科学技術振興対策特別委員会 第10号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/05/31
会議録
○委員長(田上松衞君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について報告いたします。 昨三十日阿部竹松君及び浅井亨君が辞任され、その補欠として光村甚助君及び牛田寛君が指名されました。 —————————————
○委員長(田上松衞君) 次に、先ほどの理事会における協議の結果を御報告いたします。 本日は、日本原子力船開発事業団法案について質疑を行ない、終了いたしましたならば、引き続いて討論、採決を行なうことに決定いたしましたので、御了承願います。 —————————————
○委員長(田上松衞君) それでは、日本原子力船開発事業団法案について、前回に引き続いて質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○野上元君 この事業団法とは直接関係はないのですが、間接的には関係が出てくると思いますが、現在、東海村の第一号原子炉の工事が半年以上おくれているという問題について、新聞紙上で、科学技術庁の側とそれからGEJ側との間においておのおの責任のなすり合いをやっているようだが、その事情をひとつ説明してもらいたい。
○政府委員(島村武久君) 日本原子力研究所で建設いたしております動力試験炉の建設工事の期限の事情につきまして御説明申し上げます。 原子力研究所の動力試験炉は三月中にも燃料を装荷いたしまして、五月には臨界に達せしめるという目標のもとに工事を進めて参ったのでございますが、その最終段階に至りまして、アメリカから送って参りますハイプ等、こまかいものの遅延、あるいは取りかえを要するものというような事情ができましたため、ただいま御指摘になりましたように、現在の予想では九月の終わり近くまでに発電開始が可能になるというスケジュールに変わってきておるわけです。御指摘になりました新聞に科学技術庁とGEJとの間に責任のなすり合いがあるというような記事が出ておったということについてでございますけれども、現在の段階では、私どもといたしましてGEJと一回もその問題につきまして話したこともございませんし、また科学技術庁といたしましてGEJと反対のような見解を出したこともございません。したがいまして、そういうようなことは一切まだないわけでございます。問題になりますのは、日本原子力研究所とGEJとの間に契約がございまして、八月一ぱいに引き渡しを完了いたすという約束でございますが、遅延した場合には、双方のその責任の帰属によりまして遅延に対する損害を日割りで支払うような条項がきめられておるわけです。したがいまして、九月になってから引き渡しということになりますと、そこにおくれた分をどうするかという問題が当然出てくるわけでございます。先ほど申し上げましたように、IGE側が何と申しておりますかは承知いたしておりませんけれども、原子力研究所からの報告によりますれば、それは先ほど申し上げましたように、IGE側で送って参りましたものの不良の取りかえ、あるいは送ってくることがおくれたことによるものでございまするので、議論をする余地もなく、先方の責任であるというような報告を受けておるわけでございます。
○野上元君 この契約を見ますと、八月末が引き渡し期日としてはぎりぎり一ぱいである、したがって、八月末日を越えると、米側の責任の場合には一日に三十万ドルの割合で原研に支払う、また原研側に責任がある場合には一日五十万円の割合でGEJに払わなければならない、こういう契約になっておるようですが、すでにあなたのほうの見解によると、八月末の引き渡しということは困難であるという見通しを立てて、おそらく九月の末になるだろう、こういうことが言われておるわけであります。今あなたの答弁からしても、そういうふうな状態になっておるということになれば、この契約を履行するためにはどちらに責任があるのかという点について、今日の段階においてすでにきめられておらないと、おかしいじゃないですか。そういう点について、あなたのほうではまだGEJと全然話がされておらないということですけれども、それでは怠慢じゃないですか。
○政府委員(島村武久君) 私どもといたしましても、工事が遅延するということ自体が、まことに申しわけないことでございます上に、ただいま御指摘のような問題もございますので、原子力研究所側に対しまして遅延の理由及び今後のスケジュールはどういうことになるのかということを問いただしておるわけでございます。したがいまして、原子力研究所側からの報告を求めましたところが、先ほど申し上げましたように、九月の終わり近くまで、一カ月近く延びるという事実がはっきりいたしましたと同時に、その原因は、先方側から送ってくるものを送ってこなかったり、あるいは取りかえるものができたりしたためにおくれたものでありまして、原研側に全然責任のないことであります。こういう報告を受けておるわけであります。先方との交渉は、原子力研究所が当然いたさなければならぬことでございます。また、そういうようにいたしておると思います。原子力局側が直接GEJと交渉するということはないわけでございます。
○野上元君 これはやはり新聞の記事ですから、何といいますか、絶対の権威を持って私があなたに質問するわけにはいかないと思いますけれども、この記事によりますと、原子力局のほうは、原研側の報告に基づいて調査した結果、GEJ側に責任がある、こう言っておる。しかしGEJのほうは、政府が災害補償契約を半年近くおくらせたために予定が狂ったことや、米国内の港湾ストで部品の積み出しがおくれた点をあげて反論しておる、したがって、明らかにこれは原研側の、要すれば、日本政府側の責任であって、われわれのほうには全く責任がないんだと、こういう記事が載っておるわけですが、この点の記事の信憑性について、科学技術庁としてはどういうふうに考えておられますか。
○政府委員(島村武久君) 先ほども申し上げましたとおり、私どもといたしましても、監督上の立場からも非常に関心を持つところでございますので、原研側に問いただしたわけでございます。原研側としては、もう一切先方に責任があるという報告をいたしてきております。そういたしますれば、先方に対して損害金を払うどころか、契約に基づきまして向こうから取らなければいけないことになるわけでございます。もちろん商売のことでございますから、何とかしてそれを免れたいと思いまして、GEJのほうでいろいろな理由をつけて言っておるかもしれませんですけれども、その点につきましては、あくまで、はっきりさせる必要があると考えておるわけでございます。
○野上元君 ここでいっておるGEJ側の言い分によると、政府が災害補償契約を半年近くおくらした、そのために今日のおくれを来たしたのである、こういうふうに言っておりますが、災害補償契約の締結のやり方に日本側にミスはなかったですか。
○政府委員(島村武久君) 先ほど申し上げましたように、燃料を装荷いたしますスケジュールが前年度内にございましたために、国会の御審議も経まして、政府といたしましては、災害補償の契約を原子力研究所について行なえる予算上の権限も与えていただきまして、昨年度にすでに契約を行ない、また、その契約に基づいて燃料は東海村にすでに今年の二月に運び込まれておるわけでございます。したがいまして、契約がおくれたために工事がおくれたというようなことはあり得ないと考えているわけでございます。
