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43回国会衆議院1963/02/27

予算委員会 第15号

発言数
262
登壇者
17
会派数
2
開催日
1963/02/27

会議録

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 これより会議を開きます。  昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、審査を進めます。  一般質疑を続行いたします。  森本靖君。

森本靖日本社会党

○森本委員 私は、おもに、逓信関係の韓国に関係をいたしまする郵便貯金あるいは簡易生命保険年金、さらに放送関係、通信関係、こういう問題を質問をしていきたいと、こう考えておりますが、なお時間がありましたならば、電電公社の駐留軍に対する未収料金の問題について質問もしたい、こういうように考えておるわけであります。  その前にちょっと大蔵大臣に聞いておきたいと思いますが、例の郵便貯金法の改正問題について、長い間郵政大臣と大蔵大臣との間に意見が違っておりまして、その関係でまだ今国会には郵便貯金法の改正が提案になっておらぬわけであります。御承知の通り、大蔵大臣はもともと郵政大臣をやっておりまして、郵政大臣当時には、この郵便貯金法の改正をして預金部資金を郵便局の窓口を通じて貸付を行なうということについては大賛成である、これはぜひやらなければならぬということをしばしば逓信委員会等においてもわれわれに言明をしておったわけでありますが、たまたま今度大蔵大臣になりますと、立場が変わったかどうか知りませんけれども、なかなか反対意見が強くてこの法律案件がまとまらぬ、こういうことを聞いておるわけでありますが、これについての大蔵大臣の見解を聞いておきたい、こう思うわけです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 お答えいたします。  政府はこの国会に郵便貯金法の改正をお願いいたしたいと考えております。これが改正の主要点は、現在法定事項でございます郵便貯金の利子を政令にゆだねたいということでございます。御承知の通り、戦前は大蔵大臣の権限でこれを弾力的に運用いたしておったわけでございますが、戦後新しい方向として法定主義に移ったわけでございます。これを弾力運用をするという立場において、政令にゆだねていただきたいというのでございますが、現在政府部内において鋭意意見の調整をしておるわけでございます。  この過程において起こりました議論が、郵便局一万一千の全国窓口において郵便貯金の預金者に対して一部貸付を行ないたいという業務の新設でございます。これに対しては、御承知の通り、私も五、六年ばかり前に郵政大臣として逓信委員会等におきましてもお答え申し上げましたが、何回か衆参両院において窓口貸付に対しての附帯決議もなされておりましたし、私も当時としては郵便貯金の預金者に対して一部貸付業務を行なうことに対しては大いに推進をいたしたわけでございます。その当時、まあざっくばらんに申し上げますと、窓口業務というものを始めることについて、政策的にいいというよりも、あまりにも当時の大蔵省が集めさせることばかりに重点を置いて、求むることのみ多くして与えることの少ない、こういうことで、私は強くそういうことを申したわけでございます。その反面には、なかなか大蔵省は賛成しまい、しまいけれども、こういうものを堂々と出しておけば、窓口の整備とか、それから局舎の増設とか待遇改善とか、いろいろな問題が解決はする、こういう見方でもってやったのでありますが、御承知の通り、その後奨励金その他いろいろな制度において相当な改善ができておるわけでございます。私は、昨年七月大蔵大臣に就任してから、政府資金、いわゆる資金運用部資金の運用の状況、将来に対する見通し、民間の問題、その他現在の金融制度等に対して各般にわたって検討いたしました結果、これから財政投融資その他に対してはより資金運用部資金の重要性が増してくるときに、全国一万一千の窓口で貸付を行なうということがはたして妥当なものかどうか、統一運用に対しては相当な支障がある。同時に、これが、この種のいろいろな年金その他に対しても余裕金の弾力運用という問題が波及するわけでございます。御承知の通り、公団その他の余裕金は、一時の短期間は民間金融機関に預けることができますが、ある一定期間を過ぎたら国庫に預託しなければならない制度がございますが、これらのものも単独運用ということを続々と申し出ているような実情にかんがみまして、現在窓口貸付業務を行なうということが妥当なるものかどうかに対して非常に慎重な態度をとっておりまして、現在にわかに賛成できないという態度でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 現在にわかに賛成できない、こういうふうに言われておりますが、あなたが郵政大臣のときには、大賛成だ、大蔵大臣とけんかしてでもこういう法案についてはやりたいということをしばしば言われたわけでありますが、たまたま大蔵大臣になったから、立場上そういうことを言っていると思いますが、本心はぜひやりたい、しかし大蔵官僚の諸君がなかなか反対が強いのでそうもいかぬ、こういう顔つきに見えるわけでありますが、その顔つきは別といたしまして、いずれにしても、この法律については、貯金の利子を政令にゆだねるという項だけを取り上げてやるということになりますと、これは相当反対が強いという格好になって、おそらくこの貯金法の改正は日の目を見ないのではないか。やはり、そういう政令にゆだねるということについては郵政省側としてはかなり反対空気が強いけれども、かりに預金者の窓口貸付を認めるなら一応認めようという形になっておるのが今の郵政省の考え方だと思うわけであります。たまたま一兆億円もこしているような郵便貯金の現在高において、実際に運用は全部大蔵省が行なう、窓口で機械のごとく貯金だけを集めるのが郵政省の任務だと言えばそれまででありますけれども、やはりそういう場合には民間の金融機関等は相当貯蓄を行なうのに奨励等もいたしておりますから、そういう点については、やはり、そのうちの若干でも窓口を通じて郵政省が貸付を行なうことができるならば、相当郵便貯金の増高に対してもいい結果を与えるのではないかというふうに考えますので、にわかに賛成しがたいという大蔵大臣の意見でありますけれども、私は、郵便貯金がふえていくということについては大蔵大臣としても大いに賛成をするところでありますから、やはりそういう点については両者かみ合わせながら考えていくべきが至当ではないかと思うわけであります。私はこの問題をきょう論ずるのは任務でありませんからこの程度にしておきますけれども、やはり、この問題については、郵政大臣と大蔵大臣がもう少し積極的に話し合いを行なって、できれば窓口貸付が行なえるような改正案というものの上程方をぜひやっていただきたいというふうに考えるわけであります。  今郵便貯金の問題が出ましたので、この際この貯金に関連してお伺いしたいと思いますが、この前の本予算委員会におきまして、わが党の横路委員が大平国務大臣に対しまして質問をいたしておりまするその中において、韓国の請求権の中におきまする郵便貯金、振替貯金、それから為替貯金、さらに簡易生命保険及び郵便年金の項が質疑応答に出ているわけであります。これについて、韓国側から外務省に対しまして、郵便貯金なり簡易生命保険なりあるいは年金のいわゆる請求権というものの額を表示してきたことがあるかどうか、この点について外務大臣に御質問したいと思うわけであります。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いわゆる対日請求八項目の中で日本側に提示がありましたことは事実でございます。しかし、それには、今額という話でございますけれども、項目で提示があったわけでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、項目で提示をされてきたわけでありまして、具体的に金額の明示をして韓国側から要請があったということはないわけですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 交渉の過程におきまして、たとえば日本人と韓国人の区別でございますとか、あるいは南鮮の区別でございますとか、そういう点について日韓の間で意見が合わなかったということは聞いておるわけでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 私が聞いておりまするのは、そういうふうな韓国の請求権の内訳として、たとえば韓国の終戦のときの郵便貯金がこれこれで、簡易生命保険がこれこれで、郵便年金がこれこれというふうな具体的な数字の要求が向こうからあったのかどうか、こういうことを聞いているわけです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私が伺っておるのは、項目で提示があって、こちら側との話し合いの中で、韓国側の考え方というようなものはその途中で出てきたことがあると思っております。

森本靖日本社会党

○森本委員 その途中で韓国からそれぞれの項目が出されて、それに対する話し合いが行なわれたということでありますが、その話し合いの中で、韓国側はこれこれの数字があるというふうなことの要求の話し合いがあったわけでありますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 おっしゃるようなことはあったと思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういう場合に、外務省としては、その所管官庁でありますところの郵政大臣に対して連絡をいたしておりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 郵政省の側に外務省の見解としてどうだというふうな御相談はしていないはずでございます。また、その金額そのものが把握できないわけでございますので、そういうことはいたしていないはずだと思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 その金額が把握できないというのは、日本側としての数字が把握できなというのか、韓国がそういう具体的な数字を話し合いとして持ってこないからできない、こういうことでありますか。どちらですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 外務省といたしましては、こういうとり方をすればこうなるという一応の暫定的な数字はあるわけでございますけれども、それはまだ政府の意見として外に出すような性質のものではないと思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、日本政府には大体そういうふうな数字があるといたしましても、韓国側にそういうふうな数字があって具体的な話し合いを持ってきたわけでありますか、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 項目ごとの数字は、先方からは出ておりません。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、この逓信関係だけでも一括をして一つの数字が向こうから出てきておるわけですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 折衝の過程におきまして、先方の考え方というものは出ておりません。

森本靖日本社会党

○森本委員 折衝の中で向こうから出て参りましたその数字を郵政省の方と連絡をしながら、それが正しいものであるか、あるいは不合理なものであるかということを郵政省側と連絡をしたことがありますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 郵政省と御相談する段階まで至っていなかったと思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 段階まで至っていないと言うが、一応韓国側から郵便貯金なり簡易生命保険なり年金の数字が出てきて、これに対して日本側としてはこういう数字だということであるとするならば、その所管官庁でありますところの郵政大臣に、一応こういう数字が妥当であるかどうか、郵政省としてはどういう数字を持っておるかという相談をしなければ、結局、あなた方が韓国と話をしたということは、全くこの科学的な数字に基づいて話し合いは全然なされていない、こういうことになるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私どもが経過的にこういう推定の仕方で算出してみればこうなるというような数字は、過程におきましていろいろ出ておるわけでございますが、まだ郵政省と御相談するような権威のある数字ではないのでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、あなたが推定されておるという日本側の数字というものは、どこから手に入れられたわけですか。郵政省から手に入れなければ、外務省としては手に入れるところはないはずでありますが、その数字は一体どこから手に入れられたのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 資料は当然郵政省からいただいておるものと思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 その資料は郵政省からいついただきましたか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 それは、私はその日時まで記憶いたしておりませんので、御必要ございますれば、交渉の日程を繰りまして御返事申し上げます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、郵政大臣にお聞きしますが、そういう資料を郵政省は外務省に出しておるわけですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 一応事務的には出してあると私は思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 一応事務的に出したにいたしましても、大臣の承認を得て出しておると思いますが、大臣はそれを承知ですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 私は、実は新任してから間もなくのことでございまして、その前のことでございますから、まあ出したからには大臣の承認を得てあるのじゃないか、そういうふうに想像するわけであります。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、これは日本と韓国との非常な重要な問題でありますから、前手島郵政大臣にそういうような話しをして、手島大臣の方から大平外務大臣の方に出したといたしますならば、現在の郵政大臣も、就任早々でも、直ちにこういう重要事項については聞いておると思いますが、お聞きになりましたか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 大体は伺っております。

森本靖日本社会党

○森本委員 大体伺っておったのは、大臣、いつごろですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 それは事務引き継ぎをしてからでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 あなたが就任をせられたのはいつですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 私が就任をいたしましたのは一月八日でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 それではお聞きしますが、一月三十一日の逓信委員会の私のあなたに対する質問に対して、あなたは、全然外務省とも話をしておらぬ、一切そういうことは知りませんということを私の質問に答弁しておるわけです。そのときには、実は私もその点につきましてはまだ全然聞いておりませんので云々という答弁をしておるわけであります。これは逓信委員会の速記録の八ページにあなたの答弁として載っておるわけであります。あのときはうそをお言いになった、こういうことですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 そのときは、実は私は存じなかったわけであります。

森本靖日本社会党

○森本委員 そのときは存じていないことはないです。あなたは大臣に就任をせられてすぐ事務引き継ぎをせられた、こう言っておられるわけですから、そのときに大臣に就任せられて事務引き継ぎをしたならば、一月三十一日の委員会の私の質問には、そういうことは事務引き継ぎをして知っております、こういう回答にならなければならぬわけであります。ところが、あなたはそのときに、そういうことは一切聞いておりません、知りませんと、こういう回答をしておるわけです。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 そのときは私は実は知りませんでして、事務引き継ぎといいましても、簡単なものでございまして、その詳しいところまで事務引き継ぎがしてございません。そこで、どういう数字があるかということはございません。ただいわゆる形式的に事務引き継ぎをしたというだけで、そのときはまだわかっておりません。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、大臣の事務引き継ぎというものはきわめて形式的なものであって、そういう重要な内容については全然一つの引き継ぎもしておらぬ、単なる、たのむぜ、はいよろしゅうございますということで引き継ぎをした、そういう重要な項については全然具体的な引き継ぎはしておらぬ、こういうことになるわけですね。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 こまかいことにつきましては事務引き継ぎはしておりませんです。

森本靖日本社会党

○森本委員 これは、今大臣そうおっしゃいますけれども、日韓の問題で当面さし追って一番重要な事項であります。しかも、具体的に根拠がありまするところの請求権の過半数を占めておりまするのは、この郵便貯金と簡易生命保険と年金であります。金額について韓国が具体的に数字をあげてこれるものは、これが一番重要な問題であります。それほど重要な問題について、今の郵政大臣というのはちょっとのんき過ぎるのではないかというふうに考えますが、あえてこれを深追いをいたしません。  そこで、郵政省がそういうふうに外務省に出しましたところの数字というものは一体どの程度になっておりますか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 この問題につきましては、ただいま微妙な外交の段階にありますので、ここで差し控えさしていただきたいと思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、私が聞きたいのは、終戦当時韓国の朝鮮総督府の郵便貯金の現在高というものは十四億三千六百八十五万一千円という数字が出ておるわけであります。これは北鮮も南鮮も一緒にしての数字でありまするが、この十四億三千六百八十五万一千円という数字は正しいかどうか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 それは逓信事業史に載っている数字だと思いますけれども、それと会談の数字とは別な問題でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 私は会談の韓国の数字を聞いておるわけじゃありません。だから、あなたの方の韓国との会談の数字は、韓国がどのくらいの数字を持ってきたか外務大臣が言わぬから、それはわからぬわけです。ただ、私が聞いておりますのは、十四億三千六百八十五万一千円という終戦当時の郵便貯金の現在高というものは正しいものであるかどうか、それをあなたに聞いておるわけであります。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 それは当時の資料から試算した数でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 だから、郵政省としては当時の資料によってこれが正しいと認定をしておるかどうか、こういうことであります。これが韓国との交渉の日本側の基本になっておるかどうか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 そのときはいろんな資料が不備でございましてそういう数になったと思うのでございますけれども、その後韓国との数字の基礎となっているかということは、これは別な問題でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 韓国との交渉の基礎となっておるか別もくそもないじゃないですか。韓国が郵便貯金の請求権の原資はこれこれだといって請求してきたときに、日本側が示すところの数字はこの数字ではないか、こういうことを聞いておるわけです。別もくそもないですよ。日本側の数字はこれ以外にないわけでしょう。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 それはそのときの試算でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 だから、そのときの試算であっても……。それじゃちょっと聞きますが、この十四億三千六百八十五万一千円というものは終戦のときの要するに郵便貯金の現在高でありまするから、具体的に根拠になりまするのは、これから終戦後内地に引き揚げて参りましたところのいわゆる日本人と朝鮮から日本に来ましたところの韓国人が引いたところのその残額が、はっきり言いますと朝鮮全体の郵便貯金の残高になるわけであります。それを具体的に北鮮と南鮮とに二つに分けて、南鮮分が韓国側の正当の請求権になってくるわけであります。そこで、十四億三千六百八十五万一千円という数字は郵政省も発表いたしておりますから、これがこのままの数字でありますと、全体を二つに割った形になりますから、日本側としては損な数字になってくるわけであります。そこで、終戦後今日まで、この朝鮮総督府の郵便貯金の中で日本人と韓国人が引いた貯金の金額、数字が出てこなければならぬわけであります。その引いた金額はどのくらいですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 先ほどから申し上げました通り、ただいま外交の微妙な段階でございまするから、差し控えさしていただきます。発表の時期に至りましたら発表いたしたいと思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 今申し上げました数字は韓国との交渉には関係ございません。普通の郵政の郵便貯金の、予算上の貯金行政に関する質問になってくるわけであります。終戦後、八月の十五日以降今日の昭和三十八年まで内地でこの朝鮮総督府の郵便記号のついた郵便貯金通帳から引いたところの金額は何ぼであるか。これが韓国との微妙な段階であるから答えができぬというようなことになりますと、審議はできません。それは韓国の問題と関係ありません。一般の逓信関係の行政についての質問であります。それがどうして答えができないのですか。それを答えなかったら、日本の損じゃないか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 直接外交に触れる問題でありますから、差し控えさせていただきたいと思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 これは直接外交に関係はございません。外交に関係があるのは、郵便貯金の現在額が幾らであって、向こうがどのくらいの請求をしてくるかという、これが外交問題であり、私は、一般の郵便貯金行政の質問として、終戦後、要するに、台湾あるいは北支、そういうところのそれぞれの郵便貯金について引いたわけです。それは引いた数字については一般の質問についてもう回答しておるわけであります。たまたま、朝鮮総督府の郵便貯金についての預金者が引いたところの数字はどの程度になっておるか。それを言われないと、あなたが今おっしゃった通り、郵政省が正式に逓信事業史として十四億三千六百八十五万円という数字を発表しておるわけでありますから、それから今引いた数字を引かなければほんとうの数字が出てこないわけで、向こうがそれで十四億という要求をしてきても、これは言えないわけであります。これは、具体的に言いますと、日本側が損ですよ。ですから、内地で実際に引いた数字がどの程度か、これは一般質問として聞いておるわけでありまして、それが言えないということにはならぬと思う。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私の方から郵政省に大へん御無理なお願いをいたしておるわけでございまして、この今お示しの数字は、私どもが検討いたしましたいわゆる請求権の実体というものに関連を持ってくる数字でございまして、請求権の実体につきましては、本委員会からもかねがね御要求がございますので、私どももなるべく早く本委員会に御報告申し上げる所存でおるわけでございまして、決してこれを出さないと言っているわけじゃございません。本委員会におきましても、この間御相談をいただきまして、なるべく早く出せ、こういうお示しをいただいておりますので、私どもも、交渉の工合を見まして、できるだけ早く御提出申し上げる所存でございますので、それまでお待ちをいただきたいと思うのでございます。それで、郵政省には森本さんがおっしゃるような算式に基づきました数字はあられると思いますが、そういう関連でしばらく御猶予を願いたいということを申し上げておるわけです。

