逓信委員会 第17号
- 発言数
- 409 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1963/03/19
会議録
○本名委員長 これより会議を開きます。 電波法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。 本日は、本案について参考人より意見を聴取することといたします。 なお、参考人として本日御出席いただきました方々は、海技大学校教授古山修郎君、日本船主協会副会長荒木茂久二君、全日本海員組合汽船部長金子正輝君、船舶通信士協会常任委員長大内義夫君、以上四名でございます。 参考人各位には、御多忙中のところ、本委員会に御出席下さいまして、ありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。 本委員会におきましては、ただいま電波法の一部を改正する法律案の審査中でございますが、本日は、参考人の方々より本案に対する忌憚のない御意見を承り、審査の参考にいたしたいと存じます。 議事の進行上、まず参考人の方々より、一人約十分程度本案に対する御意見を承り、その後委員の方々より質疑を行ないたいと思います。御意見発表の順位は、古山参考人、金子参考人、荒木参考人、大内参考人とし、まず古山参考人よりお願いいたします。
○古山参考人 海技大学校の古山修郎でございます。私は長年海上生活をいたしまして、また、船長の職務をとってきまして、現在は海上第一線に活躍されておられる船舶職員、並びに部員から船舶職員となろうという船員の方方の再教育に当たっておるものであります。 このたびの船舶通信士の定員改正について、私は次のように考えております。 まず、現行の定員三名を改正案の通り一名とした場合に起こる問題は、経済的あるいは船員の需給関係その他いろいろあるでありましょうが、結局は通信士一名で船舶の航行安全に支障がないかどうかという点と、通信士の労働過重とならないかどうかという二点に大体しぼられてくるのではないかと考えられます。 まず第一の、航行安全に支障があるかどうかという問題につきましては、オートアラーム、すなわち自動警急装置ですか、これが有効に作動するという前提条件のもとに支障がないと思います。この前提条件でありますが、諸外国におきましては、その信頼性に関して問題を起こしておらないと私は聞いております。従って、海上における人命の安全のための国際条約でも、これを設備した場合の規定を設けているものと考えます。一方、わが国では、今次大戦中より三直制を実施しておりますため、オートアラームの必要性をあまり感じられなかったので、その信頼性についても問題にされなかったのであろう、こういうふうに思いますが、現在の性能は信頼できる水準に達しておると聞いておりますので、船舶の航行安全にはまず支障はあるとは思われません。 次に第二の、通信士の労働過重の問題でありますが、通信士一名になりますと、気象通信、航行警報、公衆無線電報その他の送受信で相当忙しくなり、新聞ニュースの受信が困難となり、船内文化面に支障が出てくるであろうと思われますが、最近テレタイプ・コンバーターなどが開発されておりますので、これを使用することによりまして、その面は十分確保できるものと思います。またファクシミリの利用によって、専門家の作成した天気図がそのまま入手できるということでありますので、従来の気象受信、天気図作成という労力はほとんど解消されるものと思います。 以上、通信機器の革新と日本通信士の技量の優秀であることによって、労働過重の問題はまず心配がなかろうと思います。 科学の進歩は、あらゆる分野において、機械が人間にとってかわりつつあることは御承知の通りであります。わが国の船舶も、最近急速にその自動化が推進されて参りました。機関の自動制御については、人間の勘までもある程度機構の中に取り入れて、外国の注目を浴びているようであります。このような最近の趨勢から、通信士の定員を諸外国と同程度にしようとするこのたびの改正案は、まず妥当であろうと思います。この改正案によりますと、ほとんど全部の船舶の無線局の運用時間が八時間で、通信士一名となりますが、これは最低基準でありますので、必要な場合は増員すればよいと考えます。とかく最低基準がありますと、それを上回る線はなかなか出にくいと思われますが、各関係者において、航路その他実情に応じて十分御検討の上、適正な配員をなさるべきものであると考えます。
○本名委員長 次に、金子参考人にお願いいたします。
○金子参考人 私は全日本海員組合の汽船部長をいたしております金子でございます。本案に対しまして私の見解を申し述べたいと思います。 まず、本論に入ります前に、私並びに本組合といたしましての技術革新に対します基本的態度と考え方を諸先生に申し上げ、御理解を賜わっておきたいと考えます。 私どもは、技術革新に伴います合理化対策には反対するものではございません。海運企業の合理化と海上生産性の向上に、従来からも、将来に対しましても、積極的に協力し、推する態度を持つものであります。さらに、今回政府におかれまして取り上げられました一連の海運企業助成策に対しましては、基本的にはその方向を支持し、日本海運の再建に対しまして、労働組合の立場から、船員の労働条件の確保とその維持をいたしつつ、積極的に賛成をいたすものであります。私どもは、世の移り変わりに対応いたしまして、いたずらに過去の既得権にこだわることなく、時代に逆行いたしますような態度はとるものではないということを、まず一点明らかにいたしておきたいと存ずるものでございます。さて、本案に対します私の見解でありますが、本案につきましては、去る昭和三十六年秋の臨時国会から、引き続き前国会の参議院におきまして、おもに論議がなされており、今日に至りますまで、政府各委員会委員諸先生と政府当局との間に十分なる質疑が行なわれており、加えまして海員組合としての見解も、すでに幾多の機会を通じて表明いたしておりますので、あるいは重復いたしますかと存じますが、私といたしましては、次の理由により本改正案に反対をいたす次第でございます。 まず、本案改定の提案理由によりますと、海運企業の現状及び最近におきまする無線機器の性能の向上にかんがみ、運用義務時間を短縮する必要があるとされておりますが、率直に申し上げまして、この提案の理由と改定されます内容とは、ちょっとすなおに結びつくことができないのであります。むしろ改定の理由を、通信士が三名乗っているのはぜいたくである、従ってこれを一名に減らすのだと明確に御提案、御説明願った方が、事の賛否は別といたしまして、私はむしろすなおに受け取れるのであります。 政府御提案の理由によりますと、その一つとしての、海運企業の現状とございますが、一体何をさすのでございましょうか。思いますに、一連の国家助成と、国際競争力に打ち勝ちます日本船主の経済規模の確立のため、さらにその一つであります労使間の問題といたしまして、船舶乗り組み定員の減員をさすものと理解をいたしますが、具体的に一昨年並びに昨年、そして本年に至ります日本船舶の定員の変遷について、具体的に次の事実を私は明らかにいたしたいと存じます。 すなわち、世界一周航路の一万トンの貨物船について見ますと、従来は約五十二、三名が乗っております。これが現在は三十五名、何と十七、八名の減員と相なっております。さらに一万トンのタンカー、いわゆる油送船でありますが、従来やはり四十六、七名から五十二、三名乗っておりましたものが、最近は五万トンのスーパータンカーあるいは三万トンのマンモスタンカー等におきましても、一番少ない船舶は三十三名でこれが運航されている事実を、特に諸先生方に御認識を賜わりたいと考えるのであります。 このことは、世界いずれの国のいずれの船舶に比べましても、最も少ない乗り組み定員でありまして、いわゆる先進海運国でありまするイギリス、アメリカあるいは西ドイツ等の定員の傾向は、日本政府御当局が調査発表されておりますように、一万トンの同型船におきましても、三十八、九人ないし四十二、三名と、むしろ乗り組み定員は増加の傾向にあることを御留意賜わりたいと存じます。 すなわち、一つの船の定員は、その総合的な員数でございまして、各国におきましては、その国の歴史と慣習に基づき、必ずしも同一視することができません。たとえば外国船等は、日本船に比べまして、まかない関係の乗り組み定員は、日本の五ないし六名に対しまして十ないし十四、五名が乗っているという事実もその一つでございまして、従いまして、本邦船舶に通信士は三名、外国は一名であるということのうらはらにおきまして、一がいにその一つのパートをつかまえまして多い少ないを論ずることは、当を得た見方とは考えられないということを私は申し上げたいのであります。従いまして海運企業の現状とは、すでに私どもの定員に関しまする労使関係におきましては、必要以上に十分に合理化されつつあり、また将来も、この線に沿って、われわれはわれわれみずからの理解する立場において合理化に協力する、またみずからもこれを行なうという態度は変わらないことを明らかにいたしておきたいと存じます。 次に、第二の理由でございます無線機器の性能の向上云々とございますが、具体的には政府改定案ではオートアラームをさしておるものと思いますが、これは次の理由により性能の向上とは言いがたいというふうに考えております。 すなわち、オートアラームは、私がまだ生まれる前にできたものでございまして、四十年も前からあったものでございます。その間多少の改良はあったといたしましても、その根本的な構造における改良と確実性はあまり変化はございません。一例をあげますならば、五〇〇KCを使用している関係から、一般呼び出し波、応答波と共用しておりますために、空電とか混信による誤作動は避けられないのでありまして、緊急信号の十二長点だけを基準として作動するものでありますから、作動開始の要件として、信号の長さ、つまり時間だけをファクターとしている点は、今も昔も変わらない、四十年以来の構造のままであります。従って、これは技術革新による性能の向上とは言いがたいのでございまして、これをもって本案にいう技術革新の結果のごとき幻想を与えていることは、大きな間違いであると申し上げざるを得ないのでございます。 きわめて卑近な例で恐縮でございますが、オートアラームは、私をして言わしむれば、電車の踏切信号機よりもその効果はないと考えております。なぜならば、踏切信号機は、少なくとも百メートル以前に電車が参りますと、カラン、カランと鳴りまして、事故を未然に防ぐ効果を具体的にあげておりますが、オートアラームはSOSの二分前、すなわち、遭難の寸前に鳴るものでございまして、これとても先ほど申し上げました空電、混信、その他により、人をして耳で聞くほどの確率度合いはございません。すなわち、オートアラームは人の代行はしないという、従来からの経験ある幾多の海上無線通信士の主張通り、従来しばしば指摘されました機器の構造、運用上の欠陥が革命的に改善がなされない限り、現状のままでは、これをもって人を減らすということには賛成しがたいのであります。 しかし、われわれはここで国際的にこの問題を論じまする場合、諸先生方におかれましても、一つの疑問をお持ちになることと存じます。それは外国船は一名である、日本船はなぜ三名の通信士が必要であるか、さらに、日本のメーカーによってつくられておりまするオートアラームが、すでに百数十台という具体的な実績を持って諸外国の船舶に設置せられ、かつこれに対する何らのクレームがないことを君はいかに考えるかという疑問を当然お持ちかと存じます。このことにつきましては、次の点に彼此の相違点があるということを特に諸先生方は御理解を賜わりたいと思います。 すなわち、欧米諸国の船舶は、無線電信とともに海岸局の整備によりまする有効なる船舶無線電話を併用しておるということの事実であります。すなわち、沿岸につきましては中短波、港湾につきましてはVHF、遠距離につきましては短波電話の活用がこれでございます。欧米各国は、国策上、軍事上の目的から、通信体側の完備と、各出先あるいはまた植民地等を利用いたしましての無線電信並びに無線電話の通信網の確立がこれでございます。これらを利用することによりまして、無線通信士は一名でも、他面、無綿電話によりまする多角的な活用によりまして、船内における耳と目の利用度合いは非常にすぐれた高度な率に相なっております。 日本船の場合は、これに比べまして太平洋または大西洋の洋上より、日本船舶自身の中継によりましてこれを補っておる次第でございまするが、外国船のそれに比し利用度合いは無線通信たりてございますから、これを改定案に示されましたような無線通信による一直一名だけのものにいたしました場合、当該船舶乗組員の受けまする公衆としての電波の公共性に対しまする利用度合いは、日本船員の場合、著しくそれに比して不利となることはこれまた明白の理であります。さらにまた、これが完全なサービスを行ないまするために、当該通信士の労働強化はとうてい現状一人をもって処理し得るものではないということは、過去幾多の事例によって明らかでございます。もしこれわが国も、往年のごとく海軍がございましたならば、日本の商船隊の姿もまた変わったものになっただろうということを私は申し述べたいのであります。列国の海運国の商船隊の国家の強力なる助成は、その国の国防上、貿易上からの大きな要素があることは、諸先生の御既承の通りでございます。すなわち、海上におきまする船舶通信体制の確立と維持は、単に船主経済との見合いにおいて簡単に解決さるべき問題ではないと考える次第でございます。 結論といたしまして、私は、テルスターが飛びまするこの宇宙時代に、何が何でも人間の通信士による三名三直制を将来に対し絶対固執するという態度をとるものではございません。改正案にいわれまするような、似て非なる内容と、不十分な現状の理由による改正ではなくして、技術的に人にまさる機械が完全に究明され、かつこれとの見合いにより、必要にして十分な海岸局の短波無線電話を含みまする通信網が完備されました暁におきましての電波法の改正でございましたならば、私は、私を含め、本組合は、積極的に技術革新に伴う合理化の一環といたしまして御趣旨に賛同し、むしろ私どももみずからの意思として、積極的に本問題に取り組む用意がありますることを、この際明らかにいたしたいと存ずる次第でございます。 具体的な本件取り扱いにつきましては、以上の趣旨におきまして、私は政府が現在において電波法改正を意図されまするならば、まず、郵政省御当局並びに運輸省御当局が、船舶の無線電話の利用についての積極的な国家としての整備と法制化が、電波法改正の前に御用意さるべき問題ではなかろうかと考える次第であります。今日におきましては、無線電信と無線電話の活用とは無関係に本案は論議することは許されません。 最後に、本組合と船主団体とは、戦後十八年の長きにわたりまして、その間に一、二のお互いの立場からする避け得られなかった大きな争議もございましたけれども、他はおおむね労働組合としての本組合みずからの自制によりまして、船主団体との労使関係は、他産業、他組合と異なりまして、自主的に交渉し、解決して参った歴史を私どもは持ち、かつまた、これをみずからの誇りといたしております。従いまして、本電波法改正につきましても、法制化の前にいま一度、労使で将来に対し十分な話し合いを行ないまして、その上に立って技術革新に伴うきわめて自然な形における法改正の行き方といたしたく念願いたす次第でございます。どうか諸先生方におかれましては、本案の改正理由とされました海運企業の現状と技術革新に伴いまする労使の現状、そして将来行なうべき諸問題につきまして、電波法改正のみが当面急務の解決策であるとされませず、労使の自主的な規制にゆだね、本案改正は、当分の間現状のままにいたしまして、法改正を見送られまするよう御再考願いたいと存じ、心からお願いを申し上げまして、私の反対する理由といたしたいと存ずる次第であります。
○本名委員長 次に、荒木参考人にお願いいたします。
○荒木参考人 日本船主協会副会長をいたしております荒木でありますが、本日こういう機会を与えられましたことは、まことに感謝にたえないところであります。厚くお礼を申し上げます。 海運業経営の立場からいたしまして、ただいま御審議中の電波法及びこれに関連して船舶職員法改正問題については大賛成でございまして、本案の成立を念願してやみません。 私どもが、これら関係法律の改正を要望しております理由は、わが国海運の国際競争力を強化する方法の一環として、船舶無線通信士の定員を国際水準並みにすることが必要であると考えておるからであります。 御高承の通り、海運業は、長らく世界的な不況のもとに置かれております。これは、申すまでもなく、運賃水準の低下によるものでありますが、この運賃水準の低下は、単に船腹需給関係における循環的な市況変動によるばかりでなく、基本的には、世界海運の構造的変化によるものであると考えております。 すなわち、戦後の世界海運における最も大きな変化は、世界の貿易構造の変化に対応いたしまして船舶の専用化、大型化が急速に進みつつあることであります。船舶の専用化、大型化は、非常なコスト・ダウンになりますので、これまでのような大きさや型の船舶では、これに対抗できないのであります。たとえば、近年まで標準船型とされていました二万重量トン型、三万用量トン型のタンカーは、六万トン七万トンあるいはそれ以上の大型タンカーの進出によりまして、もはや経済的には使えなくなっております。また専用船につきましても、二万重量トン型の船舶は、五万重量トン型のもの、あるいはそれ以上の大型船に市場を奪われようとしております。 このような世界海運の構造的変化の進展とともに、海運の国際競争はいよいよ激化しております。海運の構造的変化に対処し、国際競争を克服していくためには、わが国海運は、企業の体制、資本費の負担、船舶の諸設備、船員の配乗その他あらゆる面で合理化を徹底し、国際競争力を強化する必要に迫まられております。これを達成することによって、わが国海辺は、初めて国民経済上海運に課せられた使命を果たすことになると考えておるのであります。 私どもは、海運合理化の徹底には懸命の努力を続けており、政府におかれましても、このたび日本開発銀行の船舶建造融資について、その利子徴収猶予措置を講ぜられようとしております。このように、海運合理化への努力は、各方面を通じて進められておりますが、船舶乗り組み定員の合理化については、船舶無線通信士に関する限りにおきましては、現行の電波法及び船舶職員法の規制によりはばまれております。 すなわち、私どもは、船舶の諸設備と船内業務の合理化とによって、甲板部、機関部などの乗り組み定員については、すでに相当の減員を実施しております。たとえば、最近の新造船における一般の乗組員数は、二年前と比較しますと八名ないし九名減少しているのであります。このために、一船の総乗組員数に対する通信士の割合は、アンバランスになっております。これは、一に現行法令によって、大型船については、無線通信士の定員が三名と定められておるからであります。 わが国では無線通信士の定員は御承知の通り三名とされておりますが、諸外国の船舶は、無線通信士を一名しか乗せておりません。わが国でも、戦前は一名の通信士でよかったのでありますが、戦時の非常措置で三名に増員されたのであります。この措置は、終戦後に改めるべきであったのでありますが、当時は船舶の数も少なく、通信士の失業問題なども生ずるので、改められないで今日に至ったのであります。 船舶無線電信局の執務時間と聴守時間とについては、国際電気通信条約並びに海上における人命の安全のための国際条約とに基づいて、各国がきめることとなっておりますが、わが国の電波法は、これら条約による国際水準をはるかに上回って規定しているのであります。 わが国海運界では、先ほど申し述べましたように、この一、二年船舶の諸設備の改善、自動化装置の採用などによりまして、乗り組み定員の減少を進めておりますが、運輸省におきましても、定期船、タンカー、専用船などについて、経済性能の高い船舶の試設計を進めております。この試設計の考え方は、極力少数の乗組員で船舶の運航をはかろうとするものであります。 諸外国におきましても、船舶についての技術革新は強力に進められようとしております。アメリカ海事局長官は、世界海運界での競争に打ち勝つためには、船舶の自動化、合理化をはかるべきであると同国海運界に警告しており、一九六四年を目途として、現在五十五名で運航しているマリナー型船を、十四名の乗組員で運航できるような船舶を建造してこれにかえようと計画しております。 ノルウェーにおきましても、現在大型のタンカーを建造しまして、その機関部が十五名から十八名くらいでやっておりましたものを、六名から九名くらいでやれないかと検討を進めております。ドイツにおきましても同じようなことをやっております。 海運の国際競争に打ち勝つためには、諸外国に先んじて船舶乗り組み定員を合理化して、輸送費のコスト・ダウンをはかることは申すまでもありません。日本船の乗組員数は、従来非常に多いといわれたこともありますが、最近におきましてはそのようなことはなくなったのでありまして、海員組合の協力を得まして、すでに相当な定員の合理化を実施して参ったのであります。たとえば、ニューヨーク航路に就航する定期船につきましては、二年前までは一般当たり五十名以上乗り組ませていたのでありますが、四十名ぐらいで運航しているのであります。しかるに船舶通信士の面におきましては、いまだ合理化が行なわれておらないのであります。 電波法及び船舶職員法の改正につきましては、船舶航行の安全性や通信連絡の渋滞、あるいは船舶通信士の待遇などについて、いろいろいわれているようでもありますが、私どもは、船舶通信士の定員合理化によって、これらの諸点についてことさら支障が生じることはないと確信いたしております。 第一に、通信士を減員しても船舶の航行安全は十分に確保されると確信しております。すなわち、船舶の航行安全を確保する上で聴取を必要とする無線放送は、気象ニュースと航行警報とであります。これらはいろいろの周知方法で繰り返して放送されますので、通信士一名の執務によって十分に入手できます。さらに、操作の簡単なフアクシミリによる天気図の撮取や、ラジオ放送による気象予報の入手を考えますと、船舶航行の安全は十分に確保されるのであります。遭難の相互救助は、通信士とオートアラームによる常時聴守をもって完全に確保されますことは申すまでもありません。 次に、オートアラームは信頼すべきものとなっておりますので、海難救助にも支障はないと考えるのであります。オートアラームは、警急信号を受信してベルを鳴らす装置でSOSを直接聞くものではありませんが、国際的にきめられている遭難通信は、SOSを聞くのではなく、その前置信号である警急信号を聴守するこにより、その目的を十分に果たせることになっております。また、誤動作があるゆえに信頼できないともいわれますが、空電その他の妨害により誤動作、不動作の恐れもありますので、海上における人命の安全のための国際条約及び国際電気通信条約によってオートアラームはその補うべき性能を規定されており、わが国におきましても、主管官庁が検査を行なっているのであります。日本製のオートアラームは、これらの条約及び国内法の規制を受けて製作されたものであります。国産品が国際的に何ら遜色のないものであることは、多数の輸出船に採用されて支障のないことで十分証明されるものであります。 また、通信士が一名となっても、通信の疎通にはなはだしい支障が起るものとは考えられません。内地との直接通信はできなくとも、国際通信への移行も行なわれ、全世界をカバーする国際通信網を活用すればよいのであります。 また、船舶気象観測報告が著しく減少し、気象災害予防に支障を与えることになるとは考えられません。わが国の気象業務法は、船舶に対して、通信士の定員数に応じて気象観測の報告回数を規定しておりますが、国際的には 一日四回の観測報告の協力を要請されておるのみであり、わが国のように八回にも及ぶ報告回数を求めている例はありません。 通信士定員の減少により、報告回数は少なくなりますが、気象に関する学問及び技術が発達した今日では、船舶からの報告が多少減ったからといって、観測データが不足するとは考えられません。気象レーダー、飛行観測、定点観測などが行なわれているのであります。また、特に一定海域のデータが必要な場合には、船舶を指定して観測報告を得ればよいのであり、私どもはこの点について協力を惜しむものではありません。 さらに、船舶無線通信士の需給関係を見ますと、通信士は不足の傾向であって、将来の船腹拡充に伴う需要に応じ得ない状態であります。無線通信士の養成機関としては、数多くの学校がありますが、国内の無線技術者需要が旺盛なため、これら学校卒業生のほとんどが陸上産業に就職している状態であります。今後わが国経済の成長に伴って大量の船腹を建造していく場合には、通信士の不足が予想されるのであります。 また、私どもは、電波法、船舶職員法が改正されて定員が減少したからといって、船舶通信士の離職が起こらないよう万全の措置を講ずるつもりなのであります。 なお、船舶通信士の業務内容は、船舶航行上の安全及び公衆通信等のために行なう通信士本来の業務ともいうべきものと、その他の業務とに分けられるかと考えます。これらの業務を詳細に検討してみますと、通信士の定員が減少したとしましても、経常通信のらち、気象放送等ファクシミリの採用による合理化等を含み、本来の業務内容は一名で十分にまかなえるものと考えます。その他の業務につきましては、船務の合理化及びテープレコーダーの活用、ファクシミリによる新聞放送の受信等、近代設備を取り入れることによりまして、通信士の労働過重となるようなことがないように措置し得るものと考えているのであります。 〔委員長退席、佐藤(洋)委員長代理着席〕 私どもは、電波法及び船舶職員法の改正につきまして、長年にわたり要望して参りました。ただいまの国会で改正法案が再び審議されておりますことに対しましては、深く感謝しておる次第であります。私どもは、国際競争に打ち勝つためにいろいろな施策を講じておりますけれども、この通信士の定員が国際水準並みの要請にとどめられるように措置されることを念願してやまないものでございます。 なお、通信士諸君の失業問題ということに関しましては、われわれはさようなことが起きないように十分の配慮をいたすつもりでございます。また、現在下級免状を持っております者につきましては、再教育を行ないまして上級免状のとれるような措置を十分に講ずる考えでございます。 以上、申し述べました通りでございます。本案の成立せられますことを念願してやまない次第であります。
○佐藤(洋)委員長代理 次に、大内参考人にお願いをいたします。
