本会議 第14号
- 発言数
- 102 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/03/08
会議録
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。 ————◇————— 日程第一 中小企業信用保険公庫法の一部を改 正する法律案(内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第一、中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。商工委員長逢澤寛君。 ————————————— 〔報告書は本号(その二)に掲載〕 ————————————— 〔逢澤寛君登壇〕
○逢澤寛君 ただいま議題となりました中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。 中小企業金融の円滑化のために、従来から政府関係金融機関の資金源の増強を通じまして、中小企業向け資金量の増大をはかる施策と、中小企業信用保険公庫及び信用保証協会の強化による信用補完制度の充実をはかる施策とを中心とする対策が行なわれてきたのであります。 本改正案は、このうち信用補完制度について、これを一そう拡充する目的をもって提出されたものであります。 すなわち、中小企業信用保険公庫に対する政府出資を昭和三十八年度において三十億円増加し、これを信用保証協会に対する融資基金に組み入れて、信用保証協会の保証機能の強化をはかり、これによって中小企業者の市中金融機関からの資金調達力を拡充しようとするものであります。 本案は、二月十一日当委員会に付託され、翌十二日提案理由の説明を聴取し、その後、質疑を重ね、また、参考人より意見を聴取し、三月五日に至り、質疑を終了し、引き続き採決に付しましたところ、全会一致をもって可決すべきものと決定した次第であります。以上をもって報告といたします。(拍手) —————————————
○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。 ————◇————— 日程第二 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第二、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長臼井莊一君。 ————————————— 〔報告書は本号(その二)に掲載〕 ————————————— 〔臼井莊一君登壇〕
○臼井莊一君 ただいま議題となりました産業投資特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。 昭和三十七年度補正予算第二号におきましては、一般会計から産業投資特別会計の資金へ三百五十億円の繰入金を計上し、また、昭和三十八年度予算におきましては、一般会計から産業投資特別会計の歳入に四百九十七億円の繰入金を計上いたしておりますが、この法律案は、これらの予算措置に伴いまして、一般会計から産業投資特別会計の資金及び歳入に繰り入れを行なうことができるものとして所要の措置を講じようとするものであります。 すなわち、従来は、産業投資特別会計の資金及び歳入への繰入金については、そのつど産業投資特別会計法の附則におきまして所要の措置を講じて参りましたが、今後は、予算の定めるところにより所要の繰り入れを行なうことができることとしようとするものであります。 この法案は、当委員会において慎重審議の後、去る三月五日、質疑を終了し、直ちに討論に入りましたところ、広瀬委員は社会党を代表して本案に反対の旨を述べられました。次いで、採決いたしましたところ、本案は起立多数をもって原案の通り可決となりました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。 ————◇————— 日程第三 国立学校設置法の一部 を改正する法律案(内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第三、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。文教委員長床次徳二君。 ————————————— 〔報告書は本号(その二)に掲載〕 ————————————— 〔床次徳二君登壇〕
○床次徳二君 ただいま議題となりました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。 本案は、第一に、埼玉大学に工学部を設置すること、第二に、東京芸術大学、お茶の水女子大学、横浜国立大学及び富山大学に、初めて新制学部を基礎として大学院を新設すること、第三に、群馬大学に内分泌研究所を、京都大学に共同利用の数理解析研究所及び、原子炉実験所をそれぞれ付置すること、第四に、文部省令で定める数個の学部を置く国立大学に教養部を設置すること等、国立大学の内部組織に関する規定を整備すること、第五に、八戸等十七国立工業高等専門学校を新設すること、第六に、この法律は、昭和三十八年四月一日から施行するが、秋田その他五校については昭和三十九年度から開設すること、以上を内容としております。 さて、本案は、去る二月十一日当委員会に付託となり、同月十三日政府より提案理由の説明を聴取し、以来、本案の内容についてきわめて熱心に検討を加えて参りましたが、その詳細は会議録により御承知を願いたいと存じます。 かくて、三月六日、本案に対する質疑を終了、討論を省略して直ちに採決の結果、起立多数をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。 ————◇————— 日程第四 漁港法の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第五 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件
○議長(清瀬一郎君) 日程第四、漁港法の一部を改正する法律案、日程第五、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事田口長治郎君。 ————————————— 〔報告書は本号(その二)に掲載〕 ————————————— 〔田口長治郎君登壇〕
○田口長治郎君 ただいま議題となりました漁港関係の二件について、農林水産委員会における審議の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、漁港法の一部を改正する法律案について申し上げます。 本案は、水産業の振興をはかる上において漁港の果たす役割がきわめて重要でありますので、最近における水産業の発展、特に漁船の大型化等、漁業情勢の変化に即応して、主として遠洋漁業の基地である特定第三種漁港の整備を円滑に実施するため、この種漁港の修築に要する費用について、国の負担割合を従来の百分の五十から百分の六十に改めることにしたこと等を主たる内容とするものであります。 本案は、去る一月三十日内閣から提出されましたが、農林水産委員会においては、二月五日提案理由の説明を聴取した後、二月二十八日以来審議を重ね、三月七日、質疑を終了し、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決した次第であります。 なお、本案に対しましては、漁港法を改正するため根本的再検討を行なうべきであるとして、政府の善処を求める附帯決議が付されました。 次に、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件について申し上げます。 本件は、昭和三十年第二十二回国会で承認された漁港整備計画を全面的に変更して、漁業情勢の推移に即応するため、昭和三十八年以降、全国にわたり三百八十港の漁港を整備するためのもので、この計画の変更について漁港法の規定に基づいて国会の承認を求めるため、去る二月二十日内閣から提出されたものであります。 農林水産委員会においては、二月二十一日提案理由の説明を聴取するとともに、さきの漁港法改正案と一括審議を進め、三月七日、審議を終了し、採決いたしましたところ、本件は全会一致をもってこれを承認すべきものと議決した次第であります。 なお、本件に対しまして、政府は計画の八カ年完遂を期し、国の予算等の確保について万全を期すべきである等、三項目にわたる附帯決議が付されました。 以上をもって御報告を終わります。(拍手) —————————————
○議長(清瀬一郎君) これより両件につき採決いたします。 まず、日程第四、すなわち、漁港法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。 次に、日程第五、すなわち、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件を採決いたします。 本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本件は委員長報告の通り承認するに決しました。 ————◇————— 日程第六 北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第七 労働省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第八 自治省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第六、北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案、日程第七、労働省設置法の一部を改正する法律案、日程第八、自治省設置法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員会理事藤原節夫君。 ————————————— 〔報告書は本号(その二)に掲載〕 ————————————— 〔藤原節夫君登壇〕
○藤原節夫君 ただいま議題となりました三法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。詳細は会議録によって御承知願うことにいたしまして、以下、簡潔に要点を申し上げます。 まず、法案の要旨を申し上げますと、 北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案は、同公庫の資本金を十億円増額して三十五億円に改めようとするものであります。 次に、労働省設置法の一部を改正する法律案は、労災保険事業及び失業保険事業における関係業務の増加に伴い、また、中高年令層失業者の再就職を促進する等、その事務の円滑な遂行を期するため、労働省本省の職員の定員を二百二十九人増員しようとするものであります。次に、自治省設置法の一部を改正する法律案は、自治省の事務を円滑に遂行するため、職員の定員を十七人増員しようとするものであります。 以上三法案は、それぞれ一月二十五日、一月二十六日、同二十六日本委員会に付託され、二月十九日、同十九日、二月二十六日政府より提案理由の説明を聴取、三月七日、質疑を終了し、討論もなく、採決の結果、三法案はいずれも全会一致をもって原案の通り可決いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(清瀬一郎君) 三案を一括して採決いたします。 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告の通り可決いたしました。 ————◇—————
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。社会労働委員会理事小沢辰男君。 ————————————— 〔報告書は本号(その二)に掲載〕 ————————————— 〔小沢辰男君登壇〕
