P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
43回国会衆議院1963/02/22

予算委員会第一分科会 第6号

発言数
147
登壇者
20
会派数
2
開催日
1963/02/22

会議録

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 ただいまより予算委員会第一分科会を開会いたします。  本日は、昭和三十八年度一般会計予算中、法務省及び大蔵省所管、同特別会計予算中、大蔵省所管、同政府関係機関予算中、大蔵省所管について質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。赤松勇君。

赤松勇日本社会党

○赤松分科員 宮城の選挙違反の問題を御質問申し上げます前に、一点だけ法務大臣にお尋ねしておきたいと思います。  私の調査によりますと、交通違反による罰金、科料がずいぶん多額に上っておるのであります。ほとんど現金収入でございまして、おそらくお手元にはその資料があると思うのであります。ここにこまかく、運転免許手数料あるいは免許証更新手数料から、道路交通法違反の問題等、総計非常に多額な科料、罰金が納められておるのであります。そこでお尋ねしたいのでございますけれども、昭和三十六年度においては、総額どれくらいな罰金、科料が支払われておるか、そしてその金がどのように使われておるかということをお尋ねしたいのでございます。もしわからなければ、選挙違反の問題をやったあとで、調査の上御答弁願ってもけっこうです。

中垣國男自由民主党

○中垣国務大臣 お答えいたします。  昭和三十六年度における罰金及び科料の決算額は、七十九億七千九百二十六万三千円になっておるようでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松分科員 八十億に上るこの莫大な罰金、科料は、政府の方でどのように使われておりますか。

中垣國男自由民主党

○中垣国務大臣 財政法の規則に基づきまして一般会計に繰り入れしておりますから、これだけを特にどういう科目に使うといったようなことはしていないわけであります。

赤松勇日本社会党

○赤松分科員 そこで、法務大臣にお願いしておきたいのは、近時いわゆる交通地獄といわれまして、これに対する対策が、政府においても交通関係閣僚懇談会等でいろいろ問題になっている。従って、国民から納められました罰金、科料は、やはり交通対策の方へ使っていくのが本筋ではなかろうか。これを一般会計に繰り入れて、そしてその使途——言うなれば、どこへ使ったかわからないという形じゃなしに、これだけの罰金、科料が入った、これをこのように交通対策の方に回していき、そして交通違反あるいは交通地獄が解消するように努力しておるということを示した方が、私は国民に訴える力が出てくると思うので、そういう点につきましては格段の御配慮を願いたいと思いますが、あなたのお考えはいかがですか。

中垣國男自由民主党

○中垣国務大臣 赤松さんの御意見も一つの考え方だと思うのでありますが、ここで私が私の責任でどうするということを申し上げるのはどうかと思いますので、やはり関係閣僚等にも相談しまして、よく検討した結果、そういう結論が出たら、そういうようにした方がいいだろうと思いますが、今のところ、するとかしないとか、ちょっとお答えいたしかねると思います。

赤松勇日本社会党

○赤松分科員 それでは御検討願うということにいたしまして、まず、今問題になっております宮城の選挙違反の事実について質問してみたいと思うのであります。これは単に宮城だけの問題ではなしに、いわゆる公明選挙が叫ばれておりますときに、こういう事実があってはならないということから、私ども広い、高い立場から問題を取り上げておるわけであります。  社会党は、十九日に仙台におきまして中央執行委員会を開き、この選挙違反の事実について告発することを決定しまして、一昨日、告発の手続をとったわけであります。「告発状 東京都千代田区永田町一丁目四番地 日本社会党本部内 告発人 日本社会党選挙対策委員長八百板正」、被告発人は三浦義男であります。これは宮城県庁内におります。「後記告発事実記載にかかる被告発人の行為は公職選挙法第百二十九条、第二百三十九条及び同法第二百二十一条第一項一号並びに同法第百三十六条の二、第二百三十九条の二第二項に該当する犯罪を構成するものと思料せられるので、これを告発する。追って本件は知事の行政行為に名を籍りた公務員の地位利用による悪質極まる買収事前運動なることは、物品配布の時期、数量、その手段方法等によって明瞭であるところ、特に被告発人の名入れとしたことは従前その例をみないところであって、その計画的意図は全く疑を入れる余地のないところである。若しこれを不問に付して放置するにおいては、今後の選挙にこの種の手段が公然と行われることとなりその波及するところ、選挙の公明を害するはもとより、ひいては公権力の濫用による独裁政治の事態を許容する結果ともなりかねない重大な意義を包含するものと憂慮せられるので、特に迅速且つ厳正なる捜査方を要望する。昭和三十八年二月二十二日右八百板正」、「最高検察庁検事総長清原邦一殿」、告発の事実としては、「被告発人は宮城県知事の職にあるものであり、昭和三十八年一月三十日告示にかかる同県知事選挙に立候補しているものであるが、県予算の社会福祉関係費等を利用し、知事の行政行為に名を籍りて多数選挙人に物品を贈り以て右選挙戦を自己に有利に展開せんことを企て、右選挙告示前たる昭和三十七年五月頃より同年十二月末項までの間県費合計金四百六十五万六千九百円也を以て、宮城県知事三浦義男なる名入れのタオル、手拭、風呂敷、のれん等合計七万二百七十点を用意し、その頃これを県庁職員等の手を通じて同県内の遺族会関係者、生活保護法による入院患者、引揚物故者の遺族、老人、母子家庭等の有権者多数に見舞品、記念品等の名目で配布し、以て知事の地位を利用し、公示前の買収選挙運動をなしたものである。」その証拠関係はあとで提示をいたします。右告発代理人としましては、弁護士河上丈太郎、河野密、細迫兼光、中村高一、猪俣浩三、井伊誠一、坂本泰良、畑和、坪野米男、木原津與志、山中日露史、飛鳥田一雄、松井誠、森島守人、黒田寿男、亀田得治、稲葉誠一、以上の告発状を提出いたしまして、即時かつ迅速なる捜査を求めたわけであります。その後警察庁の調査の結果はどうであるか。検事総長には、本日私は国会におきまして質問をするから、この措置について責任を持って報告をしてもらいたいということを要求しておきましたから、第一点は、警察庁が調べた結果について報告を求める、第二点は、この告発をいたしましてから検察庁はどのような捜査を行なおうとしておるか、また行なったか、この二点をまず最初に御答弁を願いたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 ただいま御質問の点でございますが、一昨日の二月二十日、ただいまお話しのように最高検察庁に告発状が出ましたので、最高検察庁におきましては、即日告発状の内容について検察庁としての審査をいたしまして、検事総長から仙台高検を通じまして地検に対してその告発状を移送いたしまして、それに必要なる指揮書をつけて、調べの要点等についても指示をしたというふうに私は聞いております。おそらく書類は昨日中には現地へ届いておると思いますので、昨日来即時捜査に着手したものと思いますが、その捜査の、どういう点をどういうふうに捜査をしたかということは、まだ私の方には報告を受けておりませんので、わかりません。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 ただいま仰せられました告発状は、一昨日長官の代理といたしまして私に手渡されたのであります。この事件の措置につきましては、ただいま法務省で申されました通りに、私の方におきましてもこの告発状を正当に措置する機関といたしまして、宮城県警の方に即日正本を到達するようにいたしておりまして、宮城県警におきましては、この事実につきましてかねて事案の真相につきまして検討を加えておりますので、適当なる措置をとるものと確信いたしておる次第でございます。

赤松勇日本社会党

○赤松分科員 わが党の同僚議員の太田一夫君その他の諸君から、地方行政委員会におきまして、明らかにこれは選挙違反である、なぜ警察庁は取り調べについて積極的な態度をとらないのであるかという質問に対して、当時、私議事録を通じて読んだのでありますが、選挙違反の疑いがないというような答弁を地方行政委員会でされているやに伺っております。一体警察庁としては、これは選挙違反の疑いのあるかないかということについて厳重な捜査をしたかどうか、あるいはその捜査の結果についてはどうか、それを御答弁願いたい。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 この事案の経過につきましては、いろいろ選管その他等におきましても論議が行なわれましたので、現地におきます警察におきましては詳細に事実を承知いたしておるので、従って、警察におきましてはこの事案は慎重に検討いたしたのでございます。しかしながら、現在にいたるまで、これが通常行なわれます知事の仕事と申しますか、職務と申しますか、その範囲を越えたものであるという事実というものを発見していない、従って、直ちに選挙違反において問擬するものを現在の段階において持っていないということを申し上げたのでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松分科員 県選管に対する私どもの質問に対しまして回答文がきている。「御質問の内容については慎重に検討いたしましたが、個々の内容についての回答は差し控えたいと思います。ただ県選管としましては選挙はあくまで公明に行なわれるべきであり、また公明化のためには今後もあらゆる努力を傾注したいと存じます。なお御承知の通り選管は具体的事件に関する調査等の権限がないので念のため申し添えます。」この回答ならざる回答がきているわけです。ここでは選挙違反の疑いがあるかないかということは言わない、個々の内容については回答を差し控えたい、なお選管は具体的事件に対する調査などの権限がないので念のため申し添えます。これでは回答にならぬ。宮城県警察が今日までこの問題につきまして捜査を進めております。そして宮城県警察の捜査の結果とわれわれの調査の事実と大体合致しておるのであります。  そこで警察庁に聞きたいのは、名前入りのタオル並びにふろしき、それからのれん、こういったものが一体どれぐらい配布されておるか、そしてその発注先は一体どこであるか、その発注した県の課はどこであるか、これを一つ詳細報告をしてもらいたいと思うのです。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 事実につきましてすべてを現在申し上げることが、事案の直相糾明につきまして必ずしも得策でないと思いますが、明瞭になっております発注しております課は、道路課、林務課、社会課、年金課——社会課の関係が四件、それから農政課等でございます。その数量におきましては、道路課において六千本、それから税務課におきまして一万五千本、社会課におきまして二千枚ばかりの記念品としてのタオル、社会課におきまして、口数におきまして二千枚、一千七百枚、一万二千本及びふろしき三万枚等があるのでございます。まだ書類に、われわれの方で的確に申し上げられないものも一部にあると思っております。

赤松勇日本社会党

○赤松分科員 いよいよ事実が明るみに出たわけです。警察庁はそれを確認しましたね。発注した課、発注数量、そういったものが今明らかに報告されたわけです。私どもの調査によりますと、まず社会課が今おっしゃったように四点発注しておる。この社会課は二軒の工場に発注しております。一つは青山染工場、これに名前入りのタオルを千六百本、単価は三十円、納入金額は四万八千円、発注の日にちは十二月十二日、納入したのが十二月二十六日。同じく社会課が藤崎という工場に発注しておる。これに名前入りタオルを六千箱、単価が百円、納入金額が六十万円、発注の日が十一月二十四日、納入した日が十二月十日。同じく社会課が藤崎に注文したのが、名前入りふろしき三万枚、単価が九十四円二十銭、納入金額が二百八十二万六千円、発注した日が十月二十四日、納入した日が十一月五日。同じく社会課が藤崎に名前入りのふろしきを二千枚、単価は百二十円、納入金額が二十四万円、発注は十二月二十二日、それが年末に納入されておる。それから農地開拓課が同じく藤崎に名前入りのふろしきを三百三十枚、単価は二百円、納入金額六万六千円。同じく農地開拓課が藤崎に名前入りのタオル七百五十本、単価六十円、納入金額四万五千円。それから消防防災課が藤崎に名前入りのふろしき百六十枚、単価百五十円、納入金額二万四千円。それから税務課が同じく藤崎に名前入りの手ぬぐい一万五千本、単価は二十八円、納入金額四十二万円、これは十月二十三日に発注して、十一月五日に納入されておる。それから調査課が同じく藤崎に名前入りのタオル一千本、単価三十円、納入金額三万円、七月六日に発注しております。それから道路課が同じく藤崎に名前入りの手ぬぐい三百五十本、単価百円、納入金額が三万五千円、七月二十七日に発注して七月三十一日に納入しておる。それから母子課の方で青山染工場に対して名前入りののれん千七百枚、単価六十五円、納入金額十一万円、これは十二月二十二日に発注しておる。同じく母子課が仙台染工場に名前入りの手ぬぐい二千本、単価三十二円、納入金額六万四千円、これは四月二十七日に発注して、五月五日に納入しておる。それから同じく母子課が仙台染工場に名前入りの手ぬぐい七百本、単価三十二円、納入金額二万二千四百円、十月二十七日に発注して、十一月十日に納入しておる。それから同じく母子課が、藤崎工場に名前入りのふろしき八十枚、単価三百五十円、納入金額二万八千円、十二月十二日に発注して、十二月二十六日にこれを納入しておる。そういたしますと、合計七万二百七十点というものが納入をされて、金額にいたしまして四百六十五万六千九百円という県費がこの方に使われておるわけであります。  念のために申し添えておきますが、前の県知事選挙では七千票の差で三浦知事が勝っておるわけです。そういたしますと、七万本といいますと、約十倍のものが配布をされておる、こういう事実があるのであります。  これについて警察庁はどうですか。今私が読み上げました数あるいは発注先、発注期日あるいは単価、納入金額、課名、そういうものは誤りがありませんか、いかがですか。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 一部の事実につきましては照合いたしておりますが、私どもの方におきまして今調べておりますと、期間その他におきまして一部においてまた食い違う面もあると存ずるのでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松分科員 一部において納入期日等に誤りがあるがというお話でございますが、大体基本的にはこういう行為が行なわれているということは、先ほど警察庁の答弁で明らかになったわけであります。  そこで私は続いてお聞きをしたいのでありますけれども、この県費はすでに県会において社会党の議員を含めて賛成をして、満場一致でもって通っておるのであるから問題はない、こういうように三浦知事は言っておるのであります。ところが、私どもの調査によりますと、なるほど県会は通っておるけれども、このように名前入りのタオルを何本、ふろしきを何枚、そういったものはこの予算の中には計上されていないのであります。これは昭和三十七年二月の定例会及び九月の定例会に追加予算として出されております。その項を見ますと、これが支出をされておるのは、二月の予算説明書によりますと、遺家族等援護費がここに四百四十四万六千円計上されております。これは委託事業費として、項目をあげてみますと、夫帰還者調査究明事業費、遺家族等援護関係事務費、それから恩給進達関係事務費、留守家族等援護関係事務費、未帰還者特別措置事務費、無賃乗車証交付関係事務費、単独事業費としては、戦歿者遺児修学資金、遺族靖国神社参拝費、遺骨伝達費、各種供進費、市町村追悼式、護国神社供進費、靖国神社千鳥が渕供花料、八甲田山遭難者追悼式、県連合遺族会委託費、常盤台霊苑慰祭及管理費、未帰還者留守家族調査費、軍歴証明書、福祉事務所援護費、こういうようにずっと項目をあげまして、この中から支出をされておるのであります。  いま一つ、九月県会の追加予算の中におきましては、これは遺家族援護費として計上されております。これは福祉事務所費、事務費、扶助費、巡回相談費、補装具給付費、福祉事業運営費、点字図書館費、工事費、運営費、全国ろうあ者野球大会補助とありまして、戦傷者戦歿者遺族等援護費という中に三百十五万六千円計上されております。この中に遺家族援護激励費というのがありますが、この遺家族援護激励費の中から、十月二十四日二百八十二万六千円が発注され、十二月二十二日に二十四万円発注されておるのであります。従いまして、社会党の議員も、こういうような形で予算が計上されておりましたので、まさかこの中から手ぬぐい、あるいはのれんが飛び出すというようなことは夢にも考えていなかったのであります。そこで、手ぬぐいをもらいました長期療養者の中には、これは選挙違反じゃないか、こういうものをもらうことは良心的におもしろくないというので、ただいま返還運動が向こうでは起きております。  ここに証拠物件がございますが、これが正常な意味におけるところの公明選挙の精神に反しないかどうか、私は非常に疑問があるのであります。  まず第一に、「御見舞」としまして「宮城県知事三浦義男」、全部この紙を張ってある。それからどういうものが出されておるかというと、「剣心一如」「東北関東柔剣道大会会長宮城県知事三浦義男」、これが遺家族援護と何の関係があるのですか。「剣心一如」、こんなものが県の行政と何の関係がありますか。「道路愛護」「宮城県道路愛護会長宮城県知事三浦義男」、これは県の遺家族と何の関係があるのですか。全くひどいものです。「納税協力感謝」「祈全快」「宮城県知事三浦義男」、私も選挙にやりましょうか。法務大臣も私も愛知県だが、「祈全快」、こんなものをつくって一つどんどんばらまきますか、七万本も出せば、これは文書図画違反になりますよ。  これはのれんだ。「清和」、あまり清和じゃないですね、選挙違反ばかりやって。これを常時かけていると、これはポスターと同じ効果を現わすのですよ。もし検察庁の方でも、あるいは警察庁の方でも、こういうことが許されるというならば、われわれ大いにやりましょう。自民党の皆さんもおやりなさい。「清和」と書いて、そうしてしょっちゅうのれんに下げておけばいい。そうすれば文書図画について幾ら取り締まりをやったって、何にもならぬ。私どもが、検察庁は別として、警察へ取り締まれと言っても、あるいは選管の方でも、具体的事実についてわれわれは調べることはできぬ、あるいはそういう権限を持っていないと言う。のれんに腕押しとはこのことなんだ。  これは「漁業指導練習船新宮城丸竣工記念」。これはふろしきで、「宮城県遺族会創立十五周年記念」、これも「三浦義男」の名前が入っているのです。それから、念入りに「国民年金法施行三周年記念」「宮城県知事三浦義男」こう書いて、何を出しておるかというと、ネクタイピンを出しておる。  これは全部税金ですよ。県費です。こういうばかげたことが許されるかというのです。池田総理は国づくり人づくりなんて言っているけれども、こんなことで人づくりができますか。私どもは何度も選挙をやっておりますが、こんなばかげたことは一回だってやったことはない。こういうことを許すということになりますと、もう文書図画取り締まりも何もあったものじゃないです。常時のれんをかけておけばいい。ポスターと同じ効果があるじゃないですか。一体こういうことについて警察庁の方は何と考えますか、あるいは検察庁の方ではどう考えますか、具体的に一つ答弁していただきたい。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 ただいま具体的に配布されましたものをお示しでございましたが、それぞれの品物がその趣旨の範囲において配られたかどうかという点が一つ問題があろうかと思いますが、まず第一にあげられました剣道の関係のものは、東北及び関東の試合に際しまして配られたものでございまして、これはもちろん宮城県の選手に配られたことは事実でございますが、関東から参りました者にも配られておるものでございます。われわれの方といたしましては、これらの行為をすることが知事の行政の慣例的なものかどうか、特にその地方において従来他においてもそういうふうな慣例があるかどうかというような点を勘案して、これが行政行為であるか——私の申しました行政行為というのは、広い意味の行政行為であるかどうかということを判断の基準といたしておるのでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松分科員 今のような警察庁の考え方では、公明選挙の期待なんというものはふっ飛んじゃいますよ。関東の者を含んでおるから、従って選挙違反になるかどうかという点については疑問がある、むしろ、あなたの答弁だと、選挙違反にならないというような答弁なんです。そういたしますと、いいですか、あなたの答弁は重要ですよ。これから何かありますときに、若干他県の者を含めてそういう買収行為をやったときに、他県の者が若干加わっておればそれはよろしゅうございますか、どうですか。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 他県の者が加わっておるから選挙違反になるかならないかというようなことを申し上げたのではございませんで、あくまでも、得票を得しめまたは得しめざる目的をもって特定の行為をしたかどうかということをわれわれは判断するのでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松分科員 剣道大会の会長というのは、これは行政事務じゃありませんよ。いいですか。そういうお考えだから、間違っている。クラブ活動じゃありませんか。アマチュアなんですね。それはわかっているじゃありませんか。どうですか、行政行為ですか。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 今御質問の点につきましては、十分検討いたしまして、それはその会の構成その他によって判断すべきものだと思っております。

赤松勇日本社会党

○赤松分科員 実にあいまいな答弁ですね。そんなことでもってどうして選挙の取り締まりの公明を期することができるのですか。  例をあげましょう。これは純然たる民間のクラブ活動、アマチュアの競技です。たとえば私が何かの競技会長になる、そうして若干他県の者を入れて、後援会形式でもってこういう買収行為をやった場合、あなた取り締まれませんね。いいですか。四月には地方選挙があるのですよ。今社会党の方では、たとえばいろいろなポスターを張る場合でも、非常に厳重なあれを加えて自粛しているわけですよ。たとえば春闘のビラ一枚張るにしても、自分の名前を入れるか入れないかということについても、かなりいろいろ慎重にやっておるわけです。あなたのような解釈だったら、広い意味の選挙運動ができますから、いわゆる選挙違反活動が合法的にできますから、それは明確にしてもらいたいと思います。いかがですか。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 選挙違反の行為というものは、その具体的な行為ももちろん問題でございますが、その具体的行為のみによって判断はし得ないと思いまして、その行為の行なわれた四囲の状況その他を総合的に判断いたしまして、今申しましたような選挙運動の意思というものによってわれわれは判断いたしておるのでございます。従って、われわれの方におきまして選挙運動の取り締まりをおろそかにするというような意思は毛頭ございません。

