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43回国会衆議院1963/03/18

内閣委員会 第10号

発言数
191
登壇者
12
会派数
2
開催日
1963/03/18

会議録

永山忠則自由民主党

○永山委員長 これより会議を開きます。  外務省設置法の一部を改正する法律案、在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括議題として、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石橋政嗣君。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 先日、原子力潜水艦の寄港の問題についていろいろとお尋ねをしたわけでございますが、その際、十分に意を尽くさなかった問題で、二つばかりにしぼってお伺いをしてみたい、このように考えております。  まず第一は、事前協議の問題といえるわけでございますが、外務大臣は、外務委員会におきましても、もともと原子力潜水艦の寄港は、安保条約上先方に権利がある、従って、政府としては、補償や安全が百パーセント満足できなくても、ノーと言うことはできない立場にあるんだ、このようにお答えになっておるわけですが、この点、どうも私どもとしては不満でもあり、理解できないわけなんです。たしかに現在日米安保条約というものがございますけれども、この条約の建前からいっても、フリーにアメリカの軍隊が日本に来れるという建前はとられておらないと私たちは考えます。少なくとも最小限二つのワクがある。まずその一つは、日本の施設、区域を使用する場合は、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する」というこの使命というものがなくちゃならない。これが一番大きな壁になっておると私たちは思う。そうしてその下にもう一つ交換公文というのがある。この事前協議というものがもう一つの壁になっているというふうに私どもとしては理解をいたしておるわけであります。  そこで、今度原子力潜水艦が日本に入るということなんですが、今までは単に補給、休養のためだというようにおっしゃっておるけれども、それだけでははたして日本の港に立ち寄る当然の権利と言えるのかどうか、私は国民として理解できないだろうと思う。なぜ原子力潜水艦が日本に入らなければ日本の安全に寄与できないのか、極東の安全と平和に寄与できないのか、私は、一体、この点で政府としてどういう考えを持っておるのかというのが疑問なわけです。港に入ってくるということは、非常に危険があるわけです。これはある意味において、日本の安全と日本の国民の安全がそこなわれることになる。そうしますと、条約の本文に掲げられております極東の安全、平和、日本の安全と、原子力潜水艦が入ってくることによる危険性というものとは、当然天びんにかけられなくちゃならない、こういうふうな理解の仕方をすべきではないかと思うのですが、この点はどういうふうにお考えになっておるわけですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 太平洋艦隊にいうところの原子力潜水艦が配置され、その構成の一部分をなしておるということでございます。そこで、わが国といたしましては、現行条約の建前から申しましてはもとよりのこと、日米間の同盟関係の精神によりまして、それらの艦船がわが国の水域に入って参るということは、きわめて自然なことと思うのでございます。ただ、御指摘のように、安保条約の建前で事前協議の対象になるようなことでございますれば、もとより両国間の協議にかかることでございますけれども、私どもはそう解釈いたしておりません。そして事前協議にかかるような問題につきましては、先方もそういう意図が毛頭ないということを再三申し越しておるわけでございまして、私どもは、日米の同盟関係から申しまして、原子力を推進力とする潜水艦の入港ということにつきましては、受け入れて差しつかえない、またそうすべきであると私は思うのです。それから石橋さんの言われる、入ってくることによって招来される危険性というものと、それから安保条約にうたわれておる精神と、天びんにかけてどうだというお話でございますが、私は、原子力の潜水艦の寄港問題と、安保条約によって掲げられておる極東の安全ということとは、比較にならぬと思うのでございまして、他の多くの国に寄港いたしておりますけれども、何ら問題も起こっておりませんし、また、このようにやかましい問題にその国々ではなっていないのでございまして、日本の特殊事情を私どもよくわかりますけれども、やはり日米の同盟関係に照らしまして、こういうことは大局的に御理解をいただいて処置すべきものと私は考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 政府側の御説明が、単に補給、休養のために寄港するんだというから、私はお尋ねしているわけですよ。単に補給、休養のために入るくらいなら、大きな危険が予想できるわけですから、何も日本に入らなくてもいいじゃないか、こういう国民感情が必然的に出てくるわけです。そうじゃないと――第六条ではっきりと日本の施設、区域を米軍が使えるという場合は、日本の安全とか極東の安全、平和というものに寄与するという目的があって来るのだ、だから、潜水艦が入ることによって、日本の安全なり極東の平和安全のためにこのように寄与するのだから、多少の危険があっても認めざるを得ないのだ、こういうふうなことなら、ある程度説得力を持つと思うのですよ。ところが、単に補給、休養のために入るのですとあなた方はおっしゃっておるじゃありませんか。どんなにりっぱな娯楽施設があるか知らぬけれども、そんなことなら、大きな危険も予想されることだし、無理して入ってもらわなくてもいい、こう国民が考えるのは当然だと私は思う。そこでお伺いしているわけですよ。原子力潜水艦が日本に入ることが、軍事的にどういうふうな意義があるのか。日本の安全のためとか、極東の平和と安全のため、原子力潜水艦が日本にどうして入る必要があるのか。この説明がなければ、今私が申し上げておる疑問の氷解はできないのじゃないですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほどから申し上げましたように、太平洋艦隊というものは厳として存在しておって、日本の防衛、安全に寄与しておるわけでございまして、その一部が航海の途次日本に立ち寄るということは、石橋さんおっしゃるように格別御窮屈に考えられなくていいことじゃないでしょうか。つまり、長い航海をしておるわけでございますから、その途中において兵員の休養の必要もございましょうし、水の補給の必要等もございましょうし、むしろ逆にそれを断わるというようなことが、私はかえって不自然ではないかと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 大臣はそれが不自然とお思いになるかもしれませんけれども、国民はそうは思いませんですよ。やはり原子力潜水艦の寄港を認めないことによって、日本の安全なり極東の安全や平和の維持が困難になるというならば、少し大局的な立場で考えようという人が出てくるかもしれませんよ。しかし、単に補給、休養のために入るということであるならば、一たび事故でも起きれば大へんなことが予想される、そんな休養や補給のためならば遠慮してもらってしかるべきだ、常識人はそう考えるのじゃないでしょうか。大臣が常識人じゃないということになるかと思いますけれども、しかし、それはやはり積極的な姿勢で私は説得する必要があると思います。第六条というのは空文じゃないでしょう。飾り文句じゃないでしょう。何が何でも日本の基地を使えるという権利を持っているわけじゃないですよ。日本の安全に寄与する、極東の安全と平和の維持に寄与する、その場合に日本の基地をどうぞお使い下さい、施設、区域をお使い下さいとはっきりうたっているのです。原子力潜水艦がどのようにこれに寄与するのか、少なくともそれだけの説明はなされてしかるべきだと思う。単に補給や休養のためならば、何もそう無理して日本にその基地を求めなくともいいじゃないか、これは常識的な疑問だと私は思うのですが、ちょっと説得の自信がないということですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほど申しましたように、在日米軍全体として日本の防衛に寄与していただいておるわけでございまして、日本が独立以来平和と安全を確保してきたということは、これは厳たる事実でございます。そしてこれはきわめてとうといことだと思うのでございます。そういうかまえがあったからこそ、わが国の国内経済も兆展して参ったわけでございますし、各種の公共、社会の施設、教育の施設も逐次充実することができたというのは、こういう背景があったからでございまして、従って、日本の防衛のために協力をいたしておりまする在日米軍の行動ということは、可能な限り日本政府としては保障して差し上げるということが当然のことと思うのでございます。ただ、あなたが言われるように、危険があるからというわけでございますけれども、しかし、危険ということを考えてみれば、私どもは電車に乗ることも自動車に乗ることも、これは万一衝突するとか墜落するとかというようなことはあり得ることなんでございます。絶対に百パーセント危険がないなどということはないわけでございます。なるほど、原子力の場合には非常にその危険の幅が大きいということになって、その点を特にあなたも御指摘されておるのだろうと思いますけれども、しかし、その点については、この間も私が申し上げましたように、私どもが関心を持ち、心配をする以上の心配をアメリカ自身もしておりまするし、そのための安全保障につきましては、ああいう国柄でございますので、われわれの想像を絶した努力をしておるわけでございまして、先方も安全については保障すると言っておるわけでございまして、現に実績的に申しましても、今まで寄港地におきまして危険がなかったということでございます。アメリカ水域におきまして多少の事故が起こりましたけれども、しかし、本体の原子炉の事故は全然起こっていないわけでございますので、私は、われわれが全然真空の空間に住んでいるわけじゃないし、多少の危険がすべての行動においてあり得ることは、これは論理上言えると思うのでございます。しかし、何億分の一かの危険というようなことが、あたかも非常に現実性を持ったかのように、石橋さんのような方が言われると、あるいは国民の一部にはなお御心配される人があるかもしれませんけれども、私は、そういうことは、人間生活におきまして全然危険がないなんという保証は、これはなかなか考えられないことでないかと思うのでございますが、先方の安全保障に対する努力と、それから過去の実績というものと、そして先方の誠意を信頼していくのが、一番妥当な行き方ではないか、判断じゃないかと私は考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 自動車に乗っても電車に乗っても危険はつきまとうとおっしゃいますが、私たちは食っていかなければならぬのです。食うためには働きに行かなければならぬのです。そのためには、やむを得ず電車や自動車にも乗らなければならぬ。多少の危険を冒してでも働きに行かなければならぬ。食わなければならぬ。それと原子力潜水艦が入ってくることとは違いますでしょう。それじゃ原子力潜水艦が日本に入ってこなければ日本は困るのだ、安全が維持できないのだ、その説明がなければならないじゃありませんか。入ってこなくても別に今まで困らなかったわけですね。大臣のお言葉によっても、日米安保条約があって、第七艦隊がときどき入港しておるからこそ、日本の安全が保たれたと言うけれども、原子力潜水艦は今まで来ていないけれども、安全が保たれたということになりますよ。これから先は原子力潜水艦が入らないと安全が保たれないというのはどういうわけかと私は聞いておる。やはりこれは天びんにかけられてしかるべき問題じゃないのですか。小坂外務大臣が断わったというのも、やはり天びんにかけたからでしょう。原子力船の寄港を認めることの必然性と、それから予想される危険性というものを天びんにかけて、今の状態でそういう大きな危険の予想される原子力船の入港は認めるべきじゃない、別に入ってこなくたって日本の安全に対して支障はないと考えたから、小坂外務大臣の当時は断わったのだと私は思うんですよ。天びんにかけたはずだ。今度は天びんにかける必要はないというのは、私は筋が通らないと思う。原子力潜水艦が入ってこなければなぜ日本の安全に困るのか、日本で補給、休養をしなければなぜ困るのか、多少の危険を冒してでも入れなければどうして困るのか、私は、政治家としてそういう次元から国民に訴えていかなくちゃならぬと思う。お役人と同じように、条約上どうだ、法律上どうだということよりもですよ。そういう意味でお尋ねをしておるわけですが、今の答弁では、私が理解できないというだけではなしに、国民も理解できませんですよ。まあしかし、これ以上お答えできないというならしようがない。  それじゃもう一つ。今私が申し上げましたように、アメリカは日本に入るのはフリーじゃない。第六条にはっきりうたわれておるように、日本の安全なり極東における国際平和、安全の維持に寄与するという、この目的に合致した場合にのみ、日本の施設、区域は使用が認められているのだということを申し上げましたが、もう一つは、事前協議というものがあるわけです。これでよりきびしい規制が加えられているわけです。ところで、この原子力潜水艦の問題については、核装備の条項には当てはまらない、核装備はしないで入ってくるんだ、こうおっしゃる。これは争ってみても始まらないからきょうはやめますが、この間、私が提起いたしました配置の問題については、依然として疑問が残ります。この点についてお伺いをしたいと思いますけれども、これは安保条約の審議の際に、政府の統一見解として発表されました事前協議の対象となる配備における重要な変更とは、陸軍及び空軍については一個師団、海軍についてはそれに相当する部隊以上をさし、撤退行動を含まない、こういうような発表があったかと思います。しかも、その海軍については、陸軍、空軍の一個師団に相当する部隊として、一機動部隊以上ということを言われたわけでございますが、この統一見解は間違いありませんね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 前段の方で、答えられないのであったらもうこれ以上質問しないということでございましたが、私どもはもっとすなおに考えまして、日米の安全保障上の協力ということを非常に重視するわけでございまして、日本は座して平和と安全を求めるというような根性ではいけないと思うのでございます。在日米軍を構成しておるものが、安保条約上の規制の中で活動して参るということを日本が拒むということは非常に危険だ、私はむしろ逆にそう思うのでございます。これはやはり同盟関係にある基本的な信頼というものでございまして、それがないと、私は、日本の平和、安全というものは危殆に瀕すると思うわけでございます。個々の艦船の出入というような問題でなくて、全体の日米の同盟関係からくる協力関係、これを堅持していかなければならぬという基本的な考え方に立っておるわけでございます。  それから今の第二段のお尋ねの統一見解は、その通り私どもも理解いたしております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それじゃまた戻りますけれども、二年前に、同じ池田内閣で小坂外務大臣が断わったのはどうしてですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 これは時勢が進むに従いまして、まきをたいておったのが石炭になり、石炭がオイルになり、オイルが原子力になるということは、これは時勢の進運がそうせしめておるわけでございまして、私は、原子力潜水艦なんというものは推進力として原子力を使っておるのにすぎないものだと思うわけでございます。ただ、一昨年、小坂さんが、先方の御相談があったときに、まだ若干時期は熟しないのだと言われたのは、原子力というものがまだ十分ポピュラーになっていなかった段階なんでございまして、その後、原子力の軍事的な利用、平和的な利用というものは、石橋さん御承知のようにだんだん進んできておりますし、問題の原子力潜水艦自体も、もう百回以上も各国の港に寄港して、何ら心配がないということになってきたのでございますから、その間の時間の経過というものを判断いたしまして、もうそろそろ日本も原子力に対して異常な心配はしなくても、世界の実績がそうなっておるんだからというわけでございまして、その間一年数カ月間の時間の経過というものを評価いたしまして、私どもはもうそういう姿勢でなくて、前向きの姿勢で処理していい時期になってきた、そのように考えるわけであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 大平さんは心配がないと言っているけれども、国民はまだ心配がないというふうには理解していないわけですよ。二年前の条件と少しも変わらないわけです。そして少なくとも、二年前は小坂さんが断わったけれども、支障がなかったじゃありませんか。国民の心配というものにウェートを置いて、今やめてくれと言ったら、向こうも受け入れている。別に支障がなかったじゃないですか。今度だって、国民の心配が氷解しなければ断われるということにならないのですか。あのときは断われたのが今は断われない。同じ条約のもとにおいて、そんなに変わるはずがないじゃないですか。そこにごまかしがあると私は申し上げておるわけですよ。国民の不安感というものは少しも氷解いたしておりません。  そこで、質問を戻しますけれども、それじゃ海軍の場合に限定します。今度の原子力潜水艦が海軍ですから…。一機動部隊というのはどの程度の兵力なのか、これは外務省でわからなければ、防衛庁に来てもらっていますから、防衛庁からお聞きしたいと思います。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 ただいま一機動部隊、これはわれわれの方ではタスク・フォース、いわゆる機動部隊というようなことで訳して使っておりますが、これは第七艦隊でございますと、たとえば空母の攻撃の一つのフォースが形成されるわけでございます。従って、戦力の規模ということではなかなか申し上げにくいと思いますが、空母なら空母だけでも一つの編成されたタスク・フォースができるわけであります。そのタスク・フォースは相当大規模なものであるというふうには言うことができますが、どれだけの戦力ということを明確に申し上げるのはちょっとむずかしいのじゃないかと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 これは政府の統一見解ですよ。しかも、日米合意されたものと、この間、外務省の事務当局は言っているのです。専門家の防衛庁がどの程度のものかわからぬというふうな、そんな合意の仕方がありますか。  それじゃ外務省に聞きますけれども、事前協議の対象となる一機動部隊というのはどの程度の兵力ですか。艦艇にして何隻か、兵員はどの程度か、保有航空機数はどの程度か、はっきりした基準がなければ、こんな事前協議をつくったって何にもならないじゃないですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 一機動部隊の勢力がどの程度かということの具体的なお尋ねでございますが、ただいま麻生参事官からお答えいたしましたように、通常空母一隻ないし二隻、これを基幹といたしまして、これを護衛いたしますところの駆逐艦、これも六隻ないし十隻、これは任務によって非常に変って参ります。それで、そういうものを基幹といたしましたものが、通常の場合の機動部隊の編成の基準としておられるようでございます。第七艦隊というものは、御存じのように、一応空母五隻というものが基幹でございます。これはその時期によりまして、御存じのように、アメリカ太平洋岸にありますところの基地と真珠湾との間を往復しているわけでございます。従いまして、一機動部隊の編成基準が何隻か、空母何隻、駆逐艦何隻、これに随伴する補給支援船何隻かということは、これは向こうにも規定はございません。このことは、旧帝国海軍におきましても、一応海上艦艇の編成というものは基準がありますだけで、陸軍の編成のようにぴちっとした編成の隻数であるとか人員というものは、きまっていないのと同じように考えられます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 防衛庁はいいです。外務省にお聞きします。少なくとも交換公文の事前協議の対象となるものは、配備に関する重要な変更という場合には、海軍については一機動部隊以上だとおっしゃっているのです。そうでしょう。その一機動部隊というものはどの程度のものかわからない、そんな申し合わせが何の役に立つのですか。防衛庁はわからなくても、外務省はアメリカ側と交渉してそういう合意に達しているのだから、一応の基準は設けているはずです。基準がなければ、アメリカは事前協議の持ってきょうがないじゃないですか。日本政府も要求することができないじゃありませんか。どの程度の場合をこの対象とするのですか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 交換公文ができますときの了解によりまして、陸軍及び空軍が一個師団、海軍については一機動艦隊程度以上のものということが打ち合わせられておるわけでございます。それで、ただいま一機動艦隊とはワン・タスク・フォースということになるわけですが、それがどの程度のものかということは、何隻であるとか、こうなったら機動部隊になって、こうなったら何だというような具体的な明確な隻数とか、そういうものじゃなくて、大体一般の通念で、一機動部隊というと相当強力な部隊でありますが、その程度以上のものが事前協議の対象になるというふうに了解されておるわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 その一般の通念を聞いているのです。