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43回国会参議院1963/02/12

外務委員会 第4号

発言数
93
登壇者
8
会派数
3
開催日
1963/02/12

会議録

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) これより外務委員会を開会いたします。  本日は、まず理事の補欠の互選をいたしたいと思います。  去る二月八日に理事の鹿島守之助君が委員を辞任されましたので、その理事の補欠を生じておりますので、理事を互選したいと思います。互選の方法は、慣例によりまして委員長の指名に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) 異議ないと認めます。それでは長谷川仁君を理事に指名いたします。   —————————————

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。  本日は、大平外務大臣が御出席になっておりますので、まず、当面の国際問題等につきまして大臣から所信を承りたいと思います。提案理由等につきましても、加えてお願いいたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) 速記をつけて。大平外務大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 当面の外交方針でございますが、今国会再開にあたりまして、外交演説で、日本外交の回顧と展望を、国連外交、二国間外交、経済外交、移住等の順序で申し上げたわけでございますので、本日は、外交演説がありまして以後若干新しい問題が出て参りましたので、それらの問題数点につきまして、私どもの考え方を御報告申し上げたいと思います。  一月二十五日にビルマ賠償の再検討条項に基づく交渉が一応の妥結を見まして、目下協定作案中でございます.でき次第、国会の御審議をわずらわす予定にいたしております、この賠償再検討交渉はずいぶん長い間続いておったのでございまするが、ビルマの政変等がございまして若干延びておりましたが、本年に入りましてオン・ジー准将に率いられましたビルマ政府の代表団が来日されまして、数次の折衝をやりました。先方の言い分は、私どもが考えておりました純賠償——これを今度は無償協力という形でやることになっておりますが、それと経済協力、すなわち普通の借款による方法と、両方合わせて二億ドルというところでやろうじゃないかという基本においては一致いたしたのでございますが、普通の借款はビルマの経済の組織、あるいは経済の発展の段階から申しまして、償還が非常に困難であるということで、もう少し思い切った低利でないといけないという考え方でございました。しかし、私どもとしては、低利借款をビルマに認めますと、その他の国国に対しても与えなけりゃならなくなりまするし、ただいまの国内の状況から申しまして、にわかに応諾いたしがたいということを先方にもるる御説明申し上げたのでございますが、それならば、できるだけ無償経済協力をふやしてくれという要請がございまして、できるだけその要請に応じまして一億四千万ドルの十二年間均等供与ということで無償経済協力をやる。この始期は一九六五年の四月一日だ。すなわち現行の賠償協定が満了した日から、その翌日から新しい再検討条項に基づく協定が発効する。こういうことにいたしたのでございます。  それから、有償経済協力、普通借款のほうは三千万ドルにいたしまして、合わせて一億七千万ドルでございますが、二億ドルより少なくなっておりますが、これは無償経済協力のほうをふやしました経済的メリットを計算いたしますと、当初の二億ドルを有償、無償の抱き合わせでいたすのと、経済的なメリットが同一だという建前をとりまして、先方もそれで応諾されたわけでございます。そして目下協定はラングーンで交渉中でございます。そのやさき、団長で参りましたオン・ジー准将が公職を一切辞するということが起こりまして、私どもも憂慮いたしたのでございますが、この賠償再検討の覚書というものに対しましては、その運命に対しましては影響がないものと考えております。なお、有償経済協力につきましては、今年からビルマの七カ年計画というものが始まっておりますので、現行賠償が満了するまでを待たずに動かし得る体制にいたしたいと考えております。  それから、一月の二十九日に英国のEEC加盟交渉がブラッセルにおきまして一頓挫を来たしました。で、この点につきましては新聞等でいろいろ論評されておるわけでございますが、私どもといたしましては、このように見ております。これは加盟交渉が完全に失敗に帰したと言うは早計じゃないか、これは一応一つの中断と見るのが妥当じゃないか。なぜならば、英国も断念いたしておりませんし、EEC加盟国すべてが断念したとは言っておりませんし、当の反対をいたしましたフランスにおきましても、これは延期であるのだということを言われておるところから見ても、そう言えるわけでございまするし、EECという共同市場を結成する空気は、結成に動いた背景、理由というものが消えたわけではございませんので、私どもは一応中断と見ておるわけでございます。それで英国は非常な衝撃を受けたわけでございますが、英国がこの事態に当面してどういうことをやるかということは、まださだかでございませんけれども、しかし、日本との関係は、EEC加盟が頓挫したということによって悪化するというより、むしろ日本との接近を深めてくるのではなかろうか。幸いに通商航海条約も署名を終わっておりますので、それで英国の議会ではすでにこれを批准いたしております。したがいまして、これを基盤にいたしまして対日接近はますます強くなってくると思います。去年一年を見ましても、英国と日本との貿易は五割六分もふえている趨勢にございます。一段と活発化してくると思います。アメリカは今度の措置についてたいへん失望を感じたには違いありませんが、しかし、そうして通商拡大法でもくろんでおりましたEEC条項、すなわち英国を含めたEECとアメリカとを加えた輸出額が、全世界の輸出額の八割以上を占める品物に関税をなくしようという、そういう大きな政策を掲げておったわけでございますが、英国の加盟が頓挫したとなりますと、その八〇%条項にかかる品物は、航空機その他一、二の品物にすぎませんが、実際上いわゆるEECの条項を発動するというような対象を失ったことになるわけでございまして、アメリカの衝撃は大きかったと思うのでございます。しかし、そういういうことになりました以上は、やはり原則に返りまして、関税一括引き下げ交渉という場を通じまして、通商の拡大ということに進むものと思いまするし、米国と日本との関係は、英国と日本との関係で申し上げましたように、一そう緊密化してくることになるのではないかと思っております。  それからEEC加盟各国に対しまして、私どもは今二国間交渉を通じまして、三十五条援用撤回並びにそれに伴う善後措置につきまして、鋭意交渉を進めておりまするが、英国加盟中断によりまして、そのこと自体は影響を受けないわけでございます。ベネルックス三国とは近く妥結に至る見通しでございます。フランスにつきまけても、遠からずそういうことになるものと期待いたしておるわけでございまして、既往におけるEEC加盟各国に対するわが国の姿勢は少しも変化がないわけでございまして、したがって、この英国のEEC加盟の頓挫を来たしたという事態は、わが国経済外交にとりまして、そう深刻な影響はないものと見ております。  それから、二月の六日に米国の国防次官ギルパトリック氏が来日されまして、総理、私、志賀長官等と会談いたしまして、これはアメリカ政府の要人の定期的な同盟国訪問の一環でございまして、キューバ事件以後のアメリカの外交政策、防衛政策、それから特に英国のEEC加盟中断後のアメリカの自由圏に対する協力態勢というものは不動であるということをるる御説明を伺ったわけでございます。あわせてアジア情勢について情報、意見の交換をされたわけでございます。そのときも断わっておきましたように、日本の防衛力増強について具体的要請というようなものはございませんでした。  それから、二月七日にIMFの八条国移行の勧告が出されまして、大蔵大臣から、政府のとりあえずの見解はお示しがあったわけでございました。日本は受諾するという方向をきめたわけでございますが、これからの問題は、ガットに移りまして、自由化にどういう順序で進んで参るかということの協議になるわけでございます。その場合に、ガットのウエーバーを求めるという方向をとるか、それとも自由化リストを作りまして、二国間または多国間の協議に応じて参るか、そういう方法論につきましては、まだ政府できめておりません。明後日、経済閣僚懇談会でジュネーヴから帰りました青木大使も含めまして相談をしようと思っております。その結果は、いずれ発表されることになると思います。八条国移行に伴うもろもろの問題点についての見解は、大蔵大臣の談話に示されたとおりでございます。  それからきのう産業人との会談で、池田総理が日本のOECD加盟の問題に触れておられますので、委員各位にも御関心があろうと思いすまので、OECDの日本加盟につきまして私どもの考えておるところの手順を御披露いたしたいと思います。去年の秋総理訪欧の際に、各国に対しまして、日本のOECD加盟の希望を表明いたして、各国とも好意的な意向であったということはすでに申し上げてあるとおりでございます。