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43回国会衆議院1963/02/04

予算委員会 第6号

発言数
218
登壇者
19
会派数
2
開催日
1963/02/04

会議録

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 これより会議を開きます。  昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  加藤清二君。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 この際、私は、社会党を代表しまして、委員長のお許しを得ると同時に、特に野党の皆さんの御協力を得まして、三十八年度予算について質問をしたいと存じます。  その内容は、主として経済外交でございます。加うるに、社会保障、特に中小企業問題、文教問題等々に触れてみたいと思うのでございます。大臣御出席の都合によりまして、順序を変えまして、最初に社会保障問題についてお尋ねしたいと存じます。  私が申し上げまするまでもなく、社会保障がどの程度行なわれているかということ、これが文化国家のバロメーターになると存ずるのでございます。すべての国民の疾病、貧困から来るところの不幸、生活不安を除くこと、すなわち、社会福祉、福祉社会の実現をはかることが近代政治の課題であると存ずるのでございます。自由主義社会の持つ欠陥、国民の生活格差、これを縮めることが政治の努力目標でなければなりません。この意味におきまして、幸いなるかな、田中大蔵大臣も予算説明の冒頭にこのことを述べておられます。まことにけっこうでございます。ところが、しかし、わが国の社会保障は他の先進国と比較いたしまして必ずしも比肩するところまではいっておらないのでございます。これについて、一体、総理、大蔵大臣はどのようにお考えでございましょうか、所見を承りたいと存じます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 お話しのごとく、一国が文化福祉国家であるかないかは、社会保障関係の行政がいかに行き届いておるかどうかということにかかっておることは、全くお話の通りでございます。戦前のわが国のそれは、まことに、ほとんどそういう施策がなかったのでございますが、戦後におきまして、かなりな速度で進んでおります。ただ、何と申しましても、敗戦後の状態から言って、そう先進国並みにいくというわけにはいきません。私が施政演説で申しましたごとく、社会資本、社会保障、文教と、これを三本の柱としてやっておるわけでございます。十分ではございませんが、私は、近年相当見るべきものがあると考えております。この趨勢を今後やはりますます強めていきたい、こういう考えでいっておるのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 お答えいたします。  三十八年度の予算編成につきまして、社会保障、公共投資、文教等の拡充と、これを三本の重要な柱にいたしたわけでありまして、社会保障をその第一に取り上げておりますことは、予算説明冒頭に申し上げておる通りであります。三十七年度に対して一七・四%の一般会計予算が増額をせられておるわけでありますが、社会保障に対しては二二・五%という、私の考えでは可能な財源内において最大の考慮を払ったわけであります。金額としては三千六百七十九億円を計上いたしておりまして、三十七年度当初予算に比して六百七十六億円という金額を増額いたしたわけであります。総理が申し述べられた通り、満足ではありませんが、予算の最重点項目として配慮しておることを御承知願いたいと存じます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 社会保障のうち特に公害についてお尋ねしたいと存じます。  近代科学が発展し、工場がふえるに従いまして、公害はますますそれと並行してふえつつあるわけでございまするが、政府の施策は、工場設営に急にして、そこから生ずるところのあまたの公害、すなわち、周辺住民の生活の不安、これを取り除くことを怠りがちでございます。その結果は、せっかく住みよい郷土を住みにくい町に変えつつあるのでございます。その最たるものが、飛行機、特にジェット機の爆音による被害でございます。このことは、昨年予算委員会においても私申し上げて、当時の大臣と約束を取りつけたことでございまするが、いまだ依然としてそのことが直されておりません。飛行機の爆音から来るところのあの被害についての対策はどうなっておりますか、所管の大臣に承りたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 お答えいたします。  御承知の通り、防衛庁費の中に飛行場周辺の補償問題等を組み入れてございますし、そのほか、文教施設その他において三十七年度に比較しまして相当大幅な予算を増額いたしております。基地周辺の補償につきましては、飛行機の爆音等による被害を含めて、年間おおむね九十億円程度ずつの補償措置を行なっておるわけでありますが、なお、予備費の弾力的運用等によって、今年度もこれらの問題に対処して参る考えでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 私は、これは去年の約束がございまするので、特に申し上げておきたいのですが、鶏が卵が少なくなったとか、豚がやせたとか、そんなことはもうとつくの昔の話でございまして、今や、人畜の畜よりも人に及ぼす被害は重大でございます。特に、入学試験を前にしたところの子供さん、ないしはその子を持つ親の身になってみたら、この爆音ほどうらめしいものはないのでございます。特に申し上げなければならぬことは、私の住んでおります小牧周辺におきましてもさようでございまするが、妊婦が分娩の最中にこの音のために分娩が途中でとまってしまったとか、もっとひどいのは、きょうはその地区から代表も来ておられるのでございますけれども、議長の話によりますると、遺言を聞くことができなかったためにあとでトラブルが起きた。つまり、いまわのきわの方が遺言をしようというので大勢集めておいた。ところが、始動音と申しまして、非常に長い爆音が続いた。そこで、ついに一人だけがロへ耳を持っていってこれを聞くことができた。あとの兄弟は聞くことができなかった。その結果トラブルが起きてしまった。こういうような、まことにお気の毒な状態があちこちにあるわけでございます。幸い、大蔵大臣の言われまする通り、防音装置は小学校・中学校にはやや行なわれておるようでございます。しかし、その周辺の民家に対しては何ら措置がとられておらないのでございます。その上、なお、テレビ、ラジオ、電話等が聞けない。これについて、一体電波監理局あるいはNHK等におかれましてはどのような考慮、対策が払われておりまするか、それについても所管の大臣から一つ承っておきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 お答えいたします。  電話、テレビ等の問題につきましては、ジェット機が発着をする付近もそうでありますし、高圧の送電線を使用しているような下に対してもそのような障害が起きておりますから、この問題に対しては、御承知の通り、NHKができるだけ周辺地区に対する聴取不能等の問題に対しては対処いたしておりますし、技術的にも、現在電波技術審議会等において解決策に対して検討いたしております。電電公社に対してもそのような処置をとっております。これは、今万全の対策がとれないというのは、技術的に非常にむずかしい問題がありますので、これらの問題に対して技術の最高陣が鋭意検討を進めておりますし、機械設備その他の問題に対しても一部は解決いたしておりますし、早い機会にこれらの問題は解決ができるというのが技術当局の考え方のようであります。  しかし、その間における補償等の問題に対してはまだ問題が残っておりますが、これは、文明が進んで参りますと、御承知の通り、ジェット機のような問題に対しては公の害が付随的に出てくるわけでありまして、学校その他公共施設に対する補償を含めて、不燃化、鉄筋化とか、防音装置もできる限り配意をいたしているわけであります。民間の問題、なお保育所やその他社会公共施設の問題に対しても、何らかの処置を予算の許す範囲内でやらなければいかぬということで、前向きな態勢で検討いたしております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 詳細にわたりましては、いずれ他の委員会で検討を進めたいと存じますが、要は、昨年の予算委員会において、時の防衛庁長官藤枝氏も電波局長も、これはお気の毒をかけているから早急に対処をいたしますと言われました。にもかかわらず、今日に至るも、御両所ともかわられまして、どうにもならない。大臣はかわっていけばそれでよろしゅうございますか知りませんけれども、土地の住民はかわるわけには参りません。一体これに対してどう処置をなさるおつもりか、やるのかやらぬのか、総理の御意見を承りたいのでございます。住民の声としては、決して、その契約料を少なくしてくれとか、あるいはただにしてくれとかいう問題ではございません。テレビは見えるように、電話は聞こえるようにしてもらいたい、これが念願でございます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 関係各省におきまして十分早急に検討の上善処させたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 引き継ぎまして、スモッグ、ごみ、下水、屎尿、そのふたをしなければならないところのくさいものについて順次お尋ねをいたします。  東海道線に乗っておりましてもさようでございます。皆さんお気づきと存じますが、汽車の中で妙なにおいがする。ついに他人がその生理的現象のゆえに失礼をしたではないかと周囲を見回してみなければならぬことがずいぶんあるわけであります。ところが、これはほんの短い時間でございますからけっこうでございますが、パルプの製造をしております周辺の住民はこのためにノイローゼになるという向きもあるわけでございます。特に、これが大都会になりますと、東京のような場合におきましては、スモッグの悩みは全くスモーキングどころの騒ぎではございません。イギリスにおきましては、御承知の通り、某党の最高幹部がこれがゆえに命をなくしたという例もあるようでございます。過大都市を悩むところの大東京、大阪、名古屋等々におきましては、当然のことながらすでに準備がされておらなければならぬことでございまするが、これに対して一体どのような準備、手だてが行なわれておりまするか、所管の大臣にお尋ねしたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 仰せのごとく、工場等もだんだんふえますので、大都会ではスモッグの問題が非常に重要になって参りました。昨年十二月にばい煙規制法が施行されまして、そのうちの一部分の政令もすでに出ましたが、引き続きましてあの規制法の中の地域の指定だとか、あるいは基準だとかいうようなものを定めまして、特段にその法律によって取り締まりを強化いたすのでございます。しかし、大体の常識といたしましては、法律を待つまでもなく、工場が熱管理をよくやっていく、現在の状況でもよく行政指導をしまして、なるべく煤煙が出ないようにするということを心がけただけでも相当な成績が上がると思うわけでございまして、それを今度は強化する。引き続きまして、法律に基づいて、さらに工場の設備等につきましても、煤煙の発生しないような収塵装置を取りつけるということに十分意を用いまして、お説のように今後非常に問題になりますので、十分政府としては注意をいたしていきたい、かような次第でございます。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 既設の工場その他につきましては、各現地の通産局を通じていろいろ調査をさせておりますし、また陳情等もあって対策を講じておるものもあります。それから今後新設する場合にあたっては、その許可等の場合もありますから、こういうときには十分一つ今仰せのような点を考慮して、そういう弊害の起きないような措置をとるようにさせるように行政指導をするつもりであります。ただし、今仰せになりましたようなパルプの問題等につきましては、具体的に事実のあるところもありますので、今後一つ十分その間の事情を詳しくいたしまして、個々的に問題を解決して参りたい、かように考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 町の婦人の声を聞きますと、税金はどんな町のすみずみにおってもとりに来るけれども、とりに来てくれないものがある、それがごみと屎尿だというのです。これは全くほんとうの声でございまして、これには弱っている。今大雪のために東北、北陸の地方の方々もこの点で大へんお困りで、すでに赤痢が発生しているとも聞いておりますが、これは肥料が化学肥料に発展してからの悩みと、都市が非常に膨大になった場合に、それに並行してごみ、屎尿の手当を怠った罪であると思うのでございます。つまり、いえばこれは政治家の罪である。この点について御婦人の代表として出ていらっしゃる紅一点の婦人大臣に、婦人の立場からどうお考えになっていらっしゃるか、一つお尋ねしてみたいと存ずるわけでございます。

