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43回国会衆議院1963/02/19

農林水産委員会大蔵委員会連合審査会 第1号

発言数
234
登壇者
11
会派数
2
開催日
1963/02/19

会議録

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 これより農林水産委員会大蔵委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 実は農林大臣に御出席を願いたいのですが、予算の分科会の関係で見えませんが、農林政務次官をぜひ呼んでもらいたいと思います。  それまでに事務当局にお尋ねしますが、第一の点は、今回の公庫法の改正によって関連のある自創法の法律の名称の一部さらにまた内容についての改正を行なったわけですが、これはできないことではないけれども、立法上から見ると全く異例なことであるが、どうしてこういうような異例の措置をあえて講じなければならなかったか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 今回公庫法の改正の第一の眼目は、要綱もお配りいたしておりますが、農林漁業経営構造改善資金融通制度を新たに設けることにいたしまして、これによりまして農業、林業及び漁業の構造改善の推進、選択的拡大あるいは経営の近代化を促進するということをねらいといたしまして、新しく従来の長期低利資金をさらに一そう低利にまた長期にいたしまして農林公庫から貸し出すということにいたしたのでございます。その際に、新しい制度の内容となります各種の資金がございますが、そのうちの最も有力な一つといたしまして土地取得資金を加えることにいたしたのでございます。土地取得資金は、御承知のごとく、従来自作農維持創設資金融通法によりまして農林公庫から貸し出しておったのでございますが、これを今回の新制度に入れまして、今後における農業の構造改善あるいは経営規模の拡大という目的に沿うてさらにその目的を促進するために従来より一そう条件をよくするということにいたしまして特に新制度に入れることにいたしたわけであります。そういたしますと、自創資金にあります従来の土地取得資金というものとは一応切り離しまして新制度に入れるために自創資金の方の改正を要する。自創資金の方は、これもあらためて申し上げるまでもございませんが、従来の農地改革の成果維持ということで自作農の転落の防止と申しますか、そういったことを主たるねらいとしまして、土地取得資金自体も、そういったどちらかといえば消極的なものであったのでございますけれども、今回これを前向きの制度といたしますので、自作農維持資金からはずす、こういうことにいたしたわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 私の聞いておるのは自創法をどうして無理に改正しなければならぬ必要があったかという点なんですよ。もちろん自創法は昭和三十年に成立した法律ですが、その目的は、今局長が言われた農地改革の成果維持、これはかつて農地改革によって自作農が日本の農業の一つの基盤的な制度としてできた。それをいつまでも現状維持というような守勢に立ったそういう農地制度を維持するという考えではなくて、むしろ時代の発展に伴って農業の構造が自然に近代化されるということは、これはもう必然的な趨勢ですから、そういう場合には、やはり農地の経営規模を拡大するということも農地改革の成果を維持するということからいえば、決してそれは自創法から見ると消極的な農地取得ということではないと思うのです。ですからむしろ現実のわが国の農業の事情にこれを照らした場合には、当時の自創法に欠陥があるとすれば、自創法そのものの内容を今日の事情に適合するように根本的な改正をはかるべきであって、単に公庫法の別表で貸し出しを行なうために自創法の目的をゆがめるというようなことは断じてなすべき点ではないと思うのです。こういう点は事務当局の発案ではないと思うのです。実は農林大臣から何のために公庫法の改正の中で自創法そのものの性格を大きく変えたか、その点は明確にしてもらわなければいけないと思うのです。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 今回の農林漁業金融公庫法の改正法律案によりまして第十八条の第三項として新しく「農業若しくは沿岸漁業の構造改善の計画的推進を図り、又は農業経営の規模の拡大、農業生産の選択的拡大若しくは林業経営の改善を促進するために必要なものとして」という目的を新制度の目的といたしまして掲げたのでございますが、従来の自作農維持創設資金融通法に掲げておる目的よりは今度の新制度の目的というものは農業基本法の線に沿いましたうたい方をいたしておるのでございます。それは内容的にもそういうわけでございますが、それで今回新しく制度に入れられました土地取得資金につきましては、構造改善事業との関係も密接になったのでございます。たとえば金利にいたしましても、構造改善地区におきましては、特に四分とするというようなことにもいたしておりますので、新制度の一環といたしました方が新制度の全貌もはっきりいたしますし、それらの関連もはっきりいたしまして新しい目的というものが浮かび出るというように考えまして、新しい制度に移管いたしたわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 今新しい制度と言われるが、一体農業構造改善というものは制度的にあるいは法律的にどこかに根拠があるのですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 構造改善ということそのものは農業基本法に明文がある通りでございますが、農業構造改善事業として行なわれておる現在の事業は法律上の根拠はないのでございます。しかし新制度におきましては、構造改善事業に必要な資金も貸し出しますが、それと関連いたしまして土地取得資金も構造改善事業を行なう資金に対しては特に安い金利で貸し出す、こういうことにいたしておるのでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 最近、農業構造改善という言葉が出ておるが、これは何も新しいものじゃないでしょう。内容を分解すれば、たとえば農業基盤の整備事業にしても、あるいは畜産の拡大にしても、あるいは農業のいろいろな施設の改善等にしても、従来やってきたことじゃないですか。それを名前をただ構造改善事業と唱えて宣伝の具に供しておるだけであって、何もそういう制度が今生まれたということでは全然ないじゃないですか。今度の改正の場合においても、公庫法の目的の中にも、この自創法の改正によってそれを公庫法の方に移した、その農地改革の成果維持をさらに前向きに進めるというようなことについては、公庫法の中にも何も目的としては出ておらぬじゃないですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 農林公庫の融資の目的は第一条に定めてあるのでございますが、農林漁業の生産力の維持増進というようなことで、それを農業者及びその組織する団体に貸し出すということになっておりますが、今回の新制度にかかります資金につきましては、特に第十八条の第三項といたしまして、新しくその資金の目的をうたったのであります。その新制度の目的は、従来からもやっておることではないかとおっしゃるわけでございますが、確かにそういう面もございますけれども、それを一定の政策の目的といたしまして、まとまった制度として、あるいはまとまった事業としてやるのは今回が初めてでございます。それはそれなりの理由があるかと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 こういう基本的な問題は、農林大臣に来てもらわないと、局長と議論してもこれでは発展しないと思うのです。とにかく問題は、現行の自創法というものを、これを簡単に公庫法の改正の中で改正を行なって、この改正が実現した場合は、一体残った自創法というものはどういう性格のものになるわけですか。その結果、そういう残った骨抜きになった自創法という法律制度というものが、はたして必要性があるものであるかどうかということも、あわせて考えなければならぬ点だと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 従前の自作農維持創設資金融通法は、先ほども申し上げましたように、創設されました自作農の維持ということが主たる目的でございまして、それが第一条の目的にもうたわれておるわけでございますが、発足いたしました当時から、維持資金の方が主体であったのでございます。実際貸し出しにおきましても、土地取得資金は漸次条件も多少緩和し、この二、三年貸し出しを促進するようにいたしておりますが、これは基本法が制定されましたときから、そういう体制に切りかえて参ったのでございます。漸次この土地取得資金の方が維持資金よりも——と申しますと語弊がございますが、維持資金とともに伸びてくるという事態は、これは土地取得資金自体の新しい機能が考えられる。それにさらに最近の情勢からいたしまして、構造改善を推進するという意味におきまして新しい制度に発展させて、それで自創資金からはずすということにいたしたわけでございますが、自創資金自体は、土地取得資金をはずすことによりまして多少形の上で変わりますけれども、従来の主たる性格でございます自作農の維持ということにおいて変わりがない、かように考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それはあなた、詭弁じゃないですか。現在の自創法というものは農地の維持とさらに拡大に向かっていくためのそういう資金の裏づけをするというところに目的があって、その二本の柱の一本をはずしてしまった場合意味がないじゃないですか。一番大事な柱をはずすくらいなら、むしろ自創法をなくしてしまった方がいいじゃないですか。農地の拡大のための資金を自創法からもう出さない、扱わないということであれば、あとは単に維持資金だけでしょう。共同相続の場合の資金の確保であるとか、あるいは災害とか、病気になったとか、そういう経済的な理由で農地の維持がどうしても困難であるという場合にだけ維持資金が出されておるんじゃないですか。その程度のものであれば何もわざわざ法律を残してやっていくなどという必要はないじゃないですか。そこに問題があると思うのです。むしろ今までの運営が法律の精神に反して、政府は農地拡大のための取得資金というものを出し惜しんだわけですね。そうして最近では災害対策の一環として災害資金を自創資金から出すというような、そういう安易な方法に堕落してしまったわけです。だからわれわれとしては自創法を簡単に骨抜きにするということに対しては断じて了承することができないですよ。幾ら経済局長が陳弁に努めても、そういうことでなるほどそうかということには絶対ならないですよ。この点は農林大臣がおられませんから、津島政務次官からこういうばかげた法律改正をやる政治的な根拠あるいは配慮について十分聞かしてもらいたいと思います。

津島文治自由民主党農林政務次官

○津島政府委員 ただいまの芳賀委員の御質問まことにごもっともな点があるのであります。しかしながら、一本の柱は多少あいまいになりましても、これを根本的に改めるということにつきましては、そこにまたいろいろ研究の余地があるように思われるのであります。従いまして、芳賀委員のお説は今後の検討の資料といたしまして、私どもは十分慎重に処して参りたい、かように考える次第であります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 今の御答弁によると、慎重を期するということになれば、こういう改正に誤りがあることがわかればもとへ戻すということなんですか。自創法の改正なんかをこういう違法的な行為でやることは改める、そういう御趣旨ですか。

津島文治自由民主党農林政務次官

○津島政府委員 ただいまのところでは改めるという結論には到達をしていないのでございます。しかしながら芳賀委員のお説に対しましては十分な検討を加えて、そうして慎重にこれに対処して参りたい、この段階であると思うのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 欠点は改めなければ慎重を期するわけにはいかぬじゃないですか。これは無理やり通してしまいますと、あとで慎重を期してみても時期おくれでどうしようもないじゃないですか。とにかく公庫法の中で自作農維持創設資金融通法という法律の名称までかえてしまうんですからね。こういうことは今まで例がないじゃないですか。私ども国会生活も相当長いのですが、別な法律で、別個の法律の名前まで変えてしまうというようなことは全く無謀きわまるものであって、そういう例がここ十年間ぐらいの間にどのくらいあるか。あるとすれば事例をあげて述べてもらいたい。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 事例と申しましてもなかなかすぐ思い出せませんけれども、これは十分に法制局とも相談いたしましてやっておるわけでありまして、私どもといたしましては、公庫法の附則で自作農維持創設資金融通法を改正いたしますことは、これは十分関連のある法律でありますから、別に何ら疑義を持っていなかったのでございます。法制局といたしましても、その点については何ら異論がないのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 いや、法制局というのは政府の御用法制局であって、それは筋を通すようなことはしておらぬことはわかるが、とにかく公庫法というものは自創法と比べた場合自創法の方が基本をなす法律ですよ。自創法という法律の体系があって、その目的を実施に移すための融資方法とか取り扱い機関としてこれを農林漁業金融公庫に行なわしめるというところに自創法が指示した点があって、公庫法が基礎になって自創法があるということは、これは全然間違いですよ。そのくらいのことが役人としてわからぬはずはないじゃないですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 ちょっと理解に苦しむのでありますが、ある法律の改正を行ないます場合に、それに関連する法律の改正規定をその改正法律案に入れるということは少しも異例ではないのであります。これはひんぱんに行なわれております。私どもとしては全然それに対して疑義を持っておりません。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 立法技術上そういうことができるとかできないとかいう問題じゃないわけです。もちろんやればやれるでしょうが、しかしその別な法律で関連のある相手の法律の精神まで骨抜きにするようなそういうやり方というものは、これはあまり採用されていないでしょう。もし自創法そのものに、これをもっと強化するとか改善する必要があれば、むしろ自創法と取り組んでこれを根本的に改正するということの方が、これは当然のことじゃないですか。一体自創法というものを構造改善とか今後の農地拡大に当てはめる場合においては、今の自創法でこれができないということはないじゃないですか。ただ従来は農地法によって農地所有制限とか権利の移動等についてはこれはきびしい規定があったわけですが、これは昨年の国会において法人化の問題とかあるいは信託事業の問題等があり、さらに所有制限等についても相当大幅に緩和したわけです。ですからそういうふうな農地制度そのものの根幹をなす農地法が改正された場合においては、それに対応できる自創法の改正というものが当然あってしかるべきだと思うわけです。ですから今度自創法の運営についても、維持資金に重点を置いてきたような間違った従来の運営というものを改めて、農地の取得経営拡大の方向に自創資金を十分出すということであれば、そういう運営は現在の法律の中でも十分できるじゃないですか。それを今までやらないできたのでしょう。やればやれることであるし、この一本の柱をはずすことによって、自創法の制度そのものが必要性がなくなるということになるところに重大な問題があるわけですから、そういう重大な制度をゆがめるような法律の改正というものは、これは絶対にすべきでないと思うのですよ。こういう点については、特にこれは農地法との関連もあるわけですから、農地局長の見解はどうなんですか。−農地局長は来ていないんですか。農地局長を呼んで下さい。

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 ただいま呼んでおります。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 それでは私から……。もちろん自作農維持創設資金融通法の金利あるいは貸付期間というものを変えますれば同じような条件の資金はできるのでございますが、今回の制度と一緒にいたしまして、その中心にむしろなるわけでございますが、そういうものとして運用いたすということからいたしますと、新制度に入れた方が妥当であるという考えがわれわれにはあるわけでございます。なお、自作農維持創設資金融通法の改正の法律の技術的な面でございますが、これは今回の改正法律案の附則の第三項で自作農維持創設資金融通法の改正法律案を出しておるのでございます。そのように御理解をいただいたらいいかと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 農地局長が来るまでちょっと……。  たとえば今度の改正案によって自創法がどうなるかというと、第一条の規定の中から「農地若しくは採草放牧地を取得し、」これをはずしてしまうわけですね。そうして第二条の貸付の規定の一項の一号、二号、これを削除してしまう。そうして残った三号、四号を新しい一号、二号として残すということになるわけですから、たとえば目的の中から「農地若しくは採草放牧地を取得し、」これを削ってしまって、そして公庫法の中にはどこへその目的が移ってきているかというと、そういう点は何も示されていないじゃないですか。しかも公庫法の場合には第一条の二項で「自作農維持創設資金融通法に基き、農業者に対し、農地若しくは採草放牧地を取得し、」これをまた目的からはずしてしまっておるわけですから、一番大事な法律の目的の中には、農業拡大のための農地取得の資金を重点的に目的として出すというそういう精神というものは、これは両方の法律の中からは全く影をひそめてしまう、そういうことになるわけですね。これは何も積極的な改正にはならぬじゃないですか。こういうところにやはり問題があると思うのですが、これは農林次官としてはどうお考えになりますか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 先ほども申し上げましたように、自作農維持創設資金は、従来から維持資金を主体に運用されておるものであります。それで最近におきましては貸付の資金を漸次ふやして参りましたけれども、何と申しましても維持資金、つまり自作農の転落防止という点の最も強い性格のある維持資金の貸し出しが主たる内容であったのでございます。そのことは今後も変わらないのでございます。自創資金自体はそう大きく性格が変わるというふうには考えていないのでございます。また今回公庫法の改正で、第一条から土地取得資金、「農地若しくは採草放牧地を取得し、」という字句を削りますが、これは新しく土地を取得する資金というものを別に規定いたしますので、当然にここは削るということになるのでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そうじゃないです。目的から全部はずしてしまって、ただ業務の中でこういう金も貸しますということにしてしまったんじゃないですか。何も特に公庫融資の中で土地取得資金というものは重要性というものはないのでしょう。目的の中にはこれは何もないわけです。業務の中で新しく一号ふやして、こういう金も貸しますということにしただけじゃないですか。そういうことになれば当然今までは自創法というちゃんとした制度があって、これによって農地の取得資金も農地の維持資金も一貫した方針で出されておったところに大きな安定感があったが、今度はそういうことがなくなってしまったわけですね。これは大きな変化だと思うのです。これは後退じゃないですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 私どもは全然後退だとは考えておりませんが、この公庫法の第一条の第二項から「農地若しくは採草放牧地を取得し、」という字句を削りますのは、新しく新制度として第十八条第二項に基づいて貸し出し資金を各種あげまして、その中に土地取得資金をもっとよい条件で加えております。第一条第二項の方は、自作農維持創設資金融通法に基づく土地取得資金を貸し出すことができるという規定であったのでございます。従って自作農維持創設資金融通法を改正しまして土地取得資金を新制度に入れますときはこの規定は当然削るという論理的な帰結があるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それはそうでしょう。公庫法の第一条第二項は、これは自創法を受けて、そうして自創法で示しておる公庫を通じて取得資金、維持資金を貸し出すということになっておるから、公庫の目的に特に自創法のために第二項を設けてあるので、自創法の一部を改正してしまえば第二項の必要な字句というものは削るのがあたりまえじゃないですか。ですから特に自創法からそれを削って公庫法の中の大きな目的に加えるとすれば、当然公庫法の第一条の目的の中へ第二項で削った分というものは当然それを加えて、公庫の行なう事業というものは今後日本の農業発展の基礎をなすところの農地拡大のための資金については積極的に貸し出すというのなら貸し出す、そういうことを当然、あなたの言うようなことであれば、公庫法の第一条の中にうたうべきじゃないですか。単に業務の中の貸し出し資金の種類の一つに加えたにすぎないのでしょう。今度は何も有利になっても不利になってもないじゃないですか。有利にしたいというのであれば、現在の自創法の条件規定をもっと有利にしたらいいじゃないですか。それをやった方が、まだりっぱになるんじゃないですか。  そこで、一つお尋ねしておきたいのは、昭和三十六年十月の臨時国会において、当時自創法の一部改正が行なわれましたときに、農林水産委員会においては附帯決議を付してあるわけですが、どういう内容の附帯決議であったか、それを知っておられますか。