わがほうとしては、基本的には全面加盟を希望いたしております。関係各国もわがほうの立場をおおむね了解しつつあるものと考えます。で、英国のEEC加盟交渉中断によりまして、関係諸国によるわが国の加盟問題の非公式審議はややおくれておる模様でございますが、主要各国の基本的立場にはこのために変化を来たしたものとは思っておりません。今後の進め方といたしましては、まず、OECD側において、日本の加盟に原則的に異議のないことをはっきりしてもらう必要がございます。そのために、もしわがほうから全面加盟の希望を文書で表明せよということであれば、文書を出してもいいと考えております。その時期は、きのう総理が言われましたように、一応三月か四月ころになるだろうと考えております。そうして、そういう段取りになれば、その次には、加盟に伴う詳細な条件、権利義務等をOECD側から正式に通報を受けまして、かつ、それが受諾について、先方との間で非公式に検討を進める必要がございます。そういった予備的な話し合いが済んだあとに、OECD理事会が全会一致で日本に対し加盟を招請するという段取りになると思います。この全会一致というのは、棄権は認められますけれども、反対がなければ棄権はいいという前例になっておりますから、もしOECDの全面加盟が認められますと、わが国としては、世界の先進工業国を包含した機構の中で発言権を取るわけでございまして、かつ、関係諸国の日本の事情に対する認識と理解、信頼感を一そう増大せしめて、自由諸国の一そうの団結に資することができると思います。特に今DAGに入りまして、低開発圏の援助だけでOECD機構と関連を持っておりますけれども、本体になる、貿易政策とか経済政策とかというような本体の委員会でヴォイスを持っていないという実情は解消されることになるわけでございまして、大きな意義があると考えております。  それから最後に、二月八日にイラクに革命が起きまして、革命政府に対しまして主要各国が続々と承認をいたしております。わが国は、去年の六月、イラクに駐割いたしておりました八木大使が先方の退去要請で帰ってきたわけでございます。それはクェイトと日本との間に外交関係を結んだということに対する反撥的な行動であったわけでございます。そういう問題があって、八木大使は今東京におりますけれども、当時同じ運命にあいましたアメリカがきょう承認したようでございまして、わがほうといたしましても事態を検討中でございますが、近く承認する方向で今検討しているという段階でございます。  以上、外交演説以来起きました主要な問題についての、さしあたり私どもの考えていることを御報告申し上げたわけでございます。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) ただいまの大臣の所信につきまして、御質問があります方は、どうぞ順次発言を願いたいと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 日韓問題についてお伺いしますが、請求権あるいは漁業問題、韓国人の法的地位の問題、竹島の問題、いろいろ諸懸案がありまするが、この懸案の重要性というのは甲乙がないのだろうかという点が一つと、やはり今でもこの諸懸案は国民の納得のいく内容で一括して同時に解決するのだという方針には変わりはないのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりに考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そこでこの竹島問題について伺いまんが、どうも政府は請求権と続く漁業問題にはたいへん熱を入れておるが、竹島の問題、領土権の問題、これについてはどういうものかわきに置いておくような、軽く見ているような感じがするのですが、これはこの会談で解決しようとするのかどうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 森先生が冒頭に言われましたように、各懸案に軽重の別はございませんで、すべての懸案を同時に解決することができなければ国交の正常化というものはあり得ないという基本的な立場に立っております。それで問題は、どういうことを解決と言うかという問題であるかと思うのでございまして、竹島につきましては、私どももすでに本国会を通じて申し上げておりますことは、この帰属をめぐりまして争いがあるわけでございますから、これを、今まで国境紛争問題について審議、判決をいたしました実績を持つ、能力、信用を持たれておる国際司法裁判所に当方は提訴する、それで先方はそれに応訴していただくということが一番すんなりした解決ではなかろうかということで、先方に非公式に御提案申し上げておるわけでございます。先方の意向はまだ公には表明されておりませんけれども、一応非公式の段階で伺ってみますと、まあ国際司法裁判所に提訴し応訴するという原則は考えられることであるけれども、それより前の段階で、第三国または第三者に調停を頼むということも考えられるじゃございませんか、そしてそれがととのわない場合にひとつ国際司法裁判所に提訴するということを御相談したらどうですかというような考え方が一応非公式にあったわけでございます。それ以上の進展はまだ見ていないわけでございます。私のほうといたしましては、竹島の帰属を国交正常化までにはっきりさせるということはやっぱり望ましいことでございますけれども、私もどが言う解決というのは、少なくとも帰属をきめる方法について双方があとでもんちゃくが起こらないようにすっぱりとした合意があるということが最小の要件じゃなかろうかという考えで進んでおるわけでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 解決というのは、私は政府がよく同時一括解決と言う語感ですね。日本人の常識的な理解、それから表現から見て、これであとに問題を残さないのだというのがどんぴしゃりですね。通俗的に言ういわゆるどんぴしゃりの解決が政府の解決ではないか、解決という言葉のほんとうの意味とだ思うのですが、だんだん聞いていると、どうもどんぴしゃりでなくて、問題をあとに残す、ただ解決の方法をこの際きめておこう、これでは今までの政府の方針とは違うのじゃないか。小坂前大臣は、この竹島問題は国交樹立の前提である、そして、あなたが大臣になってこれを裏づけて、その方針は守っていくのだ。ところが、今のお話によると、なかなかむずかしい、むずかしいから後日に解決を残すが、解決の道だけはこの際つけておくというのでは解決にならない。それが一つ。それから、大臣が帰属ということをおっしゃるが、私は帰属という言葉が非常に気に食わないので、そんな宙ぶらりんでどこのものだかわからないというような問題でなくて、これは日本のものである。したがって、今起こっている事態というものは不法な占拠であるから、撤収を——少なくともあそこにいるものは下がって、事実上日本のものであるという姿を示すと同時に、言葉によって、あるいは効力のある方法によって、日本のものであるということを言うのがわがほうの態度であるべきだが、大臣の帰属々々と言うふらふらしているような態度では、竹島問題はとんでもない間違いじゃないか。どうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 竹島問題の解決ということが国交正常化の前提であるということは堅持している方針でございます。問題は、先ほど申しましたように、どういうことを解決と言うかという問題でございまして、国際司法裁判所に提訴し、応訴いたしましても、それから二年ないし三年慣例上かかっているのでございまして、私は、少なくとも解決方式につきまして、あとからもんちゃくの起こらないようにしておかぬと国民に申しわけがないと思っているわけでございます、森先生のおっしゃるように、どんぴしゃりと片づけてしまえということはごもっともでございますけれども、わが国としてはわがほうに言い分がある、先方には先方の言い分があるというわけでございます。国際問題でございまするから、紛争があるということは事実でございますので、われわれはわれわれの確信に立ち、先方は先方の確信に立っていることに間違いはないにいたしましても、これは何とか落ちつくところに落ちつけなければならぬ、その方法について一切の疑義が起こらぬようにしておく必要があるというように考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 大臣がふわっとしたような答弁をするともっともらしく聞こえるが、それは違うので、政府が解決すると言ったならば、国民は、ああそうか、こっちのものになるんだなと、こういうふうに思っているのだが、ただその行き道をこの際きめておくのだ。その先に行ってどうなるかわからない。そうですね。どうなるかわからない、相手のあることだ、これでは私は従来の政府の方針が変わったと思う。ところで、あの竹島には、講和条約が発効後、アメリカ軍が日本にあそこを行政協定によって演習場に貸してくれ。そこで、それを五十二年に提供して、五十三年に多分返してくれたと思うのですが、そのときの協定文書はありますか、竹島を射撃場として使うという協定文書があったはずですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 調べまして申し上げます。