○野上元君 まあこの問題は直接この法案に関係ありませんし、かつまた、現在あなたのほうでも十分検討されておると思います。したがって、また次の機会にその成り行きについてお伺いすることにして、きょうはこの程度にしておきます。 次に、これもまあ二、三日来の新聞ですが、国際原子力機関の査察を受け入れるという問題について、国際原子力機関のほうから発表になっておるわけですが、これはどういうことになるのですか。その内容を教えてもらいたいのです。
○政府委員(島村武久君) ウイーンからの新聞ということで報道されておるのを私も見たわけでございますが、本件は国際取りきめの問題といたしまして外務省が担当いたすことではございますが、中身が原子力のことでございますので、私どものほうからお答え申し上げたいと思います。日本は前回にもお話がございましたように、原子炉あるいは燃料物質等を外国から供給を受けておるのでございますけれども、原子力の場合には、一般的に、世界的な傾向といたしまして、一般の通商条約等だけでなくて、特別の取りきめをいたしまして、そのようなものを輸出し、また輸入するようなことが行なわれております。現在日本は国際原子力機関に加盟いたしますほか、アメリカ、イギリス、カナダ等と原子力に関します協定を結んでおることは御承知のとおりでございますが、今回新聞に報ぜられましたものは、アメリカとの協定に基づくものでございます。アメリカと日本が協定を昭和三十一年に結びましたのでございますが、日本はその際に、アメリカからいろいろ受け入れましたものを非軍事的利用に限って使うということを約束いたしますと同時に、アメリカはそれを確保いたしますために、日本に対して査察あるいは報告というような権限を協定上持っておるわけでございます。その際に、国会等でも議論がなされたことでございますけれども、そのような安全保障、つまり平和の目的にしか使わないという意味での安全保障は、アメリカならアメリカという一国によって行なわれるよりは、国際機関によって行なわれるほうが望ましいのではないかという議論も強うございまして、同じようにその協定を結びます際に、条文を特に設けまして、適当な時期に日本とアメリカはその安全保障の協定上の権利を国際原子力機関に委譲するということを約束しておったわけであります。自来今日まで、この委譲の問題は実現していなかったわけでございますが、国際原子力機関もだんだんに内容機構等も充実して参りまして、みずから国際原子力機関が他国に安全保障を行なう能力を持ってくるようになりましたために、アメリカと日本と相談いたしまして、今度国際機関にこの協定上の権限を委譲しようという話を始めたわけでございます。今月になりましてウイーンで日本、アメリカ及び国際原子力機関、三者の間でいろいろ相談をいたしました結果、現在大体話し合いがつきまして、若干のさらに詰める点はございますけれども、来月開かれますIAEAの理事会にその案を提出できるのではないかというところまでこぎつけておるというわけでございます。そのような事実がウイーンからの電報によってIAEA側から指摘されたということでございます。
○野上元君 この協定の所管は外務省になるのですか。
○政府委員(島村武久君) 国際間の取りきめの仕事は全部外務省でございまして、私どもといたしましては外務省に意見を申し述べ、外務省において、あるいは外務省から、それぞれの出先機関等を使って交渉を行なわしめるという現状でございます。
○野上元君 その国際原子力機関、IAEAの設立は、新聞によるとまちまちなんですが、たとえば東京新聞によると昭和三十七年七月二十九日になっているのですが、朝日新聞によると一九五七年七月ということになっているのですが、これはどちらが正しいのですか。
○政府委員(島村武久君) さっき私申し違いがございましたので訂正させていただきますが、三十一年と申し上げたような記憶がございますが、日本とアメリカ合衆国との間の協定は昭和三十三年でございます。六月十六日に署名されまして、その年の十二月に国会の御承認を得て公布され、三十三年の十二月五日に効力が発生いたしております。なお、この協定は翌年の二月に一部改正されて今日に及んでおります。西暦で申しますと一九五八年でございます。
○野上元君 今私の聞いたのは、国際原子力機関の創立は正確にはいつですかということ。一九五七年七月ですか。昭和三十七年というのもあるが、どちらですか。
○政府委員(島村武久君) 一九五七年のほうが正しいわけでございます。
○野上元君 この国際原子力機関というのは、平和利用に関する原子力の調査について第三国を査察する権限というのは本来的には持っていないのですか。その国との間に特別の協定を結ばないと、それはできないのですか。
○政府委員(島村武久君) そのとおりでございまして、国際原子力機関は、各国の原子力の平和利用のための機関でございますが、国際原子力機関から供給いたしましたものにつきましては、これは国際原子力機関みずからが当然に査察の任務と権限を持つことになっております。しかし、アメリカのような場合、これは日本はアメリカからもらう。そのアメリカの持つ権利を国際原子力機関に移して、国際原子力機関の仕事としてやらせます場合には、その三者間であらためて協定が必要になるわけでございます。
○野上元君 日米間において三十三年十二月五日に発効した協定がありますね、先ほどあなたがおっしゃった。その中にアメリカが日本の設備を査察する権限を持つということになっているわけですが、それはアメリカにそういう権限を与えたという理由は何ですか。
○政府委員(島村武久君) これはアメリカ合衆国側といたしましては、原子炉あるいは燃料等が軍事的に利用されるということをきらっておる。したがってアメリカからもらいます場合には、平和にしか使わないということを約束する必要があるということが第一の理由でございます。日本としてはそういう約束をすること、これはもう当然やって差しつかえないことでございましたので、平和にしか使わないということをお約束したわけでございますが、アメリカといたしましては、その履行として報告をもらえ、あるいは必要があると思うときには行ってどのように使われておるかを見たい、こういうようなことを言ったわけであります。したがって、それを認めた。これは日本だけということでございませんで、世界各国ともいずれもそのような約束のもとに二国間の協定を結んでおるわけでございます。
○野上元君 アメリカにそういう特権を与えるというのは、原子力に関する開発、技術の援助といいますか、あるいはまた燃料物質のアメリカからの提供、賃貸ということがあるからアメリカに特権が認められておる、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
○政府委員(島村武久君) そのとおりでございます。
○野上元君 そうしますと、日本独自で原子炉をつくり、燃料物質も求めるというものについては、アメリカの査察の範囲外にある、こういうことになるわけですか。
○政府委員(島村武久君) もちろんでございますし、国際機関の査察もございません。日本独自でつくり、日本でできたものを使って、燃料にいたしましても、日本独自の燃料でございますれば、どこの国からも、また国際機関からも査察はございません。
○野上元君 東海村の第一号炉の燃料は、これはいろいろと記事が違うのですが、国際原子力機関を通じてアメリカから提供された、三トン提供されたという書き方をしてあるのもあるし、そうでなくて、国際原子力機関を通じてカナダから買った、こういうふうに解説してある記事もあるわけです。それはどちらがほんとうなんですか。