近藤鶴代自由民主党科学技術庁長官

○近藤国務大臣 この問題は人間生活の問題でございますから、特に私、婦人という立場に立ってお答えする必要はないと思うのでございます。大きな観点から、一般の生活のいろいろな問題について行き届いた政治をするということは当然なことでございますので、婦人の立場を度外視いたしましても強化して参りたいという念願を強く持っておるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 ごみと屎尿で、お困りになるのは御婦人の方々でございます。科学技術庁の立場から、ぜひ一つこれを、科学的にも清潔な処理ができまするよう御研究のほどをお願い申し上げる次第でございます。  ところで、このたまにしかとりに来ないところのごみ、屎尿、これについて手数料だけはぴしゃっととられると、こういうのですね。これは住民税を払っている立場から申しますると、二重取りの憂いが生じてくるわけでございます。これについて自治大臣の御答弁をわずらわしたい。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○篠田国務大臣 その問題は、従来から二重取りではないかという意見もありますし、住民税は住民税として別に使っておるのであるから、屎尿処理に関しては特殊なものであるから手数料をとってもいいのじゃないかというような、いろいろな意見があります。まだどちらとも結論は出ておりません。ほんとうに住民税というものを住民の生活のすべてをまかない得るだけとっておれば、屎尿処理の手数料はとらなくてもいいのじゃないか、また本来からいえば、屎尿処理の手数料というものはとらなくても、これは公共の仕事であるから、当然各自治体においてそれをやるべきではないか、こういう意見が最近強くなってきております。私もまだ結論は出しておりませんけれども、目下研究中で、できるだけ屎尿処理の手数料はとらなくてもできるようにしたいと、こう考えておるわけであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 手数料をとられてもなお直営でない場合もございます。下請の場合には問題がよけいに起きているわけでございます。これが町村合併その他で行政が変わるということになりますると、ますます紛糾を起こして、保障の問題等で、町村合併が主体であるにもかかわらず、それすらも難渋するというような事件があちこちに起きておりまする上になお、下請の場合ですと、この捨て場に困りまするので、そこで遂に川下にくさいくさいという問題を起こしているわけでございます。等々の立場から考えまして、これはぜひ、せめて手数料をとり税金をとるならば、直営にすべきであると同時に、その仕事に従事している方々の身分をも、あわせて保障すべきであると存じまするが、自治大臣の答弁を重ねてお願いします。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○篠田国務大臣 小さな行政区域では、この屎尿処理の問題もなかなか完全に処理することが困難であるということから、町村合併といったような一つの広域行政というものが叫ばれてきているわけであります。そこで、ただいまおっしゃった通り、税金もとり、手数料もとっておるのだから、せめて直営でできないか、こういうお話でございますが、この請負というものは、勢い何らかの利潤を求めなければならぬということから、完全でないということははっきりわかっております。そこで、今それを直営の方向に持っていくために、全国市長会が中心になりまして屎尿処理研究委員会というものをつくって、近くその結論を出すはずでございます。しかしながら、全国的に申し上げますと、大体八割が今請負でございます。八割の請負を急になくするということは、なかなかこれは困難であると思いますが、しかし、いわゆる文化生活に最も欠くべからざる、しかも初歩的なこの問題を解決しなければ国民の文化生活はないわけでありますから、この委員会の結論と相待ちましてできる限りの対処をしたい、こう考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 環境を整備すること急のあまり、東京のどまん中では、祖先墳墓の地をあばいて、これにゴルフ場をつくっているところがございます。皇居、御所を削って道路を拡張しているところがあります。もしこれ世が世であったならば打ち首ものばかりでございます。にもかかわりませず、それを見ても、今日それほど、声にならないほど環境衛生が急であるという証拠でございましょう。もしこれが、どこかの一教員がやったとかなんとかということになったら、文部省はてんやわんやになるだろうと思います。が、依然としてそれについては声が出ません。しかし、これは政治が町の発展におくれているから生ずることでございまして、失礼な言い分でございまするが、私の師匠の市長の小林先生のごときは、終戦直後ここに思いをいたして、道路を広げ、下水をつくり、港をつくり、あまつさえお城の復旧までやられまして、実にりっぱな町づくりができているわけでございます。ぜひ一つ所管の大臣におかれましても、精神的な問題まで疑われるような、後手後手でなくして、進んでこのことに協力すると同時に、予算措置も大いに考究しておいていただきたい、かように思うわけでございます。  さて、国づくり、人づくりのうたい文句で一生懸命になっていらっしゃる総理さん、この問題は、私も実は決して反対ではございません。まことにけっこうだと思います。お城の話が出ましたから、道徳を昔に返して見まするならば、昔の道徳の根幹は忠孝でございました。君の馬前に討ち死にするということが忠義の基本であったように伺います。しかし今日では、ほんとうに今日的な忠義は一体何であるか、今日的な道徳の根幹は一体何であるか、人づくり、国づくりの立場から、その基本をお漏らし願いたいと思うのでございます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 個人々々の人格の完成でございます。高潔な人格の完成、そして技術を持ち、そして一般公共のために尽くし得る人をつくることでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 ごもっともでございます。これを経済の立場からながめてみますると、今日の忠義は一体何をなすべきでございましょうか。大蔵大臣、外務大臣にお尋ねいたします。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 お答えいたします。  忠義という表現をお使いになりましたから、どういうあれかちょっとはっきり理解できませんが、総理がお答えになりましたように、人づくりはその人の基本的な人格をつちかいながら、公に奉仕できるようなりっぱな人をつくって参る。なお、国際社会の一員として恥ずかしくない日本人をつくっていかなければならぬということは、言うを待たないわけであります。  経済的に言いますと、戦いに敗れたわが国も戦後もう十八年になっておるのでありますから、お互いが自分の持てる力をフルに活用して、自分々々が努力をすることによって、次代の国民に、よりよき日本をつくるという考え方を土台にして、しかも国際社会の一員としてりっぱに立ち上がっていけるというふうに、経済的な基盤醸成、また基盤の培養に前向きで努力をすることだ、こう考えます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ただいま大蔵大臣が言われた通り考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 昔の忠義は、君の馬前に死に場所を求めると見えました。今日の忠義をもし経済的にながめてみるならば、私は、国産を愛用し外貨をかせぐことである、かように思うのでございます。その意味におきまして、日本は外貨不足のおかげでずいぶん苦しめられました。貿易が国民生活を左右するという実態をまのあたり見せつけられているのが、今日の姿であると思うのでございます。貿易を進める、これは目下の急務であると存ずるのでございます。  ところで今日、貿易について国民の中に不安なきにしもあらずでございます。すなわち貿易の自由化については相当、反対、延期の陳情が殺到いたしておりまするが、一体自由を与えられるというのに、何がゆえに不安があるのであろうか、総理にとくとこの点をわずらわしたいのでございます。その自由は、求めた自由ではございません。与えられた自由でございます。なお不安の根幹は、貿易の自由は、貿易とは申しまするものの、買いの自由があって売りの自由がございません。相手方の自由があって当方の自由のないところに、不安と焦慮があるわけでございます。  以下順を追うて私は論を進めたいと存じまするが、まず第一番に、先般総理がイギリスにおいて結んでこられましたところのあの通商条約、これははたして互恵平等なものでございましたでしょうか、その内容を簡単に承りたいのでございます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 経済の発展は、私は自由な姿においてこそよりよき発展ができると考えておるのであります。戦後におきまして、国内的にあの切符制度を廃止いたしまして、自由な姿に持っていって、日本の経済がここまで伸びてきたのであります。しかし国内の経済は自由化されましたけれども、国際的には非常に不自由化でございます。しかも世界の大勢におくれております。従いまして、一九五九年からわが国も自由化の線に向かって努力を重ね、昨年十月末で八八%の自由化をしたのであります。私は今後も続けていきたいと思います。こういうことが日本の経済の伸びるもとをなすものでございます。その考え方によりまして、私は世界で最も貿易に力を入れております英国と通商航海条約を結ぶことにいたしました。これにつきましても過去六、七年を要したのでございますが、両者の間に意見が一致いたしまして、そうしてガット三十五条の援用を撤回すると同時に、またいろいろな通商上の障害を除き、いわゆる制限品目等につきましても、これを少なくするように努力してきたのであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 はたして互恵平等であるかどうか、内容を簡単に要約して御説明願いたい、こう申し上げましたので、内容をちょっと……。これは外務大臣の方がいいでしょうね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 これは通商関係だけでなくて、航海、事業活動、投資等、経済活動の全面にわたりまして安定した基盤をつくろうという意図のもとに行なわれたものでございまして、今、総理大臣が言われましたように、ガット三十五条の援用撤回ということを約束してもらいました。ただ、今加藤委員がおっしゃったのは、それでは完全な輸入制限の撤廃になっておるかという御質疑だと思うのでございますけれども、現在まで対日制限品目は、英国は百八十ございました。それが今回の約束によりまして十八に減っております。しかしながら、ほかにわが国として自主規制の約束をいたしておるのが六十品目あることは事実でございます。しかし、これも無期限に、こういうことではなくて、この条約の期限満了のときまでのことに相なっておるわけでございまして、その後は完全に対日輸出入が自由になるというような構想でやっておるわけでございます。これは、わが国がただいま置かれた立場から申しまして、御指摘のように一挙に完全な対英輸出の自由を獲得したいのはやまやまでございますけれども、今日の置かれた状況から申しまして、最大限努力いたしまして、ただいまの約束ではそういうところまでこぎつけておるわけでございます。ここ数年の間に、われわれの努力によりまして完全な自由を回復したい、こういう段階的な道をたどっておるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 百八十品目余の制限品目をある程度解除した、それはまことにけっこうで、一歩前進でございましょう。三十五条の撤回という形式はとって参られました。これもけっこうでございます。しかしそのかわりに、いわゆる特定品目を設けて輸入制限をするということが相手側の最大の攻撃材料になっておるわけだ。それは残っているわけだ。セーフガードやセンシチブ・リストを大幅にあなたは与えている。しからばそれと同じようなものを日本が持つことができるか。できておりません。むしろこちらは輸出品を自主制限しなければならない、こういう課題を与えられておるわけです。日本語の翻訳の言葉からいえば、互恵平等であったかもしれませんけれども、具体的事実はそうでない。名をとって実を捨てた、こういう格好に相なっておると思うのでございます。相手が与えなければこっちも与えぬでおけばいいはずなんだ。相手が与えるならばこっちも与えたらいいはずなんだ。相手が与えていないのに、こちらだけが自由を与えるというのは、私は片手落ちであると思うのでございます。この点いかがでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 すべてのことは現状から出発いたしまして、どのように改善の道程をたどって参るかということであろうと思うのでございます。今日まで英国のみならず、世界の各国の対日不信は、明治政府以来われわれの先輩がそれを除去するためにいろいろ腐心いたしてきたところでございまして、ようやくわが国の経済がだんだんと近代化の過程をたどり、経済道徳の水準も上がって参りまして、世界的に見まして牢固たる対日不信はだんだんと解消の方向にありますことは、加藤委員も御承知の通りでございます。従いまして、私が先ほど申しましたように、今私どもは完全な自由をまだ回復するに至っていない、しかし数年ならずして、対英関係におきましては、この航海条約の指向している方向通り、私どもは完全な自由を回復する基礎を築いたんだ、そうして現在われわれが自主規制あるいはセンシチブ・リストとして輸出制限をみずからに加えておりました項目も、今申しました通り縮小しておりますし、その期限もこれまでというように双方の了解ができたということは、大きな前進であるとして御評価いただいて差しつかえないんじゃないかと思っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 私も後退とは申しません。確かに前進、その努力は認めます。しかし、なお、差別が残っておるということを私は申し上げたいのでございます。それがゆえになお今後の努力を一そう要請したい、これが私の本旨でございます。  そこで、御参考までに実例を一つ申し上げておかなければなりません。通産大臣、毛製品の輸入をこのたび七百万ポンド契約してこられたようでございますが、一体、七百万ポンドは、日本しま物総生産の何%に当たるか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お答えをいたします。  日英通商航海条約に基づく毛織物の輸入額は、お話の通り七百万ポンドに拡大されました。これは三十六年の輸入実績の九百万ドルに対して、約二・二倍でございます。これを数量的にいえば、三十六年度は約二百六十万平方メートルで、条約に基づく数量は、約五百五十万平方メートル弱でありますから、国内の総生産量の三億四千万平方メートルに対しては、三十八年度の生産を三十七年度と横ばいであると見た場合でございますけれども、三億四千万平方メートルに対して一・五倍強に当たると思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 その三億何がしは、しま物じゃないのですよ。それはオール毛製品の問題です。イギリスから輸入される毛製品はしま物なんです。そういうあほうなことを言うておるから、事が間違ってくる。  そこで、私は申し上げなければなりません。外貨割当という名目だけは残してこられました。しかしながら、買付の金額は、去年は三百五十万ポンドでございました。ことしは七百万ポンドと、一挙に所得を倍増なさったわけでございます。これだけは確かに倍増でございます。ところが、この三百五十万ポンドがすでに問題であったわけです。なぜ三百五十万ポンドにしたかといえば、御承知の通り、自由化に備えて毛製品が殺到することをおそれた時の外務省は、特に通産省も一緒になってですが、関税をアップした。平均三六%、従価税をつけて多いものは六八%にアップした。当然なことながらイギリスから抗議がきた。そこで関税をアップしたけれども、船の出入口ーの窓口をぐっと三百五十万に広げた。名目は残したけれども、実際は自由化と同じような格好になった。その結果、内地のしま物業者が次々と倒れていった。その翌年を受けて、今度は七百万ポンドと一挙に二倍——二倍といいますけれども、これはほんとうは二倍じゃないのです。なぜかならば、三百五十万ポンドについては、トップ、ノイル、メリヤス、じゅうたん、これなどを含めて三百五十万なんです。ところがこのたびはしま物だけで七百万ポンド、従ってこの倍率は二・二倍どころの騒ぎじゃございません。はたしてこれだけのイギリス製品の内地需要があると思うのかどうか。経企庁の長官、そういう数字が出てくるのかこぬのか。——経企庁に聞いている。どうした。経企庁だめじゃないか。問題は経企庁もよう知っておいてもらいたいということなんです。  この需要の伸びはそれほどありません。そこで結果どうなるかと申しますると、ここはもう簡略にしていきます。また去年、おととしと同じように、糸へんのメーカー、特に柄物を生産しているメーカーに倒産、不渡りが続出することは火を見るより明らかだ。前年の通りでございます。これについての対策ははたして行なわれているかどうか。貿易自由化にあたっての一つのよい例題として通産大臣に対策を承る。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お答えをいたします。  先ほどの数字のうちで大体全生産量の一・五%と申し上げましたが、柄物全部を入れますと結局七%くらいに相なるかと思うのであります。  そこで、今回のこういう措置をとりますにつきましては、実は今加藤議員も仰せになった通り、イギリスとわが方との間でいろいろ折衝を重ねた結果こういうことには相なっておりますが、しかしこの柄物というのは、大体は御承知のように安い品物であります。高価格のものではない。むしろ安い品物ばかりである。そこで、そういうものならば、相当こういうような関税率を上げておけば、ワクを広げておいてもそれほどは入らないのじゃないかというような考え方もございましたし、また一方において英国に対しましては、相当わが方としても輸出の面で協調しておる面もあったので、まあまあこれくらいでやっていっていいのではないかという意味合いにおいてこういう措置をとったわけであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 これは総理が決定してこられたことなので、通産大臣にはほんとうは責任がないわけなんです。そこで苦しい答弁をしなければならないのです。全くお気の毒に思う。程度の低いものを入れるからそんなに入らないだろう、冗談言っちゃいけませんです。柄物というのは程度の高いものなんです。それをこのたびは外貨割当するのですよ、名目が残っているのですから。もらった商社は買い付けるにきまっています。そこへ持ってきて先般の井出一太郎議員の質問に対して答弁は、商社が投到して多過ぎるから将来これを整理いたします、こういう答弁であったのです。ところが毛製品の輸入業者は八十四社目下あるわけなんです。投到して多過ぎるのだ、お説の通り。ところがこのたびこれをどうしたか。またぞろ希望者が二百有余あるから、それをふやさなければならぬと言うて、ふやしなさっているじゃないか。そういうことをやって自然現象にまかしておけば輸入は減るであろうなどと、そんな期待をかけられちゃ——経企庁の長官どうした、見通しを聞きたい。特に総理、あなたのおやりになったことでございます。その結果もし中小企業に、特に機場、仕上げ部門、これにかかわる商社、ここに不渡りあるいは倒産が出来した場合に総理は一体どうなさいますか、大蔵大臣はどうなさいますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 貿易の自由化は、先ほど来私が申し上げた通りでございます。これはやはり有無相通じて、そうして両国民の消費水準の上昇、生活の向上をはかるべきであると思うのであります。七百万ポンドの毛織物につきましては、これはいろいろ通産省並びに大蔵省等と議論いたしまして、この程度なら日英貿易拡大の線からいって適当じゃないか。しこうして、片一方の国内産業態勢といたしましては、これは将来の自由化を目当てにして産業の合理化、整備等をやっていくことは当然であるのであります。従いまして、いろいろ研究の結果、日英通商航海条約を結び、これは両国の発展を期するための一つの私は試練である、そしてこれは越え得べき、越えなければならぬ試練だと考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 お説は確かにごもっともでございます。越えなければならないところの難関でございます。さりとて、越えなければならぬ難関であるとは一声え、しかばねを越えて越えるということはわれわれの望まざるところでございます。倒産をあえて押し切って進まなければならないほど、なぜこのことが急を要することでございましょうか。まさしく相手は死か、しからずんば輸出か、これを国民的合言葉にして輸出に臨んでいるイギリスのことでございます。容易なわざでないことは私もよくわかります、が、一つぜひしかばねを越えて進むということ、これはとらざるようにしていただきたい。大蔵大臣。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 日英通商航海条約が締結をせられたことは、日英間が通商互恵の原則に立ち、最恵国待遇を行ない、自由化に対応してお互いが輸出入ワクを拡大して、自由化に一歩前進するということでありますから、これは当然基本的にイギリスのみならず、世界各国との自由化を進めていくという日本にとっては当然の道だと思います。同時に結果的には、また将来的には、日英間の通商が拡大せられていくという道をたどるわけでありますが、その過程において、加藤さんも今言われた通り、特殊な業者が非常に企業の上で困るという問題に対しては、当然国内産業対策として対処しなければならないのでありまして、合理化を進めるに必要な資金及び滞貨の問題その他いろいろな、この過程において起こる現象に対する資金、金融的な措置は講じて参るつもりであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 金融的な措置は講じなさるのですね。金融的な措置は講ずるのですね。もう一度念を押しておきます。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 国内産業態勢を整備する資金、合理化を行なう資金及びこれに対応する資金等に対しては、十分の措置を行ないます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 その大英帝国さえもEECに対してはそでにされてしまったようでございます。しかし米紙のビジネス・ウィークは今や欧州には革命が起こりつつある、新しき経済革命である、その主体がEECであると述べております。そのEECに対して日本政府は今後どのような近づき方をするか、当然これと接触を持たなければ、先ほど来お述べになっておられますところの日本経済、特に貿易の伸展は望み得ないと思うのでございます。私は時間を簡略にするために、それを一覧表にして持って参りました。こういうふうでございましょう。今や戦後でないと口にはおっしゃられまするけれども、事EECとの経済外交面における問題は、全く戦後そのままでございます。私は、この通産省、外務省の御協力を得てつくりましたこれを集約して、ここへ表わしてきました。  さてそこで、このような戦後そのままな状態、いわゆるこれは戦争状態かあるいは戦争終結宣言直後程度の外交でございます。外務大臣、これでよろしゅうございますか。こんなレールも引いてないようなことで、これで貿易の自由化ができますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 御案内のように、EECは関税同盟として発足いたしたわけでございまして、共通関税政策の樹立を目標にして進んでおるわけでございます。この経済共同体は、加盟国全体が相互に関税の障壁あるいは輸出入の規制等をだんだんと軽減して参りまして、六カ国の共存共栄の実を上げるという目標を持っておることは、御承知の通りでございますが、同時に、域外各国にも門戸を開きまして、域外各国との間のそういった貿易上の障害を軽減、除去していくことに懸命になっております。従いまして、日本も第一次の関税交渉、第二次の関税交渉はEECを相手にやりまして、去年第二次の交渉が一応済んだわけでございまして、これからは、御案内の関税の一括引き下げ交渉という場面におきまして、またEECとも交渉があると思うのでございます。その一面、EECの加盟各国との間におきましては、今そこの表にも表示されております通り、わが国に対して三十五条援用の撤回をしておる国もあれば、まだ残っておる国もございまするし、また、わが国に対日輸入制限を課しておる国もございますし、その程度もまたまちまちでございます。従いまして、今わが国とEEC加盟各国との間の二国間交渉におきまして、そういった事態の軽減、解消に努めておることは、御承知の通りでございまして、順次EEC並びにEEC加盟国とわが国との通商関係というものは、正常化の方向を大きな速度で進んでおるわけでございますし、われわれもこれから、今後も引き続きこの姿勢で精力的に措置して参らなければならぬと考えております。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 加藤君に申し上げます。宮澤企画庁長官がおいでになりました。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 さっきの質問を聞いていないでしょう。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 なさるのならば、今なさって下さい。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 はい。EECは、私が申し上げまするまでもなく、もう皆さん御存じの通りです。この経済力は、今やアメリカの一・五倍から二倍になんなんとする勢いでございます。にもかかわりませず、日本の状況は、戦前はなるほどほとんど通商条約がございました。ところが、戦後通商条約がございまするのは——いや、ございますというよりは、ございませぬ方が多いのでございます。ところが、ガット三十五条の援用、これは一、二国を除くほかは全部援用、つまり、差別待遇をされっぱなしである、こういうことでございます。ところで、はたしてそれではこれを打開するための交渉が行なわれているかと申しますると、それは内々には行なわれているかもしれませんけれども、表立ったものはほとんどございません。ただ、先般イギリスに首相が行かれまして、幸いなるかな、通商条約が結ばれました。その内容は先ほど私が指摘した通りでございます。このように見て参りますると、アメリカとの貿易はある程度レールに乗っておりまするけれども、その一辺倒の結果は、やがて西欧側との関係は、全く戦後そのままの状態が放置されて今日に至った、こういうことでございます。そこで、外務大臣にお尋ねせんければならぬことは、外務大臣、新聞によりますると、それに気がついたのか、特別な大使を派遣して、これが折衝に当たらせるということのようでございまするが、一体それはいつの日にどういう方をおやりになる予定でございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 その表を拝見いたしましたが、日英間の通商航海条約ができる前、批准はしておりませんから、三角になっておるのでしょうが、そこで、一番問題のフランスは、すでにガット三十五条の撤回の交渉に入っております。先般も申し上げましたごとく、制限品目も二百六十幾つが百五十程度になっている。それからベネルックス三国も、これはルクセンブルグには私は参りませんでしたが、ベルギー並びにオランダ両首相との会談では、大体三十五条の撤回は約束済みでございます。昨年の暮れに向こうから参りまして、そしてまた最近も来たような状況で、遠からず、ベネルックス三国はもちろん今年中、フランスにおきましても今年中にガット三十五条の撤回が私は実現するものという強い見通しを持って進んでおります。だから、来年の通常国会に全部それがまるになることを私は期待いたしておるのであります。それから御承知のごとく、EECの問題はブラッセルが中心になっておりますが、片一方のOECDの関係はパリの方でございます。従いまして、今はブラッセルの日本国大使がEECの問題をやっております。またフランスにおきましては、OECDの問題はフランス大使がやっておりますが、非常に関係が深くなって参りますので、EECあるいはOECD等々の問題にもう少し機構を拡大してやっていくのが、日本のこれからの外交に役立つのではないかという考え方のもとに、外務大臣に指示しておるわけでございます。御承知の通り、EECと申しましても、ただいまのところは、原則としては個別的に六カ国とやっておるわけです。六カ国と申しましても、ベネルックス三国はベルギー、オランダニカ国くらいに——もうルクセンブルグは外交権をベルギーにやっておるものですから、五カ国くらいで個別的にやっておるのであります。総体の問題としてもわれわれは考えておりますが、EECの各国と申しましても、よほど日本との関係は違いまして、フランス等は一人当たり三十五セントくらいしか買っておりません。イタリアが五十五セントくらい、しかし、オランダは六ドルくらい買っておる。ドイツがやはり一ドル半くらい、こういうようによほど違って参っておりますから、やはりわれわれとしては、オランダ並みにとか、あるいはドイツ並みにイタリア、フランス等を引っぱっていこう、こういうことで個別的に今やっておるのでございますが、いずれにいたしましても、ヨーロッパと日本との関係が画期的に近くなりつつありますので、別の機構を置いたらどうかということを今検討しておるのであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 せっかく努力をしていらっしゃることはわかります。私は、この際、この間新聞に出ておりましたところの、だれをどのように派遣するかという質問をいたしておりますので……。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 機構上の工夫を今検討いたしておりますので、特定の人を云々というところまではいっておりません。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 それはいつごろ派遣される予定ですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 時期、それから人事等につきましては、ただいまのところ具体的にいついつという目標を持っておるわけではございませんので、今申し上げましたように、機構上工夫をこらすべき点があるかないかという点について検討中だという段階です。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 その派遣される大使が任務を全うされるためにも、私は、域内関税であるとか、あるいは対外共通関税等々、特に農業問題の域内ワクの撤廃の方法等、検討を要する問題がたくさんございまするけれども、これは他の委員会において進めるということにしまして、次の質問に移りたいと存じます。  次は対米関係でございます。アメリカとの貿易を聞きまする前に、その実態を知るために、一つ対米貿易の帳じりのバランス、過去五年程度のところをお示し願いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 過去五年と言いましたが、手元に今三年分ございますから、三年分だけ申し上げて御了解を得たいと思います。  昭和三十五年、暦年にして輸出が十一億六千百万ドル、輸入が十三億六千百万ドル、三十六年、暦年にして輸出が十一億二千五百万ドル、それから輸入が十九億七千八百万ドル、三十七年度は十二月分までの計、輸出が十四億九千八百万ドル、輸入が十六億三千百万ドルでありまして、三十五年度は入超二億ドル、三十六年度は入超が八億五千三百万ドル、それから三十七年度は、五月までは入超でありましたが、六月以後ずっと出超になっておりまして、その帳じりは一億三千三百万ドルの入超であります。これは為替ベースであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 私も、実はここに日銀為替統計のバランスを持っております。過去三年ではございません。終戦後全部持っております。それを調べてみますと、常にアメリカとの貿易は輸出も輸入も日本の最高でございます。ところが、それの占める。パーセンテージは、毎年のように日本からの輸出は二〇%から二四%、相手国からの輸入は三五、六%以上が多いのでございます。妙な現象でございます。次に持ってきて、このバランスの帳じりを見ますと、赤字が慢性的でございます。少ないときで一億ドル、多いときは七億、九億、十億ドルという年がございます。その赤字の少なかったときが日本の好況のときでございます。いわゆるリセッションが行なわれて、国際収支の危機が叫ばれているとき、それはほとんど赤字の多い年でございます。つまり、日本の景気はアメリカ貿易によって左右されている、こう結論しても大差はございません。これほどアメリカとの貿易は緊密の度を加えておるわけでございます。そこで、人称してアメリカ一辺倒という声が出てくるわけでございます。ところが、ここに問題になる点がございます。それほど日本がアメリカに従属的で、時に媚態外交とまで批判を受けながら、なおこことの貿易を続けていかなければならぬ。ところが、その日本に対してアメリカはどえらい制限を加えておるようでございます。アメリカが日本品に加えております制限品目の一覧を述べてもらいたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 アメリカが日本からの輸入についてどのような制限を設けておるかというお尋ねと思います。  実は、私どもの方は一般的にしか申し上げることはできませんが、これは日本側の自主的な判断に立って、将来の日米の貿易も頭に入れまして、何らかの意味でこちらのイニシアチブなり何なりでかげんを加えておるもの、つまり、これから伸びますための秩序ある輸出、それはおそらく金額にいたしまして全体の数量の三割かそこらはあると考えます。これは私の直接の所管でございませんので、品目別にとおっしゃいましても、今すぐに申し上げることはできません。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 先ほどちょっと自由化の問題に関連して御質問がありましたことを、この際明らかにしておいた方がいいと思います。  お説のように、毛織物商社への割当を今度ふやしました。ふやしましたが、数字は加藤さんの仰せとはいささか違っておりまして、既存の業者が八十六ございます。それに新規で七十一ふやしました。百五十七にいたしたわけでございます。なぜそうしたかといいますと、今度は輸入がふえるわけですから、全部既存の業者に独占させてしまうと、それではまたその方の人たちばかりがもうけても困る、こういうこともありまして、新規のものもいささかふやしました。ただし、既存の業者を尊重して、パーセンテージは、今までの業者には実績の七五%を認める、こういう方法でやっておりますので、一つその点は御了承を願いたいと思います。  そこで、ただいま仰せになりました輸入制限の品目でありますが、大体今企画庁長官が言われたように、三〇%前後でありますが、おもなものを言いますと、綿製品、それから絹ブラウス、ズボン、それから国防条項に基づいて輸入制限をされているもの、それから陶磁器、それから洋食器、マグロカン詰というようなものがおもなものに相なるかと思いますが、相当程度のパーセンテージに上ります。ただし、加藤さんは、私が申し上げるまでもなくおわかりのことでありますが、日本の経済がアメリカの経済に依存せざるを得ないということは、御承知のように、原料であるところの鉄鉱とか綿花とかいうものが輸入の大宗を占めておりまして、従って、これはどうしてもアメリカから輸入した方が得であるという品物が非常に多いものですから、その意味で、アメリカとの関係は断ち切れないといいますか、非常にウエートがそこに多くなってきておるということは、あなたもおわかりだと思うのでございまして、これを除いて輸出入の関係を見ましたならば、やはり日本側とアメリカとの経済は、あまりアンバランスになっているというふうにも見えないと思うのであります。ここに、私は、日本の経済の持っている特異性と、アメリカとの貿易が非常に重要視される大きな原因がある、かように考えておるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 これも別に今の通産大臣の責任を問うてみたって始まらぬことでございます。アメリカから輸入した方が得であるからそうするのだ、こうおっしゃいまするが、実は損する品物も買わされているのでございます。  次に、私は、それほど日本がアメリカから買っているにもかかわらず、日本の輸出物資については、今大臣もおっしゃいましたように、あげ来たれば数え切れないほどたくさんの品物が制限を受けているのでございます。その際に、一体、日本もアメリカの品物を輸入するときに制限をすることが可能であるかないか、もし貿易が自由化になった場合に、相手国はこの制限を撤廃するかしないか、日本はそれと同等な制限の権力が履行できるかできないか、外務大臣にお尋ねいたします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ちょっとお答えの前に、先ほどの日米経済関係、通商関係でございますが、これは日米通商関係だけでなくて、わが国の貿易構造は、先進国との間はいつも輸入超過でございます。後進国に対して輸出超過になるという非常に困難な構造を持っておるということは、加藤委員も御案内の通りでございまして、こういう貿易構造をどのように改善していくかということがわれわれの課題であると存ずるわけでございます。ひとりアメリカ関係ばかりでないということは御了承いただきたいわけでございます。  それから貿易上の規制の問題につきましては、これは日本も、加藤委員がるる例示されましたように、いろいろな困難がございますように、他の国にもあるわけでございまして、自由化という趨勢に対しまして、どこの国も国内的な抵抗を受け、試練に直面いたしておるということは御案内の通りでございまして、ひとり日本だけが苦しんでおるわけではないということも御了承願いたいと思うのでございます。  さて、日米関係におきまして、それでは日本側が対抗措置として輸入規制をやる権限があるかどうか、また、そうすることが日本経済にとって利益であるかどうかという問題でございますが、私どもは、先ほど通産大臣が申しましたように、わが国の経済が拡大していく、それに対して、原材料、それから設備という関係を整備して充足して参る必要上、対米関係におきましては、原材料、設備関係等においては、むしろそういう必要はないんじゃないか。ただ、非常に国際収支がピンチになって参りまして、エマージェンシーの場合において特に通貨当局が考えなければいかぬような問題はあると思いますけれども、通商関係におきまして、対日輸入を原材料や設備関係で規制いたすことは、わが国といたしましては得策じゃないと考えます。それから、その他消費物資につきまして、不急不要のものがどんどん入ってくるということは、目に余る場合もございます。従いまして、そういった場合は規制すればいいじゃないかということでございますが、これは通商関係全体が相互依存の関係にございまして、わが国が輸入を自由化するということによりまして、先方の対日輸入に対する規制も相互依存の関係にございますわけでございますから、一つの品目をつかまえまして、これは非常に不当だからやめた方がいいとだけ即断できない事情にあることも、御了承いただかなければならぬと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 それでは、次に日米友好通商航海条約についてお尋ねしたいと存じまするが、これはちょうど締結を見ましてから最初のお約束の十年経過をいたしました。これを検討、改廃ないし継続しなければならぬ時期がきておると思うのでございます。そこで、お尋ねしたいのでございまするが、これははたして互恵平等の結果を生んでいるかいないか、こういう問題でございます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日米通商航海条約は、戦後最初にできました最恵国約款に基づく条約でございまして、制度の上から申しまして、日米関係を規制する条約といたしまして適切なものだと思います。ただ現実に、私どもがIMFによりまして八条国移行というような事態になりましたときに、この条約そのものが無制約に実行せられました場合に、国内経済の面でいろいろな困難が出てくる可能性もよく検討して参らなければならぬことは、御案内の通りでございまして、目下そういった点について検討をしておるという状況です。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 この日米友好通商航海条約、これは国際法と心得まするが、この国際法は、日本の国内法と競合した場合に、いずれが優先するものでございますか。外務大臣。——法務大臣でもいい。

