予算委員会 第10号
- 発言数
- 327 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/02/09
会議録
○塚原委員長 これより会議を開きます。 昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行ないます。 山花秀雄君。
○山花委員 私は、目下の経済事情下におけるわが国労働問題一般を中心に、関係各閣僚諸君に質問をいたしたいと存じます。 なお、質問に先立ちまして、先日ある外国の有力者が、日本各地を旅行されまして政治、経済、社会を視察され、帰国に際しまして、羽田空港で、日本に関する感想として次のようなことを言ったのであります。日本の工業技術水準は非常に進歩発展している、一驚した、米ソは別として、英国や西独にまさるとも劣るものでない、しかし、いま一つ驚いたことは経営面である、一世紀おくれておる、もう一つ驚いたことは政治である、民主主義政治といっておるが、まさに封建的なからから一歩も出ていない、極言すれば、技術は二十世紀、経営は十九世紀、政治は十八世紀の段階である、こういうように彼はいみじくも言明して羽田を飛び立ったのであります。聞いておりますと、何だかこうばかにされたような感じがいたしますが、翻ってよく考えてみますると、ほんとうにわれわれも反省させられる一面の真理を述べておると思うのであります。総理がおりましたならば総理に所見をただしたいのでありますが、おられないのではなはだ残念でございますが、労働、経済を担当しておられます労働、大蔵の両大臣から、この外国人の意見に対していかなる御見解を持たれるか、それをまず最初にお聞きしたいと思うのであります。
○田中国務大臣 ただいま御発言にある某外国人なるものが何者であるか、また、どういう立場で御発言になられたかわかりませんが、日本の経済が二十世紀の先端をいくような程度に発達しつつあることは事実だと思います。経営者が十九世紀的だという御発言でございますが、これは、日本の経済というものに対しての実態を見ますと、戦後これだけの困難な事態にこれだけの実績をあげたのでありますから、確かに、構造上、経営の問題その他に対しては、いろいろな反省すべきものや、お互いが研究検討していかなけりゃならないものはあるとしても、世界の主要諸国の経営者に対して遜色があるというふうには理解いたしておりません。まして、われわれお互いの問題である第三の政治の問題に対しては、このような憲法、諸制度、諸法規、世界に類例のないような自由追求の状態において、戦後わずか十七年間でここまで民主政治が発達をしてきたのでありますから、お互いが国民に対してよりよき政治をつくるために民主政治の徹底を期さなければならない、また、われわれがお互いの過去の事績に対して反省をしなければならぬことはもちろんでありますが、外国の人々にとやかく言われるほど拙劣な政治をやっておるとは考えておりません。お互いでありますから、前進的体制により協力的であり、よりお互いが精進しなければならないことは、これはもう論を待たないことでありますが、その方がどういうふうな政治感覚を持ち、どういう政治家であるかわかりませんけれども、外国人に十八世紀程度だなどと言われるようなものではなく、われわれも二十世紀の民主政治家であり、また、そうあらねばならぬという考えに立っておるわけであります。
○大橋国務大臣 ただいま大蔵大臣が述べられたと同じように考えております。いずれにせよ、大いに今後努力をいたしたいと思っております。
○山花委員 大蔵大臣、労働大臣ともに、経営はなかなか高く評価されるべきであるし、政治に至っては、われわれがやっておるからわれわれが一番よく知っておると、自画自賛をされておりましたが、国民の各位の間からも、日本の政治のだらしない点と申しましょうか、不愉快な点と申しましょうか、相当大きな批判をこうむっておることは、お互いに銘記しなくちゃならぬと思うのであります。 池田総理が昨年末欧州を回られまして、わが国の労働者の賃金は低くない、今日すでに欧州並みの賃金形態を築いておる、世界の自由主義陣営の経済は、その発展は、アメリカと、欧州と、アジアにおいてはわが日本と、この三本が柱であると、非常にざっくばらんに申し上げますと、自信過剰になられてお帰りになり、また、盛んにそれを宣伝をされておるのであります。総理がおられませんから、この点に関しましては労働大臣に一つお伺いしたいと思いますが、あなたは、ほんとうに池田総理が言っていらっしゃるようにお考えになっておるかどうか、お伺いしたいのであります。
○大橋国務大臣 日本の賃金が西欧並みであるかどうかという御質問でございますが、ILOの資料で、製造業の一時間当たりの賃金を為替換算によって一応の比較をいたしてみますと、一九六一年で、西ドイツが六十九セント、フランスが四十五・八セント、イタリアが三十九・五セントに対しまして、日本は三十三・九セントでございます。従って、西ドイツの約二分の一、フランスの四分の三、イタリアの十分の九という水準になっております。しかし、最近における日本の賃金の上昇率は、国際的に見ましても、前述の国々との開きが次第に少なくなっており、また、日本では、農産物、サービス料金などの消費者物価が先進国に比べまして安いということなどの特色がありますので、賃金の実質的な購買力として見ますと、その差は、為替換算率に表われた数字よりはより小さいものと考えられるのであります。わが国労働者のうちには、中小企業労働者その他なお賃金の低いもののありますことはその通りであり、また、それも決して少なくはないのでありますが、一方、大企業など、かなり賃金を払っている企業も珍しくないということも御承知の通りでありまして、少なくとも、外国で従来しばしば考えられておりましたほど低賃金国というものではない、こう考えておるのでございます。賃金水準は、本来国民所得の水準と照応するものでございますから、今後も、経済成長を達成する過程において、それと見合って改善向上をはかっていくように努めたいと存じます。
○山花委員 労働問題に造詣の深い労働大臣は心の中ではどういうお考えを持っておるかわかりかねますが、池田内閣の閣僚の一員として、今の答弁以外にはちょっと答えにくいと私は推察をしておるのであります。 私は、池田内閣がこのような認識に立って労働行政を担当し、特に賃金問題を処理されますと、とんでもない不幸な労働問題が惹起されるのではないかと憂慮するものであります。日本の労働者の賃金は、工業技術水準が先ほど私も申し上げましたように高度に発展しておるにもかかわらず、依然として低賃金であります。私は工業技術水準が欧米並みに迫っておることを認めるに決してやぶさかじゃございません。日本を視察する多くの外国より来る旅行者もこれを認めておることは、前にも申し上げた通りであります。かりに、欧州並みの賃金をはたして日本の労働者が得ているかどうかということを明らかにしてみましょう。 ただいま労働大臣はILOの調査統計を中心に御説明をいたしましたが、私もその一例をILOの統計で見たいと思うのであります。別格のアメリカはまあ別問題、今の日本ではちょっと論ずるに足りない格違いのものであります。日本の賃金の八・八であります。イギリスは二・九であります。西ドイツは二・四であります。フランスが一・六、欧州では最低といわれておるイタリアでも一・四であります。イギリス・西独と技術水準では覇を争っておるこういう名誉ある日本の労働者の技術水準に比較いたしまして、労働賃金は、最低のイタリアの一・四より低い一であります。これもILOの統計でございますから、ただいま労働大臣が言われました統計とどう食い違うかという点は、あとで一つ詳細に御研究を願いたいと思うのでありますが、労働大臣、いかがでございましょうか。
○大橋国務大臣 比較されるもとになっております数字は、多少先ほど私の申し上げたのと食い違いがございます。私の申し上げた数字におきましても、イタリアが日本の一に対して大体一・一程度になっておったかと存じますが、それらの為替換算率によって示されました数字の比較以上に、日本の国民所得水準というもの、それから日本の消費者物価の水準というもの等を考え合わせ、また、最近の日本の賃金の上昇傾向、こういったものを考え合わせますと、日本の現在の賃金というものは、従来しばしば諸外国で考えられておったほどの低賃金ではない、こういうことを先ほどは申し上げました次第でございます。
○山花委員 私が今ILOの統計調査を申し上げましたのは、これは名目賃金であります。そこで、実質に入りまして、実質的な賃金、いわゆる食糧賃金という形で申し上げると、これは日本の労研が発表しておるものですが、ILOとは若干の食い違いがございます。言いかえれば、日本の方が少し歩がよくなっておるのであります。これにいたしましても、アメリカが、先ほど八・八と申しましたが、今度は六・五になっております。イギリスが三・四、西ドイツが一・五、フランスが一・五、イタリアが一・三、これに比較いたしましても、日本は一。名目賃金から考えましても、食糧賃金から考えましても、欧州の一番低いといわれておるイタリアより低いということは厳然たる事実であります。先ほど、労働大臣も、ILOの統計調査を中心に、〇・九ぐらいのところにイタリアと比較できる、こう言われましたが、これでどうして欧州並みの賃金と言い得るかであります。池田総理はあちらこちらで大きなラッパを吹いておられますが、労働大臣の方は、直接労働問題を担当しておる責任者でありますから、総理大臣よりは詳しいと思うのでありますが、いかがでございましょう。これでも欧州並みの賃金と言い得るかどうか、もう一回お答えを願いたいのであります。
○大橋国務大臣 私は、欧米等において従来言われており、また考えられておったほどの低賃金ではない、かように考えます。
○山花委員 わが国労働者の賃金の実態は、労働大臣が何といっても全閣僚のうちでもよく御存じだと思うのであります。経済の高度成長に伴いまして、一般物価、特に生活必需物価が高騰しておるのにもかかわらず、いまだに月収一万円以下という労働者が全労働者のうちの二七・一%、実数にいたしまして五百九十九万人いる。これはお宅の省の統計の発表であります。ひざ元から出た統計発表でございますから、まさか否定はされないと思います。人事院の構成した青年独身男子の標準生計費の一万六百九十円と比較してみると、いかに低賃金であるかということがわかるのであります。しかも、この五百九十九万人の低賃金労働者の中には、世帯主もおります。また、月収一万円の内容には、臨時給、残業手当も含まれておりますから、基準月収になりますと、八、九千円程度であります。労働大臣は中小企業、零細企業に働く労働賃金の実態を調査されておると思いますが、その詳細を一つ明らかにしていただきたいと思うのです。賃金は何も大企業だけの賃金を論ずるわけではございません。特に、政治の面におきましては、やはり零細企業、中小企業の底辺にある労働者の賃金に思いやりのある、愛情ある政策を一つ示したい、かように私は考えておりますので、この点につきまして詳細なる御報告を願いたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 手元にございますのは、わが国の製造業の賃金の調査でございますが、昭和二十九年におきましては、六千円未満が一七・五%、六千円から八千円までが一四・〇、それから一万円から八千円までが一一・一%であります。三十三年におきましては、第一のものが一三・七、第二のものが一五・一、第三のものが一二・三でございます。それから、三十六年の調査によりますると、六千円未満が三・五%、六千円から八千円までが一〇・七%、それから八千円から一万円までが一三・八%、かような状況でございまして、御指摘の八千円以下あるいは一万円以下という月収者は急激な減少傾向を示しておるように見受けられます。
○山花委員 労働大臣の御答弁によりますと、低賃金は相当あるが、最近は景気上昇により漸次減少をしておるという御答弁でございましたが、これまたお宅の省の労賃調査によりますと、四人以下の零細企業に働く労働者の中には、満二十五才になっても八千円程度の月収者が相当数いる。ただいま労働大臣も報告されたことと思いますが、こんなことでどうして生活の維持ができるか。できないじゃありませんか。これを一体労働大臣としてはどうお考えになっておるか。先ほどの人事院の調査によりましても、独身者が一万円以上なければ食えぬと言っておる。ところが、片一方では、八千円以下の賃金形態の労働者がたくさんおるということです。これは一つ考えてもらわなければならぬことだと思いますが、いかがでしょうか。食えますか、食えないですか。
○大橋国務大臣 わが国の雇用の実態から考えまして、五人未満の使用人を使用する場合におきましては、相当広範囲に住み込み雇用の形態がとられておるのでございます。ただいま御指摘になりました統計は、現われましたものとしてはその通りの統計になっておりますが、その中には住み込み労働者が相当入っておるわけでございまして、それを除いた数は相当減るのではないか、こういうふうに思っております。しかし、いずれにいたしましても、八千円以下の労働者というものは、大都市等におきましては非常に低賃金と言ってよろしいと思います。
○山花委員 池田総理は相当高賃金だと欧州で大きなラッパを吹いて帰りましたが、ただいま労働大臣のお話を承りますと、底辺におる労働者も相当おるし、その意味においては低賃金であると言われてもやむを得ない、こういう御答弁でありましたが、外務省と労働省の共編で作成いたしました「日本の賃金事情」というパンフレットを海外向け用として発行しておることは御存じだと思うのであります。このパンフレットの内容は、多分一部大企業における比較的高賃金だけを強調するにとどまっておると私は推察しておるのでありますが、低賃金の実態については目をおおっておるのであります。労働省の方は、国内向けの資料と海外向け資料との使い分けを適当にやっておるのではないかと思うのであります。これはかえって諸外国から日本官庁の資料は信用することができないという不信を買うのではなかろうかと思うのですが、あなたは一体どうお考えですか。
○大橋国務大臣 このパンフレットに使用いたしておりまする数字は、平均賃金を用いておるのでございまして、特別に高い賃金水準にある大企業だけを基礎としたものではございません。なお、このパンフレットにおきましては、かくのごとく、日本の国民の所得水準あるいは日本の国内の消費水準等から考えまして、この平均賃金によって相当なる労働者としての生活水準の維持が可能であるということを説明し、そして、実質的生活の比較においては、特に日本の労働者が西欧の一部に比べまして特別なる低賃金というべきものではないということを、きわめて客観的にわかりよく説明いたしたつもりでございます。決して、これは、外国向けあるいは国内向けを使い分けるといったような、そういった特殊な技術によって出たものではございません。どこへ出しても、また国内のいかなる資料を基礎にしても、説明できる数字であると考えております。 なお、このパンフレットそのものも、平均の賃金は決して低賃金というべきものではないが、しかし、日本の国内の一部には、いわゆる産業構造の二重構造から相当な低賃金の労働者があるということを決して否定はいたしておりません。ただ、それらの低賃金に対する今後の政府の政策等を示唆いたしまして、日本の賃金が逐次堅実に、また急速に改善されるであろうという予想をもつけ加えたにすぎないのでございます。
○山花委員 労働大臣はいろいろ陳弁されておりますが、これは確かに実態を欺いたパンフレットである。日本の実態、ほんとうの姿を紹介してないと思うのでございます。こういうパンフレットを出しますからいろいろな反響を海外に起こしておることは、多分労働大臣も御承知だと思うのです。 その一例ですが、最近わが国財界人が訪欧に際しまして次のような問題がありました。これは有力財界人の一人でありますが、日本は低賃金国でない、すでにイタリアと同水準だ、こう言ったら、EECの某首脳者は次のように答えたそうであります。イタリアはEEC内においては非常に不均衡で、特にその賃金が低い、それは他のEEC諸国の悩みの種だ、こうEECの首脳部の人は言われたそうであります。だから、EECの中においてもイタリアの低賃金がどんなに大きな障害になっておるかわからぬ。そこへそれよりもっと低い低賃金の日本が参りまして、低賃金でないと言い張っておるんだから、はたから見ておりますと、まことにこっけいな姿であります。池田総理は、わが国の賃金はイタリア並みで、低賃国でないと、ヨーロッパで吹聴しておりますが、こういう認識自体がヨーロッパ各界において冷笑を買ったというのが真相であります。政府自体、全体がよく反省すべきだと思うのであります。 こういう低賃金を是正する具体的な政策を担当者の労働大臣から一つ承りたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 このパンフレットにつきましては、これによって日本の賃金の現状がよくわかったという批評が私どもの方へ各方面から参っておるのでございまして、今お話しのようなことはまだ承知いたしておりません。
○山花委員 労働大臣も、低賃金の面が相当ある、こう言われておるのです。だから、私は、これを是正するために具体的政策はどうかという質問をしておるのであります。 何だかこの質問に的はずれな答弁をされましたが、ここで一つ労働賃金に対する基本的な政府の考え方を私はただしたいと思うのであります。労働賃金は労働力を提供いたしました労働者の生活安定を基礎として計算すべきであると私どもは考えておるのであります。日経連や政府の一部では、企業に見合ったそれできめていかなければならぬという意見を述べる方が相当多いのでありますが、労働大臣はどうお考えになりますか。経営能力のない経営者がいる企業が不振でもうからない、労働賃金の賃下げ、あるいは首切りよりはそれはよいじゃないかと言うような不心得な経営者のもとに働く労働者の将来は一体どうなりますか。私は、生活を守るのが労働賃金の基準か、企業採算本位で考える労働賃金の考え方が正しいか、これは労働賃金のきめ方において非常に重要な問題でありますので、政府を代表されまして、賃金担当をなさっておられるあなたでありますから、あなたから一つ考え方を承りたいと思います。
○大橋国務大臣 賃金というものは、やはり、その国の全体の賃金水準というものを考えて決定されていくことが望ましいと思っておるのであります。そして、その国の賃金水準というものは、しからばどういうことによってきまっていくべきものであるかと申しますると、これはやはり国民の所得水準と照応するものでなければなりませんし、また、労働の生産性に照応するものでなければならぬと思います。と同時に、労働それ自体の再生産という国民経済的な角度から考えましても、常に労働者の生活に希望と安定を与えるものでなければならない、こういうふうに考える次第でございます。
○山花委員 先ほど大蔵大臣も、日本の経営も十九世紀ではない、高度の工業技術に見合う経営のあり方をやっておる、こういうような表現をされたのであります。そういたしますと、今の日本の工業技術水準というのが、先ほど申し上げましたように、欧州関係におけるイギリスや西独と覇を争っており、特に造船技術関係においては世界に冠たることは、これは大蔵大臣もよく御承知だと思うのです。労働大臣も同様だと思うのであります。こういうように工業技術水準だけはぐっとこう上がっておるにもかかわらず、ひとり労働賃金だけが低い面に押えられておるというのは、これは理屈が合わないじゃないかと私は思うのです。こんなことで、アメリカと欧州と日本と三本の柱だなんて大きなことを吹聴しておる池田内閣は、冷静に考えてみますと、まるで道化役者のような、漫画にもこういうことはなりませんよ。この問題の根本的な考え方を一つ改めない限り、私は賃金問題はこの内閣に託することができないのじゃないかという不信感を持たざるを得ぬと思います。御承知のように、今の日本の労働運動界では、たとえば労働組合の最大と言われております総評、あるいは比較的中立性を保っておる中立労連、こういうところでは、ヨーロッパ並みの賃金を旗じるしにということで運動を展開しておる。西ドイツ、イギリスのようなあの賃金水準までというようなことを組合同盟あたりで言っておることは御存じの通りです。近代工業国並みの賃金を要求して、いわゆる春闘が今日始まっておることは、政府もよく御承知であります。しかるに、日経連は、賃金ストップ、ベース・アップなんか全然しないと言うて大みえを切っておる。定期昇給だけでたくさんだ、物価が上がればやむを得ないから、万一の場合には物価の上昇分だけをやむを得ず認めざるを得ぬだろうというようなことを言って、経営陣の指導者は経営陣全体に、そういうような秘密指令と申しましょうか、高等指令と申しましょうか、そういう指導をやっておることは御承知の通り。ただいま労働大臣は、労働者に希望を与えるような賃金形態でなくてはならぬ、こう言っておる。物価が上がっただけかりに賃金が上がるというようなことでは、生活の改善も何もございません。これは、かつかつのところをようやく埋めてもらったという、希望も何もありませんよ。物価が千円上がれば賃金が千五百円上がるということで、五百円の希望が具体的問題として出てくるのであります。私は、政府は労働側にくっついておるか、日経連、経営者にくっついておるか、これは別問題として、政府の立場といたしましては中立性を堅持しておるのがまあ大体労働省の立場だろうと思うのでありますが、しかし、幾ら中立性を堅持していても、正しいものに対する一つの見解というものがありますが、今労働者が欧米並みの賃金を要求しておるのは正しいか、物価が上がり、経済がどんどん成長し、工業技術水準が高度化しておる今日、なおベース・アップまかりならぬ、定昇だけでというような希望のないような賃金政策をとっておる日経連の考え方が正しいか、これに対して労働大臣はどうお考えになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
○大橋国務大臣 賃金のあるべき姿としては、私、先ほど簡単に要約して申し上げた通りに考えておるのであります。 そこで、さてしからば、そういう見地に立って現在日程に上っておりまする春闘の賃金闘争についてどういうふうに考えるか、それについての意見をお尋ねでございまするが、先生も御指摘の通り、労働省の立場は、労使に対しましてあくまでも中立を堅持すべきものと存じまするし、そうしてまた、現実の賃金というものは、これは労使の話し合いによってきめられるべきものであり、それはどこまでも自主的な団体交渉できまっていくべきものだと考えまするので、現在この問題が春闘の一つの大きな目標になっておりますることから考えましても、労働省のこれに対する具体的な意見を申し上げることは慎んだ方がよろしいのではないか、かように私は存じまするので、この際は御容赦をいただきたいと存じます。
○山花委員 先ほど、賃金の考え方について、生計費を維持する賃金か、もしくは企業採算本位で考える賃金か、どちらかということをお尋ねいたしましたならば、まあいろいろ労働大臣はお答えになったが、どうもその点がはっきりしないのです。もう一回、一つその点は割り切って御答弁できないものでしょうか。
○大橋国務大臣 先ほども申し上げましたごとく、国民の所得水準、また労働の生産性、それから労働者の生活、これらのことを考えて、国民経済に相応した賃金水準というものが望ましい、こう思っております。
○山花委員 望ましいという点で答弁を打ち切られましたが、再三申し上げますように、これは内閣の代表者である池田総理が、とにかく欧州並みの賃金に近づいた、こう言っておられるのです。少なくとも今の日本の経済事情のもとにおいては、欧州並みの賃金形態がもし確立をいたしますと、生活を維持する賃金は、私は確立すると思うのであります。だから、池田総理がもしそういうように本気で言っておられるのだったら、そこへ努力目標を置くのが、これは内閣全体の責任と思うのであります。事ごとに予算を引き出しまして、いろいろ大蔵大臣も言っておられますが、大蔵大臣、いかがでしょうか、私のただいまの考え方は。
○田中国務大臣 労働賃金に対しましては、理想を高々と掲げなければならないことは、もう当然であります。でありますが、あくまでも現実を基盤にして、この目的達成のために、企業の内容改善、合理化その他を行ないながら、自主的に賃金上昇をはかっていくという原則は、どこまでも貫かなければならないというふうに考えております。それで、先ほども労働大臣がお答えになりましたが、企業採算ベースを無視した賃金ということは考えられないわけでありますから、企業が維持できるような原則が第一であることは、これは当然であります。また同時に、社会連帯の思想から考えましても、生活が維持できないというようなことであってはなりませんから、できるだけ国際水準より以上な高い理想を持って進まなければならないわけでありますが、自由化を前提としたこのような状態のときに、原材料を持てる諸国と、原材料を輸入しながら、日本人の努力と、日本人の労働技術や企業の努力によってこれがアンバランスを乗り越えて、好条件にある国々と国際競争力の上で対抗していかなければならないという事実も基盤にしながら、おのずから日本の労働賃金もきめられるわけでありまして、これらの問題は、お互いが誠意を持ちながら、将来に希望を持って一つ一つ解決をしていくべき問題だと、このように考えます。
