予算委員会第二分科会 第8号
- 発言数
- 186 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/02/25
会議録
○今松主査 これより会議を開きます。 昭和三十八年度一般会計予算及び昭和三十八年度特別会計予算中、労働省所管を議題といたします。 質疑を続行いたします。山花秀雄君。
○山花分科員 質問をいたす前に、一言労働大臣にお尋ねをしたいと思いますが、過日の予算委員会におきまして、ILOの問題になっております八十七号批准案の議案を、労働大臣は大体今月中には提案ができるのだという御答弁でありましたが、いまだに提案されておりませんが、あと数日しかありませんので、見込みはどんなものでしょうか、出せる見込みか、延びる見込みか、それをお聞かせ願いたい。
○大橋国務大臣 ILO条約批准案並びに関係法律案は、すでに閣議決定を了しておりまして、ただいま国会の方の都合も見まして、でき得れば今月中に提案いたしたいと思っております。延びましても、来月早々には出したいと思っております。
○山花分科員 最低賃金の問題について若干お尋ねしたいと思います。 わが国の最低賃金の解決は、やはりILO第二十六号条約、最賃条約の実行であると思いますが、私は第四十国会、すなわち昨年の二月十六日の本予算委員会で最低賃金法の不備について質問をいたしました。当時の労働大臣は御承知の福永健司君でありましたが、今は池田内閣改造で大橋労働大臣となり、大橋さんがその担当者にかわりましたが、しかし池田内閣であることは変わりなく、よって労働政策も特別の変化はないと考えますが、いかがなものでしょうか。
○大橋国務大臣 さよう御解釈いただいてけっこうだと思います。
○山花分科員 そこで、わが国最低賃金法の欠陥の一つとして、大臣も御承知のように業者間協定というのがございます。これは多くの識者が指摘しておるところであります。すなわち欠陥性を指摘しておるところであります。当時福永労働大臣は、私の言う業者間協定はおおむね二百五十円程度の低賃金の協定をやっておる、こう質問いたしましたところ、いや、そうじゃないんだ、労働省当局の調査によると、あなたのおっしゃるよりも若干上回って、大体二百七、八十円と答弁をされておりましたが、あの当時から物価も上がり、また各種の産業の賃金形態も上がっておりますので、最近の業者間協定はどのような金額が一応平均金額になっておりますか、協定額ができておると思いますが、一応お聞かせ願いたい。
○大島政府委員 最近できて参ります最低賃金の金額は各種各様でございますが、大体におきまして三百円から三百二十円見当が中心になっております。もちろん地域によりまして、業種によりまして、それ以上のものもあり、それ以下のものもございますが、最近数カ月間の傾向を見ますと、大体三百円から三百二十円見当に相なっております。
○山花分科員 現在業者間協定の適用人員の数でありますが、昨年お尋ねいたしましたときには百二十万、これを労働大臣は極力努力をして二百五十万程度を上回るように一つやっていきたい、業者間協定のいいとか悪いとかいう点はまたあとで、私も批判がございますので、お尋ねしたいと思いますが、業者間協定による適用人員が、去年労働大臣が声明されましたような傾向をたどっておるかどうか。ただいま一体何人くらい適用範囲になっておるか。
○大橋国務大臣 現在百九十三万人という統計であります。
○山花分科員 そういたしますと、去年は百五十万程度で、約二百万近いということになりますと、大体五十万ぐらいふえたということになります。しかし努力目標の二百五十万から見ると、まだ五十万ほど足りない、こういう結果になっておるような御答弁でございましたが、そこで問題になりますのは、三百円から三百二十円程度が大体考えられる、去年は二百七、八十円程度と言われましたが、若干業者間協定の賃金は上がっております。これは過日の予算委員会における一般質問で労働大臣にもお尋ねしたのでありますが、例の人事院勧告の成年男子の一人当たり生計費というのは、たしか一万六百円程度の案が出ております。かりに、高い三百二十円といたしましても二十五日労働ではとてもそこに到達しないのでありますので、これは一体いかがなものでしょうか。人事院の生計指数がああいう形で出ておるにもかかわらず、一番高い範囲の金額を見ましても、とうていそれに到達しないということになりますと、勢い次の再生産の食生活、栄養生活あるいは人間生活というのは不可能になって参りますが、この点労働省当局としては、どうお考えになっておりますか。
○大島政府委員 ただいま先生御指摘の人事院の生計費の一万円強という金額は、十八才の成年男子の東京における標準生計費に相なっております。現在きまっております最低賃金は、おおむね新制中学卒業生すなわち十五才を基準にいたしております。従って現在の最低賃金の金額と、人事院の十八才の東京における標準生計費とを直接比較いたしますことは、いかがかと思うのであります。現在の法制のもとにおきましては、生計費、企業の支払い能力あるいは類似の賃金水準、こういったものを総合的に勘案いたしまして、最低賃金の金額をきめることに相なっております。
○山花分科員 そこで一つお尋ねをしたいと思いますが、今多くの労働組合——皆さん御承知のように八百万人をこえる組織率といわれております。これらの多くの労働組合は、全国一律一万円の最低賃金即時制定ということを要求されております。たとい成年男子十八才、東京周辺にいたしましても、一万六、七百円というのが人事院の調査で出ておりますので、私は、これは無理がない要求だと思うのであります。それからまた大都市の周辺におきましては、一万二千円の最低賃金を要求しておりますが、これらの要求を労働省関係においては妥当とお考えになりますか、それとも不当とお考えになりますか。この辺一つお聞かせ願いたいと思います。
○大橋国務大臣 最低賃金につきましては、いずれ全国一律で定めるというような時期もあってよろしいと思うのでございます。しかしながら、それまでにはやはりいろいろ準備的な段階を経る必要があるのではなかろうかと考えます。現段階におきましては、御承知の通り、産業別、地域別に賃金に著しい格差があるというわが国の現状から見まして、ここで直ちに全国一律一万円の最低賃金を実施するということになりますと、経済界に無用な混乱と摩擦を生ずることになると思いますので、従って現段階といたしましても、やはり業種別、職種別、地域別と実態に応じて最低賃金を決定していく、そして漸次これを拡大、充実していくというやり方をとることが適当であろうと考えております。
○山花分科員 先ほどの御答弁によりましても、大体三百円から三百二十円程度だ、こういうような御答弁でありましたが、一万円の最低賃金が現在の経済状況のもとにおいて、また業種その他地域を勘案してでも無理だというのが、ただいまの労働大臣の御答弁で、私は無理ではないと考えるのでありますが、これ以上は水かけ論になりますから、一応この議論はこれで終えたいと思いますが、日本がいかに低賃金であるかということは、最近ある程度賃金の上昇は見ておりますけれども、おたくの省の統計調査によりましても、月収一万円以下の労働者が五百九十九万人、約六百万人存在しておる。これは全労働者総数に比例いたしますと、二一・七%、すなわち五分の一以上という比率になっておるのであります。一方人事院の構成した独身成年男女の標準生計費は、先ほど申し上げましたように、これは先ほどちょっとあやふやな数字を申し上げましたが、一万九百六十円となっておるのであります。わが国では、六百万人弱の労働者が標準生計費以下の生活を強要されていることは、この事実をもって見てもはっきりしておると思うのでありますが、労働大臣、こういうような事実をどういうように心得られるか、一つお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○大橋国務大臣 わが国の賃金というものは、逐次上昇の傾向をたどりつつあることは御承知の通りでございまして、お話の月収一万円以下の労働者の数も、年々非常な勢いで減少いたしつつあるわけでございます。月収一万円以下の労働者というのは、これは賃金としてはいうまでもなく低い賃金であるということは、否定できませんが、逐次さようなものが減少しつつありまするし、また諸外国に比べまして、賃金上昇の割合も非常に高率でございますので、賃金の問題につきましてはこれらの点をも考慮に入れながら考えていく必要があるかと存じます。
○山花分科員 労働大臣もお認めになっておりますように、逐次上昇の線はたどっておるけれども実際問題としては、相当低い。これは何とかしなければならぬ、こういう御意見でありますが、最低賃金制というのは、これは正しく理解いたしますと、これが一番安い賃金だ、こういうことになるのでありますが、日本の場合には、これが逆に利用されまして、最高賃金の一つの標準のような形に利用されておることは、労働大臣よく御承知だと思うのです。どこの経営者でも、最低賃金ができますと、一応それが最高賃金というような考え方で労働者に接しておる、こういうような傾向は、労働大臣どうお考えになっておるか。
○大島政府委員 最低賃金が、現実として最高賃金的な作用をするという御指摘でございますが、この点はいろいろ解釈のしようもありましょうが、私どもといたしましては、やはり最低賃金というものが現実に労働者の、ことに中小零細企業の労働者の労働条件を引き上げる意味において、非常に大きく貢献していると解釈をいたしておるわけであります。すなわち、この最低賃金をきめますことによりまして、現実に最低賃金額以下の労働者につきまして、大体私どもの方の調査で、一五%ないし二〇%賃金が上昇いたしておりますし、また長い目で見ました場合に、現在最低賃金額が、たとえば現実の初任給よりも幾分低目にきまっておりましても、やはり将来の事実関係によってあるいは景気の変動によって、これ以下に下がるということをチェックするという最低賃金本来の機能、こういった面からいたしまして、私は非常に有意義な機能を持っておると解釈いたしておる次第でございます。
○山花分科員 かりに最低賃金が、業者間協定でもけっこうでありますけれども、三百円なら三百円にきまった、その瞬間に二百五十円や二百七十円が三百円になることはこれは確実であります。その限りにおいてはある程度役割りを果たしておると思います。ところが三百二十円が当然三百八十円、四百円にならなければならぬ、そういう場合にもなかなかこれは三百円という線が出て参りますと、三百七十円ないし四百円にならないというのが現実の姿であります。口を悪く申しますと、経営者が最低賃金の法の精神を曲解というよりも、よく知っていながら、これを悪く利用しておるのがおおむね今日の傾向でございます。私はこれは労政あるいは労働基準その他におきまして、よろしく労働省が勇気を持って一つ御指導していただかないと、先ほど申し上げましたように、最低賃金制が最高賃金制に利用されておる、随所にこういう傾向があるという点は一つ広く調査をして御指導のほどを願いたい。 それからまた最近これは地方議会の関係でありますが、大阪その他の地方議会で、これは保守党議員、いわゆる自民党系の議員も含めて、最低賃金一万円以下の労働者はこの自治体地域内には置かないのだという議会決議があちこちに行なわれておるということは、これは労働行政に携わっておる労働省関係もよく御存じだと思います。そういうように地域によりましては、地域議会において保守党議員をも含めて満場一致のような形で採決が行なわれておるということは、いかに低い賃金であるかということはおわかりになるだろうと思うのでありますが、こういう決議をいたしました地域におきまして、労働行政指導をどういうふうにやっておられるか、どうか一つお聞かせ願いたいと思います。
○大島政府委員 ただいま御指摘の府県の議会でそういった意味の決議が行なわれた例が一、二ありますことを承知いたしておりますが、私ども調査いたしましたところでは、要するに、その趣旨といたしますところは、なるべく低賃金という賃金構造を変えていって、賃金格差というものをできるだけ少なくして参りたい、こういう趣旨で決議されたものと承知いたしております。全般的にただいま先生の御指摘になりましたように、私どもの方でも広く調査いたしましたところ、賃金の上昇の状況は、規模別に見ましてもここ三年ばかりの調査によりますと、平均いたしまして、千人以上の大企業において三年間に一七%ぐらい上昇いたしておるのに比べまして、三十人以下の小企業におきましては、三八、九%上昇いたしておる。ことに十八才未満の労働者につきましては、三十人未満のところでは四七%程度の上昇を来たしておるわけであります。さらに、そういった若年労働者の賃金上昇に伴いまして、年の上の労働者の賃金を初任給の上昇に伴っていかに調整していくか、これが今中小企業においても非常に大きな問題になっております。この点についても私どもとしましてはできるだけ技術的な援助を申し上げておるところであります。総体といたしまして、中小企業の労働者の賃金の上昇は大企業に比べて非常に大きうございます。従ってその結果といたしまして、規模別の賃金格差というのは漸次縮小いたしておるのであります。要するに先生の先ほど来御指摘の点は、中小零細企業の賃金をもっと上げて賃金格差を縮小し、日本の低賃金構造というものをできるだけ改善していく、こういう御趣旨だと存じますので、私どもも先生の御趣旨に従って今後ともこの方面において努力を続けたいと思っております。
○山花分科員 今日本で行なわれております最低賃金の問題は、御承知のように業者間協定が大体中核になっておると思います。この業者間協定は労使が対等に決定するというILOの第二十六号条約に違反しておると私は思うのでありますが、この点労働大臣どうお考えになりますか。
○大橋国務大臣 この業者間協定そのものによってのみ最低賃金を決定していくということになりますと、あるいは御指摘のような点があるかもしれません。しかし現在のやり方は業者間協定を直ちにそのまま認めるというのではなく、これを最低賃金審議会に付議しまして、そこで労使の代表者を含めた審議を行なって決定をいたしておるわけであります。ことにわが国の最低賃金法には、この業者間協定のほかに労使の労働協約を基礎にして行なう方法もありますし、また行政庁の職種による方法もございまして、必ずしもILO第二十六号条約に違反しておるというふうには考えられません。元来この最低賃金法が立案されましたのがILO二十六号条約の趣旨によって、それを尊重して立法しようという趣旨でできたものでございますから、今のところこれでよろしかろうと考えております。
○山花分科員 業者間協定だけでは最終決定しない、その決定されたものを最低賃金審議会にかける、これは労使も入っておるんだ、だからILO条約にも違反しないというような労働大臣のただいまの答弁であります。諸外国において業者だけで運営されておる最低賃金というのは、私はどこにもないと思うのでありますが、広く諸外国の労働事情を調査されておる労働大臣いかがでしょうか。
○大島政府委員 諸外国の最低賃金制度はおおむね産業別、職種別、地域別にきめられておるのでありまして、全国一律の最低賃金というのはわずかにアメリカとフィリピンの二国であると承知いたしております。アメリカにおきましても全国一律と申しますのは州際産業でありまして、その他の産業については各州ごとに各種各様の最低賃金が決定されておるのであります。さらに業者間協定という形そのものは、そういうふうに銘打っておりませんが、たとえばイギリスの最低賃金はやはり最低賃金審議会においてきめるということになっております。その点はわが国の業者間協定においても別に大きな差はないわけでございます。ただ成立の過程におきまして、労働組合があればもちろん労使協定によって最低賃金が形づくられていくのが理想でございますが、何しろほとんど労働組合の組織がないところでありますから、やむを得ず業者間協定に発生の一番最初の契機を求められて、これが最低賃金審議会で決定になる、こういうことでありまして、必ずしも業者間協定という名前によって業者だけがきめるという形ではないと私どもは考えております。
○山花分科員 外国には私はその例はないと思うのですが、外国の一例においても、労働組合のないようなところでは最低賃金審議会のようなところで最終的決定をする、こういうお話でありました。しかしその基礎になるのは、やはり業者間の話し合いの賃金体系が基礎になって最低賃金審議会あたりで論議されておると思うのであります。 そこで問題になりますのは、特に日本の場合を考えて参りますと、業者が賃金をきめる場合に、どうしても企業支払い能力が中心になると思うのです。生計費ということが第二義的になってあまり考慮を払われないというのが日本の場合の実態だと思います。過日の予算委員会でも賃金のあり方について労働大臣に、企業支払い能力が中心かあるいは生計費が中心かというお尋ねをいたしましたら、煙幕を張られまして、どっちともつかずというような、何だかややこしい答弁をなさっておられましたが、きめる場合にはやはり労使が対等の立場できめる、こういう形にならないと、私は労働者側は納得しないと思うのです。 そこで一例を申し上げますと、これは労働省の方にもあるいは報告が入っておるかとも思いますが、私が関係しておる組合でありますから、事情がよくわかっておりますので、業者間協定がどんな矛盾があるかということを申し上げたいと思います。これは賃金形態はあまり高くない産業であります。俗にいうゴム産業——ゴム産業でもタイヤ産業は割に賃金が高うございますが、一般的にいってゴムぐつ、はきもの産業の広島県下における業者間協定の実情であります。労働組合の方は四百円を要求しておる。それが二百八十円に業者間協定がきめられた。どういうところからそういう決定がされたかと申しますと、広島の福山に早川ゴム、福山ゴム、広島ゴム、臨時工も含まれますけれども、約六千人ほどの労働者がおります。それから少し離れた府中というところに日満ゴムといって、約四百人くらいのゴム工場がある。広島市内に約三、四百人程度の工場が三つほどあります。これは労働者の要求がもっともだからきめようと——これは組合もございます。ところがひとり尾道地区関係で百五十人くらいの弱体工場がありまして、そこがどうしても二百八十円ということで全体がまとまらない。全体を調和するということになりますと、そこの事情を考慮して二百八十円にきめた。ところが労使の関係においては、四百円ということになる資本家の面子もあるというので、三百九十九円というような形が労使の間ではきまりかけておったけれども、業者間協定でその新規がえの認可が二百八十円という認可を下して問題になった業者間協定のケースがあります。これは去年の二月ごろ、今からちょうど一年くらい前のケースでありますが、労働省の関係の方に基準監督署あたりからこの問題に関して報告が入っておるかどうかお聞かせ願いたいと思います。