林修三内閣法制局長官

○林(修)政府委員 これは憲法第九十八条第二項で、日本国が締結した条約及び確立された国際法規は尊重し遵守しなければならないという規定がございます。従いまして、外国との間の条約は、わが国においては十分に尊重しなければならないことになっております。従いまして、国内法的効力の面が出て参りました場合には、原則として条約の方が勝つ、かように考えます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 日米友好通商航海条約は、日本の国内法と競合した場合には、こちらの方が勝つ、つまり、条約の方が勝つと、こうおっしゃられました。しからば、次にお尋ねいたしまするが、この条約は、アメリカの国内法と競合した場合に、いずれが優先するのでございますか。今度は外務大臣に聞きます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 アメリカの法体系の問題、私よく承知いたしておりませんので、事務当局から説明いたさせます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 いや、ちょっと待って下さい。そんな——条約を結び、これから改廃の時期にきておるという場合に、大臣、それは、いずれが優先するか知らずにおって、どうして責任が全うできますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 アメリカ憲法におきましても、今、法制局長官が言われましたように、わが国と同様に、条約が優先するということになっておるそうでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 確かにそうですね。アメリカにおいて、アメリカの州法よりこれが優先するとはっきり言えますね。——言えますか、それ。もう一度……。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 アメリカ合衆国憲法第六条によりますと、この憲法に従って合衆国が締結する条約は、アメリカ合衆国の最高の法規である、各州の裁判官はこれに従わなければならないという規定があるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 さすれば、過去の貿易においては、国際法違反というか、その順逆の理を誤ったところの貿易行為が行なわれていたと言わなければならぬ。それは軟弱外交のそしりを受けてもやむを得ないでしょう。法律がそのように決定しておりながら、なおその法律にそむいてまでも日本に不利な貿易が行なわれるということは、軟弱外交のそしりを受けてもやむを得ないでしょう。たとえば、今日問題になっておりまする綿製品の交渉におきましても、これはきのうきょうの問題ではございません。もう終戦以来何回か何回か繰り返した問題でございます。従って、私は毎年のようにこの問題を提起するわけでございまするが、かつてこれが問題になりましたおりに、特に南カロナイナ、アラバマ州におきまして、日本の綿製品を初め、排斥運動が起こった。きゅう然としてかの地のメーカーがこれに同調した。ついに、デパート、小売等は、日本商品を扱えばアメリカ商品を扱うよりも利潤が多いにもかかわらず、同調のやむなきに至った。そのときの結論は何かといえば、これはアラバマ州を初めとするところの州の法律がこれを規制するからである、こういうことでございました。もちろんこれは裁判問題になっております。アメリカの裁判所において裁判になった問題でございます。一体これはどうなんですか。  引き続いて、時間の関係上急ぎますが、一月九日から行なわれておりまする対米輸出綿製品の交渉、今ワシントンでこれが難航いたしております。これは米国が協定本来の目的を無視して日本制限強化の挙に出たことを物語る以外の何ものでもございません。一体これについて、さきの問題といい、今日の問題といい、これを解決することが今後の日米友好を一そう前進させる基であると思いますので、この際、総理の所見を承りたいのでございます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 今回の綿製品の問題につきましては、われわれはジュネーブの協定その他をたてにとって、今交渉を進めておるのでございます。われわれの考え通りにまとまることを期待いたしております。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 一般的な問題といたしまして、アメリカが国内産業保護に傾くあまり、貿易の自由化の趨勢に反するというような行為につきましては、そのケースごとに私どもは強く抗議して参っておるわけでございます。今回の対米綿製品の問題につきましては、先方から一つの提案がございましたけれども、先方が主張されておるような市場撹乱の事実がないにもかかわりませず、協議品目の中に先方が編入いたしておるものとおぼしきものも考えられますので、わが方といたしましては、御再考を求めてあるわけでございまして、二月四日にはそういった協議品目を先方がどのように提示してきますか、それから協議品目の規正レベルにおきましてもどういう御提案がありますか、先方の反応を見ましてから当方といたしましても善処いたしたいということで臨んでおるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 法律はこれの方が優先するとおっしゃる。この中には互恵平等の双務協定がうたわれているにもかかわらず、日本の商品はアメリカにおいて制限を受けている。特にこのたび論議になっておりまする綿につきましてもさようでございまするが、まず第一番に、数量はだんだんと減らされてきております。自主規制したらこれはやめると言われたので、そこで日本政府が自主規制をいたしますると、今度はどうか、ふえるのはおろか、だんだん当方が減って、香港初めインドその他の輸出量はふえていったのでございます。その後、今度の問題で二億四千万スクェアに制限を受けながら、なお三十六品目にわたって市場混乱条項を適用してきておるのでございます。一体市場混乱とは何をさして言われるものでございましょうや。私は申し上げまするまでもなく、日本から輸出されておりまする綿製品は、最高額は二億四千万スクェアなんです。その内訳の三十六品目のほとんどは、向こうの生産の一%か二%なんです。最高のギンガムや別珍にしたって、三割をこえるものはほとんどございません。オール・トータルの結果は、向こうの消費量の、何とわずか四日分か五日分でございます。それがどうして市場混乱をするでございましょうか。しかも、この原材料は、先ほど通産大臣がおっしゃいましたように、ほとんどアメリカでございます。エジプトから入れた方がよろしいところの長繊維までアメリカから買っております。綿花借款の名のもとに余剰農産物までこちらは買っているという、義理を余分に果たしているのでございます。それで、買って加工した、そこから生ずる製品、その製品の一体何%を向こうは買ってくれるか。ときに二四%になったこともございまするが、ほとんど三〇パーから五〇パー以下でございます。言うなれば、日本の綿製品は、これは日米共同の所産で、材料はアメリカのものであり、サンフォライズ、エバーグレーズ等の最終加工の技術はアメリカのパテント、布帛加工の場合も、ミシンはシンガー、これまたアメリカでございます。日本で加えたものは労力と英知と技術だけなんです。そうして、持っていったものが、何がゆえにアメリカ市場でそんなに憎まれ口をたたかれ、混乱もしないうちから混乱条項を適用されなければならぬのでございましょうか。一体これを黙って見ているというのが日本人の覚悟であり、これを黙って見過ごすというのが日本の閣僚の心がけでございましょうか。総理の御所見を承りたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 日米間の貿易の拡大という大きい原則のもとに、われわれは個々の問題について交渉していっておるのであります。従いまして、日本のアメリカ輸出は、私は、着実に伸びていっておりますし、今後も伸びていくと思います。ただ、今の問題の綿製品につきましては、外務大臣が答えたように、やはりわれわれ自主規制しながら長い目でだんだんとふえていくようにいたしたいと思っております。ただ、向こうが条約上認められたことを阻止しようとか、あるいは違反するようなことがあれば、これは外交交渉によってこれを是正することは当然であります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 私は、この際、この問題がただ綿のみならず、七百万ポンドと規制されておる毛製品、輸出量がアメリカ・オール生産の五%以上をこえた場合には、別な従価税を課せられるようなワクまで課せられている毛製品、あるいはラジオ、トランジスター、その他、向こうで制限を受けておりまするあまた製品の、輸出に及ぼす悪影響を心から憂えるものでございます。と同時に、せっかく続けなければならないところの友好関係が、このことによって、そのことに従事するメーカーを初め、労働者にも悪影響を及ぼさぬとは、これはたれしも言えないことでございます。アメリカでさえもなお、メーカーのみならず、労働者が反対に立った実例があるからでございます。私は、貿易の関係は、総理の言うごとく、アメリカとの友好は継続しなければならぬと思っております。しかし、そのような仕打を受けて参りますると、当方もまた別な態度をとらなければならぬということにならぬでもない。すなわち、友好関係を破壊するおそれがあるわけでございます。特に総理の御決断を願いたいゆえんでございます。  あとで具体的方法を聞きまするが、その具体的方法をお尋ねいたしまする前に、ことしからはアメリカから物を輸入する場合の結果はどうなっているか、状況はどうなっているか。日本がそれほど買いたくないというものでも、あえて買わされる場合がございます。また買った場合でも、それは先ほど得するからと通産大臣はおっしゃいましたが、いや、損する買い方があえて行なわれているのでございます。すなわち、途中の流通部門における利潤までも相手方に吸い上げられておる。すなわちソール・エージェント権は全部相手方に取られている。こちらはおこぼれちょうだいだけである。そうして持って参りましたものが、小売の場所において吸い上げられたその利益まで向こうへ持っていかれるというものがあるのでございます。その一例が映画フィルムでございます。この映画フィルムを大蔵大臣はこのたびは二割増ワクする、こういう計画があるやに承っておりますが、その結果、はたして日本業者が得をするのか、損をするのか、アメリカは得をするのか、損をするのか、お考えになったことがございましょうか、大蔵大臣。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 外国映画の輸入ワクをふやす場合には、当然こちらからの輸出映画も相当伸ばそうという考えであります。特に御承知の通り近年の日本映画は、外国市場で非常にもてておりますので、それとのバランスの上から増ワクを多少考えておるという次第であります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 公取が見えたら承りたいのですが、アメリカ商社に日本の独禁法を適用することができるや、いなや。吸い上げられたところの税金は、一体大蔵大臣、日本商社と相手商社と同じような率において課せられているや、いなや。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 日本の国内にある商社は、日本及び外国とを問わず、同率の法の適用を受けております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 公取が見えなかったら通産大臣、さっきの質問について……。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 加藤さんにお答えをいたしますが、私は、今まで加藤さんのおっしゃった御趣旨を体して政府としてもいろいろ綿業問題等についても交渉いたしております。その点については異存はありませんが、しかし、全体として、たとえば綿製品以外の品物がぐんぐん伸びておる。その場合に、綿製品は一応は同じ程度である、あるいは少ししか伸びないというような場合、ある程度の規制がある。そうなると、それはまああなたのおっしゃるような意味において、われわれは主張はいたしますが、全体としての利害の問題ということもやはり考えていかないわけにはいきません。こういうことは、もちろんあなたにもおわかりの上でおっしゃっていらっしゃるのでありまして、政府に対して大いに鞭撻をされておる気持でございますから、御趣旨はよくわかるのでありますが、このことによってかえって誤解をまた招いてもいけませんので、一言申し上げたわけでございます。  なお、この独占禁止法、いわゆる公取の関係でございますが、これは私は、日本において商業あるいは仕事をいたします以上は、わが国内法の適用を受けることは当然であると考えておるわけであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 その言葉に間違いがなければけっこうでございます。この検討はいずれ次の委員会において詳細にわたって行ないますが、ぜひ、日本の独禁法が適用されるというその言葉をようく銘記をお願いしたいのでございます。  次に、私は中小企業についてお尋ねいたします。今日の日本の中小企業が、その企業数において、従業員の員数において、あるいは生産数量において、日本の産業に重大なウエートを占め、貢献していることは、皆さん御存じの通りでございます。ところで、この中小企業は、金融で引き締められる、決済は引き延ばされる、税金はのがれるすべがないということで、大へん難渋をいたしているわけでございます。いずれこの問題も詳細に別な委員会で行ないたいと存じますが、この際承っておきたいことは、特に中小企業の金融でございます。今日、日本で正常化の要請されている問題は二つございます。その第一が国会でございます。第二が中小企業の金融でございます。そこで、この金融がはたして正常化されているかいないか。まず、国家金融をつかさどるところの国民金融公庫、商工中金、中小企業金融公庫、この三つについて妥当でありやいなや、まず大蔵大臣から承りたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 中小企業三公庫に対しての資金ワクを増大いたしましたことにつきましては、予算案の段階で御説明をした通りで、重点的な資金措置を行なっております。なお、中小企業三公庫につきましては、この間も発表いたしましたように、一−三月の資金ワクの拡大として百億の資金の追加措置も行なっておりますし、現在の段階においては、理想的ではありませんが、中小企業育成強化の政府の基本方針に沿ってこれが運営を行なっておるわけであります。しかし、こまかい問題につきまして申し上げると、直接貸しの問題とか、代理貸しの問題とか、それから非常に事務的に煩瑣であるために応急の間に合わないとか、担保の問題その他に対して問題がありますが、それらの問題に対しても、中小企業育成強化の面に沿って、できる限り早急に実情に合うように配慮して参っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 国民金融公庫に例をとりますと、これは資金量が足りない。需要の三分の一程度にしか満たない。商工中金に例をとれば、金利が高過ぎる。金利を低くするというこのムードの中におきまして、商工中金は非常に金利が高い。それは、資金源が金融債で、政府の投融資がほとんど九牛の一毛にしか足りないという、そこに原因があるわけでございます。中小企業金融公庫、これはなかなかに成績を上げておりますが、直貸しの場合は問題が少のうございますけれども、遺憾ながら代理貸しは必ずしもそうでございません。この代理貸しを一体どのように扱おうとしていらっしゃいますのか。特に大蔵大臣に承りたいことは、今日市中銀行もさようでございまするけれども、これは別といたしまして、政府金融が行なわれる中小企業に対して、歩積み両建の強要が行なわれております。一体これはどうするつもりでございますか。これは銀行法の建前から見ても、はたしてよろしいことでございましょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 中小企業金融公庫の直接貸し及び代理貸しの比率は、昭和三十五年において、代理貸し七六・二%、三十六年度で七一・五%、三十七年度で六六・〇%というので、代理貸しが非常に多い。こういうことで院の附帯決議もありまして、直接貸しにできるだけ早く移行しなければならないという方向で運営をいたしております。三十八年度の予算においても、中小企業金融公庫の支店十九カ所に加え、四カ所の設置を認めておりますし、なお、これらの地方支店網の整備等については、予算の許す範囲内でできるだけ可及的すみやかに支店網の整備を行ないたいという考えであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 歩積み両建の答弁がございません。その答えが足りない。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 歩積み両建につきましては、政府も金融機関に対して特に注意を喚起いたしております。市中銀行等においてお互いが了解をし合いながら、従来の慣習の範囲内において行なうものにつきましては了解をするにしても、いずれにしても中小企業の金融公庫や中小三公庫と合わせて行なう金融に対して、強制的に、特に借り主の意に反した歩積み両建等が行なわれておるということに対しては、長い期間御注意もありますし、当然政府としても、これらに対してはすみやかに解消し、将来そのようなことのないように行政指導を強めておるわけであります。今日中小企業者の中で、両建というよりも歩積みの問題に対しては、貸出しの何パーセント、場合によっては何年かたっておるうちに新しく借り出す金額を歩積みの方がオーバーするというような問題があります。金利政策上から考えても、これらの問題は看過することができない問題でありますので、中小企業に対しては、厳に、このような特に借り主の意思に反するような歩積み両建制度を行なわないように強く行政指導をいたしております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 歩積み両建のみではございません。この金を、取引をしている相手先でなければ貸さない。取引をしていない場合には取引をしなさい。こういうわけで、貸しもしないうちから、先に預金を要求するという相手がいるわけでございます。中には中小企業金融公庫の資金を自己資金と称して貸しているところがあるわけでございます。特に九州炭鉱地区、関西地区にこの例が多いわけであります。ともにこれは中小企業金融公庫法の違反であるのみならず、銀行法の違反でございます。このことは何も社会党だけの意見ではございません。すでにあなたのところにもこういう陳情書がきておるでございましょう。特にこの問題は、中小企業金融公庫ができてからちょうど約十年の間、ともにこのことを論じ合ってきております。福田さんもそのベテランでございますからよく御存じのはず。田中さんも委員長をやってみたからよく御存じ。御存じのことであり、与野党一致した見解でありということは、そのことが何べん政府から勧告しても跡を断たないということであります。これではたして中小企業は救われるでございましょうか。法律の本旨にそむいて、自己の店の営業を拡大するために政府の金が使われておるとしたならば、それでよろしいでございましょうか、総理の御見解を承ります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 前からお話しの通り、いろいろ注意のあったところでございます。今後そういうことがないように十分監督していきたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 もう一つ中小企業が困る問題は、手形の決済でございます。公取はおりませんか。——あなたが金融引き締めをやられますと、総理、大企業はこのしわを下請に持っていくのでございます。そこで、この下請に渡すにはキャッシュ・オン・デリバリーでなくて、手形という紙切れになる。この紙切れが百日や百二十日は、これはもう表に出ちゃった問題、表に出ない問題には台風手形、お土産手形、きょうこのごろではたなばた手形というのだな。何のことかと思ったら、一年に一度しか現金さんにお目にかかれない、こういうところが、きょうこのごろではそれを通り越しちゃって、ふところ手形という。ふところ手形って何だねと聞いたところが、足かけ二年もたたないというとお目にかかれぬから、ふところ手しておるより手はないという。もうやるだけ損じゃという。この金利は全部小企業持ちになるわけです。下請持ちになるわけであります。その手形を割ってもらわんがために、銀行へお参りをするわけであります。そこで銀行は、その弱みにつけ込んで歩積み両建という手をとるわけでございます。これは相関関係でございましょう。この結果は、勘定合って現金足らずでございまするから、黒字倒産ということになるわけです。この点につきまして、中小企業にことに熱心な総理、特に経理に詳しい総理、手形決済を公正取引委員会のあの法律に違反してまでも行なっているこの事実を、一体どう対処して中小企業に相まみえんとなされるのでございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 景気調整の場合に中小企業にしわ寄せがあることは、これはもう常に起こることでございます。従いまして、一昨年来の景気調整時におきまして、中小企業には特に注意をしたはずでございます。しかし、何と申しましても、一般的に金融が引き締まった関係上、そういう一年手形とか、いろいろなものが出てきたと思いますが、最近におきましては相当金融もゆるんできておりまして、金利も低下されております。そういう弊害が徐々に緩和されつつあると私は思います。ただ問題の歩積み両建、これはもう金融業として絶対にやるべきことではございません。私は過去十年来これを強く言っておるのでございまするが、この歩積み両建でなしに、含み貸し出しというような問題が起こって参りますと、これはどうしてもお話しの通り、金融正常化ということは特に必要なことだと私は考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 総理のその言たるやもって瞑すべし、おそらくや中小企業はそれを信じて大へん喜ぶでございましょうが、ぬか喜びにならないように一つ実行に移していただきたいと思うわけでございます。なぜかなれば、このことは決して中小企業だけではございません。そこに働いている勤労者、これがまたぞろしわを受けまして、労働基準法違反どころの騒ぎじゃない。大将が十時間も十二時間も働くのでございますから、そうなれば、労働基準法なんていうことをおくびにも出せぬ人情的な問題が中小企業の職場でございます。こういうことだけではないのです。総理、これは一つぜひあなたに知っていただきたいことがあるのです。あなた、金融が引き締められるとシャツが縮むということを御存じですか。風が吹いたらおけ屋が喜ぶということは御存じですね。これは経済のプロフェッサーでございますから、よく御存じでございましょうね。あなたが引き締めるとシャツが縮む、はだ寒くなる、こういう問題がある。これはどういうことかというと、ほかでもございませんが、金融でたたかれ、低賃金でたたかれて参りますと、親方は子方にするだけでは足りない。つまり従業員にしわを寄せるだけでは足りない。そこで与えられた糸の量と質を変えなければならない。そこで二〇二三という生地がありますが、これは本数の名前なんですね。本数が名前になっておるが、糸数がそれだけない。二〇二三が一千幾らの糸数しかなくなってくる。ところで、これを店へ出すときにはどうするか。やむを得ぬから、のりで目方だけは同じようにして出す。従って、これをシャツにする、ゆかたにするといいますると、仕立てたときは身たけは合っていたけれども、二、三べん洗濯したらのりが落ちるからきゅっきゅっと縮んじゃう。あなたが金融を引き締めるとシャツが縮み、ゆかたが縮む。その縮むシャツを着せられるのが国民です。結局よるところは国民、このよるしわによって国民がふしあわせになるだけならばよろしゅうございますけれども、もしそれ、自由化になってこれが輸出となった場合には、これは必ずクレームの原因、安かろう悪かろうで、先ほどあなたがおっしゃったように、日本の商社が、EEC、イギリスからきらわれる原因に相なる。このことを私は大へんにおそれるわけでございます。ぜひ一つ先ほどおっしゃったあれを勇気を持って実行に移されまするよう要望いたしまするが、この際通産大臣の御所見を承りたい。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お答えをいたします。ただいまの加藤さんのお話しになりましたことは、事実に立脚している面が多分にあります。私はその事実を実は存じておるわけでありまして、これは一つ何とかして是正をしたいと考えておるのでありまして、大蔵大臣等ともよく連絡をとって善処いたしたいと考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 私はあくまで具体的事実に基づいてものを申し上げておるわけで、すでに検討を進めていらっしゃる通産、大蔵両大臣もよく御存じのところでございます。ぜひ御善処方を要望するゆえんでございます。  次に、私は文教関係の具体的事実について御質問を申し上げたいと存じます。人づくりと文芸文化の正常な発展のために私は質問をいたしたいと存じます。  芸術院会員というのは終身でございまして、日本文化の象徴であると思うのでございます。人格また高潔の士と思いまするが——これは総理と文部大臣の見解を承りたいのであります。この芸術院会員の選定方式と給与待遇の問題、引き続きまして文化勲章、芸術院賞、文部大臣賞、これは平和日本の文芸上の最高の栄典と思いまするが、これについて賞誉を出していらっしゃる文部大臣の見解、次にその選定の基準、決定方法等について承りたいのでございます。まず総理から見解だけ……。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 文化芸術の振興につきまして、今お話のような制度を設けまして適正にやっておると心得ております。従いまして、これは文部大臣の所管でございますので、文部大臣から詳しくお答えすることにいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま一々御指摘になりました人々の選考方法は、それぞれの互選でございます。ただし、文化勲章は違います。そこで選ばれた方がそれぞれ学術的にも芸術的にも第一流であり、かつまた人間性においてもりっぱな方であるべきものとむろん心得ます。そういう方々が互選され、もしくは栄誉を受けられておると存じております。  なお文化勲章、文化功労者の選考につきましては、選考委員をあらかじめ選びまして、その選考委員の方々の相談がまとまったものを、いわば通り抜け勘定で表彰の手続をする、そういうやり方でやっておるのであります。  それから給与はちょっと具体的に覚えませんので、要すれば政府委員からお答え申し上げます。

