地方行政委員会 第30号
- 発言数
- 43 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1963/06/04
会議録
○永田委員長 これより会議を開きます。 去る五月三十日付託になりました地方自治法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
○永田委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。篠田自治大臣。
○篠田国務大臣 ただいま議題となりました地方自治法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 東京府市を合体して東京都制が制定されて以来、都は、府県の事務のほか、特別区の存する区域においては、原則として、市の事務をもあわせ行なうものとされておりますので、東京への人口及び産業の過度集中が進むにつれて、都行政は質量ともにいよいよ複雑かつ膨大となり、一つの経営体としての円滑かつ能率的な運営が期せられなくなり、首都としてまた大都市としてその機能を十分に果たすことができない状態になっているのであります。この法律案は、このような都行政の現状を改善するため、昨年十月地方制度調査会から提出されました首都制度当面の改革に関する答申の趣旨にのっとり、都と特別区との間において、その事務及び税源の合理的な配分をはかるとともに、当該事務の処理について都と特別区及び特別区相互間の連絡調整を促進し、あわせて特別区の議会の議員の定数の定限に関する規定の整備を行なおうとするものであります。以下、改正法律案の内容の主要な事項につきまして、御説明申し上げまも。 第一に、鮮上特別区の間における事務の配分について、都がその負担を軽くして、総合的な企画立案、大規模な建設事業、特別区及び市町村の連絡調整等重要な事務に専念できるようにするため、都が処理している事務のうち一般の市に属する事務は、できるだけこれを特別区へ委譲することにより、その合理化をはかることにいたしたのであります。 この法律案によつて新たに都から特別区へ委譲ざれることとなる事務のおもなものは、その一、福祉事務所の設置、生活保護、児童福祉、老人福祉、行旅病人及び行旅死亡人の取り扱い等社会福祉に関する事務、二、保健所及び優生保護相談所の施設の管理並びに伝染病予防、結核予防、トラホーム予防、寄生虫病予防等保健衛生に関する事務、三、清掃に関する事務、四、小規模な都市計画事業、土地区画整理事業及び防災建築街区造成事業、五、建築基準行政に関する事務の一部等であります。 第二に、特別区の議会の議員の定数の定限を六十人と定めることといたしたのであります。 第三に、都から特別区への事務の委譲に伴い、特別区の存する区域において、都と特別区及び特別区相互間における事務処理の連絡調整をはかるため、都区協議会を設けることとし、事務委任条例、特別区調整条例、都区財政調整条例の制定にあたっては、都知事は、あらかじめ都区協議会の意見を聞かなければならないことといたしたのであります。 第四に、都と特別区との間における財源の配分については、現行の都区間の財政調整制度を維持しながら、都から特別区への事務委譲により新たに特別区が処理することとなる事務に要する経費の財源を特別区に与えるとともに、特別区の財政面における自主性を一そう強化するために、市町村民税個人分、電気ガス税、たばこ消費税等固定資産税および市町村民税法人分を除く市町村税を特別区税として新たに法定することといたしたのであります。 以上がこの法律案を提案する理由及び法律案の内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
○永田委員長 以上で説明は終わりました。 なお、本案についての質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○永田委員長 次に、地方行政連絡会議法案を議題とし、審査を進めます。 質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。小澤太郎君。
○小澤(太)委員 地方連絡会議法案につきまして、二、三お尋ねをいたしたいと思います。 まず第一に、この地方連絡会議を設置しようとする真の目的は、どこにあるか、この点について伺いたいと思うのでございます。この連絡会議を置きたいというその考え方に対しまして、当時いろいろ世上批判がございました。その一つは、この連絡会議という形において、むしろ中央政府の地方自治体に対するところの影響力と申しますか、いわゆる官治行政的な色彩を強くするのじゃないか、こういう疑いがあったのでございます。またそれとは逆に、地方自治体の中央政府に対する発言力を強化することによって、さらに地方自治体をバックアップすることによって、自治省が他の省に対する発言力を強化するのじゃないか、こういうふうな逆な見方などもございました。いずれも私は正しい批判ではないと思いますけれども、そのようなこともございましたので、この連絡会議を置きました真の意味、また政府の意図するところを明確にひとつお聞かせいただきたいと思います。
○藤田政府委員 地方行政連絡会議を設置します真の目標は那辺にあるかということに関しましては、最近、社会経済の非常に急激な発展に伴いまして、地方公共団体の行政も、従来の区域を逸脱いたしまして、非常に広域化し、行政そのものがまた非常に繁雑化いたしておりますために、国の出先機関と地方公共団体の連絡調整ということが、非常に深刻な問題になってまいっております。こういう観点からいたしまして、道州制のごとき理念とは、全然別個な角度から、今日の経済の急激な伸展と行政の広域化、繁雑化に伴う制度として、何かひとつ国の出先機関と地方公共団体の常時連絡協調の制度を設けたいというところから案出いたしましたのが、今回の地方行政連絡会議という制度でございます。もっぱら自治体の行政権を伸長させるというたてまえに立ちましてこの制度を考えたわけでございます。
○小澤(太)委員 そういたしますと、複数の自治体が、自治体の相互に関係のある事柄を処理するために連絡協議をするという目的が一つと、もう一つは、その問題について、国との間に連絡協議をするその場をつくるのだ、こういうことであって、その主眼は、あくまで地方自治の本旨に従って、自治体の問題を自治体相互の協力によって自主的に処理をしていくが、この場合に、政府の協力を必要とするものについてはその場で政府の協力を求める、それに対して、自治体の相互間に、まとまった計画なり、あるいはその実施面について政府が自治体に協力していく、こういうふうなたてまえであって、あくまで地方自治の本旨に沿って自治体の固有の事務を処理するための便宜な手段と、そしてそれを促進するための手段というふうに解釈していいものかどうか。つまり、自治体相互間の問題と、国との連絡協議というものは、あとのほうの国との連絡協議というものは、国が主体でなしに、これをサポートしていくという立場に立つような組織なり運営なりということを考えておられるのか、その点を伺いたいと思います。