○大内参考人 私は船舶通信士協会の大内でございます。ただいま電波法の一部を改正する法律案の審議が行なわれておりまして、参考人として呼ばれまして、私ども船舶通信士の現在における実情を、皆様にお話しできます機会を与えられたことを非常に喜んでおります。 電波法の改正問題は、もうすでに足かけ七年になりまして、いろいろな点で論議が尽くされているように言われておりますが、私ども現場の通信士の実態を見ております立場から申し上げますと、いろいろな点でいかんとも承服しがたい点がいろいろあるのでございます。第一に、私どもは、昭和二十五年に電波法が制定されまして、その後十何年かたちまして、世界の海上無線通信体制の一環として日本の無線通信の業務に従事しております船舶通信士といたしましては、この改正案に対しまして、あまりにも実態と実情が無視されておるという点を強く痛感いたして反対いたしておるわけでございます。 第一の理由は、私どもは、船舶の通信士になるためには、無線通信士という資格を国家試験によって得なければならない。その知識、技能というものは、電波法に規定されておりますそうした知識を全部身につけなければいかぬ。船舶における無線通信士の第一の任務というのは何か。二十四時間五〇 ○KCの電波を常時聴守して、航海の安全のために自分の仕事の本来の任務とすべきである。そうした場合の知識、能力があるかどうかという点が第一義の点として強くわれわれの資格の内容にまで及んで、そういう知識、能力があると認定された者に対して、無線通信士の資格が与えられておる。また、無線通信士にとっては、そういう際に能力が発揮できるようにいろいろな技術的な基準を定めたものが電波法であるわけでございまして、それが今回の改正案によりますと、二十四時間人間の耳による聴守は必要としない、一日八時間でよろしい。しからば、その場合一日八時間の通信士によって航海の安全が保たれるか、その他の条件はどういう条件が整備されておるか。無線機器の発達に相応してどういう施設がなされておるか。われわれ現場におりまして、実際の無線通信士の仕事に従事しておる者の立場から言いますならば、何もない。 それから、もう一つ、私どもは現行三名乗っておる通信士を一名にするということによって、たとえば失業の問題が起きる、あるいは労働過重になる、こういう問題もございますけれども、そういう問題を抜きにいたしまして、私どもの職業的な立場から納得しがたい点が幾つかある。一つは、そういうふうにして私どもの仕事というものは、ことごとに法規の中で厳格にいろいろの点が定められておる。たとえば自分の局を呼ばれた場合には直ちに応答しなさい、自分の名前を呼ばれたらはいと答えなさい、まるで幼稚園の子供にでも言うようなことを規則に書いてある。自分の局が呼ばれたときに直ちに応答しなければならない。こういうことは、何でもないことであるけれども、海上の無線通信の場合にはきわめて重大な点がある。どういう用件をもって自分の局が呼ばれておるのか。それに返答しなかった場合にどういう事態が起こるのか。そういう場合にどういう順序をもって相手の船を呼び、どういう手続でもって返事をするかということも、こまかく規定されておる。相手の名前を三回呼んで、その繰り返しを二回やって、なお返事がなかった場合には二分間休んでまた呼びなさい。それでも出ないときには十五分間の間隔を置いて呼びなさい。こういうように非常にこまかい点まで規定されておるのです。こういう規則をもし破ってめちゃくちゃに相手の名前を連呼したり、あるいは応答しなかったという事実があれば、これは無線通信士としての能力といいますか、これに対しましていろいろな警告が来る。 最近日本の船が、アメリカその他の国から、過度呼び出しと称しまして、たびたび厳重な違反通信の通告が参っておる。日本船ばかりではございませんが、日本船がアメリカへ行き、ヨーロッパに行き、また外国の船が日本に来てこういう通信をやる場合に、どの国でも、電波に対する監視局というものがございまして、世界的にも監視網がある。そういう場合に、そういう単なる形式的な違反、ささいな違反であっても、これは厳重にお互いに各国が協定いたしまして、そういうものをなくするために海上無線通信の秩序を保っていかなければならない。こういう意味合いからして非常に事こまかに通信の手続をきめておる。これは日本ばかりではない。そうしなければ、通信というものは、相手があって成り立つものですから、自分だけ先に通信をやろうと思っても、他の船の妨害になったり、ひいては通信の秩序を妨害するようなことになっては無線通信の体制を維持できないわけです。これは最近、日本船の場合には遠距離から日本内地に向かって通信をする。こういう場合、これは非常に困難なものです。たとえば一通の電報を送るのに五分間の送受ができるということがたびたび言われております。この五分間の時間の間に一通の電報を送るために、それに至るまで実際に日本船の通信士はどういう仕事をしておるか。どうしても自分の当直時間中にこの電報をやらないとまずいというので、二十四時間一生懸命やる。自分の当直時間にできないと次の通信士に手渡ししなければならない。そういうことのないようにしなければならぬ。そういう場合に、呼んでも出ない、四たび出ない、また違反になる。その距離が長くなればなるだけ、呼び出しに要する時間は、三時間または四時間、五時間、十時間、そういうふうな非常に苦難な労苦と焦慮をもって通信をかわしておるのが実情でございます。たとえば、自分の局を呼ばれたら直ちに返事しなさいという場合に、相手がどういう用件を持っておるかわからない。いつでもそれに応答でき得る体制を整えること自体が、船舶の航行安全のために、船舶相互間の海上における安全体制を維持するために必要だ。それがためにこういう手続を国内的にも国際的にもきめておるわけです。そうした通信の秩序を保ち、維持するためにこまかい規則をつくってやっている。われわれが法規を尊重して毎日の仕事をしなければ、海上の無線通信体制というものは維持できないわけです。そうした法規のもとで運用しておる現行体制の中で、今度二十四時間勤務する必要がない、一日八時間でよろしい。その裏づけになる設備であるとか、方法であるとかは、どういう点によって条件が変わっているかというと、何もないわけなんです。そういう中で運用時間を減らし、あるいは定員を三名から一名にする、こういうような法規の改正でございますので、私どもとしてはどうしても納得いたしがたいということが第一でございます。 次に、盛んに問題になっておりますオートアラームの問題でございますけれども、現在日本船はこの一年あるいは一年半以前から、二百数十隻にわたってオートアラームが設置されております。いずれも、政府によって、この機械を使ってよろしいという証明された型式検定に合格した製品である。それが実際においてはほとんど役に立たないのではないかというクレームが各船から私どもに一ぱいきております。これは条約によりまして、また国内法によりまして、オートアラームを設置した船は、航行中一日一回は必ずテストしなければならない、テストしてその結果は必ず船長またはブリッジ当直士官のところへ報告しなければならぬということがきまっております。ところがテスト・ボタンを押しても全然作動しないという機械もある。この機械はテストしても鳴らないということを船長に報告したら、それでは船長はどうしたらいいか、それはそれっきりなんです。この機械は故障ですという報告だけすればいい。それを受理した船長は、この機械は故障だから、これはいけないから、人間の耳によって聴守しなさいという指示をするとかなんとかいうことは何もない。こういうことがきまっておる。機械がこわれた、どうにもならぬからそれでよろしいのだということで、何もないのです。なぜこういうふうになったかというと、先ほどもお話がありましたけれども、オートアラームを採用することによって通信士の定員をきめようということでもって国際会議に出た場合に、この機械は信頼できないということが各国から盛んに言われたわけです。そういうような信頼のできない機械であるならば、通信士をして一日一回機能のテストを行なって、その結果を船長に報告させることにしようじゃないかということがきまっただけでその対策がない。こわれても、役に立たなくても、やむを得ないからそのまま使っていかなければならぬというシステムなんです。日本だけではありませんけれども、世界の船舶通信士はこれを実際において信頼してきていない、これが実情なのです。 しかし、外国の場合、一名の通信士で何でやっていけるかというと、陸上におけるいろいろな航行安全のための設備というものが完備しておるのです。たとえば大西洋のある一定の地域に入りますと、いかなる船でも向こうのコースト・ガードという局に向かって自分のポジション、行先、スピード、そういうものを一ぺんだけ報告する。そういたしますと、大西洋上の一切の船舶の動静がたった一ぺんの報告でもって、毎日何時にどの地点にどういう船がおるかということが、電子計算機その他によってはっきりわかるようになっておる。何か一たん事があれば直ちに救助におもむく、あるいは船に知らせる。船舶相互同士でもって助け合う。病人が出て命があぶない。その付近を通っている船には日本船がいる。日本船にはドクターが乗っておるので、その日本船に向かってコースト・ガードから指示がかかる。直ちに現場に急行して盲腸にかかった外国船の船員の命を救え。そういうことがたった一ぺんの通報によってわかるようになっておる。そういうシステムの中では、たとい一名の通信士によってもあるいは航行の安全が保たれるかもしれない。今度は、電波法を直すことによって、こういうふうな陸上設備の計画がある、どういう場合にも、どこを通っても、こういう方法によって船舶の助辞が把握できる、いかなる事態が起きても直ちに救助の体制ができるようになりつつある、従って二十四時間聞く必要はない、従って電波法を変えようということであれば、われわれ現場の通信士としてもこれは反対できないわけなんです。しかしそれが一つもないのです。 それからもう一つは、航行の安全に支障はないと言われても、今度の電波法の改正によりますと、オートアラームをつける船自体が、単に国際航海に従事する船舶にのみ限って使用される。そういたしますと、日本の近海を走っている船はオートアラームを必要としないわけです。日本の周辺を走っているものは、夜間の十一時から朝の九時までは全然人間による聴守というものがされないのです。そこがブランクになってしまう。なるほど、海上保安庁の海岸局がありまして、二十四時間聞いております。ですからSOSさえあれば直ちにキャッチできる体制がある。しかし、その際に直ちに巡視艇が行って救助できるかというと、目と鼻の先を走っている場合でなければ、船舶相互間によって救助はできないわけです。そういうことがわれわれ通信士には何よりも危険である、日常の仕事を通して一番あぶない、今後こういう船には乗りたくないとみな感じておる。もちろん航行安全のために働くのは、単に通信士だけではない。船長以下全乗組員が協力して船舶の安全な運航をはかっておるので、何で通信士だけが航行安全のためにがやがや言うのかと言われますけれども、私どもは日常の仕事の中でそれを痛感しておるわけです。昨年もことしも大きな商船の海難事故があった。たとえば夜中の一時でも二時でもSOSが発せられますと、直ちに応答して救助におもむくということが行なわれておる。先般フィリピン沖で日本船が海難を起こした。夜中にSOSを打って結局は沈没してしまいましたけれども、付近航行中の日本船舶が二十四時間聞いておりましたために、直ちに急行して全員を救助した、こういう事実があるのです。これが現行法が改正になって一名になれば、そういう場合にはできないわけです。日本の近海でも、そういう意味ではブランクになってしまう。そういう点、私どもは非常に重大な不安を感じているわけです。 もう一つは、公衆通信の問題でございます。先ほど申し上げました通り、日本の船は船舶の経済的な運航をはかるために、公衆電報を取り扱うということが重大な要素をなしている。外国に行った場合、日本の近海には絶えず三百隻という船が密集している。東南アジア、インド洋にかけて、三百隻以上の船がいつも毎日のように通信している。その三百隻の船が、長崎の無線局を一斉に呼んだ場合には、お互い混信してしまうから、順番を待たなければいかぬ。いつ自分の順番がくるかということで、二十四時間ずっと自分の受信機の前にすわって聞いていなければいけない。一たん長崎の局をつかまえると、電報というものは三分か五分ではけてしまうのですが、それに至るまでの時間というものは大へんな時間がかかるわけです。一人の人間じゃとても不可能です。それは今後は心配はいらない。海外においても、電電公社が日本の船舶を相手にするような中継基地をつくるから心配はいらないのだ、一人でも十分できる、こういうことであれば、私どもは反対できない。むしろ進んで賛成して、そういう新しい海上無線通信に対してわれわれが協力することは当然のことだと思うのですが、そういうものは何もないわけです。 数えてみますとたくさんございますけれども、もう一つ最後に納得できない点は、いろいろな事情によって、どうしても船主の経済の負担を免れるために乗組員の定員の削減は必要である、合理化は必要である。 〔佐藤(洋)委員長代理退席、委員 長着席〕 そういうことによって定員を削減するのであれば、たった一人になった通信士は、いわゆる技量優秀で、いかなる困難な通信に対しても適切な方法がとれるというきわめて能力の高い通信士が配置されるのが当然なんです。ところが、今度の改正案はそうでない。今後は一級の無線通信士の資格があれば経験は必要としない。今までは四年必要であるとか、あるいは二年必要であるとかいうのが現行の規定でございますけれども、今度三名を一名にすると同時に、そういう業務経歴も必要としないような改正になっておる。これははなはだしい無理だと思うのです。数が少なくなれば、それに対応して質のよろしい、経験の豊かな者をもって船を運航させるという改正であればわかるけれども、通信士の定員を削減したあげく、未経験でもよろしい――これははなはだ納得できない点がこういう場合にもあるわけです。 まだたくさん、私らの立場からながめて御理解を賜わりたい点がございますけれども、今申し上げたようなことによりまして、私どもはどうしても今度の電波法改正については納得しがたい、こういう点がございますので、何とぞ皆さんの御理解を得まして、これからの御審議のほどをお願いいたしたいと思います。
○本名委員長 以上で参考人の方々の意見の開陳は終わりました。 ―――――――――――――
○本名委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。岡田修一君。
○岡田(修)委員 私は金子参考人に一問だけお伺いいたします。 先ほど金子参考人のお話では、もう少し条件さえそろえば、無線通信士の定員を減少してもいいんだという大へんものわかりのいいお話で、非常に喜んでおる次第です。ただ、御承知の通り、今の海運競争というのは、私は定員減少の競争じゃないかと思うのです。船の大型化だとか、あるいは自動化というような、結局、定員を減らして、それによるコスト・ダウンということによって対外的な競争に打ちかとうとしておる。先ほどのお話では、日本船は最近非常に定員が減少している。しかし、既存船舶においては、そう外国船よりも減っていないのじゃないか。非常に減っているのは、いわゆる新しい船の自動化が非常に進んでおる。きのうも新聞を見ましたら、川崎汽船が定員三十人の船をつくろうとしておる。これは主として甲板、機関の減少であって、もし無線通信士が三名が一人になれば二十八人です。私が一番おそれますのは、船というのは孤立した狭い社会なんです。だから、みんなの労働が、いわゆる均分で、みんなが気持を合わして働くというところに船の能率が上がり、船の安全性も確保される。ところが、定員がどんどん減少してくる中において、無線通信士だけが現状の三名を維持しておる。しかも仕事の内容は、先ほどるる大内参考人がお述べになりましたけれども、決して多いとは思わない。減少したほかの船員が、一生懸命に働いているのに対して、無線通信士だけが割合にひまな顔をしておる、こういうことではたして船内のほんとうの気持の融和が保たれるであろうか、ほんとうの労働意欲というものが、ほかの部門の人たちに対して起こし得るであろうかどうか、私はこの点を一番心配しておるのです。先ほどの無線電話が整備すればそのときはいいんだ、こういうお話ですが、これは日本の電電公社でも、最近無線電話施設を拡充しようというのでいろいろやっておるわけです。おそらく私は二、三年以内に整備するだろうと思う。今度の法案は、三年間は既存船は定員二名にしようという緩和規定がございます。それとマッチするわけなんですが、ともかく最近の非常に減少した定員で、新造船などにおいてこのまま無線通信士を三名乗せておくということは、金子さんは汽船部長として全般をごらんになっておるのですが、そういう点から見て、はたしてこのままでいいかどうか。私はできるだけ早く、これは均分な労働をなにするという点から改正すべきじゃないかと思うのです。無線通信士の方に対する処遇とか、そういう点はまた別の点で考えるべきであって、むしろそういう海上労働の特殊性からいって、私はできるだけ政府が準備しているような法案を通すべきであるという考えを持っておるのですが、この点に対する金子さんのお考えを伺いたいと思います。
○金子参考人 先生御指摘のことと多少違うのですけれども、私が申し上げたい点は、法改正が具体的になされたといたしましても、これは労使間の問題でございますから、やはり労使が正しく理解し、運用されてこそ法の意義もあろうかと考えます。まずこれが第一点。先ほど公述申し上げましたときに、最後に申し上げたと思いますが、われわれはやはりみずからを自分でコントロールしていく、いささか労働組合としての自負を持っておるものであります。この電波法改正の問題は、わが組織の中におきまする通信士を含め海上の船員が、特に当該通信士が中心でございますが、七、八年の長きにわたり、国会が開会されるたびに、おれの将来はどうなるか、非常な不安を持っておる。むしろ先生御質問の、船内融和はどうであったかという御質問に対しましては、一方的に減らすんだ、減らすんだと長年御主張なさいました七年間の政府を初めとする改正者の方々こそ、船内融和を著しく乱すことに御協力を願ったと私は考えております。そういう意味以外は決して考えていないと思うのです。 さらにまた、数字の問題について申し上げますと、海運企業の現状は、申し上げるまでもなく、非常に重要な時期にあろうかと考えますが、やはりそれは全船員の理解と納得の上に、私たちとしては海運というものはわれわれの立場で再興するんだ。先ほど触れましたけれども、これは本組合の組合員が昨年十月ロスアンゼルスに寄港いたしましたときに、隣のフランス船を訪問したその定員の一例でございますが、読み上げますと、船長はおのおの一名おります。フランス船の場合はコマンド・システムをとっておりますので、コマンダーがこの上におります。航海士は米船は四名、仏船は五名、日本船は三名、機関士は米船が八名、フランス船六名、日本船五名、船舶通信士は米船一人、フランス船一人、日本船三名、事務長はフランス船に一名、日本船に一名、甲板員は米船十四名、フランス船十三名、日本船十三名、それから機関員は米船十四名、フランス船十二名、日本船十一名、まかない司厨員は米船十三名、フランス船十名、日本船五名でございます。これはいろいろその国の習慣等もございましょうが、国際的にという主張を先生がなさいますならば、これはやはり食生活の改善、まかない関係の問題をこの水準まで引き上げる要求を当然推進しなければならぬと理解いたします。そういうようなことは、私どもが今言いましても、これは理屈と数字の話でありまして、今まかない員を五名ふやせという要求は考えておりません。それなりに食生活の改善はわれわれが考えるべきである。 最後に申し上げたい点は、船内の融和の問題でありますが、先ほどからいろいろ参考人並びに岡田先生の御指摘もございましたけれども、無線電信というものは公共の問題である、この利用は、船という特殊な環境にあります五十数名ないし四十名の人間としての乗組員の電波の公共性を使う権利は、乗組員が平等にあるべきだということであります。従って、法改正のような状態におきまする内容で参りますると、いろいろと専門的に私はここで反論を試みようという意思はございません。それはおのおのの立場に立って、私どもは、だめであるということを主張するのでございます。しかし、また逆に、それはそれなりに無線工学等の立場から専門的ないろいろな御意見はそれなりに反論も成り立ち得ると思いますが、そうではなくして、私はこの法改正の政治の場において、特に岡田先生に御理解を願いたいと思いまする点は、やはり組合員は、船員は耳と目は自由に使いたいのだ。従って、いかなる場合におきましても、日本海運のために通信士を――人間を一人減らすんだということでなくして、相対的に海運の生産性が上がるための現在の海員組合の協力を、日本船主団体が無視をされまして行なおうといたしましたならば、私は非常に憂うべき状態が海上に展開するのではないか。これは国会において先生に、われわれは労働組合だというようなことを、私自身申し上げる意思はいささかもございませんけれども、労使間の紛争に発展する可能性のあることを憂うるものであります。こういうことをみずからコントロールしていきたい。それから、昔は飛行機にも通信士はございました。最近は操縦士という形におきまして一人でございます。機関士は二人、パン・アメリカンのジェット機におきましては五十数名、七十名からの旅客をわずか四、五名の乗務員でこれを運搬しております。将来の船舶稼働におきましては、あるいは運輸当局は御研究なすっておられますように、数年先には十名ないし十五名の船舶が具体的に実現するかもしれません。その場合私どもは、船舶通信士という名があるなしにかかわらず、船内におきまする無休執務ということは、これはいかなる状態におきましても将来確保すべき必要なものである。それを現在、船舶通信士という名において、人間一人どうしても、機械にかわるものを、人でなければならぬということは、決して時代に逆行しないということを先ほど申し上げたわけであります。そこまでお前の話はよくわかると御理解願いまするならば、わが海員組合をこれ以上怒らせることのないように、しばらくの間このままにしておいて、労使が話し合いをして、なるほどそうだということは、われわれは人間があるなしにかかわらず、航洋船舶における二十四時間の通信網、電話連絡網、すべてを含めまして、完全に把握されるということは、まず日本政府自身がしなければならないことをして、いやだいやだというのを無理してさせず、だれが見てもなるほどそうだ、それならばということで、きわめて自然に諸先生方が御指摘なさいますような形におきまする、いわゆる海上における機械化の合理化に対して、本問題もあわせて御検討願いたい。お答えになったかどうか存じませんけれども、先生の御心配の点はございません。むしろ本国会でこれを一つけじめをつけていただいて、また通信士が、来国会においても、減らすのだ、ふやすのだというようなことで戦々きょうきょうとするようなことを、どうか一つ先生の立場において、海上通信士に与えないことを私からお願いをして御善処賜わりたい、かように存じます。
○岡田(修)委員 今の金子さんのお話、私は海上労働の適正配置といいますか、こういうことは、私は海員組合さんのことはよく存じ上げております。その考え方、動き方はよく存じ上げております。それで信頼しておるだけに、何も法規でここまで規制しなくてもいいじゃないか。法律はいわゆる最低限をきめる。だから、先ほどいろいろ各国の事情をお述べになりましたが、各国の事情は何も法律に基づいてやっておるのではない。実際その国の特殊性による必要性に基づいて、あるいは労使間の協定でおやりになっておる。今度の場合は法律でございますので、ですから法律についてはまあ国際並みにしておる。それ以上の点は、海員組合と船主間の話し合いによって、われわれは従来から普通の乗組員、一般の乗組員でも、外国人と日本人との統計からいって、日本の乗組員がある程度多いということは普通だということを、いろいろ研究した結果聞かされておる。そういう特殊性は当然見てしかるべきかと思いますが、これは法律に基づくものではございませんで、実際の話し合いでやっていただきたい、こういう気持を持って金子さんに対する御質問はこの程度にいたしまして、一つ大内さんにお伺いしたいのです。 先ほどオートアラームは、お話によるとほとんどこれは信頼するに足りないのだ、かえってやっかいものになっておるのだというような、非常に極端なお話がございました。ところが、外国船では一応このオートアラームで、無線通信士の勤務時間以外はこれで聴守するということでずっと何十年きておるわけですね。大内さんのお話ですと、当然このオートアラームを配置して、無線通信士の定員をふやそうじゃないかということが、人命の安全に対してより過敏な外国船の方から起こってくるべきではないかと思うのです。その点が、この海上安全条約ができてから何十年かたってまだそういうことを聞かないのですが、この点一つ大内さん、もう一ぺんお話を伺いたいと思います。
○大内参考人 これは日本と外国の事情はだいぶ違いまして、外国は今まで三人乗っておって一人にするためにオートアラームを採用したのではないので、一九二九年ですか、海上人命安全条約の改正によりまして、どうしても航行の安全のためには二十四時間聴守する必要がある。そうしないというと、一定の船舶には無線電信を使用しなければいけないという国際協定が意味をなさない。どういう時間――理想的には二十四時間必要である。現在でも二十四時間通信によって聞かなければならないということが第一に書いてある。その次に、オートアラームをつけた場合には、八時間でもよろしい、こういう規定がありまして、今まで三人乗っていなくて、どうしても二十四時間聞かなければならないということをきめておいて、それが不可能な場合にはオートアラームを使用しなさい。その機械が役に立とうが立つまいが、現実に何ら影響はなかった。日本の場合、ずっと戦争前から三名乗っておって二十四時間やっておる。ところが、それを減らしてオートにする。ですから外国の条件とだいぶ違いまして、そういう三十年も四十年もたっておりますから、相当すぐれた性能の機械ができて、人間にかわるような機械であることが望ましいのですけれども、実際ふたをあけてみますと、現実にそうなっておらない。一つは海上人命安全条約でもって、オートアラームの採用は、こういう基準の性能でなければならない、これは国際的にきまっておるわけです。従って、きまった基準にあわせて、日本でつくった機械が検定の試験に合えばよろしい、その基準に合ったものを船につけて、それが実際に役に立とうが立つまいが、次の問題になるわけです。ですから、メーカーがつくったものは、日本においては、検査しますと、それではよろしいと合格になるが、実際につけた場合に全然だめである。同時に毎日一回の試験をする場合には、全然作動しない例が非常に多い。これが実情なんです。 それでは日本と外国ではそれほど製品の差があるかというと、私どもよくわかりませんけれども、日本の製品が特に外国の製品よりか劣っておるとは思わない。むしろ中にはきわめて優秀なものがある。外国の製品に比べてきわめて優秀なものがあるということで、日本の製品が特に外国よりか劣るというふうに私ども思っておらないわけです。だけれども、外国の場合には、いろいろな事情がからまりまして、これを信頼していないということは間違いないのですが、ただ、信頼できないという外国の通信の世論といいますか、それがはっきり出せるような条件が日本とだいぶ違う。向こうでは、たとえば無線会社から機械と一緒になって乗り組んでおるというのがまだあるわけです。そういうものは私たちが質問しても、悪いということを言わない。ただ、顔を横に振るだけだ。実際に実情においてはどうかと申しますると、この間日本船が七はいばかりアメリカへ行きまして調べましたところが、外国船なんかは、ほとんどオートアラームをつけていない、全然相手にしていない。なぜかと申しますと、やはり故障がある、誤作動がある、こういうわけで、非常に迷惑な話なんで、事実上無視している、これは公にできる話ではございませんけれども、そういう例が多いわけなんです。これは全部じゃないと思います。それからオートアラームが全然ほんとうに役立たないかといったら――私のところはむちゃくちゃに目のかたきにしてオートアラームを無視するという気はないわけです。今までの例はきわめて少ないのでございますけれども、たとえば、ごく近距離の場合は作動する場合がある。また、現実に作動して役に立ったという例も、長い間の、三十年間の間にはございますから、一回や二回はあったという例はいわれております。ですから目で見える距離であれば、一定の条件が合えば実際に作動するということもあって、全然これは役に立たないということは断言できないかもしれません。しかし、人間にかわる能力を持っていないことは、これは当然だと思います。そういう意味で私どもは、オートアラームそのものについては信頼しがたいけれども、オートアラームの性能が向上されて、ほんとうに役に立つものであるならば、これはやはり利用価値があるのじゃないか。なぜかといえば、これは人を削減するために利用するのではなくて、現行の電波法におきましても、今、気象であるとか、あるいはニュースであるとか、航路警報であるとか、そういう通信がたくさんございますので、それを受信する場合には、オートアラームで聞くわけにはいかない。従って、そういう別の周波数で通信しているときは、一度オートアラームを作動させておいて、そしてほかの仕事をやっておっても聞けるように、現行にもそういう規定がありまして、それはやはり法律的にもこれは有効な制度になったわけです。そういう場合には、やはり使用することが望ましいのじゃないかと思う。ただ、私どもが反対するのは、オートアラームがあるからお前ら三人要らないのじゃないかということでもって、私どもはオートアラームに反対をしておるのです。