齋藤正文部事務官(社会教育局長)

○齋藤(正)政府委員 お答えいたします。芸術院会員の給与は、年四十万円でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 あれは終身でございましたね。

齋藤正文部事務官(社会教育局長)

○齋藤(正)政府委員 さようでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 給与が文部省予算から出ていることは事実のようでございます。ただその金額はこれはむしろ年四十万円では少なきに失するではないか。日本の芸術家としての最高の栄誉に報いるにしてはあまりにも少な過ぎるではないかと私は思います。文相いかがでございましょうか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 お答えする前に、文化功労者は年額五十万円でございます。五十万円でありましょうとも、お説の通り安過ぎると思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 意見全く一致でございます。ところが、それよりも何よりも、これは国民的な観念からいきますと、全く下世話に言えば偉い人である。りっぱな人である。その道に励む者もまた到達したいと念願する頂点である。これは芸術の場で言えば象徴であると思うのでございます。その象徴である芸術院会員、あるいはそこから選ばれるところの芸術院賞等々が、まことに残念なことに、お参り、贈賄、収賄、このことに満ちているということになりますると、これは聞き捨てならぬ問題でございます。特に第一、すなわち美術部門、ここにおきましては、百二十名会員中六十名を占めているはずであります。それでこの芸術院会員になるには、所属部門の推薦が絶対条件でございます。なお、今文相が仰せられましたように、その会員の互選と申しましょうか、投票と申しましょうか——がなければ、なり得ることができないのでございます。そこでどうか、この人たちは各地に散在していらっしゃる。県知事選とかわれわれの選挙とは違って、選挙がああいう形で行なわれるのではございません。作品も見ずに、人も見ずにというわけにはいかぬので、顔見せが行なわれる。これは候補者の方が回って歩くわけでございます。その際に、お参りするのだからおさい銭が要るという勘定になるかもしれませんが、そのおさい銭が今や常識化し、常識化すればボスが横行するということになり、果てはボス参りのためのタクシー業までが行なわれているということでございまして、その金額は、下世話に申しますると一当五落と申すようでございます。一千万円で当選、五百万円程度だったら落選、しかしそれは物価高のおかげでこれが値上がりいたしまして、二当一落ということに相なっているようでございます。大へんなことなんです。われわれの議員選挙でございまするならば、これは一ぺんに連座制とやらで親兄弟までやられる買収行為でございます。それが常識化している。従って自動車を贈られたとやら、家を贈られたとやらいうことが巷間伝えられているのであります。その候補者にならんとする者は、もはや銭っこがなければ、作品はよくても当選できない。そこで候補を辞退するという事態が出来してきておるのでございます。雲上の方々には、こういうことは上聞に達していないかもわかりませんけれども、すでにこのことは「芸術新潮」にも、週刊雑誌にも出ておるのでございます。一体この問題を文相はどうお考えでございましょうか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  寡分にして今おっしゃるようなことは事実として存じません。存じないことは、ないということとは違うとはむろん思います。望ましきことではない。もし、はたしてしからば——望ましくないことは当然でございまして、かりにそういうことがあるとするならば、今後に向かって絶対にそういうことがないように自粛していただきたい、かように感じます。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 加藤君に申し上げます。申し合わせの時間が経過いたしましたので、結論をお急ぎ願いたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 委員長に協力する意味におきまして、私は、本件は別な委員会において詳細検討いたしまするが、最後に申し上げておきたい。  このことは生き証人までいる。もうこんなことはとても耐えられぬ、何とかしてもらわぬと困る。ところが、何とかしてもらいたいけれども、弾劾裁判所というものもない。訴えて出るその公的機関もないというのです。そこでやむなく新聞、雑誌あるいは芸術評論家の方々に漏らす。それが新聞、雑誌、それ専門の雑誌等にちらりほらりと出るようになる。この年末には、はっきりした実在の芸術家の氏名入りでパンフレットがその関係者に配られておる事実もございます。これを裏書きするように、芸術院会員を受ける資格がありながら断わってしまった有名画家があるわけでございます。さきに横山大観あり、今日三名有名人がおられますが、名前は差し控えます。わずらわしさをのがれて、外国にその芸術を育てるために逃げた方がおられます。御存じの通り、これも有名人で三名おられます。野に下って実力を——在野の客となった人がおられます。しかし、これはもう名前をあげてもいいでしょう。林武さんなどは、この人はどうしても上げておかぬと芸術院会員の値打が下がるから、上げておかなければいかぬということで、無理やりにもらってもらったという人もあるわけでございます。こんなことは、やがて芸術院と密接な関連を有する日展、これの理事、審査員、特選、文部大臣賞、菊花賞等々にも影響が生じてくることは、これまた必然でございます。こうなって参りますると、文相、ほんとうにこの方々はみんな修身教育を受けた人ばっかしです。りっぱな人であってしかるべきなんです。にもかかわらず、この方々がこういうことをなさるとなると、今日人づくり、道徳教育の最も必要なのは、むしろこの人たちに先にやらなければならぬじゃないか、こう思われるほどでございます。私はこれを見て、みずからを省みて、みずからもうしろ指をさされないようにせんければならぬ、かように覚悟をきめておるものでございまするが、ほんとうに綱紀粛正について、一体総理は今度の予算編成にあたってどのようにお考えでございましょうか。総理の綱紀粛正に対する姿勢、人づくり、国づくりの姿勢、これを承りまして私の質問を終わります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 綱紀粛正は絶対要件でございます。各方面におきましてのいろいろ乱れたところは直さなければなりません。そのもとがやはり国づくり、人づくりと私は考えておるのであります。お話のような点は、今後十分検討いたしまして、せっかくの御意見でございますから、文部当局から一つ検討させてみたいと思います。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 午後は二時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      ————◇—————    午後二時十三分開議