森本靖日本社会党

○森本委員 今の外務大臣の答弁はちょっと違うのです。私が聞いておるのは、韓国の交渉と直接の関係のある請求権の内訳をいろいろ聞いておるわけじゃないのです。私が聞いておりますのは、これは一般の郵政関係の質問として、終戦後日本の内地において朝鮮総督府関係の郵便貯金の記号で引いた分が幾らあるか。というのは、たとえば十四億三千六百八十五万円というけれども、八月十五日に終戦になって、そうして内地で引くことができるからといって急遽郵便貯金に入れた額が三億二千四百二十二万六千円もあるわけであります。これなんかはほとんど内地へ帰ってきて引いておるわけであります。それ以上に、この三億二千四百万円以上に内地で引いておる数字が出てこなければならぬはずであります。だから、かりに十四億という数字であるとするならば、物価の三百倍ということになれば、これは三千億からになるわけです。そんなべらぼうな数字にはなってこないわけであります。だから、終戦後に預け入れた金額が三億二千四百二十二万六千円、これだけの金額になっておるわけでありますから、少なくとも十四億の金の中から三億二千万円以上の金額が引かれておるということは事実であります。だから、この金額はどの程度になるか。そうなってくると、朝鮮全体の郵便貯金に関するところの請求権の根拠の数字が出てくるわけであります。それを今度北鮮と南鮮に割ればいい、こういう格好になるわけです。だから、引いた金額はどの程度か、こういうことを聞いておるわけでありますから、外務大臣が今答弁をするような問題じゃないわけであります。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 利子を含めまして、大体九億程度でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そうすると、終戦後引いた数字が利子を含めて九億円ということでありますが、それを正確に一つ言ってもらいたいと思うのです。正確な数字が、貯金局長うしろにおるから、わかっておると思う。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 今手元にこまかい数字がございませんので、すぐ調べましてお届けいたします。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、現在の韓国が支配をいたしておりますところと、それから現在の北鮮が支配をいたしております地域との、昭和二十年の八月十五日前の郵便貯金の公布状況というものは、大体半分程度の分布状況になっておったわけでありますか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 それはちょっとわかりかねます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、その当時の郵便貯金の貯金支局というものは、朝鮮の場合はどこになっておったわけですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 咸興にあったそうでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 咸興一カ所ですか、預金原簿は。政府委員でいいですよ。

金澤平藏郵政事務官(貯金局長)

○金澤政府委員 お答えいたします。  京城、釜山、全州、平壌、成興、この五カ所でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、その貯金支局のあった当時の状況を調べてみると、今の韓国の支配をしておる地域と北鮮の支配している地域の大体の分布状況がわかると思いますが、大体の分布状況というものはわかりますか。数字でなくて、大体の分布状況というものは、そういう貯金支局の原簿を見ていってわかりますか、どうですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 わかりかねます。

森本靖日本社会党

○森本委員 それは大臣ではとてもわかりかねると思うのですが、事務当局がわかりかねますというようなことを教えておると思うんだが、それはわかりかねるということにはならぬと思う。一応貯金支局というもののあり方がわかれば、貯金支局の管轄地域というものがあるわけでありますから、そうするとその分布状況というものがわかります。そうなって参りますと、正確な数字はわからぬにいたしても、大体およその数字というものは出てくると思う。そういたしますと、要するに、郵便貯金の現在高が、かりに先ほど言いました十四億三千六百八十五万円ということになりますと、それから九億円引きますと、約五億円ということになる。五億円ということになるとするならば、今の北鮮地域とそれから韓国ということに分けるとするならば、大体二億五千万円程度ずつになるのじゃないか、こういう大体の推量ができるわけでありますが、そういうふうな大体の当て推量というようなやり方で、今韓国とこの請求権の問題については外務省は話し合いをしておるわけですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 各項目にわたりまして、一応、私どもといたしましては、こういう根拠をとれば、そうしてこういう推定の方法をとればこのぐらいな金額になるということは、いろいろ数字を一応持っております。しかし、各項目につきまして、その推定の方法、根拠のとり方につきまして、日韓の間に意見が合わないという状況で終始してきたわけでございます。そこで、御案内のように、請求権の実体を通じて具体的に法律的根拠を明徴にしかつ事実の関係を完全に立証して請求権の相談をしてきめるということによってはなかなかこれは困難であると判断いたしましたので、請求権は双方がなくなったものと確認し合おうということにいたすよりほかに道はない、一方におきましてわが国は財政能力に応じました経済協力を考えましょう、こういう大筋の考え方によりまして進めるより以外に道はなかろうというような判断に立っておるわけでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、次に聞いておきたいのは、郵便年金と簡易生命保険の韓国関係の保険金額というものはどの程度になっておりますか。

田中鎭雄郵政事務官(簡易保険局長)

○田中(鎭)政府委員 韓国の簡易生命保険並びに郵便年金は朝鮮総督府が所管しておったものでございまして、私どもの方は、直接といいますか、所管外でございまするので、その辺につきましては承知いたしておらない次第でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、この数字は郵政省には全然ありませんか、事業史にも。

田中鎭雄郵政事務官(簡易保険局長)

○田中(鎭)政府委員 全然ございません。

森本靖日本社会党

○森本委員 これはあなたの方の事業史にも載っておりませんか。

田中鎭雄郵政事務官(簡易保険局長)

○田中(鎭)政府委員 載っておりません。

森本靖日本社会党

○森本委員 全然知らぬ存ぜぬということになりますとこれは話にならぬですが、一応郵政省としてはやはり簡易保険局の中にある程度の数字をつかんだものがあると私は思いますが、全然ありませんか。それははっきり聞いておきたいと思うのですが。

田中鎭雄郵政事務官(簡易保険局長)

○田中(鎭)政府委員 簡易保険局といたしまして公式に申し上げる数字は全然ございません。ただ、ただいまの御質問は、向こうから引き揚げてきた人、あるいはまあ資料の交換というようなこともあったと思いまするから、そういうようなところから数字が出れば何らか出るかと思いますが、私どもの方としては全くわからない数字でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 その今言った、向こうから帰ってきた人のメモその他によって簡易保険局としては一応参考的な数字としてつかんでおる数字というものはあるんじゃないですか。私はその数字の内容まで聞いておるわけではない。あなたは、全然知らぬ存ぜぬ、一切わからぬと言ったから、今後もわからぬということで押していくなら別として、今私が質問するような、向こうから朝鮮総督府の簡易生命保険関係の人が帰ってきたときのメモその他によって将来の参考にということで数字を保留しておるという数字があるのじゃないですか。

田中鎭雄郵政事務官(簡易保険局長)

○田中(鎭)政府委員 実はこれは外務省の所管でございまして、ただ、私どもの方は保険年金の事業をやっておる立場から外務省の方にお手伝いをしたというようなことはあると思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、その大体の数字というものは一応簡易保険局としてもつかんで外務省の方には出しておる、こういうことですか。

田中鎭雄郵政事務官(簡易保険局長)

○田中(鎭)政府委員 簡易保険局としてつかんだということはございません。全く個人の立場に立ってやった仕事でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 それは、あなた方、答弁の方を合わせるために急遽省議でも開いてそんな答弁の仕方を考えたと思うけれども、簡易保険局としての数字は一応つかんでおる。あなたが今言ったようなことはきわめて無責任きわまる答弁だと思うのですよ。幾らこれは朝鮮総督府の所管であっても、簡易生命保険、郵便年金というものは日本の郵政省とは切っても切れぬ間柄にあることは事実であります。そうなりますと、あなたの方が参考的な数字にしろ、何らかの数字をつかんでおらなければほかにないじゃないですか。それをあなた方は答弁のつじつまを合わせる上において知らぬ存ぜぬ、一切ありません。そういうふうにつじつまを合わせたかどうか知らぬけれども、現実には、われわれが聞いておるところによると、やはり郵政省の中においても、簡易生命保険、郵便年金のおよその数字をつかんでおる。そうでなければ具体的な韓国との話し合いをする余地は全然ないわけであります。そういう具体的な数字、それはあなたが言ったように簡易保険局のものであるかどうか知りませんけれども、簡易保険局の中にそれだけの数字をつかんだものがあるだろう、そうでなかったら——今のように一切知りませんということは私は郵政省としてきわめて無責任な答弁だと思う。郵政省を除いて一体外地関係の簡易生命保険なり郵便年金の跡始末をすることができますか。だから私は、そういう点について一応郵政省として、参考的にせよそういう資料がある、こう考えて聞いておるわけであります。そういう資料はあるのですか。   〔「そんなことでよく勧誘できるな」と呼び、その他発言する者あり〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 不規則発言は御遠慮願います。

田中鎭雄郵政事務官(簡易保険局長)

○田中(鎭)政府委員 簡易保険局といたしましては、正式に申し上げるような資料は実はないのでございまして、当時戦争中は、同じ事業を管理しておった立場から資料の交換というようなことはあったと思います。また先ほど申し上げましたように、たまたま向こうの簡易保険業務に従事しておった者が引き揚げてきた、それが持っておった資料なりメモなりというものが唯一のよりどころというようなことでございまして、簡易保険局で直接所管しておったものではないために、局としてはいわゆる正式な資料というようなものはございません。かような次第でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 正式な資料であるなしにかかわらず、郵政省としては、終戦のあの混乱のときに、外地の、台湾にしても朝鮮にしてもあるいは樺太にしても、そういうところの郵政省関係の資料というものは極力収集をして将来のために残しておく義務があるはずであります。そのくらいのことを郵政省がやらなければ、今後簡易保険の募集なんというものはできっこないですよ。それは郵政省としては本家本元でありますから、外地関係のあの混乱をしたときの資料というものは、できるだけ収集をして将来の何らかのために残しておこうという努力をしなければならぬわけであります。その努力は当然したと思う。だからその努力をした数字というものを一応つかんでおると思う。ところが日韓会談がこうなってきたから、予算委員会で質問をせられるということになったものだから、急遽省議を開いて、一切簡易保険局は知りません、存じません。そんなことであなた郵政省の仕事ができますか。これは郵政大臣はっきりしておいてもらいたい。終戦後のあの混乱をしたときの外地関係のこういう問題について、郵政省としては当然努力をする任務がある。だからそういう任務があって、そういうふうな引揚者のメモあるいは覚え、そういうものを集めて資料を収集したはずであります。どうですか大臣、そういうことは何もやらなかったのですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 朝鮮におきましては、直接こちらでやったわけでございませんので、正式な資料はないそうでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 だから大臣、ちょっと立っておってもらいたいのですが、今言っておるように朝鮮総督府がやっておったことは間違いないわけであります。間違いないけれども、朝鮮総督府がやっておった簡易生命保険、郵便年金は、日本の郵政省がやっておりましたところの簡易生命保険と郵便年金にのっとってやったわけであります。その本家本元は当時の日本の逓信省であります。その逓信省というものが、終戦の混乱をしたときに、台湾なり朝鮮なりあるいは樺太の外地関係の逓信関係の資料というものを当然集めて、そうして将来の引揚者邦人のために残しておくのは当然の任務じゃないですか。それを、あれは朝鮮総督府だ、おれの方は関係がないと、のほほんとしておったのですか。当時そんな逓信省ではなかったと思う。どうですか大臣、当時はそれほど無責任な逓信省でしたか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 正式のものはございませんけれども、あるいは参考資料程度のものはあったかとも思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 参考程度というものはあったにしても、私がまず聞きたいのは、終戦直後の混乱をいたしておりましたときに、外地の逓信省関係の将来残務整理をするのは当然逓信省の責任ではないか。このことをさきに聞いておるわけであります。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 その当時は混乱状態でございまして、われわれの方で直接やったものは整理してございますが、朝鮮の方はわれわれの方で直接関係しておりません。そこで出てきた資料というか、いろいろなものを集めまして参考程度のものはあると思いますけれども、正式にわれわれの方でちゃんとやっていたものでございませんから、責任を持ちましてここで幾らというととは申し上げかねる次第でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 当時それじゃ朝鮮の簡易生命保険と郵便年金は、どの法律においてやられておったのですか。

田中鎭雄郵政事務官(簡易保険局長)

○田中(鎭)政府委員 朝鮮総督府の制令でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 その朝鮮総督府の制令は、日本の簡易生命保険と郵便年金法に関連をしてほとんど似かよったものが出されておったんじゃないですか。

田中鎭雄郵政事務官(簡易保険局長)

○田中(鎭)政府委員 おそらくこちらのものにならってやったものと思われます。

森本靖日本社会党

○森本委員 おそらくでなしに、これは事実日本の法律に基づいて、それを朝鮮総督府の当時の制令ですか、そういうものに委任をしてやったわけであります。だから、結局ああいう形になると、最終的にこの混乱をしたものの残務整理を行なうものは日本の逓信省がその責任を持たなければならぬ、こういうことに当時なっておったわけであります。日本の逓信省が残務整理をする以外に、するところの官庁はないわけであります。だから正式な資料があるなしにかかわらず、逓信省としては極力資料を収集して、将来これを解決をつけるというときにはその参考資料としなければならぬわけであります。なるほど韓国人も北鮮人もおったにいたしましても、現実の問題としてその中には日本人も相当おるわけであります。たとえば簡易保険にいたしましても、その中には相当の在留邦人の数字が出てくるわけでありますから、当然日本国民に対する任務として、私は郵政省が、その当時の逓信省がその資料を収集する義務があると思いますが、その点はどうですか。

田中鎭雄郵政事務官(簡易保険局長)

○田中(鎭)政府委員 実際向こうに、こちらで勤務しておった人が多数に出ておって仕事をやっておったということはございますが、法令の観点から申し上げますと、全く逓信省とは独立して向こうは業務を管理しておったわけでございます。終戦処理と申しますか、そういうものも全く異なった立場で行なわれたわけでございます。ただ個人的の人間関係におきますと、こちらから行った人が多数おった、こういうことは事実でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そうすると、朝鮮の日本人としての簡易生命保険なり郵便年金の加入者は、一体日本政府のどこへこういう苦情を持ち込んでいったらいいんですか。

