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43回国会衆議院1963/06/07

地方行政委員会 第32号

発言数
66
登壇者
9
会派数
2
開催日
1963/06/07

会議録

永田亮一自由民主党

○永田委員長 これより会議を開きます。  地方財政に関する件について調査を進めます。  本日は、特に地方公営企業における経営問題等について質疑の申し出がありますので、これを許します。太田一夫君。

太田一夫日本社会党

○太田委員 私は、ただいま委員長からお話のありました地方公営企業の経営に関する問題につきまして、自治省と、それからまた監督の省にある運輸省、それから人権に関する問題がありますから法務省、それぞれ関係の方にお尋ねをいたしたい。  事件は、この二日の夜に起こりました神戸の市営バスの車掌さん若林栄子さん(二二)が、売り上げ金の検査に基因をいたしまして、非常にその検査の過重なることに耐えかねて、その深夜、姉をたずねていくと称して、電車に飛び込み自殺をいたしました。こういう事件がありましたので、これに基づきまして、現在の公営企業の、いわゆる基本的な経営方針というものに、何かゆるみがきているのではなかろうか、また運輸省は、道運法の適用につきまして、何か見誤っていらっしゃることはなかったろうか、かつまた法務省においては、人権擁護の立場から、しばしばそういう危険が出ていたのにかかわらず、見過ごしていらっしゃったようなことはないのであろうか、こんな疑いを持ったわけです。したがって、それに伴いまして、若林栄子さんの自殺事件を中心といたしましてお尋ねをいたします。  まず最初は、この公営企業のたてまえから見て、自治省にお尋ねをいたしますが、身体検査を行なうという法律上の根拠はどこにあるのか、これをひとつお答えいただきたいと思います。

奧野誠亮自治事務官(財政局長)

○奧野政府委員 神戸市の規則におきまして、いまお話しになりましたような検査を励行しなければならないというようなものが制定されているようでございます。この根拠は、地方公営企業法の十条に、「管理者は、法令又は当該地方公共団体の条例若しくは規則又はその機関の定める規則に違反しない限りにおいて、業務に関し管理規程を制定することができる。」と、こう規定しておりますので、これに基づく規則であろう、こう考えておるわけでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 公営企業法に基づくところの管理規程を制定しなければならない。したがって、その管理規程は、運輸省の道路運送法上の服務に関する規程とはどういう関係がありますか。運輸省のほうからひとつお答えをいただきたいです。道運法上の規程といまの管理規程とはどういう関係にあるか。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 道路運送法上から申しますと、公営企業と民営事業とを問わず、自動車運送事業者に対しまして、内部規律の問題といたしまして、道路運送法に基づく運輸規則によりまして服務規程をつくらなければならないというふうになっています。

太田一夫日本社会党

○太田委員 両方の関係が非常に複雑でありますから、もっと明快にしていただきたいと思うのでありますが、特にこの際は木村局長さんにお尋ねしたほうがよろしかろうと思う。道運法六条によりますと、免許基準というのがありますね、その免許基準によりますと、第三号には、「当該事業の遂行上適切な計画を有する」ことが免許の基準である。それから四号は、「当該事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものである」ということがまた免許の基準である。さらに道路運送法二十六条によりますと、「従業員の服務規律は、運輸省令で定める。」とありますから、そこで自動車運送事業等運輸規則というのが出てきて、その二十七条でございますか、それぞれの義務とか、あるいはその服務についての基準規則があるわけであります。けれども、いま自治省のおっしゃいました管理規則というのは、この場合、道路運送法にいうところの服務の規律を定めなければならないというものに該当しておるのか、それは一本であるかどうか、この点を木村局長からお答えいただきたいと思う。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 公営企業に対します管理規則の点について、私、所管でございませんので、御答弁申しかねますが、先ほど申し上げました道路運送法に基づく運輸規則による服務規程は、これは道路運送事業、特に旅客運送事業を適確にやるために、またサービスその他が事業の重要な部面になりますので、内部規律というものをはっきり立てて事業の運営に当たるということが必要であるという観点から、特に客に接する従業員に対する服務規程というものをつくることを義務づけておりまして、いかなる内容の服務規律をつくるかということはそれぞれ企業者の自由にまかせてあるわけでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 奧野さんに、いまの点に関連して、十条の点でお尋ねいたしますが、十条を見ますと、「管理者は、法令又は当該地方公共団体の条例若しくは規則又はその機関の定める規則に違反しない限りにおいて、業務に関し管理規程を制定することができる。」「法令又は」、したがって、いまの道路運送法というものはやはり制約をしている。道路運送法に無関係で管理規程がつくられるわけじゃありませんね。その点については、道路運送法上の諸精神というのは、当然この十条でいう地方公営企業の管理者は理解しておるはずのものでなければならないと思いますが、それはよろしゅうございますか。

奧野誠亮自治事務官(財政局長)

○奧野政府委員 道路運送法で禁止しておる内容を規定することはできない、こう考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 したがって、ここで少々事件の詳細についての認識を承りたいのでありますが、二日の深夜に自殺された神戸市営バスの車掌さんの若林栄子さん(二二)のその当時の取り調べを受けた実情並びに自殺に至る経過について、御承知でしたら、どなたでもけっこうですからこの際お答えをいただきたい。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 自治省のほうで詳しい御調査があるいはあるかと思いますが、私のほうで一応大阪陸運局を通じて事情を聞きました概要を申し上げますと、六月二日に神戸市の交通局におきまして、当日臨時検査を行なったということでございます。臨時検査と申しますのは、乗務を終わったときに常に検査をいたしますのを一般検査と言っております。随時やるのを臨時検査、こういうふうに服務規程には書いてございます。その臨時検査に該当するわけでございます。そのとき、お話しの若林栄子さんは、検査のときに手袋を二枚はめておられまして、その間に五百円札を小さくたたんではさんでおったということで、検査の係の者に一応の疑いを受けた。係の者が御本人の給料あるいは小づかいの使途等を調べまして、手袋にはさんでおる五百円はどういうわけかということで、いろいろ御本人を問いただしたそうでございますが、本人から正当な理由の説明がなかったということのようでございます。この調査は当日の十五時十分ごろから三、四時間にわたってやったということでございます。その間御本人は昼食を二時四十分ごろしておったそうでございますが、その後そばか何だったかと思いますが、夕食のつもりだと思われますが、取り寄せて出したそうでございますが、それは手をつけなかったというふうなことでございます。そして三、四時間調べてうちに帰した。こういうふうな事情がわかっております。その後の事柄はお話にあったようなことでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 自治省の奧野さんは御承知でしょうか、そういう詳細について。もしあなたが入手していらっしゃる報告、情報について、いまの木村局長の御説明以外に何かお知りになっていらっしゃるものがありましたら、この際お答えをいただきたい。