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十八年度総予算に対する質疑を続行いたします。  高田富之君。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 私は主として農業政策に関連する若干の御質疑をいたしたいと思うのでありますが、その前に、先般来委員からの質問もあったことではありますけれども、旧地主に対する補償の問題、この問題はなお十分私どもの納得でき得るような御回答がいただけないように考えておりますので、重ねてこの点について明確な御説明をいただきたいと思いまして、まず最初にこの問題を取り上げたいと思います。  このたびの予算に一億八千九百万円の調査費が計上せられておるわけでございます。この調査費につきましては、新聞報道その他の伝えるところによりますと、かなり予算編成の過程におきましても、大きな問題となり、最後までなかなか決定を見なかった問題であるということだけに、国民の間におきましても、この問題の内容等につきましてはいろいろと疑惑もあることでございます。私どもは、提出されました原案の中にこれを見まして、やはり、この問題については、相当はっきりとした国民の納得のいく御説明が得られない限り、他の問題と異なりまして、与野党の間の見解の相違だというようなことで結末のつけられるべき性質のものでないと思いますので、やはり納得のいくような御回答が得られるまではと存じまして、重ねて、この調査費の組まれました調査の目的、何を調査されようとお考えになっておるのか、調査の内容、目的というような点につきまして、まず第一に明らかにしていただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 お答えいたします。  先般の御質問にもお答えいたしました通り、調査費の内容は、基礎調査、世論調査、それから実態調査の三項に分けて十分な調査を行なうというのが予算計上の趣旨であります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 もちろん、前回にもお答えになっているとは思いますけれども、多少重複する点はありましても、親切に、具体的に、よく納得のいくような御説明をいただきたいと思うわけであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 農地被買収者の問題につきましては、総理が本会議を通じてお答えを申し上げました通り、農地被買収者の報償につきましては何らかの措置を行なう必要があるということでありますが、これにつきましては、ただいま御質問がありましたように、戦後長い間の問題であり、世論の中には反対であるという相当強い意見もありますので、これらの問題に対して、ただいま申し上げましたように、基礎調査を行なったり、世論調査を行なったり、なお実態調査も十分行ないまして、国民が納得をする状態において措置をしなければならない、このように考えておるわけであります。  具体的に述べよというお話でありますから、基礎調査につきまして申し上げますと、国の報償施策のあり方につきまして、基礎的、理論的調査と、それから、農地改革における被買収者の協力を、戦後の統制経済、民主化措置との関連についてどう評価するか等につきましても調査をしなければならないというふうに考えております。具体的な項目といたしましては、農地改革の社会的・経済的効果と被買収者問題との関連、それから、戦後の統制経済及び経済民主化措置と被買収者問題との関連、それから、被買収者問題に対する具体的措置の財政・経済的な評価、それから、今後の農地政策または土地政策と被買収者問題との関連等、本問題をめぐる社会的・経済的諸条件及び背景等に関する調査を基礎調査と申し上げておるわけであります。  それから、世論調査につきましては、農地被買収者についてとるべき具体的措置の取り扱い及びそのあり方等に対して、賛成論もありますし、また批判的な御意見もありますから、それら世論調査に対して十分な調査を行なおうというのであります。  第三の実態調査につきましては、農地被買収者の実情、特に、その所得、生活状況、生業資金及び育英資金の必要性及びその程度、並びに被買収者別の買収実績というようなものについても、当然実態調査として取り上げて万全な調査を行なおうということであります。  でありますので、これらの調査が行なわれた結果、措置すべきものについては、あらためて、世論も背景にしながら、また皆さんの理解を求めながら措置をするということになるわけであります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 すでに二カ年の期間を用いまして、内閣に設置せられました農地被買収者問題調査会というものがその任務を果たし終えておるわけでございますが、この農地被買収者問題調査会の調査の目的、内容、そういうものと、今あなたが述べられましたこれから調査されようとするものとは、どう違うのでありますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 内閣に設けられております、俗に言われる工藤調査会なるものは、私がただいま申し上げたようなものに対しても調査をお願いをしたわけでありますが、何分にも費用も乏しいところでありますし、しかも、二カ年にわたる調査の実績に顧みまして、これがサンプル的な地域、人、事項等に対して調査が行なわれたわけでありますが、農地被買収者問題のすべてを対象にして、ただいま申し上げましたような当然行なわれなければならない三点の重要調査等に対しては、遺憾なきを期し得るような体制ではなかったわけでありまして、今度の調査費計上によりましてこれが調査の完璧を期したい、こう考えておるわけであります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 総務長官にお尋ねいたしますが、この農地被買収者問題調査会は、今日までにどれだけの経費を費やして調査を行なって参ったか、この点をまず第一にお伺いしたい。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○徳安政府委員 お答えをいたします。  農地被買収者問題調査会に関します予算でございますが、三十四年度におきまして八百二十八万九千円計上いたしまして、うち調査会の費用といたしましては四百万円でございます。しかし、これは施行が未済に終わりました。三十五年度でありますが、八百十七万九千円計上されまして、そのうち調査会に使用いたしました金が三百八十八万円でございます。三十六年度におきましては、七百八十万二千円予算に計上されまして、うち調査会に使用いたしましたものが三百八十八万円であります。三十七年度におきましては百六十五万五千円計上いたしてございますが、これは多くは事務費でございまして、調査費の方には使っておりません。以上でございます。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 経費の点につきましては、それほど大きな経費とはもちろん言えませんけれども、相当の年月を要しておりまして、一応の結論を得て、これはすでに答申をしておるわけでございますが、その答申の内容につきまして、この当初の目的を大体達しておる、調査を開始したときの目的を達しておるという意味における完結的な答申があったはずでございますが、その答申はどういう答申でありましたか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 工藤調査会設置の目的は、今度の予算に計上いたしましたときと比べて多少明確を欠いておることは、御承知の通りであります。岸内閣のときだと思いますが、農地被買収者問題が戦後もうすでに十余年の長きにわたって議論をせられておりますので、これに対してどういう措置をとるべきか、また、とる必要があるかというような問題も含めて御検討願いたいということで、調査会の設置をお願いいたしたわけであります。これが答申につきましては、報償すべしというような問題、また、補償の必要ありというような問題も、委員の皆さんの中では議論が相当あったようでありますが、当時政府が考えておりました、国民金融公庫法の改正に基づく農地被買収者の生業資金及び育英資金等に関する二十億円の融資措置を新しく法改正によって国会の審議を求めておったわけでありますが、これらの措置は必要である、また、農地の補償という問題に対しては明確な答申が得られなかったようでありますが、報償を含めたものとわれわれは解しておるのでありますが、何らかの措置を必要とする事情は現に認め得るというような趣旨の答申がございました。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 いずれにしましても、相当の年月をかけ、専門家を集めまして審議をすでにやって参りまして、一応の結論は出しておるという事実が一つございます。それから、さらに、この問題につきましては、申すまでもありませんが、ただいま御報告をいただきました被買収者問題調査会を内閣に設置する問題についてもかなりの論議のあったことは御承知の通りであります。なお、それ以前におきましても、相当の運動が盛り上がっておりまして、この運動に対するいろいろな見解が、これまた問題になってきておるわけであります。その間、かなり長い期間にわたりまして、総理大臣を初め各関係大臣に対しましては、国会においてあらゆる角度から再三再四にわたりまして質疑があったわけであります。その間一貫して変わらなかったことは、補償はしないという点につきましての言明でございます。従って、私どもは、この内閣に調査会を設置する案件が提案されましたときにも、政府の腹がそれだけはっきりしておるならば、何をもって調査をする必要があるのかということを、重ね重ねにわたりまして質疑をいたしました。私どもは、これに対して、設置する必要なしという態度をとったわけであります。その間におきましても、最近まで、やはり首相も補償はしないということは言明しております。従って、私は、こういうふうに、態度が一面においてはっきりしておるようでありながら、あまり必要ないと思われるような調査会を設置し、その調査会が一応任務を終わったかと思うとまた調査をするというようなことは、何としてもこれは納得いたしかねるわけであります。従って、これはひょっとすると前の考え方が事実上変わったんじゃないかと、こういう疑いを実は持たざるを得ないのでありまして、この点につきましては、総理から従来、——岸さんのときにもそうなんでありますが、引き続き答弁をして参りましたように、補償は絶対にしないんだということについては、今もなお変わらないかどうかということを、もう一ぺん念のためお伺いをいたしておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 農地改革に対しますその後の措置につきましては、御承知の通り、いろいろ議論があったのでございます。しかし、昭和二十八年の最高裁判所の判決におきまして、農地改革は正当であるという判決が出ました。われわれは、これに対して補償をするという考え方は、先ほどお話しの通り、持っておりません。しかし、前の工藤調査会の経過を見ましても、また、そのときの調査の実績等につきまして再検討してみますと、やはり、こういう大きい問題は、一つ十分調査して結論を出さなければいかぬ。そこで、補償はいたしませんが、農地被買収者に対する報償については何らかの措置を必要とすると思うのでありますが、しかし、今の状態では結論が出ませんので、なお十分具体的な事例その他を検討して結論を出したいというのが、今回の予算要求の措置であるのであります。私は、こういう意味におきまして、本会議でも、農地被買収者に対する報償については何らかの措置をとる必要があると思われるが、なお具体的に調査する必要がありますので予算を計上いたしましたと答えておるのであります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 そうしますと、従来からの考えは変わらない、補償はしないという点には変わっていない、ただ、報償ということになると、あるいはする必要があるかもしれないというような今御答弁がございました。くどいようですが、そういたしますと、今回予算に提出されましたこの経費によりまして調査をやってみなければ、報償的な措置も、はたしてやるべきかやるべきでないかという最終的な結論は出ない、こういうふうに理解してよろしいんですね。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 今のお答えをお読み下さればわかります。農地被買収者に対する報償については何らかの措置をとる必要があると思われるので、今後具体的の調査を進めていこう、こういうことで、今報償するかしないかという結論はまだ出しておりません。調査する必要がある、また、何らかの措置をとらなければならぬと思われるということだけでございます。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 そういたしますと、何らかの措置はとらなければならぬだろうというふうには思われるけれども、いずれにしても、調査をして結論を出してから、やるとすればやるというようなことでございます。  そういうふうに理解いたしまして、しからば、補償はしないと言われながら、何らかの別の形の措置ということになると、まだ腹がきまっていないというところまでだいぶ後退しているじゃないかという感じがいたすのでありますが、一体、報償ということになりますと、補償ということとどう違うのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 補償は、御承知の通り、反別幾らというような基礎を置いて補償するということでありまして、一ぺん支払ったものに対しても追加払いを行なうとか、精算払いを行なうとかいう意味を十分加味しながら補償を行なう。いわゆる刑事補償においてどういうふうな処置がとられておるかというと、逮捕、拘禁を受けた者が無罪の判決を受けた場合、その拘束期間を基準にして補償の措置が講ぜられるわけであります。報償とは、行なわれた問題に対して、事後に政府が法律もしくは行政、政治の立場で、これが社会にどの程度稗益し、またどういう目的が達成せられたために、その行なわれた事柄に対して法律もしくは別の定めにおいて国家的な立場で何らかの報償というわけですな。いわゆる賞詞を含め、報償とは報い償うといっておるわけでありますが、そういう意味で行なうことを報償という、こういうふうに考えております。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 大へん御苦心をなさった御答弁なんでありますが、いやしくも、われわれ、国会におきまして出されました予算案については、責任ある審議をしなければなりませんので、立場はわかるとか、お困りだろうとかいうようなわけにはいかないのです。もしも御自分でお考えになってもとても説明ができないというようなものであれば、それは、私は、一ぺん出したものはあくまでも通すというのじゃなくて、幾らでもお考え直しをいただく余地があるわけなんで、あまり御無理をなすった御答弁をあえてなさいましても、なかなか納得できないのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 ちょっと戸惑ったようでありますから、整理をして申し上げます。法律的な観念から言いますと、補償という問題は、法律その他の何らかの準拠するものによって行なうわけでありまして、これが結果に対しては、受け取る方と出す方との間に法律的な争いを生じ得る、いわゆる両方が権利を主張できるものを補償といいます。それから、報償は、法律その他によって行なわれるわけでありますが、政治及び行政面から行なわれるものであって、一方的に行なわれ、これに対して異議の申し立て及び争いが起こらないものを報償という、こういうふうに常識的に解釈せられるわけです。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 なかなかむずかしい御答弁なんですが、それでは、具体的にお聞きしますが、前回提案なされました、国民金融公庫法を改正いたしまして、そして生活に困窮しておる地主を対象に低利の資金の貸し出しを行なう、こういう考えを現在でもお持ちかどうかという点が第一点と、それは、いわゆる報償的な意味の何らかの措置、補償ではないが何らかの措置、報償というような言葉に入るかどうかわかりませんが、そういうものもあなたの今説明なされました報償というようなものの中に入りますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 先国会で廃案になりました国民金融公庫法の一部改正に基づいて二十億円の融資ワクをつくろうという案に対しては、この国会でも提案をいたす予定であります。これは総理がお答えになった何らかの報償というような報償の範疇に入るものだとは考えておりません。これは、一般通念上、社会政策の一環としてとられた措置であります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 そうしますと、ただいま国民金融公庫法の改正による旧地主を対象としたものを出すということについては、これは再提出するということにきまっておるのですね。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 きまっております。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 そういたしますと、いよいよこれはまたおかしなことになると思うのです。それ以外にまた別の何らかの形で、名目は報償ということで、いろいろ今むずかしい御説明があったのですけれども、それ以外になお出しますということになりますと、その性格というものは、名称のいかんを問わず、前のは旧地主というワクをはめますけれども生活困窮者に対しまする貸し出しということ、これはあるいは社会保障的だとおっしゃればそうかもしれません。もちろん、社会保障ということになれば、私どもも当時も主張しましたように、何も旧地主の中の困窮者だけを対象にするというのはおかしいじゃないか。今の農村の中で旧地主というのはむしろ生活水準が高い。これは今までのあらゆる調査がそういう結論を出しております。農林省もそうでありますし、先般来の農地被買収者問題調査会の報告においても明らかでございます。一般農家よりも生活内容はよろしい、こういう結論が出ているにもかかわらず、あえてそのいい地主層の中の困っている者にだけに特別に低利資金の貸し出しをしようということは、社会保障としても、これは単なる社会保障じゃない。これも旧地主対策の一つであることは間違いない。そうでしょう。そうでなければ、そういう考えは起こらぬと私は思う。農村における社会保障というならば、今農村には非常に生活困窮者が多いし、社会保障制度の恩典に浴さない農村ですから、農村を特別の対象にした社会保障的措置は確かに必要だと思う。しかし、旧地主だけを対象にしてやるということは、理屈としては成り立たないと思う。もし成り立つとすれば、旧地主対策においてのみ成り立つんですね。だから、私は、何らかの措置ということの中に入るということははっきりしていると思うのです。いかがでしょう。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私は法律論の立場ですなおに申し上げたのでありまして、報償をする必要があるかもわかりませんということは、総理が言っておるわけです。同時に、報償を前提とした何らかの措置ということも言っておられますが、何らかの措置という、いわゆる地主対策としての、被買収者対策としての何らかの措置の中には、この国民金融公庫法改正も、いわゆる特例を設けることでありますから、これは当然入ると思いますが、これが報償という定義の中に入るかどうかという問題に対しての御発言に対しては、報償という観念の中にはこの国民金融公庫法の改正は入らないだろう、こういうふうに申し上げたわけであります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 今の答弁で総理も全く同じでございましょうか。総理の御見解をちょっとお伺いしたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 田中大蔵大臣が答えた通りでございます。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 そういたしますと、被買収者問題調査会の方では、地主全体に対してどうこうしろということは言っていなかったと私は考えます。その中の生活困窮者に対しては何らかの措置をとる必要があるのじゃなかろうかというようなことは言っていたかもしれません。いずれにしましても、そういう意味では、旧地主対策として、もし今まであなた方の考えてきたことで言えば、この金融公庫法改正というのが具体案という形で出てきたものだろうと思うのです。それはそれでやっておいて、そのほかにまた何かやらなければならぬ。そうしますと、その報償というのは、現在どんなに裕福な者であっても、どんなに生活水準の高い者であっても、どういう者であっても、全部を対象としてやらなければ報償じゃないんだ、こういうことになりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 これは法律論と事実論とを混合していただかなくて、分けてお考えになっていただきたいのでありますが、何らかの報償をやらなければならないということを総理も閣議も言っておるわけでありますが、報償という表現を使っておりますのは、補償と言うと、先ほど申し上げた通り、反別幾らというような問題にも当然なるでありましょうし、また、それが算定に対しては争いを起こし得るという法律上の明確な解釈があるわけでありますが、報償というのは一方的に行なうものでありますし、しかも、それがやらなければならないだろう、また、やる必要があるかもしれないということにウエートをかけてはおりますが、これらの実施を仮定いたしましても、あげてこれからの調査に待つんだ、こういう前提がございますし、また、政府は補償を行なわない。最高裁の判決をそのまま認めておるわけでありますから、すべての者に対して反別当たり行なうというならば当然補償を前提としての話でありますが、政府は補償を前提としておらないのでありますから、あなたが今言われた通り、幾ら生活程度がよくともすべての地主を対象にして補償を行なうのだという議論は、政府の答弁からは全然出てこないわけであります。御承知の通り、工藤調査会は二年間にわたって調査を行ないましたが、百七十四万町歩にも上るものであり、世帯数にして百七十六万世帯も対象になっておるのでありまして、これらのものを十分調査をし、しかも、先ほど申し上げた通り、第二には世論調査も重要な項目の中にあるのであります。第三には実態調査をあげております。でありますから、少なくとも、一般の世帯よりも十分生計を営み得、しかも十分余力のある者まで報償の対象にしようというような考えは政府は持っておりません。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 そういたしますと、土地を対象にやるのは補償、人を対象にするのが報償だ、こういうことですが、その人も、ただいまの大蔵大臣の御答弁によりまして、どんなに生活が高くても、どんなに裕福でもかまわずまんべんなく対人的に金をやるのではないのだ、そんなことは毛頭考えておらぬ、こう御説明になりました。そうなりますと、さっきの問題になるのですが、まんべんなく一人幾らでやるのじゃないのだ、裕福な者にやるのだというようなことは毛頭考えておらぬということになりますと、やはり、そこにある意味では社会保障的なものも加味されてくる。あなたのお考えでは当然そうだと思うのですよ。そうなると、ただいま、もう一ぺん国会に出すのだ、今国会に出すとおっしゃったのですが、国民金融公庫法の改正によって、困っている地主さんに対して金を貸そうというこのことも、全く今あなたの言ったことと考え方としては同じ考え方に基づいているわけですね。全部にやるのじゃないのですから。そうしますと、それもこの調査が終わるまで——調査費を出しているという建前からいたしますと、これを認めるといたしますと、調査が終わるまではそういう措置をとるかとらないかもう一ぺん再検討をしていくというなら筋が通ると思うのです。この方はすぐやってしまうのだということでは、ただいまの御答弁とは非常に食い違うのじゃないか、こう思いますが……。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 国民金融公庫法の改正案は、前々国会からもうすでに国会に提案をせられておるのでありますし、衆議院を一回通ったことがあると存じております。そのような案件であり、世論調査のいかんにかかわらず、工藤調査会の答申にも明記してありますように、最小限度の措置として、国民金融公庫法の改正をし、特別ワクをつくり、被買収者の生業資金及び育英資金等を貸し出すことは一向差しつかえない、こういうふうに考えております。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 非常に矛盾しておると思いますので、なおもう少しその点はお考えをいただいて整理をしていただかなければならぬと思うのでありますが、ただこればかりこだわっておるわけにも参りませんから、もう一つ論点を移します。  ただいま、この問題が起こりますと同時に、各方面におきまして、戦時中在外資産を失った者に対する補償という問題が最近とみに強くあちらこちらで聞かれております。おそらくこういう問題に波及してくるのは自然だと思う。無理もないと思うのですが、特に在外資産の問題につきましては、これこそほんとうの補償という観点からも取り上げなければならない性質のものだということが言えるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 先回も申し上げました通り、その後、在外資産の問題に対しては、調査会を設けて答申を得て、その答申に基づき、昭和三十二年度と思いますが、補償を行なっておるわけであります。この総額四百九十数億だと存じますが、一応政府としては、これらの問題に対しては解決をしておるという考えであります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 それは、ある程度の見舞金程度のものはあったとしましても、権利としての補償要求という形でこれは当然もう一ぺん出てくる可能性がある。あるいはそのほかにもまだたくさんこの種のものは次から次にと連鎮反応的に出てくるのじゃないか。戦争によって非常な打撃を受けたこういう者に対してもそのままほうっておくのかということも、当然私は出てくると思う。こういうことを考えてみますと、それらの戦争の犠牲者として、お見舞金を必要とする、あるいは権利として、補償を要求する、いずれにしましても、何らかの措置を国がとらなければならない。性質から言いますと、むしろそういったいろいろの種類の戦争による被害を受けた人たちに対しての方は、われわれは、優先的に強く政府としても考えてやらなければならない立場にあるのじゃないか、こう考えますが、いかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 政府に法律上の責任あるなしにかかわらず、戦いに今まで勝ってばかりおりましたが、負けた経験のない日本が戦いに敗れたということで、敗れた国としては最初にぶつかったわけでありまして、法律上の問題として、何らか在外資産等の問題に対しては新しいケースの問題として事件が提起をせられておることは事実であります。また、政府もこれらに対しては誠意をもって歴代解決に当たったわけでありますし、また、先ほども言われた通り、海外から引き揚げてこられた方々につきましても、その意味で当時の財政事情としては精一ぱいの措置を行なっておるわけでありまして、これから新しい立場に立って、在外財産その他に対して一線を引くために、新たに新しい立場から考えなければならないというような考えには立っておりません。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 この種の問題は、(「強制疎開」と呼ぶ者あり)——こちら側からも出ておりますように、強制疎開その他たくさんある。言ってみれば、全国民の大部分が何らかの形においてその種の補償なり報償を要求したい気持にあるところだと思うのです。そういうものとのバランスというものを考えなければならない。やるべきものはおやりになっていいと思うのです。しかし、やらなくてもいいものまでもやるから、よけいにそういうふうな方面ではいよいよ財政の立場から見ても抑え切れない、押えなければならないものまでも押えられないというような事態にまで発展すると思うのです。私は、そういうことの軽重というものをお考えになって処置をはっきりしていただかないと、これは意外な結果に波及していくというふうに考えるわけであります。  私はこの際特に申し上げたいのですが、さっき最初にお聞きしました調査の内容というものを見ましても、この期に至って農地改革の経済的な政治的な効果がどうであったかといったようなことをあらためて調査をするというようなことは、私は全くいかがかと思う。大体、この問題が起こってきましたそもそもの発端、これはよほど深刻に考えていただきたいと私は思うのですが、農地改革というもののあの積極的な意義というものを高く評価して、その基礎の上に立ってこそ、すべて今後の農政の前向きの進展というものが期せられる、私はこう考えるのです。