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43回国会衆議院1963/03/02

予算委員会 第18号

発言数
471
登壇者
31
会派数
3
開催日
1963/03/02

会議録

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 これより会議を開きます。  昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  これより締めくくりの総括質疑に入ります。  辻原弘市君。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 私は、社会党を代表いたしまして、ただいまから締めくくりの総括質問を行ないたいと思います。  最初に、国家公安委員長と法務大臣にお尋ねをいたしますが、最近、地方選挙を前にしまして、かなり目に余るような事前運動が横行をいたしております。この点についての事実を取り締まり当局においては十分把握をせられておるかということが、お伺いの一点であります。なお、それに対してどういうような対策、取り締まり方針をとられようとするのか、それぞれ政府当局の御決意と具体策を承りたいと思うのであります。

篠田弘作自由民主党

○篠田国務大臣 選挙の事前運動に対しましては、私たちといたしましても常に関心を払ってきているところであります。来たるべき統一選挙の問題につきましては、昨年の十月十五日に開催しました全国警察本部長会議におきまして、国の選挙と同様に、厳正公平な取り締まりをやるべきである、また悪質なる事前運動等に対しては適正なる取り締まりをやって、そうして厳正公平にその取り締まりをやってもらいたい、また本年の一月十八日の管区警察局長会議におきましても、去る二月十三日の全国選挙違反取り締まり主管課長会議におきましても同様なる態度を訓示いたしまして、その徹底を期しておる次第であります。

中垣國男自由民主党法務大臣

○中垣国務大臣 法務省といたしましても、かねて政府が選挙の公正を期する上におきまして選挙公明化運動を推進して参っておるわけでありますが、たびたび局長通達などをもちまして、選挙の取り締まりについての厳正公平な指示等をして参ったのであります。去る二十七、二十八日の二日間にわたりまして、全国の検察長官会同を行ないまして、その席でもこの問題を議題にいたしまして、取り締まりの方針等を明らかに示達をした次第であります。この結論から申し上げますと、従来事前運動というものは、努めて選挙の終了後に調査、捜査等をするというかまえをとりまして、できるだけ選挙妨害等のそういう感じを与えないやり方をやっておったわけでありますが、今回はもうすでに統一地方選挙の告示並びに投票日等もはっきりきまっておるわけでありますから、悪質な事前運動等につきましては、選挙投票以前といえどもこれを処置していくという方針をとっておるわけであります。なおまた、非常に地域的な封建性等によりまして、部落ぐるみの選挙運動、選挙違反等が行なわれたような点も、ここ二、三カ月の間にあるやに見受けられますので、こういう問題等に対しましても、警察と十分連絡をとりまして、そういったような違反がないように十分警告を発する、そうして違反者に対しましては、今度は容赦なく取り締りを断行していく、こういう考え方であります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 公安委員長及び法務大臣のお答えによりますると、従来とかく見過ごしがちであった事前運動に対しては、統一選挙を前にして、しかもその日取りがはっきりしているのだから、徹底的に取り締まる、こういう御決意が今うかがわれたのでありまするし、また、その対策としても、全国警察本部長会議、あるいは全国検事長会同、こういう形においてそれぞれ通達をしている、こういうお話でありまして、選挙の公明を期するために、まことにそれらの方法は時宜に適したことだと私も考えます。  そこで、一、二具体的に私は伺って参りたいと思うのでありますが、ここにこういう文書がございます。この文言は委嘱状とあります。中身を御披露申し上げますと、これは井出義明という私の知っておる人に対する委嘱状でありますが、何を委嘱するかというと、貴下を自由民主党東京都支部連合会選挙対策委員に委嘱いたしますという文書で、日にちは一月の十日、だれから委嘱をするかというと、自由民主党東京都支部連合会の中村会長、それから自由民主党総裁池田勇人氏の委嘱状でございます。これは私がいろいろ聞いて参りますと、少なくとも東京都下に私の聞く範囲によれば十五万ないし二十万枚、これは配ったか届けたか委嘱をしたかは知りませんけれども、配布をせられておるという事実があります。私の考えによりますると、選挙対策委員ということでありまするから、常識的にいいますれば、一体十万人も二十万人も選挙対策委員を委嘱をして、どういうことをやるのであろうか、いささか了解に苦しむのであります。それから普通、こういう選挙対策委員を委嘱するとなると、それは政党においてはその党員に対して、あるいは後援会その他の関係であればその範囲において、やられるのが通例であり、従って、人数もかなり少数に限定されるというのが常識だろうと思うのでありまするが、ところが、この中村会長、池田総裁の名をもってする委嘱状は、十五万ないし二十万枚にも及んでいるという事実は、はたして常識的ないわゆる選挙対策委員委嘱状と考えられるかどうか。私は端的に申せば、そのことによって将来選挙の得票を得せしめようという、きわめて明瞭な具体的な選挙事前運動ではないかと考える。この点について、まず一つ、国家公安委員長、法務大臣に毛見解を承りましよう。

篠田弘作自由民主党

○篠田国務大臣 あなたのお示しのような、そういう事実があったということは承知いたしております。しかし、それがあなたのおっしゃるように何万枚もまかれているものであるか、あるいはどうかということは今正確に枚数をはかっておりません。それと同時に、それが事前運動になるべきものであるか、あるいはまた政党の政治活動と認むべきものであるかといろ点につきまして、現在警察当局をして調査せしめております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 この問題は、すでに当予算委員会分科会においても、わが党の山花委員から具体的に指摘されているはずであります。従って、そのときにも、調査をいたしましてという答弁があったが、いまだに調査ができておらないというのは、これは私は、取り締まり当局の、先ほどの答弁と違う、きわめて怠慢だと申さなければならぬ。  それからもう一つ、それは今篠田さんの最後にお答えになった、政党活動ならばよろしい、政党活動であるのではないだろうか、こういうお話でありましたが、このように明瞭に不特定多数——なぜ私が不特定多数と言うかといえば、ここに私は少なくともこれだけ持ってきている。いずれもこれはあなたのいわゆる自由民主党の党員及びその支持者とおぼしき人たちではないんだ。名前はあげませんけれども、ここに持っておる人はわが党の公認候補だ。いずれもわが社会党の町会議員の公認候補ないしは市議会議員の公認候補にきているのです。これをもって不特定多数でないというようなことは、これはあなた方いかに厚かましくても言えないはずだ。しかも、これは池田総裁の名をもって出されておる。法律的に多少の脱法行為があろうとも、少なくとも統一地方選挙を前にして、しかも一国の総理大臣である総裁が、かかる不特定多数に、多少の選挙運動らしき文書を広範にばらまくというそのあり方は、一体どうなのかということ、これは私は重要な問題であると思います。従って、総裁の判が押されておりますから、この問題について総理の見解を承っておきます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 私は、政党活動といたしまして適当なものとして党に指示いたしておるのであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 それではもう一つお伺いをいたします。自由民主党池田総裁、自由民主党東京都支部連合会中村会長という形におけるこれは、政党活動の範囲内であると言われる。しかし、国家公安委員長は事実を調べて答弁すると言うのですから、それまで具体的に応酬は待ちましょう。  そこで、もう一つ、国家公安委員長にお伺いをする。あなたも今総理も、自由民主党総裁だから政党活動の範囲内だと言われる。ここにこういうビラがある。これも北海道に十数万枚べたべたと張りめぐらされているのをはがしてきたんです。ちゃんとのりで張ってある。どう書いてあるかというと、ごらんになったらわかるように、「祝青函トンネル着工、二月十一日、総理大臣池田勇人、道知事町村金五」というビラなんです。だから、統一選挙の知事に予定されている候補者と総理大臣が名を並べて、青函トンネル着工を奇貨としてこれを十数万枚まいたということは、常識のある者であるならば、何人も明らかに利益誘導ではないかという疑いが起きるんですよ。これは明らかな利益誘導ですよ。  そこで、運輸大臣に伺いますが、ここに青函トンネル着工を祝すということになっておるが、青函トンネル着工はいつきまりましたか、お答えを願いたいと思います。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○綾部国務大臣 お答えいたします。  青函トンネルの広い意味においての着工は、すなわち、トンネルの予定地の試掘その他を私どもは考えており、調査の結果それによってきめるので、私は着工という意味をさように解しております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 着工というのに、広い意味だとか狭い意味だとかいうことがありますか。この問題について、去る十六日の第四分科会でわが党の渡辺惣蔵分科員があなたに質問をしている。その速記録によれば、こう書いてある。私、就任以来、いまだ一回も閣議においてその問題は出たことがございませんので、きまっておりません、と答弁している。なぜそういううそを言うか。でたらめを言うか。速記録を見てみなさい。十六日ですよ。きょうは幾日なんですか。一週間後にきまったんですか。速記録に出ているじゃないですか。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○綾部国務大臣 お答えします。  さっき申しましたように、着工というのは、試掘その他をやることも、広い意味において青函トンネルの着工であります。それゆえに、私はそれをきめて、その調査の結果によって……(辻原委員「きまっておりませんと言っている」と呼ぶ)きまっているというんじゃない。(辻原委員「速記録はどうしたか、この間の国会の答弁と違うじゃないか、でたらめなこと言うな」と呼び、その他発言する者多し)違っておりません。委員長、静粛にさせて下さい。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 綾部運輸大臣が答弁中でありますから、御静粛に願います。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○綾部国務大臣 お答えします。  私の申しましたのは、試掘に着工したことを申しましたのでありまして、その試掘ということも、すなわち、青函トンネルの試掘の結果で設計がきまり、費用がきまり、それから同時に財政措置その他によってやることがきまるのであって、すなわち、広い意味においては私は着工であると考えております。しかし、閣議においては、ただいま申しましたように、設計その他のきまった着工はやると言ってないということを申したのであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 私は、広い意味ではどうですか、狭い意見ではどうですかということは、尋ねていない。着工を正式に閣議できめられたのか、きめられておらぬのか、こうお尋ねしたのであります。この前、同じ質問が十六日の分科会で行なわれている。私は、その質問を終始たんねんに読んでみた。あなたは、きわめて簡潔な言葉で渡辺分科員の質問に対して、私、就任以来、いまだかつて一回もその話は出たことはございません、従ってきまっておりません、と二行で速記録は書いてあるのです。なぜそれではそのときに、広い意味ではかくかくでございまして、狭い意味ではどうでございますという説明をしなかったか、なぜそのときに、学校の校庭にちょこっとくわを一つ入れたのが着工のしるしだということを説明しなかったか。なぜそのときにはっきり言わなかったのですか。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○綾部国務大臣 速記録をよくお読み下されば、私はあとでそういう意味のことをたびたび言っております。どうぞごらん願います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 これはいろいろあとでのつけ加えをいたしましても、着工は正式にきまったのかという質問に対して、速記録のきまっておりませんという以外につけ加えるべき言葉はないと思う。広い意味の着工とか狭い意味の着工とか、そんなふざけた話はない。そんなふざけた話は常識では通らない。おかしいですよ。しかし、その点についてここで時間をかけることはあれですから、一体広い意味の着工とはどういう意味であるか、狭い意味の着工とはどういう意味であるのか、ほんとうにきまっておるのか、きまっておらぬのか、具体的にいずれあなたの所管の運輸委員会でこれを究明いたします。   〔発言する者多し〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 静粛に願います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そこで、お伺いするのですが、先ほど、国家公安委員長も法務大臣も総理大臣も、政党活動の範囲だったらよろしいと言うのですが、選挙の事前運動とか選挙運動というのは、初めから明らかにこれは違反ポスターですよというようなやり方ではおよそやらない。きわめて巧妙におやりになるのが、大体従来の事前運動をやる人たちの方式だと思うのです。しかし、現に町村さんと総理大臣池田さんの名前を並べてべたべた張れば、ああ青函トンネルの着工は町村知事のおかげではなかろうか、背後に池田さんもあるのだろう、それはけっこうじゃないか、こういう話になって、それがどういう結果を生むかは、何人が考えてもわかるのです。それをもって事前運動というのです。それをもって事前運動の違反ビラだというのです。池田さん、どうですか、その点。まず、法務大臣から見解を聞きましょう。

