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43回国会衆議院1963/05/08

農林水産委員会 第25号

発言数
35
登壇者
4
会派数
1
開催日
1963/05/08

会議録

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 これより会議を開きます。  農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。倉成正君。

倉成正自由民主党

○倉成委員 私は、農業災害補償法の一部改正に関する法律案につき、質疑を行ないたいと思います。  多年の懸案でありました農業災害補償法の改正について、建物共済等任意共済についての農協団体と農業共済団体間の意見の調整がまとまり、今国会にこの改正案が提案の運びに至りましたことは、まことに御同慶にたえない次第であります。毎年百数十億の国費を投じながら、この制度に関し農民の側からすれば種々の不平不満があり、制度の改正を要望する声は全国に満ち満ちておりました。まことに遺憾でございます。今次の改正は、これらの農民の要望にこたえたものと思うのであります。以下、若干の点について質疑を行ないたいと思います。  まず第一に、今回の制度改正案は第四十通常国会における衆議院修正案の法案を基礎としておると思いますが、この衆議院修正案と今次の案との相違点はどういう点であるか伺いたいと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 今回御審議をお願いいたしております災害補償法の一部改正法律案については、おおむね前の国会におきまして衆議院におかれまして修正されました案を基礎にいたしまして、それに法律技術的な文章の上での多少の手直しをいたしたものでございます。  おもな修正と申しますか、手直しいたしました点を申し上げますると、まず昭和三十四年度から実施してまいりました乳牛加入奨励金でございますが、これは三十八年度からさらに予算を増額いたしまして、家畜加入推進奨励金ということにいたしたのでございます。それに伴いまして附則の一部の手直しをいたしたわけでございます。  それからその次に、これは倉成先生よく御承知と申し上げるよりも、御自分でそのあっせんに当たられたわけでありますが、共済団体と農協系統団体との任意共済に関しまする意見の調整ができまして、その上に立ちまして任意共済事業に関しまして、建物共済でございまするが、その関係の共済団体の連合会の手持ち責任の一部を農協系統団体の全国団体に再保険するための規定を設けたことでございます。これが第二の手直しでございます。  第三といたしましては、施行期日の手直しでございますが、これは当然前の法案とは変わりまして、昭和三十九年の水陸稲からこれを適用するということにいたしたのでございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 そこで端的にお尋ね申し上げたいと思いますが、今回の改正が農業共済団体の事業運営についてどのような改善になるか、具体的にお答えをいただきたいと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 今回の改正によりまして、農家の従来この制度に対しまして持っておりました不満は、完ぺきとは申し上げかねるかと思いまするが、相当程度緩和されるかと存ずるのでございます。たとえば末端におきます共済組合の責任を拡充いたしまして、その結果として地元に備荒貯蓄的な積み立てができる。その結果また無事戻しも拡充できるというようなことによりまして、特に低被害地の農家の不満というものが相当程度緩和されるのではないか、かように考えておるのでございます。  そのほかの面におきましても、たとえば損害のてん補を充実するというような改正をいたしておりまするが、そういう点からいいましても、農家にとりまして前向きの改正になっておる、かように考えておるのであります。その結果といたしまして、従来農家としましてはいろいろな不満から掛け金の拠出をためらう、あるいは損害評価につきましてもいろいろな不満を感じておったのでございますが、それらが幾らかでも緩和されまして、掛け金の徴収が円滑になる、あるいはその他の種々の面で農家としても従来よりは気持ちよくこの制度に乗ってこられるというようなことが出てまいるか考えておるのでございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいま局長から種々御説明がありまして、それらの点についていままでの制度よりはるかに前進したことを認めるのにやぶさかでございません。ただし一、二具体的な例について農民の側からする要望と意見を中心にして御質疑申し上げたいと思います。  第一点は、提案理由の第二に御説明がございました画一的強制方式の緩和という点でございますが、従来非常に災害の少ない地域の農家においては、この制度はあってもほとんど実益がないからやめたいという声がかなり多いわけであります。もちろん保険制度そのものに対する理解の不十分から出ておる面もございますけれども、しかし端的に恩恵を受けることが少ないからやめたいという声もまた真実の声であろうと思います。