○小沢辰男君 ただいま議題となりました医療金融公庫法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。 医療金融公庫は、私立の病院、診療所等の設置及びその機能の向上に対する専門の金融機関として第三十四回国会で制定され、昭和三十五年七月から業務を開始しているのであります。しかしながら、同公庫に対する借り入れ希望が非常に多いために、昭和三十八年度においては、同公庫の貸付原資として百十億円を予定し、これに要する資金としては、資金運用部資金の借入金七十二億円及び貸付回収金十二億円のほかに、一般会計から二十六億円を出資することといたしております。このために、同公庫の資本金を五十五億円から二十六億円増加して八十一億円とする今回の改正案が提案されたのであります。 本案は、一月三十一日本委員会に付託となり、昨七日、質疑を終了し、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと議決いたした次第であります。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。 本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。 ————◇————— 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○草野一郎平君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。 この際、内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。法務委員長高橋英吉君。 ————————————— 〔報告書は本号(その二)に掲載〕 ————————————— 〔高橋英吉君登壇〕
○高橋英吉君 ただいま議題となりました本案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本案は、第一審の充実強化をはかる方策の一環として、判事十人、判事補十人及び簡易裁判所判事十人を増員し、また、裁判官以外の職員を二百十二人増員しようとするものであります。 さて、法務委員会におきましては、去る二月五日本案が付託せられて以来、慎重審議を重ねましたが、その質疑の詳細につきましては、会議録に譲りたいと存じます。 かくて、本日、質疑を終了し、討論なく、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって本案は政府原案通り可決すべきものと決定いたしました。 右、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。 本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。 ————◇————— 国際労働機関憲章の改正に関する文書の締結について承認を求めるの件 関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の訂正及び修正に関する締約国団の確認書の締結について承認を求めるの件 航空業務に関する日本国とアラブ連合共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付) 航空業務に関する日本国政府とクウェイト政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
○草野一郎平君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。 この際、国際労働機関憲章の改正に関する文書の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の訂正及び修正に関する締約国団の確認書の締結について承認を求めるの件、参議院送付、航空業務に関する日本国とアラブ連合共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国政府とクウェイト政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、右四件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。 国際労働機関憲章の改正に関する文書の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の訂正及び修正に関する締約国団の確認書の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とアラブ連合共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国政府とクウェイト政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、右四件を一括して議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。外務委員会理事安藤覺君。 ————————————— 〔報告書は本号(その二)に掲載〕 ————————————— 〔安藤覺君登壇〕
○安藤覺君 ただいま議題となりました四案件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。 まず、国際労働機閥憲章の改正について申し上げます。 国際労働機関の第四十六回総会本会議は、一九六二年六月二十二日、会の構成員の増加等を規定する国際労働機関憲章の改正文書を採択いたしました。この改正は、機関憲章第七条第一項に定める理事会構成員の数について、政府側理事二十人を二十四人に、使用者側理事及び労働者側理事者十人を各十二人に増加し、これに基づいて、政府側理事二十四人のうち、主要産業国の任命する理事十人は現行のままとし、主要産業国を除く加盟国の任命する理事の数を現行の十人から十四人に増加することをおもなる内容といたしております。 次に、ガットの確認書について申し上げます。 わが国の関税定率法の別表は、昭和三十六年にブラッセル関税品目分類表に準拠した新たな関税率表に改正されましたので、この改正後に締結されたガット文書に収録されるわが国の譲許表は、すべてこの新しい品目分類法に準拠しております。しかしながら、この改正前に締結したものは旧表に準拠していたので、これを統一して新しい分類方式に組みかえる必要がありますので、政府は関係各国と訂正の交渉を行なっておりましたが、昨年秋、これが妥結を見ましたので、同様の訂正または修正を希望していた締約国の譲許表とともにこの確認書が作成され、本年一月十五日ガット上の手続が完了いたしたのであります。 次に、二つの航空協定について申し上げます。 政府は、民間航空協定締結のため、アラブ連合共和国及びクウェイトとの間に交渉を行なって参りましたが、意見の一致を見ましたので、昨年五月十日にアラブ連合共和国と、昨年十月六日にクウェイトと、ぞれそれ航空協定が東京において署名されました。 これらの協定は、わが国と両国との間に民間航空業務を開設することを目的として、業務の開始及び運営についての手続及び条件を規定するとともに、附表において各当事国の指定航空企業が業務を行なうことができる路線を定めております。 国際労働機関憲章改正の文書は二月十四日、ガットの確認書は二月二十六日、二つの航空協定は二月二十七日参議院において承認され、同日、本委員会に付託されました。本委員会においては、政府から提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。 かくて、三月八日、この四案件は、討論を省略して採決を行ないましたところ、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。 右、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(清瀬一郎君) 四件を一括して採決いたします。 四件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、四件は委員長報告の通り承認するに決しました。 ————◇————— 船舶安全法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
○草野一郎平君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。 この際、内閣提出、参議院送付、船舶安全法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。 船舶安全法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。運輸委員長木村俊夫君。 〔議長退席、副議長着席〕 ————————————— 〔報告書は本号(その二)に掲載〕 ————————————— 〔木村俊夫君登壇〕
○木村俊夫君 ただいま議題となりました船舶安全法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 今回の改正の第一点は、一九六〇年の海上における人命の安全のための国際条約を批准することに伴いまして、総トン数三百トン以上五百トン未満で、国際航海に従事する貨物船等に対し、無線電信または無線電話の施設を義務づけるとともに、バラ積み穀類等の運送に対して規制を加えようとするものであります。 改正の第二点は、随時検査の対象船舶並びに特定前検査の船舶用物件の範囲を拡大し、また、一定の船舶用物件に対して検査を省略する等、船舶検査の合理化をはかろうとするものであります。 第三点は、国際満載吃水線条約の線に合致させるために、沿海区域を航行する総トン数百五十トン以上で国際航海に従事する船舶に対して、満載吃水線の標示義務を課することといたそうとするものであります。 本案は、一月二十四日本委員会に予備付託となり、二月十五日政府より提案理由の説明を聴取、同月二十日本付託となり、三月一日より四回にわたり質疑を行ないましたが、その内容は会議録により御承知願います。 かくて、本日、討論を省略し、採決の結果、本法案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決しました。 なお、本法案に対して、附帯決議を付することに決しましたが、その要旨は次の通りであります。 すなわち、原子力船に関する必要な事項、漁船に対する救命設備についての安全基準、沿海区域航行船舶に対する無線設備、条約に即応する船員設備基準の制定、小型漁船の安全性、船舶検査体制の整備等、以上の諸点を含む本法の全面的改正と当面所要の対策樹立について政府に要望するものであります。 右、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○副議長(原健三郎君) 採決いたします。 本案は委員長報告の通り決するに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。 ————◇————— 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件
○草野一郎平君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。 この際、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(原健三郎君) 草野一郎平君の動議に御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件を議題といたします。
