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43回国会衆議院1963/02/20

予算委員会第三分科会 第4号

発言数
237
登壇者
23
会派数
2
開催日
1963/02/20

会議録

中村三之丞自由民主党

○中村主査 これより会議を開きます。  昭和三十八年度一般会計予算及び同特別会計予算中、通商産業省所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑は通告順によってこれを許します。  楯兼次郎君。

楯兼次郎日本社会党

○楯分科員 私は、今問題になっております共産圏貿易の問題について簡単に御質問をいたしたいと思います。  まず最初に、私はしろうとでありますからよくわからないのでありますが、予算総会でも問題になりました例の油送管あるいは船舶はココム禁輸品目に入っていないと承知をいたしておりますが、どうですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 仰せの通り、入っていないと解しております。

楯兼次郎日本社会党

○楯分科員 どうも、池田内閣の共産圏貿易は、昨年の予算委員会でも私お伺いしたわけでありますが、態度が統一をしておらぬといいますか、はっきりした確立がないように思います。総理は、政経分離でどんどんやる、あるいは西欧並みの条件で積極的に前向きでやる、こういうことを言われるかと思いますと、支払い条件その他でこれを牽制をする、また、最近の新聞等の伝えるところによりますと、 いやそうじゃない、やはり昔と同じように前向きでやるのだ、こういうような情報をわれわれ読んでおるわけです。だから、通産大臣が予算総会で御答弁になる意向とはまたまた最近変わってきたのじゃないか、こういうので、池田内閣の政府の態度というものが把握しにくい。これはどうですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 御承知のように、貿易といいましても、特に中共あるいはソビエトというので、中共の場合われわれは直接関係していませんが、ソビエトの場合は政府相手ということになる。中共の場合も、こちらは民間貿易の建前ですが、向こうは政府ということになる。ところが、貿易というのは、御承知のように、商売でございますから、相手によって変わってくることはいたし方ないと思います。たとえば、相手は非常に外貨もたくさんあるし、あるいは保証をする銀行も、われわれだれが見てもあそこが保証するなら大丈夫だというような銀行で保証するとか、いろいろ私はその場合条件があると思う。そういう条件がありますし、今度はまた、商売のことですから、売り手は日本だけではありません。また、買い手も日本だけではない。お互い同士がそういう売買をする場合において、競争者も出てくれば、こっちは最初はそう考えていたけれども、これはやはり売った方がいいと思えば、条件をいささか緩和するということもいたし方がないことだろうと思います。そういうように、商売のことは、条件について云々されますと、そのときそのときの問題で考えるのが一番妥当なのであって、しかし、それならば物を売るつもりがあるかどうかということになれば、いつでも売るつもりはあります、前向きであります、こう言ってお答えをするのが当然だと思います。しかし、相手によっては、幾ら売るつもりがあっても、品物を売っても取れないというような感触があったり、あるいはみんなが心配するような場合は、やはり条件も相当きつくしなければいかぬじゃないか、こういうことになるのも、これは商売だからいたし方がないと思うのでありまして、外交とかあるいはその他政治の問題とは、貿易の問題はちょっと違うと私は思う。だから、気持の上で前向きで商売しますということを言うことを否定したことは一ぺんもないと思うのであります。ではあるけれども、相手により個々の問題によってはどうしても違いができますということになるわけでありますから、そうすると、政治の考え方から言えば、前向きでやると言ったらどんどん何でもやったらいいじゃないか——あなたがそういうお考えだとは言いませんが、一般的に見るとそういう印象が出てくることも、これはわかるのでありますが、前向きだからといって、条件がどうであろうと何であろうとどんどんやってしまうというわけにはいかないのじゃないか。そういう意味で、ある種の誤解といいますか、お互いの認識が食い違っている面がありはしないかということを私はおそれておるわけであります。

楯兼次郎日本社会党

○楯分科員 通産大臣の言っておられることは、そのことについてはよくわかるわけです。ところが、きのうの本会議でも問題になりましたが、造船関係の中古船を非常になるい条件で特に東南アジア諸国、後進国へ売ったらいいのじゃないかということを、あなた退席されて見えなかったかどうか知りませんが、自民党の方でも要求をし、そして政府の方でも答弁をしておる。そういう場合もあり得るし、それから、相手の支払い能力、外貨保有その他条件によって変わるということは、私も否定はいたしません。これは当然だろうと思う。ところが、すでに言い古されたことでありますが、たとえば、ソ連向けの油送管の輸出はしないようにというNATOや米国の要請に対して、新聞紙等の伝えるところによりますと、既契約分の五千トンは仕方がないけれども、とれ以外のパイプは売らないというようなことをアメリカ大使館に参上して口頭で返答しておる、こういうようなことも新聞は書いておるわけです。こういう記事を見ると、今あなたがもっともらしい顔をして言われた経済の上に立った前向きだというふうには、どうしても受け取れぬわけです。それから、NATOの要請があったから油送管は云々とおっしゃいますが、これまた、新聞あるいは情報によりますと、英国はココムに入ってないからおれの方はそんなことは引き受けるわけにはいかぬ、それから、西独やイタリアのメーカーは政府の禁輸措置に対して猛反対をしておる、こういう情報を私ども読むわけです。だから、日本の政府はもっともらしい顔をして演説はなさいますが、やはり、社会党の言うように、あくまでも対米一辺倒といいますか、そういう政治的な上に立って経済外交、貿易を行なっておる、こういうふうにしかとれないわけです。これはどういうわけでしょう。油送管は日本の場合ある程度牽制をした。ところが、同じNATO諸国の、まあアメリカが大将なら、英国は代貸し、副大将のような国ですが、そういう国が、そんなものは引き受けるわけにはいかぬ、こういう記事を見たら、私ならずとも国民は非常に不可解に思います。福田通産大臣が非常に謹厳な顔をしてもっともらしい演説をなさっても、何を言っておるか、こういうふうに受け取るのが私は常識だと思うのです。こういう一連の油送管をめぐる動きはどうです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 まず船の問題でありますが、そんなになるい条件でやろうということには政府は考えておらないと思っております。それは、党の方ではどうおっしゃったか知りませんが、そういう考え方は今のところない。むしろ新造船よりはもっときついやり方でした方がよいという意見のようであります。これは私の所管外のことでありますから、ここで申し上げるわけにはいきませんが、事実はそうであると考えております。  それから、今御指摘になりました問題でありますが、NATOでそういうような決議をしたということを、外務省を通じてうちの方へも連絡がありました。われわれの方でも、そういうことはあったということは言っておりますけれども、取引をしてはいかぬとか、それはやってはいかぬとかいうような禁止的なことを言った覚えはないと思います。私は実はそれを取り扱っておりませんが、ここに局長がおりますから、あとでその間の事情を明らかにしたいと思いますけれども、私たちは、御承知のように、何もそういうようなNATOの加盟国ではありません。しかもココムの品目でもない。それを、NATOが決議したからもういかぬ、もうできない、こういうふうに考えておるわけではございません。しかし、会社のことを私が申し上げるのもいかがかと思いますが、これはそれぞれの会社々々の立場もいろいろあろうと思いますけれども、残念なことに、ソビエトとアメリカか、冷たい戦争とかなんとかいって、あまり仲がよくない。仲がよくないということになりますと、たとえば、AならAの会社として、自分のところの商売をするとき、どっちと商売した方がいいかということは、それは考えるでしょう。そんな場合に、一番取引高の多いところの方の言うことを聞かないで片一方に売ると、片一方の方でお前のところのものは買わないぞと言われても、これは商売のことだから、政府として何も言うわけにはいきませんが、おそらくそんな感触もあるのじゃないか。個々の会社が、こっちにあまり仲よくすると、こっちの方は、お前のところから買わないでよそから買うぞ、こう言われたときに、政治でもってセーブするわけにはいかないし・われわれはそんなことも考えておりませんが、しかし、会社の経営者自身が自分の判断でどっちの方が得かということでやらざるを得ないだろう。そういうことになりますと、やっぱり今のところはやめておいた方が得だという感触も出てきておるのじゃないかと思う。これは聞いてみたわけじゃありません。それで、商談はそのままその後も進んでおらないのじゃないかと思うのでありまして、われわれは、NATOがきめたからといって、何もNATOの決定に従う必要もなければ、また、アメリカから何かそういうことをしてくれという要請があったわけでもない。また、たといそういう要請があったとしても、それを何でも聞くのなら、それなら、アメリカはそういうものをどどんどん買ってくれる、おれのところで買ってやるからやめろというなら、まだ話はわかるけれども、アメリカが買ってくれるかどうかもわからないのに、われわれが一々全部アメリカのおっしゃる通りにアメリカの言うことを聞かなければならぬとは、私は考えられない。これは皆さんがお考えになっても、すこぶる常識的に私は取り扱っているつもりなんで、決してもっともらしいことを言ったつもりでも何でもございませんから、一つその点は御了承願いたい。

楯兼次郎日本社会党

○楯分科員 大臣の言われる、業者自体の思惑によってそういう取引を変えるということ、これは私もかれこれ言わぬのですよ。ところが政府がそういう一連の政治的な動きをしておるからけしからぬじゃないか、こういうことを言うわけです。だから、油送管でも五千トンはやむを得ないが、新聞等を見ますと、あと八万トンか幾らかのあれが来るだろう、これについては送らないようにするとか、まあ証拠物件があるわけではないですが、そういうようなことを米大使館へ口頭で通告をした、申し入れをしたということは、これは堂々と新聞に出ていますよ。そういう動きがけしからぬ、こういうことをわれわれは言うわけです。通産大臣が、腹の中はどうだか知りませんが、速記をとっているここで私と同じようなことを答弁されているのですから、これ以上どうこうと言うわけにいかぬでしょう。  時間が三十分だそうでありますから、次の問題に入りますが、あなたは予算総会でも言われましたが、共産向けのプラント輸出——私の聞こうとしておるのは主として船舶なんです。船舶の延べ払い条件を今後は五年以下にする、それから、あと払い方式は今後一切認めない、これはあなたは堂々と先日の委員会で言われておったわけですね。これはどうですか。先ほどから申し上げておるような意図はないのですか。これは予算委員会の速記録に載っていますよ。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 私は予算委員会でどう言ったかということを確かには記憶しておりません。しかし、私の方針はいつも変わっておらないから、その予算総会の御答弁と矛盾することはないと思っております。私の考えておることは、船舶の輸出につきましても、大体これは三〇%の頭金で五年の延べ払いということであったのが、今度河合ミッションが行ったときに六年にしたと思うのであります。そういうふうにきまったのだと思うのであります。これは、ソビエトの場合、特にあの場合においては、これも一つの商談でありますから、まあまあやむを得ないだろう、これは認めてやろうということになったわけです。そこで、今度、その後出てきておるのは、チェコか何かを相手にした問題があると思います。これは今折衝中でありますが、何か七年ぐらいにしてくれとか言うておるという話ですが、われわれとしては、どうもそういうような長期の延べ払いは困る。ところが、せめて六年はどうだとかいうて話し合いを今続けておるということを聞いておるのであります。私は、こういう段階でこういうところで申し上げますのはどうかと思うのです。商談ですから、商談というものはお互いがかけ引きをするわけです。自分に有利なように条件をつくろうというのは当然なんです。それですから、政府が幾らでも延べ払いを認めてやる、何年でもやりなさい、そういう商売のことについては、こういう席上ではほんとうは言わない方がいい。できるならば問うていただきたくない。われわれも言わないのが商売の秘訣だと思っております。もちろん、あなたと私がさしでお話をして、これは何とかお前考えてやれ、この事情はこうじゃないかということになれば、これは私はお話をするのもいいと思うのですが、商売のことについて、こっちの手のうちを見せて商売をするという手はなかろうと思う。そういう意味から言いますと、われわれとしては、表から言われれば、それはきびしくやりますよと言うのがあたりまえで、これは商売人を援助しておるわけです。実際から言えば、商談を有利にするための一つの手段として考えてみていただいても、ちっとも差しつかえない。それを、それはけっこうだから、七年だろうが八年だろうがみんなやれ、こう言ってごらんなさい。一ぺんにどんどん悪い方にばかり行ってしまうわけです。だから、そこのところは楯さんもわかっておられて言っておられるのだろうと思うのだけれども、われわれ政治に実際当たっている者の気持というものも一つ考えていただきたい、こう思うわけであります。

楯兼次郎日本社会党

○楯分科員 今この分科会ではえらく胸襟を開いたような答弁をされるのですけれども、私はそんな証拠物件を持ってきてあなたにどうこう言って詰め寄るような必要もないから持ってきませんが、この間の総括質問のときに、たしか加藤君の質問に対してだったと思うのですが、あなたは、共産圏貿易は五年以下で、これは他の諸国の貿易と同じようにやる必要があるというので、大みえを切っておられるのですよ。質問者の方はそれほど的確にあなたに答弁を求めておらなかったと私は思う。ところが、あなたはえらく意気込んで、共産圏貿易毛よその国も同じ条件でやるのだ、——まあ何が悪いとはおっしゃらなかったのですが、そういうふうに大みえを切って答弁をされておる。だから、あなたは、商売であるから政府としてかれこれ言いたくはないけれどもと言いつつ、共産圏貿易については五年以下だと、ぴしゃりと大みえを切っておられる。これはあとで速記録をお読み願えればわかる。  そこで、あなたの御答弁を聞いて私が不審に思うのは、船舶の取引というものが共産圏も他の地域も同じだ、こうおっしゃるあなたの答弁から、共産圏以外の国との取引についてはどういう条件でやっておるのかということを知りたいわけですが、どうですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 共産圏もどこも同じだというのは、商売をする気持として、あいつはいやな顔をしているからあいつとは取引をしない、こっちの方はいい顔をしているからこっちと取引をする、そういう意味はございません。もうかる方をやる、そうすべきだという考え方でやっておるわけであります。よその取引のことについて詳しいデータを持っておりませんので、これは必要ならば政府委員から聞いていただけばよろしいのですが、私は、そういう場合でも、共産圏貿易だから五年以下だとか言った覚えはない。今までは五年だった、しかし、今申し上げておるように、六年になった場合もある、しかし、できるならば五年ぐらいでやってもらえばいいというぐらいのことは言ったかもしれません。それはその方が得なんですから。ということは、延べ払い、延べ払いといってたくさん延べ払いをすれば、結局、日本の会社が延べ払いで品物を売りますと、その会社の経理の関係から言って、労働者に賃金も払うとか、あるいはまた資材を輸入するとかいうことで、どうしても輸出入銀行から金を持ってきてみんな支払いをする。そうすると、延べ払いの条件を悪くすればするほど、輸出入銀行の手持ちの金が減るということです。現金払いにすれば商売は一番いいのです。延べ払いということは貸し売りですから、貸し売りをむやみにしたら、日本みたいな貧乏な国は参ってしまう。だから、できるだけ貸し売りはしたくないというのは、これは、私は、日本の立場として当然であり、また、どこの国でも当然だと思う。ところが、アメリカなんかは最近はむやみに長い期限で貸し売りなどやるので、われわれ迷惑千万だと思ってときどき抗議をしておるというのが実情なんでございまして、まああそこは金を持っているからいいでしょうけれども、日本みたいな貧乏な国がえらそうな顔をしてそうそう貸し売りばかりしていたのでは、私は身が持たないと思います。それだから、貸し売りをする場合でも、できるだけ条件のいいような貸し売りをしたいというのが、これは政府としても民間としても当然の考え方ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。

楯兼次郎日本社会党

○楯分科員 それでは、一つ、よその国の条件はどうか、聞かせてもらいたいのです。

松村敬一通商産業事務官(通商局長)

○松村(敬)政府委員 船舶につきましては、原則として大体頭金三〇%、五年延べ払いということで各国に対してやっておるわけでございまして、さっき大臣が申されましたように、ソ連に河合さんのミッションが行かれましたときの六年払いというのは、話をつけるために特別条件を緩和して認めたというような、きわめて例外的な措置でございます。ほかの国に関しましても、原則といたしまして三〇%、五年ということで従来認めております。

楯兼次郎日本社会党

○楯分科員 イギリス、ドイツ、ノルウェー等の外国あたりの取引の状態はわからぬですか。

松村敬一通商産業事務官(通商局長)

○松村(敬)政府委員 日本といたしまして延べ払いの条件をきめますときに、今お話のような西欧諸国の延べ払い条件が日本よりゆるやかなもので出ておりますれば、それとの競争上、こちらもなるべく同じような条件を出した方が契約がうまく参りますので、そういうつもりで、従来から外務省等を通じまして各国の延べ払い条件をいろいろ調べておりますけれども、従来から入手いたしました資料では、やはり大体五年払いというふうなことになっておりまして、政府機関が関与いたしますところの、たとえば金融を受けますとかあるいは保険をつけますとか、そういう範囲におきましては、五年以上というのはきわめて例外的で、はっきりした資料といたしましてはわれわれの方でもあまり入手いたしておりません。

楯兼次郎日本社会党

○楯分科員 主査の方から時間がないということでありますから、もう少しお聞きしたいのでありますが、要望やら御質問になると思いますけれども、簡単に二点だけ申し上げたいと思います。  日本の造船の船台というのですか、数年前から陸上にどんどんかわっていっております。今の受注状態で、船台が遊んでおっても、今通産大臣が言われるような条件でなければつくらないのか、こういう疑惑が出てくるわけです。今どうだか知りませんが、数年前われわれが運輸委員会において説明を聞いたり議論をしているときには、船台ががらあきで困ってしまう、こういう陳情がしょっちゅうあったじゃないですか。だから、遊んでおりながら条件を堅持しなければいけないのかどうかということを、もう一つは、何か話に聞きますと、日本の自衛艦をつくっておるところは一切共産圏向け船舶は引き受けない、つくらない、こういうことを聞いておるわけです。この二点について一つ答弁を願いたいと思います。これでもうやめます。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 楯さんが御心配になっておるところは、私らもほんとうに心配しております。実を言うと、今の日本の経済を拡大して持っていくという場合においては、生産設備をフルに動かすようにしなければいけません。そういう意味から言えば・ひとり造船に限らず、ほかの産業についても、できるだけ稼働をよくするということは、これは当然なことでございまして、あなたの仰せの通り、船台を遊ばすなんということは、決して得なことではない。そこで、船をできるだけよそへも売って、そしてそういうものを動かすようにするということは、われわれは賛成であります。賛成でありますが、一方において、先ほど私が申し上げたような、日本の経済のふところ勘定があまりよくないというところともにらみ合わせながら条件をきめていかなければならぬというところに、実は私たちのつらい、日本経済が持っておる一つのつらさがあるのだ、こう考えておるわけでございます。しかし、あなたの御趣旨のように、できるだけ船台も稼働するようにしたらいいというお考えには、私も全面的に賛意を表したいと思っておる次第であります。  それから、あとの御質問でありますが、今自衛艦の問題については、どうもわれわれのところでもよくわかっておらないようでありますから、適当な機会にまた調べまして御答弁をさせていただきたい、かように考えます。

中村三之丞自由民主党

○中村主査 板川正吾君。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 前の発言者の楯委員の問題で、ちょっとふに落ちない点があるので、一点まずそれから伺いたいのですが、米国からNATOの決議として対ソ油送管の輸出は禁止することになったということを伝えて政府に申し入れがあった。大臣の説明ですと、申し入ればあったが、日本は別にNATO加盟国ではない、ココムの禁輸品目ではない、ですから、政府は聞きおいたというだけだ、しかし、民間の会社でアメリカと取引をしておるところもあるだろう、——油送管を輸出するような大きなメーカー、鉄鋼メーカーはほとんどアメリカと取引をしておると思います。そこで、損得を考えた結果、それではどっちが得かといえば、ソ連の方をやめてアメリカの方をやった方がいいということで、自主的な判断でそれをやめられたんだと思う、こういうような大臣のただいまの答弁なんですが、NATOから政府に申し入れがあった、業界が勝手にきめたんだということで、どうも政府はこの問題ではわれ関せずだというような考え方をとっておるのですが、政府自身はそういう措置をどうお考えになっておりますか。アメリカから申し入れがあって、ある意味では、申し入れがあったらどんどん業界がそれを聞いていくというようなことは、どうもあまりいい慣習じゃないと思う。内政干渉とは言わなくても、人のうちの経済に、勝手にやめろというようなことは、国際上の慣習から言っても好ましいことじゃないと思うのです。日本政府としては、そういう措置はどういうふうにお考えになっておりますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 ちょっとそこの点に誤解があるのでありますが、アメリカの方から大使館を通じて外務省にそういう話がありまして、それをうちの方の事務へ連絡をして参りました。こういうことがあったということは伝えておいてもらいたいということだから、われわれも伝えた方がいいと思って伝えてはあるわけです。われわれも全然介入していないというわけではありません。中に全然入っていないのではありません。それは、伝えることはおかしいじゃないかということになれば、私は、商売というものは、できるだけお互いに方々の事情を知っておるということは大事なことで、通産省というのはある意味ではサービス機関だ。だから、そういう実情というものをよく知らしてやるということは当然のことだと思うのでありまして、こういうような話があるということで言うてきておることを伝えるのは、私は当然だと思います。その後の判断、その後どういうふうにしなさい、だからお前らはやめろとかやめちゃいかぬということになると問題があると思いますが、われわれは、そこのところは、こういうことを言うてきておる、しかし、何もNATO加盟国でもないし、諸君に、こういうことを言うておるからやめろと言うわけではありませんよと、念を押してこれを言っておるわけです。そこいら辺を民間の会社がどういうふうにとってどうしたかということになると、これは一々聞いてみないとわからないから、私が先ほど申し上げた答弁は、そんな気持でやっておるのじゃないだろうかと申し上げたわけであります。  それから、そういうことをアメリカが言ってくるのはけしからぬじゃないか、NATOがきめようが何だろうが、そういうことはほうっておいたらいいじゃないかと言えば、これはアメリカでもソビエトでも同じでありますが、もしお互いが友好的につき合いをしようというならば、いろいろな事情があったときはどんどん知らせ合うというのがいいのじゃないかと私は思うのでございまして、実情を知らしてくるということをまた責めるわけにもいかないと思うのであります。まあそれには何らかの意図があるかもしれません。しかし、意図に乗って私たちが動いて、だからそれは禁止だ、そんなものは認めない、こういうことをすれば、これはアメリカの意図に乗ったかもしれぬし、また、われわれもやり過ぎをしたということになるかもしれません。しかし、そこまではいたしておらない。だから、今でも、ソビエトが非常に何か有利な条件で、現金ででも売ってくれぬかと言うような場合があると思います。売ったからといって、そんなことはわれわれは文句を言えません。しかし、これがまた、延べ払いだとかあるいは物々交換みたいなことで契約をややこしくして、支払い条件がはっきりしないということになれば、輸出入銀行の金を貸してくれ、保険にも入れてくれということになる。そうなると、一応話を聞かせてもらわなければ、何でもかんでも全部認めてやるわけにはいかないだろう。そういう意味で、それは商売の意味で介入することはあると思いますが、主義の上でこれを禁止するという考え方は、私たちは今持っておらないわけであります。これはもうずっと一貫してそういう考え方で処理をしておるわけでございます。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 だから、NATOの決議を米政府から申し入れがあって、外務省から通産省に通知があった、通産省は業界にそれを情報という意味で知らせた、そこで、この損得を考えた結果やめられたのだろう、こういうことですね。それで、通産省としては、既契約の五千トンはいいが、そのほか契約中の二万トンはやめろとかなんとかということのようでありますが、その後はもう取引はしないという業界の決定について、通産省としては満足すべき決定とお考えなんですか。そういう通産省自身の考え方を業界がそう判断されたことは新聞等でも承知しておりますが、通産省自身としては、業界がそう決定されたことは、わが意を得たり、あるいは満足すべき結論であった、こういうようなお考えであったかどうか、通産省自身の考え方を伺いたい。