○藤田政府委員 小澤委員の御指摘のとおりでございます。
○小澤(太)委員 そういたしますと、この後者の点でございますが、この法案の内容を見ますと、どうも国がこれに対して、つまり連絡会議において協議し、そして協議の成立した事柄について、国がどの程度責任を持ってこれをサポートしていくかということが明確になっておらないのであります。私どもの仄聞するところによりますと、最初自治省の原案では、国もまた責任を持ってこれに対処すべきであるというような意図が盛られておったのが、政府の内部における審議の過程において、それが消えてなくなったというふうに伺っておりますが、これはどういりふうな経過をたどったのか、また意図がどこにあったのか、その点をひとつ伺いたいと思います。
○大村政府委員 小澤委員のお尋ねの点でございますが、この協議会は、御承知のとおり連絡協議機関でございますので、構成員が一堂に会して共通の問題を討議することによって、その問に意見の合致を見るということによって問題の解決をはかっていくことに資するということが、本来の任務でございます。何回も協議を積み重ねることによって、そういった結論が生まれるということを、本来の目的としている次第でございます、ところが、協議でございますので、会議における協議がととのわない場合も予想されるわけでございまして、そういった場合における問題の解決の道を考えておくということも必要であるわけでありまして、この法律案の立案の当初におきましては、そういった場合を予想しての調整等の政府に対する要請の規定も考えた段階があったわけでございます。ところが、ただいま申し上げましたとおり、連絡会議は、本来常時不断の連絡協議を積み重ねることによって、地方団体と国の関係地方行政機関との協調がはかられるということを目途としていますので、一度や二度の協議でまとまらない問題があるとしましても、なお協議を重ねることによって解決していくということがたてまえであるというふうなことも考えられますし、また、本法律案の中にございます第七条による意見の申し出あるいは第九条にございます報告、これは関係大臣に対する報告も含めて規定しておるわけでございますが、そういった方法によりましても、協議の行なわれている内容や、また協議の段階における問題の所在が中央各省に認識され、事実上、そういった問題が解決される道も出てくるというふうに考えまして、法律上の制度として、当初の原案にありましたような調整等の要請に関する規定は、最終案においては削除になった、そういうふうな経緯であるということを御報告申し上げておきます。
○小澤(太)委員 協議がととのわないときの調整の問題について、主務大臣が調整の努力をするというようなことが削られておるというのは、あくまで連絡協議の機関であるから、連絡協議によって結論を得るために、構成員が最善の努力をあくまで重ねていくのだ、こういうお考えのようでございます。趣旨はまことにけっこうでございますが、いままで自主的に地方の連絡会議がそれぞれつくられておりまして、その場合におきましても、府県あるいは市町村を越えた広域にわたる共通の事務については、協議を進めておりまして、おおむね意見の対立しない問題については協議がととのうわけでございますが、しかし、意見の対立する、利害の対立する問題については、現実の問題として、連絡協議をいたしましても、なかなか解決しない点が多多ございます。そういう場合に、どういうふうにして持っていくか、ただいま、お話の程度の問題ならば、従来の自主的につくっておりますそれぞれの連絡会議、これで事足りるのでございますが、こういう問題について、この法案は、いままでの任意につくっております連絡会議にどれだけプラスになっておるのか、プラスしたものがどういう点にあるのか。また任意のものでありますから、そこでかりに協議ができまして意見がまとまったものにつきましても、政府に対しましてはこれを陳情なり要望の形で申し出るよりはかなかったのでございますが、これに対しまして、今度の法案によっては政府がどの程度の責任を持つのか、この二点についていま少し詳しくお話をいただきたいと思います。
○大村政府委員 ただいまお尋ねの、この法案によります連絡会議と、従来地域的に設けられております自主的な、地方団体を主体とする会議との相違点についてまずお答えいたしたいと思います。 今回の連絡会議の性格は、地方における広域行政、都道府県の区域を越えるような問題につきまして、継続的に、また組織的に連絡協議を行なうという体制を組織化する、こういう点でございまして、この点におきまして、従来、任意的な申し合わせで行なわれております会議は、ほとんど全国的にできているようでございますが、一応全国を九つのブロックに分けまして、そういった会議を組織づける、法律をもって組織するという点に、考え方において相違があるのではないかというのが第一点であります。 次に、関係行政機関、これは地方における広域行政に関係のある国の行政機関がこの会議に構成員として参加する、法律または政令で規定されている機関の長は当然参加する、こういうたてまえをとっておりますが、法律事項でそういった点を定めるという点も、従来の自主的な会議とはやはり考え方において相違があるのではないか、そういうふうに考えております。 次に、国との関係でこの法案においてどういうふうな点を考えておるかというお尋ねにつきましては、この法律案の第一条に掲げております「地方公共団体が、国の地方行政機関と連絡協調を保ちつつ、その相互間の連絡協同を図ることにより、」地方自治の広域的運営の確保に資するという点からも明らかでありますとおり、地方団体を主体としながら、国の地方行政機関と連絡協調を保つということに重点を置いているわけでございます。したがいまして、第五条におきまして協議の結果の尊重という規定を設けまして、会議の構成員、これは地方団体だけではなく、国の行政機関の長も含まれるわけでございますが、協議の結果を尊重して、それぞれ担任事務を処理するようにつとめるという規定を設けて、第一条に掲げました目的の趣旨が実現できるようにいたしているわけでございます。さらに第六条におきましては、資料の提出等の要求等の規定を設けまして、協議事項に関係のある国の行政機関、公共企業体等からも資料の提出を求めることができるというふうな規定を設けておるわけでございます。また第七条におきましては、必要があるときには協議事項に関係のある大臣、または公共企業体等の長に対し意見を申し出る。単なる陳情ではございません。意見の申し出の規定も考えておるわけでございます。さらに第九条におきましては、「連絡会議は、会議を開催したつど、会議の結果を自治大臣及び会議における協議事項に関係のある大臣に報告する」、こういうような規定も設けまして、御指摘の点につきましてできる限り配意を加えたつもりでございます。