○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。逓信委員会理事大高康君。 ————————————— 〔報告書は本号(その二)に掲載〕 ————————————— 〔大高康君登壇〕
○大高康君 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件に関し、逓信委員会における審査の経過と結果とを御報告申し上げます。 この議案は、日本放送協会の昭和三十八年度収支予算、事業計画及び資金計画について国会の承認を求めるため、去る二月二十一日内閣から提出されたものでありますが、まず、その内容について御説明いたしますと、 当年度の収支予算の規模は、収入、支出ともに総額七百四十二億一千五百万円余で、その内訳は、資本収入百四十七億七百万円余、資本支出二百二十九億四千四百万円余、事業収入五百九十五億七百万円余、事業支出五百八億七千万円余となっております。 さらに、事業計画におきましては、前年度より発足した六カ年計画の第二年度として、ラジオ、テレビジョン両放送網の整備拡充、FM放送局の増設、放送番組の充実刷新、通信高等学校の助成、その他放送利用の促進、国際放送の拡充、調査研究の強化、経営管理の合理化等の諸施策の遂行に努めるとともに、オリンピック放送実施体制の整備を進めることといたしております。 また、資金計画は、前述の収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の出入に関する計画であります。 逓信委員会においては、二月二十一日本案の付託を受けて以来、数次にわたって会議を開き、政府並びに協会当局より説明を聴取し、質疑を行なったのでありますが、本三月八日の会議において、討論採決の結果、多数をもって本案はこれに承認を与うべきものと議決いたした次第であります。 なお、採決の後、委員会は、FM放送、カラー・テレビ放送の全国普及に関することなど、六項目を内容とする附帯決議を多数をもって議決いたしました。 以上をもって報告を終わります。(拍手) —————————————
○副議長(原健三郎君) 採決いたします。 本件は委員長報告の通り承認するに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告の通り承認するに決しました。 ————◇————— 土地区画整理法の一部を改正する法律案(内閣提出) 共同溝の整備等に関する特別措置法案(内閣提出)
○草野一郎平君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。 この際、内閣提出、土地区画整理法の一部を改正する法律案、共同溝の整備等に関する特別措置法案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(原健三郎君) 草野一郎平君の動議に御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。 土地区画整理法の一部を改正する法律案、共同溝の整備等に関する特別措置法案、右両案を一括して議題といたします。
○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。建設委員会理事加藤高藏君。 ————————————— 〔報告書は本号(その二)に掲載〕 ————————————— 〔加藤高藏君登壇〕
○加藤高藏君 ただいま議題となりました土地区画整理法の一部を改正する法律案及び共同溝の整備等に関する特別措置法案の両案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 まず、土地区画整理法の一部を改正する法律案について申し上げます。 土地区画整理事業は、宅地の造成並びにその利用の増進をはかるとともに、道路、公園等の公共施設を整備して、健全な市街地を建設する事業でありますが、公的機関の施行能力にはおのずから限度があり、土地所有者等の自由意思に基づく土地区画整理組合による事業実施に期待するところがきわめて大なるものがあるのであります。しかしながら、土地区画整理組合の事業におきましては、その事業資金の調達に苦慮している組合が多い実情にありますので、今回新たにこれらの組合に対し、事業資金について特別の助成措置を講じようとするもので、その概要は次の通りであります。 すなわち、都道府県または指定都市が、一定の要件を充足する土地区画整理組合に対し事業資金を貸し付ける場合には、国がその貸付金の二分の一以内の金額を都道府県等に貸し付けることができることとし、国の都道府県等に対する貸付金及び都道府県等の土地区画整理組合に対する貸付金は、いずれも無利子とし、償還期間はそれぞれ六年以内及び五年以内とすることとしております。 次に、共同溝の整備等に関する特別措置法案について申し上げます。 近時、大都市におきましては、地下埋設工事その他の道路の掘り返しを伴う占用工事がきわめて多く、そのため道路交通の障害及び道路の不経済な損傷が著しい現状であります。従いまして、この際、交通の著しく輻湊する特定の道路につきましては、特に、道路管理灘が道路の付属物として電話線、電線、ガス管等の公益物件を共同して収容する共同溝の整備を行なうことにより、円滑な道路交通の確保と道路の構造の保全とをはかるため、共同溝の建設、管理並びに費用の負担等につきまして特別の措置を講じようとするものであります。 両案のうち、土地区画整理法の一部を改正する法律案は二月十二日、共同溝の整備等に関する特別措置法案は二月十三日、それぞれ本委員会に付託されたのでありますが、質疑の詳細は会議録に譲ることといたします。 かくて、三月八日討論を省略、採決の結果、両案はそれぞれ全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○副議長(原健三郎君) 両案を一括して採決いたします。 両案は委員長報告の通り決するに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り可決いたしました。 ————◇————— 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号) 石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号) 産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出) 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○草野一郎平君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。 この際、内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案(第一一号)、石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案(第一二号)、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案、右四案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(原健三郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)、石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。
○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。石炭対策特別委員長上林山榮吉君。 ————————————— 〔報告書は本号(その二)に掲載〕 ————————————— 〔上林山榮吉君登壇〕
○上林山榮吉君 ただいま議題となりました石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案外二法案並びに炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案について、石炭対策特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 御承知のように、本院は、過ぐる三十六年十月、第三十九回国会において、エネルギー消費構造の変革に伴う石炭鉱業の深刻なる事態に対処し、石炭産業危機打開に関する決議を行ない、石炭鉱業の安定をはかるため、抜本的対策の樹立を強く政府に要請したのであります。政府は、この本院決議に基づき、スクラップ・アンド・ビルドを根幹とする各般の対案を再点検し、本委員会もまた、決議の趣旨を実現するよう政府を督励し、わが国エネルギー産業に占める石炭鉱業の地位を確立せしめる方策を検討するため、九州等産炭地に委員派遣を行ない、坑内外にわたり現地のなまなましい実態をつぶさに調査する等、慎重審議を続けたのでありますが、その間にあって、石炭鉱業をめぐる情勢はますます緊迫の度を加え、重油価格の予想以上の低落と貿易自由化の影響を受け、石炭鉱業の様相は一段と深刻の度合いを深め、石炭鉱業の前途は暗たんたる事態に立ち至ったのであります。 かような情勢を慎重に判断した結果、政府は、昨年十月の石炭鉱業調査団の答申を尊重して、石炭対策大綱を閣議決定したのであります。今回提出された四法案は、そのうち特に緊急を要する合理化対策、雇用対策を中心とするものであり、さきの第四十二回国会に提出され、審議未了となったものであります。 次に、四法案のおもなる内容について申し上げます。 第一に、石炭鉱業合理化臨時措置法改正案は、炭鉱離職者のうち、退職金がないか、または少ない者について、最高十万円程度の離職金の加算を行なうことであります。 第二に、石炭鉱山保安臨時措置法改正案は、石炭鉱業合理化臨時措置法改正案と同様、離職金の加算を行なうことであります。 第三に、産炭地域振興事業団法改正案は、事業団の業務範囲にボタ山処理事業を加えることであります。 第四に、炭鉱離職者臨時措置法改正案は、炭鉱労働者の定義を、石炭鉱業合理化臨時措置法に定めるものと同じくすること、及び三年間有効の炭鉱離職者求職手帳を発給し、手帳受給者に日額最高四百五十円の就職促進手当を支給すること等であり、なお、離職金の加算、手帳の発給及び就職促進手当の支給は、昭和三十七年四月一日以降に離職した炭鉱離職者について適用することとなっております。 四法案は、去る一月二十六日本委員会に付託され、同月二十九日、通産大臣並びに労働大臣よりそれぞれ提案理由の説明を聴取した後、総理大臣初め各大臣の出席を求めて慎重審議を続けたのでありますが、委員長及び与野党理事の折衝により、就職促進手当及び離職金の取り扱い等について協議がととのい、本日の委員会において、委員長より政府の意向をただしたところ、善処する旨の答弁があったのであります。 かくて、質疑を終了、直ちに採決をいたしましたところ、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案及び産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案は全会一致をもって、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案は多数をもって、それぞれ原案の通り可決すべきものと決した次第であります。 なお、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案に対して、産炭地域に政府関係事業場等の新設、民間大規模工場の誘致を積極的に推進すること、事業団の産炭地域振興融資ワクの拡大及び貸付限度額の是正をはかること、ほか三項目の附帯決議を付することに決しました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○副議長(原健三郎君) これより採決に入ります。 まず、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案及び産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案の三案を一括して採決いたします。 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告の通り可決いたしました。 次に、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案につき採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。 ————◇————— 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○副議長(原健三郎君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案の趣旨の説明を求めます。文部大臣荒木萬壽夫君。 〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