中川融外務省条約局長

○政府委員(中川融君) ただいま森委員の御指摘になったような事実がかってあったわけでございます。したがって、アメリカからこれを演習場に使うという申し出がありまして、日本はこれを受諾し、その後さらに演習場を解除するという向こうから申し出がありましてそのとおりになっている。かような事実があるわけでございます。したがって、その当時当然何らか文書の往復があったと思います。私どんな文書があるか存じませんが、まあそういうことはあっただろうと推定いたします。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 アメリカが条約に従って交渉相手国日本に向って射撃場を貸してくれ、供与してくれという文書を出しておれば、平和条約の起草者でもあり、イニシアチブをとったアメリカのこの態度で問題なく韓国も世界も——世界ともは言いません、関係国は明々白々にわかる。日本領土だとわかると思うので、向こうは不法占拠である。大臣がおっしゃるように、向こうには向こうの議論がある。こっちにはこっちの議論があるので研究しなければ帰属がわからぬというようなことは間違いなんで、これははっきりとした日本の領土であるということが確認されていると思うが、大臣はどうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) われわれのほうにはわれわれのほうの言い分があるわけでございますが、現に竹島の問題というのが両国間の懸案になっている事実もまたあるわけでございまして、それをどのように調整して参るかという仕事が私の仕事になっているわけでございまして、私どもとしては、先ほど私が申し上げたような仕組みで解決をはかりたいということでせっかく努力いたしているところでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 アメリカはこの間に処して傍観しているような感じがするのですが、当然アメリカとしては、韓国よそれは君間違いだ、行政協定によって話し合いをしているのだから、君の領土主張はそれは行き過ぎである、間違いであるということは当然言ってしかるべきものだと思うが、どうなんです。これはこの外務委員会で、皆さんから、どうもアメリカはあそこをてこにして日本の感情が激するのを待って防衛努力をさせるのだというような臆測をした質疑もあったわけであります。当然アメリカはこのときに、あるいはその後でも、簡単に言えばすぐはずれるものだ。これがなぜ行なわれていないのか、頼んだことがないのか、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 竹島問題については、アメリカ側から折衝があった事実は少しもございません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 先ほど第三者の調停ということも提起されておるという話ですが、この第三者というのはどこですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 特定国はメンションいたしてございません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そういう行政協定という、自民党が鬼の首でも取ったように言う協定、それに従って行なわれた話し合い、その相手国アメリカ、それがちょっと一言口を開けば、めいめいでこんなむずかしい交渉も要らないと思うのだが、おやりになるつもりはございませか、アメリカ政府に向かって。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 今の件は日韓の間の懸案でございまして、日韓の間で片づけるべきものだと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 日韓の間で片づけると言いながら、片方では、国際司法裁判所で第三者の公平なる国際機関によってひとつ判決を求めようじゃないかというのでは、これは二国間ではないのですね。世界の全裁判官に聞いてみよう、これは大臣の言葉は間違いだと思います。ところで私は、あくまでも一言向こうに言わせればすむものを、なぜ黙っておるか、はなはだ不満足であります。これからぜひやってみることが大事だろうと思います。もう一ぺんしつこいようですが、そのお気持は起こってきませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) あくまでも日韓の間で片づけるべき問題だと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 国際司法裁判所に提訴することは、向こうとの非公式な折衝で取り下げるつもりですか。この態度は、提訴しようという方針を、昭和二十九年の口上書で申し入れたあれを取り下げて、第三国ないしは第三者のあっせんに期待しようという気分がてきましたか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先方もそれを否定しているわけじゃないのでございます、それより前に、第三国または第三者の停調を頼む道があるじゃないかということを示唆されておるのでございまして、国際司法裁判所によって判決を仰ぐという原則を、それは頭から問題にならぬと否定しているわけではないと思います。また、私どもとしても、その原則を取り下げて、また考え直すというつもりはございません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 第三国のあっせん、第三者のあっせんという問題について伺いますが、この国際司法裁判所に提訴を自民党政府が決意したときの事情は、問題の性質上第三者のあっせんを期待するのはむずかしいので、国際司法裁判所に持ち出そう、こういうのが当時の政府の方針であった。これはそこに書類がありますから、昭和二十九年の口上書の一番冒頭の第一チャプターのところに出ております。むずかしいので第三者へ持っていくのだという問題についての外務大臣のお考え、韓国側の示唆するところのお考えがどうかという、もし第三者、それもなぜむずかしいと思われた第三者のあっせんが今度はやさしくなるのだろうかというお見通しを、あわせてお伺いいたします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私は今まで竹島問題についてどういう経過をたどってきたのか事実を申し上げたわけでございまして、非公式に私どもはそういう提案を申し上げ、先方は先ほど申しましたような考えでどうだろうという非公式の話し合いがあった程度でございまして、それの評価はまだ私どもきめているわけじゃないのでございます。森委員に対しまして事実の経過だけを話したわけでございます。第三国または第三者の調停をどう思うかというようなことにつきましては、これはとくと検討してみなければならぬ問題でございまして、政府はどう思うということを申し上げる段階ではございません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、依然として国際司法裁判所の提訴のあの方針は変えないでいく、向こうからの示唆は検討中だと、こういうことですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) さようでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そこで国際司法裁判所の提訴の問題ですが、私は一体政府は本気にこの領土問題を向こうに持ち出したのかどうかに疑いを持つ。向こうは国際司法裁判所の当事国でもないし、これを裁判所に持ち込むには合意も必要とするが、その合意などというものも取りつける見込みもないのにこれを持し出したというのはどうも納得がいかない。しかも国際司法裁判所の判決というのは、判決を受諾し、これを守ることを約束はするけれども、その履行についての保証というのは御承知のようにないわけですね。誠実に義務は守りますと言うけれども実際やるかやらぬかどうなんだということは、そこまでは国連憲章の第九十四条でも強い力を持っていない。そういうところに持ち出したという真意は、私は問題をたな上げする、こういうことにあるのじゃないかと思うがどうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国交正常化すべしという立場に立ちますれば、その前提になるもろもろの懸案を処理していかなければならぬわけでございまして、そして、それは最後に双方の合意に達したことに対して、双方のその責任において合意されたことを保証していく信頼がなければ、もともとこういうことは成り立たないわけでございます。私どもは相互の信頼の上に立ちまして、正常化の前提に横たわるもろもろの問題につきまして、すっきりとした合意に達してその結果を保証するというようにいたさなければならないと考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 またこれを二十九年の最初の申し入れたときの政府の態度、外務省の態度だけれども、韓国側の主張というのは、歴史的文献を誤解し、歪曲し、国際法の認識を欠如して……こんな国際法の認識の欠如というのはないということですね。欠如してしかも歴史を歪曲し、誤解し……こんな相手と何で裁判所で話ができるのですか。だから、私が言うのは、政府は一体本気に問題を司法裁判所の場で片づけるつもりがあるのか。ちょっと体裁のいい、日本は法律を守るような法治国、総理が好きな法治国であるというだけの芝居じゃないのですか。もっと真剣ですか。韓国は必ず受ける、受けさせてみせる、こういうつもりがあって出すのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 誠心誠意相談をいたしまして、すっきりとした合意に達したいと思っています。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 一体裁判に出すときには勝つつもりで出したのでしょうね。その確信を伺いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私どもは私どもなりに十分の理由を持っておるわけでありまして、そういう場面になりましたら、当然わが国の主張は堂々と主張しなければならぬと思っております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 主張はわかったのですが、最後はデシジョンが大事ですから、どういう決定がなされるか、これは当然われわれは勝てると思っていなければ、出してみて、負けるかもしれないが出してみようなんということではだめなので、どっから来ても勝てる。法理論的に、事実的に勝てるという確信がなければならないが、その両面の確信がおありですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それ相当の理由を持ちまして、確信を持って臨まなければならぬと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 どうも私があなたの確信を作ってやったような感じがするのですが、(笑声)大臣、裁判なんというものは勝てるつもりで出して負けたりするものですよ。(笑声)ことに法理論など、また両国の主張する文献などを見ると、私のようなしろうとでも問題が多いなと思います。あなたが請求権の実態をつかみにくい以上に、なかなかこれはむずかしい問題があるので、あそこの場では政治的に問題を見ませんから、純粋に法律的に裁判所というのが裁判したときに、勝てるかもしれないが勝てないかもしれない、こういうことも考えなければならぬ。ところで、もし日本は判決でそれは韓国のものである、こうきまったときには、大臣は裁判所の判決は誠実に守りますと言うのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 誠心誠意、確信を持って処理せにゃいかぬものだと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 これは歴代の政府は、竹島というのは一握りの島だ、そしてむずかしい問題だ。面子にかかわる問題でもあるのでむずかしいので、ともすれば、同時解決ということは言いながらも、なるべく批判を浴びないように、息をしないでふろの中に入っているような格好でじっとしている傾向があるのですね。