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 一般の通念と申しますのは、先ほど防衛庁から申し上げました通りで、具体的に何隻がどう加わって、どう減ったらどうなるというようなことじゃなくて、一般の通念として、通常一機動部隊と言われているものがあるわけでございます。その程度以上の重大な変更があった場合には事前協議をしようというわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 陸軍なら、一個師団入ってくるときは事前協議の対象になるわけです。空軍の場合も、一個師団入ってくる場合には事前協議の対象になる。一個師団と言えば、われわれにも一応の通念はありますよ。海軍の場合は、一機動部隊以上入ってくるときには事前協議の対象になるわけです。その一機動部隊というものが明確じゃないというのじゃ話にならないじゃないですか。何にもわからぬまま、あなた方は事前協議の対象をきめているわけですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 先ほど抽象的に申し上げました機動部隊の編成につきまして、若干数字を申し上げてみます。これは米海軍の交換しました資料に基づくものでございます。少し古いのでございますが、二年前の資料に、アメリカ第七艦隊につきましてこう書いてございます。現在、第七艦隊は百二十五隻以上の艦艇と六百五十機の航空機が絶えず全海域を行動しておる。編成上は、これらのものが五つのタスク・フォース、それから五つのタスク・グループ、こういうものに区分されて、それぞれ任務を与えられておる、こういうことでございます。先ほど申しましたように、第七艦隊というものは、一応航空母艦は五隻程度が基準になっております。さらに巡洋艦五隻、これは司令艦でございます。そのほかに、駆逐艦が三十隻、その他の艦艇が約九十隻、こういうものが主要艦艇でございます。こういうものが、ここにございますように五つのタスク・フォースに分かれるわけでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、通常空母一ないし二というものが基幹になって、そのときの状態によって編成される、こういうことを申し上げたわけでございます。それで、先ほど申し上げましたように、常識的に一つのタスク・フォースというものはどの程度のものかということは、このような総隻数及び編成されております数から判断していただく、これしかないのじゃないかと考える次第でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 だから、防衛庁にはもう聞かぬと言っているのですよ。外務省がやった仕事だから、外務省は自信のない仕事はしていないはずです。一機動部隊以上が日本にくるときには事前協議の対象になると言いながら、その一機動部隊というものがどの程度かわからぬということじゃ話にならぬじゃないですか。一応の基準というものは、そのときに合意に達していないのですか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 先ほども申し上げました通り、一機動部隊、ワン・タスク・フォースというものが一つの通念でございます。具体的にそれが何隻からどういう構成でなるということは、いろいろ場合によって違います。しかし、先ほど防衛庁から専門的に御説明になりましたように、大体一機動部隊というものの標準は通念的にあるわけでございます。それが具体的に何隻からが一機動部隊で、何隻からは違うというような、そういった種類のものではなくて、この交換公文をつくりますときに、配置における重要な変更というものの内容、それを先ほど御説明しましたように、陸海空に分けていろいろ定めておるわけでございますが、要するに、重要な変更というものに関連する一機動部隊というものは、一つの社会的というか、一般的な通念、常識というようなところからくるわけでございます。専門的には、それは先ほど防衛庁から申されたようないろいろなことが言えるかと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 事前協議の申し入れはアメリカの方からあるのですからね。少なくともアメリカの方には基準があるはずですね。あなたの方はそれじゃ一機動部隊をどの程度とお考えになっておるのですか。どの程度以上のものが日本にくるときに事前協議の対象にするつもりですかという質問を当然しておられると思いますが、それに対してアメリカは何も答えていないのですか。おれの方にも基準はないのだ、そのときそのときに適当に事前協議の対象とすることが必要だと思えば申し入れをし、これくらいの隻数ならば事前協議の対象にする必要はなかろうと思えばしないし、われわれの判断にまかせてもらおう、こういう答えでもあったんですか。黙って引き下がったんですか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 この了解ができました根拠というのは、要するに、日本国での配置における重要な変更でございます。重要な変更というものは一体どういうものかということについて、陸海及び空について大体の基準をきめたわけでございます。海軍についてワン・タスク・フォースというのが、そういう一応の標準になるわけでございます。ワン・タスク・フォースというものはどういうものかということになりますと、これは海軍の通念で、先ほど防衛庁からお話のありました通り、第七艦隊は五つのタスク・フォースに分かれておる、そういう具体的な事実等を勘案いたしまして、ワン・タスク・フォースという通念が出てくるわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 防衛庁に助けられて、どうにかそこだけ切り抜けた格好ですよ。あなた方の方は念も入れずに、アメリカの方の判断におまかせしますということだったんでしょう。  それじゃ、ちょっとまた角度を変えてお尋ねしますが、海軍の場合、日本に配置されるというのはどういうことなんですか。どういう場合を言うのですか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 海軍というものは、実際は全部横浜とかあるいは佐世保の港に定着しておるものではありません。始終移動しておるわけでございます。海軍というものの性格はそういうものでございますが、この配置に重要な変更――要するに、海軍が日本の港に入りました場合は、在日司令官の区処を受けるわけで、従いまして、その期間は日本のいわゆる司令官の区処下にあるというような関係になるわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私が聞いておるのは、もう少し厳密なことなんです。この条約でいっておる日本に配置される米軍――米海軍の場合、日本に配置されるということがあり得るのか、あるとすればどういう場合かとお伺いしておるのです。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 法理的に申し上げますならば、配置というのは、常時日本におるということになるわけでございます。先ほども申しましたように、第七艦隊の艦船が事実上常に移動しておりますが、この移動、入港ということは、これは配置ということとは必ずしも直接結びつかないわけでございますす。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 わかっているから聞いているんですよ。だから、この条約でいっている配置というのは、どういう場合なのか、そういう場合が日本の場合にはあり得るのかと聞いているのです。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 法律的に配置という言葉は、要するに、定着してそこにおるということでございます。従いまして、たとえば海軍の場合は、陸軍や空軍とちょっと異なりまして、いわゆる配置、定着しておるというような場合は、第七艦隊の場合は、そういう例はきわめて限定されて少ない、そういうことが言えると思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 あり得るのかと聞いておるのです。過去においてありましたか、日本に配置されたという場合が。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 先ほど来申し上げました通り、第七艦隊というのは、非常に移動性を持っておりまして、日本の特定の港に固定して定着してそこにいるというようなことは、過去においてはございませんでした。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そうすると、麗々しく条約あるいは交換公文で、事前協議の対象になるのは一機動部隊以上の部隊であるなんて大げさに書いておるけれども、あり得ないということじゃないですか。事前協議の対象になることがあり得ないということじゃないですか。第七艦隊が今の五機動部隊が十機動部隊になろうと、どんなに増強されようと、海軍に関しては自由自在に日本の港に入れるということじゃないですか。事前協議の対象になるようなことはないということになりはしませんか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 一時にワン・タスク・フォ-ス以上のものが日本に配置されるというような事例は従来ございませんでした。第七艦隊というものの性質から、そういうことが非常にまれであるということが考えられるわけでありますが、先ほども申しつけ加えましたように、艦船の個々の移動というものは、これは配置というものと直接結びつかないわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 時間がかかるばかりですから、私の聞いておることにまともに答えて下さい。過去においてアメリカの海軍が日本に配置されたということはあり得ない。第七艦隊の性格からいって、今後も配置されるということはあり得ない、こういうことなんですね。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 先ほど申しました通り、第七艦隊の性質上、一つの港に長期にわたって定着するということは考えられないわけでございます。ただしかし、付言いたしました通り、個々の艦艇が日本に寄港し、常時日本の近辺を防衛しておるという事態はずっと続くと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 まだまともに答えないのですが、条約の交換公文に事前協議の対象というものを掲げておる。こういう場合には事前協議の対象になるのだと掲げておるが、事海軍に関する限り、事前協議の対象になるようなことは絶対にないということじゃないですか。飾り文句ということじゃないですか。アメリカの旗を掲げておる軍艦でありさえすれば、いつ何時でも日本の港に自由自在に、一機動部隊であろうと、一艦隊であろうと、入れるということじゃありませんか。事前協議の対象になり得るようなことはないじゃないですか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 先ほど御説明しましたように、これまで配置されたことはございませんけれども、将来必ずしも配置を排除しているものではございませんし、また、ないということを断言する筋合いのものではないと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それじゃ、あなたの答えに対して、質問いたしましょう。今までは配置された部隊は全然ないんですね。今後はあなたは条約上あり得ると言う。そうしますと、あり得た場合には、最小限一機動部隊が日本に配置された場合には、事前協議の対象になりますね、今がゼロなんですから。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 従来一機動部隊以上が配置されたことはございませんけれども、個々の雑用の船が各施設にいることは御存じの通りでございます。従来配置されたことはございませんけれども、将来ワン・タスク・フォース以上のものが日本に配置される場合は、もちろん事前協議の対象になりまして、御説のようなことになるわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 その場合に、今雑船なんということを持ち出しましたが、そういうものと新しく配置されるものと合わせて一機動部隊以上になれば、事前協議の対象になるわけですか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 先ほどから御説明しております通り、一機動部隊、ワン・タスク・フォース以上のものが一ぺんにきて、日本に停泊するということが起こりますれば、これまた事前協議の対象になるわけであります。私が先ほど雑船と申しましたのは、ちょっと意味が明確でなかったかと思いますが、特殊の任務を持った工作船とかそういったものが、港に配置されておるということは聞いております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それじゃ、大臣にこの点確認をしておきたいと思いますけれども、大体過去においてもアメリカの海軍に関する限り日本に配置されたことはない、今後も第七艦隊の性格からいって配置されるということはほとんど考えられない、しかし、条約の建前上から、全然あり得ないということでもない、従って、あり得るとすれば、最初の一機動部隊が入ってきたときには、事前協議の対象になる、こういう事務当局の御見解は御支持なさいますね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 論理的にはそういうことになると思っております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 ところで、今度の原子力潜水艦の場合は配置されるわけですか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 これは日本に寄港するわけでございます。航海の途中日本に来て、暫時おり、そしてすぐ出ていくということでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 これまた配置されるわけじゃない。そういうことになりますと、いつまでたっても配置されるなんということはあり得ませんよ。一体、海軍が日本に配置されるというのはどういうことなのか、私にはわからない。それじゃ法律上の正確な定義をして下さいよ。海軍の場合、配置とはどういうことなのか。日本の横須賀か何かにくくりつけになるということなんですか。法律的に厳密にこの配置というものの性格、定義づけをやって下さい。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 配置というのは、字で示す通りの、要するに、そこに定時的に置くということでございます。従いまして、従来は、第七艦隊が日本のいわゆる基地に相当長期にわたって定時的にいるというような事態はなかったということを言っておるわけであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 いや、法律的に説明していただいていいのです。海軍が配置されるというのはどういうことか、法律的にぴしっと定義を示して下さいよ。横須賀の港なり佐世保の港なりにくくりつけて、入ったまま半月か一カ月がんばっておる、そういうことなんですか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 これはあえて定時というようなものでなくて、配置ということは、すなわち、特定の期間中ずっといるということを意味することは、御承知の通りだと思います。先ほども申しましたように、海軍というものの性質、特に第七艦隊というものがずっと各地をめぐって警備しておるという事態から申しまして、第七艦隊が従来は特定の港に長期にわたって滞在していたということはないということを申し上げたわけであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私は、海軍の性格上、一つの港に長期にわたってじっとしておるということはあり得ないという立場に立っておるのです。あなたは今後あり得るというのだから、あり得るからには、どういう姿なのか、私たちに教えてくれなくちゃならないでしょう。期間がそれを定めるのですか。一週間以上横須賀の港におったらこれは配置である、一カ月以上佐世保の港にがんばっておったらこれは配置である、そういった停泊の期間が、配置か寄港かということを左右するのですか。法律用語として使っておる以上、法律的な定義がなくちゃならないでしょう。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 海軍という特殊性で、ことに第七艦隊が常時警らしてあちこち回っておるということから、過去にはその配置の概念に当たるような事実がなかったわけでございますが、将来は必ずしも、あるとかないとかいうことは、私はちょっとまだ断書はし得ないと思います。あり得ることはあり得ると思います。そのあり得た場合におきましては、事前協議の対象になるわけであります。配置というのは、一定のところに特定の期間ずっといるということでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それじゃ大臣に確認しますが、配置されたという形は、結局期間が左右するのだ、相当程度の期間同じところに、佐世保の港なり横須賀の港なりにじっとしておる、その場合は配置されたものと理解するという、そういう事務当局の答弁はいいのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 配置の概念をどのように考えたらいいのか、私も実はそういう十分な知識を持っておりませんので、いろいろ事務当局が申し上げたことは、論理上そういうことになると思うのでございますが、安保条約において配置ということを陸海空あわせて書いてあるわけでございまして、海軍の場合、特にどういう場合を想定したかというような点は、もう少し私勉強してみます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 安保条約ができて何年になりますか。今から勉強してもらうといったって、これは十分に勉強してできたものと私たちは思っておるのです。でき上がっておる条約なんですから、それだけの概念もはっきりしないで、適当な言葉を使って、しかも、事前協議の対象になるかのごとく国民に流布しておるのです。責任問題ですよ。それでは軍事専門の立場で、防衛局長、海軍が今外務省当局が言っておるような配置の概念に入るような行動をすることがあり得るか、軍事的に伺いたい。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 法律的な解釈につきましては、私ども専門の分野でございませんが、通常海軍関係の場合に、ある地点、ある地域に配置するということにつきましては、普通の場合には、まずその船の母港がどこであるかというような面から押える考え方がございます。その面からいいますと、たとえばアメリカの第七艦隊の一部の管理、補給等に任じております船は、その母港を佐世保、横須賀に置いておるものもございます。こういうものは明瞭に配置されたということになるかと思います。それ以外には、御存じのように、安保条約というものは、有事の場合を想定いたしておりますので、第七艦隊の艦艇、航空機等が、すなわち、タスク・フォースあるいはタスク・グループというものが、日本の防衛のために積極的に協力されるという場合には、当然に日本の周囲の海域に展開することになろうと思います。そういう場合には、そこの状況の判断でございます。そういう場合に主として軍事的にということになりますと、そういう軍事目的をもってある地点、ある地域にある程度滞留するということが、配置というふうに私どもは考えるわけでございます。しかし、御存じのように、先ほどからお話が出ておりますように、海中艦艇の性質上、どの範囲、どの程度とどまっておればそれが配置かどうかということは、これは純粋技術的に私は定義は困難だと思います。従いまして、そこは関係者間のいわゆる常識に基づいた判断というものが前提になるのではないかと思います。それ以上には私どもとして特別に配置に関する定義は持っておりません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 外務省よりよっぽどわかりますよ。あなた方は少なくとも条約上は法律の専門家でしょう。法律的な解釈についても、軍事専門家の方がましだということだ。今の説明の方が少しはわれわれにわかりますよ。そこにも外務省の姿勢というものが見えるんじゃないですか。アメリカの言うことならば疑問をまず持たない。一体どういうことなんだろうか、研究してみようともしない。向こうのおっしゃる通り、向こうまかせ、端的に示しているじゃないですか。仰々しく事前協議、事前協議。事前協議の対象になりませんというときだけ、あなた方は鼻息荒いですよ。事前協議の対象になるものはどうなんだという把握に関しては全くうつろな気分で、研究もしていない。今防衛局長が母港がどこか、これは確かに一つの問題だと思う。たとえばその機動部隊、艦隊の根拠地が佐世保だ横須賀だということになれば、これは配置じゃないのですか。どうです。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 先ほど申し上げました通り、特定の港に特定の期間滞留する、あるいはその場合、私先ほど触れませんでしたが、それが母港ということになれば、もちろん一つのそういったことが考えられるわけであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 一週間おったから配置だ、一カ月以上おったから配置だということを言ったって通用しませんよ。