○国務大臣(荒木萬壽夫君) このたび政府から提出いたしました義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案の提案理由及びその概要について御説明申し上げます。 さきに第四十回国会において義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律が制定され、義務教育諸学校の教科用図書はこれを無償とするとの方針が確立されるとともに、その具体的措置は、文部省に置かれる無償制度調査会に諮って別に法律をもって定めることとされたのであります。 政府は、ここに調査会の答申の趣旨を十分尊重して、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案を用意いたしたのであります。この法律案は、無償措置の実施に必要な基本的事項を規定するとともに、この措置の円滑な実施を資するため、教科書の採択及び発行の制度に所要の整備を加えたものでありまして、義務教育の充実に資するところ大なるものがあると信じます。 次に、この法律案の要点とするところを申し上げます。 まずこの法律案は、国公私立の義務教育諸学校の全児童、生徒に、全教科の教科書を給与しようとするものであります。 その具体的な実施方法は、国が発行者の供給する教科書を購入して、これを市町村等義務教育諸学校の設置者に無償で給付し、設置者は、それぞれの学校の校長を通じて児童、生徒に給与することといたしております。これは、国と設置者が相互に協力して無償措置が円滑に実施されることをはかったものであります。 次に、教科書の採択については、現在、市町村立の小中学校の教科書は、所管の教育委員会が行なうこととなっておりますが、実施にあたっては、郡市の地域の教育委員会が共同して同種の教科書を採択することが広く行なわれております。このような採択の方法は、地域内の教師の共同研究の上にも、また児童、生徒の同一地域内における転校の際にも便利である等、教育上の利点があることによるものであります。 この広地域の共同採択は、無償措置の実施にあたって供給の円滑と教科書価格の低廉をはかる上にも資するところ大きいものがありますので、本法律案は、都道府県の教育委員会に、管内の義務教育諸学校において使用する教科書をあらかじめ数種選定させるとともに、市町村の教育委員会が共同して同一教科書を採択するための採択地区を郡市の地域について設定させることといたしました。 市町村の教育委員会は、都道府県の教育委員会が選定した教科書のうちから、採択地区ごとに協議して、同一のものを採択することとし、国立及び私立の学校等においては、都道府県の教育委員会が選定した教科書のうちから、学校ごとに採択することとなっております。 次に、本法律案は、この義務教育諸学校の教科書の発行者について指定制度をとることといたしました。 現在、義務教育諸学校の教科書を発行するものは四十六あります。元来教科書は、他の一般の出版物と異なり、学校教育法によって使用を義務づけられたはなはだ重要な性質を持つものでありますから、これを発行する者は、きわめて公益的性格の強いものであるといわざるを得ません。特に無償措置を実施するにあたっては、すぐれた教科書を合理的な価格で適確に給与することが必要であり、このため発行者が堅実であることが望まれるのであります。 この見地から、今後は義務教育諸学校の教科書の発行者について、適格なものを文部大臣が指定し、指定を受けた者のみが発行供給を担当し得ることといたしました。なお、所定の要件を欠くに至ったものは指定を取り消すこととなっております。 昭和三十八年度において小学校第一学年の児童が使用する教科書を無償とすることになっておりますが、これは、さきに制定された法律により別途定める政令によることとなっておりますので、この法律案は、昭和三十九年度の小学校第一学年から第三学年までの児童にかかる無償措置から実施することといたしております。 以上がこの法律案の提案の理由及びその概要であります。(拍手) ————◇————— 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○副議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して、質疑の通告があります。これを許します。村上喜一君。 〔村山喜一君登壇〕
○村山喜一君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案について、総理大臣、文部大臣、大蔵大臣、通産大臣、労働大臣、防衛庁長官、公正取引委員会委員長に質問を行ないたいと思います。 まず総理にただしたいことは、池田内閣は、教科書の無償は憲法上の国家義務の履行として考えているのか、それとも特定の政治的意図から出発しているのかということであります。 かつて、自民党政府の手によって教科書が一部無償から出発して、入学祝いとなり、それがいつの間にか財源難から廃止のうき目をたどったことを国民は忘れておりません。文部大臣は、五カ年計画で完全実施という構想は持っているが、閣議で決定されたものでもなく、また、実施のための費用分損は地方にも転嫁される可能性があることを明らかにしております。法律案の中身は、教科書無償という美名に隠れて、事実は教科書の広地域統一採択によって中小企業の会社を没落させ、大資本の手によって独占集中化をはかり、事実上の国定化をねらうものであり、また、企業に対して罰則を強化して、官僚統制をさらにきびしくし、企業改廃の権限を文部大臣に握らせ、出版の自由を侵害することを考えたものであります。これこそまさに看板に偽りあり、羊頭を掲げて狗肉を売り、国民を欺くものといわざるを得ません。(拍手) 総理は、本気で憲法上の国家義務として教科書を無償とする決意があるのか、あるならば国民の前に年次計画を明らかにすべきであります。施政方針の中で、人つくりは国づくりの根幹であり、政府の任務は環境と条件を整えることにあるとして、あるべき教育の目標を明らかにしておりますが、その教育の目標は、荒木文部大臣に言わしめると、教育基本法に明示されている教育の目的と全く同じであるとされておるが、その通りであるのか。人つくりの方法として、道徳教育の充実、義務教育教科書の無償供与が考えられておるのであるならば、教科書の中身を、学習指導要領と検定という権力によって、官僚統制によってゆがめている状況をなくして、検定制度の本来の精神に立ち返るように、行政の姿勢を改めるべきであり、また、総理が教育の自律性を尊重して大学管理法案の提出をとりやめたように、道徳教育の教師用指導書をただで配るような政策をとりやめるべきであります。あらゆる集会において暴言を吐き、失言を国会で陳謝し、面目を失墜している文部大臣、しかも、個人的見解であっても、教育基本法改正論者である荒木文部大序を罷免して、憲法、教育基本法に基づく総理の人つくり政策の姿勢を国民の前に明示すべきでありましょう。(拍手) 総理が、言行不一致の態勢をとられている以上は、国民は、一九五三年十月、池田・ロバートソン会談による共同声明、すなわち、日本人はいかなることが起こっても武器をとるべきでないとの教育を最も強く受けたのは、防衛の任にまずつかなければならない青少年であった、会談当事者は、日本国民の防衛に対する責任を増大させることが最も重要であることを同意した、日本政府は、教育及び広報によって、日本に愛国心と自衛のための自発的精神が成長することに第一の責任を持つものである、という教育政策の路線こそ、最近における池田内閣のいわゆる人つくり政策の基本方針であり、それを受け継いでの教科書政策であると受け取るでありましょう。残念ながら、総理の出席がありませんので、適当な機会に答弁を承りたいと考えます。 次に、文部大臣にお尋ねをいたします。日教組には強く、大蔵省には弱い文部大臣として荒木大臣は国民に評価されておりますが、今度の法案提出にあたりましても、大蔵省の、義務教育無償のための財政負担は、国と地方で分担するのが当然という主張に押しまくられ、三十九年度予算以降の経費負担については、さらに検討するという再検討条項を法案につけることで妥協をしておりましたが、自民党がおさまらず、この条項を削除し、結局十九日の閣議では、法案をきめると同時に、三十九年度以降の負担については再検討することもきめるという異例の措置をとったと伝えられております。委員会等で大臣の答弁を聞いておりますと、どうもそういうことを意味しております。法律案にはないのであります。事情をごまかして法律案が出されていると言っても過言ではありません。自民党の援護を受けながら大蔵省にしてやられている。この問題について、大臣の心境と決意のほどを承りたいのであります。 第二は、府県の教育委員会が採択地区と数種類の教科書を選定したものの中から市町村の教育委員会は採択しなければならないことになっておりますが、文部省が検定で認めたものを府県の教官委員会が再検定をするという結果になりまするし、しかも、有権解釈によってささえられております市町村教育委員会の採択権は制限をされ、学校教師の意見、希望は無視され、学校の選択権、教師の教科書研究は有名無実になり、教科書に対する教師の意欲はなくなり、官僚の手に握られてくることは明らかであります。 それに輪をかけて、この法案をまとめる際、自民党内には郡や市程度の単位では不経済だから、採択地区は県単位一本にせよという意見が強く、文部省も今後さらに広域採択を行政指導で行なうことを約束していると伝えられております。とするならば、市郡から教育事務所単位になり、さらに府県段階にまで上から規制されてくることは明らかであり、将来は府県ブロック、さらには全国統一採択という方向に、資本の独占と財政負担の軽減という国家独占資本主義の要求する段階をたどると想定されますが、そうでないと大臣は約束できるかどうかについてお答えを願いたいのであります。 今でさえ検定権を振りかざして、大さい力を持っている文部省に立ち入り検査を認め、発行の指示を取り消す権限が与えられ、罰則で縛りつけていくと、印刷独占と結びついております大手三社とごく専門教科書発行会社しか生き残らない結果が生まれ、一点三十万冊以上を将来の目標だと教科書課長が漏らしている点から見れば、一教科二、三社しか残らないという結果になることは明らかであります。三十九年の小学校、四十年の中学校の改訂採択時期には、企業防衛のためにもここを先途として売り込み合戦が行なわれ、全国的に汚職が発生するであろうと見られている状況であります。昨年汚職を引き起こした大手五社は、公取の審判に付せられているありさまであります。実際の取り扱いの問題として、大手の発行者や役員はうまく逃げ回って、結果的には弱い者をいじめることになるのではないかと考えられますが、この点につきましてどのようにお考えになっているか、明らかにしていただきたいのであります。 