中垣國男自由民主党法務大臣

○中垣国務大臣 単に都道府県知事と総理大臣との名前が張ってあるからといって、全部それが事前運動だというふうには解釈をいたしておりません。先ほどの東京都の選挙対策委員会の委嘱に対しましても、報告等はまだ警察から受けておりませんけれども、そのこと自体が直ちに事前運動だという法解釈はできないだろうと思います。しかしながら、まぎらわしいような点があれば、もちろん警察からの報告を受けまして、十分検討をしたいと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 まぎらわしいといっても、これははっきり具体的な問題を出して言っているのですよ。何十万枚も張ってある。しかも、町村さんは一カ月後の知事候補なんだ。しかも、決定していない青函トンネルについて、着工を祝すという利益誘導のようなやり方もやっている。単なるビラではない。利益誘導というこれは重犯罪です。二つの罪を犯していると考えられるいわゆる事前運動のポスターです。はっきりすればあなたは関与しますか。池田さん、いかがですか。あなたは、政党活動の範囲内だと先ほどの推薦状についておっしゃった。こういうビラは一体どうなんですか。あたりまえだとおっしゃるのですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 数百万の北海道道民を初めとして、内地国民全部の悲願である青函トンネルの着工の準備としてくわを入れるということは、非常に画期的の喜びでございます。道民を初め、全国の人に知らすことは、これは総理大臣として適当な措置であると考えておるわけであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 何がこれが適当な措置なんですか。あなた、もしそうおっしゃるなら、私の県の橋がかかって県民全部が喜べば、あなたのビラを張りますか。全国至るところで橋がかかり、道ができ、あるいは大きなダムができる……(「大きさが違う」と呼ぶ者あり)いやいや、事柄の大小はどうあったって、県民なり道民あるいは府民なりの期待の気持においては変わりはない。北海道が大きいから北海道だけ張るのだ、東京が大きいから東京だけ張るのだという問題ではないでしょう。そんな変な政治をあなたはやっていらっしゃるのですか。そうじゃないでしょう。また、一国の総理大臣が、国できめたことがめでたいからといって、一一ビラを張りますか。そういうふざけたことを言うものじゃありません。おかしいですよ。インチキですよ。きまっておらないものをむやみにビラを張って、そして道民年来の期待をした重要問題だから張りましたなんて、あなたそれで人づくりなんて言う資格はないですよ。(「恥ずかしくないか」と呼ぶ者あり)恥ずかしいですよ。そんなみみっちいことをやるんじゃないです。  時間がございませんので、それ以上私言いませんけれども、しかしながら、私はまじめに言っておるのです。さっき国家公安委員長、法務大臣もおっしゃられたように、最近のそういう選挙事犯あるいは事前運動の形というものは、きわめて巧妙になって選挙の公明をゆがめておる。そういう事実に徴して、まずえりを正すべきは政府当局者であるということを私は申し上げておる。総理大臣が国民に対して強く法秩序を要求し、また人づくりを強調されるならば、まずもってそういう疑いが国民の目に映らないようにするというのが、政治の正しいあり方だと考えるからこそ、このようなことをやって、少なくとも声なき人々のひんしゅくを買うようなことだけはしないように、池田内閣の名のために、私はあえて申し上げておるのだ。そういうまじめな意味において、一つこの問題についても、たとえ総理大臣であろうとも、篠田国家公安委員長は断固として調査をして、違反の事実があればこれは取り締まれ。  次に、私は、日韓の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  総理にお伺いをいたしますが、去る二十七日に、韓国におきましては、朴議長が提案をいたしました九カ条にわたる各野党の政治家に対する条件の、受諾のための宣誓式が取り行なわれたようであります。しかも、その式上におきまして、朴議長が次期大統領に出馬をしない、言いかえてみると、政権の座から身を引いて野に下るという言明を初めていたしておるのであります。私は、このときの朴演説を新聞紙上で見まして、重要なことを述べているというふうに判断をしたのでありますが、その一つは、率直に軍事政権は失敗であったということを認めて、国民の前に明らかにいたしております。同時に、もう一つの重要な要素は、将来再び韓国においては革命が起こる危険性を内蔵しているということも、率直に申し述べているのであります。この情勢をとらまえて考えてみますと、今まで池田内閣が、朴政権並びにその背後にある韓国全体の政情についての把握がきわめて甘かった、同時に、見通しについては誤っておったということが、明確に言えると思うのでありますが、総理大臣、外務大臣は、韓国政情に対する見通し及び朴政権に対する判断について、率直に誤まっておったとこの席上でお認めになれませんかどうか、お伺いをいたします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 たびたび申し上げておりますように、最近の韓国の政情の評価につきましては、私ども、軍事政権が民政移管への道程におきまして、いろいろ苦悶をしておる姿だというように評価いたしておるわけでございます。先方の最高会議の議長がどのような声明をされたか、そういうことにつきましては、私どもとやかく申すべき性質のものではないと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 一昨年五月、軍事革命によりまして、朴政権が韓国の正式政府として立っていった。しこうして、その後、御承知の通り、二年後には民政移管ということを言って、その予定のコースをたどっておるのであります。われわれも軍事政権より民政移管への早からんことを望みます。しかも、スムースにいくことをわれわれは望んでおったのであります。しかし、どこの国を見ましても、軍事政権から二年前後で民政移管という場合には、いろいろの問題が起こってくることは、私は想像いたしておるのであります。従いまして、日韓交渉におきましても、全体の問題を一括して解決するということは、韓国の政情の推移を見ながら、私は善処するつもりで言っておるのであります。従いまして、たびたび申し上げますがごとく、軍事政権から民政移管へのいろいろな悩みはありましょう。しかし、私の見るところでは、朴政権は九カ条を出しまして、われわれが交渉しておる日韓交渉につきましても、九項目の最後にそれを入れて、日韓国交正常化については、次の政権も一致して努力するということを条件にしておるのであります。こういうところから見ますと、いろいろな苦悩はありましょう。苦難はございましょうが、初めの予定通りに事態は進んでいっておる。ただ、朴議長が大統領として残る残らぬという問題は、われわれの関するところではない。軍事政権から民主政権に移りつつあるということは、われわれは初めから予想しておる。しこうして、その間の苦難ということも、われわれは予想しておるのであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 今総理が言われた点は、従来の、韓国政情がごたつき出してから、外務大臣なりあなたが言われた朴政権なり政情の把握と、いささか私はニュアンスが違ってきたと思う。非常に違ってきておる。なぜかというと、今までどういうものの言い方をされておるかといえば、それは、韓国の政情についてはいろいろ悩みがあるであろう、しかしながら、その政情から、今やっておる日韓交渉を中止をしたり、取りやめたりする気持はなく、継続をしたいんだ、しかも、その交渉相手は朴政権であって、私たち同僚議員の、朴政権はすでに命脈が尽きておるではないか、不安定政権ではないかということについて、一昨日でありましたか、重ねてわが党の岡田委員が確めたについても、外務大臣のお答えは、いわゆる安定政権であるというような答弁をせられておるのであります。そこで、われわれの危惧するところは、そういった私どもの判断、一般国民の判断、あるいは国際情勢をめぐる今日の韓国政情というものは、何人が考えてもただならぬものがあるという判断と、大きくずれておるのではないか。しかも、もうすでに完全に一年九カ月にわたる軍事政権にピリオドが打たれようとする段階においても、なおかつ朴政権は安泰などと言っているその神経の太さというものは、一体どういうことだろう、この無神経さというものは一体どうだろうと、実は私ども信じかねておったのであります。今総理が言われたその点で、いわゆる朴政権の帰趨というものは問題ではない、こう言われたその話とは、私は非常に違うと思う。  そこで、具体的にお伺いしたいのであります。そうすると、総理が今言われた、朴政権の帰趨というものは必ずしも問題でないということは、あなた方の言う今後の交渉の継続ということは、必ずしも朴政権を意味しませんね。端的に言うと、交渉妥結という言葉がよく使われておるのでありますが、交渉を妥結する相手はだれになる。いわゆる朴政権であるというふうに判断をされるのか。朴政権以外の、既定の事実として考えられておるいわゆる民意による次期大統領、及び新しく選出せられる国会においてとり行なわれる、これは順序でありますね。だから、交渉の妥結は必ずしも朴政権ではない、こういうふうに、今言う意味を含めて御答弁になったのか。その点を確かめておきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 もうこれは、初めからわかっているはずじゃございませんか。二年後には民政移管をする、そうして憲法をこしらえ、そうして大統領にだれが立つかということもわからぬ。あるいは一時は朴議長が立つということだった。われわれはこれを二年間にやってしまうというなら、朴政権ということになりましょうが、われわれは韓国民を相手にしてやっておるのであります。韓国政府を相手にしてやっておるのであります。その韓国政府が軍事政権から民主政権にかわるということを前提にしておるのであります。何も朴議長とだけやるのだということは初めから私は考えておりません。韓国政府とやるのであります。韓国政府が軍事政権であろうが、民主政権であろうが、われわれはそれを問うところではないのであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そんなはっきりしたことをあなたは今まで言われたことはない。今まで朴政権を相手として、朴政権はりっぱな政権でございます、朴さんの人となりもかくかくでございますというところから話が始まって、いつまでたっても朴政権は安定政権で、その上に立って交渉を継続される。だから、妥結は朴政権とやるのかどうかということも、わが党の野原委員がこの間確かめておる。それに対しても答えておりませんよ。だから、私はあらためて聞くのです、今の総理のニュアンスが違ったから。今になって、何もそんなことは二年前からきまっているじゃないか——なぜ早くからそれを言わないのですか。今になって、必ずしも朴政権を相手にしない、妥結は朴政権後の新しい大統領との間に、新しい韓国政府との間に妥結をするという目途で進むのだ——なぜそれを今まで言われなかったか。そんなことを言っていないですよ。もう一ぺん重ねてはっきり言って下さい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 そういうことは初めからわかっておるはずじゃありませんか。わからぬというのがどうかしております。それは軍事政権から二年後には民主政権にかわってくるということは、みんな言っているじゃありませんか。朴政権自体が言っている。ただ、その場合において、われわれが交渉相手にしておる朴議長、今の軍事政権、これもりっぱな政権でございます。それは内政において、経済的に不作その他で困っておられるかもわかりませんが、われわれはこれは正統な韓国政府として相手にしておるのであります。しこうして、その軍事政権というものは、二年以内にかわってくるということは前提でございます。だから、あなた方は、朴政権を相手にしてほかのものとはやらぬのかというような御質問もなければ何もない。われわれは今の状態においてやっておる。朴政権が今度民主政権にかわってきます、そのときには、かわったものを相手にしてやる、これが当然のことじゃございますまいか。それを朴政権としかやらぬのだというようにお考えになることが、韓国と日本とのこの正常化の交渉という出発点からちょっとどこか違っているのじゃないか。われわれは初めからそのつもりです。だから、民主政権に移ることを前提にしてやっておるじゃありませんか。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そんなことはあたりまえじゃないか、おかしいじゃないかとおっしゃられるが、そのおかしいことをあなたが今まで言われなかったから、私は言うのです。あなたの方がおかしいのですよ。そんな初めからわかり切っていることは、私ら、やはりあなたが今言われたが、初めからわかり切っているのです。韓国政情がごたごたし出したときから、朴政権がだめになるということは、常識のあるものはだれもわかっているのです。そのかわっていることをあなたが言われなかったから、重ねてそういうことを尋ねなければならぬのです。おかしいのは、だからあなたの方ですよ。  そこで、その点は明らかになりました。だから、今後は朴政権を必ずしも相手にするのではなくて、民政移管後の新政権との間に妥結をはかろうとする政府の考えであるということは明瞭になりました。  そこで、その点について、もう一つ重ねてお尋ねをいたしておきたいのであります。(発言する者多し)おかしいのはあなたの方の総理大臣だから、おかしいのはそっちへ言って下さいよ。  きのうの本会議における与党田中伊三次先生の外相不信任案に対する反対討論の中で、与党の日韓交渉の今後についての態度に触れられておりまして、私はきわめて注目すべき発言であり、御見解であるとして承って、そこの部分の速記を拝見いたしました。どういうふうにきのう述べられたかということをあらためて御披露を申し上げると、きのう田中先生はこう言っておるのであります。「韓国政情の動きに対しては言うまでもなく重大関心を払いながら、」云々、こうありまして、そこで、今私が総理にお尋ねをいたしました部分については、こう言っております。「わが国の面目を失し、不利益を来たすがごときことは断じていたさないのでありまして、韓国政局の安定を見ざるうちは、条約の妥結、調印を行なうがごとき軽挙盲動は断じていたさない決意であります。慎重に事を運び、韓国政局の見通しつくまでは妥結、調印をいたさないというのでありますから、危険はないのであります。野党御心配のごとき余地は断じてないのであります。何とぞこの点は御安心を願いたいのであります。」と、こう言っているのです。そこで、これは与党を代表しての討論でありますから、この態度、御発言というものは、私は政府・与党の最終的な態度だと了解をいたして話を進めるのでありますが、そういたしますると、かねがね私どもが主張いたしておりましたように、朴政権というものは、これは今日韓国の民意から離れておる。そのことは、朴さんも、私が冒頭に申し上げましたように、率直に、日本のどこやらの政治家とは違いまして、きわめて率直に、経済あるいは政治各般にわたる軍政は失敗であったと、私はこの点に関する限りはまことに見上げた態度だと思いますが、率直にこれを認めて、国民におわびをしておる。そういうような政情から推して、おそらく朴政権というものは近く下野せざるを得ない。朴・金鍾泌ラインというものは完全にくずれ去って、軍政はなくなる。これは単にスムーズな形で——当初考えておりましたのは、これは池田さん先ほど言われましたけれども、あなた方が当初言われておったのは、軍政から民政に移行するというこの機械的なルールというものは、もちろんこれはさまっておりました。しかし、軍政と民政との間が完全に切れてしまうというようなことは、これは予想しておらなかったでしょう。私はその点を言っているのです。その点が違うのです。池田さんのきょうの答弁と今までの答弁、また認識とは違うのですよ。これは重大な点です。そこで、われわれは、今やっているいわゆる朴政権を相手とする日韓交渉というものの結末は、おそらくこれはだめになる、むずかしいではないか、そういうことの交渉はおやめになった方がよろしかろう、じっくり待てば、民政移管後に新しい民意を代表するものができてくるのだから、それを相手にしてやるのが至当ではないか、こういう一般的見解を述べてきたわけです。そのことと、ここで田中伊三次氏がたまたま与党の態度であるといって表明されたことは、かなり近づいてきておる。言いかえてみると、韓国政局が、今の朴政権がだめになり、その間手続として、大統領選挙、韓国の議会選挙が行なわれる、そういう政局の安定を見ないうちは妥結をいたしません、条約の妥結をいたしません、また調印もできません、そんな軽挙盲動はいたしませんと言っている。この通り政府としてはお考えになっておりますか。一つはっきりお答えを願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私どもは、常々申し上げておりまするように、日韓の正常化の前提になる懸案の解決は、国民の御納得のいくような内容のものでなければならぬ、そういうものを一括して同時に解決したいという基本方針を把持いたしまして、今日まで参っておるわけでございます。今後もその方針を変えずにやって参るつもりでございます。この交渉が妥結・調印という段階になりますまでには、今申しましたような納得のいく内容を煮詰めて参らなければなりません。これは、日本もそうでございまするし、韓国もそうであるはずでございます。従いまして、韓国は日韓の問題に関して交渉主体として納得がいく建設的な方針をおさめになり、そしてそれを今後保障するに必要なだけの政局の安定がなければならぬということは、これは当然のことでございまして、私は、きのう田中さんが御発言されたことは、そういう意味合いにおきまして、外交交渉上当然のことを言われたものと解釈いたしております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 一つ簡潔に外務大臣もお答えを願いたいと思うのでありますが、韓国政局の安定ということは、さっきも総理大臣がたまたまおっしゃったが、民政移管になることはもう二年前からわかっているのだということで、そうすると、韓国政局の安定ということは、だれが考えても、常識的には新大統領が選ばれてから後だということになる。あるいは新国会が構成せられてからだということになる。しかも、田中さんは、条約の妥結・調印というふうに具体的に言われておるので、私も、妥結はいつするのですか、調印はいつするのですか、これは重大な関心事なんです。しかも、その時期はいつなのか、だれを相手にするのか、この重要部分について、田中さんが言っておるこの見解と政府は同じですか。今、私の同じですかという質問に対して、あなたが同じですという答弁をされた。そうすると、私のお尋ねいたしました、また常識的な見解から考えてみて、韓国政局の安定というものは次期大統領選出以後である、こういうふうに把握できますが、その通りですか。念のためにもう一度確認をしておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 若干誤解があるようでございますが、私ども、交渉妥結・調印の時間をいつにするなんて申し上げておるわけじゃございません。問題は、諸種の懸案の納得がいく解決について鋭意努力して参りたいということでございます。そのこと自体容易ならぬ仕事でございまして、私は、両国の国民が十分の理解を持ちまして合理的な妥結内容に持っていかなければならぬということで、せっかく努力いたしておるわけでございます。そういうことについて先方の政権が熱意を持っておる限り、私どもはこの交渉を鋭意続けて参るということを申し上げておるわけでございまして、いついつ妥結する、調印するというようなことを予定しておるわけでは決してないわけでございます。きのう田中さんが言われた意味は、妥結・調印という時期になりますると、その前提としてもろもろの懸案の合理的な解決という前提があるわけでございまして、そういう前提をつくり上げる、両国がそれをささえるだけの交渉主体としての能力を持たなければなりませんし、また、それを今後において保障するだけの能力を持たなければならぬわけでございまして、そういうことを踏みはずしてまでやるというような軽挙盲動はしないということを言われたことは、外交交渉として当然のことを言われたものと私は了解いたしております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 外務大臣、あなたは日本語を知らぬのですか。(「なまいきを言うな」と呼ぶ者あり)——何がなまいきだ。何を言うか。委員長、発言者を退場させよ。   〔「取り消せ」と呼び、その他発言する者多し〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 不規則発言は御遠慮願います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 委員の発言に対して何を言うか。なまいきだとは何だ。   〔発言する者多し〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 御静粛に願います。  この際御注意申し上げますが、不規則発言は禁止いたします。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 外務大臣、私は速記録を読んで、田中さんがきわめて懇切に話をされておることについてお尋ねをしておる。それに対して総理がお答えになった。ところが、田中さんの言っておるのは、政局安定後に妥結・調印をする、それ以前にやることは軽挙妄動であるとはっきり言っておるのです。そこで、政局安定についての見通しを先ほど総理に伺うと、朴政権がだめになって民政移管になるというようなことは、まあ総理の神通力から考えると、二年前からわかっておったというお話なんです。あなたの話とも非常に違うのですよ。あとで速記録を調べて私は十分検討したいと思いますが、総理のおっしゃられたニュアンスとあなたが述べられた公式的発言というものとのニュアンスはまるきり違うんです。あなたは、朴政権を依然として交渉相手にして、妥結できればそのときでもやる、妥結や調印のことは言っておりません、誠意を持ってやっておれば、向こうに善意のある限り、いつの時限でもやれるのだとおっしゃっておる。しかし、現実の問題として、朴政権というものは、もはや政権担当の能力を今日持っておらないでしょう。そのことを前提にして私は言っておる。そのことは総理もお認めになったんです。しかも、そんなことは常識でしょうと総理は私をやゆされた。それを前提にして、そうすると、田中さんの言われた政局安定ということは、一体それじゃあなたはどういうふうに把握をされるのですかということをあらためてお尋ねをしなければならぬ。田中さんの言われた政局安定というのはどういう意味なんですか。私どもの常識的判断と違うのか、この点をもう一ぺん具体的にお聞かせ願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 剴切なる御質問だと思います。政局の安定という意味は、私が申しましたように、妥結の内容を合理的な納得のいくものにして、それを今後において保障するに十分なものでなければならぬという意味のことを田中さんは言われたと思うのでございまして、これは外交上も当然の前提でありますことは申すまでもございません。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 どうも外務大臣の御説明はわかりません。私の日本語的常識をもってはどうも理解に苦しむのであります。政局の安定というものを具体的におっしゃっていただかぬと、われわれは判断に迷う。  しかし、この問題だけでやりとりをずることは何でありまするから、先ほど総理が言われた、いわゆる朴政権については、朴政権にこだわらない。従って、総理の御発言からすれば、おそらく、交渉の妥結の時点の見通しというものは、これは朴政権ではない、いわゆる調印はその次の段階においてやるんだということだけは明らかになったと思います。いま一度一つ総理にこの点を明確にしていただきたいと思うのであります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 外務大臣も私も同じ考えであるのであります。今の日韓交渉は、両国民の満足し納得する方法でいくのが原則でございます。従いまして、今のところは朴政権がありますから朴政権と話をします。しかし、全体の問題が両国民の納得のいくことになって、いよいよ調印するときの向こうの政権は朴政権かあるいは次の民政権か、こうなってきますと、それはそのときにきめればいいのであって、われわれは常に熱意をもって、誠意をもって日韓交渉をやっている。だから、朴政権も、民政権に移るときに日韓の正常化についてはやっていこうということを条件にしておるじゃありませんか。私は、この朴政権並びにそれに納得し共鳴する各政党、従って韓国民を相手にして、あすからでもきょうからでも誠意をもって交渉はいたします。しかし、いよいよまとまったときに、それが民政移管前の朴政権時代にまとまり、そして今の政党がみな朴政権で調印したらどうかということになれば、何も朴政権を断わる必要はないのではございますまいか。そしてまた、そういうことにならずに、まとまりもせず民政移管になって、そして民政移管後の政府と交渉してまとまれば、そのときに調印するのでございます。今からだれがどうこうと、——あくまで私は韓国民全体を相手にしてやっておるのであります。従って、それが朴政権の時代になるか、あるいは民政移管後の時代になるかということは、交渉を重ねてから後のことじゃございますまいか。初めからきめてかかるということは、外交交渉上よくないと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 日韓交渉の従来の経緯について当委員会でもそれぞれ質疑をかわされておるのでありますが、今外務大臣も総理大臣も実際問題としてはかなり苦しい答弁をされております。そういうあれから言いまして、こまかい点を今ここでとかくするだけの価値なしというふうにも私は考えますので、細部の点はおきたいと思います。ただ、一点、現在やられている請求権交渉を中心にした日韓会談の帰趨がどういうことになれ、日本側としての重要な問題というのは依然として残るわけでありますから、その点についてはお尋ねをいたしておきたい。  私が特にお尋ねをしたいというのは、李ラインの問題であります。本来、李ライン問題はしばしばわが党からも指摘をしておりますように、これは直接国交正常化、国交回復の問題ではなく、その後に起きた不法な国際法無視の結果によってもたらされている日本の漁業並びに漁民の利益に関する重要な問題であります。そこで、あえてお尋ねをするのでありますが、日本側が提案をしたといわれる漁業専管水域における裁判管轄権の問題はどうなるのか。この点について、二月十九日の予算第二分科会において質疑がかわされております。それによる政府答弁を見ますと、こういうことが明らかになっておる。一つは、韓国の領海は三海里である、この点は日本側の主張を韓国も了承した上で話が進んでいるということが明らかにせられておる。そこで、領海戦の外側から十二海里のいわゆる漁業専管区域、これは日本側が提案をしておる。この是非については今論ずるわけではありません。ただ、政府答弁についてお尋ねをするのでありますが、その裁判管轄権について答えた中川条約局長はこう言っておる。海洋法の思想によって、十二海里の間は沿岸国の専管漁業管轄権ということになるので、その中の漁船についての裁判管轄権は沿岸国にある、こう言い切っておるのでありますが、私はきわめてこれは重要な問題であると思います。なぜなれば、われわれが李ラインを撤廃して漁業の安全を確保しようという目的は、そういった不法な拿捕、不法な検挙、不法な裁判、これが日本の手を離れて行なわせられないようにするための目的が重要な柱として存在するからであります。ところが、三海里は認め、その外側十二海里のところに共同の管轄区域を置いて、漁業専管区域を置いて、たまたま不幸にしてその中に入った漁船に対する裁判が、依然として検挙は向こうがやる、同時にまた裁判毛韓国に連れていかれてやる、こういうことになると、一体結果としてはどうか。李ラインのあるのも、李ライン交渉においてきまったそのことも、何ら事実においては変わらないという結果が出るから、きわめて重大だと私は申し上げておるのであります。  そこで、政府に伺うが、漁業協定で韓国に一方的裁判権を認めることを明記するのかどうか、この点をはっきり一つ御答弁願いたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 十二海里の専管漁業管轄区域を韓国側に認めます場合に、これは専管管轄区域ということになるわけでございますから、韓国側がそこへ管轄権を及ぼすわけでございます。従って、日本は、もしその条約ができますれば、日本の漁船は韓国側の管轄権に服さなければならぬわけでございます。具体的な条文でその裁判管轄権のことをはっきりきめるかどうか、これはまだそこまで話がいっておりませんので、その際にきめることになるわけでございます。基本的な考え方は、ただいま申し上げたような考え方でございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 簡単に答えられておるが、これは重要な問題です。そうすると、公海における漁業専管水域に一方的裁判権を条約できめた、そういう先例はどこにありますか。その点はどうですか。先例のないことを日本が進んでやるというふざけたことはおそらくしないと思いますけれども、先例がはたしてあるかどうか、これをお尋ねしたい。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 先例といたしましては、最近英国とスカンジナビア諸国との間に条約ができておるのでございますが、たとえばアイスランドあるいはノルウェー、デンマーク等でできておりますが、これらはいずれも十二海里の専管漁業管轄区域を認めておるわけでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そこに、中川さん、非常にごまかしがあります。私は言葉の表現はへたですからお許しを願いたいが、ごまかしがある。それはどういうごまかしかというと、漁業専管水域並びに漁業専管区域という言葉と、私がお尋ねをした裁判管轄権というものとを同意語にダブらしておる。確かにあなたのおっしゃる漁業専管水域の管轄については、沿岸国にそのある部分の権限というものを帰属せしめている例は、私が調べたところそれはあります。ところが、実定法として裁判管轄権を一方的にゆだねているという例は、海洋法その他の思想から見ても、私はさだかに発見できません。あるいは今例にあげられましたところのイギリスあるいはアイスランドその他の関係の条約を見ても、たとえば漁業及び公海の生物資源の保有に関する条約というのがありますが、その第七条に、領海に接続する公海に一方的の保存措置をとることは許しております。また、領海及び接続水域に関する条約第二十四条一項には、沿岸国は自国の領域に接続する公海の水域において次のことについて必要な管理を行なうことができる、その必要な管理というのは何かというと、自国の領域内または領域外における関税上、財政上、移民上または衛生上の規則の違反を防止すること等々はありますけれども、裁判管轄権を一方的にゆだねたという実定法の先例は見ないのであります。この点はどうでありますか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 一国の管轄権は、その裁判権も含めまして、原則としては領海だけに及ぶわけでございますが、たとえば、アメリカの例等で見ますと、領海を越えましていろいろ関税法上の管轄権等を及ぼすことがあるわけでございます。さような場合は、領海を越えましてその国のそのことに関する法権が及ぶ、こういうことになるわけでございまして、これをもし条約で認めます場合には、やはり相手国の管轄権、裁判権も含めまして管轄権をその事項については認めるということになると思うわけでございます。具体的の条文につきましては、ただいま御指摘になりましたように、イギリスとアイスランドあるいはノルウェー等との条約におきましても、専管管轄権ということだけ書いてありまして、裁判管轄権という言葉は使っておりませんけれども、実際の運営におきましては、その相手国の法権が自分の国に及ぶことを認めるということでございますので、やはり、先方が罰則を適用すればそれに服さざるを得ない、かようなことになると考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 それは非常に違うのです。いわゆる広意義における、——先ほど運輸大臣が広い意味と狭い意味と発言されましたが、広い意味というか、その共管区域におけるいわゆる管轄権という意味においては、先ほど私が指摘しましたように、ある部分の権限は委ねておるが、しかし、その場合に、——私は率直に申しまして勉強不十分でありますから、まだこれから十分研究したいと思いますけれども、たまたま裁判権に及ぶようなものがあなたの言われるようにあるかもしれない。しかし、それは小部分である。先ほどあなたが答弁されたように、明らかに条約において認められた一国々々の話し合いとして裁判管轄権の帰属を明確にするという先例はないと思うのです。この点は先例はありません。もしそういうことが妥当であるとするならば。それじゃ、日米加漁業協定における裁判管轄権はどうか、あるいは日ソ漁業交渉における裁判管轄の問題はどうか、問題は発展すると思います。しかし、従来、日本側の態度としては、日米加の場合にも、明らかに、裁判管轄権については、領海侵犯の問題については、日本側が裁判をしておる。日ソの場合においても同じだと思う。なぜ日韓の場合にだけそこまで譲歩する必要があるのか。しかも、この点は李ラインにおける重要な柱なんです。裁判管轄権がわが国にあるのとないのと、漁民の迷惑、漁民の利益というものがどれほど違うかということは、今日まで長い間問題となっている李ラインを考えてみれば一目瞭然なんです。それをなぜそんなことをするのか、私は不可思議でならぬから、日韓交渉はあまり質問申し上げませんと言いながら、この点に関する限りは、今専門家会議で進んでおりますから、重要な問題としてあえて指摘をするのでありますが、外務大臣、それから総理にも、この点に関する決意を一ぺん聞いておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 たびたび申し上げておりますように、公海上一方的に、しかも排他的な権力を行使するということは許されないことでございまして、私ども絶対反対でございます。日韓間の漁業交渉問題でございますが、これはつまりこの関係水域の資源を保護しつつ日韓両漁業者が相互に互恵し最大の利益が得られるようにしなければなりませんし、かつ操業の安全が保障されなければならないわけでございまして、そういう問題を最近の海洋法上の傾向を考慮に入れながらいかにして打開して参るかという課題でございます。従って、今お尋ねの専管漁業水域というのは、領海という意味ではございませんで、そういう目的を達する上におきまして沿岸国の利益のために一定水域を専管漁業区域として双方が認め合おうという考え方でございます。そういう精神に乗って専管漁業水域における沿岸国の利益を尊重して参るということは、この漁業問題の討議を進めていく上において一つの前提になってくると思うのでございます。問題の漁業専管水域というものに実定条約上裁判管轄権をうたうべきかどうかというようなことにつきましては、御指摘もございましたので、よく検討いたしますが、精神は、一方的に排他的な権利を行使するのじゃないのだ、この水域は両方の国が了解し合って沿岸国のために留保しようという考え方にほかならないわけでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 どうもわかりませんね、その点の御説明が。私は、沿岸国の利益のためにということは、これは精神的な意味においては理解できる。しかし、少なくとも、李ラインの交渉を何のためにやるのか、わが国の漁業者の当然の権利を確保するためにやるわけです。だから、共同専管水域を設定することの是非はきょうは論じませんが、これをかりに設けた場合に、少なくとも、公平な立場から見れば、一番被害を受けているのはだれかといえば、日本の漁民、日本の漁船なんです。日本側なんです。その日本側が不当不法に拿捕をされ、向こうに連れていかれて、向こうの一方的裁判に付されるということから生じている問題であるから、その利益を確保するということを前提に置いて考えたならば、海洋法の精神だとか、あるいはイギリス、アイスランド、ノルウェーの最近の傾向がどうだとかということは私は当たらぬと思います。その点についてはそういう議論は当たらぬ。問題は、だから、いわゆる共同の専管水域という限り、それを日本側が認めた以上、そこに入らないように、入らせないように取り締まることは日本側の責任として生じましょう。同時に韓国側にもそのことの責任が生じましょう。そうするならば、自国に属する船であればそれぞれの自国が裁判をやるというのが建前ではありませんか。そのことをなぜ主張されぬかということなんです。これがなければ李ライン交渉の意味がありません、率直に言いまして。だから、検討いたしますと今外務大臣はおっしゃられたのでありまするが、もう一度その点をはっきり、裁判管轄権については、沿岸国の利益もさることながら、その点に対しては日本側は譲れぬのだという主張をこれから行なわれますかどうか、明確にしておいていただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 今辻原さんは韓国側のことを言っておられますけれども、日本の沿岸についても同じような問題があるわけでございます。つまり、沿岸国の利益のために一定の沿岸国の漁業専管区域というものはあるわけでございます。従って、これはレシプロカルのもので、私どもは日本側が特に節を屈して不公平なことをやろうなんて一つも思っていないわけでございます。問題は、漁業問題を解決する場合にどういう心がまえで参るか、どういう仕組みで参るかという、そうして安全操業を確保して相互の利益を最大限に得るようにどうしたらいいかということを検討しておるのが漁業問題でございまして、先ほど申しましたように、実定条約でそれをどう現わすかということにつきましては、これは条約起草技術上の問題でございますので、検討さしていただきますけれども、あくまでも根本の精神を把持して、それの実効が確保されるようにいたさなければならぬことは当然だと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 日本側にその例があると言いましたけれども、私は、日本が公海においてよその漁船を拿捕したなんということは聞かない。それは領海侵犯の場合において日本側がやっておることであって今季ラインの問題で言っておるのは、公海における漁船拿捕の問題をなからしめるためにどうするかという交渉だと私は解決する。そのことの目的を達するように、いわゆる協定の中にその精神を盛り込まなければ意味がない。だから、日本側にもそういう問題があるから、だから沿岸国の利益という立場で同じなんだという議論は、これは、外務大臣、できないと思います。そういうことの事実があるなんということを言ったら大へんだ。私はそれはないと思います。日本側には漁船拿捕によって裁判管轄権を云々しなければならぬような問題は、日本に関する限り私はないと思う。だから、その点は十分検討されるということでありまするから、ここでこれ以上時間をかけることを避けますけれども、重要な問題であって、今実定法にはないのに、そういうような海洋法の思想あるいは最近の条約の傾向があるからということで李ライン問題、裁判管轄権をむげにおろすということは、これは政府としては断じてとっていただきたくないということを、この点については強く希望をいたしておきたいと思います。  次の問題に移りたいと思います。  総理にお伺いをいたしますが、私の次の問題は原子力潜水艦寄港の問題であります。この米原子力潜水艦の日本寄港の話というのは、去る一月九日でありましたか、ライシャワー大使を通じて話があったというのが初めてですか。初めてそういう話が持ち上がったのですか。向こうから初めて申し入れがあったのですか。この点について総理にお尋ねをいたしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 今回の問題は、一月九日にライシャワー大使が私のところにお見えになりまして御相談があったわけでございます。私が承っておるところでは、日米間の会談で以前にも内々そういう話があったようでございますが、その当時は、まだこの問題の国民の受け取り方が十分熟していない段階で、慎重に考える必要があろう、こういう態度で応答しておったように聞いております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 内々で話があったというのは、時期はいつですか。いつだれからどういう話があったのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 総理がアメリカに訪問されたときにもそういう話があったということは承っております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 総理が訪米されたときにあったというのですから、一つ総理からお答えを願いましょう。いつだれからどういう具体的な話があったのですか。その点をお答え願いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 私が訪米する前にもそういう問題があったと思います。文書で来たかどうか……。それから、私が訪米いたしまして、ケネディ会談の前に、そういう空気と申しますか、そういう機運が向こうにあった。正式にケネディ大統領から申し出られたのじゃないのです。国務省当局からこういう問題があるということを耳にいたしましたから、その問題は私は触れぬ、こう言って話題にのぼせなかった。結果はいわゆる断わった格好になります。そういう問題はここで出してくれるなと。ケネディ大統領直接からではなかったと思いますが、そういうことがあったことは記憶にあります。しかし、その当時は、自分としてはそういう問題を話題にのぼすことを避けてくれるように言いました。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 渡米前にもそういう話があった、それから、渡米の際にも、ケネディさんからではないが、そういう空気を耳にしたという今のお話であります。それで、もうちょっとその点を総理の記憶を一つよみがえらせていただきたいのでありますが、だから、あなたには間接的にそのことは伝わった。伝わったが、そういうことを話にする時期ではないというて断わったというお話でありますが、しかし、それはだれかがアメリカ側からその話を受けなければそういうことにならないと思うので、アメリカのだれから日本のだれに話があって総理の耳に伝わったか、そういう空気が出たか、それを一ぺん承りたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 ケネディ大統領と私との会談につきましては、前もっていろいろ打ち合わせをするのに、打ち合わせの途中にこういう問題があるということを私は耳にしましたから、それは落とせ、こう言った記憶がございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 どうも、耳にしたというお話でありますが、私の聞くところによると、これは時間がかかりますから私の方から聞いた話を申し上げますが、それはアメリカのラスク長官から当時の小坂外務大臣に申し出があった、こういうふうに聞いております。それは誤りですか、どうなんですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 これは、よくこちらの外務次官とあるいは大使と向こうの大使、国務次官との話も、ラスク、小坂との間のように伝えられるのでございます。実際は、私は、大使館同士じゃないか、大使と向こうの国務省の人の間ではないかと思います。しかし、向こうで、一応予備に打ち合わせのときに落としても、小坂君も行きましたから、ラスクと小坂君の間にあったかもわかりませんが、しかし、その問題は、いずれにいたしましても、そういうことが向こうの希望にあることをケネディ大統領と私との間には出すなということで落とした、こういうことだけは申し上げることができるのであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 私の聞いておる範囲でも、大体総理はお認めになったようでありますが、この潜水艦寄港については、かなり前々から話があるようであります。具体的にあげますると、最初にアメリカのノーチラスが北極海を潜航成功したときにも、日本側にその申し出があったということも聞いておる。それから、昭和三十七年の六月、総理が渡米せられたときには、今申しましたようにラスクから日本側に話があった。これは今総理は大使同士の話であったのだろうというお話でありますが、そういう話があった。その後においても話があったようであります。  そこで、いずれにしても、総理が今ここでおっしゃったように、断わったということであります。そのときに断わられた総理の見解というものはどういうものであったか、これを一つ伺っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 どうも、原子力といったら核兵器にすぐ通ずるものと思って非常にこわがっておるのが当時の実情でございます。しかし、最近に至りましては、もう日本でも原子力を船舶の推進力としようという計画を立ててやっておるわけで、時代がだいぶん変わって参りました。しかもまた、国民の間におきましても、昔のようには誤解はもう起こさない、そういうことはもう問題にしてない、時勢がそれだけ変わってきておる、こう私は考えまして、今年初めに、申し出があったことを受け入れる、こう結論を私は出した。ただ、受け入れる場合におきましては、もし不幸な事態が起こったときの問題、あるいは、今まで各国に寄港しておりますが、そのときの状況等を見まして、十分打ち合わせの上結論を出すように外務大臣にも指令いたしております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 情勢は変わったと言われるのでありますが、原子力推進の潜水艦が当時も今もこれは軍艦であることには間違いはない。兵器であることは間違いはない。また、日本国民の認識も、決して、総理の言われるがごとく、原子力潜水艦というものに対してこんなものは大丈夫なんだという認識に改まったとも私は理解をしない。その点に、私は、たびたびの話にかかわらず、総理がいわゆる原子力潜水艦というものはお断わりになられたというのと、今回とにもかくにもその寄港を認めようとしておられるという態度には、まさに百八十度のここに転換があるということは重要な問題であると思います。しかし、その判断が、これはお互いの判断でありまして、水かけ論になりまするから、その議論は私はあとでこまかく一ついたして参りたいと思います。  そこで、外相に伺いますが、一月の九日にライシャワー大使から申し入れがあったと、こう新聞にも報ぜられておりまするし、答弁もされておるのでありますが、それはどういう形式、どういう内容であったかを一つ明らかにしていただきたいと思います。手続上の関係について一つ明らかにしていただきたい。この点があまり当委員会においても深くはお尋ねをいたしておらぬようでありますから、どういう形式であったか、場所はどこであったか、どういう内容のお話があったか、具体的に一つ承りたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 外務省におきまして口頭でお話がありました。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 それは、話の内容はどうなんですか。というのは、私はあなたの答弁でいろいろの言葉を表現されておるからお尋ねをしておるのです。念のためにとか、あるいはちょっと相談があったとかね。日本語というのは便利ですから、いろいろこう言うのです。そのときそのつどの言葉のあやがあるものです。しかし、英語というものは、これは解釈するまでもなく、言葉はストレートです。そこに、日本人の受け取るニュアンスと、アメリカが持ってきた意図と、これはいろいろな場合に食い違うことが往々ある。そこで、私こそ念のためにその内容をお尋ねしているのです。もう一度伺いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 口頭で、乗組員の休養のために日本の港に寄港するということについて、日本政府は一つお考えを願えますまいか、こういうような意味の話でございました。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そうすると、新聞とか、また委員会の議論の中でもあったが、寄港の申し出であったのか、またちょこっとの相談であったのか、あるいはアメリカの国内法の建前から招請状を出してくれというような言い方をしておる場合もあるし、私は、どういう話があったのか実は正確につかめなかったのでありますが、今のお話によると、言葉はどうであれ、要するに日本に原子力潜水艦を寄港せしめたいと思うが、日本側はこれを許可してくれ、こういう内容であったと理解をしてよろしいですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 これは、辻原さん御承知のように、許可云々の問題ではないので、安保条約上先方の権利でございます。ただ、向こうが、こういういわばセンシティブな問題ですから、一応日本側の感触を伺いたい。こういう意味でございまして、許可をしてくれなんという、そういう言葉ではございません。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そこで、お伺いをいたしますが、安保条約六条のいわゆる交換公文の事前協議ということでありますが、この事前協議について今までされたことがありますか。  それともう一つは、事前協議というのは、どういう形式の整った場合に事前協議というのか、この点を一つ参考のために伺いたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 いわゆる事前協議を日本政府に申し入れてきたことは、いまだございません。事前協議は従ってどういう形をとるかということも、別に先例はないわけでございますが、二つの様式が考えられると思います。一つは、はっきり例の事前協議である。安保条約上の事前協議であるといって申し入れのあることもありましょうし、あるいはあの事前協議の事項に当たる問題につきまして協議してくる、こういう形ではっきり安保条約による事前協議ということを言わなくても、実質があれに当たる場合でありますならば、やはりあれの事前協議になると思いますが、これはいずれも今まで実際の例がございませんので、従って具体的にどういう形をとるかということは、今何ともちょっと判断しかねるわけでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そうすると、今の条約局長のお話によると、事前協議というものは確たる形式がないというわけですね。だから今まではこういうことがなかった。これは、一つあとでまたお尋ねいたしますが、そういうことはなかった、事前協議は一回もない。同時に、事前協議というのは、向こうから事前協議と言ってくる場合もあるし、ない場合もあるし、具体的に相談したことがたまたま事前協議になることもあるし、一定した形式はない、こう理解をしてよろしゅうございますね。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 そういうことであろうと考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そのことの議論は私は今いたしません。そうだとすると、ライシャワー大使が日本の外務省において、原子力潜水艦を寄港せしめたいという申し出は一種の事前協議じゃありませんか、どうなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 事前協議とは考えておりません。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 事前協議でないと考えるのは、それはだれが判断するのですか。さっき、一定の形式がない、相談してみて事前協議になる場合もある、確たる形式も手続もないというのだ。そんなばかなものであるなら、安保条約締結の際にあんな大騒ぎすることはなかったんですよ、ほんとうに。実際何にもならぬということですね、こんな事前協議なんというものは。これは事前協議である、これは事前協議でないというのはだれが判断するのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 条約に明示されてある文言によりまして日米両国が判断するわけでございます。ただいま中川さんが言いましたように、今までそういうことはなかった。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そこに今度の潜水艦問題の受け取り方に非常に重要な問題があると思うのです。大平さん、あなたは、向こうから兵員の休養だからというのでと、きわめて簡単に受け取っておられる。ところが、実際問題としては、これは原子力潜水艦という将来の核戦争に非常に大きな役割を果たすいわゆる兵器持ち込みについてでありますから、アメリカ側は、存外その真意というものはこれは日本の考えているような簡単なものではないかもしれない。そこに私は、一種の事前協議ではないか、すなわち交換公文による重要な装備の変更ないしは重要な配備の変更という項に該当するものではないか、こういう疑いを私は持つのであります。その点について今一度お伺いしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 重要な装備の変更とは考えておりませんで、事前協議の対象になるものとは考えておりません。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 あとで少しその点について伺いたいと思います。  次にそれでは伺いますが、さっき私がお尋ねをいたさなかったのでありますが、外務大臣は、潜水艦を含めて、軍艦の寄港については許可とかなんとかということではないと、こうお話しになりました。そのことは、要するに潜水艦を含めて軍艦の寄港は、これは日本側としては断われないものである、こう理解してよろしいですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 事前協議の対象にならないことにつきましては、条約上日本が断わる権利がないと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 その根拠は一体どういうことですか、その根拠を一つ具体的にお話しを願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 安保条約上米軍に認められた権利でございます。   〔「日本にも権利があるじゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 御静粛に願います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 安保条約の条項に基づいてということでありますが、あなたが言われたのは安保条約の、これは当委員会でも議論をせられておりますが、地位協定の第五条を意味しますか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 御指摘の通り、安保条約に基づきます地位協定の第五条によって、アメリカの公船は施設区域に出入する権利を認められております。なお、日本の港に入ることも認められておるわけでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 確かに安保条約の地位協定は、米国軍艦の航行については、これは基地及び施設地域といいますか、区域の提供地域ですか、いわゆる基地に対する航行は自由。しかも、交換公文の合意議事録の中には、無通告でもってどんどん入れるということが書いてある。確かに今外相なり中川条約局長が言った通り、自由に入れるのですね。その証拠に、私は政府から資料を少し提出してもらった。それによると、たくさん入っております。しかも日本の港を大別すると、これは私が大別したのではなしに、資料を提出してもらった政府の方でそういう分け方をしてきておる。それはどうかというと、一つは基地、横須賀、佐世保、岩国、この基地に対する軍艦の航行、これは安保条約第六条に基づく地位協定第五条及び合意議事録の三項によってこれは無通告で自由に入れる、これが明らかになっておる。それからその他の港にもどんどん入っておる。大阪、横浜、神戸、これを除くその他の港でも一年間に二百十七隻の米国軍艦が自由に航行しておる。自由に入っておる。そこで、私は全部の資料を政府にお願いしたのであるが、遺憾ながら、基地については国際上の儀礼とか何とかということで、これはお出しにならない。それから横浜、神戸、これは私はそういう国際上のなにもないと思うのだが、これはなぜ出さなかったのですか。国際上のあれということで、基地については一応その意味はわかるとしても、横浜、神戸はなぜ出さなかったのですか。その資料の提示を私は求めたはずなんだが、横浜、神戸の資料は出ておらぬ。それは一体なぜお出しにならなかったのか、その点を一つおっしゃっていただきたい。あわせて基地についてなぜ出さなかったのかも、その理由だけは一つ明らかにしておきましょう。それもお答えを願いたい。

和田勇海上保安庁長官

○和田政府委員 お答えいたします。  先般私の方から出しました資料につきましては、神戸横浜につきまして資料を出してございませんのは、神戸、横浜につきましては、先方に提供施設がございまして、これは自由に出入りができます。従いまして、向こうが義務としてわれわれの方に通告しなくてもよろしいということになっておりますので、隻数は出しておりませんが、先生の方からお話がございましたので調べましたところ、神戸は約八十二隻、横浜は四百二十八隻入っております。これは大へん資料が不完備で申しわけございません。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 今の答弁もおかしいですよ。それは、基地提供区域の軍艦の航行についてはいろいろなランクがあるんだ。何回も申しましたように、きのうもやったはずだ。きのうもやったのに横浜、神戸については出してきておりません。私は、了解したことはこの席上では申しません。だから、明らかに岩国、佐世保、横須賀、これについては国際上の慣例云々というから、それは深くあれしないのだけれども、しかし横浜、神戸についての今の答弁もおかしいですよ。基地提供区域であっても、ちゃんと条文を読んでごらん、合意議事録には、安保条約の地位協定には通報の義務が課せられておるのです。通報の義務を除かれるものは合意議事録でもって——いわゆる軍の機密だ。端的に言うと軍の機密にかかわるような場合のみは通報は要らない。提供区域であっても通報の義務があるのです。それを今何と言ったのですか、その答弁はおかしいですよ。

和田勇海上保安庁長官

○和田政府委員 お答えいたします。私どもの方の港長は入出港の届出を受けておるのでございます。これにつきましては除外されておりますので、横浜、神戸は正確な数字がなかったものでございますからお出ししなかったのでございまして、御要求によりまして関係各所から調べまして、今申しました数字を御報告させていただいた次第でございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そういうことがおかしいというのです。これは現地でちゃんとわかっている。私はその具体的なことは知らない。しかし、あらゆる法律を繰って見ると、ちゃんと通報の義務があるのです。ない場合について言っているのじゃない。たとえば施設提供区域であり基地である場合には全部通報の義務を免除されているのなら、あなたの答弁の通りなんです。そうじゃないのです。だから、調べれば出てくるのでしょう。しかも、横浜、神戸については現地の港長あるいは港湾管理者にちゃんと通報するのです。その通報したものが、なぜそれじゃ日本の所管省にその実態がわからぬか、そういうことはおかしいというのです。今そのことを追及するのが主題ではありませんから、資料は、私どもは無理は申しておらぬのでありますから、これは確実に提出してもらわなければ困る。  そこで、提出をしていただいた資料に基づいて一、二お尋ねをいたしますが、先ほど自由に航行できると言った。今問題になっているのは、要するに、あとで議論をいたしますけれども、総理は、日本の態度としては核兵器はいけない、だから核兵器の持ち込みは許さない、こういうことを政府の態度として答弁をせられておる。ところが自由に日本の港に、横浜、神戸、それから基地を除いてでも年間に二百十七隻という軍艦が入っておる。今海上保安庁長官がお答えになった、まとめられたこれは私は正確であろうと思いますけれども、まずそれだけでも八十隻が入っておる。合計年間約三百隻という軍艦が入っておる。その中には実にいろいろな種類のものがある。出してもらった資料は専門的な記号でもって書かれているので、たんねんにこれを私は解読をしてみた。それによると、たとえば例をあげて申しますと、昨年の九月十三日から九月十六日の間CLGの「トペカ」というのが鹿児島の港に入っておる。このCLG「トペカ」というのは、ここに年鑑がありますが、私はこの年鑑ジェーンによって解読をして見ると、こう書いてある。クリーブランド級の誘導ミサイル型巡洋艦である。装備は対潜水艦水雷発射管、さらにジェーンには次のごとく書いてある。同型の船には核弾頭付のタロス・ミサイルを持っておると公表しておる。これはどうなんです、違いますか、防衛庁長官、どうなんですか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 仰せの通り、アメリカの艦艇にはいろいろな航空機なり、いろいろな器材を積んでおることと思います。しかしながら、わが方は、何度も申し上げております通り、日本の港に寄港する場合においては、核兵器は絶対に持ち込んでは相ならぬ、かように固い約束をいたしておる。深い信頼の上に立ってかように実行いたしてもらっておるのでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 答弁をそらしちゃ困ります。ちゃんと私は具体的に言っているのです。自由に入れる、そのことを私は認めた。九月十三日から「トペカ」が鹿児島に入っておる。「トペカ」というのは、国際的な信頼のある年鑑によれば、同型の船には核弾頭つきのタロス・ミサイルを持っておる。これについてあなたはどう考えるか。確認はしましたか。絶対入れないという政府の方針ならば確認しなければいかぬ。私だってこれは調べることができるのだから。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 ただいま御指摘になりました兵器は、核弾頭とそれから普通の爆弾の弾頭、両方の兵器がございまして、われわれは絶対に核装備したものは持ち込んでおらない、かように確信をいたしておるのであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 私は具体的に聞いているので、確信とか信頼とかということは、世の中がすべてそれで通るのなら借用証文も要らぬでしょう。条約も要らぬでしょう。そういう議論は成り立たないのです。その確信とはかくかくの裏づけをもって、たとえば防衛庁長官がそのことを自分の目で確めた。あるいはアメリカとの間に何らか確かめる具体的措置をとったということにおいて、初めて持ち込まないというそのことについての信頼ができます。かくかくですから確信を持ちます。あなたの話には、終始私は予算委員会で聞いておったんだが、前段が何もないのです。ただ信頼をいたします、ただ確信を持ちます、そんなことではだれでも信用ができぬということだ。どうなんですか。タロスは明らかに核兵器です。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 交換公文の中にあります事前協議ということは、これは両国民の深い信頼の上に結ばれておるものでございまして、相手を信用しないのでは条約も協定も何もない。われわれは信頼の上に立って、もしも核装備を、核弾頭なり核を装着したものを艦艇なりあるいは飛行機に持ってくるというような場合には、必ず事前協議に付せらるべきものであると信じておるし、またアメリカとかたい約束をしておるのであります。信頼せずしてどうして条約を結ぶことができましょうか。われわれは深い信頼の上に立ってアメリカを信用し、お互いに信用し合っておるのであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 だから、私どもはその裏づけをしてくれと言っておる、そういう疑いが十分にあるから。まだあげましょう。今度は九月の二十八日から九月の二十九日の間に、大分県にあります。CVA、これは解読いたしますると攻撃空母であります。攻撃空母ミッドウェーが大分に入っておる。攻撃空母ミッドウェーの装備について一つ防衛庁長官にお伺いをしますが、それはどういう装備をしておりますか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 これはあまりにも軍事専門的なことでございますから、私どもの方の防衛局長から答弁いたさせます。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたCVA、ミッドウェーというのは、基準排水量五万一千トンのものでございまして、大体速力は三十三ノット出るものでございますが、これには通常七十機前後の航空機を積んでおります。アメリカのこの程度の航空母艦でございますと、七十機のうちに約五種類ばかりの飛行機を積んでおるのが通例でございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 ミサイルを持っておりませんか。搭載飛行機のミサイルは何ですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 搭載機にはいろいろございまして、一番攻撃力を持っております航空機でも、空対空のミサイル、それから通常の爆弾等各種装備がございまして、これは先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、核、非核両様のものをつけております。私どもの判断といたしましては、核兵器を持ち歩くということはいろいろ問題がございまして、こういうものにつきましては、通常の場合通常の武器を持っておるもの、このように判断するのが常識的であります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 ずっとあげればほとんど攻撃用だ。たとえば、さらに九月七日から二十日の間には、同じ攻撃空母BHリカードというのが別府に入っている。私はそのBHリカードなり、先ほど申したミッドウェーを、ジェーンの海軍年鑑によって搭載飛行機のミサイルを調べてみた。全部核搭載なんです。明らかに自由に入れるという現在の建前において、日本の港の中に入ってきている三百隻を分析してみますると、少なくともその半数は核ミサイルを直接持っておるか、ないしは搭載飛行機による核兵器、核ミサイルを搭載しているか、これは明らかなんです。これをしも信頼をいたしております、核兵器は絶体持ち込みをいたしませんなんというのはナンセンスだということを言っているのです。防衛長官、どうなんですか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 物事はかんぐれば切りがないのでございまして、また相手を信頼しなければ、これは限りのないことでございまして、われわれは絶対に核を装着したものは持ち込んでおらないと常に確信をいたしておりますし……。   〔「かんぐるとは何だ」と呼び、その他発言する者多し〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 御静粛に願います。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 また平時におきましても、アメリカといろいろこの点については連絡をいたしておるのであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そんな答弁では引き下がれませんよ。今私があげておるのは、これは基地でも何でもない。先ほど私が前段に言ったように、基地のものは出してこないでしょう。横浜や神戸は出さないでしょう。ただ通例の別府だとか熱海だとか鹿児島だとか、基地とは何も無関係なところなんです。そういうところにだって堂々と百機以上の飛行機を登載した攻撃空母が、あるいはミサイル巡洋艦がどんどん入ってきておる。その他にも今まで少なくとも新聞に出た——何も私がいろいろの情報網をあれして調べたのではない、一般的に出たやつを私はたんねんに集めてみただけでもずいぶんありますよ。時間の関係で一々あげませんけれども、そんなことで信頼できるとか、断じて持ち込んではおりませんなんということは、何人も日本の国民は信用できないということです。  横路君が関連があるようですから、あとでもう一ぺん御答弁願います。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 横路君、関連ですか——辻原君の持ち時間も残り少なくなりましたので、簡潔に願います。横路節雄君。