奧野誠亮自治事務官(財政局長)

○奧野政府委員 大体木村局長からお話しになったとおりでございますけれども、若干食い違い——あるいは補足的に申し上げさしていただきますと、車掌さんについて調べました時間が三時半から七時の間、こう聞いておるわけでございます。それと質問をいたしました者が女子監督一人と、記録を担当いたします男子一人とであったということでございます。なお、調査の過程において、いまお話がございましたが、お茶菓子を出し、ラーメンを提供した。しかしいまお話がございましたように、ラーメンには手をつけなかったというような事情のようでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 そこで私は、先ほど身体検査を行なう法律上の根拠は何かとお尋ねいたしましたところが、それは地方公営企業法十条によるところの管理規程があるからそれでいいんだ、こういうお話であるし、それからまた運輸省においては、地方公営企業については、どちらかというとあまり深くタッチしたくないというようなニュアンスのお答えがあった。そこで私は、その管理規程が盲点になっておるような気がするのです。管理規程は、地方のそれぞれの公共企業体でつくればよろしい、こうきめてある。運輸省は、道運法におきまして、あるいは自動車運輸規則におきまして、車掌はこうしなければならぬ、運転者はこういう義務を持たなければならぬ、管理者はこういう義務を持たなければならぬ。たいてい輸送の安全と旅客、荷物、公衆の利便という点を中心に置いての列挙主義の法律に定めた各条項を厳守しなければならぬ義務が定めてある。ところが服務規律になりますと、これは定めなければならないというようなぐあいにしておきまして、管理者に一切委任しておる。  そこで、その内容の問題になりますが、内容の問題では、民間においてもあるいは公共企業体においても、しばしば争いがあって、身体検査というようなことは行き過ぎである、いわゆる身検の行き過ぎということがしばしば論ぜられて、今日では国鉄ではないでしょう。国鉄の自動車においては身体検査はない。公営企業のほうにはそれが非常に強く残っておる。そうしてまた民間にもこれが強い。西鉄においてこのことが、三十六年のころに地裁の判決があって、これは非常な問題を巻き起こしました。身体検査に応じなかった者を懲戒解雇にしたという事例がありまして、当時これは非常に注目すべき判例を残したものがありますけれども、こういうような例がある。そのような基本的な人権に関する問題を規制した管理規程というものが、実は地方の片すみに埋められておるということは、はたしていかがなものであろうかと思うのです。  そこでこの際、大臣のいらっしゃる前に、ひとつ藤田自治省次官にお答えを願いたいのでありますが、いまお話のありましたように、昼の三時から晩の七時までというと四時間近く二十二歳のお嬢さんを調べた。この調べ方というのは管理規程の精神に合っているのですか。管理規程そのものの内容に合っておる、おらないという問題はさしたる問題ではない、地方公営企業法の第五条において、「地方公営企業に関する法令並びに条例、規則及びその他の規程は、すべて第三条に規定する基本原則に合致するものでなければならない。」、第三条とは何です。「経営の基本原則」、それは「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。」という遠大なる理想を掲げております。単にぜに金の問題ではないです。人間性だとか、社会福祉だとか、幸福だとか、繁栄という、りっぱな理想が掲げてあるにかかわらず、四時間も二十二歳のかよわい女性をしぼりにしぼって死にやらせたというような管理規程というのは、どう考えても行き過ぎであると思うのですが、これについての感想を次官から率直にひとつ伺いたい。

藤田義光自由民主党自治政務次官

○藤田政府委員 先ほど来御質問の、神戸市のバスの車掌さんの痛ましい事件に関しましては、まことに同情にたえないところでございます。ただいまお示しの公営企業法第三条の公共の福祉と経済性、この二本の柱の上に公営企業が運営されておる。この点はわれわれ直接間接関係のある者の、常に念頭に置いておる問題でありますが、神戸市の場合におきまして、三時間半監督の立場にある者が取り調べたということは、私どもといたしましては、その当時の客観的な情勢を詳細承知しておりませんが、一応時間だけから考えましてもこれは実に行き過ぎである。相手の女性の年齢、立場等からして、まことに気の毒にたえないと考えております。ただ、市営バスという交通事業の特殊性から、道運法や公営企業法第十条の規定がございまして、バス料金が唯一の収入源であるという観点から、いろいろな自動車職員の服務規程というようなものを神戸市でつくっておるようでございます。こういう点からしまして、唯一の収入源を確保するための方法として、従来の行き方でよろしいかどうか、従来の服務規程をそのまま順守させてよろしいかどうか、こういうこともこの悲惨な与件を契機にわれわれとしては十分検討してみたいと思っております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 これを契機としてさらに一そう慎重に検討するということについては、そのお考えについて別に異議は化しはさみませんけれども、しかし私の申し上げるのは、すでにそういう管理規程というものは明らかになっていたはずなんです。管理規程をつくったのを届け出てないとは言えないでしょう。どこかに届けてあるはずだ。それでしばしばそういう問題が起きておるということをキャッチしていらっしゃったと思う。それを具体的に人が死んだから、改正の問題についてさあやろうということは、少しどろなわじゃないかと思うのです。  木村局長、これはいかがでございますか、神戸市営バスの市交通局の管理規定なるもの、いわゆる自動車運送事業等運輸規則の第二十七条によって、事業著は、「乗務員の服務についての規律を定めなければならない。」、この服務に関しての規律というものが管理規程なんですが、それは届け出られておるでしょうね。おらないのですか。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 道路運送法に基づきます企業体内の服務規程につきましては、企業者に対しましてこういった服務規程をつくるということを義務づけておるわけでございまして、これはあくまでも、乗務員その他の旅客公衆に対するサービスその他の必要上から、内部規律をきちんとしておくということの必要上こういう服務規程を制定することを義務づけておるわけでございまして、別段これを許可制あるいは届け出ということにはしてまいっておりません。なお、服務規程の内容にいかなる事項を規定するかということも、企業者の自由にまかせております。要は、いま申し上げましたような精神で服務規程を義務づけておるわけであります。