○山花委員 大蔵大臣のお考え方は、ざっくばらんに申し上げますと、原材料を持っていない貧乏国家の日本においては、やはり貧乏賃金はやむを得ないというふうな、そういう感じを受け取りましたが、それじゃ、これからの貿易自由化に備えて、経済の海外発展とか、日本の経済の高度の発展ということは、私は表看板になると思います。やはりあすの再生産を完備するために、エネルギーを蓄積できる生活費を中心に賃金形態を考えて、そういう前向きの経済政策なり労働政策をとるのが、今日の貧乏国家日本の前進の姿ではないかと私は思うのです。こういう点は、よく一つ政府全体お考え願いたいと思うのです。 次に、お尋ねいたしたい点は、今般人事院より、国家公務員の給与の改定が勧告されました。政府は常に、法を守り、法に従って事を処する、いわゆる順法精神を事あるごとに説いておられるのであります。団体行動の自由権を奪われた国家公務員及びこれに準ずる三公社五現業関係の労働者は、人事院の勧告は、たとい不満であっても、その完全実施を要求してきたことは御存じの通りであります。しかるに、いまだかつて、完全実施されたことは、寡聞にして聞かないような状態であります。このことは、罷業権を剥奪し、その代償として設けられた人事院制度を、政府みずからがじゅうりんするものであるが、昨年八月十日及び一昨年十二月十四日付の勧告をなぜ勧告通り実施しないのですか。この点は、大蔵大臣及び労働大臣から、一つ明快な御回答を願いたいと思います。
○田中国務大臣 先国会でも申し上げました通り、政府は人事院勧告を尊重するという建前は、あくまでも貫いておるわけでございますが、公務員給与の決定に際しましては、日本全体の経済の情勢、その他予算上の問題等も考えながら決定せらるべきであることはもちろんでございます。その意味において、政府は十月一日実施という方針をきめまして、予算及び法律上の手続をお願いいたしておるわけでございます。
○大橋国務大臣 人事院勧告の実施につきましては、ただいま大蔵大臣から述べられましたる通り、これを完全実施いたすことによって十二分に尊重の実をあげたいと、十分誠意を持って検討をいたしたのでございますが、諸般の重要施策及び財政事情等の関係からいたしまして、十月一日から実施するのやむを得ない状況になった次第でございます。
○山花委員 大蔵大臣のお話を聞いても、労働大臣の御答弁を聞いても、完全実施をするのがあたりまえだが、諸般の財政事情でやむを得ず時期をおくらした、こういうような御答弁であります。そこで問題になりますのは、この人事院制度ができた当時のことを一つお考え願いたいと思うのです。これはもう私が説明するまでもなく、御両所はよく御存じだろうと思う。裁定は、五月実施という裁定である。なぜ十月実施にしたかという点です。そうすると、予算上、資金繰りというようなことを言われる。いつでもその逃げ口上です。一回、二回はこれはやむを得ないという手もございますが、一体人事院制度ができて、何回ぐらい給与勧告が今までありましたか。そのうち何回ぐらい完全実施したのですか。制度ができてから何回給与改定勧告があったか、何回そのうち実施したか、これを一つお伺いしたいのです。
○大橋国務大臣 事実問題でございまして、公務員制度調査室長からお答えいたします。
○増子政府委員 人事院の勧告制度が実施されましてから、昨年の夏までで十数回にわたる勧告が出ておるわけでありますが、その実施ということにつきましては、この勧告の基本線を維持するという建前は、従来からとられておるわけでございますが、ただ、実施の時期の点につきましては、先ほど来大蔵大臣、労働大臣からお答え申し上げましたように、この実施に要します財源の調達等というような面におきまして、遺憾ながら勧告通りには実施されていないということが言えるわけでございます。ただ、この際申し上げますと、実施の時期を明確に五月一日を適当と認めるということを勧告の中に示しておりますのは、ここ三年来のことでございまして、その以前におきましては、できるだけすみやかにということが内容になっておったわけでございます。
○山花委員 先ほど労働大臣が、事実関係であるから、事務当局をして答弁させる――私は、これは了承できるのです。ずっと引き続いて労働大臣をやっておられれば了承できませんけれども、ときどき労働大臣はおかわりになりますから。ところが、事務当局の答弁で、十数回というようなことでは、これは承服できません。怠慢じゃありませんか。事務当局はこんなものは数はわかっておるはずです。もう一回一つはっきりした御答弁を願いたい。何回で、何回できなかったとか……。
○大橋国務大臣 御承知のごとく、人事院の勧告には、毎年のベース・アップの勧告がむろんございます。これもなかった年もあったかもしれませんが、大体ございます。そのほかに、それと別の機会に、切り離して個々の手当などにつきまして勧告をいたしたものもございます。従いまして、ただ宙で覚えておらなかったものと思いますから、至急取り調べまして、この質問中、適当な時期にお答えを申し上げますので、御了承いただきたいと思います。
○山花委員 これは事務当局の大きな怠慢だと思いますが、これはあとで書類で提出していただけばいいと思うのですが、今、事務当局の御答弁によりましても、完全実施を何回したというような明快な答弁はなかったのです。言いかえれば、十数回出たうちで、結局は実施の時期をずらしたことによりまして、国家公務員あるいは三公社五現業に働く百数十万人の地方公務員を含めての方々が、どんなに賃金問題では迷惑をこうむっておるかという一点であります。 今回の人事院勧告で私もちょっと承服できない点は、九・三%と報告をしているのであります。ところが、労働省の毎月勤労統計は一三・三%と報告されておるのです。労働大臣は、臨時国会におきましてわが党の西村関一君の質問に答えて、毎月勤労統計と人事院調査とは、両者その調査の対象や方法が異なっております、毎月勤労統計は過去一カ年間の民間給与の伸びを示しておる数字であります、人事院勧告は今年四月の官民給与の格差を示しておる数であると答えておられますが、今なおかような考えをお持ちになっておるかどうか、一つ明らかにしていただきたいと思います。
○大橋国務大臣 前国会でお答え申し上げましたことは、その数字の示す意味を、その調査そのものからそのまま引いて申し上げたわけでございます。従いまして、それは今特に説明を変えるべき事柄ではございません。
○山花委員 しからば、今まで昭和三十二年と昨年度勧告を除いては、全部逆の傾向が現われておるのであります。すなわち、毎月勤労統計の方が人事院民間調査より下回っておるのであります。これについて再度労働大臣の所見を承りたいと思うのですが、今度の場合には、どうも作為的なにおいが私どもとしては――不信感があるといえばそれまでですが、どうも作為的なにおいがあるのですが、いかがでしょうか。特に去年と三十二年以外は全部反対の調査が出ておるのです。
○大橋国務大臣 毎月勤労統計の数字につきましては、毎年同じ材料から同じ計算方法で出しておりますから、特に変わることはないと思います。それから人事院の調査は、人事院で行なわれたものでございますが、これにつきましては、当時私も人事院の当局から直接説明を聞きまして、別に疑義を差しはさむ余地はないと考えました。従いまして、昨年の数字がたまたま従来の傾向と一致しない点があるからといって、それだけでこの数字を信用できないとは考えておりません。
○山花委員 これは水かけ論になりますから、これ以上のことはやめましょう。同じく田中大蔵大臣は、臨時国会における同僚西村関一君の質問に対して、勧告は尊重することを基本といたしたのでありますと述べて、実施時期を十月一日といたしました理由につきましては、公務員給与改定問題は、広く国民経済全般の情勢を考慮して決定する必要がありますと答えられておるのであります。いかなる点を理由として五月実施を十月実施とされたのであるか、お答え願いたい。どういう影響があるか。
○田中国務大臣 この前の御答弁でも申し上げたと存じますが、人事院の勧告に対して政府が基本的にこれを尊重するという建前は、過去も現在も将来も変わらないわけであります。しかし、五月一日実施をなぜ十月一日実施にしなければならなかったかということにつきましては、公務員の給与改定が行なわれれば、当然地方自治体その他の給与改定もこれに準じて行なわれるわけでございますが、きのうも申し述べましたように、三十八年度の地方財政の状況から見ましても、給与改定によるものだけでも千三百億をこすのでございます。こういう状態で、年度の途中において地方公務員及び国家公務員全体を含めて五月実施をする場合、これに要する財源がいかに大きいかは説明するまでもないと思います。これを行なうということで各地方の状況を調べましたところ、各府県の中では、この完全実施を行なう場合には、現在予定をしておる単独県費による事業等はほとんど全額行なえなくなるというような事実もあるわけであります。でありますから、これらの問題及び財源等の問題に対して、十分配慮を必要とすることは当然であると思います。また、いろいろな観点から、人事院制度そのものに対しても、また勧告そのものに対しても、検討せられておることは御承知の通りでありますが、財政当局側の考え方とすれば、年度の中期において遡及してこれを補正すべしというような制度よりも、できれば三カ月ないし半年間の余裕を見ながら、財政支出を伴うものでありますし、相当膨大な金額になるのでありますから、これらに対しては六カ月後の何月何日からこれを施行せられたいというような勧告である場合には、財源の見債もりその他に対しても的確な把握ができるわけであります。いずれにしても、遡及してこれを支払うという制度そのものに対しても、財務当局としては非常に困難な立場にもあるわけでございます。しかし、現行の制度そのもの、また慣習そのもので勧告が行なわれておりますので、あくまでも尊重するという建前のもとに、財政事情その他広い観点に立って十分検討の上、十月一日の実施にきめたわけであります。
○山花委員 大蔵大臣の話を聞いておりますと、どうも人事院の勧告は親の心子知らずというような、そういうように受け取れますが、しかし、最後の方に、これは制度としてこういう制度があるから尊重せねばならぬ――尊重するすると言いながら、実質は尊重しない。いんぎん無礼という言葉がありますが、どうもそれに大蔵大臣の御答弁はあてはまっておるような感じがするわけです。また、大蔵大臣は、地方公務員の給与改定は国家公務員に準ずべきではないかとの西村関一君の質問に、私もその通り考えておりますと答えておる。国の公務員の問題については、予算措置は直接国が行なうのであるが、地方公務員に対しては、地方が財政全体の問題を勘案し、独自の立場できめることになっておりますことは御承知の通りでありますと答えておられるのでありますが、これはその通り率直に承っていいのですか。
○田中国務大臣 お答え申し上げました通り、地方公務員の給与に対しては地方団体が決定をするわけでございますが、地方財政の都合等によりまして、大蔵省で御承知の交付税その他の処置を必要とする場合もありますので、無関心であり得るわけはないのでありまして、当然地方財政計画全般と国の財政計画全般を考えて措置をするように考えておるわけであります。
○山花委員 そうすると、地方自治体がその財政内容を勘案して、独自の見解に立って、支給額を決定してもよろしいと言われるのでありますか。
○田中国務大臣 地方公務員の給与に対しては、地方公共団体がきめる法制の建前になっておることは当然でございますし、しかも事実でございますし、またそのように行なわれております。しかし、足らない場合に国が補てんをしなければならないというような問題がありますので、それらの問題に対しては十分関心を持っておるわけであります。
○山花委員 それでは、さきの臨時国会で給与法案が流れました。地方においては、国で予算措置ができておるので、いずれはきまるものとして、労使間の話し合いで、暫定措置として支給額をきめて支給をしようとしたら、今度は自治省の方でありますが、行政局長の名をもって各都道府県知事に至急中止あるよう通達をされたことは、まことに遺憾なきわみであります。自治大臣と連絡をとってかかる通牒を出されたかいなか、これは篠田自治大臣にお伺いしたいのであります。
○篠田国務大臣 実は地方公務員のベース・アップは、国家公務員に準じてやるということになっております。言いかえれば、国家公務員が元であって、地方公務員はそれに準ずるわけでありますから、国家公務員に対するベース・アップの法案が国会において流れた以上、元が流れたのに、準ずべきものだけにベース・アップをするということは、これはまことに理屈に合わないことになります。どうせこれは通るんである、今は流れてもやがて通るんだから、一つ便宜的に渡しておいた方がいいじゃないか、暮れだからというような人情論もわいてきたわけでありまして、私たちもいろいろ意見の交換をいたしました。しかし、最後に、私は、閣議においてこの問題をどう処理するかということで閣僚の意見を聞きましたところが、今私が申しましたように、基本的な元が流れたんだから、元の流れたものをその準ずべきものだけにやるということは、やはり行政上よくないんじゃないか、どうせ通るとすれば、通ったときにやればいいのであるから、全国的に一応とめる方がいいじゃないか、こういう閣議の決定に基づきましてとめたわけでございます。
○山花委員 保守党の内閣は大体人情深い内閣と承っておりますが、今の篠田さんのお話を聞きますと、人情はどこかへ行っちゃってというような感じがするのであります。そこで、現実支給した府県も相当あるのです。これは多分御存じだと思います。調査もなすっていらっしゃると思います。支給された都道府県が一体どれくらいあるか、あるいはこの通牒によって支給を中止した府県がどれくらいあるかということはおわかりになっておると思いますが、お聞かせを願いたい。これは事務当局でもけっこうです。
○篠田国務大臣 行政局長をして答弁させます。
○佐久間政府委員 現在調査中でございます。
○山花委員 調査しているといっても、一体今自治大臣は、法律が通らないから理屈が合わないと、こう言っておる。実際は渡したところが相当あるのです。今ごろ調査なんておかしい話ですよ。わかっておるはずです。
○篠田国務大臣 私が閣議の決定に基づきまして――実はその通達を出しましたときは、すでに配付をしておったのは山形県だけでございます。ところが、その通達が行くまでの間に、また適当な処理をされた自治団体がありまして、ただいまいろいろな形態があるから調査中であると言ったこの事務当局のお答えは、まことに申しわけないと思いますが、きょう直ちに調査をいたしまして御報告申し上げますから、御容赦を願いたいと思います。
○山花委員 私は、監督官庁に自治省があるということはよくわかりますが、地方財政のゆとりがあるからやっておられると思うのですが、これを通達で中止させるというのは、地方自治の侵害にならないかと思うのでありますが、自治大臣、いかがでしょうか。
○篠田国務大臣 そういう問題につきまして、まことに残念ながら、私はこまかい法律的な条項は今申し上げるわけにはいきませんが、自治大臣といたしまして、決して自治法の違反ではない、こういうふうに考えております。
○山花委員 今度の実施を十月に繰り下げることによって、公務員諸君の給与は、期末手当その他を勘案いたしますと、一人当たり一万一千九百八十八円の損失を政府の不実行によってこうむったという計数になっておるのであります。公務員は、一般民間給与より、いつの場合比較いたしましても、低賃金で押えられておるのであります。本国会であらためて人事院勧告完全実施に踏み切る決意、英断を示されたらいかがかと思いますが、労働大臣、大蔵大臣、御所見を承りたい。あなたたちも、かわいい部下ですから、それに対して――特に大蔵大臣は人情大臣といわれておりますし、労働大臣それに劣らない人と承っておりますが、一つ英断を発揮して部下から喜ばれたらいかがかと思いますが、いかがなものでしょうか。
○田中国務大臣 人情論はもちろんでございますが、しかし、国家公務員の職責の重大さにかんがみましても、人事院勧告の五月実施を行ないたいという気持は、るる申し上げておるように、そういう気持であることは事実でございますが、財政多端のおりからでございますし、いつも申し上げておりますように、政府全体として十分慎重に検討した結果、前国会から法律及び予算を御審議願っておるわけでございますし、これに関する補正予算はすでに成立をいたしておるのでございまして、政府の考えておることを一つ御了解賜わりまして、今度出しております給与に関する法律を、可及的すみやかに御審議、御成立に御協力賜わらんことをお願いいたしたいと存じます。
○大橋国務大臣 大蔵大臣から申し上げました通りでございます。
○山花委員 今度給与法案はもう出されましたか。
○大橋国務大臣 提案いたしてございます。
○山花委員 人事院勧告をそんなに、先ほどから完全実施がないような状態で無視するというようなことが続いて参りますと、団結権や団体交渉権をむしろ与えた方がいいのじゃないか。それで人事院をやめた方がいいのじゃないか。人事院をやめて、いつも国会でこんなにごたごたするのだったら、一般労働者同様の取り扱い、人事院制度ができる以前に返したらいかがなものでしょうか。労働大臣、御意見を承りたいと思います。
○大橋国務大臣 公務員が国民の公僕として、公共に奉仕する立場にありまするので、そういう見地から、公務員の労働権にある程度の制限が加えられておるのは、これは各国におきましても大体そうした考え方が支配的でございます。そういう趣旨から現在の人事院制度ができておるのでございまして、この人事院制度を根本的に改正するということは、非常に公務員制度の根本に影響する重大な問題と存じまするので、今直ちにこれについての考えを申し上げることは困難でございますので、なお慎重に検討さしていただきたいと存じます。
○山花委員 人事院の制度は、今の労働大臣のお話を聞いても、これは必要だ、必要だから設けた制度だ。設けた制度である以上は、やはりこの制度を尊重していくというのが、責任ある政府の立場じゃないかと思うんです。今、国家公務員やあるいは三公社五現業の労働者、職員の諸君は、御案内のように、ただいまの生活苦を解消するために、また物価上昇を解決するために、民間との賃金格差を解消するために、五千円ないし六千円の給与べース・アップの要求をしておりますが、これは認められたらいかがかと思いますが、労働大臣、いかがでしょうか。
○大橋国務大臣 公務員の給与の一般的な引き上げの問題につきましては、現行制度としては、人事院の調査に基づく勧告がその前置手続として考えられておるわけでございまして、おそらくこの問題は、人事院において十分に検討されるものと考えます。
○山花委員 人事院では検討するが、人事院から出てきたものは認めないということになりますと、話は全然合わないことになります。先般公務員組合でつくっております共闘会議ですか、その方から政府に請願書が提出されておりますが、私はこの請願内容を見ましたが、いずれも納得のできる項目と思いますので、順次給与担当の労働大臣よりお答えを願いたいと思うのであります。 このうち、ただいま質問要項にも答弁願った点がございますけれども、六項目の要求が出ておりますが、公務員の初任給を一つ大幅に引き上げてもらいたい、最低賃金を一万二千円にすることというのが、二、三の項目で出ておりますが、これはいかがなものでしょうか。
○大橋国務大臣 すべてこれらの問題は、人事院において調査されることを期待いたしております。
○山花委員 公務員のいわゆる給与の値上げにつきましては、特に中間層以下を一つ優遇をしてもらいたい、こういう項目が出ておりますが、これはどうお考えになりますか。扱いはともかくとして、労働大臣としてはどうお考えになりますか。
○大橋国務大臣 従来からも、この問題についてはいろいろ組合からの要求がございまして、今までのたびたびの給与の引き上げにおきましても、民間とのつり合いを見ながら、現実にはそうした傾向に進みつつあったと思うのでございます。今回の要望につきましては、これを人事院の方へお伝えいたして、調査をお願いいたしております。
○山花委員 従来もそのようにしておると言われましたが、具体的には最低賃金一万二千円が出ておるというのだから、あまり下の方には考慮を払われてないので、こういう要望条目が出てきたのじゃないかと思うのです。現行の給与の段階である行二、海事二、医療三、この給料表を行一、海事一、医療二に統合して、差別を一つ撤廃してもらいたいと要請が出ておるはずですが、これに対してどうお考えになるでしょうか。
○大橋国務大臣 そういう要望は、私も十分に承知をいたしました。これは現在の俸給表の構造の基本に関係する重大な問題でございまするので、十分人事院において調査されるよう希望いたしておきました。
○山花委員 期末手当だとか、あるいは年度末手当、それに勤勉手当というようないろいろな項目がございますが、特に勤勉手当というのは一つやめてもらいたい、これを繰り込んでもらいたいという要望が出ておりますと同時に、もう一つは、通勤手当、これに税金をかけることを一つやめてもらいたい。これは大蔵大臣にも関係いたしますが、ささいな金額でありますが、これに税金がかかっておることは御承知の通りであります。それから地域給を廃止して、ただいまの四級ですか、これを一つ実質基本給の中へ繰り入れて是正してもらいたいという要求が出ておりますが、これは、税金問題については大蔵大臣とも関連がありますが、労働、大蔵両相からお答えを願いたいと思います。
○大橋国務大臣 諸手当の中で、特に勤勉手当は、これは平素の勤務成績を給与に反映させる一つの手段として設けられたものでございまして、そのような制度は、何らかの形において公務員制度上必要ではないかと考えておりまするが、しかし、これも給与の問題でございますから、他の諸手当とあわせて、人事院において検討をしてもらうことにいたしました。また、地域給につきましても、すでに現在提案いたしておりまする法案のうちで、地域給の撤廃の第一段階とも考えられる措置を法律の中にうたってございますから、今後ともこの問題については人事院において引き続き検討されるものと考えております。
○田中国務大臣 旅費、交通費が実費弁償であれば、当然税の対象にならないわけでございますが、定額旅費のようなものとして考えられる面、すなわち給与プラスのものである場合には、税の対象になっておると思います。しかし、こまかい問題については、後ほど事務当局をして調査の上御返答申し上げます。
○山花委員 これはささいなことでありましても、低賃金で悩んでおりますから、当然これが問題として請願の内容になっておることは、大蔵大臣もよくお聞き願いたいと思うのです。ただいまいろいろ承っておりますと、率直に言って、あれもだめ、これもだめということでございます。国民全体の奉仕者である、文句を言わずに働けでは、公務員諸君も家族をかかえてとにかく生きていくのでございますから、黙っちゃいられないということに当然なってくると思う。当然許されたる自衛権の行動に出ますよ。今出ようとしておることは、担当大臣よく御承知だろうと思います。この場合、労働大臣はどういう対策をお持ちですか。一つお伺いしたい。
○大橋国務大臣 給与の問題につきましての国家公務員の団体行動については、公務員法によりましておのずから限界があるわけでございますので、公務員の諸君も十分これらの法規に従って適法に行動されることを希望いたしております。
○山花委員 人事院の勧告を完全実施すれば何も問題が起きないのであります。ざっくばらんに申し上げますと、適切なる労働行政をやれば問題が起きないが、やらないところに問題が出てくるのであります。従来のように、相変らず場合によれば権力弾圧というようなことは、私はおやめ願いたいと思うのであります。大橋労働大臣が、社労委における所信演説に、目下のこの重要問題であり、また労働問題の大きな問題でありますところの給与問題について、一言も言及しておられないのです。何かこれは作為的に言及されなかったのですか。あなたの社労委の施政演説と言いましょう。所信表明では型が小そうございますから、施政演説と申しましょう。こんなに問題が大きくなっているのに、一言も触れておられない。これはどういうわけですか。
○大橋国務大臣 社会労働委員会におきまして私の申し上げましたことは、労働大臣として労働省の所管の事務につき御説明をいたしたのでございます。給与の問題は、御承知の通り、内閣所管になっておりまして、この関係法案も内閣委員会で処理されておりまするので、社会労働委員会では私がこの問題に積極的に触れる必要はない、かように考えた次第でございます。
○山花委員 あなたは給与担当もなすっていらっしゃると思うのですから、これは当然社労委における所信表明の一項目に入れるべきだと思うのですが、まあそれは所管外だからあまり……。しかし、これは大きな労働問題に発展することは御承知の通りであります。 労働大臣にもう一つお伺いしたいことは、社労委における所信表明の最後の一項目に、「ILO八十七号条約につきましては、これを早期に批准するという政府の基本方針には変わりないのでありまして、関係国内法の整備に関する法案とともに、これが成立を期するために、引き続き一そうの努力を傾注して参る所存であります。」と演説をされておるのであります。そこで、お尋ねいたしたいことは、本国会において、いつごろこれを提案されるのですか。今まで各労働大臣が、また池田総理もそうでありますが、ILO八十七号の批准は今度の国会にする、今度の国会にすると、国会劈頭には必ず言明されて参りましたが、いまだに実行されずに国際的不信を買っていることは、大橋大臣も熟知のはずであります。間違いのないように、一つ日程、プログラムをこの際お聞かせを願いたいと思います。
○大橋国務大臣 この原案は、御承知の通り、先年来たびたび提案したものでございまして、内容はすでに固まっておるのでございますが、その後におきまするいろいろの他の関連法規等の改廃に伴いまして、内容も一部修正を必要とする面がございます。これは、もちろん純然たる法律技術的な問題でございますが、これらの点につきまして、現在法制局と打ち合わせておるような状況でございます。それの終了次第提案いたしたいと考えております。