次に、大蔵大臣にお伺いいたします。教科書無償の経費分担は大蔵官僚の強い抵抗によって、異例の閣議決定がなされたと聞いておりますが、大臣は、昭和三十九年度の予算について、法案の立場に立って考えるのか、それとも異例な措置を固執して法案改正の立場に立たれるのか、それともそのときでないとわからないという逃げを打たれるのか、考え方を明らかにしてもらいたいと考えるものでございますが、これらの問題につきましては、他日の機会に答弁を要求する権利を留保しておきたいと思います。 次に、通産大臣にお伺いいたします。現在八十六社の教科書会社がありますが、小中学校の教科書を出しているのは、そのうちの四十六社である。うち大手は十社前後、広域採択になると大手が有利であります。しかも、三年間は採択がえをしないということになっておる。最初に採択漏れになったら、中小の会社は倒産続出して、大手だけが生き残ることになって参ります。中小企業基本法を提案し、中小企業対策を重視するという点から考えても、出版資本は、あなたも御承知のように、広告取り次ぎ、印刷、紙資本に支配されておる中小企業群でありますが、この倒産をいたすであろうと考えられるこれらの中小企業に対する今後の対策について承りたいのであります。 次に、公取委員長にお伺いいたします。三十六年に教科書売り込みをめぐるところの汚職事件が摘発され、昨年五月、大手五社が公正取引委員会の審判に付されました。その審理の進捗状況はどういうふうになっておるのか。国会で大きな問題として取り上げられたものに対する結果を明らかにしていただきたいのであります。 次に、労働大臣にお尋ねをいたします。出版資本の合理化は主として資本なしの合理化として現われております。企業外に対しましては広告資本との結合、企業内では労働組織の改編、労働強化、企業意識の宣伝、組合攻撃、それに立脚したマスプロ心マスセール体制の確立として現われております。中でも労働白書に示されておりますように、出版、印刷関連産業の労働者は、全産業中一位という長時間労働で働かされております。国の政策によって中小教科書会社がつぶされ、労働者が失業していく場合のこれの具体的な対策について承りたいのであります。 最後に防衛庁長官に防衛庁と教科書の問題についてただしたいのでございますが、防衛庁が自衛隊員の不足に悩んでいることは周知の事実であります。人員不足と質の低下に悩む防衛庁は、六二年の四月二十六日の政務次官会議において学校教育に関する要望書を提出いたしました。教科書の内容の実例を取り上げ、青少年に正しい国民的自覚を促し、国の防衛について積極的関心を助長するような教科書内容の早急な実現を強く要望するとして、愛国心、国防を取り上げ、独占に従順に奉仕し、戦争のための武器をとることに反対しない、そういう教育の要請を行なっております。かつて、国定教科書に対する軍閥の強制介入があったことをわれわれはいまだ忘れておらないのであります。これに対するところの防衛庁の考え方についてお答えを願いたいのであります。 以上で質問を終わりますが、関係者の明確な答えをいただきたいのであります。(拍手) 〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 総理大臣が都合で出席できませんので、総理大臣に対する御質問も便宜妥当な範囲で私からかわってお答え申し上げます。 第一は、憲法上の義務教育無償という考え方に立ってやるのかやらぬのかという意味のお尋ねであったと思います。憲法第二十六条の「義務教育は、これを無償とする。」との意味は、少なくとも普通教育を受けること自体については有償としないこと、換言すれば、児童生徒の保護者として児童生徒に普通教育を受けさせるにつき、対価的意味を有する何らの報償をも提供させないことを宣明したものと解せられるのであります。これを受けまして、教育基本法は第四条において、御案内のごとく、国公立学校において授業料を徴収しない旨を定めております。教科書の無償は憲法の義務教育無償の原則に即応しまして、その理想をより広く実現しようとするものであると理解しておるのであります。(拍手) 第二番目に、人つくり政策の姿勢を国民の前に明示せよという趣旨のお尋ねであります。わが国の将来の発展をはかり、それを通じて世界人類に寄与していくためには、国民の一人片々がその資質を高め、これを最高度に発揮することが基本でありまして、この意味から私は人つくりを強調しておるのであります。また、総理もそういう趣旨において、本会議場を通じてお答えを申し上げておるのは御案内のごとくであります。この人つくりは国民がそれぞれみずからの問題として精進すべきことではありますが、政府としては文教施策を通じまして、この基本を助長し、人つくりの趣旨を達成しようとしておるのであります。たとえば指導者、教育者の養成と資質の向上、道徳教育と教育内容の充実、科学技術教育の振興、義務教育における教科書無償の供与、学校給食の拡充等に重点を置いておるのは御案内のごとくであります。 次に、教科書無償措置の三十九年度以降の予算措置に対してどう考えておるかというお尋ねでございました。三十九年度以降におきましても、国が一本で負担いたしまして、教科書無償の措置を完了したい、その完了の年次は三十七年度を第一年度としまして、五年以内に完了したい、かように考えておるのであります。ただし、御指摘の通り、法律に基づいて設置されました調査会の答申は、圧倒的多数の意見は、少なくとも国費でもって完了すべきである。ただし、国費、公費の分担の課題も行く行くは検討する課題であろう、こういう趣旨の御答申をいただいておるのであります。従って、その点をめぐりまして、まあ内輪のことを申してはいかがかと思いますが、村山さん御指摘の通り、文部省と大蔵省との見解の相違はございます。ございますが、九年度以降につきましても国費一本で、しかも今申し上げました通り、五年以内に完了する、そういうことで大蔵当局には絶対的に主張したいと心得ております。(拍手) 次に、この法案によれば、教科書の採択権が制約されることになりはしないかという御趣旨のお尋ねであったと思います。さようには思いません。この法律案は、市町村の教育委員会が義務教育学校の教科書を採択するという現行法の建前に立って、無償措置の円滑な実施に資するため、その採択が適切に行なわれるように整備したものでございますから、御懸念はないものと心得ます。 職員の立ち入り権を認めておるようだが、役人がいばりはしないか、弱い者いじめにならないかという意味のお尋ねであったと思います。それもさような懸念はないと心得ております。一般に許認可、指定等の制度を設ける場合におきましては、所轄官庁の職員が立ち入り検査を行なうということは、法的措置として通常講ぜられておるところであります。この規定は、相手方たる教科書会社が調査を拒むなどによりまして、指定の基準に該当するかどうか等が正確に把握できないという例外的な場合に、その可否を決する手段としてとるものでございまして、乱用のおそれは毛頭ないものと心得ておるのであります。 また、広域採択になれば、教科書が大会社本位となって、中小企業が圧迫されるおそれなきやという御懸念でございますが、当面この法律の適用にあたりまして、教科書会社として指定しますにあたりましては、現行の教科書会社、すなわち既得権者としての取り扱いをする考えで実施いたしますので、立ちどころにさような御懸念が起こることはないものと存じております。のみならず、この規定によりまして、堅実な供給、また、よき教科書が提供されることを期待し、この趣旨からして現存の中小企業を圧迫するなどということはあり得ないものと存じております。 以上。お答え申し上げます。(拍手) 〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。 ただいま文部大臣からもお答えをいたしたのでございますが、われわれは、との教科書の問題を取り扱う指定基準の問題については、中小企業育成の建前から、既得権を尊重するように基準を定める、既得権を尊重して、今までやっておった人ができるように、文部省と協議をして、そのように制定をいたす所存でございます。(拍手) 〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) 本法案による教科書発行者の指定にあたりましては、現存の発行会社の既得権を尊重して、無理のないように指定される方針と承知いたしておりますので、教科書出版会社関係から特に離職者が発生するとは考えておりません。(拍手) 〔政府委員生田宏一君登壇〕
○政府委員(生田宏一君) お答えをいたします。 防衛庁といたしましては、わが国の次の世代をになうべき青少年の教育につきましては、重大な関心を持っております。特に国の防衛の前提となります愛国心につきましては、特段の配意が必要であろうかと考えておる次第でございます。先年、防衛政務次官が、政務次官会議におきましてこの種の要望をいたした次第でございました。現在、世界各国におきましては、自由諸国といわず、共産諸国におきましても、との種の教育はその国の実情に応じて実施をいたしておりまして、わが国ひとり、これを等閑視することは許されないことだと存じておる次第でございます。(拍手) 〔政府委員佐藤基君登壇〕
○政府委員(佐藤基君) 教科書業者の独占禁止法違反事件に関する審判の状況につきましてお答えいたします。 公正取引委員会は、昨年来、教科書発行業者六社に対しまして、教科書の選択に関し独占禁止法違反の疑いがありましたので、審判手続を開始いたしました。そのうち一社につきましては、本年二月に同意審決をもって排除措置を命じ、残りの三社につきましては、目下審判手続続行中であります。(拍手)
○副議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。 ————◇————— 失業保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○副議長(原健三郎君) 次に、内閣提出、失業保険法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。労働大臣大橋武夫君。 〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) 失業保険法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 失業保険法は、昭和二十二年第一回国会において制定されて以来、数次の改正によりその内容を整備充実し、今日に至るまでわが国における雇用失業対策の重要な柱の一つとして、よくその機能を発揮してきたところであります。 近年、わが国の雇用失業情勢は、経済の高度成長に伴い全般的に著しい改善を示しておりますが、なお、石炭鉱業、金属鉱業等の一部の産業からは、相当数の離職者が発生しつつあり、また、中高年令の失業者等は、その再就職が依然として困難な事情にあります。従って、これらの者を含めた失業者の生活の安定をはかり、その再就職を促進するための諸施策は、さらに一段と強化されなければならない現状にあります。 また、昨年八月、社会保障制度審議会から社会保障制度の総合調整に関する基本方策について内閣総理大臣あてに行なわれました答申及び勧告には、社会保障制度を一そう充実強化すべきことが要望されているところであります。 さらに、失業保険財政の問題につきましては、さきの第三十四回国会において可決されました失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律の附則において、国庫負担の割合、保険料率等について昭和三十四年度から昭和三十六年度までの収支の実績に照らして検討の上、昭和三十八年三月三十一日までに所要の改正を行なうべきこととされております。 このような事情にかんがみ、政府といたしましては、ここに、給付の改善及び失業保険受給者に対する就職促進に関する措置の充実をはかることを主とした失業保険法の一部を改正する法律案を提出いたした次第であります。 