○政府委員(島村武久君) 原子力研究所の国産一号炉のことだと思うのでございますけれども、国産一号炉という通称を使っておりますように、日本人の頭脳、日本の材料でつくりたいというのが念願でございました。しかしながら、燃料だけは間に合いませんでしたので、できるだけ燃料に関しましても日本の技術も入れながらつくったことは事実でございますけれども、三トンは国際原子力機関から日本は購入したわけでございます。 ただ、国際原子力機関というのは、国じゃございませんでございますから、その国際原子力機関が日本に売った燃料は、カナダ産のもの、カナダが国際原子力機関に提供したもの、それを買ったという形になるわけでございます。アメリカから買ったわけではございません。カナダから国際原子力機関に提供したものを日本は国際原子力機関から買った、こういう関係に立ったわけでございます。
○野上元君 現在、日本では原子炉というものは幾つ動いているのですか。
○政府委員(島村武久君) 現在小さな研究用のものも入れますと、全部で八つでございます。
○野上元君 その内訳をちょっと教えてもらいたいのですが、研究用、実験用と区別して。
○政府委員(島村武久君) まず最初にできましたのは原子力研究所にございますウォーター・ボイラー、湯沸かし型の原子炉、これはもちろん研究用のものでございます。それから原子力研究所にはそのほかに第二号炉といたしまして、シカゴ・パイルと申しますか、正式には原研の二号炉と申しております。これも研究用の原子炉でございます。それから原子力研究所では三番目に当たります炉が先ほどお話の国産一号炉でございます。それから大学にありますものといたしましては立教大学、これは設置所は横須賀の、通称武山といっているそうでございますけれども、ここにございます、原子炉を持っております。それから近畿大学、これは非常に小さい炉でございますけれども、大阪の布施市、研究用、教育訓練用の炉を持っております。次に会社の関係でございますが、日立製作所でつくりました研究炉、これが川崎の王禅寺という所にございます。同じように東芝、東京芝浦電気でございますが、研究炉を同じ川崎でございますが、海岸寄りのほうに持って、研究用に使っております。なおまた、これは学校と申し上げたほうがいいのか、会社と申し上げたほうがいいのか、五島育英会というのがございまして、これは実質は東急が主になっているものですが、この五島育英会が、やはり先ほどの日立と同じ川崎の王禅寺という所に研究炉を持っております。 現在動いております炉は、以上申し上げましたように、原研に三つ、それから会社と大学等、小さなものが五つ、合わせて八つでございます。
○野上元君 これらの炉を動かすための燃料物質は、どこから得ているのですか。
○政府委員(島村武久君) 大部分がアメリカ合衆国でございます。と申しますのは、先ほどお話に出ました国産一号炉以外、全部濃縮ウランを使用いたしております。そういう関係もございまして、現在のところ、それらのものはすべてアメリカから得た燃料によって動かしているわけでございます。 なお国産一号炉につきましては、初め入れました燃料は、先ほどのように国際原子力機関の応援を得ましてカナダ産のものを使っておりますけれども、私どもの計画では、日本でできましたウランを使いまして、日本で加工して、そうして国産一号炉の燃料とするように、今後そういった方向で努力 いたしているわけでございます。
○野上元君 そうしますと、日米協定によってアメリカが日本の施設を査察する対象というのは、国産一号炉を除く他の全部の炉ということになりますか。
○政府委員(島村武久君) 原子炉といたしましては、おっしゃいますとおり国産一号炉以外のものは全部査察し得るわけでございますし、また、アメリカの査察自体は、原子炉の燃料、あるいは原子炉だけでなくて、燃料を、いろいろな研究目的のために燃料として使っている、燃料を燃料の研究のためにアメリカから分けてもらうことがございますので、それらのものについても、原子炉でなくとも査察を行なっておるわけでございます。
○野上元君 日米協定によりますと、表現は私にもよくわかりませんが、あれを読みますと、燃料の量といいますか、いろいろなことが書いてありますが、結局差し引きして、常に日本に二千七百五十キロですか、以内にとめておくのだ、こういう協定の内容になっていますが、あれはどういう意味なのですか。
○政府委員(島村武久君) 燃料でございますから、原子炉によりまして使用済み燃料になって出て参りまして、あとまた補充して入れなければならぬ。これはまあ通常の場合です。小さな研究炉になりますと、入れっぱなしで、ほとんど半永久的に使える場合もございますけれども、通常考えます場合には、燃料はそれぞれの炉によって違いますけれども、一定期間ごとに取りかえていく、あるいは少しずつ取りかえていくということになるわけであります。したがいまして、日本が購入し、あるいは借りる燃料の量というものは、そういう出入り関係があるということでございまして、そういったものを差し引いて正味が、おっしゃいましたような数量の範囲までという協定になっておるわけでございます。
○野上元君 二千七百五十キロとしたその理由は何ですか。資源の問題なんですか、あるいは日本にそれ以上のものを持たしてはまずいという考え方なんですか、その点はどういうふうに……。
○政府委員(島村武久君) アメリカ側といたしましては、平和目的に使います限りにおきましては、どれだけでも供給する用意があるというのが、アメリカ側の真意としてわれわれが受け取っておったことでございます。この量をきめます場合に、いくらにするかということが一つ問題になったわけでございますが、アメリカ側としましても、日本に供給すると約束しておきながら、大よそのめどは持っておきたい、日本だけで影響するわけじゃございませんけれども、世界各国に供給する立場もとっておりますし、大体幾らぐらいのものになるかということは、やはりアメリカ側としても心づもりとして知っておきたいということがございまして、相談の上、このような数字を出しましたが、その算出の基礎となりましたのは、その当時の原子力委員会が定めました長期計画等から見まして、この協定をさしあたり実施いたしますのに、差しつかえのない程度の量と考えました数字を一応の根拠として入れたわけでございます。
○野上元君 そうすると、科学技術庁としては、現在でもあの量で、近い将来までは大丈夫だ、こういうように判断されているわけですか。
○政府委員(島村武久君) そのとおりでございまして、ここ暫くは協定上のワク内でやっていけるつもりでございますが、やや長期的に見ますと、足りなくなることもまた必至でございまして、その際にはアメリカとの協定を改定しなければならぬということになっております。
○野上元君 日米協定は期限がたしか十年でしたね。十年間過ぎたあとはどういうふうな予定なんですか。
○政府委員(島村武久君) 当然アメリカ側と相談いたしまして延長していくという考えでおるわけでございます。
○野上元君 時間がありませんので、大体この程度にとどめたいと思いますが、もう一度法案に戻りまして、原子力船開発の目的は、第一条に、はっきり書いてあるのですが、このことはよくわかるのですが、今日原子炉によって船が動くということは、もう実証済みなんですね。だから在来船のいわゆる油で走る船と比べてどういう利点があるのだという点がはっきりすることが最も望ましいし、また、そうでなければ開発してもあまり意味がないと思うのですが、その点はどういうふうに考えられておりますか、たとえば将来の経済性の問題で、あなたのほうではわれわわの質問に答えておりますが、大体近い将来十年くらいすれば採算がとれるというような、経済性は十分に見込まれるというような答弁があったわけですが、そういう点もあわせてお答え願いたいと思います。整理すると、在来船と比較しての利点、それから将来の経済性が、少なくとも十年までには経済性の見通しもつくというあなたの答弁があったのですが、その点についてもう一度お願いしたい。