横路節雄日本社会党

○横路委員 防衛庁長官にお尋ねします。これは日米安保条約のときにずいぶん議論したことですが、安保条約に基づく地位協定の第五条第3項、それに基づく米軍の構成員、軍属の家族の出入国という昭和二十七年五月の日米合同委員会における合意議事録、これに基づきまして、アメリカの軍艦あるいは船舶、こういうものの港への出入は、もちろん一つは提供した施設区域であります。次は通常の港でございます。通常の開港であります。  長官にお尋ねしますが、今回海上保安庁から提示された昨年の一月から十二月まで、日本の港におけるアメリカ軍艦の出入に際して、この合意議事録に指定した港以外の港に対して軍艦の出入を許可したのはどういう根拠に基づいてやったのですか。その点についてお尋ねします。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 ただいま御指摘になりました五条の3項でありますが、これは先ほどから議論になっておりました一般開港についてでありまして、私の所管をいたしておりまする施設、つまり港は五条の2項だったと私は考えておるのであります。さように私は心得ておるわけであります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 長官、そういうことを言ってはだめですね。私があなたに聞いているのは、あなたは防衛庁の長官なんだから、いわゆる事前協議等の対象の場合には、出なければならぬ構成員の一人なんだ。外務大臣とあなたは大事な構成員の一人なんだ。ここにある五条の3項には何と書いてあるか。「1に掲げる船舶が日本国の港に入る場合には、通常の状態においては、日本国の当局に適当な通告をしなければならない。」しかし緊急避難の場合においては、いわゆる開港以外においてもいい、こうなっている。あなたは、この安保条約や地位協定に関しては責任者なんだ。だから私があなたに聞いているのは、いわゆる安保条約に基づく地位協定並びに合意議事録によって、いわゆる緊急避難の場合、あるいは戦闘状態において相手方の軍艦に追われたとか、あるいは沈没のおそれがあるから緊急に避難したとかいう場合を除いては、戦闘行為以外の場合においては全部開港を利用しなければならぬ。それがいわゆる開港以外の港に平常な状態において入っているのは、どういう理由ですかと聞いている。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 これは先ほどから何度も申し上げておる通り、地位協定第五条の二項に基づいて施設を提供いたして、その施設に出入をいたしておるわけであります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 長官、あなたは何を言うのです。長官、ここに米国の軍艦の入港状況というので、三十七年一月から十二月とある、私はこれを全部大別したのですよ。長官、知らないのですね。ここにあるのは、開港、提供した施設、それ以外の港があるということを言っているのです。長官、一体何を言っているのです。長官、答弁して下さいよ。あなたは大事な防衛庁の長官ですよ。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 ただいまの御質問の要旨、十分に私は理解しなかったのでありますが、横須賀港の付近にありまする突堤に——突堤もこれは地域になっておるのでありまして、そこに出入をいたしておることを承知いたしております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 しかし、長官、あなたは何を言っているのです。今海上保安庁長官が言っているのは、先ほど辻原委員からの質問に、横浜、神戸がなぜ出なかったのかというのに、あとでここで御答弁があった。それは、神戸については第六突堤に入っているということは私も承知している。しかし、政府の方から出してきたこのアメリカの軍艦の入港状況を見れば、提供した施設、区域、それから地位協定並びに合意議事録でいっている通常開港——開港とは貿易港だ。そのほかの港に入っているのは、何を根拠で入れたのか、こう聞いているのですよ。わからないのじゃないですか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 防衛庁の関係は、突堤と、それからノースドックの関係でございまして、それ以外は海上保安庁の所管でございます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 私が長官に聞いているのは、ほかの法律で聞いているならいいのですけれども、日米の安保条約、合衆国軍隊の地位に関する協定、合意議事録をもとにして聞いているのです。あなた、御存じないのですかな。困ったものですね。長官としてはどうなんです。この点は事前協議の場合にぜひ大事なことだから聞いているのです。知らなければ知らないと答弁していただければ、ほかの人に聞きます。私は知りませんと言って下されば、これは仕方がないから……。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 ただいまも申し上げた通り、これは運輸省海上保安庁の所管でございまして、そちらの方からお聞き取りを願いたいのであります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 私はもう一つ、これは長官にお尋ねをしておきたいのだが、長官は安保条約や地位協定や合意議事録についてはよく御存じないようですが、しかし、あなたは安保条約の第六条及び交換公文だけは御存じだと思うのです。先ほど、事前協議については、これは事前協議にするかしないかはアメリカの権利だと言っている。これは安保条約のときに、当時の岸総理から、これは対等の条約だ、平等の条約だ、こう言った。アメリカ側にも権利があれば日本にも権利がある、アメリカの権利もあれば日本の権利もある、だから対等の条約だ。そうすれば、先ほど辻原委員から質問の、たとえば鹿児島に入ったこういう軽巡洋艦であるとか、先般私が指摘をした神戸に入港したキティホーク航空母艦であるとか、これの艦上攻撃機については核弾頭を積んでいる、そういう危険性がある。だから、当然日本としてもぜひ一つ事前協議をやってもらいたい。こういうことは日本の権利として主張すべきなんだ。条約局長に聞けば、一ぺんも聞いたことがないという。これでは対等の条約ではないのだ、どうですか、防衛庁の長官、対等の条約といえば、アメリカにも権利があれば日本にも権利がある。だから、当然日本としては、ただ信頼するばかりではない、第七艦隊についてある危険があるから、事前協議で一つやろうじゃないか、なぜこう言わないのです。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 先ほども外務大臣からもお話がございました通り、なるほど仰せの通り、アメリカの艦艇にはいろいろ近代的な兵器が塔載せられておりまして、これが核を装着できるものもございます。しかしながら、われわれは、あくまでも核は装着しては相ならぬし、または、もし持ち込む場合には事前協議にこれを付するということになっておるのでありまして、御心配のような核兵器の持ち込みはない、かように考えております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 長官、私が聞いておるのは、この安保条約は対等の条約だというのだから、アメリカにも権利がある、しかし日本にも権利があるんだから、第七艦隊については核装備をしておるおそれがあるから、入港前に、核装備をしておるかどうかは事前協議をしてもらいたいということを日本側としては言う権利があるし、国民に対してはそういう義務があるのだ。それを一度も言ったことがないという。あなたは、ただ信頼をしておるからだという。こういうことで、この安保条約が正しく運用されておるとは思わぬ。  そこで、私は関連だから保安庁の長官に聞きます。こちらの長官はわからぬからそちらの長官に聞きますが、この安保条約、地位協定、合意議事録できめられた以外の港への軍艦の入港は、何を根拠にしてやったんですか。

和田勇海上保安庁長官

○和田政府委員 お答えいたします。  これは、本来ならば外務省からお答えするのが筋かと存じまするが、私どもの方で、今お尋ねがございましたのでお答えいたします。  一般に外国の軍艦は慣例といたしまして——これは何もアメリカの軍艦だけではございません。フランス、ソ連、その他の外国の軍艦は、外交機関を通じて不開港等に入港したいという通告がございます。そうして現在まで、不開港等については、通常の状態で入ります場合には通告がございます。決して勝手に入っておるのではございません。

横路節雄日本社会党

○横路委員 海上保安庁の長官、今のお話は、日米の安保条約や地位協定や合意議事録とは無関係だ、こう言うのですか。海上保安庁の長官、これはあなたの方から出した資料だから……。無関係なんですか。

和田勇海上保安庁長官

○和田政府委員 ただいま申しましたのは原則でございます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 私が聞いておるのは、この軍艦の入港については、アメリカの軍艦の入港は、日米の安保条約、地位協定、合意議事録でその地位が認められておるのではないですか。そういうものとは関係なしに入っておるのですか。

和田勇海上保安庁長官

○和田政府委員 お答えいたします。もちろん先生のおっしゃる通りでございます。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 関連ですから……。

横路節雄日本社会党

○横路委員 それでは海上保学庁の長官、私は時間がありませんから、あとは辻原委員が質問しますが、あなたの答弁でおかしいのは、この合意議事録では、明らかに通常開港、それから施設区域を提供したところ——ところが、それ以外に、熱海とか別府とか、こういうところに入っておる。これは、安保条約や地位協定や合意議事録とは全然別です。しかも緊急避難ではないのですよ、温泉地には。あとは一つ……。委員長どうも……。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 今私並びに関連して横路委員から指摘をいたしましたように、施設提供区域でもなく、また開港でもない港にもずいぶん入っておる。そういう軍艦の出入については、何にも規制をすることができないというのが現状なんです。しかも核兵器を持ち込んでおるであろうということは、入ってきた艦種を調べれば一目瞭然だ。しかし、それをしも日本側としても何にも言わない。しかも今回の、総理の答弁によると、ノーチラス潜水艦でございますが、それの寄港のみはアメリカが日本側の了承を求めに外交機関を通じて申し出られたというのは、これは単に今までの政府答弁のごとく、目的が兵員の休養であるとか、たまたま日本に立ち寄りたいからといった理由ではないと私たちは判断をしている。しかし、この点について深くやりますと、委員長の委員会運営に協力できませんから、寄港の資料の問題に関する点についてはこれでおきますが、いずれさらに、詳細に分析をいたしておりますから、防衛庁長官の具体的な答弁をあらためてお伺いをしたいと思います。  そこで総理に伺いますが、総理はこう言っておる。今回の寄港については、先ほども答弁のあったように、安全保障その他のことが確保されれば寄港を認めるという方針である。ただし、ポラリス艦についてはこれは断わる。こういうふうに答弁があるのですが、ポラリスはどういう理由で断わるのですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 ポラリスは核兵器を装備している潜水艦でございますので、核兵器は日本国内には持ち入りを断わり、また持ち入る場合には事前協議ということになっております。しかし、これは協議するまでもなく、初めから私は、入ってもらうのは困る、こう言っておるのであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 ポラリスには核装備をしているから、これは断わる。前にこういうことがありました。これは一九六〇年の八月でありますが、横須賀にレギュラスを装備したプレーバックというのが入港した際に、これは私どもがいろいろ調べた結果、核装備をしているということをわれわれは探知をいたしました。そこで国会においても取り上げて議論をしたときに、政府の答弁はこういうふうにいたしております。それは、核装備はあるが核弾頭は積んでおらないから差しつかえはないのだ、そういうふうに答弁されましたね。総理、どうですか。そういう答弁があったように私は速記録で記憶している。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 私は、ポラリスは核弾頭を持っている潜水艦という前提で話をしておるのであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 だから、六〇年の八月のプレーバックの入港のときには、これは核装備をしているということは明らかである、ところが核弾頭は持っておらぬから差しつかえないのだと答弁をしておる。それには間違いありませんね。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 核弾頭を持っていなければ核装備をしているとは言えないのじゃございますまいか。私は専門家でございませんから……。ポラリスは核弾頭を持っている、これが前提でございますから、断わっておるのであります。だから、核弾頭を持っていないものにつきましては、これは別だと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そうすると、今の総理のお答えは、核装備をしているということは核弾頭を持っているということ、これは間違いありませんね。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 われわれの問題は核弾頭の問題でございます。だから、ポラリスは核弾頭を持っておるからいかない、こう言っておる。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 だから私はそうお尋ねしたのだ。そういう政府の答弁が今まであったから、おかしいなと思った。核装備をしているということは明らかだけれども、核弾頭は持っておらぬからプレーバックは入港してもよろしいのだという答弁をしておる。今は総理は、ポラリスは核装備をしている、しかも核装備をしていると核弾頭を持っているのはあたりまえですよ一それはあたりまえですか、そういうふうに承っておいてよろしいかと私はお尋ねをした。よろしいね、それで。核装備をしているものは核弾頭を持っておる、そう理解してよろしいですね。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 核装備をしているものは核弾頭を持っておるかということは、専門家に聞かなければいけませんが、私がポラリスを入れないということは、核弾頭を持っておるから、こう言っておるのであります。核装備をしておったらすぐ核弾頭を持たなければならぬかどうかということは、これは専門家に聞いて下さい。私の言っておることは、核弾頭を持っておるからわれわれは入れない、こう言っておるのです。   〔「防衛庁長官だ」と呼び、その他発言する者あり〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 御静粛に願います。防衛局長に発言を許しました。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 技術的なことでありますので、私からお答え申し上げます。  レギュラスに関連してのお尋ねでありますが、先生御存じのように、レギュラスには一型と二型とございます。これはポラリス潜水艦ができますまでの中間的な手段としてアメリカが開発したものであります。レギュラスの二型はすでに開発を中止しております。今持っておりますのはその当時つくりましたレギュラス一型を装備しておる、これが定説でございます。レギュラスの一型は、これもいろいろ資料がございますが、通常弾頭と核装備の併用のもの、こういうことであります。先ほどもお答え申しましたが、現在の核兵器というものは相当進んでおりますので、具体的な例を申し上げますと、たとえば欧州の陸の部隊に装備しておるデビークロケット、これはせいぜい昔の野砲程度でございますが、これは両方打てるわけでございます。通常は、そういうものは通常弾頭を持っております。と申しますことは、核兵器の拡散防止ということが大きな問題でございますし、いざという場合には核兵器が打てるものと、そうでないもの、こういうことでございまして、核兵器が持てる、核弾頭が持てるから常に核装備をしておる、こういうことには相なっておりません。ポラリス潜水艦は、御存じのように、これは大体射程距離が千五百キロから二千八百キロまでの、一メガトン程度の弾頭を装備したものでございます。これは明瞭に核弾頭でございます。しかし、先ほどもございましたような飛行機に積むものとか、あるいは大砲から打つものというものについては、現在は核弾頭を装備し得る能力のあるものと、通常弾頭のもの、この二つでございます。以上であります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 私のお聞きしたかんじんなところは、総理がお答えになって、あとは専門家に聞いてくれということだったが、核装備を持っているものは核弾頭を持っておると理解してよろしいか、その点。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいまの核装備という点は、核装備の言葉の定義の仕方でございます。普通には核弾頭を持ったものを核装備をしているということを言っておりますが、今のように具体的なことでございますと、まずその核装備という言葉の内容を先にきめていただきまして、それからいろいろ御説明しなければならないと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そうすると、これは私は逆に一つ総理に念のために聞いておきますが、先ほどから防衛庁長官は信頼だとか確信だとかいろいろ言っておるから、だから私は具体的に、たとえばアメリカがポラリス潜水艦だけれども、核弾頭はおろしてきましたといって、日本に寄港申し入れがあったときはどうしますか、この点を一つはっきりお答えを願いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 技術的、専門的のことでございまして、正確を期する必要がございますから、政府委員より答弁させます。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ポラリス潜水艦についてのお尋ねでございますが、ポラリスと申しますのは、原子力潜水艦、現在約十隻程度できておるということになっておりますが、これに搭載しますミサイルの名前であります。ポラリス型ミサイルを装備した潜水艦ということでございまして、この潜水艦は、御存じのように、一たん港を出ましてから数カ月間はどこにも寄らなくて航行できるものであります。この潜水艦が搭載しておりますポラリス・ミサイルをおろしてどこかに行くということは、これはまず考えられません。同時に、ポラリス潜水艦というものは、通常どこにおるかわからない形において行動するということに意味があるのでございます。従いまして、アメリカとしましては、現在イギリスのホリー・ロックという所が大西洋方面の基地であります。太平洋については現在ワシントン州のバンゴーという所を今後の基地にしよう、将来もう一つ大西洋岸ではチャールストン、大体この三つがポラリス型潜水艦の基地として運用される予定でございます。従いまして、私どもの判断といたしましては、ポラリス型ミサイルを装備した潜水艦がよその国に寄るということは通常考えられない、このように判断いたしております。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 辻原君に申し上げますが、申し合わせの時間が経過いたしました。結論をお急ぎ願います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そこで防衛庁長官に伺っておきますが、ついこの間の新聞に、アメリカが新しく、これはまあ私どもの調べたところでは新しくはないのであるが、初めて二月の十七日にサブロックという新対潜潜水艦に搭載するミサイルの写真を公表した。このサブロックは核兵器ですかどうですか。防衛庁長官に一つ。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 私は軍事科学は至って不勉強でございまして、承知いたしておりません。防衛局長から答弁いたさせます。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいま先生のおっしゃいました新聞記事は、私の持っているものと同じと思いますが、これにははっきりと、米海軍が初めて写真を出して、これは核兵器とコンベンショナル、通常弾頭両用のものであるということが書いてございます。これは見出しにありますように、ポラリス型潜水艦の補助装備として考えられるだろうと書いてございます。これは両用でございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 両用であろうが何であろうが、核弾頭を装着できる有力なミサイルであるということが米海軍によって公表せられている。だから装着をすればこれは明らかに核兵器じゃありませんか。核装備じゃありませんか。それはどうなんですか。その点を尋ねておる。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 先ほどからお答えいたしておりますように、核弾頭を装備し得る可能性を持った兵器でございます。従って、それを装備した場合には核兵器でございます。通常弾頭でこれを使用いたします場合には絶対に核兵器とは言えない、このように考えます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 アメリカが開発をしたのは、通常弾頭を装備するから有力な兵器になったとは公表しておらない。核弾頭を装備することによって新しい分野を開拓したんだということが常識になっておる。だから、これは通常兵器が装着されることが通常ではないんだ。潜水艦に新しく核兵器を装着することを前提に置いてこのミサイルが開発をせられた、これはあたりまえなんです。  そこでお伺いをしますが、アメリカにおける原子力潜水艦の種類というものは、大別するとどういうことになっておりますか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 大別すると、とおっしゃいましたが、一応原子力潜水艦としましては、先ほどからお話に出ておりますポラリス装備の潜水艦と通常魚雷を装備した潜水艦、こういうふうに大別されると思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 あなたの方から私が資料としていただいた防衛年鑑によりますと、こういうふうに書いてある。目的によって大別すると、——この間外相答弁によると、アメリカの潜水艦はポラリス型とノーチラス型だと、こうおっしゃっておる。これは正確ではない。そこで防衛年鑑によっての説明を見ますると、こう書いてある。それは攻撃潜水艦と対潜潜水艦に分かれ、一九六〇年以降スレッシャ一型が多数建造せられてから以後は、非ポラリス型はすべて攻撃潜と統一呼称せられるようになった、こう書いてあるのでありますが、この分類の仕方は誤っておりますか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいまおっしゃいました攻撃用潜水艦、対潜水艦用の潜水艦というふうな分類があることは事実でございます。しかし、私どもはそういう分類はとっておりません。と申しますことは、一つの潜水艦をどちらに使うかということは、そのときどきの任務に応じます。米艦隊の船もそのときに応じまして逐次編成が変わって参りますから、そういう分け方も任務の面から見ればできる、こういうふうに考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そうするとノーチラスはいわゆる攻撃潜水艦の部類に入りますね。それはどうですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいま申しましたように、船につきましての任務付与によりましてどちらともなるわけであります。従いまして、ノーチラス型、通常魚雷を装備した潜水艦は常にどちらかである、こういうふうに規定することは私はいかがかと存じます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 ということは防衛年鑑に記述していることは誤りだという意味ですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 防衛年鑑に書かれております型のような分類の仕方もあるということを申し上げた。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 次にもう一つ引用いたしますと、その次にこう書いてある。ポラリス潜水艦がすべてラファイエット級に属し、攻撃潜はスレッシャ一級に属すると書いてある。これはどうですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいまのスレッシャー型、ラファイエット型の分類でございますが、原子力潜水艦につきましても、トン数は二千トンから七千トンまで、同じ型で分類いたしますと八つぐらいございます。従いまして、今のような分類をとることは私としては適当でない、このように考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 今の答弁は適当ではありません。攻撃潜はすべてスレッシャー級に属するというふうに書いてあることは明瞭なんです、どういう分類の仕方があろうと。しかもそのスレッシャー級にはほとんど先ほど言ったサブロックが積んであるということも公表している。その点はどうですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 サブロックにつきましては、昨年中ごろまでに潜水艦に装備するということで計画が進められておりましたが、その計画が予定通り進捗いたしません。その結果が先般のテストになったわけであります。私どもが知っておる限りでは、サブロックを装着した潜水艦は一隻しかないということを聞いております。それ以上はつまびらかにいたしません。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 辻原君に再度御注意申し上げますが、申し合わせの時間がだいぶ経過いたしましたので、結論を急いでいただきます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 今のそれぞれの諸点は、将来原子力潜水艦の寄港を政府が認めるやいなや、またそのことについてわれわれがどう判断するかについては重要な部分だと思います。政府の答弁を先ほどから聞いても、核兵器、核装備、核弾頭という点については、実態から見てまことにあいまいであります。およそ常識に通らないことをいろいろと述べておるのでありますけれども、現実には、私の言わんとするところは、アメリカの潜水艦、すなわち今回やってこようという、ノーチラス型だと言っているけれども、現に非ポラリス、ポラリス以外の潜水艦においてもサブロックその他の核装備、核兵器が積まれておることはれれぞれの資料によって明らかなんです。時間がありませんから私はこれ以上さらにこまかくその点について掘り下げることは避けますが、問題は非常に多いのであって、だから、非ポラリスだからといって、ノーチラスだからといって、軽々に寄港を許すということは、先刻から指摘をしておりますように、知らず知らずの間に核兵器を日本が持ち込んでおるということに相なるという危険を私はこの機会に重ねて警告をいたしておきたいと思います。  最後に、科学技術庁長官に伺っておきたいと思うのでありますが、原子力潜水艦寄港の問題について原子力委員会が統一見解なるものを出しました。その統一見解によると、原子力基本法第二条の平和利用の目的は日本の国内であって、外国のものまでには及ばないのだという見解を出しておる。その通りですか。

近藤鶴代自由民主党科学技術庁長官

○近藤国務大臣 ただいまのお尋ねに対しましては、そのような見解を表明いたしました。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そうすると、外国のものであれば何でも、日本にどういう影響があっても、これは平和利用の原則というものは適用できないのだ、こういう見解ですか。たとえば将来防衛庁が原子力潜水艦をアメリカからチャーターした、あるいは供与を受けたないしはこれを有償で買った、そういうことにまでこれは及ばぬのですか、どうなんですか。潜水艦はすでに兵器ですね。近藤長官、どうですか。潜水艦は兵器でしょう。この点はどうですか。

近藤鶴代自由民主党科学技術庁長官

○近藤国務大臣 私は、潜水艦が戦争に利用されたら兵器でありますけれども、普通に歩いていたら別に兵器だとは思いません。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 深くは尋ねません。深くは尋ねませんが、潜水艦が兵器であることは明らかなんです。だからその潜水艦を、今私は例をあげて言っているのですが、供与を受けて日本の自衛隊が使うということは許されるのですか。あなたの管理する原子力基本法第二条の平和利用の精神に照らして、日本が供与を受けるということは許されるのですか、許されぬのですか。

近藤鶴代自由民主党科学技術庁長官

○近藤国務大臣 供与を受ける目的にもよると思いますし、私は、それが兵器であるか、あるいは兵器でないかということについてここでお答えをすることはちょっと無理だと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 まあ近藤長官の所管でないから、私は無理にはお尋ねしませんが、しかし、平和利用の原子力基本法はあなたの所管です。しかもあなたは、日本の国内以外の外国のことについては適用しないという見解を発表された最高責任者です。しかしながら、それに照らして、将来起こる危険を想定して今私は質問しておるのです。たとえば具体的に、兵器である潜水艦を日本は買うことができるのか、供与を受けて使うことができるのか。それを戦争に使うとか、使わぬとかいうことを私は言っていない。しかし、兵器を買うことができるのか、できぬのかを尋ねておる。これは大事な点ですよ。

林修三内閣法制局長官

○林(修)政府委員 これは原子力委員会の見解でも明らかだと思いますが、原子力委員会が見解を出されたことは、要するに、米国の原子力潜水艦の日本の寄港問題は、原子力基本法の対象外の問題であるということでございます。しかし、今おっしゃったような自衛隊が原子力潜水艦を自分のものとして装備する、その潜水艦が米国の製造であろうと、日本の製造であろうと、これは原子力基本法の問題でございます。ただ、その原子力基本法にいういわゆる平和利用、それに当たるか、当たらないかという問題がそこに出てくるわけで、この点は、御承知のように、原子力委員会の西村委員が科学技術特別委員会でお答えになっております。それを御参照いただきたいと思いますが、現段階においては平和利用とは言えない、こう答えられております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 最後の質問でありますから、その点は総理にも伺っておきたいと思うのでありますが、将来そういう供与が起きた場合においても、今法制局長官は現在というまくら言葉をつけられたが、私は、平和利用という原子力基本法の精神から見て、少なくとも供与を受けて日本側が活用するということは、兵器である以上これは断じてできないと思いますが、総理の見解を承っておきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 今の状態におきまして、原子力潜水艦は私は兵器と心得べきだと思います。従いまして、原子力平和利用の観念からはずれますから、自衛隊が持ってはいけないと思います。しかし、原子力というものが一般に用いられて、原子力商船とかいろいろなものができた場合において、その推進力が原子力なるがゆえに、今いわゆる潜水艦は水をくぐるのですが、ほかに水中船もできてきたようなときに、しかも原子力が非常に行き渡ったときに、これをすぐ兵器なりと将来断定するということはいかがかと思います。今の状態では、先ほどお答えした通りであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 終わります。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 この際念のため申し上げておきますが、昨日の理事会の申し合わせによりまして、本日辻原君の質疑の次に、特に成田知巳君の質疑を許すことになっております。この時間は、辻原君及び淡谷君の持ち時間の範囲内で行なうことになっておりまするから、御了承願います。  成田知巳君。

成田知巳日本社会党

○成田委員 私は石炭問題に限りまして、政府の御所見を承りたいと思うのでありますが、私の意見にわたること、主張にわたることは避けまして、端的に、具体的にお尋ねいたしたいと思っております。従って、答弁の端々をあげつらうというようなことはいたしませんから、政府としましても簡明率直に御答弁をいただきたい。特に不得要領な政治的な答弁は一つお控え願いたい、こういうことを冒頭にお願いする次第であります。   〔委員長退席、赤澤委員長代理着席〕  質問に入ります前に、石炭対策に対する総理の心がまえをお尋ねしたいのであります。  御承知のように、有澤調査団の報告書でございますが、以下答申書と言わせていただきたいと思いますが、この答申書には、第一に、昭和三十二年に定められた経済審議会の新長期経済計画は、昭和五十年の出炭目標を七千二百万トンと定めた、これは今日から見れば非常な禍根であった、こういうことをはっきり書いております。この総合エネルギー政策の欠如と申しますか、見通しの誤り、これが現在炭鉱労働者に首切りあるいは労働条件の低下となってしわ寄せされておるわけでありまして、こういう意味で、過去における政府の施策の失敗が気の毒な炭鉱労働者の犠牲となって現われておる。これを答申が強く指摘していることをまずお考え願いたいと思うのであります。  第二に、これも答申書でございますが、石炭政策にのみ特別な措置を講ずることは妥当でない、こういうような意見が一部国民の間にあるようであるが、しかしながら答申書は、日本経済の戦後の再建と復興に大きな寄与をした重要な国産エネルギー資源である石炭鉱業に対し、この安定化政策をとることは決して不合理、不均衡でない、こういうことを強調いたしておるわけであります。従って政府、総理におかれましても、このようなお気持で石炭政策をお進めになっておる、また今後とも進めていただきたい、こう思うのでありますが、総理の御所見を承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 今お話しの二点は、答申書の通りだと思います。

成田知巳日本社会党

○成田委員 では、答申書の通り、総理といたしましてもそういう心がまえで今後の石炭政策をお進め願う、このように理解したいと思います。  第一に御質問したいことは、石炭需要の確保の問題でございますが、私たちが需要の拡大を強く主張する根拠といたしまして、一つはエネルギーの総合計画、特に日本のエネルギーの安全保障、こういう観点に立つことが第一であります。第二は、能率を上げれば上げるほど自分の仲間が山元から去らなければいかない。こういう矛盾に対する炭鉱労働者の割り切れない気持、これに対してぜひ政府、政党としてはこたえなければいかない。こういう見地から需要の拡大を強く主張しておるのでありますが、先般の本会議における私の質問に対して総理は、「六千万トンの需要確保は現状より見て非常に困難であるが、政府としては雇用の安定、国際収支、エネルギーの安全保障を考慮し、需要拡大につき極力努力するという考え方は、初めから私は持っておるのでございます。ここにはっきり申し上げておきます。」こういう力強い御答弁をいただいたわけであります。そこで、需要の拡大についてどのような具体的な措置を現在政府はおとりになっておるか。この点について個々の問題に触れながら御質問いたしたいのでありますが、第一に通産大臣にお尋ねしたいと思いますが、電力用炭及び鉄鋼、ガス等の原料用炭、これについては、御承知のように答申書でも年度別に需要確保の見通しを出しております。電力については昭和三十八年は二千五十万トン、鉄鋼とガス、鉄鋼につきましては八百十万トン、ガスは三百三十万トン、合計千百四十万トン、四十二年度は、電力は二千五百五十万トン、鉄鋼千百八十万トン、ガス二百七十万トン、合計千四百五十万トンとなっておりますが、現在政府の御努力で昭和三十八年度のこの見込み額は確保される見通しであるかどうか、これをまず承りたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お答えをいたします。  ただいま御説明になりましたこの数字の計画はその通りでございまして、三十八年度につきましては、まず電力について申しますと、お説のように二千五十万トンという数字を確保することにつきまして電力業界と話を進めた結果、電力業界におきましてもこれを認めて、これだけの使用をするということを確約をいたしております。それから鉄鋼でございます。鉄鋼とガスのいわゆる原料炭の方でございますが、これはあなたも御承知の通り、今日、鉄鋼業界は非常な不況にありますので、八百十万トンを確保することはいささか困難かと思われるのであります。しかし、できるだけの協力をするということを言っております。ガスの方についてもまた十分政府に協力をするということを言っておるわけでありますが、この原料炭の問題については、いささか数字に食い違いが出るおそれがあります。しかしながら、私たちとしましては、原料炭の問題では、いかなる場合においても海外から輸入するものより国内産の原料炭を優先するという見地に立って、極力需要の拡大に努めたいと考えておるものでございます。  なお、御質問にはなかったかもしれませんが、セメントの業界に対する需要の確保というのも、これはなかなか重要な問題でございますので、私たちといたしましては、このセメントをつくります場合に、石炭を極力使うように勧奨、行政的にも勧めて参るというつもりでありまして、その場合においては、資金の確保等にあたりましても、石炭を使う場合には特に十分な考慮を払っていくようにいたしたい。特に産炭地におきましてこのセメント工業をやります場合に、石炭を使わないで重油を使うというような措置をするような場合においては、開銀資金等の融資はできるだけ避けるように措置して参りたい、このような方策によって極力需要の確保をはかって参りたい、かように考えておるわけでございます。

成田知巳日本社会党

○成田委員 今の通産大臣の御答弁では、原料炭については困難な事情があるが、極力答申書の線を確保したい、こういう努力をしたいというお話でありますが、御承知のように答申書は、昭和四十二年度では五千五百七十万トン、総理大臣の御答弁の六千万トンは困難であるが、それに対して極力努力する。こういう点から申しましたら、答申書のワクの確保だけではだめだと思うのであります。従って、さらにそれを上回る政府の強力な行政の御指導が必要だ、こう考えるわけであります。ぜひ一つ政府としてはそのお気持でおやり願いたい。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お説の通り、私たちといたしましては、石炭需要の確保については極力努力をいたしたいと考えております。そこで、それにはその需要の場合に、従来考えられておりますような需要でございますというと、なかなか急にこれをふやしていくということは困難かと考えます。しかしながら、この石炭の利用を、原料として使うような工夫をするとか、あるいは山元において何らか別途の方法を考えてみるというようなことについては、私は技術的に見て十分研究をしていかなければならぬ、こう考えますので、政府といたしましても、三十八年度の予算におきまして、この種の調査をするために予算を計上しておるような次第であります。