それを、農地改革というものを、非常に間違ったものだった、不当なものだったのだ、こういった考え方があって、これが終了後十年以上たっておるのに、なおかつそういった考え方がずっと大きく盛り上がってきているというようなことは、これは、今後の民主的な国づくりといいますか、大きな国家全体の思想動向から言っても大きい問題だし、農村においては特に新しい発展段階を迎えなければならない現在、これはきわめて憂慮すべき傾向であると思うのです。報償とあなたはおっしゃるのですが、非常に協力してくれて、功績が大であったというようなことになるのかどうか知りませんが、本来、農地改革にほんとうに協力をしていただきました地主さんの間からこういう運動は起こっておらないのであります。農地改革のときに、何とかしてあの農地改革を少しでも骨抜きにしよう、少しでも第二次農地改革の法律をのがれようという非常な抵抗と圧力のあったことは御承知の通りです。その圧力の中で、ともかくも、大きな時代の流れ、農民の自覚というものがあってこそ、その第二次農地改革の画期的な法律が実施できた。これは私に言わしめればまだ不十分な点がずいぶんあったと思うのですが、かなりの程度まで法律通り実施されたと思うのです。これにあきたりない、これに不満であるというので抵抗してきました一部の勢力が、講和条約が発効後にわかに頭を持ち上げまして、そして今度は公然と農地改革を誹謗するに至った。そして、違憲訴訟を起こし、あるいは農地法の根本改正を要求し、あるいは至るところで農地の取り上げを行なって社会不安をかもした。こういう過程を経ながら、今日このように、結局、補償の理由はない、補償はしないという正論を主張してこられた政府をゆり動かして、そして、ついに、何らかの措置をしなければならぬ、報償というふうに名前をかえれば何とかいけるだろうというふうなところまで追い込まれてきたという事態を、私は非常に憂慮する。私は単なるこれは地主補償の問題ではないと思うのです。何で高田はあんな問題をいつまでもごちゃごちゃ言うのかとおっしゃるかもしれませんが、そうではない。今の政治のあり方、あるいは国政を担当しておる自民党のあり方というものについて、こんなに大きな問題を投げかけておるところは私はないと思う。私はこの点については見解の相違で終わらしたくない。もともと補償はしないという正論を唱えてこられた岸総理や、あなたや、それと私どもとの間に見解の相違で別れる理由はないと思うのです。問題は勇気だ。私は、今度の予算編成の過程において、大蔵大臣は最後まで徹底的に、そういういわれなき金は組むべきでないという主張をされたものと考えておりました。総理もおそらくそうだったろうと思うのです。それが、どたんばに来て、ともかく今日まで長い間働きかけられて、特に自民党の党内にその主導的な圧力グループができてしまった今日においては、いかんともしがたく、ついに何がしかの予算を組んだ、予算は組んだけれども、野党の攻撃に何と答弁していいかわからないために、いろいろ苦心をいたしまして、ただいま私がお聞きしましたようなところをどうやらこうやら格好をつけるためにしてきたというのが事態の真相であることは、私がここで申し上げるまでもなく、国民がみんな知っております。おそらく、こんな調査を仰せつけられましても、農業委員会はやらないでしょう。そんな調査はやらないと、すでに農業委員会は声明しております。また、これに協力すべき政府部内におきましても、事務当局においてまゆをひそめない者はございません。良識ある者がこうした圧力に屈しまして、いわれのない、理屈のない、しかもうしろ向きの運動に対して何らかの措置をしなければならぬということこそ、今の政府・与党の統制力のなさというか、政治のあり方における圧力団体の筋を曲げる力の実相というか、非常に好ましからざる姿というものが出ておると私は思うのであります。おそらく、こういうことで名前はかえたけれども、同じくらいの金をやると言えば、これらの団体も満足するでしょう。あるいは、金を削って、名前をかえて、多少出し方を変えて出せば、出したということで一応満足するかもわかりません。しかし、本来ならば、違憲訴訟までもして戦って参りました権利主張であるとすれば、それを否認されて、うるさいからその団体に何か包み金をくれてやればおとなしくするだろう、黙るだろう、——暴力団にあばれられたときに、酒を一升やって、一封包んで、それでおだやかにしろと言うのと同じような措置であるとするならば、もしすべての団体が正しい主張、正しい国民世論を盛り上げてきたとするならば、けるでしょう。私は、けるのがあたりまえだと思う。そうでなくて、名前をかえて報償、何でもけっこうということでございましたならば、私の今申しましたそのような金の出し方、そういうような国民の尊い血税、そんないわれのない金の出し方をすべきではない。金額はそんなに大した金額ではないかもしれないけれども、私は、政治のあり方という点から言って根本的には解せない。これは結局勇気の問題だ。総理大臣、あなたの決断力がすべてを決定すると私は思います。そういう力があってこそ、こういううしろ向きの運動などを押えて、そして、もっと前向きの農村における新らしい建設というようなことにあなたは指導性を発揮することができるのじゃないか。  私はこの点についてもうこまかいことは申しませんが、本問題の質問を打ち切るにあたりまして、総理に、その点について、もう少し確信と勇気を持ってこれらの圧力団体の圧力を排除して筋を通すという決意を御披瀝願いたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 農村に対して前向きの施策をしなければならぬことは当然のことでございます。しかし、この問題につきまして何とか終止符を打たなければならぬということも、これは政治の態勢として当然のことだと思います。もちろん勇気と決断をもって処理をすることは当然でございます。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 この問題についての質問はもう終わりますが、現在、伝えられるところによりますと、あなたの率いる自民党の党内におきましては、新しい方針にのっとり、法案を多少手直しして、今国会に議員提案でも出すというようなことが非常に大きく報道せられておりますが、そのようなことは絶対に党の総裁としてやらせないということを、はっきり一つ御言明をいただきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 まだこの問題についてお話のような点は聞いておりませんから、お答えすることはできません。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 ただいまの問題につきましては、なおよくお考えをいただくように御要請をしておきまして、なお本委員会においてあるいは他の委員会においても納得がいかないということになりますれば、重ねて御質問があるかと思いますから、十分御検討おきを願いたいと思います。  それでは次に、農業問題の二、三をお伺いいたしたいと思います。  最初に、総理にただいまの農村の置かれております状態というものについて、概括的に御所見を承っておきたいと実は思うのです。と申しますのは、経済の高度成長、産業の非常な伸び方は、池田総理の常に相当自信を持って御発言なさっております一般経済政策という面につきまして、その中の特に農業部面についてということになりますと、私はいささか総理としても、相当これはむずかしい問題にぶつかっているという感じをお持ちではないかと思っておるわけでございます。御承知の通り、ただいま農村の実情としましては、非常に所得水準も低いわけでありまして、そのために農業に対する希望というものを農民自身が、大半が、だんだんより多くの農民層が希望を失いつつあるわけでございます。わけて青年層としましては、今日の農村に対しまして希望を持って農業に飛び込んでいくという気宇というものは、急速になくなりつつありますことは、これは学校卒業者などの統計によって見るまでもなく、一般世間の空気からしましても、十分御理解いただけておることと思うのであります。先般来ある新聞だったかと思いますが、農村の青年が自殺をしたというような記事も載っておる、あるいは嫁が全然こないというようなことのために、非常に農村の青年が農村をきらっておるというようなこともある。あれやこれや非常にありますが、いずれにしましても、今の農村の状況というものはこのままで今までのような施策のあり方が続くとすれば、これは大へんなことにますますなってくるのではないか、こういう感を私は実は深くするのです。このことはいわゆる経済の高度成長を誇りを持って主張される池田総理のお目にとまらぬはずもないと実は思うのでありますが、今の農業の状況とまた農民の置かれている状況というものについては、総理はどんなお考えをお持ちでございましょうか。まず概括的に一言お感じでけっこうでありますから、お述べいただきたいと思うのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 私が所得倍増を言い、高度経済成長を言うときに、農村の問題は一番大事だ、こういうことは、私は四年前から農村人口の問題を高く叫んできたのであります。私は各国の例を見ましても、産業革命において絶対に必要なものは農村の問題だということは、もう四年前から言っておるのであります。従いまして、これが対策につき農業基本法その他をつくって、おくればせでも何とかこれをつじつまを合わせていこうというのが私の年来の考え方であるのであります。もちろん私が言い出したときには非常に非難を受けましたけれども、こうなってくることは当然。今は私は国際的に申しまして、一般の産業というよりも農村の問題が、やっぱり国際経済でも非常に重要な問題になってきていると私は考えておるのであります。従いまして、農業基本法の線に沿いまして、りっぱな農業、そうして好んで農業に従事するような雰囲気をつくるべく努力を続けておるのであります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 ただいまも総理のお言葉の中にもありましたが、農業の人口の問題、農業の人口というものは非常に大事だということをおっしゃっております。四年前からとおっしゃいますが、かつて総理が基本法の出されます直前あたりに、農業人口は急速にこれから減っていくだろう、また減っていかなければ、経済の高度成長というものと歩調が合わない、おそらく年に九十万人くらいの農業従事者が減っていくのじゃないか、そうなればむしろ理想的であるというような意味の御発言をなされましたために、いろいろこれは農民の首切りじゃないかといったような議論も出たわけでございますが、総理のただいままでやってこられました農政からしまして、あのころ予想されましたような傾向に、はたして動いておるかどうか。なるほど農業人口、農作業の従事者は減っております。減っておりますけれども、はたして総理の予期しておりましたような、期待しておりましたような減り方であったとお考えでございますか。どうでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 私は年に九十万人と言ったことはございません。四割くらい減るだろう、こういうことを言ったことはございます。ただ、御承知の通り農村人口というものをどう考えるか。当時はいわゆる専業農家、第一種兼業、第二種兼業、大体三分の一程度でございました。この兼業農家、第一種が第二種に、また専業が第一種兼業ということにだんだん変わっていっておりまするから、農村の人口というのをぴしゃっと分けるということはなかなかむずかしゅうございます。しかしいずれにいたしましても、傾向としては、相当農村人口が都市の他の職業についていっておる。そうして農村の人手不足というものがだんだん出てきておる。そこで構造改革をしなければならぬ。大体私ども予想しておるように動いておると認めております。ただその動き方に対して対策が十分であるかどうかという問題につきましては、農業基本法の施行につきまして、少しずつ手おくれのところもございましょうが、今度急速にこれを進めていこうというのが考え方でございます。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 人口の減り方は、具体的には今おっしゃったように年々大体三十万人くらいこのところ農作業従事者が減っておるという統計は出ております。それ以上に兼業化しましたり何かしまして、明確には統計の上に出てこない形で減っておるものもあるだろう、こういうようなお話であります。いずれにしましても農作業従事者が急速に減っておるという事実は、総理の見通しよりは私はかなり少なかったと思うのですけれども、それにしましても相当のテンポで減っておるということはその通りだと思います。問題は総理の当時のお考えでは、農業人口が減っていくということは、同時に農作業従事者一人当たりの労働生産性が上がっていくということの一つの要因にもなるし、実際問題として、三人でやっていたところを二人でやるようになる、二人でやっていたところを一人でやるようになれば、絶対的な農業所得は上がらなくとも、総体的に考えて、確かに一人当たりの所得というものは上がる、従って、他産業との間の所得格差は次第に狭まっていく、こういうような御説明であったろうと思うのであります。人員が減ることだけが目的というわけじゃないことはもちろんでございますが、減っていくということが逆作用いたしまして、逆に農業従事者としてとどまっておる者の所得の上昇、従って、他産業間の著しい格差というものは、少しずつでも格差が縮まっていくというところに総理のねらいがあったのじゃないか、こう思うのですが、はたしてそうだとすれば、最近までの傾向の中で、総理はそういうふうに、お考えになったように進んでいるとお考えでしょうか。そういっていないとお考えでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 消極面だけでなしに、積極面でも考えなければならぬ。同じ生産で二人が一人になるとか、三人が二人になるからこれで所得が上がったというのでは、これは農業のほんとうの進歩ではない。構造改革、構造改善にはならない。片一方におきまして生産性の向上ということも考えられなければならない。どちらかというとそれが主であると私は考えます。しこうして、他産業と農業との所得格差の問題は、私は、昨年あるいは一昨年につきましては、都市も相当伸びておりますが、農村の所得、農村の消費水準というものは都市に負けないように、あるいはそれよりまさると思います。三十六年、三十七年の初めごろはそういうようにいっていることは事実でございます。ただ予想通りに着々いっているかということになりますと、こういうものはえてしておくれがちなんです。しかも片一方の産業が予定のほとんど倍にも上ぼるというときに、農業がそれにつじつまを合わすということはなかなかむずかしい。やはり長い目で見ていかなければならぬ問題だと思います。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 長い目で見なければならぬ、徐々にいくんだというお話でございますが、現在の農業の進んでいる傾向からしますと、そういう甘い考え方で対処されたのでは、この今の農業の進みつつある傾向を改めて、もっと所得が上がっていく、希望の持てる農村になっていくという方向への切りかえはできないで、逆に今までの悪い傾向が次第に深まっていくことをおそれざるを得ないのです。統計を申し上げるのはかえって総理の前ではどうかと思いますけれども、はっきり統計にも出ておりますように、所得格差は年々開いております。他産業との所得の開きはますます大きくなる一方でございます。縮まる傾向は今日までのところ見えておりません。それからただいま消費水準はだいぶ上がってきたとおっしゃるのですけれども、もちろん消費力というものは相当急速に上がっております。上がっておりますけれども、まだ都市の状態とは比較にならないほど立おくれておりますし、そういうように消費水準が上がったということが、逆に今度は、農業所得が非常に低いものですから、とても所得に追いつけませんで、結局農業を捨てる、兼業化する。農業所得というものによって家計をまかなう比率も、統計上明らかな通り、年々ますます低くなりつつあります。この傾向も、むしろ言ってみれば、加速度的に深まっていく傾向にございます。国民所得の他産業との比較におきましても、三十五年、三十六年を比較しましても、二八・六だったものが二七というように下がった。今のままでいけば、今後もこういう傾向がそのまま深まっていくのではないか。従って、長い目でというようなことではなくて、やはりこの原因を究明して、相当思い切った施策の強化といいますか、転換といいますか、そういうものがない限り、この農村の苦境というものは打開できないという感じを私は強く持っておるのでありますが、総理はただいままでの施策の延長で自然によくなるだろうというお考えでございましょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 前から申しておりますごとく、ほうっておいたら格差は大きくなる。そこで農業の構造改善で、企業として成り立つようにしなければいかぬというので手をつけておるのであります。ただほかの産業のように、工場を設けるとか、機械のいいものを置くとすぐ生産性が上がるように、農業はほかの工業のようにはいきませんのでなかなかむずかしいけれども、極力これのおくれを取り戻すようにやっている。これはもう予算その他、あるいは農業基本法等の制定等でおわかりいただけると思います。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 それでは総理の先ほどの言葉を返すようですが、四年前から非常に力説強調されたという点で特にしぼってみますと、ただいまの所得の問題、それから農業経営を高度化し近代化する、そういった施策を講ずることによって、ただいまのように他産業とのおくれを縮めていくということでありますが、まず第一にあげられるのは、当初強く主張されておりました自立経営農家というものをつくっていくという方向、具体的にはそういう方向によって生産性を高め所得を高めていくということでございました。なお、それに対して補完的に協業化も進めていく。しかし主眼点は自立経営というものをだんだん育成していくということであったわけであります。はたして総理のお考えになりますような工合に、自立経営が確立されるような方向に、少なくとも今日までのところ進んできたとお考えでしょうか。そうなっていないとお考えでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 その方向で措置をしていると思います。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 その方向での措置がやられたかやられないか、結果から見ますと、そういう方向にはいっていない、こう言わざるを得ないのです。これは今の農村の経営状態の動きなどを見てもわかるのでありますが、ますます多く兼業化という形に流れ込んでおります。本年度のごときは驚くべき勢いで、まさにあらしのごとき勢いで兼業化しておりまして、全体の七三%が兼業、このあらしのような前進、これはおそらく年とともにふえると思うのです。そういうふうな形で参りますから、当初総理がお考えになりましたような三町歩とか五町歩、そうして家族人員三人くらいで機械を用いて能率的な経営をやってというような、そういった経営体が生まれるのではなくして、むしろ経営としてはまことに中途半端なものになりつつある。特に第二種兼業が圧倒的に今大きくなって参りました。第二種兼業だけが耕している農地が全農地の四割、こういうことになっている。さらにこの勢いでいきますれば、数年を出ずして過半の土地は第二種兼業農家のものとなるでしょう。第一種兼業を含めれば大半のものがそういうことにならないとも言えない、こういうふうな傾向に進んでおりまして、しかも大きな経営というものがその中から育っていくという形勢は見えないのであります。五町歩くらいになりますと、かえって減らしております。三町歩くらいがせいぜいとまりでありまして、今何といいましても大体一町五反くらいのところが境なんです。私は、こういう傾向で自立経営が成長していくというふうにお考えになることは全く甘いということをまず指摘しておきたいと思います。  その次に大事な問題は、選択的拡大でございまして、選択的拡大ということにつきましては、私は、これはある程度まで酪農もふえて参っておる、あるいは果樹類等もいわゆる重点作目とされたものは確かにふえてはきておると思います。おるとは思いますが、これもふえ方というものはだんだん縮んできております。乳牛などにしましても、ふえ方は急速に少なくなって参っております。こういうふうなことで選択拡大ということにつきまして、これも重要な施策の一つとして打ち出されて参りましたが、今の状況、少なくとも今日までの状況は、満足すべき方向を歩んでおるとお考えになっておりますか、そうでないとお考えですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 先ほど来申し上げているように、農業というものが徳川時代の形態そのままでいっているのを、今後こうなるからといって、一年や二年ですぐ選択的拡大とか、規模の拡大化等が行なわれるものではないということは、農業自体の持つ宿命なんでございます。だから二町歩とか二町五反歩というのは十年後のことを言っておるのでございます。過渡期におきまして、そんなに農業が楽にいくものだというのだったら、農業に対する認識がまるで私は違っていると思う。先ほど申し上げましたように、工業その他は工場を設ければすぐですけれども、農業というものは土地に対する執着とか、今までのいわゆる農業技術とかいろいろな点がございますので、十年後を見通してやっているのが、二年やそこらでできないからといって全然だめだとお考えになるのだったら、これは農業を語るというわけにはいかないと思います。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 だいぶ高姿勢なお答えなんですが、私は現在それは達成しておるはずだなどとは言っておらないのです。傾向を言っているのです。少なくとも十年後にそれが達成できるというのであれば、すでに四年前からそういうことをお唱えになっておるのですから、農基法を実施して二年にもなるのでありますから、どんなにわずかでもそういう傾向が見えてきているというのでなければ十年後のことを云々できない。逆の傾向が見えているというときにそれをおっしゃるのは、いささか詭弁に類するのではないかと思うわけでございます。いろいろ今現われております指標を考えてみますと、憂慮すべき事態というものは深刻にあらゆる面に現われておるというのが私の考え方であり、同時に世論でもあり、統計資料から立証されておる事実でもある、こう実は考えます。しからば、少なくともあなたもこの立ちおくれがあるということは認めておられる。長い目で見ろ。ほかの産業のようなわけにはいかぬ。農業には特殊性があるということでございますから、ともかくも他産業よりもうんと二おくれている。高度成長の中が、言ってみれば下積み的な状態に低迷しておるということは、現状ではお認めになっておると思うのですが、それならば、ここらあたりでやはり何とか傾向的にもこの傾向をとめて、そして逆に所得水準が上がっていく、格差が縮まっていく、農業収益率が高まっていくというふうな方向へ、あるいは共同化なら共同化というものがもう少し前進するような方向へ向けていこう、選択的拡大も順調に進むようにしようというようなことになりますれば、かなり本年度あたりはやはり意欲的な施策を打ち出す、相当意欲的な予算を組んでいくということが私どもの希望するところであり、また農業者全般の強く要望して参ったところでございます。しかし本年度の予算を見ましても、そういう意欲的なところというのはほとんど見ることができません。在来のやって参りましたことの単調な継続というふうにしか考えられない。農林予算全体の規模から言いましても、これは全予算のふえ方から見れば非常に少ない。前年度の一昨年度に対比してもむしろ低い、こういうふうに考えられるのでありますが、首相並びに蔵相は、本年度の予算編成にあたりまして、農村関係について、いやしくも構造改善事業などということも言われておる中で、こういった力の入れ方で、こういうふうな予算の組み方で、はたしてそれができるとお考えであったのでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 今お話にありました第二種兼業が非常にふえていっているというふうなことが、当然協業化あるいは規模の拡大等の素質をなすものである。私は私が予想しているような傾向をたどっていると考えておるのであります。従って、これに対しての予算の問題でございますが、これは大蔵大臣あるいは農林大臣が答えましょうが、農林予算がある程度減っているということは、これは食管会計の問題、災害の問題で減っておるので、本来の農業施策の予算としては、私は減ってはいないと考えております。また金融面の方につきましては、新たに農業金融につきましての特別の措置をとる等、政府としてはできるだけの措置をとっておるつもりでおります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 ただいま総理大臣がお答えいたした通りでありまして、農林関係予算の増額に対しては常に配意をいたしておるところでございます。今年度の伸び率が少なかったじゃないかというのは、三十七年度、三十六年度等の過去の伸び率が非常に大きかったというのと、災害と食管会計の減りで全予算に対して伸び率が低いというだけであります。しかし財政投融資や金融面に対しては、新しい制度の発足もはかり、これから将来に向かって思い切った農林漁業対策を進めて参る予定であります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 予算のふえ方というものが非常に少ない。パーセントとしては、むしろ前年度よりもふえ方が落ちているということで御指摘を申し上げたわけであります。  それから金融についておっしゃっておりますが、金融については確かに一つの新しい制度をおつくりになった、これは認めます。しかし制度をおつくりになりましても、問題は現在、実際に農民の要望しておる資金の必要量あるいはその利子その他につきましては、あの程度のことで十分だなどということは、とうてい私は言えないと思う。もっともっと抜本的な、資金量をふやし、また各種の資金につきまして大幅な利子の引き下げが必要じゃないか。部分的に一部引き下げた、ワクが幾らかふえたというようなことで、制度をつくったことはある意味での前進であるということは認めますけれども、それをもって本年度何か大きく前進するかのように言われますことは、事実に合っていないではないかと考えるわけであります。  そこで、以上いろいろ申し上げて参りましたが、私はやはり今のような状態ではいかぬと思いますし、特に環境、条件というものは、非常に急速に日本の農業に対して大きな課題を投げかけてきているのではないか、こう思いますので、貿易の自由化についてのこれからの見通し、特に農産物関係につきましての見通しをこの際伺っておきたいと思います。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 貿易の自由化がますます進んで参るだろうということは、当然予想いたしております。しかし、御承知の通りに米麦でありますとか、あるいは酪農製品でありますとか、牛豚肉というようなものにつきましては、現段階におきましては自由化をするということには参らない、こう考えておるわけであります。これは申すまでもなく、わが国農業の零細性という特性、さらに農業所得を形成する重大な部面を占めるというところから見まして、現段階においてはそういうわけには参らぬ、こう考えておるのであります。しかし、その他のいろいろのものにつきましては、農産物であるから自由化はしないというわけには参らぬと思うのであります。そこで、あるいは関税その他のいろいろな施策を講じまして、できるものから段階的に今日まで自由化をやって参っております。将来においても同様であります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 米麦、酪農については、当分やらない。その他のものについてはやらないというわけにはいかないだろう、こういうようなお話でございますが、具体的にただいま予定しておられますおもな品目につきまして、いつごろにはどういうものとどういうものをやるのか、一つ御説明いただきたい。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 これは、こまかいものがたくさんございますから、今ただちに一々申し上げかねますが、バナナにつきましては、近く自由化をいたおつもりであります。それから砂糖につきましても、その準備が整い、態勢が整うという段階になりますれば、私といたしましては、これはある時期には自由化をしてよろしいのではないかと、こう考えております。もっとも砂糖につきましては——これは砂糖だけではありませんが、すべて与党と十分な協議を遂げてやることになっております。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 今までに自由化されましたおもなもの、いろいろありますが、たとえば大豆、ナタネをとってみましても、自由化されまして、その後国内生産が外国農産物と競合いたしまして、生産性においても劣らない、作付も減らないというふうな形で、うまく対応してやっておりますかどうですか、現状はどうなっておりますか、大豆について一つ御報告願いたい。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 大豆については、これをAAにいたしまして、その後作付がふえたとは考えておりません。おそらく横ばいの程度ではないかと考えておりますが、詳しいことは、また政府委員をして御説明さしてもよろしゅうございます。