○政府委員(島村武久君) ただいままでの御審議で、こまかくるる申し上げたのでありますが、野上委員がおっしゃいましたように、これを整理して申し上げますならば、現時点におきまして、特にこの第一船においては、経済性というものは、在来船に比べてこちらのほうが有利であるということは申し上げられないということが第一点。しかしながら、原子力委員会の長期計画によりましても、また世界各国のこの問題に関する意見といたしましても、十年後には十分経済性に乗ったものとして実用化されるというふうな見通しが得られておるということが第二点でございます。しからば原子力船というものの積極的な面の長所は何であるか、いわゆる何を期待するのかということになりますと、それは高速性つまり早く走り得る、それから大型化が容易である、非常に結論的に申し上げますならば、それが大きな原子力船の長所であるというふうに考えるわけでございます。
○野上元君 その点でお聞きしたいのですが、あなたの答弁によりますと、今回計画されておる原子力船は最大速力十七、八ノットということに聞いておりますが、在来船の油で走る船でも二十ノットぐらいで走る船があるのですね、ということになると、こういう利害得失をはっきりと比較し得る絶好のチャンスに、なぜ早い船を設計しないのかということの疑問があるわけです。私もレーニン号、ザバンナ号の能力を調べてみたのです。これも十七ノットないし二十ノットぐらいになっております。レーニン号の場合は砕氷船ですから、あるいはスピードよりも氷を割る力のほうに重点がかかっておると思いますが、せいぜい二十ノットぐらいしか出ないというのですが、原子炉を取りつけた場合には、スピードはもっと出るのじゃないかというような気がするのですがね。あなたの答弁によりますと、そうは出ないように設計されておるのだ、こういうような答弁なのですが、これはどうして出ないように設計しなければならないのです。何か大きな被害があるのですか。
○説明員(村田浩君) 技術的な問題になるかと思いますので、私から答弁さしていただきます。ただいま計画しております原子力第一船は、これまでいろいろ御説明申し上げましたように、まず研究開発的な要素を多分に考慮しておりますので、商業船といいますよりは、非商業船、それも将来海上観測というような特殊な業務に従事するということを念頭に置きまして計画をいたしておるわけでございます。でき上がりました後に、実験航海を終わりましたあとは、そのまま拾ててしまうのではなくて、有力な海上観測船として働いてもらうということを期待いたしております。海上観測の目的からいたしますと、ただいたずらに高速であるということばかりがその有用性ではございません。運輸省のほうとも種々協議いたしまして、将来そういった意味での業務をりっぱに果たせるという観点から、その速度を勘案いたしましたのが一つでございます。それからもう一つの点としまして、もちろん原子炉の容量をふやしまして軸馬力を上げますと高速の船ができるわけでありますが、いかに第一船が経済性を必ずしも第一義的に考えておらないとは申しながら、多額の国費を投入してつくるものでございますので、それだけ高くつく船を第一船として最初から考えるということはいたしませんで、将来の目的に沿い、かつその範囲で技術開発、将来の発展の見通しを得るに役立つ範囲での最適な条件を選びまして、原子炉の容量、馬力、それと速度等を勘案しておるわけでございます。
○野上元君 私もちょっとお尋ねしましたように、今、原子力局長のほうからは、在来船と比較しての利点としては、早いということ、大型化であるということなんですね。今回まああなた方の試作せんとしておるのは、速力も早くないし、船も小さいし、ということなんですね。だから私たちが考えると、せっかくこういう絶好のチャンスに、なぜ速力の早い船をつくらないのか、わざわざ出ないように設計をしなきゃならぬのかということがどらも納得ができないのですが、一ノットふやすためにどのぐらいの経費が余分にかかるのですか。
○説明員(村田浩君) ちょっとここで手元に一ノット幾らというこまかい資料を持っておりませんが、御参考までに申し上げてみますと、これからつくります第一船の価格が、前にも御説明申し上げましたように、約三十五億円でございます、と申しますことは、一トン当たりの建造費を換算しますと五十五万円ということになります。他方、先生先ほど御指摘の、アメリカのサバンナ号、これは貨客船でございまして、大きさもずっと大きなものでございます。速度も二十一ノット、最高二十七ノットぐらい。観測船に比べれば相当高い速度の船でございますが、この船の建造費は、得ております資料によりますと、総額で百五十六億円かかっております。すなわち、トン当たりにいたしまして、百四十五万円もかかっておるわけでございまして、これをもって直ちに速力が早くなったからこれだけふえたとは申せないと思いますけれども、一応の目安としまして、かなり現段階におきましては、速度を高めることによって建造費が高くなるということの御了解は得られようかと思います。
○野上元君 私は経済性のことにこだわるようですが、とにかく九年間かけて原子力第一船を開発されるのだから、日本が将来海運界あるいは造船界に力を入れなければならぬということもよくわかるし、したがって、それに直接、しかも早く寄与するという意味でお尋ねしておるわけですが、原子力局長の答弁によりますと、十年ぐらいすると大体経済性の見通しもつくということなんですが、その経済性というものの中に、スピードというのは非常に大きな要素を占めるわけです。結局船の稼働率といいますか、在来船で一往復するところを二往復するとすれば、それだけ稼働率は高くなるわけです。これは経済性は非常に高いと思うのですね。しかし、その点については、今回はためさないということなんですね。そうしますと、十年後に経済性の見通しもあるということになると、二つの要素があると思うのです。一つは速力による船の稼働率を上げるということ、さらに積載量をふやすということ、そして、もう一つは原子炉の建設、建造費を安くするということの二つの種類があると思うのですが、どちらに重点を置かれて、将来あなたは経済性の見通しはあるのだというふうに言われるのですか。
○政府委員(島村武久君) 野上委員の御指摘のような議論も実はずっと以前にはあったのでございまして、同じやるのならば二番目からすぐそっくり同じものをつくればいい程度の、たとえば八万トンぐらいのタンカーをつくってみるということにしたらどうだという御意見もないわけではございませんでしたけれども、何も外国の例を見るまでもなく、とにかく最初につくる船でございます。もうすでに経済性が確立されておるという段階で行なうことでなくて、将来にそれを期待しながら経験を得ることを第一義に考えて、この第一船計画というものを立てておる場合に、次の実用船への結びつきを考えながら、どの程度まで、いわば冒険をせずにやり得るか、あまり小さくしてしまったのでは、これは実用船との結びつきがなくなるという、その限度を御議論願いました結果、このような大きさになり、またこのようなスピードということにまとまったという経過があるわけでございます。言いかえますならば、何しろ最初につくってみるということを念頭に置きまして、これを実用船へつなぎ得る最小の規模を考えておる、こういうことでございます。