もし裁判にかけ、そして負けた。政府は、これは韓国のものである。国民はそうとうなずくか。おそらく国民はこれに対して反対をすると思う。そこまでを含んで臨んでおられるかどうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国際司法裁判所の公正な判決を求めるというようにしたいものだというのが、ただいまの私どもの気持でございます。それを先方に提示して御考慮を願っておる段階でございます。それからどのように発展して参りますか、最終の段階がこうであればどうだというふうな御質問にたいしまして、今私がすべての先を見通して断定的なお答えを申し上げるということは、ちょっと差し控えさしていただきたいと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それでは締めくくりをいたしますが、政府がわれわれに、国会その他公の場で、一括同時解決と言ったときには、最終的な、もうあとで問題の起こらないような解決がされるように思わせておったけれども、竹島に関する限りはずれまして、これを除いて一括同時解決、これは後日に話をする、解決の方法をこれから相談しようということにだいぶ頭が傾いているようで、これは同時解決に入らない。ちょうど歯舞、色丹は日ソ平和条約が結ばれた暁には現実に日本に引き渡す、ああいうような方式で問題を後日に残す、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 後日にもんちゃくが起こらぬように、帰属をきめる方法につきましては、すっきり合議しておきたいということでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 だんだんやわらかく、大臣がよく使うソフトという言葉がありますが、ソフトですうっとこれを落としつつあるというのが現状だと思うので、私は政府の一括同時解決は、竹島問題の一観からくずれたものだというふうに了解をいたして、私の質問は終わります。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 日韓問題にしぼって若干伺いたいと思います。冒頭に申し上げておきたいのは、われわれは日韓の交渉を進め、懸案を解決し、そして国交調整に努力する。ただ、それには、今、森さんの触れられたような懸案の一括解決、それから、むろん内容的にも請求権問題その他について、竹島問題あるいは李承晩ラインの問題、朝鮮人の日本における地位の問題等、内容においても合理的な解決が心要である。それから、経済協力は原則としてけっこうであるけれども、軍事的な協力は一切いかぬ。さらには、やはり民主化にプラスになるように、また民主化ということをいわば条件にしつつ、相当慎重な態度で進める。つまり、われわれはイエス・バットではなくて、イエスの条件を作りながら懸案解決に努力する、こういう態度で来ているわけですが、この前、この委員会で外務大臣に請求権の問題に関連して特にこういう点を申し上げたわけです。  まず、請求権の問題は、言うまでもなく筋道の通った解決をしないといけない。一番いいことは、政府もみずから認めておったように、ほんとうに根拠のある、主として個人の財産でしょうが、いずれにしろ根拠のある請求権を積算して、それは幾ら幾らにする。かりに七千万ドルなら七千万ドルとして、それは請求権はこれで払う。そのほかに経済協力があるなら、それを別項にはっきり書いてやるということが一番望ましい。そうでないと、政府も認めておられるように、個人的の請求権ならば、いわゆる三十八度線から北にある、いわゆる北鮮側の国民も日本に請求権があるということ——むろん日本も北鮮側に対してありますけれども、相互に請求権を持っているから、北鮮人のということをあえて言いますが、北鮮人の請求権問題は残るのだ、あるいは北鮮に対する日本の請求権問題は残るのだということは政府が言っているわけですから、そうなってくると、請求権の問題と経済協力とごちゃごちゃにした解決をすれば、必ず将来いつの日にか北鮮人側の請求権を解決する場合に、韓国側に請求権のほかに、請求権解決という意味で何億ドルくれたじゃないかということが必ず起こってくる。そういうことを絶対せぬようにすることが絶対必要である、そのことを申し上げたところが、よくわかっておる、まあひとつ腕前を見てくれ——そういう言葉では言われなかったけれども、わかっているから、ひとつでき工合を見てくれという話でした、そこで大平さんのやったでき工合はどうも採点はよろしくないらしいので、大平さんと交渉したのはたいていやめちまっている。金鍾泌がそうです、それからオン・ジーもそうです。ギルパトリック、みんなやめちまう。向こうがやめるのはかまわないにしても、こっちの交渉の結果が、何かというと、やはり一抹以上の不安、つまり金鍾泌とやられた内容をまだ十分承っておりませんので、これは私は請求権の解決というものと無償、有償援助というものはどうからむかという、その表現の仕方だけでも非常に重大な結果になる.これはもう釈迦に説法のようで恐縮ですけれども、あえて国民の前にそういう点を明らかにしたいという意味で申し上げるのですけれども、たとえば請求権を解決するために、請求権解決の方法として、三億ドルの無償供与に二億ドルの借款というふうにかりに書いてあるとすれば、これはもうとんでもないことなんです。つまり向こうの請求権を認めて、その請求権の内容が三億ドルであり、あるいはプラス二億ドルの借款だ。したがって、日本側から見れば、もちろんそういうことは毛頭お考えになっていないのであって、おそらく条文にどう書くか知りませんけれども、日本は韓国にまさかお見舞金とかお祝い金とは書けないだろうから、韓国を援助する意味で無償三億ドル、有償二億ドルやります。こう第一項に書いて、今度韓国はその事態にかんがみ、どういう言葉をつかうか知らぬが、その事実の上に立って請求権を放棄します、こんな書き方をおそらく日本側としてはお考えになっておる。また、そうでもなかったらとんでもないことになるのですから、そう考えるのですけれども、そこの点は非常に重大であって、そういうこともあいまいであって、そうして韓国との間に、金鍾泌さんとの間にそういう話ができた。向こうは少なくとも半分協定くらいはできたつもりで覚書だとかなんとか言っているようですが、むろんそんなものは交渉過程の途中の文章でしょうから、そのものに国際的な約束としての拘束力ある文章だとは思わぬけれども、一応それで解決したような形にしておいて、国民が承知しないと言って議会で問題になると、総理大臣大いに気が強いほうですから、それこそ同時解決だ、ほかの懸案が解決しなければあんなものは、履行しないのだ.はたしてそれで済むのかどうか。しかも、最後の文章が、はっきり経済協力はこうする、向こうは完全に請求権を放棄するというような形にしておかないと、それだけでも、いいか悪いかについていろいろ議論あると思うのです。少なくともそこら辺の見通しなしに請求権の問題だけをぐんぐん進めてしまって、これは私は交渉のテクニックだけからいっても非常に重大なことであり、むろん向こうの面子を立てながら交渉するということもございましようけれども、まあいわば向こうのいいところだけ食ってしまえば、あとは李承晩ラインの問題にしろ、竹島の問題にしろ、引っぱっておけばいいというような安易な方向に行きがちです。現にその徴候が現われている、かように考えるのですが、あなたのできばえというのは、あまりよくないように思うのですが、どうなんでしょう。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) われわれといたしましては、日韓の間の国交が、でき得ればこれを正常化したい。その前提には御承知のいろいろな懸案がある。したがって、その懸案を解決しなければ国交正常化の道は開けないということでございますので、国交正常化を必要といたさないのだという理論に立てば、初めから問題がないわけでございますが、いかにかして正常化の道を探り当てたいということで懸案の処理にかかったわけでございます。  そうして、しからばどの懸案から先にやるかという問題は、これは交渉技術上の問題でございまして、さっきの森さんの御発言にありましたように、どの懸案が重くてどの懸案が軽いかということじゃないかと思います。全部解決しないと正常化に達しないわけでございますので、問題は請求権からやったわけでございますが、それのいい悪いは、これは私は技術上の問題であろうと思うのでございまして、先ほど曽禰先生もおっしゃったとおり、交渉過程における一応の合意でございまして、イニシアリングをかわしたわけでもございませんし、一括解決して協定全体について認める段階までは法的拘束力は持たない性質のものでございますから、彫刻でいえば、素彫りを終えて、かんなをかけなければならぬという姿に一応なっているわけでございます。それで請求権の解決の仕方でございますが、曽禰先生のおっしゃるとおり、法律的根拠のあるもの、事実関係の立証がしっかりしておるものだけで、双方が合意してやるということが一番すっきりした方法でございます。もしそれが可能であれば、私はもうだれよりも先にその方法でやりたいと思うのでございますが、去年ずっとそのラインで検討をいたしましたところ、まず法律的根拠ということにつきまして、彼此の見解が非常に懸絶をいたしておるわけでございます。衆議院でも申し上げたわけでございますが、たとえば日本統治時代に韓国の銀行から持ち出しました金、地金二百四十九トン、これは事実ははっきりいたしておるのです。そうしてその持ち出したのは朝鮮銀行法という実定法によりまして金、地金の売買は正当に認められておるので、正当な対価を払って搬出いたしたわけでございますから、わがほうとしては、これは合法的な処理であって、それにクレームがかかるとは筋が立たぬという立論でございますが、先方は、そもそもその朝鮮銀行法というのを実定法と認めないのです。大体搬出した行為自体さえも不法なんだという建前をおとりになるわけでございますから、これは氷と炭みたいに合わないわけでございます。共通の法律的根拠に立つことが可能であればこれは話がつくのですけれども、それがつかないのでございます。なお、困難なことは、事実関係が、かねがね私どもも申し上げたとおり、十数年経過いたしておりますので、事実関係を的確に立証する手順というものが欠けておる部分が相当多いわけでございまして、したがいまして、今おっしゃるとおり、法律的根拠に立ち、事実関係の立証がりっぱについたものだけによってやることが可能であれば、それが一番ベストな方法であると思うのでございますが、それは遺憾ながら不可能に近い——不可能または不可能に近いものが多いわけでございまして、したがいまして、請求権問題を請求権の実体に即して解決するということは、木によって魚を求めるのたぐいだと思うのでございます。これは事実上私どもの分別ではできない相談でございます。そこで、しかしながら、韓国側は何がしかの請求権があると主張するわけございます。つまり、請求権の問題というのは、依然としてあるわけでございますが、これは解決が不可能だからもうやめにしようというわけにいかない。請求権の問題というものは依然として両国との間にわだかまっているわけでございまして、何とかこれを解決する手はないかということで苦心したあげく、ひとつ次元を変えて問題を見てみようということでございまして、最近の世界の大勢が、先進国が後進国に対しまして経済協力をいたしておる。隣国である韓国を、旧宗主国であるわが国といたしまして、その分離地域に対しまして経済協力を申し上げるということがごく自然の道行きである。したがって、ひとつ経済協力ということを考えようじゃございませんかということを考え、それで私どもは随伴的結果という言葉を使っておるのでございますが、そういう言葉が適切かどうかわかりませんけれども、韓国側は請求権はなくなったということを確認する。今曽禰先生から御注意がございましたように、協定上はっきりさせまして、後日に問題を残さないようにする解決をやりたいということで今進んでいるわけでございます。この方法の是非については御批判があろうと思うのでございますけれども、私は不敏にして、請求権問題を請求権を通じて解決するということは、私は少なくとも不可能であると思うわけでございまして、今言ったような方法において先方は請求権がないものと認める、確認するということで、あとでもんちゃくが起こらなければ、これも一つの解決の方法——現実的な解決の方法じゃあるまいかという考え方に立脚して今日までやってきておるわけでございます。