法務委員会 第29号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/07/04
会議録
○高橋委員長 これより会議を開きます。 商業登記法案及び商業登記法の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますのでこれを許します。上村千一郎君。
○上村委員 商業登記法並びにこれが関連法案につきまして簡単に要点のみお尋ねをいたしたいと思います。 近年の日本の経済の急角度の発展に伴いまして、企業の数は飛躍的に増加をいたしております。なお、取引範囲とかあるいは取引高、こういうものが非常に拡大増加をいたしておりますのに比例いたしまして、取引の種類はまさに複雑化をいたしてまいり、それに関連して迅速ということも要請をされ、これが公示制度であるところの登記というものの実態に応じましたところの整備、改正というようなことが広く要望されておるということは事実でございまして、これに関連しまして政府が今回の改正案をお出しになられたということにつきましては、きわめて時宜に適したものだ、こう思うわけでございます。 最近における商業登記の事件数を、法務省提出の統計資料で拝見をすると、昭和三十六年度と昭和十二年度の比較で見ますと、商業登記申請件数は四・七倍に増加をいたしております。また謄本、抄本及び各種証明の申請でも二十一倍の増加の傾向を持っておるわけでございます。そういう際におきまして、この事務の増加に対応した登記所の事務処理の合理化とか、あるいは職員の補充、施設の充実等に関連をいたしまして、当局としてどういう対策を持っておるのか、簡明にお答えを承りたいと思います。
○平賀政府委員 登記所の事務量は、ただいま仰せのとおり非常な増加をいたしております。法務省におきましてその対策といたしまして、これまで重点を注いでまいりました若干の点について申し上げますと、第一は登記所の職員の増員でございます。これにつきましてはなかなか実現が困難でありましたが、ここ数年来若干の増員が認められてまいっております。現に昭和三十八年度におきましては二百名の増員が認められる予定になっております。 それから法務省としましては、ただ単に増員だけにたよるわけにまいらないわけでございますので、ただいま仰せのとおり合理化の措置もとってまいったのでございます。制度の改正といたしましては、数年前に登記簿のバインダー化ということを行ないまして、現在では不動産登記簿と土地台帳、家屋台帳の一元化ということを十年計画で行なっております。これは合理化のための制度の大きな改革でございます。 それからなお、具体的な事務処理を能率化いたしますために、新しい事務機械を採用いたしまして、たとえば新式の復写機を採用する、あるいはスクーターを購入するとか、その他新しい事務用機械を入れまして、事務の合理化をはかっております。今後もこれらの措置を強力に推し進めまして、事務処理が渋滞することがないように努力したいと考えております。
○上村委員 御方針はけっこうでございまするが、この事務量の増大というものは飛躍的でございます。これが対策につきまして迅速に適切にひとつ御配慮をいたされることを希望いたしておく次第であります。 次に、今回の改正点の中で重要な論点になっておりますのは、商号の登記の関連だと思います。実際ここで問題になってまいりますのは、具体的にたとえば株式会社の登記がされておる、そうしてその登記されておる株式会社が、企業を現実に行なっておるという会社でございますれば、この商号を登記された場合、あるいは使用しておる場合に、これが法的保護を加えるということはけっこうだと思うわけでございまするが、現在の実情としましては、相当数、登記されておる会社であって、現実に企業を遂行していないいわゆる休眠会社があるであろうと思うのであります。そういたしますと、現行法におきましても、現実に商号を二年間使用しない場合におきましては、その商号を廃止したものとみなすというような、いわば救済規定はございまするけれども、これだけでは十分でないという場合もございましょう。それで現在いわゆる休眠会社と思われるものはどのくらいあるであろうか、要するに登記されておって、現実に営業をやっていないというようなものについてはどのくらいと御推定をされておるのであろうかということについてお尋ねをいたしておきたいと思います。
○平賀政府委員 いまお尋ねの点につきましては、お手元にございまする商業登記法制定に関する資料の二八五ページに、登記されておりまする会社の総数が、昨年の八月三十一日現在で調査したものが出ております。総数が百十七万五千、非常に大きな数であります。一番数の多い株式会社を例にとりますと、五十六万八千という数字が出ておるのでございますが、ただいま仰せの、登記はされておるけれども、実際は営業活動をしていないという会社がかなりあるわけでございます。ある登記所におきまして、株式会社につきまして調査をいたしましたところ、登記されておる会社の三分の一が先ほどお話しの休眠会社であるというような実情でございます。それから国税のほうで調べました株式会社数は三十一万ということになっております。でありますから、若干調査の時点がずれておりまするけれども、約二十万前位の会社というものが営業活動をしていない。したがって法人税の対象になっていないというような実情でございます。
○上村委員 ただいまの御説明でもわかりまするように、非常に多くの数に上るいわゆる休眠会社がある。これべ登記されておる場合には、その登記由れた商号というものは、いわゆる商号の専用権といたしまして法的な保護をこうむっておる。逆に言いますれば、それによって第三者が不当に権利を傷害されるというような場合も考えられるわけでありまして、これが措置ということは十分に考えなければならない。それで商法第三十条に商号廃止の規定がございます。また同三十一条に商号登記の抹消請求の規定があります。これはいわゆる休眠会社のようた場合におきましては、商号使用に関する不合理性をいわば除去していくというような趣旨のものでございましょうが、この二条が適用された件数というものは一体どのくらいあるのかということをお尋ねしたい。
○平賀政府委員 ただいま会社の商号の点につきまして、商法第三十条の商号廃止の規定、それから三十一条の商号抹消請求の規定の適用件数がどのくらいあるかというお尋ねでございましたが、実はこの三十条と三十一条の適用をされた件数がどのくらいあるかということの細目の統計はとっておりません関係で、実は統計資料の持ち合わせがないのでございます。ただ三十条の関係は、商号登記をした者がその商号を廃止した場合のことでございますので、これは若干例があると思います。この三十一条の関係は、利害関係人が商号の抹消の請求をする関係でございまして、この例はかりにありましてもきわめて少ないのではなかろうかというふうに私ども想像いたしております。
○上村委員 そういたしますと、これが対策というものにつきましては、いわば慎重な処置が必要であろう、こう思うわけであります。 次に、商法十九条商号登記の効力の規定でございますが、それと本法案の第二十七条の類似商号登記の禁止規定、ともに同趣旨の規定であろうと思いまするが、類似の判定というものは登記所によって異なる場合があろうかと思うのでございますが、民事局といたしましてはどういうふうな指導をいたしておるのか、お尋ねいたしておきたいと思います。
○平賀政府委員 商法の十九条と本法案の二十七条は、なるほど文理上から申しますと多少違うようでございますが、趣旨は同じでございます。この点につきましては、できるだけ登記所の取り扱いというものを統一する必要がございますので、明らかに類似であるということが明瞭なものにつきましては、これは登記所限りで処置する例が多うございますけれども、少しでも疑問がございますれば、本省のほうに伺いを立てさせまして、こちらにおきまして従来の先例に基づきまして、これは類似商号である、これはそうでないということで登記所に指示をいたしております。それによりまして統一をはかっておる次第でございます。
○上村委員 今度の法案につきまして注目すべき点としましては、商号の仮登記の規定を設けておるということでございまして、これは三十五条の三項において予定期間を三年としておりますが、この三年といたしましたところの根拠につきましてお尋ねいたしておきたいと思います。
○平賀政府委員 会社が本店を移転します場合には、もちろん定款の変更が必要であるわけでありますが、定款の変更というのは実は最後の手続なのでございまして、その前に本店の事務所を移転すべき土地を物色し、その土地を入手しというようないろいろの実際上の手続があるわけでございまして、そのためには相当な期間が要るということでございます。そういう関係で三年も準備期間というものを置いておけば十分ではなかろうかということで、この三年という期間を設けた次第でございます。
○上村委員 と申しますのは、これはあまり長くしますと、あるいは不当に第三者の権利を拘束するというような結果にも相なる事例があるだろうと思います。その意味においてお尋ねいたしたわけでございます。 なお、三十五条の四項に仮登記の供託金の規定がございます。これは政令で定めることになっておりますが、どのくらいの額を予定いたしておるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