そういった災害の非常に少ない地域、また共済制度を必要としないというふうに考えている地域についての対策としてはどういうふうにお考えになっておるか、まず一点をお尋ねしたいと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 従来この制度が強制加入の方式をとっておりました関係上、制度の運営がその定めてあるとおりに適確に運営をされませんと、どうしても不満が生ずることが多かったと考えるのでございます。そこで三十二年でありましたかの改正におきまして、一部任意加入の道を開いたわけでございます。それは水陸稲、蚕繭につきましてある作付面積なり掃き立て箱数なり一定数量以下の農家は必ずしも加入を要しない。その任意の自発的な意図によりまして加入したい場合は加入できるという道を開いたのでございますが、今回さらにその制限の限度を拡張いたしまして、たとえば水陸稲につきましては合わせて一反歩以下と従来なっておりましたのを、農林大臣の定める基準によりまして知事が定める面積ということに制度を改めることにいたしました。これによりましてその地方の実情によりまして組合ごとに一定面積までの農家は必ずしも加入しなくてもよろしい、任意に加入していいというように改めまして、従来の画一的な強制加入の方式を緩和いたしたい、かように考えておるのでございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいまの御説明で一定の作付面積についての条件の緩和ということはよく理解できるわけでありますけれども、相当規模の面積を持っておりながら、災害が少ないからこの制度はやりたくないという農家がかなりあるわけです。こういったものをどう取り扱っていくか。もちろん保険でありますし、この制度の理解ということが一番根本の問題になろうかと思いますが、災害の少ないところについてこういった声があることは事実であります。これらについてどういう処置を考えておるか。また、今回考えることができなかったとすれば、将来どういう点で配慮していくかということがやはり非常に大事なことではないかと思いますので、もう一度だけお答えをいただきたい。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 でき得れば、この農業災害補償制度毛全体として任意加入の制度にいたしまして、農家が自発的にその選択によりまして加入してもらうという方式をとるのが理想となるかと思うのでございます。たとえばアメリカなどにおきましては、非常に大規模な経営で政府の出資する公社が保険をやっておりまするが、これは任意加入の方式をとっております。しかしながらわが国のようにきわめて零細な経営におきましてその方式をとりますと、どうしても逆選択の傾向が出てまいるかと思います。また最近におきましては、災害の発生が地域的に固定する傾向がございます。ある地方においては比較的災害の発生が少ない、そういう地帯におきましては、農家としてはどうも災害が少ないのにこの制度に強制的に加入するということについて不満を感ずるかと思うのでありますが、しかしなお、最近におきましても、災害はやはり思わぬときに起きているという実情にあるかと思うのであります。それらをあれこれ勘案いたしますると、やはり現在の実情におきましては、強制加入の方式を全部改めて任意加入にするということは、制度の存立そのものを困難にするということからいたしまして、継続して強制加入の方式をとってまいらなければならぬと考えるのでございますが、一面そういった農家につきましては、漸次掛け金の負担あるいは賦課金の負担を軽減する、また無事戻しの拡充をはかるというようなことによりまして、さらにもっと基本的には、今回の改正の重点になっております末端の責任を拡充いたしまして、地元において積み立てられた金は地元において活用されるという方式をとることによりまして、そういった低被害地帯、しかも相当規模の経営の農家に対する不満の緩和に役立ててまいりたい、かように考えるのでございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいま局長から御答弁がありましたとおり、制度存立のためには現在のような制度をとるのはやむを得ないと私も考えるわけでありますが、先ほどからるる指摘申し上げましたような農家の不満という点について、慎重な配慮と今後の対策を考えておくことが必要ではないか。特にこの制度に対する理解を農民の中に深めていくことが今日非常に大切なことであると思いますので、これらの点についてはさらに御研究をお願い申し上げたいと思います。  同時に、いまの問題と関連するわけでありますが、今次の改正によりまして、過去の被害率を基準として基準率を設定いたしますと、新しい共済掛け金率ができ上がってくるわけであります。そうなりますと、一部の地域においては農家の負担がふえてくるという現象が起こってくるのではないかと思います。これらの地域でどういう地域がこのままのやり方でいくとそういう負担がふえていくかどうかということ、もし万一この改正によってそういう農家負担がふえるということになりますと、理論的な議論は別として、受け取る農民側からいたしますと、改正によって前進したにかかわらず負担がふえてくるということでは、どうしてもこれは政治の立場からしますとおもしろくないし、適当でないと考えます。