確かに根拠地というものが国内に定められて、そうしてその根拠地からの指令で動くというようなことになった場合は、あるいは配置じゃないかなと私も思っておったのです。その点間違いないですね。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 先ほど申し上げた通りでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そう渋らぬで、何度でもおっしゃったらどうですか。そうしなければもう一回聞かなければならぬ。あなたの答弁では、日本の港に何日間おったかという停泊の期間が、配置か配置でないかを定める基準であるかのごとくおっしゃっておったのですよ。そんな抽象的なことでは承知できないし、今防衛局長が言ったように、軍艦の性質から普通そんなことはあり得ないです。だから、そこで押えようったって押えられないじゃないですか。せいぜい押えようと思えば、母港がどこか、根拠地がどこか、そういうことで押える以外にないのじゃないか、こうお聞きしているわけです。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 この配置という概念でございます。これは専門的にいろいろ考えられるわけでございまするが、たとえば陸軍とか空軍というものは、これははっきりしておるわけです。海軍というものにつきましては、その性質上移動するものでございまして、従いまして、その配置というものの内容については、いろいろ形態があるわけでございます。従いまして、先ほども話がございました母港としておるというのも、一つの配置の観念でございましょう。それから日本に米軍の軍艦が入って参りますときは、一応在日米軍の区処下に置かれるわけでございます。その意味におきまして、特定の港に相当の期間、一定の期間――この期間の限定も私は事実上の問題だと思います――おるということになって、やはりこれも配置ということは考えられるわけでございます。要は、その具体的対象の個々個々によっていろいろきめ得ることだと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そうしますと、第七艦隊といえども、日本の港に入ってきた場合は在日米軍司令官の指揮下に入る、こういうことなのですか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 指揮下というのは少し行き過ぎでございまして、区処下に入るということを申し上げたわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それでは、その区処下に入った場合は配置されたものというふうにあなたはおっしゃるのですか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 その配置という概念でございます。要するに、日本に参りました場合には区処下に入るわけでございます。同時に、配置という概念には、もう一つ、やはり母港の問題とか、あるいは常時停留しておる問題とか、いろいろございます。その形態は、専門的あるいは個々の場合に応じまして検討するわけでございます。今申しましたような一機動部隊が日本に配置される場合には、これは事前協議の対象になるということが当時了解されたわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 その在日米軍司令官の区処下に入るという問題がまた出てくるでしょう。区処下に入れば配置という概念に入るのですか、入らぬのですか。配置されたということになるのですか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 先ほど私が申し上げました区処下に入るということは、事実その区処下におるわけでございますけれども、それのみによって配置されたというには、少し私は限定し過ぎると思います。要は、特定の一機動艦隊以上のものが相当の期間にわたって特定の港に停留するとか、あるいはそこを母港として常時動くとか、そういったようなことがやはり基準になる、そういうふうにお考えになればいいと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 この問題だけやっても時間をとるばかりですから、この程度でおさめますけれども、全くあいまいですよ。事前協議の対象にならぬというときだけは勇ましいけれども、事前協議の対象に入るものはどういうものかということについては、何にも抑えてない。しどろもどろ、いかにインチキであるかということを示しております。もう少し事前協議の対象になるものはどういうものだということを把握して、厳密にこの事前協議の対象としてくくっていって、規制を加えるくらいのかまえを外務省自体が持ってほしいと思います。そうしなければ、この海軍なんというのは全然対象になりませんよ。外務大臣が言っておることも、あなた方のものの考えの裏づけがあるからこそ言っておるのです。アメリカの艦艇はもういかにも自由自在に、日本のどこにも、佐世保だろうが横須賀だろうが、自由に入れる。これは規制できぬ。そういう根本的な考え方が頭にあるのだから、夢前協議の対象に海軍の場合を想定すること自体が、あなた方の頭でいけば、私はナンセンスだろうと思います。これは空文です。そんな麗々しいものを掲げなさんな、国民をだましたさんなということを申し上げておきたいと思います。  そこで、もう一つだけ、事前協議についてお伺いをしておきたいのですが、この寄港の問題は補給と休養を目的としてさしあたり行なわれるというのですが、安保条約の第四条の随時協議の対象にはなっておるわけですね。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 第四条は、この条約実施に関して随時協議する一般的か随時協議でございます。これの具体的事例といたしましては、外交、チャンネルにおける協議とか、あるいは日米安全保障協議委員会等が考えられるわけでございます。それから「日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。」というのは、先ほど申しました事前協議等を考えているわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 もう少しまっとうに答えて下さいよ。私が聞いているのは、原子力潜水艦の寄港の問題は、新安保条約の第四条にいう随時協議の対象に現在たっておるのですね。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 この事前協議というのは、先ほど申しました実施に関するいろいろな随時協議という概念に必ずしも入らないわけでございまして、先ほどお話しの原子力潜水艦の入港ということについて今お話をしておるのは、これは協議というよりも、むしろ向こうから日本国政府の感触を聞いてきているといった性質のものでございまして、協議という過程には必ずしも入っていないということになろうかと思います。石橋(政)委員 なぜですか。これも条約の実施に関して随時協議する、条約の実施でしょう。現に安保条約の審議の際に、四条の協議の対象にはなると言っておるじゃありませんか。昭和三十五年五月四日、日米安保特別委員会で加藤防衛局長が答えておりますよ。四条の協議は広いもので、作戦全般についての協議もあるので、ロジスティックな面の協議も対象になると言っておる。協議の対象になるのですか、ならぬのですか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 第四条の「実施に関して随時協議」するというのは、一般的な協議でございます。ただいまの原子力潜水艦の入港という問題は、この前からいろいろお話し申し上げております通り、これはいわゆる第六条の事前協議の対象には該当しないということが考えられるわけでございます。従いまして、現在日米間でアメリカから原子力潜水艦を寄港さしたいというような話があったということは、要するに、日本の感触というか、そういったものを聞いてきているわけで、法律的に言った協議とかそういったようには必ずしも限定し得ないと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 六条の交換公文で言う事前協議の対象にはならぬとあなた方は口をすっぱくして言うから、私は、それは一応納得がいかぬけれども伏せて、最小限四条に言う随時協議の対象にはなるでしょう。それにもならぬというのはどういうわけですか。現に安保協議委員会でも議題にしているわけでしょう。日本政府としては、少なくともこの四条で言う協議ぐらいの対象になぜしないのですか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 この第四条の初めの方の「実施に関して随時協議し、」ということにつきましては、いろいろ安保協議委員会とか、全般にわたる協議を含むことは、先ほど申し上げた通りでございますが、このたびの原子力潜水艦の入港というものは、協議というよりも、むしろ原子力潜水艦の入港に対する日本政府の感触というか、気持を聞いてきたというわけでございます。従いまして、協議というものとは性質が少し異なるような感じでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 四条には拒否権もないのですよ。その程度の協議事項に入れることすらためらう、話にも何にもならぬですよ。これはあなた方相手に論議しても、アメリカに対して全く自主性のなさを示しておるという結論を下す以外に方法がありません。お手上げです。  それでは時間がたつばかりですから、もう一つの問題に移ります。もう一つは、災害補償についてです。特に無過失責任主義について、私たちはこの寄港そのものに賛成できないわけですから、一たび事故があったときなどということにあまりウエートを償いた論議をしたくありません。しかし、逆にあなた方の立場からいくと、この補償というものに全精力を集中しておる感があります。安全の保障なんというのはどうせ確認できないのだから、せめて入港を前提とした、一たび災害があったときの補償をどうしようかということに頭を突っ込んでしまっておるような感じがいたします。不満でございますが、やむを得ませんから、その点についても、少し事実を明らかにしていきたいと思います。  この間、私の質問に対しても、あるいは外務委員会においても、大平外務大臣は、補償の問題についてこういうふうに答えておられます。すなわち、実定法の関係から、人命の損傷に対しては無過失責任が認められるので、当面問題はないだろう、しかし、物的損害については無過失責任がどうも貫かれそうもない、そこで、このギャップをどうして埋めるかということが政治家のさしあたっての問題だ、こういうふうに思うというお答えをしておったようですが、まず第一に、人的損害に対して無過失責任主義が貫かれるであろうという見通し、何を根拠にそういうふうにおっしゃっておるのか、私はここに非常に疑問を感ずるわけです。どうもあなたのその答弁の根拠になっておるのは、アメリカ側の回答の中に、人的損害は日米安保条約に基づく地位協定によって日本の国内法を適用して補償できるのではなかろうかと言ってきておる、これが裏づけになっておるような感じがいたします。ところが、この国内法の適用について、私は大臣のような解釈が出てこないのです。私の意見を申し上げる前に、人的補償については無過失責任主義がとられそうだというあなたのお答えの出てきた根拠をまずお示し願いたいと思う。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 補償の問題につきましては、先方からの一応の回答がございまして、それを目下政府側で検討いたしておるわけでございます。検討が終わりましたら申し上げることになるわけでございますが、その検討の過程におきまして、人的損害につきましては、専門家の判断といたしまして、無過失責任主義が貫かれそうだという中間的な報告を今私は受けておるわけでございますので、その旨を外務委員会で申し上げたわけです。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 明確なお答えがないわけですが、結局地位協定で救済できるというお考え方なんでしょう。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 救済できそうだという今の判断のようです。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 その根拠になっているのは、従って、地位協定十八条の5項の(a)「請求は、日本国の自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令に従って、提起し、審査し、かつ、解決し、又は裁判する。」これにあると思うのですが、あなたがこの条項をもって直ちに無過失責任主義がとられるというふうに判断されるには、ちょっと誤りがあるような気がします。なぜならば、自衛隊は現在原子力関係の船舶も艦艇も持っておりません。原子炉も持っておりません。この点は防衛庁確認いたしますね。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 御質問の通りでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 今後も原子力基本法の建前からいって持ち得ない、この点も確認いたしますね。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 現在そういう計画は持っておりません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私は計画を聞いているのじゃないのです。原子力基本法の建前からいって持ち得ない、軍事的な用途に供することはできないのですから、持ち得ない、法律的にあなたにお伺いしたのです。幸いあなたは法律家ですから……。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 原子力基本法の、原子力は平和的目的に限り、研究、開発、利用するということについての解釈問題は、大へん国会でも行なわれているわけでございます。先般の衆議院の予算委員会で池田総理がお答えになっておりますが、現段階において原子力を推進力として用いることは、これは原子力基本法には沿わないだろう、しかし、将来一般に原子力が推進力として持ち得られるようになったときまでそれはいかぬとは言い切れないのじゃないかという御答弁をされておりますので、その趣旨に従って私は考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 あとの方は要らぬことですよ。わかっていることですから。現在の原子力基本法というのは、国内法として厳存するわけです。その現在の原子力基本法という国内法のもとにおいては、軍事目的で原子力を利用することはできない。これは総理大臣も認めている。あなたは防衛庁の代表としてお認めになりますか。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、池田総理の御答弁は、現段階においてはというのは、原子力基本法に関連しての御答弁だというふうに私は了解しております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 大臣にお伺いしましょう。なかなか微妙なところで遠慮しておるようですから……。現在の原子力基本法、ここで読み上げる必要はないと思うのですけれども、第一条にも書いてありますが、第二条に、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」と規定されております。この原則というものが原子力基本法の基本になっているわけですから、平和利用、それから民主的運営、自主性確保、公開の原則、これは軍事目的に使われることを非常におそれて論議した結果、出てきた産物なんです。これは大臣御承知だと思います。そうすると、現在国内法としてこの基本法がある限り、自衛隊が軍事的に原子力を利用するということは、現行法のもとにおいてはできない、そういうことは御承知ですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 はっきり申し上げられることは、原子力を破壊力として使うということは、いかなる場合にも許されないことと思うのでございます。ただ、動力としての原子力が普及して参りまして、それが非常に一般化した場合に、自衛隊が動力としても原子力を利用できないということも、いささか無理じゃないかというふうな感じが私はいたします。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 将来のことを聞いておりませんよ。あなた方は、軍艦の原子炉というものは軍事機密だとおっしゃるのですよ、現段階は軍事機密だとおっしゃっているのですよ。そんなものを自衛隊が今つくれますか。公開の原則というものが適用される中でつくれますか。だから、現在の国内法について私はお尋ねしておるわけなんです。現在の原子力基本法のもとにおいて自衛隊が原子力を利用することができますかと聞いているのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 だから、今の原子力基本法というものは、私が今申し上げたように、動力としての原子力を厳格に排除するものかどうかということは一つの問題だろうと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 問題だろうというのは、どういうことなんですか。できるのですか、できないのですか。やろうとすればできるのですか、今の原子力基本法で。これはなかなか問題ですよ。影響が大きいですよ。今の原子力基本法のもとにおいて防衛庁、自衛隊が原子力を利用することができるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 だから、お断わり申し上げておりますように、破壊力としての原子力を使うということは絶対に許されぬと思います。原子力を動力化していくのが非常に一般的になった場合に、現在の原子力基本法が、自衛隊が原子力を動力としても絶対に使ってはならぬというように解釈すべきかどうかという点は、これは一つ論議の問題になると思います。それを全然否定しておるというふうに頭からきめてかかるのも、多少無理な解釈じゃないかという感じがいたします。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 「平和の目的に限り、」と書いてあるのですよ。軍事的な利用というものは許されているはずがないじゃありませんか。これを艦艇の推進力であろうと何であろうと軍事的に利用できるなんというこじつけ解釈をしますと、非常に影響が大きいですよ。この補償の問題は今現段階の論議なんですよ。法律も現行法についての論議ですから、将来のことは一切言う必要はありません、私の今の質問に対しては。現在日本の原子力基本法によって、自衛隊が軍事的に原子力を利用することができないという建前が一本貫かれておる。そういうときに、地位協定の請求権の問題に限って自衛隊を引き合いに出すなんという、そういう論議は通用しませんでしょう。アメリカもそれをちゃんと知っておって、皮肉って聞いてきているのではないのですか。結局、日本の国民が自衛隊から原子力により災害を受けたときにどうなるのですか。全く私は皮肉だと思いますよ。日本の自衛隊が持たぬことも、現行法において持ち得ないことも知っておりながら、原子力の損害について自衛隊に対して国民は請求権がございますか、その場合、無過失責任主義は貫かれるのですか、その通りならば私たちもやってもようございます――これはまともに受けるのではなくて、皮肉として受け取らなければ私はいかぬと思う。そういうあいまいなものを根拠にして、人身補償については無過失責任主義が貫かれるであろうということは、私はちょっと甘いと思います。何か答えることがあれば答えていただきますがね。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 先ほど大臣から御説明がございました通り、補償の問題につきましては、米側から一応の回答がございまして、関係各省と検討中でございます。そしてさらに再度の質問をするかもわかりませんが、いろいろ検討の段階におきまして、この十八条の五項の問題というものを一応検討したわけでございますが、この五項の(a)は、ただいま先生がおっしゃいました、「自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令に従って」やるということでございます。いろいろ検討いたしますと、この自衛隊に対して適用される日本の国内法はいろいろございます。国家賠償法とか、民法とか、あるいは地位協定の実施に伴う民事特別法、そういったものが考えられるわけでございますが、原子力損害の賠償に関する法律というものがございまして、これが自衛隊に対する適用を排除しないというような考え方も成り立つわけでございます。そういったことから、要するに、現実には自衛隊に対して問題が起こらないにしても、この法律自体が米側にも適用し得るというような見解があり得るということが検討されているわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そういうこじつけ解釈をしてみたところで、自衛隊は現在原子力を利用することもできない。今後といえども、原子力基本法の厳存する限り利用することもできない。排除もへったくれもないですよ、その前提がくずれているんだから。そういう無理な解釈をされて、あとで後悔しないようにしてもらいたいと思う。  それじゃ、念のためにお伺いしておきますが、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定、この協定によっても、軍事的利用というものは厳重に禁じられておりますが、この点は生きているわけでしょう。