○野上元君 十年後には経済性を見込まれるということは、問題は、原子炉の建造の部分が在来船に比べて非常に高いということははっきりしていますね。したがって、原子炉の建造費が安くならないと、造船コストは低くならないわけで、しからば、その原子炉の建造費が安くなるというのは一体どういう状態になったら安くなるのですか。どんどん大量生産されるようになれば安くなるでしょう。あるいはまた著しい技術の革新がその間に行なわれれば、あるいはそういうこともあり得るかもしらぬが、今のような状態で進んでいって、建造費が安くなるというようなことが考えられますか。むしろ高くなるのじゃないですか。
○政府委員(島村武久君) あまり具体的な技術的なことでなく、いわば常識的に考えましての話でございますけれども、原子炉は大量につくるということだけでなくても、どんどん安くなるというふうに考えるのが一般でございます。陸上の原子炉にいたしましても大きな目で見ますならば、まだ開発段階にあるわけでございまして、今までつくられました炉にいたしましても、明らかに毎年々々安くなっておる。それは大量生産をするからといいますよりは、むしろやはり技術の進歩、経験の獲得によりまして、よけいなところをなくしていくというような点が非常に多いと思われるわけであります。 なお、問題は原子炉だけでございませんで、燃料の問題もございます。燃料の価格にいたしましても、世界的に見まして、濃縮ウランにいたしましても、天然ウランにいたしましても、下がる傾向が見られるわけでございます。そういうようなことによりまして、私どもといたしましては、原子力船におきましても、やはり十年くらいたったならば十分やっていけるというふうな考え方をとるわけでございますが、なお実は比較できない問題もあると思うのであります。と申しますのは、これも先日の委員会で申し上げたのですけれども、同じ二十ノットの船であれば比較になりますけれども、二十七ノット、三十ノットというようなことになりますと、従来の船では、いわば不可能なものと比べるということになりますので、これは言い方によりましては、ちょっと比較する計算の根拠がないような比較をやる。もっと言いかえますと、お金で買えないような利点が得られるということにもなろうかと思います。
○野上元君 時間がありませんので、あまり克明に質問もできないのは残念ですが、日本において原子炉のメーカーというものは幾つくらいあるのですか。
○政府委員(島村武久君) 御承知のとおり原子炉をすべて皆自分のところでやるというような企業形態というものは、実はあまりないわけであります。いわばある一つの総合工業と考えてもいいようなものだと思います。そういう意味におきまして、企業を分析いたしますことは、やや困難ではございますし、かつまた原子炉をどんどんつくって現に売っておるというような性質のものではないわけでありますから、一がいには申し上げかねますが、現在日本の原子力産業を見ますと、現に先ほど申し上げました研究炉を自社でつくりましたものとして、まず東芝でございますが、これは東芝系あるいはそれに近い関係にあります企業が寄りまして、日本原子力事業株式会社という会社をつくっておるわけでございますが、ここが一つございます。それからまた日立製作所の一連の系統、これで原子炉をつくる。あるいはつくりたいという希望、また三菱系統では三菱原子力工業株式会社という組織をもちまして、三菱系各社が一体となってこれに当たるような体制をとっております。もう一つ現に東海村で建設中のコールダーホール型原子炉の下請として動いております富士電機製造株式会社、これがやはり原子炉メーカーといえるのじゃないか。なお若干はっきりいたしませんのは、住友原子力工業という会社がございまして、これも場合によっては、もちろん今まで経験はございませんけれども、原子炉をやらないときめておるわけでもないようでございまして、一つのグループとして考えられておるわけであります。
○野上元君 そうしますと、今回試作する原子力船は国産でやりたいという希望が非常にあなたのほうも強いし、われわれのほうも強いわけです。そうしますと、今のメーカーのうちどこでやらせるのですか。
○政府委員(島村武久君) その点も先般申し上げたのでございますけれども、現在のところ、三菱にするとか、三井にするとかというようなことをきめておるわけじゃございませんで、事業団の自主的な判断というものにまかしていきたいと考えておるわけでございます。先般もお話がございましたように、どこか一つにするか、あるいは分割して仕事を受け持たせるかという問題も実はあるわけでございます。原子力研究所でつくりました国産一号炉の場合には、各社が共同で製作を分担したという例もございます。今度の場合、必ずそういう方式によってやるということをきめておるわけじゃございませんけれども、いずれにいたしましても、できるだけわが国自身が経験を得るような形が望ましいというふうに考えておるわけでございます。
○野上元君 この法案の第一条にうたってある造船及び海運の発達に寄与できるというめどはどうですか。いつごろになる見込みですか。
○政府委員(島村武久君) 原子力船が実用化されますのは、私どもといたしましては十年くらいたったならばという考えでおりますことは、るる申し上げましたが、それに寄与するということになりますと、これは事業団ができまして、設計をやっていく段階から、一つ一つ実際の知識として身についていくわけでございますので、造船及び海運の発達に寄与するというような言い方にぴたりと当てはまるかどうかは問題でございますが、事業団ができて仕事にかかれば、もうそのときから貴重な経験というものを得ることが始まっていくものというふうに考えておるわけでございます。単なる言葉のそういうような理屈だけでございませんで、この事業団の設立第一船の建造ということにつきましては、私からお答え申し上げるのもいかがかと思いますけれども、造船業界も海運業界も支援してあるいは要望しておられるところでございますので、単に言葉だけで申し上げるのでなくて、大きな寄与をなし得るものと考えておるわけでございます。
○野上元君 次に燃料ですが、国産の燃料というのはどのくらいの見通しがあるのですか。
○政府委員(島村武久君) 原子力船に使います燃料の国産化の見通し、こういうのですか。
○野上元君 いやそうじゃなくて、何といいますか、天然ウランの埋蔵量といいますか、あるいはその他燃料物質の埋蔵量といいますか、そういうものは日本にどのくらいあるのですか。
○政府委員(島村武久君) 現在、日本におきます燃料物質の開発は、御承知のとおり、原子燃料公社をつくりまして、そこで探鉱をいたしておる段階でございます。まだ現実に採鉱事業というところまで踏み切っておりませんので、日本にどのくらいあるかということをつかむことが一番大きな目的で、現在まで判明いたしましたうち、一番有望でありますのは、岡山、鳥取両県の県境にございます、通称人形峠鉱区といわれておるあの一帯でございまして、これが日本の一番現在では大きな地区と考えられております。最近の資料によりますと、鉱量にいたしまして約三百万トンくらいは確認できるという状況でございますが、これをウランの量に直しますと約二千トンくらいに相当するということになっております。また、ごく最近のなにでは、同じ地帯でございますけれども、相当日本で今まで発見できなかった程度の品質のいいものが見つかったというような報告もございましたし、これを要するに、現在なお探鉱を継続しておるという現状でございます。