松村敬一通商産業事務官(通商局長)

○松村(敬)政府委員 数字的なことについてちょっと御説明を申し上げます。  先ほど楯先生の御質問で、すでに話がきまっておった五千トン、それ以上は業界がやめることになったのじゃないかというようなお話でございましたが、これは商談のことでございますので、私たち正確なことははっきり聞いてもおりませんし、また、聞きましたことをすぐ申し上げるあれでもないと存じますが、私どものとっております態度といたしましては、すでに相当話が進んでおりましたものは進めてもらっていいのじゃないかという感じでございまして、今の五千万トン以外に数万トンのものが当時話がかなり進行しておったのではないかと思います。私たちの聞いておりますのでは、業界の方でそういうものについていろいろ業界の判断で考えてきめられるということと、これから新しくするというようなものについては、ほかの国がどうするかというようなことも見きわめてやった方が業界としてはかえって得なんではないかということで、新しい話についてはより消極的に業界が考えておられる、そういうふうに聞いておるわけでございまして、その五千トンというお話がございましたが、それ以上を業界がやめるんだというふうな話は聞いてもおりませんし、また、われわれの方としては、むしろもう少し積極的でいいのじゃないかというぐらいの考え方です。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 通産省が外務省からの連絡を受けて業界に情報として流すときに、NATOの決議が、たとえば油送管が戦略物資である、ソ連の戦略体制を強化するのに役立つ、こういう理由で決定されたのですが、その理由が妥当だと思っておりますか。いや、それはNATOできめたんだから、妥当であろうがなかろうがやむを得ない、こうお考えなんですか。私は、今のミサイル戦争というような時代に、油送管が戦略物資であるとは思えない。油送管が戦略物資であるなら、それはココムの禁輸品目の中からはずすはずはなかったのです。ココムの禁輸品目の中へ入れておけば、これははっきりしておったのじゃないですか。それがなぜNATOでそういう決議をされたかということは、新聞等にも一部報道があります。これは当たらずとも遠からずで、国際石油資本が、ソ連石油の進出に対抗するために、それを何とか押えよう、そのためにはとにかくパイプ・ラインの建設を妨害してやろうということで、NATOの決議を取りつけさせて、そして日本その他の各国にそれを通告したということが実情じゃないですか。それは、NATOに加盟しておる諸国ならばNATOの決議を尊重するということもあると思う。大体、パイプ・ラインが戦略物資だなんということを真に受けて、それを通産省が是認したような形で下部に流し、業界に流し、結局それを業界が自分の判断でやめることを期待する、こういうようなことは、どうも実情をあまり正しく見ていない結果じゃないか、私はこう思うのですが、どうです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 NATOの決定の是非の問題については、それに意見を差しはさむつもりで処置をしたわけじゃないのでありまして、NATOに加盟している国というのはみんな日本の取引先ばかりであります。その取引先の人たちがこういうことをきめた、こういうことがあったということを知らせたという意味でありまして、NATOできめたからこれは正しいんだからとか、何らかの意見を加えて言ったわけじゃない。むしろ、われわれから言えば、戦略物資でもないし、困るじゃないか、そんなことを言ってもどうにもしようがないじゃないか、しかし、そういう実情があったということを知らせないならば、これはかえって商売の上から言って損をする場合もあるだろうから、また、わざわざアメリカ大使館がそういうことを言うてきたのに何も言わないでおくというのもおかしいから、そういうことをきめたということを言うてきていますよということを知らせる、あとはあなた方自主的に判断してやりなさい、こういう軽い気持で言っておるのでありまして、何かNATOの決定に従わせる意味で流したわけでも何でもない。法律上われわれ政府が禁止する権利はないのです。権利のないものを、そんなことしたら、権利の乱用になります。だから、これは困るじゃないかということだけれども、しかし、通産省は外務省とは違います。通産省というのはサービスをする官庁なんです。だから、商売の相手国がどういうことだということを知らせることは、当然お認め願っていい、そういうような気持で伝えておった、こう御理解願いたいのでございます。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 ソ連圏に貿易の禁輸をするというならば、今ココムという機関が一応ありますね。NATOで決議されて、ココムでそれを取り上げて決議をして、これこれは自今禁輸品目に指定するんだ、こういう形になって、ココムにも日本は顔を出しておりますから、従って日本はその義務に従うというならば、ある程度話が筋としてわかると思うのです。ところが、ココムの禁輸品目ではない。かつて品目であったそうであります。六年前にそれが品目から除外されたといわれておりますが、そういうような過去に除外されたものを、突然、NATOの決議だ、アメリカの申し入れだということでやめるというような態度は、自主性を失っておるんじゃないかと思うのです。だから、外務省が受け取ったのはやむを得ないとしても、通産省が下部に流すという必要はないんじゃないか。あるいはそれに対して抗議を申し込む、当面は日本としてはできません、もし悪ければココムならココムで一つきめて手続を経てくれ、それ以後の話だ、こういう形であるべきじゃなかったのですか。その点どうですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 仰せのあなたのお気持、よくわかるのでございまして、私たちの方から外務省を通じてアメリカ大使館に、それは日本政府は権利として禁止することはできませんよということは、念のために言うてございます。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 もう一つ、話の結末として、日ソ貿易協定が結ばれました。それから、中国との貿易の問題も、高碕さんがおいでになって一つの取りきめをして参った。特に、ソ連との貿易協定は政府間協定で、貿易の取引品目も公表されておるわけであります。これが、将来、突然NATOあるいはアメリカから同様の申し入れがあった場合に、これこれの品目はやむを得ないんだからはずすんだ、こういうことになりますか。そういうおそれがあるんで念のために伺っておきたい。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 私はそういう申し入れがあろうとも思いませんし、われわれとしては、あってもお断わりするより仕方がない。そういうことを言うてこられても、私たちはNATOの加盟国ではございません。また、アメリカの属国でもありません。私たちは私たちの自主的判断でソビエトとの間にちゃんと話をつけてやっておるわけであります。そういう自由を持っておるわけであります。その自由を何ら権利のない人から制限を受ける、権利のない機関から制限を受けるということは認めらるべきことではないと思っております。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 大臣は最近は大臣ずれをしてなかなかうまい答弁をするようになったのだけれども、では一つ伺いますが、ココムの禁輸品目というものははっきりしておりますか。これははっきりしていないのじゃないですか。それは、多少ある時期にココム品目からはずす場合がある、あるものは追加されるというものはあってもいいですが、ココム品目というものははっきりしておりますか。大体われわれが聞いた話ですと、共産圏貿易をするのには、日本政府としてココムの品目が第一はっきりしてない。外国の、たとえば香港で発表したとかあるいはイギリスで発表したとかいうのはありますが、日本政府としてはっきりしてない。はっきりしてないから、何がひっかかるか、共産圏貿易をやろうという商社はわからぬ。それで、書類を出すと、その書類は通産省からアメリカ大使館に持っていかれ、アメリカ大使館でオーケーを取らなければ輸出ができない。こういうような実情があるとわれわれは聞いておる。今大臣は、アメリカの属国でもない、日本はきぜんたる態度でやるのだと、大へんりっぱなことを言われておるが、実際の運営は、申請が出ると、アメリカ大使館へ行って、これは出していいのですか悪いのですかというオーケーを取らなければ輸出ができないというようなことでは、これはおかしいじゃないですか。今の大臣の発言とは全く違って、実情はアメリカの属国的な運営をしているのじゃないかと思うのですが、どうです。

松村敬一通商産業事務官(通商局長)

○松村(敬)政府委員 ココムの禁輸リストの中身でございますが、これはあらかじめはっきりしております。それを変更いたしますときには、公の、パリでいろいろ委員会をいたします結果きまりますので、その時点における表の内容というのははっきりしております。ただ、何か項目を書きまして、その項目の中に入るか入らないかという解釈の問題が若干機械類等について起こることはございまして、こういうことにつきましては、またココムの委員会の方で解釈についていろいろ打ち合わせをするというふうなことになっておりますが、お話のように、アメリカ大使館に行って相談をするとか、そういう事実はございません。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 それでは、あとで一つココムの禁輸品目を資料として提出を願いたいと思います。委員長に要請をいたします。  次に、特許行政について質問いたします。  政府は最近国際競争力強化ということを非常に熱心に検討されておって、毎日の新聞に国際競争力の問題が報道されぬ日はないくらいです。ところが、政府の国際競争力強化というのは、合併すればいい、規模の利益ということだけ強調しておって、競争力のほんの一面しか強調しておらない。寄り集まれば国際競争力ができるのだ、大企業になれば大規模の利益があるのだ、こういうこと一方なんです。競争力というものは、規模ばかりじゃない。品質の、性能の競争というのがある。幾らたくさんできて安くても、安かろう悪かろうじゃ競争力にならぬ。品質の競争力というのを政府は軽視しているのじゃないか。置き忘れているのじゃないか。その品質の競争力を持つということは、技術を開発するということが第一じゃないかと思う。この議論には大臣も異論ないと思います。技術を開発すること、その技術の開発も、やたらに技術導入で、最近のように、何でもかんでも、みずからの研究、みずからの開発を怠って、外国からパテントを買えばいいというような態度は、日本の将来のためにいいことじゃない。だから、どうしても自分の国の技術を開発するということが大切だと思うのです。  そのわが国の技術を開発するというその窓口が特許行政だろうと思う。発明を奨励し、発明の問題を取り扱っている特許行政にあるのだろう、こう思うのですが、そこで、特許行政について伺いますが、最近の特許の出願傾向、件数、特に貿易自由化を宣言した後におけるこの二、三年、どういうような出願傾向をたどっているか、その点を一つ御説明願いたい。

今井善衞特許庁長官

○今井政府委員 最近の特許の出願状況でございますが、三十七年におきましては、工業所有権四つの関係で、出願が二十一万二千件ということになっております。これは非常な増加でございまして、三十六年におきましては、出願が大体十七万五千件程度ございまして、三十四、五、六の三年間十七万台にとどまっておったのでございますが、三十七年になりまして、ただいま申しましたように、急にふえて参っております。その急にふえて参っております状況を分析いたしますと、上半期は大体三十六年同期に比べて一0%増くらいであったのでございますが、下期に至りまして激増して、前年同期の三七%増ということになっております。これは、ただいまお話がありましたように、やはり業界として自由化に備えまして技術開発に身を入れているその結果、特許出願が増加している、こう考えている次第でございます。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 最近特許の出願が非常に多いとわれわれも聞いておるのですが、現在の出願の積滞の処理の問題ですが、今度若干予算をふやしますが、その程度で一体何年たったら処理ができるのですか。

今井善衞特許庁長官

○今井政府委員 ただいま申しましたように、出願が非常にふえておりますが、他方、これを処理する私どもの努力も毎年片々わずかながらふえております。三十七年においては三十六年に比べて約一八%よけい処理をいたしております。にもかかわらず、出願がそれよりも早いテンポでふえております。従って、非常に残念なことでございますけれども、滞積が結果において少しずつできているということに相なっております。昨年の上期までは出願数がそれほど急テンポでふえて参りませんでしたので、まあこの分でいきますと何とか追いつくのではないかというふうに考えておったのでございますが、先ほど申しましたように、下期に至りまして非常に激増いたしました結果、三十七年末においてはむしろ逆に滞積がふえているという関係になっておりまして、これの処理にどのくらい時間がかかるかということについては、特許、実用新案においては、出願がございまして公報に載せるまでの期間でございますが、これが二年半くらいかかっております。それから、意匠については約一年、商標については一年三ヵ月ということになっております。  ただいま、出願状況が非常にふえて参っておりますので、処理をふやすように努力しておりますけれども、処理能力というのは、人をふやしましても、やはり教育期間も要りますので、それが審査能力として直ちに反映しないという関係もございまして、私どもこの点については難渋しておるわけでございます。これは、短期的に処理いたします応急策のほかに、やはり長期的に考えて何らか根本的な手が必要ではないかということで、別途検討を続けておる次第でございます。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 三十四年か五年だと思うのですが、特許関係十法を改正したときに、附帯決議があるのですね。当時も、特許、実用新案とか、処理状況を見ると、積滞数は、処理が終わるまでは二年半から三年近くですよ。諸外国の例を見ると、アメリカあたりでも、昔はずいぶん長かったのだそうですが、最近は、ソ連に科学技術がおくれるということで、非常に真剣になって取り上げられて、半年から一年で処理ができるという状況になってきておる。ヨーロッパ各国でもだんだん特許の処理というのが早くなってきておると思うのです。昭和三十五年ですか、特許十法を改正したときに、当時すでにそういう附帯決議があるのですが、今日になってみても、従前と同じように三年近くの積滞数があるということで、なるほど改善はされてきたけれども、出願が多くなったので、結局同じなのです。これは、特許庁が仕事をやれないから出願をするなと言うわけにいかぬですよ。出願件数に応じた特許行政という体制を整えていかなくてはならぬと思うのです。戦前との比較をちょっとしてみたら、出願件数は二倍になっておる。人は、一三五%です。か、三割ぐらいしかふえていない、件数は倍になっておる。もちろん、戦前より、処理のいろいろの手続の方法や、合理化をはかったり、簡素化をしたりしたのかもしれませんが、しかし、出願件数に対して人員の割合も、倍になっておるのに三割しかふえていないということもあるのじゃないか、こう思うのです。  そこで、大蔵省からだれか来ていますか。——この特許行政で、一体、特許の手数料をもらって、特許のためにかかる費用というものはどのくらいですか、昨年度で。

田代一正大蔵事務官(主計官)

○田代説明員 ただいまの御質問は、特許関係の収入がどうであったかという御質問だと思います。三十七年度が、印紙収入、現金収入合わせまして十一億五千七百万、三十八年度の見込みといたしましては、十二億九千万ということでございます。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 支出の方は。

田代一正大蔵事務官(主計官)

○田代説明員 支出の方は、三十七年度におきまして八億五千三百万、三十八年度には十億一千四百万という金額であります。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 ちょっと大臣に決意を聞きたいのですが、特許行政というのは、さっき言ったように、非常に重要だと思うのです。これこそは、技術開発もあり、そういう技術開発、国のために尽くす人たちに対する非常なサービス機関でなくてはならぬと思うのです。そして、今までの実情から言うと、書類を出して三年近くたたなければ結論が出ないのです。その間寝ているのですよ。技術も遊んでいるのです。あるいは、その期間ダブった研究をしているかもしれないのですよ。たとえば、半年後にこれは特許として認めるか認めないかということがはっきりすれば、その同じ技術を片方で研究する必要はないわけです。それを使えばいいのですから。それが隠れているために、おれも発明をしようというので、同じような発明を一生懸命考えている人もあるのですよ。一方、国民に対するサービスの機関として、三十七年度では三億円ばかりもうかっていますね。三十八年度では、やはり二億八千万、三億ばかり特許行政でもうかるのですね。もうかっていながら、三年間も処理がおくれているというような体制で、大臣、特許庁の直属長官ですから、どうお考えですか。これは抜本的な改正をする、改革をはかる必要があるんじゃないですか。これは今始まったことじゃないのです。すでに数年前商工委員会の附帯決議さえあるのです。しかし、じんぜんと三、四年間送ってきて、依然として三、四年前と同じなんです。しかも常に黒字ですよ。毎年黒字です。こういう行政を、国際競争力をつけようという法案を非常に熱心に練っておる大臣として、等閑にしておくことはおかしいじゃないですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 仰せの通り、国際競争力をつけるという意味においては、国内の技術の向上ということは非常に大事であります。そういう意味で、私も、実は就任直後の閣議においても、特許庁の拡充問題について発言をしておるのでございまして、その意味では、板川さんと決して思想は異にしておらないと思います。ただ、いよいよ予算ということを考えた場合において、また、それだけの適当な技術者が集まるかどうかという問題……。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 予算はあるのです。もうかっているのです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 いや、予算措置を講ずる場合において、もうかっておって——もうけるのは目的じゃないのですから、ほんとうは使うべきなんです。それはよくわかるのでありますが、ただ、人の問題とか、いろいろの制約等もございまして、今度ふやしたつもりですが、まだ意に満たないというところであります。しかし、あなたのお話の通り、この調子ではだんだんふえてしまうのではないかと思って、実は心配しておるので、私としては、抜本的に、あなたのおっしゃるように研究してみたい。私も就任早々のことで、予算の問題が出るまでにわずか四ヵ月か五ヵ月くらいの間でもありましたし、自分としては何とかしたいとは思ったのですが、あなたに喜んでいただけるほどの案にはならなかったわけです。今後は一つ大いにお考えを体して勉強をしてみたいと考えておる次第であります。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 私は、出願件数が非常に多いから、人海戦術的に人を集めるというだけでもなかなかむずかしいものがあると思います。処理を判断するのは、技術能力がなければならぬし、経験もなければならぬし、従来の特許の情勢も知っていなければいけないわけです。そこで、たとえばオートメーション、ずいぶんかかるかもしれませんが、そういうような装置をして、最終段階は人が見るにしましても、ある程度の仕分けをするのには、オートメーションの機械で能率的にやるようなことも必要じゃないか。  時間がありませんから、一つ大臣からはっきり言ってもらいたいのですが、抜本的な対策を立てる、とにかく現状では、このままにしておくべきじゃないということはおわかりですから、どういうふうに立てるかは別として、抜本的な対策を立てるということは、一つ約束してもらいたいと思う。考えてみるというのじゃなくて、これは立てなくちゃならぬ仕事でありますから、抜本的な対策を立てるということを一つこの席上で約束をして、次年度まで猶予を置きますから、対策を立ててもらいたいと思うのです。いかがですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お説ごもっともでございます。ただいま審議会においても審議を四回も重ねておりますが、八月までには結論が出るそうであります。そうすれば、予算に十分間に合います。  それから機械化の問題についても、今真剣に研究しておりますので、この次の予算までには、ぜひお説のように抜本的な対策を立てるようにいたす所存でございます。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 もう一点だけ石油問題で大臣にお聞きしておきたいと思います。きょうは石油小委員会がありますから、詳しい問題はそこでやりますが、予算に関連する一、二点だけ伺いたい。  将来のわが国のエネルギーの供給事情を考えると、十年後にはその三分の二は石油によると思う。その石油の九九%何がしは輸入石油ということになります。従来日本のエネルギー行政というのは、石炭が戦後は中心でありました。それに電力が加えられておった。しかし今後十年間たちますと、そのエネルギーの中心は石油に移ります。その場合に、私は石油行政が非常に重要になってくると思うのです。石炭とか電力とかには国家の資本が相当入っておりまして、国家の意思で電力なり石炭なりにいろいろ協力を要請したり、そのかわり国家もこれのめんどうを見るという形をとって参りました。ところが、十年後の実情を考えると、その国家の意思というのを私は石油関係に向けなくちゃいけないのじゃないかと思うのです。大臣はかつて私の質問に対して、石油供給安定基金制度を考慮しておるのだ、こういう答弁をされた。ところが、この予算を見ると、全然その顔も出ていない。一体将来のことを考えて、石油供給安定基金というものをどう考えておるのかということが第一点。  終戦直後、東京都に徹底的に都市計画を立てて、道路を整備するという案があったのですよ。米軍からも支持があった。しかし、実際はそれを行なわなかったのですね。その行なわなかったことが、今日十数年後東京都の交通の混乱をもたらしておるのですね。私の言いたいのは、それと同じようなことで、十年後のわが国の石油中心のエネルギー行政の中でこの処置ができないようなことになったのではいかぬから、今のうちに将来の見通しを立てて、総合エネルギー対策という見地から、国のエネルギー行政の重点というものを、石炭、電力もそうですが、これは石油に移していくべきである。その立場からいって、石油供給安定基金制度はどうなったのかということを聞きたい。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 この前に石油供給安定基金を考えておるということを申し上げたのでありますが、その後予算を組む段階その他におきまして、われわれといたしましてはいろいろ考慮いたしましたが、遺憾ながら今回の予算にはこれを計上することはできなかったわけであります。しかし、お説の通り、油の問題は非常に重大でございまして、私は今の通産行政のうちで油の行政が、あなたのおっしゃるような意味において、おそらく今後一番方向づけをしなければならぬ、考えてみなければならないものだと思っておりますので、私は次の予算編成期までには少なくとも抜本的な、石油供給安定基金も、むしろあの時分考えておったよりはもう少し前進したものにあるいはしなければいかぬじゃないかということも含めて、今熱心に勉強いたしておるという実情でございますので、御了承願いたいと思います。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 それからもう一点、国内原油の引き取り問題ですが、どこの国でも、自国産の石油というものはある程度の保護を加えております。それは、技術を開発をして、その石油技術を自国の中に培養しておくということも一つです。それから国内産油の振興ということもあろうと思うのですが、国内産石油の引き取りの問題、これについて、実は割高になっております。諸外国ではこれを補助しておりますが、日本政府では、それをそのまま自由な契約にまかしておるのです。一時、関税なりあるいは消費税の中から、国産原油引き取りについて若干の補助があってもいいんじゃないかという議論もあったのですが、その問題はその後どういうことになりましたか。今度の場合にはもちろん出ておりません、予算の中ではその措置がありません。将来どうお考えになっておられるか、その点について伺いたい。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出政府委員 国産原油の従来の価格は、山元で六千円でございます。従って精油所に参りますと、運賃を加算して約六千五百円見当でございます。これは、国内の石油資源の開発五ヵ年計画が審議会できまりましたのですが、その価格でございます。一方輸入原油の方は、関税を含めまして五千五百円でございます。そこに千円の開きがあるわけでございます。従って、この引き取りの問題については、価格が問題になりまして、そのために原油引き取りが難航いたしまして、最終的にはいろいろな事情があって実現をしなかった。それでさしあたりといたしまして三十八年度、ことしの四月から一年間は、通産省も中に入りまして、石油精製側と国産原油側と話し合いがつきまして、六千円の従来の価格で引き取り保証をすることに話がついたわけでございます。これは一年間でございますので、三十九年度、来年の四月以降の問題は現在のところ未定でございます。従って、これをどういうふうにするか、長期的にどういう引き取り体制にするかという問題は、まだきまっておりません。まだ時間もだいぶございますので、対策を考慮していきたいと思っております。

