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43回国会衆議院1963/05/29

文教委員会 第18号

発言数
138
登壇者
8
会派数
2
開催日
1963/05/29

会議録

床次徳二自由民主党

○床次委員長 これより会議を開きます。  学校教育に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。小林信一君。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 これは、前の委員会で村山委員のほうから質問をいたしまして、文部省のほうでも調査をいたしますということになっておった例の王子中学の問題でございますが、いわゆる人権侵害の疑いがあるという問題についてでございますが、たまたまおとといの新聞を見ますと、東京法務局のほうから都の教育委員長、それから当該学校の校長に対しまして、憲法違反である、こういうきつい題目で、今後差別をしないよう万全の措置をとれというきつい勧告があったわけなんです。法務局のほうとしてはこういう態度をとっておりますが、文部省は、その後調査をし、これに対してどういう見解を持っておるか、この点をお聞きしたいと思うのです。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 この前村山委員の御質問もございましたので、私どもとしては東京都を通じまして正式に報告を求めておりますが、まだ正式な報告が参っておりません。参っておりませんが、しかしながら、新聞の内容あるいは関係者の話を総合してみますと、やはり校長の行ないましたことについては、行き過ぎがあるように私ども感じております。したがいまして、高校の入学について父兄のいろいろな行動をあれこれ進学希望校にやるということは若干行き過ぎではないかというように私ども感じておりますが、まだ正式の報告が来ておりませんので、それを待っている次第でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 それぞれ責任の立場というものは違いますが、しかし関係する政府という立場からすれば、法務局の方はこういう調査をしてこれに対する考え方をもう明白にしているのに、文部省という主管当局がまだそんな状態であるということは非常に遺憾だと思う。いまの局長の行き過ぎがあったことは認めるというような程度のものでもってほうっておくということになると、これはまだ調査中ということであればやむを得ないことだと思うのですが、非常に遺憾なことだと思うのです。だから一般の風説の中には、文部省はかえってこの校長の立場を擁護するような意図がある、こんな風説があるわけなんです。が、こういう点法務局の取り扱い方が不当ならば、主管当局としてやはりそれは不当である、文部省の見解はこうであるというふうなものがたちどころに出されなければならぬと思うのです。またそれが法務局と同じ見解に立つならば、同じような勧告なり措置なりをしなければならぬのが文部省の責任じゃないか、私はこう思って御質問申し上げたのですが、いまのような、まだ取り調べない、そして行き過ぎがあったというふうなことと法務局の見解とはだいぶ開きがあるわけなんです。いまのような見解でずっとおられるということになれば、私たちの印象も、最近大臣が諸所に行って演説をする、ああいうふうな空気が一つのムードになって、法務局のほうからは憲法違反だ、こういうきつい忠告、勧告を受けるというふうなものであっても、文部省のほうでは多少行き過ぎだというくらいでほうっておくとすれば、何となく、いわゆる官僚統制というのか、あるいは文部省の擁限強化というのか、そういうふうなムードがだだんだん濃くなってきて、教育がそのためにゆがめられるというふうなおそれも私たちは感ずるわけなんです。いまのその行き過ぎという言葉は、どれくらいの程度の行き過ぎのものであるか、これは今後調査をして、その調査の上で根拠というものは明確にしてもらわなければならないわけですが、一応私は迅速に調査をして、この法務局の見解がもし不当であるならば不当である、あるいは同じ見解であるならば同じ見解を文部省としても明白にすべきだと思うのです。この点をお願いしてきょうは一応これでおきます。      ――――◇―――――

床次徳二自由民主党

○床次委員長 次に義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案を議題にいたします。  質疑の通告がありますのでこれを許しますが、なお前回の湯山委員の質疑に対してこの際文部大臣から発言を求められておりますからこれを許します。荒木文部大臣。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 前回の委員会におきまして湯山議員の御指摘の点につきましては、教科書調査官に遺憾な点がありましたので、厳重に注意をいたしました。なお「教育委員会月報」の編集及び記述の内容については御指摘の点もあり、今後十分注意いたしたいと存じます。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 質疑の通告がありますからこれを許します。湯山男君。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 ただいまの大臣の御発言によりますと、調査官に非常に遺憾な点があったので厳重に注意をしたということと、それから「教育委員月報」については今後注意をするという意味の御発言であったと思います。なおその中には、いまおっしゃったような厳重な御注意をいただいただけで済まない、現に学力テストの準備教育を奨励するというような内容もございましたし、現実にそういう弊害が出ておることも大臣も御存じだと思います。局長もその点については御存じだと思います。そこで、そういうことのないような措置をあわせておとりいただくのが至当ではないかと私は存じますが、そういう措置もおとりいただけるのかどうか、ただいまの御発言の中にはそうう点も含められておるかどうか、お伺いいたしたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 ただいま発言いたしまた事柄の中には、学カテストそののについての準備教育その他の弊害対する措置そのものを含んで申し上げたつもりはございませんけれども、この前もちょっとお答えしたと思いますが、学力テストを実施しますのは何も準備教育までもしてテストの結果だけを形の上であげることが目的じゃないのでありまして、あくまでもテストの結果がよければいいで検討すべき課題もございましょうし、悪ければ悪いでまたそれぞれの段階で検討すべき事柄が出てくるはずでありまして、そのことをテストを通じて発見して、現場の学校におきましても、教育委員会におきましても、文部省におきましても、それぞれの原因探求の結果に基づいての改善措置を講ずるということがねらいでございますから、単に見た目だけの結果のよさをてらうということは本末転倒だと心得ます。したがっての趣旨が不徹底なために準備教育等が行なわれるということでもあろうかと思いますので、かようなことの起こらないような、趣旨の徹底化に努力していきたいと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 その点は早急に御善処願いたいと思います。と申しますのは、先般も申し上げましたように、文部省の中に大臣の御意図と反した行動をとっている、指導している、それから学習指導要領と相反するような指導をやっている、そういう事実があるわけでございまして、私はこういうことを申し上げるために、一体責任の所在がどこにあるかということを質問の最初に大臣にお尋ねしたわけでございます。しかしいまこの時点に立って、それじゃ大臣の責任はどうなるかというようなことをお尋ねする意思はございません。ただ大臣がそういうことがおわかりになった場合に、いまおっしゃったように直ちにそれに対して善処していただくということのお約束がいただければ、それでけっこうだと思いますので、次の質問に移りたいと思います。  前回同じく委員会月報の中で、教科書課長がお書きになった中にこういう文章がございます。「教科書の採択はそれぞれの教科書の教育的価値に対する評価に基づいて行なうべきものであるが、同時に地域の教育水準その他の実情および父兄負担等の問題を考慮に入れながら、慎重に比較検討し決定すべきものであって、教育行政全般の立場に立って行なうべき行政事務である。したがってこれを校長あるいは教員等教育の当事者に課することはむしろ教育行政上の責任を他に転嫁することとなるのであり、条理上も教育委員会が当然行なうべきものである。」こういうことがございます。これはどういう意図でもって書かれたのか、私ども判断に苦しむわけですが、実際にこういう非常にきびしい書き方をするということは、教科書の採択から実際に教育に携わっておる校長なりあるいは教職員を排除する、そういう意図しか見えないわけでございます。はたしてそういうお考えを大臣もお持ちになっておられるのか、あるいは局長もお持ちになっておられるのか、あるいはお書きになった課長は一体どういうつもりで書いたのか、その辺を明かにしていただきたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 ただいまの御質問でございますが、教科書課長の書きました趣旨は、おそらく現行法におきまして教科書の採択権自体は教育委員会にあるということを明確に書く意味においてそういう表現を使ったんだろうと思いますが、私どもこの前も申し上げましたように、採択権は教育委員会にございましても、教師自体の教科書の研究、あるいは選定の際にいろいろ有益、適切な意見を出してもらうということにおいて、この採択なり選定に教師の意見が反映するということは、その道をふさごうという考えは毛頭ございません。都道府県の選定審議会におきましても現場の教師のそういう研究の結果が十分反映されるような仕組みを考えてまいりたいと思っておりますし一また実行に当たりましてもそういう点についてはできる限りの配慮をいたしたいと考えております。したがって権限の所在自体と実際の運用の問題とは別に考えられるものでもございますし、実行上はそういう教師の意見あるいは研究の結果というものができる限りそういう選定、採択に反映するようなことが望ましいと考えております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 局長の御答弁はそれで一応了解できますけれども、それじゃ具体的にどういうふうにおやりになるお考えなのか、それを伺いたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 都道府県に置かれる予定になっておりますところの教科書選定審議会にいたしましても、あらかじめ都道府県の段階において適切なものを数種類選定するという方向に持っていくわけでございます。その選定の際におきましても、これは教育委員会だけで決定すべきものではございませんで、もちろん現場の小中学校の教員、校長あるいは市町村の教育委員会の関係者、あるいはまた公立学校だけでなく、私立、国立の学校等の教職員もこれに参加できるような道をつくって、そうしてそういう現場の先生と、同時にまた教科書についての学識経験者を含めまして・そこで適当なものを選定してもらうという仕組みを考えておるわけでございます。これは政令の段階でそういう組織をきめるわけでございますが、この趣旨はもちろんいま申しましたように現場の教師あるいは教科研究会等が各地で盛んに行なわれております。そういう意見というものが十分そこに反映されて、適切な選定が行なわれるためにそういうことを運用上やるべきであろうと考えております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 県段階の選定についてはいまお話がありましたが、具体的に市町村教育委員会が採択にあたって一体どのように現場の教師にこれに参加させるか、それについては一体どうお考えなのですか。そこが私は一番大事とことだと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 都道府県内で数種数選定いたしまして、その結果に基づいて、今度は市町村の教育委員会がその中から一種類を協議によって採択するわけでございます。したがって、この法文の中では教育委員会の協議によってということになっておりますが、協議するにあたってどういう方式でこれをきめるかということは、これは法律上の問題でなくて、むしろ事実上の問題として市町村の教育委員会にまかしておるわけでございます。そういった関係から必要な限り市町村教育委員会においては、一種類を採択する場合におきまして現場の教師の意見を聞くとか、あるいはまたいろいろな学識経験者の意見を聞くというような機会を持つために、たとえば従来ありましたような採択協議会あるいは委員会というようなものを構成して、その意見をまって教育委員会がきめるというやり方をやってもよろしいし、その点はいわば自由にしてあるわけでございます。今後の運用の問題でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そうすると、実質採択するものはその市町村の教員が中心になってやるのだ、こういうことでございますか。いまの御説明によればそういうふうにとれるのですけれども、そうなんです。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 採択権自体は市町村の教育委員会にあるということを前提にいたしまして、実際の運用はいろいろ考えられますけれども、市町村の教育委員会が採択権を持っておる、具体的に採択するということでこの法文は貫かれておるわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 法律のたてまえはこうなっておるけれども、採択には現場の教師の意見が反映するように、――これはたてまえと実際とは状態が違うという局長の御答弁でございましたから・それじゃどうなんですかとお尋ねいたしましたら、只段階にこういうふうにする、それじゃ市町村段階はどうですかというと、市町村段階になると、またたてまえは教育委員会だ、こういう御答弁では、これは御答弁にならないと思うのです。ですから一貫した御答弁をひとつ願いたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 私のお答え申し上げたのが、少し足りなかったかと思いますが、県の段階におきましては先ほど申し上げた通りでございます。市町村の段階におきましても、現行法でも市町村の教育委員会が採択権を持っているということにおいては、この法案と違いはないわけでございます。ただ現行法におきましても、事実上市町村が採択する場合におきまして、現場の教師あるいは学識経験者の意見を聞いて、実質上の選定なり、そういうあらかじめの選定あるいは内定と申しますか、そういうことについてできる限り現場の教師あるいは校長の意見が反映するような仕組みで現在は行なっているわけでございます。したがって今後この法案におきましても、あくまで市町村の教育委員会が採択権を持っておりますけれども、現場の教師なりあるいは関係者の意見というものを十分反映させる方法としては、現在行なわれているような採択委員会あるいは協議会というようなことで、意見を反映する仕組みを市町村がつくってもよろしい、こういうことを申し上げたわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 局長の御説明で、市町村における現場の教師、校長以外に学識経験者というのは、一体どういう人たちか、そういう期待ができるかどうかです。それからたてまえはそうなんだということは、その通り法律に書いてあるわけですから、これはわかります。しかし教科書の検定にしても全責任は文部大臣にある。しかし実際は教科書のよしあしというのは文部大臣にもおわかりにならないし、局長にもおわかりにならないし、課長にもおわかりにならない。それは調査官が責任を持ってやっている。それを信頼して、皆さんは、大臣は検定をなさっておるわけです。もしこのようにこの課長が書いておるような言い方をすれば、実際文部大臣が責任を持っていながら、それを調査官あるいはその他の文部省の職員なり部外の人にその仕事を課することは、教育行政上の責任を他に転嫁することになるのであり、条理上も文部大臣が当然行なうべきものである、こういうような書き方をしているのです。課長はこの通り書いてある。教育委員会と校長、教員という文章を、文部大臣と調査官あるいは審議会と直せば全く同じことなんです。実際は、責任の所在と実際にやることは、教育の問題についてはさっき局長が言われたように違っている。だからほんとうに使う人が教科書がいいということを実質的にはきめる、責任や行政上の筋道はおっしゃったとおりでけっこうですけれども、実質的には使う者がきめていくのだ、しかも一人が単独できめるのではなくて、いろいろ相談してきめていく、これが私は正しいあり方だと思うのです。それは局長もそうだとお思いになると思いますが、いかがですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 湯山委員のおっしゃることが私が申し上げていることと同じだと思いますが、権限はあくまで市町村にあるけれども、実際の権限行使にあたってはできる限りいろいろな意見を尊重して、あるいは適切な意見があればそれを十分反映させるような採択の仕方をしていくということ、これは現行法でもそうでありますし、今後においてもそうであろうと思います。その点は同じでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 ただ若干ニュアンスが違うのは、意見があればじゃなくて、実際にその人たちにやらせて、その責任を教育委員会が持つ、こういうことだと思います。局長が私と同じだという意味は、それを肯定されたことと思います。そうすると、課長がこういう指導をしておるのは明らかに行き過ぎだと思うのです。むしろこのことがいま局長が言われたのと逆に、校長や現場の教員を採択から排除する、そういう意図が明瞭に見えておるので、これは指導としてははなはだ行き過ぎである、こう思いますが、局長いかがですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 その表現は、採択権の所在を強調したにすぎないと思います。したがいまして、採択権自体が教師にあるということではなくして、教育委員会にあるということを強調した文章であろうと思います。したがって、適切かどうかということは別の問題だと考えます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 何のためにこういうことを強調されたのか、課長にお尋ねいたします。