○大島政府委員 本件そのものにつきましては、私まだ報告を受けておりませんが、ただこういった種類の問題につきましては、やはり最低賃金を運用して参ります上で、確かに先生御指摘のような問題点もあると思います。ただ私どもの考えます問題点は、その業種ないし職種あるいはその地域全体としては非常に高いものがある、しかしまた低いものもある、こういった場合にできるだけ高くきめることが理想でございましょうが、そうしますとその低いところでどうしてもついていけないという企業が脱落してくる、それがごく小部分でございますれば、アウトサイダーの拡張適用によりまして救えるのでありますが、そういうものがなかなか小部分にはとどまらぬといった場合、これを放置して高いところだけきめていくのがいいのか、あるいはほんとうにかわいそうな低いところを救い上げて、たとい幾分低目にきまりましてもそれを救い上げていくのがいいか、この辺が問題点だと思います。従って、私どもとしては、できるだけそういうものも広くかかえながら、たとい若干低目にきまりましても、たとえば高いところで労使の間で話し合いがきまっておるといたしますれば、それはその最低賃金の上へ積み上げて参ればいいわけでありまして、その辺は最低賃金の機能というものは本来そういうふうな最低のところを何とかしていこうという制度でございますから、そういうふうに御理解をいただければいいのじゃないかというふうに考えておるのであります。たとえばフランスの最低賃金制におきましても、やはり最低賃金の上に労使協定で積み上げていくというふうな形で運営されておるわけであります。まあそういうふうな高いところとしてはいろいろ御不満もあろうかと思うのでありますが、やはり低いところを何とかしてやりたい、この辺の私どもの微意というものも一つおくみとり願いたいと思うわけであります。
○山花分科員 今のは実例でありますが、七千人対百五十人の問題であります。七千人がこの業者間協定の許可になることによってずいぶん苦労するわけであります。とにかく業者間協定が二百八十円じゃないかということで、その後の賃金のいろいろな問題をきめるのに非常に苦労しておる。この百五十名の工場がなければ、今三百九十九円と申しましたが、四百円にこれはきまっておるのです。こういう場合に許可していいかどうかということです。これは審議会のあり方にもなると思うのですけれども、ざっくばらんに申し上げますと、おおむねこれらの組合は総評関係の組合であります。一つ四百名ほどの中立の組合がありますが……。たまたま全労関係の労働者代表が、これは労働者代表であることには間違いありませんが、自分のところには何の関係もないので、よしということできまってしまったというケースであります。こういう問題は、もう少し監督官庁の方で及ぼす影響を十分考慮されて、むしろこういうようなケースの業者間協定は許可しない方が、その後の産業のその他労使の間が円満にいくのじゃないかと思うのですが、そういう実情があるということだけはよくお含みを願って、今後の指導をお願いしたい。ただいま申し上げましたのは広島県下の問題でありますから、一応また労働省当局としては御調査を願いたいと思います。 先ほど申し上げましたように大体この辺が見切りどきで、一律最低賃金法の制定をやる時期ではないかと思います。また日本も高度の経済成長をしておる、欧州並みの賃金だ、こう総理大臣は言われておるのですから、金額的には一万円程度の一律最低賃金の施行に踏み切る時期ではないかと思いますが、労働大臣いかがですか。まだ尚早と言われるのですか。
○大橋国務大臣 ただいま最低賃金の運用の基本方針につきましては、中央最低賃金審議会におきまして審議をお願いしておるのでございますが、社会党から特に法律案もお出しになるようなことでございまして、これらの事情も十分審議会に伝えまして、今後の対策について検討をお願いしようと思っております。
○山花分科員 次に、これは先任の労働大臣の責任問題だと思いますけれども、ただいま申されましたように、池田内閣は、労働大臣が幾らかわってもおおむね労働政策は変わらないのだと御承知願いたいという大橋労働大臣の御説明であります。 そこでお伺いしたいのは、日本の労働運動で画期的なと言われており、歴史的にも大きな労働争議でありました例の石炭関係、三池鉱山の労働争議であります。いきさつ、経過は、私が言わなくても労働省当局はよく御存じだと思いますが、当時の労働大臣は石田労働大臣であります。事態が非常に緊迫いたしまして、この事態を何らかの形で収拾しないと大へん大きな犠牲を出し、流血の惨事はもう間違いないのだという緊迫した事態がきましたことは、多分御承知だろうと思います。労働大臣も憂慮されまして、私ども社会党といたしましても、この問題については憂慮をいたしまして、解決のために狂奔したというような形であります。当時私は社会党の組織局長をやっておりました関係上、三池争議の社会党側の一つの責任者として争議の収拾のために努力をして参りました。石田労働大臣は、また政府当局は、特にこの大きな労働争議を、流血の悲劇を見ないうちに解決したいということで努力をされました。上部団体の炭労の諸君もやはり相当憂慮して解決のために全力を尽くしたと思うのであります。そこで問題になりますのは、解決の一つの条項として不当解雇は将来これは裁判に残す、裁判の結論を得て、お互いに従おうじゃないか、ただし解決の条項としては責任を負わない、現在の時点で解決する、将来この労働争議について労働者側も資本家側の責任を追わないし、資本家側も労働者側の責任を追わない、こういうことで流血の惨事は回避されました。これは双方不満があっただろうと思うのです。労働者側にも大きな不満があれば、あるいは経営者側にも不満があったと思いますが、まあ俗にいう争議解決のための紳士条約とでも申しましょうか、さかのぼって責任は追及しないということであの大争議が解決されました。御承知のように今日ただいまになりまして、当時の組合長あるいは書記長、当時千二百名の指名解雇の中に入らなかった組合の指導者が全員解雇というような形でせんだって発表されました。これは当時解決のために入った労働省も大いに責任を持たなければならぬと思いますが、どう労働省はお考えになっておるか、一つ所見のほどをお聞かせ願いたいと思います。
○大橋国務大臣 三十五年の八月十日に中労委のあっせん案が出ておりまして、これが労使によって受託せられております。それを見ますと、「争議調整を任とする労働委員会の従来のあっせん事例においては激しい闘争の中の若干の行き過ぎは争議解決の機会に相互にこれを水に流すという原則で考えられてきた。今回の場合はこの原則をこえるものであるが、両当事者がこのあっせん案によって問題の解決を決意する場合には司直の関するものは別として新たに訴訟を重ねることなく出来れば従来の訴訟についても双方互譲の精神をもって円満な解決の出来るよう格段の努力を払われたい。」これは本文の中に書いてございます。左記事項の一つに「一責任追及問題」これは三十五年の十月二十八日のあっせん案でございます。「この問題についてのあっせん者の意図は、すでにあっせん案の前文に明らかである。その趣旨は繰り返していえば、司直の関するものを除き、労使関係の安定という見地から双方互譲の精神を以て出来るだけ円満に解決することである。事態はすでに好転を期待しうる状態にあると思われるので、今後の推移をも考慮に入れて右の趣旨に基き十分慎重に措置せられたい。」こういう文句になっておるわけでございますから、労使双方ともこの文句に従って行動されるべきだと思っております。 ところで、今回の組合長以下十名に対します解雇の申し入れでございますが、これがはたしてこの条項に違反するものであるかどうであるかということになりますと、私どもといたしましては、いろいろな具体的の事情を確認した上でなければ判断ができませんので、ここに具体的な意見を申し上げる立場にないということを一つ御承知願いたいと思います。
○山花分科員 私は、今大橋労働大臣が読み上げられました中労委の争議解決の裁定条項を読み上げてお尋ねをしようと思いましたが、これは百も労働省当局は御承知のことだと思いますので、当時社会党と石田労働大臣の陰の奔走をちょっと片りんだけをお話し申し上げたのでありますが、公のちゃんとした調停機関で双方忠実に守るということで、あの大惨事を招き起こそうとした争議の終結を見たのであります。それが今日になりまして、やはり旧来の責任追及というような形で、当時追及されなかった組合長以下組合指導者十名、これは全部役員であります。全部役員を首切るということは明らかに不当労働行為に該当すると思いますが、この点いかがでしょうか。
○大橋国務大臣 この点は先ほど申し上げましたごとく、この協約締結の際のいきさつとか、あるいはその他の具体的な事情を確認した上でないとなかなか判断ができませんので、不当労働行為になるかならないかということもこの場ではちょっと申し上げかねる状況でございます。
○今松主査 山花君に申し上げます。だいぶ経過いたしましたから結論をお急ぎ願います。
○山花分科員 私は、今労働大臣が具体的事実を調査しないと考え方を申し述べないというのは、少し怠慢ではないかと思うのです。とにかく天下を騒がしたあの大争議の結末の後にこの問題が出て、もう相当時日が経過しておると思います。たといそれが石田労働大臣の責任の範囲で解決いたしましても、やはり労働省、労働大臣としての仲介、介添え役の責任は、全部が円満解決するまではこれはのがれられないのではないかと思います。百二十名ほどがなお不当解雇として裁判ざたになっておることは、これは労働当局も御承知だと思うのです。もう具体的に調査をされて、国会のこの答弁におきましても、当然これは社会党あたりから何か質問があろうということは予想される問題でありますから、てきぱきと労働省当局の御意見をやはり発表される準備があってしかるべきだと思うのでありますが、私はこれは至急一つ具体的に調査をして、社労委員会その他におきましても労働当局の見解をこの際至急に御発表を願いたいと思います。 次にお尋ねいたしたいことは駐留軍労務者の問題でありますが、これはせんだって第一分科会におきまして、防衛庁関係にもまたがっておりますので、その関係で若干お尋ねいたしましたが、五カ年の時限立法として五月十七日に切れる法律案がございますけれども、これは至急にやはり継続をする法案を出される用意があるかどうかという点についてお尋ねしたいと思います。
○大橋国務大臣 法案の時限立法としての効力の終わる時期が迫っておりますので、政府といたしましては、ただいま内閣におきまして、これを存続せしむる必要があるのではないかという考えのもとに、検討をいたしております。おそらく、近く提案の運びになることと考えられます。
○山花分科員 この法案の内容の一つの特典と申しましょうか、保護と申しましょうか、五年勤めたら幾ら、あるいは十年勤めたら幾らという特別加給金がついておりますが、これは五千円、一万円、一万五千円と区別されておると思います。物価上昇のおりから、これは相当融通のきく範囲内でありますが、加給金をふやす意思がおありになるかどうか。
○三治政府委員 はなはだ失礼なのですけれども、そちらの加給金の関係は防衛庁の方の所管になっておりますので、ちょっと答弁しかねます。
○山花分科員 この点はどうでしょうか。この法律のできた時点前に就労しておる者がこの恩典に浴する、翌日から就職した者は恩典がないということになると、これらはやはり防衛庁関係になるでしょうか。
○三治政府委員 その特別報奨金の関係のものは岸・アイク声明のときに、たしか在職しておる人に限ってというふうになっておると思いますが、そういう関係の特別報奨金の関係につきましては、全部防衛庁の所管になっておりますので、ちょっと答弁いたしかねます。
○山花分科員 他人の権限を侵すというようなことは、なかなか役所間でもやりにくいと思いますが、これはやはり労働問題の一つの重要な要素を含んでおりますので、私のお願いしたい点は、岸・アイク声明をたてにとっておられますが、一日おくれて就職した人は、もうあれから五年というようなもらえる期間がきておるのですが、一日早く就職したからもらえて、一日おそく就職したからもらえないということになっておりますが、これは横の連絡の場合に閣僚懇談会あたりには労働政策の一つとして労働大臣の方から話をしていただきたいと思います。 それからもう一つは退職金の問題でありますが、これが年限を切って幾ら幾らとやっておりますが、大体今どき駐留軍がおるというようなことを当時お考えになったかどうかわかりませんけれども、少し増額をするのが至当だと思いますが、いかがなものでしょうか。これもやはり向こうの関係ということでしょうか。——それではこれも労働大臣の方から労働行政の一つとして閣僚懇談会なり横の連絡がございましたときに申し入れをしていただきたいと思います。 次に一点だけお尋ねしたいと思います。失業保険金の問題でありますが、去年お尋ねいたしましたときに一千億円ほどの余裕金がある、これは福永労働大臣もはっきり言われておりまして、これを労働者のために使ったらどうだということで、予算はとりあえず二十億円ほど計上しております、これは大いにふやしてサービス精神を発揮したいという御答弁でありましたが、本年度はこれはどうなっておりましょうか。
○三治政府委員 四十億円今年増額されております。
○山花分科員 所得倍増はこの点では実行されたと思いますが、そこで問題になりますのは給付金の期間の延長、たとえば九カ月を私どもは最高一年に——雇用不安定ないろいろな、駐留軍関係も一つでありますし、石炭関係も一つでありますし、金属鉱山関係も一つであります——延長したらどうだということで、これは考慮しましょうというようなお話しでございましたが、今日支給金の期間とそれから金額が変更されたか、そのまま据え置きかどうか。
○大橋国務大臣 失業保険の問題につきましては政府委員からお答えいたします。
○三治政府委員 給付期間の延長の関係につきましては今政令で三カ月、最高一年まで延ばせるようになっております。これを石炭及び非鉄の関係につきましては地域的にも好不況取りまぜまして弾力的に運営しておりまして、非鉄の山につきましては大体適用しております。それから石炭関係も各地の出方によりまして逐次月を追って範囲を広げております。さらに今度の改正におきまして電子計算機を入れることによりまして勤続年数を通算いたします制度を確立いたしまして、これによって勤続年数の長い方は今まで六カ月のものが七カ月ないし九カ月今後給付される方が非常にふえてくるというように改正する予定にしております。それから御承知かと思いますが、今度は家族、妻、子に対して扶養加算金をつける。それから最高限は七百円から八百六十円になります。最低を百二十円のところを百八十円に引き上げた。そういうふうに社会保障制度審議会の昨年の八月の勧告の線に沿ってわれわれとしては各方面において相当手直しした給付改善をしているつもりでございます。なお給付期間中に病気になられた方につきましては、十四日以上になりますと保険金がもらえなくなっていたのを、今度は傷病期間中でも受給期間中は傷病給付金として失業保険相当額を支給する、こういうふうに改正する案を用意しております。
○山花分科員 一つ、これはささいな問題でありますが、多分労働省当局も御検討なさっておると思いますが、例の競輪、競馬、競艇、オートレース、公営競技とでも申しますか、このものの関係が六日連続の開催が三日で休日を中心にやるということになりますね。そうなりますと、一定期間の保険料が払えないということで、保険の権利を失うおそれが十分出てきておりますが、これにつきまして何かお考えになっておられるかどうか。
○三治政府委員 多分それは競輪、競馬関係の従業員の、ことにその開催日だけ雇われる臨時の人たちの日雇いの失業保険の適用者だと思います。これにつきましては今までは御承知のように前二カ月で二十八日以上保険の印紙を張られた方が、通算五日、連続三日過ぎた後に失業された場合にもらうというふうになっておりますのを、今度は各週につきまして、最初の日曜日またはその日曜日に働かれても月曜日が就労日になればその一日だけを就労日として第二日からその週の終わりの土曜日までに失業された場合には、待機期間を今まで月でやって——従って月の終わりしか給付がなかったものを、今度は各週ごとで計算するように待機制度を改善して提案するようにしております。
○山花分科員 もうこれでやめますが、その週何日で権利が生ずるような形になりますか、やはり通して十四日ということになるのでしょうか。
○三治政府委員 これは前一カ月の間に十四日の就労日というのは変わりません。
○山花分科員 そこで大きな矛盾が出てくると思うのですが、多分御承知と思いますが、今までの開催期日は六日、六日、六日となっております。三回まわしをとれば権利が生ずる。ところが今度は三日、三日、三日ということになりますと、ちょうどぶつかるのですね。ぶつかるからあっちこっち、職場を回れなくて全期日働いてもなかなか十四日に達しないという、そういう改正案が農林省あるいは通産省あたりの関係から出てきているのですが、これは一つのささやかな問題でありますけれども、底辺にある労働者の失業保険の問題として十分考慮を払っていただきたいと思うのですが、通算十四日ということになると、なかなかその十四日働けないという実情が生まれてきておりますので……。
○三治政府委員 その開催の期間結局相当縮小されるわけでございますから……。
○山花分科員 今までは六日、六日、六日の開催だったから回して十八日は働けた。ところが今度三日、三日、三日になりますと、たとえば具体的に申しますと、東京の後楽園で競輪をやっている。六日やっている間はどこもほかはやっていないわけです。東京の京王閣はその次の六日、立川はその次の六日ぐるっと回って十八日かせげる。ところが後楽園は三日やる、片一方でも日曜日中心ですから三日やる、立川でも三日やるということになりますと、からだは三つありませんから、結局働けない。どうしてももう少し日数を縮めてもらわぬと権利がなくなる。そういう具体的問題が起きてきている。
○三治政府委員 至急検討さしていただきます。
○山花分科員 よろしく一つ検討願って、これは多分御承知と思いますが、戦争未亡人だの、また非常に底辺にある人々が働いておる場所でありますから、配慮ある思いやりの法改正を一つ御検討願いたい。これは農林省、通産省の車両課あたりとまた運輸省、この三つにまたがっておりますので、横の連絡をとっていただけばすぐ実態がわかると思いますので、労働政策として一つ御検討していただきたい。 なお臨時工、社外工の雇用関係の問題その他についてお尋ねしたいと思いましたが、時間の関係もございますので、私の質問はこれで終わりたいと思います。