○大上委員 関連。ただいま小澤委員の質問に対する説明で二、三疑義があるのですが、第三条に規定がありますが、これについての拘束力と申しますか、いわゆる連絡、協議を行なう。行ないっぱなしでなしに、それがその後第五条または第七条等におきまして、報告あるいは意見の具申ということはよくわかるのですが、大体その場合に、協議がまとまった。そして第五条の規定において、その担任する事務を処理することにつとめるということになった場合に、たとえば、それが単なる行政事務の配分の面から見て、現地においてでき得るものもあるが、 なお、さらにそれが政令、省令、告示というような諸規定に該当すべき場合に、所管の、これを主宰するものといいますか、法律を施行する側においてどのように取り扱われるのか。 その次は、その中で、たとえばその出先によって、自分の上級官庁と申しますか、本省に対して稟議を仰がなければ、そこにおいて結論がとれないというような事案が出た場合に、だれがこれを調整なさるのか、この二点についてお尋ねします。
○大村政府委員 ただいま会議の協議事項とその後の取り扱いの関係についてお尋ねがあったわけでございますが、その点につきましては、御指摘の第五条の規定におきましては、協議がととのった事項につきましては、会議の構成員は、その結果を尊重してそれぞれその担任する事務を処理するようにつとめるという規定がございまして、国の出先機関も含めまして、それぞれの権限の範囲内で意見の一致を見たということになりますれば、その範囲内で事柄が解決していくことは申すまでもない点でございます。ところが、その出先機関の権限にまかせっぱなしにされていないような事項について、本省に稟議をしなければいかぬ、本省の承認なり認可を要する、こういう場合におきましては、この協議会は恒常的な機関でございますので、一度の会議でそういう意向が全員の意思として浮かんでまいったという場合には、その関係のある行政機関、本省との関係の手続が必要であれば、それによって本省方面にいろいろ打ち合わせをして、そのめどのついたところで次の会議あたりで報告をするということによって、事実上進めていくことが可能ではないかと考えておるわけでございます。 なお法律、政令等の制度改正にまたたければ、現行法令のもとでは、かりに地方の意思が一致したとしましても、そのままでは実行できないという問題につきましては、第七条の意見の申し出等の規定を活用して、制度改正をはかることによってそういう事柄が行なわれるような道を選んでいくということも可能であると考えている次第であります。
○小澤(太)委員 お話を伺っておりますと、一応手続としては整っておるような感じがいたします。ところが、その実態に触れてみますと、こういう法律をもって制定した連絡会議でなくても、お互い共通の悩みと希望とを持っておる自治体の首長間において、あるいは会議もまじえまして、協議をしてととのうものはととのっております。ですから、そういうものについては、法律をつくったから促進するとも、あまり考えられませんが、要点は、ただいま御答弁にもありましたように、この会議が法律上の会議となった以上は、協議のととのったものについてはむしろ政府がこれを実行するという責任を持つんだ、これを強く拘束するというところに法定をした理由があるやに思うのであります。ところがこの法案を量ると、この構成員は、その協議のととのったものについては、これを尊重して、それぞれ担任する事務を処理するようにつとめなきゃならぬというような、何と申しますか、見ようによってはきわめて弱い、努力目標というようなことを書いてあるにすぎないのでありまして、それ以上のことは全然ございません。整った問題でありますから、その構成員として出ております政府の出先機関も、いろいろ主張しましょうし、その主張に応じた形ならば、これが整うということになります。したがって、上局に稟議して、その指図を仰いでやらなきゃならぬというようなめんどうな問題については、整わないのが普通じゃないかと私は思うのです。なかなか出先の人たちも権限の委任をずいぶん行なわれて、今度は地方農政局ができたりあるいは建設費の出先機関も権限を強化する、中央の権限を委任するとかなんとか申しておりますけれども、どうもお役人の仕事をするしぶりを見ますと、責任のあること、めんどうなことば、なかなか自分の責任と判断において処理するというようないい行政慣行はできておりません。したがいまして、こういう連絡会議で整うということは、結局毒にも薬にもならぬ、ことばは悪いようでありますけれども、政府の側においては、さして不都合もないのだというような事柄に限られるということになりますならば、現在任意的に置かれております連絡会議との問の実質上の差異は、ほとんどないんじゃないか。したがって、この協議がととのう過程において、政府が地方自治体の希望なり趣旨なりを十分にくみ取って、その趣旨に沿うような措置が出先の機関の責任者においてできるような配慮が政府側になければ、せっかく設けましてもおそらく意味のない連絡会議になるんじゃないか。地方自治体もいまはある程度の希望をつないでおるかもしれませんけれども、だんだん失望してくるんじゃないか、こういう点が心配されます。したがって、この法案を提出されるにあたりまして、政府各省のこれに対する考え方、態度、そういうものはどういうようなものであったのか、また自治省として、その点についてどういうふうに各省に約束しているのか、あるいはまた立法上、もう少し強い措置が講ぜらるべきじゃないかと思われる節もありますので、そういう点についての御所見なり見解なりを聞かしていただきたいと思います。
○大村政府委員 本法律案の立案の過程におきます政府各省の意見と申しますか、態度と申しますか、その点について御参考に申し上げておきます。 各省から当初いろいろな意見が出ましたが、要約しますと二つの大きな点があったというふうに考えております。一つは、法律をもって組織化することについての消極的意見であります。事実上の指導で足りるのではないか、こういうような意見が多かったように記憶しております。第二点は、先ほどお尋ねのございました政府との関係における不統一があった場合の調整等に関する規定を投げることについてのやはり消極的な意見であります。そのほか、いろいろこまかい意見はございましたが、大きな点につきましては、いま申し上げました二つの点が共通的に見受けられたというふうに記憶しております。ところが第一の、法律をもって組織化するという点につきまては、先ほども申し上げましたように、全国を一定の地域区分を設けまして、この地域に所在する都道府県、指定都市あるいは関係の国の行政機関が一堂に会するという事柄を、現在の地方自治のたてまえあるいは国家行政組織に対する考え方からしまして、事実上の通達でもってやるということはあまりにも不見識である、こういった組織を設けることが必要であるならば、やはりこれは法律をもって設けざるを得ないという点をるる説明しまして、この点につきましては、初め消極的な意見を寄せておりました省におきましても、逐次了解してまいった、こういうふうな経緯を見ておるわけでございます。調整等の行政に関する規定につきましては、先ほど詳しく御報告いたしましたような事情で形の上では私のほうで譲歩したような形になっておりますが、会議の運用並びに意見の申し出、報告等の規定の活用によって、同じような目的を達成することができるのではないかというふうに現在考えております。
