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43回国会参議院1963/06/19

外務委員会 第26号

発言数
78
登壇者
13
会派数
5
開催日
1963/06/19

会議録

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  昨日森元治郎君が理事を辞任なさいましたので、この際、補欠互選を行ないたいと思います。  互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと思いまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) 御異議ないと認めます。  それでは、私より岡田宗司君を理事に指名いたします。     —————————————

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) 本日は、国際情勢等に関する調査を議題として、原子力潜水艦の寄港問題等に関しまして参考人より意見を聴取することにいたしております。  本日御出席願っております方々は、東京大学原子核研究所長の野中到さん、東京工業大学教授の西脇安さん、日本原子力研究所理事西堀栄三郎さん、京都大学基礎物理学研究所長湯川秀樹さんの御四人でございます。  参考人の方にごあいさつ申し上げますが、どうも本日は御多用のところをおいで下さいまして、まことにありがとうございます。かねてから申し上げましたように、この委員会といたしましては、原子力潜水艦の寄港問題につきまして、種々調査をいたしておりまして、本日は、その方面に御造詣の深い皆さんでございますので、どうぞ御意見を承りたいと思います。つきましては、安全性等を中心といたしまして、本件の学術上における見地からの忌憚のない御意見をお述べ願えましたら、たいへん幸甚でございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 きょうの委員会に参考人をお呼びいたしておるわけでございますが、この問題については、政府のほうにも十分聞いていただかなければならぬ問題だと思います。それで、大臣をお呼びいただきたいと思っておりますが、この点はどうなんでしょうか。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) 大臣につきましては、国会にお出まし願うように申し入れてございますが、何かきょうはやむを得ない会合があるようでありますから、それが済み次第ということで、大体一時過ぎにはというお話でございますが、まだそれが見えておりませんから、まだお済みになっておりませんものと思いますので、追って参ると思います。  それから、飯塚政務次官はおいで下さっておりますので、聞いていただきたいということにいたしたいと思います。  それから、参考人の方に申し上げまするが、御意見を御開陳願いますのは、お一人約二十分程度にひとつお願いいたしたいと思います。お四人の方の御開陳が済みましたあとで、われわれからまたいろいろと御質問を申し上げたいと思いますので、それに対してお答えのほどをお願い申し上げます。  それでは、これからおいで下さっております野中さんから、どうぞ御意見を御開陳願いとうございます。

野中到東京大学原子核研究所長

○参考人(野中到君) 東京大学の野中でございますが、この問題につきまして私の考えておりますことは、大体潜水艦の入港を許すか許さないかという問題は、非常に複雑な要素を含んでおると思います。その中で、まずもってまっ先に問題になりますことは、安全性の問題であると考えられます。この安全性の問題は、これは純粋に科学的に検討できる問題であろうと思いますので、与えられた資料に基づきまして、あるいはできるだけ資料を集めまして、それを基礎にいたしまして、それぞれ専門の学者によりまして十分安全性を検討すべきであると考えておるわけでございます。  で、安全性と申しますものは、裏返せば、どの程度危険があるかということであろうかと思いますが、一体、原子力に限らず、何事でもそうでございますが、危険の度合いと、それを利用することによって得る利益との見合いにおいて安全性の限界というものを考えるべきでありまして、この潜水艦の入港がよいか悪いかということは、複雑な外交関係、あるいは条約の問題、それから、そのほかいろいろな国内問題もあると思いますが、そういうことを総合的に判断して最終的結論を下すのは、これはまあ責任ある政府並びに国会の検討によるべきものであると思いますけれども、その前提になります安全性の問題は、科学的に処理できる問題であると考えますので、これを十分検討した上で、どの程度のものであるかということを確かめて、その上で諸般の判断を下すべきものであると考えます。  次に、この安全性ということがどういうことであるかということについて、私の考えを少し申し述べさせていただきますが、潜水艦の推進力に原子力を使っておるということでございますから、当然これは原子炉が潜水艦に乗っておるわけであります。そういたしますと、この原子炉自体の安全性、それ自体で事故を起こす可能性、そういう問題がまずございます。これは陸上の炉でありましても、船に積んでおるものでありましても、同じことでございまして、炉の設計その他のことから判断する以外にないわけでございますが、なお、これが船に積まれておるということは、船自体の海難事故というものがそれに重なって参ります。したがって、海難の結果、炉の事故に及ぶ場合がありますので、その点も十分考慮しなければいけない。この二つはあくまで事故でございまして、平常物事が順調に行っております場合には問題は起きないことでありますけれども、いろいろな条件で予期せざる事故が起こり得るということは、これはいろいろなことでわれわれ考慮のうちに入れておかなければならないことと思います。なお、そういう事故以外に、安全性の問題がございまして、これは陸上の炉でありましても同様の点はあるわけでございますが、潜水艦に積まれております原子炉は、平常に運転されておる場合でも、そこから放射性を持った廃棄物が出て参るわけでございまして、これはある一定の基準、方法に従って海中に投棄する、あるいは陸上に持ち帰って処理するという問題があるわけでございますが、この点は別に事故でなくて、平常運転の場合にも安全性の点から十分検討さるべき問題であると考えます。伝え聞くところによりますと、アメリカの議会の中にあります原子力合同委員会の聴問会等の記録を読みますというと、アメリカ海軍ではある基準によって廃棄物の処理をしておるわけでございまして、そういう基準がはたしてどの程度の影響を沿岸住民その他に及ぼすかということは慎重に考慮しなければいかぬ問題であると思います。ことに日本は、食物を海から供給するという点にアメリカとはやや違った状態、すなわち魚をよく食べるということもございますので、この海の中の汚染という問題は非常に大切でございまして、そういう観点から、この事故でない平常時の運転のときに潜水艦が入港することによってどういう影響が海洋の汚染に現われるかという問題を十分検討しませんと、意外なことが起こり得る可能性がございます。それは、この海水の中の放射能の濃度がそれほど高くなくても、その中に住む魚の体内には集中的に放射能が集積されるという現象がございますので、そういうものを食料として摂取するときには十分の考慮を払わなければならないという問題がありますので、そういった科学的に検討できます問題について、しかるべき政府機関——おそらく原子力委員会が最も適当であると思いますけれども、そういうところの責任において十分検討されました上で、安全性の度合いというものはこの程度であるのだということを基礎にいたしまして、それから先のいわば政治、外交、その他いろいろなファクターを考慮いたしました結論に基づいて入港さすべきかどうかということを検討しなければならぬと思います。  ただ、私ども一物理学者といたしましては、科学的に検討できる安全性の問題以上のことを今日とやかく申すつもりはございませんが、ただ、この安全性だけは科学的に十分検討すべきであるということを私の申し上げる結論といたしたいと思います。以上でございます。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) ありがとうございました。     —————————————

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) それでは、次に東京工業大学教授の西脇さんにお願いいたします。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) 私、実は三月初めに日本を出かけまして、ウイーンの国際原子力機関で開かれておりました「放射性物質及び核燃料の安全輸送に関する委員会」に出席しておりまして、帰って参りましたのが一月ほど前でございます。帰って参りまして、初めてこの原子力潜水艦の問題が非常に重大な問題になっておるということを知りまして、いろいろ皆様方の議論されておりました、発表された文献などを調べたわけであります。その結果、私といたしましても、東京工業大学におきまして放射線防御工学を専攻しております関係上、一応私は私なりに、はたしてどの程度危険なのか、もちろん、科学的に申しまして絶対に安全ということはあり得ないということは事実だと思いますけれども、そうかと申しまして、はたしてこの原子炉が絶対危険であるかと申しますとそうでもない。じゃ、どの程度危険なのか、われわれといたしましてこの原子力の問題に対処するにあたりまして最も重要なことは、世の中のいろいろな種類の危険性がございますけれども、そういったいろいろな危険性の相対的な危険度に応じた妥当な感覚を持って判断していただきたいということであります。  で、まず最初に、この原子力潜水艦というものが一体どういう構造になっておるかというのを、すでに公表された一部の資料に基づきまして、これを模写的に私が書き改めたものであります。したがって、全体の形態というものはもちろん実際のものとは縁の遠いものだと思いますが、一番重要な部分と申しますというと、これはUSSノーチラス——ノーチラス型の原子力潜水艦の見取図であります。大体原子炉というのが、やはり何と申しましても、原子力潜水艦の中心部になりますので、大体全体としての中心部に置かれております。そうして、この原子力潜水艦の動力の伝達方法は、原子炉でまずプライマリー・クーラントと言っておりますけれども、一次冷却材、これでもって熱を奪い去りまして、そしてその次にスチーム・ジェネレーターで蒸気を発生させまして、そしてこの蒸気でもってスチーム・タービンを回しまして、このスチーム・タービンから減速歯車を通しまして、そして、それからクラッチ、減速歯車という、原則的には普通の自動車の機構とよく似たような機構でもって、スクリューに動力を伝達するというシステムであります。しかし、何と申しましても、こういった原子力潜水艦の原子炉というのが心臓部に当たりますので、これを保護するためにどういう方策をとっておるかと申しますというと、万一この潜水艦内に浸水いたしましても、原子炉だけはリアクター・コンパートメントと言っておりますけれども、浸水してはならないというので、原子炉室は厳重なウォーター・タイト——水の漏れないような気密室になっております。その中に、さらにこの原子炉自体、それからプライマリー・クーラント——一次冷却材の通るポンプ・システム、それから、それに関連をいたしましたプレッシュライザーとか、ポンプとか、リアクターとか、そういった重要な部分だけがいわゆる原子炉容器の中に納められております。そうして原子炉室から外部の機関室に動力を伝達するのに必要な部分だけが、その外部がさらに原子炉室でもって囲まれておりますけれども、この蒸気の部分だけが機関室に取り出されまして、機関室にはスチーム・タービンに伝達されてエンジンが動くというような形態になっております。  次に問題になりますのは、はたして原子力潜水艦の船腹の強度はどの程度であるかということが問題になります。この資料としまして、われわれといたしまして、現在の潜水艦につきまして信頼すべきデータを入手することは、これは軍事的の問題もあろうかと存じまするが、非常に困難であるということでもって、唯一の参考になるデータと申しますのは、旧日本海軍の設計資料、及びイギリス、アメリカにおきましても、昔の古いデータだけは、現在でも公開してくれるということでもって、私もイギリスの潜水艦を設計しているエンジニア、それからアメリカの潜水艦の専門家、それから帰りましてから、昔の日本海軍でもって潜水艦の設計をやっておられた方に、いろいろ御相談申し上げたわけであります。そうしますというと、大体日本の旧海軍の潜水艦と言いますのは、深度は五十メートル、六十メートル、七十メートル、だんだん深くくぐれるように持っていきまして、大体百メートルくらいが限度である。そして、それが爆雷攻撃あるいは魚雷攻撃などに耐える設計強度はどの程度にとっているかと申しますと、一応百キログラムの通常の高性能爆弾というものを想定いたしまして、それに耐えるというような工合に強度がとられているということであります。しかし、日本でも戦争の終わり近くになりますというと、深度百十メートル程度までくぐれるような潜水艦もできておったようでありますけれども、すでにアメリカでもそのころ百五十メートルくらいまでくぐれるようになっておりました。なかなか日本側の攻撃が困難であった。と申しますのは、五十メートルで百キログラムの爆雷は有効でありましても、深度がだんだん深くなりますと、深度が深くなるにつれまして、潜水艦の壁の厚さが非常に強くなっておりますが、百メートルあたりではうんと効力が落ちまして、これがもう二百メートル以上の深度になりますというと、普通の爆雷ではとても潜水艦の横に攻撃を加えるということは不可能に近い、こういうことがございますので、前の戦争中、一時ドイツあたりはわざわざ敵をくらますために、自分の潜水艦は三百メートルまで深度がとれるのだというようなことを公表したことがあると言われているくらいであります。そして、こういう潜水艦を設計するにあたりまして、この設計強度はどのくらいとるかというと、普通の潜水艦設計の常識といたしましては、その深度における静水圧の約一・五倍ないし一・六倍の安全係数をもって設計している。そうしまして、万一爆雷攻撃なんかを受けて爆発による衝撃に対しましては、大体通常こういう設計をしております。というのは、さらに一千倍程度の爆発の圧力に耐えるということであります。これから見ますというと、いろいろさきに深海でもって深度試験を行なったと伝えられておりますスレッシャー号が事故を起こした。そのときのいろいろ聴聞会の記録などによりますと、おそらくアメリカの原子力潜水艦は大体二百メートルないし三百メートル程度までは十分くぐれるのではないかということが推定されます。そうしますというと、この深度におきます気圧というのは、少なくとも二十ないし三十気圧、したがって一・五倍程度をとっているとしますと、原子力潜水艦の壁の耐圧は、三十ないし四十五気圧ということになるわけであります。すなわち原子炉にありましては、重要な一次冷却材を含む部分は厳重に囲まれておりますけれども、さらにその外にあります船腹自体の耐圧というのは三十ないし四十五気圧、これに比べまして、あとでこれは西堀先生からお話があると思いますが、日本のJPDRの原子炉、これが四十六・七メガワットと言われておりますけれども、このコンテナーの耐圧が大体三・五気圧、それから、アメリカのドレスデン及びヤンキーの原子炉のコンテナー——ドレスデンと申しますのは、大体六百二十六メガワットの大きな炉でありますし、ヤンキーも四百八十五メガワットの大型炉でありますが、このコンテナーの耐圧が約二気圧程度ということになっておりますので、こういう大型の陸上炉のコンテナーに比べまして、潜水艦の艦壁の耐圧力というのは少なくとも十倍以上になっておるんじゃないかということが推定されるわけであります。そうしますと、はたして加圧水型原子炉——PWRと称しておりますけれども、この性能はどれくらいなものであろうということが推定しなければならないポイントになって参ります。直接原子力潜水艦の資料はございませんけれども、それに関連を持ったと思われるような、最も近いところのいろいろな原子炉について当たってみますというと、大体内部圧力が二千PSIG、一平方センチ当たり二千ポンドの圧力、そうして原子力船のサバンナ号なんかのデータを見ましても、大体七十メガワット程度のものである。これから推定しますというと、この原子炉自身の内部の圧力に耐えるというだけでも、大体ポンドで表わしますと、一気圧が約十五PSIでありますので、大体これは深度にしてどれくらいの深度まで耐えるかといいますと、約一千五百メートルくらいまでの深度までは十分耐えるということになります。このような点から考えまして、百キログラム程度の高性能爆薬によってはおそらく絶対に船腹が破壊することはないだろうということが推定されます。  次に、帰って参りまして私が少々意外に思いましたのは、こういった原子炉というものが作動を続けておりますと、放射能というものが内部に蓄積してくることは皆さんもすでに御承知だと思います。これが長期間運転しておりますというと、もちろん広島、長崎型の五倍とか十倍とかになり得るということは当然でありますけれども、これが、あたかもこういった原子力潜水艦の原子炉自体というものが広島、長崎型の五倍とか十倍とか、万一の事故の場合に、そういった大きな破壊力を持っておるのではないかというような危惧が一般の間にも広がっておるかのように存じます。しかし、これはむしろ広島型あるいはビキニの水爆、こういった爆弾というものは、有効に爆発するように特に設計をいたしませんというと、なかなか有効には爆発させることが困難なのであります。こういった原子炉のいろいろな事故が起こっておりますけれども、一部の原子力潜水艦の危惧性を強調したいろいろな記事を見ておりますというと、しばしばこのアメリカで事故を起こしましたSL−1という型の原子炉の事故が引用されております。そこでもって、一応広島、長崎型の爆発とそれからSL−1型のこういった事故というものは、一体爆発の規模というものがどの程度違うものであるかということの推定を行なってみますと、広島型では大体二万トンのTNT高性能爆薬の爆発、それから、大型のビキニ型のきたない二十メガトンの爆発といいますと、TNT、つまり非常に大きな二千万トンの高性能爆薬に相当する爆発が起こるということになっております。ところが、今申しましたように、SL−1の事故を起こしました百三十メガワット秒という工合に普通推定されておりますけれども、これを高性能爆薬の量に換算してみますというと、わずか三十ないし四十キログラムの高性能爆薬の爆発にしか相当しないのであります。もちろん、長期間運転しておりますというと、内部には放射能物質がどんどん蓄積します。しかし、広島、長崎の五倍とか十倍の量がたまっておるということと、実際に爆弾として、また核実験のように、どんどんわっさわっさとこれを次から次へと放出するような実験をやるのと、できるだけ出ないように、できるだけ爆発しないように技術的に設計したものにおきましては、万一の事故を考えましても、その規模においてけたはずれの相違があるわけであります。したがいまして、一応広島、長崎型を二万トンと仮定いたしましても、こういったSL−1の事故のときの爆発エネルギーは、広島型の五十万ないし七万分の一、ビキニ型の二十メガトンの大型爆弾に比べますと、五億ないし七億分の一という非常に小さい価になるわけであります。したがいまして、こういった放射能といったようなものが実際に兵器として使われておるという場合——攻撃兵器になっている場合と、それから、ただたもっておるという場合とにおいては、非常な違いがあるのであります。たとえば普通の毒薬にいたしましても、ストリキニーネとか青酸カリ、そういったいろいろな種類の毒薬を合わせますと、おそらく日本人を全滅するに足る量が、おそらくはいろいろな薬局の戸だなに貯蔵されておるのではないかと考えられますけれども、しかし、そういった貯蔵されておるということと、それから、実際に兵器として設計され、その用に使用されるという場合とにおきましては、非常な相違があるということをはっきり認識していただきたいと思うのであります。しかも、万一この程度の爆発が、事故が起こったと仮定いたしましても、先ほどの資料にございましたように、二百メートルないし三百メートルの深度がとれると考え、そのようなものにおきましては、おそらくこれは地上の同じ程度の大きさの原子炉と比べまして、万一の事故の場合の安全性というものは、はるかに高いと考えて差しつかえないのではないかと推定する次第であります。  それから、いろいろな海難事故のことが一部の方によって指摘されております。しかし、アメリカで原子力船のサバンナ号、これは商船でありますけれども、これが設計されましたときのもとのデータをいろいろ調べてみますというと、ロイドという保険会社とか、あるいはアンダーライター、そういったところでとっております過去のいろんな衝突の事故の記録を中心にいたしまして、そうしてサバンナ号が万一普通の大型船と衝突をして、そうして原子炉が破壊する確率はどれくらいになるかということを計算をしておりますけれども、この計算した結果によりますというと、大体十万分の七程度の確率であるということが出されております。しかも、衝突時のいろいろな衝撃というものが、大体科学的に表現しました加速度でどれくらいに当たるかということも推定しておりますけれども、そういった衝撃を解析した結果、衝突の衝撃というのは、比較的われわれがばく然と考えておるよりはいかに小さいものであるか。と申しますのが、船腹でもって衝撃のエネルギーというものが吸収され、それよりもむしろ普通の船の場合ですと、ローリングとピッチングとヒービングと言っておりますけれども、荒天のもとにおきますそういう過酷な条件のほうがむしろ大きいのではないかといったようなことが考えられているようであります。しかし、この点も原子力潜水艦の場合について考えますというと、万一衝突をしたような場合を考えましても、潜水艦の常識といたしまして、衝突に対する抵抗力というものは、潜水艦のほうが一番高いのではないかと申しますのが、ごく一部浸水いたしましても、他の船に見られないような隔壁システムがとられておりますので、ただちに隔壁を締めるというようなことによって、他の船では当然事故が起こって沈んでしまうというような条件のもとにおきましても、耐え得るのではないかということが推定されます。しかも、荒天下における——一応外国の領域中においては潜水艦は潜航してはならない。海上を進航し、そうして国旗を掲げなければならないというような国際法がございますけれども、そういうような大部分が海上を航行するというような条件を考えましても、普通の船舶のような、船体の大部分が海面上にあるというのではなくて、潜水艦は浮上をしておりましても、大部分が海面下に没しておりますので、いろいろな荒天下の条件を考えましても、決して普通の商船に比べまして抵抗力が弱いということは、どのような点から見ても、結論は出てこなかったのであります。  いろいろまだ申し上げたい点もございますけれども、時間の関係で、以上で一応終わりたいと存じます。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) ありがとうございました。     —————————————