板川正吾日本社会党

○板川分科員 石油問題は、そのほか海外開発油の引き取りという問題もあろうと思います。一手買取機関を設けたらどうかという決議もあります。そういう問題も含めて、一つ来年の予算時には、はっきりした政府の方向なり方針なりというのが出るように要望をいたしておきます。大臣もそう言明しておりますから、次の機会を期待しております。  以上をもって私の質問は終わります。

中村三之丞自由民主党

○中村主査 中村英男君。

中村英男日本社会党

○中村(英)分科員 繭と生糸の問題をお伺いしたいのですが、御承知のように、大臣も福井の織物産地でだいぶお考えでしょうが、生糸の相場が暴騰しておるものですから、国内の大衆織物の機業地が操短、休業、これに関連して輸出業者が非常に困っておるのです。それだけでなくして、繭の増産に将来影響がありますから、そういう意味合いで質問をしたいと思うのですが、横浜、神戸の生糸の相場は非常に大きな変動をしております。去年の一月最高がキロ三千八百六十九円ですか、それが十二月には五千七百円、八百円になって、ことしの一月には六千円台になっておるのです。これは間違いないですね。そうすると、生糸の相場はそうですが、繭の三十七年度の繭価協定は、蚕糸局長幾らですか。

昌谷孝農林事務官(蚕糸局長)

○昌谷政府委員 お説の通り、最近一年の生糸の市場価格はかなり急速な騰勢を示しております。御質問の値段でございますが、御承知のように、春、初秋、晩秋と三回に分けて各県で繭価協定を行ないまして、その価格を基準にした取引が行なわれております。従いまして、それぞれの地方によって若干の差はございますが、年間を平均して申しますと、おおむね一貫目当たり二千四百円を中心に、多少県によって相違があるといったような事情でございます。なお秋の繭価協定後、特に価格の堅調が目立ちました関係もございまして、産地によりましては、ただいま申し上げました協定されました価格の後、生産奨励というような趣旨で、別途生糸関係者から養蚕団体の方へ支出しておるというような事態もあるわけでございます。

中村英男日本社会党

○中村(英)分科員 生糸の相場と繭との価格の開きですが、これは相場ですから、需要が伸びて生産量が少ない、こういう経済の原則からいえば、二面理由があるかもわからぬが、しかし、大体一俵の中で繭分の占めるのは五万円、こうなっておるのですから、かりに六千円の相場で三千三百円の繭の値段というものは、妥当ではないと思うのです。戦前は、大体繭一貫目の値段が米一俵の値段、これが相場だったのですから、大体一貫目四千八百円か四千九百円しているのが妥当なものです。かりに今の相場にしましても、反収七万円ですから、農家としては、たばこに比較すると反収が少ないですけれども、比較的安定した作物として今日まで奨励されてきておるわけです。この開きは政府は妥当と思われるのですか。六千円という生糸の相場と繭の相場三千三百円の開きというものは、どうなんです。

昌谷孝農林事務官(蚕糸局長)

○昌谷政府委員 最近の現物の糸価は、一俵当たりに直しますと、おおむね三十六万円程度だと思います。昨年の繭価協定が行なわれました時期の基準にとりました糸価は、おおむね一俵二十七、八万円というところが価格協定のベースに用いられた糸価で、比較的高い……。

中村英男日本社会党

○中村(英)分科員 それは何月ですか。

昌谷孝農林事務官(蚕糸局長)

○昌谷政府委員 昨年の秋の繭の出回り期の繭価協定を行ないました際の基準となった糸価が、おおむね一俵二十七、八万円で、最近の糸価はおおむね三十六万円程度まで上昇いたしております。そこで、昨年の繭価協定の際に、先ほど申しましたような繭の値段が実現いたしましたことについては、製糸関係者も生産関係者も、そのときの糸価を基準といたしますれば、おおむね妥当なところで決定した値段というふうに考えてよかったと思います。最近のような糸価が今後長く続くということになりまして、本年五月以降の春繭の出回り期にもこの糸価が引き続き維持し得るということになりますならば、当然そういった高い糸価が繭価協定の基準として取り入れられるわけでございますが、それに応じて適正なる分配が確保されるよう、私どもも指導いたしますし、また関係両業界においても、そういう線で現に事前の相談をすでに始めております。御承知かと思いますが、おおむね過去の実績から申しますと、糸の値段のうち二割が加工費、八割が原料代というのが、長年にわたりましての価格変動のならしました糸代の生産者と製糸業者との分配の一つの成果であります。大体、私どもが価格の決定をいたします際に調査をいたします各種の生産費等から見ましても、そういう実情が実現をしておるわけであります。今後、このような高い糸価でありますれば、当然それによって生産者へ支払われます繭代も、それに応じて上昇するということであろうかと思います。

中村英男日本社会党

○中村(英)分科員 去年の秋の相場は、一俵二十七万円くらいで繭価協定をやられたそうですが、もともとこの繭価協定——大体養蚕組合が組合の費用を製糸家からもらっているわけです。こういうところに繭価協定が公正に行なわれぬところがあるのです。しかし、これは長年やっておることですから、非常に私ども議論のあるところですが、きょうは議論しません。しませんが、去年の八月、九月はちょっと下がって、キロ四千八百円、四千九百円になったのですが、私が心配しておるのは、キロ五千七百円、六千四百円という相当になりますと、国内の生産量が三十二万貫程度と思うのですが、アメリカ輸出が五万貫、高級織物が七万貫、大衆織物二十万貫程度、この相場で、高級織物は糸が上がっても需要がふえてきたでしょうが、大衆織物の機業地で操短あるいは休業しておるもの、これは通産省でその数字がわかれば知らしてもらいたいと思うのですが、アメリカ向けの輸出も減っておると思うのです。そこら辺はどうですか。

昌谷孝農林事務官(蚕糸局長)

○昌谷政府委員 織物につきましては、通産省からお答えがあると思いますが、繭の需給の関係で御言及がありましたので、私からお答えいたしたいと思います。  大体生糸の年度は六月から五月で切るのを通例にしておりますが、最近まとまりました昨年の一月から十二月までの暦年での一ヵ年間の実績を見ますと、生糸の生産数量は三十三万俵程度です。繭は、御承知の通り、昨年天候その他の事情が非常に悪かった関係もございまして、繭そのものの生産は、三十六年に比較いたしますと約五%減少しております。しかし一月−十二月で取りました生糸の生産量は、古繭の時期も含んでおります関係で、三十六年の暦年と比べますれば約一割増でございます。それに見合いまして、そのうち生糸のままで輸出を見ましたものがおおむね七万七千俵、それは前年に比較いたしますと約一割伸び、ただし輸出先につきましては、御指摘のように、今まで非常に大きな部分を占めておりましたアメリカ向けが漸減をいたしまして、そのかわりにヨーロッパ向けがかなり顕著な伸びを示しております。おおむねヨーロッパとアメリカとの市場シェアは、半々に近いところまで最近ヨーロッパ各国への日本生糸の輸出が伸びております。製品で輸出されましたものは、大体私どもの目見当では、糸に直しますと四万数千俵であろうかと思います。これも、数量的には一昨年よりもかなりの伸びを示しております。数量で伸びを示しておりますのが約一割、金額で見ますと二割以上の伸びということになろうかと思うのです。

中村英男日本社会党

○中村(英)分科員 アメリカ向けは漸減して、ヨーロッパ向けは増大しておるというお話ですが、それは製品として輸出されておるのですか、生糸として輸出されておるのですか。

昌谷孝農林事務官(蚕糸局長)

○昌谷政府委員 アメリカ向けが漸減をし、ヨーロッパ向けがふえておりますと申し上げましたのは、生糸のままで輸出されました七万七千俵について輸出先を見た場合のことでございます。織物につきましては、ほとんどやはりアメリカ向けが大部分でございます。ヨーロッパ向けは、撚糸等が若干あったかと思いますが、あまり大した数量ではないと思います。

中村英男日本社会党

○中村(英)分科員 後ほど国内の大衆織物の状態を資料で示してもらいたいのですが、生糸としては、私は数字を持っておりませんが、ヨーロッパ向けが伸びておるというお話ですが、インドその他に対してネッカチーフやその他、価格の安い製品の輸出は非常に減っておるように思うのです。それは国内の大衆織物の産地が操短なり休業あるいは化繊に変更、こういう状態を起こしておるのですから、製品としては輸出は滅っておるように思うのです。どうですか。

磯野太郎通商産業事務官(繊維局長)

○磯野政府委員 今お尋ねの点につきましては、ここにこまかい資料を実は持っておらないのでありますけれども、三十六年度の実績について申し上げますと、輸出の方は、これは単位はトンでございますが、織物が二千三百七十九トン、それから二次製品が九百五十一トン、こういうことになっております。そのほかに糸が四千七百九十四トン、合計いたしまして八千百二十四トンが三十六年度の糸、織物、二次製品の輸出実績でございます。この三十六年度の輸出の方の実績は、織物、二次につきましては三十五年度よりも——これはちょっと正確な資料を持っておりませんが、相当減っております。この点はもうよく御承知でございますけれども、大体大まかなところを申し上げますと、絹糸につきましては、糸、織物、二次、いろいろあるわけでございますけれども、大体各年を平均いたしまして数量的に申し上げますと、半分々々。半分が内需、半分が輸出というのが大体平均的な傾向になっておりまして、年によって景気がよくて非常に内需が大きなときには、大体内需が六割くらい、それから輸出が四割くらいというふうに、大体五〇%の線を中心にいたしまして浮動をしております。三十六年は九月ころから金融引き締めがとられましたけれども、その間のずれもありますので、相当大きく内需が出ておって、そういう関係もあって、輸出は前年度に対して比較的下回っておるというような状況であります。

中村英男日本社会党

○中村(英)分科員 国内の需要ですが、高級織物の需要は伸びておるのです。伊勢崎、秩父、福井、京都、こういう大衆織物をつくっておるところは、この生糸高、原料高では、操短、休業あるいは化繊に変更、こうなっておるように思うのです。このことは数字で明確にならないまでも、政府はそういうように理解されておりますね。

磯野太郎通商産業事務官(繊維局長)

○磯野政府委員 今御指摘になりましたような事情は、確かにそういう地方において出ております。この点はいろいろ事情があると思いますけれども、生糸が商いということが一つ。それからもう一つは、全体の繊維の消費の中で合繊が非常に伸びつつあるというような片一方の状況がございます。そういういろいろな状況がからみまして、今御指摘のような状況が出たと思います。

中村英男日本社会党

○中村(英)分科員 この生糸の相場高で問題を起こしておるのは、そういう国内で大衆織物をつくっておる機業家は、高級織物に転換しようと政府が主張されても、なかなか長い間大衆織物をつくっておるものがそう急速に設備その他で高級織物、あるいは合繊に転換するわけにいかない。従って休業、操短という、このことで非常に困っておるわけですね。これがために、またその製品を輸出しておる業者が音を上げておるのです。今の政府の傍観的な態度に対してうらみを持っておるのです。私はなぜそういう点をきょう質問したかというと、非常に強いそういう世論が出てきておるけれども、やはり個々ばらばらで、それが政治的な力となって政府に出てこないと思うのです。だから、非常に軽く見ておいでになるけれども、このことは非常に深刻なんです、それが将来繭の増産に影響をするから。いつまでもこの価格を保っておるとは保証できないのです。私の見込みでは、こういうふうに生糸が高くなるということは、そのこと自体はいいことです。日本のペースで商売をすることですから、高いことそのことをとやかく言いません。しかし、そのことによって需要が当然減ってくるということになると、繭の増産にも影響をすると思うのです。現に農業基本法で改善地区を指定して、養蚕しかできない地区が日本でもあると思うのです。そういうところを指定して増産をさしておるのですね。さしておりますけれども、さて増産したころにまた生糸安になって——必ずそうなるのです。そうされると、指導者も私どももうらみを受けなければならぬ。このことが心配なんです。ですから、そういう大衆織物を織っている機業者に対して政府はどういう指導をされたか、その点をお伺いしたい。

磯野太郎通商産業事務官(繊維局長)

○磯野政府委員 私どもの立場から申し上げますと、生糸の価格につきましては、いろいろ高いとか安いとかというような議論があるようでございますけれども、これはかりに今のような値段でありましても、それが安定をしてくれば非常にいい。そうして安定をすることが大切であるというふうに私どもは考えておりまして、その点は、そのつど農林省の方に申し上げておるわけでございます。それで、生糸が高いというふうなことから、今御指摘のように、一部合繊の方に転換しつつあるという状況もあるわけでございますが、この点は、私どもといたしては、生糸価格を安定してもらって、絹織物の直接の団体を安定させるということが一つと、それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、将来の全体の傾向としては、やはり相当合繊がふえるわけでございますから、その合繊の増加の見通しからいきますと、これも御承知と思いますけれども、合繊を織りますには、機械の関係とか、従来の技術の関係からいきまして、絹、人絹その他が一番それに適応しておるわけでございます。そういう関係で、これも、御承知のように、現在福井、石川、あるいは群馬等の絹・人絹村につきましては、合繊を織っておるものがだんだんふえておるわけでございます。そういうふうな合繊を織るというふうなことについても、これは一番適当しておるという意味で、間があかないようにしていきたいというふうに考えております。また現実にそういうふうな動きをしております。

中村英男日本社会党

○中村(英)分科員 どうもはっきりせぬけれども、これはやはりあなたのおっしゃるように、生糸の相場が安定することが問題ですからな。今のような生糸相場は、安定じゃないと思うのです。きわめて不安定ですな。これは的確かどうかわからぬけれども、政府も調べておいでになろうと思うけれども、横浜なり神戸の生糸の操作は一体だれがやっておるか。ごく少数な人たちがやっておるのです。ここに問題があると思うのです。これは調べたらわかると思うのです。普通の株でもある程度の規制があるのですが、生糸は一つの支持価格があり、政府が値下がりしたときには買い上げて、値下がりを食いとめる、てこ入れをする、そういう性格を持っているから、相場の対象になること自体にも大きな議論がある点です。それはそれとして、生糸の相場に対する規制といいますか、そういうものは、幾らか政府は今まで考えておいでだと思うが、どういうやり方をされておりますか、証拠金その他について。

昌谷孝農林事務官(蚕糸局長)

○昌谷政府委員 養蚕農家の経営の安定をはかる上から申しましても、糸価が安定をいたしておりますことが好ましいことは、申し上げるまでもないことと思います。またそういう意味合いから申しましても、最近の需給関係が、三十七年産繭の減産の影響もありまして、いささか供給不足ぎみであることも御指摘の通りだと思うのです。これは今後生産が常態に復しますれば、若干は緩和をされ、価格もある程度安定を見るというふうに期待はいたしております。ただ、何さま現状の価格の模様は、御承知の通り、横浜、神戸の生糸取引所の清算取引、それと横浜、神戸両市場における現物取引価格、それらを見て私どもは判断なり指導なりをいたしておるわけであります。一部にいわれますような純粋の思惑でありますれば、現物と取引所で出現いたします価格との間に相当離れてこなければならぬわけでありますが、幸か不幸か、現状では過去一年間、現物価格が着実に清算市場と一致した足取りで伸びておる、つまり、その値段ではかなり採算的に買いにくい需要家の方もおられることは事実でございましょうが、しかし、依然として、三十六万円になりましても、相当旺盛な買い気が実需として続いておることもいなめない事実でございます。それらを考えますと、取引所の価格が何か根拠のないことで左右されておるように一がいにきめつけるわけにも参らない。もちろん昨年の四月一日以降、価格がかなり大幅な上げ歩調をとりましてから以降、私どもといたしましては、数次にわたりまして両取引所の理事長に私のところへおいでを願いまして、健全に取引所としての機能を果たし、商取引の重要な指標なり機能なりを果たしていただくために、世間の信用を失わないように十分の自粛措置をおとりいただくよう、再三にわたって警告なり要望なりを発し、それに応じまして、それぞれ売買証拠金について臨時の措置をとる、あるいは建玉の取引数量が過熱にならないよう自粛措置の申し合わせをしていただいて今日に至っております。なお昨年十二月以降、取引高が過去の実績から見ますと急激にふえて参りましたので、また糸価水準そのものがかなり上がって参りましたので、それに応じまして臨時措置のみでなく、売買本証拠金につきましても、旧来の水準を最近の糸価水準に合わせて引き上げるよう御相談いたしました。その結果、横浜、神戸両取引所におきまして、二月一日以降、売買証拠金につきましては、従来の一万五千円を二万五千円に上げる。その他特別に、六月までが端境期でございますが、端境期までの各限月につきましては、そのほかに別途二万円の特別臨時の証拠金を課することにいたしております。そのような事情で、今日におきましては一枚当たり実際に徴収しております証拠金の額は、かなり高いものになっております。二月限について申しますれば約九万円、三月限につきましては約十万円が本証拠金、特別臨時増し等の形で、一定の規定に応じましてとられておるわけであります。その意味から申しますれば、最近の価格等に対しましてはかなり適切な制御措置になったかと思います。その関係で、二月以降の出来高はかなり常態、あるいは常態以下に現在はなって、沈静を見ております。もちろん今後とも六月までの端境期につきましては、給関係がかなり根本的に逼迫をいたしておりまして、供給をふやす特別の手段もないわけでございますから、今後の推移によりましては、なお臨機応変の措置をとりまして、ただいま御指摘のような御懸念のないよう指導の万全を尽くしたい、さように考えております。

中村英男日本社会党

○中村(英)分科員 なお私、心配しておるのは、大衆織物の機業家が、高い繭を原料として織物ができない。それがまた輸出に影響しておる。これは事実なのです。そこで、そういう大衆織物の機業家がすでに合繊に変化してしまうこれは将来需要が減りますから。もう少し安定した相場になること、さらにそういう大衆織物を織っている機業家に安い原糸が入るようなこれは非常にむずかしいことと思うのですが、そういうことを一つ研究してもらいたいこと。そうせぬと、せっかく繭の増産を今実はやっているのですが、三、四年前のあの値下がりを食うたために、農民はなかなか信頼せずにちゅうちょしております。ちゅうちょしておりますが、政府としては、当然自由化にも対処できる産物ですから、また地区によっては養蚕以外にやっていけないという地区があるのですから、日本としては当然繭の増産というものは、飼育方法が楽になったら、これはしなければいかぬ。しなければいかぬが、今のような不安定な相場では輸出も漸減し、国内の高級織物に転化しようといっても——高級織物がなるほどふえてはおります。ふえてはおりますけれども、やはり生糸の需要という量の段になると、大衆織物に比較すると、やはり全体的には需要が減ってくるものと思うのです。そういう点が非常に心配ですから——これはあなた方、恨みを買っているのですよ。非常に怒っておりますから、一つ真剣にこの問題を取り上げてやっていただきたいと思います。時間がありませんから、簡単に済みますが、大臣、あなたは産地ですから、よろしく一つ御指導願いたいと思います。