○小澤(太)委員 私の伺っているのは、まず協議がととのう場合のその過程について、これも出先機関の心がまえいかんによりましては非常にむずかしい問題がたくさんあると思うのです。そこで、その協議をととのわせるために、政府としてばどういう心がまえを、自治省はよくわかりておると思いますが、その他の各省においてどういう心がまえを持って積極的にこういう法案に賛成しているのかどうか。まあ、あまりこれを活用するという気持ちもなく、やっかいなものだというような気持ちならば、何ら法定した意味もありませんし、むしろ従来の連絡会議のほうがかえって実を結ぶのではないかという気がいたしますので、政府の心がまえ一つでこの連絡会議が生きもするし、死にもする。また政府の心がまえが、最初に触れましたように、地方自治体を縛るのだというような心がまえであるとすれば、この法律はないほうがいい、死んでしまうのみならず、むしろないほうがいい、こういうふうなことにもなります。 そこで伺いたいのは、政府部内においてほんとうにこの法律を活用して地方自治の伸長をはかり、広域行政について十分住民の福祉をはかられるような配慮を、地方自治体の自主的な判断なり希望によってできるように政府がバックアップしていくのだという強い熱意が、政府にあるのかないのか。ただ、おざなりにこういう法案をつくって、いわゆる手続規定をつくっておいて、いままで任意的にやっておったのを、一つの手続の面でただ統一化したというようなことでは困るのでありますから、その点をひとつ、もっとはっきり政務次官、お答えをいただきたいと思います。
○藤田政府委員 ごもっともな御心配でございまして、実は先ほど来官房長がお答えいたしましたとおり、本法案作成の段階におきましては、自治省を除く関係各省におきましては、相当、積極的な態度を示さない、むしろ反対の意向が強かったのでございますが、順次法案が煮詰まってくるにつれまして、相当この法案に期待する態度が強くなりました。たとえば第四条の会議の構成員をきめるにあたりましても、御審議願っておる法案には十項目まで、国の出先機関を具体的に明示いたしまして、十一項目で政令でまた拡張できるような道を講じておりますが、自分のところの出先機関を、ぜひこの第四条の国の出先機関の中に明示してほしいという希望も順次各省から出てきはじめました。相当関心が高まると同時に、この行政連絡会議にひとつ積極的に参加して活動しようという熱意が盛り上がってきたというふうに私たちは見ております。幸いに、これが国会を通過しました暁におきましては、自治省といたしましても、ただいま小澤委員の御指摘のような点がないように、関係各省一体になりまして、せっかく制度化するわけでありますから、十分運用の妙を発揮したい、相当実効のあるような、実を結ばすような努力を続けてまいりたいと考えております。何分にも初めて法制化したわけでございまして、法文の表現あるいはていさい等におきまして、相当隔靴掻痒の感のある点もあることば事実であります。この法案の実施の暁におきましては、これをひとつ運用の面で十分注意いたしまして、この法案の範囲内でも十分効果が上がるように、自治省といたしましてもせっかく努力を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
○小澤(太)委員 この法案の制定の過程におきまして、これも仄聞するところでありますが、また最初に私が質問したことでございますが、この地方自治体に対する指導と申しますかそれをバックアップする立場にある自治省が、政府の部内において、一の会議を法定することによりまして地方との結びつきを密接にする、その地方とのバックアップによって政府部内に強い発言力を持つということに対する警戒心が、いろいろ各省にあったように聞いておるわけでございます。おそらく、いまの政府各省のいわゆるセクト意識と申しますか、お役人のなわ張り根性、そういうことから考えますと、そのようなうわさはある程度事実であったように思うのであります。そういう空気の中で、この法律をつくられた自治省の御努力は多とするわけでございますが、いま政務次官のおっしゃったような、運用上特に意を払いたいということならば、各省の大臣が出先機関に対する仕事の権限の委任とか、そういう具体的な権限委任等の事柄、これをある程度法制化する必要もあろうかと思いますが、特に各省において、連絡会議に関する仕事を、出先の機関が十分に地方自治体の意見をくみ入れてやれるような処置ができるような委任の実態を、明文化するなり何かの方法でやらせるように各省に要望されることだと思いますが、そういう点の話し合いはどうなっておりますか、また今後どういうふうにお考えになっておられるか、この点を伺いたいと思います。
○藤田政府委員 ただいまお尋ねの点に関しましては、この五月一日に発足いたしました農林省の出先機関であります地方農政局に対しまして、農林省が三〇%以上の大幅な権限委譲をやりましたし、また建設省も建設省設置法の一部改正をやりまして、相当地方建設局に対する権限の委譲をやる、その他関係各省順次中央の権限を地方出先機関に委譲するというムードが出てきておることは御存じのとおりでありますが、これは今回自治省が提案いたしました地方行政連絡会議法案に符節を合わせたわけではございませんが、中央政府が国の出先機関にこういう権限を順次委譲するという情勢の中にこの連絡会議が発足すれば、相当効果をあげる機会が出てきておるのではないかと私たちは考えておりますが、この連絡会議法が通過しました暁におきましては、ただいま小澤先生御指摘のとおり、関係各省に対しまして、せっかく国の出先機関に地方行政連絡会議の意図するところを十分御説明申し上げまして、活用していただくように強く要請してみたい、かように考えておるところでございます。まだ法案作成に忙殺されまして、具体的に、現実にこれができた場合の関係各省の協力要請というところまで至っておりませんが、これは法案通過と同時に真剣に取り組んでまいりたい問題であることを率直に申し上げておきます。