○本名委員長 森本靖君。
○森本委員 先ほど来の参考人の方々の御意見を聞いておりますと、今問題になっておりまするオートアラームの問題についても、これは一方は、全然役に立たない――とは言わぬけれども、相当誤差もあるし、まああまり確実性がない、こう言うし、一方は、これは絶対的信頼性の置ける機械であるというふうに、一つの機械について両者の意見が全く正反対の意見になっておるわけでありまして、当委員会としても、この問題についてはしばしば論議をいたしましたが、こういうふうにまっこうから反対、賛成というふうな御意見が出ておりますので、一つこれは電波局長の方から、両参考人からオートアラームについて全くの正反対の意見が出ておりますが、これに対する電波局長の見解をちょっと聞いておきたい、こう思うので、電波局長から、 このオートアラームに関する問題についての今の両参考人のまっこうから正反対の御意見を聞いて、電波局長としては一体どう思うかということを答弁を願いたい、こう思います。
○西崎政府委員 オートアラームの性能をめぐりまして、いろいろ正反対に近い意見が展開されたということで、郵政当局としてどういうふうに考えておるかということでございますが、先ほど大内さんその他からもお話がありましたように、われわれも、従来の経緯、すなわち、日本としましては、従来実績が比較的乏しかったというようなこともありますし、それからまた、原理的な問題もありまして、これは完全無欠だということを申しておるわけではございません。しかしこの問題は、日本の技術力から考えましても、当然その国際水準、ここまでは――かりに今多少外国製品に対しまして足りない点があるといたしましても、十分国際水準までは達し得る、こういう確信を持ち、それからまた、先般も御報告さしていただきましたように、外国製品を実際に船に装備いたしまして比較試験もやったわけでありますが、この結果から申しましても、大体国際水準まではきておる、こういうふうに考えておりまして、われわれとしましては、確かにオートアラームにつきましては、人に完全にかわるというところまでは参っておりませんけれども、条約で要求しておる国際的な線は維持できる、こういうふうに考えて、今回の法案を提出いたした次第でございます。
○森本委員 まあ、これは、法案を提案をしておる政府側の人にそういうことを聞くのは無理かもわかりませんけれども、しかし、一応こういう問題については、政府としての見解を明らかにしておいてもらいたいと思って聞いたわけですが、完全無欠ではない、また性能の問題についても若干の問題はある、しかし外国と比べて劣らない、こういうふうな中庸を得たといいますか、両方の肩を持った答弁でありますが、いずれにいたしましても、やはりそういう局長の御答弁を聞きましても、このオートアラームにはかなりの問題点が残っておるということはやはり言えるのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけであります。 そこで荒木参考人にちょっとお伺いしたいと思いますことは、先ほどの参考人の御発言の中に、公衆電気通信についての疎通がかりにむずかしいような段階になった場合には、国際通信網があるのだから、国際通信網を利用すればいい、こういう御意見があったわけでありますが、確かにその通りでございます。その通りでございますけれども、要するに国際通信網を利用するということは、日本の円の流出と外貨の問題からいくとするならば、少なくとも、できる限りこれは現在の国内電報によって処理をするということが最も望ましいやり方ではないか。国際通信網を利用するということは、確かに電報は届くにいたしましても、これはすべて欧文電報になりかわるわけでありまして、料金の問題にいたしましても、これはかな電報よりは数十倍高い料金になりますし、また外国と日本とにおきます料金の折半についても、無線と有線とでは違いますけれども、かなり向こうに流れていく、こういうことになるわけでありまして、確かに船自体の合理化という点については、そういうことが言えるかもわかりませんけれども、この公衆電報を打つ者の側に立ってみますれば、少なくとも国際通信網を利用して公衆電報をはかすということは、不利になるのではないかということを私は考えるわけでありますが、その点についてどういうお考えであるか、ちょっとお伺いしたい。 さらに、全部質問の要点を言いますが、それから先ほどこの通信士の減員によりますところの失業問題については、万全の手配をいたしておる、心配はない、こういう御発言でございましたが、それについては、具体的にどういうふうな処理の仕方をしようとせられておるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。 それからもう一つ、小さな問題でありますけれども、これはかなり重要な問題になるわけでありますが、今度の法改正におきます二級無線通信士の問題であろうと思いますが、御発言の中に、上級免状がとれるような措置を行なっていきたい、こういうことを言われておったわけでありますが、具体的に二級無線通信士から、一級に昇級するについては、かなりむずかしい試験を経なければならぬわけでありまして、確かに実務経歴としては十分でありますけれども、現実に試験に合格をするという点については、相当の勉強もしなければならぬ、そういう点について、現在乗り組んでおります無線通信士の上級免状がとれるようなことの措置について、一体具体的にどういうふうなお考えを持っておられるのか、この三点についてお伺いしたい、こう思うわけであります。
○荒木参考人 第一の点でございますが、御指摘の通りだと思います。できるだけ国際通信にのせないでいきたいと思いますけれども、一人になりまして、やむを得ない場合は、金は若干よけいかかりますけれども、必ずしもそう通数が多いわけではございませんので、それにのせることもやむを得ないと思いますけれども、趣旨としては、できるだけそれを使わないようにいきたい、こう考えておるわけであります。 それから、第二の点でございますが、それはなるほど余剰が生ずるわけでございますし、特定の会社では現在でも足りなくて困っておるところもございます。しかし、余剰を生ずることは事実でございますが、それを直ちに離職させるかというわけではございませんで、自然減耗もありますし、他に転職する者もございますので、それを待ちまして、積極的に退職させるということはいたさないつもりである、こういう趣旨でございます。 それから、第三の点でございますが、御存じの通りに、二級なり三級から一級になるのは非常にむずかしい試験のように承っておりますが、ちょうど定員減少になりますと人も余りますので、その分を、再教育機関をつくっていただきまして、その方に出しまして、そこで十分再教育をして上級の免状がとれるように措置をいたしたいと考えております。同時に、そういった実歴のある者についての試験の方法についても、十分実情を勘案していただけることを非常に希望しておる次第でございます。
○森本委員 第一項の点については、あなたもお認めになりました通り、たとえば旅客船なんかでありますと、具体的に、客船の場合は、乗るお客さんに対してもかなり迷惑をかけるという形になるわけでありますが、その問題は答弁通りであります。 三番目の上級免状がとれるようにということでありますが、これについては、この間も当委員会におきまして質問をいたしまして、電波当局におきましても、できれば選考によるところのいわゆる免除というような形を何とか今後とっていきたいということも一応答弁をいたしておったわけでありまして、この問題については、われわれの方も、昔のように選考による試験免除というような形をとりたいというふうに考えておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、現実に私が心配いたしておりますことは、上級免状をとるための再教育をする場合に、一体船主側の方々がどの程度の生活保障といいますか学業保障といいますか、そういうものを行なわれるかという点が、非常に私が懸念をしまた心配しておるところでございますので、そういう点について、船主協会側としては、もし万一この法改正が通るということになった場合に、上級免状をとるところの再教育に対するそういう保障の措置は、どういうようにお考えになっておられるか、こういう点をお伺いしたい、こう思っておるわけであります。
○荒木参考人 ごもっともな点でございまして、その点につきましては、今具体的にはっきりこうだと申し上げる段階まできておりませんけれども、いろいろ研究いたしておりまして、十分支障のないように、後顧の憂いなくして再教育ができるような措置をぜひ講じたいと相談いたしております。
○森本委員 これは一つ大いに――法律改正の推進を発言をせられる荒木参考人におかれましても、そういうこまかい点についての配慮は、具体的に、無線通信士側が納得をするような方策を、できればあらかじめお出しを願っておきたかった、こう考えておりますけれども、せっかく今後十分に検討していただく、こういう御回答でありますので、一つ具体的に、早急に御検討願いたい、こう思うわけであります。 それから、古山参考人にちょっとお伺いしたいと思いますことは、この船舶の合理化という問題について、すべての船舶が合理化されていくので、無線通信士についても一応こういう形になっていくのが当然である、こういう御発言でございましたが、船舶の合理化という点について、私はしろうとでありますので、甲板から機関というようなものについての合理化がどうなっていくかということについては知りませんけれども、ただ、無線関係におきまする合理化、いわゆる自動化という点については、先ほど来お述べになりましたところの、たとえば天気図の受像装置、あるいは無線放送の定時受信装置、こういうようなものが自動装置になっていくということは明らかでありますけれども、ただ、こういうふうな無線自動装置というものは、海岸固定局におきましても、少なくともかなり人が見ておらなければ、これは空電、混信その他によって完全なものではない。こういう無線通信の自動化というものは、一般の陸上におけるところのものと違って、完全無欠な自動化というものはなかなか困難である。これは、要するに空界電波の状態からそういうことがいえるのではないか。だから、私の想像いたしますことは、たとえば天気図の受像装置あるいは無線放送の定時受信装置というものがありましても、これを操作いたしますところの無線通信士は、やはりかなりのこれに対する時間配慮というものを要するのではないか。ただスイッチを入れっぱなしにしておけばよろしいというものではない、こういうふうに私は考えておりますし、私の経験からもいえるわけでありますけれども、そういう点についてどういうようにお考えになっておるか。この点私はちょっと一般の船の構造の内部におきまするいわゆる自動化という問題と、この無線電波におきまする自動化という問題は、考え方を変えていただかなくてはいかぬのではないかというふうに考えておるわけでございますが、それに関する御意見をちょっとお伺いしたい、こう思うわけであります。
○古山参考人 お答えいたします。ただいま御指摘のありました完全無欠の自動化という話でありますが、私考えますのに、おそらく幾ら機械が進歩しても、人間以上の能力――人間によっても能力の差というものはだれしもあることでありますが、一般の人間の水準を越すような機械というものはまず考えられないんじゃないか、私はそう考えております。現段階においては、従いましてオートアラームにしても、あるいは受信装置についても、多少の問題はあると思いますが、まず実用的には差しつかえないんじゃないか、このように考えております。 それから、気象電報のことなんですが、私の経験だけで、ほかの一般的なあれではありませんが、まず台風が接近するとかなんとかいうときは、気象状況の変化が非常に激しいものですから、そういうときには、つまりそういった天気図あるいは気象のデータというものを即刻に、しかも短時間に知りたい、こういうようなあれでありますが、これが気象状態が落ちついておりますようなときには、大体ある程度の予測がつきます。従いまして、そうひんぱんにそういったデータを入手するまでは必要ないんじゃないかというように考えております。
○森本委員 私は海上のことはあまり知りませんので、平常の場合は、天気図とか気象情報というものをそう受信する必要はない、そういうことでございましたらまた別でありますけれども、私が申し上げておりますることは、私も電波関係にはいささか経験を持っておる者でありますけれども、これはたとえば通信におきましても、有線通信の自動というものと無線通信の自動というものは、およそ趣が違うわけでありまして、有線の場合は自動が明確に機械の通りほとんどいくわけでありますけれども、無線の自軟化というものについては、空間の混信電波という問題がはさまっておりますから、一般の有線の自動化のように正確にいくとは限っておらないということを申し上げておるわけであります。古山参考人はそういう点について御承知であろうと思ってお伺いしたわけでありますけれども、もしそうでなければ、私はここで電波局長がおりますので、私の今の発言に誤りがないかどうかということを一つお聞き願っておきたい。それはそういう点の自動通信というものにおきまする有線通信というものと、無線通信の自動というものとは、おのずから趣が違うものであるということを一つ御認識願っておきたい、こう思ってお伺いしたわけでありますが、一つ参考までに電波局長の見解を述べておいていただきたい、こう思うわけであります。
○西崎政府委員 確かに今、先生のおっしゃいましたように、無線の場合には不安定と申しますか、いわゆる空間の電波伝播という過程を通して通信をやる関係で、有線の場合といろいろ違った点があると思います。言いかえますと、自動ということにもおのずからそこに限界があるんじゃないかと思います。
○本名委員長 受田新吉君。
○受田委員 古山先生及び荒木先生に次の二、三点をお尋ねしてみたいと思います。 先ほどの御説明を承って、通信士の労働過重にもならないし、航行安全にも支障はないという今度の改正案に対する御意見でございますが、一方で金子先生、大内先生の御意見を聞くと、さにあらずというように意見が分かれているわけなんです。これは重大なことなんで、決して一方的に法案が強行されるべき性質のものでないことは、きょうの四人の参考人の御意見を伺っただけではっきりするわけであります。こういう基本的な改正にあたっては、できるだけ公平な角度から判断をして結論を出すべき性質のものでございますから、実際に船員を雇用されている船主協会の皆さん、あるいは一方では、直接運航に従事される船員の皆さん、こういうそれぞれの立場からの意見が調整されて後に、また学者、無線通信士の協会の皆さんの御意見等が十分調整されて後に、この法案は成立すべき性質のものであることを、きょうはまざまざと私拝見をしたわけなんです。これは非常に大事なことでございますので、一方的に法案が強行されて実施に移されるということになりま すれば、一方では、これをおあずかりする無線通信士の側では、非常に危険であるというお答えを出している以上は、よほどじっくり検討して、時間をかけて結論を出すという筋合いのものであるということを、きょうは非常に大きな教訓を受けたことをまず申し上げておきたい。 そこで、航行安全に支障がない、こういう御意見に対して、現行の国際運航についての日本の置かれている立場というものを考えてみると、諸外国のような艦船による補助的な役割を果たすものが日本にはない。すなわち、軍事的な通信の援助というものが期待できないという立場のお話があったわけでございますが、実際に船主協会側としても、また古山先生の学説の観点から、海技訓練の教育の立場から見られて、日本の置かれておる特殊事情というもの、軍というものを持たない特殊事情から、軍のあるいろいろな角度から見て、条件のよい国との間のそういう大きな間隙は、あなた方の側から見てはないのだという御判断でしょうか、これを一つ伺いたいと思います。
○古山参考人 お答えいたします。ただいまの御質問は、何か事故があった場合の救助問題に関連して、旧海軍のような、ああいう急遽出動して救助に向かうというような施設が考えられておるのじゃないか、こういうことだと思いますが、御承知のように、海上において船舶に事故があった場合には、お互いにこれを助け合うということが海上における最上の道徳でありまして、海軍力を云々というような問題ではないと考えられます。従いまして、相手が外国船であろうと何であろうと、救助に当たるように現在なっておるわけであります。ただ、問題は、先ほどからいろいろ出ましたように、そういったような危急の場合に、はたしてそれをキャッチして救助におもむけるような状態に現在なっておるかどうかということになると思いますが、そういう点につきましては、先ほど申し上げましたような次第です。
○受田委員 航行の安全ということは何より大事なことであって、長い航海の目的を果たす寸前にその目的をこわすような、人命を失うようなことになれば、その一事をもってしても大へんな事態が起こるわけですが、それを全然なくした立場に立って、無線通信士を減員しても一向差しつかえない、こういう結論を出しておられる立場から今お尋ねしておるわけであります。 今、大内先生のお話を伺ってみると、二十四時間常に通信はかわされておるわけですね。それが八時間勤務で二十四時間の通信関係の任務を果たすという形になるとするならば、その間に何かのミスが発見できる危険はないのでございますか。これはいろいろな角度から御検討をされておると思いますが、たとえば食事に行くとか、便所に行くとかいう場合もありますね。こういう場合のことも考えて御答弁を願いたいわけです。
○古山参考人 お答えいたします。今、当直中に云々というような話が出たのですが、御承知かと思いますが、これは通信士に限らず、航海士並びに機関士にいたしましても、一たん自分が当直に入った以上は、当直の場を去らないというのが大体原則でありますので、まずそういうような訓練を経てきておりますので、まあ途中で食事に行くとか、あるいは先ほど出ました便所に行くとかいうことは考えられないというふうに考えます。
○受田委員 八時間便所に行かないで済むわけですか。
○古山参考人 八時間と申しましても、八時間連続ということのように私は解釈していないのであります。
○受田委員 一人で八時間勤務する、それだから合計八時間になればいい、こういうお考えのようでございますが、実質的に二十四時間の全責任を負うことになるわけでしょう。そうじゃないのですか。
○古山参考人 お答えいたします。確かに二十四時間の責任を負うことになりますが、しかし、本改正案にありますように、オートアラームを備えれば、一応一名で八時間という線が出ております。この八時間というものは連続八時間という意味じゃありません。二十四時間中に八時間勤務する。これはいろいろな状況によって、ある場合には夜中に二時間やるというような状況も起こりますでしょうし、日中にやらなければならぬ、いろいろなことが起こるかと思いますが、いずれにしても一日に八時間という意味でございます。
○受田委員 私は非常に危険を感ずるのですがね。拘束されている時間が八時間、それから責任のある時間が二十四時間、こういうことですね。そういうことになるのですか、勤務拘束は。その関係をちょっと……。(森本委員「そうじゃないだろう。八時間勤務して、あとはオートアラームでやるということなんだ」と呼ぶ)その八時間勤務というのは、いっその八時間の配分があるか、情勢によって違うとおっしゃるのでしょう。ところが、オートアラームが今のように故障を起こしておって、入ってこないという場合には、どういうことになるのですか。
○古山参考人 お答えいたします。オートアラームの故障が起こった場合、これはなるほど考えられることでありますが、先ほど来申しましたように、従来そういったような例があまりないということであります。実は戦前は御承知のように通信士一名でありまして、そうして相当外国航路もやりましたのですが、実際にオートアラームによって人命を救助したということはありませんのですが、まずその故障というあれは聞いておりません。
○受田委員 今の八時間拘束勤務という――つまり連続八時間という場合あり得るでしょう、非常な事態の場合は。そういうこともあり得るでしょう。オートアラームによるとしても、八時間続いて勤務しなければならぬ場合もあり得ませんか。全然ないですか、それは。
○古山参考人 お答えします。そういう場合は非常な場合でありまして、と想像されます。非常な場合は、これは通信士に限らず、全般がもうそういったような時間とかなんとかに限らず、働かなければならぬものと考えます。
○受田委員 そこで今ちょっとお聞きしたいのですが、金子先生の今の御発言、また大内先生の御発言の中で、オートアラームの一回報告ということが義務づけられているが、その故障の場合には、それすらもできない、そのときは何ら指示をしてもらうことはないのだ、こういう点、指示することはないのですか。故障は、ああそうかということで聞き置く程度にとどまっているのですか。何かの指示措置はないのでございますね。
○古山参考人 先ほどそういったようなお話が出ましたのですが、故障したそのままかというのは、これは人によって多少違うと思いますが、まあ船長としてはちょっとおかしいのじゃないかというふうに私は考えます。
○受田委員 おかしいというのは、どういうふうにおかしいのでございましょう。
○古山参考人 もちろんそういった人命に関するような機器の整備ということは、その担当の通信士あるいは航海士にすれば、自分の担当の機器の整備ということはこれは当然のことでありまして、従いまして、そういったものに故障が起こった場合に、船長のそういった指示のあるなしにかかわらず、それを整備するのは当然であろうと思います。
○受田委員 そうすると、金子先生、大内先生、どちらでもけっこうですが、今の場合、規則には指示をする規定がない、報告を受けるだけとなっている。それから、オートアラームの故障ということは明美にないのだ、こういうことに対する御所見を伺いたいのです。
○大内参考人 海上人命安全条約並びに国内法である現行法の場合には、オートアラームは毎日航海中一回はテストをしましてその結果を船長または当直士官に報告しなければならない、こういうふうに義務づけられております。その場合、オートアラームの作動がよくない、機器の状態がよくない、あるいは故障であるという場合には、そのときは報告しなければならない。報告するだけが通信士の任務であって、あと、オートアラームも聞いておらぬ、人間も聞いておらぬ、こういう場合に、どうするかという船長の指示は、これは何ら法規に規定されていないわけです。私どもは、実際疑問に思うのは、そういう場合に、この機械は故障である、この機械はだめだということを船長に通告して、船長から何も指示がなければ、通信士の場合には、二十四時間責任があるわけですから、一人になった場合でも二十四時間責任が当然あるわけですから、その場合、ずっと続けて耳で聞くのか聞かないのか、その点は何ら規定がない。また、機械が長く故障した場合、一人ではとうてい不可能になります。そういう場合に、どういう規定によって、どういう措置によって救われるかということについて、私ども非常に重大な疑問を持っております。
○受田委員 これは運輸省の方の関係になるか知りませんが、そういう場合の措置はどういう工合に行なわれておるのでしょうか。
○若狭政府委員 オートアラームが故障した場合の措置についての御質問でございますけれども、オートアラームは、電波法によりまして人間の聴守にかえてこれを運用するということになっておりまして、もしそれが故障いたしました場合には、当然人間がそのかわりをしなければならぬことになっております。
○受田委員 労働基準法との関係はどういうことになっておりますか。
○若狭政府委員 これは非常の場合でございますので、当然例外的に時間外労働というような問題も出るかと思います。
○受田委員 大内先生の方は、そういうことになっておりますか。
○大内参考人 私どもは、どうしても日常の仕事は法規によって業務運用することになります。従って、通信士法であるとか労働関係の法規もございますけれども、私ども法規によってそういう場合船長に通知する。従って、オートアラームの故障の場合には、どうしても二十四時間聞かなければならぬという義務があるとすれば、その義務に従って私どもはへたばるまで聞かなければならぬと存じます。
○受田委員 いろいろ問題が残っておりますから、また後の委員会でお尋ね申し上げることにして、これは懸案として残しておきます。 参考人に質問を申し上げたいのですが、荒木先生の側から見られて、無線通信士の養成、また現にこれを一名に減らすことによって起こるところの転換措置、こういうことについては自信があるわけでございますか。
○荒木参考人 先ほど申し上げましたように、停年退職または他への転向というような自然減耗が相当ございますので、そういった面を考えまして、積極的に退職をしいるということはしないということに考えております。
○受田委員 乙種無線通信士を甲種に切りかえるという措置を計画されておるわけですね。その場合に、外航船舶から内航船舶への勤務がえということが起こりませんか。
○荒木参考人 そういった場合もないわけではないと思いますけれども、私たちが主として考えておりますのは、やはり外航に乗ったままで勤務ができるような体制にしたいという考え方でございます。
○受田委員 今、国立電波高等学校というものがありますね。その養成方針、定数、こういう問題、それから今、荒木先生でしたか、つまり未経験者の採用を便宜的にやるのだというお話が最後にあったと思うのですが、そういうような養成上において、また確保する上において、現実に非常な不安があるんじゃないですか。そういうことでなるべく人間を減らしていきたいというお考えがあるんじゃないですか。その点は、船舶通信士、無線通信士確保上の困難性からくる定数減というお含みがあるんじゃないかと懸念するのでちょっとお尋ねしておきます。
○荒木参考人 その面も絶無とは申しません。やはり会社によりましては、現在でも非常に困っているところもございますので、そういう面が絶無とは申しません。