中村三之丞自由民主党

○中村主査 田中織之進君。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 私は、通産大臣に主として公益事業、特に電力企業に対する通産省の監督に関連した問題でお伺いをしたいと思うのであります。  その前に、いわゆる貿易自由化の対策に関連いたしまして、その重要な一環として非鉄金属などの地下資源の開発に非常に力を入れられておることを私も了とするものでありますが、具体的に予算説明から伺いますと、新鉱床の探査費の補助金が前年度と同額の三億円ではあまりにも貧弱ではないか。別途、私これから伺いますように、金属鉱物探鉱融資事業団というものが新たに設立をされて、これは関係法案も出てくるだろうと思うのでありますが、それに対して政府から二億の出資、それから財政投融資の方で十数億の金が回るということで、本格的な取り組みは、あわせて考えれば理解できないことはないと思うのでありますけれども、その補助金の方の関係は三億円ではあまりにも少な過ぎるのではないか、このように考えるのでありますが、政府の説明によりますと、融資対象の変更で、実質的には、前年度と同じ三億でも、ことしは主として中小炭鉱に対してよけい金を出されるのだという意味の説明がついておるわけであります。最近における資材費等の値上がり、特に労銀の上昇というような関係をもちまして——前年度、三十七年度はたしか半額としてメートル四千円でありますから、大体八千円見当で一メートル当たりの鉱床の掘進ができる、こういうことで、四千円の補助金がきめられておるようでありますが、今年度は若干その後の物価の上昇等、労賃の上昇等の関係から単価の引き上げが計画されておると思うのですけれども、どの程度お引き上げになりますか。単価引き上げということになりますれば、総額の補助金の三億円ではあまりにも少な過ぎるという感じがするのでありますが、この間のことについてお答えをいただきたいと思います。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出政府委員 お答え申し上げます。  新鉱床の探蚕補助金は、御指摘の通りに三十七年度と三十八年はほぼ同じ三億でございます。ただ、お話がございましたように、三十七年度の三億の中でいわゆる中小鉱山は二億でございます。あとの一億は中小鉱山よりも規模の大きなところに出ておるわけでございます。従って、三十八年度は中小鉱山を対象にして三億でございますから、実質上五割増加をしたわけでございます。なお、単価の点は、今御指摘のような点も勘案をして引き上げを考慮しておる次第でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 これは、これから伺う探鉱融資事業団との関連もあろうかと思いますけれども、若干の引き上げをされるといたしましても、まあ本年度は無理かもしれませんが、おそらく今月中くらいに各通産局で新鉱床探査の補助申請等を受け付けられて集約をされると、はたして三億程度でまかない切れるかどうかというようなことも起ころうかと思いますので、まだ当初予算の審議のさなかに増額の問題について申し上げるのはどうかと思いますけれども、中小のそういう中で、全く自由化で打ちのめされておる、特に非鉄金属関係について御配慮をいただきたいと思います。  次に、今申し上げました探鉱融資事業団に対してでありますが、出資二億円と融資十三億円、計十五億円の財政資金が投入されるということになっておるのでありますが、この融資は長期と短期に分かれておるようでありますけれども、十五億の資金量のうちで、長期資金に回すのがどの程度を予定されておるか。従って残りは短期資金ということになるわけでありますが、長期資金というのは、大体これは事業団ができてこないとまだおわかりにならないかと思うのでありますが、予算でこれだげの資金を要求されるには大体の心づもりがあると思うのでありますが、長期融資は大体年限はどのくらいを予定されておるか。  さらに、その融資につきましても、一応やはり対象鉱山別に融資金領についての制限を勢い設けなければならないと思うのでありますが、野放しというわけにも参らないと思う。その点がどうなるか。  それからまた、この事業団法で融資を受けられる対象については、もちろん返済能力その他の関係から一定の基準をきめなければならぬのではないかと思うのでありますが、これはたとえば資本金であるとか、あるいは従業員であるとかいうようなことが、融資対象に制限を加える場合の基準になろうかと思うのであります。そういう点はどういうようになっておりますか、お伺いしたいと思います。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出政府委員 まず最初の、出資二億、運用部からの借り入れ十三億、合計十五億の資金をどういうように運用するか。それを長期、短期に分けての御質問でございます。探鉱の資金は、いずれも相当な長期になると思いますので、どの程度が短期か、それはわかりませんが、原則として長期というように考えております。  それから、それではどのくらいの期間になるのかということになりますが、これは実は業務方法書できめることになっておりまして、まだその内容ははっきり確定はしておりませんが、私といたしましては最長十年くらいを希望しているわけでございます。  それから対象でございますが、先ほどお話のございました新鉱床探査補助金の方は、中小鉱山向けでございますので、そちらは中小鉱山を除く規模の大きいところを対象にしたいと思っております。これも業務方法書できめられることになっておるわけでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 もう一点、その点について伺います。融資を受けるのでありますから、返済をしなければならぬことになると思うのでありますが、返済条件については何かお考えになっておられますか。たとえば探鉱の結果発見をした有望な新鉱床の採掘は、まあ十年ということをお考えになっておれば、そういうような見きわめがついてから返済していいということになるわけですけれども、十年間は据え置くという意味ではなかろうと思うのでありますが、返済の条件について何かお考えになっておることがありますか。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出政府委員 探鉱につきましても、処女地に大規模な探鉱をする場合には相当な期間がかかりますので、先ほど最長十年ということを申し上げたわけでございます。もちろんそれより短くていい探鉱融資もあるかと思います。  なお、償還期限の問題でございますが、これもおのずから、たとえば五年の場合はどのくらいとか、十年の場合はどのくらいという基準があるかと思うわけでございまして、一年とかあるいは二年とか、場合によりまして据え置き期間を設けなければならないと思います。しかし、あくまで据え置くということは、融資の性格上無理かと思っております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 大臣が戻られるまで、もう一点その点で伺いますが、この事業団による融資対象は、中小鉱山のうちでも比較的大きなものというふうにお答えいただいたように思うのであります。補助金を受けておる対象の中小鉱山は、この融資の対象に入るか入らないかという点はいかがでしょうか。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出政府委員 先ほど申し上げましたのは、中小鉱山以外の鉱山ということですから、いわゆる大手ということになるわけでございます。  それから、中小鉱山として補助金を受けたものが、さらにこの事業団から融資を受けられるかどうかということでございますが、これはまあ法律上、それを禁止をしておるわけじゃございませんけれども、現在のところ、補助金も出しかつ融資をするほど金額に余裕もございませんし、補助金は補助金、融資は融資というように分けて考えております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 これからは特に大臣にお聞きをいただきたい問題で、間もなく大臣戻られると思うのでありますが、それまで概括的に先に伺いたいのでありますが、石炭対策が非常に重要な問題になってきておるわけでございます。そのうちで、私どもからの要望が入れられて、四十二年という年限、年度がございまするけれども、いわゆる五千五百万トンを最低六千万トンに石炭の需要を確保しろということを私どもが要求をいたしまして、政府も努力するということを約束されておるのであります。そのうちで、電力関係の石炭の需要量というものについてはどのように抑えられておりますか。またそれの需要増大への目標をどの程度に置かれ、具体的にはどのように努力されるか、この点を伺いたいと思います。

塚本敏夫通商産業事務官(公益事業局長)

○塚本政府委員 お答えいたします。今度の石炭の需要確保につきまして、電力につきましては、従来から電力は石炭の大口消費者でありますので、その点を特に考慮いたしまして、三十八年度二千五十万トン、四十二年度二千五百五十万トン、四十五年度三千万トン、こういうことで長期取引契約を結ぶように現在指導中であります。これは御承知のように、石炭を使いますれば相当経費も周くつくわけであります。そういう面における負担増対策といたしましては、石油関税の戻し税をやるということで、一応電力業界もそういう長期の契約につきましては協力をする、ただわれわれがそういう負担増対策を決定いたしましたのは、三十八年につきまして関税制度をはっきりやりたい、その後につきましては、これは一年ごとにまた延長するかどうかを考える、こういうような制度になっております関係上、電力業界としましては、三十八年度につきましては、そういう負担増対策がありますれば、はっきり二千五十万トンを引き取る約束をいたします、それからその後の四十二年度までの分につきましては、政府に同じような対策をしてもらえれば、同じように二千五百五十万トンを引き取ることに協力をいたします、それから四十三年以降になりますと、これは相当また情勢も変わってくるかもしれませんが、やはり政府において同じような対策をとってもらえ、なお情勢の著しい変化がない限りは三千万トンの引き取りに協力いたしましょう、こういうような状態になっております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 そこで現在各電力会社に入っておる単価のことについて伺いたいと思います。  もちろんカロリーによって違ってくると思いますが、平均はどういうようになっておりましょうか。もちろん遠隔産炭地からの輸送の距離の関係もございますので、各社によって違うのではないかと思うのでありますが、ごく趨勢だけでけっこうでございます。

塚本敏夫通商産業事務官(公益事業局長)

○塚本政府委員 これは、地域によりまして非常に違うことは御存じの通りでございますが、大体の平均で申し上げますと、三十六年の下期、これは平均で非常にラフな数字になりますが、三千七百五十円、それから三十七年の上期、これが三千六百三十円、この程度の価格になっております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 そういたしますと、今度石炭の需要確保、従って石炭対策とのかね合いで、電力用炭の価格安定をはかるために、電力用炭代金精算会社というものを新設されるようであります。これは一体どのような役割を果たさせようとしておるのか、政府出資一億円ということは、予算書に出ておるわけでございますが、精算会社でございますから、どの部分をこの精算会社が引き受けるということになるのか、これからの質問に関連がございますので、お伺いしたいと思います。

塚本敏夫通商産業事務官(公益事業局長)

○塚本政府委員 精算会社につきましては、さっきも申しましたように、石炭の需要は相当大量の部分を電力が占めておるわけでありまして、そういう面で石炭の価格の安定という趣旨から申しまして、電力用炭だけをこの精算会社を通すことによってある程度の価格の安定が期せられるんではないかということで、電力用炭についてこの精算会社を通じて代金の支払いをやる、こういうような制度を考えておるわけであります。しかもその電力用炭につきましては、われわれ目下考えておりますのは、大体九電力会社、これの引き取ります石炭につきましてこの精算会社を通したい、かように考えております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 そういたしますと、これができますと九電力会社の買います電力用炭の代金の支払いは、全部この精算会社を通じて石炭生産者に支払われる、こういうことになるのでありますか。しかもそれは新しい部分をこの精算会社に引き継ぐという考え方でございますか。それとも会社が設立された時限における、端的にいえば前の未払い関係だとか、ペンディングになっているような関係のものは、どこでカットされるとお考えでありますか。

塚本敏夫通商産業事務官(公益事業局長)

○塚本政府委員 これはあくまで、この法律が施行になった以降の分についての購入契約分について適用されるわけでありまして、それ以前の分は、お互いに従来通り決済をしていただく。なお代金と申しましてもいろいろ複雑でありまして、たとえば炭鉱が債権をほかに譲渡したとか、あるいはまた転付命令が出たとか、あるいは炭鉱に事前に融資した分の相殺の問題とか、そういう問題がありますので、そういう点につきましては、通産大臣の省令をもちまして具体的に実情に即した方法をきめたい、かように考えております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 もちろんこの法律が制定されて、新会社が発足されて以後のことだということを言われたわけでありますが、その場合には炭価の契約は各社ごとに行なわれると私は見ておるのでありますが、その点については精算会社は何もタッチしないのですか。また現在の場合に、電力用炭の、いわゆる電力会社の購入価格の問題については、通産省、特に公益事業局として、この点は何らかの指導なり、そういうようなものをやっておられるかどうか。

塚本敏夫通商産業事務官(公益事業局長)

○塚本政府委員 これは、契約そのものは炭鉱あるいは石炭の販売業者と電力会社が直接契約するわけでありまして、精算会社は何らタッチいたしません。それから、なお価格の問題でありますが、価格につきましてはもちろん精算会社を通ずるわけでありますので、精算会社に価格は逐一わかるわけでありますが、それに対して通産省としてどうするか、たとえば非常に上がった場合、非常に下がった場合、そういう場合にどうするかという問題でありますが、これはいろいろ法律にも書いてありますように、炭鉱の全体の基礎をゆるがすような価格の変動のある場合におきましては、個別勧告もできるということにいたしておりまして、それ以外の分につきましては、業者のいわゆる共同購入によりまして価格の安定をはかっていく、こういうような考えで進めております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 その点については、政府出資一億円でありますけれども、それ以外にこれは相当の資金量が要るのではないか、あるいは電力会社の方から精算会社の方への炭代の支払い関係がどうなるかというようなことについてもお伺いをしたいのでありますが、きょうは私の時間の関係もありますので、その点はいずれ法案が出たときに譲りたいと思うのであります。  そこで、この会社ができますと、私がこれから御質問を申し上げるようなことは絶滅を期することができるんではないか、私はこのように考えるのでございますが、電力事業の持つ重要な意味、これは言うまでもございませんし、従って電力会社、もちろん水力、火力の両方がございますし、やがて原子力発電という問題も出て参るわけでありますが、その火力に使います石炭というものは、重油との競合の問題で、石炭産業の一つの危機を招いておるとも言えるのでありますが、そういう観点から見て、各電力会社に対する、今申し上げたようなたとえば石炭代金の問題を含めます経理内容等の問題については、もちろん公益事業令によるところの監査権というものが通産大臣に与えられておると思うのでありますが、その点は現在どのようになっているか、どの程度に行なわれておるかという点についてお伺いをしたいと思います。

塚本敏夫通商産業事務官(公益事業局長)

○塚本政府委員 ただいまお話がありましたように、公益事業令に基づきまして定期的に各電力会社の監査をいたしております。石炭の購入方法のみならず、経営全般につきまして監査をいたしまして、その結果に基づきまして、悪い点があれば警告あるいは勧告を発しておる次第でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 そこで、これは大臣にお伺いをいたしたいのでございますが、私が調べたところによりますと、九電力会社の一つである四国電力について、昭和三十六年の六月三十日に三井礦山及び日本礦株式会社との間で、それぞれ月三千トンずつの納入契約がなされているわけです。そこで、この納入契約にあたりまして、もと四国電力に石炭を納入しておりました宮原隆君がやっておりました会社が——これはその後四国電力の首脳部との間のいろいろな関係がとかくうわさをされ、一部刑事事件にもなっているように伺うのでありますが、その宮原君が納入しておった関係が、会社の倒産のために納入できなかった分の継続だ、俗に電力会社と石炭会社との間でいわれるところの一種の石炭納入権の譲渡を受けたのだ、こういう形で石炭の納入が進められておる、こういうふうに私の調べたところでは出てきておるのであります。一体、この石炭納入権の譲渡というようなもの、あるいは納入ワクの引き継ぎというような関係のものが——これは当然認めらるべき筋合いのものでなく、法令の裏表を引っくり返してみましてもこういうことは出てこない問題でありますけれども、現実にはそういうことは、電力会社側でもいっておりますし、それから石炭業者の間でもいっておるわけであります。これは数年前の、東京電力の、石炭納入にからまる汚職事件の問題から、その後跡を断っておるように私どもは実は考えておったのでありますが、今回偶然の機会で調べてみますと、それが四国電力について行なわれているという数々の証拠というか、具体的な材料が出て参りました。何かこのことについては、率直に申し上げまして前の四国電力社長の宮川さん——後に会長に祭り上げられた、あるいはまた当時宮川社長のもとで副社長であった中川以良君の昇格問題、自民党の参議院議員であります平井太郎君——同社の重役でありますけれども、との関係というような形で、一つの政治的なスキャンダルとして報道もされているし、これは一部刑事事件にも発展をしておる。最近その事件は、告訴者であった中川社長なり平井議員の方から、その告訴が取り下げられたというようなことも聞いておるのでありますが、そういうことも、これは直接仕事のことではございませんけれども、お耳に入っておると私は思うのでありますが、今申し上げたいわゆる納入権問題にからんで、このような事実について、通産省としてお聞きになったことがあるか、あるいはそのことについてお調べになったことがあるかどうか。この点、できますれば大臣からお答えをいただきたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 御質問の、電力会社に納入する石炭について、権利があるかどうかということでございますれば、これははっきり申し上げますが、権利はないと思います。そういう権限というものはあろうはずがない。ただ電力会社は、一年契約をしたり、長期の二年というような契約で業者と契約をしながら、納炭をさしておるようであります。そういう場合に、一年なり二年なりの間に、前の納入していたものが何らかの事情で納入ができなかったという場合に、その残りの分についてほかのものから入れるというようなことはあり得るかと思うのであります。私は実は、今田中さんの御指摘になった事情は、まだつまびらかにいたしておりませんので、それについてとやかく申し上げることはできないと思いますけれども、筋からいって、納入権なんというものは引き継げるものではない、こう思っておるわけでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 私の調べたところによりますと、倒産したときに、その宮原君というのが四国電力から三千万近いものを、仮払いという形で炭代の前渡金らしいものを受け取っておる。そこでこの関係は、日本炭が契約をするときに、日本炭礦から新しく月三千トンずつ納入する炭代の中から、その約三千万円の仮払金を分割償却していく、こういう裏の契約でそれが行なわれている。毎月日本炭礦に支払うべき炭代の中から——月額にして七、八十万円でありますが、三年契約で分割償還するということで、もうかれこれ二年ばかりそういうことが続いておる。これは会社の経理の上にも当然現れてきておるのではないかと私は見るのです。  それから三井礦山の関係につきましては、やはり宮原君の伊豫銀行を中心といたしますいろいろな債務の関係で、三井鉱礦山の関係で月々やはり八十何万円かずつを、新しい炭代からだろうと思うのでありますが、償醸しておる。そういうことから、先ほど私が申し上げて、今大臣も、納入権というようなものは認められないと言われた、その納入権の譲渡の内容が、そういうようなものになっておる。私は別な調査機関を通じて調べたら、その報告書の中にもそういうように出てきておるのでありますが、この点については何かお聞き及びになったことがございますかとうか。かりに私が今——私も根拠を持って申し上げておるし、そういうことについては、当の宮原君が、昨年の十月でありますか、高松の裁判所へ別になにしました刑事事件の証人として、何らかそういう意味のことについて、これは四国電力の首脳部との関係、献金問題等のことではなかったかと推測しておるのであります。私その証書はまだ見ておらないのでありますが、何かそういうことが漏らされておるということもいわれておるのであります。お聞きになっておりますか。もしお聞きになっていないとすれば、この点は、先ほど私が概括的に申し上げました経理の問題に関連することでございますので、通産省としてはお調べをいただかなければならぬ性質の問題ではないかと思うのでありますが、その点はいかがでしょう。

塚本敏夫通商産業事務官(公益事業局長)