大澤融食糧庁長官

○大澤(融)政府委員 ただいま正確な数字を持っておりませんが、多少減っておると思います。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 大豆は作付も減っておる。おそらくこの分でいけば、やはり大豆作というものは、外国農産物に圧倒されていくと思うのです。今後、砂糖ということでございますが、砂糖につきましても、相当の余裕期間を置き、相当思い切った強力な施策をやりましても、今までやっておりますビートなどにいたしましても、まだ言ってみれば試験段階という域を脱しておらない、これはなかなかむずかしいと思うのです。今後さらに砂糖に続きましては、バナナあるいはレモンというようなもの、果樹の加工品というようなものが日程に上っておると思うのですが、こうなりますと、今の成長農産物といわれております部類にしましても、相当これは致命的な打撃を受けるのではないか。今までのような施策でいったのでは、とうてい追いつきようがない。何しろ、生産性の格差というものは、非常にひどいものであります。価格を比較しましても、相当大きな開きがございます。しかもその開きは、傾向としては、ますます大きくなりつつある。ですから、この状態の中でやむを得ないのだというようなことで、押され押され自由化品目が追加されて参りますと、今やっております拡大生産、今やっております農業政策というものに対しましては、ほとんどその効果の発揮しない前に大きな打撃を受けてしまうのではないか。農相、いかがでしょうか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 大きな打撃を受けないように、あるいは関税政策により、あるいはその他の施策によりまして、大丈夫と考えられる段階になって、自由化の実施をやっておるわけであります。いつまでも国際価格の二倍、三倍の値段だから、それで自由化はやらないというのは、これが将来とも許されるものならいいのでありますが、なかなかそうは参りません。ただいま砂糖のビートの例をお話になりましたが、すでに北海道あるいは青森あたりのビートは、試験の段階ではないのです。試験の段階は暖地ビートの話であって、むしろ、これは企業も自立ができる、また農家もそれによって安定した作物として安心していけるような手段を講じよう、こう考えておるのでありまして、これが見通しがつかなければ、もちろん原糖輸入の自由化ということはできない、これはもう当然のことであります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 畜産や米麦については当分やらないのだとおっしゃいますけれども、国際情勢の急激な変化、わが国に対する非常に強い要望というものは次第に強まって参っておるわけでありまして、畜産等につきましても、畜産等の立ちおくれは非常にひどいと思うのです。しかも、成長農産物の筆頭にあげられておるわけであります。それに続いては果樹ですが、果樹は現実にバナナが自由化される、あるいは果樹加工品が自由化されるということになりますれば、非常に大きな打撃を受ける。あるいはトマトにしましても、トマトの加工品が入るということになれば、非常に大きな打撃を受ける、すでに関係農民は非常にその点を心配しております。あるいは畜産等にしましても、すでに乳業会社等においては、やがてこれは自由化されることは必至である。多少一年や二年がんばって延ばせるようなことがあるとしましても、そう延ばせない。そう何年も何年も、十年も先まで延ばせるというようなことは、考える方が間違っておるのだ。これはいっときも早く自由化されてもいい体制にしなければならぬというようなことで、むしろただいまでは、乳業会社あたりが先に立ってそういうことを想定しながら動いておるという向きも、相当私はあるのじゃないかと思う。事態は、私はのんびりかまえられておる日本農業の環境ではないと思うのでありまして、ただ安心させるようなことだけ言っておいて当面糊塗するということでなく、もしそういう現実があるならば、それに対応するだけの思い切った措置というものを農業部面に加えるということでいかなければ、私は、今の状況に対する見方というものは甘いのじゃないかと思う。畜産品について農相、どうですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 畜産品につきましても、今酪農製品のお話が出ましたから、それについて申しますが、そういうような意気込みで、もうここ十年もそれ以上も、このままでじっといけないというふうな意気込みで、一つぜひやらなければならぬと私は考えております。酪農製品が、濠州の値段に比べれば内地においては倍もするのだ、これが成長部門の日本の酪農業だ、こういうのであっては、いかにもどうも私は先行きが心配であります。でありますから、いつまでも酪農業が鎖国農業であることは許されない。であるから、今のうちに、少なくとも飼料の問題については、牧草による飼料が七割以上供給ができるような酪農業にぜひここでやらなければならぬ。こういうので私は今やっておるわけであります。その他いろいろ御心配になられるのは、もう当然でありますが、私どももできるだけ方法を講じまして、国際競争のできるようなものにやっていかなければならぬ、こう考えてやっておるわけであります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 抽象的には努力をしておるというようなことをおっしゃいますけれども、事実は、乳価にしましても、これはあとで触れたいと思いますが、ああいうふうな状態、ただいま非常な乳価の値下げ攻勢のために、農民は非常に困っております。えさは逆に上がっております。こういうふうな状態で、畜産の伸びは非常に今停滞してきておる、こういうのが現実でございます。  そこで、いろいろ申し上げたいことはありますが、今貿易自由化の見通しについての考え方がどうかということをお尋ねしましたが、要するに、政府の対応策はいろいろありましょうが、今度の施策の中では、いずれそういう問題を全部ひっくるめまして、重点的にやはり日本農業の構造を変えるのだ、農業の構造を変えていかなければとうてい太刀打ちできない、農業の構造を変える、その中で生産性も高めていく、あるいは所得も上げていく、競争力を強めていくということに帰着しているのではないか。農業構造の改善事業というものは、全農業政策の中で——少なくとも今政府が打ち出しております農業政策の中で、最も大事な、かつ総合的な基本政策であるのかどうか、一つお答えをいただきたいと思います。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 御承知の通り、農業構造改善事業というのは、年々四百町村について調査をいたしまして、そうして年々三百程度のものを、今日まで二カ年でありますが、実施に移すことになっておりますけれども、私は、農業構造改善というのは、体質の改善であると、こう心得ておりますから、今の予算の計画にありますことを実行することはもちろんでありますが、すべての農業の部面にわたりまして体質を改善するという考え方で、あるいは主産地の形成もやろうし、あるいは果樹園の造成もやる、あるいは畜産もやるというふうに考えておるわけであります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 構造改善事業計画というものは、非常に大きく宣伝をされ、現在実施に入っておりまして、各担当の市町村等におきましても、相当頭を悩ましておる問題であります。そこで、それだけ政府の方がかなり大きくPRをして取り扱っております構造改善というものにつきまして、私どもは基本的な点でいろいろと疑念を抱かざるを得ない点があるわけでありますので、二、三重要な点についてお伺いをしてみたいと思うのであります。  まず第一に、総理にお伺いしたいのでありますが、さっきもちょっとお言葉にもありましたように、一年や二年じゃわからない、十年先を見てくれというお話でありますが、今度の構造改善事業は、大体十年というものを完了の目標にしておるわけであります。従って、この構造改善事業十年のこれからの計画というものが、総理の先ほど言われましたような自立経営でありますとか、あるいは協業であるとか、生産性・所得を上げるとか、いろいろな面におきましての一応の到達点になると考えていいのではないか、こう思いますが、十年後の構造改善事業計画完了のときにおける大体の到達点といいますか、日本農業構造の変化し、前進した姿というものはどういうものでございますか、総理。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 農林大臣よりお答えさすことにいたします。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 これは、数字的に当たってみたわけではありませんが、私は、十年後これを完成して参りますと、農業就業人口はおそらく一割五分程度には下がることができるんじゃないかと思うのです。そうして農業が企業として成り立つような状況になってくるであろう、こう考えております。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 ちょっと、今の一割五分というのは何ですか、もう一ぺん。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 これは私の勘です。計算をしたわけではないのです。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 それは何ですか。何が一割五分ですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 農業従事者ですよ。それくらいに減るのではないかと思うのです。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 一割五分だけ今より減るのですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 それくらいが残って農業をやるということになるんじゃないかと思います。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 そうしますと、一割五分になってしまうという意味ですね。もう一ぺん——今よりも一割五分減るのですか、それとも一割五分だけ残るのですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 そうじゃないのです。全人口の一割ないし一割五分くらいが農業就業人口になるであろうと、こう言うておるのです。一千万あまり、一千二、三百万ということになりますかな、これは。その点は、さらに御必要とあればよく計算をして事務当局から説明させます。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 これは非常に私は大事なことだと思うのですよ。農業基本法のときにも、この点についてはかなり詳細な論議がありまして、こまかい数字まであげまして、いろいろと目標をお示しになったわけなんです。ですから、今いよいよ具体的に構造改善事業十カ年計画でおやりになるというときに、この未来像というもの、到達点というものが全然何もわからないということでは困るのでありまして、ただいまの就業人口がこのくらいになるだろうということは、かなり重要な、見通しの中ではきわめて重要な要素をなすと思うのです。先ほど来もう池田総理との間に、年に三十万人減ったとかどうとかというお話がありましたけれども、そういうことは非常に大事な問題であります。ただいま一割か一割五分になるだろう、こういうのでありますが、一割か一割五分になるということは、現在の大体半分か三分の一になる、こういうことになるわけでございますが、そういうことなんですね。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 そういう計算をただ出して見て、こういう計画だからこういう計算になるということだけなら、これはもう前に計画を立てるときに、そういうことをいろいろ御説明しているのでしょうから、事務当局から一つそのときの計算にのっとって説明をさせます。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 これは、千のうちの一や二の数字の違いということなら事務当局ということになりますけれども、非常に大きな見通しの問題でありますので、何割程度というようなことは、この際かなり大事だと思う。最初お聞きしましたのは、現在の農作業の人口が、農業従事者が一割五分減るというのか、農業従事者が一割五分ぐらい残って非常に大きく減ってしまうのか、一割五分ぐらいしか残らなくなるというふうに私最初聞き取れましたのですが、まず第一に、それはその通りなんですかどうですか。これは農林大臣がおっしゃったことなんですから、その通りに理解すべきものか、そうでなかったのか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 十年後に農業従事者が千百万ぐらいになるだろうということなんです。私が先ほど私の勘だと申しましたのは、現在の農村の従事者といいますか、それが今日は三割を切れると思うのです。農業に従事しておる家族を入れて、三千万人が切れると思うのですが……。    〔発言する者多し〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 御静粛に願います。答弁が聞き取れません。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 これは数字のことですから、毎年二・九%減るとして、十年後には千百万ぐらいの従事者になるだろう、こういうことです。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 非常にあいまいなことなんですが、これはそのほかの農業構造、いろいろな問題の十年後の姿を推定する場合の基礎になるわけでありまして、そういういい加減なことでは——農林大臣がそういうことでは、初め一割五分くらいしか残らないだろう、あるいは全人口の比率からいって一割くらいになるだろう、こういうふうな大まかなことを言われるが、今は大体三割近い——三割は初れますけれども、三割近いものでしょう。一割くらいといえば三分の二、三分の二も大幅に減るということになる。ですから、将来の見通しなどについても、ほとんど確たる見通しというものをお持ちになっていない、こういうことの反証になってしまうと思うのです。ただいまは三十六年度で千三百万ですね。ですから、大体二十万ぐらいずつ減って二百万、こういうふうなことをおっしゃっているのだろうと思うのです。そういうことになりますと、これは最初総理が申しましたが、こういうふうな減り方というものは、前回農業基本法のときのお話では、おそらく、さっきもおっしゃいましたが、四割ぐらいは減るというふうな見通しの上に立って、それが基礎になってのその他の農業構造の変化ということであったはずなんです。従って、こうなりますと、見通しは非常に大きく狂ってくる。総理のお考えとも非常に違ってくると思うのです。そうしますと、ここで十年後の自立経営、当初来農業基本法で一番力点を置いて主張しております自立経営が、十年後に百万戸できる。大体三町歩程度の自立経営、三人くらいの家族労働力の完全燃焼というようなことを一つの経営のあり方としての未来像というものを、農業基本法のときにははっきり政府は打ち出されたのです。基本法の重大施策である農業構造改善事業というものを打ち出してやって、はたして十年後にそういう自立経営の見通しが立ちますかどうですか。これは総理から一つお答え願いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 十年後に自立経営が立つように計画を一応立て、また進行の度合いによりまして、その計画を強化していくとか、いろんな措置をとっていくべきだと思います。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 農林大臣、いかがですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 総理の答えられた通りです。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 いやしくも計画的にこういう事業を十カ年計画でおやりになるという農業施策の中の、現内閣のやっておるほとんど最重点的な仕事、総括的な仕事の中で、将来計画というものがあやふやということは、それだけでもってこの計画自体がまことに自信のない、まことに本格的なものでないということの大きな証拠づけになる、私はこう思うのであります。  では続けてお伺いしますが、一体その十カ年間にどれだけの財政を投じて、どれだけの予算でおやりになろうというのですか、農林大臣。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 これは十年後のことでありますから、どういうふうにあれということはわかりませんが、当初の計画があるわけでありますから、それに従って、われわれはそれを強化してやっておるわけであります。これは、農業基本法をやった当時の計画があるでありましょうから、それを一つ事務当局からお聞きを願いたい。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 農林大臣、農業構造改善事業計画というものを発表されて、すでに実施に入っておるわけなんです。現在もう実施中なんであります。これについて年間幾らの金をつぎ込むんだ、そうして結局十年間では幾らの金をつぎ込むんだ、こういうふうなことを明確に御答弁が願えないんでは、これは話がちっとも進まぬと思うのです。これはわかり切ったことじゃないですか。責任者の大臣の口からはっきりとお聞きしたいと思うのです。