そういった点についてどういう配慮をしておられるか。少し具体的にお伺いをいたしたいと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 ただいま御指摘のありましたように、今回の改正によりまして、共済掛け金基準率の算定方式が基本的に変わりましたために、一部においては農家の掛け金が軽減されますが、逆に一部において増すことも起こり得るのでございます。  これはまず設定方式の改正について申し上げますると、従来は県別に被害率を出しまして、それを通常、異常、超異常という災害の区分を設けておったわけでございますが、その県一律の被害率を定めて、さらにその県内を十八の危険階級というものに分けまして、その階級にそれぞれの地域を充てていく、組合を充てていくという方式をとりましたために、そこに無理があったわけでございます。今度の改正におきましては、逆に県一律のものをきめることなく、組合ごとに被害率を出しまして、過去の被害率によりまして基準率をきめまして、その組合の実態に即応する掛け金率を定めるということを根本にいたしたのでございます。これは手数からいいますと、非常な煩瑣なことでございまするが、そういう方式をとったわけでございます。  さらにその掛け金につきましての国庫負担の方式につきましても、根本的な改正をお願いいたしておるわけでございます。その国庫負担のやり方につきましては、従来は県ごとに超異常、異常、通常の区分によりまして、超異常については全額国庫が負担する、それから通常、異常につきましては、国庫が二分の一負担する、こういう方式をとっておったわけであります。非常に画一的であったわけでございますが、その結果といたしまして、A県におきましては被害率が高いのに負担は軽い、ところがB県においては、同じ条件でも負担が重い、こういうような不公平が出ておったわけであります。被害率が低くて毛負担があるいは重かった。そういうように、全国まちまちにかえってなっておったわけでありますが、これをそういうことのないように、やはり組合ごとにきめてまいりまして、その組合ごとの国庫の負担につきましては、所得税のようなやり方で超過累進方式をとりまして、被害の軽いところは国庫負担率を軽く、重いとこうは高く、小刻み累進方式をとるようにいたしたわけでございます。その結果といたしまして、同じ条件の村、同じ条件の組合は同じ負担をする、国庫は同じ負担、農家も同じ負担をする、こういうことにいたしたい、かように考えておるわけでございます。その結果、制度の基本的な改正によりまして、結果として農家の負担が従来よりも増すところが一部にあらわれております。これは実態はこの制度改正が成立いたしましたならば、全国の全部の組合につきましてあらためて算定いたしますので、その結果を待ちませんと正確なことはわからないのでございますが、今までの十分の一の払出による実態の調査によりますると、やはり負担がふえるところはあるようでございます。それらにつきましては、すでに先般衆議院で御修正がありました際に、附則におきまして、そういう組合につきましては国が当分の間補助をするという規定を入れられたわけでございますが、その規定をそのまま今回の改正法律案におきましても受け継ぎまして、必要な予算措置を講じまして、農家がたとえ理論的には正しい改正でありましても急激に負担がふえるということは好ましくありませんので、当分の間、その規定に基づきまして国が補助金を交付するということを考えてまいりたい、そういうことを考えておる次第でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいまの局長の答弁で明確になりましたように、今度の改正によって農家の負担はふえないというふうに理解いたしたいと思います。したがいまして、これらの問題は非常にきめのこまかい、具体的な地域地域の実態を明らかにすることが先決になるわけでありますが、そういった実態が明らかになりました上において、ただいまの御答弁の趣旨を完全に実施していただくように特に要望いたしておきます。  次に、今回の改正に伴い、共済連合会のいわゆる赤字、事業不足金というのが大きな問題になってくると思うのでありますが、この事業不足金の実態、また、黒字のところもかなりあるようでありますから、その実態をまず明らかにしていただきたいと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 連合会の現在までの赤字の、不足金の実態でございますが、昭和三十七年度末におきまして剰余金を生じている連合会、つまり黒字の連合会は二十一ございます。その黒字の額は約三十七億円でございます。逆に不足を生じている連合会、つまり赤字の連合会は二十五県ございまして、その赤字の額は約四十六億円となっておる状況でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 この赤字の二十五県について四十六億生じた原因は、どういうものによるものかお伺いしたいと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 赤字を生じた原因につきましては、私どもといたしましてもずいぶんその分析につとめてまいったのでございます。