○今松主査 野原覺君。
○野原(覺)分科員 私は前質問者の山花委員に続きまして賃金の問題、雇用の問題等を中心にお尋ねをしたいと思うのであります。 まず第一にお伺いしたいことは政府の賃金政策であります。昨年の秋でありましたが、池田総理がヨーロッパを御訪問されまして、「日本の賃金事情」というパンフレットを、大公使館を通じてずいぶんまかれたそうでございますが、一体どれだけの部数をヨーロッパにまいてこられましたか、労働大臣にお伺いをいたします。
○大橋国務大臣 これは外務省で印刷をいたし、外務省の方で配付をいたしておりますので、私も詳しいことは承知いたしておりませんが、聞くところによりますと、約八千部印刷をしたそうであります。これは英文のものであります。
○野原(覺)分科員 「日本の賃金事情」というパンフレットにつきましては外務省が印刷をしたと申しますが、この書物を見ますと労働省、外務省の発行になっておりますが、労働省も責任を持ちますか。
○大橋国務大臣 この記述の内容、すなわち原文は労働省で作成いたしたものでございまして、労働省の責任でつくられております。
○野原(覺)分科員 それでは大臣にお伺いいたしますが、この中身について、一たん印刷に付してヨーロッパには配付いたしましたけれども、その後あなたの方で訂正を要する個所があることにお気づきになっておりませんか。これは日本の賃金事情を最も正確に書いたものである——国際的に日本政府の見解を表明したパンフレットでございますから、私どもはそう受け取りたいのでございますけれども、もしもその後この点はどうだろうかという点があれば、ここで一つ是正していただきたいと思いますが、一点の間違いもないものだと受け取ってよろしゅうございますか。
○大橋国務大臣 ただいまのところ間違っておらないと思っております。
○野原(覺)分科員 それではお尋ねをしたいと思うのであります。間違っていないという御見解であるようでございますから、私の気づいておる個所について質問をいたしますので、大臣もしくは局長でけっこうでございますが、御答弁を願いたいのです。 その前にお伺いしたいことは、これはどういう目的で八千部もヨーロッパにまいたのですか。
○大橋国務大臣 御承知の通り、昨年の日米貿易経済閣僚会議におきまして日本の賃金水準が問題になり、その後日本の賃金の実情調査をしたいというアメリカ側の意向が表明されておりました。これは思うに、アメリカとしては貿易上の関係から調べてみたいという考えを持ったものと思うのであります。その後この問題は宿題になって、預かりになっておったのでございますが、労働省といたしましては、アメリカがいかなる希望を出す出さぬにかかわらず、すなわち話し合いがいかになるならないにかかわりませず、日本の賃金、ことに輸出関係の産業の賃金を日本政府として調査をする必要がある、こう考えまして、昨年の夏になりまして、既存の資料等をもとにいたしましてこれをつくったわけでございます。従いまして、これは日本の賃金の現状、ことに輸出産業関係の賃金の現状を明らかにしようという目的でございました。
○野原(覺)分科員 日本の労働事情なり賃金の現状について明らかにしたいという目的だということは、はしがきにも書いておるわけであります。しかしあらためて大臣からもそういう御答弁がございました。 そこで私は端的にお伺いしますが、労働大臣、日本の賃金の実態で、ヨーロッパやアメリカに比べて特に問題にしなければならぬ点は、あなたは何だとお考えですか。こういうばく然とした質問では御答弁がしにくかろうと思いますから、私はここで具体的にお伺いいたしますが、日本には低賃金労働者が非常に多い、これは諸外国に比較できないくらい、この低賃金労働者というのが日本の賃金実情では問題にならなければならぬと思うのです。ところがこのパンフレットのどこにも、低賃金労働者の実態については触れていないように思うのでございますが、いかがですか。
○大橋国務大臣 日本の賃金の特徴といたしましては、産業の二重構造に基づく賃金格差の問題であると存じます。そういう意味におきまして、低賃金労働者が多いということは認めなければならぬと存ずるのでございまして、このことは十五ページの第七表、生産性と賃金の規模別格差という表でも明らかにその点を指摘いたしたつもりでございます。
○野原(覺)分科員 労働大臣にお伺いいたしますが、そういたしますと、この低賃金労働者とは、あなたは何をおっしゃるのですか。非常に低賃金労働者が多いのだ、これは経済の二重構造に基づくのだとおっしゃいましたが、大臣が考えておられる低賃金労働者とはいかなるものでございますか。
○大橋国務大臣 主として中小企業に働いております者であります。規模の小さいのに比例いたしまして賃金が安くなっておるという、この点を特に指摘したいと思っております。
○野原(覺)分科員 賃金が安いというのはどういうことですか。賃金が安いと言ってもわからない。
○大橋国務大臣 その産業の賃金の一般水準に比べまして、時間当たりの賃金が著しく低いものを申すわけでございます。
○野原(覺)分科員 できれば数字でおっしゃっていただきたい。低いとか、著しく低いといってもこれは議論にならないのです。どうですか、その点は。
○大橋国務大臣 特にはっきりした数字で考えてはおりませんが、概して中小企業の賃金が低い、こういうふうに見ております。
○野原(覺)分科員 概して低いでしょうが、中小企業だって高い労働者もあるのです。中小企業だから低賃金労働者だとは一がいに言えません。だから、たとえば生活費を基準にして考えるとか、月収一万円以下の労働者を低賃金労働者と呼ぶとか、そういった明確な基準は労働省にはないのですか。あなた方は、ただ常識的に低賃金労働者、こう言っておるにすぎないのでございますか。いかがですか。
○大橋国務大臣 統計のこまかい技術的な問題に関係あると存じますので、政府委員からなお詳しく申し上げます。
○大宮説明員 どれくらいからが低賃金かということは、必ずしも数字で機械的には言えないのではないかと思っております。一つの国の賃金水準というものは、大体その国の経済力、いわば一人当たりの国民所得の水準等に見合うものであると思いますので、そういう平均から比べまして、労働の質、量においてもそれほど劣っておるわけでないのに、平均よりも非常に低いといったような場合には、これは低賃金労働者であるというふうに言えると思います。どこに線を引くかということは、そういった労働者の備えておる条件あるいはその国全体としての賃金水準等から、ケース・バイ・ケースでもって判断しなければならないと思いますし、またその判断につきましても、目的によっていろいろな線の引き方があるのではないかと思っております。
○野原(覺)分科員 あなたはその専門的な立場にいらっしゃる方にしては、きわめて大まかな答弁をなさったと思う。私の聞いておることは——よく低賃金々々々というわけです。あなた方が「日本の賃金事情」というパンフレットをおつくりになった。それから労働省が賃金問題を考えたり、賃金白書を出したりされる。労働省はよく労働白書というものをお出しになっているようです。そこで、その労働白書によりますと、昭和三十六年三月現在で、年収十二万円以下の者、つまり月収一万円以下の労働者が全体の中の二七・一%を占めておる。その数は五百九十九万人、こう書いておるわけです。これは御承知だと思う。これは低賃金労働者と見てよろしゅうございますか。大臣、常識からいって月給一万円しかとっていない者は低賃金労働者だと見てよいだろうと思いますが、いかがですか。
○大橋国務大臣 これは低賃金という言葉をどういうふうに考えるか、それによっていろいろな答えがあろうと存じますが、まず労働者として成年以上の相当な人が一万円以下であった場合においては、これは確かに低賃金だということは常識としてもいえると思います。しかしながら、十五才そこそこの人が、入ったばかりの初級賃金として一万円程度のものをとった場合において、これははたして低賃金といえるかどうか、むしろ一般的に普通の賃金と考えるべきではないか、そういった条件等がいろいろございますので、一万以下はすべて低賃金というふうにきめつけるわけには参らないのじゃないかと存じます。
○野原(覺)分科員 それでは大臣、成年男子が一万円で生活ができますか。これは人事院が発表しているのですよ、できますか。
○大橋国務大臣 人事院で東京における十八才の標準生計費を先般ベース・アップの勧告の際に付記しておりますが、それによりますと一万何がしというところが十八才の生計費ということになっております。
○野原(覺)分科員 私はやはり生計費ということが問題だろうと思うのです。生活を維持できない賃金は低賃金だ、こういう明確な見解をとって賃金政策を進めなければならぬのじゃなかろうかと思うのです。だから、公務員の給与を定める場合には、人事院が標準生計費を打ち出して、今大臣が申されましたように、昭和三十七年四月の標準生計費は一万九百六十円になっておる。一昨年は九千八百二十円であったのです。大体において一万円以下の労働者というものは、成年以上の相当な人が低賃金だけれどもという御答弁がありましたけれども、相当な人とは何でございますか。これは独身の青年だって低賃金です。生活の維持ができなくて明日の労働の再生産ができますか。賃金というものは、労働の再生産ができて初めて意義をなすのでしょう。労働の再生産ができない、つまり今日の生活を維持することができないこれらの独身の諸君は、親のすねかじりか何かで明日の労働再生産に支障を来たすようなことをカバーしておるのです。これは常識なんです。だれが考えても、一万円で一カ月やっていけといったってできやしない。今日学生の下宿が、東京都内ではどこに行きましても朝晩二食で一万円、それ以上にはね上がってきておる。それに交通費、被服、ふろ代、シャツ代その他いろいろな金を入れますと、一万円ではできません。ところが一万円以下の労働者が驚くなかれ二七・一%、約六百万人もおるということが、日本の今日の賃金の実情を私どもが議論する場合に取り上げなければならぬ点です。先ほど十六ページの統計云々と言いましたが、こんな統計では一つもわかりはしない。この「日本の賃金事情」というのはそういうところは伏せておられるのであります。そうして、日本の労働者の賃金はヨーロッパ並みになりましたということを、言葉の上で、統計の上で宣伝これ努めておるのがこの「日本の賃金事情」になっていようかと私は思うのです。 そこで私は具体的に指摘いたします。まず第一に、十三ページをあけて下さい。十三ページの第五表には、「時間当り賃金の国際比較」というものをお出しになっておるのであります。一九六〇年、製造業をとっております。これによりますと、この統計は毎月勤労統計調査を使っておるのですが、アメリカを一〇〇とした場合に、日本は一三・二という指数を出しておるのであります。イギリスが三二・七、西ドイツが二七・一と、こう出しておるのですね。毎月勤労統計調査というのは、私の見解では三十人以上の事業所規模に働く労働者の賃金だけが統計の対象になっておると思うのでございますが、いかがですか。
○大宮説明員 ここに載せました数字のもとになっておりますのは、先生御指摘のように三十人以上の全国調査甲調査というものの結果でございます。
○野原(覺)分科員 そういたしますと、三十人以下の事業所規模に働く労働者の数は、全労働者の何%ですか、日本では。
○大宮説明員 全部の産業といたしますと、約半分くらいが三十人未満ということでございます。
○野原(覺)分科員 総理府の統計局の労働力臨時調査、昭和三十三年度によりますと、今あなたがおっしゃったように全体の五〇%は三十人以下だとある。五〇%の三十人以下はこの統計の中に入れていないのですね。もしこれを入れるとすれば、大臣、この一三・二という指数は低くなります。もっと低くならなければなりません。これは部長に聞きますが、全労働者で、この時間当たりの賃金の国際比較を試算なさったことがございますか。幾らになりますか。
○大宮説明員 全規模についての賃金は、三十人以上と同じようにはとっておりませんので、試算いたしたことは、労働省としてはございません。しかし企画庁で国民所得統計などをつくりますときには、いろいろな統計の結果を寄せ集めまして、全体の勤労所得を推計しておるようでございます。しかしその根拠につきましては、われわれは必ずしも十分承知しておりません。
○野原(覺)分科員 これは低くなりますね、高くなるわけはない。ところがそこは隠してしまっておる。そうして日本は一三・二、イギリスは三二・七、こういうものをばらまいてきたのです。日本のいわゆる賃金実態、労働実態というものは、低い五〇%を切り捨てて、そうしていいところだけ抜き出してヨーロッパにばらまいてきたのでございます。労働省がばらまかしていたのです。総理は何もそういうこまかいことは知らぬかもわからぬ。 そこで第五表の注(1)を見ますと、「日本は常用労働者、その他は労務者」とある。これは部長にお聞きいたしますが、常用労働者とは何ですか。そのほかの国は労働者、とこうあるのに……。
○大宮説明員 毎月勤労統計で常用労働者と申しておりますのは、雇用契約期間の定めのないものと、雇用契約期間に定めがありましてもそれが一カ月以上である場合、さらに一カ月未満でありましても継続して事実上雇用が同一事業主に更新されて雇われて参りまして、一般失業保険の適用を受け得るようになったもの、それらをすべて常用労働者と定義しております。
○野原(覺)分科員 そうなりますと常用労働者という場合には職員層が含まれますね。労務者という場合にはそうでない。だからこういう国際比較を出すならば、日本も労働者その他も労働者という同じ条件においても出しなさいよ。ここに英語で書いた本があります。なるほどこういう備考や注は一応書いて、国内から問題になったときには、いやこうありますけれどもと申されるかもしれませんが、諸外国が日本の賃金が高いか低いかというときに、常用労働者とは何だろうか、それから毎月勤労統計調査とはどういうものだろうかなんということは吟味しません。少なくとも国際的にこういうパンフレットをまかれるならば、同じ条件のもとに比較して国際比較賃金論をすべきだと私は思う。日本は職員層を含んで、そのほかは労務者です。日本の場合は職員層を持ってきて、そうして一三・二だというのですから、これは労務者ということに限定して出しますと、この一三・二の指数はまた低くなるのであります。そもそもこれはでたらめきわまる第五表ではございませんか。この一三・二と、アメリカが一〇〇だなんという比較は正確ではないでしょう、いかがですか。
○大宮説明員 賃金の統計調査につきましては各国ともその対象がまちまちでございまして、現在の段階では残念ながら全く同じ範囲の労働者について比較するということはできないのが実情でございます。そういう点から申しまして、現段階の比較が最も理想的なものであるということは言えないのでございますが、しかしその与えられた条件の中で、できるだけ近いものということになりますと、たとえば外国の場合には、日本語では労務者となっておりましても、マニュアル・ワーカーということで事務系統の者もその対象に入っておる場合もございますし、また、さらに成人だけが調査の対象になっておりまして、未成年労働者は統計の対象から抜けておる、あるいは特定都市だけの平均がとられておるとか、いろいろ範囲が違うわけでございます。そこで、そういうものとできるだけ近いものという観点から、われわれは毎月勤労統計の常用労働者をとれば、いろいろ相互勘案いたしますと、一番現在の段階として比較するのにいいのではないかということでとったわけであります。
○野原(覺)分科員 これは部長、あなたがどう御答弁されようとも、低い賃金労働者は五〇%も切り捨てて比較するということは、これは妥当ではありません。五〇%低いのを切り捨てる、そうして高い上から五〇%だけをとって外国と比べて、そうしてこれが比較した賃金指数だというのはどう考えても正確ではありませんよ。この一点だけしぼってもこの第五表というものは私は正確さを疑う。一番大事な国際賃金比較の表だと思いますが、これはおかしいと思うのです。低いのは五〇%切り捨てておるじゃありませんか。そこで労働大臣、今度は十ページをあけて下さい。これは大へんなことになりそうです。十ページを見ますというと、上から四段目にずっと書かれてあります。「さらにこのような実質的購買力だけでなく、いわゆる付加的給付の問題をも考慮する必要がある。日本では、毎月きまって支払われる賃金のほかに、夏季および年末に、年間で三カ月分程度の特別給与が支払われる慣行があるが、これらの現金給与のほか、さらに食事や定期券などの現物給与が支給されている慣行がある。寄宿舎、社宅、病院などの企業内福利厚生施設も充実しており、さらに退職時には多額の退職金を支払うのが一般的である。労働省が一九五七年に行なった調査によれば、全事業所の約八割がなんらかの企業内福利施設をもっており、また企業が直接負担する法定外福利費の割合は、退職金のための支出額を除いても、現金給与総額の六%に及んでいる。」こういう説明書をお書きになられて、付加的給付が高いから日本の賃金は名目的にはそれほどでなくても、実質的所得は低くないということをここで強調しておるのであります。これは総理が予算の総括質問の際にもよく御答弁に使う手であります。ところが、ほんとうに日本の付加的給付というものは諸外国に比べて高いのですか。
○大宮説明員 付加的給付につきましては、それぞれの国の慣行の違いによりまして、比較並びに評価はむずかしい問題がございます。たとえば、日本のような場合には事業主が直接負担するような分が高率、またヨーロッパのような場合には社会保険の事業主負担分なんかが多い。ただし、イギリスあたりでは両方とも少なくて、そのかわり税金をたくさん納めて一般財源から社会保障が行なわれる。そういういろいろな違いがございますので、一がいに数字だけからでは判断しにくい状態があることは事実でございます。またさらに労働者がどれだけそれによって利益を受けておるかという評価につきましては、たとえば住宅とかいうようなものを市中の相場で評価するか、あるいは単に事業主が減価償却費として見ている分だけを負担分と見るか、それによってもずいぶん違ってくるわけでございます。従いまして、こういった慣行の相違を十分考慮してかからなければならないのでございますが、現金給与のほかにそういう問題があるということだけは、ぜひ賃金を国際的に比較する場合には考慮していただく必要があるのではないかということがここに書きました趣旨でございます。そうしてまた事業主が直接いろいろやっております分につきましては、外国から日本に視察に来たような人は、多く高く評価しておるといったような実績にかんがみまして、外国ではそういうことについてあまり知識がないのじゃないかということで、特に外国向けのためにはこういう注意を喚起しておるというのが趣旨であります。