太田一夫日本社会党

○太田委員 木村さん、少々穏当を欠くような気がするのです。道運法によって「服務規律は、運輸省令で定める。」とあって、自動車運輸規則によって事業者は定めなければならないと二十七条できめた。定めなければならないとあなたのほうで義務づけてあるのだから、その義務の履行について監督官庁が無関心であったということはないわけですから、つくったということのチェック、確認、その内容が妥当であるかどうかの確認は、一応これはやるべきものだと思うのですが、それは全然必要はありませんですか。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 つくりました服務規程を、届け出の義務は書いておりませんが、事業者に対しまして定期または臨時に事業全般に対して監督上監査をいたします。その際に、服務規程等を見るわけでございます。そして服務規程の中に不適切なものがあれば、そのときに修正その他の指示をするということにいたしております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 それでは局長、臨時ないしは定時において検査をされたときに、公営企業においてはそういう身体検査という条項がほとんど入っていると思うのでありますが、入っておるということを確認された例はどのくらいあり、入ってないと確認されたものはどのくらいあり、その間の何か大ざっぱなあなたの御記憶はいかがでありますか。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 これは公営企業及び私企業を通じまして服務規程の中に表現は違いますが、服装検査あるいは所持品の検査をするということがほとんど置かれております。この服務規程は、ほとんどが組合と企業当局者との協議の結果できております服務規程でございますが、大半が検査については規定しております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 さてそこで、そのとおり行なわれているかどうかということでありますが、先ほど申し上げましたとおり、バスにおいて私企業バスは九割はそれをやっておる。それから国鉄バスはやっておらない。それから公営企業の中でもいわゆる六大都市はやっておるが、その他はやっておらない。そうでしょう、違いますか。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 六大都市について申し上げますと、東京都の場合には、業務が終わりまして検査を受け、検査を受けた後退出するというふうな趣旨の規定がございます。それから横浜市につきましても同じような規定があります。それから大阪市につきましては、検査を受けるということを規定してありまして、実施細目は別に定めるというふうになっておるようであります。それから京都市の場合には、勤務の前後に検査を受けるというふうに書いてございます。そのほか地方の公営企業体につきましては、いま手元に資料を持ち合わせておりませんので、詳細のことをちょっといま申し上げかねる次第であります。

太田一夫日本社会党

○太田委員 同じ質問について財政局長の奧野さん、あなたにお答えをいただきたいのですが、十条にいう管理規程をつくった。その管理規程の中で、身体検査を受けなければならないという義務をつけておるところはどれだけで、義務づけておらないところはどれだけあるか、おわかりになっていたらこの際お答えをいただきたい。いま木村局長がちょっとお答えになりましたけれども、それに続いてです。

奧野誠亮自治事務官(財政局長)

○奧野政府委員 率直に申し上げますと、この事件があって調べたのでありますけれども、神戸市の職員服務規程によりますと、乗務員は終業の際係員から服装及び携帯品その他の検査を受けなければ退出することができない。臨時に検査を行なう場合は、勤務中であっても係員の指示に従わなければならない、こういう規定になっているようでございます。先ほど西鉄の裁判の例をお話しになりましたが、おおむねこういうような式の規定を設けているものだというように考えておるわけでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 この際、鎌田人権擁護管理官にお答えを願いたいのでありますが、いま、それぞれ運輸省並びに自治省当局からお答えのありましたように、いわゆる身体検査を受けなければならないという義務づけをしておる公営企業、あるいは私企業もたくさんありますけれども、特に公営企業が管理規程が多いのでありますが、この身体検査というものは、一つ間違えれば人権を侵害し、いわゆる行き過ぎ問題を起こす危険が多いのであります。そこで、そういうことをきめた管理規則というのは、はたして法律違反ではないのかどうか。私は法律違反の疑いが濃いと思う。場合によっては憲法違反の疑いも濃いと思うのでありますが、そういう点は、人権擁護の点から考えていただいてどういうものでありましょうか。この際、所見がありましたらおっしゃっていただきたい。

鎌田好夫検事(人権擁護局人権擁護管理官)

○鎌田説明員 お答えいたします。このような業界におきまして、通常の場合、服務規程などに服装検査などについての規定を設けておるという例がほとんどのようであります。ただ、このような義務を課すること自体が、ただいま御指摘のありましたように、直ちに人権侵害と言えるかどうかという点については疑問があるのではないかと考えております。この点につきまして昭和二十八年に仙台の市交通局において、同様身体検査の問題に関連して問題がありました際に、この点を検討したわけでございますが、これについて、一応人権擁護局長回答という形で去年見解が出されました。それに従って現在は取り扱っているわけでございます。これまで服装検査に関連しまして問題になった事例が、四件ほどございますが、いずれもそれらは、そのような検査を行なうこと自体というよりは、むしろ検査の方法が行き過ぎであるという点で問題になる事例であった、このように考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 したがって、いま人権擁護局の見解としては、行なうこと自体にさほど大きく法違反の嫌いはないが、行き過ぎということが間々ある、その行き過ぎを招く方法については問題があるということを御指摘になったと思う。これは自治省も、運輸省当局も、考えていただかなくちゃならぬ点でありまして、行き過ぎが死に至らしめたと考えられるのでありますけれども、間々行き過ぎが行なわれておる、非常に頻発しておるという点に問題があろうと思うのです。  先ほど身体検査の状態などについて御報告がありましたが、私どもが調べ聞きましたところの内容によりますと、二人でやったのじゃない、この車掌は、二時三十分に乗務が終了したのでありますから、三時ちょっと過ぎからやった、その間に御飯を食べたとおっしゃった、事実でありましょうが、御飯を食べたか食べないかということについて、少々つまびらかにしておりません。三時十分から取り調べを受けて、七時過ぎまでいわゆる何も食べさせずに取り調べたということになっておる、この場合、最初は男一人と女一人であった、途中から男二人が加勢に加わっている、締めて男三人と女一人、四人によって二十二歳の女の子を調べておる。たかが二十二歳の女の子一人にれっきとした監督者が男三人、女一人、合計四人で四時間も調べて、手袋の中に入っておった五百円の金は何だと言って調べた。いわゆる収入金でなかったか、売り上げ金でなかったかと言って調べた。ところが本人は、実はそんなつもりはなかったのです。ちょうど十日ほど前に同じ事件を起こしているのです。若林栄子というのは、やはり自分の金を持って、忘れて乗った。公営企業においては私金携帯を禁止しておる。それが十日ほど前に私金を持って、届けるのを忘れて乗っておる。それであわてて途中の事務所にかけ込んで、一応そこに預けて事なきを得たことがある。これは自分から自発的に言っておる。また十日過ぎに同じ五百円というものを持ってきた。途中で気がついたが、しかたがないから、これはこんなところに入れておくと、五百円をとられてしまうから、これを手袋の中に入れておこうというのは、まことにおとめのつつましやかな優雅な心でありまして、そしてお互い罪非も汚れもなく済ましたいという心理で手袋の中に入れた。これは犯罪を起こす心理じゃありませんよ。この中に事件に関係する方がいらしたら、捜査に関係する方がいらっしゃるなら、手袋の中に入れる、そんな心理があるはずがないとおっしゃるでしょう、ごまかそうとするなら。ところが手袋に入れたことが、根掘り葉掘りそれが問い詰められた材料になったのでありますけれども、なぜ十日前に同じことを起こした人が、十日過ぎに同じことを起こしたのであるか、その原因が一つ漏れておる。それは近くお嫁に行く予定になっておって、お嫁に行くというときの心理状態が、あなたたち男だからわからない。男の人にうら恥ずかしいおとめ心がわかりますか。大の男と女の子、その女の子も若い人ならいい、同じくらいの年輩の人ならいいが、花も恥じらう時代を過ぎてしまった人だから、もう花が散って、実も散ってしまっておるかもしれない、そういう人が、寄ってたかっていじめたというのですから、これはたまったものではない。大体お嫁さんにいく前の精神状態はどちらかというと非常にうわついておる。いよいよお嫁にいかなければならぬ。きんらんどんすはどうしましょうということが、心の中に始終あるじゃありませんか。その気持ちのときに、管理者は何を注意したらいいのです。これこそ道路運送法にいうところの、車掌さんはよくお客さんが乗降したことを確めてから発走しなければならない、踏切に行ったら必ずおりて、前後左右を確かめてから通さなければならないという、運転の安全を守る、人命を守るという点に——このごろあなたは気がうわついておるようであるけれども、安全の義務だけは忘れないでくださいと、運転手、車掌に管理者は注意しなければいけない。それを五百円そこに入れておいた、そのいじらしい気持ちを、逆に大きな犯罪のごとくに取り扱った心情というものは、私はお互いに人間の立場において許せないと思う。次官、どうです。