桧垣徳太郎農林事務官(農地局管理部長)

○桧垣説明員 三十六年十月に、衆議院農林水産委員会の決議としまして、「自作農維持創設資金融通法の改正に関する件 政府は、昭和三十七年度より、自作農維持創設資金について、その貸付条件を、利率年三分五厘、償還期間三十年以上、据置期間五年以内に、その限度額を百万円に、それぞれ改訂するとともに大巾に融資枠の拡大をはかるよう自作農維持創設資金融通法の改正を行なうべきである。右決議する。」という決議があったわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 津島政務次官にお尋ねしますが、あなたはその当時、昭和三十六年十月には、まだ政務次官になっていなかったのでしょうか。政務次官になっていなくても、議員にはなっておったでしょう。当時の農林水産委員会における附帯決議というものは、これは当然国会の意思ということには間違いがないわけですね。ですから、当時すでに自創法というものを根本的に改正して、条件については、金利は現行は五分であるけれども、これを三分五厘に改正すべきである。据置期間については、現行は三年であるが、これを五年にすべきである。償還年限については、現在二十年であるけれども、これを三十年以上に改めるべきである。貸付限度については、現在は法律にはうたってなくて、公庫の業務方法書にまかせてあるわけです。これは政府当局が勝手に業務方法書の中で限度をあげることもできるが、下げることもできる、そういうことで、現在においても一農家当たり三十万円ということで限度を押えてあるわけです。その程度の限度では、自作農維持はもちろんですが、農地を拡大するなどということは三十万円の範囲では全然できないわけです。だから、これを役人にまかしておいては適正な運用ができないから、今度は法律で一農家当たり百万円まで限度を明らかにすべきである、こういう決議が当時自創法改正の附帯決議として、農林水産委員会において決定されておるわけです。しかも、この経過は、当時の自創法の改正というものは、北海道関係について、昭和三十六年度一年限り北海道だけについて貸付限度を四十万円にするという異例の改正を社会党委員が出席しない留守の間に、与党が単独で委員長提案をして、そうして単独採決をしたという経緯があるわけです。これは、当然時の農林当局と与党の諸君がぐるになって——と言っては語弊がありますが、意思を通じて無理やりにやってしまったわけです。その当時気が引けたか、そういうような附帯決議を丹羽兵助君が提案して、これをやはり議決しておるわけです。この議決された決議の内容は、当時あるいはそれ以前から社会党が自創法の根本改正をやるべきであるということで、社会党提案で自創法の改正法案というものを出した内容と全く同一なわけです。そういう経過があるわけですから、もし今回自創法の根本改正をやってもう少し実情に合致するようにするとするならば、このような国会における決議というものを政府も十分尊重して、そしてその方向に自創法の根本改正をすべきであるとわれわれは考えておりますが、そういう点については国会の決議に対する尊重の意思というものが現在の農林省には農林大臣初め絶対ないのかどうか、そういう点は政務次官からお答え願いたい。

津島文治自由民主党農林政務次官

○津島政府委員 三十六年に自創資金について決議したそうでありますが、その詳細は残念ですが私承知をいたしていないのであります。しかしながら、そういう御決議がありますというと、あくまでもそれを尊重いたしまして、その方向に向かって今後私は検討して参らなければならないものである、かように考える次第でございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 今、政務次官の言ったようなことであれば、この決議と今回の改正を比較した場合に、はたして有利になったということが言えるかどうかという点なんです。わずかに取得資金だけを公庫法の方へ移して、そして条件については、利率は四分五厘でしょう。農林大臣の指定するものについては四分にするという規定があるが、年限についても二十二年、据置三年じゃないですか。一体現在の自創法の貸付条件とどれだけの差があるわけですか。その程度のことをやっておいて現在よりも有利になりましたというのであれば、国会の決議の意思に沿った程度の改正をやって初めてよくやったということになると思うわけです。どうも近ごろ農林省のやることは、何か小手先だけで大きな筋を通して、前に進むというやり方がとられぬようですが、何かそれは事情があるわけですか。そういう点は政治的な答弁にもなるから政務次官から……。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 土地取得資金につきましては四分五厘、特定の場合は年四分に下げております。それから年限も十五年から二十二年に延長しておるのでございます。さらに貸付限度につきましても、従来の四十万円を倍にいたしまして、八十万円まで引き上げたのでございます。相当な改善だと思います。