○小澤(太)委員 一番大事な点はその点だろうと私は思いますので、どうぞひとつ自治省は責任を持って関係各省にそういうふうな措置ができるように連絡をしていただきたいと思います。 それから次いで、連絡調整が整わない場合の措置、これは先ほど御答弁がありましたように、あくまで連絡協議によって整うように努力する、そして整わないときの措置については、これを削除したんだということでございます。ところが実際の面においては整わない点が多いと思います。ことに河川の関係——道路関係はそうないと思いますが、そういうようなそれぞれ利害を異にするような問題については、なかなか整わない。こういう場合に、いかにしてこれを整わせるかということでございますが、あくまで整うように努力をするんだといいましても、これは限界がございます。過般河川法の改正が提案されましたが、その法案の制定の過程におきましても、私ども機会あるごとにいろいろ申し上げたのでありますけれども、あのようないわゆる一級河川の管理権を政府が全面的に掌握するというような措置をとる前に、やはりこういう連絡会議のようなものがありまして、それぞれ十分に意を尽くして連絡、協調をはかるような努力をし、そしてさらにその間の調整を、政府が責任を持って、国民経済なり国民全体の福祉のために役立つような方法において、調整するというような努力が傾けられるということが必要かと思います。しかし、このせっかくの河川法と軌を一にして提案されます連絡会議法案におきましては、そのことが全然なくて、いきなりそういうしちめんどうくさい権限は、国が掌握すれば解決するんだというような河川法的考え方、そういうものがまかり通って、この連絡会議法案は骨抜きになっておるという姿、これに私は何か政府の意図と申しますか、ほんとうの腹の底というものがわかるような気がいたすのでございまして、そういう点については、この法案は、最初おっしゃったようにあくまで地方自治体の自主的な意見を調整し、そして自主的な判断と責任においてやらせるために、国がこれをバックアップするための場をつくるんだという趣旨が徹底しない趣があります。そういう点についてはどういうお考えを持っておられますか。
○藤田政府委員 私も、いま御指摘の点は、全く問題であろうかと思いますが、ただ、この連絡会議法が実施されました際におきましては、意見が整わない場合におきましても、従来この制度がないときにおきましては、各公共団体あるいは国の出先機関から、ばらばらに政府に反映しておりました問題点というものが、連絡会議を開催している途中におきまして問題の所在が相当はっきりしてまいります。しかもそういう際におきましても、第九条の報告と第七条の意見の申し出という規定をひとつ十分活用していただきまして、整わない場合における問題点はどこにあるかということを、自治省としても詳細に報告を聴取いたし、またこの連絡会議の構成員のほうからも、第七条に基づく意見を思い切って申し出ていただくということを重ねておるうちに、順次、政府部内の協議の整わない問題に対する解決の方策も早くなってくるのではないか、こういうことを一つのねらいとしておるわけでございまして、多少まだぬるい点もございますが、現在の段階においては、この表現以上にはなかなか踏み切れなかったといういろんな事情もあったことは、小澤先生も御存じのとおりでございます。この規定をうんと活用して、そういう御心配の点をなるべく除去してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○小澤(太)委員 これはいま申し上げたように、何かせっかくのものが次々に落ちていきまして、なくもがなというか、あってたいして益もないような形骸だけが残ったような感じがします。したがって、いま政務次官のおっしゃったように、今後の政府の心がまえなり運用の面でこれを補っていく必要があるかと思います。遺憾ながらこの法案は、自治省がお出しになる法案としてはあまりりっぱなもの、じゃないと私は思うのでありまして、まことに残念に思います。 そこで、少しこまかいことを伺いたいと思いますが、全国を九つのブロックに分けるのですか、こういうブロックになぜ分けるのだろう、広域行政についてはこういう九つの区域というような固定されたものではないのでありまして、二つの県、三つの県、あるいは大きくいえば全国的な問題もあります。なぜこれを九つにするのか、何かそこにいかにもぎごちない感じがいたすわけでございますが、これはむしろ運用の面において伸縮自在に、合目的にこれが編成されるのかどうか、その点をひとつ伺いたいと思います。
○大村政府委員 九つのブロック区分を設けました理由としましては、要約して申し上げますと、最も社会通念に即した常識的な区分に従ったということに尽きると思います。なお参考として申し上げますと、国土総合開発法に基づく地方開発計画の区分も大体このような区分になっておりますし、また自発的な組織として現在行なわれております地域的な知事会あるいは市町村の連合体の区分も、おおむねこういったような区分に従っているということも、あわせて御参考に申し上げておきます。
○小澤(太)委員 これは原則としてこういうことをするんで、それぞれ必要に応じて、その区域というものは関係の府県においてつくろうと思えばできるたてまえになっておると思いますが、むしろこういうふうに九つにきめてしまうということが、いかにも官僚の考えそうな事柄であります。現実に私ども地方行政をやっておりましたときに、たとえば道路の問題では、中国の県だけではなしに、兵庫県や大阪も入れるとか、あるいは瀬戸内海の問題では、周辺の十一ですか、十二の県が一緒になってやるとか、いろいろ伸縮自在に、いわゆる目的に沿うような区域でやっておったと思います。それを何もこの九つにきめてやる必要はないと思います。国土総合開発法で九つのブロックに分けておる。それは分けておりまし、ようけれども、そういうふうに何か、いわゆる琴柱にかわすというか、きちっとしてしまって、適当な運営が、実際上の目的に合うような措置ができないような法律をつくった。どうも何かいやな感じ、ぎこちない感じを与えますので、そういうことではなしに、必要に応じて問題ごとにそのような連絡会議がつくれるのかどうか、またそういうことを慫慂されるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
○大村政府委員 この九つの区分は、先ほど申し上げましたような理由で設けたのでございますが、御指摘の各個別目的に従って、それにふさわしい地域区分を設けるということは、事柄によっては当然必要であると考えるわけであります。共通の海の問題、川の問題、港湾の問題、あるいは離島振興の問題等につきまして、それぞれ個別目的の組織が設けられているということは御指摘のとおりでございまして、私どもはその必要を認めておるものでございます。ただ、この行政連絡会議は目的にございますように、一定の地方における都道府県の区域を越える広域的な行政問題を常時協議する機関でございますので、あまり個別行政目的にとらわれ過ぎますと、その点がうまくいかないという点も考慮しまして、おおよそいままでの社会通念に従って都道府県の区域を越える広域的な行政、しかも個別的でなく、総合的に起こり得る共通問題を考えた場合の措置として、一応こういった区分を設けることとし、なおそれであまり硬直的に過ぎる場合に対処するために、備考に弾力規定を設けまして、一応こういう区分によるが、なお必要によりましては隣接する府県が隣のところに同時に加入する道を開くということで、弾力的な運用をはかっておる次第でございます。
○小澤(太)委員 そうしますと、この九つの地域、これはここに書いてありますような区域に従って連絡会議をつくらなければならぬのですか。これはつくらないでおこうと思えば、それは自由なんでしょうか。その点はどうですか。
○大村政府委員 この法律がこのとおり制定されますと、やはり関係府県、政令都市は組織する義務を負うということになると考えます。