藤田義光自由民主党自治政務次官

○藤田政府委員 女監督一名が取り調べの責任に当たりまして、途中で記録をしておった男子が増員されたとか、あるいは取り調べがふえたというようなことは、まだこちらではっきりいたしておりませんが、検察庁あたりは往々にこれは使う手でございますが、こういう一般の交通事業の場合等におきまして、数人で寄ってたかって調べるということは、明らかに取り調べの行き過ぎであるというふうに、先ほど申し上げたとおりでございます。しかも、私専門外でございますが、道路運送法の二十六条の第二項に基づく運輸省令をつくらなくてはならぬというこの規定は、大体ただいま太田委員がお示しのとおり、運転の安全を中心にこういう規定をつくってあるようでありますが、現実には、それに基づいた職務規程におきましては、検査の規定等がつくられておる。これは大体労使協調の形においてつくられておる。神戸市の場合におきましては、労使同数の委員が出ておりまして、こういう問題も立案し、また具体的に懲戒事実があった場合は、労使同数の委員によって懲戒の程度をきめておる、こういう実例のようでございます。結婚寸前の女性であったということは、こちらではまだ調べができておりませんでしたが、そういう点からすれば、当然運転の安全ということを中心に注意すべきであったし、また女性の特殊な結婚寸前の心理状態から、あるいはあやまちが起きたということもあり得るし、あるいはそれだから忘れて手袋に入れておったということもあり得るし、これは死人に口なしでございまして、その辺のことはよく私どものほうでもわかっておりません。

太田一夫日本社会党

○太田委員 その点について、法務省の鎌田さんにお尋ねをいたしますが、しばしば問題になる憲法三十五条でございますが、三十五条は何人も所持品について捜査、押収を受けることのない権利、この権利が三十五条によって保障されておる。いわゆる自由権、基本的人権につながるところの保障でありますが、三十五条違反という問題は、こういう場合に起きないですかね。

鎌田好夫検事(人権擁護局人権擁護管理官)

○鎌田説明員 お答えいたします。  三十五条の問題は、一応現在の考え方といたしましては、刑事手続に適用されるものという考え方でございまして、行政調査におきましては、直ちには適用にならないという考え方でございます。したがいまして、行政立ち入りなどの問題について憲法違反でないかという争いに対しまして、一応憲法違反でないという判例が示されているのが実情かと考えます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 あまり狭く考える必要があるのか、それとももう少し広く法を解釈する必要があるのか、これはそれぞれ解釈の問題でありましょうけれども、やはりいかなる場合といえども、私、人間においても、やはり基本的人権は相互に尊重するという基本的な考えに基づいた行為がなければならないと思う。これは昭和三十六年十月の福岡地裁の判決の中にあることです。これは先ほど例にとりましたが、西鉄の車掌、運転手さんがくつを脱いで身体検査をすることを求められたところ、くつは所持品でないというので脱がなかった。これは運転手が負けて会社側が勝っておりますが、その際に判旨の中にあるのですが、この権利ですね。やはり憲法第三章の国民の権利ということで述べているのは、普通にはそういう場合には該当しないということを、あなたのおっしゃることを言っておる。ただし、憲法がこれらの権利を基本的人権として承認したことは、それらの権利が不当に侵害されないことをもって、国家の公の秩序を構成することを意味すると考えられるから、何らの合理的な理由なしに、不当にこれらの自由ないし権利を侵害した場合には、いわゆる公序良俗の違反の問題を生ずることがあり得ると考えられると述べている。公序良俗の問題ですね。公共の秩序も善良な風俗の問題に関係してくることがあるのだ、いわゆる行き過ぎはいけないということを強く戒めておるのでありますが、そういう点からいって、三十五条は、いまの公営企業の管理者が、使用する職員に対して身体検査を行なっている行ない方が、少々行き過ぎであったというような場合、これは非常に微妙な点でありますが、そういう場合にはやはり三十五条が関連してくるというのがほんとうの解釈ではありませんか。何ら無縁だということは、少々常識外ではありませんか。

鎌田好夫検事(人権擁護局人権擁護管理官)

○鎌田説明員 先ほどは、一応憲法に違反しないかというお尋ねでありましたので、あのように説明したのでありますが、ただいま御指摘になりましたように、憲法三十五条に関係するのではないか、ここに規定されている精神にのっとった取り扱いが必要でないかということにつきましては、全く同感であります。従来当局で取り扱いました事件につきましても、それと同じような観点から、行き過ぎのあったものにつきまして、それが人権擁護上きわめて遺憾であるということを申している次第でございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 いま鎌田さんのおっしゃった常識的に最も正しい、最も理想的な姿にいくならば、福岡地裁がいみじくも指摘いたしましたように、基本的人権の尊重ということは、日本国民すべての者が享受しておるところの権利だ。こういう素朴な概念というものは、あくまで認めていかなければいけないという精神に通ずるとあなたもおっしゃったと私は理解した。これを否定されますと、憲法というものは全くかんで捨てたチューインガムのようなもので、ゴムのようなものは伸び縮みするけれども、味がないということになるのです。この点を、法律を守る立場におきましては、人権を守る立場におきましては、十分御留意いただきたいことだと思う。  そこで私は、この際はっきりおっしゃっていただきたいことがある。お尋ねしておきたいことがある。それは今後二度と再びかかる死に至らしめるような事故を再発せしめないために、身体検査のやり方に何らかの規制を加える意思は——意思というと直接の管理者でありませんから、かかる人命をそこなうような服務管理規程をつくり、それを行なうようなやり方に反省を求め、二度とかかる不祥事件を起こさないように監督をする、指導をするという、そういう意思が自治省当局にあるか、運輸省当局にそういう意思はあるか、この二点をそれぞれお答えをいただきたい。