○野原(覺)分科員 そういたしますと、労働大臣、付加的給付が日本で特に高いということは一がいに言えませんね。どう考えますか。
○大宮説明員 事業主が現金給与のほかに、いろいろこういった福利厚生施設面について努力しておる。またそれによって労働者が実際に受けておる恩恵というのは、外国人から見ればかなりのものがあって、平均給与だけで判断する場合には労働者の生活はもっと恵まれた点があるということは、これは外国人も評価し、またわれわれもそう見ていいのではないか、外国と比べた場合にはそう見ていいのじゃないかと思います。
○野原(覺)分科員 それはおかしいでしょう。労働統計調査月報はあなたの方から出ておる。これによりますと、日本の福利厚生費が諸外国に比べて特に高いということは全くないと書いておるのですよ。退職金その他を差し引いて調整しても、「賃金にたいする福利厚生費の割合は一三・三%にすぎない。諸外国に比べて日本の福利厚生費が特に高いということは全くない。」これは昭和三十四年の六月号ですね。だから、付加的給付ということが賃金の中に算定されて考えられなければならぬことは当然です。ところが、この調査月報の表を私は大きく書き取ってみましたが、日本のごときは、福利厚生費は一一・八%、退職金を入れて一三・三%、ところがオーストリアが二三・七%、イタリアが四二・四%じゃありませんか。日本は退職金を出すんだ、期末手当を出すんだ、住宅を出すんだ、外国はそんなことは何もしてない。ただ名目賃金、給与袋に入っておる賃金だけが賃金だと言わんばかりの答弁を石田博英労働大臣以来ずっと労働省はこの国会でやってきたのです。池田総理は、賃金が低いが、日本は特別の給与形態、賃金形態をとっておる、こう言っている。その実情は外国より特に高いということは全くない。高いといえるかどうかは疑わしい。と労働省自体が認めておられる。しかし付加的給付が高いから実質賃金、所得は低くないんだというような見解はとるべきではない。これは付加的給付だけを比べてみても日本が高いということは疑わしいのです。労働大臣、だから自今そういう御答弁はなさらないように、あなたからも池田総理に御注意されるようにしてもらいたいと思いますが、御所見を承っておきたい。
○大橋国務大臣 この点は、御指摘がありましたのでよくまた調査いたします。
○野原(覺)分科員 そのほか、政府の低賃金否認論の理由づけを申し上げますと一時間や二時間では尽きません。私はしさいにこれを読んでみて驚いておるのであります。これは、私は国際信用上の問題だろうと思うのです。なるほど日本の貿易をよい方向に持っていくために、ヨーロッパに低賃金政策はとっておりませんと言うことも一つの政策か知りませんが、しかし賃金の実情を、六百万人という一万円以下の労働者の実態は伏せておいて、そうしてここにとってきた表たるや、高いところ、高いところをとって、高目に高目に見せている。そうして付加的給付も、すばらしい付加的給付をしておるかのごとき十ページの文章だ。ところがその中身は、労働省自体がすでにこの調査統計表で表わしておるごとく、福利厚生費は退職金を入れても必ずしも高いどころか、イタリアの三分の一しかならない。私はこういうごまかしというものは大へんな問題じゃなかろうかと思うのであります。国際信義の問題だろうと思うのです。まあこれは日本の恥をさらすようですから、私どもこういうことを書いて外国には出しませんけれども、しかし私は政府の良心を疑います。しかもその原稿を書いた労働省自体を私は疑う。国内に向かっては、調査月報で高いことは疑わしいと書きながら、外国に向かっては、付加的給付をうんと考えておるのでございますといったような、二枚舌を私は責めたい。こういう考えで一体賃金対策が樹立できるかということです。しかも「日本の賃金事情」を見てみますと、驚くなかれ、私は次のことを発見したのです。労働大臣に伺いますが、この「賃金事情」のパンフレットの初めに、日本では八百三十六万人の労働組合が結成されたと書いておりまするが、この八百三十六万人という数の中には公務員の労働者が入っておるのでございますか。教員組合、職員組合、国家公務員の組合も入れて八百三十六万人と書いておるのでございますか、これをお聞きしたい。
○大宮説明員 この八百三十六万人の中には入っております。
○野原(覺)分科員 そこでこれは三ページですが、「さらに重要なことは労使関係についても、近代的労使関係の基盤となる労働者の団結権、団体交渉権、争議権などが戦後いち早く確立され、これらの権利はさらに憲法のなかで基本的権利として保障された。」——なるほど基本的権利として労働三権というものが保障されております。民間の労働者には団結権、団体交渉権争議権などが確立しております。ところが労働組合を結成しておる人が八百三十六万人だと書いて、そうしてその次に私が言ったようなことを書いておるのでございまするから、諸外国の受け取り方は、団交権も協約の締結権もストライキ権も持っておるのが八百三十六万人だと受け取ります。よろしゅうございますか。国家公務員の組合、教員の組合、そういうところに協約締結権とか争議権がございますか。しかも荒木文相のごときは面会すらしないじゃありませんか。今日日本の労働者は民主的になりました、憲法は三権を保障しました、その保障のもとにある組合員八百三十六万人と打ち出しておきながら、これはおかしいでしょう、公務員が入っておるのですからね。それならば八百三十六万人という数は訂正すべきですね。憲法で保障された三権のもとにあるこの数の八百三十六万は訂正すべきだと思います。大橋さん、あなたは率直なお方ですから、これは正直にお認めになると思いますが、これはちょっとおかしいじゃありませんか、いかがですか。
○大橋国務大臣 それはそういう言い方をされると確かにおかしいように聞こえますけれども、実は労働三権を保障されておる者が八百三十六万人あるというのではございませんので、労働三権は日本の全労働者すなわち五千万人近い人たちに保障されているわけであります。そうしてその保障された団結権を現実に行使して労働組合を結成しておられる方が八百三十六万人、こういうふうにお読みいただいたらいかがかと思います。
○野原(覺)分科員 そうはとりませんよ。労働組合員の数は総数八百三十六万人、そうして労働組合とはこれこれこれの三つの権利を憲法で保障したものだというのですから、八百三十六万人が三権を保障されておると受け取るじゃありませんか。これは四ページの初めから第一図と書いたところまで大臣読んでみて下さい。そして今や池田内閣というのはあたかも民主的な内閣であるかのごとき書き方です。私が今読み上げたところを見ても、きわめて労働運動には好意的で、そして理解的であるかのごとき書き方をとっておりますね。賃金にしてもそうなんです。ところが実際はどうかというと、人事院勧告は十五回とも完全には実施をされない。それからILOの二十六号、最低賃金は労使対等の立場で協議してきめてもらうべきだというこの条約も批准をされない、これが現実なんですね。どうもそういうところが私どもはこの「日本の賃金事情」全体を通じて流れておる理解しがたいところであります。これは時間がございませんから私の指摘がきわめて十分でありませんでしたけれども、ほんとうにこの「賃金事情」に書かれておるような水準にまで高めてもらわなければなりませんし、ここに書かれておるような心がまえで賃金対策に臨んでもらえるならば私どもは何をか言わんやでありますけれども、公務員の給与に対しても、あるいは民間賃金に対しても、日経連と結託して賃金を低く抑えよう、抑えようという組合弾圧の方向をとってきた。今もなおとっておる。そうして外国に向けては、そうではございません、私は民主的な総理大臣であります、労働三権は八百三十六万人に保障しました、賃金は今やヨーロッパ並み、少なくともイタリア並みぐらいにはなりましたと言って八千部もパンフットをまかれるその心臓の強さに、私は実は驚いているのであります。驚くと同時に、その良識のなさ、非良心的なことを憤慨しておるのであります。きょうは主査から時間を守れということでございまして、守らなければならぬかと思うのですけれども、主査にあと二問ばかりお願いしておきます。答弁が長うございますので。
○今松主査 答弁は簡単に願います。
○野原(覺)分科員 その次にお伺いいたしますが、労働大臣、完全雇用とか不完全雇用とかいうことをよく聞くのですが、完全就業者ということはわかります。しかし労働省は不完全就業者ということについての的確な定義を立てておられますか。立てておるとするならば、どういう者が不完全就業者というのでございましょうか。
○三治政府委員 労働省が不完全就業者と申しておりますのは、労働力調査の臨時調査におきまして、本業を希望するもので、しかも働きたい、そうして求職活動をされている方を申しておるのであります。この労働力調査の——われわれの方では意識調査と申しますが、そういう結果に基づいて、毎年三月の結果を見て不完全就業者と申しております。
○野原(覺)分科員 月のうちで一日でも働きましたら、その月間の統計をとる場合には、それは不完全就業者に入りますか。
○三治政府委員 そういうことではございません。今の完全失業者と言っておりますのは、各月の一定の週において一時間も働かない者の数というふうになっておりますが、この臨時調査による不完全就業者は、現在働いておられてもそれが求職活動をし、しかも本業を希望する人——もちろんそれは失業者も入ってでございますが、そういう人たちを不完全就業者と申しております。
○野原(覺)分科員 具体的には賃金で言うのですか、就業時間で言うのですか。あなたのおっしゃることは具体的な中身がはっきりしないのですが、どうなっておりますか。
○三治政府委員 賃金、就労時間は別にかかわりないわけでございます。
○野原(覺)分科員 雇用審議会が定義を出しておりますね。雇用審議会の定義は、御承知のように最低生活費をかせぎ出すことのできない者が不完全就業者だと言っておりますね。この定義には、労働省は必ずしも賛成しないのですか。いかがですか。
○三治政府委員 政府としては、この雇用審議会のこういう試算のやり方によりまして不完全就業者あるいは潜在失業者という数をつくる、こういうやり方については賛成しがたいという立場をとっております。ただしこういうふうないろいろの基準を設けて研究され、また完全雇用への筋道についていろいろな階層を分析し、そしてそれに対していろいろの対策を建議されることについては、十分尊重して検討していきたいというふうに考えております。
○野原(覺)分科員 これは大へんなことです。完全雇用とか不完全雇用という場合には、雇用の問題を解決するための政策を打ち出すためにこれは必要になってくるわけです。だから最低生活水準未満の雇用労働者は不完全就業者だというのは、一番的確な定義だと私は思う。賛成できないという理由を明確にして下さい。
○三治政府委員 ことにここで使っておりますのは就業構造調査による所得の基準をとっておりますが、政府といたしましてはこの所得の調査は、いわゆる国民所得におきましてもほかの所得の調査におきましても、まだその所得が正しいものとして利用するまでに至っていないという見解をとっております。従ってそういうような就業構造調査による所得階層分布というものは、これが最低生活水準または一定の生活賃金基準としての調査とは——いわゆる調査はあるわけですが、そういうものを所得の基準としては利用しておりません。それから農業の関係につきます場合におきましても、業主、従業者、あるいはその中における農業のいわゆる反別の所得というものの基準も、一応ここで研究としてきめてありますけれども、この基準というものがはたしてそれで線が引けるものであるかどうかということについては、われわれとしてもまだ相当研究していかなければならないと思っております。これはまだ一つの研究の端緒であって、こういうふうにいろいろの農業所得の場合におきましても、その所得を二十万円というふうにして、それで線が引けるものか、あるいはこれが非農林所得になりますとそれが十四万円ということでいいのかという問題につきましては、われわれといたしましてもそういうふうな具体的な線を引くのはまだ研究段階であって、政府としてその数字をもとにしてこれ以下が不完全就業者で、それ以上が大体においてまあまあの雇用者あるいは就業者というふうにはまだ自信がつかない次第でございます。
○野原(覺)分科員 労働大臣、今の御答弁はあなたはわかりましたか。何言っているかわからぬですね。どうも労働省の雇用対策というのは不十分、不徹底といいますか、なっていない。それはどこに原因があるかといえば、一体完全雇用とか不完全雇用とは何かということに対する的確な見解を立てていないのです。一日でも、一時間でも働いたらこれは雇用労働者だというような見解を立てている。そのことがけしからぬというので、雇用審議会は、先ほど私が申しましたように、食える賃金、食えるということ、世帯の生計を維持できるということを基準にして考えなければならぬということです。労働者が労働をするという場合には、賃金の収入で生計を維持できるから労働者なんです。妻や子供に食わせることができるから労働者は労働をするのです。妻や子供に最低限度食わせることのできない労働賃金しかもらっていない者は完全なる雇用労働者とはいえません。そういう的確な定義を立てた上で雇用対策を立てていかないと問題があるのです。なぜ私がそう言うかといえば、たとえば一体——それでは私は労働大臣にお聞きします。あなたは今の調査に基づく不完全就業者は今日日本に何人おると推定しておりますか。これは大事なことですから大臣も御承知だろうと思う。
○大橋国務大臣 不完全就業者というものを、労働省の統計といたしましては、昭和三十一年以来毎年三月に調査いたしておりますが、三十一年には三百十三万人、三十二年は二百六十五万人、三十三年二百四十五万人、三十四年二百四十万人、三十五年百七十三万人、三十六年百四十四万人、こういうふうになっております。これは労働力調査でございます。
○野原(覺)分科員 ところが雇用審議会では三十六年は七百三十八万です。だいぶ違いますね。それは先ほど私が言いました最低生活の水準未満の雇用者を不完全就業者に入れたものです。ところがあなたの方は百四十四万、これでは対策を立てる上に、その政策の中身の上で私は大きな格差が出てくると思う。こういうことを言っても時間をとりますからなんでございますが、一体それでは百四十四万とかりに仮定して、これを解消するために、労働大臣はどういうような対策をとらねばならぬとお考えですか。
○大橋国務大臣 結局このことは雇用の数をふやしていくという以外に解消はないわけでございますが、そのことはまた一般の経済成長ということに基礎を置かなければならぬと思います。従いましてただいま政府といたしましては、経済成長政策を推進いたしておりますので、この過程を通じまして、労働省といたしましても不完全就業の解消に努力いたして参りたいと思います。
○野原(覺)分科員 経済成長が必要であることは認めます。しかし、経済が成長したからその問題が解決するとは一がいには言えない。これは労働政策が一枚加わらなければならぬですね、野放しにしておってはできませんから。だから山花委員が指摘いたしましたように、最低賃金制の問題が出てきます。それから適正な賃金水準を確保できる施策を確立してもらわなければならぬと思う。それから適正な労働時間の問題ということになろうと思います。今不完全就業者の問題で一番問題になるのは、週四十九時間以上働く者が驚くなかれ九百万昭和三十六年に出ておるのです。週四十九時間以上の就業者が八百九十六万あるという事実です。だから、この週四十九時間を四十時間に押えてみなさい。五、六百万人は解消できるのです。不完全就業者の救済ができます。ある特定の者が高い賃金を取り、ある特定の者だけが労働をやっておる。そこにILOの労働時間短縮の問題も出てきたのです。こういう労働対策というものが加わらないと、経済成長だけでは野放しの資本主義競争の時代には、大臣の考えているような理想は達成できないと思う。 そこでお尋ねしますが、ILOの二十六号条約、これは最低賃金の条約です。先ほども質問があったかと思います。業者間協定で最低賃金ということになっておりますが、最低賃金とは経営者だけがきめるものじゃないですよ、労働大臣。ILOの精神からいえば、これは労使の協定によって最低賃金をきめるものだ。一体これはいつ批准をしますか。またその二十六号条約の批准についてどういう御努力を今日払っておられますか。これはいつ批准なさいますか。
○大橋国務大臣 実は政府といたしましては、できるだけ早くこの条約を批准したいと考えておるわけでありまして、その国内における態勢を準備する意味で現行の最低賃金法もできたわけでございます。ただ現在このILO条約二十六号の解釈に関連いたしまして政府の関係部局とILO事務局との間でこまかい部分についての専門的、技術的検討、準備を進めておる次第でございますから、これが解決いたしましたならばできるだけ早く批准をお願いしたいと思っております。
○野原(覺)分科員 これが批准されれば最低賃金は労使間の協定よってきまる、こう理解してよろしゅうございます。
○大橋国務大臣 現行の最低賃金法でもってこのILO第二十六号条約を実施するに差しつかえない、こういう考えで現在の最低賃金法ができておるわけでございます。従って、ILO条約批准後につきましても、現行最低賃金法の運用を拡大強化いたして参りたいと思っております。
○野原(覺)分科員 大へんな御理解ですね。
○今松主査 結論をお急ぎ願います。
○野原(覺)分科員 わかりました。——ILO条約二十六号は、最低賃金制の運営は労使の決定で行なわれなければならぬことを強調しておるじゃございませんか。業者間協定というのは業者が勝手にきめる最賃ですよ。大へんな御理解ですね。もう一ぺんお尋ねします。
○大橋国務大臣 業者間協定というのは、業者が勝手にきめるのではございませんので、業者が勝手にきめたものが法の定める最低賃金となりますためには、行政機関の決定が要るわけでございます。その行政機関の決定をいたしますにあたりましては、労、使、公益の三者構成になっております中央あるいは地方の最低賃金審議会の審議を経なければならぬわけでございます。業者間だけで勝手にやるものとは考えておりません。
