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43回国会衆議院1963/02/23

予算委員会第一分科会 第7号

発言数
260
登壇者
15
会派数
2
開催日
1963/02/23

会議録

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  本日は、昭和三十八年度一般会計予算中大蔵省所管、同特別会計予算中大蔵省所管、同政府関係機関予算中大蔵省所管について質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。田口誠治君。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 昨日国民金融公庫の職員の増員問題について質問を申し上げた途中、定員の積算基礎を示していただきたいということでお願いをいたしましたところ、資料が間に合わなかったので、けさお答えをいただくようになっておりますので、まずそのお答えをいただいて、内容に入っていきたいと思います。

田代一正大蔵事務官(主計官)

○田代説明員 お答えいたします。  ただいま田口分科員の御質問は、国民金融公庫につきまして、昭和三十八年度予算におきまして二百二十四名の増員を認めているが、これはいかなる根拠に基づくものかという御質問かと思います。そういった計数に入ります前に、国民金融公庫のこういった定数増加というものに対します考え方をまず申し上げまして、それから計数を申し上げたい、かように考えております。  田口分科員も御案内の通り、現在国民金融公庫は本所のほかに、昭和三十七年度におきましては支所が九十二、出張所二という配分でございます。たしか定員は三千三百十二名ということに相なっておるわけでございます。そこで、こういった人員を三十八年度におきます事態に即応いたしましていかに増員を認めるかという立場に立ちましたときに、いろいろな考え方があると思います。私どもが考えております考え方は、次のような考え方でございます。国民金融公庫の本所、支所を通じまして、業務を機能的に分類いたします。人を要するということにつきましては、仕事を分解いたしますと、大きく分けまして、実際の貸付に関連した仕事をやるという、いわゆるほんとうの第一線の業務的仕事、それからその次には役職、これは支所長とか次長とか、いろいろな役職がございます。そういった人もいる。それからさらに、それをかかえました総務その他の一般管理的な事務をやるというスタッフがいる、大きく分けましてこの三つに分けられると思います。  さらにまた、その業務を分類いたしましても、御案内の通り、国民金融公庫の仕事を分解いたしますと、まず貸付という部門がございます。それからその次に、審査という部門がございます。さらにまた、監理という部門がございます。それから回収という業務もございます。それから国民金融公庫の特殊性としまして、御案内の通り、恩給担保貸付をやっておりますので、恩給担保貸付の特別の仕事というものもある。さらにはまた、国民金融公庫は、これまた御案内の通り、現在普通貸付は七七%が直接貸付でございますが、残りの二三%ぐらいは代理貸付、つまり信用金庫とか相互銀行に金を出しまして、そこで貸し付けるという形をとっております。従いまして、代理金融機関に対する監督という仕事がございます。こういった分類に分けられると思います。  そこで、私どもの昭和三十八年度におきます予算査定のものの考え方としましては、特に第一線の業務に中心を置いて増員を考えておるわけでございます。中でも、これは私個人、知人がございますので、いろいろ国民金融公庫の第一線の業務を聞いているのでございますが、審査、貸付の部門に働いておる人々につきましては、年末の繁忙期とか何かには、主計局ほどは忙しくないでしょうが、それにいたしましても、たまには仕事をうちに持って帰るというような業務量になっておるということも聞いております。そういったわけで、第一線業務の中でも特に貸付、審査という部門に重点を置きまして増員を考えておるわけでございます。そこで計数の問題になりますが、まず第一に貸付の部門でございます。これにつきましては、昭和三十八年度一ぱいに貸し付けるという件数が、予定件数として出て参ります。これは当然新年度の財政投融資計画がきまりますとそれに応じて件数が出てくる、件数が当然伸びるわけでございます。伸びますから、当然それに応じて人がよけいに要る。と同時に、私どもここで一つ考えたことは、ことしは貸付部門の仕事が、さっきお話しましたように過重になっておるという問題もございますので、一割見当荷を軽くする、一人当たり負担量を軽くするということを配慮いたしまして、そこで貸付部門につきましては四十二名の増員を考えておるわけでございます。それから次に審査部門につきましては、貸付というか審査対象の件数が伸びて参ります。と同時に、先ほど申しましたように、貸付部門と同じように、非常に仕事が繁忙でございますので、ここでも大体一割くらい荷を軽くする、一人当たりの件数を軽くしてやるという両方の積算によりまして、五十七名審査部門で増員するということを考えております。それからあとは監理、回収、恩給という部門がございますが、この部門につきましてはそういった荷を軽くする、いわゆる質的に軽くするということは考えず、これは量的にふえる要素に対応した人員を増員するということにしてございまして、監理関係では十六名、それから回収関係で四十七名、恩給関係で三十六名の増員を考えております。  さらに、これも先生御案内と思いますが、三十八年度におきまして支所を四カ所新設を認めております。その四カ所と申しますのは、東京の大手町の支所、北海道の室蘭の支所、それから東北地方の八戸の支所、先生の中京地区の尾張一宮の支所ということで、四カ所認めておるのでございます。ところが大手町支所につきましては、現在都内にございます新宿とか、あるいは新川の業務所の仕事を分割して持ってくるということでございますので、これに関しましては増員は考えておりませんが、あとの三カ所につきましては、それぞれ支所増設に伴います基幹要員つまり支所長とか次長とか課長とか、あるいはまた労務職員とか、そういった人で一所当たりで八人、それが三つでございますから二十四名、支所の増設に伴う要員を認めております。さらにまた本所におきましては、IBMのプランナーという人員を増強する意味で二人見ております。それで新設支所の基幹要員の増員と本所の要員増員ということで二十六名ということになります。従いまして、以上を計算いたしますと、さっき申しましたように、貸付関係で四十二名、審査関係で五十七名、監理関係で十六名、回収関係で四十七名、恩給関係で三十六名、新設支所並びに本所の要員関係で二十六名、締めて二百二十四名ということでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 ただいま御回答をいただきましたが、私のお聞き申し上げた積算基礎を示せということは、ただいま御回答のありましたような内容のものではなくして、科学的な面から事務量対人間がどれだけ要るのかというようなことが、いろいろな要素を取り入れた基礎の上に立っての積算基礎ができておるであろうというように期待をして、昨日御要求をいたしたわけでございますけれども、ただいまお聞きいたしますと、概念的な考え方の上に立って、そうしてどこの部門で何名、どこの部門で何名というような増員がされておるわけでございます。そこで私はなお突っ込んでお聞きいたしたいと思いますことは、現在大蔵省には事務量対人間がどれだけ要るんだという科学的な要素を盛り入れた積算基礎はないということでございますから、今年はこれ以上追及いたしませんが、これはやはり考えておいていただく必要があると思いますし、当然、定員の関係から私どもが検討いたしますときには、どれだけ人間を置くことが科学的、合理的、妥当であるかということを納得しなければならないので、どうか一つこの点につきましては研究をして、一つの基礎をつくっておいていただきたい、この点を希望申し上げておきます。  そこで今、いろいろと部門によって増員をされておりますが、ただいま回答のありましたように、現在支所を入れて九十四の店舗を持っており、四カ所を今度新設するということでございますから、九十四の店舗を現在の職員全員で割りますと、一店舗が三十五名ぐらいになります。そうしますと、四店舗ふやすということになりますと、二百二十四名増員をしていただいても、半分はその増設の方へとられるというように考えられるわけです。ただ私は今回答をいただいて、大手町の関係なんかの場合を考えますと、そうばかりでもないということはわかりましたが、やはり増設の方へも相当量とられるわけです。それで、職員組合の方から六百五十二名という増員を要求いたしております目的は、当然金融のサービス機関として、いつも大蔵大臣等がモデル的な金融機関にするんだという考え方を述べておられますが、実際にそういう実績を上げるためには、当面六百五十二名という増員が必要であるというので、職員組合の方から定員を要求しておるわけなんでございますので、決してただ楽をしようという考え方ではないわけなんです。昨日も申し上げたのですが、残業をいたしましても残業手当も十分にないというようなことから、うちへたくさん仕事を持ち帰って仕事をやっておるということをなくしたいという考え方がまず一つあります。それから、お客様に対しまして常識以上に時間待ちをさせるようなことのないように、お客様に快く金融公庫を利用していただくように、また金融公庫に対していい感情を持っていただくためには、やはりここに増員の必要があるということも一つの目的になっております。それから、部門にもよりますけれども、現在は昼休みの一時間が完全にとれないという部門があるわけなんです。それでやはりこうした部門につきましては、昼休み一時間くらいは完全に休憩をいたしたいという考え方を、職員組合は持っております。これも要求の一つになっております。また、御承知の通り、労働基準法で有給休暇の取り扱いが決定されておりますけれども、現在有給休暇をとろうと思いましても、定員が不足のためにどうしてもとることができないというのが実態であるわけなんです。従って、法律に基づいてきめられておる自分の権利を行使しようといたしましても、権利行使ができないというのが実態であります。これは一気に有給休暇を全部がとるということも、職場によってはむずかしい面がございますが、いろいろと店内で譲り合い、話し合いをして、そうして与えられた有給休暇を完全に消化するようにいたしたいというのも、この増員の要求の目的になっております。  そうして特に、仕事を家に持ち帰って仕事をするというこのことは、私はこれは重要な悪い要素が含まっておると思う。大切な金融機関の書類を家庭に持っていって仕事さして、そうして疲れて寝付いてしまった、万が一火事等で書類を焼きつぶしたというようなことになりますと、これは大きく業務に支障を来たすのでございますから、家に持ち帰って仕事をしなければならぬというようなことは、これは絶対に解消してもらわなくてはならないと思う。従って、こういう点からの六百五十二名という要求でございますから、もう少し真剣にこの定員増の要求に対して取り組んでいただきたいと思う。  それで私ここでお聞きをいたしたいのは、ただいまも御答弁のありましたように、特に貸付とか審査というようなところは、非常に仕事に追われておる。こういうところに重点的に増員をしたという御答弁もございましたが、こういう御配慮はいただいておるのでございますが、一体全体貸付の場合には一日に何件くらい一人平均やっている統計になっているか、一つお示しをいただきたいと思う。

田代一正大蔵事務官(主計官)

○田代説明員 お答えいたします。貸付部門におきましては、貸付につきまして予算で見ております考え方は、一人の人につきまして、土曜を除きます普通の日で三・六件くらい、土曜日は一件という見当で見ております。それから審査につきましては普通の日で三件、土曜で一件という事務処理量として考えておるわけであります。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 私はこれだけお聞きをしても、非常にこれは無理をしているということがはっきりすると思うのです。一人が貸付業務を四件に近いものを行なうとすることは非常に困難でございますし、審査の場合に三件ということは、これは非常にむずかしいわけなんです。審査の場合には、審査員は地理的に郵便配達さんのように詳しくございませんので、相当時間を要して、帰りには乗りものもなくなって、場所によりましては自弁でハイヤーで帰ってこなければならないというようなこともあり得るということも言っております。こういうことから考えてみますと、審査の三件なり、貸付の四件近くというものは、これは絶対に事務量が多過ぎるわけなんです。私はこれを一つ指摘をいたしましても、いかに無理な仕事をさせてあるのかということがわかるわけなんです。昨日の御回答の中にもコストの問題も出たわけですが、当然やはりこういう業務をやる場合には、コスト関係のことも考慮されるのでございますけれども、国民金融公庫の場合は、他の市中銀行なり、あるいはその他の大きな銀行と違いまして、十万単位でございますから、非常に世話がやけるわけなんです。同じ貸し付ける場合でも世話がやけるわけなんです。しかも、きのう私は数字を御答弁いただいて疑問に思ったのでございますが、一年間に三十万件という件数の御回答がございましたが、この三十万件というのは、回収が結局二十カ月になりまするから、一年の貸付件数を大体二で割った数字で上手に御答弁なさったのではないかと思うのでありますが、この点に対してもう一度御答弁をいただきたいと思うんです。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 お答え申し上げます。昨日お答え申し上げました年間処理件数でございますが、三十六年度の実績三十一万八千件と申し上げました。これは年間の処理の件数の実績そのままでございまして、半分という数字じゃございません。これは統計上きわめて明確に出ておる件数でございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 お手元に資料を持っておみえになると思いますので、十二月の貸付件数、直扱いはどれだけになっておりますか。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 十二月中の普通貸付でございますが、これの申込件数は三万三千七十四件、貸付件数で申しますと、十二月中が六万三千百九十三件ということでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 今ここで年間のを集計できませんので、先ほどお答えになった数字について私は幾分疑問がございます。従って私は、昨日三十一万件云々ということは、回収が二十カ月かかっておるから、そういうようなことを考慮されての数字であるというように解釈をいたしておるのでございまするが、ただいまの回答では、そうではないということでございます。しかし今の十二月を一つ例にとってここで暗算で計算していただいても、やはり先ほど御答弁になった数字は、大蔵省からの答弁ですから、私は数字は信用いたしたいのですけれども、やはりまだ少な過ぎるような気がするわけです。この少ない多いは、それでよろしい。よろしいが、大臣、昨日あたりから私がいろいろと申し上げておりますように、この国民金融公庫の場合には、融資の相談を一番最初にやりまして、それから申し込みを受け、審査をし、貸付をし、回収業務、監理というようなことで、非常に他の銀行と比較いたしまして、こまかい面にわたって骨の折れる、面が多くあるわけなんです。そういうようなことから、この六百五十二名の増員ということは、ほんとうにモデル的な、りっぱな金融機関としてのサービス業務をいたしたいという切なる職員の要望でございまするから、今年は二百二十四名でございまするが、来年度の予算編成のときには、この点を十分に意に置いていただきまして、先ほどお話のありましたように、大体ここに何名、ここに何名というような振り当てでなくて、そんなに一日に四件から貸付の業務を行なったり、審査が三件平均というようなことは、これは非常に無理だということははっきりいたしておりますから、こういうはっきりした面につきましては、来年度は十分に考慮いただきまして、そして職員の要求にこたえるように努力をお願いいたしたいと思いますが、最後に大臣の御回答をお願いいたしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 国民金融公庫は政府関係機関でありますし、国民大衆とのつながりは、三機関のうち最も重要な面を受け持っておりますので、これが合理的な貸付業務と回収業務とが行なわれるために格段の配慮をしなければならぬことは、当然でございます。公庫員一人当たりの作業量の適正化ということは、当然重点的に考えなければならない問題でございますので、御説も十分参考にしながら、明年度の予算編成にあたりましては、実情を十分調査をしながら善処をしたいと考えます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 定員増の問題につきましては、時間の関係上、内容を突っ込むことを省略して、これで終わりますが、いただいた時間がもう五分ございまするので、一つだけ大蔵大臣にお伺いをいたしたいと思います。  けさ新聞を見てびっくりいたしたわけですが、公定歩合の引き下げをまた行なうということが、でかでかと新聞に載っておるわけです。その内容を見ますると、年内には二厘以上引き下げられるというようなことが見出しとして出ておるのでございまするが、御承知の通り、昨年十、十一月、この問題で相当に金融界にはいろいろな反響を及ぼしたわけでございまするので、この新聞に載っておるようなことがはっきり大蔵大臣の意向であり、大蔵大臣の意向を漏らされたものが新聞に載っておるのかどうか、こういう点につきまして一つお聞きをいたしたいと思います。従って、この点につきましては、私は時間の関係上言葉を短かくお聞きいたしましたけれども、これに関する大蔵大臣の考え方をできるだけ詳細に御答弁をいただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 今朝の朝刊各紙を見まして、公定歩合に関する記事がありましたことは、私も承知をいたしております。きのうの記者会見で公定歩合を二厘引き下げるというような発言をいたしてはおりません。が、記者諸君はそのように看取をしてお書きになったのだと思います。公定歩合につきましては、御承知の通り、日銀総裁の権限でありまして、日銀総裁は金融の情勢を十分見ながら、これに対処して、引き上げ、引き下げ等慎重な態度で行なっておるわけでございます。日銀の業務であるとはいいながら、大蔵大臣との間には意思の疏通をはかりながら、十分慎重な態度をとってやっておりますことは、過去も現在も将来もその通りでございます。現在公定歩合に対して、いつ引き下げようとか、また、いつ引き上げようというような考えは全然持っておりませんし、未定でございます。なぜあのような記事が出たかといいますと、公定歩合の問題は日本人が敏感に考え過ぎておるようでありますが、何か少し神経過敏になり過ぎておるというような感じを従来私は持っておるわけでございます。専門の経済記者諸君から見ますと、私の顔を見れば、公定歩合はどうかということを絶えず聞くわけでございます。日銀総裁にもそういうことを絶えずお聞きしているようであります。世界の国で、中央銀行が定時会見をやるとか、こういう問題に対して質問を絶えず受けるとかいうことは、あまり例がないようでございますが、少なくとも戦後のマスコミの発達した日本の現状では、いろいろな角度から絶えず話題に上るということは事実でございます。私は今までもこの問題に対しては、国会で答弁をいたしております通りお答えをしておるわけでありまして、必要があれば下げるし、必要があれば上げるということは、事態に対処して自動的に行なうべきものであるという態度をとっておるわけでございます。きのうの記者会見で記者諸君が問われたものは、一部においては、もうすでに去年引き下げるときに、二厘引き下げればいいじゃないかという議論があったのに、大蔵大臣が一厘論者であったから、やがてはそのあとの一厘は下げるのでありましょう、下げるならいつですか、今月ですか、来月ですか、再来月ですか、こういうように話を畳み込んで私にも質問し、私はそれに対しては依然として、公定歩合というものは必要があれば下げるし、必要がなければ下げない。しかし、あなたが言っておるように、総理も国際金利にさや寄せをするということを、本会議でも堂堂と政府の所信を明らかにしておるし、財政金融の責任者としての大蔵大臣としては、国際金利にさや寄せをする——いわゆる表現は別にしても、低金利政策ということをできるだけ早い機会にやろうということを国会で正式に言っておるのでありますから、公定歩合というものだけでもってすべてが片づくものでないにしても、いつの日にか下げるのでしょう、まあ今はない。じゃ桜の花の咲くころですかな。そこはまだきまっておらぬ。じゃ、桜の花の咲くころ以後ですな。こういうような考え方が今朝の新聞記事になったのでありまして、私が二厘引き下げようとか、二厘引き下げというようなことをやることによって、国際金利にさや寄せというような事態が一体可能になるのかどうか、こういう問題に対しては、これは慎重に日銀、大蔵省等でも当面検討しておる問題でございまして、現在いつ、どのような状態で公定歩合を引き下げなければならぬというような確たる見通しは持っておりません。特に国際金利にさや寄せをするような基本的な問題につきましては、公定歩合の操作だけで片づく問題ではなく、私がいつも言っておりますように、財政金融の総合的一体の運営、調整によってよき金融環境をつくるなり、随時各般の施策を適切に調和ある実行に移すという手段によってのみ解決するものであると考えておるのでありまして、公定歩合だけで片づけようなどという考えは持っておりません。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 大蔵大臣の意向はわかりましたが、しかし聞いておりますると、本音がどこにあるのかということをさとり取ることがなかなかむずかしいような、政治的な上手な答弁をされておりまするが、ただここで一つだけ念を押しておきたいと思いますることは、三月の上旬に大蔵大臣は山際日銀総裁や金融関係の有志と金融懇談会をされるわけですが、このときに公定歩合の問題を話題に乗せる考え方を持っておられるか、その点一つ承りたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 金融懇談会というのは、私ら大蔵省側、政府側が一方交通を要求するというような考えではありませんで、ほんとうに重大な問題でありますから、いわゆる金融機関も、あらゆる人たちが自由化、八条国移行というような問題に対処して、一体財政金融の調和点はどこに見出すべきかというようなことは慎重に検討することが必要であるという考えに立っております。そういう考えでお互いに随時平たい、すなおな気持でものを話し合おうということでありますから、四角ばらないでいろいろな問題を検討する予定でございます。まあ八条国に対する問題、それから自由化の問題、特に金融に対しては、一体今の金融体制に対する認識とか、相互の連絡とか、その上にオーバー・ローンの問題とか、いろいろな問題を話すわけでありますが、そこで公安歩合の問題が出るとすれば——出ないということは言えないのです。公定歩合の問題を議するとすれば、公定歩合をいつ下げるとか、何厘下げるとかいうことではなくて、いわゆる公定歩合をもし下げるということを仮定して検討する場合、一体預金者金利を現在のままにしておきながら、どの程度貸出金利が下がるものだろうとか、また、そういう問題に対してあなた方は一つ研究しておられますかとか、そういう普通の状態における常識的な議論はお互いの間できっとかわされると思いますが、日銀総裁の中央銀行総裁としての金融の体系を、そこでもってお互いが何でもかんでもしゃべり合って、その申し合せによってやろうなどという考え方はございません。これは十分日銀総裁の判断と権限を尊重しながら、あらゆる問題に対してお互いに将来悔いを残さないような、よりよき環境づくりのために意思の疎通をはかる、こういう考えでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 いずれにしましても、こういうことが新聞に出ました以上は、金融界、財界は相当動揺もいたしておるようでございますので、こうした問題の取り扱いは、やはり必要な時期に明確な態度でやっていただかなくては、何だかとらまえどころのないような発言をされて、そしてそれが新聞に出、長い間そういうような動揺期間があるというようなことになりますと、これはいろいろと支障を来たすわけでございますから、一つそういう点に対する御配慮は、如才なくやはり大蔵大臣としての態度をとっていただきたい。時間がありませんので、その点を要望申し上げまして私の質問を終わります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 有馬輝武君。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)分科員 最初に、事務当局にお伺いしたいと思います。戦後引揚者給付金なり金鵄勲章、あるいは遺族給付金、戦没者弔慰金、こういったものが逐次行なわれて参りましたが、その時期と額、これについてお聞かせを願いたいと思います。

岩尾一大蔵事務官(主計局次長事務代理)