田中鎭雄郵政事務官(簡易保険局長)

○田中(鎭)政府委員 それは設置法上外務省でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、外務省は終戦の直後そういう残務整理を行なう問題について完全に資料を収集する仕事をしたわけですか、外務大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 終戦後外務省がどのようにいたしたかということにつきましては、私はよく承知いたしておりませんので、取り調べまして、後刻お答えいたします。

森本靖日本社会党

○森本委員 取り調べまして答弁しておったのではおくれるので、だれかその関係の政府委員がおると思いますので、一つすぐ聞いてみて下さい。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 終戦の当時、昭和二十一年の勅令第五十五号によりまして、内務省官制が改正されまして、臨時に樺太、朝鮮、台湾に関する事務等は一応外務大臣が管理するということになったわけでございます。それに基づきまして残務整理事務所というのが外務省に各地域ごとに置かれたのでありますが、人的その他の関係もありまして、主として旧植民地官庁所属の引揚者等の身分的の保護をやるのがやっとのことというのが実情でございます。お尋ねの簡易保険関係の資料等につきましては、当時引き揚げのときの資料携行禁止等のために、残務整理事務所の方にもほとんど資料が入っていないというのが実情でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、外務省としてはこの簡易生命保険と郵便年金の金額については全然つかんでいない、こういうことですか。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 その通りでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そうすると、郵政省からも、その参考の金額についてもつかんでいない、こういうことですか。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 外務省としては、残務整理事務所では全然そういう資料を受け取っておらないわけでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、郵政省にお聞きいたしますが、郵政省から外務省に対してはその参考資料なりメモというものを提示したことはないわけですか。

田中鎭雄郵政事務官(簡易保険局長)

○田中(鎭)政府委員 郵政省から提示したということはございません。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと外務大臣に聞きますが、先ほどの請求権の内訳として、韓国からある程度の金額を提示して要求したということはありますか。一体あなた方はどういう数字を目標にして韓国と日本が、その数字が正しい、正しくないということをやっておるのですか。何か一つの基礎数字がなければ全然できないと思うのですが、何にもなしに高い、低い、高い、低い言うてやっておるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私はその数字の出所を一々確かめておりませんけれども、請求八項目につきまして、それに見合った数字を各方面からちょうだいいたしまして、日本側として、こういう前提に立てばこれぐらいの金額になるというような試算はいろいろ工夫してやった経緯がございます。そしてその過程におきまして、先方との話し合いで、先方の考え方はこういう推定の方法だとか、こういう区別の仕方だとかいうことが記録に残っておるわけでございまして、従って、今お尋ねのどういう数字をどこからちょうだいしたかということにつきましては、私は一々伺っていないのでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 一々伺っていないけれども、そうすると、外務省がその簡易生命保険と郵便年金についての数字を一応入手しておるということは、郵政省側からですか、どっかからかもらわねばないはずであります。なかったら、何にもなしで、韓国と高い、低い、とこうやっている、こういうことになる。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 各方面からの御協力を得まして、一応の数字を把握した上で、その根拠、推定方法等を検討中であったわけでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 各方面というのはわかりましたから、その中のここの八項目の中にある二項目の簡易生命保険と郵便年金の数字というものは郵政省から参考資料としてもらったのかどうか、こういうことを聞いておるわけです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほども申しましたように、どこからちょうだいしたかということは、必要であれば調べますけれども、私は今どこからその数字をとったかということを確認いたしていないわけでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 それは大事なことであります。今郵政省に聞いたら知らぬ、存ぜぬ、一切知りませんと、こう言うから、外務省が持っているところの数字は、どっから得たかということを聞いておるわけであります。大事なことでありますから調べて下さい。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 さっき郵政省側からお答えがございましたように、郵政省として公式に出せる数字はなかったのであります。当時外務省といたしましては、個人的に引き揚げてこられた方からの記憶とか、あるいはメモ等を集めましてやりましたので、非常に根拠の薄弱——というのは語弊がありますが、絶対の自信を持って出せるような数字ができなかったわけであります。

森本靖日本社会党

○森本委員 その絶対自信のある数字は出なかったけれども、一応の数字はあった、局長こういうことですか。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 向こうとやり合うための一応の数字はもちろん試算をしたのであります。

森本靖日本社会党

○森本委員 その一応の数字というものの簡易生命保険と郵便年金の数字はどの程度ですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 それは先ほど申しましたように、できるだけ早く本委員会に出すようにいたします。交渉の経過を見まして。そう考えております。

森本靖日本社会党

○森本委員 これは一応郵政省から非公式にせよ発表を見たような形になっているのですよ、数字は。言ってみますと、簡易生命保険が保険金にして約二十億五百万円、それから郵便年金が件数が一万三百件でありますけれども、これの金額が具体的にわかってない。こういうことでありまして、今の二十億五百万円の金額の中で、誤解があったらいけませんが、要するに一億八千万円程度が日本人、十八億円程度が朝鮮人、こういう形に数字が具体的になっておるわけでありますが、今私が申し上げました数字ですか、今あなたがつかんでいるという数字は。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 郵政省では発表しておりませんです。  それから先ほどの引き揚げ日本人に払いました金でございますが、こまかい数字がわかりましたからお知らせいたします。昭和二十年十月から三十六年三月までに、引き揚げ日本人に支払いました額は、利息を含めて九億七千四百三十万千五百四十円ということでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 だから郵政省が公式に発表したということを言っておらぬ、発表したような格好になっておるということを言っておるわけです。だから、その数字が今外務省がつかんでいる数字であるかどうであるか。私が調査したところによると、その数字であるから、その数字が正確かどうか、こういうことを聞いておる。外務省がつかんでいる数字が今の私の数字と合っているかどうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いずれ本委員会に資料を出しますから、そのときに御照会をいただきたいと思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 それからこの郵便貯金の問題でありますが、そういたしますと、これがかりに請求権の問題でどんぶり勘定のような形になって請求権を放棄するというような形になった場合、そういう形になった場合に、これは国内法規を改正するつもりですか、外務大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 一切の懸案を片づけて、あとにもんちゃくを残さぬようにいたしたいと思うのでございます。ただ、今御指摘のように、国と国との間に約束ができましても、個人の請求権が残るではないか、それは裁判所に出てきた場合にどうするかという問題が理論上あり得るわけでございます。その場合、私どもの念願といたしましてはあとに問題を残さぬようにいたしたい。従って、要すれば国内立法のことも考えなければならぬのじゃないかと思いますが、しかし、ただいま、まだそういうことを具体的に考える段階まで参っていませんので、すべての懸案が解決がついて協定をつくるという段階において、今御指摘のようなことは考えなければならぬ場合があろうかと思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 ならぬ場合があろうかと思いますというよりも、やはりこれは現在の郵便貯金法、それから日本の民法、憲法上からいっても、そういうどんぶり勘定でやりましても、個人としての郵便貯金の請求権というものは依然としてあると思います。これは当然国内法の改正をやらなければ、個人の請求権を抹殺するわけにはいかぬわけであります。だから、おそらくこの国内法規を改正するという方向になるであろう、というよりもなると思いますが、どうですか。そうしなかったら、郵便貯金については個人の請求権に残るわけですよ。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そういう必要が起こるのではないかと今考えておりますけれども、具体的に国内立法の構想につきまして、まだ討議をしていないわけでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 しかし、これは一応どんぶり勘定にしても、そういうことで請求権を放棄するという形のことを考えていくとするならば、同時にそういう法律の改正についても具体的に考えていかなければならぬわけであります。そうなって参りますと、やはり郵便貯金法なり民法なり、ある程度そういう面の問題を考慮していかなければならぬ、こう思いますが、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 国内立法の必要が生ずるのではないかと思っています。

森本靖日本社会党

○森本委員 そこでお聞きしたいと思いますことは、もし韓国人の請求権を一応条約上放棄をしたということになって、さらに国内法規を改正するということになると、そこで一応の個人の請求権という形もなくなるわけでありますが、その場合、かりに北鮮の人が、日本の国内法規によって、債務不履行という形において日本の裁判所に訴え出る、こういうことになった場合はどうなるのですか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 日韓会談が片づきました際にそれを国内的にどう完全に処理するかという問題は、ただいま外務大臣の答えられましたように、慎重に、かつ遺漏のないようにしなければいけないのでございます。ただいま御指摘のような朝鮮における地域別の問題、これも含めまして、今後その段階までに十分検討して遺漏のないようにしたいと考えております。

森本靖日本社会党

○森本委員 その段階にならなくても、現在でも、北鮮の人が、日本の郵便貯金法あるいは民法に基づいて郵便貯金を戻してくれという損害賠償の要求を日本の裁判所に訴え出てきたときに、これを支払わなければならぬ、こういう形になると思う。その場合に、韓国は片がついたといたしましても、北鮮の方をどうするか、こういうことを聞いておるわけであります。慎重に検討しなければわからぬというような答弁ではどうもならぬですよ。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 われわれ行政府といたしましては、裁判所に干渉はできないわけでございまして、従って、あとで一切問題が起こらないようにいたしますためには、あなたも御指摘になったように、国内立法措置を講じておかないと、そういう問題が将来起こり得ると思うわけでございますが、国内立法がまだ行なわれていない段階におきまして、裁判所がどうするかということにつきましては、行政府として何とも申し上げられません。

森本靖日本社会党

○森本委員 裁判所がどうするか、これは損害賠償の請求権が当然債務不履行としてあるわけでありますから、これは負けるわけでありますよ。そこで、そうなった場合に、一応韓国の方は解決がつくとしても、北鮮の方をどう考えているか、こういうことを聞いているわけであります。だから、そういう点については検討するけれども、北鮮については今のところこういうふうに考えているとか、こういうようにやろうと思っている、こういう回答をしていただかなければ答弁にならぬわけですよ。それがどうなる。こうなるということについては一応検討しなければわからぬにしても、こういうふうになるであろう、こういうようにしたいという考え方はなければならぬはずであります。一応韓国の方については、この条約で請求権を、どんぶり勘定にしてもとにかく放棄するという形になりますから、それに応じて国内法規を改正して、いわゆる損害賠償と債務不履行の請求権がないような形になります。ところが、北鮮は依然として残る。その場合に、北鮮に対してはどういう処置をとるのかということも同時に考えていかなければならぬ、こういうことを聞いているわけであります。そのときに一体日本政府としてはどういう考え方を持っているのか。これをただいま検討中では——検討をしておるのはどういうふうに検討するのか、こういうことなんであります。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 今日韓の間のいろいろな懸案の解決ということを考えているわけでございまして、その他日韓間に関する限り将来もんちゃくが起こらないようにしなければならぬ。要すれば、国内立法も考えねばなるまい。協定を現実に締結する場合におきまして、御指摘のような配慮が要るものと思います。北鮮につきましては、今の日韓の間の問題と別でございまして、たびたび本委員会でも御返事申し上げました通り、北鮮につきましては目下白紙でおるということでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、目下白紙でおるけれども、かりに韓国との間においては、今あなたが言ったような形において解決がついたにしても、北鮮の人々がこういう形で国内法に基づいて貯金の損害賠償を要求してきたときに、日本政府としては支払う、こういう義務ができてくるわけですね。支払っていくわけですね。それでは、これは郵便貯金法にもちゃんと支払わなければならぬということになっているわけですから支払っていく、こういうことになるわけですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 裁判所に現実にその訴訟が提起されましたならば、これは裁判所の管轄の問題になると思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 裁判所の管轄になることは、それは明らかに——そんなこと答弁しなくても……。ただ、しかし、これは裁判をしなくても、債務不履行としての要件が完備しているわけでありますから、そうすると、損害賠償の請求権が当然あるわけであります、今の法律においても。たまたまそれが裁判にならなければということになるわけでありますけれども、そうなった場合に、北鮮の人々には、韓国との会談が関連をして、韓国との条約ができても、北鮮の方からそういう要求があれば北鮮の人々に支払っていく、こういうことになるかどうかということを聞いているわけです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 これは裁判所の問題であると思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 裁判所の問題というのはこちらが教えてやったみたような格好になるわけでありますが、だから裁判所との問題があるので、いわゆる国内法規を関連して改正しなければならぬということを言っているわけでしょう、外務大臣は。だから、関連をして国内法規を改正するわけでありますから、韓国との問題は解決がつく。解決がつくけれども、北鮮の方は、この国内法規の改正のときに、支払いもせずにこれを解決をつけることはできないから解決がつかない。その場合に、北鮮の人の郵便貯金の問題の解決のつけ方をどうするか、こういうことを聞いているわけであります。裁判にならなければわかりませんというような、そんなごまかしの答弁ではだめです。あなたは先ほど、そういう点については国内法規も改正しなければならぬということになるであろう、だから、条約をやるときには国内法規も改正したい、こう言っているわけです。しかし、国内法規を改正しても、これは韓国の国民だけであって、北鮮には及ばぬわけであります。だから、その場合に北鮮に及ぶように国内法規を改正するとするならば、金も支払わぬで改正をする、こういうことになるわけであります。だから、いずれを選ぶか、こういうことを聞いておるわけであります。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私が申し上げているのは、今日韓の間の問題をどう解決するかということでございまして、北鮮につきましては白紙だと私は申し上げたわけです。北鮮政権とは国交を持っておりませんし、相談のしようもないわけでございます。従って、事実上そういう事態は起こらぬと思いますけれども、あなたが言われたように、郵便貯金の預金者が賠償を請求されるということが起こるとすれば、これは結局裁判所の問題にしかならない、裁判所がどう取り上げるかということは行政府として命令するわけにいかぬ、こういう立場だろうと思うのです。

森本靖日本社会党

○森本委員 いや、そういうことでなしに、外務大臣、話をはぐらかさずによく聞いてもらいたいのですが、私が先ほど聞いたときには、請求権をこの条約において放棄をするということによって、一応その請求権の問題が片がつく。しかし、個人の請求権の問題については、それのみでは解決がつかないから、国内法規も改正するということを検討していかなければならぬ。だから国内法規も改正する方向にいこう、こういうことであります。その場合に、北鮮の方はその国内法規の改正でやられるかどうか。これは当然国内法規でその北鮮の問題についてはやられぬわけであります。だから北鮮の方の人が郵便貯金の請求をしてきた場合に、支払わなければならぬ義務が出てくるかどうか、こう聞いておるわけであります。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 今のお尋ねの点でございますが、国内法規をつくる際に、一応今の考えとしては、もちろん今度の日韓会談は韓国が相手でありますから、韓国の管轄の及ばない事項については変える必要はないと言いますか、国内立法も今のところは考えなくてもいいのじゃないかと思っております。その場合に、たとえば北の方の人に対してそれが及ばないから、その人たちが国内の裁判所に訴えた場合にどうなるかというお尋ねでございますが、これは先ほど外務大臣も言われましたように、全くまだきめてないわけでございます。その意味では現在と同じでございまして、その方々がかりに訴えた場合に、裁判所が補償すべしという判断を下されるかどうか、もちろんこれは裁判所の問題になるわけでございます。しかし北朝鮮の分は、もし国内法で何もきめません場合には、現在と同じ状態にある、かようなことであります。

森本靖日本社会党

○森本委員 私が聞いておるのは、韓国の場合でも、要するに請求権を放棄したというかわりに、それでは個人の請求権が消滅をしないから国内法規を改正しなければならぬ、こういうことになって国内法規の改正についても検討する。こういうことでありますから、一応その場合には、韓国の場合は事が済むわけであります。しかし、北鮮の場合はそれで済まぬから、北鮮の場合は、そういうことであっても請求してきた場合には、日本政府は支払う、こういうことになるのかどうか、それを聞いておるわけです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほど申しましたように、対北鮮関係ではただいま白紙の状態でおるということでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 北鮮の場合は白紙であるということでありますけれども、そういたしますと、北鮮の場合でも、北鮮の貯金を持っておる人が日本政府に対して要求をしたら、これを日本政府としては払わなければならぬ、こういう格好になるわけですね。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 日本政府といたしましては、北鮮との間の請求権はまだ未解決でございます。従って、解決するまでは支払いはお断わりする、今通りのことでいくわけであります。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、お聞きしたいと思いますが、北鮮の人が当時の郵便貯金の通帳を日本に持ってきて、そうしてそれを日本政府に要求したら、その場合どうなるのですか。