成田知巳日本社会党

○成田委員 次に、私の質問を先どりして親切な御答弁をいただいたのでありますが、セメント用炭の拡大の問題であります。御承知のように答申書では、強力な行政指導が必要である、こういうことを特に強くうたっております。従って、具体的にどのような行政指導をおやりになっておるのか、今、石炭専焼キルンをふやすような意味のお話がありましたが、具体的にはどの程度の行政指導をおやりになっておるのか。   〔赤澤委員長代理退席、委員長着席〕  さらに資金の面についても、融資について、開発銀行の資金をできるだけ使わすような御趣旨がありましたが、強力な行政指導というからには、当然石炭専焼キルンに優先的に開発銀行の資金を融資するんだ、このように理解すべきだと思いますが、この二点について御答弁をいただきたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 ただいま御説明をいただきました通りでございまして、石炭専焼のキルンについては、優先的に開発資金をつけたい、こういうような意味で行政指導をして参りたいと考えております。

成田知巳日本社会党

○成田委員 具体的にはどれくらいお考えになっておりますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 ただいまのところ、私、今数字をここに持っておりませんけれども、いわゆるセメント・キルンをつくる計画がまだ具体的にそうたくさん出ておりません。しかし私は、これから出るものについてはそういうふうな措置をしていきたい、かように申し上げておるわけでございます。

成田知巳日本社会党

○成田委員 キルンを作る計画はまだ具体的に出てない、出るものについて資金面で優先的な配慮をしたいというのですが、それでは積極的な行政指導にはならないと思うのです。むしろ、産炭地その他については積極的な政府の施策、指導で、そういう石炭専焼キルンをつくるように御配慮をいただきたい、こう考えるわけであります。  それから、これは総理にお尋ねをしたいと思うのでありますが、答申書の中にも、需要拡大の一つの柱といたしまして、国鉄の電化に伴う自家発電として石炭火力発電所の建設を促進すべきである、こうなっております。聞くところによりますと、この答申書の方向に対しまして、国鉄当局は相当消極的な、むしろ抵抗しているような態度を示しておる。こう聞いておるのでありますが、ぜひこの点は、総理は答申書通り積極的にその具体化のために御努力をいただきたいと思うのでございますが、総理の御見解を承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 国鉄は一応独立採算制という建前をとっておりまする関係上、相当困難な点はあると思いますが、調査団の答申もありますし、また金融その他の助成によって採算の点も考え得る余地もなきにしもあらずと思いますので、国鉄当局に十分考えるように私から申し出てけっこうだと思います。この問題は、私は産炭地振興ということと、それから今の送電線関係、ボルテージを非常に高くすれば相当遠くまで送電ができる関係等がございますので、今の国鉄とかあるいはセメントその他の問題もございますが、もっと根本的に、科学的に検討していけば、私は相当道が開け得るのじゃないかという点を考えておるのであります。お話しの国鉄につきましては、これは各委員会においての申し出もありますし、本会議でも聞いておりますし、国鉄でも研究してくれると思いますが、また研究するように私から申し出るよう考えております。

成田知巳日本社会党

○成田委員 次に、重油ボイラー規制法の延長の問題について、通産大臣に御答弁いただきたいと思いますが、通産大臣は、これは延長するということを委員会その他で明らかにされたのでありますが、大体いつまで延長される御計画であるか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お答えをいたします。  重油ボイラー規制法につきましては、御承知のように、ことしの十月までこれが存続をいたしておりますが、なるべく早い機会にこれを存続するための法案を提出いたす所存でございます。その場合に、いつまで延長するかということにつきましては、案の内容に相なるわけでございますが、少なくとも四十二年くらいまでは延長をしてみてはどうかという考え方を持っております。しかし、まだ法案を提出いたしておりませんので、これは今検討中とお考えを願いたいと思います。

成田知巳日本社会党

○成田委員 そこで、需要の拡大のためのボイラー規制法の延長ということになりますと、当然内容を強化して延長すべきだと思いますが、いかがでございますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 内容の問題につきましては、ただいま検討をいたしておりますので、この席において責任を持って申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

成田知巳日本社会党

○成田委員 検討されることはけっこうでございますが、答申書の趣旨からいきましても、需要の確保ということになれば、どうしても前向きに積極的に内容を強化すべきだ、これが筋じゃないかと思うのでありますが、いかがでございましょう。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 石炭という問題から考えてみますならば、お説のような考え方も成り立ち得ると思うのでございます。しかし、ボイラーの問題は、産業経済全般の問題にもいろいろ関連いたしておりますので、ただいまこれを検討をいたしておる段階でございます。

成田知巳日本社会党

○成田委員 といたしますと、少なくとも単純延長と考えてしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 ただいまのところ、これ以上申し上げるわけには参りません。

成田知巳日本社会党

○成田委員 私は、内容を強化して延長すべきことを通産大臣に要望いたしておきます。  次に、本会議答弁にもございました、増強、維持並びにボーダーラインにある炭鉱を育成強化するために、特別融資制度を設けるという政府の答弁につきまして、大蔵大臣に御質問いたしたいのでありますが、御承知のように、労使はもちろんのこと、政府もその炭鉱の継続を希望するような山でも、現在の金融制度から見ますと、市中銀行は石炭業界の実情からいって融資はしない。政府関係機関の融資といたしましては、開発銀行、中小企業金融公庫、これは設備資金だけであります。さらに、合理化資金は整備資金と近代化資金に限られております。従って、そういう山を何とか融資すればこれが再建できるにもかかわらず、みすみす現在の制度ではこれを殺す、こういう結果になっております。そういう状況に対する対策として特別融資制度をつくるべきじゃないか、こういう質問を申し上げましたところ、政府としては特別融資制度をつくる、こういう御答弁があったわけであります。従って、制度的に融資の道を講ずるということになりますと、新しい機関はつくらないにしましても、少なくとも現行法律ではできないわけでございますから、現行法の改正が必要だ、このように考えるわけでありますが、大蔵大臣の御見解、御所見を承りたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 お答えいたします。  増強、維持及びボーダーライン層にある炭鉱の育成強化のために、設備投資等重点的に考えておりますが、先日の本会議で答弁をいたしましたつなぎ資金、事業再建資金とも言うべきものにつきましては、現在までの考えでは、開発銀行及び事業団からの設備資金、整備資金を弾力的に運用することで十分まかなえると思っておりましたし、またまかなわなければならないというように前向きで考えておったわけでございますが、設備資金、整備資金の弾力的運用というよりも、法律の条文整理等を行なって、明確に審議会の決定を経たものであり、設備資金及び整備資金が当然出るものであり、しかも市中銀行等でつなぎ資金等の融資が困難であるというものに対して、法律上明文化した方がよりよかろうというような状態を考えた場合、国会には政府案として提案をしておりますので、これらの問題に対して、国会の審議等とにらみ合わせながら、条文整理を行なうことがより明確になるということであれば、やむを得ない処置かとも考えておるわけでございます。政府は現在の提出をしております法律案の中でも、弾力的運用を行なうということによって適切な処置を行なうという基本的な姿勢は固めておりますことを明らかにいたしておきます。

成田知巳日本社会党

○成田委員 先ほど申し上げましたように、現在の法制のもとで弾力的な運営と申しましても、設備資金と近代化資金と整備資金以外には出せないわけですから、おのずから限界があると思う。そういう点をお考えになって、今大蔵大臣も、法律上の改正が必要だ、こういうことになれば、委員会の審議その他について、政府としても積極的にそういう問題についての考慮をしたい、こういう御答弁があったと思うのであります。すでに法律案が出されているわけでありますが、ぜひ政府並びに与党といたしましても、こういう法律制度上の不備でございますから、法改正のために積極的な態度をとっていただきたい、それが今の大蔵大臣の御答弁の趣旨かと、こう考えてよろしいかどうか、もう一度承りたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 先ほど申し上げました通り、石炭企業の再建に対して、熱意を持って各般の施策を行なっておるわけでございます。整備資金はもとより、設備資金、近代化資金、特にやむを得ざる事情にあるものに対しては、民間、政府資金といわず、企業債務の返済繰り延べ等も万全の策を考えておるわけであります。でありまして、特に再建上必要な資金は、整備資金、設備資金、その他の条項の中で、弾力運用をいたそうという考えでございましたし、また、今までのような一般の率よりもより高い、十割程度までの大幅の融資というようなことによって、すべてのもの、再建につながるあらゆるものを救済しようという考えでございましたが、あなたが今言われた通り、法文上明確になることが好ましいということであれば、この種の再建という特殊性にかんがみまして、審議会で再建を認め、それから設備資金、整備資金等を当然支出をするものであり、再建の過程において必要な産業再建資金とも言うべきもの、もっと平たく言えば、つなぎ資金とも言うべきものが当然必要でありますし、市中金融機関から借り入れができないというものもありますから、これらのものを合理化事業団から貸し付けることができるという貸付対象の中に、より明確な一条を挿入することが、より好ましいというふうに考えられます。

成田知巳日本社会党

○成田委員 そこで、そういう制度的な道が開かれました場合に、その対象になるのは、増強炭鉱、維持炭鉱並びにボーダーラインにある炭鉱、この三つのグループだと理解をしてよろしゅうございますね。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 それは増強、維持及びボーダーラインにある炭鉱でございまして、審議会の決定を経たものでございます。

成田知巳日本社会党

○成田委員 そこで、そういう道が開かれますと、当然財政投融資のワクが拡大されなければいけないと思いますが、その御用意はございましょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 財政投融資につきましては、十分な配慮をいたしております。しかも、一面においては、すでにもう財源はみな使い切ってしまったのではないかなどという御質問もございますので、非常に慎重にかまえておるわけでございます。いずれにしても、一挙に財政投融資資金に計上したものが使われるわけではありませんので、何カ月後かに全部使われ、また新しい制度等ができましたために不足になるということになれば、財源とも見合いながら、また国民に貯蓄などもやっていただきながら、そういうものが伸びれば、その時点において考慮をするということでございます。

成田知巳日本社会党

○成田委員 大蔵大臣の政治的手腕に期待いたしておきます。  次に、炭鉱スクラップ計画の問題でございますが、政府の答弁によりますと、炭鉱の経済性とスクラップが地域経済にどういう影響を及ぼすか、これを考えて措置する、こういうことになっております。この点につきまして、特に答申書の中には、総理も御承知のように、単なる経済合理主義の立場からではなく、石炭鉱業の危機がもたらす国民経済的損失と、社会的影響を考慮しなければならない、こういうことを強くうたっておるわけであります。  そこで、地域によっては、経営者の計画通りスクラップ化することが、その地域そのものをスクラップ化する、こういう事態を招くような地域が相当数ありまして、現に大きな社会問題になっておることは、関係閣僚御承知の通りだと思うのでありますが、そういう事実は通産大臣お認めになりますか。そういう地域があることを御承知でございますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 その種の陳情をされておる事実は承っております。

成田知巳日本社会党

○成田委員 その陳情があったという事実じゃなしに、その陳情の内容というものは、通産大臣として当然である、こういう事実認識をお持ちになっているかどうか、これをお聞きしているわけです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 そういう問題もあわせ考慮して処置をすべきだとは思っております。

成田知巳日本社会党

○成田委員 どうも大臣、答弁が先走りしちゃうので……。その政策、方針を聞いているのじゃない、そういう事実があるかどうかという事実認識を私お尋ねしているのでありますが、その点につきましては、大橋労働大臣にお尋ねしたいと思います。  こういう地域が相当数あることは、もう世間の常識になっておりますが、特に大橋労働大臣は、先般北海道の美唄へおいでになりまして、三井美唄を御視察になったと思いますが、こういう三井美唄なんかはその代表的な問題じゃないかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 先般美唄市へ参りましたけれども、今回の石炭の合理化措置がこの地方に非常な重大な影響を与えるであろうということを承知いたして帰りました。

成田知巳日本社会党

○成田委員 そこで、総理にお尋ねしたいのでございますが、こういう地域について、答申書にもございますように、経営者の立場からならいざ知らず、政府としましては、経済的合理性もさることながら、経済的合理性よりも、むしろ社会的合理性に重点を置いて、スクラップ計画を再検討すべきではないかと思いますが、総理の御見解いかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 これはあらゆる点から考えにゃいけません。経済性、社会性また何と申しますか、政治的に、あるいは日本国土全体をどうするか、しかもまた、これは離職者の関係等も考えなければならぬ。あらゆる点から考えて、そしてこの合理化事業がうまくスムーズにいくようにしなければいけません。単に経済的にとか、あるいは地域産業ということだけでなく、広く国全体として考えなければならぬ問題だと思います。

成田知巳日本社会党

○成田委員 今総理から御答弁がありましたように、単に経済的とか産業的ということでなしに、国全体の立場でお考えにならなければいけない、こういう御趣旨はわかると思うのです、ただ、答申にも、社会的混乱、こういうものについて十分な配慮をしなければいけない、こういうことを明記いたしておるわけでありますから、国民的見地というのは、この場合には特に社会的合理性というものを重点に置いてお考えになるのが、政府の当然の態度だ、このように私は理解するわけであります。  そこで、次に、雇用安定政策についてお尋ねしたいと思いますが、これまた答申にも、雇用と国際収支、エネルギーの安全保障、こういう立場から雇用安定政策というものも取り上げなければいけないということで、雇用が一つの大きな石炭政策の柱になっておるわけであります。今度政府がお出しになります法律というのは、この答申の線に沿って改正された——政府は機会あるごとに、答申を最大限度に尊重した、こう言われているのでありますが、ところが、石炭鉱業合理化臨時措置法案の改正内容を見ますると、この答申の最大の柱である雇用の安定ということが、法案の中には一言半句もうたわれてないわけであります。これでは答申を尊重したということにはならないと思うのです。なぜ雇用の安定ということを法案の中にうたわなかったか、この点を通産大臣から承りたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お話しの通り、今回合理化法の改正案を提出をいたしております。その中に雇用の安定ということをなぜ書かなかったかという御質問と存ずるのでありますが、しかしながら、今度の合理化法の改正案の中におきましては、鉱業の合理化だけではなくて、鉱業の安定という言葉を新たに挿入いたしております。そして、われわれは、その石炭鉱業の安定といううちには、経営の安定もございますけれども、雇用の安定もちゃんと含んでおる、両者を含んでおる、こういうふうに解釈をいたしておるのでありまして、あなたの御趣旨は十分改正法案において生かされておると考えておるものでございます。

成田知巳日本社会党

○成田委員 法案の第一条には、大臣の御答弁のように、「石炭鉱業の合理化及び安定」、こういうことをうたってあることは承知しております。しかし、日本語の常識からいきましても、石炭鉱業の合理化及び安定といった場合に、この安定は雇用の安定を含む——安定というのは、合理化をやることによって安定されるわけでありますから、合理化と安定というのはつながっておると思うのですね。従って、雇用の安定というのをこの安定の中に含むということは、言葉としては少しくおかしいのじゃないかと思うのでございますが、しかし、あくまでもこの安定というのは、雇用の安定を同時に意味するのだ、こういうことをはっきり御答弁願えれば、その点だけは私は一歩前進じゃないかと思います。この安定というのは、雇用の安定という意味を強く含んでおるのだ、このように理解してよろしゅうございますね。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お説の通りと存じます。

成田知巳日本社会党

○成田委員 そこで、雇用の安定の問題について、具体的にお尋ねしたいのでありますが、有澤調査団が最も苦慮した点は、安定職場のない解雇は行なわない、こういう点に非常な苦心を払われておるわけであります。ということは、合理化整備計画と再就職計画との調整、この問題だと思うのです。この点は答申書にもはっきり明記しております。従って、この再就職計画というのは、きわめて確実なものでなければならないと思うのです。今までの政府答弁を見ますると、単に数字のつじつまを合わしているという感じがするのでありますが、それでは再就職計画にはならない、こう考えられるわけであります。従って、実効性のある再就職計画の範囲において、合理化計画というものは決定されなければならない、このように理解すべきだと思うのでありますが、総理並びに労働大臣の御意見を承りたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 御承知のように、合理化計画についての責任を持っておるのは私の省だと考えますから、私から一応お答えをさせていただきたいと思うのでありますが、今度の場合におきまして、合理化計画といわゆる再就職の計画というものは、表と裏の関係に相なるかと思うのであります。しかしながら、そのよってきたるところは、やはり表は何としても合理化計画というものに相なろうかと思う。しかし、一枚の紙の裏と表とどっちがほんとうかうそかということを言ってみても、これは水かけ論になるおそれがあると思いますが、私たちとしては、一応この合理化計画というものを考えまして、それに見合ういわゆる再就職計画というものをつけて、これを審議会に提出する、そうして審議会で審議をしていだだいて、これを実行に移していこうという考え方に立っておるのでありますから、その場合に、その再就職計画というものについては、各省、いわゆる石炭関係閣僚がみんな関係をいたしまして、決定をいたしておるわけであります。でありますから、そういう意味において、私はそんなずさんな計画はできるものではないと考えておるのであります。従って、この合理化計画と再就職計画が著しい食い違いを生ずることはないと思っておりますが、あなたの御質問というか、御心配になるのは、そういうような再就職ができないのに合理化計画をやっちゃいかぬじゃないかということであろうと思いますので、私は建前として、合理化計画をやっていきます場合において、再就職計画がうまくいかぬ場合には、そちらの方を立て直していく、こういう考え方で処理をしていくべきものであると考えておるわけであります。  それから、この内容については、今いろいろここで御説明申し上げないでもおわかりかと思うのでありますが、御承知のように、離職をされた方は一応失業手当をもらわれる。もちろん、その間におきましても、私たちは就職に対する諸般の手を打って参るのでありますが、しかし、そうしても、それじゃ離職者が出たら一ぺんにほかにすぐそこで就職させられるか、これはなかなかできないことであります。そこで、就職促進手当というものを三年間にわたって考えておることはあなたも御承知の通りでありまして、少なくとも三年の間においては就職させるということを、政府はかたい決意を持って打ち出しておるということを一つ御了承を願いたいと思うのであります。

成田知巳日本社会党

○成田委員 今二、三の問題についての御答弁があったのですが、再就職計画と合理化整備計画は、紙の表と裏だ、うらはらの関係だ、こう言われた。従って、不可分の関係にあるわけですね。そこで、再就職計画が立たない場合、合理化計画というのは当然スローダウンさせるべきだ、こう考えるべきだと思うのですが、いかがですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 先ほども申し上げたのでございますが、合理化計画というものと再就職計画というものはうらはらにはなっておりますが、その再就職計画というのは、離職したら直ちにその人が全部就職するという意味でのいわゆる再就職計画ではないのでございまして、もしそういうことであれば、政府が今考えておりますような、いわゆる就職促進手当などというものは必要ないわけです、すぐ全部かわってしまうわけですから。そこで、三年間にこれは必ずそういうふうにするのだ。そうして、その場合において、できるだけ早い機会にたくさんの人を再就職させるように政府として努力する義務がある。また、そういうふうにいたしますが、しかし、そうしてもなかなかカバーができないような場合においては、三年の間にこれは全部就職させるようにするのだということをここで申し上げておるわけでございます。

成田知巳日本社会党

○成田委員 政府の方針としては、三年で全部就職させたいというお気持はあると思うのです。しかし、必ずしも政府の考えておる通りにもいかないことを予想しなければいけません。このことを一番炭鉱労働者は心配しておるわけなんであります。従って、失業保険を入れて就職促進手当の期間三カ年ですね。その三年の間に、極端に申しましたら、一人でも安定職場が得られない、こういうことがあった場合には、当然この三カ年間を延長するか、それとも政府機関が責任を持って雇い入れるべきだと思うのです。この点についての政府のはっきりした御答弁を承りたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 ただいま通産大臣から申し上げましたが、なるほど、全体の考え方は通産大臣の言われた通りでございます。しかし、雇用問題につきましての責任当局でありまする労働省といたしましては、できるだけすみやかに就職をさせる。三年にまで及ぶ者はなくしなくちゃいかぬ。そして三年以内には必ず一人残らず就職させるんだ、かような考えで進んでおるのでございます。そしてまた、再就職の計画というものも、単に数字のつじつまを合わせるというようなものではなく、やはり政府の対策と過去の実績とを基礎にいたしまして、十分実現の可能性ある計画を責任を持って立案いたしておる次第でございまして、私どもは三年以内に必ず就職させ得るものという考えでただいま進んでおります。

成田知巳日本社会党

○成田委員 三年以内に必ず就職さすという政府の決意のほどは、私高く評価します。ということは、必ず就職さすということは、もし何らかの事情で三年以内に就職できない場合は、答申書にも、安定職場は国の責任において確保しなければならない、こう明記しておるわけでありますから、少なくとも三年の期間の延長か、あるいは政府機関へ責任を持って安定職場を供給する、こう理解すべきだと思うのですが、いかがでございましょうか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 私どもは、再就職計画、すなわち、雇用計画の遂行というのは、三年以内に就職しない場合には、その三年の期間を延長して促進手当を引き続きやれば、それで解決できる問題だとは考えておりません。どうしてもこれは三年以内に就職させるという考えで進むべきものであると存じますし、また、不幸にしてその決意が実際上間違っておったという事実が明らかになりましたならば、そのときには、当然政府の政治的責任として善処すべきものと考えます。

成田知巳日本社会党

○成田委員 政府の政治的責任として善処するというのは、単に政府に責任を持ってもらっただけでは、炭鉱労働者としては浮かぶ瀬がないわけです。従って、その善処というのは、政府機関において責任を持って雇用する、このように理解する以外には道がないと思いますが、いかがでありますか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 善処というのは、先ほど申し上げたごとく、何としてでも再就職を実現させるということでございまして、そのために政府としてはあらゆる措置を講ずべきものと考えます。

成田知巳日本社会党

○成田委員 政府の責任において善処する、あらゆる措置を講ぜられるというのですが、現在の資本主義社会において、民間雇用を強制するわけにはいかないわけです。従って、最終的な歯どめと申しますか、一人の離職者も出さない、安定職場を確保するという建前からいえば、政府自身がおやりになる、政府自身が政府機関で雇用する、これ以外には道はないと思うのですが、その点についての明確な御答弁をいただきたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 答申にもありますし、また政府の政策大綱にもあります通り、政府はもちろん率先して雇用をいたすつもりでございます。しかしながら、政府はみずからばかりでなく、政府関係機関から融資を受けておるような法人その他民間の団体にできるだけ雇用を勧奨する場合もございます。さらに、住宅の施設を提供したり、あるいは就職促進手当を民間に支給いたしましたりして就職を促進する方法もあるのでございまして、これらの措置を十分に活用いたしまして、責任を持って解決いたしたいと考えております。

成田知巳日本社会党

○成田委員 今言われましたいろいろな方法というのは、私たちもわかっているわけです。当然政府はやっていただけるものだと考えておるのです。しかしながら、それにも限界があると思うのです。そこで、最終の歯どめというのが、答申のいうように、安定職場を確保するということになれば、政府がみずからの政府機関で最終的には責任を持って雇用する、この方針が明確にならなければ、安定職場というものを確保するという答申の線を実現することはできないと思うのです。そこで、最終的な歯どめというのは、政府機関がやるという決意だと思うのです。その決意を一つ明確にしていただきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 繰り返して申し上げております通り、三年以内に政府といたしましては必ず就職をさせる、そして、そのことは、政府の政治的責任において実行をいたしたい、こういうことでございまして、その際にいかなる方法をとるか、これはその場合に具体化すべき問題であろうと存じますので、ただいまはこれ以上はこまかく申し上げる段階ではないと存じますので、一つまげて御了承願いたいと思います。

成田知巳日本社会党

○成田委員 政府が政治的責任を持って安定職場を確保する、こう言われた。そうしますと、常識的に考えまして、最終的な歯どめというのは、政府の機関で雇用することだ、これ以外には考えられないわけでありまして、私はそのように理解して、ただいまの答弁を了承したいと思います。  それから次に、御承知のように、三井三山あるいは北炭の六千人の首切り、こういうのが大量に出ているわけです。これは本会議の答弁でも大臣から一部を明らかにされたわけでありますが、新しいルールが確立するまでは、こういう一方的な首切り計画というものを政府としては停止さすべきものだと思うのです。これに対する政府のお考えを伺いたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 今までもしばしばこの点についてはお答えを申し上げておるのでございますが、私たちといたしましては、私企業がその内部におきまして、経営者が経営の方針を労組に示してそういう話をするということをとめることはできない、かように考えておるわけでございます。

成田知巳日本社会党

○成田委員 ただ、その場合に、もしスクラップ化するとかこういう場合、融資の問題、買い上げの問題、これを新しい法律でやるわけなんです。そういう経営者の一方的な首切りなりスクラップの問題というものは、買い上げの対象にならないのだ、こう理解すべきだと思うのです。現に大臣は、その点については明確に、そういうものについては一トンも石炭の買い上げはしない、こういうりっぱな答弁をすでにされておるわけでありますから、その点を一つもう一度御確認願いたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 私が、委員会においてそういうように勝手に自分たちだけできめてやってもそれはだめですよと申し上げたのは、今度の石炭の問題を処理します場合には、合理化審議会というものがあるのでありまして、たとえば今石炭の経営者と組合とがいろいろ話し合いをいたしておりましても、それは内輪の話としか了解をしておらない、公のものとは認めておらないのであります。そこで、そういうような場合、石炭合理化審議会にかかって、地区別、炭田別の合理化計画ができました場合に、今度は組合と経営者が今までの裏話をやめて表にこれを出して、一つやろうじゃありませんかという話がついて、そして持ってきたときにはこれは買い上げるけれども、そういう合理化審議会の答申のないうちに双方の間で取りきめた、取りきめたのだから買ってくれ、こう言って持ってきても、それは認められませんということを申し上げたわけであります。

成田知巳日本社会党

○成田委員 これは特に総理にお尋ねしたいと思います。雇用対策の最終的手段は、これも答申書にはっきり出ておるのでありますが、今問題になっております就職促進手当制度の確立である、こういうことになっておるわけです。ここで就職促進手当の問題についてお尋ねしたいのでありますが、その前に、答申に出され、政府も用意されております離職金制度についてお尋ねしたいと思うのであります。この制度は退職金がないか、またははなはだしく額の少ない中小炭鉱の離職者を対象にしたものだ。ところが、伝えられるところによりますと、政府の考え方というのは、二十年以上勤続の者に対して最高十万円、それから三年以下の者については一万五千円、こういうことになっておるわけです。ところが、中小炭鉱というのは、炭鉱の経営そのものが三年か四年で終わっておるわけです。従って、中小炭鉱に働く炭鉱労働者に、二十年以上の勤続者なんということはほとんど期待できないわけです。むしろ、三年以下の人が大部分だ、こう判断するのが常識なわけです。従って、せっかく法律をつくられましても、あるいはこれは政令でおやりになるかもわかりませんが、そういう制度をおつくりになりましても、事実上空文になるわけであります。そこで、この二十年の年限を短縮する、さらに三年以下の一万五千円という金額を引き上げる、こういう措置をとることが、答申の精神を生かすゆえんだ、このように考えるわけでありますが、この問題につきましては、石炭対策特別委員会においても、与野党でいろいろ協議をしておるそうでございまして、これについて前向きの姿勢が出ましたときは、政府並びに一党の総裁として、池田総理の方においても、ぜひこの問題についての前向きの解決のために御努力をいただきたい、このように考えるわけでございますが、いかがでございましょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 石炭対策特別委員会でいろいろ議論されておりますことは、私は正式には聞いておりません。新聞ではけさちょっと見ましたが、しかし、特別委員会がいろいろ審議せられ、そしてそれがわが党の正式な機関を通していろいろ考えられるならば、これはやはり国会あるいは党の世論を尊重する意味におきまして、誠意を持って私は検討いたしたいと思います。

成田知巳日本社会党

○成田委員 同じく就職促進手当の金額の問題になるわけでありますが、御承知のように、今政府が考えていらっしゃるのは四百五十円ですね。これは最高頭打ち四百五十円ということになっているのですが、炭鉱労働者が希望しているのは、六百円ということを希望しているわけです。大体その答申書によりますと、就職促進手当を支給し、失業保険期間を含め三カ年生活の安定をはかるべきである、こう答申書にはなっております。ということは、就職促進手当と失業保険が一体化しているということなんですね。そこで、失業保険が切れた場合、失業保険のかわりに、今度新しく創設される促進手当によって生活の安定がはかられるわけなんです。ところが、頭打ち四百五十円となっておりますが、失業保険は御承知のように頭打ち七百円なんですね。今度の改正案によりますと、八百六十円が頭打ちということになる。そうしますと、失業保険にかわるところの、せっかく設けられる促進手当が、失業保険とその点じゃバランスがとれないわけなんです。しかも、失業保険では、扶養手当というものは外ワクにある。今度の法案では、促進手当については扶養手当は内ワクになっている。こういうアンバランスがあるわけなんですね。こういう問題の解決につきましても、今与野党の間で話し合いが進みつつあるわけであります。もし結論が出ましたならば、先ほど離職金問題について御答弁がありましたように、総理の方としても積極的に一つ御協力いただけるかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 失業保険の場合と就職促進手当の場合とは、本質的には違っております。また金の出どころも違っておりますが、しかし、離職者が就職されるまで何とかめんどう見なければならぬということを私は考えまして、今の四百五十円を出しておるのであります。立場々々によりましていろいろ議論はありましょう。しかし、私は適当として出しておるのでございますが、これまた党から正式に意見を聞いてきまするならば、誠意を持って私は考えたいと思っております。

成田知巳日本社会党

○成田委員 川島長官にちょっとお尋ねしたいのですが、御承知のように、臨時行政調査会で七人委員会が設けられております。いろいろ七人委員会で結論を出していらっしゃるのですが、この七人委員会の運営で、何か運営が阻害されたとか円滑を欠いた、こういう例はございますでしょうか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○川島国務大臣 七人委員会は、非常に熱心に行政改革の問題を取り上げておりまして、委員の間で円滑を欠いたということはございません。

成田知巳日本社会党

○成田委員 この臨時行政調査会ができましたときに、国会で附帯決議をやりまして、重要問題については一致を原則とする云々という附帯決議がついたのです。こういう附帯決議の精神に基づいて運営されて、しかも円満に行なわれている、こう理解してよろしゅうございますか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○川島国務大臣 ただいまはいろいろ調査研究している段階でございまして、結論に達しておりませんからして、従って、一致を欠くとか欠かぬとかいうことは、まだ起こっておりません。

成田知巳日本社会党

○成田委員 最後に、総理に要望いたしたいのでありますが、今の御答弁だけでは、答申書の線もまだ完全に実現されてないんじゃないか、こういうことを私たち危惧するわけであります。特にドイツにおいては、失業保険が終了した場合には、再就職まで政府が手当を出す、こういう制度もできているわけでありまして、ぜひともそういう答申もありますように、世界各国の例というものも十分ごしんしゃくの上、今後の石炭政策というものを確立していただきたい。先ほど申しましたように、今炭鉱労働者が犠牲になっているということは、一つには、政府の長期経済計画の見通しのあやまちもあったのです。さらに、戦後の復興に炭鉱労働者というものが非常に寄与した、こういう立場というものも一つ十分お考え願いまして、今後の石炭政策を樹立されんことを心から希望いたしまして、私の質問を終わる次第であります。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 委員会再開の時間は、追って放送をもってお知らせいたします。開会前に理事会を開きます。  この際、暫時休憩いたします。    午後一時四十五分休憩      ————◇—————    午後四時九分開議

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十八年度総予算に対する質疑を続行いたします。  淡谷悠藏君。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私は、特別会計及びその他のことについて質問いたしたいと思いますが、その前に一言確かめておきたいのは、国会は議論の場として、ここにおける国会議員の発言は自由であり、また、その自由が保障されているということを考えておりますが、どうも、最近見ておりますと、これがしばしば不当な行為によっていろいろな障害を受けている例が多くございます。これは別段質疑打ち切りなどとは申しませんけれども、この間、日韓関係についてこの委員会で質問いたしました岡田春夫君の手元には、非常にたくさんの脅迫状が舞い込んで参っております。中には、日本国粋会花王一郎という名前で、殺すといったような言葉まで書いた脅迫状が舞い込んでおる。数限りございません。この前は、献金の問題を扱い、あるいはその他の問題で、わが党の末原代議士、あるいは辻原代議士が、これは文字通り暴行を受けておる。これに対して、一体総理並びに法務大臣はどのような手段をとられるつもりか。はっきり、かかる国会議員の言論に対する直接的な暴力行為に対する取り締まりの方法、並びに所信をお聞きしたいと思う。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 国会における国会議員の言論に対しまして、脅迫したり、あるいは暴行を加えんとする計画等を伝えることは、まことに法治国家の点から見まして許すべからざることでございます。そういう点は、警察並びに法務省において十分取り締まりたいと思います。

中垣國男自由民主党法務大臣

○中垣国務大臣 お答えいたします。  ただいま御指摘になりましたような資料等が的確にありましたならば、私の方は調査をいたします。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは十分なる調査並びに取り締まりの方法をおとり願いたいと思う。特に、最近における一般の傾向を見ておりますと、その他の暴力が非常に多いのです。東海道線に強盗が出たり、電車の中でさまざまな暴行を働いたり、これを制止しようとする者に対してまた暴行を加える。これは一般国民の生活にまで非常な不安を与えておる。これに対しては、ずいぶん新聞などに出ておりますし、私の手元にもございますが、何かはっきりした、これを検挙し、あるいは処罰をした例がございますかどうか、お聞かせ願いたいと思います。