奧野誠亮自治事務官(財政局長)

○奧野政府委員 国会において、神戸市のこの事件が契機になりまして、いろいろ御論議があったのでございます。その論議を伝えまして、行き過ぎた検査問題が起こらないように注意を喚起することを検討したい、こう考えております。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 バス事業におきましては、乗務員、特に車掌は現金を扱う職務でございますので、企業体内におきまして従事員に関する服務規程の中に、所持品の検査あるいは服装の検査というようなことを規定することは、業態としてはあるいはやむを得ない点があろうかと思います。特に全国的に群例を見ますと、かなりいろいろな事件もあったようでございまして、これはやむを得ぬと思いますが、要はこの組合と企業管理者との協定に基づいてできましたこの規程の運用にあたって、管理者側が、ただいまの神戸事件のように非常に痛ましい結果の起きるような、そういう検査、つまり行き過ぎたと思われるような検査のやり方は、よほど注意してもらわないといけない。運輸省といたしましても、昨日全国の陸運局長を通じまして、各企業者に対して特に注意を喚起したのでありますが、今後もこの点は十分注意を要請いたしたい、かように考えます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 今後十分注意されるとおっしゃられれば、木村さんはいわゆる眼光紙背に徹するという識見の持ち主だということでありますので、信頼をいたしますけれども、私は運輸省も、公営企業はどちらかというと少し例外に置いておこうというふうに寛大なる手心を加えられないことを望みます。あまり寛大なる手心を公営企業に対して加え、管理規則そのままうのみにされると困るのです。大体考え方が悪いんだ。神戸交通局自動車課長の話というのが新聞に載っております。これは毎日新聞でありますから、毎日の記者が誤れば別でありますけれども、まず信憑するに足るでありましょう。どういうことを言っておるか。「公金だから事情を詳しく調べる必要があり、検査するものの立場から尋問するような形になったかもしれない。」検査する者の立場から尋問するような形になったかもしれないと言って、いささかも行き過ぎに対して反省をした言葉を発しておらないし、まず第一に公金だから公金だから、公金だから平信を詳しく調べる、四時間も調べる、一人の女に四人もかかって調べる、何で公金だからそうしなくちゃならないか。公金だからそれを調べなくちゃならぬという根拠はどこかにあるのでしょうか。大体公営企業の監督管理者というものの考え方は、非常に脱線をしている、行き過ぎているのですが、これは財政局長、どうですか。奥野さん、そういう公金だから特別にそうしなければならないという根拠はどこにあるのか。

奧野誠亮自治事務官(財政局長)

○奧野政府委員 公営企業に携わる人たちが料金収人につきまして、やはり公営企業の収入はあくまで住民全体の収入だという気持を持って経営の合理化に努力をしてもらうことは、ありがたいことだとわれわれは考えておるわけであります。ただその間に、その気持ちが徹底する結果が、今度の事件に見られますように、若干行き過ぎた検査にあったということは留意しなければならないことだ、こう考えております。業務の実態につきましては、運輸省でいろいろ御指導いただくわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、自治省としてもさらにそういう点について注意を喚起するかどうか、十分検討してまいりたいと考えておるのであります。

太田一夫日本社会党

○太田委員 私は身体検査なんか廃止に踏み切るべきだと思うのです。思うけれども、皆さんがその気持になっていただかないと困るのでありますから、そのお考えのほどを承っておるのでありますが、いまの具体的な問題でございますね。神戸の市営バスの若林栄子さん自殺事件のそのときの状態でございますが、これに関連して自治省は、いま公金という立場から、収入金というものをどういうふうに調べたのですか。車掌さんが売り上げ金を持ってくる、残った切符を出す、ぴたりと合っておったのですか。収入金と現金と合っておらなかったのですか。公営企業課長さんでもいいですが、具体的に御存じの方……。

吉瀬宏自治事務官(財政局公営企業課長)

○吉瀬説明員 御質問の件については、私どものほうでは、当日は切符とそれの料金とを照合して十分合っておったというぐあいに聞いております。しかし、それが終わりましてから、いわゆる物品の調べがあった。そのときに、手袋の中ですか、先ほどお話のありましたようなものが出てきたというように聞いております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 切符を売ったのが計算をしたら一万円あった。現金も一万円ありました。そこで過不足なかった。非常にけっこうでございます。御苦労さんでございましたと普通なら言うところ、ところが、さて身体検査というものをやって見たら、手袋取りなさい、中から、五百円札が一枚出てきた。きちっと合っておった、それは私金だとしたら、まことに筋がよく通るじゃありませんか。ただ携帯禁止の規則に違反をしたというだけじゃありませんか。

奧野誠亮自治事務官(財政局長)

○奧野政府委員 便宜お答えさしていただきますが、神戸市では、勤務が終わって帰りますと、切符と現金とを一応差し出す。その際に、現金が多ければ切符を切る、現金のほうが少なければ弁償する、こういうようなやり方をしてまいっておるようでございます。いま公営企業課長が申し上げました切符と現金の照合、それは携帯品の検査も終えまして、全体としてそういうような照合事務が終わるのだ、こう考えられておるようでございまして、したがいまして、その過程においてこういうつじつまの合わないものが出てきておるから問題があったのだ、こういうようにわれわれは解釈いたしておるわけでございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 いまの事件に関連して。先ほど鎌田人権擁護管理官がこの憲法三十五条の人権保障がもっぱら刑事手続に関するものだ、直接行政手続には適用されないと一般に解釈されておる、こういうように答えておる。  そこで私伺いたいのは、それはそれでいいでしょう。しからばその行政手続によって、基本的人権があるいはその他の人権が優等されていいという理由にはならない。そうすると、この行政手続によって基本的人権が侵害される場合のそれに対するところの救済手続、そういったものは刑事訴訟法か憲法か、どこに規定されておるのですか。それがなければあなたのところは基本的な人権擁護ができやしないじゃないですか。刑事手続だけの問題でもって、それに該当しない行政手続の場合に起こってくる人権侵害というものに対しては、全然それは知らないんだというようなことでは人権擁護はできない、あなたどうするつもりなんですか。