○山花委員 いろいろ字句の修正を法制当局にまかしており、それが完了したら出すということになっておりますが、御案内のように、これは言っていいかどうかは別問題でありますが、地方議員の統一選挙がございまして、国会末期になりますと、おそらく政党政治の今日の段階においては、議員諸君も選挙に相当熱中して、国会の審議がある程度薄らいでくるということは御承知の通りであります。そこで、早く出さないと問題にならないと思う。で、今関係国内法の整備と言われましたが、どういう関係国内法でありましょうか、ちょっとお考えになっておる点をお聞かせ願いたいと思います。
○大橋国務大臣 これは、池田内閣ができまして以来、毎回国会に提案をいたしました当時、一括出したものでございまして、具体的には、公労法、地公労法、国家公務員法、地方公務員法及び鉄道営業法、この五法案でございます。で、ただいま事務当局に対しましては、おそくとも今月中には提案できるようにしてもらいたいというので、準備を督励いたしておるわけでございます。
○山花委員 従来の批判は、右手でパンを与えて、左手でげんこつでなぐるというような批判が政府当局に与えられておることは、御案内の通りでありますが、今その字句の整備、内容の整頓と言われましたが、これはお目にかからないと、はたしていいものであるか悪いものであるか、私もこの際批評を差し控えたいと思いますが、そこで、大体のめどですが、成立させるという意気込みで皆さんの協力を願いたいと大橋さんは言っておられるのですが、大体のめどはおわかりにならないでしょうか。
○大橋国務大臣 提案の時期ですね。それは、おそくとも今月中には出したいというので、ただいま準備を進めております。
○山花委員 今日、労働時間の短縮は、皆さん御承知のように、世界的趨勢となっておるのであります。労働大臣も御承知のように、昨年六月、ILO総会は四十時間制の勧告を採択いたしました。ILOの理事を勤めております日本政府は、この四十時間制の勧告を受け入れる決意を持っておられるかどうか、この際お聞きしたいと思います。
○大橋国務大臣 政府といたしましては、労働時間短縮勧告の趣旨は、各国における経済的、社会的条件の差異を考慮しつつ、漸進的、段階的に労働時間を短縮することにありまして、従来からの政府の態度に照らしまして、その趣旨については望ましいものと考えております。従って、この勧告の中に週四十時間労働の基準を掲げておるという点は、わが国の当面の実情から、必ずしも適切でないと考える点がございますが、その趣旨とする時間短縮ということにつきましては、わが国の経済・社会の実情に即応しながら、できるだけそういう方向に進めていきたい。従って、わが国の実情に即した労働時間の短縮の進め方について、さらに検討を重ねて参りたいと考えております。特に、さしあたって政府といたしましては、中小企業の過重あるいは不当な労働時間を是正いたしたいと考えまして、労働基準法に基づく監督を重点的に実施いたすばかりでなく、一斉週休制の採用、あるいは一斉閉店制の普及、また、労務管理の近代化対策等の措置を一そう積極的に進めたいと思っております。
○山花委員 四十時間制は、まだ即刻日本の実情には沿いかねるが、趣旨には賛成である、漸次その方向に努力していきたい、この問題はあとでもう少しお尋ねいたしたいと思いますが、ちょうど、これを実践に移した傾向の一つの現われは、せんだって、千葉県庁における加納知事の、一月十二日から県庁職員の土曜日半数休暇制を実施する旨を明らかにされたことであります。千葉県知事は、御承知のように保守党の知事であります。この知事すら時代の流れを察知して、あえてこの措置をとったのであります。自治省はこの措置を不満とし、違法のおそれありとしてこれを弾圧し、ついにこの新措置を撤回させるに至りました。いかなる点で違法であるか、この際、自治大臣よりお伺いしたいと思います。
○篠田国務大臣 千葉県がその職員に対しまして、隔週土曜日に半数交代で命令によって特別休暇を与える措置をとりましたことは、法的には地方公務員法第二十四条第五項の趣旨に抵触いたしますし、人事院規則の、公務員の勤務時間は一週四十四時間とするという規定にも反します。また、地方自治法の施行規程第二十九条の規定にも違反すると考えられましたので、取りやめる方がいいではないかという勧告をいたしました。千葉県知事から直接私に電話がかかってきまして、取りやめをいたします、こういうことで取りやめをやったわけであります。
○山花委員 私は、ただいまの自治大臣の御答弁には納得できません。自治大臣の行為は自治権の重大な侵害である。 しからば、自治大臣にお尋ねいたしたいが、あなたの所管である、来たるべき地方統一選挙で、日本の中心東京都知事に関連する問題であります。これはどこでも事前運動か準備活動かといってまぎらわしい点がありますが、悪質な選挙違反が展開されておるのであります。最近、明確に選挙違反と思われる文書が、総理大臣池田勇人の名で行なわれております。すなわち、東龍太郎現知事の再立候補に対して委嘱状というものを出しておる。貴殿を自由民主党東京都連選挙政策委員にするという文面であります。池田勇人の名で出しておるのであります。これを不特定多数の各人に送られている。わが社会党の党員のところにも来ている。労働組合の幹部にも来ている。これは特定人に送られたとは言えないのであります。これはまことに明確な法律違反であると思いますが、監督官庁の自治大臣はいかがお考えでありますか。
○篠田国務大臣 御指摘の事実の内容がよくわかりませんので、今直ちに結論を出すということはできませんけれども、委嘱状に総理大臣の名前があったということは、これは間違いではないかと私は考えます。ということは、総理大臣池田勇人というのではなくて、こういう運動というものは、どこでも党が中心になってやっておる関係上、おそらく自民党総裁池田勇人で出しておるのではないか、一つはこういうように考えます。 それから、委嘱状の頒布行為が直ちに選挙の事前運動になるかどうか、これは当然立候補に関する一つの政党活動というふうにも見られるのでありまして、その内容につきましては、十分に調査をいたしましてからお答えいたしたい、こう考えます。
○塚原委員長 山花君に申し上げますが、申し合わせの時間が経過いたしましたので、結論をお急ぎ願います。
○山花委員 時間がございませんので、この問題は、いずれ公職選挙法特別委員会で問題の所在を明らかにしたいと思います。 そこで、最後に、一つお伺いいたしたいことは、労働時間の先ほどの問題で、いま一、二問労働大臣との質疑をお許し願いたいと思います。 御案内のように、わが国は拘束四十八時間制であります。ところが、さきにお尋ねいたしましたように、あまりにも低賃金でございますから、やむなく時間外労働をやっております。平均五十一時間働いております。その反面、週三十四時間以内の不完全就労者が、三十五年には五百二十九万人、三十六年には四百八十六万人、三十七年には、一月でありますが、五百五十六万人となっているのであります。就業時間数から見た場合には、雇用者だけでも五百万人以上いわゆる不完全就業者がいるのであります。また、四十九時間以上の就業者が八百九十六万人いることが、不完全就業の問題をきわめて深刻にしていることは、多分労働大臣御承知のことと思います。従って、わが国の失業問題は、むしろ不安定就業者の膨大な存在にあるということができると思います。この不完全就業者については、実質的に失業者に、あるいは部分的失業者と見ることができるのであります。従って、この実質的失業者たる不安定就業者を今後どうするかに焦点をしぼって労働行政をやっていただきたい。この際、思い切って時間短縮をやりまして、そういたしますと、五十一時間労働と三十四時間以内の不安定失業者のアンバランスがとれて、完全雇用の線が確立できると思いますが、大臣就任中にこういう画期的なことをやられて、大橋労働大臣の名声を高められてはいかがかと思いますが、いかがなものでしょうか。
○大橋国務大臣 今直ちに結論を申し上げるわけには参りませんが、労働時間の問題につきましては、先ほど述べました通り、特に中小企業を中心といたします過重労働時間、これの矯正ということは、労働行政として力を入れなければならぬ面であると思います。私といたしましては、明年度早々からこの問題に取り組みまして、実情を十分調査いたしました上、何か具体的な措置を考えて参りたい、かように存じます。
○山花委員 きょうは、防衛庁長官あるいは防衛施設庁長官においでいただいて大へん恐縮でございますが、時間の関係もございますので、御両氏にはおわびを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
○塚原委員長 芳賀貢君。芳賀貢君。
○芳賀委員 農林大臣にお尋ねしますが、先日、三十七年度の農業の年次報告が行なわれましたけれども、その中で特に問題になる点といたしましては、農業と他産業との間における所得格差がますます拡大しておる、この傾向を現在の政府の力をもってしては何ら是正しておらないというところに非常な問題があるわけでありますが、ここでお尋ねしたいのは、昭和三十六年度の統計に基づく、農業とたとえば製造業あるいは非農業との間におけるそれぞれの就業者の実質国民所得がどういうような状態になっておるか、大臣から直接御説明願いたいと思います。
○重政国務大運 製造業は二五・三%、それから非農業が二七%であります。
○芳賀委員 それは何ですか。そのパーセントは、農林大臣、何のパーセントですか。
○重政国務大臣 農業に対する製造業の比率が二五・三%、農業に対する非農業の比率が二七%、こういうことでございます。
○芳賀委員 それでは、農業従事者の一年間の実質国民所得に対して、製造業あるいは非農業が二五%ないし二七%しか所得がないということなんですか、今の答弁は。
○重政国務大臣 それは、その逆であります。農業がそうである、こういうことです。
○芳賀委員 あなたは逆な説明をしたのですね。私の聞いておるのは、パーセントではなくて、昭和三十六年における農業従事者あるいは製造業の従事者、非農業全体を通じての年間の実質国民所得の金額がどのようになっておるかということを今聞いたわけです。パーセントではない。
○重政国務大臣 農業は九万三千円余りであります。それから製造業の方は三十六万七千円、そういう数字になっております。
○芳賀委員 非農業は……。
○重政国務大臣 製造業、非農業は大した数字の差はないだろうと思いますが、今ちょうど数字を持っておりません。
○芳賀委員 なくったって言いなさいよ。
○重政国務大臣 製造業の方が三十六万七千円でありますか、でありますから、非農業として一人当たりを計算いたしましても大差はないだろう、こう思うのですが、今正確な数字を持っておりません。
○芳賀委員 これは農林大臣が本会議において報告された内容なんですよ。まだ数日しかたっていないんですよ。幾日もたっていないのにすっかり忘れてしまって、持ち合わせがあるとかないとか――私の質問は、あなたが出した年次報告の問題点について尋ねておるわけです。こちらから言いますと、非農業は三十四万五千円ということになって、製造業あるいは非農業の所得に比べて農業者の所得の率というものは、それぞれ二五・三%あるいは二七%の水準にしかなっておらない、こういうことなのです。ですから、これを見ると、政府が農業基本法を制定して以来、所得の格差を縮めるということを宣伝しておりながら、実際は毎年々々格差が増大するという、基本法とちょうど反対の方向を今の自民党政府は進めておるわけですね。このままずっと進んでいくと将来どうなるかということを、この際明確にしてもらいたい。
○重政国務大臣 所得の差が縮まっておりませんということは、グリーン・レポートにも書いておきました。しかしながら、農業自体の生産性の向上あるいは所得の増加というものは、これは所得倍増計画で予定をしております程度のものは上げておるの下、あります。ところが、他方製造工業の方面において、御承知の通りに倍増計画で予定をいたしております以上に飛躍的に生産性が伸びた。こういうことから、その間の差が思ったほど縮まらない、こういうのが現状であると思います。
○芳賀委員 結局、非農業の従事者が一人で一年間働く所得を農業の面で獲得する場合には、四人が働かなければならぬことになるでしょう。こういう全く比較にならない所得の状態というようなものは、直ちに是正する方向に進めなければならぬのですが、それが三十八年度の政府の予算等においても全然講じられておらないというところに問題がある。 第二の点は、最近農村における階層分化がだんだん激化して参りまして、特に特色は、専業農家がどんどん減って、三十五年から六年にかけてちょうど八%専業農家が減って、それが兼業化の増大を進めておるわけですが、一体このような状態で、たとえば五百九十万農家のうち、農業を専業とするものがわずか二六%しかおらない。あとの七四%は兼業によって生計を維持するということになると、これは、日本の農業の将来からいって必ずしも好ましい状態ではないと思うわけです。兼業農家に移行する方が所得をふやせるという現状から見ると、どうしてもこの状態では、自立農業とか専業農家というものを保持することはできないと思うのです。一年間に八%ずつ専業農家が減っていけば、極端に言えば、あと三年間で専業農家は一人もおらぬということになるでしょう。ですから、この状態をどういうふうにして是正して自立でき、自営できる健全なる専業農家というものを確保するかということに対して、政府は非常に明確を欠いておるわけです。この点について、農林大臣の考え方を明確にしてもらいたい。
○重政国務大臣 これは、たびたび申し上げておるところでありますが、農業基本法の線に沿って、農業基本法でいろいろ定めておりますことをすみやかに具体的に実現をいたしていく、こういうことがそれに対する答えであろうと私は思うのであります。そこで、三十八年度に何もやっておらぬじゃないかというようなおしかりでありますが、これは予算書なり、あるいは提案をいたしております法律案等を御審議いただきますれば当然明らかなことであろうと思うのでありますが、申すまでもなく、これは生産性の向上と所得を増大するためにいろいろな政策を実現せんといたしておる次第であります。これは、農業基本法においてよく御承知のことと存じます。
○芳賀委員 大臣にお尋ねしますが、今農林省の内部においても、三ちゃん農業という言葉が出ておる。大臣は農林省の一番のかしらですから、一体、今日唱えられておるこの三ちゃん農業とは何であるかということは勉強されておると思うのですが、この機会に一つ説明してもらいたい。
○重政国務大臣 私は、寡聞にしてそういう言葉は知りません。
○芳賀委員 そういうことを知らないから、ただ、農業基本法にはこういうことが書いてあるから、それをお経のように読み上げておれば日本の農業は発展するというように、あなたはそれだけしか考えておらないのでしょう。いいですか、三ちゃん農業というのは、先ほど私が指摘した通り、最近急激に階層分化が激化して、特に専業農家が激減して兼業農家に移行しておる。ですから、結局農村には、中心になる労働力というものは年寄りと婦女子しか残らぬ、こういう状態が明らかになっておるわけです。こういう農業の状態をいわゆる三ちゃん農業というのです。あなたの農林省で言っておるのです。じいちゃん、ばあちゃん、かあちゃんが主体になってやっておるというのが今日の農業の実態じゃないですか。こういう農業の実態というものは、世界の先進国の農業の実態を見ても全然例がないわけです。一体こういう老齢化、婦女子化した農業というものは、これからの日本の農業を進めるほんとうの基礎的な力になり得るかどうかということをこの際明らかにしておく必要がある。いいですか。
○重政国務大臣 もちろん、そういうような婦女子、老令者によって経営をしていく現在の日本のそういう農業経営というものは、いい形態ではないと考えております。そこで何といたしましても、根本は農業というものの所得がだんだんに増していく、そうして農業に対する希望を持たしめるということが私は必要であると思う。それには、根本的にやはり農業の所得が漸次増していくということにならなければならぬと思っておるわけであります。そういうことで、お述べになりましたような婦女子、老令の者が農業をやっておるから農業所得は上がらないのである。それがためには、根本的には土地基盤の整備をやって農業機械の導入をやる、労力は多く要しないような農業をここに確立する必要がある、こう考えてその方向に向かっておるわけであります。
○芳賀委員 それではお尋ねしますが、結局最近農業を継承する農村のいわゆる後継者が人的に非常に不足になっておるわけです。それで、これは教育を担当しておる荒木文部大臣にお尋ねしますが、昭和三十七年において、大学卒業は除きまして、中学校、高等学校を卒業した卒業者のうち、農業に従事した人口がどのくらいあるか、これはあなた御承知と思いますが、どの程度ですか。
○荒木国務大臣 正確な数字を記憶いたしておりませんが、年々農業にい残る青少年が非常に減っておるということだけは認識いたしております。
○芳賀委員 減っておるというのじゃなくて、あなたの受け持っておる学校教育の中で、中学校を卒業して農業に就業した者、高等学校を卒業して農業に就業した者、それぞれこれはどのくらいあるのかということぐらいは頭に入れておかぬと、人材教育とか農村教育を論ずる資格はないのじゃないですか。概数でいいから、中学、高校を卒業して昨年農業に就労した人口ですね。
○荒木国務大臣 中学卒と高校卒業生を合わせまして十万弱であります。
○芳賀委員 じゃ私から教えておきます。これは両方合わせて八万人ですね。八万人のうち、中学卒業が五万五千人、高校卒業が二万五千人、合わせて八万人ですよ。ですから、この八万人新たなる就業者が増加しておるが、一体全国五百九十万戸の農家に対して一年八万人程度の新鋭な農業従事者がふえた程度では、一体日本の農村の後継者というものを完全に確保することができるかどうかを、あなたはどう考えておりますか。
○荒木国務大臣 それは、御指摘の通り、老人と婦人だけになっていく傾向をたどらざるを得ない。その結果は、日本農業の将来としましては、労働力不足のために困難に立ち至るであろうと想像をいたします。そこで、お尋ねじゃございませんが、そういう傾向を一体どう把握して若い労働人口を確保するかは、本来は農業政策の面から考えらるべきことと思いますけれども、農業基本法の趣旨に立脚いたしまして、今後の日本の農業の動向は、この委員会でもたびたび論ぜられましたように、大規模化し、機械化し、すべてが近代化するという要請にこたえねばなるまいということも当然想像できるのでありまして、その線に応ずべく、農業高等学校の教育課程内容それ自体を今後に向かって近代化する、あるいは現実の農業経営の必要に応ぜしめるような学科目をふやしましたり、改編いたしましたりという措置を、三十八年度予算につきましても及ばずながらいたしておるつもりでございます。
○芳賀委員 私のお尋ねしておるのは、一年わずか八万人程度の新しい就業者が出るということになると、この諸君が一応後継者ですからね。そうすると、五百九十万農家に対して年間八万人程度しか後継者が出ないということになると、後継者が一回りするのに八十年間くらいかかるのですよ。だから、何とか完全に後継者ができるまで待つということになると、百才ぐらいまで農業をやっていなければ後継者は出ないということになる。これは実に重大な問題と思うのです。そういうことを一国の教育を担当する大臣が全く頭の中から忘れて、ただ日教組だけを敵にしてけんかをするようなことでは、全く農村というものは人材を失って滅びてしまうということに当然なると思う。一体どのくらい適正な後継者人口というものを毎年確保することが、日本の農業を発展させるために最低限必要であるかということについては、これは農林大臣にお尋ねしておきます。
○重政国務大臣 どうも芳賀委員のお話を聞いておると、農業就業の人口というものは現状を基礎にしてお考えになっておるようでありますが、これは私は率直に申し上げますが、私は、就業人口が多過ぎると思っておるのです。就業人口はまだまだうんと減していいと思うのです。従って、八万人が五百九十何万人に対しては百年かかるとか八十年かかるとか言われるのは、ちょっとどうも聞こえない話だと私は思うのです。これは根本の問題でありますが、農業所得が少ないということは、就業人口が多過ぎるということにもなるわけでありまして、そこで、私どもは、今日方針といたしましては、第三次、第二次の産業に対し、農業就業人口がその方面に移動をしてこれが減っていくということは、大局的には歓迎すべきことであると考えておるのです。ただその際に、お示しの通りに、次代をになう青壮年が減っていく傾向は、これは重視すべきものである。こういうふうに私は考えておるのでありまして、そこで私は、今の八万人、去年は七万人、ことしは一万人ほどふえておるのでありますが、それをしからば十万人あるいは十五万人おらなければならぬとかいうような計数的の計算はまだいたしておりませんが、とにかく、次代をになう青壮年が減るということは大いに重視をして、これが必要なだけは農村にとどまってもらいたい、そのためにどうやるかということで、いろいろ私どもも苦心をいたしておるところであります。
○芳賀委員 私の言っているのは、総体の農業就業人口が合理的に整理されて他の有利な産業に転出するということは、これは阻止するものじゃないのですよ。しかし、跡取りが一年に八万人ぐらいしか確保されないということになると、この傾向をずっと伸ばしていくと、これは百姓一代になってしまうのですよ。跡取りがなければどうしたって農業を続けるわけにいかぬじゃないですか。それほどに今日の農業というものが、学校を出た青少年諸君を、今日の現状においては本人も親も農業をやらせるわけにいかぬということになっておるのですからして、優秀な人材が農村にとどまれる状態というものを、やはり農業の政策とか、社会政策とか、教育の方向の中で明確にしていかぬと、いや、わしはそういうことは計算したことがないからわからぬということでは済まされない重大な問題であるということを指摘しておきます。 次にお尋ねしたい点は、昨今全国的に紛争の起きておる乳価問題についてでございますが、この点については、二月七日の衆議院農林水産委員会において、全会一致でこの乳価問題に対する決議が行なわれておるわけです。これに対しましては、農林政務次官の津島君が政府を代表して決議の趣旨を尊重して善処するという、そういう意思表明をされたが、この際農林委員会の七項目の決議事項に対して、農林大臣として決議を尊重して、具体的にはどういうふうにそれぞれの項目に対して解決策を進めるかということについて、抽象的な答弁ではなくて、具体的に、第一項についてはこうしますとか、第二項についてはこうしますという、明らかな具体的な施策の裏づけを持った答弁を願いたいと思います。
○重政国務大臣 これは、御決議になっております事項はいずれも重要な事項でありまして、十分私どももこの御意見は尊重いたしまして努力いたすつもりになっておりますが、しからば、七日でありましたか、決議をせられて二、三日あとの今日、それを具体的に言えと言われても、なかなかちょっとそれは無理じゃないかと思うのです。この乳価の根本問題について申し上げますれば、現在乳価が値下がりをしておるというのは、芳賀さん御承知の通り……。
○芳賀委員 簡単にやって下さい。
○重政国務大臣 これだけのものを簡単にやれと言われても、なかなかそういうわけにはいかないです。それじゃ具体的に一つ一つ聞いて下さい。
○芳賀委員 それでは具体的に私の方からただしますが、第一の点は、昨年の十二月以降乳業メーカーが一斉に、各社がそれぞれの都道府県において、時期を同じくして乳価値下げを生産者に対して一方的に通告して、その通告に基づく乳代の支払いを今日までやっておるわけです。ですから、通例で言いますと、すでに畜産物価格定安法が実施されておる今日、値上げをずる場合には、政府の指導に基づいてできる限りの値上げ措置等は講ぜられてきておるわけですが、反対に値下げをする場合は、当然事前に農林省に対しまして、これこれの理由で乳価をどうしても下げなければならぬからして、了承してもらいたいというような申し入れというものがあるべきことになっておるわけです。ですから、これが一斉に行なわれたということは、おそらく農林大臣が十二月における乳業メーカーの乳価値下げに対して了承を与えたからこういうことになったということは、これは全国の生産者が指摘しておる点であります。 〔委員長退席、安藤委員長代理着 席〕 しかも、その値下げの通告のやりようというものは、どうも一部では独禁法違反の疑いがあるという、そういう指摘も行なわれておるわけです。こういう点については、農林大臣として十分精査しておると思いますが、これを具体的に示しますと、こういうことになっておるわけです。日本における四大メーカーといわれる森永、明治、雪印、協同乳業、いずれの地域においてもこの四社が同時期に同一価格の値下げを行なっておるわけです。たとえば十月一日から、石川県においては一升について四円、十一月十六日には、広島県においては一升三円、十二月一日には、北海道外六県については一升について一円の値下げ、十二月十一日には、群馬県外十二都府県において一升について二円六銭、結局二十二都道府県においては、それぞれの府県において、同額、同時期の値下げというものが行なわれておるわけです。しかも一方的に値下げが行なわれておるということになれば、これはどうしても共同の行為、協定、共同による一方的な値下げの実施、あるいはまた買手側である会社としての生産者に対する優位な地位を不当に利用した一方的な値下げ措置、こういうことはやはり指導官庁である農林省において、この値下げが発動される場合、その事前に適切な措置をとるのが当然であったにもかかわらず、暗黙のうちに了承を与えたとわれわれは見るよりいたし方がないわけです。そうして世論が沸騰して、あるいは国会の中でも、年末に問題になってから、ようやく畜産事業団を通じて二十億円の製品買い上げをやるという、そういう決定を行なったわけです。それが今日何ら実効を上げておらないというところに大きな問題があるわけです。具体的にあなた聞いて下さいと言っても、これは十二月から始まっておる問題ですよ。きのう、きょう始まった問題ではない。どうして農林大臣として、このような不当の値下げが行なわれようとするその時期に、これを行政的に食いとめ、あるいは値下げ要因が明らかにあるとするならば、それを防ぎ得るいろいろな立法上の措置、あるいは予算上の措置を行なうのが至当であったにもかかわらず、何らあなたは適切な方途というものを講じていないじゃないですか。幾ら言ってもやらないから、農林委員会においてあのような決議が行なわれておるのです。一体この値下げ通告というものをいつまでにはっきり処理して、もとの値段に復活させるという見通しの上に立っておるか、まずその点から聞かしてもらいたいと思います。時間の関係があるから問題点だけについて明確な答弁をお願いいたします。