○岩尾政府委員 戦後行なわれました各種の戦後措置の状況でございますが、引揚者給付金というのがございます。これは引揚者の生活基盤の再建をはかるために、国債を渡したわけでございますが、三十二年であったと思います。それから、例の戦没者の遺族に対する弔慰という意味で五万円の国債を出しております。それから、原爆被爆者の健康の保持、向上をはかるために、原爆医療手当金というのを三十五年に行なっております。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)分科員 ここで大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、昨日の毎日新聞でも大きく取り上げられておりますように、在外資産の補償について、一昨日ですか、与党の方が政調会長と在外資産補償の問題について話し合いをされて、その結論がどうなったかについてはつまびらかにいたしませんけれども、審議会の設置、あるいはその他について二十六日ごろまでに結論を出すとか出さないとかということが伝えられておるわけであります。  この農地補償の問題につきましては、本委員会におきます田中委員あるいは高田委員その他の質問を通じまして、大臣の考え方も明らかにされております。補償とは違うのだ、報償だ、そしてそのための一億八千万円の調査費を組んだのである。その調査とは世論調査、基礎調査あるいはその他の調査を行なうのだということも明らかにされております。がしかし、私はその委員会の質疑応答をたんねんに読みまして、池田総理並びに大蔵大臣の言い回しの中に、またその論議を通じても、いまだ明らかにされてない点があるやに見受けられるわけです。それというのは、その農地補償に対して——報償という言葉であるにいたしましても、報償をすることを前提として今度の調査費が組まれたのか、そうではなくて、することが必要であるかいなか、それを検討するために今度の調査費を組まれたのか、この点がいまだに明らかになっておりません。  それで、ここでお伺いしたいと思いますことは、在外資産の問題について、あのような与党内部から強い要望が出ておりますけれども、これに対して、また工藤調査会みたいに審議会その他を設置する考え方があるのかどうかということが一点。それと、こういった形で、組織をつくって要求すれば取れるのだという空気が支配的になってきたことに対しては、政府としての一貫したこれら戦後処理の問題に対する態度——もちろん農地補償の問題は違いますけれども、一貫する態度がないために、今みたいな空気を醸成してきたのじゃないか。とにかく、組織をつくって要求すれば何でも取れるのだという空気をつくってきたのじゃないかと思うのであります。こういうことを重ねておりますと、何でもできることになる。私と大蔵大臣とは、年が二つしか違いませんが、私も戦時中、大学から予備学生で引っ張られていった。去年もその当時の者が集まりまして、靖国神社で慰霊祭をやりました、だから、戦時中に動員された、あるいは引っ張られたということで、そういった同盟をつくって、われわれも大学が何年もかかったから要求しようじゃないかとか、その間に失われたあれを要求しようじゃないかというようなことになって参りますと、これはもう日本国民全部が戦争の被害を受けておる。きりがないのであります。そういう観点から、政府がここではっきりとした態度をとっておらなければ、今みたいな形が続々と出てくる。  そこで、今申上げますように、在外資産の問題についても審議会を設置する考えがあるのかどうか。党は党として賀屋さんのところで検討されるでありましょうけれども、政府がぴちっとした考え方を持っていないと問題をこんぐらからせることになると思いますし、そういった観点から、先ほど申し上げますように、審議会設置の意図があるかどうか。  それから、農地報償、大臣の言葉をもってすれば、報償を前提として今度の調査費が組まれたのか。そしていま一つは、もし報償をやるということになった場合には、大臣の言葉でもってすると、金品のほかに表彰するということもあるかもしれないしと、幅広い答弁がなされておりますが、どのようなことを考えておられるか。これらの点について、一まとめで恐縮ですが、お答えをいただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 一億九千万円に近い調査費を組んだのは報償を前提としておるかどうか、こういうことでございますが、これは前提としておりません。  それから、どういう主目的であるかということは、報償をしなければならないと思うが、しかし、するとしても、国民大多数の意のあるところを十分政府はつかまなければなりませんし、国民各位の考え方に基づいて決定をせられるべきだということでありまして、何らかの報償を必要とすると思うが、というところまででもって調査費を組んだということを申し上げておるわけであります。でありますから、世論調査でもって、もう国民の大多数が反対であるというようなことになれば、それを押し切って政府かやるということにはなりませんし、実態調査をやり、基礎調査をやりまして、何らかの報償、しかもこの程度の報償をしなければならないという国民の大多数の考え方がおおむね明らかになれば、政府もしかるべき処置をとるのは、民主主義政治の当然の帰結であると考えておるわけであります。現在の段階においては、何らかの報償を必要とすると思うが、というところでございまして、全くフィフティ・フィフティというふうにすなおにお考えを賜りたいと存じます。  それから、このようになったのは、政府が戦後補償という問題に対して確固たることを明らかにしておらないからここまできてしまったのではないか、その責任の一端は政府にありというようなニュアンスの御発言でございました。これは御承知の通り、農林委員会においても、歴代内閣の農林大臣その他が明らかにいたしております。農地補償につきましては最高裁判例があります通り、完全に法律的な義務は行なわれておりますということを、歴代内閣は明らかにいたしておるわけでございます。でありますが、今度は報償という問題は補償ではなく、全然新たな観点に立っての報償問題というものが、世論として非常に大きく持ち上がっておりますから、これに対しては世論を聞きながら、いろいろな世論ということを調査しようということを言っておるのであります。政府は、これに対しては明らかな見解を今まではっきり出しておりまして、政府が優柔不断であったために、より突き上げが激烈になったなどとは考えておりません。  それからもう一つ、その他全般に対する戦後補償に対して、戦時補償と申しますか、戦後補償もありますが、いろいろあなたがお述べになったこと、なるほどこれは非常にりっぱな、また傾聴すべき御議論でありますが、戦争で学徒動員で行ったために学校がおくれた、私もそういうあれがありますから、被害者の一人であります。これは国民全部がそうでありまして、こういうものに対して線を引くために何かの審議会を設置する意向があるかということでございますが、これは自民党の中でも議論をせられておりますし、政府でもいろいろな議論をしたことがございますが、いわゆる戦時補償につきましては、現在までおおむね済んでおるという考え方でございます。この中で一番大きなものは在外財産の問題、それから引揚者の問題、そういうものに対しては審議会をつくりまして、昭和三十一年にその答申をそのまま政府は立法をし、五百億になんなんとする交付金を交付したのでございますから、そういう大きな問題に対しては、現在までに政府ができる限りの誠意ある措置がとられておりますので、これ以上それらの問題に対して再補償するというような考え方はないということは明らかにいたしておるわけでございます。  また、農地補償の問題に対して、何らかの報償がもし行なわれると仮定した場合、もろもろのものが起きてくるじゃないかという御議論でございますが、それは私は、ものには際限というものがありまして、国民九千四百万すべてが被害者であるというものに対して、ランクをつけながら補償をしていくというような問題は、これは戦時補償というような形で片づくべき問題ではなく、社会保障その他一般の政策として、政府は毎年の予算編成において国民全体の問題を一つずつ片づけていくべきでありまして、いつまでも戦争に敗れた当時の夢や、非常にいやな思い出を一つずつほじくり返して、うしろ向きのものを政府に対して要求するというような考えは国民自体の中にも私はないと考えております。政府と国民というものが全然別なものであれば別でありますが、自分のものを自分で食うような、そういううしろ向きの動きを国民運動として起こすというようなことは、私は万に一ないと確信をいたしておりますし、政府もそういう問題に対しては補償する意思がないということは再々言明をいたしておる通りでございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)分科員 言葉じりをとらえるわけじゃありませんけれども、再々論議され、質問もされ、また、総理からも大蔵大臣からもそれに対する答弁がされておりますが、今みたいな形でおっしゃるから問題がややこしくなるのです。おおむね完了しておると思うとか、フィフティ・フィフティであるとかというようなことをおっしゃるから、問題がややこしくなるのです。先ほども農地補償について調査費を計上したのは、報償することを前提としたものではないという、それだけの答弁でよろしいのですよ。ところが、あとでややこしいフィフティ・フィフティというようなことをおっしゃるから、フィフティ・フィフティがフィフティ・フィフティにならないのですよ。シックスティ・フォーティぐらいになってしまうのです。その点、いま一度明確にしていただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 どうも、法律論ということでこまかく厳密に申されると、政府は報償するということをきめておらないのでございますから、逆に言えば報償しないということも言い得るわけでございます。じゃ、全然何もやらないものに対してどうして一億八千数百万円も組んだか、こういう御質問が次に出てくると思いましたので、私はすなおな私の気持のまま、政府の気持のまま、フィフティ・フィフティというのはゼロに近い考え方で申し上げたのでありまして、すべてはこの一億八千余万円の調査費が適切に使用せられ、国民各位の大多数の意見がすべて決定するものであるということを申し上げておるわけでございます。  おおむね戦時補償はと言いましたのは、現在まだ未亡人加給の問題を御審議を願う段階になっておりますし、また、国会には金鵄勲章の問題が今出ておりますし、それから、今度は恩給問題の一部改正法律案も出ておりますし、満鉄の問題等は今皆様に御審議を願っておりますので、こういう問題もほとんど大詰めに来ておるということを申し上げたわけでございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)分科員 それでは、ゼロに近いフィフティ・フィフティだという意味で、前提としない、ゼロだというここで受け取りたいと思いますが、いかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私がたびたび申し上げておりますのでございますから、政府の真意をすなおに御理解賜わりたいと思います。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)分科員 あとで綱島委員の方からまた大臣に質問があるそうでありますが、ゼロに近い今の答弁が、フィフティ・フィフティが綱島さんのときには今度はシックスティ・フォーティにならぬように、その点はここではっきりさしておいていただきたいと思います。  それと、戦後処理の問題については、金鵄勲章なり未亡人加給の問題なり、大詰めにきておるということは、先ほどお尋ねいたしました在外資産の問題について審議会の設置その他については、党は別として、政府としては設置する考え方はない、こういう工合に理解してよろしゅうございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 大蔵大臣としては設置する考えはございません。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)分科員 この問題は論議され尽くした問題でありますので、今の点がはっきりいたしますと、次の問題に移らせていただきたいと思います。  先ほど田口委員の質問に答えまして、公定歩合の引き下げの問題についてお答えがありましたけれども、考え方がきまっておらないというのではなくて、構想はまとめておるけれども、この際与える影響が大きいのでという配慮から、田口君も言ったように、実にわからない答弁をされたと私は受け取っておるわけです。そういう意味で、再度お伺いをいたしたいと思いますが、まず最初に、金融懇談会の構想はどのようなもので、いつ発足される考え方なのか、お聞かせいただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 現在金融関係協議会のようなものがあります。このメンバーで在来通りこのまま運用していってもいいのでございますが、金融懇談会というのをつくりたいということは、業界側からの話でございました。私の方で主導的な立場で申し上げたのではないのでございます。政府は業界の中立性、金融の自主性ということを言っておりますが、せっぱ詰まってくると政府は一方的にやるのが今までの例でございますが、ということでございましたから、これは政府も悪いところがあるかもわからないけれども、業界自体も、政府が言ってくることは自分の権利を侵すようなことを、いわゆる締める方向ばかり言ってくるので、できるならば一寸延ばしに延ばしたい。両方がそんな考えを持っておるものだから、具体的な問題を解決するときには、政府が一方的にやってくるというふうになるので、今度は好むと好まざるとにかかわらず、八条国移行ということはきまっておるのだし、ガット十一条国移行も自動的にしなければならないのだし、一二%の自由化というものもときの問題なんだ、関税の一括引き上げというようなことを考えた場合、お互いが人の話ではないのだ。国民全般から信頼を受けるように、またお互い国民全体の立場に立ってものを解決しなければならない状態になっておるのですから、お互いが一つフェアな立場で、何でも言えるような状態をつくろうではありませんか。大蔵省が必要ならば、大蔵省をお使いになってもらって一向さしっかえありません。フェアに何でもものを言えというけれども、長い伝統で、大蔵省へ行くとどうもものが言えないというならば、私を呼び出してもらえば、私は出て参りますし、ということで、どこででも、どんな機会でもいいから、一つ懇談会をおつくりになるなら、おつくりになってもらってけっこうでございます。また、懇談会をつくるといって私の方で構想を発表したり、委員をつくったりすれば官製だといわれるから、あなた方が一つおつくりになったらどうです。あなた方がおつくりになるといっても、しかし、あなた方だけでつくれるものでもないでしょうから、銀行局長とでも、また理財局長とでも、また税制等が全然別個なところで行なわれておるという御意見もございますから、主税局長も入れてもらってけっこうですし、そういう方々と連絡をしながら、少なくとも今後つくられるものは官製じゃないというようなことでおつくりになられたらどうですか、ということで、ほんとうにすなおな気持で金融懇談会をつくろうというのでありますから、いつつくって、第一回会合をどうして、テーマーをどうして、最終目標はどこに置こうというような考えを、今まとめておるのではないのであります。しかし、事態がこういう事態でありますから、私は、相当いい意見が出て、結論もこの中から生まれてくるだろうということを考えております。また、金融関係はただ十二行の市中銀行を中心にしたというようなものではなく、できるだけ広い分野で人が集まられることを希望いたしておるわけでございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)分科員 次に、金利引き下げの環境づくりということを大臣は繰り返して言っておられるわけでありますが、具体的にはどういうことを考えておられるか、これをお聞かせ願いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 お答えいたします。公定歩合を引き下げたり引き上げたりすることも一つの手段ではございますが、これだけですべてが解決するものではないのであります。現在の金融に対して私が考えておりますのは、金融の正常化ということがまず第一番目だと思います。これは、まず非常にコール依存度が高いとか、それから含み貸し出しが多いとか、日銀依存が非常に多いとか、こういう問題がたくさんあるわけでございます。実際、今までは大したことではないといっておった、資金量が非常に小さかった信用金庫や相互銀行、それから農協等の資金が、非常に大きくなっておる、こういう問題。また、資金運用部の資金源と民間金融機関とのバランスを一体将来どうとるべきかとか、一般貸し出し金利、貸し出しの問題でも、中小企業に対しての問題、そういう問題はたくさんあるわけでございます。  しかも、今も国会で非常に手きびしくいおれておる歩積み、両建ての問題、これは慣習であるというようなことをいって、中小企業に、豪雪で百五十万円もほしいというものの中で、百万円に値切って、五十万円強制歩積みをやられたら、これは話にならない。実質金利は、二銭六厘であり、二銭七厘だ、こういっておっても、実際は一カ年で十二日も十三日も踊ります。一カ月手形で毎月やれば、踊っていくわけです。それだけ高い金利を十何日分よけい払っているわけです。こういう問題はたくさんあります。  しかも、実質金利、実質負担を下げなければならぬということをいっておりながら、金利は一番安いものが一銭八厘であり、一銭九厘。貿手のように非常に安いものもやっておりながら、普通は二銭、二銭一厘、二銭三厘が最高であるといいながら、中小企業では二銭六厘であり、二銭七厘であり、不動産金融では二銭九厘にも三銭にもなる。中には三銭二厘のものもある。しかも、調査とかその手形の書きかえでもっていろいろな手数料を取る。これは実勢では三銭五厘にもなる。  こういう状態で、一体日本の自由化に対応しての国内的な金融が正常化されるのかということで、去年からいろいろな手を考え、日銀の買いオペレーションというようなことを考え、また、コールの金利がずっと下がってくることを待ちながら、また、公社債の流通市場というものを、いつ、どのような状態でやればいいのか。それをやるには、一体実勢金利との開きがどこまで縮まればやれるのか。こまかい問題をあらゆる角度から、私も六、七カ月間にわたってやって参ったわけであります。  だから、私は比較的平穏に、金融界の協力も得られて今日まできておると思いますが、まあ、これからはお互いに言いたいことだけを言うということでなく、言いづらいことも言いながら、具体的に一つずつ片づけていかなければいかぬ、こういうことで考えておるわけであります。だから、皆さんからしょっちゅう言われておりました歩積み、両建て問題につきましても、私、あなたの質問を前にしまして、けさ、決裁をしまして、大蔵省と日銀で共同して歩積み、両建てに対して第一線の検査を行なう、こういう態勢をとったわけでございます。こういうものを一つずつ片づけていくということが環境づくりであって、これはどうしてもやらなければならないことであり、そういうことを全然ほったらかしておいて、金利を下げればいい、公定歩合を下げればいいのだ、というような考えには立っておらないわけであります。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)分科員 二十日の晩に山際総裁と会っておられますが、さっき私が申し上げましたように、構想は持ちながら——記者会見のときにはああいうことになったのだ、ベテランの記者の方々がいろいろ畳みかけてきたものだから、というような答弁をしておられましたが、畳みかけられたからああいう形になったのじゃなくて、田中さんにその構想があるから、鋭敏な方々がその通りあなたの構想を書いたという工合に私は受け取っておるわけです。その点、どうなんですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私の記者会見というものに籍口して書いたんだと思います。私はそのように専門家じゃありませんから、私の話をしておる財研の記者諸君の方がより専門家でありますし、より豊富な知識もデータも持っております。また、彼らの方が非常に行動範囲が広いですから、あらゆるところから情報をとり、データを積み重ねておりまして、私と日銀総裁が会ったということを一つの前提にしまして、こうなるであろうという一つの現状認識、現状分析、またこうなるであろうという将来に対する設定ということで記事をまとめられたというふうに考えております。私と日銀総裁が会ったのは、何も特定の目的で会ったわけじゃございません。日銀の総裁と会ったなどということはしゃべらぬことにしましょうということなんですが、いつの間にやら会ったこと——会ったことをまだはっきり言ってないのですが、いつの間にやら会ったということが既成事実になり、どういう目的でどういう会談をしたかというようなことにも追い込まれておりますことは、政治的に拙劣であるとみずから恥じておるわけであります。いずれにしても、こういうことは隠すよりも現われるが早いということでありまして、それだけ敏感であり、また重要な問題だと私は考えておりまして、あえて会わなかったとか、言葉を濁すという必要を認めておりませんが、日銀総裁とはこれから随時いつでもお会いして意見の交換をしようという考えでございます。これは日銀総裁と久しぶりで会ったり、たまに会ったりするものだから、さあ何かやるのだろう、こういうことを言われること自体が大へんな誤解を生むと思いますから、こういう微妙な段階であれば、私は日銀へ出かけていっても一向差しつかえありませんし、大蔵省へおいでになっていただいてもけっこうですし、道ばたで会ってもいいので、随時一つお互いに意思の疎通をはかろう、こういうふうに考えておるわけであります。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)分科員 大蔵大臣が浪花節を聞かせに山際総裁に会いに行ったとはだれも考えないのですよ。  特に郵貯の問題が今郵政省との間で話を進められておりますが、この問題については、進展状況はどうなんですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 郵便貯金法の改正という問題は、昨年から問題になっております。この問題に対しては、私が去る八月だと思いますが、参議院の大蔵委員会で、郵便貯金の問題に対してどう考えるかというときに、郵便貯金は法定主義でございますが、これは政令にゆだねて、こういう非常にテンポの早いときには弾力的運用ということをはかられるような状態にすることが好ましいと思います、こういう答弁をしたことをきっかけにして、今日まできております。大蔵省としては、郵便貯金法の改正案を出しまして政令事項に委任をしていただきたいという考えであります。この問題に対しては、郵政大臣との間にも意見調整を行なっておりますし、それから、事務当局同士でも意見調整を行なっております。おりますが、早晩提出できるであろうというふうな見通しでございますし、何とか提出までこぎつけたいという熱意を持っております。がしかし、郵政当局は長い間の衆参両院における逓信委員会の決議がございまして、いわゆる自主運用という問題がひっかかっておるわけであります。そういうふうにして金利を弾力的に上げたり下げたりできるような——下げたりはしませんということを幾ら言っておっても、弾力的な運用をしようという中には下げるということも含まれておるわけでありますから、そういう場合には、当然郵便局一万一千の窓口で、自然増加分の何%か、何十%か貸し得るような道を開いてもらいたいとか、あわせて簡易生命保険の余裕金の運用に関して、何か一つ高利回りに回るような運用ができないか、それに対しては電力債でも一つ入れてもらえないか、というような問題がありまして、これらの問題も、これはもう何年来お互いに郵政、大蔵両省の間で検討事項になっておる問題でありますので、ここで片づけなくとも、一つ何とか政府部内としての統一的見解に立てないかということで、私の方はしごく低姿勢に出ておるわけであります。何しろ、十回も二十回も議決しておるものを何とする、こういう問題もありますので、国会等の御意見も十分しんしゃくしながら、最終的には政府の意見をまとめたいということに今努力をいたしておるわけでございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)分科員 私はしろうとだからというようなことでさっきお答えになったようですけれども、勘どころの押え方というものは非常に鋭敏で、しかも、あらゆる面について手が打ってある。金融懇談会をつくる、山際総裁と会う、郵貯の問題は早急に改正したい、政令にゆだねたいということで、一つ一つ布石が打たれてあれば、けさの新聞に書いてありますように、四月だということに結論が出てくるわけですよ。どうなんですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 それは有馬さんの方が頭がいいのでして、私はまだそんな前提をもってやっているわけではないのでありまして、ただ誠心誠意、環境づくりということでありますし、大蔵省が少なくとも一つの目標を持ちまして、一定のレールの上をレール押しをするのだというようなことでは、私はこの事態に対処していけないという非常にまじめな考え方を持っておるわけです。でありますから、去年の七月から、あらゆる面において細心の配慮をいたしたつもりでございます。がしかし、この一つの問題を解決する場合でも、私が一方的に事務当局を督励したり、事務当局の言ったことをそのまままるのみにしたりという考えではないのです。必ず民間各団体の意見も聞きながら、これに対応する前提条件を整備しながら、お互いが自動的にそのつぼに落ちていくというようなことばかりずっとやってきましたから、今度の問題も、こういう時点においてこういうものがちゃんとクロスするのだというふうに、その時点に対する目標、予想を立ててやっておるということになるとあなたが今言われた通りになりますが、そこまでは考えておりません。まあ、公定歩合の問題はここらくらいで打ち切っていただいて、これは日銀総裁の問題でございますので、非常に微妙な影響を持つものでありますし、国際的にも問題がございます。これは御承知のIMFの対日コンサルテーションでも、この議題が一番大きく取り上げられましたが、当時の状況としてはやむを得ず、フリードマン氏が在日中に第二回目の一厘引き下げを断行したという事態もありますので、これらに対しては一つ深い御理解を願いたいと存じます。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)分科員 それでは、次に移らしていただきます。申し合わせの時間がありますので、あとは問題提起だけで、私も簡単に御質問をいたしますので、お答えをいただきたいと思うのです。  とにかく、海外渡航について、これは現在の情勢から資金ワクをはずされるということになるだろうと思うのですが、実は、たとえば銀行等で海外積立預金などというものをやっておりますことは御承知の通りであります。しかも、それが来年の四月満期という工合になっておりますが、そのころと考えてよろしいのかどうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 海外渡航問題は、一番初めに自由化を要請せられるわけでございますし、また当然自由化をしなければならないことであります。しかし、これは基本的な態度でありまして、これはまあ、日本人自体が外国好きであります。こういう国民各位の考え方や習性も十分わかっておるのでありますから、特に国民各位の中に、そう一ぺんに海外に出るとか、また無制限に旅行するとかいうことに対しては、一つ自重してもらうような風潮も十分つちかっていかなければならないと思います。イギリス等は一人持ち出し六百ドルという制限もありますが、日本が五百ドルにするのか、四百ドルにするのか、またそれが諸外国との間にどういうような問題を起こすかということに対しては、慎重な配慮を必要といたしますが、常識的に考えて、あなたが言われた来年の四月くらいまでには渡航の自由化はやらざるを得ないであろうという考え方は一致しております。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)分科員 次に、OECDの加盟について萩原さんあたりが盛んに動いておるようでありますが、三月上旬と考えてよろしいのか。  それから、私は、OECDの加盟なんというものは、日本人の——日本人とあえて言いますけれども、政府ののぞき趣味といいますか、池田さんとケネディ大統領がヨット会談の上で、まあというようなことで話が出たので、それじゃやろうかというようなことで進められておるようにしか受け取れないわけです。この加盟によってどのような利益が日本にあるのか、またその時期がいつなのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 OECDの加盟に対しては、加盟をしたいというのが政府の意向でございます。また、アメリカ、カナダその他、OECDの加盟に対しては積極的に応援をするという考えが明らかにせられております。この間、フレミング・カナダ法務大臣が参りましたときも、私たちの紹介だけで入れるということではありませんが、またわれわれ主要工業国が全部日本の参加に賛成をするということはかえって反発を招くということかもわかりませんが、いずれにしても、日本がOECDに加盟をするということに対しては、欧州諸国が一括して反対をするというようなこともないと思います。われわれは歓迎をいたします、こういうことを言っておりますから、私はOECDの加盟というものは、時期の問題として加盟ができるものだと考えておりますし、政府もそれを望んでおるわけであります。  OECDに加盟をしようということは、池田総理がヨーロッパに行ってきたり、ケネディ大統領に示唆されて、大国意識から、国際好きから入りたいのじゃないか、これはそうではございません。これは、ILOに対してしょっちゅう皆さんが言っておられることと同じくらいに非常に重要であります。これは、鎖国経済というようなものが、もたないということでございます。いわゆる世界の自由化の中で、世界経済の中で、自由濶達な経済の中で、進路を見出していかなければならぬ。こういう日本の状態を考えますときに、IMFの総務であり世銀の総務であるということよりも、世界のあらゆる場において日本が自分の立場を主張し、また世界各国に対して理解を求める、こういうことは日本の将来の進路のためにほんとうにプラスこそあれマイナスはないと思います。しかも、今度のIMFの総会でも、私は痛感してきたのでありますが、IMFで八条国に移行するということが何が一体得になるのかということになると、もうアメリカだけでもものにならないし、EECの諸国だけでもって壁を高くしておっても伸び得るものではないのです。これはある過程における一つのポーズであり、姿であり、組織でありまして、結局世界の主要十カ国というようなものは、お互いにグループの中でもって事前に、いろいろな貿易の問題、経済の問題、財政の問題、金融の問題、また国際通貨の問題というような各般にわたって、お互いに意思の疎通をはかりながら、また共同の責任で、それらの安定をはかる。まあ日本などに対しては、二国間でいろいろな差別待遇に対して努力するけれども、日本と相手国との間で努力するよりも、今の綿製品の問題もそうでありますが、日本とアメリカとの間だけでやるよりも、同じメンバーとしてのIMFや世銀や、いろいろなそういうグループの中で日本に対する差別待遇というようなものを撤廃するのが筋だ、こういうふうな決議をされることは、日本との二国間交渉よりもうんとスピードアップせられるわけであります。そういう意味において、これから国際的ないろいろな機関に正式メンバーとして入るということは、プラスをもたらすであろうと思いますが、マイナスはいやしくもないということで、これは池田総理の個人的な嗜好によってなどというものではなく、やはり運命のあしたを開くべき一つの手段として考えておるわけであります。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)分科員 この問題については、いずれ委員会でやるといたしましょう。その具体的な、どのような利益があるのかというような点で大きな問題を含んでおります。  次に、これも簡単にお答えいただいてけっこうでありますが、経済閣僚の間で砂糖自由化の問題について何回も論議をされておるのを新聞で拝見いたしております。問題は、自由化についても僕らいろいろ議論がありますが、ただ、ここで考えなければならないことは、国内産のビート糖なりカンシャ糖なり、こういったものに対する保護をどう考えるかという問題であります。それで、私は年来、砂糖消費税は、特に第一種甲類等についてはこれを全廃すべきだということを言い続けて参りました。しかしながら、今そこにおられる村山さんなどは均衡論一点張りで、なかなか御承知いただけなかったのであります。やはり農林省でも甘味資源対策をいろいろ準備いたしておりますけれども、ここでよほど対策を講じなければ、唯一の換金作物であるカンシャなりビートなりというものが、大きな打撃を受けることは明らかであります。これに対して、今の砂糖消費税の問題、また関税の問題をどのように考えておられるかこれをお聞かせいただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 当委員会でも申し上げております通り、砂糖はできるだけ早い機会に自由化をいたしたいという政府の方針は決定いたしております。特に今、国際糖価が非常に高い状態でありますので、ある意味においては自由化の一つの好機であるというふうな見方もいたされておるわけでございますが、農林、大蔵、通産その他関係省の間で、これらの問題に対しては具体的な問題を一つずつ取り上げて検討しておるわけでございます。また、方針といたしましては、場合によれば砂糖消費税の関税への振りかえも考えておりますし、それから緊急関税制度の採用を弾力的に行なうということも考えております。  それから、国内産のビートの問題につきましては、ビート問題は私は専門ではありませんが、検討するとなかなかむずかしい問題であります。南イタリーやフランスの問題その他、ビートも一時非常に盛んでありましたが、このごろはビートに対しても、地域的、気候的な条件等がありまして、南国ビート糖は一体できるのかどうか、将来性があるのかというようなことが科学的にも技術的にも検討せられておることは世界的な趨勢でございますが、少なくとも現在ビートに対する対策を考えないというわけにはいきません。当然考うべきであります。でありますから、食管会計の中に制度を設けまして、ことしは五十億くらい見ておると思いますし、予備金を入れると合せて百五十億になると思いますが、食管会計でもっていつでも買い上げられるような態勢をとっておるわけであります。また、カンシャやその他の問題に対しても、国内産業の保護という問題に対しては一般会計でも相当部分の増額を認めておりますし、そういう問題だけではなく、これが価格安定その他は、砂糖の自由化に対して国内産業が大きな打撃を受けないように十分な配慮と処置を前提としておるわけございます。ですから、砂糖保護の問題に対しては、初めは四月一日をめどにしてということでございましたが、どうも角をためて牛を殺すということになっては困りますから、国内産業の実態を十分把握をしながら、これに対する対策を前提としてできるだけ早い機会に自由化を行なおうという表現にいたしておるわけであります。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)分科員 きょうは問題提起だけに終わりまして、たとえば今の砂糖の自由化の問題等についても、これははっきりと対決をしていきたいと思っておりますが、公定歩合の問題その他についてまた大蔵委員会で詳しく大臣の考え方も聞きたいと思いますし、私たちの意見も申し述べたいと思います。  私の質問はこれで終わります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 加藤清二君。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 私はこの際、特定物資、バナナ、時計、特に輸入フィルム、日本フィルム等々の状況について、自由化を前夜にして、はたしてその準備体型が整えられていかいないか、はたして日本の映画は現状のままでよろしいか等々についてお尋ねしたいと存じます。ところが、大臣お疲れでございますから、イエスとかノーとか、やるとかやらぬとか、簡単にお答えを願えればけっこうでございます。連日まことに御苦労さんでございます。そこで、大臣に最初にお尋ねしたいことがございます。  かつて池田総理は中小企業の三軒や五軒ぶっ倒れたってやむを得ぬ、こう言うて、ついにその座を退かれたことがございます。人情大臣といわれまする田中さんは、一体その点についてはどうお考えでございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 池田総理が中小企業の一人や二人と言ったのは、これは間違いでございます。これは舌足らずということでありまして、そういう人間でないことは、もうその後の池田総理を見ていただけばわかるのでございまして、わが党の総裁であり、わが内閣の首班でありますから、そのような思想の持ち主でないことを一つ弁解いたしておきます。  私も、もとより中小企業の出身でございますし、私自体が二十年、三十年にわたって中小企業の中に呻吟をしてきて今日まで生計を営んできておるものでありますから、中小企業に対しては観念論ではなく、実態的にもよく承知をいたしておるつもりでございますし、中小企業の振興、育成というものに対して相当政府も積極的な施策を行なわなければならないということを十分考え、予算策定等においてはこれらに対して重点的な措置を行なっておるつもりでてざいます。  私は、なお——簡単に申し上げろということでございますが、その問題は重要な問題でございますから、もう一点申し上げますと、中小企業がただ企業的にペイするとかどうとかいういわゆる純経済議論よりも、日本が戦後十七年間において、これを正規な登録失業者とした場合大へんなものであったと思いますが、戦後の混乱期に際して今日まで相当の登録失業者になるべき潜在失業者をかかえて苦難の道を歩いてきながら、そういう面で大きく国に貢献をした中小企業というものの特殊性、こういう功績は忘るべきものでない、こういうことまで考えておるのでございますから、中小企業に対しては相当な積極論者であるということを御理解賜わりたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 その言たるやまことにたのもし、その行為たるやまことにさびしでございまして、私は以下のことを述べなければならぬことを大へん残念に思う。なぜかならば、伸びる伸びるといわれておりまする日本経済、その陰にだんだん縮小していくものがございます。すでに論議がたたかわされておりましたが、村では農村人口が、町では絹、綿などの糸へん、これの工員、もう一つは映画人口、これはだんだんと薄れていきつつあるわけでございます。その結果、映画館は毎日のごとく一館くらいずつは倒れていっているのでございます。五人や六人倒れるんじゃございません。毎日一館ずつ倒れておる。観念論でなくして、ほんとうに中小企業を助ける気持である、その行為を見ていただけばわかるとあなたはおっしゃいましたが、現に行為とは、現状は何かといったら、倒れつつあるじゃございませんか。それに対してあなたたちは一体どう考えておりますか。考えだけでは困る。観念だけでは……。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 いや、観念だけではなく、まず基本的な観念が一番大事でありまして、その上になお適切な施策を必要とするわけでございまして、適切な施策に対しては、私がもうとやかく申し上げなくとも、中小企業基本法を提出をし、各般の施策を行なっておりますが、しかし、こんなものでいいと思っておりません。でありますから、私も大いに督励をしながら、各省との連絡を密にしながら、日本の中小企業の将来というものはかくあるべきだという一つの定義をつくらなければいかぬというくらいに熱意を持っておる。ただ、中小企業の問題につきまして、加藤さんに申し上げることは釈迦に説法ですが、これは率直にこういう機会に申し上げておく必要がありますから、申し上げますが、現状に対して金が必要だから金をやる、金利が高いから金利を少なくする、とにかく信用が非常に微弱であるから信用を補完してやる、また、中小企業というものは同族会社でなければできないから、同族会社に対しては、非課税措置や、だんだんと税法上の特例を認めていく、設備の近代化や改善に対してはいろいろな手を打つ、確かにその通りであります。しかし、これは現状をよりよく、現状より悪くしないという手だと私は思う。一体日本の中小企業という特殊性、この歴史は非常に長いのですが、私自身は、日本の中小企業というものは、現状のままでもって、あらゆる面をこのままの姿でもって伸ばしていけるかどうかということに対しは、はなはだ自信がない。これは日本以外にもずっとたくさんの中小企業がございますが、一番理想的なものは西ドイツであります。西ドイツでは、ボルト工場をずっと親子三代やっておる。ナットならナットの工場をずっと三代やっておる。でありますから、ナットをつくるものは、世界じゅうでこれだけのナットはつくれない、世界じゅうのどこの国よりも私のボルトは非常にいいのだ。ベアリングもその通りだ、そういうことで、これを全部組み立てるから、非常にドイツの管理費は安いのであります。ところが日本の中小企業は、三人使っておるものも、三十人使っておるものも、三百人使っておるものも、三万人使っておるものも、大体大同小異、同じ工程をやっておる。砂を持ってきて、原材料からふいごでもってインゴットを入れてきて、だんだんだんだんと小さくしてロールにかけて、しまいには彫金技術で目玉まで入れる、これをやるんですから、これはなかなかむずかしい形態であります。でありますから、経済の変動が非常に大きいときは、政府が考えている何倍も中小企業にしわ寄せがいくのでありまして、これを一挙に長い歴史があるものを変えるわけにはいきませんが、もっとより安定的なものに、やはり将来相当長い期間を経ながらそういう方向にいかなければいかぬだろうというふうに私は考えておるわけでございます。  映画の問題でもう一つだけ申し上げますが、テレビが昭和三十二年十月に三十三社、三十六局免許したわけでありますが、わずか四年間で千百万台になったわけであります。そういう意味で、映画界が困っておるということは事実でありますが、しかし、映画が世界からなくなるかというと、テレビと映画が競合したときには必ず一時点にこういうことがありますが、映画は映画としての生きていく分野が確定しておるわけであります。これは世界のどこの国でも経てきた苦難の道を今経ておるわけでありますが、私は、映画は芸術品として、やはり大衆娯楽としてりっぱなものとしてこれから立ち上がっていくべきでありますし、また、政府も、こういう娯楽に対しては、純民間的な仕事であるからなどというような考えではなくて、できるだけの財政措置も行なうとか、いろいろな施策を行なって、映画界の健全な発展ということをはかっていくということであれば、映画が今非常に不振であるということが将来に続くものではないだろうというふうに考えているわけであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 あなたの博学で同情的なことはよく心得ておりますので、やるとか、やらぬとか、イエスとかノーで答えていただきたい、こう申し上げておるわけなんです。  そこで、私は映画のことを聞いておるので、ナットのことを聞いておるのじゃございません。まずどの程度倒れているかという実態でございます。それを御存じでございましょうか。——忙しいでしょうから、私が答えましょう。三十一年に日本では七千百六十館ございました。動員された映画人口は十一億の余でございます。当時の日本人口一人当たり年十二・七回映画を見ておるという勘定であります。ところが、これが三十七年度になりますると、映画館は六千に減っているわけでございます。映画人口は六億四千でございます。従いまして、七千百六十のときの十一億の人口と、六千に下がって、動員された人口が六億に下がったときとでは、問題になりません。その間に倒れた数が千百六十。倒れただけではない。映画動員人口がぐっと下がっておりますから、今立っておるものも気息えんえんなんです。これをどうするかということが問題なんです。理論の問題じゃない。あなたの同情心の深いことはよく知っておる。だから、具体的にどうするかという問題なんです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 これは先ほどちゃんとそういう考え方で言っておるわけです。映画界が不振だからつなぎ資金を出せ、何を出せということで解決できる問題じゃないのであります。これは結局テレビの発達その他において世界のどこの国でもこういう不況にぶつかるときはありますが、しかし、映画は映画としての特殊性を生かして、十分採算がとれる企業になっておるわけであります。より合理的になっております。一時に比べて、映画館をつくれば幾らでももうかるという態勢ではありませんが、私は、少なくとも映画というものは将来不滅のものであるという考えを持っておるわけであります。それで、私ども映画界の内容を知らないわけではないのですが、確かに映画の問題としては大へん困っておるのです。ところが、映画館というものは、町のかとに建っておりましたから、映画がもうかるときにはよかったのですが、もうからなくなってしまうと、こわしてアパートにしたりビルにしている。そういう意味からいいまして、実際その企業というものは映画の分野においては非常にめいった状態でありますが、他に企業転換をしたためにかえってよくなっている場合がたくさんあります。しかし今までは、二年、三年たって赤字が累積をしてくるとその税金をとられないのですけれども、今のところは、これから非常に悪いというので、過去の蓄積がありますから、どうしても映画館の土地を売ったり何か建てる場合には税金でもって六割も六割五分も持っていかれてしまう、そういうことで、今日提案をしております税法の改正の政策減税の中に、今度は商売道具をそのまま売ったり別なものに転用して機械を買ったり、工場をつくったり、ビルをつくったり、アパートをつくったり、飲食店をつくったり、あらゆるものに転換をする場合には、圧縮記帳ができるという抜本的な改正を行なったのであります。私はなぜこのようなことをやったかというと、映画館とか、それの将来の見込みが非常にない、転換はしたいけれども、あしたからは三倍も金が要るにもかかわらず、きょう売った金は六割税金にとられるというようなことでは、中小企業対策にならない、こういう考えで私は今度の租税特別措置法の改正に踏み切ったわけでございまして、映画自体の産業としての将来性というものは専門家も考え、われわれ自体も考えて、これは私も意見があります。あなたとも納得できるだけの映画再建の意見はございますけれども、いずれにしても、今映画の企業というものが転向する場合の、税金をとったり、これ以上に苦しめないような措置はとりたい、こういうことを考えておるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 結論だけを言うてもらえばいいのですから。映画不滅論をここでぶっていただこうとは思っていないので、あなたは税制、外割その他の最高責任者としての立場を述べていただければいいのです。  そこでお尋ねするのですが、内地の映画館が動員数が少なくなるということは、やがて、そこからの収入が少ない、その結果、映画を生産しているところのプロダクションにも大きな影響を与えるわけなんです。そこでプロダクションが倒れたことは、あなたは御存じでしょう。そういう問題のやさきに、自由化だからというて、このたびは外国のフィルムの輸入を自由化なさる御準備のようでございまするが、ほかのことはいいですが、自由化のスケジュールを最初に承りたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 映画も、自由化の大勢の中にあって例外たり得ないということで、自由化は早晩やらなければならないとは思いますが、あなたが今言われるような事態もございますので、特に国内産業の保護ということに重点を置きながら、直ちにこれを撤廃するというような方針をとっておりません。一体いつごろ自由化をすればいいのかということは、業界の状態も十分検討しながらめどをきめたいというふうに考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 目下未決定、ただし、業界の意思等をよくくんで決定すると、こういうことでございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 原則的にはいつの日にか——というよりも、早晩自由化に踏み切らざるを得ない大勢ではございますが、しかし今あなたが申されたような事態もありますので、業界の事情その他国内産業に与える影響等も十分しんしゃくしながら、何月何日に行ないますというようなことに対しては慎重な配慮をめぐらしております、こう答えておるわけです。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 見当としてはいつごろでございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 見当として今さだかに日を申し上げるわけにはいかないわけであります。これはもう慎重にやっておりますから。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 その事前措置として、このたび輸入フィルムの外割を今年度はふやされますか、ふやされませんか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 本年度は、事務当局の考え方では、一割ないし二割くらいはふやそうという考え方のようでございます。間違いがあれば訂正いたします。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 本数にして何本くらいふえます。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 事実問題でありますから、政府委員をして答弁せしめます。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 お答えいたします。  御承知と思いますが、輸入映画等審議会というのがございまして、そこの答申が今出ている段階でございます。それによりますと、現在外国映画に割り当てておりますのは二百三十一本でございますが、それを四十六本ふやせ、こういう答申をちょうだいして、おります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 四十六本……

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 失礼しました。四十四本でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 これは二本でも大へんですよ。私の記憶とは二本違うようだ。そこで合計何本になります。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 二百七十五本と相なります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 その数に間違いございませんね。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 答申通りにいたしますと、今申し上げました数字になります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 だから聞いているのだ。答申はそうだが、あなたの方はどうするかと聞いている。決定権はあなたの方にある。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 大臣が申し上げましたように、答申を極力尊重してきめるつもりでございますけれども、私の方の本数はまだ最終的に決定しておりません。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 ただいま大臣は一割と言った。ところが、四十何本は一割でございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私もさだかでございませんが、一割ないし二割ふえると思いますが、事実問題でありますので、間違いがあれば訂正いたしますと、こういうふうに申し上げて一おりましたが、これはもう少しよく調べて答弁します。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 正確なところをお答え願いたい。正確に何本ふやすかふやさぬか、これは命にかかわる問題ですから。あなたたちは机の上で勝手にきめたらそれで済む。ところが、それから影響を受ける連中で見れば、死ぬか生きるかの問題なんです。中小企業はぶっ倒さぬと言うておられます。だから、ぶっ倒さぬように数字をはっきり出してもらいたい。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 今申し上げた通りでございまして、現在二百三十一本でございます。それを答申は、四十四本ふやしたらどうか、こういう答申をちょうだいいたしております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 合わせて……