その原因は、保険の複雑な制度のためになかなかつかみがたいのでございますが、中にはあるいは運営の不十分というようなこともあるのではないかとも考えられますけれども、やはり過去におきまして災害がかなりひんぱんに到来した時期がございまして、特に二十年代におきましては二十八年災、二十九年災というような大災害も続いたような年もございまして、これは保険の収支の長期の均衡ということからいたしまして、どうしましてもそういう時期がありますと、赤字を生じやすいということにならざるを得ないのでございます。その赤字に対しましては、農業共済基金から低利の融資をいたしておりますが、逆に災害の少ない時期が相当期間続きませんと、その借り入れ金の利子が逆に累積するということもあったのでございます。その結果といたしまして、こういう赤字の状態を生じたのでございますが、ただ最近におきましては、赤字の連合会の数がやや減りつつあるのでございます。それから保険設計上の欠陥があるかどうかということにつきましても、これは長期の均衡という点からいいますと、必ずしもそういうことは言い切れない、やや減る傾向からいいましても、また災害が最近は漸次減る傾向があるという点からいいましても、今までの設計で基本的に欠陥があったかということもなかなか言い切れませんので、この問題はなかなか重大な問題でございますが、一応さらに推移を見まして、今回の改正の結果どういうふうになるかというようなことも見まして、今後の対策も考えてまいりたい、かように考える次第でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 保険設計の理論からいたしまして、この期間を長期というのがどの程度にとるかということによって、この赤字に対する見方も変わってくると思います。これは議論の分かれるところでありますから、あえてここで申し上げたいと思いませんが、そのほか事業運営がまずかったから赤字が出たというのもあろうかと思います。しかしいずれにしましても、二十五県について四十六億の赤字があるということは厳然たる事実でございます。いかに制度がりっぱなものができましても、こういった四十六億の赤字をかかえておるということになりますと、これが大きな重圧になりまして、やはりこの共済制度そのものの運営について支障を来たしやしないか、こういう必配が私の申し上げたいところであります。したがってもう少し推移を見ようという局長の御趣旨もよく理解できるわけでありますが、やはりこれらの原因の究明と同時に、この負担をできるだけ軽減してやって、こういう重荷をはずしてやって、ひとつ事業本来の姿に邁進するようにしてやるということについて、積極的な対策を研究していただきたいと思いますので、そういった点についてもう一度お答えをいただきたいと思います。同時に、農業共済基金に対しても資金の手当が必要でないかという点もあわせてお答えいただきたいと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 まことにごもっともな点でございまして、今回の改正によりまして、おそらく制度は相当改善されると思うのでありますが、その前にこの赤字問題が横たわっておることは、せっかくの改正が十分な効果をあげ得ないという御心配の点につきましては、私どもも十分その点を見きわめまして善処してまいりたいと考えるのでございます。  農業共済基金に対する融資でございますが、現在政府が相当額出資いたしておりますが、その運営によりまして一応現在においてはまかなえる。一時的な不足金につきましては農林中金から一時借り入れをいたしておりますが、これは長く焦げつくような性格のものでもございません。しかしながら、連合会の赤字不足金とにらみ合わせまして、今後これにつきましてもせっかく善処するようにいたしてまいりたい、かように考えます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 そこで少し角度を変えまして、今回の改正は農作物共済を中心にしておる改正になっております。しかし蚕繭、家畜についても今日のように非常に情勢が変わってきておりますので、これらについても当然すみやかな改正を行なうべきであると考えるわけでありますが、今回の改正には触れてありません。これはどういうわけか、また今後の対策をどういうふうにお考えになっておるか、伺いたいと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 御指摘のように、今回の改正は農作物の共済を取り上げておるのでございまして、蚕繭、家畜等につきましてはきわめて——まあ末節と言うと語弊がございますが、こまかい点についての改正でございます。