○重政国務大臣 これは、芳賀さん十分御承知の上でお話になっておると思うのでありますが、どうも何だか農林大臣が了承を与えたとか、何か勘ぐったような御質問でありますから、多少時間はとりましても、一応内容は明らかにしておかなければならぬと思うのであります。申すまでもなく、一升五十二円というのは安定法によった標準価格であります。この標準価格を割りました場合におきましては、もしくは割るおそれのある場合におきましては、農林大臣は有権的に措置ができることは御承知の通りなんです。今問題にせられておるのは、この五十二円の上にあるいは七円なり八円なり、こういうものを各社が奨励金として出しておる。なぜ奨励金として出したかと言えば、先年生乳を原料乳として、これを各社が取り合いの競争をしたときに、奨励金を出したと私は聞いておるのです。でありますから、これは法律的に言えば一応性質は違うものなんです。しかしながら、違うからおれは農林大臣としては知らぬのだということは断じて申さない。そしてまた、そうも考えておらないのであります。しかし五十二円を割る場合と、奨励金が一円とか二円とか、今お話のように減額せられる場合とは、おのずから農林大臣のやり方というものは違うわけであります。これをまず御了承願いたいのであります。 そこで、最近お示しの通りに、乳製品の買い上げを二十億円することを決定いたしまして、今ほとんど十七億円程度のものを買うことの契約をいたしておるわけであります。これはできるだけ早く現物の受け渡しを事業団をしてせしめるつもりでありますが、御承知の通り、これは検収をやりますから、若干の時間がかかりますことは御了承願わなければならぬと思うのであります。そこで私のやりましたことは、そういう状況でありますから、学校給食を第二学期、第三学期を通じまして、御承知の通り、確か十六万石であったかと思いますが、これを学校給食に充てるということをきめて実行に移しております。 それから乳製品を買い上げて製品在庫を少なくして、そして乳製品の値段がこの標準価格の下値を割るというような状態をなくしよう、そういうことによりまして原料乳の消費を多くしょうと考えて、その措置に出たわけであります。その際には、少なくともこれ以上奨励金の減額はしないという一札を各社から取って、この措置を講じたのであります。と同時に、できるだけすみやかに減額前の奨励金に復元をするようにということを、私どもは製造業者に申し入れをいたしておるのであります。この点はできるだけすみやかに復元をいたすように勧奨をいたすつもりでおるわけであります。
○芳賀委員 ただいま農林大臣から、乳価は、基本乳価が法律に基づいて一升五十二円であるということを言われましたが、今日の国内における地域的な乳価というものには非常に差がありまして、最高は一升七十三円、最低が五十四円、ですから大体二十円近く同じ一升の牛乳についても生産の地域によって格差があるわけです。それを無視して、どこでも五十二円が基本乳価だ、それを上回る分は、補助金とか奨励金でやるとかいう、そういう考えは全く実態を知らない論ですよ。そういうことをあなたが考えておるから、メーカーは五十二円を上回った乳価分は、これは基本的な乳価ではない、臨時的あるいは漸定的の補助乳価であるから、いつでもこれは取りはずし自由であるというような、そういう考えをむしろあんたが与えておるようなことになるわけです。これは全く実態を知らない考え方です。そういう間違った判断の上に農林大臣も畜産局長も立っておるから、メーカーは平気で一方的な不当な値下げを行なうということになったわけです。これを直さなければいけないじゃないですか。一体五十二円というものはどの乳を指すわけですか。法律によると、原料乳についてだけ畜安法でこれを最低支持するということになって、今乳製品の原料に用いる乳以外の、いわゆる飲用牛乳というものは対象になっていないわけです。いいですか、ですから主として大都市周辺の供給地域の場合には、比較的乳価が六十五円とか七十円で高値である。それから北海道、東北等の、大都市を持っておらない、いわゆる乳製品の原料乳生産地域においては、五十円台の非常に安い乳価で取引がされておる。このように一升十五円も二十円も差のある乳価の実情の中において、いや、五十二円までは下げられてもやむを得ないというような、そういう全く実態をわきまえない大臣の酪農に対するあるいは畜産に対する態度というものは、歴代の大臣でもそういう人はいないですよ。あんたは昔から何十年も農林省におって、次官までになった人じゃないですか。そして自民党の中においては、政調の重政委員会といって、相当威力を発揮したということも私は聞いておるわけです。だからわれわれの期待は、こういう間違った状態というものを、十二月中にすみやかにこれは解決すべきであるということを、われわれとしては指摘したわけでございますけれども、畜産局は全く無為無策で今日に至っておるわけです。二十億円買い上げするといっても、まだ今日においても全然現物の買い取りは行なわれていないじゃないですか。十二月二十一日に政府は方針を決定して、一カ月以上たって、まだ二十億円の製品買い上げというものは実際に行なわれていないじゃないですか。それでは意味をなさないでしょう。乳製品が過剰傾向で市況を圧迫しておるから、その過剰在庫分について、これを政府が事業団を通じて買い上げて、これを凍結することによって市況を回復するというねらいの上に立っておる場合には、迅速にこの処置をやらなければならない。いつまでこれを買い上げるかわからぬというような方針では、二十億円の買い上げ措置というものは全然効果が上がらない。しかも、いつまでに買い上げを締め切るということが明らかにされていないじゃないですか。だから考えようによっては、一年かかっても、二年かかっても、二十億の範囲内で製品を買い上げします、こういうでたらめな買い上げ措置なんというものは、何ら意味をなさないと思うわけです。この点については、昨年の方針決定の場合には、大蔵大臣も参加されたと思いますが、一体二十億円を買い上げするという、ほんとうの目的はどこにあったか。買い上げ発動をすることによって、乳価を回復さして、そして農民に安心感を与えるというところから買い上げが発動されたと思いますから、発動する場合にはメーカーに対して条件を付して二十億円の買い上げをやるから、そのかわり値下げは撤回しなさいと、こういう指示を与えなければ、発動の効果というものは薄いと思いますが、これに対しては大蔵大臣の当時の考え方を聞かしてもらいたい。
○田中国務大臣 先ほど農林大臣が述べましたように、乳価安定という基礎に立って、学校給食用に国内産の牛乳十六万石、それから畜産事業団をして二十億を限度としての買い入れをせしめたわけでありまして、今お説のように、乳価安定を基盤にしておりますことはその通りであります。
○重政国務大臣 私は、五十二円の標準価格まではどんなことになっても知らぬのだというようなことで、非常におしかりを受けたのですが、そういうことは、私は先ほど御答弁しておらない。内容を、性質を私は明らかにしたのであって、おのずから農林大臣の措置というものは、その間に強弱があることをあらかじめ御了承を願わなければならぬという意味で言ったのであって、二十億円の乳製品の買い上げをやりました際に、お話しの通りに、これ以上は奨励金を減額しないという条件はつけております。と同時に、できるだけすみやかにその奨励金を、一年なり二年なりで減額したものは復元をするようにしてもらいたい、こういうことを言っておるのであります。それから五十二円というのをきめたのは、これは価格安定審議会においてきめられたものであります。これは、もう芳賀さんよく御承知の通りに、生産費といえば、多いのから少ないのに至れば相当の幅がある、その問いろいろ御審議の結果、そういうふうにして最低の一升五十二円を割らないようにという趣旨で、その審議会で決定せられておることはよく御承知の通りであります。これが五十二円が安過ぎる、こういうことであるならば、これは審議会においてまた御決定を願わなければならない。近く乳価の問題も御審議を願う時期になっておると思いますから、そういう際に、一つ審議会において十分御審議を賜わりたい、こう考えております。 〔安藤委員長代理退席、委員長着席〕
○芳賀委員 先ほど大蔵大臣から大体意に沿った答弁がなされたが、もう一回確認しておきますが、二十億円の買い上げを行なうということは、結局十二月になって値下げされたその乳価が買い上げ発動の措置によって復活する、復元する、これを期待してそういう措置をとられたというふうに認めて差しつかえないわけですね。
○田中国務大臣 乳価安定措置によりまして、生産と需要を伸ばすという考え方でこの処置をとったわけでございます。
○芳賀委員 従来の価格でも安定はしてないのですよ。真の意味の安定ということになると、低い乳価をもっと上げなければほんとうの安定にならぬが、少なくとも値下げ前の取引された乳価に戻すべきである。そのためには国として二十億円の買い上げをする。ここに目的があったというふうにわれわれは信用しておったのですが、そうじゃないですか。
○田中国務大臣 私は、農林大臣でありませんから、あまり牛乳の需給の状況その他に対して詳しくは存じませんが、かかる特別の措置がとられたのでありますから、乳価の不安定という現象に対処しての問題でありますので、それが当時の価格まで必ず上げなければならないということであるかどうかはわかりませんが、当然安定した乳価、すなわち業者が生産にいそしめるような、前の乳価まで引き上げたいという目的で特別措置がとられたことは事実であると思います。
○芳賀委員 くどいようですが、農林省所管の事業団が買い上げする場合には、当然大蔵大臣が同意しなければ発動できないわけですね。大蔵省のことですから、たとえば一億円の金を出すのでも理由が通らなければ、これは同意しないですから、二十億円ということになれば、買い上げしたってもうからぬですからね。当然国として損失が伴うことになるわけですからして、効果の上がらない買い上げということには大蔵省としては同意されなかったと思います。だからこれを買い上げすれば、当然値段が従来の線に回復しますから、買い上げをしたいという農林省の申し出もあったと思います。この点は何も政治的な答弁は必要ないのじゃないですか。すでに買い上げするということがきまっておるのであります。
○田中国務大臣 乳価が非常に不安定の状況になったというので、農林省側から現状に対しての対応策として協議を求められたわけでありまして、大蔵省はこれに対応して、二十億を限度としての買い入れを認めたわけでありますから、あなたが今言われるその以前の乳価ということが、数字的にどうかわかりませんが、いずれにしても、これらの処置が特定の状態に対処してとられた処置でありますから、以前の乳価が安定乳価であるならば、それに返るようにという目的で支出を認めたことは事実であります。
○芳賀委員 それは了解いたしました。 もう一つつけ加えて、現在買い上げの措置が、いつまでにこれを買い上げるということが明らかになっていないのですね。短期間に買い上げて、市場からこれを隔絶するというのが買い上げ措置のねらいでもあるが、その買い上げの終期というものが全然示されておらない。考え方によっては、ことしの六月ごろの、乳の生産が全く減少して夏場の争奪戦が始まるごろまでだらだら買い入れするものであるか、ことし買い入れが十分にできなければ来年にも及ぶというのか、全然われわれの判断としては理解に苦しむようなことで今始めておるのであって、こういう点はやはり大蔵省として同意する場合には、それではいつまで買い入れを継続して締め切る、終期をいつにする、その間に過剰在庫は買い上げるということでなければ、ちょっと間が抜けておったのじゃないかと思いますが、その点のことはわからないのですか、――これは大蔵大臣に聞いておるのです。
○重政国務大臣 そういうことは、大蔵大臣がお答えになるよりか、私が答えた方が適切であると思いますから、お答えを申し上げます。 御承知の通りに、事業団が買い上げますのには一定の手続があるわけであります。これは、芳賀さんはよく御承知のことだと思いますが、買い上げるにも、二十億円の乳製品の買い上げというのでありますから、ついそこら辺で、三カ所や五カ所でどっと買い上げるわけのものではないので、御承知のように二、三千も全国に、北海道から九州まで工場もあれば倉庫もある。そういうものを一々この数量の契約をやって検収をしなければならぬ。でありますから、そこに若干の時間がかかることは、これは御了承をいただかなければならないと思うのであります。先ほども申しました通り、現在は大体十七億円の契約をいたしました、こういうことを言っておるのです。おそらく今月中には残りの三億円の買い上げも私は済むと思うのであります。そういたしますれば、現にこの荷動きの少ない一月中におきましても、乳製品の値段は一応横ばいになる、やや上向きのかげんに現在なっておるような実情でありますので、いましばらくお待ちを願いますれば値上がりをする、漸次その値段は強含みになっていく、こういうふうに私は考えておるのでありまして、いましばらくこの点はお待ちを願いたいと思うのであります。
○芳賀委員 乳価がもとに戻れば、別に買い上げをする必要もないし、そういう前提であればいつまでも待ってやりますよ。乳価が回復すれば無用な買い上げをする必要はないのだから……。ただわれわれの見方からいうと、一体その過剰在庫というものがどれだけあるかということの把握が行なわれていないんじゃないですか。調査して、これだけがデッド・ストックになっておるということになれば、その分だけを買い上げすればいいのであるが、その基礎的な数字というものが把握されていない。自信がないからいつまで買うかわからぬということでこれはやっておるわけですから、やはり適当の機会に、二月一ぱいとかあるいは三月一ぱいまでを区切りにして、それまでの過剰在庫品については買い上げをする。それまでに買い入れの申し込みがないものについては、これはもう正常在庫であるからして何も買い上げする必要がないのです。われわれの判断では、おそらく三月一ぱいかかっても二十億円に達する買い上げというものはできないと思っておりますよ。そのことは、結局メーカー側は過剰在庫を理由にして一方的な値下げをしたけれども、実際はそれは理由だけであって、実態は過剰在庫がそれだけないということがはっきりしておるわけです。そういう点を農林省としては十分在庫調査等を行なって――理由のない値下げ措置ということに結局それはなるわけですからして、そういう場合にはやはり信念的に行政権を発動して、指導的に十分問題の解決をはかるべきであると思いますが、その点はどうですか。
○重政国務大臣 これも釈迦に説法で、みんな御承知の上での御質問でありますが、乳製品の買い上げの条件は、直接には在庫量がふえたから買ってよろしいということに実はなっておらない。値段が一定の標準から下がる場合に買い発動ということに条件がなっておるわけであります。従って、今回の買い上げの措置も、値段が下がるから、一定の標準から下がったから、これは買い上げるということになったわけであります。むろん値段が下がりますのは需給の関係でありますから、荷もたれによって下がるということは当然のことでありますが、直接の原因としてはやはり価格が下がる、こういうことであります。そこで、価格を一定の標準以上にこれを買い上げによって持っていきますれば、何もそれ以上買う必要はないのでありますから、むろん打ち切っていいと私は思うのであります。 それから、念のために申し上げますけれども、御承知の通りに、この事業団の買い上げは乳業者の申し出によって買うということに手続がなっておりますので、若干普通の場合と違いまして、市場で買うというような場合とは違いますので、若干時間がかかる。そうして、また全国二、三千も倉庫があったり、工場があったりするところから買うのでありますから、必然若干時間を要することは、これは御了承を願えると思うのであります。一々これらについて契約をし、その検収をするのでありますから、私は相当の手間をとると思うのです。しかしながら、これはできるだけすみやかに完了をいたしたい、今月中には完了をするように努力いたします。
○芳賀委員 これに関連して、今後消費拡大をする意味において、国内における市場開発はどうしても必要だと思うのです。基本法では十カ年計画で畜産は三倍にする、特に牛乳生産については昭和四十五年までに五・七倍にするということに計画がなっておるから、年間一五%くらいずつどんどん牛乳の生産が政府の方針を信頼して伸びていくのですよ。政府を信頼して一五%ずつ毎年伸びて、それが逆に値下がりの理由になるということでは納得できないです。市場開発のいろいろな方策はありますが、ここで私が疑問に思っておる点は、政府は明年度から学校給食について特にミルク給食をやるという方針をきめておる。しかもアメリカの余った脱脂粉乳を三十八年度には八万五千トン輸入して――まずいと言われ、よそでは家畜の飼料に使っておるような脱脂粉乳で学校給食をやるという計画で、この分だけでも大体四十億円の予算が計上されておるわけですが、膨大な八万五千トンの脱粉をアメリカの余剰農産物から買い入れるということは、国の農業との関連において、あるいは国民経済の上から見ても、われわれとしては全く納得のできないことなんです。 それで、これは荒木さんにお尋ねいたしますが、諸外国で学校給食は、先進国はほとんどやっておりますが、一体世界の中によその国の余った、しかも脱脂粉乳を全量輸入して、脱脂粉乳でミルク給食をやっておる実例があれば、この際述べてもらいたい。――文部大臣に聞いておるのです。
○重政国務大臣 文部大臣はあとでやっていただきます。 その前に、ただいまお述べになりましたように、できるだけ学校給食は生乳でやりたいということは、芳賀さんもそうであり、農林大臣もそうなんです。ところが、ここに非常に困ったことには、きらわれるのであります。学校給食をやっておられる方からきらわれる。なぜきらわれるかといえば、御承知の通りに生乳の需給というものは季節的の変動がある、いろいろのことがありまして、酪農家の方が、学校給食に持っていくよりもほかの方に持っていった方が得だというようなときには、学校給食の方をとんと断わるということで、いつでも苦情を受けるのであります。そこで、これが安定的な供給をすることは何とかできないものかということで、私もいろいろ畜産当局とも相談をいたしておるのでありますが、なかなかこれがうまくいかないのであります。これは、どうぞ一つ芳賀先生あたりも御協力を賜わって――せっかく農林大臣としては生乳を学校給食に用いたいというので、先ほども申し上げました通り、本年度内においては十六万石、三十八年度においては二十二万石の生乳を提供しようという計画を立てておるのでありますが、今のような問題がありますので、どうしても供給を安定的にするという方法を考えないと、実際問題としてはなかなか生乳を学校給食に全面的に使うということにならぬ。そこで粉乳ということになる。粉乳ということになれば、安い方を買おう、こういうことになっておるのでありますが、私どもは、やはり内地の生産した粉乳はぜひこれを使ってもらいたい、こういうことを文部大臣にもお願いをして、そういうふうな相談になっておるという現状でありますから、この点、どうぞよろしくお願いいたします。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 大体農林大臣のお話で、万事御推察いただいたかとも思います。外国の実情を詳しく調べたのを現に持っているわけではございませんが、今政府委員にちょっと聞いてみますと、外国はむろん食習慣の関係から当然でもございましょうが、酪農が発達しておって、大体自分の国の製品でもって学校給食をやっておる。日本では、第一量が足りませんし、価格が高いものですから。脱脂粉乳といえども必要カロリーは十分にあるわけでございますから、その点に着眼して、安いものでなるべく早く児童生徒の体位向上に役立てたい、こういうことでやむを得ずやっておるわけであります。むろん日本の国内産牛乳ないしは脱脂粉乳等が量も質も価格も、しかもまた、季節的な変動なしに安定して供給される条件がそろいますならば、日本の学校給食に国内産のものを使うべきことは言うを待たないと存じております。
○芳賀委員 昭和三十六年の学校給食制度調査会の答申を見ても、その指向するところは、やはり自分の国で生産された新鮮な良質な乳を学校の学童生徒に給食さすべきである。これが一番の本旨であると思うのです。学校給食というのはやはり教育課程の一環でしょう。貧困者にだけ給食するというのじゃないでしょう、来年からの考え方は。それが国内においては、今論議しておる通り、生産に対して消費がアンバランスで過剰傾向であるということを理由にして、値下げが行なわれておるわけです。過剰傾向になっておる。そういう場合において、毎年畜産農業というものが発展する中で、前年度に比べて一五%くらいずつ年間伸びていかなければ十カ年計画に到達しないわけですから、そうなれば給源は幾らでもあるのですよ、畜産政策に重点を置けば。それにもかかわらず、アメリカの余った、しかも味の悪い、品質の悪い脱粉を八万五千トンも輸入して、安いからだけの理由で、それを全部かわいい子供に無理やり飲ませるというのはおかしいじゃないですか。国粋主義者のあなたとしては、そういう外国依存というものを教育の中で改めないと、ほんとうの人つくりというのはできないのじゃないですか。 そこでお尋ねしますが、八万五千トンの脱脂粉乳を牛乳から生産するとすれば、一体どのくらいの牛乳の数量が要るか、伺いたい。
○重政国務大臣 一トンの粉乳をつくるのに、日本では大体その十倍の原料乳が必要のようであります。
○芳賀委員 一トンの脱粉をつくるのに十トンの牛乳があればできるのですね、間違いないですか。
○重政国務大臣 これは芳賀先生の方がお詳しいのだろうと思いますが、私の承知いたしておりますのは、約十倍の原料乳が必要である、こういうふうに聞いております。
○芳賀委員 それでは八万五千トンをつくるのには、牛乳にして何トンあればいいのですか。
○重政国務大臣 八万トンに十をかけますと八十万トンということになります。
○芳賀委員 これは重政さん、全くけた違いですよ。いいですか、八万五千トンの牛乳、これは牛乳の中から脱脂粉乳だけつくるわけじゃないから、脂肪を除くわけですからね。脂肪の場合には、それをバターにするとか、あるいはチーズにするわけだから、だから脱脂粉乳だけを牛乳でつくってしまうわけにはいかないわけです。ですからこの場合、八万五千トンを牛乳に求めるとすれば、百二十二万トン要るんですよ。石数にすると、これは六百四十六万石ですね。大体去年の日本の牛乳生産量の約五割が要るということになる。そのかわり、その反面約四万トンのバターが生産されるということになるわけです。こういうことになると非常に問題だと思うんですね。安いからということだけを理由にしてやるというのは、ちょっとおかしいじゃないですか。たとえば農村においては、子供たちが毎日々々小学校、中学校に通っておる。農村の場合には、自分のうちで新鮮な牛乳が生産されて、それは工場に持ち込まれておる。学校へ行けばその牛乳は高いから飲ませない。アメリカの安い脱脂粉乳を水で薄めて、そうして飲まされて帰ってくる。こういう慣習が小学校あるいは中学校九年間続いた場合、一体これはどうなるんですか。牛乳というものはまずいものである、そういう嗜好性を植えつけられてしまうんです。だから、これには幾ら金がかかっても、やはり諸外国と同じように、国内で生産された牛乳というものを学校給食に充てる。これでミルク給食をやるということを前提にして、原則にして、これを全部父兄に負担させては――まあ学校へ持ち込んでも大体十円くらいのコストにはなるんでしょうから、全部これを父兄負担ということにはいかぬ。しかし、二分の一公費負担というのは、これは制度調査会の答申です。給食費の二分の一を公費で負担する。公費というのは、国と設置者も入っているのですから、そういうことになれば、十円牛乳を学校に持ち込めば、二分の一だと五円負担するということになれば、これは問題は解決すると思うんです。こういうところにけちけちしないで、田中さん、とにかく外国の余った脱脂粉乳ですよ。外国では、これは家畜のえさにしたり、日本でも、学校給食でも使えないようなものは横流しされて、これに色をつけたり何かして家畜のえさにしているんですからね。こういう実態を考えた場合においては、やはりこの日本農業、畜産農業の発展というものを教育というものと十分密着させて、すべてアメリカ依存あるいは外国依存というような、そういう情ない考え方というものを一擲して、明年度から始まる学校給食、予算は昨年より相当ふえておりますが、第一根本となる考え方が間違っておる。何でもかんでもアメリカの安いものをもらえばそれで教育がうまくいくなんという、そういうけちな考えでは、りっぱな人材の教育はできないと思うのですが、いかがですか。これらの点について、文部大臣、農林大臣、大蔵大臣それぞれの考え方を統一して述べてもらいたい。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 安いから脱脂粉乳をアメリカから輸入して無理やりに飲ませよう、そういう考えじゃむろんないわけであります。先刻も申し上げましたように、国内産の牛乳が十二分でございまするならば、しかも価格も納得できる価格であり得るならば、これはそれが望ましいことにきまっておるわけですけれども、私の承知するところでは、千百万石くらいのなま牛乳の生産量では、その半分以上を学校給食にいきなり固定して供給できるという条件がそろいまするならば、それとまた、今おっしゃったように、一合五円なり何がしかの国庫ないし公費負担でもって父兄負担を少なくして、それが季節的にも変動なしに、アイスクリームの売れるときには学校給食はやめたなんということでなしに、必ず学校給食に安定して提供されるものならば、子供たちは粉ミルクよりもなま牛乳を好む傾向があると承知いたしますから、望ましいことだと思います。しかし、それが現実問題としては当面できませんので。うまくないとおっしゃいますが、カロリーは、脱脂粉乳でも学校給食として期待し得るものが合理的に計算されておると承知しております。そういう根拠に立って、発育盛りの子供たちに脱脂粉乳を提供することによって学校給食の目的を果たしたい。将来に向かっては、量と質と季節的な変動のない安定した姿と値段の問題、そのことが確保できまするならば、お話のようにぜひそうしたいものとわれわれも思っておるわけであります。