ほかに分別があれば、教えていただきたいのでございますけれども、こういう方法以外に、こういう問題を割り切っていく方法はちょっと見当たらぬのじゃないかというように私は思っております。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 外務大臣から驚くべき発言を伺ったのですが、請求権問題を請求権に即して根拠のあるものだけを払うという解決方法は木によって魚を求めるがごとしと。そうすると、日本政府は今まで、あなたを含めて、ばかなことをしていたということになるのですけれども、しかし、これは非常に韓国との主張があまりの食い違いで、非常に困難になった、非常に至難であるから、打開の方法として大平さんの言われるハイ・レベルの、次元を変えた解決方法ということを考えられたと思うのです。言葉じりをとらえて追及はいたしませんけれども、やはり根本は請求権は請求権で解決し、経済援助は新興国なり日本から分かれている国にやるという建前がいいんであって、そんなものはとても木によって魚を求むるがごとしということを日本の外務大臣が言ったんじゃ、これはお話にならないので、日本国民はあぜんとするだろうと思うのですけれども、それはそれとして、経済援助をすると、これはあとで伺いたいのですけれども、イギリス連邦といいますか、イギリスから独立した例等も、自民党の諸君も言っておられるようですから、イギリスから最近独立したといいますか、諸国の例ですね、本国からどれだけお祝い金が出ておるかというようなことをひとつ参考にあとで出していただきたいと思うのですが、とにかく経済援助をすると、その随伴的結果か何か知らないが、それに見合って韓国側の請求権というものは放棄すると、平和条約第四条に基づくか何か知りませんが、放棄する。その方向はわかるような気がしますけれども、その書き方がはたしてそういうふうにうまくいくのか、裏返しすれば、韓国はそんなものは認めない、おれのほうは請求権を解決する方法として、これこれを日本が払うというように書かせようとするのでしょうから、そこを最後まで見きわめないと解決したことにならないので、韓国ペースで請求権解決のために五億ドルの無償、有償の供与をしたということになってしまう危険がまだあると思うのです。それをわれわれはまず第一に心配するわけです。  第二の心配は、先ほど申し上げましたように、政府みずから認めている北鮮側の問題がどうなるかということ。北鮮側の問題、北鮮人の個人的の債権は残る。クレームは残る。むろん日本は第四条(a)項ですか、本則に従って日本から分離していく。あるいは日本から独立し、分離していく地域については、日本側の請求権はある。北鮮についてはアメリカの軍司令官が処分した云々がないわけですから四条の、(b)項に該当しないわけですから、北鮮側については双方に請求権が残るわけです。その問題は、韓国がいかに協定文で請求権を解決したと書いていても、これは残るわけですから、そういう場合に、今の協定文の書き方をいいかげんにしておくと、日本が北鮮人に払うべき債務というもの以外に、ちょうどこの三億ドル、二億ドルの有償、無償に見合うような何ものかを北鮮から請求されるような結果を招来しないか。これは非常な大きな問題だと思う。また、それに関連して、むろんビルマの最近の債権交渉のこともありまようし、あるいは中共の日本に対するクレームという問題も背後に今後続いてくるわけでしょう。非常に重大な問題だと思うのです。そこで北鮮側のほうはどうなるか、今のフォームでおやりになったとして。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) このフォームでは、先方は請求権がないということを確認するということになりましたら、平和条約四条に基づく韓国との間の請求権の処理は、それで最終的に片づくということになると思うわけでございます。平和条約は、今現に北鮮を支配しておるオーソリティというものは認めておりません。曽禰先生がおっしゃるように、北鮮人あるいは北鮮の対日請求権、あるいは日本のその地域に対する請求権というものは事実としてあるけでわございまして、私どもは今その問題につきましては白紙の立場でいる。ただ、曽禰先生も御指摘になりましたように、軍令三十三号というもので日本の在韓財産を没収した効力というものは北鮮には及ばないということを付け加えてわれわれは白紙でいるということでございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 そうすると、日本国民から見ると、五億ドルばかり払わされて、さらに北鮮には残るのだ。——総理大臣はえらい強いことを言って、日本のほうからの請求権は大きいから実際上は払わなくていいだろうというようなことを言っておりましたが、はたしてそういう独自の判断だけで済むのか。済むものではない。特に韓国側には非常に甘い。事実上、どれをやるから引っ込めるというわけですから、法律的のテクニックは別として、実際上は請求権問題でさんざんごねた結果五億ドルもらったのは南で、北はただだ。そういけますか。その辺の問題は政府は国民に対して十分な責任をとって、これがはたしていいかどうか非常に疑問ですけれども、韓国側が北のほうまで責任を負えるなら負わしたらいいのであって、しかし、それは政府自身が見ても無理だろう。個人の債権は残るのだ、個人の債権が残ったら、そっちは勝手に積算して、またどんぶり勘定で北鮮にも膨大なお祝い金をやることになるので、それを国民は心配する。そういう解決について、やはりびしっとしたことをやらないと、その当座の韓国との請求権交渉の打開の方法としては、大平さんのアイディアは非常にひらめきがあったとしても、単に解決を将来残すだけで、ほんとうの解決にならないのじゃないか。そこら辺についてはやはりもっと責任ある態度を示さないと、彼此相待って、政府が交渉することには賛成の国民でも、非常にその点については大きな疑惑を持つ。この点については、北鮮との関係をはっきりしてもらいたい。日本側に今後負担がないと言うなら、ないということをはっきりしてもらいたい。これが一つの点です。あと一点ばかり質問して岡田さんに移したいと思いますが、この点に対する御見解をお伺いしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、軍令三十三号の効力は北鮮には及ばないということを、今の御質問に対しましては、指摘しておたきいと思います。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 まあいろいろありますけれども、もう一点李承晩ラインに関連してだけ伺いたいのですが、従来日本の領海に関する主張は、言うまでもなく三海里主義で来たわけです。最近の国際的な海洋に関する各国の主張から見て、政府は公に、三海里は大体もう無理だ、六海里あるいは十二海里はやむを得ない、あるいは六海里を領海とし、あとの六海里ぐらいはまあ一つの専管的な——沿岸国の専管的な海域といいますか、たとえば漁業等についての特殊なあれを認め、合わせて十二海里まではやむを得ない、こういうようなはっきりした態度をもってこの李承晩ラインの問題について韓国とやっておられるがもしそうだとすると、たとえば、歯舞、色丹付近のソ連とのいろいろな問題についても、非常に大きな問題が出てくるわけですね。そういうことの関連も考えて、三海里というものをもう捨ててもやむを得ない。何でもかんでも韓国との交渉のために便宜的な方法をとっていくと、自縄自縛になりはせぬかという気がするので、日本のいわゆる領海に関する確たる方針というものをひとつお聞かせ願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 漁業の実質的な討議が始まっておりますので、今の考えを具体的に本委員会で御提示申し上げるという自由を私は持っていないわけであります。それはお許しをいただきたいと思うわけでございますが、私どもの大きな方針といたしまして、最近の海洋に関する新しい傾向というようなものについては十分考慮を払わなければいかんじゃないか、ただし今曽禰委員が御指摘のとおり、日本は第三国との間に漁業協定をいろいろ結んでおりますので、それに害が及ばないように配慮しなければなるまいという考え方で臨んでおるわけでございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 その北のほうで、つまり歯舞、色丹については、これは当然日本の領土ということを確認されているわけですけれども、ソ連との関係で引き渡しは済んでいないわけですね.ところが、あそこの漁業上、御承知のように、どこまで日本がコンブを取りに行けるかという非常に厄介な問題があるけれども、三海里をとるのか十二海里をとるのか、そこら辺の点が現実の問題としてソ連との関係でも非常に変わってくるのではないか。そういうことを考慮して、なおかつ李承晩ライン——それでなくても四十海里も無法なことを言っている韓国との間の交渉だから、困難はわかりますけれども、十二海里でかりにおさめるとすれば、やはり十二海里でああいうものをおさめた場合には、その影響は日韓関係だけでなく、北方領土との関連においても問題が起こるのだ、沿岸漁業についても問題が起こるのだということをお考えの上でひとつやっていただきたいということを言っているのですよ。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 御注意心得てやります。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 ただいま森さんやそれから曾禰さんのほうから、竹島問題、あるいは有償、無償の供与による請求権の問題の解決について、さらにまた経済協力について、漁業問題等について御質問がございました。これらの問題はそれぞれなおこれから多くの問題を残しておりまして、相当日時もかかる問題だと思うのであります。困難な点が非常に多いのでございますが、それよりも私は、もう一つ、今日の韓国の政情、そして日韓交渉の将来という問題について御意見をお伺いしたい。  最近この李承晩ラインにおいて漁船が拿捕されました。これはしばらく漁船の拿捕ということはなかったわけです。ところが、最近漁船が拿捕されましたということは、私は単に李ラインに対する韓国側の警備の問題からじゃないと思います。これは韓国のやはり政情の問題と関係がある、こういうふうに私は見ておるのですが、本日の新聞で見ますというと、金鍾泌氏が李承晩ラインを固執しないというようなことを言っておった。また、日本側におきましても、政府側におきましても、これは日韓問題の解決に非常にプラスになるように見ておられる。しかし、今の韓国の政情からして、はたしてそう行くだろうかどうか、私はこれは非常に疑問に思ったのであります。と申しますのは、金鍾泌氏に対する反対論が非常に強くて一時非常にもめまして、表面は朴議長のツルの一声で解決したようでありますけれども、軍部の内部におきましてもいろいろ反対が強いし、特に野党側において、この朴議長なりあるいは金氏に対する反対が非常に強いわけです。そこで、今まで政府は金氏と話し合いをして、請求権問題についての解決の見通しをつけたわけでありますが、今日金氏はすでに政府から去りまして、そうして野にあるわけであります。したがって、交渉相手が変わるわけでありますけれども、今後金氏にかわって向こうの政府に任命されるのはだれでありましても、おそらく金氏ほどの力も持っておらぬだろう、また、今の金氏の発言に対しまして、あるいは軍部あるいは与党のほうから政略的な反対、強い反対も起こってこようかと思うのであります。そういうことから、今の韓国の政情からして非常に交渉がむずかしくなるんじゃないか。それからまた、たとえ今の政府によって新しい代表が任命されて話し合いを進めても、それがはたしてはっきりした解決になるかどうか。また、今の政情からして、韓国の国内における反対その他によってくつがえされるおそれがあるじゃないか、こういうことも考えられる。だから、日本が今韓国との問題を解決しようとするにあたって、ああいうふうな韓国の政情というものは、私は交渉を進める上に非常に不適当だと考えるのであります。政府は、片づいたのだ、そうして金氏がたとえ政府から去っても、なおそれは有効である、またそれに、そのあとを継ぐ人がその立場に立ってやるだろう、こういうふうに考えられておりますけれども、私は今の韓国の政情からみると、そう簡単ではない。