金澤平藏郵政事務官(貯金局長)

○金澤政府委員 ただいまのお尋ねは、北鮮の方が郵便貯金通帳を日本に持ってきて、それを日本で払うことができるかどうかという問題でございますが、為替管理法の関係でその通帳は日本に持ち込めないのではないかと思いますが……。   〔「そんなことを聞いておるのじゃ   ないのだ、何を聞いておるか」と   呼び、その他発言する者多し〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 お静かに願います。

森本靖日本社会党

○森本委員 ちょっとお聞きしますが、それは為替管理法において持ち込めないと言いますけれども、終戦直後日本人と向こうの韓国人が来たときには、韓国人であろうと日本人であろうと貯金を引いておるはずでありますが、どうでありますか。

金澤平藏郵政事務官(貯金局長)

○金澤政府委員 ただいまの私の答弁がいささか早のみ込みの点がございました。貯金法は属地法でございますから、その場合に今の御質問は、正式に帳面を持ってきている、こういうお話だと思いまして、その場合には、属地法でございますので、国籍を問わず利用関係はございますので、その場合には払えると思います。

木原津與志日本社会党

○木原委員 関連。今の質疑を聞いておりますと、さきの横路議員に対する総理の答弁と、外務大臣並びに郵政関係の政府委員の答弁とが食い違っております。総理は、請求権の問題が経済協力によって解決をしても個人的な請求権はなお残るのだ、こういうことをはっきり言っている。にもかかわらず、今外務大臣並びに条約局長の答弁によれば、総理が個人の請求権は残っておると言うのに、今の外務大臣やあるいは外務省の政府委員の答弁では、残らない、完全に解決してしまうのだ、こういうことを言っておられる。だから政府の答弁の食い違いがある。北鮮でも韓国でも条理は同じことです。だからその点についていま一回はっきりした答弁を求めたい。少なくとも総理大臣の答弁と違う。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私どもの基本的な考え方といたしまして、日韓の間の一切の問題、懸案を解決してあとにもんちゃくが起こらないようにしよう、こういう基本的な態度で臨んでおるわけでございます。そうして公私の一切の債権債務の関係がないという状態に持っていきたいわけでございます。ところが再三の御質問で個人の請求権が理論上残るじゃないかということでございました。従いまして、これについては、森本さんも御指摘された通り、私どももあわせて国内立法措置を講じなければいけないのじゃないかという感じがするのでございますが、どういう立法にするかというようなことまでまだ考えが及んでおりませんけれども、そういう方法によって一切の問題をなくしよう、こういうような方向で考えておるわけでございます。  今、木原さんが御指摘の北鮮の問題でございますが、北鮮という地域に公私の請求権が相互にあるわけでございまして、その問題は今回は白紙で臨んでおるのでございます。こういうわけでございまして、北鮮の当局と今われわれは話し合う立場にございませんので、これは未解決のまま残る、こういう趣旨を総理も言われたと思うのです。

木原津與志日本社会党

○木原委員 総理と外務大臣の答弁は違うのだ。韓国の——北鮮はもう抜きます。韓国の問題でも、請求権の問題が解決しても個人の損害賠償の請求権だとか個人の債権はそのまま残るのだ、そう総理は答弁された。今のあなたの答弁と違うじゃないですか。その点どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 両国政府が協定を結びまして、公私の一切の請求権はなくなったという確認をし合おうという考え方でいっておるわけでございます。しかし、両国政府が国民の持っておる原権をどこまで縛れるかという問題は理論上あり得るわけでございまして、従って、一切のもんちゃくが起こらぬようにするためには、日本では国内立法が要るのではないかというように考えておるということを言っているのです。

木原津與志日本社会党

○木原委員 それなら、韓国との請求権の問題が解決したにもかかわらず、韓国の国民が、郵便貯金あるいはその他の債権を持っている人が日本に来て、そしてその債権に基づいて支払いを請求した場合はどうする。払わなければならぬでしょう。(「払わぬでいいよ、国内法で払わぬようにするんだよ」と呼ぶ者あり)国内法といっても、韓国の国内法はどうしようと、日本に持ってきたら通用しないんだ。だから、それは当然支払わなければならぬという、その意味が、総理大臣が先般答えられた個人の請求権はなお依然として残るのだ、こういう説明をされた、それが当然なんだ。そうでなければならない。個人の損害賠償、請求権ないしは債権を国家が放棄することができますか、できるわけはない。他人の権利を放棄するというような理論は、法理論上どこにもない。その点どうです。   〔発言する者あり〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 御静粛に願います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほど私が申し上げました通り、一切の公私の債権債務の関係は片づいたということにしようじゃないかということでございますが、今木原さんがおっしゃる通り、理論的にはそういう個人の原権というものはどこまで政府で縛れるかという問題が起こると思うのです。実際上はただいまでもそういうケースはないのでございますけれども、理論上は起こり得る場合がありますから、問題を一切残さぬようにするためには、裁判所に政府が圧力をかけるわけにいきませんから、やはり立法手続が要るのじゃないかという感じがします。

木原津與志日本社会党

○木原委員 残るんだという答弁を得ましたから、私は終ります。

森本靖日本社会党

○森本委員 そこで、先ほど来私が聞いておりますのは、残る、残るから国内法規を改正するんだということを外務大臣は先ほど来言っておる。そこで、その問題で一応韓国の郵便貯金の問題については解決がつくけれども、北鮮の方はそれでも解決がつかない。北鮮の郵便貯金については、だから請求された場合には支払わなければならぬだろう、こういうことを聞いておるわけです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 北鮮当局とは今話し合う立場にないわけでございますので、白紙の状態でおりますということを申し上げたのです。それで、北鮮地域の住民が対日債権を持っておる、あるいは日本側も先方に対する請求権を持っておるという状態が今日続いておるわけでございまして、これを解決する手順が今ないわけでございますので、今白紙の状態でございますということでございまして、今森本さんがおっしゃったケースも、先ほどから御答弁申し上げておる通り、現状と変わりがないということでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そうすると現状においても、北鮮の人がかりに日本の郵便貯金通帳を持ってきて日本政府に請求したら請求権がある、こういうことになるわけですか、こういうことを聞いておるのです。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 ただいまの問題でございますが、先ほど郵政当局からも御答弁がありましたが、要するに地域によってきめておるわけでございます。従って、朝鮮の方が正規に日本に入られて日本の住民であるということであれば、これは在日朝鮮人ということになるのです。その際に、しかし現在では為替管理法がございますから、郵便通帳を勝手には持って入れないわけでございます。しかしながら、前からいる北鮮系の朝鮮人の方、これは在日朝鮮人、従って平和条約四条とも関係がない、この方々には当然これは払うわけでございます。しかしながら、北鮮にいる朝鮮の方、あるいは韓国にいる朝鮮の人、これは平和条約四条でカバーされておるわけでございまして、この方々の請求権は四条で解決しなければならぬ。まだ未解決でございます。従って、これに対しては、たとえば北鮮にある方が日本に対して自分の持っている通帳で支払ってくれということを窓口へ要求されても、これはお断わりする、こういうことになっておるわけであります。

森本靖日本社会党

○森本委員 そうすると、日本政府に対して北鮮の人がそういうことで窓口へ支払ってくれと要求をした場合、それを断わるというのはどの条項になるわけですか。平和条約の第四条のどこですか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 これは平和条約第四条を根拠といたしまして、郵政当局からそういう通達を出してあるわけでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 平和条約四条は、どの条項でその通達を出しておるのですか。その四条を、その通達事項の関連するところを読んでみて下さい。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 平和条約第四条は、日本から分離いたします地域についての政府及び国民の請求権はお互いに相互に取りきめを結ぶ、こういう規定でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、その場合に、これはもうすべてのその条約条項というものは日本の国内法規に優先をして一切差しとめる、こういうことになるわけですか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 憲法の条規によりまして、有効に成立いたしました条約は、あらゆる国家機関がこれを誠実に順守しなければならないことになっておるのでございまして、少なくとも法律と同等の効力があるという考えでおります。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、先ほど言いましたように、韓国との間において一応の条約ができて、それから個人的の問題も解決をする。そういうことになった場合に、北鮮側は現在のままの状態でそのまま据え置く、こういうことになるわけですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 現在のままでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういたしますと、かりにこの郵便貯金の貯金通帳について、北鮮側の人が日本に終戦のときからそのまま持っておったという場合にはどうなるのですか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 北鮮の人が終戦のときからずっと日本におられて貯金通帳を持っておられる、これは先ほどの地域性から申しましても、あるいは平和条約から申しましても、このいわゆる四条には関係がないわけでございまして、日本におる人として支払いが行なわれる、こういうことでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 この郵便貯金の問題に関連をいたしましては、まだ相当政府間の間でもちょっとちぐはぐな点がありますが、一応、時間がありませんので、次の問題に移りたいと思います。  次の問題として、韓国に非常に関係のありますことは、釜山と日本との間における海底ケーブルの問題であります。これについては一応平和条約が発効するときに解決をつける、こういうことになっておるわけでありますが、この問題について、現在この日韓海底ケーブルというものの所有は一体どこになっておるか、お聞きしたい、こう思うわけです。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 これは現在電電公社のものになっております。

森本靖日本社会党

○森本委員 これは将来韓国との会談が妥結をするというときにはどうなるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 平和条約四条に基づきまして、日本と韓国とで折半というような原則が示されておりまして、どの地点を中間と見るかという起点のとり方に日韓双方に見解の相違がございまして、まだきまっていないわけでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 日韓双方の間において起点のとり方が違うというのはどういう意味ですか。要するに、このケーブルというものは福岡から壱岐、対馬を通って釜山にいっておるわけであります。われわれとしては、平和条約の関連からいきますと、対馬と釜山の中間で折半だと考えておるわけであります。それを韓国が言っておるのは、要するに福岡と釜山との間というようなことを言っておると思いますが、これは、福岡から壱岐、対馬を通る海底ケーブルは当然日本の領土内を通っているわけでありますから、これは問題にならぬ。平和条約にいうところの折半というのは当然対島と釜山との間を折半するものである、こう解釈するのが当然であるし、これを韓国がとやかくいう筋合いのものではないと考えておるわけでありますが、どうですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 対馬を通りまして釜山へ上がっている海底ケーブルにつきましては、対馬と釜山間を折半したい、そういうふうな、今森木さんのおっしゃたような趣旨で解決したいと思っております。

森本靖日本社会党

○森本委員 そういう趣旨で解決をつけるということはいいですが、韓国側の言い分はどうなんですか。今の外務大臣の答弁ですと、折半するところが違うような韓国の言い分だと、こういうことを聞いたので心配になるから聞いておるわけです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私が伺っておるところでは、施設がある地点、すなわち、こちらは九州、先方は釜山でございますが、施設が所在する地点を起点にして先方は考えておるようであります。しかし今小沢郵政大臣からお答えの通り、この海底ケーブルは一度対馬に上がっておりまして、日本の領土を通過して韓国とつないでおるわけでございますので、日本側といたしましては、今小沢さんが御答弁申し上げた趣旨で当たっているわけです。

森本靖日本社会党

○森本委員 これこそ軟弱外交とかなんとか言われなくして——筋が通っておるのは日本側の言うことがちゃんと筋が通っておるわけであって、韓国が言っておるように福岡と釜山間を折半するなんということは、およそ条約からしても噴飯ものであるし、韓国の言い分についてはほとんどまじめに取り上げる余地はないと思う。だからその点は本委員会においても郵政大臣がはっきりしておるように、やはり対馬と釜山間で折半するという基本方針ははっきりしておいてもらいたいと思うわけであります。  ただ、ここで問題になるのは、日本の国内法規においては、海外通信というものはすべて国際電信電話株式会社が行なうことになっておるわけでありまして、日本電信電話公社というものは国内通信を取り扱うということになっておるにもかかわらず、これが日本電信電話公社の未整理財産として終戦以来ずっと電電公社が整理をしておるわけであります。ところが、本来ならばすでにこの財産は、対馬から釜山までの間は国際電信電話株式会社に日本電信電話公社が移行しなければならぬことであります。平和条約ができる前にすでにそういう解決をつけておかなければならぬわけであります。というのは、そういうことでないとするならば、少なくとも、幾ら韓国を独立国として認める認めるということを日本が言っても、日本の電気通信関係から見ると、依然として韓国は属国になっておる、こういう形になっておるわけであります。これは私がすでに何回も、大蔵大臣が郵政大臣の時分から、そういう手続をとれと言っておるにかかわらず、そういうことをすぐやらなければなりません、すぐやらなければなりませんと言いながら、ちっともやらない。(「話がつかぬ」と呼ぶ者あり)話をつける必要はないのだ、日本の中で話をつければいいのだから。韓国と取引をする必要はないわけであって、日本政府内において電電公社の財産というものを国際電電の財産に移管をすればそれでいいわけです。そういう手続をとるのが正しいのです。にもかかわらず、これを要するに日本電信電話公社の未整理財産としていつまでも置いておく、これが平和条約が発効してやられたときに解決をつける。そういうことでなしに、現実の問題として今直ちに国際電電の財産に移管をするという、まず国内的な手続をとっておくべきである。こう考えるのですが、その点どうですか、郵政大臣。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 これは、ただいま日韓間でケーブルの問題が起きております。そのケーブルの問題の帰属がつきましてから解決したい、そういうふうに考えておる次第であります。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 森本君、森本君に申し上げますが、お約束の時間が経過いたしましたので、結論をお急ぎ願いたいと思います。

森本靖日本社会党

○森本委員 平和条約が結ばれましてから云々ということを言いますけれども、日本の国内法規では、海外通信というものは国際電電が取り扱うことになっておるわけであります。だから、海外通信を行なうところの財産についても、これは国際電電に移管をするのが当然であります。これは私がすでに今回も指摘をしておって、その通りでありますということを歴代の郵政大臣は答弁をしてきておるわけであります。だから、平和条約が解決つかなくとも、国際電電にこれを移管する方法はあるわけであります。だから、なぜこれを国際電電に移管をしないか、こういうことを言っておるわけであります。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 ただいまこのケーブルは、国際通信の用に供していないわけでございまして、結局帰属が明らかになりましたら解決をしたい、そういうふうに考えておる次第でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 これが国際通信の用にどうして供していませんか。これは韓国と日本との間の通信を、日本側はやっておりませんけれども、駐留軍は韓国との通信を現にやっておるわけであります。それなら韓国は外国じゃないですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 日本と韓国との間では無線でやっておりますので、その帰属が明らかになってから、これを解決しようという考えでございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 日本と韓国とはこの海底ケーブルを使って通信をやっておりませんか。無線でやっておるということですが、この海底ケーブルを使って通信をやっておりませんか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 一般通信といたしましては、無線でやっておる次第でございます。

森本靖日本社会党

○森本委員 一般通信はやっておらぬけれども、アメリカ軍が韓国との通信をやっておるのでしょう。アメリカ軍が日本と韓国との間の通信をやっておるでしょう。

淺野賢澄郵政事務官(電気通信監理官)

○淺野政府委員 ただいまおっしゃいましたように、国連軍としての米軍は通信いたしておりますが、民間通信といたしましては、ただいま大臣が申し上げましたように、短波で十分に足りております。

森本靖日本社会党

○森本委員 公衆通信は日本はやってないけれども、いわゆる駐留軍が、日本と韓国との間の通信はやっておるんじゃないかということを聞いておるのです。やっておるのでしょう。

淺野賢澄郵政事務官(電気通信監理官)

○淺野政府委員 韓国との間の商用通信は無線でやっております。ケーブルは使っておりません。

森本靖日本社会党

○森本委員 だから私が聞いておるのは、何回も言っておるように、韓国との間の商業通信はやっておらぬけれども、要するに韓国と日本との間において駐留軍がこれを使用してやっておるんじゃないか、こういうことを聞いておるわけであります。だからこれを具体的に言うとするならば、そういうふうに韓国と通信をやっておるとするならば、これは国際電電に移管をして、国際電電と駐留軍が協定をして行なうべきである。それをいまだに電電公社と駐留軍が協定をしてやっておるということが不都合なやり方である。何ぼ駐留軍の通信であっても、これは海外通信にかわりはない。だからそのことを聞いておるわけであります。どうですか。