赤松勇日本社会党

○赤松分科員 この違反行為が行なわれたのは昨年のことじゃありませんか。だから、もうすでに宮城県においてはしばしば問題になっている。現在までその具体的な捜査なり調査なりされたかどうか。具体的な状況の判断によって結論を出すのだとおっしゃるけれども、いつ結論が出るのですか。選挙はあさって終わってしまうじゃありませんか。選挙が終わってから問題にしたって何になる。まさに警察は一方的な立場に立っておるじゃありませんか。特定政党の支持の立場に立っておるじゃないですか。今まで何をやっておったのですか。これから状況判断していく、そんなばかな——これは昨年から行なわれている。昨年の三月の県会に予算が計上されて、そして実際には四月からこの選挙違反行為が行なわれているのですよ。すでに十月ごろには、宮城の民間の公明選挙連盟あたりから非常な問題になって、そして向こうの新聞をにぎわしている。警察に対しても、しばしば捜査を要求している。選挙が終わってからゆっくり状況を判断して結論を出すとおっしゃるのですか、いかがですか。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 われわれの方の選挙違反の取り締まりにつきましては、その時期、方法等を勘案いたしまして、選挙の公明を著しく害するようなものにつきましては、事前におきましても検挙することにやぶさかではないのでございます。元来、選挙運動期間中というものにつきましては、これは選挙運動を自由にする建前でございますので、そういう趣旨も勘案いたしまして、適正なる捜査を加えておるのでございます。本件につきましても十分検討を加え、現在の段階におきまして直ちに選挙違反の事実というものを発見し得ない、こう申しておるのでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松分科員 去年の四月から選挙が行なわれているんじゃないですよ。あなたのおっしゃるように、選挙期間中、疑わしいということで逮捕をしたり何かするということについては、十分慎重を期したいという気持はよくわかるのです。しかし、選挙に入ったのはごくわずかなんです。去年の四月からこういう行為が行なわれている。これについて当局は捜査をしていないとすれば、怠慢なんです。捜査をしているはずです。捜査の結果、これが犯罪になるのかならないのか、警察庁の判断はどうなんですか。もう結論は出ているはずなんです。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 ただいままで宮城県警から私の方に報告を受けております範囲におきまして、ただいま申しましたように、現在の段階において直ちに選挙違反として検挙するような十分な証拠を持っていないというのでございまして、宮城県警の状況はわれわれつぶさに承知いたしておりますけれども、その土地における知事の——知事と申しましても、社会常識的に一般にいろいろの行政的な行為がございますとともに、またその地方特有のいろいろの慣例もございまして、それらのものを総合的に判断いたしまして、現在のような結論を宮城県警の方におきましては出しておるのでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松分科員 そういう警察の態度でありますから、われわれとしては、とてもこの捜査を警察に依頼しても困難であるという判断のもとに、最高検に対して告発をしたのであります。今法務省の答弁によると、すでに現地に告発状は移送して、具体的な捜査を始めるように指示した、こういうことでありますので、私はその結果に大きな期待を寄せたいと思うのであります。どうぞ法務大臣も——これは与党、野党の問題ではありません。お互いに公明選挙をやろうということで、新しい人づくり、国づくりの基本になるのは、要するに犯罪を犯さない、法律を守っていくという精神がお互いになければだめだと思う。ことに県知事が、今あげましたような、こういうばかげたことを県費でやる、しかも警察当局は、これが犯罪になるかならないかよくわからないというようなこと、こういう態度であってはならぬと思いますので、この際私は、実は中央執行委員会も十一時から開かれますので、坪野君とかわりますが、法務大臣のお考えをお伺いしておきたいと思う。

中垣國男自由民主党

○中垣国務大臣 各種の公職選挙法による選挙が公明に行なわれることをかねて政府は期待をいたしまして、いろいろ選挙公明化運動の推進をしておるわけであります。ところが、各地における選挙でその後も違反者が出ておる状態は、まことに遺憾にたえないと思っております。引き続き政府は選挙公明化のために努力をいたしたいと思います。  それから、ただいま赤松さんの御指摘になりました宮城県の知事の問題につきましては、警察庁並びに刑事局長から答弁いたしましたように、目下所定の手続を経まして捜査に着手しておるという段階でございますので、この問題についてここで黒白を明らかにする答弁は、どの人もなかなかできがたいだろうと思います。そこで、あなたの御意見もよくわかるのでありまして、厳正公平な取り調べをしたい、かように考えております。  なおまた、与野党の違いでないということは、御指摘の通りでございまして、法務省並びに法務大臣といたしましては、もうさような不公正なことは少しも考えておりませんから、御安心を願いたいと思います。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 この際関連質疑の申し出があります。これを許します。坪野米男君。

坪野米男日本社会党

○坪野分科員 先ほど警察庁の宮地刑事局長から、知事の行政行為であるか、あるいはいわゆる買収行為であるか、選挙運動であるかの限界が非常にむずかしいのだ、こういう御答弁でしたが、知事の行政行為であっても、それが同時に選挙運動であり得る場合もあると思いますが、その点の御見解はどうですか。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 一般論として申しまして、知事がその知事の立場におきまして正当になされたる行為と選挙運動とは、範疇が違ってくるものと存ずるのでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野分科員 知事の行政行為として表面上なされても、同時に内心の意図が、特定の選挙を目ざして当選を得あるいは得しめる意図といいますか、目的を持ってなされる行為が、外形的にそれが選挙運動と目される場合があるのではないかということをお尋ねしておるのです。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 それは、ある場合におきましてはさような場合もあろうかと思いますが、われわれの方といたしましては、知事の行政行為として行なわれた場合においてさようなことがあるということになりますと、捜査上の問題として非常にむずかしい問題がある。われわれは、あくまでも知事の行政行為の範囲におきました行為におきましては、一応行政行為として認める、こういうことでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野分科員 そこで、具体的に三浦知事のこの物品の配付行為ですね。これは知事の行政行為らしくも見える、県費を出してやっているから、らしくは見えるわけですが、同時に、それが選挙運動としてなされたのではないかという疑いも生じてくると思うわけであります。そこで、従来の慣行とか、いろんなことを調べてみなければ、こうおっしゃいましたが、通常、知事の行政行為と目される程度の行為か、あるいはそれを逸脱して、県費を乱費して自己の選挙運動に利用しておる、公務員の地位を利用して選挙運動をやっておるのだと目される行為か、その限界の問題になってくると思うんですが、本件の場合、昨年五月ごろからの行為であるようでありますけれども、少なくとも十二月ごろにわたって手ぬぐい、タオル等がばらまかれておるわけでありますが、十二月ということになれば、まさに昨年の通常国会で選挙法が改正になって、政党その他の後援団体が選挙区内の人たちに金品の寄付をしてはいかぬというような規定も挿入されたわけですが、もう数カ月先に知事選挙が目の前に見えておる、そういう選挙に近接した時期において、一般の選挙民に、いろんな名目を用いてであれ、物品を配布するという行為は、きわめて疑念のある選挙運動の意図を持ってなされている、公務員の地位を利用してなされておるのじゃないかという疑惑を招くと思うわけなんです。そこで一般の慣例その他を調べた、こう言われるが、宮城県の場合に、毎年この程度の県費がこういう方面に知事の名前入りでこういった物品が配られておるというのかどうか、そういう事実をお調べになったのかどうか、最初にお尋ねしたいと思います。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 従来の慣例、その他行なわれている事実につきましては、もちろんそういうことを判断の基礎といたしますから、これらにつきましてはわれわれの方でも検討いたしておるのでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野分科員 具体的にお尋ねしているのは、現在までの捜査の段階で、昨年度なり一昨年度なり、三浦知事が過去四年間に同じような形で——金額に多少の差はあっても、こういう形で県費が支出され、また知事個人の名前入りで物品が配布されておるのか、あるいは選挙の前の年になって急にこの種の予算を組んでばらまいておるのか、全国の例もありましょうが、宮城県の場合に具体的にその点を捜査になったかどうか、お尋ねしておるのです。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 先ほども申しましたように、そういうことが判断の基礎となりますから、もちろんそういう点を検討いたしておるのでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野分科員 検討いたしておるということですが、その結果、まだ今私のお尋ねした事実だけでは従来とちっとも変わらぬというわけですか。従来のの慣行通りやっているというわけですか。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 具体的に完全に一致するとは申しませんけれども、行政的にある時期にぶつかった行事もあり、その他について検討しているわけでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野分科員 そこが問題なんであります。捜査中であるから内容の詳細について言えない、こういうことかもしれませんけれども、われわれの推定としては、選挙の前の年になって、現職の地位を利用して、県費を乱費してこの種の会合に記念品をばらまいておるというような例は、おそらく全国どこにでも、多かれ少なかれ、あるのではないかということが推察されるわけであります。この宮城県の場合も、おそらく毎年いろんな名目で同じような形で支出されておるということであれば、特にこの二月の選挙をねらったというような意図を推測することは薄れてくるかもしれませんが、この選挙を目ざして一年間に集中的にこの種の行為がなされておるということなら、やはり知事の地位を利用しての選挙運動をやったのではないかという疑惑を与える一つの根拠になるだろうと思うので、その点徹底的に追及を——むしろ、これは検察庁の公正にかけて私は徹底的な追及をお願いしたいと思うわけです。  なお、その宮城県の場合以外に、全国的に、特に知事が大きな権力を持っておりますから、県知事の場合が多いと思いますが、あるいは大都市の市長も同様でありましょう、現職の地位を利用してこの種の会合に記念品その他の名目で物品を配布しておる慣例、その慣例なるものが、選挙に近接した時期においてこういった物品が配られておるというような事例を相当お調べになったかどうか、お尋ねしたいと思います。

宮地直邦警視監(刑事局長)

○宮地(直)政府委員 われわれの方におきましては、さような事例につきましても、もちろん関心を持って検討いたしておりますし、今申されたような疑いを持たれる事例というものもございます。

坪野米男日本社会党

○坪野分科員 おそらく全国的に相当あると思う。現職の地位を利用して、しかも公費を使って選挙運動を実質的にやっておるという例が多数あると思う。しかも、との宮城県知事の場合にも問題になるのは、こうして選挙が近づいてきて、しかも候補者に目されておる人が県費を出していろいろな記念品を出すにしても、どうしても宮城県知事という名前が必要であれば、宮城県知事とまで書いても、三浦義男という個人の名前はなくとも、日本中に宮城県知事に当選した知事は一人なのでありますから、特に固有名詞を書かなくても事足りると思う。あるいは宮城県、あるいは何々課というようにして、事前の場合、少なくとも候補者と目されておる人の名前は、こういった物品を贈与する場合は遠慮すべきじゃないか。きわめて不謹慎な行為だと思う。全国的にもそういった悪例が相当ある。しかし、そういう慣例は悪い慣例であって、今回の知事選挙のこの事例を契機にしてそういった悪い慣例は改められなければならないと思う。その意味でも、そういった慣例が全国的にどういうように行なわれておるか、また、なぜ特に名前まで書き入れなければならないのかという点についても、なるほど知事の行政行為だ、名目はそうでありましょうけれども、その行為の時期なり、その方法なり、あるいは従来の慣例その他との比較において、地位利用の選挙運動行為ではないかと目されるような事実があれば、もちろん厳正に取り締まり、あるいは法的な措置をすべきでありますけれども、かりにそこに至らないとしても、そういった疑惑を招くような行政行為、選挙に近接した時期における現職の地位を利用しての金品贈与という行為に対する取り締まりというか、そういうものに対する措置をきびしくする必要があると考えられるのでありますが、この点について法務省の御見解を大臣からまず伺いたいと思います。

中垣國男自由民主党

○中垣国務大臣 知事が職務行為として正当に行ないます場合に、たとえば授与する場合とか、あるいは贈る場合に、記念品等、そういうものに名前を入れることをとめるということは、これはできないと思います。ただ問題は、事前運動としてまぎらわしいような場合、そういうものは自粛しなくちゃならぬでしょうが、いかなる場合でも、知事が公金をもちまして選挙違反とはっきり指摘できるような事前運動を行なうというようなことは、これはよくないと思います。そういう問題につきましては、今あなたの言われましたように、単に宮城県知事の問題でなく、全国的にそういった傾向があるかどうかわかりませんが、御指摘のようにそういうことが想像されるということでありますので、十分検討、調査をしてみたいと思います。

坪野米男日本社会党

○坪野分科員 知事の行政行為として各市で知事の名前が出るということは当然のことだろうと思う。賞状その他で知事の名前を出して授与するということも通例行なわれておりますが、記念品を配る場合に、記念品の表紙、またその中身の物品そのものに知事の氏名まで染め抜くというようなことが、知事の行政行為として通常必要な行為なんだろうかどうかということも、常識的に考えてみる必要があるのではないかと思うわけであります。  そこで、今問題になっておる宮城県知事の場合でございますが、選挙にきわめて近接した時期に、おそらくこの選挙を目ざしての物品の配布であると目される事案だとわれわれは確信しておりますが、その点について厳正に一つお調へいただいて——なるほど、知事の行政行為という名をかりております。けれども、その実が、選挙運動でないという言葉で言うだけでは、選挙運動であるか、ノーか、判定できないわけであります。その行政行為であるという外見にかかわらず、その内心の意図がやはり選挙を目ざしての行為であると判定できる場合には、一種の脱法行為としてそれは選挙運動をやっておるんだ、その金の出どころがどこであれ、やはりそれは脱法行為として選挙運動をやっておるんだと断定できる場合に、あるいはそのように認定される場合には、やはり形式上は行政行為であっても、選挙違反としてこれは厳正に処断をしなければならぬと思う。われわれとしては、明らかに本件の場合は地位利用の選挙運動をやっておるものと確信いたしますが、検察当局あるいは警察当局においても、ただ形式的にこれを免れしめるという見地から行政行為だというようなのがれ方をせずに、あるいは全国にそういう悪例があるから、これも選挙運動という意思を推測できないというようなことでのがすことなしに、今後の問題もありますから、一つ厳正にお調べいただいて御処断を願いたいと特に要望して、関連質問を終わります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 勝澤芳雄君。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 私は大臣によく聞いておいていただきたいと思うのですが、一時間働いて二十五銭もらっている。一時間で二十五銭、一日八時間働いて二円、二十五日間、一カ月働いて五十円の月給をもらっている、こういう人が、法務省の管轄しておる中におるわけです。私は大へん驚きまして、これを調べてみました。昨年の八月三十日に決算委員会におきまして——当時、週刊朝日に推理作家の水上勉さんが「飢餓海峡」というのを書いておりまして、その中で、網走刑務所から仮釈放された木島、沼田、犬飼という三人の人が再び犯罪を犯した、そしてその捜査にきた網走刑務所の巣本という看守部長が、刑余者の更生について、せめて、刑務所から仮釈放されるときに血のついた領置品を着せて帰らせないで、さっぱりした帰る衣類などを着せてやってくれたら、こういう事故も少しはなくなるんじゃないだろうかというような述懐をされております。そこで、刑務作業の賞与金の中身を調べてみましたら、先ほど私が言いましたように、服役をして第二類の作業をする、そして見習い工で一時間二十五銭だ。けさ私も、一体こういう一円以下のお金があるだろうかと調べてみたら、今はないわけでありまして、こういう驚くべき現況があるわけであります。そしてなお内容を調べてみますと、たとえば三十五年で被収容者の作業賞与金は一億三千八百三十三万円払っている。しかし、この人たちに作業さしておる収入金は幾らかというならば、二十八億四千三百六十六万円である。三十七年度を見てみますと、支払った賞与金が一億八千七百六十三万円で、作業収入は三十億一千九百八十万円である、こういう現況であるわけであります。これは幾ら罪を犯した人だといいましても、作業している内容でも、たとえばこの間北海道の雪おろしが一日二千円だといわれておる。一日働いて二円だというのは、あまりにもいけないじゃないだろうか。この人たちが刑を終えて帰るときに、平均を聞いてみますと、十五カ月の刑だといっておりますが、その十五カ月たって帰るときに、千二百円程度しか持って帰らない。その中には気の毒な人もあるわけでありまして、こういうところから考えてみると、あまりにも時代離れした状態が続いておるではないだろうか、こう思うわけでございまして、これらの点について私はこの前八月三十日の決算委員会で指摘をして、せめて三十八年度予算では少しふやしたい——少しふやすもふやさないも、話にならぬ金なんですけれども、どうなっておるか、ちょっとお尋ねしたい。

中垣國男自由民主党

○中垣国務大臣 お答えいたします。  囚人の在監中の勤労に対しましての報酬でありますが、これは労働基準法等による報償ではないことは御承知の通りでありまして、そういう意味で正当な報酬であるとは実は私どもも考えておりません。またそういうものは出すべきものではないと考えておるのであります。しかしながら、本人が刑務所から出所いたしますときに持って出る金を何とかして少しふやしたい、こういう考え方で努力をいたしておるのでありまして、数字のことは、局長が来ておりますから、あとで局長から説明をいたさせますが、三十七年度よりも四割くらいふやしまして、出所の際の現金をふやしてあげる、こういう考え方を持っておるわけであります。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 私もこれを初めて知ったわけでありますから、大臣も、縁のないことですから知らなかったと思います。そこで局長の方から、この際、大臣にも、あるいはほかの人たちにも知ってもらうために、ぜひ一つ御説明をしていただきたいと存じます。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤(一)政府委員 受刑者が釈放されます場合に持って出ますいわゆる作業賞与金の問題でございまして、先生方に釈迦に説法のきらいがございますが、その性格等についての考え方にもいろいろあろうかと思うのでございます。受刑者が刑務所で作業に従事する、その労働に対する報酬をどう考えるかという問題があるわけでございまして、懲役刑であるために、これは財産刑じゃないのだから、本人の作業を課せられたものに対するその労働収入は当然彼らに所属すべきものである、いわゆる懲役刑は財産刑じゃないというような考え方から、それに給付すべきであるという考え方が一つ出てくるわけでございます。また、他の面から、受刑者がここで勤労にいそしんで、みずから勤労の習慣を体得する、そうしてなおその収入も働いただけよけいにもらえるということになりますと、勤労に対する報酬がふえるということになりますると、ますます勤労に励むということで、将来勤労精神を高めるという意味で大いに効果があるというような面から、本人の勤労に対しての報酬は本人に帰属すべきであるという考え方が出てくるわけで、また世界の監獄関係の会議でも、さような考え方が理想であるというようなことがいわれておるのでありますが、現実問題といたしまして、刑務所の作業収入の現状は、その生産高は一般企業の百分の一くらいでございます。これは設備投資の関係もございますし、また刑務所は受刑者に作業を課するだけではございません。われわれとしましては、本人の精神的な教育ということに重点を置いて、むしろ作業というものは、一つの本人の精神的な立ち直り、あるいはまた将来社会に戻りました場合におきまする生活態度を、勤労中心になしていくようにという教化手段といたしまして作業を課しておるというような状況でございまして、いわゆる普通の勤労、生活手段としての勤労とやや趣を異にする。かようなわけで、働ける者もありますが、それじゃ病気の者をどうするか。受刑者中には相当病気の者も多うございまして、それらは病舎に入ってただ医療を受けるだけで、何ら作業もできない。賞与金を作業に対する報酬と見ますと、さような者には一銭もやるわけにいかぬということになるわけでございます。また、刑務所の中の作業でございますので、本人の得意とするような業種もこれまた全部をつくるというわけにもいかぬ。ある者は金属工の熟練工であっても、その施設ではその人のために一つの作業ということもできないというので、本人の不得手な仕事にもやはり従事しなければならぬというようなことで、本人の勤労に対する報酬を与えるというようなことは、これは事実上、実際の実施面において不可能なことであります。そこでわれわれとしては、刑務所の作業というものは教化手段としての作業と考えまして、これらの者に対してやはり勤労の喜びというものを与えるために、全然それに対する報酬もないというわけにも参りませんので、そこで作業賞与金という形で今実施しているわけであります。  その金額の問題でございますが、ただいま御指摘になりました文章にも出ておるようでございますが、刑期を終えて出てきて、一晩酒を飲んだらその金がなくなってしまう、そしてまたあしたから無一文になって、直ちに職もない、行く先もない、犯罪に走らざるを得ないというようなことで、生活ができないということが再犯の大きな原因になっておりますので、われわれとしましては、本人が社会に出まして一応立ち直る間だけの生活資金というものを与えたいという考えでおるわけでございます。そのめどをどこに置くかという問題でございますが、われわれ行刑当局といたしましては、大体現在の生活扶助の最低の一カ月半というところを目途に給付したい。大体今までの経験を見ますと、本人に職がない、そういう場合の生活扶助等を受ける場合の実際の手続が、現実に金をもらうまでに一カ月かかるというので、一カ月だけのつなぎは何とかしてやらなければ、再び犯罪に追いやるものであるというようなところから、大体一カ月半というのを目途といたしまして要求しているわけでございます。昭和三十八年度におきまして、ただいま御審査をお願いしておりますこの予算案におきまして、総金額におきまして四〇%の増額を、大蔵事務当局と話し合いの結果計上しているわけでございます。これが実施されますと、大体ただいま御設例のございました、十五カ月で出所します場合に本人に全期間を通じまして給与すべき金額というものが四千三百九十七円、現行規定におきましては二千六百八十一円。しかし在所中に本人の通信費とか、あるいは本人のいわゆる自家用品と申しますか、そういうようなそれぞれの金額がございまして、今のわれわれの計算では、今後の規定で出所します場合は三千六百四十三円、今までの現行規定でございますと二千二百二十一円、六四%の増となるわけでございます。この三千六百四十三円という金額は、大体生活扶助の最低の一カ月分に近い金額になるわけでございまして、とりあえず本年度はこれを給付いたしまして、さらにわれわれといたしましては、その増額につきましては引き続き事務当局で折衝をいたしまして、目標の一・五カ月まで持っていきたい、かように考えておる次第でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 私は法律的なこともよくわかりませんけれども、常識的にものを言っているつもりなんです。今のお話を聞いておりましても、十五カ月入っていて、それで出てきたときに三千六百四十三円だ。この間の北陸で雪の労務者が一日二千円だ。こっちは十五カ月入っているわけです。今あなたが四〇%アップしたと言いましても、入ったばかりの人は第二類作業の見習工で一時間二十五銭、八時間作業で二円、四〇%アップでも二円八十銭ですか、前時代的な計算がまだされているわけです。現行の一等工が一時間二円二十銭、二等工が一円二十銭、三等工が六十五銭、四等工が四十銭、見習工が二十五銭。これは理論的に根拠はどうだという質問をしたって、何もないと思うのです。また、こんなのを理屈をつけること自体がばかばかしいことなんですよ。ただやはり、少しでも再犯を犯さないようにするにはどうしたらいいかということを真剣に考えてみれば、入っている人たちの家庭というものは相当気の毒で、それが出てきてあたたかい家庭に迎えられて再犯をしないようにすればいいけれども、それ自体が——先ほどの、これは小説ですから真偽はよくわかりませんけれども、小説で出ている看守部長でさえも述懐をしている。これは、だれもこういうことはあまり言う人は私はないと思うのですが、あなたの方が幾ら言っても理論的なものじゃないわけです。今、これが恩恵的なものだとか、あるいは労働報酬じゃないとか、これはあたりまえのことだと思うのです。けれどもやはり、この人たちがある程度中で働いて、三十八年度予算を見ましても三十四億もうけさせているわけです。三十四億のうち出しているのが、今度四〇%上がりましたから、二億五千万だ。三十四億の収入をして、二億五千万賞与金に出ている。単価を見ればまさに——一円以下の金なんというのは計算がないわけです。よく私言うのですけれども、子供に肩をたたいてくれといったって、今じゃ十円や二十円じゃ子供だって肩をたたかないでしょう。そのような二円とか二円八十銭というのが支払われておるわけですから、これは理屈以前の問題だと思うのです。だから、こういうところでも考えなければならぬ点があるということを、あなたはよく知っているでしょうし、大蔵省だってこれはわかっているはずなんですから、これはやはりもう少し、一年半、一年五カ月入っておったら、まあ一万円ぐらいのものは持たせてやる。そうしてうちへ帰って、子供のある人なら子供にもみやげを持って、子供のはだ着一つくらいも——刑務所へ入っていてみやげを買ってきたというのもいいか悪いかよくわかりませんけれども、やはりそれくらいのことをして、再び罪を犯さないようにしてやることが、私は必要じゃないだろうか、こう思うのです。一つ、大臣、あまりいい予算の要求じゃないかもしれませんけれども、そういう点でお考えをいただきたいのです。