政府もおそらく韓国の今の政情の成り行きについては注視しておるだろうと思うのでありますけれども、私は、こういうふうな不適当な事態にある場合には、むしろはっきり交渉は中止したほうがいい、こういうふうに考えるのですが、外務大臣はどう考えるか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私どもは、再三申し上げておりますとおり、韓国政府と交渉いたしておるわけでございまして、その要人が下野されるということによって、日韓交渉に本質的な影響があるべきはずもないし、また、あるものとは思っておりません、ただ、岡田委員が御指摘のように、韓国の政情につきまして、私どもも深い関心を持っておることは事実でございますが、これをどう評価するかということについて、日本政府として見解を表明するということもいかがかと思うのでありますが、ただ、一般的に申し上げられますことは、民主化の過程にございましていろいろな苦悶があることは理解し得ることでございまして、政党活動が認められて、反対党の勢力が結集されるというのが民主主義の道程といたしまして当然あり得ることでございまして、それがために政情は不安であると、その角度だけから論断するということはいかがなものかと思っております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 少なくとも安定してないということは事実だ。それから、今までは軍の独裁的な傾向が強かった。ところが、野党の結成を許すようになってから、案外国民の軍部独裁に対する批判が強くなり、また野党が結成されまして、これが活発な動きを始めこのことが韓国側の日本に対する考え方にも影響を持つことは、これはもう客観的に見てあり得ることだと思うのです、特に私はここ数日前に起こりました漁船の拿捕の問題について、これはわれわれは決して単なる警備技術上の問題ではないと思っている。というのは、同じような状態にあって、今まで交渉の最中であったので拿捕が起こらなかった。そしてまた拿捕された者もすぐ釈放されたというのは、やはり政府の意図がそこにあった、けれども、それがにわかに今日あの政界の動揺の後に起こったということ、一面において金氏が、李承晩ラインはこれは固執しない、韓国側にとっても決してそれをやめることは不利でないという発言をしておるのとほぼ時を同じうしてかような事態が起こったということは、私は、韓国の政府あるいは要人たちの間に統一した見解がすでになくなったのだ、そして日本に対して両者が違った動きを始めておるのだ、こういうふうに見るのであります、そうなってくると、これは政府を一つとして今までどおりの交渉をそのまま続けていくということは、今後非常にいろいろな問題が派生してくると思う、そういう観点からして、私は今あなたが、政情は注視するけれども、不安定という断定は下せないし、そう見るべきでない、政府と政府のやっておることは、それはそのまま続けられるのだ、こう言われますけれども、私は、続けることは不適当である、もしそこでもって何らかのかりの決定ができても、それはまたたちまち変化をするおそれもあります。そういうような観点からして、韓国の政情がどうなるかということがもう少し決定するまで私は中断すべきである、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先方の政情がどうございましても、日韓の間の正常化が必要でありますとすれば、それに対応いたしまして、どうすれば正常化が可能かということにつきましてしょっちゅう考慮をめぐらして参るのが私の責任だと思うわけでございます。私は、ただいまの岡田委員の韓国の政情に対する評価、御見解は承りましたけれども、私ども今続けておりまする交渉をしばらく中断しようというふうな気持はございません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 中断しようという気持はございません。お続けになるといたしましても、続けられない事情も起こってくるし、また続けようとしても、非常に困難な問題が起こってきて紛糾するということも私どもは予想されるのであります。政府はそういう予想をお持ちになっておらぬのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういうことを予想いたしておりませんし、私どもといたしましては、誠心誠意事に当たりたいと思っております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 そういうことを予想しておらぬ。そういうことを予想しないでもっておやりになる。しかし客観的な状況からして、もしそういう事態になったときには一体あなたの責任というものはどうなんですか。その政治的責任というものはどうなるのか、それをお伺いしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういう事態にならぬようなことを期待いたしております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 御期待になるのはどうでもけっこうでございますけれども、私どもは、そういうような事態が起こるということになれば、これは日本の対外政策というものがあなた方の手によって非常に失敗したということになろうと思います。またあなたの外務大臣としての責任ということも問題になると思うのですが、そういうことを期待なされるというのなら、これはしようがないと思いますけれども、ちょっと甘過ぎはしませんかね。  次に、先ほどイギリスがEECに入らなかったということについていろいろと御説明がありました。そしてまたそれが、イギリスが入らなかったことが日本にどういう影響を及ぼすかということについてもお話しがございましたが、イギリスがEECに加盟できなかった、その結果、イギリスは日本にに接近してくるだろう。特に通商条約もできてきたことだからというお話しもございましたけれども、はたしてそうなるのかどうか。私はもう一つ別な見解がある。というのは、イギリスは今日経済情勢が必ずしもよくない。失業者もふえておる。輸出も減っておる。そういう状況で特にEEC加盟ができなくなって、欧州への輸出も思わしくないということになれば、これはイギリスとすれば、EEC諸国以外にその輸出を増加するために必死になるだろうと思います。たとえばアジアに対して、あるいはアフリカに対して、中南米に対して、また共産圏諸国に対してもその輸出攻勢を強めてくると思います。はたして、そういうような場合に、日本とイギリスの間があなたの考えられるようにうまくいくかどうか。私はその場合イギリスとの市場における競争というものは強くなるのじゃないか。もちろん日本に対するイギリスの輸出ですね、これを増加しようとはかる面においては、日本との関係において多少好転するものもありましよう。けれども、世界市場全体における日本とイギリスとの競争はもっと激化する。特にアジア、ニュージランド、オーストラリアにおいてもその競争は激化する。イギリスはコンモンウェルスに依拠して、そうしてその特権を利用して日本との強い競争に出てくるのじゃないかというふうな見方も成り立つと思います。外務大臣はその点について先ほどのようなきわめて甘い考えにお立ちになっておってよろしいのか、その点お伺いしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) たいへん見通しが甘いということで、しょっちゅうおしかりを受けるのでございますが、去年の実績を見ましても、イギリスに対する対英輸出というものは顕著な増加を見ております。輸入は七%ほどふえましたが、輸出は六割近くふえているわけですが、それからイギリスはグローバルの輸出か死かというスローガンで努力されているわけです。現在の瞬間においても、日英間はもとより競争関係にあることはよく承知しているところであります。私どもといたしましては、輸出振興出官民ともに努力いたしまして、よりよき交易条件をかちとるべく懸命になっているのであります。この努力を続けて参りますれば、私は必ずしも岡田さんのように悲観する必要はないと思っております。特にEEC加盟が一頓挫を来たしたということで、イギリスとヨーロッパ大陸との関係というものが非常にデッドロックに乗り上げたとは思っていないわけであります。大陸諸国は対英接近ということをみなうたっておりますし、イギリスの加盟を依然支持している六カ国もあるわけでありまして、したがって、これはこの事態を評価する場合に、若干岡田さんの見方と違うかもしれませんが、私どもといたしましては、日本にそう深刻な影響があるとは実は思っていないわけであります。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 先ほど私も、日本とイギリスとの間の貿易は増大するだろう、しかし今度はグローバルの競争において日本とイギリスと非常に激しい競争をしなければならぬようなことになるのじゃないか、つまりイギリスと日本との間に、たとえばその世界市場におけるシェアの協定が成立する可能性があるかないかということについて私は楽観的な考え方を持ってない。もしEECから除外されて、これも私はあなたの考えられるように、ほかの国がイギリスを入れたがっているから、あれは単なる中断で、すぐにまたイギリスがそう簡単に戻れるとは思いません。非常に複雑だと思うのです。また、そうなったとしても、長い時間かかるだろうと思います。その間におけるイギリスのこの必死の輸出工作というものは、やはり日本にも大きな影響を持ってくる。その場合に、市場において両方の間に何らかの協定というのはおかしいけれども、うまく話し合いがついていけるものかどうかということが、非常に大きな今後の問題だと思うのです。その点についてどうお考えになっておられますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日英通商航海条約が調印されたことは、非常に私は画期的なことであったと思うのです。これは一口に言うと、イギリスの対日信用というものがそこまで高まってきた具体的な証左であろうと思うのでございまして、それからまた、この相手であればイギリス市場をできるだけ開放する、それから日本の市場もイギリスにとりましては相当将来性のあるところだと見たに違いないと思うのでございまして、相互の信頼の度合いというものはここまできたのだという事実を踏まえて私ども考えます場合に、グローバルに、他の地域におきましても日英関係というものにつきましては確固たる信用の基盤があるのだということは、どなたがお考えになられても私は成り立ち得る論拠じゃないかと思うわけであります。もとよりどの瞬間をとりましても競争はあることでございますし、あるいは競争は激化するかもしれませんけれども、それでおびえてはいけないので、私どももそれに対応した措置を次々と練っていかなければならぬと考えておるわけでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 ただいまのお話ですと、競争の強まる面もあるということはお認めになっておるし、また、それに対処することも考えていかなければならぬ、こうおっしゃっているのですが、この面はやはり私は十分に考えていかなければ、それこそ大きな見通しの誤まりになり、あなたの政治責任にもなると思うので、十分にその点はよく情勢を注意して対処いただきたいと思います。  それから、次に私のお伺いしたいのは、対共産圏貿易その他について、アメリカからいろいろなことを言っきてておりますが、どうも対共産圏貿易の面についてアメリカの言いなりほうだいになっているのじゃないかという気がするのです。たとえば鋼管の問題につきましてもNATOのほうから横やりが出た。まあ私ども日本はNATOに入っておりません。また鋼管はココムのリストにも載っておらぬ。それにもかかわらず、アメリカのほうから何か言われると、すぐに日本としては数量も少ないことだしするから、今までの分は認めるけれども、あとはというようなことでやめちまった。ところが、イギリスのほうは、御承知のように、そんなものは聞かないでもって、どんどん輸出しておる。ドイツなんかも聞いたけれども、なお相当量の輸出は、既契約の分は向うこは輸出しておる、こういうような状態です。少しどうも、対中国貿易にいたしましても、アメリカは何かいうとすぐに反論します。こういうことであります。あるいはまた例の十一月のキューバ危機以前におきましても、日本の対キューバ貿易、つまり日本がキューバから砂糖を買う問題、あるいはまた日本船のキューバ寄港の問題についても、アメリカが何か言うとすぐにそれに従う。こういうような状況で、年じゅう共産圏貿易の問題についてはどうもアメリカの言いなりほうだいになって、おっかなびっくりその言うことを聞いているように思う。ところが、イギリスなんぞは今EECに加盟できない。