淺野賢澄郵政事務官(電気通信監理官)

○淺野政府委員 国連軍としての米軍に地位協定によって専用線として貸与しておるだけであります。商用としては使っておりませんし、使う必要はございません。

森本靖日本社会党

○森本委員 だから国連軍として貸与しておるということは、さっきから何べんも聞いておるじゃないか。質問をよく聞け。そんなわかり切った答弁をするな。そのことはさっきから聞いておるじゃないか。ただ、商業通信というものはそういうことでやっておるけれども、国連軍が依然として韓国と日本との間の通信に使っておるじゃないかということを言っておるんだ。だから本来ならば、これは国際電電に移管をして、国際電電と駐留軍が協定を結ぶべきじゃないか。それを電電公社と協定を結ぶということは、やり方が間違っておるじゃないかということを聞いておるわけなんだ。私の言うことがほんとうでしょうが。本来ならば、これを国際電電に移管して、国際電電と駐留軍が協定をして、それから駐留軍は国際電電に料金を支払うべきである。こういうやり方をするのが日本の国内法から見て正しいだろう、こういうことを言っているわけなんだ。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 筋としては全く森本さんのおっしゃる通りでございますけれども、従来の経緯がございますので、日韓会談の妥結がつきましてから解決したい、そういうふうに考えておる次第でございます。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 再度御注意申し上げます。時間が経過いたしました。

森本靖日本社会党

○森本委員 筋はその通りということを言っておるならば、歴代の郵政大臣も、それをそういうようにやりたいと思いますということを言って、一つもやらないんだ。やらないから、なぜやらないか、早くやれ、こういうことを言っておるにもかかわらず、そういう事務的な手続がうるさいから——これは大蔵大臣が郵政大臣のときからの懸案事項だ。そのときも、大蔵大臣もやりましょうと言っておって、まだやっておらない。だから郵政大臣は、明らかに職務怠慢じゃないか、何をしておるのかということを言っておるわけでありまして、早急にその点については——今の情勢から見るとするならば、日韓会談がいつになってできるやら、はっきり言うと、さっぱりわからないのだ。日韓会談は、今の韓国の政治情勢からすると、来年になるか、再来年になるかさっぱりわからぬ。そういうふうな情勢下において、韓国との国交が回復をしたら云々ということよりも、今私が言ったように措置すべきじゃないか。それは韓国との条約が云々の問題を離れてやるべきじゃないか、こういうことを言っておるわけです。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○小沢国務大臣 われわれは日韓会談が間もなく妥結すると思いますし、その結果を見まして妥結したい、そういうふうに考えております。

森本靖日本社会党

○森本委員 それでは、間もなく妥結するというようなことを言いますけれども、間もなく妥結しなかったら郵政大臣、やめなさい。おそらく、間もなく妥結することにはならぬと思いますので、私が今言ったことについては、十分一つ考えておいてもらいたい。  まだあとにたくさん韓国関係の質問が残っておりますけれども、政府側の答弁の不手ぎわによって質問時間がなくなりましたので、一応私は信義を重んじてこの程度でおきます。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 北山愛郎君。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私は昨日の分科会に引き続きまして、税の問題を中心にお尋ねをしたいと思うのであります。というのは、私の質問の趣旨は、政府の失策を追及しようとか、そういうあげ足とりという意味じゃございませんで、何としても、国税、地方税というものは、財政の基本でありますが、ところが政府の予算の説明なりあるいはいろいろな資料を見ましても、税に関しては、まことに簡単な説明しかいたしておりませんので、国民がその実態についてさっぱりわかっておらないのであります。できるだけ明らかにしたいというのが私の趣旨でございますので、そういうことで一つ親切に御答弁を願いたいと思います。  きのうの分科会で明らかになりました第一の問題は、いわゆる資本蓄積とかあるいは産業保護というような名目で行なわれておりますところの租税特別措置、これが三十八年度は、地方税を入れまして三千百二億円と見込まれておりますが、今まで昭和三十年以来の分を計算しましても、国税でもって計算しますと、一兆円をこしておるわけであります。これはまた別に、それ以前の分も含めて、詳細な資料を出していただくように要求しておりますので、それを見てまた検討したいと思いますが、この三十年度以降の国税分、これが三十八年度まで含めますと、一兆円をこします。これに関連をして地方税の分は一体どの程度のことになっておるか。昭和三十八年度はもうわかっております。千百四億というようなことになっておりますからわかっておりますが、今までの以前の分は、大体どの程度になるのか。三十八年度の割合で参りますと、国税が二千億に対してその約半分でありますから、その割合でいくならば、国税の方が、今までの三十年度以降の累計が一兆円となれば、約五千億ですから、両方合わせれば一兆五千億です。昭和三十年度以降の租税特別措置の累計というものが一兆五千億にも上る、こう私は推定をするのですが、もしも詳細な資料がございましたら地方税についてお答えを願いたいのであります。

柴田護自治事務官(税務局長)

○柴田政府委員 詳細な資料は、今までのものを計算したものは現在ございません。ただおっしゃるように、大体平均して毎年五百億円ぐらいのものではないかと考えます。従って五千億というのは、少し大き目じゃないか、四千億前後じゃないか、こう考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 国税の方が一兆円というのに対して地方税は約四千億ですから、一兆四千億です。今まで一般減税について、政府はもうずっと引き続き減税をやってきた、こう言っております。その累計が一兆一千億といわれておりますが、それ以外にこのようないわゆる産業保護なり、いわゆる大企業なり、あるいは資産家階級に対する減税を、一兆四千億もやっておるのですよ。大体この事実は、大蔵大臣認めますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 こまかい数字は、政府委員をして答弁せしめますが、今自治省の政府委員から申し上げましたのは、四千億余は、地方税全部の減税が四千億でございます。私たちが申し上げております国税一兆一千億の減税の中で、所得税関係の分が約八千億ということを申し上げておるわけでございます。

村山達雄大蔵事務官(主税局長)

○村山政府委員 ただいま北山さんがおっしゃいました租税特別措置による減収額が、三十一年以来累積して、たとえば約一兆、こういたしますと、国税の減税の方は、例の一兆という数字ではなくて、この一兆という数字は、昭和二十五年以来減税いたしましたその減税額の単純合計が一兆一千億、こう言っておるわけでございます。従いまして、同じベースで合わせますと、三十八年度現在でこれが一体幾らになっておるか、こういう計算でございます。われわれの方で試算いたしますと、約二十八兆円位に国税だけでなっております。これが今先生のおっしゃいました一兆に見合う数字であろうと思います。すなわち、減税総額ということで全部累積いたしますと、一兆何千億というのは、二十五年以来今日まで約二十八兆の減税効果を持ったということになります。従いまして、その間残高でいうか、毎年の合計でいうか、そこのところの数字はちょっと違いますので、念のため申し上げておきます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 昨日伺ったのには、三十年以降の数字でございましたが、さらにそれ以前の分を含めまして、あらためて資料をいただきました上で検討したいと思うのであります。いずれにしましても相当莫大な、租税特別措置という、いわゆる政策減税というか、主として経済政策上の目的になる減税が行なわれておるわけであります。ところが、それ以外に、この租税特別措置の中に入っておらぬような特別な軽減措置が行なわれております。たとえば配当所得、株その他の有価証券の配当金に対する課税は、御承知のように税額控除、あとで総合になってから千万円までは一五%の税額控除をやっております。そういうふうな特別な措置が、今の減税、租税特別措置の中には計上されておらない。それは一体どの程度のものになるか、これをお伺いしたいのであります。個人分と法人分、別々にお伺いをしたいのであります。さらに、株を持っておる法人が受け取る配当に対しましては、これを利益に算入しないという措置がございますが、その分についても、どの程度のものになるか。三十八年度なり三十七年度で、配当所得に対する課税の税額控除が、あるいは益金不算入が、どの程度の数字になるか、これを明らかにしていただきたいのであります。

村山達雄大蔵事務官(主税局長)

○村山政府委員 まず配当控除あるいは配当益金不算入をなぜ特別措置にあげていないかという点を申し上げます。この点は、日本の税法では、これは特別の軽減措置とは考えておりません。配当に対する法人、個人を通ずる課税のあり方につきましては、世界各国いろいろな建前がございまして、必ずしも学説上帰一しておりません。完全に法人に課税したものを、かまわず個人に対してもそのまま課税していいという国もございます。大体ラテン系統の国はこのやり方でございます。これに反しまして、英国あたりは、法人に対する課税は即株主に対する課税だということで、その法人税の税金をグロス・アップいたしまして、そしてそのまま普通所得税の税金から引くやり方、これは完全排除のやり方でございます。これに対しまして、日本あるいはドイツのようなところは、いわば中間をいっておりまして、完全排除でもないけれども、ある程度の調整は必要である、そうでないと二重課税になるのだ。こういうやり方をとっているわけでございます。また、国によりましては、配当を全額損金にするやり方もございます。今日アメリカは、日本よりはややその二重課税についてはティミッドなやり方をしておりましたが、今度の提案ではこれを全部廃止しようとしております。いずれが正しい行き方であるかということについては、まだ研究途上でございまして、日本の税制におきましても、税制調査会の論議でやかましいところでございます。おっしゃいます点は、現在配当につきましては、御案内のように、大体個人の五五%あたりの上積み税率のところで法人と個人の税率を同じにしたいということからスタートしているわけでございまして、シャウプ勧告以来、その式がとられているわけでございます。そこで三十六年に、その点につきましては、一方において受け取り配当分の控除を減らすとともに、支払い配当分の税率を軽減したわけでございます。おっしゃるように、現在は一千万以下の分につきましては一五%の配当控除、これは三十六年以前におきましては、二〇%だったわけでございます。そのかわりに、四分の一圧縮したかわりに、法人税の配当に対する税率三八は二八にしておるわけでございます。しかし、基本税法として日本はそういう形をとっておりますが、この形が最終的に日本の恒久税法として、考え方は別にいたしまして、この形でいいかどうかについては疑念があるということで、先般の税制調査会では、とりあえずの措置としまして、租税特別措置法の中に規定しているわけでございます。そういう意味でございますので、なるほど現在のやり方は暫定的ではあるけれども、租税特別措置という性質のものではないというふうに日本の税法では解釈しているわけでございます。  それでどれくらいの金額になるかという点でございますが、法人の点はあとで調べて申し上げますが、配当所得、これは三十六年分で配当の控除人員税額控除の人員でございます。が、二十七万四千人、その税額百五十一億でございます。法人につきましては、法人統計の方から出ておりますので、後刻調べましてすぐお答え申し上げたいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 この問題は、いろいろな理論をおっしゃいましたけれども、結果的に見ると、きのうの分科会で大臣に申し上げた、要するに同じような五十万なり三十万なり百万なりの給与所得者と配当金の配当所得者を比べますと、片方は何万あるいは何十万という税を納めるのに、配当所得で、株を持って株の配当だけで生活しておる世帯は、地方税すらも均等割しか納めない、こういう不均衡が出てくるのだ。この原因はここにあるわけなんです。問題は、今の日本の税制が、いわゆる法人擬制説、法人というものは、ただ個人の集合体である、それ自身実体を持っておるのではないのだ、こういう考え方で、法人の法人税をとるということは、個人の所得の前取りだという考え方、もう一つは、法人実在説ということで、日本の今の税制というのは、どっちつかずのような格好になっておるわけなんです。私らから考えるならば、法人擬制説の、要するに資産家に、金持ち階級に都合のいい部分は、擬制説をとっておるというような感じがするわけなんです。たとえば法人擬制説をとるならば、個人に対して法人の利益が全部配当されなければならぬわけです。ところが、企業に対して、いわゆる留保所得——利益を留保します、あるいはまた株の配当と一般の利回りの関係でもって株が値上がりをします、そういうような有価証券の値上がりによる利益というものに対して、やはり課税をしなければならぬわけです。擬制資本というか、その値上がりした株を売った場合には、その譲渡所得に対して課税をしないと、法人擬制説が一貫して貫いていけないわけです。ところが、日本の場合は、有価証券の譲渡所得に対しては、これを非課税にしておるわけです。ですから、もう株を持っておる株主、有価証券を持っておる資産家階級が、法人擬制説のいいところだけをとっておる。しかも今日だれが見たって法人は擬制的なものだとは考えられない。少なくとも経済活動の上では、実体を持った、人格を持ったものですよ。おまけに政治献金までするんですから。あるいはいわゆる合併と称する結婚をする、恋愛をするんですから。そういうような実体、行為能力を持った法人の活動でありますから、私は、法人実在説が正しいと思っておるのですが、この点について大蔵大臣はどのような見解を持っておるか、お伺いしたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私も法人に対しては一つの人格を持つものであるという定義を持つものでありまして、後段における御発言に対しては、おおむねそのような考えでおります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 そうすると、法人段階で税をとって、そうして今の株主に対する配当所得の税額控除というのはおかしいし、また法人間の受け取り配当金、これに対して四分の三の益金不算入、益金にしないという措置はおかしい。いわゆる株主擁護なんだ。そういう結果になると思うが、どうでしょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 これは理論的なまた学説的な考え方と実際問題との間に、おのずから調和点を見出していかなければならないわけでございます。先ほどあなたは、会社とは株主の集合体、いわゆる個人の集合体であるから、ある意味においてはその利益はすべてを配当によって還元すべきであるというようなことを言われましたが、これは事業というもの、営業を継続的に続けておるのでありまして、税に対しても、国はその年度、税法に従って徴税をしておる。なおこれから継続的に課税対象として、利益のある場合は当然課税をするのでありますから、株主及び法人と両方合わせて、両方が課税の対象になっておるということでありまして、実際仕事を進めていき、事業を進めていくという社会的な一つの必要な形態としてあるのでありまして、現在の税法上の建前は実質的な面から見まして合理的なものであるというふうに考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 企画庁長官にお伺いしたいのですが、先ほど申し上げたように、企業の利益というのが全部配当金に分配をされないで、社内に留保されます。従ってそれが反映をして、株が、有価証券が上がるわけです。従って、正しく捕捉をする場合においては、いわゆるキャピタル・ゲインというか、有価証券の譲渡所得に対して、これを課税の対象にしないと、そこに非常な欠陥があると思う。その辺に対する長官の考え方をお伺いしたいのです。   〔委員長退席、青木委員長代理着   席〕

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 キャピタル・ゲインに課税をするかしないかということは各国で議論があり、また考え方も違っておるようでございまして、現にイギリスとアメリカでは本来同じような法体系をとりながら、全く違っておるわけでございます。つまりこれを課税しないという立場は、反復しないところの収入というものは課税の対象となる所得でないと考えるか、それはいわゆる一種のウインド・ホールであると考えてこれに課税しない立場と、たといいっとき限りの所得であっても、それ自身には当然担税力があるわけであるから課税をすべきだという考え方との分かれだと思っております。わが国の場合には、原則としてキャピタル・ゲインというものは、課税の対象になると税法は考えておると思うのでございますが、有価証券の場合には、ちょっと私非常に正確でない点があるかもしれませんが、年間に一定回数以上有価証券の売買をするという場合には、それが業である、二十ぺんとかなんとかいうことではなかったかと思いますが、業であるとして、それは事業による所得だというふうに考えておりますし、それ以下のものは、業ではないからキャピタル・ゲインがあっても課税をしない、そういう建前に立っておると思います。そういう建前に立つに至りましたのは、やはり相当大きな理由は、いわゆる戦後財閥解体に伴いまして有価証券が持株整理委員会等に集中をされて、それを広く国民に持たせよう、証券民主化と当時申したと思いますが、そういう観点から、政策的な考慮を含めて有価証券の譲渡利得に課税をしない、そういう建前が今日まで続いているものと思います。それは、従ってキャピタル・ゲインが課税の対象になるかならないかという議論とは別に、政策的な立場から、そういうことを今日まで行なっておるものではないかというふうに考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 実は終戦後における日本の税制というのは、例のシャウプ税制によって法人擬制説が徹底的にとられたわけです。ただそのときには、有価証券等についても譲渡所得税をとることになった。そうでないと、今申し上げたような理屈で論理が一貫しないわけです。ところが途中で、その後有価証券の譲渡所得税を廃止したのです。ほかの動産、不動産——不動産については一時的な所得でありましても、やはり譲渡所得税はかかるわけですね。有価証券だけがかからない。こういう非常なアンバランスが出ておるのですが、大蔵大臣、この不均衡に対してはどのようにお考えですか。