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) それでは次に、日本原子力研究所理事の西堀栄三郎さんにお願いいたします。

西堀栄三郎日本原子力研究所理事

○参考人(西堀栄三郎君) 私は日本原子力研究所の西堀でございますが、米国原子力潜水艦の寄港問題につきましては、私も決して無関心であり得ないのでありますが、ただ、やはり技術者といたしまして、技術的の面だけにつきまして、ちょっと申し述べさしていただきたいと思います。  私は日ごろ原子力を、特に原子炉の安全性ということにつきまして、これは陸上のものでありましょうとも、また海上のものでありましょうとも、原子炉が絶対に安全であるというふうなことは考えてはおりません。つまり、やりようによっては、やはり危険をはらんでおるものであるということは、間違いない事実でありますが、ただ、その危険というものをいかに小さくするかということが、われわれに与えられた一つの大きな課題であると考えまして、日ごろ小さくすることに努力をしてきておるものであります。大体安全度というものは、そういう事故が起こるということと、平時のいろんな被害というふうなものとに、われわれは常に分けて考えておるものでありますが、平時の場合でありますと、これはそこから出てくる放射性物質がどういうふうに出てくるかということ、また、その作業に従事しておる者たちに対する日ごろの放射性被曝というふうな問題であるのでありますけれども、これは後刻また申しますが、その前に事故時のほうは、先ほども西脇さんからお話がありましたように、これはそういう事故が起こる確率と申しますか、一体どのくらいそういうことが起こるかという確率と、それから受けますところの被害の度合いというふうなものの積としてわれわれは常に頭に描かなければならないものであります。その原子力の事故が起こりますと、それは事実上相当大きな被害になるであろうというふうなことは、場合によっては相当考えられるものでありますから、したがって、その確率を逆に極度に減らすことによってそれをよりそれだけ確率を小さくすることに努力をしてくるわけであります。しかしながら、そういうもので安全度というふうなものをかりに表わしたといたしましても、これは決してすべてが数字になり得るものではございません。したがって、最後は判断というものでそれを補うのほかはないのであります。したがって、私たちが新しい原子炉を購入するとか、あるいはまた新しい原子炉を設計するとかいたしましても、それ自身にどれだけの安全度があるかということを数量的に示すことは不可能でございますし、また、それを他の人たちに納得せしめようといたしましても、これは完全に科学的にそれを納得させようとしても、できないものが存在しているのであります。つまり、より多くの科学的な資料を得まして、より科学的に物事を考えることはできますけれども、あくまで相対的なもので、最後は何ものかが残るというところが最も大事な点でなかろうかと私は思うのであります。  具体的に原子炉というものの問題を少し例をあげて申し上げたいのでありますが、不幸にして私たちは原子力潜水艦についての十分な資料をいまだ得ておりませんので、われわれが現に東海村におきまして扱っておりますものについて御説明を少しさしていただくつもりでございます。東海村には、現在稼働中の原子炉が三基ございます。一つはきわめて小さいのであります。他の二つは一万キロワットという大きさでございますけれども、ともに研究用の原子炉でありまして、そこから発生する一万キロワットという熱も、単にお湯として回収するだけのことであって、何ら利用しているわけではないのであります。むしろ、これは将来動力炉などというふうなものを作っていく場合の足がかりとする研究の道具としてそれが動いておるのであります。そのほかに建設中のものが二基ございまして、その一つは目下建設中で、まだようやく建屋ができただけでありますが、もう一つは、先ほどちょっと西脇さんのお話にありましたように、JPDRと名づけておりますところの発電用の原子炉でございます。これは多分この秋ごろには完成いたしまして、皆様方のところにも、その電気の一部として供給されることになるかと思っております。この炉が、ちょうど原子力潜水艦に使われておるといわれているところの原子炉と共通な点がいささかございます。まず第一に、それが軽水炉と名づけられる型でありまして、普通の水を冷却材に使っており、あるいはそれを減速材に使ったりしておる、いわゆるアメリカの最も力こぶを入れておるところの原子炉でございますが、これまた大きさが、先ほども西脇さんのお話にありましたように、大体今、熱出力におきまして四万キロワットの熱出力がございまして、それから電気として一万二千五百キロワットの電気を出すので、馬力数にいたしますと、大体一万七千馬力くらいに相当いたしますので、まずまずこの程度で、もちろん数倍かあるいは数分の一かわかりませんが、その程度の強さの原子炉を潜水艦は持っているものと思われます。したがって、JPDRと称している原子炉につきまして、少し詳しく説明さしていただこうかと思います。  ここで、最初に申し上げておきたいことは、この原子力研究所にありますJPDRというのは、これは自然循環型の沸騰水型でございまして、ちょうど端的に申しますと、中でお湯がごとごと沸いておるような工合で、これから水蒸気が出て参りますと、もちろん、高圧でありますが、それがタービンを直接回すという型でございます。この型はアメリカのジェネラル・エレクトリック会社のバリシートスというところにある原子炉とほとんど同じタイプのものでありまして、この間あちらに行って見て参りましたが、一次冷却系統の中にはきわめて少ない放射能しか持っていないことを確認して参りました。つまり、タービン室のところにそういう水蒸気が来ているわけでありますけれども、その水蒸気は、別にそれほどたいした遮蔽をすることなくそのそばに近づくことができる程度の放射能しか持っていないことを確認して参りました。したがって、この炉から冷却水が漏れて出ましても、たいした危険はないものです。潜水艦のほうは、これはPWRといわれる、いわゆる加圧水型でありまして、これは全系統の中の一次系統の中に一ぱい水が詰まっております。で、その水がポンプで循環されまして、そうして熱交換機でスチーム発生機のほうで水蒸気をこしらえて、その水蒸気がタービンを回すという、いわゆる二段がまえになっておりまして、その点で、一説には、潜水艦に使われているPWRのほうが安全であるということが言われています。それは危険という点から二段がまえにしておくほうがずっと危険度が少ないということで、そういう加圧水型というのが採用されたのであります。しかし、東海村のほうのものは、一段がまえにしかなっていませんから、そういう意味では潜水艦に使われている加圧水型よりも危険度があるというふうにも考えられないこともないのであります。しかし、実際はそういう危険度の差異はほとんどございません。この炉が設置されるに至りましたときに、やはり原研は法律では設置許可というものは受けなくても一応よいことになっておるのであります。これは原研を信用していただたいたわけでしょう。実際には、いわゆる行政指導によりまして、やはり他の場合と同じように厳格な審査が原子力委員会のほうの専門委員会のほうにおきまして行なわれます。そしてこれは昭和二十四年の七月に安全審査の承認を受けておるわけでございます。自来原子力局や、あるいは通産省その他の官庁の御指導を受けまして、逐次建設をして参ったわけであります。なかなかこの間の手続は非常に厳格でございまして、やはり一般大衆の安全ということを考えますれば、そのことはあえてわれわれもやむを得ないものとして御協力を申しておるわけであります。この炉につきましては、いろいろ初めの計画とはだいぶ部分々々が変わって参りまして、それがやっておりますうちに、次第に、より安全を期するためとか、あるいはまた、より技術的な進歩に追従するためとかいうふうなことで変更が行なわれております。つまり、私の言いたいことは、そういうふうに、われわれ原子力研究所に勤めております者は、少しでも安全になるように努力をしてきておるということでございます。そして東海村に働いております従業員の者たちは、その審査というものに対して信頼を持って、この原子炉はさほど危険なものでないと納得して作業に従事しておるというふうに私は解釈しておるのであります。原子力というものが、扱い方あるいはまたそのでき工合によりまして、十分信頼をするに足りるものだということをわれわれは信じておるのでございます。この点はおそらくアメリカにおきましてもわが国と同様に、米国のいわゆる原子力委員会とか、あるいは原子力安全審査諮問委員会というふうなところで相当厳密に審査をしておるに違いないと思いますし、おそらくそういうことには手抜かりがたぶんないだろう。そうでなければ、アメリカの原子力関係の人たちは安心して作業をし得ないに違いないと私は思います。一般に安全性というものは、先ほども申しましたように、絶対に安全ということは不可能なことでありまして、結局はそれを建設し、あるいは設計し、あるいは運転いたす者の良心というものにたより、また信頼する人たちの判断を信ずるのほかはないのでありまして、いかに科学的にうまくできていようとも、最後はそういう信頼感というもので足らざるところは補う必要が生ずるであろうかと存じます。残念ながら原子力につきましては、まだまだ新しい知識を必要とする点が非常にたくさんございますので、今後ますます研究の重要性を増してくるものと私たちは考えておりますが、しかし、幾らこういうことを詳しく考えましても、最後の最後は、今申しましたように、どうも信頼以外にないようです。  さて一方常時の危険性について私見を述べさせていただきます。  私は原研におきまして放射性廃棄物の処理の関係の部門をも担当しておりますので、その方面のことも少し申し上げてみたいと思うのであります。原研で今どういうやり方をしておるかと申しますと、現在原研ではほとんど何も放射性物質を出していない。現在は原子力研究所におきましては全然海中投棄はまだやっておりません。また原研の汚水排出口から出て参ります水は、直ちに飲料になり得る程度のものになっているわけでございます。今中間報告資料を見ますと、原子力潜水艦が停泊中に放出するかもしれないところの冷却水という問題がございます。この冷却水は、先ほど言いましたように、原子炉が加圧水型でありますために、冷えた状態から稼働する状態になるためには温度を上げなければなりませんが、その温度を上げるために、水が膨張いたしまして、その膨張した水をどこかに出さなければなりません。この放出の許容放出濃度は、アメリカの合同委員会の聴聞の報告として書かれておるものを拝見いたしますと、これはニューロンドンの川の水の濃さをあまり変えない程度しか出ないのだ。また、それを飲料水にすることのできるぐらいの薄いものである。で、当然それは許容量と申しますか、捨ててもいい許容量の範囲内の話でございますが、その許容量が一体どの程度であるかというのに、ある人は、それは原研など日本の規定の約千倍の濃さのものを流してもいいことになっておるのはけしからぬというふうに言われております。一体どちらが妥当なのでしょうか。これはむしろ日本の規定のほうを直すべきものだと私は考えておるのでございます。もちろん、日本の規定も米国の規定もともに国際放射線防護委員会、すなわちICRPと称するものの勧告に従っているのであります。つまり、この勧告は、アメリカもまた日本も同じ基準を採用しておるのであります。しかしながら、その解釈の仕方がたいへん違うのであります。ICRPの勧告の考え方は、そこに規定してある濃さの放射性物質を含んだ水を人間が一日に二リットル半ずつ毎日飲んだ場合にでも、特に取り立てて言う被害がないという量をもってその勧告の規定数字にしておるのであります。それが、わが国におきましては、排出口の出口においてその濃さでなければならないということになっております。したがって、人間の体内に入り、また口に入りますまでには、相当いろいろな形において薄められたり、あるいはまた、場合によったら濃縮されたりすることが当然あり得るのでありますけれども、それを無視して、ただ、排出口においてその濃さでなければならないというふうにきめてあるのは、排出口の水を毎日二リットル半ずつ飲む人もないはずですから、いささか不合理であるようでございます。原子力を実用に供しているイギリスにおきましては、きわめて合理的にやっています。それは国民が一日にどれだけの海草を食うかというようなことを実際統計的に調べてみまして、その海草があるわかった濃度の放出をしたときに、どのぐらい放射性物質を蓄積するかということを測定いたしまして、それから逆に国際勧告の許容量の基準だけの放射性物質を人間が食べるとするならば、排水口から捨てるべき濃さはどのぐらいであるべきかということを逆に計算しております。それによりますと、直接飲む場合と比べて何万倍という濃さを流してかまわないことになるわけでございます。さて、アメリカの原子力潜水艦が採用しておりますところの基準は、約一千倍薄まるのだという仮定のもとに計算したものを採用しております。なお今申しましたICRPの規定というのは職業人に対するものでありますから、一般人に対してはさらにそれの十分の一になるわけで、それが千倍に薄まると、こう考えていますから、したがって、そこにアメリカの今示された基準はICRPのちょうど百倍になっておるのであります。この数字は、私はある意味で妥当な数字であると思う。逆に、日本の規定のほうがいささか不合理であると申し上げたのは、そういう理由でございます。いずれにいたしましても、私たちは廃棄物処理という点並びにそのほかの点から見まして、原子力潜水艦が必ずしも非常に危険な廃棄物を出しているというふうには解釈はできないのじゃないかと思います。しかしながら、そもそも原子力というものは、まだまだわからないことがたくさんあります。今後大いに研究せねばなりません。しかし、わからないから危険だというのでは、新しいことは実は何もできないのでありまして、われわれ、科学者と立場の違う技術者といたしましては、やはりできるだけのことをいたしまして、そのわからないものを減らすことには努力いたしますけれども、最後は細心の注意を払って結局実行するのほかはないのであります。今日まで原子力関係の私たちは、実は非常に厳格な安全審査のもとに、また安全規定のもとに、またわれわれの細心の注意を払ってようやく今日陸上におきます原子炉というものはそれほど危険なものではないのだという、いわゆる安全性に対する信頼を増すことに努めて参りました。おかげさまで最近は相当に信頼していただけるようになって参ったのであります。せっかくこうやって築き上げたその信頼を、あまり軽率にこわしてしまうようなことになりましたならば、われわれの努力というものは何にもならないことになりますので、十分信頼できるような、また慎重な態度でこの問題に臨んでいきたいものと存ずる次第であります。つきましては、今後より多くの資料を得ていただきまして、より深い検討をしていただきまして、そして十分科学的な見地に立って公式に安全性の検討を確認していただき、かつその結果を国民に明らかにしていただくようにしていただきたいものと思うのであります。  この最後の問題につきまして一言補足させていただきますが、「公式に」という意味は、これは必ずしも今までわれわれがやってきましたようないわゆる安全審査のやり方とは多少違ってもちろんかまわないことでありまして、特に私たちの信頼する原子力委員会が適当な方法でこれを決定なさるならば、それでいいと私たちは思っております。また「十分な科学的見地」という意味につきましても、これは必ずしも物理学とか化学とかいうふうな厳格な科学ということだけではなくて、かなり広い意味の科学−統計学もけっこうでありますし、広い意味での科学的な物の考え方でやっていただければありがたいと思うのであります。そうしてこそ、より多くの国民に納得してもらえると思います。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) どうもありがとうございました。     —————————————