そうして輸出か死かというようなスローガンのもとに、共産圏に対しましてもその輸出の増大をはかっております。おそらく中国に対してもソ連に対しましても、その輸出の増加をはかるでありましょう。そういたしますと、だんだん共産圏貿易におきましても、日本はイギリスあるいはその他の西欧諸国から翌き去りにさらされてしまう、そしてだんだんに排除されていくということになりはせぬかと思うのでございます。幸いに日ソの間の貿易協定ができましたけれども、これもたいへんどうもおっかなびっくりアメリカへの気がねが多くて、ふやすということはできるだけ押さえていこうというようなことで、パイプの輸出の問題についても、この協定においてはほおかぶりでいってしまうのだというようなことでありますが、さて、それじゃ一方アメリカのほうは、去年の十二月アメリカで経済合同委員会が開かれましたが、それじゃ、その結果日本側に対してどれだけの経済的な利益を与えたかというと、アメリカさんのほうはこちらに対して依然としていろいろな商品の輸入に対して規制をやっておる、こういうような状況でありまして、何ら日本はアメリカのほうからそれだけのものをギヴ・アンド・テークで受けておらぬというような事態であります。こういうようなことですと、国民のほうでは、一体日本というのは経済が発展した、そして世界第七位の輸出国になった、これからむずかしい問題があるが、一体どうしていったらいいのか、いつまでもアメリカの言いなりのほうだいになっていくのかということで、だんだんにギャップができてくるだろうと思います。私はこういうような点について外務大臣はもっと自主性を持ってもらわなければならぬと思います。また、アメリカの言いなりほうだいになった姿を国民の前にさらけ出すような醜態はやめてもらいたいと思うのですが、その点についての御見解を承りたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) お話しを伺っておりますと、岡田先生には何か先入観があるのじゃないかと思うのです。つまり、自民党政府のやることは一々アメリカの言いなりほうだいになっておるじゃないかという前提がありまして、それで私どもが幾ら釈明いたしましても、なかなかお聞き取り願えないのじゃないかと思いうのでございますが、私は対共産圏貿易につきましては、他の西欧諸国、世界各国が共産圏を相手にいたしておる貿易に対しまして、日本が不当に遠慮する必要はないと思っております。それからまた、不当にフェイヴァーを与える必要もないと思っております。西欧並み、世界並みの条件でやれば、どなたが何とおっしゃいましても、日本の行動につきましては世界は理解してくれると思うわけでございます。アメリカ政府から公に日本の対中共貿易、対ソ貿易につきまして制肘がましきことは一回もございません。ただ、アメリカの要路の方方、あるいは民間の方々でそういう見解を発表されている人がございます。それは民主主義国でございますから、どういう御意見を御発表になろうとそれは自由だろうと思います。少なくとも私どもは、今、申し上げましたようなものさしで共産圏貿易を考えておるわけでございます。  それから、これは同時に、岡田先生も御承知のとおり、貿易というのはバランスが大事でございまして、先方からわれわれがほしいもの、われわれがほしいと思う値段われわれがほしいと思う時期に、わが国といたしましても、これは道楽じゃないのでございますから、商売でございますから、どういたしましても先方の輸出能力というものをはかって、究極においてバランスするようにしなければならぬと思うのでございます。ところが、今の貿易の現勢から見ますと、キャッシュ・オン・デリバリーだけの貿易ではいけないので、世界の大勢といたしましては、延べ払い貿易というものが行なわれていることも、御案内のとおりでございます。日本は輸出入銀行を通じまして延べ払い輸出金融をやっておるわけでございますが、それにも円資金の調達上制約があることは、岡田委員も御存じのとおりでございます。したがって、信用供与をどの地域にわたってどのようにやるのがいいかということは、やはりグローバルに見えまして公平にやらなければならぬという配慮があるわけでございまして、私どもはそういう二面から申しまして可能な限り貿易の拡大をやろうという意欲に少しもひるみはないわけでございまして、一々の計画につきまして御検討いただければ、私どもの苦心のあとはおわかりいただけると思うのでございます。今、パイプ・ラインの問題がございましたが、パイプ・ラインにつきましては、NATOの決議——これは決定までになっておりませんが、決議がございまして、NATO側から日本に、つまりああいうパイプ・ラインを製造する能力を持っておる国は日本以外にございませんから、日本に、できたら同調してくれという要請がありましたことは事実でございます。しかし私どもは、それだからすぐ貿易管理令を変えてNATOに同調いたしましょうとは言うておりません。これはやはりココム協定に日本は入っておりますから、ココム協定まで昇華して決定されたならば、私どももそれに従いますけれども、しかし単なるNATOの決議で私どもは態度を変えるということはできないわけでございます。したがって、政府は業界の判断にゆだねざるを得ないわけでございまして、政府が有権的にこれをやめろとか、出せとか言うような権限はないわけでございまして、その点はそういう状態にあるということでございます。それで、商売人のほうから見ますと、グローバルなベースで最大の輸出をいたしたいというのが、彼らの行動原理だろうと思うのでございまして、業界がどのように判断されますか、それは業界の自主的な判断の問題だと思っております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 今のお話を聞いていると、私らが何か先入観を持って政府の政策を見ておると言われるのですが、そういう感じを抱かせるようなことが、ずっと累積されてきているのじゃないですか。今、パイプの問題のお話もございました。しかし、NATOが決議をした、それに対して日本は、それに従っておるのじゃない、こういうお話でした。そしてまた、そのパイプの輸出の問題は、政府が何か法令をもって輸出をとどめるというようなことはしてないというようなことでありまして、しかも、業者の自主判断にまかすと言っておりますけれども、実際政府は、ほんとうの意味の自主判断にまかしておるのかどうか。これは、福田通産大臣なんかの議会での答弁を見ておりますと、どうもそうは思われない。やはりNATOなり、またはNATOの中核勢力であるアメリカのほうの、いわば勧告に従って、それに対応する法的、行政的な措置ではないかもしれませんけれども、とにかく指導的なことは、やはりやっておるようです。そうなってくると、やはりこれは言うことを聞いたのだ、こう言わざるを得ない。そうすると、いや、アメリカの要人なりアメリカの政界の有力者が何か言ったって、これはもう勝手なんだ、われわれはそんなことを聞いてないと言うけれども、ハリマン国務次官補なんかが、対中共貿易について何か言うと、それにすぐ反応が現われるのですね。これは、池田総理の言にしても、また、その他の方々の言にしても、反応が現われている。そうすると国民は疑惑を持たざるを得ない。だから、私はそれを言っているのです。そういうような、国民に疑惑を持たせるようなことをやることは、自主性を喪失しているから、そういう疑惑を持たれるのじゃないか、こう思うのですがね。その点についてもう一度はっきり、そのパイプ・ラインの問題等について、一体NATOからの決議がどういう形で日本に持ち込まれてきたのか、今後も、NATOが、戦略上、戦術上の物資の輸出について、いろいろ決議をするとかなんとかいうことになると、一々それに従うということになれば、これまた日本は、日本が加盟もしなければ何もしてないNATOに支配されることになるのです。そのNATOの決議がいかなる方法で日本に持ち込まれてきたのか、それに対して政府がどういうふうに反応を示したのか。その点もう少し詳しく、具体的にお話をお聞かせ願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) NATOの決議がどういうものであったかということは、わが国はNATOの加盟国でございませんから、わが国の立場で、何月何日にこういう決議があったというようなことを国会で申し上げることは、非礼だと思うのです。NATOの決議がなされて、NATO側から日本政府に、できたら同調してくれないかという御相談があったことは、先ほど申しましたように事実でございます。で、私どもといたしましては、一体どういう形の決議であったか、これに対する各国の表情はどうか、その後の各国の出方はどうかというような点につきましては、綿密に調べておりますが、先ほど申しましたとおりに、それがココム協定にまで化体して参る状態ではないということは、耳にいたしております。したがいまして、政府は、貿易管理令を改正する措置もとっておりません。それで業者のほうにおきましては、この事実が新聞をもって報道されますし、業者が全体の貿易を考えまして、アメリカにもパイプ・ラインの輸出をしておる会社もあるわけでございまするから、そういった状況で、自分の商売全体を考えられて、どう御判断されますか、これは、私は業者の自由な判断の問題だと思っておるのでございます。  なお一点、岡田先生の立論の中で、もう一度、私に少し泣き言を言わしてもらえば、つまり、アメリカの意見に追随することは、何でも悪だというようには、先生思っておられないだろうと思いますが、日本の利益になる場合には、私はアメリカの意見に同調いたしましても、それは差しつかえないだろうと思います。日本の利益にならぬときは、アメリカさんがおっしゃっても聞かないという態度でなければならぬだろうと思うのでございますが、初めからアメリカに同調したら何でも追随だということは、そういうようにおとりにならぬようにこっちからお願いしたいと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 もう一つ。今、NATOの決議がどうというふうにしてなされたか、その内容をいろいろここで言うことは、NATOへ入ってないのだから非礼だと、こう言うけれども、現実にそれが日本へ伝えられて、そうして外務省あるいは通産省が、つまり政府が、それに対してある種の反応を示して、事実上それに沿うような指導をしておる、こういうことになってくると、これは重大な問題だと思う。で、私は、どうもNATOの決議を、これはもうよそでなされたことで、日本は知らぬという態度で言っておるのじゃないと思う。そうすると、今後も、こういうことが起こり得る可能性は十分ある。だから、私は、そのNATOの議決なるものが、そういう形で日本に伝えられたのは初めてだと思います。また、そういうことで、今後われわれが、そういう問題にぶつかったときに、今と同じようなことになるとたいへんだと思う。だから、一体、NATOから、どういうNATOの議決なるものが、どういう形で各国に、特にNATOに加盟してない国に伝えられたか、そうして、それが、一体どういう……、今後またそういうことが起こり得る見通しがあるのかないのか。その点もう一度明らかにしてもらいたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) NATO以外の国は日本だけでございます。先ほど申しましたように、パイプの生産能力を持っておりますのは日本だけであるようでございまして、日本だけと私は伺っております。しかし、NATOの決議はこういう文言でなされたと言うことは、外交儀礼上私は差し控えたいと思うのであります。ただ、それに基づきまして要請がありましたことは、先ほど申し上げたとおりです。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 どこから要請があったのですか。NATOから直接に要請があったのか、アメリカを通じて、アメリカの国務省もしくはアメリカの軍、アメリカの大使から日本の外務省へ要請があったのか、そのチャンネルをひとつはっきりさしていただきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 十二月初旬、NATO関係諸国よりわが国に対し決定の内容を通報してきたものす。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 その諸国というのはどういうのですか。そのNATO関係の十幾つの国全部から日本に来たのですか。それともそのうちのアメリカから日本へ来たのですか。どこから来たのです。