中垣國男自由民主党

○中垣国務大臣 お答えいたします。  ほんとうに御意見の通りだと思いまして、できるだけ二度と犯罪を犯さないように、在監中にあらゆる意味の精神的な訓練、また職業的な訓練、そういうことをやっておるわけでありますから、そのことが少しでも出所しましたら役立つように指導をすべきであるというふうに考えておるわけです。もう一つは、やはり出所しましたときにお金がないということが、再び犯罪を犯すということにも直結するかと思いますので、出所時にできるだけたくさんの現金を持たして帰したい、そういう考え方で、ことしは若干の増額をしたわけでありますが、増額をいたしましても、なおこれが少ないということは、私もあなたと同様に考えております。なかなか一ぺんに二倍にも三倍にもするということはできないと思うのでありますが、できるだけ法務省としましては努力しまして、出所しまして少なくとも一カ月や二カ月、就職等がかりにできなくても、犯罪等を犯さなくとも生きていかれる程度のことには、人道的な立場からいってもしてやらなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 資本主義の世の中ですから、雲やかすみを食って生きていくわけじゃないのですから、これは私が言わなくても十分、その衝に当たっておられるからおわかりになっておると思いますが、三十三年には二割、三十七年には二割、ことしは四割だと言われておりますから、来年はせめて倍くらいにして——ある程度作業で収入を得ているわけですから、ほかの方に予算を回す必要もないわけですから、やはりその中で少し考えてやるようにぜひしていただきたいと思うわけでございます。  それから次に、最近刑務所の移転の問題が各所に起きているようであります。今までは町はずれにあった刑務所が、町が発展すると同時に、町の中になった。町の中に刑務所があるのでなくて、刑務所が町の中になってしまったわけであります。こういう点から、当然移転についてもいろいろお考えになっておると思うのですが、全国で今こういうような状態になっておるところが、どのくらいあるでしょうか。

新谷正夫検事(大臣官房経理部長)

○新谷政府委員 御質問のように、各地におきまして、都市の発展に伴いまして、従来町の周辺にございました刑務所が、都市の中央部に位するというような結果になりまして、都市の発展上非常に困るというふうなことで、各公共団体におきまして、刑務所を適当なところに移してもらいたいというふうな御要望が出ておるのでございます。ただいまのところまだ確定しておりますところはそうたくさんあるわけじゃございません。昭和三十五年度以後、国庫債務負担行為というふうな形式におきまして国会の御承認を得まして、逐次可能なところから刑務所の移転に取りかかっておるわけでございます。三十五年度におきましては、名古屋と福岡が御承認になりました。三十六年度におきましては、松江と滋賀の刑務所の移転につきまして、同じく国庫債務負担行為という形式で御承認いただいたわけでございます。昨年度、三十七年度におきましてはありませんでしたが、三十八年度の予算におきまして、静岡の刑務所の移転のために、国庫債務負担行為といたしまして七億四千二百万円の御承認をいただくようにお願いしておるわけでございます。そのほかにもだんだんと移転の御要望の出ておるところはございますが、まだ話が具体的にいずれも煮詰まっておりません。国会の御承認をいただく手配までまだできないのでございますが、今なお具体的にそういう計画が地元で行なわれておるというふうなところを一、二申し上げますと、新潟でございますとか、あるいは徳島でございますとかというふうなところが、だんだんと話が上ってきておるような状況でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 この刑務所の移転の問題で、いろいろとやはり地元の負担等々の問題で隘路があると思いますが、地元からいうならば、これはやはりなるべく早くやってもらいたい、しかしなかなか負担ができないという点で、お互いの希望がかち合って、なかなか進んでいないようでありますが、おもにこの障害になっているというような点はどんな点なのでしょうか。

新谷正夫検事(大臣官房経理部長)

○新谷政府委員 特に障害になっておりますと申しますと、何と申しましても、刑務所を移転するということになりますと、施設が非常に広大なものでございまして、この移転先をどこにするかということがまずめどがつきませんと、地元の公共団体におきましても、具体的にこうしてもらいたいという話が進まないわけでございます。私どもの方といたしましても、全国に六十近い刑務所を擁しておりまして、これがいずれも、古いものは明治初年にでき上がったような古いものでございまして、逐次その施設の改善をはかって参っておるわけでございます。年々予算にも計上いたしまして、少しずつその施設の整備充実ということをやってきておるわけでございます。ところが刑務所の移転ということになりますと、一挙にこれを解決するというふうなことになりますので、現在の財政事情から申しますと、国の方といたしましても、なかなか一度にこれを解決するということは困難でございます。地元の公共団体におきましても、まず敷地を物色しなければならぬというふうなこともございますし、私ども国の方の立場からしましても、たくさんかかえております収容施設の整備充実というような問題とにらみ合わせまして、逐次これをやっていかなければなりませんので、一度にどれもこれもというわけには参らないというのが現在の実情でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 三十八年度に計画されておる静岡の刑務所の問題については、大体の計画あるいは完成のアウトラインはどうなっておりますか。

新谷正夫検事(大臣官房経理部長)

○新谷政府委員 静岡につきましては、この話が出ましたのはもう数年前からのことでございます。地元におきましても予定地の物色等に日時を要しましたし、また刑務所が移転しました跡地をどう利用するかというふうなことについても、いろいろの御計画があったようでございますが、昨年あたりからだんだんとそのめどがついて参りましたために、ただいま申し上げましたように、七億四千二百万円のワクを設けていただいて、それで一つこの移転の事業を完遂しようじゃないかということになったわけでございます。静岡の刑務所につきましては、御承知と思いますけれども、これは明治二十五、六年ごろにでき上がったものでございまして、ただいまから約七十年ばかり前のことでございます。その当時、駿河城址にこの刑務所ができ上がりまして、当時の静岡の人口が約二万というふうに言われておったようでございます。現在におきましてはこれが三十数万人の大都市になっておりまして、当時の駿河城址も現在では静岡の中心部に位しまして、その近傍には官庁、銀行、会社等がだんだんとできて参りました。静岡市の将来の発展のために、収容施設がそういう位置に位するということは非常に困るというふうなことに相なってきたわけでございます。静岡市の計画といたしましては、刑務所が移転しましたあと、それをどう利用するかということが当面問題のようでございましたが、私どもの承知しておりますところでは、刑務所の移転しました跡地に博物館とか図書館とか、あるいは文化館あるいはまた野外劇場、一般市民のいこいのための広場とかいうふうなものをつくり、さらに二十メートルの幹線道路をそこに通すというふうな、公共的な目的のためにその跡地を利用したい、こういう御趣旨のようでございます。そういうことでございますれば、国といたしましても、市の方のいろいろの将来の計画も十分考慮いたさなければなりませんし、また先ほど申し上げましたように、静岡の刑務所自体がすでに七十年を経過しておりまして、相当朽廃いたしております。これはこのまま維持できるというものでもございませんので、法務省としましても、早晩改築しなければならないという事態に至っておりましたので、静岡市の御要望にもこたえ、また法務省の収容施設の改善充実というような観点からも、静岡の刑務所の移転問題に踏み切ったということになっておるのでございます。  予定地といたしましては、静岡市の北東になりますか、約五キロ半ばかり離れたところに上地というところがございます。まだほかにも一、二カ所候補地がございましたが、慎重に検討いたしました結果、その上地地区が適当であろうということで、一応の候補地としてそこを予定しておるわけでございます。現行の施設は約一万七千坪くらいの敷地でございまして、その上にございます収容施設は約六千坪くらいだったと思います。何しろ七十年前にできました施設でございますので、一万七千坪では今後の収容施設としては十分ではございません。これからつくるといたしますと、大体二万五千坪くらいの敷地が必要であろう。なお、収容定員も六百人くらいを予定いたしまして、ただいまの七億四千二百万円の範囲内で刑務所の移転を完遂いたしたい、かように考えておる次第でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 大へん長い懸案でありまして、地元の要望がありましたものが、法務省の英断で曙光が見えて大へんうれしく思うわけでございますが、まだ全国にもこういう点がたくさんあると思うのでございます。結局、昔はよかったけれども今は、ということになるわけでありまして、たとえば鉄道の方なんかでも、東海道線が通っている南に町ができてしまった、鉄道がじゃまになる、これは高架にしなければならぬというときに、やはり鉄道と地元の負担という問題がいろいろあるわけであります。国からいうならば、こういうものについては地元負担というのも——当然それは地元の要請によってやらねばならぬことですけれども、しかしそうはいいましても、国全体からいうならば、これはやはり経済的な変革によって起こってきている現象であるわけでありますから、一つこういう点なんかにつきましても、今以上に積極的な国の施策をもって、できるだけ早くこういうものが推進されるように、特に私は要望いたしておきたいと存じます。  またこまかい問題につきましては、いずれ別の機会に譲ることにいたしまして、きょうはこれで私の質問を終わります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 西村関一君。

西村関一日本社会党

○西村(関)分科員 私は主として宗教教戒師の問題と保護司の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  池田総理は口を開けば国づくり人づくりということをお仰せになりますが、現在矯正施設に収容せられて、りっぱに社会に復帰しようと願っておりまするところの者たちのために、矯正局を中心としていろいろ施策を講じておられるわけでございますが、その中におきまして宗教教戒師の持つ使命というものは、特殊なものがあると思うのでございます。これは死刑囚に対する特別な教戒ということをも含めまして、またさらに、りっぱに社会に復帰しようとするところの収容者諸君に大きな光明を与える、力を与える、そういう働きであると考えるのでありまして、このためにどれだけ更生の希望と力を得てりっぱに立ち直った者があるかわからないと思うのでございます。しかるにこの宗教教戒師の立場と申しますか、それはまことに不安定なものでございまして、法的には何らの根拠を持っておりません。多くの場合、特殊面接員を兼ねておりますから、その方面におきましては一つの根拠がございますけれども、宗教教戒師の立場におきましては、何らの根拠を持っていない現情でございまして、その働きの重要性にかんがみまして、全くのボランティアーとして奉仕をいたしておるのでございますが、こういう点につきまして、これをどのようにこの実績を生かしていったらいいか。この宗教教戒師の果たして参りました実績を、どのように矯正行政の立場から評価し、どのようにこれを前進せしめたらいいかというふうにお考えになっていらっしゃるか。後ほど総括的に大臣にお伺いをいたしますが、矯正局長の御意見を承りたいと思います。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤(一)政府委員 ただいま御指摘のございましたように、受刑者あるいはまた少年院の収容少年等に対しまする教化教育上宗教の果たします役割は、筆舌には尽くし得ない大きなものがあると存ずるのでございます。われわれといたしましては、宗教的情操の涵養、これによりまする日常生活の規正、また宗教によりまする真なるもの、善なるものへの追求といったような観点から、これは大いに推進すべきもの、かように考えておるわけでございますが、ただ憲法に、国としまして宗教活動を直接してはならぬ、またこれに財政的支出をしてはならぬという規定がございますので、勢いわれわれといたしましては、みずからこれを推進する、実施することかできないわけでございます。さような関係からあくまでも宗教家の自発的な御協力にお願いするという以外に一歩も出るわけには参らないのでありまして、この点常々施設に御協力下さいます宗教家の方々に対しまして、心から感謝と敬意を表しておるわけでございますが、さりとてこれを国の制度に取り入れるということも目下のところ不可能な状態ではないか、かように考えておりまして、行政上の手段といたしまして、施設にお越し下さる宗教家の方々に対しましては、その実施にできるだけの御便宜をはかることにするということ以外に方法はないわけでございます。その点はなはだ残念でございますが、われわれとしましては、精神的な援助ということ以外に今のところなし得ない状況でございまして、宗教家の熱情にただおすがりしておるというところでございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)分科員 憲法上の問題につきましては、ただいま局長の御指摘になりましたような点について、国としての配慮がありますことは当然だと思うのでございます。御承知の通り、宗教教戒師の宗教教戒の実施にあたりましては、管区なりまた施設の御協力によりましておおむね円滑に働きが実施されておると思うのでございます。宗教者の側から申しましても、これは一宗一派に偏しないで宗教教戒師を施設に推薦いたします母体をつくりまして、たとえば何々の宗教連盟というような母体によりまして、そこから推薦を申し上げる。またそれは施設の側から申しますと、即推薦母体というような形をとりまして、公正に、一宗一派に偏しないように宗教教戒師が施設に入りまして教戒に当たらせていただいておる、こういう現状でありますことは局長も御存じだと思うのでございまして、そういうような配慮のもとに今日まで宗教教戒が行なわれておりますし、施設といたしましては、憲法上の問題がございますから、宗教教戒と表には銘を打たないで、一般教戒あるいは個人面接、工場教戒というような形で行なわれておりますことも、御承知の通りだと思うのでございます。そのような非常に重い仕事を、各宗教者の人々がやっておる。これに対してただ精神的な援助を与える、宗教教戒がしやすいようにできるだけ協力する、こういう受け身の立場と申しますか、消極的な立場と申しますか、そういうことだけで済まされていいものだろうか。もちろん、宗教家は報酬などは求めておりません。そういうことのために一人でも更生をする者が出るならば、それをもって無二の報酬である、それを喜びとして、どのような時間的な、労力的な犠牲を払いましても喜んで御奉仕をいたしておると思うのでございます。しかし国の側から申しますならば、そのような宗教家の奉仕の念と申しますか、そういうものだけにゆだねて、それに何ら物質的に報いるところがないということでは、私は済まされないのじゃないかと思うのであります。制度化するということは、今仰せられましたようにいろいろ疑義がございますし、問題がございますから、それはまた真剣にどうするかということについて政府においても、宗教者の側におきましても、ともどもに検討しなければならぬ問題であろうと思いますけれども、現在の事態におきまして、何らかこういう労苦に対して報いる措置を講じていただく、そういう配慮が必要じゃないかと思うのでございます。それには施設の教戒に要する費用というものは、施設の収容者の更生費と申しますか、そういう費用の予算を少しでもふやして、それを宗教教戒師の方々の費用の一部に充当するといったような配慮も、一つの方法ではなかろうかと思うのでございますが、今日具体的に宗教教戒師に対する何らかの配慮をされたことがあるかないか、その点お伺いしたいと思います。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤(一)政府委員 ただいま御質問の点でございますが、われわれといたしまして宗教家の方々が進んで施設にお越し願いまして、いろいろ本人たちのために御指導願っておるのでございますので、施設の内部でできまする設備でございますとかその他のことにつきましても、これは経費の問題で設備費とかいろいろございますので、それ相当の設備をして、お話ししていただくのにふさわしい場所をつくるとかいう点については十分配慮をしておるつもりでございます。それからまた、予算の中に宗教謝金を認められておりまして、それが刑務所関係で二百十二万七千円、少年院関係で四十四万九千円となっておるわけでございます。これらの費用はきわめて僅少な費用でございますが、われわれといたしまして、収容者の信教の自由を守るということも、これまた国の責務であろうかと存じますので、これに要します費用といたしまして、民間宗教家の方々に対しまして、その範囲内におきまして大体お越し願う。非常に金額は少のうございますが、車馬賃の一部の実費弁償という形で支出しているわけでございます。これとても決して十分な額とは申せませんので、今後、過去の実績等に徴しましてその増額を要求したい、かように考えておる次第でございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)分科員 その宗教謝金につきまして三十六年度、三十七年度、それから三十八年度の要求額をお示しいただけませんか。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤(一)政府委員 三十六年度から七年度にかけまして、宗教謝金が百五十九万三千円の増額になっておりまして、本年度は前年度とほぼ同額でございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)分科員 全国の少年院には七十四万人、それから全国の刑務所には百九十万人の者が収容されておるわけでございまして、そこに特殊奉仕者としての宗教者が入って宗教教戒に当たっておるわけでございますが、それに対する謝金としてはあまりにも少額である。三十八年度において三十七年度と同額のものしか要求してないということは、これは法的な制度ではないからということではございましょうけれども、初めに申し上げましたように、その宗教家の払って参られたところの労苦並びにその実績というものに比べてみますと、あまりにも当局の熱意が足りないのじゃないか、宗教謝金というものが認められておりますならば、せめてその額をふやしていくというお考えがあってしかるべきだと思うのでございますが、その点いかがでございますか。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤(一)政府委員 ただいま御指摘の受刑者の数は、もう少し少ないのでございます。  われわれとしまして、かような篤志者の方々に対しまして、少なくともできるだけの実費弁償だけはいたしたいという考えでおるわけでございまして、本年度は前年度と同額でございましたが、今後さらに事務的な折衝を重ねまして、その増額に努力していきたいと存ずる次第でございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)分科員 これは事務当局を責めるつもりはないのでございますけれども、そのようなきわめて微々たる予算でありましても、管区において、あるいは施設においてまま流用される場合が多いと思うのであります。これは管区並びに施設の予算があまりにも貧弱であるから、宗教者の謝金まで流用しなければならないというのが現状じゃないかと思うのでございます。こういうようなことでは、私は矯正保護の実績を上げることはむずかしいと思うのです。もちろんいろいろな関係がございまして、十分な予算をつけるということはむずかしい事情もあろうと思いますけれども、こういうことでは、宗教者といえどもかすみを食って生きておるわけではないのですから、やはり国としては、そういう宗教謝金が認められておる以上は、できるだけそういう面からも一つ労に報いる深い配慮をしていただきたいと存じます。それから宗教教戒師といたしましては、御承知の通り、研修会を行なっております。また宗教教戒師相互の親睦、連絡、提携、研さんを重ねる意味から、管区ごとに会合を持ち、あるいは全国的な会合を持つなどいたしておりますが、そういうことのためにも相当多額な経費が要っておるわけなんでございます。これらに対しても全然国の費用を受けるということはできないで、宗教者自体が乏しい財布の中から出し合ってお互いに研修をし、お互いに協力をし合っていくというようなことをやっているのでございます。これに対して政府の方としては、全然配慮がなされていないという実情であるかと思うのでございます。一般の経済界や篤志家の寄付を仰いで、苦しい中からそういうことをやっているのが現状でございます。これも当局としては今後どういうふうにしようとお考えになっていらっしゃいますか。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤(一)政府委員 宗教職の教戒師の方々が、宗教教戒のあり方、あるいはその方法、つまり施設内における受刑者の教育の具体的方法等につきましていろいろ御協議、御研究をしていただきますために、全国的な大会あるいは各管区ごとの集会をお持ちになりまして、われわれの矯正教育の効果の上がるように御努力願っておることは、御指摘の通りでございます。われわれといたしましても、その御努力に対しまして、またその御熱意に対しまして、常々感謝をしているところでございますが、目下のところ予算的な裏づけもございません。従いまして、われわれといたしましては、現在できますことといたしまして、人的な御援助、資料作成等についての労力の奉仕というような点で御援助申し上げておる次第でございますが、そのほか矯正職員で組織しております財団法人矯正協会というのがございまして、それらの予算の中におきまして、きわめて金額は少のうございますが、それに対して一部の補助をすることもいたしておるわけであります。しかし、これとてもここで申し上げるほどの金額でもございませんので、われわれとしましては、何とか御援助できるような、特に経済面における御援助を申し上げることのできるような方途をさらに検討していきたい、かように存じておる次第であります。