○平賀政府委員 この予定期間につきましては、ただいま御意見のとおり、これはあまりに長くなりますと、第三者を害する危険が多いわけでございます。しかし他方、実際に本店を移転するまでの手続というものには、ただいま申し上げましたような多大の期間が要りますので、一応三年といたしまして、ただ、この三年という予定期間はかなり長うございますので、乱用のおそれがないとは言えません。その関係で供託をすることが必要だということにしたのでございますが、ただいまの予定といたしましては、最高十万円ぐらいを予定いたしております。具体的に申し上げますと、たとえば予定期間を一年として定めて登記をすれば五万円、これが二年であれば八万円、最初から三年という予定期間をフルに使って申請してくるのであれば十万円、そういうふうにいたしたらどうであろうかということで政令の案を検討中でございます。
○上村委員 そうすると、金額の算定基準というものはこの予定期間の長短によるということであるのかどうか。なお、会社の資本金あるいは規模、そういうようなものも加味されるのかどうですか、この点をお尋ねしておきます。
○平賀政府委員 これは予定期間の長短に比例したらいかがかと考えております。商号の登記をいたしますと、商号専用権の生じます点は会社の資本の規模なんかの点には関係がございませんので、資本の大小というようなことは考えておりません。
○上村委員 次に、登記官の審査についてお尋ねをしておきたいと思います。登記官の審査権は旧法に規定をいたしまして、今回の法案において内容上、どんな差異が生じておるかお尋ねします。
○平賀政府委員 登記官の審査権につきましては、旧法も新法も実質におきましては異なったことはございません。登記官につきましては、実質審査権がない、あるいは形式審査権を有するのみであるというふうにいわれておりますが、その点につきましては、新法、旧法、全然相違がございません。
○上村委員 登記官の審査権につきましては学説上非常にいろいろ意見の分かれておる点でございますが、形式的審査権が登記官にはある、その場合におきまして、その書面、申請書を見て、直ちに内容が虚偽であるということが一目りょう然であるような場合におきまして、あるいは虚偽であるであろうということが容易に推察できるであろうというような場合におきましても、なおかつ審査をする権能は登記官にないというふうに御解釈されておるのかどうか、この点をお尋ねします。
○平賀政府委員 審査権につきましてはただいま仰せのとおりでございます。申請書並びにその添付書類によりまして、これを登記簿と対照いたしまして、申請の内容が真実であるかどうかを判断するだけでございます。その内容につきまして、これは疑問がありましても、さらに証拠調べなどしまして、あるいは書類を提出させるなどしまして審査することができないというたてまえでございます。そのたてまえは登記申請の却下理由に具体的にあらわれてくるわけでございます。この法案では第二十四条でございます。旧法でございますと非訟事件手続法の百千十一条でございます。規定が、新法片内容が非常に詳しくなっております分れども、実質は全く同じことでございます。
○上村委員 第二十四条第十号の実机上の却下事由の有無について、登記官にいかなる範囲の審査権があるか。ただいまの御説明によりますと、結局その形式が具備してさえおれば、たとえその内容が虚偽であろうと容易に推察される場合でも審査権がない、こういうように承っておいてよいのか、あらためてお尋ねしておきたい。
○平賀政府委員 ただいま仰せのとおりでございます。この登記すべき点について、「登記すべき事項につき無効又は取消しの原因がある」というようなことも、もっぱら申請書、その添付書類、それから登記簿を総合して判断してきめるだけでございます。実体的にはたしてあるかどうかということは審査しないというたてまえでございます。
○上村委員 この点はいろいろ問題が学者間には特にあるわけであります。もう一度念を押しておきますが、法務省のほうの御見解としましては、厳格なる形式主義をとる、こういうふうに承っておいてよいのでありますか、あらためてお尋ねをしておきます。
○平賀政府委員 仰せのとおりでございます。たとえば例を申し上げますと、先ほど商号の仮登記のことが出ましたので、たとえば会社が本店を移転するという場合には定款の変更が必要でございます。定款を変更するには株主の承認が必要でございます。したがいまして総会の議事録が添付書類として出るわけであります。この議事録を見ますと、たとえば定足数が満たされないというような記載になっておりますれば、この総会の決議は取り消し原因があるというように推定されるわけであります。そういうわけで提出されました申請書、添付書類、登記簿によりまして形式的に厳格に判断をするということなのでございます。
○上村委員 最後に一点だけお尋ねをいたしまして私の質問を終わりたいと思います。 百二十条に省令への委任の規定がございますが、登記の申請につきまして、この法案に定める添付書類以外のものを要求する場合があるのかどうか、お尋ねをしておきます。
○平賀政府委員 この百二十条の規定、添付書類につきましても法務省で定めることになっておりますが、この趣旨を申し上げますと、添付書類はできるだけ具体的にこの法律自体の中に書くというたてまえでございます。ただ商法の規定によりますと、定款の特別の定めによって法律で規定しておりますところの通常の手続とは違った手続をとることができる場合があるわけでございます。一例を申し上げますと、株主総会に出席することを要する株主の定足数につきまして、定款に別段の定めがあるときは、この法定の数よりも少ない数でもよろしい、そういう規定がございます。そういう場合には、総会の議事録だけでは添付書類としては不十分でございますので、やはり定款を出していただく必要があるわけでございます。そういう場合のことを考えまして、実は百二十条に添付書類も省令で特別の定めができることにいたしたわけでございます。主たるねらいは会社の定款を出させるのがねらいなのであります。そういう場合の定款というのは、いわば総会の議事録の足らざるところを補うための書類、法律で定めておりますところの添付書類のまたその添付書類というようなことの趣旨なのでございます。そういうきわめて例外の場合につきまして特例を設けようというわけでございまして、先ほど御質問のございました実質審査権を持たせるために、この法律の全然予定していないような添付書類を出させる、そういう趣旨では決してないわけでございます。
○上村委員 商業登記制度というものは、取引の安全かつ円滑を期するための基盤をつくるという意味におきまして、現在ますます重要性を加えておるわけであります。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、日本の経済というものが飛躍的な発展をいたしておる。そしてその企業の内容あるいはその規模その他が複雑かつ拡大し、また量としましても激増しておるというような事態でございますので、この時勢に応ずるような登記の実際の運用というものが必要であろうと思うわけであります。東京都内において、謄本、抄本、証明書等の交付につい三日以上要するというようなことを聞いておる。これははっきり調べたわけじゃございませんが、そういうような現状である場合において、これが経済界に及ぼす影響というものはきわめて大きい。なお、各地方においても、この登記事務のきわめて迅速に処理ができるということを熱望しておると思うのであります。そういう意味から、冒頭におきましてお話しになりましたところの職員の補充あるいは施設の充実、近代化ということを急速に措置されることを希望しまして、私の質問を終わります。
○高橋委員長 次に田中織之進君。
○田中(織)委員 関連して一、二伺いたいと思います。 ただいま上村さんが最後に要望された点について、もっと具体的に実は登記所の人員あるいは機構の整備の問題について伺いたいと思います。 これはやはり提案説明の中にも、登記をする者の利便をはかるということが最初に掲げられておるわけです。そういう点から見て、一つは商業登記以外の一般の登記事務と商業登記との関係を、やはり登記所において事務担当者、いわゆる登記官の事務分掌というようなことについても考えなければ、この商業登記制度の円滑なる運用ということにはならないのではないか、そういう点までお考えになっておるのかどうか。これらの点について、いま上村委員が特に最後に要望として述べられた点は、まだ本法が実施されるまでの準備期間があるわけです。大体それらのことについて具体的に構想をお持ちなのかどうか、まず伺いたい。
○平賀政府委員 登記所全般の事務運営を合理化して適正迅速に事務処理ができるようにしたいという点につきましては、先ほど不動産登記、商業登記全般を含めまして、増員でございますとか、事務機械の採用であるとかいうような点を申し上げましたが、ことに商業登記につきましては、この法律案の百二十条でもちまして登記簿の調整その他につきまして必要事項を法務省令で定めることにいたしておりますが、この法律の改正を機会にいたしまして、商業登記簿の様式を思い切った改革をいたしたいと考えておるわけでございます。これらは相当事務の合理化に役立つのではないか、そういう新しい様式を採用いたしたいと考えております。 それから登記の申請書につきましても合理化をはかりまして、申請人の負担の軽減をはかり、また登記所のほうにおきまして本登記の手続がスムーズに迅速にいくようにというふうに、申請書が合理的にできますようなそういう様式を考えたいと思っております。 なお、そのほかに、先ほども御質問がございましたが、現在東京都内の登記所におきまして、登記簿の閲覧をするとか、あるいは謄抄本の請求をするのに非常に時間がかかる、これは全く仰せのとおりであります。その主たる原因はどこにあるかと申し上げますと、この庁舎自体が非常に悪いのでございます。現在全国の登記所の中でも商業登記事件を一番たくさん扱っておりますのは、東京法務局の日本橋出張所でございます。この日本橋出張所の事件数を見ますと、昨年度は合計二百万件を実はこえておるのでございます。昭和十二年当時に比較しますと二十六倍の事務量になっております。この日本橋出張所の例をとりますと、庁舎が非常に悪うございまして、実は現在、従来の事務所が非常に朽廃をきわめましたものですから、本局の庁舎の一部に仮住まいをしておるというような状況なのでございます。事務の適正合理化の第一はりっぱな施設をつくるということ、これが第一でございます。 それから、事務遅延のいま一つの原因となっておりますのは、やはり登記簿の様式なのでございますが、一冊の登記簿の中にたくさんの会社の登記用紙が入っております。それで、何人かの申請がありましたときには登記簿がかち合いまして、一人の人が使っている間はほかの人が使えないというような状況で、登記簿の様式を根本的に改めて、登記簿をできるだけ薄くするということが必要なのでございます。そういう関係でこの登記簿の様式を、先ほども申し上げましたが根本的に改革いたしまして、そういう登記簿の需要が競合するといような事態をなくしたい、そういうふうに考えております。これが実現できますと、相当画期的な改革が実現いたしまして、一般に非常に御迷惑をかけるということもなくなろうと思うわけであります。