津島文治自由民主党農林政務次官

○津島政府委員 ただいま局長からの答弁の通りでございまして、相当進んだものである、かように私は思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 この問題は根本的な議論になりますから保留して、いずれ農林大臣が出席されたときにお尋ねしたいと思います。  次に進みますが、重政さんが農林大臣に就任した当時、農林金融の制度に触れて、農地担保金融をもう少し積極的に制度化してやるという構想が出されたことがありますが、今回の改正を見ると、すぐにこれが農地担保金融に一歩前進したとも受け取れぬし、その辺が全く不明なんですが、その点の配慮というものはどうなんですか。自創法を分断することによって公庫へ移った分が当然担保金融となると思いますが、全面的に担保金融に切りかえないで、片足だけ農地担保金融の道を開いたという、そういう考え方の上に立っておるかどうか。これは農地制度の方の関係がありますから、農地局長から答弁願いたいと思います。今まで経済局長あんまり自創法の関係とかその資金にはタッチしていなかったんじゃないですか。農地局長が答弁できないという能力であれば、これは桧垣さんからでもしようがないが、そういう担当者がいるんじゃないですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 これは両面にかかっておるものですから私から……。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そうじゃないですよ。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 当時農林大臣から指示を受けまして金融制度の改善の事務を担当いたしましたのは私でございますから、私からお答えいたします。  農地担保金融につきましては、農林大臣は、積極的にこれを活用するように検討しろというお話があったわけでございます。そこで種々の角度から研究したのでございますが、現在でも農地法において農地を担保に入れることを禁止しているわけではございません。従って一般に相当に担保に入っておる事例がございます。また現に農林公庫におきましても、自創資金を貸し付けるにあたりましては、二割五分程度土地を担保にしてとっておるのでございますが、しかし何と申しましても農地法による各種の制限がございますために、これは十分な機能を発揮できないという面はあるわけでございます。しかしながらそうは申しましても、農地法は従来の農政の一大根幹をなしておったわけでございますから、これを改正するにつきましては相当慎重な検討を要するということで、現に農林省の中に学識経験者によります農地制度研究会を設けまして、農地法の制度及びその運営について検討していただいております。農地担保金融というそれだけの角度から農地法の改正を検討するというのは、やや検討の角度としては狭きに失しますので、それらの全般的な検討を待った上でさらに検討するということにいたしまして、現行農地法のもとにおいてどれだけ拡充できるかということを検討したわけでございますが、それには政府機関であります農林公庫が、農地を担保に徴して、特定の場合、競売に付された場合に、競落人たる資格を持つということは、現行の農地制度の体系をくずさずに、政府機関であります農林公庫がそういう資格を持つことは差しつかえないということで、競落人たる資格を農林公庫へ与えますとともに、今回新制度によりまして従来より一そう長期の資金及び貸付限度額も大幅に引き上げております。従って人的な保証人を農家が得るということはだんだん困難になっております。物的担保で金を借りた方が農家としても便利だということから、農地の評価額を現在の公庫の評価額より相当引き上げております。こういうことで農地担保金融の活用をはかるということにいたしたのでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 今の答弁によりますと、大体片足だけは農地担保金融の方へ入れたということですね。現在の自創法は農地を担保に徴することはできないわけではないが、当時法律審議の場合、政府から出された原案は、農地を担保として金融措置をやるということであったが、それは農地制度を維持する上からいって非常に弊害がある、なすべきでないということであった。むしろ農地を信用対象にするということでなく、自作農に精進している農家に対して、生産力をむしろ信用の対象にして、資金を融通すべきであるということで、農地担保というまぎらわしい点は修正して、削除してしまったわけです。  ただ、公庫の業務運営上、必要な場合には担保に徴することもやむを得ないということであるが、自創法そのものでは農地担保というものは全然認めてない、排撃しているわけです。ですから従来三十年から今日まで農地担保の資金については、大体保証人による貸し出しと公庫が担保を徴している分の割合については、保証人による貸し出しが大体七〇%を占めていると思いますが、それは間違いですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 純然たる保証人のみによるものが七五%くらいと思います。あとが物的担保、つまり土地を担保にしている、あるいは土地の担保と人的保証人の両方を徴しているということになっております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そうなると、今度はおかしくなるんじゃないですか。同じ農地を対象にして資金を融通する場合に、自創法から出す維持資金は担保は要らない、保証人で出せる、取得資金の場合には、自創法にも根拠がないから、公庫の方から出す、だからそれは担保が要るということになれば、同じ農地を対象にした国の資金融通の場合に、一方は担保が要らぬ、一方は担保が要る、こういう制度金融というものは世界に例がないと思うのです。その点はどうなんですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 制度金融の例は世界中至るところにあるわけでございますが、先ほどお話がありました、農林公庫は業務の運営上必要がある場合にということは、私はつまびらかでございませんが、今回農地担保を活用するという趣旨は、むしろ、農家の側から見まして、農家が借りやすくなる、また従来よりよけい借りられるということを主たる理由としているのでございます。と申しますのは、非常に長期になりますのと、それから貸付限度額も一個人について二百五十万円までも貸すということになりますと、保証人に立ってくれる人はなかなかありません。また長期になりますと、子供の代、孫の代まで保証の債務を負う、こういうことになって参りますので、農家の側からすれば、むしろ農地を担保にした方が借りやすい、公庫の側からも貸しやすい、こういうことになってくるわけであります。さらに一歩進んで申しますれば、人から金を借りますと、その借りる人の財産は農地をも含めてすべて一般担保として入るわけです。それで金融機関としては、他の債権者が出てくる場合が相当多いわけでありますから、他の債権者に優先して弁済を受けるためには、抵当権を設定して農地を担保にする方がよろしい、こういうことになるわけであります。  農地法は、先ほども申し上げましたように、農地を担保にすることを禁止しているわけでもございませんし、農家の側としても、農地を担保に入れる場合が便利であれば、その制度を拡充していく、農家が必要とするならば、農地を担保にして貸し出すという制度を広げていった方がよろしいと考えたわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そういうことをやる場合に、同じ農地に対する資金融通は、国が行なう制度金融の場合。一方自創法によると、維持資金は自創法で出すんですね。その場合には担保は要らない、保証人で出します。取得する場合は、維持資金も公庫から貸すわけですが、取得資金については自創法に根拠がなくなってしまうから、その場合には今度は担保金融ですぞということになれば、農地に対する融資制度というものは全く支離滅裂になるんじゃないですか。担保金融でいくとすれば維持資金とか取得資金というものを区別するのはおかしいですよ。農地に信用力を与えて、そうして農地がどの程度担保価値があるかという評価を行なって、それに対して資金を貸し出す、そういうことになるわけでしょう。それが片一方は、維持資金は担保金融じゃない、別の方で借りなさい、取得資金は担保金融であるというような、そういう区分をした農地に対する融資制度は、私は寡聞にして諸外国にもその例はないと思うのです。農地担保金融制度というものはヨーロッパ等はほとんどやっておりますからそれはありますよ。しかし維持資金と取得資金を区分して、一方は担保金融だ、一方は保証人金融だということはおかしいじゃないですか。全然矛盾を感じないですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 自創資金と今回の新制度の資金、なかんずく土地取得資金と、担保に対する考え方は別に区別してないのでございます。ただ土地取得資金で新しく取得される土地などは、むしろ担保に徴した方がよろしいではないか、その方がはっきりしておる、また転用というか、ほかへ転売するような事例が出ないとも限りませんので、そういうことを防止するためにも新しい制度の土地取得資金については、新しく取得された土地についてはむしろ担保に徴した方がいいではないかと考えておるのでございます。別に今特に自創資金と新しい制度を区別するという考えは持っておりません。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 その辺がちょっとおかしいじゃないですか。考え方は全部担保金融にするというのですか。そうであれば農地担保金融法とかなんとかということで新しく法律をつくったらどうですか。その方がすっきりするんじゃありませんか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 全部必ずしも担保に徴するということは考えておりません。人的保証だけで十分な場合はそれでよろしいですし、農家として人的保証だけでやりたいとおっしゃれば、それが確実ならばそれでもけっこうでございます。しかし農家としては土地を担保に入れた方が非常にいいという場合が相当あると思うのです。また土地取得資金のような場合には特にそうではないかと思うのです。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは取得資金の場合も、必ずしも担保に徴するということじゃないのですね。自創法の場合と同じように、ちゃんとした保証人があればそれでもいいし、なければ担保に入れる、そういうことなんですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 原則的な考え方としては変わっていないわけでありますが、しかし土地を取得する場合は、その土地を担保にするというのはごく普通でございますからそういうことが多くなりましょうし、またそう指導した方がよろしくはないかと考えます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それは土地を取得する場合の土地に対する信用力の評価と維持資金を必要とする場合のその農地に対する信用力の評価というものは別なものじゃないように思うのですが、同じ土地に対してどの程度信用力があるかということ、これは区分するのですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 それは客観的にきまることでございまして、どの土地については時価はこれだけということは、自創資金の担保であろうが、土地取得資金の担保であろうが、そこには変わりはないということになります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そうすると、たとえばこの土地を担保にして資金を借りるという場合の信用力は、目的は維持のためであろうとさらに資金を借りてから経営拡大をしようと、それは別ですが、土地そのものに対する信用力は評価上変えるわけにはいかないでしょう。変わるのですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 それは変わりません。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そうであれば、今後の運営は、たとえば取得資金と維持資金が、法律上の取り扱いは別であっても、必要であるという場合には、いずれから借りる場合も、一反歩幾らとか一ヘクタール幾らという資金は原則としては当然出さなければならないと思いますが、いかがですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 考え方としては、十分な担保がある限りできるだけ貸すという方がいいのではないかという考え方は一応あると思います。しかしながらこれは政府資金でございますし、無制限にある金でもございませんし、できるだけ多くの人に借り受ける機会をつくるということも必要でありますのと、それからこういう長期低利資金は、できるだけ政策のねらいとしておるところに沿うようなものに対して貸し出すのが望ましいということもありまして、一定の制限のワク内で貸し出すということにいたしておりますが、今回、提案理由でも申し上げましたように、いずれの資金につきましても貸し出し限度は相当大幅に引き上げておるのでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そうすると、取得資金の方は一農家当たり最高二百五十万ですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 畜産資金とか果樹園経営資金とか、そういうものにつきましては二百五十万円まで貸し出しますが、土地取得資金については大体時価を十七万円として、五反歩くらいまで買うものとして——五反歩以上というのはほとんど考えられませんので、最高大体八十万円くらいまで貸す、こういうことにいたしております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 じゃ維持資金の方は今度は八十万ということになるわけですね。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 維持資金の方は従来通り三十万円であります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 おかしいじゃないですか。土地を担保にして国民が金を貸してくれという場合、取得資金の場合は八十万まで貸すが、維持資金の場合には、農地を担保に提供しても三十万しか貸さぬ、これじゃ意味なさぬじゃないですか。残った自創法というのは農地に対してただ三十万しか貸さないと  いう法律なんですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 維持資金につきましては、限度を別に法律で定めておりませんが、これは疾病とか負傷、そういった場合、あるいは災害といったような場合に借り受ける、こういうことでございまして、畜産資金のように、設備なり家畜を多頭飼育経営というようなものに持っていくための必要な資金量というのは二百五十万くらいかかるわけなんです。そのくらい貸しますが、維持資金については従来と変わりがありませんので従来通り三十万円ということにしたのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次に、たとえば農地担保の金融をする場合の評価の方法ですが、それは課税評価方式でやるのかあるいは売買の時価方式でやるのか、それはどういうことを考えていますか。なお、その評価基準等が予定されてあれば……。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 大体現在は固定資産税の評価額で貸しておるわけでありますけれども、これによりますと、非常に低いわけでございます。時価が十万円以上、田畑平均で十七万円もしておりますのに、田の場合は三万数千円、畑の場合は一万円ないし二万円くらいというような低い評価額になっておりますので、これによりませんで、今考えておりますのは、大体普通に農地を担保にいたします場合、時価の、あるいは売買事例価格の五割から七割くらいまで評価しておりますので、今度はそのぐらいの目安で貸したらどうか、これは具体的な土地の評価につきましては農林公庫がそれぞれ借り受ける人と合議してきめることになります。それで意見が合わなければ鑑定人に頼むとか、第三者に頼むということになろうと思いますが、大体見当といたしましてはそういった見当でやることを考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 たとえばヨーロッパ諸国なんかの場合はほとんどが課税評価方式ですね。