西村関一日本社会党

○西村(関)分科員 大臣にお伺いいたしますが、ただいまお聞き及びの通り、宗教教戒師の持つ役割、その任務、責任というものは非常に重大でございますが、このような状態のまま、宗教者の宗教的な奉仕にゆだねられておるという現状でございます。今お聞き及びの通り事情がございますが、しかし、実際的には何ら経済的な援助が行なわれていないという状態でございます。私自身も、終戦以来ずっと今日に至りまするまで、滋賀の施設の宗教教戒師を現在もいたしております。国会が多忙でありましても、私は月に一回は必ず施設の中に入りまして、個々の受刑者の方に面接をし、また、いろいろ工場や講堂において話を申し上げるというようなことをずっと続けております。過去十年来続けておるのでございまして、これは私自身、そのことにつきましては一つの喜びを感じ、また誇りを感じて、こういうお仕事にたずさわらしていただいているということは、特に国会に議席を持つ者の一人として、自分自身の自戒のためにもなるということで、喜んで私はさしていただいておるのでございます。しかし、全国の多くの宗教教戒師の方々の中には、やはり経済的に非常に苦しい生活をしておいでの方が多いのでございまして、むしろそのために自腹を切って——今の謝金のごときはほとんど入らないのです。ほかの方面に使われますることや、また研修会等のために出しますということやなどによりまして、ほとんど宗教者のふところには入ってこないのでございますが、それでもなお喜んで自腹を切って宗教教戒に励んでいるというのが実情であると思うのでございまして、そういう状態でございますことを大臣もよく御認識をいただきまして、今局長からお答えいただいたように、ぜひ何らかの経済的な援助ができるような道をお考えいただきたい。また、憲法の問題があるからといって、それをそのままにしておかないで、何らかの方法を講じて援助のできるような道を講じていただきたい。そうして、せっかくのこのような働きがさらに円滑に、さらに有効に進められるように、大臣としてもお考えをいただきたいと思うのでございます。その点につきまして、大臣の御所見を承りたいと思います。

中垣國男自由民主党

○中垣国務大臣 お答えいたします。宗教各界の方で、教戒師となられまして進んで奉仕的な立場で教戒事業をやっていただけるということは、まことに感謝にたえません。心から敬意を表します。そういう方々に対しまして政府が、収容者並びに受刑者の矯正のために必要であると認めておりながら、それに対する何らの実質的な償いがないということは、私も、実は三十八年度の予算を構成しますときも意見を述べまして、いろいろ検討いたしました結果、制度化するということが不可能であるということだけはよくわかったわけでございますが、しかしながら、こういう物質生活の引き上げられた今日におきまして、往復するにも、電車賃、自動車賃等も要ることでございますから、できるだけそういう意味の実費の弁償をするというような形で、これらの人々に対する処遇と申しますか、道を講じていかなければならない、かように実は考えております。私が法務大臣に就任いたしましたときに、すでに概算要求は政府に提出をされておりまして、それを実は直したかったのでございますが、直すことができませんでした。私はこの問題は、特に局長に希望いたしまして、ぜひ一つこれは何とかすべきじゃないか、政府が必要であることを認めておって出入りをしておられる以上、そういう事業が現に収容所、刑務所なりで行なわれている以上、これを奉仕ということで、ただそれだけにおんぶしておるという形はよくないということも、実は私の信念として持っておるわけでございます。今後も、御趣旨のようなことの実現を見ますように努力をいたします。

西村関一日本社会党

○西村(関)分科員 引き続きまして、保護司の問題についてお伺いいたしたいと思います。  保護司は、これは宗教教戒師と違いまして、保護司法によるところの法的な身分が確立いたしておるのでございますが、それにいたしましても、実費弁償の形で出されております額があまりにも少ないと思うのでございます。対象者一人について、たしか一カ月二百六十円であったと思いますが、そういうような額では、これまたほとんど保護司の職責を全うすることができないのではないか、むしろこれもまた、自分で身銭を切って費用を出している保護司が大多数であると思うのでございます。五、六年前の調査であったと思いますが、全国保護司連盟の調査では、保護司一人当たり月平均六百六十円の身銭を切っておるという数字が出ております。しかもそれに対して、対象者一人に対して二百六十円しか実費弁償していない。そういうことでございますから、二人の場合ではこれで五百二十円ということになりますが、保護司一人で幾人もの対象者を保護観察するということは事実上できないのでありまして、大体において、一人を受け持っておるというのが実情ではないかと思うのでございますが、こういうような点につきましても非常に薄いということを、私は申し上げないわけには参らないのでございますが、こういうことにつきまして、実費弁償のための費用は今年はどのくらい要求しておいでになりますか。保護局長さんにお伺いいたしたいと思います。

武内孝之法務事務官(保護局長)

○武内政府委員 お答えいたします。保護司の方々の保護観察活動は、対象者の改善更生にきわめて効果のあるものであることは、今日までの実績によって明らかでありますが、それにもかかわらず、保護司に対する実費弁償金、ことに補導費の額が、保護司の方々の御要望のように参っておらないということは、まことに遺憾に思うのであります。私どもの方におきましては、この保護司が保護観察官の補充機関であるという性格上、保護観察官の給与関係とのバランスも考えざるを得ないのでございまして、事務的な面におきましてはそのような考慮もいたさなければならないところから、事務予算といたしまして、積算上これ以上の額は出ないというところまで、本年度におきまして計算をいたしまして要求いたしましたのが、昨年まで対象者一人につき一カ月の補導費が二百六十円でありましたのを。三百二十円に引き上げの要求をいたしたのであります。これは大蔵当局との折衝におきましても、十分その必要性を認識してくれまして、要求通り全額認められて、本年度の予算に計上されたのであります。そういたしまして、その金額は、本年度は昨年よりも五千九百七十五万九千円増額されまして、総合計、補導費に関しましては四億一千五百五十一万二千円の計上となっております。これは保護司の方が全国五万人といたしまして、一人平均、対象者を一カ月にして三名あづかってもらっておることになるわけであります。そのような数字的な計算も根拠にいたしておるのであります。

西村関一日本社会党

○西村(関)分科員 わずかでも引き上げられたということについては、御努力を認めるのでございますが、しかし一カ月わずかに六十円引き上げられたということくらいでは、実際に保護司が使っておられるところの費用の半分そこそこにも満たないという実情ではないかと思うのでございます。これは補助的な役割をするところの制度であるから、これ以上ふやすことは技術的にむずかしいというお話でございますが、どうもそういう点についてどういう難関があるのか、私には今のお言葉だけではよくのみ込めないわけでございます。しかし、実際今日の物価高の時代において、対象者一人に対して三百二十円そこそこという、一カ月そのくらいの費用では、とても十分な保護観察ができない。やはり週に一回なり二回は訪問しなければなりませんし、その家に病人があれば、病人に対してたまには見舞も持っていかなければなりません。子供に対しては、何かちょっとしたおやつでも下げていくというような費用も要るわけでございまして、そういうことは勝手だといえばそれまでかもしれませんけれども、事実保護司の人たちは、いろいろなそういう苦労を重ねながら、保護観察に当たっておると思うのでございます。それに対して、国はこのくらいの実費弁償しか出せないというのは、一体どういうところに問題があるのか。総額にすると相当な額になるということをただいま伺いましたけれども、これだけのわずかな予算では、とても保護司の活動は十分に期待できないといおなければならぬと思います。その点について、今局長の言われました、技術的にこれ以上ふやせないという根拠をもう一度明確にお示しをいただきたいと思います。

武内孝之法務事務官(保護局長)

○武内政府委員 お答えいたします。保護司実費弁償金のうち、補導費と申しますのは、交通費等のような要素を含まない、役人で申しますと日当のようなものに当るかと思いますが、実際上はお話のように都市、地方によって差がございまして、交通費もまちまちでございます。またお話のように、いろいろと対象者に接する必要上、小づかいの必要とされる面が非常に多いということも聞いておりますので、その全体の御苦労なり出費を考えますと、お話の通り、私も何ほどの金額がいいかという決定的な線は実際は出てこないと思うのであります。ただ、非常にめんどうをかけておるということは、これは人様に負けないくらいに、私ども保護局、また保護観察所の者たちも十分わかっておるつもりでございますが、先ほど申しましたような期間の非常勤無給の国家公務員でありまして、しかも時間的、経済的に余裕のある人の中からなっていただくという建前、それから今の補導費の性格ということから考えまして、事務予算としましての隘路がありますので、その線になっておるのでございますけれども、私は、もっと保護司活動の、ことに補導費の構成をなす要素について詳細な調査をするならば、もっと実態がわかるのではないかと思いまして、この四月、五月にかけまして、全国にわたりまして、各保護司の協力を得まして、実際に要する所要時間とか所要経費とか、乗りものの種類とか、面接の回数とか、いろいろの調査をいたしまして、その書類回答を数千名の保護司の方々からもらうことにいたしまして、最近その作業に着手いたしました。こういう結果がわかりますと、机の上だけではなしに、また話としてお聞きするだけではなしに、実際の数字の上で実態調査ができると思いますので、この補導費の引き上げについてなお具体的な資料が得られるものと期待しておるのであります。将来も私どもは補導費がこれでいいというふうに思っているのではございませんで、どうすれば実態に近づけるかという考えで作業を進めておりますし、また将来も進めていきたいと思っております。

西村関一日本社会党

○西村(関)分科員 ただいま言われましたように、保護司は、法律で、人格識見高く、時間的な余裕のある人で、生活の安定している人の中から選ぶということになっておりまして、おおむねそのような方が保護司に選ばれておることは申すまでもございません。しかし、二年ごとの交代の時期には、相当有能な、この人ならばやっていただけるというような人がやめていかれるということは、一体どういうところに原因があるのか。現在保護司の定員はたしか五万二千五百人であると思いますが、実際の数はそれ以下である。さっき局長は五万人と言われましたが、四万七、八千人ではないかと思うのでございますが、定員に満たないということは、やはりそこにりっぱな人がなかなか得られないという問題があるのじゃないかというふうに私は考えるのでございます。生活に余裕があり、時間にも余裕がある、しかも人格識見の高い人ということで三拍子そろっている人を求めるということは、なかなかむずかしいのですが、しかし、それでも相当りっぱな人が非常によい働きをしておられる。しかしまた、二年目の交代のときにはやめていく人も相当にある、こういうこと等につきましても、当局におかれましては、一体それはどこに原因があるかということもあわせお考えをいただきたい。これはやはりさっきの宗教教講師の問題のときにも触れましたように、いかに経済的な余裕のある人とはいえ、仕事を託する国の側としては、法律的にそういうふうにきめられておるからといって、それでほおかむりをして済まされないと思うのであります。やはりできる限り厚く遇していくということ、そういう配慮が必要ではないかと思うのでございます。また御承知の通り、保護司は全国的な連盟をつくっておられまして、その全国保護司連盟においても補助金を要求して参っておられるわけでございます。それも取り上げていただけない。保護司から年額百円の会費をとって、さらに四百万円ぐらいの寄付金を仰いで、八百万円ぐらいの予算で仕事をしておるという実情であると承っております。また、犯罪の予防活動の予算につきましても、保護司が中心になって犯罪予防活動をやっておりますことも、御承知のところであると思います。毎年七月に行なわれますところの社会を明るくする運動につきましても、全国で約四千五百万円ぐらいの金を使ってこの犯罪予防の運動を保護司が中心になってやっておられるわけでございますが、これに対する国の補助の予算の要求をいたしましても、常にこれが一蹴されておる、こういう実情でございまして、二重、三重に保護司の経済的な負担が重なっておるという状態であると思うのでございますが、こういう点につきまして、犯罪予防活動、また全国保護司連盟に対する援助というような点につきまして、当局は今後どういうふうにお考えになりますか、その点、もう一度局長の御答弁を願いたいと思います。

武内孝之法務事務官(保護局長)

○武内政府委員 お答えいたします。  保護司の方々が、時間的、経済的に余裕のある人々の中から選ばれるといいましても、当今、時間的に余裕のある人があるはずがございませんし、経済的に余裕のある人もないわけであります。実際上は、保護司の方々は時間をさいて、また経済的にもいろいろと身銭を切られて活動しておられるという実情でございまして、ボランティアとしての生きがいを感じて一おられる方々が数万人もやって下さるために、この更生保護の仕事が、役人では手の及ばないところ、役人には向かないような次元の対象者に対しましても効果を上げておることと思うのであります。また、そういう保護司の方々の地域の防犯活動に対しての国の予算の手当が、現在わずか赦免運動を中心にしまして都府県単位に二百四十万円程度しかついておらないこともまことに少ない金額であります。また全国保護司連盟に対する補助金も、これも現在ございません。いずれも私どもといたしては、お話のように、保護司活動の血となり肉となるこのものを、何とかしていろいろの角度から——単に補導費一つのみならず、予防活動費とか、補助金とか、いろいろの方向から総合的に国の予算で手当できる限りはいたすことによって、幾らかでも現状よりももっと気楽に、ほんとうに使命とされるところに進んでいかれるような基盤をつくりたいと思っておるのでございますけれども、予算上のいろいろの急不急という面も私どもとしましても考えなければなりませんので、とりあえず補導費あるいは更生保護会の方の費用の充実に全力をあげて参ったのであります。予防活動費補助金につきましても、今後も従来通り、その必要性を十分人様に申せるように資料を整えて予算の増額に努めたいと思っております。

西村関一日本社会党

○西村(関)分科員 予算の面につきましてもう一点だけ触れまして、あとは制度上の問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、私は実は戦前少年保護司をいたしておりました。少年と成人と分かれておった時代から私は保護司をいたしておりました。当時は盆と暮れに、わずかではございますが、五百円ずつの、謝金と申しますか、慰労金と申しますか、そういうものがあったと記憶いたしております。現在はそういうものは全然ないわけでして、当時の五百円といえば、四百倍といたしましても二十万円くらいの相当の金額になると思うのでございますが、保護司がそういう金銭的なことについてはあまり要求しない、これは一つの襟度がございますから、そういうことはあまりしないのでありますが、それだけに、今局長さんが言われましたような配慮を具体的に実行に移していただけるように、戦後犯罪の、特に青少年の犯罪の数の激化、その質の凶悪化、青少年の問題のみならず、犯罪件数がふえておる現状におきまして、さらに虞犯の対象者に対する保護観察等も含めまして、この制度を生かしていく上からも、予算的な配慮を十分にしていただきたいということを当局にお願いを申し上げる次第でございます。  引き続きまして、制度上の問題についてお伺いをいたしますが、この制度は、終戦後占領下において制定せられましたところの犯罪者予防更正法とか保護司法によって行なわれておると理解いたしておるのでございますが、現在の実情から申しまして、若干実情に沿わないような点があるのじゃないかというふうに感ずるのであります。それは一つは、裁判所で執行猶予になり、あるいは仮釈放になりました場合に、バトンタッチがうまくいっていないということのために問題を起こすということがままあるように私は考えるのであります。これは十日も十五日もたってから連絡されるということが多いのであります。出所したときの、これからしっかりやろうという張り切った気持のときにバトンタッチができてこそ、初めてこの制度が生かされてくるのでありますが、こんなに十日も十五日もたってしまいますと、いろいろな誘惑もありますし、またいろいろな環境上のわなに落ち込む危険もございますし、それでは手おくれになるという場合が多いと思うのでございます。こういう点につきましても、この制度を再検討する必要があるのじゃないか。もっと現実に即したものにする必要があるのではないか。それから報告書につきましても、毎週めんどうな報告を出すということ、これはいかにボランティアとはいえ、なかなかその煩にたえない。きわめて形式的な報告になってしまう場合が多いのではないかと思うのでございます。中には、営営として訪問をし、また対象者を自分の家に呼んでそうして忠実にその任務を果たしながら、りっぱな報告を出しておられる方もありますけれども、全国五万人の保護司の中で、実は毎週の報告を出すことがどんなにつらいかというふうに感じておる人も多いと思うのでございまして、これらの点も、もう少し実情に即して、形式化しないような方法を講ずることができないものであろうかと思うのでございます。交通事犯等もふえて参ります今日の情勢においては、取り扱う件数も多くなってくると思うのでありますが、これらの点につきまして、制度上の問題について改正すべき点はないかということを保護局長からお伺いをいたしたいと思います。

武内孝之法務事務官(保護局長)

○武内政府委員 お答えいたします。仮釈放者及び執行猶予者の保護観察への受け入れにつきまして、バトンタッチがよくないケースが相当あるのじゃないかというお尋ねでありますが、この点につきましては、お言葉のように私も非常に気にしておるのであります。事は、このバトンタッチが円滑にいきませんと、それぞれの領域でいかによい仕事をしておりましても、実が実らないものでございますから、心配でありますが、幸いと申しますか、仮釈放の対象者につきましては、保護観察官が同行しなければならぬ場合には同行させておりますし、また更生保護会に入るような人に対しましては、更生保護会の職員が出迎えに行って連れてきておる場合が相当ございますので、さほどバトンタッチが悪いということは、他の種類の対象者に比べて少ないと思うのでありますが、執行猶予になった人で保護観察に付せられた人が、保護観察にくる場合のバトンタッチが悪いことは、これは実際の問題であります。それは裁判が確定いたしますのに二週間もかかりますし、また、その言い渡された裁判所と本人の帰るべき居住地の保護観察所が非常に離れておりますような場合には、その通信連絡、交通の所要日数などを考えましても、一カ月前後の間は、裁判は確定したけれども保護観察所としての門にはその対象者は現われないというので、一カ月ぐらいのブランクがあり得ることは事実でございます。これはまことに憂慮せられるのでありまして、そのようなブランクの期間が多くなりましては、いつの間には対象者が所在不明になったり、あるいは悪の道に誘われるという危険もあるのであります。この問題は、私は、制度といいましても、判決の確定期間の二週間ということを動かすということはできませんので、その他のいろいろの面を考えてみましたが、実際の仕事の運営の面においてできるだけ縮める、それぞれの役所の人が、バトンタッチの不円滑によって生ずるいろいろの問題点ということを考慮して日常仕事をするというこの心がまえ、執務体制が確立されていきますならば、現在以上にこのバトンタッチの空白期間は縮められるというふうに思いますので、各観察所にはその旨指示して努力させておるのでございます。各観察所におきましても、また保護司の方におきましても、この問題は私よりも早く問題点の所在を承知しておりまして、全国各所とも、いかにしてバトンタッチを現在の執務上短くできるか、空白のないようにできるかということに努めておる現状でございます。しばらく現状の執務上の改善といいますか、すべての職員の心がまえによっても相当効果があろうと思います。なお、成績報告書の問題は、これはたとえて申しますならば、医者の手元でつくられるカルテのようなものであると思います。対象者がどのように改善更生されていきますか、その過程がこの報告書によって初めて観察所には把握できるのでございまして、この点は各地の保護司の方々も最近はよく理解されまして、提出率は八〇%ないし九五%に上っております。こういうふうに全国とも八、九〇%の提出率が確保されておるということは、相当保護司の方もこの重要性について認識していただいておることであると思って、喜んでおる次第であります。これも、この必要性については今後ますます高まりこそすれ、減ることはないと思います。ただお言葉のように、様式といいますか、記載事項について繁雑な面があるといたしますならば、保護司の方々が気楽に書きやすいように、様式の改善について工夫をしなければならないと思います。これも、たびたびの研修会あるいはケース研究会を通じまして討議されておりますので、各地からいろいろな意見もきておりますから、私どもの方では目下その様式の改善策について検討いたしておる段階でございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)分科員 時間がございませんので、掘り下げて御質問を申し上げることができませんが、今局長の言われました成績報告書につきまして、私もその必要を認めておるものであります。ただ、今お答えにもありましたように、どのように実情に即した形式に改めるかということ、それからこれだけの仕事をさせておるにかかわらず、初めの問題に返りますけれども、この実費弁償の額が非常に少ない。たとえば同じ法務省関係の調停委員の実費弁償の費用と比べても、非常にこの方は低いということ等を考えまして、経済的な余裕がある人たちなんだから、仕事は要求してそれだけさせておいて、あとは一つがまんしてくれというのでは、私は、国としてはよくないじゃないか、何らかの形で、先ほどからも繰り返し申し上げておりますように、できるだけ経済的にも厚く遇していくという道を講じていただきたいということのために申し上げておるわけなのであります。  さらにもう一点お伺いをいたしますが、今の更生保護会の保護施設の点でございますが、これも委託事務費と申しますか、これが非常に少ない。これも保護会の方から要求が出ておると思いますが、施設も老朽化いたしておりますし、職員の給与も一般公務員に比べて非常に低い状態であります。しかも、委託事務費が現在は単価六十円であると思いますが、そういう状態では、実際に施設を出まして、寄るべのない、帰るところのない者をここでお預かりして、りっぱに社会に復帰してもらう足だまりとなるこの施設を十分生かしていくことはむずかしいと思うのでございますが、この点につきまして局長のお考えを伺いたいと思います。