○受田委員 内航船の場合、二級通信士が得がたいから三級に下げてでもやるというようないろいろな工面があるとも聞いておるわけですが、問題は、最初に金子先生が言われたと思うのですけれども、この定数を減らすということは、海運振興方策の中で、人員を減らして経済的に何かプラスになるようにしたいというような、そういうさびしい気持でおやりになるとすれば、これは私たち非常に問題があるわけですね。何かほかにほんとに納得できる理由が存在しておるというのならば、われわれとしても別に御協力申し上げるにやぶさかでないと思うのですけれども、単に海運行政上、今の深刻な海軍不況を打開するために、経費節約の面で通信士を省くのが一番いいのだ、そんなところへしわ寄せをされたのであれば、これはやはり問題が残ってくるわけです。その点一つ御答弁を願います。
○荒木参考人 先ほど申し上げましたように、海運界が立ち直りますためには、いろいろな面におきまして経営の合理化を行なわなければならないということで、人員の面だけでなく、他の面においても非常な努力をいたしてきておるわけでございますけれども、人員もできるだけ自動化を行ないまして、合理化された数の少ない人で運営するということを経営合理化の一環としても考えておるわけでございます。全体の合理化の一つの問題としてわれわれはこの点を考えておる次第でございます。
○受田委員 全体の合理化については、まだもっと急ぐ問題が先にあるんですね。根本的に国策で取り上げなければならない各種の問題がある。この通信士を減らすことによって労働過重には影響しないのだとおっしゃっておっても、先ほどからいろいろお聞きしていると、確かにいろいろなところで一括して一人で責任をお持ちになると、これは論ぜずして結論が出てくると思うのです。今の場合よりも労働過重になることは必然ですね。これははっきりしておるのではないでしょうか。
○荒木参考人 われわれはいろいろな措置を講じまして、労働過重にならないように努力したい、こう考えておるわけでございます。
○受田委員 その努力という期待的な考え方というものが、非常に危険であると私思うわけですが、テレタイプ・コンバーターなどが改善されておるから大丈夫だという御所見でございましても、現在の三人でも労働過重になっておるのに、それを現在は非常に楽だという御判断なんですか。
○荒木参考人 はなはだ卑近なことを申し上げて恐縮でございますけれども、甲板部、機関部の人たちから私が聞きます場合におきましては、いろいろアンバランスがあるというようなコンプレイトも聞きますけれども、しかし三人の輪番でやっておりますので……。非常にこれが労働が軽過ぎるということをここで申し上げるつもりはございません。
○受田委員 そうすると、これが三分の一に減れば、今でも軽過ぎるということはないとすれば、確かにまた過重になることは必然的に起こってくるわけです。 金子先生にお伺い申し上げたいのですが、現行制度による無線通信士は、今他の部から非常にアンバランスだというような意見がある、こういうお話が出たのです。船員の組合の皆さんとしてそんな御意見があるのでございますか。
○金子参考人 お答えいたします。さような事実はございません。私どもはきわめて民主的に運営されている労働組合でございまして、多数の意見を代表しているつもりでございます。従いまして、今、先生から御質疑のございましたようなことはございません。 それから、関連してお答えしておきますが、先ほどから人減らしの問題あるいは再教育の問題、首切り確保の問題等が荒木参考人から述べられ、先生として御意見がございましたが、私は海員組合の汽船部長であります。担当者の立場から、先生の御質問に、御理解を深めるために一点触れさせていただきたいと思います。 端的に申し上げますと、この案が早急にこのまま実施をいたされますと、海上におきましても、通信士自身の中におきましても、大きな混乱が起ころうかと思います。いわゆる二級通信士を一級通信士にするために、にわかに簡単に免状をとらせるという――今御努力という御意見がございましたけれども、最近の試験制度はますますむずかしくございまして、そういったところを政府当局者がすぐ簡単に資格を与えますという約束がなされるかどうか、きわめて疑問でございます。それから、やはり内航を専門にしておりまする通信士が、その経験を積みましてにわかに外航に乗るということも、これまた右から左に器用にできる問題でもございません。 最後に申し上げておきたいことは、特に本案を御審議願う先生方に御留意を賜わりたいことは、私どもは三から二を引いたら一残るという理解は、これは数字であります。本案の改正が、事と次第によりましては、三マイナス二はゼロになり得ることもある。逆に三マイナス二は三である。かかる数学でない数字は、やはり労働運動の実態としてあり得る。私どもはさようなことはしたくない。むしろ理解と納得の上に本問題が将来に向かって解決されることが一番望ましい問題であり、海運企業の現状から参りますると、先ほど先生御指摘の通り、この問題は、当面どうしても解決をしなければならない急を要する問題ではないということを重ねて明らかにし、諸先生方の御理解を賜わりたい、かように考える次第でございます。
○受田委員 一名の勤務者の場合に、その人が病気になる、事故が起こって補充することが航行中であってできないという場合に、どういう事態になるのですか。協会の荒木先生及び組合の金子先生、両方から御答弁願います。
○荒木参考人 お答えいたします。一人のときに病気になりますとゼロになるわけでございますから、そういう事態が発生しました場合は、やむを得ないので通信の疎通ができない、こういうことになると思いますが、そういう場合には一そういうことの起きないように健康状態等を考えて努力はいたしますけれども、そういう事態は物理的にあり得ることでございます。
○受田委員 非常に心配なんですが、あり得ることとなりますと、人間生き身でございますから、急に死亡する場合が起こることもあるし、重態に陥ることもあるし、負傷することもある。そういう場合には他から補充を期待できない。大洋航行中の船としてはめくらめっぽうになる危険がある、そういうことじゃないでしょうか。
○荒木参考人 あるいは気象通報等はファクシミルなどいろいろそれを補う方法をとると思いますけれども、そうい場合には通信はできない事態になると思います。しかし、それがために航行が不可能であるかといえばそうではないと思います。
○受田委員 私、心配なんですけれども、これはどうですか。航行不能になる、航行はできる、これは一体どちらなんでしょうか。つまり通信関係はもうめくらめっぽうになりますけれども、そうじゃないですか。これは組合の側の方と両方で御答弁願います。
○荒木参考人 通信機がなくなったからといって、航行が不能になるとは考えられません。いろいろなジャイロコンパスその他のものを持っておりますから、それで方位も測定できますし、航行が不可能になるということは考えていないわけであります。
○金子参考人 お答えいたしますが、二つの問題があろうかと考えます。それは航洋船につきまして、かりに荒木参考人が御指摘のように、船はコンパスによって動くことは可能かと思います。その場合に何マイル先に台風が来ておる、当方面の航海船舶はこれを避けよという警報が本船の頭上を幾たびか通過したとしましても、具体的に耳を持たない船舶は、そのあらしの中に突っ込むことは必然であります。それから内航に無線を持たない船があるではないか、こういう御意見もあろうかと考えますが、これは過般の海上航行委員安全審議会等におきましても、安全法一部改正のときにわれわれが指摘をしたわけでありますが、日本の沿岸は非常に海難が多い。これはそういったいろいろな気象関係もございますが、これらには、先ほど指摘しましたような無線電話を、非常にネットワークの完備したものを持っております。日本近海にはそれがない。従って、私どもは、今の日本の実態において、御指摘のようなことがありました場合は、それはきわめて船舶乗組員の人命に関する重大なる問題がくることは十分に想像されるということを明らかにしておきたいと思います。
○受田委員 これで質問を終わります。
○本名委員長 谷口善太郎君。
○谷口委員 時間が一時でありまして、皆さんもおなかがすいていらっしゃると思います。申しわけないのでありますが、こういうふうに参考人の方がお見えになるのはめったにございませんので、お互いにがまんをしまして、私はそういう関係から簡単な御答弁をいただきたいと思います。御意見などはあとでけっこうでありまして、そうであるか、そうでないかをお答え願いたいと思います。 オートアラームのことでありますが、これの性能につきまして、先ほどからそれぞれ議論がありまして、大へん意見の違ったものがここへ現われてきております。これは後にさらに検討を加えて私どもの判断にしたいと思いますが、古山先生にお尋ねしますが、オートアラームを作動する時間は何時間ですか。
○古山参考人 ちょっと御質問の趣旨がよくわからないのですが、オートアラームが何時間ずっと鳴り続いておるかということでございますか。
○谷口委員 そうです。
○古山参考人 警報が入ったときに鳴るわけで、しかもそのベルの音たるやものすごい大きな音でありまして、おそらく熟睡中の者が飛び上がるほどの音であります。
○谷口委員 それは警報が入ったときであって、現実に作動するのでありますが、その作動する条件を持っておるのは一日じゅう、二十四時間ではないのですか。
○古山参考人 二十四時間であります。
○谷口委員 これは二十四時間中いっそういう警報があるというふうにきまっておりますか。
○古山参考人 きまっておりません。
○谷口委員 つまり二十四時間中いつでも送信者があれば受信するという状態にあるわけですね。
○古山参考人 その通りであります。
○谷口委員 そうしますと、八時間の勤務時間以外に、そういう警報があった場合に、だれがそれを受けぬのでしょう。
○古山参考人 通信士であります。
○谷口委員 そうしますと、通信士は二十四時間そういう警報のあることをあらかじめ用意して、待機しておるということになりますか。
○古山参考人 待機ということでありますが、これまた待機という言葉は非常にむずかしいと思いますが、実際には先ほど来言われておりますように、あるいは一日二時間置きに八時間とかいうふうにワッチをやりまして、そうしてオートアラームが鳴ったときは非常事態でありますので、これはいわゆる当直に当たっていないときであろうと、何であろうと、すぐ配置につくというような格好になる機構になっております。
○谷口委員 私の伺っておりますのは、ベルが鳴った場合というのじゃなくて、二十四時間いつでもベルが鳴る可能性があるわけだから、条件があるわけだから、それに対して待機という言葉は少し言い過ぎかもしれませんが、少なくとも責任ある通信士は、二十四時間自由ではないということだけは言える、つまり拘束されているということは言える、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○古山参考人 さようであります。
○谷口委員 そうしますと、八時間の労働時間がありまして、それは勤務時間であります。これは裏時間などを考えていろいろ制度をつくるらしいので、二時間ずつ二時間ずつというやり方でありますが、しかし、少なくとも二十四時間全体、まる一日いつ鳴ってくるかについては、常にそれから離れることができないという拘束を受けている。これは労働基準法も御存じだと思いますし、船員法も御存じだと思いますが、船員の場合もはっきりと休憩時間というものがなければならぬ。休憩時間というのは自由であるということが法律上規定されておる。ところが、自由でない。常にそれに対して注意を払っておかなければならぬという、拘束の状態にあるというのは事実でありますね。
○古山参考人 常に注意を払っておるというような表現でございますが、休息時間は普通休息としております。休息中でも、そういった非常事態の場合、つまりベルが鳴りますようなときは、休息を妨げられるということであります。だから、常時休息していないのだという意味ではありません。休息がそういう事態の発生によって中断されるのだ、こういうふうに私は考えております。
○谷口委員 私は個々の現象を言っているのじゃないのであります。本質を言っているのであります。八時間の勤務時間、二十四時間の拘束時間ということになるとお認めになりますか、どうですか。(「むずかしいな」と呼ぶ者あり)むずかしいと諸君は言いますけれども、二十四時間いつ鳴るかわからないという状況の中にあって、その警報があった場合に、それに対してすぐ飛んでいかなければならぬという、そういう責任を持っているわけです。義務時間、労働する時間は八時間であるかもしれない、あるいはもっとそれより少ないかもしれない。しかし、二十四時間じゅうそういう立場に置かれているものが、労働基準法の上では拘束時間といっておる。こういうことは、さっき古山先生のお話では、昔は一人でやったのだということをおっしゃいますが、戦争中とか戦前とかいう時期は、労働基準法なんというのはなかったのです、今は労働者の権利として、働く時間以外は自由なんです。資本家と対等なんです。自由で何をやってもいいです。どろぼうしようが、女郎買いにいこうが勝手だ。それがない。これは法規の中でちゃんと明記されているが、いつ鳴ってくるかわからないというものに対して、責任を持っておるという立場に置かれている、これをそういうものだというふうにお認めになるかどうかということを伺っている。
○若狭政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、船舶に乗船中、他船に危険がある場合に、その救難を行なうという場合には、乗組員全員がそれに当たるということは、船員法によって規定されておるわけでございます。従いまして、単に通信士だけの問題ではございませんで、あらゆる船上にある者はすべて、休息時間でありましょうと夜中の就寝時間でありましょうと、救助におもむく、救助のために必要な措置を講ずるというのが船員法の述前でございます。
○谷口委員 押し問答してもしようがないが、あなたの言うことは私の言うことと違うわけだ。ベルが鳴ったらぐずぐずしておったらどこかの船が沈みます、自分のところがえらいことになりますから、これは船員法にあってもなくても一生懸命みんなやります。船員法はそういう状況を義務づけたものでありまして、前にそういう事実がある、危険だ、それ、みんなで一生懸命やれ、火事が起こったら、みんな関係がない者も行って消すのと同じです。私の言っておるのはそうじゃない。そういう条件の中で二十四時間、いつ鳴るかわからないという機械に責任を持った立場で、八時間勤務以外にもいるということ、このことは普通じゃない。あなただって、役所から帰ったら自由でしょう。しかし、地震でも起きたら出ていかなければならない。その自由があるかないかというと、通信士はないわけだ、ベルがいつ鳴るかわからない。鳴ってからでなくて、いつ鳴るかわからないという条件の中に置かれているということです。それは拘束二十四時間だというふうに、今の労働法の上からいったら、われわれの立場からいったら、新しい立場からいったら、そういうふうにわれわれは解釈するし、そういう概念があるわけだ。そういう中に通信士は二十四時間置かれるということをお認めになるかどうか。
○若狭政府委員 船舶に乗り組んでおります者の労働時間、それから拘束時間というものの考え方につきましては、陸上の労働の場合と非常に異なっておりまして、乗船しておるために労働時間外におきましてもいろいろな作業につくという場合もございますし、また具体的な作業の完了あるいは交代等の問題につきましては、船員法に詳細に規定いたしておるわけでございます。ただいま御質問のような緊急の事態、他の船舶が危難に瀕しておるというような緊急の事態につきましては、船長以下すべての乗組員がその救助のために必要な措置を講ずるのは当然のことでございまして、拘束時間であるとか、あるいは休憩時間であるとかというような観念をもって律すべき問題ではないと考えるわけであります。
○谷口委員 その答弁は無効ですよ。私はそういうことを言っておるのではない。それはわかり切っておる。私の言っておりますのは、そういう緊急事態がないにしても、緊急事態が幸いに一日も二日も、一週間も半月も一月もなかったにしましても、いっそういう事態があってオートアラームが鳴るかわからぬという状態が前提としてあるわけです。そういう場合には責任ある者として通信士が位置づけられているということは、八時間の労働時間以外に二十四時間そういう責任のある立場に置かれている関係になるだろうと言っておるのです。その点どうですか。そうじゃないですか。
○若狭政府委員 通信士の場合にはオートアラームが鳴りますと直ちに無線室に参りまして情勢を聞くということになるわけでございます。それから船長はその情勢に基づいて適当な指示をする。それによって各乗組員がそれぞれの持ち場につくということになるわけでございまして、単に通信士のみが拘束時間であるがゆえにオートアラームをいつでも気をつけて聞いていなければならぬということではなしに、乗組員全部がオートアラームが鳴るという状況に備えて準備しておるというのが現在の船舶の実情であります、従って、拘束時間というような問題については、乗船中でございますので普通の陸上の労働とは迷った労働法上の取り扱いをいたしておるわけでございます。
○谷口委員 そうしますと、その点から伺いますが、警報が鳴ったような場合には、通信士が聞き漏らして知らなくてもいいわけですか。他の船員が聞けばいいわけですか。
○若狭政府委員 オートアラームの警報は、船舶のブリッジとか、あるいは通信、長の寝室であるとか、もちろん通信室というようなところに警報が鳴るようなしかけになっておるのであります。これは具体的に申しますと、船舶全体の者に警報を発するというような趣旨でございます。従いまして、警報が鳴った場合には、どこで具体的にS ○Sが発信されており、どういう位置に船があるかということは、これはもちろん通信士が行って聞かなければならないわけでございますけれども、自後の措置につきましては、もちろん船長が陣頭に立って指揮をするわけであります。
○谷口委員 通信士が聞くという責任はないのですか。他の船員全体にあって、通信士は特別にそれに対して警戒心を持っていなければならぬ責任はないのですか。あるのですかないのですか。
○若狭政府委員 通信士はもちろんオートアラームが鳴った場合に通信を確かめる必要はございます。
○谷口委員 古山先生に最後に伺いますが、やはり通信士が責任を持って、二十四時間いつ鳴るかわからないという、そういう状態に必ず位置づけられるということは事実でしょう。どうでしょうか。
○古山参考人 そのいわゆる常時待機しておるという、精神労働といいますか、そういったものが、実際にあると言えばある、ないと言えばないということになるんじゃないかと思います。
○森本委員 これは二十四時間、オートアラームがいつ鳴るかわからぬ、鳴った場合には、これを聴守するところの義務があるかないかということを聞いておるわけでありますから、これは当然あるわけであります。それが違法であるかどうかという点については、これまた船員局長が答弁をしておりますように、労働精進法の除外例、その他の制限の執務規則その他から関連をしてやっていく問題であります。今言っておるのは、要するに、その義務があるかどうかということを聞いておるわけでありますから、当然義務はあるわけであります。論議はその次になってくるわけでありますけれども、現行の法律その他の規則においては、オートアラームが鳴った場合には、すぐ聴守する義務があるわけであります。これははっきりある、そういうことでありますね。
○古山参考人 その通りであります。
○谷口委員 時間がないので、次に移ります。 この委員会で、船舶の公衆通信につきまして、今の公衆通信は、たとえば船主がやる場合、あるいは船員が私信を打つ場合、その他いろいろの問題でずいぶんむだが多い。だから通信規制をやる必要があるという意見が出ております。そういうことを考えていられるかどうか。この点は船主協会の方に伺ってみたいと思います。
○荒木参考人 規制と言えば大げさでございますけれども、プライベートなむだな電報は、なるべく打ってもらいたくないという趣旨で考えております。
○谷口委員 プライベートなむだな電報がたくさんありますか。
○荒木参考人 ちょっとむだというのは言い過ぎですが、プライベートの電報はできるだけ遠慮してもらいたい、そういうふうに考えております。
○谷口委員 そうしますと、船員は普通の国民よりも迷った通信上の制限を受けるということになりますが、この点は船主協会は慰めておられますか。
○荒木参考人 これは、御存じのように、会社の業務、船の業務のために設置したところでございますので、それを第一義に考えるのが筋ではないか、こう考えております。
○谷口委員 大内さんに伺いますが、従来そういう立場で、船員諸君の個人的な通信をやってはならない、あるいはやる施設ではないんだという立場が認められておりますか。
○大内参考人 私どもは、船舶無線局が公衆電報取り扱いの指定を受けますと、公衆電報取り扱いについては、その内容のいかんにかかわらず、受け付けなければならぬ。電報の中身は何であろうと、そういうことはわれわれは介入することはできないし、判断することもできないことになっています。従来今まで船長が持ってくる業務上の電報、気象電報と、乗組員の持ってきます一般乗組員の私信と分けますと、半分くらいの程度になるんじゃないかというふうに私どもは思っております。これは国際的にいっても、公衆電報はどんな国においても、乗組員であろうと、お客さんであろうと、何ら区別することなく受け付けて平等に扱わなければならぬというふうになっております。
○谷口委員 電波管理局長に伺いますが、電波監理局の場合、公衆通信に対して制限ということは前提になってきますか。
○西崎政府委員 なっておらないと思います。
○谷口委員 その点はよくわかりました。そうすると、船主協会の考え方は、船主協会の利害のために、一般国民の憲法上の権利を制限しようという立場に立っていることは明らかになりました。 次に、気象観測の問題でありますが、本委員会で気象庁の和達長官を呼びましていろいろお尋ねしました。ところが、和達さんのおっしゃるのでは、現在の法律が万全に実施された、すなわち、経過措置が終わった後は、気象観測上最も大事な午前三時の基本時間の通信がだめになる、二十一時の通信時間もほとんどだめになるだろう、こういうふうに言っております。従って、特別にある船と特約しまして、三時、二十一時の気象通信を集めるようにしたい、こういうふうに言っておりますが、さっきのお話では、法改正になっても、ほとんど影響はないだろうというお話があったように思いますが、これはいかがでしょうか。
○荒木参考人 先ほどお答え申し上げましたのは間違っておりましたので、訂正さしていただきます。 電報の扱い方の問題でございますが、会社の業務上の電報を必要最小限度にとどめるようにという指令でございまして、プライベートの電報を制限する指令は出しておりません。
○古山参考人 ただいま気象観測の回数が少なくなるというようなことで、気象庁の方でほしいデータが集まらないというお話でありますが、私が先ほど申しましたのは、そういった点でありませんで、船の方から受ける場合の気象についてはこうなんだというようなことであります。
○谷口委員 日本の気象観測は、きょうは気象庁の方がいらっしゃいませんので触れませんが、現在までの状況では、日本の外航船からくる逓信が、気象観測上の非常に大きなデータになっておるようであります。和達長官の話では、午前三時の基本情報がだめになるということは、非常に重大な支障を来たす、こう言っている。なるほど、船や船会社の側から言えばどうでもいいかもしれません。暴風雨になり、すぐ船に影響するということでないと、一般の気象観測はどうでもいいということになるかもしれませんが、そういう役割を現在の船舶は果たしている。日本全体の中で気象観測上非常に重大な役割を果たしている。このことに支障を来たすということを気象庁長官が言っている。そういう点は皆さんどうお考えになりますか。
○荒木参考人 全然影響がないとは申しませんけれども、日本で要求されている数は外国よりも非常に多いものでございますし、いろいろ科学技術が進んで参りましたので、気象のデータ収集方法も進歩していると思いますが、われわれしろうとの側から見まして、そう影響はないのではなかろうか、われわれしろうととしてはこう考えておるわけでございます。
○谷口委員 気象庁長官は、影響があるので、この法律が改正されて通った場合には、あらためて特別に船との間に特約をする必要があるということを言っておられるわけです。あなたはしろうとであるかもわかりませんが、私もしろうとでありましてよくわからないのでありますが、専門家で責任者の一番えらい人が困ると言っている。そういう点について、困るならばどうだろうという問題としてお考えを伺ったわけで、あなた方は、困るかもしれぬけれども、おれたちは知らぬのだという御意見であれば、それも一つの意見でありますから、それでもけっこうであります。
○荒木参考人 しろうとでございまして、先ほど公述のときに申し上げましたように、そう大した影響はないと思いますけれども、その点はわれわれとしてはしろうとでありますから、それ以上のことは申し上げられないのでございます。
○谷口委員 時間がありませんから簡単にやりますが、それではこの法改正の最も根本的な要請といいますか、その原因はどこに目的があるのでしょう。これは船主協会の方に伺います。この法改正をやるということについての非常な御要望があるのはなぜでしょう。
○荒木参考人 いろんな面に経営の合理化を進めておりますが、この定員の合理化も、経営合理化の一環としてぜひ実現さしていただきたい、こういうのでございます。
○谷口委員 経営の合理化といいますと、もっと端的にわかりやすく言うとどういうことでしょう、経費の節減でしょうか。
○荒木参考人 そうでございます。
○谷口委員 これもこの委員会の質疑応答の中で出たのでありますが、三十六年の下半期のデータで、少し古びていて気の毒だという政府側の答弁ですが、三十六年下半期五十六社、外航運輸のほとんどすべてをカバーしている数であります。これの船員費が百二十四億五千四百万円、営業費の約九・八%、こう言っておる。そうしますと、この百二十四億円という船員費、これを約一〇%といたしますと、営業費全体をこれから推算していきますと、千二百五十億ということになります。この中から三人を一人にしてどれだけの経費が浮きますか。
○荒木参考人 今ちょっと正確に各会社の分を集計して、どれほどになるということをお答え申し上げる数字を持っておらないわけでございますが、まあどのくらいになるかというと、一人につきます経費をいろんな施設費その他から勘定いたしまして、われわれが計算しております場合は、船の一生に換算いたしまして一千万円、こういうふうに考えておりますので、たとえば十八年の船といたしまして一千万円を十八で割った分だけが経費節減になる、こういうふうな大ざっぱな数字でございまして、そういう勘定になります。それを数にかけた数字で、ちょっとトータルの額は御返答申し上げられないのでございます。そういうことでございます。
○谷口委員 一千万円ですから、通信士を、三人を二人減した場合幾らになりますか、計算すれば出ると思うのですが、一隻について一千万円の経費節減になりますか。