○重政国務大臣 ただいま文部大臣が御答弁になりました通り、大蔵大臣も同様なお考えであろうと思うのでありますが、できるだけ国内で生産せられた生乳を学校給食に使いたいということは、私はみんな同様な考えだろうと思うのです。私はもちろんそうでありますが、先ほども申しました通り、ただいまも文部大臣の御答弁の通りに、これが安定して供給せられるという体制をわれわれがとらなければならぬ。もうお互いさまに一つ努力して、何とかこれはいたさなければならぬということ。それからまた、値段の点におきましても、あまりどうも差があり過ぎるということを文部当局では言っておられるわけなんです。私の聞いたところによりますと、今度のCCCから入りますものは、トン当たり五万六千七百円だという。こっちの方で、いろいろのあれがありますが、平均的に申しますと、内地の粉乳は三十万六千円というのでありますから、六倍もする値段になっている。だから私も気は引ける。気は引けるけれども、黙っておるわけにいかぬから、どうしても今度粉乳を学校給食にする場合においては、国内において生産せられるものは一つ優先的に、高くても買ってもらいたいということを申し入れて、その了承を得ておるわけです。あまりいばってわれわれがこれを言うわけにもいかないわけでありまして、その点はもう御承知のことと思いますが、そういう関係でありますから、われわれのお互いにやることは一つうんとこれからやって、コストも下げる、そうしてまた供給も安定さする、こういう方向に一つお互いに御協力を賜わらんことをお願いいたします。
○田中国務大臣 学校給食の究極の目的は、今あなたが言われた通り、自国製品でもってまかなうことであらねばならぬということでありますが、新しい制度として前向きに学校給食はやろう、またミルクの支給をやろうというふうに考えたわけでありまして、八万五千トンというのは三十八年度予算で対象にしておる全数量でございますが、今まででも、年間外国から粉乳が入っておりますものは、約五万トン程度入っておるわけであります。将来のものは別としまして、前向きの施策の第一年次目でございますし、これは悪い政策ではないので、学童の健康保持その他の上から見ても積極的な施策として行なっておるわけでありますので、財政の情勢等も勘案して御了解賜わりたいと存じます。
○芳賀委員 時間の関係で十分尽くせませんが、たとえば来年度のミルク給食については、小学校の分については、国から出るのが一食についてわずか一円四銭ですね。ミルク給食一食一円四銭。中学校が一円四十銭。こういうことであれば、このミルク代というのは、一体原価が幾らかということになると、もっとも脱粉を使うせいもあって、小学校の分は一食が一円六十五銭、中学校の分は二円二十二銭ですね。こういうことでやる気になるから、どうしてもこれは外国のものを買わなければいかぬということになるわけです。諸外国の例を見ると、こういう情けない給食というのはないのですよ。参考までに二、三指摘しておくと、たとえばイギリスの場合は、これは完全給食とミルク給食が併用されておるが、ミルク一合は、これは全部国の負担ですね、無償。それから完全給食は大体日本の金にして一食百円程度だが、これは半額国が負担、所得の低い階層の生徒についてはこれは全免する、こういうことでやっておるわけです。ですから、小学校、中学校の給食を受けている子供一人については、一人一年間に大体邦貨にして一万七千円国が給食について負担しているわけです。日本の場合は、あなた一円ですよ。三百六十五日やるわけじゃないでしょうからね、一人二百円ぐらいしかミルク給食の関係ではやっておらぬというような状態です。アメリカの場合には完全給食が二百五十円、その平均六割、百五十円を連邦とか県の政府が負担しておるわけです。これによると、生徒一人当たりに対する国の負担分は二万二千円ということになっておる。あるいはデンマーク、フィンランド等においては給食費は全額国が負担する。フランスの場合には大体七割、こういうようなことになっておるですから、日本は、先進国であるとか大国であるというような、そういう意識を持つという場合は、一番大事な教育の面においても、どうせ学校給食をやるということであれば、もう少し前向きの姿勢で、諸外国に笑われないような給食の制度とか体系というものを、この際自分の国の力で確立するということにぜひ努力してもらいたいと思う。 次にお尋ねしたい点は、砂糖関係の問題、甘味の問題ですが、第一にお尋ねしたい点は、昨年の秋以来、政府の甘味資源対策に対する態度というものは全く一貫性を欠いておるわけです。特に重政農林大臣の場合には、就任以来あなたのやられる農政の方向というものは、毎日々々ネコの目が変わるように変転きわまりないということを全国の農民は批判しておるわけです。たとえば砂糖問題についても、あなたは就任当時は貿易自由化には絶対反対である、こういうことを唱えた。その次には、もう自由化はいたし方ないと思う、その場合には関税、消費税の振りかえを受け入れ態勢としてやらなければならぬ。現在の砂糖消費税の二十一円を現行関税の四十一円五十銭に加算して、そうして消費税のない形で関税を高率なものにしてやればこれで国内の甘味資源は大体保護政策が進んでいく、こういうことを言われた。ところが、それが今度は一月十八日ですかの総理を中心にした経済閣僚会議においては、これは最終的な方針と思いますが、関税、消費税の振りかえ措置は行なわない、そうして方法としては関税の割当制を採用する、あわせて緊急関税制もこれを用いる、こういうような方針をきめておる。そうして、自由化をいつ開始するかという時期については、まだ最終決定でないと思いますが、これに対する経緯と、実際砂糖の自由化という問題については、政府の最終的な方針として、一体この自由化を速急にやる受け入れ態勢が整って、そうしていつごろをめどにしてやるという方針であるか。あるいは実行する場合においては、国内の甘味資源対策というものを強力に進めて自給度を高めるという意味において、どういう強力な施策を用意して自由化に移行させるか。この基本的な方針について、これは各大臣もおられますけれども、大蔵大臣から明らかな方針を述べてもらいたい。
○重政国務大臣 これは農林大臣の所管でありますから、まず私が答えなければなりません。 貿易の自由化をやらないと言ったことは私は一度もない。砂糖についても、私はやらぬということは言明したことはございません。閣内におきまして、砂糖の自由化をやるべきであるという主張があったことは事実である。そのときには、私は、国内甘味資源の保護育成に対する政策が確立した上でなければ砂糖の自由化はできない、そう考えておったのであります。そこで、自来私はいろいろ検討をいたしまして、その方針といたしましては、第一は、生産の増強をやるということであります。これは三十八年度予算にもそれぞれ土地改良なり、省力栽培の技術の導入、あるいは農業機械の導入というようなことをやりますために、たしか約二十億前後の予算を計上して御審議を願っておると思うのです。それから第二は、ただいまお話しになりました通りに、政府が買い上げる。それからタリフ・クォータ・システムを採用する。それから第三は、消費税を関税に振り当てる、緊急関税制度を運用する、こういう方針であるわけです。これは御承知の通りと思う。消費税を関税に振りかえることは、現状においてはその必要はないではないか、こういうことに結論はなったわけであります。これは、御承知の通り、三セント余りの原糖が今日では五セント以上、六セント近くになっておるという現状におきましては、消費税を関税に今直ちに振りかえぬでも、これはやっていけるではないか。私はこれに対して同意をいたしたのでありまして、もとからの国内産の甘味資源の保護育成、それから貿易自由化の趨勢に対応しての処置と方針というものは、変わっておらないことをまず申し上げます。 そういうわけでありますから、これらの処置が完全についてからでないと、砂糖を自由化するということは、これはやるべきでない。こう私は考えておるのでありまして、これは目下法律案についても検討中でございますし、それらの手続が全部終わり、そしてまた国会において御協賛を得て成立をする、しかる後にその準備を完了いたしまして、それから自由化をやるという運びになるだろうと思うのであります。
○塚原委員長 この際御注意申し上げますが、発言をする前に、委員長の許可を得てから発言をなさるようにお願いいたします。
○田中国務大臣 御質問につきましては、所管大臣からお答えをいたしましたが、私に特に御指名がありましたので申し上げます。一月十八日に関係閣僚会議を開きまして、砂糖の自由化につきましても、できるだけすみやかに自由化をいたしたいという政府の方針は決定いたしてございます。でありますが、農林大臣が申し上げた通り、これが受け入れの態勢その他種々な施策を必要といたしますので、これらに対しては万全の態勢を整えるように現在措置をいたしておるわけでございます。 なお、御質問がございました点につきまして申し上げますと、その日の経済閣僚会議できめましたものは、糖価安定のため関税割当制度を採用するとともに、必要があれば緊急関税を発動するのが一つであります。二つ目は、さらに必要ある場合には、食管特別会計において、てん菜糖、カンシャ糖及びブドウ糖の買い上げを行なう。第三点は、なお恒久的に糖価体系を調整する必要がある場合には、砂糖消費税の関税への振りかえを考慮するということでありまして、残余の問題に対しては、農林大臣から御答弁した通りでございます。
○芳賀委員 それでは、実施の時期については大体四月一日をめどにしておりますね。
○田中国務大臣 一月十八日までの何回かの会合では、四月一日実施をめどにしてということでありましたが、その後、党にも、御承知の通り、甘味資源対策特別委員会等の機関もございますので、党と政府との間でも意見の調整を行なっておる段階でございます。
○芳賀委員 次に、これは農林大臣並びに通産大臣にお尋ねしますが、現行の粗糖の外割の運営の問題でございますが、特に問題として指摘したい点は、国内のブドウ糖生産に対する保護政策の一環として、かつてはこの砂糖の外割の中でリンク制を採用したことがありましたが、これは幾多の弊害があるので、これを取りやめて、それ以外の方法でブドウ糖の育成を行なっていく。こういう政府としての当時明確な方針が定まっておるにもかかわらず、 〔委員長退席、青木委員長代理着席〕 昨年重政農林大臣が就任して以来、再びブドウ糖のリンク制というものを復活されたということに対しては、これは各方面から非常に疑問を持って非難されておる点ですが、そういう弊害がある、やるべきでないと指摘された問題に対して、どうしてこれを無理やり復活したか、その根拠と。それからもう一点は、これはあなた十分御承知と思いますけれども、日本の国内において、液糖、液状砂糖の実用試験をやるということを名目にして外貨割当を通じて一万トンの割当を行なっておる、こういう事実もある。しかも、この液糖実験のための割当はあなたの関係のある会社に割当を行なっておるわけであります。こういうことは、担当の農林大臣の所管である業務の中において、すべて自分の関係した会社等に利益のあるような行政を、方針を変更してまでやるということに対しては、十分内容を明らかにしなければならぬ点だと思うわけです。これは非常に問題ですよ。この二点についてまず明確な説明を願いたいと思います。
○重政国務大臣 これは、いずれも私が農林大臣就任以前のことだと思います。それで、ブドウ糖育成のために五万トンの粗糖の割当をやっておったのは事実であります。これを、一時、私も当時党におりまして、この原料糖の割当はやめて、そして製糖会社から取り上げる差益の金でそれの育成のために助成をする、こういう方針でいこうということを一時きめたことがあります。話し合ったことがあるのでありますが、しかしそれが、その差益金はいろいろの方面に今使っておる。ことにビートの方面にその相当大部分を使っておって、それができなくなったということで、従前通りの方法で割当をやった。こういう経過になっておるようであります。詳しくは一つ関係の政府委員の方から御答弁をせしめます。 それから液糖の問題につきましても、これまた私が農林大臣就任以前にそういうことをきめたようでありますが、これは、何も私がかつて関係をしておった会社にやったのではないのであって、今長官の話を聞きますれば、これはぶどう糖工業会にその試験研究のために割り当てたという話であります。詳しくは長官をして説明をさせます。
○芳賀委員 今の問題ですが、あなたが就任前と言われましたが、あなたの前の河野農林大臣とあなたの関係というものは、これは個人的と言えば言えるが、これは天下周知の事実だ。親分子分と言っては失礼だが、とにかく農林省には二人の農林大臣が今日でもあるという風説さえあるわけでして、きょうは予算委員会ですから、与えられた時間がもう残余はございませんが、これはやはり今後たとえば外貨割当制を廃して自由化に移行するというその切れ間をねらって、こういうやるべきでないブドウ糖の育成措置等をやっておるということは、全く問題があるわけですね。昭和三十四年、三十五年の砂糖輸入の超過利潤というものを吸収する方法として、甘味資源振興資金管理会というものがつくられて、そこに超過利益というものを吸収して、それを財源として国産の甘味対策を進めていく。もちろんてん菜糖あるいはカンシャ糖、ブドウ糖等についても、この砂糖の外貨割当制が続き、超過利潤が出る場合には、この管理会に吸収して、そこから筋の通った育成措置をやるということにして、ブドウ糖等に対する直接の外割はしないという方針を、直ちにくつがえすことは、われわれとしては絶対認めることのできない点でありますし、また液糖の実用試験ということになれば、これはただ試験ですから、実用の試験研究ですから、そういう試験の場合には、当然農林省の食品関係の試験研究費というものを必要なだけ計上して、それで委託してやるならやるということをすべきであるにもかかわらず、あなたが農林大臣就任直前まで会長をやっておられた共和精糖に、しかも一万トンの外割をするというようなことについては、これは実に問題があるわけです。おれが就任するちょっと前だと言われても、それは答弁にならぬですよ。一万トンということになれば、これは管理会の事業計画の中にも明らかになっておる通り、ブドウ糖育成のために、管理会では一万トンについて二億円のリベートを精糖工業会関係から支払われておるわけです。だから、一万トンの割当をするということは、その割当だけによって二億円の利ざやがそこから生まれてくるということに当然通ずることであって、一体実用化試験だけのために一万トンもの砂糖の割当をしなければならぬかどうかということは、問題があるでしょう。実用の試験というものは販売の目的ではないわけですから、外部へ持ち出して販売するなんということはできないと思うのですよ。しかも、聞くところによると、その試験した製品をタンクローリーでどんどん持ち運んでおるというようなことも、実は私たちの耳にも入っておるわけです。こういうことはやはり、長年の間の砂糖行政というものは非常に伏魔殿であるというような非難と疑惑を国民から向けられておる中において、こういう不当な、権力を悪用したような行政をやるということは、これは政治の姿勢、総理が言うところの政治の姿勢を正す意味においても重要な点だと思うわけです。当委員会においては十分内容を尽くすだけの質疑は時間的にできませんが、これは次の機会に国会を通じて十分内容を調査をする必要がある問題ですが、とにかく自分が農林大臣になる前は会長をやっておった共和精糖――これは菅貞人君が社長であるということも聞いておりますが、そういうことが常に陰で行なわれておるということになると、国民は政府を信用することはできないと思うのですよ。ですからこの点については、この液糖実験に対して一万トンの割当をした根拠、その割り当てられた粗糖というものは輸入されてどういうような実際の実験に供されて、その実用試験の結果というものは今日どの段階に進んでおるという点については、直接割当をした農林大臣あるいはそれと協議した通産大臣等においても十分内容を調査して、その事態というものを国会に明らかにしてもらう必要があると思いますけれども、これに対して農林大臣はどういうお考えを持っていますか。
○重政国務大臣 何だか非常に不当なことをやっておるような言い回しをせられておりますが、私はそうは考えておりません。それから砂糖の原糖の割当は、少なくとも河野農林大臣――私は、直接にとういうふうにやっておるかということを一ぺんも指示したこともなし、また、どういうふうに行なわれておるかといっても、正確には存じておりません。でありますから、これは事務当局がおりますから、そういうような、何だか不当なような言い回しをせられるのでありますから、その事情を一つ明らかにお聞き取りを願った方がいいのじゃないかと思うのですが。
○大澤(融)政府委員 詳細な資料は、私今持ち合わせがございませんのであれですが、農林大臣からお話がございましたような、ブドウ糖と普通の砂糖とまぜて液糖にする、その液糖をつくるのにいろいろ試験があるわけです。それから、さらに作りました液糖を実際の用途に供してみてどういうふうになるかというような、従来実験室の中でやっておりましたものを、さらに工業化試験と申しますか、そういうことをするということは、ブドウ糖、ひいてはわが国の農業の重要な作物であるイモからできる澱粉の長期的な需給の安定という意味で、ブドウ糖の消費をそういう形で伸ばしていくということは非常に大事なことで、そういう工業化試験をやりまして、実際の菓子やその他の消費にもあてて試験をしてみるという意味で、ぶどう糖工業会が試験をやられる。その実際の作業を、さっきおっしゃった会社に委託をするということをやられておりますので、それに必要な粗糖を一万トンのワクの中で逐次割り当てていくということで、さしあたり五千トンを割り当てておるわけであります。大臣が言われるように、重政大臣が就任前のことでございます。
○青木委員長代理 もう時間が超過しておりますので、結論をお願いします。
○芳賀委員 ただいま食糧庁長官からごく事務的な答弁があったが、それは割当をして流すためには、形としてはそういうふうに一応形を整えなければやれないでしょう。流すためにそういう形を整えたのであって、一体一万トンの割当をして、一万トンそのものが全部実用化試験の対象にならなければ、ほんとうの意味の液糖の実用化の試験研究というものはできないのかどうか。すでに日本においても、数年前そういう液糖の試作というものが行なわれておるし、諸外国等においては、そういうものは相当量大口の製菓とかあるいは清涼飲料の関係には消費されておる。そういうことはもう外国の製法等を見れば、何も日本にわざわざ一万トン無理な外貨割当をして持ち込まなければならないというような筋合いではないと思う。一体現場はどの会社のどの工場で、どういうような設備をして、一日どのくらいの処理能力でそういうような実験の工程が進められておって、その製品は一体いつごろ出て、どういうような使用上の成果をあげているかどうか、そういう点については明らかにしておいてもらいたい。大臣がわからなければ、長官からでも……。
○大澤(融)政府委員 先ほど申し上げましたように、一万トンの範囲内でやるということで、さしあたりは五千トンの割当をしております。 それから、できた品物あるいは設備等についての御要求のお話がありますので、資料は整えたいと思いますが、できましたものは、ちょっと今覚えていないのですが、たとえば不二家というような菓子屋、ああいうところ数軒に出しまして、実際に液糖がどういうふうな工合で使い得るか、どういう点に利点があり欠点があるかというような点についての実用化試験をしております。
○芳賀委員 もう少し詳しく述べてもらわぬと、一体どの会社のどの工場でどういうような液糖化の設備を行なって、どういう作業の工程で、現段階においては五千トンについて製品がどのくらい出て、使用試験の結果は大体どういうことになっているくらいのことはわからぬはずはないでしょう。そういうものを持ち出す場合には、一体税金等の措置はどうなっておるか。粗糖やあるいはてん菜糖は、工場とかあるいは政府が売却を行なったときに、そこで二十一円の消費税が当然これは加算されておるのだから、粗糖として輸入されて、それが実験の用に供すということになれば、消費税というものは一体免税になるものであるか、あるいは液糖なるものに対してはどういうような消費税をそれに付加することになっているか、そういう点もやはり問題があると思う。その点についてもう少し詳しく述べていただきたい。
○大澤(融)政府委員 液糖化試験をしておりますのは、共和精糖の千葉の工場でございます。 それから、この試験は農林省の関係の食研が指導してやっております。その技術は、食研で生まれた技術でございますので、そういう指導をいたしております。 それから、粗糖の消費税は、粗糖は関係の精糖会社で精糖にいたしまして、そこで消費税を払ったものが混糖して使われているということでございます。
○青木委員長代理 芳賀君、だいぶ時間を超過していますので……。
○芳賀委員 もう一点。 それでは、共和精糖というのは精製糖の施設を持っている会社ですか。われわれの承知している範囲では、共和精糖というのは、再製糖の施設を持っている会社であって、精製糖会社ではないということになれば、その会社の施設では精製糖にするということはちょっと至難であって、一体どの会社に精製を委託してやっておるか、その点だけ……。
○大澤(融)政府委員 千葉で試験をしておりますのは共和糖化工業株式会社、ブドウ糖の製造の会社でございます。それから、精糖しておりますのは共和精糖、ここへ割り当てられたものを共和精糖に委託して精糖している、そして消費税を払ってそれを使っている、こういうことでございます。
○芳賀委員 きょうは時間がないから、この点は保留させてもらって、また次の機会に十分その内容を調査したいと思います。
○青木委員長代理 田中武夫君。
○田中(武)委員 私は中小企業問題について若干の質問をいたしたいのですが、その前に委員長に要望いたしておきます。 きょうは土曜日の午後でもあり、休憩抜きの委員会ですから、人員が少ないのもやむを得ないかと思いますが、私は今ここで国会法第何条によって構成を欠くからというようなやぼなことは言いませんが、やはり、この状態であると、与党の諸君に予算審議の熱意を欠くのではないか、こういうように思われますから、運営上当を得た処置をとっていただきたいと思います。
○青木委員長代理 十分注意いたします。
○田中(武)委員 そこで、まず福田通産大臣にお伺いいたします。 今から私の読み上げる法律、これはすべて通産大臣の所管になる法律でございますが、その法律と条文を読み上げますから、聞いていただきたいと思います。商工会議所法四条三項、商工会法六条三項、中小企業等協同組合法五条三項、中小企業団体組織法七条三項、商店街振興組合法四条三項、この条文のいずれも、何々は特定の政党に利用してはならないという規定があります。この特定の政党に利用してはならないという規定はどういう意味を持つものでしょうか、お伺いいたします。
○福田国務大臣 その組織を利用して、特定政党の活動に利用してはいけないという意味だと解しております。
○田中(武)委員 それでは、具体的に言うとどういうような場合をさしますか。
○福田国務大臣 具体的な例ということになりますと、たとえば、選挙などにあたって決議などをして、特定の政党の特定の人を応援するというようなことは、具体的な例になるかと思います。
○田中(武)委員 そこで、自治大臣にお伺いしますが、今通産大臣が申しましたように、これら特定の政党に利用してはならぬという規定のある組合が、選挙運動にあたって、今通産大臣が言ったような決議をする、あるいは推薦をする、そういうことは選挙違反になりますか。
○篠田国務大臣 これらの商工会議所あるいは商工会その他に対する、特定の政党に利用してはならないというこの事項は、これは御承知の通り罰則がございません。訓示規定でございまして、できるだけそういうふうに注意してほしいという規定でございますから、それを利用されましても、それが直ちに選挙違反になるというふうにはもちろん考えられません。
○田中(武)委員 今、通産大臣は、そういう推薦をしたりなんかすることはいけないんだ、こうおっしゃった。自治大臣は、それは選挙違反にはならないんだと言う。この間に若干の食い違いがございませんか。