諸沢正道文部事務官(初等中等教育局教科書課長)

○諸沢説明員 この文章の前半にもありますように、私は、ここでは制度としての採択というものの権限、責任はだれが持つかということを響いたわけでありまして、そういう意味で、これに対しまして採択というものは、現在のたてまえでも、教育委員会が行なうのではないという意見もあるようでありますが、それに対して私は、ここで言っておりますことは、その責任と権限というものは、採択という仕事の性格を、教育行政事務と観念する以上、当然教育委員会が行なうべきであるということを述べたわけでありまして、先ほど来局長から御説明がありましたとおり、その採択のプロセスにおきまして、校長、教員等現場の意見を反映することを否定することは、毛頭ないわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 それは、あなたのおっしゃるのは、この意図と違っておると思います。ここでは、そういう法理論的な採択権の所在について論じておるんじゃないんです。そうじゃなくて、その前段では、教科書の採択は、教育課長はもちろんだけれども、地域の教育水準その他の事情、父兄負担の問題、こういうことを考慮に入れながら、慎重に検討すべきであって、教育行政全般の立場に立って行なうべき行政事務だ。ですから、これはただ単に法律論じゃなくて、実質論に触れております。しかし、いま法律が変わろうとしておるときに、しかもこの中でこういう幅広い、特に父兄の意見を聞かなくてはならないという条件は、今度はなくなっているんです。それは教科書無償ですから、父兄負担というのは、今度は条件としてなくなるんです。あなたのあげておる必要条件の中からなくなるのに、ここであえて教師や校長に課することは、これは行政秩序を乱るものだ、責任転嫁だ、こういう指摘のしかたというものは、意図的なものがあるとしか思えないんです。局長そうでしょう。むしろ逆に、いままではほんとうにいい教科書が使いたい、教師がそう思っても、実は父兄負担の問題もある、そういうことで、純粋の教育の立場からだけでは選べなかった。しかし、今度は無償になるんだから、そういう条件は抜きにして、いい教科書を使う、ほんとうにいい教科書を採択する。こういう純粋な立場に立てるんだという指導なら、私はわかります。そうでなければいかぬでしょう。この際の指導というのは、そうでなければならないと思うのですが、局長いかがでしょうか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 教科書は御存じのとおりに、最項価格を抑えております。個々の小中学校の、それぞれの教科別の教科書について、それほど定価が違うということはあり得ないわけでございます。現実にあまり違ったものはございません。したがって、父兄負担の問題も何でございますけれども、そういう大体似たような定価の範囲内の教科書について、種類がかなりございますので、その中でどれを使うということは、これはいろいろな御意見があっていいはずでございます。これはおっしゃるとおり、私ども、現場でどういう教科書を使用するかということは、教育委員会も学校も、当然にこれは研究している問題だ、またそうあらなければならないと考えております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 つまり、申し上げておるのは、今度こういうふうに新しい制度で無償になる。そのときには、教科書の採択にあたって、採択権を持っている地教委は、定価の問題を考えなくてよろしい、多少の幅があって、高い安いがあっても、それは無償になるんだから、そういうことは念頭に置かないで、いい教科書を採択しなさい、これが文部省の指導でしょう。今度無償になったときの指導のあり方でしょう。それはいかがです。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 定価の問題は、それほど大きな要素ではないと思います。おっしゃるとおりだと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 それにもかかわらず、ここでは採択権の問題に触れて、父兄負担の問題も考慮に入れながらやらなければならないのだから、現場の教師だけじゃだめだ、こういうことになっているのです。これは指導としては行き過ぎである、意図的なものだ、こう判断されてもやむを得ないじゃございませんか。いかがですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 その点は、私どうも湯山委員のおっしゃることがよくわかりませんが、必ずしもそう考えていないわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 局長、あなたはこの法案の担当局長ですから、そういいかげんな答弁をなさらないように。採択を、たくさんの人の意見を聞いて採択しなければならない。単に、現場の校長や教師だけじゃだめだ。それは、教育水準の問題もあるし、定価の問題もあり、父兄負担の問題もある。これは、実質的にこうでもあるし、法理論からいってもこうだ、こういうきめつけ方をしていることは、お読みになったらおわかりでしょう。この指導は間違っている、こういう指導を、いまするのは意図的なもので、こういう指導をすべきじゃなくて、教育水準のことも教師が一番よく知っているし、教科書のよしあしも、教師でなければわからないのです。この前お聞きしたように、局長に聞けば、理科の本でも何でも、書いてないより書いてある方がいいというよう御答弁ですが、そうじゃないわけです。そこで指導するのは、いまのように、純粋にいい教科書を使え、値段のことは今度は心配要らないのだ、この指導があってしかるべきです。それを、こういう指導をしているのは、これは適切じゃない。それをお認めになれないようであれば、あなたは一体何のために無償をやるのですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 お答え申し上げます。私はこの文章の趣旨を――教科書を採択する場合には、もちろん、それは決定的な要素ではございませんけれども、定価の問題も、それはあろうと思います。それから教育水準と申しますか、個々の学校の学力の問題等も、当然考えなければいかぬ。それからまたその地域のいろいろな条件、あるいは転学等の場合もいろいろ考えまして、そういう行政上の問題としては、総合的にこれを判断して決定されるというのが適当であろうと思います。そういう趣旨にこれは書いているものと思いますので、したがって、特に父兄負担の点だけを湯山委員はおっしゃいましたけれども、私は全体の問題として、これは父兄負担等と書いてありますが、いろいろな要素がございますので、そういう要素を勘案してきめるべき問題だというような意味合いに、私は受け取ったのでございます。そういう意味で先ほどから御答弁を申し上げているのであります。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 どうしてそういう御答弁が出てくるのかわからないのですが、教科書は無位になるでしょう。無価になるのに、どうして父兄負担を考えなければならないのですか。この法律は無償の法律で、それにだんだん説明が入っているのですよ。どうしてそれはそうしなければならないのですか。考えなくていいでしょう。無償になれば、採択にあたっては教科書の値段の問題は考えなくてよろしい。そうなんでしょう。どうですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 もちろん、先ほど申し上げましたように、定価の問題のみが採択の場合の要素ではございません。若干の定価の開きはありますけれども、大体大した違いはありません。これが唯一の問題ではございませんが、先ほど申し上げましたように、転学の問題だとか、あるいはその地域の学力水準の問題、そういういろいろな配慮から、これは決定されるべきものだという意味に書いているというように、私は読んだのでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 これは、どうしても定価の問題に触れられるのですが、要らないことなんです。どうしてそれがはっきり言えませんか。変でしょう。この法律で無償になるんですよ。にもかかわらず父兄負担、それでは文部省が新しく今後半分を父兄負担させるのですか。なお父兄負担ということを採択にあたって考えなければならないのですか。定価について考えなければならないのは、あなた方は考えなければいかぬでしょう。これは予算にも関係ありますから。ですけれども、採択するものが一体父兄負担を考える必要がありますか。ないでしょう。そこで、局長がいま言うように、現場の教師が実質やるのだということですから、それはそれとして、なお課長は、東京都のことを、東京都では現場では採択しないのだ、学校から希望するものを申し出させて教育委員会が採択している、こういうことを書いてありますが、間違いありませんか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 その点につきましては、この前諸沢課長から御説明申し上げたとおりでございます。法令上の建前をここへ書いたという意味でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 いや、ここに書ていあるとおり、東京都はやっていないでしょう。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 それはこの前村山委員の御質問であったと思いますが、私お答え申し上げた点でございまして、法令上のたてまえは、東京都はこういうようになっておりますけれども、個々の学校においてはそういう村山委員の御指摘になったような実情はございますということを申し上げたわけございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 だから、これも結局いまのように教育委員会がやるのだ、現場の教師は排除するんだという意図がこの中にはそこまできているわけです。これもいま局長や大臣のお考えになっておることとは違っておる、こういう指導を課長もしているわけです。こういうことも非常に大きな問題なので、一体この法律によってどうなるのか、教育のどこがどうよくなっていくのか、ただ父兄負担の軽減というだけじゃなくて、純粋にこの本は使いたいけれども、高いというような場合、心配なくていい本が使える、そうでなければ意味ないでしょう。いいですか。明治三十九年にだって小学生に本を使わすときに、父兄負担の問題はあるけれども、教育効果を考えてこういうようにした、昔の人は実に明快でしょう。局長も大臣もそういうことはよくおわかりになっている。ところがその下では、皆さんの目が届かないところでは、実はこんなでたらめな指導をやっている。これでは地教委は、これはこう言っているのだから、現場の教師をできるだけ排除しよう、こうなってくるのがあたりまえなんです。そうすると自分の意に沿わない教科書、そういういうものを使わなければならない、いうことになるので、そういうことからいろいろな問題が出てきますので、採択をめぐるいろいろな問題が地教委との間にずいぶんあります。  それからまた特殊な出版会社と文部省との関係、これも過去においてあったことは局長も御存じでしょう。御存じなければないとおっしゃってけっこうですが、どうですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 かって文部省の職員であったものが教科書会社にいたという関係をおっしゃっていると思いますが、それは私も承知いたしております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 きょうはそのことをお尋ねするのが目的ではございませんが、この本院の行政監察特別委員会ですか、そこで問題になったことも局長御存じでしょう。ある営利会社のために、文部省の管轄下にある公益法人が特別な便宜を供与するとか、そのために働いていたというようなことがあったのを御存じでしょうか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 私具体的な事実は知りませんけれども、当時行政監察特別委員会でそういういろいろな各種の問題が問題になったことは承知いたしております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そこで、実質的な採択はあくまでも校長あるいは使う教員にやらすべきだ。先ほど局長が実質はそうすると言ったことを信頼します。信頼してこのことについての質問は打ち切りますけれども、実際そうしなければ幾ら皆さんが力をお入れになっても、大臣がああいうふうにしっかりしておられても、実際には検定段階以下には皆さんの力は及ばない。これは文部省の待遇が悪いのです。理科の調査官は、あとで開きますと、皆さん非常にいい人だそうです。理科の調査官でいてああいう状態です。悪い調査官はたくさんいるそうですから、皆さんは給料が安いから学者の人も来てくれない。そこでやむを得ずいろいろなうわさが立つようなことになるわけです。ですから、調査官の待遇もよくしなければなりませんし、採択はやはり何といったって現場の先生が実質やるという態勢をぜひはっきりおとり願いたいと思う。これができなかったら、私はまたあとでお尋ねします。それからもう一つだけお尋ねします。それは予算の執行についてです。いま三十八年度の無償で出された一年生の教科書についての予算執行の状況はどうなっておりますか。年月日をあげてひとつ御説明願いたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 お答え申し上げます。三十七年度予算で計上いたしておりました七億の執行につきましては、大蔵省と、概算払いの政令を改正いたしまして、三月二十五日、二十六日の両日にわたりまして一年生用の教科書の八五%を概算払いで会社に対して支払いをいたしました。現在は精算払いをいたす前提として、各都道府県を通じて市町村の教育委員会から報告が集計されて、文部省に全部が到達するのを待っているような次第でございます。残りの一五%につきましても、できる限りすみやかに精算払いをいたしたいと考えております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 いまの局長の御説明では、概算払いが三月二十五日、二十六日ということでございました。あと四、五日すればもう三十八年度に入るわけで、そういうような支払いをする。しかもまだ支払いを完了していない。そういうものを三十七年度予算に七億ですか、お組みになって、しかもこれは繰り越し明許にしています。いまのような経理をなさるならば、三十七年度予算に組んで、ほとんど一年間寝かしておいて、しかも年度末ぎりぎりになって概算払いをする、これは予算執行のやり方としてはどうもはなはだ了解しがたい点だと思います。こういうことをやるならば、選挙対策で一年ぐらい前から宣伝のためにやったのだということを言われてもいたしかたがないと思います。一体なぜこんなことになるのですか。こういう方法しかないのですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 その点につきまして私たちはいろいろ事務的に検討いたしてまいったのでありますが、三十七年度の予算の執行につきましては、先ほど申し上げましたように、三月に入りましてたいへんおくれたわけであります。しかし、このおくれました理由は、御承知のように三十七年度予算で計上いたしました一年生分の執行にあたっては、今後三十八年度以降の無償措置が完全にきまりますまでは、それと歩調を合わせてこれを執行するというたてまえで、その執行につきましても具体的な措置の内容は調査会でもって十一月ごろでございましたか、決定したわけでございます。その三十八年以降の具体的な計画がきまりまして、初めて三十七年度の予算執行ができるということになっております。したがいましておくれたわけでございます。本来ならば、これは発行の指示をいたします十一月のころに、前年度に契約をいたしまして、そしてある程度の概算払いをして教科書会社に資金の不足を訴えないようにさせるのが、これが一番いい方法だと思います。したがいまして三十七年度の予算執行がおくれましたが、三十八年度の予算執行にあたりましては、できる限り早期に契約をいたしまして概算払いをしていく、こういう了解で計画を進めているわけであります。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 現在のような執行状態でしたら、教科書は三十八年度のを三十七年度予算で組んで繰り越し明許をやる。それから今度は三十九年度のは、三十八年度予算で組んで二十七億の繰り越し明許をしている。こういうことは必要ないので、学校給食の四十億は、これは当年度予算、今年度は今年度で組んでいます。御存じですね、脱脂粉乳のは。いまのようなやり方だと、それでけっこう間に合うと思う。もしほんとうにこれを繰り越し明許の必要があるというのであれば、少なくとも八月かそのくらいのときに概算払いをして、そしてむしろそこで教科書のコストの引き下げをする、それならわかるのですけれども、そういうことをやらないで、何かつじつまを合わせるように三月の二十五、六日ごろになって概算払いを無理やりやって、そしていまだに精算がついていない。これは私は予算執行の上から見て非常におもしろくない遺憾な点だと思います。一体三十八年度は概算払いはいつごろになる予定ですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 先ほど申しましたように、教科書会社としては製造にかかりますのが大体十一月のころでございます。したがいまして各都道府県から需要数がまとまってまいりまして、文部大臣が会社に発行の指示をいたしますが、そのときに契約をいたしまして概算払いをするというのが一番適当であろうと思います。したがいましてできる限り十一月に概算払いをいたしたいというつもりでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そういうことは、予算が通っておれば支払いは可能なんですから、できるだけ早くして、その面からコストの引き下げをしていく。採択のときに値段を考えるのではなくて、考えなければならないのはそこだと思うのです。これはぜひもっと早くなれば早くする。そしてコストを引き下げる努力をすべきだと思います。  もう一つ、ついでに伺いたいのは、昨年教科書の一四%の値上げをいたしました。今度予算編成にあたっては、また一四%下げようということであったそうですが、全く了解に苦しみます。昨年の教科書の一四%値上げは、文部省がかってにやったのですか、閣議決定でやったのですか、これはどうなんですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 文部省がかってにやったのではなくして、これは閣係省とも十分相談をして、専門家の意見を聞いて一四%値上げが至当であるということできめたわけでございまして、閣議で了解をいたしてもらって決定したようなわけでございます。いきさつはそういうことであります。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 ことしになって、また物価がどんどん上がっているのです。それからいまのように政府の支払いはおくれて、前金でとっておったのは一年だけですけれども、それもとれていない。それを一四%下げるというのはどういう理由があったのですか。下げるということにはいかなる理由があったのですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 私どもが下げようと言ったわけではございません。大蔵省当局が、予算査定の過程において一四%を下げたらどうかという提案をしたわけでございます。その理由は、主として会社の宣伝費などに使われる経費が多過ぎる。無償になればそういうものは要らない。ひとつ宣伝費その他切り詰められるものを合理化して一四%下げたらどうか、こういう提案があったわけであります。私どもとしては、定価をきめたばかりでございますので、一四%引き下げという根拠は乏しいということでお断わり申し上げた次第でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そうすると、一四%上げた根拠も薄弱だし、それからまた宣伝費を一四%という大蔵省の意見もはなはだ了解に苦しむし、そういうことをまじめに大蔵省が言ってきたとすれば、これまたはなはだけしからぬ話なんで、一体どうなっておるのですか、この辺は。全くこれはどう言いますか、役所の仕事じゃなくて、どこか小店で物の商いをやっておるようなそんな感じを受けます。どうしてこういうことがそういう議論になるのか、もっとはっきりできないのか、どうお考えですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 予算編成の際に、唐究にそういう申し出がございまして、紙代なども最近は値下がりしている、それからまた宣伝費なども多過ぎるというようなことがおもな理由でございますが、これは先ほど申し上げましたようにお断わり申し上げまして、将来の教科書の定価という問題は、これは私どもとしても十分検討してまいらなければならない課題でございます。したがって三十八年度の予算編成の際に申し出はお断わりをして、将来の問題として、値上がりするものもありましょうし、値下がりするものもあるかもしれない、そういうものの中身を十分検討して将来の定価というものを研究していく、こういう方向で落着をしたわけであります。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 最後に局長に苦言を呈します。それはあなたのお書きになった文章の中に、「昨年来、大蔵省当局は定価を十四%引き下げることを主張したが、昨年初めに慎重に検討した結果数年来の縣案であった値上げ問題について十四%引き上げを決めたばかりの矢先であり、一年もたたないうちにこれを引き下げるということは理由のないことであったので、文部省としてはこれを拒否して、四十年度以降」云々、こういうことをどうしてお書きになるのですか。無償にするときにこういうことをお書きになっても、地方の教育委員会も現場の教師もちっともありがたくないことなんです。むしろこれによっていまのような不信感を増すばかりです。そしてこれは去年一四%上げろのはおかしいのではないか、上げずに済むものならなぜ上げたのだろう。文部省のお手柄のつもりでお書きになったかもしれませんけれども、とにかくこの教育委員会月報は、全部削除してもいいようなことばかり書いてある。  最後に、こういうこともほんとうは現場の先生も教育委員会も見ているのです。だから先ほど大臣が今後注意するとおっしゃいましたけれども、大臣だけの御注意じゃなくて、全般的にもっと教育全体のことを考え、扱っている先生たちのことを、取り組んでいる教育委員会のことを考えて、あまりいいかげんなことを局長以下お書きにならないように要望して、質問を終ることにいたします。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 質疑の通告があります。三木喜夫君。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 ちょうどお昼あたりになりますが、私のお聞きしたいのは三つございます。一つは前々からの質問の続きなんですが、最後の決着を見ておりませんので、公取委員会の方に最後の決着の意味でお聞きしたい。それから第二は、私は今度の教科書の無償配置の法案が出ましてからいままで教科書業者とあまり接触しなかったのですが、接触してみますと、非情なことがわかってまいりました。これで教科書行政がいいのだろうかということが私の第二の質問点になる。三番目にやはり湯山さんがいま指摘しましたように、教育委員会月報によりまして、採択の問題になるところをお聞きしたい、そういうように考えます。そのうちで、第一の公正取引委員会にお聞する分を午前中に終わりたい、こういうように考えておりますが、まず公正取引委員会にお聞きいたします。  先般来公正取引委員会においでいただきまして、種々お聞きいたしたかったのですが、時間がないために、こういうぐあいに切れ切れになりまして失礼しておりますが、要は、今般提出されております義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案が通過すれば、採択に関し過当競争をまた起こす心配があると私は思うのです。なおその上、教科書行政上の歴史的な汚点を残したあの教科書汚職、昭和三十六年に起こしたものですが、いまだに、審決を見ない、結末がつかないようでは、一そう心配なために、これを総決算する意味でお聞きしてまいったわけです。そして私が聞きまして明らかになった点は、要約いたしますと、公正取引委員会の調査では、六社の独禁法違反行為によって動いた金額が百四十九万五千円余り、社員の違反行為が四十一人、教師の違反行為が二百五十一人であったということ、それから文部省側の調査もほぼ同様とのことです。二番目に、六社中審決の終わったものは三社、いまだに終わっていないものが三社であること、三番目に、昭和三十六年の違反行為がいまだに終わらずおそくなっている原因は、人手の不足と金がないというシステム上の欠陥があるということ、それから同意審決を終わらねば、裁判に連なるというところがあるから、事を慎重に運んでいるためである、しかし刑事裁判の場合は、三十六年中に完了したものが大部分であり、刑事裁判の様子を見ていたということがはっきりしたわけです。未審査または違反の事実がいまだに残っておっても、独禁法違反の事実が大要整えば、日時もかかり、金、人手もかかるので切り上げている、なお、教師の名がまだ次々出ることは忍びないというのがこの前にお聞きしてわかった大要です。  そこで、私が問題としたいことは、政府がいまや独禁法に穴をあけようとしているときであるから、さらに人手をふやし、金を出してまで公正取引委員会の違反防止のための機構の充実をする必要があるのではないか、要は公正取引確保の機関の充実をはかる必要があるのではないかと思いますので、その点当局から御意見を聞きたい。

小沼亨総理府事務官(公正取引委員会事務局長)

○小沼政府委員 機構の問題につきましては、実は公取としましても本年度六名の定員増を認められたわけでございますが、そのうち二人は違反事件を処理する審査部の方へふやす、これは非常に少ないのでございます。今度も独禁法の問題いろいろございますが、不公正な取引方法という面ではやはり強化していく必要があるということは、大体異論のない問題でないかと思いますので、どうしてもいまの陣容でやれないということになりますれば、さらに行政管理庁なり大蔵省にお願いしまして、できるだけのことはしていきたいと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 私が知っている範囲でも三十六年度の違反の中で残っている分が多いが、ここではこの問題はもう取り上げません。しかしながら、これはどうすればいいかということが一つ問題です。  それから二番目にさらに三十七年度から三十八年度にかけて新しい容疑事実があがってきている。このようなものに対するところの処置のしかたはどうしたらいいか、この処置のとり方、これをひとりお答え願いたいと思います。私は個々の問題はここでは取り上げませんから、ただその事実があれば、どうすればいいかということをひとつお聞きしたい。

小沼亨総理府事務官(公正取引委員会事務局長)

○小沼政府委員 そういう事実がありますれば、新しい違反事実としてはっきりしたものについては取り上げていかざるを得ないと思います。  ただ、ちょっと補足的なことを申し上げますれば、審決が教科書関係の六社のうちで最後の残っていた三社のほうも五月二十三日に代理人から同意審決の申し出がありまして、大体その方針で最終審決が出るものと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 そういうように考えてまいりますと、古い事実とさらに新しい事実をどうするかという問題について考える以前に、私は公正取引委員会の側に一つ問題があるのではないかと思うのです。それは審決書の中の計画書に従って審決主文を古いておりますけれども、この計画書が私は形式的に過ぎ、そうして画一的だ、これでは、後ほど文部省にも言いたいのですが、こういう問題を未然に防ぐといいながら、こうした法を取り扱う上においては未然に取り扱えるような措置になっていない、こういう形式的なことをやっておっては、問題ないじゃないかということで、幾らでも続出するおそれがあると思うのですが、その点どうですか。

小沼亨総理府事務官(公正取引委員会事務局長)

○小沼政府委員 審判途中に同意の申し出があって、その同意がこちらの審判をやっている過程に明らかになりました違反事実をはっきり認めて、それを排除するという計画でありますれば、同意審決という形で出ますが、今日の六社の関係の行ないました公正取引方法は、いずれも内容が同じ案件でございましたので、排除の内容も同じようになった、これはやむを得ないことではないかと思います。実際に違反していない事実までを審決でこういうことをやってはならぬと排除することはできませんので、排除するものは違反事実だけということになってまいろうかと思います。  それから内容が非常に軽いといいますか、こういうことでは何にもならないのではないかということでございますが、もしこの審決を受けました会社側で同じ違反を繰り返しました場合には、これは審決違反で刑罰の問題になっておいりますので、かなりきびしいものになるかと思います。  今後の事前の予防措置でございますが、これは私どもとしましては、例の公正な取引方法の特殊指定がございますので、採択の問題のある時期には、委員長の名前で各会社に警告を発しておりますが、今後さらに採択問題をめぐって競争が激しくなるといった場合には、そういって事前の予防的な警告も十分やりたいと考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 みな同じだ、こうおっしゃいますけれども、この主文をみな読んでみますと、「被審人は、その兆行する教科書の選択を勧誘する手段として、選択に関与する者に対し、金銭、物品、きょう応その他これらに類似する経済上の利益を供与し、または供与することを申し出てはならない。」二番目に、「被審人は、今後三年間、毎年決算期後二か月以内に、その年の宣伝費の使用状況を、当委員会に報告しなければならない。」これは計画書に基づいて出ておると思うのです。いままででも不公正な取引をしてはならないと特殊指定の中にはっきりあるのですね。こういうわかり切ったことを暫くよりも、会社によってこの人はこういうことをやったからこれはどっちにやるというようなことが具体的に行なわれておるのです。そういう問題を書いてもらった方がいいんじゃないか。私は先般私的に部長にお聞きしました。そうすると、部長は弁護士がみな提携し合うから文書が一緒になるんですというようなことですけれども、せめて計画書は綿密な計画書をとってもらって、今後そこから起こらないようにしてもらいたい。私はこの教科書会社を責めておるわけじゃないのです。その罪を責めておるわけなんです。それから教師自体がそういうことをしておることを非常に私自身も日本の教育界のために悲しむべきことだと思っております。これらの大手の教科書会社は実にいままで日本の教科書をここまであげてきた功労者です。そういう意味合いもありますから、これらのところからそういう違反行為を今後出したくない。それならば公取もそういう熱情を持たれて、もっと計画書を具体的に書いてもらう必要があると私は思うのです。私はこの審決の終わるのを実は見ておったわけです。しかし、こういう結末のしかたでは何にもならぬです。やはり計画君を具体的に出していただく必要があると思うので、これをお聞きしておるわけなんです。私だったら、もう少し会社側であっても、その罪をわびる意味なれば、形式的なものではなく、もっと具体的な計画書を出します。それは、こういうのっぺらぼうの計画書を出しておけば、一つ一つ問題を拾わぬでもいい、また公取のほうもこんな形式的なことをしておけば済むというなら私は問題だと思うのです。その点どうですか。

小沼亨総理府事務官(公正取引委員会事務局長)

○小沼政府委員 計画書そのものでございますが、この審決の内容そのものが非常に要約してございますが、教科書会社の行なった違反事実をはっきり述べてあるわけでございまして、これを具体的に書かなくても、もしこの教科書会社が――たまたま問題になりましたのは関西地区でございますが、北海道で同じような問題が起こりましたらやはり審決違反の問題でございますので、あまりどこそこでどうだこうだ、共のなにがしがどうだということは従来も審決には書いておりません。従来からただ事実を集約して今後こういうことを行なってはならないという形式を踏んでおるわけでありまして、いろいろ今後の研究問題ではあろうと思いますが、今回のこの審決はやむを得ないのではなかろうかと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 私が申し上げておるのは、こういう事実があげてあるのですよ、この事実があがっておるから、どういう計画書が出ておるかということなんです。事実がこうだからということで計画書の中に書く必要はないのです。こういう事実をどうして防いでいくかという計画書が必要なんです。形式はみな違いますよ。これはそういうように私は要望することにしておきたいと思います。  それから、さきがたちょっと罰則の問題が出ましたのでそれに触れたいと思うのですが、罰則は、なるほど独占禁止法の第四十八条第三項、第五十三条の三、または第五十四条の第一項によりまして、審決の確定したあとにはこれに従わなければならない、それに従わなければいま言われましたような罰則が設けられてある。しかしながら、これは後ほど文部省に聞きたいので確かめておきたいのですが、確定審判違反の非の対象は一体だれであるか、代表者であるかだれかということです。

小沼亨総理府事務官(公正取引委員会事務局長)

○小沼政府委員 確定審決違反のものは事業者でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それは間違いないですね。

小沼亨総理府事務官(公正取引委員会事務局長)

○小沼政府委員 ただ両罰規定という規定がございまして、事業者とそれを代表する者が罰せられるわけです。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 審判違反及び勧告違反についての罰則の手続、それから刑事事件にならねばこの審決違反があったということは取り調べにかかれないのか、容疑があれば直ちに調査はかかるのか、この点も念のためにお聞きしておきます。

小沼亨総理府事務官(公正取引委員会事務局長)

○小沼政府委員 これは専属告発の問題でございます。この審決を受けた会社で同じ違反があれば、公正取引委員会のほうから検事総長に告発するということになっております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 公正取引委員会のほうに対しましては以上で私の質問を終わり、午後、第二の問題について御質問を申し上げたいと思います。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 午前の会議はこの程度にとどめることにして、午後二時半より開会いたします。  午後零時八分休憩      ――――◇―――――  午後二時四十四分開議

床次徳二自由民主党

○床次委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律案を議題とし質疑を続行いたします。三木再夫君。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 午前中に引き続いて質問いたします。  教科書業界に行ってみますと、私はいま実に驚くべき状況にあると思うのです。過大な申し上げ方のようですけれども、事実そういうことを感じ取りましたので、以下御質問を申し上げたいのです。私は、今度の義務教育諸学校の教科用図書を無償にするということは、わが国の教科書制度の歴史の上ではやはり画期的なものだと思います。それだけに、問題があればこれをよりよくして万全を期して、後世に恥ずかしくない制度を打ち立てなければならない、このように思います。  それには、よく言われております無償計置と国定移行とを混同してはいけないということ。二番目は、教師の採択権を法の上も実際も奪うということをなくするということ。三番目には、検定によって教科書会社を締め上げて、特色のない教科書ができ上がりつつあるということも問題です。四番目、無償だから安くあげようとして、安かろという教科書をつくってはならないということ。五番目には、諸外国が貸与制をとって、非常に高価なものだが、よい教科書ができておる。こういう点をわれわれは見習わなければならないのではないかと思います。六番目に、昨夜教科書無償問題についての放送が十時十五分からありましたが、そこで内藤次官の話を聞いておりますと、内藤次官の思想としては、この教科書無償というものが一種の減税であるというような便宜主義的な考えの上に立っておられるように思えた。これはもし減税措置がとれなくなったときに、教科書無横が動きがとれなくなるもとになりますので、この際、父兄負掛を軽減するという考え方も大事ですが、義務教育無償の憲法の大原則に立ってこれを進めなければならないのではないかと私は思います。安かろう悪かろう教科書へ逆行します。また権力支配の道具にする国定化教科書になり、児童生徒のためになる教科書が忘れられがちになるのではないかと思います。要は、児童生徒のためによい教科書をつくるという立場に立たなければならない、午前中湯山さんが諸沢教科書課長のことばを引用してそのことを力説されておりましたが、私もそのように思います。  そこで、文部省を含めた為政者が、教科書で国民を支配するという、そういう考えを捨ててもらわなければならない。二番目には、教科書会社に要らぬ競争をさして、検定その他でおどして、戦々恐々とさせる、こういうことは避けて、明朗な気持ちで教科書の発行ができるようにしてもらいたい。三番目に、現場の教師が主体となり、教育委員会も民主的採択のルールを守ってやってもらいたい。こういうような立場から、私は二番目の教科書会社の問題を取り上げていきたい、こういうぐあいに思います。  そこで、文部省の今度の義務教育諸学校の教科用図書無償措置に関する法律案が出たときに、業界には二つの異常な緊張が起こっている。その一つは、打ちのめされたというような業界の感じ、そして沈黙を守ってはいるが、強い抵抗が起こっておる。主としてこれは中小の業者であります。もう一つはこれによってわが意を得たりという二、三の大企業があります。表面では全体にこの際静かにして騒ぐな、自粛しようと呼びかけてはおりますが、裏面では文部省の意を迎え気脈を通じているかのように見える、このことに対する不信感がいま協会にはあるということが言えると思います。なぜこんな点が出てきたかといいますと、今度の法律案には、一は第十八条に業者の指定がございます。二には採択と選定がございます。この採択と選定は――刑期期三年間といわれておりますが、そういう問題があります。三番目は法律案中政令に委任されておる個所がかなりあって不安な点があります。さらにまた、小学校では三十八年、中学校では三十九年に検定が行なわれるので、こういう点に対するところの不安があるようです。  そこで質問の第一は、二月の十八日福田局長は諸沢教科書課長を同伴いたしまして、教科書協会へ協会理事会に対して法案の趣旨説明に行かれておりますが、教科書協会の招請で行かれたのか、あるいは文部省としての意向打診かということについてお聞かせを願いたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 日にちははっきり記憶いたしておりませんが、教科書協会のほうからの要請によりまして私はお話しに参ったことはございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 行政当局者が法案提出以前に、それもうんと以前ですが、国会に説明する以前に業者や教育委員会にこういうことをやるということはどういう考え方ですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 いかなる法案をつくります場合におきましても、私ども関係の教育委員会あるいは関係の団体等の意向というものは十分知っておく必要がございます。そういった意味で、別に教科書の無償措置に関連してこの法案だけの問題でなく、いつの場合でもそういうことはやっております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 そこでお聞きしたいのは、この法律案を説明されまして、その後も日がございましたが、業者は納得したと見られたのか、表面は沈黙を守っておりますけれども、納得したと文部省では見られたのかどうか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 私は一回だけでなく二回伺ったと思いますが、二回を通じまして協会の方々は大体疑念とするところは氷解したということを言っておられました。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 そこで、三十七年の四月二十六日、教科書協会は、現場の教師に迷惑をかけた、子供たちの信頼を失い、ひいては民主的な検定教科書制度を危うくする、そういう趣旨で第一回教科書の自粛宣言を出されました。そうして日本教育新聞に謹告を出した。さらにこのたびも三月二十日教教科書協会の自粛宣言が出されました。二回出されたのですが、いままでに出されたものを二回も出すということはどういうことを意味しておるのか、そういう点をお考えになりましたか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 昨年は関西のほうの教科書事件のあとでもございますし、協会のほうとしては、特に従来から考えておりましたような自粛措置をやりたいということで、たしか十四社でございましたか、おもな会社が自粛声明をいたしまして、それに全体の会社が参加するように呼びかけたわけでございますが、昨年教科書協会で自粛声明をいたしましたけれども、具体的な措置というものはあまりなかったと思います。こまかい点については幾らかありましたけれども、出した自粛声明の趣旨に沿った事新しい措置というものはなかったように思います。ところで、今回、この四月に出しました協会の声明につきましては、昨年やりました声明では全体の会社を網羅いたしておりません。それからまた、昨年やった経験にかんがみましてまだ不十分だ、こういうような観点から自粛措置に関する特別委員会を設けましていろいろ検討した結果、ことしはさらに広範囲にやろう、こういうような申し合わせでございます。したがって二回になりましたかもわかりませんが、三十八年度におきましてはそういう線に沿って声明を出すと同時に、昨年やらなかったような新しい措置も今回、本年度においては一、二取り上げておるわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 この新聞に書いてあるのは、そうしますとどういうように解釈したらいいのでしょうね。「無償制度実施を前にして「いまこそ自粛・自戒し合って民主的検定教科書を健全な姿に守り育てよう」と教科書協会加盟の全発行業者が誓い合い、異例の「自粛宣言」を公にした。」ここまではあなたが言われるとおりです。「これはさる三月二十日の同協会臨時総会で打ち出されたもので、教科書の無償措置実施にともない、広地域採択制、業者指定制などにより、業界に過当自由競争の空気がみなぎってきたので、これを未然に防止し、教育界、業界の混乱を避け、世の信頼を失うまいとしてとられた業界の最強の非常措置である。」わざわざ去年のことがあったからとこう言われておりますけれども、業界がこれをやったのはあなた方が出されたこのたびの教科書無償措置法案に対する、その内容に対してこういうおそれがあるからやったのだということが書いてあります。これは四月十日の教育新聞の記事ですが、この点あなた方の把握と違っておるではありませんか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 教育新聞の記事は私は拝見いたしておりませんが、その記事の内容について私どもは責任を持つわけには参らないのであります。教科書協会の責任者から私どものほうに要請なりあるいは報告が参っておる事柄は、昨年の自粛措置についてなお不十分である、したがって今年度はこういう教科書の無償措置も行なわれることであるから、さらに業界として今後自粛措置を推進してまいりたい、こういう趣旨で私のところに教科書協会の代表者がおいでになって、書面も参ったわけであります。そういう趣旨を私は申し上げたわけであります。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 以下は、その把握のしかたに私は問題があると思いますので、それだけでこの宣言が出た、こういうように解釈をしておられると、私は間違いではないかと思います。が書いておることは、文部省には責任がない。しかしながら、この新聞が指摘しておる問題について、考えられたかどうかということが問題なんで、私はその点をお聞きしておるのです。  次に要請文として、同日教科書協会の会長の北島識衞氏から、文部省の初等中等局長に要請文が出されております。それは、「ついては協会においても特別対策委員会を設けて宣伝行為の全面的規制について早急に研究いたしますが、御省におかれても、われわれの意とするところを了とされ、適切なるご措置を賜わりたく、お願いいたします。三月二十日」こうなっております。こういう要請文がきましたが、文部省はどういうふうにこれを把握されておりますか。またどういう適切な措置をとられましたか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 この意味は、協会できめました自粛措置について協会側として今後その仕事を実施するにつきましては、やはり都道府県の、あるいは市町村の教育委員会側において、それを十分理解をして協力してもらうことが必要でございます。そういう意味で、文部省に対しましては、そういう趣旨のことを地方の教育委員会にも流して、そうして適切なる指導をしてもらいたい、こういう意味に私はとっております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 そうしますと、文部省のほうでは自粛をする指導をしてくれ。自粛というのは、自分がするわけなんですね。それを、文部省としてはそれに対して助力をしてもらいたい、このように把握されたのですね。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 会社自体が自粛されることは、何も私どもの手は要らないわけでございます。自発的におやりになればいいことでございますが。たとえば講習会を開くことについての自粛措置とか、あるいはいろいろ業界として管理機構を設けるとかいうような問題については、やはり出先の教育委員会を接触する面が多々ございます。そういった意味において、教育委員会と連絡し、その了解のもとに、そういう自粛措置を進めるということが、やはり穏当であろうと思います。そういった意味で、教科書協会としては、地方の教育委員会に対しても十分そういった点を連絡をして、協力できるようにしてもらいたいという御趣旨であろうと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 これに対して、ここに三名の方の意見が出ておるのです。その一つは、公正取引委員会の後藤取引課長は、「教科書が無償制度となり、その切り替え期に当たって各業界はいち早く実績をつくろうと激しいマーケットの奪い合いをしようという気配があるが、そんなことをしたら教育界は混乱するし教科書の公正取り引きなどメチャクチャになってしまう。そういう重大なときに業界が内部から自主的に自粛をしようという宣言をして、なみなみならぬ決意をしたのは、当然のこととはいえ、まことに結構である。」そこで、「業界内の公正取引協議会でもその実施細則を再検討して、実行のできる線をうち出そうとしているようだが、とにかく口さきだけでなく、実効のあがる自粛体制をすすめてほしい。」これは、この教科書無償措置制度になれば、そういう心配ができてくる。そこで、自粛ということが出てきたのであって、自粛それ自体ではないと私は思います。それから二番目に北島協会長は、検定教科書制度を誠心誠意守って、教育に役立つようにしたい、検定教科書のよさを世に高揚するというように、これは非常に良心的な考え方がここに出ていると思います。諸沢教科書課長は、具体的方策をきめたら厳守してほしい、これはこのとおりです。注文をつける気はないが、教科書発行者の指定制度もあるので、という注釈がついております。そうすると、これも今度の法律の内容で、教科書業界に対する問題になる点、教科書業界が問題にする点を、ことさらに出しておられるように思うのですが、ただに、以前の不祥事件だけがこの自粛の背景ではないということは、これでわかると思います。三人の意見をここに申し上げたのですが、そういう背景は、この宣言からは感じられませんか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 私は、その新聞を拝見いたしておりませんけれども、無償措置があろうとなかろうと、業界としては当然自粛していくべきものだと考えております。しかもまた無償措置は、御承知のように、ことしは一年、来年は一年から三年まででございますが、教科書の採択問題は、これは高等学校も含めて全般でございます。そういった意味で、高等学校の採択などもことおっしゃるわけでございます。そういう点から考えまして、やはり不公正な採択が行なわれないように、つとめて自粛措置を講じていただくということは、これは私は、無償措置と関係なくても、当然なことだと考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 一般論としてはそうですけれども、この中には、いま申し上げましたように、未指定の問題もありますし、五種にしぼった点もありますし、なお政令に移行の事項として、三年間据え置きにされるという点もありますので、業界にとっては、これは非常な問題です。そこで、私はこういうような自粛宣言が出た、こういうように把握しております。一般的な問題としてはそうかもしれません。  そこで宣言文の中で、皆さんには関係はないかと思いますけれども、私は問題点を指摘して、お考えをお聞きしたいのですが、六十六社が宣言をしておりますが「戦後教科書に検定制度がしかれて十五年、この間、私たち教科書発行に携わる者は、検定教科書に負荷された意義と使命を十二分に自覚し、及ばずながら戦後の教育の進展に寄与するべく努力を続けてきたのであります。」ここは私は、その努力を誇示してはばからない功績があると思います。いまの教科書業界は、教科書を育ててきたのですから、こう言っていい問題だと思います。しかし、「一方、児童、生徒数の激減による絶対需要量の減少のために、一部の過当競争を惹起し、時として厳しい世評を浴びたことは遺憾しごくであります。」こうあります。教科書業界は児童生徒数が減ったから、こういう不祥事件を起こした、こういうふうに反省しておりますが、福田局長のことばは、この教育委員会月報の五、教科書特集によりますと、これはまた変わった考え方です。これは教科書会社が次々とたくさん出たからこういう過当競争になり、そうして不祥事を起こしたのだ、こういうぐあいに言っております。二つとも原因の一つには数えられるでしょうけれども、文部省としては、そういう原因がただにこの二つだとお思いになりますか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 御承知のように、教科書会社の対象にいたします生徒児童数というものは、やはりある程度重要な要素になるわけであります。他の業界と違いまして、販路が大体一定いたしております。したがって他の商品でございますれば、努力すれば努力するほど販路を拡張することがあり得ると思いますが、絶対数が同じでございますので、その点はやはり同じワクの中で競争するということになろうかと思います。したがいまして、やはり児童生徒数が減少することも一つの考え方であり、また私が書いておりますように、過去において群小の会社が乱立したということも過当競争の一つの原因ではないか、そういうように考えるのでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 私の聞いているのは、それだけですかというのです。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 大体そう思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 私は次に読売新聞の記事を読んで、やはり過当競争になる三つの心配があると思います。「いま国会で審議中の教科書無償法案が成立すると、小、中学校など義務教育の教科書の採択は、来年から新しい制度が行なわれることになる。新制度になると、教科書の極数は県単位で五、六種にしぼられ、しかも一度採択されたら、三年間同じ教科書を使わなければならなくなるので、教科書会社はいまのうちに実績を確保しようと激しい宣伝合戦を始めている。」読売新聞のことですから、うそを書いておるとは私は思いませんし、私も現実に知っておるのですが、これは原因になっておるですね。どこに原因があるのですか。「このため教科書協会では、このほど臨時総会を書いて自粛宣言を行ない、過当競争の自粛体制強化を申し合わせたが、一方文部省も福田初中局長名で各都道府県教委にあて、誘発行為にのらないよう通達を出した。」やはり過去の汚職の実態、これからあなたはことさらに誘発に乗らないようにというふうに通達を出されたようには思えないのです。やはり自分自身も、県単位になり、五、六種になり、そして三カ年据え置きになれば、業界には過当競争が起こるであろう、したがってこの問題をよく注意していかなければならないというふうに、この文章から見ればお考えになっておるように思うのです。そう思われませんか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 私、先ほど申し上げたのは業界の宣言文に関連して申し上げたのでありまして、これは過去のことであります。いま三木委員が御指摘になりました点は、おそらく今後の問題に関連してだろうと思います。今後の問題に関連して業界にさような空気あるいは声があるやに私どもも聞いております。聞いておりまけれども、事実そういうことが行なわれているとは私は考えておりません。したがいまして、それとは応接の関係はございませんが、当然昨年からの協会の自粛措置というものはさらに強化してもらう必要がございます。また私どもといたしましては、三木小委員が昨年関西で起こりました事件について非常に御心配になっているあのことから考えましても、当然に昨年の自粛措置というものを強化する必要がある、こういう点から今年度のそういう通達を出したわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それならけっこうなんですが、そうしますと、三十六年、三十七年と続いてあるのですから、何もこの法律が出るのを見越してそうする必要はないのではないか。ただ、やはりあなたもそういう心配があるやに聞いた、あるいはまたそういうことを内心心配せられておるからこれを出されておるのであって、私はやはりここに今度の法案の問題点があると思うし、また業界も非常に問題にしておる。そういう点について業界としてはありていにものが書いたい。しかしながら、これは後ほど事実かどうかということは聞きますけれども、事実そのことは言えない、そういう空気の中に業界が置かれておる。私も今度この問題に対してどのように把握されておるか業者をたずねてみました。いままで業者に対して行き来はいたしませんでしたけれども、今度はいろいろな方面から聞いてみました。そうすると、これを文部省に言うてくれるな、文部省に聞こえたらだめなんだと非常に警戒をしておられます。それは私自身にそういう危険的な要素があるのなれば別ですが、私自身ではなさそうです。教科書の問題についていろいろな話をすると、戦々恐々として、そうして文部省に知れたらたいへんだ、このようなことをたくさんの業者が言います。一体教科書はだれが使うのか。これは子供が使うのですが、それをつくる人、それを採択する人にこういう非常な抑圧を加えられるということは私は問題があると思います。それはそれといたしまして、この読売新聞の論説の中には「潜航した教科書合戦」という題で、三十八年の五月十三日それを発表しております。その中で、私がいま申しましたように、業界それ自体疑心暗鬼になっておるということが書いてある。まず「教科書会社の立場からいえば、県単位、五、六種という規定はかなり痛い。文部省では現在だって七、八種が平均だから大したしぼり方ではないというが、中小業者にしてみればこの二、三種類が死活問題になってくる。しかも一度採択した教科書は三年間変えてはいけないという条項もあるのだからなおさらだ。現在、日本全国の教科会社は八十六社(うち義務教育専門は四十七社)あり、年間二億一千万冊、金額にして百八十億円の教科書を発行しているが、このうち九割までが大手といわれる十五、六社の発行になるものだ。教科書は生徒一人に一冊しか売れない。いわば土俵がきまっているので、業績をあげる、つまり部数を伸ばすためにはどうしても他社の市場に食い込まなければならない。教科書会社の宣伝合戦が激しくなるのもこんなとこに原因がある。」大手のことが書いてあって、そこで「全則から先生や教育長のおえら方を旅費、日当、宿泊費持ちで招待し、終われば宴会というのがこれまでの“定石”だった。しかし一昨年の教科書汚職いらい、この宣伝合戦は、いわば地下に潜航した感が深い。ある業者にいわせると「おんみつ化した。」のだそうだ。たとえば教科書のほか、辞書や参考書なども出版している会社では、学校回りの宣伝費が「教科書ではなく辞書や参考書の宣伝員がにきた」といって逃げるし、大会社では、新制度の採択方式を見越して、すでに知事、県会議員など政治力のある黒幕にわたりをつけているといったぐあいだ。しかしいくら宣伝戦がおんみつ化したといっても、なくなったわけではない。現に一昨年の汚職で手入れを受けた会社なども、その後発行部数が減っていない現状で、業者仲間にいわせれば「宣伝力がものをいっているからだ」ということになる。」そこで「悲壮な自粛宣言」「自粛宣言で、加盟六十六社はとりあえず1、三十九年度用小、中学校の教科書については、誤解を生ずるおそれのある宣伝活動はいっさいやらない2、高校用についても十分戒心する3、研究会、講習会は五、六、七月の禁止期間後は基準を設けて制限する4、宣伝活動の公正を期し、過当競争を防ぐため、現地に監理機構を設けるなど方法をとることになったが、五月にはいって開かれた各ブロックごとの趣旨徹底懇親会では、おたがい疑心暗鬼で話があまりはずまなかったそうだ。中小業者のなかには、こんどの自粛宣言を大手会社が十分手をうったあとの休戦協定だという皮肉な見方をするものも多いし、自粛四項目中の「監理機構設置」についても、大手会社が中小会社を監視するのではないかとか、核兵器の監理基機構と同じで守られるはずがないとか、早くも悲観的見方をするものが続出する始末だ。」このような業界の空気です。  そこで冒頭申し上げましたように、あなた方は、業界が納得したと思われておるかどうか。納得したように思います。業界はこれについて文句を言わなかったです。非常に静粛にこの問題を聞いた、このように把握されておることに私は間違いがあると思う。こういう点は、読売新聞が五月十三日にこういうふうに書いております。私は読売新聞のことばをかった、だけでなく現実私も行ってみましたが、教科書業界に異様な空気がただよっておる。その一つは、ものが言えぬということです。その一つは、こういう統制をやられることに対するおそれ、この二つです。このことは即、次の汚職に連なる大きな要素になってくる、採択範囲が大きくなるのですから、というように私は申し上げておるのですが、まず最初の、そういう把握をされていなかったかどうか。おとなしく聞かれた、これで納得されておる、こういうように思っておられるのですか。それからさらに汚職の大きな要素をつくっておると思いになりませんか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 教科書業界が静粛に承諾したかどうかという問題でございますが、私はたしか二回公式の会合で説明をいたしたと思います。それ以外にもあるいは担当の者がお話ししたかと思いますが、もちろん、いろいろな意見なり御希望はたくさん出ました。決して静粛ではなかった。そういう意見をいろいろ伺いまして、それについて私どもの見解を十分御説明申し上げました。その結果、先ほど申し上げましたように、私が最後に参りましたときには、大体政令できめるべき事項もほぼきまっておりました。したがって、それについては、業界側としては十分の理解をしていただきまして、御了解を得たものと考えております。  将来の問題として汚職の問題を非常に御心配になっておりますが、私どもこの問題については、これは無償措置になる、ならないにかかわらず、そういう問題は当然起こってはならない問題でございます。私どもは、自粛措置なり、あるいは今後この教科書の採択に関連する行政措置についても、さらに今後の情勢を見て強化していきたいと考えております。したがいまして、この法案が成立したために汚職問題が特別に多くなるというように考えておりません。これはいろいろな対策を講じながら、やはり今後も従来と同じよう起きないように努力すべき問題であろうと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 業界はいま二つの危機感を持っております。それはいま申し上げたとおりです。それでは、もう少し具体的に申し上げましょう。局長が課長同伴で法案の趣旨説明をされたのは二月十八日、協会の理事会でです。そうして、協会の総会を持ったのは三月二十日です。それまでに十四社に対して電話で文部省から圧力がかけられております。総会は静かだった、了解を得たと言っておられるそうですが、大体中小の業界としては、この際この法案が通りますならば死命を制せられて、したがって黙っておられないということで総会に持っていこうとする気配が、三月十四日、五日において方向転換をし、そうして二十日、四海波静かな、穏便な総会が持たれたんです。そのように業界から私は聞きました。そうだとするならば、あなたの把握されている穏便で四海波静かだったというこの総会の裏に隠されているものは、私は問題があると思います。文部省はそういうことをしてよいかどうか、そういうことをされたかどうか。それはここで言えないでしょうけれども、業界が現に言っております。業界と、また変わった立場のもの、この二ところから聞いたところですが、そういうことをされていれば、この教科書法案なるものを強行されたところに無理がある。それはやり方なんですが、どうせこういう話をしても水かけ論でしょう。証人を出してくれば、言うた、覆わぬ、あるいはまた、証人も出ることを好まぬでしょう。しかし、そういうことをしてこの教科書法案をなぜ通さねばならぬか。まずそういうことがあるかないかは聞くだけむだだと思うのですが、そういうことをなさるとすればたいへんなことであると思う。どうですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 私どもはこの法案を成立させるために教科書協会に圧力をかけたということはございません。もちろん、各会社からいろいろな意見を出していただいたことはございます。三月何日でございましたか、その総会のときに伺ったのでございますが、これは本来非公開の総会であるべきはずでございましたけれども、新聞社の方もちゃんと入っておりました。非常にフェアにやっておりまた。したがって、新聞社の方に聞けばどういう議論が行なわれたかということは当然に明瞭でございます。そういう教科書協会に圧力を加えて法案に賛成さしたというようなことは考えておりません。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 そういう意味じゃないのです。あなたは業界に圧力をかけないとおっしゃるが、かけたと私は言っておりません。三月十四日、十五日に業者個々に電話をなされた。これは文部省です。文部省の役人からそれをされた。だから三月二十日の協会の総会は静かだった、新聞記者に聞いてみてもわからないですよ。もうシャンシャン総会だった。シャンシャン総会までが問題です。そこを言っておるので、あなたはその面だけ見て、圧力をかけません、静かです。新聞記者に聞いて下さい、こんなことをおっしゃて、それはむだですよ、表面波静かなんですから。それ以前の問題ですよ。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 それは協会の幹部の方に電話をかけることもございますが、別に法案に賛成してくれと言って露語をかけたことはないと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 これはどうせ水かけ論になりますから、それくらいにしておきまして、それくらいまでして、この法案を強行されなければならぬのかということにまた私はひとつ問題を持っておるわけですが、いずれにいたしましても、そういうことや、あなたがこれを機会に汚職を起こすなよという親心、業界では過当競争を招くであろうという心配から自粛、さらに新聞その他の意見によりますと、潜行した過当競争がこれを見越してすでに起こっておる。こういうぐあいに考えてみましたときに、この法律案の三カ所に問題がある。一つは五種数だということ、三年間据え置きだということ、あるいは選定審議会というのも問題でしょう。さらにまた業者の指定というものが問題になってきます。ここに業界が不安を持って少しでも実績を持たなければならぬというふうに考えるのは、私は当然だと思う。いわゆる業界が危機感を持った原因はむしろ法案の中にもあるということをひとつ御認識願いたいと思います。それが一つです。  その次にお聞きしたいのは、なぜこの教科書を五種類にしぼられるかということです。これは諸沢さんの教育委員会月報の中に書いておられる理由だけでは私たちは納得ができないそこで五種類にされたわけをひとつお聞きしたい。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 この点につきましては前委員会においてもお答えを申し上げたわけでございますが、無償制度調査会におきましても、政府が無償措置を実施することに関連いたしまして、教科書のある程度集中的な採択ということは当然に考えなければならなぬ、これは定価の合理化の問題その他からいたしまして、当然にある程度のそういう集中的な採択というものを行なうほうがよろしいというような結論になっております。したがいまして、五種類がいいかあるいは四種類がいいか、六種類がいいかということにつきましては、その幅の問題はあると思いますけれども、大体五、六種類というのが各府県の実情に適するのではないかというように私どもは考え、これは法律の中には書いておりませんけれども、今後の問題としては大体五、六種くらいに選定をしていただいていけば、いま申したような調査会の答申の趣旨にマッチするのではないか、こういうように考えたわけであります。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 私はそこで五、六種ということでいろいろ調査をしてみました。文部省からも資料を…していただいて調べてみたのですが、なるほどあなたのおっしゃるように、過去の実績によって小学校を各県別に見てみました、あるいは中学校を各州別に見てみ、さらに高等学校を各県別に見、そして小、中、高と全部を総合して会社別に、県別に見てましたときに、なるほど集中化されてまいりました。あなた方の御指導がここまで徹底して集中化されております。これは小学校の全部ですが、一位、二位、三位、四位、五位までとりますと、会社名は抜きまして、一つの会社ですが、一位が二十一、二位が十三、三位が五、四位が四、五位が一、こういうように四十六都道府県のうち四十三まで五位までに入っております。これは一つの会社です。もうあと三府県だけ。しかしこれは小学校の全体の問題ですから、教科によって違ってくるかもわかりません。そこで八社についてこれを見ましたときに、四十六都道府県を五位までとりますから五倍しまして、二百三十の箱の中で、この八社が二百二箱まで占めております。そうすると、あともう二十八箱を残りの中小業者がこれによって潤わされ、生活をしておるわけです。あるいはそこの労働者もこれによって生活しておるわけです。それから中学校で見てまいりますと、一社が三十二、第二位が三十、そして二十二、二十、十二、順位は下のほうが多いですが、四十二のところが一位はないのですが、持っておる。四十六都道府県の中で四県だけはずれておる。そして一、二、三、四、五、六、七、七社を見ますと、これが大体二百三十のうち二百箱、これも同じく三十ほど生活して、おる、あるいは会社の業績をおさめておる状況です。それから高等学校で見てまいりましたときに、やはりこういうことが大手でなくて考えられる結果が出ております。そして総合いたしますと、あなたがおっしゃるようになるほど集中化が行なわれております。しかしながらここで問題にしなければならぬのは、中小企業基本法だとか、あるいは集中排除ということがいわれておりますけれども、子供に負担をかけるのでない、政府がこれについての補償をするのですから、このような経費を安くあげるということに主体を置かず、これらの中小の業者も教科書の民主化と教科書を安くすることに力を入れておるのですし、なお売り込まんかな、安い、悪い教科書というような方向にいかなくて、お互いに技術を競っていい教科書をつくるというところに、この中小の業者も生かしていく。これは中小企業基本法が出ようとしておる現今の状況と、集中排除の問題もいま国会で問題になっておるときに、大事にしなければならない子供たちの教科書だけその逆行をやっている。別に国際競争力に大いに勝たなければならぬという問題でもありません。国内の文化を高める源泉ですから、そこに力を入れることこそ大事ではないかと私は思う。そういう点をお考えになりましたか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 現状の実態はお手元に差し上げました資料でおわかりのとおりでございます。私どもこの検定教科書のたてまえをとっております限りにおいては、教科書は量的な競争でなくして、やはり質的な競争の面を非常に重視しなければならぬということは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、現在の教科書の採択部数が大体にいたしまして平均十七、八万ぐらいになっておると思いますが、その十七、八万程度の採択の中でも、いま言った中小の会社でやっております教科書ができるだけ特色を出して、そうしていい教科書をつくっていただくということによって、その会社の教科書が採択をされ、そうしてそれが将来にわたってさらに伸びていくということは、当然望ましいわけでございます。したがいまして、私どもとしてはそういう質のよい教科書をつくってもらうという意味合いにおきまして、都道府県の選定の際におきましても、あるいは地区の採択の際におきましても、そういうものが採択されていくことを希望いたしております。したがって、そういうような余地と申しますか、方法はもちろん当然に残すべきだと考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 そうすると、五種類にしぼりますと、その次に各教科ごとにやってみますと、採択の状況によってどういう方法で選定審議会が選定するか、そこに問題があると私は思う。しかし、一つの方法を仮定して、その上にたって試算してみますと、ある教科で五種類にずっとはめてみますと、府県によって失格する県が教科書会社によってあります。それを調べてみますと、ある教科書は大体一と二ととる。これは、私の積算の仮定は従来の実績ということに置いております。従来の実績に根拠を置きますと、一位と二位とを大体まるとします。二重まるをとれるところはある会社では三十、そうして五位まで入るのが十二、全然今まで売り込みの実績のない、五位までに入っていないところが五つ。そうしますと、この会社は四十二県とも五位までに入る。しかしながら、その次の会社は、一、二位が四、それから五位まで入るのが十一、六位に入るのが一、そして失格するのが三、今までは採択されておったのですけれども、五位か六位までをとったのですが、六位までとりますと三、こういうように見ていきますと、多いところは三、四、六、八、失うことの多いある社は八つ失います。こういうことになって採択からはずされていくということになれば、五社だけが売り込みで相当な実績をとっておったらいい。あなたがおっしゃるように内容をよくするのでなくして、売り込みをよくするのですね。あなたのおっしゃるのは内容をよくする努力は必要です。こう言われておるのですが、しかしながら、売り込みが主体になって内容が主体にならなくなっている。これから落ちないように努力しなければならぬわけです。そうして私が思いますのは、あなた方の方からいただいた資料によりますと、非常に多い発行会社のところもございますけれども、七社、八社というような、教科によってそういうところが多いのですが、たとえば中学校の国語にいたしますと、これは十三、それから小学校の国語ですか、これが七社、八社というようなものがだいぶあるのです。それを五社あるいは六社にいたしますと――あなた方は五社も六社も明らかにされておりませんけれども、かりに六社といたします。もうあと二社、これだけ切って捨てて一体どういうことがあるのですか。いままで教科書をよくすることに十五年間、あるいは最近になったところもあるかもしれませんけれども、努力をうんと払ったところのものをこの際切り捨てて、そうしてよい教科書をつくりますとおっしゃっても、これは聞えぬと思う。こういうところは、やはり従来の実績を認めていきながら、自然に内容なり売り込みも問題になるのでしょうけれども、そういうことが問題になって自分から退いていくという形のままにまかす方がいいのじゃないですか、このように思うのです。あと二とか三社しかない。教科書なんかもたいてい五社と五種類としなければならぬ根拠は一体どこにあるのですか。いい教科書をつくるというたてまえに立てばこういう基準は出てこないはずです。いまは値段のことと繁雑さを防ぐというようなことをおっしゃったのですが、その点ひとつ…。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 いろいろお述べになりましたことで大体おわかりと思いますが、四十六都道府県全部にわたって均一にこれを選定あるいは採択をしてもらわなければならないということではなくて、やはり教科書のそれぞれの特色に応じて、Aの県では採択されるけれどもBの県では採択されないということは、それはあっても差しつかえないと考えます。したがいまして、中小の会社におきましても、いま非常に発行部数の少ないものもあります。しかし、その発行部数の少ない会社におきましても、自主的にいい教科書をつくってもらえば、いままで数県にわたってごく少部数採択されておったというような問題が、一つの県あるいは二つの県に集約されましても、部数においては、同じあるいはそれ以上の部数になり得る可能性が強いわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、事務の繁雑の点から申しましても、一つの県の中ではなるべく種類の少ない方がよろしい、こういうように考えるわけでございます。しかし、それもいろいろな地域の実情を無視するわけにはまいりませんから、したがって、実情に適した教科書を五、六種類選んでもらうということによって、そういういろいろな要求にも適合するような運営ができるのではなかろうか、こういうように思っているわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 そういう詭辯を言われたら困るのですね。一種類のところでも多くなるだろう、それは理屈ですよね。それがために先がたから、書は私たちの努力によってとは言わなかったけれども、努力によって大手に集中化の傾向を持ってきたということはあなたもさっきおっしゃった。私もこのデータによって、なるほど集中化の傾向を持ってきましたということを申し上げた。これは文部省からいただいてきたものですから、読めば間違いないと思うんですが、たとえていいますとこれは諸澤さんも書いておられますが、集中化の傾向になってきたということ。小学校の国語で五社八七・九%になっております。小学校の書写は八〇%、これも上位五社、それから小学校の社会は九三・六%。このように集中化されてきておるのに、それがいまさら芽をふいて、非常にそれが大きな活動をし出す、それはあなた方に一番心配な過当競争でもやらなかったらできないですよ。そういう詭弁を弄して事を糊塗しようという考え方の中でこの教科書問題を処理されているということになったら私は問題だと思うんです。  それから先がた検定によって教科書はよくなりつつある、こんなことをおっしゃっておられるけれども、いまの検定というものは悪くなっておるんです。それは主観的な言い方ですけれども、内藤次官がきのうの産談会の中で言われておった検定教科書になってから検定が特に強化されてきた。もうどの教科書も一律化して国定に似た教科書になってしまった。これはきのうの座談会ですよ。そうして味もそっけもなくなった、このようなことをきのうの座談会で言われております。そのときに内藤次官は検定によってそういうことになることは実に残念なことだ。われわれ文部省に教科書会社は腹を割って話してもらいたい。いままで話してこなかったらしいのですね。話してくれればいいんだ、こういうことが述懐されております。これは先がたから申し上げております教科書会社が非常に文部省をおそれておるということは、この検定によってです。あなたは検定によってよくなったと言いますけれども、検定によって逆に一律化し、規格化し、そしてよくない。それによって売り込んでいって、そして今の奇跡のような一県か二県に一挙に採択が多くなった、こういうようなことがあればいいだ、こんなことをおっしゃいますけれども、そういうことはありませんよ。八〇%か九〇%が占められて、あとの二〇%か一〇%の中で、残りの会社はこれによって営業を成り立たしておるんです。私は業者を擁護するという立場でなくて、これらの人が今後競争をしたことによって、いや、以前も競争したことによって教科書をよくし、さらに今後もよくするメンバーであるということから申し上げるのです。検定によってよくなると言ってよくなってない。そうして採択をよくするんだ、そういう努力をしたらいいじゃないか、こうおっしゃると汚職が起こってくる、こういう問題は、実に矛盾に満ちた御答弁だ。場当たり的な答弁としか私は受け取れない。どうです。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 私、先ほど申し上げましたのは、検定制度のたてまえのもとにおいては、なるべくいい教科書をつくってもらうような、そういう方向において努力すべき問題だということを申し上げたわけであります。中小の会社で発行いたしております部数の少ないものにつきましていろいろお尋ねがございましたので申し上げたのでございますが、私どもとしては先ほど申し上げましたように、平均採択部数は十七、八万くらいでございますが、その程度のものは教科書自体がよければ当然に県においても選定の中に加えるはずでございます。また加えるべきだと思います。そういうことからかりにまんべんなく全体の県で採択がかりに行なわれなくても、一、二の県あるいは数県においてこれが採択されるということになれば、それだけの必要な部数は当然確保できるわけです。そういった意味において、なるべく県内の中では種類を少なくしていきたい、こういう趣旨から申し上げたわけでございます。したがって十七、八万くらいの部数でございますれば、私どもの考えでは一、二県あるいはその一地区の採択で、その程度のことは当然にいくはずだと考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 採択の根本問題はあとで言いますけれども、そうしますと、あなた方は県単位ということをねらっておられるのですか。いま市町村単位あるいは郡市単位ということを言うておられますが、最終的には県単位ですか。いずれにいたしましてもあなた方の基準は大体二十五万、いまは十万単位で教科書の値段を算定されておるようですが、将来は二十五万だということです。ただ私が申し上げたいのは、諸沢さんの先がたの説明にもあるいはこの中にもあったように、政府がこれからお金を出すのだから、したがって手数を省きたい、そういう考えから、こういう五社にしぼられるのだったらたいへんなことです。自分の便宜主義的なためにしぼられた政府のほうは、手数の上では省ける点があるかもしれませんけれども、一方に先がたから申し上げておりますように、失うものが多い。それは教科書がお互いに競争されてよい教科書がつくれる、文化の花を咲かせる、こういう面に逆行してまいります。それだけでなくて、むしろ汚職の花を咲かせるという材料にしかならない。そういう便宜主義的にやっておられたり、または教科書の審議会の答申がこうだから、答申というものはあなた方のほうからこうせいというように大体内示されておる。そこに責任を持たしてやられるよりも、教育本来の立場から考えてもらいたい、私はこう思うのです。いま十五万という数をはしなくも出されましたが、それは二十五万にもなるでしょう。一説によると二十五万というように言われておるのですが、そういうことから教科書の採択の問題を考えてもらったらまことに奇怪千万な問題が起こってまいります。その点ひとつお考えをいただきたいと思うのです。  それから次に教科書の法案ですが、私はやはり選定、採択、発行、指定というものは一連の関係があると思うのです。十九条に「指定の取消しということが書いてあります。これはゆゆしい問題です。たいへんなことをここに書かれたと思うのですが、これについて問題点をお聞きしたいのです。  私はこの指定取り消しは結論的に言えば、有名無実ではないか、そして業者に対する一つのおどかしにしかすぎないと思うのです。しからばその指定の取り消しは、事実そういう事例がありましたら、どういう手順でやられますか、それからひとつお聞かせ願いたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 十九条の指定の取り消しの場合でございますが、これは十八条を受けておりますので、十八条では第一項で各号におきまして、客観的な事実と申しますか、客観的な基準というものを規定しております。したがいまして、その基準に適合しなかったときには、当然これは取り消さなければならないという規定でございますから、その手続と申しますか、あるいは審議会にはかって取り消す、そういうような問題はあるかと思いますけれども、当然に文部大臣が、客観的な基準に適合しなくなったときには取り消さなければならないということでありますから、指定は取り消す、こういう行政措置をきめておるわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 これは審議会にかけるのですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 審議会にかけるまでもなく、客観的な事柄でございますので、これは文部大臣限りで取り消すということでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 これは公正取引委員会の規定も私は問題があると思うのですが、もし代表がそれまでにやめたり、あるいはそういう事例が起こって会社の重役あたりがそれまでにやめた場合には、どういうふうになりますか。それでもその会社を追及して指定を取り消す、こういうことにされるのですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 十八条では、法人でその役員の中におきまして、ここに書いておりますイからハまでの条項に該当する者があるときは指定ができないということでございますから、したがってそういう者がこの中にいなくなれば、これは指定取り消しの問題ではないわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 そうすると、いなくなれば指定取り消しができなくなる、これは問題がないのです。こういう条項をあげておいても、やめればそれまでですからね。ここで法人でその役員のうちからイからハまでのいずれかに該当者があるもの、信用状態も問題になりますけれども、こういうことになりますと、十九条というものは、ただここに見せかけに書いておるにひとしい、実効のないものということになりますね。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 実効がないとおっしゃいますけれども、十八条の指定そのものがそういうものでございますから、したがって会社の中の役員でそういう該当者がいる場合には、指定はしないということですから、それが排除されれば、それで効果があるわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それからもう一つお聞きしておきたいのですが、十九条の指定の取り消しについて独禁法違反、いわゆる公正取引委員会の規定に触れて、そしてここで先がたからずっと言っております審決違反があった、そうしてその結果告発された、そして罪になった者、そういう者は二百三十三条の罪を犯した、百九十八条の罪をしたということには該当するのですか、該当しないのですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 独禁法の違反を起こしまして、それがひいて刑法の百九十八条あるいは二百二十三条に違反する場合もあるかもわかりませんが、普通は、この独禁法の場合におきましては、罰則は別に規定をいたしましております。したがって過料なりあるいは体刑というものがきまっておりますから、そのほうでいくべきであろうと思いますが、別個にこの刑法の規定に触れれば当然にこの規定に該当するということになろうかと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それで一つのザル法の感じがするのですが、第百九十八条は贈賄の罪、第二百三十三条は、虚偽の風説を流布しその業務を妨害したる者は三年以下の懲役または一千円以下の罰金に処せられる、こうなっております。したがって先がた言いました独禁法違反によって審決を受けた分については、ここに書いていない。それも一つの刑罰です。これが抜かしてある。特に教科書は独禁法からの規制を受けるわけです。それをはずしておいて、この二条だけをたてまえにしておるのはおかしい。しかもあなたのおっしゃるように、役員をのければ指定を取り消されないようになっておる。それで効果があったのだとおっしゃいますが、そうすれば指定の取り消しじゃないでしょう。役員排除ですよ。役員はやめなければならない、こう書いておくほうがあっさりしておる。指定の取り消しという実効がない法律をここに書いていることになる。結局これはおどしにしかならないという感じを私は持つのです。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 刑法の罪をお引きになりましたが、ハの最初に書いてありますように、「禁錮以上の刑に処せられ」という文句は、これは他の法律によってこういう処罰を受けました場合において、広くかかるわけでございます。したがってそれは一般的に書いてあるというように御了解をいただきたいと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 私はやはりそういう独禁法を、特に教科書の問題を特殊指定をしておるのですから、そういう問題をここに書いておく必要があろうと思うのです。「禁錮以上」と書いてありますけれども、あれは罰金もあるのです。それから二百三十三条には罰金も書いてあるのです。あなたはそうおっしゃるけれども、これは禁錮以上です。その中に入っていないですよ。独禁法違反は。罰金または二年以下の懲役に処すということになっております。そういう大きいものを抜かし、または罰金という面では禁錮と比べると軽い面も抜かしてある。そうして今日まで十五年間、教科書の汚職によって審決が下ったのは初めてです。歴史の上でも初めてだろうと思います。こういう問題をないがしろに考えておることそれ自体が、汚職の源をあなた方が痛切に検討されていない証拠だと思うのです。ここに私たちはこの法律というものが非常に問題を持っておるということを申し上げたい。どうですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 「禁錮以上の刑に処せられ」でございますから、罰金は入りませんけれども、懲役は入るわけであります。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それはおかしいじゃないですか。二百三十三条では罰金が書いてある。それが片方は禁錮以上で、体刑のものは、以上だから入るでしょう。しかしここでは罰金が入らない。こういう矛盾があるし、いまの独禁法の特殊指定違反は歴史上やはり大きな問題点だったのです。これをあなた方は、この法律をつくるとき痛切に考えておられなかったのですか。抜けておるじゃないですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 この点につきましては罰金は刑法の百九十八条、二百三十三条の場合に限定をいたしまして、そういう贈収賄あるいは信用棄損、業務妨害というような刑法上の罪にこれを限定したわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 独禁法違反も審決違反をやったら刑法上の罪ですよ。これは刑法に問われるのですよ。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 それは先ほど申し上げましたように、この刑法の両条文に該当するケースにつきましては、当然にこの条文が適用されるということを申し上げたわけであります。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それは違うのです。今度は審決違反ですよ。そういう事態が起こって審決に違反して審決違反自体に問われておるのであって、その事実によって問われているのじゃないのです。審決の中には罰金あるいは勧告もございます。だから贈賄の罪とこう書いてありますけれども、贈賄と虚偽の風説、贈賄でなくて、かりに供応もございます。供応でやられる場合もあります。そうしたら、そういうことが審決に違反しておるのです。わかりますか。そういうことが抜かされておるわけなんですね。私が申し上げておるのは、ああいう事態をもっと深刻に考えてもらいたい、こう申し上げておるのです。ああいう事態をもう一回起こしそうな種をいま現実にまいておられる。そして新聞なりその他でもいろいろこれを論議されておる。これはなかなか危険な法律であるぞということを論議されておるのですから、そういう過去の非常に不名誉な歴史というものを再び繰り返さないためにも、そういう配慮がほしかったということです。どうですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 三木委員の御指摘になります点はよくわかりますが、独禁法違反の点は独禁法のほうで処理をしてもらいたいというのが趣旨でございます。したがいまして同時に刑法の罪に該当します場合には、この百九十八条あるいは二百三十三条によってそのほうにかかれば当然にこれで処理するこういうような考え方でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 こういうたてまえに立って、有名無実なものはとっておかれるほうがいいです。こういう指定の取り消しなんというぎょうぎょうしいものを書きましても、役員排除法――排除するだけしか意味がないのですから、そういうことをやった者は役員をのがれようがのがれまいが指定取り消しというなら、指定取り消しの条項です。私はそう思うのです。  そこでもとへ返りまして、先がた申しました小学校の国語にいたしまして十社、それから書写にいたしまして十一、社会にいたしましても十、小学校地図に至りましては八社、小学校の算数は九社、小学校の理科は八社、音楽は七社、小学校の図画は九社、小学校の家庭は八社、小学校の場合はこれだけです。これをことさらに五社なり六社にしぼってやりますと、私が申しましたように現実的に失格する会社が県によって、だいぶあるのです。それだけ、その会社はなくなってしまうのです。残った会社はもうほとんど営業はやっていけないでしょう。なぜこんなえげつない、酷な法律を出してまであえて五社にしぼったり六社にしぼられるのですか。そこがどうも納得がいかない。答申だからという、手間がかからぬようにするためにというのでは教科書法の権威はないです。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 もう御承知と思いますけれども、一つの県について五種類ないし六種類にしぼりますのは、その結果として当該県は五、六種類でございますが、また他の県におきましては別の五、六種類を選定するということは、これは当然あり得ることであります。したがって、その出てまいりました結果の全国的な種類が何種類になるかということは、これは別個の問題であります。したがって、いま御指摘になりました教科書の各教科に応じての種類が六つだ、七つだ、八つだとかおっしゃいましたけれども、それと直ちにこれは比較できないと私は考えるのでございます。したがって、そういう点から申しまして全国の種類が五つあるいは六つになるということではなく、あるいはそれ以上になる。こういうことでございますから、その点は御了解いただけると思いますが、一つの県について五、六種数にしぼります理由は、先ほど申し上げましたように定価の合理化、供給の円滑化というような、そういう観点からこれを五つあるいは六つ程度にしぼりたい、こういう趣旨でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 局長の言われることもよくわかります。なるほど七つを五種類ずつ選定しましても、六種類ずつ選定しましても、七つは七つとも残るかもしれない。しかしこういうやり方では五位くらいまでのところに集中してしまって、そしてあとの二社なり三社というものがその中からまた減るということです。そうすると、それでやっていけないじゃないですかということと、その七社なり八社なり入れておくことが、過去のいままでの経験に照らしてみて今後教科書がよくなる一つの要素じゃないかということを言っておる。それをあえて安かろう教科書、それから供給の円滑化、こういうことでは――君から教科書のような本ということで――教科書を侮辱したことばではありませんよ。紙質が悪い、それから、内容はいいでしょうけれども、ていさいが悪いということと、教科書のような本をくれたということで、教科書が一つの悪い建て相場になっておる。こういうような教科書にだんだん逆行していくようでは――こういう考え方では逆行するということをさっきから申し上げておる。現在まで幸いにして教科書業者がいい教科書をつくっておるのですけれどもこういう考えに立ったら私はそういうことになるということです。これもおわかり願えますか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 現在よりも非常に悪くなるというようにお考えのようでございますが、私どもは現在の検定教科書の装丁にいたしましても内容の印刷にいたしましてもあるいは紙質にいたしましても、現在より落とそう、悪くしようという考えは、もちろんどこにも持ち合わせておりません。したがって、現在以上にいい教科書を、しかもコストを安く製造するということが無償の実施について必要なことでございます。したがって、そういう観点からある程度部数を集約的に取り扱うということは必要であろうと思います。また県内の部数をある程度まとめて扱うということが供給の円滑化のためにも非常に大事なことでございます。そういう趣旨で申し上げておるわけでございます。決して現在よりも悪くしようというようなことはもちろん考えてもおりませんし、そういうことになることはないと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 そういうことをされるというようには私たちも思っておりません。それは今後考える問題点だということを指摘しておきたい。さらにまた、最初から申し上げておりますように、汚職の要素をつくっていくということです。それで、いま教科書の歴史を考えてみますと、三十八年度から教科書制度が画期的になるわけでありますが、教科書無償、それまでは検定、それ以前は国定、さにずっと以前三十年間というものは日本の国はやはり検定の教科書を使っておった。その当時府県単位で採択をやっておった、そこで金港堂事件が起こって、県知事から県視学、こういった人が一連なわつきが出て、驚いて国定になったのですが、私が先般三十六年度の汚職問題を申し上げておるときに、田中政務次官は昭和の時代にもえらい汚職事件が起こったのですねと言って非常に驚いておられました。やはり歴史は繰り返すということで、今度こういうようなことでどんどんしぼっていくと、こういう歴史が再びこないかということを私は非常におそれるものですが、三月二十日の教科書協会の総会で指定取り消しもある、事前にこのことがわかっておりましたので、教科書業者としてはこの問題に対して顔を浮かして、この問題に反対しようという気配もあった、それが押えつけられてしまった、こういうことになって一方的にこの教科書法が進められていきますならば、せっかく第四段階まで教科書制度というものが伸びてまいりましたことが、最後にまた大きな落とし穴にはまってしまうのではないかという心配を持つのです。  そこで、次へ移りまして、文部省の発表されましたこの中の内容について私は質問したいと思うのです。私の質問するのは主として採択のところですが、初中局長の書いておられることで、「教科書採択の実状から考えてもすべての都道府県が一つの採択地区になることはありえないことである。」こういうぐあいに書いておられるのですが、しかし五種類にきめるということは、採択権が県に移行したということとほとんどひとしくなるのではないか。教員にあるということから地方教育委員会にありということ、さらに地方教育委員会も無能力者のように五つ県から与えられて、その中だけで採択せい、こういうことになれば、地方教育委員会も教科書研究の意欲がなくなるし、教師も意欲を欠いてくるのですが、これはどういうわけで一つの採択地区になることはあり得ないことであるというふうな――そんなことは絶対にないという意味ですか。どこを根拠にしてそういうことを言われておるのですか。いまの集中化の傾向だったら、こういう傾向をたどりますよ。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 都道府県であらかじめ選定することにつきましては、これは採択権ではないはずでございます。採択権はこの法案におきましても市町村の教育委員会にあるという前提において、この法案ができておるわけでございます。したがって選定するということはあらかじめ県内において適切な教科書をいろいろな方の意見を聞いてきめるということでございます。現場の教師との関係をおっしゃっておりますが、これは昨日も申しましたように、各府県の中ではいろんな教科についての研究会等がございます。教育委員会自体もいろいろな教科書の研究を行ないまして、その結果を市町村の教育委員会あるいは学校に対して参考資料として流している向きも相当ございますそういった意味で教科書の研究事業自体は、私どもはできる限り今後も活発にしていってもらいたいと考えております。したがって学校なり現場の教師の教科書に対する研究の結果がその選定に反映するという仕組みを考えるわけでございますから、教科書に対する熱意が失われるというようには私は直ちに考えにくいのでございます。  もう一つの点は、全県一つの採択地区になるのではないかというような心配があるやに私どもは聞いたのでございます。この法案におきましては、都道府県の教育委員会は当該都道府県の区域を分かちまして、幾つかの採択地区に分けるということを書いておるわけであります。したがって一つにするということであるならば、こういう法文の規定は必要ないわけでございます。現在の県市単位あるいは教育事務所単位に採択が行なわれるという実態に即して、都道府県の教育委員会は採択地区を設定するというたてまえになっておりますので、その県市単位あるいは教育事務所単位というものについて、若干の広狭は県によって起こり得ると思いますが、しかしながら県全体が一つの採択地区になることは考えられないということを申し上げたわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それはこういう法律の上では一がいには考えられませんけれども、考えることが望ましいというような文面になっておるわけです。十二条、「県の区域となる場合を含む。」もちろんこれも含まなければいかぬですね。あるいは近畿なら近畿一つになっても、そういう場合も小さいものをいうときに大きいものはもちろんそれでよいということになりますから、ここは「県の区域となる場合を含む。」ということが書いてあるが、これは書く必要はないじゃないですか。含むのだったら、そういうぐあいにしようということも起こってくる。起こり得る可能性をいうのです。あなたは、全県こういうことになるはずはない、それは一気にはなりませんよ。静かに漸進していくところの姿勢が示してあるわけです。それであなたのお考えはよくわかりました。  時間がありませんので、以上で一時中止いたします。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる三十一日金曜日、開会することとし、これにて散会いたします。  午後四時三十一分散会

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