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 二百七十五本でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 二百七十五本、それは答申でしょう。あなたはどうするかと言っておるのです。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 これは四月以降の問題でございますので、政府の方針は最終的にまだ決定しておりません。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 これだけふやされますると、問題はいろいろあるわけでございますが、その前に、これだけふえるということは、もはや本数においては自由化になったと同じことなんですね。従って、自由化に対する対策ができておるかどうか、大臣。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 今の問題、審議の過程において、二割ぐらいふやすのを業界は知っているのか、知っております、反対意見はあるか、反対意見はあまりありません、だから業界との間に意思の疎通をはかっておるということであると現在の段階において思考せられます。それから自由化の態勢ができているかどうかという問題に対しては、先ほど申し上げた通り、業界の意見を十分しんしゃくをしながら自由化のめどをつけて参りたいということでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 業界の意見はどうか、こういうお話でございますが、それは審議会に尋ねられたわけでしょう——それじゃ問題は何です。だから事実の上に立脚して話を進めましょう。問題は、その審議会へ万般の声が集約されているかいないかというところに問題があるわけです。それは後ほど触れるとして、自由化対策——もうそれだけふえれば、制度の上では自由化でなくしても、具体的事実の上では自由化されたと同じ結果が生じてくるわけなんだ。従って、その態勢は整えられているかいないかということを聞いている。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 あなたが今申されるような映画界の事情もございますので、十分にしんしゃくをいたす態度から、三十八年度については映画等はまっ先に自由化してもらえると考えておる人もあるようでありますが、三十八年度に対しては今申し上げた程度の本数をふやすという答申をいただきまして、三十八年度に自由化をするということに対しては孝えた方がいいだろうというのが審議会の答申でありますから、政府も現在の状態においてはそのような立場でものを考えておるわけであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 自由化の態勢を聞いているのであります。映画系統の自由化の態勢ははたして準備完了しておるやいなや。今つけ加えて申し上げるまでもなく、あなたが御存じの通り、今内地の映画館は次々と倒産している。毎日のように倒れている。しかもテレビにも食われている。そういうやさきに、それだけ外国ものを輸入して、はたして日本産業は成り立つやいなや、こういうことをお尋ねしている。準備態勢ができているかいないかという点は、たとえば影響の度合いを考えてみてもそうなんです。東宝は配給収入が四二%、興行収入が四〇%、ここは大丈夫でございましょう。ところが、配給収入がだんだんに多い会社がある。たとえば東映の六〇%、日活の八七%、大映のごときは九五%が配給収入なんです。つまり映画館からの水揚げが上がってこなかったら立ち行かぬということなんです。テレビに食われ、外国映画に食われて、映画人口がどんどん激減しているそのやさきに、外国フィルムがそれだけ入ってきて、配給収入が主力であるところの日本映画会社がはたして生きられるか生きられないか。だからこそ、輸入に弱いということで株価が安いでしょう。どうなんです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 完全自由化に対応していける態勢はできておらないと考えます。ところが、映画というものは、そうかといって、映画館をもっとりっぱにすれば外国映画に対抗していけるというわけではないですし、これはやはり質の問題であります。質の問題では、もっときわどいものをやったらいいじゃないかというような議論もありますが、私はそうではなく、映画としてりっぱなものをやるべきである。少なくとも税関などで引っかからないものをやって——私たちは「心の旅路」とか「哀愁」とか、そういうものはやはり今でも鮮明でございますから、年経れば経るほど鮮明だという程度のものをつくって、邦画の中にもりっぱなものがあるということでやる以外に——そういう企画であり、そういうシステムにするために政府が金のめんどうを見てくれるとか、またいろいろな方法をとるべきであるとかいうようなことは、具体的な問題としては考慮でき得ると思いますが、どうも外国映画が入ってきたのでは全然つぶれてしまうということをもって、農産物と同じような考え方でこれを一体自由化を延ばせるかどうかということは問題であります。だから、転換するために土地を改造する場合に、ビルをつくる場合に、どういうふうな手段があるかとか、いろいろな問題があるわけでありまして、私もそういうことを十分しんしゃくしておりますから、急激に自由化の第一号などに取り上げては大へんだぞ、こういうことを言っておるわけであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 心の琴線に触れる、心のふるさとをたずねるというような映画、これはなつかしいとおっしゃいましたが、これは私も大賛成、しごく同感なんです。ところが、そういうものがだんだんにつくれなくなりつつあるということをまず念頭に置いて物事を考えてもらいたい。しかも私の尋ねることについて答えていただきたい。つまり、映画会社は体質改善は進んでいない、まだ自由化に対抗する力が備わっていない、そういうときに、あなたがおっしゃったように、それに対する決定的なきめ手というものを持っていない。言わば、日本は輸入映画を受け入れる指導態勢、これもまだ整っていない、こういうことなんですね。あるならば、ここへはっきりと出してもらいたい。そんな精神論や哲学論でなく、実態的に出してもらいたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私はもう精神的にそういうことを考えておるのです。ところが、実態的には映画の方々が私のところに陳情にきたことは一ぺんもないのです。今あなたに初めて聞くのです。映画というものに対してこういうことをやりますから、自由化に対応しましてこういう設備が必要である、こういうふうな状態が必要である、これができないうちは外国映画を入れてもらっては困りますよ、というような陳情は、私在職中今まで一ぺんも聞いたことがない。私も大体何でも知っておるようなつもりでありますが、どうも具体的な、政府にやれというような態勢まで示されないで——私どもの事務当局は専門家がありますから、いろいろな対策をきっと持っておるかもしれませんが、私も現在までは映画人にも友だちが相当多いし、経営者もたくさん知っておりますし、また館持ちもおりますが、今までビルにでもしたい場合に、どこか開発銀行からでもというような話で、映画自体の産業に対しての問題はまだ聞いておりません。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 確かにあなたのおっしゃる通り、本件に関する限りは、たとえば砂糖であるとか、あるいはバナナであるとか、その他の物件のごとく国会の方へ声が上がっていないということは事実なんです。しかし、上がっていないから、ほうっておけばよろしいというものではない。声なき声を聞いてやるのがほんとうの政治家のはずなんです。  従って、私は予ての次にお尋ねするのですが、外国人のいわゆる非居住者と名のつく人の日本における映画配給の業務、そこから生ずるところの収入、蓄積円、この送金の自由は一体どうなるんですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 そういうこまかい問題は私はつまびらかにいたしませんから、政府委員をして答弁せしめます。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 御指摘の問題は、いわゆる蓄積円だと思いますが、十一月末で四億七千万円くらいのものが過去の分として蓄積されております。そこで、今の建前でいきますと、若干ながらそれが今後にわたって増加するという状況になっておることは、御承知の通りであります。将来これをどうするかという問題でございますけれども、私どもとしては、なるべく近い将来に、そういった蓄積が新規に生じない、かつ過去のものはこれも適当な機会に送金を認めたい、かように考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 あなたはどこの代弁者をやっているのですか。生じないようにしたい——冗談言っちゃいけない。日本の方の立場から考えたら、非居住者が国内において収益をあげたものを直送することを避けさせて、ここに保留させる、それがマッカーサー時代からの日本に対する愛国的な施策なんですよ。それをさせないようにする、あなたは一体どっちの味方なんです。だめですよ。あなたはジョンストンやその他の陳情だけを聞いているから、そういう観念になっちゃう。なっちゃうから、こういうところへ出てくると、ふわっとそれが出るのだ。そこで、私の方から言わせれば、蓄積円は置いておくべきなんです。ほんとうに日本のためを思えば置いておくべきなんです。それが貿易の自由、すなわち売買の自由、円交換の自由と投資の自由、この自由が与えられるがゆえに、やむなくこれはそのままストレートで持って行かれるという状況、その前夜にあるわけなんです。ところが、自由化しないうちにあなたの方は何をやっておるかというと、取得率の問題で、アメリカ映画は向こうが七〇%の取得をして、日本の小屋には三〇%しか与えない。七、三だ。これは昔の遊郭と一緒だ。そんなにひどい取り方をしておきながら、なおかつ七〇%のうちの四〇%はいつの間にやら移動が自由になってしまっておる。そのうちの六〇%以下のEEC諸国のフィルムは、五〇%はいつの間にやら自由化にならぬ先にかご抜けで行ってしまっておる。それが現状なんです。つまり、私に言わせれば——いや、世間の人はみんな言っておる。日本の映画生産、あるいは上映館、これには自由化の態勢はほとんど整えさせずにおいて、輸入している外国人に対してはすでに自由化の恩典を前から与えているということなんだ。これでもって日本の官僚、日本の大臣と言えますか。どこから月給もらっている。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 非居住者の、外国映画の日本における上映についての受け取り分の送金制限、これはあったわけであります。ところが、こういうものは、日本がアメリカに投資をし、外国に投資をしたものでも、元本送金ということをできるだけ早く自由にしてもらいたいということと同じように、戦後十数年間において、一ぺんにこれを自由にするわけにはいかないので、徐々に緩和をいたしますということで、お互いに実情を見ながら緩和措置に出てきておりますから、二十億以上もあったと思うものが今四億か五億しか残っておらないように、順次解除して送金を認めておるわけでございます。また、外国人が日本の株を取得した場合、これが元本送金制限も二年間でありましたものが、去年六カ月にいたしたわけでありまして、これは世界的な趨勢として、お互いに一ぺんに自由化というのではなくて、もう八八%自由化になっているというようなものに平仄を合わせながら、蓄積円に対しても六〇%、七〇%の送金緩和を行なっており、近くやはり全廃というような方向に進むべきものである、こういうのが政府の基本的な方針でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 つまりこういうことなんです。自由化の前夜にあたって、外人商社に対しては具体的に大へん丁重である、しかし日本の同類産業に対しては、言葉だけはあなたは丁重であるけれども、具体的事実は自由化に対処するきめ手はまだ全然ない、こういうことなんだ。それがそうでないとおっしゃるならば、私は次に具体的事例を申し上げなければなりません。  このたびあなたは二百七十五本に外貨をふやすとおっしゃった。それの扱いは一体どうなっているか。これから見れば一番よくわかる。日本人が何本扱って、外国人商社が何本扱うのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 これはまだ先ほど事務当局から聞いたばかりでありまして、私のところまでまだ上がって参っておりませんから、何本やるかなんというようなことは大蔵省としてはさまっておりません。しかし、答申が出ておりますから、答申に対してどういう取り扱いをするのか、政府委員をして答弁せしめます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 事務当局、去年どうであって、ことしどうするかをはっきり——僕のトータルには歴史的に終戦後のやつが全部あるんだよ。わからなんだら、こっちが発表します。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 現状を申し上げます。去年の二百三十一本のうち、日本側が百九本でございまして、外国側が百二十二本でございます。現在の答申は、それぞれ二十二本をふやしたらどうか、こういう答申でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 お説の通り、外国商社の方が、扱い数も扱い金額もはるかに多いでしょう。いいですか。  その次に、まだ大へんなことは、アメリカ映画だけを例にとってみたらどうなります。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 ちょっと今数字を調べますので、後刻お答えいたします。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それでは私の方から言おう。アメリカ・フィルムは日本人は三十本しか扱っていない。アメリカのメージャー九社は百二十本扱っておる。なぜこうなっておるか。それは占領政策がそのまま行なわれているからだ。(「オキュパイド・ジャパンだ」と呼ぶ者あり)イエス、オキュパイド・ジャパン、それがそのまま扱われているということなんです。従って、このアメリカ・メージャー九社は九分の百二十本扱っておるわけだ。こちらの方は九分の三十本扱っておるわけだ。商社の数は一緒なんだから。占領時代には日本人はアメリカのフィルムを扱うことができなかったわけです。そのスタイルがそのままずっと移行されている。自由化対策どころか、占領時代の、すなわち独立していないときの体制がそのまま持ち込まれているというのが、映画フィルムの輸入の実態なんです。そこで、あなたの方が外貨をふやせばふやすほど外国商社の方がだんだん太っていって、日本の方は太れない。しかも九社以外に私もしてもらいたいという人が大ぜいあった。それをどうしたかというと、あなたの方はばったばったと切った。切って、合同して支社を持たなければやらせないぞ、こういうやり方をして日本の商社をいじめた。しかし、ある程度効果もあったでしょう。その結果、数億、いや、今の計算では十数億の投資が余分に要った、こういうわけです。にもかかわらず、配給の実態はどうかといったら、外国映画々々々々——大蔵省の官僚というのは一体どこから月給もらっておるかと言いたい。この外貨は、少なくとも日本人が血の出るような思いをして稼いだところの外貨ですよ。それを何がゆえに独立した今日といえどもアメリカのメージャー九社にだけたくさんに与えなければならないのか。もう一つ追い込んで言うならば、大臣はかつて私のここの質問に対して、輸出が伸びたからそれで外貨を与えるのだ、こうおっしゃった。なるほど、ごもっともです。日本のフィルムが外国に売れてそれで外貨がもうかった、それならば一つ輸入フィルムにも与えましょうということなら、これはわかる。ところが、輸出フィルムで外貨を稼いだのは一体だれなんです。日本の商社なんです。そうでしょう。にもかかわらず、それが今度は外貨を渡すときには、外国に多く渡して内地に少ない。稼ぐときには日本に稼がせておいて、与えるときには外国に多くやって、日本はまま子扱い、そういうやり方が正しいと思うか。それでもって中小企業が伸びていくと思うか。あなたのさっきの哲学的精神、崇高な精神とは、現実にはだいぶギャップがあるじゃないか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 お答えをいたします。  映画の外割ということを一つだけとってみると、今お説のような議論に発展をしていくと思いますし、またこれらは漸次直していかなければならないことでありますが、何分にも歴史がありまして、これを一挙に解消していくということが今までできないで、積み重ねという、非常に込み入ったいろいろなものを積み重ねてきて実績主義というもので割当をする、実績主義の上にまたボーナス制度とかいうものがあって、そういうものが積み重ねられ積み重ねられして、それでも大蔵省は日本人でございますし、特にそういうことに対しては外貨獲得ということは大へんな考えを持っておるところでございますから、百九本と百二十二本になったというところは、占領軍当時のバランスから見てくると相当是正をされてきているということは、私は、昭和二十一年ごろからの数字を見てみると、明らかにそういうふうになっておると思うわけであります。あなたはそれよりも一歩進めて、一挙に、どうせ統制をしておる時代なんだから、アメリカものでも、外国人に対してゼロだっていいじゃないか、なぜそこまで積極的にやらぬか、確かにそういう議論は生まれるわけでありますが、やはり外国との間の問題であり、ボーナス制の問題はどこの西欧諸国にもある問題であって、なかなかこれらの問題はうるさい問題のようてあります。でありますから、やはりこれはただ国内産業保護というような立場だけで解決できる問題ではなく、やはり外交上の問題であり、いろいろな問題として、何とかできるだけ国内業者に重点を置いてやろうという考えできたことだけは認めてもらわないと、大蔵省の役人はどこの国のものだということだけは、そういうおつもりでないようにお願いします。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それではもう一つ承りますが、事務当局でけっこうです、大臣はわからぬかもしれませんから。  そこで今年度の予定ですね。メージャー九社には百二十二本割り当てられますか。これは去年の数字ですか。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 本年度、三十七年度の数字でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 八年度の予定は。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 三十八年度は、先ほど答申の内容を申し上げたのでございますが……。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 もう一度確認をします。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 それぞれ二十二本プラス……。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 プラスこおっしゃいましたね。合計幾らになります。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 二百七十五本でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 合計で……。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 総トータルが……。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 日本は何本。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 日本は百三十一本、外国側が百四十四本、合計二百七十五本でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 そこでお尋ねせんければなりません。事務当局、アメリカのプロダクションでは三十八年度は一体何本製作される予定でございますか。——これでは審議にならない。そんな答弁ができぬでは。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 日本の国内の業者でもって何本製作する予定であるかということはわかりますけれども、アメリカが三十八年度に何本ということは今すぐわかりませんから、もし必要であれば、外務省を通じて直ちに一つ調査をしてお答えを申し上げます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 冗談言っちゃいけません。映画製作というものは、とっこつとして今日現われてくるともえ焼きとは違うのだ。いつできるということは、そんなものとは違うので、ちゃんと計画があって、スケジュールが行なわれている。じゃ私の方から言いましょう、審議に協力するために。ほんとうは私はここで材料が出るまで動かぬと言いたいところだけれども……。予定でいきますと、大体去年は百十七本程度できている。ことしは百本前後になる。だんだん大物主義になってきておりますから、アメリカの製作本数というものは下がっている。金額は上がりましても本数は下がってきておる。これが傾向なんです。ところで、その際に、去年はアメリカ輸入会社に対して百二十二本も割当をなさるものだから、どうしたかというと、余った分をEEC諸国のものに手をつけた。日本商社は、アメリカからはいいものが買えないので、主として新しいフィルムはEEC、イギリスその他を唯一のたよりにしていたわけなんです。ところがそこへ大きな資本で手をつけられた結果、欧州フィルムがアメリカ商社の手を通じて入るようになってきた。三角貿易だ。ところがことしはその傾向に一そう拍車をかける、こういうことになるではないか。何がゆえに英国やフランスやイタリアのフィルムを日本の商社でなくして外国の商社、アメリカの商社を通じて日本人は見なければならないのか。そういう外貨割当。何本生産されるかわからぬようなものが配給の任務に当たっているからこういう間違いが起きてくる。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 専門家のメンバーをそろえておる審議会の答申を得たのが現状でございまして、ただいまの御発言もございますので、これが割当に対しては一つ別な角度でもって厳重にやります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 専門家々々々とおっしゃって、そこへ責任を転嫁なさるなら私はもっと言う。あなたがそう言うなら私はもっと言う。私は、本件はきょう初めて言うのではない、来る年も来る年も、毎年言うている。ところがそれが、ここではいい答弁をされるけれども、はっきり言いましょうか、あえてJと言うておきましょう、Jという某アメリカの大官が来て、内地でパーティをぱっと一ぺんやると、当局の空気がふわっと変わっちゃって、そしてこういうふうになる。あなたは初めてだとおっしゃるけれども、私は来る年も来る年もこれをやっている。特にグローバル方式になったときに、私は自分が小委員長になってこれを審議したのですから、一体きのうきょうの問題とは違う。歴史的に占領政策がそのまま行なおれているのが映画輸入の形態です。さればこそ、声が出ないというのはそこにある。先ほどあなたは声を聞かぬとおっしゃったけれども、きつい人が来てやられるものだから、声はあっても声にならない。そこで声なき声を聞いてもらいたい、こう言うておるわけです。人情大臣、あなたならわかるでしょう。対策いかん。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 そういう人が来て、さっと台風一過のようにきめることは絶対いたしません。いやしくも、私がここで聞いたことでございますから、この内訳その他に対しては事務当局から十分説明を求めて、最終的な問題に対しては遺憾なきよう判断をしてきめるつもりであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 その際、ぜひ一つ声なき声が雲の上へ吸い上げられるようなルートなり制度なりを考究していただきたいと思いますが、その用意はいかがでございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 声なき声を聞くのが政治の真骨頂でありますし、私もそのように考えておりますが、まあ一つできるだけ、私がこういうふうに国会で答弁をし、国民の前に政府の所信を明らかにいたしておるのでございますから、またいろいろお教え願うことがございましたら、直接でも、また事務当局にも一つ御提示を願いまして、できるだけ正しい姿勢における行政をやって参りたい、こう考えます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それでは、まだ占領時代そのままの具体策を私はここで披露したいのですが、時間の関係上、次へ参ります。  日本フィルムの輸出振興策いかんという問題でございます。日本フィルムの輸出振興策、これは一体どのように行なわれておりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 お答えいたします。  輸出ボーナス制等を十分活用しながら、これが輸出振興に努力をいたしております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 ボーナス制度は継続できますか、できませんか、すなわち、自由化になった場合に……。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 原則論からいいますと、自由化になるということでありますから、将来自由化になれば輸入ボーナス制ということでなくて、外貨は自由に使えるということになるわけでございますが、今の答申は、輸出ボーナス制でありますかをそのまま存続するような答申であるようであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それは答申はそうでしょうけれども、政府の態度として、外貨制限の可能であった十四条国時代と、八条国に移って以後の日本の体制として、輸出振興策として内地の者にほうびを与える、輸出をしたからそのほうびをボーナス制としてリンク的に与えるという、そのことがはたしてIMF、ここで許されることかどうか。すでに、私がなぜこれを言うかというと、毛製品の輸出、綿製品の輸出のごときは、かつてボーナス制、Cリンク制というて、ほうびの制度があったけれども、これは原綿の自由化と同時に、行ないたいけれども行なえなくなったのです。だからあえてあなたが言うというならば、私はついでに、では毛製品にも綿製品にももう一度Cリンクを復活してもらいたい、こういうことを言いたくなるが、はたして輸出振興策の金科玉条であるボーナス制度を存続できるかできぬかという問題は、答申の問題ではなくして政府みずからの態度の問題である。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 十四条国である以上、ボーナス制は存続できるわけでありますし、また存続いたします。八条国になると、これはもうすべてが自由になりますから、そのような特別な配慮はできないわけでありますが、これは、ガットその他で問題にならないような国内的な政策において、輸出振興策として各般の処置がとられるであろうということは、これはもう他の産業においても同じことでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 これがもしなくなるとするならば、輸入映画が殺到してくるであろう、その場合に対策があるかないか。EECでは輸入に対してはチェック制度を設けておるのです。すでに八条国に移行している国が、輸入フィルムについてはチェック制度というものを残している。それは、ちょうどアメリカが綿製品に対してチェックしていると同じように、日本はそれをやる勇気があるかないか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 自由化になると、全部アメリカや外国の映画が入ってきて、日本の映画が壊滅的打撃を受けるとは考えておりません。ただ、自由化になりまして八条国に移行した後に、外国映画の入ってくるものに対して制限ができるか、これは、原則的には制限はできないと思うのです。ただ二国間交渉その他によって、交渉の過程においていろいろな方法が、ある期間区切られつつ行なわれるということはあるわけであります。しかも、チェック制度をとるというのは、私は専門家でありませんが、これはイタリアとかフランスとかというところは、外国輸入映画に対しては相当強いチェック制度をとっております。これはチェックというよりも、国内法規の広義解釈でやっておるのです。これは、ちょうど日本の東京税関等でもって、これはあまりグロテスクであるとか、あるいは物騒な映画であるとか、どうも子供に見せてはいかぬとかいう建前でやっておるのですが、これを広義にして、前の国会乱闘事件等を報じたニュース映画さえも上映禁止だと、こういう国内法規上の措置でやっておるのでありまして、チェックというのはそういう意味であって、外国製品を入れないというような輸入制限的な処置の効果、実際効果はありますが、これは国内的な法規の運用でやっておるようであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 私は、買いを自由にするならば、売りも自由にしなければいけないと思う。従って、売りの具体策、振興策があるかないかということを聞いておるのです。それを答えてもらいたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 もちろん、貿易というものは相互的なものでありますし、双務的なものでありますから、向こうのものが自由に入ってくるときに、こちらのものも自由に出るということでなければいかぬし、こちらの方に入ってくるという問題に対しても、バランスがとれるくらい、また、より以上に日本の映画が輸出をされるというような、振興策を当然考えていくべきであると考えます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それは具体策がない。つまり、こういうことなんです。輸入に対する準備体制もきめ手なし、輸出振興策はと尋ねても、これも具体的な方策はなし、この姿において、輸入が自由化になって殺倒したならば、一体どうなるか。あなたは一ぺんに殺倒して倒れるようなことはないとおっしゃったけれども、ある実例を申し上げてみましょうか。あなたがそういう答弁をなさるから、私は反駁しなければならぬことになる。このことは、少なくとも邦画産業に対する致命傷になると思うのです。そこで、スポイルされたところの実例を申し上げてみましょうか。フィリピンの映画業界を見てごらんなさい。完全にアメリカの亜流化してしまった。あなたはさっき、心のふるさとであるとか何とかおっしゃって、フランスにおいてもイタリアにおいても純粋な文芸的作品、いわゆる昭和のルネッサンスと言いたいようなりっぱなものができておった。ところが今日どうです。フランスもまたアメリカ資本にある程度侵食された結果は、その方向すらも製作者自体がとれない。シナリオライターにしても監督にしてもそうだ。金を出す方の意向を無視して製作はできないからでございます。日本においてそれはありませんということが、証拠をもって証拠立てられますか。だからこそ、ころばぬ先のつえをせんければならぬ。せめて準備体制、せめて日本フィルムを輸出するところの具体策を考究してもらいたい、こう言う。ところが、それが今のところいずれもきめ手がないというならば、それじゃ今後に向かって、そういうことをやるかやらないかという問題になってくる。もう過去を問わずとして、将来この危機に対して、政府としては、中小企業は日本はぶっ倒れていってもいいのか、それともこれをぶっ倒れぬように助けていくのか、日本のプロダクションがほんとうに純粋な文芸的作品——あなたの好みであり私も好みである。ここだけは意見一致である。それが育つようにするところの手だてをあなたはやる責任があると思う。そこであなたは、今後それをやるという、その責任を具体化するところの用意があるかないか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 フィルムの輸出振興という面に対しては、具体的な問題を取り上げて十分検討をしながら、他の産業、その他自由化に対応する諸施策がとられなければならない段階でありますので、あわせて検討し、適切な処置をとっていきたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それでは次に文部省にお尋ねいたしますが、その間にそこで、それじゃ具体策としては何をするか、大体の大綱でよろしいですから、事務当局と立てておいて下さい。準備をしておいて下さい。  私は先ほど輸入フィルムが殺倒すると、こう言いました。特にことしの外割の状況からいきますと、二百七十五本ということなんです。アメリカの新しい作品は百本前後でございます。そうしますと、ここに五十本余のものが浮いてくるわけです。じゃ欧州映画にそれだけのりっぱなものがたくさんあるかというと、そうではない。そこで、結局どうなるかというと、アメリカ・メージャーがアメリカ生産のいいものは全部独占してしまうわけだ。ここに実は独占禁止法の疑いがあるわけなんですけれども、それは別の機会にやるとして、ほとんど独占してしまう。次に今度は、日本のフィルム輸入業者は何を輸入するかというと、去年あたりはずっと前の古いものを輸入している。今度欧州のEEC、英国等々から輸入する場合でも、アメリカものの分で足らぬから、アメリカ・メージャーがそっちの分のいいのを、資本の力で取ってしまう。そうすると日本の商社は何を輸入したらいいか。先ほど大臣がいみじくも言いましたが、ついつい生きるためにどうするか。結果、きわものを輸入せんければならぬということになってくる。そのきわものが輸入されました場合に、過去においてもそうでございまするが、文部省としては一体どのような措置と態度をとって、青少年の指導育成に当たられようとしておられますか、その点を。

齋藤正文部事務官(社会教育局長)

○齋藤(正)政府委員 文部省といたしましては、教育的に青少年あるいは一般の成人に価値あるものを選定するという制度をとり、また教育的に非常に利用度の高いものにつきましては、それを購入いたしまして地方に渡すということを実施いたしております。この選定の制度、あるいは選定したものを府県に買って渡す、あるいは一般の映画につきましては、青少年のために早朝興行という形でいろいろ実施するということで、教育的にも価値があるものをできるだけ見せる機会をつくりたい、こういうふうに努力しております。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 加藤君に申し上げます。時間がだいぶ経過しておりますから、よろしく……。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 もうあと二点で終わります。それで、内地に対してよきものを奨励するの策はわかりました。特に秋の芸術祭参加等にあたっては、いろいろ努力していらっしゃることも知っておりますが、外国に向かって日本のよりよき芸術を紹介するという任務は当然あるはずでございます。その点についてはどうしておられますか。

齋藤正文部事務官(社会教育局長)

○齋藤(正)政府委員 海外に日本の優秀な文化財を出すという点につきましては、音楽あるいは絵画等につきましては、私の方の関係で若干補助等の措置をいたしておりますが、映画につきましては、実は映画産業全般の問題は必ずしも私の方で十分タッチをしておりませんで、教育的に価値がある、あるいは芸術的に高いものを芸術祭その他で選奨するという限度でございまして、現在の段階では、御質問の点につきましては措置をとっておりません。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 音楽、絵画については奨励策をとっているが、映画についてはとらないという理由ですね。つまり映画だけは音楽、絵画よりも程度の低いものである、まま子扱いにしておいてもよろしいかという反論をしたくなる。そこでぜひ一つ、理由のいかんはもうあとで別な委員会でやるとして、映画もまた音楽、絵画、その他の芸術作品と同じように、日本の優秀なるものは一つぜひ紹介するように御努力願いたい。カンヌ映画祭、グラン・プリ賞、世界的に出したって恥ずかしくない映画が日本でもどんどんできつつある。それを世界にあまねく広く知らせ、世界の人に見てもらうということは、経済的な面ばかりでなくして、日本文化をあまねく広く宣伝するという意味において、文部省の設置された方針にも合うのではないか。  次に、最後にもう一つ青少年についての問題でございますが、青少年に対しては、この映画は十八才未満は入ってはいけないという看板をかけております。それでよろしいと思われますか。つまり、この映画は十八才未満はいけないということを窓口に書きますと、一そう好奇心をそそるものである。と同時に、映画そのものは見せなくても、新聞、雑誌、特に色刷りのポスター、これなどは禁止することはできないでしょう。十八才未満はポスターを見ることができないという、そういうことができますか。それを見て青少年がついついあるまじき心を起こす。そこに原因があることは、補導少年などの、なってしまった動機などを調べてごらんなさい、圧倒的に多いのですから。そこで先ほど言いました、日本商社は外貨を与えられたけれども、アメリカ・メージャーに全部いいところはとられてしまったら、やむなく生きる道を考えざるを得ない。そこで割当については、かくのごときこともよく御検討をしていただきたい。で、審議会の答申が——審議会がどれだけあったか知らぬけれども、すでに終戦後二十年、憲法でさえも変えなければならぬという時期に、なぜアメリカの占領政策そのままの輸入体系を保持していかなければならないのか、それを改革するにあたって審議会だけで足りないというならば、せめてあなたは、私の言うことが信用できなかったら、近き将来において、現実に声なき声を聞く機会を持つべきだと思うが、大蔵大臣の御見解を承りたい。私の声からでなしに、なまの、じかの声を製作者から、あるいは経営者から、あるいは劇をほんとうに実演なさる俳優の方からじきじきに聞くべきだと思う。声を聞かぬとおっしゃるから、聞くべきだと思うが、どうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私は加藤さんとは昔から知人でありますし、あなたの発言を信用しないということはない、  一〇〇%信用いたします。しかし、その上なお、なまの声を聞くことがいいということも、これは当然納得できまずから、私の方でもそういう機会をつくって一向差しつかえございませんが、しかしそれは、あなたが質問をしたから、大蔵省が官制でもってただ呼んだにすぎないなどというそしりを受けると困りますから、もしできればあなたから御紹介を願えれば、私の方でも幾らでもこれが意見を積極的に聴取いたしたいと存じます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 長時間にわたりまして失礼いたしましたが、大臣の真摯なるその態度、御答弁によりまして、私は過去のことは水に流して、将来に向かって、日本のために映画産業も大いに復興させよう、こういうことで本日の質問を終わりたいと存じます。ありがとうございました。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 久保田豊君。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 大蔵大臣にはだいぶおそくまで、特に昼飯の時間を続いて御苦労願いまして、大へん恐縮でありますが、しばらくごしんぼういただきたいと思うのであります。  私は主として貿易の自由化に関する問題、特にその中で大蔵省の所管に関する問題について、一般的に少しお伺いをいたしたいと思います。今加藤委員から、かなり具体的に、個々の問題についての御質問がありましたが、私は一般論として、大蔵省に二、三重要な点についてお伺いいたしたいと思います。  まず第一に私はお伺いしたいのは、今度の八条国移行ないしガットの十一条国の移行によりまして、日本の海外の経済関係というものは、画期的に、質的に違った段階に来ていると私は思うのであります。ざっくばらんにいえば、今まではよろい、かぶとを着て何とか国内でやってきた。そして国内のやり方が少し工合が悪くなると、それがどこへ出てくるかといえば、御承知の通り手持ち外貨が、つまり国際収支が不均衡になる。こういう線になるが、しかしこれに対する対策も、よろいの中である程度できた。ところが今度八条国ないしは十一条国移行によりまして、このよろいが全部一度にはとれませんけれども、早急にとらなければならぬ段階になってきた。つまり閉鎖経済が開放経済にならざるを得ないような情勢になってきた。この点について、まだまだ国民全般の認識も足りないんじゃないか。特に申し上げたいのは、これらについての政府の施策というものは非常におくれているんじゃないか。まだまだ政府の方が一般原則論で——今映画の問題で話が出ましたように、問題をほんとうに具体的に突き詰めて、そうして対外、対内策を本気に立てているという段階ではないように思うのであります。この点について政府の関係大臣諸公にお聞きしましても、その言うところは、大体言葉の上ですから同じようです。しかし腹がまえ等を聞いてみますと、非常に食い違いがあるのであります。私はこれらについて、何よりも政府部内のこういう点についてのはっきりした意思統一をすることが先決問題だと考える。この点について、今まで私どもが新聞等で拝見しましたところでは、十四日ですか、青木大使が来ましてから、情報を聞きながら大体の話し合いをせられたという——いわゆるスケジュールをほぼきめたということじゃないだろうと思います。ただ話し合いができたということであって、しかもそういう中から、新聞には連日この問題について、各省の意見がばらばらに出ている。そうして今聞いてみると、今の映画の問題その他のいろいろな問題についても、まだ政府の方針ははっきりきまっておらない。にもかかわらず、関係各省からばらばらにどんどん意見が出されておる。これは一面、経済界のこれに対する関心が深いものですから、新聞社の諸君がこれに非常な関心を持って、先走って、次々に突っ込んでいってやるということがあると思いますけれども、これらに対しては、政府はもっと早く——問題が非常に機微でありますから、決定したことをすべて発表しろとは言いませんが、しかしながら、少なくとも方針というものはかなり具体的に早く決定することが必要ではないか、私はこう思うのです。これらに対する政府部内の作業というと語弊がありますが、大臣間の意思統一なり各省間の意見統一なり、あるいはこれらについての考え方のほんとうの腹がまえ、意思の統一というものはできておるのかどうか、私どもにはどうもその点が疑問になりますので、第一にこの点を率直にお伺いしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 非常に重要な問題に対する御発言でありまして、ただいまの御発言に対しては、私も、十分慎重に、しかも積極的に考えて参りたいということを申し上げたいと存じます。  政府は、池田総理が、二年前から八条国移行の問題に対しては基本的な姿勢を明らかにいたしておりますし、私も昨年の九月のIMFの総会に出席しましたことを契機にして、おおむねIMFから八条国移行勧告を受けるであろうということは察知をして参りまして、その後は、至るところ、至る機会をとらえて、これらの問題に対しては国民各位に周知徹底するように申しておるわけでございます。しかし、具体的な対策に対しては政府部内でも確たる方策を進めておらないじゃないかということを申されておりますが、閣議のたび、また経済閣僚会議ごとに、これらの問題は検討いたしております。お説のように、事務当局間の横のつながりが完全に一致をしておるとか、個々の問題に対して完全にめどがついておるというようなことについては、少しピッチがおそいと言われるのでありますが、私たちもこの問題に対しては、まず今まで基本的にきめましたのは、青木大使が去る十九日にガットの理事会におきまして、八条国移行、十一条国移行ということに対して、はっきりとした日本政府の態度を明らかにいたしまして、これからすべり出したわけでございます。今までは、来るであろう台風情報が刻々と国民に知らされておるようではありますが、いずれにしても台風が上陸をしたというような急迫した観念にも立っておらないという面もございますから、こういう問題に対しては個々のケース別に十分な配慮をし、立法するものに対しては立法する、また財政措置を必要とするものに対しては財政措置をする、また二国間で交渉をしなければならない交渉のスケジュール等、全部つくらなければならないということを私自身まじめに考えております。でありますから、この間、十九日の青木大使の日本政府の態度宣明ということを契機にいたしまして、事務当局には相当強く督励をして、まず君たちが各省でもって今までのデータを全部積み上げてきて、今までやっておることに対して全部経済閣僚会議の議題に上げられるようにしなさいと言っておりますが、何分にも予算編成から引き続いて国会開会中でございまして、一切の行政府の焦点が国会に合わされておるので、事実の問題として、各省間の意思の疎通をはかることも困難であるということもございます。しかし、そうかといってのんべんだらりんとしているわけにはいきませんので、この国会でやれるもの、また次の国会でやるべきもの、少なくとも三十九年度予算審議の、今年十二月から始まるところの国会では最終的な法制整備を行なうべきである、こういう目標をつけて、今どう行程表を組むかというところでございますので、おくれておると言われるようなもの、今の久保田委員の言われる問題に対してはいろいろなこと等がございますが、こういうものに対してはピッチを上げて、万全の措置をとって参ろうということでございます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 そこで、特に大蔵省所管の一般的問題についてお伺いいたします。  今度のIMFの八条国移行の勧告では、貿易外の経常収支の従来の制限は撤廃をしろ、こういうことになっておるようであります。これは品目、つまり物品の輸入制限の品目とどういう性格の違いがあるのか。片方、品物の方は、特にガット関係において、今制限をしている二百五十四品目というのは、制限自体非合法である。それを今度非合法のまま二国間の交渉によって残存輸入制限方式で逐次解決していこう、こういうのが大体きまった政府の方針のようであります。しかし、これに対しては、ガット全体から大きく責められると私は思うのです。その際は、今二国間の交渉中だからとか、あるいは何とか言うて、結局日本側は逃げの一手というしがなかろうと思う。じりじり押されるという態勢になるにきまっている。大体におきまして、どこでどう切り返すかということをはっきり用意しなければ、今のような——そう言っては失礼ですが、今の映画の問題でもわかる通り、ああいうへっぴり腰で二国間の交渉なんというものは、日本の思う通りにいくとは考えられません。しかも、その上に持ってきて、ガット全体から、未開発国も含めて、大きな圧力がかかってくるということは明らかであります。こういう点について、これと非常に結びつきの深い問題、いわゆる為替の制限の問題、これが今度のあれによりまして法律上非合法になるのかどうなのか。この点はどうなるのですか。非合法ということになれば、こっちはまた言いわけをしながらじりじり押されて、国内体制の整わぬまま次々こわれていく、こういう態勢にならざるを得ないと思うが、この点の法律解釈はどうなるのですか、