武内孝之法務事務官(保護局長)

○武内政府委員 お答えいたします。  更生保護会関係の委託費につきましては、お言葉の通り、現在の価額は経済事情にそぐわないものがあると思いまして、三十八年度におきましては増額要求をいたしましたところ、全額大蔵当局において認めてくれましたので、本予算に計上されておるわけでございますが、委託事務費は、従来一日収容者一人について六十円でありましたのを、一日八十一円に上げたのであります。これは厚生省関係の同じような性質の施設、更生施設と申しますが、それと同額になったのであります。また宿泊費も引き上げまして、一日一人につき四十五円、食事付宿泊費は一日一人につき百四十五円と、それぞれ価額が上げられて三十八年度予算には計上されております。これでももちろん十分とは思いませんが、ともかく大蔵当局も実情を認識いたしまして全額要求通り認めてくれましたので、さらにこれに実態調査を加えまして、今後の経済事情の推移などを勘案し、また事務の内容も勘案しまして、将来も引き上げの必要の限度におきましては増額をしなければならぬというふうに思っております。  つけ加えまして、先ほど申しましたバトンタッチの空白を埋める一つの方法として、本年度予算には、重要な裁判所の甲号支部所在地に観察官を駐在させるという制度——この予算が連絡予算でございまして、人員の増員ではございませんが、観察官の駐在制度が認められております。これによりまして、甲号支部などで行なわれます少年の保護などにつきましては、今まで以上にこのバトンタッチの空白を埋めることができるのではなかろうかと期待いたしております。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 西村君に申し上げますが、大体時間が参っておりますので、そのつもりで……。

西村関一日本社会党

○西村(関)分科員 もうあと二点だけで終りますから……。  法務省担当の大蔵省の主計官にお伺いいたしますが、ただいまお聞き及びの通り、宗教教誨師並びに保護司についての予算的な措置はきわめて低いのでございまして、法務当局としてはまことに控え目な要求をしておられる。さらに今後検討を加え調査をした結果、できるだけの予算的な措置を講じていきたいという御意見を、今お聞きの通り述べておられますが、そういう点等につきまして大蔵当局としては今後どのように善処をしていただけますか、大蔵当局の御見解を承りたいと思います。

赤羽桂大蔵事務官(主計官)

○赤羽説明員 お答え申し上げます。  ただいま教誨師関係の経費並びに保護司関係の経費につきましていろいろ御質問があったわけでございますが、法務省の方からも答弁申し上げました通り、教誨師関係、この連盟に対する補助金でございますが、これはことしはございませんで、三十七年度におきまして御要求があったわけでございます。当時種々検討をいたしたわけでございますが、これには、宗教団体に対する補助金云々といったような根本的な問題もございますし、先ほども触れられました通り、三十七年度予算におきましては、このかわり——と申しましてはなんでございますが、その謝金関係を増額いたしたわけでございます。それから保護司でございますが、保護関係の経費は、法務省の今度の概算要求におきまして非常な重点事項になっておりまして、保護観察行政の全般的な強化拡充ということが主要なポイントになっていたわけであります。保護司連盟に対する補助金といったものも、その一環として取り上げられておったわけであります。大蔵省といたしましては、その点につきましても慎重に検討をいたしたわけでございますが、保護観察行政全般におきまして既定制度の拡充充実ということにまず重点を置くという方針のもとに、たとえば、実費弁償金の値上げでございますとか、更生保護会に対する委託費補助金の増額でございますとか、その他保護観察旅費、職員の待遇改善といったような、大蔵省といたしましては、かなり広範な面にわたりまして種々増額をいたしておる次第でございます。もちろん、これらの増額計上をもってもう十分であるということについては、いささかもさように考えておりません。今後毎年々々検討を重ねていくつもりでおります。  なお、この保護観察行政全般につきましては、法務省の各般の行政全般、ほかの分野に比較いたしまして、ただいま先生からも御指摘がございました通り、戦後新しく——と言ってはなんでございますが、大きく取り上げられたのは戦後かとも存じますが、戦後新しく取り上げられてきた分野でございます。ほかの行政に比較しまして、種々制度的並びに予算的にいろいろ足りないと申しますか、検討を加えていかなければならぬ点も多いと存じます。大蔵省といたしましても、今後毎年検討を行なっていくにやぶさかでないつりもでございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)分科員 最後に、大臣のお考えをまとめて伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。  ただいまお聞き及びの通り、大蔵省の方においても予算的な面に対しては十分な配慮をしていこうという主計官の御答弁でございますが、法務省としては、この矯正保護、保護観察行政等につきましては、きわめて控え目な予算要求をしておいでになるというふうに私としては受け取らざるを得ないのでございまして、それはそれだけの事情があってのことではございますが、なお将来におきまして、大臣の先ほどの御所信の御表明の中にもございましたように、さらにこの面についても御努力をいただきたい。私は昨年スエーデンに参りましたが、スエーデンはかつては刑務所ががらがらになって、刑務所の施設を博物館に模様がえをするというときがあった。現在はまた若干犯罪がふえているようでございますが、そういうことが一日も早くわが国にも実現するような、そういう福祉国家を建設しなければならぬ、これはわれわれの任務であると思う。そのためにもこそ、宗教者も篤志家である保護司も一生懸命苦労しておられるわけでございまして、それらの点につきまして、国としては、制度上からも、また予算的な上からも、十分この活動が円滑に建設的に行なわれるように御努力をいただきたいと思います。その点につきまして最後に大臣の御所信を重ねてお伺いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

中垣國男自由民主党

○中垣国務大臣 西村さんから、矯正保護行政全般にわたりまして、また非常に細部にわたりましていろいろ御指摘、御注意をいただき、私ども激励をいただきましたという気持で拝聴いたしましたわけでありまして、まことに感謝にたえません。厚くお礼申し上げます。  私は、先ほども申し上げましたのでありますが、こういう矯正保護事業というものは、何といいましても、単に法務省のいわゆる純粋の公務員だけでは能率が上がらない、効果が上がらないのでありまして、やはり教誨師の方であるとか、保護司の方であるとかいうものが、ほんとうに積極的に善意をもっていろいろ御協力いただいてこそ初めて効果が上がるものだと心得ております。従いまして、そういう善意に燃えた積極的な御好意にこたえるということが当然のことだと私は考えておるのでございまして、特にことしの保護司の関係等の予算につきましては、十分ではなかったのでありますが、保護司連盟の方々ともひんぱんに会議をいたしましたり、あるいは協議会を持ちましたりいたしまして、大体予算を要求いたしましたものと近いものを計上いたしまして、ただいま御審議をわずらわしておるところでございます。しかしながら、御指摘の通りに、たとえば二百六十円の実費弁償が三百二十円になったからといって、私どもは決してこれは成功したとは思っておりません。ほんとうにもう低過ぎて、議論の余地なしと考えておるのでございます。その他の御指摘の問題につきましても、今後一そう省内が一丸となりましてもっとよく勉強いたしまして、十分に御期待に沿えるような結果を見ますよう努力いたします。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 これをもって、本日の予定の法務省関係の質疑は一応終了いたしました。  大蔵大臣はただいま参議院の本会議に出席しておりますので、この際、午後一時十五分まで暫時休憩をすることといたします。    午後零時五十八分休憩      ————◇—————    午後一時三十七分開議

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  大蔵省関係について質疑を行ないます。楯兼次郎君。

楯兼次郎日本社会党

○楯分科員 一昨日、日銀総裁がデノミネーションのことについて発言をされましたので、相当各界に影響を及ぼしておるようであります。従って、これを議論するわけではありませんが、簡単に一つ大蔵大臣の、日銀総裁の発言に対する、デノミネーションの今後のあり方といいますか、態度をお聞きしたいと思いますが、われわれも、インフレからそのままに残されておるのがイタリアと日本だ、これは早晩何とか実行をされなくてはならぬということはわかるのでありますが、すでに日銀総裁の発言によって心理的な影響はまず株に及んでおります。株が総裁の発言で上昇をしたというようなことで、影響が非常に強いのでありますが、これに対して、どういう条件がそろったらこれを実施するのか、あるいはしないのか、将来の見通しの大蔵大臣の心がまえを一つお聞かせ願いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 日銀総裁の談話として一部新聞に報道せられたようでございますが、その後の状態をお聞きしてみましたら、デノミネーションに対して日銀総裁が明確な意思表示をされたような事実はないようであります。これは、記者諸君との間に会見をやっている過程において、一つの考え方を問われたときに、きっと、まあ学説的なものとしてか、何らかの状態で発言になったようでありまして、これがデノミネーションを行なわなければならない状態であるとか、またいつの日にか行なうものであるか、どんな条件がそろったら行なうべきであるとかいうような考え方に立って発言したものではないということを確認いたしております。これに対して政府側としては、前にも閣議決定を行ないまして、この問題に対して明らかに政府の態度を決定いたしているわけでありますが、ただいまの楯さんの御質問でございますので、この際明らかにいたしておきたいと思います。  政府が閣議で決定をいたしております決定、すなわちデノミネーション等を行なう意思はない、また行なう必要を認めておらない、こういう態度は現在全然変わっておりません。でありますから、そのような考えは毛頭ないということを明らかにいたしておきます。  それからもう一つは、そういうような発言らしきものが報道されたことによって株価等に影響したという御発言でございますが、影響したかどうかはさだかにわかりませんけれども、いずれにしても、その日の夕方から株がちょっと上がったというようなことは、このくらい非常に敏感に作用するものでございます。でありますから、デノミネーションを行なう必要があるということなら、これは万難を排しても行なわなければならないということがありますが、現在政府はそういうことを行なう意思もございませんし、しかもその必要性もさして感じておらないわけでございます。ただ、こういうことを不明確にいたしておきますことによって、いろんなところに支障が起きるというようなことを考えますと、この際明らかにいたしておく必要がある、このように考えておるわけでございます。

楯兼次郎日本社会党

○楯分科員 次にお伺いしたいのは、今月の十二日の閣議で建設大臣が発言をされまして、信用金庫や府県信連の理事長などの役員が長期にわたって居すわり、弊害を招いている傾向があるので、役員の選任方法を再検討すべきであると、これは新聞報道ですが、とのような要旨の発言をされて、このことについて大蔵、通産両省で対策を練る、こういう新聞報道が伝わっておるわけでありますが、こういう発言がなされたのかどうか、あるいはこれに対してどういう対策をおとりになるのか、この二点をお伺いしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 ただいまの御発言でございますが、私は、そのような発言が閣議で河野建設大臣からあったということは記憶いたしておりません。私はちょっとこの新聞記事を見ましたときに、私が何かちょっと席を立っておるときにそういうことが出たのかと思ったのですが、そういうことが閣議で行なわれた事実はないようであります。ただし、信用組合や相互銀行等に対して、大蔵省でも、金融環境の整備とか、その他いろいろ今行なっております金融政策の上から、いろいろな問題は考えてもおり、またそれらの機関との間に意思の疎通もはかっておりますし、いろいろな希望等も聞いておりますが、閣議でそのような発言がされ、通産、大蔵両省が了解して、両省間で具体的な問題に対して話し合いを進め具体的な対策を立てるというような事実はなかったように考えます。

楯兼次郎日本社会党

○楯分科員 新聞報道の内容が、今私が読み上げました要旨であるかどうかは別として、伝わっておりますので、あったものと思います。大蔵大臣は席にいなかったかどうか知りませんが、それは別としてまたあとでお伺いしたいと思います。  なぜ私がそのようなことを申し上げるかといいますと、確かにいろいろな弊害があるのです。建設大臣は、全国的なそういう弊害を察知してそうした発言を閣議でされたのであろう、こういうふうに推察をするわけであります。その氷山の一角として、一例をここで指摘したいと思いますが……。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 新聞を見て当時の事情を思い出しましたので、事実関係ですから、申し上げておきます。  これは建設大臣が発言をせられたのではないと思います。これは閣議が終わりましてからの段階において、総理が金融の問題に対して御発言がありましたときに、私から金融情勢の報告をいたしました。そのときに、信用金庫やその他のものについてはどうなっておるのかというような話、それから農林関係で農林漁業金融公庫の資金コストの問題とか、その他の問題が出ましたときに、各人が発言をしまして、今までは小さな機関であると思っておったものが、信用金庫に対しては一兆五千億、また相互銀行に対しては一兆七、八千億というような資金量になりましたので、日銀に対する窓口を設けたり、いろいろなことをしておりますというようなことを言いましたときに、その県信連というものに対して建設大臣が散発的に御発言になられたということで、閣議が終わりごろになってから、これらの問題に対してお互いに一つ意見交換をしようというようなものが、記事としてまとまるとこのようになったのじゃないかというふうに考えられます。

楯兼次郎日本社会党

○楯分科員 それで、私の話が中断になったわけですが、その氷山の一角を——あなたでなくてもけっこうですが、事実を一つ指摘をいたしますので、お答えを願いたいと思います。  東京昼夜信用組合というのが一月三十日付で業務停止の処分を受けております。この内容を詳細には私はわからぬのでありますが、簿外預金の高金利がわざわいをして業務停止を受けた、簡単に申し上げますと、こういうのが停止の理由であります。そういう事実を確認をされたかどうか、伺いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 東京昼夜信用組合につきましては、東京都知事が監督の衝に当たっておるのでございますが、東京都においては、当組合に対して今年の一月二十八日検査を実施しました。その内容につきましては、金融機関としての社会的影響力等もありますので、具体的に公表いたしかねるというような態度を事務当局はとっておるようでございますが、都からの報告を大ざっぱに申し上げますと、多額の簿外取引があったということが一つであります。特定の大口不良貸し出し、多額の債務超過等の事実が認められたということが報告されております。こういう事実に基づいて、大蔵省に対して報告するとともに、東京都知事は一月三十日業務停止を命じておるようであります。なお東京都においては調査を続行中でございますということでございます。それから大蔵省が直接権限ではなく、この問題に対しては、地方公共団体の長、すなわち東京都知事の所管下にありますからということでありましたが、金融行政全般の問題としてかかる問題は非常に重要な問題でありますので、直接監督の責任が東京都知事にありというようなことではなく、大蔵省も十分注意をし、しかも積極的にこの問題を解決するように真相を究明するようにということを事務当局に命じてあります。

楯兼次郎日本社会党

○楯分科員 この営業停止に至りました点から考えまして、いろいろありますが、簡単に私は次の三点を、今後大蔵省が監督をする上から必要じゃないかと思いますので、お聞きをしたいと思います。  これは三十四年にすでに不正融資、それから業務の不適確性を指摘されまして、警告を再三受けておるわけです。ところが、三年間そのまま仕事をやりまして、そうしてことしの一月三十日営業停止となった。警告は発しておったのでありますが、三年間そのまま放置をしたというのが、期間があまりにも長過ぎる。こういう点が第一、それからこの信用組合ばかりでなくて、簿外預金の高金利にわざわいされて、ついに営業停止ということになったと思いますが、こうしたことは全国の同一機関が行なっておるのではないか、こういうふうに想像されるわけです。これは余談になりますが、簿外預金をやってそうしてそれをやみ金融に回す、そういうことが、単に昼夜信用組合ばかりでなく、どうも全国的に行なわれておるのではないか、こういうことが予想されるわけです。だから、今後こういう点については厳重な指導、監督をやっていただきたい。それから、簿外預金とやみ金融の関連については、何らかの法的規制が必要ではないか、こういうふうに私ども考えるわけです。この点どうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 これら実態把握に努める一方、善意の預金者に対する預金の払い戻し等、万般の方策を行なわなければならないわけでありますが、問題はその根源であります。組合金融機関であるということ、それから員外貸付というものに対してはいろいろ認められておりますが、それが拡大せられて野放しになる、特にそれが先ほど申し上げた通り預金高が急速に伸びておる、それに機構、人員その他が、金融機関であるという重要性、任務というものに対して、多少、組合の理事長であるというような観念上の問題、勉強不足もあると思うのです。これはとにかく監督機関の監督不行き届きだ、こういうことも言われるわけでありますが、これらの問題に対して、非常に急激に膨張しておるという事態に対処しての適切な施策をとらなければならないということは事実でございます。特に簿外預金、簿外貸出、これは立法措置を行なわなくても、現在の金融機関法で当法違法行為であり、取り締まりの対象になるわけでありますが、これらは何か長い慣習とかいろいろな問題で多少大目に見過ぎてきたというきらいはあると思います。こういう問題に対してはやはり厳刑峻法、これは国民の金融機関、いわゆる公的機関に対する信用の問題でありますし、これらの問題に対しては、自由化、また日本が国際的社会の一員として立ち上がるためにも重要な時期でありますので、こういう機会にこれらの正すべきところを正すということに対しては、今までの温情主義、慣習に基づいてまあまあ主義で片づけるというようなことだけで解決できる問題だとは思っておりません。私は、金融機関の中立性、自主性というものに対しては、非常に寛大なというよりも、いわゆる自主性を守ろうという考えに徹しておりますが、いやしくも監督権の発動という問題に対しては、もっと正しい法の運用をはかるべきである、また必要があれば、法制上の欠陥に対しては整備等を行なわなければならないというふうにも考えております。

楯兼次郎日本社会党

○楯分科員 二時までですから、もう時間がございません。私はまだたくさんお聞きしたいのでありますが、一つ要約してお話をしますので、結論だけ大蔵省の方でお答えいただきたいと思いますが、一番困っておるのが零細な預金者です。信用組合でありますから、非常に零細な預金者が多い。この組合は預金者が約六万人です。しかも貯蓄目的は、税金の積み立て、子弟の学資、住宅建設資金等々、生活必需のものが圧倒的に多いという点です。それからいま一つは、営業停止になってから金融ブローカーが暗躍しておる。預金通帳、証書の額面の半額ないし三分の一で買い取って、これはもうだめだから、三分の一、半分でおれに売れ、こういうブローカーの暗躍に六万の預金者は悩まされている、これが第二点。それから一般大衆は、信用組合は往年の保全経済会等とは異なって、庶民金融機関として絶対につぶれないという安心感を抱いておる。これは全国的にそうであると思う。従って、もしこの昼夜信用組合の取り扱い、処置方の指導を誤ると、一般大衆の信用組合に対する信用度というものが根底からくずれてくると思う。従って、直接大蔵省には責任はないと思いますが、この信用組合に対する処置方に対して、大蔵省はどのように預金者六万に対して迷惑のかからないような指導、処置方をされるかということを一つお答えいただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 本件に関しましては、大蔵省に直接の責任がないなどという考え方を持っておりません。これは法制上は、東京都知事に対して万全の処置をとるように要求をするわけでございますが、しかし、金融全般、財政金融の責任ある立場にある大蔵省でございますので、この処置いかんによっては将来大きな禍根を残すおそれもありますので、先ほど申し上げました通り、法律上の不備があれば、この不備は直す、また、法制上に新しい措置が必要であれば、あえてこれも行なうということを考えておるわけでございますが、この問題に対しては、大蔵省も相当強く手きびしく各都道府県に要求しておるわけです。また大蔵省の考え方を絶えず周知徹底に努めておるわけでありますが、何分にも急激に膨張しておる。実際行儀の悪いものがたくさんあるのです。特に、中に名誉職的なもので理事長になった者が、だんだんそれが親が会長であり、子供が理事長であり、孫が専務である、全く金融機関を私しておる、こういうような考え方を、今まで生成発展の歴史を見て、短い間に発展したのだからやむを得ないなどということで看過できるものではありません。私は、これらの中におけるお家騒動のような——これは一般の会社の中でお家騒動をやっておるのは一向差しつかえないかもわかりませんが、いやしくも金融機関の中でかかる事態を看過するわけにはいかないわけでありますから、これらのものに対しては筋を通さなければいかぬ。これはあなたが今言われた通り、全く信用組合というようなものではなく、もう庶民金融機関であり、銀行と何ら変わらないというふうに預金者も大衆も考えておるのでありますから、これが将来に対処しまして、このような機会に、ほんとうに法制上の整備が必要であるならば整備し、正すべきは正す、また各府県に対しても厳重に通達をし、大蔵省の意向に沿うような処理をしてもらう、また結論的には、いかなる場合にも預金者に迷惑をかけないということだけは原則に考えていかなければいかぬということは、まじめに考えております。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時五十九分休憩      ————◇—————    午後四時三十一分開議