これは何と申しましても農作物共済が制度の中心でありまするし、改善を急いでおったわけでございますが、しかし最近のように選択的拡大というような政策も推進されてまいっておりますし、また養蚕につきましても、今後は協業化あるいは生産性の向上というような政策がさらに推進されるという状況でございまするので、これらの制度につきましても、たとえば家畜につきましては病傷の制度をどうする、あるいは蚕繭につきましては加入の方式なり、春蚕と夏秋蚕との区分というようなことにつきまして、これはまあ単なる一例にすぎませんけれども、制度全体につきまして再検討を要する点も出てまいります。今回の農作物の制度改正が実施に移されますとともに、これらの改正につきましてあらためて検討を加えて、できるだけすみやかに改正の実現をはかりたい、かように考えるわけでございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 家畜並びに蚕繭につきましての改正は、なるべくすみやかにひとつ実施に移していただきたいと思います。  そこで、家畜共済について関係団体から強い要望がありました、病傷部分の掛け金に対して国庫負担をしてほしいという要請があったわけでありますけれども、今回は加入推進奨励金を交付するということになっております。これはどういうわけであるか、また今後これをどういうふうに措置していくかということをお伺いしたいと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 家畜の病傷事故に対します国庫負担につきましては、関係団体からしばしば要望されました。また両院の農林水産委員会におかれましても実現するように決議をされておるのでございます。政府といたしましてもその方向でここ数カ年その予算を要求し、また検討を重ねてまいったのでございますが、ただ申し上げなければなりませんことは、特に乳牛についてでありますが、乳牛の飼育が非常に急激な勢いで増加しておりまして、加入の頭数も増加しておるわけでございますが、どうもまだその病傷の事故率が不安定でございます。これを制度的に病傷関係の国庫負担をやるということも必要かとも思いますが、その事故率はまだ急激に上昇しておるために、非常に高目に出ておるというようなことが考えられますので、その点について若干の疑義が感ぜられるということと、もう一つは家畜の共済制度につきましては、先ほども申し上げましたように、今後は多頭飼育の方向に向かわざるを得ない、また向かうべきものであると考えておりますので、それらをにらみ合わせて、やはり家畜共済制度そのものを今後基本的に再検討を要する面があるということを考えまして、その基本的な再検討とあわせてこの問題については解決をはかってまいりたい、かように考えまして、本年度は従来三種類ほどございましたいろいろな加入奨励金とかそういうものを整理いたしまして、家畜加入推進奨励金を別に設けまして、予算の面におきましても従来の予算を大幅に増額いたしまして、一面におきまして家畜の加入を推進いたしますとともに、反面農家の負担もそういった面から軽減するようにいたしたい、かように考えて、今回は家畜加入推進奨励金の設置によって考えてまいったということでございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいま局長からるる御説明がありましたとおり、現在の段階でいろいろ問題がある点はよくわかります。しかしいずれにいたしましても加入奨励金というような不安定な形ではなくして、制度そのものとして家畜共済について十分な対策を講ずるということが大切であると思いますので、これらの点についてはすみやかにこういう制度が確立するように御努力をいただきたいと思います。  そこで次に御質疑申し上げたいのは、日本農業の新しい分野として私は果樹産業が最も大きい成長部門の一つであると考えるわけであります。しかるにこの果樹につきましては非常に価格の不安定もございますが、特にことし豪雪並びに寒波がありまして、ナツミカンあるいはリンゴその他の果樹につきまして大きな被害を受けたわけであります。しかしこれらの被害を受けた農家にとりましては共済制度がございませんので、一時的な融資を受ける以外にないということになっておることも御承知のとおりであります。したがって日本農業の大きな成長部門の一つであるこういった果樹について共済制度を実施してほしいという要望が各方面から非常に強いわけであります。私どもその一人でございますが、この果樹については価格が米麦のように一定いたしておりませんので、なかなかむずかしい問題があろうかとも思うわけであります。現在までの段階でどういった結論が出ておるのであるか、将来果樹共済制度を実施する見込みが立つものかどうかということを率直にお答えをいただきたいと思います。さらに外国等の事例があればあわせてお答えいただけば幸いと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 果樹関係の共済につきましては、いまも御指摘がございましたように、今後の最も有力な成長部門の一つといたしまして、これについても共済制度を設けることにつきましては、私どもも全く御趣旨のとおり考えるのでございます。でき得れば今日からでも共済団体において果樹共済が実施できることが望ましいのでございますが、先般の豪雪災害に対しましても、その点で何らの対策がとれず、もっぱら金融面において対策を講ぜざるを得ないという状況でございました。これは御指摘のとおりでございます。