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 お答え申し上げます。  先ほどからあなたが御心配になっております問題は、政府もその通り考えております。でありますから、この十九日にガットの理事会でもって、八条国移行の問題、十一条国移行の問題に対して、基本的なものをまず対外的に宣言をいたしましたから、これを出発点にいたしまして、表現は別にしまして、これから八条国に事実移るということを——一体、来年の九月日本において開かれるIMFの総会、世銀の総会等を契機にして、そこをめどにしてやるようにするのか、そこでもって宣言をした後、半年にするか一年にするかということ、これは前の西ドイツの場合とかフランスの場合短くて八カ年、長くて三年何カ月かかっておりますけれども、日本は、現在の国際情勢の中で三年も五年も待つということは可能なはずがないのであります。でありますから、少なくとも来年の九月の初めに行なわれる東京におけるIMFの総会ということを契機に、いずれにしてもその前後ということにめどを置かなければならないわけであります。それまでに順次制限を撤廃していくものと、それからその宣言を契機にしてやるものと、その前後に何カ月かを区切ってやるものと、八条国に移行して後なおガットやIMFで許されるもの、また、二国間交渉により、二国の間においては特例を認められるというようなものに幾つか分類をしてめどをつけていかなければならぬというふうに私も考えております。これら具体的なスケジュールに対しては早くめどをつけなければいかぬ。これに対しても、国内体制の整備ということがすぐうらはらについてくる問題でございますので、今まで十分やっておりますなんというおざなりの答弁で済む問題ではありませんから、こういう問題に対しては非常に手きびしい一つのスケジュールをきめて参らなければいかぬ。  それで、もう一つだけ申し上げますと、これはガットでは今度も相当やられると思っておったのですが、しかし、こちらがすんなりした宣言をしましたので、今度のものよりも問題は、五月の大臣会議では、日本に対して集中的に言ってくるだろうと思います。しかし同時に、イギリスがEECに加入できなかったことに対して、イギリスのEFTA諸国に対しての相当な工作もありますし、またアメリカがガットの場を通じ、特にEEC以外の国々や、フランスを除いたEEC加盟の他の国々に対して、一括関税引き下げ、いわゆる五カ年間に五割引き下げようというような問題も相当強く出しておりますし、もう一つは、IMFで今度の日本の八条国移行に対しては、IMF自体も対日差別待遇の撤廃ということを議題として、相当強い態勢で自由化を進めるようにということを明らかに討議しておりますので、私もそれは言質をとってきてあります。そういう意味で総合的に日本の自由化態勢というものをきめていかなければならぬというふうに考えておるわけでございまして、行き当たりばったりで何ら計画を持たないということではないわけでございます。  しかし、今一番最後に言われた重点的な御質問である、違法というふうになるのかということでございますが、これには段階がございます。一応すべてのものの制限を撤廃するということが原則でありますが、事情によって二国会議やまたIMFでやむを得ずして認めておるもの、また現在八条国でありながらお互いの了解のもとで認め合っておる部分もありますので、そういう意味で、すべてを何月何日までに一切無条件にするのだ、無条件自由化をするのだという考え方ではありません。ありませんが、日本としては、自由化をすることができ、国内体制がそれについて整備をされ、国際競争力がついていけば、究極の目的としては、自由化をする方が日本のためにプラスになるのだという考え方を前提として持っておりますので、少なくとも自由化に対応して、守る立場よりも、ある意味においては国内体制を整備しながら、積極的な態勢に転換をしなければいかぬだろう、そのタイミングをいつに置くのかということで、各般の問題を今分類をして検討をいたしておるわけでございます。でありますから、為替制限その他貿易外の問題等は順次きょうからでも——いつから一体旅行制限などは取るのかというような問題もありますから、一つずつ緩和をしていけるものは緩和をしていきながら、しかも、ただ緩和をするのではなく、相手国の出方等を見ながら順次緩和をしていきますから、その段階において違法であるということにはならない。また、報復手段をとられるということのないような態勢で自由化を進めていきたいという考えでおります。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 物品の自由化については、お聞きをしたわけじゃないのです。主として貿易外の経常収支のいわゆる制限ということが、どういう扱いを受けるかということをお聞きしたわけなんです。この点の条約上の解釈といいますか、これがどうなるか、これの性格によって日本側の、攻められ方の受け方も違ってくると思うのであります。日本としてはこうやりたいと言っても、相手のあることですから、向こうがいろいろの方策に出てきますから、これはやはり私どもはどこかにはっきりしたよりどころを持って、その点をはっきりした上で、政府は二国間の交渉なり、あるいはガット全体との交渉なりというものを、いわゆる為替の自由化についてやっていくべきである。だからガットの場で、貿易外の経常収支の制限ということが非合法扱いになるのか、あるいはそうでないのか。実際の措置は、あなた方の方はなしくずしという方針をとっておられますから、大体わかっておりますが、この辺のことが大事である。そしてもう一つは、物品についての輸出入、特に輸入については、相手方の制限とにらみ合わせながら、残存輸入制限方式をやって、二国間の交渉でやっていくという、あなた方の言っておるいわゆるなしくずし方式というのは、国によって差別をするのかしないのか、こういう点もあわせて、この二点をお聞きしたいのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 経常取引につきましては、IMFの協定第八条の義務を受諾する、八条国に移行するという宣言をすれば、当然義務違反になりますから自由化をしなければならぬわけであります。しかもそれは、少なくとも何年の何月を期して八条国に移行しますというときまでには、完全自由化をしなければならぬということでございます。また、貿易品目についての問題でありますが、これは日本だけが全部自由化をやっても相手国でやらないものもありますから、二国間の協定によりまして、こっちだけ裸になって向こうは勝手にというわけにはいかぬので、関税の問題その他と合わせながら適宜に自由化をしていくということになると思います。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 もう一度その点について、くどいようですがお聞きしますが、そうすると結局経常取引の自由化については、少なくともガット加盟国については全般的にやるということですね。しかも、八月一日以降なり何なりを宣言するまでには全面的にこれは自由化しなければいかぬ、こういうお考えですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 宣言をするまでではなく、宣言によりまして、何月何日に移行します、こういうことを言いますから、その何月何日までと外国に宣言をした日までには、自由化、制限を行なわない態勢をとらなければなりません。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 そうすると、その宣言の時期等は大体新聞等で発表されておりますのは、大体来年の八月のガットの総会の時期だ、五月なりあるいは十月のガットの閣僚会議においては、スケジュールは発表するが、宣言をするのは八月の時期だ、この来年八月までに、いわゆるなしくずし方式というものを大体においてやるというめどですか。なお八月に宣言をして、ある国につき、ある事項については、なお一定限度の制限に置くというのですか、どっちですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 来年の九月の総会をめどにしたというのは常識論でありまして、これは、その程度にめどを置かなければいかぬということであります。それから、それまで経常取引につきましては、なしくずし的に、できるものからやっていかなければならぬというふうに考えております。それから貿易品目別の問題は、いろいろ特殊な事情がございますから、二国間交渉をやりながら、ガットの場において、また対日差別撤廃を求めながら、またIMFの協力を求めながら、その交渉の進捗を待ちながら自由化を進めていくという考えでございます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 そうしますと、はっきりしたことは言えぬでしょうが、来年のガットの総会までには経常取引については大体やる、一〇〇%やる、ほぼこういうお考えですね。そう見ていいんですね。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 経常取引に対して全部来年の八月一ぱいにやるということを言明できる段階ではございませんが、いずれ常識的には、来年の九月の初めに東京に招致をしておるIMFの総会があるのでございますから、ここで一年間だったら一年間の余裕を置いても、三十九年九月の初めから一年間といえば四十年の九月までということになりますし、暦年で四十年一ぱいということになりますか、もう少し繰り上げるという状態がこれからの交渉において起きるか、これは五月のガットの総会その他においても議論される問題でありますので、慎重に考えなければいかぬ。五月の総会で自由化のスケジュールを全部品目別に出すかということもまだ確定もしておりません。これはなかなか大へんな問題でありまして、相手のある話でありますから、これは相手の腹も見ながら、友好的な考えでありながらも、国内産業体制の整備と相待ちながら、五月という態勢をとってどの程度のスケジュールを発表するかという問題に対しては、政府の内部で鋭意検討いたしておる問題であります。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 大蔵大臣ですから、私は輸出入そのものを聞いておりません。この点は主として通産大臣に今まで聞いて参りましたから、その点のお答えは一つ省いていただきたい。問題がごちゃまぜになってしようがありませんから。  そこで、特にこの経常収支の制限撤廃の問題で、いろいろ問題になる問題がたくさんあると思います。しかし、きょうは時間がありませんから、一項目心々々についてお聞きをするひまがありませんが、やはり将来一番大きな問題になろうと思うのは、つまり利子なりあるいは配当なり果実なり、そういうもののいわゆる送金の自由化を認めるのかどうか。特に外国から入ってきたもの——いろいろな形がありますが、そういったものを、現在の制限を撤廃をしてしまって完全に自由化するのかどうかという点でありますが、この点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 海外渡航、外国からの輸入、円貨取得、株式の配当金、在日外商の利潤、運輸、保険等、いろいろ問題がございますが、株式取得の元本送金制限というのは、昨年私が大臣に就任をしてから、二カ年を六カ月にしたわけでございます。これは現在私の考えでは、自由化ということに対応してIMFの理事会の勧告を受けるという態勢をきめたわけでありますし、現在の状態ではまだ政府部内において十分の意見は熟してはおりませんが、この送金制限の緩和、すなわち六カ月間という問題に対しては、実害があるかないかという問題を十分検討いたしておりますが、この件に関しては、早急に撤廃をするというようなことになるのではないか、緩和が二カ年から六カ月になっておりますから、あと六カ月分をどうするかという問題でございまして、この問題に対しては、緩和の第一の問題として検討をいたしております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 この点については、考え方でいろいろ違ってくると思います。しかし外国の資本は、これは入り方によっては、幾ら入ってもいいわけです。正直に言えば、幾ら入っても日本の国民経済には大した影響はない。ざっくばらんに言えば、こっちが首根っこを握っているものなら問題はない。しかし向こうに首根っこを握られたような格好でどんどん入ってこられたのでは、これは非常に基盤の脆弱な日本産業ないしは日本の企業というものは、非常に大きな影響を受けてくるというところで、この点が心配なんです。この点はあとで資本取引の自由化のところでお聞きをいたしますが、しかし資本取引の自由化の前提となり、あるいは一つの条件になるものは、資本果実の送金の自由化であります。従って、今までのように、国内に資本が足りないからどんどん資本を入れたらいいじゃないか、それにはある程度資本果実の送金の自由化を認めればいい、ころいうお考えでやってきたのが一つと、もう一つは、終戦後の日本のこういうことに対します考え方の土台には、長期資本については非常に厳格な考えを持ったが、短期資本については比較的ラフな考え方を持っておったというふうな伝統的な、占領政策のある意味においての延長とも言えるような考え方のしみつき、残りもあったと思うのであります。しかし、これから資本果実の自由化にからんで入ってくる特に長期の直接資本の流入という問題は、私は非常に大きな影響を持ってくると思う。従って単に短期の見通しからこの問題を扱うと、将来にわたって非常に大きな禍根を残す。入ってくる外国の資本はもっぱらこの点を攻めてくると思うのであります。幾ら日本で仕事をしてもうけたって、その果実が自由に持っていけないということでは話にならぬ。欧州やカナダ等は、アメリカ資本が入っていっても、元本も果実も自由に送金ができるからどんどん出ていっている。この制限というのは、憲法じゃありませんけれども、占領政策の落とし子かもしれません。日本経済がこれから自主制を保っていろいろのことをやっていく場合に、このめどというものは簡単にふんどしをはずしちゃいかぬ、こう思うのです。大勢としてはやはり六カ月をだんだん取っていくということ、これは普通に考えられることですが、これは将来非常ににっちもさっちもいかぬような事態が起きてくるのではないかと思うので、これに対して今のような程度のお答えでは私は不十分であります。政府にはもう少し突っ込んだ検討が当然あるべきである、こう思うのですが、これは特にあなたの所管ですが、どんなふうにお考えになっているか、もう一度具体的に突っ込んだものをお聞かせをいただきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 お説のように、十分慎重に配慮をいたしております。私は二カ年間を六カ月間に短縮をした責任者でございますから、あとの六カ月間の緩和もしくは撤廃という問題が、日本経済また資本取引に及ぼす影響が将来どうあるべきかという、その責任を負わなければならぬという、真剣な考え方を持って検討いたしておるわけでございます。資本の問題はあなたも先ほど申されましたが、八条国に移行いたしましても、直ちに全面的な資本の自由化が行なわれるわけではないわけでございます。これは国際収支の問題、外貨事情、また国内産業の問題等もございますので、適切な管理が許されることは、各国の例に見られる通りでございます。でありますから、これらの問題に対しては、合理的に、また日本の産業、資本両面にわたる影響も十分検討しながら、資本の自由化に対しては対処していかなければなりません。この間から閣議で決定をしまして、国会に審議をお願いしております、外国保険会社の日本国内における行動制限その他の問題に対しても、法律の制定、一部改正案を提案しております。これは大蔵大臣の認可事項にいたすというふうにいたしておりまして、また他の産業につきましても、銀行等に対して一〇%以上持ってはならないとか、現在一五%の限度であります主要産業に対して、一五%がいいのか、二〇%まではいいのか。しかし実際には、五〇%以下であると言いながら、事実は架空名義、他人名義等において、七五%も取得をせられた場合に一体処置をどうするのかという、非常にこまかい問題があるわけであります。でありますから、産業部門別にこれらの影響するところを今検討いたしております。また、中小企業に対して資本の自由化が非常に圧迫をするということもありますが、中小企業に一体どういう影響をするのか。また、中小企業のどのような部面が外国資本にねらわれやすいのかというような問題も、現在政府部内で検討いたしております。でありますが、この六カ月残存の制限というものを撤廃をしても、実際の問題としては、外貨がそれほど流入をするということも考えられません。また、流出をするという危険性も今のところないと判断しておりますが、将来に及ぼす影響というと、学問的にもなかなかむずかしい問題でございますので、私はそれらの問題に対して十分検討いたしております。特に今までは長期の問題にウエートを置き短期の問題に対しては、という御説でございましたが、短期に対しても、いろいろなユーロダラーが非常に流れてきておる。これは金利が高いということもありましょうが、こういうものに対して適切な処置をやっております。短期、ホットマネー的なものが、日本の金融市場の撹乱になったり、証券市場が撹乱されたりすることを十分配慮しなければならぬということで、現在でも行政上可能な限り適切な措置をとっております。でありますから、この六カ月の問題に対しては、現在の段階で申し上げますと、撤廃の方向ということでございますが、今の御説もございましたので、もう一回検討してみます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 その前にもう少し実は突っ込んでお話ししたいのですが、時間がありませんから次の問題に移ります。  その次の問題は、為替相場の変動幅をどの程度にするかという問題であります。それをいつ実行するかという問題、これは資本取引の自由化に伴って当然出てくると思うのであります。これは、巷間伝えられるところによると、大体今の〇・五%を〇・七五に上げる、こういうふうな御意向のようでありますが、この辺はどういうようにお考えになっておられるのか。  同時に、これは非常に複雑な問題も含んでおりますが、この為替操作の所管個所を大蔵省にしたらいいという意見と、日銀にしたらいいという意見と両方ある。対立しておるようですが、この二点について、今政府としてはどういうふうにお考えになっておりますか。時期の点と三点……。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 どうも三点ともはっきりした答弁ができないことがはなはだ遺憾でありますが、対外的な問題が非常にございますので、為替の問題、いわゆる幅の問題につきましては、専門家の間で慎重に今考慮をいたしておりますけれども、先ほど言ったように、資本の自由化という問題はタイミングとして、今日ただいまの問題ではございません。そういう問題で、いわゆる国際情勢、また特に国際為替の状況等を十分検討しながら今専門的にはやっておりますが、私が御答弁できるような段階では今はありません。第二点の日銀総裁の権限か大蔵大臣の権限か、これをどっちにするかということですが、これはまあ現行の通りの方がいいように私は考えます、地方銀行としての性格の問題もございますし、そういう問題に対しても慎重に検討をいたして参りたいと存じます。でありますから、いつというような問題は今のところ未定でございます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 今の問題は非常に影響力の大きい問題ですから、なかなか今の段階でははっきり明言はできないと思いますが、しかしやはりある時期に、めどがついて用意ができたら、私はやっぱりやるときは、いつやるかわかりません、わかりませんというような格好でごまかしていくことが、かえって問題を混乱させるもとになるのではないか、政府もある程度の用意ができ、めどがついたら、これはずばりやらなければならぬ問題だと思うのです。この点は慎重を要しますが、ただ、抜き打ち的にということになりますと、これはやはりいかぬ問題だと思いますので、今の段階ではすぐお答えいただけないということを私も大体想像はしておりましたけれども、その点のことだけははっきりして、やるのかやらないのか、いつまでか不明なままにひっぱって混乱させるということのないように、特に御注意を願いたい、こう思うのであります。  その次の問題は、資本取引の自由化の問題です。これは非常に重要な問題で、今度のガットの十一条国移行ないしはIMFの方の八条国移行からは、直接日本の法律上の義務には、IMF関係ではならぬように思うのであります。しかしガットの方からいうと、二つないし三つの例外はありますけれども、一応日本の法理上といいますか何といいますかわかりませんが、条約上の一応の義務づけになるのではないか、特に政府がOECDに参加するということになりますと、例の自由化コードの関係から特例を向こうでもって認めて、つまりこの自由化コードの適用排除を受けるという了解を得れば、これはもちろんいいでしょうけれども、今の情勢からいうと、日本がこの適用の除外を受けるというめどはほとんどない、従ってやはり資本の自由化ということが、一つの強制をされたあれになってくるというふうに思うのですが、この点は政府としてはどういうふうにお考えになっておりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 この問題は非常に重要な問題であります。しかしこれは一番初めにくる問題ではなく、今言われた通りむずかしい問題だけに、ガットといえども、IMFといえども、各国といえども、お互いの身になればすぐわかることでございますので、相当の余裕と幅を持たしておるわけでございます。でありますから、これは国際的には資本の自由化もやらなければならない、また、やりますという体制ではございましょうが、しかし国内的には相当な体制整備ということ、外国資本の流入流出によって日本自体が混乱をしないという確たる自信を持つということが、前提であると私は考えております。でありますから、この資本の自由化の問題に対して、日本人自体が国際収支の状況というものに、いつでも、専門家だけではなく、注意をしていただくということや、元も子もなくなるというようなことにならないようにというような、まず日本人的な性格を基礎として、その上に具体的な問題を一つずつ片づけていく、その意味においては、窓口で規制するというようなことが国際的に通用するわけではありませんが、いろいろ各国がやっておる方法があるわけであります。自己の統計を十分あれしたりしてPRするとか、いろいろな問題がございますので、これらの問題を専門的に具体的に検討いたしております。これが自由化をしなければならない場合、一体どういう措置があるかという問題に対しても、こまかく事実に合わせて、どういう措置ができるのかというようなことも検討いたしております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 資本の自由化について日本側から特に問題になる点は、さっきもちょっとお触れになりましたけれども、短資、短期外資の流入をどう調整をするかという問題ですね。これは今どういう制限あるいは規制をしており——まあ新聞で見ますると、最近もいわゆるユーロー・ダラーその他がどんどん入ってきた、大体手持ちが十億ドル近くになる、こういうふうなことになって、これじゃしようがないからというので一応利子の引き下げを一分やった。しかしそれじゃどうもだめだからというので、大蔵省としても抜本策を考えておられるというようなことでありますが、そういうことが国内限りでできるものか、あるいは外国と、IMFなりあるいはもっと基本的などういう対策を考えられておるのか、そういう対策がかりにできたとして、国内限りでこれを決定実施できるものか、あるいはIMFなりあるいはガットなりの、相手国の了承なりあるいは承諾を得なければ実施できぬ問題かどうか、ここらがやはり相当問題になるのじゃないか。しかしいずれにしても日本のような——この点もあとで触れますけれども、これから国際収支の均衡ということが非常に重要性を持ってくる、おそらく経済運営の一番これがめどになる。そのめどの内容をなすものが、短資や何かが、大体において非常に影響してくるわけです。そうなってくると、こういった問題に対してはっきりした態度なり政策を政府が持っておるということが、どうしてもやっぱり経済運営の一番基礎の土台固めになるという意味で、私は非常に大事だと思いますが、今政府が考えられておるいわゆる抜本的対策とは何か、それは実施をするとすれば、日本で決定さえすれば相手国は文句を言わないのか、相手国の了承を得てネゴシエーションの中で決定をする問題かどうか、この点を一つお聞きしたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 資本の自由化は原則論でございまして、具体的な問題としてはいろいろな問題を内蔵いたしておりますし、具体的、ケース別に検討すべき問題でございます。これは入ってくる金、またある時期において、日本円貨による海外投資という問題がうらはらにあるわけでございまして、これらを総合的に検討しなければならない問題でございます。この対策に対して特別な措置をするかしないかということは、国際的に反響は相当ございますが、しかしこれはIMFやガットの場で制限を受けるようなものではないということだけは事実でございます。アメリカにおいても今ドルの海外流出ということを防ぐためにバイ・アメリカン、シップ・アメリカンということが一つの手でございますし、あとは海外援助を打ち切るか、もう一つは、資本流出を押さえるかということが一つの大きな政策的テーマになっておることも事実でございまして、日本においてはアメリカに比べれば比ぶべくもないというくらい脆弱であり、しかもこれが大量の流出流入に対しては、影響するところは非常に大きいのでございますから、非常に深刻に考えなければならぬわけございます。国際的な金利というものが、日本が非常に高い。私は今まで、約一カ月ばかり前は一・二、三%高かったと思いますが、その当時もユーロダラー等、ホット・マネー的なもの、いわゆる短資の流入が少し多いので、当時四分の一くらいの引き上げを行なったわけであります。その後も八分の三、また十五、六日くらいで行ないました。これはロンドン等において、西欧諸国がいよいよ公定歩合を一挙に五厘も下げるというような事態に対処して、私たちが当初考えておったものよりもなお幅は減らないということでありますので、そういう措置を行なったわけでございますが、これはあまり国会等で答弁をしたりして海外に直接いくようなことに対して慎重を期したいという考えでございますが、これは国内的にもこれらの問題の影響というのは大きいものでありますから、まあ隠して隠しおおせる問題でもないと思います。またこれを宣伝に使うこともありません。でありますから、時日の推移にまかしておったわけでございます。当時としては〇・五%くらいの差しかないと思っておりましたが、御説の通り、もう十億ドルというような状態にもなりましたし、その後また措置をいたしました。これをもって流入がとまるかとまらぬかということは、まださだかな自信も確信もございませんが、これは金利だけではなく、日本経済に対する外国の認識にもあるわけでありまして、日本のこれらの措置で金利が国際金利と同じくなっても、日本にはまだ投資的な価値がある——実際どのような政策をとっても、イギリスにおいて経済成長率を上げることはむずかしい。アメリカにおいても、三・五%から四%のものを〇・五%引き上げるには大へんだというときには、当然投資家としては本能的に経済成長率の幅のあるところに投資をするということでありますから、今日とられておる措置がわれわれが考えておるような効果を上げない場合には、準備率の引き上げその他、諸外国がやっておるいろんな方法があるわけでございますが、それらの問題に対しては対外的な問題もありますし、資本の自由化という問題に対しての配慮も当然加えなければならない問題でございますし、日本の外貨の手持ちという国際収支上の問題も検討いたしまして、非常に慎重に私がみずからこれをさばくというような態度で今対処いたしておるわけでございます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 いわゆる短資の問題については、結局これはいろいろの状況を考えたら、国内の財政金融政策ということが一番土台となる。その一番基礎となっておるものは、やはり成長政策をどう見ていくかということが一番土台となると思います。どういう制度をつくってみても、その制度自体でこれをかちっときめてしまうということは、かえって不利だと思うのであります。問題はあくまで、生きた財政金融政策をあらゆる条件の中でどうやっていくかということでありますが、これが下手をすると逆な効果が出、また、いよいよ必要なときにこれが発揮できない。今だいぶ国際的にいろいろな援助システムがありますから、ある程度はできるにしても、これが非常にむずかしいのではないか。特に日本のように、ある意味において経済の底の浅いところでは、くずれ出したときにちょっとやそっとの財政金融政策上の操作では、こういったことができないのじゃないか。そういう点を考えて、何らか恒常的な一つのシステムと、その上に立った健全な財政金融政策の運用ということで、この両建でやっていくことが一番必要じゃないかというふうに思うわけです。これは非常に関係の深い問題、影響の大きい問題です。ここで今すぐどうするということは言えないでしょうが、私はこの点は政府としては、だれがやっても、非常に真剣に考えなければならぬ問題だと思いますので、特に慎重を期していただきたいと思うのです。  その次は長期資金の問題ですが、長期資金の中でも、外債とかそういうようなものはいいとして、経営参加のための株式取得の問題、それからもう一つは合弁会社あるいは支店、こういう格好によりますいわゆる長期の直接投資の問題、この問題がやはり一番重要な問題だろうと思うのであります。これには御承知のように、外資法によるところのいろいろの制限があるわけです。制限会社については株式の取得は一〇%とか、非制限会社は一五%とか、あるいは個人のあれは五%以下とか、あるいは経営参加の株式取得は全体の五〇%以下という、一応外資法の制限があるのですが、この制限をとるのですかとらぬのですか、あるいは変更するのですか、しないのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 これを一挙にとるということは困難であります。現在のように、あなたも今申された通り、外国資本の取得率というものをいろいろな方法で規制をいたしておりますし、将来このようなことに対しては産業別に今までの一〇%——先ほど申し上げました一五%でいいのか二〇%まで除外例を設けるのか、そこまでやるよりも、実際は他の名義で取得した場合にどうするとか、経営参加をした場合どうするとか、これらの問題がありますので、これらの問題に自信を持てるという態勢はやはり整備をしなければならぬという考えでございます。  短資の問題に対しては先ほども申し上げましたが、長期優良なものを観念的に排除するというような考えでは、とても日本の自由化対策もできないし、日本の産業基盤確保もできないと思いますから、長期優良なものに対しては今まで通り積極的にこれを受け入れる。また、諸外国の経済成長の状況を見てみましても、国内ではいろいろ議論がございますが、外国から見て、日本の経済成長というものに対しては相当の希望を託しておりますので、現在も長期良質の資本流入はわれわれが考えたよりも活発に行なわれておるわけでございます。これの流入してくるいい面はよくわかりますが、国内に及ぼすマイナス面というものを最小限に押えるためにどうしなければならぬかという問題に対しては、具体問題を現在検討いたしております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 そうすると今のお答えでは、大体の方向としては、長期の直接投資についても、今の外資法その他による制限を緩和していこうという考えですか。あるいは、撤廃をしていこうという考えですか。そういう中でいろいろ悪いものについてだけは何とか少し押えるような処置をとっていこう、こういう考えですか。この点はどうなんですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 良質長期のものに対しては積極的に受け入れるという考えでございます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 そこが問題だと思うのです。どこにも悪質のものは入ってこないと思う。大体これから入ってくるものは相当に実力のあるものであって、そうしてこれがおそらく日本の産業なり何なりに相当支配力を持ってくるというふうなものが逐次入ってくるのではないかというふうに私は思うのです。これは御承知の通り、私もよく存じませんけれども、カナダあたりは今までこういう点についてはほとんど無制限だったのです。ですからカナダ産業のいいところというのは、名前はカナダですけれども、内容はほとんどアメリカ資本なんですね。ですからカナダ自体の民族産業というものはもう育ち得ない、こういうことが今度のあの政変の裏にある国民感情だということを伝えております。またEECあたりも最近これがいろいろ問題になっておるようです。これはあるソビエトの人の調査をしたものでありますが、一九六一年現在で、西ヨーロッパ諸国にあるアメリカ資本の直接の支配下にある企業の数は、大きいものだけで八百四十三あるそうです。現在はもっとふえているのじゃないですか。その結果、国内のそれぞれの産業の大きなウエートというものが、名前はイギリスあるいは西ドイツであるけれども、実体はほとんどアメリカ資本だ。アメリカ商品だ。しかも国によって、品目によって対外輸出の三〇%から七〇%くらいが、名前はそれぞれの国の輸出でありますけれども、内容はアメリカの資本と商品だ。その結果六一年の欧州全体の資本収支のバランスを見ますと、十五億ドルが入ってきて、資本果実の送金が八億六千万ドルだ。こういう状態が強くなったのでは、EEC、EECといって騒いでおっても、内容的には空虚なものになるのではないか。ですから今の自由化というものは、ある意味においてはアメリカを中心とする国際独占資本のいわゆる市場支配ということになって、他国のものがこれに支配されるというふうなことに、結果がだんだん出てきておるのですね。日本のようにそれぞれの企業があらゆる面で非常にまだ脆弱だ、金も足りないというところに、こういう直接投資の形がどんどん入ってきた場合、今の日本のムード——失礼ですが政府もそうです。いい資本ならどんどん入れればいいじゃないか、そうして全体の成長率がよけいになればいいじゃないかというようなお考えではないかと思う。なるほど当面の数字に現われました成長率というものは、大きくなるかもしれません。しかし同時に、これがあらゆる面に大きな影響を持って、国民生活全体としてプラスになっていかないのじゃないかというふうに私は思うのであります。今政府が検討されている点は、そういう成長率がどうであるとかなんとかという点だけで、もっとその経済的な内容、国民生活に対するいろいろな内容というものを深く検討をされてやらないと、大へんな話になる。この点については、またこれらが一面においては下手にすると、ときによりますと、国際収支等にもどうにもならぬ——今の日本の政府の実力では、こういう大きな資本がどんどん直接投資をして、企業支配をするようになったら、なるほど日米通商航海条約の七条で内国民待遇を与えるということになっておりますけれども、しかしたとえば今の石油界を見てもわかるように、政府の意図によって石油界は何らかの方向づけをしていこうとしてもおそらくできないというようなことが多々出てくると思うのであります。中小企業との調整をする、あるいは農業との調整をするなどといろいろうまいことを言っておりますけれども、こういう大きなところでどんどん外国資本が支配権を握ってきた、こういう段階になってきたら、おそらく、はいそうでございますかと言っているあの連中が聞くとは思われない、こういう点は日本国内の経済的な矛盾が非常に多いのですから、少なくとも長期の直接投資については、政府はもっと全般的な、少し長い目で見た諸外国の例等を見て、もっと慎重で、しかもシビアな態度でぶつかった方がいい。それでも今度の自由化が出れば、いろいろな形で外国資本は便乗して入ってきたり、その他の形で入ってくることはきまっておると思うんです。少なくともアメリカにとっては日本市場というものは残された一番いいところのように今のところなっているわけですから、そういう点を一つ本気になって政府としては当然考えるべきではないかというふうに私は思うんです。今のお話のように、大体いいものだけは入れる。いい悪いの判定が実は相当むずかしいのです。どういう基準でやるかということが、いろいろ政府の御発表になるものを新聞等で見てもどうもはっきりしない。通産大臣に聞いてもだめです。企画庁の長官に聞いても、この点ははっきりしたものは何もない。これは保守、革新という立場ではなくて——少なくとも今の私どもから言えば、現在の経済政策については非常に大きな文句があります。ありますが、とりあえずの問題としては、民族的な問題として、国民経済全体の問題として、この問題は政府自体が自民党も含めて、もっと本気に取っ組む必要がある。日本の財界の連中は、一部では反対しておりますけれども、主流はオーケー、賛成というふうな動きが多いようです。こういう点に対しては、私は政府ははっきり見通しを持って早急に対策を立つべきだと思うがどうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 長短外資に対する考えは大体あなたと同じ考え方なんです。私もいいかげんな考え方でやってはおりません。民族産業の維持、また民族資本の状態、そういうものの見通しを十分つけながら、少なくとも、日本の貿易が現在国民総所得の一〇%を割るというようなところでございますし——主要工業国は一五%から一七・五%ということでありますけれども、これは数字の上だけであって、あなたの言われる通り、内容から見ますと外国資本による輸出輸入というものがありまして、実際は日本と同じことじゃないかというようなことも、私自身もそういう数字をこまかく今検討いたしております。そういうふうな原則でありながら、なぜ長期優良なものに対しては積極的に受け入れます、こういうことを言っておるのかと言われますと、自由化に対応して、原材料を持たない日本がこれから国際社会で、経済規模を拡大していきながら対抗していく。またそこに一つ貿易依存である日本が生を求めていくということを考えますと、資本の蓄積が非常に少ないという事実もまた看過するわけにいかないわけであります。でありますから、外資の優良な長期のものはこれを高度に利用するけれども、あなたが言われた通り、それがために反対給付として日本の民族産業が支配されたり、貿易のデータの上では非常に大きな数字になりますけれども、事実は、日本人以外に、果実は全部海外に送金せられるものであってはならないというようなことも十分考えておるわけであります。私が今積極的にその長期優良な外資を受け入れると言うのは、私がいかに大きな声を出しても、入ってくるものに対するおおむねのめどというものを、私は私なりに想定をしているわけであります。それが三兆五千億から四兆円というふうに、少なくとも七・二%平均で国民生産が伸びていくというようなめどをつけて、所得倍増の残余の期間の見通しをいたしますときに、入ってくる外資というものはおおむねアメリカであります。ヨーロッパからも日本に入ってくるというようになれば国際的にもおもしろいのですが、現在入ってくるという可能性は考えられない。アメリカが地球上で残された一番いい——今までは盲点であったかもわかりませんがそういう意味でアメリカは特にドル防衛ということを政府がきめておりながらも、ジロン財務長官は、日本が経済再建のために必要であるならば、ニューヨーク市場も政府も協力をいたしましょう、こういうことを言っておられる通りに、アメリカ資本というものが日本に対して非常に希望をつないでおるということがわかります。わかりますが、入ってくるものに対しては限度がありまして、日本がこれから資本を充実をしていく過程において、アメリカ資本が支配する程度に入ってくるかどうかという問題に対しては、非常に私もこまかく見ておりますが、その心配はない、またない限度において外資導入を考えておるわけであります。しかし総体に入ってくるものが——設備投資が四兆円であっても、またアメリカから入ってくるものがその百分の一であっても、一つの産業に集中されればという問題があります。でありますから、これらに対しては取得株式の制限を行なっておりますし、もっと内容的な制限をどうして確認をするかというような問題に対しても検討もし、具体的な方策をも立てなければならぬということを先ほど申し上げたわけであります。私はコカコーラという非常に強い、力のあるものが日本に入ってきたときにビールやその他の飲料にどういう影響を与えるのか、これはちょうど六、七年でございますが、私もずっとこまかいデータをとって検討してみましたが、やはり日本の成長産業というものはたくましく伸びておる。そこでこの外資とのバランスというものを十分とりながら、これから資本自由化また外資の導入という問題に対しては、相当緻密な計画で進んでいきたいというふうに考えております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 そこで具体的にはそういう長期の直接投資、外資、こういうものの流入なり何なりということについては、私はいざというときのはっきりした緊急措置を考えて、法律ではっきりきめておくということがぜひ必要だと思うのであります。こういう点について大臣はどう考えられておるのか。  それともう一つ、連関する問題ですから伺っておきたいのですが、そういうことになりますと、法律的に問題が出てくるのは、今の外資法なり外為の管理法、これを改正するのかどうか。改正の内容はどうかということを今聞いても無理でしょうが、少なくとも今の外為法なり外資法をそのままにしておいてあとは行政措置で全部やるのだというのでは私はだめだ、こう思うのであります。どうしても外資法なり外為法を改正をするという問題が出てき、それに連関いたしまして今の日米通商条約の特に十二条二項と七項のいわゆる改正という問題が当然出てくるのではないかというふうに思うのであります。これらは外務省なり何なりの所管の部分に入るかもしれませんけれども、しかしこれは当然今度の措置に応じて考えられなければならぬ問題だと思う。すべての、つまり為替の問題、それから同時に外資の問題を総括して、ひっくるめてこれらの点を当然改正をしなければならぬ。それについて大蔵省の方では対外新経済法というようなものをつくる構想である。ところがほかの省が承知しない、こういうのですが、どういうところがひっかかるのか。政府としては、これらの問題について意思統一を早くやって、発表するかしないかは別としまして、これらについては早く方針をきめるのが当然ではないかと私は思いますが、どうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 外資の導入ということに対して緊急避難措置が必要であるかということ、調整ということは、これは自由化に対して使うという言葉よりも、緊急避難というような場合に対して救済措置が当然国内的に必要じゃないかということでございますが、この問題については、私は、現在資本取引に対して緩和の方向に進めていくのでありますし、法律的にこれをやろうということになると、ちょうど今の例を言うと、カナダ政府がやっておることであります。これは非常に激しくやっております。これは国内産業に対する資本がほとんどアメリカ資本であるということでありますものですから、持ち出しを禁止したりせず、また流入をはかったり、そういうことをやっておりますので、ある意味においては不安定でありますし、国際信用の問題もございます。でありますから、常に政情不安という問題が起きてきますので、これは私はただいま申し上げた通りに、良質長期の外貨を入れるということについては、やはり外国投資家の利益も守ってやるということは、国際的にも当然確立した理論でなければいかぬ。また、日本は大国意識など持っているわけではありませんが、いずれにしても、そういう世界の主要工業国としての態度を明らかにしておく必要がありますから、投資家の利益は日本が守ってやるという原則は当然であります。同時にこれを引き出さないように、また支配をしないように、混乱をしないようにということはどうかというと、日本の信用をくずさない、これは絶対的条件であります。日本から引き上げて他に日本よりもいい投資先がなければ、長期安定的な投資になることは事実でありますから、その意味で私は外貨債も必要限度以上には発行しません、こう言っておりますし、内国債、特に赤字公債などは絶対に発行しません、また、現在いろいろなことを言われておりますが、財政法を改正して国債整理基金に繰り入れる剰余金の二分の一も現在のままでよろしゅうございますと言っておりますのはなぜかというと、あくまでも健全均衡予算を貫くということでなければ、これらの問題に対処できない、こういう基本的な考えがありますので、健全財政主義を貫きながら、じみちな経済成長、その基盤を確保しながらの経済成長を続けていくということで、今流入される外資に対して何らかの法的措置をとるという考えは今のところ持っておりません。また、将来も法律で規制するというような国にはなりたくないというふうに考えておるわけでございます。  それから第二点の問題、第三点の問題につきましては、これらの問題に対して外務大臣との意思の疎通もはかっております。私と外務大臣の間は、こまかい問題でもって省の看板で争うというようなことではなく、こういう重要な問題は、外務省の所管であるとか、また大蔵省の所管であるとかいうことではなく、一つのめどをつけて、一体こういうような方法でやったならば、どういう支障があるかということで、事務当局に検討させようという工合に、具体的なめどをつくってからスピーディーにものを片づけようという体制を今とっておりますので、これらの問題に対しても、できるだけ早く国民も安心ができるような体制、また、外国に対しても、日本が自由化に逆行しておるのではないかというような印象を与えないようにしなければいかぬと思います。外資法の問題その他につきましては、これは日本だけで解消するという問題よりも、今の日米通商航海条約との問題もあります。でありますから、アメリカとの間にも十分な意思の疎通をはかり、お互いが了解点に達するように、今努力をせっかく続けておる段階でございます。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 時間が参っております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 なるべく早くやります。もうちょっと……。  今の緊急措置といいますか、これは私はもう少し具体的に問題点を出して、一つ大臣の御意見を承りたいのですが、今のような事情で時間がありませんから、しかしこれは今のお話ではそういう法制措置はとらぬ、あとは行政的な措置でいくのだ、こういうお話ですが、私は長い目で見た場合にそれではいかぬ、こう思いますので、この点はもう一度御検討をいただきたいと思うのであります。  それからもう一つ最後の問題は、例のガットの関税の一律引き下げ方式、これの交渉に加わる、こういうお話ですが、具体的にどういうのか。と申しますのは、これは一気にそうなるわけではありませんけれども、大部分の商品企業が今まで為替によるよろいを着ておった。そのよろいを脱いでしまって、今度何かというと、今度は今までとにかく自由化に結びついて行なわれた約七百種類くらいの関税引き上げと、それより少しよけいなくらいの関税の引き下げが行なわれております。相当よけいやっておるが、しかしその引き下げの方を見ると、ほとんど影響のないものばかりです。引き上げた方はとにかく為替の保護がなくなったから、今度は関税を上げて何とかこれをプロテクトしていこうという趣旨のものです。ところが片方において、ガットの関係では関税の譲許率は非常に日本は低い。その上へ持ってきて、今度あの一括方式でこれはすぐにまとまるとは、われわれも考えません。二、三年は、おそらくごたごたするだろう、こう思いますけれども、これはまさに今までの関税政策の百八十度転換になるわけですね。しかもその関税政策の影響を受ける日本の企業というものは、外貨つまり為替の面での保護がなくなった、そして今度は、せっかくたよろうと思った関税の面でもこれはだめだということになりますと、これはよほど国内のこれに対する体制を強化しなければならぬということは当然だ。今のやり方では、私はとうていこれは不十分だと思います。特に中小企業やあるいは農業のごときは、今の程度で、これでもって今度為替もはずされた、自由化をされた、関税の方も落とされたとなったら、ざっくばらんに言いまして、生きるすべはありませんよ。だれが何と言ったって生きられません。今の構造改善事業みたいなあんなひょろひょろしたものをやっておって、間に合うかといえば間に合いませんし、中小企業も今度のような中小企業基本法をつくって、ああいうものをやったってあの程度じゃ間に合わないということは、これは明らかであります。従って私は、そういう点について政府は、もう少し新情勢に応じて早くやらなければ、その時期に効果が出てきませんよ。そういうことと、もう一つ、その中間に——つまりそこまでいく間の過程としては、アメリカや西欧各国あたりがやっておるような、あるいは補給金を出すとか、補助金を出すとか、こういう中間の暫定措置というものを、これは当然考えなければならぬ。御承知の通り、農業には一部行なわれております。大豆その他には行なわれておったけれども、あの程度のやり方ではだめであって、これを私は、特に競争力の弱いものについては当然考える段階じゃないか。それをせずに、今国民の方がわあわあいって、はっきり実態のわからないうちに片方じゃどんどん自由化をやってしまう。外国の資本は、今のお話ではあまりそうきやしないというようなこともあったのですが、私ははやはり相当くると思う。それで片方においては、関税は二、三年先には違いはありませんけれども、少なくとも一〇%ずつ五カ年で五〇%ということは非常に大きな問題です。この中間的な暫定措置をとりながら、片方において基本政策をとるということが私は必要だと思う。それと同時に、あの五〇%の引き下げの中にもいろいろな例外があるようです。しかし日本としては例外を持ち出して、おれの方は、これも例外にしてくれ、あれも例外にしてくれといったって、私はこれは通らぬと思う。通らぬというぐらいな腹で、私は国内の体制をはっきり政策的に裏づけていくことが必要だと思うが、この点はどうですか。あなたは金を出すのだから、金を出す人がちびちびしておったら、これはとても話にならない。だから特にお聞きします。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 国内の体制整備が前提であるということは、もちろんでございます。また、いかに大蔵省が健全財政主義を貫いておっても、つのをためて牛を殺したり、元も子もなくするようなことは考えておりません。日本が残らないときに大蔵省だけが残るわけはございませんから、これは私はそういう意味では十分慎重な配慮をいたしております。あなたが先ほども申された通りに、自由化の体制であり、しかもガットの理事会においてもうすでに十一条国移行宣言さえ行なっておる状態において、どうも国内体制の整備がおくれておるじゃないかという問題、これは私は率直に申し上げると、ただできないのであります。これはやはりやるというならば、大蔵省が一はだ脱がなければいかぬわけでございます。しかし大蔵省も健全財政というか、先ほどからるる申し述べておりますように、ワクをはめた中で健全財政主義を貫きながらも、重点的な必要な国内体制整備をやらなければいかぬ、こういうところにございますから、結局十一条国移行、また八条国移行宣言も近く行なう。それとガットの関税一括引き下げ交渉に対してもアメリカ側の考えておるように同調します、こういうことを言っております。それではもう全くすっ裸じゃないか、こういう議論もございますが、私たちもその進行の仕方によって、当然日本で国内産業整備体制をとらなければならないものに対して、整備をしないうちに、体制をとらないうちに、いつの間にやら自由化になってしまって収拾つかなくなるようなことは絶対してはいかぬということだけは十分考えております。アメリカが今考えておりますのは五割——一〇%ずつ五カ年間でもって半分にしよう、これはアメリカが言っているのですが、このように一律、画一的な引き下げに対応して一体日本の産業が持つか、持たぬか、これは議論の多いところでございますが、しかし、そこに非常に外交上むずかしいところもございまして、基本的姿勢に対しては一括引き下げに応じます、もちろん進んで応じますが、日本の置かれておる事実というものを十分認識してもらわなければいかぬ。それは二国間交渉でもって幾らやったって、これはなかなか解決できるものではありませんから、だからガットの場において、IMFの場において、あらゆる場において日本の実情を理解せしめる、また理解してもらわなければいかぬ。そういう考えで一括引き下げに対しては基本的な前向き姿勢を宣言しておるわけでございまして、この引き下げに対しては、EEC加盟を中断したイギリスが、また戻るような状況がここから起きるのか、またEFTA諸国がフランスに対してどういうふうな態勢をとるのか、フランスがどういうところに調整点を見出して転換をするのかというような問題、また、アメリカがどの程度折れるのか、どういうスケジュールでやるのか、非常に国際的には微妙であり、瞬時も目を離せないというような段階になると思うのです。私たちはそのときに員外者として遠くから新聞を見ておるということではとても対応していけるわけはないのでありまして、われわれ自身も相当な危険を覚悟しながらも、やはり虎穴に入らずんば虎児を得ずということもございますし、そういう意味ではやはり正式メンバーとして国内体制を整備しながらも、少なくともそういう姿勢をとることが、究極において日本のマイナスにはならないという考え方で一括引き下げに対して対応する姿勢をとっておるわけでありますが、具体的問題に対しては、日本の実情その他を十分理解をしていただく、また理解をしていただきながら、各国が日本に対して要求する五月の会議などでは、日本の自由化という問題が一番大きくきっと取り上げられると思いますので、これらに合わせて日本の体制整備を考えますから、だから、先ほども言った通り、次の国会、少なくとも三十九年度予算を審議する国会、ことしの十二月から開かれる通常国会では、これら自由化対策に対しては万般の立法措置等が必要であろうということを申し上げておるわけでございます。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 だいぶ時間を経過しました。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 まだ今の点についてはどうも今のようなお答えでは私は満足しないのですが、時間がありませんから、もう一問だけ一番大事な点を御質問します。  今度の自由化がだんだんこういうふうな段階になってきますと、これは国民経済の、国の経済の運営の一番基本になるものは何かというと、機軸になるものは国際収支の均衡だということになると思います。これ以外にはなかろうと思う。この点について、今まではかなりいろいろ苦い経験をやってきましたけれども、どうやら今まではまあまあ何とか方法がついたわけですが、これからは方法が全然ないわけではないけれども非常に困難だ。そこで私はこれについて大臣にお伺いしたいが、大体日本のいわゆる外貨手持ちというものは、どのくらいあったらいいのか、年々どのくらい増していったらいいのか、しかもその内容は——これも十年先のことを聞いておるわけではありません。ここ三年ぐらいの間、年々どのくらい外貨が増していったらいいのか。それから同時に、その中でその内容が、たとえば金の保有なら金の保有、あるいは外国の証券なら証券、あるいはユーロ・ダラーなり、短資なら短資、そういうものの割合はどういうふうなのが一番あるべき姿なのかということですね。それからさらにそれを裏づけるための、いわゆる輸出入、つまり貿易外の経常収支と、短期長期、こういったものに対するかなり計画的なめどを持つことがぜひ必要だと私は思うのであります。これを裏づけるには、国民経済の全体の見通しということになりましょうが、ここまでは私は触れませんが、大蔵大臣としては少なくとも国際収支の均衡というこれについてはっきりした具体的なめどを持つということが私はぜひ必要だとこう思うのですが、今申しましたような諸点について御検討を始めておらなければならぬはずだ。これがはっきりしませんと、すべてのことが、政府が出されるいろいろな数字というものが出たとこ勝負になって、いわゆる国民経済を指導していく資料にならないと思うのです。そういう点で、もう少しこの問題については政府自体が具体的な真剣な取り組みをすべきじゃないか。ざっくばらんに言ってそれがない。今のところどうやらうまくいったからいいですけれども、これはまたいつどうなるやらわからぬというようなことでは、政府の言われるところの新しい安定成長なんということは夢の話になります。この点について、やっぱりどの党が立ってもこれから当面の間の経済運営の一番基本になろうと思いますが、この点についてどういうふうにお考えになりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 御承知の通り、一昨年の暮れから昨年にかけて国際収支が悪化をいたしまして、最低十四億四千八百万ドル、そこまで落ちたときに、国際収支改善対策をとられたわけでございます。現在の状況では、この三月三十一日までにアメリカ市中三行からの借り入れ二億ドル及び七行借款の一億二千三百万ドルだと思いますが、そのうちの三千三百万ドルを返しまして、どの程度になるかと言いますと、十九億ドルに近い状態で越年をするということになると思います。数字の上で言うと、IMFのスタンドバイ取りきめ三億五百万ドルも取りくずさず、また手持ち資金で二億三千三百万ドルも返し、また、対米債務も返し、それから三千万ドルに上る戦前の国債の償還も行なうということでありますから、非常に国際収支はよくなったということは言えると思いますが、一体最高であった二十億ドルになればいいのかといいますと、これはなかなかむずかしいのです。私はしろうとでありますが、大蔵省に参りましたときに第一番目に国際収支というものは改善されて、一体幾らあればいいのか、外貨は幾らあればいいのかということを今と同じ状態において質問を受けましたが、そのときに私は二十五億ドルはほしいとこういうことを言ったわけです。現在でも私はそういう考えを持っております。これはどういう考えかというと、国民総生産また国民所得と貿易バランスを見ますと、九%から一〇%、これが先進工業国は一二、三%から一五%、ラウンド一五%見ればいいと思う。一七・五%くらいまでいっておりますが、先ほどあなたが言った通り、外国系資本の輸出も非常に多いということで、大体ラウンド一五%、できれば——五年、十年という目標で七・二%ぐらいの国民総生産をずっと上げていくという状態において、究極の目的はやはり主要工業国並みに一五%程度ということを見なければいかぬ。そうすると、一年間か二年間自由化の中であおりを食ったときに持ちこたえられるものは何かというと、今までは十億ドルを割ってはいかぬというような考え方が一応言われたわけでございますが、私はやはりある時期に月一億ドルずつ、十二カ月といっても十二億ドルでございますから、十億ドル以上安定的に使い得るというものは、これは利息を払ってもやはり保有すべきものであるというような考え方、しかも一五%程度まで輸出入のバランスを上げていくということを考えますと、今の二十億ドルをこすからいいなどという考えではありません。できれば二十五億ドル、ことしは五十億ドルないし五十二億ドルぐらいの輸出を三十八年度見ておりますが、もう少し伸びていかなければいかぬだろう。四十七億五千万ドルの輸出自体が五十億ドルに近くなっておる現在でありますから、来年度の五十一億五千万ドルないし五十二億ドルというものは容易に達成できるだろうという考えでありますが、そういうデータをずっと積み重ねて参りますと、二十五億ドル程度の固定した外貨は持ちたいというのが私の希望でございます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)分科員 いろいろ突っ込んでお話をしたかったのですが、時間がありませんから、やめます。最初申しましたように、どの大臣にお聞きしましても、自由化に対する考えがまだ固まっていないようです。どうか一つ各省間で早急に固めていただいて、御提示のできるものは提示をしていただいてやっていただくようにお願いをして質問を終わります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 この際、正示君より関連質疑の申し出がありますのでこれを許します。正示啓次郎君。