○篠田国務大臣 利用されました内容が選挙違反であれば、当然選挙違反になります。しかし、ただ、どういうふうに利用されたか、利用されてはならないということは、今申しましたような訓示規定でありまして、罰則がありませんから、選挙違反であれば罰則が必ずあるわけでございますから、選挙違反でない、こう申し上げたのであります。
○田中(武)委員 法制局長官に伺いますが、今自治大臣が申しましたように、なるほどこれは罰則がありません。注意規定というか宣言規定というか、そういうことなんですが、この種の法律、今申しましたような規定はどのように解釈したらよろしいのでしょうか。もし違反があった場合にはどうなのか。
○林(修)政府委員 今お読み上げになりました中小企業等協同組合法外何件かの法律は、いわゆる組合あるいはその団体を特定の政党のために利用してはならない、こういう趣旨でございますが、これは、先ほど通産大臣が言われましたように、その組合の組織を通じて、たとえば組合員に特定の政党を支持するように働きかけるというようなことが代表的なことだと思います。これは、御承知のように、今罰則の規定は入っておりません、いわゆる訓示規定と称するものでございまして、組合員として、あるいは組合の役員としては、そういう考えのもとに行動すべきものであるということを宣言したことでありまして、その違反が直ちに刑事罰とか民事上の不利益という問題につながるものではないというような建前で、法律の規定にはこういうようないわゆる宣言的な規定、訓示規定はあるわけでございまして、そういう建前を宣言はしておりますが、それに違反したから直ちに何らかの不利益な法律効果が出るというものではないように思うわけでございます。 それから、先ほどの選挙運動云々のことでございますが、これは、御承知のように、公職選挙法とは関係のない規定でございますから、いわゆる公職選挙法の罰則規定は、大体、公職選挙法の規定に対する違反、これに対して適用される、あるいは選挙の無効とかなんとかいう問題も、そちらの方で来るわけでございますから、これは直接には関係がないことになっております。
○田中(武)委員 そうすると、この種団体の機関紙、まあ新聞等も出しておりますが、そういうのに、特定の候補者、特定政党の候補者をぎょうぎょうしく紹介をする、そういうような行為はどうです。
○林(修)政府委員 ただいまの行為がいわゆる中小企業等協同組合法の規定にひっかかるかという御趣旨かと思いますが、これは、結局、その具体的内容を、具体的な問題を検討しませんと、ちょっとはっきりは申し上げられません。その機関紙なるものが、だれが発行しているか、あるいはどういう手続で発行されているか、これによってまた違ってくるわけでございまして、その会自身との関係、あるいは会の組織との関係等もございますので、一がいに、今おっしゃったことのみで直ちにどうということはちょっと言えないように思います。
○田中(武)委員 通産大臣にお伺いしますが、中小企業総連合というのが三十六年十月六日に結成せられまして、これは俗に自民党の外郭団体だと言われております。その構成は、商工会議所あるいは商工会あるいは中小企業等協同組合法の適用を受ける組合が多いわけです。その会長は参議院議員の自民党の川上為治氏です。いろいろ事情を聞いてみたら、自民党の参議院議員だということで会長になっておられるようでございますが、これは特定の政党に利用したことにはなりませんか。
○福田国務大臣 中小企業団体総連合は、中小企業団体の自主的な、また経済的な団体とわれわれは解釈いたしておるのでありまして、特定政党のために各団体を加入させる政治団体とは性格が違っておると解釈をいたしておるのであります。従いまして、今あなたが御発言のような趣旨とはわれわれは解釈はいたしておりません。
○田中(武)委員 そういう訓示規定を受けておるところの団体と特定の政党が一緒になって一つの団体なり協議会をつくるということですよ。それも、今おっしゃるように、この規定には関係ないわけですか。
○福田国務大臣 任意団体として各種の団体が入って、そうして、その会長にだれをするかという場合に、みんなの考え方で、この人がよいということになれば、それが政党に所属していようといまいと、それは差しつかえないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
○田中(武)委員 しかし、これが自民党の外郭団体としてやっていることは世間周知の問題なんです。 もう一つ例をあげたいと思いますが、静岡県中小企業対策連絡協議会なるものが去る一月十八日に設立をしておりますが、それは御存じでしょうか。
○福田国務大臣 そのようなものができたという話は、ちらっと聞いておりますが、正確な報告は受けておりません。
○田中(武)委員 この静岡県中小企業対策連絡協議会の結成世話人団体は、自由民主党静岡県支部連合会、静岡県商工会議所連合会、静岡県商工会連合会、静岡県中小企業団体中央会、静岡県商店会連合会、こういう名前を連ねて、そうして、設立趣旨書の要綱の目的に、自由民主党静岡県支部連合会と中小企業各種団体とが一体となり、常時密接な交流を保ちつつ云々とあるのです。こういうような場合はどうでしょう。
○福田国務大臣 いろいろの政治団体も入り、また、そういうようないろいろの団体も入りまして、そうして何らかの会をつくってはいけないということにはならないと思います。そこで、そのつくった目的が、中小企業を振興するとか、何らかのそういうような意味のものをつくったから、それもいけないというわけにはいかないと思います。私はだれが団体長になったか知りませんが、そういう場合に、みんなの相談の上で団体長に特定の政党の人がなったとしても、これも、違反というか、これを差しとめるということはできないかと思うのであります。
○田中(武)委員 そうすると、今申しました各種団体組織法による今の宣言規定は、一体どういうときに動くのですか。罰則がないから違反しても何にもならない、こういうことで、あくまでも宣言的訓示だから、それは書いてあるだけで、どうしてもいいのだ、こういうように解するのですか。
○福田国務大臣 御質問の趣旨は、主として政治活動の場合に限定されてくると思うのでありますが、そういう場合に、組織として決議をして、そして組織として動くという形になれば、これは法律の趣旨を無視したことになりますから、これは、われわれとしては、認めるわけには――認めるといいますか、違法と言わざるを得ないと思います。
○田中(武)委員 それじゃ今言ったように、特定の政党と、それから特定の政党のために利用してはならないという規定を持つ各種団体とが一緒になって、緊密な連絡をとりながら云々というのは、どうなるのですか。
○福田国務大臣 緊密な連絡をとって政治活動をするということが書いてあれば、これは違法といいますか、違反になりますが、経済活動をするということであれば、これは違法とは言えないかと思います。
○田中(武)委員 それでは、その目的のあとを読みますと、各種業界の要望と実情を取り上げ、党を通じて――これは自民党なんです。党を通じて政策の上に反映云々とあるのです。党を通じて政策に反映ということは、政治問題ではありませんか。
○福田国務大臣 それは手段でございまして、経済活動を促進する意味だと解釈いたします。
○田中(武)委員 どうも、政策は手段であると言うが、そうじゃないでしょう。政策をとらすことが目的なんでしょう。そうするなら、それは政治活動じゃないですか。
○福田国務大臣 政策といいますと、政策のうちにもいろいろあると思いますが、特に経済活動というものも政策の一部かと思いますが、その経済活動をやるために政党を使う、こういう意味と私は解釈をいたすわけであります。
○田中(武)委員 それで、この静岡県の団体の結成せられたのが一月十八日、時あたかも静岡県知事選挙のまっ最中であります。その案内書にいわく、党本部側となって、出席者の名前が、衆議院一名、参議院一名の名前が出ております。これは、まさに、党本部側なんという言葉を使って案内状を出すということは、政治活動のうちに入りませんか。党本部と書いておるのですよ。どうなんです。
○福田国務大臣 その表現はまぎらわしい点があるとは思います。
○田中(武)委員 これは、一月十八日にあえてこのような団体結成式を大々的にやったということは、知事選挙に大いに関係を持っておったと思います。自治大臣はその間の実情をどのようにお調べになっておるか。
○篠田国務大臣 ちょっとその前に、経済団体が自民党を通じて、その政策を通じて自分たちの経済活動に利益なように反映していくというのであれば、今この規定にある、政党のために利用されてはならないというのではなくて、その団体のために政党を利用をしておることになるのじゃないか、私はそういうふうに解釈いたします。 そこで、今申しましたように、この政党のために利用されてはならないということは、純然たる経済団体として行動をしていかなければいけないということの訓示規定でございますから、それ自体は直ちに選挙違反にはなりません。これははっきり申し上げます。しかし、その活動の内容が選挙違反になる場合には、遅滞なく警察は捜査を開始いたします。
○田中(武)委員 それでは、警察庁に伺いますが、今申しました具体的な、一月十八日の静岡駅前の日興会館六階ホールで行なわれた静岡県中小企業対策連絡協議会の結成の模様、それから、そこへ知事候補が現われているかどうか、あるいはまた、どのような運営をなされたか、そういう点を、調査ができておるならば知らしてほしいし、ないならば、直ちに調査をして当委員会で報告を願いたいと思いますが、いかがです。
○柏村政府委員 静岡におきましてそういう結成大会が設けられたということだけで選挙違反の問題が起こるとは考えておりません。私どもとしまして、現在までそういう結成大会がどういう状況で起こったかということを詳細に承知いたしておりませんので、違反に関係するような事態であれば調査をいたしたいと思います。
○田中(武)委員 違反になるような事態というのじゃなしに、違反のおそれもあったことは、もうわかるのですよ。一月十八日という日を選んで、しかも知事選挙のまっ最中のときを選んで、そうして自民党とこれらの団体が連名で人を集めて大会をやるということ、このことは政治活動になりませんかな。同時にまた、当然知事候補者がそこへ来てあいさつはしていると思う。どんなあいさつをしたか、その点を直ちに調査してもらいたい。いかがですか。
○柏村政府委員 ただいまお述べになりましたように、その会合の内容というものが選挙違反の容疑があるような行動であれば、当然に静岡県警察において捜査をいたしておるものと思います。私どもにはその報告はまだ参っておりません。
○田中(武)委員 だから、静岡県へ直ちに問い合わせて、どのようなことであったかという調査をするか、こう言っているのです。公職選挙法第七条には、「選挙取締の公正確保」という項があるのです。取り締まりの公正を確保してもらわなければ困ると思うのですが、どうですか。
○柏村政府委員 御希望がありますので、さっそく静岡県警察本部の方に照会をいたしたいと思います。
○田中(武)委員 昨年の六月二日、参議院選挙の前にあたって、社会党から、これは中央選挙管理委員長あてにしたのですが、実際は選挙局長に持っていきました。この種の条文をあげて、そういうことのないように十分な注意をするよう都道府県選管へ通達をしてもらいたい、こういう申し入れをいたしましたが、その申し入れをいたしましたあと、自治省としてどのようなことを行なったのか、あるいはその結果どのようなものが出てきたか出てこなかったか、お伺いいたします。
○篠田国務大臣 社会党の申し入れば、直ちに選挙局長の名をもちまして、全国選管の責任者に照会をしたのでありますが、その全国選管関係の直接の事務的な責任者は選挙局長でございますから、選挙局長からいさいを報告させたいと思います。
○松村(清)政府委員 六月二日にお話のような申し入れが中央選管あてにございましたので、六月四日に、局長名をもちまして、各都道府県の選挙管理委員長あてに、法律により特定の政党のために政治活動を禁止されている団体等が特定の政党のために政治活動を行なうことについては、かかることのないよう関係機関に対し善処方するようという通達を出しまして、その結果につきましては、各選管委員長の方からは特に連絡事項はございません。
○田中(武)委員 今申し上げておるような各種の団体、たとえば協同組合の県の中央会、これの会長を知事がやっておる。だいぶかわったようですが、まだあると思います。あるいは、商工会会長を特定の政党に所属する個人がやっておる。そういう人に対して、あげて応援をしている事実があります。しかも、事務所を提供しておる。商工会なり商工会議所がその人の事務所になっておる。こういう行為があるのですが、通産大臣、いかがでしょうか。
○福田国務大臣 そういう場合におきましても、私は、その具体例を存じませんが、たとえば知事が個人として商工会の事務所をちゃんと金を払って借りてやっておるということであれば、これは個人関係において違法にはならない。ただ、その組織を利用して、組織を通じて選挙運動をするということになりますと、これは法律の精神を無視したことになる、いわゆる法律には違反することになる、こう考えておるわけであります。
○田中(武)委員 自治大臣、今通産大臣は、たとえば商工会議所の事務所、商工会の事務所、これを特定の人の選挙事務所にしている場合、借りてやるならば違反にならない、こういうことだったと思うのです。これは公職選挙法の違反になるかならぬかという問題と、先ほどから言っておる、特定の政党に所属する人に開放した、従って、特定の政党に利用させたということになると思うのですが、これはどうですか。
○篠田国務大臣 あなたのおっしゃったように、選挙関係ではなくて、また通産大臣が述べましたような個人的な関係であるならば、これは法律の規定には触れないわけでありますが、しかし、そういう規定を設けておるという精神は、なるべくそういうまぎらわしいことはさせないというととが目的でございますから、やむを得ずそこ一軒きりない場合は別でございますが、ほかに適当な事務所があれば、そういうところはなるべくやってもらいたくないと、私自治省としてはそういうふうに考えます。
○田中(武)委員 私は、そういういわば公共の場所、そういうところを事務所に使うなんていうことはいけないと思うのですが、やむを得ないときにはかまわない、こういうことですか。
○篠田国務大臣 公共といいますと、どの程度まで公共かわかりませんが、信用組合などの事務所を野党の諸君が看板をあげて使っておるという例はたくさんあるのでありまして、個々の問題について調べていきますと、どこまでが公共であるか、どこまでが公共でないかということは、なかなかむずかしいのであります。しかし、今のような商工会議所の事務所を特定の候補者が使うということは、私自身の考え方から言いまして、先ほどの訓示規定であっても何であっても、その規定の精神から見まして、あまりこれはよくないことであるから、やめた方がいい、こう思います。
○田中(武)委員 そこで、その訓示規定なんですが、福田大臣、ただ訓示規定だけあって、何にもやられないという、ほんとうの空文になっておるわけです。そこで、その規定に基づいて、特定の政党の選挙活動、あるいは特定の政党のために利用しているような事実はあるかないか、こういうようなことで、もっと指導をしてもらうとともに、こういうものに対する違反には罰則を設けるべきだと思うのですが、どうでしょうか。
○福田国務大臣 お答えをいたします。 われわれは、そういうような規定があるのに、そういう事実がありますれば、所管の大臣といたしまして、十分警告を発するつもりであります。私、実は今までにそのような報告を受けたようなことはありませんが、事実があれば、これは警告をいたし、また場合によって、いかに警告をしてもそういうことを繰り返すというようなことであれば、その団体自体の認可も取り消すというくらいまでの決意をもって、法の精神を尊重していきたい、こう考えておるわけであります。
○林(修)政府委員 ちょっとさっき私お答えした点で、誤解を生ずるといけないと思いますので、補足しておきたいのでございますが、先ほどいわゆる刑事上、民事上の法律効果はないと申しましたが、今ちょっと通産大臣も触れましたが、行政上の問題はあるわけでございまして、御承知のように、各法律で法律違反ということがあれば、行政庁が警告を発する、あるいは最終的には認可の取り消しということまで行き得る問題もあるわけでありまして、そういう問題は、今の訓示規定と申しましてもあるということだけ、ちょっと補足しておきたいと思います。
○田中(武)委員 ついでに、ちょっと法制局長官、これは刑事罰といいますか、罰則を設けることはどうです。あなたのおっしゃるように、なるほど認可を取り消すとか等の行政処分はあると思います。しかし、それを明確に法律にうたうという、そういう点はいかがですか。そうでなければ、規定がありながら守られていない、それに違反したって何もできないというのが実情です。何もやっていないのが実情なんです。どうです。
○林(修)政府委員 これは、実は立法政策一般の問題でございまして、あらゆる法律について、特に一定の命令、禁止をする法律に対して、すべて罰則を付すべきやいなやという問題があるわけでございますが、これは一面から言えば、罰則をつければ、非常に一つの威嚇的効果もございますし、あるいは取り締まり的効果も上がるかと思います。しかし、法律の性質によっては、必ずしも罰則をつけたことによってその効果――それほどの必要のないものもあるわけでございます。御承知のように、あらゆる法律規定がすべて罰則がついているというわけではないわけで、たとえばほかの政治的な問題等につきましては、やはり今言ったような精神的な訓示規定、それに対して行政上の処分というようなことで一応は足りるのじゃないかと思うわけでございます。また、かりにこれを罰則の対象とすることになれば、やはり刑事規定というものは、相当厳密な構成要件を規定いたしていく必要がございまして、今のような表現では、直ちに罰則の対象になるかどうか、そこらは相当検討を要するわけでございまして、直ちに罰則をつけるのが立法政策としていいかどうか、これは相当検討を要するところだと思っております。
○田中(武)委員 いわゆる自然犯ですね。これについては、禁止規定がなくても、直ちに行政犯といいますか、行政罰、これは何々してはいけないという規定があって、あとへ罪則がつくのですよ。そこで、今言っております、特定の政党に利用するという行為はしてはいけないという禁止規定があるのですよ。そんなら、当然違反したものはどうするとくるのがほんとうじゃないですか。たとえばそれが行政処分でもよろしい。各種の法律になぜそういうことを書いていないのか。全然罰則を伴わない禁止規定というのは何にもならぬと思うのですよ。どうなんです。
○林(修)政府委員 いわゆる行政法規で、一定の行為に対して、その一定の行為を禁止する、あるいは一定の行為を命令するといういわゆる命令、禁止規定でございますが、これはその施行を担保する意味で、罰則をつけておる例が多いわけでございますが、しかし、すべてのそういう命令、禁止規定に罰則がついておるわけではないことは、田中委員よく御承知のことだと思います。結局、大きな立法政策の問題として、いわゆる刑事罰を付するに適当なものかどうか、要するに、刑事罰をもって担保するほどの社会、公共の公益に対する侵害であるかどうか、あるいはそれを一定のいわゆる行政秩序罰といわれる程度の違反程度にするのが適当かどうか、さらにまた下っては、いわゆる行政官庁の行政的な処分をもって担保するに足りると考えるか、あるいはもう一つ下って、何のそれに対する法律的効果も付さないで、一応純然たる精神規定にとどめるのを適当とするか、これは大きな立法政策の問題でございまして、命令、禁止規定だから必ず罰則をつけなければならぬというものではないわけでありまして、これは結局その行為の社会的評価、あるいは大きな意味の社会的評価、それによって考えるべきものだと思うわけでございます。しかし、その場合に、私たちかりに刑事罰をつけるとすれば、相当実は構成要件は厳密に考えていきませんと、やはり刑事罰でございますから、その適用の限界等の問題もございますから、今のようなばくたる規定で直ちに刑事罰をつけるということは、いろいろ問題があろうかとも思います。
○田中(武)委員 福田大臣、今法制局長官が申しましたように、いろいろの型があると思う。今現在の規定では何もない。何もできない。たとえば行政処分を行なうにしても、もちろん、大臣の持つ権限あるいは都道府県知事の持つ権限等で許可の取り消しはできると思うのですが、これにも問題があります。私は、この種の規定をもっと明確にし、裏づけあるものとしなければならぬと思いますが、いかがでございますか。
○福田国務大臣 お説の趣旨はよくわかるのでありますが、しかしまた、法制局長官が今言いましたように、その法律によっては、必ずしもそういうような罰則というものをつけなければならないときめるわけにもいかぬかと思っております。ただし、今御指摘になりましたような法律違反につきましては、主管大臣としては警告も発することができるし、また、数度これをやっても認めない、あるいはその通りやらないというような場合には、認可の取り消しも私はできると解釈をいたしております。しかし、今あなたのおっしゃるように、それは水かけ論といいますか、議論になってしまって、実際の実効が上がらないから、何かそういうものを法文に明らかに書き込むようなことも考えてみてはどうかということについては、研究をしてみたいと思います。
○田中(武)委員 ことしの通産省予算の中で、小規模事業対策費は十一億九千七百五十二万二千円です。そのうち、商工会議所、商工会に対する事務補助金が十億八千九百三十一万八千円、ほとんどの小規模事業対策費が商工会議所、商工会の補助金として出ておるわけなんです。しかも、その小規模事業対策費の九十何パーセントまでももらうところの商工会、商工会議所が、先ほど来言っているように、特定の政党、自民党と一緒になっていろいろなことをやって、それを選挙に利用するというようなことは、いわば政府は零細企業、小規模事業者にこれだけつけたといっても、十一億から十億、一億足らずでしょう。そうしておいて、あとの十億からはそれらに使っておる。政府から金をもらったから、ありがたくということで、自民党を応援しておるんですよ。個人としてすることはよろしい。しかしながら、団体としてやることはいけないと思う。しかも、今申しましたように、小規模事業対策費の九〇%以上はそこへ行っておるのです。そういう点から見ても、これら補助金を受ける団体は特定の政党に利用してはいけないということの裏づけとして、何らかの厳格な罰則規定を設けるべきだ、こう考えますので、もう一度念のためにお伺いしておきます。
○福田国務大臣 お説の通り、補助金の大部分は、商工会とかそういう方面に出すようにいたしております。しかし、これは現実の問題でありますが、商工会あるいはその他の団体、そういう補助金をもらっておる団体の構成員が、全部自由民主党をやっておる、あるいはまたそういう運動をしておるかというと、必ずしもそうでない場合があります。従って、組織としてこれが動いたということになりますというと、これは問題でありますが、それを構成しておる個人々々がそれぞれの政党を応援したからといって、これはいけないというわけにはいかないと思う。あなたの言われるのは、組織として動かした場合にはいけないといっておられるのだと思うのでありまして、そういうような場合には、先ほど申し上げましたように、厳重に警告も発し、また場合によっては取り消しもする、こういう措置をとる場合もあります。そういうことでありますから、そういうことに関連して、将来そういう規定等の問題についても考慮をいたしたい、考えてみたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
○田中(武)委員 私は、その団体を組織するメンバー個々がやることを問題にしておるのではないのです。その団体が特定の候補者、特定の政党を支持する、あるいはそれを利用していくということ、これを問題にしておるわけなんです。 そこで、通産、自治の両大臣にお伺いいたしますが、公職選挙法の百三十六条に、特定公務員の選挙運動の禁止の規定があります。同じく百三十六条の二には、公務員等の地位利用の選挙運動の禁止をいたしております。それから百三十七条では、教育者の地位利用の選挙運動の禁止をやっています。今申しました百三十六条の二は、いわゆる公社、公団、そこの役職員に対して選挙運動の禁止をやっておるわけなんです。そうすると、公社、公団とは若干の意味は違うとしても、補助金、助成金を受けておることにおいては変わりがない。これらの団体の役員に対して、今申しましたような、公職選挙法にこの種の団体役員の地位利用の選挙運動の禁止をうたうべきだと思うのです。自治大臣及び通産大臣の御見解を伺います。
○福田国務大臣 御指摘がありましたような団体は、目的が経済活動でございます。その経済活動は、なるべく自由にやらせるべきでありまして、そういう趣旨もございますし、私は、直ちに今あなたがおっしゃったように、ほかの公務員と一緒に、いわゆるそういうことを禁止するような規定を入れることが正しいかどうかということについては、疑問を持っておるのであります。
○田中(武)委員 公社、公団は……。
○篠田国務大臣 公職選挙法によりまして、地方公共団体の公務員あるいは公社、公団、公庫の役職員が選挙運動についての規制があるということは、これは事実でございます。しかしながら、今おっしゃいました補助金を受ける団体は、これは明らかに公務員ではありません。公務員法の適用はないわけでございます。そこで、これを、今直ちに補助を受けておるからということで選挙運動を禁止するということになりますと、選挙に関する国民の権利というものを侵害するおそれが非常にあるわけでございますから、今直ちにそういうことは考えておりません。