次に、その内容について概略御説明申し上げます。 第一に、一般失業保険の給付の改善についてであります。 まず、失業保険金の最高日額を最近における賃金の上昇傾向等を考慮の上、現行の七百円から八百六十円に引き上げることとし、また、最低日額につきましても、告示の改正により現行の百二十円を百八十円に引き上げることとするほか、新たに、扶養親族を有する受給資格者について、配偶者及び子の数に応じて扶養加算を行なう制度を設けることとし、給付内容を改善することといたしました。 次に、同一事業主に継続して雇用された期間の長短に応じて給付日数を定める現行制度につきましては、今回これを改めることといたしました。すなわち、失業保険に関する事務処理体制を大幅に機械化する方針のもとに、これが整備を待って、昭和四十年度からは、異なる事業主に雇用された場合にも被保険者として雇用された期間を一定の方法により合算し、その期間の長短に応じて給付日数を定めることとし、制度の合理化をはかることといたしました。 次に、現在受給資格者が公共職業安定所の指示した公共職業訓練を受ける場合に行なっている給付日数の延長措置を、法令の規定に基づく訓練、講習についても行なうこととするとともに、新たに、転職訓練期間中は技能習得手当及び寄宿手当を支給することとし、受給資格者が進んで転職訓練を受け得る条件を整え、その再就職促進に資することといたした次第であります。 さらに、失業中に疾病にかかり、または負傷した受給資格者に対しては、新たに、失業保険金相当額の傷病給付金を所定給付日数を限度として支給することとし、これら失業者の労働能力の回復保全に資することといたしました。 第二に、一般失業保険の保険料率の改訂方法についてであります。 現行制度におきましては、短期間の給付予想額によって、緊急に保険料率を引き上げ得ることといたしておりますが、最近における失業保険財政の状況に照らし、また、失業保険制度においては、好況期に生ずる剰余をもって不況期に増大する給付を保険料率を引き上げずにまかなうよう、その財政を運用することが適切であるとの観点に立ちまして、今回これを改めることといたしました。すなわち、積立金の適正規模を定め、この規模を積立金が上回り、または下回るに至ったときには、一定の範囲内で、保険料率を弾力的に上下させる措置をとり得ることといたしております。 第三に、日雇失業保険についてであります。 まず、国庫負担率につきましては、昭和三十五年度以降三分の一の国庫負担を行なってもなお相当額の赤字が生じている収支の状況にかんがみ、現行の原則四分の一の国庫負担率を原則三分の一に引き上げることといたしました。 次に、現行の継続三日、通算五日の待期制度は、月の前半には失業しても保険給付が行なわれない場合が多い等の問題点がありますので、これを改め、各週最初の不就労日については失業保険金を支給しないこととし、制度の改善をはかったところであります。 また、公共事業等に就労する日雇い労働者の場合に見られるように、予算年度の切りかえ期、積雪期等年間一定の時期に三カ月ないし四カ月にわたって、就労機会が少なくなる者に対して、その期間失業保険金の支給を受けることができるようにするため、新たに、日雇失業保険の給付の特例制度を設けることといたしました。 第四に、失業者多発地域で給付延長措置の適用を受けている受給資格者が、労働力需要地域へ移転して求職活動を行なう場合にも、給付延長措置の適用を受けられることとしたこと、就職促進措置の拡充に伴い給付制限事由を整備したこと等所要の整備をいたしております。 以上のほか、本改正案の附則におきまして、激甚(じん)災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正し、激甚災害による事業の休廃止に伴い被保険者が休業した場合、その休業を失業とみなして失業保険金を支給する措置を決定できることとするとともに、その他関係法律の条文につき所要の整備をいたしております。 以上が失業保険法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手) ————◇————— 失業保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○副議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して、質疑の通告があります。これを許します。田邊誠君。 〔田邊誠君登壇〕
○田邊誠君 私は、ただいま政府より提案説明のありました失業保険法の一部を改正する法律案について、日本社会党を代表し、政府関係大臣に対して質問をいたしたいと存じます。 改正案の具体的内容の質問に入る前にまずもってお伺いしたいことは、失業保険制度を一つの柱としているわが国の失業対策、さらにはその基本となるべき雇用政策に対する政府の態度についてであります。なぜならば、現在わが国の政治的社会的重大課題たる失業問題の解決は、雇用政策の推進以外には真に有効なる方法はあり得ないからでありまして、失業保険制度は、いわばこれを側面からとらえ、短期的失業者に対して生活保障を与えるという補完的意味を持つものであります。従って、長期的要素を帯びる失業を含めて、すべての失業問題の根本的解決の道は、あくまでも完全雇用政策の推進以外にはあり得ないと確信するからであります。(拍手) 質問の第一は、わが国の雇用の現状に対する政府の認識の不足と、これから来る今後の雇用問題に対処する政府の総合的施策の欠除を根本から改むべきであるという点についてであります。最近の雇用失業情勢について、ただいまの提案説明によれば、経済の高度成長に伴い、全般的に著しい改善を示しているというきわめて楽観的な見方でありますが、現実の雇用状態は決してかかる楽観を許さないものがあることを知らなければなりません。すなわち、近年わが国の人口の増加は逓減の方向にありますが、十五才以上の生産年令人口はここ当分年平均百三十万人に達する純増加を示しており、総理府の最も最近の統計によれば、三十六年十一月現在における生産人口に対する雇用労働力の割合は六九%であったのに比べ、三十七年同期は六七%と雇用率は減少しているのであり、その結果、失業保険の受給者人員は三十六年十月に三十万人であったものが、一年後の三十七年同期には四十二万人にも達しており、また、失業率も同期に一・八%から二・六%にまで増大しているのを見るとき、量的な面における雇用問題の現状は、政府の見るごとく改善の方向をたどっているとは断じて言い得ないのであります。(拍手) さらに、高度経済成長の過熱からくる景気調整下においては、企業合理化、貿易自由化のあらしの中で石炭鉱業、金属鉱業の大量の離職者発生は言うに及ばず、全産業にわたって、首切り、新規採用停止、高度成長過程で無理に引きとめておいた中高年令層、女子労働者への離職勧告が続出してくることは論を待たないところであり、経済企画庁の行なった景気調整下の労働実態調査報告によれば、三十七年七月現在で常用工の解雇を実施または予定している企業は全体の一二・一%に達し、臨時工については実に三八・三%の企業に及ぶと発表しているのであります。従って、雇用の前途は一そう容易でないといわなければなりません。 政府は、この事態を直視し、雇用政策に対する国民の不安と政府に対する不信感を除くため、雇用基盤拡大と雇用問題解決を第一義に置いた現実的経済発展政策を樹立するとともに、完全雇用への長期的構想を固め、国民の前にこれを示すべきではないかと思うのでありまして、これに対する政府の所信を承りたいのであります。(拍手) 第二にお伺いしたいことは、雇用失業情勢における質的変革についてであります。政府発表によれば、昨年十一月における労働力人口四千六百四十八万人のうち完全失業者はわずかに三十四万人であり、他はすべて就業していることになっているのでありますけれども、就業者と見られるものの中には、所得、働く時間、仕事の継続性、就業の安定度等から見て、不完全就業者、すなわち働く意欲を持ちながらも正常な就業機会を与えられず、やむなく平均水準をはるかに下回る条件に甘んじて仕事についているものが、完全失業者の十倍前後存在するといわれているのであります。政府の厚生白書に示す通り、標準四人世帯で二万円以下の所得のものが四分の一以上を占めており、また、世帯主が家計収入に占める割合は、欧米に比べてはるかに低いという、一家総ぐるみ、一家総労働の中でようやく生計を維持している現状において、低所得者が多数就業している形が労働市場における供給過剰の状態を高め、この状態がまた不完全就業を拡大するという悪循環を生んでいるのでありまして、これが社会的緊張と不安を促進する有力な要因とならざるを得ないのであります。(拍手)この就業構造の二重性が、経済変動に伴い、転落的な労働移動と結びつくことによって、近代的な雇用失業対策の効果は無に帰せられつつあるのであります。この就業構造における著しいひずみを是正するために、経済二重構造の底辺にあって劣悪な労働条件下に苦しむ低所得労働者に対し、全国一律最低賃金制の確立、同一労働同一賃金への賃金体系の改善、労働時間の短縮、特に中高年令層の失業と再雇用対策の樹立等の諸施策を講ずる中で、近代的な雇用政策を緊急に確立することが要請せられるのでありまするけれども、政府にはたしてこれが基本的対策がありやいなや、政府の明確な態度をお示し願いたいのであります。(拍手) 以上のような基本的観点に立って、次に改正案の主要な内容について所管大臣に対しそれぞれお尋ねいたします。 その第一は、本改正案の重要な柱の一つである失業保険金の最高、最低日額の引き上げ及び扶養加算制度の新設についてであります。現在の資本主義体制下に発生する失業という現象は、労働者自身の能力、勤勉、技術の差等によるものはきわめて少なく、その大部分が大資本中心の経済発展過程における景気変動等の社会的、経済的要因と政治上の政策の転換、失敗によるものでありますだけに、失業保険金は従来の保険主義から次第に脱却して、失業期間の生活保障を行なう建前が貫けるよう現実に即応したものに改定されるべきであります。しかるに、労働省が昨年十一月中央職業安定審議会に諮問した改正原案は、保険金を最高千円に引き上げる内容であったものが、国会提出のまぎわに八百六十円の値下げ案となったことは、きわめて判断に苦しむものがあり、物価値上がりは放置するけれども、物価高騰で生活苦にあえぐ失業者に対するわずかな保険金引き上げは途中で政治的に抑制するという冷酷な態度を改め、現在の賃金水準の向上、消費物価の引き続く高騰と見合って、失業保険金日額の基準は、現行賃金の六〇%を八〇%に改め、少なくとも最高日額は職安審議会の答申通り千円に引き上げるとともに、扶養加算の単価についても、同様答申通り一律二十円を両親まで含めて支給するよう改正すべきであると思いまするけれども、これに対する政府の考え方を明らかにしてもらいたいのであります。(拍手) 第二点は、国庫負担率の引き上げについてであります。今回の改正案によれば、日雇失業保険については、国庫負担率を現行四分の一から三分の一に改めることになっておりまするけれども、今日の失業は政府の施策の貧困と誤りに起因するものがほとんどであることから見ても、失業期間中の生活の安定と労働力の保全をはかることは、まさに為政者の責任に帰せらるべきであるとの考え方に立って、一般失業保険についても、昭和三十五年、現行法に負担率引き下げの改悪を行なうまで実施しておった国庫負担率原則三分の一に復元すべきであると思いますけれども、その考え方があるかないか、お聞かせいただきたいいのであります。(拍手) 第三の質問は、保険料率の弾力的変更に関するものであります。失業保険特別会計の内容が改善されつつあるといたしまするならば、このことは保険当事者の負担の結果でありますから、その一部を保険料率引き下げ等に充てることは、理論上当然のように見えますけれども、反面、積立金が改正案に定める適正規模を下回った場合、保険料率を引き上げることも含まれ、これは保険数理に形式的にこだわっている結果であり、現在、国家政策的度合いの強くなっている本制度上から見て、決して好ましい姿ではないのでありまして、財政的余剰金は、なるべく保険金引き上げに充当することを主たる目標とすべきであり、不況の時期に現われる積立金不足の事態に対しては、あくまで国庫負担の増額をもって切り抜けべきであると判断しますけれども、これに対する所管大臣の基本方針をお示し願いたいと存じます。