農林水産委員会 第6号
- 発言数
- 268 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/02/12
会議録
○長谷川委員長 これより会議を開きます。 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の通告がありますので、これを許します。安井吉典君。
○安井委員 ただいまの二法案につきまして、きょうは基礎的な問題数点につきましてお尋ねをしたいと思います。 まず初めに、現在の農業協同組合の系統金融の問題でありますが、私どもも見ておりまして、いろいろ問題があるようにも思うわけでございますが、農林省として、その問題点をどういうふうに把握されておりましょうか、それをまずお伺いしたいと思います。
○松岡(亮)政府委員 系統金融につきましては、私どももいろいろ問題があると考えておるのでございます。これを一々列挙しますのはなかなか大へんでございますが、主要なものを二、三取り上げてみましても、たとえば、これは季節的な関係もありますが、余裕金が相当系統外に貸し出されておる現状である。農村の資金需要は、これはなかなか把握いたしがたいのでございますけれども、相当強いものがあると思っておりますが、それに対しまして系統外に相当流出しておるというのは、これはいろいろ理由もございますけれども、なお問題にすべき点ではないかと思うのであります。 それから第二点といたしましては、やはり近代化資金制度ができまして、政府や県の助成も加わりまして、貸出金利がその分につきましてはかなり下がっておりますけれども、さらに系統自体の、いろいろ合理化なり、そういった努力によりまして、農家への貸出金利がもう少し下がらないものだろうか、こういうような点も確かに問題にすべき点であると存ずるのでございます。 それから、今回の農林公庫法の改正に関連しておる点でございますが、系統の資金が最近非常に豊富になった。それは非常にけっこうなことでございますけれども、これは非常に地域的なアンバランスがございます。それで、末端に参りますと、たとえば都市の近郊におきましては土地の売却代金でありますとか兼業収入が預金になりまして、相当な資金を持っておるのでございますけれども、ほんとうに農業関係の資金需要の強い純農村的な地方におきましては必ずしもそうでない。従いましてそこに地域的なアンバランスが出まして、最も資金を必要とする地帯においては資金がむしろ少ない、こういうような実情がございます。こういった純農村地帯における農協というのは、資金が少ない関係もございまして、貸し出しと貯金のバランスもよくない。従って貸し出しに限界がある、こういうことがございます。その辺を、せっかくの系統組織でございますから何とか調整ができないものであろうかという点が、われわれ痛感しておるところでございます。 まあそういったいろいろな問題がございますので、これは今後もその改善に大いに努力する必要があるのではないか、かように考えております。
○安井委員 今度も近代化資金あるいは農林漁業金融公庫資金等につきまして改正措置が行なわれるわけでありますが、私は、それももちろん大切な問題ですが、いわゆる系統金融の問題についてそれの改善についての努力、これがまず先決問題ではないか、そういうふうな考えを持つものであります。今局長から三つの問題点というふうな形でおあげになったわけでありますが、現在農協の預金金利、それから貸出金利等が比較的高過ぎるというふうな問題がなお残っているわけでありますが、これはこの問題が強く取り上げられました少し以前と現在とでは、農林省でどういうふうな御指導をされ、どういうふうな改善効果が上がっているか、それを一つ知りたいと思うわけです。
○松岡(亮)政府委員 金利につきましては、最近、三十年当時に比べますと若干の低下を見ておると思います。これは一般の金利水準も下がっておるわけでございますが、同時に全体としまして貯蓄運動など展開いたしまして資金も豊富になってきておる。それだけ信用事業における経理の状態も改善されてきておるということが言えるかと思うのであります。それから農林省といたしましては、信用事業からほかの経済事業へ単協の段階におきましては金を貸しておるわけであります。もちろん県の段階でもそうでありますが、総合単協におきましてはそれが内部金利になっておる。その関係で実は他の事業部門のいろいろなコストなり、場合によってはマイナスまで信用事業が負担しておる、こういうような実情があるわけでございます。それらの点については区分経理を指導するというようなことで、できるだけ信用事業の独自性を明確にしていくということによって、信用事業自体の負担を軽減するというようなこともいたして参っておるのでございますが、何と申しましても一番大きなのは近代化資金制度をやっておることでございます。これは系統の貸出金利なり特に末端における金利の引き下げに大いに寄与しておる、かように考えておるのでございます。いろいろございますけれども、最近におきましては、従前に比べましてかなり金利が下がっておるということは申し上げられるかと思いますが、まだまだ農村の実情に資するまでいっているとは、私どもも申し上げかねるのでございます。
○安井委員 現在基準となっている預金と貸し出しの金利はどれくらいなんですか。
○松岡(亮)政府委員 末端におきましての基準金利は、近代化資金助成法あるいは天災融資法で基準にとっておりますのが九分五厘でございます。それから証書貸付の金利でございます。実際調査したところによります金利は平均いたしまして一割ないし一割一分くらいのところと申し上げていいかと思います。
○安井委員 預金の方はどうですか。
○松岡(亮)政府委員 預金の方は、一年定期が、これは事業分量配当を除きまして、五分五厘でございます。これは臨時金利調整法の金利でございます。
○安井委員 預金の方が奨励金だとかなんというような形で実質的に五分五厘を上回っているというふうなやり方はありませんか。
○松岡(亮)政府委員 単協段階ではあまりそういうことはございませんが、信連と単協の間あるいは農林中金と信連との間におきましては奨励施設というものがございます。
○安井委員 預金金利が比較的低ければコストもそう高くならないはずなんですが、実際上はたとえば旅行に連れていくとかいろいろな形の奨励措置があって、そういうようなものがコストを引き上げている要因になっているというふうな事情があるのではないでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 確かにそういう事情もあるようでございます。ただ、これは、末端において農家から預金を集める場合に、ほかの金融機関もなかなか熱心にそういうことをやりますので、競争上多少手ぬぐいを配るとかそういうようなこともあるようであります。しかし、だんだんそういうようなことについてはやめてもらうように指導いたしておりますが、それよりも、実質的には、さっきも申し上げましたように、預金が非常に集まる地帯というのは都市近郊的な地域、これは府県で申しましても実に統計的にはっきり出ておるのでございますが、そういう地帯において非常によく集まる。これは土地の売却代金とかあるいは兼業収入が多いためでございますが、そういうところで集まった金が上部の機構までいきまして、今度は足りない地帯にそこから出していくということになりますと、三段階を上まで上がってまた三段階をおりていくというようなことで、そこにまた金利が上がる要件があるように思われるのでございます。それらの点については、できるだけ県内でできるものは県内で調整してもらう、どうしてもやむを得ないものは農林中金の段階まで上げるというような調整を加える必要があるかと思いますけれども、最近では比較的そういう上部の機構へ依存するということも少なくなって参りました。だんだん金利を引き下げる要因が増加しておる、かように考えております。
○安井委員 現在の系統金融の地域性といいますか、東北型とか近畿型とかいうような言い方があるようでありますが、それ自体をどうするというわけにはいかないにしても、全国的なプールというふうな形で問題を解決すべきだというふうなお話も今御説明の中にあったわけであります。そのお話の中にもちょっとありましたように、組合系統金融の三段階制をどうするとかというふうな検討がかつてなされたこともあったわけでありますが、現在はその問題についてどういうふうなお考えでおられますか。
○松岡(亮)政府委員 これはまことに重大な問題でございまして、事務的に申し上げるのは適当かどうか存じませんが、われわれとしては三段階の問題もさることながら、単協の上に信連の支所がある、その上に信連がある、その上に農林中金の支所がある、さらに農林中金があるというような状態——農林中金の支所があるというのは、農業関係だけの融資でなくて、水産関係あるいは林業関係の融資もございますので、やむを得ない事情もございますけれども、三段階といいながらさらにもう少し段階があるというようなことはいま少し合理化できないものであろうか。これは現に信連の支所など整理している向きもございますけれども、そういう問題もあるかと思うのでありますが、信連というものがほかの事業の県連との関係もありますので、そういう関係から県の連合会というものの必要性も確かにあるかと思うのでありますが、だんだん農協の合併が促進されて参りまして、相当大きな単協ができてきた、こういう段階がだんだん進んで参りますと、今後においてはこの三段制について、三段制そのものをどうするかというような問題もあります。もう少し県の段階等につきまして再検討する余地があるのではないかと考えておりますが、これは非常に重大な問題でございますので、今後の研究課題にさせていただきたい、かように考えておるわけであります。
○安井委員 この問題は、いつも提起されはしてもいつの間にか立ち消えになってしまうという問題で、それだけに重大な意義を持っておるということになると思うわけでありますが、立ち消えになっても、相変わらずこれでは困るじゃないかというような話がそのあとからまた出てくるわけです。この処理の仕方というものは影響が非常に大きいものですから、もちろん慎重でなくてはならないわけでありますが、今度も近代化資金あるいは公庫資金等について相当大きな金融制度の変革というようなものをもくろまれておるわけでありますので、こういうような際に、やはり全体的な体系そのものにも、もっと考慮が必要ではなかったかと思うのでありますが、今度の場合には、全然そういうような問題に触れるお気持はなかったわけですか。
○松岡(亮)政府委員 内輪のことでございますが、率直に申しますと、実は私ども今度の新しい金融制度を考える際に、そういう問題をも含めて考えるべきである、また考えろという指示もあったのでございます。私どもも考えるべきであると考えたのでございますが、まことに問題が広範な問題でございます。非常に内容的にむずかしい問題でございます。率直に言いまして、少し時間が足らぬというのと、もう少しそういう改正を行なうためには調査会なり何なりを設置してみっちり研究する時間がほしいということも考えたのでございますが、しかし今回できました構想は、そういうこともさることながら、さしあたり長期金融につきましてどういう点が最も必要であるか、問題があるか、と申しますより、最も必要なものは何であるかということの方からアプローチして参りまして、今必要なものはこういうものである、これを何とか新しくつくり出そうということの考え方に立脚しまして考えたような次第でございます。
○安井委員 先ほどのお話の中にも、農協系統金融機関が系統外に融資する面が非常に多いという問題点の御指摘があったわけでありますが、その問題についてもう少し内容について御説明を願いたいと思います。
○松岡(亮)政府委員 系統外への貸し出しあるいは預金が農林中金の段階あるいは信連の段階でかなり多いことは御指摘の通りでございまして、これは一つには、季節的に、収穫期に米の代金が系統機関に入った場合に、その時期には最も農村の資金需要が少ない時期でございますので、季節的に余るという形のものが相当あるのでございます。しかしそういうものを除きましても、なお相当な系統外への貸し出しがございます。その中には確かにおおむね関連産業への貸し出しということで貸し出されておるものが多いのでございまして、その点に関する限りは、一面において農業なり林業あるいは漁業の方の生産力の向上あるいは流通の改善というようなことに寄与していると考えるのでございますが、しかし、それでもなおコール・ローンに出るとかあるいは系統外に対するインター・バンクの預金に出るというような性格のものがございます。これはほんとうに手元の現金の運用だと言い切ればそうでございますが、多少利ざやかせぎというきらいもなくはないのでございます。そういった点につきましては、やはり系統全体の系統利用率の向上あるいは健全性の保持という意味からいいまして、できるだけ少ないにこしたことはないのでございます。それらについては私ども行政指導の面においてではございますが、できるだけ控えてもらう、員外利用のワク内でやってもらうというようなことを検査の面あるいはその他の方法で指導して参っておるのでございます。さらに末端における農家への貸し出しを増加するために貸し出しの限度を広げる。そういったことも考えておりますし、近代化資金助成法と一緒にできました信用基金協会法、これによりまして農家への保証を広げまして、農家が借りやすいようにするというような措置をとりまして、農村への貸し出しをふやすということに努力いたしておるのでございます。
○安井委員 系統機関資金が農家のために完全に役立つように運用をされていないということは、やはり一番大きな問題ではないかと思います。農協預金が毎年一千億もどんどんふえてくる、その残高は一兆円にもなるというふうな、金だけはどんどんたまるけれども、実際上はその大部分が系統外にいってしまうというふうなことでは、これはやはりおかしいと思うわけです。一方、国が財政資金を出して別な資金を準備する。そういうような行き方はやはり本筋の行き方ではないと思います。もちろん農業資金というのは足りなくて困るのですから、足りなくて困る分を財政資金で補っていく。しかも資金コストの安いものを期待できる財政資金で補っていく。こういうようなことであってほんとうだと思うのでありますが、しかし系統資金そのものが流れていくというふうな事態を私どもはそのままにしておくわけにいかないと思うのでありますが、長期性資金の系統外運用については禁止的な措置をとるというふうなお考えはありませんか。
○松岡(亮)政府委員 長期資金の系統外運用を制限あるいは禁止するということは、若干問題があるかと思のでございます。と申しますのは、たとえば、最近伸びております果樹関係につきましても、果樹を加工して、カン詰にするとか、あるいはジュースにするというような——これは農協自体でやる場合も相当ございますが、やはりそういう産業が起きてくるということは農業の面からいいましても非常に好ましい。それで農業において蓄積された資金が系統の機関から、員外への貸し出しという形になりますけれども、そういう方面に貸し付けられるということは、最近のはやり言葉で申しますれば、アグリ・ビジネスといいますか、そういうような意味合いにおきまして、農業の振興にも役立つということで、系統外への貸し出しを全然禁止するというようなことは、むしろ避けた方がよろしいのではないかと思うのでございますが、それがどの辺までが適当であるかということがなかなかむずかしいところでございまして、農林中金などの実例を見ましても多少控えてもらった方がいいというようなものもございますので、そういうものにつきましては指摘しまして、今後やめてもらうというようなのが若干あるのでございます。問題としましては、むしろ、農林中金もそうでございますが、信連段階において系統外の預金あるいは有価証券の保有、金銭信託というような形で支払い準備という意味がございますけれども、そういう形で持たれているものが、はたしてそれだけ必要であるかどうかというようなことがあるかと思います。それらにつきましては、いろいろ財務基準令などの基準を設けまして、できるだけ基準の範囲内でやってもらうということで指導を加えておるのであります。
○安井委員 アグリ・ビジネス的なといいますか、農業にすぐにつながるような仕事への問題については考える余地があるかもしれませんけれども、非常に縁遠いものにまでいっているという例は決して少なくないように思うのです。系統外金融がどういうふうになっておるかについて、資料を少しいただきたいのですが、その点一つお願いをしておきます。 いずれにしても、農家のなけなしの金が蓄積されたものは、できるだけ農業そのものの近代化の道に使っていく、こういうような考え方でやはり問題は処理さるべきだと思うわけです。そういうようなものの中から、もう少し系統内における長期なりあるいは短期なりの資金運用の道が開けてくるのではないかというような気がするわけでありますが、これらの点については、さらに根本的な検討がなされるというふうな期待もありますので、その際にぜひ十分御検討を願いたいと思うわけであります。 次に、近代化資金の関係でありますが、現在の国と県の利子補給のほかに、県や市町村が単独事業として利子補給をしているというような例がだいぶあるように聞くわけでありますが、どんな格好になっていましょうか。資料にありますか。
○松岡(亮)政府委員 出ておりません。 今御指摘のありましたような例は相当ございます。近代化資金に対して県単で利子補給をやっておるのが二十件くらいございます。市町村につきましても若干ございますが、今ちょっとすぐに資料が見つかりませんので、もし詳しく必要でありますれば後ほど申し上げます。
○安井委員 それじゃ後に一つ資料でいただきます。
○松岡(亮)政府委員 承知いたしました。
○安井委員 そういうふうに積極的に近代化資金を利用するという面と、それから逆に弱小農協が近代化資金から締め出されているという例が相当あるように聞くわけです。明暗の二面といいますか、それがあざやかに出ているような気がするわけでありますが、全国の農協の中で農業近代化資金を取り扱っていない農協はどれくらいあるわけですか。
○松岡(亮)政府委員 全国で近代化資金を扱っていない農協は四割弱でございます。
○安井委員 それも一つあわせて、後にその実情のわかる資料をお願いいたしたいと思います。 そのような農協は、一般的にいって農協としての力が弱いからなのか、熱意がないからなのか、その他どういうふうな理由からなんでしょうか。一つ大まかでもいいですからお聞きしたいと思います。
○松岡(亮)政府委員 大体原因としましては、お話のありましたような非常に弱小であるという関係の場合もございます。それから、さっき申し上げました地域的に原資が不足している、預貸率も非常に高くなって、上部機関から新しく借り入れて貸し出すということは不健全性を増すということから、なかなかいたしがたい場合もあるというようなことでございますが、これに対しましては信連の直貸しという制度をつくりましたのと、もう一つ、今回の改正で他の金融機関からも農家に貸し出し得るという体制をつくることによって処理して参りたい、かように考えております。
○安井委員 現在、信連からの直貸しはどれくらい行なわれているわけですか。
○松岡(亮)政府委員 ただいまちょっと調査資料がございませんが、量としてはあまり大きいものはないと推定いたしております。
○安井委員 農協の置かれている立場によって、そこに住んでいる農協の組合員が資金が借りられなかったり借りられたりするということは、非常に問題があると思います。十分に借りる能力を持っていながらも農協の性格だけで左右されるというふうなことでは、もちろん大きな不合理があるわけで、そのためには信連の直貸しの仕組みがあると言われても、これは局長もはっきり御答弁にならなかったけれども、おそらくそうないんじゃないかと思います。そういうふうな問題があるわけで、たとえば青森県なんかでは融資を受けるだけの専門の農業協同組合をこさえて、資金を導入するというふうな動きがあるというような新聞の記事も見るわけでありますが、そういうような場合はどういうふうに処理されているわけですか。
○松岡(亮)政府委員 専門農協が信連から借りてさらに貸し付けることはできるわけであります。それはそれでよろしいのではないかと思いますが、借りることだけを目的とする農協というのはあまり聞いたことがございませんけれども、たとえば果樹農協などをつくりまして、果樹の植栽等に必要な資金を借り受けるということは十分可能なことでございます。 なお、少し足りなかったのでございますが、今回の近代化資金制度の改正によりまして他の金融機関を加えまして、また構造改善事業に必要な従来近代化資金で考えておりましたものについては、今度は農林公庫の資金で貸し出す、畜産関係の資金につきましても一部農林公庫から新しく貸し出すという方法によって、さらに解決して参りたい、かように考えておりますが、基本的にはやはり農協の合併を推進いたしまして、強力で資金的にも非常に余裕のある農協をつくり上げていくということが根本ではないか、かように考えるのでございます。