篠田弘作自由民主党

○篠田国務大臣 去る二月二十七日午後九時ごろ、小田急の中で二人連れの若い者が数人の客をなぐった。そのなぐられた客が代々木上原で降りまして、新宿の鉄道公安官に通報しまして、これは二人とも新宿でつかまえております。それから、二月二十七日の午後六時三十分ごろ、新宿歌舞伎町で、アメリカの写真家が酔っぱらいに石を投げられた。本人が百十番にみずから通告しまして、その犯人は直ちにつかまっております。二月二十八日に、横浜駅の東口のトイレで、若い女性がやくざ者に首を締められた。そこで、逃げまして、鉄道公安室へかけ込み、待合室でうろついていた男を直ちにつかまえた。こういうふうに、届け出があれば大体はつかまえております。ところが、二月二十一日、——三月一日の産経の夕刊に出ておりました、上野からの国電の中で、ある会社の重役がくれん隊に、——ぐれん隊と言いましても一人でありますが、暴行を働かれて、手にたばこをつけられた。最も悪質なるそういう暴力行為、これはその翌日、上野の公安室に届け出がありまして、日にち、時間がたっておったために、一生懸命今捜査しておりますが、まだ検挙の段階に至っておりません。とにかく、こういったような暴力には、あらゆる刑法の条項、あるいはまた軽犯罪、あるいはまたぐれん隊防止条例、そういったものをよりどころといたしまして、徹底的に追及し、捜査し、検挙し、処罰する考えであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは、小さな暴力、大きい暴力にかかわらず、厳重なる査察と検挙が必要だと思うのでありますが、特に、日韓問題等は、今後もますます論議の的になると思います。そのたびごとに、何らか裏へ回って脅迫を加えて、この論議を封殺しようといったような行動に対しては、政府が十分責任を持って臨まれんことを要望しておきます。  さて、本論に入りますが、本年の特別会計は、歳入で五兆四千六百八十五億八百五十七万円、歳出で五兆一千七百五十四億七千百四十九万九千円に達しております。昨年に比べまして、歳入で五億七千四十万六千三百三十五円、歳出で五億七千百三十一万六千四百二十九円の増となっております。これだけたくさんの国費が動くのが特別会計でございますが、これが特別会計という名前でややもすると特別に扱われておりますのが今までの形でございまして、総計予算主義の原則に立つ以上、特別会計の設置は、あくまでも特別の必要ある場合の例外的措置によるべきものであって、特別会計の乱立は、財政全般の通覧を妨げて、収入の多い部局における乱費の弊を招きやすいのであります。財政全体の健全性を破壊するおそれがあることは、これはわかっておる。国会や会計検査院による財政監督にも支障を来たさしめるおそれもあるのであります。従って、国が企業その他一般の行政と異なる独立した事業を経営する場合には、その事業だけの収支を一般会計から区分して経理する方が、担当職員の責任を明確にし、事業的意欲を刺激して事業の能率を発揮するという、国家事業の効率的な運営に資するという積極的な理由はございましても、一般会計の二倍に及ぶ大きな金額を運用し、事業管理、保険、融資、整理等の各事業にわたって六十以上の勘定科目を持ち、政府機関、公社、公団の多くをかかえ込んで、事業も国際的にわたる現状にあっては、その取り扱いは厳重かつ緻密であるべきことは言うを待たないと思う。この点については、総理大臣、大蔵大臣ともに御異存はないと思いますが、御所見のほどを伺いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 財政学上、特別会計は特殊の場合に設けて、あまり数が多くないことを望むということは、これは原則でございます。政府もその立場でやっておるのでありますが、何分にも国の仕事が多種多様にわたっておりますので、財政法の命ずるところによりまして、できるだけ少なくし、必要やむを得ない場合にのみ特別会計あるいは公団、公社、金庫を設けるようにいたしておるのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 ただいま総理大臣が述べられた通りでございまして、特定の事業を特定の財源をもって行なうものでありますから、乱に流れることを厳に慎しまなければならぬことは言うまでもございません。また、これが運営、経理の面におきましても、特別会計法及び財政法以下の関係法令を厳に順守すべきでございます。御説の通りだと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 何にせよ、公社公団が十三、金庫が十三、事業団が十二、特殊会社が十二、特殊法人が三十八、この膨大なものをかかえまして、しかもそのあとにはまだたくさんのこぶがついているのです。総理、大蔵大臣が直接目を光らしているところでは法律に基づいて運用されているかもしれませんけれども、こうしたたくさんの特別会計に関係のあるところでは、かなり変なことが行なわれている。これはもう短い時間で全般にわたる質問はできませんから、特に特別会計でも大きな費目を占めております産業投資、産業投資の中でも最近の国際的な貿易伸長の線から非常な注目を浴びております輸銀及び開銀についてきょうは質問いたしたいと思います。  まず輸銀でございますが、日本輸出入銀行の業務報告書を読んでみますると、ことしは非常に予算が多くなっているようであります。本年度中の貸付純増額は五百八十二億一千七百万円と、開行以来の最高額を示しておる、年度末貸付残額も千九百八十五億七千八百万円と、ほぼ二千億円の大台に近づいて、これまた開行以来の最高残高を記録しておる、こう言っておる。一体、これぐらい開行以来初めての大幅な貸付をしたということは、この事業の方向並びに目的がどこにあるのか、担当大臣からお答え願いたいと思う。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 輸銀は、御承知の通り、輸出入業者に対する貸付を行なっておるわけでありまして、輸銀の取り扱い業務が非常に拡大せられておるということ事態は、輸出入銀行がつくられた当時に比べて、日本の輸出、輸入、すなわち貿易量が非常に拡大をせられておるという事実を裏書きするものでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 拡大することはけっこうですが、その当初の目標は輸出入に本体を置いたのが、最近では国内における貿易商社にまで拡大しておるように思われますが、いかがでございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 御承知の通り、輸出入業者に対して行なうのでありまして、これが、輸出をするまでの間、船積みするまでに至らないもの等でありましても、当然輸出をするものに対しては貸付の対象にしておるわけでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 この膨大な貸付を持ち、特に資金運用部資金の原資あるいは一般会計からの繰り入れをたくさん持っております輸出入銀行の経理が最近どうなっておりますか、一つ御説明願いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 経理の数字的な問題に対しては政府委員もしくは輸出入銀行当局より御説明申し上げますが、非常に膨大になっておりますが、資金の運営は適正に行なわれており、かかる膨大な取り扱い量にもかかわらず、現在まで貸し倒れや資金回収不能というものは全然一件もございません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 この輸出入銀行には法定の積立金の要求があるはずですが、滞りございませんか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 事実問題でありますから、政府委員をして答弁せしめます。

新保実生大蔵事務官(銀行局特別金融課長)

○新保説明員 輸出入銀行法によりますと、法定準備金と貸し倒れ準備金と二通りございます。前者の法定準備金につきましては、数年前まで一定の額を積み立てております。それから、後者の貸し倒れ準備金につきましては、例年一定のものを積み立てております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 法定準備金は三十七年度積み立てましたか。

新保実生大蔵事務官(銀行局特別金融課長)

○新保説明員 三十七年度は積み立てておりません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 法定準備金は積み立てませんが、貸し倒れ準備金は積み立てておりますね。どうですか。二つの準備金のうち、法定準備金は積み立てないで、貸し倒れ準備金だけは積み立てるというのは、どういうわけですか。

新保実生大蔵事務官(銀行局特別金融課長)

○新保説明員 これは多少技術的な問題になりますけれども、貸し倒れ準備金は、税法で言いますと益金、損金という言葉がございますけれども、一種の経費として計上する建前になっております。それを計上した後になお一定の利益がある場合には、これを法定準備金として積み立てる、そういう仕組みになっております。  ところで、法定準備金を最近においては積み立てておりませんけれども、これは、御承知のように、輸出の国際競争が最近激しくなって参りまして、数年前に輸出金融の金利を四分に引き下げをいたしました。一方、輸出入銀行の資金源は、資金運用部からの借入金、それと一般会計の出資でまかなっております。資金コストは大体四分四厘くらいでございます。一方、貸し出しの利回りは四分四厘を多少上回る程度でございまして、安い金利で貸す、これは国際競争上やむを得ない措置でございますが、そういう関係でございますので、最近においては、いわゆる貸し倒れ準備金を繰り入れた後の利益金が出ない、予算もぎりぎりの辺で組んでございますので、法定準備金は積み立てができないという状況になっておるわけでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 貸し倒れ準備金の使い方は一体どうなっておりますか。これは大蔵大臣おわかりなのじゃないですか。貸し倒れ準備金というのですから、これは大臣に御答弁願いたい。やっぱりだめですか。ここらがどうもおかしいのですね。

新保実生大蔵事務官(銀行局特別金融課長)

○新保説明員 貸し倒れ準備金は、貸し出しの債権が回収できないということを主務大臣が認可いたしましたときに、それを取りくずすことになっております。今まで、輸出入銀行につきましては、そういう事例がございませんので、貸し倒れ準備金は取りくずした事例はございません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 貸し倒れ準備金を取りくずした例がないそうですが、表で見ますと、二十五年は二百万円、二十六年は三千八百万円、二十七年は二千八百万円、二十八年は九千四百万円、二十九年になって二億四千七百万円、三十年になって四億四千八百万円、三十一年は六億三千五百万円、三十二年は六億三千九百万円、三十三年は六億六千万円、三十四年は六億六千九百万円、三十五年は七億五千六百万円、三十六年は六億二千三百万円、三十七年は見込みとして六億二千七百万円を予定されておりますが、これは間違いございませんか。

新保実生大蔵事務官(銀行局特別金融課長)

○新保説明員 ただいまの数字は貸し倒れ積立金として繰り入れた金額でございまして、先ほどお尋ねの数字は、たしか貸し倒れ準備金を取りくずした実績というふうにお聞きしたのでございます。私がお答え申し上げましたのは、貸し倒れ準備金を取りくずした例はございませんということで、繰り入れば、今仰せの数字を毎年繰り入れておるわけでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 現在は全部でどれくらいになっておりますか。総額をお聞かせ願いたい。

新保実生大蔵事務官(銀行局特別金融課長)

○新保説明員 お答え申し上げます。  これは三十七年の十二月三十一日現在でございますが、四十八億三千九百万円となっております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 貸し倒れ準備金が四十八億に達している。まだ一回も取りくずしをしていない。しかも、同じ法定の積立金であるならば、どうして準備金は積み立てないで貸し倒れ準備金だけ積み立てるのですか。そのどっちが重いのか、どっちが大事なのか、お考えをお聞きしたい。

新保実生大蔵事務官(銀行局特別金融課長)

○新保説明員 これは、一般の経理原則で申しますと、まず貸し倒れ準備金をやりまして、余裕がありました場合に法定準備金の積み立てをやる、こういうふうに法律もなっておるわけでございます。それに従ってやっておるわけでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 大臣の許可によってこの貸し倒れ準備金の取りくずしをするならば、どういう場合に大蔵大臣はこれを取りくずされますか。貸し倒れ準備金というのですから……。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 貸し倒れになって回収不能であるということで、国の立場から見てやむを得ない、こういうものに対してそのつどバイ・ケースで検討いたします。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 大臣、今まで貸し倒れを検討した例がございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 研究したことはございますが、適用したものはありません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 開発銀行はどうですか。開発銀行の実績を大臣御承知ですか。これは大臣からお答え願いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 開発銀行につきましては、開行以来累計四百九十七件、十六億八千七百万円が貸付金の消却実績でございます。しかし、との内訳は、開発銀行本来の事業からのものではなく、復金継承債権が四百九十五件、十六億六千四百万円、見返資金承継債権一件、二千百万円、開発銀行資金としてのものは一件でございまして二百万円であります。しかし、これは、貸付金の累計から見ました。パーセンテージは〇・二%であります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 ちょっと私の質問と答弁と違っていますが、開発銀行では貸し倒れ準備金の取りくずしが行なわれているでしょう。例年行なわれていますよ。これはさっきの話だと大臣の認承がなければやらぬというのですが、大蔵大臣が知らぬというのであれば、大臣の認承なしにやった取りくずしですか、どうなんですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私は、自分で決裁をしたこともそうつまびらかに何でも覚えているわけじゃありませんから、事実問題に対しては政府委員から答弁をせしめ、しかる後に私の考えを申し上げます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それは受け取れませんよ。さっきあなたはやったことがないと言う。わからなくないですよ。さっきからあなたはやったことがないと言うのですから。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 先ほどあなたの御質問では、開発銀行の御質問ではなく、輸銀に関してだけの御質問でございましたから、取りくずした事実のないことを明らかにいたしたわけであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 そう言葉を濁さないで、開発銀行はやっていないのですか。これは、開発銀行についてもあなたはタッチしていないというのであれば、私は黙っておれない。これは一々わからなくなったというのです。一々わからなくなったから、開発銀行はあなたにはお答えできない、こういうのでしょう。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 ちょっと質問を分けていただきたいのですが、先ほどまでの質問は輸銀に対して集約をしての御質問でございますから、私及び政府委員からその事実のないことを明らかにいたしました。ところが、御質問におきまして、では開発銀行で取りくずした実績はどうかと言いましたから、それに対して消却実績を申し上げたわけでございます。でありますから、開発銀行の準備金及び貸し倒れ準備金取りくずしの実績に対して述べろという御質問があらためてあれば、政府委員をして答弁せしめます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それじゃあらためてもう一つ大臣にお聞きしますが、開発銀行の貸し倒れ準備金の取りくずしは、大臣が認承した覚えがないのですか、あるのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 今のところつまびらかに記憶いたしておりませんから、事実問題については政府委員をして答弁をせしめます。

新保実生大蔵事務官(銀行局特別金融課長)

○新保説明員 日本開発銀行におきましては、貸し倒れ準備金を取りくずした金額は約十六億八千七百万になっております。これは仰せの通りの数字でございます。この手続は、開発銀行が主務大臣に対しまして承認を求めるということになっておりまして、私先ほど認可と申し上げましたが、その点間違っておりますので訂正をさしていただきます。  それから、この手続でございますが、これは、主務大臣と申しましても、事務的には銀行局長限りで処理をいたしております。ただし、その場合には、銀行局の検査部が実態をよく調べまして、妥当だと認めた場合に限ってその承認を与えることになっております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 今のあなたの御答弁ですが、これはもっとはっきり言ってほしいのです。大臣の承認ですか、認可ですか。あなたは承認と言いましたね。

新保実生大蔵事務官(銀行局特別金融課長)

○新保説明員 承認でございます。ただし、これはどの法律をごらんになっていただいてもおわかりでございますが、行政官庁に対するいろいろな承認とかの書き方は、主務大臣というふうに書くのが通例になっております。で、役所の内部の事務配分あるいは委任関係におきましては、そのことの重要性に応じまして、局長なりあるいは事務次官限りというような処理をしておる例がほかにも幾つかあるわけでございます。そういう処理をしておるわけでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 究極の責任者はだれなんです。大臣になるんですか、それとも大臣じゃないのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 事実上の処理は委任をされ下部部局で行なっておるにしても、法律上の責任は大臣であります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 なお、開発銀行の経理についてお聞きしますけれども、これは法定積立金を準備金の方はずっとやっておりませんね。だいぶ前からやめていますね。国庫納付金もやっていませんね。

新保実生大蔵事務官(銀行局特別金融課長)

○新保説明員 日本開発銀行の場合は、法定準備金の積み立てもやっております。貸し倒れ準備金の繰り入れもやっております。そのほかの法定準備金の繰り入れ、さらに、なお、最近でございますと、一年間に約百三十億程度の国庫納付金をいたしておるわけでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 輸出入銀行はどうです。いつから法定準備金をやめましたか。国庫納付金はどうなっておりますか。   〔「説明員じゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 大月銀行局長には連絡をとりまして、もう本省を出ておりますから、間もなく着くころです。  新保課長。

新保実生大蔵事務官(銀行局特別金融課長)

○新保説明員 国庫納付金は、昭和三十年度まで納付いたしております。三十一年度以降は、先ほど申し上げましたように、資金コストと貸し出しの平均利回りが非常にすれすれになっておりますので、そういう余裕がなくなってきておるわけでございます。  それから、法定準備金でございますが、これもやはり正確な年度はただいまあれでありますが、数年前に繰り入れを……   〔「何をやっているか」と呼び、その他発言する者多し〕

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 局長が来るまで待ちましょう。

新保実生大蔵事務官(銀行局特別金融課長)

○新保説明員 法定準備金の方は、三十四年度から繰り入れをやっておりません。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 銀行局長がただいま到着いたしました。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 その貸し倒れ準備金の取りくずしは、最終的にはだれが承認したのですか。大臣承認までいっていますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 先ほど説明員から申し上げました通り、法律の責任は大臣でございますが、省内委任等がありまして、銀行局長権限で取りくずしを認めておるようでございますから、その事実に対しては政府委員をして答弁せしめます。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 貸し倒れ準備金の取りくずしにつきましてはその原因が必要でございまして、賃し出しの一件一件につきまして、はたして消却を要するかどうかということを事務的に認定する必要がございます。そういう意味で、銀行局の検査部におきまして、開発銀行、輸出入銀行から具体的にこれは貸し倒れと認定すべきかどうかという御相談を受けまして、一々認定いたしまして、それを集計して、その結果を貸し倒れ準備金から落とす、こういう段階でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私の聞いておりますのは、その際大臣の承認ということが絶対条件かどうかということです。局長名でできるかどうか。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 一件々々の貸し倒れ自体は、経済的かつ技術的な判断でございますので、銀行局限りで処理いたしております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 大蔵大臣、これは一般民間の銀行と違いまして、国費が出ている銀行なんです。政府機関なんです。それが貸し倒れ準備金なんていうものを積んでおいて、それをただ銀行局長くらいがいいと言えばどんどん取りくずして貸し倒れを埋めていくという行き方は、あまりに国費に対してずさんじゃないですか。粗末じゃないですか。これは大臣御承知じゃないでしょう。やはり御承知ないのがほんとうだろうと思う。実際は大臣の承認なしに銀行局で勝手に多くの取りくずしをなしておるというのが実情じゃないですか。こんな状態で一体いいのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 たとえばいまの発言を契機として、政府関係機関の取りくずし等については大臣が直接目を通すべきであると考えれば、私はあらためてやります。しかし、今までの問題に対しては、何分にも、特別会計だけでも五兆円、六兆円というのでございますから、大臣がこれにつまびらかに決裁をするということも事務上できませんし、御承知の通り、大蔵省九十年の伝統がございまして、各局長、次官権限で委任をしておる事項がございますし、しかも、これらの問題に対しては国損を来たさないよう慎重な配慮が払われておるのでございますし、しかも、法律上の最終責任は、局長、次官の権限において処理されましても、大臣の責任がそれによって免れるものではないということを明らかにいたしておるのでございますから、行政組織の建前上局長権限でこれからはよろしくないということであれば考えますが、現在までは適法であり、正常に運営せられておるものと思量いたしております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それでは承りますが、取りくずしの内容はどうですか。どこを一体貸し倒れ準備金で埋めたのですか。どこの債権ですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 事実問題でございますから、政府委員をして答弁せしめます。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 昭和三十六年度の消却債権、開発銀行でございますが、二十三件ございます。その業種別に申し上げますれば、石炭業がその中の相当部分を占めておりまして、その他ございますのも、非常に金額の小さい中小貸付でございます。(「会社を出せ」と呼び、その他発言する者あり)この消却債権につきましては、法律上の組織といたしまして、開発銀行がなお債権として持っておるわけでございます。債権を放棄したわけではございません。ただ、回収が困難であるということをもって開発銀行の帳簿上これを落とすというのが消却でございます。従いまして、相手の債務者の名前をあげるということは、債権のさらに回収上支障がございますので、これはごかんべん願いたいと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは貸し倒れ準備金でしょう。貸し倒れ準備金ならば、取る見込みのあるものは貸し倒れじゃない。貸し倒れ見込み準備金じゃないですか。取ればまた貸し倒れ準備金に返すのですか。大蔵大臣も言いましたが、五兆円に及ぶ特別会計で小さい問題だからわからぬと言っているところに特別会計の不明朗さがあるわけです。この原資は大部分が資金運用部資金でしょう。零細な郵便貯金の金でしょう。国民全体の零細な金を集めて投資しているものが、貸し倒れ準備金なんというはなはだ不明朗なもので、しかも大臣が知らない間に、銀行局長あたりの名前でどんどん取りくずしされていくところに、明らかにしなければならぬ特別会計の問題があると思う。これをはっきりして下さい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたように、輸出入銀行も開発銀行も、その創設以来非常に大きな国としての責務を行なっておりますし、特別会計及び公社、公団に比べましても、これら政府関係機関は相当な実績をあげております。この実績をあげておりますもの、特に開発銀行の今日の段階において申し上げますと、先ほど申し上げたように、総計四百九十七件、十六億八千七百万円の貸付金の消却がございますが、これは、開発銀行として業務を始めたケースから出たものではなく、先ほど申し上げた通り、四百九十七件、十六億というと非常に大きな数字でございますが、内訳を申上げると、復金からの継承債権が四百九十五件で十六億六千四百万円ございます。もう一つは、見返資金承継債権が一件、二千万円ございまして、開発銀行資金として開発銀行設立後出たものは一件であって、二百万円であります。二百万円でありますから金額が小さいというようなことで申し上げておるのではございませんが、いずれにしても、開発銀行設立後今日に至るまで非常に厳正なる運営が行なわれているということは、ただいま私が御報告申し上げたことでも御了解賜れると思うのでございます。しかし、復興金融金庫の継承分というのは、御承知の通り、問題は石炭企業が非常に大きいのでございますが、これは当時の炭住等占領軍のメモ・ケースによって貸付が強制せられたという実情にもございますし、見返資金承継債権の問題につきましても、事情は十分御了解いただけると思います。これらは、しかし、いずれのものから継承し、いずれのものから引き継いだものにしろ、国の債権でございますから、これが債権確保に対しては万全の処置を払うことは言うを待たないわけでございます。今までの事情は今申し上げた通りでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 今の貸し倒れ準備金を取りくずした債務者ですね、この名前を一つおあかし願いたい。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 この債権の消却の意味は、先ほど申し上げましたように、開発銀行の帳簿におきまして、現在の段階において回収ができないという認定をいたしたものを落とすわけでございます。従いまして、債権としてはまだ現存いたすわけでございます。従いまして、開発銀行の帳簿から落としたものにおきましても、なお回収の努力は続けるわけでございまして、この回収が可能になりました暁には、この消却された金額のうちで回収されたものは開発銀行の利益として上ってくる。そういう段階を経まして、ほんとうに取れなくなってしまえば欠損になるわけでございます。貸し倒れ準備金を取りくずす段階というのは、帳簿から落とす段階でございます。しからば、その落としますにつきましていかなる認定をするかということは、完全に一件々々の債権の認定でございますので、これは、民間の金融機関、政府の金融機関を通じまして、銀行の検査官が一件々々認定して、完全に今の段階において回収できないというものを落とすわけでございます。しかし、債権としては現に存在いたすわけでございますので、これが帳簿から落ちておるということを外部に公表いたしますと、債務者に、もうこれで回収されないのだという安心感を与える、これは債権管理上はなはだ適当でない、そういう意味において、一切公表いたしておらないわけでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは答弁にならないんですがね。それでは、零細な貸出先はいいとしまして、以下読み上げます開発銀行の大口貸出先のうちの上位二十社の中に、将来貸し倒れ準備金などを適用しなければならないところがあるかどうか、これはお答え願いたいのですが、東京電力が六百二十六億四百万円です。関西電力が四百八億六千万円、東北電力が三百七十三億四百万円、中部電力が三百六十六億七千二百万円、九州電力が三百五十八億四千八百万円、大阪商船が二百十四億九千二百万円、中国電力が二百六億四千八百万円、北陸電力が二百三億五千万円、北海道電力が百八十六億二千百万円、三井船舶が百六十八億五千万円、飯野海運が百二十三億三千四百万円、四国電力が百五億一千四百万円、川崎汽船が九十九億二千七百万円、山下汽船が九十億五千二百万円、新日本汽船が八十九億五千万円、大同海運が八十八億七千四百万円、三井鉱山が八十五億七千一百万円、三菱海運が六十五億六千四百万円、住友石炭が六十二億九千万円、この中ではおそらく入っていないでしょうな。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 ただいまお話のございました会社は、いずれもただいま健全に運営されておる会社でございまして、貸し倒れ準備金の取りくずしの対象になっておる会社は一社もございません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これらの会社の中で、従来元利の延滞などのあったところはございませんか。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 電力会社については一件もないと存じます。ただ、ただいまのお話の海運の関係においては、あるいは過去において延滞のあったものもあるかもしれないと思いますが、大体におきまして、元本の内入猶予の措置はとっておりますが、これは延滞ではございません。延滞の点は、ただいま個別に調査いたしまして、必要でございましたら、具体的にお尋ねいただければお答え申し上げます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 今必要だから聞いているんですがね。なお承っておきますが、延滞した場合に利子をまけてやってしまったのはありませんか。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 債権におきまして延滞いたした場合に、利子の免除をしておる例はございません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 延滞利子はどうです。延滞利子の制度はありませんか。あるつもりですよ。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 延滞いたしますと、延滞利息のかわりに損害金を取っておりますが、これは日歩四銭でございます。必ず四銭を取っておるかということになりますと、延滞いたしました事情によりまして、約定金利までまけておる場合はございます。しかし、免除しておるという例はございません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 銀行局長が答えておりますと分科会でも与党が騒いでしようがありませんから、大蔵大臣にお答え願いたいのですが、日歩四銭の延滞金、あれはいろいろな名前をつけておるのでしょうが、大体がこの延滞金はまけておるのですね。日歩四銭なんという手を使うから小さく見えるのです。一億円の場合は幾らになりますか。百億円の場合は幾らになります。その延滞利子をいろいろな形でなくしておるというのは一体どういう処置ですか。これは大きな利益供与じゃないですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 昨年十二月末における開発銀行の延滞総額は四十九億円でありまして、貸出残額の約〇・八%、金額としてはそう大きなものではございません。しかし、延滞をしておるものに対して延滞利息を付す、これは、当然、貸し出しの約定でありますから、これだけ厘毫もまけず取った方がいいというのは、取れればそれに越したことはないわけでありますし、また、その債権に付随するものとしてこれが履行せられ、国の収入としてプラスされることが望ましいことでありますが、開発銀行そのものが一体何のためにつくられたかということを一つ考えていただけると、国の政策の上で法律に基づいて院議の決定を求めて、このようなものに対しては政府関係機関が融資する必要があるという政策目的か達成するためにこれが設立せられておることもまたお認め願えることと思うわけであります。一般の税金の問題であっても、個々の事情によって延滞金を免除しておる例はたくさんございます。また、民間におきましても、普通の商習慣によって、約定金利までは相当高い金利を取ることになっておりますが、事情によってやむを得ざるものに対しては延滞金を免除する、場合によっては利息も免除する、元本の切り捨て欠損処分を行なうということも御承知の通りであります。開発銀行におきましては、そういう例はなく、また、延滞金に対しましても着実にこれを徴収しておるということでありまして、延滞加算金という問題に対して一部免除しておる例があるでしょうということを申し上げたわけでありまして、これは、あなたが今述べられたような日本の大きな企業、——電力を除きましても、海運、この海運は、非常に状況は悪いが、今度の国会では、特別に延滞も認めよう、財政資金も貸そう、特別な建造資金制度を国会で認めていただこうというほど重要な産業であることは御承知の通りでありますし、また、一部石炭につきましては、大企業であっても、特別国会を開いて石炭産業を維持強化しようということを言っておる段階でございますから、これら個々のケースによって、政府が施策上必要ありと認めれば延滞加算金の一部を免除・猶予することはあり得るということを御理解賜わりたいと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 さっきの石炭の質疑応答を聞いておりますと、なかなかこまかい渋った答弁でございましたが、この造船あるいは船舶の方の資本は相当大きくあなたおやりになっているのですが、輸出入銀行もやはりそうですが。関発銀行と同じことできますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 輸出入銀行にはさようなことはございませんから、免除をするような考えは全然ございません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 輸出入銀行の上位二十社というのも相当大きな事業をやっているらしい。日本ウジミナスは二百九十七億六千七百八十四万、三菱造船が百九十四億一千六百九十四万、石川島播磨重工業、これが百五十五億一千五百五十五万、丸紅飯田が百四十二億三百十万、アラスカパルプが百十八億六千八百万、浦賀船渠が百十一億一千七百七十六万、日立造船が百七億三千六百二十万、新三菱重工業が九十九億四百五十万、三菱商事が九十六億七千二百六万、アラビヤ石油が九十二億一千七百万、日本鋼管が七十七億四百四十万、神戸製鋼所が六十四億九千百万、日立製作所が五十億六千七百八十八万、伊藤忠商事が四十一億八千五十六万、川崎重工業が四十一億四千五百六十万、三井造船が三十七億八千六百二十万、これだけ上位二十社が出ておるようですが、これは別段延滞その他の心配はないのですか。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 ただいまお話のございました個別の会社につきましても、その他一般の会社につきましても、輸銀につきましては延滞は一件もございません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは総理大臣に、私、はっきり申し上げておきたいのですが、資本主義社会では、資本をつくってやることが一つの利益供与です。そのために、ごく小さな人たちでは、わずか一万円か二万円の金を借りに行って、貸さないからといって殺傷事件まで起こっているのです。それが国費でもって何百億といったような資金を出すということは、それ自体が一つの大きな利益供与になると思うのです。利益を受けています。その証拠にはどうですか、ここには政治献金の表がありますが、この開発銀行、輸出入銀行の上位二十二社がこぞって政治献金をやっているでしょう。私は、これは政治資金規正法に触れるとは申しません。触れるとは申しませんが、開発銀行、輸出入銀行という政府機関から大口の金を借りて、しかも政治資金に献金するということは、これはやはり今のこのやり方が非常に大資本を擁護する方法だと私は思う。そう思いませんか。総理大臣いかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 総理はあとからお答えいたします。輸銀や開発銀行というものが大蔵大臣の所管でございますので、まず所管大臣の意見を一つ申し上げます。  ただいまの御質問がございましたが、今淡谷さんの述べられたような名前や数字をずっと申されると、非常に大企業中心に政府資金が貸し付けられておるような印象を与えますが、しかし、この輸出入銀行というものは、御承知の通り、特に重機械やそういうものの輸出を主といたしておりますし、また輸入に対しても御承知の通りでございます。特に法令、法律等の違う外国との取引でありますから、その大企業、日本を代表するような企業が中小企業と同じような率で外国取引を行なえるかどうかということは、これはもうおのずから御理解願えるわけでございます。  なお、中小企業はこういう恩典に浴しておらないということを言われるかもわかりませんが、これに対しては、中小企業金融公庫を初め政府三機関がおりますし、しかも、今申されたような大企業といえども中小企業と全然遊離をした企業形態にあるのではないのでございます。昨年の末、十八次造船が繰り上げて行なわれない場合、中小企業が二百万人も三百万人も影響を受けておるからという事実に徴してもおわかりになる通り、今の複雑な日本の産業形態を見るときに、大企業、中小企業すべてが輸出産業には連なっておるのでございまして、輸出入銀行が設けられたという理由及び海外取引の実情等を考えていただければ、おのずからそれらの機関が大幅な融資を受けておるということは事実容認すべき事態だと思います。  また、その企業が大口政治献金をやっているということでございますが、私はそういう事実は承知をいたしておりません。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 輸出入銀行の融資先で、今お読みになりましたように、ブラジルのウジミナスを初めとし、その他につきましては船舶の輸出関係の会社でございます。そうしてまた、船舶以外のものは、やはりプラント輸出的の長期のものでございます。わが国の産業の発展上、また世界各国の産業との競争上必要であるというので輸出入銀行を設けてやっておるのであります。しこうして、それによって日本の経済の発展に非常に寄与いたしております。船舶の問題、造船の問題につきましては大蔵大臣が答えた通りでございます。これは私は、日本の発展上必要だと思いまして、昭和二十五年設立計画を立ててやった。そうして日本の今日の貿易の伸展に非常に役立っておる。これはもうお認めになると思います。  ただ問題は、そういう会社が政治寄金をすることがいいか悪いかという問題は、これは政治資金規正法の問題でございまして、大いに検討する必要がございます。しかし、大会社からもらってはいかぬというわけのものではございますまい。これは別途に今選挙制度調査会で御検討願っておるのであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 少なくとも輸出入銀行は千九百億余りの貸付金の中で千八百億が上位二十社なんですよ。これは当然の話でしょう。これは何ともないといえば何ともないのですが、宏池会にせよ、自由民主党にせよ、国民協会にせよ、この貸付を受けて事実資本供与の恩典を受けておるものが、政治を担当しているものに対して、あなた方は多大とは言わないでしょうが、われわれに言わせれば多大ですけれども、それをもらって当然だという考えが大体政治を腐敗する原因じゃないですか。これは少なくとも法的には規制されなくても、政府機関からつながる融資を受けておるものは、政治献金くらいは遠慮してしかるべきではないかと思いますが、その点はいかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 政党の現状その他から申しまして、将来研究すべき問題でございます。それは先ほど申し上げましたように、選挙制度調査会におきまして検討されると思います。しかし、現状から申しまして、政治資金が必要な場合において、こういう大会社からもらってはいかぬというふうな結論は、私は当然出るべきものではないと思います。検討は要しましょう。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 総理がそう思われておるのであれば、それはまたそれを前提にしまして質問を続けますけれども、この輸出入銀行は海外にさまざまな事業を持って投資していますね。この事業の状態は一体どこが責任を負って調査するのですか。どうなっているか。これについて一つ大蔵大臣、御説明願いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 輸銀から海外に投資をしておりますものについては、回収不能になってはいけませんので、これらの案件については個々に政府が認可をいたします。また、認可の基準その他に対しては厳重に検討いたしまして、いやしくも回収不能にならないような考えのもとに投資を行なっておるわけであります。この貸付が行なわれた海外の事業に対しては、債権の確保をはかりますために政府関係機関の海外出先機関及びまた直接現地に係員を派遣する等、債権確保に十分な配慮を払っております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは責任は大蔵省ですか、外務省は関係ないのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 大蔵大臣の専管であります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それじゃ一つ専管の大蔵大臣に質問いたしますが、一体どれくらいの事業をやっているか、これは輸出入銀行に限りません。産投全般でけっこうです。どこでやっておりますか、業態はどうなっておりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 事実問題につきましては、政府委員をして答弁せしめます。——政府委員の手元に今明確な資料がないようでございますから、御要求があれば直ちに取り集めまして御報告を申し上げます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは大事な点です。最近の、私、汚職とは申しませんが、さまざまな問題は海を越えて起こっているのです。汚職海を渡るという言葉がありますが、海外における事業は非常に不明朗なうわさをまいているのです。これはやはり産業投資でも重大なことですから、即刻資料を取り寄せて下さい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 暫時の御猶予を願えれば、これらの問題に対してはすぐ御報告申し上げます。すぐ申し上げるべきでありますが、少し時間をいただいて、前にでも言っていただければ、私の方でも準備をいたすわけでございますが、何分にも行政府の仕事も膨大でございますので、暫時一つ御猶予をいただければ御報告申し上げます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 じゃお待ちいたします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 輸出入銀行の海外への貸し出しの問題でございますが、それは先ほど申し上げたように、ウジミナスが二百三、四十億円でございます。その他今の造船所に貸しておるのは、やはり向こうの造船会社に貸す場合のプラント輸出でございまして、こちらの帳面では船会社に貸したことになっております。そしてまた、商社等につきましては、いろいろな点があります。たとえば紡績機械、織機の輸出とか、そういうものについては、商社が中に入っておりますから、商社の貸付ということになっております。今お読みになった貸付先で大体おわかりいただけると思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私は産業投資全部をお聞きしているのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 産業投資全体でございますか、産業投資は、御承知の通り各方面にわたっております。たとえば中小企業金融公庫とか、あるいは三公庫、それから鉄道その他いろいろなものにやっております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 その通りでいいのですが、海外投資について言っておるのですから……。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 海外投資につきましては、産投会計から特別に出ておるわけではございませんし、海外開発協力基金として相当組んでおりますが、まだこれの金額はあまり大したものではありません。余裕金が相当残っているのであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 ちょっと違いますから……。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 輸出入銀行の投資金融の実態でございますが、現在金額におきまして三百十四億でございます。地域的に申し上げますと、東アジア五千五百万、東南アジア十億三千二百万、西アジア九十二億六千九百万、北米百十八億六千八百万、中南米八十九億九百万、ヨーロッパ三千万、大洋州二億八千五百万、合計三百十四億四千八百万、こういう数字になっております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 海外の投資は、さまざまな現地の状態もございますが、これは大蔵省一本で十分調査が届きますか。外務省の手を借りなくてもいいのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 法律上は大蔵大臣専管でございますが、大蔵大臣だけでこのようなことをやったことはございません。通産省、外務省、関係各省の英知を集めて万全の態勢をとっておるわけでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 どうも政府は自信を持って答えますけれども、なかなか目の届かぬところがあるのですよ。総理大臣、千島は日本の領土ですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 千島という言葉は、いろいろ使われておりますから……。南千島は日本の固有の領土で、今も日本のものでございます。中、北千島は、サンフランシスコ講和条約によりまして日本は放棄いたしました。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 農林大臣おいでですか。北千島の森林が日本のものになっていますね。これは林野庁の所管の国有林の問題ですが、これは全部日本のものになっていますね。これはおわかりですか。調査が非常にずさんな一例として申し上げたい。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 よく承知しておりませんから、よく調べまして正確な答えをします。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これも国有財産に関係のあることです。農林大臣は林野庁の所管大臣でしょう。はっきり戦争前の同じ統計が国有林の計数に使われておりますね。国有財産の経理を誤るのじゃないですか。これは追及する意思はありません。しかし、あまり自信ありげに言われますと、ついこんなことも言いたくなってくる。これはどうですか、あやまりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 林野庁のものにつきましては、農林大臣が今お答えした通り、私もつまびらかにいたしておりませんが、国有財産の台帳にありますものと、国会に御報告申し上げておりますもので御承知かと思いますが、昭和二十年の八月十五日現在までは日本の領土であった台湾、朝鮮、北千島等、千島も全部国有財産台帳に載っておったわけでございます。その後昭和二十六年か七年だと思いますが、国有財産は、国会の議決を経て、そのときの事情を十分加味をいたしまして、国会報告案件の中から除いてございますので、国会の意思の決定は行なわれておるわけでございます。でありますが、これらの問題に対しては、沖繩その他いろいろな問題もありますので、台帳としては、昭和二十年八月十五日当時の国有財産台帳は現に政府が保管をいたしております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは昭和三十六年の国有財産調べですが、その中の特別会計所属の行政財産、企業用財産の中に入っておる。これはあまり強情を張らないで、あとでゆっくりとお調べになったらよろしい、一本貸しておきますから……。  そこでさらに大蔵大臣にお聞きしたいのは、韓国との貿易です。三十五年までは大蔵大臣勘定でこげつきをお払いになりましたね。三十六年以降の貿易の状態はどうなっておるのですか。これは全部現金決済をしておるはずですが、どれくらいの額になりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 三十六年の何月かに日韓の協定を行ないまして、その時点までにおけるオープン勘定の残高四千五百七十二万何千ドルというものに対しては、債権債務を確定をいたしたわけでございます。それからは現金決済ということで、残高を残さない、いわゆる四千五百万ドル以上にはふやさないということでありますので、その後は順調に入金をしております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは大蔵省の関税局の調査の統計ですが、これを見ますと、韓国の貿易は出超がもっとふえていますね。あまり勝手なことを言ってもらいたくないです。責任のある答弁をしてもらいたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 昭和三十七年中における日韓貿易の実績を申し上げますと、主要の輸出品が一億三千八百十四万ドルでございます。主要の輸入品は二千八百五十万四千ドルでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 その決済はどうしているのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 正確を期する意味におきまして、政府委員をして答弁させます。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 対韓国の貿易は、すべてオープン勘定で行なわれておるわけではございません。援助資金その他によるものは現金取引が行なわれております。従いまして、今大臣の申し上げましたのは、オープン勘定とそういった現金取引のものを含めました対韓貿易の全体でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 この区別はできませんか。問題点はそこにあるのですから……。