売買事例価格というやり方はどこもとってないですね。課税評価額のその基準の大体六〇%ないし七〇%が貸付限度ということになって、金利の場合は三分から四分で、返済年限については五十年、まあ六十年というのが非常に多いようで、長いのは九十年ということになっておる。だから今回の場合売買の事例価格というのを基礎にしてやるということになれば、非常に弊害が出てくるんじゃないですか。いたずらに農地価格をつり上げるということは、資金を借り受けるときはあるいは安易な考えで借りやすいかもしれぬが、そういうことだけが利点ではないと思うのです。農地価格を非常に引き上げるということは、これは一面から言うと、農地改革の精神からも非常に背反したものでないかとわれわれは考えております。そういうところにいわゆる農地担保金融の問題点が伏在しておると思うわけですが、この点はどう考えられますか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 担保の評価額を上げれば農地価格が上がるということは、私どもは全然考えておりません。むしろ逆に成立した時価を基準にして担保の時価をきめるということでございます。  それと、今課税価格を標準にする方式がいいんではないかというお話でございますが、これは確かに仰せの通りだと思います。今の固定資産税価格はちょっと低きに失するわけでございます。今度三十九年度から改定になるわけですが、これは大体売買事例価格を基礎にしてつくられるわけであります。そういうものが客観的に妥当なものとしてあるならば、それらに一定の計数をかける、そういう方式をとるのが望ましい方向ではないかと考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 時間の関係で問題点だけを取り上げて進みますが、今度の改正の意図がどこにあるかということはよくわかりませんが、取得資金に相当重点を置く。維持資金の面については今後も大体三十万円という程度で押えるということであれば、これはほとんど意味がないわけですね。そうなると、農地維持の困難な農家については無理に維持をさせない、農地維持の力がだんだん減退して特に経営規模一町歩以下程度の農家の場合は、政府が資金まで貸し出して農地の維持、農業経営の維持をさせなくて、むしろそういう困窮した農家あるいは経営維持が困難な農家の場合には早く土地を手放して脱農をした方がいい、そういう考えが政府の一つの方針となって自創法を二分するというそういう挙に出てきたんじゃないですか。もう脱農するような弱い農家はなるたけ土地を手放して農業から離脱さして、そうして資力のある、経営力の将来あるような農家に対しては農地の取得をやらして経営拡大をさせる、いわゆる首切り政策の一環として今度の改正というものが行なわれたんではないか。どうも今までの局長の答弁を聞いていると、そうとしか受け取れぬわけですが、正直のところそういうことじゃないですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 転落しそうな農家に対しては維持資金を貸し出しまして、それで土地の売り渡しなどを防止して自作農として今後も存立してもらう、こういうことでございますが、そういう農家がまた経営を拡大したいという場合には土地取得資金を貸し出すのであります。別に今後貸し出さないということでなくて、やはり従来と同じように貸し付けていく、こういう考えでおります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次に、取得資金の中で四分資金と四分五厘の資金が区分されているが、これはどういう意味なんですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 これは農業構造改善事業を実施しておる地区におきましては特に四分といたしておるわけですが、その理由といたしましては、御承知のように、農業構造改善事業というのは相当徹底した、またむずかしい仕事でございます。また農家としても一定の期間、三年以内にその目的を達成するようにいろいろな負担も負うわけでありますから、特に農業構造改善事業を促進するということと、一面においては、できるだけ農家の負担も軽減しようという意味で四分にし、構造改善事業資金の方は三分五厘にしたわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 その点はおかしいじゃないですか。農地の資金以外は別ですよ。農地取得以外の場合は、構造改善地域だからそこを優遇するということはあり得るとしても、農地を担保にしてその信用力に基づいて資金を貸し出すという場合、一方は四分資金だ、その地区以外の農家に対しては高い四分五厘の金を貸すということは、制度上からいっても大きな問題があるんじゃないですか。不平等の扱いをするわけですか。全体に均霑しないじゃないですか。十年間に全国の町村がそれぞれ指定を受ければ——十年間で全農家が構造改善地域の指定を受けるわけではないですよ。その指定された町村のごく一部の地域だけの対象になっている農家が構造改善地域内の指定を受けた農家であって、それ以外の地域の農家がどのように農業の経営の拡大とか農地の拡大に努力しようとしても、いやあなたは構造改善地域でないから金を貸す場合は四分五厘の高い金しか貸せないぞ、そういう差別をつけるということはおかしいじゃないか。しかも土地というものは国土ですから……。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 農地を担保にして金を借りるからということとは関係がないと思います。これは逆に農業構造改善を行なう地区においてはいろいろな負担もふえますし、この事業を何とかやり遂げてもらおうという意味で、特に負担軽減ということで下げておるのでございますが、構造改善事業地区では農地の交換分合でありますとか、あるいは換地処分でありますとか、そういうことが行なわれる事例も一般よりは大きいわけであります。そういうことを考え合わせまして特に四分と低利にいたしたわけであります。しかし、これは事業を実施する期間だけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 その点がおかしいじゃないですか。農業構造改善地域の農家は不利になるのですか。指定されたことによって犠牲を受けるわけですか。これを補完するために資金については四分の金を貸すということなんですか。農家が不利益になるような構造改善事業であるならばやらぬ方がいいじゃないか。構造改善事業を通じて将来非常に有利になるという見通しの上に立って地域指定をやったり、その事業が進むということになれば迷惑がかかるとか不利になるというのは、それはおかしいじゃないですか。そういうものであれば、構造改善なんというものは、から宣伝ですからやめた方がいいと思う。農地に対する国の資金融通に対して、条件を変えるということは、これは断じてわれわれとしてはそういうことは了解できないのですよ。あなたがいかに詭弁を弄しても、農地に対して、同じ国民に対して国の機関から資金の融通をやる場合に、一方は農業構造改善の地域だから四分の資金を貸す、それ以外の地域についてはすべて四分五厘の金しか貸さぬというような、そういう差別的な制度金融というものは今までそういう例がないじゃないですか。どうしてそういう間違った、思い上がったようなことを考えているのですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 農業構造改善事業を行なう地区が特に不利益をこうむるということは申していないのでございます。これはいろいろな大規模な投資をやって、生産力を増して、将来生産性の高い農村ができ上がることを目標にいたしておるわけでございます。しかし三年間という一定の期間に相当大きな投資をやるわけです。その投資をする負担というものは、地元負担もございますし融資を受けてやる事業もあるわけでございますが、これは三年間に集中していくということから、その集中することによる農家のその期間における負担というものをできるだけ軽減しよう、こういう趣旨でございます。構造改善事業地区に各種の高率補助をやるということとその趣旨においては同じでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 その農地資金は据置が三年でしょう、五年ですか。その負担のかかる期間は、これは据置期間になっておるじゃないですか。それからまた返済についても二十五年償還ということであれば、何も事業の実施期間中に借り入れた農地の資金を全部払うとかなんとかいう問題じゃないと思うのです。また構造改善地区については全部の農家が必ずしも農地を取得しなければならぬという農家じゃないのですよ。たまたまその中に農地を取得する農家があるかもしれないという、予見される程度でしょう。ですから負担が過重であるからもう少し軽減するためにということであれば、農地取得資金以外の全部の地域内の事業に参加している農家が、まだまだ国の負担によって構造改善事業がやりやすいような方法にしむけた方がいいじゃないですか。一億一千万のうち九千万円の分の二分の一が補助事業になるとか、あとの二千万円というものはこれは非補助事業であるとか、十分やってやらなければならぬというような点について手抜かりがたくさんあるわけですから、負担を軽減させるということであれば、地域内の特定の農家が取得するかしないかわからぬようなものに対してだけ取得資金の金利を負けるというようなそういうやり方はとらなくてもいいじゃないですか。そんなもの理由にならぬですよ。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 三年間と申しますのは、その事業実施期間に借り受けたものは四分の扱いをする、こういうことでございます。つまり二十五年間四分で貸し出すわけでございます。それは借りるか借りないかわからないもので、むしろ一般が借りるようなものを下げたらどうかというお話でございますが、その通りにいたしております。三分五厘の資金というものは、農業構造改善事業に必要な資金を広範な範囲で三分五厘で貸すようにいたしておるのでございます。それに加えて土地取得資金は四分にいたしておるのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次に、農地取得に関連して、農業協同組合の行なういわゆる信託事業、これは貸付信託と売り渡し信託に分かれております。この関連を一体どういうふうに考えて農地の拡大というものをやっていくか。それから公庫が農地を担保に徴して、これは当然抵当権を設定するということになれば、これは権利が移動するということも前提になるわけですね。そういう場合の農地法上の制限ですね。農地法の第三条とか第五条あるいは第七条の制限とかあるいは除外規定というものは今度のこの公庫法の改正によってどういう運営が行なわれるか、それらの点はこの法律の改正の中には何ら規定が出てきておらないんですね。そうすると、われわれの考えでは、それは全部省令に譲るということでやっていくつもりかもしらぬが、そういうことは簡単にいかないですよ。一体これは農地局としてはどういう考えですか。全くノーズロースでこの改正に賛成したように見えるが、一体どう考えておりますか。

桧垣徳太郎農林事務官(農地局管理部長)

○桧垣説明員 一部先生の御質問の中で理解をよういたしませんでしたのでございますが、私の理解の範囲の中でまずお答えを申し上げたいと思います。  今回の新金融制度の発足に関連しまして、金融公庫が融資をいたします際に担保に徴しました農地が競売に付せられました場合、現在の法令のもとでは公庫は農地法第三条の規定の制限を受けましてみずから競落人となって農地を取得することができないわけでございます。そこで担保農地が競売に付せられました場合に不当に安い価格でしか競落しないというような場合に備えるという意味で、農地法三条一項九号の「省令で定める場合」、これは省令の三条で例外が設けられておるものであります。この省令に公庫が担保農地を競売によってみずから競落人として取得する場合というのを掲げまして、三条の規定の排除をいたしておるというふうに思っておるのであります。  なお、あと問題になりますことは、公庫が競落によって取得しました農地をみずから自作することは不可能でありますから、それを耕作者に賃貸借もしくは使用貸借等の権利を付与して小作に出すということが備えられなければならないわけでございまして、そのために農地法七条の所有制限の規定にひっかかるわけでございますが、七条一項の十号の「その他省令で定める小作地又は小作採草放牧地」という規定を受けました規則十一条に規定を設けまして、公庫が競落してみずから所有した農地について小作地として保有することができるという規定を設けることによって対処をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 この点はたとえば農地信託事業の場合、当然農協に権利が移動する場合があるので、これはもう昨年農地法の改正等においてこの点は法律の中でそういう規定を明確にしておるわけですね。ですから今度の場合、やはり公庫は国の機関であるとしても、そういう場合は当然公庫に権利が移動した場合はどうであるとか、そういう取得の関係とかあるいはまたそれを処分する場合の規定とか、そういうものは当然、単に省令にまかせるということではなくて、明確にしておくべきでなかったかと私は考えるわけなんですが、そういう点はいかがでしょうか。

桧垣徳太郎農林事務官(農地局管理部長)

○桧垣説明員 芳賀先生御指摘のように、農業協同組合が農地の信託を受けることによって権利の移動が行なわれる場合は、法律によってその規定を設けておることは御指摘の通りでございます。これは信託行為そのものが農地法の規定によって禁止せられた形のものであったのでございますが、これを特に農業協同組合の行なう信託事業について、その特別の方法として信託の方式を認めたのでございまして、それに伴う法律の規定として、当然法律によってその権利移動を合法的なものにしたわけでございます。今回の場合も、われわれ農林省の中でも法律による改正を要するかあるいは命令規定の委譲で十分であるかという点は慎重に検討をいたしまして、国もしくは都道府県のような公共団体が現在三条もしくは五条、七条等でかなり包括的な農地法の規制の排除を受けておりますのと非常に事例の違うケースでありまして、単に農地法上認められております担保権の実行の際に、競落人となってみずから所有権を取得した農地についての権利の取得及びその所有制限の排除とかいう点と、それから経済局長からも説明があったと思いますが、公庫が農林大臣の直接監督下にある公的な政策金融機関であるという点から申しまして、農地法の基本的な理念に反する除外規定ではないかという判断をいたしまして、省令の規定に譲ることに方針を定めたのでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 どうもその点十分理解に苦しむのですが、その場合公庫が競落して権利が公庫に移る、今度は公庫が農地を保有するということになるわけですね。公庫が保有した農地は、その維持管理というものは公庫自身としてどういうような方法でやるわけですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 それはごく短期でありますれば別でありますが、やや時間がかかります場合、農地信託として信託に付するということが一つ考えられます。それからほかの方法といたしましては、使用貸借あるいは短期の賃貸借、こういう方法で耕作をさせる場合もございましょう。そういうふうな方法で維持管理していく、こういうことになっております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 もう少し詳しく……。それではまず第一点は信託に出すわけですね。農地の現存しておる地域の協同組合に信託に出す、それが第一点。それから使用貸借契約とか、あとは何ですか、自分で耕作するというのですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 短期賃貸借です。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 さらにそれを処分する場合、そういう信託事業でも処分がなかなかできないというような場合、それから短期の賃貸借も応ずる者がないというような場合は、一体どういうふうな運営をやるわけですか。それからもう一つは、農地ですから使用制限というのが当然あるからして、農地としての本来の目的に沿うようにこれを運営管理しなければならぬことはもちろんですが、場合によっては、それを農業以外の目的に処分するということも考えているのですか。そういう場合は一体どういうような農地法上の規定でやるのですか。

桧垣徳太郎農林事務官(農地局管理部長)