高橋正太郎外務事務官(アメリカ局安全保障課長)

○高橋説明員 お答えいたします。  ただいまの石橋先生の御質問でございますけれども、それは、日本が原子力を平和利用するにおきまして、核燃料物質その他の原材料がございませんので、それをアメリカから仰ぐ、それを、その利用目的は平和利用に限るということをいっているわけでございます。これは先生御承知のことでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それだけ言っておきますよ。現在の日米間の原子力の協定においても、明らかに、非軍事的目的のためのみに使用されることを確保するというのが条件になっているのです。日米間においてもそういう約束があるのですよ。国内法においても縛られているのですよ。それなのに、自衛隊が軍事的に原子力を利用した場合を想定して、補償の問題などを論議しているというのは、私はナンセンスだと思う。  時間がありませんから、あとは端的にお伺いをしますが、もし一たび原子力潜水艦に事故があって損害が発生するというような場合には、国内法によって国会に報告する義務があるわけですが、この原子力潜水艦の場合にもこの国内法は適用になるわけでしょうね。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 私、その法律を詳細に研究しておりませんが、国内法でそういう定めがあります場合、国会に報告することになると思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 研究しておりませんがと言うが、あなたたちが一生懸命に今引用しておる原子力損害の賠償に関する法律に、ちゃんと書いてあるじゃありませんか。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 先ほど申し上げました通り、国会に報告するということになるわけであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それじゃもう一つ、これは大臣に伺います。人的損害については無過失責任主義がとられそうだ、物的損害についてはとられそうもない、その間隙をいかにして調整するか、これが今後の政治上の問題だとおっしゃっておりますが、私はその前提もくずれておると思いますけれども、あなたのこの立場に立って言うならば、この埋める方法というのはどういうように考えられているのか。一つは、物的損害が起こった場合には、あらためて日米間でその時点で協議するという点で逃げてしまって、現時点において解決しないという方法がある。このことを考えているのじゃなかろうか。もう一つは、アメリカが無過失責任主義をとらない、やむを得ぬ、日本政府が無過失責任主義で補償する、全部しょってしまうという方法を考えている。こういうこともあり得ると思うのですが、どんなことを考えているのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 たくさんの国に寄港いたしておるわけで、それらの国々とアメリカとの間には今の状態におきまして何ら取りきめらしいものがございませんし、事実危険もなかったわけでございます。従って、アメリカが対日関係だけにおいて特別の取りきめをするということは、おそらくアメリカ政府としても困難なことじゃないかと私は思うのです。そこで、われわれの仕事といたしましては、国内法、それから外国との取りきめ等、アメリカの国内法、いろいろ検討いたしまして、それで、どこまで今の体制で満足されるかという点を今見きわめておるわけです。そうすると、今までの検討を通じて、どうも物的損害につきましては、全部ではございませんけれども、完全に無過失賠償主義が貫かれておるようにはとれない、しかし、原子力潜水艦の寄港について、政治の立場といたしましては、国民に安心がいただけるような万全の備えをせねばなりませんので、そういう一定法制の立場から埋め切れないものをどうするかというのは、これは政治の問題になるのでございます。政治がどうそれを受けとめて解決するかということにつきましては、今あなたが御指摘のように、国内法で考える場合あるいはアメリカとの協議ということも考えられるでございましょうが、私どもといたしましては、どこまで埋められるかという点を今見きわめて、限界をまず確認せねばならぬという作業をいたしておるわけでございます。それから越えた残された問題というのがあれば、それをどうするかということは、しかし、政治の問題としては考えておかねばならぬ問題で、どのように措置するかにつきましては腹案を持っておりませんけれども、いずれにいたしましても、国民に御安心がいただけるだけの手順は講じなければならぬという気持でおるわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 具体的にはおっしゃってないわけですが、時間がありませんから、あと二つだけお伺いします。  一つは、人身補償の場合に無過失責任主義がとられる、そういうふうなことを言っておられますけれども、地位協定を準用するということになりますと、これは日本側も負担することになりますね。二五%ないし五〇%の負担を日本政府もしいられることになりますが、その点は御承知なんでしょうね。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 地位協定によりまして、その通りでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そうすると、無過失責任主義がとられる、いかにもアメリカが全部責任を負うかのごとく吹聴しているけれども、実際はあなた方が無過失責任主義がとられると言う部分についても、日本政府が二五%ないし五〇%の負担をしなければならぬのですよ。ここにもごまかしがあります。  もうあとの質問者に気の毒ですからやめますが、一つだけ聞きますけれども、一体アメリカは、いつごろ日本に寄港させることを目的として今提起しているわけですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 まだきまっておりません。

永山忠則自由民主党

○永山委員長 石山權作君。

石山權作日本社会党

○石山委員 今度在外公館について新しく昇格される個所等が設置法として出されております。内容は詳しくはわかりませんけれども、政府でお考えになっている経済外交等を通じて、昇格等もこの際やむを得ぬのだ、こういうふうに思うわけですが、その中で、今当面問題になっている韓国に、何ら代表部なり総領事なり代表機関を置くというふうな提案をなされていないのは、非常に不可解に思うわけなんです。それはどういう意味なんでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 それはたびたび本院でも御説明申し上げておるのでございますが、私どもといたしましては、在韓代表部を置きたいわけでございます。それを再三先方に申し入れておるわけでございますが、先方としては、国交正常化という仕事が今始まっておるわけでございますから、この本筋のことを早くきめようじゃございませんか、従って、もし今の段階で在韓の代表部を置きますと、どうもこれで日本側は安心しちゃって、あるいは本来の仕事を進めないんじゃないかという危惧が先方にあるようでございまして、今のところまだ応諾を得ていないわけでございます。従って、予算に計上するというようなところまではまだいっていないわけです。

石山權作日本社会党

○石山委員 まあ、こういう渉外関係ですから、相手の心持をよく理解していろんなことをやるということは大切だと思います。大切だと思いますが、先ほど私どもの石橋委員の質問などを聞いてみると、どうも日本の外務省はアメリカにおもねている。相手の心持を理解するというよりも、何かちょっと一段下がったところでお話をなさっている。これはまあ保守党は保守党らしくいろいろ弁解はあると思うのです。たとえば終戦後のこととか、経済的な問題だとか、いろいろあるだろうと思うのだが、韓国の場合にも、何かそんなふうな韓国の心持の理解、韓国の意向だけを非常に尊重しているようですが、ソウルにわが国の代表部くらい置いたって、そんなに向こうの国民感情を刺激するものではなくして、政府が今臨んでいるところの日韓交渉などには非常に役立つことだ、こういうふうにわれわれは理解しているのだが、どうもわれわれの気持を何らこの際外相などは取り上げる必要を認めないというふうに聞こえそうですが、その点はいかがでございましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 対米関係でお話でございますけれども、まず米国に従属しておるのじゃなかろうかなどというようなことをあなた方も言わぬようにしてもらいたいと思うのです。日本側からそんなことを言う必要はないじゃございませんか。大いに外務省を鞭撻していただいて、対等のつき合いを進めていただくように――野党側からお前の方はもう従属しているじゃないかということを初めからきめてかかる必要はないじゃないでしょうか、その点を十分石山さんにお願いをいたします。  それから韓国の問題につきましては、あなたの言うことは正論ですし、私は、日本の国民の気持というものはそうあるべきだと思うし、そうあると思うのです。それで、私どももそれが一日も早く実現することを希望いたしておるわけでございますが、先方はそのわかり切ったことまでも了解のところまでいかない段階なんです。外交関係でございますから、双方が合意しないと何もできないわけでございます。先方がそれを了解しないということは、日本側から見ていかにも不可解なことでございますけれども、事実そうなんです。つまり、韓国の日本に対する感情というのは、いわばそういう非合理性を現実に持っておるのです。従って、そんなことさえできないじゃないかというおしかりなのでございますけれども、先方がまだそこまでこないわけなので、どうにも私どもとしては手の下しようがないわけでございます。その点、あなたのおっしゃることは正しいし、私の方もその通りと思いますけれども、遺憾ながら先方の事情がそうだ、こういう事情にあることを申し上げるよりほかに道がないと思うのであります。