○田中(武)委員 そういうことが好ましくないというのは、自民党が好ましくないのであって、百三十六条の二は公社、公団の役職員の運動禁止を規定しておるのですよ。そうするなら、この種の補助金等をもらうものについても、役職員――メンバー全部と言っておるのじゃないですよ。役職員に禁止規定を設けたらどうか、こう言っておるのです。 なお、これは通産大臣も十分御承知のように、商工会あるいは商工会議所の普及員は、全額国の負担による給料を受けています。モペット一台もらって走り回っております。目的は零細企業の指導、育成ですが、この人たちこそ、給料をもらっているという点においては、公務員と一緒なんです。まだ普及員の地位については明確ななには持っておりませんが、こういう人たちはどうです。いわゆる職員ですね、そういう人は禁止した方がいいだろうと思うのですが、どうです。月給は全額国が出しておるのですよ。
○福田国務大臣 今御指摘がありましたような指導員は、国と県とで負担をいたしておるわけであります。国だけではございません。しかし、趣旨には、今あなたの言われるような御質問の趣旨が出てくることはよくわかるのでありますが、しかし、できるだけこれは民間人に自由に活動させるという意味で、指導員というものを置いておりますので、そういうような意味合いにおいて、われわれはそういう禁止規定を入れないというか、活動を制限しないようにしておいた方がいいという意味で、制限をいたしておりません。
○田中(武)委員 給与の全額を国または県が出しておるのですよ。普及員の事務補助者、これは半額出ておるのですよ。国または公共団体、県等が給与の全額あるいは半分を出しておるというのは、公務員と同じと考えていいじゃないですか。それを自由にモペットまで与えて走り回らすということはどうです。結局その人じゃないのです。それを使っておる役員なんです。その役員がやはり選挙運動に使っておるわけなんですよ。
○福田国務大臣 役員が選挙運動に使っておるとすれば、これは警告しなければならないと思います。
○田中(武)委員 通産、自治両大臣とも、今直ちにこれらの団体の役職員の選挙運動禁止は踏み切れないようでありますが、私は検討してもらわなければいけないと思うのです。補助金を受けておるところが特定の政党とくっつくということ、もっとはっきりしたことを言わしてもらうならば、そのことによって自民党は票を確保しておるということなんです。従って、そういう役職員には私は制限すべきだと思う。現行法ではできませんので、検討してもらいたい。
○篠田国務大臣 補助金を受けておるということになりますと、農村における土地改良区も補助金を受けております。農業協同組合その他いろいろ農村における農業の発展のためにやっておる諸団体が非常に多く補助金を受けておるのでありまして、そうなりますと、単に補助金を受けておるということだけで禁止するということになれば、土地改良区などの選挙運動も禁止するということになる、これは国民の選挙権に関する権利を不当に抑制することになる、そういうふうに考えられますので、これは選挙制度調査会というものがございますから、そういう専門的な方面に問題を移して研究をしていただくことが一番いいだろう、こういうように考えます。
○田中(武)委員 選挙権を剥奪するとは言っていないですよ。投票権、選挙権、被選挙権はあるわけです。ただし、候補者になるときには、当然そこをやめねばならない、そしてその役職にある場合は特定の政党の運動をしてはいけない、こういうことをやることは一向差しつかえない。それがたとい農業団体でもかまわぬと思うのです。そうすることによって困るのはあなた方ですよ。自民党の諸君なんだ。だからできないでしょう。そこで、今おっしゃいました選挙制度調査会に諮問をすることについては約束できますか。
○篠田国務大臣 別に、土地改良区の選挙運動を禁止いたしましても、農業協同組合の活動を禁止しましても、損をするのは自民党だけだというお話でございますが、私たち北海道では、かえって私たちの方が非常にそれで損をしておるわけでありまして、そのところところによって必ずしも自民党が得をするということは言えません。私などは、何年間というものをそれで損をしておる。でありますから、そういう御希望があれば、幾らでも諮問をいたす考えでございます。
○田中(武)委員 それは、少なくともその団体の組織法で、特定政党のために利用してはならない、こういう団体の役職員が選挙運動をすることの可否、こういうことについて諮問をしてもらいたいと思います。約束してくれますか。
○篠田国務大臣 けっこうでございます。
○田中(武)委員 先ほど来言っているような、ことに何ぼかあげましたあの法律の規定によって、今まさに中盤戦とも終盤戦ともいわれておる四月の統一地方選挙の取り締まりに対して、どのような態度で臨まれますか。自治大臣、法務大臣、警察庁、それぞれの御意見を伺います。
○篠田国務大臣 公明選挙運動を建前といたしておりますから、いやしくも選挙の公明化を害するようなものに対しましては、それぞれの段階におきまして取り締まりをいたし、また注意をすべきものに対しては注意をいたします。いやしくも選挙違反を犯すようなものに対しては、断固取り締まりをいたします。
○中垣国務大臣 法務省といたしましては、自治省等とも連絡をいたしまして、公明選挙運動推進のために力を尽くしていきたいと思います。特に事前運動等につきましては、すでに相当きつい取り調べをやっておりまして、法務省からは二回にわたって局長通達の名前をもちまして、かつて過去にない、検察行政官に対しましては、選挙に対する態度を決定してやっておるわけであります。また近く、今月の末に検察長官の会同をやりますので、その席の上でも、統一選挙につきましての取り締まりの方針等につきましても、具体的に細則をきめていきたいと考えております。
○柏村政府委員 両大臣お話しになりましたように、私どもも法の規定に従いまして、厳正に取り締まりを行なっていきたいと思います。
○田中(武)委員 すでに全国各地で、この種団体が、特定政党に所属する候補者をいわゆる団体として推薦するという形においてやっておるところがたくさんあります。その事実を後日持って参りましょう。また正月以来、この種の団体の機関誌、これで都会議員とかその他知事とかといったものの大きな写真を入れて紹介をし、推薦をする記事が出ておる機関誌がございます。そのようなものは提出いたします。直ちに取り締まりなりあるいは検挙いたしますか。
○篠田国務大臣 その記事なり写真なりが文書違反であれば、直ちに捜査をいたします。
○田中(武)委員 自治大臣、文書違反ならばするのは当然です。私の言っておるのは、そうじゃない。特定の政党のために利用してはならないとなっている、その団体の発行する機関誌が、特定政党の候補者の写真をでかでかと載せて紹介をし、あるいはその人を呼んで座談会なりあいさつをさせた記事をどんどん出しておるということなのです。そのことはどうなんですか。文書違反を取り締まるのは当然のことですよ。
○篠田国務大臣 その内容が選挙法に違反するか違反しないかということは、われわれ取り締まり当局の考え方――それから私はちょっと二足のわらじみたいで、公明選挙の自治大臣と取り締まりの公安委員長を兼ねておりますので、自治大臣といたしましては、いやしくもそういう疑わしい行為は一切してもらいたくない。明朗なる、ほんとうの公明なる選挙運動をやってもらいたい。そのために予算も計上し、しばしばそういう方面の会合もやっております。ただ、国家公安委員長として取り締まるかというお話であれば、それがいやしくも選挙違反の疑いがない以上は、取り締まることはできないのでありまして、その内容を検討しなければ、今ここで直ちに取り締まるかどうかということを申し上げるわけにはいかない、こういうことです。
○田中(武)委員 私が言っているのは、文書違反――選挙法に定められたものなら、これはだれがやっても違反なんだ。特にそういう訓示規定にもせよ、してはならないという規定のある団体の機関誌にそういうことを載せるということ自体が問題ではないかと、こう言っているのですよ。
○篠田国務大臣 それであれば、先ほど来しばしば申し上げましたように、そういう規定はございますが、これは訓示規定でございまして、罰則もないし、選挙違反の対象にはなりませんから、取り締まりはいたしません。
○田中(武)委員 今の選挙法ではそうかもしれぬ。そこで先ほど言ったように、そういうことの可否について先ほどお約束がありました選挙制度調査会への諮問は必ずしてもらいたいと思います。 そこで、通産大臣に特に要望し、お願いをしておきたいのですが、この地方選挙にあたって、今言っているような事態が各所に起こっております。そこで先ほどあげました商工会、商工会議所、商店街振興組合あるいは中小企業団体法による商工組合、協同組合等の法律による協同組合、こういうところに対して、それぞれの法律の何条何項にこういう規定がある、従って、十分この規定を尊重して行動をとるようにといいますか、そういった通牒を出す用意がありますか。出してもらいたいと思います。
○福田国務大臣 国民の選挙権を侵害しないということを特に考慮に入れた上でのそういう御趣旨での通牒ならば、出してもけっこうだと思っております。
○田中(武)委員 国民の選挙権の問題じゃないんです。たとえば商工会議所に対し、商工会議所法第四条三項にかくかくの規定がある、従って、この規定に反するような行動をつつしめ、こういった意味の通牒です。それは出しますか、どうですか。
○福田国務大臣 御趣旨のようなものであれば、考えてもけっこうだと思っております。
○田中(武)委員 御趣旨のようなものなら考えてもけっこうじゃなしに、出すのが当然だと思うんです。現に、参議院選挙の前にあたって、われわれが自治省へその趣旨を申し入れておる。そうすると、自治省からは各選管に対して、そういうようなことを十分に注意するようという指令が出ておるんです。通達が出ておるんです。ことに、今度は、団体自体を指導し、育成をしておる、管轄をしておるあなたなんです。だから、あらかじめ、こういう訓示規定ではあるが、こういう規定があるから、それに注意せよ、犯してはならないという通牒、あるいは犯した場合には、先ほどあなたが言ったように、認可の取り消し等もあり得るということの通牒を出して当然じゃないですか。いかがですか。
○福田国務大臣 第何条の規定に違反しないように注意せよということならばけっこうだと思います。従って、出すことにいたしましょう。
○田中(武)委員 もう一つですが、もし違反した場合には云々ということは書けませんか。
○福田国務大臣 罰則の規定がないのでありますから、そこまで書いては疑義を生ずるおそれがあると思いますから、第何条の規定を特に順奉してもらいたいということにとどめたいと思います。
○田中(武)委員 先ほど来言っておるように、法制局長官は、法律的な解釈として申されました。そこで、やはりそういう規定に違反したる場合に、かくかくたる処分をする、こういうことは、いわゆる政策論というか、いわゆる解釈論じゃなく考えるべきだと思うので、これは法制局長官でなく、通産大臣が、今後これらの団体を指導し、育成していく上において考えるべきことだと思いますが、罰則を設ける気持があるかどうかお伺いいたします。
○福田国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、法律を守れという意味での通達ならばけっこうでありますが、あまりいろいろのことをつけることによって、国民の自由な、いわゆる選挙権の行使というようなものを阻害するようなおそれがあるような場合には、これは特に注意をしなければならない、こう考えておるわけであります。
○田中(武)委員 通牒のことじゃないのです。今後、法を改正して、そのような宣言規定に対して、何か罰則をつけるような検討をしないか、こう言っておるのです。
○福田国務大臣 その問題は、選挙関係の法律を、特に自治省とかあるいは法務省とも十分研究した上でお答えをいたしたいと思います。
○田中(武)委員 それじゃ大いに勉強してもらうことにいたしましょう。 そこで、引き続き通産大臣にお伺いしたいのですが、今日の中小企業の対策の一番の基本は、何といっても大企業との格差是正だと思うのです。言うならば、二重構造の解消というところに重点を置くべきではないかと思う。ところが、詳しいことはその法案審議で行ないますが、中小企業基本法、政府案にはそのことが明確にうたわれてないのですが、今中小企業対策として一番何が大事か、何をやるべきか、どういう考え方の上に立ってやるべきかということをお伺いいたします。
○福田国務大臣 ただいま国会に提出をいたしました中小企業基本法には、今あなたが仰せになった格差の是正ということはちゃんと入れてございます。
○田中(武)委員 法案についての論争はここでは避けたいのですが、ないのです。何条にありますか。
○福田国務大臣 第一条をお読みを願いたいと思うのであります。
○田中(武)委員 一条のどこですか。「中小企業の経済的社会的制約による不利を補正する」、このことですか。
○福田国務大臣 第一条の三行目、「企業間における生産性等の諸格差が是正されるように中小企業の生産性及び取引条件が向上することを目途として、」と、こうありまして、「諸格差が是正されるように」とちゃんと規定してあるわけでございます。
○田中(武)委員 いや、諸格差にもいろいろあるのですが、要は経済の二重構造の解消というわけですね。そういう観点についての規定が出てこないのですよ。考え方が出てきてないのです。
○福田国務大臣 お手元にあります法案の第三条はそういう目的、いわゆる二重構造の是正という目的をずっと書いておるわけでございます。
○田中(武)委員 三条に八号までいろいろありますが、疑問があります。しかし、これは法案審議のときに詳しくやることにいたします。ただ私が申し上げるのは、二重構造の解消、このことが一番今重要であるということ、従って基本法をつくり、あるいはこれを審議し、実施する上において、それを第一番に考えてもらいたいということだけを申し上げておきます。 それから、本年度の中小企業関係予算、これは八十五億三千七百二十七万三千円、これは労働省の方がちょっと抜けるかもわかりませんが、合わせて九十何億。ところが中小企業が納める税金、これは間接税まではいいません。あるいは地方税も抜きましょう。直接国税としての所得税、法人税、これが一体ことしは幾らくらい納められるかということについて見通しを持っていますか。大蔵大臣にも伺います。
○田中国務大臣 こまかい数字は政府委員からお答えいたしますが、おおむね中小関係の税額は一千億というふうに考えております。
○田中(武)委員 実は、私が手元に持っておるのは三十三年の実績なんですが、その三十三年で中小企業対策費は二十五億八千万円、そのときのいわゆる中小企業といわれる人の納める所得税六百三十億円、法人税三百六十億円、合わせて約一千億円、三十三年から今まであまり変わりないのですか。
○田中国務大臣 私が今の御質問でとっさに申し上げたのが一千億でありますが、三十八年度の問題に対しては政府委員からお答えします。
○田中(武)委員 これは、一千億というのは三十三年だろう。
○石野政府委員 実は中小企業と申しましても、とり方によって非常に違いがあります。
○田中(武)委員 現在の規定でよろしい。
○石野政府委員 規定とおっしゃると、資本金幾ら幾らとかいろいろありますから、とり方によって違うものですからちょっと計が――担当の主税局も来ておりませんので、正確な数字とおぼしめしますとちょっとなんですから、もし正確にということでしたら、留保さしていただいた方がいいと思いますが、まさ千億より多いと思いますが……。
○田中(武)委員 私が言っているのは、中小企業の性格がわからないと――現在のは一千万以下云々と、こういうことだから、対象がわからぬと言っておられるのですが、私はそうではなしに、予算の上で中小企業対策となっているその予算の恩恵を受ける階層、それが納める税金は幾らに見込んでおるか、こういうことなんですよ。
○田中国務大臣 中小企業対策として一般会計で見ておるものは百十八億でありますが、これが対象になる企業であり、しかも現在中小企業として規定しておるものの範囲を定めて、その人たちが納める税額、しかも三十八年度税収見込みの中でどの程度かということになりますと、全くこれは技術的な問題であって、主税局の積算数字を十分検討しないと、現在すぐ計算ができるような問題ではないと思いますから、御必要があれば主税当局に計算をさして、試算ではありますが、大よその想定数字でありますが申し上げたいと思います。百十八億の対象人員ということになると、これは非常にむずかしいことでありまして、これから通産省でもっていろいろ条件に適合したものに対してきめるのでありますから、これは全く予想数字になるわけでありますが、中小企業者と俗に言われる方々、そういう企業が納めておる税収の総額は大体幾らだ、こういったときには私は千億をこすでありましょうと、こういうことを聞いておるわけであります。
○田中(武)委員 結局、申し上げましょう。私が言わんとするところ、考えてもらいたい点は、三十三年で中小企業の納めた税金、先ほど言ったように所得税、法人税を入れて約一千億円、そのときの中小企業対策費が二十五億八千万円、ことしはこの数字よりか相当上回った中小企業対策費が出されておる。通産大臣は多く計上したと言って鼻高々のようだが、納める税金が五年前で一千億円、そうすると一千億円をはるかに上回っておることは事実なんです。従って納める税金に対して、はね返ってくる恩恵というものが、あまりにも中小企業は少な過ぎるじゃないか、それについて一体どういうように考えておるのか。
○田中国務大臣 そういうふうに御質問の焦点がはっきりすれば、的確に御答弁申し上げます。三十三年度に一般会計で中小企業対策費として計上したものが二十五億円であり、当時のその対象になると見通される中小企業が納めた税額の総額は千億であると、でありますから、少なくとも現在の状態では千億円以上と、先ほどから申し上げているのですが、千五百億になるか、千八百億になるか、二千億になるかという問題でありましょうが、それに対して二十五億に対応する金は、先ほど申し上げた通り百十八億余万円でありまして、三十七年度予算に対して二八%増ということであります。それにしてはあまりにも恩恵が少ないじゃないかと言われますが、これは、中小企業というのは、その中小企業に対する一般会計の計上額だけをもって律せられるものではありません。中小企業がどういうふうなものを必要とするかというと、御承知の通り金融問題が非常に大きいのでありますから、財政投融資その他において千三百億近い中小企業向けの融資も考えておりますし、その他もろもろの施策を行なっておりますので、一般会計に計上されたというものだけで律するわけにはいかないと思うのです。それは、輸出振興対策も同じことでありまして、これは特殊財源という、目的税制度をとっておりませんから、一般財源としてこれを歳入に計上して、その中で歳出項目をきめるということであって、輸出業者が納める金額が何千億であるから、それに対応してわずか八十億とか百億とかいうような計算にはならないというふうに考えます。
○田中(武)委員 一千億円を納めたから一千億円返せとは言わないのです。しかしかけた税金に対してあまりにも少ないじゃないか。ことしは特に中小企業に対して大幅な予算をつけましたと言うてこの程度だと言っている、こういうことだけですよ。だから全部それをつけろとは言いませんが、納税とそれから受けるところの恩恵というものに、あまりアンバランスがあってはいけない、そういう意味で言っているので、今後大蔵大臣考えていただきたい、通産大臣も考えてもらいたい、このように思うわけです。たくさんあるのですが、時間が何だからかけ足で参ります。 次に、中小企業のうちでも特に零細企業、政府では小規模事業者とこういっておられますが、たとえば中小企業基本法の中でも小規模事業者については二十三条に規定があるだけです。中小企業のうち特に零細企業が忘れられておる。また工と商とを分けた場合、商の方の政策が忘れられがちであるという、そういう点についてどう考えられておるかということと、もう一つはこれは大蔵大臣、自治大臣と二人おったらいいのだが、私は中小企業の中でもいわゆる企業性のあるものと、そうでない勤労性の強いものがあると思うのです。おわかりになりますか。若干の従業員とその店主または経営者が一緒になってまつ黒になって働いておる、これをわれわれは勤労事業と呼んでおりますが、こういうものに対しては事業税はとるべきではなく、所得税だけでいくのがほんとうじゃないか、こう思うのですが、その点について両大臣の御答弁をお伺いします。
○福田国務大臣 御質問にもありましたように、二十三条には零細企業の問題を取り上げておりますが、われわれは、この零細企業の問題は非常に重要であると考えておるのでありまして、法全体の考え方といたしましても、零細企業をいつも念頭に置いてこれを運用すべきであるという考え方を持っておるわけでございます。 それから今の税制の問題でございますが、これは、御趣旨は非常にけっこうであると思いますけれども、しかし、税にはまた税のいろいろの関連の事項もあると思いますので、これは大蔵大臣から答弁をしてもらうことにします。
○田中国務大臣 中小企業問題に対しては、確かに中小企業は千差万別でありまして、零細企業といわれるような小規模業者に対する施策に対して万全をはかって参らなければならぬことは、これは当然であります。中小企業も、だんだん中小企業から抜けていくようにレベル・アップをして、同時に零細企業から中小企業の中にだんだんと吸収をしてこなければならないわけでありますことはお説の通りであります。 それから税利の問題については、これは長いこと討議をせられておる問題でありますが、事業税及び所得税をどこで分けるかというような問題で、私も就任後主税当局とこれらの問題に対しては十分検討いたしました。今度は、御承知の通りの中小企業の問題の一つである同族会社等の問題も一部解決をいたしましたが、引き続いて検討いたしておりますものは、事業をやっておりますから、所得税だけにというわけには参りませんけれども、これに対して事業控除、基礎控除というようなものを大幅に広げていかなければならぬ。これは大工とか左官とか、ほんとうに親方自身が働いておる、こういうものでありまして、これらの問題に対して税制上の整備は考えております。
○田中(武)委員 考えておるということですが、考えておるだけじゃだめなんで、今言ったように生業としてやっておる。あるいはその所得は、企業という面ではなくて、その人の持つ技術とか、あるいは労働と言いますか、勤労によって得るものは、当然これは勤労所得税だけでいいじゃないか、こういう考え方を私は常に持っておるわけなんです。その点についてなお一そうの御検討を願いたいと思います。
○田中国務大臣 この問題は、私もかつて商工委員長をやったことがございまして、あなたの御持論もよくわかりますし、私自身も、これらの問題を救済していかなければ、零細企業を中小企業に格上げをしていくわけにはいかないという持論でありますので、就任後、これらの問題に対しては十分検討いたしております。でありますから、勤労所得と同じように、所得税だけで律すべしというような強い意見を出してみたいのですが、法制上の建前がございまして、営業として届け出をしておる、営業形態をなしておる、こういうものに対して法制上これをどの程度まで所得税として措置できるかというような問題がありますので、結論的には、事実それらの勤労者と同じような状態でやっておる小規模な事業に対しては、基礎控除をうんと上げるとか、あるいは大工さんが非常に大きな投資をして、道具持ちでもって働いておるのでありますから、この道具に対してその償却をどう認めるか、また買入れに対してどういうふうな控除を認めるかということは、当然税制上措置すべきでありまして、こういう方向で今主税当局は動いております。
○田中(武)委員 時間もだんだん迫ってきますから、次にいきます。 今問題になっておるスーパー・マーケットのことですが、先ほど来私が申し上げたように、中小企業対策と言われておるが、ことに小の方はなおざりにされがちである。今日国内に大資本を背景とするいわゆるスーパー・マーケットが乱立をし、その過当競争と言いますか、そういうような中で小売屋が大きな犠牲を受けておることは御存じの通りであります。去る二月七日、全国から二千人以上の小売商人が集まりまして、外国資本による、あるいは外国資本が日本の商事会社と提携をして大きなスーパー・マーケットをつくる、こういう話があり、また話も進んでおるそうです。そういうことに対して絶対反対だ、こういう決起大会を持ったのです。そこでこの種スーパー・マーケットについて何らかの規制が必要である、こう考えますが、どういうお考えでしょうか。