村上一大蔵事務官(為替局長)

○村上(一)政府委員 御質問はオープン勘定の入金だと思いますが、大臣が申し上げましたように、一昨年の協定ができましてからは協定通り順調に入金をしております。そこで三十七年中のキャッシュによる入金額を申し上げますと、五千九百八十五万五千ドルというものがキャッシュによって韓国側から日本に支払われております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 大蔵大臣勘定というのは大体わかりますが、国会に報告がないのですね、これは。これは外為の方からでもドルを持ってポケットにお入れになっているのですか、これは自由に出せる勘定ですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 大蔵大臣勘定、すなわち政府勘定でございます。これは根拠法に基づいて運用をせられておるわけであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 特別会計の項目を一つ一つたぐっておりますと、非常にたくさんこういう面が出てくるのです。これはまた次に機会でもあれば聞きます。  最後に、私一つお聞きしたいのは、国際的なさまざまな問題というものがなかなかはっきりつかあないのは韓国でも他の方でも同じようであります。これは大蔵大臣専管でおやりになっておられますが、産業投資で投資されている外国の事業は十分注意していただいた方がいいと思います。  これは一つ懸案でありますから防衛庁長官にお聞きしたいのですが、例のロッキードの問題です。前回の国会でこれは懸案になっておりましたが、七千五百万ドルのロッキードに提供しましたアメリカ政府の提供額の内容はどうなっておりますか。新長官でも公開できませんか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 ただいまお尋ねの七千五百万ドルの援助の内容につきましては、昨年の本委員会におきましても淡谷委員から御要求があったのでありますが、当時アメリカ政府は104の生産については国際的に生産の援助をいたしておりまして、もしも日本においてその援助の内容が公表されることになると、各国間の問題になってアメリカの立場が非常に困難になる。これはひとえにアメリカの予算執行に関する問題でありまして、公表するについては同意しかねるということでございます。最近におきましても、いろいろ折衝いたしたのでありまするが、昨年同様七千五百万ドルの内容についての公表に同意を得られなかったのでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 同意を得られなかったことはわかっていますけれども、ロッキード社と新三菱重工との間には契約があるでしょうな。これはロッキードの単価から積算しました総額の中には、この七千五百万ドルが入っているのです。日本の予算からは抜けている。一体アメリカのどこがこの公表を押さえたのですか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 ただいまのお尋ねは、在日軍事顧問団を通じてアメリカ政府の方針として伝達を受けたわけでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 軍事顧問団はたしか外交官の待遇を受けているはずですが、これは大平外務大臣御承知ですか。七千五百万ドルの内容を、国会に対しても公開してはいけないということは、外務省を通じてなされているのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そういう案件を私は御相談を受けたことはございませんが、防衛庁長官の言明を信頼いたしております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 信頼する信頼しないの問題じゃないです。信頼問題じゃないですよ。一体その軍事顧問団は、外交官の待遇を受けていながら、外務省を通さないで軍事に関しては自由に防衛庁と取引をするのですか。国際問題のあれですが、それならそれでよろしい。潜航艇の問題もありますからね。これはいろいろありますからね。一体どうなんです。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 私からお答えいたします。軍事援助に関しましては、在日軍事顧問団と常に接触をいたしておるのでありまして、私の方から軍事顧問団を通じてどうであろうかということに関しての回答でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私の聞いているのは、それは外交じゃなくてただ軍事の話し合いなんですか。アメリカ政府から、日本の国会に対して、提供した額の内容を発表してはいけないなんということは、勝手に軍事上の話できまるのですか。一体これは外務大臣、知らぬといって済むんですか。外交問題じゃないですか。いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほど申しましたように、私は本件につきまして究明いたしておりませんので、よく調べてみます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは私は受け取れないです。去年の速記録を調べればわかりますけれども、できるだけこの内容ははっきり出すように努力するというのが残っているんですよ。それを一体大平外務大臣が今まで聞かなかったというようなことがありますか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 ただいま申し上げたように、防衛庁といたしましては、軍事援助に関しましては常に在日軍事顧問団と接触をいたしておるのでありまして、昨年以来この問題についていろいろ折衝をいたしておるのでございまして、先ほども申しましたが、われわれは軍事顧問団を信頼いたしましてこれを照会いたしておるのであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 潜航艇の問題が出れば突堤を出す、ロッキードの問題が出れば軍事顧問団を出す、それじゃ答弁になりませんよ。一体アメリカの政府が軍事顧問団を通して日本の国会の審議に干渉する理由があるのですか。軍事顧問団というのはそれだけの力を持っているのですか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 軍事援助に関しましては、細目について、常に軍事顧問団の方からわれわれの方にも連絡がございまするし、またわれわれの方からも接触をいたしておるのでありまして、その間において、昨年の淡谷委員からの御要求に対して照会、またわれわれが折衝いたしたのでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 結果はどうだったんです。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 結果は、先ほど申し上げましたように、これは、現在国際的に援助をいたしておる各国との関係上、またアメリカ政府の予算の執行上公表には同意しかねるという答えでございました。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 アメリカ政府のどこの意思です、それは。軍事顧問団独自の意思じゃないでしょう。アメリカのどこの意思を伝えてるんです。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 軍事顧問団のアメリカ政府に対する折衝の対象は国防省でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 国防省が軍事顧問団を通して日本の内政にまで干渉するのですか。国会の審議は内政じゃないですか。外交問題ならば大平大臣じゃありませんか。どうなんですか、これは。国防省が軍事顧問団の手を通して、国会から要求されておる予算の内容をなすものに対して発表したがらないという指図ができるのですか。

林修三内閣法制局長官

○林(修)政府委員 これはもう淡谷委員、よく御承知と思いますが、アメリカの歳出問題であります、アメリカの予算の問題でございます。わが国の予算の問題ではございません。従いまして、アメリカがその政府の都合で公表を差し控えてもらいたいということは、別に日本に対する内政干渉でも何でもございません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 干渉じゃないというのですね。それじゃつまりアメリカの贈与分というのは日本の予算に関係がないからどうやってもよろしい、こういうのですね。それじゃ日本が韓国あるいはその他の外国に贈与した場合は、韓国の政府あるいはその他の国の政府が、これは関係がないといって済ませますか。たくさんの海外の投資があるのですよ。国に対するものもあるでしょう、あるいは韓国に対しては無償供与もあるでしょう。これはやはり内容を公示しないでできるのですか、日本でも。どういう根拠なんです。

林修三内閣法制局長官

○林(修)政府委員 今の御質問の御趣旨がよく私のみ込めないのでございますが、日本が日本のいわゆる政府資金、あるいは予算で海外に投資する場合、それは当然予算をもって国会の御承認を得ているはずでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 ちょっと法制局長官、あなた少しおかしいですな。アメリカがロッキード社に七千五百万ドル出して、ロッキード社から日本の新三菱にこれが提供されて、それをちゃんと引き当てにしてあのロッキードが購入されているんですよ。従って、それを見なければ国家予算におけるロッキード購入費が合わないのですよ。二百七十億穴があくのですよ。それが一体関係ないのですか。

林修三内閣法制局長官

○林(修)政府委員 それは、まあロッキードの飛行機をつくるについては、アメリカの援助もあり防衛庁の支出もあるわけでございます。防衛庁の支出に関するものは、もちろん日本政府の行為でございますから、これはもちろん国会でいろいろ御審議があるのは当然でございます。それから今のアメリカの援助ももちろん関連があるわけでございますから、国会の御審議があってならないという問題じゃもちろんございません。しかし、これはやはり米国政府の直接の問題でございます。従って、米国政府がそれは公表は困ると言えば、やはりこれを尊重せざるを得ない、こういうことだと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これはやはり一つの政府の責任問題です。少なくとも単価を出してきて予算が組まれて、その単価と予算が合わない。合わない分がアメリカの供与分。これじゃただアメリカ政府が内容をあかすべからずと言っても、金一封もらったようなものですよ。一体、菓子折の中に菓子が入っているか石ころが入っているか確かめないでもらってくるという手がありますか。ちゃんとこれはアメリカの供与なんです。大体ガリオア、エロアと同じものですよ。何が入っているかわからない。それをちゃんと単価の上では価格を見積もって取っているのです。これは私は海外に関係のあるさまざまな問題にからむ疑いだと思う。海を越えたものはわからない、関係がないという。従って、この特別会計における産業投融資の海外の投資も、これは十分に注意をしてやらないと、第二、第三の疑獄が起こるだろうということは考えられる。これは実際国内法を見るとおわかりだと思う。  近藤長官に一つお聞きしたいのですが、あなた、東海の原子炉の問題を、これは所管長官ですからお知りだろうと思います。あれは、以前にはあの構造自体が非常にあぶないといううわさが立ちましたが、調査の結果危険にございませんか。

近藤鶴代自由民主党科学技術庁長官

○近藤国務大臣 ついうっかりいたしておりましたので、聞き違えたかもしれませんが、東海村の原子炉について……。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 構造上の危険性はございませんかというのです。

近藤鶴代自由民主党科学技術庁長官

○近藤国務大臣 構造上の危険はないと確信いたしております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 ちょっと、もう少し聞きたいのですが、あの東海村の原子炉に構造上の危険はないとしても、あの付近に那珂湊の米軍の爆撃基地があります、演習場があります。始終あの辺を飛び歩いて落ちているのですが、誤爆などもあるのですが、この危険性はございませんか。これはおそらくはないとは言えないでしょうな。

近藤鶴代自由民主党科学技術庁長官

○近藤国務大臣 アメリカの演習の規模とか、あるいはそのやり方を勘案いたしまして、危険がないという前提の上に立ってこれを認めておるわけでございます。しかしながら、御指摘のように誤投下事件もちょいちょいあるようでございますので、それは非常にいけないことだと思い、心配はいたしておるわけでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは防衛庁長官に聞きますが、一体あの那珂湊に昨年一年間にどれくらいの事故があったのですか。東海の原子炉とはどれくらい近いところに落ちているのですか。

林一夫防衛施設庁長官

○林(一)政府委員 誤投下の数でございますが、三十七年度は二回ございます。一回は、御承知のように、本年の一月二十四日の模擬爆弾の誤投下でございます。もう一回は、昨年の九月二十五日の機関砲の薬莢の誤投下がありました。この二回でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 東海村の原子炉とはどれくらいの距離のところに落ちましたか。

林一夫防衛施設庁長官

○林(一)政府委員 距離は、米軍の施設の境目から東海村の原子力研究所の境界までは四キロくらいあると存じております。米軍の施設の目標から原子炉の存在する施設の近くまでは約八キロ近くあると存じます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは近藤長官に私強く警告しておきますが、あの原子炉自体が非常な危険性があるものとして相当問題になったのです。その近くにああいうふうな危険きわまる爆撃演習場があるというのはこれは好ましくない。たとい米軍のものであろうとも、これはぜひとも近藤長官の女性らしい愛情に訴えて、付近住民に危険を与えないように処置してもらいたいと思う。  これは防衛庁長官どうですか。こんなところに置くのはどうもあぶないから取り去るような申し入れをする御意思はありませんか。あぶないですよ、実際。どうですか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 ただいまお話しになりました問題は、過ぐる臨時国会におきまして、参議院の科学技術特別委員会におきまして決議として決定せられたのでございまして、私はその決議の趣旨に沿いまして、目下全力をあげて対策を講じておるのであります。その対策と申しまするのは、もちろん現在でも米軍といろいろ折衝しまして、危険防止のための措置を講ずるように全力をいたしておりますが、問題は代替地を他にこれを求めまして返還を求めるということであります。それが私の科学技術特別委員会の決議に沿うゆえんでございまして、目下他に代替地を求めることに全力を傾倒いたしておる所存でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 近藤長官いかがです。これはまあちょっと予測の程度かもしれませんが、常識的にいっても、四キロ以内に誤投ずるようであれば、いつもっと近いところに落ちないとも限らないですね。これはやはりああいう危険なものを持っているのですから、万全の策をとるために何とか移転の形をとられる御意思はございませんか、あるいは要請する気持はございませんか。

近藤鶴代自由民主党科学技術庁長官

○近藤国務大臣 仰せまでもなく、先ほど申しました通り、誤投下事件が起きますたびに非常に心配をいたしまして、実はそのつど外務省を通じ先方へこの問題についての、どうかほかへかわってもらいたいという意思表示は強力にいたしておりますけれども、どうも私の力ではまだ明るい見通しが立っておらないわけでございます。でも、努力は続けて参るつもりでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 非常に感謝します。どうかその元気でやってもらいたい。  そこで外務大臣、どうですか。近藤長官があれだけ熱心に、日本国民の安全をはかるためにしばしば要求しておっても、なかなか私の力では及びませんと言っている。これは一つ俊敏なる外務大臣が先に立っておやりになる意思はありませんか、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 御案内のように、あの試射場は東海村の原子炉の施設ができる前からあったのでございまして、そして東海村の施設をつくるときに、ああいう環境はお調べになったと思うのでございます。しかし、私といたしましては、その先刻の順序はともあれ、今御指摘のように、誤爆事件もあるというようなことは看過できませんので、科学技術庁からも従来要請がございまするし、日米間の施設委員会に持ち上げましてせっかく検討いたしておるのでございますが、先ほど志賀長官も言われました通り、問題は、代替施設という点を先方も主張されまするし、代替施設の獲得ということはなかなか容易なことではないわけでございますけれども、御指摘のような事情もございますので、できるだけそういう方向に努力を続けたいと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 総理大臣、これは近藤長官もそう言っておられますし、外務大臣もそういう御意思のようです。あそこへ建てたのはやはり政府の許可もあったでしょうから、この際やはりこの危険を取り除くような御決意ございませんか。——聞いておられなかったですか、那珂湊の米軍の爆撃演習場の問題です。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 この問題は、四、五年前から現地におきましても非常にやかましく言われておるし、私も直接陳情を受けましたし、また茨城県知事もアメリカへ行くときに、これを公式に知事として申し出るということもありました。従来から問題になっておるところでございます。従いまして、外務大臣、防衛庁長官あるいは科学技術庁長官のお答えになったように、何としても代替地を見つけることが先ではないかというので努力を続けておるのであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これはぜひそう計らっていただきたいと思う。私、特別会計について聞きたいことはまだありますけれども、たとえば対インド円借款の問題、ミナスの製鉄所の建設、アラビア石油開発の問題、それからフィリピンのトレド銅鉱石の問題、これはちゃんと国の予算に出ていることなんです。非常に国際的にわたった投融資がなされておるのが特別会計です。これはやはり公団、公社、それからその他の多くの政府機関の問題と同じように、海外投融資については責任のあるやり方をしていただきたい。海外のことは非常にむずかしい問題でしょうけれども、これは一つ大蔵大臣にも十分にやっていただきたいと思う。その点はいかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 御説の通り、国際協力を強力に進めなければならないということは考えておりますが、といいまして、日本の債権が確保せられないというようなことであってはなりませんので、政府がこれらの問題をきめますときには、関係各省とも十分連絡をとりながらこれが投資の遺憾なきを期して参る所存でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは政府部内でも問題になっておるようですが、この予算の経理が非常に最近乱れてきておるのではないかと思うのです。一つは、多額に上る国庫債務負担行為の問題、ロッキードにも関連があります。それから繰り越し明許費の増大、繰り越し明許費は九割までこれは使ってしまうのだから、一割くらいなら仕方があるまいという気もございますけれども、一割のために九割を全部繰り越し明許にするというところに、予算単年度の方針が次第に乱れてくる危険性がある。特に国庫債務負担行為に至っては、これははなはだ遺憾な点があるんですね。一回とっておきますと、あとはどうでもよろしいという形がある。これは大へん済まないけれども、防衛庁の問題がそうです。ことしもやはり三百何十億かの国庫債務負担行為をきめまして、航空機購入、器材整備、弾薬購入等々ありますが、その中にその他という項目があるんですね。国庫債務負担行為自体が非常にあいまいなのに、その他の金額がかなりのものになっている。整備用の器材よりも大きいんですね。これは二十三億九千七百三万四千円がその他です。弾薬購入では十一億七千百八十二万三千円がこれはその他です。その他、その他で、内容を全然明示しない国庫債務負担行為の取り方というのはこれは一体正しいかどうか、大蔵大臣御答弁願います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 繰り越し明許及び債務負担行為の問題については、財政法十四条、十五条の規定に基づいて国会の審議を求めておるわけでございます。あなたが今言われた通り、その他というような一括記載ではなく、これがこまかい内容まで書類にして国会に提出をすることが理想的でございますが、何分にも時間もありませんので、一括計上ということもございますが、しかし衆参両院の審議の期間を通じましてただいまの御質問のような状態で、また分科会等を通じてこれらの内容は明らかにいたしておるのでございます。究極の状態としては、国会の議決を経て予算成立を行なうのでございますので、審議の過程において明らかにし、国民の理解も当然得なければならないという考えでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これはやはり特別会計と同じように、一般会計の予算を盛る際には十分責任のある提示をしてもらいたいと思う。  最後に一点お聞きしたいのは農地補償の問題であります。一体国会というのは、私から言うまでもなく、これは論議の場所なんですね。論議の場所ではこの言葉の意味を正しくとらないと誤解を招きます。これは信頼するとか決断するとかというだけでは解決がつかないのが国会の議論なんです。農地補償などでも補償と報償とは違うということをしばしば言われますが、補償と報償とは一体行政的にいってどこが違うのですか。これは林法制局長官にお願いしたい。補償と報償とは行政的にはどう違うのですか。

林修三内閣法制局長官

○林(修)政府委員 補償という言葉は、これは憲法にも出て参りますし、法律用語としては、これはある程度熟した言葉だと思います。これは普通損失補償とか、あるいは損害補償ということもございますが、あるいは災害補償なんというものもございます。損失補償の場合は、憲法でいっている二十九条なんかの補償は、これは当然に憲法上、財産権を収用したというような場合に、これに対してその損害を埋めるために補償すべきことが憲法上の要請になっておるわけでございまして、そういう場合には、当然これはいわゆる法律的な義務費的なものとして考えられているわけでございます。それから災害補償なんというのは、別に憲法にはございませんけれども、たとえば一定の農業上の災害が起こった場合に、その災害を国家の制度として埋めるというような制度で農業災害補償法もございますし、あるいは公務員の災害補償法もございますが、ああいう場合の災害補償、これはやはり憲法上の義務ではございませんけれども、法律的な、一定の法律で制度をつくりまして、一定のその法律の制度のワクに乗った場合には、それに対して義務的に一定の損失を埋めるという場合に、補償という言葉を使っているわけでございます。  報償というような言葉は、法律用語としては例は比較的ございません。ございませんので、必ずしも法律的に熟した言葉とは言えないわけでございますが、大体今までの使い方を見ておりますと、会社更生法なんかにもございますし、あるいは旧自作農創設特別措置法なんかにも使ってございますけれども、もう少しゆるい、つまりそれ自体が先ほど申しました損失補償として一定のことが国家義務になるという性質のものでなくて、むしろ一種の謝礼と申しますか、お礼と申しますか、あるいは一つの報酬と申しますか、あるいはもう少し苦労に報いるとか、そういうような性質で、ある程度恩恵的に、任意的に与えるような給付、こういうものをさすのに多く用いられているように考えます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 どうもこれははっきりしませんがね。予算の説明にあるのです。それはやはり「その他」なんですがね。これも「その他」です。政府関係機関の中のこれは七十八ページですが、一つごらん願いたいのです。やはり(5)に「その他」がありまして、その中に「報償費」というのがある。補償費じゃない。法律用語としては非常に珍しいのですが、「その他」ですから何だかわからない。この報償費は何の報償費ですか。どういう場合に使われたのですか。