○塚本政府委員 その点につきましては、監査課でやっておるということを私もちょっと聞きました。まだ詳しく聞いていないのですが、監査課の方で四国電力を調べまして、そういう問題がある。なおまた、たしか先生からお話があったのじゃないかと思いますが、監査課の方で、そういう問題につきまして調査をしたということを聞いております。その点につきまして、私もまだ詳しく聞いておりませんので、十分調べまして、それにつきましては適当な措置をとりたいと考えております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 過般大坪さんに対しまして、ごく一般的な納入権の問題ということでお伺いをいたしました。先ほど大臣がお答えになりましたような、それは法の建前として認められない筋合いのものだという御回答をいただいたわけであります。今私が申し上げたことも、根拠のある資料に基づいて申し上げておるので、監査課の調べをぜひ一つ急いでいただきたいと思うのでございます。なお、この問題については、当の宮原君が、先ほど申し上げました法廷において、政界方面への献金の問題、端的にいうならば、宮川前社長の方に、あるいは現在の中川社長の方へも、納入権にまとわりつくというか、われわれ野党の立場から見るならば、どうもそういうにおいがいたすのでありますが、そういうことで献金の事実を認めた、もしそういうことになりますと、私一番最初にお伺いいたしましたように、電力業界の石炭需要増大を国の方針としてはからなければならないという現時限において、もし今申し上げたようなことが事実として出てくるというようなことになりますれば、今後十分戒心していただかなければならぬ。もちろん、電力会社としては、いわゆるカロリー計算によって、運賃その他の関係を入れて適正価格で払っているのだという点で、その点は問題はないかもしれませんけれども、問題は、そういう結果、いわゆる生産者である三井礦山なり日本炭礦なりが、そういうものを、電力会社から受け取ったものの中から支払わなければならぬということになりますと、受け取りの単価そのものが安くなる。きょうの新聞によると、三井礦山では一部賃金のたな上げを提案をしてきた、こういうことが報道されておるような時期に、やはり生産者の方としては何としても売らなければなりませんから、そういう条件がついてくるということになれば、それを聞かざるを得ない弱い立場にあります。しかし、弱い立場にあるからというて、いわば法の上からも認められないようなものがそこに横行するということになりますと、そのはね返りがやはり炭鉱の労働者の首切りとなり、あるいは閉山ということになって参りまして、昨年来から引き続き現内閣の政策の最重点に位置されている石炭対策という問題にひびを来たすことになります。たまたま石炭産業も電力事業も、ともに通産省が握っておられるという立場において、この点については深いメスを入れていただかなければならぬ、私はそのように考えるのであります。その点については所管の局として、公益事業局というものがございますけれども、大臣、いかがでしょうか。この点について、石炭産業の振興政策とのにらみ合いのもとに、特にこういう忌まわしい事実を一掃するための努力を思い切って進めていただきたいと思いますが、大臣の所信を伺いたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お説の通り、石炭政策という面もありますが、そういう面以外から考えてみましても、今のような事実があったとしたならば取り締まりの官庁として十分注意をいたし、今後大いにそういう意味で努力したいと考えております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 なおこの問題に関連をいたしまして、これはたまたま石炭納入問題についてでございますけれども、それ以外にも物品の納入その他の関係で、リベート云々というようなことがいろいろ言われておる。しかもそれには、社長とかそういう重要な立場にある人たちが介在しておるということが、別の事件から表になるというようなことについても、通産当局として同時にお考えをいただきたい。  もう一つ、四国電力について疑惑のある問題は、大森川の発電所ダム建設計画に関連いたしまして、水増しが行なわれているということです。私どもそういう技術面のことはまるつきりのしろうとでありますけれども、私が入手いたしました大森川発電所新設工事数量計画書、第九工区関係の会社にある資料の写しでございます。これに直接関係をいたしました、名前を申し上げればはっきりいたすのでありますが、堤一雄当時の土木課長が、この問題について手記を出されておる。その手記も私の手元にあるわけでございますが、やはり技術者の良心から見て、水増しによりますところの——工事費、重機械損料、セメントその他の資材について数億の金が浮かされておる。それがどの方面に使われたかということについての追及は、私別に捜査権を持っているわけではありませんからいたしてはおりませんけれども、そういう問題が投げかけられて、これは会社の内部でも問題になっておると聞いておるのであります。これにつきましては、この工事の関係について、通産大臣に報告いたしましたものと事実とは違うということになり、これは公文書偽造にもなりますので、不都合な問題である。さしあたり四国電力の電力料金値上げ等の問題は起こっておりませんけれども、かりに料金値上げという問題が出てくる場合に、これだけ掘ったということに計画書なり図面の上でできておっても、実際にはそこまで掘っていないということになれば、直ちに出力に影響する問題でございますし、料金の問題に響いてくる問題ではないかと私は思うのです。これはただ単に一電力会社の経理上の問題だというだけではなくて、広く四国電力から電力の供給を受けておる関係に影響する問題だと実は考えます。この点については、私もそういうことで具体的な資料を手に入れておるわけでございますが、一つこれは、公益事業局の職権をもって調べられる事項だと思いますので、お調べをいただいて、これもまた、先ほどの大臣の御答弁の趣旨に沿うて、やはり断固として責任を追及していただく。ほかの電力会社はこういうようなことをやっているとは私決して考えませんけれども、もし間違ってそういうことが出てくるということになりますれば、重大な問題だと思いますので、この際当局のお考えを承っておきたいと思うのであります。

塚本敏夫通商産業事務官(公益事業局長)

○塚本政府委員 大森川につきましては、これはたしか三十四年ころの工事かと思いますが、具体的にそういう事実はまだ聞いておりませんが、先生の御指摘もありますので十分調査いたしまして、そういうことのないように十分監督をいたしたい、かように考えております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 なお伺いたい点がございますが、約束の時間も参っておりますし、なお、新たに電力炭代金の精算会社の関係法案が出て参ると思いまするので、自余の問題につきましてはその機会にまた御質問申し上げることにいたしまして、本日はこの程度にとどめておきます。

中村三之丞自由民主党

○中村主査 午後は二時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      ————◇—————    午後二時四十七分開議

中村三之丞自由民主党

○中村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省に対する質疑を続行いたします。  野原覺君。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 私は、工業用水道の問題と、それからスーパーマーケットについての政府の施策に関しまして、若干お尋ねをしたいと思うのであります。  昨年の通常国会で、ビル用水のくみ上げの規制を行ないましたし、同時にまた工業用水法の一部改正もやったのであります。このビル用水にしても、工業用水法の一部改正にいたしましても、昨年の国会において特に問題になりましたのは、大阪市を中心にした阪神一帯の地盤沈下がはなはだしいというので、これはどうしても地下水のくみ上げを強力に規制しなければならぬではないか、こういう世論の背景もございまして行なわれたことは、通産大臣あるいは建設省当局においても御承知の通りであります。そこで私が政府に対してお尋ねしたいことは、これは通産大臣の所管ではなかろうと思いますが、地盤沈下の現状は一体その後どうなっておるのか。去年あれほど騒いだのが、ことしはうんともすんとも言っていないような状態でございますが、一体もう沈下がなくなっておるのか、それとも依然として沈下の度合いは激しく進んでおるのかどうか、その現状につきまして、大阪、東京、名古屋、四日市、この四ヵ所について御説明をお願いしたいと思います。

柴崎芳三通商産業事務官(企業局工業用水課長)

○柴崎説明員 地盤沈下の現状について御説明いたします。名古屋の一部につきましては、その後自主規制が進みまして、地盤沈下が停止しておる地域が出ております。大阪、東京並びに四日市につきましては、現在まだ工業用水道の建設を継続中でございまして、井戸のくみ上げも以前と大体同じ程度に進んでおるために、地盤沈下の進行状況が大体以前の通りというような状況であります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 最もひどい大阪の周辺では、沈下の現状は以前の通りだということになりますと、一年間にひどいところで二十センチ、これは昨年の国会でも問題になったのでございますが、そうなりますと、十年間で二メートルの沈下を来たす、こういうことに相なろうかと思うのであります。これは大へんなことだろうと私は思うのです。去年の国会ではあれほど騒いだものが、今度は何ごともないかのような状態でありますけれども、依然としてきょうもあすも十センチ、二十センチ、日本の経済の心臓といわれる大阪周辺が沈んでいくことは、これは重大なことだろうと思うのであります。そこでこの沈下を防止するためには、先ほど申し上げましたように、ビル用水のくみ上げを規制しなければならぬ、同時に工業用水道をすみやかに建設しなければならない。こういうことで改正立法なりあるいはその他立法をいたしたのでございますが、工業用水道の建設の進捗状況はどのようになっておるか、これは大臣にお伺いしたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 数字のことでございますので、間違うといけませんから、説明員の方から御答弁いたします。

柴崎芳三通商産業事務官(企業局工業用水課長)

○柴崎説明員 工業用水道の建設状況でございますが、三十八年度の予算といたしまして、新規事業といたしまして新しく七件採択することになりまして、七件の三十八年度の総事業費十三億に対して、補助金が二億七千五百万円と決定しております。それから継続工事につきましては、従来からの継続工事を大幅に促進するという建前で、これは件数は六件でございますが、三十八年度の総事業費八十一億に対しまして、補助金の金額は約十七億であります。いずれも順調に地盤沈下地帯に対する対策というものは進んでおる状況でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 これは通産大臣、あなたが通産大臣になられてからは、このことはあまり問題がない。前の佐藤さんのときには大問題であったのです。そこであなたもそのことは十分認識されておると思いますが、工業用水道の建設は非常に緊急性がありますね。依然として沈下は変わっていないという先ほどの答弁、そうなって参りますと、これは地下水のくみ上げを規制する以外にないのです。そうなれば、ビル用水はある程度の規制が行なわれましたし、ビル用水の影響力というものは、学者の計算によると、実は二0%、二五%です。七〇%、八〇%の沈下の影響を持つ原因は、工業用水道を敷設しないために各工場が地下水をくみ上げておることにある。これをどうしてもとめなければならない。体通産省では真剣に取り組んでおるのかどうか、私は疑わしいのです。地盤が沈んでしまってから水道を敷設してもらっても、どうにもならぬと思うのです。そこでお伺いしたいことは、大阪に例をとって申し上げますと、大阪の工業用水道計画を一〇〇%といたしまして、すでに敷設された用水道は何割であるか、まず最初にお聞きしたいと思います。

柴崎芳三通商産業事務官(企業局工業用水課長)

○柴崎説明員 大阪の工業用水道につきましては、大きく地域を分けますと、淀川の河口地区と、それからいわゆる城東地区、それからさらに臨海地区という三地区に分かれまして、そのまん中をビル用水関係の規制でいくということで大阪市の全域がカバーされる体制になっておるわけでございます。一番早く進んでおりますのは、淀川の河口地区でございまして、この地区は右岸と左岸に分かれますが、左岸地区は大体給水開始の態勢にございまして、この四月以降において給水開始の日を省令で定めまして、それによって地下水のくみ上げも規制するという段階に至っております。それから右岸の地区は、半年ばかりおくれてそういう態勢に入る予定でございます。城東地区につきましては、去年の十月に地域が指定されまして、それに基づいて工業用水道を建設しておる段階でございます。これは完成が大体昭和三十九年ごろになるという見込みでございます。それから大阪の臨海地区につきましては、三十八年の予算で新しく取り上げられまして、従いまして、四月以降において、できるだけ早い時期に地盤沈下地帯としての地域の指定を行ないまして、それと並行して工業用水道を建設して、その完成の時期は大体三十九年度になる予定でございます。  以上を概観いたしますと、現在すでに完成しておるものは、水量的に見ますと、一割ないし一割五分というようなことでありまして、今後の建設に大半がまかされておるという状況でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 通産大臣、お聞きの通りです。一割ないし一割五分しか用水道が完成していない。そうすると、九割ないし八割五分は未完成であります。先ほどの御答弁によれば、依然として十センチないし二十センチ沈んでいきますから、一番ひどいところは三年間で六十センチ。そうなってくると、これは大へんなことでございまして、私どもは、三十九年とか四十年と申しますけれども、これは何をおいても——大した金額でない、これは本年度の予算において財源の措置あるいは起債を認めるという思い切った施策をとるべきではなかったかと思う。  ところが、本年度の予算を見て私が驚いたのは、国はこの法律の改正までして、あれほど国民に地盤の沈下を防止しなければならぬと約束をしておきながら、用水道建設事業費の補助率は一体どうなっておるかということです。昭和三十六年までは四分の一の補助率で計算されておったのが、三十七年から、地盤沈下がひどくなってきたにもかかわらず、政府は補助率を下げた。そして補助率を下げて起債もあまり認めないという状態に置いて、地盤の沈下がやかましくなると、大阪に行って建設大臣や通産大臣がいいかげんなことを言って帰る。まあ、まかしておきなさいというようなことを言って帰ってきて、依然として補助率は四分の一から五分の一に切り下げておる。私は、こういうことはどう考えても納得できないのですが、通産大臣は、この補助率に対してはどういう御見解を持っておられますか。これは、ほんとうを言えば、全額国の金でやるべきです、地盤沈下防止ですから。ところが、それを大阪市民あるいは大阪府に受け持たせている限り、少なくとも相当高額の補助率というものを考慮してやるべきではないか。この地盤の沈下対策としては、五分の一というような、こういう低い補助率では私どもは納得できないのでございますが、通産大臣の所見を承っておきたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 工業用水の問題につきましては、ただいまはあまり声が上がっていないというお話でありますが、通産省としては、これは非常に重大な問題である。こう考えまして、予算の場合におきましても、重点的に実は工業用水の問題を取り上げて処置をいたしました。従って、昨年に比べて、比率からいって予算的には非常に大幅な増額に相なっておることは御承知願えると思うのであります。なお、その際、いわゆる負担率の問題につきましてもいろいろ考慮いたしまして、できるだけ国の負担率を増加するように考えておったのでございますが、国の予算の均衡その他いろいろな面から見まして、今年は一つこの程度にして事業をやってもらおう、こういうことにきまったわけでございまして、今後も国の負担率の増加については大いに努力をいたしたい、かように考えております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 補助率は幾ら本年度の予算要求として大蔵省には出しましたか、承っておきたい。

柴崎芳三通商産業事務官(企業局工業用水課長)

○柴崎説明員 大蔵省に出ました要求といたしましては、妥当割れの部分につきまして三分の二を国で持ち、三分の一を地方公共団体で持つという原則でお願いしたわけでございますが、具体的な比率から申しますと、最低が約三三%、最高が四六、七%という率になっておったわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 私は、この要求はこれはいいと思います。ところが補助率は、結論からいうと、五分の一ですから二〇%です。今課長の答弁によりますと、三三%ないし四七%の要求をしたといいながら、二〇%に押されて、あなたは黙って引き下がる。これではあなたは全力を上げてやっておるとは言えない。口先だけではなく、国が三分の二、三分の一は地方公共団体が持つのだという原則を立つるならば、これはあくまでも強硬に大蔵省に対して要求すべきです。どうなんですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 国の負担率の増加については、努力をいたしたつもりでありますが、しかしながら、大阪だけが実は地盤沈下というわけでもないのでありまして、全国各地にたくさんそういう例があります。そういうところも含めて予算を配分していくという関係等もありまして、今年は金額の方をふやすという方に重点を置いて参ったわけであります。しかし、将来はそういう負担率の増加についても大いに努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 何年計画で工業用水道の完備をなさろうとしておりますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 大体十カ年計画の予定でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 十カ年といえば、これは沈んでしまいますよ。稲田さん、あなたは御承知でないかもしれぬけれども、此花区では二つの町が海底に没しておるのです。あなた、十カ年計画でやるといったら、これは一年に十センチ沈むところでしたならば・十年では百センチ、一メートル沈むじゃないですか。この十カ年計画なんというのは、あなたが先ほど答弁した一生懸命にやりますということとは食い違っております。これはいつときも早くやらなければならぬ。国土の喪失ですよ。領海ということがあるかもしれませんけれども、水面に没した国土は国土ではない。しかもそこには重要な工業地帯が密集しておる。十カ年計画なんという計画はやめてもらいたい。これはいかがですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 大阪のような特にひどいところは、十カ年のうちにおいてもなるべく早期に切り上げてやるということになっておりまして、三十九年度までに完成するわけであります。実は私も子供のと事に、東京では一番地盤沈下のひどい江東地区に住んでおったことがありまして、水つきにあったことがしばしばございます。その点では地盤沈下のことについては心得ておるつもりでございます。これは確かにあなたのおっしゃるように、重点的にやらなければいけません。従って、特に地盤沈下率の多いところを先に取り上げて、まず早期に完成させる、こういう方針でやらせていただいておるわけであります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 そうなりますと、昭和三十九年度の予算措置で大阪の工業用水道の計画は完了する、これは今あなたが明確にそうおっしゃったのですが、よろしゅうございますね。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 現在計画いたしておりますものは完成をいたす予定でございます。これはもちろん、予算的に措置をしても実施がおくれるような場合がございますから、私の申し上げているのは、予算措置として、計画においては三十九年度予算で完成させる予定である、こう申し上げておるのであります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 その計画は実際どうなるかわからないというたよりないことではなしに、あくまでもその計画は実施するのだという決意を披瀝してもらわなければ納得できない。  そこでもう一つお伺いしたいことは、補助金を除く事業費につきましては、一体どういうようなことになっておりますか。これは全額起債でやるべきだと思う。地盤沈下のために、そのことだけに予算を大幅に取られるということは、地方公共団体としてはなかなか容易なことではない。地盤沈下という特殊現象です。だから、国が補助金を出したその残りは、その年度計画内においてやる、そしてその金額というものは起債を認めるべきだと思うのでございますが、事実どうなっておりますか、承っておきたい。

柴崎芳三通商産業事務官(企業局工業用水課長)

○柴崎説明員 地盤沈下地帯に対しての資金措置でございますが、補助金を除いた部分は、現在は実質的にはほとんど全部が起債でまかなわれているのが実情でございます。ただ補助金の額がこれからまた相当増額していく関係もございまして、これを起債と補助金だけでやるという点は、財源的に若干片寄るという面もございますので、通産省の基本的な考え方としましては、国と地方公共団体と、それから原因者である企業と、その三者が協力してこの問題を解決すべきではないかというようなことで、その各地方公共団体の具体的な財政事情に応じまして、いろいろお話し合いを進めているというのが実態でございます。   〔主査退席、仮谷主査代理着席〕

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 工業用水道については以上で終わっておきますが、今ここで通産大臣に質疑の過程で申し上げましたように、これは短期間内に用水道の完備を遂行して下さるように重ねて要望しておきたいと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 今工業用水道の話が出ましたから、私は関連してちょっと伺っておきたいと思いますが、実は私も地盤沈下地帯の最右翼の尼崎におります。今のように補助率が新規事業よりは下がってきたわけでございます。しかし全体を見ると、補助率がもっと多いところもありますね。今度の予算折衝の中でいろいろ見ておりますと、もう少し多いところがある。何かそこは港湾事業等が含まれているとかなんとかいうような主計局の説明も聞きましたが、九州の補助率の多いところ、あれをあなたの方ではどういうように考えておりますか。

柴崎芳三通商産業事務官(企業局工業用水課長)

○柴崎説明員 ただいま適用されております率には二五%と二〇%と両方ございまして、二〇%の率が適用されたのは三十六年からでございます。現在二つの考え方は、四大工業地帯並びにこれに準ずるもの、四大工業地帯につきましては、何と言いますか、その地区の財政事情その他もあり、それからさらに工場の分散のために、あまり集中しない方がいいだろうという考え方もあり、いろいろの観点から二〇%を適用いたしました。四大工業地帯以外の地域は、工業開発を大いに進める必要があるということで、格差を設けまして二五%を適用しておるというのが実態でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そこで、さっきのお話で、これが非常に私は問題があると思います。四大工業地帯が現実に非常に地盤沈下をしておるわけです。尼崎では、大体今でも一年に多いところは十七センチ地盤沈下がある。工業用水道を完備しながらも、なおかつ十分にいかないというのが現実の姿ですね。そうしてみると、現実にどんどん下がっているところは、負担能力があるから二〇%でよろしいのだ。あまり下がってないところ、これから工場が行って、井戸を掘るか、水を使うか、まだ実際にはその地盤沈下に関係のないところは、あなたの話によれば、工場が来るということのメリットにおいて二五%だということになると、さっきの大臣の答弁のように、地盤沈下は非常に重要だから極力やるということは、言葉の上では了解できても、現実にはつながっていないと思うのですが、大臣どうですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 地盤沈下は重要であるということを申し上げましたが、ほかにも重要な項目がたくさんあることは、あなたも御承知願えると思うのであります。でありますから、国の施策といたしましては、いろいろの問題を勘案して、そこにあんばいをしながら予算を編成していくことになることは、やむを得ないところだろうと思うのでありまして、もちろん地盤沈下の問題を軽視するという意味ではありませんけれども、私たちとしては十分それを考えていきたい、こういうわけであります。ただ、いわゆる負担率等の問題につきましては、先ほど来課長が説明もいたしておりましたが、やはりそれぞれ地域の公共団体等にも持ってもらうようなことでいかなければ、国が全部それをめんどうを見るというわけにもいかないかと思います。そうなりますと、その地域の持っておる力も考えてやっていくということも、私は決して不公平なことではない、かように考えておるわけであります。国全体として、国民全体が幸福な生活ができるように政治をやるという意味においては、負担能力のないものに負担させない、負担能力のあるものにやはりある程度よけい持ってもらうという建前は、税金等の考え方からいってもやむを得ないことではないか、それがまた公平に相通ずるのだ。こういうふうな感じを抱いておるわけでありまして、決して私たちは、兵庫だからどうだとか、九州だからどうだとか、そういう意味でものを考えておるわけではございませんから、御了承願いたいと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 いや、実は工業用水道の問題が出てきたのは、御承知のように尼崎が発端でございまして、本来は地盤沈下という問題に関連をして出てきたものです。ですから、地盤沈下があるということが、私は工業用水道に補助がついたそもそもの沿革だと考えておるわけです。そこで、たとえば新潟の例を一つとりましても、新潟における補助率は、御承知のようにその他に比べて非常に高率の補助が行なわれたわけです。それは一体何かというと、やはり地盤沈下のスピードに関係があるわけです。大きさに関係がある。そうすると、地盤沈下の大きさに基づいてそういう補助率に変更があったということが、この問題の沿革であるとするならば、工業用水道の補助の問題は、少なくとも私は地盤沈下という問題の角度からまず見るのが、第一の角度であろうと思うのです。その角度で見た上で、次の問題、これから起こるであろう問題について考えられるべきであって、そのことと、地方公共団体の担税力と言いますか、負担能力の問題とは、やや少し角度を変えてものを見るべきではないか。問題の沿革がそういう格好になっておりますし、実際に受ける被害が、これは通産大臣、よくお考えをいただかなければならないのですが、地盤が沈下してくるために、その地域における工業生産施設全部が、ある面では地下に沈んでいるわけです。ですからそのために、私どもの方では御承知のように高い防潮堤を築いて、外の水が入らないようにして、弔うすでにオランダと同じ状況ですから、一回ごらんをいただきたいのですが、町の中に運河みたいなのがあるんです。その運河は、道路より高いところまで常に水が来ているわけです。雨が降ったら水は川に流せないんです。ポンプで外に出さなければ全部出せない。こういう状態で沈下しておるところでは、これを防ぐために一体何をやるかといったら、防潮堤をどんどんどんどんかさ上げをしていかなければ、南部の工業地帯を保全することはできないわけです。そうすると、その防潮堤を築くために国が使う経済的な負担と、それから今の地盤沈下のために出す工業用水の負担を、国という段階で総合的に考えるならば、工業用水の負担率をふやした方が、もっと早い処置ができて、それによって地盤沈下が防げれば、それだけ国全体としては、防潮堤を築く必要はなくなるわけですから、今おっしゃるように、負担の問題としてよそと比較なさるときには、防潮堤をつくってないところの問題と、現実に水底に沈んでおる町の問題とが同じレベルの線で考えられて、負担能力に差があるからこっちは二〇%だ、こっちは二五%だということは、工業用水に関しては私は理解ができないわけです。いかがですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 堀さんのお話でありますが、もちろん地盤沈下があるから工業用水の問題が出てきたことは御説の通りであります。そこを考えろ、特にそういうことについては兵庫は一番の先覚者であるというお話であったかと思いますが、だれが言い出したかということは問題じゃありません。従いまして、これは公平にやらなければならぬと思います。あなたの仰せになった、防潮堤をつくり、一方において地盤沈下をやるということは、その比率の問題を考えてみると、これは地盤沈下の方を防いだ方がよっぽど得じゃないかというお話だと思います。これはなるほどごもっともな御発言かと思います。そういう点も十分考慮して、関係省と連絡して政治をやりたい。そういう点は、私も、予算などのときに、役所側がセクショナリズムになるということは避けた方がいいという御説には同意をいたしたいと思います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 私は、地盤沈下の問題と工業用水の問題はこれでおきたいと思いましたが、ただいま経企庁の夏島参事官、池田総合開発課長がせっかくお見えでございますから、お尋ねしておきますが、地盤沈下の対策としては緊急にその施策を進めなければならぬということが政府の方針でもあるし、国民の要望でもあります。そこで、経済企画庁としては、この地盤沈下防止のための基本的な対策の考え方があればお聞かせ願いたい。