○田中(織)委員 いずれにしても、経済活動の発展に伴って登記事務がふくそうしてまいるという趨勢にあるのでありますから、私はやはり、いま統合の問題についても触れられましたけれども、そういうところにおいては、登記を受けんとする者の利便を考える点から見れば、むしろ増設をするというような方向へ進まなければいかぬと思うのであります。これは商業登記等が比較的少ない関係で、主とし、不動産登記に限られているような地方の登記所については、法務省は一貫した統廃合の方針をもって進んでおる、これはある程度了解できないではないと思うのでありますが、私は、特に商業登記法が非訟事件手続法から分離して独立な法になった場合には、むしろこの面から、登記をせんとする者の利益を考えて、登記所の増設というような方向に進んでいただかなければならぬのではないか。 そこで、これは私も要望で申し上げておきますけれども、地方で行なっておる統廃合の問題について、私はやはり若干の問題があるのではないかと思うのでございます。これは私の直接の選挙区に関連する問題でありますけれども、たとえば和歌山県海草郡の、局長あるいは御存じないかもしれませんけれども、和歌山法務局の野上出張所と神野出張所の統廃合の問題が先年来懸案になっておるわけです。ことに地理的な関係から見ますと奥地になりまする美里町の神野市場の登記所は、登記所の建物そのものが非常に古いものであります。損壊をいたしまして、登記簿等の、登記所として保管しなければならぬ書類等も、万一台風等の場合には雨でぬれるというような心配もありまするので、これは地区の人たちも統合の問題については当局の方針を了解しておるわけです。ところが、統合した登記所の位置の問題に関連をいたしまして、現地の和歌山法務局としてもなかなかこれを決しかねるような事情にあります。私も直接、特に登記所の関係の司法書士の諸君その他の要請もありまして、いまおられるかどうかわかりませんけれども、次長の枇杷田さんにもお目にかかって要請をいたしました。私も若干山林などの関係で、自分の出身地でありますので、関係の登記所には、たまにしかおじやましないのでありますけれども、するような関係がありまするが、要請をしている問題についていまだに決しかねているような問題があるわけであります。私はこれらの問題については、一面本省へ関係の町村から直接陳情があるというようなことで、和歌山法務局で現地の事情に基づいて決断を下そうとしても、なかなかそれがてきぱきと処理できない。こういうような事情にあることは、これはぜひひとつ、関係の人たちも、もちろん多少の不便はありましょうけれども、登記所の建物そのものが老朽化しているというような関係から見て、この際統合はやむを得ないということまで踏み切っておるということになりますれば、やはりこれらの問題については現地の法務局におまかせをして、早急に処置されることが必要ではないかと思うのでありますが、この点についての局長の御見解を承っておきたいと思います。
○平賀政府委員 登記所の統廃合につきましては、登記事務全般の合理化の一環として法務省といたしまして数年来やっておる点でございますが、これにはいろいろ現地の事情もございます。それからただいま仰せのように、登記所の現在の庁舎が非常に古くなって雨漏りまでもするというようなところもございます。そういういろいろな事情がございますので、個々の登記所につきまして、交通事情、管轄地域の範囲、地元住民の方々の利害、その他諸般の事情を十分考慮いたしまして、地元とも十分お話し合いをいたしまして慎重にきめたい。もし、ただいま仰せのようなところでございますと、早急に統合することのほうが地元のためにもいいというふうに判断されるというようなところでございましたならば、これは私どものほうもよく実情を調査いたしまして、早急にそういう措置をとるように指示いたしたいと思います。いずれにいたしましても、現地の実情に応じた適切な処置をとりたいというふうに考えておるわけであります。
○田中(織)委員 これは最後でありますが、それらの問題に関連して、統合して新しい出張所を建設するというような関係の予算的な処置の問題について非常に不十分ではないかと私は思うのです。関係の町村といたしましては、住民の利益に合致する問題でありますから、たとえば敷地の提供であるとか、建設費の地元負担であるとかいうような点については、これは協力は惜しまないとは思いますけれども、どうも私の聞いておるところでは、むしろそういうものに重点を置いた形で、法務省の直接の法務局出張所建設の予算はとにかくきわめて貧弱だ、こういうことになりますと、勢い敷地提供であるとか、建設費の負担であるとかいうような地元負担との関係で、当局としてはきめかねるというような事情もあるやに私は伺うのです。したがいまして、最近は、地方官庁あるいは出先官庁とも、そういう意味では相当りっぱなものが建ってまりますけれども、特に交通のあまりよくない僻地に住む登記官、法務省職員の生活というような問題も考えまして、法務省のそういうものの改築を進めるとか、あるいは統合した出張所の建設だとかいうようなことについては、法務当局としては遠慮なく大蔵省に向かって予算要求をすべきだ。あまりにも地元の負担にたより過ぎる結果は、その問題で、早くきめなければならぬ問題も時間がかかるというような弊害が出ておるように見受けるので、この点は、特に予算的な措置の点についても積極的に努力されるように要望いたしたいのですが、この点については、特に民事局長というよりも政務次官も出席されておりますので、営繕関係のことということになりますと、法務省関係のものは相当老朽化しまして、他の官庁に比べましておくれておるのではないか、こういうことではいけないのではないかと私は思うのでありますが、この点についての政務次官の御所見を伺っておきたいと思います。
○野本政府委員 法務省の出先機関の問題につきましては、当然国が負担すべきものを地方の好意あるいは同情に甘えておる点については全く仰せのとおりだと思います。今後これらの問題につきましては、できるだけ筋を通しまして国の負担でそれらのことを処理していく方向に向かって進むべきである、かように考えております。
○高橋委員長 他に質疑もないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○高橋委員長 これより討論に入る順序でありますが、別に討論の申し出もございませんので、両案について直らに採決いたします。 商業登記法案及び商業登記法の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律案の両案に賛成の諸君の起立を求めすす。 〔賛成者起立〕
○高橋委員長 起立多数。よって、両案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 次におはかりいたします。すなわち、ただいま議決されました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————◇—————
○高橋委員長 これより請願の審査に入ります。 今国会において本委員会に付託されました請願は四十件であります。 請願日程第一より第四十までを一括して議題といたします。 まず、審査の方法についておはかりいたします。各請願の内容については文書表で御承知のことでもありますし、また、先ほどの理事会で検討願ったところでありますので、この際各請願について紹介議員よりの説明聴取等は省略し、直ちに採決に入りたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 これより採決いたします。請願日程中、日程第一ないし第三、第五ないし第九、第十一ないし第十三、第十五及び第十七ないし第二十八の各請願は、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 なお、請願日程中、ただいま議決いたしました請願以外の各請願につきましては、理事会の決定によりその採否を保留することにいたしましたので、さように御了承を願います。 なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決します。 —————————————
○高橋委員長 なお、本委員会に参考送付されております陳情書は、印鑑法の制定に関する陳情書外八件で、お手元に配付してありますとおりであります。この際御報告いたしておきます。 ————◇—————
○高橋委員長 次に、法務行政に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますのでこれを許します。坂本泰良君。