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) それでは次に、京都大学基礎物理学研究所長の湯川博士にお願いいたします。

湯川秀樹京都大学基礎物理学研究所長

○参考人(湯川秀樹君) 原子力潜水艦寄港問題をめぐる現在の状況の中におきまして、私がまず第一に申し上げたいと思いますのは、原子力潜水艦の安全性が確認されておらないその理由として、資料が不十分であるというようなことを含めまして、確認されておらない。したがって、この状態では寄港が望ましくないと考えているのは、決して一部少数の科学者ではないということであります。それについては詳しく申し上げる必要はないと思いますが、学術会議にいたしましても、また多数の原子力科学者、千名以上の原子科学者、それらの人たちが納得しておらないのであります。どうも、先ほどからもお話がありましたように、この問題は容易に決着をつけることは困難だと思うのでありますが、しかし、やはり原子力委員会というものがあるのでありまして、その下には安全審査会といいますか、そういうものがあるのでありますから、原子力委員会は安全審査会に諮りまして、その上で判断をしていただく、これが必要なことだと思いますが、この点に関係しまして、私が特に強調したいと思いますのは、わが国の科学者は一九五四年のビキニ事件以来、俗に「死の灰」と呼ばれておりますフォール・アウトによります地上及び海洋—海の汚染につきまして、早くから研究を進めております。そうしてその成果は世界的に認められておるのであります。原子力の開発に関しましては、アメリカその他、日本より進んでいる国があることは事実でありますが、原子力の開発に伴うところの潜在的な危険性という問題に関しましては、わが国の研究は非常に進んでおるのであります。それに関する専門家の意見は、国際的にも権威を持っておるのであります。政府及び国会が、また原子力委員会が、それらの人たち、特に海洋の汚染に関する専門家の意見を十分に聞いていただくことを特にお願いしたいと思う次第であります。  この点に関しましてもう一つ申し上げたいのは、申すまでもなく、科学というものは普遍妥当性を持ったものであります。日本と他の国々とで科学的な事実、科学的な真理が異なるはずはないのであります。日本の科学者だけが理由のない心配をしているのではないのであります。すでに比較的よく知られております例としまして、一九五八年にデンマーク政府はデンマークの原子力委員会の勧告——原子力潜水艦寄港には潜在的な危険を伴うがゆえに寄港は断わったほうがいいという勧告に基づきまして、デンマーク政府はこれを断わったのでありますが、デンマークのような小さな国がそういう判断をしても、それはたいしたことではないとお考えになっている方もあるかもしれませんので、念のために申しますが、その当時、原子力委員会の委員長をしておったのは、最近なくなりましたニールス・ボーア博士でありまして、ボーア博士は生前世界の原子物理学界全体の長老でありまして、世界の物理学者から非常な尊敬を集めておった人でありまして、その言動は常に非常に慎重であったのでありますが、あえてこのような勧告をされたのであります。  私たち科学者は、本来決して学問以外の領域の問題に対して発言したがっているわけではないのであります。しかし、科学の進歩、特に原子物理学の進歩の結果としまして、原子力の平和利用及び軍事的な利用が行なわれるようになりまして、それが日本国民の安全に、またひいては人類の存続にさえも重大な影響を及ぼすことが明らかとなりました以上、私たちは科学者としての社会的責任の重大さを感じ、あえて発言せざるを得ないのであります。私たちは原子力潜水艦の安全性に今なお危惧の念を持っているのでありますが、世界じゅうの原子物理学者の多くは、おそらく心の中では私たちと同様な気持を持っている、そういう人が非常に多いのではないかと思うのであります。  私は一例をあげたいと思うのであります。その一例と申しますのは、アメリカの物理学者エドワード。テラー博士であります。エドワード・テラー博士は非常に有名な人であります。皆さん御承知だと思いますが、「水爆の父」と呼ばれております。水爆以後のアメリカの核兵器開発の代表的な指導者であります。私は物理学以外についてのテラー氏の考え方には根本から反対でありますが、しかし、テラー氏が非常にすぐれた物理学者であることには変わりはありません。その彼が一九六〇年にアメリカの原子力委員長マッコーン氏にあてた手紙、これは公表されているのでありますが、その中で次のようなことを申しております。  「原子力潜水艦の原子炉は、通常の原子炉に比べて本来的に、より一そう危険だと自分は感じている。なぜならば、ほかの事故以外にさらに衝突事故も起こし得るからである。」ということを申しておりまして、そのあとしばらくいろいろなことが書いてございまして、「私はそのことが絶対的に必要である場合以外は、人口稠密な港へ出入りすることは間違いであると深く信じている。」と書いているのでありまして、さらに「全世界はこの問題に関して私たちを見守っている、だから、同じ配慮が外国の港を訪問する場合にも適用さるべきである。」と、このようにテラー氏は言っているのであります。  先ほどから他の参考人の方々もいろいろなニュアンスでおっしゃいましたように、この問題はさまざまな点から考えました総合的判断によって決せらるべきものであることは、私もよく承知しております。それは国会や政府のなさることであります。ただ私は、このテラー氏を引き合いに出しましたことと関係しまして、最後にちょっと申し添えたいことがございます。一つは平和利用の場合と軍事利用の場合では、判断の基準が違うと思うのであります。平和利用の場合には必ず相当なそれに伴う福祉があるのであります。利益があるのでありますから、そこでのバランスということは比較的簡単な問題であります。軍事利用の場合には、一体その何をどうバランスするのかという問題であります。私にもよくわかりません。私はこれ以上立ち入りたくはないのでありますが、ただ一言だけ言わしていただきたいのであります。先ほど引き合いに出しましたテラー博士の根本的な考え方——彼は非常にすぐれた物理学者でありますけれども、それ以外の問題に関する根本的な考え方はどういうふうなのでありますかといいますと、アメリカの安全のためには核兵器の性能をどこまでも向上させ、核兵力をどこまでも増強させていかなければならないと固く信じておられるようであります。私は現代及び将来の世界におきましては、日本国民の安全も、アメリカ国民の安全も、さらにまた他のどの国民の安全も、人類全体としての安全と不可分に結びついておると固く信じております。そしてとめどもない軍備競争が、終局においては日本国民の安全を保障するものではないということも固く信じております。それゆえ、もしも原子力潜水艦の持つ潜在的な危険性にもかかわらず、わが国の人口稠密な地域にある港に寄港することが絶対的に必要だという御判断であるならば、それはいたし方ないことでありますけれども、それは、私が先ほど申しました前提とは根本的に違った前提から出発した推論の帰結でありまして、私はやはり賛成することができないのであります。私の申し添えたいことは、それでございます。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) どうもありがとうございました。  以上をもちまして参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) これから質疑に入りたいと思います。質疑のあります方は、順次御発言を願います。  参考人に申し上げますが、すわったままでお答え願いましたらけっこうでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 まず第一に、湯川博士にお伺いをいたします。  過日、政府が中間報告を発表いたしましたときに、大平外務大臣が談話をいたしました。その談話のうちにおきまして、アメリカの原子力科学者は非常に進歩をしておる、すぐれておる、だからアメリカの原子力科学者の言うことを聞けば間違いない、こういうような意味の発言があったのであります。これは暗に日本の原子力科学者の意見を聞く必要がないという意味にもとれますし、また、日本の原子力科学者をある意味で軽べつをしておるようにもとられるわけでありまして、私はあの談話が発表されましたときに、まことに奇怪に感じたのであります。先ほど湯川博士の御意見では、日本の原子力科学者は世界においても優秀なもので、特に放射性の廃棄物によるいろいろ汚染の問題等については世界においても権威的なものであるという御発言がございましたが、この点につきまして、湯川博士は、アメリカが、アメリカの原子力科学者が安全だと言ったから安全だ、それだけで、政府として国民に原子力潜水艦の安全性を立証できるものとお考えであるかどうか、この点をお伺いしたいわけであります。