○野原(覺)分科員 今おっしゃったことは何やら理屈というものです。労使間の決定——あなたは労働者の意思が何とかという機関の中にちょっとでも入っておる、一万分の一くらい入っておるじゃないかというお考えでそういうことをおっしゃるかもしれませんが、賃金というものは資本家と労働者できめるものです。その精神に立って、最低賃金制だって、その運営は労使間でやるべきだというのがILO二十六号条約ですよ。業者間協定は、なるほど行政官庁の許可を得るとかいろいろなことがありましょうけれども、労働者の意思というものは直接入らないです。だから、そういう御理解のもとに二十六号条約を批准されても何でもけっこうです。二十六号条約を批准した場合には、おそらくILOの機関はその日本政府の見解に対しては異議を申し立てるでありましょう。二十六号条約を一つよくお読みなさる必要があろうと思う。いずれにしても二十六号条約はすみやかに批准をしていただきたいのです。日本はILOの理事国でございますから。これは時間短縮についてもそうであります。理事国というのはそうたくさんはないのですから、やはり諸外国に対して、少なくともILOに関しては模範を示すところの政策を国内的にも樹立される必要があろうかと思うのであります。 このことを要望いたしまして、質問を終わります。
○今松主査 本島百合子君。
○本島分科員 お昼の時間になって恐縮でございますが、質問をさしていただきます。 私は、昨年出されました婦人労働白書を見まして、日本の労働婦人の状況というのが、非常に明確に出て参って、しかも労働婦人に対する施策が十二分に行なわれない限り、日本労働問題の解決はなかなかできづらいと考えておるわけでありますので、その点から御質問を申し上げたいと思います。 大体、日本の国というものは、婦人は家庭にあるものだ、こういうふうにいわれ、不況になりますと、労働婦人は家庭に帰れなんという言葉が常日ごろいわれて参っております。しかし、国際労働事務局編の国際労働年鑑の一九六一年版には、日本の労働婦人がいかに多いかということを発表しておるわけですが、その比率をちょっと申しますと、カナダでは二五・六%、アメリカでは三二・三%、フランスが三三・四%、西ドイツが三六・七%で、日本は驚くなかれ四〇・五%、こういうふうに出されております。労働者の中に婦人労働者が占めておる比重が非常に大きいにもかかわらず。先ほどから質問されておりました低賃金あるいは労働条件の劣悪、こういうことになれば、婦人労働者がそれを一手に引き受けているという感じがするわけです。ということは、大体婦人労働者の六〇・二%は零細業者の中で働いておるということになるわけです。百人未満の業態の中にこれだけの婦人労働者が吸収されておるということになれば、非常に劣悪な条件の中にあるということが一目瞭然であろうと思うわけです。そういたしますと、こういうところに働いておる婦人たちに、一体現行の保険制度、つまり一人から四人程度の業態の中で働いておる人には健康保険はございません。その当事者たちは病気になったときも国民健康保険でまかなわれておると思いますが、他のたとえば失業保険だとか災害保険とか、こういうものは一体どの程度にかけられておりましょうか。
○三治政府委員 失業保険について申し上げますが、五人未満の事業所の適用は約十八万人でございます。
○本島分科員 災害保険はどうですか。
○大野説明員 約二十四万人と推定されます。
○本島分科員 実際の問題からいたしますと、こういうふうにかけてあるところはまだしもですが、まだかけてないところが多いということになるわけです。そうしますと、こういう人たちは自分の身分に安定性もなければ、また災害等がありました場合にも全然それに対する救済方法がない、こういうような状態に置かれておるわけなんです。そういたしますと、こういう劣悪な条件の中で婦人の労働者が働いておるということに着目されておる婦人少年局あたりでは、局長さんにお答え願いたいと思いますが、こういう雇い主に対して、あるいはまた働く婦人たちに対してどのような施策を今日まで講じてこられておるのか、また予算上こういう婦人たちに対しての施策というものを十二分に行なってあげられるようになっておるのか、お聞かせ願いたいと思うのです。
○谷野政府委員 婦人少年局といたしましては、特に中小企業に働きます女子労働者のためのことをいろいろ考えまして、常時の活動といたしまして、地方に婦人少年室がございますが、この婦人少年室が定期的に事業場の訪問調査を実施いたしております。この場合に十分に使用者とお話をいたしまして、問題があるかどうかによりましてそれを改善するようにお話し合いを進めますと同時に、また婦人少年局に報告をいたして参ることになっております。これは労働条件ばかりではなく、福祉全般につきまして使用者の理解を深めることに役に立っていると思うのでございます。 それからまた特に中小企業に働いております少女、年少労働者につきましては、自主的に活動をいたしますために、中小企業団体に年少労働者福祉員を置きまして、現在この福祉員が全国で一万五千名近くでございますが、この福祉員がそれぞれの団体の労働者の条件につきまして積極的に考えますと同時に、また各般の社会にありますところの施設を利用いたしまして福祉を進めることに努力をするように私どもといたしましてお話し合いを進めております。 また働く婦人のために、特に中小企業の密集しておりますところに働く婦人の家をできるだけつくるように促進いたしまして、この働く婦人の労働者として、また将来の家庭に入る者としての教養あるいはまたそのような労働条件に対する理解を深めまして、そのような施設を設けることによって使用者が労働の状態の改善をはかるような方向にこの働く婦人の家が運営されているのでございます。 また婦人少年局におきましては年間特に啓蒙活動を実施いたしておりまして、働く婦人の福祉運動を通しまして、中小企業に働く婦人の問題を中心に、労働者の方、また使用者の方々の理解を深めながら、法律上の保護が十分に行なわれますように、また福祉が十分進められますように、促進的な啓蒙運動を進めることに努力をいたしておるのでございます。
○本島分科員 白書によりますと、昨年、婦人が占めた働く人の数は大体四九・九%で、労働者の約半分を占めておるわけなんです。この人々の学歴というものは非常に低いということがいわれておるわけです。高校卒業以上の人々は、昭和二十九年で一三・五%、三十六年はこれがやや上回って一九・七%となっておるそうですから、そういたしますと、中学卒業程度が圧倒的だということになると同時に、この婦人労働者の中には、中高年令層が非常に多いということになるのです。従前は労働予備軍というような名前で呼ばれておった人たちが、そのままの形で予備軍的に臨時雇いだとかあるいは日雇いだとか、こういう形でしか働けないという結果が今日出ておるわけなんです。ただいま局長さんが申されたような施策程度では、とても婦人労働者を同一労働、同一賃金の線まで引き上げていくということは困難だと思うわけなんです。従って、今日若年労働者が非常に足りないということから、こうして婦人たちが働くようにだんだんなってきたということにもなるでしょうし、賃金が低いということから家計を補うために中高年令層の婦人たちが職場へと出ておるということなんだろうと思うわけなんです。 そこで特に昨年のことであろうと思いますが、公共職業安定所を通じて新規求職者が百九十九万人あったが、求人は二百二十一万人、一昨年に比して十四万人ふえておる。ところが実際に就職ができたというのは百九万件で四九・二%にしかならなかったというようなことがいわれておるわけなんです。そうすると、求職者側から見れば条件がよくなかった、あるいは求人側からいえば自分たちが求める人としての適格性がなかった、こういうことになってくると思うわけなんです。また白書でもそういうようなことを言っておるようでありますが、それが明確になっておるのに対して、こうした婦人たちに対する職業訓練等の点はどういうことをしておられるのか、またどのくらいの数を、求人側の希望されるような方向にマッチできるようにさせてあるのか、こういう点はいかがでありましょうか。
○谷野政府委員 先生のお示しのように、中高年令の婦人につきましては、日本の現状といたしましては、まだ就職が非常に困難な状態でございます。従いまして、婦人少年局といたしましては、創立以来、特に中高年令婦人の職業対策につきまして、これを進めるためにいろいろ企画を進めておるのでございます。特に初期の時代におきましては、中高年令層の婦人が未亡人として職場に働いている実情を調査いたしまして、職業安定局が就職の指導をいたします場合の参考の資料にいたしますと同時に、地方の地域の婦人団体などに参考になるような資料を提供いたしたのでございます。その後、この調査の結果に基づきまして、特に中高年令の婦人、とりわけ家庭生活以外に職業経験を持たない、人生の中途から職業生活に入るような婦人のために適切な職業といたしまして、家事使用人の訓練のことを思い立ちまして、家事サービスの職業補導所を設置いたしました。東京と大阪に二カ所設けて、ちょうど家事使用人が大へん不足していた時代でございます。とりわけ職業的なほかの経験を持たない人のために適職でございますために、この施設が大へんあちこちから受け入れられまして、創立以来六年を経過いたしているのでございますが、現在までに二カ所で二千五百人余りの家事使用人の訓練をいたしまして、それぞれ適当な職場についているのでございます。
○本島分科員 こうした婦人たち、今局長さんの御答弁の家事サービスの補導を受けた人々をはずしまして、大体賃金は非常に低いということになるのです。大体零細業者の中に働いておりますので、男子に比較して約三分の一にしかならない。労働時間等も、大体大企業で働けば二十三・四日ばかり働けるのに、零細業の中では二十六・六日ということになり、大企業の場合は二十三・四日、こういうことになると、働く日にちは長いし、それから労働時間も長い。そして結果的には賃金は男の人の三分の一にしか当たらない。こういうことになれば、一体これは男女同一労働同一賃金ということをうたい出して、日本の労働婦人は非常に恵まれてきたように言われておる今日、この白書の中から見れば、残酷に婦人が取り扱われておるということが明確になってくるわけなんです。 そこで労働大臣にお伺いいたしますが、こうした劣悪な中の婦人たち、しかも半数に近い労働婦人を迎えておる今日、今後の労働婦人に対する施策としては、労働大臣はどのようにお考えになるのかということ。 それから、いま一つは、こうした賃金の問題、あるいは学歴が低いからやむを得ない、こう言われるかもしれませんが、今日企業体の人々の話で聞きますと、日雇いであろうがあるいは臨時であろうが、年少工と婦人工は非常によく働くということを言われておるのです。従って求める方の側から言わせれば、若年労働者を得ることができなければ、婦人を臨時でもまた日雇い的に月給制でなくて雇おう、こういうような形でどんどん吸収していっているわけなのです。そうしますと、先ほどから申し上げているように、労働条件としては保険制の恩恵を受けることも少ないし、また賃金も安いし、そうしてなおかつ労働時間は長い、こういうように日の当たらない場所に、婦人たちが追いまくられておるという感じがするわけなのです。こういう点について、労働政策上今後どのようにしたならばよいというふうにお考えになっておるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
○大橋国務大臣 婦人の労働につきましては、最近ことに婦人労働者の数がふえてきておりますし、労働基準法の上におきましても、婦人と少年については、特別に基準監督上注意すべきものと考えられておるような次第でございます。従いまして労働省といたしましても、今後基準監督の面につきまして、婦人労働の条件の改善向上につきましては、一そう入念な指導をいたすようにいたしますと同時に、特に賃金等の面につきましても、できるだけ最低賃金制の活用により、労働条件全般を向上させるようにいたしたいと思います。
○本島分科員 先ほども特に婦人と年少労働者とおっしゃっておるのですが、予算上どのくらいの措置がしてあるかということの御答弁がないのですが、その点をお聞かせ願いたい。 同時に、今日こうした状態の中にあって、婦人労働者側から言えば、ある程度の欠陥もあると思うのです。ということは、結婚、育児とこういうような段階がありまして、なかなか男子労働者のように終身労働に従事して、一家の生計を立てていくという形の人が少ないということもあると思うのです。そこでビジネス・マダムというような言葉で最近いろいろ言われておりますが、こういう点についてのお考えはどういうふうに立てておられるのか。また、ただいま申し上げたように、劣悪な条件の中でこうした婦人たちがまたそういう産業部門に入っていくということは、私どもとうてい忍びないと思うのです。従って、新しい感覚のもとに、新しい近代産業のもとに、こうした問題が出てくるのですから、それに対する一応の考え方というものが大臣におありになると思うのですが、そういう場合に対応してどんなお考えを持っておられるか。
○大橋国務大臣 婦人の労働者としていろいろ家庭上、その他社会的な条件として、不利な点のあることはやむを得ないと思います。またそれに応じて労働条件全般がきまってくるものであろうとは思いますが、しかし何と申しましても同一労働同一賃金というのは、労働についての基本的な原則でございますから、今後は行政機関ばかりでなく、特に労働組合の協力をも得まして、御趣旨に沿うようにすべきものではないか、こう考える次第でございます。
○本島分科員 予算はわかりますか。
○谷野政府委員 予算について御説明申し上げます。 三十八年度の予算、婦人労働者の関係につきまして、本省費として二百九十九万八千円、それから地方費に百八十八万六千円、計上されております。内訳といたしまして、啓蒙宣伝の資料作成費と婦人労働者福祉増進運動、それから婦人労働者の保護対策、それから婦人労働の基本調査、それから婦人の職業対策費、それから婦人労働力適性配置基本調査の実施でございます。このほかに働く婦人の家といたしまして、補助金として二カ所分六百万円が計上されております。
○本島分科員 私が先ほどから申し上げているように、日本における労働婦人の占める割合が非常に大きくなっておるというこの現状の中で、しかも労働条件、賃金等劣悪な中におきまして、ただいま谷野婦人少年局長が申しましたような予算程度で、一体婦人の向上あるいは身分の安定あるいは婦人のよき地位を確保していくということができるかどうか、一応労働大臣、お考え願いたいと思います。特に婦人少年局の担当の分野だけでやっているのではないということに御答弁になるかと思いますが、それならば、先ほどから社会党の方々の質問の中で、非常に低収入で苦しんでおる全般の労働者の問題としても、特に婦人に対しては学歴が低い、技能を持っていない。またいろいろの条件で男子に比較して悪い。こういうような状態のものをどうにかしなければならない。それでなければ、池田さんがどんなに経済成長を叫ばれても、その労働を補っていくことができない。そういう点を分担している率が非常に大きい婦人労働者に対して、いま少し熱意のあるところの施策をしてもらいたいと思うわけです。 そこで、先ほどお答えになりませんですが、一応子供がある程度の成長を見て、家庭の方も落ちついてきた、そこで夫の収入だけでは子供の教育も満足にいかないから、時間的に余裕も出たから、少し働こうか、こういう婦人たちがたくさんあるわけです。この人たちが、今申し上げたように、五人未満の事業所の中に臨時工みたいな形で働いておるわけですから、そうすると、こういう点が今後ますます大きくなっていくわけです。こうした点について、一応こういう点はこういうふうに考えてみよう、たとえば外国の例のように、サービス的な仕事では若い女性でなくてもできるわけです。特に親切で、人生の経験を持っておる人たちですから、よろしいわけです。デパートとか、あるいはまたホテルとか、そういう従業員の中で、何も若い人でなくてもいいわけなのに、若い労働婦人を使いたがるのが日本の業者なんです。そういう点を置きかえていくということによって、ある程度こうした中高年令層の婦人たちも安定してくるのじゃないか。また若い人々も実際の生産部門に携わっていける、こういうふうに労働政策としては持っていくべきじゃないだろうか、こういうふうに思うわけです。ただし私が言っているのは、現在職業が適職がないし、収入が少ない、どうしてもお金がほしいというような人たちが、バーだとかカフェーだとか、あるいは料理屋だとか、こういう不健全な面のサービス業に入らざるを得ない。そして子供たちに、お母さんの職業はと聞かれても、それがまともに言えないで隠しておるというような実態を見るときに、私は、こういう格好で日本のいわゆる社会が健全であろうはずがないと思うわけです。従ってそういう面にはなるべく行かせないで、そして健全な職業の面にこういう中高年令層の婦人を持っていくように切りかえていかなければならぬだろう。それに対する施策というものがあるのかないのか、こういうことをお尋ねしたわけです。もう一度御答弁願いたいと思います。
○大橋国務大臣 中高年令層の就職難は、男女の別なく依然として残っておることは、御承知の通りでございます。この反面におきまして、若年労働者は非常に不足をいたしておるわけでございますから、逐次中高年令層による代替を考えていくというのは、これは雇用対策としては当然のことだと存じます。すなわち中高年令層に対する職業訓練の強化、また職業紹介におきましても、若年層の求人に対して、できるだけ中高年令層で代替し得る仕事の種類を調査して、そして適職についてはできるだけ代替を進めていくというようなことによって、解決をして参りたいと思っておるのであります。特に婦人の問題につきましては、適職の調査を基本的に進め、今後の政策の基礎といたすために、昭和三十八年度におきましては、婦人労働力適性配置基本調査を実施いたしたい、かように考えております。