林修三内閣法制局長官

○林(修)政府委員 報償費という言葉は、予算の科目の用語としては戦後の予算でずっと使われております。この場合の報償費は、実は相当範囲の広いものでございまして、一定のサービスをある人に頼んだ、あるいは調査を委託した、そういう場合に、それに対する一種の報酬的なものとして払っているようなものがおそらく内容であろうと思います。これは相当幅の広い観念として使われておるように思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 言葉の概念規定が非常にあいまいですね。少なくとも法律・予算に関係のある用語はもっときちっとやってもらいたい、一体、池田総理は大へん言葉づくりの名人らしいので、そつがないようですけれども、前総理の岸さんなどはとんでもない誤りをしている。あの人は、うらはらという言葉をうらはらに使っている。うらはらという言葉は、本来ならば全然相反することがうらはらなんですね。それを表裏一体というふうに使うのが岸さんの得意の弁なんです。日米経済はうらはらであるとか、政治と経済はうらはらである。このうらはらという言葉をうらはらに使うような粗雑な言葉づかいは直さないとだめなんですね。田中大蔵大臣も、報償、補償についてはここでいろいろな説明をされましたけれども、これはまことに正しくない。補償じゃどうも騒ぐから報償にしようなんという、簡単な考えでごまかそうとしてもだめですよ。報償というのは「損害をつぐなうこと。埋め合わせ。」、補償というのは、第一には「衣服のほころびを縫う。つくろう。おぎない。つくろい。」二の場合は「たすける。うめあわせる。うめあわせ。たすけ。」これは「漢和中辞典」です。私は林法制局長官の御説明を聞きましたから申し上げますが、それから補償は「おぎなひつぐなふ。又、つぐなひ。」、報償は、「しかへしをする。」ことだというのです。漢書にいわく、こう書いています。匈奴の伝、「漢兵匈奴に入るごとに、匈奴すなわち報償する」、イコール報復の意味だ。報償は補償に比べて弱い意味を持つなんて、いいかげんな言葉でごまかすことはやめなさい。これは最も権威のある簡野道明さんの「字源」です。少なくとも論議の場であるならば、言葉の概念規定をはっきりさしてもらいたい。  そこで、私は聞きたいのは、今度盛りました調査費は、旧地主の土地補償に関するものじゃないと言っている人もありますけれども、大方の御答弁は補償に関するようです。あの調査費の問題です。これは、この前に一ぺん工藤調査会という名前で答申書が出ていますね。農地被買収者問題調査会、答申、一体この答申が出たものを、どこが不満でまた新しい調査をするのですか。それをまずお聞きしたい。これは総理大臣の権限じゃないですか。内閣総理大臣官房審議室から出ていますからね。総理大臣にお答えを願いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 お話の通り、農地被買収者の問題につきましては、先年工藤調査会におきまして一応の答申はございました。しかし、一応の答申がございましたが、これで全部がみんな納得して済む事態に至らなかった。従いまして、最高裁判所の判決によりまして政府に補償の義務はございませんが、農地被買収者に対しまして何か報償についての措置を一つ考えたらどうかというので、今回調査費を計上いたしまして、実態を工藤調査会のときよりももっと詳しく広範に調査して、そしてその調査を待って一つ何らかの措置をとろうといたしておるのであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 この答申もやはり相当な調査費をかけて出していますね。いいですか。しかもちゃんとした答申書を出している。名前は内閣総理大臣官房審議室となっている。一体これはどこでなされた調査ですか。せっかく国会が審議をして金を出して調査をさして、これはだめだと言う。だめなような調査をどこがやったのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 だめだとは言っていないのです。一応の調査はいたしましたが、まだその調査だけでは不十分であるから、もっとこの問題を徹底して調査し、そしてみんなの納得のいくような措置を考えよう、こういうことでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 どこが一体不十分なんですか。どの点が不十分なんです。これはずいぶんこさいに、よくできていますよ、どこが一体悪いのです。どこが不足なんです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 御承知の通り、工藤調査会におきまして農地被買収者の実態調査等を行なっていただきましたわけでございますし、政府もこれが答申を尊重いたしております。しかし何分にも乏しい予算で、百二十何万世帯というものに対して一体調査がより的確になされたかということを実質的に考えますと、遺憾ながらサンプル調査であったということはお認めいただけると存じます。そういう意味におきまして、特にその後も、政府が国民金融公庫法の改正によって二十億の特別融資ワクの設定等を国会に提案をいたしましたが、これらに対しては、なかなか世論も農地被買収者の問題に対しては相当な勢いでございます。でありますから、その後の事態に徴して静かに見ましたときに、一年半の間で行なわれた工藤調査会の実態調査というものに対して、これだけですべてに終始符を打つということは適切な状態ではないという考えに立ちまして、実態調査、それから世論調査と基礎調査、こういう三点にわたりまして、できるだけ実情をつまびらかにいたすことが行政府としても当然の務めである、こういうことで今度の予算に一億八千余万円の調査費を計上いたしたわけでございまして、工藤調査会の答申がいいかげんであるとか、政府がこれを守らないとか、そういうこととは全然違うのでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 一体、それじゃ今度予算を組んだ調査はどこにやらせるのですか。どこにやらせて、何を調査させるのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 世論調査、実態調査、それから基礎調査でございます。基礎調査とは、私が申し上げるまでもなく、実際解放せられた農地がどのように自作農創設の法目的を達しておるか、またどういう状態において解放せられたのか、またその後国の今日あるのにどのように裨益しておるのかという問題。それから実態調査につきましては、昭和二十九年法律が改正をせられましたが、その後他の用途に転用せられておるものもございますし、また現在これら解放農地に対してどのような考えを持っておるのかというようなことは、これはとても少額のもので短兵急に調査ができるものではございませんので、できれば当時の農地委員会の皆さんや、それから町村役場や、また被買収者の諸君で団体をつくっておられるようなものもございまするし、またいろいろな機関ができておりまするので、より広範な立場でデータを集めるというふうに考えておるわけでございます。それから世論調査につきまして、これはもう本問題に対して意見のある方々を一つ十分網羅をして、国民各層の意見を拝承したいという考え方でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 どうも私の答弁にはなっていないようですが、どこが調査に当たるかと言っているのですよ。この前の調査も、これは内閣調査室の委託として中央調査所がやっていますね、工藤答申書をつくった調査は。中央調査所とは何ですか。総理大臣、中央調査所というのはどこですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 工藤調査会のメンバーだけではどうにもなりませんので、各機関に対して依頼をいたして、その調査報告に待って答申を行なったと存じます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 そこで、この新しい調査はどこでやるのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 より広くより深い意味において調査が徹底できるような方途を考慮いたしております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 あの調査費の使い方がまだきまっていないのですか、どこで調査をするか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 地方公共団体等を中心にして調査を依頼して参りたい、こう考えております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 地方公共団体に、そんな全般にわたる調査をする余裕がありますか。どこかへまたこれは委託するのでしょう。一体今の地方公共団体にそんな余裕がありますか。いいかげんに食われるばかりだよ。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 地方公共団体、農業委員会その他これが調査の目的を達成するに一番適切である、またより短い時間により的確な調査ができ得ると認められる団体、機関等を対象にして調査をいたしたい、このように考えておるわけであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 そんないいかげんなことを言っているから、やっぱり予算が粗末に使われるのですよ、大蔵大臣。ごまかしただけの話でしょう。これもおそらくは使わないからという調査じゃなかったでしょう。工藤調査会のこの結論が気に食わないのでしょう。第一、「被買収世帯の収入は買受世帯及びその他の一般世帯に比べて必ずしも低くない。」第二は、「田畑山林の所有及び経営についても、被買収世帯は買受世帯及びその他の一般世帯に比べるとその面積が比較的に大きいものが多い。」第三は「被買収世帯の世帯員で、市町村長、地方公共団体の議員、教育委員等の公職に、戦前においてついたことのある世帯の比率は、買受世帯及びその他の一般世帯のそれに比べてかなり高いが、戦後においても、その差は必ずしも縮まってはいない。」全般を通じて、農地補償はすべからずという結論なんです。これが気に食わないんでしょう。第一、総理どうですか。少なくとも綱島委員会と旧地主の圧力団体が承知しないから、何とか名目をつけて、補償すべしという結論が出るまでは調査せよというのじゃないですかね。私にはどうもそう思われる。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 工藤調査会のときは、その主たる目的は、農地被買収者の社会的な問題を主張として私は調査したと思います。社会的な問題、しこうして毛そのときの予算は二年半にわたりまして千数百万円だったと思います。しかも、百万をこえる被買収者のうちで、多分その一%足らずしかやっていない。実態調査ではなかった。聞き取り調査が主だったと思います。私は、こういう大きい問題はやはり十分調査して、そうしてその結論を出すことが親切である、国民の納得のいく方法をとるべきであるという判断のもとに、一億八、九千万円の費用を要求いたしまして、今後実態に沿って十分調査すると同時に、この問題につきましての世論調査その他あらゆる方法をとりまして、りっぱな結論を出したいという考えでおるのであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 一体総理は、この答申を読んでいるのですか。これを見ますと、明らかに「旧地主の現在における生活上、生業上の問題」に重点を置いて考えると言うておる。あなたの言われる要求は、もうちゃんとできておるのですよ。これはあくまでも補償というものに拘泥した調査だと私は思う。大蔵大臣、あなたは気持がすっかりきまっていないものですから、高田富之君の質問に対して答えたこの答え方が二、三度訂正されていますね。これによりますと、一つは「一般の世帯よりも十分生計を営み得、しかも十分余力のある者まで報償の対象にしようというような考えは政府は持っておりません。」と答えておる。それがどうも打ち消されて、またもう一ぺんもとのように答えている。全然支離滅裂です。これを見ますと、あなたはやっぱりこの調査というものは補償もしくは報償を主体として考えておるように私には思われる。全然それとは関係なしに調査が行なわれますか。補償、報償を頭に入れないで調査されるのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私は、その問題に対して基本的な考え方は全然変わっておりません。私はどもりでありますし、舌足らずでありますから、表現が何回か違ったかもわかりませんが、いずれにしても、最終的には私の考え方を明確に申し上げております。これは私の考え方だけではなく、政府の考え方でございます。政府といたしましては、たびたび申し上げております通り、農地被買収者問題につきましては何らかの報償、補償を必要とすると思うがというところまでしか政府の意思は決定いたしておりませんので、現に調査を行ない、答申を求めました工藤調査会の答申は尊重はいたしておりますが、サンプル調査でございまして、百何十万世帯というような広範に及ぶものの実情を的確に把握をすることは困難であったと思われる。とのような実情に徴しまして、三十八年度の予算案に調査費を計上いたしまして、そうして、先ほど申し上げました三点に重点を置いて調査を行なうということでございまして、ここまでの政府の統一的な見解でありまして、個人的な考えその他ではありません。政府は明らかに本会議を通じ、予算委員会を通じて申し上げておるのでございまして、すべては調査の結果に待つ、国民世論のおもむくところ、大多数の国民各位の意思に沿って処置をするということに何ら変わりはありません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは、しかし工藤調査会のいうように、農地被買収者問題の調査としてなされることには間違いないでしょうな。いかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 当時において農地被買収者のその後の状況その他に対して調査を求め、政府が何らかの処置をやらなければならないということであるならば、そのような問題に対しても答申は求めたわけであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは徳安さんにお聞きしたいのですが、あなたが参議院で亀田得治さんにお答えになっているのはこうじゃなかったですね。これははっきり今の大蔵大臣の答弁とは違ってますね。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○徳安政府委員 私の答弁と大蔵大臣の答弁とが違っておるとは考えません。総理府として、今度予算を一億八千九百万円つけてもらいまして調査しようといたしますものは、工藤調査会と同じような調査をしようというのではございません。あの調査は、御承知のように、農地被買収者問題を中心とした国民生活についての実態を調査するというものでありまして、しかも、その答申は一万五千を対象としてただいまお読みになりましたような結論が出たわけでございますが、この結論だけではまだ不十分な点もございまするし、さらに私どもは、本来から申し上げますと、昭和二十一年ごろから始まりまして二十六年ごろまでに大体終わりましたあの歴史的な大改革、農地改革でございます。これが現在、当時の書類というものが、集計された一部のものは保管されておりますけれども、実際に当時使用されました台張なり書類というものがどこの責任において保管されておるわけでもございませんし、御承知のように、農業委員会にも一部ございまするし、あるいは県にもございますし、農林省にもございます。あるいはまたその他の関係にもございまして、そういうようなものがこの際逸散してしまいますことは非常に残念でございますから、そういうものを十分整備いたしまして、そうして当時の実態をつまびらかに整備したいという気持を従来から持っていたわけでございます。今回、総理のお話のように、何らかの報償措置をというお考えもございますので、一石二鳥と申しますか、かつて工藤調査会でやらなかったこうした基本的な実態調査を完全に行ないたい、さらにまた、ただいまお話しになりましたような点についての世論調査等も一応やりたい、こう考えまして予算を要求したわけでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 まるで違うじゃないですか。全然違うじゃないですか。あなたはあくまでも補償もしくは報償を前提として何らかの措置を考えなければならないからやりたいと言っている。徳安総務長官の言っていることはそうじゃないのです。これはあくまでも農地改革の実態がわからないからというのです。ここに書いてあるのですよ。どう使われようと基本的な調査をしたい。これは農地被買収者の調査じゃないでしょう。政府の意思だと言っていますが、これは明らかに不統一ですよ。そうじゃないと言ってもここに書いてある。どっちが正しいのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 この問題は、先ほどから申し上げておりますごとく、農地改革というものは世界的の、しかも歴史的なものであるのでございます。これを十分実態を調査し、そして記録を残すことはもちろんでございますが、やはり農地被買収者に対していかなる措置をとる必要があるかないか、またとるとすればどういうふうに措置をとるべきかということを、実態並びに世論調査をして、記録の保存はもちろんでございますが、この問題を最終的に処理したいというのが私の念願でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 徳安総務長官、明らかに違っているじゃないですか。あなたは、そういうふうなことじゃなくて、農地改革のときの状態がわかっていないから基本的に調べなければならぬと言っている。総理も大蔵大臣も、農地被買収者のための調査だと言っている。あなたはそんなことで国費を使ってやっても、またこれではだめだと言われますよ。調査の目的が違っているのです。これは一体どうなんです。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○徳安政府委員 違っていないと思います。私どもの調査と、それから総理のお考えになっておりますこととは、結果におきましては一つも違っておりませんので、総理が今お話しになったように御理解願ってけっこうだと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 目的が全然違っているじゃないですか。あなたは農地改革の基本的な問題を調査すると言っている。それならば、農地改革のときの基本調査ならば、今日の地主ができた原因まであなたは調べますか。五割、六割という高率の年貢あるいは小作料として搾取されて、土地を奪われて、何千年来苦しんできた小作人の生活まで調べますか。地主に補償、報償を要求する権利があるならば、この高率の小作料に苦しめられて土地を失った一般の当時の小作農民にまで補償してやる義務があるのです。そこまでされますか。そうしなければ意味をなさない。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 いろいろな調査は予算の許す限りやりたいのですが、差し向きの問題としては、戦後の農地改革について問題があるのであります。従いまして、徳安君の言っておりますように、農地改革についての資料の収集また保存等もございましょう。せっかくやるのでございますから、それもあります。そうしてまた、被買収者に対していかなる措置をとるか、いろいろな点を私は研究し、調査しなければならぬと思っておるのであります。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 淡谷君に申し上げますが、申し合わせの時間がだいぶ経過いたしましたので、結論をお急ぎ願いたいと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これで終わりたいと思いますが、大事な結論ですから、はっきり言っておきます。これは池田内閣の経済政策の一環としまし、小作人から土地を収奪した地主に対しては、その土地を失ったことに対する補償もしくは報償の義務を感ずる、非常に苦しい思いをして土地を奪われて、凶作の場合は娘まで売って食いつないできた小作農民に対しては少しも補償してやらないという、あなたの性格を現わしておる。これはさっきから言いましたけれども、産業投資の形にしましても、金をつくりさえすれば人はどうでもいいというような考え、人づくりの理想というものは、一体金もうけをすることが理想なんですか。私はそうじゃないと思う。そこに、経済政策あるいは農業政策に対する全般的なあなたの不公平さがある。へんぱさがある。零細な原資を集めておいて、特定の大金持ちに金をもうけさせれば経済成長だと思っている。収奪者の収奪をかえって補償しようといった態度、これがいけないのです。しかも、一方ではどうですか。国際競争力を強化するというので、何か特殊産業が特別な扱いを受ける法律を考えている。まさに道は、独占禁止法までなくして一路独占資本の完成に急いでいるのじゃないですか。小さい問題のようでありますけれども、この農地被買収者問題調査会なども、徳安さん、どうせおやりになるならば徹底的に調べ上げて、地主が広大な土地を持った原因まで調べなさい。あなたにやる気がありますか。総理がこの際ほんとうに人づくりをやるならば、大資本一辺倒の政策をやめまして、苦しんでいる国民全体に対するはっきりしたあなたの方針を立てないと、とても私は納得できません。その点どうですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 われわれはわれわれの所信に従ってりっぱな国づくり、人づくりのためにあらゆる施策をやっておるのであります。しこうして、農地被買収者の問題をそういう観点からどう解決したらいいかということを調査しようとしておるのであります。私は過去数十年前の収奪とかなんとかいうことを今議論する気持はございません。前向きにりっぱな国をつくって、そうしてみんながお互いに仲よく助け合うという気持で進んでいきたいと思っております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これで終わりますが、少なくとも前向きにお立ちになるならば、一たんきまって裁判まで出ておる問題をもう一ぺんむし返して、国費を使うような態度はおやめなさい。私はこう申し上げまして質問を終わります。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 これにて締めくくりの総括質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和三十八年度総予算に対する質疑は全部終了いたしました。  この際、十分間休憩いたします。    午後六時二十分休憩      ————◇—————    午後六時四十二分開議

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括議題といたします。  この際、川俣清音君外十五名より、昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算及び昭和三十八年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が、また、玉置一徳君外一名より、昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算及び昭和三十八年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が、それぞれ提出いたされております。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 これより両動議について順次その趣旨弁明を求めます。  小松幹君。

小松幹日本社会党

○小松委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております政府提出、昭和三十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算の撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、その提案の趣旨の説明を行ないたいと思います。  まず、動議を最初に読みます。   政府は、昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算及び昭和三十八年度政府関係機関予算については、これを撤回し、以下申し上げる要綱に従い、すみやかに組み替えをなし、再提出することを要求する。 従来日本の経済には産業間、地域間、階層間の不均衡が内在しておったのでありますが、池田内閣の経済政策は、高度成長から急角度の引き締めと、行きつ戻りつの不安定な経済政策で、二重構造の解消などは、口で言うだけで、これはできない。逆に格差がますます拡大してきました。国民経済上多くの犠牲者を出してしまっているような状態であります。消費者物価は引き続いて値上がりの状況にもあり、農村・漁村民の生活は非常な陥没の状態を来たしております。また、労働者の生活水準は依然として零細低位に放置されているというのが偽らざる現状でございます。現在の日本経済は、はなやかな表通りの成長、これに背馳して、その裏側から見れば、まことに見すばらしい内容を持ち、数量的にもアンバランスはあまりにもあり過ぎると私は思うのであります。経済政策は、国民の生活、これを見るのが第一であります。国民的な視野から考えれば、私は、池田内閣の経済政策は失敗であったと見なければならない。  かかる経済状態のときに、昭和三十八年度予算は編成されたのでありますが、かような国民生活の不均衡がある場合、少なくとも、これらの経済政策の失敗に基づく不均衡是正をまずはかり、国民生活の犠牲を救済し、経済の安定成長を考えての予算を編成することが至当である、こう考えるのであります。しかしながら、政府は、これらの考えに逆行して、いまだに高度成長の夢を追い、不均衡をますます拡大し、物価値上がりの方向をもたらすような予算を編成して、勤労大衆の犠牲の削減を考えるよりも、むしろこれらの犠牲の上にあぐらをかいて資本主義のさらにはなやかな成長をはからんとしている予算を組んでおるわけでございます。  私どもがこの政府予算案に反対し、これが撤回を強く迫る動議をここに提出したゆえんもここにあるのであります。  次に、私は、わが社会党の組み替え予算案の要綱を数字的にも説明いたしたいのでありますが、その前に、その要綱の基本ともなり、また前提とも考えられる主要な経済政策をまず申し上げたいと存じます。  すなわち、わが党の経済政策は、一に、産業合理化を名とする労働者・勤労者の首切りやあるいは圧迫を排し、完全雇用と最低賃金制の確立をはかり、勤労大衆の経済的な地位の安定をはかることをまず基本といたしておるわけであります。次に、大衆減税を実施し、社会保障制度を確立し、もって資本主義成長経済の犠牲を救済することにまず努めようと考えておるわけであります。  三には、農業、漁業、中小零細企業の助成と近代化を予算化し、所得格差の解消をすることを念頭に置いておるわけであります。さらに、エネルギー産業等を初め、いわゆる基幹産業の社会化をはかり、金融の計画的運用を断行することによって、産業計画の合理化、能率化を進めたいと考えておるわけであります。次に、独占あるいは寡占によって協定されているこれらの協定価格を引き下げ、消費税の減税、公共料金の引き上げ停止、流通機構の改善などによって、物価の引き下げ、安定をはかること。最後に、貿易の米国依存度を改善し、東西貿易も十分に加味して、自由化の繰り延べ等も考慮し、自主貿易を確立し、さらには、貿易の振興、国際収支の均衡安定をはかっていきたい等。以上六項目の経済政策を基本として、次のわが党の予算組み替え案の大綱が成り立っているわけでございます。  まず歳入でありますが、歳入総額は二兆八千七百八十億を予定いたしております。すなわち、所得税の課税最低限を六十万円に引き上げ、国税、地方税の大幅な減税を行ないます。さらに、これらの大衆減税を見積もりまして二千四十億円を見ておるわけであります。また、他方、大法人の租税特別措置の改廃及び広告税、ゴルフ税、空閑地税等の新設、有価証券譲り渡し税の復活などにより二千五十億円の増税をいたします。その他、たばこ消費税、砂糖消費税の減、関税の増などにより、大衆消費減税、自由化への防衛措置を含めて二百三十億円の減額をいたします。ゆえに、差引前年度よりも二百八十億円の増収を見込んでおります。  次に、歳出の方でございますが、政府案よりも減額補正の分が総額で二千七百七十一億円でございます。その主要なものを申し上げますと、第一、防衛庁費のうち新規器材購入費、艦船費、飛行機ロッキード等の費用の削減を千二百三十億円を減額いたします。  次に、公安調査庁の費用七十七億円を減額いたします。次に、産業投資特別会計の出資二百億円を、並びに経済協力基金等の遊休費を八十五億円削減いたします。外国船舶建造融資利子補給十三億円を減額いたします。また、先ほど問題にもなりました地主補償等に対する調査費一億八千万円を減額いたし、さらに、物件費三百億円、施設費百八十億円、補助費、委託費等を含めまして五百億円等の減額をいたし、合理的な減額節減をいたしておるわけであります。さらに、ガリオア・エロアの返済、タイ特別円支払い、南ベトナムの返済金等の支払金は、外交折衝を通して百八十四億円程度の廃棄に持っていきたいという考えを持っております。  以上、これらを総合しまして、その減額分は二千七百七十一億円、これに歳入増額分を合わせまして、次の支出増加分に充てるわけでございます。  次に、支出増加分でありますが、組みかえ増加分を申し上げますと、歳出増加額は総額で三千七十一億円でございます。主として内政費に充当されておりますが、さきに申し上げました経済政策と相待って、国民生活の向上をはからんとする心でございまして、次にその説明を申し上げますと、社会保障関係費で千五十億円を増額いたします。その内訳を申し上げますならば、無拠出の福祉年金を年次的に引き上げるものとし、初年度は、老令年金を、月額六十才より一千円、六十五才より二千円、七十才より三千円に、障害年金を、月額、一級傷害四千円、二級傷害三千円、三級傷害二千円に、母子年金を、月額三千円に引き上げ、所得制限を緩和する。これに伴って拠出制国民年金の額を引き上げることでございます。厚生年金の定額支給分を月額七千円に引き上げることであります。国民健康保険の療養給付率を世帯主・家族を通じて七割に引き上げ、このため国庫補助率を四割五分に引き上げます。さらに、調整交付金五分の一を引き下げるわけであります。さらに、健康保険、日雇い健康保険の家族・被扶養者の療養給付率を七割に引き上げる。このために日雇い健保に対する国の補助率を七割に引き上げます。生活保障法を制定し、生活保護基準を六〇%引き上げます。保育所等社会福祉事業に対する公費助成を大幅に行なうとともに、職員の待遇を改善する。さらには、原爆被災者等の給付のために費用を出す。別途に失業対策賃金を日額六百円に引き上げ、就労日数を二十五日として、これを百三十億円計上いたしております。  次に、教育費につきましては、義務教育全児童・生徒に対し、教科書を無償提供するとともに、中・小学校、定時制高校の給食を一元化し、制度化し、給食のパン、ミルクを無償とする。義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数を改正し、教育内容と水準を向上させる。高等学校全員入学を目途に高等学校の新増設あるいは学級増等を拡大していく。科学技術の振興を進め、民間発明技術の開発を援助する。さらに、教材費の増額等によって教育費が父母負担になっている割合が多いので、父母負担の軽減のために教材費の増額をはかる。これらによって教育費七百九十一億円をさらに計上することを考えております。  次に、国民生活環境の整備でございますが、空閑地税の創設、国による土地利用権と宅地先買権の設定による宅地確保対策を強力に講ずるとともに、国有林木材の安価利用等により公営住宅の建設を促進し、さらに、低所得者向けの第二種公営住宅の建設を拡充する。国民生活環境の改善、公害の防止を飛躍的に拡充し、公共事業の重点をこの点に傾注する。これらのために二百億円の増加を計上いたします。  次に、農村・漁村については、政府が現在考えているような零細経営の整理を目ざすいわゆる構造改善事業を抜本的に改めまして、国の責任による農地造成、土地改良、林道整備、沿岸漁業振興等の生産基盤強化の施策を拡充するとともに、公費による農業機械化ステーション、農業サービスセンター等を設置し、また、経営共同化促進のための年利三分五厘以下の長期・低利資金を保障し、主要農畜産物及び多獲大衆魚の価格安定制度を確立するなど、農民、漁民の所得と経営を大幅に広げて安定させる目的のために、さらに政府案よりも三百七十五億円の増加計上をはかっております。  次に、産業の強化、企業の強化対策といたしまして、中小企業等には、わが党が考えておるところの中小企業基本法を制定するとともに、設備近代化のための助成及び中小企業の各種協同組合の組織化への助成強化をはかり、また、特に中小企業におけるところの労働福祉の振興策を促進拡充するために、百二十五億円の計上増をはかっております。  また、貿易自由化に対抗できるように国内産業対策を強化し、特に、石炭については、炭鉱近代化と流通機構の整備、石炭需要の確保と拡大、産炭地の総合的振興、労働者に対する雇用安定と離職者対策の拡充を行なう。さらに、金属鉱山関係につきましては、石油、天然ガス等につきましても、これらを含む国内の地下資源開発の助成と製品の価格支持を行なうために、約二百億円の特別計上をいたしておるわけであります。  地方財政強化につきましては、地方財政の自主的財源強化のために、地方交付税率を現在より格上げしまして三〇%に引き上げるとともに、地方自治体の単独事業につきましては、起債のさらに大幅な自由化を目的として、これがために地方交付税交付金に二百億円を計上いたしております。  さらに、公務員給与ベースあるいは生産者米価につきましては、それぞれ、公務員労働者及び農業労働者等の自由な団結権、団体交渉権等を保障し、その代表と協議し、公務員生活あるいは農民生産米価の所得保障の旨をもってこれを定め、所要の予算額を計上するように考えております。  以上が一般会計組み替えの主要な点でございますが、最後に私は財政投融資関係について一言触れておきたいと存じます。  財政投融資につきましては、その原資が勤労大衆の零細資金の積み立てであるということから考えまして、これを大資本奉仕の投資本位に運用されておるということを、われわれはあらためて言いたい。中小企業、農林漁業あるいは住宅建設、地方債及び地方公営企業、低開発地域開発等へ重点的に資金を振り向け、特に年金積立金の勤労者福利厚生施設、国民生活環境整備への資金運用を飛躍的に拡大し、その運用を民主化していきたい、かように考え、さらには、輸出入銀行による海外経済協力は、大資本本位の海外経済進出を規制し、低開発国への平等互恵の経済協力を中心として進めていきたい。開発銀行を通じて独占的大資本への財政資金供給を行なうことに際しては、その企業の設備投資計画、さらには製品価格、下請機関等の関係について国の規制を加えていく考えでございます。本年度財政投融資原資のうち、産投外債につきましては、これの発行を取りやめ、見返りとして生保等の余裕資金でこれの原資に充てる考えであります。政府保証債については、市中消化を原則とし、発行後二万年以上を経過しなければ日銀の買いオペレーションの対象としないという方針でいきたい、かように考えておるわけでございます。  以上をもちまして、社会党提出にかかる、政府案の撤回、予算組み替えの動議の趣旨説明を終わりたいと思います。  何とぞ、各委員におかせられましては、この趣旨に賛同され、このわが社会党の動議に御賛成あらんことをお願いいたしまして、私の説明を終わるものでございます。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 次に、玉置一徳君。

玉置一徳民主社会党

○玉置委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提出の明年度予算三案につきまして、これが撤回を求め、お手元に配付いたしましたわが党案に基づきまして組み替えのうえ再提出されるよう動議を提出するものであります。  以下、その理由を申し上げることにいたします。  まず、問題の第一点は、政府案のよって立つところの三十八年度の経済見通しについてであります。これを一口に申し上げますと、総理が本国会の冒頭にされました施政方針演説におきまして、本年秋を待たずして景気回復をはかると言われた根拠は、現在の内外の経済情勢の分析からは一向に結論として出ないように思います。政府は、米国の景気回復に期待をかけ過ぎ、現在の国際収支の好調をそのまま継続せんとする望みをかけておられますが、現在のわが国貿易並びに国際収支に決定的な影響力を持つ問題は、米国の景気回復いかんにあるのではなく、米国英国、EEC諸国、すなわち、わが国を中心とする貿易競争の激化こそ問題であり、そのさなかにあって、わが国は、国際通貨基金第八条国への移行の方向に向けて貿易自由化と関税の一括引き下げの方向に立ち向かわざるを得ない事実であります。  また、国内問題といたしましては、鉄鋼初め重要産業が軒並みに供給過剰状態にありまして、高率な操業短縮によりましてようやく経済の混乱を防止しているのが現状でございます。生産・流通面におけるこの事実が雇用と国民生活水準にいかに影響してくるかが、本年の最大の課題でなければならないと存じます。  以上を見て参りますと、政府案の経済見通しとは、本年秋までに景気が回復するように、買いオペ政策、日銀公定歩合の引き下げ、外債の発行額の増額、産投会計への資金繰り入れなど、産業資金供給の円滑化をはかる景気の刺激策の必要性の弁明手段と言わなければならないと思います。政府案はこのように経済見通しと大企業奉仕の政策プログラムとをすりかえておられるのじゃないかと存じます。  第二の問題といたしましては、政府の予算編成は、一面におきまして、なるほど、社会保障、文教、公共事業費をそれぞれ六百億円増額するという積極的役割を果たしているのでありますが、残念ながら、そのような財政機能を減殺してしまうような大企業本位の経済政策の貫徹こそが政府案の基本的な性格でありまして、われわれは、政府が真に中小企業基本法の成立を願い、生活保護基準や日雇い労務者の給与引き上げを実現せんとするのであれば、一方において政府がとらんとしておるこのような大企業への産業投資の集中や独占禁止法の適用排除をはかるような措置は、直ちに取りやめるべきだと思います。今日までの政府の財政経済政策並びに明年度にとらんとしておる政府の施策は、経済格差縮小政策ではなく、むしろ拡大政策でありまして、従って、みずから実施している社会保障、減税等の施策も、単に格差拡大の穴埋めの意味しか持ち得ないことになると思います。われわれは、この意味におきまして、政府予算案の基本方針の改定が必要であると確信するものであります。  第三に、中央・地方を通ずる財政構造の問題でございますが、御承知の通り、国の財政支出をふやせば、それに伴いまして自動的に地方財政負担も増加するのであります。これが現在の財政の仕組みでございますが、政府案は、この点につきまして、国の財政支出を一方的にふやすだけで、これに伴う地方財政負担の増加については何らしりぬぐいをしないというのが現状でございます。しかしながら、自治省立案の明年度地方財政計画を検討いたしますと、財源の点で、地方税収の伸びが低減して、国からの財政支出への依存度が高まっております。現在すら、住民税、事業税、固定資産税、電気ガス、税の減免の必要性が世論となっておるとき、地方税収の大きな伸びを期待すべきではなく、国から地方への財源移管こそ現在の中央。地方を通ずる財政構造上の問題と思います。この点につきまして、今回の政府案のように一方的に国の財政支出だけをふやすことは、それ自体が地方財政の圧迫となり、住民福祉行政の完遂を阻害する要因となります。この点に配慮のない政府案は、財政政策として片手落ちと言わざるを得ないと思います。  私ども民社党は、このような政府案の撤回を求め、その組み替えを要求するものであります。  さて、組み替えは、第一に、歳入予算におきまして、資本蓄積免税を一切取りやめ、大衆減税を大幅に実施すべきであります。資本蓄積は、政府案のように貨幣形態の蓄積を直接目的といたしますれば、高額所得者もしくは大企業に片寄りますが、大衆減税によって国民の消費と貯蓄を拡大した方がはるかに大きな経済成長要因になることは論を待たないところであります。大衆減税は、五人世帯年収五十万円までの免税を軸といたしまして、これに、年所得百万円以下の小規模企業者に対する減税、退職所得基礎控除の引き上げ、小規模法人の法人税率引き下げ並びに間接税減税として物品税の品目整理によりまして、政府案よりも九百億円の税収減とすべきであると思います。これによって、政府案による大衆減税二百九十六億円と合算して、所得税、法人税、物品税の三税にわたりまして約一千二百億円の大衆減税を行なうべきだと思います。  一方、大企業の超過収益、高額な個人所得並びに宅地売買差益に対し累進課税を行ない、租税特別措置法による減免税の行き過ぎの是正を行ないまして、合計一千三百九十億円を政府案よりも多く課税すべきだと思います。  なお、たばこ消費税は、百分の三十に税率を引き上げて、地方財源の強化に充てるべきだと存じます。  歳出予算につきましては、国民の医療保険、所得保障、文教、住宅、失業対策などの国民生活の福祉向上関係が第一。第二に、農林漁業と中小企業の近代化促進関係。第三が、石炭、海運、非鉄金属等、不況産業対策関係。第四に、雪害復旧並びに雪害予防対策関係。第五に、沖繩援助。第六に、地方交付税率を三〇%に引き上げ、かつまた、産炭地域に指定されている地域の地方公共団体に、産炭地域特別交付税交付金を、税率五%を支給すること。以上の六つの項目につきまして歳出増額を要求いたします。  その他、各項目の詳細につきましては、お手元に配付されたわが党組み替え動議の案文を御参照いただきたいと思います。  また、歳出予算のうち、防衛関係費、国債償還費、産業投資特別会計への資金繰り入れを減額いたしまして、なお、一般行政費の一・五%弱の経費を節約いたしまして、これによって、一方における国民福祉、経済格差是正、不況産業再建、沖繩援助等の経費をまかなうべきであります。  われわれが歳出予算につきましてこのような増額あるいは減額を要求いたします理由は、冒頭に述べました政府案反対理由においてすでに明らかにしたところであります。  一例をあげれば、国民健康保険における給付率の七割への引き上げは、世帯主だけではなく、被保険者全体に同様に適用し、無拠出制国民福祉年金の増額は、政府案のような金額ではなく、最低三倍、すなわち、老人に毎月三千円程度を支給したいと思います。また、炭鉱離職者対策費のうち就職促進手当につきましては、一日四百五十円とし、これに家族手当を加給することに決定されるような配慮があると聞いておりますが、われわれは、これにはきわめて不満でありまして、ぜひとも近い機会にすみやかに就職促進手当を一日平均六百円程度に引き上げるよう望んでやみません。  以上、民社党の組み替え要求規模は、歳入予算は、歳入減額一千億円、歳入増額千三百九十億円で、差引歳入増三百九十億円であります。歳出予算は、歳出減二千二百億円、歳出増二千五百九十億円、差引歳出増額三百九十億円となり、歳入歳出予算ともに政府案よりも三百九十億円を増額して、約二兆八千八百九十億円をもって歳入歳出の均衡をはかるものであります。  何とぞ民社党案につきまして慎重審議の上政府案の組み替えを実施するよう希望いたしまして、私の提案理由の説明を終わりたいと思います。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 以上をもちまして趣旨弁明は終わりました。     —————————————

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 これより討論に入ります。  昭和三十八年度総予算三案及びこれに対する編成替えを求めるの動議二件を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、順次これを許します。  仮谷忠男君。