鎌田好夫検事(人権擁護局人権擁護管理官)

○鎌田説明員 先ほどお答えいたしましたように、憲法三十五条の趣旨にのっとりまして、行政手続には直接には適用がないと解釈されておりますけれども、そこに規定されている趣旨、すなわちこのように住居あるいは書類、所持品について不当に侵入、捜索、押収を受けることがないというその思想を尊重いたしまして、行政面で不法不当に侵害されるという事態がありました場合には、憲法三十五条の趣旨から人権擁護上必要妥当な方策をとるということで取り扱っております。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 その取り扱っておるということはよくわかるのですが、この場合どうですか。条例ないし管理規則に基づくところのいろいろな服務規程とかそういったものの中に、そうした物品、書類等の押収あるいは検査、捜索等に関する規定があるということについて、あなたのお考え方からするならば、そのこと自体どうなんですか。

鎌田好夫検事(人権擁護局人権擁護管理官)

○鎌田説明員 先ほども申しましたように、このような規定そのものは直ちにはその趣旨に反していないと考えております。ただ、問題になりますような事例は、その程度、方法から見まして、三十五条の精神に反した扱いがなされているという場合であろうかと考えているわけであります。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 直ちにはこれには違反しない、こう言うけれども、一方この三十五条の規定を見ると、「捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。」ただし三十三条は現行犯ですから除いておる。司法官憲の手によって行なう場合においても、これだけの手続をしておるにかかわらず、行政手続において行なう場合に、単にいま言ったようなそういう捜索が行なわれるというようなことについて、そういったものが挿入されていること自体、そういうようなものが行なわれていること自体が問題じゃないですか。むしろそのほうが問題が大きいじゃないですか。その場合に、直ちにこれに違反しない、——それは三十五条に違反しないことはわかっている。しかし基本的人権そのものを保障していこうというたてまえをとっている憲法十一条なり十三条なりのたてまえを考えたときに、この三十五条に違反しないからといって、いま言ったような、かって気ままに服務規程などつくってやっているというこの行政手続について、その基本的人権を三十五条の場合、司法手続だけだからこれには違反しないというだけの理由によって、そういった条例に基づくもの、あるいは管理規則に基づくものが、いま言ったような内郷を持っていることについて適当だという判断をする何らの根拠はないじゃないですか。

鎌田好夫検事(人権擁護局人権擁護管理官)

○鎌田説明員 私のほうでは、事件になった事例について以外の服装検査の規程は承知しておりませんが、たとえば今度、の神戸の場合の規程で見ますと、終業の際、係員から服装及び携帯品その他の検査を受けなければ退出することができない、こういう規定になっておりまして、実際に行なう内容は二つに分かれております。その一つは、車掌自身が自分で所持品を出して検査を受ける。所要時間は大体三十秒、精密検査という場合に、帽子の中、上着のボタンをはずさして上着とかその裏側、手帳などを調べるという程度のようであります。こちらの所要時間については報告を受けておりません。したがいまして、一応ここに書かれている程度のことでありますと、先ほど申しましたようなことから……。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 そういう規定が人権侵害だと僕は言っているんだ。そういう規定があるから正当だという言い方をあなたはしている、それはおかしいじゃないか。それは私のほうの管轄じゃないとあなた先ほど言われたが、それはどういうことですか、警察の管轄だというのですか、そこはどうなんですか。

鎌田好夫検事(人権擁護局人権擁護管理官)

○鎌田説明員 私のほうの管轄でないということではございませんが、人権擁護局といたしまして、この身体検査という規程についての考え方、従来の取り扱い方ということを説明した趣旨でございます。ただ、これにつきまして、一応人権擁護局としての考え方といいますか、人権擁護から見た希望的意見というものがございまして、これもこの際明らかにしておきたいと考えます。  それは、確かにこういった企業体におきまして、車掌などの不正防止ということから、服装検査によってそれが発見されるということから、ある程度これが行なわれる必要性があるということも否定できないわけでありますが、このような方法がえてして自尊心を傷つけ、あるいはその程度が人権侵害に至るという場合が多いこともまた否定できないと考えているのでありまして、人間尊重の憲法の理念から見ますと、こういった不正防止という方法のために、現在取り扱っているような服装検査という方法のみによることを考えないで、企業管理方法について改善をはかりまして、その方面から人間性を軽視しない方法によって不正防止の方法をとるということが望ましいというふうに考えております。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 それを早く言えばいい。そうあるべきだと私は思っておるのです。そういう意見をあなた方が持っておるならば、そういう考え方に基づいて現在神戸市の服務規程というものについても、当然あなた方としては、自分でつくったところのその人権擁護の精神に照らし合わせて、これが適当であるか適当でないかということは脅えるのじゃないか。言えませんか。

鎌田好夫検事(人権擁護局人権擁護管理官)

○鎌田説明員 神戸の事件につきましては、ただいま事実関係を調査中でございまして、本日その大まかなところが終わる見込みなのでございますが、その事実関係を確定しました上で、よく処理については検討したいと考えております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 関連して。私も身体検査というものそのものを、少し根本的に検討すべきではないかと思うのです。そのために、法律的な問題としては先ほどの憲法三十五条の解釈をどうするかという問題が一つあると思う。この身体検査をめぐって、しょっちゅう人権問題が起こるということ自体が私は憲法三十五条についての考え方の不備というか、そういうもののいわばあらわれではないかと思います。憲法三十五条が刑事事件にだけ適用があるので、行政手続には適用がないのだという議論が、憲法論としてはあるいは多数説かもしれません。しかしなぜ一体あの規定が刑事手続にだけ適用されるべきものなのかという理論的な根拠については、必ずしもはっきりしないと思う。ただそれが規定のていさいからいって、刑事手続の保障についての規定と並べて書いてあるからとか、あるいはそういう規定の歴史的な因縁だとかいうようなことを言うだけで、なぜそれが行政手続に適用されてはいけないのかという理論的な根拠がはっきりしないと思うのです。ですから、そういう人権侵犯という問題が頻発をすること自体、私は行政手続にも、この憲法三十五条の原則が、精神を尊重するという意味ではなしに、まさに適用されるという考え方を再検討すべきではないか、そういうことで人権擁護というものをつかさどっておる人権擁護局あたりが再検討される機会を持つべきではないかということを思うのですけれども、人権擁護局の立場からいかがですか。