正示啓次郎自由民主党

○正示分科員 久保田委員の大へん重要な問題ですから、一言だけ関連で大臣の御答弁をいただきたいと思います。  今お話の中に、石油と、これから自由化されようとする自動車等が関連していると思うのです。私は過去の政策を考えますと、石油産業も、中には民族資本のものもあったわけなんです。ところが石油というものはもうかるものだ。リファイナリー、もうかるものだというので、国がほとんどめんどうを見てやらなかったのですね。そうしますと、石油産業のうちの大部分は、外国の資本に直接くっついた。私はこれをたとえて言いますと、ちょうど娘はほっておいたって何とかなるわと思っているうちに、娘が勝手にパトロンをつくったようなものだと思うのです。今自動車産業がこれからの問題だと思うのです。そうしますと、これに対しても、考え方としては国がめんどうを見てやらなくてもいいという考えはいけない。そこで今度三十八年度の予算で開発銀行の中に、いわゆる体制金融、これを新しく設けまして、自動車産業のあるべき姿というものを国がガイドしていくのだ、これを指導していくのだ。これは非常に大事な着想であったと思うのです。この点、久保田委員がお触れにならなかったので。  それからもう一つは産投特別会計で外債を発行して、外債はなるべくそういう政府のもので持ってきて、そして必要な開発銀行なら開発銀行に金を流して、基幹産業のあるべき姿をつくっていく。それに政府も金を出して寄与していく、こういう新しい着想を今度の予算に打ち出したということは、私は自由化前進の非常に大きな進展である、こういうふうに思います。自動車産業と石油産業と比較して、その点は非常に違っておるのだ。政府・自民党の政策というものについて、大臣が非常に御努力になったのでございますから、この際それについての考えをここで明らかにしておいていただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 産投外債という問題に対しての御質問でありまして、これは私もあなたの今申された通りであります。対日援助見返り資金の運用ということとあわせて基幹産業の戦後復興ということを考えられたものよりも、新しく産投会計そのもの、開発銀行そのものもより広く視野を広げて新しく自由化に対応する国内産業の基盤確保ということに広げていかなければならぬということは、私もその通り考えておりますし、今度もそのように考えたわけであります。石油資本に対しては、石油の使用量が急速に伸びました。ここに一つの盲点があったかもわかりません。御承知の通り今から十年ばかり前は、日本の国産石油というものは、帝石、日石等国内産業、帝石が中心でございますが、約七十万リットルから八十万リットル、そのときにもうすでに国内における石油の使用量は千万リットルということで、これはものにならないのだと考えておったところに一つの盲点があったと私は思う。こんなことは南イタリアが戦後火山灰地帯からは石油は出ないといわれておったところを、政府が相当力をかけて、イタリア自身が石油の輸出国になったといういい例もあります。これらが刺激になって、今の石油資源開発会社というものをつくってはみたのですが、年間二十五億、大体五カ年間百二十五億という程度のものであって、これは国産石油資源の開発などということとほとんど縁遠かった。しかもなかなかむずかしい。外国から入ってくるものは安いからという考えで、石油資源開発そのものさえもペイするように、小さくまとまれというふうにいってきまして、確かに今日石油産業というものは、ただ産業部門における石油ということではなく、これはコンビナートをつくって、化学産業の基礎となり、それから石油産業そのもののいかんによっては、日本の産業自体に相当な影響を与える、こういう事態を考えますと、やはり政府も石油産業に対して相当な前向きな体制をとらなければならぬということは、これは当然であると思います。そういう意味で、今度初めてアラビア石油等に対する引き取りの問題等、諸般の国内石油、日本の権利を持っておるものに対する保護、これは非常なときにどうだとかいうような、そういう議論をしなくても、日本の産業に及ぼす大きな問題を考えまして対処していこうということで手をつけておるわけでございます。自動車産業等は、アメリカの自動車を輸入する、自由化するということで、これはひとたまりもないわけでありますが、しかし戦後日本の自動車産業がここまで伸びたということも、これもまた大へんなスピードで伸びてきているわけであります。また日本でつくるようなこういうものが世界の未開発国や低開発国を中心にして需要もあるのでありますから、これもひとたまりもなく自由化の波にのまれてしまうというようなことは、産業政策上とるべきものではございません。でありますから、ことしはそれにしては意気盛んであるが、開発銀行のワクは、つくったのはいいけれども、小さいではないか。これは初めというものはみなそういうものでありまして、こういうものに対して政府や国民が一定の産業だけを支援するのだなどという議論ではなくて、これは民族産業として当然やるべきであるという世の支援も求めながら、理解を求めながら拡大していかなければいかぬということで、まず手初めにそのような処置をとったのであります。同時に産投国債を発行できるような恒久的な措置として議会に対して審議を求めておりますのも、一貫した理論に基づいてのことでございまして、かかる産業体制は、先ほど久保田さんの御発言もありましたが、これは全く超党派的に民族産業そのものに対しては一つ御支援を賜わりたいと、こう考えるわけであります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 この際三十分間休憩いたし、午後二時五十分より再開することといたします。    午後二時十七分休憩      ————◇—————    午後三時一分開議