○安井委員 今局長が言われましたように、一番大事なのはやはり不振農協をなくしていくということではないかと思うわけです。それはもちろん、銀行等の新しい窓口をつくっていくという、そういう仕組みもむだではないとは思いますけれども、全国の四割を占める農業協同組合が不振農協として近代化資金から締め出されているという事実そのものを解消していくということに、まず最大限の努力が払われるべきではないかと私は思うわけです。それらの農協に対する整備強化、特に貸し出しに消極的になるということは、結局回収に対して非常に大きな問題を感ずるものですから、そういうことになると思うわけでありますが、そのためにはやはり営農指導体制を強化するというふうなことで裏打ちがなされなくてはいけないし、総合農協に対してどうも盛り立てていくという指導が足りないのではないかというふうな気がするわけでありますが、いかがですか。
○松岡(亮)政府委員 いろいろな指導体制を強化するということも、全く必要なことだと存ずるのでございます。特に総合農協につきましては、二十六年か七年から始めました再建整備、それからその次に行ないました整備特別措置等の法律に基づいて、また予算措置も伴っておったのでございますが、これによりまして不振農協の解消に非常に有力な措置をとって参ったのでございます。それらの措置で不振農協は大幅に減少した、これが現状でございますが、なお御指摘のようなこともございますので、最近では合併を推進しておる。これは前年度から始めたのでございますが、順調に進んでおります。大いに今後合併の推進に力点を置いて参りたい、かように考えるのであります。
○安井委員 近代化資金の新しい窓口を地銀その他に設けていくということについての今度法案が出ているわけでありますが、今度の近代化資金はこれはいわゆる財政資金でありますから、系統機関外で貸出事務が処理されるということになります場合には、慎重な配慮が必要であると思います。ここに踏み切られるまでにいろいろ検討が行なわれたのであろうと思いますが、乱用されないかとか、その他こまかな配慮について、今日までの、そのお考えをまとめられるまでの経過について一つ伺いたいと思います。
○松岡(亮)政府委員 今、近代化資金は財政資金であるというお話でございましたが、これは財政資金ではなくて、民間資金を使いまして利子補給をやって金利を下げるという性格のものでございます。その点はちょっとお話と違っておるのでございますが、今回新しく融資機関をふやしますにつきましては、私どももいろいろな角度から研究したのでございます。 近代化資金制度をつくりますときは、一応系統の原資によりまして、系統の金融機関を使って系統の金を農村に還元して、しかもできるだけ安く貸し付けるということを主たる目的といたしたのでございますが、それならば実際に農家が系統から円滑に金が借りられているか、近代化資金制度をつくって借りられておるかといいますと、その点は若干問題があるのでございます。つはさっきもお話が出ました弱小な農協の場合、それからメンバーではあるが必ずしも農協を利用しない、銀行なり金融機関を使っている人があるのでございます。そういう方面に対しては農協が貸し出しを渋るという実例もよく聞くのであります。それから逆に今度は原資の面で考えますと、農家としましては、やはり系統以外の金融機関にかなり貯蓄を持っております。その資金もやはり系統に預けられた資金と同様に農村に還元するのがよろしいではないか。財政資金にしましても郵便貯金あるいは簡易保険の資金を農村へ還元するという理由もあるわけでございまして、それと同様に、近代化資金の場合もそうでございますが、農協の資金も還元するが、他の金融機関に貯蓄されているものも還元する方が適当である、こういう考えによりまして、今回の改正の結論を出したわけでございます。
○安井委員 私ども、近代化資金なるもののおい立ちといいますか、あのころ政府から御説明を承っていた限りにおいては、農協等の系統機関の余裕金のコスト高を国や地方の利子援助というふうな形でそれを生かすのだというふうなのが近代化資金の本質だというふうに聞いていたわけでありますが、今度の新しい法の改正は、そのような本質を根本的に改めたということになるのではなでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 その点は私どもは必ずしもそうは考えていないのでございまして、近代化資金助成法の目的から見ましても、今回の改正は必ずしも第一条にいう目的の範囲外になるというふうには考えていないわけであります。当初の目的が主として農協の資金を農村へ還元するということにあったということはお話の通りでございますが、しかし現在の近代化資金助成法にうたわれておる目的から今回の改正ははみ出すというようには解釈いたしておりません。
○安井委員 おととしこの法律が新しくできたときには、この地銀その他に対する窓口増加は予想されていたわけですか、どうですか。
○松岡(亮)政府委員 当時研究いたしました。これはなぜそういう点当時から問題にいたしたかと申しますと、天災融資法におきましても同じようにその融資機関が入っておるようでございます。それから農林公庫が農家に貸し出します場合、直接貸す場合もございますけれども、大体おおむねは他の金融機関に委託して貸しておるのでございますが、その場合に農林中金に委託する場合、信連に委託する場合、それから地方銀行に委託する場合、いろいろなルートがございます。それらの例から申しましても、系統のみを使うということは今までの例からいいますとむしろ例外であるということが言えるのでございます。
○安井委員 去年、地方銀行協会と全集連との間で、全集連保証付貸付制度というふうな仕組みがでまして、全集連加盟の集荷業者に登録しておる農家に対して、地銀が全集連積立金三億円余りを保証金として二十億円から二十五億円くらいの融資をする仕組みができたと聞いておりますが、これとは関係はないわけですか。
○松岡(亮)政府委員 そういうことを私ども耳にいたしておりますが、今回の改正はそういうことは関係ございません。
○安井委員 ここで仕組まれるその融資関係にこの近代化資金の仕組みが適用されるといいますか、利用されるというふうなことにはなりませんか。
○松岡(亮)政府委員 直接関係はないのでございます。
○安井委員 私もこの内容はよくわからないですけれども、しかし同じような融資関係があるわけですね。だからそれを新しくできた近代化資金に乗りかえていくというふうな手はできないわけではないと思うのですが、そういうことも一応予想はされていたわけではないですか。
○松岡(亮)政府委員 これは今回新しく加えられます融資機関にしましても、農協の系統にいたしましても、救済の肩がわりというようなことになりますことは、私ども厳に慎んでもらいたい、こういう指導をいたしております。すでに全集連系統の保証で借りた金を近代化資金に乗りかえるというようなことは、私どもとしてはとめて参りたい、かように考えます。
○安井委員 この資金の初めの出だしの問題は、農機具のメーカーが近代化資金を利用しようとする場合に、どうしても同じ農協の系統でやるものですから、全購連の方に巻き込まれてしまってなかなか自分の商売の方がうまくいかないし、その全購連に対する農機具購入の片寄りを是正するというような意味もあって、この仕組みを特に積極的に要求をし、一方地方銀行の方でも、農村における金融が農業協同組合に独占されているのを少しでも奪回をしようというふうな意図とそういうようなものが結びついたような格好で今度の資金ができたというふうな報道もあるわけでありますが、その点はいかがですか。
○松岡(亮)政府委員 私どもとしては詳しいことは存じませんけれども、農機具メーカーなり農機具の取り扱い業者の方でそのような動きがあるということは聞いておるのでございます。しかし、今回の改正は必ずしもそういうことから出発したのではなくて、特に農協の場合におきましても、自分のところから農機具を買うことを条件として貸し付ける。農機具メーカーなりその他の商人の系統の場合でもそうでありますが、そういう条件を付して貸付をするという体制は私どもとしては最も困るところでございますので、そういうふうなことはしないようにしてもらいたい、かように考えます。
○安井委員 農家の窓口を幾らでもふやして金融を受けられやすいようにするという仕組み、そういうような考え方は私どもわからないわけではないのでありますが、ただ何か一部の業界の意図的なものでこういうような仕組みが新しくつくられたということであっては、どうも明朗を欠くような気がするわけであります。その点今局長からも御答弁があったわけでありますが、農業協同組合は、この仕組みができることによりまして、信用事業あるいは購買事業その両面から圧迫を受けるというふうなおそれはありませんか。
○松岡(亮)政府委員 これはほとんど問題にするほどの影響はないと思うのであります。で、農機具の購入にしましても、系統外から買うというのは非常に少ないのではないかと思いますが、特に信用事業につきましては、今回の措置をとりましても現状を大幅に変えるというようなことにはならない。これは私ども団体関係の人の意見も聞いてみたのでございますが、団体の人々もそういう点はほとんど問題に いたしておりません。
○安井委員 この法律でその窓口として予想されておりますのは、地方銀行とその他どういうような種類がありますか。政令でおきめになるのですか。省令ですか。その点いかがですか。
○松岡(亮)政府委員 政令できめるのでございますが、地方銀行というのは——特に地方銀行とはうたいませんが、大体知事に指定してもらうという銀行になると思いますが、銀行と相互銀行それに信用金庫を加えたもの、そういうことでなお検討をいたしております。
○安井委員 銀行は、いわゆる地方銀行と協会所属銀行というだけではなしに、範囲はどこまでも広げるということなんですかね。それから信用金庫、信用組合といったようなものもずっとあるわけでありますが、それを一つの、何と言いますか、グループとして入れるわけですか。一つ一つを指定するというふうな形になるわけですか。
○松岡(亮)政府委員 法律制度としましては銀行法が一つでございますが、地方銀行という名前で政令に書くことができないわけでございます。しかし無制限にどの銀行でもというわけではございませんので、大体県の当局と協議しまして、その県において最も農家にとって便宜な銀行、これは実質的には地方銀行ということになると思います。そういうものを政令で個々にあげて参りますか、大体そういうことになると思いますが、そういう指定の仕方をいたしたい、かように考えております。 それから信用金庫とか信用組合でございますが、信用組合は指定する予定はございません。信用金庫は、多少まだ問題がございますので、検討をしておる段階でございます。
○安井委員 金利の問題でありますが、現在いわゆる地方銀行の普通貸出金利はどれくらいでなされているわけですか。
○松岡(亮)政府委員 基準金利といたしましては、農協の系統と同じく九分五厘で押えて参りたいと考えております。
○安井委員 基準はわかりますが、実際行なわれている金利水準です。
○松岡(亮)政府委員 多少差がございますが、九分二、三厘から九分五、六厘の間にあると思います。
○安井委員 そうしますと、大体において農協よりは安いということですね。
○松岡(亮)政府委員 やや安いという感じはいたしますが、表面金利で申し上げておりますので実質がどのくらいかということは、またちょっと別になって参ります。これは私どももちょっとわかりかねるのでございます。
○安井委員 農協よりも銀行の資金コストは安くできているのではないかと思います。できているというのもおかしいのですけれども、つまり農協の資金が動かないのはコスト高だというふうに言われるということは、結局銀行との比較において言われていることではないかと思うわけであります。その点コストが比較的安い銀行にも同様に国及び国費の三%補給という形でなさるわけですか。
○松岡(亮)政府委員 全体としての感じを申し上げますと、確かに農協の方が末端におきまして市中金融機関よりも貸出金利が高いのではないか、こういうように考えられるのでございますが、ただ、銀行におきましても、貸付の相手、つまり大企業に貸します場合、これは非常に大きな金額を貸し出す場合、それから小口の貸し出しをやります場合とはコストがかなり違うというような事情もございますし、それから一般の六大銀行のような大銀行と地方銀行との間にも格差があるように思われますので、この際は基準金利は大体同じものといたしまして、利子補給も従って同じ額をいたしたい、かように考えておるのでございます。
○安井委員 今の利子補給は同額という考え方は、つまり基準金利というものを一応押えてのことでありますが、資金コストが現実に安く上がっているところほど銀行側としては利益が多いといいますか、そういうようなことになるわけですね。
○松岡(亮)政府委員 全体の一般的なものとしましては、やはり地方銀行の場合は系統と同じくらいと見ていいのではないかと思います。系統の場合におきましても、これは県により農協によって差があるのでございますが、基準として平均してみたら大体同じように見てよろしくはないかと思います。今後もしも市中の金融機関の方がどうもコストが安いというようなことが判明して参りまするならば、これは今までも銀行局などとも相談して参ったわけでありますが、それが確かであるということになりますれば、もちろん利子補給額は下げて参りたい、かように考えております。
○安井委員 今後そういう問題が起きたらと言われますけれども、実際上一回やってしまえばそうは簡単にいかないと思いますよ。やはり現在の段階で、農協の全体的な金利水準、それから銀行におけるそれ、そういうようなものについてもっと十分な資料をお持ちになって御検討になる必要があったのではないか。何か今の御答弁を承っておりますと、大体基準九・五%くらいでいいのじゃないかといったようなところで結論を下されているような印象を受けるわけでありますが、もう少しそういうような点についての十分な御検討が必要であったのではなかったでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 この点につきましては、銀行局とも十分協議の上できめたのでございます。銀行局の方は、私どもの方の系統の金融機関の資料も持っておりますし、銀行関係の方も持っておりますので、こちらとしては十分銀行局関係と相談してきめたわけでございます。
○安井委員 この仕組みができました場合に、農業協同組合と今の地方銀行との間で、融資の選択権を農民は持つことになるわけです。その場合に、いつもうまくいけばよろしいわけでありますが、農家の方の申し込みに対して銀行の方は、むずかしい融資の方は引き受けないでうまみのあるようなものだけを引き受けてしまう、どうにもこうにもならないようなものだけを農協が引き受けるようになってしまうというようなことで、最後的に農協にしわ寄せがきてしまうのではないかというようなおそれもないわけではないと思うのでありますが、検討されましたか。
○松岡(亮)政府委員 その辺のことにつきましては、必ずしも今お話のありましたようなことではないと思うのであります。と申しますのは、特に地方銀行が農業関係の貸し出しを積極的にやっておりますのは、農業地帯でございます。そういう方面では、他の方面への貸し出しの対象が少ないというようなこともあって、農業への貸し出しに対しては地方銀行はかなり積極的でございます。そういう方面は、農家との取引関係もすでに従来から相当はっきりしたようなものがあるようでありますし、むずかしいものだけは系統に回すというようなことには必ずしもならないと私は考えます。
○安井委員 銀行が金を貸すという場合には、その反面に貯金を期待しているわけです。貯金との見合いにおいて貸し出しの決意をするわけでしょうから、結局比較的豊かな農家の方は銀行から簡単な仕組みで借りられるとすれば、貯金の方も銀行へいってしまう。そういうようなことになって、結局経営が非常にむずかしい農家だけが農協に対して信用機関のお客さんになってしまう、こういうようなことがどうも結果的に現われてしまうような気がするわけです。もっとも近代化資金の総ワクはあまり大きくありません。銀行に対しての総ワクはあまり多くはないことはないですが、しかし銀行の側とすれば、ここでお客さんを拾ってしまえば将来貯金もふえるし、近代化資金以外の貸し出しのワクもふえる、そういうようなことで農協が独占している農村における金融市場を取り戻そう、そういうようなことに意図があるわけでありますから、今申し上げましたようなことで、農協のしわ寄せといいますか、そういうようなものが非常に大きくなるのではないか。局長は割合に簡単に考えておられますけれども、将来に対しての影響が相当あるのではないか、そう思いますが、いかがですか。
○松岡(亮)政府委員 その点は多少、安井先生のおっしゃった点につきましては、地方銀行と取引のある農家というものは、どちらかといえば上層の農家が多いであろうということは私どもも否定できないと思うのでありますが、しかしそれだからといいまして、それじゃ地方銀行が農協の分野をどんどん侵して、農協の独占している農村の金融市場を持っていってしまうというようなことは私どもは全然予想いたしておりません。と申しますのは、何と申しましても、今の系統の組織の力というものは相当強いものであります。農家の方の側から見ましても、系統というか、農協の窓口というものは最も手近なところにあって、非常に便利なものであります。そのほかの事業面におきましても、農協を利用しておるというような点からいいましても、現在における農協というものは、地方銀行の窓口を少しばかり開きましたところで、それによってゆるむというような状況にはないのではないか、そういうように私どもは考えております。
○安井委員 その地域によって農協の強いところと弱いところとがありますし、それからまたいろいろ地域々々のニュアンスというようなものが必ずあると思いますので、一がいには言えないけれども、しかし何かこれによって農村における金融市場ががらりと変わるということはいえないにしても、今後変わるという何か一つのくさびが打たれるような印象があるわけでありますが、これもこれからの運用の問題が重大になってくると思います。 そこで次に、農林漁業経営構造改善資金融通制度という新しい仕組みができた、この問題に少し論議を移していきたいと思います。 この資金が新しくできることによりまして、農業近代化資金で取り扱っていた部分が一部そちらにかわる面が出てくるようでありますが、それによる近代化資金法の改正は要らないわけですか。
○松岡(亮)政府委員 近代化資金は一般的な規定でございますので、改正を必要といたしません。
○安井委員 そうすると借りる人の方は、近代化資金でも公庫資金でもどちらでもいいという選択権があるわけですね。
○松岡(亮)政府委員 さようでございます。たとえば果樹は、もともと両方の制度に入っております。新制度関係の果樹は、一定の条件がついております。その条件でやるのが好ましくないと考える人は、近代化資金でやられてもいいわけであります。
○安井委員 今度の新しい資金ができることによって、前に一応借りはしたけれども、同じ性格のものでありながら、新しい有利な資金ができた、それに乗りかえたいというような人が当然出てくると思うわけですが、そういう点はどういうふうにされますか。
○松岡(亮)政府委員 これは、新制度の発足以前に契約したものにつきましては、従来の条件によって貸し出して参る、これはこの改正法律案の附則にも明記してございますが、従来のものにさかのぼって条件を変えるということはいたしたくない、かように考えます。
○安井委員 しかし借りかえをするというふうなことはしてやらないと、前に資金を借りた人に不利になる、そういうようなことにならないでしょうか。といいますのは、特に農業構造改善事業については、この委員会でも十四項目にわたる決議をいたしました、あの内容の中にも触れておりますように、国の上置きが少な過ぎるとか、あるいは金利が高過ぎるとか、そういうような問題を強く指摘しておるわけです。今度の資金の問題も、そういうようなものに対する一つの答えというような形で私どもは現われてきたのじゃないかというふうな理解をしておるわけですが、旧来のものに対する借りかえとか何らかの方法が当然考えらるべきだと思うのですが、いかがですか。