○小澤(太)委員 どうも道州制くさいという世間の批評がありましたが、こういうところに疑いを受ける要素があるのじゃないかと私は思います。道州制の考え方とは全然違った、全然反対の考え方、つまり官治行政的なものではなしに、地方自治体を主体とする考え方でいくという御説明でありますし、法案趣旨もそういうふうに読めますので、この点は、欠点はございますけれども、運用の面において御留意いただきたいと思います。 全国知事会というのがありますが、これは一体どういうことになりますか。これとは全然関係のないものになりますか。どうですか。
○大村政府委員 全国知事会は、御承知のように全国的な知事の機関でございまして、全都道府県知事の共通問題を協議し、また政府、各省に対して建議する、そういうふうな立場にある。それに対しまして、地方行政連絡会議のほうは地方別の組織でございます。全国的な組織と地方別の組織というところに相違があろうかと思います。また全国知事会には、国の行政機関は当然には参加しないたてまえをとっております。その点においても相違があろうと思います。地方行政連絡会議は、あくまで地方における広域行政を、地方を主体としながら、国の地方行政機関の参加を求めて連絡調整を密にしていくという点に特色があるわけでありまして、全国知事会とは無関係のものであります。
○小澤(太)委員 全国知事会を、どういうふうに考えておりますか。地域は全国的にわたりますけれども、いわゆる広域行政にわたる問題について、いままであそこで真剣に討議をし、結論を待て政府に要望しているという事態が多いのであります。これを政府としてはただ任意の陳情機関だというふうに考えるのか。せっかく地方のブロック別にこのような連絡会議を置こうというその趣旨を、さらに拡大して、全国的な視野において広域行政についての——何も全国を一つにしろというのではございませんが、共通の問題についてどう議論をされているか、これを政府が責任を持って意見を取り上げ、あるいはこの意見をできるだけ尊重して、これを実現するようにつとめなければならぬというような考え方、こういうものを何かはっきりさせるような構想はないものか伺いたいと思います。
○大村政府委員 全国知事会が、地域的な開発問題につきまして意見をまとめて、政府に提出されるという場合におきましては、もちろん政府といたしましてもその意見を尊重して、できる限り対処しなければならぬというふうに存ずるのでございます。 なお、全国知事会がそういった点につきまして、地方における広域行政に関する問題を取り上げるということになりますれば、関係都道府県知事は、必ずや各連絡会議におきまして、そういった方針なり考え方に基づいて、連絡協議に臨まれるということで、その間は矛盾なく事柄が進むのではないか、また、そういった運営が期待されるというふうに考えております。
○小澤(太)委員 この法案とは別に、私はやはり地方自治体の長と政府の責任者は、ひざを交えて、日本の政治万般にわたって十分に話し合う機会をつくる必要があるのではないか。ときどき政府招集の知事会議などがございますが、ただ政府からいろいろ訓示みたいなことをやる。私はそれに参加して非常に不愉快に思ったのは、何々大臣の説示と書いてある。訓示というとちょっとかた苦しいものですから、説明して示すと書いている。一体府県知事を集めて、各省大臣が説示するとは何事か。昔の地方長官会議のような気持ちで会議が運営されている。いろいろ意見を述べましても、ただ聞きおくだけのことであります。こういうふうに地方自治体そのものを軽視している。政府がその上に立っている。説論ではなくて説示です。多少遠慮したことばづかいでありますけれども、そのことばづかいの中に、政府の地方自治体に対する考え方というものが端的に現われている。こういうような地方連絡会議をつくるならば、全国的に地方自治体の長と政府の幹部が、お互いに同等の立場で十分に話し合って、国民の福祉を守り、生産を上げていくというような事柄を自治省としては考えるべきじゃないか、こう思います。これまたよけいなことだと思いますが、たとえば国会におけるところの政府の政策の説明がございます。劈頭において総理大臣がやる、あるいは大蔵大臣がやるとか、あるいは経済企画庁長官がやるとか、外務大臣がやるとか。ところが自治大臣——日本の国民のすべてがそれぞれの自治体に属し、直接的には、自治体の政治によってその福祉が守られているのでありますから、その自治大臣が、あるいは総理大臣でもよろしゅうございます、とにかく政府において、地方自治について国会に報告がされておらない。何らのことが行なわれておりません。たまたま、総理大臣の何かに出てきますと、地方税の問題だけであります。そういうような政府全体の考え方からいたしましても、地方自治を非常に軽視しておる。これでは日本の民主主義というものは育っていかない。やはり何としても地方自治を自主的に発展をさせる。その上に立っていかなければ、過去においておかしたいろいろなあやまちを、さらにおかす危険性がある。また現在の傾向からいたしましても、多少そういうようなにおいがしておる。こういう点を考えますと、全国の知事会議のようなものをもっと組織化して、少なくともあなた方が提案されましたこの連絡会議のような精神が盛り込まれておるような組織を考える必要があるのじゃないか、こう私は痛切に感じます。この点について、これは大臣に伺いたいのですけれども、おられませんから、かわって政務次官、ひとつお考えを伺いたいと思います。
○藤田政府委員 御指摘のとおり、地方自治というものが民主主義の基盤でありまして、自治体の発展せざる国で民主政治がうまくいっていないということは、いまや完全に常識になっておるのであります。最近、政府の諸般の施策を見ていると、どうも中央集権的になりつつあるやの御発言もございましたが、自治省といたしましては、万事につきまして、そういうことがないように非常にこまかく神経を使ってきているつもりであります。この法案の作成にあたりましても、あくまで都道府県知事を議長にいたしまして、自治体を中心とした連絡会議等、地方自治の広域的な総合的な運営、処理を促進するんだという意識を、強くこの法律の底流として流しておるつもりでございます。ただ、国と地方の事務配分の問題、財政の問題、税源の問題、制度機構の問題、その他万般にわたりまして、自治省としましても、この際地方自治を強化するというわれわれ自治省の行政の最大の眼目を十分気にとめまして、ますます地方自治が伸長しますように努力を続けていくことはもちろんでございますが、国会における施政演説の中に、地方自治に関する報告がないというようなことも御指摘にありましたが、この点も、農政に関しましては一昨年農業基本法ができまして、国会に対する農政報告を義務づけております。近く中小企業基本法ができますと、また中小企業に関しましては、通産大臣が国会に報告をするということが法律で明文化します。というような場合におきまして、国会に対する地方自治に関する説明、報告の機会を持つべきかどうかということも、今後やはり検討すべき問題であろうかと存じております。