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  大蔵省関係について質疑を続行いたします。中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 大蔵大臣に中小企業の金融問題を中心としまして、時間の関係もありますので、できるだけ意見を避けまして端的に一つお尋ねしたいと思うのであります。  大臣は、先日の本会議でも、零細企業者の金融問題については無担保、無保証、こういった方針でやらなければならぬという必要性を強調しておられたわけであります。きょうの加藤委員その他同僚委員の質問に対しましても、中小企業の問題は、これは自分の経験からしても観念論じゃないんだ、こういうことで中小企業の方向に対して前向きの態度をもって終始しておったわけであります。ただ私は、大臣のそうした態度自体におきましては好ましいことである、またそうでなければならぬ、こう思うわけであります。しかし、今度政府が提案されました中小企業者が非常な期待を持っておりました中小企業基本法、その内容を私どもがながめてみますと、必ずしも大臣が考えておられるような方向へ中小企業が進むのかどうかという点に非常な危惧を実は感じるわけであります。しかし、この問題はいずれ商工委員会等におきまして十分お尋ねをし、また必要によりましては大臣の御足労も願いましていろいろ御高見を伺いたい、このように感じておるわけであります。  そこで、中小企業の問題は、大臣も御意見がございましたように、対策であってはならない、全く抜本的な政策の樹立というものが行なわれなければならぬ、こういうことになるわけであります。将来の中小企業の健全な発展をはかる、そのことと同時に、現在の中小企業が健全な歩みをしていくということに対しましては、合言葉にありますように、いわゆる金の問題と人の問題である、このように考えるわけであります。そういう面から、中小企業の金融の問題といたしましては、政府金融機関に依存をするという度合いが非常に高くなって参りました。もちろん、政府もそうした方向に向かって漸次予算の積み上げという形に進んでおるということは、これは認めるわけであります。ところが、現在の中小企業の三機関、中小企業金融公庫、商工中金あるいは国民金融公庫、この金融機関の設置の問題、あるいはこれの扱うところの資金量の問題ということに対しましては、そうした中小企業の発展のためにほんとうに期待できるだけの金融措置が考えられておるかどうかということになりますと、必ずしもそうではございません。そこで、現在は中小企業金融の最も中心となって参りました中小企業金融公庫、この公庫が、三十八年度予算の中におきましては、四店舗新設が計画されておるようであります。これは好ましい状態であると思っておりますが、しかし、四店舗というのでは、一県一行というような形にははるかに遠いのであります。少なくとも中小企業金融公庫は一県一店舗設置することが必要である、私はこのように考えるわけでありますが、大臣はこの点に対しましてはどのようにお考えになっておられるか、まずその点を伺ってみたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 中小企業金融公庫の支店が四カ所新設を計画いたしておりますが、これは今までの計画で資金コストの面をはかったり検討したりして四カ所三十八年度に計画したわけでありますが、私は大臣就任と同時に、あなたと同じことを事務当局に言ったわけであります。そうしたところが、資金コストの問題その他がございましてということで、私がそう言ったために一カ所くらいふえたということだと思います。その程度のことではうまくいかないという考えでありまして、今度は民間金融機関等に対しても、支店網の整備充実ということに対しては、相当大幅な簡易店舗の設置等を認めるという方針にしておりますが、この中小企業金融公庫は、御承知の通り代理貸し業務が非常に多いので、直接貸し出しを行なうという面からも相当程度地元からの要求もありますし、一県一店舗というか、産業的に密集なところに対してはもっと支店を計画的にふやしていく方向であるべきであるというふうに考えております。ただ、資金量と資金コストの面からという制約を除くには、その支店設置の分だけ政府が出資をするとか、いろいろな問題で解決の方法はあるわけでありますから、こういう問題に対しても、中小企業基本法が制定をせられるという時期でありますので、できるだけ前向きな方向——前向きとただ口癖に言うようなことでなく、計画的にこれが窓口の整備を行ないたい、このように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 もっと具体的に考え方を聞かせていただきたいのでありますが、確かに公庫が三十八年度は三店舗だ、こう言われておった。それが具体化しましたのは四店舗になっております。そこで、大臣がその点強調されたということは裏づけされるわけであります。この四店舗は、三十八年度はどこに設置しようと考えておられるか。それから三十九年度以降に対する大臣の具体的な考え方——ことしは四店舗である、その一店舗は自分の考え方がそこに入ったのだ、こういうことであります。やはり公庫設置は一県一店舗、そこまで大臣が強調されたとするならば、三十九年度からはこういう方向で行くべきだという具体的な御方針というか、そういう面があろうかと思いますので、その点に対する考え方も一つ聞かせていただきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 今年度四店舗の設置府県名、場所等に対しては、政府委員をして答弁させますが、先ほど申し上げました通り、直接貸しを拡大しなければならない、またしたいという考えでありますから、三十九年度以降何カ年計画かで支店網整備をするという年次計画でもきめまして、できれば三年とか四年とかいう非常に短い期間に一県一店舗以上の設置を認めていくというような計画をつくりたい、このように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 そこで、今大臣の御答弁の中にも出ましたが、直接貸しのことであります。このことに対しましては、私ども、委員会におきましても、代理貸しではだめだ、直接貸しでなければならぬということを絶えず強調しておるわけであります。ところが従来のいろいろないきさつという問題もありましょうし、また金融関係の事務に従事をするものといたしましては、相当期間の訓練というものもやはり必要になってくる。そのようないろいろなことで代理貸しという今までの慣例がなかなか改まっていかない。しかし、最近、若干直接貸しがふえてくる傾向にある。ところが。ここで考えてみなければならないことは、三百万円超、これには比較的直接貸しがふえてきておるが、三百万円以下には依然として代理貸しの率が非常に高い。しかも小規模の融資に至っては一件も直接貸しがない。これは直接貸しとしては扱わない、すべて代理貸しとしてこれを扱わしめるといった形で実は統計が出ておるわけです。これは好ましいことではないと思います。少なくともこれは直接貸しが理想でなければなりませんし、中小企業金融公庫を設置した目的もそこにあろうかと思うわけであります。大臣は本年度からこの姿をどう是正させようと考えておられるか、具体的な構想もあろうかと思いますので、この点に対する考え方を聞かしていただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 お説の通り、大きなものに対しては直接貸しをしておりますが、非常に少額のものは代理貸しをやっている。逆じゃないかという議論もございます。しかし実態的に見ますと、大きなものに対しては、資金回収という意味に対して、代理貸しということで人の窓口で調査をしたものに対してだけ全額認められないというような問題もあります。そうしてまた、比較的大きなものほど手数がかからないということもございますので、直接貸しをやっておるということでございましょう。それから代理貸しの場合は、小規模の問題は、大なり小なり市中金融機関との取引がございまして、それを補完する意味でまた貸し出してもらうというものもありますし、それから中小企業金融公庫が承諾をすれば私の方もあわせて融資をいたしますというようなととがありますので、件数も非常に多いことであるし、人員、機構が間に合おないというので、代理貸し、現在の市中金融機関の制度をそのままお願いしておるということがあるようでございます。しかし、小規模のものであっても——小規模のものほどまた深刻な金融難にあえいでおるわけでありますし、金利も少しでも安い方がいいということでありますから、できるだけ早い機会に直接貸しに移していかなければならぬということは、お説の通り私もそう考えますが、いずれにしても件数が多くなりますから、人と機構がこれに伴わないということがあるわけであります。それならば支店網の整備をなぜ早くやらぬか、こういうイタチごっこの議論になるわけでございまして、私もそこを指摘しておるわけでございます。中小企業といえば政府関係三機関しかないといわれておるのでありますから、これら中小企業金融公庫の窓口整備ということに対しては積極的にやるべきであるという考え方を持っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 国民金融公庫ですが、国民金融公庫は、一県一行ということよりも、二つあるいは三つという支所があるわけであります。ところが、これは小さい問題でありますから、おそらく大臣はおわかりになっておられないと思うのです。この出張所の設置ということに対しては、実績主義というものを非常に尊重するという傾向があります。時に離島等におきましては国民金融公庫の出張所はほとんどありません。ところが、この離島には、市中、いわゆる民間金融機関というのは一行、相互銀行を含めて二行ある地域がある。相当な人口あるいは事業者数であります。そうなって参りますと、民間の金融機関のいわゆる地域独占という形が現われて参ります。そこで、政府金融の場合もこれを代理貸しとして扱わしめるという形になっておる。人間でありますから、意思の疎通がなかなかうまくいかぬということがある。何かのことで支店長と仲たがいをやるということが起こって参ります。これは好ましいことではありませんが、実際問題としてはそういう場合に金を借りることもできない、ついに高利貸しのところに飛び込んでいかなければならない、そのために倒産したという事例も、具体的な事例として私は幾つも知っておるわけであります。そこで、離島等における町村長とか、あるいは町村議会等が、決議等をもって、ぜひ一つ出張所をつくってもらいたい、こういったような運動、陳情が起こりますと、実績がない、こういうことで実現を見ていないということが現状のようであります。少なくとも国民金融公庫は、そういった過去の実績というものによってやるべきではない。ある地域におきましては、離島なるがために、その離島の地点が他の二つの県にまたがって船で行かなければその離島に到達しない。実例としては、長崎県におきましては、長崎から離島の壱岐、対馬に参りますのには、佐賀県を通り福岡県を通らなければ離島に行けない、こういう実情であります。ところが、その離島におきましては、ただいま私が申し上げたようなことがあるわけであります。こうした実例を考えてみましても、私は、少なくとも、過去において直接貸しがなかったんだ、こういうことだけで出張所を設置することが適当でないという考え方は、これは根本的に間違っていると思います。出張所をつくってそうして直接貸しの道を開いていくということ、そうしてその離島等における地域住民の所得水準を上げていく、そうした問題の解決がなければならぬ。離島振興法等によって、道路であるとか港湾であるとか、そういうものの建設は進んでおるけれども、実際においては経済面におきましてこれが伴っていかない、そのために、本土と離島の住民との所得水準というものは依然として縮まらないという現状にあるわけであります。このことは金融問題が大きな問題点となっておるわけであります。このようなことに対しましては大臣はどのようにお考えになり、これらの点を是正するために大臣はどういった指導方針をもってお臨みになる考え方であるか、伺ってみたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 市中金融機関であれば、実績主義で支店を設置したり出張所をつくったりするということも考えられますが、新しい政策的要請でつくられた政府関係機関でありますから、実績を求めるということ自体が無理であって、四角定木に、実績があればやります、代理貸し業務をやって実績があり回収があればつくります、これでは民間金融機関の考え方と何ら変わらないので、政府関係機関であるという特殊性を考えても、必要と認められる状態であればそこに積極的に窓口を開設するということは、より親切であり、そうすることが、そのような機関をつくられる法律が設けられたことでありますから、これは言うを待たないことでございます。問題にしてできなかったというのは、資金コストとか、そういう一年間の前年の実績だけを見て積み重ねておる、そこまでまた査定を受ける、こういうような考え方で、とれで十分やれるのですというような考え方ばかりが前提に出ておったので、支店網整備、窓口整備等もできなかったと思いますが、理屈としてはいろいろなことを言えても、中小企業基本法が成立するということは、中小企業に対する国としての一つの意思が決定されるわけでありますし、抜本的な方向を打ち出すわけでありますので、今までこうであったからというようなことではなく、今の金融機関その他に対しても、新しい角度から、新しい立場からやはり検討していこうということになると、人口もあり、産業も発達をしており、また発達していく可能性があり、資金需要が当然あるというならば、政府機関の窓口も当然整備をしていくという方向で検討すべきだと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 大臣がおっしゃることその通りだと私は思う。ところが、現実におきましては、現場は大臣の考え方の方向へ実は遺憾ながら進んでおりません。ここに、私は先ほど壱岐、対馬の例を申し上げましたから、具体的な事例として御参考までに大臣に申し上げておきます。  長崎県の壱岐と対馬が二つ並んでおる。壱岐には、国民金融公庫の支所から毎月か二カ月に一回か直接出張する、そして相談に応ずる、そういう場合は直接貸しがずっとふえてくる。ところが、対馬にはその出張を一回もやらない。それで、驚くなかれ、直接貸しが一件もないという実情です。地域は広い、事業所数が多い、にもかかわらず、そういったような統計が出ておるということは、もう議論の余地はありません。大臣は、ただいまの考え方で十分私も理解ができます。一つ積極的に——離島振興法等の特別立法もあるわけである、単に離島にとどまらず、ただいま私が申し上げましたような実情の中にある地域が数多かろうと思いますから、その点に対しては、中小企業の金融、地域開発、そういったような面から積極的な一つ取り組みをしていただきたい、こう強く要望いたしておきたいと思います。  同時に、これに関連をいたしまして申し上げたいと思うのでありますが、民間の金融機関が貸付にあたって、両建であるとか、あるいは歩積みであるとかいったことを行なっておるということに対しましては、先ほどの加藤委員の質問に対しまして、大臣はこれをさっそく調査するということについて決裁をしたということでありましたが、そのことに対しましての具体的な考え方も一つ聞かせていただきたいと思いますが、政府金融機関の代理貸しの場合にこのことが行なわれておるということであります。民間の金融機関を代理店として、窓口として借り入れるのには、これは歩積みなんてないであろうという期待感で借り入れ申し込みをやると、これにも相当額の実は歩積みをさせている、こういう事実がある。いかに代理貸しの弊害が大きいかということは、これらのことによっても実証されると思うのであります。民間の金融機関に対する歩積み、両建、具体的にはどのような指導方針をもってお臨みになるのか。これは調査をするということでございますが、それは調査もしなくてはならぬでしょう、しかし、この歩積み、両建というようなことはいけないことだ、このことははっきりしておるわけでありますが、今大臣の指令によって直ちに是正され得べきものは、政府金融機関の貸し出しに対して——直接貸しにはもちろんそのようなことはございませんが、代理貸しに対して歩積みをやる、そういうことはやらせないということをさっそく一つ指令を発せられ、これを実行させることが当然であると思いますが、この点に対する考え方を聞かせていただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 先ほどもお答えを申し上げました通り、歩積み、両建の問題に対しては、政府も慎重に対策を立てておるわけでございます。両建の問題よりも、問題は歩積みの問題であります。両建の問題は、事業をやっておる人が、政策的に、一方において預金を持ち、一方において借り入れをしておるというようなことがございますが、一番大きな問題は、この歩積みを強制的にやらせられる、いわゆる借り入れ人の意思に反して、今どうしても百万円要るということに対して、十万円だけ歩積みをすれば貸せますということは、もう法定金利以上に高くしておるということでありますから、これはもう全く自分の金に自分で利息を払っておる。特に緊急に金の要る中小企業において歩積み、両建が非常に多いということは、これは看過し得ないことでございます。この問題に対して、長いこと金融機関との話し合いによって何とか慣習——長い間の慣習はわかりますが、歩積みを強制するようなことをやめるようにという指導をして参りましたが、昨今、あなたが今言われた通り、政府機関から借り入れるものに対しても、一つの例として、百万円の貸し出しに対して五十万円の歩積みを持っておる、こういう話がありましたので、私は、これはもう看過するわけにはいかないし、今までのように、慣習でございますからなどという範囲をもう越えておる、こういう考えに立ちまして、今までは私はできるだけ金融の中立性、自主性ということを特に強くうたって参り、また金融機関も自主的に自粛をしてもらうように言っておりましたが、一部においては、きのう御質問でも、信用金庫等に対してもいろいろな事件もございますし、また中小企業を対象に融資を行なう機関が近来非常に大きな資金量を持っておりまして、中小企業に対してその貸し出しの何分の一に押えながら、運用利回りの非常に高いコールにだけ回しておるとか、いろいろな批判がございます。そういうものに対してもできるだけ私は自主的な自粛を求めてきたのでありますが、いやしくも水害地や豪雪地帯においてさえも、政府関係機関から貸し付けるものに対しても歩積みを要求するということになったら、これはもう全く範囲を越えておりますからというので、私も思い切って事務当局をして、大蔵省と日銀が共同の責任においていわゆる検査を行なう、こういう体制をとりなさい、こういうことにいたしたわけでございますから、今度は、しかるべく調査をしまして御報告申し上げますなどということではなく、第一線まで出かけまして、銀行別、それから信用金庫や相互銀行別に、日銀を大蔵省の共同責任において検査権を発動しまして検査をして、可及的すみやかにこういう正常な金融の面を越えておるものに対しては措置を求める、こういう体制できょうあすから具体的な検査を行なう予定でおります。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 どうですか、大臣、その政府資金を貸し付けるにあたって、代理店扱いとしてやる場合にそうした歩積みをやるという場合、代理店扱いを停止する、そこまでこれはおやりになることが当然である。これは常識はずれである、大臣が今おっしゃる通りである。そのことに対してはお考えはいかがです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 これはそういう激しい議論もございますし、私もその程度のことを考えないわけではありませんが、金融機関に対して、歩積み、両建という問題はなかなか長い歴史がございますのと、それから歩積み、両建ということを、だんだんと蓄積をしていくという状態で善意で歩積み、両建をやっている人もありまして、実際はこれだけ本行に置かなければ貸し出しませんよといっておるにもかかわらず、この事実を捕捉するのは非常にむずかしいわけなんです。でありますから、一律一体、画一的に、歩積み、両建をやってはならないということは、慣習にも反することであるから、そこまではいけないにしても、検査をすれば内容はよくわかりますから、いずれにしても、毎月々々ずっと十年間においてその金融機関の取り扱い高の延べが二千万円になっておって、そうして十年間に二百万円が積み立てられておるものは、これは何といっても無理をしたもの、貸付を条件にして歩積みを要求したものではないだろうという認定はつきますが、何にもなかったものが、初めての取引でございますからといって、百万円貸して五十万円、三十万円、二十万円、よしんば十万円であっても、第一回の貸し出しにおいて歩積みがあれば、当然歩積みが条件であったということはもう明らかであります。こういうものに対して猛省を促す——促すだけではなく、将来かかることを預金吸収という名において——しかもこれはある意味において不労所得ですから、そういう意味に対して厳重に取り締まるというような体制を、まず基本的な姿勢をきめまして、できるだけ早い機会にこういう悪習のないようにしたいということでありまして、日銀や私たちが監査を行ない、検査をやっても、なおまた翌日からやるというようなものに対しては、これは慎重に検討はしながらでございますが、やはり伝家の宝刀を抜くということもあり得るのであって、これは初めからもう差しとめてしまうぞというわけにもいかないと思われますので、実情を調査していくということになれば相当自粛の度は上がると思いますし、また上げなければいかぬ、こういう体制を現在の時点において考えておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 実情の調査によって、善意なものに対してはこれを停止する、こういったような伝家の宝刀を抜かないということは常識的に判断できるわけであります。  時間がございませんから、あまり深くは申し上げません。借り入れをするという場合、銀行が貸付をするという場合、当然銀行は預金によって貸付をしていくということも貸付の一つの要素であるわけですから、ある程度貸付があるということは、その企業に対する信用度を高めることになって参ります。従いまして、ある程度の預金ということは考えられるでありましょう。しかし政府の代理貸しとして、窓口として、政府資金を借り入れてやる条件として、これだけ歩積みをしなさい、こういうことは明らかな悪質の歩積みのやり方、こういうことになって参ります。そのことは今大臣の考え方ではっきりしましたから申し上げませんが、ただいま大臣が両建のことに対して、これは本人の意思によってということであります。これは大臣の両建に対する考え方が少しく寛であると思います。歩積みと少しも変わりません。これは百万円貸しましょう、三十万円一つ預金をしてくれというわけで預金通帳を預かる。それには若干預金利子をつける。こういうことで、本人はそういった金は借りたくありません。しかし必要ですから言われるままに金を借り入れる、こういうことをやっておるのでありまして、決して本人の意思によって両建をやっておるのではない。金を貸す条件としてそれをしいられるから、やむを得ないでやっておる。これはある意味におきましては、歩積みよりも悪質であると思う。歩積みは若干、手形を割り引きをしてもらうとき、あるいは金を借り入れるとき、少しく歩積みをしてもらうという善意のものもあります。両建の場合は、ほとんどこれは悪質です。これだけをやりなさい、銀行はさやかせぎになりますから、預金利子を払えばいいわけです。額面通り貸付の金利は取るわけでありますから、そのいわゆる利ざやによって相当の利益を上げておる。こういうことで両建をやらしておりますから、大臣の両建に対する先ほどの答弁は少しく、何というのか、寛であると思います。その考え方は改められぬと、実際実情に沿わないのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 歩積み、両建というのは、分けていえば分けられるし、また全く一つの問題でもあります。しかし歩積みというのは、いわゆる借り主の意思に反して歩積みを要求する。いわゆる百万円貸したことについて、事実は九十万円しか手渡さないで十万円は先取りをしておく、それでなお借り主は百万円に対して利息を払ってやらなければいかぬ、こういう考え方は、歩積みに対して一番悪い面として指摘をせられておる部分であります。歩積みがずっと続いてくると預金ができます。預金ができるものを見返りにすれば両建じゃないか、そういう議論になりますが、両建の中には全然別な両建があるのです。これは会社が金を借りる場合に、個人がある定期を置く、これを見返りにして両建でもって貸してもらうとか、会社の性格によりまして、相当大きな金額を定期預金にしておかなければいかぬ、また定期預金にしておくことが大衆や投資家に対する責任を果たすことであるということで、これを見返りにして、一方においては貸し出しをしておる。こういう歩積みがだんだんと積み立てられたものを見返りにして出しておる両建と、それから当然商習慣として、長いこと企業の経営の過程において両建でもって金融機関とのつながりをつけていかなければならないものがあるのであります。この歩積みと両建を、今あなたが言われたような考え方だけでもって、両建というのは、歩積みをずっと積んでいきますものだけが両建だというふうに割り切ってしまいますと、銀行は今度歩積み、両建両方とも整理をするといいますと、今までのものに対して一ぺんに両建貸し出しはできません、こういうことで整理をされて非常に困った例がたくさんあります。いわゆる保険会社その他が大衆から受けたものは、当然バランスの上では預金の上で残しておかなければいかぬ。また他に事業目的があって貸し出しをするものは、当然同じ会社の金でありますから両建になりますが、バランスの上では、預金と借り入れが同じく百億ずつであった場合、相殺してゼロになってしまうということで、バランス上、また経営上、困る場合がたくさんあるのです。そういう場合、これは下手をすると、画一的にずっとやられますと、一切両建の貸し出しの制限を受けて混乱を来たすということもありますので、私はその実情を知るがゆえに、いわゆる今要求しておられるものは、歩積みイコール両建という考え方で、歩積みを借入者の、また預金者の意思に反して銀行が行なわれている、権力を発動しておるという、こういうところにウェートを置いての御質問であり、私たちもその弊害をこそ征伐しなければいかぬ、こういうふうに考えておるのでして、当然経営上必要な両建の、いわゆる預金を見返りに貸し出すというようなものまで、歩積みを排除するために全部一括でもって整理をしてしまうという混乱を避けなければいかぬというふうに考えておるだけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 私が申し上げた両建というのは、最も悪質なものとして指摘できるのは、中小企業者が五十万円金を貸してほしい、こういう申し出をいたしますと、貸しましょう、百万円貸しましょう、そのかわり五十万円は預金をしなさいという形の両建であります。そういうことが露骨に行なわれておるということは大臣も十分おわかりでしょう。そういうものは、ある意味におきましては歩積み以上に質の悪い預金吸収の方法であるから、それは一つこの際排除されるようにされる必要がある、こういうことで申し上げたわけであります。その点は大臣も適当でないとお考えでしょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 まさにその通りでございまして、含み貸し出しというよりも含み預金といいますか、実際上はない預金をあるように、実際も貸し出さなければならないものに対して、その預金ワクを非常に実績を積み重ねておるわけでございますから、こういうことは金融業としては、正規な金融業者がなすべきことではありません。それから全く理論的にも実際的にも、そういうことこそ排除せらるべきでありますが、こういう問題に対してあまり強く手きびしくものをやってしまうということも、歴史のあることでありますし、しかし同時に中小企業のこれは相当手きびしい批判にもなっておることも事実知っておりますから、これをただ慣習でございますからなどといって拱手傍観すべきことではございませんので、いよいよ検査権の発動をしようということであります。私がこういうふうにあなたの御質問に対して答えるというだけでも、少なくともきょう貸し付けるものには歩積みは要求しておらぬ、こういうことでありますので、やはり相当過敏な、敏感な業態でありますので、私はあえて金融機関に対して、大蔵省は一方的にものをやるというようなことを極力排しながらも、実効は上げなければいかぬ、正すべきは正さなければいかぬ、こういう考え方だけは強く持っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 まさしく大臣が言われる通り、金融機関は相当敏感にこうした質疑応答に対しては耳を傾けておると思う。私が事業をやると、これにはさっそく金を貸さないといったような、そういったひどい仕打が起こってくるかもしれません。しかしこれは全く質の悪いやり方でありますから、一つ勇断をもって取り組んでいただきたい。そうしなければ中小企業者はその歩積み、両建のために、非常に高い金利になって参ります。これは最近新聞等におきまして、取り組み方というものは大体わかっておりますし、今大臣の答弁におきまして、考え方ははっきりいたしました。一つ大臣がたゆまざる勇断をもって取り組むといったようなことを強く要望いたしまして、この点を打ち切りますが、ただ一つここで申し上げなければなりませんが、歩積み、両建といったようなことになってくると、その典型的なものが相互銀行であるとか信用組合であるとか信用金庫であるということがよく言われる。これは銀行の信用にかかわることでありますから、私は断定的には申し上げませんが、ともかくここでまた大臣が考えなければならないことは、相互銀行は日銀の信用取引が行なわれていない、今一行だけである。もちろんこれは日銀の信用取引、いわゆる日銀貸付ということになって参りますと、相当慎重を要することではありましょう。しかしやはりこの相互銀行、信用金庫等は中小企業の専門の金融機関であるというこの事実の上に立って参りますと、日銀の信用取引がないということになって参りますれば、これを当然預金に依存する以外にはない。そうすると、多数の大衆を相手にして預金をしなければならない。貸付の場合におきましても小口の貸付ということになって参りますと、手数がかかって参ります。それだけの人件費がかかって参ります。従いまして、どうしてもペイしなければなりませんから、貸付金利は高くならざるを得ぬ、あるいはそこへ歩積みであるといったようなものも、貸付をこなしていくためには起こってくる、必要を感ずるといったような傾向に進まざるを得ぬのじゃないか。やはりこういう面から、政府としてもきびしく取り締まる点はやる、同時にこの金融機関を強化していくというとともお考えにならなければならないんじゃないか、そのためには、日銀との信用取引ということもこの際積極的に進めていく必要があるのではないか、このように考えますが、その点に対する大臣の考え方はいかがでしょう。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 あなたと同じことを考えておるわけであります。私は、就任後、正すべきものは正す、しかし道を閉ざしておって正したのではどうにもならなくなりますから、いわゆる金融機関の整備を育成強化をあわせて行なわなければならぬことは当然であります。その意味で日銀の信用取引、いわゆる窓口開設ということはやっております。これは全部が全部やっておるわけではないのです。いわゆるレベル・アップされたものだけは、一行と言いますが、これは私の考え方で、日銀でも積極的にこれをやるという方針をきめておりますし、また相互銀行も信用取引を行なうように、態勢整備をするようになっております。これに対しては、一つ一つでできませんで、総合的にやらなければいけませんので、準備率の引き上げとか、それから中小企業向けの、いわゆる信用金庫や相互銀行等の手持ちの国債、公社債というものの率を引き上げたり、これは私たちが引き上げるというよりも、お話をしまして、向こうが三%手持ちのものを七%に引き上げて、やがて一〇%にもしましょう、また同時に、日銀はこれに対して買いオペの対象にする、こういうようにして、お互いに回り持ちでだんだんだんだんとレベル・アップをしていこうということで、今は半年前と比べては急速に、というよりも、加速度的にそういうような環境の整備が行なわれつつあります。御承知の県信連等に対しても、日銀が信用取引の窓口を開くという方針をきめ、開きつつありますので、こういう意味では、中小企業の金融機関であるこれらの皆さんが努力をしておることは十分認めると同時に、やはり政府にも、また中央銀行としての日銀にも協力をすると同時に、日銀、政府もまたこれらの機関に対して合理的な金利、経営ができるような状態に格段の配意をすると同時に、協力をするということは、けだし当然のことでありまして、締めるだけ締めておって、あとは合理化は君ら勝手にやれというような政策はとっておりません。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 金融機関の問題はこの程度にとどめまして、金融の問題に対しましてお尋ねをいたしますが、中小企業の日本経済の中に果たす役割が非常に高いということは、大臣御承知の通りであります。何としても経済の二重構造を直すということ、そして日本経済の発展をはかっていくということは、中小企業の育成強化をはかっていく、大企業との格差をなくしていくということが絶対の必要条件である、このように実は考えるわけであります。そうなって参りますと、いろいろ格差を直すための施策がありましょうが、中小企業の設備が非常におくれておる。この設備の近代化をはかっていくということは、これは当然でなければならないわけであります。ところがこの至上命令に対しまして、実際に中小企業の設備投資が大企業との格差を直す方向に進められておるかといいますと、そうではない。必ずしもというのじゃなく、そうではありません。もし端的に申し上げますれば、逆の結果を現わしておるということであります。この点に対しては、大臣の考え方を一つ聞かしていただきたいと思いますが、その前に、事務当局に、昭和三十三年以降今日までの大企業と中小企業の設備投資の、製造業だけでけっこうでありますが、この比率、その点を一つお聞かせ願いたいと思います。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 お答えいたします。ただいまのお尋ね、全金融機関の貸し出しのうちで、中小企業向けの貸し出しの比率がどういう推移をたどっておるかということかと存じますが……。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 設備資金だけでございます。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 設備資金だけにつきましては、三十三年が一〇・六%でございます。三十四年が一一%、三十五年が一二・七%、三十六年が一四・五%、三十七年が一五・八%、これはいずれも三月末の計数でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 今のは、私がお尋ねしたのと少し違うのではないですか。私がお尋ねしたいのは、三十三年以降、大企業と中小企業の設備の比率をお尋ねしたわけです。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 ただいま申し上げましたのは、全金融機関の設備貸し出しのうち、中小企業向けの貸し出しでございますから、残りが大企業ということになるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 いろいろ統計のとり方もあるわけでありますが、私が調査したところによりますと、昭和三十三年の三月——例年三月でありますが、大企業と中小企業との設備投資−ABになりますが、この比率から申しますと、中小企業の比率は、昭和三十四年が三二・二%、三十五年が三二・三%、三十六年が三一・五%、三十七年が二九・一%、こういった比率になっておるわけであります。この比率は、政府関係の金融機関から出ております統計でありますので、間違いはないと思っております。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 わかりました。ただいま御指摘の計数は、大企業と中小企業のおのおのの設備投資の総額の比率の数字であります。私、先ほど申し上げましたのは、金融機関の貸し出しでありますので、先生のおっしゃる通りでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 その他いろいろ資料があるわけでありますが、ただいま事務当局のお認めになりました通り、中小企業の設備投資は、金融機関の貸し出しの面におきまして、例年大企業との比較におきましては、ずっと下がってきておる。この現象に対しましては、大臣は好ましいことだとお考えになっておられるかどうか、まずその点を伺ってみたいと思う。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 中小企業と大企業との間の設備投資の比率を見ますと、確かに中小企業がおくれております。おくれておりますから、一部においては設備投資の過熱があったと言われておりますし、同時に業種間の格差が開いておる。でありますから、国内均衡をはからなければならない、こういうことを言っておるわけでございます。なぜ一体こんなに開きがあるかということは、大企業というものが資本の増加をすることが中小企業に比べて非常に容易であるということ、いわゆる借り入れを行なうということに対しても、非常に担保もあり、企業もくろみもはっきりしており、償還計画も確実であるということが中小企業に比べては相当違うわけであります。中小企業は、御承知の通り自己資金の比率というものが非常に多いのであります。案外、それに対しては不動産金融というような戦前に行なわれたようなものが非常に少ないということで、確かに画期的な設備の改善、合理化を行なうというときになりますと、資金的にうまくいかないというような問題があったわけであります。特に、大企業というものは、まず親企業が設備拡充をやって、今度はよくなるときに君たちもということで、西ドイツの中小企業のように、親企業と全く一体でありまして、中小企業、部品加工工業というものが同じ設備で大きくならなければ、その会社自体の設備改善にはならないものと違いまして、親企業と下請企業との間に何の関連もないわけです。事業を行なうときに、ABCDというような同じ下請があるのだが、どれを君にやらせようか、こういうような非常に縁切れになっておるところに、大企業と小規模企業との間に設備投資に大きくアンバランスが出ておることは考えられるわけです。同時にもう一つは、金額だけでは言えないのですが、ちょうど中小企業の方が設備改善をやろうといっておるようなときに、今度は逆に引き締め政策がとられておるというような、時期的な非常に悪い面に逢着しておるということもございます。それから統計数字だけでは的確なことができませんのは、中小企業というものは各種なものがありまして、いわゆる生産工業だけではなく、いろいろの商業もありサービス業もあり何もあり、でありますから、これらに対する貸し出しというものと設備との比率を見ましても、必ずしも的確な数字というものは捕捉できない、こういうところがございます。それからもう一つは、これは中小企業の設備の問題に対する根本的問題でございますが、企業診断それから企業の将来性というものに対して非常にはっきりしためどがつかないために、個人企業の経営者の言うことに対して金融機関がまた別な角度から判断をする、こういうことで、大企業の設備投資が非常に進んでおる、そのテンポに比べて、中小企業の形態がむずかしいという面もありますが、確かに設備の改善、近代化というものはおくれておるということを考えております。しいてもう一言だけ申し上げれば、私たちは、今度国会に提出をしております投資育成会社の将来を考えますと、非常に効果を上げた近代化資金の設備貸し出しの制度がございますが、こういうものとあわせてこれを行なっていって、将来大きな金額になるということになれば、中小企業の合理的な設備改善ということも一歩も二歩も進められるだろう、こういうふうにも考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 大臣が、中小企業は自己資金が多い、こういうことであります。この資本構成の問題に対しましては実は議論があります。しかし大臣もあとの答弁では、設備が非常におくれている、こういうことはお認めになりました。そこであまり時間もありませんし、この点には深く入りません。ともかく日本経済をほんとうに安定をし発展させるということは、この二重構造を直すことが絶対的な問題点になるわけです。そのためには中小企業の設備の近代化をはかっていくということは絶対の要件である。そうなって参りますと、どうしても中小企業に対する融資という面を十分考えていかなければならぬ、こういうことになります。ところが大臣は、自己資金があるという面で、大企業との資本構成の面におきまして、中小企業が一面有利であるといったふうに受け取られるような御答弁もありましたが——逆であればそれでよろしいわけです。ところがそこで、大臣も十分おわかりになっていらっしゃると思いますが、中小企業に対してはこの設備投資が伸びていないということは、やはり系列融資であるとか選別融資であるとか、そういったもろもろの弊害というものが実はあるわけであります。この点に対しましても、先ほどの歩積み両建の調査というものとあわせて、これを直すという取り組みをなさる必要があるかと思います。さらに全国銀行におきましても、あるいは都市銀行、地方銀行の貸出比率を見ましても、全国銀行はてんで問題になりませんが、地方銀行におきましても五〇%内外であるといったような中小企業に対する貸し出しの比率、これは十分大臣としましては、このゆがみを直していくということが必要である、こう考えます。ところが実際には、営利事業でありますところ民間の金融機関におきましては、大臣の考え方というものがそう短距離で実現をするということには、いろいろな努力も必要になってくると思います。そうなって参りますと、政府関係の三金融機関に対しまして積極的に投資をやり融資をやる、そして中小企業の設備の近代化をはかっていくことが必要であるわけでありますが、この点に対する大臣のお考え方を聞かしていただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 理屈から言いますと、中小企業に対しましても、当然市中金融機関や地方銀行その他の金融機関が中小企業向け融資を行ない、政府関係機関は補完的な意義を持って運営せられるということでありますが、それではもうだめだ、こういうことを言っておられるわけです。私も、こういうことをいつまでもやっておってはどうにもならないということを考えておりますので現在の金融機関の中で、実際あなたが今言われた通り、県別に見ますと非常によくわかるのです。新潟県なら新潟県の地方銀行、二つございますが、ここでもって預金を終えたものは、大企業の預金などありません。全部新潟県の預金でありながら、それで新潟県の中小企業に貸せられるものはその何十%しかないということです。これはどこでも地方銀行はそういうことでございます。でありますから、一体どうすれば中小企業にほんとうに八〇%、九〇%貸し得るようになるのかということで、先ほど申し上げましたように日銀の信用取引の口座を開くとか、それから政府も買いオペの対象にするとか、また資金的なめんどうも見てあげるとかいうことで、できるだけ中小企業向けの金融機関は中小企業に積極的に貸してやってもらいたい。また資金量は確保できても金利が高いじゃないかということは、一体金利をどういうふうにして少なくするか、そういう零細な金を集めて零細な人たちに貸すという金融機関の資金が、大銀行のように思い切ったコスト・ダウンができない場合には、抱き合わせる政府関係機関の金利を安くしなければいかぬという問題も総合的に考えなければならない問題でございまして、政府機関が、中小企業基本法に基づく中小企業の育成強化という面に対しては、相当今までよりもより一歩も二歩も進めた政府関係機関にウエートが置かれるような考え方で進めていかないと、なかなかこの問題は、口で言うととは、また答弁することは簡単であっても、現実的に解決をしていくということにはならないと思いますので、私もその間の事情、数字上また実際上の問題に対して取り組んでおるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 大臣は今度政策減税ということに対しましては、名称が好ましいかどうかは別として、その減税は日本経済の発展のためには当然であるということで、その必要なゆえんを強調された。私はこの金融の面におきましてこそ、政策金融ということを強く推し進めていく必要がある。地方銀行におきましても都市銀行におきましても、中小企業に金がどれだけ融資されるかということを制度化していく必要があるのだ、このことを一つ強く大臣に申し上げたいのであります。  今度いわゆる中小企業基本法を御提案になりました。いろいろ議論の結果どういうことになりますか、これが成立したといたしますと、これは大臣がいろいろ中小企業育成という形におきましての考え方があったといたしましても、この法律がそのまま運営されてくるということになって参りますと、中企業の育成という方向へ進むことは当然であります。しかもこれは今度—従来の中小企業の定義は、従業員は三百名以下、資本金は一千万円以下である、こういうことであったのが、御承知の通り五千万円まで引き上げられた。しかもこれには並びとか及びとかいうようなしぼりがついておりません。三百名の従業員であれば一億円の資本でも中小企業の範疇に入るという解釈が実は出てくるわけです。こういうことになって参りますと、その一千万円から五千万円まで引き上げられたために、この間にどれほどの中小企業が入ってくるかと申しますと、わずかに三千数百件にすぎない。ところがこの三千数百件のいわゆる中小企業が資金融資の面においては相当なウエートを占めておるということを考えてみますと、先ほど御答弁がございましたように、この中小企業に対するところの融資の比率は、もっとぐっと下がってくるということが考えられるわけであります。従いまして、大多数のいわゆる中小企業、小規模企業というものに対するところの融資という面におきましては、よほど政策的な取り組みをしなければ大臣の考えておるような方向へは進まない、いわゆる中小企業の育成をはかっていくということは、これは不可能である、私はこのように考えますが、いわゆる政策金融、そういったような面におきましての大臣の考え方を一つ聞かしていただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 確かに御説の通り、小規模、零細な企業者に対しては、これはただ金融というものはペイしない金融はできないのだというような画一的な考えでは救済できるものではありませんから、零細企業や小規模な企業をできるだけ中企業にだんだんとレベル・アップしていくということも考えなければならないわけでありまして、小規模企業に対してはやはり政策的な考え方、前にも申し上げた通り、いわゆる零細企業、小規模の企業に対しては、過去には不動産金融ということが原則的に行なわれたわけでありますが、今度はなかなか不動産金融をやりません。でありますから、ある意味において、無担保信用ということの限度はございますが、そういうことを考えていかなければならないだろう。そういうことを考えるということは、それはすでに金融ベースの問題にウエートを置かないで、政策的な問題にウエートを置いて考えていくということでありますので、その面の政府関係機関の機構の拡充、資金量の拡充等に対しては相当な積極的な施策を必要とすると思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 もっとその点は突っ込んでお尋ねしたいのですが、時間がございません。委員長からの注意もございましたが、ここでぜひお尋ねしておかなければならぬことは、政府金融機関の資金の拡充ということに対しましては、大臣も、現在の時点におきましてはこれは当然であるということをお認めになりました。ところが今度商工中金に政府出資が、昨年はありましたが、本年はこれを削られている。いろいろと承るところによりますと、商工中金は自己資金があるからだ、こういうことでございますが、積極的にこの三機関の資金の強化をはかっていかなければならないという際に、三十七年度は七十億円でありましたが、本年度はこれをただ財投の五十億円だけにとどめ、二十億削られました。どうして本年は二十億円削られたのか、そのことに対する考え方を一つ聞かしていただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 ただいま申された通り、商工中金は組合金融の制度でございますし、自己資金もありますし、回収資金もありということでございますが、資金はもし足りたとしても金利は依然として高いじゃないかという問題があるわけでございます。でありますから、金利を下げるという場合でも政府出資を行なうべきだった、行なう以外に金利は下げられないじゃないかという意見がございますが、この問題に対して、三十八年度の当初予算において、財投のワクの問題等もあり、他に重点的な問題もありましたし、商工中金に対しては現在御審議を願っておるような状態になりましたが、将来これらの問題に対しても相当積極的に検討を必要とする問題だろうというふうに現在の段階ではお答えをいたしたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 この点はお尋ねじゃなく意見として申し上げておきますが、三十七年度は七十億であった、三十八年度は五十億、こういうことになっております。自己資金があるからだ、あるいは回収金があるからだ、こういうことであったといたしますと、これは私は実情を無視するもはなはだしいと思うわけです。大蔵省並びに通産省、この関係の事務当局の皆さん方に十分一つ反省をしていただかなければならないことは、先ほど来強調されましたこの歩積み、両建というようなことが、出資あるいは商工債の引き受けといったような形で、実質的には変わらないような形が行なわれておるということであります。商工中金から金を借りようとすれば、組合員にならなければならぬ。これは当然でありましょうが、それには相当類の出資をしなければならぬ。借り入れをすると、商工債を引き受けなさい、こういって商工債を引き受けざるを得ない。零細な組合員が集まって商工協同組合をつくっている。ところが借りるときにはこういうことで両建、歩積みと変わらないような実は取り扱いをされておるというようなことが現実であります。そういう形で資金が回収されてくる。そういう回収金があるから、自己資金があるから政府出資は今度は見合わせてもいいのだ、こういう考え方で三十七年度よりも二十億円マイナスされた金額が計上されたということに対しましては、これは十分一つ反省をされて、ただいま大臣が答弁されたような積極的な取り組みをやる、そして中小企業の金融の緩和をはかっていく、こういうことをおとりになる必要があるということを申し上げておきたいと思います。  最後にお尋ねをしたいことは、大臣は、本会議における中村三之丞議員の質問に対しまして、小規模企業に対しては無担保、無保証、こういったようなことでいかなければならぬという必要性を強調されました。時間の関係がございますので、私は実情を一つ申し上げて大臣の御答弁を伺いたいと思いますが、小規模保険制度、こういうのができておることは御承知の通りであります。ところがこの小規模事業保険というものが設けられましたのは、大臣御答弁の通り、無担保、無保証というようなことを強く推し進めていかなければならないということ、それと零細の企業者というものは非常に急いで金が要るわけでございます。これが調査に二十日を要し、一カ月を要するということではどうにもなりません。今直ちに金が要る、こういったような人たちであります。その人たちの要請にこたえるために迅速に貸付をしてやらなければならない、こういうことになります。現実にはそう行なわれておるか、現実にはなかなかそうは行なわれておりません。先月、中小企業金融公庫から出されておるパンフレットを私は読んだのでありますが、その中に、ある理事がこう言っている。地方を回った、この小規模保険制度に対しての保証申し込みが非常に多い、ところがこれが審査にあたっては町の有力者が審査員になっている、そこで借り入れ申込者の資産の状況も知っている、人柄も知っている、従ってこれが貸付にあたっては貸し倒れもなければ、代位弁済も比較的少ないのだ、しかもこの小規模保険制度を利用するという場合は税の滞納がないということが条件であって、そのために納税にも一役買っているのだ、こういうことであります。政府の貴重な金であります、私は貸し倒れをどんどんやってもよろしい、こういうことは申しません。しかし少なくともこの制度が設けられたということは、銀行に行っても金を貸してくれない、高利貸のところに行ってはなおさら金利が高くなりどうにもならない、こういった、からだ一つで、資金がなくて困っておる勤労の事業者に対して、いわゆる生業者に対して、生活ができるように、生業から企業へと発展をしていくように、このような制度が設けられたと私は思う。それが、有力者が審査員になっておるから、人柄も知っているし資産の状況も知っているのだ、だからして、この制度を設けても貸し倒れも代位弁済もないのだというこの思想は、私はこの制度のほんとうの意義ということをわきまえておられないのではないかと思う。しかもこれに関係する人の談話であるに至っては、これはもう言葉を知らないといったような感じでございますが、大臣はこれらの点に対してどのようにお考えになられるか、一つ見解を伺っておきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 組合員の金であると政府出資であるとを問わず、貸し付けられた金額が的確に回収をされなければならないということはもちろんでございますが、しかしそれにあまりにも重点を置いて、必要な庶民金融ともいうべき、時間的にも非常に急ぎ、また額もそう多額でないものに対して、もう場合によれば借りる金よりも経費の方がよけいかかったというような、過去にそういう例がございましたが、そういうことを調整する意味で、迅速に貸し得るということでいろいろな制度がつくられておるのでありますから、これは無制限なものではないのですが、ある一定金額までというものは、だれが見ても納得でき得るような状態であるならば、無担保という、いわゆる信用貸しということで、限度以内の金額であれば用立てるということが基本になっていかなければならない問題だろう。私はこの問題に対して市町村が、緊急なものに対しては、その返済能力ありとか、いろいろなことを証明することで足りるではないかとか、今度の豪雪に対して、これは一々金融機関でなかなかわかるものではありませんから、ある意味において、市町村とか農協の証明があった場合には貸し得るような処置を、ある一定限度を設けてやったらどうかというようなことも指示してやったわけでございますから、そういうことは常識的な線で運営をせられていくべきものであるし、また、そういうことの必要なために生まれた機関であり制度であるということは、誤ってはならないと考えます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 大阪市でやっている制度として、二十万円までは無担保、無保証で市が窓口になって貸している。そうした親切な態度でもって臨まれるという関係もあるかもしれませんが、ともかく非常に感激をして、必死になって働く、そして期日を守ってこれを支払う、こういうことで非常にいい成績を上げておるということであります。京都におきましても、これと似たようなことが行なわれている。大臣は第一線の関係の人たちを指導をして、こういった面を十分取り入れて実情に即するようにやっていただかなければならぬ、こう思います。中小企業基本調査資料によりますれば、工業であって、二十人以下の従業員を持っている企業で、全然金を借りていない企業が五〇%あるという事実があります。これは間違いないでしょう。しかもそれは、単に金融機関だけではないのであります。町の金融業者も入っております。いわゆる信用先も入っております。友人、知人もこの中に含まれております。だとすると、そういった零細な企業の五〇%は、いわゆる事業保険の制度の恩恵にも浴してない、金を借りたいけれども貸してくれる人はない、こういった気の毒な人たちがたくさんうごめいておるというこの事実を大臣は十分認識されて、何としても大蔵大臣でありますから、この点に対しては、あなたの考え方というものは施策の面に大きく反映をして参ります。一つ十分部下を督励されて、こうした零細企業者の育成をはかっていく、強化していく、こういう点に御留意願いたいことを強く要望いたしまして、最後に大臣の考え方を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 政府も、中小企業の育成強化をはかりますために、中小企業基本法の制定をはかっておるわけでございます。また、中小企業の問題で一番大きな問題は金融でございます。これが合理的な金融体制の確立、中小企業の負担軽減というような問題に対しては、御説も十分体しながら遺憾なきを期して参りたいと存じます。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 大蔵大臣も朝からの答弁でだいぶお疲れのようですが、一つあと一時間ばかりがんばっていただきたいと思います。  まず、ことしの財政政策全般の特徴といいますか、そういうものもいろいろありますけれども、私は一つの側面を非常に重大視するわけでございます。それは、財政投融資が非常に規模が大きくなった。しかも、これは国会の議決の範囲ではない。政府が、いわば勝手に運用できる面であります。それが非常に大幅に増額をされてきた。これは、財政資金を政府が自由に融資、出資等をなし得るものであります。従って、そういう面での国家財政全体における政府が独自にやり得る分野というものは、非常に大きいということが一つその面であるわけでございます。   〔櫻内主査退席、正示主査代理着席〕  それからもう一つの点は、この前大蔵委員会におきまして大臣に質問しました郵貯法の改正の問題、これも郵貯法第十二条あるいは十三条の郵便貯金の利子、これは法定事項ですが、政令事項にゆだねようという改正案を準備しておられる、こういうことがいわれておるわけであります。しかもそれは今国会に何とかして出したいのだということで、郵政省と折衝してその方向に持っていくという相当な決意を述べられておるわけであります。さらに大蔵委員会関係だけでも、産投会計の改正法がやはり出ております。これは一般会計からの繰り入れという問題について、これがやはり予算で定められたほかに、大蔵委員会において法律の改正として今まで審議をされて、予算の段階での審議、さらに大蔵委員会における特別会計法の精神に従っての審議という二重の段階を経たわけでありますが、これを、昨年のガリオア、エロア返済をめぐる問題点にこりたかどうか知りませんけれども、とにかく国会の審議からはずしてしまう。予算できめさえすればそれで産投特別会計法の改正を待つことなしに、一般会計からの繰り入れが実施できる、こういうようにしようとなさっておられる。これは現に法案として出されておるわけです。さらにまた、経済民主主義の非常に強い要請の中で生まれた独禁法を、国際競争力強化に関する臨時措置法ですか、こういうようなもので、これも骨抜きにされる可能性というものが非常に大きく出てきたわけであります。こういうような一連の問題をたどってみますと、ことしの政府の政策というものは非常に国会審議権を軽視し、または国会の審議というものに対する不信を表明しながら、行政権の大幅な拡大ということを非常にねらっている、こういうことを感ずるわけであります。これは私どもが田中大蔵大臣に期待しておったものとは、全く逆な方向であると考えざるを得ないわけであります。この点につきまして、今私が申し上げたような観点において、大蔵大臣は一体どう考えられておるのか。このことは私が今指摘したように、国会の審議権の軽視であり、行政権の大幅な拡大ということにつながり、国会の審議権に対する重大な制約をもたらすものだ、こういうように思うわけでありますが、その点についての大蔵大臣の基本的な考えを聞かせていただきたいと思うのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 財政金融の全般につきましては、憲法及び財政法の命ずる通り、国会の審議に待つという基本態度に対しては全然変わっておりません。  それから国会軽視などということも、私も党人でありますから国会は大いに尊重するという考えでございまして、これら基本的な問題に対しては全く誤解でございますから、そのようなお考えをおとりにならないようにお願いいたしたいと存じます。  それから、財政投融資というような国会の議決案件でないものが膨大にふえておるということ、また産投会計法の改正で、毎年予算の議決さえあれば産投外債が発行できるというようなものに対して議決案件にもしないではないか、また、議決案件でないものばかりをふやしておるじゃないかというようなことでございますが、これは私も毎度申し上げておりますように、財政法の命ずる通り一般会計、特別会計と違って、一般会計と一般民間金融との中間的な、いわゆる補完的なものでございまして、特に時代の要請によって設けられた制度であり、これがテンポの非常に速い経済情勢に対処して弾力的に運用せられなければならぬことは、これはもう申すまでもないことでございます。しかし財政投融資計画は、一般会計、特別会計予算の国会提出とあわせて、国会に参考書として添付をして提出をし、こうして御審議を願っておるのでございまして、議決案件でないというだけでしかございません。しかも内容においては、これが原資に対しては郵便貯金法におき、簡易生命保険法におき、あらゆる法律によって審議を受け、また、法律政令の定むるところによって国会の意思は十分反映をいたしておりますし、なおこれが使用区分に対しても、明らかに制約を受けておるわけでございます。また同時に、これが原資の問題については、予算書で特別会計、一般会計を通じて御審議、御決議をわずらわしておりますし、なお特別会計や公団その他政府関係機関に出資をせられる場合においては、それら関係法律案及びそれらの機関関係予算によって国会の議決、審議を求めておるのでございまして、財政投融資を拡大をしたということは、国会軽視というようなことでは全然ないということを御理解賜わりたいと存じます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 国会軽視ではない、そういう言葉ではありまするが、私はやはり、規模が一兆円をこえるというような財政投融資というようなことになって、一般予算に対しまして三八%、約四〇%近くの比重を持ってくるというようなことになりますと、これは国民経済にとって非常に重大な問題点だと思うのです。これはやはり参考として出す程度であってはならないと思います。将来この財政投融資計画というものを国会の議決事項にするというようなお考えは、今全然ございませんか、これが一つ。  それから産投会計法の場合。去年ガリオア、エロアの問題がありました。これは特別会計を設置した当時から厳然としてこの特別会計の第一条に書かれている問題と異質なものを、政府は強引に押し通したわけでありますが、こういうようなことをやっておるのを見ると、法律を改正せぬでも一般会計からどんどん繰り入れをする、こういう例を私ども見ておるだけに、あなたが今そういうような答弁をなさっても、そうは信用できない面もあるわけであります。はずさなければならない積極的な理由というものがあったのか、こういう点についてお答えをいただきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 一般会計、特別会計予算は憲法、財政法の命ずるところによって国会の議決案件であることは、これはもう当然でございます。財政投融資というのは、先ほどから申し上げております通り、一般会計と民間の金融との中間的なものでございまして、政府が国会の議決に基づいて渡し切りにするものではありません。しかし政策的な要請によりまして、国が原資を求めて特別会計、政府関係機関及び国会で法律制定せられるような重要な産業その他社会資本に対しての補完的な任務を持っておりまして、先ほども申し上げた通り、非常に弾力的に運用を要する問題でございます。また、これは一方的にやるのではなく、返ってくる金でございまして、絶えず運用をしておるものでございます。でありますから、日銀法のように法律に基づいて日銀の総裁が発行できる限度額は幾らである、日銀はその法律に基づいてかかる目的達成のために、運用すべきであるというような問題と同じことでありまして、一々年度別に財政投融資計画を国会の議決案件としなければならないという考えには立っておらないわけでございまして、私はいつも申し上げておる通り、財政投融資計画は国会の議決案件とする意思はない、こういうことを申し上げておるのでございます。  それから産投会計の問題につきましては、いろいろ変わってきた、ガリオア、エロアの問題でもってもうすっかり変わったじゃないか、こういうことでございますが、私は産投会計法のようなものは、その時代の要請によって変わり得るのだし、また国会の議決を求めて、国会の意思が決定するならば変えていっていいものだというふうに考えております。これは初めの出がどういうことかというと、対日援助見返り資金というものがございましたので、これを日本経済の発展のためにどう運用するかという問題が真摯な態度で検討せられたときに、産投会計法といういわゆる特別会計に移して、見返り資金継承資産を全部計上して、これが利潤によって日本産業のために稗益するという考え方でもって産投会計法がつくられたわけでございます。でありますから、今度は石炭問題、海運問題、いろいろな問題を検討してみましても、自由化に対応して、産業政策その他に対していわゆる産投会計が持つ政策的な重要度というものは、産投会計法がつくられた当時よりもより広範な立場、高い立場で検討され、国会の意思決定があれば、そのように新しい事業部門、運営部門を加えて運営せられて一こう差しつかえないものだというふうに考えております。ただガリオア、エロアの返済をこの会計に担当せしめたということとあわせて考えますと、どこへこの会計を持っていくのかわからぬというような御推論があるようでございますが、これはもう当時から何回も申し上げておりますように、産投会計からしいて出さなくても済んだ問題でございますが、二重払い論などがございましたので、見返り資金の継承資産は産投会計でございます、産投会計はこうして運用せられておるのでございます、でありますから、こういうふうにして対米債務をこの会計の負担として払ってもなお原資というものはそのままそっくり残るのですというような政治上の必要性、そうすることがより国民の理解を深めることである、また、産投会計法の制度上から見ても、この会計の負担として対米債務を支払うことは、理論的にも一こう差しつかえないという観点に立って産投会計法の改正をお願いし、対米債務の支払いは同会計の負担とするということにいたしただけでございまして、これと今度の産投会計法の改正というものが同一であるというふうな観点で御推断にならないように一つお願いをいたしたいと存じます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 いずれにいたしましても、この産投会計法の改正を今度やって、繰り入れについて一々法律改正をやる必要のないようにする、こういうようなところについては、われわれとしてはどうしても了解できないわけでありまして、これはまたいずれその場所でやりたいと思います。また、郵貯の問題についてもそうであります。私どもはこれについては断じて承服できないということだけ申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。  三十八年度の税制の問題について質問をいたしたいと思いますが、その前に、この三十八年度の自然増収の見積もり、これが三千百七十二億ということになっておりますが、そのうち減税に回した分五百四十億ということで、二千六百三十二億ですか、こういうことになっておるわけですが、国税の自然増収はいつでも、財政の見通しの中でも一番狂っているものではないかと思うのです。三十一年から例をあげましても、当初の自然増収見込みに対して決算増収は七百三十五億、以下年次を追っていきますが、六百六億、五十九億、三百四十九億、九百三十七億、千九百六十六億、こういう工合にいつも自然増収というものが、決算をしてみると大きく——政府が当初見込んだよりは、今申し上げたような数字でみんな増額になっているわけです。これは田中大蔵大臣、今度の昭和三十八年度の自然増収の見通し、これについて大体見通し通りにいくだろうという一体確信を持っておりますか。今までの例に徴するように、ふえるという見通しを持っておりますか、どちらですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 三十八年度の税収見通しにつきましては、私は現在三十八年度提出予算の中で明示をいたしておりますように、大体実質六・一%の経済成長を見込んでおりますし、税収については、三十七年度対比一五%程度の増収を見ておりますので、適正な見積もりでありまして、過小見積もりでもなく、また、全然使い切ってしまったというような見積もりでもないというふうに考えております。では、三十五年、三十六年のように大幅増収があるかということを考えますと、全然そのような状態ではございません。それでは一体どうしてこんなに見積もりが違ったかというと、政府が当初予算を組みますときに、十二月の初めに当該年度の経済実績及び明年度の経済成長率を推算をしまして、それを基礎にしての税収見積もりを立てておるわけでございますが、何分にも昭和三十五年、三十六年度は、九%ぐらいに見ておりましたものが実質一四%になり、一〇%に見たものが実質一五%になるというふうに、大幅に経済成長が行なわれたということで、税の自然増収というものが当初からの過小見積もりで、莫大もない自然増収が生じたのではないわけでございます。三十七年度におきましても千三百六十億の第一次、第二次補正財源に使っておりますので、もう使い切ってしまって歳入欠陥が生ずるのではないかというようなお考えも一部にありましたようですが、九月決算等十二月の徴税実績その他一月、二月の徴税の実績を見ておりますと、とにかく歳入欠陥を生ずるような状態ではないという考えでおりますが、三十五年、六年に比べて五百億も千億も税収の伸びがあるかというと、そのようなことは期待できない。あってもまず百億、百四、五十億程度のものではないかと現在の段階では考えられるわけでございます。三十八年度もそのような意味において、そう大きな自然増収は期待できませんが、実質六・一%以上の経済成長ははかれる、また、はからなければならないという考えに立っておるわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 これは見通しの問題でありますから、過大である、過小であるとこう言ってみても、結果を見てみないと勝負のつかない問題でありますから、これ以上は申し上げませんが、かりに、それでは見通し通りに昭和三十八年度は大体経済の成長の伸びの方も実質六・一%ということでいって、自然増収もちょうど二千六百億程度だということに落ちついたといたしましても、それならば一体物価はどのくらい上がるだろうか、これは見通しとしては二・八%だ。しかしながらいろいろな情勢を勘案してみますと、昨年も二・八%であったけれども、これが六%あるいはそれ以上、最近五・六%とかいわれておりますが、いずれにしても見通しの倍以上のパーセンテージをもって上がっているというようなこともあるわけでありまして、この点についての確信はいかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 三十六年、七年、八年、こう三年を見ますと、三十六年度の設備投資は御承知の通り四兆円ということでございますし、三十七年度は三兆六千億、三十八年度は三兆五千億、こう見ておりますが、三兆五千億を割るのじゃないかというような御意見もございます。   〔正示主査代理退席、主査着席〕  これは経済が伸びておりますから、普通の正常な状態でもって計算をしますと、三兆五千億のものが一割五分伸びて四兆円になり、四兆円のものが一割五分伸びると四兆六千億になりというふうにいくものが、逆に今度三十六年度が四兆円であり、三兆六千億になり三兆五千億になっておるのでありますから、相当設備投資意欲等も下がっておるわけであります。数字の上だけでは大して下がっておらないようでありますが、国民経済のワクが伸びておるのでございますから、投資の金額との比率を考えると相当ダウンしております。こういう事情から考えましても、三十八年度の二・八%の物価増ということは、それ以内で押えられるだろう、また押えなければならぬ、こういうふうに考えて、予算執行に対しては十分な配慮を行なうつもりでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 まあ自然増収はやはり過去の例にあるように、これは政府の見通しを上回る可能性もある。三千七、八百億から四千億近く、まだいくのじゃないかということもあるわけであります。それはやはり租税函数の問題あるいは弾性値の問題、そういうようなものをとってみましても、それで推算をしても、大体そのくらいになるのじゃないかということがいわれておるわけであります。しかし、かりに政府の見通しだけだとしても、税制調査会で出した資料によりましても、大体政府の見通しを税制調査会自身信用していないようであります。少なくとも五・二%ですか、五・三%くらいはいずれ上がるだろう、こういう見通しを立てているということによって、消費者物価の値上がりというものは、そのくらいに結局落ちつくのじゃなかろうかという見通しを物価の問題でも持つわけであります。かりにそういうようにいたしますと、大体税制調査会が出しておりますように、自然増収のうち実質上の負担増加額は大体三〇%、これは厳密には二九・八%という資料をはじき出しているわけです。そうしますと、実質的に二千六百億からの問題になりますと、これに三〇%かけましても、概算で七百八十億というものが実質的な国民の負担増、こういうことになるわけであります。この実質的な負担増を解消するために、これはもちろん所得階層によって影響が違うということから、非常に控え目に三百九十三億の減税、課税最低限の引き上げ、三控除の一万円ずつという案を出されておったわけでありますが、それに対して配偶者控除あるいは扶養者控除あるいは専従者控除というようなものを五千円ずつにちびった。そうして二百七十七億という大へんみみっちい、田中大蔵大臣らしからない減税を今回やったわけであります。実質的な負担増、これはもちろん基礎的な数字の中で、物価の値上がりをどれに押えるかということによっても若干の狂いはありまするけれども、少なくとも三%ぐらいにとどまったとしても、おそらく四、五百億の実質的な負担増ということが考えられるのではないか。こういうように議論を進めて参りますと、いかにも二百七十七億というものは所得税減税としては少な過ぎた、実質的な負担増というものが依然として残る、こういうことでありますが、大蔵大臣の御所見はいかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 税制調査会の答申通り減税を行ないたかったのでございますが、毎度申し上げております通り、歳出増の要請もありますし、あわせて自由化対策その他において政策的な減税も加味しなければならないということで、基礎控除につきましての答申の線一万円以外は五千円ずつちびったから、どうも負担増になるじゃないかということでございますが、二・八%物価は上昇するということで、実質的な国民負担増を計算いたしますと、大体夫婦子三人、五人家族というようなところまでは十分負担増の面は今回の減税でカバーできるというような数字になっております。これが低所得者等の比率を見ますと、おおむね九五、六%以上占めるものでございますから、残余の三%、四%の方々はその他のもので減税もせられておりますし、私は、そういう意味で十分物価増はカバーできるというふうに考えます。それからもう一つ申し上げると、この方々の基礎控除の引き上げ、その他のことを考えますと、他の利子所得の減税及び株式配当に対する減税、それから中小所得者に対する同族会社の留保所得に対する減免税、そういうものを全部あわせて参りますと、私は答申の線と大幅に後退をしたものであるとは考えておらないわけでございます。  それから、これも過去においていつも申し上げておりますが、一兆一千億にも上る減税のうち、八千億近いものが中小所得者の減税でございますし、また税制調査会に対しましても、今年度限りでこれをやめるなどというのではなく、今年度、来年度、再来年度を通しまして、日本の税制のあり方、税負担のあり方というようなものに対しても抜本的な答申を求めるという態度に出ておるのでございまして、減税をやろう、また中小所得者に対する負担軽減をはかっていこうというのは、政府の基本的な考え方でございますので、私は過去も現在も、また将来も、国民負担の軽減というものはますますはかっていくものである、このように考えておるわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 大蔵大臣が中座している間、松井さんにお伺いします。今の問題ですが、自然増収に対して物価が五・三%ぐらい上がれば、三〇%程度は実質負担増になるのだ、それで全体的に見ると、以上の前提を置くと、少なくとも七百八十億ぐらいは当然実質負担増がかかってくるという勘定になるわけでありますが、その計算については認められますか。