○松岡(亮)政府委員 安井先生の御指摘になっております点は、確かに構造改善資金につきましては問題のあるところでございます。これは私どもも、前に借りた人とあとに借りた人との不公平はなくして参りたいと考えております。構造改善事業につきましては、御承知のように本年度から発足いたしまして、そういった関係もあって、指定がだいぶおくれております。特にその計画の内容を見て参りますと、ほとんどが補助事業を先にいたしまして、融資単独事業はあと回し、来年度目にやるのがほとんどでございます。そういった関係で三十八年度に新規に貸し出すというのがほとんど全部だ、こう申していいようでございます。しかしそういうこともありまして、今後運用上はその辺の不公平のないようにして参りたい、かように考えます。
○安井委員 ほとんど全部だということは、よけいなことを考えなくても、大丈夫新資金に乗っていけるというようなことだと思うのですが、もし万一先走って借りて不利を招くような場合については、そういうようなことがないように処理されるというお気持があるわけですね。
○松岡(亮)政府委員 さようでございます。
○安井委員 その点一つはっきりしていただきませんと、いろいろ問題が出てくると思いますので、ぜひそういうことでお願いをしたいと思います。 次に自創資金との関係でありますが、自創資金については、昭和三十六年度における議員立法による特例で措置が、融資限度の問題はこれは業務方法書ですか、年限の問題は立法措置という形で処理がされていたように思うわけでありますが、三十七年度についてはどうなんですか。
○松岡(亮)政府委員 三十七年度における土地取得資金の融資限度は四十万円でございます。
○安井委員 それは業務方法書ですね。
○松岡(亮)政府委員 業務方法書で定めております。
○安井委員 償還年限と据置の問題はどうですか。
○松岡(亮)政府委員 償還年限は二十年でございます。据置が三年でございます。
○安井委員 そうすると、三十六年にやったのは、もうことしからあと、ことしといっても三十七年から以後は全然適用しないというわけですか。
○松岡(亮)政府委員 三十六年度分とおっしゃいますのは附則の改正で、北海道の負債整理に充てられるものについて特例を設けたものでございます。それは三十六年度の貸し出し分に限り適用するということになっておるのでございます。
○安井委員 三十七年度においてはもうそういう必要性がなくなったわけですか。急に一年限りでなくなって、もうあと要らないというわけですか。
○松岡(亮)政府委員 それは法律の定めによるものでございます。
○安井委員 そういたしますと、法律をお出しになればできるわけですね。どうして法律をお出しにならなかったか。あのときは議員立法だけれども、ことしの場合はどういうふうに御判断されたわけですか。
○松岡(亮)政府委員 当時、国会でいろいろ御検討がありまして、そして三十六年度分の貸し出しに限って適用するということで、修正があったわけでございますが、三十七年度につきましては、北海道の方からも特にそういう強い要請もございませんので、大体その必要はないものと考えたのでございます。
○安井委員 自創資金の運用の目標といいますか、それについては今度は全然改正の対象にされなかったわけですね、取得資金を除いたということ以外につきましては。
○松岡(亮)政府委員 自創資金の本来の目的であります、創設されました自作農を維持していくという目的には変更はございません。これは今後とも維持資金の目的として役立つわけでございますし、同時に従来の取得資金は、創設された自作農が転落することを防止する意味において土地の取得というものを考えておったわけでございます。最近におきましてそれが前向きのものとして、さらに経営を拡大するという目的のために漸次拡大されてきております。それを今回はさらにはっきりといたしたわけでございまして、そういうような理由から自創資金制度からはずすということでございます。
○安井委員 いわゆる自作農創設維持という考え方だけが、自創資金の中に残るというふうなことになるわけでありますが、新しい取得資金の方は、金利なりそれから貸し出しのいろいろな条件を緩和して有利にしていく、しかし維持資金の方は現在のままでやっていく、そういうようなことになりますと、何か自作農を維持するということに対するウエートの置き方がだいぶ変わってきたような気がするわけでありますが、その点いかがですか。
○松岡(亮)政府委員 新制度におきまして土地取得資金の条件を大幅に緩和いたしましたのは、今後経営の拡大ということが、農業人口の減少傾向ともにらみ合わせ、かつ農業基本法の目的等も考えますとき、これは大いに促進する段階に入ったということで、土地をもっと取得しやすいように、また償還が容易なように条件を緩和したわけでございますが、従来の消極的な自作農維持という目的の中に含まれておりました維持資金につきましては、いろいろ御意見はございますけれども、現状においては現在の条件でほぼ妥当ではないか、かように考えたわけでございます。
○安井委員 しかし維持ができないような状態でありますと、新しい、前向きも何もないわけで、基本的な問題はやはり今あるものを維持するという、そういうかまえが先決ではないかと思います。ここで私が言うのは、つまり、新しい取得資金の方は四分五厘から、構造改善の場合には四分、しかし現行の維持資金の方は金利が五分、新しい取得資金の方は二十五年償還でいいのが、現行の維持資金の方は二十年、そういうふうに差がつけられているという点です。だから取得資金の方にだけ手を触れて、維持資金の方は従来のままに据置ということを私は今申し上げておるわけでありますが、結局新しい取得という行為があるということは、どこかで、それは自作農でないかもしれません、小作農であるかもしれませんが、いずれかの人の土地が奪われているわけです。維持という行為を押えなければ新しい取得ができない。これは、今度の取得資金の中には未墾地の取得の問題も入っておるようでありますけれども、既墾地についてはどこかで破壊が行なわれなければ新しい取得行為がないわけです。そういうようなことからいって、前向き前向き、そういう考え方はいいのですけれども、従来からあった自作農創設といいますか、農林大臣はもう自作農創設の時代ではないというふうに言ったそうでありますけれども、しかし従来からの精神がここでも大きく転換を遂げさせられているのではないか、こういうような資金の置かれ方によってそういうような印象を受けるわけですが、いかがですか。
○松岡(亮)政府委員 確かにそういう印象を持たれるかと思うのでありますが、しかしながら従来の実績で見て参りますと、維持資金の方は現在三十万円が貸付の限度になっておりますが、大体これで間に合っておるといっていいのではないかと思います。三十万円の限度でいっているわけですが、今度の土地取得資金の方は思い切って従来の四十万円を八十万円に引き上げたのでございます。それによって、今、安井先生は、一方で破壊があるから土地の売買があるのだというお話でございますが、自発的に土地を売って都会へ出る人も相当おるのでございます。そういうようなことで売られている土地を積極的にできるだけ多く取得できるようにするという意味で八十万円まで引き上げたわけですが、八十万円に引き上げました場合に、もちろん生産力がふえるわけですから償還はできるといえないこともないかとも思うのですけれども、できるだけ償還を容易にするということから、金利を引き下げ、償還期間を延ばす、そういう措置をとっておるのでございます。
○安井委員 局長は今三十万円で間に合っているというふうな言い方をなさっておられますけれども、そんなことはないと思うのです。実際は、それしかお出しにならないから、しょうがない、それしか借りられない、そういうようなのが実情であります。しかも、下の農業委員会などに参りましたら、借りたい人がわんさといるわけです。ところがその市町村に対する割当がごく少ないものだから、大ぜいの希望者に対してまんべんなくやろうというふうな配慮で、百万円も二百万円も借りたい人があっても、しかも三十万円の限度があっても、二十万とか十万とか頭割りで幾らかずつ分配をしているというのが実際の姿です。三十万円で問に合っているというふうな理解の仕方でこの問題と取り組んでおられたというなら、私はこれは大きな間違いではないかと思います。実際には現在の三十万でも間に合っておらぬと思うのですが、そういう実情はつかんでおられないのですか。
○松岡(亮)政府委員 少し言葉が適当でなかったかと思いますが、従来維持資金は三十万円、取得資金は四十万円となっておりまして、その実績は三十万円まで及んでいないわけですが、そういうようなこともございまして、取得資金を八十万円に引き上げる場合に、特に条件を緩和する必要があるということを考えたわけであります。同時に維持資金についても、それは金利等も引き下げる方があるいは望ましいかもしれませんが、しかしこれは何といいましても現状維持の資金というような性格でもありますし、現在の条件も相当ほかの資金に比べていいわけでございます。それらを勘案しまして、前向きの、特に今回大いに促進しようとする関係の資金について条件緩和を考えたわけでございます。
○安井委員 私は前に村の農業委員会長をやっていたことがありますけれども、それは一つの村に一千万かそこらの自創資金のワクがきて、百人もの人が貸してくれと言ってくるわけですよ。それはもう最高限度がたとい三十万であったって、結局どうしても下さいというような人に、ではあなたは十五万とか、あなたは五万とか、あなたはまあどうしてもというなら三十万あげるけれども、あとの八十人くらいの人はそれで貸してあげることができない、そういったのが実際の姿なわけです。だから、下から出てくる数字が三十万に及ばないから、もうそれで間に合っているのだというふうな理解の仕方は、私は根本的にやはり改めていただかなければいかぬと思うのです。現実に三十万のお金で一体何ができるかということです。 ここで私が申し上げたいのは、取得資金について金利を四分ないし四分五厘まで下げるというのなら、維持資金についてもこの際やはり少なくもここまで下げるべきではなかろうか。私どもは少なくも三分ぐらいの金利にしろというふうな主張を特に自創資金についてはいたしているわけでありますが、それにしても、今度取得資金の金利を下げる際に、同時にやはり維持資金についても少なくもその線までの配慮が必要ではなかったか、こういうように思うわけでありますが、そういう御検討はなかったわけですか。
○松岡(亮)政府委員 そういうことも検討いたしたのでございますが、維持資金そのものが現状のいろいろな制度金融の金利なり償還条件に比較しましてかなり有利なものでございます。それをさらに引き下げれば、なおそれは望ましいかもしれませんが、今回はとにかく土地取得資金というものを、農業基本法の関係からいいましても今後大いに拡充して、また経営規模の拡大を促進する必要があるということから、特に今回はそれに焦点を向けまして、引き下げをはかったわけであります。
○安井委員 その点、見解の相違だと思うのですけれども、どうもふに落ちないような印象を受けるわけであります。 ところで、近代化資金、それから今の新しい制度資金についても思うのですが、共同化の場合に個人貸しの場合よりもむしろ有利な条件を設定するということが私は望ましい方向ではないかというふうな気がするわけでありますが、それはむしろ逆に扱われているように思うのです。この点いかがですか。
○松岡(亮)政府委員 今回の新しい制度では、特に構造改善資金の場合でございますが、共同施設というものにつきましては、例の構造改善事業の経営近代化施設として五割の補助があるわけであります。三分五厘にされました資金は融資単独事業の関係でございます。そういうことで共同施設について必ずしも不利な扱いになっているとは私ども考えていないわけであります。
○安井委員 近代化資金の場合は、個人貸しとそれから共同化の場合とで、共同化の方が金利が高いですね。それから今の新しい制度資金の場合も、同一の条件で貸す場合でも、共同化の方を金利その他の条件をよくするということの方がいわゆる農業構造改善事業上などのねらいにむしろ適合しているのではないか、そういうふうに思うわけですが、そういう御検討はなかったのですか。
○松岡(亮)政府委員 これはどちらが安くあるべきかということは一がいに言えないのではないかと思うのであります。というのは、やはり共同した場合には、その中で、全体として共同に参加した人々で分け合っておるわけですから、その辺は必ずしも個人の場合より条件をよくしなければならぬということはないように思うのであります。ですから共同化の場合にも、個人的な、個人の経営に近い数個の共同経営、協業というようなものにつきましては、これは個人の施設と同じに考えて条件を定めております。 それから近代化資金の方の共同利用施設は七分五厘であり、個人施設は六分五厘であるというのは、確かに御指摘のように差がございますが、この共同利用施設は農協を中心にした共同利用施設でございまして、それは農協自体が施設をつくるということ、これ自体利子補給をするかどうかということの問題もあるわけであります、自己資金を相当持っておるわけですから。そういうようなことで差があるわけであります。
○安井委員 私が今ここで申し上げているのは、金利その他の金融の技術的な問題ではなしに、むしろ農業経営の今後のあり方に対するかまえの問題として実は申し上げているわけです。だから農政局長がお見えになればそういう点はもっと明らかにしてもらいたいところでありますが、たとえば機械の導入にしても、個人々々でいいかげんな機械を買うよりも、もっと大規模な機械を共同的に備えつけていく、あるいはまた土地基盤整備その他の問題その他全体的に農業の近代化の方向というものは、経営の共同化を推し進めるという方向でなければいかないのではないか、そういうような認識があるかないかでこの問題の出道と結論が違ってくると思いますが、農林省として、共同化をもっと推し進めていこうというふうな理解の仕方はないのですか。
○松岡(亮)政府委員 これは農政局長からお話しした方がいいと思いますが、大体大型機械などは農協なりあるいは町村というようなところでもって利用していくというのがいいのではないか。そういう意味で共同利用施設について構造改善事業では補助まで出しているわけでございます。それ以外の、たとえば耕転機のようなもの、これも今御指摘のありましたように、一戸で使うよりは数戸の共同利用というのが適当であろうかと思います。この場合は、近代化資金の場合も、それから新しい制度におきましても、個人と同様の条件で貸し出すようにしております。
○安井委員 私は個人と同様の条件でなしに、むしろ共同施設というふうな仕組みにした方を有利な条件を設定してあげる、そういうことでなければ、今の政府が言われております農業構造改善事業そのものですら、私はうまくいかないのではないかというような気がするわけです。今の農業構造改善事業そのものに私どもは完全に同調はいたしておりませんけれども、それであっても、やはり近代化の方向というものは、個人資金の方を有利にするとか、少なくも同等にするというよりも、共同化の場合に有利な条件を傾斜させるということによって、初めて近代化の道に通じていくのではないか、そういうふうに思うわけです。金融の問題に関連して私はそれが非常に大事な問題になってくるのではないか、こういうような印象を受けていますから申し上げていたわけであります。
○長谷川委員長 それでは午後一時から再開をいたします。 暫時休憩をいたします。 午後零時八分休憩 ————◇————— 午後一時十五分開議
○長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案の両案について質疑を続行いたします。安井吉典君。
○安井委員 農林漁業金融公庫法の改正に伴いまして、農地制度に関する法令についても若干の手直しが必要になっているようでありますが、その内容について二、三お尋ねをいたしたいと思うわけです。 今度の改正に伴いまして、農地法についての法制的な改正点はどういうことになるわけですか。
○任田政府委員 今度の新農業金融制度につきましては、農地法の関係といたしましては、法律の改正は行なわないというつもりでおるわけであります。一部除外規定を、特例をつくりたいというふうに考えておるわけであります。
○安井委員 改正措置が講ぜられるというのは省令ですか。
○任田政府委員 省令の改正でございます。
○安井委員 どの個所ですか。
○桧垣説明員 農地法施行規則の第三条に、法律の三条一項九号を受けまして、「農地又は採草放牧地の権利移動の制限の例外」がございますが、これに一号を起こしまして、農林漁業金融公庫が融資のために徴求いたしました農地等を競売に付します場合、その競落人となる資格を公庫に与えるという規定を置きたい、それが一点でございます。 次は、十一条に、法律第七条一項八号の例を受けまして、小作農地等の保有の例外に当たります事項を、現在は市町村、財産区または農協の所有する共同利用小作採草放牧地と書いてあるわけでございますが、ここに、公庫が競売によって競落人となってみずから取得した農地について、小作農地等の保有の例外規定を設けるということで対処したいと思います。
○安井委員 法律をいじるというようなことでないという点、何か大した問題でないような印象を実は受けるわけでありますが、しかしながら省令だけで簡単に措置できるというその内容は、今の農地法の自作農主義といいますか、そういうようなものに対する相当大きな例外規定になるような気がします。農林大臣が、もはや自作農創設時代は終わったというような言い方で、今度の農地取得資金に大きな意気込みを示されているということだそうでありますが、しかしその反面、土地の所有権と耕作権とを密着させる形において自作農を創設維持しようという現在の農地制度については、相当大きな実質的な変わり方になるのではないか、そんなような気がいたします。もっとも表面的にはそうではないかもしれませんが、しかし何か一つの大きな特例が今回設けられるわけですから、将来にわたってここに何かの突破口が開かれたというと大げさでありますが、そんなような気がしないではないわけです。今度の農地担保を強くこの中に押し出そうとしたその意図は、一体どういうところにあるわけですか。
○任田政府委員 ただいまお尋ねの第一点でございますが、今の農地法の規定の中に、農地の所有権及び小作権についての特例が設けてあるわけですけれども、その設けられてあるこの二つの問題につきまして、さらに今回従来ある特例にほとんど準ずるものであるという解釈のもとに、その特例に追加をするという考え方でおるわけでございます。すなわちこの移動、それから小作権の移動と、この両方のいずれにつきましても、あえてそのものが公庫を対象にしておるわけでございます。公庫そのものは、農林省としては十分に監督できる立場にありますことと、もう一つは、実際問題といたしまして、過去においてもこのような例があるかということになりますが、実際問題として質流れになるというような農地、そういうような事態になったことは、長い間におきましてわずかに四件しかございません。これは極力融資をする側の公庫の十分注意をしておった点もありますけれども、実際問題としてはそのような件数でございますので、特例でもって処理ができないかというふうにわれわれとしては考えておるわけであります。 また、それならば第二点の問題といたしまして、そのようなことでもって今度の新しいやり方が、はたして農地担保としての活用ができるのかという問題だろうと思いますが、この点につきましては、従来は、農家における担保の問題を見ますと、過去の例からいきますと、大体七四%は人が保証人として問題が解決がついておる。あと農地そのものが担保ということになりますと一二%、それから農地と人的担保と両方あわせての保証ということになりますと一二%というようなことで、大部分は従来は人であったわけです。ところが今度の新しい制度によってわれわれが考えておりますのは、従来貸付限度を四十万円といたしておったのを八十万円に上げることになるわけです。八十万円にもなって参りますと、当然今まで対人の保証ということで済んだものが、とうていそれでは保証する人もおさまらないのじゃないかという考え方が大きく出て参りまして、従ってこの場合、農地法の特例をつくりまして、担保の価値を上げて、まず人の保証というものが大きいとは思いますが、さらにそれに上置きしまして、農家自身が、こういう農地法ではあまり活用することのできなかった従来の大きな財産を、幾らかでも担保の価値の引き上げによりまして大いに活用いたしたいというふうに考えておるわけでございます。手続上と申しますか、扱い方からいきますと、省令の改正でいいわけであるとわれわれは思いますが、その手続は小さいと申しましても、一方においては、ただいま申し上げましたような農家の今後のこの融通制度の活用の面におきましては、相当大きい農地担保の期待があるのではないかというように思っておるわけでございます。