ただ私は、政府の地方自治に対する報告ということになりますと、なかなかそこに微妙な問題もはらんでくるのではないかということも心配いたしております。でき得れば、現在憲法が保障した地方自治というものの名にふさわしい制度、法律改正をうんと盛り立てていく、これに中心を置くことが大前提ではないか。そのためには、現在の都道府県、市町村の自治というものが、ほんとうにすべての点で軌道に乗る、こういうことに自治省としては御協力申し上げたい、これをじみちではございますが、堅実にやっていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○小澤(太)委員 だいぶやかましい問題が出てきましたので恐縮ですが、政府は、どうもいま次官のおっしゃったような趣旨に地方自治のことを考えておられないような気がいたします。たとえば先般の冷害ですか、降ひょうによるところの災害についての緊急質問に対する政府の答弁を見てみましても、大蔵大臣が交付税についての答弁をしておりました。まるで、交付税は国から大蔵大臣が分けてやるんだというような考えを持っておる。大体交付税というのは、地方の自主財源であるという考えを持っておらぬ。政府は、自分の財源である、こういうように考えておる。こういうようなことが一つ一つの言動にあらわれてきておるいうところに、私は現在の政府の責任者の考え方について疑問を持たざるを得ない。そういう点から考えますと、先ほど申しましたような全国知事会の問題とか、あるいは根本的にはこれは憲法ではっきり書いてありますから、その必要はないと思いますが、自治基本法というようなものを制定いたしまして、国として地方自治をどう考えるのだ、憲法の趣旨に沿うてどうやるのだというような約束を、国民と政府がやるべきではないかというところまで私は考えていかなければならぬと思います。こういう点についても、ひとつ自治省当局では十分考えていただきたいと思うのでございます。 話が妙なところにまいりましたが、もう一つ聞いておきたいのは、いまや広域行政をやらなければならぬという問題は、現実の問題となっておるのでございますが、ただ、連絡会議でもってこと足りるのではなしに、むしろこの際、府県の連合とかあるいは府県の合併とか、そういうふうな根本に触れた地方自治体の組織、運営のあり方等については、もっと考えていただかなければならぬと思います。 最近都市連合の問題が出てまいりましたが、先般私ども地方行政委員会で、ある地域に調査にまいりました。現実には聞いたほどのものではございませんでしたが、しかし、都市連合なりあるいは府県の連合なり、あるいはまた府県の合併なりということは、早晩考えていかなければならぬ問題だと思います。それに対して、自治省はどういうお考えを持っておられるか伺いたいと思います。
○藤田政府委員 昭和三十二年に、地方制度調査会は道州制に対する答申をいたしておりまして、最近の地方公共団体の行政の実態というものが、ただいまお示しのようなことを余儀なくさせるくらいに広域化し、また錯綜してまいっております。この問題に関しましては、先般省議の席上におきましても、各局長、大臣等から活発な意見交換がありましたが、こういう問題は、まず第一に重大な点は、地域住民の盛り上がりというものがやはり大前提でなくてはならぬと思うのであります。その観点からしまして、現に三重、岐阜、愛知県等におきまして、府県統合の動きが一部に出ておることもお示しのとおりでございまして、将来の方向といたしましては、そういうことを順次自治省としましても真剣に検討すべき段階にきつつあるということを率直に認めます。が、現在の段階では、まだ一番大事な地元住民の盛り上がりというものがそこまでいっていない。現実としてまだ自治省が率先して踏み切るというところまでの決意がなかなかつかないが、将来は検討せざるを得ない問題であろう、こういうふうにわれわれは考えております。
○小澤(太)委員 将来検討しなければならぬ問題であることは当然でございますが、いわゆる地方庁とかあるいは道州制とか、いろいろの考え方の提案がなされ、またなされんとしつつある状況でございます。その考え方に、大きく分けると二つあると思う。国の一つの出先機関として、国の官治行政的なたてまえからそういう組織をつくっていくという考え方と、もう一つは地方自治体の自由な意思によるところの連合なり合併なりの形において、そういう広域の自治体ができていく、こういうことで、二つあると思いますが、自治省としては一体どちらをとっておられるか、この点を伺いたいと思います。
○藤田政府委員 実は、官治の方向であるか、自治中心の方向であるかということに関しましても、まだ本格的な検討をいたしておりませんが、われわれの立場から率直に申し上げますと、現在の首都圏整備委員会あるいは現在計画中の近畿圏整備委員会、こういうものが乱設されまして、これに対して自治省としてはっきりした態度が出ないということはまずい、この際時期を見て自治省としてはっきりした態度をとろう、しかもあくまでこういう問題を検討する際におきましては、地方自治の伸長ということを前提に検討しよう、地方自治体を強化するというたてまえから検討すべきである、こういう方向にあることだけは御承知をお願いしたいと思います。
○小澤(太)委員 いろいろ弁解はされますけれども、最近の傾向としては実際には中央集権的、官治行政的なものをつくっていこう、いまおっしゃったような首都圏なり近畿閥なり、そういうところに一つ一つつくっていこう、こういう傾向が非常に強いのでありますから、自治省としてはこの際一体どういう考え方で臨むべきか、地方自治体をいかに伸ばしていくかということについて、私は早急に意見をまとめてもらいたい。ただ政府部内のあるところでそのような強い意見が出て、それがいつの間にかうやむやのうちにまとまった形になってしまう。河川法についても私は同様なことが言えると思うのです。ことに私は政務次官にお願いしたいと思いますが、地方制度調査会で国と自治体との事務配分について諮問を受けて、いま一生懸命になって論議をやっておる。そのさなかにおいて、それとは関係がないのだ、そういうところに諮問したこともないのだから、河川法の問題はこれで押し通すのだというようなことばが、閣議の席上で、最高の責任者からあったということを聞いております。これはいずれいろいろなところで検討される問題だと思いますが、およそその態度からしておかしいと思います。こういうことがまかり通るということは——私は与党でありますから政府を攻撃することを必ずしも快しとしないのでありますけれども、閣議の席上で、具体的に地方制度調査会——これは政府みずからがつくった総理大臣の諮問機関であります。それに包括的に事務の配分について諮問しておきながら、その中で一番大事な問題を具体的に諮問してないのだから、その結論が出るまで待っておれぬ、いま諮問してないものを地方制度調査会が文句を言うのはおかしいじゃないか、それは行政管理庁長官が注意すべきだ、こういうようなことを言われて押し通していかれるというような考え方そのものが、私は自治省がばかにされているし、せっかく民間の学識者を集めてつくった地方制度調査会も無視しておる。