村山達雄大蔵事務官(主税局長)

○村山政府委員 今までの税制の経緯を御参考までに申し上げますと、おっしゃるようにシャウプの一つの考え方は、法人に対する税金は、かりに留保に対する税金でありましても、結局は個人に対する税金の前取りである、こう考えまして、しかし法人が続いておりますので、一種の源泉徴収としてとっていくのだ、それを法人間の場合には益金不算入という形で還元し、個人の場合には法人、個人を通じまして上積み税率をある程度、五五%のところで損得がないようにしようとして仕組まれたのが、当時の配当控除の制度であったわけでございます。従いまして、先生がおっしゃるように、そのときには当然の帰結としまして、今度は配当含みで有価証券を譲渡する形、これを何らか課税しないといかぬという論理になるわけでございまして、有価証券に対する譲渡所得税というものは、これはどうしても押さなくちゃいかぬ、その場合には、現在のように法人が解散する場合に、源泉で清算所得でとるということもいかぬ、これは譲渡所得という形でとらなくちゃいかぬということになってくるわけでございまして、現在やっております清算所得というのはシャウプの考えに合わぬわけでございます。その考えを徹底いたしますと、今度はいわゆる留保所得に対する加算税というものも、単に非同族会社についてだけではなくて、同族会社についても、少なくとも所得税の納付を遅延させている遅延利息だけはとるべきだ、こういう理屈になりまして、非同族会社に対する留保についても課税すべきだ、こういう論理になるわけでございます。これはシャウプのときには全部やったわけでございます。その後おっしゃるように、その一つ一つがはずれていったわけでございます。おっしゃるところの今の清算所得をまた源泉段階でとるに至りましたのは、三十年だと思っております。それから譲渡所得を非課税にすると同時に、これは二十九年でございますが、一方有価証券移転税というものを創設してございます。これは当時の記録によりますと、大体譲渡所得の身がわりになるものと言われているわけでございます。現在この有価証券移転税が百億をこえる金額になっております。譲渡所得をもし課税したならどのくらいになるかということは、数字を出しておりますが、百億にはとてもならぬという数字でございます。その間そういう改正が行なわれた。同時に非同族会社に対する留保所得の加算税も、これは二十五年にやりまして、二十七年にはすでに廃止になっているわけでございます。従いまして、シャウプが考えましたような法人と個人の二重課税の調整といって五本ばかり柱を立てたうち、現在残っておりますのは配当に対する益金不算入、法人の場合の益金不算入、それから配当控除という制度だけが残っているわけでございます。それだけに、一体日本の現行のそういう制度はどういうふうに理解するのか、こういう問題が残ることは、税制調査会においてもすでに指摘されているところでございます。なお検討が続いておりますが、一般に言われておりますのは、シャウプは、税制上法人というものは個人のいわば前取り段階である、こういうふうなことを税制の論理として打ち立てたわけでございますが、今日は、五本柱のうちの四本がはずれておってみますと、そういう単純なる法人擬制説とか、あるいは実在説ではもう律し切れない問題ではなかろうか。結局税制を立てるときに、これは一つの説でございますが、われわれこの説が比較的理解しやすい説ではないかと思っておりますのは、一つの税源に対して、その形がどうであるにしろ、法人税、所得税で二重にかけるということは、これは国の側の税制という立場と、それから税源との関係においてどんなものであろうか。言いかえますと、支出する方の側でも益金とされ、受ける方も益金だ。通常は出す方が損金で、受ける方が益金でございまして、一方に課税が行なわれておるわけでございますが、もし配当について何らの考慮をいたしませんと、法人段階で課税され、それが直ちに二カ月後には個人の所得になって課税される。同じ税源に対して二重の課税が行なわれる。それがその一つの税源に対して国民経済上過重になるかならないか、ここの問題ではなかろうかと実は考えておるわけでございます。その間の調整をどうするか。それで、調整の仕方を、あるいは支払い法人段階において調整するのか、あるいは受け取り段階側において調整するのか、ここの論議が中心問題として非常に論じられておるわけでございます。ラテン諸国のように、法人と個人というものは法律形式的にいえば別人格であるから、会計学的に所得は所得だ、そこに税は同じ税源だということを言う必要はないのだ、違う人格に帰属したのだから、それは法律形式的には二重課税じゃないのだというふうに単純に割り切る税制もございます。しかし今日の大勢でいいますと、主として、この調整の方向が必要であるというのが最近の国の方向でございます。今度アメリカで、いわゆる配当の控除、これは五十ドルを控除いたしまして、五十ドルをこえる分については三%の税額控除、これを今度ケネディ政権は廃止の提案をしておるわけでございます。ただ廃止の提案の中で、こういうことを言っておりまして、これは理由がないということではないのだ、ただ少なくとも現在やっていることが理由があるにせよ、ないにせよ、その金額はあまりにも小さくてナンセンスだ、従って実効論からいって廃止すべきだ、こういう提案をしておるわけでございまして、理論的な問題として言っているわけではございません。なお各国の税制は、その間、実際申しますと、暗中模索時代ということで、国民経済との照応関係を見まして、どういう税制を組み立てるのが最もそのときの経済にマッチするか、こういう問題として今追及しているという段階でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 法人擬制説にしても実在説にしても、私どもから言うならば、やはりこれは資本家的な考え方から出た学説であると思うのです。先ほど、法人税をとった、そして法人税をとった直後に配当されたものが直ちに課税されると二重課税になると言いますけれども、それならば企業に働いている労働者は、労働賃金に課税されるのです。だから、その企業というものが資本だけのものということになれば、そういう考え方になるでしょうけれども、企業が生み出す付加価値というものは、当然これは労働者が中心となって価値を生産するのですから、それは二重に、企業から離れた賃金に対して、しかもさらに源泉で、生活費にも食い込むような勤労所得に対する所得税がかかる。しかし法人税については、法人税と配当所得と二重課税だなんということは、私どもの立場からすれば、そんな理屈は受け取れない。とにかく法人実在説とか、あるいは擬制説というような、都合のいい原則をうまく組み合わして、結果においては株主に、資産家に得になるような税制というのが現在の税制だと思うのです。  実例を申し上げますと、きょう新聞を見ると、ブリヂストンタイヤの社長石橋さんが、二千万株の株を譲渡すると言っておるのです。二千万株というと、調べてみると、二百九十円ぐらいになっていますから、五十何億ということになるのですが、そういう譲渡をした場合に、石橋さんにどのくらいの譲渡所得税がかかるのか。あるいは二千万株を持っておる株主は、一体配当の税額控除をどの程度に受けるのか。具体的に、参考までにお知らせ願いたい。二千万株で、今二百九十円くらいしておるですよ。そうすると、五十数億円になるのですよ。その譲渡所得が課税の対象にならないとしたならば、ずいぶんおかしな話だと思うのです。これが土地であれば相当かかりますよ。相当な譲渡所得をとられる。ところが有価証券、株であれば、こういうばく大な譲渡所得が、課税の対象にならぬというのではおかしいではないかと思うのですが、この点どうです。

村山達雄大蔵事務官(主税局長)

○村山政府委員 あるいは説明の仕方が悪かったのかもしれませんが、先生がおっしゃいました、たとえば給与を出しておって、労務者の方にかかるじゃないか。それはそのかわりに、おっしゃるように、給与は企業の側では損金に認められるわけでございます。配当につきましては損金に見ないで課税して、受け取る方も課税する、これがどういうものであろうか、これを問題にしておるわけでございます。  今の譲渡所得のお話でございますが、これは二百幾らで売りましても、実はその取得価額が幾らかということによって違うわけでございまして、その売り値から取得価額を引きまして、それから譲渡経費を引きますと、所得が出ます。それに対しまして、もし現在の所得税法の六条の、有価証券の譲渡所得に対する非課税規定がないといたしますと、その出しました所得金額から十五万円を引きまして、それを半分にし、それで他の所得と合算いたしまして、それから諸控除を引きます。標準世帯でございますと、四十四、五万になりますが、それを引きまして、普通の税金をかけていく。従いまして、非常に大きな金額になりますと、最高の上積みが今七五でございますから、半分にいたします関係で、最高上積みが、フルに直しますと三七・五ということでございましょうか。大きい金額になりますと、実効税率でほとんどその七掛くらいとられるということになります。ですから、原価幾らかわかりませんが、非常に大きな金額でございますと、その所得金額の約半分の七五%の七掛からないし八掛くらいまでとられるということでございまして、所得金額がわかりますれば、すぐ計算できるだろうと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私は一例としてそういう例もあるということを申し上げたのですが、問題は、きのうも分科会で話したように、要するに税額控除の制度がある、あるいは有価証券の譲渡所得非課税の制度があるということのために、株主、有価証券を持っておる者が、働かなくても非常に安い税金で間に合うのに、同じくらいの勤労所得者はばく大な所得税を払わなければならぬ。こういう不均衡について、きのうの分科会でも繰り返し申し上げたのですが、この有価証券の譲渡所得の非課税ということと、その他の不動産の場合は所得税がとられますから、この不均衡もそこにあるわけなんです。こういう不均衡について、大蔵大臣は今後どのような措置化をとられる考えがあるかどうか、これを伺っておきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 今の証券売買による非課税の問題、それから不動産の問題に対しても、今度の税制の改正で、二年間は、不動産を売りまして他の不動産を得たような場合は圧縮記帳を認める、まあ非課税と同じような方法をとられておるわけでございますが、こういうものは、負担の公平、税の公平の原則はもちろん守るべきであります一し、政府も守っていくつもりでございますが、その時点における政策的な要請を満たすという別な角度からのものでございまして、現在の段階においては、いろいろな議論はあるとしても、政策上の要請によってやられております租税特別措置法は必要であるという建前であり、また特に負担の公平という原則を侵すものでもない、両々相待って調和点を見出していくということが、新しい時代における税制のあり方であろうというふうに考えてはおりますが、しかしシャウプ税制以来、もうすでに相当時間もたっておりますし、御承知の、昨年から内閣に税制調査会という拡大強化せられた機関が設けられておりまして、これに対しては現在の税制のあり方、将来の税制のあり方等、全般に対しての諮問をいたしておりますので、これが答申を待って、政府は答申を尊重しながら善処して参りたい、こう考えるわけであります。   〔青木委員長代理退席、委員長着   席〕

北山愛郎日本社会党

○北山委員 現在の政策減税が租税公平の原則と矛盾しないというお答えなのですけれども、それならばきのうも述べました具体的な例として、たとえば五人世帯でもって百五十万の所得があったときに、何もせぬで、株を持って、その配当金の所得の場合と、働いて百五十万の場合と、税額を比べるとまるきり違うわけなんです。片方は、配当所得の場合においては、ほとんど所得税はかからないし、従って地方税も、住民税で均等割しかかからない。片方は、十万円以上かかるでしょう。そういうような不均衡は公平の原則と矛盾しない、こういうことですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 不労所得という立場に立っての百五十万円、勤労所得としての百五十万円の角度からだけものを見られると、あなたが今言われるような議論になるわけでございますが、税制としてより高い立場、より広い視野に立ってものを考えるときには、政策目的を必要とする場合当然やるのでございます。きのうも申し上げましたが、地方税でも電気ガス税で、重要な産業、やむを得ないもの、国が必要とすれば、一般的な人たちよりもある特殊な産業に対しては電気ガス税を減免しておったり、いろいろな措置をとっておりますが、これは公平の原則を破るものではないのであります。でありますし、しかも今度の改正原案のように、貯蓄及び株式等に対する減免税の問題も、いわゆる資本蓄積を何とかしなければならないという問題、それから貯蓄増強をしなければならないという問題、それから自由化に対処して、国際的な資本に対して民族資本を何とかして充実をせしめていかなければならない。しかも金利は非常に高いというような状態であります。この金利が高いというのも、資金的に需要供給のアンバランスがあるから高いのでありまして、幾ら高くてもいいから、金さえあればいいのだということさえ中小企業は言うような状態でありますから、高くて、いい品物が安くできるはずはないのであります。国際競争力がつこうはずはないのであります。でありますが、金利よりも資金量というような状態であるからこそ金利も高いのでありますから、これらの環境を整備するということが、政策的にも国家的にも必要であるということは、何人も異論のないところであろうと思います。そういう意味で、これらの政策目的を達するためにやむを得ざる措置として、租税特別措置法によっての特例を認めておるわけであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 それは公平の原則と、経済目的というのと、ごっちゃにして考えているんですよ。公平の原則というのは厳としてあるわけなんです。ただそのときの経済政策上の必要から、結果としては公平の原則をある程度に制約をしても、経済政策目的のためにはやらなければならぬ措置がある。そういう問題として分けて考えないといげない。これは常識ですよ。大臣はそれをごっちゃにして考えて、政策減税というものを強く主張したいために、公平の原則は一向犯していないというけれども、そうじゃない。分けて考えないと頭の混乱になると私は思うんですよ。だから、だれが考えたって同じ百万なら百万、百五十万なら百五十万の所得で、片方は何もしていない、働いていない者が、株や何かの所得で得ている収入に対しては所得税がかからぬ。働けば莫大な税金がかかるというのは不公平じゃないか。だれが考えたって不公平ですよ。田中さんだけですよ、公平だなんと言うのは。どうなんですか。その不公平は認めながら、しかもその不公平は、経済の政策の目的上必要だから、がまんしてもらいたいというなら話がわかる。そういう説明をしなければ、両方混乱して、混同して説明したのでは、おかしいと思うのですよ。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 混乱はしておりません。短い時間に適切な答弁をしようと思うからこそ、いろいろな誤解を招くのでございまして、これは堂々たる議論をやれば、幾らでも御理解を賜われるわけでございます。あなたは政策的な減税も必要であるし、特例も必要であるということも認められておりますけれども、特にウエートを学問的な、また理論的な公平の原則ということに置いておりますが、私たちは政府でございますし、国会を通して国民の理解を求めておるのでございますから、公平の原則を犯しておるというような考え方、その面に対する狭められた御発言に対してそのままお答えをしておりますと、特に今度政府が行なおうとする政策減税といわれる租税特別措置法というものは、全く公平の原則を破るものだ、われわれとは関係ない、こういう議論にすぐ結びつくおそれがありますので、私はその間の問題を申し上げておるわけであります。まず社会全体的な思想に立っておりますし、われわれがただ理論だけで現在の税制を推し進めていきますと、一体今の国際情勢や——日本の産業の立て直しができるのかどうか。また一時負担の公平論を害するような、また哀願するような状態における特別措置が行なわれるということが、ひっきょう自分たちの生活基盤をつくることであり、お互い国民全部の産業基盤を培うことでありまして、おのずからその効果というものは、国民全体に返ってくるのだという考えに立っておりますので、あなたが言われる負担の公平論という面に対しまして、私は負担の公平ということは常に考えなければなりませんし、政府も、将来もそのような方向で進めようと思っておりますが、しかし今行なっております政策減税というものも、必要な状態においてやるのでありまして、全く必要でないけれども、一部の金持ちのためにやるというのではございませんという事実に対して、御理解を求めておるわけでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私が聞いた範囲のことをお答え願えばいいのです。問題は、先ほど申し上げたようなケースは公平と思うか不公平と思うかということなんです。年収二十万円というと、一万三千円くらいの月給、ほんとうに薄給の人だ。それですらも若干は所得税なり地方税を納めるわけなんです。ところが百万円あっても百五十万円あっても、それが株の配当である場合においては、国税は所得税は無税であり、地方税は均等割しか納めないというこの事実、今の税制から出てくるこの事実、これを大蔵大臣は公平と考えていますかと言うのです。あなたが公平だと言うなら、私はみんなに、大蔵大臣はこういう事態を公平だと言っておりますと言いますよ。確信を持って言いなさい。政策減税のことを聞いているのではないのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 どうも学問的な、理論的な面からだけ言われておりますが、私は、一万三千円、一万五千円の人たちに税金がかかるような状態であっては困る、だからきのうも申し上げた通り、年収三十六万円、六十万円、百二十万円まで上げていくというような政策をやりたいのです。また政府はやるような施策を持ってきております。私もそういう姿勢で考えておるのですが、国際競争のこの事態に対処したときに、また日本の現状を見るときに、そういうことをやるためには資本の蓄積もやらなければなりませんし、だから今の政府が考えておるようなことをやらなければ、これは入ってこないのであります。またそういう意味で、これはあに特定の人たちの利益を守るというようなことではない、究極の目的を達成するためにはその過程における手段としてそうしなければならないのだ。今石炭企業なら石炭企業一つを例にとりましても、どうにもならなくなる。しかし、今ここで十億の金があれば、何とか立ち直っていけるという場合に、それは確かに、今までの資本家に対しては三カ年間無利息で無配当でもってがまんしてくれ、それから今の働いておる労働者の方々には、負担の公平からいえば、当然一年に一割ずつ上げたいのだけれども、まず二カ年間だけは現給でストップしてくれ、ただしこの状態を理解して、新しく投資をしてくれる人には、優先株として一割の配当保証をしますということはやらなければならぬ場合があるんです。私も事業を十分見て、こういう状態に対処してやむを得ざる処置としてやらなければならないのでございますから、私は、理論の上に立っても、公平の原則というものは基本的な観念として税制の上で貫かれておるのでございますから、あえて今般政府が行なおうとしておる租税特別措置法というものが、これを行なうことが負担の公平を害するということにはならない、こういうふうに言っておるのでありまして、あなたがもう一ぺんでも二へんでも理論的な面だけ、思った通りのことを言えと言えば、どう考えても不労所得ということは、私は理論はあります。それは何回も何回も言えますが、じゃ、投資をされるところの、貯金をされるところのものが何であったか。勤労所得であった。必ずおやじさんが三十年、五十年働いて、わが子に残した勤労所得の結果だったのだ。だから、それは天から、地からわいてきた金をそのままそういうものに投資をしているはずはないのであります。しかも子供に譲るときには、相当高額な相続税というものを徴収されてきておるのでありますから、そういう議論に発展をさしていけば、いろいろな議論は税制上生まれてくるものであるし、世界各国でもこの議論に対しては確かに定説はない。いろいろな問題に対して、いろいろな事態に対しての学問的研究を続けておる段階でありますので、私は現在に対処してやむを得ざる処置はとっております。これが税に対する負担の公平を害するとは思っておりません。しかし、私の考えだけで律すべきものでないので、第三者構成である、より高い立場の税制調査会の答申を待ちます、それで尊重してやります、こう言っているのですから、負担の公平論に対しては、この程度で一つ御理解を賜われればはなはだ幸甚だ、こう思います。あなたがもう一ぺんやりますと、今度は全く税制理論ですから、主税局長から今度は押し問答のような小理屈を言うようになりますので、私の考えはもう十分おわかりだと思いますので、もうこの程度で御理解を賜わりたいと、お願いします。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私は何も議論を吹っかけておるんじゃないのに、大蔵大臣は議論を発展さして、政策減税の妥当性を強調しようとしている。私はそこまで聞いているのじゃないのです。だけれども、問題は、利子課税あるいは配当課税その他のそういう特別措置が、はたして政府が言っておるような経済目的に沿うような政策であるかどうかについては疑問を持っている。疑問を持っているが、きょうは時間がないからそこまで議論をするつもりはないのです。私はその一歩手前の、そういう今の税制から出てきた結果、実際に国民が払う税金、これの今申し上げた実態が、公平と思うか不公平と思うかということだけ聞いている。それを今どこまでも大臣ががんばるようであれば、私はそういう事態は不公平でないと大蔵大臣は考えている、こういうふうに了承しますが、それでいいですか。