○安井委員 従来から物的保証と人的保証と二つあったわけでございますが、今、の御説明でもわかりますように、人的保証の面が実際上は多かったというのが実情でございますが、しかし今度のこの改正の中から、政府としての農地担保に対する取り組みが並み並みならぬものであるという印象を私ども受けるわけです。特に重政農林大臣はすごくこの点御執心だそうでありますが、そういうようなことからいえば、従来の保証の置き方が、人的保証から方向を変えて物的保証に重点的にいくのではないか、そういうような気がするわけでありますが、お見通しはどうでしょう。
○松岡(亮)政府委員 農林公庫は従来人的担保を中心にして貸付を行なってきたことは御指摘の通りでございます。自作農創設維持資金の貸付につきましては、今農地局長からお話がありましたように、七〇数%は人的保証で、二六%が物的担保ないしは人的保証と物的担保の混用ということになっておるのでございますが、今回の新しい制度の改正によりまして、貸付期限を相当延長しておりますのと、貸付限度を、土地取得資金の場合は四十万円から八十万円でございますが、そのほかの資金でも、二百五十万円程度まで個人に貸すということにいたしたわけでございます。そういたしますと、人の保証を受けることは、金額がかさんで参りますので、なかなか得がたいということがありますし、長い期間の貸付でございますから、子々孫々に至るまで保証しなければならぬという事態も出て参りますので、物的担保も徴求できる——これを重点にするということでもございませんが、それもとれるということにいたしたい。と同時に、担保の評価につきましても、従来非常に低い評価をしておったのでございますが、世間の実際の事例は、相当高いところまで評価をいたして担保にとっておるのでございます。農家の方の側から考えますと、できるだけ評価を上げてもらった方がいいわけでございますから、そういう趣旨で担保の評価も引き上げるということで、できるだけ農家に貸し出しやすいようにいたしたい、こういうのが今回の改正の趣旨でございます。
○安井委員 この点はっきり確かめたいと思うのですが、自創資金の関係だけではなしに、今後は公庫扱いの全資金について農地担保の仕組みをとることができる、そういうことでしょう。
○松岡(亮)政府委員 そうでございますが、土地改良区等に貸し付ける場合には、これは土地改良区が所有しておる農地というものはございませんから、必ずしもそうはいかないと思います。これはたくさんの人が連帯保証をするというようなことになると思います。新制度におきましても、土地取得資金以外の資金がございます。畜産関係の資金とかあるいは果樹関係の資金、そういう場合におきましては、農家の都合によってはできるだけ土地担保を活用するということにいたしたいと思います。
○安井委員 ですから、やはり農地担保の面がずっと拡大されることに実質的にはなってくると思うわけです。農地局長お急ぎだそうでございますから、関係のある点をまず伺っておきたいと思いますが、この点農地局長ですかどちらの局長ですか、農林漁業金融公庫が取得した土地を小作に出すということもこれは当然できる形になると思うのでありますが、その場合の小作権ですか耕作権といいますか、そういうものの扱いは他の場合と変わりはないわけですか。
○桧垣説明員 農林漁業金融公庫が今回の省令の改正ができました上で競落いたしました農地を小作に出す、賃貸借あるいは使用貸借に出すという場合におきましては、一般の場合の権利設定の場合と同様に扱いたいと思います。
○安井委員 いずれにしても、公庫がいつまでも持っているべきじゃないし、持っていないだろうとは思いますけれども、しかしそれが適当な処理ができない場合には相当長期にわたって小作契約とかあるいは賃貸借契約とかそういうような形が起きないとも限らないと思います。現在はごく件数が少ないけれども、将来はこれが相当ふえてくるのではないか、そんなこともおそれるわけでありますが、その点どういうふうにお見込みになっておられますか。
○桧垣説明員 私どもの考えといたしましては、公庫が競落によって取得します農地の面積、事例というものもそんなに多くはないだろう、またそういうことの起こらないように、行政上の指導といいますか、そういうことも加えて参る必要があると思っておるのでありますが、事例はそれほど多いと見込んではおりません。また、かりに競落をいたしました場合が起こりましても、それが長期にわたって農地法の精神に従った処分が不可能であるというような事例もそう多くは考えられないと思うのであります。ただ相当の期間にわたって処分が完了しない場合が予想されるというような場合には、これは若干の制度といいますか運用上の改正を要しますが、農協によります売り渡し信託という制度も利用するというようなことも考えていきたいというふうに思っておるのであります。
○東海林委員 関連してお伺いしたいのですが、今の答弁の中でちょっとはっきりしないのですが、農地法の建前では従来農地担保というものを抑制するというような建前だったと思うのですが、今度はその農地法の考え方はどうなるのですか。
○桧垣説明員 一般的には、私どもとしましては現行農地法の精神でございます自作農主義と申しますか、農地の所有権は耕作者にあるという考え方の基本を変える考えはないのでございまして、従って農地を抵当に出すこと自身については現在法律上の制約をいたしておりませんけれども、抵当権と担保権の実行にあたりましては、その競落人たる資格は現在の農地法の定めております要件を満たした者に限るという線は相変わらず貫いていきたいというふうに考えております。
○東海林委員 それでここに競落のことが書いてあるのですけれども、競落する場合には、従来と同じように知事が買い受け適格者というようなことをやって、その範囲でもって耕作権は尊重するという建前でいくのですかどうなんですか、はっきりして下さい。
○松岡(亮)政府委員 これはおそらく土地取得資金に関しての御質問でありますが、従来のように知事の認定によって、認定があった場合に貸し付けるということにいたしたいと思います。
○桧垣説明員 東海林先生の御質問は、今後も担保農地の競落に際しては、競落人の資格については知事の認定による適格証を持つ者に限ってやるのか……。
○東海林委員 耕作権を尊重するのかどうかということ……。
○桧垣説明員 ということでございますが、これに耕作者の立場を尊重いたしまして、従前通り知事の適格認定をいたした者に限る、ただしそういう場合において、公庫の担保評価よりも著しく低い競落価額しか現われないという場合、念のために公庫に競落人たるの資格を認めるということにいたしたいと考えておるわけであります。
○東海林委員 後段の方がちょっとはっきりしないのですが、競落価額が著しく低かった場合に——今おっしゃった点をもう少しはっきり、耕作権との関連はどういうことになるのですか。
○桧垣説明員 これは法律的にこまかく言いますといろいろ事例が多くなってくると思うのですが、競売に付せられます担保農地というものについては、法律上は当然にその競売時における耕作権が保護されないとは言い切れないのですが、しかしながら、現に耕作しておる者が競落人として参加をいたしまして、そしてそれが土地を取得いたしたいということが優先されることは従前の考え通りやりたいと思います。ただそういう競落の適格を持つ者が競落に参加いたしましても、何らかの事由で、適正な担保評価か何かで債務の回収をはかりたいと考えておる農林漁業金融公庫のそういう見通しに対して、著しく低い競落価額しかつかないというような場合には、みずから評価価額によって競落人としての機能を果たす、その上で適当な買い受け希望者に対して農地法の精神に基づいた売り渡しをするようにするというふうに考えておるわけであります。
○東海林委員 そこまではわかるのですけれども、その場合に耕作権というものの尊重という点がどういうことになるのか、こういうことです。
○桧垣説明員 私は一般的に申し上げたわけですが、抵当権設定以前にすでに賃貸借等の耕作権を持っておる者の位置というものは、競落をいたしましても当然に保護されるわけであります。
○安井委員 農地局長、それではもう一つだけ伺っておきますが、今度の農地担保の問題から農地価格の算定を変えるような気持を持っておられるのではないか、そういうことになりますと、統制小作料の問題にも影響が出てくると思うわけでありますが、その点どういうふうにお考えになっておられますか。
○任田政府委員 その点は今のところ格別考えておるわけではございません。やはり公庫自体が金融機関としての判断でこの所有制限の特例あるいは耕作権の移動制限の特例というものを考えられた上での農地価格、金融機関としての価格を考えまして、それで評価するという考え方に立っておるわけでありまして、国の方から積極的にどうということは、考えてはおらないのであります。
○安井委員 そういうことになりますと、価格の算定は、これは公庫のそれにまかせるし、小作料の方は小作料で、従来通りの方針でいく、そういうことですか。
○任田政府委員 さようでございます。
○安井委員 さらにお尋ねをしたいわけでありますが、今度はその農地の評価といいますか、価格算定の問題でございますが、現在のやり方とどういうふうに変えようというお気持でおられますか。
○松岡(亮)政府委員 現状において担保の評価は、ほぼ固定資産税の評価額を基準として評価しているのでございますが、これからはできるだけ高く評価するということで、一般に行なわれておりますのは、時価の五割から七割くらいの評価でございます。大体その辺の見当で、これは公庫にきめてもらうわけでございますが、そういった見当で高く評価してもらいたい、かように考えております。
○安井委員 固定資産税の評価で現在をやっていて、今後はそれによらないで、できるだけ高く買いたいという御答弁なんですが、そういうことになりますと、今までは、一応の基礎があって評価をされておりましたが、これからあとは公庫の勝手な、思うままな評価にまかせる、別に基準も何も設けないのだ、そういうことですか。
○松岡(亮)政府委員 大体時価の五割から七割というのが、一般の評価でございますが、その時価というようなところに事例がない場合もございますし、そういったことも考えまして、必要によっては鑑定人の評価を受ける、そういうことで、あまりその辺にアンバランスが出ないようにいたして参りたいと思います。
○安井委員 今、自治省の方で、固定資産税の基礎になります固定資産の評価がえの問題を進めているようでありますが、それと関係があるのですか。
○松岡(亮)政府委員 現在は、それには関係なしに考えております。今後固定資産税の評価額がどうなるか、これは目下作業中のわけでございますが、それができた場合に、ある基準になるかどうかということは、今後の検討の問題であると考えております。
○安井委員 そういうことになりますと、今までの評価のやり方は、その農地からの収益を価格に還元した方式で、固定資産の評価が行なわれていたわけですから、それが今度は時価方式に変わっていく、こういうことになると思うわけでありますが、たといそういうふうな農地の評価の仕方が変わっても、小作料そのものは、昔と同じような収益から追っていくところの方式で、そのままいつまでも変えない仕組みでいくということですか。その点さらに確認したいのでございます。
○桧垣説明員 先ほど農地局長からもお答えをいたしましたように、現行の小作料の統制の考え方と、今回の農林漁業金融公庫の徴求いたします担保能力の評価の問題とは、直接関係はないということは、先ほど農地局長もお答え申した通りであります。今後小作料の問題をどうすべきかということは、これは私ども農林省といたしましては、農地制度全体のあり方とも関連をする問題でございますので、農地制度研究会ということで、各般の学識経験者にお集まりを願いまして、昨年の九月以来いろいろ御協議を願っておるのでございますが、その際の御意見等も参酌をしつつ、将来の農地制度というものがどういうふうにあるべきかということと関連して、小作料のあり方もきめたいと思いますが、ただいまのところ、小作料の考え方について、改定をするというような考え方は持っておりません。
○安井委員 今小作料の問題については、農地制度研究会で検討中ということだそうでありますが、今後検討される場合において、今までと事情が一つ変わってくるわけです。今までは、自創資金等においても、農地の評価は、収益還元方式でいっておったし、今度は新たな事態として、時価方式というふうな仕組みが、公庫の担保評価について行なわれるという新しい条件が加わって、情勢が今度変わったんだから、小作料についても、また新たな条件を加えて検討すべきじゃないかというようなことになって、今回の評価がえというようなものが、小作料の問題にも自然に影響を持ってくることになりませんか。その点どうですか、
○桧垣説明員 現行の小作料の考え方につきましては、私からくどくど申し上げることもないと思いますが、中庸水田における土地収益というものを算定をして、それをもって適正小作料ということで法定をいたしておるわけでございます。その算定の基礎と現行固定資産税の評価の方法とは、必ずしもこれも同一ではないわけでございます。その点にも若干、制度の目的上の相違から、考え方に違いがございます。今回農林漁業金融公庫が、従来よりも高い水準の担保評価をして農地を担保にとるといたしましても、そのことと小作料との間に、直接の関係もございませんし、またそのことを考慮して小作料の考え方に変更を及ぼす、あるいは小作料の算定の際に考慮するというようなことは、全く考えておりません。小作料は小作料として、これを現行法の通り法定もしくは統制を続けていくといたしますれば、小作料固有の目的に即した考え方で算定をいたして参りたいというふうに思っております。
○安井委員 当然小作料は、それに直接の関連のある問題から、算定の問題に取り組んでいくべきでありますけれども、しかし従来は、公の機関において農地の評価については、どれもこれもみな低いレベルでしかなかったわけです。今度一つ高いレベルのものが現われてくるわけですから、今後の小作料の考慮の中に、一つの資料としてそういうようなものも飛び込んできて、小作料の引き上げをする要素になりはしないかということを私はおそれるわけでありますが、今の管理部長の御答弁では、そういうことには一切目もくれずに、本質的な解明の中から小作料の問題に取り組みたい、こういうことでございますから、その点信頼をいたしたいと思いますが、ただ、もう一つお伺いいたしたいのは、農地の時価が今度の担保価値をつり上げることによって上がってきはしないか。いや、ちっとも上がらないというふうな見方もできるでありましょうし、担保力が増してきたというようなことで影響があるのではないかというふうな見方もできないではありません。そういう点についてどういうふうな検討が行なわれておりますか。
○桧垣説明員 私どもの考えでは、公庫が担保に徴求いたします担保評価の引き上げということは、農家の資金の借り入れに際して信用力を増大するという効果はあると思いますが、それが直ちに農地の価格の高騰に結びつくというふうには考えていないのであります。ただ、農地の取得資金等の手当が、いわば農地に対します購買力の付与という形で影響があることは、理論的には考えられるわけでありますけれども、その点も、現在の農業事情、御承知のような農業就労人口の減少傾向と農地の移動の傾向とは、ほぼ相関性の強い形で推移いたしておりますので、それを考慮いたしまして、三十八年度の土地取得の予算も編成をいたしたつもりでございまして、そういうことから考えまして、この制度に関連をいたして農地価格が上昇するというようなことは、万々あるまいというふうに考えております。
○安井委員 これは先行きの見通しですからどういうことになるかわかりませんが、また農地価格は単に担保力が上がったから上がるというふうな性格のものでないことも、それだけが唯一の要素として高い低いがきまるということはないと思いますけれども、将来の見通しを立てる上においてはこれもやはり考慮すべき要素の一つだということはいえるのではないか、そういうような気がいたします。 そこで、今度の措置は、農業近代化のために長期の金を、しかも多量に確保する必要がある、そういうような場合に農民にとっての唯一の資産である土地を活用するよりほかにしようがないじゃないか、こういうふうなことが土地担保を強化することに踏み切った理論的な根拠ではないかという気がするのでありますが、しかし反面、耕作農民の側からいうと、これが今後どんどん波及して、金融機関の土地取り上げといったような昔の古い姿に戻りはしないか、そうはならないような法制上の仕組みにはなっておるけれども、これがだんだん発展していって、そんなようなことになりはしないかというような若干の不安が農民の中には漂ってくるのではないかということを、私どもはおそれるわけであります。今回は公庫だけについてこの担保措置を講じておるわけでありますが、将来において、他の金融機関についてもこれと同様な扱いをするというふうなお考えが、これは万々ないと思いますが、いかがですか。
○松岡(亮)政府委員 その問題は非常に大きな問題でございますが、現在の農地法の建前をくずしまして——現在の農地法でも、農地を担保に入れることを禁止しておるわけではございません。現に、いろいろな金融機関が担保として徴求しておるのは相当あるのでございますが、しかしながら、農地法の建前といたしております自作農振興、それに伴う耕作権の保護、あるいは土地の所有権の移動の制限というようなものを変えまして、将来一般的に、金融機関が自由に農地を担保として取り得る体制に持っていくということは、きわめて重大なことだと思いますし、また農地法全体の精神なりあるいは制度を大幅に変えなければできないことでございますので、これは農地法自体の慎重な検討の上に立って結論を出すべき問題だ、かように考えまして、現在のところはそういうことは考えておりません。
○安井委員 農地の担保の問題に踏み切る前に、私どもは政府の方においてもう少し、農民の信用力といいますか、そういうようなものを高める道がほかになかったかということについての検討がなさるべきではなかったかと思います。たとえば共同化というふうな形をとることによって担保なしにでも貸せるようなやり方、つまり集団信用を高めることによって担保力を強めていく、こういうような行き方もあったのではないかというふうな気がするわけであります。その点いかがですか。
○松岡(亮)政府委員 確かにそういう問題もございまして、農林公庫からの貸し出しにつきましては、いろいろな共同体に対する貸付という方法をとっておるのでございます。また農業近代化資金の創設にあたりましては、各県に信用基金協会を設けまして、政府なり県の援助も加えて、農家の信用力を高めるという措置をとって参ったわけでございますが、しかし一面におきまして、現に農地は担保として各方面で使われておるわけであります。また公庫が金を貸す場合にも、これは一般にそうでございますが、個人の場合、金を借りれば一般財産が担保になるわけで、他の債権者に優先して弁済を受けるというのが抵当権の意義でございますが、それを発揮してもらって、公庫が十分に金を貸せるという体制に持っていくのが今回の趣旨でございます。
○安井委員 たとえば金融というふうな問題については、何としても償還ができるということがその裏になくてはならないわけでありますが、そういうようなことから考えますと、一たん貸付をしたあとの指導の問題が非常に重大な問題になってきはしないかと思うのです。農家に対する生活指導の問題、経営指導を積極的に進めていく問題、こういうような指導体制の強化、その裏打ち、こういうようなことがあって、初めて貸付金も生きてくるし、それによって生産が上がることで償還も確保されるということになるわけです。だから私は、信用力を高めていくという上からもこの指導強化の体制、これを一つ積極的に進めていくことがきわめて重大な問題ではないか。先ほど申し上げましたような集団信用を高めていくというふうな道と、この指導体制を強化していく道と、こういうようなものが合わさっていけば、単純な農地担保というような方向にいかなくても、相当多額の資金の裏づけとなることができるのではないか、こういうような考え方についてどうお考えですか。