○野上元君 そうしますと、この船ができるころには、十分に燃料のほうの開発も見通しがあるということに理解してよろしいですか。
○政府委員(島村武久君) 実はウランの燃料といたしましては、ただいま申し上げました程度の量はわかっておるわけでございますが、採鉱事業というものを開始しているわけではございませんし、二千トン程度のウラン量というものは、あまり大きな数量ではございません。船だけではなくて、発電のほうの計画もいろいろ考えられておることでございますので、日本としては、結局、日本のウランが需給関係から申しますと、ごく一部にしかならないという見通しでございます。ただ、船だけについて申しますならば、この船は天然ウランでなくて、濃縮ウランを燃料に使う予定にいたしておりますので、時期的にかりに人形峠の鉱石が出て参りましても、その船につきましては、同じウランといいながら、燃料自体はやはり外国に仰がなければならないというふうに考えております。
○野上元君 濃縮度は、これもおそらく答弁があったと思いますが、それは日本にそういう設備があるわけですか。
○政府委員(島村武久君) 若干の研究はいたしておりますけれども、現在のところ、日本では濃縮をする計画は具体化しておりません。
○野上元君 いろいろ聞きたいことがたくさんあるのですが、時間がありませんので、私の質問はこの程度にしておきます。
○松澤兼人君 たいへん委員の皆さんがお急ぎになっていらっしゃるようですから、野上委員もまだたくさん質問したいことを持っていらっしゃるわけですが、いろいろ御都合もあると考えますので、ごく簡単に——これは最終の質問になると思いますが、二、三の点についてお伺いいたしたいと思います。 第一に、この法律の所管の問題であります。これは法案によりますと、内閣総理大臣と運輸大臣が共管をしているという形であります。そうして、内閣総理大臣が科学技術庁長官に権限を委任しているものは第三十九条によって明らかになっておるわけであります。この点は、私ども法律のしろうとの立場からいいますと、非常におかしいことだと思うのでありまして、内閣総理大臣はもちろん内閣の首班でありまして、各省の主任の大臣の意見の食い違いを調整するという役割も持っておられると思うのであります。その内閣総理大臣は、第三十九条に規定しております権限を科学技術庁の長官に委任はいたしておりますけれども、結局共管は内閣総理大臣と運輸大臣ということになっております。この点は、何だか変な形をとっているというふうに思うのでありますが、こういう形にしたのはどういうところにあるのか、科学技術庁長官なり、あるいは運輸大臣から御答弁願います。
○国務大臣(近藤鶴代君) この法案を審議し、制定されます過程において、おそらくそういて問題は十二分に考慮されて、なおかつこういう結果になったと思いますので、相当な理由があると思うのでありますが、私の考えますところでは、御承知のとおり科学技術庁の長官は、総理府の外局である科学技術庁の長でございますので、国務大臣をもって充てられてはおりますけれども、命令の制定権がないなど、各省大臣よりその権限がやや狭くなっておりますので、均衡を考慮して総理府の長である内閣総理大臣と運輸大臣が事業団を共管することとなったのではないかと考えます。
○松澤兼人君 運輸大臣の見解は。
○国務大臣(綾部健太郎君) 私どもも今、近藤科学技術庁長官の答弁されたとおりのことで共管になったと思っております。
○松澤兼人君 もちろん科学技術庁は総理府の外局でありますから、現在は国務大臣が長官となって、それで総理大臣が科学技術庁の行政事務を管理するということは法律上決して間違いではない。けれども、全くしろうとでございまして、私たちはずっと野党におりますので閣議の状態などはうかがい知ることもできませんけれども、たとえば事業団の問題につきまして、閣議に提案をされるというか、そういう実際上の問題が起こって参りましたときに、書類の上では、もし科学技術庁長官に委任をされている権限の事項でありますならば、科学技術庁の長官である国務大臣近藤鶴代という署名と、それから運輸大臣綾部という両名の名前をもって文書の上では提案されると思う。しかし実際に提案をするとか、あるいは説明に当たるとか、あるいは他の閣僚から質問を受けるとかいうような実際上の責任者はどちらになるのですか。
○国務大臣(近藤鶴代君) 内閣総理大臣の——まあ実質的には書類その他の上において総理府の外局であるという立場においてすべて内閣総理大臣名をもってやっておりますけれども、仰せのとおり事務的な問題は、やはり権限を委譲されております建前上、科学技術庁の長官のほうでいたしておるわけでございます。
○松澤兼人君 今後もまあこういう問題に対して閣議に提案をされるという場合には、その提案される事項が総理大臣から科学技術庁長官へ三十九条によって委任されている事項については、主たる国務大臣として科学技術庁の長官が、たとえそれが連署でありましても、責任をもって閣議に提案をされるというふうに了解してよろしいのですか。
○政府委員(島村武久君) この法律によります内閣総理大臣の権限の科学技術庁長官への委任の問題と、閣議請議の問題とは、若干面が違う場合があろうかと思うのであります。いわばここに掲げられました委任事項等は、すべて閣議に出る事項ではないと考えるわけでございます。もちろん事柄の性質によりまして、閣議に報告し、あるいは閣議の御了解を願い、あるいは閣議の御決定をいただくようなことも生じ得るとは思いますけれども、通常の場合、委任されました権限というものとそれとは、直接の関係がなく、法律上委任されておりますれば、科学技術庁長官はその権限に基づきまして、独自にこの法律に定められました仕事をやっていくことができるというふうに考えておるわけでございます。
○松澤兼人君 委任された事項でありますから、何と申しますか、長官専決とか、あるいは長官が行政上の処理をするという問題については、今、局長のお答えのとおりだろうと思うのです。しかし、たとえそういう行政事務でも、閣議に取りつけをしなければならないという問題というものが起こってくるのじゃないかと思うのです。その場合におきまして、だれが一体そういう閣議の提案者になるか、責任の所在はどこにあるのだということをお伺いしておるわけなんです。
○政府委員(島村武久君) ここの内閣総理大臣と科学技術庁長官との関係で申しますならば、法律上委任されました事項は、第一義的には当然科学技術庁長官がみずからの責任と権限によって行なう。その意味におきましては科学技術庁長官の責任でございますけれども、形式的に申しますならば、行政組織法によりまして総理府の長たる内閣総理大臣というものが科学技術庁長官の行ないましたことにつきまして責任を持つわけでございます。 なお、閣議請議の関係で申しますと、これは内閣法によりまして、各大臣はいずれも内閣の首長たる内閣総理大臣に対しまして閣議に付議することを求められる、何と申しますか、権利を持っておられるので、国務大臣としていつでも閣議の問題となさることができるわけでございます。ただ、この原子力船開発事業団法によります科学技術庁の長官が、ただいま御指摘のように、何らかの理由によりまして、閣議を求めようとする場合、通常の手続は、やはり総理府の長たる総理大臣、それから内閣の首長たる内閣総理大臣にあてて閣議請議をするというのが従来の慣例であります。