○桧垣説明員 取得しました公庫の保有農地の管理もしくは処分のことについては、ただいま経済局長からのお話で大綱は説明が尽きておると思うのでございますが、公庫が取得しました農地を農業目的以外のことに処分するという場合には、農地法五条の法律上の手続を経た場合にだけ認めるということで、その点は農地法の原則に基づいた処理をするということに考えておるのでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 詳しい問題はまたあとに譲るとして、個人に対する資金融通の点ははっきりしたわけですが、農業法人、組合法人とかあるいは会社法人が農地取得の場合、資金を必要とするという場合の貸し出し規定はどういうことになっておりますか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 現在でも土地取得資金につきましては、普通四十万円でありますのが百五十万円まで農業法人等が借りられるようにいたしておりますが、これは今回個人について引き上げましたのと同様に、さらに引き上げることを検討いたしたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 どのくらいに引き上げるのですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 まだ具体的な額まで申し上げられませんが、まあ個人の場合は倍になっておりますので、そういうことも勘案して相談いたしたいと考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それは個人の場合には一戸でしょう。経営体一の農家に対して今度は八十万円になる。法人の場合は数戸ですから、最低三戸の場合もあるでしょうし、五戸、十戸の場合もあるでしょうから、単に一個人の経営体に対する貸し出しの倍額程度では、法人が共同化を進める場合に相当集中した農地を取得したい、そういうことは当然奨励すべきものですから、そういう場合に個人が八十万円だからその倍額の百六十万しかだめだというようなことでは、全然共同化とか協業化というものは進まないのじゃないですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 少し言葉が足りなかったと思うのでございますが、個人の場合が四十万円から八十万円に倍になりましたので、協業の場合現在百五十万円でございますが、それも個人が倍になったのと同様に考えているわけでありますので、よく相談いたしたい、こう考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次に、経営改善事業に対する融資の中で三分五厘の資金というのが出ておりますが、これはおそらく構造改善事業の場合には、補助対象外のいわゆる非補助単独事業の全部ではなくて、そのごく一部分の事業だけについて三分五厘とするということになっておると思いますが、具体的にはどのような事業に対して三分五厘の資金を融通するのか。それは一地区一億一千万円のうち二千万円の非補助単独事業ですから、そのうち何%程度が三分五厘ということになるか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 非補助融資分は御指摘の通り、これは一億一千万円のうち二千万円になっておりまして、その二千万円のうち土地基盤整備が二百万円程度平均して見ておるわけですから、千八百万円程度が融資単独事業として三分五厘で貸し出す、平均千八百万円ということになるわけですが、ただ借り受け者の資格として、農協がやります共同事業施設は除いておるわけです。それ以外のもので現在農業近代化資金から貸し出しております構造改善事業の被補助融資分、これに原則として近代化資金に相応する融資対象貸付で貸し出すということになっております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そうしますと、二千万円のうちの九割が三分五厘というんですか、今の説明ですと。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 大体そう考えていただいていいわけでございますが、農協がやる共同事業施設は除外しております。しかしこれは幾らということは計算できないわけです。あまり大した問題になる額ではないと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 ですから、常識的には二千万の九割の千八百万程度が三分五厘資金の対象になる、そういう理解でいいわけですね。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 さようでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 特にこの中で、たとえば各地区で事業の計画が出されておりますが、私たちの承知している範囲では、設備の中で特に機械化、トラクターの設備等に対する要望が、これは全国的にそうだと思いますが、これは非常に強いわけです。本来はこれは国が少なくとも補助事業の対象にして五割程度はトラクターの購入資金については助成すべきだと思いますが、これは入らないのですか。補助対象にしないということであれば、これらの主要なる農機具の設備については三分五厘資金でいくということになるわけですね。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 これは融資対象として取り上げるわけでございまして、構造改善事業で経営近代化資金として計画に入れる場合は五割の補助がございますが、その補助金をほかの事業に振り当てて融資単独事業でトラクターあるいはトラクター・コンバイン等を入れたいという計画であれば、それは三分五厘の対象としてなり得るのでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは融資事業の方にトラクターとか主要な機械の設備が計画の中に入っておる場合は、これは助成になるわけですね、五割助成ということになるのですか。それをその計画からはずして購入するという場合には、三分五厘資金で貸付をする、融通性があるわけですね、その間に。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 経営近代化施設として補助事業でやる計画も立てられるのもございますが、しかし融資単独事業として補助事業は別な計画で使って、融資単独事業で考えることもできるということでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次に、畜産ですね。畜産の経営拡大資金ですか、これは計画の基準とか、どの程度の規模か。畜産の経営拡大ということであるが、言葉をかえれば、北海道の寒冷地資金が出たときのセット融資という道が開かれておるわけです。そういうセット融資というような構想の畜産の経営拡大資金ということになっておるが、その内容とか基準、それから規模等についてはどういうようなことになっておるのですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 これは御指摘のように、セットで貸すという考え方でございまして、従来のような副業的な畜産ということから多頭飼育をやるという人に対して、多頭飼育のために必要な家畜の購入資金、それから畜舎、サイロあるいはミルカー、そういうものをセットとして貸し出す、こういうことにいたしておりますので、金額としてはかなりかさむわけでございますが、それと同時に、貸し出しにあたりましては、それだけの技術を十分備えている経験者であるということ、それから飼料の自給率につきましても、一定の率以上のえさの自給ができるあるいはできることが確実であるという見込みがあるという人、そういった条件に該当する人々に貸し出したい、かように考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そういたしますと、これは必ずしも構造改善計画の地域とは別個に考えているわけですね。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 さようでございます。構造改善地区におきましては、三分五厘で同様の資金が借りられるわけでございます。その他の地域では、畜産経営拡大資金をどこでも借りられるのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 まだいろいろありますが、この際近代化資金の問題について二、三お尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。  今回の改正は、近代化資金の資金源を従来は農協のいわゆる組合金融機関に依存しておったわけですが、今度の場合には、銀行関係の機関に依存する、そういう趣旨だと思います。いろいろ目的はあると思いますが、現行の制度のもとにおいて、一体協同組合系統の資金だけで近代化資金が末端において十分まかなうことができないというような事情が起きて、地方銀行等に依存する必要が出たのか、そういう点はどうなんですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 資金量として、組合系統資金ではまかない切れないということではなくて、むしろこれは、三十六年度の場合でございますが、総合農協で必ずしも近代化資金を扱ってない例がかなりあったのでございます。三十七年度ではそれは相当減っていると思いますが、総合農協では貸し出さない場合があるということ、また逆に、農家としてはかなり銀行等と取引のある農家が相当預金しておりますが、これをまた農家に還元するということは、系統資金と同様に考えてもよろしいのではないか。さらに農協の方におきまして、一定の条件を付しまして、その条件を満たさなければ農家には貸さないというような事例をしばしば聞くのでございます。これはなるほど農協の原資でやるわけでございますが、国や県の補助によって利子を下げているわけでございますから、できるだけ農家には公平に近代化資金に均霑し得る機会をつくる必要があるという公平の立場から申しまして、他の金融機関も加えたい、こう考えておるわけでございます。これは近代化資金助成法をつくる場合にすでにそういう考え方で検討いたしたのでございますけれども、その当時はまだ熟さないで、一応系統だけに限っておったわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 金融の統計によると、昭和三十六年度の近代化資金の融資状況を見ると、大体近代化資金の融資総額の六〇%以上が農協の自まかない資金で調達されて、あとのほとんど残りの大部分が信連から調達されておるということであって、中金段階ではほとんど必要がないということになっておるようです。最近農村における組合金融に対する貯金の増加の傾向等から見た場合も、近代化資金に大体五百億円、三十八年度は五百二十億ですか、その程度の消化は、これは将来もだんだん自まかないの度合いか高まって、ごく少数の特殊事情はあるかもしれませんが、大筋としては農協の自まかない資金あるいは足らない分を信連資金で調達すれば、近代化資金は一千億程度までの範囲であれば別に調達面における心配はないんじゃないかと思いますが、その見通しはどうなんですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 これは今後の金融情勢あるいは農業の事情等にもよることでございまして、今後の推移というものはなかなか予測が困難でございますが、私どもとしては、実はそう楽観していないのでございます。と申しますのは、これは三十六年度当時は必ずしもそうではなかったのでありますけれども、漸次、近代化資金の貸し出しということがおもな原因だと考えるのでございますが、末端の農協にいきますと、地域的にかなりアンバランスが出てきておるわけであります。今御指摘ありましたように、上級機関に対する借り入れ依存度が高まってきているとか、あるいはその単協自体の貯金と貸し出しの比率、貯貸率も悪化して、漸次オーバー・ローンとなる傾向の地域が出て参っておるわけです。都市的な地域と農村的な地域とにおいてかなり格差が目立っておるわけであります。そういう貯貸率等もはっきり出てきておりますので、貯貸率が高まっていくということは貸し出しをあまり今後伸ばせない、信用事業の健全性を維持するためには伸ばせないという限界にもぶつかり得ることになりますので、私どもとしては必ずしも楽観はいたしておりませんが、今後も若干これは伸ばし得るではあろう、かように考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 貯貸率の関係について、これは地域によっては非常に違うわけですね。近代化資金調達の傾向を見ても、地域によって非常に違うわけですね。たとえば自まかないをほとんどやっていけるような地域は、これは中国地方です。中国地方は借り入れ依存率、自まかない以外から新年度から借りる依存率がわずかに七・五%程度、それから近畿地方が一四・九%、東海地方が二八・三%ということになっておりますが、依存率の高いところは、たとえば東北地方が六七・七%、九州が八二%ということになっておる。ですからして、地域性というものは非常に異なるということはわかるわけですが、そういう貯貸率の高い地域において、組合系統資金以外、たとえばその地域における地方銀行に期待を持つということは、貯貸率の高い地域ほど困難性が強いんじゃないかと思うわけです。そういうところに問題の困難性があるのではないですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 私も今芳賀先生のおっしゃることをそうでないと申し上げる自信もございませんけれども、しかし一般に地方銀行はそういうふうに、農協でいいますと貯貸率の高い地域、つまり純農村地域に対しては農業にも貸し出したい意欲を持っておる例が多いように感ずるのであります。地銀等は昔から農業関係にも相当な縁故がございまして、そういう農業地帯では、ほかの産業に対する貸し出しが比較的少なくて、地方銀行としても農業へもある程度の貸し出しをしたいと考えているように見受けられるのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 この際参考になる点だと思いますが、全国の組合金融機関あるいは民間の銀行等を中心にした金融機関の農業あるいは林業、漁業等に対する貸し出しの状態を、大まかな点でいいですが、近代化だから、農業関係だけでいいですが、それぞれの金融機関の貸し出し残高のうちで、農業に対して一体どの程度の資金が貸し出されておるか、主要な点だけでいいですから……。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 これは日銀の統計あるいは農林中金などの調べによるのでございますが、地方銀行といわれている銀行から農業に対する貸し出しの割合——これは林業、漁業は別でございますが、全体の貸し出しの三・八%でございます。それから相互銀行が三・五%、信用金庫が二・八%。これは、全体の農業へ対する貸し出しの持っているウエートでございますが、そういうことでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 その内容は。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 組合系統は、農協が五三・一%、そういうことでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 私の資料の方が正確だと思いますが、局長の資料とだいぶ違うのです。たとえば、今近代化と関係のある点だけを申しますと、地方銀行に対しては貸し出し残高のうちの〇・八%程度が農業部面に対する貸し出しということになっておるわけです。相互銀行は一・五%、信用金庫が一・五%、こういう程度になっております。組合金融として問題となるのは、特に農林中金の場合ですが、中金の貸し出し残高のうち農業に対する貸し出しが、いわゆる所属団体としての農業部面ですが、これがわずかに一三・三%程度しかないということになるのですね。ですからこれを見ると、現在の農林中央金庫というものは、性格的に農業に対する貯金の吸収等はやっておるとしても、農業部面に対する貸し出し業務の比重というものは逐年農業あるいは林業、まあ漁業は相当ウエートが多いようですが、全体から見ると非常にわずかな比重しか示しておらないんじゃないかということにもなるわけです。これは三十七年三月末現在ですが、農林中金の農業に対する貸し出しは三百三十一億円程度です。林業に対しては四十三億円、漁業に対して五百十七億円で、農林漁業総計が八百九十一億円で、これは総体から見ると三五・七%。ですから、あとの約六四・三%というものは、これは全部農林漁業以外のいわゆる非所属団体方面の方へ流れているということになっておるわけですね。こういう点から見ると、今の農林漁業金融公庫の果たしている役割というものは、大体信連の農業に対する貸し出し総額が、三十七年三月末で千七百二十二億円で、農林漁業公庫が千七百四十五億円、信連の総貸し出し額と公庫の貸し出し残高が同じような数字ということになっておるわけです。ですから、話がちょっとそれるが、こういうことから見ると、一体今後の農林金融の体系というものはどうあるべきかということは、こういう点からやはり出発していかなければならぬ問題が幾多あるんじゃないかと思いますが、そういう点については一体どうお考えになりますか。単に地方銀行に近代化資金の資金源を依存するというようなそういう当面の問題ももちろんですが、こういう本質的な問題については検討をされておるわけですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 御指摘のように系統外への貸し出しあるいは預金というものはかなりの量になっておるのでございます。それで、これはできるだけ農村へ還元することが好ましいということで、農業近代化資金制度も設けられたわけでございますが、ただこの系統外への貸し出しの中には農林漁業への関連産業、いわゆるアグリ・ビジネスといいますか、そういう方面へ向けられているのが相当量に上るわけでありますが、これは申すまでもなく農林漁業の生産物の加工、あるいは流通という方面の近代化とか改善、あるいは流通の合理化という方向に役立っておるのでございます。それ自体はむしろいけないという性格のものでもないと考えておるわけでございますが、そのほかに特に信連等におきまして、これは非常に短期の金で支払い準備とでもいう性格のものでございますが、コール・ローンというような形で金が出ているというようなことについては、それがあまり激しくなることは好ましくない、できるだけそういうものは系統の中で系統利用率を高める方向で運用してもらいたいということで絶えず指導をし、また貸し出しの限度を拡張するとか、そういう方向によって系統内部の利用に向けていく、こういうようにいたしておるのでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次に、金利の問題ですが、近代化資金の場合にも末端金利がどれだけかというのが非常に問題になるのです。そこで、最近における農協の末端における、たとえば近代化の対象になる資金の金利と、今回考えておる地方銀行の標準金利と、農協関係の金利水準、それから銀行あるいは相互銀行であるとか信用金庫の標準金利との比較は一体どういうことになっておるか、その点についてお答え願いたい。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 これは私どもの方で農家の資金動態調査で調べたのでありますが、大体今回の資金になるような性格の金の金利としましては、銀行が年に九・六%、相互銀行が一〇・四%、信用金庫が一〇・五%、平均しまして九・八%くらいだ。これは調査の結果によりますればそういうことになっております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 農協の関係はどうなんですか。それからそれを日歩に直したら、日歩と年利と両方言ってもらわぬと……。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 今の金利を日歩に直しますと銀行が二銭六厘二毛、相互銀行が二銭八厘四毛、信用金庫が二銭八厘八毛、平均しまして二銭六厘八毛となっております。  農協は三十六年度でありますが、貸し出しの平均利廻りが一〇・二八%でございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 日歩にしたら幾らになりますか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 二銭八厘二毛であります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そうすると農協の方が金利が地方銀行に比べて高いということになるわけですか。地方銀行は局長が言われたより現実はまだ低いのではないですか。相互銀行にしてもあるいは信用金庫にしても現地の普通金利は二銭三厘ないし二銭四厘くらいが通常のレートとなっておりますが、そうなると農協の金利水準が非常に高く、銀行とか信用金庫、そういう機関の金利の方が農村においてはむしろ低い。これは問題じゃないですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 農協の貸し出し金利の方が、統計を全部調査しておるわけではございませんけれども、どちらかといえばやはり高いという感じがいたします。  それから相互銀行等の金利でございますが、これは詳しいことは大蔵省の方からお聞き願った方がいいかと思いますが、この調査は農家が借りておる金利でございます。小口の貸し出しでもありますし、実質的な金利はやはりこの程度ではないかと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 やはり農協の金利と地方銀行等の金利が現実に相違しておるということは、農業政策上から見ても非常に問題があると思うのです。ですから、ここで十分議論するわけにいかぬが、やはり今後の農林金融、特に組合金融における金利の問題等については農林省として十分検討してもらわぬと、せっかく農民が系統を利用しても、裕福な農家は貯金なりするから貯金利子が高ければいいが、大半の農家はやはり近代化を進めるといろいろな点で借り入れに依存する度合いがだんだん高くなっておるのですから、そういう場合に農協金利が他に比較して非常に高いということになると、政策上から見ても非常に問題があると思います。  終わりに、今の近代化資金の運営は、たとえば年九分五厘以上の金利の場合にも、それを九分五厘とみなして三十六年度はそれに対して二分の利子補給で国と都道府県が二分の一ずつ、それが三十七年度には三分の補給ということになったわけですが、この経緯から申すと、近代化資金助成法が成立した場合、これは委員会の決議も附帯されたわけですが、当時河野農林大臣は、必ず明年度からは近代化資金は末端に五分で流れるようにしますということをこの農林委員会で約束したことがあるわけです。それから現在においても九分五厘に対して三分の利子補給ということになれば、これは末端六分五厘でしょう。まだこの点、六分五厘ということになると、当時河野農林大臣が国会に約束したそういう約束が実現に至っていない。せっかく近代化資金助成法を改正するのであれば、地方銀行を加えるということも実情必要であれば、それは別に反対するものではありませんが、むしろ金利を引き下げる努力というものが改正の中に出てきてしかるべきであったと思いますが、それが全然出てきていない。  それからもう一つ、今でも問題になっているのは、共同利用施設に対する近代化資金については七分五厘にとどめてあるでしょう。たとえば九分五厘に対して三分の補給があれば六分五厘になるのが至当ですが、共同利用の分については、これは七分五厘で十分である、だからこの面については二分の補給しかしないわけですね、国が一分と、都道府県が一分と。こういう点もやはりこれは欠陥ですから、当然一律に、共同利用についても、三分の補給をするのであればそうするということにすべきであったと思いますが、この点については一体どうお考えになっていますか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 近代化資金の金利につきましては、まあ六分五厘というのは、大体一年定期の預金の利回りが六分弱だと思いますが、そういうことを考えますと、原資のコストというものを考えました場合、民間資金としてはこの辺がいいところではないかということを考えておるのでございますが、ただこれはいろいろな経緯もございますので、今後とも十分検討させていただきたいと思います。私どもとしては、政府としてもそうでございますが、系統自体がやはり合理化をやってできるだけ農家へ貸し出す金利を引き下げる努力をやってもらうということが第一義である、かように考えておりますので、その方面につきましても大いに今後指導して参りたい、かように考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 共同利用関係の資金を七分五厘で押えるというのはどういうわけですか。六分五厘になったっていいじゃないですか、三分の補給で。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 これは個人が借り受けまする場合と共同利用施設であります場合、農協としては自己資金をかなり持っておるわけでございますので、農家が借りてやる場合と農協が借りる場合と、やはりそこには条件に若干の差が出るのはやむを得ないだろう、それが一分の差であるか、二分の差であるべきか、その辺は厳密なことは申し上げられませんが、農協の共同利用施設というものはやはり農協自身が相当工夫してやってもらう性格のものではないか、そういうことで、従来ずっと共同利用施設につきましては長い間七分五厘という歴史を持っておるわけでございまして、これについてはまあ触れなかった、こういうことでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 これはやはり触れる必要があるのですよ。三分の補給をする場合は共同利用だけは二分でいいというわけにはいかぬですね。もう一つは、三分の利子補給をやる場合、五分五厘を下回るようなことになった場合は打ち切るということになっておるでしょう。だから、たとえば末端組合金融等を通じて原資の金利コストを下げて八分なら八分ということにした場合、そこから三分の補給ということになれば五分になる。五分ではいけないというわけなんですね。五分五厘を下回った場合には国や県の補給を打ち切る、これじゃいかに努力しようとしても、努力すれば国の利子補給を打ち切るということになるわけですからして、それよりも努力しない方がいいということになるのじゃないですか。この辺がおかしいじゃないですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 県や市町村が単独で利子補給をする場合は、これはそういうことは別問題といたしております。しかし、系統自体で原資のコストを引き下げていくということは望ましいことで、国から利子補給を受けているからコストを引き下げることは損だ、こういう考え方は私たちはちょっと賛成いたしかねるのでございます。できるだけ系統自体は本来利下げの努力をして、盛んに自主性ということを主張しておるわけでございますが、自主的な努力をやってみずから金利を下げる、国の利子補給などは受けないというくらいの意欲を持ってやってもらいたいと私どもは考えておりますが、現実にはそうは参りませんので、利子補給をやることになっておるわけでございますけれども、われわれとしてもできるだけ利下げの努力はいたしたいと思いますが、考え方としては、系統も下げるようにしてもらい、国としてもできるだけそれを応援する、こういう態勢で持って参りたいと考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 これは政策ですからね。コマーシャル・ベースで五分五厘にしてとか五分にしてとかいってもこれは無理ですから、農業政策の一環として国が利子補給をやっているわけだから、五分五厘以下に下がった場合補給を打ち切るなんというのは政策を徹底させる場合にも問題がある。五分になったっていいじゃないですか。  これは問題を指摘したわけですが、もう一つは、最近協同組合が行なう共済事業がだんだん発展して、共済事業による積立金が相当の額に達しているわけですね。近代化資金制度をつくる場合に、共済事業の積立金も近代化資金の資金源に充てるということはもう決定済みですが、これが近代化資金だけでなくて、だんだんに相当中期的な七年とか十年資金で、信連等を通じて各都道府県が資金を農村に還元しておるわけです。そういう場合は同一条件で、資金貸し出しをやる場合、還元する場合は大体府県が同率の金利等で貸し出しをすべきだと思いますが、私どもの承知している範囲では七分の県もあるし、七分五厘の府県もあるし、高いところは八分の道府県もある。こういうでこぼこになっている。ですから、同じ根拠は共済事業による積立金ですからして、これを農村に還元するという場合は統一的な金利水準でこれが流れるというふうに当然農林省としても指導すべきでないか。七分、七分五厘、八分というふうに、こういうように都道府県で三様に分かれている。こういう点は御承知ないですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 共済の責任準備金が相当蓄積されておりますので、実は近代化資金はそれを相当当てにしておったわけでございまして、共済の責任準備金を一元的に農村へ還元するということも含めまして近代化資金ということを考えたわけでございます。県単によりましてあまり差が出ないようにして——そのほかにも県単の資金で、従来は相当いろいろなものが県の利子補給を受けて農村に貸し出されておりましたが、できるだけ近代化資金によりまして貸すということにするために近代化資金というものを創設したのでございます。そういうことも含めましてできるだけこの制度に吸収することにしておるわけでございますが、最近では県としては近代化資金の利子補給に加えて県単でやるというようなことに変わって参っております。その結果として相当低利な金が出ておりますが、この場合には必ずしも五分五厘ということにとらわれていないわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 いや私の言ったのは、その共済の積立金を、たとえば農協共済還元融資であるとか、あるいは農協共済資金還元貸付であるとか、あるいはまた共済資金であるとか、あるいはまた長期再共済資金であるとかそういう名目で大体五年から十年、長いところは十年程度ですが、中には一年から三年の据置を設けて十年資金のような形で出しておる。これは非常に望ましいことなんですね。しかしその場合この利率が違うんですね。北海道なんかは大体八分ということになっておりますし、それから岩手県なんかは七分五厘ということになっておる。山形県も七分五厘、それから中央の方へくると岐阜県なんかは七分、それから東海地方なんかは大体七分ですね。ですから都道府県によって、同じ共済の積立金ですが、その利率が八分になったり七分五厘になったり七分になるということは、これはちょっと問題があると思うのです。ですから七分で還元できるとすれば、一様に十年資金であれば七分で還元しなさい。これは自主的にやることですけれども、当然農林省としてはこういうものに対しては適切な指導を加える必要があると思いますが、そういうことはやっていないのですか。あくまでも農協の自主性を尊重して、何をやってもかまわぬということであればまた別ですがね。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 共済事業の各種の共済の条件等は、農林省の認可を受けてできるだけ統一的に定めておるわけでございます。ただそれが、県によっては共済保険が多いとか少ないとかいうその辺に差があるのではないか、その結果としてコストが違ってくるということもあるかと思いますが、それはやはり県の実情によって若干の差が出るのはやむを得ないように思いますが、今御指摘の点もございますので、十分検討させていただきたいと思います。