○松岡(亮)政府委員 集団で借り入れをやっていく、その信用力を使うという点において別に私ども異論がなくて、そういうような方向でも進めておるわけでございますが、と同時に、今お話のありましたように、経営指導を強化するということにつきましても、今度の新制度につきましても特に要綱でそういう趣旨のことを定めまして、県あるいは改良普及員の指導というものを強化していく。と同時に、金を貸し出す場合に、知事がその後における経営計画を審査いたしまして、それが非常にいいかどうか、また改善すべき点があればこういうふうに改善しろという助言のできるようにいたしまして、十分にその後の経営の指導ができるようにいたして参りたい、そういうように考えておるのでございます。 もう一つ、直接資金の貸付条件につきましても、償還しやすいように償還条件をできるだけ緩和していく。年限の延長ということがまずその一つでございます。それから金利の引き下げ、そういった措置もとりまして、農家が今後金を借りてもできるだけ容易に償還し得るようにいたしたいのが今回の新制度の大きなねらいでもございます。
○安井委員 私はむしろそこまで国が積極的にあとあとまでの指導体制を強化するという考え方があれば、そう担保にこだわらなくても必ず返してくれるような仕組みになるのではないかと思うのです。だから今まで担保の問題に強くウエートを置いた考え方でいたというのは、ただ貸しっぱなしですから、それは返ってくる当てがない、だから土地でもなんでも担保を提供しなければ困るという考え方になるのではないかと思います。私は、もっと農民と密着した指導が終始行なわれていれば、物的担保なしにだってどんどん貸して経営の改善の方向に向けることができるのではないかというふうな気がするわけです。共同化だからというので共同化の資金は貸したけれどもそれがちっとも効果が上がっていないじゃないかというふうなことがよく言われますけれども、私はそれはあとの指導体制が悪いからではないかというふうな気がするわけです。ほんとうに貸した金がすっかり生きてくるような仕組みにしたいのなら、やはり真剣に密着した指導というものが当然行なわれなくてはならないわけです。そういう点、要綱の言葉の中だけでは書かれているようでありますけれども、これはまた今に始まったわけじゃなしにいつでもそういうふうに書いてあるわけでありますが、ちっとも十分に実行がなされていない。今度ここに、今も局長がおっしゃったように、今度はしっかりやるのだというふうなことを書いてありますので、これも単に書いてあるだけではなしに実行されるのかどうか、担保を私どもの方でいただきたいような気がするくらいでありますがどうですか。それには何か物的担保はありませんか。
○松岡(亮)政府委員 指導体制の強化につきましては、各局におかれてもいろいろ工夫もしていただいております。今後の貸し出しのやり方の要綱をつくる場合にそれぞれ具体的にきめていただきたいと考えております。そうやっていけば心配もないのじゃないかというお話でございますが、ごもっともなことでございますけれども、しかしやはり人的保証をとるというようなことは今後だんだんむずかしくなって参ります。それからかりに全然無担保——表面いろいろ抵当権の設定とかそういうようなことがなくても、とにかく農家の財産は全部担保に充てられるわけでございますが、その他の債権者が横から出てくる場合もあるのでございますから、そういうことも考えて、農家がそれでいこうという場合には農地を担保としてとることもやって参りたい、そういうように考えておるのでございます。
○安井委員 午前中自創資金のことでも私ちょっと触れましたけれども、自創資金の借り入れ等についても、営農の再建計画ですか、分厚な書類が必要なわけです。改良普及員の諸君なんかも一生懸命になってそれをつくっているわけでありますが、それは単につくらなければ貸してくれないというふうなことでしか実は農村の中では受け取られていないようです。だから借りる金額から逆算して起こして数字をずっと当てはめていく。膨大な書類ですよ。そこにはすごい労力も必要なわけです。改良普及員の人たちが本来の仕事を投げてまでそれに忙殺されているような事情もあります。これはつくりっぱなしで何にもなっていないのですよ。それだけであとはあれは県に積まれるのですか、農林省に積まれるのですか、あの膨大な書類の処理におそらくお困りになっているのじゃないかと思うのです。だから私ども言いたいのは、貸し出しの仕組みはできるだけ簡素にしてあげて、それとは別に、資料があろうとなかろうと、将来の指導だけは濃密に指導をしていく。ただ指導も何にもしないで書類だけの書類をつくっていくということではなしに、書類は簡素にして指導を強化していく、こういう仕組みでなければ私はいけないと思うのです。書類の簡素化という面につきまして何かお考えはありませんか。
○松岡(亮)政府委員 自創資金につきましてはしばしば国会でも御指摘がありまして、だいぶ簡素化して参ったのでございますが、今後も貸し出しの手続等につきましてはできるだけ簡素化するようにいたして参りたいと思います。ある程度は貸し出しの手続の簡素化と指導の強化ということは矛盾する面もございますけれども、それはいろいろ工夫のしどころで、実質的に指導を強化しつつ手続の方はできるだけ簡素化するということでやりたいと思います。
○山田(長)委員 関連して。農業構造改善の上でそれは一番重要な点だと思うのです。旧来の農業をやっている人がここで畜産なりあるいは果樹なりにかわろうとするときですから、これは容易な心がまえでは変えられないのが実際の姿です。ところが変えようと思っても、書類手続その他非常に複雑なために、実際はそのことをやっておるうちにもう疲れてしまうのですよ。書類づくりをやっているうちに疲れてしまう。これは農家の人たちはやはり何と言っても常にペンを持たない。まことにペンを持つときにはおっくうがってしまう状態の立場の人たちですから、ペンを持つこと自体がおっくうなんです。そこへ持ってきて書類の手続が非常にややっこしいから、しまいにはあきれてしまってやめてしまうような状態なんです。ですから構造改善の第一の条件としては私は事務の簡素化だと思うのです。これは思い切ってなさらなければだめだと思うのです。 それからもう一つは、改良普及員というものがたくさんいるけれども、これはほんとうのことを言って安月給取りです。ほんとうに農村の人たちが改良しようとして情熱を打ち込むときには、改良普及員を一人か二人の農民が相談相手として縛ってしまうほど忙しい状態に追い込まれると思うのです。そのとき最近は法律に次から次にと大きな変化があるため、改良普及員はそういうことの知識も身につけなければならない。それから下からは農民がいろいろ相談に行く、これも処理しなければならぬという、まことに都会の勤務者と違って朝から夜までの時間というものは全く不規則な状態の中でよくこれに努力をしている人がいると思うのです。こういう人たちに対する処遇の問題も私は当然考えられなければならぬと思うのですが、この事務の簡素化と改良普及員の人たちに対する知識の普及ですね、これは容易ならないことだと思うけれども、やはり普及員自体が、こんなに大きな変化があるときにはよほど努力しなければ追いついていけないんですよ。これを何とかして追いつかせるためには、やはり栄養失調な状態なんかではとても追いつける筋合いのものではない。これはこの機会に待遇の問題などをとやかく言うべき筋合いのものではないと思うけれども、やはりこういう問題から考えられて、そして自分はほんとうにこれだけ大きな農業改善に処する戦士であるという心がまえが普及員にできなければ、とてもそれは容易なものではないと思うのですよ。そういう点で、普及員に対する当局のこれが大きな変化に対処する心がまえの正しいあり方だ。こういうことをどうお考えになっておるのか。 それから事務の簡素化。私は実は今度の構造改善の問題が去年国会で法律が通過した直後、まだ豚の値段が下がらぬときに、農林中金に、実は地方の人たちが集団でやるからというので、この金を借りるための交渉に行ってやりました。ところがこの事務が繁雑なことに驚き、しまいには私も手を焼いてしまった。それは経済連の方に聞いてくれ、経済連の方に行ってみたら、経済連は、地元の農協は何と考えておるか。地元の農協はといっても、新しい仕事をやることですから、農協としても思い切ってこれが奨励できない。そのうちに地元の意思をまた農林中金に持ってきて訴えた。それは何としても地元の人たちが本気にならない限りにおいては、農林中金としては今の法律ではどうすることもできない。今度多少変わってくるわけですが、そのときの話をするわけですけれども、それからまた今度県の経済連に行ってみた。地元の農協から何の返事も来ていないし、農協の人たちと相談しろ。そんなことを行ったり来たりしているうちに、ほんとうに農業改善に力を入れようとする農民は、いや、私はこんなことではしようがないから、もとの通りでやめます、こういうことになってしまった。これはやはり何としても事務の簡素化が第一だと思うのです。この事務の簡素化について、やはりおざなりの答弁じゃだめなんです。もっと明確な答弁が必要なんです。さっきからうしろで聞いておると、少し小さい声なんで聞き取れない点もあったのですが、事務の簡素化だけはこのことの第一番の問題としてぜひ必要でありますので、この際お答え願いたいと思うのです。
○齋藤(誠)政府委員 金融の手続きにつきましては経済局長から答弁していただくことにいたしまして、構造改善事業計画についての事務の簡素化並びに改良普及員の指導力強化という点について御指摘になりました点は、われわれとしても全くそのように考えておるわけでございます。ただ、事業計画につきましても初めての試みでもございますと同時に、文書だけによってはなかなか十分指導し切れないものもございまして、従って計画書についてはどういうふうなことを入れて計画を立てるべきであるかというようなことを、計画書を通じながらある意味においては理解してもらうというふうなことも実は考えてつくったわけでございます。しかしこの点については、従来とも農村計画についてはあまりにも資料をつくることが多過ぎる、手続があまりにも繁雑であるということにつきましては、当初から十分私も留意いたしまして、第一回の場合におきましても、これは計画書というのは一つの参考である、あるいは計画をつくるための調査事項については、これは計画をつくるための参考的な調査項目である、従って当該町村において計画を立てる場合においては、必要な部分について参酌して計画を立てなさいというような意味の注意事項を特に入れてやったわけでございます。しかし当初のことでございますから、また事業の関係する部分が施設にわたり、融資事業にわたり、あるいは土地改良事業等の補助事業にわたるといったような関係で、それぞれの法律やなんかの関係で要求されている資料等もありますし、また補助金でありますので、当然それに伴う予算の補助金申請書の一応の要求書類というようなものもありますので、ある程度は金を出す融資をする関係上最小限度のものは必要であろうと思いますが、今御指摘になりましたように、計画倒れになる、あるいは補助金をもらうために計画書をつくったけれども、あとは何にもそれが利用価値がないということに厳にならないようにということを、私はよく県の方には言っておるわけであります。しかし現状において相当複雑でございますので、今手続の簡素化につきましてはもう少し簡素化できないかということを内部的に検討いたしておりますと同時に、今後この事業につきましては、地方農政局に大幅に権限を委譲するつもりでおりますので、そういうこととあわせまして極力簡素化をはかって参りたいというように考えておるわけでございます。 第二点の改良普及員の指導については、御指摘の通りでありまして、結局この事業を最後までめんどうを見ていくということについては、やはり末端の改良普及員にたよらざるを得ないというように考えておるわけでございます。そこで、事業実施にあたりましては、担当地区に改良普及員の地区ごとの担当者をきめる、あるいは主産地に応じて特技普及員の配置がえを行なうとかいうようなことを強く県に指導いたしております。しかし計画をつくる段階あるいはさらにそれを実施する段階におきましては、なかなか普及員だけでも十分にやっていけないという面もございますので、これに対しては関係の試験場あるいは府県庁の指導官等も含めて指導班や何かをつくって指導するというようなことを考えておりますが、来年は普及員の活動力を一そうこの事業のために強化する意味におきまして、今国会に提案を予定いたしております改良助長法の改正によりまして、改良普及員の特殊な職務の勤務状態に応ずるような措置の一つといたしまして、職務手当を改良普及員には特別に支給しよう、こういうことにいたしておるわけでございます。今後普及員の研修の強化あるいは活動力の強化ということについては、この事業推進上一そう努力いたしたいと考えております。
○松岡(亮)政府委員 金融機関からの貸し出しにつきましては、絶えず簡素化を呼びかけて参っておるのでございますが、特に農林公庫につきましては最近事務簡素化委員会というものをつくってもらいまして、具体的に簡素化の研究をやってもらっております。その成果を待ちましてさらにその簡素化を進めて参りたい、かように存じております。それから系統の場合につきましては、これも金融機関というものは大事な金を貸すせいでございますか、いろいろと書類を要求する傾向があるわけでございますが、それらをできるだけ減らしてもらって、特に組合金融でございますから、農村ではお互いに、あの人はどういう人だということもわかっておるわけでございますから、そういうようなことはできるだけ簡素にしてもらうように常に指導をいたしておるわけでございます。
○山田(長)委員 実際は必要な人に金がいってないのです。それで問題があり、それから農業改善なんというものは煙みたいなものだという声が農民の中に出てくる。必要でない、ゆとりのある人は幾らでも借りる方法はあるのですが、実際農業改善をしてそれで新しい行き方を持ちたいと思うような人はなかなか金が借りられない。そこで私がさらに申し上げておきたいことは、今局長は、村や町の場合における農業者の実態はわかっておる、こう言うけれども、実際はわかっているので借りられないのだ。ただどういう点で借りられない場合があるかというと、思想的に古い村の理事者に対する反発力を持っているような集団が、戦後においては農民組合の組織ばかりでなしに、部落等においても、農協などの理事者にはなっていないけれども、実際にはそういう革新的な動きがあるわけです。こういう人たちがどういう農業改善の方途を考えておったにしても、やはり貸すと反発勢力が強くなってくるというようなことから全然貸し与えない。こういう事例は、私は幾つも自分で見て知っているのですけれども、たくさんにあるのです。こういう場合における農協の理事者というものは、ほんとうに公平な立場で必要に応じて融資をさるべき筋合いでありますけれども、これがどう理事者にぶつかっていっても、思うようになびいてこない革新勢力などに対しては、言を左右にして貸し与えない、こういう事例があるのです。農協の理事者もさることながら、普及員等に、もっと日本の農業改善をしなければならぬという魂の入っている普及員がいるならば、これらの人たちが先頭に立って、農業の改善の必要を説きながら、こういう筋の人に対してもおそらく私は説いてくれるだろうと思うのです。こういう点で、やはり普及員に十分魂を入れなければ、農業改善などというものは不可能だと私は思うのです。今聞きますと、待遇の問題も考えているということでありますけれども、この普及員は、とても都会の会社に勤めている会社員のように、朝時間に出て夕方時間に帰ってくるというようななまやさしいものではない。質問に応じたならば、あるいは部落にその改善の思想を普及しようとするような場合には、時間を無視してでもなんでも、夜おそく十時、十一時まででも回って歩く情熱がなければ、保守的な農村の人たちに新しい仕事をさせようというのでありますから、容易な筋合いのものじゃないと思うのです。これに魂を入れるということはなかなか容易なことではないけれども、やはり普及員が農林省の仕事の第一線の戦士ですよ。この普及員が本気になって農業改善の仕事をやらなければ、幾ら中央で農林大臣や農林省の局長クラスがラッパを吹いたって、とても踊り出すものではないです。こういう点で、普及員に対する待遇もさることながら、やはり魂を入れることが重要なので、全国の各府県の農業改善の仕事に携わる人たちに対しては、徹底的に魂を入れなければだめだと私は思うのです。先ほど、待遇の問題も改善するという話でありますが、やはり思い切って仕事をしてもらうということだと思うのです。その点についてもう一ぺん、どんな改善の施策をするつもりか、伺っておきたい。
○齋藤(誠)政府委員 お話の通りでありまして、私の方も、先ほど申し上げましたように、事業推進のための普及員の担当者をきめるとか、また担当した普及員については必要な研修あるいは講習を行なう。先般もパイロット地区担当の普及員を全国から集めまして、講習会、研究会を持ったわけでございますが、そういうような方法を今後とも強力に展開して参りたいというように考えておりまして、普及員の末端における仕事というものは、本庁においてテーブル・ワークをするものとおのずから仕事の性質が異なっておるばかりでなく、末端において個人の責任において指導していくという面が非常にあるわけでございますから、そういうことを考慮しまして、改良普及員手当を来年度からつけるということにいたす準備をしております。
○山田(長)委員 実は二、三年前新潟の亀田郷の土地改良の仕事の調査に行ったことがございます。そのときに、私は、普及員の橋本という人でありますが、その人の努力しておる姿を見まして、第一線の農業普及員にもかくのごとき人があるかと思って、実は感きわまって、その人の話を聞き、その人に対するものの考え方を持って帰ってきて、たまたま今初めてここでしゃべる機会があるのですが、この普及員は毎日オートバイで里数にして七十里ぐらいを回っておる。ところが改良普及事務所から出ておるガソリン代はりょうりょうたるもので、私は自分の月給の中からガソリンの経費を出しておるという話を聞いた。それでたまたま亀田郷の改良普及事務所に寄りまして、その橋本という普及員の勤務状態及び仕事の時間の状態等を伺いましたらば、まさに模範的な普及員であるということだった。その普及員が給料の中からガソリン代を出しておるという姿を知りまして、一体こんなりっぱな普及員に、安い給料の中からガソリン代を出さしておくような姿では、日本の農業は発展しないと思ったのですが、その人の米をつくっておる姿を私はわざわざ行って見てきました。そうしたら、たんぼのまわりを六尺掘って、稲が下からも栄養を吸収するというので、このたんぼの下へ土管をいけて、変わった米つくりをやっておる。これによって十五、六俵の米がとれるのだという話で、私は実に驚いて帰ってきたのですけれども、そういうりっぱな普及員で、これは三年ほど前のことですから、今亀田郷にその橋本という普及員がいるかいないかわかりません。調べてみたらわかると思うのです。実際にその人はガソリン代を自分の給料の中から出して動いておるということをそのとき知りました。おそらくこういう普及員が全国にはたくさんいるのだろと思うのです。しかし、必ずしもそういう普及員でない人もいるだろうと思う。やはりこの農業改善という事業を推進するためには、優秀な人はどんどん抜擢し、表彰し、うしろ指をさされるような普及員がいたら、他に転ずるなりあるいは新しい魂を入れるように中央へ呼び寄せてこれが教育をやり直してやらなければいけないと思うのです。たまたまこの機会に橋本普及員の話をいたしましたけれども、私がここでこの普及員の推奨を申し上げるのも、これはりっぱな人がいるから申し上げるわけであって、そういう人たちが全国にたくさんいると思いますが、これらについては、この機会に抜本的な処置を講ぜられる必要があるのではないかと思いますので、念のために申し上げておきます。
○長谷川委員長 湯山勇君。
○湯山委員 今、安井委員の方からずっと御質問がございましたが、それに関連している問題あるいは残っている問題についてお尋ねいたしたいと思います。 一つは、特に構造改善事業に関連する問題でございますが、農政局長へは、先般の臨時国会のときでしたかに、構造改善事業というものは将来を見通して恒久的な対策をすみやかに立てる必要がある、あとからやるものほど条件がよくなっていって、先にやったものが損をするというようなことでは、結局構造改善事業は進まないし、そのことが足をひっぱることになるということを申し上げて、その善処をお願いしたと思います。今回こういうふうに相当大幅な農林金融に関する制度の改正が行なわれまして、個々のものについてはよくなっている面が多いと思いますけれども、しかしながらこれで金融に関する措置は、あと十カ年になりますか八カ年になるのかわかりませんけれども、今後は変えない、こういう御方針なんでしょうか。あるいは今後もなお変えていく、こういう御方針なんでしょうか。こういうことを申し上げるのは大へんおかしいようですけれども、それによってまた取り組むかまえも変わってくると思います。その御答弁によって私のお尋ねする内容も変わってくるわけですから、大体これでもう構造改善を中心とする金融関係は終わりだ、こういうことなのか。なお今後もよくしていくのだ、こういうお考えなのか。これをまず伺いたいと思います。