こういうふうな趨勢からいたしますならば、かよわい地方自治体、制度上は強いけれども実際はかよわい状態に置かれておるものを、政府がかってにどうしよう、こうしようという考え方に立っておられるということは、嘆かわしいことだと思います。こういう点はひとつ自治省の責任者として、そのようなことがないように、国民の立場に立ち、また地域住民の立場に立ってよく考えていただきたい。河川法の際に、府県知事がいろいろ反対をいたしました。その具体的ないろいろな事情もわかりますけれども、本質的には何かそういうふうな地方自治を完全に踏みにじって、中央集権的に、国が思うままにやればそれでいいのだ、それで国民の福祉は守られるのだ、そういう考え方が根底にあるとするならば、私はゆゆしい問題だと思います。そういう点は十分にひとつ、これは自治省の上から下までよく考えてやっていただきたい、このことを強くお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○藤田政府委員 ただいま、河川法の問題に関連いたしまして、政府の態度にきびしい御批判をいただきまして、われわれも深く反省をしなくてはならぬと思っております。この問題に関しましては、先般の地方制度調査会の総会におきましても、相当激しく追及されたところでございますが、ただ河川法の審議にあたりましては、三月二十三日に都道府県知事の選挙告示があり、四月一ぱいが選挙に拘束されまして政治的に空白があったというようなことで、地方制度調査会に諮問する、御相談する機会もなかったという重大な落ち度をおかしたことを私たちは率直におわびしなくてはならぬと思っておるのでございます。ただ問題は、国民全体、特に日本の政治形態の根本に触れる大問題でございますので、国会におきましてもひとつこの点に関しましては——自治省も十分今後万事注意してまいりますが、国民の代表であり国権の最高機関であります国会におきましても、この点に関しましては政党のいかんを問わず、徹底的にひとつ御叱正をお願いしながら、われわれも努力してまいりたい、かように考えております。
○宇野委員 いずれ木曜日に質問いたそうと思います。したがいまして、きょうは簡単に、小澤さんの御質問に関連して申し上げておきますから、自治省のはっきりした見解は当日承ることにいたします。 いま小澤さんは、一応河川法の例を用いられまして、もしも地方連絡会議がこれよりも先に生まれておったのならば、あるいはああいうふうな問題はなかっただろうというようなことを言われた。それと同様に、私自身の考えといたしましても、いまや広域行政という立場に追い込まれつつあるというのが、今日の日本の経済からながめた地方自治体の姿だと思うのです。これまでの日本の経済というものは、非常にスピードが早かったために、言うなれば政治のテンポのほうがおそかった。だから、いま政治が汗をかきながらあとを追いかけている。道路の問題から、あるいは水の問題から、後手後手に回った法案を出しているわけなんです。いま日本の経済自体が広域経済に移行しつつあり、それに伴うたところの広域行政をやらなくちゃならないから、将来といわずもしもいま府県合同なりあるいは道州制ができておったのならば、あるいは今回のごとく河川法の改正によりその権限を一切国家が掌握するというような事態も起こらなかっただろうと私は思うのです。 こういうふうに考えてまいりますと、これからの日本経済並びに地方自治体の姿というものの再検討は、当然必要だ。したがって、いまから自治省自体がすみやかに検討いたしますとか、慎重に検討いたしますということではなくして、その青写真をすみやかにお出しになることが私は必要だと思うのです。先般も新産業都市の問題につきまして、佐久間さんに私は質問をいたしておきましたが、たとえば低開発地域工業開発促進法であるとか、あるはい新産業都市法であるとか、あるいは地方開発事業団法であるとか、今回の地方行政連絡会議法案であるとか、幾つかの法案が準備されておるわけでございますけれども、しかし私たちがながめさしていただくと、将来の日本経済、住民の福祉、そうしたものに関するところの一枚のまとまった青写真というものを私たちは見さしていただいたことはない。低開発についてはこうです、新産についてはこうですと、いろいろな部面々々を写真を見せてもらっておるようなものなんです。これが富士山のすそ野だ、これは富士山の火口です、これは富士山の六合目です、二合目ですといったような、部分的な写真だけ皆さん方はおつくりになって、私たちに審議を求められておるわけです。将来の富士山はこういう姿ですよ、すそ野はここで頂上はここで、噴火口はここで、何合目はここなんだというりっぱな青写真というものを、いまなお自治省はおつくりになっておらぬ。私はこの点を非常に残念に思います。したがいまして、そうした青写真というものに関して、ひとつすみやかと言わぬ、ここ一両日の間に、大体の官僚さんなら官僚さん的なお考えでよろしい、将来の地方住民の福祉のためには、今日のこのままの姿の府県制度というものが必ずしもよいとも申し上げられないかもしれない。したがって、そういったことをひとつ御検討を賜わっておきたいと思うのであります。 第二点で申し上げたいことは、いま政務次官が道州制あるいは府県合同というものは、将来の姿においては検討しなくてはならないだろう、しかし、現段階においては住民の意思の盛り上がりがないということを申されました。確かに私はそのとおりだと思う。だから、連絡会議においても、住民の意思の盛り上がりということをささんがための連絡会議であると私は思うけれども、その点に関して、この法案では、政府の責任、いわゆる政府が、これだけのことは連絡会議が意見を具申せられ、あるいは関係大臣にそのことを報告せられた場合には、必ずやりますというふうなことがないがために、住民の意思の盛り上がりができない。また第二点で申されましたとおり、住民の意思の盛り上がりができないから、今日の憲法においては住民投票によらざる限り府県合同というものはできません。したがいまして、その憲法の解釈からいたしましても、将来住民の意思を盛り上がらさして、たとえば現行憲法がそのまま存続しておるとするならば、この九十五条というものを尊重されるお気持ちがあるのか、あるいはこの秋には、憲法改正の一応の答申が出ます。第九十五条は、いろいろ委員会の中におきましても、住民投票というのはどうも繁雑で、また、いまなおあまり政治意識が国民の間に徹底しておらぬのだから、これまたちょっと考え直さなくてはならない、廃止というふうな意向もある。しかし自治省自体はどういうふうにお考えになるか。そういう点に関しまして、私は本日はあえて答弁を求めません。ひとつ明後日、はっきりしたことをまとめていただいてやっていただきたいと思います。そのときに私は個々の問題につきまして、相当突っ込んでお話をいたしたいと思いますから、きょうはあえて御答弁を必要といたしません。
○永田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十三分散会