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 これにて一時休憩し、本会議終了後連合審査会を開きます。    午後零時三十五分休憩      ————◇—————    午後六時開議

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 休憩前に引き続き農林水産委員会大蔵委員会連合審査会を開会いたします。  質疑を続行いたします。堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 農林大臣に、時間が十分ないようですから、初めにお伺いをいたします。  このたび提案をされております農業近代化資金助成法の一部改正については、これまでの系統金融のワクを広げて、一般的な金融機関よりの借り入れの道を開くということになっておりますが、これは一体いつから実施をされるのか承っておきたいと思います。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 三十八年度から実施するつもりでおるわけであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 この中に地方銀行その他一般の政令その他で定められると思いますが、現在考えられておる政令で定めようとする対象はどういうものでございましょうか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 銀行それから信用金庫、相互銀行というようなものであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 この農業近代化資金が与えられる場合は、期間的には大体どのくらいを目途にしておられるわけでありますか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 これはいろいろございますが、大体七、八年から十二年、ものによっては十五年というようなものもございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 大体八年以上十五年と確認をいたしてよろしいですね。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 家畜等が七、八年、農機具等についてはそれより幾らか短いものもございますが、大体平均しまして七、八年から十年ぐらい、こうお考えいただけばいいと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 銀行局長にお伺いをいたします。  この前、法人税に関連をして企業年金信託の問題をやったときに、たしか銀行局長はこういう答弁をしておられたと思います。大体銀行局としては長期、短期の金融の目途を分けていきたい、そこで銀行については短期資金の融資を原則とする。私は相当長期間にわたるところの資金があるではないかという質問をいたしましたけれども、あなたはそのときには五年をこえるものはないのだというのがそのときの答弁だったと私は記憶いたしております。大蔵省のこれまでの指導方針によれば、あなたのこれまでの考え方では、少なくとも今後の方向としては銀行については短期金融の方向をとるというのが、これまでのあなたの私に対する答弁でありましたが、今回近代化資金助成法が出たら、あなた方は地方銀行については八年以上十二年までの長期金融を認めるという原則に変わったのですか。そうすれば、これは単に農業に対する近代化資金の問題ではなくて、日本の金融制度全体の問題として、今後は地方銀行、相互銀行、信用金庫も含めて八年以上十二年にわたる長期の金融をやらせるということになったのかどうか。この点はこれまでの大蔵省のあなた方の方針と、今回の農業近代化資金助成法の問題とは完全に食い違うわけですから、この点を一つ明らかにしていただきたいと思います。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 金融制度の問題といたしましては、銀行につきまして長期の金融機関と一般の銀行というものと区別いたしておるわけでございます。そのほかに中小企業の金融機関として相互銀行、信用金庫というものも考えられるわけであります。それで長期、短期の考え方につきましては、御存じのように長期金融機関といたしまして興銀、長期信用銀行、不動産銀行というようなものがございまして、これに主として長期の資金を扱わせておるということでございます。この資金につきましても、御存じのように金融債を発行して資金繰りをつけておるわけでございまして、これは今五年のものでございます。そういう資金の長さから申しますと、やはり五年程度のものというのが適当であろうかと思うわけでございますけれども、御存じのように資金量がだんだんふえて参りますと、その底積みになるものがあり得るわけでございまして、借りかえ等の事情を考えますと、それ以上のものも考えられる段階でございます。銀行の中で都市銀行と地方銀行につきましてはニュアンスが若干異なっておりまして、都市銀行は主として興・長銀に対する一般金融機関として考えられるわけでございますが、地方銀行となりますと、地元の中小企業あるいは地元産業というものがございまして、その区別をはっきりとやるということはなかなかむずかしい。制度の問題でございますので、たとえば興・長銀について全然短期の金融をやらせないかと申しますと、これは一般の短期も余裕のある限りやっておるわけでございます。そういう意味で、逆に短期の金融機関につきましても、ごく少ない部面においては長期は全然やっていけないというわけにはいかない。たとえば造船の金融について協調融資をやるとかいうことになりますと、これも開銀の協調ということで国策に協力してもらうというような意味で今度七年というような期限がきめられるというようなことでございまして、個々的に政策に協力していただくというような面におきましては若干の例外があってもいい。しかし全体の制度の体系といたしましては、長期と短期というものをまず区別をするという建前で、かつ都市銀行と地方銀行とを区別いたしますと、地方銀行としてのまた特色がございまして、若干長いものが入ってもこれは実際問題としてやむを得ない。そこをはっきり何年以上はやっていけない、何年以下はやっていけない、こういうことで割り切るべき筋のものではない、こういうように考えておるわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 大臣がお帰りになりますから、それでは大臣に先に肝心なことだけ伺いますが、実は私今の近代化資金の問題はちょっとありますが、残しておいて、今度の農林漁業金融公庫法の一部改正法律によって金利なり貸付期間なりが延長されたことは、少なくともこれまでに比べて前進だと私は思います。ただ一体皆さん方は何を目途にしてこういう金利を下げ、貸付期間を延長し、それから貸付限度額を設けられたのか、私率直に言って全然わからないのです。そのことは大体農業問題というのは非常に生産性の低いものでありますから、これはもう過去における国民所得統計を見れば明らかなように、農業生産の生産性は非常に低い。そうして今度は農業自体の資産の状態を調べてみると、農家は実際あまり資産がないのですね。負債も割に少ないけれども、資産もない。そこで資産もない者が大量の資金を借り入れして、そうしてたとい長期であろうとも、その間利子を払って、それが生産に結びつくまでには、果樹であれ、畜産であれ、何であれ、実は投資をしてから生産が起こるまでの懐妊期間というものは非常に長いわけです。大体工業製品なんかは三年もたてば生産に結びつくけれども、農業生産品については、桃クリ三年カキ八年と申しますが、八年ぐらい先にならなければだめなんじゃないかという感じがいたします。そこで、皆さん方がこういう限度額をつくり、貸付期間をつくり、こういう金利を置いて、そうして今の生産性ではたして見合うと考えておられるのかどうか。要するに生産性が出てきた分の利潤で、先にいけば何とかそれは見合う格好にいくのでしょうが、その生産性の上がらない部分に対しては、その他の農家所得をここへ持ってきて利子を払うということになるわけですね。この今のこういう数が出てきたもとは、これで農家がそういう生産が始まらない間は一体どうなるのか、あなたのお考えをちょっと聞きたい。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 今のお話は、主として果樹園の造成、植栽の場合のお話のように拝承いたしましたが、お話の通りに、ある一定年間というものはその果実を得ることはできません。従って、その間は利子も下げ、それから据置期間ということにいたしておるのであります。これは先年来行なっております近代化資金におきましては、そこの育成中の間に対する措置がたしか抜けておったと思うのであります。そこで、今回はその果実を得るまでの間もやはり考えて措置をいたしておるわけであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 今生産のない間の据置期間について配慮したとおっしゃいますが、たったの〇・五%配慮したわけですね。そうすると、あなた方の考えというのは〇・五%しか差がないということですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 金利の面におきまして、据置期間においては確かに〇・五%低い、こういたしておりますが、据置は十年以内で大体結果するまで償還をしないでいいということにいたしますと同時に、その育成期間における必要な資金を別途貸し出す。同じ果樹園経営資金の中でございますが、従来は見ていなかった育成期間の資金を果樹園経営資金としまして低めて貸し出す、こういうことにいたしております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、後段の方のその間の資金を貸し出しても、それにまた金利がつくでしょう。その金利は幾らですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 据置期間中は五分五厘でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、要するに借金をして金利を払うためにまた借金をしてまた金利を払う、こういうことですね。そうでしょう。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 大体経営の実態といたしまして、全部が果樹園経営になっておるという例はほとんどないのでございます。新しく果樹園を造成いたします場合に、今までかりにほかの畑作物をつくっていたものを漸次果樹園に変えていく、こういうような場合に植栽の資金を借ります。それから植栽をした上で育成期間中に必要な資金、つまり肥培管理に金が必要であればその分も借りるということで、金利はその間払うわけでございますが、この間におきましては、ほかの経営から漸進的に変わっていくのでございます。そういうことも考え合わせまして、据置期間は償還期より五厘低いわけでございますが、そういう金利を設けたのでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 五厘低いというのはどういう意味ですか。私がここで言いたいことは、あなた方の考え方が根本的に間違っておるということです。要するに、借金をして、生産が出てこない間に金利をとるということはその他の所得の中から払わせるということでしょう、はっきり言うならば。その他の所得が十分にあればいいけれども、その他の所得が今農家は小さいのでしょう。その小さい所得の中で借り入れをたくさんしたいわけです。たくさんしたいけれども、たくさんしたらこっちの所得からこっちへ金を持ってきたら、もうそれでなくたって暮らしの苦しい人間はともかく七年も八年も耐乏生活をやらなければならぬということになるから、私がきょうここで特に両方一緒にしてやっていただきたいと思ったことは、ともかくこの問題について一体どっちの側からものを見ているかということをきょうは一回はっきりさせたいのです。農林省は少なくとも農家の側に立ってものを見る立場だろうと思う。大蔵省を初めとしてその方はどっちかというと貸す側の立場からものを見る。金利というのは両方の面から出てくるものだと私は思うのです。私は、金利というものは総計で払えばいいのじゃないかと思う。そうすると、最初に生産のできないときは、なるほど資金の大きなたとえば企業のようなものは払えばいいですよ。しかし、農家というのは今特異的に生産性が低くてここ最近数年の例を見ても、国民所得の中で法人所得というのは大体二四%くらいの年率でふえておるわけです。勤労所得というのは一二%くらいの年率でふえておる。それから企業所得、商売人というのは大体六%くらいの年率でふえておる。農業所得だけ三・五%から四%くらいしか平均にするとふえてない。これほど格差があるのだから、それであなた方がこの人たちをほんとうに近代化しようというなら、据置期間を無利子にすべきだ、そのかわり生産ができてきたら一割払いなさいというなら私は話がわかる。生産が起きておるから、それを売ってどんどん利子が払えるでしょう。ところが生産の起きないものから利子をとるというこの精神は一体何かということを私は農林大臣に聞きたい。あなた方が実際農家の立場に立っておるかどうか。生産のないものから利子を払うということは一体何か、これを一つ伺いたい。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 無利子で資本の投下ができればこれに越したことはありませんが、今の一般の金利の問題及び資本の投下、金融の面から参りましても、なかなかそういうわけに参らぬのじゃないかと私は思うのであります。そこでせめて金利程度のものはできるだけ安いものをその期間といえども払おう、農家といえども一つも収入がないのじゃないのだから、株を買うように人から全部借金して株を買うのと違うのだから、やはり構造改善の計画を立ててそれに従って金融するのでありますから、そういう金利も払えないような無理な計画は初めから承認いたしません。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、あなたは、要するに、農家というのは現状で企業採算がとれているのだ。企業採算がとれているものが金利を払わぬようなものには貸さぬ。今のあなたの発言は重大ですよ。金利が払えるという条件は、一体どういうところで金利が払えるのですか。今あなたの方では、ここで、果樹園経営資金として二百五十万円の限度を見ておるわけですけれども、二百五十万円の限度で年に五・五%としたら、一体金利は幾らでしょうか、言ってごらんなさい。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 十二、三万円になるのでございますが、今の御質問につきまして申し上げますと、農業者で果樹園だけの経営というのはほとんどない。それで経営としては一体として収益を生んでおるのでございますが、たとえば土地改良を行ないます場合に、土地改良資金につきましては、その成果を上げるためにかなりの期間があるのでございます。その期間におきましても、従来金利を払っておる、こういうことでございまして、必ずしも果樹園経営資金のみについてそういうことになっておるというわけではないわけでございます。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 二百五十万円は限度であります。二百五十万円の融通を受けて、それだけの果樹園を経営するものは、その据置期間の金利ぐらいは払えるものでなければやらぬということです。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、あなた方の考えは、大きなものには金を貸してやるけれども、これから今の米だけやっておる人があなた方の農業基本法で近代化をし、選択的拡大をしようと思っても、それはできぬということですよ。ちょっと言いますが、あなたは一体三十六年の全国平均で農業所得が幾らか御存じですか。農外所得を別として、今平均農家二月当たり幾らですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 たしか十万円足らずだと思います。それは平均でありますから、(「一人だぜ」と呼ぶ者あり)一人です。一戸にすれば二十万円ぐらいになるのです。でありますから、これはそういうことをいろいろ抽象的に言ってもしようがないのですが、大体二百五十万円を借りて果樹園を造成しようというようなものは、それはある程度の収入もあり、土地もある、経営の才能もあるというようなものでなければ、これはなかなかそう簡単ではないと思うのです。それは限度でありますから、それより少ない百万円とか五十万円というようなものは相互にみなそれぞれやることができると思うのであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 あなたは今平均だとおっしゃいましたけれども、二十万円でもいいですよ。一体平均というのは、全体の農家の中の何%に当たるかあなたは御存じですか。全体の分布の中で、十万円ぐらいから、ずっと五十万円、六十万円とあるでしょう。平均値が二十万円と出たら、その平均値から下に、一体全農家数の何%あると思いますか。どうです。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 これは二十万円前後の幅で中庸をとりますと、相当な数がございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 相当な数じゃだめだ、はっきりしなければ。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 今、正確に申し上げられませんが、大体四、五割は二十万円前後の所得があるかと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私はきょうは分布のところは資料がわからないから調べてないけれども、大体統計学的に言うと、平均値というのは、分布の山よりは常に高いところに出るのです。だからそういう一般的な統計の原則からすれば、六〇%ぐらいが大体二十万円以下になっちゃうのです。そうして今、金を借りる場合に、果樹にせよ何にせよ、あなた方の方は多頭飼育で乳牛の問題を言っているけれども、一頭やそこらふやしたのじゃだめだということをあなた方はものの考え方の中では言っておきながら、そして金を借りる能力のないものには貸さないのだというような言い方をするならば、これは遅々として問題が進まないのですよ、実際の問題として見るならば。そこで限度額はなるほど限度でしょう。限度だけれども、その限度というものが、一体どれだけの農民に適用されるかという問題を考えたときに、あなたの言い方からしたら、農家所得が年に二十万円のものが十二万円一体払えますか。率直に言うならば、五万円だって問題があると思うのですよ。そういうようなことで、あなた方の基本的な考え方は、大きなものには金を貸してやろう。要するに利子の負担能力のあるものには金を貸してやるということは、大きい、今の平均の中でいえば、一割か二割のものはなるほどこれらの金を借りてやれるでしょう。私が特にこれを申し上げておるのは、こういう事例があるのです。私の選挙区の淡路島で、貧しい農家に対して、今東京都知事選挙をやっておる阪本さんが、一つ果樹園をつくりなさい、県から金を貸してやると言ったわけですよ。そうしてこの人たちに、ミカンが実るときに私は見にきますといって、八年ほど前にやったわけです。それから実るときに見にきたら、富農が全部取り上げちゃっているわけだ。その間には、貧農の諸君が県から金を借りて、しかし利子を払わなければいかぬというようなことで、その間金が入ってこないので、一生懸命苦労をしてやったけれども、とうとう持ち切れない。そしてそれは金のあるやつが、いよいよ実るころになってぽんとみな取り上げて、成果は全部金があるものが持っていっているという事例があるのです。日本の農民の現状は、そういうものだと思うのです。そういう実態をあなた方が踏まえておらないで、ともかく何となく五%、五・五%で〇・五%安くしたら、据置期間があるからいいじゃないか。そんなものじゃないと私は思うのですよ、今の日本の農民の状態というものは。だから私が言っておることは、この問題はなるほどそれは私がゼロにしろと言っても、ゼロになりにくいかもしれないけれども、たといこれを一%でも二%でも下げて、しかし生産がふえてきたら、八%でも一〇%でもとればいいのです。払えるようになってからとってやるということが、あなた方の態度ではないか。金融政策としては問題が別ですから、あとでまた別にやりますけれども、私は農林大臣がほかの所得で利子が払えるものでなければ金を貸さぬと言ったということは、これは重大な発言だと思います。どうですか、いいんですか。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 今のお話のあれは、初めに貸しただけで、その途中にミカンならミカンが実るまでの間はほうっておくからそういうことになるのだ。そこで今度のあれは、その間の据置期間中に、育成期間においてもさらに金融をする、そういうふうに考えておるのでありますから、言いかえてみれば、こういうことになるのではないですかね。お話のように、実がのるまでは借金をしておいて、かりに利子を借金で払うとして考えれば、その間借金をずっとしていって、それが実るようになって大部分のものは払っていく、こういうことにもなるのではないかと思うのです。それは厳格にはっきりそういうふうになるとは申し上げかねますけれども、これが従来の近代化資金でも、その据置期間の成育中はこれは金を貸さなかった、それを今度は今お話のような弊害が起こったりいろいろいたしますので、その期間中にも別途育成資金を、低利のものを貸し付けよう、こういう道を開いておるわけであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それはさっきのあなたのお話と違う。あなたは要するにそれだけの利子が払えないものには貸さないとはっきりと言った。それで今度は利子が払えなければまた借金して払えばいい。おかしいじゃないですか。さっきのあれは取り消しますか。あなたは利子を払えないものは貸さないとはっきり言った。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 そういうのは言葉のやりとりですからね。かといって、しからば収入の非常に少ないものに二百五十万円も、そういうように公庫が貸すかといえば、私はむずかしいと思う。それはある程度の収入も必要である、かといって、それでは利子を非常に無理をして払わなければ払えないようなものには貸さないかといえば、それはそういうわけでもないと私は思うのでありまして、これは今申し上げますように、初めの資本投下、それから成育中の金融もいたします。この運用によって御心配をいただいておるような点は緩和ができるのではないかと思うのであります。問題は、すべていかなる条件のものでも二百五十万円ずつみな貸せといっても、これは乱暴な話だと思う。でありますから、問題はやはりその具体的の状態々々に応じまして、計画に応じまして、果樹園の造成の規模もきまって参る、従って、金融もそれに相伴うてやっていく、こういうことになるのだろうと私は思うのであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それではあなたは私の言うような方向でやる意思はないわけですね。これでいいんだということですか。私の言っておることは、非常に簡単なことですよ。生産がふえるようになるまではともかく利子をやめてやりさえすればまた借金することはないですよ。あとの借金というものはそれをさらに最初に見込んでおればいいのですからね。それをまた借金しなければならぬということは、五・五%という利子を払うために金を借りて、また五・五%金を払ったら、金利は幾らになりますか。あとで事務当局に計算させますが、あなたの考え方は農林大臣としては、この際ことしは今いろいろな予算関係があってそれはできないでしょうが、来年の問題について少なくともゼロにできないにしても、これをゼロに近づけて、ただし金利全体としてまけてやるというのではない、あなた方いろいろな計算があるだろうから、あとで払うか先に払うかという問題は、あとで生産がふえれば払える力があるわけだから、そのときに払いなさいということは農林大臣としての当然のお考えだと思います。それをするかしないか、それをはっきり答えて下さい。

重政誠之自由民主党農林大臣

○重政国務大臣 これはそれにこしたことはないのですから十分検討いたします。私の一存ではなかなか御承知の通り微力でできないことでありますから、これは検討いたしまして……。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 農林漁業金融公庫の方にお伺いをいたしますが、今の話で、公庫というのもなかなかそろばん高くて、そろばんが置かれないとお金は貸さぬということのようですが、ちょっと伺いますが、一体二百五十万の金を貸すのに必要にして最低の条件というものはどういう条件か、教えてもらいたいと思うのです。