石山權作日本社会党

○石山委員 これは外務省のお配りになった表なんですが、日本の国から見ると、かなりに離れたところにたくさん総領事とか公使館とかを置いて、一生懸命やっておられるわけなのです。日韓の古い文化的な民族的なつながり、一またぎすれば足が届く朝鮮半島、ここへ公使館ぐらいでもよろしいし、何でしたらほんとうの意味の少人数の外交を担当する人でもよろしいが、置きたい。それがないということは、どうもこういう図面を見ても実にできが悪いのですね。これは経済外交であろうと何外交であろうと、こういう布石が行なわれていないということは、ある意味では不備でしょう。不備だし、いくさでいえば、これは負けいくさの人員隊形になると思うのです。先ほど、私、アメリカに対して少しおもねているのではないかというふうに申し上げたのですが、外相はだいぶ声をはげまして、そういうことを言わぬでくれ、こう言っているわけなんですが、私たちは、力のあるもの、そういう人に対してこそ、日本はおもねることなく、対等にものごとを言ってもいいと私は思う。韓国の場合には、私は逆に言えば、外相の言い分は何か理解できる面があると思う。しかし、どうも綿製品の問題一つを取り上げてみても、アメリカに対してはどうもおもねていると言わざるを得ない。特に通産関係の人たちの発言と外務省側の発言というものを両方並べてみますと、どうも言いたくないのだけれども、少しく対等に立って発言しようとする意欲に欠けているように思うのです。池田さんに言わせれば、向こうの繊維関係もアメリカにとっては泣きどころだそうでございまして、なかなかむずかしいところにあるから、日本はそこを思いやって話を進めなければならぬというふうに言われているのですが、強い国、物のある国、そして民主化の進んでいる国に対しては、日本はほんとうからいえば、強目にものを言っても逆に理解してもらえる。その点は、たとえば韓国が日本に対して言った場合に、外相あたりが思いやりのある答弁をするというのと同じ格好になりはしないでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私どもの外交的な姿勢としては、大国といえどもおもねらないつもりでやっております。小国といえども最大の敬意を払っておるのです。従って、石山さんもお聞き及びかもしれませんけれども、小国の方々、新興国の方々、大へん日本に好意を持ってきてくれております。これほど尊重してくれる国はないというように、非常に感謝してくれておるのです。私ども小国だからとか、大国だからなんという気持は毛頭ございません。  それから日米間のいろんな問題があるわけでございますが、一体それじゃ、日本側の言うことが全部正しくて、アメリカが言うことが全部間違いかというと、そうも思えないのです。日本は大国でございますから、公平に考えなければいかぬわけです。たとえば綿製品にいたしましても、アメリカ側の今度とった措置が、これはいけない、いろいろ日本側では強い意向がございますが、しかし、逆にアメリカ側から言わせれば、たとえばそれじゃ自動車はどうしてくれるんだと言う。これは、向こうはチャンピォン産業ですから、どんどん安いいい品物を買ってくれたらいいじゃないか、しかし日本は自由化待ったというわけで待っているのですから、それは向こうに言わせれば、向こうの言い分があるわけなんです。それで、私どもは、個々の問題につきまして、やはり公正な判断でやって参らなければいかぬわけでございまして、あなたの言われることを延長すると、こういうことになりゃしませんでしょうか。小国は大国に向かって多少無理言うても、向こうは聞くべきじゃないか、聞いてもよさそうなものじゃないかということにもなるわけなんですけれども、しかし、もうわが国がこれほど世界大におつき合いをしておる段階におきまして、あまり理不尽なことを言って大国に甘えるというようなことは、私はあまりみっともいい姿勢であるように思いません。全体として日米の貿易というのは拡大の方向にあるわけですし、バランスの方向にあるわけでございまして、これは全体で評価していただきたいと思うのです。一つ一つの問題について言えば、両方ともいろいろな言い分がございますけれども、問題は、結局相互が深い理解と友情を持って、現実に妥当な解決をその時点々々でやっていくことだろうと思うのです。それで、その全体を集大成いたしまして、日米関係はどうなっているのかという点を評価していただくというようにありたいものだと思うのです。一つ一つのポイントをつかまえて議論いたしますと、両方とももう言い分がたくさん出て参りまして、それをいつまでもやるということは、あまり建設的じゃないんじゃないかと私は思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 日米間の信頼という言葉は、これはもう皆さんの方の統一されたほんとうの信念だと思います。ただ、私は、その信頼感というものは、われわれが打ち出す場合は、れんびんの情があっちゃいかぬと思うのです。ほんとうの意味の対等の立場に立つ信頼感でなければいかぬわけです。アメリカの場合は、アメリカの心持をわれわれは読むわけにはいかぬと外相は言うかもしらぬけれども、われわれはわれわれの判断をしていますと、やはりある意味の対等の立場の信頼感ではないように思います。私は先ほど、アメリカは大国だから、より以上強く言うくらいの立場でものを言ってもよろしいというように申し上げたのですが、アメリカの場合、日本を信頼するということは、かなりに日本の立地的条件というふうなものをたくみに利用するという心があるというふうに私は思っておるのです。それは台湾の問題あるいは韓国の問題等を見ても、私たちはそう思わざるを得ない。特に私、今回の朴政権が軍政を四年間延長するというふうな意見の中で、日韓会談の立場をしさいに見てみますと、大きな戦略というよりも――戦略と申した方があるいは言葉上いいでしょう。私に言わせれば、謀略的な立場の中で、日本が巻き込まれていく懸念性が多分にあると思う。  もう一ぺん、ここで私は代表部のことについて質問したいのでございますが、謀略の中、相手を疑っちゃいかぬ、こういうわけですが、しかし、われわれはこの際いろいろなことを考える必要がある。極東の平和と安全のために、自国の平和と繁栄のためにわれわれは考えざるを得ない。そういう立場から見ると、どうしても代表部がないということは、あらゆるもののものの初めに必要な、御飯を食べるならはしというものが必要だと同じように、それがない、今の政府のそういうやり方は、はしをさておいて、手づかみにする無礼千万な外交方針のように見えてならない。韓国の問題に対して右往左往するということは――私はそう右往左往していないと思うのです。皆さんの方で右往左往していない。現象面から見れば、右往左往したような発言をしょっちゅうあなた初め外務省の高官連中は言っているわけなんだ。そういう不安定の中で問題を進めていく必要がないようにだんだん思われてくるわけなんです。特に私は、二日くらいたつと新しい発表があって、そうして大きく政局が転換するようなこういう際、日韓問題は伏せてしまうというふうなお考えになっておりませんが、今の場合。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 在韓日本代表部というようなもの、これは日本の在外公館の設置をきめた法律にはちゃんとあるのです。日本の側では、もう国会の承認を得ていつでも置いていいようになっているのです。  ただ、先方と合意がないから、未施行になっているにすぎないわけでございますが、先方におきましても、だんだんとそういったのは当然じゃないかという意見がぼつぼつ出てきております。というて、まだ国民的にみんなが釈然とするというところへきていないので、従って、相当かすに時間と忍耐をもってしないといけないのじゃないかと思っております。そのこと自体は正しいことでございますけれども、現実に具体化しようとすれば、向こうの感情が解けてくるというのを待たなければならぬと思うのです。  それから第二点の日韓交渉の問題でございますが、あなたが言われるように、この段階でそれじゃもう日本はやめだと言うたって、日韓の問題は残るのですからね。そういうようにきっぱりと割り切れば問題がなくなるのならいいわけですけれども、現実に日韓の事実上の関係は今もございまするし、在日朝鮮人という方々六十万もおるわけでございまして、それで、日本政府は、もうどうも先方が振幅が激しい、動揺があるようだから、もうしばらくやめたなんということで問題が片づけばいいけれども、問題は依然として残っておるわけでございますから、そうして日韓というのは、これはいやだったら引っ越しをしようというわけにいきません。従って、これは未来永劫にわたったわれわれの課題なんで、この問題を正常化していくということは、私はいつも申し上げているように、外務省としては寸時も怠っちゃいかぬ責任だと思うのです。それで、現実に会談の実質的な討議が進んでいくかといいますと、先方の事情もございまして、なかなか思うように参らないことは、私も十分認めますけれども、しかし、私どもは、これは当分見合わせるんだなんということで、われわれに課せられた責任を懈怠していくということは穏やかではない、そういうことをしてはいけないと思っております。

石山權作日本社会党

○石山委員 在日朝鮮人の五十万という数字は前々からで、これは日本にとっていろいろと考えさせられる問題です。それと、今の不安定な政権を相手にしていろいろな交渉をするということは、非常な危険性があるということです。一つは、普通の条約を結ぶのではなくして、最初五千万ドルと言っていたお金を、今度は五億ドル出すわけでしょう。不安定な政権ということは大体どういうことを意味するかというと、信頼に足らないということになりそうです。信頼に足らないところにお金をどんどんやってもいいかということになりますと、これは誰しもノーという言葉が出ると思います。われわれがお金を上げる、いわゆる普通言うところの血税を韓国の方々にささげるということは、その特定のいわゆる不安定な政権に差し上げるのではないのです。そのお金は、その政権を通じて韓国の人たちに潤わなければならぬのです。潤わぬじゃないですか。不安定な政権を相手にしてそういう交渉をして、あるいは成功してみても潤わぬというふうにわれわれは考える。われわれの所期の目的からはずれた方向に問題が進んでいくように思います。だから、安定政権の生まれるまで伏せておいたらどうか。これは、私は、事務的な外務省が考えることではなくして、大臣が考える一つの政治論だと思うのです。そういう点に関してはどういうふうに考えますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 外交交渉をやる場合に、交渉が妥結したらいいじゃないかというようにぞんざいに考えるべきじゃないことは、あなたのお示しの通りです。つまり、妥当な解決の内容をまず持たなければいけません。両国民の納得するところを発見していかなければなりませんし、それで妥結いたしましたら、その内容がその国において国内的に保証されなければならぬことは当然のことでございます。私どもは、第一段階の実質的に妥当な解決内容はどういうものかということを今探究しておる段階なんです。五億ドル云々の問題も、すべてのあらゆる懸案と一緒に解決して、しかもそれが韓国の国内においても保証されるということでないといけないわけで、そんなことは当然のことと思っておるわけでございます。片割れだけを取られてしまってもう仕方がないのだというような、そんなぞんざいなことは一つも考えておりません。あなたが言われておるように私どもも考えてやっておるわけです。その点は御信頼していただきたい。

石山權作日本社会党

○石山委員 私どもの考えている点もかなり考えていただいているというふうになりますと、僕たちは、たとえば同時解決ということをかなり強く主張しておりますね。たとえば竹島の問題、漁業権の問題、そういうふうなことも含まっての御答弁ですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 それはたびたび本院を通じて申し上げておるわけでございまして、はっきりあなた方も御認識いただいておることと思います。不動の方針です。

石山權作日本社会党

○石山委員 たびたび本院に申し上げている通りだと言っても、相手の国が大転換のような格好で、政情が変化しているわけなんです。政情がいかに変化しても、その考え方には不動なものがあるという御答弁ですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 つまり、他国の国内体制、政治形態というようなことは、その国がきめることでございまして、日本がとやかく言うべき性質のものではないのであります。私が申し上げておるのは、日韓の間はどうあるべきかという永遠の課題があるわけでありますから、それが今正常になっていないわけでございますから、これを正常化するにはどういうふうにしたらよいかという課題を今探求いたしておる過程だということでございまして、基本的には日韓の間をどうやったらよいかという課題は、いつも私ども持っておらなければいけないし、もうしばらくやめだというような、ぞんざいなことをやることは、国民に対して私どもが責任を懈怠することになるのではないかということでございます。従って、先方が交渉したいとしてどのように出てくるかは、私どもの問題ではなくて、先方の問題なので、先方が今非常に振幅の激しい動揺を続けておることも間違いない事実のようでございます。従って、そういう場合には、ならなか実質的な進展はむずかしいが、しかし、本来の課題は忘れてはならないということが私どもの立場で、向こうから建設的な御提案がございますれば討議するにやぶさかではないという姿勢は、いつも堅持いたしておるわけであります。

石山權作日本社会党

○石山委員 この問題は一応伏せておいて、このたび政務次官が団長となられましてビルマ、タイ等を回られるそうでありますが、これはおもに何を目的としたものか、政務次官に質問いたします。

飯塚定輔自由民主党外務政務次官

○飯塚政府委員 お答え申し上げます。  決してビルマとタイ国を回るのが私の使命ではございませんが、ビルマの平和条約に対して、いわゆる第五条による通貨の協定に調印をするのでございます。ただ、私もタイとかビルマは初めてでございますから、帰りに一日ぐらいタイに寄ってこようじゃないかという考えを持っておるだけで、本旨はビルマの条約調印のために出かけるのでございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 ビルマの国は、元来日本に対して非常に信頼感を持った国だと承っております。この際お回りになったならば、より以上に経済外交の面を発揮されると同時に、まだ賠償問題等についてもくすぶっておる面があると聞いておりますので、そういう点に対しても、やはり政務次官がおいでになるのでございますから、普通の外務省の高官がおいでになるのと違う味を出さなければ、せっかくおいでになる価値がないので、その点を一つ御要望申し上げます。

飯塚定輔自由民主党外務政務次官

○飯塚政府委員 御趣旨はよくわかります。従いまして、ビルマは古くから日本とも友好関係もございますし、新興国としてのビルマの生々発展のためには、経済的にも、今度の協定といいますか、それが非常に役立つことと存じます。これらの点について十分注意をして、向こうとの友好関係、特に経済的にも将来の発展を希求して、使命を果たして参りたいと思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 時間があればビルマの問題等にも少しく触れたいと思いましたけれども、政務次官が何か所用があるそうでありますので、残念でありますが、割愛をいたしまして、韓国の問題に移りたいと思います。  私たち、今まで政府の御意見を聞いておりますと、軍事政権の場合よりも民政移管の場合がよろしいやに、それぞれ答弁の節では承っているわけですが、それは私の誤解でございましたろうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほど私が申し上げましたように、日韓間の懸案はどのように妥当な解決に持っていくべきかということを探求しておるのが今の段階でございます。妥結する時期をいつにするかというような問題は、その次の問題になるわけでございまして、私どもは、まず両国民が納得する解決はどういうものかという答案を書くことがせい一ぱいの仕事なんでございまして、また、それがなければ、妥結を云々いたしましても意味がないことでございます。私の立場といたしましては、そういう仕事に今没頭しておるということでございまして、妥結をいつどういう形でなんということは、私は申し上げたことがない。そういうことを考える前の段階の仕事を今やっておるということです。