(拍手) さらに、第四にお聞きしたいことは、本改正案には、被保険者期間の通算措置、傷病期間中における保険給付、失業多発地域や激甚災害時における特例等、不完全ながら一応改善と思考される部分がある反面、明らかに危険と思われる内容が含まれている点であります。たとえば、転職または職業訓練に対し、公共職業安定所の指示に従わなかった場合、失業保険金を一カ月支給しない現行法の規制を拡大し、窓口職員の認定によっても、随時停止ができるような工合に改正しようとすることは、事実上、憲法に保障された職業選択の自由を奪うことになり、職安審議会も、職権拡大解釈による耐用を戒めているのであります。このような制限規定を撤廃する意思をお持ちであるかどうか、明らかにしていただきたいのであります。(拍手) 第五として、今次改正案に盛られていない改善を要する問題点が数多く存在する中で、失業保険法の根本的改革方針として、特に政府の再考を求めたい二点について申し述べます。 その一つは、失業保険の受給資格者は、再就職までの待期労働者であることから、失業保険の給付期間は、失業の全期間とすることが本来の失業保険制度の趣旨であり、特に中高年令層に最も特徴的なように、再就職がますます困難度を増大しつつある現在、給付期間は、現行一年から少なくとも二年まで延長すべきではないかということであります。 その二つ目は、失業者の発生の割合が、零細企業に一そう片寄ってきていることからして、被保険者たり得る適用事業所五人以上の限界線をはずして、この際五人未満の事業所についても、原則として適用することとし、当然これと関連して、労働者災害補償保険法の改正も行ない、また、健康保険法の強制適用事業所も五人未満に及ぶよう、抜本的改正をはかるべき時期にきていると思いますけれども、労働、厚生各大臣の所見を承りたいのであります。(拍手) 最後にお伺いしたい点は、わが国失業保険制度の国際的立場についてであります。ILOは、すでに一九三四年六月、総会において、失業者に対する救済制度に関し、「非任意的失業者に対し給付又は手当を確保する条約」を採択すると同時に、「失業保険及失業者の為の各種の扶助に関する勧告」を決定して、加盟各国が失業者扶助制度の確立を急ぐよう要請しておるのであります。イギリス、フランス、イタリア等主要諸国が批准しているこの四十四号条約を、わが国も早期に批准すべきであると考えるが、政府にその決意あれば、との際表明願いたいのであります。 以上質問して参りました諸点によって明らかな通り、雇用失業問題のより高い解決を迫られている今日、政府は、当面を糊塗する部分的改正案から、さらに竿頭一歩を進めて、抜本的改正をはかるべきことを強く要求して、私の質問を終わる次第であります。(拍手) 〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) 政府は、雇用問題につきまして、長期的な政策を確立すべきであるという御意見については、同感であります。政府といたしましては、所得倍増政策に伴います雇用の長期的な見通しを基礎といたしまして、鋭意雇用対策の確立並びに労働条件の改善を推進いたしつつある次第でございます。 次に、最高日額、最低日領、扶養加算額の引き上げ等についての御意見でございまするが、政府といたしましては、昭和三十六年の改正以後今日までの賃金の上昇率並びに現下の賃金実情から考えまして、さしあたりこの程度をもって適当であると考えておる次第でございます。 次に、保険料率の弾力的変更規定の問題でございますが、失業保険制度においては、好況期における剰余金を積立金として保有し、これによって、不況期における給付の増加を、料率の引き上げを行なわずにまかない得るよう運用をいたそうという観点から、この規定を設けたのでございます。保険金の問題につきましては、今後とも実情に応じて十分検討を加えたいと思います。 それから、給付期間を延長してはという御意見でございますが、これにつきましては、保険料率等の関係もございまするので、将来の問題として検討を続けたいと存じます。 それから、五人未満の事業所に対する強制適用の問題でございますが、政府といたしましては、でき得る限り早い機会に強制適用を行ない得るよう、その基盤を醸成するように努力をいたしたいと存じます。(拍手) 〔国務大臣西村英一君登壇〕
○国務大臣(西村英一君) 私に対する御質問も、従業員五人未満の事業所に健康保険法を強制適用したらどうかというお話でございまするが、御承知の通り、従業員五人未満といえば、一般的にきわめて零細企業でありますから、経営も不安定でありますし、また、従業員の移動も非常に多いのでございます。そういうような企業を単位といたしまして保険料を徴収する、被保険者を把握するということは非常に困難でありますから、現在の健康保険法ではそれを適用していないのでございます。しかしながら、十分検討はいたしたいと思っております。しかし、今の法律でも任意包括制度がありまして、希望すればやはり健康保険に入り得るのでありまして、現在でもこの制度を活用いたしまして——現在の状況で四万事業所、十一万人の人がやはり健康保険に入っておりますし、また三十八年度におきましても、この制度を活用いたしましてなるべく加入させたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
○副議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。 ————◇————— 海外移住事業団法案(内閣提出)の趣旨説明
○副議長(原健三郎君) 次に、内閣提出、海外移住事業団法案の趣旨の説明を求めます。外務大臣大平正芳君。 〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 海外移住事業団法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 政府は、従来から、海外移住の重要性にかんがみ、戦後昭和二十七年に海外移住が再開されて以来、ボリビア、パラグァイ、ブラジル、アルゼンチンの諸国との間に移住協定を締結するなど、木邦人の海外移住の道を広げることに努めるとともに、諸種の総合的な施策を行ない、移住者の援助、指導その他海外移住の振興、助成に努めて参りました結果、昨年末までに政府から渡航費貸付を受けて渡航した移住者は、ブラジルに約四万四千人、パラグァイに六千人、ボリビアに一千五百人等、合計約五万四千人に達しました。 この間においてわが国の経済は大幅に成長し、都市はもちろん、農村においても労働力の不足を来たし、他方、移住者を受け入れる諸国においては、 海外移住事業団法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○副議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して、質疑の通告があります。これを許します。西村関一君。 〔西村関一君登壇〕
○西村関一君 私は、ただいま提案趣旨説明のありました海外移住事業団法案について、政府に対し、若干の質問をしようとするものであります。 本法案は、移住に対する新しい考え方の確立と移住行政の刷新を期するため、移住の実務機関である日本海外移住振興株式会社と日本海外協会連合会の業務を統合し、特殊法人海外移住事業団を設立しようとするものでありまして、従来ややもすればばらばらなきらいのあった移住行政を一元化しようとする試みの一つの現われでありまして、その趣旨においては必ずしも反対するものではありません。 しかしながら、このことをいたします前に、政府として、まず手がけなければならぬ大切なことがあると思うのであります。それは、国の移住事業に対する基本的な方針を打ち立てること、具体的に言えば、海外移住基本法もしくは海外移住振興法の制定であり、また、海外移住者に対する援護を規定する援護法をあわせ国会に提出すべきであり、何ゆえ、車の両輪のような一方をあと回しにし、本法案のみを切り離して提案せられたのでありますか、その事情なり理由なりを率直に承りたいと存じます。 従来、政府には一貫した移住政策がなかったし、その政策をゆり動かしていくような国の一貫した信念と気魄においても、欠くるところがあったと思うのであります。またさらに、住みなれた郷土を捨て、海外の新しい天地を開発し、あらゆる困難を克服し、異境の地に定着しようとする人々に対し、もっと深い思いやりのある指導と援助が必要なのではなかったでしょうか。(拍手)実務機関の整備統合を考える前に、過去の移民事業の評価と反省の上に、新しい時代に即応した国際的視野に立つ国家百年の大計が打ち立てられなければならぬと思うのでありますが、大臣の御所見を承りたいと存じます。 今さら私が申すまでもなく、戦後海外移住のために開かれた門は、南米ブラジル移民五十年の歴史の上に立てられたものであります。戦前ブラジルに渡航した移民十八万九千人は、今や二世、三世を含めて四十万人以上といわれています。しかし、戦前棄民といわれ、顧みられもしなかった南米移民が、蒼氓の中から築き上げたいしずえがあったればこそ、戦後移住の再開ができたのであります。在伯日本人の今日の基礎には、これらの先駆着たちの尊い血と汗が流されているのであります。そしてその陰には、中途にして倒れた七万人の人々の墓標が静かに立ち並んでいるのであります。また、戦後在伯日本人、松原、辻両氏が、いわゆる民間外交によって、それぞれ五千家族、四千家族の移民を入れることについてブラジル政府の特別許可を得られたことも忘れることができません。そして、そのことが契機となって、昭和二十七年十二月には、戦後第一回ブラジル移民五十四人が、勇躍神戸出帆のさんとす丸でアマゾンへ向かったのであります。それから十年余、現在までにすでに五万四千人の移民がブラジルを初め中南米諸国に送り出されるに至ったのであります。政府は、このたびの法案作成にあたり、移住審議会の意見を徴したことはもちろんでありますが、現地同胞の意見を聞いて参考にすることが肝要であると思いますが、政府はそのような配慮をせられたことがあるかどうかをお伺いいたしたいと存じます。 次に、移住行政の主務官庁の問題であります。二十九年七月二十日の閣議決定により、移住に関する主務官庁は外務省と定められましたが、同時に農林、労働、通産の各省も関係ある行政事務を分担することに定められました。その間、外務、農林両省の間にいろいろないきさつがありまして、巷間伝えられまするような外務、農林百年戦争といわれるような激しい対立が続いておるということにつきましても、国民はひとしく心配をいたしておるのであります。移住行政の主務官庁につきましての審議会の意見は、各省共管説の東畑会長、共管または総理府説一名、決定延期説一名、他の十三名の委員は外務持説で、本法案におきましては多数の意見に従い、外務省が監督することに定められているのであります。 それにつきましても、従来とかくの問題のあった関係各省間の調整、特に外務、農林両省間の調整がどのようになされて参りましたか。また、これに関連して、農林省は三十八年度予算において海協連に対する補助金を一年分計上しておりますが、事業団が七月から発足した場合、この補助金はどのように処理されるのでありましょうか。農林省はあたかもこの事業団の発足を無視しているかのように感ぜられますが、農林大臣の御所見を承りたいと存じます。 次に、本法案では、さきにも融れたように、事業団の監督は外務大臣のみとなっておりますが、現在までの移住者は、形式的には九九%が農業移住者となっており、また、実際的にも、開拓自営と雇用労働の違いはありましても、農業に従事する移民が圧倒的に多数を占めており、今後も当分この傾向は続くものと見なさなければなりません。