○松澤兼人君 たとえば水資源開発公団法でも、内閣総理大臣と他の大臣と共管になっております。この場合には、法律で明らかに役員及び職員及び財務及び会計その他の管理事業だけ内閣総理大臣が所管する。他の大臣はそれぞれ事業の面で分担して処理する。これはいわゆる共管でありますけれども、内閣総理大臣が一段高いところにあって、財務あるいは職員、役員、そういう問題だけを抽出して総理大臣がこれを委任している。あとは農林大臣あるいは厚生大臣が、自分の所管の仕事に対してだけ責任を負うという形になっている。そういう形も可能であるならば、国務大臣である科学技術庁長官と運輸大臣が共管をする。その共管ということは、科学技術庁本来の仕事は科学技術庁の長官が所管し、運航その他運輸省の固有の仕事に属する部分は運輸大臣が所管をする。そして任命権等は内閣総理大臣が握るということのほうがすっきりするのじゃないかと思うのですけれども、そういうことをしなかった理由というのはどういうところにあるのですか。 —————————————
○委員長(田上松衞君) この際、委員の異動について報告いたします。 本日、牛田寛君が辞任せられ、その補欠として北条雋八君が指名せられました。
○政府委員(島村武久君) 不勉強で水資源のほうの事情を正確に申し上げることはできないのでございますが、おそらくは関係各省同じ共管と申しましても、相当多岐にわたるという問題がございまして、いわゆる内閣総理大臣の総合調整といったような面を重く見られまして、役員の任命等につきましては内閣総理大臣だけで行なわれるような仕組みが考えられたものではないかと存ずるわけでございます。ただ、この原子力船開発事業団の場合は、同じく内閣総理大臣と申しましても、その意味が、総合調整的な機能を有する意味での内閣総理大臣ということを考えたわけでございませんで、科学技術庁長官、あるいは科学技術庁の所掌事務となっております原子力行政という面と、運輸大臣が持っておられます海運あるいは造船に関します所管の権限というようなもの、これを並列的に考えましたために、この法律にありますような意味での共管が考えられたわけでございます。同じように水資源の場合には、共管の形はとっておりまするものの、たとえば厚生大臣と通産大臣はおのずから水資源の事業団が行ないます業務と申しましても、縦割りにし得ることができる。たとえば、よく存じませんが、工業用水等は通産大臣という感覚であり、また、上下水道といったようなものは厚生大臣あるいは物によりまして建設大臣というふうに、縦割りで考えることができるのでございますが、この原子力船の場合は、機関は科学技術庁あるいは船体のほうは運輸省というふうに分けることができても、運輸省のほうも原子力船全体として所管し、見なければならぬ立場にございますと同時に、原子力の開発というような意味からいたしまして、科学技術庁の所掌に原子力行政という形で出て参ります。したがいまして、その面での主任の大臣としての内閣総理大臣と運輸大臣とが全くペースを変えた立場から全体を共管しなければならぬということになりましたわけでございまして、水資源の共管の場合と若干趣を異にしているわけでございます。
○松澤兼人君 時間がありませんから、次に役員の問題ですが、この問題につきましては、前回私から質問申し上げまして、非常に政府としては役員の人選については慎重を期したいという気持はよくわかるわけです。しかし、十五条によりますというと、役員の欠格条項というものがあります。その中に、特に三号では「物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負」それから「船舶運航事業を営む」というようなふうにずっと書いてある。そこで問題となりますのは、この原子力船の事業団は九年という一定の期限を切ってあるわけですね。そういう短い期間だけ存続する事業団の人事でありますが、すでに明らかにされましたように、職員はできるだけ出向という形をとって人事を充足したい、こういうお話、これもよくわかるわけでして、設計の技術者とかあるいは炉の技術者とか、いろいろ段階がありますから、一応それが片づいてしまえば仕事がなくなるというお話を承っておりますので、これはよくわかるわけですが、役員の場合に、こういう欠格条項がありますというと、少なくとも、今まで原子力開発に携わってきた造船会社なりあるいはまた他の電機メーカーというようなところの幹部の人たちを事業団に迎えようとしても、一応向こうをやめなければこちらにくることはできない。そういうことで、たとえそれは名目上やめても、実際の支配力を持つ人ではいけない。こういうふうになっております。それでは有能な人をこの事業団に集めることが非常に困難ではないか。こう考えるわけなんですが、この点いかがですか。
○政府委員(島村武久君) 一般の公団、事業団等と違って九年間という期限がございますことは御承知のとおりでございますし、また、実際に有能な方は現に他の職務で活躍しておられることと思いますので、そういうような期限のある事業団に有能な人に来ていただくということは、他に比べて困難な場合があるという御指摘はごもっともであると思います。しかしながら、国が大きな資金を投じましてこのような事業をやって参ります場合に、就任していただきます役員というものが、職務に専念できないのではなかろうかと思われる者、また、事業団の業務と非常に密接な利害関係を持つというような仕事につかれております方の就任を願いますということは、業務の運営の公正をはかるという意味から不適当であるという考え方のほうが強うございまして、この事業団におきましても一般の他の公団、事業団と同じように、そのような方々は欠格の事由に掲げたわけでございます。しかしながら、先般御意見もございまして、私から申し上げるのはまことにいかがかと思うわけでございますけれども、できるだけりっぱな方の御就任を願うようにお考えを、上のほうでいただいておる状況でございます。
○松澤兼人君 今、局長のほうからお話がありましたが、人事の問題については、やはり大臣なりあるいは政務次官から御答弁を願うのが当然だと思うのです。大臣が黙っていらっしゃるので、やはり局長が答弁しなきゃならぬという形になって参ります。そこで、顧問は役員ではありませんから、欠格条項の適用はない、そう考えてよろしいですか。
○政府委員(島村武久君) そのとおりでございます。
○松澤兼人君 そこで、顧問は「業務の運営に関する重要事項に参画させる」ということになっております。業務の運営に関する重要事項というのはどういうところまでお考えになっていらっしゃいますか。
○政府委員(島村武久君) 法律の解釈という意味で私からお答えさせていただきたいと思うのでございますけれども、この事業団のやります仕事自体が、いわば国家的な仕事と申しますか、各方面の将来に備えての共通した問題として取り上げて参るわけでございますので、その意味におきまして、この事業団の行ないます仕事につきましては、できるだけ多くの分野の方々の御意見を聞きながらやっていくということが適当であると考えまして、このような条項を入れたわけでございますが、実際の運用にあたりましては、いわば具体的な問題につきましては理事長の判断によって、その顧問の方々の意見をお伺いする機会があるというふうに考えているわけでございます。
○松澤兼人君 これは現実の人事問題でないから、局長からお答えをいただいてけっこうなんですけれども、そうすると現に電機メーカーなりあるいは炉メーカーなりあるいは原子力の開発を目的としている会社というようなところの現役にいる人たちは、顧問としては就任できる、迎えることができる、役員としては第一線から退かれて、そういう事業会社の第一線にいない退役の、どちらかというと時代おくれの人が役員に就任するということ、そういう形になりはしないかと思うのですが、そういうことのない保証というものはございますか。