西宮信安外務省経済局東西通商課長

○説明員(西宮信安君) 答弁いたします。  十二月にわが方のパリ大使館に対しまして、NATOに加盟している諸国、私の記憶に誤りなければ、オランダとアメリカと、あとどこの国ですか忘れましたけれども、二、三の国のNATOの代表が非公式に通報したのです。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 それは非公式なんですか。

西宮信安外務省経済局東西通商課長

○説明員(西宮信安君) 先方の言い方は、日本はNATOの加盟国ではないが、こういうことがあったということをお知らせしますがという言い方でございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 その代表の中にはイギリスは入っておったのですか、おらないのですか。

西宮信安外務省経済局東西通商課長

○説明員(西宮信安君) 私の記憶では、入っておらなかったのじゃないかと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 イギリスのパイプのソ連への輸出問題は今どうなっておりますか。

西宮信安外務省経済局東西通商課長

○説明員(西宮信安君) 今、公式にはわれわれ情報ございませんが、新聞その他の情報ですと、今、ソ連向けにイギリスからパイプの輸出商談があるというふうに聞いておりません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 今商談があるというふうに聞いておりませんということは、私は聞いておるのじゃない。イギリス政府はこれに対してどういう態度をとっているかということを聞いているのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) イギリスはNATOのメンバーであります。したがって、NATOの決議というものは、これは全会一致を要するわけでございまして、一国でも反対すれば成立しないはずでございますので、イギリスがNATOの決議に参加しておることははっきりすると思います。審議の過程で英国がいかなる態度をとったかというようなことは、私ども非加盟国の政府として、これをあげつらうということは遠慮したいと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 あげつらわなくてもいいんですよ。事実を聞きたい。つまり、NATOのそういうパイプ輸出に関する議決が日本にもたらされ、それで日本がその反応を示した、こういうことになるわけですが、その際に、外務省が、他のNATO加盟諸国でソ連にパイプを輸出しておる状況について調べておらぬとか、あるいはよくわかりませんなんという、そういうことはないと思うんです。現実に私は調べてもおるし、また知っておるはずだと思う。それを知らなければ、外務省は実に間抜けな話だと思うんですけれども、もう一度その点についてはっきり確かめたいんですが、今おわかりにならなければ、一体そのNATO加盟諸国でソ連にパイプを輸出しておる国がどういう反応を示したかということについての具体的な情報を、この次までにはっきり何かの形でお知らせを願いたい、こう思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 関連して。岡田さんの質問に答えた大臣の、自民党政府はアメリカの言うなりになっているんじゃないという前提のお話にからむんですが、一月中旬の安保協議委員会、またギルパトリックの来られたときの話で、日米間の中ソ共産圏諸国に対する考え方に若干のニュアンスの違いがあるというようなことが、ライシャワー大使の言葉や大臣の言葉にもちょっとあったように思うんですが、そのニュアンスという点は、先ほどお触れになった日本の利益になることならば中ソ共産圏といえどもやるんだ、こういうことに対してアメリカのほうでは、それでは中ソをして強くしてしまうじゃないか、くたびれているのを生き返らせるじゃないか、さらに脅威を強める、アクセラレートする足しになるじゃないかというようなことであったんですか、そのニュアンスの違いというのは。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 対共産圏貿易につきましては、アメリカの国内にもいろいろ議論があるということを私は申し上げた。アメリカ政府からとやかく日本側に要請はなかったということでございまして、この問題につきましてアメリカ政府が、日本がやっていることはいかぬからやめてくれというようなことは言っておりません。日本は中正な立場で日本の利益を考えて、私ども先ほど申し上げましたような基本の方針で対処いたしておるわけでございます、で、対中国認識のニュアンスの相違というのは、これはもう当然なことでございまして、日本と中国との関係、アメリカと中国との関係の歴史を見てみれば当然理解できることでございまして、私ども、アメリカは御承知のように朝鮮戦争を通じまして中共に対する考え方が非常にきびしいということは、森先生も御案内のとおりでございます。また、世論から見ましても、コングレスの状況を見ましても、中国に対する態度というのは非常にきびしいものがあることは御案内のとおりでございます。しかし、一方わが国といたしましては、中国とは昔からのおつき合いがございましたし、また、この戦争を通じて一つの罪悪意識というものを持っておるわけでございまして、中国問題を考える場合に、アメリカの立っておる立場と私どもが立っておる立場に相違がございますことは、もう歴然たるものがあると思うわけでございまして、そういった点をさして申し上げたわけです。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) それでは大臣に対する質問はこの程度にいたします。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) 次に、ただいま当委員会に付託されております案件につきまして、提案の理由の説明を聴取いたしたいと存じます。  航空業務に関する日本国とアラブ連合共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国政府とクウェイト政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。大平外務大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました、航空業務に関する日本国とアラブ連合共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国政府とクウェイト政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を一括御説明いたします。  これら二協定につきましては、わが国の航空企業がかねて計画しておりましたクウェイト、カイロ等を経由する南回り欧州線の開設に関連いたしまして、政府は、アラブ連合共和国及びクウェイト両国政府に対しそれぞれ航空協定締結交渉の申し入れを行ないましたところ、両国ともこれに同意して参りました。よって、アラブ連合共和国とは一昨年十一月に東京で交渉を行ないました結果、協定の案文について合意が成立いたしましたので、昨年五月十日に東京で協定の署名を行ない、また、クウェイトとは昨年六月末からクウェイトで交渉を行ない、同年十月六日に東京で協定の署名を了した次第でございます。  これら二協定は、いずれも、わが国と相手国との間に民間航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続と条件を定めるとともに、それぞれの国の航空企業が業務を行なうことができる路線を定めているものでありまして、さきにわが国が締結した米国、英国、タイ、インド、パキスタン等との間の航空協定と形式においても内容においても大体同一でございます。これらの協定の締結により、わが国の航空企業は、アラブ連合共和国及びクウェイトへの乗り入れを行なう権利を持つこととなりますほか、わが国とこれら両国との間の政治上、経済上及び文化上の友好関係も一層促進されることが期待されるのであります。  よって、ここにこれらの協定の締結について御承認を求める次第でございます。

岡崎真一自由民主党

○委員長(岡崎真一君) 本日は、これをもって散会いたします。    午後三時二十一分散会   —————————————

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