鎌田好夫検事(人権擁護局人権擁護管理官)

○鎌田説明員 現在人権擁護の面で一つの大きな問題になっておりますことは、私人間における人権侵害であるとか、あるいはただいま御指摘のあったような、直ちには適用がないとされている憲法の各人権保障の規定をそれ以外のものに、いま御指摘になりましたように、その精神からということで人権の保障をはかっているというはがゆい感じに対しまして、理論的に何とか整理できるのではなかろうかという問題を現在研究しているのでございまして、御説まことにごもっともだと考えております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 あなたが先ほど身体検査という方法と並んで、ほかにもっと合理的な業務管理の方法がないかと言われましたけれども、私は身体検査というものにたよらないで適正な業務管理をする方法がないかという方向で、もっとほんとうはお考えいただきたい思うのです。  そこで運輸省のほうにお尋ねしたいのですが、いまの具体的な事件を伺いますと、私は調べたこと自体がやはりふに落ちないわけです。切符と現金が合っておる。そのほかに余分な金がある。その余分な金は、想像できることは、乗客が切符を受け取らないで金だけ置いていったというものを集めたものが言ってみれば余分の金というものになるわけです。しかし五百円というまとまった金を、一人の乗客が置いていくということはあり得ない。したがって、何十円というはした金であったならば、あるいは切符を買わないで、あるいは切符を受け取らないで金だけ置いていったという疑いがあるかもしれません。しかし五百円というまとまった金が、そういうことであるべきはずはないでしょう。私金を持って乗車してはならないという規定があるとすれば、切符と現金のほかにある金は、一応公金だという推定を受けるというのはあるいはやむを得ないかもしれません。しかし、五百円というまとまった金が公金だという推定を受けなければならないということ自体明らかに行き過ぎだと思うのです。そこで、そういう行き過ぎを起こす身体検査というものを、もっと根本的に考慮すべきではないでしょうか。つまり現金と切符が合っておれば、あとは多少のことは放置しておいても、そう大した大金がどうなるわけではない。それと人権とを比べてみると、企業の経理の上から一体一日どれぐらいのマイナスになるかわかりませんけれども、しかしそう大した金じゃないのじゃないですか。これはやはり身体検査というものにたよらないで、何か適正な業務管理の方法を考えて、身体検査そのものを検討するという、太田委員から先ほどお話がありましたけれども、そういうことを考慮される必要はございませんか。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 神戸の本件のことにつきましてこうだということを申し上げると、非常に失礼だと思いますので、一般的に申し上げますと、先ほどもお話がありましたように、こういう場合の不正というものは、やはりお客がおりぎわに切符を買う時間もないから、金だけ渡したというふうなものを、そのままポケットに入れるという場合が往々にして多いわけでございます。したがいまして、そういう場合の不正防止のときにも、そういう観点から検査をやるというのが従来の行き方でございます。しかし御指摘のように、従事員といえどもからだに触れる、あるいは所持品を見るということは、非常にいやなことでございますので、できるだけこういうことは避けて、別の方法で不正防止というふうなことを労務管理全般の問題としてやっていくように今後くふうすべきである、かように思います。われわれといたしましても、そういう指導のしかたで今後事業者を指導いたしたい、かように考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 いまのそれぞれの御答弁によって、だいぶ当局の考え方も明らかになりまして、いわゆる身体検査、所持品検査なるものの廃止の方向に皆さんが考えをまとめられつつあることを伺いました。これはぜひ所持品検査、身体検査というような制度は廃止するように、ひとつ抜本的な、これこそ基本的な考慮をめぐらしていただきたい。  そこで、一体どれくらい身体検査が価値があるかということを私は考えてみた。東京都の電車で一年間に十二人ですよ、身体検査によって不正らしいものが発見されたのは。それだけしか発見されておらないのですね。ですから民営といわず公営といわず、所持品検査のような前時代的な管理方式は、ほんとうにこの際やめるべきだ。十二人を見つけるためにどれくらい費用を使っているか。経済性というものはそんなところにないでしょう。孫子にもありますが、上兵ははかりごとを討ち、下兵は城を攻めるという。少しは孫子の兵法も勉強しなさい。とにかく一人々々の者を調べて、不正があるかないかを目の前で、金を出しなさい、これを出しなさい、中にはありませんかといって外からさわってみる、これは人間管理、事業管理、経営管理の最下である。こんなことをいつまでも続けておるのは気が知れない。東京都で電車で十二人、バスで十四人というのが一年間に不正が発見された数字です。奥野さん、どうですか。それはやめていいですね。そんな管理規程は改めるべきですね。それくらいのものを発見するしか能のないものは間尺に合わないでしょう。

奧野誠亮自治事務官(財政局長)

○奧野政府委員 先ほど来たびたび論議になっていますように、人間性を傷つけない方向において業務の適正が確保されるような方法を研究するという方向において考えていくべきものだ、かように存じています。

太田一夫日本社会党

○太田委員 そこはもうちょっとはっきりおっしゃっていただきたい。考えていくべきものだと思うという第三者的な弱い表現でなくて、今後それぞれの、六大都市なら六大都市の私営、公営企業、バスも電車もありますが、そういうものの収入金、売り上げ金を確認するために身体検査をやるという方法は、この際これを別の方法に変える、これくらいのつもりでもっと強力な検討と指呼を行なうということを、この際自治省としても言っていただきたいと思うんですが、どうなんですか自治省。藤田さん、どうですか、大臣にかわって言ってください。