○荒木参考人 一般に申しておりますのは、船の一生ですね、十八年のライフで勘定しますと、船員を一人減らすことができるとすれば、その船の運航しておる間じゅうの経費の節減は一千万円というふうに俗にわれわれは申しておるので、大体その辺の見当だと思います。
○谷口委員 まあ営業費全体を千二百五十億、これは私の推算でありまして、正確な数字ではありません。船員費が百二十四億だといわれます。それが約九・八%だ、ですから一〇%と見まして、もっともこれよりもっとよけいになるかもしれませんが、こういう中から船舶通信士、これは船員の中の一割にも満たないわけですね、三人ですから。そのまた三分の二だけ減して、それで非常に経費が節減されて国際競争力がつきますか。
○荒木参考人 経費節減は、一項目で非常にたくさんの金額を出すというわけに参りません、いろいろな面にきめこまかく経費節減の問題を取り上げていかなければなりませんので、それが総合して全体の経営合理化になるものと考えてやっておるわけでございます。
○谷口委員 大体、造船計画は政府資金ないしは市中銀行から金を借りてやっていられますが、現在のところ、戦後の造船の上で、どれくらい海運業者は借金を持っておりますか。
○荒木参考人 現在借入残が三千億程度になります。
○谷口委員 それは、政府の財政資金からと市中銀行からとの借りている残高ですか。――ここに、これもちょっと古いのですが、船協海運年報、これは六一年度の年報ですが、ここでは財政から千五百五十四億、市中から千百六十八億、合計二千七百二十二億となっております。もっともこれはその後にもっとふえたと思いますから、今おっしゃっている三千億をこえると思いますが、その利子は年間幾らぐらいになりますか。
○荒木参考人 二百四、五十億だと存じます。
○谷口委員 それは財政投融資からの分と、それから市中銀行を合わせてですか。
○荒木参考人 両方でございます。
○谷口委員 自己資金でつくられた船があると思うのですが、自己資金はこの十八年間にどれくらいありますか。
○荒木参考人 ちょっと正確に覚えておりませんので、必要がございましたら、あとから資料をととのえて差し上げたいと思います。
○谷口委員 この年報を見ますと、政府及び市中銀行から借りました二千七百二十二億に対して、自己資金の造船は約一千億であります。大体そういう割合ですか。(「そういうことはあとで政府に聞けよ。」と呼ぶ者あり)
○荒木参考人 大体その辺だと思いますけれども、若干情勢が変わっておりますので、その通りだと申し上げられませんが、船主協会としては、そういう問題を責任を持ってお答えし得る立場にないと思いますので……。
○谷口委員 岡田君が、そういうことは政府に聞けと言っておりますが、私は特に船主協会に聞きたかったわけなんです。 大ざっぱな言い方をしますが、大体四分の一は自己資金だと思っていいのじゃないかと思います。ところで利子ですが、皆さんの出していらっしゃる年報によりますと、三十五年度上半期の統計ですが、全産業で平均利子は三・五二%、鉄鋼業では五・五六%、石炭は五・〇五%、ところが海運業は一一・二〇%というのが利子の割合であります。これは大体そういろ状況ですか。
○荒木参考人 若干低下しておると思いますが、大体その辺の見当だと思います。
○谷口委員 この利子補給その他の問題は、大いに政治問題がありまして、お聞きしたいと思ったのでありますが、時間がありませんからなにしますが、いずれにしましても、いまだ海運業者は、人の金で船をつくっているということは言えるじゃないですか。自分の金が三分の一しかない。それに三倍近いものを人に借りておる。それで利子を出してやっている。その利子が実に二百何十億だ。船員費の倍かかっていますね。あなた方は、人の金で船をつくって、商売をやって――借金してやっておって、自分の金を出さぬ。そして非常に困るような状況になったからといって、気象観測の上でも非常な大きな欠陥をもたらす、労働者は二十四時間拘束するという非人情なことばかりやって、それでもって合理化と言っておる。人のふんどしで相撲をとっておる。人の金でやっている。そして労働者にしわ寄せをする。国民の幸福に対して、わしは知らぬと言っておる。これは何です、というふうに私は思いますが、いかがですか。
○荒木参考人 借入資金に相当多くの部分を依存しておることは事実でございますけれども、戦争によって懐滅せられ、戦時補償を打ち切られました海運が、日本の経済の要請に応じまして急速に回復いたしますためには、借入金に依存してでも、とにかく日本の必要とする物資の輸送に懸命の努力を尽くすということは、われわれの当然の責務であると考えまして努力してきた次第でございます。
○谷口委員 私はこれでやめます。その心がけはよろしくないのです。戦争に協力した、それで大手を振って、新しい労働者の権利を踏みにじっていこうという態度――さっき私はあなた方の話を聞いてびっくりしたのですけれども、われわれ船会社からいったらこうであって、気象観測上の問題は問題はない、しかし日本の気象観測がどうなるかわしは知らぬと言う。労働者の公衆通信の上に――あなたはこれは間違って言ったとおっしゃるけれども、あなたの考え方は、まことに歴然と出ている。労働者のことなんか、基本的人権を踏みにじってもかまわぬという考え方なんです。そういうやり方で合理化をやろうとしていることだけは、きょう非常にはっきりしました。ありがとうございました。終わります。
○本名委員長 安宅常彦君。
○安宅委員 ただいま谷口さんからお話がありましたように、なるほどそういう悲壮な覚悟で、あなたの方では日本海運に寄与したというふうに荒木さんは言われたのですが、政府は海運事業に対しては、若干でありますが、利子の補給もやっておるし、今度は利子猶予の法案も出す情勢にあるのです。そこまで援助を受けておるのですから、あまり労働者に過酷なことをやらないで、プライベートの通信を――ラブレターを出したい人もいるのだから、そいつまでだめだというような、わけのわからないことをしてまでやる、こういう考え方は、改めてもらわなければならぬということを前提にして、私は非常に強くあなたに考え方を改めてもらわなければならぬじゃないかと思っておるのですが、なるほどそういうことについては、ちょっと行き過ぎであったかなというふうなお気持は現在ございませんか。
○荒木参考人 先ほど御訂正申し上げましたように、先ほど申し上げたのは誤りでございました。
○安宅委員 それは、法規を教えられて、誤りであったということがあなたはわかった、法律を知らなかったものだから、無線機というものは会社の品物だから、無線局を開設しているということはうっかり忘れてしまって、会社のものを通信するのがあたりまえであって、船員が通信するのは間違っておるというふうに考えておったんだが、法律をあとでこそっと教えられて、なるほどこれはしまったと思って、誤りだと言って訂正したんじゃないですか。そうじゃないですか、ほんとうのことを言えば。
○荒木参考人 誤っておったから訂正したのであります。
○安宅委員 誤っておったことはわかりました。そういうことは別として、基本的な話が出たのですから、私はもう詳しく何だかんだ言いたくはありませんが、先ほどちょっとオートアラームのことで、作動しない場合には通信士が二十四時間勤務しなければならぬ、そのときには超過勤務を支払うことがあり得る――どなたでしたか答弁されましたが、それは船員法からいって間違いじゃございませんか。払ってないんじゃないですか。払う方法がないんじゃないですか。
○若狭政府委員 私の申し上げましたのは、二十四時間連続一人の通信士が聴守するということを前提に申し上げたわけではございませんで、故障が起きてそれが直らないという場合には、もちろんその通信士はまずその故障の修理にかかるわけでございます。その勤務時間中に修理ができなかった場合には、当然時間外労働という問題が出てくるだろうと思います。もちろんその場合に、船の上ではどうしても修理できないという場合もあるかもしれません。そういう事態も考えなければなりませんけれども、それは非常の事態でございますので、船長の指示に従って措置をきめていけばよろしいというように考えるわけでございます。機械の故障でございますので、必ずしもオートアラームの故障という問題だけではございません。機関部にももちろん故障はございますし、また無線機械自体にも故障があるわけでございますので、それらと同じようにお考えいただけばよいと思います。
○安宅委員 そういう答弁ではだめなんですよ。これは大内さんにお聞きいたしますが、こういうことなんです。大内さんの主張は、オートアラームというものは作動することになっているのだけれども、距離が遠かったり、混信があったり、電波の陰があったり、あるいは指向性の問題があったりすると、遠いところは作動しないところがあったり、近くても動かなかったり、信用が置けない、こういう意味なんですよ。よろしゅうございますか。だから、そういう信用が置けないという――信用ということはどの程度までかということになりますと、実際は、ちょうど、そばで海難事故があったとしても、それでもって船の沈没を免れたり、あるいは人を助けたりしたことは今までなかったというのですから、信用が置けないというのですが、これで国際水準には達している。さっきの局長の答弁だって、国際水準とは何かというと、鳴るか鳴らないかわからないのが国際水準なんです。そうでしょう。電波の陰や何かで鳴るか鳴らないかわからない。陸上みたいに、理論的には、この機械を据え付ければ、何百キロなら何百キロ、何千キロなら何千キロ、何万キロなら何万キロから発したものは、有線の場合には必ず聞こえるはずになっておる。無線の場合にはそういかない、だから信用が置けない、こういう前提に立って私は質問しているのですから、間違いのないようにして下さい。そうすると、鳴るだろうと思っているのですから、寝てしまう。これは鳴るか鳴らないかわからないのですから、故障だということを無線通信士の諸君から言われれば故障でもあるし、故障でないと言えば故障でもないのですから、あとは寝てしまって、海難が起きてもどうにもならないということであって、超過勤務手当を支給してなんかやるということはあり得ないんじゃないですか。
○若狭政府委員 オートアラームは、一日一回テストをすることになっておりますので、それで十分作動するかどうかがきめられると思います。
○安宅委員 テストをして――ここで論議が分かれるのです。テストをすると、故障はないことになっておるのです。だからあなたの方では、故障はほとんどない、こう言うのです。ところが、テストをしても、鳴るべきはずのが鳴らない場合がたくさんあるということを、外国の船舶の船員に聞いてもみんな言っておる。今までの経験では、日本の船に乗っておる通信士もみんな言っておる。ほんとうは鳴らなければならないのが、鳴らない場合が今まで非常に多かったということを現在証明しておるのです。ただ、それをどういうふうに電波局長が言っているかというと、そういう場合もあるけれども、しかしそれは国際水準でございます、ただそれだけです。そうすると、大内さんが言ったように、これはテストをした、いいあんばいにいくだろうと思っても、鳴らなかったという場合がたくさんあって、これは信用ができない、こういうことになる。だから実際に、今度は故障だといった場合に、百歩譲って、私は質問してみたいと思うのですが、故障だというふうに断定して、そうした場合には、無線通信士が一晩でもがんばってなければならない、航海は何日も続く、そうした場合には、船員法によっても当直をする人の労働時間というのは、きっちりきまっています。そういう場合に、超過勤務を、その制限を越えて、休息を越えても、何でも船長は命令することができる、こういうふうになっているのですが、そういう場合のはっきりした週何時間という以上の超過勤務労働というものを、船長の権限でも命じ得られない場合が出てくるんじゃないですか。その日は故障だった、次の日は回復したということであればいいけれども、ずっと故障であった場合、これはどうなります。二週間も海のまっただ中におるのですからね。
○若狭政府委員 その故障がとうてい船上では処理できないものというように判断される場合には、船長の命令によって休止するということになると考えます。
○安宅委員 では大内さんにお伺いしますが、そういうことにはなっていないとあなたは言いましたね。つまり船長に報告するだけだ、そこの法律関係は――専門家であるあなた、実際やっておるのですから、どういうことになっておるのですか。船長の命令として休止することがあり得るのですか。ちょっとそこのところ……。
○大内参考人 先ほど申した通り、船長に報告します。船長が、報告してもこれはむだである、それを報告した場合、その船長がどういう指示をくだして、どうするかということは、現在の規定には何もないわけです。もしそのまま、たとえば外国の港に入る、やはり外国にも検査官というものがおりまして、その船が、海上人命安全条約によって規定の設備をしているかしていないか、役に立たないオートアラームであれば、やはり出航停止だとか何とかということはあり得るだろうと思います。ただし、航海中故障だった、使いものにならぬといって船長に報告して、あとどうするかは、どういう指示をするかということとは、現在では何もないのですから、私ども不安があるわけです。
○安宅委員 そうしますと、ただいまのあなたの答弁と違いますな、実際にやっておる人と。船長が、オートアラームが作動しなかった場合はこうしなければならぬという、どこにも規則も法律も何もない、こういうふうに現場の人は言っているのですが、あなたはあると言われるんだが、それはどういうところが違っているのでしょうかね。
○若狭政府委員 私は船員局長でございますので、船員法の解釈について申し上げますと、船舶の乗組員の労働についての指揮というのは当然船長にあるわけであります。従いまして、オートアラームが故障で、どうしても鳴らないという状態になった場合には、それを休止したまま次の港に行きまして、これを修理するということを当然船長が命ずるわけでございます。そういう事態によって、すべて労働時間の関係も、それから機器の整備という問題につきましても、処理されていくわけであります。
○安宅委員 そうすると、超過勤務をそういう場合に命ずる権限は船長にある、こういうことですか。それは、法律的な根拠というのは、向こうの大内さんもないと言うのだから……。あなたから見ればあるのですかね。
○若狭政府委員 当然ございます。
○本名委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見を承りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表し、厚くお礼を申し上げます。 午後は二時三十分から再開することとし、この際暫時休憩いたします。 午後一時四十四分休憩 ――――◇――――― 午後二時五十九分開議
○本名委員長 午前中に引き続き会議を開きます。 電信電話債券に係る需給調整資金の設置に関する臨時措置法案を議題として審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。栗原俊夫君。
○栗原委員 この法案につきましては同僚委員からかなり質疑が行なわれて明らかになっておりますので、二、三納得のいかぬ点を質疑を行なって明らかにして参りたいと思います。 まず法案の第一条でありますが、第一条の中に、その需給の調整及び価格の安定に資するために資金を設置すると書いてありますが、債券の需給の調整とは一体どういうことなのか、この点を一つ次官から明らかにしていただきたい、かように考えます。
○岩元政府委員 お答え申し上げます。 大体この債券は、法律によりまして、加入者が義務的に引き受けるといったようなことになっておるわけでございますが、市場に出まして債券価格の問題にも関連して参るのでございますが、その流通を円滑にする。結局売りたい人、債券を手放したいという人と、それからそれを購入したい、これはその通りなんでございますが、結局そういった需給のバランスがとれませんことには、価格の安定も期し得ないといったようなことでございまして、価格の安定を期待するために、需給のバランスをはかる必要があるということでございます。
○栗原委員 どうもわからぬ。端的に言って債券がこれ以上下がっては困るというような価格を規定して、その価格を守っていこう、こういうことなんですか。需給の調整のためにやろうとするのですか。
○岩元政府委員 この法案の目的が、債券の価格を安定させまして、第一次取得者である加入者の保護をしようというのが目的であるわけでございます。そういった意味から需給のバランスをとる必要があるということなのでございます。
○栗原委員 それではお尋ねしますが、価格の安定というその価格は一体どこでとらえようとしているのですか。個々に取引するのも価格であろうし、市場で形成される価格も価格でありましょうが、一体安定しようとする価格はどの価格なんですか。
○岩元政府委員 取引市場における価格でございます。
○栗原委員 取引市場における価格、そうすると、その価格は上限と下限とあるわけですが、需給の調整と価格の安定、こうからめて考えると、まあ下限で買い上げて上限で売り渡す、こういう印象を受けるのです。下値の方は下値をささえるという意味で買い出動ということもありましょうが、上値の方は、値が高くなって売り渡して値を少し下げようという考え方が少しでも入っているのですか。
○岩元政府委員 この資金の設置の目的が、先般から申し上げますように、債券市場の操作ということではございません。第一次取得者である加入者の保護をはかるということが目的でございますので、そういったこの資金の目的を達せられるような運用をするわけでございますので、必ずしも最高価格を操作するといったようなことはないと存じます。
○栗原委員 そういたしますと、今のお話の中から伺えますことは、第一に調整割当という形をとるのであるから、第一次取得者がこれを手放すときに、不測の損害を及ぼすようなことがあってはならないから、これを保護するのがまず節一の目的なんだ、そのために、第一の取得者が売り放すその価格というものをどこで見るかといえば、市場の価格とにらみ合わすのだ、こういうお話でございます。そこで、そうなれば、第一次取得者の持った債券というものは、市場価格で手放せればそれで目的は達する、こう理解していいのですか。どうなんですか。
○岩元政府委員 この資金の運用の問題でございますが、債券市場における価格が一定価格を下回りましたような場合に、この資金を発動して買い上げるというわけでございます。市場価格が一定価格以上であれば、もちろんこれは買いに出る必要はないわけですが、以下に下がりました際に、これに買い出動するということになるわけでございます。
○栗原委員 そうすると、たとえば五十円で売り出したものが、一定価格というものはどこできめられるかということはあとでお尋ねしますが、かりに四十円としましょう。ところが市場価格が何らかの事情で四十円を割ったというときに買う、こういうことなんですが、一応四十円なら四十円を何とかささえようとする価格としてかりに定めたとすれば、そういう市場価格を割った場合に買い出動する、こういうことなんですか。どこへ買い出動するのですか。
○岩元政府委員 市場価格が一定価格を割りました際に、原則として大体買いに出るということになると存じますが、しかしどの辺で買うか、これはそのときどきのいろんな情勢があるかと思いますので、そのつど買い入れ価格というものはきめなければならないだろうと思っております。
○栗原委員 私の質問とあなたの答えは違っておる。どこへ買い出動をするのかというのは、市場へ買い出動をするのか、あるいはこっちで――市場ではそういうことになっておるけれども、わが方では第一次収得者に限ってはこういう値で買いますよと言って、ほかで買うのか、市場で買うのか、こういうことを聞いておるのです。
○岩元政府委員 これは第一次収得者の所有債券を買うわけでありますから、電電公社から証券業者に委託をしまして、それで証券業岩が第一次取得者から買い上げるということになると思います。
○栗原委員 まだその一定値段というものを聞いておらないから、なかなかむずかしいのですが、それでは一定の値段を少し掘り下げて聞いてみましょう。一定の値段というのは、一体基準値段、大臣が大蔵大臣と協議して認可した基準価格、こういうことなんですが、それは具体的にはどんなところなんですか。利回り計算から利回りが幾ら以上になった。額面が下がれば利回りは上がるわけですから、そういう計算が一番妥当なんではないかと、私はひそかに実際やるとすればそうだと思うのですが、どの辺へ定めようとしておるのですか。
○岩元政府委員 大体どの辺に一定価格をきめるかということでございますが、負担法当時の負担と著しく均衡を失しないような程度まで債券価格がなりました場合に、大体そういった負担法のときと同程度の負担、具体的に先般からいろいろ前の委員会でもお話が出たのでございますが、大体級局によって価格というものは迷うわけでございますが、大体八〇%ないし七〇%くらいのところになるであろうということでございます。
○栗原委員 これは具体的に価格関係から言うといろいろな場面が出ると思うのですよ。だから、押えるならば、金利関係というものがあるのだから、要するに銀行の定期の金利を上回るような高金利にまで価格が下がった場合にはどうするとかなんとかというやり方をやらぬと、具体的に何円々々という表示では、商売はできぬと思うのですよ。その辺は考え方はどうなんですか。そして、その負担法当時のやり方というのは、実を言うと僕にはよくわからぬのですが、それをちょっと具体的に説明して下さい。そしてそれは利回り関係からいうと、どんな利回り関係の負担をさせられたのか、こういうところをちょっと明らかにしてみて下さい。
○岩元政府委員 第一次取得者がいろいろな関係で資金がほしい、換金したいというようなことでお売りになります際に、ある程度加入者の犠牲があるわけでございます。債券価格は結局額面より下回っておるというのが通常の状態でございますので、ある程度の負担があるわけでございますが、それが、負担法当時の負担と、それから現在の拡充法によって債券を義務づけられておるわけでございますが、現在の負担と、それがそうバランスを失しない程度の価格、そういったような考え方でございます。
○栗原委員 そういう説明は一応わかっているのですが、たとえば今でも強制割当する債券は無利息じゃないですわね。無利息で債券を売るというわけじゃないでしょう。そして通常公募できるないしはそれに準ずるような金利をつけて債券を持たしておる。しかし本人はそれを持ち切れなくて、これを金にかえるということで安く売る。安く売るということは、今度は逆に言えばえらい高金利になるような金額で売り放していく、こういう形になるわけですよ、二次取得者にとってはね。それをどの程度のところまで見て、これ以上損をしてまで売るというその線を金利でどう押えていくか、こういうことを私は聞いているわけなんだが、それが要するに加入者負担という時代の加入者負担の負う面とにらんで、こう言うのだが、加入者負担というのは、加入者が黙って金を負担して出しっぱなしになったのでしょう。それはそうじゃないのですか。加入者負担というのは僕にはよくわからぬのだ。加入者負担時代の加入者の負担と均衡を失せぬようにと、こう説明してくれているのだけれども、私にはその加入者負担金のときの加入者負担分というのがよくわからぬので、その点をちょっと説明して下さい。
○井田説明員 公社の方からちょっとただいまの監理官の説明を補足させていただきます。臨時措置法のときには、御存じの通り負担金で公社の方にいただき切りの部分が非常に多いのでございまして、それから債券の引き受け部分が拡充法に比べて少なかったのでございます。具体的に申し上げますと、中京、大阪等では債券が六万円、負担金が三万円でございました。これが拡充法では債券が十五万円になる、設備料が今度は二万円というようなことになったわけでございます。そこで、私どもが買う出動をする一定の価格の基準を考えるにあたりましては、この拡充法の制定の経緯から考えまして、臨時措置法のときのお客様の負担との均衡、こういうことを考えまして、それより重くお客さんに御迷惑をかけるということになっては相ならない、そういうことで大体拡充法の制定のときを考えますと、利付債が八十四円、割当債が四十円でございましたので、そのときのことを考えまして、大体七、八〇%、こういうふうに考えておるわけでございます。
○栗原委員 ややわかったような気がしますが、そうすると大体七、八割程度、ほんとうに債券に払い込んだ具体的な金の七、八割程度までは、かつて負担金の分に相当する値下がりだ、こういうような計算をするわけですね。そうすると、それは金利の面からいうと、今の発行した債券のやり方で、金利ではどのくらいの利回りになるのですか。そこまで下がった価格で利付債なり割引債なりを買えば、第二次取得者が手に入れた場合に、どういう利回りになりますか。
○奥田説明員 私今先生の御質問がございましたので、ちょっと計算をやってみたのでございますが、先ほどからのお話は、負担法当時というお話が出ておりましたので、当時六分五厘で八円の価格をいたしておるといたしますと、大体一割五分の利回りになると考えます。
○栗原委員 これは少なくとも市場では、そういう高利回りになるまで――屋台骨のしっかりした公社であり、そして経営陣もしっかりしている公社の公債が、そんな利回りになるまで少なくともオープンで開かれている市場で下がるなどということは、おそらく考えられないと思うのですけれども、やはりそういうことを心配しながら、こうした需給資金を設定しなければならぬ必要がはたしてあると考えておるのですか、この点は監理官どうです。
○奥田説明員 ちょっと訂正さしていただきます。先ほどの計算を誤りました。申しわけございません。一割でございます。大体六分五厘で一割でございます。それから七分二厘にいたしますと、八十円で一割一分五厘くらいに相なります。どうも失礼申し上げました。
○栗原委員 今公社当局の方から話があった通り、六分五厘では一割の利回り、七分二厘なら一割一分の利回り、こういうことをおっしゃっておるのだが、少なくとも天下の電々公社のりっぱな経営陣を持った社債が、こんな高利回りになるまで――やみでもって相対でやるなら話は別だけれども、堂々たる天下の証券取引所に上場されて取引しておる中で、こんな利回りになるところまで値が下がるだろうか。ほかのものが金利がべらぼうに上がってきて、金利の情勢が一切変わってくれば別として、少なくとも市中銀行の定期預金が六分だというような段階の中で、こんなところまで公社の社債がたたかれて、そういう心配があるから調整資金を設定しなければならぬのだというような理由を、ほんとうに腹の底から感じておるのですか、どうなのですか。
○岩元政府委員 本電信電話債券というのは、これは御承知の通り義務的に引き受けをさせられている。従いまして、全国的に流通しているわけでございますし、それから額面も比較的小額である。そういったことから、やはり部分には値下がりするということも考えられないことはない。それから、この需給調整資金が設定されるに至りました経緯からいたしまして、おととしの秋に相当暴落をした。そういったことから、やはり加入者保護のために、万一の場合にはこういった調整資金を発動して保護をはかるというような趣旨から、この資金が設置をされているわけでございまして、将来、一昨年の秋みたいな暴落があり得るか。これは将来の予測でございますから、何とも申しかねるわけでございますが、万一そのような場合が起こりましたら、やはり加入者保護をする必要がある。そういったことから、この資金の設置をお願いしているわけでございます。