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  大蔵省関係について質疑を続行いたします。正示啓次郎君。

正示啓次郎自由民主党

○正示分科員 私は、あと御質問の委員の方がお見えになりましたら、時間の関係がありますからお譲りいたすつもりで、二、三簡単に大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  まず、先ほど楯委員が御質疑になりましたが、デノミネーションについては政府の態度はきわめて明確でありまして、重ねて伺う余地はないのでありますが、私も実は数年前にこの問題が論議されましたときに責任の衝にありました者といたしまして、若干当時の事情を思い浮かべまして、この際さらに明確に念を押しておきたい、かように思います。  一つは、当時御承知のように五千円、一万円といういわゆる高額の銀行券を出すかどうかという問題とからみまして、デノミネーションの議論が相当盛んに行なわれました。当時参議院におきましても非常にこの問題が熱心に討議されまして、たとえば一円の現在の補助貨のごときはもはや無用であるというような非常な強い主張があったことを思い出すのでございます。しかるに今日におきましては、一円の補助貨が非常に足りなくて、それを集めるのに苦労をしておるというふうなこともいわれておるようでございます。また当時野党の中には、五千円や一万円のような高額の銀行券を出しますと、これは大へんなインフレであるというふうな観察が行なわれましたが、この点につきましては、幸いにしてその後の日本経済の発展に非常に寄与こそすれ、決してそういう取り越し苦労というものが根拠がなかったということが立証されましたことを、私は御同慶に思っております。  そこで今日、日本銀行の総裁が記者会見の間にふと漏らされた一言がこれだけ大きく言論界に取り上げられる、あるいは国会においても議論されるというふうなことが、私は実はデノミネーションの本質からいいまして、まだそういう条件が熟していないのだ、むしろこういうふうに考えるのでありまして、デノミネーションの本質からいいますと、こういうことがきわめて事務的に、事務能率の増進、あるいは対外的に貿易その他の事務の簡素化というふうなことにつながる措置として、非常にビジネスライクに取り上げられるような時期がこない限り、この問題はなかなか実行ができないのじゃないか、こういうふうに私は考え、従って先ほど大蔵大臣が、政府の態度ははっきりしておると言われたことに全く同意見でございます。今申し上げたように過去を顧み、また当時のいろいろな議論と今日の状態を思い比べまして、むろんそういう事務の能率増進、簡素化というふうな点から、これがきわめてビジネスライクに、いわば各方面にショックを与えるようなことなしに行なわれるような情勢が将来招来されること、そういう情勢が熟することを私は念願いたしますが、今日は、今申し上げたような意味から、その時期ではないというふうに私は判断をいたしておるのでありますが、これにつきまして、もう一度だけ大蔵大臣から御所見を伺いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 先ほどの御質問で、デノミネーションを行なうような意思は全然ないということを申し上げたわけでございます。また、かつて佐藤大蔵大臣当時も閣議の決定によって、本委員会を通じてと思いますが、政府の意向は明らかにせられておるわけであります。御承知の通り、デノミネーションにつきましては、本来平価の切り下げというようなものではありませんで、そのまま単に貨幣単位の呼称を変更するだけであって、非常に簡単なものであるということなんですが、しかし、実質的には価値関係とは全然関係がないにもかかわらず、これをいろいろなことに利用したり、また利用されやすいというのは、例を申し上げると、一部に貨幣価値の実質的変化があるがごとく、またたとえば株価や金価格の騰貴に利用されるおそれもありますし、それから平価切り下げや、かつての旧円封鎖と何か混同しておるような議論があるわけです。これはどうしてそんな議論が起きるかというと、戦後行なわれました西欧諸国の貨幣単位の呼称を変えるというときに、あわせて平価切り下げ式なものを行なっておりますので、外国のことが好きな日本人は、日本もそうやるのだろうというような、非常に混淆して議論をせられるおそれがありますので、かようなことはあなたが言われた通り、すなおな気持で呼称を変えた方がいい、また万人これを認める、しかも混乱が起きないということが前提にならなければ行なうべきものでは理論的にもないという考えで、また現在ではやるという根拠は一つもないわけでありますから、明らかにいたしておるわけでございます。

正示啓次郎自由民主党

○正示分科員 その問題はそのくらいにしまして、私はもう一つだけこの際お伺いいたします。  この委員会なり、本会議あるいは大蔵委員会でこれから議論がされると思うのでありますが、今回の予算に関連をいたしました税制改正におきまして、いわゆる預貯金につきましての分離課税の税率あるいは配当の源泉課税の税率の引き下げ、こういう特別措置、これを一般に政策減税の一つと呼んでおるようでございますが、そういうことに関連をいたしまして経済議論を聞いておりますと、これは一部の高額所得者だけを優遇するものだというふうな、非常に単純と言いましょうか、むしろ実情に合ってないと私は思うのでございますが、そういう議論が行なわれておる。それから先般のいわゆる対外経済の競争力強化の法案の論議、これはこれから出るわけでございますが、あるいは中小企業基本法案の論議、こういうものを聞きましても、経済の民主化——政治が非常に民主的になりまして、政治の分野では、往年の政治というものと今日の民主主義の政治というものは相当変わったということは、これはみなそういうつもりで政治については議論をしておりながら、経済については、どうも古いマルクス・レーニズムが昔分析をいたしました古い資本主義というものがそのままあって、そうして税制の改正なんかも、そういうところをいかにも擁護しようとしているのだ、中小企業基本法の論議においても、大企業と中小企業というものが全然別個に存在して、いわば試験管の中に二つの物を入れて議論をするような論議、あるいは経済の対外競争力の強化というような場合には、これはもっぱら大資本、大企業だけの競争力を強化して、中小企業などは全然論外に置いているのだというような議論、私はここに経済に対する国会の論議の非常な幼稚さと言いましょうか、非進歩性を非常に嘆かわしく実は存じますので、この際むしろ大蔵大臣あるいは経済閣僚の方々、総理を初めといたしまして、一つ自信を持って、今日の資本主義というものは往年のいわゆる資本主義、過当独占資本主義というものと非常に違って、新しい、大衆に基盤を置いた資本主義経済というものが——資本主義という言葉をこの場合使うことがはたして妥当かどうか、私は非常に疑問に思いますが、そういう経済をわれわれはつくりつつあるのだ。もう少しわかりやすく言えば、経済の民主化をわれわれは積極的に推し進めつつあるのだ、そういう意味において、今回の税法改正というものも非常な意味を持つのだ、また予算においても、中小企業対策あるいは農林漁業対策、その他あらゆる面において経済の民主化ということを積極的に推進することが今日の政府なり与党の一貫した政策であるのだということを、私はもっと積極性を持って強調してほしいという感じが実はいたすのでございます。  そこで、あまり時間をとっては恐縮でございますが、結局今日の新しい資本主義の繁栄、拡大、発展を求めていくためには、一方において大衆の購買力がどんどんふえて参りまして、これが拡大生産をささえていく、こういうことはもとより必要であります。さらに輸出振興によってそういう面が開けていくということは必要でありますが、同時に、今日のように借入金が非常に多くの分野を占めておるという日本の企業の体質自体に非常に問題があります。また、やみ金融が横行しておる。やみ金利は非常に高い。さらに、銀行預金をしたり株を買うよりは、土地を買っておいたら非常にもうかるのだというふうな、まだまだ不健全ないろいろの現象が見られるのであります。こういう現象は一種の後進性といいましょうか、一種の二重構造でございましょう。そういうものを解消して、得られた国民の所得というものは、正規の金融のルートに乗って投資市場あるいは社債市場というようなものにいく。こういうことがやはり経済の民主化の上において非常に大切なことであり、今回の税制改正は、まさにそういうことを促進し、助長するような意味を持っておるのだ、私はかように実は考えるのであります。  そこで、これは大臣からは大体の御所見を伺って、あと松井君からでも伺いたいと思うのですが、先般この予算委員会に、税制調査会の小委員長をしておられる一橋の木村先生が公述人としておいでになったときも私は議論したのでありますが、この木村先生は実にはっきりしておるのです。たとえば郵便貯金あるいは今回改められた五十万円を限度とする少額預金、こういうものの免税は反対だ、こういう考え方を持っておるのです。私は時間がなかったからあまり突っ込まなかったのですが、要するにそういう古い税の考え方から言えば、負担力というものだけを考えて税金をかけるということだろうと思います。およそ貯蓄をする者は負担力があるのだという考え方から、少額の貯金も、利子所得には全部税金をかけろというロジックで一貫しておるのでございましょう。だから今度のように五%に引き下げたということは反対だ、これは論理は合っておる。しかし国会の議論はそうじゃないのです。少額の郵便貯金なり五十万円以内の預金には免税にしておることには反対しないで、今度五%にしたことに反対しておる。要するに在来の税の観念というものは、単に所得の発生原因というふうなことから、担税力というものだけに着目しておるのでありますが、われわれの考えておる新しい大衆の中に基盤を置く経済におきましては、この所得がどこから出てくるかということよりも、その所得をどう使うか、社会の生産拡大に使うか、それとも乱費し、いわゆる奢侈的な消費に使うか、あるいはやみ金融に回るか、土地を買い占めて、その土地の値上がりを待つというようなところに回っておるかというふうなところにこそ着目して税金をかけていくということが、新しい経済の体制のもとにおいて考えるべきことだ、実は私はこう思うのです。これは時間をかければうんとこの点を議論したいのでございますが、まず大蔵大臣からその点について、これはもう大ざっぱなお感じを伺って、あと松井調査官に一つ私の今のような考え方についての意見を求めます。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 考え方は、同じ党に籍を置く者であるというだけではなく、全く思想的にも同じ考えでございます。これは、今度も私の泣きどころは政策減税をやったことだという人もございますが、これは今そういうことを言われても、一年後、二年後には、あのときもっとやらなければいけなかったのだ一これがことしは議論がありますし、また議論をやることは当然いいことでございますが、来年度は私がやったようなこういう政策減税と言われておるものがあたりまえのことになり、来々年度にはもっと産業政策やその他に対しては的確な税制上の措置を求められる。しかも、議会で議決してもやりなさいというふうな方向になるのじゃないかと思う。これは私はまじめに考えまして、大蔵省の機構というものはうまくできていると思うのです。これは主計局が国民に必要なものに対しては一般会計でまかなっていく。それでなお足らないところは理財局で金を貸せる。これは補完的な業務といっておりますが、政府が貸せるのだから民間も積極的に協力をしてもらうというような、相当刺激的な役目もしております。また、これでもってなおあわせて行なわなければならないときには、関税局が緊急関税というような操作をやる。緊急関税制度などというものがあることが必要なことが世界的な問題であるならば、一般の税における特例がどうして必要じゃないかという議論は、これはだれでもわかると思う。しかもテンポが非常に早い。同時に国内的だけに考えていないで、好むと好まざるにかかわらず、海外の力によってわれわれの積み重ねてきておりますものが根本的に改変されるというくらいの状態をまじめに前提として考えますときに、これはもう大蔵省の局の所管が総合的に働かなければ日本自体のレベル・アップというものはできないのだ。これは私は六、七カ月間大蔵省にいてみて非常に勉強したわけであります。先人なかなかいいことをやったものだ、こう思っているわけです。税の問題に対しては、負担の公平といういわゆる学問的の考え方がとにかく前提になっております。これは負担の公平というのは理論的には正しいし、これはどこまでもやらなければならない問題ではありますが、負担の公平だけが税に対する基本であって、他は入る余地がないのだということになると、これは何で補助金を出すのだ、何で一体石炭に対しては特例をつくらなければならぬのだ、なぜ産業政策をやるのだ、なぜ国内産業保護のために、農林漁業に対しては農林漁業金融公庫をつくったり、いろいろな施策を行なったり、一般よりも安い金利を特例でもってやらなければいかぬのだ、鉄道に対しては政府は税金をもって全額処置すべきである一これをそのまま税制に当てはめるときには、私はテンポが早ければ早いほど、基本的な理念というものは通していかなければならぬと思いますが、現実的な税法の運用というものに対しては、これは弾力的に運用せらるべきだと考えておる。だから理論としてわからないことはありません、社会党の諸君などが、非常に古い時代、特に新潟県などにおいて無産運動が非常に激しかったときに、東京のように十二カ月三百六十五日働けるところと、六カ月間の降雪でもって悩む新潟県がどうして同じ税率を適用されているのだ、これは税率を変えろ、こういうことでございましたが、税率を変えることは税体系をくずすことであって、絶対いかぬ、これは同じ税率で取って、必要なところには還付をする、それが正しのだという議論が今日までずっと三、四十年間行なわれております。しかし、今度は豪雪になりますと、表日本の耐用年数三十年の木造家屋に対しては、雪の降るところは十五年に縮めるということが、当然今の豪雪対策委員会で議論されているのです。そういうことに応じない大蔵省はおかしいという議論になっている。こういうことをそのまままじめに並べて、より高い立場から見れば、やはり弾力的運用ということは税制運用の面に対しても例外ではない。私はそういう考えなんです。でありますから、先ほど、なぜ政策減税をやったかという問題に対してあなたが言われた通りでありまして、自由化に対応して国内的な議論だけをもてあそぶのじゃなくて、議論だけを論じておることよりも、何らかの措置をしていかなければ対応していけないのだ、われわれ自身のレベル・アップはできないのだということをまじめに前提として考えると、政策減税ということも当然起こってくるわけでございます。そういう基本的な観念に立ってやったのでございますが、何かこう一番最終段階において、思いついたように大蔵大臣やったのだろうということを言われるのは少し心外だと思っておるのです。もっとお互いにまじめに、事態に対処してどうあるべきかということを考えていただければ、政策減税そのものが違法ではないが妥当性がないなどということではなく、やはりこれこそ重点的にその検討もし、勇気を持って実施をしなければならない段階にあるのだ、時代の要請である、また税そのものに対しても、新しい観点から、税法とは、税制とは、減税の方向とはどうあるべきかということも検討せらるべきだという建前に立っておるわけでございます。

正示啓次郎自由民主党

○正示分科員 松井君、何か言うことありませんか。

松井直行大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○松井説明員 大臣の御答弁につけ加えまして少々説明申し上げたいと思います。租税の体系論から申しまして、利子、配当等に対しまする課税は、勤労所得等に対比いたしますときには、資産の所得であるという意味におきまして、やはり担税力の面からいって大きいということは、税制あるいは財政学一般の理論からは言い得るところであろうと思います。現に、世界各国の税制をながめて見ましても、やはり利子とか配当とかにつきましては、個人の段階において総合課税するということが建前になっております。これは税一般といいますか、あるいはまた先進国のような社会的、経済的な基盤のもとにおきまして、やはりそういう議論があるのは、私当然だろうと思います。ところで、日本の現況におきましても、税の体系論といたしましては、依然としてそういう問題は残っておるのではございますけれども、何分、最近非常に日本の経済が発展しておると申しましても、外国と比べてみまして、資本装備率と申しますか、非常に低い。非常に最近早いテンポで日本の経済は伸びておるようでございましても、その装備率の低いところを追っついておるという段階でございます。そういう社会的、経済的な背景下におきまして、税理論のほかに、当面要請される国民経済的なそうした必要性に応じまして、従来から利子につきまして分離課税、配当の源泉の軽減という措置がとられてきておるところでございます。税制調査会におきましても、そういうことが要らないということではなしに、税制調査会における論議、答申を通じましても、いろいろ基本的な税体系一般の問題もあるけれども、現在の国民経済的要請から見て、さらに現状のままで延長する必要があるということは、やはり資本蓄積の必要性を感じとったものと私は思います。  ところで、さらにそれを一歩前進いたしました減税ということに提案になっておるわけでございますが、これを負担の公平という観点からながめてみますときには、御存じの通り、一方におきまして、国民貯蓄組合法にかえまして少額貯蓄組合というものを設けました関係上、従来乱用されておった、大所得者で逃げておった利子課税というものも、少なくとも五%の課税は受けるということに相なりまして、現在税体系論から言う不公平さを一そう不公平にするというおそれはないものとわれわれ信じております。一方、配当等につきましては、これは御存じの通り、源泉課税をいたしましたあと総合いたすものでございます制度でありますので、前取り十取ろうが、五取ろうが、税制上は少しも変更はないということでございます。  一方、もう一つの大きな税制上の柱といたしまして、先ほど正示委員がおっしゃいました通り、一般の大衆に基盤を置いた資本の蓄積という観点からの要請にもこたえる意味におきまして、少額貯蓄者が持っておりまず資産の生みます果実について免税するというものの考え方の柱は、従来からも通っておるわけでございます。国民貯蓄組合という、幾分乱用のあるかもしれないと思われるものにかえまして、少額貯蓄組合制度、少額貯蓄免税制度というものを設けましたのも、まさにその趣旨に沿ったものでございまして、こういう組織、税制を通じまして、少額貯蓄者の堅実な貯蓄が奨励され、ひいては国全体の資本の蓄積に役立つ方向に運用されるであろうということは間違いないところであろうと存じます。

正示啓次郎自由民主党

○正示分科員 結局、あまりこれは時間がありませんが、もう少し……。何といいますか、たとえばフルシチョフが、今や共産主義にも利潤という観念を取り入れるべきときにきた、こう言っておる。ところが日本の国内では、最高の国会の経済論議において、中小企業と大企業というものはどこまでも対立して、相反目して、ともに天をいただかぬものであるというような議論がある。そこを私は大いに啓蒙していく必要があると思います。そうして今の税制も、少額のものを免税にしておるという趣旨と同じ趣旨で、五%までのものはまだ忍んでいただくのだけれども、大蔵大臣がさっき言われたように、将来は一つ、経営にみずから蓄積したものを出していくというふうな人には免税をするのだ、そういう人の所得の使い方には税金をかけないで、そのかわりに、乱費し、あるいは奢侈的消費に向かうものには重くかけるのだというふうな考え方、これが私は新しい経済理念に立脚した租税理論でなければならぬ、こういうことを非常に強く感じまして、これからの大蔵委員会でこの問題は大いに議論されると思うのでありますが、一つぜひとも、この予算分科会でもそういう議論があったことを御記憶にとどめておいていただきたい。  そこで、だんだん時間がございませんが、一つ銀行局にお尋ねをいたしますが、わが国のいわゆる預貯金の状況というものは相当伸びておる。ことに、よく言われますように、可処分所得をふやせば預貯金は伸びていくのだ、税金なんか五%に下げようがあまり大きな効果がないのだ、インセンティブにはならぬのだというような議論もございますが、やはりそこに角度をつけて、社会の再生産をふやす方向に、ことに、ピープルズ・キャピタリズムとわれわれは言っておるのですが、そういう意味において、乏しいながらもセーブをして、貯蓄をして、企業の経営に必要な資金を出していくというふうなものにこれを奨励するという角度、こういう政策というものが非常に大事だと思うのでございますけれども、そういういわゆる戦前と戦後、あるいは日本と西欧先進国との間の預貯金のいわゆる貯蓄性向といいますか、そういうものがどういうふうになっておりますか。銀行局から一つ数字でこの際お話しを願いたい。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 お答え申し上げます。  第一点は、わが国の貯蓄性向が外国に比べて非常に高いのではないかということが一般に言われておるが、実情はどうか、さらに第二点につきましては、戦前と比べて相当貯蓄が上昇をしておるようだが、その間の事情はどうか、こういうお尋ねかと思います。  第一の、諸外国との比較でございますけれども、最近におきますわが国の個人の貯蓄性向は大体二〇%程度ということになっておるわけでございます。これは米国におきましては八%、英国におきましては六%ということでございますので、これらに比較いたしますと、かなり高いように見受けられるわけでございますが、しかしながらどうもわが国の貯蓄の実情を分析をしてみますと、これはどうも正示先生にはいわば釈迦に説法のような感があって、はなはだ恐縮でございますが、ごく簡単に申し上げまして、個人の貯蓄性向の中には、いわゆる個人企業者の企業家的投資と申しますか、すなわち在庫投資でございますとか、あるいは設備投資といったようなものが含まれておるわけでございます。戦後のわが国の経済の成長が非常に高速度であったというようなことから、こういったような物的資産の形によりますところの蓄積が非常に大きな額に上っておりまして、これが個人の貯蓄性向全体を引き上げる役割を行なっておるというような実情があるわけでございます。従いまして、個人貯蓄性向のうちで、こういういわゆる個人企業の投資的貯蓄というものを除いて見た一般の貯蓄性向はどうかということになりますと、これは先ほど申し上げました二〇%に比べてかなり下回るわけでございまして、特に都市の勤労者等について見ますと、おおむね一二%程度ということが統計上出ておるわけでございます。こういうようなことでございまして、欧米より高いと言われております原因としましては、ただいま申し述べました事情のほかに、いわゆる社会保障の制度がわが国におきましては先進国ほど完備していない、そのために病気でございますとか、あるいは老後に対する準備をみずからの手において行なわねばならぬというような事情にあること、さらにはこの貯蓄が一般には青壮年層と申しますか、そういう年代において蓄積をされまして、高年層に至って逐次これを食いつぶすというのが一般の姿でございますけれども、日本の年令構成が御承知のように欧米に比べまして低いわけでございます。すなわち六十才以上の総人口に占めます割合が、アメリカにおいては三割程度、イギリスにおいては二割三分というものに対して、最近のわが国の姿は大体八%というような形になっておる。さらにそのほか自動車その他の耐久消費財の購入というものも貯蓄の一部というふうに実は考えられるわけでございますけれども、これらが欧米の統計におきましては——もちろん日本の場合でもそうでございますが、貯蓄性向の計算の中に入っておりません。これらの諸点をながめますと、どうも単純に表面に現われましたところの貯蓄性向の係数のみをもって比較することは、必ずしも実情に沿わないのではないかというふうに考えておるわけでございます。従いまして、諸外国に比べて高いからという理由をもって、優遇策を強化しても直ちに貯蓄増加には役立たないという結論は、必ずしも論拠がないのではないか、かように考えております。  次に戦前との比較でございますけれども、戦前に比べますと、昭和十一年当時——これはいろいろ年度によって違いますが、大体基準的な年度で十一年当時をとりますと、一八%程度になっておるわけでございます。それに対して、先ほど申し上げましたように、最近では二〇%程度で、これらを比べますと、必ずしも戦後著しく上昇したというようにも思われないのでございます。さらに預貯金の国民所得に対する比率等から検算をいたしてみましても、その間の事情を見ますと、戦前におきましては個人の貯蓄というものは、国民総生産の大体一・六倍程度の関係にあったわけでございますが、最近では、国民総生産に対して個人貯蓄が八二%ということになっております。また個人貯蓄の中の預貯金だけをとってみましても、預貯金では戦前、国民総生産の五六%という関係にございましたが、貯蓄の残高を見ましても、国民総生産に対する比率で申しまして戦前の約半分というようなことで、必ずしもまだまだ戦前に比して貯蓄の蓄積というものは十分とは考えられない。今後とも一そう努力をいたさねばならない、かように考えております。