真島毅夫総理府技官(経済企画庁総合開発局参事官)

○真島説明員 企画庁では、われわれの所管行政といたしまして、地盤沈下対策審議会というのが付属機関としてあるわけであります。その審議会の場を通じまして、この問題の基本的な方向につき検討を進め、それを関係各省と連絡いたしまして行政を推進していく、こういう建前にあるわけであります。この問題につきましては、先般企画庁長官から昭和三十四年八月に諮問をいたしまして、それに対して、三十六年十二月十一日に審議会会長飯沼一省さんから当時の藤山企画庁長官に対して御答申があったわけであります。その基本的な考え方といたしましては、特に工業用水の採取の規制ということにつきまして、工業用水の既設の井戸による採取につきましても、工業用水道が敷設された場合にはこれを全面的に転換させるような措置を講ずるということ、それから次に地盤沈下地域におきます工業用水道の建設の促進につきましては、予算配分にあたって重点的にこれを考慮すべきであるということ、それからさらに冷房用水及び雑用水の採取の規制につきましては、それによって地盤沈下が起こされるような地域につきましては、早急に新設及び既設の井戸による採取について強力な規制を行なうための立法措置を講ずべきである。その方針に基づきまして、先般来工業用水法の一部改正なり、また建築物用地下水の採取の規制につきましての法律が制定された、こういう経緯になっておるわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 ただいま御答弁になられたことは、基本的な考え方というような私の質問でございましたから、実はそういうことであれば私も承知しておったのでありますが、問題は、やはり地下水のくみ上げを規制しなければならない、こうなって参りますと、工業用水道をすみやかに建設しなければならぬのです。ところが、今通産大臣に、あなたが出席される前にお伺いをしておったのでございますが、大阪のような二十センチ近くもひどいところは地盤が下がる。そこが三十九年度の予算、これも責任が持てない。福田さんがそのときまで通産大臣をしておればいい。これは四十年になり、四十一年になり、四十二年になる。だから経済企画庁は、せっかく地盤沈下対策のための審議会を設けて、基本的な方針だけはなるほど御無理ごもっともな文章表現でお述べになりましても、実際地盤の沈下を防止するための具体的な施策ということになると、今の政府は、私はどの程度真剣にやっておるか疑わざるを得ないのです。私が先ほど通産大臣に指摘したのは、たとえば補助率の問題です。こんな地盤が下がるという現象に対しては、全額国が下げない施策をやるべきなんです。地方公共団体には責任はありませんよ。その地方公共団体に住んでおる住民の教育とか、産業とか、それは地方公共団体の財源でやってもよろしゅうございますけれども、これは国が全部やらなければならぬ。しかし、これは国の財政もなかなか容易でないでございましょうから、補助率は少なくとも三分の一と申しますか、五分の三と申しますか、相当大幅な補助率による補助金を出すべきだ。これは去年のこの国会でも要求しておったのです。ところが、今地盤沈下がやかましく叫ばれておるときになって、四分の一あったものを五分の一に下げておる。一体何という認識かと言いたい。地盤沈下の防止は経企庁の所管です。あなたの方のこれは最も責任のある所管でございますが、補助率について経済企画庁は御承知ですか。四分の一が五分の一に下げられておるんですよ。四分の一でも足らぬのです。二分の一でも足らない、こう言われておるのを、五分の一に御丁寧にも下げて、そうして地盤の沈下防止は一生懸命やりますと胸を張って福田さんがお答えになられても、これは私は、はい、さようですかと承知できないのですよ。これは言葉だけの答弁だ。この点経企庁の考えはどうですか。

真島毅夫総理府技官(経済企画庁総合開発局参事官)

○真島説明員 企画庁といたしましては、この地盤沈下という観点から、最もいい政策の方向はどうあるべきかということを主としてこの審議会でやって、そうしてただいま申し上げましたような御答申を得たのであります。そうあることが非常に望ましいと思います。しかし、地盤沈下のほかにもいろいろ重要な仕事があろうかと思います。そういうことは、現実にまた国の財政力なり地方の負担力というようなこととにらみ合わせて具体的にはきめられるべきだと思います。われわれといたしましては、この基本的方針に従って事態がすみやかに解決できるように推進すべき立場にはあるわけでございます。そういった個々の具体的な財源調整ということにつきましては、われわれが直接それにタッチする立場にもないわけでありまして、種々勘案された上で、現状においては最も妥当な措置がとられておるのではないかというふうにわれわれとしては了解しておるわけでございますけれども、なお、御指摘のような点につきましては、われわれといたしましてもさらに検討いたして参りたいと思います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 あなたのそういう考え方だから、全く腰抜けの対策しかとれないのですよ。あなたの方は、基本方針だけ言葉の上で述べるだけじゃないのですよ。経済企画庁としては地盤沈下を防止する責任があるんだ。しかも、抽象的に文章表現だけで方針をうたうのではなしに、補助率については少なくともこの程度のことは国が見なければならぬじゃないかという、その裏打ちのある方針でなくて、一体何の意味がございますか。そういうようなことを言っておるから、通産省も大蔵省もいいかげんなことしかできない、やらない。地盤沈下のほかにも重要なことがあると言いますが、地盤が沈む、沈んだら国がなくなるんですよ。地盤が沈むことと同じ値打の重要なこととは一体何です。海の中に地盤が沈むのですよ、沈んだら何もできないじゃありませんか、ものがなくなるんじゃありませんか。それは国にはいろいろな仕事がある、こう言いたいところでございましょうが、私は地盤沈下ということぐらい重大なことはないと思う。だから、この現象に対しては、時間をとりますからこの辺で今度はほんとうにやめておきますが、一つもう少し本気になって施策を講じてもらいたい。  通産大臣は、三十九年度には、事大阪に関しては完了するという御答弁をされておるわけでございますから、これは速記に載ったわけでありますから、私どもはその成果を大いに注目し期待をいたしておく次第であります。  次にお伺いしたいことはスーパーマーケットの問題です。これは予算の一般質問、それから商工委員会等でも取り上げられておりますが、なおこのスパーマーケットに対する政府の具体的な施策というものが明確でございません。そこで私は重ねてお伺いいたす次第であります。通産省はスーパーマーケットということをどういうように理解しておられるか。定義と言いますか、意義と申しますか、スーパーマーケットとは何ぞやということです。どういう御理解でございますか、承りたい。

影山衛司通商産業事務官(中小企業庁指導部長)

○影山説明員 スーパーマーケットの定義に関しましては、まだ日本におきましては揺籃期で、最近盛んになったばかりでございますので、はっきりした定義がまだきまっておらないわけであります。広い意味で申しますと、セルフサービス方式をとっている店、それから狭い意味で申しますと、日本セルフサービス協会あたりで申しておりますように、単独経営のもとにセルフサービス方式を採用しておる総合食料品の小売店である、そうして年間売り上げが大体一億円以上。これは総合食料品でございますが、そのほかに衣料、雑貨を主力として扱っているものを日本ではスーパーストアと申しております。大体そういうふうな定義になっているかと存じます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 日本ではそういう定義はまだできておらぬと言いますけれども、日本にスーパーマーケットというものはできておるんですよ。日本にスーパーマーケットがあるのに定義ができてないという意味はおかしいじゃないですか。それじゃスーパーマーケットが日本にあるのかどうか、お聞きしたい。

影山衛司通商産業事務官(中小企業庁指導部長)

○影山説明員 固まった法律的な定義はないということを申し上げておるわけでございまして、経済的にスーパーマーケットなるものが存在しているということは確かでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 どれだけあるのですか。

影山衛司通商産業事務官(中小企業庁指導部長)

○影山説明員 広い意味のセルフサービス方式をとっているものという意味で調べたものによりますと、二千六百八十二店ございます。そのうちに年間売り上げで一億円以上の売り上げを持っているいわゆる典型的な大規模のスーパーマーケットというものが約三百八十三くらいございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 二千幾らとか三百八十三という数をおあげになられましたが、そのスーパーマーケットというのは、あなたが先ほど常識的な定義を下された、それによるものですか。

影山衛司通商産業事務官(中小企業庁指導部長)

○影山説明員 二千六百八十二の方は、最初に申し上げました広い意味でセルフサービス方式をとっておるものという意味でございます。それから後ほど申し上げました狭い意味の年間売り上げが一億円以上というスーパーマーケットが二百八十三ということでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 通産大臣も御承知のように、先般東京で中小小売業者の大会がございました。スーパーマーケットが各地でできたために一番深刻な被害を受けておるのが小売屋さんだ、これは私どももわかるのであります。スーパーマーケットというのは大風販売をする、しかも投げ売り、安売りをするわけですね。投げ売り、安売りの大量販売でございますから、小売店に大きな脅威を与えている。ところが、小売店だけかと思って聞いてみますと、問屋さんの方も大きな脅威を受けておる。つまり直接仕入れ、共同仕入れというもので流通機構をはずすのですから、このスーパーマーケットというのはメーカーに直結するのです。だから問屋さんというのはもう上がったりであります。だからこれも非常な脅威を受けておる。それではメーカーの方はどうかというと、メーカーの方も、私は喜んでおるかと思っていろいろ調べてみたのでございますが、必ずしも賛成をしていないのです。なるほど流通経路というものが相当大量に発展する可能性を持っておることはメーカーは認めます。スーパーが大量に安売りをするわけですから。しかしながら、スーパーに商品を渡すということは問屋さんと小売屋さんの反発を招く。小売屋というのは百何十万という店がある。問屋も日本には相当たくさんの問屋がある。そこからの反発がメーカーにこのごろはね返ってきております。それが一つ。もう一つは、スーパーマーケットは安売りでございますから価格の体系を乱す、だからメーカーとしても困る、こう言い出してきておるのです。だからスーパーマーケットの三百幾らが一億円以上の売り上げがあるという御発表がございましたが、スーパーマーケットのできておることが、実は問屋、小売屋、メーカー、こういった流通機構に大きな深刻な影響を与えてきておるわけであります。  そこで、こういった流通機構の責任担当省は通産省でございますから、私がお伺いをしたいことの第一は、一体どのような対策をお立てになるかということです。もっと具体的にお聞きいたしますと、私の住んでおります大阪市東住吉区田辺——これは手紙が実は参りまして私も急に質問するようになったのです。そこの木下という商店会長から手紙が参りまして、針中の駒川商店会に三百軒の各種商店があるが、サカエ薬品スーパーが付近にできたために、そのスーパーの近くにある五十軒は完全に疲弊して廃業しなければならなくなりました——そこで私は、先般土曜日に帰って付近のその辺に行ってずっと調べてみましたら、事実その通りでございます。これは数は五十軒と申しますけれども、針中にできたスーパーの深刻な影響、これは全国に、雨後のタケノコのごとくスーパーマーケットというのはできてくるわけでございますから、片っぱしから小売屋さんというのは非常な被害を受けていくのじゃないか。こういうことに対して当然私は何らかの対策を講ずる必要があると思います。どういう対策を持っておられますか、まずその点から承っておきたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 仰せのごとく、スーパーの問題は、これは一つの重要な示唆を含んでおります。ただしかし、あなたはすでにもうおわかりになっておられると思うのでありますが、大体政治の目標は、消費者を擁護するというのもこれは大きな目標でございまして、通産省は消費者擁護の行政もいたさなければなりません。また、中小企業を擁護するという行政もいたす官庁でございます。そこで、これをどういうふうに調和を保っていくかというところに実は問題点があろうかと思うのであります。また、解決のめどをつけなければいけないのじゃないかと考えております。こういう意味から言いまして、いわゆるスーパーマーケット、セルフサービスの食料品店あるいはスーパーストアという衣料品を中心にしたもの、今お話しのは薬品ということでございますが、そういうふうなセルフサービス的な店ができる。そしてそういうところは割合に人手が要らなくて、しかも品物は安く売るようになると、近所の消費者はまた案外喜んでいるかもしれないということを忘れてはいけないと思うのでございます。というて、今言った小売業者が非常に苦しんでおるということもこれは現実でございまして、そういうものをほっておいていいということにはもちろんなりません。そこで私たちとしては、今後やはり小売業をやったりあるいはまたそういうことをしておる関係者が寄って、できるだけ協業化、いわゆるそういうものに対抗して共同仕入れとか、あるいは共同の建物をつくってそこで営業をするとか、何かそういうような共同の力によって仕事を進めるようにさして、それには政府としても大いに一つ金融なりその他の面で協力をしていく、こういうような考え方で一応やっておるわけでございます。そして同時に、またスーパーマーケットが開かれて非常に大きな影響があるという場合においては、小売商業調整法というものもありまして、お互いの間で小売商とそういうものとの間に紛争が起きるという場合には、その調整法を適用して行政的に何らかの措置をとったり、あるいはまた地方の公共団体の長が中に入って調停したりするようなこともいたしておるのであります。が、それで十分だとは私たちは考えておりません。先ほど来も申し上げましたように、実はスーパーマーケットという英語は日本でつくった言葉だとも言われておるのでありまして、日本的英語と言われておるくらいなんでございます。セルフサービスをやる販売店という意味であろうかと思いますが、SSDDSとか略字で言ったりしておりまして、ディスカウンテッド・デパートメントとか言っておりますから、安く売るという意味が多分に含まれますが、確かにこれは、将来どうしても人手不足ということもありまして、そういう方向が出てくるかと思います。そこで百五十万の小売業者をどういうふうにして擁護するかということについては、今言ったような制度というか、許可制というような問題も含めて考えてみなければならないかと思うのであります。しかし、実際問題としては、最近そういう動きが出てきておりますし、今言ったように、同じセルフサービスといっても、金まで支払っていくセルフサービスのやり方もあれば、出口でもって全部商品を押えて、それが幾らになっておるからといって支払いをするようなセルフサービスもあります。いろいろそういうことや何かを考えてみますと、どの範囲をセルフサービス、いわゆるスーパーマーケットとして認めるべきかということについても、画然たる、いわゆる法律用語として使った場合にこれがめどであるというような意味での定義がまだ出てきておらないというのも、これも実態でございます。従いまして、私たちはこういうこともよく考えながら措置をしていきたいと思いますが、海外からそういうような大企業が出てきてやるということになりますと、これは大問題でございますので、これについては、住友とセーフウェーとの間で話し合いをしてやっておったというので、この間調べに行きまして、三社五綿といわれるあなたのところの大阪の大きな商社を集めまして、何かそんな計画を持っておるかといって聞いてみたのですが、今のところどこもないようです。ただ、住友だけがそういう契約をしておった。ただし、その住友も、非常に世論がうるさいものですから、その金を小売業者に貸してやって、そしてスーパーマーケットをつくらせ、そのかわり、そのスーパーマーケットで売る品物は自分のところから買え、こういうようなやり方で、小売業者を自分が直接出ていって圧迫しないように、少なくともそういう非難を受けないようにしようというようなやり方で考えておるということも明らかになって参りました。もちろん、それではそういうことを全部一ヵ所もしないかというと、東京とか大阪くらいに一店くらいそういうようなものをつくりたいという考えはあるようですが、少なくとも全国的に——セーフウェーというのは、一兆円の売り上げがあるといわれるくらいの大販売店であります。そんな大規模なことは考えていないようでありますが、御指摘の問題は、われわれとしても、実はそういう意味で非常に大事だと思いまして、真剣に取り組んで参りたい、かように考えております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 これは通産大臣、私どもも、ある程度の流通革命が避けられないということはよく承知しております。それから消費者の利益ということを考慮しなければならぬということも、これはお説の通りであります。しかしながら、御承知のように、国は中小小売業者を保護するために、百貨店法をつくっておるわけですね。それから小売商業調整特別措置の立法もいたしておるわけでございましょう。ところが、この百貨店以上の影響力を持ってくることは明らかなのです。このスーパーマーケットというのは、これは百貨店以上になってきます。今日は百貨店の半分くらいなんです。ところが、昨年百二十からできた。昭和三十八年度は私は二百か三百は必ずできてくると思う。そうなってくると、やはり何らかの立法措置というものも考えて、そういった四人以下の零細な小売業者をまたある面では保護してやらなければならぬのじゃなかろうかと思うのでございますが、その点いかがですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お説のような趣旨を体して種々研究を続けておる。できるならばそういうような、具体的にわれわれが自信を持った案ができれば、いつでも国会に提出してけっこうだ、こういう意味で、なおざりにするという意味でなく、勉強いたしておる、こういう意味でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 外国スーパーの、特に今大臣からお話しになりましたセーフウェーと住友商事との問題は、これは説明がございましたから、もう私は触れません。しかし、これは幸いにして、国民世論に押されて住友が手を引いたから、事なきを得たのです、これは相当話は進んでおったのです。これはやはりうわさの通りだったのです。これは大臣も、言外にそれを認めておられる。まんざらなかったここではございませんということである。一兆円からの売り上げの会社で、カナダから、英国から、相当世界的の進出を企画して、そうして日本をねらって、住友との提携を考えてきたわけです。これは一応挫折した形ではございますけれども、アメリカのスーパーマーケットなり何なりが、貿易自由化の波に乗って、これから相当日本に入ってくることは必至だろうと思うのですが、その辺、通産大臣はどう考えますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 日本がそういう意味におけるマーケットとして価値があるというように、外国人がだんだん判断してくるんじゃないかということでございますが、日本が経済力がついてくればくるほど、そういうような意味の目安はつけてくるかと思います。それだからこそ、われわれもそういうことも含めて考えながら対処していかねばなるまい、こう申し上げておるわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 そういう傾向が出て参りますと、外国資本が日本の大きな商社と結託をして日本で経営をする。それがまた非常な成功をする。こうなると、たとえば住友商事に匹敵するような商社が、今度は他の——セーフウェーというのは、何でもアメリカでは第二番だそうでございますが、今度は第一番を連れてきてまたやる。私は、こういうような現象が起こって参りますと、やはり一つの心配が起こってくるんですね。日本の消費市場というものがアメリカ資本に完全に支配されるのではなかろうかという——これは杞憂であれば幸いでございますが、そういう心配を持ってくる。そういうことは断じてさせるべきではない、外国スーパーの日本進出は阻止すべきだという基本的なお考えを通産大臣が持っておるのかどうかということですよ。幸いにして、住友とセーフウェーの場合は、あなたの御説明で私は引き下がります。けれども、基本的な腹がまえの問題、外国の巨大資本が日本の大きな商社と結託をして、日本の民族資本と申しますか、日本の消費市場を完全に支配するようなことは、やめさせなければならぬという方針をお持ちであるかどうか、承っておきたいのであります。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 言葉の問題で申し上げたら恐縮ですが、完全に支配するなんということは、たといだれが考えたってできるものでもありません。しかし、相当影響力のあることがあっても大問題だと思うのでありまして、それだからこそ、私は、企業局の次長を大阪までやって、そうしてあなたが御存じの二社五綿というような、いわゆる三井、三菱、あるいは東棉その他の業界とも相談——どういう考え方を持っておるかということを聞いて、今そういう考えは全然ありません、日本においてはそういうような反対の空気もあるので、そういうことは考えておりませんということですから、私の見るところでは、今直ちにそういう問題は起きないとは思っておりますが、しかし、将来の問題を考えると心配であるから、そういう問題も含めて一つ研究をしてみたい、かように申し上げるわけであります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 そういたしますと、外国資本が、このスーパーが日本に入るということについては好ましいことではない、こう受け取ってよろしいですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 現段階においては好ましくないことであると思っております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 現段階においては好ましくないから、そういう方策はとらない、そういうことがあったならば、あなたが大阪までわざわざ人をやったごとく、必ず何らかの処置をする、こう受け取ってよろしいですね。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 大きな影響を与えるという認定があれば、もちろん措置をいたしたいと思います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)分科員 以上で終わります。