○栗原委員 それでは重ねてお尋ねしますが、要するに金利政策とか、その他日本の経済界の状況の中で、単に公社の社債だけが下がるのでなくて、あらゆる証券が下がるときにも、やはり公社の第一次引受者はかわいそうだからめんどうを見なければならぬ、こういう立場でもやるつもりなんですか。この点はどうなんですか。そのときは、日本の経済がそういう状況なんだから仕方がないんだ、こういうことで、単に一般の証券界がノーマルに動いているときに、公社の社債のみが特殊事情で下げられるような場合には、これは救ってやらなければならぬというのが、私は当然とるべき任務であろうとは思いますけれども、一般の経済界が、ある特定の事情のもとに、国全体をあげて下向いたり上向いたりという波の中で、公社債が下がったからということで、これはとても手を出し切れるものではないと思うのですよ。そしてまた、それはやった方がいいということは言い得るかもしれないけれども、やるべき義務はないと思うのです。その辺の考え方はどうなんですか。
○井田説明員 ただいま先生のおっしゃいましたように、全般の経済情勢から、株式もほかの社債も全部下落をしてくる、こういったような場合には、本資金の発動は考慮はいたさないということになるかと思います。
○栗原委員 そうしますと、そういうことがびしゃりときまると、それではこの調整資金を発動しなけばならぬ今後予見される要因というものは、一体どんなものですか。国全体の経済の波には、とてもこのくらいのことでは抗し切れないし、また公社としても私はやるべきではないと思うのですが、そういうことはやらぬということになれば、この資金の発動をしなければならぬような状態が特殊に起る要因というものは、どういうことが予見できるのですか。一、二例を上げて説明していただきたいと思います。
○井田説明員 電信電話債券は小額債券で、しかも全部本人に出ておりまして、これが強制的に日本の全国津々浦々に出回る、こういう特殊の性格を持った債券でございます。一方、この電信電話債券を投資の対象として買おうという人は、大体大都市におきまして、これは購買単位は千万円あるいは億単位といったようなことで買いが出てくるわけでございます。そういったようなほかの社債、株式等と違いました性格がございますので、地域的あるいは時期的に、電電債だけが特殊の動きをするということは考えられるわけでございますので、そういうときに本資金の発動を考慮する、こういうことでございます。
○栗原委員 話はだんだんわかって参りました。いやなものを押しつけて持たせるから、しょうことなしに借りた金ででも債券を持つ。従って、債券は受けたけれども、すぐ換金しなければならぬ者がある。それが小額である。最高十五万円というようなもので、幾つかまとまって引いても大したものにならぬ。これを換金するのに一々市場には持ち込めない。だから局部々々で、相対相場の中で、要するに通常の利回りとは離れたべらぼうな値も発生し得る、こういうお話だろうと思いますが、私もそういうことはあり得ると思います。しかし、そのことは、それが直ちに今上場されている市場価格を引き下げるというような作用には、私はならないと思う。従って、私が冒頭にも言いました通り、いやいやながら持たされた債券を換金するのに、そうした相対で、金利を離れたべらぼうな安値でたたかれることは、これは徹底的に守ってやらなければならぬと思うのです。しかし、そのことは、必ずしも公社が買ってやることばかりではなくて、言うならば、金利計算からいって、しかも堂々たる公社の社債なんですから、一流債です。それを金利計算で価格形成をやっている市場で、そんなべらぼうな値が出るはずがないのです。従って、市場の値でさばければ、これは十分保護の目的は達成できる、こう思うわけなんですが、そこで、二十二億という金をもって、しかも一千億になんなんとするような社債を出して、そのどれだけが手放されるかわかりませんけれども、これを全部吸収することは至難である、このように思うのですが、かりに五十円で売り出したものを、四十一円なら四十一円、四十二円なら四十二円で買う、こう仮定して、売ろうと思う者は、この値で幾らでも買いますよ、第一次の取得者に限っては全部買いますよと言わぬければ、理論的には目的は達成できないのだと思うのですけれども、具体的には、その辺はどんな構想を持って実行に移そうとしておるのですか。
○井田説明員 大量の売りが予想される場合には、二十二億円の資金をもって間に合うかという御質問かと思いますが、そういったような場合には、できる限り二十二億円の資金の回転をはかりまして、売りの希望者にはあまねく及ぼすように努力いたしたい、早い者勝ちで、資金が切れたらストップといったようなことにはならないように努力をしたいと思います。
○栗原委員 それでは、いま少し掘り下げてお聞きしますが、市場では、利回り計算からいって四十四、五円しているというときに、公社の方では、基準価格として四十二円が出たとする。公社の下値基準は四十二円、市場では四十四、五円で横ばいをしている。このときに、第一次取得者がこれを金にかえたいというときには、どっちをやるのですか。四十二円で買うことが公社の社債の第一次取得者の保護になるのか、あるいはそうではなくて、証券業者を通じて四十四円、四十五円にはねてやるのが、第一次取得者の保護になるのか、どっちなのか。そして具体的にはどうやるつもりですか。
○岩元政府委員 そのような場合におきましては、この資金の発動は必要でないと思いますし、売りたいという加入者の方は、一般の市場においてこれをお売りになれば、建値相当で売れるのじゃないかと思います。
○栗原委員 それがわれわれをめくらにしていることなんだ。市場では相場が立っているのです。そして市場の相場は常識から言ってべらぼうな安値にはならないはずなんです。市場の相場をオペレーションでもってつり上げることは不可能だとあなた方も見ているわけです。しかし、市場相場は適正に立っておるけれども、一般の第一次取得者というものは市場を知らない。市場と連なっていない。だから悪徳業者に安値でたたかれる。これを救ってやろうというのがこの調整資金の第一の目的であり、その手段であったはずです。今あなたがおっしゃることが第一次取得者に対してできるならば、何もこんなものは要りませんよ、第一次取得者は市場価格ではめていけばいいのだから。そうでしょう。それを知らぬから、何とかめんどうを見てやろう、こうおっしゃっておる。全然話は違うじゃありませんか。そこはどうなんです。
○岩元政府委員 そのことは別の問題ではないかと思います。従来とも、この問題につきましては、公社はPRをやって参っておるわけでございますが、今後はさらにPRを強化いたしまして、そういった点につきまして加入者に周知徹底させて、悪徳な業者に買いたたかれるようなことのないようにする必要があると思いますし、また一面におきましては、やはりそういった悪徳業者を何らかの形で取り締まっていくという方途を講ずる必要があろうかと思います。
○栗原委員 どうもそこがわからぬですね。それじゃ、第一次取得者が市場相場を知っておって、そして市場相場が適正価格であるならば、そこへ売ることは好ましい、こう見ているわけですね。そうすると、買い出動をする場合は、その市場相場が公社で考えておる基準価格を下回ったときにのみ出動するのだ、こういうことになりはしませんか。それはどうなんです。
○岩元政府委員 その通りでございます。
○栗原委員 基準相場をどこできめるかわからぬけれども、そのきめるであろう基準相場よりも市場価格が下回るであろうという要因は、それじゃどうして始まるのですか。先ほどは、市場はあるけれども、零細な第一次取得者に渡っておって、市場を知らないから相対で安値が形成されるのだ、こう説明されておった。全然合わぬじゃないか。そこはどうなんです。
○岩元政府委員 現在、加入者債券につきましては、一応市場において取引をされているわけでございます。その市場価格が一定価格を下回りました場合には、市場で取引される債券につきましてはもちろんでございますが、それ以外に加入者が市場外で売るといったような場合においても、やはり市場価格というものが基準になるわけでございますから、市場価格以下に下がった場合においては、加入者の被害を受ける可能性が大いに出てくるわけでございますので、そういう場合においては、やはりこの資金を発動いたしまして、加入者が不当な被害を受けないようにする必要があるという建前でございます。
○栗原委員 そううすると、市場価格が適正であるならば市場価格ではめてやる。これで節一次取得者を保護する目的は達成されると思うけれども、これに対する当局の御所見はいかがか。市場価格は適正である、こういう前提に立って、その適正価格で市場で第一次取得者が手放そうとする債券を換金してやる。これが保護の最終的の目的で、それを公社として買ってやろうと、あるいはその値で債券を求める人の手に移ろうと、その点は二の次である、こう私は考える。要するに、金にかえたい第一次取得者が適正である市場価格で換金できれば、保護の目的は百パーセント達成されたものだ、こう考えるけれども、所見はどうですか。
○岩元政府委員 大体先生のおっしゃる通りであろうと思います。ただ、そういった市場価格が適当な価格である、下落しない、ある一定価格以上の価格を維持している場合におきましては、加入者の負担というのはそう多くならないわけでございますから、そういった場合においては、その資金を発動して買いに出る必要はなかろうと思います。
○栗原委員 どうもわからぬですね。時間もだいぶ経過したから大体結論に入るわけなんですが、私は率直に言うと、とにかく金がなくて公債で金を集めておる公社が、ほかに方法があるならば公社の金を使ってまでもやる必要はないのだ、という立論に基づいて質問しているわけです。従って、第一次取得者が市場相場というものにめくらであって、知識が薄くて、ほんとうにそのときの債券の価値というものに目覚めずにたたかれる、これを何とか保護しなければならぬ、それには必ずしも公社が買ってこれを保護する必要はない、ほかにも方法があるではないか、それは公社の手によって市場価格で換金してやるサービスが最大のものなんだというのが、私のものの考え方なんです。要するに第一次取得者は適正な価格で金になればいい。ほかには理屈はない。そうして一方公社の方では、そういう零細に分かれておる公債をまとめて買いたいという人もおるのだから、これをまとめる一助にもなる、こういう説明をしておるのだけれども、そういうまとめる仕事は、公社がやらなくとも、証券業者という本来それを本務としておる会社がある。従ってここでやればいいのだ。特に一番の難点は、いかにも保護できるような形にはなっておるけれども、金額に二十二億という制約がある、発行する社債というものは数百億に上る、こういうことになっておるから、ここに矛盾が出てくる。特に先ほども率直におっしゃる通り、二十二億の金でかりに下がってきた市場価格をオペレーションで引き上げるということは至難だ、こうおっしゃっておるわけなんですから、言うならば、市場価格が下がったときに、それを引き上げるということはとても困難です。私は公社債の独特の理由によって公社債が下がるというようなことはないと思うのだけれども、かりにあると仮定して、市場では下がっておるけれどもこちらではこの値で買いますよと手を振る以上は、それは二十二億ではだめなんだ。二十二億買い切って、あと買ってくれと持ってきたらどうするか、もうだめですよと言っていいのかどうか、こういう矛盾にもぶち当たる。そこで、この需給調整資金というものは、構想としては一応成り立つかもしれぬけれども、実際はよろしくない。そうではなくて、オペレーションはせずに、第一次取得者が金にかえたい場合には、金にかえることを公社がサービスしますよ、ここまでが公社のサービスの限界だと私は思う。保護扱いばかりでなくて、公の市場でちゃんと明らかな値が立っております、これは金利計算してもべらぼうな値ではありません、適正価格であります、この値で金にかえてあげます、こういうサービスをするのが公社のサービスであり、そしてサービスの限界である、このように私は考えておるのだけれども、これは政務次官一つ御所見を承っておきたい。
○保岡政府委員 お説非常に理路整然もっともだと存じまするが、ただ現に昨年、一昨年あたりだいぶ下落した例があるようでございまして、あれらの経験にかんがみまして、今度の制度をつくろうということになったと承っております。そういう意味合いで、何らかの機会に下落したものを救済するということは、やはりそういう事態に備えるという制度をつくっておくことは大事じゃないかと一応考えておる次第であります。
○栗原委員 どうも政務次官もあまりわかっておらぬらしい、これは。その暴落したときの分析について、どういう分析をしているかわからぬけれども、それでは一つお聞きするが、数年来暴落したときの原因分析と、そしてあの暴落に二十億のこの金があったらほんとうに救済ができたのかどうかということを、一つはっきり承っておきたいと思う。
○井田説明員 三十六年の秋に大暴落をいたしましたが、これは経済の金融引き締めという一般的条件を背景といたしまして、当時第二部市場の開催に関連いたしまして、電電債が店頭取引も正式上場も両方認められないという空白期間が生じまして、そのために電電債が特に大暴落をした、こういうふうに考えております。
○栗原委員 今お話があった通り、つまりやみ相場の中に悪徳業者が横行する舞台を与えたということだと私は思う。要するに、全部の流通を一市場に持ち寄って、公正な価格形成が行なわれたんじゃないんだ。やみ相場の中に跳梁したんだ。いわばこれは特殊な市場制限であって、もう公なところに立っておる限りは、何といっても基本的には債券である限り、金利計算で価格形成が行なわれるのが常道であって、たまたま特殊事情があったとしても、これは長期なものではなくて、たちまちこれは振り戻されるものであるんだから、やはりこれはそういう立場に立ってこの調整資金というものを考えることは、根本的にも間違いだ、私はそう思う。そして、できるならばこの二十二億という金、電電公社の総予算に比べれば、わずかな微々たる金であるかもしらぬけれども、一方では積滞の電話の問題等もいろいろと社会問題になっておる折から、やはり第一次債券の取得者は保護をしなければならぬけれども、その保護の方法は、市場において形成される価格に対して、これに換金をさしてやるサービスをするにとどめて、やはりこうした金は他に振り向けるべきだ、このように私は強く考えるわけです。大臣途中から見えたんで、あと森本君からいろいろと質疑があろうと思いますが、最後に、そうした方向で基本的には債券というものが一日も早くなくなる日が来ることが必要なんであるけれども、当面やむを得ない必要悪という形で債券を強制的に持たせる限りは、これは保護してやらねばならず、保護する方法としてはやはり公正な価格で換金してやる。それは公社が買うことではなくて、公正な価格形成をしておる市場へこれをはめてやる。そこまでが公社のサービスの限界である、このように考えるわけでございまして、一つ当局の反省を強く要望して私の質問を終わりたい、このように思います。
○本名委員長 森本靖君。
○森本委員 この法律もだんだん審議をいたしまして最後の方になって参りましたが、私はこの法律の中でやはり第四条と第七条が一番の骨子になってくるのではないかというふうに考えるわけでありますが、もう一度これもおさらいみたいになりますけれども、この第四条の「資金は、公社が」云々の次の項でありますが、第三項に「郵政大臣は、第一項の認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。」というふうになっておるわけでありますが、具体的に言いますと、この基準というものをもう一度最後のおさらいの質問として聞いておきたいと思うのですが、やはりこれが八 〇%ないし七〇%、こういうことですか。
○岩元政府委員 ただいまの先生の御質問は、一定価格についての御質問でございますか。
○森本委員 そうです。
○岩元政府委員 一定価格につきましての考え方は、先ほどからお答え申し上げましたように、債券価格の八〇%ないし七〇%程度になるであろう、これは級局別によって違うわけでございますが、大体そんな程度の価格になろうと思います。
○森本委員 それから第四条の第一項は、具体的に言うとどういう意味ですか。
○岩元政府委員 具体的にというお話でございますが、この運用の基準というものを郵政大臣の認可を受けて公社が定めることになりますが、結局その運用の基準によりまして、公社が債券を必要により買う、あるいはまた換金のために売るといったようなことになるわけでございますが、買う場合に、やはり対象といたしましては、この法律制定の目的が第一次取得者たる加入者の保護ということでございますので、そういった立場から、債券価格が暴落いたしました場合に、第一次取得者が不当な負担をこうむるといったような場合には、公社といたしましては、この資金を発動いたしまして第一次取得者から買い上げる、そうして加入者を保護するということになると思います。
○森本委員 だから、私が言うのは、これは結局郵政省令で定めるわけですから、その省令の内容というものは具体的にどういう内容であるか、こういうことです。
○岩元政府委員 森本先生の御質問は、準ずる債券というようなことについてのあれでございましょうか。
○森本委員 これは結局「これに準ずる電信電話債券で郵政省令で定めるものを含む。以下「債券」という。」この項と同時に、「資金は、公社が郵政大臣の認可を受けて定める基準に従って、」云々とある。この公社が郵政大臣の認可を受けて定める基準というものは大体どういうものであるか。この二つです。
○岩元政府委員 第四条の第一項のカッコ内にございます「これに準ずる電信電話債券で郵政省令で定めるもの」、これは公衆法の百八条にございます新規サービスの場合のことでございまして、たとえば硬貨投入式電話機装置とか簡易交換電話装置あるいは受付電話装置、局線集中装置のような新しいサービスで、今後ともなお改悪の余地があるといったような場合に、利用者に引き受けていただきます債券のことでございます。 売買の基準の方は公社の方から……。
○井田説明員 買いに出る場合、一定価格を下回った場合にどういう値段で買いに出るかという点と、それから売買対象をいかにするかという点、この二点が骨子になると存じます。
○森本委員 その場合、売買対象の場合はどうなるのですか。
○井田説明員 原則として第一次取得者から買う、こういうことでお願いしようと思っております。 〔委員長退席、佐藤(洋)委員長代 理着席〕
○森本委員 だから、買い受けの場合を今七〇%ないし八〇%ということをきめた。大体それで買う。それから原則として第一次取得者であるということは明らかになったわけでありますが、そうなって参りますと、今度第一次取得者を原則として、例外があるということでありますが、その例外というものは具体的にどうなるか。
○井田説明員 例外の場合と申しますると、取引市場におきまして、思惑等によりまして、値段が不当に下落いたしますとか、あるいは大口保有者が換金売りのために続々と投げものが出てくる、こういったような場合を考えております。
○森本委員 その場合でも価格が七〇%ないし八〇%の間であって、それ以下に下落してもそういうことについては適用しない、こういうことになるわけですね。
○井田説明員 今のような場合にも、一定価格を下回らない場合には適用はいたさない、こういうことでございます。
○森本委員 それから売る場合ですが、売る場合はどうなりますか。
○井田説明員 この資金をもって買いました場合は、なるべく早く換金をしておきまして、いつでも買いに出れるような態勢にしておくことが望ましいわけでございますから、機会を見てだんだんと売りさばいていく、こういうふうに考えております。
○森本委員 それはむろん買った値段よりも高く売る、こういうことですね。
○井田説明員 これは値段がだんだん上向いていく場合と、それからだんだん下回っていく場合と二つが考えられますが、市場がだんだんと買いが強いといったような場合には、当然買い値よりも高い値段で処分ができる、こういうふうに考えております。
○森本委員 だから、それは売る場合に買い値よりも安い値段で売る場合もあり得る、こういうことですか。
○井田説明員 その通りでございます。
○森本委員 買い値よりも安い値段で売るというのはどういう場合ですか。
○井田説明員 これは、先ほど申し上げましたように、値段が下がりまして売りが非常に多いといったような場合には、ともかくこの資金の回転を早めまして、売りの希望者を救済しなければいけません。従いまして、そういう場合には買い値よりも安く処分をしなければならぬという場合が出てくると考えております。
○森本委員 債券の値段が安くなったらそのときに買わなければならぬので、それを安く売る場合もあるというが、当然これは物でありますから、多くなってきたら下がるわけでありますので、下がったら売るというのでは買う意味がないということになって、ちょっとわからないのでありますが、こういう意味じゃないのですか。それは絶えずふだんの平時の場合でも、とにかくそれほど損をせぬ程度なら売っておいて資金を絶えず確保しておく、こういう意味じゃないのですか。そうでないと、今のようなことが現実にあるとすると、ちょっとおかしいような気がするのですが、総裁どうですか。あなたは詳しいようだから……。
○大橋説明員 私もしろうとで一向詳しくないのですが、それはこういう意味だと私は了解しております。非常に資金がたくさん要る場合に、二十二億を使い果たしてもう一文も買いに出る資金がない、しかし第一次取得者で売りたい人がたくさん殺到してくるという場合に、何か資金をつくらないと救済ができない。そこで少し損をしても、そのときの値段でたとえば共済組合とか機関投資家にこれをはめ込んで、そうして二十二億前後の金を用意してまた買いに向かうということのためには、安くても売らなければならない場合が生ずるだろう、こういう意味に考えております。
○森本委員 だから、その売りというのは、私は市場に売りに出すというふうには解釈したくない。これを市場に売りに出したのでは全く意味がないわけですよ。これは共済組合とか郵政互助会とか電通の共済会とか、そういうところで一つ時価で買い取ってくれ、ああいうところは、たとえば郵政の互助会あたりでは資金をかなり寝かせておるわけでありますから、そういうふうにして換金をする。これを市場に出して売るということになると、意味が違ってくるのじゃないかと思いますが、どうですか。
○大橋説明員 その通りでございます。先ほど私もその意味で申し上げたのであります。
○森本委員 そこでこの機会に、私は一つ資料を電電公社に要求しておきたいと思いますが、現在共済会というものがあると思いますが、この担当者は理事の中のだれですか。
○秋草説明員 私であります。
○森本委員 それではこの共済会について、共済会の定款か何かがあると思いますが、それと、それから中央の主要な役員、それから全国の役員のメンバー、それから常業の内容、できれば三十六年度でもけっこうでありますが、一カ年間の常業成績、それから決算、こういうものをぜひお出し願いたいと思うわけであります。と申しますのは、やはり需給調整の問題についても、最終的にはこういうところもかなり影響してくるのじゃないかと考えておりますので、それを一つ早急にお出しを願いたいと思うわけであります。 それから、もとへ戻りまして第一条でありますが、だんだん質問の中でわかって参りましたけれども、第一条の目的は、「引受けに係る電信電話債券につき、その需給の調整及び価格の安定に資する」こういうことが大前提として第一条にうたわれておるわけでありますけれども、これはこの第一条の目的がこの法律案によって完全に実施ができ得るというふうに総裁自信がおありですか。これは実施をやってみて、その後における批判をわれわれは行ないたい、こう思いますが、とにかく総裁としての心がまえを聞いておきたい、こう思うのです。
○大橋説明員 ただいまの御質問の御趣旨が、ここに「需給の調整及び価格の安定に資するため、」と書いてあります。この需給の調整及び価格の安定そのものをこの法律だけで完全にやれるとは私考えておりません。第一条にも「需給の調整及び価格の安定に資するため、」と書いてありますので、これは一助である、こういう意味に御了解願いたいと思います。
○森本委員 それがためにこの文章は「資するため、」とこうありますので、これは全面的にやるということではない。だから、結局ないよりはあった方が少しはましであるというふうに、この条文を読んでも解釈ができるわけでありますが、総裁大体そういう考え方ですか。これはあっさりしたところを……。
○大橋説明員 せんだってからいろいろ御説明申し上げます通り、この電電債券の価格の維持をはかるためには、あの手この手といろいろな手段を講じなければなかなかむずかしいのです。私はさように考えておりますので、先日からいろいろ御説明申し上げました通り、いろいろな手段を講じて、その手段の一つとしてこの需給調整資金というものが設けられた、かように考えておるわけであります。
○森本委員 私もこの債券関係は総裁よりももっとしろうとでありますけれども、しろうとなりにいろいろ人に聞いてみると、債券の市場価格の安定と調整というものは、やはり市場において売買することによって、その金額を調整するということが一番であるということを聞いたわけであります。ところが、そういうことはこの法律で公社はやらない、こういうことになっているわけですね。先ほどの御答弁では、結局そういうふうに市場価格において債券の売買を市場において公社が行なうということはあり得ないわけですね。
○大橋説明員 それはこの間からも御説明申し上げます通り、市場操作をこの金でやろうとは考えておりません。市場操作をやるとなれば、これは御承知の通りとにかく対象になる電電公債が非常にたくさん出ておるのでありますから、これをほんとうにこの資金だけでやるためには、非常にたくさんの資金を要しなければならることになります。二十億や三十億の金ではとてもまかない切れるもんじゃないと考えております。
○森本委員 だから、そういうふうな操作というものはこの法律によって全然行なうべき筋合いのものではない、こういうことが言えるわけですね。そこで、大臣は政治家だから総裁よりももっとそういう点は知っておられると思うのだが、そういうふうな債券の市場価格を安定さすということは、やはり私が言ったように市場で売買して、そうして安定をさすということが本来のやり方じゃないか、こう思うわけでありますが、こういうようなやり方では、その市場価格の安定ということについてはあまり資さないということは言えるんじゃないですか、大臣。
○小沢国務大臣 先ほども総裁が申されましたように、市場価格の安定をするということになりますと相当資金が要ります。そういうわけ合いでございまして、われわれといたしましては、何としても義務づけられて買った人、第一次取得者、そういう人の保護ということをまず第一に手がけなければならぬというようにしてやっておる次第であります。
○森本委員 これは大体そういう点で見てみると、債券が非常に暴落したときには、公社としてはどうにも手の打ちようがない。それから第一次取得者を原則として保護する建前である。それが八〇%ないし七〇%に下がったという場合にはこれをなにする。こういうわけでございますが、そこで年間に、たとえば昭和三十八年度に発行する債券はどの程度ですか。七百何ぼだと思うのですが……。
○井田説明員 加入者債券といたしましては、予算では七百四十六億を計上しております。