石山權作日本社会党

○石山委員 人の国のことについてはとやかく言う考え方はない、これはりっぱな考え方ですよ。人の国のことに対してはとやかく言う必要はない。しかし、軍政よりも民政がよろしいということは、これは世界共通の話題じゃないのでしょうか。一つの正しい政治理念じゃないでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ええ、私もそう思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 安定政権というものは、軍事政権よりも、いわば政党政治、議会を中心にした政治の方がより以上安定もあるし、その国の信頼感も、国民の信頼感も得ている政府ということになるのではないでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 長い近代の経験を通じまして、議会政治というものは、無難な政治形態として評価されておるし、また現に普及いたしておる。そういう意味で、私はより安定度を持った形態だと思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 その論法からいえば、四年間軍事政権をば延長するということは好ましい現象じゃない。私たちはそう思う。この好ましくない現象の指導権を持つ政府とより以上信頼感を持って――特に私はお金のことには注意を喚起したい。普通の条約と違う。お金がむだに使われてしまう。そういうふうなことを私たちは経験している。むだに使われる、あるいは逆な、われわれが考えている韓国人の民生安定のため、経済の繁栄のためというよりも、別な方向に、軍人らしい、軍人の構想に立つお金の使い方をされるのではないかという心配を持つ。これは韓国軍人の能力を云々しているのではない。われわれは大束亜戦争で経験しておるでしょう。金がなかったら日銀に札を刷らせればいいという考え方で予算を組んだというのが、日本の軍部の時代の政治でありました。実はそういうことを考えると、あなたのおっしゃることと現実とはかなりに離れた格好で、ここ二、三日の韓国は動いておるのではないか。何か大平さん、この段階になっても、あなたはアメリカに行ってお約束なさったというようなことも風聞で漏れ承っておるわけですが、早くやらなければならぬ、今になってもそういうふうな見解をとっておるとすれば、日本の国のために残念だと私は思う。五億ドルの金が泣くと思うのです。もう少し日本の国の利益のために、この際、ほんとうに韓国政権が安定するまで、われわれはしばしの間この交渉は打ち切るという態度こそ、不安定を続けておる韓国に対して援助の声だと思いますが、いかがなものでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 アメリカ側で約束してきたなんていうことは、新聞に出たこともございませんし、そんなことは事実ございません。その点は誤りのないように、国会の論議でございますから、御正確にお願いいたしたいと思います。  それから民主政治が軍政にまさるということは私も認めます。従って、韓国側といえども、民主政治に移らぬと言っておるわけじゃない。過渡期における軍政期間が四年では長いという議論もずいぶんあるようでございますが、民主政治に至る道程でそういう振幅の激しい動揺を来たしておるわけでございますが、民政に移管するという大旆をおろしたわけではないと思います。従って、それに至る過程でどれだけの振幅のある動揺を来たすかということは、その国の国情から判断しなければなりませんので、私ども的確にこの是非を論ずるというようなわけには参らぬと思うのでございます。ただ、私は、いかなる国に対しても最大の敬意をいつも把持して外交に当たらなければいかぬと思っておるわけでございます。振幅の激しい動揺を来たしておるから、これは当分見捨てて云々というような、そういう考え方は毛頭ございません。  それからさらに、日本の国の利益、日本の国民の利益というのを考えるのは、外交の第一義でございまして、それをどこかに置いておいて、よその国のためとか、よその国の言うことは聞いてとか、そんなことは毛頭考えておりません。あなたがおっしゃる通り、私どもは、基本的に日本の国民の利益、ナショナル・インタレストをどう確保して参るかということが、いつも私どもの第一指導原理であることは間違いないわけでございます。従って、そういう態度で日韓交渉に臨んでおるわけでございまして、あなたが言われることは少し先ばしりしておるのです。今僕らは、どういうようにすれば両国民が納得がいくような妥結内容のものが得られるかという点で探求しておると、先ほど私は申し上げたわけでございまして、これをまず一ぺん全部ごらんになっていただかないと、たとえば経済協力だけを取り出して議論される傾向が国会の内外にもございますけれうども、まず刺身だけは食ってみるといだけではなく、全体のごちそうを全部見てもらいたいと思うのですよ。ここまで一応素彫りをつくったが、これを一つここで置いておいて、その次だんだんと懸案を処理して参って、全部お目にかけて、それで全局から判断してもらおうと私は思っておるのだけれども、議論の方が先ばしって、その一部だけを取り上げて、それで日韓交渉全体を論評されるということですね。お気持はわかりますが、あまり正鵠を得た視角じゃないと思うのですよ。従って、そういうようなことを今私どもはやっておるということでございます。従って、それが仕上がったあとで、それを全局的に御判断いただいて、それからどう処理するかというように判断していただかなければならぬので、台所へ入って料理を始めたばかりなのに、お前はどういう材質を使って、どういう甘味料を使って、どうやっているんだということをのぞき込まれて、今いろいろおしかりを受けているわけですけれども、まず一応、そういうことはだれかいつかやらなければいかぬので、しかし、外務省としては一日も等閑に付してはいかぬという、当然のことをやっているわけです。それをもう少し寛容なお気持でごらんになっていただきたいと思うのです。妥結云々、まあ、これはばか使いされはしないかというところまでまだいかないのです。そういう前段階の作業をやっておるということでございます。それで、先方がその気持がなければ仕方がありませんけれども、先方が建設的な、合理的な御提案をしてくれば、いやもう当分だめだということを言う必要はないのじゃないでしょうか。こちらが相手になって何が悪いでしょうか。ごくあたりまえなことをやっているというように私は考えております。

石山權作日本社会党

○石山委員 私は、大平さんが答弁しやすいようにしやすいようにと思って質問している。だから、あなたはかなり腹の中を出して答弁していただいているような気がしますけれども、どうもあなたは、ちょっと素朴で、やさしいように見せて、何かもう一つ陰にあるような気がしてなりません。私は先ごろ選挙区へ帰って話をした中で、今の内閣の大臣の人柄についての批評がございました。東北の志賀さんなどは、あれはあの通りな方で、素朴なので陰がないだろう。大平さんもそういうふうに見える。見えるけれども、あれは偉いか、腹が黒いか、どっちかだというのですね。素朴の中に何かあると言っている。とうも素朴の中に――きょう私に説教しているのだから、偉いのでしょう。私は腹黒いとは考えないから、偉いのでしょうけれども、あなたのおっしゃる、刺身から何かからおぜん立てをするということはよくわかるのですが、おぜん立てを終わると、これはデパートの品物と同じように値引きしないのです、われわれが反対だとか安売りしろと言ったってね。今までの外交方針というのはそうだったでしょう。まだ研究中だ、調査中だ、この事項はそうですよ、こう言っている。そして今度は、これは外交関係だから秘密でございますよと言っている。国民の納得というのは一体何だ。野党の言い分を聞いているのかどうかわかりません。野党が聞いても、あなたの言う通り、まず見てくれ、もう少し待ってくれ、腕前を見てくれということなんですからね。そしてできたものは値引きしない。百貨店の売りものときた日には、これは、庶民階級は外交は自分のものにならぬのじゃないか。少なくとも外交は自分のものにしたい、とうとい税金の行く末は見きわめたい、こういうのが素朴な国民の気持です。もちろん、技術交渉からいけば秘密もあるわけでしょうし、いろいろわからぬわけではないけれども、どうもこの段階になって、つい先ごろまでは、民政移管がよろしいし、民政移管したときかあるいはその直前とか、いろいろな言葉を使っておったのですが、民政移管を待ち望んでいたというのが日本政府の態度ではなかったでしょうか。その点に関してはいかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 終始一貫民政移管を待望いたしております。それが早からんことをこいねがっております。  それから私は、野党、特に野党第一党の社会党の役割というのは、もう最大限に評価をしておるつもりです。国会の論議を通じましても、たとえば法律案とか予算案とか条約案とかいう格好で、一応もう値引きならぬという格好で出ますけれども、それが出るまでの過程におきまして、あなた方の考え方、あなた方の主張というものは、それは注意深く見ていただければ、国会の長い論議を通じまして、次々とそれが妥当なものは政府において取り上げられていっておるわけでございまして、今度国会にいよいよ出てきた案そのものは一〇〇%自民党案で、あとはおれの方の考えは一つも入っていないんだというような、そういう御謙遜は一つも必要ないと思うのです。私は当局者といたしまして、新聞の論調、野党の論調、国民世論の動きというような点は、もう細心最大の注意をもって見てやっておるわけでございます。そうしなければ、またナショナル・インタレストを保障することは私はできぬと思うのでございます。しかし、交渉の内容そのものをその過程に即して一々御報告するなんという国はどこにもございません。そういうことでは外交はできません。全部が外務大臣にならなければいかぬわけでございますけれども、私はそういうことはできぬだろうと思いますが、私を御信任いただいたのであれば、私はあらん限りの能力を傾けて、国民世論の動向という点を把握して外交に当たっていくのが私の務めだと思っております。

石山權作日本社会党

○石山委員 私は、自民党の方々でも、大臣の方々でも、一人々々こうした話を聞いていると、なるほどうまい話ですよ。その通りだと思う。しかし、全体からいうと、野党の意見を取り上げ得ないという一つの流れもまたあるだろうということでございます。しかし、これは政党政治でございますし、それぞれの立場に立って物事を論議するのですから、ある点は拒否されてもやむを得ないと思う。ただ、この韓国の問題につきましては、某新聞の解説の中に、大平さんが言っていることとはちょっと逆なような解説をしている大新聞があるわけなんです。これは日韓交渉についての解説でございました。軍事政権の四年ということは、日韓推進には有利になるのか、有利だというふうな――大平さんあたりは危惧を持っているかもしらぬけれども、この機会にむしろ交渉をぐんぐん進めてやってしまえというふうな意向が、自民党を通じた一つの世論があるということも、ここ二、三日の動きのようにわれわれは伺っているわけなんです。ですから、私が、あえて民政移管というふうなことをくどくどお聞きしているのは、その点なんです。まあ、他国の政情のことについて言う必要はないといえばそれまででございますけれども、しかし、昔からあることです。狭い屋敷の隣家に三階も四階も高い家を建てられて日陰になれば、これはやはり問題が起きるわけなのでございますから、やはり普通言われている常識的な範囲を越えたところの隣国が、政情が大きく変わったとするならば、われわれとしては、その政体に対して、政情に対して批判をしても差しつかえないと思う。政府自体としてもそういう見解を示して、ある時期まではこの問題については少しく冷却期間を置く、こういう協議をすることは、何ら差しつかえない政治的な一つの方法論だと私は思っている。それは今のところちっともお取り上げになるような気風がなくして、在来の交渉の延長だというふうに話を進め、御答弁をなさっているのを見ると、どうもその点理解に苦しむわけなんです。相手国が大きく変わったのでございます。国民投票が来月あるようでございますが、そのことによって、またこれも決定的になるかどうかということも未知数でございますから、それはこの際差し控えてもいいかもしれぬけれども、相手の政情が大きく変わった場合に、在来のようなものの考え方でこの問題――特に野党が――第一党という言葉を使っていただいて、常日ごろ信頼をしている、発言も取り入れているという御意見もその中にあったようでございますが、その私どもが、この際もう少し静観をする必要性があるのではないかというふうに再々申し上げているのでございますが、いまだもってその考え方は採用になれないのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 たびたび申し上げておりますように、私どもは日韓の間に一つ新しいことをやろうということをやっているのじゃないのです。今まで過去にいろんな懸案がございまして、それを何とか片づけなければならぬという地道な仕事が残っているわけなんです。そしてそれを何とか解きほぐす道がないかということで苦労しているわけでございまして、韓国の政情がどう変わりましても、日韓の間の問題というのはこれはあるわけなんです。これがなくなるというなら非常にけっこうなんですけれども、あるわけでございますから、それをどう解きほぐすかということを考えて参ることは、瞬時も怠ってはいかぬということを言っているわけでございます。  それから第三点として、交渉でございますから、そしてお互いに立場があるわけでございますから、何でもかんでも急いで、日本側の基本的利益を無視してまで妥結する、そんなばかなことはだれも考えておりません。私どもはかって慎重論者であったが、このごろ促進論者になったじゃないかというような御批判がありますけれども、事柄によって慎重でなくていいなんということは、いつの瞬間にもあり得ないと思うのです。いつも慎重でなければならないわけであります。先方が積極的に打開しようじゃないかと申し出てこられた場合に、いやそれはもう相手にしないんだというようなことは、私はそういう非礼なことはいたさないつもりでございます。問題は、今ある懸案をどのように解きほぐしていくかということをいつも考えておかなければならぬということでございます。  しかし、第三に、外交交渉でございますから、石山さんが御心配の、ように、妥結、調印はしたが、あとはそれを保証する能力がないというようなときでも、無理して調印するなんというあほうな政府がどこにありますか。それは、私も、最小限度外交交渉は交渉主体としての能力をお持ちにならぬとできないと思うのでございます。そんなことは当然の前提なんであります。これはたびたび申し上げておるのでございますが、なかなか御理解いただけないのを非常に遺憾に思いますが、私どもはそういう気持で終始やっているわけです。

石山權作日本社会党

○石山委員 日韓問題については、後ほどまた質問者もあるようでございますから……。私、慎重という言葉は、今回の日韓会談のために用意された言葉のように思われてなりません。今までもおそらく慎重におやりになっていただいたと思っておりますが、やはりより以上慎重にやっていただいて、野党が常々申し上げている同時解決、慎重の一つの資料を得るために、ソウルに代表部なりを早急に置くように、この際、もう一ぺん工夫を重ねて交渉する必要性があるのではないかというふうに思っております。これは私の今まで申し上げた点の概括でございますが、お含み置きを願っておきたいと思います。  経済外交について、一つ二つ指摘しておきたいと思いますが、いろいろと工夫をこらして、経済の上昇率が停滞しているのを何とかしてもう一ぺん好景気に転換しょうとして、予算などもその格好で組まれたように思っております。ただ、残念なことは、製品がどうしても過剰の傾向を示して、その過剰の傾向に伴って貿易関係が少しくおくれる。これは日本だけがおくれるということでなくして、世界全般の、EECであれその他の点を見ましても、なかなか日本だけが独自にいい商売ができるとは思っておりません。そのためにいろいろやっていられると思っておりますが、その中で、経済外交のための人事の配置なども一応考えていられると思うのですが、今度は欧州に無任所大使を派遣されて、多数風聞の外交問題を強化する、ということは、これは、OECD加入等をお考えになってそういうことをおやりになるのでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 今欧州では各国に大公使がおりまして、その国との二国間の外交関係を調節いたしておりますが、パリにおる駐仏大使がOECDの触角になっておるわけです。それからベルギーにおる駐伯大使にEECとの関係で接触を持っていただいておるわけです。それで、現在のところ、このままの姿で別に支障はないわけでございます。もしかりに現在欧州に広域圏を管轄するような一つの大使ができたとすれば、逆に現在の機能が能率的に動かないようになる危険性もなきにしもあらずでございまして、私は、今直ちに欧州での広域圏を見る大使を考えておるわけじゃございません。問題は、もう少し発展しまして、EECの仕事というのがだんだんと広さと幅とを持ってきて、対日関係も駐伯大使が担当していくにはちょっと手に余るとか、あるいはOECDの加盟が認められて、OECD関係の仕事が駐仏大使の片手間の仕事でやれるかどうか、将来の発展を見まして、現在の体制でこなし切れないような事態が起きるなら、そういうことも一つの考え方になってきはしないかということを頭に置いて、検討はいたしておりまするけれども、現在の段階ですぐそういうように踏み切るという考えは持っておりません。