仮谷忠男自由民主党

○仮谷主査代理 堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 私は、日本の今後の鉄鋼業の問題につきまして、少しお伺いしたいと思います。実は私、少し技術的にこまかい資料上の問題を事務当局としばらく論議をいたしますから、政治的な判断については大臣の答弁を求めますが、よくお聞きを願いたいと思います。  最初に、経済企画庁の調整局長にお伺いをいたします。  昭和三十八年度の鉱工業生産の見通しにつきましては、皆さんの経済見通しで、指数で一三六・二%、増加率で六%の増加を見込んでおられます。そこで、一三六・二、六%の増加を見込まれた理由は一体何か、お伺いをいたします。

山本重信総理府事務官(経済企画庁調整局長)

○山本(重)政府委員 鉱工業生産の指数をはじきます場合には、いろいろな方法を用いて試算をいたしまして、最終的には達観して決定をするわけでございます。一つの方法は、各業種ごとに、過去のトレンド、今後の需要の動向等を見て——これは主として通産省にお願いする分野でございますが、積み上げて計数を出しておるということです。それからもう一つの方法は、各需要部門ごとに、消費とか輸出とか政府の財貨サービス購入とか、それぞれの需要の伸びから、影響係数をかけまして大体の動向を出す、そのほかの方法もいろいろ考えますが、そうした方法を総合して最終的に決定をいたしております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そういたしますと、皆さんの方では、実は割に詳しいものをお出しになっておるわけですね。鉱工業全体としては六・〇でありますけれども、あと、鉱業、製造工業以下各業種についてのこまかい増加率を発表されております。こういう発表というものは、当然今お話しになったようなトレンドを引き伸ばしてきたものと需要部分とのかみ合わせになると思いますが、ここに出されておる形で分類をする点にちょっと問題がありますけれども、あとで議論をいたします関係上、こういう格好でお伺いをしたいのです。建設業というくくり方をしてみると、建設業の三十八年度の需要の増加は一体どのくらいに見られたのですか。

山本重信総理府事務官(経済企画庁調整局長)

○山本(重)政府委員 ただいまの鉱工業生産の分類の中では、建設業という関係の分類はいたしておりませんので、そういう作業はしておりません。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 通産省の統計によりますと、特殊分類には建設材という分類があるのですがね。それじゃこれは建設業とは無関係なんでしょうか。建設材と建設業とはどういう関係でしょうか。通産省から答えていただいてもいいです。

有馬駿二通商産業事務官(大臣官房調査課長)

○有馬説明員 建設資材と申しますのは、必ずしも建設業に使われるものじゃございません。内容を申し上げますと、セメント、それから鋼材の一部、耐火レンガ、鉄鋼のいわゆる高炉を建てます原料、そういうようなものまで入っております。私どもが予測いたします場合には、建設業の活動という直接なものにいたしませんで、公共事業がどういうふうになるか、それから民間の設備投資がどういうふうになるか、住宅がどういうふうになるかということから、その関係の物資を計算いたすわけでございます。従って、建設業がこうなるという——間に一つ入るわけでございますが、それを除きまして、一応それの最後の需要要素から計算しております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、通産省は建設業というくくり方はやらないのですか。

有馬駿二通商産業事務官(大臣官房調査課長)

○有馬説明員 建設業というのは、直接私どもの所管ではございませんので、建設業の活動という意味では、私どもの方では計算いたしておりません。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そこで、重工業局長にお伺いいたします。あなた方の方の需給見通しの中の積み上げ部分に、建設業というものがありますね。そうすると、これと今のこちらとはつながらないのですか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 私の方で出しましたやり方は、三十六年度に建設業がどれだけの鉄鋼を使用したという需要を、三十八年度にどの程度になるかというように伸ばしただけであります。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、さっきの建設資材の中における鉄鋼というのはわかるわけですか。

有馬駿二通商産業事務官(大臣官房調査課長)

○有馬説明員 建設資材の中で占めます鉄鋼の量はわかります。いわゆる普通鋼鋼材その他の中の一部であります。何を建設資材にしているかということはわかっております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 今の積み上げをする場合に、そういう部分的要素の前年の比率というものは、鉱工業生産の基礎の中で把握できますか。

有馬駿二通商産業事務官(大臣官房調査課長)

○有馬説明員 御質問は、詳細につきまして普通鋼鋼材がどれだけ建設に使われたかという意味でございましょうか。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 実は、今ちょっと狭いところへ入ってしまってまずいのですが、要するに、鉱工業生産の形で出されたものはそれなりにわかるわけです。それから、片方需要の方で、同じ通産省がつくられている資料で、どうもそこにつながらない格好のものが一つあるわけです、率直に言うと。しかし、トータルとしての問題としては、やはり鉱工業生産の伸び率に関係を置いて見ておられると思うのです、片面のトレンドとしては。鉱工業生産に対する弾性値で、このくらいの鉄鋼の需要が生ずるだろうというものを見て、それをまた積み上げて計算して、検算をしておられるものと私は思うのです。ところが、その検算の仕方が、片や鉱工業生産で伸ばしてきているから、それを鉱工業生産指数で分類されているような形の中へ戻して積み上げてあれば、統計的に非常に見やすいわけですけれども、非常に見にくい点があるので、その点をさっき伺ったのですが、むずかしいので、ここまでにします。  次にお伺いしたいのは、この六〇%の伸び方で、上期と下期に分けて、一体どういう伸び方を持つと想定しておられますか。

山本重信総理府事務官(経済企画庁調整局長)

○山本(重)政府委員 鉱工業生産の年度内における動向につきましては、大体の傾向として、三十七年度は鉱工業生産自体が若干下降してきておりますので、そのあとを受けて、来年度当初はどうしても横ばいないし若干上がっても非常になだらかな上昇で、そうしてある段階から本格的に上昇する、こういうふうな考え方を持っております。ただ、計数でそれがどういう足取りをとるかということにつきましては、実は正確な数字をはじいておりません。ただ、かりに六%の上昇というのを途中を抜きまして、それでは年度末にどうなるかというふうに想定して計算をしてみますと、年度の初めと申しますか、これは四半期の計算でありますが、三十七年度の第四・四半期が一二七・九でございまして、三十八年度の第四・四半期が一四一・二という数字がかりに計算すれば出ます。しかし、大勢は先ほど申し上げましたような傾向をたどると思いますので、一直線にいくよりは、むしろ最初がなだらかで、後半にやや立ち上がっていく。従いまして、年度の終わりの高さは、今申し上げた数字よりはある程度高くなるであろうということを考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 実は私、二年ばかり、鉱工業生産指数の問題を予算委員会あるいはこちら、大蔵委員会等でやっているのですけれども、見通しですから、これは一つのポスト・ガイドだと言えばそれまでなのですけれども、特に、私は、通産の問題については、非常に生産に関係がありますから、もう少しきめのこまかい、せめて四半期別程度の鉱工業生産の伸び方等は、一応見通して組むべきではないかと思うのです。わかりました。大体わかったことは、前期おおむね横ばい、後期で伸びる。そうすると、後期の伸び方は年率にして、前期が横ばいで全然伸びがないと仮定をすれば、一・四半期、二・四半期が伸びないと仮定をすると、三・四半期、四・四半期は年率一二%で伸びるということになりますね。いいですね。そういうふうになるのか。第三・四半期は一0%ぐらいだ、そうすると、第四・四半期は一四%、これは相当異常な伸び方になるわけですね。そうすると、そういうふうに予測できるのですか。

山本重信総理府事務官(経済企画庁調整局長)

○山本(重)政府委員 ただいま申し上げましたように、計数につきましては、正確な数字をはじいておりません。と申しますのは、鉱工業生産に非常に大きな影響を持ちますのが、在庫投資あるいは設備投資の動向でございまして、特に在庫投資につきましては、統計資料がきわめて不備でございますので、いろいろ数字をいじりましても、非常に大胆な推測をするにとどまりますので、そうした計数の積み上げ計算はむしろこの際いたさなかったわけでございます。ただ、傾向といたしましては、ただいま堀先生の御指摘のように、どちらかと言いますと、年度末に近づくに従って加速がつくというふうに考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そこで、今おっしゃったことで、来年度の見通しについては、設備投資は八九・二%、在庫投資は同じ横ばいだと見ておいでになるわけです。在庫は特に一番問題がありますから、私もあまり触れませんけれども、そこでちょっと伺いたいのですけれども、これは企業局長の方に伺いますが、来年度における鉄鋼の新規設備投資の見通しですね。要するに、継続投資は過去との関係があるでしょうが、そういうふうにお伺いしていいかどうか、年度全体の鉄鋼の設備投資を比較した方があるいはいいかもしれませんが、三十七年度の鉄鋼の設備投資と三十八年度の鉄鋼の設備投資の差ですね、今どのぐらいに見ておられますか。

佐橋滋通商産業事務官(企業局長)

○佐橋政府委員 三十八年度の鉄鋼関係の設備投資は、二月二十日現在で目下調査中でございまして、三十八年度の見通しは現在持っておりません。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 持っていないと言えばそれまでですけれども、そうすると、わからないということですか。あなた方として、このぐらいが望ましいというのはあるのじゃないでしょうか。それもまだないのでしょうか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 御承知のように、三十七年度の設備投資のまだ実績見込みでございますが、大体二千二百億程度になろうかと考えております。  三十八年度でございますが、過去の経験からいいまして、継続投資が千五百億程度は最小限度あろうかと思います。そのほか、多少増強等も部分的にはあろうかと思います。従いまして、三十八年度の設備投資は、先ほど企業局長がお答え申し上げましたように、今集計中でございますので、確たる数字はわかりませんが、私どもの勘で申し上げますと、大体二千億程度のものになるのではなかろうか。その中には、大きな新規投資といいますか、そういうものは、工業立地の関係、用地の関係等の費用は多少入ってくるかと思いますが、その他の面ではあまり大きなものは入ってこないのではなかろうか、かように考えます。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 前段で少し点検をさしていただいた部分が少しわかってきましたが、ちょっともう一つお伺いしたいのですけれども、これは企画庁の方だろうと思いますが、船舶ですね。船舶の三十八年度の需要といいますか、これは機械工業として皆さんの方は全部入っているのだと思うのですね。ちょっとそれを確かめますけれども、鉱工業生産のうちの生産指数としての機械工業は、一般機械、電気機械、輸送機械、精密機械という分類になっているわけですけれども、その輸送機械の中には船舶は入るのでしょうか、入らぬのでしょうか。

有馬駿二通商産業事務官(大臣官房調査課長)

○有馬説明員 船舶も入っております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、その船舶だけ取り出してお答えいただけますか。

有馬駿二通商産業事務官(大臣官房調査課長)

○有馬説明員 三十七年度と三十八年度と比べますと、ほんのわずかの増。船の竣工するベース、いろいろのベースの取り方がございますが、竣工ベースをとりますと、少しふえるのではないかと思っております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 着工ベースではわかりませんか。

有馬駿二通商産業事務官(大臣官房調査課長)

○有馬説明員 ちょっと今手元に資料を持っておりませんのでわかりませんが、詳細な数字は取り寄せまして後ほど申し上げます。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 あとでそれをお伺いをいたします。  そこで、私が前段で少しこまかなことを聞きましたのは、実は、今後の鉄鋼の需要の分析を少しきちんとしたいと思いましたので、少し論議を今して参ったわけでありますが、そこで重工業局長にお伺いをいたしますが、三十七年度の鉄鋼の需要と三十八年度の鉄鋼の需要の伸び方というものは、一体幾らでしょうか。ちょっと土台の数とあわせてお答えをいただきたいと思います。これは普通鋼材で伺いましょう。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 三十七年度の内需と輸出とございますので、分けて申し上げますが、内需につきましては、千六百五十七万トンが内需の数字、かように考えております。それから三十八年度は、これも現在はまだ試算中でございまして、さらに検討しなくてはならない、かように考えておりますが、今の段階では、一応千七百四十二万トン程度を考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そういたしますと、千七百四十二万トン、私ちょっと資料をいただいておりますので、これは一応鉱工業生産の伸びを土台として試算をなさったわけですね。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 さようでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 なるほど、伸びで見ると、こういうのが出るかもしれない。私は、あなたの方の部門別需要見込みというものを少しこまかく分析してみました。一体あなた方が今出していらっしゃる試算が正しいかどうか、これは試算ですから、間違っているからどうと言いませんけれども、ただ、私がここで少し論議をしたいのは、試算にしてもいささかどうもロジカルでないという感じがいたします。まず最初にお伺いいたしたいのですけれども、今おっしゃった分は、何か出荷ベースの差で引いてあるようで、ここに出ておる部門別の需要見込みとしては、千六百十五万七千トンと千七百六十九万トン、こういうことで分類がされておりますね。この分類をされておりますものの差と見ますと、内需で百五十三万三千トン差があるわけです。この百五十三万三千トンというものは、あなたの方のお出しになった業種別の寄与率で分析をしてみますと、一番寄与率の高いのは建設業の使用するもので、寄与率二三・二%、その次はその他販売業、どうもこのその他販売業なんというのは、分類上まことにこれは困るのですが、これが二二%、その次はここでは機械、電気機械、自動車、こういうふうになっていますが、船舶までを含めて、私は、さっきの機械工業の生産とつながると思います。これが寄与率で、これだけ全部をくくれば二五・四%ということになる。そこで、私ちょっとお伺いしたいことは、寄与率としてはそういうところが大所ですから、ここの中の分析をもう少し進めてみればいいわけですね。それで、機械工業については、経済企画庁の方では伸び率を一・七%に見通しをお立てになっておりますね。機械工業の総計としての生産指数は一・七%です。ところが、あなたの方でお出しになった機械、電機、自動車、船舶についてはどういうことになっているかといいますと、機械が一三%の需要の伸び、それから電機が一0%、自動車が一0%、船舶一八%の需要の伸びがここに見込まれているわけです。鉱工業生産が、機械として全体で一・八%しかふえないときに、需要部門別に見て——これは私加重平均していませんが、どっちにしたって一二、三%、鉄の需要が一二%あるということはどういう理由ですか、一つ納得のいくように説明していただきたい。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 御提出しております資料は、先生がおっしゃいました千六百十五万トンと千七百六十九万トンといいますのは、出荷ベースの数字でございます。従いまして、この中には在庫をどうするかという——たとえば三十七年度におきましては、出荷はこの程度でございましたが、これ以上に需要者といたしましては手持ちの在庫を食いまして生産したという面があるわけであります。従いまして、買わずに自分の手持材でやったということでございますので、消費ベースといたしましては、先ほど申し上げましたように、これに四十万トン程度足していただかないと需要ベースが出ないわけです。それから三十八年度は、そういうように三十七年度に需要者が手持在庫を食いましたので、それを補てんするという意味の出荷があるわけでございます。従いまして、ほんとうの需要といいますのは、在庫補てんを引いたもの、これを一応二十七万トン程度考えておりますので、千七百六十九万トンから約二十七万トンを引きますと、先ほど申し上げました千七百四十二万トンという数字になるわけでございます。従いまして、鉱工業が伸びてどの程度鉄鋼の消費があるだろうかという面を考えます場合は、先ほど申し上げました千六百五十七万トンと千七百四十二万トンを御比較願いたい、かように考えております。そういたしますと、伸び率は五%であります。それから先ほど、機械の鉱工業生産の伸びは一・七%にもかかわらず、自動車あるいは船舶等について、この需要見通しでは上がっておるのではないかというお話でございますが、これは先ほども申し上げましたように、出荷ベースの数字でございますので、三十七年度に手持在庫を船舶業者なり自動車業者が食いましたので、それを補てんする意味の在庫補てんの出荷が入っておるわけでございます。例にあげられました電気機械について、一0%の伸びになっておるのでありますが、このうち、在庫補てんが五%ございまして、需要の伸びは五%と見ておるわけでございます。それから次の自動車につきましては、一一%の伸びでございますが、そのうち、在庫補てんが五%程度ある。従いまして、実質的な消費の伸びは六%である。それから船が非常に大きくなっておりますが、私どもの今の見通しでは、船関係の消費需要はふえない。むしろ、この一八%と申しますのは、ほとんどが在庫補てんである。三十七年度に造船業者が自分の在庫をほとんど食いつぶしましたので、それを三十八年度は補てんするだろう、こういう見通しのもとでこういう数字を出しておるわけでございます。そういう食い違いがございますので、この表の数字だけでは鉱工の業生産伸びとマッチしないわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうしますと、今お話しの需要の方と出荷ベースの差というのは、三十八年度では二十六、七万トンですね。ところが、今のあなたのお話の分だけ足してもそのくらい出てしまいますね。あとはそうするとどうなるでしょう。その差だけではなくて、もうちょっと内訳を聞かなければならなくなるのですがね。要するに、その増加率の中で、機械が七万トン、電気機械が五万八千トン、自動車が九万四千トン、船舶が十八万トン、こうあるのですよ。そうすると、その増加率の中で、十八万トンは要するに在庫補充だということになりますね。その次の今お話しの自動車の九万四千トンの半分は在庫補充だ、ここで四万五千トンでありますから、二十二万トンほど出ますね。この差の二十二万トンはこの二つだけで出てしまうのですがね。それでは一体在庫補充の全体としてはどのくらいなのですか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 出荷ベースでは約百五十万トン程度出ておりますが、そのうちで、実消費のふえの分が九十万、それから在庫補てんの分が約六十万トン、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 今両方並べて百五十三万トンのうち、実消費は九十万トンしか伸びないわけですね。そうすると、実消費が伸びる部分というのは、これはそういう資料になっているのならば、私はこういう資料をいただいたのでは、議論にならないわけです。あなた方はこういうものであれしておられるが、よくわからないわけです。大体実消費を出さないで、出荷ベースと全部まぜこぜにして伸び率などを見なければならぬような資料じゃ、資料としてはまことに拙劣だと思うのです。だから、その点はもうちょっと私どもがお願いをしたときは——こうやって勉強しているわけですから、あなたをとっちめてどうこうという気持じゃないですから、建設的にものを考えている者にとっては、非常に難解な資料だということで、ちょっとまずいのですが、まあいいです。  そうすると、九十万トンの実消費の伸びというのと、鉱工業生産の伸びがマッチをする、こういうことになるわけですね。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 さようでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、その九十万トンというのは、今のあなたのおっしゃる中で、鉱工業生産の六%の八割くらいだということで、この前との関係ではそれは合いますか。個々別々の——あとで私計算し直しますが、今私が見ただけでは、ちょっと感じとしては、どうも合わないような感じがしますが、全部科目別に見て、機械なら機械が一・八%、それでおさまりますか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 これの見通しを立てましたときは、やはり鉱工業生産の伸びと、それから各業界の在庫の関係その他の今後の動きをヒアリングいたしましてやったわけでありまして、そこら辺は大体マッチする、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、よくわかりました。年間で鉄鋼需要は、普通鋼材については四・八%ということを一応前提として、ものの話を進めるようにいたしますが、ちょつともう一つ伺っておきたいのは、在庫の問題でございます。  在庫については、大体は、皆さんの方では第三・四半期の終わりの在庫はおわかりだろうと思いますが、ここには数が出ておりますけれども、いただいておる資料の第三・四半期の期末在庫、これは実績でしょうか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 実績見通しでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 十一月末は実績がありますか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 実績は二百三十九万トンであります。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、この第三・四半期の終わりの二百二十四万八千トンというのは、修正の必要があるように思いますが、どうでしょうか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 御承知のように、十月から市況対策といたしまして、減産をある程度強化したわけであります。従いまして、その効果というのが十一、十二と現われて参りますので、多少数字の食い違いはあると思いますが、大勢といたしましては、下期の二百二十四万トン、十一月の二百三十九万トンというのは正しい、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 いや、二百二十九万トンはいいですよ、それは実績ですから。十二月の終わりが二百二十四万トンで、十五万トン在庫が減ることになるのです。しかし、私はこれを拝見していると、在庫はずっと十一月までふえているわけです。減っていないのですよ。だから、一体どうして十二月で減るのか。大体私どもの聞いておるところでは、十二月というのは、割合に何だかんだといって増産をするように聞いておるものですから、そうすると、在庫がふえこそすれ、十二月には減らないのじゃないかという感じがするわけです。おそらくあなたの方の第三・四半期末の在庫というのは、少し少な過ぎるのじゃないだろうか、こういう感じがしますが、どうですか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 確かに普通の形でいきますと、おっしゃる通りだろうと思います。しかし、今年度におきましてはは、在庫も相当ございますので、先ほど申し上げましたように、片一方では十月から減産の強化を行なったわけであります。それから片一方におきましては、御承知のように、十二月、一月は私どもが予想した以上に品物が動いたわけであります。これは、御承知のように、減産強化の影響によりまして、いよいよ鉄鋼市況も底入れをしたのじゃなかろうかというような気配もございまして、荷動きが少し活発になりました。そういう面で出荷もふえた。そういう意味合いにおきまして、私どもは、下期の十二月の二百二十四万トンという程度にはなっておる、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 調査課長、あなたの方では十二月の期末在庫は出ているのじゃないですか。

有馬駿二通商産業事務官(大臣官房調査課長)