○本島分科員 この問題につきましては、この時間ではとても質問できませんので、また委員会等でいたすことにいたしまして、いずれにいたしましても、日本の産業分野に婦人が非常に働いておるということを御認識いただき、日の当たらない産業に六〇%以上も働いておる、労働条件の悪い婦人労働者に対する大きな転換をもたらしていただき、一般男子労働者と同じような地位にまで高めるように、労働政策を転換してもらいたい。これが私の願いでございますので、そうした点に特段の御配慮を今後願いたいと存じます。 問題を変えまして、いま一問お尋ねします。最近交通地獄と言われております。そこで、勤労者たちは、働く場所に行くまでには、朝夜の通勤、帰宅をしていかなければならないのです。この間におきまして交通事故等にあいました場合に、これは業務外ということで何の補償も得られないというのが、現在の状態であるわけなんです。ところが、世界のいろいろの国では、三十カ国が、勤労者というものは家を出てから職場に入る、また職場から出て帰宅まで、これを業務内と認めて、そしてその間における災害に対する災害補償をしておるわけなんです。日本の労働者たちは、賃金も国際水準的に見て高い、こう言われるのですが、こういう補償の面でいけば非常に低いのじゃないか。こういう点を労働省としてはお考えになったことがあるかどうか。最近の交通事故は、私どもが申し上げるまでもなく、交通戦争なんというくらいの言葉が当てはめられておりますが、実際その間にいろいろの事故にあっても、勤労者は業務外ということによって、いろいろの治療あるいはその間における給与の保障ということがなくて、困っておるわけなんですが、こういう点、お考えになったことがあるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
○大橋国務大臣 通勤の途中の交通事故による災害は、その通勤が使用者の支配下にない限り、業務上の災害の取り扱いとするわけにいかないのが、現在の法制でございますが、ただいま仰せられましたように、諸外国では業務上災害として取り扱っているところも少なくないようでございます。ことに通勤災害がますます増加する傾向も見受けられますので、この問題は十分に今後検討いたしたいと思っております。現在労働者災害補償保険審議会におきましては、特に研究会を設けまして、これらの問題をもあわせて研究中でございます。
○本島分科員 交通戦争と言われるくらいで、けさ警視庁に問い合わせしましたところが、事故にあって二十四時間以内に死亡する者が一万千四百四十五名で、負傷者が三十一万余あり、そして事故数は四十八万、こう言っておるのです。そうすると、この数の中にいつ入るかもわからないという勤労者たちの不安、同時に、殺人電車、列車と言われるくらいに、自分のからだを休めることができない、その地獄の中に身を投じていかなければならない。そしてようやく職場にたどりついて参るわけなんです。それがそういう途中における事故にあったときに、何の補償も受けられないということであれば、ほんとうに自分が働いているという安心感というものがないわけなんです。たどりつくまでが大へんで、帰りついて女房、子供の顔を見て、ああやっときょうも命が助かった、こういう状態の中で働いておるわけなんですから、外国の例ということではなくて、そういう例を一つ御研究下さって、一日も早くこうした通勤に対する補償制度の確立という形において、労働省が積極的にやっていただきたいと思うわけなんです。と申しますことは、現に長野県であった事件だそうでございますが、中村という御婦人の夫が、通勤から帰ってくるときに災害にあってなくなった。この事件は今高裁で口頭弁論に入っているわけなんです。この場合に、今までは大臣がおっしゃったように、業務外として、地裁等も敗訴になっておるわけなんですが、高裁では、特に弁護士団の中では、これはもう当然家を出てから職場に入るまで、また職場から出て家に帰りつくまでは、業務上とみなすべきであるという観点に立って努力をしておるわけなんです。また今日のいろいろの条件を勘案して参りますときには、当然それは業務上とみなしていくのが至当であろうと考えるわけなんです。従って、高裁において裁判中でありますが、労働省等もできるだけこうした方向に向けて、日本の全労働者が安心して働ける、もし災害にあった場合にも、そうした補償等によって安心して治療も受けられる、また遺族等に対する補償もあるのだ、こういうことになったらどんなに助かるだろう、こう思うわけなんです。たまたま今こうした裁判が行なわれておる最中でありますので、労働省が特段な方針を立てられるように要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
○今松主査 午後一時四十分より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時五十二分休憩 ————◇————— 午後一時五十一分開議
○今松主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。田原春次君。
○田原分科員 炭鉱離職者の転職、移住等の問題を中心に、労働大臣にお尋ねしたいと思っております。 まず第一は、過去における炭鉱離職者の国内転職の実況、それから国外移住の実況等をお知らせ願いたい。
○三治政府委員 炭鉱離職者の再就職の対策につきましては、三十四年に炭鉱離職者臨時措置法ができまして、それ以来、合理化解雇に伴う離職者につきます就職あっせんが、ことしの三十七年度の九月までで約四万三千五百人でございます。職業安定所で紹介、就職せしめたのが四万三千五百人、それから会社のあっせんその他縁故就職によって就職した者が三万三千六百人、それから帰農者、これが三千五百人、それから自営した者、これが三千百人でございます。その他リタイアが三千八百人で、総数八万七千五百人の方たちが大体行き先がわかっている、そういうふうになっております。それから海外移住でございますが、もちろんこの全体の数の中に入っているわけでございますが、海外に移住資金をもらって行かれた方が、同じく三十四年以来七百十四人でございます。この中で農業訓練を受けて行かれた方は、七百十四件の中で百十八名でございます。農業訓練を受けて行かれた方が百十八名、海外移住された方が全部で七百十四件でございます。
○田原分科員 海外移住しておる者の中で引き揚げた者はいないか、それから移住地でいろいろな困難を感じて、最初の移住地から他に転じた者、農業以外に転じた者があるかどうか、これも一つ明らかにしていただきたい。
○三治政府委員 ドミニカの帰国者はこれには入っておりません。 それから現地でどういうふうに移動されたかにつきましては、私の方では情報はわかっておりません。
○田原分科員 それから今度は、今年以後の計画、国内転職対策、それに加えて海外移住対策を伺いたい。
○三治政府委員 今申し上げましたのは三十七年度の九月までの実績でございますが、今度三十七年度の年度を通じまして、三十七年度だけにつきましては、安定所の紹介によって再就職をする計画が約一万五千人でございます。それから会社あっせん、その他縁故就職が一万一千四百人、そのほか自営や帰農やリタイアで三千五百人というような計画をしております。三十八年度につきましては、合理化計画と再就職計画の調整を今通産省とやっております。従いまして、今後の炭鉱離職者の雇用計画といたしましては、明年度から、毎年度年度初めにそういうふうな整備計画と再就職計画とあわせて、石炭鉱業審議会で審議された上で政府で実行していく、こういうふうにして、できる限り炭鉱離職者につきます再就職を計画的に、しかも万全な対策をとるようにしていきたいと思います。 それから、その中で海外移住に行かれる方の予定をどの程度見込むかということにつきましては、今外務省の方でもこの海外移住の組織の改変にかかっておりますので、そういう海外移住事業団法なんかができましてこの組織がはっきりしますと同時に、海外移住についても炭鉱離職者をできる限り奨励していきたいと思います。
○田原分科員 海外移住事業団法の成立を待っておる。そうしますと、その海外移住事業団が成立後、機能的にはとういうふうな——たとえばこちらから、あなたの方の労働省関係の雇用促進事業団から、希望者を募って、これだけあるからどこかへ送ってくれというのか、あるいは移住事業団の方から、炭鉱離職者はこれくらい出してもらいたいといってくるのか、それらの連絡機関というか、そういうのはどうですか。そういうことについて話をしておりますか。
○三治政府委員 現在でもそうでありますが、毎年度農業移民その他予定目標数を立てまして、現在のところ、その予定目標数が海外移住については到達していないように承知しております。従って、われわれの方の炭鉱離職者の移住につきましては、初めは割合に成績がよかったのですが、昨年、今年とだんだん成績が悪くなってきた。従ってこれに対して、先ほど申し上げましたように、そういう移住機構の整備と待って、さらにこの移住が何ゆえこのように低下してきたか、現地の事情、それからこちらの送出関係の方が悪いのか、その点、目下再検討いたしまして、さらに事業団の関係につきましても、われわれ今、結論と申しますか、一応の方向といたしまして、農業移民については、現地における土地の買収資金、現地における営業資金を炭鉱離職者で持っていく方が少ないために、どうもなかなか行きにくいという事情があるのじゃないかというふうなことから、われわれといたしましてその移住資金を、一般の方と比べて、特に海外農業移民で行かれた方に対する海外加算金を増額するように、今大蔵省と折衝中でございます。それともう一つは、三井鉱山もさらに入ってもらいまして、三井鉱山において現地に職員を派遣しておりますので、三井鉱山自身も非常に大量な解雇を出すわけですから、会社側もそちらの方へ力を入れてもらうように、今これの方とも協議中でございます。
○田原分科員 最近の成績がちょっと下がったというのですが、現地の事情についてはどの程度調べておりますか。土地の購入資金の不足であるのか、できた作物のマーケットの点であるのか、あるいは長年の炭鉱労働者であって、からだは強いかもわからぬが、農業の経験なり、そういうものが足らぬせいか、そういう報告はきておりますかどうか。それからきておるとして、それを聞きっぱなしであるか。現地に移住後の指導なり援助なり、何か対策を労働省では考えておられないのですか。
○三治政府委員 当初は何か現地の方で、日本の三池争議なんかを聞いて、こちらの方でそうやられてはかなわぬというような事情もあるのだというようなことも聞いたのですが、これは調べたところデマで、現実に行かれた方、ことにブラジルには過半数、四百名ちょっと行っておられるのですが、こういう人たちの評判は、私が存じておる限りにおいては、何ら一般移住者と変わりなく、決して評判は悪くないというふうに聞いております。むしろこちらの方で、出ていかれる方の事情だとか、海外へ農業移民として行っても、金がなければなかなかいい生活ができないのだ、無一文で行って農業労働者として使われるだけでは、向こうへ行っても必ずしも将来は保証されないのだというふうに、炭鉱離職者が思っている。従ってある程度金を持って行かぬと、向こうへ行ってもいい生活ができないのだというようなことで、出渋っている。従って今後大手なんかの解雇者、離職者で、退職金が相当入るとか、さらに会社が現地においてもある程度あっせんしようというふうな空気が出てくれば、さらに増加するのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
○田原分科員 炭鉱離職者の海外移住は、必ずしも農業だけではないのであります。たとえばチリでは三菱鉱業その他が行って、鉱石の採掘をやっていますね。ボリビアは日本鉱業その他が行って、これもやはり鉱石の採掘をやっています。アルゼンチンはずっと南の国営のリオトルビオ炭鉱というのがあって、現に数年前から労働者がほしいということを、進んでは経営の委任までしようという話も聞いているのです。従って今後の炭鉱離職者の行く道といたしまして、国内で仕事を得る方法、国外で得る方法、国外で得る方法として、農民になっていく方法と、農民以外の技術労働者と申しますか、場合によっては技術の指導者にもなり得るわけなんですが、それらについては労働省の方で特に熱心に調査をし、また進めてやるべきではないかと思うのです。これらの農民以外の南米各国における炭鉱関係、鉄鉱石関係の工場、鉱山等に、進んで就職さすべきではないかと思う。従来そういうことについて調査なり、交渉されておりますか。また今後どういうふうな目標を持っておられるか、これもこの際明らかにしてもらいたい。
○三治政府委員 先生の今の御指摘の鉱山関係の労務者あるいは技能者の求人関係については、現在炭鉱離職者のみならず、一般日本人の労働者がどのくらい行かれたかについては、承知しておりません。至急調べまして、実情を把握したいと思います。そのほか鉱山関係以外の技能者につきましては、技術者関係の方は通産省がやっておりますが、技能者関係につきましては現在外務省との協定で、職種別に三十六種、例をあげますと、モーター修理工とか、ターレット工という、向こうで求人がある職種につきまして、こちらの方で職業安定所が求職者を募集する。そうして登録をして、現地の会社などでこちらの方に求人があれば連絡をしてもらうというふうな協定をして、地方に一応流してございます。なお経験三年とか五年、あるいは特定な、高級な技能者、技術者につきましての求人連絡、またはこちらの方から向こうに行かれる場合の試験、訓練等につきましては、訓練局でやっておりますので、訓練局長から答弁していただきたいと思います。
○村上(茂)政府委員 最近海外協力の意味をもちまして、技術者あるいは熟練技能者が東南アジア、それから中南米等にもかなり出向いております。それらの技術者、技能者の派遣につきましては、窓口としては外務省の関係でございます。海外技術協力事業団が一括して扱っておりますが、労働省としましても中央職業訓練所に来年度より国際協力部を設けまして、派遣技能者の訓練を十分行ないたい、かように考えておりますが、先生御承知のように、海外移住につきましては、最近海外移住のための事業団が設置されるという問題もございまして、移住関係の技術者派遣について訓練の問題が考えられると思いますが、来年度から発足いたします中央職業訓練所の国際協力部におきまして、そういった関係の技能者の訓練につきまして、できるだけの努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○田原分科員 私たちの考えておるのと多少違うのじゃないかと思うのですが、西ドイツあたりに行っておるのは、ある期間の派遣者であります。中南米の問題は、移住定着ということを第一としており、第二点は工業学校以上を出た技術者ということでなくて、あなた方の使っておる技能者ということか知らぬけれども、現場の経験者と申しますか、抗内夫でも主任級、キャプテンになっておる者、これは中南米どこにおきましても非常に足りないのです。特に仕繰夫や電気工、鍛冶屋だとか、現場の経験を炭鉱で持っておりますから、これを生かすことを主として考えれば、家族ぐるみ行けると思うのです。中央訓練所がどういう規模になるか存じませんが、海外移住を志す実務担当者、技能者ですか、そういう学歴で行くのでなくて、経験で行く者を中心にしたものにしてほしいということです。それから向こうから来たら出すというのでなく、計画して出すようにしてもらいたい。話を聞いていますと、移住事業団が発足したらということでありますが、海外移住事業団は今もめているわけです。特に農林省、外務省、あるいは建設省も入っているかもしれない。従って、まだ法案は審議の過程に入っておりません。しかしながら炭鉱離職者問題は、それと関係なく発生していくわけであります。そこでたまたま関係が比較的薄い立場にあり、なおまた労働者を扱う立場ですから、あなた方の方は少し早目に訓練をやってみたらどうか。なお、中央訓練所という感じは、東京でやるような感じがしますが、そうでなくて、終山、閉山する地方で実際の訓練をして、中央は指導か連絡程度にしてもらうということ、それから炭鉱離職者の農業訓練所を数カ所見ております。泊まってもきましたが、家庭を離れて数カ月、トラクターの扱い方とかなんとかを教えておるようで、必ずしも数は多くない。これは進んで奨励する啓蒙、指導という面が足らないのじゃないか、これが一点です。 それから第二点は、農業訓練をしていく場合は、先ほど職安局長が言ったような携帯資金、それから器材、こういったものがまだ不足ですね。からだ一つで行って使えるのは、自分が今までやった経験を生かす坑内労働、平労働でなくて指導的な坑内労働、あるいはこれに関連した仕事というか、これはあまり資金は要らないのでございますが、そういったものの訓練の方角へ持っていったらどうかと思いますが、今あなたの方が描いておる中央訓練所の専門部における科目とか期間、資格といいますか、それから訓練所卒業後においてどういうふうにするか、卒業しっぱなしにするか、または予定を立てて直ちに就職させるか、そういった計画があれば、これも明らかにしてもらいたい。
○村上(茂)政府委員 先生の御指摘の、移住を目的とした技術者ないしは技能者の訓練という点からは、やや焦点がずれるかも存じませんが、当面中央職業訓練所、これは東京都下小平市にございますが、これは海外技術協力の目的のために、技術者というよりも、むしろ熟練工の技能者として、東南アジアとかあるいは中南米に派遣されても、現地人を指導できるという技能者であって、指導員となり得る能力を養うために訓練するものでございますので、やや御指摘の問題とはずれるかもしれませんが、すでに十分な技能なり経験を持っておられる方が、直ちに移住されるという場合におきましては、たとえばその国の言葉であるとか、あるいは風俗習慣であるとか、そういった問題についてのオリエンテーション的な指導訓練が必要かと思うのでございます。これにつきましては既存の移住協会などにおきましても、一部実施しておられるようでございますが、現在の計画としては、移住者に対する訓練はございませんけれども、そういったオリエンテーションなどのようなものにつきましては、それぞれ機関もあることでございますから、そういった点についても今後十分研究してみたい、かように考えておる次第でございます。