○福田国務大臣 御承知のように、スーパー・マーケットというものは日本的英語でございまして、アメリカにはスーパー・マーケットというものはないのであります。従って、その定義が一定しておりません。どういうのがスーパー・マーケットか、それからまず問題がありますけれども、しかし、概念的にはそういうものがあるわけでありまして、一応われわれとしては、主として食料品あるいはその他の品物を扱うもので、一億円くらいの売り上げのあるものをスーパー・マーケット、こういうふうに考えております。これが小売商に与える影響というものは考えなければなりませんが、今、御質問のありましたのは、外国資本が日本にやってきて、そうしてスーパー・マーケットをやろうとしておる、これに対してどうしたかというお話であります。これにつきましては、その当該商社に対しまして連絡をとって、そういうようなことをすることはどういうことをされるのか、あまり小売業その他に影響を与えるということはどうかと思うというような意味において問いただしておるのでありますが、その後計画が変更されまして、自分のところと組んでスーパー・マーケットをやる小売業者を探して、そういう小売業者がスーパー・マーケットを開いた場合には、資金的に見て援助をする。それからその場合には、自分のところの品物を買うようにしてもらおう。こういうような考え方を中心にしてやるつもりであるというように、だいぶ当初の考え方とは事情も異なってきておるようでございまして、今御指摘になりましたように、全国的にそういう販売網、スーパー・マーケットをつくってやるということにはなっておらないようでございます。 このように私たちといたしましては、スーパー・マーケットの問題があり、また、その問題が特に国際的な色彩を帯びておるような場合においては、適当に調査もし、行政指導もしていきたいと思うのでありますが、しからばスーパー・マーケット自体をどういうふうにして規制していったらいいかということになりますと、これは田中さんの方が一番よくおわかりだと思うけれども、政治の施策の中心は、これは国民を対象にしてやらなければなりません。それで、そういうような場合において、何といってもやはり消費者を保護するということも非常に大事な政策に相なります。消費者を保護するということは、いい品物を安く提供するということに相なるのでありまして、これと小売業者との利害をどういうふうに調節するかというところに問題のむずかしさがあると考えられるのでございまして、そういう意味合いにおいてこれの調和をはかりつつ、いわゆる小売業者を擁護するというような工夫がないかという意味合いにおいて、ただいま調査研究をいたしておる段階でございます。
○田中(武)委員 調査研究しておるうちに、ばったばったと小さな小売商は倒れていきます。今アメリカでは、定義がないと言うが、アメリカは定義があるのです。食料、雑貨をセルフ・サービスで販売し、食肉、酪農品、青果物も売る小売店で、年間売り上げ一万ドル以上のもの、こういうことになっておるのです。そこでわれわれといたしましては、やはり一応売り場面積、これは百貨店は売り場面積で規制しておりますが、売り場面積と年間売り上げ、こういうところに観点を置いて、やはりスーパーも一つの許可制にしていく必要があるのではないか、こういう考え方を持っておるわけなんです。そうでなければ大へんなことになるということ。 もう一つは、ことに外国資本が日本の資本と合弁をして販売会社をつくる。こういうのが今スーパー・マーケットだけではなく、いろいろな業界に現われておる。そこで現状においてはどうかというと、外資法第十一条二項では、いわゆる利潤を直接持って帰らない場合は届けでよいということになっている。従って、ここに合弁会社をつくって、ここへ一ぺん納めて、これを持って帰る場合は、全部届けで何ぼでもできる。これはスーパー・マーケットもそうだし、その他のものでも販売会社がどんどんできていくわけなんです。それでスーパーというものが問題を起こしておるのは、なるほど買う側からいえば安くていいじゃないか、そうだけれども、やはり流通秩序というものがあると思うのです。この秩序を乱しておるということです。それから小売商業調整特別措置法の十五条には、こういうときの紛争のときに知事があっせんするというような規定があるのですが、これが今まで一ぺんも行なわれたことがないのです。それじゃ紛争がないかというと、あるのです。そういうような一連の考え方から、やはりスーパーについては何らかの規制をする考えであるということを明確にしてもらわぬと困るのですがいかがでしょう。
○福田国務大臣 スーパー・マーケットの問題については、小売関係の調整法がございまして、事実上の調整をいたしておるわけであります。それから今外資法の問題を言われましたが、それはその通りであると思いますけれども、今外国からそういうような攻勢をかけられておるのは、住友とセーフウエーとの間にあるのがただ一件だけでありまして、今後それは起こり得るかどうかということも心配でありましたので、特に企業局の次長を大阪へやりまして、二社五綿と言いますか、そういうような商社を中心にしてどういうような動きをしておるかということも最近調査をいたさせました。ところが、そういうような動きは今ないようであります。もちろん、それだけで全然こういうものはない、入ってこないとは言えませんけれども、われわれとしては、そういう意味で行政的に十分注意をいたしながら、小売業者の利益も守っていかなければならないと考えておりますが、しかし法制をつくる以上は、許可制をつくるという以上は、その場合においては、何といってもやはり消費者の利益の擁護ということも考えなければなりませんから、それをどういうふうにして調和するかということは、やはり研究をいたさないわけにはいかないと思うのでありまして、それを今研究しておる段階であるということだけを申し上げたいと存じます。
○田中(武)委員 時間の関係もあるから一々申しませんが、わが方としてはスーパーに対して一つの態度をきめております。そこで、これは商工委員会へ場を移してじっくりと一度相談をしてみたい、このように思いますので、大臣も十分心得ておいてもらいたい、こう思います。 これは去年でもおととしでもよろしいが、わかっているところでけっこうですが、年間の小売販売の売上金が一体幾らくらいか、そしてそれがスーパーで幾ら、百貨店、月賦専門店で幾ら、小売専門店で幾ら、一般小売商で幾ら、こういう数字はわかりますか。
○福田国務大臣 ただいまのところ、まだ調査が行き届いておりませんので、後刻調べて御報告をいたしたいと思います。
○田中(武)委員 これはある評論家が推算したところなんです。だからこれがすべてだとは思いませんが、五年後を予想した場合に、年間小売販売金額は七兆円である。そのうちスーパーが占めるのが三兆五千億円、百貨店、月賦専門店が一兆五千億円、そして一般専門店、小売専門店が一兆円、一般小売商が一兆円というのが五年後の一つの推定でございます。現在小売商は百三十万あると言われておる。この百三十万の小売店が全体の七分の一ほどしか売り上げをしていないという事実。そこで商業にももっと、ことに小売商に政府は思い切った予算をつける。そしてその人たちが一緒になって経営を合理化していく中から近代化して、スーパーのようなことをしていくとか、あるいは商業団地というようなものをつくっていく。こういうことを奨励し、これに対して政府は思い切った予算をつけるべきでないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○福田国務大臣 御希望の数字とは合わないのでありますが、今一応私の方で調べたのでは、小売販売額と百貨店の販売額との総額並びに比較が出ております。それによりますと、昭和三十七年度が小売の販売額が五兆六千四百五十二億円、百貨店の販売額が六千百六十億円でございますから、大体小売販売業の九%ということに相なっております。しかしながら、あなたがよくおわかりのように、だんだん人手不足ということもございますし、いわゆるスーパー・マーケットがだんだん大きくなっていくと言いますか、はやると言いますか、たくさん各所にできるということになる場合が考えられるのでございまして、そういう点も考えてみますと、小売業者を擁護するというためには、小売業者が協業して、一緒になって、そして自分らがスーパー・マーケットをつくっていく。こういうような施設をやることは、私は非常にけっこうなことだと思うのでありまして、政府としてもそういう方針で今回の予算のうちにも幾分は見てあるわけでありますが、今後将来はもっともっとこれをふやすように努力して参りたい、こう思っております。
○田中(武)委員 総括して言うと、結局、外国の資本がスーパーだけでなく、日本の会社と合弁会社をつくって直接販売に乗り出そうというケースが多くなりつつある。ことに外国資本が日本の商事会社と一緒になってくる大型スーパーに対して、小売商は大きな脅威を感じておる。そこで小売に対しては今言ったようないろいろな近代化をはかっていく、こういうことに対して思い切った施策をしてもらいたい、こういうことを希望いたしておきます。 さらに、現在の役所の管轄では、商業ことに小売商については、中小企業庁の一部と、それからこれは百貨店という方の立場に立つと思いますが、通産省の企業局の庶務課、これだけしかやっていないわけです。私はもっと小売あるいは商業、大きく言えば流通経済、このことに対する専管の少なくとも局くらいがあっていいじゃないかと思うのです。われわれは中小企業基本法の中で中小企業省を設置し、その中に専門局を置くと考えておりますが、それはともかくとして、現在の設置法の上において何とか考えられぬかと思いますが、いかがですか。
○福田国務大臣 流通機構の問題は、お説の通り非常に重要な問題でございます。でありますから、こういう方面に機構を充実するということももちろん大事で、考えてはおりますけれども、しかし、機構拡充ということにつきましては、いろいろまた制約をしなければならない面もあるし、受ける面もありますので、将来大いに御趣旨に従って研究をさせていただきたいと思います。 〔青木委員長代理退席、委員長着席〕
○田中(武)委員 まだありますが、譲りまして、今度は昨年夏以来通産省でやかましく言って参りました新産業秩序あるいは協調態勢、これに基づいて特定産業の国際競争力強化法というものを出す準備をしておられると聞いておりますが、一体今国会に出されるのか出されないのか、お伺いいたします。
○福田国務大臣 お説の通り、事務的にそういうものを進めておる段階でございまして、今国会に出したいと考えておりますが、今準備をしておる段階でございます。
○田中(武)委員 この問題について、最初通産省というか、担当の企業局が考えていたのは、金融界あるいは財界の圧力によって一歩二歩後退しておる。たとえば全銀協、全国銀行協会の反対で、最初予定しておった条文を変えましたね。また今度は、財界は、独禁法に穴をあけるということで、それを条件としてのもう、こういうように言っておる。そして一方においては、今公正取引委員会との間に話し合いを進めておられるそうですが、一体どちらを立てて、どっちを向いてこの法律を作っていく作業をしておられるのか、お伺いいたします。
○福田国務大臣 法律は何といってもすべて実情に合わなければいけませんから、各方面の意見は聞いておりますが、何も最初からこういう案ということをきめてかかってやっておるというわけではありません。今そういう意味で調整をしておる段階であります。 そこであとの御質問は、そういうような、いわゆる独禁法に穴をあける目的でやっておるか、こういうお話でありますが、わわれれはそういうことは考えてはおりません。御承知のように、私が申し上げるまでもなく、今の日本は自由化をやっていかなければならない。また世界の経済がそういうことを要請もし、日本もまたその方がいいということになってやるのでありますが、その場合において、日本の産業のうちには、自由化をいきなりやった場合にはとても対抗ができないようなものがあると思われるのであります。そういうようなものがあった場合には、一つそういう意味で、その業種のうちで何らかの措置をし、そしてこの産業自体を強化していく工夫が必要ではないかということは、これはどなたにもわかっていただけると思うのでありまして、そういうことをする場合にどういう方法でやったらいいかということになると、もちろんその業界自身がそれを自覚をされて、そして自主的にすべてをやっていただけるということであれば、われわれとしてはこれが一番望ましいと思っております。しかし、それだけではなかなかいかない。また、そういうことをやる場合には、税制上とか、あるいは金融上その他いろいろの面において助成をするような工夫もいいのではないかというようなことを考えてみますと、何らかの法律をつくってやった方がいいんじゃないかという意味合いにおいて、自主規制、自主的な調整ということを中心にして、法案を作成してはどうかという方向はきまっておるわけであります。すなわち、今申し上げたように、自由化に備えるために産業に力をつける、特定産業に力をつける、こういう意味での法案でございます。そのことが、今もちょっと話があったように、いわゆる結果において独禁法の幾分例外的な規定になり得ることもあると考えておるのでありまして、本来の目的は独禁法をどうしようというような意図は全然ございません。
○塚原委員長 田中君に申し上げますが、申し合わせの時間が経過いたしておりますので……。
○田中(武)委員 わかりました。――何かわかったようなわからぬようなことをおっしゃったのですが、池田総理は数回にわたって、今度の施政方針に対するわが党代表質問者に対する答弁の中で、独禁法は改正しない、こういうことを数次にわたって言明しておられることは御承知でしょうか。
○福田国務大臣 われわれは独禁法を改正する意図はございません。
○田中(武)委員 独禁法を改正せぬが、特別な法律によってバイパスでもつけて独禁法に穴をあけていく。現にあなたはきのうの記者会見において、特定産業国際競争力強化法、これは独禁法の修正だけでも意義がある、独禁法に穴をあけるだけでもこの法律の意義があるんだ、こういう暴言を吐いておられますが、事実ですか。
○福田国務大臣 私が申し上げたのは、先ほど御答弁申し上げた趣旨において新聞社の人にもお話をいたしておるのでありまして、そういうことをすると独禁法の例外的な規定ができるようになるんじゃないかということですから、そういうことに結果においてなるかもしれない、ということを言ったのでありまして、本法自体を修正したり、あるいは改廃したりすることはございません。
○田中(武)委員 それは録音をとってそれを聞いたわけではない、新聞の記事を見ただけですから、そうあなたが言われるならそれ以上は申しませんが、新聞には、あなたは独禁法の修正だけでも意義がある、独禁法に穴をあけるだけでも意義がある、こういうことなんですよ。 そこでお伺いしますが、あなた、独禁法というのはどういう法律か御存じですか。独禁法の性格及びその経済に及ぼす効果というようなものをどういうふうにつかんでおられますか。
○福田国務大臣 私は、大企業が中心になって、あるいは産業、企業が合同して、大企業が独占的な価格をつくったり、あるいは市場を壟断するようなことをいたしまして、消費者並びに国民の利益を侵さないようにするというのが独禁法の目的だと思っております。
○田中(武)委員 実は私のきょうの論議はここを山にしたかったのですけれども、時間もないようですからあれしますが、だいぶ大臣は独禁法についての把握の仕方を誤っておられるのではないか。これはそのときにまた論議いたしましょう。しかし、独禁法に穴をあけるとか、バイパスをつけるとかいうようなことを簡単に言ってもらっては困るのですよ。それだけは慎んでもらいたい。そうして一つの法律をつくるのに、結局は強いところに押されて、こっちへこっちへ寄ってくる。案ができておったのだけれども、別に成案でなかった。もちろん成案でなかったけれども、第何条と書いてあるのを直してあったじゃないか、金融界から言われて。金融界が反対したのは、系列融資ができないことに反対しておる。あるいはこの法律で独禁法の十五条の会社の合併の特例を設けよう、こういうことです。これはまさに政略結婚をさせようということにもなる。これはいろいろの重要な問題を含んでおる。従って通産大臣はあまりにも現行の法律をじゃま者扱いをするような発言は慎んでいただきたい、このように考えますが、いかがですか。
○福田国務大臣 私は、現行の法律は何でも正しいものだという認識に立って政治はすべきではないと思っております。必要があれば直してもいいし、必要があれば例外をつくってもけっこうである。それはその時代の要請に応じて、国民の利益になるように法律をつくるのが国会の皆さんの任務であり、また政府としての責任であると考えております。
○田中(武)委員 やめようと思ったが、そう言われるとまた言わざるを得ない。あなた、独禁法に穴をあけるだけでもこの法律には意義があるのだ、こういう意味のことを言われておるのだ。それは間違いない。もちろん現在あることが最善ではない。それを変えていったりあるいはつけ加えたりしていくところに政治があることはごもっともです。しかし、それならなぜそのものの本体を言わないか。独禁法の改正ということは立案はないでしょう。総理は何回か改正しませんと言っておる。それを独禁法をじゃま者扱いにするというその考え方が問題だと言っておるのですよ。やはり法律が効果を持つ以上は、大臣はその法律を守ってもらわなければ困ります。それを改正をしていくということはけっこうです。それにはそれだけの理由があればいいと思いますが、その点について一体どのような把握をしておられるのですか。
○福田国務大臣 私は、先ほど申し上げたのでございますけれども、独禁法を改正しようとは少しも考えておりません。しかし、一つの目的を達するために、一つの法律をつくったり、あるいはほかの法律をいじると、結果において幾分ほかの法律に影響があることは、これは当然であります。従って、私の考えておることは、時勢に応じた法律をつくっておくことが必要じゃないか。私は、今のような自由化をやらねばならぬ段階においては、やはり国際競争力を特定産業につけるようなことは必要ではないか、その目的を達成するために、法律をつくることは意味があると思っておる。その結果において、独禁法の条文の一部に――私はまだそこまでつまびらかにいたしておりませんが、これは私が法案を出したときならば、あなたとその問題について十分お話をいたさねばなりませんが、まだそういう準備段階でありますから、私はそれは申し上げませんけれども、一般論として申し上げれば、結果においてほかの法律に影響を与え得ることがあっても、例外法というものはいつもあるものでございますから、それをやめてはいけないとか、そういうことをしてはいけないということにはならないのではないでしょうか、こう申し上げておるわけであります。
○田中(武)委員 この問題はまたあらためてやりたいと思いますが、私は特例法によって次々削っていくというやり方に疑問を持っている。これは別、あれも別だと、今まで通産省が出してくる法律の半分は独禁法緩和法律ですよ。そういうことは今後機会を得て討議をすることにいたします。 最後に、雪害の問題ですが、これは北陸三県の問題についてはしょっちゅう言われておる。しかし、最近、兵庫県の北部あるいは鳥取、島根のようないわゆる山陰地方に大きな被害が出てきている。こういうものを合わせて中小企業に相当損失があったのではないか。そこで、中小企業の損失に対してどのような手を打とうとしておられますか、考えておられますか。 さらに、いつも災害ごとに問題になりますが、いわゆる個人災害といいますか、そういうことについて、公のものについては国がするが、個人災害はできないというような考え方がありますが、中小企業者それ自体の損害についてはどうお考えになっておるかをお伺いいたします。
○福田国務大臣 御承知のように、雪害は相当広範囲にわたっておりまするし、また、道路網あるいは鉄道網の確保が最近ようやくできかけておるのでありまして、まだ県道も通じていないようなところがございます。そうすると、やはり対策ということになれば、実態の調査が問題でございますので、私の方といたしましては、各通産局を督励いたしまして、中小企業者がどのような災害を受けておるかということを今いろいろ調査をいたしております。まだ集計ができておりませんけれども、今仰せになったようなことは非常に重要であると思いますので、実態調査をした上で、適宜の処置をとりたいと思っております。もちろん、金融その他の面については、もうすでにあなたも御承知の通り、大蔵省とも連絡をいたしまして措置をいたしておるわけであります。十分一つ、雪害については、わわれわとしても万遺漏なきを期するつもりで調査を進めておるということを申し上げておきます。
○塚原委員長 山口丈太郎君より関連質疑の申し出があります。これを許します。山口丈太郎君。簡潔に願います。
○山口(丈)委員 ただいまの通産大臣の御答弁によりまして、各産業に対しての金融措置を緊急にとられておることは承知をいたしました。 大蔵大臣にお伺いをいたしますが、このたびの豪雪につきましては、中小企業はもちろんのこと、交通機関等におきましても、長期にわたりましてその機能を停止いたしております。従って、これら地域の中小企業もしくは交通機関等につきましては、収入は皆無の状態が長期にわたって続いておるのであります。しかし、私企業等でありますために、公的なものにつきましては補助等がありましょうが、私企業についてはなかなか補助等も従来の慣例に従っても困難でありますけれども、しかし、私は、ある一定の限界を越えない範囲内においては、この補助対象もあるいは考えなくてはならない。また、緊急融資の措置をとられておるようでありまするが、しかし、この緊急措置につきましても、私は現在の法律をもっていたしましては、適切な金融処置をいたしましても、それが返済方法等あらゆる面において困難があるだろうと思うのであります。 従って、これは、今は中小企業や交通機関等困難な面に対して融資をする適切な処置をとられておることにつきましては感謝をいたしますが、さらにこれを万全なものにいたしますためには、現在調査を進められているようでありまするけれども、少なくともこれを増額し、かつ、その返済期日が私は重大な問題だと思います。そこで、従来からも水害等においてとられてはおりまするけれども、それでは私は困難な面が特に多いと思うのであります。それは何ゆえかと申しますると、今度の地域は、いわゆる太平洋岸のような大企業あるいは資本力の強固な地域の産業ではございません。資本力におきましても、あるいはまた地域の経済力におきましても、きわめて貧困な地域に発生をしておる雪害であります。従って、私は、現在特にこの中小企業または交通機関等に対しましてどういう処置をおとりになっておるかということが一点。 それから金融をされる場合、あるいは補助をされる場合、ともにでありまするが、特に金融を緊急にされる場合におきましては、この返済方法等におきましては、長期漸減の方式をとった特別立法を用意されない限り、私は万全とはいえないと思いますが、これらの対策につきまして一つお答えを願いたいと思います。
○田中国務大臣 お説の通り、豪雪地帯においては、国有鉄道及び国道等に対しましては、自衛隊の発動、協力等によって除雪作業その他が確保せられてきつつありますことは、御同慶にたえないわけでありますが、地方の唯一無二の機関ともいうべき地方鉄道やバス路線の問題につきましては、私企業なるがゆえに、これら公的の協力が求められないという事実は承知いたしております。なお、豪雪により全線運行ができないというので、収入皆無となり、支出は逆に除雪、災害防除等の緊急支出がかさみます結果、給与の支払いにも事を欠いておるという事実も承知いたしております。これは、私企業なるがゆえにということで、公の処置がとられないわけでありますが、これがため、その地域における産業等はほとんど活動を停止しているということでありますし、これらの公的に持つ使命は、国有鉄道及び道路等と変わらない使命を持っておりまするので、運輸省からの要請もあり、大蔵省といたしましては、これに対して緊急融資を行なうよう、日銀及び地方金融機関に対して協力を要請いたしております。しかし、これは私企業でございますために、特に開発銀行からの融資ということも御要請があったようでございますが、設備資金でないということで、全くの災害時における緊急融資であり、しかも、あなたが今申し述べられた通り、これら返済に対しては、冬が終わってから常時の収入によって特別に返済をしなければならないという特殊事情等もありますので、立法処置をしろということでございますが、そこまでの問題は別としまして、少なくとも現在応急の処置としては、各金融機関の協力を得て急場をしのぐように、また、しのぎ得るように、地方住民の要請にこたえ得るようにという観点に立って、銀行局長から各機関に対しての要請を行なっております。それで、例年これからも災害があり得ますし、それから豪雪というものは、広範でなくても、一県、二県にわたっての豪雪で、ほとんど交通網が途絶をする場合もあるのでありますから、これら恒久的な問題に対しては、運輸当局とも連絡をとりながら、慎重に考慮を払って参りたい、こう考えます。
○山口(丈)委員 御希望申し上げますが、今大蔵大臣も認められますように、私企業である特に交通機関などは、生産は、とまればもうそれだけ取り返せない状態であります。除雪なども自力で行なわなくてはならない。支出は非常にかさんでおるのであります。今日ではすでに従業員に対する給料の支払いについても事欠くような状態になりまして、連日苦情を訴えて参っておる実情であります。従って、緊急に融資をしていただきましても、融雪期に入りましてから、収入が上がるというので、これを直ちに返済を迫られましては、これはゆゆしい問題であります。従って、これは相当長期にわたって低利漸減の方式をとった返済方法を講じていただかなければ、私は万全の処置とは言えないと思う。あとの問題がゆゆしい問題になる。しかも、地方の交通機関で小企業でありましても、事はやはり公益事業であって、重大な使命を帯びておるのでありますから、従って、これに対しましては、今申し上げましたように、適切な処置を一つとっていただきますように、関係閣僚にぜひともお願いをいたしたいと思います。 質問を終わります。
○福田国務大臣 お説のような趣旨で、金融をやりました場合にも、取り立ての場合といいますか、返還の場合に、普通の場合よりは長期にやるように措置をいたさせております。たとえば、これは大蔵大臣から答えてもらった方がいいと思うのですが、国民金融公庫の場合などでも、特に普通の場合より二年くらい長くするように話を進めておりまして、そのように実現をするつもりであります。
○塚原委員長 次会は来たる十一日午前十時から開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十三分散会