藤田義光自由民主党自治政務次官

○藤田政府委員 お気持はよく了解できるのですが、先ほど運輸省の木村局長が答弁の中で申し上げましたとおり、こういう事業に関しましては、定期ないし臨時監査をやっております。この仕事の服務規程の実態に触れて強力な指導ができる立場にあるのは運輸省だと私は考えております。ただ、いまお示しのとおり、東京都におきましては交通局自動車係員服務要綱というものがありまして、この中でやはり検査の規定を設けておりますが、労働組合も常に経営者に対してこの点の改正を迫っておるようであります。そのつど労使とも真剣に研究はしておりますが、その研究の段階においてまた不正が起きるということで、なかなか改定ができないというような経緯も聞いたことがございますが、ぜひひとつ、これはこういう人権侵害のおそれあると見られるような規定、これが存続するということは、私はやはり時代に沿わないというような感覚で、この問題はやはり自治省としましても真剣に指導、処理してまいりたい。ただ自治体内の規定の問題でありますので、干渉に過ぎたような態度はとりたくないが、ひとつ強力な行政指導をいたしたい、こういうような考えでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 運輸賞も自治省ももっと強力に、ほんとうに進歩的な指導を行なっていただかなければ相ならぬと思う。ところが実情は、身体検査のやり方の変更、改正を求めても、なぜ当局側がこれを認めないかというと、——労働組合側は始終言っている。こういう人権侵害の疑いある行き過ぎがいつも考えられることは改めよ。ところがどろぼう扱いというものが前提にある。従業員、職員はどろぼうなりという観念がある。そんな観念を持って人を使って企業の正常な発展というものが望めますか。これは望めない。しかももう一つの言い方は、公金を扱っているからしかたがない。困ると公金というところに全部逃げ込む。それなら税務署員は、金を扱う人は全部身体検査をされるか。あるいは市町村役場において金を扱っている者は、全部身体検査をされるかというと、そうじゃない。ただあるのは、そういう公営企業の交通関係の従業員だけです。その点が不思議だと思う。だからあなた方はもう少し、運輸省のほうは道路運送法に基づく自動車運輸規則に基づいての行政指導の完璧を期せられるべきだ。これをほったらかしておいたらいけない。自治省は公営企業法でやったらよかろう。あまり運輸省がやると自治省が怒るからということ、そんなことはない。木村局長、この際思い切って勇気をふるって前進してください。これはあなたのほうがしっかりしてくださらなければ、お金のことだけが念頭にいって、乗客の人命尊重という、事故をなくして安全運転ということにエネルギーがいかなかったときのことを考えたらたいへんですよ。ですから、そういう点は十分に気をつけていただかなければならない。自治省も、運輸省だけがやるのじゃない。あなた方は公営企業法を守って、公営企業法はあなたのほうですよ。第三条の基本的原則に基づいて、公共の福祉の増進という面にほんとうに力を入れていただく。同時に、あなたたちこそが、民間の会社がある程度行き過ぎがあったときに、公営企業こそサンプルだ、これをごらんなさいという自信と勇気をお持ちにならなければいけないと思う。そういう意味で大いにやっていただきたいのです。これも六月四日の毎日新聞に載っていたのでありますが、こういうことに対して、公営交通事業協会というのがあるそうですか、そこの事務局長さんのお話、「「残念なことだが、乗務員の不正はまだまだあるように聞いている。公営交通の場合、乗務員の扱う金は税金とは違うが公金だ。しかも公営交通は、市民から経営を委託されている性格上、全く検査をやらないというのもどうかと思う。検査制度は、理想をいえばやめた方が望ましいが、それはあくまでも一般の道徳心が高まり、乗務員に十分生活のゆとりができたときだ。行きすぎがあれば、是正していかなければいけないが」といますぐ検査制度をなくすことには疑問を投げている。」という意見がある。ここにもやはり公金だから、市民から委託されているからということで、身体検査を合法化しようとするけちな根性がある。けしからぬと思うが、ここにただ一つのいいことを言っている。それは十分な生活のゆとりができてこなければチャージがなくならないと言っておる。これは鎌田さん、法務省側の立場から育って、十分の生活がないからやっておるという言い方を経営者当局がしておるのですね。これはあなたのほうも、基本的に経営管理の問題をあなたたちがいろいろと示唆される場合におきましては、待遇も上げてやらなければいけないことになる。しかしそういうことを言っておりますと、この当面に間に合わないと思うのです。もっと急を要するものがある。五百円と命が引きかえになりますか。ならない。だから、生活が低いから身体検査を受けなければいけない、一般の公徳心が低いから身体検査を受けなければいけない、こんなことを言っておる限り、百年河清を待つのと同じで、いつまでも身体検査廃止の時期が来ません。私は、この際思い切って、五百円と人命を引きかえにする制度を即時に廃止するように行政指導をなさるべきだと思う。  これは特に木村局長さんにもう一回お答えいただきたいのでありますが、民営企業の場合もありますが、こういう収入金というものの確認に基因する身体検査というものについては、ほんとうにもう少し何か近代的な制度に変えるという御指導を、公営企業も含めてしっかりなさっていただきたいと思いますが、これはだいじょうぶでございましょうね。何か画期的なものをこれを契機として行なうことが出てくるということになれば、死んだ若林栄子さんもさぞかしもって瞑せられるだろうと思う。たむける善政ですよ。局長さん、いいでしょうね。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 全くお説のとおりでございまして、私も同意見でございます。その方向に向かって今後指導をしたい、かように考えます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 この際、あらためて藤田次官からも、自治省として運輸省と共同して、ほんとうにぜひ、これはバスだけですけれども、電車のことも入れて下さい。電車のこともあるのだから、それも含めまして、妙な、公金だとか、市民から委託されておるという逃げ口上にならないで、近代的な管理方式を生み出すことをひとつ考えていただきたい。ある程度経済性の追求ということもありますからなんでしょうが、幾ら収入があがらなくてもかまわないからという無謀なことをやれとわれわれは言っておるのではない。収入を確保する、そのあがった収入を必ず入れるという方法は、それは他にあるでしょう。信頼関係と双方の規律を守るという誓いの上に出てくると思う。あるいはもっと精神以外の物質的な科学的施設もあります。いま東京都などで何とかいう名前の制度があるでしょう。あれがいいか悪いか問題ですけれども、東京都におきましては、よく俗に言う密行制度、いわゆる乗り回りですね。管理者が乗り回っていて、どこに欠陥があり、大体どういうふうかということを常時見て回っておる。この密行制度というものは、いまはスパイ制度のようなぐあいになっているからいけないが、密行してちょっとあやしいと徹底的につるし上げて、一年に十人ぐらいか何か懲戒解雇、免職者を見つけるというのですが、そんなけちなことでなくて、もう少し積極的な前向きの乗り回りの制度があって、そして経済性の追求と公共の福祉のためにいかにあるべきかという基本的な問題を考える、そうすればいい案が出てくると思う。少なくともこの際自治省においても、公営企業法の精神というものをほんとうに明らかにするために、格段の努力をしてもらいたいし、措置してもらいたいと思いますので、これについての御所見を伺いたいと思います。

藤田義光自由民主党自治政務次官

○藤田政府委員 お示しのとおり、運輸省とも十分緊密な連携をとりまして、幸い四月から公営交通財政審議会という諮問機関もできましたので、そういう席上も利用いたしまして、衆知を集めて、前向きの姿勢でこのような問題を改善するためにひとつ努力してまいりたい、かように考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 どうかそういうことをお願いいたします。死の抗議までして、あたら二十二歳の若き命を終わった若林栄子さんのこの事件を無にしないためにも、ひとつ運輸省、自治省、法務省ともに善処されんことを特に御希望申し上げておきます。  終わります。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時九分散会

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