正示啓次郎自由民主党

○正示分科員 そのほかに、たとえば企業の自己資本の比率が戦前に比べて非常に落ちておることは、これはもうあらためてここで伺うまでもないと思うのですが、そういう意味からいって、そうして一方において大衆に基盤を持った新しい経済体制を考えてきますと、ここに久保先生おいででございまして、久保先生は国鉄のことに詳しいのですが、たとえば国鉄なんかも春闘で今騒いでおるのですが、賃上げ賃上げというようなことだけで、毎年々々大騒ぎするのは、実は能がない。きょうも国鉄の新線建設の公団の問題がごさいましたけれども、国鉄——電電公社でもそうでございますが、従業員が大いに働いて経営を改善したならば、その経営の改善が理事者、従業員に返ってくる、こういう体制がむしろこれから考えられなければならないのじゃないか。それから労働者と一般に言っておりますけれども、この企業の労働者がたとえば同時に株主である、こういう体制が望ましいので、そうすれば私は、今日のようにただ闘争、断固賃上げというふうな単純な、ちょうど中小企業と大企業というような議論、労働者と資本家、経営者というふうな、こんな古くさい経済観念に基づく議論というものは、——だんだんだんだんと新しい体制に立脚した経営に大衆が参加していく、そうしてその経営によって得たところのものが従業員に返ってくる、こういう経済の体制ができていくようなことが、ほんとうの姿じゃないか、こういうふうに思っております。  そこで、今お話しのような税制面の蓄積促進の措置と同時に、今度の予算の中に宅地債券、ささやかな十九億でございますが、これを入れております。これは非常に苦心をいたしまして、大蔵省と建設省といろいろ相談された結果、宅地債券という構想ができたのでありますが、この宅地債券というのは、公債発行の議論より前に、直接こういうものによって利益を受ける人たちに貯蓄をするインセンテイブを与える非常ないい方法だ、こう思っております。そこで大蔵大臣にもう一つ伺っておきますが、たとえば、これから都市ガスというものがどんどん普及していかなければならぬ。そうするとガス債券、あるいは下水というものもこれからどんどん普及していかなければならぬが、これをやる資金がなかなか足りない。そうすると下水債券、こういうものを大衆に提供して、そして一定の期間に蓄積していけば、あなた方にそういうものが現実に利用できますよということによって蓄積を促進していくということも、私は非常に大切なことだと思うんですが、その点について一つ大蔵大臣の御意見を伺います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 宅地債券につきましては、ただいまあなたから申された通り、新しい制度として踏み切ったわけでございます。下水の整備、それから水道の問題、宅地の問題、住宅の問題、いろいろな問題がございますが、これはぼつぼつ債券を出していくというようなことですぐ割り切るよりも、いわゆる都市改造というものをどういうふうにしてやるか。またそれをやることが究極の目的を達成するために一番いいことであり、その具体的な方法はどういうことかという計画や基本的な態度がきまれば、当然それが財源をどうするかということになるわけであります。現在産業基盤の均衡ある発展を願うために、御承知の低開発の促進とか新産業都市の建設とか水資源公団の発足とかということでやっておると同時に、一番マンモス化しておって、どうにもならない都市生活の環境整備、また都市改造という問題に対して、政府も、国民自体が取り組んでおるわけでありますから、できるだけ早い機会に合理的な計画を作るとともに、これに対処して財源確保をどうすればいいかということを検討していかなければならぬということであります。現在の東京ガスに対してガス債券をやったり、それから下水に対しても建設公債式なものをやったりということは、理論としてはよくわかるのですが、これが乱に流れては困る。でありますから、どの程度のいわゆる都市改造が必要であり、どの程度の償還になり、これが財政金融に及ぼす影響がどうであってということを十分検討しながら財源確保の道をはかっていきたい、こういうことでございます。

正示啓次郎自由民主党

○正示分科員 時間がありませんから、もう一問だけ。  春闘でまた今やっておりますが、私は、かねがね公務員の諸君に非常に能率よく働いてもらうため、また大蔵大臣に一番関係の深い点では、経費を合理的に節約してもらうための配慮が非常に必要だと思っております。かつては日本の国の官庁では、年末あるいは年度末に経費を節約いたしまして賞与を出したのです。これは勤勉の度合い、それから経費節約というふうなものを兼ねた賞与制度で、私はこれは非常におもしろい、うまみのある制度だったと思うんです。ところが今日は期末手当、勤勉手当というふうなものがありますが、どうも悪平等に流れておるのですね。そしてほんとうに勤勉な、しかも国家予算を合理的に使ったような方々に報いるところが非常に少ないと思うのですが、こういう賞与制度、むろんこれも新しい基盤に立って合理的なものにすべきだと思いますが、とにかくよりよく働き、よりよく経費を節約した、こういうものに報いる新しい賞与制度というものを、これはぜひ国の予算の中からまずやるべきだ、私はこういうふうなことを思っておるのです。この点は、民間の会社経営等にも非常に通じておられる田中大蔵大臣ですから、非常に御同情があると思うのですが、この点を伺って私の質問を終わります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 原則的にはあなたの言われる通りであります。今までなぜそれができなかったかと言いますと、給与というものが最低生活を保障するという生活給にウエートを置いてきましたので、戦後いろいろな議論をしながらも、結論的には今まで得たものは生活給であるという考えでありましたから、そのために悪平等であるということは、これは当然であります。でありますから、これからの給与の体系というものは、能率給、技能給、それから勤勉な者、怠惰な者が同じであるということは、これが不合理であることは当然でありまして、公平の原則などと全く相反するものでありますから、生活給としてのウエートで計算をせられるものに対しては、これはもう一律でなければなりませんが、しかしきょう入った者と、三十年間勤めて、営々として功績を国にもたらしておる者に対する年功加算給をどうするか、これは当然ある時期においては検討せらるべきであるし、またできるだけ早い機会に、そういう希望のある、また信賞必罰的な、当然どこでも行なわれておる、また行なわなければならないという面に対しては積極的に対処していくべきだと考えております。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 久保三郎君。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 時間もたくさんありませんので、大蔵大臣には一つだけお尋ねをするわけですが、お尋ねすることは、ただいまの正示さんのお話の中にも触れますが、専売事業の問題でございます。専売事業の経営は、御案内の通り公共企業体ということでやっているわけでありますが、電通、国鉄等は同じ企業体ではありますが、中身はだいぶ違うわけであります。そこで大体企業でありますから、それに応じて企業性を発揮するというのは、言うならば、その企業の経営者自体の自由裁量の部面が非常に多くなければならぬ、こう思うのであります。それが企業の妙味でありまして、それがなければ、昔ながらの大蔵省専売局ということでも事は足りるかと思うのです。ところが公社になったのは、まあその因縁は別な目的からであっても、今日の運営としては、やはり正しくそういう方向へ向けるべきだと私は思っております。  そこで春闘その他で、今正示さんからお話がありましたが、そういう企業の内部において経営者が自由に裁量する部面があれば、そう騒ぎが大きくならぬでも済むし、数も少なくなるだろうと私たちは思うわけです。もちろん正示さんの御意見を全部いただくわけには参りませんが、少なくともそういう面ではやはり考えるべきだと思うのです。ところが専売事業の中では、いわゆる専売益金と経営経理のかね合いですべてがきまってくる、こういうことであります。このかね合いはもちろん必要でありますが、ともすれば今日までの専売益金に比重が重くかかり過ぎて、経営実態の中では残念ながら思うようにいっていないのではなかろうかと思います。そこで、これはものの考え方でありますが、少なくともそういう一つの隘路を打開する意味において、直ちに満足にいくとは思いませんけれども、一つの型として、企業の経営の中にある程度の自由性を生かさせる。いわゆる専売益金の比重を、出るだけ取るという前提に立たずして、これはもちろん国家財政の問題がありますから、必ずしもうまくいかぬと思うのですが、ものの考え方として、取れるだけ取るのだという考え方ではなくして、これが限度というふうにきまるならば、その限度にとどめて、それ以上に出た場合は企業に歩どまりを残す、こういう方式に専売の企業体を変えていったらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 非常に根本的な御発言でございまして、われわれ政府としても、これに対しては深刻にものを考えております。三公社五現業というのは戦後の組織でございますが、大体実効を上げております。これは率直に申し上げますと、政府がやっておる仕事は三つある。一つは財政収入を得るためにやっているということ、これは専売公社、その通りでございます。たばこというのは、たばこの原価計算で売り値がきまるのではなく、税金を乗せたものが自動的に販売価格である、こういうことで財政収入を得るのが一つであります。もう一つは三公社五現業の中でも、民営にはできない、公共性が非常に強い、しかし政府で直轄で一般会計の中でまかなっておるのはどうも芸がなさ過ぎる、ということで三公社五現業にして、多少経営のうまみも発揮をするが、しかしウエートの置き方は、公共的な使命達成というほかの政策的な目標を相当背負わしておる。鉄道も、それから郵便もそうです。これは十円の切手一枚張ったものが、雪の坂道を何里も一枚の封書や葉書を配れば、実際の原価計算をすれば五万円もらわなければ合わないということでありますが、あくまでも五円であり、十円であるというのは、これは国が行なう事業だからであります。しかし、ただにするというよりも、何らかの収入を得た方がいいという三公社五現業の制度、もう一つは道路や港湾のように国が当然行なう、無料公開の原則に立つもの、一般会計でまかなうもの、こういう三つに分かれておるわけでありまして、三公社五現業というのは、その意味において、将来私は、あなたが言うように非常に弾力ある経営が行なわれると思いますが、戦後できてから十七年でありまして、しかも、この十七年間はいわゆる一般会計の事業から特別会計に移ったというだけで、形は特別会計になったのですが、どうも特別会計は昔の一般会計と何ら変わらない。大蔵省や各大臣がそのまま人事までやっておるので、何もうまみがないじゃないか。これはどういうことかというと、国鉄などでもそうですが、国有鉄道は赤字だ赤字だというけれども、私は赤字だと思っていないのです。国有鉄道の企業自体から見ますと赤字でございますが、いずれにしても、社会政策として国が政策上必要な、勤め人や学生に対しては八割引の定期割引をやっておるのです。これは八割引でなくやれば当然大幅な黒字になるのですが、結局法律でもって、また社会的な政策的要求で国鉄というものに対して八割の値引きをさせておる。でありますから、ある意味において独立採算制を、出た数字だけでもって、国鉄や電電はうまくやっていないのじゃないかということは酷に過ぎるという議論が当然生まれてこなければならないわけです。これがだんだんと日本の社会制度というものが落ちついてきまして、そういう特例を認めないでいいような正常な経済状態になれば、私は今度は、一般会計から特別会計に移り、三公社五現業に移った、いわゆる自由企業に似たアイデアによって、努力によって生まれたものに対しては、自分たちが自由にできるのだというような制度が、だんだんと活用されてくると思うのです。三年ばかり前までですか、電電公社の当該年度に生じた剰余金は翌年度以後法律でもって国会の議決を経なければ使えなかったものを、予算総則で当該年度で生じた収入はその年の建設費に繰り入れてもよろしいというふうに弾力条項を発動したわけです。そういうように、方向としてはあなたが今言われたような方向にだんだんと進んでいくのでありまして、一挙にいくわけではないと思うのですが、近い将来そういうことになるだろう。特に政策的な重荷を背負っておるものですから、国鉄などでも自由に処分できるような余った金が出ればいいのですが、どうも足らないで、一般会計から入れてもらわなければいかぬというような状態が続きますものですから、三公社五現業というふうに法律や組織はりっぱにしてもらったけれども、全然自由になるところはない。民間企業のように自由濶達にやる面はないという批判が当然あるのでありまして、私は方向としては、電電を民営にしたらいいとか、国鉄を何分割したらいいとかいう議論も出ております通り、だんだんこれから自由潤達な方向で、より合理的な運営がはかられる方向に進むだろう、また進ませなければいかぬというふうに考えておるわけです。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 大蔵大臣のお話は、三公共企業体といいますか、そういう問題の原則論をお述べになったのですが、私は専売事業だけを申し上げているわけなんです。私も公共企業体に対する若干の意見を持っておりますが、その中でも特殊な——今まで電電なり国鉄は、大臣がおっしゃる通りだと思うのです。実態はそうだと思う。しかし、専売の方は、中身の経理の状態がちょっと違うと思うのです。だから、私が言いたいのは、結局専売益金だけに比重を置いて、そして絶対量がきまっておる中で、それ以上に出ても全部益金という目当てでもってあれがきまったのでは、これは少しうまみがないのじゃないか。今の体系をくずすということではないが、少なくともそういう点からこの際配慮をしたらどうか、こういうことを言っておるのです。  それには設備改善の問題もあるし、実は職員の給与改定の問題は、多少のことはもう大蔵大臣に御相談を申し上げなくても、企業でこれだけ努力したのだからそれでいいだろうという許可さえ与えればできるということでやっていったらどうか。この方向は、専売には、きっとないのですね。国鉄や何かには、若干予算総則で弾力条項で、今大臣がおっしゃる通りのことがあるが、どうも専売事業にはそういう点が薄い。そのために、上の経営者ですか理事者ですか、わかりませんが、あとの職員というか、そういう者がどうも励みがないのではなかろうかと思うのです。それで今まで専売事業でやっておることについては、合理化といえば、まあそう言っては失礼だが、正示さんにしかられるかもわからないが、人間を一つ減らそうか。これは形式的な人間減らしでありまして、今度出ておるか知りませんが、たとえば配達の方も、実は自分の職員を使ったのでは人件費がかさむということで、これは国家経済全体から見れば、何も甲のものを乙に移すだけであって、利益がないのです。実際言って、むしろそういう別会社をつくるということは、どうかと思うのです。なぜ合理的にできないのか。これは形式的に人件費を落として、その企業の中でうまくつじつまを合わせよう。これだけメリットがあったということを何か証明をしなければいかぬということが全部ではなかろうが、相当部分考えられておる。これもそれも、今私が申し上げるような弾力的なものがちっともないのじゃないか。まあ建設公団も一つ田中大蔵大臣のアイデアだそうであります。これはわが党としては意見がありますが、アイデアをいろいろお出しになるのでありますが、あなたの所管の問題で、これはどうでしょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 専売も三公社五現業というものでございますから、弾力条項を発動するような面があればいいわけであります。しかもまた、ほかのものよりも納付金をとられているのですが、とにかく金はあるのでありますし、かせいでおるのでありますから、使うには一番いい立場にあります。しかし、これはまあ正規に御答弁を申し上げれば、大蔵省としても、へんぱなく三公社五現業を十分めんどうを見ております。特に大蔵省からの分身でございますから、またいろいろ財政収入等に格段の配慮をしてもらっておる職員その他に対しては、遺憾なき予算的配慮をいたしております、こういうことになるのですが、もう一歩進めて、あなたの立場になって申し上げると、やはり大蔵省というものは、国民に対してもきびしい以上に自分で身を正しております。だから、国鉄さんに対してもなかなか言う通り差し上げられない。それから電電さんに対しても相当がまんをしてもらうということですと、結局大蔵省から出ていった人は、同じく一般会計でまかなっておる大蔵省に入った人であって、ただ五現業に移り三公社になったということなんだから、われわれの代ぐらいはがまんをしようというような気持は確かにあるようであります。これは確かに美しいことであり、いわゆる財政を主管しておる省の考え方、またそこから出た人の考え方は、私はまじめで賞すべきものだと思いますが、そうだったら、なぜ三公社にし、五現業にしたのだ、こういう議論もあります。国税局が税だけ取っておりながら馬小屋に住んでおる、こんなことはよくないことでありまして、紺屋の白ばかまで、人に合理化を要求する以上大蔵省から出た者に対しては特にきびしく要求するということもりっぱではありますが、私はそれだけをもって改善できるとは考えておりません。これはもう当然国会の審議を経ながら、また皆さんの御議論も聞きながら、やっぱり一般会計から現業に移り、現業から公社に移った特殊性というものを将来発揮していけるような制度上、また予算上、あらゆる面について配慮をしていかなければならぬだろうと、私はまじめにそう考えております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 時間がありませんから、私の申し上げることを一ぺん御検討いただきたいと思うのです。  いずれにしても、企業にうまみがなければあまり成績は上がらぬのが定石でありますから、公共企業体といっても、公共性だけが強くて、企業性の方がどうも歩どまりがなくてはうまくないと思うので、これはまたあらためてお尋ねすることにいたします。  そこで、専売公社にお尋ねするわけでありますが、たばこ製造の問題であります。製造の近代化というか、こういう問題について逐次年次計画によっておやりになっていると思うのでありますが、その目標年次はどこまでで、現在どの程度まで達しておりますか。

飯塚英夫日本専売公社理事(製造部長)

○飯塚説明員 たばこ工場を合理化する問題につきましては、なるべく早期にそれを実施したいということで、当初五カ年程度の予定をもって始めております。本年初めてその緒についたところでございます。たばこの企業の合理化という問題も、そういう計画でいっておりますが、一に販売の伸びがどういう工合に伸びていくかということに関連いたしまして、企業の合理化の進遅にも、将来においても若干の差は起こってくるというふうに考えております。本年度は第一回目の仕事に着手したところでございます。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 今年度着手したばかりだというが、どういう観点から製造工場の近代化をやっておられるか、いわゆる地域的にどういうふうな観点から、あるいは今日ある既存の製造設備、そういうものとからみ合わせて、これは需給というか、製造に供給の観点からも地域的に考えなければならぬと思うのですが、そういう点だけで考えて、たとえば名古屋なら名古屋の工場を新しくする、これはスレッシャー方式を入れてやるというのでありましょうか、そういうものを、私が申し上げるような観点から、何カ所かきめて近代化をやっておられるのですか、いかがです。

飯塚英夫日本専売公社理事(製造部長)