村山達雄大蔵事務官(主税局長)

○村山政府委員 利子の問題と配当の問題とは全く違いまして、配当について、たとえば百五十万というときに、普通国税、地方税をひっくるめまして、法人税、住民税、事業税、四九・二二の実効税率、約五〇%でございます。だから法人税あるいはそういう税引きで百五十万もらったというのは、三百万もらったが、そのうち法人段階で百五十万払っております、これが不公平でしょうかというのが、今の税制の建前でございます。現行法はそれでいいんだ、こういうふうに割り切っているわけでございます。利子についてはおのずから話が別でございますが、現行法の建前は、配当に関する限り、むしろその計算からいえば、一五%の配当控除というのは、少額所得者に対しましてはなお引き足りぬという問題はありましても、引き過ぎたという問題はない、こういうことでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 そのようないわゆる法人擬制説とか、そういうややこしい理論をくっつけた説明では、大衆は納得しないということなのです。現実に、隣り近所に住んでいる、同じように生活をしている者が、実感として公平と思うかどうか。やはり税というものはみんなから取るのですから、公平というのは一番大事なのですよ。だから、われわれも徴税の令書を出したような立場に立ったことがございますけれども、高い安いを言うのではないのだ、不公平だから払えない、こういうふうな気持ですね、これが一般の国民の気持ですから、そういう立場から私は大臣に聞いているわけなので、しかし、その点はお答えがないようですから、そういう実態を不公平でないと考えておる、そう私は了承して、先に進みます。  ところで、先ほど来明らかになったように、配当所得というものに対しては、株主に対しては非常に優遇されておるわけですよ。何で一体こんなに優遇されなければならぬかということですね。一体株を持っておる、いわゆる株式の分布ですね、これは今どのような実態になっておるか、これは大蔵省の方でもいいし、あるいは企画庁でもいいのですが、お答え願います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 実態に対しては後ほど政府委員をして答弁せしめますが、現在の状態でおおむね戦前に戻ったというくらいでございます。大体六十億株ぐらいでございまして、これが発行価額が約七兆円ぐらいではないかと思います。この約半分は法人、銀行、それから証券会社、他の金融機関というようなことであろうと思います。正確な数字をつまびらかにしませんので、大よその数字でございますが、政府委員をして答弁せしめます。

村山達雄大蔵事務官(主税局長)

○村山政府委員 三十七年三月末で申しますと、株数で五百六十八億株でございます。このときの金額はたしか三兆九千億程度だと覚えております。その後一年間で約一兆くらいの増資があった。このときの個人と法人との分布状況でございますが、額面金額でいいまして四六%が個人、法人が五〇何%、人数でいいますと個人が九七%、それから法人が三%、金額でいいますと、先ほど申しましたように、個人が逆に四六%、ことしは若干下がる見込みで、われわれの方では四四%くらいになるのじゃないかという税務計算上の計算はやってございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 政府がこれを調査をしておるかどうか知りませんが、日興証券がずっと毎年二回ずつ調査をしております、私がこれを見ると、今お話があったように、法人の持株が多いわけです。半分以上になっているわけですね。だんだんふえてきて、個人の分が全体の中で減ってきているわけです。それからもう一つの傾向は、個人の株主の中でも小さな株主が減って一万株以上、あるいは特に十万株以上の持株が圧倒的に大きくなっているということなのです。一万株以上の株主の持株は昭和二十四年には三五%であったものが、今六〇%以上になっている。特に十万株以上が半分に及んでおるわけです。従って、これを見ますと、日本の企業を支配しているのはこの十万株以上の株主です。普通その株の半分を持っておれば、完全にそれは企業を支配できるわけですから、これを全体的に見ましても、十万株以上の株主の数からするならば、〇・二四%のものが株の半分以上を持っており、従って日本の企業全体を支配している、こういう格好になっておるわけなんです。従って、世間でいうところの大衆資本主義であるとか、証券民主化であるとかというものとは逆行した姿を現実が現わしておる、こういうふうに思えるのですが、この日興証券の調査を反駁するような政府の資料がございましたら、これを明らかにしていただきたい。

村山達雄大蔵事務官(主税局長)

○村山政府委員 今のお話は、所有階級別持ち株比率のようなお話でございますので、その点お答え申し上げます。  これも額面で申し上げますと、現在わかっておりますのは三十五年でございますが、五百株未満というところが、額面比率でいいまして一・六四%、それから株主数比率で四七・二九%でございます。それから五百株から千株未満の間が、株主の比率でいいますと二七・九四、額面比率で五・五九、それから千株から五千株まででございますが、人数比率で三九・四一、額面比率で二一・六七、それから五千株から一万株までが、人数比率で二・五七、それから額面比率で五・五九、一万株以上、人数比率で一・八七%、額面比率で六五・五一%ということでございまして、ずっと見ておりますと、この一万株以上のところの人数比率、それから額面比率、いずれも少し高まっております。ただ、念のために申し上げておきますが、企業株式の有価証券につきましては、御案内のように三十七年の改正で、これは譲渡所得があった場合には課税することに改正いたしております。これは、その年で一〇%以上の処分をした者で、しかも過去三年間の処分が二五%以上のものに対しては課税する。あわせまして株式の買いだめをした場合、それから今言った企業支配株式、それから継続的な売買、これは譲渡所得としての非課税は適用いたさぬということになっております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 とにかく政府の資料によっても、一万株以上ないしは十万株以上の大株主が株数の大半、半分以上を支配しているという実態なんです。そういう傾向がひどくなってきておる。どんどん株が大株主に集中しているということなんです。しかも、半分は金融機関なりその他の法人が所有しているということになれば、政府が配当所得課税とか、あるいは有価証券譲渡所得とか、そういうものに対して恩恵を与えるような特別な租税措置をするということは、これは結局少数の株主を保護する非常に非民主的な行き方じゃないか。ここにもまた不公平の一つの問題があると思うのです。この点については大蔵大臣はどのようにお考えですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 この事態に対しては、十分配慮をいたしております。私が就任当時、御承知のように非常に株式市場が混乱をして、株価はダウ千二百円を割る寸前までいったわけでございます。そのときに国会でもあらゆるマスコミでも出た議論は、もうすでに株主というものが特殊な階層ではないのであって、国民の六〇%に近い人たちが——しかも、昔は財産三分法といって、三分の一は不動産に、三分の一は動産に、三分の一は現金にといっておったのが、現在土地などは買えるという状態にはないということで、あらゆる庶民は月給の中から幾ばくかのものをさいて、毎月何株かの株を合同で買う。友だち同士、五人、三人と力を合わせて買っておるのが実情ではないか。このような実情のときに、一体恐慌相場というもので、将来に対する株の安定というものがはかれないでどうするのだということが、衆議院の本会議における緊急質問でありました。私はそういう意味において、これらの事態というものを十分重視しながら大蔵省に行ったわけでございます。昔株式の問題が国会で議論せられ、公開の席上で議論せられるというようなことはなかなか行なわれなかった時代に比べて、大衆株主が非常にふえておるという事実に私も大いに刺激をせられて、これが内容に対して検討をいたしたわけでございます。ところが戦前の持株比率を、ずっと個人と法人等の関係を見ますと、その持株比率とは遠いということで、このような状態で証券市場が安定しようはずがないのだということで、何回か証券業者の諸君や関係者の参集を求めたり、私が出かけて参ったりして、日本の市場安定ということは、結局その大半を国民が持つことが一番安定するのだ。昔のように、資本金十万円の会社で六割持たなければ支配権がないなどというような考え方自体が間違いで、実際現在は、真に安定株主を求めるとすれば大衆株主であって、零細な株主がたくさんあることが一番安定であります。でありますから、各企業はみなそういう気持になっておるのでありますが、どうしても経済に左右せられて、なかなか一時に安定株主を得るわけにいかないということで、戦後わずか十七、八年のものですから、企業間の持ち合いとか、それから関係金融機関に引き受けてもらうとか、こういうことで、今のような五〇%程度は法人筋が持っている、こういう状態では安定しないのだということで、私は大衆に対してできるだけ肩がわりをするようにということで、それから約六カ月間で相当の、七、八%ぐらいの大幅な大衆の投資家に肩がわりをせられておるという数字が出ているはずでございます。それから半年間、御承知のようにようやく持ち直しておりますし、株式市場も安定化の方向に進んでおるわけでございますが、私は究極の目的として、真の市場の安定というものは、多数の大衆株主、国民すべてがほとんど株式を持つような態勢にならなければいかぬのだという考え方を、私が株式市場に対する基本的な考え方として今打ち出し、業者の協力を求め、金融機関等はできるだけこれを大衆株主に振りかえるようにという措置を行なっておるのであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 実態は、先ほど申し上げた通り、お話のような方向とは逆の方向に進んでおる。これが今までの保守党政権の税制その他の政策の結果として、結局株の大半が大株主に集中しておる。大衆株主というのは、全体の比率からすれば非常に微々たるものになってきておる。力がなくなってきておる。従って、刺身のつま程度にしかなっていない。いわば踊らされておるような格好になっておるのです。ですから、昨年以来政府は、株価のてこ入れなどを相当積極的に、目に余るほどにやったようではございますが、これは結果としては、やはり先ほど来の株の分布からいきましても、法人なりあるいは大株主を利する結果に陥っておる、こう言わざるを得ないのです。気持は気持だけれども、政策は逆の方向へ進んでおる。その結果が現実に現われておるのですよ。そういう点を考えていただかなければならぬと思うのです。  時間がございませんから、その他二、主税についてお伺いしますが、地方税なんですが、固定資産税ですね。固定資産税を再評価をやっておられる。従って三十九年の一月から新しい評価でやるということになるのですが、そうなりますと、売買実例方式といいますか、時価に近い形になるから、土地にしても、あるいは家屋にしても相当値上がりになると思うのです。今の見通しとしてはどのような見通しですか。二倍になるとか三倍になるとかいわれておりますが、どういう見込みでございますか。

柴田護自治事務官(税務局長)

○柴田政府委員 固定資産税につきましては、お話のように、現在評価基準の試案をつくって地方団体に示しまして、意見を聞いておる段階でございます。ただし償却資産につきましてはまだ基準ができておりません。従って、どういうような評価になるかということを、現在の段階におきましてまだ全面的に明らかに申し上げる段階に至っておりません。ただ土地につきましては、特に宅地でございますが、これは上がるだろうということは言えると思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 宅地も農地も相当に値上がりをするといいますか、評価が高くなる、これは想像されるところなんです。ところが、会社の機械とか、そういう償却資産は値上がりをしないわけです。従って、今度来年の一月からどういう方式でやるかわかりませんけれども、単に評価がえをするということになりますというと、土地や家屋が上がって、そして償却資産の方は評価が上がりませんから、むしろ減価していきますから、従って固定資産税をかけた場合においては、農地とかあるいは宅地とか家屋というようなものに重課されるような結果になるのじゃないかと思いますが、この点についてはどのような措置をとられるのか。会社の機械設備その他に対しては税が従来と変わらない、その他のものは大幅に上がるという結果になると思うのです。ここにも不均衡が出るわけです。

柴田護自治事務官(税務局長)

○柴田政府委員 評価の技術的な問題でございますから、私からお答え申し上げます。  農地につきましては、平均収益に対する限界収益補正を行なえということになっておりますし、売買実例から出発するわけでございますが、いわゆる正常取引価格というものを求めるわけでございます。それに今の平均収益に対する限界収益による補正というものをかけますと、その結果を見ませんと、どれくらい出るかということは農地についてはわかりません。私は、どういうことになるかと申します見通しをここで申し上げるのは早うございますが、そう世間でいわれておるほど評価額は、農地につきましては変動しないのじゃなかろうかという感じをむしろ持っております。  それから、償却資産につきましては、お話のような問題がございますが、これには従来やっておりました収益率による補正という制度がなくなります。従いまして、これがなくなりますと、またその間で従来減価しておったものが減価しなくなるということがございますので、お話のように一がいに土地と家屋だけが上がって償却資産が下がるという傾向になるとは必ずしも軽々に言えないのじゃないかと思います。ただお話のように、評価が上がりますれば、それはそのままにほうっておきますれば負担が上がります。再評価というのは、評価額のアンバランスを直すのが目的でございますので、当然に負担調整という問題が起こってくるわけでございます。ただこの問題は、資産によって違いますし、また納税義務者個々人によっても違いますので、非常に重大な問題でございますから、税制調査会等の審議を十分尽くしていただきまして、その結果に基づきまして措置、方針をきめる。こういう態度で現在作業を進めております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 この問題は、今後のことでございますから慎重に扱っていただきたいと思うのです。特に農地は、売買価格というけれども、売買するような商品じゃないですよ。その土地の上で生産をする、農業を営んでいくという生産手段なのです。従って、その土地から生ずる米にしろ何にしろ限界があるのです、一年に一回しかとれぬとか。そういう収益以上のものを、土地の値段が高いからといって固定資産税をとられたんじゃ農業は成り立たないわけです。売買、交換をするような、株のようなものとは違うのです。従って、従来収益還元方式でやっておりましたが、やはりそういう方式で農地の評価はやっていただかなければならない。それからもう一つは、先ほども言ったように、会社の償却資産などと比べて不均衡がいやしくも生ずるような結果にならないようにしていただきたい。この点、自治大臣の方から御答弁を願いたい。