このような農業者の移住に関し最大の関心と技術を持っている農林省が権限的に参加できないで、外交を主とし、移住行政、特に農業移住に不なれな外務省の考え方によって農業移住者の運命が支配されるということになります。また、海外における移住事業をやる全拓連を、国内において宣伝啓蒙、募集の実際の仕事をやって参りました地方海協とともに、今回の統合からはずしておるのであります。また、農林省が事業団と別個に農協等が行なう移住事業を指導するためには、事業団から農林省が直接報告がとれるようにしなければならぬと思いますが、農林大臣は原案のままでよろしいとお考えになっておられるでしょうか。その点につきましてもあわせ承りたいと存じます。 どうもこのたびの法案は、移住行政の一元化を急ぐの余り、外務省が独走するきらいがあり、現状にそぐわない無理があるように思われますが、いかがなものでしょうか。 また、従来、建設省は産業開発青年隊の送り出しを担当し、通産省は企業移民のあっせんを、労働省は農業以外の雇用移民の登録、あっせん、技術補導及び募集を担当し、また、民間移住あっせん業者の指導監督に当たって参りました。運輸省は移民輸送の面、大蔵省は財政、金融、為替の面を通じ海外移住行政機構と密接な関連を持っております。ところが、本法案の趣旨によりますれば、「移住者の援助及び指導その他海外移住の振興に必要な業務を国の内外を通じ一貫して効率的に行なうことを目的とする。」とありますから、外務大臣のみがこれを監督し、命令し、指示し、業務方法書を受けるようになっておる。ところが、他の関係大臣にはこのような権限がないばかりか、従来の各省間の了解事項の線よりもずっと後退しているのであります。わずかに雑則の中の第四十一条に、外務大臣は基本方針を定めるときにあらかじめ関係者大臣に協議しなければならないと記されてあるのみでございます。これで、各省設置法の趣旨により、その定められた海外移住に関する行政を円満に行なえるとお考えになりますか。関係各大臣、特に労働、通産各大臣の御所見を承りたいと存じます。 最後に、総理にお伺いしたいのですが、総理がおいでになりませんから、主管大臣にお伺いをいたしますが、どんなに機構を変えてみましても、結局は移住行政の成功、不成功は、特にこれに携わる人間の問題に帰着すると思うのであります。最優秀な日本人に対し、日本と事情を異にする海外における創造的活動の場を与え、国民の隠されている優秀な能力を、開発を待ち望んでおる相手国において、みごとに開花させ、結実させ、世界の福祉と平和に貢献することが、海外移住政策の基礎理念であるといたしますならば、このような国家百年の大事業をなし遂げるためには、関係者各人は、お互いに偏見を去り、後輩は長年の有能な経験者を尊敬し、これを大切にし、先輩は少壮気鋭の使命感に燃える人材を抜擢し、各省間の人事の交流を行ない、融和と協力の体制を築き上げることが先決問題であると思いますが、いかがでしょうか。(拍手) 昨年のドミニカ移民の失敗のごときは、第四十回国会におきましても問題にされ、三十七年度移民の激減の一つの原因となったといわれておりますが、その国会論議の中におきましても、政府には、一向に災いを転じて幸いにしようとする反省と前向きの姿勢が認められず、いたずらにこれを厄介者扱いにし、責任のなすり合いをしたにすきなかったという苦々しい印象を国民に与えたことは、まことに残念なことでございます。(拍手)政府は、これらの夢破れてむなしく恥をさらして帰国した不運な百家族以上の人々に対して、当時の国会答弁のごとく、誠意をもってその後の具体的な援護の手をどのような形で差し伸べなさったか、この際国民の前に関係各大臣より責任ある御答弁を願いたいと存じます。(拍手) 私はもう一度申し上げますが、移民のことは、海外移住者の開拓者精神を鼓舞するだけでなしに、また、移住協定を結ぶとか、何人海外へ送り出したからよいというだけのものではないと思います。先々までも海外に移住するところの人々の世話をし、一人一人がりっぱに定着できるまであらゆる援助と激励を与えていくことが肝要であると存じます。これは、今までの外交官の特権意識ではできません。移民とともにあり、移民とともに悩み、移民とともに生き、移民とともに死ぬるという気がまえがなければならぬと存じます。わが国のすぐれた先達の一人新渡戸稲造博士も、その著書の中で、「植民政策を植民行政と混同することは誤謬である。」と喝破しておられます。外務省が、ただ小手先の行政面だけで問題を糊塗し、雄大な世界観に基づく移住政策の根本理念を忘れるならば、移住事業に適材を得ることはむずかしく、わが国海外移住の現在の劣勢を挽回することができないのみか、世界の進運にもおくれ、千載に悔いを残すことになりましょう。あえて外務大臣、政府当局に対して御所信を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) ただいま移住ないし移住行政に対して、深い情熱を傾けられた御批判と御激励をいただきまして厚くお礼を申し上げます。 第一に、事業団法だけでなくて、移住全体についての立法措置のお尋ねでございますが、海外移住法は、今回の答申の趣旨に沿いまして今整備中でございまして、次期国会には提出いたすつもりでございます。 それから、従来の移住政策に対する御批判ごもっともでございまして、審議会の答申も、今西村さんが言われたような趣旨、方向に答申がなされておりますので、その線に沿いまして善処いたしたいと思っております。 それからブラジル移民に関連いたしまして、五十年の業績に対する評価が述べられておりますが、今回の立法にあたりましても、また、今後われわれが計画いたしておりまする立法におきましても、仰せのように現地同胞の意見を十分尊重いたしたいと思います。 それから農林省と外務省の関係でございますが、御指摘のように、いろいろ問題があったわけでございますが、農林大臣との話し合いによりまして、農協等民間団体の活動は、依然農林省がその設置法に基づいて御監督されるということで話がついたわけでございます。 外務省と他の関係各省との関係でございまするが、私どもの根本の考え方は、多元的に事業団を縛るということは、決してきびきびした移住行政の展開が期待できませんので、外務省も実務から手を引きまして、この事業団の責任において一貫した事業をやっていただくというようにいたしたいと思っておるわけでございまして、外務省は、各省と協力して基本方針をきめ、基本政策をきめるということにおいて努力いたしますが、きまりましたことの実行につきましては、あげて事業団の責任においてやっていただくということが、今回の立法の基本の考え方でございまして、今後関係各省の間にいざこざはないと思います。 それから、もちろん人事が一番大事だという仰せでございまして、仰せのように融和、協力いたしまして実をあげて参りますために、人事の交流等につきましては、所管にとらわれず勇敢に適材をお招きいたしまして事業の遂行に資したいと考えております。(拍手) 〔「ドミニカはどうした」と呼ぶ者あり〕 〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 大へん失礼いたしました。 ドミニカのその後の対策でございますが、約二十七家族、五百九十五名の方に対しましては、各省との協力を得まして、海外よりの一般引揚者に準ずる援護措置並びに生活保護法の適用、それから就職、公営住宅のあっせん等はほぼ解決いたしております。 それから、ドミニカより直接ドミニカ以外の地に転住されます方に対しましては、渡航費の貸付、それから特別営農資金の貸付等を行ないまして、転住先の営農基盤が確立できるように配慮いたして、今年の三月までに七十家族三百七十六名が南米各地に転住を完了いたしております。 それからドミニカに現在定着されておる方々に対しましては、帰国者並びに転住者が従来持っておりました土地をドミニカ政府より追加配分されまして、営農の基盤が拡大いたしまして、米国の経済援助等もございまして、ドミニカ経済の事情はその後好転を見、第一次産品の価格も高値を呼んでおりまして、邦人移住者の生計がだんだんと豊かになってきております。これを裏書きするものとして、最近、移住者より、日本国内の家族または近親者の呼び寄せが続いて、一段と明るさを増してきておることを御報告申し上げます。(拍手) 〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。 通産省といたしましては、従来、この問題については、企業移民、技術移民という観点から問題に当たってきておるのでありますが、今後は低開発国との経済協力の問題がございます。それからまた、国内経済機構の変革に伴う移民の必要性というものも出てきておるのでありますから、こういう点を十分考慮いたしまして、外務省や事業団と連絡をとりつつ——ただいま西村さんから、この問題に対する熱誠あふるる御意見の開陳がありましたが、その御趣旨を生かすように、外務省と十分連絡をとって参る所存であります。(拍手) 〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) 海外移住のあっせんにつきましては、労働省としても従来日本海外協会連合会の行なう移住あっせん業務に協力してきたところでありますが、今後は積極的に海外移住事業団の業務に協力するほか、公共職業安定所においても海外移住のあっせん業務を推進して参りたいと思います。 そこで、事業団の事業の管轄の問題でございまするが、労働省としましては、関係事項につきましては、外務省と緊密な連携を保ち、外務省から事前に十分協議を受けることになっておりますので、事務の円滑な運営を阻害される心配はないと考えます。(拍手) 〔政府委員津島文治君登壇〕
○政府委員(津島文治君) お答え申し上げます。 海外移住の大部分を占めておるものは、ただいまお話の通り、農業に関する移民でございます。従いまして、この農業移住の振興につきましては、今後一そうの努力を続けて参ることはもちろんでありますが、これがためには、海外移住実務の充実をはからなければなりません。そのために、現在の日本海外協会連合会及び移住振興会社を一本化して海外移住事業団を設立いたすことにいたしたのでありますが、事業団に対しましては、その十分な創意と濶達な活動を行なわせるためには、これに対する監督はできるだけ簡素化する必要がございますので、外務大臣におまかせすることにいたしたのであります。しかし、海外移住政策全般につきましては、農林省といたしましては、農業移住の促進と農業移住者保護の立場から、外務大臣を初め関係者大臣と密接に連結協議をいたしまして、その万全を期するとともに、また、事業団運営の基本方針につきましても、海外移住事業団法により、外務大臣の協議に応ずるほか、外務省との実質的協力体制を確保することにいたしておるのであります。 さらにまた、農協等が自主的に行なう移民事業につきましては、その創意と熱意とを尊重いたしまして、その活動を支援、助長することにいたしておるのであります。(拍手)
○副議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○副議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十五分散会 ————◇————— 出席国務大臣 法 務 大 臣 中垣 國男君 外 務 大 臣 大平 正芳君 文 部 大 臣 荒木萬壽夫君 厚 生 大 臣 西村 英一君 農 林 大 臣 重政 誠之君 通商産業大臣 福田 一君 運 輸 大 臣 綾部健太郎君 郵 政 大 臣 小沢久太郎君 労 働 大 臣 大橋 武夫君 建 設 大 臣 河野 一郎君 自 治 大 臣 篠田 弘作君 国 務 大 臣 川島正次郎君 出席政府委員 公正取引委員会 委員長 佐藤 基君 防衛政務次官 生田 宏一君 外務政務次官 飯塚 定輔君 外務省移住局長 高木 廣一君 大蔵政務次官 原田 憲君 農林政務次官 津島 文治君 農林大臣官房長 林田悠紀夫君 運輸省船舶局長 藤野 淳君 ————◇—————