○森本委員 この七百四十六億という数字でありますが、もしかりに今の買い取りの八〇%ないし七〇%という基準で、第一次取得者が相当この買い入れを希望してきたという場合には、これはやはり地域別に先に資金を分布するのですか。たとえば通信局管内ごとに、四国通信局管内は一億円なら一億円というふうに、年度当初にあらかじめ大体のめどをつけるわけですか。具体的にはどういうふうにいたしますか。
○井田説明員 大体こういうような事態は突発的に起こるということも考えられませんので、そういうきざしが見えましたならば、やはり先生のおっしゃる通り、まず第一に地域的に二十二億を割り当てるということを考えなければいけないと思います。
○森本委員 大体地域別にこれを割り当てましてやらざるを得ないというふうに私も考えておるわけでありますが、かりに地域別に割り当てて、第一次取得者の希望者が非常に多いという場合に、その資金が足らなくなるという場合に、その買い受けの順位をどういうところに置きますか。
○井田説明員 これは事務的に非常にむずかしいと思いますが、私どもこれに電話架設と同じような優先順位を設けていくということは、ただいま考えておりませんわけで、来た折に来られた方から買っていく。ただその場合に、資金の回転ということ、一方において売りが非常に多い場合には、そのことを考えなければなりませんので、売りが非常に多い場合にはなかなかむずかしい問題も起こるか、こういうふうに考えております。
○森本委員 これは総裁に聞いた方が早いと思うのだが、そういう場合に総裁どうするのですか。具体的にたちまち現場で起こる問題だと思うのです。あなたは総裁であるから、何でも大てい知っておる人だから聞いておきたいと思うのだが、たとえば四国管内に一億円なら一億円というふうに割当を一応してその準備をしておっても、法律があってやはりこういうふうなものを買ってくれるぞということになると、これは現実問題としてかなり希望者が出てくるのではないかと思うのです。その場合に一、二、三、四、五番目まで来てあと六番目は断わるというときに、その順位はどういうふうな基準をつけるのですか。首をかしげても現実にそういうことが起こると私は思うのですが……。
○大橋説明員 どうも御趣旨が私了解できかねるのでございますが、別段基準というものはないと思うのです。先ほど経理局長が申し上げました通り順番でやるより仕方がない、金がなくなればそれでおしまい。
○森本委員 それは確かに総裁の言う通りに、金がなくなってやれと言ったってしようがないのだから……。しかし、その場合、やはりそれでは切符を買うのに並んだ順と一緒で、ずっと申し込み順によって買って、金が切れたら金の切れ目が縁の切れ目でおしまい、こういうことですまし返るということにするか、あるいは場合によっては、その買い受けをするについても、一応電話をつけるときの優先順位みたいな格好の順位をつけるのかどうか。早い者勝ちにするのかどうか。
○大橋説明員 これはまあこれから一つ御趣旨によって研究いたしますが、しかしながら、基準をつくるといっても、どうも私はむつかしいと思うのです。これは私の常識的な判断ですけれども……。結局やはり申し込み順によってやるより仕方がないんじゃないか。それで、なくなった場合には、先ほど申しましたように、できるだけその集まったものを機関投資家等にはめ込みまして、資金をつくってまたさらにそれに入れる、それを繰り返すよりほか仕方がないんじゃないかと思います。
○森本委員 これは大臣どうでしょうね、常識で考えて。この七百四十何億というものを発行するわけですね。それで今第一次収得者はほとんど電話の売買業者に売る場合が相当多いんすでよ、現実の問題として。それを保護をして、そうして公社が買い取る、こういうことですが、その債券の発行額とこの金額とを比べた場合、もうこれでおしまいということが多々あちこちに出てきはせぬか。こういうことになった場合に、電電公社は国民に対して公平にサービスを展開しなければならぬ、それからまた電話加入者に対してもサービスを公平に負担しなければならぬというこの大前提といいますか、大原則というものがくずれるような形になるんじゃないですか、大臣。それでも仕方がない、いや、助けたら助けただけましであって、あとの助からぬやつはもうしようがない、大蔵省が認めぬからしようがないといえばそれまでですが、その辺どうでしょうね、大臣。
○小沢国務大臣 まあそれで、先ほど申しましたいわゆる債券の売買という言葉がございましたけれども、売るのでなくて、肩がわりをしてもらうというような意味で資金を順繰りにつくっていく、そういうふうにして資金を潤沢にして、第一次取得者を保護するということをするより仕方がないと私は思います。
○森本委員 結局これは資金繰りをくるくるやっても、やはり具体的には足らぬという事態が出てくると思うのですが、そういう事態が出てこぬと大臣言い切れますか。
○小沢国務大臣 ここで私が大丈夫だということは言い切れませんけれども、まあ資金繰りを潤沢にやりまして、あとう限り第一次取得者を保護したい、そういうふうに考えております。
○森本委員 それはわかる。だからその大臣のおっしゃる誠意は十分わかりますが、しかし、それでも、Aの者がその恩恵をこうむった、Bの者は恩恵をこうむらない、こういう現実が出てくるということは、やはり大臣考えておかなければならぬと思うのですが、どうですか、それは。
○小沢国務大臣 そういうことのないように一つ運営をしていきたい、そういうふうに思っております。
○森本委員 それはないように運営をしていきたいという希望はわかりますけれども、現実に債券発行額とこの資金というものを比べた場合には、そういうことが起きてくる可能性が多分にある。その場合、やはり私は国民にサービスを公平に行なうという原則からいくとするならば、ちょっとこう当てはまらぬではないかというふうに考えますが、とにかくそこがちょっとふに落ちぬ点があるということは事実ですわね、大臣。――別にどうこう言うわけじゃないです、現実のことを論争しているわけだから。
○小沢国務大臣 電電債券は相当利回りがいいわけでございますから、そういう下がることもないというふうにもわれわれは思いますし、現在の価格からいいまして大体二十二億でまあ見通しがつくんじゃないかというふうに思っております。しかしこれはまだ実はやったことがありません。ことし初めてのものでございますから、私が自信を持ってこれで大丈夫だというたいこ判を押すわけにいきませんけれども、まあまあ大体このくらいでいくのじゃないかというふうな見通しでございます。
○森本委員 大臣も正直でよろしい。確かに、大体ということであって、これはほんとうにはっきりと大丈夫だということは私は言えないと思うのです。それから、これは価格が安定しておれば問題がないけれども、八〇%ないし七〇%というのはやはり出てくるのじゃないかというふうなことを考えるわけでありますので、そういう場合にこれは当然足らないという形になるのじゃないかという気がして聞いたわけでありますが、そういたしますと、この基準に――たとえば、この価格が八〇%ないし七〇%の中になってこないと、この買い受けはやらないわけですね。
○小沢国務大臣 一応基準というものをつくりまして、その基準に当てはまらぬ場合は買い受けないというようなことでございます。
○森本委員 それじゃ第一次取得者が買ってくれという希望をいたしましても買わない、こういうことですね。
○小沢国務大臣 一応そういうふうに考えております。
○森本委員 一応ということは、何か例外がありますか。これは事務的な問題ですから大臣じゃなくていいです。
○岩元政府委員 この問題は、やはり一定価格以下に下がった場合において大体買い受けるというのが普通であろうと思います。
○森本委員 大体じゃなしに、初めから全部そうじゃないですか。大体とおっしゃるから、私は例外があるかと聞いておる。全部この基準というものをきめたら、その基準以下に下がった場合でなければ買い受けはやらない、こういうことでしょうね。
○岩元政府委員 その通りでございます。
○森本委員 それからこの第七条の先買のいわゆる業者の点でありますが、もう一度最後のおさらいとして聞いておきたいと思うのです。「証券業務を営む者」というふうになっておるわけでありますが、これは具体的にどういうものをさすのですか。
○岩元政府委員 お答え申し上げます。「証券業務を営む者」と申しますのは、証券業者と銀行 銀行は証券取引法の六十五条にいう銀行のことでございます。
○森本委員 だから、これはそれを全部さすわけですか。具体的に指定をする場合というのは、どういうことになるわけですか。
○井田説明員 証券業者が数多くあるわけでございますが、その中で信用のある、そして電電債券に積極的に協力をしてくれるような会社をなるべく多数指定をする、こういうふうに考えております。
○森本委員 その信用の基準というのはどういう上に置くのですか。
○井田説明員 資本でございますとか取引高とかいうことで、大体信用のある証券会社というものが常識的にきまっておるかと存ずるのでございますが、そういう線に沿って考えたいと思います。
○森本委員 その資本とか営業とかいうものの大体の基準は持っておるわけですか。
○井田説明員 まだ具体的な案は考えておりません。
○森本委員 本来こういうふうな法案を出すときには、そういう具体的な問題まで一応公社当局の内部において検討して、監理官とも十分に相談をし、こういうときにはこういう答弁をし、ああいうときにはああいうことを行なうという万全の手配をしておかなければならぬと思うわけでありまして、たとえば証券業者を指定するということになれば、その証券業者はどういうものであるか。その基準については具体的にどういう基準が当てはまるか。そうすると、これは、あなたの方の建築予算なんかにおいては、当然建築についてはどういうものにこれを――いわゆる公開入札の場合でも指名入札の場合でも、これは当てはまるという一つの基準があるわけでありますから、こういう場合でも、その他に一つの悪影響を及ぼさぬためには、やはりそういうところの基準というものもこしらえておかなければならぬ。営業成績あるいは資本、そういうものも必要ではないか。あるいはまた営業の範囲というものも必要になってくると思いますが、そういうことで現在検討するということでありますから、これ以上の深追いはいたしませんけれども、そういう点は十分に、これがかりに通りましても、早急に一つ検討する必要があると思いますが、総裁どうですか。
○大橋説明員 もちろんできるだけ早くその御趣旨に沿って検討していきたいと思います。
○森本委員 早くじゃない。私が言っているのは、現在まででもそういことを、総裁が全責任を持って、すでに十分検討しておかなければならぬのじゃないか。総裁としても、やはりこういう法案を提案する以上は、条項を全部追って、どこかに一つ抜けておるところはないかということを詳細に検討し、部下に指示をする責任があると思う。だからそういう点について総裁一体どう考えるか。確かにそういうところが手抜かりでございましたというなら手抜かりでございました、こう答弁すれば先へ進んでいきます。
○大橋説明員 これは郵政大臣の認可を受けていろいろなことをきめることになっておりますから、まだそこまで実は私どもは手が回っておりません。これからできるだけ早くそういうことについてはやって参りたいと思います。 〔佐藤(洋)委員長代理退席、委員長 着席〕
○森本委員 それともう一つ法律的な問題ですが、この条項によって電電公社が電電債の売買を行なうということはできるわけでありますが、これは証券取引法との関係はどうなるのですか。これは監理官でけっこうです。
○岩元政府委員 この法律によりまして、電電公社はこの資金の運用による債券の売買ということができるようになると解すべきだと存じますが、またこの資金による債券の売買の範囲というものは、やはり公共的な性格を持った運用の仕方をやるわけでございますから、別に証券取引法に違反するものではないと思います。
○森本委員 だから、この法律は第七条によって行なわれるわけでありますけれども、元来なら、この法律の附則等において、証券取引法の改正をするという法的必要があるのじゃないですか。一応この法律が証券取引法よりあとからできた法律であるから、優先するといえばそれまでだけれども、現実の問題としては、証券取引法なら証券取引法、あるいはまたこの電信電話債券に係る需給調整資金の設置に関する臨時措置法案の附則条項に、証券取引法の第二条については、この項については適用しない、こういうような附則条項が要るということはないのですか。これは老婆心ながら聞いておるわけです。
○稲村説明員 今の証券取引法との関係について御説明申し上げます。お尋ねの件は、電電公社がこういう売買をする権限を付与されることによりまして、証券業務を営むものというものになるのじゃないか、そういう意味で証券取引法との関係で問題になるのではないかということかと存ぜられますが、先ほどから御説明がございましたように、この問題は公社という公共的な性格の特別な法人がいたしますものでございまして、しかも対象の債券は法律によって義務づけられておる特別な債券でございます。従って公社がこの法律によって与えられた権限によりまして、電信電話債券の売買をいたすということは、それによって、公社が債券業務を営むものになるのではないというふうに解釈をいたしております。従いまして、特に証券取引法の規定を排除すると申しますか、あるいは証券取引法の規定にかかわらずこういうことができるということは、必要ではないという解釈でございます。
○森本委員 その点はそれでわかりました。 それから、この第一取得者が現実にこの債券を買ってもらいたいという場合、これは委託をした業者のところに持っていくわけですか。
○井田説明員 その通りでございます。
○森本委員 そういたしますと、これはこの第七条においてやるところの証券業者に委託して、これを買い受けをするということでありますが、こういうのは郵便局の窓口を通じて買い受けをするということは、このやり方の事務が法律上困難でしたか。たとえば、これは一定の基準ということでありますから、買い取りの値段というものを告示するわけですね、何月何日から何月何日まではこの値段で買うということを。そうすると、もうあとは買い取りの事務だけをやればいいわけですから、たとえば郵政省設置法において国民年金の問題についてもやっておるわけであります。それからたとえば放送局の受信料についても委託集金をやっておるわけであります。そういう観点からいくとするならば、法律的には、法律を改正すれば、第七条の仕事というものは郵便局の窓口において行なうことができると解釈しておるわけでありますが、監理官、その点はどうですか。
○岩元政府委員 郵便局は、現在の法令のもとにおきましては、証券業務を行なうことができないことになっておると思います。
○森本委員 いや証券業務ではなしに――現在の法律においてはそうなっておりますけれども、郵政省設置法の一部を政正して、電信電話債券に係る需給調整資金の設置に関する臨時措置法案における第七条によるところの買い受け事務は、郵便局において公社と郵政省との間の取りきめにおいて行なうことができる、こう改正をすればできるのじゃないか、こういうことを私は聞いておるわけであります。というのは、あとで質問をしようと思っておったわけでありますが、これはやはり第一次取得者に便利なようにはからなければなりませんので、要するに第一流の証券業者でも、現在の電話局が、ずっと下の方の、下がった電話局があるような、あるいは特定郵便局の電話局では、当然そういうような証券業者のない土地がたくさんある。そういうところを一体どういうふうにするかということを聞きたかったわけであります。 それでは、その問題をあとにして、まず先に電電公社の総裁にお尋ねいたしますが、そういうふうな要するに非常に不便な特定郵便局の電話交換をやっておるようなところで債券を取得した、その第一取得者がこれをぜひ売りたい、こういう場合には、これをどこへ持っていくのですか。
○大橋説明員 ただいままで考えておりますのは、やはり証券業者の手をわずらわす、こういうことであります。
○森本委員 その証券業者と報話局のあるところだけを考えておったのでは話にならぬです。たとえば私のところの高知県の選挙区なんかをずっと頭の中に置いてみますと、特定郵便局で電話交換をやっておる、電話の営業事務をやっておる郵便局のあるところで、証券業者のないところがたくさんありまずよ。これは山を越えて、野を越えて、半日がかりで、バス賃を払うて、汽車賃を払うて売りに行っておったのでは、とても利に合わぬということになるわけでありますが、そういうところを具体的にどう考えておるか、こういうことです。
○井田説明員 ただいまの問題は、私どももいろいろ研究をしておるわけでございますが、まず、今のような証券会社もない、電報電話局もないといったようないなかの場合に最初に問題になりますのは、この第一次取得者であるかどうかを電報電話局で証明書を出してもらうということをやっておるわけでございますが、まずその問題が先にくるわけでございます。それで郵便局で取り扱っていただくにいたしましても、まずその証明書の問題がございます。それからもう一つ、その問題は別にいたしましても、郵便局でこれを買い取ってもらうということになりますと、債券の真偽の鑑別でございますとかいろいろな問題がございますので、今のような場合には、そういういなかにおきましては、郵便局に買い入れの取次をお願いする、この方法しかないのではなかろうか、こういうふうに考えております。
○森本委員 それではその証明書は郵便局が発行するのでしょう。
○井田説明員 これは結局だれにいつ売り渡したかということは、郵便局には台帳がございませんので、親局の電報電話局でしかわからないわけでございます。
○森本委員 そういたしますと、この債券はだれから加入者に手交するのですか。
○井田説明員 その所在の勧銀の支店から加入者に直送をしております。
○森本委員 その払い込みはどこでするのですか。債券は勧銀から加入者に直送しておるのですか。
○井田説明員 払い込みは郵便局で受け付けております。
○森本委員 いなかの方では勧銀から直送しておるというのは間違いないのですか。そんなことをやっておるのですか。――それではそれは保留しておきます。私がこういうことを聞いておるのは、今私が言ったように、この東京の付近なんかは別として、確かに高知県のようなところでは、自分が持っておる場合は相当遠くへ売りに行かなければならぬということになるわけですが、これは郵政省は、おそらくそんなことをやってくれたら困る、手数料が少ないから。しかし、国民のサービスということを考えた場合には、全国津々浦々どこにでも郵便局の窓口を通じて買い受けができるというふうにするのが、一番の任務ではないか。それから真偽の鑑別と言うけれども、真偽の鑑別こそ郵便局にまかせた方が一番安全である。第一次証明を持ってきた場合、窓口では大ていもう知っておるのですよ。ああこの人間はいつ電話をつけた、この人間はいつごろつけた人だということを全部頭で覚えておるわけです。だから、そういうところでうそを言ったところで、もう一ぺんにわかる。またその証明書を持ってきてもこなくても、そういう点は十分にわかるわけであります。そういう点を考えると、国民に一番サービスを展開するということであるとするならば、こういうのはなぜ郵便局の窓口を使うということを研究しなかったか。むろん郵政省は絶対反対でありましょうし、おそらく全逓の組合あたりもそんなことやってもらったら困るというので反対になると思いますけれども、しかし、国民に公平にサービスを展開するという点では、今の電電公社がやっておることは、いなかの人にはこれは非常に不利益になります。その辺監理官どうですか。
○岩元政府委員 やはり先ほど経理局長からお話がございました通り、債券の真偽の識別とかあるいは公示催告による執行の有無、こういった問題も将来起こり得るわけでございますし、そういった非常に煩瑣な事務を扱うという面で、郵便局の窓口では不適当ではなかろうか。ただその取次ということなら可能ではないかと考えております。
○森本委員 それなら郵便局の窓口で取次はさすようにするつもりですか。
○岩元政府委員 その問題についてはまだ検討しているわけではございませんが、まあなかなか郵政内部の問題もございますし、研究してみなければならぬことかと思います。
○森本委員 私が特に公社に申し上げたいのは、何か公社は大きなところをやることについて頭が一ぱいであって、実際に国民に債券をどう交付して、これをどう買い上げるというほんとうの国民の末端のサービス展開ということに、やはり意を注ぐことが足らぬのではないか。こういう法律をつくって第一次取得者を保護するという建前であるとするならば、それができ得るような仕組みにしておいてやらなければ、これは非常にいけないわけであります。これは東京都民であろうと高知県の山奥の電話加入者であろうと、同様に公平にサービスを受ける権利があるわけです。そういう点が親切さが足らぬのではないかと私は思う。末端にいけばいくほど、ゆっくり相談して検討すればいいという考え方に立っておるのではないか。われわれみたいにいなかから出てきておる者は、特に一番先にいなかのことを考えてみたくなる。ところが、それをよくよく聞いてみると、やはりそこまではまだ検討しておらぬ、こういうことになるわけでありますが、総裁、こういう問題は小さなような問題でありますけれども、サービスの第一線であります。こういう第一線については、もう少し慎重な配慮と十分な検討を願いたい、こう思うわけでありますが、一つそういう点については早急に結論を出して、この法律がかりに通ったにいたしまして、あとで事後報告がこの委員会でできますように総裁の方で十分配慮願っておきたい、こう思うわけでありますが、総裁の考え方を一つ聞いておきたいと思います。
○大橋説明員 私どももできるだけ御趣旨に沿うように努力したいと思っております。
○森本委員 それから、ついででありますが、今債券の保護預かり制度というものをやっておるようでありますが、この債券の保護預かり制度というものは現在どういう状況になっておるわけですか。
○井田説明員 昨年の十二月から東京と大阪において試行をやっております。
○森本委員 東京と大阪で試行的に債券の保護預かりというものをやっておるということでありますが、具体的内容はどういうやり方ですか。
○井田説明員 勧業銀行の各支店へ持っていってもらいまして、勧銀で保護預かりをやる、その経費は公社から勧銀に支払う、こういう制度でございます。
○森本委員 勧銀に加入者が直接持っていって保護預かりをやってもらうわけですか。
○井田説明員 そうでございます。
○森本委員 そういたしますと、債券の預かり料というものはどの程度ですか。
○井田説明員 今はっきりと計数は記憶しておりませんが、大体一年につき一件百円程度でございます。
○森本委員 そういたしますと、公社がサービス料としてこれを出しておる、こういうことになるわけですね。
○井田説明員 その通りでございます。
○森本委員 東京と大阪と試行的にやってみて、結果はどういう結果ですか。良好ですか。
○井田説明員 まだ一月までの実績しかわかっておらないのでございますが、東京、大阪合わせまして五百八十九件の利用がございました。
○森本委員 これは去年のいつからでしたか。
○井田説明員 十二月からでございます。
○森本委員 そういたしますと、まだこれはわからぬと思いますが、これはどうして勧銀だけ指定しておるわけですか。
○森本委員 御存じの通りに勧銀は電電加入者債券の受託銀行でございまして、一番扱いになれております。そこで試行的にまずやるのには勧銀が最も適当であろう、こういうふうに考えたわけであります。
○森本委員 これは将来拡張していくという考え方はありますか。東京、大阪以外に。
○井田説明員 逐次拡張していきたいと考えております。
○森本委員 なるほど勧業銀行がそういうふうな性格の銀行であるというごとはわかりますが、保護預かりするについては、勧業銀行でなく一般の銀行でもかまわぬ、こう思うわけでありますが、そういう点についてはどうですか。
○井田説明員 その点はかなり問題があるわけでございまして、真偽の鑑別の問題は別といたしまして、先ほど監理官からお話がございました公示催告制度によります無効債券の識別という問題、これが相当めんどうな問題でございます。それから保護預かりをいたしますと、抽せんで当たったような場合は、一々これを見まして、この利払いをするといったようなときには課税の問題がございますが、これが税法の関係でかなりめんどうなことになっておるわけでございます。従いまして、さしむきはこれを拡張するといたしましても、勧銀の支店を利用いたしまして、逐次全国各地に及ぼしていきたいと思いますが、遠い将来の問題といたしましては、勧銀だけでは足りないという時期も出てくるもの、こういうふうに考えております。
○森本委員 公示催告の問題についても、これはかなり問題があると思いますが、きょうは時間もありませんので、その点は省きます。 次に質問をしたいと思いますことは、この法案ができまして、こういうことについてはかなり周知宣伝をしなければ、この目的を達することがむずかしい、こう思うわけでありますが、その具体的な周知宣伝の方法についてはどのように考えておられますか。
○井田説明員 窓口で売り出しますときにお客様にそのことを御説明する、こういうことでやっていきたいと思っております。
○森本委員 そうすると、これは現在までの分については当てはまらぬわけですか。
○井田説明員 それは既発のものという意味でございましょうか。
○森本委員 はい。
○井田説明員 既発のものにつきましても保護預かりを東京、大阪においては実施をしております。
○森本委員 その保護預かり以外の、いわゆるこの臨時措置法の買い取りのときの宣伝方法ですね、周知宣伝といいますか、そういう方法は具体的にどういうふうにお考えですか。
○井田説明員 ちょっと御質問の御趣旨がはっきりしないのでございますが、古い債券についてもそれをやるか、こういうことでございますか。
○森本委員 そういうことです。
○井田説明員 その通りでございます。
○森本委員 古い債券についての旧知宣伝というのは、窓口で加入者に渡すときだけでは話にならぬので、そういうものの周知宣伝については具体的にどういうふうにおやりになっているか、こういうことです。
○井田説明員 毎月の請求書を出しますときに、そういったことを宣伝いたしますとともに、電信電話新聞といったようなものも出しております。そのほか電話番号簿で周知をする、あらゆる手段を講じまして周知いたしたい、こういうふうに考えております。
○森本委員 大体以上で私の質問を終わりますけれども、これはもう各委員から質問をいたしておりますので、内容についてはすでに相当やられておりますが、ただ最後に、先ほどの勧銀から直送するということについてはどうですか。
○井田説明員 その通りに間違いございません。
○森本委員 これはまだ研究する部門が相当あると思いますので、一つこれは質疑応答の中でまだ不明確であった点については十分に公社当局において検討せられて、早急に具体的な案を練るものについては具体的な案を練り、それから郵政省としても早急に指示すべきものは指示する、こういうぴしっとしたやり方をとっていただくことを特に要望しておきまして、一応私の質問を終わります。
○本名委員長 受田新吉君。
○受田委員 短い時間でお尋ねをさせていただきます。 前日の委員会で、きょう回答をお願いする問題がありましたが、大蔵省にまずお尋ねしたいのは、二十二億というその資金の設定の基準を御説明願いたいと思います。