○松岡(亮)政府委員 今回の新制度に仕組まれておるいろいろな資金がございますが、その中には農業構造改善事業推進資金あるいは沿岸漁業の構造改善推進資金というように、明確に一定の計画に基づいて行なわれている事業もございます。それから土地取得資金のようにそれぞれの年度については融資の目標がございますが、これは将来長きにわたって続いていくというような性格の資金も含まれておるのでございますが、全体といたしまして大体今回の条件の緩和でほぼ目的を達成しているのではないか。一部土地取得資金等について、将来、といっても相当先で、一般金利水準は低下するというような状態が出て参りました場合に、さらに検討する余地のあるものもあるかとも思いまするが、大体当面今回の措置で当分の間はよろしいのではないか、かように考えております。
○湯山委員 今局長が御指摘になりましたように、いろいろな資金があることはよくわかります。ただ、そういうような議論をなるべく集約するために、特に農業の構造改善、一番はっきりしておるのがこれでございますから、それについてお尋ねしたわけですが、大体もうこれで農業構造改善事業が終わるまではその関係の資金については条件は変わらないのだ、こういうことでございますか。それだと私はこの際非常にいろいろな問題がございますから、それについて意見も述べるし、お聞きしたいと思いますので、お伺いしたいと思います。
○松岡(亮)政府委員 今回、農業構造改善事業の融資条件につきましては、かなり思い切った改善をやったつもりでございます。融資単独事業中心でございますが、今回の措置によりまして、金利は六分五厘から三分五厘に大幅に引き下げております。それから償還期限も、従来の近代化資金でいいますると、構造改善事業に関連するものとしては十二年を限度としておったわけでございますが、それを二十年を限度とする、特に果樹につきましては二十五年までを限度として引き延ばしたわけでございます。それから融資限度につきましても、従来近代化資金で一般百万円、特に知事の承認を受けた場合は二百万円とありましたのを二百五十万円まで限度を引き上げたのでございます。そういった内容からいたしまして、これは漸進的な改善というよりも一挙に相当な改善をいたしたつもりでございます。そういう趣旨で、さっきも申し上げました通り、構造改善事業の一応目安になっております十年の計画ということ、これははっきりしたものではございませんけれども、その期間ぐらいは今回の条件でよろしいのではないかというように考えておるのでございます。
○湯山委員 ただいまの御説明の中で、たとえば金利の三分五厘というものを設定したとか、あるいは償還期間の二十年、二十五年を設けた、こういう個々のものについてはおっしゃる通りだと思います。ただ私がここで申し上げたい点は、せっかくそういうふうになさっても、たとえば今度の経営構造改善資金の融通制度にいたしましても、貸付期間が十五年があり十七年がありあるいは二十年があり、こんなふうに非常に近い期間で区別がついておる。それは一つ一つについて御説明をいただけばそれぞれの理由はあると思います。あると思いますけれども、先ほど貸付手続の簡素化ということが言われましたが、せっかくこういうふうになさっても、制度そのものが非常に複雑になっておる。そういう制度そのものをもっと簡素化して、今のように十五年、十七年、土十年というようなものは二十年にそろえる、金利にしても、三分五厘、四分、四分五厘、それから今の補助残事業については、またそれにかぶっておる。制度そのものがだんだん細分化されて非常に複雑になってきておる。こういうことを改めていかなければ、せっかくおやりになったことがその効果を発揮できないのではないか。そうしてそのことは、はっきりグリーン・レポートにも書いてあるわけです。グリーン・レポートで見ますと、「貸付金の種類・条件はしだいに細分・複雑化の傾向がみられ、また系統金融機関との融資分野の調整等農林公庫資金制度自体の問題も少なくない。」こういう制度自体が非常に複雑になってきておる。これは十年間これで改めないのだという方針だと言われますけれども、はっきり農林省自体、政府自体で、この報告で認めておるように何とかしなければならないという段階にきておる。しかも今度のこの改正によって個々の条件がよくなったことはいいことだと思いますけれども、しかしこれで指摘しておるような問題点は一そう増大され、拡大されておる。これは何とかしなければならないではないか。それを目をおつぶりになってもうこのままでいくのだということだとすれば、私は、これは承知できないと思います。そうして、それじゃ改めるのだというならば、もっとこれは根本的に長期にわたる検討が要るのではないかということでございますので、今の点をお尋ねしたわけです。今のような点についてはどういう検討がなされ、あるいはどういうお考えをお持ちになっておられるか、これを承りたいと思います。
○松岡(亮)政府委員 御質問の御趣旨は非常に基本的な問題であるというふうに今伺ったのでございますが、確かに御指摘のように、今回の新制度をつくることによりまして、従来そうでなくても複雑であった農林公庫の資金が一そう複雑になったというきらいがないわけではございません。また公庫と系統の関係、特に近代化資金等との分野の関係等についても、近代化資金制度を創設する際に一応整理をやったのでございます。それが多少あいまいになったという点を問題としてないわけではないのであります。それらの点については、今回の新制度を立案する際についてもいろいろな意見が出まして、われわれの内部におきましても十分な討論をいたしたわけであります。しかし一面におきましては、公庫の制度というものは、やはりできるだけ財政資金によって条件のいい金を出して、普通の民間資金ではなし得ないようなものを出すように持っていくべきである。その場合には普通の金融機関ではないことでございますけれども、それの融資の対象なりあるいは事業の性格によって、できるだけ条件はそれに即したように持っていきたい。もちろん金利というものはどれが適正金利であるということを言うことはなかなか困難でございます。昨年も、学識経験者などにお集まりいただきまして、農業の適正金利はどういう方向によって考えたらよろしいだろうかということを御相談したのでありますが、結局何らの結論も得られなかったというようなことでございまして、金利などを取り上げますと、どれがどのくらいであるべきだということを出すことはなかなか困難でございますが、できるだけそれらの事業の性格なり融資対象に応じて条件をよく考えてみる必要がある。たとえば家畜のようなものはどうしてもあまり長期の金として貸す理由もなし、かえって貸すべきではないというようなことも言えますが、逆にコンクリートのサイロのようなものは相当耐用年数を持っておるというようなことで、これは相当の期間貸した方がよろしいという考えにもなるわけで、それらを勘案しまして、やはり今度の制度もそれぞれの性格に応じてできるだけいい条件で考えていく、多少制度は複雑になるけれども、そういうような方向で考えた方がよろしいという結論に立って今度の構想をつくったわけであります。多少複雑化しているということは御指摘の通りでございますが、それだけ一面においてはこのものに条件を合わしてきたということもございまして、現状においては今回のものでよろしいのではないか、そういうふうに考えております。 〔委員長退席、東海林委員長 代理着席〕
○湯山委員 私は、御説明が納得できないのは、多少複雑になった、けれども借り入れがもっと有利になればいいのだ、この原則はその通りだと思います。しかし、せっかくそういうことをするのならば、もう一つ親切なやり方といいますか、その制度自体を整理していくということが伴わなければ、実際にはそういう複雑な制度があっても使えない。現に今お示しいただいた構造改善金融制度の要綱の中を見ましても、その中に、ただいまも問題になりました改良普及員等の指導をうんと強化するということがございました。改良普及員の人たちは、今後の改良普及員の仕事の一つは農政をうんとよく勉強して、こういうところへはこういう資金がくるのだ、そういう農政面からの指導もずいぶんやらなければならないということも言っております。ところが、こういうふうに複雑になってきますと、とてもこれを調べることだって容易なことじゃないと思います。そのことに追われて今度は実際の指導はさっきとまた関連しますけれどもできなくなってしまう。せっかくつくった制度が生かされなくなるというようなことになったのでは角をためて牛を殺すのたぐいになるのではないか。ことにグリーン・レポートの中では、はっきりそれについては、こういうふうに複雑多岐になって細分化したものについてはあらためて考えなくちゃならないということを指摘しておるわけですから、当然今過渡的にこういうふうに一部のものが頭を出した、からを突き破ったということは認められますけれども、ある部分は頭を出したが、それらにそろえて他のものも条件をよくしていって整理をする、そういう作業を早急にやらなければならないということを私は考えておるので、局長のおっしゃったように、これで一段落だというふうには考えない方がいいのじゃないか、また考えては困るのじゃないかということを考えるわけですが、これはいかがなものでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 まことにごもっともな点でございますけれども、制度を簡素化するという場合にはかなり大きな再検討を十分制度全体につきまして一これは何も今度の新制度に限りませんけれども、農林公庫の制度なりあるいは近代化資金制度等を含めまして、全体の金利体系なり融資の分野というようなものも考え合わせてやる必要があるかと思います。そういう意味におきまして、今後の重要な研究課題であるということは私も同感でございますが、当面は、個々の内容をいじる、そういうことは避けた方がよろしいのではないか、こういう感じでございます。
○湯山委員 実は局長の答弁はその範囲を出られないかもしれません。しかし重政農林大臣は、御就任以来、農林漁業金融については相当思い切った大胆な発言をしておられます。御存じのように、農地担保金融ということは今度若干実現したようでございますけれども、そういう問題とか、あるいはそれに関する債券の発行、こういうことも新聞発表しておられました。それから農地銀行といいますか、そういうとにかく農林金融の特殊な銀行をつくろうということも出ておりました。こういうことから考えますと、今局長の言われた程度で一体農林大臣の考えている構想が全部実現したのかどうか。もしこの程度のことであれば、それは個々のものについてはよくなったことには間違いありませんけれども、しかし今当面緊急を要する、あるいは非常にたくさんの資金を要する農林漁業関係にこれだけでもういいのだということはどうしても考えられない。農林大臣があれだけの構想を発表されたのには今いろいろ長期にわたって検討しなければならないというものもあって、そういう検討も相当行なわれたのではないかということを私は感じるわけですが、どうなんでしょうか。そういうもっと抜本的な大きな構想についての検討は省内ではなかったのでございますか。
○松岡(亮)政府委員 確かにかなり基本的な問題に触れた指示があったのでございます。今湯山先生の御指摘になった点のうち、農地銀行あるいは独立の金融機関をつくるということについては私どもにはお話はございませんでした。債券発行の問題でございますが、これは私どもも大いに研究をやったのでございます。それで一応の構想として債券発行を農林公庫にも認めるという方法も一応は考えたのでございますが、今後もさらに研究すべき問題だと考えているのでございます。ただ当面は、農林公庫の貸し出し利回りは非常に低いわけであります。一方、債券を発行して調達いたします原資は、現在の資金運用部資金よりはかなり高いものになるわけです。資金運用部資金で十分まかなえるならば、さしあたり債券発行は考えない方がよろしいのではないか、むしろ安い原資を獲得するように努力した方がよろしいということと、現在の金融情勢におきましては、政府保証債にいたしましても一般で募集することはなかなか困難でございます。かえって農協系統の資金などを当てにしまして、その農協の原資を少し安くしてもらって引き受けてもらうというような無理なことも考えなければならなくなるということも考えまして、むしろこの際は債券発行は見送った方がよろしいというような結論に到達したわけでございます。それらの問題を十分検討いたしたわけでございます。 農地担保金融につきましても、農地法の改正ということは申すまでもなく大問題でございますから、農地法全体をどういうふうに持っていくかということを考えた上でなければ、根本的な結論を出すことはできない、金融の面からのみ農地法をどうするということを考えるのは非常に無理があるということで、農地法には触れませんが、その範囲内で今回の担保金融の考え方を出したのでございます。当初のよりだいぶ後退したではないかという御印象を持たれたようでありますけれども、経緯から申しますとそれぞれ理由がある、検討してみなければ結論を出せないような大問題ばかりでございますので、こういうことになっておるのでございます。
○湯山委員 それじゃ今おっしゃったような問題、これについては目下検討中でございますか。これはもうやらないという結論が出ておるのでございますか。
○松岡(亮)政府委員 農地法を改正してやるということにつきましては、さっき管理部長が申し上げましたように、今農林省に農地制度研究会というのを設けまして、小作料の問題あるいは農地法全体は今後いかにあるべきかというような問題につきまして、学識経験者に御研究を願っております。それから債券発行の問題につきましては今回は見送りましたけれども、これでやめたということではございません。今後の金利情勢等の動きによりましては、再び取り上げて、検討と申しますよりも、実現するようにいたすということはあり得るのでございます。
○湯山委員 それから農地銀行といいますか、これは全然話をお聞きになっておりませんか。ただ省内での会議で議題にならなかったということなのか、どうなんでしょうか、その辺は。
○松岡(亮)政府委員 その辺のことは内輪のことでございますが、農林省の事務当局としては全然研究いたしておりません。大臣からも特に農地銀行をつくるというようなことを事務当局に示されたことは、当時私が責任者でございましたけれども、ございません。
○湯山委員 そういたしますと、大臣も、今の農地銀行の問題は別として、他の点については、そういうことをやっていこうという考え方には変わりはないし、今後検討して結論が得られればやっていこうということでございますね。そうだとすれば、当然私は今回相当改正されました農林金融の問題も、それらの問題の結論あるいは検討過程においては相当変わっていくということが予想されるのではないかと思いますが、そういうふうに理解することは間違いでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 農地法の問題につきましては、これはいろいろな研究の結果によって判断されると思うのでございますが、債券発行については、でき得れば今後実現するように努力すべきことだということでおるわけでございます。そういうことは、かりに債券発行の問題が表面に出ました場合にも、今回でも、実は先ほども申し上げましたように、一応は今度の制度に関連しまして考えたくらいでございますから、今回の制度の原資の問題として出てくる問題でございまして、制度自体が直接それによって動く、こういうことにはならないと思うのであります。
○湯山委員 制度自体という言い方によってその内容が違ってくると思いますけれども、たとえば、さっきちょっと申し上げましたように、十五年、十七年、二十年と、二年、三年区切りのところもあれば、あるいは五年区切りのところもある。しかし二年という差を設けたからといって、十七年と十五年の二年の差というものがこの制度の上からぜひ必要なものだということはちょっと考えられないのじゃないかと思うのです。それについての説明をこまかく求めるということは、この際ですから不必要なことだと思いますけれども、直感的にそういうことは必要のないことだ。それから現在四分になっているものを三分五厘にしたからといって、それで不合理ができてくるという筋合いのものでもないと思います。こういうふうに見て参りますと、そういうことも含めて制度という言葉を私使っておりますので、そういうふうに御理解いただきたいと思うのですが、今の簡素化していく、それから合理化していく——私は合理化という言い方がいいのではないかと思うのですが、合理化していくという余地はまだ多分に残っている。そういう合理化することによって、そのことが直ちに農民へも有利な条件になってくる、そういう余地はまだたくさん残っているのではございませんでしょうか、どうでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 そういうことでございますならば、私どもとしても今後改善すべき点がないということは申し上げられないと存じます。特に基本的に金融制度を、農林中金なり系統を含めまして、農林公庫その他の金融制度を含めまして再検討するというような、かりにそういう事態が出た場合には、これはまた特にそうでございますが、そうでなくても現状を改善すべき余地はないということは私も申し上げられないと思います。 〔東海林委員長代理退席、委員 長着席〕
○湯山委員 そういうことが行なわれた場合に、今より不利になるということは考えられないと思います。有利になっていくということになる以外にないと思うのですが、そうするとまた、あとからやったものは有利であって——先ほど安井委員の質問に対して、昨年やったものについては遡及しないのだということがございましたが、有利な条件が今後出てきた場合に、やはり今おっしゃったようにこれは遡及しないのだという方針でいかれるのか。そうじゃなくて、同じような国の方針によって行なわれた施策については、ただたまたま前後したということの違いで適用される条件が違うということは、私は不合理だと思います。だからむしろさっきの御答弁は、実際においてそういう事態がないからそういう方針にしたのであって、方針としては、さかのぼって有利な条件を適用する、あとで出てきた有利な条件は前にやったものにも適用する。それがたまたま今年度の場合は該当するものがないから適用されないのだ、こういう考え方にしていただかないと、今後全体の問題を通じて、これは先にやろうと思う者が足踏みをする、そういうことになるのではないかと思います。今年度の場合は、さっきの局長の御答弁のように結果的に同じですから、それは議論は別として、ものの考え方としては、先にやった者が不利益あるいは不利であって、あとからやった者が有利になる、そういうことがないようにすることが原則で、たまたまことしはそういうふうにしたのだ、従って附則も適用しないのではなくてする、この事業についてはこれ以後のものには適用する、こうやったからといって、ちっとも結果において変わりないわけですから、そういう方針に改めていただくことが妥当ではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 これはいろいろな場合が想定されるわけでありまして、仮定でものを申し上げるのは適当でないと思いますが、たとえば一般の貸付資金は、非常に一般的な場合ですと必ずしも遡及する必要はないと思うのですけれども、これは世の中が漸次金利が低下する方向で低下していった場合、さかのぼってやるかどうかというような問題に関連して参ります。しかしさっき問題になりましたような構造改善事業推進資金のような、政府として特に重点を置いて農家に一定の見通しを立てて事業を進めてもらうというようなことで、農家が進んで先にやった、そのために不利をこうむったというようなことは、これは避けなければならない性質のものでございます。これは不公平のないようにするのが当然であると考えるのでございます。