松井直行大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○松井説明員 お答え申し上げます。非常にむずかしい計算、非常に御勉強なさっておりますので、少しくややこしくなるかと思いますが、自然増収のうちに占める、今おっしゃった消費者物価の値上がりによる、名目所得分に累進税がかかってくることによって実質的負担増になるであろうと思われる部分の占める歩合は、今おっしゃった通り、いろいろ計算いたしてみますと、大体三割前後になるものでございます。それは大数観察でございまして、では、はたして各所得階層別にはじいてみますと一体どういうことになるかということでございますが、その前に非常に重要なポイントについて誤解のないように申し上げておきたいと思います。来年度の消費者物価の値上がり二・八%、三十八年度一ぱいの値上がりでございますが、税制調査会はそれを五とか六とかというふうに見込んだわけではないのでございまして、自然増収というのは、御存じのように三十七年度の当初予算に対する三十八年度の当初予算の伸びということを比較いたしております関係上、三十七年度の当初予算ベースで考えたところで三十八年度を考える、こういたしますと、三十七年度中にわれわれが予期しない消費者物価の値上がりもございましたし、予期しない給与所得の伸びもございました。従って三十七年度の誤差と、さらに三十八年度の伸びというものを相乗いたしますときには、今おっしゃったように五とか六とかいう数字に相なるわけでございまして、そういう方法で計算いたしますと、一万円以外、控除を五千円にちびったということによりまして、実質的な負担の増を救済し得ない階層が、夫婦の段階と、それから夫婦子供三人の段階で現われて参ります。しかしながら三十七年度の実勢負担というものをあるがまま現実にこれを承認いたしまして、三十八年度だけの消費者物価の値上がり、一応これは経済企画庁ではじきました二・八をわれわれ使う以外に方法はないのでございますが、その方法でやりますと、今大臣がおっしゃいました通り、独身者、夫婦子供一人、二人、三人の場合でも、いずれも実質上の負担増加の分は調整し得る。おのおのの分類につきまして一体何万円以下のところで調整し得るかということをはじいてみまして、その納税人員を計算いたしますと、今大臣がお答えになりました通り、九六%という納税者の分については完全に救済し得る。それ以上の納税者になって参りますと、生計費の値上がりというものが、あながち可処分所得全体に影響を及ぼすというよりも、むしろ投資だとか蓄積に回る部分が多いということもございまして、こういう消費者物価の値上がりの負担増というものを上の階層まで及ぼして考えること自身には私は相当問題があろうと思いますが、課税最低限に近い人間、そういうところが非常に影響を受ける面が多いのでございまして、そういうところのものはすべて救済される、今申し上げました第二の前提に立つ限りにおきましては、全部救済し得るという計算に相なっております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 これは、単純な国際比較をいたしても、物価の事情やら生活様式の相違やらで問題はしかく簡単ではないと思いますけれども、所得税の所得階層別の負担率というものを諸外国と比べてみると、税制調査会の資料によって申し上げますと、五十万円以下で日本の負担率が二・三%、アメリカ、イギリス、西ドイツ、いずれもこれはゼロであります。百万円のところでも日本が一〇・八%、これはいずれも夫婦子供三人ということでありますが、イギリスが三・七%、西ドイツ三・四%というように、きわめて低率であります。課税最低限の比較におきましても、これはもう比較にならないわけであります。税制調査会の結論も、所得税は、日本の低所得の現状の中で非常に重い、重税であるということをいっておるわけであります。そういう中において、今松井さんも答えたように、必ず全部調整しきれたというようなものでもないわけであります。そうなると、三百九十三億を二百七十七億に百十七億ちびったということは、これは大衆、低所得階層に対して非常に思いやりのない減税であるということだけははっきり言えるわけであります。  そこで、この前予算委員会において堀委員の質問に答えて、百十七億と限定しなくとも、来年度は所得税減税をもっと大幅にやりたいというようなことを大蔵大臣は答弁なさったわけですが、その間の事情、大蔵大臣の考え方をこの際もう一ぺんはっきりさしていただきたいと思うのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 所得税減税ということに対しては、相当な熱意を持っておりますことは間々申し上げておることでございますので、この間堀委員が御質問になられました通り、少なくとも税制調査会の答申と政府案との差額に対しては三十九年度に減税をやるか、こういう御質問でございましたので、当然その方向で検討いたして、これが実施に努力をいたしたいということを申し上げたわけでございます。これは私が大蔵大臣に在職しておればできる限り一つやりたいということは、その当時申し上げたことと何ら変わりありませんし、より積極的な減税に対する態度を堅持いたしております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 私は一歩進めてこの際大臣の決意を承りたいのですが、堀委員に、少なくとも三十九年度にはそうなさるということを答えられておるわけですが、自然増収というようなものが年度間において予想したよりも比較的増収がありそうだというような目安がついたならば、昭和三十五年度の減税で昭和三十六年の一月から三月まで五十八億の減税をやったこともあるわけなんです。これと同じように年度内減税というようなことも私は当然考えるべきだと思うのです。ましてや三百九十三億やるべきだというものに対して、変なちびり方をして百十七億削ってしまった。こういうことをやったときには、そういう自然増収が予想外に伸びそうだという条件さえ出てくるならば、この年度内減税をできるだけ早い機会にやってもらいたい、これが国民大衆の望みであります。このような考え方は、今申し上げたような条件というものが整うならば、年度内減税も考えないではないんだというところまで私は当然いかなければ、大蔵大臣の今そこで答弁なすった気持というものは本物じゃないと思うのですが、いかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 お答えをいたします。そう言いたいのはやまやまでございますが、しかし先ほどからも申し上げております通り、ことしの日本の経済状態は大へんなのであります。これがただ経済とか産業とかということではなく、国民所得に関係をしてくるのであります。これがわれわれの生活に関係をしてくるのでございますから、こういう問題に対しては緩急よろしきを得て、少なくとも増収がもしありとせば、一体どういうふうな緊急な歳出が求められるかもわかりません。この間からもありました通り、財源をもう一ぱい食ってしまったから自然増収はないだろう、一体融雪災害が何百億も出てきたらどうするのだ、台風がきたらどうするのだ、こういう問題も同列で今御質問になっておられるのでございますから、こういう問題に対してはさらにその時点において、緩急十分検討しながらお互い国民がよくなるような最良な方法を選ばなければならないということでございます。減税に対しては先ほど申し上げております通り、政府は連年これを行なうという基本的な態度でございますので、また税自体が他国に比べて安いという状態にないということでもありますので、国民生活の充実の上にも、減税に対しては基本的な政策を進めて参るということで御了解願いたいと存じます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 所得税減税をすることが、今の答弁を聞いてみますと何か貿易自由化に対処し、日本の経済等にとって非常に大きな、いわば元寇のようなものだというような、その態勢を乗り切るために、産業体制というものを全般的に構造変革までやっていかなければならぬのだ、そのためには所得税減税というものはあまり意味がないのだというような口ぶりでありますけれども、政策減税というものと一般減税というものがよく対置されるわけであります。一般減税というと、大体その大宗はもちろん間接税の減税等も入りますし、法人税の減税も租税特別措置法以外に入るわけでありますが、そういうものと政策減税というものがよく対置される。しかし私は所得税を減税するということも一つの大きな政策だと思うのです。これが及ぼす影響というものが可処分所得を非常に大きくするという問題に結びつく。従って国内の有効需要を促進するという問題にも結びついてくるわけです。それと同時に今の日本の現状というのは、設備投資の無計画、無秩序な行き過ぎによって供給過剰の現状にあるんだ。そこで考えられる基本的なものは、投資だけにたよってもう一度経済成長をやる、もう一度そういうラウンドがあるのかという問題、それとむしろ転型期だといわれている、この転型期の経済成長というものは、やはり国民の消費というものに相当ウエートを覆いた形のものにならざるを得ないわけであります。これからの日本経済は、当面いろんな問題が確かに現象としてたくさん並んでおりますが、大きなつかみ方として大蔵大臣はもう一度設備投資を増大させて、設備投資型の経済成長があるんだ、しかもそれはことしの下半期以降、来年あたりになるのだという判断をなさっているのか、消費というものを相当伸ばすことによって経済成長を達成していく、あるいは輸出を伸ばすことによって達成していく、その点の基本的な見通し、考え方、持っていき方というものは、一体どこに重点を置いていくのか。それによって政策減税と所得減税の意味も相当違ってくると思うのです。その点いかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 経済の発達を期待いたしますには、まず第一番目に輸出の振興であります。これに最重点的な考え方を持っておるわけでございます。もう一つは産業間、地域間その他の国内均衡を保持していかなければなりません。その意味においては、先ほどからの御質問もございました通り、一部企業においては設備投資が過剰でさえあるというけれども、中小企業その他においては設備がなおいまだしというところがございまして、このような状態で自由化を迎えてはたまったものではないというような状態にあることも事実でございますから、業種間、地域間の格差是正に十分注意をしながら、適切な設備投資も必要であることはまた言うを待たないわけでございます。同時に設備投資が過剰であるものを除いて、設備の合理化、近代化という面で国際競争力を培養していくために必要な設備投資も当然行なわれるわけでございます。しかしこれが三十五年、三十六年のように急激な設備投資が行なわれることによって国内景気が維持されるなどとは考えておりません。でありますから、公共投資等に重点を置き、設備投資と公共投資とのアンバランス面の是正に意を用いておるわけでございます。  加えてあなたの言われる通り、国民の消費が堅調でなければならない。また堅調でなければならぬということは、諸外国でいわれておる通り、国民消費の堅調によって景気を維持しょうというような考え方ではなく、長いこと沈滞し恵まれなかったわが民族が少しでも生活内容を改善して、食生活その他生活環境整備に意を用いて参る、それが国民消費の堅調を意味するならば——国内消費があまりにも激しいために消費者物価がどんどんと上がっていくというような面での国民消費をもちろん考えるわけではありませんが、健全にして健康的な国民生活を推持するための国民消費は、当然期待をしていきたいという考えでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 まあ投資も捨てられないし、国民消費の堅調な伸びも同時に期待しているということでありますが、所得税の減税というものは、非常に政策的な意味がないというような観念が私はあってはならぬと思うのです。これはアメリカのケネディ大統領の赤字財政を覚悟してまで減税をやったという例にならうまでもなく、所得税を減税することが可処分所得を伸ばすのだ、そのことによって貯蓄はきわめて高い相関函数、〇・九七三という数字を税調で出しておりますが、可処分所得が一〇〇伸びれば九七土二%ぐらいでこの貯蓄の方も伸びていく、こういうような関係にもあるわけであります。これは実にきれいな相関函数でグラフに描かれるわけであります。そういうようなことを考えますと、所得税を減税することは、これは経済政策にとっても非常に重大なことだ。だから、政策減税、政策減税というと、何か特別の措置をすることだけではなしに、一般減税そのものの政策的意味というものにもっとウエートを置いていただかなければならぬ、このことを強く要求しておきたいと思います。  それともう一つは、時間もあまりないので、これ以上この問題については論議を進めないつもりですけれども、先ほども申し上げたように、非常に答えにくい立場にあるけれども、状況を見ては年度内減税ということもぜひ一つ踏み切るように、大蔵大臣にこの点は要請いたしておきたいと思います。  それで、今度の税制の中で、やはり問題は、税制調査会で利子所得、配当課税というものについて、ことし、昭和三十八年三月三十一日で切れる期限をとりあえず二年延長しなさい、これは非常に税の公平を害するのだし、税制理論からいえばまことにまずいことだけれども、今さしあたって貯蓄増強の方向が強く出されておる中でこれを廃止することもあまりにもショックが大き過ぎるということで、二年間ということも切られておるわけです。  それに対して大蔵大臣は、今度の税制において非常に特徴のあることをやったわけであります。それは、一〇%の分離課税を利子について五彩に下げる、それに右へならえして配当課税も五%に下げてしまった。こういうような思い切った措置をやった。これは地方税をまぜますと、大体国税だけで全体の租税特別措置がもはや一千九百九十八億ですか、こういう状態になっておる。そのうち、利子配当だけでも相当な数字になっておる。約六百億近くになっておる。そのほか地方税のはね返りというもので、利子と配当の課税軽減が、租税特別措置によって大体九百億、中央地方を通じて軽減されておる、こういう数字になっているわけです。  そこで、一体どういう気持で、所得税をそういうようなちびり方をしながら、これだけの大減税も政策減税の名のもとにやったのか。この点を一つ国民の前に納得のできるように明らかにしていただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 利子所得に対する軽減の問題は、これは政策上非常に重点的に重要な問題であるということを考えて行なったわけでございます。なぜそんなことをやったかということでありますが、先ほどからお話もございます通り、国民金融公庫や商工中金、中小企業金融公庫というような政府関係機関の利息も下げなければいかぬ、中小企業向けの利息も下げなければいかぬ、高いじゃないかと言われております。なお、利息もそうでありますが、資金量を何とかしろというような問題が、今切実な問題であります。でありますから、貯蓄増強を政府がやりたい、またやらなければならないということに対しては、これは国民すべてが認めていただける理論だと思います。  それから、日本は非常に貯金の率が多い。現在二〇・五%くらいでありまして、一八・数%のときでさえも世界で最高であるといわれたのが、現在二〇・五%くらいになっているので、もう飽和点に達しておるといわれておりますが、この貯蓄の内容を見ますと、法人や事業系統の預金も相当ございます。完全に個人だけで預金しておるものが一体どの程度あるかというと、一〇・五%から一一%くらいだと思います。皆さんが非常に苦しい中から貯蓄をしておる。なぜ貯蓄するかといえば、やはり自分の社会保障、老後の問題を自分みずからが心のささえに持たなければいかぬというような堅実な日本人の考え方が預貯金に現われておるのでありまして、こういうものに対する優遇措置を行なうということは、私はただ一つの政策減税、いわゆる産業資金を確保するための減税というよりも、一歩進めて一皮むいて考えれば、所得税減税と何ら変わらないというような性格も持つものであるというふうにも理解をいたしております。しかし、表面的な理由として申し上げることは、政府が絶えず申し上げておる通り、資本の蓄積ということに対しては大へんな状態でございますし、それから企業自体から考えますと、自己資金と借入資金との比率が非常にアンバランスであるから、これを何とか直さなければならないということ。もう一つは、八条国の移行や自由化に対処しまして、外国の資本が流れてくる場合に、日本の資本と外国の資本との比率という問題がまた大きく出てくるわけであります。でありますから、現在の状態においていわゆる所得税減税というものと預貯金の減税を行なったということが無関係であるというふうにはお考えにならないでいただいて、これはやはり表裏一体のものである、また、そうすることによってのみ自由化に対処してお互いの生活基盤が確保せられていくんだというような、深い意味での洞察でお考え下されば、現在の状態に対処して政府が行なった減税も、いろいろな理屈はございますが、やらないでいいようなものではないし、それよりもやはり政策減税として行なった利子配当所得に対する減税も、これは非常に大きな意味があるのだということを御理解願いたいと思います。  それから、配当所得の問題、これは統合でございますから、低所得者に対する減税というものは別にいたしまして、その他の問題は、先取りをしておるものの率を半分に下げたということでございまして、来年度以降これを取り戻すということであり、減税というよりも減収という建前に立っておるわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 貯蓄の必要性というものが非常に叫ばれておる、こういうわけでありますが、日本の貯蓄率は、この前大蔵委員会でも申し上げましたように、非常に高いわけであります。世界一高い。貯蓄性向というものを見ましても、三十六年度でも二丁五にもなっておる。それから、資本の蓄積が足りない足りないと言われますけれども、日本の場合にはもう三十六年でGNPの中で占める総貯蓄の割合、いわゆる資本蓄積率というものが四二・六%になっておる。これはもう共産主義の、あるいは社会主義の社会でもないような高蓄積率だ。資本蓄積率がそういうところまでいっておる。この資本蓄積というものは、現在の消費と将来の消費とを配分するという意味を一つ持っておるわけです。もう現在はどんどん節約をして、国民の消費水準というものを五〇%台に押える。西欧は六〇%から七〇%というのが常識であります。国民総需要の中で個人消費が占める比率というものは、三十六年度五〇%、三十七年度ではせいぜい五三、四%、こういうように押えておるこれは戦時中の姿であって、それを今こういうように発展した経済社会の中で、現在における個人消費水準というものをそういうようなところに押えておいて、そうしてもうすでに総貯蓄が国民生産の中で四〇%をとえておるというようなところはどこにもないわけです。そういうようなものを、さらにこれを伸ばそうというのは、一体どういうところに具体的な根拠があるのか。貯蓄増強をするためには、先ほども申し上げたように、個人の可処分所得をふやす。こういうような点については、これは利子所得を下げ、あるいは配当所得を下げることも、なるほど所得税を下げたことにはなります。なりますけれども、これを階層別にその個人の貯金の分布状況を見ると、それから今まで少額貯蓄免税というようなものがやはり伝統的になされておるわけです。租税特別措置が行なわれる前からなされておった。これを途中で非常にゆがめて乱用したから、今度はそれを少額貯蓄免税ということにやっただけのことであって、これは目新しいものじゃない。ところが、われわれが問題にしている低所得階層、こういうようなもの以上に特に配当なんかは集中している。五百万の所得というような、大体数では一〇%台のものが、五百万以上の所得階層のところで配当額の大体六二%を占める。こういう姿が現実に出ているわけです。そういうものを一〇%から五%に下げるというようなことは、これはもうどう考えたって国民の、特に低所得階層には納得できないわけです。  従って、大蔵大臣は、この貯蓄課税というものを優遇することによって一体国民の貯蓄性向を何%くらいまで高め、さらに資本蓄積率をどの辺まで持っていくつもりなのか。これはそれだけではないとおっしゃるでしょう。いろいろな問題のために好影響があるのだと言うかもしれないけれども、一体どこらにめどを置いておるのか。政策減税なら、政策効果というものはやはり具体的に明示されなければならぬと私は思うのです。こういう現実に対してどういうようにお考えでありますか。具体的にどのくらいまで高めたらあなたは承知されるのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 預貯金に対する減税を行ないましたのは、貯蓄をうんとふやそうという考えだけでもってやったのではございません。あなたが先ほども言われた通りでございまして、貯蓄も多少ふえていくだろうということは容易に想像できますが、これを一〇%を五%にいたしましたために大体年間どの程度の預貯金がふえるというようなことに期待を持ったのではないわけであります。あなたが先ほど言われた通り、非常に無理をしながら貯蓄をしておるのでございます。これは結局社会保障も足らないし、いろいろないわゆる日本人の本能的な立場から、食うものも詰めながら、わが子のため、わが孫のために、将来の飛躍のために貯蓄をしておるのであります。やはり消費もお互いの生活の健全化のために必要でありますが、しかし、その乏しい中からも貯蓄をしようという人に対して国は報いるという姿勢をとることは、やはり政治の基本的な理念でなければならぬ。私はそういうところに非常にウエートを置いたわけであります。私が浪花節的だなどというのはそこから出てくるのかもしれませんが、私はそういうことに対して理論的だけではなく、少なくともここ十七年、十八年間で日本人が営々として築いてきた今日の状態を見るときに、自分の生活だけにウエートを置いて国民がすべてただ浪費、消費に向かったならば、今日の日本の発達はないと私は考えている。だからやはり、そういう乏しい資金を貯蓄をしている、その貯蓄がいかに高度に投資をされ、利用せられたかというところに国づくりも行なわれ、われわれの生活基盤は向上してきて、しかも自由化に対応できるという確信さえ持ち得る態勢になったのでございます。そういう実際に行なわれておる貯蓄の内容等をつぶさに検討いたしますときに、これは法人等が非常にたくさんありますけれども、法人等は、これは会社でもって前取りで翌年清算するのでありますから、そうでなくて、事実減税の恩典に浴せるものは、国民大衆がみずからの骨を削るようなつもりで貯蓄をしておるものに対する恩典でありまして、これは事実お互い時間をかけて十分話し合いをすれば、皆さんが今言っておられる所得税の減税と一体どこが違うのか、何ら違わない。私はそういう観点に立ってこれらの政策的な減税を行なったわけでございます。  しかも、証券の問題等に対しても、国民の六〇%が証券を保持をしておるということを考えますと、それは六〇%というけれども、その中の相当部分はみな少額免税になる部分じゃないかということを言われるかもわかりませんが、それは、きょう現在の段階ではそうであるかもしれませんが、きょうよりもあした、あしたよりもあさって、ことしより来年へというように、日本の将来のことを考えていく場合に、去年非常にダウが下がったということでもって投資意欲がほとんど失われてしまって、社会問題さえ起こしておるというような事態を考えてみるときに、私はやはりこういう総合的な立場に立って均衡ある減税政策を進めるということも一つの行き方であるし、私は間違った行き方ではないというふうに考えておるわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 大蔵大臣と議論しておると、所得税減税になっておる面、そういう側面もあるのだということは、これは現実でありますから、その点はわかるわけです。しかし、私どもが問題にしておるのは、そういうことではない。今までも、将来病気になったら困るから、あるいは子供を教育するためにどうしようもないから、あるいはまた老後が心配だからというようなことで零細な貯蓄をしておる人たちについては、ちゃんと郵貯法によって、あるいは国民貯蓄組合というような形で五十万円までというようなことで、あったわけです。それが非常に乱用されて、大資本がそれに名をかりて分割をしてやったというようなことから、今後は少額貯蓄免税ということになってきたわけです。少額貯蓄免税については、私ども何も別にそうは問題にしておりません。  しかしながら、この税調の資料を見ましても、所得階層別に非常なアンバランス、税の公平をきわてめ害しておるということが明確に数字で出ておるわけです。これは事務当局からでもけっこうですけれども、こういうことに書いてあるわけであります。上積み一〇%のときの資料であります。  「上積実効税率一〇%をこえる所得階層(夫婦子三人の給与所得者の場合には、その年の給与の金額が約六十四万円をこえる所得階君)に対しては減税の効果をもつ。しかも、この効果は、たとえば上記の例で九十五万円までの給与所得者(課税所得二十万円から五十万円までの所得者)については、わずかに五%の減税にとどまるが、課税所得六百万円の所得者にとっては四〇%の減税となり、六千万円以上の高額所得者については、実に六五%もの減税となる。」  これは、一〇%分離という改正前のものでこういうふうになるわけでありますが、今度五%になりますと、今申し上げた中に出てくる数字というのはどういうように読みかえたらいいですか。これは松井調査官でけっこうです。