○有馬説明員 メーカーの在庫はわかっておりますが、ディーラーの在庫の方がわからないわけであります。メーカーの在庫につきましては、ちょうど十一月と十二月を比べますと、約五万トンほど減っております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 それはけっこうです。大体ディーラーの方でも十万トン減ったということもあり得るでしょうから、ここは大体いいのだと思います。  そこで、この資料を拝見しながら、どうもそうなりますと、私も非常に憶病になりまして、この資料ではものが言えないわけですよ。出荷ベースになっていて、実消費でないなんということになると、一々引き算をしないと話にならないので、論議が非常に進めにくくなるわけですが、これはそれとして、少し大まかな議論にしますけれども、さっきから、鉱工業生産については大体横ばいだ。そうすると、第二・四半期まで横ばいだとしますと、鉄鋼の生産というものも、需要がついてこなければしょうがないでしょうから、九月ごろまでは横ばいと見るべきでしょうね。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 大体そういうふうに考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そこで、私がきょうお伺いをしたいところへいよいよこれから入るわけですけれども、実は最近特に非常に大量生産、合理化が進んできて、ホット・ストリップ・ミルがあっちこっちで新設をされておるわけです。この間から新聞紙上をだいぶにぎわしておりますのは、実は住友金属が、自主調整の中で、困るから何とかふやしてくれというのが、新聞に少し出てきたものですから、私は、かねてから設備投資及び操業度、こういう関係は、特に私尼崎市にいて、鉄の関係があるものですから、関心を持って見ておったのですが、ははあ、ようやく問題のくるところにきたなという感じが今しておるわけです。  そこで、お伺いをいたしますけれども、ホット・ストリップ・ミルの現状における設備の稼働力を含めてですが  稼働力といいますか、キャパシティですね、キャパシティを含めて、現在は一体どのくらいあるのか、今後近い将来に操業を予想されるホット・ストリップ・ミルの生産能力というものはどのくらいあるのか、それをお伺いいたします。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 ホット・ストリップ・ミルの月産能力八十四万五千トンございます。それから、三十七年十月の実績で申し上げますが、生産数量が約六十七万トン、こういうことになっておりますので、稼働率は七九%、こういうことになっております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 それは既設のものでしょうが、その後、今後新設をされるものがありますでしょう。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 今後新設されますものが、月産能力にいたしまして十七万五千トンを予定されております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 今お話しになったのは、十月で切ってありますけれども、私が少し調べて見てわかったところでは、大体、今おっしゃった八十四万五千トンのうち、住友金属が持っておる十二万五千トンというのはあまり稼働してないようですね。率直に言うと、これを差し引いたのが大体フルに動いておる部分だ。あとの十七万五千トンというものはこれから新規に出る。それを合わせますと約三十万トン新規設備があるわけですね。だから、全体を合わせると約百万トンになるのですよ。百万トンのうち三十万トンというものは大体新規設備だと私は見ているわけです。  そこで、一体これはいつごろから稼働するのですか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 十万トンの設備が一つございますが、これが四月から、それから七万五千トンのものですが、これが三十八年の十月から、こういうことになっております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、少なくとも四月から十万トン動き出すわけですからね。能力としては今のものに新たに十万トンふえて、そうして、ともかく四月から十月までは鉄鋼の需要はふえないわけですね。稼働力は十万トンふえる。今現状としては、すでに十二万五千トンのものがあまり動いてないというのでもめているわけですね。一体これは今後どうなりますか。こういうふうに大量の設備なるものがどんどん動き出してくる。鉄鋼の需要の方は十月までは一応横ばいだとあなたはっきりおっしゃったですね。そうすると、機械を動かさないということになりますか。どうなりますか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 現在、御承知のように、鉄鋼業界は非常に不況でございまして、減産体制に入っておるわけでございます。特に、ホット・ストリッフ・ミル関係の設備は、これは御承知のように薄板と厚板と両方できる面もあるわけでございますが、いずれも減産体制に入っております。需要は伸びないということでございますので、新規設備を動かし得るかどうかというのが、御指摘のように非常に問題になっておるわけでございます。私どもといたしましては、せっかくできました新規設備でございますので、これを全然動かさないということも、会社経営といたしましてはむずかしい面が出て参るわけでございます。その面は、やはりその会社として今後どうなるか、ほかの品種もつくっておりますので総合的に考えなくてはなりませんが、もし非常に会社自体としてその設備を動かさないことによって困るというような事態におきましては、既存のメーカーといいますか、すでに動かしておるメーカーと十分話し合いの上で、これはなかなか一気には新規設備を動かすわけには参りませんが、多少譲り合って、その設備も多少動かしていく、こういう措置を従来からとっておるわけでございます。今後需要が急激にふえませんで大体横ばい程度でございますので、どの程度そういう措置ができるかというのはなかなかむずかしい問題であります。考え方といたしましては、できるだけそういう方向で話し合いを進めるように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 多少という話が出ましたから、これは非常に抽象的なんですがちょっと私お伺いをしたいのです。キャパシティが月間十二万五千トンあるホット・ミルで、あなたのおっしゃる多少の動かし方というのは、一体何トンぐらいです。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 これは計算いたしますと非常にむずかしい問題になります。大体、私の感じ、従来の経験から言いますと、やはり能力の三〇%程度まではできるだけ早い機会に動かしたい、こういうのが今までの考え方でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、ちょっとお伺いいたしますが、今問題になっている住友というのはどうなんですか。あなたのおっしゃる三〇%に届いていますか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 十月の実績が二二%程度稼働可能の実績になっております。その後多少手直しをいたしておりますので、三〇%までまだいってないかと思いますが、二五%程度には少なくともいっておる、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 私、何も住友だけの肩を持っているのではないのですから、そこは了解してもらわなければなりませんが、あなたが三〇%とおっしゃいましたから、三〇%ということになると、十二万五千トンですから、三万七千五百トンぐらいになりますね。だから、それはもう通産省としてはともかくそこらあたりまでは今後伸ばしてやりたいのだ、こういうふうに一応了解をします。  そうすると、その次へ来るのが、東海のホット・ミルが十万トンですね。これは四月から始まるのですから、しばらくは試圧をやったりしてすぐは動かないでしょうが、そうすると、これは大体いつごろまでに三〇%になるように期待をされておりますか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 従来、新規設備が動きました場合には、先ほど申し上げました方針で、大体一年以内ぐらいにある程度の稼働率に持っていくという方針をとってきているわけでございます。大体需要が伸びます場合はそういうふうになったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、非常に不況の時期でございますので、一年以内になかなかそこまで持っていくことはできないと思います。しかし、例として住友の関係が出ましたので申し上げますが、住友のホット・ストリップ・ミルが動きましたのが昨年の三月、現在それがようやく、先ほど申し上げましたように、二四、五%という程度でございます。従いまして、東海製鉄の関係でございますが、四月から動くわけでございますが、これが二五%とか三%になりますのは、今の状況で推移いたしますと、やはり一年以上かかるのではなかろうか、かように考えます。

仮谷忠男自由民主党

○仮谷主査代理 堀さんに申し上げますが、あと十分で一時間になりますから、どうぞ御協力願います。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 十分くらいで終わります。そこで、私はよくわかりましたが、しかし、一年後に二五%でもいいですけれども、そこへいくまでに全然動かさないというわけにはいかぬでしょうね。能力十万トンの機械を全然動かないというわけにもいかない。そうすると、五%なら五%としても、一0%として見ても、これは大きいですからね。十万トンですから、一0%としても一万トン出ちゃうわけですね。そうすると、あなたの方の今の四〇%減産ということですが、どこからまたつぶしてこなければならぬということになるわけですね。そういうことはさっきの住友なんかもそうだと思いますけれども、業界内部でうまくいきますか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 いろいろ過程においては問題がございます。と申しますのは、各社とも減産に入っておりまして、非常に経営状態が苦しゅうございます。いろいろ問題がございますが、今の市況を克服いたしますためには、やはり最終的には鉄鋼業界全体が協力して立て直さなければ立て直らないと思います。従いまして、最終的には、私どもは、協力体制で進む以上は話がつく、かように考えております。もちろん、この間、われわれといたしましても、減産は政府の責任において指示いたしておりますので、通産省の考え方も申し上げて、それをもとにしてお話し合いを願う、こういうように指導をいたしておるわけであります。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、今の四〇%減産というのは、いつまであなたの方でやっていくつもりですか。今通産省の責任でとおっしゃったから非常に頼もしいと思っているのですけれども。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 今後の需要の見通しにも関係するわけでございますが、今のところは、六月までは今の体制はくずせない、四〇%をゆるめるわけにはいかない。ただ、六月以降になりますと、九月までは横ばいと見ておりますが、その間輸出の動向等もはっきりいたすと思いますし、特に最近は、鉄鋼輸出は思ったより非常に伸びておる実情でございますので、六月以降につきましては、そういう事情を勘案いたしまして検討して参りたい、かように考えております。従いまして、六月までという体制で今指示しておるわけであります。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、それは一にかかって、——もちろん需要の問題もありましょうが、輸出に非常に期待せられておるけれども、輸出は、去年は少し安売りをやって、どうもあっちこっちから鉄鋼安売りというような非難があるのです。だから、そんなに甘くないと思うのです。国内の需要の方は横ばいとおっしゃっていますが、一応六月で限られても、結果としてはやはり十月ころまでは行かざるを得ないのじゃないかと思うのです。  そこで、今私よくわかりませんが、住友はホット・ミルをやるために一体どれくらい設備投資したのですか。ラウンド・ナンバーでけっこうです。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 約百三十億であったかと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 ホット・ミルとしては百三十億でしょうけれども、その方のうしろに転炉がついておるし、高炉もあるし、一貫したものでしょうから、それが動かなければ、実際問題としては一貫系列もだめでしょう。一貫系列としてみたらどれくらいになりますか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 ちょっとその関係の数字を持ち合わしておりません。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 私も調べておりませんからわかりませんけれども、五、六百億か七、八百億か、かなりの額になるでしょうね。もっと小さいでしょうか、まあこれは私も調べてないことだからいいです。そこで、まあ五百億でもいいけれども、去年非常に設備投資に問題があったときに、一応あなた方の方では、これは企業局の方だけれども、企業局長帰られたからいいですが、設備投資としてのワクは認めたのだ。それが、出てきたやつは今度は三〇%以上動かせないということになったら、これは企業としてはなかなか問題があるだろうと思うのです。そこで、ちょっとこれを見ると、その減産基準というものは、まだこういうものが動いていないときの基準になっていますね。そういう基準というのは、時間がたっても一向動かさないものなんですか。カルテルというのは、特に鉄鋼は非常に問題があると思うのですが、時間がありませんからまたの機会にとっくりやりますけれども、機械の動いていないときの基準で減産を指導して、そして、キャパシティのあるものが出てきても、それが基準の中に入っていないということは、どうも常識で考えて基準時の取り方に問題があるように思うのですが、そこはどうですか。

熊谷典文通商産業事務官(重工業局次長)

○熊谷説明員 いわゆる新規のものを入れない基準でやれば、実績主義以外にないわけであります。とすると、取り扱いが不公平になるとおっしゃる点は、非常にごもっともと思います。従いまして、通常の状態でございますと、やはりできた能力というものをできるだけ早く加味してやるという形にする方が正しいと思います。ただ、先ほどから繰り返し申し上げますように、鉄鋼業界といたしましては、今非常時であります。そういう意味合いにおきまして、各社とも苦しい状況になっています。そういう関係で、新しい設備ができたからというので、これをすぐ取り入れるということは、なかなかむずかしい。従って、先ほど申し上げたように、だんだんこれを取り入れるようにしていきたい、こういうようにしておるわけであります。これはホット・ストリップ・ミルだけではございません。ほかの設備についても同様でございます。従いまして、会社個々の状況を見ますと、ある設備につきましては新規だからまだ動かない、ある設備については古くから持っておるから非常によく動くという関係にあるわけでございます。従いまして、この問題を、先生のおっしゃるように、能力等も加味して根本的に検討いたしました上で、すべての設備についてどうするかという問題を検討せざるを得ないわけであります。それと同時に、御承知のように、こういう新規設備ができますのは、どちらかといいますと、大きい方の企業が早くできる、小さな企業はなかなか新しい設備ができない、こういう関係にございます。従いまして、新しい設備を中心にものを考えました場合には、非常に合理的ではございますが、実際問題としましては、中小の古い設備を持つところが犠牲になるということも、また行政としては考えざるを得ない、こういう立場に置かれているわけであります。従いまして、そこの辺を、われわれといたしましてはあらゆる点を勘案いたしまして、各社が苦しいながらも一応成り立つような配慮のもとに、話し合いを業界で進めていただいているわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 ここから一つ大臣に、今までの経過をお聞きいただいていることですから、これは政治的な答弁をしていただきたいのですけれども、皆さんの方では今度国際競争力強化法案というのをお出しになって、国際的に競争力をつけなければならぬという問題が一つあると思うのです。鉄鋼についても、これは大手と中くらいと小と格差が非常に激しいわけですね。そこで、私は、この問題を見ておりまして、どうも一番工合のいいのは、一番でかい八幡が常に工合がいいようになっているような感じがしてなりません。ミスター・カルテルなんと名前が出るくらいですから。カルテルというのはどういうことか、一番でかいやつが一番有利になる、これがカルテルの原則なんです。そういう面が片面にあるという現実を目の前に見ながら、今の国際競争力の問題を考えてみますと、どうも大きなやつは常に有利です。あなた方の方でも企業を合併させて競争力をつけさそうということになると、土台にあるビッグ・ビジネスの方は常に有利で、あとからくっついていく方は常に不利だという資本主義社会的な原則が、鉄鋼の中では非常に露骨に出ていると思う。  そこで、大臣にお伺いいたしたいのは、八幡や富士あたりは九五%くらいは稼働しているホット・ミルがある。片一方では二二、三%しか動かないものがある。こういうのを見ていると、住友なんというのは、八幡の前に行ったらまさに小企業みたいな感じがするのじゃないかと思うのです。さらにその下には小企業がたくさんあるので、まさに格差が激しいのですが、こういう問題をあなた方としてはもう少し公平にやっていかないと、国際競争力強化法案なんというものを出してみても、これはみんな納得しないのじゃないか、私はこういう感じがするのですが、その点大臣どうでしょうか。それが第一点。  第二点は、さっき重工業局から話がありましたが、一ぺんここらで洗い直してみたらどうか。過去のそういうシェアのあるものが、シェアの上に乗っかってカルテルをつくって減産してきているという形を一ぺん通産省独自の立場で分析をし直してみてはどうか。資料を少しいただけば私は私なりの分析をしたっていいのですけれども、なかなかそこまではいかないでしょうから、あなたの方でもう少し分析をし直してみて、現状ではこのくらいのことはやるべきだというところを、それに業界が従うかどうかは別として、一ぺん青写真にして明らかにしてみたらどうか。  その二つの点について大臣は一体どういうふうにお考えになっておりますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 だんだんとうんちくを傾けた質問でございまして、私も大へん勉強をさせていただいたわけでありますが、しかし、経済の問題を取り扱っていく上においては、経済というものは御承知のように生きものであります。需要と供給の関係が一定不変の姿でずっと伸びていくというようなことであれば、一応予測をしたコースを歩むのですが、また、人間が仏様か神様みたいに自分の持ち分だけを守ってちゃんとやっていくというようなことをしてくれればいいのだが、どんどん需要が起きると、早く自分のシェアを取ろうと思って、むちゃくちゃに設備を自分の力以上にやっているというような場合もあります。私はそういうひずみが経済の問題では出てくると思うのであります。だから、そのひずみを直しながら、順次その基礎の上に立ってまた前進をするステップを固めていく、こういう考え方は当然起こってしかるべきものだと私は思うのであります。ただ、しかしながら、そのひずみを直していく場合に、官がそれを中心になってやるか、民を中心にしてやらしてみるかという問題は、また別に一つあるわけだと思うのであります。  そこで、今度の国際競争力強化に関する法案の問題が出たわけでありますが、実は私たちは、まだ法案を提出すると踏み切ってきめたわけではありません。しかし、そういう方向に向かって今努力しておることは事実であります。でありますから、その法案と直接に関連させて今のお話を申し上げることはどうかと思うのでありますけれども、しかしながら、大企業だから、大企業が持っているシェアはいつまでも守ってやるのだ、こういう考え方で行政をすることは、私はやはり間違っておると思います。みんなが考えてみて、ここら辺でいいというときは、大企業ももちろんシェアを分けてしかるべきだ。その点では、私はちっともそういう点にこだわっておりません。行政をやるときにもこだわるつもりはないし、今後も、私がやる限りにおいてはそういうことにこだわるつもりはありません。しかし、すべて、物事を改革していく場合でも、本気でたとえば全部一緒にしてしまってというような段階にあるときは別ですが、今日のようにじわじわとずっとしわ寄せが来ているような段階でやる場合に、そういう荒療治をするのがいいかどうか、また、それを一つの業界にやった場合に、それがどういうふうにほかの業界に影響するか、経済全体に影響するかということも考えなければならぬ。あまり考えると憶病になって何もしないということになるから、これもいけないことなんですが、しかし、常にそういう改革をするというようなものの考え方をもって見ていなければならぬということについては、私は全く同感の意を表します。でありますから、今後におきましても、八幡とか富士とかいうような大きいものと、住友くらいの中くらいのものと、もっと下のものと、いろいろあるのですが、その現実をよく把握しながら指導をしていくということは大事だと思っておるわけであります。実を言うと、景気、不景気の問題が一番最初に響いてくるのは基礎産業でありまして、しかも、非常に設備をふやしたところへ出てきたものだから、今は非常に苦しいわけです。しかし、私は、またこれが二、三年たって、あのときやっておいてよかったという時代が来ないとは言えないと思うので、ここらは神ならぬ身の知るよしもなしというようなことに相なるかもしれぬと思うのであります。しかし、その時点々々において間違いのないように指導していくということは大事でありますから、あなたは、おれに分析さしてみたらうんとうまく分析してやるとおっしゃったが、一つそのうんちくを傾けて分析してもらって、こういうふうな案にしたらどうかというのでも出してもらったら、十分私は参考にさしていただきたい。これは要するに日本の政治がよくなればいいのですから、野といわず、官といわず、意見を十分に取り入れていくということについては、いささかも私は偏見は持っておりません。だから、一つあなたも大いに協力をしていただきたいと希望するものであります。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 非常に率直な御意見で、私もけっこうだと思います。  そこで、私は特に重工業局にお願いしたいのは、その指導の前に、やはり客観的な分析というものが相当きちんとされていて、少なくとも日本の鉄鋼業かくあるべしというものを、私たちはもうちょっとあなた方に出してもらいたいのでず。しかし、それを出して、これをここへどうしてもひっぱっていくということになると、それは官僚統制と言われますよね。しかし、こういうものがオープンに出されて、いろいろな人が見て、なるほど通産省というのは客観的に前向きの姿勢でものを出しているということになれば、業界の方たちも、それを参考にして、いろいろな自主調整というものはそういうところからもっといい方向に発展をしていくのじゃないか。今大臣のおっしゃったように、シェアを一定に限るということでなければ、私はそういう青写真をもうちょっと積極的につくってもらいたいし、特にこういうふうに経済が非常に問題になったときは、あまり大まかな半期の見通しというのでなく、多少は問題があるにしても、四半期別にはこのくらいでこうなるのじゃないだろうか、こうこうなるから、ここらはこうしたらどうかというような見通しが、それは見通しだから多少間違うかもしれませんよ、しかし、もうちょっと積極的にあってもいいのじゃないか。それで、やはり今は資本主義の世の中ですから、資本主義の世の中では、ある程度合理化をし、競争をすることが消費者のためになる。さっき大臣が通産省は消費者のためを考えておるとおっしゃったが、それならば、やはり消費者の問題というのを考えていかなければならないので、自由化、合理化という面で消費者大衆の利益を守る半面としての側面が一つあって、そのもう一つの側面に中小企業対策というものがあるのであって、それをこんがらがりにして中小企業対策が前に出てしまったために、それに足をひつばられて、合理化やそういうものが進展しなくて消費者のプラスにならないというような、そういう混乱した問題の取り扱い方は私は困ると思うのです。だから、要するに、そういう面での問題は整理をして、合理化の面ではこうあるべし、しかし、中小企業対策としてはこういう問題があるから、ここをこうするのだというような諸点を今後明らかにして、やはり消費者が少しでも安くていい品物を使えるようにするということにならないことには、さっきの、これは時間があればもっとやりたいのですが、公販価格なんという問題が、今非常に値段が下がっている中で、八幡や何かの決算を見ると、いろいろ取りくずして何か配当はおやりになるようだけれども、その技術は別としても、案外値段が下がったってけっこう配当もできるじゃないかというようなことになると、あの高い鉄鋼公販価格なんというのは、はたしてほんとうにあれがぎりぎりのコストかどうかという気がしてならないわけです。だから、そういう点を含めて、もう少し自由競争があって、その中でいいものがより安くということになる指導も、これは大臣が基本的な立場として十分考えておいていただきたい。それでなければ、日本の産業なんというものは、少なくとも資本主義社会である限りは、私は変な方向に行ってしまうんじゃないかという感じがしますから、その点について一点だけ伺って、私の質問を終わります。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 確かにお説の通りでありまして、消費者の問題も考えつつ、しかもやはり競争も認めていくという考え方で、大企業だからどうというような偏見を持たないで指導をしていくようにしたいと思っております。

仮谷忠男自由民主党

○仮谷主査代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十一日午前十時より開会し、通商産業省及び経済企画庁に対する質疑を行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会

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