石山權作日本社会党

○石山委員 某経済雑誌にこういう論評が出ているのです。私は、この論評をちょっと読んでみますけれども、なかなか的確だと思っているのです。これは、やはりわれわれとしては厳重にこれを参考にして経済状態を批判して、そしてそれをうまくやっていくという考えにならなければいかぬのではないかと思っております。「池田首相が四カ月前自分の目で確かめたはずの情勢判断と対策にもガタが来た。」これは例のOECD加盟等について、何か非常にこのことが手柄顔だというふうな考え方があったと思うのです。だけれども、今になれば、これに加盟しても、これはカンフル注射の役目をそんなになさないんではないか。今の場合、いろいろな考え方があるだろうと思うけれども、何かこじつけて日本の品物の輸入に対して制限を加えるという動きは、もちろんアメリカにもありますし、ヨーロッパにもあるわけなのです。これを低賃金ではないとか、投げ売りではないとか、いろいろなやり方もあると思うのですが、そういう点が今度の人事異動等に採用されているとすればよろしゅうございますけれども、ただ、今までのような、ところてん式に大使の数をふやす、領事館をば総領事館にする、公使館をば大使館に格上げをする、こういうふうな考え方でこの設置法をお出しになっているとすれば、外務官僚はどうも居眠りをして世界を見ているということになりかねません。これは十分対処したという考え方で今回の御提案をなさっているのかどうかということもわれわれの聞きたいところでございますし、欧州大使の設置でございますか、こういう構想もそういう点から出ているかどうか、この際、もう一ぺんだけ御説明をいただきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日本の貿易の前途にはいろいろな問題がありますことは、御案内の通りでございまして、明治以来日本が世界の市場においてやりました実績、いいこともあり、悪いこともあった。しかし、ようやく戦後ここまでたちまして、秩序ある貿易の展開をやらなければならぬという気持に官民がなってきてくれまして、また、そのことを掛値なしに外国も信用してくれるというような機運になってきつつございます。従って、今仰せのように、私どもといたしましては、日本の貿易の秩序ある拡大ということに経済外交の主眼を置きまして、そのために、いろいろだ考えられるあらゆる手段をこれに配していかたければいかぬと思うわけでございます。在外公館というのは、私は外務省育ちでございませんで、外から行って私自身が見ると同時に、また在外公館に対する世間の評価というようなものも伺っております。それから現在の外交体制は在来の型でいいかどうかという点は、私の立場でも十分考えなければいかぬことでございまして、私は、あまり外交官が選民意識を持ったりするようなことはいけないと思うのでございまして、国民が対外的に発展する場合の世話役になろうじゃないかという、ごく低姿勢で行くべきだと思うのです。そういう角度から見て、現在の在外公館についてはいろいろな御批評もあろうかと思うのでございますけれども、私は、終始、日本の対外的な発展の先達になり、世話役になり、サーバントになっていこうじゃないかという気持で進めておるわけでございまして、ようやく国会の御了解も得まして、だんだん在外公館が曲がりなりに格好はついたという感じでございますけれども、しかし、諸外国と比べてみましてもまだきわめて不備でございますし、要員等につきましても、たとえば現地の人をどれだけ雇うかというような点についても、日本は非常に少ない、従って、機能を十分発揮するに十全でないと思うのでございます。従って、われわれとしては、もっと思い切って早く拡大、充実したいという気持はやまやまでございますけれども、予算は飛躍せずと申しますか、なかなか年々急にふえるというわけにはいきませんので、地道に年々歳々若干ずつ充実させていきたいということで、決して無理をしているつもりではございません。日本の国の対外的発展にサーブするという気持を終始失わずにやっていくつもりです。

石山權作日本社会党

○石山委員 先ほど私経済雑誌のことについて申し上げましたが、OECDについては、この雑誌はこう言っております。そのことによって万事が解決できるという保証はないし、逆にOECDに入ったことによって貿易と資本の自由化を強く要求されるのが落ちである、こう強く断言しているわけです。落ちにならないように努力しなければならぬ。入ったことが引き締めになるようでは、これは大へんでございます。  それからアメリカとの問題についても、この雑誌は触れているわけです。それについても一言言及いたしますと、綿製品を取り上げているわけですが、これについて見られるように、米国の政・戦略に基づく対日要求という基本的なものは、これから強く出るのではないかということを提案しているわけなんです。この点は野党の社会党がひが目で見ているということではないと思う。やはりそういう米国の国内事情もあるようでございますから、この点も十分考えて、われわれは、対米間の調整ということがこの際あらためて考えられると思う。今までの歴史を見てきてもわかるのですが、われわれみたいに政治、外交に案外うとい者でも、アメリカの態度というものは、内容が変わっていないとすれば、最近発言がかなりに強い形容詞に変わってきていると見られる。いずれにしても、変わってきている。この変わってきていることに対して、在来のように信頼という言葉だけでは通用しなくなってくると思うのです。わが国の態度というものが信頼にこたえられる態勢ということになれば、これはいろいろ問題になるところだと思うけれども、今までのままであってはならぬということですね。経済であっても、政治的なものであっても、日米安保条約を遂行する上から見ても、今までのような考え方では済まされない面が多々出てきておるというふうにわれわれも考えるわけでございます。特に日韓会談等を通じ、原子力潜水艦がわが佐世保に入るとか入らないとか、こういうふうな問題を通じて、より以上外務省の方々は御勉強もしていただかなければならないし、努力もしていただかなければならぬというのが私の質問の要旨でございます。  これで終わります。