○坂本委員 本日は法務行政につきまして大きく三つの事件についてただしたいと思いますが、警視庁が見えておりませんから、その前に、先般近江絹糸紡績株式会社の横領事件について竹内刑事局長にただしたわけでありますが、昨日社会党の綱紀粛正特別委員会の委員長である山田長司代議士と大阪にまいったわけでありますが、ちょうど検事正が不在でありまして、この点は法務省にお願いしておいたのでありますが、おられなくてまことに遺憾でした。そこで次席検事、特捜部長、係検事に面談をいたしまして、いろいろ聞きましたが、一億二千万円の使途不明の金額の約半分の五千八百万円について政治献金をしておる、小さい金額は二、三十万から大きい金額は一千万円に達しておる、そういうふうのうわさを聞いておりますから、そういう点についてどういう捜査をしておられるか、そういう点を確かめてまいったわけでありますが、もちろん選挙違反等の捜査の関係でおくれておるということは了解できますけれども、いずれにしても、昨年の十月からこの捜査に着手しておられる事件でありますが、いろいろ聞きますと、五千八百万円の政治献金の大体の内容については法務省のほうに報告してあるのじゃないか、こういうふうに推察されますが、その点いかがでございますか。
○羽山説明員 お尋ねの政治献金の内訳でございますが、本人が大部分につきまして黙秘しているということでございまして、大阪地検におきましても、目下捜査中という段階でございます。
○坂本委員 本人は黙秘権を行使しておるというお話ですが、これについては先般の報告にもありますように、近江絹糸紡績株式会社ほか同社の関係会社、これが三社か四社あるのですが、これより関係証拠物を領置して、それに基づいて捜査が進められておると思うのでありますが、黙秘権を行使しておるからわからぬというだけではわれわれ納得できぬわけですが、その点いかがですか。
○竹内(壽)政府委員 この前もちょっとお答え申し上げたかと思うのでございますが、ただいま捜査中でございまして、私のほうへの報告では、政治献金に支出されておるかどうかということについて、その一部分はわかっておる分もある、しかしながら全貌としてはまだはっきりと報告するだけの段階になっていないというふうに私どもは承知しておるわけでございますが、先出御みずからおいでになりました大阪のほうの状況はどういうことでございましたか、まだ報告は受けておりませんが、私どもの承知しております限りでは、全貌をまだ検察庁自身もつかんでないように承知いたしております。
○坂本委員 いや、先般の報告にもありますように、多数の関係証拠物を領置してあるし、もちろん係検事の部屋には一ぱいありました。そういうような証拠物の領置して、そして使途不明金約一億二千万円のことがある。したがって、一億二千万円について使途の解明を中心として捜査中である、こういうことでございますね。それで全貌がわからないということでなくて、全貌はわかっていて、そしてこの使途不明の一億二千万円の解明についての捜査が進められておる、こういうふうに了承しておりますが、その点いかがですか。
○竹内(壽)政府委員 仰せのとおりでございまして、全貌がわからないと申しておりますのは、解明を要するとされておる一億二千万円の使途についてでございまして、その中に政治献金と称するものも部分的にあるようでございますが、この点の全貌がわからぬ、こういう趣旨で先ほど申し上げたわけであります。
○坂本委員 しかしながら、一億二千万円の半数五千八百万円は、被告発人、被疑者が、政治献金しておるのだ、四、五十名の政治家を知っておるから、それに献金をしておるから、この問題はもう終わったのだ、こういうことを公式の席上で放言をしておる、こういうことを聞いておるわけです。ですから、政治献金の全貌についても大体のところはわかっておるのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、いかがですか。
○竹内(壽)政府委員 関係者が公の席でそういうふうに申しておるということでございますが、検察庁としての調べの結果としましては、まだ私ども報告を受けておりませんのでわからないのでございます。ただ関係者が申しておるというだけでは、私どもとしては責任を持ってこの議場でお答え申し上げるわけにはいかないわけでございます。
○高橋委員長 捜査中の事件だし、政治献金したというようなことになると、やはり国会議員に具体的に関係なんかあると大問題だから、一応この問題は理事会で相談して、どの程度取り上げるかということをあれしましょう。
○坂本委員 これは任意捜査なんです。強制捜査じゃないわけです。
○高橋委員長 任意捜査でも、捜査中だから……。
○坂本委員 そこにも問題があるわけです。
○高橋委員長 法務行政という話だから、そういう大きいものをここに出すとは思わなかったので、いつものようたいした問題じゃないと思って……。五十何人も関係するということになると大問題だ、委員長に大責任があるから。
○坂本委員 それではこういうふうにしぼります。一億二千万の使途不明の金について五千八百万円の政治献金をしておる、こういうふうに言われておりますが、政治献金があるかないか、できたら、その金額までほしいのですが、その点をお聞きします。
○竹内(壽)政府委員 任意捜査とおっしゃいますが、身柄はもちろん逮捕しておらないようでございますけれども、書類の押収はすべて許可令状をもって押収しておるわけでございまして、書類を見ただけで政治献金であるかどうかというようなことは当然にはわからないわけで、関係者の供述と相まって明らかになる事柄だと思うのでございます。それによりますと、帳簿上必ずしも明確でないものが、先刻申されましたような一億数千万の金があるわけで、その中で政治献金をしていますというような供述もあるそうでございますけれども、それがどの帳簿のこの金の中で、これがそうだとか、それが幾らであるとかいうようなことは、関係者はまだ十分申しておらないようでございますので、はっきりしておらない、これは真実はっきりしておらないのであります。
○坂本委員 そうしましたら、領置しておる書類の中に、政治献金であればもちろん領収書もあると思うのですが、そういう領収書もあるかどうか、その点いかがです。
○竹内(壽)政府委員 そのあるかどうかということは私は存じませんが、しかし、かりにありましても、いま捜査中でございますので、先生もよく御承知のように、やはり捜査をさしていただいて、その上で御質問を願うというほうが適当だと思います。
○坂本委員 それでは最後に一点だけ。近江絹糸の持株会社、これは公正企業株式会社というのですか、そのほかに東洋商事とか三陽産業その他数社がありますが、この会社の中に、東京を本拠として、不動産もたくさん持っておるし、その他旅館業とか、そういうのを経営して、それが数億の金に達しておる、こういうことも聞いておるのです。やはり東京のほうについても、会社は向こうでありますけれども、実際の主体は東京にあるようにも考えられますが、その会社の家宅捜査をして、証拠物の領置その他をやらなければ、任意捜査でだらだらやっていたのでは逃げてしまうのではないか、わからなくなってしまうのではないか、こう考えられるのです。したがって、もっと強制捜査に乗り出して、東京における関係会社等についても捜査を急速に開始して、少なくとも一億二千万の使途不明の金であるし、その半分が政治献金されておる、こういうような重大な事件だから、急速に強制捜査に乗り出して、そうしてやる、こういうようなことはいかがですか。
○竹内(壽)政府委員 大阪地検におきましては、どういう時期を選んで強制捜査に乗り出すか、またどういう範囲の捜査をすることによって真相が明らかになるかということ等は、もちろん十分検討して捜査を進めていることと思いますので、私は大阪地検の捜査に信頼しておるわけでございますけれども、いま仰せのような諸事情等は、逐一大阪地検のほうに参考に資していただくように連絡をいたしまして、捜査に遺憾ないようにしていただくようにいたしたいと思います。
○猪俣委員 関連。捜査中であるということで、われわれの質問もそれをある程度了としておりますが、これは相当われわれはわかっておるわけなんです。ただ当局者が発表せざる以前に、ここで個別的なことを申し上げることを遠慮しているだけなんで、そこで捜査中でありますから、私どもこれ以上答弁を迫りますのは無理だと思いますから——きょうは法務大臣が見えておらぬ、私はこういう重大なことは法務大臣がおいで願いたいと思うのです。実は御存じのように、非常に綱紀が紊乱しています。国鉄の新幹線問題でも、総責任者みたいなのが調べられるというようなこと、あらゆる層に綱紀の紊乱がある。これは何とかしなければしようがない事態なんです。ところが、今日において法務省以外に綱紀の粛正を断行できる権力的な機関がないわけです。ところが、どうも巷間、相当の政治家が介在するとうやむやになる。武州鉄道事件に関して「特捜圏外」という小説ですけれども、非常に事実に基づいた推理小説なんですが、これを読んでみましても、元凶は全部のがれて、そこまで手が届かぬうらにうやむやになってしまって、そしてほんのわずかなものだけが俎上に上っておるという状態、これは検察庁でもお読みになったでしょうが、作者は検事をやっておった人ですが、「特捜圏外」という本です。これも変名でありまするけれども、ここに使われている名前がだれであるかはわかるぐらいの詳細な記述です、検事をやっていた人なんですから。そういうことを考えますると、事が政治献金とか政治家に及びますと、検察庁のほこ先が鈍る傾向がいままである。