そこで農林省といたしましては、過去数カ年実際にピックアップした地域におきまして果樹の被害の実態の調査を続けてまいりました。さらに一面におきましては、農家の保険需要あるいは危険意識というようなものにつきましても調査をいたしてまいったのでございます。これにつきましては一応の調査を終了して取りまとめつつあるわけでございます。さらに昨年末から専門家を集めまして、これらの整理と検討をお願いしておるわけでございますが、本年度からは新たに予算をもらいまして、実際に保険設計をいたしまして、これを実地にやってみるという段階に入っておるのでございます。これは実際の金のやりとりはいたしませんが、保険の設計をいたしまして、農家にも記帳してもらい、こちらは——こちらといいますか、共済団体が保険者という立場に立ってやってみる、こういう方式で、数地区におきまして本年度からそれをやってみるという段階になったのでございます。しかしながらいまもお話がございましたように、これは農作物災害につきまして、普通の穀類等につきましても御承知のごとく非常に保険制度がむずかしいわけでございますが、くだものにつきましてはなお一そうむずかしい点が多々ございます。被害の把握あるいは価格保険にするのか被害の保険にするのか、あるいは樹木まで保険するのか、そういった種々解決を要する問題がございますし、漸次被害の統計も整備されなければなりませんので、一日も早くこれを終わりまして実施に移したいのはやまやまでございますけれども、なおしばらくの時間をかしていただきまして、できるだけすみやかに成案を得るように努力をいたしたい、かように考えるのでございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいま局長から御答弁ありましたように、実際の保険設計をして果樹共済が成り立つものかどうかという検討をなさることについては満腔の敬意を表する次第でありますが、ただ保険設計の理論が成り立つまでには、やはりかなり長期の期間を要するし、また価格の概念をどうこれに取り入れていくかということが非常に重要な要素になってくると思います。また果樹も種類が非常にたくさんございますので、なかなか一律にはまいらないと思います。そういうことをあれやこれや考えてまいりますと、果樹の共済の制度としてこれが正式に確立するまでには、かなりやはり率直にいって時間がかかると思います。そうなりますと、やはりこういった保険設計の正攻法で果樹共済の道を検討していくことはもちろん大切でありますが、同時に、並行して別途の対策——具体的に申しますと、たとえば備荒貯蓄的な、比較的景気のいいときにはある程度の金を積み立てておきまして、果樹の値段が非常に下がったりいろいろな災害があったような場合にこれを放出していくというようなやり方を並行して考えてまいりまして、果樹共済が成り立った際にはそれに吸収していくということが現実の対策としては大切なことではないかと思いますので、これは局長の直接の所管ではないかもしれませんので、こういった問題について今後十分御検討いただけるかどうか、津島政務次官からお答えをいただきたいと思います。

津島文治自由民主党農林政務次官

○津島政府委員 倉成委員の果樹の共済に関する御質問でございます。これはいま局長からも詳細に御答弁申し上げたとおりでございます。栽培者の共済制度に対する要望というものは相当古くからでございます。かつまた同時に非常に強いものがあるのであります。しかしただいまもお話を申し上げましたとおり、これを制度化してまいります場合におきましては、幾多の困難がございまして、ある場合においては、これは制度化するということはなかなか容易なものではないというふうに、ある程度失望したこともあったのでございますが、その後農林省においてはいろいろ研究を積み重ねました結果、これは制度化ができるというような確信を得て、それに向かって進んでおるような状態でございます。しかしながらこれはなかなか容易に完全な満足するようなものにならないということも考えられますので、一面それを補う方法も講じなければならないのは当然でございます。したがいまして、ただいま倉成委員からの、備荒貯蓄というようなものでこれを補ってまいる考えはないかというようなお話でございますが、これはまことにごもっともなことでございまして、せっかくやはりこういう面も研究と奨励とを重ねてまいらなければならない、かように考える次第であります。

倉成正自由民主党

○倉成委員 この問題は非常に重要な問題でございますので御検討いただきたいと思います。  そこで次に御質疑申し上げたいのは、この制度改正は農家の多年の要望でありまして、この要望を十分とは申しませんが、ある程度満たしたものであると考えるわけでありますが、この制度の改正が具体的にどうなっておるかということについて末端の農家はまだ十分承知してない向きがございます。もちろんこれは法律が通ったあとのことになるかもしれませんけれども、この制度の普及徹底ということが、今後共済制度が十分な成果を発揮していき、生命を保っていく根幹になるかと思いますので、この制度改正に関する農民に対する普及徹底ということについて、どういうふうな対策を講じておられるかお伺いしたいと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 制度の改正が成立をいたしました際に、改正の趣旨と内容を十分農家まで浸透、普及させることは最も肝要でありますことは、ただいま御指摘のとおりでございます。