永山忠則自由民主党

○永山委員長 田口誠治君。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 昼食時間の関係もありますので、まず午前中は、今の石山委員の質問に関連した内容について、大臣の率直な御意見を承りたいと思います。  日韓会談の問題につきましては、これは予算委員会なり外務委員会でしつこく野党の方から質問も申し上げ、また政府から毛答弁がされておるわけですが、そのとき一番私どもの印象を受けておりますことは、クーデターで獲得したところの政権であるがために、こういうような不安定な政権と日韓会談を行なうことは好ましくないという主張に対して、政府の方では、近いうちにこの問題については民政移管になるのだ、こういう希望を持って進められておったわけなんです。ところが、突然、十六日の午後四時、朴韓国最高会議の議長がラジオ、テレビで全国放送を行なって、韓国の軍政を四年間延長をしたい、こういう声明を発表したわけなのです。従って、これにつきましては、世界各国それぞれの立場において感想を述べておりまするが、特に米国ではこの問題について大きな関心を寄せておったわけなのですが、率直に、日韓会談を進めておられる外務大臣として、この四年間韓国軍政が延長されるということについて、一体どう考えておられるか、この点を明確に一つ承りたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 近来、韓国の方の政治的な動揺というものが相当激しい振幅を持っておるわけでございますが、これに対しまして私どもは、これは民政に移管する陣痛であるというように申し上げてきたわけです。従って、それには十分の理解と同情をもって対処せねばならぬということを思い、そういうことを申し上げて参ったわけでございます。従って、今度軍政を四年間延長するという提案がなされたことは、早期の民政移管ということを希望いたしておりました私どもにとりましても、大きな衝撃でありましたことは争えないことでございます。なぜこういう提案がなされなければならなかったか、また、この提案をめぐりまして、韓国の政情がどのように動いていくかということにつきましては、今から十分私どもも検討し、監視を怠らないつもりでございます。しかし、これとても、民政移管を断念したということではない、民政移管が長引くということでございまして、民政移管の旗をおろしたというようには考えておりませんし、また、そういうことは先方も考えていないと思うわけでございます。しばらくこの状態は、この提案に対する韓国の動静というものについては、注視、静観するより道はないと思っております。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 言葉の表現では違いますけれども、今度の四年間延長ということについては、池田内閣も、日韓会談を進めておる立場から、特に失望したというように受け取っておるわけです。それで、米国の国務省当局も、これははっきりと失望したということを言っております。そして、この問題につきましては大きな関心を寄せておる。すなわち、この問題のいかんによってはいろいろと手の打ち方もあるということを――これは、現地へ行っておる新聞社の特派員が内地へ寄せてきておるところの情報でございまするが、そういうところから考えますると、政府は、日韓会談を打ち切るべきであるという社会党の主張に対して、いや、軍事政権ではあるけれども、七月か八月になれば、これは民政移管になって、民主政治がとられるのだからということをくどく言っておられた。それがこれから四年間延長されるということになりますると、私は、日本政府の態度も変わらなければならないと思うのです。その点について、先ほど石山委員に対する御回答では、何ら変わっておらないというような表現を承ったのですが、この四年間延長ということに対しては大きなショックを受け、失望はいたしておるけれども、日韓会談の進め方については、何ら従来と変わっておらないというように受け取ってよろしいですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 さようです。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 それでは、特に政府が、民政移管ということを大きな希望として国会で述べられており、それを一つのたよりとして質問に対する答弁がなされておるのですが、それにもかかわらず、四年間延長するというこの事実が発表された限りには、何かそれには日韓会談に対するところの態度、考え方、進め方、こういうものに対して、政府としては慎重にこの段階で検討する必要があると思うのですが、政府としては何ら検討する必要もない、前の方針通りいくのだ、こういうことなのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほど石山さんの御質問に対してもお答え申し上げました通り、韓国の政情が動きましても、日韓の間の問題というのはなくなるわけではございませんから、そういう問題は、いつの日か解きほぐさなければならないわれわれの課題になっておるわけでございます。従って、それを解きほぐしていく努力は瞬時も怠らないのだということを申し上げておるわけです。で、先方が日韓の問題の正常化に熱心で、そして建設的な御提案がございますれば、いつでも討議に応じますという態度をとっておるわけです。問題は、政情の動揺が激しいから、そのことが、韓国側が日韓会談に臨む場合の御提案で、まとまった御意見を出してこられる状況にあるかどうかということでございます。これは韓国の問題でございまして、日本の場合はそういう姿勢をくずさずにおる。何となれば、いかなる国に対しても、いかなる状態におきましても、最大の善意と敬意をもって対処するのが、日本の外交の基本方針でなければならぬと私ども考えておるわけでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 私どもしろうとが考えましても、七月か八月には民政移管をして、韓国の民主政治が打ち立てられるというように期待をいたしておったところであるが、それが突然軍事政権を四年間延長するというこの声明は、これは大きな事情変更というように受け取っていいと思うのですが、その点どういうようにお考えですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 だから、先ほど申し上げましたように、先方の日韓会談に臨む態度、姿勢をおきめになる場合に、先方が今動揺下にあるわけでございまして、私どもは、先方がどのような姿勢を整えてこられるかということについて十分注意を怠っていないつもりでございますが、当方から、それだから一つ長い間の懸案の勉強はしばらくやめようじゃないかというようなことを提案する気持は寸毫もございません。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 私のお聞きをしておることは、端的に申し上げまして、四年間の軍事政権の延長は、これは大きな事情変更というように受け取って、この日韓会談の問題もやはり処理すべきであるというように考えておるのですが、大きな事情変更というような工合にはおとりにならないのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 それは韓国側の問題でございまして、私どもの姿勢に影響はございません。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 外務大臣は、今まで予算委員会なり外務委員会の答弁の中で、非常に民政移管を強く期待をされて、そうして答弁の中へも織り込んでおられたわけなのです。従って、そういう希望のもとに日韓会談というのは進められておるというように受け取っておるわけです。そうしますれば、そのことが全く失望に値するところの軍事政権四年間延長というこの声明は、私は現段階におけるところの大きな事情変更というように断定をすべきであろうと思うのですが、この点どうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私は、韓国の民政移管が一日も早いことを望んでおるわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 関連。従来、日韓交渉を進めるにあたって、政府は韓国の国民を相手にしておるのだというふうにおっしゃっておると思うのですが、この点は間違いありませんですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日本と韓国両国民の納得がいくというような解決の方式をどう満たすかという点に基調を置いておるわけです。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それで、われわれとしては、現在の軍事政権は民意に問うてないじゃないかということを力説したわけなんです。それに対して政府は、この間の憲法改正案の通過を一つの契機として、やがて民政に移管されることが、韓国の国民の望む方向であることが明らかになった、現在の軍事政権はそれまでの過渡政権にすぎない、また、現在の韓国の混乱はその滝みの悩みである、こういうふうに説明をされてきたわけです。そうしますと、軍事政権を相手に交渉しておるけれども、もう目前に民政移管という時期が迫っておる、だからこそ交渉を進めていいんだというふうに説明しておったのが、根本からくずれ去ってきたような印象を私たち受けるわけです。一体韓国の国民は今後どうなるのですか。国民の信頼を得ているか、得てないか、またわからなくなるじゃありませんか。一種の食言を朴議長がやっておるじゃありませんか。この点については、どういうふうに日本の国民に対して説明をなさるおつもりですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 最近の韓国の政局の動揺も、せんじ詰めれば、民政移管にからんだ問題なんで、民政移管の時期が早いかおそいかとか、あるいは移管する場合の形が革命主体勢力が主導権を持っての民政だとか、あるいはそうでなくて、軍人というのは全部政治の圏外に立てとか、つまり、民政移管ということに関連して見解の確執があるという意味で、私は前々から国会で申し上げておりますように、民政移管への陣痛である、産みの悩みであるという表現は、それで十分だと思うわけでございます。  第二点として、今御指摘のように、目前に民政移管がきまっておって、それだから今交渉を進めるのだというように石橋さんはおとりでございますが、たびたび私が申し上げておりますように、日韓の間にはそれにもかかわらず問題があるわけでございまして、これはいつかだれかが解きほぐしていかなければならぬ問題なんでございます。それはそのままほっておいていいという御見解も成り立ちましょうが、私どもが立っておる立場は、これは十数年来一貫した立場をとっておるわけでございますが、正常化をやろうじゃないかという基本の国是を打ち立てて今日までやってきておるわけでございます。この経過は十一年もたちましたけれども、まだ満足すべき状態になっていないことは非常に遺憾でございますけれども、少なくともそういう問題は一つ解きほぐしていこうじゃないかという姿勢におるわけでございます。従って、私どもは、先方が軍事政権であれ、民主政権であれ、日韓のこの在来の懸案に対しまして、リーズナブルな、かつ建設的な御提案がございますれば、いや、それはだめだ、相手にしないのだという態度をとるべきじゃないと思うのです。なぜならば、すべての国の政府に対しまして、それがクーデターでできたものであろうと、革命でできたものであろうと、民主的な手続をもってできたものであろうと、私どもは現に相手にしておるじゃございませんか。従って、他国の政府に対しましては、最大の善意と最大の敬意をもって臨まなければいかぬというわけでございまして、私どもはそういう立場をとってきておるわけでございます。従って、今の姿勢といたしましては、先方から建設的な御提案があれば、いつでも討議に応じますよという態度はくずしていない、また、くずそうとも思っていないのです。問題は、皆さんは妥結、調印というようなことばかりおっしゃいますけれども、それより前に、どういう内容のものを仕上げて参るかという困難な仕事があるわけでございまして、そういう仕事は私どもは今後も怠らず続けて参る責任があるというように考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 日韓の間に懸案があるということは私どもも認めておる。しかし、この懸案を解決して目的が達するというものじゃないはずです。あなた方盛んに言っておられるように、隣国なんです。結局、日韓の親善関係、友好関係というものができ上がらなければならぬ。そこからやはり国民というものが出てくるだろうと思うのです。政府同士でどんなものをまとめるつもりかしらぬけれども、国民が納得しなければ、親善関係、友好関係は出てきません。そういうものをつくるためにこそ、懸案を解決しようというのでしょう。あくまで国民が納得するということが前提でなければならぬ。ところが、国民が納得するかしないか、軍政では目安がつかない、こう私たちは言った。それに対して、一つの転機がある、それは民政移管だ、民政移管されれば、国民がそれを望むか、否定するか、はっきり結論が出る、民意が問える、こういう御説明があったと私は思う。そういう意味であなた方の主張を了解しておった。それに賛成したということじゃないが……。ところが、その根底がくずれてきた。さらに四年間軍政延長ということになれば、民意が向こう四年間反映しないじゃないですか。ほんとうに韓国の国民が望んでおるか、そんなものじゃ困ると言っておるのか、わからないじゃないか。そういう状態の中で交渉を進めることに無理がございませんか、こう申し上げておる。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 どうも石橋さんは論理的にものを見ますけれども、世論をどう見るかという見方でございまして、これは民主政治の場合は、国会を通じて明らかになるわけでございます。そうでない国は、そういう方便を持たないわけでございます。これは国会のない、あるいは独裁国家におきましても、民衆の動向という点は、この表情を通じてどう把握するかということが政治の役割でございまして、私どもは、国民がこの時点において日韓の問題についてはどう考えておるか、韓国民はどう考えておるか、あるいは日本の国民の世論はどういう表情を見せておるかという点につきましては、為政者それぞれ注意を怠らないつもりでございます。そこで、最善の努力をいたしまして、これなれば両国民はともかく納得していただけるだろうという答案をどうして見出すべきかということにつきまして苦心しておるわけでございます。韓国に国会ができて、そこに世論の組織的な表現を見るということは非常に望ましいことでございまして、私ども今の瞬間でもそれの一日も早いことを希望しておるわけでございます。それが今現実の問題にならぬ、あるいは民政移管が遠のく気配が見えるという場合に、それじゃしばらくそういう問題はたな上げしておこうじゃないかというのも、いかにも私どもの責任を果たして参る場合に遁辞にすぎないと思うのでございまして、私どもといたしましては、あらゆる限りの努力をいたしまして、この永年の懸案というものを解きほぐしていく道を一歩でも踏み固めていくようにしなければならぬものと考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 どうも今のような形の軍事政権を相手に話を進めていくということに問題が残ると思います。特に一切の言論を再び圧殺してしまっておる。かりにそういう条件の中で、国民投票において信任を得たといたしましても、それがほんとうの信任かどうかもわからないのです。私は、永久に日韓間にしこりを残すような気がしてなりません。特に不信任という形が相当数票として現われるようなことになったら、これまた大問題だと思うのです。そういうことも考慮することなく、何はともあれ交渉を進めるのだ、この態度は、どうも先ほど石山さんとの質疑応答の中でも出ておりましたが、軍事政権ならば民衆のほんとうの気持を押えつけることができる、朴議長がかつて言いましたのは、国民の反対があったってかまわぬ、何代か先、歴史が証明してくれさえすればかまわぬ、これは独裁者の思想ですよ。それを奇貨としておるのじゃないかという印象を受けるのです。軍政ならば、民意なんというものを問わないでも、力ずくでこれを抑えられる、だから、その力を持った政権との間に交渉を進める方がやさしい、そういう奇貨として推し進めようとしておるという印象を受けるわけですが、そういうことはないのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 まず、二つ問題を分けて考えていただきたいのです、交渉それ自体と、それから交渉の内容と。交渉をやるかやらぬかということ、そうして交渉の内容に入りまして、これはリーズナブルでないとか、日韓の友好にこれは支障を来たすとかいうような問題があれば、それは大いに議論していただきたいと思うのでございます。問題は、日本側がどの国に対しましても、相手国の政府に対して最善の好意と友情と善意を持って臨まなければならぬわけでございまして、私どもは交渉をするという姿勢をくずしたくないわけでございます。問題は、その次にあなたの言われる議論は、その内容について国民的な世論の反映の度合いがどうか、それの受け取り方がどうかとか、日本の基本的な利益から見てどうかとかいうような批判は当然あり得ると思います。それをごっちゃにされないように、私どもは交渉する姿勢はちゃんとくずさぬでおるのでございます。そして可能な限り国民の納得を得るような答案を書いてみたいと思って、せっかくやっておるのでございます。それまでやめてしまえなんて、あなたはそんなやぼなことを言われないと思うのです。その点は、内容の問題と交渉自体の問題とは、一つ区別してお考えを願いたいと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 関連ですから、簡潔にやりたいと思いますが、まさに今の韓国政情というのは、かつて平沼総理が言った複雑怪奇という言葉が一番ぴったりするんじゃないかと思うのです。今度の再度の軍政四カ年延長なんということを外務省としては予想だにしておらなかったと思うのです。これは先ほどの代表部の設置の問題にもからんでくるわけですが、韓国は日本に代表部を持っている。日本はそれにかわる何らの公館も韓国に持たない。いわゆるめくら外交を進めておる。そのハンデを埋めるためというので、外務省のお役人がかわるがわる行っておるようです。前田課長もこういうふうな予想をしてきましたか。おそらく全然つかめなかった、寝耳に水というのが本音じゃないかと思うのですが、その点はどうなんです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私も国会でも申し上げたように、われわれ予言者ではございませんから、将来を的確に予想するようなことはできません。可能な限りやっておるわけでございますが、御承知のように、韓国の政情の振幅の度合いは、私どもの予想をこえたものがあることも、また事実でございます。私どもとしては、どうしてこういう提案がなされたか、そしてこれがどのように国民に受けとめられるかという点については、注視を怠らずにいきたいと思っておりますが、野党側が言われるように、政府は的確な予想をいつも立てて間違いない、それほどオールマイティではございません。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 少なくとも日韓問題を進める上にあたっては、相手国が民意を代表しておるかどうかという点が非常に重要であろうと思います。そこで、十六日に声明を行ないました朴声明は、どのような支持勢力を背景にしておるものであるか、こういう点を外務省はどのように分析され、また情報をとっておられるか、明確にしていただきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 その点につきましては、目下われわれインフォーメーションを集めておる段階でございまして、まだ的確なことを申し上げる段階ではございません。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 その内容については、全然まだ情報のキャッチはしておらないということでありますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 目下情報を収集中です。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 そこで、仮定のことについては答えられないという答弁があれば別でございますけれども、今外務大臣がお考えになっておるような、また期待をされておるような内容でない、ほんとうに朴議長とその取り巻きの人たちが単なる協議の上において、四年間延長という声明が出たということになると、これは全く民意を代表したところの声明ではないというように受け取らなければならないわけですが、そういうようなこともあり得ると思うのです。それで、現在のところでは仮定の問題でございますし、また情報キャッチの途中でございまするから、明確なその点の答弁は得られないのですが、万が一、この支持勢力というものの背景のいかんによっては、これはやはり政府としても日韓会談の重要な検討資料として、検討されるべき内容のものであろうと思うので、こういう点から伺っておるわけです。それで、その内容が明らかになった暁には、政府としては、日韓会談の進め方、いわゆるテクニックというようなものについても、十分に検討をされる考えがあるのか、どういうような結果であろうとも、もう今まで答弁をしてきた答弁通りに進めるのだ、こういうことであるのか、その点もやはり明確に伺っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 今度の朴議長の提案がなぜ出されたのか、そしてその提案を韓国民がどう受けとめていくのか、そういう点は、資料を集めまして十分注視いたしておるところでございまして、これが日韓の問題の解決にどういう関連を持ってくるのか、これは韓国側の問題でございますけれども、そういう点については、当然私どもも注視を怠らないつもりでございます。ただいまの段階でそういった的確な分析がまだできておりませんし、事態がまだ不安定なようでございまして、ここで申し上げるというような用意もありません。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 答弁のできないものを答弁して下さいということは無理ですから、また後日の機会に譲りますが、それでは韓国のこの声明を出した背景が、先ほど私が申しましたように、朴議長とそれを取り巻く人たちの中で単なる協議の上において、こういう声明書が出されたとするなれば、これはやはり日韓会談の問題も、相当慎重に検討をすべき内容のものであろうと思います。この点については、何回お聞きをしても明答がございませんので聞きませんが、それでは声明書の内容については、外務省ですから、おそらくすぐ内容をキャッチして、そうして何らかこれに対するところの検討なりあるいは考え方もお持ちになろうと思いますので、そういう点から私は伺いたいと思います。  声明を出された声明書の内容そのものずばりからいって、どういうようにお考えになるかということ、これをまずお聞きしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私は先ほど申し上げましたように、こういう声明がなぜ出されたか、そして国民がどう受けとめておるか、受けとめつつあるか、どういう反応を示してくるかという点を見ないと、声明の文章だけで私どもが見解を申し述べるなんということは早計だと思います。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 声明書の内容は御存じですね。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 声明の内容につきまして、まだ前田課長からも連絡ございませんので、結局新聞に伝えられておりまして、先生方御承知の通りのことでございますが、いずれにせよ、前日の十五日には民政移管を予定通りするという公報部長の声明が出ましたその翌日に、突如として軍政四カ年延長というニュースが出たわけでございまして、その原因としましては、当初の予定通り、このまま民政にいくことによって、軍事革命がまた再び起こるというような危険があるのではないか、そういう危険をあらかじめ封殺するためにとった措置であるというふうに、声明には説明されていると思います。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 ただいまの御回答は、声明書それ自体の内容を見られての御答弁であるかどうか。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 新聞によりまして声明書を承知した結果に基づくものでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 そこで、私は、日本の外務省が情報をキャッチすることに、ここに重大な事を欠いておると思うのですが、新聞等ではすぐあくる日に堂々と特派員からの情報を入手して、これを書き立てております。それにもかかわらず、一番関係の深い外務省が、まだ今日になってもその声明書の内容が入手できないというようなことになりますると、これから幾つかのむずかしい外交上の諸問題を処理していく上において、的確な態度で、そうして構想のもとに進めることがむずかしいと思うのですが、そういう情報網のいかにも貧弱な点を私は非常に遺憾に思っておりますが、その点についてはほんとうに入手しておらないのか、入手しておっても、やはりきょうここで答弁することが、いろいろな関係があるから答弁されないのかということをまずお聞きしたいのと、そうして、今体験されたこの情報網ではいかにも私は残念だと思うのですが、そういう点につきましてどういうように大臣はお考えでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 公に入手する道を持っておりませんので、マスコミを通じて承知することの域を出ておりません。そういう状態につきまして、それじゃ困るじゃないかという御見解は仰せの通りでございまして、私どもといたしましても、内外の情報というものを的確に迅速に把握すべく最善を尽くさなければならぬわけでございます。現在の機構、予算、要員等から見まして、十分でないことは認めておりますけれども、与えられた条件のもとでベストを尽くして参りたいと思います。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 今質問申し上げておるのですが、回答の内容は、結局、現在外務省の方でその情報をキャッチするために努力されておると思うのですが、今御回答のあった、何らその内容は入手しておらないのだというそのことは、昨日現在ですか、けさ現在ですか、ちょっと承りたい。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 声明の全内容等につきましては、今現在まだ公式の情報は入手しておりません。その声明が出るに至りました背景的の事情等については、ぼつぼつ在外公館等を通じまして情報が入ってきております。しかして、この声明自体のすべてのテキスト等については、公式の情報は現在まだどこからも入っておりません。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 これは韓国のみならず、相手国のいろいろな問題が起きた場合の情報をキャッチする場合に、大体所要時間どのくらいずつかかっておるということが今までの実績でございますか。これは国によっては違うものであろうと思います。アメリカなんかの場合には相当早いと思いますけれども、その点一つ御回答いただきたいと思います。

安川壯外務事務官(大臣官房外務参事官)

○安川説明員 これは今仰せの通り、国によって非常に状況が違います。それから通信の能率いかんにもよりますが、概して言えば、先進国の場合は直ちに公電が入ります。それから新興国の場合には、最悪の場合には、何か革命が起こった場合に通信それ自体が途絶するということがしばしばございますので、そういう場合には、直接の通信は当分入らないという状況が起こるのがむしろ普通でございます。近隣諸国からの公館を通じて情報を求めるというのがむしろ通念でございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 日韓会談をやっておられるのだから、日々韓国の情勢なんかもつかんでおられると思いますが、いろいろな問題をつかもうといたしますときに――韓国に限定してお聞きをするのですが、韓国の場合はどのくらい時間がかかりますか。明らかに声明書が出ておるのですから、その声明書はこれこれこういう声明の内容だということを、これを受け取るのにそんなにむずかしいことはないと思うのです。こういうことがあると思うが、それを探し出して一つ情報を早く日本の方へ打てということになりますれば、問題によってはむずかしいと思いますけれども、もう声明書が十六日の四時に出たということは明確になっておるのだから、この声明書の内容はどういうものだったということについての情報がまだ入手されておらないということは、私どもとしてはちょっと考えられぬわけですが、やはり時間的に今までの経験としてどのくらいかかるものですか。

安川壯外務事務官(大臣官房外務参事官)

○安川説明員 韓国の場合は、御承知のように、在外代表部がございませんから、公電のとりようがないわけでございます。ほかの公館につきましては。これは先ほど申し上げましたように、その国の通信機関の能率に非常に関係あるわけでございまして、幾ら在外公館で――たとえばその国の政府がある重大な声明を出したという場合に、それを直ちに電報局に持っていきましても、電報局でそれを処理するのに非常に時間がかかるという場合には、これは何ともしようがないわけでございます。そういう状況によりますので、在外公館の出先が幾ら早く情報をキャッチして、そうして在外公館としてできるだけの手続をしましても、相手の通信機関の方で手間を取るという場合には、これはいかんともしがたいものでございますから、新興国の場合には、往々にして相手の通信機関の能率が悪いために、情報がおくれるというのが通例でございます。出先としましては、最大限の処置を通じて通信の迅速化に努力しているわけでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 そういうことにつきましての具体的な面については、今度提案になっておられる国際資料部を新設するという部で、御質問申し上げますが、ただ、もう一度答弁していただきたいと思いますことは、韓国の場合に、今の声明書のようにもう明確に出されておるという事実に基づいて、こちらの方から情報を入手しようとする場合に、たとえば何の場合にどれだけかかったという実績はありますか。おそらくあると思いますが、それを一つ参考に答弁していただければ、あとの資料部の新設を討議する場合にいろいろと具体的にお聞きしたいと思います。今はそれだけ御答弁していただければけっこうです。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 韓国の場合には、こちらから共同を初め一流紙の特派員が全部行っておるのでございます。それで、大体そういう発表のありましたときは、こちらは共同その他がフルテキストで打って参りますので、それにたよっておるわけでございまして、ここの韓国の代表部すら、一番早いニュース・ソースは日本の通信部の電報だと言っておるような状況でございます。それからもし、ほんとうに公式のテキストについて、こまかいところについて確かめたりする必要がございますときは、結局韓国代表部に頼んで、発表になりましたもののフルテキストを取り寄せるということになるわけでございますが、これはやはり航空便の関係等がございまして、早くても二、三日かかるというわけでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 この点については、またあとから質問します。

永山忠則自由民主党

○永山委員長 本日はこの程度にし、次会は、明十九日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後二時三十三分散会

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