○湯山委員 今局長のおっしゃった通りでけっこうだと思います。私も、たまたま条件をつけないで一般的なお尋ねをしたので悪かったのですけれども、以前に齋藤局長にお尋ねした場合にも、構造改善事業についてそういうことのないようにということをお願いしたわけで、ただ先ほどの場合は、やらないことが建前だ、遡及しないことが建前だ、安井委員の構造改善事業に対する御質問ではそういう御答弁があったわけです。これは訂正していただいて、たとえば本来そういう構造改善事業、今おっしゃったような条件の場合は遡及することが建前だというように、これは形式的なことになるかもしれませんけれども、御訂正願ったらどうだろうかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 考え方としては御指摘の通りだと思います。
○湯山委員 考え方というか、農林省の考えはそうだ、こういうふうにとってよろしいのでございますか。
○松岡(亮)政府委員 さようでございます。
○湯山委員 今の点は大へんよくわかりましたし、大へんけっこうだと思います。 そこで、先ほど来いろいろお尋ねしてきたわけですが、債券の問題が出たりあるいは貸付条件をそろえるためには資金面にもいろいろな検討が要るということでございましたが、ここで一応お尋ねしておきたい点は、この近代化資金あるいはその他の系統金融なり制度金融で資金の需要とそれに対する充足、それはどんなふうになっておるでしょうか、最近の統計で一つ。
○松岡(亮)政府委員 農業近代化資金の需要とそれに対する貸し出しの実績でございますが、これは三十六年度から始まりまして、三十六年度については実績が一応出ておりますが、それによりますと、三百億の資金を設けたのでございますが、この制度を始めたのが年度途中でありましたせいか、二百八十数億の貸し出しの実績にとどまっております。それから三十七年度につきましては、今、年度途中でございますが、おおむね順調に貸し出しが進んでおりまして、年度末までにはほぼ満額になるのではないか、こういうように見ておるのでございます。
○湯山委員 これは三十六年度については資金需要も二百八十億しかなかった、こういうことでわかると思います。三十七年度については、満額貸し出すということは、それ以上に資金の需要があったというふうに解釈していいと思うのですが、大体どれくらい希望があって、その中で貸さないで査定によって落とすというのはできると思うのですが、その割合などはわかりませんでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 これは需要がどのくらいあるかというのは非常にむずかしい問題でございますが、一応県当局を通じて要請が出て参りましたのは、三十七年度のワクは県に一応のワクを示しまして、それによって不足したところと余ったところと実は両方あるのでございます。それでつい先般再調整いたしまして、大体五百億のワクでほぼ一ぱいである、こういう状況でございます。
○湯山委員 当初各府県がてんでんばらばらに出して参ったトータルはございませんか。
○松岡(亮)政府委員 当初の県の要請額は五百十億ぐらいであったのでございます。
○湯山委員 それから今度は制度金融の方ですが、これは希望がどれくらいあって、それに対して全体のワクでどれくらいが応じられておるか、これはわかりませんでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 昨年の末ごろの状況で農林公庫の資金でございますが、これは例年そうであるのですが、大体ワクに対しまして四〇%くらいの貸付決定の実情でございます。農業関係は御承知の通り農閑期に仕事をやるとか、あるいは融資の申請が出るという傾向で、やはりどうしても年度の後半になる傾向がございまして、例年こういう傾向をたどっておりますが、たとえば土地改良資金の三分五厘等の資金につきましては、今年度はむしろどちらかといえば幾らか余裕がある、こういうようなこともありまして、大体本年度七百十億円のワクでございますが、それで一ぱいではないかというような見込みでございます。
○湯山委員 それからこの原資の関係ですけれども、これで見ますと資金運用部からのものと、それから主として簡易生命保険、郵便年金、こういう関係のが多いようでございます。これは推測でございますけれども、一体農家が簡易生命保険あるいは郵便年金というようなものにどれくらい毎年金を納めているか、おわかりになれば一つお教え願いたいと思います。
○松岡(亮)政府委員 これは推定でございますけれども、農村関係の郵便貯金は一年度の増加額、これは三十六年度中における増加でございます、三百十億円くらい、純増でございます。それから簡易保険の方は八十四億円ぐらい、そのほかに国民年金が十四億くらい、これは推定でございます。
○湯山委員 というようなことをお尋ね申し上げるのは、今の傾向からいけば借入金がだんだん多くなってきている。そうすれば当然今の簡易保険、郵便年金からの借り入れもあるでしょうし、資金運用部資金の中にもそういうものが含まれておると思います。が、そういうところからの借り入れというものはどんどんふえていかなければならないと思うのですが、そうすると、そういう原資について政府は将来あまり長く先のことは言えないとしても、特に構造改善事業を進めていくという中では一体どれくらい出資をすることになっておるのでございますか、この辺は大蔵省ともお打ち合わせになられた点だと思いますので、お伺いいたしたいと思います。
○松岡(亮)政府委員 郵便貯金なり簡保あるいは国民年金のうち、どれだけをこちらにもらうということは、原則はきめておりませんが、毎年度におきまして財政投融資計画全体の中で、できるだけこちらにもらうようにやっておるわけです。ただその場合に、こういう借入金よりも出資をふやすことが重要でございまして、利子を下げる観点からいいましても、出資の確保が投融資計画のワク内で非常に重要なわけでございます。来年度の財政投融資のワクの中では農林公庫関係が全体の財政投融資のワクの伸びよりも相当上回って伸びております。これは全体が八百七十億円ですから相当伸びたわけでございますが、特にその中でも出資の増加が著しいのでございまして、全体のワクが二〇数%伸びた中で出資は七〇%以上伸びたということであります。そういうことで、来年度につきましては出資は相当確保いたしたつもりであります。
○湯山委員 その点はよくわかりました。特に出資が一七二%というふうになっておりますので、それは大へんけっこうだと思いますけれども、これで三十九年度以降も約束がなければならないと思います。三十九年度以降の出資のことについてはどうなっておるのか。特にこういうことと関連してお尋ねした方がいいかと思いますのは、所得倍増計画の中で投融資計画十六兆でしたか、その中で農林関係は一兆幾らというようなのが所得倍増計画の中にございました。それらとの関連において三十八年度はこういうふうに二百六億でございますか、二百億以上の出資がある。ではそれ以後ずっと長期にわたって計画的にどの程度の出資が見込まれておるのか、これはいかがなものでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 それは財政投融資計画が今後どれだけ伸びるかということの想定が立っておりませんのと、こちらの方も新制度はもちろんでございますが、公庫の全体としまして今後どれだけ伸ばすかということにつきましては明確な想定ができていないのでございます。これは所得倍増計画で一兆円の投融資ということを決定されたものではございませんで、一応の参考としてそういう数字が出たことはございますけれども、今後十年にわたってどのくらいの投融資を必要とするかということを明確に定めたものがございませんので、三十九年度以降どれだけもらうという約束はございません。
○湯山委員 それは私は非常に重要な問題だと思います。と申しますのは、所得倍増計画はきめたものでないということではございますけれども、実はこれは閣議決定になっておって、必要があればふやすのだということはいっておられましたが、一応の計画にはなっておると思います。そして決定も明らかに閣議決定になっておるわけですから、それはそれとして三十九年度以降の見通しが全然ないということになれば、現在若干の手直しによって前進した部分もあと返りするおそれがあるし、それから今の資金の見通しがつかなければ、三分五厘、四分というような利子も維持できないというような事態も起こりかねないと思います。ことに先ほど申し上げましたように年限等について十七年というようなものは二十年にするとか、あるいは四分のところも将来三分五厘にするとか、そういうことも考えていった場合には、当然政府の出資の関係は、それは金額で幾らということは言えなくても、ある程度将来にわたる見通しができていなければ、せっかくここでやっても、それは線香花火になるし、将来この条件は悪くなるという心配さえもできてくるわけですが、それらの点についてはどのようになっているのでしょう。
○松岡(亮)政府委員 それにつきましては、どういう政府金融機関につきましても、何カ年計画とかそういう形のものはないのでございます。農林公庫につきましても、過去十年くらい事業をやって参りましたが、年次計画といったような性格のものはないわけでございまして、特に予算に関連いたしますものは継続費といった制度もございませんし、今の財政法の建前からいいましても長期にわたる約束はいたしかねるわけでございますが、しかし今までの例からいいましても条件を悪くしたという例はございませんし、特に今回の新制度につきましては、条件は別表の第二という新しいのを設けまして、金利については一義的に法律で定めておるわけです。従来の別表の第一には何分以内とかそういうふうに幅のある規定であったわけでございますが、今度は一義的に法律で定める。それから貸付の期間は、何年以内でございますけれども、そういうように別表にいたしまして、法律で定めることにいたしておりますから、条件が現在より悪くなるということは全然考えられないのであります。
○湯山委員 この問題は、私は大蔵省へも聞かなければわからない問題でもあるし、それから大臣のこれに対する見通し、それから大臣自身はもっと大きな構想を持っておられたようですから、そういうものとの関連においてお尋ねしなければならない点があると思いますので、これは委員長にお願いしたいのですけれども、今のような点につきまして大臣に質問する機会をつくって下さいますようにお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○長谷川委員長 はい、かしこまりました。
○湯山委員 その次にお尋ねいたしたい点は、先ほど制度自体の問題、これは簡素化してもう少しそれについて類型化していくという必要があるということを申し上げたのですが、それと同時に、同じような事業に対して近代化資金も出るし、それから公庫からも出るしというようなことがかなり今度ふえてきておるのではないかということが目につきます。これはおやりになる方ではどういう区別ということはわかっておるし、その条件も伺っておるからそれでいいじゃないかということも言われると思いますけれども、公庫法の建前からいって、そういう同じような事業、同じような性質のものに両方から融資するというようなことは、これは好ましくないのじゃないかということが私ども気になるわけですが、これはどうなんでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 確かに農林漁業金融公庫法の第一条の目的におきまして、「農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」という規定がございまして、農林公庫の役割は系統資金なりそういうもので十分に果たせないものを補完してやるというのが農林公庫に限らず政府の金融機関の役割であろう、こう思うのであります。そういった趣旨から、従来近代化資金制度をつくりました際には、農林公庫から個人施設あるいは共同利用施設で十分系統資金でまかなえるものはそちらにしたわけでございますが、今回農業構造改善推進資金と畜産経営拡大資金について、それと近代化資金とたしか重複するようなものが公庫資金としてあげられたのでございます。これは、農業構造改善資金の方は現に近代化資金でやっておったわけでございますけれども、さっきも午前中申し上げましたように、今非常に地域的に農協の信用事業の状態にアンバランスがございます。構造改善事業はそういうことにおかまいなしに、どこででも進めていかなければならぬ。しかも計画的に三カ年以内で事業をやるということを要請しておるわけでございます。ところが末端の農協にいきますと、必ずしもそれだけの資金需要に応じられない、あるいはその村の事業で特定の人々にだけしか集中して組合の資金を貸し出し得ないというような事情のところが相当あるようでございます。特に農村地帯にそういう傾向がございます。そういった関係で、これは一つには近代化資金では十分にその機能を果たし得ない計画的な政策的な金融であるということで、今度の新制度に入れたわけでございます。特に条件緩和もございます。それから畜産の関係につきましては、これは近代化資金におきまして今後においても貸し付けていくわけでございますが、一方、最近の酪農なりあるいは和牛経営の実情からいまして経営を大きくして、それに必要な施設は十分に持った経営で生産性の高いものをつくっていく必要がある。それには相当な投資が必要でございます。私どもの推定では最高二百五十万、平均して百五、六十万くらい要るだろう、こう見ておりますが、一農協で特定の人にそれだけ貸すのはなかなか困難だ。と同時に、今回の資金は、全体として貸し出しの期限を相当延長しております。ところが系統資金は、それほど長い回転ができない資金でございます。大体近代化資金につきましても、平均しまして七、八年くらいに回転しておるわけでございます。今度の資金では二十年とか二十五年という貸付でございますので、どうも近代化資金はその意味でもあまり適しないということから公庫資金でやることにいたしたわけでございます。
○湯山委員 個々の具体的な事情はよくわかります。けれども私がお尋ねしておるのは、今のように相当複雑になってからみ合ってきているので、それがまた今回一そうからみ合いが大きくなってきている。そこでたとえばどちらか一本にして、しかも法律の建前もそうなんだから、その法律の建前に合うようにする努力がなされれば、これは道はあると思います。近代化資金ができますときに私当時の局長にお尋ねしたのは、単協のそういう貸付の能力というのはとても小さい、それじゃ困るじゃないかということをお尋ねしたら、そういう大きいもの、単協の手に合わないものについては、県の信連の段階で見ていくようになる、それから中金の方からも手当ができるというようなことで、そういう心配はないようにするということを言われたのはつい先般のことでございます。ところが今度は、今のような理由で法律の精神をある意味では無視して、今のような措置をおとりになる。これでは全く一貫性がないし、一体そういうことでほんとうにできるのかどうかという心配も起こるわけです。そこでこの辺のことももう一ぺん整理し直す必要があるのじゃないかということを私は感じるわけですが、それはいかがなものでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 農林公庫の目的なり性格なりを無視するというか反するというふうには私ども考えておりません。やはりこれは純然たる政策金融という性格のもので、しかも計画的にやるということからして、なかなか民間資金では、系統資金によりましても十分にその目的を達成できないものという意味で公庫資金にいたしたわけでございます。しかし御指摘のように融資の分野というものを形式的に考えますと、これは性格も条件も違いますけれども、同じようなものが二つの系統から出る。人によっては、それは重複してもいいじゃないか、農家はどっちからでも借りられた方がいいという意見の方も相当おりますけれども、しかし特に政府機関というものは補完的な役割を果たすべきだという考え方からいえば、その辺にあまり重複が出ないようにした方が望ましいということも考えられますので、これは将来農業金融制度について基本的な再検討をするような機会が参りましたならば、あるいは問題とすべき点であるか、かように考えます。
○湯山委員 将来そういう時期がくれば再検討すると言われるのではなく、今もうすでに再検討の時期がきているというふうに考えることの方が妥当ではないかと思います。というのは、先ほど申し上げましたように、グリーン・レポートにおいてもいろいろこういう問題があって、ここで問題指摘されたものは、当然次に対策を出されなければならないわけですから、そうすると、将来そういう機会がくればという仮定の条件ではなくて、もうそういう問題については検討する、近代化資金等についても、確かにそれは補助対象事業ならばどうということはありますけれども、そうじゃなくて、構造改善そのものがすべてが国の政策によって行なわれている。そうしてその中が今度区別されている。これはその方がむしろ不自然であって、今言われるようなことでしたら近代化資金、構造改善関係のものすべてを制度金融に当然移すべきだ。これはそういうことにしたからといって決して悪くないと思うのです。そういう考えはできると思うのですが、どうなんですか。
○松岡(亮)政府委員 構造改善関係で、近代化資金で残りましたのは農協の共同利用施設だけでございます。農協の共同利用施設は農協自体がつくるものでございます。農協は大体自己資金を相当持っておるというようなこともありますので、これは系統資金で、自分の金でやっていいんじゃないか。農協自身の事業でございます。そういう意味で残したのでございます。
○湯山委員 今の問題を含めて、構造改善に関連した他の事業も相当あると思います。それができなければ構造改善事業は進まないというようなのもありますから、今おっしゃったようなそういうことだけでなくて、全体を含めて構造改善の事業及びそれに伴ういろいろな事業、そういうものは制度金融で取り上げていくという考え方も成り立つと思いますので、そういうことを含めて、私はやはりなるべく早く制度全体についての検討をしていただきたいということを強く要望いたしたいと思います。 それから次には、先ほど安井委員からも質問がございましたが、農地担保の問題でございます。これは相当議論も深められておりましたからあまりたくさんお聞きしなくてもいいと思いますけれども、先ほど省令でおやりになるということを管理部長おっしゃいましたが、本来省令でやるのが適当な事項か、法律によってやるのが適当な事項だけれどもやむを得ずそういうような措置をとろうということなのか、これはその考え方が将来に非常に大きな影響を及ぼすと思いますので、一つ率直にお述べいただきたいと思います。
○桧垣説明員 今回の新金融制度に関連いたしまして、農林漁業金融公庫の、農地等を担保にする場合の農地法の規定に一部除外措置をとるということについては、農地法本法の改正によるべきか、それとも付属命令の規定によってしかるべきかという点は、農林省内でも議論になったのでございます。またそれらの考え方につきましては、内閣法制局の意見等も非公式ではございますが徴したのでございまして、その結果、現在の三条あるいは四条等で、国もしくは都道府県に除外例を認めておりますように、一般に権利の移動に関します除外例を特殊の公的立場ということから全面的に除外をするということであるならば、これは法律の改正によるべきことが当然であるということでありますけれども、先ほども御説明を申し上げました通り、今回の措置は農林漁業金融公庫に対しまして、農地法の三条なり五条なりあるいは二十条の規定についての全面的な排除をいたすわけではございませんで、担保に供しました農地を競売に付しました際の競落人たる資格を与えるということであり、そうして競落をいたしました土地についてのみ小作地所有の制限規定の除外をいたすというごく限られた範囲の法律適用の除外をいたすのでありますから、これは全面的な権利移動制限の除外規定をいたす場合とはおのずからその法律的な質においても異なりますし、また農林漁業金融公庫という公的な農林漁業に対する金融機関であるということ、従って農林大臣の監督も強く及ぶ機構であるという点に着目いたしまして、施行規則の改正によって除外規定を置くことは農地法の精神違反ということにはならないというような結論に達しまして、農林省としましては規則の改正によるということにいたしたのであります。
○湯山委員 それで大体わかりましたが、私がお尋ねしたのはこういう趣旨を含めてお尋ねしたわけです。それは、先ほども問題になりましたが、他の機関、たとえば銀行だとかあるいはそのほかの金融機関、そういうものに将来これと同じような措置がとられるおそれがあるんじゃないかという安井委員の質問がございまして、そういうことは万々ないだろうということでございましたが、これがもしこの場合と同じように省令等でなされるということになれば、万々ないと言われたことがもし何かの拍子であり得る可能性があるし、それがこんなふうに手軽に省令の改正ということでやられるということになれば非常に重大な問題であるということでお尋ねしたわけですが、そうすると政府機関あるいは公庫のような、あるいはそれ以上に密接な政府機関、その場合はこういう措置をとることがあるかもしれないけれども、そういう場合以外は当然法改正によるべきだ、こういうふうに理解してよろしいんでございますか。