○政府委員(島村武久君) これもいささか私の分に過ぎた発言になるかもしれませんが、注意しながらお答えを申し上げますけれども、私どもの気持といたしましては普通の公団、事業団と違うという気持を持っております。その違いと申します意味は、非常に、何と申しますか、意義のある仕事でございまして、同じ産業界におられる方々にいたしましても、この問題について取っ組んでやっていこうと思われる方は、たとえ九年間というような期限の問題あるいは報酬の問題等がございましても中には喜んでこういうことをやって下さる方もいらっしゃるんじゃないか、そういうふうな考えを持っております。顧問につきましては欠格条項というようなことは設けておりませんけれども、やはり法律によりまして顧問までその職務に関しましては刑法の罰則の適用につきましては公務員とみなすという規定も入れまして、その公正な御活動を期待しておるわけでございます。
○松澤兼人君 それは局長としての一つの見通しなりあるいは希望なりとして承っておきますけれども、実際問題としては、役員には一時代前の退役された人が迎えられる可能性はあるけれども、実際現役で働いている人は役員に迎えることは困難である。顧問のほうは欠格条項の適用がないから、現役の人でもどんどん顧問になってくるということで、ちょっと変な形になりやしないかということを心配しているわけです。これは近藤長官なりあるいは綾部運輸大臣なりはよく留意して、そういうことのないように、昔原子力を研究したかもしれませんけれども、今は一線から離れているそういう人たちを強いて役員のポストにつけるというようなことのないように、ひとつ希望申し上げておきます。 最後の質問でありますけれども、兼重さん見えておりますか。——先般も私質問したのでありますが、今度の原子力船の開発は、もちろん原子力基本法の三原則というものに基づいて行なわれるわけでありますから、この開発の結果が軍事的に——軍事的にと申しますか、非平和的に利用されることはないと思うのでありますけれども、原子力委員会としましては、将来この開発された原子力船のデータというものを、たとえば防衛庁の原子力潜水艦というようなものに利用される心配はないか、もちろん防衛庁で原子力潜水艦をつくるという場合に、原子力委員会ががんばって下されば、そういうものをつくることはおそらくないと思うのですが、この平和利用と、それからそういう防衛的な目的のために、原子力船で開発されたデータを利用するとか、公開するのですから当然利用されるわけなんだと思うのですが、そういう危険がないかどうかという問題でございます。兼重さんにお伺いします。
○説明員(兼重寛九郎君) その点は全く懸念ないものと私は信じております。特に軍事利用ということは、日本の国内での利用ということを意味していると思いますが、そういうことはあり得ないと考えております。防衛庁の原子力潜水艦というものが、現在どういうふうに考えられているかということは、先般も政府の見解が国会において明らかにされておりまして、それは私らの考えておりますところとちっとも違っておりませんから、その点での懸念は毛頭いたしておりません。
○松澤兼人君 衆議院の科学技術振興対策特別委員会で、最後の段階になりまして、池田総理の出席を求めて池田総理からこの問題について、はっきりした答弁がありますから、私どもとしましても安心しているわけであります。しかし将来の問題となりますことは、これは仮定の問題でありますけれども、かりに防衛庁がアメリカで開発された原子力船のデータを利用して、原子力潜水艦をつくるあるいはアメリカですでに使用されている原子力潜水艦を買い取って使用する、こういう場合には、原子力委員会としてはそういう目的のために買い取ることもできない、もちろん使用することもできないという、はっきりした態度をお示しになれますか。
○説明員(兼重寛九郎君) お答え申し上げます。ただいまのことはあまりに仮定でございますので、何とも申しかねますけれども、原子力基本法があり、その基本法に基づいて原子力委員会がある限りは、当然そういうことになると私は考えております。
○松澤兼人君 重ねて、買い取りの場合でも原子力委員会はそういうことにはもちろん賛成はしませんけれども、反対できるということですか、まるまる買い取る場合。
○説明員(兼重寛九郎君) 買い取るというからには、やはり使うつもりで買い取るのだと思いますけれども、それを使うということは、現在の原子力基本法では許されないと了観しておりますから、買い取るということが起こらないのではないかというふうに考えます。
○松澤兼人君 大体原子力委員会が健在である限り、そういうことは起こり得ないというふうに了観いたしまして質問を終わります。
○委員長(田上松衞君) 他に御質疑はございませんか。——御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議がございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田上松衞君) 御異議ないと認めます。 それでは討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めます。 これから採決を行ないます。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田上松衞君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、本法案に対する附帯決議案についてお諮りいたします。委員会開会前の理事会におきまして協議の結果、各派共同で附帯決議案を提案することに意見が一致いたしております。私から案文を朗読いたします。 日本原子力船開発事業団法案に対する附帯決議(案) 日本原子力船開発事業団法の施行にあたって、政府は、次の事項に関し、特に配慮すべきである。 一、原子力船の開発、利用は、あくまで平和目的に限られるべきものであること。 二、原子力船の建造には、極力国産技術を活用すること。 三、原子力船の安全性の確保については勿論、第三者に災害を及ぼさないよう万全を期すること。 四、原子力開発利用の重要性にかんがみ、事業団の人的構成については、その設立の趣旨に沿うよう特に慎重を期すること。 右決議する。 以上でございます。 この決議案を、本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田上松衞君) 全会一致と認めます。よってただいまの附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田上松衞君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 この際、近藤科学技術庁長官及び綾部運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
○国務大臣(近藤鶴代君) ただいま委員長から御報告になりました各派共同提案になります附帯決議に対しましては、皆様方の御趣旨を尊重いたしまして、政府といたしまして十分意を用いて参りたいと思います。
○国務大臣(綾部健太郎君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、政府も十分注意いたしまして、この決議の趣旨に沿うよう極力努力することを申し上げます。
○委員長(田上松衞君) 本日はこれで散会いたします。 午後零時三十七分散会