政府といたしましては、そのために予算を一千万円以上本年度計上いたしまして、成立の暁には、末端の農家に種々な形でいろいろラジオその他のものも通じ、あるいは新聞その他リーフレットとかいろいろな手段を通じまして、農家に浸透をはかりますとともに、十分説明の機会をつくり、またさらに連合会の職員あるいは組合の職員に対しましても、随時講習会等を開きまして、趣旨の徹底をはかりたい、かように考えておるのでございます。それらにつきましては、なお今後におきまして十分な計画を立てまして、遺漏のないようにいたしてまいりたいと考えます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいま局長からお話がございましたが、一千万円程度の普及宣伝費を組まれておるということはまことにけっこうなことでございます。しかし私は特に申し上げておきたいのは、国費を百四十五億ことし大体使うという非常に膨大な国費を使いながら、この制度が従来はあまり歓迎されなかったという事実にかんがみまして、さらにこの制度を十分な改正をして、農民のための利益をはかろうというわけでありますから、薬の広告の例を引くと恐縮でありますけれども、百四十五億の国費を投ずるに比しては、一千万円のそういうPR費というものは、まことに微々たるものではないか。もっと思い切って映画もつくる、テレビも利用する、ラジオももちろん、紙芝居もやり、リーフレットもつくる、新聞もつくる、もうあらゆるマスコミを利用して、農林大臣以下全力をあげて、ひとつこの制度の普及徹底をはかり、保険思想の理解を深めていくというくらいの態勢をやらなければ、なかなか理解をほんとうに求めるというのはむずかしいのではないかと思うわけです。ですからひとつ金額や方法については、私がとやかく申し上げませんけれども、もっと積極的な理解、徹底を深めるように努力していただきたいという御要望を申し上げたいと思います。  そこで次にお尋ね申し上げたいのは、任意共済をめぐりまして、農協団体と共済団体との覚え書きが交換されておるわけでありますが、この覚え書き交換後現在まで具体的にどういうふうに事務が進んでおるか、またこの覚え書きに基づく農林省の指導方針というか、どういう心がまえでこの両団体の調整をはかっていくかということをお伺いしたいと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 三月の末に両系統団体の覚え書きの調印が幸い行なわれまして、いよいよそれに基づきまする態勢の整備の段階に入ったのでございますが、この覚え書きは、法律が成立いたしまして、実施に移ることを前提にいたしておりまするので、ほんとうにその具体化がはかられまするのは法律の成立後になりまして、覚え書きの明文におきましては来年の四月一日から実施するということになっておりまするが、しかしそれまでに相当な準備を整える必要があるわけでございまして、農林省といたしましては、この両系統団体の覚え書きにつきましては現段階におきましてまことに時宜を得たものと考えまして、それをそのまま尊重いたしまして実施に移すように推進してまいりたいと考えておるわけでございますが、その後におきまして農林省としましては二、三の県におきまする覚え書きの適用についての疑義等についての解決についていままで努力してまいった状況でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ひとつこの覚え書きの趣旨を十分生かしていくように農林省でも十分な御配慮を特にお願い申し上げたいと思います。  そこで私は特にこの際強調したいと思うのでありますけれども、この農業災害補償制度というのはわれわれの先輩が非常な努力、いろいろな困難を克服してつくり上げた制度でございます。同時に時代の変遷に伴いまして幾多の批判があったことも事実でありますけれども、もしこの制度を一たん失ってしまったならば、この制度を再びつくり上げるというためにはこれは非常な困難、相当な年月を要することは明らかであります。したがってこの災害補償制度というのを今日の段階においていかに認識していくか、災害補償制度の理念をいかに確立していくかということが私は一番大切なことではないかと思うわけであります。特に今日構造改善あるいは主産地形成と新しい農政が展開されつつあります。こういった中で農業災害補償制度、農業保険制度がどういう地位を占めていくものか、農業金融との関連性はどういうものであるかというはっきりした理念と、他の農業施策との関連性を明らかにしていくということが私は一番今日大事なことであろうかと思うわけでありますが、これらの点についてどういうふうにお考えになっているか、明確なる御答弁をお願いしたいと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 まことにごもっともな点でございますが、今後の農政上農業の構造改善あるいは主産地形成という方向が強く打ち出されておりまして、それを推進することは最も眼目と考えるわけでございますが、農業災害補償制度はその裏づけとしてつまり構造改善を進め、主産地形成を進めるための農家の安定的な側面をになうものとして今後整備拡充されなければならない、かように考えるのでございます。