そこで皆さんはいろいろの御苦労がありましょうけれども、今日の金権政治を打破いたしますためには、何としてもこういう具体的事案について徹底的に国民の前に事を明らかにして、そうして処罰すべきものは断固として処罰するということをやっていただかなければ日本はつぶれてしまうと思うのです。金があるやつならば何をやっても結局はうやむやになってしまう。それですから政治家がみな無理な金を集める。近江絹糸の問題は、内部から軒が出て、そうして具体的に明確になっている事件であります。これをまだ捜査、捜査でもって、慎重におやりになるのはもっともでありますが、私の要望するところは、検察庁が魂を据えて徹底的にやる、政治家であるならばなおさら世間の指導者としての立場があります。遠慮会釈もないと思うのです。断固としてやっていただきたい。相当私どもも調査が進んでいますが、しかし、これは皆さんの捜査の妨害になってはいけませんから遠慮しております。そこできょうは、こういうとにかく近来目立って出てくる不正事件、涜職事件、綱紀紊乱の事件、これに対して確固たる決意を法務省は持っていただきたいと私は思うのでありますが、大臣もお見えになりません。政務次官はお見えになっておりますが、政務次官の決意をひとつ聞きたい。あなたも政党人でありますけれども、政党人であればあるほど、みずから陣頭に立って検察庁を督励して事の黒白を明らかにしていただきたい。非常な疑惑があるわけです。これはごまかすことはできません。私ども検察庁の活動を十分監視いたしますが、政党出身の大臣、次官、心を一つにして検察庁を督励して、この悪弊を一掃していただきたい。あなたの決意を承りたい。
○野本政府委員 ただいまの猪俣先生のお話につきましては、本日欠席いたしました大臣補佐の責任にあります私といたしましては、はっきりと大臣にお伝えいたしまして、十分の御考慮をわずらわすようにいたしたいと思います。また、私個人の見解を申しますと、やはり政治の浄化ということは健全な政党の育成以外にないと思います。政党の健全な育成のためにどういうことが必要であるかということについて考えますと、いろいろ御指摘のような点もわれわれは当然考えなければならないと思います。私は政治のはしくれにおる者の一人といたし、まして、綱紀の粛正の問題、政党の健全な発達、成長による日本の政治を正しい方向に持っていくための努力をする点におきましては、人後に落ちないつもりでおります。
○猪俣委員 きょうは大臣として検事総長に特に話をして、大阪の地検に対して徹底的な捜査をすべきことを指揮していただきたいと思うのです。これは検事総長を通じてなら指揮はできるわけです。世上とにかく綱紀の紊乱というものはきわまれる状態で、あらゆるところにほこりが出て、それが全部影響いたしまして非行少年になり、それが全部国民生活を破壊するもとになるわけです。私はもとはやはり政治家にあると思う。そうして金を集めたやつが師団長などという格好をして、部下にたくさん金をくれて、自分の政治的権力を握ろうとする。そういう金権政治、これは社会党もどうか知りませんが、自民党は顕著なるものがある。こういうことを改めなければ、国づくりだの人づくりだのと言ったって、とてもだめです。そんなことをそのままにしておいて、そうして人づくりだ国づくりだと言うけれども、それは責任を他に転嫁するものなんです。政治家みずからがえりを正しゅうして初めて人づくりも国づくりもできると思う。それには私どもはいま検察庁を信頼する以外に道がない。それでもまだ検察庁、裁判所だけは日本においてはたよりになる。この検察庁がいかなる圧迫があっても徹底的な追及をしていただきたい。私どもも相当調査が進んでおるのですから、検察庁があいまいな態度をとりますならば、われわれのやいばは検察庁に向かわなければなりません。これはどうぞその覚悟をもってやっていただきたい。大臣と相談して、特に大阪の地検を激励していただきたい。あなたの御決心を承りたい。
○野本政府委員 先ほども申しましたように、御叱正のほどは十分わかりましたので、大臣にもその旨を特に申し伝えるようにいたしたいと思います。なお、政治家が姿勢を正すという問題に関連して、ただいま猪俣先生が青少年の非行等も政治家の責任に帰するところが大きいというようなことを言われましたが、一般的によく言われますように、青少年の非行は社会病理の検温器であるというこのことばは私の胸に絶えずあるのであります。
○高橋委員長 山田君。
○山田(長)委員 おとといの晩、実は党のほうからの派遣で、坂本代議士と私は、国会が正常化していない段階で同僚各位には骨を折らしていることではあるけれども、事が重大であるので 一応伺おうということで、竹内刑事局長に大阪の地検のほうへは前もって連絡をしておいていただいたはずだったのですが、不幸にして留守だった。私はこの留守だったということについて、はからずも弁護士控え室でほかの人たちと待ち合わせている機会中に、報道陣の人に会う機会があったのですが、きょうは検事正は留守なんだ、それから朝日の記者にやはりその人も会ったようなんですが、朝日の記者もそれを言っておった。それでつけ加えて言われていることに私は意外に思ったのですが、この事件は国会が休みになってからでなければ取り調べはしないことになっていると、実にふかしぎなことを検事正の部屋に行く前に耳にしたのです。これはずいぶんとんでもないことになっているなと思って、実は意外に思いながら検事正の部屋に伺ってみたところが、はからずもいないのです。次席検事がかわって出たのですけれども、このことを前もって聞いただけに、やはりデマじゃなくてほんとうに国会が終わらなければ大阪地検は捜査に乗り出さないのかという印象を持ったのです。それでその後、特捜部長も部屋へ見えましたし、それから担任の検事のところに出向いて行って前後の事情を伺ったのですが、担任の検事が言うのには、一億二千万の使途の問題について、一部すでに政治献金の問題については報告がしてある、こういうことを言われました。ですから、あなた方のところへ一部だけは来ているものと思うのです。この点はどうなんですか。坂本さんにさっき答弁なさったようでありますけれども、重ねて私は伺っておきたいと思います。
○竹内(壽)政府委員 坂本先生からお電話で、両先生が大阪地検においでになるということでございましたので、おいでになる以上は御使命を果たされるように便宜をはかっていただくのが検察庁としましても当然のことでございますので、私は直ちに、あとでちゃんと証拠が残りますように、その趣旨を明らかにするように、電話をかけずに電信でそのことを向こうへ伝えておきましたので、もちろんおいでになる前に、おいでになることは現地の検察庁では承知をいたしておるはずでございます。たまたま検事正がお留守だったということで、まことに恐縮に存じます次第でございます。 第二の御質問の、一部報告がしてあるという、報告を承っております。承っておりますから、政治献金も一部あるようだということを先ほど来お答え申し上げておりますが、まだそれは解明をしようとしておる金額の全部ではもちろんありませんし、はたしてそれがいわゆる政治献金といわれているものの全貌であるかどうかにつきましても、大阪の検事自身が疑っておるわけでございまして、結局、私ども報告を読んでみましても、それが全貌であるというふうには思えませんし、また、いまその点につきまして捜査を進行させて、おる段階でございますので、そのことを公に申し上げることは適当でないというふうにいま考えまして、御遠慮をしてその程度にお答えをしておるわけでございます。決して他意はございません。
○山田(長)委員 法律のことはよくわからぬけれども、任意捜査がされているとはいうけれども、一応一億二千万円という金額まで実は明確になってきていると思うのです。それは検察当局の人たちが言っているのですから。それが使途不明であるということが出ているわけです。それがさつきの御答弁にもありましたように、黙して語らずという形になっているが、このまま丹波のような者は帰されておる。どうもこの点が理解に苦しむ点です。私たちが調べた範囲において、労働ボスのために使われている金が二千百二十万円ある。こういうことまで、金額的にまで、労働者を抑圧するために出ている金額まで明示されているのですよ。この金が五千八百万円の中に入るのか入らないのか、やはりこれがわれわれの調べた範囲において聞きたいところなんですよ。ですから、当局で黙して語らざる者をそのまま帰してしまっているということが、どうも法律知識のないわれわれには理解できない点ですが、これは黙して語らなければ帰してしまうのですか。
○竹内(壽)政府委員 御承知のような刑事訴訟法のもとにおきまして、身柄を逮捕すれば自白するという性質のものでもありませんし、といって、どんな事件でもみな身柄を逮捕するのがよりいい捜査であるかどうかということにつきましては、事件、事件によってきめていかなければならぬ問題だと思います。何も言わぬからすぐ帰すのだ、それが常道かと言われると、それは常道とは必ずしも言えないのであります。その事件についてはそれがいいのかもしれませんが、私ども抽象的に申します場合には、必ずしも常道とは申せないと思います。ただ、私ども報告を見ておりますと、報告してあるという現地のおことばだったということですが、その報告にはみな、まだ裏づけが完全にできていないのだということがつけ加えてあるわけでございまして、そういう意味から申しまして、私は、全貌は明確になっていない、こういうふうに判断しているわけでございます。
