から課長以下数名の係官が外務省に来たわけでしょう。主として業務面を担当したことがあるのです。このときに、本来ならば外務、農林のいろいろいざこざがあったとしても、まさに協力関係がよくなるという一つのチャンスではないかと思うのです。これは明らかに失敗したんじゃないですか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) 仰せのとおりでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 仰せのとおり、まずいね、それは。そこがやっぱり十分反省はされておるでしょうけれども、今大臣のおっしゃったことは、大臣の気持はわかるけれども、これは過去のことだから私もほんとうのことを言ったんで、その辺が嫁いびりというか、言葉は何でもいいけれども、やっぱり人間の世の中だからだめなんだということになるのですか、その辺、局長さん、あっさり言ってごらんなさい、これからうまくやればいいので。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) これは外務省、農林省というものが、権限を持って海外協会連合会を監督し、指揮し、やかましくやっていると、どうしても船頭が二人になって船がうまく動かないということになるので、やはり事業団に移住推進のバトンを譲って、そして大きい施策だけを、外務省が窓口になって、関係各省寄って相談して、これに与えるという今の事業団のこれが、私はこの問題解決の唯一の大きな方法じゃないかと思います。私たちとしては、これをうまく作り上げていくというふうにしたいと思うのでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それから附帯決議ですね、これは「事業団発足に当たっては強力なる新理事長の下に、従前の弊害を一掃し、新たに清潔、誠実なる人材を登用すること。」、派閥に偏した人事をしない。これはえらくはっきり書いてありますが、これは今まではまさにそういったことばかり百鬼昼行であったということを認めざるを得ないので、今度はほんとうにりっぱな人を持っていくということになるのですが、そんないい玉いるですか。玉というのは人です。(笑声)

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これはこの間本委員会におきましても申し上げたのでございまして、神様のように才徳の完備した方をお迎えすることができれば、それに越したことはないのでございますけれども、第一、政府機関の理事長というのは、まあほかにひな形もございますように、待遇がそんなにいいわけではございません。それから、これは下世話になりますけれども、しょっちゅう国会にも呼び出しを受けておしかりを受けなければいかぬ。これは普通の民間から総じて政府機関に人を招こうとする場合に、もうごめんだというわけです。そういう実際上の制約がございますので、そういう制約の中で最善の人事をやるのが私の仕事だと思います。ですから、非常に玉のような方がそういう制約の中でおるかということで、今盛んに物色をいたしておる段階でございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 そうすると、この事業団に自主性をある程度認めて、うんと力を伸ばしたい。これに対するいわゆる役所の監督行政ということは、現在の法律、政令、規程その他を一切変えないで、今のままでいいですね、これだけ認めれば。そのとおりですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) さようでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 そこでいよいよ人事問題。そこで過去八年間がそうなかなかうまくいっていないのだけれども、そうすると、今度できるものの人事ですね。これは個人的なことは何も関係ないから言わぬ、名前もあげませんが、ただ、今までの慣例からすると、やはりお役所の関係の方が相当行かれるわけですか。私はやっぱり一番初めに言ったことの人事の思い切った刷新ということが大事なんで、それが従来の陋習をおおむね引き継いでやっていくというのなら、中身は変わらぬと思います。私はやはり社会党ですから、あまり悪くなるのは好まぬが、動くにしても、栄転させれば一番いいけれども、同じより、よくなるような格好でうんと動かしてもらわぬととてもいかぬと思います。それでほんとうにそういう御決意があるか、これはあとから出てくるのだから見ればわかるのですから、そんなことを言っても、何だ、大体前と同じじゃないか。おそらくこの辺のものはこうだと、もうおぜん立てができつつあるとは思いますが、その辺は、ほんとうに適材適所ということを実際考えて人事を抜本的に刷新するということになれば、先ほどから同僚議員もおっしゃっておるようないろいろな心配というものは、金はない、仕事もまだ緒についたばかりだけれども、ほんとうにやる気になって公正にやっていくのだ、こういうことになってくれば、大臣の言われるように、みんなから認められると思います。ならざるを得ないと思います。それがやっぱりそうでない面がたくさん出ると、みんなそれがマイナスにされるわけでありますから、その辺の決意を、これはひとつ大臣から十分、口でばかりでなくて、あとからあけて見ればわかるのですよ。そういった大臣の最後の答弁みたいに、よくもない、悪くもない、よく話を聞いたというようなことになって、人事の面もそうなったというのじゃ、さっぱり、せっかく新発足するのがまずいと思うのです。その辺はいかがですか。これは相当ずばりともっと言いたいのですが、人のことだからこの程度にしておきますが、どうですか、この辺は。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私幸いに情実に根を持っていませんし、勇気を持って当たってみたいと思っております。できばえの点はまたあとで明らかになることでございますから、またそのとき御高評いただきたいと思います。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それからもう一つは、大蔵省で調べたのですが、一般的に言って公団の総裁大体二十六万五千円、八年間勤務して退職手当が千六百五十三万六千円、それから理事が十七万五千円、退職手当一千六十万八千円、こういうのがちょっと手に入ったのですが、こんなのはこのとおり参考にしてもらったら困るけれども、たいへんなものですね。多いことはいいとは言えるのだけれども、こういうところばかりをあまり銭をよけいやらぬで、今度は職員の立場に立ってもらわぬと困る。ただ私よくわかりませんが、お役所におってそれでその勤めをやめてから入った人もあるわけでしょう。そういう人は若干勘案する点があると思うのですが、やはり職員にも銭を少しはやってくれぬと、ただむちだけ——愛のむちなんて言って当てても、それは相当くたびれているから、そんなに動かないですよ。その点は十分職員の待遇問題は、これはもちろんあたりまえのことだけれども、できるだけめんどうを見てもらうということをひとつお約束をしていただきたいと思うのです。それと同時に、そういう人たちの意見を聞く今のシステムになっているか、それをちょっと今後どうするか、やっぱり部長とか課長とかいうことだけでなくて、やはり職員、それから特殊な仕事なんだから、職員の声をやっぱり聞くという、そういう道を開いていただけないものかと思うのです。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) ただいまのこの職員のほうの待遇を十分よくやってもらいたいというお話でございますが、この点は実は事業団ができますことが一つの大きな、われわれそれが目的でございます。現在海外協会連合会は非常に待遇が悪いわけでございます。身分の保障もございません。その点では、この事業団になりまして、少なくとも官吏よりも二級くらいアップの待遇でやられるようになると聞いております。それから、この事業団の人事刷新の点につきましては、海協連が中心になられて、内部で十分意見をかわした上で、現在大体方針がきまっているようでございます。それは、この会社と海協連合わせますと、定員は二百九十何名になるのですが、今度の事業団は一割減になります。これは仕事が重複しているところもありますし、それから、人の数ばかりが問題じゃない。むしろいい人を集めるということがむずかしいという立場から一割減になっているのですが、会社、海協連の関係者で相談しておられるところを見ますと、その一割減よりもさらに減らすということが大体今見当がついているようでございます。それから、会社も海協連も組合がございまして、組合がこの問題についても相当の意見を言っておられるということで、大体みんなの意見が聞かれているのじゃなかろうか、こういうふうに私は思っております。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 役員の報酬の問題ですが、これは政府機関は大体規格があるようでございますので、それで今退職手当の問題も、本俸の一年間の七割というようなところが基準になっているように伺っておりますが、どうしてそういう制度ができたかということまで私いろいろ究明いたしておりませんが、官民の間にバランスをとっていこうということで、民間の会社の状況も考えて人事院の勧告みたいな精神があるのじゃないかと思うのでございますが、そういう一つのひな形、規格があるところへ持っていって、この事業団だけが、それでは大和さんがおっしゃるように、弾力的に職員本位で、役員のほうの給料をセーブして職員のことも十分考えろというお示しでございますが、そういうことができるかというと、私はなかなかそれはむずかしいのじゃないかと思います。職員のことにつきましては、今局長から申し上げたように、考えて参るつもりでございますが、役員につきましては、あなたの言われることは、ポリシーの問題として、政府機関全体の役員についての措置が先行をしない、これだけでまた別な規格を作るというようなことは、このお金が大蔵省から出ている以上、これはとてもむずかしいのじゃないかと思っております。ただ、それでは現在のペイが非常に高いかというと、民間に比べてそう高くはないと思いますし、今のペイで、先ほど申しましたように、なかなかいい人は来てくれない。したがって、役人をおやめになった方々が行くというケースが非常に実際上は多くなっている。あれはそのようにやろうというのではないのだけれども、結果的にそうなるというような経緯であるということは、御了承いただきたいと思います。