たとえば主産地形成につきましても果樹部門の主産地が形成されていくということになりますと、それを促進し、またそういった農家の経営の安定をはかるには果樹部門の共済制度が整備されていくというようなことが、考えられなければならぬということでございます。また、いま御指摘のありました金融その他の施策と総合的に運営されなければならぬという点につきましても、全く御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましてもいろいろな長期低利資金の貸し付けにあたりましては、たとえば家畜につきましては家畜保険に加入していること、それを条件にして金を貸し出す。これが農家の負債を埋めて安定をはかる必要上ほんとうに大事なことではないか。またそれは貸す面からいっても円滑に貸せるゆえんでもございますので、これは一例でございまするが、金融の施策と保険の施策というものは相まっていって最も効果が発揮される、こういうように考えるのでございます。補助金政策にいたしましてもそうでございます。補助金を十分交付しても、一面において災害の際にその成果が奪われるようでは何にもならないわけでございますから、それらの総合運営につきましては、農林省といたしましては一段とくふうをいたしまして、十分御趣旨に沿うように努力すべきものと考えておるものでございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいま局長からるる御答弁がありましたが、新農政の中における農業災害補償制度をいかに位置づけるかということについて、ひとつ今後とも十分な御研究と対策について配慮をお願いしたいと思います。  最後に申し上げたいと思いますのは、この災害補償制度が相当の長い歴史を持ち、非常にじみな仕事であり、農民の中にも相当な不満がございますが、これらのじみな目立たないけれども非常に重要な役割を果たしてまいりました農林省の農業保険課また全国の農業共済団体の役員、職員の方々には非常な御苦労をされてきたことと思うわけであります。そこで農林省の保険課の方々は別といたしまして、共済団体の職員等の身分が非常に不安定でありますと、いかにりっぱに制度が改正されましても、十分な運用を発揮することはできない。毎年毎年予算の時期になりますと、定員を削ったり、あるいはベースアップの問題でいろいろ苦労するということになっておりまして、まことに遺憾なことと思うわけであります。これらの災害補償制度に携われる方々の身分の安定、処遇の改善という点についてどういう決意をもって臨んでおられるかお伺いをしたいと思います。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 共済団体の職員の身分の安定と待遇の改善の問題でございますが、まず待遇の改善につきましては、年々政府といたしましては、予算の面におきましても充実しその改善に努力いたしておるのでございます。これは一面におきまして、農家の賦課金の負担を軽減するという点からも非常に必要なことであると考えまして、昨年度においても一般のベースアップのほかに、若干の給与の改善をはかる予算措置を講じたのでございますが、今年度におきましては、さらに従来補助金としては計上されておりませんでした期末手当を、一・二カ月分でございますが、新たに計上することにいたしまして、その充実をはかっておるのでございます。これは今後ともさらに改善の努力を要するものと考えておるわけでございます。もちろん身分につきましても待遇の改善と並びまして実質的に待遇もよくいたしますとともに、その身分も安定できるように、これは年金制度等におきましても考えておるわけでございますが、一面仕事の少数制による能率化ということも今後保険制度の運営上必要であると思うのでありますが、事業を拡充いたしましても、人は従来の人間でやれるというようなくふうを今後必要といたすと思うのでありますが、できるだけその安定をはかることは制度の運営の根本でもございますので大いに努力してまいりたいと考える次第でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいままで数点につきまして御質疑を申し上げましたが、今次の改正は決して満足すべきものではないけれども、従来のいろいろな欠陥を改めようとする点について一歩前進したものであり意欲に満ちたものであることを認めたいと思います。したがいまして、ただいままでいろいろ御質疑あるいは御要望を申し上げた諸点につきましては十分配慮して今後の運営また改善の方途を講ぜられんことを要望いたしまして質疑を終わらせていただきます。

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 本日はこの程度にとどめます。次会は明九日午前十時から開会することとし、これにて散会いたします。    午前十一時三十六分散会

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