○山田(長)委員 逮捕をせずにおくということの実情について、いまの御答弁ではよく理解されない。それがだんだんデマとなってあらわれてくると私は思うのです。私は、検察当局が圧力をかけられてすぐにそれが自由になるなんということはむろん考えておりません。しかし、圧力をかけに行ったものと見られる筋合いの人がいます。それは江口という前の警視総監です。この人がどういう事情で検事正のところへ行き、特捜部長のところへ行ったかわかりませんけれども、このことに関連のあることだけは間違いがないと思います。なぜかというと、われわれが江口さんという人が来たことについて質問をしますと、それはこれに関連のあることで話されたけれども、そういうことには応じませんとはっきり言っているのですから、とにかくもみ消しのために行かれたものであるか、あるいはその他の事情かよくわかりませんけれども、 やはりその節はわれわれとしては考えられるわけです。これはどういう事情 によって逮捕せずにあるものですか、その逮捕せずにある理由というものをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
○竹内(壽)政府委員 元警視総監の方が検察庁へ来て圧力を加えるなんということはちょっと考えられません。江口さんという方は近江絹絲の何か役員をしておる方のように聞いておるのですが、関係者として地検に行ったかもしれませんが、元の警視総監ということが検事にそれほど威力があるものかどうか、私はあまり感じませんものでございますが、いかがでございましょうか。私は、威力を感ずるなんということを検察庁で感じさせないように、私どもはできるだけ——私とも不勉強でございますけれども、こうやってこちらで答弁を申し上げておるわけでございまして、検察官をこういうところへ呼び出して、先生方から強くおしかりを受ければ何か威力を感ずるかもしれませんけれども、そういうことではなく、陳情に行かれたのをもって、その人の身分がたまたま元警視総監だということですぐ威力を感ずるというふうにおとりになるのは、検察庁の実情をよく御理解をいただいていないからだろうと思いますが、そういうことは決してございませんから、御心配なく見ていただきたいと思います。
○山田(長)委員 私ども理解できないわけじゃないのです。しかし、そのことによって、やはり逮捕されずにおるのでいろいろとデマが飛んでいるものと思うのでありますけれども、これはどうして逮捕されずいるものなのか、そのことを聞かしてもらいたいのです。
○竹内(壽)政府委員 これは事件ごとによって違いますので、なぜこの事件で逮捕せぬかと言われましても、実は困るわけでございますが、武州鉄道の事件など、ああいう会社関係の事件と申しますのは書類の審査というのが非常に長い時間かかるのでございまして、身柄逮捕に踏み切ります以前に半年も八ヵ月も書類の綿密な調査をしておるわけなんで、この事件は昨年の十月でございましたかの告発にかかるものでございますし、事件の内容が大きければ大きいほど書類捜査に相当な時間をかけるのが普通でございます。身柄を逮捕すれば御承知のように十日間、延長いたしましても二十日間、この間に勝負がつかなければならぬ。その勝負をつけるまでに十分な資料——十分な資料があればこそ事実も承認する、自白するという問題もあるわけでして、ただ何にも証拠なしに自白するということはいまの捜査ではできぬことでございます。でありますから、これは捜査に当たります者としましては非常に苦心を要するところでございますが、一般抽象的に申しますと、こういう会社関係の事件といいますのは、任意捜査の段階で十分資料をつかんでおくということが捜査の常道のように思うのでございます。ただし、この捜査がそれがいいかどうかということは、もう少しあとから私どもも検討してみないと、これが適切であったかどうかということは判断できませんが、一般的に申しますと、そういうものであろうかと思います。
○山田(長)委員 どうも理解のできない点がしろうとのわれわれとしてあるわけです。そこでこの進展状態についても、実はどうなのかというふうにいろいろ聞いたのですけれども、なかなか語ってくれないのです。われわれがいろいろ調べた範囲において、この問題は相当大きな事件と見ているわけですよ。いまのように遅々として進行しない理由もわからぬわけじゃないけれども、これについてあまり長い時期をかけるということになりますと、これはやはりやらないのじゃないか、いいかげんなことなんじゃないかという印象になると思う。検察当局ではもう金額までも使途不明のものは明確に出ておっても、政治的にもみ消されてしまうのではないかという印象になると思うのですけれども、大体いつごろ調べをどういう方向で進展さしておるのか、全然報告がないとは思われないのですが、どんなふうな事情に相なっておりますか。
○竹内(壽)政府委員 先月末に次席検事会同を開きまして——大体この次席検事会同というのは選挙に関する会同でありますが、各地の意見を聞いてみますと、大体終末段階に入っておるようで、もちろん特殊な事件は別でございますが、そういう関係もございまして、大阪のほうも、そういうように特殊な事件を除きましては、全体としての大勢としてはもはや常態に復し得るような関係になってきておるように私判断しております。したがいまして、この事件も七月に入りましたので、早々もちろん着手して結末をつけるように捜査を急いでいるものと想像いたしておりますが、なお、御趣旨の存しますところは現地のほうにお伝えいたしまして、すみやかに処理を進めるようにいたしたいと思います。
○猪俣委員 実は検察庁の態度を疑っておるわけじゃありませんが、いままでの例によりまして心配をしておるわけです。武州鉄道みたいな竜頭蛇尾みたいなことに終わるのではないかというように心配しておるわけですが、どうも妙な情報が入ってきまして、これは本件ではありませんが、例の国鉄の新幹線事件で大石前総局長が調べられた。ところが、警察であれは逮捕して調べたいという態度であるのに、検察庁では、あれはもうちょっとたつと時効にかかる事件だから、時効の直前に逮捕するのがどうもおもしろくないというようなことで逮捕に踏み切らぬでいるのだというふうな、これは説ですよ、——説が、実は昨晩私のほうに連絡があったわけです。時効にかかるのを待っておるような態度、時効にかかる直前ではぐあいが悪いというふうな態度につきましては、私どもは少し解せないのです。時効にかかっておらないならば、検察のまさに好機逸すべからざる時期であると思う。そういうふうな御方針なのかどうか、これを承りたいと思う。
○坂本委員 関連して。この問題は、とかくのうわさのあった東海道新幹線の建設工事をめぐる汚職事件の大事件であるわけです。三日、きのうの朝、警視庁捜査二課に収賄容疑で取り調べを受けた前国鉄本社常務理事、新幹線総局長大石重成氏の問題であるわけであります。この問題は警視庁においてはもう一年前から捜査されておるということをわれわれは聞いておった。そして、すでに新幹線の問題については二つの容疑がありましたけれども、竜頭蛇尾に終わっておるわけです。今度は、それから申しますと第三回目になるわけですが、警視庁は大石氏の相ボシといわれておりました日本国七開発会社石上専務ら二人をすでに贈賄で逮捕して、そうしてこれまでの調べでは二人と大石氏との金銭の授受がはっきりしておる。その趣旨が国鉄の指名業者参加などについてであり、わいろと認められる。これに関する証拠書類も入手されておる。授受金額は九十万円であって、自宅に現金を届けたという証拠もあがっておる。そこで私たちは、きのうの夕刊で、任意捜査、任意出頭で呼び出されたけれども、やはりそれが必ず逮捕状に切りかえられて強制捜査になるというのが、こういう事案についてはいままでほとんど全部のように承知をしておる。ところが、強制捜査を行なうことをせずに、何で毛聞くところによると、東京地検側の任意調べの指示があった。地検から警視庁に指示をしたのだ、こういう点がうわさされて、非常に暗い影を残しておる。新聞にも一部書いてあるのです。猪俣委員の質問もこれだと思うわけです。そこでわれわれは、こういうような汚職事件は、いままでも二つに対して下っぱだけ逮捕して調べて、そうしてうやむやになりそうである。今回はこの常務理事であった大石氏を調べ始めて、そして帰す。これが非常に不可解である。ですから東京地検は任意調べの指示をしたかどうか。警視庁のほうは、これは強制捜査をしなければならぬというので逮捕状を請求したかどうか、その点を承りたい。
○竹内(壽)政府委員 猪俣先生並びに坂本先生のお話のありました点でございますが、私も新聞でそういう記事を見まして、さらにテレビでございましたか、ラジオでございましたか、警視庁の捜査二課長の取り調べをした経緯についての発表を伺ったわけで、私のただいま持っております知識はその程度でございます。正式に東京地検から状況を聞いたわけではございません。でございますが、まず第一に猪俣先生の御質問にお答えしなければなりませんけれども、時効が切迫しているからやるべきことを差し控えるなんということは検察庁では考えていないと思います。きょうで時効満期だというのを逮捕したといって新聞にも出たこともあるくらいでございまして、それはさようなことは私は決してないと思います。それだけの理由でどうこうという判断は私はいたしておりません。ただし、その事件の内容を私自身存じませんので、事件の内容について警視庁と検察庁との間に意見の食い違いがあるのかないのか、これは実は私確かめておりません。でございますから、その点批判がましいことを申し上げることはできませんが、一般的に申しまして、検察庁としましては、やるべきものはやる。これはもう検察官の使命でありますから、そういうことができないというような検察でありますならば、ほんとうに検察官の職務を汚すものであり、私はさようなことは決してございませんと思います。 それからまた、そういうことを検察庁が警察に指示しておるかどうかということでございますが、警察と検察庁とは、捜査はそれぞれ独立になし得るたてまえになっておりますけれども、すでにその関連事件につきましては検察庁へもし送られておるといたしますと、検察庁といたしましては、具体的事件でございますので、刑事訴訟法の命ずるところによって指示することもできるわけでございます。指示することが不可能なことではない、指示し得る案件だとは思いますが、その指示した内容につきまして、どういう考え方からどのような指示をしたかということはまだ私どもも承知しておりませんので、何ともお答えいたしかねるわけでございます。