大和与一日本社会党

○大和与一君 そうすると、定年制なんというものは、あれは五十五才ですか。役員でなくて職員ですね。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) これは一応定年五十五才という基準でやっておりますが、これをその文字どおりやり得るかどうか、むしろ弾力性を持ってやるべきであるという方針で今やっております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それから本省からおいでになったり、あるいは現地の偉い人がまたその奥地のほうへ行った場合に、なかなかこれはあまりほんとうは奥のほうに入らなかったり、それから、いやなことを聞かしたくないものだから聞かせない。また、移民といったものはみえを張ったりしてほんとうのことを言わぬ。ひどいやつになると、今様西行法師で、サンパウロで、縁側で日に当たって酒飲んでいる。今そんなことはないでしょうが、そういうふうなおそれがあるのですよ。やはり見る人は見ているわけで、そういうことは今までやはり少しルーズだったと思うのですよ。ですから、その点は今度は仕事のけじめつけたのだから、在外公館の役所の人もやはりうんとめんどうは見てやらなければいかぬけれども、そういうことはきちんと指導するというように厳然としなければだめですよ。ほんとうにそういうことがありますよ。その点はひとつ十分身にしみて考えてもらいたい。まあこの辺で終わりますが、しかし、これはそんなに安心して喜んで通すような内容では少なくともまだないように思いますがね、森さんの言うように。しかし、私の質問はこれで終わります。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それは仰せのとおり、そんなに大いにできばえがいい法案として私は自信を持って申し上げるわけではないのですけれども、現状が御指摘のような事情でございまするし、しかも、その改革というのはなかなか言うべくして実行がむずかしい問題であることも、また重々お話しのとおりでございまして、現状より改善の方向に一歩でも二歩でも踏み出すということ、そうして現実に考えた場合に、改善の方途としては抜本的な改革というのをやりたいわけでございますが、抜本的な改革を志すと、やはり一歩々々の前進というものにとどまるのがわれわれの現実における制約だろうと思うのでございます。したがって、私どもは抜本的な改革をやる決意で、勇気を持って当たるつもりでございます。現状がそのようなものである以上、これを改革に踏み出そうという場合に、もうそんなに急がなくてもいいのじゃないかというようなことはひとつおっしゃらないようにお願いしたいと思います。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) それでは、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時九分散会

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