○熊田説明員 御説明申し上げます。この前も簡単に申し上げましたが、私どもの考え方といたしましては、債券相場の動向とか、第一次取得者がどの程度売却をするであろうかという割合とか、それから資金の回転率、こういうようなものを要素にいたしまして算定をいたしたわけでございます。まず三十七年度以前に発行されました加入者債券が、どれだけ三十七年度末にあるか、それから三十八年度中に発行される分が幾らあるかということでございますが、これは払い込み額で申し上げますと、三十七年度以前の発行分が二千百八億でございます。それから三十八年度分は七百四十八億でございます。この両方足したものが対象になるわけでございますが、このうちでどれだけが売買の対象になってくるかということでございます。これには題一次取得者が持っております割合、それから一年間にどれだけそのうちから売られていくかという過去の経験率、その上にさらにそうして出て参りました債券の額のうちで何割くらいが実際の売買の対象になるであろうか、そういうような点電電公社の調べました過去の調査の数字、及び私どもの推計によりまして、それぞれ三十七年度以前の発行分と三十八年度の発行分にその割合を乗じまして出てきた結果が、三十七年度以前の発行分につきましては六億円、三十八年度の発行分につきましては三十八億目となりまして、合計いたしまして四十四億円でございます。これは四十四億円でございますが、少なくとも二回転はするであろうという想定をいたしまして、資金としてはその半分の二十二億で足りるのではなかろうか、こういうふうに算定をいたしたわけでございます。現在の債券相場の状況、それから今後の経済その他の見通しから言いまして、二十二億あれば十分ではないかと考えるわけでございます。と申しますのは、その算定の根拠になっておりますのは払い込み額でございます。ところが実際に電電公社が買います価格といいますのはこれよりもはるかに低い額でございますので、この二十二億で十分にやっていけるのではないかというふうに私ども考えております。
○受田委員 四十四億という数字を出されたその根拠は、今の市中へ出回る債券の数量ですか、それの定率でございますか。きょう資料をいただいておるけれども、その三%とか四%とかいう数量になっている。大体既発行とそれから新規発行とを加えて、市中に出る額が四十四億ということで電電公社は御算定ですか。
○井田説明員 きょうお配りいたしました資料の三枚目に、「加入者債券売却率」というのが出ております。これは昨年の九月に、電電公社で全国にアンケートをやりまして、その結果まとまった数字でございます。この数字によりまして大蔵省が今の査定をされた、こういうことでございます。
○受田委員 この調査というものは、的確な方法でやられたのか、何か便宜的な、調査がしやすいような方法でやられたのか、どちらでございますか。
○井田説明員 過去の電電債の引受者全部を対象といたしまして、その中から七万何千、はっきりした数字を今記憶しておりませんが、これを対象としましてこのアンケートを求めたわけでございます。この七万何千という回答が全部出そろいましたならば、精度におきまして九〇数%という確率の高い調査ができるわけなんでございますが、実際に回答が参りましたのは二万二千しか回答がなかったわけでございます。その二万二千の回答を分析いたしましてこういう計数が出て参った、こういうわけでございます。
○受田委員 実際に市中に出回っている債券数量というものが相当の量に及んでいることは、これはもう世間ではっきりわかっていることなんですが、今回答をしなかった人々というものは、こういうものを売ったとか買ったとかいうような議論ではなくて、深刻な状況にある者がしない場合が私は多いと思うのです。この数字をもとにしてやられたということでありますから、一応それを肯定したとしまして、もう一つ問題は、二十二億という資金で電電債を買い上げる場合に、経済上の不況を来たして深刻な債券市場の混乱というようなときに、今のように加入者がどんどんこれを売ることを申し込んできた。申し込んできたけれども、最後に申込量が二十二億よりもはるかに上回ったという結果が出たときに、その中で、はい、何日まで申し込んだ分は買い上げます、あとはもう資金がありませんから買い上げません、ということになれば、これは公平の原則に反するわけです。一応申し込まして買うことを約束したものは、これは全部買い上げてやらなければいかぬわけですが、二十二億を限界にしてここで打ち切る、こういう事態が起こったときに、公平の原則をどのように守っていくかという問題を一つ御説明願いたいと思います。
○井田説明員 早い者勝ちで二十二億が切れたところで打ち切るということがあってはならない。従いまして、この二十二億の資金の回転をはかりまして、売却希望者はすべて救済する、こういうふうに努力をいたしたいと考えております。
○受田委員 それは実際問題として技術的になかなかむずかしい問題ですね。第一次的に申込者を集計してみたら二十二億あった、これですぐ売りさばいてまたその資金を次に持っていくというような芸をやるうちに、現実の問題としては、いよいよ債券市場が混乱に陥りますよ。そういう非常に債券の基準価格が下がってきたときの措置で、二十二億でも間に合うかという現実の問題にぶつかった場合を想定してみましょう。それをすぐ売りさばいて、すぐまた新しいものを買い込むというような操作を何回繰り返したとしても、それではもうとても間に合わないような事態だと私は思うのです。だからこの二十二億という金額は、用意した金額としては非常に少ない金額です。実際の市場に出回ってくる株は相当なものであることを思うときに、この数字は既発行株の百五十分の一ですか、大体百五十分の一程度しか資金がないわけですから、実際市中に出ている株の数量を発行額の二〇%と見た場合で見ると、その十分の一にも足らぬ。五十億にも足らぬことになるわけです。実際の運営面においては、本人もそういう事態が起こったときに、二十二億の手当では間に合わぬでしょう。むしろそういうものがあったために混乱を来たすような結果になると私は思うのです。これは一つ問題があると思うのです。 ちょっと途中でお聞きしたいのですが、大蔵省は、そういう御説明を聞くと、非常に市価が安くなったときにこれを措置する、こういうことでしょう。そういうことになると、これは需給調整資金ではなくて価格調整資金ではないですか。
○熊田説明員 もちろん価格調整及び需給調整ということを両方考えておると思います。ただ、根本は、先ほどもたびたび御説明があった通りに、第一次取得者の保護、第一次取得者が負担法時代と比べましてあまりひどい損を受けるというおそれがあるときに発動をさせるということであろうと思います。
○受田委員 そのお考え方は価格調整資金ですね、需給調整じゃない。その考え方であれば価格調整が本質になっておる。非常に市価が不安定になって、暴落したときに回収するということになれば、これは純然たる価格調整資金ですね。需給調整の方の趣旨であるならば、これは別の考え方が入らなければならぬです。電電公社の今の大蔵省のお考えに対する御意見を一つ伺いたいと思います。
○井田説明員 本年度予算におきましては、公定歩合の引き下げ等も予想されまして、大体市価の推移も底が固い、こういうことも考えあわせまして、 一方、公社全般の資金量、そういうことも考えまして、まず本年度は二十二億で十分であろう、こういうふうに考えたわけでございます。
○受田委員 これは需給調整を原則とするか、価格調整を原則とするかという論議になってくるわけなんで、今非常に市価が下がってきた、そのときの価格調整資金として私は二十二億では間に合わないと申し上げたわけなんです。別の要素がなければ二十二億で満足のいける解釈はできないわけですね。それを別の何かの、そういう非常に市価が下がったときに回収するという価格調整という意味でなくして、需給調整の立場からの御意見を伺いたいと思う。それを申し上げておるわけです。
○岩元政府委員 需給調整か、あるいは価格調整かというお尋ねでございますが、本資金の運用は、市場価格の下落時におきまして、第一次取得者から債券を購入することを原則とするものであるわけでございますが、これは先ほどから再々申し上げておる通りでございますが、本資金による債券の買い入れは債券の流通性を確保するものでございまして、ひいてはそれは店頭価格の維持という効果も果たしますとともに、元来取引所市場に流出しまして、取引所相場を引き下げる作用を及ぼすと考えられます。加入者等の売却債券を未然に吸収いたしますことによりまして、債券の需給を調整し、ひいては取引所相場の安定にも寄与し得るというふうに考えられるわけであります。
○受田委員 従来電電公社は、買入償却費というものが三十七年度に三十何億かありましたね。それは今度ないことになったのじゃないですか。いかがですか。
○井田説明員 その通りでございまして、三十八年度予算におきましては、この調整資金の設置ということを考えあわせまして、買い入れ償却費は計上をしておりません。
○受田委員 共済組合積立金による電話債券購入費というものはどういうふうになりましたか。
○井田説明員 二十七億ほど縁故債を共済組合に引き受けてもらう予定になっております。
○受田委員 これは縁故債ですね。そうすると、これは本質的なものじゃないですね。いかがでしょう。
○井田説明員 加入者引き受けの電電債券とは別個のものでございます。
○受田委員 そうしますと、買い入れ償却費も三十八億削られた。二十七億の共済組合積立金の方の電電債の資金も削られておる。そうしたら二十二億新しいものができたとしても、実際は需給調整資金というものは逆に減ったような形じゃありませんかね。
○井田説明員 この縁故債の問題は、加入者引き受けの債券とは全然別個の問題だと私ども考えております。ただ買い入れ償却費の振りかわりというわけでもございませんが、買い入れ償却費がなくなったかわりに、調整資金が設置される、こういうふうに考えております。
○受田委員 これは、いずれにしても、二十二億ということは、逆に買い入れ償却費を三十八億削ったということにおいては、プラスよりむしろマイナスじゃないですか。
○井田説明員 三十六年度予算におきましては、当初予算の買い入れ償却費は二十一億余りでございます。あと弾力条項を発動いたしまして、二十億ほど追加したわけでございますが、実際の買い入れは二十六億余となっております。
○受田委員 その買い入れ償却費を削ったということは、結局これは振りかえたことですね。二十六億という金を使っているのが、二十二億ということになれば、四億少ないわけですね。これでは電電公社の需給調整の資金としては実際問題として逆に減らされたことじゃありませんか。
○井田説明員 二十六億と二十二億を比較いたしますと、仰せの通りでございますが、この二十二億は回転の可能性を持ちました資金でございますので、そのまま比較いたすのは適当ではないと考えます。
○受田委員 回転の可能性があるというお話でございますが、実際にこの二十二億を使うという事態が起こるときは容易ならぬ事態であって、今申し上げたようなこれだけの金では間に合わない場合があって、公平の原則に反する、よう買っていただけない事態も起こると思う。こういう事態は確かに予想されますよ。そういう事態になったときに、このくらいの金で足るか足らぬかはすぐおわかりになると思うのです。それから二十六億を買い入れ償却費に回して二十六億を使ったとおっしゃっておるのでございますが、この方はきちんとその方へ充てられた金ですからね、これはきわめて明瞭な金です。一方の方は、そういう事態を予想した見せ金のようなものでございますから、現実の問題としては使わない場合もある。需給調整の上に貢献する度合いを比較してみると、むしろ買い入れ償却費をきちっと計上してこれを続ける方が効果があると私は思うのですが、間違いでしょうwか。
○井田説明員 私どもといたしましては、一度限りの買い入れ償却費よりも、回転する需給調整資金の方が有効だ、こういうふうに考えたわけでございます。
○受田委員 そこで、電電公社は五十億最初に予定されたのが削られた、五十億という計算は、やはり三十八億という買い入れ償却費を一応念頭に置いた数字ではなかったのでしょうか。
○井田説明員 予算を要求いたしました時点におきましては、実はこのアンケートによるところの結果はまだまとまらなかったわけでございまして、公社の利用いたしました数字は、数年前に東海地方におきまして調査いたしました統計、これによりますと、売却率は約二〇数%というのがそのとき利用できる唯一の資料であったわけでございます。そこで、何分にも実績のないことでございますので、大体私どもの見当といたしましては、七百億余りのものを売り出す、これの今の二〇数%のものが売却になる、そうしますと大体二百億程度のものが売却をされるのではなかろうか、これに四回転という考え方で五十億という数字を要求したわけでございます。
○受田委員 その五十億という数字の根拠は、今局長がおっしゃった通りです。それで大蔵省の御所見は、また計算の基礎は別の方からきているので、五十億と二十二億の比較の基準が違いますね。だから、根本的に考え方が違っておる立場の数字の出し方でありますから、五十億出したのを二十二億に減らされたという数字が、今局長の御説明のように二〇%程度のものが出回るとしての計算だという、別の方からきているのですよ。だから、ここで買い入れ償却費と五十億というものをある程度勘案しながら五十億をお出しになった電電公社のお考えは、原則としては根本的に破壊されて、新しい感覚から二十二億は生まれた、こういうことになる。しかも二十二億は、大蔵省の御所見では、価格調整資金と私は判断せざるを得ない御意見のように伺ってきたわけです。これは非常に大事な問題であって、政府保証債の発行を別の方で考える問題とあわせて、国の財政計画の中の基本的な重大な問題になってきておると思うのです。 そこで、大蔵省のこれまでの御所見として、二十二億では足りないのだという電電公社の御意見に対して、できるだけ融通資金量をふやすために――収益はだんだん増収がありますよ、この間議論した通り、大体低いところで買うのですから、幾分増収があるはずです。増収のあった部分を、予算総則などで適当な融通規定か何かをそこで設けて、その増益部分を需給調整資金の中へだんだんとふやしていく、こういう建前を大蔵省はお認めになるか、どうでしょう。
○熊田説明員 現在のところそういうことは考えておりません。特に来年度の債券相場の動向、経済動向というようなものから考えまして、目下のところそういう必要は全くないというふうに考えております。
○受田委員 その動向といいますと、二十二億は多過ぎるということになるわけですか。
○熊田説明員 今の御質問の趣旨がよくわからぬのですが……。
○受田委員 私が申し上げているのは、債券の売買によって得た収益を、新しい需給調整資金源として二十二億に漸次加えていく方法を許すかどうかということです。
○熊田説明員 それは、ただいまお答え申し上げました通り、そういうふうにふやしていく必要がないというふうに考えておるわけでございます。
○受田委員 それで、もう今の実情から言えば、今のお話しぶりによると、二十二億の需給調整資金も、今の債券市場ではあまり用をなさないのではないか、こういうふうな含みがあるように思いますが……。
○熊田説明員 私の今の予測では、三十八年度にはこの需給調整資金を発動する事態というのはほとんどないのではないかというふうに、これは私見でございますが考えております。
○受田委員 二十二億自身も必要でない事態だ、景気が大いに高進しつつあるのだから必要ない――しかし三十八年度の予測を今ここではっきりやって、そして新しく利益を上げた部分をそれに加える必要もないし、二十二億も使うことはないというような考え方でいくと、経済界の動向というものは、生きているのですから、どういう事態が起こるかわからない。国際関係などからもどういう事態が飛び出すかわからないわけです。だから心づかいとしては、売買利益を上げた部分を需給調整資金にプラスしていくというような考え方を持ってやる方が債券を持っている加入者に安心感を与える。そういうPRの上においても、消化力においても、私は非常に効果的だと思うのです。その心づかいが政治的に必要じゃないかと思うのですが、あなたの今のような御意見でしたら非常に冷たい結論が出てしまったように思うので、ちょっと御所見をお伺いしたい。
○熊田説明員 この法律におきまして、売買の差益が出た場合には、それを資金に繰り入れるということになっておりますので、三十八年度に利益が出れば、その分は資金の増加ということになります。
○受田委員 それは予算総則に何らの規定を設けなくてもいいんですね。
○熊田説明員 予算総則の点は必要ございません。
○受田委員 今の御説明で、事態は非常に好転しているから二十二億も要らないのだ、こういうことであります。そうすれば、もうことしはこういうことでやらないで、三十八億へ適当なプラスをしてやって、買い入れ償却費の方をそのまま計上した方がむしろ意義があったのじゃありませんか。来年でもまた事態によってやるという程度でいいのではないか。現段階における御所見を伺います。
○稲村説明員 今の御質問にお答えいたしますが、特別買い入れ償却資金をやめて、今回のような制度改正をいたしたいということで御審議をお願いしているわけでございますが、特別買い入れ償却資金と申しますのは、要するに電話債券を償却してしまう、つぶす金でございます。つまり先ほど御指摘のように、市場の需給調整と申しますか、価格が下がるのを防ぐという意味と、もう一つは公社の将来に対する債務の累増を、状況のいいときに落としていくという趣旨もありまして、償却いたしてしまうわけでございます。今回の需給調整資金は、御指摘の通り、一般の加入者、第一取得者の負担が非常に重くなるというような事態が生じます際に、その負担を少しでも軽減したいということから出ているものでございまして、先ほども御説明がありました通り、回転するという点で、単に二十二億を今までの特別買い入れ償却費とそのまま数字的に比較をしていただくということは、若干問題であろうかと存ぜられますと同時に、また趣旨といたしましても、これは買いました債券を償却いたすものではございませんで、その点におきまして、従来のとはやや違ったものであるという両面のことが考えられるかと思います。
○受田委員 もちろん両面のことは考えられます。しかし、政策として見たときに、需給調整資金をつくるならば、少なくとも二十二億というような計算の仕方でなくして、電電公社が当初予定したところの市中に流される数量を二〇%と比較した、そういうところを根拠にしたものを、五十億という金をそのまま認めていくということになれば、これは市価安定にも、加入者に与える印象の上からも、非常な好影響を私は与えると思うのです。これはたとい三カ月であったとしても、使わなくて済めばなおいいことです。その点を私は申し上げている。本委員会が附帯決議をつけてかつて要求したことに対する措置としては、今度の二十二億というものは、われわれの附帯決議を付した理由から言うと少額過ぎる、こういうことを私今御説明したかったわけです。 いま一つ、政府あるいは公社が証券売買をやることはけっこうなことかけっこうでないことか。従来国債の売買を政府みずからがやった戦前の例もあるわけでございますが、現段階においてそれはけっこうであると思われるか、けっこうでないと思われるか、大蔵省の御所見を伺います。
○稲村説明員 ただいまの御質問でございますが、電電公社が証券売買を業とする――と申しますか、いわば証券業者みたいなことをやることがいいのかどうかという一般論といたしましては、確かに電電公社はそういうことをする公社ではないというふうに考えますが、しかし今回の場合は、先ほども御説明申し上げました通り、加入者引き受けの債券というもの、これは法律でもって加入者が義務づけられているものでございますので、これが経済情勢その他のあれによりまして、特に相場が下がって、負担が不当に重くなるというときには、少しでもその負担を軽くするという意味で、公社がこの資金を使って買い上げるということにするのが適当ではないかということでございます。
○受田委員 公社のあり方としても、公社が適当な指導によるところの特別の電話債券証券会社というようなものをつくることも一応考えておられたようですけれども、これを委託することもできる、公社がやることもできれば、証券業者もやることができる、こういうような形になってきておるのですね。これは正確に言って、この問題を取り扱う場合に、公社にまた特別の人間も必要ではないか、そういった業務を担当する職員が必要ではないか、こういうことも起こるわけです。これが一つと、それから純然たる公社の指導による電電債証券の会社をつくるということは、原則として好ましかったか。あるいは今の形がよかったか。結論は今出ておるようでありまするが、そういう考え方そのものを、どういうふうに判断しておられるか御答弁願います。
○稲村説明員 ただいまの、電電加入者債券のこういう制度をつくるにあたりまして、特別の証券会社をつくってそれにやらせるという方式の方がいいのかどうかという御質問かと思われますが、先ほども申し上げました通り、今回こういう資金の制度を設置いたしたいということにいたしました基本的な考え方が、法律によって、債券の引き受けを義務づけられております第一次取得者を救うという公共の目的に発しているものでございますので、たといそれがどういう特別の証券会社でありましょうとも、そういう会社にそれをやらせるということは適当でないというふうに考えておる次第でございます。ここで証券会社に委託をすると申しますのは、公社が自分の権限として、責任において需給調整資金の運用をいたしますが、ただ事務的なこまかい点について、事務の取り扱いを証券会社に委託するという形にしたいということでございます。
○受田委員 実際に電話の加入者が引き受ける債券は、その場で悪徳業者にばかに高い手数料で買い取られる場合が多いわけです。そういうものの救済を第一に考えていく必要があるのではないか。これはもうすばらしい高率の融通利子になってくるわけです。そういう悪徳業者の監督指導も、あわせて考えていかなければ、証券業者だけでそれをやるといったって、大証券というものは、電話債なんというのをそんなに本気にやっていませんよ。実際のところ冷淡ですよ。むしろこれは専門的に電話債券を一生懸命にやっている業者の方が真剣なのであって、大証券はなかなかこれに熱が入っていません。ほかの政府保証債みたいなものを消化するのが精一ぱいであって、市場に立っておるような電話価なんかにあまり熱を入れませんよ。そういうことを考えてみると、今の悪徳業者なんかに買い占められておる――加入と同時にちゃんと債券を売りさばくことを考えて、ばかに高い手数料までとっているわけですから、そういうものを救済することを前提にして、何らかの形の――証券業者を指定する際に、特にその点を配慮して、証券専門で熱心に考える人々に、これを加入者から売りさばかせるような措置をとる、途中で悪徳業者を介在させないという措置も同時にしておかなければいかぬと思うのですが、いかがでしょう。
○岩元政府委員 御趣旨の通りでございまして、そういった面について目下検討しているところでございます。
○受田委員 郵政大臣は、この前の委員会では、悪徳業者の取り締まりに乗り出したいということでございました。実際の被害はそういうところにあるわけなんです。加入者が電話を取りつけるときには、二割か三割か四割の負担を同時にするような形で電話を取りつけているわけですから、そういうことを一掃して、市場価格、適切な手数料でこれを加入者が自由に売りさばけるような形にしていかなければならないのです。電話を取りつけるときに、金がないためにそういう悪徳業者に利用されることを救済する、これが郵政大臣として、監督官庁として適切な措置だと思います。この間そういう御趣旨の御答弁があったわけです。これは具体的にどういうふうにやるか。検討じゃなくて、現に調査を命じており、ある程度の成案を得る段階になったかどうか。記者会見の御発言後時間もたっておりますから……。
○小沢国務大臣 その両方でございますけれども、ただいま事務当局で草案をつくらせております。それで、できるならば今国会に出そうという意思でつくらせておりますけれども、なかなかいろいろ複雑な問題がありまして、まだ要綱もできておりませんけれども、それによることと、もう一つは、この法律によること、そういうような一連の関係において、この義務づけられた債券を買った人を守ることができる、そういうふうに私は考えておるわけでございます。
○受田委員 非常に積極的な御意見でございます。そこで悪徳業者、これは証券業者じゃないのですから、債券を売買することそのものは法律違反ですね。これはいかがでしょう。
○岩元政府委員 証券売買をやる業者というものは、もちろん証券取引法による業者であるわけでございますけれども、今の買いたたきといった悪い面が出ております場合、これが必ずしも証券業者でない場合があるわけでございまして、たとえば電話取引業をやる者が、売買ということでなくとも、売買の取次といったようなことでそういった買いたたくようなことを現実にやっていることも開いておりますので、そういった面等も考えまして、現在いろいろ検討しておるところでございます。
○受田委員 これは事実買いたたいて、また適当なときに売るのですから、やはり売買です。だからこれは法律違反をやっておるわけです。そこで、その法律違反を大目に見ておるというような形は、問題でございますから、ちゃんとした資格を持った手を通じていく、こういうふうに正規のルートに乗せるように指導していく。どこかにやみ電話の相場が立っておったりするような、今何か暗い影が、電話をめぐって世間に現実問題として出ておる。新聞の折り込みなどでも、債券はすぐ売ってあげますから、金はなくともすぐ取りつけられるというようなはさみ広告をどんどん出しております。だからやみ証券取引業者を新聞広告で容認しておるようなものです。こういう事態を早く解決するように御努力願いたい。 それから、今の委託証券業者というものは、できるだけまじめな業者を多数指定したいという御答弁がありましたが、これも証券の業務を営む規模が全国に支店を持っているとか、そういう非常に大がかりなものだけか、あるいは電信電話債券の消化のために協力しているような、そういう専門の証券業者を幾つか加えるということになるのか、この基本方針を一つ御説明願いたい。
○井田説明員 全国に販売店を持つ大証券業者のみならず、地域的な中小証券でありましても、信用のある業者なら指定をしたい、こういうふうに考えております。
○受田委員 電電公社が、電電債の消化のためにいろいろなPRをしようとしても、御自身ではなかなかできない。そういうものについては、証券業者にできるだけ一役を買ってもらうという努力、やはり協力させる必要がある。電電債の市価が不当に、今まで他の類似のものと比べて安かった理由は、そこにPRの不足ということもあったわけです。こういうことも含めて、今後せっかく今安定の方向にある電電債の消化並びに地域的な段落――ある地域には群がっておる、ある地域にはまばらであるというようなところの是正、それから、債券をできるだけそのまま自分のうちに償還期まで保有するようなPR、こういういろいろなところをこれから御努力をしていただくことをお願いして、私の質問を終わります。
○本名委員長 ほかに質疑もないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。 次会は明二十日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十八分散会