○田原分科員 先ほどちょっと触れましたアルゼンチンのリオトルビオ炭鉱は、炭鉱坑内夫としてほしいわけです。私は三日ほどおりまして、坑内に入ってみたわけです。設備等もそう悪くありません。ただ問題は、アルゼンチン人が炭鉱労働をあまり好まない。その付近の人口が希薄である。それから平地でもって南部チリに関係があって、チリ人が千五、六百人働いておるのですが、あまり労働能力が高くないので、アルゼンチン側としてはどうしても日本の労働者がほしい。これに対しては、私は私なりにいろいろな条件を出して、住宅、あるいは学校、病院、日本的飲食物、労働条件並びに郷里送金の為替関係等、要求を出したわけです。そのときは返事はありませんでした。ところが昨年神奈川県知事の内山さんが知事団で行って、これは現地は見ておりませんが、ブエノスアイレスの鉱山局から、田原さんの言うた通りに全部おまかせしますから、炭鉱技能者とともに労働者を送ってもらいたいということになったらしい。しかしながら内山さんが帰って、三菱鉱業、明治鉱業等にも話をしたらしいのですが、やはり踏み切りがつかずになっておる。現に昨年の暮れに元工業大臣であった人と元鉱山局の技師であった人が、東京へ来ておるわけです。外務省とはしばしば折衝しておるようでありまして、そういうふうなその炭鉱がいいかどうかということ、労働条件が合うかどうか、それから日本の終閉山の労働者諸君が好むかどうか問題でありますが、そういう場合に、外務省経由では外交交渉的なものになるのであって、実際上の技術的な問題、それから労働者の生活の問題となると、ちょっと間接になるわけです。従って、私が質問をし、また希望したいことは、相当の高年層の人は別といたしまして、中年層の離職者は、働く意欲もあるし、南米へ行ってもいいという考えを持っております。私は地方へ帰って、ある新聞で報告をしましたら、たちまち百数十通の手紙が来たのです。これは福岡県だけでなく、山口県、長崎県からも来た。それぞれ丁寧に中間報告をしておきましたが、それを取り次ぐ機関がないわけです。各県の海外協会は主として九割以上は、農業計画移民を目標にしております。それは確かに局長が言うように、炭鉱離職者でも七百人行っておると思うのですが、これは一人々々を農業移民、鉱山労働移民、その他の技能者として出すような工夫が——どうしても地方の海外協会では人手も足らぬし、事情もよくわからぬということで、あと回しになっておるわけです。特に今回予想される大量の終閉山に伴う人々の運命から見ますと、国内で転職することもけっこうでしょうが、国外へ出すもう少し積極的な意欲を持って、場合によったら雇用促進事業団なりあるいは労働省なりが、現場をよく見てくる。外交折衝は外務省でやらしていいのですが、テクニカルの問題あるいは収入の問題などについて、これならよろしいという、専門的た立場からもう少し詰めてもらえたらどうかという気持が、現地の人もしておるわけです。どうして日本の労働者は来かいのだろう、これほどいい条件にしておるのに。聞きっぱなしになっておるわけです。だから、新しい分野でもありますし、戦前のように日本の進出等を恐怖と疑いで見る時代は過ぎておりまして、大へん日本に対する信頼が強いのでありますから、労働省としての積極的な意欲を持ってもらいたいと思うのです。予算面にこれが出てなければ、行政面で指導するなり、雇用促進事業団をしてやらせるとか、何かそこに具体的なものがほしいと思う。これは一つ大橋労働大臣から聞かしてもらいたい。
○大橋国務大臣 今の南米の鉱山労働のお話、特に具体的かある炭鉱で非常に日本の炭鉱離職者を要望しておるというお話でありますが、この点につきまして、労働省自体といたしましても至急調査いたすようにいたしたいと思います。
○田原分科員 次は、総体的な問題ですが、炭鉱離職者が海外に行く場合、それが農業移民であれ、その他の移民であれ、旅費の問題あるいは支度金の問題——国内の移住とは非常に事情が異なりますから、たとえば国内でかりに十万円見当要るとするなら、国外へ行くにはその三倍くらい用意しなければならぬ、そういう予算の措置をしておりますか。またしておらなければ、何かの方法でそれらをして、海外へ行くにはこれだけの便宜がある。これが海外移住を刺激すると思うのですが、何か数字上でそういう優遇措置がしてありますか。
○三治政府委員 その移住措置の関係につきましては、事業団の方で現在、産炭地以外に出る場合の移住資金がございます。従来もその中で、海外移住者に対して特別に加算をしております。平均約九万円になっておりますが、これをさらに一そう増額するように、現在大蔵省と折衝しております。ある程度増額するとはいっておりますが、まだわれわれの要求ベースに合わないものですから、いま少しく折衝いたしまして、でき得る限り加算金を増額いたして、海外移住ができるようにしたいというふうに考えておりまして、予算措置はありますが、実行上のそういう単価の点で、今最終的結論は出ておりません。予算はございます。
○田原分科員 加算金の額がはっきりしなかったのです。大蔵省と折衝しておるその最終結論は、海外移住に関してはその問題だけですか。どのくらい要求しておって、どの程度きておるのですか。
○三治政府委員 現在九万円でございますが、これを先生のおっしゃる通り二倍か三倍にしたいということで、今折衝しておりまして、必ず増額いたして、相当魅力のある移住資金が出るようにしたいと思っております。
○田原分科員 御承知と思いますが、海外、北米、ハワイの一世、二世合わせて約四十万、それからメキシコからラテン・アメリカ各地で約六十万人おりまして、これら合計百万の日本人が素っ裸で行って、いろいろ苦労されましたが、成功しておる人も非常に多い。特に郷里に対する愛郷心というものは涙ぐましいほど強くて、従って自分の出身の学校にピアノを寄付する、あるいはじいちゃん、ばあちゃんのお寺参りのおさい銭を送る、あるいはお寺のつり鐘、あるいはお宮のとうろうなんというものを合計すれば、為替外の、通常貿易外の外貨の収入というものは、ほぼ二百億円に達しておる。これも大蔵省ではある程度知っております。それだからというのじゃありませんが、海外に行くということは非常な決心であるし、そうしてまた日本のためにもなることでありますから、単に今聞きますと九万円くらいということですが、そういう鼻くそ金でなくて、親子代々、先祖代々おった郷里を捨てて、新しい社会に行くのであります。しかも全然初めてのところではなく、もはや先輩が百年にわたって百万も行っておるところでありますから、思い切って、少なくとも国内移住資金、これも少ないのですけれども、国内移住資金もふやすとともに、その三倍は確保する。そういう奨励の立場で予算折衝をやるべきだと思うのです。その決意を持ってやらぬと、だめだと言われてさようならと帰るようなことではだめです。あなたにそれだけの決意があるかどうか。あなたになければ、大臣が行ってけつをまくるくらいの決意でやっていただきたいのです。これは私の希望ですが、大臣、いかがですか。
○大橋国務大臣 まことにごもっともでございます。そのつもりでやる考えでございます。
○田原分科員 これで大体職安局長、訓練局長等への質問は終わりますが、ここでせっかくですから、大臣に一つ耳に入れておきたい問題があるのです。それは各職安局ですかに失業保険をもらいに行くときに、もうみんなが百人が百人、実にいやな思いをするらしいのですね。僕は初めから仕事がないから失業しておらぬので知らないけれども、みんなまじめに会社と本人が積金するでしょう。そうして会社をやめますね。そうすると、自分の居住地かどっかの職業安定所からくれるわけです。ところが、明らかに言葉で言うくらいですから、これがはなはだしく侮辱した態度らしいですね。まるで屠所の羊かなんか知らぬが、肩身狭く、木のいすに静かにしておる。何時に来いといっても、その時間にくれるものじゃないらしい。その窓口に行くと、まるでこじきにやるようないばりくさった態度らしい。むかむかしておっても、けんかするわけにいかぬ。失業保険を納めたじゃないか、そうも言えぬのです。仕事がないから……。こういう態度は私はけしからぬ態度だと思う。みなそうです。日本じゅうの安定所がみなそうらしいのです。これは困ったものだ。あなた方が上から言ったってわからぬ。あなたたちの親類か何か失業して、失業保険金でももらいに行ってみるとわかる。これではそもそも失業保険をつくった趣旨が曲げられておるのではないかと思う。これは一つの事業が閉鎖もしくは定年退職した場合に、失業保険の自分たちの出した金をいただいて、それから今度他の仕事を探すわけですから、慰問というか、激励というか、慰めてやらなければいかぬ。それをまるで、あなたのためにやるのじゃありませんよ、あるいはそこに待っていなさいということで、何時間も待たして、自分たちはたばこを吸ったり、将棋をさしたりしておる。安定所の職員諸君は、われわれ社会党の同士ですから、けんかもできませんけれども、気持をもう少しやわらげてもらわぬと困る。どうでしょう。そういうことについて、定期的にいろいろ会合もあると思いますから、もう少しあたたかい気持で、どうせきまった金をやるのであって、それ以上やるというわけではないから、既定の金でありますから——それをもったいつけて、はなはだしきは、ちょっと時間におくれると来週回しということになるらしい。失業者の気持で支給するようにしてほしい。心がまえの問題です。何か方法はないのですか。
○大橋国務大臣 さようなことはまことに不心得千万でございまして、役人の風上にとうてい置けないと思います。氏名がわかり次第処分をいたしますから、どしどしお知らせ願いたいと思います。その際、あまり組合の方で騒がないように、この方のお手当もお願いいたしたいと思います。
○田原分科員 首切りは私は反対なんだ。首を切られると、それも失業保険をもらうようになる。そうでなくて、訓練所もあるのでしょうから、訓練所もつくって、教育してやるというふうにしてもらいたい。なかなかそう簡単に教えるわけにはいきませんから、そういう方法があるということを前提として、一つあたたかい指導をやっていただくように希望いたしまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
○今松主査 辻原弘市君。
○辻原分科員 主査から特に御注意がございまして、三時から理事会の予定もあるようでありますから、あまり長くやらないようにということでございましたから、ILO等の問題につきましては、いずれまた日をあらためて大臣に各般の問題をお伺いいたしたいと思います。 そこできょう私は具体的な二、三の問題について、時間の許す範囲でお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、その一つは、歴代の労働大臣に実は私は希望を申し上げ、また自分自身の体験と経験を開陳して参っておるのであります。その問題といいますのは、今も田原さんから失業保険受け取りの問題等のお話がございましたが、失業保険やあるいは労災保険の適用について、ほんとうにいわゆる失業保険をほしいと思っておる人、ほんとうに労災の保険がないと生活が立っていけない、こういった人たちに、はたして全部行き届いておるかどうかということにつきまして、法の建前もありますから、なかなかそう思っておるようには参らないということも聞きますけれども、現実の問題として、とりあえずこの程度のものは、少なくとも一般失業保険の適用の範囲、あるいは労災保険の適用の範囲に含めるべきであるという議論を、私はここ数年来いたして参っております。その一つは山林の労働者に対する問題であります。いま一つは漁業労働者に対するそれであります。同時にそれらに準拠する賃金の確定をせざる労働者、あるいは事業場の一定せざる労働者、こういう労働者に対するこれらのいわゆる社会保険関係の適用をどうするかという問題は、現実にはなかなかむずかしい問題があります。ありますが、常に認識を持たれて御努力をいただきたい、こういうことを申し上げて参ったのであります。一昨年でありましたか、労働省でそういう方面の調査をかなり精細にわたって行なわれたようでありますし、また昨年の予算から若干の適用をいたしておるようでありますが、まず、その調査の結果に基づく適用の現状について概括的に一つお話しを願いたいと思います。
○三治政府委員 お話のように、過去数年来、先生の切なる御説得によりまして、われわれの方もできる限りの措置をとってきたと思います。現在、農林漁業者で任意適用を特別にいたしましたのが約十万人でございます。これは先生御指摘のように、雇う人が不定な場合、それから今度は雇われる人が不定な場合、両方あるわけであります。農業関係につきましては割合に雇う方が一定で、林業関係になりますと雇う方が不定になる、こういうふうな関係になっております。それでわれわれの方で今度失業保険の改正につきましていろいろ検討した結果、雇う方が不特定の場合に、やはり一般保険を利用していくのは非常に不便である、こういうことで、今度日雇保険法に特例を設けまして、夏場あるいは九カ月、一年のうちで六カ月から九カ月働くことが普通可能だというふうな職種につきましては、六カ月の日雇保険をずっとある程度かけていただいたならば、残る四カ月につきましては、六十日まで一般保険と同じように失業保険がもらえるようにというふうな改正をしております。これによってそういうスタンプ・システムを長期に利用するということによって、山林労務者なんかも今度は、行政指導面また取り扱いの部面で相当研究しなくちゃいかぬと思いますが、制度としてはこれで相当加入者がふえる、また処置できるというふうに考えている次第であります。
○辻原分科員 かなりこの問題については、労働省事務当局も努力をされて、非常に前進をせられたようであります。私もこの問題を通じていろいろ労働省の皆さんにも現状をお話しし、またそれについての諸調査等もお願いをいたしたのでありますが、なお実際やっておる状況を見ますと、皆さんが考えられた、また私がこの程度であるならば喜んで入ってきてもらえるであろうと考えたのが、必ずしも現状ではそううまくいっておらぬという点もあるわけであります。従って、今お話によりますと、日雇健康保険法の特例を設けてそれによってかなり救済を試みようという措置、これも非常にけっこうであろうと思います。ただ問題は、いろいろな方法をとりましても、何さま、一つのまとまった事業体ではあるけれども、いろんな要素において一定をしておらぬという欠点があるものですから、一つ一つがやはりそれぞれ事情が異なり、取り扱いがむずかしいという点で、実際適用していく場合に非常な不便になっているわけであります。そこで、大体本年度当初から具体的にやっておるのでありますが、それをそれぞれの業種別に見ますとどの程度の加入増になってきておるか、その辺の数字を、概括でけっこうですが、概括的に漁業関係ではどう、あるいは山林の関係ではどう、農業関係ではどう、あるいは実施上特別にこういう問題が非常に支障となっておるといったような点がありましたならば、その実態から一つお話しを願いたいと思います。
○三治政府委員 全体の農林漁業の雇用労働者の中では、大体一割ちょっと程度、一割ないし二割程度ではないかというふうに考えております。 それから一番問題は、やはり季節的な労働で、結局北海道でございますと、農・林とも冬場は全部事業がストップする。夏場八カ月ないし九カ月働いて、あと冬場四カ月失業されて、全部失業保険を払うということになりますと、保険料に対して大体二十倍の支出が要る。それを現在五〇%に押えている。十倍以内に押えている。そういうように、あまりにも一般保険で、特定な部類で全部一定に、毎年三カ月ないし四カ月完全失業が全員被保険者であるということは、どうしても保険上非常にむずかしいという問題、これは失業保険の金が余っておればいいじゃないかという議論になりますれば何もないわけですけれども、これは全体の保険からいいますと、やはり一定の部分でもそれがわずかのうちはいいのですが、何十万という人が毎年全員必ず失業保険を受けるというふうになると、やはり制度上も問題があるというふうなことになるのではないか、これが第一点。 それから林業につきましては、やはり先ほど申しましたように、事業主が継続して使っていないために、その事務手続がほとんど一般の保険では不可能だというのがわれわれの結論です。従って今度は、労務者に日雇保険のように手帳を持たして、働いた日にスタンプを押すというようにするのがいいのではないか。 それから漁業関係につきましては、ことに沿岸漁業が問題であります。遠洋漁業の方は船員保険の方にだいぶ入っておりますが、沿岸漁業になりますと、ことに北の方では非常に各方面の漁期が不安定になります。従って非常に短いのになりますと、三カ月ぐらいしか漁期がないというふうになりまして、保険を適用していっても実際において失業保険の支給対象にならないような形で、たといそれをやるとしても、非常に漁期が短いために適用が物理的にできにくい、こういうふうな事情がたくさんある。従って、今申し上げました一、二割というのも、そういう方を抜くと、やはりもう少しいわゆる適用してもいい人たちがふえて、三割、四割というふうになっていいのではないかというふうに考えますが、いずれにしてもこの問題は、一般のやり方につきましても、先生御指摘のようにまだやっと本年度から始めたところでございますので、いま少し時日をかしていただいて、やはり試行錯誤といいますか、やってみて逐次改善していくよりほかに、実際問題として進行の道がないのではないか。理屈はいろいろありますけれども、各地によって、わかっているようでやはり実際やってみると、なかなかその適用関係で各地の事情が違うようでございますので、その点、一ついま少し寛容な目で見ておっていただきたいと思います。
○辻原分科員 大体各産業別にそれぞれ特色があって、それの困難性が、概括的に、私が従来からにらんでおったような点と今お話しの点は大体一致するようでありますけれども、おおむね林業については、今のお話によると、結論的なものを出されておるようであります。それは何といっても継続的な雇用関係にないという点、いわゆる事業主が絶えず変転をしておる。労働者の側から見れば、常に仕事は一定をしているし、大体作業時間、日数等もおおむね一定をしておるわけなんだけれども、問題は、事業主が常に変わっておる、こういう点が林業の場合の特色で、従って一般失業保険の適用においては非常に困難な点があるということは、以前から私たちも感じておった。その点を救済するに日雇保険法の特例ということでおやりになるという、これは非常に進歩だと思う。私は前々から、これはざっくばらんに言えば、結局林業についてはそうせざるを得ないんじゃないか、それが一番マッチしているんじゃないかということを考えておりましたので、これで少し現実に合わして運用をせられれば、相当のこれは前進じゃないか。ただ問題は、今もあなたが言われましたけれども、これがほんとうに現実にマッチするかということになると、いわゆる加入者というのは激動すると思うんです。しかし、これはいいことなんですから、幾ら激動しましても、それによっていわゆる保険経理が窮屈になったというようなことで、行政的に、意図的に押えるようなことがあっては大へんだと思う。この点は、従来の失対事業その他においても、間々出先機関においては見られる傾向なんですね。いわゆる失業対策事業をやっておるのに、それが目的であるのに、実はその窓口が失業をつくっておる。逆論的に言えば、結局手帳でもって規制するのみならず、いろいろな形において実際上の規制をやっている。これはまさに本末転倒じゃないかと私はいつも思っておったんですが、それと同じようにだんだん加入者がふえてくる、そうなれば何とか少し経理上考えなければいかぬ、締めなければいかぬ、こういうことになりますと、せっかくのいい措置が中途半端になって、日本におけるほんとうに格差なき、いわゆる社会保障の適用というものの芽がつまれると私は思うので、その点は一つ大臣にも——将来にわたって労働省の行政指導がうまくいけば、また今の方向が——私の考える範囲においては大体現状に近くなってきた、こう判断をしているんです、従って飛躍的にここ数年においてその関係の適用というものが伸びていく、そうなったときに、やはり保険経理の問題が出ると思うんですが、それに対して、一つ大臣も今からかなり認識を持っていただくと同時に、保険経理そのものに対して、相当考えと御決意を持っておいでにならなければいかぬと思うのでありまするが、その辺の御認識がおありになるかどうかお伺いをいたし、大臣から一つお答えを承ってみたいと思います。