清井正農林漁業金融公庫総裁

○清井説明員 ただいま堀委員から御質問がございましたが、ただいま二百五十万を限度といたしまして、その場合の必要最小限度というと、抽象的な基準というものは私ども持っていないわけであります。これは先生御承知の通り金融でございますから、一律に限度と申しましてもいろいろな場合があるわけでございまして、その点は御承知の通り、私どもは借り入れ希望がございました場合、その借り入れ希望者の計画をよく検討いたしまして、それと同時に信用力その他——私どもの方といたしましては県庁の融資調査といたしまして、県庁の調査が入ってくる。それを拝見いたします。そういうようなもろもろの事情をよく調査いたしまして、公庫の資金を貸し付けましても十分その経営が成り立ち得る、あるいはそれによって償還が成り立ち得るという見通しがつきましたときに、その所要の金の貸付をするということをやっておりますので、私どもとしては一律にこういう金額の場合にはこの程度の基準ということは持っておりませんので、具体的なケースに応じまして、その方の御希望なり信用状況などを拝見いたしまして決定いたします。こういうことにいたしておる次第でございますので、これは果樹だけの問題ではございませんで、その他の一般的な金融の場合についても同様でございまして、ケース・バイ・ケースで調査をいたしまして、入り用な金を貸し付ける、こういうことでやっておるようなわけでございます。もっとも私どもにおきましても、業務方法書なり融資要綱がありますから、貸付対象としてはこの程度のものである、あるいは貸付金額は一件当たりこの程度のものであるというこまかい規定はございますけれども、あくまでもこれは抽象的な規定でございまして、具体的に当てはめます場合には、ただいま言ったような事情によって貸付をするということになっておる次第でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それではちょっと伺いますけれども、あれこれやると複雑ですから、どこか一つにしぼって議論させていただきますが、農業構造改善事業推進資金というもので個人が現行二百万円の借り入れ限度額がありますね。そこで、さっきのように限度額ですからね、わかりません。一体幾らくらいからこういうふうに貸していって限度二百万円ですか。一体分布はどうなっているか、昭和三十六年度についてちょっと教えてもらいたいのです。個人二百万円限度で、一体幾らぐらい、一番大きいモードの山は一体どこらぐらいで何%ぐらいだということを言っていただいていいですが、これは私は非常に少額だと思う。今の議論では、限度額を幾らふくらましたって、実際にはそんな担税力のある農家は幾らもないのですから、あなた方は貸すぞ貸すぞと言うけれども、実際は借りられもしないものを貸すぞ貸すぞというやり方は、私は農民を欺くものだと思う。一ぺんそれを具体的にお答えいただきたい。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 三十七年度の構造改善事業につきましては、これは近代化資金で貸し出すことになっておるのです。来年度からそれを公庫資金で貸すということにいたしたわけでございます。というのは、近代化資金で貸し出します場合には、単協の事情に左右されまして、単協が十分に原資を調達できないという場合に十分な貸し出しができない。それから組合金融であるという性格から、どうしてもそれに制約されまして一個人当たりの貸し出しが小さくなる可能性がある。現にそういう傾向が出ております。過去の実績で見ますと。そういうことを避けるために政府資金であります公庫資金に来年度から切りかえよう、こう考えておるのでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ちょっと、私も農林の方は専門でないからそこらがよくわからなかったのですが、次の畜産経営拡大資金というのも近代化資金のやつをこれに切りかえたんですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 それは切りかえたという言い方はむしろ適切でないのでございます。近代化資金でも畜産資金は借りられるのでありますが、今回の新制度に入りますのは、特別に多頭飼育をして相当な投資をしたいというものに対して、政府資金で貸す、なかなか組合金融では調達できないということからいたしたのであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 わかりました。それは近代化資金と公庫の資金とは性質が違いますから、過去には個人には貸してなかったわけだから、それはよろしいですけれども、予想として、それじゃ大体どの程度にこういう借り方が起こるのか。一件当たりの平均として、あなた方頭の中では一体どのくらいと考えていますか。今の個人の農業構造改善事業推進資金とか、あるいは果樹・畜産の経営資金の二百五十万円、みな限度ですが、大体どこらに目安を置いているのですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 構造改善事業推進資金は、これはもう構造改善事業の計画は非常にさまざまでございます。というのは米を中心にやる計画、あるいは米と桑とをあわせてやる計画、それから乳牛を中心にやる計画、それぞれいろいろな計画がございまして、それに相応する施設がまたさまざまでございます。従って全体としてどれくらいになるかという見当は非常にむずかしいのでありますけれども、大体総事業費を一億一千万円と押えまして、そのうち融資だけでやる事業は二千万円、そのうちに今回の三分五厘の資金でやりますのが千八百万円ぐらい、これは一地域当たりでございますが、こう押えておるわけでございます。それから畜産などの資金につきましては、これは一応の見通しにすぎないわけでございますが、限度を二百五十万円といたしまして、平均いたしまして一ケース当たり百五、六十万円ぐらいになるのではないか。これは一つの見込みにすぎませんが、そう考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると百五十万円というとかなりの金利になるわけですが、さっきのお話で、農林漁業の方はケース・バイ・ケースだ、そうなればここでは議論にならないわけですけれども、一体これだけの金利を今百五十万円について払うということになれば、かなりの負担があるわけですね。そうすると私はこういうものの借りられる農家の数というものが非常に限定をされてくると思うのですよ。これは今あなた方がケース・バイ・ケースで判断をするにしても、貸し得る農業の規模というもの、何か頭の中でイメージがあるのでしょうね。何にもなしじゃないでしょう。何かどこかに線がなければ、ケース・バイ・ケースでやるといったって、全部並べておいて上からバルク・ラインでも引くというなら話がわかりますけれども、一体どういうことでやるかについては一応私は基準があるだろうと思うのですがね。たとえば、それは形式はいいですよ、要するに農家所得として一体どのくらい所得があればいいとか、農家所得のあり方については乳牛を飼っている人もあるでしょう、たんぼを一町五反持っている人もあるでしょう。その形式は私は問いませんけれども、所得の額で見てどのくらいからがこういう平均百五十万の公庫の金が借りられる基準線になるのか、大体の大まかなところでいいですから、所得ラインで言ってもらいたい。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 これはまだ政府で立案した段階でございますから私の方から申し上げますが、最も単純なものとして土地取得資金がございます。土地取得資金の場合におきましては、中庸規模の農家におきまして大体八十万円ぐらいの借り入れをいたしまして、それでこれは土地取得資金でございますから畜産なんかと償還能力が違って参りますけれども、農家の平均的な経済余剰を全部利子の支払い等償還に振り向けなくともやっていけるという程度で考えておるのでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 だからそれに振り向けられるというのは一体どのくらいの農家所得なのかということを聞いているわけですよ。八十万と今おっしゃったでしょう。八十万で五・五%ということは、年に四万四千円ですよ。そうすると四万四千円——しかし二十万円くらいの年間所得ですから、その中で四万四千円が振り向けられるはずはないですよ。そうすると、あなたは常識的に考えて農家所得として一体幾らであれば、余剰じゃないけれども四万四千円振り向けられると思うのか、その農家所得としてのボーダー・ラインを聞いているわけです。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 三十五年の調査によりますと、農家所得で平均いたしまして六万円くらいの経済余剰を出しております。土地取得資金の場合に八十万円を借りまして、これは四分五厘でございますから四万円足らずになると思います。そういたしますと、大体六万円の経済余剰で自分の生活を切り詰めるとかそういうことなしに支払える。まして土地を拡大することによって生産力がふえ、所得がふえるわけでございますから、それらを見込みますと十分償還できる、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 六万円はわかったけれども、その六万円というものの土台になる所得です。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 大体年間の農家所得が四十万円くらいであったと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それは三十五年ベースの話ですね。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 三十六年でございます。ちょっと間違いました。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、農家の中で、農家所得が四十万円以上ある農家世帯というのは今一体幾らあるのですか。三十六年ベースでいい。全体の何%ですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 ちょっと今手元に資料がございませんが、これは半分近くのものはあると思っております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 間違いないですか。農家所得ですよ。農外所得なしに農家所得で四十万円のものが三十六年ベースで半分ありますか。間違ったら承知しないですよ。平均が二十万円でそんなにあるはずないじゃないですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 手元に正確な資料がございませんが、農家所得で申し上げますと、三反未満でもそのくらいの所得をあげておるのが相当ございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は農家所得でものを言っていない。農業所得で言っているのですよ。要するに、ほかで勤労所得で働いてきたものをそこへ入れるなんという前提でそんなものを考えるのはおかしいと私は思うのです。これは農業所得の中で議論すべきことで、他の所得と合わせて議論をするというのなら、それはいかようにでも問題の解決の方法が出てくるので、そうではなくて、ともかく今の農家所得の内訳の分析をしてみれば、非常に農家所得全体の上がっている地域はどこかといえば、兼業農家があるところ、要するに農外所得のあるところが上がっているのであって、それ以外のところは上がっていないという事実があるじゃないですか。だから私が言っているのは、農業所得でものを言っているわけです。農業所得の全国平均が二十万円とあなたは言ったでしょう。そうしたらその農業所得として、今の八十万円がペイできるのは幾らなのかと聞いているんだから、四十万なんというのはあり得るはずはない。半分も四十万があった日には二十万円という平均はどうやって出るのですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 農業所得でお考えになるのも一つのあれでございますが、現実的に農家は七割近くが兼業農家でございます。それでその兼業のうちにも、農業に密着した兼業が相当あるわけでございます。それをしいて分けて申し上げれば、二十万の農業所得の農家層というものは大体四十万ぐらいの農家所得になるのではないか、かように考えて申し上げたのであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それは一体いつの話でしょうね。今度は農家所得ですよ。農家所得四十万が全体の半分あるというのは年度でいつですか。私は今ここに「農家経済調査報告」三十五年度しかないけれども一ぺん見てみますが、それはいつですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 先ほど申し上げましたように、三十六年で申し上げております。私、手元に資料を持たずに申し上げておりますが、三十六年くらいで一これは統計的に申し上げておるわけですが、総農家所得のうちの五〇数%が農業所得でございます。それであとが兼業所得、大体そういう見当になっております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 昭和三十五年度の「農家経済調査報告」によると、農家所得はなるほど四十一万一千三百三十九円になっていますね。そうすると今の話でいけば、一応のあなたの方の農業所得の総計で考えたとしても、半分までしか借りられないということは明らかですね。そうでしょう。要するに農民の四十万円から上の人だけが農業構造改善事業推進資金が借りられる、この人たちだけが安い金利で土地を所得して、さらに大きくなることができる、その下の方には貸してもらえない、だからこれはますます零細化する、こういうことですね。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 先ほど申し上げましたように、限度額の範囲内で、それぞれの農家としましては、やはり自分の経営の規模等を考えて借入金の量というものはきめて参ると思うのであります。平均的に百五十万円といいましても、百万円借りる人もあれば、八十万円借りる人もある。畜産の拡大資金等は一度にそういう大経営に持っていくことは困難でございますから、三年くらいの期間に徐々に借りられるようにいたしたいと考えておるのでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 今ちょっと資料を見ていて、南海地方、南九州でしょう、ここは農家所得が三十五年で二十七万九千六百円しかない。そうすると、ここらはほとんどだめですね。ここにくると平均値四十万なんというのはうんと上の方にいってしまって、平均値二十七万ですから、ごくわずかしかない。北九州にいくと三十六万四千円、東北は割合よくて四十三万五千円、平均値より少しいい。ともかく南へいけばだめなんです。ほとんど借りられないということになる。  そこで私はそういう考え方を静かに聞いていますと、やはり高いところに土盛りをして、低いところには手をつけないということになると思う。しかし私は、率直にいうと、制度金融というのはそういうものじゃないんじゃないかと思っていたわけです。制度金融というものは要するに国の財政資金が入っているのですよ。国の財政資金が半分も入っているわけだから、そういう格好で利子を受けて土盛りを上の方にだけするということでは、私はどうも納得がいかない。ほんとうはそうではなくて、少しでも拡大ができる人に対しては、やはり拡大ができる道を講じてやろう、だから幾ら金があってもうちは労働力がないからもうそうやって手を広げることはできませんという人には貸す必要はないと思う。しかし労働力がたくさん余っている、土地も買いたい、果樹もやりたい、畜産もやりたいけれども、そういうところはえてして貧乏なんです。貧乏人の子だくさんというのはそういうことですから、そういうことになっている。客観情勢が踏まえられていないで、どうもこの感じというものが、やはり高いところに土盛りをする政策をあなた方はさらに推進をする、下の方はほうっておこうというのが、これは私具体的な問題だろうと思う。農林大臣がいればもうちょっとちゃかちゃか聞きたいのだけれども、津島さんだから遠慮しておきますが、どうも農林省のかまえはそういうことでもう少しきちんとしてもらわないと困る。  その次に、時間がありませんから簡単にやめますが、一体こういうことをお出しになったときに、あなた方何か理論計算を一つしておられますか。たとえば限度額でものを見ましょう。果樹をさっきから言っておりますから、果樹にしましょうか。二百五十万円の投資をして果樹園をやりますね。そうしてこれは二十五年になっておりますけれども、据置期間は十年くらいですか、ちょっとよくわからないのですが、十年くらいだとしても、そうしたらこれは据置が五分五厘で償還が六分で、こういうふうなものがペイをするあり方ですね、こういうことについて理論的な計算か何かされておりますか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 今御質問の点は、非常にむずかしいことでございます。特に果樹園のように十年もたってから結果する、収入がある、しかもその最盛期に入るのは二十年後だというようなものについてどういうふうに費用を計算し、どういうふうに収益を計算していくかということは、きわめて困難です。特に将来値段がどのくらいになるかということも、これは未確定のファクターでございますから非常にむずかしいわけでございます。一応そういう果樹園のような場合は効果計算と申しておりますけれども、そういう計算は試算としてはいたしておりますが、しかしそれだけでわれわれがペイするとかしないという判断をするのはなかなか実際問題として困難でございます。ことに果樹につきましては、生産費の調査も十分行なわれておりませんし、そういったデータも不足しておりますので、これは率直に申し上げましてどの金利でどれだけの償還期限でどれだけの限度額を設ければいいかということを一義的にぴたりと割り出すことは困難でございますが、従来の制度あるいは従来の他の資金等に比較しまして、できるだけ条件をよくするということを目標にして一応試算もいたしましたけれども、この辺で大体いいんではないか。まだ完璧とは申しませんけれども、そういう考え方できめて参ったのでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 今お話を聞いていて、これはそうすると率直に言って、私、金を借りる人は気の毒だと思うのです。だって、さっきあなたがおっしゃるように、なるほど二十年先の果実の価格は幾らになるかわからないでしょう。わからないでしょうけれども、そこへいったらものすごく安くなるかもしれないなんということで、金を借りて十年も二十年もやってみた結果、苦しい間はともかく農外所得の勤労所得を植え込み、またさらに借金を払うために、利子を払うために金を借りて、まさに高利貸しから金を借りているような借り方をしてきて、行く先は未確定でわからないのだ、まさにすべての責任は農家のあなたが負うのですよ——それはそうでしょうけれども、もう少し私はこれだけの長期の資金を貸してものを処理するとするならば、大体の目安はついていないと、率直にいってこんな金を借りたらあぶないですよといわざるを得ないのじゃないかと思うのです。そういうことならますます生産の上がらない時期の金利くらいはもっと下げてやらなければ、これは全く一この制度としては、それは上積みの農家にしたって問題があるという感じがするのです。結局ここへ出ておるいろんな金利、五・五とか六とか六・五とかいろいろありますけれども、よくもこれだけいろんなふうに格づけができたものだと思うのですが、これを一つずつどういう理由で〇・五%違うのか一々聞いたら時間がないから聞かないけれども、私はあまりに安易に過ぎる感じがしてならないのです。これは大蔵委員会ならこのくらいでは済まさないけれども、よそのところに来ているから遠慮して私はこのくらいにしておきます。  そこでもう一つ伺いたいことは、さっき大臣にもちょっと伺ったのだが、あなた方がこういう問題を考えるときのこの金利の考え方の土台には、供給する資金関係の中でこの金利が出ておるのか、この金利を出してきたロジックですね。これは一体どこからきておるかということだけを伺っておきたい。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 この制度金融の金利、これは農林公庫特有だと思います。農業関係でも、近代化資金につきましては、いろいろな施設がありますけれども、いずれも六分五厘というきめ方をいたしております。しかしながら、私どもとしては、今回つくりました資金もそうでありますが、従来の公庫資金につきましては、一応それぞれの事業なりあるいは資金の性質によりまして大体バランスというものを考えて従来つくってきておるのであります。そういうものを一応の前提といたしまして、従来のバランスからいってこの資金はこのくらいにいたしたい。しかし特に構造改善事業推進資金というようなものは、三年間に事業を集中して行なう農家としては、できるだけ負担を軽減した方がよろしいというような、これを促進するというような意味を含めまして三分五厘というような特殊の、非常に安い金利も設けましたけれども、大体において過去の制度の仕組みからして、このくらいが常識であろう。もちろんその場合にいろいろなデータがございますから、いろいろな計算をいたしまして、これが無理かどうかというようなことをやっております。やっておりますが、これは非常に経営も多様でありますから、それでもって全部完璧だということは申し上げられませんし、一昨年も実は農業金利というものはどのくらいが適正なものであるか、これは非常に難問だと思いますが、そういうことで専門家も含めまして、学識経験者の意見を聞いたのであります。どうやってこれを割り出すかという方法論も研究いたしたわけでありますが、結局結論を得ないということで、非常にむずかしいわけでございますが、農林公庫の資金はわれわれとしてはできるだけ下げるということを目標にして、それぞれ理屈のつく限り下げるということでやってきておるわけであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうしますとあれですか、六分五厘というものがスタンダードになっておるということは、資金運用部の借入金が土台になっておるから六分五厘、こういうことですか。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 六分五厘というものは近代化資金の場合で、系統資金のコストなどを考えてきまっておるわけですが、公庫の方は六分五厘の資金運用部からの借入金と政府出資とを合わせて、平均運用利回りが五、六%だと思いますが、そういうふうに運用されておるのであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 今の問題で少し明らかになりましたし、時間がありませんからこれでやめておきますが、一つあなた方農林省側としては——私の言ったことはものの道理としては間違いないと思います。そうすると、金利を下げなければならないという問題が出てくるでしょう。だから、金利を下げなければならない場合に、一体どうすればいいかという点については、あなた方近代化資金の方では利子補給ということをやって金利を下げておりますね。そうすると、私は農林漁業金融公庫の場合についても何らかの角度で利子補給をやってもいいと思います。利子補給ということは、建前としてはうしろ向きでよくないけれども、しかしその間の要するに据置期間、生産を開始しない間に金利をとるということは、これはものの考え方としてはよくないと思うのです。そうすれば、その間の利子くらいのものは総額で幾らになるのかわかりませんけれども、計算を一ぺんしてもらって、これまたついでのときに、どこかでまた論議をさせてもらいますから、一つ研究を一回していただきたい。私なんか、こういうところで一回取り上げたら、めどがっくまで何回でもやりますから、一つそういう方向で、ともかくやはりやる以上は合理的な、筋の通ったやり方をしていただきたいと思います。私、実は農協及び信連、特に農協の金利と預金金利の問題を含めて、きょうは少し全体の金融関係で聞きたいと思って銀行局にもおいでを願っておったのでありますが、時間がありませんから、委員長、私はこれでやめます。

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 有馬君。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 私は、ただいま堀委員が最後に利子補給の問題について触れられたのでありますが、これに関連してただ一点だけお伺いをしたいと思います。時間も相当経過いたしておりますのできわめて簡潔に質問をいたしますので、しばらくの間一つがまんをしていただきたいと思います。  最初に、桧垣さんにお伺いをしたいのであります。戦後入植しました開拓の全戸数、そしてそのうちでどの程度が離農しておるか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。

桧垣徳太郎農林事務官(農地局管理部長)

○桧垣説明員 戦後入植しました入植者の総数は、ラウンドで申しますと約二十一万戸でございます。それに対しまして、離農いたしました農家戸数は約六万戸でございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 農林政務次官にお伺いいたしますが、二十一万戸も入植いたしまして六万戸も離農しておる、二割五分も離農しておる。これは開拓行政に大きな欠陥があった結果だと思うのであります。その欠陥がどのようなものであって、そしてそれに対して農林省としてはどのような手を打ってこられたか、これについてお聞かせいただきたいと思います。

津島文治自由民主党農林政務次官

○津島政府委員 開拓行政が思うように参らなかったことは事実でございます。非常に離農がふえた、これは何であるか、こう言いますと、やはり開拓者は非常に借金に苦しんだというのが私は事実であると思います、どうしてそういうふうに追い込まれたか、こう言いますと、やはり出発点において、一つは、どうも収入の面において非常にずさんなものがあった。これは人情としてどうしても収入の面を少しく過大に見るのであります。それから初めから資金が足らなかった。そこに無理がございまして、その資金の足らないのが他の割合に高い利息の金をまた借りた、そういうふうになって参りまして、それにまたもう一つは、どうしても経営規模を大きくしなければならぬ、それに志してまた無理な借金をするというようなことがあるのであります。まことにどうも遺憾な次第でありまして、この辺で、私はそれがいいとか悪いとかいうのではなくして、ほんとうに開拓者の実態というものをとらえて、そして痛いところもありますけれども、痛いところは痛いところとして根本的な施策をしなければ、今日の開拓者というものがとうてい所期の目的を達し得ないのではないか、私はかように考えておるような次第でございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 今政務次官がおっしゃったような理由でもって——ほかにも土地の条件なり何なりいろいろあります。今おっしゃったような状態になっておりますから、私は農林省としてどのような手を打たれたかということをお伺いしておるわけです。こういう事態になったのは去年やことしのことではないのですから、農林省当局としてはこの開拓の問題について当然何らかの方途を出して、それに対して具体的な手を打っておってしかるべきなんですから、その点について私はお伺いをしておるわけです。

桧垣徳太郎農林事務官(農地局管理部長)