仮谷忠男自由民主党

○仮谷委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提出昭和三十八年度予算三案に賛成し、日本社会党並びに民主社会党提出の予算の編成替えを求める動議に反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)  まず、討論を進めるに先だち、特に一言強調いたしておきたいと思いますことは、今次予算編成に対する政府の真摯な態度についてであります。それは、内外経済のきびしい環境の中で幾多の困難な諸問題と取り組みながら、しかも、時期的にも、年末臨時国会、石炭問題等、混乱のさなかにあって、政府と党が一体協力のもとに、よく年内編成をなし遂げ、しかも、国民待望の画期的諸懸案を余すところなく的確に処理され、責任ある政党政治の真価を発揮するとともに、国家国民の期待に大きくこたえられたことでありまして、まことに近来の快挙とも言うべく、その努力、英断はわれわれの高く評価してはばからないところであり、私はここに深く敬意を表する次第であります。(拍手)  さて、わが国の経済は過去数年来きわめて高度の成長を続け、福祉国家の建設も着実に前進しつつありますことはすでに御承知の通りでありますが、ここ一、二年来、その成長があまりにも急速なため、国際収支の逆調と物価の上昇を招き、景気行き過ぎの現象を示すに至りましたことも、またわれわれの認むるところであります。しかしながら、大きな経済の発展過程において、経済現象に時に消長のありますことは避けられないところであり、要は、これらの現象に対していかに適時適切に対処するかということであります。この点、政府並びにわが党は、一昨年秋総合的な景気調整策を実施し、さらに、三十七年度には、国際収支の下期均衡を最大の目標に掲げ、内需の抑制、輸出の振興を重点に一段の努力をいたして参ったのでありますが、近時、経済基調もようやく鎮静化の方向をたどり、消費者物価も次第に騰勢はにぶりつつあるのでありまして、最も重要視されました国際収支も、われわれの予想より早く昨年七月から均衡は回復し、外貨準備高も今年度末には十九億ドルをこえるものと予想されるに至ったのであります。このことは、これまで多くの批判を甘んじて受けながらも政府の景気調整策は決して誤っていなかったことを証明するところでありまして、まことに欣快とするものであります。(拍手)  以上のような経過をたどって、景気変動の試練に耐え、再び安定成長に向こう体制は一応整ったものと思うのでありますが、他面におきましては、一年有余にわたる景気調整の反動が一部企業の悪化を招来したということも、また見のがすわけには参りません。また、同時に、国際経済社会との関連を考慮すれば、三十八年度はIMFの八条国移行勧告及びこれに伴うガット十一条国移行によって自由化率はさらに高くなっていくでありましょう。関税の一括引き下げの動きにも対処しなくてはならないし、また、アメリカ経済の緩慢な動向、イギリスがEECに加盟できなかったことから来る今後の西欧経済対策など、今なお多難な内外の諸問題に直面いたしておるのでありまして、今や国内産業体制の確立と輸出の振興こそがわが国最大の要請であることは、申し上げるまでもないと思うのであります。  三十八年度予算がかくのごとき内外諸情勢を背景として編成され、しかも、第一には、健全均衡財政である点、第二には、財政投融資計画の積極的な活用をはかっている点、すなわち、財政と金融を一体的に調和し、いわゆる健全成長政策を推進しようというところにその基本的性格があると理解するものでありまして、けだし当然の態度と申すべきでありましょう。私はあえて賛意を表するにちゅうちょしないものであります。(拍手)  しかるに、野党諸君は、この予算規模や内容の積極性をとらえて、過日来当委員会においてもしばしばインフレ論議を繰り返されておるのでありますが、以下私はいささか反論を試みつつ予算の内容について申し述べてみたいと思うのであります。  一般会計予算の歳入・歳出はともに二兆八千五百億円、前年度当初予算に比較して、四千二百三十二億円、一七・四%の増加となっており、また、財政投融資計画は、外貨債等を含めて一兆一千九十七億円で、前年度計画に比べて、二千四十五億円、二二・六%の増加と相なっております。数字の上から見ますると、なるほど一見大型予算、大型財政投融資計画の印象を与えるのでありますが、内容をさらに検討して参りますと、むしろ、この程度の規模は、わが国の経済の実情と将来の反映にマッチした当然の増大であると考えられるのであります。  すなわち、まず、一般会計において、前年度、前々年度の歳出増加率はいずれも二四%以上でありましたが、三十八年度予算は一七・四%にとどまっております。国民所得十六兆六千五百億円と予算規模を比較した場合には一七二%で、三十七年度当初予算の一六・九%、第二次補正後の二八・七%に比べましても、わずかに〇・三九%の幅であり、さほど大きく膨張しているとは思われません。さらに、国民総生産の伸び率を見てみますと、三十七年度が、名目で六・五%、実質において四・二%でありましたが、来年度は、名目で八・一%、実質においては六・一%という経済成長を背景としている点から考えましても、この予算が前年度、前々年度と比較して過大でないことがうかがえるのであります。  次に、財政投融資計画については、前年度当初計画に対する伸び率は二二・六%でありまして、これは相当に大幅な増加でありますことは否定できません。しかしながら、増加の内容は、道路関係が六八%、文教施設が四五%、生活環境整備及び住宅関係がそれぞれ二四%といったように、いずれも直接間接国民生活の改善向上を目ざしたものでありまして、さらにこれを使途別分類によってその比率を見ましても、財投計画の一兆一千九十七億円中、実に九千百六十六億円、八二%が国民生活を中心にした部門に投融資されているのであります。このことは、一そう有効需要を喚起せしめ、景気に対してはむしろ好影響の役割を演ずるものと思うのであります。  近時、世界各国の財政を見ましても、アメリカを初め先進諸国がいずれも積極政策を推進いたしておりますことは御承知の通りでありまして、今日、設備投資の増大に伴い、一部産業界で生産制限を行なっている現状などを考慮するとき、財政面からの刺激を与えるためにも、この程度の政策は必要当然と言うべきでありまして、それがインフレの要因になるとはとうてい考えられないところであります。  野党諸君は、過去におきましてもたびたび独自の見通しを述べられたのでありますが、そのつどいずれも幸いにして当たったためしはないのでありまして、おそらくは今回もその例外でないことを申し上げておきたいと思うのであります。(拍手)  次に、私は、特に重要施策数点について以下若干の意見を申し上げてみたいと思います。  まず、公共事業関係費でありますが、災害復旧費を除いて四千五百二十三億円、これに財政投融資面からの投資およそ三千億円を合わせますと、実に七千五百億円という飛躍的増加と相なるのであります。国民生活の基盤を充実し、経済の安定成長をつちかうために、公共社会資本の強化拡大はわが党かねてよりの主張であり、今回の措置が、少なくとも民間資本とのアンバランスを是正するためにも、さらにいわゆる国づくり政策の具体的・積極的現われとしても、その国民の期待するところはきわめて大なりと言うべきでありまして、進んで賛意を表するものであります。  ただ、一言付言いたしたいと思いますことは、公共事業中最も大きなウエートを占める道路投資が依然として中央地区に集中されているということでありまして、遺憾ながら地方道に前進なしと申し上げたいのであります。政府はすみやかにさきの五カ年計画を改定して、総理の言う地域格差の是正に抜本的対策を立てられますよう、この際強く要望いたしておきたいと思います。(拍手)  第二点は、社会保障関係について申し上げたいと思います。民生の安定と福祉国家の建設は、わが党立党以来の大方針であり、多年たゆまざる推進を続けて参ったのでありますが、今やその実績は国民各位のひとしく認めるところであります。三十八年度社会保障費は、総額三千六百七十九億円、前年度当初予算に比して、その伸び率は二二・五%であり、これは一般会計予算の伸び率一七・四%を大きく上回っているのであります。私は、かくのごとき社会保障費の前進が即新しきわが党の前進をも意味することを思うとき、あえて満腔の賛意を表するものであります。  以下少しくその内容に触れてみますると、生活保護基準の引き上げについては、引き続き一七%のアップを行なっており、三十六年度以降三カ年間の実績は六〇%の増加となっているのでありまして、これを従前のそれに比すれば、まさに隔世の改善と言うべきであります。  また、国民健康保険については、世帯主給付率の七割引き上げ、低所得者層への保険料の軽減等、思い切った改善が行なわれ、あるいは母子福祉年金等の引き上げ、老人福祉施設の拡充、さらには失業者に対する各般の行き届いた措置等、まことにきめこまかく改善充実がはかられておりますことは、われわれの理想と国民の期待にさらに明るい希望を与えるものと確信するものでありまして、福祉国家の建設へ一路邁進する政府当局の今後なお一そうの配慮と努力を期待してやまない次第であります。(拍手)  なお、この機会にいま一つ申し加えておきたいと思いますことは、従来わが党が遺族とともに強く要望をいたして参りました戦没者未亡人に対する特別給付金制度の実現を見たことであります。これは戦争未亡人にあまねく二十万円の交付公債を支給しようとするものでありまして、財政上の困難をも克服してこれが実現に努力いたされました政府当局、特に池田総理の英断に対し、私はこれらの人々とともに深く敬意と感謝の意を表するものであります。(拍手)  第三点は、文教政策でありますが、文教及び科学振興費は、総額三千七百十七億円で、前年度に比して二〇%に余る、これまた三本の柱に偽りなき大幅増額であります。人づくりの一環として文教関係費がこのように充実されたことは、本予算の一つの特色というべきでありましょう。  もとより、文教予算が、公共投資や社会保障のごとく、そのものずばりで予算即直ちに施策に通ずるものとは異なり、たとえば義務教育費国庫負担等、人件費の占める割合はきわめて高く、いわゆる教育という特殊な目に見えない面を考えるときに、予算の規模や金額で直ちに成果を期待することは必ずしも妥当とは思いませんが、しかし、いずれにいたしましても、私は、まさに画期的とも言うべき教科書の無償給与の問題や、あるいは学校給食完全実施の問題のごとき、また、当面の緊急課題としては、国立高専、技術者の養成確保、高校生急増対策等、従来の懸案事項を一応完全消化した本予算は、まことに最近の出色と言っても過言でないと信ずるものであります。(拍手)  もちろん賛意を表するにやぶさかではありませんが、なおこの際付言して要望しておきたいと思いますことは、勤労青少年の教育対策についてであります。予算上からも置き忘れられた感がいたしますし、複雑なむずかしい問題もあります。しかし、現実には、年々義務教育を終えた者の四〇%近くが働きながら学ぶ境遇に置かれており、こうした若者に真に誇りをもって学ぶ環境を与えることは、忘れてならない政治の責任であります。(拍手)近時開店休業の定時制高校の多いことも、国と府県と市町村と、さらに雇い主や父兄までが互いに責任を転嫁しているからでありまして、責めは必ずしも青少年のみにあるとは思いません。私は、池田総理の人づくりが、この働きながら学ぶ若者のために大きく目を向けていただくことを心より期待してやまない次第であります。(拍手)  最後に、私は減税の問題について若干所見を申し上げ、政府案に対する討論を終えたいと存じます。  わが党内閣は、すでに過去十二回にわたって減税を実施し、その総額はおよそ一兆一千億に及び、このうち約七割が所得税の減税でありましたことは、すでに御承知のところであります。三十八年度も引き続き税制の改正を行ない、一般所得税の減税を初め、利子、配当等に対するいわゆる政策減税をも実施いたしたのでありますが、その結果は、たとえば、所得税においては、昭和二十六年における標準世帯、五人家族、年間所得五十万円の人の税額は十二万円でありましたが、三十八年度ではわずかに四千二百円に軽減されておるのでございまして、これを見ても、いかに政府が一貫して減税政策を推進して参ったかがうかがえるのであります。今回の減税は、さらに、公共施設等社会資本の充実を期するため土地等の譲渡に関する特例、貿易の自由化に伴って特定産業に対する国際競争力を強化するための特別措置、あるいはまた法人税の留保所得課税の軽減といったような、自己資本の蓄積に資するためのいわゆる政策減税をも行なっておるのでありまして、減税総額は五百四十二億円、平年度五百四十億円と相なっておるのであります。この減税案に対しまして、当委員会における野党諸君の論議、あるいは組み替え動議等の趣旨説明等を拝聴いたしますと、内閣税制調査会の答申等を引用して、物価上昇によって国民負担は三割近くも増加をする、来年度の自然増収より推して当然六百億ないし一千億程度の一般減税はなすべきである、それを二百七十七億に押えていることは実質的な増税にひとしい、大衆減税を犠牲にして高額所得者や大資本に奉仕しているという、いわゆる野党一流の論拠であるのでありますが、この議論は、財政固有の役割を軽視した単なる減税優先論以外の何ものでもないと思うのであります。もとより、私どもとしましても、税制調査会の答申を尊重して、あとう限りの大幅減税を希望することは、何ら野党諸君に劣るものではありません。しかしながら、そうした希望を満たすためにこそ、すなわち公共投資の拡大、輸出の振興、産業基盤の拡大等が必要であり、資本蓄積に資するための政策減税もまた必要となってくるのであります。むしろ、私は、こうした施策が充実されて、国民の受益が増加することによって、実質において国民負担は軽減され、さらに将来の減税をも期待することができると思うのであります。一時的な面だけを近視眼的にとらえて、財政固有の役割を軽視するがごとき論議は、われわれの断じてとらざるところであります。かくのごとき観点に立ちまして、私は政府減税案に賛成をするものであります。(拍手)  以上で一般会計予算に対する討論を終わりますが、なお、特別会計予算二案につきましても、それぞれ必要妥当と認め、一般会計同様賛意を表するものであります。(拍手)  次に、私は、日本社会党並びに民主社会党の動議に対して、簡単に反対の意見を申し述べてみたいと思うのであります。  まず、日本社会党の組み替え動議を一見して感じますことは、依然として観念的かつ非現実的と言わざるを得ないのでありまして、私どものとうてい承服しがたいところであります。一、二の点を指摘いたしますなれば、歳出において、防衛費一千二百三十億円、公安調査庁費七十七億円を削減及び削除するというのでありますが、これが全く観念だけにとらわれた考え方だということは、昭和三十八年度の防衛費が予算総額に占める割合はわずかに八・〇五%でありまして、今日世界のいずれの国をたずねても、共産国と言わず自由主義国と言わず、およそ独立国としてこの程度の自衛力を否定する国民はおそらく皆無と言って過言でないのであります。(拍手)特に、近時災害の復旧等における自衛隊の働きはめざましく、現に、過般の豪雪に対する活躍のごときは関係住民のひとしく感謝するところではありませんか。一体、社会党は、この予算を削減して、その跡始末をどうしようというのでありましょうか。あまりにも非現実的と言わざるを得ないのであります。また、ガリオア・エロア・タイ特別円及び南ベトナム賠償支払い協定を破棄して、その予算全額を削除するということでありますが、正当な外交交渉に基づいてすでに国会の批准成立を見ている今日、これまた一体本気で考えているのでありましょうか。(拍手)もしそうだとすれば、私は国際信義の上からもその常識すらも疑いたくなるのでありまして、野党第一党、やがては政権にも近づこうという日本社会党のためにまことに残念に思われるのであります。(拍手)  なお、民主社会党の動議に対しましても、まことに遺憾ながら反対の意を表明して、以上をもって私の討論を終わることにいたします。(拍手)

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 川村継義君。

川村継義日本社会党

○川村(継)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、議題となっております昭和三十八年度一般会計予算三案に対する政府原案及び民主社会党の組み替え動議に反対をいたしまして、わが党の組み替え動議に賛成の討論をいたしたいと思います。(拍手)  わが党の組み替え動議提出の理由については、先ほど詳細な説明が行なわれましたので、ここでは繰り返すことを避け、政府案に対する批判を中心に討論を進めていきたいと思いますが、時間の関係もありますので、以下数点にしぼって論述いたしたいと存じます。  まず第一に、この予算の背景をなすものとして、政府の対外政策に言及せねばなりません。キューバの危機を頂点として、世界の緊張は一時的に緩和されつつあるかのようでありますが、しかし、核実験停止の交渉が行なわれつつあるかたわら、各国兵力の核装備はいよいよ本格化しつつあります。アメリカを初め西欧諸国が、ソ連は力でもって押せば必ず譲歩するのだといった力の政策を過信したならば、今度こそ取り返しのつかない事態に陥るだろうという点をわれわれは最もおそれるのであります。しかし、遺憾ながら現実には危険な火遊びはむしろ激しくなりつつありまして、われわれが最も問題とせねばならないのは、政府のアメリカ追随外交により、わが日本もその渦の中により強く巻き込まれつつある点であります。  それが最も明瞭に現われてきたのは、まず原子力潜水艦寄港の問題であります。すなわち、アメリカの対ソ戦略が全面的に変わり、アメリカ本土よりするICBMミニットマンの攻撃と並んで、ポラリス潜水艦による攻撃が、その隠密性、機動性という点から最も重要な役割を演じつつあります。そこで、潜水艦の建造が進むにつれて、西欧同盟諸国の港はポラリスの基地となりつつあります。従って、わが国に対する寄港要請は、このような政治的、軍事的背景のもとにあるということを理解すべきであって、単に放射能の危険さえなければいいのだというような簡単な問題でないことを強調しておきたいと思います。  原子力潜水艦の問題と並んで重要なのは、言うまでもなく日韓会談であります。これは実質的なNEATOの一角をなすものでありまして、国交正常化の名のもとに有償・無償五億ドルの金を供与して反共軍事国家のてこ入れをしようというこの試みは、さしあたり韓国朴政権の自壊作用によって挫折しましたが、そもそも進んで会談の中止を決定すべきであります。このことは昨日の本会議に上程された大平外相不信任決議案の趣旨説明及び討論の中においてわが党代表によって詳細に論じられたところでありますが、そのことが実現されるならば、日本国民にとって不幸中の幸いというべきであります。もしあくまで煮え切らない政府の態度であるとするならば、われわれは今後の動きを十分に監視していかねばならないと存ずるものであります。  アメリカの日本に対する強い要請として、韓国あるいは東南アジアに対する援助の肩がわりと並んで防衛力の増強の要求があります。この圧力は、今年に入ってからギルパトリック国防次官の来訪等によってますます強められ、その結果、第二次防衛計画の修正は必至と見られるに至りました。第三次防衛計画に至っては、膨大な財政負担を要するため、その目鼻さえつきかねるというありさまであります。いずれにしろ、防衛費の膨脹は、今後の予算編成を困難ならしめる一つの要因となりつつあることを強く警告しておかねばなりません。  対外政策の面で最後に問題とすべきは、経済政策についてであります。軍事面、政治面におけると同様、経済政策の面でも、政府のやり方は全く自主性がないと言わざるを得ません。自由化は世界の大勢という大義名分のもとに、アメリカや西欧諸国から一方的に自由化を押しつけられ、相手国からの差別撤廃、輸入制限緩和については何らの実績をあげていないのであります。それのみか、アメリカの綿製品規制に見られるように、かえって従来よりも制限は強化されようとしています。これでは失うことばかり多く、得ることはほとんどないのではないか。今の段階でOECDに加入しようとしても、おそらく利益の面よりも、加入の前提としての自由化率引き上げ、関税引き下げなど不利益をこうむる面の方が強い。国際協力だとか、協調だとかいうきれいごとを並べる裏では、資本主義諸国間の競争がどんなに激しくまた冷酷なものであるかを、政府はもっと強く認識すべきであると思うのであります。また、それかといって、政府は資本主義圏オンリーの市場構造を積極的に転換しようともせず、口では共産圏との貿易は望ましいものだと言いながらも、ちょっとアメリカから横やりが入ると、直ちにソ連への油送管の輸出を自粛するなど、自分で自分の首を絞めるようなやり方をしているのであります。経済運営の肝心かなめの点がこういう調子では、日本経済の受ける痛手はあまりにも大きく、幾ら予算で景気を刺激するの何のと言ってみましても、効果が上がらないのではないか。これがわれわれの政府原案に反対する第一の理由であります。  第二に申し上げねばならない点は、政府のやり方は、以上のような対外政策の延長として、国内的にはあくまでも独占の強化育成をはかりながら、労働者に対しては徹底的な首切り合理化政策の基礎の上に立っているという点であります。しこうして、政府のかかるやり方は当然に所得格差の解消どころか、逆に格差の拡大に導いています。これが政府案反対の第二の理由であります。  政府がいかに独占の強化育成に躍起になっているかは、ここで事こまかに述べる余裕はありませんが、実質的に独禁法を改廃するような法律的措置を初め、行政面でも企業の集中合併、カルテルの結成を促進するというようなやり方がとられているのであります。しこうして、この予算及び財政投融資の面で独占体に対しては国家資金の手厚い援助が約束されております。特に、われわれが問題にせねばならないのは、石炭、海運等の不況産業対策であります。特に石炭などは、御承知の通り、ほとんど私企業保護の限度を越えて国民の税金をつぎ込んでおるのでありますが、これはもっぱら優良な大企業の救済自立という見地から行なわれておるので、結果として、国民の税金によって首切りという最も反社会的行為が促進されてくるのであります。こんな矛盾が許されていいのでありましょうか。  首切り合理化のあらしは、今や石炭労働者に続いて金属鉱業、合成化学産業、さらに国鉄、電気通信、郵政等の政府関係機関に波及しています。しかもそれは鉱工業労働者の上のみでなく、農業にも、農産物輸入自由化をてことして、酪農、養鶏、てん菜、果樹などの商業農作物に全面的な価格切り下げのあらしがこようとしておりますが、すでにその第一段の攻撃が乳価引き下げの形で現われてきておるのであります。また中小商工業者も、下請代金支払い遅延や下請単価切り下げ等によって経営の危機に直面しております。このようにほとんどすべての勤労大衆の犠牲において独占体の救済強化がはかられておると言わねばなりません。  予算や財政投融資の面を見ても、今言った産業への直接投資のほかに、港湾、産業道路、工業用水等大企業の高度成長に直接役立つ公共投資に重点が置かれ過ぎ、住宅とか下水道、清掃施設とかいった生活に直結するような施設に対する投資は相対的に低いのであります。これは欧米諸国と比較して、日本では社会投資の中で占める住宅の投資がいかに低い比率であるかを見ればわかります。また、本来は生活環境施設に対する支出は一般会計で負担すべきであると考えられますのに、これがはみ出て財政投融資としてまかなわれているため、建設コストが高くなっているという点を指摘せねばなりません。  政府は、所得格差の縮小に熱意が乏しい上に、物価引き下げに何ら積極的対策をとっていません。そればかりか、昨年以来の公共料金引き上げによって、消費者物価は上がったままになっております。多少の賃金引き上げにもかかわらず、生活水準は決して上昇していません。このように池田内閣の高度成長政策によって生じた日本経済のアンバランス、矛盾というものは、政府の財政経済政策によっては決して解消することなく、むしろ拡大されようとしている。昭和三十八年度予算政府原案を分析して、これがわれわれの反対する第二の理由であります。  第三に、この問題と関連して当然に減税の問題に触れたいと思います。本年度の減税問題の取り扱いほど池田内閣の本質を明瞭に現わしたものはあるまいと考えます。三十八年度減税は五百四十二億円という、それ自体はなはだ小幅なものでありますが、政府は税制調査会の答申を尊重したと言いながらも、本質はみずから委嘱した調査会のその答申をすら踏みにじって、とうとい勤労によってささえられる庶民の生活を潤すべき分を押えて、投資促進、資本蓄積等の名目のもとに大会社や大金持を過大に優遇するというこういうやり方は、おそらく前例のないことと思われます。このことは本委員会におけるわが党同僚委員の質疑によって忌憚なく追及されたところでありますが、これによって明らかなごとく、評準世帯勤労者の課税最低限が四十三万八千円であるのに対し、配当所得だけで生活する人は百六十八万円までは一銭も所得税がかからないという驚くべき不均衡、不公平が生ずることとなります。またこれにより所得税納税人員は千八百五十万人となり、昭和三十ないし三十四年度ごろの一千万ないし一千百万人に比べて倍近くになっております。ひどい苛斂誅求であると言っても過言ではありません。われわれは、このような租税政策は、資本主義制度下における政策的減税の必要を認めるといたしましても、断固反対せざるを得ないのであります。これが政府原案反対の第三の理由であります。  次に、第四の問題として指摘せねばならないのは、政府案のインフレ的性格であります。周知の通り、一般会計予算の膨張率は一七・四%でありますが、財政投融資の膨張率はさらにこれを上回る二二・六%となっております。われわれが特に問題としたいのは、この財政投融資の資金源の調達方法であります。まず産投会計よりの出資は六百三十四億円でありますが、この会計ではガリオア・エロアの返済を行なう関係上、ほとんど固有の資金源は期待できなくなり、すべて一般会計からの繰り入れ財源にたよっているのであります。まあ、この問題は一応おくといたしましても、新年度からはこの会計で外貨債を発行するようにしておるのでございまして、その額自体はまだ大した額ではないのでありますけれども、こういう制度を恒久的なものとしてやっていくことは、財政を外国の金融市場の動向と直接結びつけることになり、そのこと自体大いに問題があると言わざるを得ないのであります。しかし、インフレとの関連で最も問題があるのは公募債の発行増加であり、これは前年度に比べて三百五十億円の発行増加を予定しておりますが、もちろんわれわれは、政府保証債の発行がふえたから、それだけインフレになるのだというような議論をするわけではありませんが、こういうことをやるにはおのずから一定の条件があると思います。すなわち、そのときの金融市場がどうとか、市中消化の条件がどうとかいう問題でありまして、これは金融政策とどう結びつけるかという問題だと言えるのであります。われわれがおそれるのは、政府がこれまでこういう諸条件を無視して施策を行なってきたことでありまして、これは池田首相の言うような日本には公債が少な過ぎるといった強気論と結びついて、インフレへの道を除々に進みつつあるということであります。三十九年度以降は公債発行必至であるということは、この委員会の審議を通じて明らかになったところでありますが、われわれは国民大衆の生活を守るという立場から、こういう政府のインフレ政策に反対せざるを得ないのでございます。これが反対の第四の理由であります。  次に国家予算と地方財政との関係であります。国の施策が完全に果たされるためには、健全な地方財政の運営が確保されねばならないことは論を待たないところであります。政府は、昭和三十八年度予算編成の基本方針として、公共投資、社会保障及び文教等の重要施策を引き続き推進するといたしておりますが、すなわち、昭和三十七年度に比べて社会保障関係費六百七十六億の増加であり、社会資本の充実、産業基盤の強化関係経費の公共事業費は七百七十八億の増加を見ております。これらの財政施策及び文教関係費並びに農林漁業関係費等の地方財政に与える影響を十分に考慮しての地方財政の充実、健全化に対する財政措置は、まことに寒心にたえないものがあります。  そのうち一、二の点を指摘いたしたいと思いますが、その一つは国庫負担基本額の問題であります。昭和三十六年度決算における農業改良普及事業費経費、保健所運営経費、公営住宅建設経費、一般失対経費、あるいは義務教育施設の建築経費、国民健康保険、国民年金の事務経費等々、数え上げればきりがありませんが、それらの実績額と国庫負担基本額とを見ても、行政を行なうに要する経費の基本額が実所要額に即していないために、国庫負担額、地方財政計画に計上される地方負担額が所要額に比較いたしまして過小となっております。このことは、国庫補助負担単価について毛同様に言えるのであります。この実態は地方財政に過大な負担を転嫁しているばかりでなく、住民に法令外負担として大きな犠牲をしいる結果となっているのであります。この問題は毎年予算審議に提起され、その正しさを求めているのでありますが、全く投げやりであります。  二つには、国と地方公共団体間の財政秩序を正さなければならないという問題であります。国の機関の設置等にあたって、その所要経費の一部を寄付金等の形式で地方公共団体に負担せしめたり、建物用地を無償提供せしめたりしている事例があとを断たないのであります。その一つの顕著な例は、国立高専設置について指摘されているところであります。法の精神を踏みにじり、明治以来の慣習でありますと考えたり、国が行政事務を行なうにあたり、特定の地域に恩恵を与えるものであるという旧来の考え方に支配されて、国民から負託された任務を、国家的視野に立って適正に執行する配慮を欠くことは許されないのであります。(拍手)政府予算案は、国家予算と地方財政の関連から見て、わずか一、二の問題を取り上げてみましても重大な欠陥を持っているものであります。そのほか地方行政事務の増加、行政水準の維持向上に対する国の財政措置が十分でないことが、予算上の問題であると考えるのであります。  経済の安定成長、産業の基盤強化、その目標と努力はそれなりによろしいと存じますが、しかし、地方財政の健全化のためには国の財政施策の上で十分な措置が講ぜられなければその目的は達せられないと思います。均衡ある産業構造を形成したいという全国総合開発計画の達成についても同様な問題を提起せねばなりません。このような意味合いにおきまして、本予算に反対せざるを得ない第五の理由があるのであります。(拍手)  最後にわれわれが指摘したいのは、この予算の大きな傷である旧地主補償の問題であります。おそらくこの委員会の質疑応答を通じて、この問題に関する政府の答弁ほど苦しいものはなかったのじゃないかと存じます。補償と報償とどう違うのか、報償をやるのかどうか、また何のための調査費か、またすでにこれまでやった調査とどう違うのかなど、全く国民の眼をごまかすもはなはだしいものがあると言わねばなりません。(拍手)しかも、この予算の通過後、議員提出の形で補償法案が出るのではないかと予想されておるのでありますが、いずれにしろ、われわれはこういううしろ向きの政策に断固反対せざるを得ないのであります。  ここで一言付言しておきたいことは景気対策であります。景気対策という名のもとで、その財政的措置が、財政支出を増しさえすればその対策が成れりという安易な考えのもとに、経費の計上が放漫に流れたり、後年度の歳出膨張の原因になることを無視する無責任な財政運営は許されません。景気対策ではないかもしれませんが、先ほど申し上げました旧地主補償のための経費が、後年度歳出膨張の原因となる無責任な財政運営につながるということであるならば、この意味においてもまことに重大であると言わねばなりません。(拍手)  また、景気対策の名目で露骨な資本擁護の性格を持つ政策減税や救済政策が行なわれたことも容認することはできません。財政施策に景気政策的役割を持たせることに必ずしも反対するものではありませんが、問題は内容であります。所得税減税、消費課税、社会保障、社会保険料等々、国民大衆の消費需要の増大をはかるという政策をおろそかにして、三十八年度予算に見られるような政策路線では、財政の矛盾を深めるばかりでなく、その効果を独占資本に限定し、経済の諸矛盾を拡大すると考えるからであります。これがいま一つの反対をする理由であります。  以上私は数点について申し述べて参りましたが、民社党提出の組み替え動議については、組み替え要綱中、歳入及び歳出の項目の部分については、その考え方に賛成できるものもございますが、基本的にわが党の組み替え動議の内容と一致いたしかねるものでありますから、反対せざるを得ません。  以上の理由を申し述べまして、政府原案と民社党提出の動議に反対をいたし、わが党提出の組み替え動議に賛成をいたすものであります。(拍手)

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 内海清君。

内海清民主社会党

○内海(清)委員 私は、民主社会党を代表して、政府提案の昭和三十八年度予算案三案並びにこれに対する社会党の組み替え動議に反対し、わが党提出の予算案三案に対する組み替え動議に賛成するものであります。  申すまでもなく、予算編成は、経済社会の体質改善という長期的、構造的目標への接近と、当面する明年度における政策の遂行という短期的課題への対策との二つの問題の総合調整の上に行なわれなければなりません。政府は、もちろん主観的にはそのような意図を持って予算編成を行なわれたのでありましょうが、残念ながら、国民の判断としては、大企業本位の景気対策が予算編成の主目的となる偏向を犯していると言わざるを得ないのであります。  私が政府案に反対する第一の理由は、政府は、なるほど一方において企業格差の是正を提唱する中小企業基本法案を提出し、国民健康保険、健康保険、失業保険などの社会保険制度にも若干の部分的改善策を提唱しておられます。また、生活保護基準の引き上げを行ない、さらに公共事業費の増額、公団融資の増額等によって、道路、港湾等いわゆる社会資本の充実にも努めておられます。しかしながら、政府の財政経済政策の基調はここにはありません。金融面における買いオペ政策、日銀の公定歩合の再引き下げの準備、また予算編成に含まれた産投会計への資金繰り入れ、外貨債の増額、資本蓄積免税、近く政府が上程を予定している特定産業の国際競争力強化法案のごとく、主要産業について独占禁止法骨抜き政策など、これら政府施策は、あげて総理の言明通り、本年秋を待たずして景気を回復し、大企業財務の改善のために準備されているのであります。明年度の政府施策は、大企業の合併をはかり、選ばれた大企業中心に再び設備投資拡大の基礎を築かんとするものでありまして、そこには所得倍増政策の欠陥についての何らの反省もなく、むしろ所得倍増政策の強化こそが政府の明年度予算編成の最大特徴と言わざるを得ないのであります。この点は、民社党の主張のように、産業政策として企業の国際競争力を強めていく方向は、独禁法の経済秩序のワク内においてガラス張りで行なわせるべきであります。すなわち、企業経営の公共的性格を濃くして、企業間の共同行為はすべて公共福祉、国民経済の健全な発展を目ざして行なわしめるよう、政策の軌道を敷くべきであります。また、産業資金の調達にいたしましても、租税収入を産投会計に大幅繰り入れするのではなく、民間産業、公企業、公団、公社には積極的に民間資本を導入し、政府資金は主として金利負担軽減のための調整資金として活用することを第一義にすべきであります。この基本方針の確立していない政府案は、依然として大企業奉仕の予算と言わざるを得ないのであります。  私が政府案に反対する第二の理由は、政府案の計上している生活保護基準一七%の引き上げ、日雇い登録労務者の給与の日額三十三円引き上げ、国民健康保険において、被保険者のうち、世帯主に限って給付率を五割から七割に引き上げ、さらに所得税の免税点の引き上げなど、政府は国民の実質所得の引き上げのために予算計上をされているわけでありますが、これが消費者物価の上昇といかなる関係にあり、また雇用の保障といかに連係されているか、少なくとも政府案によっては、国民の不安はますます増大する一方であります。  政府は、明年度の個人消費支出の伸びを、本年度に比べて一〇%、消費者物価指数の伸びを二・八%と計算しておりますので、この通りに推移すれば、国民の平均的個人消費水準は確かに実質向上いたします。しかし、消費者物価指数は、政府の予想に反して毎年必ず五%以上も上昇しております。過去の政府施策による生活保護基準等の引き上げは、結局、物価上昇に伴う物価手当の役割しか果たし得なかった事実にかんがみて、一方で消費者物価の抑制、他方では国民の名目所得、実質所得の両面の積極的な引き上げ、この双方によって国民の購買力を高め、個人消費支出の増大の刺激によって、国民総生産の拡大を推進していく経済成長方式を確立すべきであります。これこそ、わが党の基本目標とする勤労者の福祉国家建設のための経済政策でありまして、民社党組み替え案は、この構想に基づいて、昭和三十八年度という年次における財政計画なのであります。  また、政府の明年度雇用の見通しは、本年度と同じく四・六%で横ばいしており、不況産業の離職者問題、全国的な中高年令者の就職難問題は、見通しの表面には現われておりません。政府案には、炭鉱離職者対策費、失業保険給付金の引き上げなど、失業者対策費も計上されておりますが、現在の雇用対策の中心課題は、第一に、中高年令者に多い離職者の生活保障と新規技能の修得と再就職のあっせんの問題であり、第二に、離職以前に、中高年令就業者に新しい技能教育を施し、労働力としての質を高め、雇用の質を変えていく問題であります。政府案は、いたずらに失業した国民の跡始末を企業にかわって勤めているだけで、現在の最大の課題である中高年令者の就業をいかに保障するかの基本策が何ら見受けられないのであります。  私は、物価、雇用の両面から見て、政府案はしり抜け予算と言わざるを得ないのであります。私どもが常に繰り返して主張するように、政府は、予算編成の大前提として、まず大企業の財務経理の安定と充実を最大目標とする財政経済政策より脱却すべきであります。私どもは輸入依存度の高い設備投資、在庫投資はできるだけコントロールする方策を確立し、輸入依存度の低い個人消費支出を拡大するよう、財政支出がその間にあって経済調整の役割を果たすのが、現在における国の予算の最大の使命であると考えるのであります。この意味におきまして旧態依然たる政府案に反対せざるを得ません。  なお、社会党案に対しましては、組み替えの裏づけとなる金額が明確でありませんので、批判を差し控えさせていただきまして、私の討論を終わります。(拍手)

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  川俣清音君外十五名提出の昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算及び昭和三十八年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 起立少数。よって、川俣清音君外十五名提出の動議は否決されました。  次に玉置一徳君外一名提出の昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算及び昭和三十八年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 起立少数。よって、玉置一徳君外一名提出の動議は否決されました。  これより昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 起立多数。よって、昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算は、いずれも原案の通り可決いたしました。(拍手)  委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて昭和三十八年度総予算に関する議事は全部終了いたしました。      ————◇—————

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 この際一言ごあいさつ申し上げます。  去る一月二十八日に総予算の審査を開始いたしまして以来、終始真摯なる論議を展開され、慎重審議を尽くし、本日ここに審査を終了するに至りましたことは、ひとえに委員各位の御理解ある御協力によるものでありまして、委員長といたしまして心より感謝の意を表する次第でございます。連日審査に精励せられました委員各位の御労苦に対し深く敬意を表し、ごあいさつを申し上げる次第でございます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後八時十八分散会

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