○高橋委員長 ちょっと野本政務次官や刑事局長さんに委員長から一言申し上げておきますが、この問題は、近江絹糸の問題も違った意味で非常に重大だと思いますし、それからまた捜査の機密とか秘密とかいうふうな問題とも関連するだろうと思いますし、それからいまの大石氏の問題にしましても、まだ捜査段階であろうと思うが、私が個人的に知っている大石さんは、これほどりっぱな人はないと思うから、よほど嫌疑が薄いから令状が出ないのではないかと思ったりはしているのですが、こういうことについて本格的に法務行政問題として質問するかしないかということ、究明するかしないかということを理事会で態度を決定いたしますから、もしするということになりますれば……(「いや、それはいかぬいかぬ」と呼び、その他発言する者多し)ひとつあらゆる材料、できるだけの材料を整えて、そして慎重な御答弁を願いたいと思います。きょうはそのまま、あとから理事会……(発言する者多し)委員長として、委員会の態度に対して慎重にひとつ……(発言する者多し)委員長にまかせてください。要するに、委員長の政府当局に対する注文は、より完ぺきな材料を持ってきていただきたい、本格的に究明する場合は。こういうようなことでありますから、きょうの−…(発言する者多し)委員長の発言中です。本日の質問に対しましては、これはごく初歩的な質問だと思いますし、そう突っ込んだ質問もできないはずだと思いますので、それに対する……(「手続の問題だよ」と呼び、その他発言する者多し)委員長の発言中だからちょっと待ちなさい。そういうような意味でひとつよく材料を取りそろえていただきたいと思います。本日はなるべく簡単にひとつ済ませてもらいたいと思いますが、何かありますか。
○坂本委員 先ほどもちょっと申しましたけれども、新幹線の不正摘発については三度目である。第一回は三十六年五月に摘発した建設工事をめぐる汚職が公判段階で、すでに現在公判段階になってくずれておる。また昨年十月着手した二回目の新横浜駅周辺の用地買収をめぐる不正事件があったわけです。ところが、これのかぎを握る男が海外に旅行したまま帰国しない。そのためにこの捜査が行き詰まっておるわけなんです。そこで三度目の今度は、これは前国鉄本社常務理事で、それから重要な新幹線の総局長であった大石氏の問題である。これは頂上作戦と申しますか、こういうので一気に中心人物をねらって捜査に当たったのではないか、備えられたのではないか、こういうふうにわれわれも考えていたから、その大ものに対する任意捜査ということは一般に予想もしていなかったのです。そこで、この東海道の新幹線の問題については、突貫工事といわれまして、そうしてやっておるのであるけれども、この新幹線には黒い霧が漂うておる、こういうふうに言われておるのです。 そこで、警視庁がこの大石氏を呼ぶについては、先ほど申しましたような相当の証拠があり、すでに自宅に九十万円という金額を持って行ったその証拠があるといわれておる。その証拠に基づいて逮捕状を請求したら、東京地検のほうで、その逮捕に対しては任意捜査にしろという指示を与えた、こううわさをされておるからこれは重大な問題だ。だからそういうことがあったかどうか。警察庁の刑事局長が来ておられますが、逮捕状を請求する場合は、警視庁が直接請求するか、あるいは地検を通じて逮捕状を請求するか。その問題と関連しまして、逮捕状請求をしたかどうか、検察庁から任意捜査にせよという指示があったかどうか、その点についていかがですか。
○宮地(直)政府委員 逮捕状の請求につきましては、これは一般的に申しまして警部以上の司法警察職員から裁判官にいたすのでございます。ただ警視庁管内におきましては、ほとんどの場合検事と相談の上令状を請求しておるというのが事実でございます。本件に関しまして、逮捕状を請求したということにつきましては、いまだ私のほうは報告を受けておりません。
○田中(織)委員 それでは伺いますが、日本国土開発の専務の石上という人と安部君でありますが、二名が現在逮捕されて勾留をされておるのです。二十日の勾留期間が今月の七日で切れるわけなんです。ところが、贈賄で逮捕される逮捕状に、これは大石前常務理事に九十万円の金を贈ったということが逮捕状請求の理由になっておるということを私どもは調べておるのでありますが、それだけ明白な事実で、いま坂本委員から質問申し上げたような形で、一年半にわたる捜査で警視庁として相当の証拠も集めておる問題について、きのうは大石君の自宅を家宅捜索をいたしました。八時に任意出頭を求めておるのでありまするが、これだけの条件がそろっていながら、通例のいわゆる大石常務理事に対する逮捕状執行ということが行なわれない。それについてけさの新聞が報道いたしておりまするように、これは東京地検のほうから任意捜査、こういうことの指示に基づいて、警視庁は逮捕状を請求したけれども地検は出さないのだ、こういうことが伝えられておるのです。これは坂本委員あるいは猪俣委員から申し上げたようにきわめて重大な問題だと思うのです。政務次官、刑事局長、あるいは法務省の竹内刑事局長も御承知のように、この問題について国鉄の監査委員会が特別監査を綾部運輸大臣から要求されまして、それが一昨日提出されている中にあるように、新幹線総局長の独裁的なことが、今日八百七十億という追加予算を要求しなければ東海道新幹線が完成しないというような事態をもたらしたことに関連しておる問題ですから、私はこの点についての検察当局の処置、態度というものが、もし新聞紙等に伝えられるような問題であるということならば、検察当局の威信のためにもきわめて遺憾なことだと思うのです。この点については新聞で竹内さんは御存じになったというようなことでありまするけれども、これだけの重大な問題について、あなたたち法務省の最高幹部が御存じがないということでは、国民一般は納得しないのです。その意味で石上日本国土開発の専務等の逮捕請求の理由には、はっきりと大石前常務理事に対する九十万円の贈賄という事実に従って逮捕状が請求され、執行され、現に二十日間の勾留が行なわれて、この七日に満期になる。しかもそのうちの二十万円のギフト・チェックというものはこの十日で時効になるのです。ある通信によりますと、この二十万円の問題については時効の問題もあるのだから、逮捕というようなことについては差し控えるべきだということが地検から警視庁に伝えられたというような、かなり内部をうがった報道が現実になされておるのでありますから、私は、この点について竹内法務省刑事局長の先ほどの答弁では納得するわけにはいきませんし、少なくとも逮捕状の請求の関係において、石上某の逮捕状の中にはこれだけの贈賄の事実が摘記されて逮捕状が執行され、現に身柄が拘束中でありますから、この間の事情については国民の疑惑を解く意味においても明確にしていただきたいと思うのです。
○竹内(壽)政府委員 先ほど猪俣先生の御質問にお答え申しましたように、時効が切迫しておるからやめておけといったようなことは私は考えられないと思っておるわけでございます。そういうことがあったかどうかも私確認しておりませんが、かりに新聞紙等で報道されているような警視庁と地検との間にいろいろないきさつがあったといたしましても、それはもっぱら捜査上の必要性、そういうものの判断、そういうところからきておるのであろうと私は想像するわけであります。想像いたします理由は、捜査というものはそういうものであるということを私は信じますがゆえに、さように想像いたすわけでございまして、そういう便宜のために捜査を中止するとかやめるとかといったようなものではございませんので、必要があれば身柄も釈放せざるを得ないでありましょうし、不必要な逮捕をすべきでないことは、これは申すまでもないことでありまして、その辺は捜査に当たっております人たちの慎重な検討の結果、そういうふうになったのではないかというふうに思うわけでございます。
○田中(織)委員 もう一点。大石君は収賄のほうの容疑なのですけれども、贈賄者のほうはだれに贈賄をしたかということが逮捕状の中に明確になっているということを私どもは聞いておるのでありますが、その点は一体いかがであるかという点をそのものずばりでお答えをいただきたい。ことにこの点は、運輸委員会でも、新幹線の赤字の問題に関連いたしまして、大石君については残念ながらいろいろなことが国会の速記録の上にも出ておる段階の人物なのです。その意味で国民は、たまたま時を同じくして発表された特別監査報告に基づいて大石君に対する何らかの司直の手が伸びるだろうということを予測しておったやさきに、きのうの朝の家宅捜索になり、任意出頭ということになったというわけです。ところが、ゆうべは本人は否認をしているとかいう新聞の報道でありますけれども、おそらくきょうも任意出頭で捜査は進められておると思うのでありますが、これだけ明確なる贈賄の事実について、また証拠もあげておるのに対して、本人の身柄が拘束されないということについては国民が納得をいたさないのです。しかも、きのう家宅捜索を受けた大石君の雑司ヶ谷の自宅というのは、どんなにしろうとが見ましても二千万円以上の豪壮な邸宅なんです。これは西松建設の手によって建設されて、三十六年の汚職事件が起こった当時に一たん工事は中止いたしましたけれども、ほとぼりがさめたころに完成をされた。その西松建設が東山トンネルの問題でとかく大石常務理事との間で問題にされたということは別の運輸委員会の速記録の中に明らかにされておる問題なんです。そういう点から見ても、この点について少なくとも贈賄者側が逮捕されて勾留をされておるにもかかわらず、最終の段階において収賄容疑者が任意出頭を求められて、証拠がそろっておるというのに、逮捕状が執行されないで任意捜査が行なわれるというようなことについては国民がどうしても納得できない。その意味から、石上君等の逮捕状には贈賄の事実が明確に示されておる。証拠に基づいて示されておるから逮捕状を執行し、現に検事勾留が行なわれたのでありますから、収賄者をこの際身柄を拘束せずに任意出頭で調べるというようなことは、これは国民は理解もできないし、納得もできない問題だと思うので、重ねて石上君等の逮捕状の容疑事実の問題について明確なお答えをしていただきたいと思います。