○桧垣説明員 お話の通り開拓は昭和二十一年、終戦直後から緊急開拓ということで、当時の日本の社会情勢と食糧事情、経済情勢を背景にいたしまして、多くの開拓者を開拓地に送り込んで参ったのであります。それに対しまして、御指摘もありますごとく開拓の事業は必ずしも成功を見なかったのでございまして、今日に至りますまで一般標準農家の水準に達したと思われますものは、三万戸に満たない程度でございまして、その間農林省といたしましては、開拓者に対します低利長期の融資を継続いたして参ったのでございますが、昭和三十二年に至りまして、開拓者の特に営農の振興を要します農家を対象といたします開拓営農振興臨時措置法の制定をいたしまして、不振開拓地に対します各種の振興対策をとることといたしたのであります。  その内容は、一つは開拓地の生産諸条件、土地の基盤等を初めといたします開拓諸条件の整備を計画的に進めるということと、それから開拓者がそれまでに災害によりまして政府資金以外の系統金融から災害資金として借入いたしました借入金の条件の緩和、整理をいたしますと同時に、それに対します都道府県の金利の補助に対する助成、それから借入金の償還不能になった場合における都道府県の損失の補償に対する補助の制度を開く。なお後にその法律の改正をはかりまして、開拓者のうち災害を受けた農家が天災融資法による災害資金の貸付等を受けがたいという特殊な開拓者に対する政府資金による災害資金の貸付の措置を開く、また開拓の成功検査に対する期日の特例を開くというような措置をとって参ったのであります。  続きまして、昭和三十五年には、政府が開拓者に貸し付けて参りました資金の償還の条件緩和等に関する法律を制定いたしまして、開拓者の事情に応じまして据置期間を設けて償還期限を延ばす方式、それから据置期間なしに償還期限を十五年ということで長期化したもの、それから償還期間についてはいろいろな貸付がございますものを一本化して、その一元化した償還条件の資金に切りかえたというような措置をとって、これについては三十五年、三十六年と償還条件の緩和をはかりまして、昨年の三月三十一日でおおむね法律の求める処理を終わったのでございます。  以上のような措置をとりますとともに、また三十五年からは、ただいま申し上げましたような経過のうちに開拓地については、特に入植過剰の状態になっておる地区も相当にございますので、そのうち約九千戸の農家については計画的に離農の促進をはかって、残余の開拓者の営農の振興にも資するという意味で、離農に対します都道府県の補助に対しまして国が助成をするというような措置を続けて参ったのでございます。  現在まで農林省が開拓振興についてとりました措置の概要を述べますと以上の通りでございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 昭和三十二年度の都道府県における損失補償がどの程度行なわれたか、それから九千戸の離農促進をはかられたというのでありまするが、この九千戸はもちろん離農いたしました六万戸について、職業転換に対してどのような指導をされ、どのような方面に吸収されていったか、これを明らかにしていただきたいと思います。

桧垣徳太郎農林事務官(農地局管理部長)

○桧垣説明員 第一の御質問にございます災害資金を切りかえて、いわゆる営農改善資金と法律で呼んでおります資金につきましては、これは開拓者の事情に応じまして、条件は五分五厘の金利のものと、三分五厘の金利のものとがあるわけでございますが、その金利を下げるために系統機関の基準金利の差額について都道府県が補助をするわけでございますが、その二分の一の補助を継続して参ったのでございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 トータルで現在まで幾らになりましたか。

桧垣徳太郎農林事務官(農地局管理部長)

○桧垣説明員 ここですぐお答えすることはできませんが、あとで資料として出させていただきます。  それから、現在まで五年の期間を経ておるのでございますが、損失補償の実績は、ただいままでのところほとんどございません。実は延滞の形のままになっておるというのが——要するに償還できない部分については延滞の形で残留、停滞しておるというような格好になっております。なお、現行政令によりましては、この利子補給の補給期間は五年を限るということになっておりまして、本年の三月三十一日をもって利子補給期限が切れるのでございますが、三十八年度予算の編成にあたりまして、これを昨年末、厳密にはいま少し政府内部で検討を要することが残っておりますが、昨年末現在で借り入れ条件の期限到来まで、政令の上では今後十年間を限って利子補給を続けるというふうに予算措置をいたしまして、近く政令の改正も行ないたいというふうに考えております。  それから離農の促進に関します実績につきましては、三十五年度に四百四戸それから三十六年九百九十八戸、三十七年に一千戸を離農促進の対象とするということに計画を進めて参りましたが、これはついでに——ついでと申しますと恐縮でございますが、明三十八年度は千三百戸を計画的に出したいというふうに考えておるのであります。その際の離農によります過剰入植地の残留者に対する営農振興対策の一環としてやっておるわけですが、そのやり方は、各開拓地につきまして離農に関します計画を立てて、それぞれ現有資産の処分、債務の償還、それから将来つくべき職業の選択及びその方途というようなことを計画的に考えて、各開拓地ごとに自主的にやらせておるのですが、その間、もちろん開拓地営農指導員等を通じまして、この事業の円滑化のために指導は期しておるのであります。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 一年の例だけでけっこうですから……。

桧垣徳太郎農林事務官(農地局管理部長)

○桧垣説明員 三十六年の例を申しますと、全体の離農に伴う就業状況を申しますと、農業へ再就職をいたしましたものが二六・六%に相なっております。この農業といいます中には、再び他の開拓地に入植する場合、それから既存農村に溶け込んで農業へ帰っていく場合、それから海外への移住が含まれております。それから林業に四・六%、漁業へ一・八%、鉱業へ一・七%、建設業へ八・九%、製造業に就職いたしましたものが二〇・一%、卸売・小売業に八%、運輸通信業が三・三%、電気・ガス・水道事業に〇・四%、サービス業が四・八%、公務二・七%、日雇い一〇%というふうな事情でございまして、この調査報告を受けました際にまだ未就職の状態のものが七・一%残っておった。これが三十六年度の報告を受けました数字のあらましでございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 まだ詳しくお聞きしたいことがありますが、大体私の心づもりで七時半くらいに終わらせたいと思いますので、次に金融公庫の総裁にお伺いしたいと存じます。  今まで融資された開拓関係の資金で、その総額がどの程度になっておって、そうして償還期限がきて払えないものがそのうちのどの程度であるか、これをお聞かせ願いたいと思います。

清井正農林漁業金融公庫総裁

○清井説明員 ただいまの御質問の点でございますが、私どもの公庫で開拓関係に貸付をいたしました総額が四十三億二百三十万六千円になっております。そのうち期限がきて返していただいたものもございますので、現在の……

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 期限がきて返せないもの……。

清井正農林漁業金融公庫総裁

○清井説明員 わかりました。御指摘のいわゆる延滞になっておるものの数字でございますが、その延滞になっておる数字が、三十七年三月末現在でございますが、一億二千七百四十一万八千円ということになっておるわけでございます。従いましていわゆる開拓農家貸付残高が三十億七千五百万円でございますから、約四・一四%程度が開拓関係に貸し付けいたしたものの延滞になっておる金額でございます。これは昨年度末——昨年度といいますか、三十六年度末の数字でございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 一億数千というものは純粋な延滞なんですか。その期限は延長したが、利子は払っておる、そういうものではないのですね。

清井正農林漁業金融公庫総裁

○清井説明員 これは開拓者がいろいろ事情を訴えまして、償還困難な場合におきましては相談をいたしまして当初の条件を変更いたしまして、いわゆる条件変更ということをいたす場合が多いわけでございます。条件変更をいたしますればこれは延滞になりません。従いまして条件変更しない以前の状態でございますが、一定の償還期限が参りましても元金が返せない、こういうものの数字がただいま申し上げました数字でございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 私、数字がえらい少ないので、今の点をお伺いしたのですが、その条件変更したものを加えますとどの程度になりますか。大まかな数字でけっこうです。

清井正農林漁業金融公庫総裁

○清井説明員 条件変更いたしました数字はちょっと私どもつかんでおりませんので、はっきり申し上げられませんが、三十六年度中で条件変更いたしました数字はそう大きなものではございません。数十件ぐらいだろうと思います。これは主として具体的な申し込みによりまして個々に当たって変更いたしております。そのつど報告がくるわけでございますけれども、私ども、はなはだ残念ながらただいま数字ははっきりつかんでおりません。ただそう大きな数字じゃありません。二十件か三十件くらいのものが条件変更をいたしたものではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 これは年度別の貸し出し、それから返済を具体的に調べて参りますと、今清井さんのおっしゃったことは帳面づらであって実際にはもっと違ったものが出てくることは明らかでありますが、今それを論議いたしておりますと時間がかかりますので、問題はこの開拓の、ほとんど、先ほどお尋ねいたしましたように二十一万戸のうち六万戸も離農するということは、これは返済金に追われておる、利子を払うためにすべてをつぎ込んでおる、しかしその利子も払えないからまた借りて、その借りた分を充てておる、だから元金が幾らであったか、今自分で返さなければならない額が幾らになっておるのか全然つかめてない。知っておるのは清井さんだけだというような状態になっておるのが私は実態だと思うのであります。ただ償還期限がきてこれだけの延滞になっておるからというような形でながめておると、私はこの開拓農家の離農というものはますますふえていく一方だ、このように思うわけであります。  それで農林政務次官にお伺いをしたいと思うのでありますが、私たち今本会議におきまして海運に対する基盤強化の利子並びに延期の法案の趣旨説明を聞いて参ったばかりであります。津島さんはもうこのような実態について十二分に御承知のはずなのに、もちろん開発銀行と農林漁業金融公庫という工合に系統は違うかもしれませんけれども、このようなものに対してこそ私はしかるべき措置がとられていなければならぬと思いますのに、なぜこういった法案の準備をなさらない、その理由についてお聞かせを願いたいと思う。

津島文治自由民主党農林政務次官

○津島政府委員 お答え申し上げますが、開拓者のこの借金の実態というものにつきましては、私は相当悲観的な見方をいたしております。ただいま自分ではどれくらいの、どういうふうな借金があるのか、これを具体的に申し上げるなにはございませんけれども、私の実際に見聞しているところによりますと、決してなまやさしいものではないと思うのであります。従いまして、先ほど私は第一に答弁を申し上げました通り、この実態というものをほんとうにやはり究明をいたしまして、そこに先ほど、痛いけれどもと申しましたが、痛くてもやはり根本的な救済の道を講じて参らなければ、せっかくやりましたこの開拓、非常に意気込んでやりました開拓というものが元も子もなくなるのじゃないかということを非常に心配いたしておるのであります。いま少しく時間をかしていただいて、農林省部内とも十分これを前向きの姿勢で検討して参りたい大きな問題である、私はかように考えるのであります。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 農林政務次官、お人柄だから僕はもうこれ以上言いませんが、実態はそういうことじゃないのですよ。もうどたんばにきているのですよ。どたんばにきているというよりも、もう二割五分は落っこっているでしょう。それを放置しておくのかどうかということをお伺いしておるのです。冷酷むざんですよ、これは。農林行政とはいわれませんよ。開拓行政とはいわれませんよ。あなた方が数字の上で考えておられるような実態じゃないわけです。  そこで大月さんにお伺いしたいと思いますけれども、本日提案になりました海運関係のものと今私がお伺いいたしました開拓に対するものとが性格の異なるものであるかどうか、もし性格の異なるものであるとするならば、その異なる点についてお聞かせをいただくと同時に、大蔵政務次官の方からあわせてそれを敷衍して政府としての考え方をお聞かせいただきたいと思います。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 海運に対する対策につきましては、一つは最近の海運界の状況からいたしまして金利の負担が非常に重い、これによって国際競争力にたえ得ないのではないかという問題から、これに対する利子補給でございますとか、あるいは過去の貸金に対する利子の徴収猶予でございますとか、そういうような対策を講ずるということが第一点でございまして、第二は、今回の海運界に対する措置によりまして、各グループにつきまして自己保有五十万トンその他提携用船等を含めまして集約された結果百万トン以上という、一つの船体の集団によりまして国際競争力を強化しよう、それによって全体としてのわが国の海運界の国際的な地位を伸長するということ、あわせて国際収支の改善に資したいという、産業政策、海運政策の大きな目標があるわけでございまして、単に海運界を救済するという趣旨のものではないわけでございます。しかもこの根本的な対策を講じますまでには、御存じのように戦後十年余りにわたりまして、いかにして海運界に対する再建方策を講ずるかということがきわめて深刻に真剣に論ぜられた結論であったわけでございます。この開拓農家の問題は私は若干それと面が違うと思うわけでございまして、積極的な開拓、農業政策の面からする開拓の政策ではございますけれども、その生じました結果につきまして国がどういうようにそれぞれの農家——開拓者に対して措置をしていくかという問題であろう、そういう意味で、これは農林省のお考えによるところだと存じますけれども、財政上金融上その他できる限り手厚いこれに対する対策を講ぜらるべきものだと存ずるわけでございまして、国が対策を講ずる必要があるという点は同一でございますけれども、観点は相当違った面に置いて違った対策を講ぜらるべきものだ、かように考えておるわけであります。

原田憲自由民主党大蔵政務次官

○原田政府委員 今の開拓農民に対する措置をどうするかということに落ちついてくると思うのでありますけれども、ただいま銀行局長から造船の問題と開拓農民の問題とは少しく様子が違うという発言がございましたが、私もそのように考えます。不況産業というものは、今日石炭あるいは化学工業、あるいは鉄鋼、あるいは造船というようにいわれておりますけれども、全般的に見ますときに、やはり日本の経済というものは伸びていっている。経済が伸びていっておるということは、簡単に申しましたならば、企業というものが利益を出しておるというように解釈していいと思うのであります。なぜ開拓農民が、二十一万戸あったのが六万戸も逃げ出したかということは、先ほどから農林政務次官が言われたように、金利に追われて食っていけなくなって逃げ出してきたという問題もあろうと思います。しかし、金利に追われて逃げ出さなくてはならないという基盤というものを考えなければならないと私は思う。ゆえに今後この開拓農民をどうしていくかということについて、責任官庁である農林省の方から、こういう方法でわれわれ処していきたいということを申し入れられ、財政当局である大蔵省といたしまして、十分納得がいくものであるならば、国家として十分な措置をしなければならぬと考えております。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 先ほど銀行局長の答弁の最中に津島さんが首をひねられた。ひねられるのがもっともだと思うのです。しかし委員会で首をひねられるのがあなた方の仕事じゃない。今、原田政務次官から申し入れがあればと、今この時点において申し入れがあればという答弁が出るところに問題があるのです。私たちは、農業基本法の問題について基本的な態度がなってないということを終始論議して参りました。さっきの農林大臣の答弁にもありまするように、その端々にも、零細な農家は切り捨てていくのだ、開拓行政はもう手のつけられようがないからどうにかなれというのが現在の農林省の——農林省というよりも政府の、私は率直な態度じゃないかと思うのです。これは冷酷むざんですよ。ですから、この前、参議院の農林水産委員会におきまして、やはり今度の海運関係と同じような措置をいたしてもよろしいかのような重政農林大臣の発言があったやに聞いておりますけれども、それをどのような形で、いつ具体的に実現されるのか、農林政務次官のお考えをお聞かせ願いたいと思います。私はここで断わっておきますけれども、勉強したいと思います、検討したいと思いますという大臣、政務次官の答弁はノーということと同じですから、そういった答弁ではなくて、私の要求する方向においての御答弁を願いたいと思います。池田さんに、ぜひ一ぺん委員会における大臣の答弁のあり方について根本的な点で私はお伺いしたいと思っておりますし、国会法の立場からも検討しなければならないと思っておりますが、そういった角度からお伺いしておりますから、しっかり御答弁を願いたいと思います。

津島文治自由民主党農林政務次官

○津島政府委員 ただいまのお話はよくわかるのであります。いろいろ今日困っておる階層があるのでありますが、そのうちで何としても気の毒な立場に置かれておるのが開拓民である。これはただここでお尋ねがあったから私はそう言うのではなくて、私は実際目に見て、あるいはまた耳に聞いておるのであります。従いまして、いかにそれが深刻なところに追いやられておるかということは、ほんとうに深く私は認識をいたしておるつもりでございます。従いまして、さっきからお答え申し上げる通り、私は決してその場限りでお答え申しておるのでもなく、これはほんとうに日本の農政の上で今後われわれが取り組んでいかなければならぬものであると強く考えておりますから申し上げるのであります。しかしながら事は非常に重大であります。先ほど銀行局長が申し上げました通り、あの海運の問題にしましても、今日の結論を得るまでには、いろいろの審議機関を通じて非常に慎重な態度で臨んでおります。従いまして、やはり私どもも、どこまでも前向きで進まなければなりませんが、ただいま私から、いつ、どういう形でやるということを申し上げるのは、どうも私の領域から少し越えておるように思うのであります。参議院で大臣が御答弁したことを私承知しないのでありますが、ただいま承ると、大臣もこの問題に対しましてはほんとうに真剣にお考えのようでございますから、この問題の解決につきましては、農林省の大きな問題として進むべきである、かように私は確信をいたす次第であります。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 農林政務次官の真摯な御答弁を伺いまして、私も非常にうれしく存じます。ただ私は、政治家津島さんとしての御答弁として伺っておきたいと思いますから、これをもって私の質問を終わります。

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 本日の連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後七時三十八分散会

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