○桧垣説明員 ただいまの御説明で大体の考えを申し述べたつもりでございますが、若干補足をして御説明申し上げますと、農林漁業金融公庫という農林漁業の振興のための公的金融機関という点、農林大臣の直接監督下にある機関であるという点に着目しまして、権利移動の統制やあるいは小作地所有の制限の本来の趣旨に反するようなことはないという判断のもとに、省令の規定によって除外例をいたしたいということでございます。従いまして、単に政府の監督の及ぶ公的な機関であるということだけでは、直ちに同列に論ずるわけにはいかないと思うのでございまして、農林省としましては、農林漁業金融公庫以外の機関については、およそ省令でこういう除外規定を設けるということは考えておりません。いわんや一般の市中金融機関について、省令によって公庫に対しまして今回措置すると同様のことを考えるということは、全く考えておりません。
○湯山委員 それじゃもしそういう事態が起きたときには、当然法改正をしなければならない、こういうことでございますか。
○桧垣説明員 御質問の通りに考えております。
○湯山委員 今の御説明の農林金融公庫に限るということも若干疑問があると思いますけれども、これは御説明ですから承っておくことにいたしまして、この落札した土地は、先ほどもちょっと御説明があったかと思いますけれども、公庫はこれをどうするわけですか。
○桧垣説明員 競売に付しまして、競落適格を持つ人の間で適当な競落価格が成立しないという場合に、公庫みずからが競落人として競落をいたすわけでございますので、競落すると直ちに他の農地法上適切な買受人を見出すということは困難な場合が多かろうと思います。従いまして、そのような買受人の出現を待ちます、短期間の間は、これは公庫もみずから保有をいたしまして、しかるべき耕作者を見出して賃貸借なりあるいは使用貸借なりの権利設定もしくは農業協同組合の信託に付すというような措置をとる必要があると思います。
○湯山委員 それでまだ問題が残ると思うのです。今おっしゃったように、適当な公庫が落札しなければならないということは、よほど条件の悪い場合ですから、そうすると農協に信託行為で売り渡しあるいは貸付をしてもらう。農協の場合も、あの法律審議のときにお聞きしたならば、大体その期間は一年間だ、一年たてばもうこれは農協の方も投げ出すのだ、こういう御説明がございました。そうすると農協もそんなに何年も持つわけに参りませんし、一年たっても農協はどうにもならないということになれば、公庫はまたそれをかかえなければならないということになるわけですが、そういうことになってはたしていいものかどうか、これはどうなんでしょうか。
○桧垣説明員 一年間の信託に付しまして、なお買受人が現われないというような場合には、これは農協との問で重ねて信託の契約を更新することも私はあり得ると思うのでありますが、またその問に今は買えないけれども、しばらく賃貸借をした上で買いたいというような人の現われることも予想されますので、信託ないし農地法上の小作権の小作契約というようなものによりまして、できる限り早い機会に自作農創設の趣旨に基づいた売り渡しができるように公庫も努めるであろうし、私どももそのように指導いたしたいと思っております。
○湯山委員 これは少し念入りにお尋ねしておく必要があると思いますので、もう一回お尋ねいたしますが、今の信託行為のときにお尋ねしたのは、農協自身がそういうふうに土地を信託されて売り渡す、あるいは貸付する、そういうことをやってもなかなかできない場合、年数が重なるほど農協自体の負担が多くなってくる。まさか人を雇ってつくらせるというわけにもいかないだろうしというようなことで、農協は困るんじゃないだろうかということをお尋ねしたら、それは期限は一年、一年たてば信託した人に返す、条件を白紙に戻すんだという御説明があったわけです。これは私はごもっともなことだと思いますし、そうだと思いますが、そうすると再契約ということも、農協は買手がない、借手がないという場合には、相当管理していくのに負担になるわけですから、そういう費用をどこかから見る、あるいはその埋め合わせをするということがなければ、再契約も、いいところは売れるわけですから問題ないわけですが、非常に条件の悪いところで再契約をすることになると、農協もなかなかうんと言わないだろうと思うのです。そういう点についての御配慮がおありになるかどうか。
○松岡(亮)政府委員 確かにそういう事例も起こり得るとは思うのでありますが、今の信託規定からいいまして、信託契約に基づいて入って参ります小作料、そういうものは受託者が当然にその中から必要な経費をとるということができるわけであります。またそれでも農協が受託しないという場合は、あらためて使用貸借なり短期賃貸借なりということで管理するということになると思います。
○湯山委員 そうすると、今の御答弁は、全部の農協が信託行為を決定したという前提に立っておられますけれども、やってないところが多いんじゃございませんでしょうか。
○桧垣説明員 御承知の通り、農地法及び農協法改正をいたしまして、農地の農協による信託制度が制度上確立しましてから日が大へん浅いものでございますから、現在のところ、全国で農協に定款を改正しまして信託規定を設けておりますところは、きわめて少数でございます。ただ、今後信託の制度に関する普及指導に当たって参るわけでありますが、順次整備されていくものと考えております。
○湯山委員 これは桧垣部長のお話を信頼するしかございませんので、一つそういうふうにいたしまして……。 それから競売するのは、どういう条件になったときに競売に付するわけですか。
○松岡(亮)政府委員 これは農林公庫でございますから、できるだけ競売にはしないように、可能ならば償還期限の延長をやるとかいうような措置をとって、競売というような事態には持っていかないように指導して参りたいと思いますが、どうしてもできないという場合は、やはり相手方の信用の状態によりますけれども、履行不能に陥っている、こういうことが確定的になりましたならば、やむを得ず競売に付することになると思います。
○湯山委員 この条件というものは相当はっきりさせておく必要があるんじゃないかと思います。たとえば据置期間中は問題ないとして、償還期間に入って何年か滞納するとか、あるいは金額にして何割滞納するとか、そういう条件がなければ、これはその当事者の計らいで、今おっしゃったままでしたら——局長のおっしゃったのは好意的にそうしようということですけれども、人間のやることですから、必ずしもそういかないかもしれません。その土地がほしいというのがあって、よしそれならあれだけ滞納しているんだから、一つ競売にしておれがとってやろうというようなことも今後相当出てくると思います。ことに道路ができるとか、あるいは工場ができるとか、そういうことが早く耳に入る人と入らない人とありますから、悪用されるおそれも多分にあると思うのです。この条件は、今おっしゃったように、できるだけそういうようにしないように延長するとかなんとかいうのではなくて、はっきりおきめになる必要があるのですが、いかがですか。
○松岡(亮)政府委員 据置期間中はもちろんでございますが、年賦償還に入ってからも、一回履行遅滞があったからといってすぐ執行するというようなことには持っていかないようにいたしたいと思います。できればそこには最低の基準くらいはつくりまして、最低基準以上の履行遅滞があっても、人によってはさらに猶予するというような方途を講じた方がよろしいと思っております。
○湯山委員 これはおやりになるかならないかです。おやりになるとすれば、単に行政指導というのではなくて、何か省令とかそういうものによっておやりにならなければ権威がないと思います。そういうものによっておきめになるおつもりなのかどうか、伺いたいと思います。
○松岡(亮)政府委員 それは必ずしも省令であることを要しないと思うのであります。農林大臣は一般的な監督権も持っておりますし、業務方法書等は、主務大臣の認可を受けて定めることになっておりますので、何らかそういう認可を受けた基準でやるということは今後検討したいと思っております。
○湯山委員 検討するという意味は、つくるという意味でございますか。つくるかつくらないかを検討するというのか。
○松岡(亮)政府委員 どういう方法で基準を、つまり業務方法書でやるか、あるいは別に農林大臣の承認を受けたものでやるか、そのやり方については十分検討いたしたいと思います。
○湯山委員 これはぜひつくらないと、それに伴う弊害、悪用というものは、私は現在の地価の動きを見ておって必ず出てくると思います。ですから早急におつくり願いたいと思います。 それから、さっきもお尋ねがありましたが、この担保としての価格は公庫がきめるわけですか。
○松岡(亮)政府委員 それは具体的にどこの土地を幾らで評価するかということは、公庫に定めてもらいます。
○湯山委員 公庫は何を基準にしてきめるのでございますか。
○松岡(亮)政府委員 その評価の基準につきましても、これは農林公庫の自主的な判断が相当加わるものと思いまするが、基準としては、できるだけ行政庁の承認を受けたやり方をしてもらいたい。
○湯山委員 その基準の内容を、はっきりしたものでなくても、今の金融公庫がやる場合、評価の基準というのは大体こういうことを内容とするものだというような御説明がいただければ願いたいと思います。
○松岡(亮)政府委員 これはさらに入念に十分研究したいとは存じておりますが、現在考えておりますのは、通常一般に農地の担保評価の事例がら見ますると、大体時価の五割から七割くらい。戦前勧銀あたりが評価しておりましたのも大体五割ぐらいに評価しておるようであります。そうい事例も参酌いたしまして、五割から七割くらいのところで公庫に基準を定めてもらってはどうか、かように考えております。
○湯山委員 農林省が公共事業をおやりになる場合とか、建設省が公共事業をおやりになる場合、いろいろそれぞれにこういう場合の土地評価の基準がございます。それと関連づけて考えていく必要があるんじゃないか。つまりそういったものを一本化するということでないと、これまた評価する人の計らいが、相当主観的なものが影響するおそれがあると思うのですが、そういう点についてはどのようにお考えでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 公共事業の評価がどうなっておるかという詳しい点は農地局からお話しを願いますが、それぞれの評価の目的からいいまして、必ずしも一致しなくてはならないということにはならないんじゃないか、かように考えるのであります。公共事業などで用地買収のときの評価につきましては、農地自体の時価のほかに、生活保障とか、そういうようなものを含めた評価が行なわれる場合もございますので、その辺は必ずしも一致する必要はないんじゃないかと思うのであります。
○湯山委員 これは非常に重要な問題を含んでおります。今おっしゃったのでは、農地法の改正も農林大臣の監督下にある、そこで農林大臣がこれについてはかなり指導ができるということでおやりになったわけですから、農林省がいろいろな場合土地評価をするその基準と、この場合とがあまり違うということになれば、またそれで悪用されるということもあるし、それから農民に非常に不利な場合もできてくると思います。何といっても土地担保でやるというようなことを公にできるのは実際にはこれしかないわけですから、その場合には安心して評価に従えるような基準なり何なりがなければならないと思います。そうすると同じ農林大臣が公庫の評価はこうだ、公共事業のときの評価はこうだ、生活保障の場合は、たとえば家が引っ越したとかそういうものは別ですが、ただ土地そのものを評価する基準というものは私はそんなに変わらないと思うのですが、これはどうなんでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 評価の基準になりますと、価格自体はできるだけ客観的に把握できるものがいいと思うのであります。それはやはり売買事例価格とか時価として明瞭に出ているものが評価の基準となる価格になるかと思うのであります。もしそういうものがなければ、やはり類地の価格等を参酌して、必要によっては鑑定人等を依頼しましてきめていくのが適当であると考えております。公共事業関係の評価とこれが一致しなければならぬというのはさっき申しましたような理由もございますが、担保として徴しました土地については二十五年というような長期の運用がなされているわけですから、二十五年間農地価格というものが現在の時価でそのまま推移するかどうかということ等も考えて、それに一定の係数をかけて判断していく、こういうことになるのではないかと思います。
○湯山委員 おっしゃる通りです。私が申し上げるのも金額が同一であるということを申し上げているのじゃなくて、同じような基準によってなされる、ですから年限がそうならばそれはそれをおかけになるのもけっこうだし、出てきたものの五割を担保力と見る、これもけっこうだと思うのです。七割を見るか五割を見るか、それはそれで一定すればいいと思います。ただ、今の基準が違えば非常にむずかしい問題ができますから、そういうことについては何か不服な場合、どうしたってこの土地はこれじゃいけないという場合に異議の申し立てとか、あるいはそれについて第三者を含めてそれを受理して公平に裁定するような機関、そういうものをおつくりになる計画がおありになるかどうか。
○松岡(亮)政府委員 これは私法上の関係としては抵当権の設定は任意規定によるものでありますから、異議の申し立てとかそういう行政的な争訟の対象にはならないと思います。後日評価価格が上がった場合にもっと評価を上げてくれとかそういう点で、ごくまれな場合だろうと思いますが民事訴訟になる場合があると思います。そのほかは契約をする際に当事者同士が満足をするかどうかによって合意が成立するものと考えます。
○湯山委員 そこに問題がある。先ほどの問題に返りますけれども、部長の方にお尋ねしたように、法律によるべきか、省令でいいかというときに、これは農林大臣の監督下にあるので特にこのものに限ってはそういう農地法の改正というのは必要はないんだ、こういうことですから、それはそれで了解したわけです。そういう特殊なケースですから、一般のいわゆる抵当権の問題とは問題を切り離してやらないと、今のような省令でそういう監督下にあるという意味でこういう措置をとられたこととまた離れてくる、そういう保護のワクからはずれていく、こういうことになるのじゃないかと思います。ですからこの場合もそういう公平なといいますか、農林大臣の意思を含んだ調停機関なら調停機関、そういうものがあって、それに従ってやれということを大臣は公庫に対して命令できるはずですから、そういう何か公平なもの、あるいは不当だという場合にそれを受けとめてやるものをつくる必要があると私は思うのですが、いかがなものでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 そういうふうに当事者の間で評価に意見の相違がある場合には、やはり第三者の鑑定にまかせるという方法をとるのが穏当ではないかと思います。まあ常設の機関として調停委員会というような機関を設けましても、なかなかそれが、全国のことでございますから円滑に運用ができるかどうか、むしろ専門家であります鑑定人を依頼する方がよろしくはないかと思うのであります。
○湯山委員 そういうことの必要はお認めになられるわけでございますね、いかがですか。
○松岡(亮)政府委員 その必要はあるかと思います。と同時に、借受人は弱い立場にある場合がございますから、一般の金融機関とは別に、公庫のような場合には少なくとも最低の保証を与える、そういう措置が必要ではないかと考えます。
○湯山委員 これは、たとえば町村長でもいいと思いますし、何かそういう弱い者の保護というか、安心できるような体制をぜひおつくり願いたいと思います。 最後にお尋ねいたしたい点は、さっきの銀行等が近代化資金の融資ができる、こういうことに関してでございますが、これは地銀等という中には、種類としてはどういうものが含まれるわけでありますか。
○松岡(亮)政府委員 相互銀行と信用金庫を考えております。ただし信用金庫については、もう少し検討さしていただきたいと思っております。
○湯山委員 その場合は、たとえば一府県一機関とか、そういう制約をおつくりになる御予定なのか、それではなくて、まあ幾つでもいい、ある県に地方銀行もあれば相互銀行もあるし信用金庫もあるという場合にはどれでもみんなやってもいい、こういうことでございましょうか。この辺はどうなっておるのでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 決して無制限にという考えは持っておりませんで、農家と相当密接に、農家から預金を預かったりあるいは農家に貸し出しているようなもので知事が適当と認めるものを、少なくとも府県と協議しまして各府県ごとにきめて参りたいと思うのでございます。
○湯山委員 お尋ねしているのは数です。一府県一機関か二機関か、今のお話では三つの機関までできるのか、銀行がたくさんある場合にはもっとたくさんになるのか、それはどうなんでしょうか。
○松岡(亮)政府委員 その数は、ちょっと具体的に考えておりませんが、そんな多数になるとは考えておりません。たとえば銀行の場合ですと、大体その府県で農業に非常に縁の深い銀行というものは地方銀行として一行くらいでございます。そう数が多いものとは考えておりません。
○湯山委員 銀行の取引というのは、いろいろ歴史的なというか、それぞれ家の習慣等がありまして、農家であっても信用金庫だけしか利用しない人もあるし、それから相互銀行だけしか利用しない人もあるし、地方銀行だけしか使わないという人もあると思います。そういうときに、たとえば数が多いからといって地方銀行だけ指定するということになると、相互銀行や信用金庫に預金している農家は、せっかく預金しているのに全然使われないということになるわけです。それならば全部指定したらいいじゃないかという考え方も出てくると思います。しかし、それではまた行政指導やその他の面からお困りになると思います。そこで今のことをお尋ねしておるわけですが、私どもの気持からいえば、その府県内の代表的な地方銀行、代表的な相互銀行、代表的な信用金庫、そういうものは大体該当させるのだという方針でないと、非常にこれは不公平なことになるし、それから、今指定したために、その銀行だけが、そういうことなら、他の信用金庫へやっておるのをそちらへ振りかえようとか、相互銀行からそちらへ振りかえようかということになって、その銀行が非常に有利になってくる。そういうことになれば、またそれに伴う運動や、あるいはいろいろな問題も起こってくるということで、大体大多数のという意味は、今のように一つの銀行とかいうのじゃなくて、関係しておるところのものは、なるべくたくさんの農民、ほとんど全部の農民がそれによって恩恵が受けられるような、利用できるような、そういうやり方をやるという原則でないと、今のように一つ二つということになれば、かなり問題ができてくると思います。そこで今のことをお尋ねしておるわけですが、勧銀等はどうなんでしょうか、それも含めて。
○松岡(亮)政府委員 具体的な銀行の名前をあげて申し上げると差しさわりが出るかとも思うのでありますが、勧銀は、今のところ考えておりません。むしろ地方銀行で、その府県では大体一行か二行しかございませんが、地方銀行を一つか二つ、それから相互銀行とか信用金庫等は、今、湯山先生のお話しになった考え方で、大体原則としてはそういうことだと思うのでありますけれども、ただ問題は、例としてはよろしくないかもしれませんが、大阪みたいに非常に信用金庫がたくさんあるが、その中の代表的なものは、農業関係はさっぱり縁がない、こういうような場合もありますので、農家が便宜だということを考えまして指定するようにいたしたい、かように考えます。
○湯山委員 今の点でよくわかりました。今のような弊害が起こらないように、県の預託金なんかも、いろいろ問題になっておるときでございますから、このことによってまた別な問題が起こらないように、御配慮願いたいと思います。 あと大臣に質問が残りましたけれども、きょうはこれで終わりたいと思います。
○長谷川委員長 次会は明十三日午前十時より開会することといたし、これにて散会いたします。 午後四時三分散会