湯川秀樹京都大学基礎物理学研究所長

○参考人(湯川秀樹君) 先ほども申しましたように、アメリカの科学者は一致して「問題はない」と言っておるのではないのであります。でありますから、この点につきましては、先ほど私はテラー博士の例をあげました。テラー博士は、一方では、物理以外についてのお考えは別といたしまして、物理とかあるいは原子炉とか、原子力潜水艦、そういうものに関しては、非常に良心的に考えておることは明らかであります。そういう御意見があるということを申したのであります。どれだけの学者がどういう御意見を持っておるか、私は詳しくは存じませんけれども、アメリカ内にすら、いろいろな御意見があるということは確かであります。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 私もテラー博士の書簡を読みました。「水爆の父」であるテラー博士でさえかような御意見を述べておることを承知しておりますが、とにかくアメリカの原子力科学者の中におきましても、原子力潜水艦の人口稠密なところへの寄港というものが非常に危険であるということを考えておることは、これはアメリカ自身の公表するところであります。ところが、日本政府が発表いたしましたこの中間報告には、これらのことは全部省かれております。もちろんこの中間報告はアメリカの回答及びアメリカの発表しました資料に基づいておるとは申しておりますけれども、政府が、この点はどうも不利だ、寄港を認めるのに不利だと、こう思われるようなところは省かれておるのであります。他の問題についても幾多そういう点がございますが、こういう点から見ると、この政府の中間報告なるものは、私ども、それだけの点から見ましても、まことに信頼し得ないものである、安全性の確証をすべきものができておらぬ、こういうふうに思うのでございます。ところで、専門的な見地からお考えになりまして、この外務省の発表いたしました中間報告なるものは、科学的にごらんになりまして、一体はたして原子力潜水艦の安全性を証明するに足る文章であるかどうか、その点につきましての御見解を承りたいのであります。

湯川秀樹京都大学基礎物理学研究所長

○参考人(湯川秀樹君) 先ほど御質問者御自身がおっしゃいましたように、アメリカ側から公表されております資料は、外務省から御発表になった以上に、もっとあるのでありますが、私自身がそれを全部検討したわけではございません。しかし、私はいろいろな原子物理学の専門家といろいろ話し合ってみた結果、それらの人たちは決して納得しておらないということは事実であります。でありますから、終局的判断は何であるか、私自身にもよくわかりませんけれども、要は、日本には各方面の専門家がたくさんおられるのでありまして、私は先ほど、海洋あるいは地上の汚染という問題については非常にすぐれた権威者がおられるということを申しましたけれども、そのほかの方面についても、非常に多くの専門家がおられるのでありますから、それらの方々の御意見も十分お聞きになるということはどうしても必要である、そうして安全性に関する判断は、この原子力委員会がその責任においておやり下さるということをお願いしておる次第であります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 関連しまして。  四方の参考人の方は、どなたも、十分な資料を得ていないというのが、四人とも一致をしておられるようであります。ところで岡田委員が申しました、アメリカの外務省が発表した中間発表、これに対してこちら側がただしたいと思うことにつき十分に答えられておるのか、まずまずなのか、満足であるのか、もし十分でない、もっとただしたい、そうすれば安全性についてもはっきりするのだがというような点はどこなんだか、お話の傾向から判断しまして、ひとつ西脇先生と、それから安全性は科学的に検討できると結論された野中所長に御意見を伺います。

野中到東京大学原子核研究所長

○参考人(野中到君) 私から先にお答えいたしますが、安全性は科学的に検討できると先ほど申しましたわけで、私はやはりそう信じておるわけでございますが、それには資料というものの精度によりましてその結論の精度がいろいろ変わって参ります。はっきりした資料に基づきますというと、正確な結論が出せるわけでありますが、安全のことを考えます場合には、資料が十分でありませんと、安全性を論ずる場合に、さらにそこに安全度というもののファクターをかけて考えませんと、つまり、安全ということが、最も悪くなった場合にどうなるかということが、資料の範囲内で結論を出さないといけませんので、資料が十分ありませんと、それだけ結論が不明確になると同時に、十分安全度をとって考えなければならぬということになります。しかし、それはいずれも科学的な議論の範囲内で解決できることと思います。別にそこに科学以外の要素を入れる必要はないわけでございまして、科学的な範囲で、こういう資料に基づいて判断すればこれこれであるということは、私はできると思います。私個人があらゆることの専門家だとは申しませんけれども、適当な専門家の間ではそれは可能であると、こう考えております。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) 先ほどから、この安全性の問題に関しましてはいろいろ議論が出ておりますけれども、何と申しますか、今野中先生のおっしゃられましたように、安全性が科学的に検討できるということは、あくまでも、何と申しますか、完全に資料が公開された場合においてできるという意味にとってよろしいのではなかろうかと思うのでございます。これは一般的に申しまして、全くそのとおりであろうかと存じます。したがいまして、われわれといたしましても、そういった資料を提供して審査できるということが理想であろうと存じますけれども、いろいろな事情からこれができない場合において、一体安全性というものが、どの程度安全であるか、あるいは危険性というものはどの程度危険であるか、相対的な問題に帰結するわけでありますけれども、われわれが現在のところ入手し得る関連資料をもってどの程度まで検討し得るかということを、われわれとしては一応試みてみる必要があるのじゃなかろうかという立場から、私もこの安全性の問題を取り上げて検討をしてみたわけであります。その結果といたしまして、私がちょうどヨーロッパに行っておりました留守中に、いろいろな先生方が書いておられる記事、また、その先生方が書いておられる記事は非常に科学的でありましても、それを一般大衆の方が受け取って感じておられるところの危険性の感覚といったようなものをいろいろ検討してみますというと、決して妥当な感覚に基づいて、この原子炉の危険性と申しますか、安全性というものが判断されておらないのではないかと思われる点があるわけであります。たとえば安全性を科学的に審査するといいましても、資料が、完全な資料が出そろっておりませんでは、たとえば先ほど私が示しましたように、そういった技術的な、何と申しますか、ある程度類推できるような資料に基づいて判断をいたしましても、どういう立場から検討をいたしましても、一部の人々が誤解しておられるように、こういった原子力潜水艦の原子炉というものが、たとえば広島、長崎の原爆であるとか、あるいはその十倍程度の大きさの爆発をするというようなことはあり得ないのではないかと考える次第でございます。  それから、先ほど湯川先生からテラー博士の書簡の問題が提出をされました。私はこの書簡がどの程度技術的な検討に基づいてなされておるのかということにつきましてはよく存じませんけれども、しかし、私もどういう方針をもってアメリカ原子力委員会、つまりテラー先生のようなりっぱな物理学者の方も心配してこれだけの手紙をアメリカ政府に寄せておられることでありますから、アメリカ政府といたしましても、もしも、それが技術的にいろいろな面から検討した結果、ほんとうに危険なものであるというのならば、おそらくアメリカとしても、よその国あるいは自分の国の港への入港も許可しておらなかっただろうと思うのであります。しかしながら、そういう一九六〇年に出されましたテラー博士の書簡があるにもかかわらず、その後いろいろ検討を、アメリカのほうでも技術的な立場からそういうアドヴァイスも取り入れておそらくは検討しておられることと存ずるのでありますけれども、それにもかかわらず、現在のこれが運航を許可されておるということは、ある程度アメリカ側としましてもそう危険なものではない、もちろん絶対安全であるかと言われますというと、もちろん科学的に見ましても、技術的にも絶対ということはあり得ないわけでありますけれども、先ほど申しましたように、一部に誤解されておりますように、広島、長崎の原爆のような大爆発を起こすというようなことはあり得ないのじゃないか。しかしながら、何と申しましても、潜在的な危険性があるというようなことに対しましては、先ほどほかの先生方からも申されましたように、あらゆる立場から十分に検討をする十分な資料が得られない場合には、できる限り、それに関連があると思われる資料をもってその危険性あるいは安全性というものの不確定さの幅をできるだけ縮めまして、そうして、その範囲内に相当する妥当な感覚を持って物事を判断していただきたいと思う次第でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連して。この問題の決着は、もちろん政府なり国会なりでありまするが、われわれとしては、やはり科学者の意見をお聞きして、最終的には今の世界の情勢なりを十分検討の上、常識的な判断をする以外にはないわけですが、先ほどの岡田委員の御質問に関連をして、一点だけ伺いたいことは、先ほど湯川先生もちょっと触れられましたけれども、純粋な科学の領域から最近ややもすると国防上、戦略上の領域にまで問題が及んでおるので、そういう意味の判断も加えてというお話でありましたが、この場合、この世界の多くの国々の中で原子力潜水艦の寄港等を認めておるところもあるわけですが、この場合、この国防上、軍事上、戦略上の要請と、これを純粋に科学的な面から見た安全性との問題、このウエートの問題ですが、世界の科学者が純粋に安全と考えられておる方が多くてそういうことになっておるのか、あるいは国防上、軍事上、戦略上の要請のウエートが勝っておってそういう条件を起こしておるのか、その辺は私たちはしろうとでわかりませんから、純粋にこの科学上から見た安全性が勝っておるのか、あるいは軍事上の要請のほうが強くなっておるのか、その辺の御判断はいかがでございますか、湯川先生にお伺いしたい。