○宮地(直)政府委員 私、逮捕状それ自体を読んでおりません。ただ、当時日本国土開発KKの営業部付の安部を逮捕いたしました理由は、新幹線工事に関しまして便宜をはかられるために大石氏に金を贈ったという容疑をもって逮捕して、これは検事勾留もつきましたけれども、六月二十八日に釈放になっております。なお、同じ容疑をもちまして六月十五日に同会社の専務取締役の石上氏を逮捕して、これはまだ勾留中である、こういう事実を承知いたしておるのであります。
○坂本委員 そういう点があるから非常に疑惑を招くわけですが、大石氏には三十六年の就職当時から疑惑があって、ギフト・チェックの二十万円の問題があり、警視庁では六月二十日ごろ大石氏の令状を要求しておると聞いておるのです。これはいま安部氏に対する釈放の問題等々から考えますと、六月二十日ごろ令状を要求しておいて、七月一日ごろ東京地検から国会が終わるまで待て、どうも近江絹糸の問題も国会が終わるまで待てというようなことがあったわけですが、これについても七月一日ごろ地検から国会が終わるまで待て、その理由は現職でない、あるいは時効の問題等ありますけれども、われわれの考えるところは、石上氏が七月七日で勾留満期になるから釈放になる、だから国会が終わるまで待って、そうして贈賄者側を全部釈放して、それではいかぬから警視庁のほうでは大石氏に対する頂上捜査と申しますか、令状請求にきのう七月三日踏み切ったわけですが、それに対して地検のほうで任意捜査の指示をしておる、こういうことをわれわれは聞くからますます疑惑が深まるわけなんです。ですから、この大石氏に対するところの逮捕状の要求というものはきのう始まったものではないわけです。すでに六月二十日ごろの問題であるから、刑事局長なんか、新聞を見て知ったくらいだというのでは、これはどうもつとまらないと思うのです。その贈賄者側がすでに逮捕され、一名は釈放され、一名は七月七日の勾留満期、こういうような段階にあるわけです。ですから警視庁がこの収賄者側の、ことに証拠があがっておる大石氏を強制捜査に踏み切ってやらなければまたこの大ものに対するところの捜査がうやむやになってしまうのじゃないか、こういう点もわれわれは推察されるわけなんです。でありますから、こういう捜査はきのう一日では——帰りましたけれども、きょうあすくらいかかると思いますが、これを強制捜査に踏み切って徹底的に究明しないことには、これを外に置いたのではいろいろまたあとで下っぱに対してやります。だから犠牲者は下っぱだけになって大きい魚は逃げてしまう。これでは東海道新幹線に対するところの突貫工事がうやむやになってしまう。黒い霧でおおってしまう。こういうような疑雲をはっきり断ち切ることはできないと思うわけです。こういう地検から指示するなんて相当の問題だと思うわけですが、きょうあしたの問題の処置について局長はどうお考えですか。
○竹内(壽)政府委員 私どものほうへ地検から報告がきておりませんから、新聞記事やただいま先生方の御質問に私の全く個人的な意見をもとにしてお答えをしておるようなわけでございますが、きょうあすの措置といたしましては、さっそく東京地検に事情を聞いてみまして明らかにしてまいりたいと思います。何といたしましてもいま捜査中のことでございますので、いきさつ等を明白に申し上げることができるかどうか、これは保しがたいのでございますけれども、私としましては、さっそくにも地検に、わかります限り事情を明らかにしてまいりたいと思います。
○坂本委員 そういう決意でありますから、ぜひひとつやってもらいたいと思います。 参考までに、この新幹線の工事には七十六社が関係しておるそうです。そのうち国土開発株式会社は十八番である。しかし実質は中小の程度のものである。したがって、中小の業者は各区間区間だけに一つしかできない。ところが大きい指定を受けた者は区間から引き続いて次の区間、その次の区間というふうに工事の請負ができて、これでいろいろな機械その他について非常な便宜がある、ばく大な利益を受けるというのでありまして、この日本国土開発の連続工事というものは、二川地区の豊橋のところに最初五億七千七百六十二万六千円の工事だったのが六億六千二百三十八万六千円に増額をされておるわけです。それからなお引き続き静岡の関係の湖西地区、これは五億二千八百万の工事が五億八千五百十万に上げられておる。こういうような点から推して、この日本国土開発と大石氏の関係は密接であり、その汚職についてもいまうわさされておる程度じゃないと思うのです。したがって、これこそ強制捜査に踏み切って、そして徹底的に究明をされなければ東海道新幹線のこの黒い霧をぬぐうことはできないと思うのです。それからもう一つ、地検に対する究明と、警視庁が強制捜査、逮捕状を請求しているということであれば、これを任意捜査に指示するということはとんでもないことじゃないか、こういうふうにも考えるわけでありますから、ひとつ善処してもらいたいと思います。
○猪俣委員 ちょっとお尋ねしてやはり善処していただきたいことは、いまの大石氏のような大事件についても勾留をなさらぬ。いろいろ捜査の都合があるという。ところが、片方、品川駅で起こりました国鉄従業員が汗と油でよごれたからだを清めるためにふろへ入ったというだけで、裸で手錠をかけて数千人おるところをぞろぞろ引っぱって歩いた事件、これは驚くべきことで、ぼくはいまだかつて聞いたことがないですよ。駅のホームの乗客の前にパンツ一つきりないやつを手錠をかけて引っぱっていく、こういうとほうもないことをやっておる。そこで法務省では人権擁護局もかかえていらっしゃる。一体こういう問題についてどういうふうに処置なさるつもりか。いや、あれはよろしいのだ、現行犯だからいいのだというようなことであるか。人を傷害したのでも何でもない、ふろへ入ったというだけの人間を、裸のまま両手錠かけて衆人環視のところを連れて歩くというようなことが一体許されることであるかどうか。私どもはほんとうにヒューマニズムから見ても義憤を感ぜざるを得ない。これに対して法務省はどう処置なさるのかお尋ねいたしたい。
○竹内(壽)政府委員 新聞報道もやはり先生と同じようなヒューマニズムの観点から大きく取り上げたものと思うのでございます。もちろん報道のとおりであるかどうか、その事実を確かめた上でないと何ともお答えしにくいわけでありますが、その報道のようでございましたならば、私ども全く同感でございまして、人権擁護の観点からも、また事件を——おそらくは事件として取り扱うだろうと思いますが、その事件捜査の過程におきまして十分そのような処置につきまして検討を加え、善処していくようにいたしたいと思います。
○猪俣委員 それでは、その事実をまだ調査しておらぬわけですか。
○竹内(壽)政府委員 私どもはまだ新聞で見た程度でございまして、何ら正式の報告を受けておりません。
○猪俣委員 人権擁護局が法務省にあるのですから、私は、ああいうことはさっそく調査をしていただきたいと思うのですが、すぐさま厳重に調査するとともに、しかるべく処置をやっていただきたいと思います。こういう問題は次官どうなんですか。
○野本政府委員 私も新聞で見まして、えらいことがあったものだなと、実は目をみはっておったのですが、おそらく人権擁護局においてもこれを見のがすことはあるまいと思っておりますが、至急帰りましたならば人権擁護局に連絡をいたしまして、事柄の真相を十分究明して、その上で適当な措置をとらせるようにしていきたいと思います。
○高橋委員長 坂本君、ちょっと御相談しますが、志賀君からの質疑の要求もあるし、坂本君のいまの非公式のお話では十分というのだけれども、あなたの十分は三十分になったりするおそれもあるので、どうせ明日もやるのだから、このあと志賀氏にやってもらって、そうして休憩して、あとでまた理事会でちょっと相談いたしましょう。
○坂本委員 いいですよ。
○高橋委員長 それでは志賀君。
○志賀(義)委員 先ほど法務委員会の理事会で私も傍聴しておりましたところ、国鉄田町電車区構内職員浴場前における公務執行妨害傷害事件という文書が配付されてきた。これはどこから出てきて、どういうふうに配付されたのか。これはどこでつくった文書ですか。
○高橋委員長 お答えいたします。これは鉄道公安部のほうへ調査に行って、そうしてこれをもらってこられて……。
○志賀(義)委員 公安警察の本部に行ってもらってきた……。
○高橋委員長 鉄道公安部で材料として調査室のほうに……。
○志賀(義)委員 これを見ると、裸で連行されたほうが悪くて、公安官が全部正しいように書いある。こういうような人に予断を与える文書を…… 〔小島委員「委員長、現在取り扱っている事件をここでかれこれ論議するのは好ましくないと思いますから。」と呼ぶ〕 〇志賀(義)委員 何を言っているのだ。 〔「そんなことは法務行政ではないよ」「行政上の問題じゃないか」と呼び、その他発言する者多し〕
○高橋委員長 この際暫時休憩いたします。 午後一時二十六分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕 ————◇—————