文教委員会 第1号
- 発言数
- 44 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/02/06
会議録
○床次委員長 これより会議を開きます。 この際国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 衆議院規則第九十四条の規定によりまして、本委員会といたしましては、本会期中、学校教育に関する件、社会教育に関する件、体育に関する件、学術研究及び宗教に関する件、国際文化交流に関する件、文化財保護に関する件の各件につきまして、議長に対し国政調査承認の要求をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○床次委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 なお、承認要求書の提出とその手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○床次委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。 手続をいたしますので、しばらくそのままでお待ちをお願いいたします。 ――――◇―――――
○床次委員長 文教行政に関し調査を進めます。 この際、文教行政に関し、荒木文部大臣より発言を求められておりますので、これを許します。荒木文部大臣。
○荒木国務大臣 昭和三十八年度文部省所管の予算案につきまして、その概要を御説明いたします。 昭和三十八年度文部省所管の予算額は、三千五百七億二千七百八十二万三千円でありまして、一般会計総予算の一二・三%を占めております。これを前年度当初予算に比較いたしますと、六百十二億六百七万五千円の増額でありまして、その増額分の内訳としては、義務教育費国庫負担金二百六十一億円、国立学校運営費百四十五億円、国立文教施設整備費五十五億円、義務教育諸学校ミルク給食助成費四十億円、義務教育教科書費二十億円等がおもなものであります。 以下、明年度予算案において特に重点として取り上げた施策について御説明申し上げます。 まず第一は、初等中等教育の改善充実でありますが、この点につきましては、前年度に引き続き義務教育諸学校における教職員の充足と学校施設の整備を推進することを重点といたしましたほか、小学校第一学年から第三学年までの児童に対する教科書を無償とするために必要な経費を計上いたしております。 すなわち、義務教育費国庫負担金につきましては、標準法の完全実施をはかるため、学級編制の基準を、小・中学校いずれも五十人とし、また所定の定数増をはかるほか、小規模学校教員の充実、充て指導主事の増員、給与改訂の実施、諸手当、旅費及び材料費の増額等を含め、負担金千八百四億円を計上いたしております。 次に、学校施設につきましては、引き続きその整備を推進することとし、小・中学校校舎の整備、危険校舎の改築、屋内運動場、学校統合に伴う校舎等の整備、工業高等学校の一般校舎の整備等のため公立文教施設整備費百二十九億八千万円余を計上いたしましたが、建築費単価の引き上げ、構造比率の改訂等は、特に配意した点であります。 次に、義務教育教科書の無償給与につきましては、調査会の答申に基づきまして、国公私立学校を通じ、義務教育児童・生徒の全員を対象として、年次的にその完全実施をはかることとし、三十八年度はとりあえず小学校及び特殊教育諸学校の小学部の第一学年から第三学年までの児童に全教科書を国の負担において無償給与することといたしたのであります。 なお、教育内容の面につきましては、小学校及び中学校における道徳教育の充実強化をはかるため所要経費を新規に計上いたしたのであります。 第二は、科学技術教育の振興であります。 科学技術に関する教育研究の拡充強化をはかることは、わが国経済の発展の基礎をつちかうものであり、また国民所得倍増計画の達成を期する上においても緊要な事柄であります。このことにつきましては、かねて努力を続けて参ったのでありますが、三十八年度予算案におきましてもさらに力を注ぐこととし、初等中等教育、大学教育及び学術研究の各面にわたって所要経費を増額計上いたしております。 まず、初等中等教育につきましては、産業教育関係の補助金を大幅に増額し、施設設備の改善充実をはかっておりますが、特に高等学校工業課程の拡充をはかるため、前に述べました一般校舎の整備のほか、実験実習の施設設備の整備についても国庫補助を増額し、中堅技術者の不足に対処することといたしたのであります。また、高等学校における農業教育の近代化促進にも配意し、所要経費の増額をはかったのであります。 次に、国立大学につきましては東京大学等七国立大学の学長を認証官として、その処遇の改善をはかり、また大学院研究科担当教官に対し、俸給の調整額を支給することとしたほか、新たに横浜国立大学ほか五大学に大学院修士課程を設置することといたしました。 また、専門技術者の養成につきましては、国立の大学及び短期大学において理工系学生を千三百三十人増募することとし、このために、必要な学部学科の新設、改組を行なうほか、新たに国立工業高等専門学校を昭和三十八年度において十二校、昭和三十九年度において五校を創設することとし、さらに農業近代化のため農学部の体質改善を進め、また、公立大学に対しましては、理工系学部学科整備のため補助金を新規計上し、その教育の振興をはかることとしたのであります。 また、学術研究につきましては、原子力、基礎電子工学、防災科学、宇宙科学等に関する教育および基礎的研究を推進するため、講座及び研究部門の増設を行ない、さらは数理解析研究所、原子炉実験所及び内分泌研究所を創設することといたしましたほか、国際的な学術研究の協力体制を推進するため、南極地域観測再開基準並びに日米科学協力研究事業に必要な経費を計上したのであります。 以上のほか、国立文教施設整備費の大幅増額を行ない、所要額百八十七億円余を計上し、また教育研究の充実向上をはかるため、国立学校における基準的諸経費並びに科学研究費交付金等の増額を行なっております。 なお、消費者物価の動向、公私立学校における授業料等の額を考慮し、昭和三十八年度国立学校の入学者から授業料、入学金等の額を引き上げることといたしております。 第三は、教育の機会均等の確保と人材の開発であります。 優秀な学徒で経済的に困窮している者に対して国がこれを援助し、その向学の志を全うさせることは、きわめて重要なことであります。このため三十八年度予算案におきましては、特別奨学生を増員することによって育英奨学制度の拡充をはかることとし、さらに高等学校、大学を通じ一般奨学金の単価を引き上げることといたしましたほか、日本育英会の奨学金返還業務を推進することとし、合計八十億円余を計上いたしております。 次に、要保護、準要保護児童生徒対策、僻地教育、特殊教育等恵まれない事情にある児童生徒に対する援助ならびに教育につきましては、教育の機会均等の趣旨にのっとり、従来からも特に留意して参ったのでありますが、明年度におきましては、一段とこれが充実をはかることといたしております。 すなわち、要保護、準要保護児童対策につきましては、準要保護児童生徒の対象比率の引さ上げをはかり、僻地教育の振興につきましては、新たに飲料水給水設備について補助を行なうこととし、また特殊教育については、養護学校および特殊学級の普及並びに就学奨励費の拡充について、所要経費を増額計上いたしております。 第四は、勤労青少年教育、社会教育及び体育の振興普及であります。 国家社会の発展は健全な青少年の育成に待つところ多大であり、働きつつ学ぶ青少年の教育問題は、学校教育及び社会教育の両面にわたって深く考慮を払うべきところであります。明年度予算案におきましては、定時制高等学校の設備の整備、定時制及び通信教育手当の支給等に必要な経費を計上いたしますとともに、新たに一定範囲の通信教育受講生徒に対しましては教科書及び学習書を無償給与することといたしましたほか、夜間定時制高等学校につきましては、夜食費補助金を増額計上するとともに、新たに運動場照明施設整備に補助を行なうことといたしました。また、社会教育の面につきましては、青年学級、社会通信教育等の充実振興に要する経費を計上いたしております。 次に、社会教育は、国民の教養の向上に大さな役割を果たすものであり、その普及振興は、学校教育の充実とともに、きわめて重要なものであります。このため成人教育及び婦人教育の振興、社会教育関係団体の助成等につきまして所要経費を計上いたしましたほか、国立青年の家の増設、公民館、図書館等の施設設備の整備について、所要経費を増額計上いたしております。 次に体育は、国民の健康を維持増進し、その生活を明るくする上に重要な意義を持つものでありますが、オリンピック東京大会を明年に控え、その意義を高めるためにも、これが普及振興に努めることは、きわめて重要であります。 まず、オリンピック東京大会の準備につきましては、必要な施設の建設、整備等に一段と力を注ぐことといたしました。すなわち、国立競技場の整備、屋内総合競技場の建設、戸田漕艇場の改修、朝霞射撃場の整備並びにオリンピック組織委員会の運営、競技技術の向上等の関係予算の大幅な増額を行なっております。 また、国民一般に対する体育の普及奨励をはかるため、体育館、プール等の体育施設の整備並びにスポーツ活動の指導者養成等に必要な経費の増額計上をはかったのであります。 なお、学校給食につきましては、小麦についての従来の補助を継続いたしますとともに、新たにミルク給食を義務教育諸学校について全面的に実施するため所要の補助金を計上いたしましたほか、施設設備の整備の促進に関し、所要の増額をはかっております。 第五は、私立学校教育の振興助成であります。 私立学校教育の重要性については、あらためて申すまでもないところでありますが、明年度予算案におきましては、合計三十六億三千万円余を計上いたしております。そのおもなものとしては、私立学校振興会に対して、さらに十二億円を出資いたしますとともに、財政投融資から二十億円の融資を受けることといたしましたほか、私立大学等理科特別助成費に十四億九千万円余、私立大学研究設備助成費に八億二千万円余を計上し、科学技術教育振興の趣旨にも沿うこととしたのであります。 次に、文化財保存事業につきましては、保存修理及び防災施設の整備に努めるとともに、日本歴史上貴重な遺跡である平城宮跡の一部買い上げ、文楽の保護等無形文化財の保存活用、国立劇場の建設の促進等に特に配意いたしております。 以上のほか、教育研究団体の助成、国際文化の交流、ユネスコ事業等について、それぞれ所要経費を計上いたしたのであります。なお、沖繩教育協力援助費につきましては、本年度から、総理府所管として計上いたしております。 以上、文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
○床次委員長 次に昭和三十八年度文部省関係予算の詳細につきまして説明を聴取いたします。安嶋会計課長。
○安嶋政府委員 お手元にお配り申し上げました予算要求額事項別表につきまして予算の概要を御説明申し上げたいと思います。 昭和三十八年度の文部省所管予算の合計額は、ただいま大臣からも御説明がございましたように、三千五百七億円余でございます。この金額が一般会計総予算において占める比率は、これまた御説明申し上げました通り一二・三%でございます。この比率を前年度に比較いたしますと、〇・四%の増と相なっております。前年度におきましてはこの比率は一一・九%でございます。また文部省所管予算の前年度当初予算に対する伸び率でございますが、これは二一・一%ということになっております。一般会計総予算の伸張率が一七・四%でございますのに対しまして、文部省予算は約四%これを上回る伸びを示しておるわけでございます。 次に内容につきまして概要の御説明を申し上げたいと思います。 まず第一ページでありますが、義務教育費国庫負担金の給与費につきましては、備考にもございますように、明年度におきましては児童生徒数小、中学校合わせまして約九十三万人の減少が見込まれております。これに伴いまして教員の減少が約二万一千人見込まれるのでございますが、一方、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員の定数の標準に関する法律の完全実施をはかりますために所要の増員を見込んでおるわけでございます。この法律は御承知の通り三十三年度から五カ年計画をもってその完全実施をはかる計画のもとに施行されて参ったわけでございますが、三十八年度はその最終年度に当たるわけでございます。まず学級編制の基準につきましては、現在小学校が一学級五十四、中学校が五十二名となっておりますものを、それぞれ五十名に引き下げることといたしております。それから法律に定めております通りの定数の充足をはかっております。その他小規模学校における級外教員の定数増、これにつきまして標準法以上の改善をはかっております。その他特殊学級の増設、充て指導主事の増員等を含めまして、総体といたしまして一万六千人の増員をはかっておるわけでございます。従いまして、予算の定数といたしましては前年度の五月一日の現員に対しまして約五千人の減ということに相なるわけでございますが、これは例年の自然退職、高等学校に対する配置転換等によって処置されるものと見込んでおります。 二ページに参りまして、次は給与費の内容でございますが、まず金額的には一番大きいものといたしまして、人事院勧告に基づく給与改定の実施の平年度化分及び昇給原資を百八十八億円余見込んでおります。それから同様人事院の勧告に基づきまして暫定手当の底上げをはかっております。これは無級地及び一級地に対しまして、三カ年計画をもって二級地相当の暫定手当を支給するために必要な経費であります。次は旅費の増額でございますが、これは実績を勘案いたしまして四千八百円を六千円に引き上げております。宿日直手当も同様でございまして、宿日直手出につきまして二百十円を三百円に引き上げております。それから明年度から初めて寮母の宿日直手当を千九百万円計上いたしております。従来特殊学校におきまする寮母の勤務に対する給与につきましては、いろいろな扱いがあったわけでございますが、明年度から宿日直手当を支給することにいたしまして、その取り扱いを明らかにしたわけでございます。 次は教材費でございますが、これは一〇%の増額になっております。金額的には必ずしも前年度の一〇%になっておりませんが、これは児童、生徒の自然減があるためでございます。この一〇%の増額分は、主として小規模学校、特殊学校、特殊学級の教材費の充実に充てる予定でございます。 次は共済年金でございます。これは本年度の十二月からすでに発足をしておるわけでございますが、それの平年度化分を見込んであります。 次は公立養護学校教育費国庫負担金でございます。明年度養護学校の新設十一校を見込みまして、教職員数千百名を積算いたしております。給与費の内容等につきましては、義務教育について申し上げたところと同様でございます。 次は義務教育の教科書費でございます。約二十七億円の予算を計上いたしております。大臣の説明にもございました考え方で計上いたしておるわけでございますが、単価は現行単価の九六%で積算をいたしております。これは現在の定価中供給手数料が相当額見込まれておるわけでございますが、国の給与ということになりますと、その代金回収業務が軽減されるわけでございまして、その分だけ定価を下げるという前提で予算を積算しておるわけでございます。 次は教育研究団体の補助でございますが、五千万円計上いたしております。中央教育研究団体、都道府県の教育研究団体に対する助成のための補助金等がその内容でございまして、骨子は従来と特に変わった点はございません。 四ページに参りましまして、道徳教育の充実強化のために新規に約四千二百万円を計上いたしております。内容は、研究推進校の設置その他でございますが、金額的には道徳教育資料の編集配布がそのほとんどでございます。これは小、中学校の学級担任の教員その他に対しましての研修、道徳教育の参考資料を配布したというための予算でございます。 次は公立学校文教施設の整備費でございまして、前年度に対しまして二十八億円余の増になっております。差増額をごらんいただきますとおわかりいただけますが、増額いたしておまりす。主たる事項は、統合校舎等の八億五千八百万円、危険校舎改策の七億五千百万円、それから高等学校の建物整備の七億五千八百万円余が、その増額の主たる内容でございます。その他につきましては、ほぼ前年程度の予算額が計上されておるわけでございます。 次に公立文教施設につきましては、ただいま申し上げました事業量の増加のほか、構造比率及び単価を改定いたしております。その内容は五ページのところの表にございます通りでありますが、まず単価につきましては、鉄筋につきまして九・四%、鉄管につきまして八・一%、木造につきまして一六・三%の単価の引き上げになっております。構造比率につきましては、おもなところを申し上げますと、中学校の屋体の鉄骨造が七〇%から八〇%に引き上げられたという点、それから六ページになりまして学校統合の校舎整備における鉄筋比率が五〇%から六〇%に引き上げられたという点、それから工業高校の校舎の整備につきまして、新設工業高校につきましては、鉄筋造が従来の六五%から一〇〇%とされた点、それから定時制高等学校の校舎につきまして、鉄筋比率が一五%引き上げられたという点がおもなものでございます。 次は、科学技術教育の振興でございますが、理科教育設備及び理科教育センターにつきましては、大体前年額に近い予算額が計上されております。 産業教育の関係につきましては、新設学科の施設設備の整備につきまして、約十二億九千万円が増額計上されております。 工業高等学校の拡充につきましては、すでに年次計画を立ててこれを推進しておるわけでございますが、明年度におきましては全日制につきまして約三万八千人、定時制で約二千人、計約四万人の工業高等学校生徒を増募することにいたしております。それに対応する新設学科が二百三十六学科でございます。そのほかに三十六年、七年に新設いたしました工業課程の学年進行の分が計上されておるわけでございますが、そういうのもを含めまして十三億円に近い予算が増額されておるわけであります。 それから構造比率でございますが、三十八年度新設の分につきましては、鉄骨造を大幅に増額いたしております。坪当たりの単価は、先ほどごらんいただきました高等学校の坪単価と同様でございます。 なお産振の設備費の単価につきましては、物価の上昇率等を勘案いたしまして、一〇%の引き上げをはかっております。 八ページに参りまして、産業科、分校、共同実習所等につきましては、それぞれ従来の継続分のほか、新規を若干ずつふやしておるのでございます。 実習船の建造費の補助につきましては、百五十トンの大型三隻、六十トンの中型一隻を計上いたしております。 高等学校の農業教育の近代化につきましては、体質改善といたして畜産、園芸等の課程の新設をはかる、それから転換といたしましては農産加工、農業土木等の学科に従来の学科を切りかえるといった関係の予算を計上いたしております。 次は中学校の技術家庭科の設備の補助金でございますが、これにつきましては三十七年をもちまして第一次の整備計画が終了したわけでございます。三十八年度からさらに第二次の整備計画を始めることといたしまして、二億一千万円余を計上いたしたわけでございます。 次は国立学校における理工系の学科の新設でございますが、備考にもございますように、学部の創設、学科の新設、拡充、短期大学の学科の新設等をそれぞれ行ないまして、合計千三百二十人の増募をはかることといたしております。所要経費五億四千八百万円余がここに計上されておるわけでございますが、この関係の施設費は別に国立文教施設費に計上されておるのでございます。これが新設に伴う経費の全部ではないという点に御留意をいただきたいと思います。 次は高等専門学校の創設でございますが、三十八年度十二校、入学定員千四百四十名といたしまして予算の積算をいたしております。合計、国立学校の高等教育段階におきましては二千七百七十名の増募が行なわれるわけでございます。 公立の大学、短期大学の理科系の学部、学科の整備につきましては、新規に千九百万円が計上されております。私立大学の研究設備それから理科特別助成につきましては、おおむね従来の考え方に従いまして予算の増額を行なっております。 それから十ページの半ばでございますが、科学研究の振興関係といたしましては二億五千万円の増額をはかる。大体前年度額の一割増でございます。 次に民間学術研究団体の補助といたしましては一億五千二百万円の増額をはかっておりますが、このうち主たるものは日米科学協力研究事業費に対する補助の一億五千万円でございます。 次は南極地域観測再開準備費といたしまして五千万円が新規計上されております。 第三は国立学校の拡充整備でございますが、約二百億円の増額となっております。 主たる内訳でございますが、大学院担当教官の待遇改善をはかるために一億六千二百万円余を計上いたしております。従来大学院担当教官につきましては日額制による特殊勤務手当が支給されておったわけでございますが、明年度からはこれを恒久の普通調整額といたしております。調整の率は博士課程担当教官が二、修士課程担当教官が一でございまして、この場合一と申しますのは俸給の四%であります。博士課程の担当教官に対しましては八%、修士課程の担当教官に対しましては四%の俸給の普通調整額が支給されることになったわけであります。次は学生当たり積算校費でありますが、これは本年度の二〇%増になっております。学生当たり積算校費と申しますのは従来の学生経費でございます。十二ページに参りまして教官当たり積算校費でございますが、これは従来の教官研究費でございまして、一〇%増の百一億円が計上されております。その他教官研究旅費、設備費、営繕費等につきましてそれぞれ所要の増額をはかっておるわけであります。その次に学科の新設、拡充改組がございますが、おおむね理工系の増募のところで申し上げたところでございますが、それと若干異なっておりますのは、理工系以外の分もここに含めて計上しておるためでございます。たとえば学科の新設で申しますと、大阪外国語大学に朝鮮語学科を新設した、農学部系の体質改善といたしまのては、農業土木、農業工学といった理工系のほかに、獣医、畜産、酪農といった学科の新設あるいは拡充を行なっておるということが、その相違点でございます。十三ページに参りまして大学院の拡充強化でごございますが、これは新制大学に初めて修士課程を設けたという点が従来と著しく異なる点でございます。教員養成学部の整備は、これは人的な構成に改善を加えたということでございます。研究所の創設は、先ほど大臣からも御説明申し上げました三つでございますが、原子炉実験所、数理解析研究所については、これはいずれも京都大学でございます。群馬大学の内分泌研究所は、すでにございました研究施設を正規の付置研究所に切りかえるためのものでございます。 次は国立学校等の施設整備でございますが、これは前年度に比べまして約五十五億円、四二%程度の増額となっております。総額で百八十七億円でございますが、そのうち約八十九億円が科学技術教育関係の施設費に充当されることになっております。それから特定財源の施設整備といたしましては、大阪大学理学部を中之島地区から石橋地区に移転するための予算その他の内容となっております。学生会館につきましては、前年度の二億円が三億円と、約一億円増額になっております。 次に、在外研究員の派遣でございますが、前年度予算の大体一割増でございます。 次に、十四ページに参りまして、育英事業費でございますが、育英会の補助金が約七千九百万円の増額になっております。これは育英会の事務費の補助でございまして、内容的には事務の機械化、返還事務の強化をその趣旨といたしております。 次は育英会の貸付金ございますが、まず、高等学校の一般奨学生につきましては、採用率は据え置きましたが、貸与月額を千円から千五百円に引き上げております。大学につきましても、採用率は据え置いておりますが、貸与月額を、三千円と二千円の二口でございましたものを、三千円と二千円と、それから新規のものにつきましては二千五百円の三口にいたしておるわけでございます。その他ほぼ同様の考え方をとっております。大学院の単価につきましては、従来の修士課程につきましては、一万円口、八千円口を一万円に統一したということ、博士課程につきましては、一万五千円、一万二千円、八千円を一万五千円に統一したといったようなところが主たる内容でございます。次のページに参りまして、十六ページでございますが、特別奨学生につきましては、高等学校段階の特別奨学生第一学年分が従来一万二千人でございましたものを一万四千人にいたしております。高校特奨のところに一年三千八百人と書いてございますが、その次の高等専門学校のところで一学年のところに二百人と書いてございまして、高等学校と高等専門学校の特奨を合わせまして一万四千人となるわけでございます。それから大学につきましては、従来第一学年八千人の採用でございましたものを一万一千人といたしまして、三千人の増といたしております。なお、大学特奨の単価でございますが、自宅外七千五百円のものを、新規につきましては八千円といたしております。自宅四千五百円を、新規につきましては五千円といたしております。そういったところが主たる内容でございます。 次は、準要保護児童生徒対策でございますが、従来準要保護の比率は五%でございましたが、これを七%に引き上げております。要保護、生活保護の対象になりますものがほかに三%あるわけでございますから、低所得層の児童生徒に対する援助といたしましては、合わせて一〇%の援助が行なわれることになったわけであります。項目といたしましては従前と特に変わったことはございません。単価につきまして、実情に合わせてこまかくその是正、引き上げをはかっております。 十九ページに参りまして、僻地教育の振興関係でございますが、新規といたしましては、飲料水の給水施設の補助を計上いたしております。これは僻地学校で天水を利用しておる学校に対しまして、その濾過設備を補助していきたいという内容でございます。それからこの関係におきまして金額的に一番ふえておりますのは教員住宅の整備でございまして、戸数が備考にございますように四百九十戸から五百八十八戸にふえましたほか、坪単価を約一二%引き上げております。 次は特殊教育の振興関係でございます。大体従来進めて参りました施策をさらに進めることにいたしておるわけでございますが、金額的には二十ページの就学奨励費の補助金が大幅に増額になっております。新規の費目といたしましては、幼稚部の交通費、寄宿舎の居住費が計上されております。その他教科書数、食費等につきまして単価の引き上げをはかっております。それから二十一ページの全国学力調査の実施でございますが、これはおおむね従来の方針に従った実施を行なう予算でございます。 次の能力開発研究所の補助でございますが、これは新規でございまして、大学入試の改善等をはかりますために、客観的な統一的なテストを実施することを目的といたしまして、この能力開発研究所が設立されたわけでございますが、この研究所に対しまして、問題の作成費、それから統一テストの実施に関します海外調査費等につきまして所要の補助をしたいというものでございます。 次は勤労青少年教育の振興でございますが、金額的にふえております点は、二十二ページのまん中にございます定時制通信教育手当の補助金でございます。前年度に比べまして二千六百万円余の増額になっておりますが、これは該当する教育の数がふえたということと、給与の単価が上がったということがその増額の理由でございます。 それから新規といたしまして、通信教育の生徒に対しまして、その一定範囲の者につきまして教科書と学習書を無償給付するための補助金が新規に計上されております。 それから夜間の定時制高等学校の運動場の照明設備の補助金、これも新規に計上されておりまして、金額は二千五百二十万円でございます。 それから二十三ページに参りまして、夜間定時制高等学校の夜食費の補助が前年度に比べまして約一億円の増となっております。これは実は考え方は基本的に変わっていないのでございますが、普及の状況にかんがみてその実施率を高く積算したということが増額の理由でございます。 次は青年学級等の充実振興でございますが、総体で千四百九十万円ふえております。このうち青年学級の運営費の補助につきましては六百九十万円の増でございますが、これは学級数が約二百二十学級増加したことに伴う増でございます。二十四ページに参りまして、勤労青年学校の運営費の補助、二十校八百万円というのかございます。これは新規でございます。勤労青年学校と申しますのは、十五才ないし十七才の青少年に対して青年学級以上に計画的、継続的な教育を施そうという趣旨の、勤労青少年のための教育施設でございます。 次は社会教育の振興でございます。ほぼ前年に近い予算がそれぞれ計上されておるわけでございますが、増額されたおもな点を申しますと、婦人教育の振興でございまして、前年度に比べまして千百万円増額になっております。このうち約七百五十万円余が婦人学級の関係の増でございます。その他、家庭教育の振興関係の予算といたしまして、資料の配布、研究集会の開催費等の経費が約三百万円増額計上されております。 それから、二十六ページに参りまして、社会教育関係団体の補助が約一千万円増額となっております。これは従来通り、一般の社会教育関係団体、婦人団体、青少年団体、そういった団体に対する助成を内容とするものでございます。 次は、社会教育施設の整備でございますが、前年度に比べて約三千万円の増額になっております。増額の主たるものは、公民館の整備費の補助でございまして、百十二館が百三十八館と増加されておるわけであります。これらに伴いまして、約二千五百万円の予算の増額が行なわれているわけであります。 二十八ページに参りまして、国立青年の家の増設といたしまして二億円が計上されております。これは九州の阿蘇地区に国立第二青年の家を増設するための予算でございまして、青年の宿泊収容人員は四百人と予定いたしております。職員は四十人、宿舎その他の建物の坪数につきましては、備考にございますように二千百五十坪を予定いたしております。 次に、体育の振興でございまして、まずオリンピックの関係でございますが、この部分はすでに方針が固まっておるわけでございまして、それを進めるという関係の予算が主でございます。新規といたしましては、二十八ベージの下から二番目にございます大会参加選手の練習場の整備、それから大会にあたりまして、プレス・センターとして利用されることが予定されております日本青年館の改修費の補助、この二つが新規でございます。その他は大体従来から計画されておったものをさらに進めるという予算でございます。 二十九ページに参りまして、体育施設の整備でございます。前年度に比べまして一億二千七百万円余の増になっておりますが、まずこの中で二千五百二十万円の夜間定時制高等学校の照明設備の補助、これは新規でございます。それから水泳プールの補助が二億四百万円となっておりますが、これはちょうど前年度の倍額でございまして、ここで一億二百万円の増額が行なわれているわけでございます。 それから、地方スポーツの振興関係といたしましては、ほぼ前年度と同様の考え方で予算の計上が行なわれております。 次は、三十ページに参りまして、国体関係の補助でございますが、一千万円前年度に比べて増額されております。 それから、スポーツ団体の助成といたしましては、前年度に比べまして千五百万円余の増額となっておりますが、増額の主たるものといたしましては、日本武道会館の建設のための補助一千万円、その他がございます。 次は、学校給食関係の助成でございますが、前年度に比べまして四十六億三千万円余の増額になっておりますが、そのほとんどが義務教育諸学校のミルク給食の助成のための経費でございまして、その額は四十億。内訳といたしましては、脂脱紛乳の購入費の補助が約三十四億、それからそのミルク給食のための設備費の補助が約六億ということになっております。ミルク給食のための補助金の三十四億は、日本学校給食会に対する補助という形で支出されます。ちょうど小麦に対します補助が食管への繰り入れということで行なわれておるのと同様でございます。その他、学校給食関係の予算につきましては、従来の施策をさらに進めるということで計上されておるわけでございます。 次は、学校安全会の事業の助成でございますが、前年度に比べまして約六千七百万余の増となっております。この増額の主たるものは、安全会の地方支部の人件費の補助が、従来三分の一の補助でございましたものを、全額補助にしたための増がほとんどでございます。 三十二ページに参りまして、私学振興関係でございますが、前年度に比べまして四億二千六百万円余の増になっておりますが、本年度特筆すべきことといたしましては、財政投融資から私立学校振興会に対して二十億円の融資が行なわれるということになった点であろうかと思います。 次は、国際文化の交流でございますが、東南アジアの教育情報、交換教育計画の立案担当者会議開催のための経費でございますが、これが新規に計上されております。それから、文化交流の促進といたしましては、これは文化協定締結国との学者の交流を行なうための経費でございます。それから、外国人留学生等の関係といたしましては、一千百万円余の増額になっておりますが、基本的な立て方は従来と全く変わっておりません。学年進行による留学生数の増が見込まれておりますが、その増に伴う給与費の増、その他が主たる内容でございます。 それから、三十三ぺ-ジに参りまして、文化財保存事業等といたしまして五億八千七百万円余が増額されておるわけでございますが、この中で目ぼしいものを申しますと、無形文化財の保存活用の二千九百九十五万七千円。このうちには、財団法人文楽協会に対する補助金千五百万円が含まれております。 それから、次のページに参りまして、国宝重要文化財等の買い上げといたしまして、一億円が計上されておりますが、これは前年度に比べまして二千万円の増となっております。 それから、平城宮跡の買い上げ四億二千七百万円、これは新規に計上されたわけでございまして、文化財関係の増額の主たる部分は、この平城宮跡関係の買い上げ費だと言って差しつかえないかと思います。 次は、国立劇場の建設費でございますが、これは基本設計、実施設計に要する経費等のほか、予定敷地にございます警察庁の宿舎の移転費を見込んでおります。予算的にはこの宿舎の移転費が約四千万円となっております。 なお、一点申し落とした点がございますが、二十八ページのオリンピックの東京大会の実施準備のところに、国立屋内総合競技場建設という事項がございますが、これにつきましては国庫債務負担行為を四億五千万円余、別にお願いをいたしております。
○床次委員長 ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○床次委員長 それでは始めて下さい。 ――――◇―――――
○床次委員長 文教行政に関し質疑の通告がありますので、この際、これを許します。三木喜夫君。
○三木(喜)委員 今、予算の説明がございましたが、その中のおもなことについて若干御質問いたしたいと思います。 この中で、いろいろな点につきまして文部省としては計画されておるわけでありますが、特段人づくりということがやかましく言われております。そこで、人づくりと関連して予算の重点をどこに置かれておるか、苦心された点につきまして大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
○荒木国務大臣 人づくりということが言われ始めましたが、およそ文教政策全般がいわゆる人づくりという事柄には関係のあることだと思います。そういう観点に立って申し上げれば、今度の三十八年度予算全部が人づくりに関連のあるものと考えております。
○三木(喜)委員 もちろん人づくりということと教育ということと関係がある、その教育を担当しておるところの文部省が人づくり全般に関係あることはみなわかっておりますが、ただいまお聞きいたしたのは、特にどこに重点を置いてお考えになったかということをお聞きしているわけです。
○荒木国務大臣 もう古い言葉でございますけれども、引用させてもらえば、人間形成というのはいわゆる知育、徳育、体育、三者のコンビネーションによって形成されるものと私は思います。そういうことから申しまして、大学の施設設備あるいは小中高の施設の整備あるいは東京オリンピック大会を初めとする体育関係の諸経費を初めといたしまして、教員の質と量の充実、向上、道徳教育の強化等に重点を指向したと申し上げ得ると思います。
○三木(喜)委員 私は、今一番に考えなければならぬことは、子供の教育をどのように身の入った教育をやらうとしておるかということです。これは幼稚園から大学までを含めてのことでございます。次に、施設の問題、三番目に先がた大臣からもお話がありましたように、教育に携わっておる者の問題、いわゆる教師の問題であろうと思うのです。そこで、最後の教師の問題について先国会から非常に重点的にやかましく言われておりました問題は、教員の待遇改善の問題です。科学者の待遇改善の問題が言われておりました。その点について今の予算の説明を聞いておりますと、若干研究費等では配慮されておるのですが、全般的にはどういう配慮がなされたか、この点を、まず待遇改善の問題でお聞きしたい。
○荒木国務大臣 国立、公立学校――私立は一応別といたしまして、国公共の諸学校の教員の待遇改善、これは不十分だと思います。ただこれをやりますためには毎年々々の物価の変動等に基づく人事院の勧告による応急的な待遇改善と申しますか、その措置は毎年行なわれておりますけれども、本来教育公務員というものの待遇がはたして現状でいいかということになりますと、就任以来申し上げておりますように、もっと全面的に待遇が改善されねばならない課題が残っておると私は思うのであります。そのことは人事院の権限に属します給与体系それ自体で解決するほかにはない。直接文部省という立場から具体策が打ち立て得られないでおりますことを遺憾に思っておるのでありますが、しかしこれはあらゆる努力を傾けて当然あるべき姿に持っていく努力をしなければならぬ、かように思っております。部分的には大学の教授その他に何がしかの優遇措置とでもいうべきことを予算に盛り込んだつもりでございますが、一般的に申し上げると以上申し上げた通り不十分であると思っております。
○三木(喜)委員 私は文教委員会に今までずって参加いたしまして特に感じておりますことは、前の科学技術庁の長官をしておりました池田さんが、科学者の待遇を裁判官並みにすべきだ、なお文部大臣もこのことについてはそのように了解しておられたように思うのです。従ってそういう裁判官並みの待遇改善ということがいつ、またどういう方法でやられるかという、長期の見通しを立てて計画されておるかどうかをお聞きしたい。科学技術者の養成とか、あるいは科学技術の振興とかということを言い、今また大臣は教員の質、量の向上ということを言っておられますけれども、その質の向上に対しましてもこういうことが大へん重要な要素になっておると思います。さきの国会からずっと言われておったのですが、裁判官並みの待遇改善ということをどのような方法でなさろうとしておるかお尋ねしたい。
○荒木国務大臣 せめて裁判官並みにというのは、単に私がどうだということでなしに、終戦以来文部省としては、事務当局といえども考え続けておった事柄であります。年々歳々その意味の努力は続けられてはおりますが、成果が上がらないというのが現状だと思います。いつかも申し上げたと思いますが、戦前は、たとえば東大の総長は当時の大審院の院長よりは上であった、実質給与は国務大臣並みであったと承知いたします。今日ははるかに格差が逆についておる。またいつか山中さんが言われたと記憶しますが、私も承知しておることですけれども、以前高等師範学校を出て中学の先生になれば月給百円だった。その当時、昔の文官試験を受けて役人の卵になって就職します者は、七十五円か八十五円だったのであります。戦前すらも、教育者であるがゆえに他の公務員とは違った使命感を期待し、それに応ずべき待遇を考えられておったと解釈されると思います。そういうことから言いましても、裁判官並みじゃなしに、裁判官よりもっと上だ。人をつくる仕事をしていただく人だから、つくられたものよりも上だという通俗的な言い方も成り立つかと思いますが、そういう意味では、はなはだしく不十分だと思います。それをしからばどうするかという課題ですけれども、一、二回御質問に応じてお答えしたことがあると記憶いたしますが、上がつっかえてしまっておりますために、人事院でもなかなか処置が困難だということを伝え聞いておりまして、それが大学の学長の認証官扱いというやり方によって辛うじて天井をぶち抜くことができるというふうな課題につながると思われるのであります。そうすることによって通風孔ができますれば、給与体系としての全般的な考慮がなさるべき一つのチャンスが訪れるということは言いえると思います。私は、今具体的にはそのことをめぐりましての今後の給与体系の再検討が行なわれることを期待しております。
○三木(喜)委員 ただいまのお話では、具体的にどうしようという計画がないというように受け取っていいですか。給与の一般的改定が行なわれるたびごとに期待するというようなことでは――荒木文部大臣就任以来かなり長い間大臣をしておられて、その間これを重点的な問題として国会でもやかましく言ってきておりますが、いまだにそれについて具体的にどうするという考え方がない、このように受け取っていいわけですか。
○荒木国務大臣 冒題に申し上げました通り、給与政策、給与体系の課題は、文部省の当然の職権外でございます。従って、給与体系全般として再検討さるべき機会をつくるということ以上には現実にはできない相談だと私は心得ております。そういう意味で今申し上げたのであって、それ以上の一般的な給与体系それ自体をどう処理するかという考え方は、実現する方法としては文部省だけではできない相談だ、せめてなし得べきことをなすべきであるということを課題として御披露申し上げたのであります。
○三木(喜)委員 給与問題については、次の問題もありますからそう長く言う必要はないのですが、また言おうとは思いませんけれども、ただずっと言い続けられたことは、裁判官並みという言葉だけに終わって、文部大臣はどうしようかというこの強い確信がない。全般の中で解決される、あるいは給与体系の問題は一文部省の問題だけではない、こういうことなのですけれども、長い在任期間中そのことが課題になっておりながら、それに対してこうしようという強い考え方がない、それがほしいわけであります。あるいはまた計画がほしかったわけでありますが、そういう意味で、文部省だけではできないという後退した考え方と受け取っておきたいと思うのです、一方的かもしれませんが。 次に量の問題です。質量ということを言われましたが、教育はやはり教師を児童数に合わしてどのように配当するかということがやはり基本的な問題になろうと思います。文部省は新しい定数法を出して、そうして五カ年計画でこの際教員の質を向上するという方途を考えておられるようですが、この間うちから伝えられるところによりますと、大蔵省との間にうまく話し合いができずして、すし詰め解消が難関に乗り上げたというように報道されておるわけであります。私たちは、文部省が新たな決意――来年度から一学級児童生徒数を四十五名にまで引き下げて、教師の首切りを防ぐ、そういう事態の起こらないようにしよう、こういう態度には敬意を表するものであります。しかしながら、そのことが今難関にぶつかっておる、このように言われておるのですが、その点について大臣のお考えを聞かせてもらいたいと思います。
○荒木国務大臣 お答えします前に、文部省として、教員の給与の向上改善について後退したという一方的な断定を下されることは迷惑だと思います。先ほども申し上げましたように、終戦以来文部省事務当局はもちろんのこと、文部省あげて考え続けておることでありますが、文部省だけでは具体的にできない悩みを感じて十八年目を迎えました。その間、いろいろと努力が重ねられつつ、ようやく認証官制度を打ち立てるということにたどりついて、空気抜きができたということを御披露申し上げました。それには全般的な給与体系の再検討結論的には給与改善という課題が必然的に結びつかざるを得ない本質を持っておる、そういう意味で期待しておると申し上げるよりほかには、文部省だけから申しますと申し上げられないので、先ほど来のお答えを申し上げたことを御理解いただきたいと思います。 量の問題について、特に学級編制、教員定数の問題をお尋ねになったのでありますが、御指摘の通り、五カ年計画の最終年度が三十八年度で終わります。小・中学校を通じて五十名にするということがようやく完了する年度を迎えた次第であります。三十九年度から一体どう考うべきかということでありますが、あるいは欧州並みにしたらどうだ、ある国のごときは三十名だ、あるいは四十名だといろいろ言われますけれども、純粋に教育的な立場から何名が適当だ、ことに日本の国民性なり、今までの伝統なり、教員の養成制度等にもからみ合って、何人が理想であるかを断定することは私には不可能であります。けれども、五十名が終着駅だとは思いません。単に教員の首切りをする、しないなんていうことでなしに、本来教育のあり方から見て、学級編制は何名たるべきかという立場から、識者の教えを請わなければなりませんが、その意味において、専門的に理想の学級編制が四十五名だという意味ではむろんございませんけれども、五十名が終着駅ではない、もっと少なかるべきだ、少ないほどよろしいという気持はしろうとながらわかりますけれども、最終的に、理想的に何名かを申し上げかねることはくどく申し上げる通りでありますが、当面、一応の目標として四十五名ぐらいが妥当であろう、こういう考え方に立ちまして、三十九年度以降の定数法の改正を考慮しておることは今御指摘の通りであります。大蔵省と折衝中でありますが、難航しておることも事実であります。大蔵省は商売上ちっとでも少ない方を希望する商売ですから、抵抗のあることは当然であります。それを今申し上げたような趣旨を体しまして、事務当局が一生懸命に説得に努力中であります。それを難航とおっしゃれば難航でありますが、難航しましてもこれを突破して結論づける必要がある、こう考えてせっかく努力中でございます。
○三木(喜)委員 そうしますと、次の五カ年計画というものに対しては断固として大蔵省の反対を押し切ってこれをやり抜く、こういう決意と承っていいですね。 次に、さて実質新年度予算要求で、最終予算案として先生増員一万人を計画しておりましたが、それが六千人に削られた。それから定数に達していない府県を引き上げるんだと言っておったところの六千人が三千人に切られ、小規模学校の教員配当基準改正によって三千人をふやすと言っておったのが千百六十人になり、特殊学級増千五百人が九百五十七人、充て指導主事千二百人、これをたった百五十五人、そうして二万一千七百人を計画しておったのが一万人そこそこになってしまった。こういう実態を踏まえて、今言うような強い決意が現実に本年度に行なわれていないということ、そうして文部省としては、七千名あるいは六千名、こういう過剰人員が出てくるが、これについては絶対首切りをしない、このようなことを言っておられますが、このことについてどのようにされようとしておるか。またどうお考えになっておるか、お聞きしたい。
○荒木国務大臣 大体今までの実情を聞いてみますると、毎年一万人くらいの自然退職者があるということであります。それに五十名にしますためには約二万人見当の増員を必要とするという計算になりますので、その計算に基づいた措置はいたしております。さらに今例示されましたような充て指導主事、ないしは中学校の先生で高等学校の教員免状を持っておられる方々を、生徒急増対策の一環として必然性を持っております課題でもございますから、高等学校の先生に配置転換をするという構想のもとに、総合的に考えますと三千人ばかりがオーバーするという三十八年度の実態に即しましても、相当数の新規採用を受け入れましてなおかつ首切りは起こらない。起こるはずがない。そういう対策は確立し得たと思います。もちろん具体的には各県によって出入りがあるわけでございますから、自然に放任しますれば、全国的な建前からは以上申し上げる通りに間違いないとしましても、具体的には県によってはオーバーするという事態があり得ると思います。それらの県には昨年来行政指導と申しましようか、具体的な連絡をとりながら定数法の改正に至るまでのつなぎに首は切らない。ことにそういう県は、よその県に先んじて定数を、学級編制を五十名ないしはそれ以下にしたという県が該当するやに承知しておりますが、いわば教育的な立場からいいことを進んでしたのに、いい先生が首をちょん切られねばならぬということはこれはおかしい。そのおかしさを現実にしませんためには、当該県と文部省が十分に相談しながらそういう不当な首切りが行なわれないように、そういう結果にならないような配慮を今後といえども具体的にしていくべきものだ。そういうことも合わせ考えまして、首切りは三十八年度は行なわない。建前としてはこれは断言し得ると考えております。
○三木(喜)委員 今、文部大臣の御答弁では、首切りを行なわないというところにウエートを置いてお答えになりましたが、私の申し上げておるのは、最後にそのような強弁でもってつじつまを合わせるというような言葉を使われておるだけであって、私の申し上げておることは、当初計画した二万名の増に対して実態は一万名に終わっておる。これで首切りが防げるんだという考え方があった。それからもう一つ、考え方の中には、今こそ定数を減らして教育を充実する。人つくりのこれはおよそ大きな問題点だと思うのです。今までのすし詰めでは一人々々に教育が行き渡らない、道徳教育を幾ら言っても子供一人々々に教師の人格というものが、行動を通じ、指導を通じて行き渡らなかった、それを人数を少なくして、そうして、ほんとうの総理の言われる人つくりにマッチさす、こういう非常によい機会だと思います。そういうよい機会をとらえるということが一つあると思います。それから先がた言った首切りを防止するという考え方があったと思うのですが、これは初中局長にお聞きしたいのですが、このようにもろくも破れた。大へん私たちは満足いたしませんけれどもいい計画なのです。こういうところで蹉跌しておきながら将来四十五名に向かって断固突破するんだと言ってみても、現実足元から、はや本年度からくずれていっておるじゃないかということを申し上げておるわけであります。それについてどうお考えになるかということ。
○荒木国務大臣 おっしゃるような見方から批判されればそうも言えるかと思われぬじゃございませんが、ベビー・ブームが小学校、中学校を経て今高等学校に明年度からくるという現実の事態に直面して、今まで学級編制が乱れておって、いわば過剰人員を擁しておったような姿であった。これは教育的な立場からも大へんなことだからというので、五年前から五年計画を打ち立てまして、定数を、学級編制を五十名にするということがやっと三十八年度で完了するという実情にあります。だから、すげなく申せば、五十人にすることだけで精一ぱいであったから、先ほど触れましたようなオーバーした教員が収容されておるならば、それはぶった切られるのは当然だという計数になると思います。そういうことは将来教育的立場から見て許されざることだから、三十八年度としても、よき先生を三十九年度以降に温存して、教育目的上必要とする定数の構成員として大いにやっていただきたいという考え方からする三十八年度の応急措置の一つであります。ですから、まあ概算要求をしたので、その通りに結果づけられなかったことは、努力不足とむろん批判されてもいたし方ないことですけれども、およそ予算折衝は、初めから水増しして要求しておるわけじゃございませんけれども、各省が思うようにもなかなかいきませんのもまたやむを得ざる現実であります。しかしそうだとしましても、先刻御説明申し上げた通り、全国的に見た場合は、ゆえなく首を切る結果にはならないような措置はいたしております。ということを申し上げたのであります。全国的にはまさしく間違いのない、計数的にはつじつまの合ったお答えと思います。ただ繰り返し申せば、具体的なある県については、全国的にはそうであろうとも、その県としては、県同士の相互交流が事実上困難であることにかんがみまして、私が全国的に申し上げた通りに行なえないところがあるかも知れない。そういうところは当該県と十分に話をしまして、オーバーフローした部分を不当にちょん切るという無用なことをしないようにという努力をして、現実に首切りなんていうものが起こらないようにしたい、こういうことを申し上げたわけであります。
○福田政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げた通りでございますが、私どもとしては、予算要求の場合におきましてはいろいろ新しいこともやりたいわけでございまして、要求としては高く水増しではありませんけれども、いろいろな事項を盛り込んで要求したわけであります。定数の問題につきましては、結果から申しますと、三十七年度の定数に対しまして約七百人の増、六百九十人ばかりでございますが、その六百九十人の増を要求いたしまして、結果としては約三千人の減になっております。従って要求よりも三千人ばかり減っておりますけれども、しかしながらその中身をごらんいただきますと、先ほど大臣から申し上げましたように、すし詰め学級の解消ということで従来から計画しておりました、一学級小・中学校ともに五十人に編制するということも完全に実施することができるようになりました。また標準法の充足が不完全でございまして、いわゆる充足のおくれておりました府県に対しましても、定数の充足ができるように、事務職員、養護教諭も含めてでございますけれども、約六千人の増員をはかっております。そのほか小規模学校の充実、充て指導主事も、これは十分ではございませんけれども、百五十五人の新規増員を認められております。そのほかには特殊学級の増設で約一千人近くの増員も認められておりますので、それらを合わせまして、総数において一万八千六百人の増となっております。従って三十八年度に関する限りにおきましては、全国的に見まして生徒、児童の減に伴う定数の減に対しましては、十分カバーできるというように考えておるわけでございまして、一方において三千人の減は、高等学校等の増員もありますので、そういった先生の交流をはかっていけば措置ができる、こういうように考えておるわけでございます。ただ個々の従来から定数をオーバーしている県につきましては、これは各県で具体的な計画を立てておりますので、先ほど大臣から申し上げましたように、私どもとしてはできる限りこれらの県に対しましては、具体的な問題について御相談に応じながら善処していきたい、こういうような方向をとっているわけでございます。従って全国的に見まして、三十八年度の定数としては、私どもは首切りは起こらない、こういうように考えておるわけでございます。
○三木(喜)委員 私のお聞きしたいのは、当初二万一千六百九十一ですか、その増を計画されて、さらに教員の定数の減の減る分は二万一千人減るので、合計六百九十一が実質的には増になっておるのではないか、こういうような唱え出しで計画を立てられたこと、目的としてこの際に何としても教育を充実させるのだという考え方、こういう考え方でこれを貫くという決意を持っておられるかどうかという、こういう考え方をお聞きしたかったのです。来年度から断固やるというのが大臣のお考えですが、本年度からもこの問題については断固としてやる、こういう工合に考えてもらいたいのです。給果的には首切りは起こらないでしょうという、こういうお答えになって出てくるような受けとめ方でこの問題を対処してもらったら、根本的な考え方に私は問題があると思う。この機会に政府あるいは自民党、あるいは総理が人づくりということを言っておられるのですが、これは大きなポイントになると思うのです。このことに対するあなた方の受けとめ方が、先がたから聞いておりますと、答弁として首切りに重点を置いて、首切りは起こらないでしょうとか、起こさぬつもりです、こういうように受けとめられるわけです。こういう点を一つ決意として聞きたかったのですが、まことに私としてはしごく不満ですが、これは同僚議員からまた後ほど予算のいろいろな細部にわたって聞きたいと思いますから、このくらいにしておきたいと思います。 〔委員長退席、八木(徹)委員長代理着席〕 それから首切りの問題につきまして、大臣はしないように行政措置をとるというようにお話になっておる。局長の方は起こらないでしょう、こういう弱い表現ですが、断固として首切りのないように、一つ行政的な指導をやってもらいたい。こういう決意を持っていただくことをお願いしたい。 それから次の問題に移りたいと思いますが、四十二臨時国会で南極観測の問題が出まして、この問題について文教委員会、科学技術対策特別委員会で話し合われておるのです。私は科学の振興のために、南極観測が再開されるということにつきましては非常に賛成するものでございます。もちろん南極観測を打ち切ったことにつきまして残念に思った一人でありまして、このことが再開されることについては異議はございません。しかしながら同僚議員の中で、実質的に南極に行かれまして、そして南極の観測の実態が、一つには各国が科学の面で非常に協力しておって、国境を越えてこれがなされておるということに対して感心してこられておりますし、なおアメリカの基地におきましては、原子力発電を利用して、そして南極観測に非常に役立てておる。こういう点も非常に見習うべきだということが報告されております。このことはけっこうですけれども、文部大臣として次の点はどのようにお考えになりますか。きょうの新聞なんかを見ましても、海上自衛隊をこれに使う、このようなことがいかにも決定したかのごとく新聞に載っておるわけです。自衛隊を南極観測に協力さす、このことについての文部大臣の考え方を聞きたい。
○荒木国務大臣 新聞に載っておりますことは、事務当局段階で相談しましたことが載っておると思います。きまった、きまらないということを閣議決定を最終段階として申し上げるとすれば、まだきまっておりません。最終的な決定までは至っておりませんが、おおむねああいうふうな方向でやったが妥当であろう、そういうふうに私は思っております。
○三木(喜)委員 自衛隊を南極観測に協力さすということについて、従来から国会でも非常に論議されたのです。海外派兵の糸口をつくるものだ、あるいはまた文官に仕立てて、そして自衛隊員を、あるいは軍人を海外に派兵し、そうして日本の国に立ち寄った、こういうことでさえ国会で問題になったわけであります。 そこで、この学術研究あるいは文化の向上に自衛隊員を使うことは、当然いいじゃないか、こういうお考えのように承るのですが、これは私は大へん大きな問題があとに尾を引くのではないか。社会党といたしましても、この問題には十分対処して今後考えていきたいと思うので、文部大臣のお考えを聞いたわけですが、そういうお考えですか。
○荒木国務大臣 文部省の立場から申し上げれば、南極のあの観測を中止しましたのは、御案内の通り、南極の現地で生命を失ったという事故もありました。また南極の厚い氷に閉ざされて、食糧を初めとする物資の補給、あるいは研究調査員の交代等も不可能ではないかと危ぶまれたこともあります。そういうことで、従来の装備では、科学的な検討をしようというのに、きわめて非科学的な天佑神助をこいねがうようなやり方でやることは本末転倒ではないか。研究も大事だが、人間の生命の方がより大事であろうという見地に立ちまして、飛行機及び砕氷の能力のある、人員、資材輸送のための船、そのことを再検討して、安全性を確認した上で再開すべきだという建前で、一時中止したことは、御承知の通りであります。そういうことからいいまして、再開するとなれば、安全性を確保してもらうということが第一義たらざるを得ない。そういうことからいけば、新しい船をつくって出かけますならば、従来通り海上保安庁が担当しましょうとも、防衛庁が担当しましょうとも、文部省限りにおいてはどっちでもいいと言えぬことはありません。しかしいずれが航海ないしはヘリコプター、航空機等を操作するのになれておるか、より安全かというならば、防衛庁、自衛隊に依存した方がより安全ではなかろうかというふうに私は判断します。さっき申し上げた通り、最終的ではございませんが、私一個の考えを申し上げれば、そういう気持がいたすのであります。 それとかりに海上自衛隊が担当するといたしまして、そのことが海外派兵とおっしゃることは、どうも私には理解できない。当然の海上自衛隊の行動として、現実に毎年遠洋航海をいたしております。まさしくそれが南極に学術研究のための人員、資材を輸送するだけの目的で、一年間に一往復するということが海外派兵となれば、遠洋航海また海外派兵なりと言わざるを得ない。いろいろな災害がありますれば、海外にも国際法上当然の義務として海上自衛隊の軍艦が海難救助におもむくこともあり得ると思いますが、それと同じことなのであって、ことさららしく海外派兵と騒がねばならない実体はないように私は理解いたしておるのであります。
○三木(喜)委員 この問題については、南極観測の重要性ということと、それから自衛隊をこれに使うということに分けて考えなければならぬと思うのです。従来からあるいはまた今度の予算の中にも、南極観測を非常に重要視せられて、その再開に力をいたそうということで、予算が計上されております。このことについては問題でないのですが、ただ自衛隊を使うということについて、私の申し上げるのは、海外派兵の糸口を与えるのではないかということです。そういう問題が一つあります。 それから文部大臣の立場を私は次に聞いておきたいと思います。文部大臣は、従来文部省からは、この自衛隊を使うということについては難色を示しておった。それを今は、荒木文部大臣になってから難色を示さないようになったというように解釈されるわけであります。それからこれについては、学術会議あたりの意見を聞いてやるべきだ、あるいは国会においても――そういう糸口を与える海外派兵という言葉すらおかしいという大臣の言い方でなくて、こういう問題については慎重に審議しなければならぬと思うのです。従ってあなたのように、簡単にこのことに対処せられるということになると、従来文部省としては難色を示しておったが、非常に南極観測ということを急ぐあまり、このことを肯定されておるように承るのです。従いまして私はここでこのことを自民党の諸君あるいは政府と今争うという考え方はありません。ただ大臣の考え方を聞いてお書たい。そして後日この問題についてやはり慎重に審議すべきである。 そこでこの考えの一つとして、政治の中で一番今こわいことは、科学と軍事とが結合するということです。簡単に言えば、日本は核武装せよ、あるいはまた原子爆弾をつくれというようなことが、個人的ではありますけれども、ぼつぼつ財界や政界から意見が出て参りまして、そういうことが既定の事実のようになっておるわけです。次にこわいことは、従来から私たちが非常に苦杯をなめた、教育が軍事に支配されるということです。従って今は自衛隊を学術研究に使うんだという考え方に立っておると思うのですけれども、やがて文部大臣も自衛隊出身、荒木大将が文部大臣になった、こういうような主客転倒の糸口にならないかということです。学術研究は、どこまでも学術の研究であって、従来のことで足らなければそれについて予算を計上し、そしてその対策を立てるべきであるのに、イージーな考え方の上に立って、そして自衛隊を使うということがあたかも既定の事実のごとく新聞が報道するというような事実まで推し進められることに大きな問題がある。従って四十二臨時国会で、不幸にして社会党は、文教、科学技術の合同の会議のときに出席しておりませんでしたけれども、しかし今からでもおそくはない、この問題についてはわれわれは賛成できないわけなんです。そういう文部省としての基本的な考え方を聞かしておいていただきたい。私は与党の長谷川氏だとかあるいはまた中曽根氏の意見を聞くことは別の機会にして、文部省の考え方を一つ聞かしていただきたい。
○荒木国務大臣 最終段階でもないものですから、全責任を持っては申し上げかねますが、私だけの一個の感じとしては、さっき申し上げた通りであります。イージーに考える、考えないということでなしに、今の憲法あるいは文教関係の法律等一切の法律制度に基づいて、おっしゃるように適切でないことかどうかということを判断すればよろしいことだと思うのであります。海外派兵とおっしゃるが、意味においては、遠洋航海と同じようなものだ。遠洋航海を便宜南極向けに一往復するのだということでしかないのではなかろうか。ただし自衛隊関係の諸法律等にどういうことがあるか、私もつまびらかでございませんので、雑談めいたことになっておそれ入りますけれども、質的には同じことではなかろうか。懸念をすれば際限のないことではありますが、それは主権者たる国民、あるいはその意思を体しての国権の最高機関としての国会に最後の御判断を願うべきことではむろんあろうと思うのですけれども、それ以前の一応の考え方としては、安全に目的を果たし得るということを第一義に考えまして、海上保安庁であろうと海上自衛隊であろうと、目的を果たすためにはいずれでもよろしい。しかし、安全性の点からいえば、先刻申し上げたように、新聞に出ておりますような考え方も一つの考え方であり、その方がより安全ではなかろうかという私の常識を申し上げたにとどまります。最終的には、結論が出ましてから申し上げさせていただきたいと思います。
○三木(喜)委員 南極へ実地に行かれて、そして南極観測の実績が非常に上がっておることをまのあたり見てこられた方としては、このことをせく余りいろいろなことを言われますが、海上自衛隊も近海を航海せずに遠洋航海をしておる、あるいは南緯四十度のあらしをついて訓練をやることが実質的な訓練だ、あるいは雄図なき民族は滅ぶのである、だから南極に白瀬中尉が出ていったと同じように出ていくべきだ。こういうことは民族の雄大なる考え方ということと非常に関係があるのですが、だから自衛隊をやらなければならないという考え方はイージーだということです。そんなことに文部大臣が今動かされて、遠洋航海と同じことじゃないか、こういう把握の仕方は、文教あるいは学術、文化、こういう問題を主宰する立場にあられる文部大臣としては、いささか私は軽々じゃないかと思う。ある程度の任務を現地に与えて、そして任務を与えたことによって動くということになれば、これは遠洋航海あたりと私は意味が違うと思う。そういう点で、文部大臣の考え方を確固たるものにしておいていただきたい。きょうはこのくらいにしておいて、実地を見てこられた報告についての検討は後にしたいと思います。
○八木(徹)委員長代理 谷口善太郎君。
○谷口委員 ここで私が時間をいただくことになったのは緊急な問題でちょうだいしたわけで、委員諸君におわびします。 私の方は簡単で、この間焼けました京都大学の薬学部、あれの再建計画がどういうふうになっているかをお漏らしいただけたらと思います。
○安嶋政府委員 京都大学の薬学部の再建でございますが、年度末でもございますので、本年度内の事業といたしまして、直ちにこれに手をつけるということは困難かと思います。さしあたりの手といたしましては、設備費につきまして予算の流用を検討中でございます。大体結論も出ておりますので、なるべく早く示達をしたいと思っております。さしあたり必要な設備の購入費につきまして措置をしたいと考えます。建物につきましては、三十八年度の国立文教施設整備費の内容といたしまして、現在検討中でございます。教育研究に支障のないように一日も早く結論を出したいと思っております。
○谷口委員 一月十六日かに学部の若い研究者たちが、再建のことについて文部省へお願いに上がったことがあるようであります。そのときの話の中で、京都大学の薬学部が焼けたことは、管理が悪くて、関係者の非常な怠慢である、こういう失策をやった学校に対しては、再建することについてはそう容易じゃない、やはり一、二年あるいは何年か思い知らせるという意味で、再建の計画はなかなか立つまいというような発言をされた関係の局長があるようであります。私はそんなことうそだと思うのでありますけれども、あの焼けた原因について、何かそういうふうに大学の側の失策、失敗の責任というものを感じられておるかどうか、あるいはそういう考え方でこの再建問題について対処されるということは、たというそにしろ外で、そういうように言われておるような話があったといたしますと、考え方としては大へん適当じゃないというふうに思いますが、その点の事実関係はどうですか。杉江さん、あなたがお会いになったのですか。
○杉江政府委員 私も大学関係者とその問題でお会いしお話ししたことがございます。そのときに、ただいまお話しのようなはっきりしたことは申し上げておりませんけれども、ただ、国の大事な資産を焼失したということについてはやはり大学についても相当自粛自戒し責任をとっていただかなければならない問題だ、そういうふうなことから、よく状況を見まして、ほかにもいろいろ緊急整備しなければならない施設がたくさんあるものでございますから、それとの比較考量の上、ただ先ほど申し上げたような点もあわせ考えて、しかしそれだけでどうするということではございませんけれども、他の緊急整備の施設との比較考量の上あとに回すというような措置をとる場合も従来あったことでございます。そういうふうな点も申し上げて、一つ実情をよく調査の上これが整備のことを考えさせていただきます。こういうふうなことを申し上げたことは事実でございます。
○谷口委員 この点大臣にお尋ねしておいた方がいいように思うのですが、方々にそういう復旧をやるとかあるいは新設をするとかいう急いだ工事施設の件があると思うのでありますけれども、それと比較して京都の場合はどうだというお考えあるいはお説があり得ると思うのです。しかし、今局長がお融れになったように、そのときにはっきりしたことは言わないが、そういう前提で、やはり聞く方がそう受け取るような言い方をなさったとしますと、文部省の方では、京都大学の薬学部が焼けたというあの事故の原因について、それが報復されて、文部省から一つの罰を意味するようなそういう態度にこの再建についての方針を考えるということが言われたわけでありますけれども、そういう考え方についてわれわれは非常に不当だと思いますが、そういう点は大臣いかに考えられますか。
○荒木国務大臣 お尋ねの事柄それ自体を私十分承知しないで恐縮ですけれども、お話のような焼けてしまったからけしからぬという感情を交えてあとの復興のことを考えるなんということはあり得べからざることなんです。これは当然だと思うのです。原因がどういうことでありましたか、もし故意過失によるものならば、当該大学の責任者が処断さるべきことは当然だと思います。それと復興のこととは別個の問題だと思います。そういうことと心得ます。
○谷口委員 私もそうだと思います。あの火事の原因は、関係しました消防当局としましても、警察としましても、はっきりしているのでございます。非常に古い施設で床が木造であって、その上に薄いコンクリートが張ってある。一定の同じところに暖房施設が、しちりんのようなものであったそうでありますが、これが何カ年間か置いている間に、その薄いコンクリートの壁を通して下の木造の床が炭化しておった。これは一日や二日でできるのじゃないのでありまして、何年かの間同じ研究室でありますから、冬になると同じところに暖房装置がある。その結果いつの間にか、何年かの間に床が炭化しておる、そういう状況であったようであります。このこと自体非常に腐朽していた施設であることは明らかでありまして、過失によるものというより、ずっと長い期間蓄積されたものの過失だというふうに私ども思うし、消防当局もそう言っている。そういうことでありますから、もちろん責任問題は向こうにあるとは思いますけれども、このことからもしも局長が言われたように、建設について幾年か置いてやらなければならないというような言い方で、この工事がおくれるということになりますと、これは重大な問題だと思うのであります。 京都大学薬学部は、御承知の通り実に膨大な研究資料及び文献を持っておりまして、そういうものの相当部分が焼けて、これらの回復はなかなか容易ではないと思いますけれども、しかし現在は医学部その他の教室や研究室をお借りして、そこに研究者が分かれてかろうじて研究を続けているというようであります。だからなるべく今局長がおっしゃったように、三十八年度の予算の施設費の中で、この大学の再建についての具体的な内容を織り込んでいただいて、京都大学の方も若い諸君が非常に望んでおりますから、早く再建して、伝統ある京都大学薬学部が研究を続けられるように処置をしてもらいたいと思います。その点強くお願いしておきます。 今申しておりますようなことをやっては非常に困るし、またそういうことになれば重大な問題だと思いますが、そうでないという大臣のお答えでありますから、事務的に早く再建できるように進めていただきたい、これを要望しておきます。
○長谷川(峻)委員 関連。 先ほど同僚委員から私の名前を、南極観測再開について引き合いに出されたようでありますから、先日委員会がありましたが、わが党だけの委員しか出ておりませんので、この際にあわせて御報告方々御了解を得たいと思います。 私は南極に参りまして、ただいま三木委員が白瀬中尉の昔の夢とか、あるいは壮大なる青少年に対する夢を持たせるというふうなところにも話が出ましたが、今度参りまして一番感じましたことは、敗戦後の日本が原署名国で十二カ国の南極条約の締結者であるということです。その一つの現われが、あそこの非常に人類に敵意さえも持っているような普通零下三十度、ひどいときは五十七度、そういうところで十二カ国の科学者が研究しているのですが、人間はまず個人を守ることが一番最初で、生存本能ですから、キューバがどうあろうとアメリカの飛行基地をソ連の飛行機が使ってみたり、日本の宗谷がだめならばソ連のオビ号が助けにいく。こういうふうなほんとうに人類が相共存している姿、これを見たことは非常に感銘であります。 さらにまたアメリカの砕氷船に乗ってみても、これは全部平和条約の大陸でありますから、ここには戦争がないのだといって全部大砲にふたをしている。そして日本の科学者が昭和基地でやった研究が、私なんかしろうとですが、非常に各国が高く評価して、昭和基地が閉鎖されているために気象通報が全然わからず、南極に一つの穴があいている。これを日本の科学者によって埋めてもらいたいということであります。 さらにどこの基地でもそれぞれサウス・ポールに向かって調査を進める。日本の調査区域は、国際的に承認されておるのが日本の領度の二倍、六回行っている間に四回越冬したのですが、そのうち九月から四月までは夜のない昼間の国でありますが、その間に一昨年の十一月に村山越冬隊長が、やはりサウス・ポールを目ざして雪上車で行きましたけれども、七十五度の線で戻ってきた。ということは、雪上車は零下五十三度になりますると、ばらばらに蛇腹がくずれる。ちょっと二、三メートルの高いところからスパナを落とせば、スパナがばらばらに、お菓子のくずれるようにくずれていく、こういうような実情でありますから、とうとう戻った。そこのところが世界の地図の上に不到達地帯とちゃんと書かれておる。だから私は日本の学問が、われわれの学問が、ほとんど外国の借り物のときに、自分たちの立っているところの空白を埋めてもらいたい、地図を書いてもらいたいという外国の願いと、それから気象通報一切が全然入らないために、南極全体の研究ができないという世界の学界の歎き、これらのためにこたえることは、当然のわれわれの仕事ではなかろうか、世界の学界にお返しするチャンスではなかろうか、そういうことを思いまして、科学技術特別委員会で前々に御協議のありました速記録まで私は英文にして持っていったのですが、これはときによっては自衛隊の連中の御加勢をもらっても、社会党の諸君といえども、そういう意味ならばかまいませんという話が載っている。私はそれを英文にして持って参りました。しかしそれを英文にして持って参りましたが、現地に行ってみると、ただいま御報告申し上げました通り、世界がほんとうに平和協力しているというこの姿からして、私は今度帰って参りまして、海上保安庁が過去六年間やりましたが、先ほど荒木文部大臣も言われたように、やはり人命が大事であります。しかし何としても、わずか定員三十数名の中にヘリコプターの要員二十二名を半年間あそこへ連れていかれますから、この連中はすっかり疲れても、補充がつかない。ヘリコプターがなければどうにもなりません。その関係と、もう一つは、せんだっての宗谷は四千八百トンですが、砕氷能力はわずかに六十センチ、しかしその宗谷はたった一ぺん接岸しただけで、あとは接岸しておりません。それは二メートル、三メートルの氷が数十キロにわたっているところへ六十センチの砕氷能力では行けないのは当然です。その間オビ号に助けられた。そういうことからしますと、今度つくった船の場合は、私は自衛隊の諸君がほんとうに御協力願えるならば――法律的ないろいろな手当もありましょう、国会の皆さん方の御協力もあるでしょう。そういうことが得られた場合には、ぜひともそういう意味においての御判断の上に、自衛隊の諸君の参加というものがあってしかるべきではなかろうかと思うのであります。これが一つであります。 もう一つは、白瀬中尉が中尉というから軍人かと皆さんお考えでしょうけれども、それは兵隊であったけれども、彼が行ったときは退役中に上がって中尉になったので、行ったときにはわずか百九十九トンの木造船で行った。彼は一九一二年の一月十六日に接岸したのでありますが、そのときにノルウエーのアムンゼンが一番乗りをした船はフラム号という四百五十トンの船で、そのときの金額を見ると、二十万円でつくっております。白瀬さんは民間から義捐金を出し合って一番稼いだのは私立大学の学生ですが、そういう諸君から集めた四万五千円の金で、わずか百九十九トンの木造船にアイヌ人を二人、犬を数十頭、それから学者の中でも、なかなかそういう冒険に乗ってこない者がありましたからそういう篤志家を連れて行ったのです。それが百六十マイル進んで、今日大和雪原と名前が世界の地図の上に残り、彼が乗って行った船が海南丸であったのでカイナン・ベイという名前が世界の地図の上に残って、イタリアの学者も私に見せる。こういういうものを現地で見た場合に、やはり青少年に壮大なる夢を持たせていくのが非常に必要なことである。そうしたことからしても、南極再開の準備金が五千万円ついたから、これを一つさらに確実にするために国会の各先生方の御協力を受けて、債務負担行為などかれこれつけていただいて、早い機会にアメリカ、ソ連に負けない砕氷船をつくって、世界の学界に協力し、日本の学問を貸しにする絶好の機会ではないかというふうに考えておりますので、この点先日御出席でなかったほかの党の委員の皆様方にも御了解いただきながら、従来の科学技術特別委員会の審議の経過、自衛隊についてもそういう経過もありますし、また私たちがフランクに申し上げることも御了解いただきながら、せっかくとれた準備金というものを、四十年までに船が行って世界の学術に協力できるような態勢まで御推進いただけばけっこうだと思っている次第であります。
○八木(徹)委員長代理 午後一時五十分まで休憩をいたします。 午後零時四十二分休憩 ――――◇――――― 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