湯川秀樹京都大学基礎物理学研究所長

○参考人(湯川秀樹君) それは私にはわかりません。なぜかと申しますと、それは純粋に科学の問題ではありません。非常に複雑な問題でありまして、私にはよくわかりません。ただ私が言えますことは、すでに十年近く以前から、相当数の科学者がパグウォッシュ運動というのを起こしております。私も参加しております。それについてこの席で申すべきではないと思いますが、それらの人たちは、古い意味におきましては、これはすでに科学を逸脱した行動を起こしておるのでありますけれども、しかし、それは、今日の科学は、社会に、また人類全体にどのような影響を及ぼすかということがわかっておる以上は、非常に狭いアカデミズムの中にとどまっておることはできないという自覚の上で動いておるのでありまして、そういう人たちが相当数ある。それは東西両陣営を含めまして相当数あるということは、御質問に対する正確なお答えにはなりませんけれども、御参考になるのではないかと思います。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 関連質問で西脇さんにごく簡単な問題ですけれども、今われわれここで論議しているのは、目前に迫ったアメリカの原子力潜水艦の日本寄港、政府はこれを原則的には許可しておりますけれども、いろいろの危険その他の問題のために、まだ最後の決定はしておらない。われわれは単に科学上のいろいろな問題を論議しておるのじゃなしに、目の前に迫った問題として論議しております。今政府が出された材料としては、御存じのいわゆる中間報告だと思います。あれに基づいて科学者の良心から安全ということを保障されるものかどうかということが一つの問題で、もしあれだけでは保障されないならば、たとえば先ほど湯川さんのほうから申されましたように、理論研究とか、あるいはその他のもっと豊富な資料を政府が提供した後に初めて論議をしなければならないということになるのかどうか、この二点をお聞きしたいと思います。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) 外務省の今報告を私持って来ていたと思うのでありますが……ちょっとその点のことにつきまして外務省から発表されております本文も、私は一応は検討いたしましたけれども、何と申しますか、外務省から出ております資料と申しますか、これにつきましてアメリカの国会の公聴会、特に原子力潜水艦のスキップジャック上でもってアメリカの原子力合同委員会の聴問会が開かれております。そして私のほうにはたしかそのときの聴問会における記録の一部が入っておりますけれども、この聴問会の記録によりますというと、ほんとうは図面をちょっとお借りしたいのですけれども、聴問会の記録によりますと、過去において何回か原子力潜水艦が出入したアメリカの港における実際の放射能汚染の測定結果の状況というものが、かなり詳細に報告されているのであります。その資料によりますというと、かなり広範な資料でありますけれども、大体平均しまして、先ほど少し西堀先生も触れられましたけれども、港湾の中に入りましてそして廃棄する放射性物質の源となるのは何かと申しますと、原子炉冷却材というのが、ちょっとこれも実際の温度がわからないので正確には判定ができないのでありますけれどもしかしながら、何と申しますか、それの関連資料から判断いたしますというと、おそらく華氏の五百度内外という温度には少なくとも冷却材の温度が上昇しておる。そして、これを港の中に入ってきましてシャット・ダウンいたしましても、もちろん、すぐに原子炉の中を循環しておりますところの冷却材の温度というものが低下しません。と申しますのは、中にあります放射性物質のエネルギーでもって、ずっと余熱されておるというような状況にあります。漸進的に下がってくる。そうしまして温度が下がってくる。そして今度は再びこの原子炉を使いまして、そして港から出港していくというときに、高温で働くようにできておりますので、冷却水の温度を上げなければならない。そのときに温度を上げますというと、当然水が膨張いたします。その膨張した余分のもの、これを外部に放出しなければならない。その量と、それからその冷却材中の放射能というものが一体どの程度のものであるかということが、われわれの最も関心を持っておった問題であります。ところが、この資料につきましてかなり詳細な過去のデータというのが、先ほども申しましたスキップジャック上でのヒヤリングの中に発表されて参っておるわけであります。それによりますと、平均五百ガロン、正確には千八百九十二・五リットルということになりますけれども、約二千リットルのこういった水が膨張され、温度を上げたために膨張して、その膨張した分を捨てるわけですから、これをウォーム・アップと言っておりますけれども、暖める。そしてその中の平均濃度というものもそこに一応出ておりますけれども、それはともかくといたしまして、大体どの程度希釈されて薄くなるかというデータも、実際の測定値が出ておりますけれども、その結果によりますというと、たとえばコネチカット州のグロートン港のエレクトリック・ボート社のドック、ここでもってノーテラス号の原子炉の冷却材を排出いたしまして、排出する冷却材中の放射能濃度が一CC当たり二かける十のマイナス二乗マイクロキュリー−(2×10−2乗uc)−マイクロキュリーとは百万分の一キュリーでありますけれども、これを実際に放出いたしまして、そして周辺のその港の中の放射能の測定を続けておる。ところが、それだけ排出をしましても、ほとんどバック・グラウンドと申しますか、平常値と、その港の水の放射能の価が変わらない。そこでもって、それから推定しまして、おそらく十万倍以上の希釈率がこの場合においてはあるのじゃないかということが報告されております。しかしながら、こういった希釈の度合いというものは、港の条件とか、そういったいろいろな条件によりまして、海流の状況とか、そういったものによって変わって参りますので、それから、船のたくさん出入りするところでは攪拌作用も大きい。あるいは少ないところでは小さい。いろいろな問題がありますので、安全度をとりまして、大体千倍には希釈されるものという、非常に何といいますか、安全度を見積った価を想定いたしまして、廃棄物の量を出しておるようであります。それでその結果、ノーチラスとスケート号などが出入りしておりますニューロンドン・ハーバーの港の中の水の放射能を実際に測定した結果というのがここに出されております。これがそれで、この図面というのは、上半分と下半分とに分かれておりまして、そうして、下半分というのは、実際にノーチラス型の原子炉が作動を開始しまして、それから何カ月かにわたりまして、ウォーム・アップをするたびに冷却材というものを外部に放出しておる。それから後になりまして、今度はスケート号の原子炉が作動を開始して、また冷却材の膨張分を廃棄しておる。そうして、実際に放射能の測定というものをずっと続けていっておりますけれども、その結果によりますと、この排出した放射能と申しますか、冷却材というものにはよらないで、むしろ、ここにまるじるしをふっておりますのが核兵器の実験によって空から降ってくるその量がふえたときには、むしろ海水中の放射能の量がそれに従って上がったり下がったりしておるというような関係があるということが指摘されてきているわけであります。こういうものから考えまして、われわれのほうとしましても、一応日本のデータを使いまして、一体——たとえば、港内の年間のフォール・アウトと申しますか、原子核爆発の実験によって放射性物質が降下してくる。その量が、たとえば四十平方キロメートルの面積を持った港に対して年間どのくらい降ってくるかという価を推定してみますと、たとえば東京で正確な価が測定されておりますが、一九六一年七月からの一年間で、ストロンチウム九〇で、大体一平方キロメートル当たり六ミリキュリーという放射能が降ってきております。それに、たとえば四十平方キロの面積をかけますと、年間当たり四十平方キロの表面積を有する港内に降下するストロンチウム九〇が、大体二・四かける十のマイナス一乗キュリー−(2・4×10−1乗c)−〇・二四キュリーぐらい。それから福岡の辺でありますと、全放射能しか測定しておりませんが、それが大体百二十キュリーということになります。それから今度は逆にウォーム・アップをする。たとえば原子力潜水艦が万一入ったといたしまして、そうしてウォーム・アップしてその膨張分を外部に棄てる。このウォーム・アップの回数によって変わって参りますが、一応月一回放出するという工合に仮定いたしまして、そうして放射能の価というものは、ほうっておきますと、比較的半減期の短かいものはどんどん減ってきますので、時間によって違いますが、一応十五分後の価、大体十五分間後ぐらいの価を測定いたしまして、そうしてそれを年間加算いたしますと、年間に放出される全放射能が一・一四キュリー。これに対しまして、たとえば四十平方キロの港を仮定いたしますと、フォール・アウトによりましてこの約百倍の量の放射能が核実験の結果降ってくるということになるわけであります。したがいまして、こういった資料から判断いたしますと、この原子力潜水艦がウォーム・アップのために月一回程度出入りしてウォーム・アップをする。そうして、一応スキップジャック艦上のヒヤリングにあるような程度の放射能、平均的放射能というものを平均量放出するという工合に仮定いたしまして、大体の目安といたしましては、たとえば昨年度に核実験でもって港に降り込んでくる放射能の大体百分の一程度のものである、大体の目安といたしましては。したがいまして、われわれが危険度を考える場合におきましても、これを一つの目安として考えていただければ幸いかと思います。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 今の質問で、お聞きしたのとお答えになった点とがちょっと若干食い違いがありますから……。私のは、ただ簡単な問題なんです。政府の提出したいわゆる中間報告を、科学者として、これは信頼して結論を出し得るものかどうか。もしそうでなかったならば、われわれとしては、もっと深い研究とか、あるいは資料を得るとか、その後で初めてわれわれは結論を出さなければならないのじゃないか、この点だけなのです。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) これを私ちょっと見さしていただいたのですけれども、これは中間的資料という工合になっていますので、おそらく、何らか中間的でない、もう少し詳しい資料というものが出るのじゃないかと思って、実はわれわれも期待しているわけなんです。ですから、これをいただきまして、そうしてわれわれといたしましては、この回答の出されておる基礎となる資料はどういう資料に基づいておるものだろうかと思って、いろいろ文献を調査して判断した結果、今申し上げましたような結果になります。これ自体といたしましては、われわれ技術的な面から検討する立場におきましては、もちろん不十分だと思います。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) 参考人に申し上げますが、広うございますので、少し声を高くしていただきませんと通りませんので、よろしくお願いいたします。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 四人の方から非常に重要な有益なお話を聞いたのですが、われわれは、きょう大体こういう点では意見が一致しておると思うのですけれども、つまり、ノーチラス型といわれる潜水艦の安全性の問題を主として探求していたので、やれポラリス型の潜水艦の受け入れだとか、そういうことをやっておるのではないというので、それにしても、いずれにしても最終的には政治判断を加えて政府、国会が決定すべきことであることも、これは論のないところだと思います。それから、政治的といいますか、今、湯川博士がその一端をお示しになったように、核兵器と平和の問題等について、科学者が従来のいわば象牙の塔に立てこもっておられないという緊迫感でいろいろ発言され、これは非常に尊いことであるし、実はこの間もワシントン大学でケネディ大統領が核実験問題に関する非常に重要な提案をしたというようなことは、非常に重要なことであるし、けっこうなことであると思うし、核兵器禁止というようなことについてわれわれもみんな努力しなければならぬわけです。それはそれとして、今、問題を限って、いわゆるポラリス型でない潜水艦の受け入れについての安全性の問題だけを中心に考えると、結局ぶつかる壁というものは、どうしても向こうの軍事機密というものとぶつかります。日本の科学者が完全に自分で調べたような十分なる検討を加えた上の判断ということは、これは事の性質上困難、かといって、だからというので、何でも外交上の秘密だからということで、何も確かめないで、そうして受け入れるなんということは、かりそめにもあってはいけない。そこで、われわれが最終的には政治的見地から判断するのではございますが、先ほど来、四参考人の方もおおむねその点は一致しておるかと思うのは、やはりできるだけの資料を取って、それを科学的に検討し、日本の最高権威の人が加わって科学的に検討を加え、それを政府なり議会なりにも何らかの形でむろん報告していただくことにして、そうしてその上で判断を下す、そういう慎重な態度が必要だ。しかし、壁は最後には——まあ現状においてはまだこれで十分な資料と十分な安全性が確認されておるとわれわれは正直に思えないのですが、しかし、最後には、まあ軍事ということで得られない資料というものはあるわけですね。その場合に、われわれが期待するのは、そういう壁はあるけれども、他の方法等によって大体安全性の確立というものについて判断できるものであるか、どうせその壁があるのだからできないとギブ・アップしてしまうのか、どうなのか、ここが一番問題ではないかとわれわれは一番悩むわけです。そこで、多少のニュアンスの違いはあるかと思うのですけれども、その点についてもう一ぺん——野中さんは科学的に追及できるのだということを言っておられるし、西堀さんのほうも多分そういう御意見じゃないかと思う。湯川さんのお話も、まあ最終的にという言葉をお使いになったかもしれませんが、原子力委員会並びにそのもとにおける安全審査委員会等の日本側の権威のある機関で十分に研究した上で結論を出すべきだというふうなことで、ある程度のデータは、限られておっても出し得るのではないかというふうにもとれるのですけれども、西脇さんのいろいろの御研究も伺って、そこら辺の点について、大体まだデータは全部出ていると思わないけれども、ある程度のことは科学者の立場から、百パーセントのいわゆる彼らの言う軍事秘密ということで全部のデータは出なくとも、ある程度の安全性をとった、アローアンスを入れた確率を考えて、これは大体よかろう、いわゆるテラー博士の言われるように、人口稠密のところはやめちまったほうが絶対安全なんだ、さもなければ非安全であるというふうに大きく判断が下る。そこら辺の点がもしおわかりになるならば、その点を教えていただきたい。湯川先生から。

湯川秀樹京都大学基礎物理学研究所長

○参考人(湯川秀樹君) 私先ほども申しましたのですが、やはりまだ日本の側にはいろいろな方面の専門家がおられて、たとえば海洋の汚染のことを非常に詳しく研究しておられる方があり、そういう方々の御意見、そういう方々だけではありません、もっといろいろな学者の意見をよくお聞きいただくということと、さらに豊富な資料をできるだけ集めて検討する。と同時に、そういう日本の中におられるいろいろな方面のそういう専門家の人の意見をもっと聞いていただき、十分検討していただき、その意見を聞いていただくということが必要であり、また、そういうことをすべき余地が相当あるのではないか。私は最終的にどうであるかその点はわかりませんけれども。

西堀栄三郎日本原子力研究所理事

○参考人(西堀栄三郎君) 今の御質問に対しまして、答えるほうの立場として、科学者である場合と技術者である場合と少しニュアンスが違うのでございまして、私はむしろやや技術に近い立場におる関係上、いろいろな事柄にぶつかりますとわからないことが非常にたくさんございまして、それでもやはりやらなければならないという立場に追い込まれることが非常に多いのでありまして、それがいわゆる学問的というか、人類として知らないということもあり、また、わが国として知らないということも多々ございます。そういう場合も、やはりそのものずばりの答えが得られていないとしても、そのまわりのことから類推をしてそれで判断をすることは、私は十分可能であると思います。ただ、その場合に、より少ないデータでやりますれば、より不確実であることは当然でありますが、もう少し大事なことは、自分がわかっただけではこれは物事はできないのであって、やはりいろいろな人々を納得せしめるということがたいへん大事な問題だと思われます。そのときに、より多くの資料があり、より科学的に解析がされ、すればするほど納得してもらえる人たちの層というものは厚くなってくることは当然のことであります。現在、今得られておりますこの資料だけでは、まだ相当弱い判断しか出なくて、したがって、それに対する支持と言いますか、納得していただける層が、それほど厚くなり得ないのではないかという心配を持っておるわけです。で、先ほどもお話がありましたように、これは中間報告である、だからいずれはちゃんとしたもう少し詳しい資料も手に入るというう期待をわれわれとしてもかけておるわけであります。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) いろいろ問題は、技術的及び科学的に見ましても、もちろん研究しなければならない問題というものはいろいろあろうかと存じます。したがいまして、先ほど湯川先生が御引用になりましたテラー博士の言明と申しますか、人口稠密なところは避けるべきであるということにつきましては、もちろん原則といたしまして、わざわざ人口稠密なところをよって入るというようなことはしないほうが私としてもいいのではないかと思うわけであります。しかしながら、ここに、何と申しますか、よく引用されておりますアメリカのクラウチという人が「原子力船」という本を出しております。そうしてその中でもっていろいろ技術的な検討をしておりますけれども、それ以外に第十三章のところに「規制措置による安全性確保」という章がございまして、その中で次のように述べておられる。このことは、われわれといたしましても、この原子力船の入港に賛成であるとか反対であるとかという立場を離れまして、こういった問題が将来起こってきた場合に、特に原子力に関係いたしましてわれわれも心に酩記しておかなければならない事柄ではないかと思いますので、ちょっと引用させていただきます。「原子力潜水艦が事故を起こして、ごくわずか放射性物質をまきちらしただけでも、ヒステリックになった人や恐怖心にかられた人々は、海岸や港湾設備や、さては頭上を吹く海からの風までが、放射性物質によって汚染されていると言いつのることは想像にかたくないが、このようにめったに起こりそうもないことまで避ける唯一の安全策は、とにかく原子力船を作らなければいいのである。しかしそこには、技術的進歩もないし、人間は、自分たちが駆使し得るエネルギーから何らの恩恵も受けられなくなる。もしわれわれが原子力を利用しようと思えば、事実そうしているのだが、われわれは行政上の規制を行なって、積極面と消極面の間に、適当なバランスを見出すように努力しなければならないのである。」、こういう工合に書いておられる。私も今度、特に西独とか、フランス、スイスなどを回りまして、一体こういうところではどういう方法をとっているのだということを見て、非常に参考になりましたのは、こういった原子炉に対して、賛成とか反対とかあぶないとかと日本では騒ぎますけれども、じゃ、原子炉ができますと、あとの放射能から守るという防御組織というものが、何ら具体的な活動組織が構成されておらない。特に西独に参りますと、内務省管轄で千三百カ所の放射能警報センターが完備しております。フランスにおきましても約二千七百カ所が内務省管轄で完備しております。それ以外の民間組織としまして、プラン・オルセックという全国組織が組織されておりまして、そして国民に対して、放射能から自分たちを守るということの訓練を施している。ところが、わが国におきましては、何回ビキニ事件以来こういう問題が起きましても、いまだにこういう具体的な計画というものはできておらない。この点は非常に遺憾に存じます。したがいまして、われわれとして特に注意すべきことというと、この原子力潜水艦が入るとか入らないとか、この種の問題は、むしろ政治的に十分御検討していただくということは、たいへんけっこうなことでありますけれども、われわれ科学者、技術者として特に注意しなければならないことは、そういったいろいろ世の中の危険性の、相対的の危険度に応じて妥当な感覚を持っていただくようにできるだけ努力する。その妥当な感覚を与えるために、ほんとうはもう少しできるだけ詳細なデータがほしいと思うのです。しかし、データがなければ、じゃ何もわからないかというと、決してそういったものではない。いろいろな関連資料によりまして、ある程度その安全性の判断の幅を縮めることはできるのであります。われわれとしては、できるだけ集まる資料によりまして、その範囲内において妥当な感覚を養うように努力すべきであるという工合に信じております、

野中到東京大学原子核研究所長

○参考人(野中到君) もう三人の方の述べられたことと特に違う点はございませんけれども、私もやはり資料の量と、検討した結果の精度とは、これは量が多ければ多いほど精度がよくなる、この点では全く同感であります。乏しい資料でも、ある程度のことはできることは事実でありまして、先ほどから西脇さんが、ある意味ではやはり今知らされている資料に基づいて御検討されておられますが、それも一つの例かと思いますけれども、とにかく現状ではまだ、今までわかっております資料だけに限りましても、十分検討したとは私は考えておりません。もっとたくさん資料が集まるようなことを何とかいたしまして、そうすればそれだけ検討結果の精度がよくなるということでございますので、ぜひそうなりたいものと、こう考えております。