○飯塚説明員 合理化をして参ります目的は、まず第一に、たばこの品質をよくしていこうという問題、あわせて作業を合理的に運営できるようにしたいという点から実施をしております。現在合理化を実施しておりますその順序なり方法なりという点につきましては、まず第一に製品の需給の点から、どのくらいの規模のものをどういうふうに合理化したらいいかということを考えて、需給とかね合いで一点は考えております。  なお次に、どういう工場を選んで、どういうふうにしたらいいかということでございますが、これは地域的な需給の問題、工場の中の現在の状態並びに敷地の状態等、その工場の実態を見まして、かね合わせまして順次実行に移っておるわけでございます。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 大体そういう観点からいわゆる近代化を進めていくということでありますが、工場の実態をながめるというのはどういう点かわかりませんが、私は卑近な例を一つ持っているのであります。  水戸の製造工場の問題であります。これはもう建設以来五十年になります。これは昔の赤れんがづくりでありまして、その後、大災害といえば、大正十二年の大震災、続いて昭和二十年の戦災、すでにあなたの方で御調査になっていると思うのでありますが、もう危険度の限界を越しているということをわれわれは聞いているのです。しかも、これは刻みたばこ、茨城県でありますから、水府、達磨、そういう葉による刻みたばこの製造工場で発足したと思うのです。これを最近における紙巻き、こういうところへ転換して参ったと思います。われわれしろうとから考えても、近代化にはいろいろ方式はある。おあげになったことも一つであります。需給の状態を見て、その中で優先すべき工場の増設はどこか、これも必要だと思うのです。しかし、それだけで問題は片づかぬ。むしろそういう老朽して能率が上がらぬ、あるいは能率が上がらぬどころか危険であるというようなことから考えれば、これはもうすでに改築の計画をすべきだと思う。ところがいまだに御計画がないように思うのですが、これはどうなっているのです。

飯塚英夫日本専売公社理事(製造部長)

○飯塚説明員 ただいまお話にありました通り、工場の老朽化、そういうものの修理というようなことも、かね合わせてその際に実施していきたいという考え方でございます。  水戸の工場につきましては、お話の通り、やはり古い方の建物に属するわけでございまして、私どもといたしましても、一気に改善ということができなかったので、逐次補修の手は講じて参っておりますけれども、スレッシャーを入れるに関連いたしまして、できるなら近い将来において根本的に改修を加えなければならぬというふうに考えております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 単に老朽だけじゃなくて、私ここに資料を持っておりますが、時間がありませんので読み上げませんが、権威あるところで調査した資料を私は持っているのであります。これがその通り真実だとすれば、一たん地震の少し大きいのものがきたら、工場ぐるみ、中にいる者ぐるみ災害になるわけですね、それがどうして近代化の一番先にならぬかと、非常に不思議に思っている。  そこで、先ほど大蔵大臣にもお尋ねしたのですが、これもやはり費用の問題、予算の問題ということになると思う。しかし予算の問題はありながらも、その予算の使い道は、人命、そういうものをまず第一点に考えてほしいと私は実際思うのです。なるほど専売事業の最近の一番大きな命題は、近代化して、多量につくって原価を安くするということでありますから、これは別に私は否定しません。しかしそれ以前の問題として、工場はもう土台が、くいは打ってない、そこへ重い機械を載せておくでしょう、老朽しているのです。もうすでに中に入っているかわきにある鉄筋は、耐え得られない状態です。こういう鑑定も出ている。そういうものを放置して、何をしているかと言いたいのです。私の地元でありますからあまり強くは言えませんが、たびたび非公式には私も参ってお願いしたことがあるのです。お願いの筋じゃないのです、実際言って。たまたま分科会で申し上げるのは、さっき大蔵大臣にお話を申し上げた観点からも、改善してもらわなければいかぬ、こう思うのです。大体今後、近い将来というのはいつですか。来年度の予算に入っていますか。

飯塚英夫日本専売公社理事(製造部長)

○飯塚説明員 スレッシャーを入れまして工場の合理化をはかることにつきましては、一般的に申し上げますと、全国に多くの工場がございますので、現在の建物をできるだけ利用をいたしまして、それに建て増しあるいは継ぎ足しというような方法をとっていくのが一般でございます。なお非常に老朽であります工場につきましては、現在でも改築等を実施しておるわけでございます。水戸の工場につきましても、建物の構造その他について、実は建て増し、あるいはそういう方法で合理化がはかられるかどうかという問題もありますし、将来どういう格好でそれをつくらなければならないかという点もございまして、私どもの方におきまして鋭意調査をいたしまして、水戸の局につきましては、一部の建て増しというような格好で、なかなか合理化というようなものもはかり得ないので、相当大きな改修を加える方向で将来考えなければならないというふうに現在考えて、そういう考え方を持っております。

久保三郎日本社会党

○久保分科員 将来のことを約束するわけにはいかぬと思うのだが、少なくとも、三十八年度に予算がついてなければ、徹底的な調査をして、青写真ぐらいはかいて、それで三十九年度には必ず入れるということを一つ考えてほしいと思うのであります。大蔵大臣もいらっしゃるから、機会がありましたら一ぺん御視察をいただきたいと思うのであります。しかも茨城県は、御案内の通り、葉たばこの主産地でございます。耕作者も一生懸命にやっているわけでありますから、そういう点も考えて、早くこの能率化、もっと大量にできるたばこ製造工場をつくるべきだと思うのです。しかも東京のごく近いところでありますし、大消費地が近くにあるわけですから、東京のどまん中にさらに増設するなんということよりは、この工場を生かして使うというのが私は一番いいと思う。汽車にすれば一時間半くらいで来るわけですから、そういう点も考えて、ぜひ来年度までには目鼻をつけてほしい、こう思います。  それから、もう一つ伺いたいのは、これは製造部長の方だと思うのですが、葉たばこの収納価格の問題であります。幸いいろいろ審議会を通して、最近は収納価格も上がって参りました。しかしまだ生産農家にとりますれば、ペイしない面が相当あるわけです。こういうものも、先ほど大蔵大臣にお話し申し上げた通り、企業にうまみがないから、与えられた出先の予算で——そういうことは私は信じませんけれども、耕作農民はよく口にするのであります。これはきのうは二等でもらったが、きょうは三等だった。そういうことは実際はないはずです。ないのですが、そういう疑いが農民から出るようでは、いい葉たばこはできない、こう思うのです。これはなぜ出るかというと、出先では与えられた予算で、きょうの収納は大体幾らぐらい、あと予算は幾らしかないからというようなことを、農民はまことしやかに言うわけです。これは、まことしやかに言うばかりではなくて、真髄をついていると思うのです。先ほど大蔵大臣に言ったように、うまみがないのであります。限られた予算の中で、葉は何万キロか買わなければならぬ。それには等差がある。今度は六階級か八階級ですか、これを見るというのもむずかしいのですが、大体、お前そう言ってもこれは三等だと言われれば、そうですがと言うほかない。どこに三等と二等の違いがあるか、これは実際いって鑑定人以外わからぬです。そういうところにもやはり、専売公社の運営には欠点がある。欠陥がある。そういう点を考えれば、どうしてもやはり企業に歩とまりというか、ある程度自主性が置けるような方法がほしい。水戸の工場の例も実際いってそうです。これまで漫然と専売公社当局がほったらかしにしたとは私は思いません。実際いって思いません。しかし、ないそでは振れないということで、あした大地震がきてつぶれるかわからぬという工場で、営々としてたばこを生産させておくというのが、残念ながらこれが今日の専売公社のあり方だ。なるほどりっぱにやっているところもありましょう。しかしそれは企業的に、いわゆる金をもうけなければいかぬ、納付金をうんと納めなければいかぬという観点からばかりやっている。片方はちょっともうからぬからあとにしよう、こうなる。この点は一つ、きょうは公社は製造部長さんだけでいらっしゃいますか——それでは、部長さんが一番偉いようですから、あなたが代表で、大蔵大臣がいらっしゃるからいいけれども、お帰りになってよく大蔵大臣に意見を申していただきたいと思う。あなたの方の実態を、私は専門ではないから実際わかりません。しかし私が見るところでは、そういうことだ。だから、私が大蔵大臣に申し上げた点は、一番重要な点だと私は見ておる。そういう点をぜひ考えていただきたい、こう思うのです。  それから大蔵大臣に一言御要望を申し上げておきますが、それは先ほど正示委員からお話がありました春闘の問題であります。これはいろいろ非公式にはお考えをいただいておると思うのでありますが、正示委員の言うように、スケジュールで、春闘だ、あるいは夏季闘争だということが、実際あっていいはずがないのです。みな、うまみがないからそういうことになる。そこで、この段階でいろいろ専売公社の性格なり経理状況を直ちに変えることは、おっしゃる通りできません。それを変えるというよりは、いわゆるこの騒ぎを回避する方法は、何といってもいわゆる政府自体のお考えであります。よって、これは事を荒立ててから解決しても、歩どまりは同じです。むしろこれはマイナスです。だから、そういうことはやらぬで解決するのが、一番最善の策でありますから、ぜひこの春闘というか、そういうものについては、合理的な、だれもが納得するようなことでぴたりと解決してもらうように御努力いただきたい。ところが、今見ていますと、三公社五現業などは、お前ら勝手にやったらいいだろうというような格好も見えないわけではないのであります。ただ御苦心の点はあると思うのでありますが、少なくともある程度お声がかりがなければ、自主性の失なわれた三公社五現業などは、残念ながら始末がつけられないと思うのです。もう大体潮どきであろうかと思うのでありまして、一つ政府においても御配慮いただきたいと思います。以上です。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 田口誠治君。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 時間の関係もございまするので、簡単なところから御質問を申し上げたいと思います。  それでは最初に、国民金融公庫の職員を増員してもらいたいという考え方の上に立っての質問でございます。御承知の通り、国民金融公庫は、昭和二十四年に発足をいたしまして、中小企業への貢献をいたしておるわけでございまするが、何分にも定員が不足ということから、中小企業からも、十分にやはりサービスをしてもらうことができないというので、不満な声が出ておるわけでございます。そうしてなお、職員の人たちも、ほんとうに、時間内には仕事がしきれずに、時間外を店でやっておりましても時間外手当もあまりもらえませんし、体裁も悪いというようなことで、書類をうちへかかえていって、それから家庭で、夜二時間も三時間も、多いときは五時間もかかったというような話もしておったわけなんですが、そういうような現状でございまするので、年々定員の増員はしていただいておりますが、昭和三十八年度といたしましてはどれだけ増員していただいてありますか、この点をまず初めに承りたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 国民金融公庫は昭和二十四年に五百六十九名の職員で発足したのでございますが、その後業務量の増加に伴いまして、年々職員の増員を行ないまして、明三十八年度の予算定員は三千五百三十六名、対前年度比二百二十四名の増でございます。今後も業務量の拡大ということとにらみ合わせながら、所要の人員の確保に努めて参りたい、このように考えております。  三十三年から三十八年までを申し上げますと、大体年間二百名、百六十三名、二百二十二名、二百六十名、二百四十七名、二百二十四名と年々増加をしておるのですが、この数字を見ても、多少画一的な人員増加だということも考えられます。しかも、この国民金融公庫は非常に少額で数が非常に多いのでありますから、業務量が適正に配分をせられておるかどうか、ただいま、みずから家に持って返ってという御発言がありましたが、これらの問題につきましては、ただいまの御発言を契機にして一つ調査をしてみます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 答弁があまりすらすらし過ぎて聞き取りにくい点もございましたが、昭和三十八年度に二百二十四名の増員を予算化していただいたわけですが、現在貸し出しの件数は、年間どれくらいの取り扱いをされておるのですか、できればその数字と、それから市中銀行の取り扱い件数を比較して御答弁をいただきたと思います。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 お答えいたします。  市中銀行との比較の点はただいまちょっと資料を出しておりますから……。  国民金融公庫につきましては、いわゆる貸し出しの前に申し込みの処理という段階がございます。申し込みの年間処理件数でございますが、これは三十五年度が三十五万五千件、三十六年度が三十七万五千件、三十七年度は現在のところまだ十二月までの統計でございますが、四月から十二月までで三十万八千件でございます。これは申し込みの処理でございまして、現実に貸し出しの処理がその次にくるわけでございますが、貸出処理といたしましては、三十五年度が二十七万七千件、三十六年度が三十一万八千件、三十七年度、これまた同じく十二月まででございますが、二十七万四千件、これは先生十分御承知と思いますので申すまでもないことでございますが、国民公庫におきます直接貸付の件数でございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 ただいまの数字は、直接貸付の件数という表現でございましたが、私しろうとであまりわかりませんので、こまかく承らなくてはなりませんが、災害がございましたので、相当貸出件数も多くなっておるわけですが、それでその他の——その他という表現が妥当かどうか知りませんけれども、含めますると、そんな小さな件数ではないと思うのですが……。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げました直接貸付、これは国民公庫自身が本所並びに支所におきまして、公庫職員が直接に審査をいたして貸し付けるものでございます。そのほかに、御承知のように代理貸しがございまして、各種の市中の金融機関を代理に使いまして出しておるものもございますが、これは直接公庫の職員が審査をいたしませんものでございますから、当面の能率の問題といたしまして出て参りますのは、直接の貸付の件数がどう動いておるか、なお、この中には、いわゆる普通貸付のみならず、恩給担保貸しだとか、あるいは引揚者の国債担保貸しといったようなものも含まれております。いわゆる通常の貸付は、もちろん災害関係すべてを含んだものでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 私の持っております数字とは違いますが、私はこれ以上突っ込んでどう違うというところまでは、きょうは言いませんで、いつかの機会にあらためて質問を申し上げたいと思います。  そこで件数といたしましては、ただいま御答弁のありました三十万件程度になっておりまするけれども、これは市中銀行の場合とは、金額の面ではやはり相当開きがございまするけれども、貸し出しの事務処理といたしましては、一件に対して金額が多くても少なくても何ら変わりがないわけでございまして、市中銀行の場合より国民金融公庫の方がよけい労働過重をしなければならないという要素を持っておりまするのは、審査をするとき、一般銀行の場合だと頭から、貸してやるんだという気持で応待をいたしておりまするので、そういうような関係から、やはり借りる中小企業、また大企業もそうでございますが、平身低頭の形で借りに行きますから、時間的な面も非常に少なくて済むわけです。ところが、国民金融公庫の場合はどうかといえば、法に基づいて借りに行くんだという頭がありまして、借りる方に権利があるというような考え方で借りに行きますから、貸す方、いろいろと応待をする方は、全くのサービスを目途に応待をしなければならないというようなことで、時間的にも一人に対して、市中銀行より二倍も三倍もかかるわけなんです。そういうことからこれは割り出していただけばわかりますが、市中銀行の貸出件数と、それから全国の市中銀行に従事している従業員数と比較をしていただきますると、非常に国民金融公庫の方は定員不足で労働過重を来たしているわけです。それで、私が申し上げなくても、もはや国民金融公庫の従業員の方からもお願いに出ておると思います。たしか六百五、六十名の増員を当面してもらわなければ何ともならないのだという要求が出ていると思うのです。六百五、六十名の要求に対しまして、二百二十四名の定員増を認めるという、すなわち三分の一しか認めないというようなことは、私は他の方面ではあまり見られないことだろうと思うのです。従って、こういうような事務量がいかに多いか、いかに労働過重をしておるかということを十分に御調査なさっておらないように思うわけですが、こうした定員増の要求のあったような場合には、どの程度の調査をなさって、そしてこの二百二十四名というものをおきめになったか、この点を承りたい。そして、おそらく原資の関係で二百二十四名というような数字を増員するということに相なったと思うのですが、こういう金融機関に勤めておる人たちの定員を原資の面で数字を左右するということは、非常に間違いなんかが起きまして、私どもとしてもやはり憂慮してやらなければならない点だろうと思うので、こういうような面につきまして一つ詳しく御説明を願いたいと思います。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたような年間の処理件数でございまして、年々この件数が増加をいたしております。そこで一つのめどといたしましては、年々増加する件数に対処いたしまして、一人当たりの負担量というものが重加されてくるということでは、職員にとってははなはだよくないことでありますので、できるだけ一人当たりの負担を減らしまして、能率を上げていくということが理想でございますが、先ほど申し上げました件数に対して、審査人員の推移と照らし合わせまして、結局一人当たり一カ月の間に何件処理をしておったかということを見て参りますと、これが三十五年度以降若干ながら改善を見ております。すなわち三十五年度におきましては、月間処理件数が八十三件ということでございましたが、三十六年度におきましては、増員の結果、これが七十六件ということに減少をいたしております。さらに三十七年度におきましては、これが七十四件、これは先生御指摘のように、市中銀行等に比べますと、確かにこの件数は非常に多いわけであります。これは御承知のように、何と申しましても、一口当たりの金額が平均三十万というようなことでございまして、まことに小口零細な貸付が大部分を占めておる関係でございます。その関係で一人当たりの処理件数が市中銀行と比べて多くなる。これは国民金融公庫の小口零細貸付に重点を置くという使命なり職能から申しまして、ある程度やむを得ないことかと思うのでございますけれども、それをできるだけ無理のない形に、いわゆる処理件数の合理的な水準にできるだけ近づけようということを私どもといたしましても念願いたしまして、年々予算のつど、ただいまのような一人当たりの件数の負担というものができるだけ合理的な水準に接近するように努力はいたしておる次第でございますが、ただいま申し上げましたように、逐次改善を見ておる。ただ先生からごらんになりますと、その改善の度合いが非常に遅々としておるではないかというおしかりを受けるかと思いますけれども、今後ともできるだけ合理化の線に沿って参りたい、かように思っておる次第でございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 なるほど二、三件ずつは、定員増のために扱い件数が少なくなっておりまするが、しかし昨年の定員増も、本年の定員増もほとんど同じような数字なんです。だから私は、ほんとうに事務量から換算をして、適当な量に事務量を合わせていってこの数字が出たというようには考えられぬ。ただ大蔵省の予算の関係から、昨年も二百何がしであったから、ことしも二百二十四名というようなことで、この数字は出されておると思うのですが、そういう簡単なものではないのではないですか。その辺のところの熱意を何か言葉で表現をしていただかなければ、私は常識で考えてみてどうも納得がいかないので、もう一度その点に対して御答弁をいただきたいと思います。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 お答え申し上げます。  二百二十四名というのは、三十七年度二百十七名であったから、大体その辺の見当でということできまっているのではないかというお尋ねでございますが、これは必ずしもそういう腰だめということではございませんで、いろいろ事業分量等をはじきまして、合理的な線にできるだけ接近するという努力の現われとして出て参っているものでございますが、ただ、先ほど先生もちょっと御指摘になりましたように、やはりコストの問題がございます。そこで全然コストというものを無視するというわけにも参りません。コストの許す限りにおいて、できるだけの増員をしていくということを考えざるを得ない。その点は、実はなかなかつらいこともあるわけでございます。ただ、各政府関係機関の明年度の定員の増加状況をごらんいただきますと、特に全般としては増員がなかなかむずかしいところでございますが、国民金融公庫において二百二十四名という増員が出ておりますのは、これは他に比べて例のない数になっておるわけでございまして、その点はできる限りの努力をしている結果と御了解をいただきたいのでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 コストの話も出ましたが、国民金融公庫の場合は、いずれにしても金額は少ないわけでございますから、独採制というような面から考えてみますと、相当人員を縮小させるというような方向に運営を持っていきやすいわけです。こういうことから私は市中銀行との比較をいたしてみたわけでございますが、国民金融公庫の従業員が要求しておりますところのものは、六百五十二名という数字だと思いますが、この数字はやはりなお控え目の数字を出してきておるのではないか。おそらく普通の民間の事業所で労働組合が会社に対して要求をするような場合には、こんなつつましやかな数字というものは要求しません。国民金融公庫の性格からいってほんとうにつつましやかな、全く良心的な、これでも無理だというところのぎりぎり一ぱいの要求が六百五十二名ということでございますので、それをなお昨年も二百二十七名だったから、ことしも二百二十四名というような工合に定員増の数字の出し方をしていただきましては、非常に困るわけでございまして、今年はここで補正をしていただくというようなことはおそらく無理だと思いますけれども、明年度はもう少し綿密に事務量と労働量を調査していただきまして、この要求する人員増が妥当であるかいなかという点から、人員の増加をお願いいたしたいと思うのです。それで、簡単でよろしゅうございますが、こういう定員数をきめる場合の算出の積算基礎になるものは、どういうような出し方を一応なさるのですか。積算基礎を言っていただけませんか。

佐竹浩大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○佐竹説明員 お答えいたします。どうも私、直接担当しておりませんものですからあまりこまかいことはお答えできませんで、はなはだ申しわけございませんけれども、私の承知しておりますところでは、年々の貸出計画というものが基礎になりまして、それに基づいていわゆる処理件数、貸出件数というもの、これがまず一番基礎になるわけでございます。その貸出件数を基準にしてはじいて参る、かように了解をいたしております。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 これは役所の方はどういう出し方をされるか知りませんけれども、事務量と人員との出し方は、やはりどこでも一つの積算の基礎があるわけなのです。だから国民金融公庫の従業員の定員をきめる場合にも、およそそういう線に沿ってなさっておられると思うのですが、これの出し方はそういう簡単なものではないのです。それはあなたでなくても、どなたでもわかる方があればよろしいから答えて下さい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 人員の問題は、行政管理庁及び主計局で打ち合わせをしながらきめたわけでございますが、積算の根拠はもちろんあります。これは一人々々の業務量を計算してやって一おりますが、今主計局から来ておらないようでありますから、もし御必要があれば、明日でも積算の根拠を明らかに御報告するようにいたします。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

櫻内義雄自由民主党

○櫻内主査 速記を始めて。  明二十三日は午前十時より開会し、大蔵省関係の質疑を続行することといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時十五分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