松井直行大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○松井説明員 税制調査会の報告にあります部分がこのいずれに対応いたしますか、ちょっとここでは確実にお答え申し上げられませんが、利子の場合で申し上げますと、所得の一〇%が利子所得であります給与所得者の夫婦、子三人の場合ですが、現行で参りますと、六十三万七千円以上の階層が税負担が軽減されるということになりますが、改正案によりますと四十七万二千円以上の階層がすべて軽減を受けるという計算に相なります。それから、所得の全部が利子であるという場合を仮定いたしまして、夫婦、子三人の場合を考えますと、現行の場合は百四万二千円以上の階層がすべて税負担が軽減されるということでございますが、それが六十四万八千円以上の階層がすべて恩典を受けるということに相なって参ります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 広瀬君に申し上げますが、時間がだいぶ経過しましたから、急ぎましてお願いいたします。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 松井さんから具体的に言われましたように、所得の全部が利子所得だというような人は六十四万円以上になる。これは今までの百四万円から、これは五%に下げたわけですから、下がるのはあたりまえです。しかし、いずれにしても、六十四万という階層までは全く税金がかからぬという形になってくるわけです。こういうような現実と、それから先ほど申し上げたように、六百万円の階層とかそれ以上の階層ということになると、低額の場合には非常に減税率というものは下がるけれども、高額になるに従ってものすごい減税率になる。この実態というものは税の公平に対して非常に問題があるわけであります。従って、大蔵大臣の答弁を私はぜひ訂正してもらいたい。  この前の予算委員会における一般質問で、武藤委員の質問に対して、将来は利子課税、配当課税なんというものはやめてしまいたいというようなことをあなたはおっしゃった。少額のところを免税するということに対して私は反対いたしませんけれども、最高六五%も減税になるというような形のものは、やはり担税力の問題からいって本、あるいは減税になることによって資産を取得するというような問題からいっても、非常に問題があるし、税の何よりも基本原則である公平ということが、全くあなたの租税理論を聞いているといつの間にか消えてなくなってしまう。あなたの答弁というものは、全部これをやみくもに、少しばかりの利子所得のある者と巨額の利子所得のある者とを一緒くたにして利子課税を廃止するんだというようなことを言われたのでは、これは全く私どもとしては納得できないわけです。その点いかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 負担の公平を重点に置いて考えなければならないことは、これは私もその通りだと何回も申し上げております。しかし、負担の公平論だけで税制をやっていっては、もうどうにもならないのだということだけは、私はこれは私の持論として申し上げなければならぬ。確かに負担の公平ということはやらなければなりませんけれども、政策的な必要性が認められる場合にはやはりこれらの一般会計において国庫補助をどんどんと出していかなければならないのと同じことを、税制においても考えなければならないのであります。今までは、税体系をくずしてはいかぬというので、全部一律画一的な基本論を金科玉条としまして、少なくとも負担の公平ということは税制に対する全般論であるというふうに論じられておりましたが、こんなにテンポが早くなってきまして、しかも国内的なものよりも国際的な、自分たちがどうにもならない他動的なものに対して対抗しなければならない。こういうものを考えるときに、いかに国内法規だからといって、画一的なものでもって押し通していけるはずはないのであります。でありますから、私は租税特別措置というものが、これはある意味において全く除外例であって、特例だというけれども、場合によれば特例が四〇%、五〇%の場合もあり得るのであります。  そういうのがしろうと考えだということをいわれますが、政治家として考える場合、私はやっぱり昔の為政者というものは、どこの国の歴史を見ても、とにかく旱魃があれば免税をする、どうしてもこの地域を開発しなければならないとなれば税金をまけてやるだけでなく、何年間を免税措置として逆にこれをつぎ込んでいくというような施策は、世界の歴史に明らかに出てきておるものであります。日本が全く不変の安定的状態にあれば、これはもう画一的なものでありますが、私は、少なくともそういう意味で、今日の事態に処して特例というものの弾力的運用というものは、ある意味においてやむを得ないものであり、新しい税制理論でいえば、これは私は自分でもってこれが正しいということを強弁するわけではありませんけれども、日本の相当のエキスパートが集まり、知恵者が集まって検討すれば、なるほど田中の言うこともほんとうだというように納得していただけると思うのです。そういう意味で、今度の政策減税ということを考えたわけです。  この間の御質問のときには、非常に政策減税が悪い悪いと言われたものにウエートを置いての御質問でありましたので、私は、いや、悪くないですということを強弁するため、来年は全廃してしまいたいというようなことを申し上げたかもわかりませんが、私は来年というような考えでなく、とにかく今度やった利子免税というような問題も、これは一定の人たちの利益を守ることではなく、日本人として当然必要な政策として考えたものでございますということを強調して申し上げたに過ぎないのでございまして、私の真意を御理解を賜りたいと存じます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 あなたの真意はわかったけれども、納得できない。これは私が納得できないのではなくて、国民が納得できない。その国民の中には、今度の零細な金で利子免税、課税の免除を受ける者もあるし、あるいは少額の貯金をしており、あるいは株の配当をもらっている。ごくわずかだけれども、そういう人たちもこれは納得していないのです。それはあまりにも高額所得者に集中したいわゆる金持減税だということが、どうしたってぬぐい去ることができない。それ以上に、日本が非常に重大な段階に差しかかっておる、しかしながら経済成長を六%くらい上げるのだとか、あるいは八%、名目八・七%上げるのだとか、一〇%上げるのだとか、いろいろ目標を立ててきましたけれども、この資本の蓄積率は今の程度で十分にそれは可能なんだということは、経済学者等でも言っておるわけです。そういうような現状で、しかも、政策減税というからには、これは一定の政策効果というものがこれとこれなんだということを明示する必要がある。  ところが、貯蓄増強かというと、そればかりではない。それで、低金利ということを先ほど初めて言ったわけです。おそらく今度のこの一連の利子及び配当の問題については、低金利に私は重点があった。貯蓄増強という名のもとに、低金利政策の推進のこれが一つの地ならしだと理解していいのではないかと思うのです。政策、目的がそういうように変改した。それならば、そういうようなことをはっきり出すべきである。それを貯蓄増強の名のもとに大蔵省はいつも出しておるわけです、十年一日のごとく。しかも、政策が、この貯蓄増強のためということが十年も続いておる。これは田中さんが今おっしゃったように四〇%でも、あるいは全免することもある。災害があれば全免するのは、昔からやってきたことである。それはその通りである。しかも、十年も長期にわたってこういうようなものが続くなんていうような政策は、これは政策のどこかに間違いがあるのだと思うのです。そういうような点で、これはやはりあくまで納得できないのです。そういうようなことですが、これはあなたとここで幾らやっても、おそらく水かけ論に終わるだろうと思うから、これはこれ以上やりませんけれども、いずれまた大蔵委員会で詳細にこの問題、租税の公平論、今あなたが忘れかけておる公平論の立場からやりたいと思っております。  次に、今度の租税特別措置において、輸出所得の控除及び輸出に関する特別割増し償却、こういうような問題等があるわけです。この租税特別措置は、貿易の完全自由化の段階がきたならば、どういうことになりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 御承知のガットの会議がこれらの問題は問題にされております。それから、総理が訪英をされたときに、イギリスでもこの問題に対しては相当意見を述べておるようでございます。日本が八条国に移行するということになれば、このようなはっきりとした外国から意見を言われるような問題に対しては適当な措置をしなければならぬと思いますが、しかし、日本の産業育成、輸出振興ということが国是であるということでございますから、輸出振興に対するあらゆる角度からの施策は、当然各国の理解を求められる限度において積極的にこれにかわる施策を行なうべきであるというふうに考えております。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 広瀬君いかがでしょう、だいぶ時間が経過しております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 その問題もまたいずれ大蔵委員会で詳細にやりたいと思います。  たばこの減税の問題ですが、これは前に水田大蔵大臣の当時に私質問をいたしまして、なるべく早い機会にやりたいということを言われたわけであります。中山税制調査会長も、このたばこの税金が非常に低所得階層に逆進的に働いている、むしろ酒税の引き下げ以上にそういう点は税制理論としても考えなきゃならない、従ってこの次はたばこだ、こういうことを大蔵委員会で答弁をされておるわけであります。この点について、この非常に低所得階層が、たとえば新生を一個ずつ一年間ふかしますと、大体九千七、八百円の税金を納めることになるわけであります。これはまさに目につかない、いわば姿なき怪盗だなどと称されておりますが、このたばこ減税というものをやはり田中大蔵大臣のときにぜひ一つ踏み切ってやっていただきたいと思うわけでありますが、この点についての御所見いかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 たばこにつきましても、水田大蔵大臣当時、二回にわたって、たばこの減税を行ないたいという意思表示がございましたので、同じ党から出ておる大臣でございますし、人がかわってからこの言明がほごにされたというようなことであっては困ると思いまして、私も誠意をもってこの問題を検討せしめたわけでございますが、三十八年度においては値下げを行なえないということに落ちついたわけでございます。これはどういうことかといいますと、その後たばこの収納価格が非常に上がったということ、また、たばこの売れ行きも非常に悪かったということ、それから納付金に対しても政府が当初予期していた通りまではなかなかとれないんじゃないかというような現状にございましたし、それからたばこ自体の税収確保という問題もございましたので、支出の方は非常にふえておりますけれども、小売価格は三十五年から据え置きであるというような事態もありましたので、三十八年度についてはたばこの減税を見送る、こういう事態に至ったわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 答弁が非常に後退してしまって残念なんですが、ことし今からやれとは私どもも言いませんけれども、来年あたりはぜひこれをやっていただきたいと思うのですが、その点いかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 これらの問題に対しては税制調査会に諮問をいたしておりまして、税制調査会の答申を待ちながら措置しなければならぬと考えます。しかし、たばこの税金も下げなければいかぬ、酒税も下げなければいかぬ、また政策減税も必要である、所得税はなおということでございますから、これらの関連を見まして、私は来年の問題では、いわゆる私の諮問をいたしておりますのは、直接税と間接税というものは日本の税制においてどうあるべきか、今の状態で一体いいのかということをまず基本的に考えております。先ほどからあなたと私は意見が違うようなことを申されておりますが、私もあなたと同じように、直接税が重いということを考えておるんです。でありますから、少なくともわれわれの生活をよくするためには、直接税というもの、いわゆる源泉課税であり、とりやすい、こういう、財源確保に非常に都合がいいからというものだけでもって、それにウエートを置くべきではないという考え方でやっておりますが、間接税中心にやりますと、かつての取引高税のにがい経験もありますので、こういう問題を、一体間接税を中心にしていくべきか、また直接税を中心にしていくべきかということに対して根本的な一つ答申も願いたいということを言っておるわけでありまして、私は、たばこに対しても酒に対しても、実際お互いが税金を吸って、税金を飲んでおるような状態でありますから、これに対してもあなたに近い、また同じと言ってもいい考えではございますが、諸般の情勢を十分勘案して、税制調査会の結論を待ちながら私の方でも措置をいたしたい、こういう考えでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 午前中加藤委員の御質問で、入場税、特に音楽、舞踊等に対する課税の問題ですが、この問題は、質問をして答えられておれば私は聞きませんが、私どもは、音楽、舞踊は、子供のとき学校教育でも正課としてやっている。そういう純教育として学校においてもやっているような問題を、また非常に営業性の薄い美術、芸術という立場からそういうものがやられている、これに対してもほかと同じように一〇%の税金がかかるというようなことは、池田総理が言っている国づくり、人づくりの問題として、国民の情操を高める、美に対する愛好心を高めるという点からいっても、これは当然そういう問題に手を触れていかなければならない。そうでなければ、人づくりなんというものは、われわれの側から見れば、いいかげんなごまかしだ、単なるかけ声だけにとどまるわけであります。こういうような問題について前進的に検討され、純音楽、純舞踊というようなものは、これはなかなか線の引き方は専門的にはむずかしいと思いますが、その問題にまっ正面から取り組んで、廃止の方向で検討される用意があるか、その点が一つ。  それから、まとめて聞いてしまいますが、小規模事業者等の家族専従者、これが専従控除は非常に低いわけであります。せがれが高等学校を出て、ほかへ就職すれば最初から一万二、三千円は最近ではもらえる、それがうちで働いているために、給与を別にもらうわけではない、ただお父さんと一緒に同じどんぶり勘定の中で飯を食っているということで、税金面では、白色だったらようやく七万五千円、青色申告でも、二十才以下の場合は九万五千円、二十才以上で十二万五千円でありますが、一方、就職したものは、官庁関係とか公共企業体等にいけば、年金もつく、退職金もかなりもらえる、こういうようなことで、一生の間にはえらい開きがつくわけです。どうせどんぶり勘定だから、そこにうまみがあり、妙味があると言ってしまえばそれまででありますが、あまりにもその間に不公平な差がある。これは中小企業対策というような面からも十分考えていただかないと、税制の面において中小企業にはほとんど見るべきものがないわけであります。そういうような点から考えましても、これを給与制にするか、あるいは専従者控除をもっと思い切って引き上げるか、こういうような点についての大臣の考え方、この二つの点についてお聞きいたします。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 入場税等につきましては、私も昨年自民党の政調会長をやっておりましたときに、最終的な党と政府との折衝の間で大幅な減税を行なったわけでございます。(「大幅かい」と呼ぶ者あり)いや、これは従来に比すれば思い切った減税でございます。これは比較論でございまして、大へんな減税でございますが、あなたが今言われた通り、このような状態で一体いいのかという問題もありますし、諸外国と比べてみて、もうすでに映画や演劇は斜陽産業的なものであり、また質の上でも、相当国民情操教育ということで、テレビ、ラジオ等で見られない特殊な面を受け持つということで、大衆娯楽というだけではなく、別の面からのいろいろな問題を含んでいるわけでございます。特に歌舞伎その他に対しては、国が保存をしなければならないというような状態でもありますので、今までのように、ただ免税点は現行幾らまでというような考え方でなく、抜本的に検討すべき問題であろうと思います。  それから第二点の家族専従者につきましては、このたびも減税を幾らか行なっておりますが、農業法人さえ認められてきておる現在、一体これでいいのか、これはまさに根本問題でございます。きょうは質問はございませんでしたが、いつも言っておられるいわゆる小規模事業者、大工や左官のように、自分でいろいろな道具を持たなければならないものに事業者控除というものを幾ら認めておるか、こういう問題に対しては、比較的に学者の議論としては出てこなかった問題でございますが、こういうものこそ十分重点を置いて検討しなければならないということで、税制調査会の答申を待つというだけではなく、私の方からも考え方を積極的に調査会に申し述べて、これが検討の素材にしていただきたいということを考えておるわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)分科員 まだたくさん残っているのですけれども、大臣もお疲れですから、これで終わりますが、将来税制調査会で、あなたの持論である利子配当所得に対する課税を減免するような方向と相反するようなものが、かりにあなたが大蔵大臣をやっているときに出たとすれば、あなたはその答申を無視してやはり減免というようなことを——先ほど私が言ったような、非常に少額な大衆の貯蓄に対して利子課税を免除するとか、あるいは軽減するという措置はわれわれも了解するのです。しかしながら、相当巨額の利子所得あるいは配当所得、こういうようなものにまで非常な大幅な減税率をもって優遇を与えるというようなことまであえてやられるおつもりなのか、そこらのところの決意だけはっきり聞いておきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 政府は税制調査会の答申を尊重いたす建前をとっております。また将来もその覚悟でございます。しかし、あなたが今言われましたような、利子減免税の問題とか資本蓄積の問題に対して、私の考え方と相反するような答申が出るとは考えておりませんし、これは絶対に私の考えておるような方向で答申されるものと考えております。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 来たる二十五日は午前十時より開会し、大蔵省関係の質疑を続行いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十四分散会

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