佐藤尚武第二院クラブ

○佐藤尚武君 私からも一言、二言、私の意見を申し述べまして、それに対しての学者方の御批判も承りたいと思うのでありますが、先ほど来学者方のお話を伺っておりまして感じますことは、この原子炉というものに関しては、危険性はあるんだ、危険性はあるけれども、これが絶対的なものであるとはどなたも一おっしゃっておられなかったように思うのでありまして、であればこそ、欧米方面におきましても、また日本の学者、学界におきましても、その危険性に対してのいろいろな研究が行なわれておるかのように先ほど来伺ったわけでありますが、私は、現に今問題になっておるのは、アメリカの原子力潜水艦の寄港問題と言うから問題が非常にこんがらがるように思うのでありますけれども、一体、原子力の炉を持った船というものは、何も潜水艦に限ったことではないのであって、現にアメリカかヨーロッパかどこかで、商船として原子炉を積んだ、原子力を原動力、推進力とする船が作られつつあるかのように私は聞いておりますが、はっきりしたことは申し上げられませんが、しかし、そういうことはあり得ることだと思うのであり、またそういう方面においては、日本も、原子炉というものは危険性があるものであるからして、その原子炉を積んだ商船までも建造しちゃいかんという結論に到達するのは、これは私、非常に間違った考え方であろうと思うのです。日本が原子炉がこわいからして商船にも積ませないということであり、しかし、ヨーロッパなりアメリカなりにおいては、現に潜水艦ができているように、商船にどしどし原子炉を積んで世界中の海を走り回るというようなことでありまするならば、日本の海運界というものはもはやとうてい問題にならぬほど貧弱なものになってしまって、世界の競争に勝てるわけはないと思うのであります。しからば、その商船に積んだ原子炉というもの、しかして、その衝突ということが潜水艦においては考えられる事故の大きなものであるというお話もありました。なるほど、それはそのとおりに違いありませんけれども、衝突の問題については商船も同じことであろうと思うのでありまして、衝突の危険があるがゆえに商船に原子炉を積ませないということであっては、やはり世界の競争に負ける結果となってしまうと思うのであります。つきましては、私の貧弱な考え方としましては、学者方の研究はどこまでも進めていただいて、資料が十分であるとかないとかいうことはございましょうが、いかにしたならばこの原子炉として考えられる危険性というものを排除していくことができるかということについて、学者方が真剣な研究を進めていただく。そうしてその点において世界の学者をリードするような結論に到達していただくということは、私としては最も日本として好ましい、望ましいことであろうと思うのであります。あの東海村の原子力研究所を作ったときのことを私は思い出すのでありますが、あのときもずいぶん学者方の間で議論があったことを、今でも記憶いたしております。中には、原子炉というものは危険なものであるからして、この研究さえも日本の学者はやっていかぬというような極端な議論さえした若い学者がおられたことを私は思い出すのでありますが、もしその学者の説のようなふうに日本がなっておったとしたならば、あの東海村の研究所もできなかったろうし、また、原子炉の研究というものも進んでいなかったろうと思うのであります。そうなったらば、日本はそれこそバスに乗りおくれた日本ということに相なってしまうでありましょう。そして現在の結果から見まして、東海村の原子炉は、先ほども学者方のお話の中にあったようでありまするが、必然的に廃棄物の処理についていろいろ御研究になったものとみえまして、現在のところまだ一つもそれから生じる危険性というものをわれわれは感じないで、安全感を持って東海村を眺めておるということができておるわけであります。したがいまして、この原子炉を積んだ商船なり、あるいは問題になっている原子力潜水艦なり、そういう方面においての危険というものを、どうしたらばほとんど絶対的の程度にまでこの危険性を排除することができるかということについての研究は、これから幾らでも進めていただくという、その方面に力を入れていただいて、そうして原子力潜水艦の問題を解決するという考え方に立つのが、私は至当でないかと思うのであります。今、西脇先生が最後に御説明になりましたところは、だいぶ私に対して安心感を与えて下すったようでございまするし、ヨーロッパ方面においては、原子力から生ずる危険性というものから国を守り、国民を守るという方面において、非常な力を尽くしておるように伺ったわけでございます。そういうような調子でもって日本も進んでいくように、学者方の御協力、御尽力をひとつぜひお願いしたいと思うのでございます。これは四先生方から一々御意見を承るということはたいへん時間がかかりますので、私は、もし西脇先生が私の申しましたことに対して、先ほどの御説明につけ加えて何かおっしゃることがございましたら、まことにありがたいと思うのでございます。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) 別に……。(笑声)

木内四郎自由民主党

○木内四郎君 佐藤先生がおっしゃった点に関連して一つだけ伺いたいと思うのですが、新しいいろいろなものが出ています。たとえば原子炉の推進力の船、あるいはまた昔でいえば蒸気機関車、こういった新しいものが出てきたときにはいつも問題があるのですが、今、佐藤先生のおっしゃったように、新しいものを何もやらぬということであれば、日本が非常におくれていくことになると思うが、私は非常に苦い経験を持っている一人なんです。私、山の中に生まれまして、当時、鉄道敷設のときに、高邁なる識見を持っている代議士諸君が地元から出ておりまして、機関車が来れば人もけがするし、家も焼けるし、農作物も焼けるからと反対しまして、本線がはずれまして、よそについた。五十年たって、ようやく支線ができまして、今日は汽車も通っておりますけれども、五十年の立ちおくれの回復はとうていこれを実現することはできない状態です。そういう苦い経験を持っている一人として、この際、原子力船の問題につきましては、国会におきましてはすでに、原子炉には相当危険もあったりするけれども、原子力を推進力とするところの商船を作るという法案もすでに通しておるわけです。その国会の態度は、非常に賢明だと思うのですが……。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 社会党も賛成している。

木内四郎自由民主党

○木内四郎君 社会党も賛成して通しておる。そこで、そういうことを前提として、今、佐藤先生のおっしゃった点で解決しておると思うのですが、私は、西脇先生が、今日の限られた資料で非常に有益なる御研究をなさっておって、われわれは佐藤先生御同様に非常に安心感を得たのですが、その点は深く感謝いたしておりますが、原子力を推進力とする場合に、潜水艦なら危険があって、商船なら危険がないということがあるでしょうか、その点をひとつ、まず第一に西脇先生に伺い、それから、その次には湯川先生に、湯川先生は、さっきもおっしゃったように、使い方によるのだというお話があった。商船ならほかの利益もあるからしようがない。湯川先生とされると、潜水艦に原子力を用いることには反対だというお考えでしょうけれども……。それから、科学者の研究の結果によってきめるのが適当だ、原子力委員会のほうで意見をまとめて出せばそれでいいのだ、こういうお話ですが、これはアメリカでも、さっきのお話のテラー博士ですか、反対などがあっても、全体としては結局作ろう、それほど危険じゃないという結論になって、今日原子力潜水艦ができておると思うのですが、日本のほうでも、お話で私は大体そうだと思うのですが、原子力委員会で研究の結果、大体いいということになれば、いいというお考えでしょうか。その二点を湯川先生、初めのことを西脇先生。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) 一応限られた資料なので、したがいまして、私の答弁もそういった限られた範囲内での答弁であるということを御了承願いたいと思いますけれども、一応、何と申しますか、過去の少なくとも公表されました原子力船のいろいろな事故というものをたどってみますというと、原子力潜水艦の今までの事故のうちでも、特に原子炉に起因したと思われるような事故というものは見当たらないように思います。一番問題になりましたのがスレッシャー号の事故でありますけれども、これもスレッシャー号の査問委員会のいろいろな記録を調べてみましても、むしろ放射能が大量にこぼれておれば、それを頼りに捜索できるというので、最初のうちはシンティレーション・カウンターなどを積みましていろいろ捜査したようでありますけれども、どうもよくわかりません。そこでもって、何か海底で最後に聞かれた言葉が、テスト・デプスという言葉と、マイナー・アクシデントという言葉と、もう一つはブロー・アップという三つの言葉が聞き取れたという証言などから判断いたしますと、おそらく海底にもぐり得るぎりぎりの限界の深度のところを進航しておった。そのときに、上にスカイラークという潜水艦救助艇がついておりまして電話連絡をとっておったのが、それだけ聞こえてぷつっと切れたということから判断いたしますというと、おそらくこれは原子炉自体の事故と言うよりも、むしろ何らかの潜水艦の状態でもって急激に深度が下がった、上昇しようとしたけれども、圧力が高かったためにどうにもならないというような点ではなかろうかと存じます。したがいまして、他国に入港するときには、国際法上そういった深度で入港するということは禁止されておりますので、浮上して進航しておる限りにおきましては、おそらく問題がないのじゃないかと思います。しかし、これに関連しまして、一般的な常識的な感覚から申しますと、原子力潜水艦があぶないのじゃないかというようなことが感じられるのは、非常にもっともなことだと思います。それと同時に、今度は一部の特に原子力船に反対の立場から書かれたのじゃないかと思うのですけれども、そういった記事を読んでみますというと、軍用のために安全性は犠牲にしてある、そのために原子力潜水艦のほうが原子力商船よりもはるかにあぶないのじゃないか。これが一般に誤解されて、原子力潜水艦のほうが今にもつぶれやすくて、今にも原爆のように爆発するのじゃないかというような印象を、一部引用して書いておられる方がとっておられるように思いますけれども、これはたいへんな誤解だと思われます。と申しますのが、もちろん、大きな原子力船になりまして、サバンナのような貨客船になりますと、子供とか妊婦とか、いろいろな一般の公衆が乗るわけでありますので、したがいまして、一般人に対する最大許容量というものを低いのをとりまして、立ち入り禁止区域も広く取っておりますが、原子力潜水艦の場合には、これは乗員は成人だけであるという関係もあって、少し放射線を高く受けるような場所でも、つまり、原子炉に近いようなところでも働かなければならないということになって、いわゆる職業的な許容量というものをとっておるのじゃないかと思われます。しかしながら、破壊に対する強度という点から申しますと、これは一般のそういった常識から判断いたしましても、潜水艦の場合にはいろいろな過酷な戦闘条件に耐えなければなりませんので、サバンナのような原子力商船よりも、はるかに破壊に対する強度、破壊に対する安全性というものは、はるかに高いものではないかという工合に推定されます。  それから、先ほどちょっと御意見を伺われまして、私、何もございませんと申しましたけれども、フランスのやはり原子力委員会及び内務省の放射線防御の方とお話ししておりましたときに、向こうのとっております考えというのは、近代文明が進歩するとともに、いろいろな危険性というものが増してくる、それにつれてわれわれは危険の面だけを非常に大きく取り上げまして、びくびくしていたのではどうにもならないというのでもって、そういった、つまり、原子力をどんどん推進すると同時に、パラレルに、国民を災害から守るというシステムを並行して強化していくということは重要なことじゃないかと思います。びくびくばかりして、守るほうの体制が何もできないということでは、これは非常に困ったことだ、むしろ、そういう体制がありますと、安心して将来原子力の平和利用もどんどん促進できるようになる。ですから、そのネガティヴの面というか、縁の下の力持ちになるといったような方面も今後見のがさないようにしていただきたいと思います。

湯川秀樹京都大学基礎物理学研究所長

○参考人(湯川秀樹君) 私お答えいたしますが、初めの点ですが、私はもちろん日本で原子力商船が開発されることに反対しておりません。この場合には、もちろん、安全が第一でありまして、そういう研究をどんどん進めていくことは、もちろん、必要なことであるし、望ましいことであると思います。  それにつけ加えまして、今、西脇さんから御説明ございました、軍事利用の場合において安全性を犠牲にしている面もあるけれども、また、ある意味では、非常に軍事目的のために強固なものを作っておるというようなこともありますし、個々の場合の判断は非常に困難でありますけれども、一般的に申しましたならば、そういう商船というような平和目的に使います場合には、安全を第一に考える。軍事利用の場合には、ほかの目的が優位を占めるということは、これは確かであります。でありますから、その原子力潜水艦の場合に、一がいにどうということは言えないわけです。  それで、第二番目の点でありますが、でありますからして、安全性が確認されたらもちろんけっこうでありますが、もしも、科学的な立場からどうしても確認に至らなかった場合においては、これは政治的な御判断をなさるより仕方がないと思います。

長谷川仁自由民主党

○長谷川仁君 野中さんにお伺いしますが、先ほど湯川先生のお話で、日本の原子力の技術研究が非常に進歩しているということはよくわかるのでありますが、この間の衆議院の外務委員会におきまして、今の日本の科学者ないし技術者の水準で、技術的審査が原子力潜水艦に対して実質的審査ができるかどうかという質問に対しまして、ある参考人の方はこう言っておる。十分なデータさえあればできるけれども、ただ乗っただけではわからない、設計構造がどうなっているか、まず図面を調べる、それから性能の点などについても図面あるいは計算を審査することが必要である、そうして、必要とするすべての計算、必要とするすべてのデータを公表してもらわなければわれわれは困る、こういう回答をされているわけですが、世界の軍事常識といたしまして、軍事機密を——そういうような詳細なデータを発表するはずはないわけです。これからも、あるデータは出るでしょうけれども、確実に原子力潜水艦が云々という結論は出ないと思うのです。しかし、こういった発言が科学者グループの中にあるにもかかわらず、そういった不十分なデータのもとに学術会議なり一部の科学者グループが、危険である、あるいは反対であると、こう断定されたことは、私はいささか早まったようなふうに思うのでありますが、いかがでございましょうか。