齋藤誠農林事務官(農政局長)

○齋藤(誠)政府委員 御答弁いたしたいと思います。  三千百の町村を対象にいたしまして構造改善事業を年次計画でやろうという考えをとっております。その際、大体一町村平均といたしまして一億一千万の事業費を予定しておりますが、その中で九千万円を補助事業費として考えております。従って、補助事業費の五割を補助対象といたしておりますので、三千百に四千五百万円をかけました約千三百九十億ですかというのが、大体これの予算による助成額でございます。それからなお、今申し上げました二千万円の融資事業を考えておりますので、これが平均二千万で三千百ということになりますれば、六百二十億の融資事業ということを予定いたしておるわけでございます。計画といたしましては、十カ年間に各町村、三千百の町村を逐次実施するということにいたしておりますが、当初におきまする行き方といたしまして、村の実施の体制の条件のそろったところでやるという考え方をとっておりますので、年次計画通りにぴしぴしとやっていくかどうか、この間における行き方につきましては、多少の変動が年次計画においてもあろうと思いますけれども、十カ年の予定といたしましては、今申し上げたようなことを予定いたしております。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 農林大臣にお伺いしますが、ただいまの説明によりますと、一地区一億一千万で三千百町村、こういうことでございます。そうしますと、その三千億のうちの大まかなあれでもって、大体四割と見ても千三百億くらいの金を投じまして、そして十年後に日本農業の構造が大きく変わっていく、そして国際競争力にたえ得るような自立経営ができていくというようなことが一体考えられるでしょうか。農林大臣、いかがですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 それはあなた、ちょっとおかしいことはないですか。農業構造改善というのは、今年々四百の町村の調査をやって年に三百ないし四百、まあ当初でありますから、なかなか十分なる理解ができないというので、進度は今計画通りいっておりませんが、そのための今言われた予算であって、農林省の予算というのは、その指定町村、いわゆる狭義の構造改善を実施しておる町村のその予算以外に膨大なる予算があって、土地改良もやれば、畜産もやる、何もやるというので、その予算を、当初御質問になったように、全体とすれば二千数百億の予算を年々計上しておる。だから、今の構造改善事業の計画予算だけで日本の農業の体質が改善できるとは考えておらないのです。全部を総合しての話でありますから、そういうふうにごらんを願わぬと非常に間違うと思うのです。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 この農業改善事業に対する政府の取り組みということを私は根本にお伺いしておるわけです。全体の中の一部分で、それは小さいけれども、全体でというのなら、構造改善事業というようなものを大げさに打ち出しまして、そして各市町村にまで相当大きな負担をかけ、そしてその中で農業基盤の整備から、共同施設の問題から、あるいは自立経営の離農対策から、一切がっさいを含む地域総合計画のようなものを印象づけるような計画をお出しになる必要が大体ないじゃないですか、どうなんですか。農業構造改善という打ち出し方をして、いわゆる羊頭を掲げて狗肉を売るという批判も実はあるわけだけれども、ほんとうに農業構造の改善をやろうということならば、やはり相当の経費がかかりますことは、すでに今日まで実施されておる各地区のこれに対応した、期待をかけて立ち上がっております事例によってきわめて明白ではないですか。一地区といっても、共同施設の完全なものをつくりたい、あるいは農地の圃場の整備をやりたいということのために、あるいは十億あるいは十五億というような金がなければやれないという事実が、各所において現在明らかになっておる、こういう事実を農林大臣、あなたは御存じですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 これは、私は金だけ積めば構造改善ができるとは思っておらないのです。よく理解を農民諸君に願って、そうしてその地区の構造改善に要する事業費というものを計算をして、これに対して、今の一億一千万というのは、平均でありますから、その所によってそれより多くを要すれば何とかできるだけ余計に補助金もいき、あるいは融資もやろうというので実行しておるわけなんです。それから三千百町村を一度にやるのじゃないのです。十年かかってやるのでありますから、従って、初年度はその一割しかできないということでありますから、他の方を、地方の土地改良とか、あるいは出荷の施設をやる、畜産の施設をやるということもほおっておくわけにはいきません。ほおっておくわけにはいきませんから、その方もその方としてやり、それから今の継続町村は、特に重点的にこれをやろう。こういう考えでありますから、お話のように、その三百町村に全力を注いで、全部のものをそこへ持ってきてやるというわけには参らぬと考えておるのでありますが、しかし、継続町村に対しては集中していろいろの施策を行なおう、こういう考えでやっております。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 ただいまの平均の価格は一億一千万でありますが、今までに実施されております中で、実際に最高どのくらい出しておるか、また最低のところはどのくらい出しておりますか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 これは、その計画によりまして、その平均より少ないところもあるでありましょうが、これは事務当局から一つ説明いたさせます。

齋藤誠農林事務官(農政局長)

○齋藤(誠)政府委員 ただいま申し上げました一億一千万円は平均の事業費でございまして、町村の大きさ、あるいは戸数によりまして当然差があるわけでございます。大体の考え方といたしまして、一番小さい額が事業費として約四千万円、それから大きな方で一億八千万円ぐらいの中にはまるだろう、こういうことで今やっております。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 いずれにしましても、そういう四千万円というような金でございますから、ほとんどなすべきことはやれない、こういう結果になるわけです。しかし、この構造改善事業計画というものは、なかなか大上段に振りかぶった目的と計画というものを出しておるわけでございます。ただいま大臣が言われたように、ほかもやらなくちゃならぬ。この地域は特別にという程度であるし、みんなやっているその中の一施策にすぎない、こういうことでありますと、これは構造改善事業計画というものの受け取り方というものを根本的に変えなければならぬということになります。これなど見ましても、これは農林省で出しておるのでありますが、事業計画ではとにかくこういう方針をはっきり出している。「資本と土地の零細性を特徴とするわが国農業構造の問題があることにかんがみ、農地保有の合理化、農業経営の近代化すなわち農業構造の改善を図り、あわせて生産の選択的拡大を達成する」、こういうことのための施策ということですから、相当これは総合的な、今の農政のむしろ集中的な実施、こういうふうに受け取りますからこそ、この計画樹立にあたりまして、さっきも申しましたように、正直にこの指示に従ってやろうすれば、これは何十倍という金がかかってしまうという事実に結局すぐぶつかるわけです。ついでですから今発表されました最高のところはどこ、最低のところはどこですか、参考までに具体的に地域を教えていただきたい。

齋藤誠農林事務官(農政局長)

○齋藤(誠)政府委員 先ほど申し上げましたように、面積と戸数によって原則として配分するという考え方をとっておりますので、面積の非常に多い町村あるいは戸数の非常に多い町村というのが高くなっておるわけであります。具体的町村については、今資料を持ち合わせておりませんので、後刻資料につきまして御説明申し上げます。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 それじゃこれはあとで……。  それから、この事業の実施の主体といいますか、ほとんどこの事業は市町村にやらせておる。市町村が責任を持って計画を立案し、実施し、指導していく、こういう体制になっているように思うのですが、そういうものですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 これはその地区々々の実情に応じまして、市町村がやる場合もあり、あるいは農協がやる場合もある。これは一律になっておりません。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 こういう仕事をやるのに、責任ある担当の主体というものが明確でないということでは、これは仕事は進まないと思うのです。責任の所在というものが明確でない、こんなばかなことはないじゃないですか。場合によってはどこになるかわからない。いずれにしましても、計画立案の責任の所在が不明確だというようなばかな話はないと思うのですが、どういうことですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 事業計画の立案は市町村がやっており、その実施をあるいは土地改良地区でやっておるのもあれば、あるいは農協でやっておるのもあり、あるいは町村みずからやっておるのもある、こういうわけであります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 事業の計画を立案する責任は市町村なのでしょう。そうしますと、この方針を見ましても明らかなのですが、大体市町村に農業構造改善の計画を立てろということ自体がおかしいのじゃないか、私はそう思うのです。たとえば選択的拡大の問題にしましても、市町村という範囲の中で将来の農産物の見通しはどうだろうというようなことを考えろといったって無理だと思うのです。それから労働力の需給の見通しはどうだというようなことを市町村長にやらせるということがどだい無理なんじゃないか。どうですか、総理にこの点をお伺いいたしますが、今度のこの計画の立案主体というものを市町村に置いておる、その市町村でどういう見地から構造改善の立案をしなければならぬかということを見ますと、大体就業人口の動向の見通しというようなものを基礎にして立てろということが指示されている。あるいは離農の援助、就業機会の増大ということを考えていかなければならない。それから基幹作目の選定をやらなければならね。こういうふうなことを市町村のワクの中で一体立てられるものでしょうか。私は、こういうものは何といったって国全体の見地から、国の責任で将来の就業動向なりを考えなければならないだろうし、あるいは府県なりにおきまして、その県全体の中のいろいろな農産物の動向というようなものを考えなければならぬと思うのですが、この場合はほとんど市町村の責任でやらしてしまう。計画を立てるにあたって、現にこれも相当起こっている問題なのです。何を基幹作目にするかということで、どうにも判断がつかない。結局、上の方から来て適当なことを言われていくと、うまくこれが実態に合わないというような問題も起こって参ります。私は、これだけの事業をやろうというのに、そういうふうに責任を市町村に押しつけたような形でやるということはまずいのじゃないか、あるいは地方自治法の上からいっても相当問題があるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。総理の方から先に一つ。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 これはこまかい問題ですから、私からお答えした方が適当です。  市町村で計画を立てるのは、市町村だけを見ては計画は立たぬではないかという御質問であると拝承したのでありますが、むろん理想的に申しますれば、府県というよりか、やはり一つの経済圏の中でこの計画を立てるということが一番理想的であろうと思うのであります。市場の関係もありましょうし、いろいろの関係がありますので、その方が理想的であると思うのでありますが、かといって、今直ちに農業経済圏というものを想定をいたすということもなかなか困難なことであります。そこで私どもといたしましては、市町村が立てます計画は、市町村内部の計画であることはもちろんであるが、その際には、やはり今私が申しましたような農業経済圏であるとか、その地方の集団地域であるとかいうようなものを頭に入れて、そうして自分の市町村の計画を立てる、こういうことにいくがよろしい。こういうふうな考えを持ってやっているわけであります。従って、大体条件が同じような地方におきましては、同時に数カ町村の計画ができますれば、これは相互に相談をもちろんすることでありますが、町村が相談をいたしまして、同時にこれを指定をしていく、こういうやり方でやっておるわけであります。従って、県なりあるいは農林省なりのその方の担当の者がよく相談に乗って、そしてその計画を立てていく、こういうようにやっておるわけであります。  これは申すまでもないことでありますが、この計画を立て、これを実施するということは、相当にこれはめんどうなことであり、その気にならなければなかなかこれはできないことであります。  そこで私どもは、その指導的地位にある者が非常に熱心であり、どうしても構造改善をやらなければ農業近代化は行なわれぬ。農業近代化を行なわなければならぬということを十分に考えて、そうして非常に熱意を持ってやる。さらにその地区民というものがそれを十分に理解をして構造改善をやろう、こういうところから先にどんどん始めていく、こういう実施の方針でやっておるわけであります。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 だんだん時間がなくなってしまいますので少し端折りますが、大体構造改善事業を今やっておりますものの一番大きな——先ほど来申し上げたようないろいろ疑義もありますが、何といいましても相当の負担を農民自身がしなければならぬ。借財をしなければならぬ。しかるに、結局基盤整備にいたしましても、農道を広げたからといって直ちに収益の上がるものではございません。結局収益の見通し、そうして借金をしましたものに対するいわゆる返済計画というものがあらかじめ同時に立つようなものでなければ、現在非常に収益率の低い農家がそういうものに飛びついてくるわけが実はないと思うのです。相当それは話をしないで官僚的に押しつけてやってしまう例が今まで多いわけですが、ほんとうに民主的にやるということになりますと、どうしても返済計画まで示さなければこれはやるはずがないと思うのです。そういう点で、たとえば農道を広げるのだとか、あるいは共同の施設をつくるとか、そういったようないわば公共事業的な性格のものが非常に多いわけですから、こういうものを農民の負担でやる、融資をして金を借りてやらせるというところにどだい無理があるのではないか。やはり、これらの点については国費でやる、あるいは県費でやる、公費でやって、農民の負担というものを、少なくとも公共事業的性格のある部面ではやらせないということにしなければならないではないかと思いますが、いかがですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 お述べになりましたようなことを十分に考えまして、土地基盤整備につきましては、政府の助成のほかに、これは五割、そのほかに府県が大体二割これに補助率のかさ上げができるように、さらに町村は起債がこのためにできるようにということを考えまして、自治大臣とも十分御協議いたしまして、大体そういう運びにやることになっております。自余の補助残のものにつきましては、御承知の通りに今回の低利長期の融資でやる。こういうことでありますから、まず、これなら私は相当に農家の負担というものは軽減をせられておるものと考えます。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 高田君に申し上げます。  申し合わせの時間が経過いたしましたので、結論をお急ぎ願います。

高田富之日本社会党

○高田(富之)委員 それでは一つだけ。結論を急ぎますが、要するに返済計画が立たないということは、根本におきましては、成長農産物に移れ、かわれと申しましても、それらのものの価格の支持がないということ、需給の安定がないというところから、返済計画が立たないわけであります。借金をしようという気にならないわけです。今の最大の欠陥は、何といっても特に成長農産物についての価格の支持安定がない。ですから、どんな構想を持ってきましても、負担のかかることに乗ってこない、乗ってくるはずがない。今まで豚を飼えと言えば豚を飼って損をした、いろいろなことで現実にひどい目にあっておるわけでありますから、少なくとも成長農産物については、現在の米以上の安定した支持価格制度というものを確立しない限り、選択拡大というものもうまくいかない、構造改善もうまくいくはずがない、こう考えるのです。  そこで時間がありませんから、具体的に一つだけお尋ねをいたしておきますが、一番成長農産物の中でも重視しております乳価の問題でございます。これは私が申し上げるまでもなく、すでにたくさんの陳情等もお受けになっておって、事情は御承知と思いますけれども、事態は相当深刻であるわけでありまして、このようにせっかく奨励をいたしまして、多頭飼育をやれ、金を貸すから牛を飼えということでやって参りましたものが、ここへ参りまして、全く生産費を償わない、安定帯価格も五十二円というような問題にならない価格をつけられ、最近におきましては、乳業メーカーが一致して価格の引き下げを通告をしてきておる。この事態に対しまして、政府といたしましても乳業メーカーに対して何らの強い措置をとるでもなし、あるいは安定審議会を開いて価格について再検討するでもなし、じんぜんと日を過ごしておる。こんなことでは、構造改善も選択拡大もあったものではないと私は思うのです。この機会に、どうしても乳業メーカーに対しまして、政府から責任をもって価格値下げの通告を撤回させるという措置をとっていただかなければ、今後いかようなことを申されましても、農業政策に対する農民の信頼をつなぎとめることは、私は不可能だと思います。第一、こういうふうな乳業メーカーが一致してやってくる行為などというのは、明らかに独禁法違反そのものなんです。こういうものをそのままに放置して、じんぜん日を過ごしていくということは許されないと思います。  私は、この際に、まず第一に、当面この乳業メーカーに対しまして値下げ通告を撤回させること。第二には、乳価の基本価格については、生産費を十分償う、所得を償うというところで価格の改定をやってもらう。このことはぜひ実行していただかなければ、百の説法よりも実行一つでありますから、まず実行していただけるかどうかという点について特に強く農林大臣の決意を披瀝していただきたいと思います。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 御承知の通りに、一升五十二円という値段は、審議会において支持価格として決定せられた値段であります。この値段を割るようなことは、絶対に農林大臣としてはするわけには参りません。御承知の通りに、豚にいたしましても、昨年四月に値下げがありましたから、畜産振興事業団によってこれを買い上げさした。二百四十円がらみで買った。そして現在では三百二十円もしておるというような状況で、これは価格政策としては成功したものと私は考えておる。この事業団をして同様に、五十二円以下になるようなことは、これは農林大臣がするわけに参りません。ところが、今のお話の値下げというのは、その五十二円のほかに、各乳業メーカーの奨励金が出ておる、その奨励金を一円か二円か下げたという状況なんです。しかし、私といたしましては、できるだけ値下げにならないように、しないようにというので、今回事業団をして、バターであるとか、あるいは粉乳であるとかいうような酪農製品を二十億円買い上げせしめる措置を講じたわけなんです。それによってさらに乳価が下がるというようなこと甘いように、これはいたしたわけであります。これと同時に、今奨励金を下げておりますこの下げ分も、できるだけすみやかにこれをもとに復元しろ、こういうことを今言っておるわけであります。ここのところは、どうも私の有権的な措置ではないわけでありますが、私といたしましては、業者に対して強くそれを要請をいたしておる、こういう段階でございます。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長 次会は明後六日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十三分散会

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