篠田弘作自由民主党

○篠田国務大臣 農地の問題でありますが、幾ら固定資産税の評価が高くなりましても、ただいまおっしゃったように、収穫がふえるわけではありません。従いまして、その営農しておる者から見れば、固定資産税がかりに反一万円であろうと十五万円であろうと、受ける利益は同じであります。これを売買することによって高く売れたということであれば、その場合は違ってきますが、その上に生産を行なっておる以上は同じであります。これは住宅の場合も同じでありまして、一万円で買った土地が二十万円の名目の騰貴をいたしましても、売れば別でありますが、住んでおる者から言えば同じであります。従いまして、そういう意味におきましては、御説の通り私も同感でありますから、そういうあやまちを犯すようなことはいたしません。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 税の問題は、その他不動産の問題、どこをつついても、そこには非常な不公平があるのです。電気ガス税にしてもそうです。たくさんの業種が非課税になって、税金のかからない電気をよけい使っておる。しかも家庭用の電気は、電気料金そのものが三倍ないし四倍高い上に、九%の電気ガス税を納めなければならぬ。そういうアンバランスが至るところにあるわけなんです。そうして、その中で得をしておるのは、いつでも大企業なり資産階級だけが優遇されるような税制になっておる。時間の制限もありますので、あとの問題は省略をしますけれども、しかし、私はもとへ返って、租税の問題は非常に財制の基本であり、しかも国民が納得しなきゃならぬのですから、そこで、今の租税の実態というものを国民の前に明らかにする必要がある。予算の際に出してきた薄っぺらな説明書ぐらいじゃ、われわれといえどもわかりませんよ。いわんや一般国民はわからないのです。先ほど言った実例なんか知らないのですよ。聞くとびっくりするのです。ああこんなに不公平なのですかというようなこと。そういうままに押し通してはならないと思うのです。大臣の言われるように、確信を持って政策減税をやるなら、政策減税がこれだけの意味があるんだ、国民の経済にとって絶対に必要なんだ、だからがまんしてもらいたいとか、そういうふうな内容的にしっかりとしたものを説明する必要があるのです。ですから、私は今の税法にしても、あるいは予算なりの場合における政府の説明書にしても、まことに不親切きまわまるものだと思う。これを直さなきゃならぬと思うのです。税法も、憲法には「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」それだけ書いてある。その法律がはっきりしないのです。法律はというと、税務署が徴税しやすいような、しかも政策減税とかなんとかいろいろな理屈をつけて、めちゃめちゃな、体系のないような税制を実際にはやっておるのです。基本原則がないわけです。そういうふうな税の基本方針、基本法制の問題もありますけれども、ともかくこれを国民に明らかにする必要がある。そこで、私は大臣に要望をいたしますけれども、一つ税金白書のようなものを出すべきじゃないだろうか、農業については、農業年次白書というものが最近始まりましたが、税金についても、税金白書というものを出して、そして各種の納税の、その税制を適用した場合における結果ですね、あるいは政策減税の内容、租税特別措置の計算の基礎なり、その目的なり、そういうものをはっきりする必要がある。その税金白書をお出しになるようなお気持があるかどうか、これを伺っておきたいのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 この間の御質問にも税金白書の問題がございましたが、私も自信がないので、あまり明確な御答弁ができなかったことをはなはだ遺憾といたします。今日の段階においても、これはなかなかむずかしい問題でありまして、相当な陣容をもって、出す以上は精密なものでなければいかぬ。この白書から新しい税制を生むということでなければ、逆に中途半端なものを出すと混乱をするということがありますので、慎重な態勢をとっておるわけでございます。大蔵省の主税局といえば、なかなか御承知の、明治以来九十年連綿として組織を持っておりますし、また秩序もありますから、相当なものができるというふうに考えておりますが、これが租税白書というような形態でどういう状態で出し得るのか、これは一つ専門家とも十分検討しながら、これはいいかげんな考えではなく、私もこの問題を検討いたしてみたいと思います。  私は、これを機会に申し上げますが、どうもいいかげんな税制をやっておるというふうになると、これは私が言われるだけではなく、国民に与える影響もありますから、はっきり私の考え方を申し上げますが、それはあなたが言われた通りです。現在の日本の国税、地方税、こういうものは、私は万全なものではないというふうに考えておるのです。これはシャウプ税制からも相当な期間がたっておりますから、やはり新しい日本に適合する税制というものが生まれなければならない、こういうふうに考えております。でありますから、去年の税制調査会につきましては、税法そのもののあり方、あまり世界的なものということで、各国でどうしておるからというような、先進国だとか、いろいろなことを言わないで、日本の税制に対してどうあるべきかということを一つ抜本的に考えてもらえないかという姿勢をとりました。これは地方税なども、今の税法がありますから、これはもう憲法を守れということと同じことで、税法があるのですから、税の運用をしている人は、自治省も大蔵省も、今の税法はこれでいいのです、悪いところがあれば、今徐々に直しております、こういう答弁でもって終始をするわけでありますが、いろいろな面から考えてみて、東京のように表日本で三百六十五日働けるところ、また雪も降らないところでもって、柱が三寸角で間に合うというところ、豪雪の北海道では四寸角、新潟県では五寸角でなければ間に合わない、こういうわけです。間に合わないだけではありません。瓦でも一年間に一割ずつは雪が降れば割れるのでございますが、一向こういうものに対しては基礎控除が違うというようなこともない。もちろん九千三百万通りに基礎控除を変えるわけにいくものですか。これは税体系上あたりまえの議論でありますが、大ざっぱに見ても相当違う。木造の家に対しても、表日本は三十年耐用年数は持ちますが、少なくとも裏日本では十五年しか持たない、半分しか持たないのであります。そういう問題がわかっておって、なぜ一体やれないか。これは戦後の地方自治の確立ということがある。地方財政という裏づけが何にもなくて、地方自治などということをやっておって、これは金科玉条である。理論的には確かにそうですが、これは何といっても、地方財政の裏づけというものがなくて地方自治をやれといって、いわゆる沖繩などがいて、やれるものじゃありません。そういう意味で、これはいろいろな議論と、実際の上には相当な問題を残しておるのであります。私は、これは一つの占領軍の施策といえるものでもって、悪い面が残っておる、こういうふうにも考えられますし、地方税を全般的に一律でもって負担の公平で減税をすれば、東京や大阪のように非常に減税の恩典に浴すところはありますが、鳥取県とか宮崎県とか鹿児島県とか青森県とか、こういうところは収入がないのですから、案外減税率も低いのです。だから大都市と裏日本、いわゆる低開発地との間の財源調整ができるのかどうか。政府も何回も取り組んだのですが、これはできない。それは取り上げることはなかなかむずかしい。こういう問題をこのままに推移をしておって、地域間格差を直すとかいうことはできるものではないのであります。私は、だから、税法そのものに対して抜本的に、国民がより広い立場でほんとうに取り組むべきときであるとは考えておりますが、何分大蔵大臣でございまして、大蔵大臣が先に現行法を直すなどということでは困りますので、あらゆる角度から新しい事態に対処して検討してもらいながら、真にまた、理論的な数字的なものだけではなく、やはり負担の公平というものを十分貫いて、その上になお国の政策目的である地域の均衡ある発達等がはかれるような状態に税制も抜本改正をせらるべきだと考えておるのであります。私だけがやるということであるならば、これはもう行き過ぎでありますから、すべてあげて税制調査会の結論に待つ、こういうことでございますので、相当前向きの勇気を持った考え方でおることを一つ御理解賜わりたいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 税金の問題は一応終わりますが、大蔵大臣が就任の当時は、私も、野性的なというか、庶民的な大蔵大臣で、今の税金の複雑な、しかも不公平なやり方を手を加えるのじゃないかと大いに期待しておったのです。また大臣も、就任の当時は、現在の税制には非常なアンバランスがあるのだ、勤労者は源泉でもって文句なしに徴収をされるけれども、会社の方ではそうでもないというようなことを言って、非常に私は頼もしく思ったのですが、実を言うと、結果としては、三十八年度の場合は、むしろ蛮勇を政策減税の方へ向けてしまって、まことに期待はずれでございます。この点はよくお考えをいただいて、そうして税金の白書、特に国民に納得のできる税制ですね。これは一番大事ですから、その点に心がけていただきたいと思うのです。  時間もございませんので、終わりに、実はきのうの分科会で武藤委員がお尋ねした中の、例の韓国に対する債権、焦げつき債権ですね、これの利子を大蔵大臣がお払いになっておる。一年に百八十万ドルをMOF勘定から払っておるというお話があって、私は実は変だな、こう思ったのです。ですから、一体どういう根拠でどこに対して大蔵大臣勘定から払っておられるのか、いつからそういうことをやっておるのか、その辺のところを御説明を願いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私もうかつでございましたが、あまりそこまで、こまかい数字まで調べるということをいたしておりませんでしたが、御質問もありましたので、この問題に対して検討を命じたわけでありますが、輸銀からは払っておりません。しかし、日本の業者は当然その代価を受けておるのだろうということでありますから、受けておるのか、受けております、どこから払ったのか、輸銀から払ったということであれば、四千五百七十三万ドルに近いものに対して、四分と見ても百八十万ドル近い年間利息を輸銀が損をしておるということになるわけであります。輸銀が損をした分は一般会計から繰り入れたのかというところまで聞きましたら、いや、輸銀からは払っておりません、大蔵大臣勘定、いわゆるモフ勘定から払っております、モフ勘定で払うという根拠は一体どうか、こういうことを言いましたら、御承知の日米の平和条約締結ということを根拠にしまして、その後日韓の焦げつき債権いわゆるオープン・アカウントの残額に対しては、両国の交渉によってしかるべくできるだけ早い機会に払う、これは協定によるということにして、その当時の残額でストップをしておるわけであります。  またそれから、新しく生じた取引のものに対しては、これはもう正常な状態でもって代価は払われておりますが、その時点における残額が四千五百七十三万ドル、二万八千何百ドルということでありますから、それに対しては、協定によってこれが処理をきめる、こういうことをあの時点にいたしましたので、当然両国の了解で利息をつけないということでありますので、輸銀の負担にできないということで、大蔵大臣勘定から払って、業者に対する代価の支払い債務というものは一応払った、こういうことでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 それは予算上あるいは法制上あるいは条約上、何に基づいてあるわけですか。一九五〇年四月以前のものは、この前のガリオア・エロアでもって処理されておる、その後にできたものですね。ですから、これはアメリカとはどういう関係になるのですか、あとの部分もアメリカとの関係、協定か何かでそういう義務があるのですか、また予算上あるいは外為の会計法とか、そういうものに、そういう仕事を大蔵大臣に権限を与えておる規定があるのですか、どういう権限、どういう根拠に基づいて百八十万ドルの利子を大蔵大臣がお払いになっておるのか、大蔵大臣自身が知らないのじゃおかしいじゃないですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 事実問題については政府委員をして答弁せしめますが、違法ということではなく、もちろん適法でモフ勘定で払える、こういう根拠があると思います。それから国会の議決を経なければならないという財政法上の制約案件ではないというふうにも考えております。  それから日韓間もしくは日米間にどういう問題があったか、ここに解釈がございますから申し上げます。「日韓オープン勘定の現状、韓国との貿易は二十五年六月二日署名の日韓貿易協定及び日韓金融協定に基きまして清算勘定方式により行なわれており、従来いわゆる対韓焦付債権をめぐってとかくの曲折があったが、三十六年四月二十二日にいたり両国内に韓国政府は三十六年一月末の対日僭越残高四千五百七、十二万九千三百九十八ドル八セントを確認し、その早期決済について妥当な考慮を払う。」こういう協定になっておるわけであります。「それ以後の新規発生債務は毎月確実に決済する。」それから「両国は早期に現金決済に移行すべく協議する。」第四点は「日本は韓国産品の輸入増大のため、自由化の一般政策に従い、その権限内で適当な措置をとる。の合意が成立をした。」こういうわけであります。その後は、新規発生の毎月のオープン残高に関する限り、先ほども申し上げましたように、韓国側からの決済は順調に行なわれておるのでございます。今後の方針につきましては、外務大臣及び私から申し上げた通り、日韓のオープン・アカウントの残高決済と現金決済移行問題に関しましては、上記合意が成立をしておりますし、去る三十七年四月十八日にこの協議を早期に行なうよう口上書を手交済みであります。また政府としては、できる限り早期にオープン勘定の廃止に努める方針でございます。それからまた上記のオープン勘定の債権は、戦後に発生した商業的なものでありますので、韓国の対日請求権問題とはできるだけ切り離して処理さるべきであるというふうに大蔵省は考えておりますし、あくまでその債権確保に努める方針で現在まで交渉を進めております。しかも今までの状態においては、これが確保できるという考えでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私は、この問題はちょっと変に思ったものですから、事実関係だけをお伺いしておきますが、そうすると、その協定なるものが国会に報告をされておるわけですか。それからまた、一体それにしても、モフ勘定から、大蔵大臣勘定から払うということは、外為の外貨資金の運用であって、こういうような問題に大蔵大臣勘定から払うというのはおかしいような気がしますが、その点なんかも報告されておるのか、その点も確かめておきたいのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 これは国の債務ということではなく、貿易勘定でございますから、貿易の残額取り立てに対して両国間に合意が成立をしておるものは、国会の議決を必要としないというふうに考えております。それからモフ勘定から払える法的根拠については、政府委員をして答弁せしめます。

石野信一大蔵事務官(主計局長)

○石野政府委員 ただいま為替局が参っておりませんので、御質問の点が、あるいは昨日のと関連がはっきりいたしておりませんかもしれませんが、おっしゃるのは、何か予算で利子を払っておるかという意味ではないのですか。——そうすると、外為勘定でその債権に対して円を払っておるのはおかしいじゃないかということでの御質問ですか、ちょっと御質問を取り違えておるかもしれませんが、要するにオープン勘定の決済として、オープン勘定の債権を外為が確保するのに対して円を支払う。従いまして、外為資金の運用として行なわれておるということでございます。特に利子ということではございません。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 しかし、いずれにしても利子を払うというのはおかしいじゃありませんか。

石野信一大蔵事務官(主計局長)

○石野政府委員 ただいま申しましたように、利子を払っているというのではなくて、オープン勘定の債権、それを外為が円で買い上げる、こういうことになるわけでございます。それを御説明したのじゃないかと思うのです。従いまして、ドルの国との決済でございますと、ドルを外為が円で買うというのと同じ考え方になるわけです。特に利子を払っているということにはなっていないと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 きのうの答弁では、四千五百七十万ドルの利子を一年四分というか、百八十万ドルをモフ勘定から払っておるというふうな答弁をされたわけです。ですから私は、それじゃその焦げつき債権をいつ政府が肩がわりをして、利子まで払っておるのか、まことに奇怪だというふうに考えましたが、その点について、私は先ほど申し上げた通り、事実関係をまずお伺いをして、その上で、これは調べた上で、また他の委員等からも御質問があろうと思うのです。  大体時間が参りましたから、これで終わりますけれども、一つ税金問題は、私どもはいろいろな点で検討してみると、もう不公平のかたまりだというような感じがするので、社会党の立場からは不公平白書を出そうか、こう言っておるのです。一つその不公平白書を反駁するような政府は明快なる税金白書を出すように最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 次会は明二十八日午前十時から開会することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散会

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