野中到東京大学原子核研究所長

○参考人(野中到君) お答えいたしますが、先ほどから繰り返し申し上げましたように、精度のいい安全度の解析ということをすることのためには、非常にたくさんの資料がなければいかぬことは当然でございます。ただ、先ほどもちょっと触れましたけれども、それがいろいろな理由で得られない場合でも、現在知られているよりは、もっと安全度の審査というものが私はできるのだと思います。どこまで資料が得られるかということは、これは軍事関係のことでもありますので、必ずしもやさしいこととは思いませんが、できるだけの資料を得る手段を講じていただいたならば、それに応じた精度の安全度の推定ということは、可能と思います。それから、この学術会議その他のことにちょっと触れられましたけれども、これは学術会議のいろいろなことを私自身も声明などで知っておりますわけですが、その真意と思いますところは、安全度の審査が今のような状態であったときに、いろいろなほかの理由から入港を認めることは早過ぎるだろうという、そういう意味の反対でございまして、安全度がこれこれであるという一応のめどがついて、なおそれと、潜水艦が入港する、しないということとの政治的、あるいは外交上の問題との勘案において、政府並びに国会が判断されるならば、それは全然また別問題でございます。今程度の安全度の審査の段階において、ほかのほうの面からこれを直ちに入港すべきであるとするのは早かろう。そういう意味で反対という言葉をおつかいになっておる人もあろうかと思いますが、真意はそこにあると思いますから、その点ちょっと。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 西堀さんにお伺いをいたします。  西堀さんのお話を私がちょっとメモしたところによれば、この原子力潜水艦の炉は原研にある炉と共通点がある、それから、あそこに働いておる人々は審査に信頼をして働いておる、そして最後——最後というのは科学上わからないところもあるので、そこは信頼感で補っていくんだ。こうしますと、別な言葉でいえば、東海村の原子炉が今はこれまで無事に動いているのだから、そして、それは安全に動いておるのだから、今問題になっている潜水艦の場合でもそう心配はないのじゃないか、安全性の確認は、確認とまでは言わなくても、まあまあいいんじゃないか、こういうふうな感じを受けるのですが、簡単でようございますからお答えをいただきたい。

西堀栄三郎日本原子力研究所理事

○参考人(西堀栄三郎君) 決して、今無事働いているのだから心配はないと言っているのではありません。また、今われわれの持っている知識のただいまの状態で、それでよろしいということではございません。先ほど申しましたように、いずれ今のやつは中間報告であるがゆえに、その次のほんとうの報告が出るでしょうから、それをもとにしてもう少し公の機関——これは公の機関と申しますのは、必ずしも従来どおりの安全審査委員会そのもののようなシステムでというようなことは考えておりません。それはもう少し広い意味にとっていただきまして、その機関でそれを審議していただいて、それの結論によってみなが信頼するであるということでございます。でありますから、それが最小限原子力委員会でおきめになり、政府はそれに従ってやって下さればいいのだと思います。それを信頼するであろうということでございます。

長谷川仁自由民主党

○長谷川仁君 湯川先生にちょっとお尋ねいたしたいのでございますが、私どもは、学者の方々の専門的な学識に十分の尊敬を払うということにはもちろん異論はないのでございますが、この従来の科学者の方々の、あらゆる角度から、一つ一つの点からのそれ自体の解釈なり、あるいは分析なりは正しいと思うのですけれども、しかし、全体というものをつかんで、そしてその中で事実を評価するということが何かうとんぜられているようなきらいがあるように感ぜられるのです。学問的に言えば、少しでも可能性がある問題を取り上げて、その危険性があると言えるかもしれません。しかし、実際にその可能性が大きいか、あるいは小さいかということは、ややもすると学者の間において度外視されているようなきらいがあるのではないかと私は考えるのです。たとえば、先ほど西脇先生おっしゃいましたけれども、原子力潜水艦の原子炉の中には、広島の原爆の型の十倍も力のあるものが入っている、そうすると、広島の型の十倍の被害がすぐにも起こってしまうのではないかという恐怖心を国民に与えてしまう。そこで私の申し上げたいのは、安全性の問題にいたしましても、現在までの段階におきましては、理論物理学者だけが大多数発言されている。もっと広範囲に、たとえば、実際的に原子力船計画を進めている船舶工業者とか、あるいは現実に原子炉を設計されている人、建設に従事されている人の意見というものをもっと聞くべきではないか。それと同時に、好むと好まざるとにかかわらず、先ほど木内委員から話が出ましたが、原子力の時代が来る。そういった場合に、十数年の間に国民に与えられました原子力問題に関する印象と申しますか、それは原子炉、原子爆弾、放射能、破壊、奇形児、こういったヒステリックな一連の恐怖心が与えられているのです。こういった国民の考え方というものに対しまして、科学者としてどういうようなお考えをお持ちになっているか、ひとつお聞きしたいと思います。

湯川秀樹京都大学基礎物理学研究所長

○参考人(湯川秀樹君) 今おっしゃった問題は、少しさかのぼって考えますと、先ほども申しましたけれども、かなりさかのぼることはできますが、とりあえずビキニの事件が起こった当時のことを考えてみますと、相当部分は要らざる心配であったということが、後になってだんだんわかってきたのです。しかし、当時は科学者もわからなかった。一体どれだけのことが起こっておって、それがどれだけの危険を持っておるのかということの評価はできなかったわけです。それゆえにこそ、諸外国、特に日本の科学者がそういう問題を非常に真剣に検討いたしまして、それでだんだんと物事がはっきりわかってきましたので、それでどこまでは許容できるものである、許容できないものであるかということがだんだんはっきりしてきたわけです。でありますから、科学というものはそれぞれの専門がございまして、全体をなかなかつかみにくいということもございますけれども、それと同時に、やはりどんどんと進歩していくものでありまして、やはりその進歩に応じて判断が変わってくる。先ほど西脇さんは、原子力潜水艦は原爆のような爆発は起こさないということをおっしゃいました。まさにそのとおりでありますけれども、しかし、そういう心配をしておる国民もあるかもしれませんけれども、私はこの十数年間に科学者もだんだんと知識を深めていくと同時に、国民もだんだんと少しずつお互いに教育されてきまして、今日ではそれほどヒステリックな状態であるとは私は判断しておりません。

長谷川仁自由民主党

○長谷川仁君 そこで、先ほど湯川先生は、私ども科学者は学問以外の領域については発言したいと思っていないとおっしゃいましたが、しかし、こういう民主主義の時代でございますから、科学者といえども政治的発言をやる、社会的な行動も自由であることは当然だと思うのでございますけれども、学術会議の、あるいは一部の科学者グループの声明なり見解というものは、相当学界に反響を呼んでおることは御承知のとおりでございますけれども、新聞論調なんか見ますと、ある新聞は、日本人は原子力に対し特別の感情を持っている、しかし学問がそれに押されるような傾向は避けなければならない、こういう主張です。見解です。ある新聞は、科学者の意見を尊重しなければならない、それには条件が伴う、まず政治的イデオロギー、政治的な、あるいはイデオロギー的な中立であるということと、専門分野に限ることである、そして直接的に現実に結びつくような発言は避けるべきである、こういう論旨もあり、それから、ある社説は、学術会議の態度が、尊敬される科学者の名によって国際政治や防衛について独断的な声明や発言を行なう習慣は国のためにはあまりためになるとは考えられないと、こういうふうな論調もあるわけでございます。先生としてはいかにお考えになりましょうか。

湯川秀樹京都大学基礎物理学研究所長

○参考人(湯川秀樹君) 今の御質問がありましたように、科学者は、それぞれの専門においては、それ相当の権威を持っておりましても、その他のことについて発言したときに同じ権威を持っておらないということは、私どももよく承知しておるわけであります。特に、先般の学術会議の声明でありますけれども、私はこの声明は何か科学者の限界を逸脱した発言であるようには受け取っておらないのであります。やはり、安全性の問題は慎重に検討せよということが趣意なんでありますから、その他のいろいろな声明について一々申し上げることは差し控えますけれども、今御質問のありました学術会議の声明は、その前に勧告もございましたわけでありまして、それは私は逸脱したものであるとは受け取っておらないのであります。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 先ほど西脇さんのほうからは、安全であるから原子力潜水艦の寄港については危険がないという意味の御発言がございました。特に危険がないということについていろいろお話がございまして、廃棄物の問題については冷却水の排出の問題で御説明がございましたが、われわれは、その危険性は単に冷却水の放出だけではないと思うのであります。たとえば今度の報告書におきましても、放射能を含む廃棄物についていろいろ述べております。これからも私は非常に大きな問題を投げておると思うのでありますが、特に原子炉の冷却水につきましても、沿岸から十二マイル以内ではいろいろ毎日分折をして、そしてさらに、ストロンチウムについては月別に分析し、一定の水準以上の場合は海中に放出してはならない云々と言ってはおりますけれども、たとえば使用済みイオン交換樹脂等につきましては、沿岸から十二マイル以上離れている場合には、船が進航中で、他船が周囲三マイル以内におらず、かつ既知の漁区内でなければ海中投棄してもよい云々と言っておるわけであります。日本のように沿岸漁業が盛んで、そして私どもは沿岸の魚介を食料として毎日のように食ぜんに上せておるわけでございますが、こういうようなことがよろしいと認められると、そしてまた、政府もそれを承認するということになりますというと、常に私どもは危険におびえなければならないわけであります。ことにイオン交換樹脂というものは、これは放射能を海綿にたっぷり含んだようなもので、たいへん危険なものだと私は思うのでございますが、これらの問題につきまして何ら安全措置について十分なる保証がこの報告書には与えられておらないと思うのです。こういう点につきまして私は西脇さんにお伺いしたいのは、これで放射性物質について万全の措置が講ぜられておるかどうか。特に日本のような海岸線の長い、しかも沿岸漁業の盛んなところにおいて、それだけのことがこれでもって安全であると言えるかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) 時間がございましたらちょっとお願いしたいと思いますが、私も先ほどその点につきましても議論したかったので、一応資料は用意してきておりますが、先ほどの御質問の要旨が、万一入港した場合の危険度と申しますか、安全度と申しますか、それについて御質問がございましたので、十二海里以上のことにつきましては、一応入港するとかしないとかいう問題とは無関係であると思いましたので、時に回答が冗長になることを避けるために、私資料を用意しておりましたけれども、先ほども申しましたように、スキップジャック艦上でのコングレス・ヒヤリングと申しますか、アメリカの原子力合同委員会の聴問会の報告に基づく以外に資料がございませんでしたので、一応それに基づいて話させていただきたいと思います。  その報告書によりますというと、一応使用済みイオン交換樹脂中に含まれる放射性物質というのが十二・五キュリー、一般に原子力潜水艦の交換は大体六カ月に一回であるということが指摘されております。それで、これにプラスしまして、もちろん一次冷却水のウォーム・アップに伴う膨張分、これは先ほど申しましたのは十五分値として年間をかけますと、月二回ウォームアップしますと約二、三キュリー・一回だけウォーム・アップしますと半分と、それから放射能が減ってきますので、実際上一年間の数値だけをまとめましても、何と申しますか、実際これだけたまるものでなく、どんどん減って参りますから、もう一つの参考資料として、どれだけ減るかという参考資料として、百二十時間値——百二十時間たつとこれだけ減るのだという価が同時に発表されております。それによりますと、その価を総計いたしますと約〇・一四二キュリー、約十分の一以下二十分の一近くに落ちるということになります。実際にこういった報告書を見ますというと、これは平均値でありますから、多少高かったり低かったり、そういったいろいろなことがございますけれども、大体平均値としては、この資料しか現在のところ論拠する価がないように思われますので、論拠にしたわけでございます。これを、資料をもとといたしまして原子力潜水艦が一隻当たり一年間に海洋に廃棄する放射性廃棄物の量を推定してみますと、約二十七キュリー乃至三十キュリー以下であるという工合に推定されます。このうちでも一番多く出ておりますが一回投棄量としましてコバルト六〇というのがかなり出ております。しかし、これは最大値と最小値の間にかなり変動がありますので、おそらくこれは、何と申しますか、一次冷却水の通っております管壁の金属それから不純物、そういうものが誘導放射能を帯びて放出しているのだと思いますので、このコバルト六〇は、場合によってかなり変動すると思われますが、大体こういう価です。それで太平洋全体にどれだけ放出するかという価を、この放射能の大きさというものをわれわれ比較する基準がございませんので、一応推定してみます。そうすると、非常にやかましく言われまして議論されまして、よくわれわれの頭に入っておりますのが、何と申しましても核実験によるフォール・アウト、放射性降下物でありますので、一体これがどの程度太平洋上に落ちているかということを推定すると、大体一九六一年の七月から一年間のわが国における測定データ、これは東京の測定結果で一平方キロ当たり六ミリキュリー、そして太平洋の面積を、これは理科年表にたよりまして一・六五かける十の八乗平方キロメートル——(1.65×108乗平方キロメートル)——約一億六千五百万平方キロメートルといたしまして推定いたしますというと約百万キュリー、それからこれに対しまするところの全放射能と申しますのは、おそらくストロンチウム九〇と、それから核爆発によって放出されるほかの放射能の割合から推定いたしますと、降下する時間によりましてその間に減衰がありますけれども、明確な価の推定はむずかしいのであります。約数億ないし十億キュリーが太平洋上に核実験の結果どんどん入ってきている。これに対しまして、現在アメリカで就航いたしております原子力潜水艦は三十数隻と言っておりますが、大体三十隻分近いものから一年間に太平洋上に放出されます全放射能が約九百キュリーこの九百キュリーの全放射能と数億ないし十億キュリー、これだけの相違がございますが、この数値に大体比例した危険度の感覚を持っていただけば大体けっこうだと思います。決して絶対安全だと言っておるわけじゃございません。大体相対的な危険度に応じた妥当な感覚を持って判断していただきたい。この分だけの危険はあるわけであります。しかし大体この程度。それから、念のためにハンフォードの原子力施設から放出されておる放射能はどれくらいになるかといいますと、全放射能が約数十万キュリーという工合に推定されております。大体この程度でありますけれども、しかし、御承知のように、イオン交換樹脂というのが、先ほど御指摘になりましたように、濃縮吸着したものであるというので、はたしてこれを海上に投棄した場合に、一体どのようになるかということは、はっきり申しまして、われわれといたしましても、非常に、つまりどういうことになるかということを知りたいところでございます。しかし、現在までのところ、それに対する資料が出ておりませんけれども、スキップジャック艦上の聴問会の報告によりますというと、これは十分に希釈される。生物学的ないろいろな濃縮しておるとかおらないとか、元素によって異なりますけれども、放射性物質の種類によりまして、そういったデータもそのうちには出るという工合に解釈しておりますので、われわれもそれを非常に期待しておるわけであります。しかし、それ以外の向こうから出ております従来のいろいろな記録と、それから、アメリカ原子力委員会が原子力潜水艦をも含めまして放射能の管理規定として通達を出しておるところによりますというと、一応やはりこの国際的に勧告されておりますICRPといいますか、国際放射線防御委員会の勧告案に準拠した線を守るべきであるというケネディ大統領のメモランダムとしてのフェデラル・ラディエーション・ガイドというもの、連邦放射線防御指針というものが通達されておりますので、おそらくそれを念頭に置いて放射性物質の太平洋上における廃棄ということ、あるいはその他の海域における廃棄というものをおそらく考えているのじゃないかと思います。しかし、具体的な指針として書いておりますのが、こういったウォーム・アップの場合は別ですけれども、御指摘になりましたような、イオン交換樹脂を廃棄する場合において人口稠密な港とか、それから港に近いところ、それからノウン・フィッシング・グラウンドと書いておりますけれども、既知の漁区というようなところで廃棄してはならないという指令が出されております。  したがいまして、ただいまの御質問にありますように、わが国としましては、海洋生産物というのは、非常に重要な意義を持っておりますので、十二海里よりも向こうというのを、何もアメリカだけの問題じゃございませんで、もしも、よその国も原子力潜水艦を持っているとしますというと、当然そういったものに対しましても同様に考慮を払っていただかなければならないことかと存じますけれども、この際、アメリカとこういう問題の起こっているときにおきまして、特にそういったわが国の、もしも重要なフィッシング・グラウンドというのが、明確に規定される場合におきましては、そういうところをできるだけ汚染してもらわないようにということを申し入れるということは、非常に重要なことではないかと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 私は今、イオン交換樹脂を十二海里以外のところに捨てる問題をお伺いしたのは、現実に横須賀あるいは佐世保に原子力潜水艦が入港して、しかも、この報告書に書いてあるように、十二海里以外のところなら、漁区あるいは船舶の近くないところなら、どんどん捨ててもいいと、これを承認するということになりますと、この日本の沿岸漁業に対して非常な打撃になるし、特に魚を食うわれわれにとりましては危険である、こういう観点からお伺いしたわけなんで、太平洋全体にばらまかれて、それがきわめて薄められるという問題の御説明を伺おうと思ったのじゃないのであります。私はその点で、この報告書に書かれていることで、われわれはイオン交換樹脂の廃棄を安全と考えられるかどうかということを端的にお伺いしたのです。これで安全だとお考えになりますか。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) イオン交換樹脂を投棄した場合に、どういう工合に生物圏を回りまして人体へ戻ってくるかという問題につきましては、資料がございません。ですから、何と申しますか、私が御説明申し上げましたのは、向こうのアメリカの規則を調べてみますというと、既知の漁区とか、それから、人間にそれが戻ってくる可能性の高いような場所においては投棄してはならないという規定になっておりますので、一応そういうところに投棄してないものと想定いたしますというと、こういうつまり結果が出て参りますので、申し上げたわけであります。したがいまして、わが国にもしも入港するとか、しないとかというような問題、立場に立って検討します場合におきましては、もしもわが国の重要なる漁区というものがありましたら、これはこの相手方に対してはっきりと通告をしておくということは、非常に重要な点ではないかと存じます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 そういたしますと、西脇さんも、この点については非常にまだ危険があって、アメリカ側のもっとはっきりした態度を示してもらわなければならぬ、こうお考えですか。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) 危険があるかないか、私どの程度危険であるかという判断は、資料がございません。ないということは、たとえば広島、長崎の原爆とか、あるいはビキニ原爆の汚染とか、そういうものと同じようであるということは全然違いますので、現在私として入手し得る限られた資料から判断いたしまして、どういう工合に回ってくるかということが明確にはわかりません。しかし、それはすなわち非常に危険であるということは少し趣旨が違う……