○大橋国務大臣 この保険経理の問題は、何分数字のことでございますから、いいかげんにしておくというわけにはいかず、赤字が出れば必ずそれを処理する対策を考えなければならないと思います。しかしそれは、お話のように、せっかく伸びてきた制度をためるような方法であってはならないのであって、やはりこの制度本来の目的をより伸ばしていく、そういう方向でやはり解決策を考えていくべきものだと存じます。
○辻原分科員 時間もございませんから、大いにこの点は今後とも現状に立脚して御努力を願いたいということを希望しておきます。いずれまた、しばらく時間がたったあと、私はその現状をさらに調べて、ここでまた皆さんに建設的な議論をしてみたいと思います。 それから次に、労災の問題でありますが、これも私は数年来一つの考え方を持って議論をしております。その私の考え方というのは、簡単に申しますと、だんだん保守党においても社会保障を取り入れて、悪口を言えば、中身はなくとも姿だけは近代国家の中へ入ってきた。そういう社会保障の前進の姿から言えば、昔から今日まで同じようなことをやっておるというのは、少し進歩が足りないのではないか。これはどんな問題でもそういうことを言えるのですけれども、特に社会保障などというものは、やはり人間の生活が向上すれば、人間の欲望というものも異なってくるわけでありますから、それに十分マッチするような形にやはり前進をさせなければならない、それを感ずるのです。そういう一つの私のものの考え方の中からとらまえた問題は、労災保険なんです。公式的に議論いたしますと、必ず学者の方々でも、おそらくまた扱っておられる労働省の方々でも、あくまでも保険なんだ、だからその観念からは、いれないんだというようなお答えがあるし、また、議論をされるだろうと思います。私は、そういう法理論的な議論よりも、一体労災は何のために設けてあるのかという根本的な考え方に立脚すると、今の労災については少し検討を加えてみる必要があると思います。その観念としてですから、もう少し足を踏み出して検討を加えてみてはどうか。言いかえまするならば、単なる保険観念から、少なくても一つの補償制度という立場に前進をさせてはどうか、そういう必要性は大いにあるのではなかろうか。今、私は林業労働、漁業労働、その他の関係には具体的には触れませんでしたが、これは前にも議論しておりますからよく御存じだと思います。これもさっきの失業保険じゃありませんけれども、それと歩調を合わせて進んでおる。その進んでおる中で一歩行き詰まっておる問題は、保険だからという大きな壁なんです。その最も矛盾として現われる問題は何かというと、いわゆる手取り賃金、いわゆる給与、賃金というものに対して補償が行なわれる、だから人間の価値は、その補償の額というものは、その人間の得ている給与によってきまる。これは保険の観念ですね。それは一般の会社、私企業でやっている保険であれば、やはり経理ということがもちろんありますから、そういうことで収支しなければならないでしょう。しかし、少なくとも国家がやる補償制度というものは、そういう私企業的な面からやはり前進した姿が必要じゃないか、こういうように思うのです。実例をここであげなくても、皆さんよくおわかりだと思います。私はかつてそれについてもいろいろ例をあげたことがありましたが、労災の問題であなた方が困っておられる問題は、やはりそういう点にも一つあるのではないかと思います。極端な場合には、みずから小指を傷つけている。あまり私はいい言葉を使いませんけれども、最も高くなるところを傷つけて、労災保険をとるというような例もなきにしもあらずでしょう。そういうことがなぜ起きてくるかというと、それはあくまでも、私は一種の保険の観念だからだと思うんです。必ずしもそこへ結びつくか結びつかないかは、若干の議論の余地はあると思いますけれども、だから、一言にして言えば、働いたために病気になった、けがをした、そういう点については再び労働に参加できるための措置をとってやるのだ、こういう考え方に立てば、必ずしも賃金が基準にならなくてもいいのじゃないか、こういう考え方です。これについても若干工夫をせられておるようでありますが、まず、その辺の工夫を労働省もこらしておられるようでありますから、どういう工夫をこらされておるのか、具体的に承っておきたいと思います。
○大野説明員 御指摘のように、労災保険制度も十五年の間いろいろの経験を経まして、いろいろ検討しなければならない問題があるわけであります。そこで、私ども一昨年の秋以来、労災補償保険審議会の中に研究会を設けまして、現行の制度を根本的に再検討いたしておる次第でございます。ただいま先生の御指摘になりました保険の観念と言われておりますが、保険の観念には確かに大いに影響があります。基本的には基準法の観念、災害の補償は賃金とリンクするというのは、保険そのものよりも、むしろ基準法とのつながりから出てくる問題ではないかと思われます。そういったこともひっくるめまして検討いたしております。 それから御指摘のような指の自損行為が非常に多い、それにつきましては、障害等級というものが現在実情に合っておるか、こういうことも検討しなければいけないと思います。 それから賃金の問題につきましては、先ほどからお話にありましたように、漁業、林業等につきましては、非常に賃金の把握がしにくいために、御承知のような協定賃金制度というものが行なわれております。これはいい点も悪い点もありますが、現在ではそういうことが行なわれております。 それから平均賃金の算定方法は、職業病等につきましては、発病直前には下がって参る可能性がありますために、場合によっては、それを前に戻して算定をするという方法も講ぜられておるわけであります。平均賃金の算定方法につきましては、同じくこの研究会の中で、今洗いざらい検討が行なわれておる段階でございます。
○辻原分科員 総体的にお話が出たのでありますが、私が抽象的に申し上げました一つの問題点は、やはり賃金の決定にあると思うのです。私が、保険の観念を少し破って足を踏み出せというのは、その主たる解決がやはり賃金の設定にあると思います。というのは、たとえば同じような土建の仕事に従事する、同じような山間における林道の事業に従事する、同じ仕事をする、同じけがをする。ところが、片やの保障せられておる賃金は日額にしてかりに三千円とする、片やは六百円とする、補償額が出てくる、もっと極端な場合があると思うのです。その人間の働き、能力のいかんにかかわらず、これは私企業一般の原則であると言えばそれですけれども、主として肉体労働を中心としてやっている労働の中に、その経営状態のいかんによって補償額が大きく違うということは、これは保険の観念で言えば当然だと思いますし、私企業のあり方から言えばあたりまえじゃないか、通例そうじゃないかとおっしゃるかもしれないけれども、しかし、あくまでも労働災害に対する補償なんだ、その補償という観念は、賃金を含めての、その個人に対する補償よりはむしろ私は労働再生産ということに対する問題と同時に、その人間が背負わされておるところの家族に対する補償、広義においてはそれがひっくるまってくると思います。そういう場合に、若干の前進はあったと思います。あったと思うけれども、今なおやはりそういう点から、現実には非常に不合理なことが間々起きている。だからそれらを改める必要があると思うのです。一方において、またそれの弊害が伴うととも私はよく承知しております。しておるが、基本をそういう形に置いてせっかく検討を加えられようとしておる段階でありますから、問題の中心はどこにあるかということを、研究会等におかれても十分検討せられてやっていただきたいと思います。少なくとも同一業種、また同一労働内容を持っておる事業等については、全部が同じでなければいかぬという議論は少し極端だと思うので、ある一定の標準がなければいかぬと私は思う。すなわちその標準とは、労働基準法もそうでありますが、最低の一つの補償基準というものをやはり設定する必要があるのじゃなかろうか。そうでなければ、今日のような非常に生活水準も上がるし、また一般の消費物価も上がるといったようなおりに、賃金それ自体も問題であるが、さらにそれが補償にまで影響するということは、これは国の施策としては少し酷ではないか、私はこういうふうに思うわけなんです。たとえば、私がいろいろタッチしてやっている山林労働等の関係の賃金協定を見ても、現状から見て、はたしてこれが妥当な賃金協定と言えるか、そういう問題がたくさんあります。私の県における山林労働の賃金協定、これは県全体ではやっておりませんで、地域々々においてやっておりますが、地域々々においても異なっていますし、それから他県との比較においても異なっておる。ある賃金協定では現在の水準において四百円を出ない、そういうような賃金協定もある。ところが現実はどうかといいますと、最近の山林労働等の雇用関係からいいますれば、かなり賃金は上昇しております。少なくとも千円から千五、六百円ないしは二千円に近づいておる。ところが一方、賃金協定は四百円ないし五百円くらいのところで、すったもんだやっておる。それが基準になっておる。これはもちろん労災のみではありません。失業保険のあれにも関係してくるだろうと思うのでありますけれども、そういった矛盾というのは、何とか賃金を確定させようというこの動きはいいのですけれども、それに対する何も尺度がない。さらに問題を飛躍させれば、最低賃金等のいわゆる賃金協定にもそういう傾向が現われてくるからわれわれは反対したのでありますが、現実にそうなんです。だからそれを救済する道というものは、労働基準法の精神から、最低について何がしかを考える必要があるのじゃないか。その種のことは、労災の問題を論じながら、おのずから最賃の一つのものの考え方にもなっていくわけでありますけれども、そういった矛盾を制度全般の検討の中で解決をつけていく、これが一つだと思います。もう一つは、今私がたまたま例をあげた、各地における労災を中心にした——賃金協定そのものは、目的は労災ではありませんけれども、現実には労災にそれを適用されておるわけなんです。だからそれらの点についての現地の基準局ないしは監督署等の指導というものは、私の県等においてはかなり積極的にやっておられます、それは現実に問題がたくさんあるから認識も深まっておると思います。しかし全国的に、たとえば山林労働等の関係においても、私の県のみならず、各府県において相当あると思います。しかし、あまり他県においてそういう行政指導をやられておるようには聞いていない。奈良県とか近畿の数府県においてはかなり積極的にやっておるようでありますが、この辺のところは行政指導でかなり改善の道があると思うので、そういった点については、皆さんもお回りになっておるとは思いますけれども、一つそういう現地を踏まえられる機会を持たれたらどうか。そうして一つその地方局とともに現地指導をやってみるというくらいの心がまえが、軌道に乗るまでのある時期、ある期間においては必要だと思うのです。そういった点についていかがなものか、一つお考えがあれば部長からもお答え願いたいし、大臣等にも御認識を持っていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○大島政府委員 ただいま先生から御指摘のございました平均賃金の算定の問題につきまして、通常の場合、労災の平均賃金の算定は前三カ月の賃金の平均をとることにいたしておるのでありますが、ただ林業等におきまするような非常に特異な業種、ことに請負給の場合におきましては非常に困難な事態があります。たとえば自然的な条件によって非常に金額の高低がはなはだしい、あるいは現物給与が非常に多い、こういった実態を解する意味におきまして協定賃金の実施を行なって参ったのであります。もっとも協定賃金の実施を行なうにあたりましても、やはり労使の協定に基づき、さらにその上で基準局長の認定を求めていく、基準局長は過去一年の実績をよく見た上でこれを認定する、こういった措置をとって参ったのであります。かねがね林業労働に非常に専門的な御研究を積んでおられる辻原先生からも、再三にわたって実情との乖離について御意見の御開陳をいただいておるわけでありますがそういった点、実情から見まして非常にごもっともな点もございますので、この協定賃金の計算の仕方について、私どもの方でもなるべく早く検討いたしたい。実情に合うと同時に、今私から申し上げましたような季節的な変動の問題、各種の問題からして労働者にあまり不利にならないように、かつ実情に即するような方法を何らかの形でなるべく早く成案を得たい、かように考えております。
○辻原分科員 時間がございませんので、またいずれ具体的には私からデータをお出しいたしまして、一つ御検討を願ってお進め願いたいと思います。 最後に二つばかり問題を提起しておきたいと思います。 それは最近、安定所を通ずる公の職業紹介といいますか、この事業は一地域に限定してはならないという事情が起きていると思うのです。私は安定所の職業紹介機能というものが、今の中小企業の状況から見て、現実に非常に高いウエートを占めてきていると思うのです。今までのやり方を見ておりますと、安定所は各地域々々々に限定して職業紹介をやっているわけでありますが、今後はそういうことはしておれない。それでは各地々々における雇用の需給バランスというものをとっていくことができませんし、また主として中小企業から要請のあるいわゆる職業紹介ということは円滑に進まない、どうしてもこれはそれぞれ地域を飛び越え、あるいは府県を越しての職業紹介事業というもの、そういう各横の安定機能との結びつき、有機的な活動という面をもう少し研究せられる価値十分にあり、こう判断をいたしております。具体的にどういう問題があったかは、申し上げるまでもなくよくおわかりだと思います。それらについては、わが党から安定行政各般に対する改革の法案等も出しております今国会でありますので、特にそういう面においても、十分意を用いられておやりになってはいかがかと私は思うのです。 もう一つ、これは先ほど田原さんからも窓口行政の話がありましたが、私は安定行政くらい直接民衆に接するところはないと思うのです。ところがまた、安定所くらい実際ぼろけた庁舎もないと思います。これは仕事をやっている人も窓口にいく人も、どれだけ不便を感じているかわからない。さっきお話がありましたが、えんえん列をつないで保険金を受け取る、あるいは失業対策に従事する一般自由労務者の方々が、毎朝これまた列をつくって、手帳を持ってその順番を待っておるという風景は、しばしば今日、どこの町に行っても見られる風景であります。それは一体何に基因するか。一つは庁舎ですよ。私は大蔵大臣がおられればそういう意見を言いたかったのですが、地方の官庁は、これもよくなればけっこうですけれども、どんどんデラックスなビルが建つ。悪かったからよくするのだといえばそれまでだが、地方の官庁をよくするならば、第一線にあるそういうほんとうのサービス行政をやっておるところを民衆の便利なように、仕事の能率が上がるようにやられてはどうかと思うのです。いろいろ順番をつけられてやっておられるようでありますけれども、なかなか百年河清を待つというような状況で、新しくなりません。極端な場合には、これがほんとうに庁舎といういうより、人が中で働いてサービスをする機関だろうか、どうも昔われわれが経験をした軍隊の中におけるボロ兵舎の一角で仕事をしている、そういう感じを持つ安定所の庁舎も数多くあると思います。どうぞ一つこれは大臣、あなたの在任期間中に、せめて末端の第一線のそういうサービス機関をよくする、そういうことに思い切った力をふるわれて、目立った庁舎改善を進められるように期待をいたしておりまするが、大臣、その点についてはいかがでございますか。ちなみに、本年度の計画を簡単に承っておきたいと思います。
○大橋国務大臣 庁舎は、これは安定所の性質上、仕事をいたしまする一番大事な建物でございますから、今後とも改善に努力いたしたいと思います。
○三治政府委員 本年は約三億の庁舎改善費を計上しております。先生方の御指摘をいただいてわれわれの方で五カ年計画でやったわけですが、まだこれでもちょうど五十カ所ほど、現在私の方は至急直さなければならぬというふうに思っております。今後まず、どうしても直さなければならないいわゆるボロ庁舎をできるだけ早く直しまして、その上さらに改善をやりたいと思いますが、いずれにいたしましても、この庁舎関係につきましては、私たち、毎年各地から数倍に上る要求を持ってこられて非常に苦慮いたしておりますが、しかし今後とも御支援をいただきまして、至急改善の道を講じたいと思います。
○辻原分科員 職業訓練その他の問題でいろいろまだお尋ねをいたしたかったのでありますが、時間が参りましたので、いずれまた別の機会にいたしたいと思います。
○今松主査 これにて昭和三十八年度一般会計予算及び昭和三十八年度特別会計予算中、労働省所管に対する質疑は終了いたしました。 この際、暫時休憩いたします。 午後三時九分休憩 ————◇————— 午後四時二十四分開議
○今松主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 分科会の審査は本日をもって終了する予定でありましたが、本日理事会の協議もありましたので、明二十六日も分科会の審査を行なうことになりました。 本分科会といたしましては、明日午前十時より開会し、外務省所管に対する質疑を行なうことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十五分散会