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 いや、今の点ですがね、私は何も、イオン交換樹脂の廃棄をビキニの水爆と比較してあなたに聞いているのじゃないので、私がお伺いしたのは、そういう点さえ明らかになっておらぬのに、少なくとも放射能を非常に含んでいるイオン交換樹脂がそこいらにまかれて、日本の沿岸にまかれて、そうして魚が食って、それをわれわれが食うという危険があるのじゃないか、その点についても、あなたもまだ資料がないからということですけれども、先ほど湯川さんも言われましたように、日本は汚染の問題については相当権威があるわけであります。そうして、その権威の方々が研究しているわけでありまして、私どももその話は聞いております。そういう観点から私は御質問申し上げたのです。ところが、まあ今のようなお話で、私は納得いきませんけれども、もう一つ西脇さんにお伺いしたいのは、西脇さん、最近アメリカからお帰りになったのですが、アメリカでは今、軽水型の原子炉の安全性についてアイダホでもって大がかりに実験をやることを計画しておられます。これは御存じだと思いますが、西脇さんのお話からは、原子炉というものは、もう十分安全なものという印象を受けたわけでございますが、そうだとすれば、原子力潜水艦が積んでいるという原子炉と同じ形式に含まれる型の原子炉の暴走破壊的実験を今ごろアメリカがやるというのは、少々おかしいように思うのですが、この点は一体どうお考えになりますか、その点をお伺いしたい。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) これはむしろ西堀先生の御専門になるかと存じますけれども、こういった原子炉を少しでも変えます場合において、何と申しますか、どの程度危険であるか、どの程度むちゃなことをやっても安全であるかということを試験するということは、これは非常に重要なことだと思います。従来からもアメリカにおきまして、スペルトのシリーズの実験とか、いろいろたとえばあるいは研究用原子炉として使っているような型のものでありましても、これが普通の状態では大事故には至らないというようなものでも、わざわざ炉心部の圧力をうんと増してそうしてどうなるかというような研究は行なっておりますけれども、これはこのこういった研究面といいますものは、放射線の安全を確保するという意味からは、何と申しますか、できるだけ実験することが、これが必要だと存じます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 このアイダホで前にSL−1原子炉が事故を起こしまして、作業員が三人死亡したことが伝えられております。この点につきまして、原因は最終的に判明したのですか。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) 最終的に判明したと申しますか、判明というのにも程度がございますけれども、一応原因となるところの推定はつけまして、現在のところ、三本の映画が日本にも来ておりまして、SL−1のフェイズ1、フェイズ2、フェイズ3という映画が来ております。ちょうど私向こうから帰りまして、放射線防御関係の者の集まりの保健物理協議会というのが日本で行なわれておりまして、原子力研究所で総会がございまして、私も講演を頼まれまして、そのあとでフェイズ3の、一番新しく来ましたSL−1の事故解析の映画というものが示されましたが、その結果によりますと、少なくとも私がその映画を見て判断いたしましたところでは、かなり明確になっておるように存じます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 それじゃ西堀さんに最後に一つお伺いいたしますが、今日本の佐世保とそれから横須賀にアメリカの原子力潜水艦の寄港を求められておりますが、西堀さん以外の方々は、これについてなお安全性の問題に関する十分なる資料がないということで、かなり寄港に対しまして、今の段階において望ましくないという考え方、もっと明らかにしてからという考え方、いろいろございますが、西堀さんは、すでに現在の政府の中間発表程度でこの原子力潜水艦の入港を認めてよろしい、こういうふうにお考えかどうか、その点を明らかにお伺いしたいと思います。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) 西堀さんですか。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 いや、西脇さん。間違えました。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) 私、西堀さんに対する御質問かと思いまして、つい……。(笑声)

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 どうも名前が似ているもんで。じゃ、もう一度やりましょうか。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) いや、もしも見当がはずれておりましたら、御指摘願いたいと思いますけれども、はっきり申しまして、何と申しますか、私が議論いたしましたのは、この原子力潜水艦が入るとか入らないとかということのために、入るのに賛成であるとか反対であるとか、そういったこととは離れまして、技術的に一応私の入手し得る資料に基づきまして、安全性といいますか、危険性の幅というものを推定してみたわけであります。ですから、この入る入らないということは、あくまでも政治的な観点から十分御検討していただきましておきめ願いたいと存じます。しかし、もしもしいてその点に関して、何と申しますか、答えろとおっしゃいますならば、この中間報告との関連において答えろと言われますならば、この中間報告の第一項に書いておりますように、「米国原子力委員会及び原子炉安全審査諮問委員会は原子炉の安全性と核推進装置の運転について厳重に審査し承認している。」という一項がございます。したがいまして、まあこれは科学的にはたしてどの程度審査しておるか、それから、どういう機構に基づいてどういう点までを限度として審査しておられるかというような詳細な点がありませんので、技術的な観点から、これについて云々として批判することは、われわれとしてはできないわけでありますけれども、しかし、これだけから見ますというと、要するに、われわれとしてアメリカの原子力委員会に信頼するかしないかという点にかかっておるのじゃないかという気もいたします。たとえば、わが国においていろいろな原子炉が建設になったとき審査しておりましても、何と申しますか、その基礎となるもう一つたとえデータが提示されておりましても、その基礎となるもう一つのデータと申しますのが、たとえば中性子に対するいろいろな物質の断面積とかいろいろなデータを使わなければならぬわけでありますけれども、その全部とは申しませんけれども、かなり多くのデータというものが、やはりアメリカの原子力委員会関係で出されておる、あるいはアメリカの科学者、技術者によって出されておるデータをどうしても信頼しなければ安全性というのが審査できないと思われますので、ですから、どこまで信頼するかということにかかっているのじゃないかと思います。全然信頼しないという態度をとるのか、それともどの程度までを信頼するのか。ですから、この文章だけから申しますと、これには基礎的データというのが付随しておらないわけでありますから、われわれ技術的な立場から、このこと自体につきまして云々する資格はございませんけれども、要するに問題は、日本政府としてアメリカを信頼しないかするかというところにあるのじゃないかと思います。(笑声)

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 私は「米国原子力潜水艦について」というこの中間報告だけで、この中間報告で、あなたの見解では寄港を認められるかどうかということをお伺いしたのですけれども、どうも私にはあなたの態度というのがはっきりのみ込めませんが、どうもただこれだけではまだ足りないというような印象を受けたのですが、そうでしょうか。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) このデータだけと申しますよりも、このデータの基礎となっておると思われる資料を資料に、関連資料に基づいて判断したところでは、一般に現在のところ騒がれておるほどの、この原子炉に関する限り、それほどの大きな危険性というものは、おそらくたとえば広島の十倍の放射能がたまるといったような感覚から判断するような危険性というものは伴なわないのじゃないかという工合に感じます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 そうすれば、寄港を認めてもよろしいという結論でございますか。

西脇安東京工業大学教授

○参考人(西脇安君) 申しわけございませんが。(笑声)

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 もう時間がございませんので、ただ湯川さんに一、二の質問だけお聞きして私の質問を終わりたいと思いますが、これは御存じだと思いますけれども、六月八日に京都の宗教家とかあるいは学者、そうした方々六名の方の——その中には湯川さんが入っておられました——呼びかけというものが発表されまして、やはり国会としても、国会議員としても、こういう点だけははっきりしておきたいと思いますので、お聞きしたいと思います。  まず第一は、アメリカ原子力潜水艦はわが国の原子炉安全審査の規制を受けないから、その寄港は原子力基本法に反するものである、こういうふうに書かれておりますが、それは私は重大な問題だと思いますので、この点についてまずお聞きしたいと思います。

湯川秀樹京都大学基礎物理学研究所長

○参考人(湯川秀樹君) その点、私はなはだ無責任のようでございますけれども、その正確な文章は私は今聞きましたのが初めてで、私の名前が入っておるのに知らないので、はなはだ無責任でありますが、私はそれにつきましては、皆さんが先ほどからずっと申しておられますように、日本側として自主的に安全を確認した上で入港を認めるなら認める、認めないなら認めない、あるいはそれがどうしてもできないならば、これは最後には政治的判断になるわけでありましょうけれども。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 しかし、今の問題になっておるアメリカ原子力潜水艦の寄港については、ただ軍事秘密であって、アメリカの国内法で規制されております。で、日本の政府の回答を見ましても、この問題については、国際慣例上日本政府としてはどうもできない、こういうことになっております。そうしますと、原子炉の安全審査と規制を受けるのがこれは基本法の建前になっておりまして、そうしますと、アメリカの原子力潜水艦が日本に入港するということは明らかに日本の原子力基本法に反するのじゃないか、こういう疑問なんです。

湯川秀樹京都大学基礎物理学研究所長

○参考人(湯川秀樹君) 私もそういう疑問を持っております。しかし、国際条約との関係は、私にははっきりわかりませんから……。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 これは原子核研究所長の野中教授にお伺いします。三月十一日の日本学術会議の勧告によれば、今伝えられている原子力潜水艦の日本寄港は一時的な原子炉設置と同様に考えられるがと言っております。ところが、この間の外務省の中間発表の安全対策第四項の寄港目的のところに、「寄港の期間や頻度は将来のことで今から予想できないが期間は通常の艦艇と略々同様大体一週間前後でその頻度は概ね一カ月か二カ月に一回程度であろう。」と言っております。これは入港する潜水艦の隻数にも大きく関係があると思います。たくさんの潜水艦が来て、たくさん泊まるということになると、たいへんな関係がある。もしたくさんのものであれば、一時的な寄港というのではなくて、恒常的な原子炉の設置と同様に考えられることにはならないかどうか。安全性の検討を行なうことはいよいよもって不可欠の要件になってきはしないか。したがって、また、この勧告の内容をもっと強化する、一時的ではない、恒常的ではないかということにならないのかどうか、物理学者として御意見をお伺いします。

野中到東京大学原子核研究所長

○参考人(野中到君) たいへん物理学と関係ないようなことなんですが、おそらく基本法等とも多少関係があるのじゃないかと思いますので、むしろ法律的な問題かと思いますが、一時的に設置したのと同じであるかどうかという法律上の解釈は、私にはできませんので、これは法律の専門家にやっていただかなければいけません。現実にそこに原子炉が、ある期間あるということは、これは動かすことのできない事実でございますから、一隻が一週間ずつおって、出ていくと同時に次が入れば、ある意味で常に一隻はそこにおるという意味では恒常的と言ってもいいかもしれませんけれども、しかし、それは同じものがおるのじゃございませんから、法律的に恒常的におるのであるという解釈になるかどうか、私にはちょっと物理学の定義とは違いますので、責任を持ってそこのところは判定しかねます。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) それでは、他に御発言もないようでございますから、参考人の方々への御質疑は、この程度にとどめたいと思います。  この際、委員会を代表いたしまして、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。本日は、御多用のところをおいで下さいまして、長時間にわたりまして種々御意見をお述べ下さいまして、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。  それでは、本日の委員会は、これをもって散会いたします。   午後五時二十五分散会

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